(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】低NCOポリイソシアネート組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/72 20060101AFI20230629BHJP
C09D 175/00 20060101ALI20230629BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20230629BHJP
C08G 18/79 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C08G18/72 020
C09D175/00
C08G18/38
C08G18/79
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575315
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 US2021035097
(87)【国際公開番号】W WO2021252220
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516284183
【氏名又は名称】コベストロ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ダニエル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ベスト カート イー.
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J034CA12
4J034CB02
4J034CB07
4J034CC05
4J034CC09
4J034CD06
4J034HA01
4J034HA14
4J034HB07
4J034HC03
4J034RA07
4J038DG061
4J038DG062
4J038DG131
4J038DG271
4J038KA08
4J038KA09
4J038MA14
4J038MA15
4J038NA27
(57)【要約】
ポリイソシアネート組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく1000g/mol~6000g/molの重量平均分子量を有する脂肪族ポリイソシアネート樹脂を含み得る。脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、少なくとも2つの異なる脂肪族ポリイソシアネートのブレンドを含み得て、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して50重量%未満の脂環式ポリイソシアネートを含み得る。ポリイソシアネート組成物は、ISO 11909:2007に基づく2重量%~18重量%のNCO%を有し得る。ポリイソシアネート組成物は、84重量%~100重量%の固形分を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート組成物であって、
ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく1000g/mol~6000g/molの重量平均分子量を有する脂肪族ポリイソシアネート樹脂を含み、ここで、前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、少なくとも2つの異なる脂肪族ポリイソシアネートのブレンドを含み、かつ前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して50重量%未満又はそれと等しい脂環式ポリイソシアネートを含み、かつ、
前記ポリイソシアネート組成物は、ISO 11909:2007に基づく2重量%~18重量%のNCO%を有し、かつ前記ポリイソシアネート組成物の総重量に対して84重量%~100重量%の固形分を含む、ポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、アロファネートを含む、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2.9~4.3の数平均官能価を有する、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく3.5~5の数平均官能価及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2500g/mol~7000g/molの重量平均分子量を有する高官能価脂肪族ポリイソシアネートを、前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して15重量%~100重量%の量で含む、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
前記高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、複数の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含む、請求項4に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項6】
前記高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく4~5の数平均官能価、ISO 11909:2007に基づく14重量%~22重量%のNCO%、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2500g/mol~3800g/molの重量平均分子量を有する第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを、前記高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して15重量%~100重量%の量で含む、請求項4に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項7】
