(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】切断方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20230629BHJP
A61M 60/113 20210101ALI20230629BHJP
A61M 60/279 20210101ALI20230629BHJP
【FI】
A61M1/28 120
A61M60/113
A61M60/279
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574518
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2021064726
(87)【国際公開番号】W WO2021245110
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】102020114988.3
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ヘッカー ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD07
4C077DD23
4C077DD27
4C077GG02
4C077GG13
4C077KK17
(57)【要約】
本発明は、医療装置の着脱可能に相互接続された2つの流体導通ラインセクションを切断する方法に関し、ここで2つのラインセクションのうちの第1のラインセクションは、少なくとも部分的に弾性特性を有する。本方法は、2つのラインセクションにおいて流体容積を封入するステップと、2つのラインセクションにおいて減圧を生成し、その結果、第1のラインセクション内及び/又は上で開始位置から緊張位置への弾性変形が起こり、第1のラインセクションにおいて含まれる流体容積は、緊張位置において、開始位置において含まれる流体容積を下回る、ステップと、ラインセクションの接続を切断するステップであって、緊張位置において、第1のラインセクションにおいて含まれる流体容積が増加する、ステップと、を含む。更に、本発明は、この種の方法を実施するように構成される医療装置に関する。
【選択図】
図1b-c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置、特に請求項7から17の何れかに記載の医療装置の着脱可能に相互接続された流体導通をする2つのラインセクションを切断する方法であって、前記2つのラインセクションのうちの第1のラインセクションが少なくとも部分的に弾性特性を有し、前記方法は、
前記2つのラインセクションにおいて流体容積を封入するステップと、
前記2つのラインセクションにおいて減圧を生成するステップであって、その結果、前記第1のラインセクション内及び/又は上で開始位置から緊張位置への弾性変形が起こり、前記第1のラインセクションにおいて含まれる流体容積は、前記緊張位置において、前記開始位置において含まれる流体容積を下回る、ステップと、
前記ラインセクションの接続を切断するステップであって、前記緊張位置において、前記第1のラインセクションにおいて含まれる前記流体容積が増加する、ステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のラインセクションは、前記第2のラインセクションよりも弾性がある少なくとも1つの領域を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のラインセクション及び前記第2のラインセクションは、前記第1のラインセクション及び前記第2のラインセクションの残りの部分よりも弾性がある少なくとも1つの領域を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記弾性特性は、弾性材料及び/又は弾性復元力を有する形状及び/又は封入されたガスによってもたらされる、
請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のラインセクションは、装置側流体システム、特に前記医療装置の一部であり且つ前記第2のラインセクションは使い捨て品の一部であり、或いは、前記第2のラインセクションは、装置側流体システム、特に前記医療装置の一部であり且つ前記第1のラインセクションは使い捨て品の一部である、
請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のラインセクション及び第2のラインセクションには、実質的に生理的流体のみがあり血液はない、
請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
互いに着脱することができる少なくとも2つの流体導通ラインセクションを受け入れるように構成された医療装置であって、前記2つの流体導通ラインセクションの第1のラインセクションが、少なくとも部分的に弾性特性を有し、
前記2つのラインセクションにおいて流体容積を封入する少なくとも第1及び第2の遮断要素と、
前記2つのラインセクションにおいて減圧を生成し、その結果、前記第1のラインセクション内及び/又は上で開始位置から緊張位置への弾性変形が起こるポンプと、
前記ポンプを作動させるコントローラであって、前記減圧を切断モードにおいて生成するよう前記ポンプを作動させるようにプログラムされた、コントローラと、を備えている、
ことを特徴とする医療装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記減圧を生成する前に前記遮断要素のうちの1つを閉じ、前記流体容積を片側で閉じ、及び/又は前記減圧を生成した後に前記遮断要素のうちの1つを閉じて、前記流体容積を封入するようにプログラムされている、
請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記第1又は前記第2のラインセクションを備え、このラインセクションは前記医療装置の装置側流体システムの一部である、
請求項7又は8に記載の医療装置。
【請求項10】
前記第2のラインセクションに流体接続された、流体源、特に生理液のための流体源と、
任意選択的に、前記流体源と前記第2のラインセクションの間に流体的に配置されて接続された無菌フィルタと、
前記第1のラインセクションの一端への接続のための前記第2のラインセクションの一端上の医療装置側コネクタと、を備えている、
請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記第1のラインセクションが流体接続されるか又はその一部が前記第1のラインセクションである、排出ラインと、
前記第2のラインセクションの一端への接続のため前記第1ラインセクションの一端上にある医療装置側コネクタと、を備えている、
請求項9に記載の医療装置。
【請求項12】
前記ポンプは、蠕動ポンプであり、前記蠕動ポンプの少なくとも1つのアクチュエータは、前記第1又は第2の遮断要素の一部であるか、又は前記第1又は第2の遮断要素である、
請求項7から11の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項13】
前記ポンプは、体外血液処理機械、特に透析機械の限外濾過ポンプ及び/又は血液ポンプ及び/又は置換ポンプである、
請求項7から12の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項14】
ユーザが命令を入力するためのユーザインタフェースを備え、
前記コントローラは、前記切断モードを作動させるよう、又は前記命令が前記ユーザインタフェース上で入力されることに応答して前記ポンプを始動させるようにプログラムされ、及び/又は前記コントローラは、複数のモードを作動させるよう、及び前記モードのうちの1つから前記切断モードに自動的に切り替わるようにプログラムされる、
請求項7から13の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項15】
前記2つのラインセクションのうちの他方のラインセクションであって、前記第1のラインセクションは、少なくとも部分的に弾性特性を有し、前記第1のラインセクションにおいて含まれる流体容積は、前記緊張位置において、前記開始位置において含まれる流体容積を下回り、
