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特表2023-528858脂肪性媒体中に(不)飽和炭化水素ベース鎖を有する少なくとも2種の異なるポリマー単位を含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む化粧用組成物
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  • 特表-脂肪性媒体中に(不)飽和炭化水素ベース鎖を有する少なくとも2種の異なるポリマー単位を含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む化粧用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】脂肪性媒体中に(不)飽和炭化水素ベース鎖を有する少なくとも2種の異なるポリマー単位を含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/90 20060101AFI20230629BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230629BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230629BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230629BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230629BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20230629BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230629BHJP
   C08G 63/06 20060101ALI20230629BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20230629BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20230629BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20230629BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20230629BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230629BHJP
【FI】
A61K8/90
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/34
A61Q5/00
A61Q1/04
A61Q1/00
C08G63/06
C08L101/16
C08L67/04
C08K5/05
C08K5/10
C08K3/013
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574267
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2021067220
(87)【国際公開番号】W WO2021260048
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】2006571
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ・サヴォネ
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・ギャルコン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ポルタル
【テーマコード(参考)】
4C083
4J002
4J029
4J200
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC391
4C083AC422
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB13
4C083BB23
4C083BB24
4C083BB25
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC31
4C083DD21
4C083EE01
4C083EE06
4C083FF01
4J002CF181
4J002CP032
4J002DA037
4J002DE117
4J002DJ057
4J002EC016
4J002ED026
4J002EH026
4J002EH046
4J002EQ017
4J002FD010
4J002FD022
4J002FD026
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD097
4J002FD310
4J002FD330
4J002GB00
4J029AA02
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD10
4J029AE18
4J029EA01
4J029EA02
4J029EA05
4J029GA51
4J029KD01
4J029KD15
4J029KD17
4J029KE17
4J029KH05
4J029KJ08
4J200AA04
4J200AA26
4J200DA21
4J200DA24
4J200EA04
4J200EA21
(57)【要約】
本発明は、a)以下の単位(A)及び(B):-[-O-CH(R1)-CH2-C(O)-]- 単位(A)、-[-O-CH(R2)-CH2-C(O)-]- 単位(B)から選択される少なくとも2種の異なる繰り返しポリマー単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体及び水和物などのその溶媒和物を含有する、好ましくはそれらからなる1種又は複数のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマーであって、ポリマー単位(A)及び(B)において、Rは、i)分岐状(C~C)アルキル、ii)(C10~C30)アルキル;iii)直鎖状又は分岐状(C~C30)アルケニル;iv)直鎖状又は分岐状(C5~C30)アルキニル;v)(ヘテロ)アリール;vi)(ヘテロ)シクロアルキル;好ましくは基i)(C10~C20)アルキル又はiii)(C~C20)アルケニルから選択される炭化水素ベース鎖を表し;Rは、1~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表す、1種又は複数のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマー;及びb)好ましくは25℃及び大気圧で液体である1種又は複数の脂肪性物質を含む脂肪性媒体を含む組成物であって、(A)は、(B)と異なることが理解される、組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)以下の単位(A)及び(B):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
から選択される少なくとも2種の異なる繰り返しポリマー単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体及び水和物などのその溶媒和物を含有する、好ましくはそれらからなる1種又は複数のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマーであって、ポリマー単位(A)及び(B)において、
- Rは、i)分岐状(C~C)アルキル、ii)(C10~C30)アルキル;iii)直鎖状又は分岐状(C~C30)アルケニル;iv)直鎖状又は分岐状(C~C30)アルキニル;v)(ヘテロ)アリール;vi)(ヘテロ)シクロアルキル;好ましくは前記基i)(C10~C20)アルキル又はiii)(C~C20)アルケニルから選択される炭化水素ベース鎖を表し;
- Rは、1~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表す、1種又は複数のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマー;及び
b)好ましくは25℃及び大気圧で液体である1種又は複数の脂肪性物質を含む脂肪性媒体
を含む組成物、特に化粧用組成物であって、(A)は、(B)と異なることが理解される、組成物、特に化粧用組成物。
【請求項2】
前記PHAコポリマーは、式(I):
【化1】
(式(I)中、
・R及びRは、請求項1において定義された通りであり;
・m及びnは、1以上の整数であり;好ましくは、n+mの合計は、両端値を含めて450~1400であり;
好ましくは、R及びRがアルキル基を表す場合、m>nであり、- より優先的には、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;及び
好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキル基を表し、及びRがアルキル基を表す場合、m<nである)
の繰り返し単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体及び水和物などのその溶媒和物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記PHAコポリマーa)は、3種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)及び(C)を含有し、好ましくは以下の3種の異なるポリマー単位(A)、(B)及び(C):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
(ポリマー単位(A)、(B)及び(C)において、
- R及びRは、請求項1において定義された通りであり;
- Rは、1~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表し、特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキル及び直鎖状又は分岐状(C~C28)アルケニルから選択される炭化水素ベースの基、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、より特に(C~C20)アルケニルを表し;好ましくは、前記炭化水素ベースの基は、前記基Rの炭素原子の数又はさもなければ少なくとも3個の炭素原子が差し引かれた前記基Rの炭素原子の数、好ましくは4個の炭素原子が差し引かれた前記基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有する)
並びにまたその光学的又は幾何学的異性体及び水和物などのその溶媒和物からなり;及び
- (A)は、(B)及び(C)と異なり、(B)は、(A)及び(C)と異なり、且つ(C)は、(A)及び(B)と異なり;及び
- 好ましくは、R、R及びRがアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、且つ単位(C)のモルパーセントよりも大きく、- より優先的には、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し;及び
- 好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも小さく、且つ単位(C)のモルパーセントよりも小さく、特にRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表す場合、好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表すことが理解され;
より優先的には、前記PHAコポリマーは、式(II):
【化2】
(式(II)中、
・R、R及びRは、上記で定義された通りであり;
・m、n及びpは、1以上の整数であり;好ましくは、n+m+pの合計は、両端値を含めて450~1400であり;
好ましくは、R、R及びRが、非置換であり、且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>n+pであり、- より優先的には、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し;及び
好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、好ましくは、Rが、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表す場合、m<n+pである)
の繰り返し単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、その有機又は鉱物酸又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記PHAコポリマーa)は、4種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、好ましくは以下の4種の異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)において、
- R、R及びRは、請求項1又は3において定義された通りであり;
- Rは、3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和の炭化水素ベースの基を表し;特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表す)
並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、その有機又は鉱物酸又は塩基塩及びまた水和物などのその溶媒和物からなり;及び
- (A)は、(B)、(C)及び(D)と異なり、(B)は、(A)、(C)及び(D)と異なり、(C)は、(A)、(B)及び(D)と異なり、且つ(D)は、(A)、(B)及び(C)と異なり;
- 好ましくは、R、R、R及びRがアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、且つ単位(D)のモルパーセントよりも大きく、- より優先的には、R、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し;及び
好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも小さく、且つ単位(C)のモルパーセントよりも小さく、特にRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表し、且つRがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表すことが理解され;
より優先的には、前記PHAコポリマーは、式(III):
【化3】
(式(III)中、
・R、R、R及びRは、上記で定義された通りであり、
- m、n、p及びvは、1以上の整数であり;好ましくは、n+m+p+vの合計は、両端値を含めて450~1400であり;
- 好ましくは、R、R、R及びRがアルキル基を表す場合、m>n+p+qであり、- より優先的には、R、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、及びRは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;及び
- 好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、且つRがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、n>m+v;より優先的にはn+p>m+vであり;好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表す)
の繰り返し単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、その有機又は鉱物酸又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記PHAコポリマーa)は、5種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、好ましくは以下の5種の異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(E)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)において、
- R、R及びRは、請求項1又は3~5のいずれか一項において定義された通りであり;
- Rは、3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和の炭化水素ベースの基を表し、特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;及び
- Rは、3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和の炭化水素ベースの基を表し、特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、前記炭化水素ベースの基は、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた前記基Rの炭素原子の数、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が差し引かれた、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた前記基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有する)
並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、その有機又は鉱物酸又は塩基塩及びまた水和物などのその溶媒和物からなり;
- (A)は、(B)、(C)、(D)及び(E)と異なり;(B)は、(A)、(C)、(D)及び(E)と異なり;(C)は、(A)、(B)、(D)及び(E)と異なり;(D)は、(A)、(B)、(C)及び(E)と異なり;且つ(E)は、(A)、(B)、(C)及び(D)と異なり;
- 好ましくは、R、R、R、R及びRがアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、単位(D)のモルパーセントよりも大きく、且つ単位(E)のモルパーセントよりも大きく、- より優先的には、R、R、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、Rは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、8個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及び
好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも小さく、且つ単位(C)のモルパーセントよりも小さく、特にRがアルキル基を表し、及びRがアルキル基を表し、且つR及びRがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表すことが理解され;
より優先的には、前記PHAコポリマーは、式(IV):
【化4】
(式(IV)中、
・R、R、R、R及びRは、上記で定義された通りであり;
・m、n、p、v及びzは、1以上の整数であり;好ましくは、n+m+p+v+zの合計は、両端値を含めて450~1400であり;
- 好ましくは、R、R、R、R及びRがアルキル基を表す場合、m>n+p+v+zであり;
- 好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、且つ前記基R及びRがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、n>m+v+z;より優先的にはn+p>m+v+zであり;好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表す)
の繰り返し単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、その有機又は鉱物酸又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記PHAコポリマーa)は、Rが、2-メチル-5-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、イソブチル若しくは2-メチルヘプチル、好ましくは2-メチル-5-ペンチルなど、5~9個の炭素原子を含む分岐状アルキルであるか、又はRが、ii)直鎖状若しくは分岐状、好ましくは直鎖状(C10~C30)アルキルを表すようなものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記PHAコポリマーa)は、前記基R、R、R、R及びRを有する炭素原子の立体化学が、同じ(R)又は(S)、好ましくは(R)配置のものであるようなものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記PHAコポリマーa)は、Rが、iii)直鎖状又は分岐状(C~C30)アルケニルであって、より特に直鎖状であり、前記アルケニル基の末端に少なくとも1つの不飽和、好ましくは1つのみの不飽和を含む直鎖状又は分岐状(C~C30)アルケニルを表し;さらにより特に、Rが、以下の基:-[CR(R)]-C(R)=C(R)-R(式中、R、R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、両端値を含めて2~20、好ましくは3~10、より優先的には4~8、例えば6の整数を表す)を表し;より特に、Rが、ヘキセニル、オクテニル、ウンデセニル、2-ブテニル及び2-メチル-2-ペンテニルから選択されるようなものである、請求項1~5又は7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記PHAコポリマーa)は、Rが、直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキル及び直鎖状又は分岐状(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、特に(C~C20)アルキル又は(C~C20)アルケニルから選択されるようなものであり;好ましくは、前記炭化水素ベースの基は、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた前記基Rの炭素原子の数、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が差し引かれた前記基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記PHAコポリマーa)は、前記基Rが直鎖状若しくは分岐状、好ましくは直鎖状(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基、例えばn-ペンチル若しくはn-ヘキシルであるか;又はR2が分岐状(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル基、好ましくは分岐状(C~C)アルキル、例えばイソブチルであるようなものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記PHAコポリマーa)は、Rがアルキル基である場合、
- 前記単位(A)が、30%~99%の範囲のモルパーセント、優先的には40%~95%の範囲のモルパーセント、より優先的には50%~85%の範囲のモルパーセント、さらにより優先的には60%~70%の範囲のモルパーセントで存在し;及び
- 前記単位(B)が、0.5%~70%の範囲のモルパーセント、優先的には2%~10%のモルパーセント、より優先的には5%~35%のモルパーセントの単位(B)で存在し;及び/又は