前記高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく3.5~4.5の数平均官能価、ISO 11909:2007に基づく2重量%~10重量%のNCO%、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく5500g/mol~7000g/molの重量平均分子量を有する第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを、前記高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して85重量%以下の量で含む、請求項6に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項8】
前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2~3.5の数平均官能価及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく500g/mol~1500g/molの重量平均分子量を有する低官能価脂肪族ポリイソシアネートを、前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して0.1重量%~85重量%の量で含む、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項9】
前記低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、複数の低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含む、請求項8に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項10】
前記低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2~3.5の数平均官能価、ISO 11909:2007に基づく16重量%~25重量%のNCO%、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく500g/mol~1500g/molの重量平均分子量を有する第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含む、請求項8に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項11】
前記第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、前記低官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して65重量%~100重量%の量で存在する、請求項10に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項12】
前記低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2~3.5の数平均官能価、ISO 11909:2007に基づく8重量%~15重量%のNCO%、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく500g/mol~1500g/molの重量平均分子量を有する第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含む、請求項8に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項13】
前記第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、前記低官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して1重量%~35重量%の量で存在する、請求項12に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項14】
前記第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、脂環式ポリイソシアネートを含む、請求項12に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項15】
請求項1に記載のポリイソシアネート組成物と、
ポリアスパルテート組成物と、
を含むコーティング組成物であって、
前記ポリイソシアネート組成物及び前記ポリアスパルテート組成物を、1:1~1.2:1のNCO:NH当量比で合わせ、かつ前記コーティング組成物は、180g/L未満又はそれと等しい総溶剤含有量を有する、コーティング組成物。
【請求項16】
前記コーティング組成物は、2.5重量%~5重量%の適合NCO%を有する、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
前記コーティング組成物は、ISO 3219:2003に基づく23℃での1000cP~2000cPの初期粘度を有する、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
コーティングされた基材であって、
請求項16に記載のコーティング組成物が表面部分に適用された基材、
を含む、コーティングされた基材。
【請求項19】
前記コーティング組成物は、1mil~16milのコーティング厚さで適用されている、請求項18に記載のコーティングされた基材。
【請求項20】
ポリイソシアネート組成物を製造する方法であって、
複数の異なる脂肪族ポリイソシアネートを合わせて、脂肪族ポリイソシアネート樹脂を調製することと、
なお、前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく1000g/mol~6000g/molの重量平均分子量、及び前記脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して50重量%未満又はそれと等しい脂環式ポリイソシアネートを有する;
任意に、前記ポリイソシアネート樹脂の形成の前、その間、又はその後に溶剤を添加することと、
を含み、