任意選択的に、前記2つのラインセクションのうちの他方のラインセクションは、使い捨て品の一部であり、特に血液処理の一部として使用されるチューブセット又はカセットシステムであるか、又は任意選択的に、両方のラインセクションが、1又は2以上の使い捨て品の一部であり、特に血液処理の一部として使用されるチューブセット又はカセットシステムである、
請求項7から14の何れか1項に記載の医療装置。
【請求項16】
前記第1のラインセクションは、前記第2のラインセクションよりも弾性がある少なくとも1つの領域を含む、
請求項15に記載の医療装置。
【請求項17】
前記第1のラインセクション及び前記第2のラインセクションは、前記第1のラインセクション及び前記第2のラインセクションの残りの部分よりも弾性である少なくとも1つの領域を含む、
請求項15または16に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置の流体導通ラインセクションを切断する方法、及び本発明による方法を実行するように設計された医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体外血液処理機械又は透析機械の単回使用(使い捨て)を目的とした流体システムからの機械側流体システムなどの医療装置の流体導通ラインセクションを互いから切断するときに、患者の安全を確保するために高い衛生基準を維持する必要がある。
【0003】
実際に、体外血液処理の後、チューブセットを血液処理機械から切断するとき、チューブセットに入っている液体が、装置側流体回路又は装置の液圧部品に入り込んでこれを汚染することがあり、このために、血液処理機械において時間のかかる消毒プロセスを行う必要がある。
【0004】
治療開始前、プライミングプロセス(生理液を流体ラインシステムに充填して洗浄するプロセス)に続く医療装置の流体システムにおいて、例えば、気泡の形態の空気、又は液状の汚染物質が存在する可能性がある。流体システムの一部を患者に接続するために流体システムが切断される場合、患者に接続される流体システムの部分にはできるだけ空気が残らないようにする必要がある。空気又は汚染物質が患者に接続される流体システムの一部に残る場合、この空気又は汚染物質が、患者の血流に入る可能性がある。
【0005】
更に、特に医療分野において、衛生上の理由から、何れかの流体導通ラインが切断する際にも、漏れを防止することが望ましい。
【0006】
従って、本発明によって対処される問題は、先行技術からの問題を軽減又は完全に克服することである。特に、本発明によって対処される問題は、流体接続部と対応する医療装置をより衛生的に切断する方法を提供することである。
【0007】
この問題は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は、本発明の有利な展開に関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に医療装置の着脱可能に相互接続される2つの流体導通をするラインセクションを切断するための本発明による方法であって、2つのラインセクションのうちの第1のラインセクションが少なくとも部分的に弾性特性を有し、
本方法は、
-2つのラインセクションにおいて流体容積を封入するステップと、
-2つのラインセクションにおいて減圧を生成し、その結果、第1のラインセクション内及び/又は上で開始位置から緊張位置への弾性変形が起こり、第1のラインセクションにおいて含まれる流体容積は、緊張位置において、開始位置において含まれる流体容積を下回る、ステップと、
-ラインセクションの接続を切断するステップであって、緊張位置において、第1のラインセクションにおいて含まれる流体容積が増加し、第1のラインセクションは、緊張位置から開始位置に向けて戻る、ステップと、
を含む。
【0009】
「流体」という用語は、溶解形態(界面なし)又は非溶解形態(界面あり)の液体、気体、及び液体と気体の混合物を対象とする。本明細書で記載される教示は、例えば、液体が完全に充填されるか、或いは気体が又は液体と気体が完全に充填される2つのラインセクションを切断するときに用いることができ、特に、気体リザーバに接続される液体充填システム、又は湿気を帯びた、例えば依然として液滴を含む気体充填システムと共に使用することができる。
【0010】
本方法は、ラインセクションが液体で充填されるステップを含むことができる。
【0011】
「流体容積」とは、封入される量を意味する。減圧を加えることによって、封入された量の一部は、封入された容積(幾何学的容積の意味で)から除去される、すなわち、流体容積が減少する。この反応は、幾何学的容積が、例えば、低減されているチューブ直径だけ低減されることを含むことができる。これは、主として、事実上圧縮又は膨張させることができない液体の場合である。封入された容積が部分的に気体で満たされる場合、この気体は、液体/気体材料の一部が封入された容積から除去される場合に、特に固定容積の幾何学的容積の場合に膨張することができる。幾何学的容積の低減と流体容積の減少に伴う気体の膨張と組み合わせも可能である。
【0012】
「弾性」又は「より弾性のある」とは、該当するラインセクションが、外力が伴うことなく接続部を切断するときにここに含まれる流体容積の増加が発生することを意味する。例えば、ラインセクションは、減圧に応答して収縮(以下、より小さい幾何学的容積)を示すことができ、切断中は、ラインセクションに内在する復元力に起因して容積増加と共に弛緩を示すことができ、流体の流入を生じることができる。このプロセスにおいて、ラインセクションは、再び開始時容積に戻ることができるが、必須ではない。気体の場合、「弾性」は、減圧が除去されたときに、気相の圧力が周囲の圧力と等しくなるように(理想気体の法則にほぼ従って)気体又は液体が流入することを意味することができる。同様に、より低い圧力を有する気体は、「緊張位置」という用語によって対応され、膨張又は圧縮は、「変形」という用語によって対応される。「より弾性のある」とは、当該ラインセクション内の容積の増加量が、比較のラインセクションよりも大きいことを意味する。
【0013】
換言すると、変形した弾性ラインセクションの弛緩、つまり、ラインセクションにかかる圧力の低下を利用して、接続部を切断するときに、流体、特に、気体又は液体を2つのラインセクションの接続領域から離れるように狙い通り導くことができる。
【0014】
例えば、減圧状態を生成することによって、セクションの内壁部が内腔に湾曲する第1のラインセクションの変形が生成され、従って、流路断面が狭くなる。弾性変形したラインセクションの復元力によって、ラインセクションの内壁は、開始位置に向けて戻り、第1のラインセクションによって含まれた容積、例えば、流路断面積は再び拡大し、流体は、先に狭窄した領域に流体が引き込まれることを意味する。
【0015】
第1のラインセクション及び/又は第2のラインセクションのうちの少なくとも一方の領域において又は少なくとも一方の領域の材料及び/又は形状、例えば、長さ、管径、肉厚、管径形状、撓みを設定又は選択することによって、及び/又は第1及び/又は第2のラインセクションにおいて、例えば気体リザーバの形でガスを供給することによって、2つのラインセクションのうちの第1のラインセクション及び/又は第2のラインセクションの弾性特性を予め決定することができ、従って、ラインセクションが互いから切断されるときに、接続領域から一方又は両方のラインセクションに向けて、特に弾性特性を有するときに第1のラインセクションに向けて流体を狙い通りに導くことができる。復元力は、例えば、また、圧縮された管が再び丸い形状に戻ることによって、又はより曲がった管状のラインセクションが減圧を印加することによって更に曲がり、次いで再び真っ直ぐになることによって、或いは、伸張した管体が再び短くなった長さに戻ることによって発生することができる。
【0016】
第1のラインセクション及び第2のラインセクションは、流体を受け入れるための内部容積を有する。2つのラインセクションの何れもカバー又はキャップではない。意図した通り、第1のラインセクション及び第2のラインセクションは、液体が使用中にそこを搬送するように設けられる。
【0017】
第1のラインセクションは、少なくとも1つの領域において弾性とすることができ、少なくともこの領域は、減圧されたときに収縮が発生するようになる。第2のラインセクションへの接続部を開くと、液体は、ラインセクションの弾性及び関連した復元力に起因して、管の容積が増加したときに切断点から第1のラインセクションの弛緩セクションに向けて移動させることができる。