- 前記単位(C)が、0~20%の範囲のモルパーセント、優先的には0.1%~10%、より優先的には0.5%~7%のモルパーセントの単位(C)で存在するようなものである、請求項1~7、9又は10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記PHAコポリマーa)は、Rが、上記で定義されたアルケニル基又はアルキニル基である場合、合計に対して、前記単位(A)が、0.1%~50%の範囲のモルパーセント、より優先的には0.5%~40%の範囲のモルパーセント、さらにより優先的には1%~40%の範囲のモルパーセント、さらにより良好には5%~30%の範囲のモルパーセント、8%~20%の範囲のモルパーセントで存在し;前記単位(B)が、70%~99.5%、好ましくは60%~95%の範囲のモルパーセントで存在し;及び前記単位(C)が、0%~30%、好ましくは1%~25%、より優先的には5%~24%の範囲のモルパーセントで存在し、前記単位(D)が、合計に対して0~10%、好ましくは0.1%~5%、より優先的には0.5%~2%の範囲のモルパーセントで存在し、及び前記単位(E)が、合計に対して0~10%、好ましくは0.1%~5%、より優先的には0.5%~2%であるようなものである、請求項1~5又は7~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記PHAコポリマーa)は、それらが以下の繰り返し単位を含むようなものである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【化5】
【表1】
より特に、
【化6】
【表2】
【化7】
【表3】
【化8】
【表4】
【化9】
【表5】
【請求項14】
前記脂肪性媒体は、
□分岐状C~C16アルカン、例えば石油由来のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン、イソデカン又はイソヘキサデカン、
□直鎖状C~C16アルカン、例えばn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)並びにまたそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、n-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物並びにそれらの混合物;
□脂肪酸がC~C24の様々な鎖長を有し得るグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドであって、鎖は、場合により、直鎖状又は分岐状及び飽和又は不飽和である、トリグリセリドなど、特に植物由来の油から選択されるエステル油であって、特にヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリドであり、前記植物由来の油は、小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、落花生油、コーン油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、米油、亜麻仁油、マカダミア油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、菜種油、ブラックカラント油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油、マスクローズ油及びアルガン油;シアバター;又は代わりにカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドから選択され得る、エステル油;
□式R-C(O)-OR10(式中、R+R10≧9個の炭素原子、好ましくは29個未満の炭素原子未満を条件として、Rは、5~19個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状炭化水素ベース鎖を表し、及びR10は、4~20個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状、特に分岐状炭化水素ベース鎖を表す)のモノエステル油、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;セテアリルオクタノエート(パーセリン油)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルヘキサノエート、イソノニルヘキサノエート、ネオペンチルヘキサノエート、カプリリルヘプタノエート又はオクチルオクタノエート;
□乳酸とC10~C20アルコールとのエステル、例えばイソステアリルラクテート、2-オクチルドデシルラクテート、ミリスチルラクテート、C12~C13アルキルラクテート、セチルラクテート又はラウリルラクテート;
□リンゴ酸とC10~C20アルコールとのジエステル、例えばジイソステアリルマレート、ジ(C12~C13アルキル)マレート、ジブチルオクチルマレート、ジエチルヘキシルマレート又はジオクチルドデシルマレート;
□ペンタエリスリトールとC~C22カルボン酸とのエステル(特にテトラエステル又はジエステル)、例えばペンタエリスリチルテトラオクタノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート、ペンタエリスリチルテトラココエート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトララウレート、ペンタエリスリチルテトラミリステート、ペンタエリスリチルテトラオレエート又はペンタエリスリチルジステアレート;
□式R11-O-C(=O)-R12-C(=O)-O-R13(式中、R11及びR13は、同一であるか又は異なり得、任意選択的に少なくとも1個の飽和又は不飽和、好ましくは飽和の環を含有する直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、及びR12は、飽和又は不飽和C~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖、例えばスクシネート(この場合、R12は、飽和Cアルキレン鎖である)、マレエート(この場合、R12は、不飽和Cアルキレン鎖である)、グルタレート(この場合、R12は、飽和Cアルキレン鎖である)又はアジペート(この場合、R12は、飽和Cアルキレン鎖である)から得られるアルキレン鎖を表し;特に、R11及びR13は、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ネオヘプチル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル及びイソノニルから選択される)のジエステルであって、優先的にはジカプリリルマレエート又はビス(2-エチルヘキシル)スクシネートが挙げられ得る、ジエステル;
□式R14-C(=O)-O-R15-O-C(=O)-R16(式中、R14及びR16は、同一であるか又は異なり得、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、及びR15は、飽和又は不飽和C~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖を表す)のジエステル、特に1,3-プロパンジオールジカプリレート(CとしてのR14及びCとしてのR16)又はジプロピレングリコールジカプリレート;
□カーボネート油は、以下の式R17-O-C(O)-O-R18のカーボネートから選択され得、式中、R17及びR18は、同一であるか又は異なり得、直鎖状又は分岐状C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し;前記カーボネート油は、ジカプリリルカーボネート(又はジオクチルカーボネート)、ビス(2-エチルヘキシル)カーボネート、ジブチルカーボネート、ジネオペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジネオヘプチルカーボネート、ジへプチルカーボネート、ジイソノニルカーボネート又はジノニルカーボネート、好ましくはジオクチルカーボネートであり得ること;及び
□それらの混合物
から選択される1種若しくは複数の物質を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記脂肪性媒体は、前記組成物の全質量に対して2質量%~99.9質量%の範囲、好ましくは前記組成物の全質量に対して5質量%~90質量%の範囲、好ましくは10質量%~80質量%の範囲、好ましくは20質量%~80質量%の範囲の含有量で1種又は複数の脂肪性物質を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記脂肪性媒体は、水以外の1種又は複数の溶媒、好ましくは極性及び/又はプロトン性溶媒、より優先的にはC~Cアルカノール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール及びヘキサノールから選択されるもの、好ましくはエタノールを含み;より特に、前記溶媒は、溶媒混合物の全質量に対して0~10質量%、優先的には前記組成物の全質量に対して0.5質量%~8質量%、より特に1質量%~5質量%、例えば2質量%の質量パーセントで前記組成物中に存在する、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記脂肪性媒体は、前記組成物の全質量に対して2質量%~99.9質量%の範囲、好ましくは前記組成物の全質量に対して5質量%~90質量%の範囲、好ましくは10質量%~80質量%の範囲、好ましくは20質量%~80質量%の範囲の含有量で1種又は複数の脂肪性物質を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の着色剤、好ましくは顔料も含み;より優先的には、本発明の前記顔料は、カーボンブラック、酸化鉄、特に黒色酸化鉄及び酸化鉄でコーティングされたマイカ、トリアリールメタン顔料、特に青色及び紫色トリアリールメタン顔料、例えばブルー1レイク、またアゾ顔料、特に赤色アゾ顔料、例えばD&Cレッド7、リソールレッドのアルカリ金属塩、例えばリソールレッドBのカルシウム塩、さらにより優先的には赤色酸化鉄から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
ケラチン物質、好ましくはα)ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維、又はβ)ヒト皮膚、特に唇を、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を適用することによって処理するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飽和又は不飽和炭化水素ベース鎖を有する少なくとも2種の異なるポリマー単位を含む少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを、脂肪性、好ましくは油性媒体中に含む化粧用組成物及びそのような組成物を使用してケラチン物質を処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素ベース油などの有機媒体中で送達することができる被膜形成ポリマーを化粧品中に使用することは、既知の慣行である。ポリマーは、特にマスカラ、アイライナー、アイシャドウ、口紅などのメイクアップ製品中で被膜形成剤として使用されている。
(特許文献1)は、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシバレレート)などのC~C21ポリヒドロキシアルカノエートによって被覆された顔料を含む化粧用組成物を記載している。
【0003】
(特許文献2)は、4-カルボキシ-2-ピロリジノンエステル誘導体と、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート-co-ポリヒドロキシバレレートなどのポリヒドロキシアルカノエートであり得る被膜形成ポリマーとを含む化粧用組成物を記載している。
【0004】
(特許文献3)は、水性分散液中のポリヒドロキシアルカノエートなどの熱可塑性樹脂と、シリコーンエラストマーとを含む化粧用組成物を記載している。一方、(特許文献4)は、皮脂などの油性物質を吸収するために、0.1μm~100μmの平均直径(d50)を有する粒子の形態において、組成物の全質量に対して0.1質量%~30質量%の量で少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む化粧用組成物を記載している。しかしながら、後者のPHAは、油などの脂肪性物質中で被膜形成ポリマーとして許容不可能である。
【0005】
ポリヒドロキシアルカノエートの主要部分は、ほとんどの部分が同一であり、且つ同一の炭素源又は基質から誘導されるポリマー性繰り返し単位の重縮合から誘導されるポリマーである。これらの文献は、脂肪族炭素源と、第1の炭素源と異なる化学的性質の1種又は複数の反応性官能基を含む炭素源との混合物から構成される基質を使用する重縮合から誘導されるコポリマーの使用について記載していない。重縮合から誘導されるコポリマーは、脂肪族基質又は第1の炭素源と、第1の炭素源と異なる化学的性質の1種又は複数の反応性官能基を含む、第1のものと異なる少なくとも1種の第2の基質とからも調製され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許出願公開第A-2964663号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/154508号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/274972号明細書
【特許文献4】国際公開第2018/178899号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、良好な化粧特性、特に油及び皮脂に対する良好な耐性並びに良好なマット感を有する皮膜を得ることを可能にする、可溶化したポリヒドロキシアルカノエートを含む組成物を有する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、以下に定義する少なくとも2種の異なるポリマー単位(A)及び(B)を含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマーが、脂肪性、特に油性媒体中で容易に使用され得、したがって均質な組成物を得ることが可能であることを発見した。さらに、本発明によるPHAは、被膜形成ポリマーである。この組成物は、特に室温(25℃)で1ヶ月間保存した後、良好な安定性を示す。この組成物により、特にケラチン物質に適用した後、良好な化粧特性、特に油及び皮脂に対する良好な耐性並びにマット感又は光沢のある外観を有する被膜を得ることが可能となる。
【0009】
したがって、本発明の主題は、
a)以下の単位(A)及び(B):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
から選択される少なくとも2種の異なる繰り返しポリマー単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体及び水和物などのその溶媒和物を含有する、好ましくはそれらからなる1種又は複数のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマーであって、ポリマー単位(A)及び(B)において、
- Rは、i)分岐状(C~C)アルキル、ii)(C10~C30)アルキル;iii)直鎖状又は分岐状(C~C30)アルケニル;iv)直鎖状又は分岐状(C~C30)アルキニル;v)(ヘテロ)アリール;vi)(ヘテロ)シクロアルキル;好ましくは基i)(C10~C20)アルキル又はiii)(C~C20)アルケニルから選択される炭化水素ベース鎖を表し;
- Rは、1~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表す、1種又は複数のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマー;及び
b)好ましくは25℃及び大気圧で液体である1種又は複数の脂肪性物質を含む脂肪性媒体
を含む組成物、特に化粧用組成物であり、(A)は、(B)と異なることが理解される。
【0010】
本発明の別の主題は、a)上記で定義された1種又は複数のPHA、及びb)上記で定義された1種又は複数の脂肪性物質を化粧品中で使用することである。
【0011】
本発明の別の主題は、ケラチン物質、好ましくはα)ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維、又はβ)ヒト皮膚、特に唇を処理する方法であって、a)上記で定義された1種又は複数のPHA及びb)上記で定義された1種又は複数の脂肪性物質を使用する方法である。より特に、本発明の主題は、ケラチン物質、好ましくはα)ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維、又はβ)ヒト皮膚、特に唇を、上記で定義された組成物を前記物質に適用することによって処理するための方法である。
【0012】
より特に、本発明の主題は、ケラチン物質を処理するための非治療的美容的方法でもあって、上記で定義された組成物をケラチン物質に適用することを含むものである。この処理方法は、特にケラチン物質をケア又はメイクアップするための方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】流加培養用装置を示す。
図2】オリーブ油又は皮脂と接触した後の膜の劣化の試験を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的に関して、且つ他に示されない限り、
- 「(ヘテロ)アリール」という用語は、アリール又はヘテロアリール基を意味する。
- 「(ヘテロ)シクロアルキル」という用語は、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基を意味する。
- 「アリール」若しくは「ヘテロアリール」基又は基のアリール若しくはヘテロアリール部分は、以下から選択される炭素原子に結合される少なくとも1個の置換基によって置換され得る:
・C~C、好ましくはC~Cアルキル基;
・塩素、フッ素又は臭素などのハロゲン原子;
・C~Cアルコキシ基;C~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ基;
・基Rが水素原子であるアシルアミノ基(-NR-COR’);
・C~Cアルキル基及び基R’がC~Cアルキル基である;同一であるか又は異なり得る基Rが水素原子又はC~Cアルキル基を表す、カルバモイル基((R)N-CO-);
・基Rが水素原子又はC~Cアルキル基を表し、且つ基R’がC~Cアルキル基又はフェニル基を表す、アルキルスルホニルアミノ基(R’SO-NR-);
・基Rが水素原子又はC~Cアルキル基を表し、且つ基R’がC~Cアルキル基又はフェニル基を表す、アルキルスルホニルアミノ基(R’SO-NR-);
・ポリハロ(C~C)アルキル基、優先的にはトリフルオロメチル(CF);
- 非芳香族基の環式又は複素環式部分は、以下の群から選択される炭素原子に結合した少なくとも1個の置換基によって置換され得る:
・C~Cアルコキシ、C~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、
・基R’が水素原子又はC~Cアルキル基であり、且つ基Rが、C~Cアルキル基又は同一であるか若しくは異なる1個若しくは2個のC~Cアルキル基によって置換されたアミノ基である、アルキルカルボニルアミノ(RCO-NR’-);
・基Rが、C~Cアルキル基又は1個若しくは2個の同一であるか若しくは異なるC~Cアルキル基によって置換されたアミノ基である、アルキルカルボニルオキシ(RCO-O-);
・基Rが、C~Cアルキル基又は1個若しくは2個の同一であるか若しくは異なるC~Cアルキル基によって置換されたアミノ基である、アルコキシカルボニル((RO-CO-);
- 環式若しくは複素環式基又はアリール若しくはヘテロアリール基の非芳香族部分は、1個又は複数のオキソ基によって置換され得る;
- 炭化水素ベース鎖は、それが1個若しくは複数の二重結合及び/又は1個若しくは複数の三重結合を含む場合、不飽和である;
- 「アリール」基は、6~22個の炭素原子を含む単環式又は縮合若しくは非縮合多環式炭化水素ベース鎖を表し、その少なくとも1つの環が芳香族であり、優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル又はテトラヒドロナフチル、より優先的にはフェニルである;
- 「ヘテロアリール」基は、窒素、酸素、硫黄及びセレン原子から選択される1~6個のヘテロ原子を含み、そのうちの少なくとも1個の環が芳香族である単環式又は縮合若しくは非縮合多環式5~22員の基を表し;優先的には、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリジル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル及びキサンチリルから選択される;
- 「環式」又は「シクロアルキル」基は、5~22個の炭素原子を含有する単環式又は縮合若しくは非縮合多環式非芳香族環式炭化水素ベースの基であり、1個又は複数の不飽和を含み得;シクロアルキルは、好ましくは、シクロヘキシル基である;
- 「複素環式」又は「ヘテロシクロアルキル」基は、窒素、酸素及び硫黄原子から選択される1~4個のヘテロ原子を含む単環式又は縮合又は非縮合多環式5~9員非芳香環式基であり;好ましくは、ヘテロシクロアルキルはエポキシド、ピペラジニル、ピペリジル及びモルホリニルから選択される;
- 「アルキル」基は、直鎖状又は分岐状の特にC~C、好ましくはC~Cの飽和の炭化水素ベースの基である;
- 「アルケニル」基は、1個又は複数の共役又は非共役二重結合を含む直鎖状又は分岐状、不飽和の炭化水素ベースの基である;好ましくは、この基は、分子の他の部分への結合点とは反対側の鎖末端において1つのみの二重結合を含む;
- 「アルキニル」基は、1個又は複数の共役又は非共役三重結合を含む直鎖状又は分岐状、不飽和の炭化水素ベースの基である;好ましくは、この基は、分子の他の部分への結合点とは反対側の鎖末端において1つのみの三重結合を含む;
- 「アルコキシ基」は、アルキルが直鎖状又は分岐状C~C、優先的にはC~Cの炭化水素ベースの基である、アルキルオキシ基である;
- 「有機又は鉱酸塩」という用語は、より詳細には、特に、i)塩酸、HCl、ii)臭化水素酸、HBr、iii)硫酸、HSO、iv)アルキルスルホン酸:Alk-S(O)OH、例えば、メチルスルホン酸及びエチルスルホン酸、v)アリールスルホン酸:Ar-S(O)OH、例えば、ベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸、vi)アルコキシスルフィン酸:Alk-O-S(O)OH、例えば、メトキシスルフィン酸及びエトキシスルフィン酸、vii)アリールオキシスルフィン酸、例えば、トルエンオキシスルフィン酸及びフェノキシスルフィン酸、viii)リン酸、HPO、ix)トリフリン酸、CFSOH、並びにx)テトラフルオロホウ酸、HBF、xi)有機カルボン酸、R°-C(O)-OH(I’z)(式(I’z)中、R°はフェニルなどの(ヘテロ)アリール基、ベンジルなどの(ヘテロ)アリール(C~C)アルキル基又は(C~C10)アルキルを示し、前記アルキル基は、任意選択的に1個若しくは複数の水酸基又はアミノ若しくはカルボキシル基によって好ましくは置換され、R°は1個、2個若しくは3個の水酸基又はカルボキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を好ましくは表し;より優先的には、式(I’z)のモノカルボン酸は、酢酸、グリコール酸、乳酸及びそれらの混合物から選択され、より特に酢酸及び乳酸から選択され;且つポリカルボン酸は、酒石酸、コハク酸、フマル酸、クエン酸及びそれらの混合物から選択される);並びにxii)アミノ基よりも多くのカルボン酸基を含むアミノ酸、例えば、γ-カルボキシグルタミン酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸、特にγ-カルボキシグルタミン酸から誘導される塩から選択される有機又は鉱物塩である;
- 「アニオン性対イオン」は、カチオン電荷に関連するアニオン又はアニオン性基であり;より特に、アニオン性対イオンは、i)塩化物又は臭化物などのハロゲン化物;ii)ニトレート;iii)C~Cアルキルスルホネート:Alk-S(O)、例えば、メタンスルホネート又はメシレート及びエタンスルホネート;iv)アリールスルホネート:Ar-S(O)、例えば、ベンゼンスルホネート及びトルエンスルホネート又はトシレート;v)シトレート;vi)スクシネート;vii)タルトレート;viii)ラクトネート;Ix)アルキルスルフェート:Alk-O-S(O)O、例えば、メチルスルフェート及びエチルスルフェート;x)アリールスルフェート:Ar-O-S(O)O、例えば、ベンゼンスルフェート及びトルエンスルフェート;xi)アルコキシスルフェート:Alk-O-S(O)、例えば、メトキシスルフェート及びエトキシスルフェート;xii)アリールオキシスルフェート:Ar-O-S(O)O-;xiii)ホスフェート;xiv)アセテート;xv)トリフレート;並びにxvi)ボレート、例えば、テトラフルオロボレートから選択される。
