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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】モジュール式の抽出システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/00 20060101AFI20230629BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20230629BHJP
   A47J 31/46 20060101ALI20230629BHJP
   A47J 31/42 20060101ALI20230629BHJP
   A47J 31/52 20060101ALI20230629BHJP
   A47J 31/54 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
A47J31/00 307
A47J31/44 100
A47J31/46 115
A47J31/42
A47J31/52
A47J31/54 115
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574334
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 US2021033185
(87)【国際公開番号】W WO2021247242
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】16/890,202
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500027208
【氏名又は名称】スターバックス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ナタラジャン ヴェンカタクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ エミール ゴームリー
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA12
4B104AA22
4B104AA25
4B104BA12
4B104BA16
4B104BA23
4B104BA35
4B104BA90
4B104CA21
4B104DA09
4B104DA50
4B104DA54
4B104DA56
4B104DA60
4B104EA40
(57)【要約】
コーヒー店または店舗で要求される高電力回路の数を制限するために、単一の集中型のボイラ・電力管理モジュールを使用して複数の抽出タワーモジュールに温水を提供しかつ電力を管理するためのモジュール式の抽出システムを説明する。ボイラ・電力管理モジュールは、ボイラヒータと、グラインダモータと、抽出室ヒータとを含めて、集中型のボイラアセンブリと、このボイラアセンブリに接続された任意の抽出タワーモジュールとの構成要素の電力を管理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の抽出システムを使用してコーヒーの抽出を容易にする方法であって、
前記モジュール式の抽出システムの基本モジュールのボイラアセンブリ内で水を加熱することと、
前記モジュール式の抽出システムの第1の抽出タワーモジュールの第1の抽出室内で第1のコーヒー飲料の調製を容易にするために、加熱された前記水の第1の部分を前記第1の抽出タワーモジュールの前記第1の抽出室に供給することと、
前記モジュール式の抽出システムの第2の抽出タワーモジュールの第2の抽出室内で第2のコーヒー飲料の調製を容易にするために、加熱された前記水の第2の部分を前記第2の抽出タワーモジュールの前記第2の抽出室に供給することと、
前記第1の抽出タワーモジュールと、前記第2の抽出タワーモジュールと、前記基本モジュールとは、互いに別個の構造ユニットを備え、
前記基本モジュールと、前記第1の抽出タワーモジュールと、前記第2の抽出タワーモジュールとの間の単一の高電力回路によって、前記基本モジュールから供給される電力割当てを管理することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の抽出タワーモジュールと前記第2の抽出タワーモジュールとの各々は、コーヒー豆を特定のサイズの挽き粉に挽くように構成されたグラインダアセンブリを備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記加熱された水の前記第1の部分を前記第1の抽出室に供給することは、少なくとも毎秒2オンスの加熱された水を前記第1の抽出室に送達することを含み、前記加熱された水の前記第2の部分を前記第2の抽出室に供給することは、少なくとも毎秒2オンスの加熱された水を前記第2の抽出室に送達することを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記電力割当てを管理することは、前記基本モジュールの主制御装置によって実施される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記電力割当てを管理することは、前記基本モジュールの前記ボイラアセンブリの1つ以上の加熱要素から、前記第1の抽出タワーモジュールおよび前記第2の抽出タワーモジュールのうちの少なくとも一方の1つ以上の構成要素に電力を分流することを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第1の抽出タワーモジュールおよび前記第2の抽出タワーモジュールには、コンセントによって別個に給電が行われない、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記電力割当てを管理することは、前記第1の抽出タワーモジュールと前記第2の抽出タワーモジュールとを同時に動作させることを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
モジュール式のコーヒー抽出システムであって、
ホッパと、グラインダと、抽出室とを備える第1のコーヒー抽出タワーモジュールと、
ホッパと、グラインダと、抽出室とを備える第2のコーヒー抽出タワーモジュールと、
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールと前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールとに動作可能に接続された単一のボイラ・電力管理モジュールと
を備え、
前記ボイラ・電力管理モジュールは、
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの各々の前記抽出室に温水を供給するように構成されたボイラと、
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの各々に提供される電力を制御して管理するように構成された制御装置と
を備え、
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの各々に提供される前記電力は、前記ボイラ・電力管理モジュールに電気的に接続された単一の電力回路によって供給される、
システム。
【請求項9】
