(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ピリドンピリミジン系誘導体、その調製方法及びその医薬的応用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20230629BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230629BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230629BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230629BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230629BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230629BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20230629BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230629BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230629BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230629BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20230629BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230629BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230629BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230629BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C07D471/04 118Z
C07D471/04 CSP
C07D471/04 118N
A61K31/519
A61K31/5377
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P9/00
A61P17/00
A61P1/02
A61P1/16
A61P13/12
A61P11/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P1/04
A61P1/18
A61P7/00
A61P15/00
A61P13/10
A61P13/02
A61P13/08
A61P35/02
A61P19/08
A61P21/00
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574829
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 CN2021099552
(87)【国際公開番号】W WO2021249519
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】202010529071.6
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011042186.9
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011400233.2
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110509569.0
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516174219
【氏名又は名称】江蘇恒瑞医薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】516174208
【氏名又は名称】上海恒瑞医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 279 WENJING ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】李 心
(72)【発明者】
【氏名】馮 斌強
(72)【発明者】
【氏名】白 東棟
(72)【発明者】
【氏名】賀 峰
(72)【発明者】
【氏名】陶 維康
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH04
4C065HH05
4C065HH06
4C065JJ03
4C065JJ04
4C065JJ08
4C065KK02
4C065LL07
4C065PP03
4C065PP04
4C065PP06
4C065PP07
4C065PP08
4C065PP09
4C065PP10
4C065PP13
4C065PP16
4C065PP18
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
4C086ZC54
(57)【要約】
本開示は、ピリドンピリミジン系誘導体、その調製方法及びその医薬的応用に関する。具体的に、本開示は、一般式(I)で示されるピリドンピリミジン系誘導体、その調製方法、及び当該誘導体を含む医薬組成物とその治療剤としての用途、特にSOS1阻害剤としての用途及びSOS1への阻害により改善される疾患、病状又は病症を治療するための薬剤の調製における用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
そのうち、
環Aはアリール基又はヘテロアリール基であり、
R
1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-NR
5R
6、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、オキソ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2は水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基及びシクロアルキル基から選ばれ、
R
3は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-(CH
2)
rNR
5R
6、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、-(CH
2)
sNR
9R
10、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
4は水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基とシクロアルキル基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
5とR
6は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
R
7は水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
R
8は相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
9とR
10は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
nは1、2、3又は4であり、
pは0、1、2又は3であり、
qは0、1、2又は3であり、
rは0、1、2又は3であり、且つ
sは0、1、2又は3である、
一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-NR
5R
6、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、R
4は水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基から選ばれ、R
8は水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、R
5、R
6、R
7、R
9、R
10、p及びqは請求項1に定義された通りである、請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aは6~10員アリール基であり、フェニル基又は
が好ましい、請求項1又は2に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、
【化2】
そのうち、
R
3a、R
3b及びR
3cは相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-(CH
2)
rNR
5R
6、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、-(CH
2)
sNR
9R
10、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、好ましくは、R
3a、R
3b及びR
3cは相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、C
1-6アルキル基、ハロC
1-6アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基及びアミノ基から選ばれ、そのうち、前記C
1-6アルキル基とハロC
1-6アルキル基は任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基及びC
1-6アルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
1、R
2、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、s及びrは、請求項1に定義された通りである、
請求項1~3の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
4は水素原子又はC
1-6アルキル基であり、好ましくは、R
4は水素原子である、請求項1~4の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
1はC
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、ハロC
1-6アルキル基、ハロC
1-6アルコキシ基、C
1-6ヒドロキシアルキル基、3~10員シクロアルキルオキシ基、3~10員ヘテロシクリルオキシ基、3~10員シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクリル基、6~10員アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、前記C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、3~10員シクロアルキルオキシ基、3~10員ヘテロシクリルオキシ基、3~10員シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクリル基、6~10員アリール基及び5~10員ヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、ハロC
1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10及び-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、R
7~R
10、q及びpは請求項1に定義された通りである、請求項1~5の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
1は
であり、環Bはシクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、好ましくは、R
1は
から選ばれ、Qは酸素原子、硫黄原子、
、NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
uは0、1、2、3、4又は5であり、
vは0、1、2又は3であり、
R
7~R
10、p及びqは請求項1に定義された通りである、
請求項1~5の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
2はC
1-6アルキル基である、請求項1~7の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
3は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、C
1-6アルキル基、ハロC
1-6アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基及びアミノ基から選ばれ、そのうち、前記C
1-6アルキル基とハロC
1-6アルキル基は任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基及びC
1-6アルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換される、請求項1~3及び5~8の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
から選ばれる何れか1つの化合物である、
請求項1~9の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
一般式(IA)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であって、
【化3】
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
環A、R
2~R
4及びnは請求項1に定義された通りである、
一般式(IA)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
から選ばれる何れか1つの化合物である、
請求項11に記載の一般式(IA)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
一般式(IB)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であって、
【化4】
そのうち、Yはハロゲンであり、好ましくはClであり、
R
2は、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基及びシクロアルキル基から選ばれ、
R
1とR
4は請求項1に定義された通りである、
一般式(IB)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
である、
請求項13に記載の一般式(IB)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
【化5】
一般式(IA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩をR
1-Mと反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
環A、R
1~R
4及びnは請求項1に定義された通りである、
一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法。
【請求項16】
一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
【化6】
一般式(IAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を酸化反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
R
1は
であり、
Qは、酸素原子、硫黄原子、
、NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
vは0、1、2又は3であり、
環A、R
2~R
4、R
7~R
10、p、q及びnは請求項1に定義された通りである、
一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法。
【請求項17】
一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
【化7】
一般式(IB)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IC)の化合物と反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
MはHClであり、
yは0又は1であり、
Yはハロゲンであり、好ましくはClであり、
環A、R
1~R
4及びnは請求項1に定義された通りである、
一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法。
【請求項18】
治療有効量の請求項1~10の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、及び1種又は複数種の薬学的に許容されるベクター、希釈剤又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
SOS1を阻害するための薬剤の調製における、請求項1~10の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩或いは請求項18に記載の医薬組成物の用途。
【請求項20】
がん、炎症、RAS疾患、ヌーナン症候群(NS)、多発性黒子症を伴うヌーナン症候群(NSML)、毛細血管奇形-動静脈奇形症候群(CM-AVM)、コステロ症候群(CS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、レジウス症候群、遺伝性歯肉線維腫症、又は他の増殖性疾患を治療及び/又は予防するための薬剤の調製、好ましくは、がんを治療及び/又は予防するための薬剤の調製における、請求項1~10の何れか一項に記載の一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩或いは請求項18に記載の医薬組成物の用途。
【請求項21】
前記がんは、黒色腫、皮膚がん、肝がん、腎がん、肺がん、鼻咽頭がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、胆嚢がん、胆管がん、絨毛上皮腫、膵臓がん、真性赤血球増加症、小児腫瘍、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、尿路上皮がん、尿管腫瘍、前立腺がん、精上皮腫、精巣腫瘍、白血病、頭頚部腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、骨腫、神経芽腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫及び神経膠腫から選ばれ、前記肝がんは肝細胞がんが好ましく、前記頭頚部腫瘍は頭頸部扁平上皮がんが好ましく、前記肉腫は骨肉腫が好ましく、前記結腸直腸がんは結腸がん又は直腸がんが好ましい、請求項20に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医薬分野に属し、一般式(I)で示されるピリドンピリミジン系誘導体、その調製方法、当該誘導体を含む医薬組成物とその治療剤としての用途、特にSOS1阻害剤としての用途及びSOS1への阻害により改善される疾患、病状又は病症を治療するための薬剤の調製における用途に関する。
【背景技術】
【0002】
RASは腫瘍において突然変異率が最も高い発がん性遺伝子の一つであり、約30%のヒト悪性腫瘍がRAS遺伝子の突然変異に関連している。RASファミリーはKRAS、NRASとHRASを含み、そのうち、KRAS突然変異は最もよく見られ、約85%を占めている。KRASは活性化された後、RAF-MEK-ERK、PI3K-AKT-mTOR及びTIAM1-RAcに代表される多くの下流シグナル伝達経路により、細胞の増殖、生存、移動と代謝などの様々な機能が調節される。KRAS遺伝子が突然変異した後、タンパク質は持続的に活性化状態になることで、下流シグナル伝達経路が活性化され続けて腫瘍の発生を促進させる。
【0003】
KRASタンパク質は、表面に伝統的な意味での小分子結合部位がないと共に、グアニル酸とは超高親和性を有して極めて阻害され難いので、長い間、創薬不可能な薬剤標的と見なされている。しかし、がんの進行におけるKRASの異常活性化の重要性と普遍性によって、KRASは、従来から、且つ今でも薬剤の開発において非常に注目されている標的である。現在、KRAS経路の阻害という薬剤開発理念については、主に下記の幾つかのものがある:
KRAS G12Cに対して開発された小分子共有結合阻害剤は、G12C突然変異体を不活性化状態に不可逆的にロックすることができ、現在、アムジェンとmirati社の臨床第I相試験のデータは何れも、素晴らしい効果をあげている。しかし、KRAS G12Cの突然変異は、単にその多くの突然変異の一つであり、例えばG12V、G12D、G12S、G12A、G13V/Dなどの他の重要な突然変異体は、依然として効果的な薬剤がない。
KRASにおいて、より多くの突然変異体を標的にすることができる他の部位を探している:主として、下流エフェクタ分子に結合する部位/タンパク質分子の活性化に関連する部位に対しており、現在何れも前臨床段階にあり、活性を阻害するIC50は一般的にミクロモルレベルである。
KRAS下流シグナルタンパク質への阻害:例えばRAF、MEK、ERKなどへの阻害剤の開発であり、現在、臨床的に単剤投与では効果がよくないことが多い。
KRAS上流経路への阻害:例えば、SHP2の阻害剤などである。
KRASへの修飾及び定位:例えば、ファルネシル転移酵素などはKRASの膜定位を遮断することにより、その作用を抑制する効果を達成させる。
RNAiの方法によりKRASの発現を低減させる。
【0004】
とにかく、KRAS G12C阻害剤の外に、現在、多種類の突然変異に有効な広域KRAS阻害剤が依然として欠けている。ところが、KRASの活性化分子とKRASの結合を遮断し、例えば、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)であるSOS1を選択的に阻害する小分子阻害剤は、RAS-SOS1の相互作用を干渉することでKRASの活性化を遮断することができ、KRAS活性を広域阻害する目的を達成させることができる。
【0005】
KARSタンパク質は、低分子量GTPアーゼ(small GTPase)の一つであり、細胞内において、KRASタンパク質は、不活性化状態(グアノシン二リン酸(GDP)に結合)と活性化状態(グアノシン三リン酸(GTP)に結合)との間で変換する。この変換は、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)及びGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)により調節される。KRASのGEFは、主に、SOS(sevenless son)1&2、Ras-GRF及びRas-GRPという3種類があり、そのうち、後者の2種類はニューロン及び白血球にしか発現されず、SOSだけは多種類の組織において広く発現され、RASの活性化で主導的役割を果たすと考えられている。SOS1は、発現量がSOS2よりも高いと共に、SOS2の活性よりも強いため、現在、SOSについての研究は主にSOS1を中心としている。SOS1のKRASタンパク質に対する具体的な活性化経路は、以下の通りである。上流シグナル(例えば、成長因子)が膜表面受容体を活性化した後、SHP2-Grb2によりSOS1を活性化し、SOS1がKRASと結合し、一連の配座変化を引き起こすことにより、KRASとGDPの解離を促進し、更にGTPと結合し、活性をもつKRAS-GTPを形成する。
【0006】
現在開示されているSOS1に関連する特許には、WO2018172250A1、WO2019055540A1、WO2019122129A1、US10501421B1、WO2018115380A1及びWO2019201848A1などがある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の目的は、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を提供することである:
【化1】
そのうち、
環Aはアリール基又はヘテロアリール基であり、
R
1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-NR
5R
6、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、オキソ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2は水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基及びシクロアルキル基から選ばれ、
R
3は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-(CH
2)
rNR
5R
6、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、-(CH
2)
sNR
9R
10、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
4は水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基とシクロアルキル基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
5とR
6は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
R
7は水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
R
8は相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
9とR
10は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