【0018】
本発明の関連において、第1及び/又は第2のラインセクションの領域又は第1及び/又は第2のラインセクション全体は、弾性特性を有することができる。
【0019】
流体は、第1のラインセクション(第1のラインセクションにおける比較的弾性のある材料又は形状、第2のラインセクションにおいて比較的剛性の材料又は形状)にて、或いは第2のラインセクション(第2のラインセクションにおける比較的弾性のある材料又は形状、第1のラインセクションにおける比較的剛性の材料又は形状)にて増加させて移動させることができる。
【0020】
第1のラインセクションは、第2のラインセクションよりも弾性である少なくとも1つの領域を備えることができる。その結果、減圧が印加されたときの容積の減少は、第2のラインセクションよりも第1のラインセクションの方が大きい。切断中、第1のラインセクションの方が容積の大きい増加が発生し、第2のラインセクションの方よりも第1のラインセクションに向けて多くの液体を移動させることができる。
【0021】
第1のラインセクション及び第2のラインセクションは各々、第1のラインセクション及び第2のラインセクションの残りの部分よりも弾性のある材料から作製される少なくとも1つの領域を備えることができ、第1のラインセクションの領域は、第2のラインセクションの領域よりも弾性が大きい材料で作製され、ラインセクション間の接続が切断されたとき、流体は、ラインセクションの接続領域から、第2のラインセクションよりも大きな程度で第1のラインセクションに引き込まれるようになっている。
【0022】
換言すると、第1のラインセクション及び任意選択的に第2のラインセクションは、第2のラインセクション又は第1のラインセクション及び第2のラインセクションの残りの部分よりもそれぞれ弾性の領域を備えることができる。しかしながら、第1ライン部全体はまた、第2ライン部全体よりも弾性とすることができる。
【0023】
上記のことから、より短い管体セクションに比べてより長い管体セクションの方が(形状及び材料は、他の場合に同じである場合)大きな弾性を有することができることが明らかである。
【0024】
第1のラインセクションは、第2のラインセクションに比べてより長いとすることができる。
【0025】
第1のラインセクション及び/又は第2のラインセクションの一部は、部分的に気体、例えば、空気が充填され、一方、第1のラインセクション及び第2のラインセクションの残りは、液体を充填することができる。気体が充填された領域は、第1のラインセクション及び/又は第2のラインセクションとの間の接続領域に直接接続することができず、及び/又は減圧が生成されている間には第1のラインセクション及び第2のラインセクションから移送することができない。
【0026】
例えば、ポンプは、液体を第1のラインセクション及び/又は第2のラインセクションから圧送することができる。流体容積のこの減少によって、結果的に、気体リザーバ内に供給され、第1のラインセクション及び/又は第2のラインセクションに流体的に接続される気体に対してより大きな容積が利用可能であり、従って、上記の気体は、膨張して気体の圧力が低下する。
【0027】
その後、第1のラインセクションと第2のラインセクションとの接続が切断された場合、気体は、再び収縮し(均圧化)、液体は、同時に他方のラインセクションから液体を引き出することができ、及び/又は気体は、切断点を介して周囲から気体に向けて引くことができる。
【0028】
切断方法は、第2のラインセクションに沿って配置された遮断要素を閉じるステップを含むことができ、その一端には既に別の遮断要素が配置される。その結果、第2のラインセクションの長さを短縮することができる。特に、従って、好ましくは、異なる弾性特性に起因して、流体を第1のラインセクション(例えば、チューブセット又は別の使い捨て品、又は例えば、医療装置の内部流体システム)に引き込むことができる。本発明による医療装置は、この種のバルブを装備することができる。
【0029】
狙い通りに方向付けられるこの種の液体の移動を利用して、液体中の望ましくない材料が第1のラインセクションから第2のラインセクションに入り込むリスク、又は周囲から第2のラインセクションに入り込むリスクを低減することができる。その結果、再利用可能な流体システムの汚染リスクを低減し、又は患者に接続されるチューブセット内に入り込む空気の量を低減することができる。
【0030】
弾性特性を有する領域は、例えば、ラインループ、又はポンプ、特に蠕動ポンプのポンプラインセクションとすることができる。ポンププロセス中、ラインループ又は蠕動ポンプのポンプラインセクションは、1又は2以上のアクチュエータ、例えば、ローラ又は指によって圧縮され、アクチュエータの作用が除去されたときに弛緩される。主にローラをアクチュエータとして備えるポンプにおいて、ラインループはまた、引張力を受ける可能性があり、これによって容積の低減が発生する可能性がある。この種のポンプ又はこの種のポンプのアクチュエータが機能するラインループ又はポンプラインセクションは、通常、第1及び/又は第2のラインセクションの他のラインセクションよりも軟質の材料又はより弾性のある材料を含む。ラインループ又はポンプラインセクションがより大きな弾性を有する領域として使用されることによって、本明細書で開示する切断方法の目的で特別に設けられたより弾性のあるラインセクションを免除することができる。その結果、よりコスト効率が高い、材料節減の解決策を提供することができる。更に、蠕動ポンプのアクチュエータは、また。遮断部材として利用することができる。その結果、流体容積を封入する別部品が不要であるので、更なるコスト及び材料の削減を行うことができる。
【0031】
代替的又は付加的に、第1のラインセクション及び第2のラインセクションの両方はまた、弾性特性を有する領域を備えることができる。当該ラインセクションの残りの部分は、比較的剛性の材料で作製することができる。
【0032】
この実施形態において、弾性材料で作製された領域の弛緩は、ラインセクションを切断するときに流体柱の切断を支援する。流体は、接続領域から第1のラインセクション及び第2のラインセクションの両方に移動され、漏れが防止され、衛生状態が向上することを意味する。
【0033】
この場合も同様に、一方のラインセクションの弾性領域は、好ましくはより弾性の領域に向けて流体が移動するように、他方のラインセクションの弾性領域よりも弾性があるものとすることができる。
【0034】
本発明による方法は、患者が本方法を実行する装置にまだ接続されていないときに実行することができる。
【0035】
従って、本発明による方法は、治療前に、例えば、使用されるチューブセットのプライミング中又は必要なラインを接続又は結合するとき、及び治療後の医療装置の後処理のために、例えば必要なラインを切断又は結合解除するとき、又は使用済み使い捨て品を処分するときに、医療装置を準備するのに使用することができる。
【0036】
本発明による方法は、従って、患者の身体に作用せず、むしろ、装置側で及び装置側に接続された使い捨て品上で又は装置に流体結合された他の構成要素上で実行される。
【0037】
本発明の別の態様は、医療装置に関する。
【0038】
医療装置は、切断方法を実行するように設計することができ、又は切断方法をこの医療装置上で実行することができるように設計することができ、本切断方法は、着脱可能に相互接続される少なくとも2つの流体導通ラインセクションを切断するステップを含む。2つのラインセクションのうちの第1のラインセクションは、少なくとも部分的に弾性特性を有する。
【0039】
医療装置は、2つのラインセクションにおいて流体容積を封入するための少なくとも1つの第1の遮断要素及び1つの第2の遮断要素と、2つのラインセクションにおいて減圧を生成し、その結果、第1のラインセクションの開始位置から緊張位置への弾性変形が起こることができるポンプと、減圧を切断モードにおいて生成するようにポンプを作動するようにプログラムされた、ポンプを作動させるコントローラと、を備えることができる。
【0040】
医療装置は、2つのラインセクションにおいて流体容積を封入する手段と、2つのラインセクションにおいて減圧を生成し、その結果、開始位置から緊張位置への第1のラインセクションの少なくとも領域の弾性変形を起こす手段とを備えることができ、2つのラインセクションの接続を切断するときに、第1のラインセクションの少なくとも領域が緊張位置から開始位置に戻り、その結果、流体は、ラインセクションの接続領域から第1のラインセクションにおいて引き込まれるようになる。