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールは、ボイラを備えない、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールは、前記ボイラ・電力管理モジュールなしでは独立して動作することができない、請求項8または9記載のシステム。
【請求項11】
第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールには、互いに別個のコンセントによって給電を行うことができない、請求項8から10までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールは、同時に動作するように構成されている、請求項8から11までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項13】
前記ボイラは、前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの各々に少なくとも毎秒2オンスの温水を同時に提供するように構成されている、請求項8から12までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項14】
制御装置は、前記ボイラの1つ以上の加熱要素から、ソリッドステートリレーバンクを介して、前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールまたは前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの1つ以上の構成要素に電力を分流するように構成されている、請求項8から13までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項15】
前記モジュール式のコーヒー抽出システムは、少なくとも200Vの電圧レベルと少なくとも50Aの電流レベルとを提供するように構成された単一の高電力回路を使用して動作するように構成されている、請求項8から14までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項16】
グラインダと抽出室とを備える第1のコーヒー抽出タワーモジュールと、抽出室とグラインダとを備える第2のコーヒー抽出タワーモジュールとに温水を供給しかつ給電を管理するように構成されたコーヒー抽出モジュールであって、
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの各々の前記抽出室に温水を供給するように構成されたボイラアセンブリと、
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの各々に提供される電力を制御して管理するように構成された制御装置と
を備え、
前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの各々に提供される前記電力は、単一の電力回路によって供給される、
コーヒー抽出モジュール。
【請求項17】
前記ボイラアセンブリは、前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの各々に少なくとも毎秒2オンスの温水を同時に提供するように構成されている、請求項16記載のコーヒー抽出モジュール。
【請求項18】
前記制御装置は、前記ボイラの1つ以上の加熱要素から、ソリッドステートリレーバンクを介して、前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールまたは前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールの1つ以上の構成要素に電力を分流するように構成されている、請求項16または17記載のコーヒー抽出モジュール。
【請求項19】
前記電力回路は、少なくとも200Vの電圧レベルと少なくとも50Aの電流レベルとを提供するように構成されている、請求項16から18までのいずれか1項記載のコーヒー抽出モジュール。
【請求項20】
2つの給水導管をさらに備え、前記2つの給水導管の各々は、前記第1のコーヒー抽出タワーモジュールおよび前記第2のコーヒー抽出タワーモジュールのそれぞれ一方に接続されるように構成されている、請求項16から19までのいずれか1項記載のコーヒー抽出モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2020年6月2日に出願された米国出願第16/890202号(米国特許出願公開第2021/0369038号明細書)の一部継続出願であり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
コーヒー店は、典型的に、顧客にコーヒー飲料を調製することができる業務用の抽出機を含む。こういったコーヒー店は、1日の特定の時間帯にまたはコーヒー店の人気が高まるにつれて、異なるレベルの消費者需要を経験することがある。変動する需要への適応は、多くの場合、複雑であり、対処が困難である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】2つの抽出タワーモジュールに動作可能に接続された単一のボイラ・電力管理モジュールを含むモジュール式の抽出システムの実施形態を示す概略的なブロック図である。
図2A】2つの抽出タワーモジュールに動作可能に接続された単一のボイラ・電力管理モジュールを含むモジュール式の抽出システムの実施形態の斜視図である。
図2B】単一の抽出タワーモジュールに動作可能に接続された単一のボイラ・電力管理モジュールを含むモジュール式の抽出システムの実施形態の斜視図である。
図3】モジュール式の抽出システムの例示的な電子制御の実装を示す概略的なブロック図である。
図4】モジュール式の抽出システムの電力と動作とを管理するための、ボイラ・電力管理モジュールの制御装置によって実装されるルーチンの実施形態を示す流れ図である。
図5】モジュール式の抽出システムの例示的な電力管理の実装を示す概略的なブロック図である。
【0004】
詳細な説明
一般的に説明すると、本開示は、コーヒー店、コーヒーショップ、ジュース店、スムージー店、小売店、レストラン、パーラー、バー、屋台などの、顧客のために飲料製品(例えば、コーヒーまたは紅茶)を調製する商業施設もしくは公共施設または商業の場所もしくは公共の場所で使用するためのモジュール式の飲料調製システム(例えば、モジュール式のコーヒー抽出システム)を対象としている。これらの飲料調製場所(コーヒー店または店舗など)での顧客の需要は、その場所が時間の経過と共に人気が高まるにつれてまたは1日の異なる時間帯に大きく変動することがある。飲料調製システムは、各々が動作するために比較的大量の電力を要求する可能性がある幾つかの構成要素を含み得る。少なくとも特定の国では、大量の電力が要求されるため、電気制御パネルに配線されたアップグレードされた高電力回路/コンセント(220V、50Aなど)の設置が必要になる場合がある。なぜならば、飲料調製システムを動作させるために要求される電力量が、(例えば、米国の標準である)標準の110Vコンセントの提供することができる量を超えているからである。顧客の需要により、複数の従来の飲料調製システムが単一の場所(例えば、単一のコーヒー店または店舗)に要求される場合、別個の従来のシステムの構成要素を動作させ、制御するために要求される電力は、別個の従来のシステムの各々に、別個の高電力回路/コンセントから電力を供給することが要求される場合がある。なぜならば、単一の高電力回路/コンセント(220V、50Aなど)では、顧客の需要が高い時期に複数の従来のシステムに同時に給電するための十分な電力を供給できないことがあるからである。スループットが高い場所または顧客の需要が高い場所では、飲料が調製されるまで顧客を長時間待たせ、それにより顧客の足が遠のくことを防止するために、複数の抽出システムを同時に動作させることが不可欠である。