nは1、2、3又は4であり、
pは0、1、2又は3であり、
qは0、1、2又は3であり、
rは0、1、2又は3であり、且つ
sは0、1、2又は3である。
【0008】
本開示の目的は、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を提供することである:
【化2】
そのうち、
環Aはアリール基又はヘテロアリール基であり、
R
1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-NR
5R
6、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2は水素原子、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基及びシクロアルキル基から選ばれ、
R
3は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-(CH
2)
rNR
5R
6、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、-(CH
2)
sNR
9R
10、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
4は水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基から選ばれ、
R
5とR
6は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
R
7は水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
R
8は、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
R
9とR
10は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、シクロアルキル基及びヘテロシクリル基から選ばれ、
nは1、2、3又は4であり、
pは0、1、2又は3であり、
qは0、1、2又は3であり、
rは0、1、2又は3であり、且つ
sは0、1、2又は3である。
【0009】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、環Aは、アリール基又はヘテロアリール基であり、好ましくは、上記アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にシクロアルキル基又はヘテロシクリル基と縮合する。
【0010】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、環Aは6~10員アリール基であり、フェニル基又は
が好ましい。
【0011】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、環Aはフェニル基である。
【0012】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、それは一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩である:
【化3】
そのうち、
R
3a、R
3b及びR
3cは相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、-(CH
2)
rNR
5R
6、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、-(CH
2)
sNR
9R
10、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、好ましくは、R
3a、R
3b及びR
3cは相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、C
1-6アルキル基、ハロC
1-6アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基及びアミノ基から選ばれ、そのうち、上記C
1-6アルキル基とハロC
1-6アルキル基は任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基及びC
1-6アルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
1、R
2、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、sとrは、一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0013】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R4は水素原子又はC1-6アルキル基であり、好ましくは、R4は水素原子である。
【0014】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、C1-6ヒドロキシアルキル基、3~10員シクロアルキルオキシ基、3~10員ヘテロシクリルオキシ基、3~10員シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクリル基、6~10員アリール基と5~10員ヘテロアリール基から選ばれ、そのうち、上記C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、3~10員シクロアルキルオキシ基、3~10員ヘテロシクリルオキシ基、3~10員シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクリル基、6~10員アリール基と5~10員ヘテロアリール基は任意選択的にハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、-C(O)(CH2)qOR7、-NHC(O)R8、-C(O)R8、-NR9R10と-C(O)(CH2)pNR9R10から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、R7~R10、qとpは一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0015】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R
1は
であり、環Bはシクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、好ましくは、R
1は
から選ばれ、Qは酸素原子、硫黄原子、
、NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
uは0、1、2、3、4又は5であり、
vは0、1、2又は3であり、
R
7~R
10、pとqは一般式(I)に定義された通りである。
【0016】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R
1はC
1-6アルコキシ基、
から選ばれ、R
11a、R
11b、R
11cとR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
vは0、1、2又は3であり、
R
7~R
10、pとqは一般式(I)に定義された通りである。
【0017】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R
1はC
1-6アルコキシ基、
から選ばれ、R
0は相同又は相異であり、それぞれ独立的にハロゲン、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、ハロC
1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10及び-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10から選ばれ、tは0、1、2、3又は4であり、R
7~R
10、q及びpは一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0018】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R2はC1-6アルキル基であり、メチル基が好ましい。
【0019】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R3は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基及びアミノ基から選ばれ、そのうち、上記C1-6アルキル基とハロC1-6アルキル基は任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基及びC1-6アルコキシ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換される。
【0020】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、nは1、2又は3であり、好ましくは、nは2である。
【0021】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R7は水素原子、アルキル基及びハロアルキル基から選ばれ、好ましくは、R7はC1-6アルキル基とハロC1-6アルキル基から選ばれる。
【0022】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R8は相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的にC1-6アルキル基から選ばれ、そのうち、上記C1-6アルキル基は任意選択的にハロゲン又はシアノ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換される。
【0023】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、R9とR10は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、C1-6アルキル基及びハロC1-6アルキル基から選ばれる。
【0024】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、pは0である。
【0025】
本開示の幾つかの好ましい実施形態において、一般式(I)又は一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩であり、そのうち、qは1である。
【0026】
本開示の一般式(I)の典型的な化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【0027】
本開示の別の態様は、一般式(IA)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩に関する:
【化4】
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
環A、R
2~R
4とnは一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0028】
本開示の別の態様は、一般式(IIA)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩に関する:
【化5】
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
R
2、R
3a、R
3b、R
3cとR
4は、一般式(II)の化合物に定義された通りである。
【0029】
本開示の一般式(IA)又は(IIA)の典型的な化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない:
【表2】
【0030】
本開示の別の態様は、一般式(IB)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩に関する:
【化6】
そのうち、Yはハロゲンであり、好ましくはClであり、
R
2は、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基及びシクロアルキル基から選ばれ、
R
1とR
4は、一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0031】
本開示の一般式(IB)の典型的な化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない:
【表3】
【0032】
本開示の別の態様は、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化7】
一般式(IA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩をR
1-Mと反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
環A、R
1~R
4とnは一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0033】
本開示の別の態様は、一般式(IAA)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調整する方法に関し、当該方法は、
【化8】
一般式(IA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IAB)の化合物と反応させ、一般式(IAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
Qは、酸素原子、硫黄原子、
、
NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
vは0、1、2又は3であり、
環A、R
2~R
4、R
7~R
10、p、qとnは一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0034】
本開示の別の態様は、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化9】
一般式(IAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を酸化反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
R
1は
であり、
Qは、酸素原子、硫黄原子、
、NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
vは0、1、2又は3であり、
環A、R
2~R
4、R
7~R
10、p、qとnは一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0035】
本開示の別の態様は、一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化10】
一般式(IIA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩をR
1-Mと反応させ、一般式(II)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
R
1、R
2、R
3a、R
3b、R
3c及びR
4は、一般式(II)の化合物に定義された通りである。
【0036】
本開示の別の態様は、一般式(IIAA)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化11】
一般式(IIA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IAB)の化合物と反応させ、一般式(IIAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
Qは、酸素原子、硫黄原子、
、NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
vは0、1、2又は3であり、
R
2、R
3a、R
3b、R
3c、R
4、R
7~R
10、p及びqは、一般式(II)の化合物に定義された通りである。
【0037】
本開示の別の態様は、一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化12】
一般式(IIAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を酸化反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
R
1は
であり、
Qは、酸素原子、硫黄原子、
、NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
vは0、1、2又は3であり、
R
2、R
3a、R
3b、R
3c、R
4、R
7~R
10、p及びqは、一般式(II)の化合物に定義された通りである。
【0038】
本開示の別の態様は、一般式(I)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化13】
一般式(IB)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IC)の化合物と反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
MはHClであり、
yは0又は1であり、
Yはハロゲンであり、好ましくはClであり、
環A、R
1~R
4とnは一般式(I)の化合物に定義された通りである。
【0039】
本開示の別の態様は、一般式(II)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化14】
一般式(IB)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IIC)の化合物と反応させ、一般式(II)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
MはHClであり、
yは0又は1であり、
Yはハロゲンであり、好ましくはClであり、
R
1、R
2、R
3a、R
3b、R
3c及びR
4は、一般式(II)の化合物に定義された通りである。
【0040】
本開示の別の態様は、治療有効量の本開示の一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩と、1種又は複数種の薬学的に許容されるベクター、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0041】
本開示は更に、一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはそのアトロプ異性体、互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物の、SOS1を阻害するための薬剤の調製における用途に関する。
【0042】
本開示は更に、一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物の、がん、炎症、RAS疾患、ヌーナン症候群(NS)、多発性黒子症を伴うヌーナン症候群(NSML)、毛細血管奇形-動静脈奇形症候群(CM-AVM)、コステロ症候群(CS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、レジウス症候群、遺伝性歯肉線維腫症、又は他の増殖性疾患を治療及び/又は予防するための薬剤の調製における用途、好ましくは、がんを治療及び/又は予防するための薬剤の調製における用途に関し、特に、上記がんは、黒色腫、皮膚がん、肝がん、腎がん、肺がん、鼻咽頭がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、胆嚢がん、胆管がん、絨毛上皮腫、膵臓がん、真性赤血球増加症、小児腫瘍、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、尿路上皮がん、尿管腫瘍、前立腺がん、精上皮腫、精巣腫瘍、白血病、頭頚部腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、骨腫、神経芽腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫と神経膠腫から選ばれ、上記RAS疾患は、神経線維腫症1型(NF1)が好ましく、上記肺がんは非小細胞肺がんが好ましく、転移性非小細胞肺がんが更に好ましく、上記白血病は慢性リンパ性白血病又は急性骨髄性白血病が好ましく、上記リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が好ましく、上記骨髄腫は多発性骨髄腫が好ましく、上記骨腫は骨軟骨腫が好ましく、上記肝がんは肝細胞がんが好ましく、上記頭頚部腫瘍は頭頸部扁平上皮がんが好ましく、上記肉腫は骨肉腫が好ましく、上記結腸直腸がんは結腸がん又は直腸がんが好ましい。
【0043】
本開示は更に、必要のある患者に治療有効量の一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物を投与することを含む、SOS1を阻害する方法に関する。
【0044】
本開示は更に、必要のある患者に治療有効量の一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物を投与することを含む、SOS1媒介性の疾患を治療及び/又は予防する方法に関する。
【0045】
本開示は更に、がん、炎症、RAS疾患、ヌーナン症候群(NS)、多発性黒子症を伴うヌーナン症候群(NSML)、毛細血管奇形-動静脈奇形症候群(CM-AVM)、コステロ症候群(CS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、レジウス症候群、遺伝性歯肉線維腫症、又は他の増殖性疾患を治療及び/又は予防する方法、好ましくは、がんを治療及び/又は予防する方法に関し、それは、必要のある患者に治療有効量の一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物を投与することを含み、そのうち、上記がんは、黒色腫、皮膚がん、肝がん、腎がん、肺がん、鼻咽頭がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、胆嚢がん、胆管がん、絨毛上皮腫、膵臓がん、真性赤血球増加症、小児腫瘍、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、尿路上皮がん、尿管腫瘍、前立腺がん、精上皮腫、精巣腫瘍、白血病、頭頚部腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、骨腫、神経芽腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫と神経膠腫から選ばれることが好ましく、上記RAS疾患は神経線維腫症1型(NF1)が好ましく、上記肺がんは非小細胞肺がんが好ましく、転移性非小細胞肺がんが更に好ましく、上記白血病は慢性リンパ性白血病又は急性骨髄性白血病が好ましく、上記リンパ腫はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が好ましく、上記骨髄腫は多発性骨髄腫が好ましく、上記骨腫は骨軟骨腫が好ましく、上記肝がんは肝細胞がんが好ましく、上記頭頚部腫瘍は頭頸部扁平上皮がんが好ましく、上記肉腫は骨肉腫が好ましく、上記結腸直腸がんは結腸がん又は直腸がんが好ましい。
【0046】
本開示は更に、薬剤として用いられる、一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0047】
本開示は更に、SOS1阻害剤として用いられる、一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0048】
本開示は更に、SOS1媒介性の疾患を治療及び/又は予防するための一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物に関する。
【0049】
本開示は更に、がん、炎症、RAS疾患、ヌーナン症候群(NS)、多発性黒子症を伴うヌーナン症候群(NSML)、毛細血管奇形-動静脈奇形症候群(CM-AVM)、コステロ症候群(CS)、心臓・顔・皮膚症候群(CFC)、レジウス症候群、遺伝性歯肉線維腫症、又は他の増殖性疾患を治療及び/又は予防するため、好ましくは、がんを治療及び/又は予防するための一般式(I)又は一般式(II)と表Aに示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩、或いはそれらを含む医薬組成物に関し、そのうち、上記がんは、黒色腫、皮膚がん、肝がん、腎がん、肺がん、鼻咽頭がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、胆嚢がん、胆管がん、絨毛上皮腫、膵臓がん、真性赤血球増加症、小児腫瘍、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、尿路上皮がん、尿管腫瘍、前立腺がん、精上皮腫、精巣腫瘍、白血病、頭頚部腫瘍、子宮内膜がん、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、骨腫、神経芽腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫と神経膠腫から選ばれることが好ましく、上記RAS疾患は、神経線維腫症1型(NF1)が好ましく、上記肺がんは非小細胞肺がんが好ましく、転移性非小細胞肺がんが更に好ましく、上記白血病は慢性リンパ性白血病又は急性骨髄性白血病が好ましく、上記リンパ腫はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が好ましく、上記骨髄腫は多発性骨髄腫が好ましく、上記骨腫は骨軟骨腫が好ましく、上記肝がんは肝細胞がんが好ましく、上記頭頚部腫瘍は頭頸部扁平上皮がんが好ましく、上記肉腫は骨肉腫が好ましく、上記結腸直腸がんは結腸がん又は直腸がんが好ましい。
【0050】