前記ポリイソシアネート組成物は、ISO 11909:2007に基づく2重量%~18重量%のNCO%を有し、かつ前記ポリイソシアネート組成物の総重量に対して84重量%~100重量%の固形分を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
イソシアネート化学を基礎とする組成物は、例えばペイント、プライマー等のようなコーティングにおける成分として有用である。イソシアネートを基礎とするコーティング組成物としては、例えばジイソシアネート、ポリイソシアネート、イソシアネート反応生成物等、又はそれらの組合せのような成分を含む樹脂から形成される、例えばポリウレタンコーティング又はポリウレアコーティングを挙げることができる。これらの樹脂は、樹脂成分間に共有結合が形成し、それにより架橋ポリマー網目構造が生成するように様々な機構によって硬化し得る。
【0002】
環境規制により、例えば、建築用及び産業用のメンテナンスコーティング等の様々なコーティング組成物に対して、より一層低い揮発性有機化合物(VOC)の制限が課されている。一部の法域においては、政府の規制により、コーティングにおけるVOC制限に当てはまらない「免除溶剤」の使用は許可されている。「免除溶剤」の例としては、HFE-134、HFE-236cal2、HFE-338pcc13、H-Galden 1040X、HFE-347pcf2、HFO-1336mzz-Z、trans-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、及び酢酸t-ブチルが挙げられる。「免除溶剤」の使用が許可されている法域において、これらは、より一層低い溶剤含有量を有する必要があるコーティング組成物に関連する課題の一部を軽減するのに役立つ場合がある。このような課題としては、粘度の増加、ポットライフの低下等を挙げることができる。しかしながら、「免除溶剤」の使用は一時的な解決策であるにすぎず、「免除溶剤」に頼る必要なく低いVOCを有するコーティング組成物を実現するには、新規のアプローチが必要とされる。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下の詳細な説明は、例示を目的として多くの細目を含むが、当業者であれば、以下の詳細に対して多くの変化及び変更を加えることができ、これらが本明細書に含まれると見なされることを理解するであろう。したがって、以下の実施形態は、示されたあらゆる特許請求の範囲に対する一般性を何ら失うことなく、これらに対して制限を課さずに記述されている。本明細書において使用される用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図されないことも理解されたい。特段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0004】
この発明の記述において使用される場合に、単数形("a", "an", and "the")は、文脈上特に明記されていない限り、複数の指示対象への支持の表明を含む。したがって、例えば、ポリマー("a polymer" or "the polymer")への言及は、複数のそのようなポリマーを含み得る。
【0005】
本出願においては、「~を含む(comprises、comprising)」、「~を含有する(containing)」、及び「~を有する(having)」等は、米国特許法でそれらに与えられる意味を有することができ、「~を含む(includes)」、「~を含む(including)」等を意味することができ、一般的に非限定的な用語であると解釈される。「~のみからなる(consisting of、consists of)」という用語は、米国特許法に準じたものと同様に、限定的な用語であり、そのような用語と関連して具体的に列記される成分、構造、工程等のみを含む。「本質的に~のみからなる(consisting essentially of、consists essentially of)」は、米国特許法によって一般的にそれらに与えられる意味を有する。特に、そのような用語は、関連して使用される項目(複数の場合もある)の基本的な新規の特質又は機能に大きな影響を与えない追加の項目、材料、成分、工程、又は要素を含み得ることを除き、一般に限定的な用語である。例えば、組成物中に存在するが、組成物の性質又は特質に影響を与えない微量元素は、「本質的に~のみからなる(consisting essentially of)」という文言の下に存在する場合に、そのような用語法に続く項目のリストに明示的に挙げられていなくても許容され得ることとなる。この発明の記述において「~を含む(comprising)」又は「~を含む(including)」のような非限定的な用語が使用される場合に、明示的に述べられているかのように「本質的に~のみからなる(consisting essentially of)」という文言だけでなく、「~のみからなる(consisting of)」という文言にも直接的な支持が与えられるべきであり、逆もまた然りであると理解される。
【0006】
詳細な説明及び特許請求の範囲にある場合に、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等の用語は、同様の要素間を区別するのに使用され、必ずしも特定の順序又は時系列順を説明するのに使用されるわけではない。このように使用されるどの用語も適切な状況下で交換可能であるため、本明細書において記載される実施形態は、例えば、本明細書において図示された又は他の方法で記載されたもの以外の順番で動作可能であることを理解されたい。同様に、或る方法が本明細書において一連の工程を含むと記載されている場合に、本明細書において提示されるそのような工程の順序は、必ずしもそのような工程を実施することができる唯一の順序ではなく、指定された工程の或る特定のものが省略され得る場合があり、及び/又は本明細書において記載されていない或る特定の他の工程がこの方法に追加され得る場合がある。
【0007】