【0005】
従来の飲料調製システムでは典型的に大量の電力が要求されるため、典型的に、付加的な電力資源(例えば、付加的な高電力回路/コンセント)を付加するために迅速または安価にアップグレードまたは変更することができない既存の電力インフラを有する確立された小売店の場所での顧客の需要の増加に適応することは困難な場合がある。電力インフラを付加するには、大規模な改造または改修が要求されることがあり、これは、改造または改修中に多額の費用が必要になり、既存のビジネスが混乱することがある。付加的な電力インフラの要求に加えて、付加的な独立したスタンドアロンの飲料調製機を付加すると、すでに混雑している調製領域の貴重な空間が占有されることがある。
【0006】
本明細書に記載の実施形態では、モジュール式のコーヒー抽出システムは、単一の基本モジュール、基本装置もしくは基本ユニットに、(典型的に、コーヒー抽出システムの総消費電力のかなりの部分を要求する)ボイラアセンブリと、モジュール式のコーヒー抽出システムの電力管理・制御機能とを含む。次に、この基本モジュール、または集中型の装置もしくは集中型のユニットは、複数の抽出タワーモジュール、抽出タワー装置もしくは抽出タワーユニットに動作可能に接続することができる。これらのモジュールは、コーヒー抽出システムの残りの構造的な構成要素と機能(ホッパアセンブリ、グラインダアセンブリ、抽出アセンブリなど)とをそれぞれ含む。基本モジュールは、(例えば、ボイラアセンブリを介して)複数のコーヒー抽出タワーモジュールに温水を供給し、複数のコーヒー抽出タワーモジュールの(電力管理を含む)動作制御を行うように構成されている。集中型のボイラと、電力管理の構造・機能とが基本モジュールにあるので、本明細書に記載のモジュール式の抽出システムは、同時に動作する複数の抽出タワーモジュールに給電するために単一の高電力回路/コンセント(例えば、220V、50A)の使用のみが要求され、これにより付加的な高電力回路/コンセントの設置を必要とせずに出力を増加させることができる。したがって多額の出費、および既存の小売業に対する混乱を回避することができ、モジュール式のシステムは、顧客の需要の変動および実店舗の制限もしくは制約に容易に適応することができる。
【0007】
本開示の幾つかの実施形態では、モジュール式の飲料調製システム(例えば、モジュール式のコーヒー抽出システム)は、(i)変動する顧客の需要を満たすための柔軟性および適応性、(ii)増加する需要を満たすために付加的な飲料調製機器が付加される際の空間要件の低減、(iii)変動する消費者需要に適応するために必要とされる全体的なコスト、複雑さおよび時間の低減、(iv)飲料調製機器の欠陥のある構成要素を交換または修理する際の不便さの軽減および低減および/または(v)特に、付加的な高電力回路の設置には大幅な改造と再構成とが必要であり、それによって、費用が大幅に増加し、既存のビジネスが混乱する既存の施設における付加的な高電力回路を設置する必要性の低減という利点または利益のうちの1つ以上を提供することができる。
【0008】
図1は、モジュール式の抽出システム100の実施形態の概略的なブロック図を示している。モジュール式の抽出システム100は、ボイラ・電力管理モジュール103に動作可能に接続された任意の(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の)抽出タワーモジュール102A,102Bを含む、温水を生成し、モジュール式の抽出システム100の動作を制御し、電力を管理するように構成されているボイラ・電力管理モジュール103を備えた集中型の基本モジュールを含む。ボイラ・電力管理モジュール103と抽出タワーモジュール102との間の動作接続は、流体導管(例えば、水ホース)を通る流体接続と、入出力ポートを通る有線通信接続および/またはデータおよび/または電力を送受信することができる通信ケーブルとを含むことができる。幾つかの構成では、(例えば、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、誘導リンクなどを使用する)無線通信ネットワークを介した無線通信接続を、有線通信接続の代わりに、またはそれに加えて使用することができる。無線通信は、短波長電波(例えば、超高周波(UHF)または超高周波(SHF))、または誘導コイルを介したデータおよび/または電力の交換を伴ってよい。
【0009】
基本モジュール、例えばボイラ・電力管理モジュール103は、(集中型の制御・電力管理用の電子機器および機能を含み、提供する)制御装置105と、接続されたモジュール式の抽出システム100のための、(水を加熱するために使用される複数の加熱要素のために、全体の電力消費のかなりの割合を要求する可能性のある)集中型のボイラアセンブリ110とを含む。ボイラ・電力管理モジュール103の集中型の構造的特徴および機能的特徴により、単一の高電力回路/コンセント(例えば、少なくとも200Vおよび50Aの電力を供給する回路)で、需要の高い時期には複数の抽出タワーモジュール102を同時に動作させ、需要の低い時期には単一の抽出タワーモジュールを動作させることが有利に可能になる。幾つかの実現形態では、抽出タワーモジュールは、1つのコンセントによって別個に電力を供給されない。
【0010】
制御装置105の制御・電力管理用の電子機器は、回路遮断器、DC電源、プリント回路基板アセンブリもしくは他の回路、リレーもしくは他の電子スイッチング装置、マイクロ制御装置、特定用途向け集積回路、および/または1つ以上のマイクロ制御装置もしくはプロセッサもしくは回路によって実施される(メモリに格納された電力管理アルゴリズムなどの)ソフトウェアコードモジュールを含むことができる。コードモジュールは、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリなどの任意の種類のコンピュータ可読媒体または他のコンピュータ記憶装置に格納することができる。
【0011】
ボイラアセンブリ110は、温かい飲料(例えば、コーヒー飲料)を調製するための加熱された水を生成し、供給するように構成された1つ以上のボイラを含むことができる。ボイラアセンブリ110には、1つ、2つ、3つ、または4つ以上のボイラが存在してよい。各ボイラは、流体供給ラインまたは貯留器内の水を所望の抽出温度(例えば、華氏190度~200度)まで加熱し、所望の抽出温度を維持するように構成された1つ以上の加熱要素を含むことができる。加熱要素は、電気エネルギーを使用して熱を生成および/または除去する1つ以上の装置を含むことができる。例えば、装置は、抵抗線、エッチングされた箔、コイル、誘導加熱器、ラジエータ、熱交換器、マグネトロン、熱電装置、ペルチェ冷却器、圧縮機などを含むことができるが、これらに限定されない。ボイラ・電力管理モジュール103は、抽出タワーモジュール102の各々の流体入口ポートに動作可能に接続されるように構成された複数の流体導管(例えば、水ホース)を含むことができる。流体導管は、抽出システム100が常駐する施設または場所の中央給水システムまたは中央貯水システムから水を受け取ることができる。流体導管(例えば、水ホース)に使用される材料は、金属、ポリマー、または炭素ベースであってよい。流体導管の端部コネクタは、クイック接続型のコネクタまたはねじ付きコネクタであってよい。ボイラ・電力管理モジュール103の流体導管(例えば、端部コネクタ)および/または流体貯留器は、水接続の呼び水を可能にするように適合された空気放出ベントを含むことができる。流体導管(例えば、端部コネクタ)、ボイラ・電力管理モジュール103の流体貯留器、および/または中央システム給水出口は、接続中および切断中の水の滴りまたは漏出を防止するために給水を迅速に遮断するように適合された遮断弁を含むことができる。