活性化合物を任意の適当な経路による投与に適する形態に作製し、通常の方法により、1種又は複数種の薬学的に許容されるベクターを用いて本開示の組成物を調製することができる。従って、本開示に係る活性化合物は、経口投与、注射(例えば、静脈内、筋肉内又は皮下)投与、吸い込み又は吹き込み投与用の各剤形に調製することができる。本開示に係る化合物は、持続放出性剤型、例えば、タブレット剤、硬・軟カプセル剤、水性又は油性懸濁液、エマルジョン、注射液、分散性粉末又は顆粒、坐剤、錠剤又はシロップに調製されてもよい。
【0051】
一般的な目安として、活性化合物は、単位用量の形態、又は患者が単剤で自ら投与できる形態であることが好ましい。本開示に係る化合物又は組成物の単位用量の表現形態は、タブレット剤、カプセル、カシェ剤、瓶詰めの薬液、ドラッグパウダー、顆粒剤、錠剤、坐剤、再生粉末又は液体製剤であってもよい。好適な単位用量は、0.1~1000 mgであってもよい。
【0052】
本開示に係る医薬組成物には、活性化合物の他に、1種又は複数種の添加物が含まれてもよく、上記添加物は、充填剤(希釈剤)、結合剤、湿潤剤、崩壊剤や賦形剤などの成分から選ばれる。投与方法によって、組成物は、0.1~99重量%の活性化合物を含んでもよい。
【0053】
タブレット剤は、活性成分と、タブレット剤の調製に適する混合用の無毒性の薬学的に許容される賦形剤と、を含む。これらの賦形剤は、不活性賦形剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤及び潤滑剤であってもよい。これらのタブレット剤は、コーティングしなくてもよく、又は、薬剤の味を隠したり胃腸管における崩壊と吸収を遅らせたりすることで、長期間にわたって持続放出効果を果たせる既知の技術によりコーティングしてもよい。
【0054】
その中の活性成分と不活性固体希釈剤、又はその中の活性成分と水溶性ベクター又は油性溶媒を混合したソフトゼラチンカプセルにより、経口製剤を提供してもよい。
【0055】
水性懸濁液は、活性物質と、水性懸濁液の調製に適する混合用の賦形剤と、を含む。このような賦形剤は、懸濁剤、分散剤又は湿潤剤である。水性懸濁液は、1種又は複数種の防腐剤、1種又は複数種の着色剤、1種又は複数種の矯味薬及び1種又は複数種の甘味料を含んでもよい。
【0056】
油性懸濁液は、活性成分を植物油又は鉱油に懸濁させることにより調製することができる。油性懸濁液は、増粘剤を含んでもよい。上記甘味料及び矯味薬を加えることにより、口当たりの良い製剤を提供することができる。酸化防止剤を加えることにより、これらの組成物を保存することができる。
【0057】
本開示に係る医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物油又は鉱油又はその混合物であってもよい。好適な乳化剤は、自然発生のリン脂質であってもよく、エマルジョンは甘味料、矯味薬、防腐剤及び酸化防止剤を含んでもよい。このような製剤は、緩和剤、防腐剤、着色剤及び酸化防止剤を含んでもよい。
【0058】
本開示に係る医薬組成物は、滅菌注射用水溶液の形態であってもよい。使用可能な許容される溶媒又は溶剤としては、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム液がある。滅菌注射製剤は、その中の活性成分が油相に溶解された滅菌注射水中油型マイクロエマルジョンであってもよく、大量に局所注射することで、注射液又はマイクロエマルジョンを患者の血流に注入することができる。又は、本開示に係る化合物の一定のサイクル濃度を維持可能な方式で、溶液及びマイクロエマルジョンを投与することが好ましい。このような一定の濃度を維持するために、連続静脈投与装置を使用することができる。このような装置の実例としては、Deltec CADD-PLUS. TM. 5400型静脈注射ポンプである。
【0059】
本開示に係る医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与に使用される滅菌注射水又は油性懸濁液の形態であってもよい。当該懸濁液は、既知の技術に従って、上記の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて調製することができる。滅菌注射製剤は、非経口的に許容される無毒性の希釈剤又は溶剤において調製された滅菌注射液又は懸濁液であってもよい。また、滅菌固定油を溶剤又は懸濁媒体として便利に用いることができる。そのために、何れの配合用固定油も使用することができる。また、脂肪酸も注射剤を製造することができる。
【0060】
本開示に係る化合物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらの医薬組成物は、薬剤と、常温では固体であるが直腸では液体であるため、直腸において溶けて薬剤を放出する刺激性のない適切な賦形剤とを混合することにより、調製することができる。
【0061】
水を加えて水性懸濁の分散性粉末と顆粒を調製することにより、本開示に係る化合物を投与することができる。活性成分と、分散剤や湿潤剤、懸濁剤や1種又は複数種の防腐剤とを混合することにより、これらの医薬組成物を調製することができる。
【0062】
当業者によく知られているように、薬剤の投与量は、多くの要因によるものであり、その要因は、使用される具体的な化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の体調、患者の行動、患者の食事、投与時間、投与方式、排泄速度、薬剤の組成、疾患の重症度などを含むが、これらに限定されず、また、最適な治療方法、例えば、治療モード、化合物の1日投与量又は薬学的に許容される塩の種類などは、従来の治療計画に従って検証することができる。
用語の定義
【0063】
特に逆の説明がない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される用語は、下記の意味を有する。
【0064】
「アルキル基」という用語は、1~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基である飽和脂肪族炭化水素基を指し、好ましくは1~12個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12個)の炭素原子を含むアルキル基であり、より好ましくは1~6個の炭素原子を含むアルキル基である。その非限定的な実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、n-オクチル基、2,3-ジメチルヘキシル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-メチル-2-エチルペンチル基、2-メチル-3-エチルペンチル基、n-ノニル基、2-メチル-2-エチルヘキシル基、2-メチル-3-エチルヘキシル基、2,2-ジエチルペンチル基、n-デシル基、3,3-ジエチルヘキシル基、2,2-ジエチルヘキシル基、及びその種々の分岐鎖異性体などを含む。より好ましくは1~6個の炭素原子を含む低級アルキル基であり、その非限定的な実施例はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基などを含む。アルキル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的にD原子、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0065】
「アルキレン基」という用語は、飽和の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基を指し、親アルカンの同じ炭素原子又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去して誘導された残基であり、1~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基であり、好ましくは1~12個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11と12個)の炭素原子を含み、より好ましくは1~6個の炭素原子を含むアルキレン基である。アルキレン基の非限定的な実例は、メチレン(-CH2-)、1,1-エチレン(-CH(CH3)-)、1,2-エチレン(-CH2CH2)-、1,1-プロピレン(-CH(CH2CH3)-)、1,2-プロピレン(-CH2CH(CH3)-)、1,3-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、1,4-ブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)などを含むが、これらに限定されない。アルキレン基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、任意の利用可能な連結部位で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的に、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基及びオキソ基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0066】
「アルケニル基」という用語は、分子に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が含まれるアルキル化合物を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。好ましくは2~12個(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12個)の炭素原子を含むアルケニル基であり、より好ましくは2~6個の炭素原子を含むアルケニル基である。アルケニル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、その置換基は、独立的にアルコキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基である1つ又は複数の基が好ましい。
【0067】
「アルキニル基」という用語は、分子に少なくとも1つの炭素-炭素三重結合が含まれるアルキル化合物を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。好ましくは2~12個(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12個)の炭素原子を含むアルキニル基であり、より好ましくは2~6個の炭素原子を含むアルキニル基である。アルキニル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、その置換基は、独立的にアルコキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基である1つ又は複数の基が好ましい。
【0068】
「シクロアルキル基」という用語は、飽和又は部分的に不飽和の単環式又は多環式の環状炭化水素置換基を指し、シクロアルキル環は3~20個の炭素原子を含み、好ましくは3~12個の炭素原子を含み、より好ましくは3~10個(例えば、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の炭素原子を含み、更に好ましくは3~6個の炭素原子を含む。単環式シクロアルキル基の非限定的な実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクチル基などを含み、多環式シクロアルキル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のシクロアルキル基を含む。
【0069】
「スピロシクロアルキル基」という用語は、5~20員で、単環同士が1つの炭素原子(スピロ原子と称する)を共有する多環式基を指し、1つ又は複数の二重結合を含んでもよい。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員(例えば7、8、9又は10員)である。環同士の共有するスピロ原子の数によって、スピロシクロアルキル基は、モノスピロシクロアルキル基、ビススピロシクロアルキル基又はポリスピロシクロアルキル基に分けられ、好ましくはモノスピロシクロアルキル基及びビススピロシクロアルキル基である。より好ましくは、3員/5員、3員/6員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員又は5員/6員のモノスピロシクロアルキル基である。スピロシクロアルキル基の非限定的な実例は、
を含む。
【0070】
「縮合シクロアルキル基」という用語は、5~20員で、系内の各環が系内の他の環と隣接する1対の炭素原子を共有する全炭素多環式基を指し、そのうち、1つ又は複数の環は1つ又は複数の二重結合を含んでもよい。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員(例えば7、8、9又は10員)である。構成する環の数によって二環式、三環式、四環式又は多環式の縮合シクロアルキル基に分けることができ、好ましくは二環式又は三環式であり、より好ましくは5員/5員又は5員/6員の二環式アルキル基である。縮合シクロアルキル基の非限定的な実例は、
を含む。
【0071】
「架橋シクロアルキル基」という用語は、5~20員で、何れか2つの環が直接連結していない2つの炭素原子を共有する全炭素多環式基を指し、1つ又は複数の二重結合を含んでもよい。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員(例えば7、8、9又は10員)である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の架橋シクロアルキル基に分けることができ、好ましくは二環式、三環式又は四環式であり、より好ましくは二環式又は三環式である。架橋シクロアルキル基の非限定的な実例は、
上記シクロアルキル環は、上記のシクロアルキル基(単環、スピロ環、縮合環及び架橋環を含む)がアリール基、ヘテロアリール基又はヘテロシクロアルキル環に縮合されたものを含み、そのうち、母体構造に連結された環はシクロアルキル基であり、その非限定的な実例は、
などを含むが、
が好ましい。
【0072】
シクロアルキル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0073】
「アルコキシ基」という用語は、-O-(アルキル基)を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。アルコキシ基の非限定的な実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基を含む。アルコキシ基は任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、その置換基は、独立的にD原子、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の基であることが好ましい。
【0074】
「ヘテロシクリル基」という用語は、飽和又は部分的に不飽和の単環式又は多環式の環状炭化水素置換基を指し、3~20個の環原子を含み、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素と硫黄から選ばれるヘテロ原子であり、上記硫黄は任意選択的にオキソ基で置換されてもよい(即ち、スルホキシド又はスルホンを形成する)が、-O-O-、-O-S-又は-S-S-の環部分を含まず、残りの環原子は炭素である。好ましくは3~12個の環原子を含み、そのうち、1~4個(例えば1、2、3及び4個)がヘテロ原子であり、より好ましくは3~10個(例えば3、4、5、6、7、8、9及び10個)の環原子を含み、そのうち、1~3個(例えば1、2及び3個)がヘテロ原子であり、更に好ましくは3~6個の環原子を含み、そのうち、1~3個がヘテロ原子であり、最も好ましくは5又は6個の環原子を含み、そのうち、1~3個がヘテロ原子である。単環式ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、アザシクロブチル基、フラニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロピラニル基、3,6-ジヒドロピラニル基、1,2,3,6-テトラヒドロピリジル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ホモピペラジニル基などを含む。多環式ヘテロシクリル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のヘテロシクリル基を含む。
【0075】
「スピロヘテロシクリル基」という用語は、5~20員で、単環同士が1つの原子(スピロ原子と称する)を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素と硫黄から選ばれるヘテロ原子であり、上記硫黄は任意選択的にオキソ基で置換されてもよく(即ち、スルホキシド又はスルホンを形成する)、残りの環原子は炭素である。それは、1つ又は複数の二重結合を含んでもよい。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員(例えば7、8、9又は10員)である。環同士の共有するスピロ原子の数によって、スピロヘテロシクリル基は、モノスピロヘテロシクリル基、ビススピロヘテロシクリル基又はポリスピロヘテロシクリル基に分けられ、好ましくはモノスピロヘテロシクリル基及びビススピロヘテロシクリル基である。より好ましくは、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員又は5員/6員のモノスピロヘテロシクリル基である。スピロヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
を含む。
【0076】
「縮合ヘテロシクリル基」という用語は、5~20員で、系内の各環と系内の他の環が隣接する1対の原子を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、1つ又は複数の環は1つ又は複数の二重結合を含んでもよく、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素と硫黄から選ばれるヘテロ原子であり、上記硫黄は任意選択的にオキソ基で置換されてもよく(即ち、スルホキシド又はスルホンを形成する)、残りの環原子は炭素である。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員(例えば7、8、9又は10員)である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の縮合ヘテロシクリル基に分けることができ、好ましくは二環式又は三環式であり、より好ましくは3員/4員、3員/5員、3員/6員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/4員、5員/5員、5員/6員、6員/3員、6員/4員、6員/5員及び6員/6員の二環式縮合ヘテロシクリル基である。縮合ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
を含む。
【0077】
「架橋ヘテロシクリル基」という用語は、5~14員で、何れか2つの環が直接連結されていない2つの原子を共有する多環式ヘテロシクリル基を指し、1つ又は複数の二重結合を含んでもよく、そのうち、1つ又は複数の環原子は窒素、酸素と硫黄から選ばれるヘテロ原子であり、上記硫黄は任意選択的にオキソ基で置換されてもよく(即ち、スルホキシド又はスルホンを形成する)、残りの環原子は炭素である。好ましくは6~14員であり、より好ましくは7~10員(例えば7、8、9又は10員)である。構成する環の数によって、二環式、三環式、四環式又は多環式の架橋ヘテロシクリル基に分けることができ、好ましくは二環式、三環式又は四環式であり、より好ましくは二環式又は三環式である。架橋ヘテロシクリル基の非限定的な実例は、
を含む。
【0078】
上記ヘテロシクリル環は、上記のヘテロシクリル基(単環、スピロヘテロ環、縮合ヘテロ環及び架橋ヘテロ環を含む)がアリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル環に縮合されたものを含み、そのうち、母体構造に連結された環はヘテロシクリル基であり、その非限定的な実例は、
などを含む。
【0079】
ヘテロシクリル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、その置換基は任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基とヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0080】
「アリール基」という用語は、共役したπ電子系を有する6~14員全炭素単環式又は縮合多環式(縮合多環は、隣接する炭素原子対を共有する環である)基であり、好ましくは6~10員であり、例えば、フェニル基及びナフチル基である。上記アリール環は、上記のアリール環がヘテロアリール基、ヘテロシクリル基又はシクロアルキル環に縮合されたものを含み、そのうち、母体構造に連結された環はアリール環であり、その非限定的な実例は、
を含む。
【0081】
アリール基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0082】
「ヘテロアリール基」という用語は、1~4個(1、2、3及び4個)のヘテロ原子、5~14個の環原子を含む複素芳香族系を指し、そのうち、ヘテロ原子は酸素、硫黄及び窒素から選ばれる。ヘテロアリール基は、5~10員(例えば5、6、7、8、9又は10員)であることが好ましく、5員又は6員であることがより好ましく、例えば、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、N-アルキルピロリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基などである。上記ヘテロアリール環は、上記のヘテロアリール基がアリール基、ヘテロシクリル基又はシクロアルキル環に縮合されたものを含み、そのうち、母体構造に連結された環はヘテロアリール環であり、その非限定的な実例は、
を含む。
【0083】
ヘテロアリール基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、任意の利用可能な連結点で置換されてもよく、上記置換基は、独立して任意選択的にハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の置換基が好ましい。
【0084】
上記シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基は、母体の環原子から1つの水素原子を除去して誘導した残基(即ち、1価基)、又は母体の同一の環原子又は2つの異なる環原子から2つの水素原子を除去して誘導した残基(即ち、2価基)、即ち、「2価シクロアルキル基」、「2価ヘテロシクリル基」、「アリーレン基」、「ヘテロアリーレン基」を含む。
【0085】
「アミノ保護基」という用語は、分子の他の部位が反応する時に、アミノ基が変化されないように、脱離され易い基でアミノ基を保護するものである。非限定的な実施例は、(トリメチルシリコン)エトキシメチル、テトラヒドロピラニル基、tert-ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンジル基、アリル基及びp-メトキシベンジル基などを含む。これらの基は、任意選択的にハロゲン、アルコキシ基及びニトロ基から選ばれる1~3個の置換基で置換することができる。
【0086】
「ヒドロキシ保護基」という用語は、この分野で知られている、ヒドロキシ基の保護に適用される基を指し、文献(「Protective Groups in Organic Synthesis」, 5Th Ed. T. W. Greene&P. G. M. Wuts)におけるヒドロキシ保護基が参照される。例として、好ましくは、上記ヒドロキシ保護基は、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基などの(C1-10アルキル又はアリール)3シラン基であってもよく、C1-10アルキル基又は置換アルキル基であってもよく、好ましくはアルコキシ基又はアリール基で置換されたアルキル基で、より好ましくはC1-6アルコキシ基で置換されたC1-6アルキル基又はフェニル基で置換されたC1-6アルキル基で、最も好ましくはメチル基、tert-ブチル基、アリル基、ベンジル基、メトキシメチル基(MOM)、エトキシエチル基、2-テトラヒドロピラニル基(THP)などのC1-4アルコキシ基で置換されたC1-4アルキル基であり、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-ニトロベンゾイルなどの(C1-10アルキル又はアリール)アシル基であってもよく、(C1-6アルキル又はC6-10アリール)スルホニル基であってもよく、(C1-6アルコキシ又はC6-10アリールオキシ)カルボニル基であってもよい。
【0087】
「シクロアルキルオキシ基」という用語は、シクロアルキル-O-を指し、そのうち、シクロアルキル基は上記に定義された通りである。
【0088】
「ヘテロシクリルオキシ基」という用語は、ヘテロシクリル-O-を指し、そのうち、ヘテロシクリル基は上記に定義された通りである。
【0089】
「アリールオキシ基」という用語は、アリール-O-を指し、そのうち、アリール基は上記に定義された通りである。
【0090】
「ヘテロアリールオキシ基」という用語は、ヘテロアリール-O-を指し、そのうち、ヘテロアリール基は上記に定義された通りである。
【0091】
「アルキルチオ基」という用語は、アルキル-S-を指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りである。
【0092】
「ハロアルキル基」という用語は、1つ又は複数のハロゲンで置換されたアルキル基を指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りである。
【0093】
「ハロアルコキシ基」という用語は、1つ又は複数のハロゲンで置換されたアルコキシ基を指し、そのうち、アルコキシ基は上記に定義された通りである。
【0094】
「重水素化アルキル基」という用語は、1つ又は複数の重水素原子で置換されたアルキル基を指し、そのうち、アルキル基は上記に定義された通りである。