本明細書において使用される場合に、「実質的に」という用語は、作用、特質、特性、状態、構造、項目、又は結果の完全な又はほぼ完全な範囲又は程度を指す。例えば、「実質的に」取り囲まれている対象物は、その対象物が完全に取り囲まれているか、又はほぼ完全に取り囲まれていることを意味することとなる。絶対的な完全性からの逸脱の正確な許容可能な程度は、場合によっては、特定の文脈に依存し得る。しかしながら、一般的に言えば、完全に近いと、絶対的かつ全体的な完全さが得られた場合と同様の全結果が得られるようになる。「実質的に」の使用は、作用、特質、特性、状態、構造、項目、又は結果の完全な又はほぼ完全な欠如を指す否定的な意味合いで使用される場合にも同様に適用可能である。例えば、粒子を「実質的に含まない」組成物は、粒子を完全に欠如しているか、又は粒子を完全に欠如している場合と同様の効果となるほど粒子をほぼ完全に欠如しているかのいずれかであることとなる。言い換えると、成分又は要素を「実質的に含まない」組成物は、その測定可能な影響がない限り、実際にはそのような項目を依然として含んでいてもよい。
【0008】
本明細書において使用される場合に、「約」という用語は、所与の値が端点を「少し上回る」又は「少し下回る」場合があることを与えることによって、数値範囲の端点に柔軟性を与えるのに使用される。特段の指定がない限り、特定の数値又は数値範囲に応じた「約」という用語の使用は、「約」という用語を有しないそのような数値的用語又は数値範囲を支持することも理解されるべきである。例えば、便宜上かつ簡潔のために、「約50ミリグラム~約80ミリグラム」の数値範囲は、「50ミリグラム~80ミリグラム」の範囲を支持することも理解されるべきである。さらに、本明細書においては、「約」という用語がともに使用されている場合でも、実際の数値が支持されることを理解されたい。例えば、「約」30という記述は、30を少し上回る値及び30を少し下回る値を支持するだけでなく、同様に30という実際の数値も支持するものと解釈されるべきである。特段の指定がない限り、全ての数値パラメーターは、全ての場合において「約」という用語で始まり、それにより修飾されていると理解されるべきであり、その際、数値パラメーターは、パラメーターの数値を決定するのに使用される基礎的な測定技術の固有の変動特質を有する。
【0009】
本明細書において使用される場合に、便宜上、複数の項目、構造要素、構成要素、及び/又は材料が共通のリストにおいて提示される場合がある。しかしながら、これらのリストは、リストの各要素が別個の一意の要素として個別に識別されているかのように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々の要素は、反対の指示なしに、共通の群におけるそれらの提示のみに基づいて、同じリストのどの他の要素とも事実上同等であると解釈されるべきではない。
【0010】
濃度、量、及びその他の数値データは、本明細書においては範囲形式で表現又は提示され得る。このような範囲形式は、便宜上かつ簡潔のために使用されるにすぎないため、範囲の限界として明示的に挙げられた数値を含むだけでなく、その範囲内に含まれる全ての個々の数値又は部分範囲も含むように、各数値及び部分範囲が明示的に挙げられているかのように柔軟に解釈されるべきであると理解されたい。例示として、「1~5」の数値範囲は、明示的に挙げられた1~5の値を含むだけでなく、示された範囲内の個々の値及び部分範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、3、及び4等の個々の値、並びに1~3、2~4、及び3~5等の部分範囲、並びに個別に1、2、3、4、及び5が含まれている。
【0011】
これと同じ原則が、最小値又は最大値として1つだけの数値を挙げている範囲に適用される。さらに、そのような解釈は、記載されている範囲又は特質の広さに関係なく適用されるべきである。
【0012】
本明細書全体を通しての「一例」への言及は、例に関連して記載されている特定の特徴、構造、又は特質が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所に現れる「一例において」という語句は、必ずしも全てが同じ実施形態について言及しているとは限らない。
【0013】
上記のように、様々なコーティング組成物は、揮発性有機化合物(VOC)に対してより一層厳しい制限を課す環境規制の対象となっている。しかしながら、コーティング中の溶剤の量の減少は、多くの点でコーティング組成物に影響を与える可能性がある。非限定的な例として、コーティング組成物中の溶剤の量を減少させると、コーティング組成物の出発粘度及び粘度上昇速度が高まる場合があり、これらは両者とも、例えばコーティング組成物のポットライフに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0014】
本開示は、この問題に対する解決策を記載している。より具体的には、本開示は、妥当なポットライフを有する低VOCコーティング組成物を配合するのに使用することができるポリイソシアネート組成物を記載している。概して、ポリイソシアネート組成物は、ISO 11909:2007に基づく2重量%~18重量%のNCO%を有し得る。さらに、ポリイソシアネート組成物は一般に、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく1000g/mol~6000g/molの重量平均分子量を有する脂肪族ポリイソシアネート樹脂を含み得る。脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、少なくとも2つの異なる脂肪族ポリイソシアネートのブレンドを含み得る。脂肪族ポリイソシアネート樹脂が脂環式ポリイソシアネートを含む場合に、脂環式ポリイソシアネートは一般に、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して50重量%未満の量で脂肪族ポリイソシアネート樹脂中に含まれ得る。ポリイソシアネート組成物は一般に、84重量%~100重量%の固形分も含む。
【0015】