【0012】
各抽出タワーモジュール102は、ホッパアセンブリ115A,115Bと、グラインダアセンブリ120A,120Bと、抽出アセンブリ125A,125Bとを含む(例えば、本質的にそれらから構成される)。各ホッパアセンブリ115は、異なる種類のコーヒー飲料を生成するために異なる種類のコーヒー豆を貯蔵するための複数のホッパを含むことができる。幾つかの実現形態では、ホッパアセンブリ115は、単一のホッパから構成することができる。1つ以上のホッパは補充可能であってよい。1つ以上のホッパは、適切な量のコーヒー豆をグラインダアセンブリ120に供給することができる。各グラインダアセンブリ120は、コーヒー豆を適切な、または特定のパーティクルサイズの挽き粉に挽くように構成することができる。次いで、挽き粉は抽出アセンブリ125に送達され、そこで挽き粉は、ボイラ・電力管理モジュール103のボイラアセンブリ110によって供給される温水と組み合わされる。抽出アセンブリ125は、所望の飲料のための定義されたレシピまたは処方(例えば、特定の抽出時間、温度、圧力、成分、香りなど)にしたがってコーヒー飲料を抽出するように構成することができる。例えば、抽出アセンブリ125は、出願人によって商業的に使用されているCLOVER(登録商標)抽出機によって実施されるように、抽出室に適用される真空を使用して挽き粉および温水からコーヒーを抽出するように構成することができる。抽出室は、抽出中および/または分配前に飲料を加熱および/または飲料の温度を維持するための1つ以上の加熱要素を含むことができる。
【0013】
抽出アセンブリ125は、(例えば、各1回分の飲料ポーションが提供されたのち、または複数の1回分の飲料ポーションが提供されたのち)定期的な交換を要求する可能性がある1つ以上のフィルタを組み込むことができる。次いで、抽出されたコーヒー飲料は、分配アセンブリ(例えば、注ぎ口または蛇口)によってカップまたは他の飲料ホルダに分配される。ホッパアセンブリ115、グラインダアセンブリ120、および抽出アセンブリ125は、出願人の米国特許第9930987号明細書に記載されている対応するアセンブリの動作的特徴および/または構造的特徴のいずれかを組み込むことができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
図示された実施形態では、抽出タワーモジュール102は、有利には、ボイラアセンブリ110または制御装置105を含まない。抽出タワーモジュール102の図示の実施形態はまた、スタンドアロン方式で高電力回路に直接的に接続されるように構成されておらず、建物の給水に直接的に接続されるようにも構成されていない。幾つかの構成では、抽出タワーモジュール102は、基本ボイラ・電力管理モジュール103からのみ電力と水とを受け取り(例えば、別個の電気回路/コンセントによって給電されず)、基本ボイラ・電力管理モジュール103とは独立して動作することができない。幾つかの構成では、抽出タワーモジュール102はそれぞれ、ボイラ・電力管理モジュール103の代わりに、またはそれに加えて、制御装置105の構造的特徴および/または機能的特徴の1つ、幾つか、または全てを含んでよい。
【0015】
ボイラ・電力管理モジュール103は、1つ以上の流体導管(例えば、水ホース)、通信ケーブル(例えば、データケーブル)、および/または電力ケーブル101を通して各抽出タワーモジュール102に動作可能に接続するように構成される。幾つかの実施形態では、ボイラ・電力管理モジュール103は、単一の水ホース、単一の電力ケーブル、および単一のデータケーブルを通して各抽出タワーモジュール102に動作可能に接続するように構成される。電源ケーブルとデータケーブルとは、電力とデータとの両方の転送機能を提供する単一の統合通信ケーブルに組み合わせることができる。所望および/または必要に応じて、複数の様々なホースまたはケーブルを使用することができる。
【0016】
ボイラ・電力管理モジュール103は、接続された各抽出タワーモジュール102における抽出プロセスの開始を制御することができる。ボイラ・電力管理モジュール103および/または抽出タワーモジュール102は、所望の飲料を調製するために使用することができる、ユーザからの入力(例えば、飲料のサイズ、飲料の種類などに関する入力)を受け取るように構成されたユーザ入力(例えば、ボタン、スイッチ)を含むことができる。ボイラ・電力管理モジュール103は、ボイラ・電力管理モジュール103に接続された抽出タワーモジュールの数を感知するように構成された1つ以上のセンサを含むことができる。ボイラ・電力管理モジュール103は、接続された抽出タワーモジュールの数に基づいてモジュール式のシステム全体の電力を管理するように構成することができ、その結果、モジュール式のシステム100全体が単一の高電力回路(例えば、少なくとも電圧レベル200V以上、少なくとも電流50A以上)で動作することができる。
【0017】
ボイラ・電力管理モジュール103および抽出タワーモジュール102は、ボイラ・電力管理モジュールおよび抽出タワーモジュールの全ての構成要素を単一の複合システムに含む従来の抽出タワーシステムと比較して、各モジュールに存在する構成要素が少ないため、質量が比較的軽い。したがって、モジュール式の抽出システム100のモジュールは、技術者がコーヒー店または店舗の場所に設置するのが容易である。例えば、ボイラ・電力管理モジュール103の質量は、従来の複合抽出システムの約200lbの質量と比較して、約80lb(例えば、質量の約40%)であってよい。システム100はモジュール式であるため、システム100を別個のモジュールに分解して、保守および移動のためにアクセスできるようにすることが比較的容易である。加えて、システム100はモジュール式であるため、顧客にサービスを提供するために抽出システムを適所に維持しながら、保守のために抽出タワーモジュール102の1つを便利に取り外すことができる。モジュール性により、サービス技術者は、抽出タワーモジュール102を別に用意された抽出タワーモジュール102と交換して、ダウンタイムを制限し、既存のビジネスへの不便および混乱を回避することができる。
【0018】
図2Aは、2つの抽出タワーモジュール202A,202Bが基本ボイラ・電力管理モジュール203に動作可能に接続されたモジュール式の抽出システム200の実施形態の斜視図を示す。モジュール式の抽出システム200、およびモジュール式の抽出システム200の構成要素モジュール202,203は、図1の概略的なブロック図に関連して上述した構造的特徴および機能的特徴を含むことができ、逆もまた同様である。例えば、図2Aおよび図2Bに示すように、また図1に関連して上述したように、抽出タワーモジュール、抽出タワー装置、もしくは構造ユニット202は、ホッパアセンブリ215、グラインダアセンブリ220、抽出アセンブリ225、および分配アセンブリ226を含むことができ、これらはそれぞれ、外部構成要素と内部構成要素との両方を含むことができる。図2Bは、単一の抽出タワーモジュール202Aがボイラ・電力管理モジュール203に動作可能に接続されているときのモジュール式のシステム200の実施形態を示す。