【0095】
「ヒドロキシアルキル基」という用語は、1つ又は複数のヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指し、そのうち、アルキル基は、上記に定義された通りである。
【0096】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0097】
「ヒドロキシ基」という用語は、-OHを指す。
【0098】
「メルカプト基」という用語は、-SHを指す。
【0099】
「アミノ基」という用語は、-NH2を指す。
【0100】
「シアノ基」という用語は、-CNを指す。
【0101】
「ニトロ基」という用語は、-NO2を指す。
【0102】
「オキソ基」又は「オキソ」という用語は、「=O」を指す。
【0103】
「カルボニル基」という用語は、C=Oを指す。
【0104】
「カルボキシ基」という用語は、-C(O)OHを指す。
【0105】
「カルボン酸エステル基」という用語は、-C(O)O(アルキル基)、-C(O)O(シクロアルキル基)、(アルキル基)C(O)O-又は(シクロアルキル基)C(O)O-を指し、そのうち、アルキル基及びシクロアルキル基は上記に定義された通りである。
【0106】
本開示は、種々の重水素化形態の化合物を更に含む。炭素原子に連結されている各利用可能な水素原子は、独立的に重水素原子で置換可能である。当業者は、関連文献を参照して重水素化形態の化合物を合成することができる。重水素化形態の化合物は、調製する場合、市販の重水素化出発物質を使用してもよく、又は、通常の技術により重水素化試薬で合成されてもよく、重水素化試薬は、重水素化ボラン、三重水素化ボランテトラヒドロフラン溶液、重水素化水素化アルミニウムリチウム、重水素化ヨードエタン及び重水素化ヨードメタンなどを含むが、これらに限定されない。重水素化物は、一般的に、非重水素化の化合物に相当する活性を保つことができると共に、重水素化がある特定の部位にある時に、より優れた代謝安定性を得て、幾つかの治療上の利点を得ることができる。
【0107】
「任意選択的」又は「任意選択的に」は、その後に説明される事象又は状況が生じてもよいが、生じなくてもよいことを意味し、この説明は、当該事象又は状況が生じる場合と生じない場合を含む。例えば、「任意選択的にアルキル基で置換されたヘテロシクリル基」とは、アルキル基が存在してもよいが、必ずしもそうとは限らないことを意味し、当該表現は、ヘテロシクリル基がアルキル基で置換される場合と、ヘテロシクリル基がアルキル基で置換されない場合とを含む。
【0108】
「置換される」とは、基における1つ又は複数の水素原子、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個の水素原子が互いに独立的に対応する数の置換基で置換されることを指す。当業者は、それほど努力をせずに(実験又は理論により)可能又は不可能な置換を決定することができる。例えば、遊離水素を有するアミノ基又はヒドロキシ基が不飽和(例えば、オレフィン)結合を有する炭素原子と結合する場合は、不安定になる可能性がある。
【0109】
「医薬組成物」は、1種又は複数種の本明細書に記載の化合物又はその生理学的/薬学的に許容される塩又はプロドラッグと他の化学成分との混合物と、生理学的/薬学的に許容されるベクター及び賦形剤などの他の成分と、を含むことを示す。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与して更に生物活性を発揮するためのものである。
【0110】
「薬学的に許容される塩」とは、本開示に係る化合物の塩であり、このような塩は哺乳動物の体内に使用される場合に安全性と有効性を有すると共に、所望の生物活性を有する。化合物の最終分離と精製過程において、或いは適切な基と適切な塩基又は酸とを反応させることで、単独で塩を調製してもよい。一般的に、薬学的に許容される塩を生成するための塩基は、例えば水酸化ナトリウムと水酸化カリウムなどの無機塩基、及びアンモニウムなどの有機塩基を含む。一般的に、薬学的に許容される塩を生成するための酸は、無機酸及び有機酸を含む。
【0111】
薬剤又は薬理学的活性剤について、「治療有効量」という用語は、無毒性でありながら、所望の効果が得られる薬物又は薬剤の十分な用量を指す。有効量は人によって決定されるもので、対象の年齢と一般的状態に依存し、具体的な活性物質にも依存し、個体での好適な有効量は、当業者により通常の試験で決定されることができる。
【0112】
本明細書に使用される「溶媒和物」という用語は、本開示に係る化合物と、1種又は複数種、好ましくは1~3種の、有機か無機かの溶媒分子との物理的結合を指す。当該物理的結合は水素結合を含む。場合によっては、例えば、結晶固体の結晶格子に1種又は複数種、好ましくは、1~3種の溶媒分子が組み込まれると、溶媒和物は分離されることになる。例示的な溶媒和物は、水和物、エタノール和物、メタノール和物とイソプロパノール和物を含むが、これらに限定されない。溶媒和方法はこの分野での公知のものである。
【0113】
「プロドラッグ」とは、生理的条件下で、例えば、血液において加水分解されることで、体内で転換されて活性原薬化合物を生成することができるものである。
【0114】
本明細書に使用される「薬学的に許容される」という用語は、これらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形が合理的な医学的判断範囲において、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応又は他の問題や合併症がなく、患者の組織との接触に適用され、合理的な損益比を有すると共に、所望の用途に有効であることを意味する。
【0115】
本明細書に使用される単数形である「1つ」、「1種」と「当該」は、文脈に特に明記のない限り、複数の引用を含み、その逆も同様である。
【0116】
「約」という用語は、pH、濃度、温度などのパラメータに用いられる場合、このパラメータが±10%、場合によっては、より好ましくは±5%以内に変化されてもよいことを示す。当業者に理解されるように、パラメータは肝心なものではない場合、一般的に、制限ではなく、単に説明のために数字として示されている。
【0117】
本開示に係る化合物は、その同位体誘導体を含んでもよい。「同位体誘導体」という用語は、1種又は複数種の同位体に富む原子が存在することだけにおいて構造が異なる化合物を指す。例えば、本開示に係る構造を有し、「重水素」又は「三重水素」で水素を置換した以外、又は18F-フッ素標識(18F同位体)でフッ素を置換し、又は11C-、13C-、又は14C-に富む炭素(11C-、13C-、又は14C-炭素標識、11C-、13C-、又は14C-同位体)で炭素原子を置換した化合物は、本開示の範囲内にある。このような化合物は例えば、生物測定における分析ツール又はプローブとして使用されてもよく、又は疾患のインビボ診断のためのイメージングトレーサーとして使用されてもよく、又は薬力学的、薬物動態学又は受容体研究のトレーサーとされてもよい。
本開示に係る化合物の合成方法
【0118】
本開示の目的を達成するために、本開示は、以下の技術案を採用する。
技術案1
【0119】
本開示に係る一般式(I)で示される化合物又はその塩の調製方法、或いはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩の調製方法は、
【0120】
一般式(IA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩をR
1-Mと、塩基性条件及び触媒の存在下で反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
環A、R
1~R
4及びnは一般式(I)に定義された通りである。
技術案2
【0121】
【化15】
一般式(IA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IAB)の化合物と、塩基性条件及び触媒の存在下で反応させ、一般式(IAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得て、
一般式(IAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を、触媒及び酸化剤の存在下で酸化反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得て、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
Qは、酸素原子、硫黄原子、
、NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
R
1は
であり、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
vは0、1、2又は3であり、
環A、R
2~R
4、R
7~R
10、p、qとnは一般式(I)の化合物に定義された通りである。
技術案3
【0122】
本開示に係る一般式(II)で示される化合物又はその塩の調製方法、或いはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩の調製方法は、
【化16】
一般式(IIA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩をR
1-Mと、塩基性条件及び触媒の存在下で反応させ、一般式(II)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
R
1、R
2、R
3a、R
3b、R
3c及びR
4は、一般式(II)の化合物に定義された通りである。
技術案4
【0123】
本開示の別の態様は、一般式(IIAA)で示される化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を調製する方法に関し、当該方法は、
【化17】
一般式(IIA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IAB)の化合物と、塩基性条件及び触媒の存在下で反応させ、一般式(IIAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップと、
一般式(IIAA)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を、触媒及び酸化剤の存在下で酸化反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップと、を含み、
そのうち、
Xはハロゲンであり、好ましくはBrであり、
Mは
及び水素原子から選ばれ、
Qは、酸素原子、硫黄原子、
、NR
11a及びCR
11bR
11cから選ばれ、
R
11a、R
11b、R
11c及びR
11は相同又は相異であり、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)(CH
2)
qOR
7、-NHC(O)R
8、-C(O)R
8、-NR
9R
10、-C(O)(CH
2)
pNR
9R
10、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基及びヘテロアリール基から選ばれ、
R
1は
であり、
jは0、1又は2であり、
kは1又は2であり、
vは0、1、2又は3であり、
R
2、R
3a、R
3b、R
3c、R
4、R
7~R
10、p及びqは、一般式(II)の化合物に定義された通りである。
【0124】
技術案1~技術案4における塩基性条件を提供する試薬は、有機塩基と無機塩基類を含み、上記有機塩基類は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド及び1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンを含むが、これらに限定されず、上記無機塩基類は、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム又は炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及び水酸化カリウムを含むが、これらに限定されず、好ましくは炭酸ナトリウムである。
【0125】
技術案1~技術案4に使用される触媒は、テトラキス-トリフェニルホスフィノパラジウム、二塩化パラジウム、酢酸パラジウム、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体、1,1’-ビス(ジベンジルホスフィノ)ジクロロジペンチル鉄パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ヨウ化第一銅/L-プロリンなどを含むが、これらに限定されず、Mが
である場合、好適な触媒は、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体であり、Mが水素原子である場合、好適な触媒はヨウ化第一銅/L-プロリンである。
【0126】
技術案2と技術案4の酸化反応に使用される触媒系は、PhSiH/Mn(dpm)2(又はMn(dpm)3又はMn(acac)2又はMn(TMHD)3又はCo(sdmg)3)、テトラフェニルポルフィリンマンガン(III)複合体/NaBH4(又はPt-H2)、テトラフェニルポルフィリンコバルト(II)複合体/NaBH4(又はEtNBH4)、(ビス(サリチル-γ-イミノプロピル)メチルアミノ)コバルト(II)/第1級アルコール、Co(acac)2、Co(salen)、Co(acacen)、BH3を含むが、これらに限定されず、使用される酸化剤は酸素ガス、空気、過酸化水素などを含むが、これらに限定されない。
【0127】
そのうち、Mn(dpm)2はビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)マンガン、Mn(dpm)3はトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)マンガン(CAS登録番号14324-99-3、別名:トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプテン酸)マンガン)、Mn(acac)2はビス(アセチルアセトナト)マンガン(II)(CAS登録番号14024-58-9、別名:マンガンアセチルアセトナート)、Mn(TMHD)3はトリス(ジバロイルメタン)マンガン(CAS14324-99-3)、Co(acac)2はビス(アセチルアセトナト)コバルト(II)(CAS登録番号193620-63-2)、Co(salen)はN,N’-ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)(CAS登録番号14167-18-1)、Co(acacen)はN,N’-ビス(アセチルアセトナト)エチレンジアミノコバルト(II)、Co(sdmg)3はビス(N-サリチリデン-2-アミノイソブチルケトン)コバルト酸ナトリウム(CAS登録番号704900-51-6)である。
【0128】
上記反応は、溶媒において行われることが好ましく、使用される溶媒は、酢酸、メタノール、エタノール、アセトニトリル、n-ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、石油エーテル、酢酸エチル、n-ヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、水、N,N-ジメチルアセトアミド及びN,N-ジメチルホルムアミドとその混合物を含むが、これらに限定されない。
技術案5
【0129】
本開示に係る一般式(I)で示される化合物又はその塩の調製方法、或いはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩の調製方法は、
【化18】
一般式(IB)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IC)の化合物と、塩基性条件下で反応させ、一般式(I)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
MはHClであり、
yは0又は1であり、
Yはハロゲンであり、好ましくはClであり、
環A、R
1~R
4及びnは一般式(I)に定義された通りである。
技術案6
【0130】
本開示に係る一般式(II)で示される化合物又はその塩の調製方法、或いはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩の調製方法は、
【化19】
一般式(IB)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を一般式(IIC)の化合物と、塩基性条件下、マイクロ波条件下で反応させ、一般式(II)の化合物若しくはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物の形態又はその薬学的に許容される塩を得るステップを含み、
そのうち、
MはHClであり、
yは0又は1であり、
Yはハロゲンであり、好ましくはClであり、
R
1、R
2、R
3a、R
3b、R
3c及びR
4は、一般式(II)の化合物に定義された通りである。
【0131】
技術案5と技術案6における塩基性条件を提供する試薬は、有機塩基と無機塩基類を含み、上記有機塩基類は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド及び1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンを含むが、これらに限定されず、上記無機塩基類は、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム又は炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及び水酸化カリウムを含むが、これらに限定されず、好ましくはN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
【0132】
上記反応は、溶媒において行われることが好ましく、使用される溶媒は、酢酸、メタノール、エタノール、アセトニトリル、n-ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、石油エーテル、酢酸エチル、n-ヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、水、N,N-ジメチルアセトアミド及びN,N-ジメチルホルムアミドとその混合物を含むが、これらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0133】
以下、実施例に合わせて本開示を更に説明するが、これらの実施例は、本開示の範囲を限定するものではない。
実施例
【0134】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は/及び質量分析(MS)によって決定された。NMRシフト()は10-6(ppm)の単位で表記されている。NMRの測定には核磁気共鳴装置Bruker AVANCE-400又はBruker AVANCE NEO 500Mが使用され、測定溶剤は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化クロロホルム(CDCl3)、重水素化メタノール(CD3OD)であり、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)であった。
【0135】
MSの測定には、液体クロマトグラフ質量分析計Agilent 1200/1290 DAD-6110/6120 Quadrupole MS(メーカー:Agilent、MS型番:6110/6120 Quadrupole MS)、waters ACQuity UPLC-QD/SQD(メーカー:waters、MS型番:waters ACQuity Qda Detector/waters SQ Detector)又はTHERMO Ultimate 3000-Q Exactive(メーカー:THERMO、MS型番:THERMO Q Exactive)が使用された。
【0136】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析には、高速液体クロマトグラフAgilent HPLC 1200DAD、Agilent HPLC 1200VWD及びWaters HPLC e2695-2489が使用された。
【0137】
キラルHPLC分析測定には、高速液体クロマトグラフAgilent 1260 DADが使用された。
【0138】
分取高速液体クロマトグラフィーには、分取クロマトグラフWaters 2545-2767、Waters 2767-SQ Detecor2、Shimadzu LC-20AP及びGilson GX-281が使用された。
【0139】
キラル分取には、分取クロマトグラフShimadzu LC-20APが使用された。
【0140】
CombiFlash高速分取クロマトグラフとしては、Combiflash Rf200(TELEDYNE ISCO)が使用された。
【0141】
薄層クロマトグラフィー用シリカゲル板としては、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲル板が使用され、薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用されたシリカゲル板用の仕様は、0.15 mm~0.2 mmであり、薄層クロマトグラフィーによる生成物の分離精製用の仕様は0.4 mm~0.5 mmであった。
【0142】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーには、一般的に、煙台黄海シリカゲル製200~300メッシュのシリカゲルがベクターとして使用された。
【0143】
キナーゼ平均抑制率及びIC50値の測定には、マイクロプレートリーダーNovoStar(独BMG社)が使用された。
【0144】
本開示に係る既知の出発原料は、この分野における既知の方法により、又はそれに従って合成されてもよく、或いはABCR GmbH & Co. KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、韶遠化学科技(Accela ChemBio Inc)、達瑞化学品などの会社から購入されてもよい。
【0145】
実施例において、特に説明しない限り、反応は何れもアルゴン雰囲気又は窒素雰囲気において行うことができる。
【0146】
アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気は、反応フラスコに容量が約1 Lのアルゴン又は窒素バルーンが接続されていることを指す。
【0147】
水素雰囲気は、反応フラスコに容量が約1 Lの水素バルーンが接続されていることを指す。
【0148】
加圧水素化反応には、Parr 3916EKX型水素化装置及び清藍QL-500型水素発生器又はHC2-SS型水素化装置が使用された。
【0149】
水素化反応は、通常、真空引きして水素を充填する操作を3回繰り返した。
【0150】
マイクロ波反応には、CEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器が使用された。
【0151】
実施例において、特に説明しない限り、溶液は水溶液を指す。
【0152】
実施例において特に説明のない限り、反応温度は室温で、20℃~30℃である。
【0153】
実施例における反応進行の監視には薄層クロマトグラフィー(TLC)が用いられ、反応に使用された展開溶媒、化合物の精製に使用されたカラムクロマトグラフィーの溶離液系及び薄層クロマトグラフィーの展開溶媒系は、A:ジクロロメタン/メタノール系、B:n-ヘキサン/酢酸エチル系、C:石油エーテル/酢酸エチル系を含み、溶剤の体積比は化合物の極性によって調節され、少量のトリエチルアミンと酢酸などの塩基性又は酸性試薬を加えて調節されてもよい。
【0154】
実施例1
(R)-4-((1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 1
ステップ1
4-クロロ-6-((4-メトキシベンジル)アミノ)-2-メチルピリミジン-5-カルボキシアルデヒド 1b
化合物4,6-ジクロロピリミジン-2-メチル-5-カルボキシアルデヒド1a(2 g、10.47 mmol)、4-メトキシベンジルアミン(1.5 g、10.95 mmol)、トリエチルアミン(2.11 g、20.85 mmol)を40 mLのジクロロメタンに溶け、氷浴下で2時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮して粗生成物1b(3 g)を得て、収率:98.2%であり、生成物を精製せずに、そのまま次の反応に用いた。
MS m/z (ESI): 292.0 [M+1]。
【0155】
ステップ2
6-アミノ-4-クロロ-8-(4-メトキシベンジル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 1c
4-メトキシベンズアルデヒド(700 mg、5.14 mmol)、グリシンメチルエステル塩酸塩(645 mg、5.14 mmol)、トリエチルアミン(1.2 g、11.86 mmol)を6 mLのメタノールに溶け、8時間撹拌しながら反応させた後、化合物1b(1.5 g、5.14 mmol)を加え、14時間撹拌しながら反応させた後、70%の酢酸6 mLを加え、45℃で14時間反応させ、反応液を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpHを8程度に中和し、酢酸エチルで抽出(30 mL×2)し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物1c(260 mg)を得て、収率:15.3%であった。
MS m/z (ESI): 331.1 [M+1]。
【0156】
ステップ3
6-ブロモ-4-クロロ-8-(4-メトキシベンジル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 1d