【0041】
コントローラは、減圧が生成される前に遮断要素のうちの1つを閉じるようにプログラムすることができる。これは、流体容積を片側で閉じることができることを意味する。代替的又は付加的に、コントローラは、減圧が生成された後に遮断要素のうちの1つを閉じるようにプログラムすることができる。これは、流体容積を封入することができることを意味する。
【0042】
コントローラは、減圧を生成する手段及び封入手段のグループに属する少なくとも1つ、一部、又は全ての能動部品を作動させることができる。例えば、コントローラは、ポンプを始動し、従って、減圧を生成し及び/又はバルブ又はクランプを閉じ、従って閉鎖システムを生成するようにプログラムすることができる。
【0043】
第1のラインセクション又は第2のラインセクションは、医療装置の装置側流体システムの一部とすることができる。
【0044】
医療装置は、第2のラインセクションに流体的に接続される流体源、特に、第2のラインセクション、任意選択的に、流体源及び第2のラインセクションとの間に流体的に配置される無菌フィルタに流体接続される生理液源と、第1のラインセクションの一端に接続するための第2のラインセクションの一端上の医療装置側コネクタとを更に備えることができる。
【0045】
本実施形態において、医療装置は、プライミングプロセスにおいて及び/又は汚染物質を保持することができる無菌フィルタを介した治療中、例えば、ポンプによって第2のラインセクションを介して生理液を第1のラインセクションに供給するように構成することができ、第1のラインセクションは、チューブシステムの一部を形成することができ、また、治療中に血液が充填されるチューブシステムに接続することができる。治療後、第1のラインセクションは、第2のラインシステムから切断され、例えば、切断モードにおいて本発明による方法を用いて廃棄することができる。第2のラインセクションは、医療装置内に留まることができ、その後の治療で再利用することができる。
【0046】
医療装置は、排出ラインを備えることができ、第1のラインセクションは、排出ラインに流体接続することができ、又はその一部を形成することができる。医療装置は更に、第2のラインセクションの一端に接続するため第1のラインセクションの一端で医療装置側コネクタを備えることができる。
【0047】
本実施形態において、第2のラインセクションは、血液処理中に血液を導くラインの一部とすることができる。プライミングプロセス中、第2のラインセクションは、医療装置側コネクタによって第1のラインセクションに着脱可能に接続することができ、第2のラインセクションが第2のラインセクションから第1のラインセクションに、更にプライミングプロセスの洗浄ステップにおいて排出ラインに移送することができる液体を導くことができる。治療の目的のために、第2のラインセクションは、コネクタ又は第1のラインセクションから離脱させて患者に接続することができる。
【0048】
減圧を生成するポンプ又は手段は、蠕動ポンプ、膜ポンプ、遠心ポンプ、インペラポンプ及び歯車ポンプを含むグループからの1又は2以上のポンプとすることができる。
【0049】
減圧を生成するポンプ又は手段は、限外濾過ポンプ、血液ポンプ、及び置換ポンプを含むグループからの1又は2以上のポンプとすることができる。
【0050】
ポンプは、蠕動ポンプとすることができ、蠕動ポンプの少なくとも1つのアクチュエータは、第1又は第2の遮断要素の一部とすることができる。
【0051】
遮断要素及び封入手段は各々、1又は2以上のポンプ、バルブ、逆止めバルブ又はクランプ、又はこれらの組み合わせを備えることができる。
【0052】
遮断要素は、手動で操作される構成要素とすることができ、又はコントローラによって作動させることができる。また、第1の遮断要素を手動で作動させ、第2の遮断要素をコントローラによって作動させることが可能である。また、複数の遮断要素を設けることができる。
【0053】
第1のラインセクション及び/又は第2のラインセクションは、分岐させることができる。各々の場合において、1つの遮断要素は、第1のラインセクションと第2のラインセクションの着脱可能な接続端部を分岐することができることを除いて、第1のラインセクション及び/又は第2のラインセクションの各端部に設けることができる。
【0054】
作動可能な遮断要素を備える実施形態において、コントローラは、流体容積を封入するために作動可能な遮断要素を作動させるようにプログラムすることができる。例えば、コントローラは、ポンプを一方向に作動させるようにプログラムすることができる。コントローラはまた、第1のステップで上流に配置された全ての遮断要素を閉じ、その後のステップでポンプを作動させ、その後のステップにおいて、下流に配置された全ての遮断要素を閉じるようにプログラムすることができる。代替的に、第1のステップで、下流に配置された1又は2以上又は全ての作動可能な遮断要素はまた、その下流に流体を排出するための開放接続部がある限り閉じることができる。これは、例えば、手動で閉じられる逆止めバルブ又はクランプとすることができる。
【0055】
医療装置は、ユーザが命令を入力するユーザインタフェースを備えることができ、コントローラは、命令がユーザインタフェースに入力されることに応答して切断モードを起動するようにプログラムすることができる。
【0056】
切断モードが起動されたとき、特別なモードをコントローラのプログラムコードで起動させることができる。切断モードが起動されたとき、プログラムコードの特別なシーケンスを実行することができ、これによって、医療装置は、切断方法を実行する。切断モードはまた、他のモードで統合することができる。例えば、プライミングモードは、プログラムコードで格納することができ、切断モードは、ステップ、例えば、プライミングモードの最後のステップを構成することができる。
【0057】
ユーザインタフェースは、ディスプレイ、スクリーン、タッチスクリーン、キーパッド、操作ノブ、音声信号を記録するマイク、又はユーザのジェスチャーを検出するカメラとすることができる。
【0058】
コントローラは、複数のモードを起動し、モードのうちの1つから切断モードに自動的に切り替わるようにプログラムすることができる。
【0059】
例えば、再注入モードにおいて、コントローラは、医療装置のセンサー、例えば光センサーに接続され、光センサーは、チューブセット内に血液がもはやないことを検出することができる。コントローラは、別のモードを起動することができるように、この信号をプログラムコードで処理することができる。このモードは、切断モードとすることができる。代替的又は付加的に、再注入モードが完了した後にチューブセット及び/又は透析器及び/又は機械側流体システムを空にする追加のモードを、コントローラのプログラムコードに設けることができ、所定の時間期間後、又は所定の流体容積が移送された後、又は空気又は血液とは異なる光学特性を有する再注入液と血液との間の界面が空にされた領域のセンサーによって検出した後、或いは所定の圧力が検出された後、コントローラは、切断モードに切り替えるようにプログラムすることができる。
【0060】
代替的又は付加的に、治療が開始する前に、チューブセット又はカセットにプライミング液を充填し及び/又はチューブセット又はカセットを液体で洗浄するモード(「プライミングモード」)をコントローラのプログラムコードに設けることができ、コントローラは、プライミングモードが完了した後に切断モードに切り替わるようプログラムすることができる。コントローラは、プライミングモード中にポンプを作動させ、その結果、液体を液体源からチューブセット又はカセットの方へ移動させるようにプログラムすることができる。コントローラは、例えば、所定の時間が経過したこと、所定の液体量がチューブセット又はカセットに移動されたこと、又はもはや空気がないこと又は主に液体のみがあることを空気検出器又は液体センサーが表示することによって、プライミングの終了を決定するようにプログラムすることができる。
【0061】
コントローラはまた、切断モードへの切り替えはまず自動的に行われるが、ポンプは、ユーザインタフェースからの入力の後にのみ起動されるようにプログラムすることができる。
【0062】
コントローラはまた、特に、切断モードが起動された場合にポンプを起動するようにユーザインタフェースを介した入力のみを許可するようにプログラムすることができる。換言すると、コントローラのプログラムコードは、ユーザインタフェースを介した対応する入力にもかかわらずポンプが始動されない切断モードでないモード又はフェーズがあるように規定することができる。