【0019】
モジュール式の抽出システム200は、長期的な柔軟性のために有利に設計されている。幾つかの実現形態では、モジュール式の抽出システム200は、ボイラアセンブリ210を中心に設計されているため、ボイラ・電力管理モジュール203に接続された抽出タワーモジュール202なしで、(例えば、ボイラアセンブリ210の温水蛇口227を介して)温水を提供するボイラアセンブリ210のみを有することが可能である。幾つかの実現形態では、水圧は、20psi~40psi(約1.4bar~2.8bar)である。ボイラアセンブリ210は、圧力調整器を任意に含むことができる。
【0020】
ボイラアセンブリ210は、ボイラアセンブリ210の温水蛇口および接続された任意の抽出タワーモジュール202(または一度に少なくとも2つの抽出タワーモジュール)に同時に水を提供するように構成することができる。水は、1oz/s~5oz/s(例えば、1oz/s~3oz/s、2oz/s~4oz/s、3oz/s~5oz/s、1oz/s、1.5oz/s、2oz/s、2.5oz/s、3oz/s、3.5oz/s、4oz/s、4.5oz/s、5oz/s、少なくとも2oz/s)の速度で、各抽出タワーモジュールに(および任意選択でボイラアセンブリ210の温水蛇口にも)供給することができる。幾つかの実現形態では、ボイラアセンブリマニホルドからの全ての流体出口が同じ流量を有している。幾つかの実現形態では、所望および/または必要に応じて流量は異なってよい。ボイラアセンブリ210は、異なる抽出タワーモジュール202への異なる流量の制御を容易にするために、絞り弁のシステムを任意選択で含むことができる。抽出タワーモジュール202への圧力および/または流量は、調製される飲料の種類に基づいて、または飲料内容物(例えば、コーヒーまたは紅茶)が抽出タワーモジュール202にどのように送達されるかに基づいて、異なってよいか、または調整されてよい。例えば、挽き粉または顆粒を使用して飲料を調製する場合、圧力および/または流量は、包装されたフィルタバッグから飲料を調製する場合よりも高くすることができる。フィルタバッグを使用して調製された飲料は、フィルタバッグの破裂を防ぐために、より低い圧力および/または流量を使用して調製されてよい。調製される飲料が前処理される場合、圧力および/または流量は、フィルタバッグを使用して調製される飲料に適用される圧力および/または流量よりもさらに低くすることができる。
【0021】
ボイラ・電力管理モジュール203は、リバースフレンチプレスシステムと共に使用することができる。しかしながら、温水を要求する任意の調理システムまたは飲料調製システム(例えば、エスプレッソ抽出、茶抽出、スープなど)をボイラ・電力管理モジュール203に取り付けることができる。例えば、ボイラ・電力管理モジュール203は、新鮮な固形成分(レモン、ミント、レモングラス、キュウリなど)から風味を抽出して液体ベースの飲料またはブロスにするために使用することができる。また、ボイラ・電力管理モジュール203からの温水を使用して、可溶性成分を粉末から液体形態に再構成することができる。ボイラ・電力管理モジュール203は、ボイラ・電力管理モジュールハウジングのいずれかの側(例えば、鉛直構成では左側または右側)に抽出タワーモジュールを取り付けること、または各側に抽出タワーモジュールを1つずつ取り付けることを可能にするように構成される。幾つかの実現形態では、3つ以上(例えば、3つまたは4つ)の抽出タワーモジュールを接続するように構成することができる。図1図2A、および図2Bで説明および図示された抽出タワーモジュールとは異なる他の液体ベースの調製モジュール(例えば、エスプレッソ抽出、茶抽出、スープなど)は、ボイラ・電力管理モジュール203との取付けおよび動作に互換性があり、店舗の柔軟性につながる。
【0022】
図3は、モジュール式の抽出システム300(例えば、本明細書に記載のモジュール式の抽出システム)の電子制御および電力管理の例示的な実現形態を示す概略的なブロック図である。簡単にするために、単一の抽出タワーモジュール302のみが示されている。しかしながら、ボイラ・電力管理モジュール303によって2つ以上の抽出タワーモジュールを制御することができる。モジュール式の抽出システム300、およびモジュール式の抽出システム300の構成要素モジュール302,303は、図1図2Aおよび図2Bのシステム100,200およびモジュール102,103,202,203に関連して上述した構造的特徴および機能的特徴を含むことができ、その逆も同様である。上述のように、モジュール302,303は、外部構成要素と内部構成要素と(例えば、物理的ハウジングと、機械的ハードウェアおよび電気的ハードウェアと)を含む装置もしくは構造ユニットもしくはタワーを含むことができる。示されているように、ボイラ・電力管理モジュール303は、高電力電気回路/コンセント304に(例えば、適切な配線を備えた電気プラグおよび電気ケーブルなどの電力接続を介して)接続されたモジュール式の抽出システム300の唯一のモジュールまたは構成要素である。幾つかの実現形態では、抽出タワーモジュールには、別個の電気回路/コンセント(例えば、高電力回路/コンセントまたは低電力回路/コンセント)によって給電が行われない。
【0023】
幾つかの構成では、ボイラ・電力管理モジュール303は、少なくとも200V(例えば、208V、220V、230V、240Vまたはそれ以上)の電圧レベルおよび少なくとも50A(例えば、50A、100A、150Aまたはそれ以上)の電流レベルを有する高電力回路304によって給電されるように構成される。幾つかの実現形態では、電圧レベルは、100V~208V、または110V~220Vの範囲であってよく、電流レベルは、10A~50Aの範囲であってよい。一実現形態では、電気回路/コンセント304は、220Vおよび50Aで給電するように構成される。他の実現形態では、所望および/または必要に応じて、他の電圧およびアンペア数の組み合わせを使用することができる。
【0024】
ボイラ・電力管理モジュール303の図示された実施形態は、回路遮断器/主電力バス305と、電力変換/電源モジュール306と、主制御装置307と、電子スイッチング装置308と、1つ以上のボイラ310と、スピーカ309と、1つ以上の入出力装置311(例えば、タッチスクリーンユーザインタフェース、ライトおよび/または弁)とを含む。抽出タワーモジュール302の図示された実施形態は、電力変換/電源モジュール312と、抽出室ヒータ313と、グラインダ320と、モータ駆動制御装置314と、入出力インタフェース制御装置316とを含む。
【0025】
ボイラ・電力管理モジュール303および抽出タワーモジュール302の、電力変換/電源モジュール306,312は、回路遮断器/主電力バス305にそれぞれ電気的に接続される。回路遮断器/主電力バス305は、高電力回路304に接続された電力コネクタ(例えば、コンセントプラグおよび電気ケーブル)に接続することができる。回路遮断器および主電力バス305は、回路遮断器およびバス機能のための別個のモジュール/回路を含むことができ、または単一のモジュールに統合することができる。電力変換モジュール306,312は、DC電源および/またはAC電力をDC電力に変換するように適合された他の電気回路(例えば、変圧器ベースのリニアコンバータまたはスイッチモード電源、AC-DCコンバータ)を備えることができる。ボイラ・電力管理モジュール303のDC電源306は、主制御装置307に電力を供給し、抽出タワーモジュール302のDC電源312は、抽出タワーモジュール302の制御装置314,316に電力を供給する。