- 「溶媒和物」は、水和物及びエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールなどの直鎖状又は分岐状C~Cアルコールとの組合せを表す。
さらに、特に示されない限り、ある数値の範囲を区切る限界値は、その数値の範囲に含まれる。
【0015】
a)PHAコポリマー
本発明の組成物は、第1の成分a)として、上記で定義された単位(A)及び(B)から選択される少なくとも2種の異なる繰り返しポリマー単位を含有するか、好ましくはそれらからなる1種又は複数のPHAコポリマーを含む。
【0016】
「コポリマー」という用語は、前記ポリマーが、互いに異なる繰り返しポリマー単位の重縮合から誘導されること、すなわち前記ポリマーが繰り返しポリマー単位(A)及び(B)の重縮合から誘導されることを意味し、ポリマー単位(A)がポリマー単位(B)と異なることが理解される。
【0017】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、上記で定義された単位(A)及び(B)から選択される2種の異なる繰り返しポリマー単位からなる。
【0018】
より特に、本発明によるPHAコポリマーは、式(I)の繰り返し単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体及び水和物などのその溶媒和物を含む。
【化1】
式(I)中、
・R及びRは、上記で定義された通りであり、
・m及びnは、1以上の整数であり;好ましくは、n+mの合計は、両端値を含めて450~1400であり;
好ましくは、R及びRがアルキル基を表す場合、m>nであり、- より優先的には、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;及び
好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキル基を表し、及びRがアルキル基を表す場合、m<nである。
【0019】
特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、3種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)及び(C)を含有し、好ましくは、以下の3種の異なるポリマー単位(A)、(B)及び(C)並びにまたその光学的又は幾何学的異性体及び水和物などのその溶媒和物からなる。
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
ポリマー単位(A)、(B)及び(C)において、
- R及びRは、上記で定義された通りであり、
- Rは、1~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表し、特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキル及び直鎖状又は分岐状(C~C28)アルケニルから選択される炭化水素ベースの基、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、より特に(C~C20)アルケニルを表し、好ましくは、炭化水素ベースの基は、基Rの炭素原子の数又はさもなければ少なくとも3個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数、好ましくは4個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有し;及び
- (A)は、(B)及び(C)と異なり、(B)は、(A)及び(C)と異なり、且つ(C)は、(A)及び(B)と異なり;及び
- 好ましくは、R、R及びRがアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、且つ単位(C)のモルパーセントよりも大きく、- より優先的には、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し;及び
好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも小さく、且つ単位(C)のモルパーセントよりも小さく、特にRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表す場合、好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表すことが理解される。
【0020】
本発明の特定の実施形態によると、PHAコポリマーは、式(II)の繰り返し単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体及び水和物などのその溶媒和物を含む。
【化2】
式(II)中、
・R、R及びRは、上記で定義された通りであり;
・m、n及びpは、1以上の整数であり;好ましくは、n+m+pの合計は、両端値を含めて450~1400であり;
好ましくは、R、R及びRが、非置換であり、且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>n+pであり、- より優先的には、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し;及び
好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、好ましくは、Rが、2個の炭素原子が差し引かれたR2の炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表す場合、m<n+pである。
【0021】
特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、4種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、好ましくは、以下の4種の異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、有機若しくは鉱物酸又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物からなる。
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
ポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)において、
- R、R及びRは、上記で定義された通りであり、
- Rは、3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和の炭化水素ベースの基を表し;特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;及び
- (A)は、(B)、(C)及び(D)と異なり、(B)は、(A)、(C)及び(D)と異なり、(C)は、(A)、(B)及び(D)と異なり、且つ(D)は、(A)、(B)及び(C)と異なり;及び
- 好ましくは、R、R、R及びRがアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、且つ単位(D)のモルパーセントよりも大きく、- より優先的には、R、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し;及び
- 好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも小さく、且つ単位(C)のモルパーセントよりも小さく、特にRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表し、且つRがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表すことが理解される。
【0022】
本発明の特定の実施形態によると、PHAコポリマーは、式(III)の繰り返し単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物を含む。
【化3】
式(III)中、
・R、R、R及びRは、上記で定義された通りであり、
・m、n、p及びvは、1以上の整数であり;
- 好ましくは、n+m+p+vの合計は、両端値を含めて450~1400であり、及び
- 好ましくは、R、R、R及びRがアルキル基を表す場合、m>n+p+qであり、- より優先的には、R、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、及びRは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;及び
- 好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、及びRがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、n>m+v;より優先的にはn+p>m+vであり;好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表す。
【0023】
特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、5種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、好ましくは、以下の5種の異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、有機若しくは鉱物酸又は塩基塩及びまた水和物などのその溶媒和物からなる。
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(E)
ポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)において、
- R、R及びRは、上記で定義された通りであり、
- Rは、3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和の炭化水素ベースの基を表し、特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;及び
- Rは、3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和の炭化水素ベースの基を表し、特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が差し引かれた、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有し;
- (A)は、(B)、(C)、(D)及び(E)と異なり、(B)は、(A)、(C)、(D)及び(E)と異なり、(C)は、(A)、(B)、(D)及び(E)と異なり、(D)は、(A)、(B)、(C)及び(E)と異なり、(E)は、(A)、(B)、(C)及び(D)と異なり;及び
- 好ましくは、R、R、R、R及びRがアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、単位(D)のモルパーセントよりも大きく、且つ単位(E)のモルパーセントよりも大きく、- より優先的には、R、R、R、R及びRがアルキルである場合、Rは、C~C13アルキル基であり;及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、Rは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、8個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及び
- 好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは、単位(B)のモルパーセントよりも小さく、且つ単位(C)のモルパーセントよりも小さく、特にRがアルキル基を表し、及びRがアルキル基を表し、且つR及びRがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表すことが理解される。
【0024】
本発明の特定の実施形態によると、PHAコポリマーは、式(IV)の繰り返し単位並びにまたその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩及び水和物などのその溶媒和物を含む。
【化4】
式(IV)中、
・R、R、R、R及びRは、上記で定義された通りであり;
・m、n、p、v及びzは、1以上の整数であり;好ましくは、n+m+p+v+zの合計は、両端値を含めて450~1400であり、及び
- 好ましくは、R、R、R、R及びRがアルキル基を表す場合、m>n+p+v+zであり;
- 好ましくは、Rがアルケニル基又はアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、且つ基R及びRがアルケニル基又はアルキニル基を表す場合、n>m+v+z;より優先的にはn+p>m+v+zであり;好ましくは、Rは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルキル基を表し、及びRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表し、及びRは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有するアルケニル基又はアルキニル基を表す。
【0025】
本発明による組成物の一実施形態によれば、PHAコポリマーは、基Rが、2-メチル-5-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、イソブチル又は2-メチルヘプチル、好ましくは2-メチル-5-ペンチルなどの5~9個の炭素原子を含む分岐状アルキルであるようなものである。
【0026】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、ii)直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状の(C10~C30)アルキルを表わすようなものである。
【0027】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、iii)直鎖状又は分岐状(C~C30)アルケニル;より特に直鎖状であり、前記アルケニル基の末端に少なくとも1つの不飽和、好ましくは1つのみの不飽和を含み;さらにより特に、Rが、以下の基:-[CR(R)]-C(R)=C(R)-R(式中、R、R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し、及びqは、両端値を含めて2~20、好ましくは3~10、より優先的には4~8、例えば6の整数を表す)を表すようなものである。より特に、Rは、ヘキセニル、オクテニル、ウンデセニル、2-ブテニル及び2-メチル-2-ペンテニルから選択される。
【0028】
特に、PHAコポリマーは、Rが、直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキル及び直鎖状又は分岐状(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、特に(C~C20)アルキル又は(C~C20)アルケニルから選択されるようなものであり;好ましくは、炭化水素ベースの基が、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有する。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、PHAコポリマーは、基Rが、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状の(C~C10)アルキル、特に(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基、例えば、n-ペンチル又はn-ヘキシル、n-へプチル又はn-ノニルであるようなものである。
【0030】
本発明による組成物の別の実施形態によれば、PHAコポリマーは、分枝状(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル基R、好ましくは分枝状(C~C)アルキル基、例えば、イソブチルであるようなものである。
【0031】
本発明による組成物の別の実施形態によれば、本発明のPHAコポリマーは、上記で定義されたアルキル基Rを含む単位(A)と、上記で定義された単位(B)と、直鎖状又は分岐状(C~C20)アルケニル、特に(C~C14)アルケニル基、より特に(C~C10)アルケニル基であって、好ましくは直鎖状であり、鎖末端に1個のみの不飽和を含むもの、例えば、-[CH-CH=CH(式中、qは、両端値を含めて3~8、好ましくは4~6、例えば5の整数を表わす)を含む単位(C)とを含む。
【0032】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマー中において、単位(A)は、上記で定義されたアルケニル基又はアルキニル基であり得る炭化水素ベース鎖R、特にiii)を含み、前記単位(A)は、0.1%~50%の範囲のモルパーセント、より優先的には0.5%~40%の範囲のモルパーセント、さらにより優先的には1%~40%の範囲のモルパーセント、さらにより良好には2%~30%の範囲のモルパーセント又は5%~20%の範囲のモルパーセントで存在する。
【0033】
好ましくは、単位(A)のRが不飽和炭化水素ベース鎖である場合、前記単位(A)は、30%以下、より特に20%未満、好ましくは8%~13%のモルパーセントで存在する。
【0034】
本発明のより特定の実施形態によれば、PHAコポリマー中、単位(A)が、上記で定義されたアルケニル基又はアルキニル基である炭化水素ベース鎖R、特にiii)を含む場合、単位(A)、(B)及び(C)の合計に対して、前記単位(A)は、0.1%~50%の範囲のモルパーセント、より優先的には0.5%~40%の範囲のモルパーセント、さらにより優先的には1%~40%の範囲のモルパーセント、さらにより良好には5%~30%の範囲のモルパーセント、8%~20%の範囲のモルパーセントで存在し;単位(B)は、70%~99.5%、好ましくは60%~95%の範囲のモルパーセントで存在し;及び単位(C)は、0~30%、好ましくは1%~25%、より優先的には5%~24%の範囲のモルパーセントで存在する。有利には、本発明のPHAコポリマーは、70モル%~90モル%の単位(B)及び6モル%~24モル%の単位(C)を含む。
【0035】
好ましくは、単位(A)のRが飽和炭化水素ベース鎖である場合、前記単位(A)は、30%を超える、より特に50%を超える、より優先的には60%を超える、好ましくは60%~90%のモルパーセントで存在する。
【0036】
本発明のより特定の実施形態によれば、Rがアルキル基である場合、PHAコポリマーは、PHAコポリマーa)において、
- 単位(A)が、30%~99%の範囲のモルパーセント、優先的には40%~95%の範囲のモルパーセント、より優先的には50%~85%の範囲のモルパーセント、さらにより優先的には60%~70%の範囲のモルパーセントで存在し;及び
- 単位(B)が、0.5%~70%の範囲のモルパーセント、優先的には2%~10%の範囲のモルパーセント、より優先的には5%~35%の範囲のモルパーセントの単位(B)で存在し;及び/又は
- 単位(C)が、0%~20%の範囲のモルパーセント、優先的には0.1%~10%の範囲のモルパーセント、より優先的には0.5%~7%の範囲のモルパーセントの単位(C)で存在するようなものである。
【0037】
本発明のより特定の実施形態によれば、PHAコポリマー中、単位(A)が、上記で定義されたアルケニル基又はアルキニル基である炭化水素ベース鎖R1、特にiii)を含む場合、合計に対して、前記単位(A)は、0.1%~50%の範囲のモルパーセント、より優先的には0.5%~40%の範囲のモルパーセント、さらにより優先的には1%~40%の範囲のモルパーセント、さらにより良好には5%~30%の範囲のモルパーセント、8%~20%の範囲のモルパーセントで存在し;単位(B)は、70%~99.5%、好ましくは60%~95%の範囲のモルパーセントで存在し;及び単位(C)は、0%~30%、好ましくは1%~25%、より優先的には5%~24%の範囲のモルパーセントで存在し、単位(D)は、合計に対して0~10%、好ましくは0.1%~5%、より優先的には0.5%~2%の範囲のモルパーセントで存在し、単位(E)は、合計に対して0~10%、好ましくは0.1%~5%、より優先的には0.5%~2%の範囲のモルパーセントで存在する。有利には、本発明のPHAコポリマーは、70モル%~90モル%の単位(B)及び6モル%~24モル%の単位(C)を含む。
【0038】
PHAコポリマーの単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)のモルパーセントの値は、コポリマーが追加の単位(C)、(D)又は(E)のいずれも含まない場合、(A)+(B)の全モル数に対して計算されるか、又は本発明のコポリマーが3種以上の異なる単位、すなわち(A)、(B)及び(C)、(A)、(B)、(C)及び(D)又は(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含む場合、モルパーセントは、全モル数、すなわちそれぞれ(A)+(B)+(C)、(A)+(B)+(C)+(D)又は(A)+(B)+(D)+(E)に対して算出される。
【0039】
優先的には、本発明のPHAコポリマーは、以下の繰り返し単位を含む。
【0040】
特に、基R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同一の(R)又は(S)配置、好ましくは(R)配置のものである。
【0041】
より特に、基R、R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同一の(R)又は(S)配置であり、好ましくは(R)配置のものである。
【0042】
より詳細には、基R、R、R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同一の(R)又は(S)配置であり、好ましくは(R)配置のものである。
【0043】
より特に、基R、R、R、R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同一の(R)又は(S)配置であり、好ましくは(R)配置のものである。
【0044】
より優先的には、本発明のPHAコポリマーは、以下の繰り返し単位を含む。
【化5】
【0045】
【表1】
【0046】
【化6】
【0047】
【表2】
【0048】
【化7】
【0049】
【表3】
【0050】
【化8】
【0051】
【表4】
【0052】
【化9】
【0053】
【表5】
【0054】
一実施形態によれば、本発明のPHAコポリマーは、化合物(2)及び/又は(2‘)、特に(2)と異なり、より特に化合物(1)及び(2)及び/又は(1‘)及び(2‘)、特に(1)及び(2)と異なるものである。
【0055】
本発明のPHAコポリマーは、好ましくは、50000~150000の範囲の数平均分子量を有する。
【0056】
分子量は、特にサイズ排除クロマトグラフィーによって測定され得るる。方法については後に実施例において説明する。
【0057】
PHAコポリマーは、特に、本発明による組成物中に、組成物の全質量に対して0.1質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%の範囲の含有量で存在する。
【0058】
PHAコポリマーの調製方法
本発明のPHAコポリマーの調製方法は当業者に知られている。「官能化可能な」PHA産生微生物株の使用が挙げられ得る。
【0059】
「官能化可能」という用語は、PHAコポリマーが、反応性原子又は反応性基」とも呼ばれる別の試薬と化学的に反応して前記試薬と官能化された共有結合を与えることができる1種又は複数の原子又は基を含む炭化水素ベース鎖を含むことを意味している。試薬は、例えば、少なくとも1つの求核性基を含む化合物であり、前記官能化炭化水素ベース鎖は、少なくとも1つの求電子性又は離核性原子又は基を含み、求核性基は、求電子性基と反応して、試薬を共有結合的にグラフト化させる。求核試薬はまた、アルケニル基の1個又は複数の不飽和と反応して、官能化炭化水素ベース鎖と前記試薬との共有結合によるグラフト化をもたらし得る。また、付加は、ラジカルベース、マルコフニコフ型若しくは反マルコフニコフ型の付加又は求核置換若しくは求電子置換であり得る。付加反応又は縮合反応は、不活性雰囲気下又は酸素下において、1気圧より高い圧力下で好ましくは100℃以下まで加熱して、触媒又は酵素を使用しても又はしなくてもよいが、ラジカルルートを介して実行されても又はされなくてもよい。
【0060】
「求核性」とは、誘導効果+I及び/又はメソメリック効果+Mによって電子供与性を示す原子又は基を指す。挙げられ得る電子供与性基には、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基が含まれる。