臭化第一銅(234.2 mg、1.63 mmol)、亜硝酸イソアミル(191.2 mg、1.63 mmol)を5 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、0.5時間攪拌した後、化合物1c(180 mg、0.54 mmol)を加え、14時間攪拌しながら反応させ、反応液に水を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出(10 mL×3)し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物1d(140 mg)を得て、収率:65.1%であった。
MS m/z (ESI): 394.0[M+1]。
【0157】
ステップ4
(R)-6-ブロモ-4-((1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-8-(4-メトキシベンジル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 1f
化合物1d(60 mg、0.15 mmol)、化合物(R)-2-(3-(1-アミノエチル)-2-フルオロフェニル)-2,2-ジフルオロエタノール塩酸塩1e(58 mg、0.23 mmol、特許出願「US20190194192A1」における明細書の第105ページの実施例B-5に開示された方法により調製されて得られた)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(370 mg、2.86 mmol)を2 mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶け、マイクロ波により120℃で2時間反応させた。冷却し、反応液を減圧濃縮し、薄層クロマトグラフィーの展開溶媒系Cにより精製して表題化合物1f(60 mg)を得て、収率:68.3%であった。
MS m/z (ESI): 577.1 [M+1]。
【0158】
ステップ5
(R)-6-ブロモ-4-((1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 1g
化合物1f(60 mg、103.9 μmol)を2 mLのトリフルオロ酢酸に溶け、マイクロ波により72℃で0.5時間反応させた。反応液を濃縮し、表題化合物1g(47 mg)を得て、収率:98.9%であった。
MS m/z (ESI): 456.1 [M+1]。
【0159】
ステップ6
(R)-4-((1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 1
化合物1g(47 mg、102.7 μmol)、化合物2-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(34 mg、161.8 μmol、上海韶遠試剤有限公司)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体(13 mg、15.9 μmol)及び無水炭酸ナトリウム(46 mg、434 μmol)を2 mLのジオキサンと0.4 mLの水に溶け、アルゴンガスで3回置換し、80℃でマイクロ波により1時間反応させた。室温に冷却し、珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮し、分取高速液体クロマトグラフィーにより得られた表題化合物1(15 mg)を精製して、収率:29.7%であった。
MS m/z (ESI): 461.1[M+1]。
【0160】
1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.21 (s, 1H), 7.56 (td, 1H), 7.45 (td, 1H), 7.21 (t, 1H), 6.64 (tt, 1H), 5.80 (q, 1H), 4.32 (q, 2H), 4.03 (td, 2H), 3.93 (t, 2H), 2.57 (dtd, 2H), 2.35 (s, 3H), 1.64 (d, 3H)。
【0161】
実施例2
(R)-6-(アゼチジン-1-イル)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 2
ステップ1
(R)-6-ブロモ-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-8-(4-メトキシベンジル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 2b
化合物1d(130 mg、0.33 mmol)、化合物(R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチルアミン塩酸塩2a(111.5 mg、0.49 mmol、特許出願「WO2019122129A1」における明細書の第141ページの実施例B-5に開示された方法により調製されて得られた)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(638.6 mg、4.94 mmol)を2 mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶け、マイクロ波により120℃で2時間反応させた。冷却し、反応液を減圧濃縮し、薄層クロマトグラフィーの展開溶媒系Cにより精製して表題化合物2b(105 mg)を得て、収率:58.2%であった。
MS m/z (ESI): 547.2 [M+1]。
【0162】
ステップ2
(R)-6-ブロモ-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 2c
化合物2b(40 mg、73.1 μmol)を2 mLのトリフルオロ酢酸に溶け、マイクロ波により72℃で0.5時間反応させた。反応液を濃縮し、表題化合物2c(30 mg)を得て、収率:96.2%であった。
MS m/z (ESI): 427.1 [M+1]。
【0163】
ステップ3
(R)-6-(アゼチジン-1-イル)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 2
化合物2c(30 mg、70.2 μmol)、化合物アゼチジン(12 mg、210.7 μmol)を2 mLのジメチルスルホキシドに溶け、ヨウ化第一銅(13.4 mg、70.2 μmol)、L-プロリン(8.1 mg、70.2 μmol)、無水リン酸カリウム(44.7 mg、210.6 μmol)を順に加え、窒素ガスで3回置換し、110℃に加熱して14時間反応させた。冷却し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、分取高速液体クロマトグラフィーにより得られた表題化合物2(5 mg)を精製して、収率:17.6%であった。
MS m/z (ESI):404.2 [M+1]。
【0164】
1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.55 (t, 1H), 7.45 (t, 1H), 7.21 (t, 1H), 7.00 (t, 1H), 5.77 (d, 1H), 4.06 (t, 3H), 2.34 (t, 2H), 2.30 (t, 3H), 2.18-2.15 (m, 1H), 2.04-2.02(m, 1H), 1.62 (d, 3H)。
【0165】
実施例3
(R)-4-((1-(3-アミノ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)アミノ)-6-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 3
実施例1における合成経路により、ステップ3の原料化合物1eを化合物(R)-1-(3-アミノ-5-(トリフルオロメチル)アニリン塩酸塩(特許出願「WO2018115380A1」における明細書の第106ページの実施例B-6nに開示された方法により調製されて得られた)に置き換え、化合物3(2 mg)を製造して得られ、収率:4.2%であった。
MS m/z (ESI):446.1 [M+1]。
【0166】
1H NMR (500 MHz, CD3OD): δ 8.19 (s, 1H), 6.98-6.90(m, 2H), 6.82(s, 1H), 6.64(s, 1H), 5.58-5.55(m, 1H), 4.34-4.32(m, 2H), 3.95-3.92(m, 2H), 2.59-2.57(m, 2H), 2.41(s, 3H), 1.62(d, 3H)。
【0167】
実施例4
(R)-6-(1-アセチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-4-((1-(3-アミノ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 4
実施例1における合成経路により、ステップ3の原料化合物1eを化合物(R)-1-(3-アミノ-5-(トリフルオロメチル)アニリン塩酸塩(特許出願「WO2018115380A1」における明細書の第106ページの実施例B-6nに開示された方法により調製されて得られた)に置き換え、ステップ6の化合物2-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを化合物1-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)エタノンに置き換え、化合物4(5 mg)を製造して得られ、収率:10.6%であった。
MS m/z (ESI):487.1 [M+1]。
【0168】
1H NMR (500 MHz, CD3OD): δ 8.20 (s, 1H), 6.98-6.95(m, 2H), 6.82(s, 1H), 6.38(s, 1H), 5.58-5.55(m, 1H), 4.25-4.22(m, 2H), 3.81-3.73(m, 2H), 2.68-2.66(m, 2H), 2.41(s, 3H), 2.19(d, 3H), 1.62(d, 3H)。
【0169】
実施例5
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 5
実施例1における合成経路により、ステップ3の原料化合物1eを化合物2aに置き換え、化合物5(5 mg)を製造して得られ、収率:17.7%であった。
MS m/z (ESI):431.1 [M+1]。
【0170】
1H NMR (500 MHz, CD3OD): δ 8.22 (s, 1H), 7.61-7.59(m, 1H),7.59-7.58(m, 1H), 7.27-7.25(m, 1H), 7.02(s, 1H), 6.75-6.72(m, 1H), 5.79-5.78(m, 1H), 4.35-4.34(m, 2H), 3.95-3.94(m, 2H), 2.59-2.56(m, 2H), 2.35(s, 3H), 1.66(d, 3H)。
【0171】
実施例6
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-6-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 6
化合物5(50 mg、116 μmol)を10 mLのメタノールに溶け、10%のパラジウム炭素触媒(50 mg)を加え、水素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ液を濃縮乾燥させた後に分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物6(10 mg)を得て、収率:19.9%であった。
MS m/z (ESI): 433.1 [M+1]。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD): δ 8.16(s, 1H), 7.61-7.58(m, 1H), 7.50-7.47(m, 1H), 7.27-7.25(m, 1H), 7.02(s, 1H), 5.82-5.78(m, 1H), 4.10-4.07(m, 2H), 3.64-3.59(m, 2H), 3.13-3.11(m, 1H), 2.35(s, 3H), 1.88-1.84(m, 2H), 1.79-1.75(m, 2H), 1.67(d, 3H)。
【0172】
実施例7
(R)-6-(1-アセチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-4-((1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 7
実施例1における合成経路により、ステップ6の化合物2-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを化合物1-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)エタノンに置き換えて化合物7(15 mg)を製造して得られ、収率:17.3%であった。
MS m/z (ESI): 502.1 [M+1]。
【0173】
1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.23 (d, 1H), 7.57 (t, 1H), 7.50-7.43 (m, 1H), 7.22 (t, 1H), 6.58-6.35 (m, 1H), 5.81 (q, 1H), 4.24 (dq, 2H), 4.04 (td, 2H), 3.81 (t, 5.8 1H), 3.75 (t, 1H), 2.68 (s, 1H), 2.60 (s, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.18 (d, 3H), 1.65 (dd, 3H)。
【0174】
実施例8
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 8
【0175】
実施例1における合成経路により、ステップ3の原料化合物1eを化合物2aに置き換え、ステップ6の化合物2-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを化合物1-メチル-1H-ピラゾール-4-ホウ酸に置き換え、化合物8(10 mg)を製造して得られ、収率:10%であった。
MS m/z (ESI):429.1 [M+1]。
【0176】
1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.64 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.62 (t, 1H), 7.49 (t, 1H), 7.26 (t, 1H), 7.14-6.92 (t, 1H), 5.81 (q, 1H), 3.96 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 1.69 (d, 3H)。
【0177】
実施例9
4-(((R)-1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-6-(((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 9
ステップ1
4-アミノ-6-クロロ-2-メチルピリミジン-5-カルボキシアルデヒド 9a
化合物1a(700 mg、3.66 mmol)を30 mLのアンモニアの1,4-ジオキサン溶液に溶け、14時間撹拌しながら反応させた。反応液をろ過濃縮して粗生成物9a(620 mg)を得て、収率:98.6%であり、生成物を精製せずに、そのまま次の反応に用いた。
MS m/z (ESI): 172.1 [M+1]。
【0178】
ステップ2
(R)-4-クロロ-2-メチル-6-((テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 9c
化合物9a(380 mg、2.2 mmol)、化合物(R)-2-((テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)酢酸エチル9b(482.2 mg、2.77 mmol、公知の方法である「ACS Medicinal Chemistry Letters, 2019, 10(6), 996-1001」により調製されて得られた)を5 mLのテトラヒドロフランに溶け、カリウムtert-ブトキシド(372.8 mg、2.77 mmol)を加え、70℃で14時間反応させた。室温に冷却し、珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物9c(110 mg)を得て、収率:17.6%であった。
MS m/z (ESI): 282.1 [M+1]。
【0179】
ステップ3
4-(((R)-1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-6-(((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 9
化合物9c(50 mg、177.5 μmol)、化合物1e(50 mg、195.2 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(68.8 mg、532.5 mmol)を2 mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶け、マイクロ波により120℃で2時間反応させた。冷却し、反応液を減圧濃縮し、分取高速液体クロマトグラフィーにより得られた表題化合物9(13 mg)を精製して、収率:15.7%であった。
MS m/z (ESI): 465.1 [M+1]。
【0180】
1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.61 (s, 1H), 7.60-7.54 (m, 1H), 7.49-7.42 (m, 1H), 7.21 (t, 1H), 5.80 (q, 1H), 5.13 (ddt, 1H), 4.13-3.96 (m, 5H), 3.92 (td, 4.2 Hz, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.30 (td, 1H), 2.27-2.21 (m, 1H), 1.66 (d, 3H)。
【0181】
実施例10
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-6-(((S)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 10
実施例9における合成経路により、ステップ3の原料化合物1eを化合物2aに置き換え、化合物10(31 mg)を製造して得られ、収率:42%であった。
MS m/z (ESI): 435.1 [M+1]。
【0182】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 7.61-7.59 (m, 2H), 7.50-7.47 (m, 1H), 7.26-7.23 (m, 1H), 7.13-6.91(t, 1H), 5.79-5.78 (m, 1H), 5.14(m, 1H), 4.06-3.92 (m, 4H), 2.34 (s, 3H), 2.32-2.21 (m, 2H), 1.67-1.66 (d, 3H)。
【0183】
実施例11
4-(((R)-1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1s,4S)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 11-p1
4-(((R)-1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1r,4R)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 11-p2
ステップ1
4-(((R)-1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(4-ヒドロキシシクロヘキサン-1-エン-1-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 11a
化合物1g(100 mg、284.3 μmol)、化合物3,6-ジヒドロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-ピラン(76.5 mg、341.2 μmol、上海韶遠)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体(23.1 mg、28.4 μmol)と無水炭酸ナトリウム(55 mg、518.3 μmol)を5 mLのジオキサンと1 mLの水に溶け、アルゴンガスで3回置換し、80℃でマイクロ波により1時間反応させた。室温に冷却し、珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物11a(90 mg)を得て、収率:66.7%であった。
MS m/z (ESI): 475.1[M+1]。
【0184】
ステップ2
4-(((R)-1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1s,4S)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 11-p1
4-(((R)-1-(3-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1r,4R)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 11-p2
化合物11a(40 mg、84.3 mmol)をメタノール(10 mL)に溶け、10%のパラジウム炭素触媒(30 mg)を加え、水素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応。珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物を分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物5 mgと8 mgを得て、収率:12.4%、19.9%であった。
【0185】
単一立体配置の化合物(比較的短い保持時間)(5 mg、12.4%)
【0186】
MS m/z (ESI): 477.2 [M+1]。
【0187】
HPLC分析:保持時間10.2分間、純度:98.5%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)/アセトニトリル、勾配配合比:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)30%~95%)。
【0188】
1H NMR (400 MHz, CD3OD ): 8.15 (s, 1H),7.58-7.56 (m, 1H), 7.48-7.46 (m, 1H), 7.24-7.21 (m, 1H), 5.80 (q, 1H), 4.06-4.01 (m, 2H), 3.65-3.62 (m, 1H), 2.66-2.61 (m, 1H), 2.36(s, 3H), 2.11-2.09 (m, 2H), 2.00-1.98 (m, 2H), 1.65-1.45(m, 7H)。
【0189】
単一立体配置の化合物(比較的長い保持時間)(8 mg、19.9%)
MS m/z (ESI): 477.2 [M+1]。
【0190】
HPLC分析:保持時間10.89分間、純度:97.2%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)/アセトニトリル、勾配配合比:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)30%~95%)。
【0191】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): 8.15 (s, 1H),7.60-7.58 (m, 1H), 7.47-7.45 (m, 1H), 7.24-7.21 (m, 1H), 5.82(q, 1H), 4.10-4.04 (m, 3H), 2.91-2.87 (m, 1H), 2.36(s, 3H), 1.96-1.60(m, 11H)。
【0192】
実施例12
(R)-6-(1-アセチル-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 12
ステップ1
(R)-6-(1-アセチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 12a
化合物2c(100 mg、234.1 μmol)、化合物1-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)エタノン(71 mg、282.7 μmol、上海韶遠)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体(26 mg、31.8 μmol)と無水炭酸ナトリウム(50 mg、468 μmol)を5 mLのジオキサンと1 mL水に溶け、アルゴンガスで3回置換し、80℃でマイクロ波により1時間反応させた。室温に冷却し、珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物12a(100 mg)を得て、収率:90.6%であった。
MS m/z (ESI): 472.1[M+1]。
【0193】
ステップ2
(R)-6-(1-アセチル-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 12
化合物12a(100 mg、212.1 μmol)をジクロロメタン(0.5 mL)とイソプロパノール(5 mL)に溶け、マンガンアセチルアセトナート(27 mg、106.7 μmol)、フェニルシラン(31 mg、286 μmol)を加え、酸素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を濃縮した後、分取高速液体クロマトグラフィーにより得られた表題化合物12(30 mg)を精製して、収率:28.9%であった。
MS m/z (ESI): 490.1 [M+1]。