【0026】
主制御装置307は通信可能に接続され、制御信号を、ボイラ310、電子スイッチング装置308、スピーカ309、ボイラ・電力管理モジュール303の入出力装置311、および抽出タワーモジュール302のモータ駆動制御装置314へ送信する。主制御装置307はまた、データケーブルを介して入出力装置(タッチスクリーンユーザインタフェースおよびディスプレイ、センサおよびライトなど)を制御して、入出力通信および入出力制御を容易にする抽出タワーモジュール302の入出力インタフェース制御装置316に通信可能に接続される。入力装置は、ユーザ入力を受け取り、ユーザが選択するためのテキストオプションおよび/またはグラフィックオプションを表示するように適合されたタッチスクリーンユーザインタフェース/ディスプレイ、および/またはユーザが読むための、および/または見るための、テキスト出力/グラフィック出力(例えば、ステータス情報、アラートなど)を含むことができる。
【0027】
モータ駆動制御装置314は、抽出タワーモジュール302内で動作するステッピングモータもしくは他のモータまたは動力機械構成要素の、ドライバを制御することができる。主制御装置307は、ボイラ・電力管理モジュール303に接続された抽出タワーモジュールの数の検出、システム300のモジュール302,303の間での電力割当て、ボイラアセンブリ310および抽出室ヒータ313の加熱要素の作動化/非作動化、システム間通信、および安全プロトコルなどに使用することができるが、これらに限定されない高レベルの機能のために使用することができる。例えば、ボイラアセンブリ310は複数のヒータを備えることができるため、主制御装置307は、接続された抽出タワーモジュール302が動作により多くの電力を要求する間、抽出タワーモジュール302に供給される電力を増加させる(例えば、最大化する)ために、必要に応じて1つ以上のヒータを遮断することができ、これにより、需要のピーク時に生産されるコーヒー飲料の量を増やす(例えば、最大化する)ことができる。主制御装置307は、水温を制御することができる。水が理想的な抽出温度に達していない場合、主制御装置307は、抽出タワーモジュール302が飲料を調製することを許可しないか、またはボイラアセンブリ310が温水を分配することを許可しない場合がある。
【0028】
主制御装置307は、様々な方法で抽出タワーモジュール302の存在を決定することができる。例えば、主制御装置307は、抽出タワーモジュール302内の抵抗器の値を照会することができ、または抽出タワーモジュール302によって引き込まれている電流の量を感知することができる。主制御装置307は、1つ以上の抽出タワーモジュール302と主制御装置307との間の通信リンクに応答を問い合わせることによって、抽出タワーモジュール302の存在を検出することもできる。加えて、主制御装置307は、流体導管または水接続ホース内の水圧または流量を感知することができ、感知された水圧または流量に基づいて抽出タワーモジュール302の存在を決定することができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、各抽出タワーモジュール302は、抽出タワーモジュールが非作動化されている場合でもチェックすることができる抵抗器を含むことができる。したがって、オーム計を使用して、主制御装置307は、抽出タワーモジュール302の抵抗値を問い合わせることができる。感知された抵抗器の値が、作動化されたシステム抵抗器の閾値を満たす場合、主制御装置307は、抽出タワーモジュール302が動作可能に接続されていると決定することができる。このプロセスは、主制御装置307が動作可能に接続された抽出タワーモジュール302の数を決定するまで繰り返すことができる。作動化されたシステムの抵抗閾値は、各抽出タワーモジュール302に設置された抵抗に基づいて決定することができる。
【0030】
特定の実施形態では、ボイラ・電力管理モジュール303は、抽出タワーモジュール302から引き出される電流の量を検出するために使用することができる電流計を含むことができる。電流計を使用して、主制御装置307が、作動化されたシステムの電流閾値が満たされていると決定した場合、主制御装置307は、抽出タワーモジュール302が動作可能に接続されていると決定することができる。感知された電流が、作動化されたシステムの電流閾値を満たさない場合、主制御装置307は、接続された抽出タワーモジュール302が存在しないと決定することができる。作動化されたシステムの電流閾値は、非作動化されたときに抽出タワーモジュール302によって引き込まれる電流の量に基づいて決定することができる。非作動時に抽出タワーモジュール302によって引き込まれる電流の量は、製造中または設置中に設定することができる。例えば、抽出タワーモジュール302は、抽出タワーモジュール302が非作動化している場合でも、抽出タワーモジュール302の幾つかの機能に給電するために極めて小さな電流を引き込むように設計することができる。
【0031】
抽出タワーモジュール302の存在を検出するために付加的な方法を使用することができることを理解されたい。例えば、幾つかの実現形態では、主制御装置307は、接続性を示す抽出タワーモジュール302から制御信号を単に受信する。
【0032】
幾つかの実現形態では、主制御装置307は、抽出タワーモジュール302が動作可能に接続または切断されていると決定した場合、ユーザに警告することができる。主制御装置307は、視覚的警告および/または可聴警告(例えば、光および/または音)または電子通信を介して(例えば、ボイラ・電力管理モジュール303のタッチスクリーンユーザインタフェースを介して)ユーザに警告することができる。
【0033】
主制御装置307は、複数の抽出タワーモジュール302の同時動作を容易にするために、実施時に(例えば、コンセントおよび電気ケーブルに挿入されるように適合されたプラグなどの電力コネクタ/電力接続を介して)高電力回路304から受電した電力を効果的に管理する命令を含む電力管理アルゴリズムをメモリに格納することができる。主制御装置307は、集中型のボイラアセンブリ210の加熱要素による電力使用と、抽出タワーモジュール内の抽出室の加熱要素およびグラインダアセンブリ(例えばグラインダ)のモータによる電力使用とを管理する。集中型の電力管理とモジュール式の構成とにより、モジュール式の抽出システム300を1つの高電力回路(例えば、50A、220V)で実施することが容易になる。集中型のボイラ・電力管理モジュール303の主制御装置307が電力を制御するので、それにより、抽出タワーモジュール302を含む複合電気システムの安全回路が簡素化される。幾つかの実施形態では、集中型の電力管理により、ボイラアセンブリ210の複数の加熱要素のうちの1つ以上からの電力を、接続された抽出タワーモジュール(例えば、抽出室ヒータまたはグラインダのモータ)の電力需要に分流することによって、コンセントから出力される電力(例えば、220V、50Aの高電力回路304)を最大化することができる。
【0034】