【0061】
「求電子性」とは、誘導効果-I及び/又はメソメリック効果-Mによって電子吸引性を示す任意の原子又は基を指す。挙げられ得る電子吸引性種は、含む。
【0062】
本発明の特にC~C炭化水素ベース鎖を有するPHAを産生する微生物は、細菌界、例えば、ネンジュモ(Nostocales)目の藍藻類(例えば、ノストク・ムスコルム(Nostoc muscorum)、シネコシスティス(Synechocystis)及びシネココッカス(Synechococcus))により自然産生され得るが、主にプロテオバクテリア門(Proteobacteria)、例えば、以下のクラスにより産生され得る。
- バークホルデリア(Burkholderiales)目のベータ-プロテオバクテリア(キュプリアビダス・ネガーター・シノニム・ラルストニア・ユートロファ(Cupriavidus negator)
- ロドバクター(Rhodobacteriales)目のアルファ-プロテオバクテリア(ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)海洋性及び光合成)
- モラクセラ(Moraxellaceae)科シュードモナレス(Pseudomonales)目のガンマ-プロテオバクテリア(アシネトバクター・ジュニイ(Acinetobacter junii))。
【0063】
細菌界の微生物の中でも、アゾトバクター(Azotobacter)属、ヒドロゲノマス(Hydrogenomomas)属又はクロマティウム(Chromatium)属がPHA産生生物の代表的なものである。
【0064】
~C炭化水素ベース鎖を有するPHAを天然に産生する生物は、特に、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、例えばガンマ-プロテオバクテリア、より詳細にはシュードモナス(Pseudomonas)科シュードモナレス(Pseudomonales)目のもの、例えば、シュードモナス・レシノボランス(Pseudomonas resinovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)及び好ましくはシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPo1及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440である。
【0065】
また、ある種の生物は、シュードモナス(Pseudomonales)目に属さずにPHAを天然産生し得、例えば、コマモナス(Comamonadaceae)科のブルクホルディアレス(Burkholderiales)目のベータ-プロテオバクテリアのクラスに属するコマモナス・テストステロニ(Commamonas testosteroni)が挙げられる。
【0066】
また、本発明によるPHA産生微生物は、3酸化PHA合成酵素代謝経路が存在する場合、組換え株であり得る。3酸化PHA合成酵素代謝経路は、主にEC:2.3.1B2、EC:2.3.1B3、EC:2.3.1B4及びEC:2.3.1B5の4種の酵素で表されるものである。
【0067】
組換え株は、細菌界、例えば、大腸菌(Escherichia coli)又は植物界、例えばクロレラ・ピレロイドサ(Chlorella pyrenoidosa):International Journal of Biological Macromolecules,116,552-562 「Influence of nitrogen on growth,biomass composition,production,and properties of polyhydroxyalkanoates(PHAs)by microalgae」)又は真菌界、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)若しくはヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica:Applied Microbiology and Biotechnology 91,1327-1340(2011)「Engineering polyhydroxyalkanoate content and monomer composition in the oleaginous yeast Yarrowia lipolytica by modifying the β-oxidation multifunctional protein」)であり得る。
【0068】
遺伝子改変微生物の使用も可能であり、これにより、例えば、PHAの産生量を増加させること、酸素消費能力を増加させること、自己分解を減少させること及び/又はモノマー比率を変更することが可能となり得る。
【0069】
PHAの場合、全製造コストの大部分は、培養培地、主に基質/炭素源に費やされることが知られている。したがって、より少ない添加値でより少量の栄養源(例えばメタン若しくはCO)(炭素源)を用いて増殖する遺伝子改変微生物、例えば、本来光独立栄養的である微生物、すなわち主なエネルギー源として光及びCOを用いる微生物を利用し得る。
【0070】
コポリマーは、生合成により、公知の様式において、例えばシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物、例えばシュードモナス・レシノボランス(Pseudomonas resinovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomomonas putida)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、好ましくはシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)と;C~C20、好ましくはC~C18カルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、ドデカン酸;単糖、例えばフルクトース、マルトース、ラクトース、キシロース、アラビノースなど);n-アルカン、例えばヘキサン、オクタン若しくはドデカン;n-アルコール、例えばメタノール、エタノール、オクタノール若しくはグリセロール;メタン又は二酸化炭素であり得る炭素源とを用いて得ることができる。
【0071】
この生合成は、任意選択的に、β-酸化経路の阻害剤、例えばアクリル酸、メタクリル酸、プロピオン酸、ケイ皮酸、サリチル酸、ペンテン酸、2-ブチン酸、2-オクチン酸又はフェニルプロピオン酸、好ましくはアクリル酸の存在下で実行され得る。
【0072】
一実施形態によれば、本発明のPHAを調製するための方法は、遺伝子改変微生物(GMO)を介してPHAを産生する微生物細胞を使用する。遺伝子改変は、PHAの産生を増加させ、酸素吸収能力を高め、溶媒の毒性に対する耐性を高め、自己分解を低減し、PHAコモノマーの比率を変更し、且つ/又はそれらの任意の組合せであり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、単位(A)のコモノマー比の改変は、得られる本発明のPHAの(B)に対して優勢なモノマーの量を増加させる。別の実施形態では、PHA産生微生物細胞は、自然に繁殖する。
【0073】
一例として、官能基化可能な又は言及され得る反応性基を含むPHAを産生する遺伝子改変微生物株は、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)LAC23である(Biomacromolecules.2014 Jun 9;15(6):2310-9.doi:10.1021/bm500669s)。
【0074】
シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)LAC23などの菌株により、フェニルバレリック-co-3-ヒドロキシドデカン酸コポリマーを産生する遺伝子改変微生物を使用することも可能である(Sci.China Life Sci.,Shen R.ら,57 No.1,(2014))。
【0075】
この生合成には、窒素、リン、硫黄、マグネシウム、ナトリウム、カリウム及び鉄をベースとする水溶性塩等の栄養素も使用され得る。
【0076】
微生物の培養には、公知の適切な温度、pH、溶存酸素(OD)条件が使用され得る。
【0077】
微生物は、いずれかの公知の培養方法に従って培養され得、例えばバイオリアクター中において連続式又はバッチ式に供給式又は非供給式で行われ得る。
【0078】
本発明に従って使用されるポリマーの生合成は、論文「Biosynthesis and Properties of Medium-Chain-Length Polyhydroxyalkanoates with Enriched Content of the Dominant Monomer」、Xun Juanら、Biomacromolecules、2012、13、2926-2932(2012)及び国際公開第2011/069244号パンフレットに特に記載されている。
【0079】
上記で定義されたように、官能化可能であるか、又は反応性基を含むPHAを産生する微生物株は、例えば、P.シコリイ(P.cichorii)YN2、P.シトロネロリス(P.citronellolis)、P.ジェセニイ(P.jessenii)などのシュードモナス(Pseudomonas)属及びより一般的にはシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPo1(シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)の同義)、P.プチダ(P.putida)KT2442、P.プチダ(P.putida)KCTC 2407、P.プチダ(P.putida)BM01などの、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)種のものである。
【0080】
炭素源:
本発明のPHAへのアクセスを得るための1つの手段は、1種又は複数の有機化合物を培養培地に導入することであり、この又はこれらの有機化合物は、好ましくはアルカン、アルケン、アルコール、カルボン酸及びこれらの混合物から選択される炭素源を表す。
【0081】
一実施形態において、有機化合物は、好ましくは、アルコール、カルボン酸及びそれらの混合物から選択される。
【0082】
炭素源は、2つのカテゴリーに分類され得る。
【0083】
1)培地中に導入された1種又は複数の有機化合物を介した炭素源
本発明のPHAへのアクセスを得るための1つの手段は、1種又は複数の有機化合物を培養培地に導入することであり、この有機化合物は、好ましくはアルカン、アルケン、アルコール、カルボン酸及びそれらの混合物から選択される炭素源である。
【0084】
本発明の特定の実施形態によれば、有機化合物は、アルコール、特に(C~C20)アルカノール及び/又はカルボン酸、特に(C~C20)アルカン酸から選択される。
【0085】
炭素源は、3つのカテゴリーに分類され得る。
- グループA:有機化合物は、産生株の増殖を促進し、有機化合物に連結されたPHA構造の産生を促進し得る。
- グループB:有機化合物は、菌株の増殖を促進し得るが、有機化合物に連結された構造的なPHAの産生には関与しない。
- グループC:有機化合物は、菌株の増殖に関与しない。
【0086】
そのような微生物学的方法は、当業者に知られており、特に科学文献に記載されている。以下が言及され得る:International Journal of Biological Macromolecules 28,23-29(2000);The Journal of Microbiology,45,No.2,87-97,(2007)が挙げられ得る。
【0087】
1つの変形形態によれば、本発明のPHAの反応性原子又は反応性基に構造的に連結している基質の統合は、微生物の増殖に適した培地において、唯一の炭素源として培地に直接導入される(例:P.プチダ(P.putida)GPo1のためのグループA:アルケン酸、特に末端)。
【0088】
別の変形形態によれば、本発明のPHAの反応性原子、特にハロゲン又は反応性基に構造的に連結している基質の統合は、微生物の増殖に適した培地において、同じくPHAに構造的に連結している共基質としての第2の炭素源とともに炭素源として培地に導入される(例:P.プチダ(P.putida)GPo1のためのグループB:末端ブロモアルカン酸などの好ましくは末端であるハロアルカン酸)。
【0089】
さらに別の変形形態によれば、本発明のPHAの反応性原子、特にハロゲン又は反応性基に構造的に連結している基質の統合は、微生物の増殖に適した培地において、同じく構造的にPHAに連結している共基質としての第2の炭素源及び構造的にPHAに結合していない共基質としての第3の炭素源とともに炭素源として直接培地に導入され得る(例:グループCグルコース又はスクロース)。
【0090】
一実施形態において、β酸化経路阻害剤は、アクリル酸、2-ブチン酸、2-オクチン酸、フェニルプロピオン酸、プロピオン酸、トランス-桂皮酸、サリチル酸、メタクリル酸、4-ペンテン酸又は3-メルカプトプロピオン酸である。
【0091】
第1の態様の一実施形態において、官能化脂肪酸は、官能化ヘキサン酸、官能化ヘプタン酸、官能化オクタン酸、官能化ノナン酸、官能化デカン酸、官能化ウンデカン酸、官能化ドデカン酸又は官能化テトラデカン酸である。
【0092】
官能化は、アルコール及び/又はカルボン酸の分類の前駆体から選択される有機化合物によって導入され得る。特に、以下が挙げられる:
- 分岐状アルキル基を有するPHAの官能化については、例えば、Applied and Environmental Microbiology,.60,No.9,3245-325(1994)を参照されたい。
- 末端シクロヘキシル単位を含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、例えば、doi.org/10.1016/S0141-8130(01)00144-1を参照されたい。
- 好ましくは末端である不飽和アルキル基によるPHAの官能化については、例えば、doi.org/10.1021/bm8005616)を参照されたい。
- 好ましくは炭化水素ベース鎖の末端にハロゲンを含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、(doi.org/10.1021/ma00033a002);
- (複素)芳香族アルキル基、例えば、フェニル、ベンゾイル、フェノキシによるPHAの官能化については、例えば、J.Microbiol.Biotechnol.11,3,435-442(2001)を参照されたい。
- 特に炭化水素ベース鎖の末端にヘテロ原子を含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、例えば、DOI 10.1007/s00253-011-3099-4を参照されたい。
- 特に炭化水素ベース鎖の末端にシアノ官能基を含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、例えば、doi.org/10.1111/j.1574-6968.1992.tb05839.xを参照されたい。
- 特に炭化水素ベース鎖の末端にエポキシ官能基を含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、例えば、doi.org/10.1016/S1381-5148(97)00024-2を参照されたい。
International Microbiology 16:1-15(2013)doi:10.2436/20.1501.01.175)のレビューにも、主要な官能化ネイティブPHAについて言及されている。
【0093】
本発明の特定の実施形態において、グループAからの脂肪酸は、11-ウンデセン酸、10-エポキシウンデカン酸、5-フェニル吉草酸、シトロネロール及び5-シアノペンタン酸から選択される。
【0094】
本発明の特定の実施形態において、グループBからの脂肪酸は、8-ブロモオクタン酸などのハロオクタン酸から選択される。
【0095】
本発明の特定の実施形態において、グループCからの炭素源は、単糖、好ましくはグルコースである。
【0096】
2)培地に導入された酸化防止剤の存在下での炭素源:
本発明の別の態様は、微生物の増殖に適した培地におけるPHA産生微生物株の使用であり、前記培地は、PHAに構造的に連結している基質;PHAに構造的に連結していない少なくとも1種の炭素源;及び少なくとも1種の酸化、特にβ酸化経路阻害剤を含むものである。これにより、微生物細胞の増殖が前記培地中で行われ、微生物細胞は、本発明のPHAポリマー;好ましくは、特に95%より多くの同一単位を含むコポリマーであって、単位(A)と単位(B)のコモノマー比が、β酸化経路阻害剤の不在下で得られるものと異なっているものを合成する。
【0097】
b)脂肪性媒体
本組成物は、第2の成分として、好ましくは油性である脂肪性媒体を含む。
【0098】
「脂肪性媒体」という用語は、本発明の組成物が1種又は複数の脂肪性物質を含むことを意味する。組成物は、水も含み得る。好ましくは、本発明の組成物は、質量基準で水の質量量に対して1種又は複数の脂肪性物質を主に含む。
【0099】
「脂肪性物質」という用語は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)下で水に不溶である(溶解度が5%未満、好ましくは1%未満、さらにより優先的には0.1%未満である)有機化合物を意味する。それらは、その構造中に、少なくとも6個の炭素原子又は少なくとも2個のシロキサン基の列を含む少なくとも1種の炭化水素ベース鎖を有する。さらに、脂肪性物質は、一般に、同一温度及び圧力条件下で有機溶媒、例えばクロロホルム、エタノール、ベンゼン、液体石油ゼリー又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性である。
【0100】
本発明の脂肪性物質は、天然又は合成由来であり、好ましくは天然、より優先的には植物由来である。これらの脂肪性物質は、好ましくは、ポリオキシエチレン化されておらず、ポリグリセロール化もされてもいない。塩化した脂肪酸は、一般に、水性媒体中に可溶性である石鹸を構成するため、脂肪酸と異なる。
【0101】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、25℃及び大気圧において液体ではない1種又は複数の脂肪性物質を含む。
【0102】
ワックス
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、1種又は複数のワックスを含む。
【0103】
「ワックス」という用語は、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を有し、30℃以上、最大200℃、特に最大120℃であり得る融点を有する親油性化合物を意味する。
【0104】
特に、本発明での使用のために適切なワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有し得る。
【0105】
本発明による組成物は、好ましくは、組成物の全質量に対して3質量%~20質量%、特に5質量%~15質量%、より特に6質量%~15質量%の範囲のワックス含有物を含む。
【0106】
本発明の特定の態様によれば、本発明の組成物は固体であり、特に無水である。これは、スティック状であり得、固形組成物中の層の存在を減少させるか又はさらに排除するように、少なくとも2に等しいアスペクト比を有し、且つ70~110℃、好ましくは70~100℃の範囲の融点を有する微結晶形態のポリエチレンマイクロワックスが使用されるであろう。これらの針状微結晶、特にその寸法は、以下の方法に従って視覚的に特徴付けられ得る。
【0107】
ペースト状化合物
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、1種又は複数のペースト状化合物を含む。
【0108】
本発明の目的のために、「ペースト状化合物」という用語は、可逆的な固体/液体状態変化を起こし、固体状態で異方性結晶組織を有し、且つ23℃の温度において、液体フラクション及び固体フラクションを含む親油性脂肪化合物を意味する。
【0109】

好ましくは、組成物は、1種又は複数の油を含む。
【0110】
「油」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(1気圧又は760mmHg)において液体である疎水性(すなわち水不混和性)の脂肪(すなわち非水性)物質を意味する。
【0111】
「液体脂肪性物質」という用語は、特に、好ましくは20℃において7000センチポイズ以下の粘度を有する液体脂肪性物質を意味する。
【0112】
本発明の液体脂肪性物質は、より特に、25℃の温度及び1s-1のせん断速度において、2Pa・s以下、より特に1Pa・s以下、さらにより特に0・1Pa・s以下、より優先的には0・09Pa・s以下の粘度を有する。
【0113】
本発明の特定の実施形態によれば、液体脂肪性物質は、25℃の温度及び1s-1のせん断速度において、0.001Pa・s~2Pa・s、より特に0.01以上1Pa・s以下、さらにより特に0.014以上0.1Pa・s以下、より優先的には0.015以上0.09Pa・s以下の粘度を有する。
【0114】
本発明によるPHAコポリマーは、25℃及び大気圧において、液体脂肪性物質中で可溶性である。
【0115】
本発明によれば、媒体は、炭素ベース媒体の全質量に対して、25℃において液体である炭素ベース化合物を少なくとも50質量%、特に50質量%~100質量%、例えば60質量%~99質量%、さもなければ65質量%~95質量%又はさらに70質量%~90質量%含む場合、炭素ベースであると記載される。
【0116】
好ましくは、液体脂肪性物質は、20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間を有する全溶解度パラメータを有するか又はそのような化合物の混合物である。
【0117】
ハンセン溶解度空間による全溶解度パラメータδは、書籍「Polymer Handbook」第3版、第VII章、519~559ページのGrulkeによる論文「Solubility parameter values」中、δ=(dD+dP+dH1/2の関係で定義されており、式中、
- dは、分子衝撃の際に生じる双極子の形成に由来するロンドン(London)分散力を特徴付け、
- dは、永久双極子間のデバイ(Debye)相互作用力を特徴付け、
- dは、特定の相互作用(水素結合、酸/塩基、供与体/受容体など)の力を特徴付ける。
【0118】
ハンセン3次元溶解度空間における溶媒の定義は、Hansenによる論文:「The three-dimensional solubility parameters」,J.Paint Technol.39,105(1967)に記載されている。
【0119】
20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間による全溶解度パラメータを有する液体炭素ベース化合物の中でも、液体脂肪性物質、特に油が挙げられ得、これは、天然又は合成、炭素ベース又は炭化水素ベース油から選択され得、これらは、任意選択的にフッ素化され、任意選択的に分岐され、単独又は混合物である。
【0120】
液体脂肪性物質は、特にC~C16炭化水素又は16個より多い炭素原子及び最大60個までの炭素原子を含む炭化水素、特にアルカン、動物由来の油、植物由来の油、合成由来のグリセリド又はフルオロ油、脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステル、非シリコーンワックス及びシリコーンから選択される。
【0121】
本発明の目的のために、脂肪アルコール、脂肪エステル及び脂肪酸は、より特に、6~30個の炭素原子を含む1個又は複数の直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を含有し、これらは、任意選択的に、特に1個又は複数(特に1~4個)のヒドロキシル基で置換されていることが想起される。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0122】
~C16アルカンに関しては、直鎖状又は分岐状であり、場合によっては環式である。挙げられ得る例としては、ヘキサン、ドデカン並びにイソヘキサデカン及びイソデカンなどのイソパラフィンが含まれる。16個より多くの炭素原子を含む直鎖状又は分岐状炭化水素は、流動パラフィン、石油ゼリー、液体石油ゼリー、ポリデセン及び水素化ポリイソブテンから選択され得る。
【0123】
特定の実施形態によれば、本発明の方法で使用される脂肪性物質は、揮発性直鎖状アルカンから選択される。
【0124】
「1種又は複数の揮発性直鎖状アルカン」という用語は、区別することなく、「1種又は複数の揮発性直鎖状アルカン油」を意味する。
【0125】