【0063】
切断方法がこのようにして開始することを可能にするのを制限することによって、例えば、この種の切断方法が治療中に開始できるようにするのを防止することができる。
【0064】
上記で開示されたように、医療装置は、第1のラインセクションも第2のラインセクションも備えることができないが、代わりに、治療のために単独で接続することができる。
【0065】
上記で開示されたように、医療装置は、2つのラインセクションのうちの1つを備えることができ、治療のために、2つのラインセクションのうちの第2のラインセクションに単独で接続することができる。
【0066】
別の実施形態において、医療装置は、第1のラインセクション及び第2のラインセクションの両方を備える。第1のラインセクションは、少なくとも部分的に弾性特性を有することができ、第1のラインセクションは、弾性特性によって開始位置から緊張位置に変形させることができ、第1のラインセクションにおいて含まれる流体容積は、緊張位置において、開始位置において含まれる流体容積を下回る。
【0067】
任意選択的に、2つのラインセクションのうちの1つは、使い捨て品の一部、特に、血液処理の一部として使用されるチューブセット又はカセットシステムとすることができる。
【0068】
任意選択的に、両方のラインセクションは、1又は2以上の使い捨て品の一部、特に血液処理の一部として使用されるチューブセット又はカセットシステム、又は透析器に透析液を供給する使い捨て品として設計された液圧部品(処理中に血液が流れない機械側流体システム)とすることができる。
【0069】
第1のラインセクションは、第2のラインセクションよりも弾性の少なくとも1つの領域を備えることができる。
【0070】
一実施形態によれば、第1のラインセクション及び第2のラインセクションは、第1のラインセクション及び第2のラインセクションの残りの部分よりも弾性のある材料で作製される少なくとも1つの領域を備え、第1のラインセクションの領域は、第2のラインセクションの領域よりも弾性のある材料で作製され、ラインセクション間の接続が切断されたときに、流体がラインセクションの接続領域から第2のラインセクションにおいてよりも大きい程度まで第1のラインセクションに引き込まれ、又はその逆であるようになる。
【0071】
コントローラは、例えば、コンピュータシステムを備えることができ、デジタル回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はこれらの任意選択的な組み合わせの形で実施することができる。本発明はまた、コンピュータプログラム製品、例えば、物理的な情報担体(例えば、機械可読記憶媒体)上のコンピュータプログラムの形で実施することができる。コントローラは、個々の方法ステップを実行するために、汎用プロセッサ、デジタル信号を連続的に処理するデジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理素子で構成された集積回路(FPGA)、又は他の集積回路(IC)又はハードウェア構成要素を備えることができる。データ処理プログラム(ソフトウェア)は、方法ステップを実行するために、ハードウェア構成要素上で実行することができる。その動作を制御する複数の様々な構成要素又はその組み合わせが可能である。
【0072】
コントローラは更に、プログラムコードが格納されるメモリー、例えば読出し専用メモリー(ROM)又はランダムアクセスメモリー(RAM)、又はその両方、磁気、光磁気、光学又はソリッドステート(SSD)記憶媒体、半導体記憶素子(例えば、EPROM、EEPROM)、フラッシュメモリー素子、磁気又は光磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD-ROM又はブルーレイディスクなどの不揮発性記憶素子を備えることができる。メモリーはまた、オンデマンドで提供することができ、又はインターネット(例えば、クラウドコンピューティング)上でアクセス可能とすることができる。プログラム命令及びデータを格納する適切なデータキャリアは、半導体記憶素子(例えばEPROM、EEPROM)、フラッシュメモリー素子、磁気又は光磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD-ROM、又はブルーレイディスクなどの全ての形式の不揮発性記憶素子を含む。プロセッサ及びメモリー素子は、特殊なロジックモジュールによって補完することができ、又はその一部とすることもできる。
【0073】
本発明の他の特徴及び効果は、同一又は類似の構成要素が同一の参照符号で示される添付図面を参照して本発明の選択された実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。以下で説明する特徴は、上述した実施形態において実施することができる。これらの上述した実施形態は、以下に改めて全て記載されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1a】2つの流体導通ラインセクションを切断する方法の一部として使用される2つのラインセクション及び医療装置を示す図である。
【
図1b】機械的変形の例において緊張位置にある2つの流体導通ラインセクションのうちの第1のラインセクション示す図である。
【
図1c】開始位置/緊張位置にある
図1bの第1のラインセクションを示す図である。
【
図2】ポンプを遮断要素として備える一実施形態を示す図である。
【
図3】逆流防止バルブを遮断要素として備える一実施形態を示す図である。
【
図4】液圧部品を第1のラインセクションの一部として備える一実施形態を示す図である。
【
図5a】外側に配置されたポンプを備える一実施形態を示す図である。
【
図5b】分岐ラインセクション分を備える一実施形態を示す図である。
【
図6a】2つのラインを接続するT形ピース又はY形ピースを備える一実施形態を示す図である。
【
図6b】T形ピース又はY形ピースがラインセクションの一端に配置される一実施形態を示す図である。
【
図7b】別の構成での医療装置の一実施形態を示す図である。
【
図8a】ユーザインタフェースの一実施形態を示す図である。
【
図8b】ユーザインタフェースの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明による方法を使用する場合、
図1aに概略的に示される医療装置1の実施形態は、2つのラインセクションの2つの任意選択的なコネクタ要素4、5を介して流体的に相互接続することができる2つの流体接続されたラインセクション2、3を備える。医療装置1は、ポンプ6を更に備える。第1及び第2のラインセクションは各々、遮断要素7、8を一端に備える。ラインセクション2は、少なくとも部分的に弾性特性、特に弾性変形可能な領域を有する。弾性特性又は変形可能な領域は、第2のラインセクション3への接続点間、つまり、コネクタ要素4と遮断要素7との間に具現化又は配置することができる。ポンプ6によって、減圧を第1のラインセクション2、又は第1のラインセクション2及び第2のラインセクション3において生成することができる。減圧によって、開始位置から緊張位置への変形が、第1のラインセクション2内及び上に起こることができ、第1のラインセクション2において含まれる流体容積は、緊張位置において、開始位置において含まれる流体容積を下回る。
【0076】
遮断要素7,8を閉じることができ、その結果、流体容積を2つのラインセクション2,3内に封入することができる。遮断要素7,8は、連続して又は同時に閉じることができ、特に、第1の遮断要素を閉じることができ、その後、減圧を生成することができ、次いで、第2の遮断要素を閉じることができる。
【0077】
その後、ラインセクション2,3の接続を切断することができ、第1のラインセクション2において含まれる流体容積は、緊張位置の流体容積と比較して増加する。
【0078】
本方法について、
図1b、
図1cを参照して弾性力学的変形に基づいて説明する。説明するように、これは、弾性特性を実行することができる方法の幾つかの選択肢の1つに過ぎない。
【0079】
遮断素子8が第2のラインセクションの端部で閉じられ、ポンプ6が流体又は液体を第1のラインセクション2から第2の遮断素子7に向かって圧送する場合、減圧が、第1のラインセクション2の少なくとも一部で生成される。このプロセスにおいて、第1のラインセクション2は、第1のラインセクション2の容積が低減されるように、例えば内方に収縮することができる(