電子スイッチング装置308は、主制御装置307から受信した制御信号に基づいて、ボイラ310、抽出室ヒータ313、またはグラインダ320の、様々な構成要素(例えば、加熱要素、機械要素)をオンおよびオフに切り替える任意の数のスイッチング装置(例えば、ソリッドステートリレーバンクトランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)、メカニカルリレー、交流用トライオード(TRIAC)など)を含むことができる。主制御装置307は、抽出タワーモジュール302から入力を受信して、制御された電力信号を1つ以上の抽出タワーモジュール302に提供することを含む、モジュール式のシステム300全体の制御された電力管理を容易にするように構成される。ホッパ315、グラインダ320、ボイラ310、および抽出アセンブリ325は、本明細書または米国特許第9930987号明細書に記載の対応するホッパ、グラインダ、ボイラ、抽出アセンブリの機能的特徴および/または構造的特徴を組み込んでよい。
【0035】
各ボイラ・電力管理モジュール303および各抽出タワーモジュール302は、所望に応じて、より少ない構成要素またはより多くの構成要素を含むことができることを理解されたい。様々な実施形態では、制御装置314,316は、単一の制御装置として、または別個の制御装置として実現することができる。各々の制御装置307,314,316は、1つ以上のプリント回路基板アセンブリ、マイクロ制御装置、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック装置(PLD)などを使用して実現することができる。
【0036】
図4を見ると、ボイラ・電力管理モジュール303に動作可能に接続された1つ以上の抽出タワーの電力と動作とを管理するために、ボイラ・電力管理モジュール303の主制御装置307によって実装されるルーチン450の実施形態を示す流れ図が提供される。ブロック452で、主制御装置307は、ボイラ・電力管理モジュール303に動作可能に接続された抽出タワーモジュール302の各々のI/Oインタフェース制御装置316から、電力資源の要求または消費を示す入力を受信する。ブロック454で、主制御装置307は、電力管理アルゴリズムを実施して、受信した入力に基づいてモジュール式のシステム300全体の電力と動作とを効率的に管理する。ブロック456で、主制御装置307は、ボイラ310、電子スイッチング装置308、およびモータ駆動制御装置314への制御信号を生成して、ボイラ310の加熱要素、抽出室ヒータ313の加熱要素、グラインダ320の機械構成要素、および/または他の電力消費構成要素の動作を制御する。様々な構成要素への電力は継続的に調整(例えば、増加、減少、または停止)され、電力資源を最も効率的に割り当てることができる。
【0037】
図5は、本明細書に記載のモジュール式の抽出システム(例えば、システム100,200,300)の制御および電力管理を容易にするための、モジュール式の抽出システムの様々な構成要素間の入力信号および出力信号の例示的な概略的な実現形態500を示す概略的なブロック図である。電力管理スキームは、抽出タワーユニットもしくは抽出タワーモジュールの電力消費構成要素と、集中型のボイラユニットもしくはボイラモジュールとの間の電力の効率的な管理を容易にするように適合されている。図5の概略的なブロック図は、主電力ユニット305(例えば、回路遮断器/主電力バス)と、主制御装置307(最初に図3に示される)とを含む。図5の概略的なブロック図は、4つの水加熱器と2つのグラインダリレーとに対応する4つのボイラリレーをさらに含む。リレーは、図3に示され、図3に関連して説明される電子スイッチング装置308の構成要素(例えば、ソリッドステートリレーバンク)であってよい。主制御装置307は、ボイラ・電力管理モジュール203,303内の水加熱器および抽出タワーモジュール202,302内のグラインダモータへの、動作および電力を制御する(例えば、開始、停止、動作パラメータを調整する)ためのリレーへの制御信号を生成するように構成される。主制御装置307は、ボイラ310に関連する動作および/またはパラメータ(例えば、水温、電力要求)を示すボイラセンサからの入力信号を受信するように構成される。ボイラセンサは、図3に概略的に示されるI/O装置311の例であってよい。主電源ユニット305は、図3に示すように、リレーに、および抽出タワーモジュール202,302の様々な構成要素(例えば、モータ駆動制御装置314およびI/Oインタフェース制御装置316)に電力を供給するように構成される。図5に示すように、主制御装置307はまた、電力管理を容易にするために抽出タワーモジュール202,302から信号を送受信するように構成されている。
【0038】
幾つかの実現形態では、ボイラ・電力管理モジュール203,303の起動時に、ボイラアセンブリ110,210,310の水加熱器に電力が割り当てられ、そののち、図5に示されるボイラセンサによって決定されるように、水が所望の温度(例えば、所望の抽出、調理、加熱、沸騰、または閾値温度)に達する。水加熱器が所望の温度に達したのち、ボイラ・電力管理モジュールに接続された任意の抽出タワーモジュール内の抽出室ヒータに電力を分流することができる。定常状態では、水温を所望の温度に維持するために、必要に応じて、ボイラ・電力管理モジュールのボイラアセンブリ内の1つ以上の水加熱器に電力を供給することができる。必要に応じて、任意の接続された抽出タワーモジュールの抽出室ヒータに電力を供給することもできる。
【0039】
抽出動作中、電力は、飲料(例えば、コーヒー)を抽出するために作動化されている任意の接続された抽出タワーモジュールのグラインダアセンブリに分流することができる。電力を節約するために任意のグラインダアセンブリが作動している間、ボイラアセンブリの抽出室ヒータと水加熱器とへの電力を停止することができる。主制御装置307は、水および抽出室が所望の抽出温度にない場合、抽出を遅延させるように構成することができる。主制御装置307は、ボイラアセンブリの全てのボイラが所望の温度に達するまで、ボイラ・電力管理モジュールの分配アセンブリまたは温水蛇口227を非作動化または無効にすることができる。温水が利用可能になると、調製された飲料(例えば、コーヒー)は、1つ以上の抽出タワーモジュールによって分配することができる。抽出動作は、温水蛇口227を通して温水を分配することよりも優先させることができ、その結果、温水は抽出動作中に温水蛇口227を通して分配されない。
【0040】
結言
主にコーヒー抽出システムとコーヒー店または店舗の環境とに関して説明されているが、本明細書で説明されている実施形態は、電力を管理し、かなりの電力を要求する特定の集中型の構造および機能を提供するモジュール式の調理/飲料調製システムに広く適用できることを理解されたい。本明細書で使用する場合、「飲料」という用語は、通常の意味を有することに加えて、とりわけ、ジュース、コーヒー飲料、紅茶、フローズンヨーグルト、ビール、ワイン、カクテル、リキュール、スピリッツ、サイダー、ソフトドリンク、香り付きの水、エナジードリンク、スープ、ブロス、それらの組み合わせなどの流れる性質を有する任意の液体もしくは実質的に液体の物質または製品を含むことができる。
【0041】
本明細書の「モジュール」という用語の使用は、純粋にソフトウェアベースのコードモジュールとして実装する必要があると解釈されるべきではないが、本明細書で図示および説明されるように、別の物理的なユニットまたは構造的な基本構成要素へのモジュール式のアセンブリ(例えば、物理的、電気的、および/または通信的な接続)が可能な物理的なユニットまたは構造的なモジュール構成要素を表すことができる。例えば、本明細書に記載のボイラ・電力管理モジュールおよび抽出タワーモジュールは、本明細書に記載の外部ハウジングと内部の構造的な構成要素とを含むモジュール式の構造的な装置またはタワーを備えることができる。