本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(約25℃)及び大気圧(101325Pa又は760mmHg)において液体である。
【0126】
本発明での使用のために適切な「揮発性直鎖状アルカン」とは、室温(25℃)及び大気圧(101325Pa)において皮膚との接触時に1時間未満で蒸発することができる直鎖状アルカンであって、室温で液体であり、特に室温(25℃)及び大気圧(101325Pa)において蒸発速度が0.01~15mg/cm/分の範囲であるものを意味する。
【0127】
好ましくは、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101325Pa)において、0.01~3.5mg/cm/分、さらにより良好には0.01~1.5mg/cm/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0128】
より好ましくは、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101325Pa)において、0.01~0.8mg/cm/分、優先的には0.01~0.3mg/cm/分、さらにより優先的には0.01~0.12mg/cm/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0129】
本発明による揮発性アルカン(及びより一般的には揮発性溶媒)の蒸発速度は、特に国際公開第06/013413号パンフレットに記載のプロトコル、より詳細には以下に記載のプロトコルによって評価され得る。
【0130】
15gの揮発性炭化水素ベース溶媒を、温度(25℃)及び湿度(相対湿度50%)に調節された約0.3mのチャンバー内の天秤に載せた結晶皿(直径:7cm)中に入れる。
【0131】
揮発性炭化水素ベース溶媒を含有する結晶皿上に垂直に配置された換気扇(Papst-Motoren、参照8550N、2700rpmで回転)によって換気を行いながら、撹拌せずに揮発性炭化水素ベース溶媒を自然に蒸発させる。この時、羽根は結晶皿の底部から20cm離して、結晶皿の方に向けられる。
【0132】
結晶皿に残った揮発性炭化水素ベース溶媒の質量を一定時間ごとに測定する。
【0133】
次に、蒸発した生成物の量(mg/cm)の曲線を時間(分)の関数としてプロットすることにより、溶媒の蒸発プロファイルを得る。
【0134】
次に、得られた曲線の原点に対する接線に相当する蒸発速度を算出する。蒸発速度は、単位面積(cm)及び単位時間(分)あたりで蒸発した揮発性溶媒のmgで表される。
【0135】
好ましい実施形態によれば、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温においてゼロではない蒸気圧(飽和蒸気圧としても知られている)、特に0.3Pa~6000Paの範囲の蒸気圧を有している。
【0136】
好ましくは、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(25℃)において、0.3~2000Pa、さらにより良好には0.3~1000Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0137】
より好ましくは、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(25℃)において、0.4~600Pa、優先的には1~200Pa、さらにより優先的には3~60Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0138】
一実施形態によれば、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、30~120℃、より特に40~100℃の範囲内にある引火点を有し得る。引火点は、特に、規格ISO3679に従って測定される。
【0139】
一実施形態によれば、本発明における使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、7~15個の炭素原子、好ましくは8~14個の炭素原子、さらにより良好には9~14個の炭素原子を含む直鎖状アルカンであり得る。
【0140】
より好ましくは、本発明における使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、10~14個の炭素原子、さらにより優先的には11~14個の炭素原子を含む直鎖状アルカンであり得る。
【0141】
本発明における使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、有利には、植物由来であり得る。
【0142】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物の脂肪媒体は油性である。より特に、組成物は、1種又は複数の油、好ましくは非シリコーン油、特に炭化水素ベース油を含む。
【0143】
「炭化水素ベース油」という用語は、炭素原子及び水素原子からなる油を意味する。
【0144】
好ましくは、本発明の液体脂肪性物質は、炭化水素、脂肪アルコール、脂肪エステル、シリコーン及び脂肪エーテル又はそれらの混合物から選択される。より特に、本発明の脂肪性物質は、(ポリ)オキシアルキレン化されていない。
【0145】
「液体炭化水素」という用語は、炭素原子及び水素原子のみから構成される炭化水素であって、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)において液体であるものを意味する。
【0146】
より特に、液体炭化水素は、
- 直鎖状又は分岐状、任意選択的に環式のC~C16アルカン(挙げられ得る例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン並びにイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる);
- 鉱物、動物又は合成由来の、16個より多くの炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)及びスクアラン
から選択される。
【0147】
好ましい変形形態において、液体炭化水素は、液体パラフィン及び液体石油ゼリーから選択される。
【0148】
「液体脂肪アルコール」という用語は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)において液体である非グリセロール化及び非オキシアルキレン化脂肪アルコールを意味する。
【0149】
好ましくは、本発明の液体脂肪アルコールは、8~30個の炭素原子、より優先的にはC10~C22、さらにより優先的にはC14~C20、さらにより良好にはC16~C18を含む。
【0150】
本発明の液体脂肪アルコールは、飽和又は不飽和であり得る。
【0151】
飽和液体脂肪アルコールは、好ましくは、分岐状である。それらは、任意選択的に、その構造中に少なくとも1個の芳香環又は非芳香環を含み得る。好ましくは、それらは、非環式である。
【0152】
より特に、本発明の飽和液体脂肪アルコールは、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及び2-ヘキシルデカノールから選択される。
【0153】
本発明の別の変形形態によれば、脂肪性物質は、液体不飽和脂肪アルコールから選択される。これらの液体不飽和脂肪アルコールは、その構造中に少なくとも1個の二重結合又は三重結合を含有する。好ましくは、本発明の脂肪アルコールは、その構造中に1個又は複数の二重結合を有する。複数の二重結合が存在する場合、好ましくは2個又は3個の二重結合が存在し、それらは、共役又は非共役であり得る。
【0154】
これらの不飽和脂肪アルコールは、直鎖状又は分岐状であり得る。
【0155】
これらは、任意選択的に、その構造中に少なくとも1個の芳香族又は非芳香族環を含み得る。好ましくは、それらは、非環式である。
【0156】
より特に、本発明の液体不飽和脂肪アルコールは、オレイルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール及びウンデシレニルアルコールから選択される。
【0157】
オレイルアルコールが最も特に好ましい。
【0158】
「液体脂肪エステル」又は「エステル油」という用語は、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールから誘導される1種又は複数のエステル基を含み、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)において液体である化合物を意味する。
【0159】
エステルは、好ましくは、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状C~C26脂肪族モノ酸又はポリ酸及び飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状C~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールの液体エステルであって、エステル中の総炭素原子数が10以上であるものである。
【0160】
好ましくは、モノアルコールのエステルに関して、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸の中の少なくとも1つが分岐状である。
【0161】
モノ酸及びモノアルコールのモノエステルの中でも、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート又はエチルミリステートなどのアルキルミリステート、イソセチルステアレート、2-エチルヘキシルイソノナノエート、イソデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、イソプロピルイソステアレートなどのC10~C22、好ましくはC12~C20アルキル(イソ)ステアレートが挙げられ得る。
【0162】
~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC~C22アルコールとのエステル及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖類C~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用され得る。
【0163】
特に、ジエチルセバケート、ジイソプロピルセバケート、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジイソプロピルアジペート、ジ-n-プロピルアジペート、ジオクチルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソステアリルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)マレエート、トリイソプロピルシトレート、トリイソセチルシトレート、トリイソステアリルシトレート、グリセリルトリラクテート、グリセリルトリオクタノエート、トリオクチルドデシルシトレート、トリオレイルシトレート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート及びジエチレングリコールジイソノナノエートが挙げられ得る。
【0164】
組成物は、液体脂肪エステルとして、C~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルも含み得る。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基を有しするか又は有さない、いくつかのアルコール官能基を有する酸素含有炭化水素ベース化合物を意味し、少なくとも4個の炭素原子を含むものであることが想起される。これらの糖は、単糖類、オリゴ糖類又は多糖類であり得る。
【0165】
挙げられ得る適切な糖の例には、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース並びにこれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例えばメチルグルコースが含まれる。
【0166】
脂肪酸の糖エステルは、特に、上記の糖並びに直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和C~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸のエステル又はエステルの混合物を含む群から選択され得る。不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0167】
本変形形態によるエステルは、モノ-、ジ-、トリ-及びテトラエステル、ポリエステル並びにそれらの混合物からも選択され得る。
【0168】
これらのエステルは、例えば、オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレート及びアラキドネート又はこれらの混合物、例えば特にオレオパルミテート、オレオステアレート及びパルミトステアレート混合エステルであり得る。
【0169】
より特に、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースモノオレート又はジオレート、ステアレート、ベヘネート、オレオパルミテート、リノレエート、リノレネート又はオレオステアレートが使用される。
【0170】
挙げられ得る例は、Amerchol社からGlucate(登録商標)DOという名称で販売されている製品であり、これはメチルグルコースジオレエートである。
【0171】
最後に、モノ-、ジ-又はトリ酸の天然又は合成グリセロールエステルも使用され得る。
【0172】
これらの中でも、植物油が挙げられ得る。
【0173】
液体脂肪エステルとして本発明の組成物に使用され得る植物由来の油又は合成トリグリセリドとして、挙げられ得る例としては、
- 植物又は合成由来のトリグリセリド油、例えば6~30個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド又は例えばヒマワリ油、コーン油、大豆油、マロー油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearinerie Dubois社によって販売されているもの又はDynamit Nobel社によってMiglyol(登録商標)810、812及び818という名称で販売されているもの、ホホバ油及びシアバター油
が含まれる。
【0174】
本発明によるエステルとして、モノアルコールから誘導される液体脂肪エステルが好ましく使用されるであろう。
【0175】
ミリスチン酸イソプロピル又はパルミチン酸イソプロピルが好ましい。
【0176】
液体脂肪エーテルは、ジカプリリルエーテルなどの液体ジアルキルエーテルから選択される。
【0177】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、8~16個の炭素原子を含有する1種又は複数の炭化水素ベース油を含む。
【0178】
より特に、8~16個の炭素原子を含有する炭化水素ベース油は、
□分岐状C~C16アルカン、例えば石油由来のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカン及び例えばIsopar又はPermethylの商品名で市販されている油、
□直鎖状C~C16アルカン、例えばSasol社からそれぞれParafol 12-97及びParafol 14-97の参照番号で販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)並びにまたそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognis社からの特許出願、国際公開第2008/155059号パンフレットの実施例1及び2で得られたn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物、及び
それらの混合物
から選択される。
【0179】
エステル油は、特に、以下から選択される。
□植物由来の油、例えば、脂肪酸がC~C24の様々な鎖長を有し得るグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドであって、これらの鎖は場合により直鎖状又は分岐状及び飽和又は不飽和であるもの;これらの油は特にヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリドである。植物由来の油は、小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、落花生油、コーン油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、米油、亜麻仁油、マカダミア油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、菜種油、ブラックカラント油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油、マスクローズ油及びアルガン油;シアバター;又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearinerie Dubois社から販売されているもの又はDynamit Nobel社からMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているものなどから選択され得る;
□式R-C(O)-OR10のモノエステル油(式中、R+R10≧9個の炭素原子、好ましくは29個未満の炭素原子未満という条件で、Rは5~19個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状炭化水素ベース鎖を表し、R10は4~20個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状、特に分岐状炭化水素ベース鎖を表す)、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;セテアリルオクタノエート(パーセリン油)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルヘキサノエート、イソノニルヘキサノエート、ネオペンチルヘキサノエート、カプリリルヘプタノエート又はオクチルオクタノエート;
□乳酸とC10~C20アルコールとのエステル、例えば、イソステアリルラクテート、2-オクチルドデシルラクテート、ミリスチルラクテート、C12~C13アルキルラクテート(SasolからのCosmacol(登録商標)Eli)、セチルラクテート又はラウリルラクテート;
□リンゴ酸とC10~C20アルコールとのジエステル、例えば、ジイソステアリルマレート、ジ(C12~C13アルキル)マレート(SasolからのCosmacol(登録商標)EMI)、ジブチルオクチルマレート、ジエチルヘキシルマレート又はジオクチルドデシルマレート;
□ペンタエリスリトールとC~C22カルボン酸とのエステル(特に、テトラエステル又はジエステル)、例えば、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート、ペンタエリスリチルテトラココエート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトララウレート、ペンタエリスリチルテトラミリステート、ペンタエリスリチルテトラオレエート又はペンタエリスリチルジステアレート;
□式R11-O-C(=O)-R12-C(=O)-O-R13のジエステル(式中、R11及びR13は、同一であるか又は異なり得、任意選択的に少なくとも1個の飽和又は不飽和、好ましくは飽和の環を含有する直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、且つR12は、飽和又は不飽和C~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖、例えば、スクシネート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)、マレエート(この場合、R12は不飽和Cアルキレン鎖)、グルタレート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)又はアジペート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)から得られるアルキレン鎖を表し、特に、R11及びR13は、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ネオヘプチル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル及びイソノニルから選択される);優先的にはジカプリリルマレエート又はビス(2-エチルヘキシル)スクシネートが挙げられ得る;
□式R14-C(=O)-O-R15-O-C(=O)-R16のジエステル(式中、R14及びR16は、同一であるか又は異なり得、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、R15は、飽和又は不飽和C~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖を表す)。特に、Stearinierie Dubois社からDub Zenoatの名称で販売されている1,3-プロパンジオールジカプリレート(R14は、Cであり、R16は、Cである)又はジプロピレングリコールジカプリレートが挙げられ得る;
□カーボネート油は、次式R17-O-C(O)-O-R18のカーボネートから選択され得、式中、R17及びR18は、同一であるか又は異なり得、直鎖状又は分岐状C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表す。カーボネート油は、BASF社からCetiol CC(登録商標)の名称で販売されているジカプリリルカーボネート(又はジオクチルカーボネート)、Evonik社からTegosoft DEC(登録商標)の名称で販売されているビス(2-エチルヘキシル)カーボネート、ジプロピルヘプチルカーボネート(BASF社からのCetiol 4 AII)、ジブチルカーボネート、ジネオペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジネオヘプチルカーボネート、ジへプチルカーボネート、ジイソノニルカーボネート又はジノニルカーボネート、好ましくはジオクチルカーボネートであり得る。
【0180】
特に、脂肪性物質b)は、
- ポリオールの脂肪酸エステル、特にトリグリセリドにより形成されている植物油、例えばヒマワリ油、ゴマ油、ナタネ油、マカダミア油、大豆油、アーモンド油、テリハボク油、パーム油、ブドウ種子油、コーン油、アララ油、綿実油、アンズ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油又は穀物胚芽油;
- 6個より多い炭素原子、特に6~30個の炭素原子を含有する直鎖状、分岐状又は環式エステル;及び特にイソノナン酸イソノニル;より特に、式R-C(O)-O-R’のエステル(式中、Rは7~19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を示し、且つR’は3~20個の炭素原子を含む炭化水素ベース鎖を表す)、例えば、パルミテート、アジペート、ミリステート及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;
- 炭化水素及び特に揮発性又は不揮発性、直鎖状、分岐状及び/又は環式アルカン、例えば任意選択的に揮発性であるC~C60イソパラフィン、例えばイソドデカン、Parleam(水素化ポリイソブテン)、イソヘキサデカン、シクロヘキサン若しくはIsopars;又は流動パラフィン、液体石油ゼリー若しくは水素化ポリイソブチレン;
- 6~30個の炭素原子を含有するエーテル;
- 6~30個の炭素原子を含有するケトン;
- 6~30個の炭素原子を含有する脂肪族脂肪モノアルコールであって、炭化水素ベース鎖がいかなる置換基も含まないもの、例えば、オレイルアルコール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノール、オクチルドデカノール及びリノレイルアルコール;
- 6~30個の炭素原子を含有するポリオール、例えば、ヘキシレングリコール;及び
- これらの混合物
から選択される。
【0181】
好ましくは、組成物は、脂肪媒体中において、
- ポリオールの脂肪酸エステル、特にトリグリセリドによって形成される植物油、
- 式RCOOR’のエステル(式中、Rは7~19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、R’は3~20個の炭素原子を含む炭化水素ベース鎖を表す)、