図1bの矢印を参照されたい)。第1及び第2のラインセクション2,3が、例えば、第1のラインセクション2の端部に設けられた遮断素子7を閉じることによってこの状態で封入された場合、システムの低減された容積が残る。
【0080】
換言すると、ラインセクション2の壁部は、従って、
図1aに概略破線で示す開始位置を離れ、
図1bに実線で再現された緊張位置を呈することになる。
【0081】
2つのラインセクション2,3を互いに切り離した場合、弾性変形可能な領域は、弾性特性により弛緩し、第1のラインセクション2は、緊張位置から開始位置に向けて戻る。
図1cに示すように、ラインセクション2の壁部は、従って、緊張位置(破線)から開始位置に向けて更に移動し、又は開始位置(実線)に移動する。このプロセスにおいて、流体は、接続領域から第2のラインセクション2に、換言すると、例えば、コネクタ要素4の領域において、切断領域から、
図1aから
図1cに示す実施例において右に引き込むことができる。
【0082】
第1のラインセクションを第2のラインセクションから切断する前に、接続領域に液体又は液柱が存在する場合がある。弛緩による吸引効果がなければ、液柱は単に切断し、液体は、少なくとも重力によって接続領域から下方に流出することになる。
【0083】
ここで説明する事例において、第1のラインセクションを第2のラインセクション2、3から切断するとき、第1のラインセクション2における弛緩に起因して、空気を切断領域において外側から内方に吸い込むことができ、液柱は、同様に、少なくとも部分的に吸引効果に追従する可能性がある。その結果、全体としてより多くの液体が切断中に第1のラインセクション2内に残る可能性があり、第1のラインセクション2内へ導かれる液体の流れも達成することができる。
【0084】
従って、第2のラインセクション2の汚染及び/又は漏れ(外側への液漏れ)のリスクを低減することができる。
【0085】
医療装置1は、コントローラ9を備えることができる。コントローラ9は、切断モードにおいて減圧を発生させるためにポンプを作動させるようにプログラムすることができる。任意選択的に、コントローラ9は、少なくとも一方又は両方の遮断要素7、8を作動させるようにプログラムすることができる。この目的のために、コントローラは、医療装置1の信号ライン10、11、12を介して、作動されるべきそれぞれの構成要素(例えば、ポンプ6、遮断要素7、8)に接続することができる。コントローラ9は、例えば、ポンプ6を始動及び/又は停止させるようにプログラムすることができる。
【0086】
例えば、コントローラは、第1のバルブ7が閉じられたとき又はバルブ8が閉じられたときにポンプ6を始動させ、減圧が印加されるか又は変形可能な領域が変形した封入容積が生成されるように、他のバルブ7、8を閉じるようにプログラムすることができる。
【0087】
医療装置1は、ユーザインタフェース13を備えることができる。ユーザインタフェース13は、ユーザが命令を入力するように構成することができ、コントローラ9は、ユーザインタフェース13に入力された命令に応答して、切断モードを起動するようにプログラムすることができる。
【0088】
ラインセクション2、3は両方とも、必ずしも医療装置1の一部ではなく、或いは、ラインセクション2、3の一方又は両方は、医療装置1の使用されているときにのみポンプ6及び遮断素子7、8に接続することができる。
【0089】
医療装置1は、第1のラインセクション2及び/又は第2のラインセクション3を備えることができる。第1のラインセクション2及び/又は第2のラインセクション3は、医療装置1の装置側流体システムの一部とすることができる。
【0090】
第1のラインセクション2及び/又は第2のラインセクション3は、使い捨て品の一部とすることができる。
【0091】
ポンプ6は、第1のラインセクション2及び/又は第2のラインセクション3に沿って、又は2つのラインセクション2、3に流体的に接続される2つのラインセクション2、3の外側の流体システム内の地点に沿って配置することができる。例えば、ポンプ6は、コネクタ3、4の奥側に配置された遮断要素7、8の側面に配置することができる。ポンプ6は、液体を弾性変形可能な領域から除去できることが必要であるに過ぎない。
【0092】
医療装置1は、自動切断デバイス14を備えることができる。この自動切断デバイス14は、例えば、第1及び/又は第2のラインセクション2、3を移動させ、従って、第1及び第2のラインセクション2、3間の接続部を切断するモータを備えることができる。コントローラ9は、自動切断デバイス14を作動させるようにプログラムすることができる。これによって、衛生的な切断方法を完全に自動で、すなわち人間の介在なしに実施することを可能にすることができる。
【0093】
図2は、ポンプ6が遮断要素7として又は流体容積を囲む手段として機能する実施形態を示す。
図2の図は、拡大図ではなく、
図1に概略的に示すように、医療装置1のそれぞれの実施形態の構成要素を比較することを容易にすると思われる。コントローラ9、ユーザインタフェース13、信号ライン10、11、12、及び自動切断装置14の一部又は全ては、この実施形態に存在することができ、この点に関して、
図1aから
図1cの説明を参照することができる。以下で説明される、コントローラ9、ユーザインタフェース13、信号ライン10、11、12、及び自動切断装置14の構成はまた、
図1aから
図1cに関連して説明されるように、技術的に実施可能であれば、医療装置1に存在することができる。同じことが
図3~
図8aに適用される。
【0094】
ポンプ6は、蠕動ポンプとすることができ、アクチュエータ15は、ラインループ16の領域において第1のチューブ部2と係合することができる。その結果、閉じられた流体容積を形成することができる。
【0095】
この実施例において、ポンプ6は、ローラポンプ(蠕動ポンプの一実施形態)であり、ラインループ16は、ポンプ6に挿入される。
【0096】
ラインセクション1、2を切断する前、ポンプ6のローラは、ラインループ16の少なくとも一部が第2のセクション内(ポンプ6の接続点と流体遮断点との間)にあるように所定の切断位置に移動され、切断中はこの閉鎖構成のままである。この実施例において、ポンプ6は、第1のラインセクション2の側面上の遮断要素として機能する。装置側では、バルブ8は、遮断要素として機能する。ポンプ6はまた、減圧を相互に接続されたラインセクション1及び2において生成する役割を果たす。
【0097】
ポンプ6のローラは、減圧を生成するために所定角度の分少なくとも1回転を行う。開始時のローラの位置が、角度がもはや十分に大きくないようなものである場合、2つのローラを更に全回転又は半回転させることができる。回転はまた、所定の減圧に達するまで起こることができる。
【0098】
圧力センサー17は、医療装置1内に設けることができ、このセンサーは、封入容積内の圧力を測定し、必要であれば、ユーザインタフェース13と協働して、圧力を表示するか又は減圧が十分であるかどうかを表示し、及び/又はコントローラ9は、ポンプ6を更に回転させる必要があることを表示する。
【0099】
コントローラは、ポンプを相応に作動させるようにプログラムすることができる。
【0100】
第1のラインセクションを第2のラインセクション1,2から切断すると、第2のラインセクション2又はその領域16は、開始位置に戻り、流体は、第2のラインセクション2又はその領域16内に引き込まれる。
【0101】
図3に示すように、ポンプ6は、逆止めバルブの形の遮断部材8と組み合わせて使用することができる。第1のラインセクション2は、従って、逆止めバルブによって流体的に閉じられ、その順方向は、コネクタ又は第2のラインセクション3から離れるように延びる。
【0102】
ポンプ6によって、流体、特に液体は、逆止めバルブ8を介して伝達され、その結果、第1のラインセクション2、特にその領域16は緊張位置の状態にされる。この実施形態において、封入された容積は、ポンプが始動される前に既に存在することができる。ポンプが作動されると、流体は、第1及び/又は第2のラインセクション2、3の領域からが除去される。
【0103】
例えば、閉塞性は、この実施例において流体容積を封入するために必要とされるものではないので、本実施形態において種々の形式のポンプを使用することができる。例えば、可倒式アクチュエータを備える蠕動ポンプ6、歯車ポンプ、インペラポンプ、遠心ポンプ、膜ポンプを使用することができる。