上記のように、ポリイソシアネート組成物は一般に、比較的低いNCO含有量を有し得る。これにより、迅速に架橋しすぎることなく(これはコーティング組成物のポットライフの延長に役立ち得る)、ポリイソシアネートとイソシアネート反応性成分(例えば、ポリアスパルテート組成物)とを合わせることが可能となり得る。より具体的には、比較的低いNCO%は、ポリイソシアネート組成物とイソシアネート反応性組成物とを合わせた後のコーティング組成物における粘度上昇の速度を低下させることができる。したがって、ポリイソシアネート組成物は一般に、ISO 11909:2007に基づく2重量%~18重量%等の比較的低いNCO%を有し得る。追加の例においては、ポリイソシアネート組成物は、ISO 11909:2007に基づく7.7重量%~17.7重量%のNCO%を有し得る。更なる追加の例においては、ポリイソシアネート組成物は、ISO 11909:2007に基づく8重量%~17.4重量%、9重量%~17.2重量%、10重量%~17重量%、又は11重量%~16.8重量%のNCO%を有し得る。
【0016】
また上記のように、ポリイソシアネート組成物は一般に、高い固形分含有量を有する。例えば、ポリイソシアネート組成物は一般に、ポリイソシアネート組成物の総重量に対して84重量%~100重量%の固形分含有量を有する。幾つかの例においては、ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート組成物の総重量に対して少なくとも84重量%、少なくとも85重量%、少なくとも86重量%、少なくとも87重量%、少なくとも88重量%、又は少なくとも89重量%の固形分を含み得る。幾つかの例においては、ポリイソシアネート組成物中に幾らかの溶剤を含めて、コーティング組成物に比較的低い初期粘度を与えることが有益であり得る。したがって、幾つかの例においては、ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート組成物の総重量に対して最大97重量%の固形分、最大96重量%の固形分、最大95重量%の固形分、最大94重量%の固形分、最大93重量%の固形分、最大92重量%の固形分、最大91重量%の固形分、又は最大90重量%の固形分を含み得る。
【0017】
様々な溶剤を使用して、ポリイソシアネート組成物を希釈し、その粘度を下げることができる。これらの溶剤としては、免除溶剤(例えば、酢酸t-ブチル)、非免除溶剤、又はそれらの組合せを挙げることができる。いずれの場合においても、ポリイソシアネート組成物中の溶剤の総量は一般に、ポリイソシアネート組成物の総重量に対して16重量%未満であり得る。幾つかの追加の例においては、溶剤の総量は、ポリイソシアネート組成物の総重量に対して15重量%未満、14重量%未満、13重量%未満、12重量%未満、又は11重量%未満であり得る。一般に、ポリイソシアネートにおいて使用される溶剤は有機溶剤である。ポリイソシアネート組成物において使用され得る溶剤の非限定的な例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、1-メトキシプロピル-アセテート-2、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等、又はそれらの組合せを挙げることができる。さらに、ポリイソシアネート組成物は一般に、ポリイソシアネート組成物の総重量に対して5重量%未満の水、4重量%未満の水、3重量%未満の水、2重量%未満の水、1重量%未満の水、又は0.5重量%未満の水を含む。幾つかの追加の例においては、ポリイソシアネート組成物は、実質的に水を含まないか、又は周囲空気から吸収される量の水のみを含む。
【0018】
ポリイソシアネート組成物はまた、脂肪族ポリイソシアネート樹脂を含み得る。脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、様々な脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。本明細書において使用される場合に、「ポリイソシアネート」という用語は、少なくとも2個の未反応イソシアネート基を含む化合物を指す。「ジイソシアネート」という用語は、2個の未反応のイソシアネート基を有する化合物を指す。したがって、「ジイソシアネート」は「ポリイソシアネート」の部分集合である。ポリイソシアネートとしては、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イソシアネート官能性ウレタン、イソシアネート官能性尿素、イソシアネート官能性イミノオキサジアジンジオン、イソシアネート官能性オキサジアジンジオン、イソシアネート官能性カルボジイミド、イソシアネート官能性アシル尿素、イソシアネート官能性アロファネート等、又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0019】
非限定的な例としては、イソシアヌレートは、ポリイソシアネートの環状三量体化によって調製され得る。三量体化は、例えば、三(3)当量のポリイソシアネートを反応させて1当量のイソシアヌレート環を生成することによって行われ得る。三(3)当量のポリイソシアネートは、三(3)当量の同じポリイソシアネート化合物、又は二(2)つ若しくは三(3)つの異なるポリイソシアネート化合物の様々な混合物を含み得る。例えばホスフィン、マンニッヒ塩基、及び例えば1,4-ジアザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアルキルピペラジン等の第3級アミン等のような化合物を、三量体化触媒として使用することができる。イミノオキサジアジンは、ポリイソシアネートの不斉環状三量体化によって調製され得る。ウレトジオンは、ポリイソシアネートの二量体化によって調製され得る。アロファネートは、ポリイソシアネートとウレタンとの反応によって調製され得る。ビウレットは、2当量のポリイソシアネートに少量の水を加え、ビウレット触媒の存在下で僅かに高められた温度にて反応させることによって調製され得る。ビウレットはまた、ポリイソシアネートと尿素との反応によっても調製され得る。
【0020】
上記のように、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、異なる脂肪族ポリイソシアネートのブレンドを含み得る。本明細書において使用される場合に、「異なる脂肪族ポリイソシアネート」とは、合わせることで本明細書において記載される脂肪族ポリイソシアネート樹脂を調製することができる、少なくとも1つの特質の点で相違する脂肪族イソシアネートを指す。非限定的な例としては、「異なる脂肪族ポリイソシアネート」は、NCO%(100%の固形分と仮定)、数平均官能価、重量平均分子量、基本モノマー種、ポリイソシアネート付加物又はホモポリマーの種類又は構造等のうちの1つ以上に関して相違し得る。