- 揮発性又は不揮発性直鎖状又は分岐状C~C30アルカン;
- 直鎖状又は分岐状非芳香族環式C~C12アルカン;
- 7~30個の炭素原子を含有するエーテル;
- 8~30個の炭素原子を含有するケトン;
- 炭化水素ベース鎖が置換基を含まない、12~30個の炭素原子を含む脂肪族脂肪モノアルコール;及び
- これらの混合物
から選択される少なくとも1種の油を含む。
【0182】
好ましくは、コポリマーが、アルキル基R1が6~9個の炭素原子を含むようなものである場合、脂肪性物質b)は、2~6個の炭素原子を含有するモノアルコールの不在下において、8~14個の炭素原子を含有する無極性炭化水素ベース油から選択される。
【0183】
好ましくは、コポリマーが、アルキル基Rが9個の炭素原子を含むようなものである場合、脂肪性物質b)は、水素化ポリイソブチレンから選択される。
【0184】
特に、脂肪性物質は非シリコーン油から選択され;好ましくは、液体脂肪性物質は、
- エステル油、カーボネート油;及び
- 8~14個の炭素原子を含有する分岐状無極性炭化水素ベース油
- 好ましくは1/99~10/90の範囲のモノアルコール/分岐状無極性炭化水素ベース油の質量比で、2~6個の炭素原子を含有するモノアルコールとの混合物としてのもの
から選択される。
【0185】
有利には、組成物は、組成物の全質量に対して、2質量%~99.9質量%の範囲、好ましくは5質量%~90質量%の範囲、好ましくは10質量%~80質量%の範囲、好ましくは20質量%~80質量%の範囲の含有量で、脂肪媒体の25℃及び大気圧において顕著に液体である1種又は複数の脂肪性物質、好ましくは1種又は複数の油を含む。
【0186】
有利には、本発明による組成物は、生理学的に許容される媒体を含む。特に、この組成物は、化粧用組成物である。
【0187】
「生理学的に許容される媒体」という用語は、ヒトのケラチン物質、例えば、皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛又は毛髪と適合性がある媒体を意味する。
【0188】
「化粧用組成物」という用語は、ケラチン物質と適合性があり、心地よい色、におい及び感触を有し、消費者がその使用を思いとどまるような許容できない不快感(刺戟性、張り又は赤み)を生じない組成物を意味する。
【0189】
「ケラチン物質」という用語は、皮膚(身体、顔、目の輪郭、頭皮)、頭髪、睫毛、眉毛、体毛、爪又は唇を意味する。
【0190】
本発明の一実施形態によれば、組成物は水性相を含む。この組成物は、特に水性ローション、又は油中水型若しくは水中油型エマルジョン、又は多重エマルジョン(油中水中油型若しくは水中油中水型トリプルエマルジョン(このようなエマルジョンは、既知であり、例えばC.Foxによって「Cosmetics and Toiletries」-November 1986-Vol.101-pages 101-112に記載されている))として配合される。
【0191】
組成物の水性相は、水と、一般に以下に定義する極性溶媒及びプロトン性溶媒などの他の水溶性又は水混和性溶媒を含む(追加の溶媒を参照されたい)。
【0192】
本発明による組成物は、好ましくは、選択された担体次第で3~9の範囲のpHを有する。
【0193】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物のpHは、中性又は僅かに酸性である。好ましくは、組成物のpHは、6~7である。これらの組成物のpHは、化粧品に通常使用される酸性化剤若しくは塩基性化剤又は代わりに標準的な緩衝系を用いて所望の値に調整され得る。
【0194】
「塩基化剤」又は「塩基」という用語は、それが存在する組成物のpHを増加させるための任意の薬剤を意味する。塩基化剤は、ブレンステッド塩基、ローリー塩基又はルイス塩基である。それは、鉱物又は有機物であり得る。特に、前記薬剤は、a)水性アンモニア、b)(bi)カーボネート、c)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びそれらの誘導体などのアルカノールアミン、d)オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、e)有機アミン、f)鉱物又は有機水酸化物、g)メタケイ酸ナトリウムなどのアルカリ金属シリケート、h)アミノ酸、好ましくはアルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン及びヒスチジンなどの塩基性アミノ酸、i)以下の式(E)の化合物から選択される。
【化10】
(式(E)中、
・Wは、1個若しくは複数のヒドロキシル基若しくはC~Cアルキル基によって任意選択的に置換され、且つ/又はO若しくはNRuなどの1個若しくは複数のヘテロ原子によって任意選択的に中断された二価C~Cアルキレン基であり、
・R、R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又はC~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル又はC~Cアミノアルキル基を表す)。
【0195】
挙げられ得る式(E)のアミンの例としては、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンが含まれる。
【0196】
「アルカノールアミン」という用語は、第一級、第二級又は第三級アミン官能基と、1個又は複数のヒドロキシル基を有する1個又は複数の直鎖状又は分岐状C~Cアルキル基とを有する有機アミンを意味する。
【0197】
鉱物又は有機水酸化物の中でも、a)アルカリ金属の水酸化物、b)アルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、c)遷移金属の水酸化物、d)ランタノイド又はアクチノイドの水酸化物、第四級アンモニウム水酸化物及び水酸化グアニジニウムから選択されるものが挙げられ得る。鉱物又は有機物の水酸化物a)及びb)が好ましい。
【0198】
本発明で使用される組成物の酸性化剤の中でも、挙げられ得る例には、鉱酸又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸若しくは乳酸又はスルホン酸が含まれる。
【0199】
上記で定義された塩基性化剤及び酸性化剤は、好ましくは、それらを含む組成物の質量に対して0.001質量%~20質量%、より詳細には組成物の質量に対して0.005質量%~8質量%を表す。
【0200】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、組成物の全質量に対して10質量%以下の量の水を含んでいる。さらにより優先的には、組成物は、5%以下、より良好には2%以下、さらにより良好には0.5%以下の量の水を含み、特に水を含有しない。適切な場合、そのような少量の水は、特に、その残留量を含み得る組成物の成分によって導入され得る。
【0201】
さらにより優先的には、組成物は、いかなる水も含まない。
【0202】
本発明による組成物は、水、香料、保存剤、充填剤、着色剤、UV-スクリーニング剤、界面活性剤、保湿剤、ビタミン、セラミド、酸化防止剤、フリーラジカルスカベンジャー、ポリマー及び増粘剤から選択される化粧品用添加剤を含み得る。
【0203】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の着色剤、好ましくは顔料も含む。
【0204】
「顔料」という用語は、ケラチン物質を着色する、合成由来又は天然由来の各種の顔料を指す。それらの顔料の、25℃、大気圧(760mmHg)での水中への溶解度は、0.05質量%未満、好ましくは0.01質量%未満である。
【0205】
それらは、化粧料において通常使用される親水性及び親油性の液相に元々不溶性であるか、又は必要に応じてレーキの形態で配合することにより不溶性が付与された白色又は着色の固体粒子である。より具体的には、顔料は、水性-アルコール性媒体に殆ど又は全く溶解しない。
【0206】
使用され得る顔料は、特に当技術分野において知られている、特にKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology and in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されている有機及び/又は鉱物顔料から選択される。特に挙げられ得る顔料としては、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry“Pigment Organics”,2005 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim 10.1002/14356007.a20 371及び同書中の“Pigments,Inorganic,1.General”2009 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim 10.1002/14356007.a20_243.pub3に定義及び記載されているものなどの有機及び鉱物顔料が挙げられる。
【0207】
これらの顔料は、顔料粉末形態又は顔料ペースト形態であり得る。これらは、被覆されていても又はされていなくてもよい。
【0208】
顔料は、例えば、鉱物顔料、有機顔料、レーキ、真珠光沢剤又は光輝フレークなどの特殊効果を有する顔料及びこれらの混合物から選択され得る。
【0209】
顔料は、鉱物顔料であり得る。「鉱物顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaの無機顔料に関する章の定義を満たすいずれの顔料も指す。本発明に有用な鉱物顔料の中でも、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタンが挙げられ得る。
【0210】
顔料は、有機顔料であり得る。「有機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopaediaの有機顔料に関する章の定義を満たすいずれの顔料も指す。有機顔料は、特にニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択され得る。
【0211】
特に、白色又は有色有機顔料は、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、カラーインデックスにおいてCI 42090、69800、69825、73000、74100、74160の参照番号(reference)に分類される青色顔料、カラーインデックスにおいてCI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005の参照番号に分類される黄色顔料、カラーインデックスにおいてCI 61565、61570、74260の参照番号に分類される緑色顔料、カラーインデックスにおいてCI 11725、15510、45370、71105の参照番号に分類される橙色顔料、カラーインデックスにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470の参照番号に分類される赤色顔料、仏国特許第2679771号明細書に記載されているインドール又はフェノール性誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択され得る。
【0212】
本発明の特定の実施形態では、使用される顔料は、有機顔料の顔料ペースト、例えばHoechst社から以下の名称で販売されている製品である:Cosmenyl Yellow IOG:Yellow 3顔料(CI 11710);Cosmenyl G yellow:Yellow 1顔料(CI 11680);Cosmenyl GR orange:Orange 43顔料(CI 71105);Cosmenyl R red:Red 4顔料(CI 12085);Cosmenyl FB carmine:Red 5顔料(CI 12490);Cosmenyl RL violet:Violet 23顔料(CI 51319);Cosmenyl A2R blue:Blue 15.1顔料(CI 74160);Cosmenyl GG green:Green 7顔料(CI 74260);Cosmenyl R black:Black 7顔料(CI 77266)。
【0213】
本発明における顔料は、欧州特許第1 184 426号明細書に記載されているような複合顔料の形態であり得る。それらの複合顔料は、特に以下を含む粒子で構成され得る:
- 鉱物質のコア、
- そのコアに有機顔料を固定するための、少なくとも1つのバインダー、及び
- そのコアを少なくとも部分的に被覆する少なくとも1つの有機顔料。
【0214】
「レーキ」という用語は、不溶性の粒子の上に吸着された色素を指し、そのため、そのようにして得られた複合物は、使用時にも、不溶性を残している。その上に色素が吸着される鉱物基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。有機染料の中でも、コチニールカルミンが挙げられ得る。
【0215】
挙げられ得るレーキの例としては、以下の名称で知られる製品が含まれる:D&C Red 21(CI 45 380)、D&C Orange 5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 7(CI 15 850:1)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green 5(CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)、D&C Blue 1(CI 42 090)。
【0216】
その上に色素が吸着される鉱物基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0217】
色素の中でも、コチニールカルミンが挙げられ得る。以下の名称で知られる染料も挙げられ得る:D&C Red 21(CI 45 380)、D&C Orange 5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green 5(CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)、D&C Blue 1(CI 42 090)。
【0218】
レーキの例として、以下の名称で知られる製品を挙られ得る:D&C Red 7(CI 15 850:1)。
【0219】
顔料は、特殊効果を有する顔料であり得る。
【0220】
「特殊効果を有する顔料」という用語は、非均一であり、且つ観測の条件(光、温度、観測角度など)に応じて変化する有色の外見(特定の色調、特定の輝き及び特定のレベルの輝度によって特徴付けられる)を一般に生じさせる顔料を指す。したがって、これらは、不透明、半透明又は透明の標準的な均一の色合いを呈する有色顔料と異なる。
【0221】
特殊効果を有する顔料には、いくつつかの種類がある:蛍光又はフォトクロミック顔料などの低屈折率を有するもの及び真珠光沢剤、干渉顔料又は光輝フレークなどの高屈折率を有するもの。
【0222】
言及され得る特殊な効果を有する顔料の例には、酸化鉄により被覆されたチタンマイカ、酸化鉄により被覆されたマイカ、オキシ塩化ビスマスにより被覆されたマイカ、酸化クロムにより被覆されたチタンマイカ、特に上述の種類の有機染料により被覆されたチタンマイカなどの真珠光沢顔料及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料がある。それらは、その表面で金属酸化物及び/又は有機色素の少なくとも2つの連続層が重ね合わされているマイカ粒子でもあり得る。
【0223】
真珠光沢剤は、より詳細には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、茶色、金色及び/又は銅色の色又は色合いを有し得る。
【0224】
本発明との関係において使用され得る真珠光沢剤の例示としては、特に、Engelhard社により名称Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)で販売されている金色の真珠光沢剤、特にMerck社により名称Bronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)で、Eckart社により名称Prestige Bronze並びにEngelhard社により名称Super bronze(Cloisonne)で販売されている青銅色の真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Orange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)並びにMerck社により名称Passion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)で販売されている橙色の真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Nu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)で販売されている茶色の真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Copper 340A(Timica)及びEckart社により名称Prestige Copperで販売されている銅色の色合いを有する真珠光沢剤、特にMerck社により名称Sienna fine(17386)(Colorona)で販売されている赤色の色合いを有する真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Yellow(4502)(Chromalite)で販売されている黄色の色合いを有する真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Sunstone G012(Gemtone)で販売されている金色の色合いを有する赤色の真珠光沢剤、特にEngelhard社により名称Nu antique bronze 240 AB(Timica)で販売されている金色の色合いを有する黒色の真珠光沢剤、特にMerck社により名称Matte blue(17433)(Microna)、Dark Blue(117324)(Colorona)で販売されている青色の真珠光沢剤、特にMerck社により名称Xirona Silverで販売されている銀色の色合いを有する白色の真珠光沢剤並びに特にMerck社により名称Indian summer(Xirona)で販売されている金-緑、桃色-橙色の真珠光沢剤並びにそれらの混合物が挙げられ得る。
【0225】
マイカ担体上の真珠光沢剤に加えて、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸ナトリウムカルシウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムなどの合成基材に基づく多層顔料も想定され得る。
【0226】
基材に結合していない、液晶(WackerからのHelicones HC)又はホログラム光輝フレーク(SpectratekからのGeometric Pigments又はSpectra f/x)などの干渉効果を示す顔料も挙げられ得る。特殊効果を有する顔料には、蛍光顔料(これらは、昼光下で蛍光を発する物質又は紫外蛍光を発する物質のいずれでもあり得る)、燐光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料及び量子ドット、例えばQuantum Dots Corporation社から販売されているものも含まれる。
【0227】
本発明に使用され得る顔料の多様性により広範囲の色を得ることが可能であり、金属効果又は干渉効果などの特定の光学効果を得ることも可能である。
【0228】
本発明による化粧用組成物に使用される顔料のサイズは、概して、10nm~200μm、好ましくは20nm~80μm、より優先的には30nm~50μmである。
【0229】
顔料は、分散剤の手段によって製品中に分散され得る。
【0230】
「分散剤」という用語は、分散させた粒子がアグロメレートするか、又はフロキュレートすることを防ぎ得る化合物を指す。この分散剤は、分散すべき粒子の表面に対して強力な親和性を有する1種又は複数の官能基を有する界面活性剤、オリゴマー、ポリマー又はこれらの幾つかの混合物であり得る。特に、これらは、顔料表面に物理的又は化学的に結合し得る。この分散剤は、連続媒体と混和性を有するか又は連続媒体に可溶な少なくとも1つの官能基も含有する。前記剤は、電荷を有し得る。これは、アニオン性、カチオン性、両イオン性又は中性であり得る。
【0231】
本発明の特定の実施形態では、使用される分散剤は、以下から選択される:より特に12-ヒドロキシステアリン酸のエステル及びポリオール、例えばグリセロール又はジグリセロールのC~C20脂肪酸エステル、例えば分子質量約750g/molのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、例えばAvecia社からSolsperse 21000の名称で販売されている製品、Henkel社から参照名Dehymyls PGPHとして販売されているポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名称)又はポリヒドロキシステアリン酸、例えばUniqema社から参照名Arlacel P100として販売されている製品並びにそれらの混合物。
【0232】
本発明の組成物中に使用され得る他の分散剤として、重縮合した脂肪酸の第4級アンモニウム誘導体、例えばAvecia社により販売されているSolsperse 17000並びにポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物、例えばDow Corning社によりDC2-5185及びDC2-5225 Cの商品記号で販売されているものが挙げられ得る。
【0233】
本発明における化粧用組成物において使用される顔料は、有機薬剤を用いて表面処理され得る。
【0234】
したがって、本発明に関連して有用な予め表面処理された顔料は、本発明による組成物中に分散させる前に、特にCosmetics and Toiletries,February 1990,Vol.105,pages 53-64に記載されているものなどの有機剤により、化学的、電気的、電気化学的、機械化学的又は機械的な表面処理を全体的又は部分的に施した顔料である。これらの有機作用剤は、例えば、アミノ酸;蝋、例えばカルナバワックス及び蜜蝋;脂肪酸、脂肪アルコール及びその誘導体、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール及びラウリン酸並びにこれらの誘導体など;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜鉛又はアルミニウム塩、例えばステアリン酸アルミニウム又はラウリン酸アルミニウム;金属アルコキシド;多糖類、例えばキトサン、セルロース及びこれらの誘導体;ポリエチレン;(メタ)アクリルポリマー、例えばポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含むポリマー及びコポリマー;タンパク質;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、ポリジメチルシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン及びシロキシシリケート;有機フッ素化合物、例えばペルフルオロアルキルエーテル;フルオロシリコーン化合物から選択され得る。
【0235】
本発明における化粧用組成物で有用な表面処理された顔料は、これらの化合物の混合物を用いてさらに処理され得、且つ/又は複数の表面処理を施され得る。
【0236】
本発明に関連して有用な表面処理された顔料は、当業者によく知られている表面処理技法に従って調製され得るか、又はそのまま商業的に入手可能なものであり得る。
【0237】
好ましくは、表面処理された顔料は、有機層で被覆されている。
【0238】
それを用いて顔料を処理するための有機薬剤は、溶媒を蒸発させるか、表面処理剤の分子間で化学反応させるか、又は表面処理剤と顔料との間で共有結合を形成させることにより、顔料上に堆積し得る。
【0239】
したがって、表面処理は、例えば、表面処理剤と顔料表面とを化学反応させ、表面処理剤と顔料又は充填剤との間に共有結合を生成することにより実施され得る。この方法は、特に、米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0240】
顔料と共有結合する有機剤が好ましく使用されるであろう。
【0241】
表面処理するための薬剤は、表面処理される顔料の全質量に対して0.1質量%~50質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%、さらにより優先的には1質量%~10質量%の量で存在し得る。