【0104】
しかしながら、逆止めバルブはまた、
図2に関連して説明した実施形態において存在することができる。その結果、逆止めバルブの遮断効果及びアクチュエータの遮断効果の両方を克服する必要があるので、液体が2つのラインセクション間の接続領域に入らないよう、更なる保護が設けられる。この種の更なる措置は、特に蠕動ポンプにおいて有用とすることができ、これは、設計上、ローラは、規則通りにバネ装着式であり、過度の力を受けると持ち上がる必要があり、その結果、閉鎖機能を失う可能性があることに起因する。
【0105】
生成される減圧のレベルは、所定のポンプ回転数/フィンガーポンプのフィンガーの作動によって、又は所定の減圧によって設定することができる。この制御又は監視は、コントローラ9によって行うことができる。
【0106】
第1のラインセクション1及び第2のラインセクション2を切断すると、第2のラインセクション2又はその領域16は、開始位置に戻り、流体は、第2のラインセクション2又はその領域16内に引き込まれる。
【0107】
図4に概略的に示すように、医療装置1は、装置側液圧部品18を含むことができ、装置側液圧部品18は、第1のラインセクション2に流体接続することができ、又は第1のラインセクション2の一部を形成することができる。装置側液圧部品18は、1又は2以上の遮断要素によって流体的に閉じることができる。装置側液圧部品18は、気体リザーバ20を備えることができる。医療装置1を作動させると、第1及び第2のラインセクション2、3及び液圧装置18は、気体リザーバ19を除いて液体を充填することができる。ポンプ6は、減圧を生成するために設けることができる。ポンプ6は、血液治療中に液体を圧送するポンプとすることができ、例えば、透析治療中に透析液を圧送するポンプとすることができる。ポンプ6は、限外濾過ポンプ又はバランス調整ポンプとすることができる。
【0108】
この種の配置において、流体は、装置側液圧部品18のうちの1つの一部として第1のラインセクション2に向けて引くことができる。この配置は、例えば、プライミング後に、第2のラインセクション3によって少なくとも部分的に形成される液体充填チューブセットが第1のラインセクション1から取り外され、その後、患者に接続されることが意図される場合に使用することができる。その結果、第2のラインセクション3は、潜在的により衛生的な状態に保つことができる。
【0109】
医療装置1は、遮断手段20を備えることができる。遮断手段20は、減圧が生成される前に開くことができるか、又はコントローラ9は、上記の手段を開くようにプログラムすることができる。その結果、減圧が作用する容積は、(液圧部品18の更なる容積によって)増加させることができ、又は第1のラインセクション2の流体容積は増加させることができ、及び/又は気体リザーバは、第1のラインセクション2の一部とすることができる。これは、第1のラインセクション2に遮断要素20が閉じられた場合よりも弾性的な特性を与えることができる。従って、緊張位置からの弛緩の効果を高めることが可能である。
【0110】
装置側液圧部品18は、弾性材料で作製された領域を備えることができる。この領域は、生成された減圧によって、緊張位置に移動させることができる。
【0111】
図5a及び
図5bは、医療装置1の更なる実施形態を示す。この実施形態は、ポンプ6が第1のラインセクション2の外側に配置されるという点において
図2及び
図3で説明したような実施形態と異なる。遮断要素8は、逆止めバルブとすることができるが、本明細書で説明する別の遮断要素とすることもできる。
【0112】
ポンプ6は、血液処理機械の血液ポンプとすることができる。この血液ポンプは、血液処理中に血液ライン21内の血液を圧送するように構成することができる。第1のラインセクション2は、液体供給ラインとすることができる。治療中、液体を第1のラインセクション2から血液ライン21に移送することができる。
【0113】
ラインセクション2又はその少なくとも領域は、ラインセクション2及び3が切断されたときに流体が第2のラインセクション2内に引き込まれるように、外側に配置されたポンプ6によって生成された減圧によって緊張位置にすることができる。
【0114】
図5bは、
図5aの実施形態の変形例であり、ポンプ6への分岐部、例えば、血液濾過処理のための代用ポンプが、第1のラインセクション2内に更に設けられる。この実施形態において、ポンプ6はまた、第1のラインセクション2のこの分岐部のための遮断要素7の機能を担う。ここでは、減圧は、ポンプ6によって第1のラインセクション2内に生成することができる。
【0115】
図6a及び
図6bは、
図4に関連して説明した医療装置1の実施形態を示す図である。本実施形態において、第2のラインセクション3は、使い捨て品として、T形ピース24によって相互接続される動脈ライン22と静脈ライン23の少なくとも一部を備える。
図6aに示すように、T形ピース24は、例えば、血液処理機械の排出口を介して、第1のラインセクション2に直接接続することができる。
図6bに示す実施形態において、T形ピース24は、第1のラインセクション2、例えば、血液処理機械の排出口に直接接続されず、代わりに別のラインセクション25を介して接続される。T形ピース24はまた、Y形ピースの形とすることができる。排出口はまた、洗浄ポートとして知られているものとすることができ、これによって、洗浄液は、動脈ライン22及び/又は静脈ライン23を洗浄するときに第2のラインセクション3から第1のラインセクション2へ移送することができる。
【0116】
図6a及び
図6bに関連して説明したような構成は、特に、治療開始前にチューブセット/使い捨て品をプライミング/充填する場合に使用することができる。第1及び第2のラインセクション2、3を切断する場合、流体は、好ましくは、第1のラインセクションに向けて(装置側液圧部品18に)引き込まれるように意図される。
【0117】
図7a及び
図7bは、医療装置1を透析機械の形の実施形態を概略的に示す。図面中、幾つかの構成要素は、任意選択的である。特に、幾つかの構成要素は、使い捨て品として設計することができ、医療装置1の固定構成要素である必要はない。透析機械は、単に使い捨て品及び/又はラインの誘導の構成に関して異なる。医療装置1には、2つの切断点(一方では参照符号2、3、4、5、他方では参照符号2’、3’、4’、5’)、又は2つの切断点のうち1つのみがある場合がある。2つの実施形態を一例として示す。切断点は、体外血液回路システム内への液体の流入時の接続点、例えば、第2のラインセクション3との第1のラインセクション2と接続点、又はそのそれぞれの端部に配置されたコネクタ4,5とすることができる。切断点は、体外血液回路システムからの排出時の接続点、例えば、第2のラインセクション3’との第1のラインセクション2’と接続点、又はその両端にそれぞれ配置されたコネクタ4’、5’とすることができる。本明細書における実施形態又は構成はまた、ここで明示的に説明する構成要素及び構成の代わりに提供することができる。
【0118】
医療装置1の形の透析機械は、以下の構成要素、液体源26、ポンプ27を備えるプライミングシステム、第1の無菌フィルタ28(任意選択的)、第2の無菌フィルタ29(任意選択的)、透析器30(任意選択的)、通気室19(任意選択的)、限外濾過ポンプ6’(任意選択的)、プライミング又は置換ポート5、プライミング又は置換ポンプ6(任意選択的)。排出ポート4’、血液ポンプ31、コントローラ9、ユーザインタフェース13、信号ライン10、11、12(選択部分のみ図示)、静脈クランプ8’、動脈クランプ32(任意選択的)、透析器前遮断要素36(任意選択的)、透析器後遮断要素37(任意選択的)、第1の排出ライン遮断要素7’(任意選択的)、第1の排出ライン遮断要素7’、第1の排出ライン遮断要素7’(任意選択的)、第1の排出ライン遮断要素7’(任意選択的)、第1排出ライン遮断要素8’(任意選択的)、第1の排出ライン遮断要素8’(任意選択的)、第1の排出ライン遮断要素8’(任意選択的)、第1の排出ライン遮断要素8’(任意選択的)を備えるか又は備えることができる。
【0119】