【0021】
幾つかの特定の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、線状脂肪族ポリイソシアネート成分を含み得る。本明細書において使用される場合に、「線状脂肪族ポリイソシアネート」は、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、又は1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の線状イソシアネートモノマーから調製される又はそれを基礎とするポリイソシアネートを指す。したがって、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体の構造は全く線状にはなり得ないが、この三量体は線状の単量体の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを基礎としているため、本開示の目的では「線状脂肪族ポリイソシアネート」と見なされる。線状脂肪族ポリイソシアネートの非限定的な例としては、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、HDIの三量体、PDIの三量体、HDIのビウレット、PDIのビウレット、HDIのアロファネート、PDIのアロファネート、HDIの三量体のアロファネート、PDIの三量体のアロファネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン等、又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0022】
幾つかの特定の例においては、線状脂肪族ポリイソシアネートは、HDIポリイソシアネートであり得るか、又はHDIポリイソシアネートを含み得る。幾つかの追加の特定の例においては、線状脂肪族ポリイソシアネート成分は、PDIポリイソシアネートであり得るか、又はPDIポリイソシアネートを含み得る。幾つかの特定の例においては、線状脂肪族ポリイソシアネート成分は、HDIのビウレット、PDIのビウレット等のビウレット、又はそれらの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。幾つかの追加の特定の例においては、線状脂肪族ポリイソシアネート成分は、HDIの三量体、PDIの三量体等の三量体、又はそれらの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。また更なる特定の例においては、線状脂肪族ポリイソシアネート成分は、HDIのアロファネート、PDIのアロファネート、HDIの三量体のアロファネート、PDIの三量体のアロファネート等のアロファネート、又はそれらの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0023】
さらに、幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、脂環式ポリイソシアネート成分を含み得る。幾つかの例においては、脂環式イソシアネートは、ポリイソシアネート組成物の比較的低いNCO含有量から見て、より硬質のコーティングを得るのに役立ち得る。脂環式ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネート樹脂中に含まれる場合に、脂環式ポリイソシアネートは一般に、ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して50重量%未満又はそれと等しい量で含まれ得る。幾つかの追加の例においては、脂環式ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して40重量%未満若しくはそれと等しい量、30重量%未満若しくはそれと等しい量、20重量%未満若しくはそれと等しい量、又は10重量%未満若しくはそれと等しい量で脂肪族ポリイソシアネート樹脂中に含まれ得る。したがって、幾つかの例においては、脂環式ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート樹脂中に(例えば、0重量%を超える量で)存在し得るが、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総量に対して50重量%未満若しくはそれと等しい量又は別の特定された量で存在し得る。他の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、脂環式ポリイソシアネート成分を含まない。
【0024】
含まれる場合に、様々な脂環式ポリイソシアネートがポリイソシアネート組成物中に含まれ得る。非限定的な例としては、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナト-メチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4-ジイソシアナト-ジシクロヘキシル-メタン、4,4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシル-メタン、1-イソシアナト-1-メチル-3(4)-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(IMCI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)等、又はそれらの組合せを挙げることができる。幾つかの特定の例においては、脂環式ポリイソシアネートは、第二級イソシアネート基を含み得る。「第二級イソシアネート基」とは、第二級炭素原子に結合されたイソシアネート基を意味する。幾つかの例においては、第二級イソシアネート基は、第一級イソシアネート基と比較して反応性が低いため、対応するコーティング組成物についてのポットライフを延ばすことができる。
【0025】