【0242】
好ましくは、顔料の表面処理剤は、以下の処理剤から選択される:
- PEG-シリコーン処理剤、例えばLCWから販売されているAQ表面処理剤、
- キトサン処理、例えばLCWから販売されているCTSを用いた表面処理;
- トリエトキシカプリリルシラン処理、例えばLCWから販売されているASを用いた表面処理;
- メチコン処理剤、例えばLCWから販売されているSI表面処理剤、
- ジメチコン処理剤、例えばLCWから販売されているCovasil 3.05表面処理剤、
- ジメチコン/トリメチルシロキシシリケート処理剤、例えばLCWから販売されているCovasil 4.05表面処理剤、
- ラウロイルリシン処理、例えばLCWから販売されているLLを用いた表面処理;
- ラウロイルリシンジメチコン処理、例えばLCWから販売されているLL/SIを用いた表面処理;
- ミリスチン酸マグネシウム処理剤、例えばLCWから販売されているMM表面処理剤;
- ジミリスチン酸アルミニウム処理剤、例えば三好化成株式会社(Miyoshi)から販売されているMI表面処理剤;
- ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理、例えばLCWから販売されているFHCを用いた表面処理;
- セバシン酸イソステアリル処理剤、例えば三好化成株式会社(Miyoshi)から販売されているHS表面処理剤;
- ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム処理、例えば三好化成株式会社(Miyoshi)から販売されているNAIを用いた表面処理;
- ジメチコン/ステアアロイルグルタミン酸ジナトリウム処理、例えば三好化成株式会社(Miyoshi)から販売されているSA/NAIを用いた表面処理;
- ペルフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているPF表面処理剤;
- アクリレート/ジメチコンコポリマー及びパーフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているFSA表面処理剤;
- ポリメチルヒドロゲノシロキサン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)により販売されているFS01表面処理剤、
- ラウリルリシン/三ステアリン酸アルミニウム処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているLL-StAlを用いた表面処理;
- オクチルトリエチルシラン処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているOTSを用いた表面処理;
- オクチルトリエチルシラン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業(Daito)から販売されているFOTSを用いた表面処理;
- アクリレート/ジメチコンコポリマー処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているASC表面処理剤;
- トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているITT表面処理剤;
- ミクロクリスタリンセルロース及びカルボキシメチルセルロース処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているACを用いた表面処理;
- セルロース処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているC2を用いた表面処理;
- アクリレートコポリマー処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているAPD表面処理剤;
- ペルフルオロアルキルホスフェート/トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理剤、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているPF+ITT表面処理剤。
- 本発明における組成物は、1つ又は複数の表面未処理の顔料を含み得る。
- 本発明の特定の実施形態では、その顔料が鉱物質顔料である。
- 本発明の別の特定の実施形態では、その顔料は、真珠箔顔料から選択される。
【0243】
本発明の特定の実施形態では、その分散剤は、分散体(A)、及び/又は組成物(B)、及び/又は(C)中の有機顔料と共に又はサブミクロンサイズの粒子状の形態にある無機顔料と共に存在する。
【0244】
「サブミクロン」又は「サブミクロンの」という用語は、微粉化方法により微粉化された粒子径を有し、平均粒子径が1マイクロメートル(μm)未満、特に0.1~0.9μm、好ましくは0.2~0.6μmである顔料を指す。
【0245】
1つの実施形態によると、その分散剤及び顔料は、0.5:1~2:1、特に0.75:1~1.5:1又はさらにより良好には0.8:1~1.2:1の(分散剤:顔料)量比で存在する。
【0246】
特定の実施形態によると、その分散剤は、顔料を分散させるのに適しており、且つ縮合硬化性配合物と相溶性がある。
【0247】
「相溶性がある」という用語は、例えば、前記分散剤が、組成物の油性相中又は顔料を含む分散体中に混和することが可能であり、且つそれが効果を阻害又は低減しないことを意味する。その分散剤は、カチオン性であることが好ましい。
【0248】
したがって、分散剤は、シリコーン骨格、例えばシリコーンポリエーテルを有し、且つアミノシリコーンタイプの分散剤であり得る。好適な分散剤としては、以下が挙げられる:
- アミノシリコーン、すなわち1つ又は複数のアミノ基を含むシリコーン、例えば、BYKからBYK LPX 21879の名称及び商品記号で販売されているもの、Genesee Polymersから販売されているGP-4、GP-6、GP-344、GP-851、GP-965、GP-967及びGP-988-1、
- シリコーンアクリレート、例えばEvonikから販売されている、Tego(登録商標)RC902、Tego(登録商標)RC922、Tego(登録商標)RC1041及びTego(登録商標)RC1043、
- カルボキシル基を担持するポリジメチルシロキサン(PDMS)シリコーン、例えば信越化学工業株式会社(Shin-Etsu)からのX-22162及びX-22370;エポキシシリコーン、例えばGenesee PolymersからのGP-29、GP-32、GP-502、GP-504、GP-514、GP-607、GP-682及びGP-695又はEvonikからのTego(登録商標)RC1401、Tego(登録商標)RC1403、Tego(登録商標)RC1412。
【0249】
特定の実施形態によると、その分散剤がアミノシリコーンタイプであり、正に荷電している。
【0250】
油性相の薬剤と反応することが可能で、そのため、アミノシリコーンによって形成される3Dネットワークを改良することが可能な化学基を担持する分散剤が挙げられ得る。例えば、エポキシシリコーン顔料の分散剤は、アミノシリコーンプレポリマーのアミノ基と化学的に反応して、顔料を含むアミノシリコーン膜の凝集力を増大させることができる。
【0251】
本発明の顔料は、以下から選択されることが好ましい:カーボンブラック、酸化鉄、特に黒色酸化鉄及び酸化鉄でコーティングされたマイカ、トリアリールメタン顔料、特に青色及び紫色のトリアリールメタン顔料、例えばブルー1レイク、アゾ顔料、特に赤色アゾ顔料、例えばD&Cレッド7、リソールレッドのアルカリ金属塩、例えばリソールレッドBのカルシウム塩、さらにより優先的には赤色酸化鉄。
【0252】
着色剤は、直接染料から選択され得る。
【0253】
「直接染料」という用語は、酸化染料以外の天然及び/又は合成染料を意味する。これらは、繊維上に表面的に拡散することになる染料である。
【0254】
これらはイオン性又は非イオン性であり得、好ましくはカチオン性又は非イオン性であり、いずれも単独染料である。
【0255】
これらの直接染料は、例えば、中性、酸性又はカチオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、酸性又はカチオン性アゾ直接染料、テトラアザペンタメチン染料、中性、酸性又はカチオン性キノン、特にアントラキノン直接染料、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、アゾメチン直接染料及び中性直接染料から選択される。
【0256】
挙げられ得る適切な直接染料の例には、単独での又は混合物としてのアゾ直接染料;シアニン、ヘミシアニン及びスチリル染料などの(ポリ)メチン染料;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料;フタロシアニン染料及び天然直接染料が含まれる。
【0257】
優先的には、直接染料は、少なくとも1つの四級化カチオン発色団又は四級化若しくは四級化可能なカチオン性基を有する少なくとも1つの発色団を含有する。
【0258】
本発明の特定の実施形態によると、直接染料は、少なくとも1つの四級化カチオン発色団を含む。
【0259】
本発明による直接染料としては、以下の染料:アクリジン、アクリドン、アントラントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、アジン、(ポリ)アゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン、アゾメチン、ベンズアントロン、ベンゾイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、ベンゾキノン、ビスアジン、ビス-イソインドリン、カルボキサニリド、クマリン、アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、テトラアザカルボシアニン又は(ポリ)メチンなどのシアニン、ジアジン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルアミン、ジフェニルメタン、ジチアアジン、フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド、フルオリンジン、ホルマザン、インダミン、インダントロン、インジゴイド及びシュードインジゴイド、インドフェノール、インドアニリン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ラクトン、(ポリ)メチン、例えばスチルベン又はスチリル型のジメチン、ナフトキノン、ニトロ、特にニトロ(ヘテロ)芳香族、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン(perilone)、ペリノン、ペリレン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フタロシアニン、ポリエン/カロチノイド、ポルフィリン、ピラントロン、ピラゾラントロン、ピラゾロン、ピリミジノアントロン、ピロニン、キナクリドン、キノリン、キノフタロン、スクアラン、テトラゾリウム、チアジン、チオインジゴ、チオピロニン、トリアリールメタン又はキサンテンから誘導される発色団が挙げられ得る。
【0260】
カチオン性アゾ染料としては、特に、Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,”Dyes,Azo”,J.Wiley&Sons,updated on 19 April 2010に記載されているカチオン性染料から得られるものが挙げられ得る。
【0261】
本発明に従って使用され得るアゾ染料の中でも、国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されているカチオン性アゾ染料が挙げられ得る。
【0262】
本発明の好ましい実施形態によれば、直接染料は、「塩基性染料」として知られるカチオン性染料から選択される。
【0263】
Colour Index International(第三版)に記載されるアゾ染料の中でも、特に以下の化合物が挙げられ得る:Basic Red 22、Basic Red 76、Basic Yellow 57、Basic Brown 16及びBasic Brown 17。
【0264】
カチオン性キノン染料の中でも、上記のColour Index Internationalに記載の発色団が適切であり、これらの中でも特に、以下の染料が挙げられ得る:Basic Blue 22、Basic Blue 99。
【0265】
使用に適切なアジン染料の中でも、Colour Index Internationalに列挙されるもの、例えば以下の染料が挙げられ得る:Basic Blue 17、Basic Red 2。
【0266】
本発明に従って使用され得るカチオン性トリアリールメタン染料の中でも、Colour Indexに列挙されるものに加えて、以下の染料が挙げられ得る:Basic Green 1、Basic Violet 3、Basic Violet 14、Basic Blue 7、Basic Blue 26。
【0267】
米国特許第5888252号明細書、欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されるカチオン性染料も挙げられ得る。K.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”1952,Academic Press,vol.1~7において、;“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”、章“Dyes and Dye Intermediates”,1993,Wiley and Sonsにおいて及び“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章において列挙されるものも挙げられ得る。
【0268】
好ましくは、カチオン性直接染料は、アゾ及びヒドラゾノ型の染料から得られるものから選択される。
【0269】
特定の実施形態によると、直接染料は、欧州特許第850636号明細書、仏国特許第2788433号明細書、欧州特許第920856号明細書、国際公開第99/48465号パンフレット、仏国特許第2757385号明細書、欧州特許第850637号明細書、欧州特許918053号明細書、国際公開第97/44004号パンフレット、仏国特許第2570946号明細書、仏国特許第2285851号明細書、独国特許第2538363号明細書、仏国特許第2189006号明細書、仏国特許第1560664号明細書、仏国特許第1540423号明細書、仏国特許第1567219号明細書、仏国特許第1516943号明細書、仏国特許第1221122号明細書、独国特許第4220388号明細書、独国特許第4137005号明細書、国際公開第01/66646号パンフレット、米国特許第5708151明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第515144号パンフレット、英国特許第1195386号明細書、米国特許第3524842号明細書、米国特許第5879413号明細書、欧州特許第1062940号明細書、欧州特許第1133976号明細書、英国特許第738585号明細書、独国特許第2527638号明細書、仏国特許第2275462号明細書、英国特許出願公開第1974-27645号明細書、Acta Histochem,(1978),61(1),48-52;Tsitologiya(1968),10(3),403-5;Zh.Obshch.Khim.(1970),40(1),195-202;Ann.Chim.(Rome)(1975),65(5-6),305-14;Journal of the Chinese Chemical Society(Taipei)(1998),45(1),209-211;Rev.Roum.Chim.(1988),33(4),377-83;Text.Res.J.(1984),54(2),105-7;Chim.Ind.(Milan)(1974),56(9),600-3;Khim.Tekhnol.(1979),22(5),548-53;Ger.Monatsh.Chem.(1975),106(3),643-8;MRL Bull.Res.Dev.(1992),6(2),21-7;Lihua Jianyan,Huaxue Fence(1993),29(4),233-4;Dyes Pigm.(1992),19(1),69-79;Dyes Pigm.(1989),11(3),163-72に記載のカチオン性アゾ染料である。
【0270】
好ましくは、カチオン性直接染料は、第四級アンモニウム基を含み、より優先的には、カチオン電荷は、環内にある。
【0271】
これらのカチオン性ラジカルは、例えば、
- (ジ/トリ)(C~C)アルキルアンモニウム環外電荷を有するか、又は
- 以下:アクリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピラゾリウム、ベンゾピリダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ビピリジニウム、ビス-テトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリウム、ナフトイミダゾリウム、ナフトキオキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノオキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピリジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、ピリリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイルイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウム又はキサンチリウムから選択されるカチオン性ヘテロアリール基を含むなどの環内電荷を有するカチオン性基である。
【0272】
以下から選択されるカチオン性染料が挙げられ得る:
- 次式を有するヒドラゾノ染料:
(XVI)Het-C(R’)=N-N(R’)-Ar,Q及び(XVII)Het-N(R’)-N=C(R’)-Ar,Q
- 次式を有するアゾ染料:
(XVIII)Het-N=N-Ar,Q及び(XIX)Ar-N=N-Ar,Q
(式(XVI)~(XVIII)中、
・Hetは、優先的には環内にカチオン性電荷を有し、優先的には少なくとも1つのメチルなどの(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された、イミダゾリウム、インドリウム又はピリジニウムなどのカチオン性ヘテロアリール基を表し;
・Arは、環外にカチオン性電荷、優先的にはアンモニウム、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C~C)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
・Arは、優先的には1つ又は複数の電子供与性基、例えばi)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノで任意選択的に置換されたアリール基、特にフェニルを表すか、又は代わりに、Arは、ジュロリジン基を表し;
・Ar’’は、任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基、例えば、優先的には1つ又は複数の(C~C)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(C~C)アルコキシ又はフェニル基で任意選択的に置換された、フェニル又はピラゾリルを表し;
・同一であるか又は異なり得るR’及びR’は、水素原子を表すか、又は優先的にはヒドロキシル基で場合により置換された(C~C)アルキル基を表し;
・そうでなければ、Hetの置換基を有するR’及び/又はArの置換基を有するR’は、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、R’及びR’は、水素原子を表すか、又はヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・Qは、ハライド又はアルキルスルフェートなどのアニオン性対イオンを表す)。
【0273】
特に、上記で定義された式(XII)~(XV)の環内カチオン性電荷を有するアゾ及びヒドラゾノ直接染料、より特に環内カチオン性電荷を有する式(XII)~(XV)のカチオン性直接染料であって、特許出願国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載のもの、優先的には以下の直接染料が挙げられ得る。
【化11】
式(XVI-1)及び(XVIII-1)中、
- Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
- R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子を表すか、又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
- Rは、水素原子を表すか、又は電子供与性基、例えば任意選択的に置換された(C~C)アルキル、任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ若しくはアルキル基が任意選択的にヒドロキシル基で置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノを表し;特に、Rは、水素原子であり、
- Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し、
- Q-は、上記で定義されたアニオン性対イオン、特に塩化物などのハロゲン化物又はメチルスルフェート若しくはメシルなどのアルキルスルフェートである。
【0274】
特に、式(XVI-1)及び(XVIII-1)の染料は、Basic Red 51、Basic Yellow 87及びBasic Orange31又はそれらの誘導体から選択される:
【化12】
は、上記で定義されたアニオン性対イオン、特にクロリドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシルなどのアルキルスルフェートである。
【0275】
本発明の特定の実施形態によれば、直接染料は、蛍光性であり、すなわち、それらは、先に定義されたように、少なくとも1つの蛍光性発色団を含有する。
【0276】
挙げられ得る蛍光性染料としては、以下の染料から得られる基が挙げられる:アクリジン、アクリドン、ベンズアントロン、ベンゾイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、クマリン、ジフルオロ{2-[(2H-ピロル-2-イリデン-kN)メチル]-1H-ピロラト-kN}ホウ素(BODIPY(登録商標))、ジケトピロロピロール、フルオリンジン、(ポリ)メチン(特にシアニン及びスチリル/ヘミシアニン)、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフチルアミン(ダンシルなど)、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペロノン、ペリレン、ポリエン/カロチノイド、スクアラン、スチルベン及びキサンテン。
【0277】
欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット及び欧州特許第714 954号明細書に記載される蛍光性染料並びにK.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1~7において、“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”,章“Dyes and Dye Intermediates”,1993,Wiley and Sonsにおいて、“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章において且つインターネット上で回覧されるか、又は印刷版でのハンドブック - “A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies”,10th Ed.,Molecular Probes/Invitrogen-Oregon 2005において記載されるものも挙げられ得る。
【0278】
本発明の好ましい変形形態によると、蛍光性染料は、カチオン性であり、且つ以下の式(XIII)などの少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含む:
-[C(R)=C(R)]m’-Ar,Q
式(XIII)中、