構成要素は、以下のように液体伝達ラインに接続することができる。液体、一般に生理学的液体又は透析液は、液体源26からバランス調整システム27を通って透析液ライン33に、任意選択的第1の無菌フィルタ28を通って透析器30に圧送され、その後、排出ライン34内の透析器30から、任意選択的に換気チャンバ19を通って再びバランス調整システム27を通って排出口35(医療装置1の一部ではない)に廃棄される。透析液ライン33は、例えば、任意選択的に第2の無菌フィルタ29を介して、第2のラインセクション3の形の分岐ラインを備えることができ、この分岐ラインは、プライミング又は置換ポート5を介して、第2のラインセクション2の形態で、プライミング又は置換ラインに導くことができる。このプライミング又は置換ライン2は、動脈血ライン22又は静脈血ライン23に接続することができる。液体、例えば、治療中の血液、又はプライミング段階におけるプライミング洗浄液又は洗浄液は、血液ライン22、23内の血液ポンプ31によって圧送することができる。バランス調整システムは、所定量の液体のみが患者から除去されることを確保する。様々なバランス調整システムが知られており、例えば、患者に圧送される液体の量及び患者から離れるように圧送される量は、流量測定によって決定することができ、所定のデルタは、処方されたように、所望の限外濾過率、換言すると、正味バランス率が実施されるように設定することができる。別のバランス調整システムを
図7a及び
図7bに示す。これらの図において、同じ容積が、例えば、容積平衡システム26によって、患者から離れて圧送されるように患者に圧送される。これと並列に接続された限外濾過ポンプ6’は、液体を患者から離れて更に圧送し、その結果、正味バランス率又は限外濾過速度を生成する。
【0120】
更に、医療装置1は、一連の遮断要素を備えることができる。例えば、装置1は、静脈遮断要素8’(静脈クランプ)、動脈遮断要素32(動脈クランプ)、透析前遮断要素36、透析後遮断要素37、第1の排出ライン遮断要素7’、第1及び第2のプライミングライン遮断要素7、8を備えることができる。
【0121】
図7aに示す実施形態と
図7bに示す実施形態との相違点は、
図7aに示す実施形態において、プライミングライン又は置換ライン2は動脈血ライン22の一端(通常は治療中、患者に接続される端部)に接続され、静脈血ライン23のみは、排出ポート4’を備える端部(通常は患者側端部)に接続される点にある。
図7bに示す実施形態において、プライミングライン又は置換ライン2は、静脈血ライン23に沿って配置されたポートに接続され、更に、通常は患者側にある動脈血ライン22の端部は、ドレンポート又はリンスポート4’に接続される。別の実施形態において、プライミングライン又は置換ラインは、動脈血ラインに沿って配置されたポートに接続される。
【0122】
特に、以下の構成要素又はライン、透析器30、動脈血ライン22、静脈血ライン23、又はプライミングライン又は置換ライン2は、使い捨て品として設計することができる。これらのラインは、併せてチューブセット又はカセットシステムを形成することができる。カセットシステムとは、これらのラインのうちの少なくとも2つが着脱可能に相互接続され、及び/又はラインは、可撓性チューブによって、そうでない場合は、寸法的に安定した流路によって少なくとも部分的に形成されることを意味する。
【0123】
医療装置1は、例えば、治療前に、チューブセット又はカセットシステムに生理液を充填するように構成することができる。この目的のために、コントローラ9は、例えば、プライミングモードとも呼ぶことができる充填モードにおいて、バランス調整システム27のポンプによって、プライミングポート又は置換ポート4を介して液体を液体源26からチューブセット又はカセットシステム内に移送するようにプログラムすることができる。別の方法ステップ、例えば、洗浄モードにおいて、チューブセット又はカセットシステムは、充填後に洗浄することができ、液体は、チューブセット又はカセットシステムを介して送液され、排出ポート4’を介して排出ライン34に送液される。治療のために、静脈ライン23は、患者に接続される必要がある。この目的のために、例えば、
図7aの実施形態において、任意選択的な遷移ピース5’によって排出ポート4’に接続される静脈ラインの端部は、排出ポート4’から切断される。しかしながら、手動又は自動で行うことができるこの切断が行われる前に、コントローラ9は、排出ポート4’に接続される少なくとも第1のラインセクション2’、及び第2のラインセクション3’としての静脈ラインの一部を少なくとも静脈ライン23の側で閉じさせる。コントローラは、例えば、限外濾過ポンプ6’を作動させることができ、減圧が生成されるように上記のポンプによって液体を汲み出することができる。第1のラインセクション2’の弾性特性に起因して、第1のラインセクション2’の少なくとも一部は、緊張位置に変形する。第1のラインセクション2’はまた、第2のラインセクション3’よりも弾性的とすることができる。コントローラは、その後、システムをこの緊張位置に維持するために、少なくとも1つの遮断要素7’、任意選択的に複数の遮断要素を作動させることができる。その後、任意選択的に手動又は自動で行われるが、第2のラインセクション3’をドレンポート又はリンスポート4’から切断するとき、第1のラインセクション2’は、弛緩することができる。
【0124】
この時点で、
図7a及び
図7bに関連して説明した医療装置1はまた、本明細書で説明するような機能を有する以下の構成要素、気体リザーバ19、第1のラインセクション2’の弾性特性を高めるバルブ20、又は圧力センサー(図示せず)のうちの1又は2以上を備えることができることに注意されたい。
【0125】
医療装置1はまた、治療後の切断ステップのために構成することができる。このために、コントローラ9は、遮断要素8を閉じてポンプ6を動作させることができる。ポンプ6は、置換ポンプの形の蠕動ポンプとすることができる。代替的に、血液ポンプ31はまた、減圧をラインセクション2内に生成するか、又は液体を上記のラインセクションから汲み出すために使用することができる。遮断要素7は、逆止めバルブとすることができ、また、遷移片の一部又は動脈管22の一部とすることができ、従って、この遮断要素を積極的に閉鎖することは必要ではない。遮断要素7の他の構成において、コントローラは、ポンプ6の作動後に遮断要素7を閉じるようにプログラムすることができる。第1のラインセクション2の弾性特性に起因して、第1のラインセクション2の少なくとも一部は、緊張位置に変形する。第1のラインセクション2’はまた、第2のラインセクション3’よりも弾性的とすることができる。その後、任意選択的に手動又は自動で行われるが、第2のラインセクション3’をプライミングポート又は置換ポート5から切断するとき、第1のラインセクション2は、弛緩することができる。
【0126】
図8a及び
図8bは、ユーザインタフェース13を概略的に示す。ユーザインタフェース13は、画面38及び少なくとも1つのボタン39を備えることができる。画面38はタッチスクリーンとすることができ、ボタン39は、
図7aに示すように、ソフトキー、すなわち、タッチスクリーン上で押されるボタンとして設計することができる。ボタン39はまた、
図7bに示すように、ハードキー、すなわち、画面とは別に設けられたボタンとして設計することができる。コントローラ9は、命令をデータラインを介してユーザインタフェース13に送信するか、又はそのような命令をそこから受信するように構成することができる。例えば、ユーザインタフェース1は、ボタン39が押されると、コントローラに切断モードに切り替えさせるか、又は切断モードを起動するようにプログラムすることができる。コントローラ9は、以下の状況、プログラムシーケンスによって切断モードの起動が可能であり、切断モードを開始することができ、機械によって実行されるべき方法ステップが完了すると接続を切断することができ、消毒プロセスは、例えば、コントローラが、治療が準備又は実行されることになっていることを検出したので実行する必要があり、又はセンサー、例えば、使い捨て物品の存在を表示するピンは、機械によって実行すべき方法ステップが完了していなくても使い捨て物品が機械から除去されたとコントローラに対して表示し、これらのうちの1又は2以上又は全てが発生したか、又はコントローラがプログラムを実行するときにこの時点に到達したときに、方法シーケンスを実行し、例えば、ユーザインタフェース13に表示するためのメッセージ40を送信するようにプログラムすることができる。
【0127】
ここで実施形態を参照する場合、これは、本発明による純粋に例示的な実施形態であると理解されたい。
【0128】
本発明による実施形態は、特定の実施形態が当業者にとって技術的に不可能であると思われない限り、何れかの組み合わせで上述の特徴の1又は2以上を有することができる。
【国際調査報告】