幾つかの特定の例においては、脂環式ポリイソシアネートは、ビウレット、三量体、アロファネート等、又はそれらの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。例えば、場合によっては、脂環式ポリイソシアネートは、IPDIの三量体、2,4-ジイソシアナト-ジシクロヘキシル-メタンの三量体、4,4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシル-メタンの三量体、IMCIの三量体、CHDIの三量体等の三量体、又はそれらの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。他の例においては、脂環式ポリイソシアネートは、IPDIのビウレット、2,4-ジイソシアナト-ジシクロヘキシル-メタンのビウレット、4,4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシル-メタンのビウレット、IMCIのビウレット、CHDIのビウレット等のビウレット、又はそれらの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。更に追加の例においては、脂環式ポリイソシアネートは、IPDIのアロファネート、2,4-ジイソシアナト-ジシクロヘキシル-メタンのアロファネート、4,4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシル-メタンのアロファネート、IMCIのアロファネート、CHDIのアロファネート等のアロファネート、又はそれらの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0026】
一般に、脂環式ポリイソシアネートは、比較的高いガラス転移温度を有し得る。幾つかの例においては、脂環式ポリイソシアネートは、20℃/分の昇温速度及び降温速度での-25℃から250℃までの温度範囲にわたる示差走査熱量測定に基づく25℃超又はそれと等しいガラス転移温度を有し得る。幾つかの追加の例においては、脂環式ポリイソシアネートは、20℃/分の昇温速度及び降温速度での-25℃から250℃までの温度範囲にわたる示差走査熱量測定に基づく30℃超又はそれと等しいガラス転移温度を有し得る。更なる追加の例においては、脂環式ポリイソシアネートは、20℃/分の昇温速度及び降温速度での-25℃から250℃までの温度範囲にわたる示差走査熱量測定に基づく25℃~45℃のガラス転移温度を有し得る。
【0027】
さらに、幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート末端反応生成物を含み得る。これに該当する場合に、脂肪族ポリイソシアネートは、線状脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、又はそれらの組合せであり得るか、又はそれらを含み得る。線状脂肪族ポリイソシアネートとしては、本明細書の他の箇所に記載されている線状脂肪族ポリイソシアネートのうちの1つ以上を挙げることができる。同様に、脂環式ポリイソシアネートとしては、本明細書の他の箇所に記載されている脂環式ポリイソシアネートのうちの1つ以上を挙げることができる。
【0028】
様々なイソシアネート反応性材料と脂肪族ポリイソシアネートとを合わせ、反応させて、イソシアネート末端反応生成物を生成することができる。例えば、イソシアネート反応性材料は一般に、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネートエステル、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン等、又はそれらの組合せを基礎とするポリオール又はポリアミンを含み得る。幾つかの特定の例においては、イソシアネート反応性材料は、ポリエーテルポリオールを含み得る。幾つかの追加の特定の例においては、イソシアネート反応性材料は、ポリエステルポリオールを含み得る。さらに、イソシアネート反応性材料は一般に、300g/mol~6000g/molの数平均分子量を有し得る。
【0029】
ポリエーテルポリオールの例は、様々なポリオール、例えば、エチレングリコール、1,2-、1,3-若しくは1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のグリコール、又はトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の高級ポリオールのオキシアルキル化から形成され得る。一般的に使用されるオキシアルキル化方法の1つは、塩基性触媒又は複合金属シアン化物(DMC)等の配位触媒の存在下で、ポリオールをアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させることである。
【0030】
適切なポリエステルポリオールの例は、有機ポリカルボン酸、その無水物、又はそれらのエステルを有機ポリオールでポリエステル化することによって調製することができる。ポリカルボン酸及びポリオールは、脂肪族又は芳香族二塩基酸及びジオールであることが好ましい。
【0031】
ポリエステルの作製に用いることができるジオールとしては、アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノール、カプロラクトンジオール(例えば、カプロラクトンとエチレングリコールとの反応生成物)、ポリエーテルグリコール等の他のグリコール、例えば、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等が挙げられる。しかしながら、様々なタイプの他のジオール及び示されるように、より高い官能価のポリオールも、本発明の様々な実施形態において利用され得る。かかる高級ポリオールは、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等、並びに低分子量ポリオールをオキシアルキル化することによって製造されるような高分子量ポリオールを含み得る。
【0032】
ポリエステルの酸成分は、主として単量体カルボン酸、又はその無水物、又は1分子当たり2個~18個の炭素原子を有するそれらのエステルを含み得る。有用な酸の中には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタル酸、クロレンド酸、テトラクロロフタル酸及び他の様々なタイプのジカルボン酸がある。また、トリメリット酸及びトリカルバリル酸等の高級ポリカルボン酸を用いることもできる。
【0033】