【0042】
本明細書で説明する全てのプロセスは、1つ以上の専用のコンピュータまたはプロセッサによって実施されるソフトウェアコードモジュールで実現され、ソフトウェアコードモジュールを介して完全に自動化される。コードモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読媒体または他のコンピュータ記憶装置に格納することができる。一部または全ての方法は、代替的に専用のコンピュータハードウェアで実現することができる。加えて、本明細書で言及される構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実現することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で周知の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の任意の他の形態に常駐することができる。例示的な記憶媒体をプロセッサに接続することができ、その結果、プロセッサは記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができる。代替的に、記憶媒体はプロセッサに統合することができる。プロセッサと記憶媒体とは、ASICに常駐することができる。ASICはユーザ端末に常駐することができる。代替的に、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内の別個の構成要素として常駐することができる。
【0043】
とりわけ、「できる(can, could)」、または「してよい(might, may)」などの条件付き言語は、特に断りのない限り、文脈内で、特定の実施形態が特定の特徴、要素および/またはステップを含む一方で、他の実施形態は特定の特徴、要素および/またはステップを含まないことを伝えるために一般的に使用されると理解される。したがって、このような条件付き言語は、特徴、要素および/またはステップが1つ以上の実施形態に何らかの形で要求されていること、または1つ以上の実施形態は、これらの特徴、要素および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれるかまたは実施されるべきかを、ユーザ入力またはユーザプロンプトの有無にかかわらず決定するためのロジックを必ず含むことを意味することを一般に意図していない。
【0044】
「X、YおよびZのうちの少なくとも1つ」といった接続語は、特に断りのない限り、ある項目、用語などがX、YまたはZのいずれかであってよいことを伝えるために一般的に使用されるものとして文脈と共に理解される。したがって、このような接続語は、特定の実施形態がXのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つがそれぞれ存在することを要求するという意味を一般的に意図していない。
【0045】
幾つかの実施形態が添付図面に関連して説明された。しかしながら、図面は縮尺通りに描かれていない。距離、角度などは単に例示であり、例示された装置の実際の寸法およびレイアウトと必ずしも厳密な関係にはない。構成要素は、付加、削除、および/または再配置することができる。さらに、様々な実施形態に関連する任意の特定の特徴、態様、方法、特質、特性、品質、属性、要素などの本明細書の開示は、本明細書に記載される他の全ての実施形態で使用することができる。
【0046】
本明細書に記載された、かつ/または添付図面に描かれた流れ図における任意のプロセス記述、要素またはブロックは、プロセスにおける特定の論理機能または論理要素を実装するための1つ以上の実施可能命令を含むコードのモジュール、セグメントまたは部分を表す可能性があると理解されるべきである。代替的な実装は、当業者によって理解されるように、関係する機能に応じて、要素または機能が削除され、示された順序もしくは説明された順序とは異なる順序で実施するか、または実質的に同時または逆の順序で実施することができる、本明細書に説明される実施形態の範囲内に含まれる。さらに、特定の実施形態では、行為またはイベントは、順次ではなく、例えば、マルチスレッド処理、割込み処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを通して、または他の並列アーキテクチャ上で同時に実施することができる。加えて、異なるタスクまたは異なるプロセスは、共に機能することができる異なる機械および/または異なる計算システムによって実施することができる。幾つかの実施形態のクラウド計算環境での実施は、同時期に計算される複数の条件を支援する。
【0047】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的かつ概略的な論理ブロックおよび論理アルゴリズムは、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理装置、離散的なゲートもしくはトランジスタロジック、離散的なハードウェア構成要素、または本明細書に説明される機能を実施するために設計されたこれらの任意の組み合わせなどの機械によって実装または実施することが可能である。プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、代替的に、プロセッサは、制御装置、マイクロ制御装置、またはステートマシン、これらの組み合わせ、または同様のものであってよい。プロセッサは、計算装置の組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実現することも可能である。計算環境は、マイクロプロセッサに基づくコンピュータシステム、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯用計算装置、パーソナルオーガナイザ、装置制御装置、および家電製品内の計算エンジンを含むが、これらに限定されない、任意の種類のコンピュータシステムを含むことができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、モジュール式の抽出システムは、水を加熱するための手段(例えば、ボイラアセンブリ)、コーヒー豆を挽くための手段(例えば、グラインダアセンブリ)、コーヒー豆を貯蔵するための手段(例えば、1つ以上のホッパ)、挽き粉と加熱された水とを使用してコーヒー飲料を抽出する手段(例えば、抽出室を含む抽出アセンブリ)、調製されたコーヒー飲料を分配する手段(例えば、蛇口または注ぎ口)、およびモジュール式の抽出システムの電力を管理する手段(例えば、制御装置またはプロセッサ)など、1つ以上の手段を備える。
【0049】
幾つかの実施形態では、モジュール式の抽出システムは、(複数の機能とは対照的に)単一の機能として存在する様々な機能を備える。例えば、一実施形態では、システムは、単一の抽出タワーモジュール、単一のホッパ、単一のボイラなどを含む。複数の特徴または構成要素は、代替的な実施形態において提供される。
【0050】
上述した実施形態に対して多くの変形および修正を行うことができ、その要素は、他の許容可能な例の中にあるものとして理解されることが強調される。全てのそのような修正および変形は、本開示の範囲内に本明細書に含まれることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】