【0194】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 8.36 (s, 1H), 7.62-7.59 (m, 1H), 7.50-7.48 (m, 1H), 7.27-7.24 (m, 1H), 7.13-6.91(t, 1H), 5.83-5.78 (m, 1H), 4.52-4.49 (m, 1H), 3.87-3.84 (m, 1H), 3.68-3.63 (m, 1H), 3.18-3.12 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.34-2.19 (m, 2H), 2.17 (s, 3H), 1.96-1.82 (m, 2H), 1.67-1.65 (d, 3H)。
【0195】
実施例13
4-(4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-N,N-ジメチルシクロヘキサン-3-エン-1-カルボキサミド 13
ステップ1
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)シクロヘキサン-3-エン酢酸 13b
化合物4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)シクロヘキシサン-3-エンカルボン酸メチル13a(1 g、3.76 mmol、上海畢得)、水酸化リチウム一水和物(631 mg、15 mmol)を10 mLのテトラヒドロフランと2 mLの水と5 mLのメタノールとの混合溶媒に溶け、16時間撹拌しながら反応させ、2 Nの塩酸を滴下してpHを5~6に調整し、乾燥まで減圧濃縮し、表題化合物13b(1.8 g)を得て、精製せずにそのまま次のステップへ進んだ。
MS m/z (ESI): 251.1 [M-1]。
【0196】
ステップ2
N,N-ジメチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2ジオキサボロラン-2-イル)シクロヘキサン-3-エンアセトアミド 13c
化合物13b(900 mg、3.57 mmol)、ジメチルアミノ塩酸塩(349 mg、4.28 mmol)を25 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(1.76 g、4.64 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.38 g、10.71 mmol)を加え、16時間撹拌しながら反応させ、乾燥まで減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物13c(800 mg)を得て、収率80%であった。
MS m/z (ESI): 280.1 [M+1]。
【0197】
ステップ3
4-(4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-N,N-ジメチルシクロヘキサン-3-エン-1-カルボキサミド 13
化合物2c(300 mg、702.2 μmol)、化合物13c(392 mg、1.4 mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体(59 mg、70 μmol)及び無水炭酸ナトリウム(112 mg、1.06 mmol)を30 mLのジオキサンと3 mLの水に溶け、アルゴンガスで3回置換し、100℃で3時間反応させた。室温に冷却し、珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物13(200 mg)を得て、収率:57%であった。
MS m/z (ESI): 500.1[M+1]。
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 8.19(s, 1H), 7.60(t, 1H), 7.50(t, 1H), 7.26(t, 1H), 7.02(t, 1H), 6.33-6.30(m, 1H), 5.81(q, 1H), 3.18(s, 3H), 3.05-3.02(m, 1H), 2.99(s, 3H), 2.66-2.61(m, 1H), 2.55-2.46(m, 3H), 2.40(s, 3H), 2.00-1.96(m, 1H), 1.83-1.78(m, 1H), 1.65(d, 3H)。
【0198】
実施例14
(1S,4s)-4-(4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド 14-p1 (1R,4r)-4-(4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド 14-p2
化合物13(100 mg、200 μmol)をジクロロメタン(0.5 mL)とイソプロパノール(5 mL)に溶け、トリス(ジバロイルメタン)マンガン(37 mg、146 μmol)、フェニルシラン(31 mg、286 μmol)を加え、酸素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮し、残留物を分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物10 mgと15 mgを得て、収率:9.6%、14.5%であった。
【0199】
単一立体配置の化合物(比較的短い保持時間)(10 mg、9.6%)
MS m/z (ESI): 518.1 [M+1]。
【0200】
HPLC分析:保持時間10.6分間、純度:98.5%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)/アセトニトリル、勾配配合比:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)30%~95%)。
【0201】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ) δ 8.38(s, 1H), 7.63(t, 1H), 7.51(t, 1H), 7.27(t, 1H), 7.02(t, 1H), 5.83(q, 1H), 3.17(s, 3H), 2.97(s, 3H), 2.83-2.78(m, 1H), 2.36(s, 3H), 2.33-2.26(m, 2H), 2.13-2.08(m, 2H), 1.90-1.87(m, 2H), 1.69-1.67(m, 2H), 1.66(d, 3H)。
【0202】
単一立体配置の化合物(比較的長い保持時間)(15 mg、14.5%)
MS m/z (ESI): 518.1 [M+1]。
【0203】
HPLC分析:保持時間11.89分間、純度:97.2%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)/アセトニトリル、勾配配合比:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)30%~95%)。
【0204】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ) δ 8.30(s, 1H), 7.63(t, 1H), 7.50(t, 1H), 7.27(t, 1H), 7.03(t, 1H), 5.83(q, 1H), 3.17(s, 3H), 2.98-2.97(m, 1H), 2.95(s, 3H), 2.60-2.53(m, 2H), 2.30(s, 3H), 2.05-2.00(m, 2H), 1.91-1.88(m, 2H), 1.73-1.67(m, 2H), 1.66(d, 3H)。
【0205】
実施例15
(R)-4-(4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-N,N-ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド 15
化合物13(50 mg、100 μmol)をメタノール(5 mL)に溶け、10%のパラジウム炭素触媒(20 mg)を加え、水素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮した後に分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物15(5 mg)を得て、収率:10%であった。
MS m/z (ESI): 502.0 [M+1]。
【0206】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ) δ 8.13(s, 1H), 7.62(t, 1H), 7.50(t, 1H), 7.27(t, 1H), 7.03(t, 1H), 5.81(q, 1H), 3.14(s, 3H), 3.08-3.06(m, 1H), 2.98(s, 3H), 2.95-2.91(m, 1H), 2.35(s, 3H), 2.05-1.98(m, 4H), 1.82-1.79(m, 4H), 1.67(d, 3H)。
【0207】
実施例16
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-ジフルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-6-モルホリノピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 16
化合物2c(50 mg、117 μmol)、モルホリン(30 mg、351 μmol)を5 mLのジメチルスルホキシドに溶け、ヨウ化第一銅(22 mg、117 μmol)、L-プロリン(13 mg、117 μmol)、リン酸カリウム(74 mg、351 μmol)を加え、窒素ガスで系を置換し、110℃で16時間撹拌しながら反応させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した後に分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物16(20 mg)を得て、収率:39%であった。
MS m/z (ESI): 434.0 [M+1]。
【0208】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 7.60-7.56 (m, 2H), 7.49-7.47 (m, 1H), 7.26-7.23 (m, 1H), 7.02 (t, 1H), 5.81 (q, 1H), 3.90-3.88 (m, 4H), 3.23-3.19 (m, 4H), 2.34 (s, 3H), 1.67 (d, 3H)。
【0209】
実施例17
(R)-3-(4-(4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)ピぺリジン-1-イル)-3-オキソプロパンニトリル 17
ステップ1
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン塩酸塩 17b
化合物4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボン酸tert-ブチル17a(1 g、3.23 mmol、上海畢得)を4 Nの塩酸1,4-ジオキサン溶液に溶け、3時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮して粗生成物17b(790 mg)を得て、収率:99.4%であり、生成物を精製せずに、そのまま次の反応に用いた。
MS m/z (ESI): 210.1 [M+1]。
【0210】
ステップ2
3-オキソ-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)プロパンニトリル 17c
化合物17b(789 mg、3.23 mmol)、シアン酢酸(302mg、3.55 mmol、J&K)をN,N-ジメチルホルムアミド(20 mL)に溶け、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.47g、3.86 mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.25 g、9.67 mmol)を順に加え、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離液系Aで精製し、表題化合物17c(800 mg)を得て、収率:89%であった。
MS m/z (ESI): 277.2 [M+1]。
【0211】
ステップ3
(R)-3-(4-(4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)-3-オキソプロパンニトリル 17d
化合物2c(70 mg、163.8 μmol)、化合物17c(90 mg、325.9 μmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体(13 mg、15.9 μmol)及び無水炭酸ナトリウム(34 mg、320.8 μmol)を5 mLのジオキサンと1 mLの水に溶け、窒素ガスで3回置換し、80℃でマイクロ波により1時間反応させた。室温に冷却し、珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物17d(80 mg)を得て、収率:98.3%であった。
MS m/z (ESI): 497.1[M+1]。
【0212】
ステップ4
(R)-3-(4-(4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)ピぺリジン-1-イル)-3-オキソプロパンニトリル 17
化合物17d(100 mg、201.4 μmol)をメタノール(10 mL)に溶け、10%のパラジウム炭素触媒(20 mg)を加え、水素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮した後に分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物17(10 mg)を得て、収率:10%であった。
MS m/z (ESI): 499.1 [M+1]。
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 8.15 (s, 1H), 7.57 (t, 1H), 7.47 (t, 1H), 7.23 (t, 1H), 7.00 (t, 1H), 5.76 (qd, 1H), 4.71- 4.66 (m, 2H), 3.90 (ddd, 1H), 3.37 - 3.32 (m, 1H), 3.28 (d, 1H), 3.12 (tt, 1H), 2.83 (td, 1H), 2.33 (d, 3H), 2.10 - 2.00 (m, 1H), 1.98 - 1.91 (m, 1H), 1.73-1.61 (m, 5H)。
【0213】
実施例18
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1s,4S)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 18-p1
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1r,4R)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 18-p2
ステップ1
(E)-3-(4-アミノ-6-クロロ-2-メチルピリミジン-5-イル)アクリル酸メチル 18a
化合物9a(5.8 g、33.8 mmol)、メトキシホルミルメチレントリフェニルホスフィン(11.3 g、33.8 mmol、上海畢得)をテトラヒドロフラン(100 mL)に溶け、70℃で2時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離液系Aで精製し、表題化合物18a(6 g)を得て、収率:78%であった。
MS m/z (ESI): 228.2 [M+1]。
【0214】
ステップ2
(R,E)-3-(4-アミノ-6-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリミジン-5-イル)アクリル酸メチル 18b
化合物18a(1 g、4.39 mmol)、化合物2a(1.09 g、4.83 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.7 g、13.1 mmol)を2 mLのジメチルスルホキシドに溶け、マイクロ波により130℃で5時間反応させた。冷却し、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出(20 mL×3)し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、表題化合物18b(1.5 g)の粗生成物を得て、収率:89.8%であり、精製せずにそのまま次の反応に用いた。
MS m/z (ESI): 381.1 [M+1]。
【0215】
ステップ3
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 18c
化合物18b(1.5 g、3.94 mmol)をメタノール(30 mL)に溶け、ナトリウムメトキシド(425 mg、7.88 mmol)を加え、3時間還流反応させた。反応液を減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離液系Cで精製し、表題化合物18c(0.9 g)を得て、収率:65.5%であった。
MS m/z (ESI): 349.2 [M+1]。
【0216】
ステップ4
(R)-6-ブロモ-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 2c
化合物18c(1.8 g、5.16 μmol)をテトラヒドロフラン(50 mL)に溶け、N-ブロモスクシンイミド(1.38 g、7.75 mmol)を加え、40℃で2時間反応させた。反応液を室温に降温し、飽和チオ硫酸ナトリウムを加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出(20 mL×3)し、有機相を合わせ、減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物2c(1.1 g)を得て、収率:49.8%であった。
MS m/z (ESI): 428.2 [M+1]。
【0217】
ステップ5
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(4-ヒドロキシシクロヘキシル-1-エン-1-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 18d
化合物2c(850 mg、1.98 mmol)、化合物4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)シクロヘキサ-3-エノール(891.7 mg、3.98 mmol、上海韶遠)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体(162.3 mg、198.9 μmol)と無水炭酸ナトリウム(421.7 mg、3.98 mmol)を5 mLのジオキサンと1 mL水に溶け、窒素ガスで3回置換し、80℃で14時間反応させた。室温に冷却し、珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物18d(550 mg)を得て、収率:62.1%であった。
MS m/z (ESI): 445.2[M+1]。
【0218】
ステップ6
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1s,4S)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 18-p1
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1r,4R)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 18-p2
化合物18d(100 mg、224.9 μmol)をジクロロメタン(0.5 mL)とイソプロパノール(5 mL)に溶け、トリス(ジバロイルメタン)マンガン(40.8 mg、67.4 μmol)、フェニルシラン(73 mg、674 μmol)を加え、酸素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮し、残留物を分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物18-p1(16 mg)と18-p2(20 mg)を得て、収率:15.3%、19.2%であった。
【0219】
単一立体配置の化合物18-p1(比較的短い保持時間)(16 mg、15.3%)
【0220】
MS m/z (ESI): 463.1 [M+1]。
HPLC分析:保持時間11.2分間、純度:98.5%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)/アセトニトリル、勾配配合比:水(10 mMの炭酸水素アンモニウム)30%~50%)。
【0221】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 8.35 (s, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.25 (t, 1H), 7.14-6.92 (t, 1H), 5.81 (q, 1H), 3.67 (tt, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.19 (td, 2H), 1.95-1.81 (m, 6H), 1.66 (d, 3H)。
【0222】
単一立体配置の化合物18-p2(比較的長い保持時間)(20 mg、19.2%)
MS m/z (ESI): 463.1 [M+1]。
【0223】
HPLC分析:保持時間12.1分間、純度:99.2%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)/アセトニトリル、勾配配合比:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)30%~50%)。
【0224】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 8.30 (s, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.48 (t, 1H), 7.25 (t, 1H), 7.14-6.92 (t, 1H), 5.81 (q, 1H), 4.06 (s, 1H), 2.34 (d, 5H), 2.09 (t, 2H), 1.83 (s, 2H), 1.68 (dd, 5H)。
【0225】
実施例19
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(4-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 19
実施例12における合成経路により、ステップ1の原料化合物1-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)エタノンを化合物2-(3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(上海畢得)に置き換え、表題化合物19(38 mg)を製造して得られ、収率:77.6%であった。
MS m/z (ESI): 449.1 [M+1]。
【0226】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 8.34(s, 1H), 7.62-7.59 (m, 1H), 7.50-7.48 (m, 1H), 7.27-7.24 (m, 1H), 7.13-6.92 (t, 1H), 5.83-5.79 (m, 1H), 4.02-3.97 (m, 2H), 3.87-3.84 (m, 2H), 2.42-2.37 (m, 2H), 2.36 (s, 3H), 1.82-1.80 (m, 2H),1.67-1.66 (d, 3H)。
【0227】
実施例20
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(1-(2-メトキシアセチル)ピぺリジン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 20
ステップ1
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(1-(2-メトキシアセチル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン20a
実施例17における合成経路により、ステップ2の原料化合物であるシアン酢酸を化合物であるメトキシ酢酸に置き換え、表題化合物20a(90 mg)を製造して得られ、収率:87.5%であった。
MS m/z (ESI): 502.1 [M+1]。
【0228】
ステップ2
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(1-(2-メトキシアセチル)ピぺリジン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 20
化合物20a(80 mg、179.4 μmol)をメタノール(10 mL)に溶け、10%のパラジウム炭素触媒(20 mg)を加え、水素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ液を減圧濃縮した後に分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物20(15 mg)を得て、収率:16.5%であった。
MS m/z (ESI): 504.1 [M+1]。
【0229】
1H NMR (400 MHz, CD3OD ): 8.15 (s, 1H), 7.60-7.59 (m, 1H), 7.50-7.49 (m, 1H), 7.26-7.23 (m, 1H), 7.13-7.03 (m, 1H), 5.80 (q, 1H), 4.72-4.70 (m, 1H), 4.60 (s, 2H), 4.26-4.20 (m, 2H), 4.04-4.01 (m, 1H), 3.37 (s, 3H), 3.17-3.12 (m, 2H), 2.83-2.78 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.04-1.96 (m, 2H), 1.66 (d, 3H)。
【0230】