・Wは、特に1つ又は複数の(C~C)アルキル基によって任意選択的に置換された特に1つ又は複数のヒドロキシル基によって任意選択的に置換された第四級アンモニウムを含むカチオン性複素環又はヘテロアリール基を表し;
・Arは、優先的にはi)塩素又はフッ素などの1つ又は複数のハロゲン原子;ii)1つ又は複数の(C~C)アルキル基、好ましくはメチルなどのC~C基;iii)1つ又は複数のヒドロキシル基;iv)メトキシなどの1つ又は複数の(C~C)アルコキシ基;v)ヒドロキシエチルなどの1つ又は複数のヒドロキシ(C~C)アルキル基、vi)好ましくは(ジ)ヒドロキシエチルアミノなどの1つ又は複数のヒドロキシル基によって任意選択的に置換されたC~Cアルキル部分を有する、1つ又は複数のアミノ基又は(ジ)(C~C)アルキルアミノ、vii)1つ又は複数のアシルアミノ基;viii)ピペラジニル、ピペリジルなどの1つ又は複数のヘテロシクロアルキル基又はピロリジニル、ピリジル及びイミダゾリニルなどの5又は6員環のヘテロアリール基によって任意選択的に置換されたフェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
・m’は1~4の整数を表し;特にm’は1又は2であり、より優先的には1であり;
・同一であるか又は異なり得るR及びRは、水素原子を表すか、又は任意選択的に置換された(C~C)アルキル基、優先的にはC~Cアルキル基を表すか、又は代わりに、Wと隣接するR及び/又はArと隣接するRは、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、Rは、Wと隣接し、それらは、シクロヘキシルなどの(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
・Qは、以前に定義された有機又は無機陰イオン性対イオンである。
【0279】
本発明に従い使用され得る天然の直接染料の中でも、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、オルセインが挙げられ得る。これらの天然染料を含む抽出物又は煎じ汁、特にヘナを基材とする湿布又はエキスも使用され得る。
【0280】
本発明の特定の実施形態によると、着色剤、特に顔料の量は、組成物及びそれらを含む分散体の質量に対して0.5%~40%、好ましくは1%~20%の範囲である。
【0281】
有利には、本発明による組成物は、メイクアップ組成物、特にリップメイクアップ組成物、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ又はファンデーションである。
【0282】
追加の溶媒
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、主に脂肪質の媒体中に、好ましくは水以外の極性及び/又はプロトン性である1種又は複数の溶媒を含む。
【0283】
水以外の好ましくは極性及び/又はプロトン性である溶媒は、溶媒混合物の全質量に対して0~10質量%、優先的には組成物の全質量に対して0.5~8質量%、より特に1~5質量%、例えば2質量%の質量パーセントで組成物中に存在する。好ましくは、溶媒は、アルカノール、より優先的にはC~Cアルカノール、例えばエタノールなどの極性プロトン性溶媒である。
【0284】
アジュバント
本発明による組成物は、1種又は複数の充填剤も特に組成物の全質量に対して0.01質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~20質量%の範囲の含有量で含み得る。「充填剤」という用語は、組成物が製造される温度に関係なく、組成物の媒体中に不溶性である、任意の形状の無色又は白色の鉱物又は合成粒子を意味すると理解されるべきである。これらの充填剤は、特に、組成物のレオロジー又はテクスチャーを変更するために役立つ。
【0285】
本発明による組成物は、化粧品に一般的に使用される成分、例えばビタミン、増粘剤、微量元素、軟化剤、封鎖剤、香料、保存剤、日焼け止め、界面活性剤、酸化防止剤、損失対策用薬剤、ふけ防止剤及び推進剤又はこれらの混合物も含有し得る。
【0286】
本発明を以下の実施例でより詳細に例示する。量は、質量%として示される。
【実施例
【0287】
例示されたPHAを、β-酸化経路阻害剤を使用するか否かに応じて、3リットルケモスタット及び/又は5リットルフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中で調製した。PHAの単離は、得られた全ての実施例で同様である。
【0288】
第1段階として、微生物がPHAコポリマーを生成し、これは細胞内顆粒に貯蔵される。その割合は、温度又は培養培地の性質などの適用条件の作用として変動する。PHAコポリマー顆粒の生成は、微生物の性質の作用として、微生物の成長と関連していても又はしていなくてもよい。第2段階中、PHAコポリマーを含有するバイオマスを単離、すなわち発酵培地から分離し、次いで乾燥させる。PHAコポリマーは、必要に応じて精製される前にバイオマスから抽出される。
【0289】
特定の実施例では、得られるPHAコポリマーの安定性のために、飽和及び不飽和炭素源の混合物が必要である。
【0290】
【表6】
【0291】
【表7】
【0292】
実施例1:n-オクチル基を表す側鎖R及びn-ペンチル基を表すRを有するPHAのコポリマー
【化13】
実施例1の化合物を合成するための方法は、論文:Fed-batch production of unsaturated medium-chain-length polyhydroxyalkanoates with controlled composition by Pseudomonas putida KT2440,Z.Sun,J.A.Ramsay,M.Guay,B.A.Ramsay,Applied Microbiology Biotechnology,82.657-662,2009から転用されたものである。
【0293】
使用される微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440 ATCC(登録商標)47054(商標)である。培養方法は、2.5Lの培養培地を含有する3Lケモスタット中、速度μ=0.15時間-1で炭素源の混合物を含有する維持液を用いて流加培養純粋培養条件下で行われる。
【0294】
公称溶存酸素(O)値が30%飽和になるように、システムを0.5vvmの空気流に通気する。pHは15%アンモニア水溶液で調整される。発酵培地の温度は30℃に調整される。
【0295】
流加培養発酵モードのための装置
発酵培地は、温度-溶存酸素の圧力及びpHに関して調節される(図示せず)。
【0296】
図1を参照されたい。製造方法は、3種の異なる培養培地を使用して行われる。CM1「接種(inoculum)」と定義される第1の培養培地は、前培養の調製のために使用される。第2の培養培地は、CM2「バッチ(batch)」と定義され、フェルンバッハ(Fernbach)フラスコ内で一次炭素源を用いて微生物を非流加培養させるために使用される。第3の培養培地は、CM3「維持(maintenance)」と定義され、微生物の成長の作用として較正された流速で、目的の炭素源を用いた流加培養又は維持発酵モードのために使用される。
【0297】
【表8】
【0298】
ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)の組成は、質量%で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)。
【0299】
【表9】
【0300】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって6.8に調整したpHで100mLの「接種」培養培地と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの前培養液を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートする。滅菌済み3Lケモスタットに入れたCM2「バッチ」培養培地1.9Lを前培養液100mLによってD=0.1で接種する。30℃、850rpmにおいて4時間後、維持培養培地の導入を実行し、定義された流速を適用する。
【0301】
導入終了後、遠心分離によりバイオマスを単離し、水で3回洗浄する。バイオマスを凍結乾燥によって乾燥した後、酢酸エチルで24時間抽出する。懸濁液は、GF/Aフィルター(Whatman(登録商標))によって濾過することによって清澄化する。酢酸エチルに溶解したPHAコポリマーである濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させる。
【0302】
PHAコポリマーは、任意選択的に、例えば酢酸エチル/エタノール70%メタノール系からの連続溶解及び沈殿によって精製され得る。
【0303】
実施例1のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価され、予想される化学構造と合致しており、R=n-ペンチル(79.1%)及びn-ヘキシル(7.4%)である単位(B)が86.5モル%、及びR=n-オクチル(3.9%)である単位(A)が11.8モル%、単位(C)n-ヘキセニル(6.7%)及び単位(D)n-ブテニル(1.2%)であった。
【0304】
実施例2:n-オクチル基を表す側鎖R及びn-ヘキシル基を表すRを有するPHAのコポリマー
【化14】
実施例1のn-オクタン酸炭素源をn-ノナン酸に置き換えて、実施例1の製造方法を実施例2の製造方法に適合させる。
【0305】
実施例2のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価され、予想される化学構造と合致しており、R=n-ペンチル(64.1%)である単位(B)が87.2モル%、及び単位(C)n-ブチル(23.1%)及びR=n-オクチル(3.9%)である単位(A)が10.6モル%、単位(D)n-ヘキセニル(5.6%)及び単位(E)n-ブテニル(1.1%)であった。
【0306】
実施例3:イソヘキセニル基を表す側鎖R及びイソブチル基を表すRを有するPHAのコポリマー
【化15】
実施例3の製造方法は、Applied and Environmental Microbiology,Vol.60,No.9.3245-3254(1994)「Pseudomonas citronellolis Grown on Various Carbon Sources,Including 3-Methyl-Branched Substrate」,Mun Hwan Choi及びSung Chul Yoonから転用されたものである。使用した微生物は、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)ATCC(登録商標)13674(商標)である。
【0307】
培養方法は、オービタルインキュベーター(オービタル直径2.5cm)にて30℃、110rpmで振盪された。2Lの培養培地を含有する5Lフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ(Corning(登録商標)参照記号431685)中、-流加バッチ式純粋培養条件下で行う。
【0308】
製造方法は、2種の異なる培養培地を使用して行われる。CM1「接種(inoculum)」と定義される第1の培養培地は、前培養の調製のために使用される。CM2「バッチ(batch)」と定義される第2の培養培地は、フェルンバッハ(Fernbach)フラスコ内で目的の炭素源を用いて微生物を非流加培養させるために使用される。
【0309】
【表10】
【0310】
ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)の組成は、質量%で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)BD。
【0311】
酵母エキスの組成は、質量%で、酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の100%自己消化物である。参照記号210933 DIFCO(商標)BD。
【0312】
【表11】
【0313】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって6.8に調整したpHで100mLの「接種」培養培地と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの前培養液を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートする。滅菌済み5Lフェルンバッハ(Fernbach)フラスコに入れたCM2「バッチ」培養培地1.9Lを接種100mLによってOD=0.1で接種する。
【0314】
30℃、110rpmで70時間後、バイオマスを凍結乾燥により乾燥させた後、ジクロロメタンで24時間抽出した。懸濁液は、GF/Aフィルター(Whatman(登録商標))によって濾過することによって清澄化する。ジクロロメタンに溶解したPHAから構成される濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させる。
【0315】
PHAは、任意選択的に、例えばジクロロメタン/メタノール系を使用して連続溶解及び沈殿によって精製され得る。
【0316】
実施例3のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価され、予想される化学構造と合致しており、R=イソヘキセニルである単位(A)が68モル%、R=イソブチルである単位(B)が32モル%であった。
【0317】
実施例4:イソヘキシル基を表す側鎖R及びイソブチル基を表すRを有するPHAのコポリマー
【化16】
実施例4は、ThalesNano Technologie製のH-Cube Midi(登録商標)連続水素化装置を用いて、実施例3を水素化することにより得られる。
【0318】
100mLの酢酸エチル(Sigma-Aldrich-CAS:141-78-6)及び100mLのメタノール(Sigma-Aldrich-CAS:67-56-1)から構成される混合物を用いて、2g(8.83mmol)の実施例3の溶液を調製し、ThalesNano Technologie H-Cube Midi(登録商標)システム内で水素の存在下、80バールの圧力下で100℃に維持されたチャコール上5%パラジウムを含有する触媒を含有する水素化カートリッジ(MidiCard、参照記号DHS 2141;ThalesNano Technologie)中に3mL/分の流速で導入する。二重結合の減少をNMRによって監視する。6回の連続減少サイクル後、溶液を蒸発によって濃縮し、真空下で乾燥させて質量を一定にする。
【0319】
PHAは、任意選択的に、例えばジクロロメタン/メタノール系を使用して連続溶解及び沈殿によって精製され得る。
【0320】
実施例4のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価され、予想される化学構造と合致しており、R=イソヘキシルである単位(A)が68モル%、R=イソブチルである単位(B)が32モル%であった。
【0321】
実施例5:本発明外-比較-3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシ吉草酸のコポリマー、12mol%のHVを有するPHB-co-HV-CAS番号80181-31-3、商業的参照:403121(Sigma-Aldrich)
【0322】
実施例6:極性プロトン性溶媒及び油中での溶解性試験
実施例1~4のポリマー及び短鎖飽和炭化水素ベース鎖を有する市販のPHAポリマー(本発明外の実施例5)の以下の表に記載されている種々の油中での溶解性を評価した。
【0323】
フラスコ中で液体脂肪性物質(イソドデカン)4gにポリマー1gを導入した。1時間加熱後、フラスコを25℃のオーブンに入れ、溶解性を観察した。70℃で1時間後に不溶物を含む試料については、加熱時間を70℃で2時間延長し、室温に戻した後に再び溶解性を観察した。
【0324】
【表12】
【0325】
イソドデカン又はイソドデカン/エタノール混合物中に可溶性である実施例1~4のPHAコポリマーに関して、乾燥膜での化粧品特性の評価を行った。
【0326】
評価:
第一段階において、コントラストカード上で膜スプレッダー(速度:50mm/秒-シリンダー:100μm)を用いて膜を作成する。その膜を室温で24時間かけて乾燥させる。乾燥後、膜の厚さは約40μmである(図1)。
【0327】
イソドデカン又はイソドデカン/エタノール混合物中に可溶性である実施例1~4のPHAコポリマーに関して、乾燥膜での化粧品特性の評価を行った。
【0328】
第一段階において、コントラストカード上で膜スプレッダー(速度:50mm/秒-シリンダー:100μm)を用いて膜を作成する。その膜を室温で24時間かけて乾燥させる。乾燥後、膜の厚さは約40μmである。
【0329】
乾燥膜上で3種の評価:耐脂性、光沢、粘性を実行する。
【0330】
耐脂性の測定
コントラストカードの黒色部分に存在する乾燥膜上に、オリーブ油又は皮脂又は水を3滴滴下した。各液滴は約10μLのオリーブ油に相当する(マイクロピペットを使用)。
【0331】
液滴を乾燥膜に接触させたまま、2つの時間:5分間及び30分間放置する。時間が経過したら、オリーブ油又は皮脂又は水の液滴を拭き取り、ポリマー膜の劣化の観察を実行する。オリーブ油又は皮脂又は水の液滴によって膜が損傷した場合、そのポリマー膜はオリーブ油又は皮脂に対して耐性がないとみなされる。
【0332】
【表13】
【0333】
本発明のPHAコポリマーにより、特に水、オリーブ油、皮脂に耐性がある乾燥均質膜を得ることが可能であることがわかる。
【0334】
光沢の測定
コントラストカードの黒色部分上で光沢計を用いて光沢を測定する(図2)。光沢は角度20°(最も判別しやすい角度)で読み取る。
【0335】
【表14】
【0336】
乾燥した膜を指で触ることにより、粘着性を体感的及び定性的な方法で評価した。
【0337】
試験した実施例1及び2については、粘着性を有さないことがわかる。
【0338】
【表15】
【0339】
調製方法:
イソドデカン又はイソドデカン/エタノールに溶解したポリマーを顔料と一緒に3500rpmで2分間混合する。
【0340】
BioSkin上で評価を実行する。第一の段階では、フィルムスプレッダーの手段により、それぞれの配合物の膜を、BioSkinのサンプルの上に析出させる。湿潤膜の厚さは100μmである。膜を室温で24時間かけて乾燥させる。膜が乾燥したら、試験が実行され得る。
【0341】
オリーブ油/皮脂に対する耐性
配合物の膜に0.5mLのオリーブ油又は皮脂を適用する。5分後、脱脂綿で15回拭き取ることにより、オリーブ油又は皮脂を除去する。そのようにして、オリーブ油又は皮脂と接触した後の膜の劣化を試験する(図2を参照されたい)。
【0342】
粘着テープに対する耐性
配合物の膜に帯状の粘着テープ(Scotch(登録商標)型)を適用する。前記帯状の粘着テープに30秒間、重さを加える。その後、粘着テープを除去し、スライドホルダー上に装着して、結果を観察する。
【0343】
そのようにして、支持体への膜の粘着性を評価する(図2を参照されたい)。
【0344】
【表16】
【0345】
得られた結果から、本発明による組成物が、油及び皮脂に対する良好な耐性並びに良好な持続性を有することがわかる。したがって、唇に適用された口紅組成物は、油分及び皮脂に対して耐性があり、唇上で色のむらを生じることなく、良好な持続性を有するメイクアップ結果を得ることを可能にする。
【0346】
実施例7:C11アルキル基(n-ウンデシル基)を表す側鎖R及びn-ノニル基を表すRを有するPHAのコポリマー
実施例7を得るための方法は、ACS Symposium Series;American Chemical Society:Washington,DC,2001.“Biosynthesis and Properties of Medium-Chain-Length Polyhydroxyalkanoates”Richard D.Ashby,Daniel Κ.Y.Solaiman及びThomas A.Fogliaから転用されたものである。
【0347】
使用される微生物は、シュードモナス・レシノボランス(Pseudomonas resinovorans)ATCC(登録商標)14235(商標)である。培養モードは、オービタルインキュベーター(オービタル直径2.5cm)にて30℃、110rpmで撹拌された2の培養培地を含有する5Lフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ(Corning(登録商標)参照記号431685)中、非流加非連続培養の純粋培養条件下で行う。
【0348】
2種の別々の培養培地を使用して合成方法を実施する。MC1「接種(inoculum)」と定義される第1の培養培地は、前培養の調製のために使用される。MC2「バッチ(batch)」と定義される第2の培養培地は、フェルンバッハ(Fernbach)フラスコ内で目的の炭素源を用いる微生物の非流加バッチ培養で増殖させるために使用される。
【0349】
【表17】
【0350】
ニュートリエントブロスの組成は、質量百分率で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)BD。
【0351】
【表18】
【0352】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって6.8に調整したpHで100mLの「接種」培養培地と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの前培養液を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートする。滅菌済み5Lフェルンバッハ(Fernbach)フラスコに入れた「バッチ」MC2培養培地1.9Lを接種100mLによってOD=0.1で接種する。
【0353】
30℃、110rpmで50時間後、バイオマスを凍結乾燥により乾燥させた後、ジクロロメタンで24時間抽出した。懸濁液をGF/Aフィルター(Whatman(登録商標))によって濾過することによって清澄化し、蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させる。
【0354】
PHAは、任意選択的に、例えばジクロロメタンメタノール混合物を用いて溶解及び連続沈殿によって精製され得る。
【0355】
実施例7のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価され、予想される化学構造と合致する。
【0356】
【表19】
【0357】
イソドデカン又はイソドデカン/エタノール混合物中に可溶性である実施例7のPHAコポリマーに関して、乾燥膜での化粧品特性の評価を行った。
【0358】
【表20】
【0359】
本発明のPHAコポリマー7により、特に水、オリーブ油、皮脂に耐性がある乾燥均質膜を得ることが可能であることがわかる。
【0360】
光沢の測定
コントラストカードの黒色部分上で光沢計を用いて光沢を測定する(図2)。光沢は角度20°(最も判別しやすい角度)で読み取る。
【0361】
【表21】
【0362】
実施例8:100%エポキシ化された5%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート):
【化17】
実施例2のPHAコポリマー20gを無水ジクロロメタン80mLに溶解させた。77%m-CPBA1.9gの懸濁液を、無水ジクロロメタン20mLを用いて調製し、且つ室温で少なくとも120時間攪拌することにより、混合物に添加した。
【0363】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の500mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返し得る。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、且つ40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0364】
実施例8のPHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。100%までエポキシ化する。
【0365】
【表22】
【0366】
本発明のPHAコポリマー8により、特に水、オリーブ油、皮脂に耐性がある乾燥均質膜を得ることが可能であることがわかる。
【0367】
光沢の測定
コントラストカードの黒色部分上で光沢計を用いて光沢を測定する。光沢は角度20°(最も判別しやすい角度)で読み取る。
【0368】
イソドデカン及びイソドデカン/エタノール中に可溶性の実施例8のポリマー単体の光沢に関する評価:
【0369】
【表23】
【0370】
乾燥した膜を指で触ることにより、粘着性を体感的及び定性的な方法で評価した。試験した実施例8については、粘着性を有さないことがわかる。
図1
図2
【国際調査報告】