実施例21
(R)-3-(4-(4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-4-ヒドロキシピぺリジン-1-イル)-3-オキソプロパンニトリル 21
化合物17d(130 mg、261.8 μmol)をジクロロメタン(0.5 mL)とイソプロパノール(5 mL)に溶け、マンガンアセチルアセトナート(31.6 mg、52.3 μmol)、フェニルシラン(56.6 mg、523.6 μmol)を加え、酸素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を濃縮した後、分取高速液体クロマトグラフィーにより得られた表題化合物21(20 mg)を精製して、収率:14.8%であった。
MS m/z (ESI): 515.2 [M+1]。
【0231】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 8.37 (s, 1H), 7.60 (t, 1H), 7.48 (t, 1H), 7.25 (t, 1H), 7.01 (t, 1H), 5.80 (q, 1H), 4.61 (s, 2H), 4.52-4.43 (m, 1H), 3.72-3.64 (m, 2H), 3.22 (td, 1H), 2.38 (dd, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.32 (dt, 1H), 1.93 (dt, 1H), 1.84 (ddt, 1H), 1.66 (d, 3H)。
【0232】
実施例22
rac-(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(1-(2-フルオロアセチル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 22
ステップ1
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(1-(2-フルオロアセチル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン22a
実施例17における合成経路により、ステップ2の原料化合物であるシアン酢酸を化合物であるフルオロ酢酸(European Journal of Organic Chemistry, 2014, 2014, 12, 2451-2459)に置き換え、表題化合物22a(120 mg)を製造して得られ、収率:87.5%であった。
MS m/z (ESI): 490.1 [M+1]。
【0233】
ステップ2
rac-(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-(1-(2-フルオロアセチル)-4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 22
化合物22a(120 mg、245.2 μmol)をジクロロメタン(0.5 mL)とイソプロパノール(5 mL)に溶け、マンガンアセチルアセトナート(74.1 mg、122.5 μmol)、フェニルシラン(53 mg、490 μmol)を加え、酸素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を濃縮した後、分取高速液体クロマトグラフィーにより得られた表題化合物22(20 mg)を精製して、収率:16%であった。
MS m/z (ESI): 508.2 [M+1]。
【0234】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 8.44 (d, 1H), 7.68 (t, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.36-7.28 (m, 1H), 7.18 (d, 1H), 5.76 (t, 1H), 5.56 (s, 1H), 5.36-5.01 (m, 2H), 4.30 (d, 1H), 3.42 (s, 2H), 3.01 (s, 1H), 2.27 (s, 3H), 2.00 (d, 1H), 1.57 (d, 3H), 1.27 (d, 2H)。
【0235】
実施例23
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1,1-ジオキシテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)オキシ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 23
ステップ1
2-((1,1-ジオキシテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)オキシ)酢酸エチル 23b
化合物4-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-チオピラン1,1-二酸化物 23a(1 g、6.65 mmol、上海畢得)をテトラヒドロフラン(20 mL)に溶け、氷浴下で水素化ナトリウム(399.4 mg、9.98 mmol)を加え、温度を保持して0.5時間撹拌し、更にブロモ酢酸エチル(1.1 g、6.65 mmol)を加え、自然に室温まで昇温して14時間反応させ、反応液に水を加えてクエンチし、ジクロロメタンで抽出(20 mL×3)し、有機相を合わせて減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物23b(200 mg)を得て、収率:12.7%であった。
MS m/z (ESI): 237.2 [M+1]。
【0236】
ステップ2
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1,1-ジオキシテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)オキシ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 23
実施例9における合成経路により、ステップ2の原料化合物9bを化合物23bに置き換え、ステップ3の原料化合物1eを化合物2aに置き換え、表題化合物23(5 mg)を製造して得られ、収率:11.5%であった。
MS m/z (ESI): 497.2 [M+1]。
【0237】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.59 (s, 1H), 7.51 (t, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.23 (t, 1H), 6.93 (t, 1H), 5.79 (s, 1H), 5.00 (s, 1H), 3.48 (td, 2H), 3.00 (d, 2H), 2.53 (s, 3H), 2.48 (s, 2H), 2.39 (t, 2H), 1.73 (d, 3H)。
【0238】
実施例24
6-(((S)-1-アセチルピロリジン-3-イル)オキシ)-4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 24
ステップ1
(R)-1-アセチルピロリジン-3-イル4-メチルベンゼンスルホナート 24b
(R)-1-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)エタノン24a(1 g、7.74 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(95 mg、0.77 mmol)、トリエチルアミン(1.5 g、14.8 mmol)を20 mLのジクロロメタンに溶け、4-トルエンスルホニルクロリド(1.7 g、8.9 mmol)を加え、3時間撹拌しながら反応させ、反応液を減圧濃縮した後、残留物をカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物24b(800 mg)を得て、収率36.4%であった。
MS m/z (ESI): 284.0 [M+1]。
【0239】
ステップ2
6-(ベンジルオキシ)-4-クロロ-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 24c
化合物9a(300 mg、1.74 mmol)、化合物2-ベンジルオキシ酢酸エチル(425 mg、2.18 mmol、上海韶遠)を5 mLのテトラヒドロフランに溶け、カリウムtert-ブトキシド(246 mg、2.19 mmol)を加え、3時間還流反応させた。室温に冷却し、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出(10 mL×3)し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物24c(200 mg)を得て、収率:37.9%であった。
MS m/z (ESI): 302.1 [M+1]。
【0240】
ステップ3
(R)-6-(ベンジルオキシ)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 24d
化合物24c(200 mg、662.8 μmol)、化合物2a(130 mg、687.2 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(172 mg、1.33 mmol)を2 mLのジメチルスルホキシドに溶け、マイクロ波により120℃で2時間反応させた。冷却し、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出(10 mL×3)し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物24d(210 mg)を得て、収率:69.7%であった。
MS m/z (ESI): 455.1 [M+1]。
【0241】
ステップ4
(R)-(6-(ベンジルオキシ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)(1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)カルバミン酸tert-ブチル 24e
化合物24d(180 mg、396 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(50 mg、0.40 mmol)を10 mLのジクロロメタンに溶け、二炭酸ジ-tert-ブチル(100 mg、0.45 mmol)を加え、14時間撹拌しながら反応させ、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出(10 mL×3)し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物24e(100 mg)を得て、収率:45.5%であった。
MS m/z (ESI): 555.2 [M+1]。
【0242】
ステップ5
(R)-(1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)(6-ヒドロキシ-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)カルバミン酸tert-ブチル 24f
化合物24e(100 mg、180.3 μmol)をメタノール(10 mL)に溶け、10%のパラジウム炭素触媒(20 mg)を加え、水素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を珪藻土でろ過し、ろ液を濃縮乾燥させた後に表題化合物24f(80 mg)を得て、収率:95.5%であった。
MS m/z (ESI): 465.1 [M+1]。
【0243】
ステップ6
(6-(((S)-1-アセチルピロリジン-3-イル)オキシ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)カルバミン酸tert-ブチル 24g
化合物24f(80 mg、172.2 μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(5 mL)に溶け、炭酸カリウム(24 mg、173.6 mmol)と24b(45 mg、158.8 μmol)を加え、60℃に加熱して1時間反応させた。冷却し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Aで精製して表題化合物24g(50 mg)を得て、収率:50.4%であった。
MS m/z (ESI): 576.0 [M+1]。
【0244】
ステップ7
6-(((S)-1-アセチルピロリジン-3-イル)オキシ)-4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 24
【0245】
化合物24g(50 mg、86.8 μmol)を2 mLのジクロロメタン溶剤に溶け、1 mLのトリフルオロ酢酸を加え、2時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮した後、残留物を5 mLのジクロロメタンと1 mLのメタノールにより溶け、固体炭酸水素ナトリウムを加え、10分間撹拌した後、pHを塩基性に調整し、ろ過濃縮した後、分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物24(3.2 mg)を得て、収率:7.7%であった。
MS m/z (ESI): 476.2 [M+1]。
【0246】
1H NMR (500 MHz, CD3OD ): δ 7.90-7.88 (m, 1H), 7.67-7.64 (m, 1H), 7.54-7.51 (m, 1H), 7.30-7.27 (m, 1H), 7.13-6.91 (t, 1H), 5.87-5.86 (m, 1H), 5.23-5.16 (m, 1H), 3.95-3.57 (m, 4H), 2.47 (s, 3H), 2.46-2.14 (m, 2H), 2.13-2.11 (d, 3H), 1.73-1.71 (d, 3H)。
【0247】
実施例25
rac-4-(((R)-1-(3,3-ジフルオロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)エチル)アミノ)-6-((1s,4S)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 25-p1
rac-4-(((R)-1-(3,3-ジフルオロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)エチル)アミノ)-6-((1r,4R)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 25-p2
実施例18における合成経路により、ステップ2の原料化合物2aを化合物rac-(R)-1-(3,3-ジフルオロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)エチルアミン塩酸塩(特許出願「US20190194192A1」における明細書の第105ページの実施例B-5に開示された方法により調製されて得られた)に置き換え、表題化合物25-p1(8 mg)と25-p2(15 mg)を製造して得られ、収率:3.8%であり、7.2%であった。
【0248】
単一立体配置の化合物25-p1(比較的短い保持時間)(8 mg、3.8%)
MS m/z (ESI): 473.1 [M+1]。
【0249】
HPLC分析:保持時間10.5分間、純度:98.5%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)/アセトニトリル、勾配配合比:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)30%~50%)。
【0250】
H NMR (400 MHz, CD3OD): 8.31 (s, 1H),7.52-7.42 (m, 2H), 7.08-7.05 (m, 1H), 5.73 (q, 1H), 4.74 (t, 2H), 3.68-3.63 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.23-2.20(m, 2H), 1.91-1.84 (m, 6H), 1.64(d, 3H)。
【0251】
単一立体配置の化合物25-p2(比較的長い保持時間)(15 mg、7.2%)
MS m/z (ESI): 473.1 [M+1]。
HPLC分析:保持時間11.3分間、純度:99.2%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)/アセトニトリル、勾配配合比:水(10 mmol/Lの炭酸水素アンモニウム)30%~50%)。
【0252】
1H NMR (400 MHz, CD3OD): 8.27 (s, 1H),7.52-7.42 (m, 2H), 7.08-7.05 (m, 1H), 5.74 (q, 1H), 4.74 (t, 2H), 4.06-4.05 (m, 1H), 2.37-2.30 (m, 5H), 2.12-2.06 (m, 2H), 1.82-1.64(m, 7H)。
【0253】
実施例26
rac-(R)-6-((1-アセチルアゼチジン-3-イル)オキシ)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 26
ステップ1
3-(2-メトキシ-2-オキソエトキシ)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル 26b
3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル26a(1 g、5.77 mmol、上海畢得)をテトラヒドロフラン(20 mL)に溶け、氷浴下で水素化ナトリウム(132.7 mg、5.77 mmol)を加え、温度を保持して0.5時間攪拌し、更にブロモ酢酸エチル(883.2 g、5.77 mmol)を加え、自然に室温に昇温して14時間反応させ、反応液に水を加え、ジクロロメタンで抽出(20 mL×3)し、有機相を合わせて減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより溶離剤系Cで精製して表題化合物26b(1 g)を得て、収率:70.6%であった。
MS m/z (ESI): 246.2 [M+1]。
【0254】
ステップ2
(R)-3-((4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)オキシ)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル26c
実施例9における合成経路により、ステップ2の原料化合物9bを化合物26bに置き換え、ステップ3の原料化合物1eを化合物2aに置き換え、表題化合物26c(200 mg)を製造して得られ、収率:39.2%であった。
MS m/z (ESI): 520.2 [M+1]。
【0255】
ステップ3
(R)-6-(アゼチジン-3-オキシ)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 26d
化合物26c(53 mg、102 μmol)を2 mLのジクロロメタン溶剤に溶け、1 mLのトリフルオロ酢酸を加え、2時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮した後に粗生成物26d(40 mg)を得て、収率:93.5%であり、生成物を精製せずに、そのまま次の反応に用いた。
MS m/z (ESI): 420.2 [M+1]。
【0256】
ステップ4
rac-(R)-6-((1-アセチルアゼチジン-3-イル)オキシ)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 26
化合物26d(20 mg、47.68 μmol)と酢酸無水物(4.9 mg、47.68 μmol)を2 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶け、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(35.9 mg、152.6 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(19.7 mg、152.6 mmol)を順に加え、2時間撹拌しながら反応させた。反応液を減圧濃縮した後、分取高速液体クロマトグラフィーにより精製して表題化合物26(10 mg)を得て、収率:45.4%であった。
MS m/z (ESI): 462.2 [M+1]。
【0257】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.54 (q, 1H), 7.51-7.46 (m, 1H), 7.24-7.13 (m, 2H), 6.63 (t, 1H), 5.78 (tt, 1H), 5.10 (dddd, 1H), 4.52 (dt, 1H), 4.43 (ddd, 2H), 4.07 (d, 1H), 2.49 (s, 3H), 1.91 (d, 3H), 1.64 (t, 3H)。
【0258】
実施例27
(R)-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1-(2-フルオロアセチル)アゼライン酸-3-イル)オキシ)-2-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 27
実施例26における合成経路により、ステップ4の原料化合物である酢酸無水物を2-フルオロ酢酸に置き換え、表題化合物27(10 mg)を製造して得られ、収率:27.3%であった。
MS m/z (ESI): 480.2 [M+1]。
【0259】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.57-7.46 (m, 2H), 7.25-7.13 (m, 1H), 7.10-6.80 ( m, 2H), 6.16-5.94 (m, 1H), 5.84-5.67 (m, 1H), 5.22-5.10 (m, 1H), 4.97-4.74 (m, 2H), 4.74-4.58 (m, 1H), 4.56-4.35 (m, 2H), 4.25-4.10 (m, 1H), 2.47 (s, 3H).1.7-1.62 (m,3H)。
【0260】
実施例28
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1s,4S)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2,8-ジメチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 28-p1
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1r,4R)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2,8-ジメチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 28-p2
ステップ1
(R)-6-ブロモ-4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2,8-ジメチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 28a
実施例1における合成経路により、ステップ1の原料化合物である4-メトキシベンジルアミンをメチルアミノ塩酸塩に置き換え、ステップ4の原料化合物1eを化合物2aに置き換え、表題化合物28a(440 mg)を製造して得られ、収率:95.9%であった。
MS m/z (ESI): 441.2 [M+1]。
【0261】
ステップ2
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1s,4S)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2,8-ジメチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 28-p1
4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-6-((1r,4R)-1,4-ジヒドロキシシクロヘキシル)-2,8-ジメチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン 28-p2
実施例18におけるステップ5とステップ6の合成経路により、ステップ5の原料化合物2cを28aに置き換えて表題化合物28-p1(17 mg)、28-p2(10 mg)を製造して得られ、収率:4.8%、2.8%であった。
【0262】
単一立体配置の化合物28-p1(比較的短い保持時間)(17 mg、4.8%)
MS m/z (ESI): 477.2 [M+1]。
【0263】
HPLC分析:保持時間11.3分間、純度:98.5%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:A-水(10 mMの炭酸水素アンモニウム) B-アセトニトリル、勾配配合比:A 20%~55%)。
【0264】
1H NMR (500 MHz, Methanol-d4): δ 8.22 (s, 1 H), 7.50 (t, 1 H), 7.38 (t, 1 H), 7.14 (t, 1 H), 6.92 (t, 1 H), 5.71 (q, 1 H), 3.66-3.51 (m,4 H), 2.30 (s, 3 H), 2.11-2.07 (m, 2 H), 1.89-1.70 (m, 6 H), 1.56 (d, 3 H)。
【0265】
単一立体配置の化合物28-p2(比較的長い保持時間)(10 mg、2.8%)
MS m/z (ESI): 477.2 [M+1]。
【0266】
HPLC分析:保持時間13.1分間、純度:97.2%(カラム:SharpSil-T、Prep 30*150 mm、5 μm、移動相:A-水(10 mMの炭酸水素アンモニウム) B-アセトニトリル、勾配配合比:A 20%~55%)。
【0267】
1H NMR (500 MHz, Methanol-d4): δ 8.28 (s, 1 H), 7.60 (t, 1 H), 7.49 (t, 1 H), 7.25 (t, 1 H), 7.02 (t, 1 H), 5.82 (q, 1 H), 4.07 (t, 1 H), 3.72 (s, 3 H), 2.41 (s, 3 H), 2.32 (qd, 4 H), 2.15-2.01 (m, 4 H), 1.67 (d, 3 H)。
【0268】
実施例29
(R)-4-(4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-4-ヒドロキシ-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド 29
ステップ1
4-(4-(((R)-1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-N-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボキサミド 29a
実施例13における合成経路により、ステップ2の原料化合物であるジメチルアミノ塩酸塩を化合物であるメチルアミノ塩酸塩に置き換え、表題化合物29a(40 mg)を製造して得られ、収率:35.1%であった。
MS m/z (ESI): 486.2 [M+1]。
【0269】
ステップ2
(R)-4-(4-((1-(3-(ジフルオロメチル)-2-フルオロフェニル)エチル)アミノ)-2-メチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-6-イル)-4-ヒドロキシ-N-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド 29
化合物29a(40 mg、82.3 μmol)をジクロロメタン(0.5 mL)とイソプロパノール(5 mL)に溶け、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプテン酸)マンガン(15 mg、24.7 μmol)、フェニルシラン(26.7 mg、247.1 μmol)を加え、酸素ガスで3回置換し、16時間撹拌しながら反応させた。反応液を濃縮した後、分取高速液体クロマトグラフィーにより得られた表題化合物29(3 mg)を精製して、収率:7.2%であった。
MS m/z (ESI): 504.2 [M+1]。
【0270】
1H NMR (500 MHz, Methanol-d4): δ 8.28 (s, 1H), 7.61 (t, 1H), 7.49 (t, 1H), 7.26 (t, 1H), 7.19-6.84 (t, 1H), 5.81 (q, 1H), 2.75 (s, 3H), 2.54-2.40 (m, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.20 (d, 1H), 2.13-2.02 (m, 2H), 1.92 (d, 1H), 1.84 (dd, 2H), 1.74 (d, 1H), 1.67 (d, 3H)。
【0271】
試験例:
生物学的評価
試験例1、本開示に係る化合物によるKRASタンパク質の各アイソフォームG12D又はG12VとSOS1タンパク質との間の相互作用への阻害能力である。
【0272】
以下の方法により、化合物によるKRASタンパク質の各アイソフォームG12D又はG12VとSOS1タンパク質との間の相互作用への阻害能力を測定した。実験方法については、以下のように簡単に説明する。
【0273】
一、実験の材料と機器
ビオチン標識試薬キット(Dojindo、LK03)
GDP(SIGMA,G7127)
AlphaLISAグルタチオンアクセプタービーズ(Glutathione Acceptor Beads)(PerkinElmer、AL109C)
AlphaScreenストレプトアビジンドナービーズ(Streptavidin Donor Beads)(PerkinElmer、6760002S)
384ウェルマイクロプレート(PerkinElmer、6007290)
BSA(上海生工、A600332-0100)
ツイーン20(Diamond、A100777-0500)
GST-TEV-SOS1(564-1049)(維亜生物科技、SOS1-191010)
KRas G12D及びKrasG12V(上海磐超生物科技有限公司により製造・提供された)
リン酸塩緩衝液(PBS)pH7.4(上海源培生物科技有限公司、B320)。
多機能マイクロプレートリーダー(PerkinElmer、Envision)
【0274】
二、実験の手順
実験の準備:
1. 実験開始前に、まず実験用緩衝液:1 x PBS+0.1%のBSA+0.05%のツイーン20を調製した。
2. KRAS G12D及びKRAS-G12Vタンパク質をビオチン標識試薬キットによりビオチンで標識した。
実験の手順:
1. まず、ビオチンで標識されたKRAS G12D又はKRAS G12Vタンパク質をそれぞれSOS1タンパク質及びGDPと混合してインキュベートして使用に備えた。
2. AlphaLISAグルタチオンアクセプタービーズ及びAlphaScreenストレプトアビジンドナービーズを使用前に1:1で40 μg/mLに混合して使用に備えた。
3. 化合物を実験用緩衝液で初期濃度が40 μMになるように調製し、5倍勾配希釈し、10個の勾配系列の濃度ポイントであった。
4. 384ウェルマイクロプレートにおいて、それぞれのウェルにKRAS G12D又はKRAS G12Vタンパク質とSOS1及びGDPとの混合物10 μL及び希釈された化合物5 μLを加え、室温下で、暗所で30分間インキュベートした。
5. その後、それぞれのウェルにAlphaLISAグルタチオンアクセプタービーズとAlphaScreenストレプトアビジンドナービーズとの混合物5 μLを加え、室温下で、暗所で60分間インキュベートした。
6. 多機能マイクロプレートリーダーにて蛍光値を読み取った。
7. Graphpad Prismにより化合物のIC50値を算出した。
【0275】
三、実験のデータ
本開示に係る化合物によるKRASタンパク質の各アイソフォームG12D又はG12VとSOS1タンパク質との間の相互作用への阻害能力について、測定されたIC50は、表1に示されている。
【0276】
【表4】
結論:本開示に係る化合物は、KRASタンパク質の各アイソフォームG12D又はG12VとSOS1タンパク質との間の相互作用を非常に良く阻害することができる。
【0277】
試験例2:H358細胞におけるERKリン酸化への阻害実験の生物学的評価
一、試験の目的
本実験は、化合物による細胞ERKリン酸化への阻害作用を検出することにより、IC50の大きさに基づき、本開示に係る化合物によるKRAS標的(G12C突然変異を含む)への阻害作用を評価した。
【0278】
二、実験の方法
H358細胞(ATCC、CRL-5807)を、10%のウシ胎児血清を含むRPMI1640(Hyclone、SH30809.01)完全培地で培養した。実験の初日に、完全培地を使用してH358細胞を25,000個/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、それぞれのウェルに190 μLの細胞懸濁液であり、37℃、5%のCO2の細胞インキュベーターに入れて一晩培養した。翌日、それぞれのウェルに、完全培地で調製されて勾配希釈された測定待ちの化合物10 μLを加え、化合物の最終濃度が10 μMから5倍勾配希釈した9個の濃度ポイントであり、0.1%のDMSOを含むブランク対照を設置し、ウェルプレートを37℃、5%のCO2の細胞インキュベーターに入れて1時間インキュベートした。1時間後、96ウェルの細胞培養プレートを取り出し、培地を吸引除去し、それぞれのウェルに200 μLのPBS(上海源培生物科技有限公司、B320)を加えて1回洗浄した。PBSを吸引除去し、それぞれのウェルにブロッキング液(blocking reagent、Cisbio、64KB1AAC)を含む溶解緩衝液(lysis buffer、Cisbio、64KL1FDF)50 μLを加え、ウェルプレートを振とう機に置いて室温で40分間振とうしながら溶解した。溶解した後、ピペットによりピペッティングして均一に混合し、各ウェルからそれぞれ16 μLの溶解液を2つのHTRF 96ウェル検出プレート(Cisbio、66PL96100)に移転した後、2つのプレートにそれぞれ予備混合されたphospho-ERK1/2抗体溶液(Cisbio、64AERPEG)4 μL又は予備混合されたtotal-ERK1/2抗体溶液(Cisbio、64NRKPEG)4 μLを加えた。マイクロプレートをプレートシーリングフィルムで密閉し、マイクロプレート遠心分離機にて1分間遠心分離し、室温下、暗所で一晩インキュベートした。3日目に、PHERAstar多機能マイクロプレートリーダー(BMG Labtech、S/N 471-0361)により、337 nmの波長で励起した、665 nmと620 nm波長での発光の蛍光値を読み取った。
【0279】
三、データの分析
ソフトウェアGraphpad Prismにより、化合物の濃度とpERK/total ERKの比率に基づき、化合物の阻害活性のIC50値を算出し、結果は下表2を参照する。
【0280】
【表5】
結論:本開示に係る化合物は、H358細胞におけるERKリン酸化に非常に良い阻害活性を有する。
【0281】
試験例3:H358細胞増殖阻害実験の生物学的評価
一、試験の目的
本開示に係る化合物によるH358細胞への増殖阻害作用を試験することにより、本開示に係る化合物によるKRAS標的(G12C突然変異を含む)への阻害作用を評価した。
【0282】
二、実験の方法
H358細胞(ATCC、CRL-5807)を完全培地、即ち、10%のウシ胎児血清(Corning、35-076-CV)を含むRPMI1640培地(Hyclone、SH30809.01)で培養した。実験の初日に、完全培地を使用してH358細胞を1500個/ウェルの密度で96ウェル低吸着プレート(Corning、CLS7007-24EA)に播種し、それぞれのウェルに90 μLの細胞懸濁液であり、2000 rpmで室温下で5分間遠心分離した後、37℃、5%のCO2の細胞インキュベーターに入れて一晩培養した。翌日、それぞれのウェルに、完全培地で調製されて勾配希釈された測定待ちの化合物10 μLを加え、化合物の最終濃度が10 μMから5倍勾配希釈した9個の濃度ポイントであり、0.1%のDMSOを含むブランク対照を設置し、ウェルプレートを37℃、5%のCO2の細胞インキュベーターに入れて120時間培養した。7日目に、96ウェル細胞培養プレートを取り出し、それぞれのウェルに50 μLのCellTiter-Glo(登録商標) 3D Reagent(Promega、G9682)を加え、室温で25分間振とうした後、吹き吸って均一に混合し、50 μLを取り出して白色不透明な96ウェルプレート(PE、6005290)に移転し、多機能マイクロプレートリーダー(PerkinElmer、VICTOR 3)により発光シグナル値を読み取った。
【0283】
三、データの分析
ソフトウェアGraphpad Prismにより化合物の阻害活性のIC50値を算出し、結果は下記の表3を参照する。
【0284】
【表6】
結論:本開示に係る化合物は、H358細胞の増殖に非常に良い阻害作用を有する。
【0285】
試験例4:本開示に係る化合物によるヒト肝臓ミクロソームCYP450酵素への阻害作用
本開示に係る化合物によるヒト肝臓ミクロソームCYP450酵素への阻害作用は、下記の実験方法により測定された。
【0286】
一、実験の材料と機器
1. リン酸緩衝液(20×PBS、生工から購入された)、
2. NADPH(ACROS,A2646-71-1),
3. ヒト肝ミクロソーム(Corning Gentest、Cat No、452161、Lot No.905002、Donor35)、
4. ABI QTrap 4000液体クロマトグラフ質量分析計(AB Sciex)、
5. ZORBAX Extend-C18、3×50 mm、3.5 μM(米国アジレント社)、
6. CYPプローブ基質。
【0287】
二、実験の手順
1、溶液の調製
1)100 mMのリン酸緩衝液(PBS)の調製
濃度が2000 mMのPBS溶液50 mLを取り、超純水950 mLを加え、1000 mLに希釈し、均一に混合し、更にpH計で溶液のpHを7.4に調整すると、pH7.4のPBS溶液を得て、4℃の冷蔵庫に入れて保存した(保存期間は6カ月である)。
2)NADPH溶液の調製
適量のNADPH粉末を精密に秤量し、PBS緩衝溶液を加えて溶け、濃度が5 mMの溶液に調製し、使用に備えた(使用する時に調製する)。
3)肝臓ミクロソーム溶液の調製
適量のヒト肝臓ミクロソーム原液(濃度が20 mg/mLである)を取り、濃度が7.5 mMのMgCl2溶液を0.25 mg/mLのミクロソーム溶液に希釈し、使用に備えた(使用する時に調製する)。
4)MgCl2溶液の調製
適量のMgCl2粉末を秤量し、PBS溶液で300 mMの原液に調製し、4℃の冷蔵庫に入れて保存し、使用に備えた。適量の当該溶液を精密に秤量し、100 mMのPBS溶液を加えて7.5 mMの作動液に希釈して済んだ(使用する時に調製する)。
5)試験化合物溶液の調製
a. 適量の試験化合物の標準品を精密に秤量し、DMSOを加えて濃度が30 mMの原液に調製し、4℃の冷蔵庫に入れて保存した。
b. 適量の当該原液を精密にピペッティングし、適量のDMSO溶液を加えて濃度が10、3、1、0.3、0.03と0.003 mMの一連の溶液Iに希釈した。適量の上記一連の溶液Iを精密にピペッティングし、適量のアセトニトリルを加えて濃度が3、1、0.3、0.1、0.03、0.003、0.0003 mMの一連の溶液IIに希釈した。適量の上記一連の溶液IIを精密にピペッティングし、適量のPBSを加えて濃度が150、50、15、5、1.5、0.15、0.015 μMの作動液に希釈し、使用に備えた。
6)CYPプローブ基質及び選択的阻害剤の選択
a. プローブ基質原液の調製:適量の各プローブ基質を秤量し、DMSOを加えて原液に調製し、その濃度は下記の表4に示される通りである。
b. プローブ基質作動液の調製:適量のプローブ基質原液を精密にピペッティングし、PBS溶液を加えて200倍希釈し、プローブ基質作動液を得て、その濃度は下記の表4に示される通りである。
【0288】
【0289】
2. 肝臓ミクロソームのインキュベート及び試料の調製
反応系におけるタンパク質の濃度、基質と阻害剤の濃度は、下記の表5に示される通りである。
【0290】
【0291】
3、操作過程
1)ヒト肝臓ミクロソーム溶液(0.25 mg/mL)40 μLを精密にピペッティングし、プローブ基質溶液20 μLと試験化合物溶液20 μLを96ウェルプレートに入れ、37℃の水浴で5分間プレインキュベートした。
2)5分間プレインキュベートした後に取り出し、濃度が5 mMのNADPH溶液20 μLを加え、反応を開始させ、37℃の水浴で30分間インキュベートした。平行サンプルをそれぞれ2部用意した。
3)インキュベートが終了した後、内部標準を含むアセトニトリル溶液250 μLを加えて反応を中止し、800 rpmで10分間振とうした後、3700 rpmで10分間遠心分離し、上清液100 μLを精密にピペッティングしてに蒸留水80 μLを加えて希釈し、そして800 rpmで10分間振とうし、上清液を吸い取ってLC-MS/MS分析を行った。
【0292】
数値をGraphpad Prismで計算して薬剤によるヒト肝臓ミクロソームCYP2C19(S)-メフェニトイン4’-ヒドロキシ化及びCYP3A4Mミダゾラム1-ヒドロキシ化代謝阻害のIC50値を、表6に示すようにそれぞれ得た。
【0293】
【表9】
結論:本開示に係る化合物は、30 μMの濃度範囲において、CYP2C19(S)-メフェニトイン4’-ヒドロキシ化とCYP3A4Mミダゾラム1-ヒドロキシ化代謝部位に基づく代謝薬剤の相互作用を発生させない。
【0294】
試験例5:本開示に係る化合物によるhERGカリウムイオンチャネルへの作用
一、試験の目的
マニュアルパッチクランプ技術を利用してhERGカリウムチャネルでトランスフェクションした安定細胞株において本開示に係る化合物によるhERGカリウム電流への遮断作用を試験した
【0295】
二、試験の方法
1. 細胞の培養
本試験に使用された細胞は、hERG cDNA及び安定発現hERGチャネルでトランスフェクションしたCHO細胞株(デンマークSophion Bioscience社により提供された)であり、細胞継代数はP5であった。細胞は、下記の成分を含む培地において培養された(何れもInvitrogen由来):Ham’s F12培地、10%(v/v)の不活化されたウシ胎児血清、100 μg/mLのハイグロマイシンB、100 μg/mLのジェネティシン。
CHO hERG細胞は、上記培養液を含む培養皿において成長し、37℃で、5%のCO2を含むインキュベーターで培養された。電気生理学実験の24~48時間前に、CHO hERG細胞は、培養皿に置かれた円形ガラス板に移転され、且つ上記と同様の培養液及び培養条件下で成長した。それぞれの円形ガラス板においてCHO hERG細胞の密度は、ほとんどの細胞が独立且つ単一であるという要件に満たさなければならない。
【0296】
【0297】
【0298】
3. 電気生理学記録システム
本実験は、マニュアルパッチクランプシステム(HEKA EPC-10信号増幅器及びデジタル変換システムで、ドイツHEKA Electronicsから購入された)により全細胞電流を記録した。表面にCHO hERG細胞が成長している円形ガラス板は、倒立顕微鏡での電気生理学記録溝に置かれた。記録溝内において、細胞外液で持続的に灌流した(約1分間あたり1 mL)。実験過程は、通常の全細胞パッチクランプ電流記録技術を採用していた。特に断りのない限り、実験は何れも通常の室温下で行われた(~25℃)。細胞は、-80 mVの電圧でクランプされた。細胞のクランプ電圧は、+20 mVに脱分極されることで、hERGカリウムチャネルを活性化し、5秒間後に-50 mVまでクランプすることで、不活性を無くしてテール電流を発生させる。テール電流のピーク値は、hERG電流の大きさの数値として用いられた。上記のステップに記録されたhERGカリウム電流は、記録溝における持続的な細胞外液灌流で安定化されると、薬剤によるhERG電流への阻害作用が安定状態になるまで、試験待ちの薬剤を更に灌流することができる。一般的に、最新の連続的な3つの電流記録線の重なりを、安定状態かどうかを判断する基準としている。安定状態になった後、hERG電流が薬剤を加える前の大きさに回復されるまで、細胞外液で灌流して洗浄した。1つの細胞では1つ又は複数の薬剤、又は、同一種類の薬剤の複数の濃度を試験することができるが、異なる薬剤同士には細胞外液で洗浄する必要がある。Cisapride(シサプリドで、Sigmaから購入された)は、使用される細胞の品質が正常に確保されるように陽性対照として実験に使用された。
【0299】
4. 実験の手順
化合物のIC50を得るために、下記の濃度(30、10、3、1、0.3と0.1 μM)を選択して試験した。試験前に、まず、DMSO(Sigma)で化合物を10 mMのDMSO原液に調製し、そして勾配希釈により3、1、0.3と0.1 mMの原液に希釈し、細胞外液で最終のμM試験濃度に希釈した。30 μMの化合物試験溶液においてDMSOの最終濃度が約0.3%である他に、残りの各濃度の化合物溶液には、DMSOの最終濃度が何れも0.1%であった。陽性対照であるCisapride(シサプリド)の試験濃度は0.1 μMであった。全ての化合物溶液は、化合物が完全に溶けられるように、何れも通常の5~10分間の超音波撹拌と振とうを行った。
試験データは、HEKA Patchmaster(V2x73.2)、Microsoft Excel及びGraphpad Prism 5.0により提供されたデータ分析ソフトウェアにより分析された。
【0300】
5. 試験の結果
本開示に係る化合物によるhERGカリウム電流への遮断作用は、上記の試験により測定され、測定されたIC50値が表9に示されている。
【0301】
【表12】
結論:本開示に係る化合物は、hERGへの抑制作用が低く、hERGチャネルによって引き起された副作用を低下させることができる。
【0302】
試験例6:本開示に係る化合物のマウス体内での薬物動態評価
1、要約
マウスを試験動物として、LC/MS/MS法により、化合物18-p1が胃内(ig)投与されたマウスの異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定した。本開示に係る化合物のマウス体内での薬物動態学的挙動を研究し、その薬物動態学的特徴を評価した。
【0303】
2、試験計画
2.1 試験薬
化合物18-p1
2.2 試験動物
雌のC57マウス9匹であり、維通利華実験動物有限公司から購入され、動物生産ライセンス番号がSCXK(滬)2017-0005であった。
2.3 薬剤の調製
一定量の化合物18-p1を秤量し、5%の体積のDMSO及び5%のツイーン80(上海泰坦科技有限公司)を加えてそれを溶け、そして90%の生理食塩水を加えて0.1 mg/mLの透明溶液に調製した。
2.4 投与
胃内投与:マウスに胃内投与し、投与量が何れも2.0 mg/kg、投与体積が何れも20.0 mL/kgであった。
【0304】
3、操作
マウスに化合物18-p1を胃内投与し、投与前及び投与後の0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、11.0、24.0時間に眼窩から0.1 mL採血し、EDTA-K2抗凝固試験管に入れ、10000 rpmで1分間遠心分離し(4℃で)、1 h内で血漿を分離し、-20℃で保存して試験に備えた。採血から遠心分離までのプロセスは、氷浴条件下で操作された。
【0305】
異なる濃度の薬剤が投与されたマウスの血漿における測定待ちの化合物の含有量を次のように測定した。投与後の各時点でのマウス血漿10 μLを取り、メタノール200 μL(内部標準溶液であるカンプトテシン(100 ng/mL)を含む)を加え、ボルテックスで1分間混合し、10分間(18000回転/分)遠心分離し、血漿試料から上清液3 μLを取ってLC/MS/MS分析を行った。
【0306】
4、薬物動態パラメータの結果
【0307】
【表13】
結論:本開示に係る化合物は、マウス体内で非常に良い薬物動態的吸収活性を有し、薬物動態的優位性を持っている。
【0308】
試験例7:本開示に係る化合物のヌードマウス体内での薬物動態評価
1、要約
ヌードマウスを試験動物として、LC/MS/MS法により、化合物18-p1が胃内(ig)投与されたヌードマウスの異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定した。本開示に係る化合物のヌードマウス体内での薬物動態学的挙動を研究し、その薬物動態学的特徴を評価した。
【0309】
2、試験計画
2.1 試験薬
化合物18-p1
2.2 試験動物
雌で胃内投与されるBALB/Cヌードマウス9匹であり、維通利華実験動物有限公司から購入され、動物生産ライセンス番号がSCXK(滬)2017-0005であった。
2.3 薬剤の調製
一定量の化合物18-p1を秤量し、0.5%の体積のCMCNaを加えてそれを溶け、そして99.5%の生理食塩水を加えて2.5 mg/mLの透明溶液に調製した。
2.4 投与
ヌードマウスに胃内投与し、投与量が何れも50.0 mg/kg、投与体積が何れも20.0 mL/kgであった。
【0310】
3、操作
ヌードマウスに化合物18-p1を胃内投与し、投与前及び投与後の0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、11.0、24.0時間に眼窩から0.1 mL採血し、EDTA-K2抗凝固試験管に入れ、10000 rpmで1分間(4℃)遠心分離し、1 h内に血漿を分離し、-20℃で保存して試験に備えた。採血から遠心分離までのプロセスは、氷浴条件下で操作された。
【0311】
異なる濃度の薬剤が投与されたヌードマウスの血漿における測定待ちの化合物の含有量を次のように測定した。投与後の各時点でのヌードマウスの血漿25 μLを取り、アセトニトリル200 μL(内部標準溶液であるカンプトテシン(100 ng/mL)50 μLを含む)を加え、ボルテックスで5分間混合し、10分間(4000回転/分)遠心分離し、血漿試料から上清液0.5 μLを取ってLC/MS/MS分析を行った。
4、薬物動態パラメータの結果
【0312】
【表14】
結論:本開示に係る化合物は、ヌードマウス体内で非常に良い薬物動態的吸収活性を有し、薬物動態的優位性を持っている。
【0313】
実施例8:本開示に係る化合物のイヌ体内での薬物動態評価
1、要約
イヌを試験動物として、LC/MS/MS法により、化合物18-p1が胃内(ig)投与されたイヌの異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定した。本開示に係る化合物のイヌ体内での薬物動態学的挙動を研究し、薬物動態学的特徴を評価した。
【0314】
2、試験計画
2.1 試験薬
化合物18-p1
2.2 試験動物
ビーグル犬4匹で、雄と雌が半分ずつであり、一晩断食させた。アニマルバンク(999M-004)により提供された。全ての動物は、何れも身体検査に合格した、異常なしで健康なビーグル犬であった。
2.3 薬剤の調製
一定量の化合物18-p1を秤量し、5%の体積のDMSO、20%の体積のPGと20%の体積のPEG400を加えてそれを溶け、そして55%の生理食塩水を加えて0.4 mg/mLの透明溶液に調製した。
2.4 投与
投与量が何れも2.0 mg/kg、投与体積が何れも5.0 mL/kgであった。
【0315】
3、操作
イヌに化合物18-p1を胃内投与し、投与前及び投与後の0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、12.0、24.0時間に頸静脈又は前肢静脈から1.0 mL採血し、EDTA-K2抗凝固試験管に入れ、10000 rpmで5分間(4℃)遠心分離し、1 h内に血漿を分離し、-80℃で保存して試験に備えた。採血から遠心分離までのプロセスは、氷浴条件下で操作された。投与後の3 hに摂食した。
【0316】
異なる濃度の薬剤が投与されたイヌの血漿における測定待ちの化合物の含有量を次のように測定した。投与後の各時点でのイヌ血漿25 μLを採取し、アセトニトリル200 μL(50 μLの内部標準溶液であるカンプトテシン(100 ng/mL)を含む)を加え、ボルテックスで5分間混合し、10分間(4000回転/分)遠心分離し、血漿試料から上清液0.3 μLを取ってLC/MS/MS分析を行った。
【0317】
【0318】
結論:本開示に係る化合物は、イヌ体内で非常に良い薬物動態的吸収活性を有し、薬物動態的優位性を持っている。
【国際調査報告】