多塩基酸及びポリオールから形成されるポリエステルポリオールに加えて、ポリカプロラクトンタイプのポリエステルも用いることができる。これらの生成物は、ε-カプロラクトン等の環状ラクトンと、上記のような一級ヒドロキシルを含むポリオールとの反応から形成される。かかる生成物は、米国特許第3,169,949号に記載される。
【0034】
適切なヒドロキシ官能性ポリカーボネートポリオールは、単量体ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジ-、トリ-又はテトラエチレングリコール、ジ-、トリ-又はテトラプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、4,4’-ジメチロールシクロヘキサン及びそれらの混合物)を、ジアリールカーボネート(ジフェニルカーボネート等)、ジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等)、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネート等)、又はホスゲンと反応させることによって調製されるものであり得る。任意に、トリメチロールプロパン、グリセロール、又はペンタエリスリトール等の少量の高官能単量体ポリオールを使用することができる。
【0035】
他の例において、低分子量ジオール、トリオール、及び高級アルコールをイソシアネート反応性材料に含めることができる。多くの実施形態において、それらは単量体であり得、375~1810の水酸基価を有し得る。かかる材料は、脂肪族ポリオール、特に2個~18個の炭素原子を含むアルキレンポリオールを含むことができる。例としては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びシクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオールが挙げられる。トリオール及び高級アルコールの例としては、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールが挙げられる。ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等のエーテル結合を含むポリオールも有用である。
【0036】
したがって、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、線状脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート末端反応生成物等の様々な脂肪族ポリイソシアネート、又はそれらの組合せを含み得る。さらに、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は一般に、少なくとも2つの異なるポリイソシアネートのブレンドを含む。幾つかの例においては、ブレンドは、少なくとも2つの異なる線状脂肪族ポリイソシアネートのあらゆる適切な組合せ、例えば、HDIの三量体及びPDIの三量体、HDIの三量体及びHDIのビウレット、HDIの三量体のアロファネート及びHDIの三量体、PDIのアロファネート及びPDIのビウレット等を含み得る。幾つかの例においては、ブレンドは、線状脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートを含み得る。幾つかの追加の例においては、ブレンドは、線状脂肪族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート末端反応生成物を含み得る。幾つかの例においては、ブレンドは、脂環式ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート末端反応生成物を含み得る。簡潔のために、ブレンドが1つ以上の線状脂肪族ポリイソシアネート、1つ以上の脂環式ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料との1つ以上のイソシアネート末端反応生成物、又はそれらの組合せを含むかどうかにかかわらず、ブレンドは一般に、本明細書において列挙又は記載される少なくとも2つの異なる脂肪族ポリイソシアネートのあらゆる適切な組合せを含み得る。幾つかの特定の例においては、ブレンドは、線状脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。幾つかの追加の特定の例においては、ブレンドは、アロファネートを含み得る。
【0037】
脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2~4.5等の様々な数平均官能価を有し得る。幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂が比較的高い数平均官能価を有することで、例えば硬度及び耐候性等の適切な最終特性を最終的なコーティング組成物に付与するのに役立ち得る。したがって、幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2.9~4.3の数平均官能価を有し得る。追加の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく3.3~4.0の数平均官能価を有し得る。更に追加の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく3.0~4.2、3.1~4.1、3.2~4.1、又は3.3~4.0の数平均官能価を有し得る。
【0038】
脂肪族ポリイソシアネート樹脂はまた、様々な重量平均分子量を有し得る。一般に、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく1000g/mol~6000g/molの重量平均分子量を有し得る。幾つかの追加の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく1200g/mol~5800g/molの重量平均分子量を有し得る。幾つかの特定の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく1200g/mol~2800g/mol、2200g/mol~3800g/mol、3200g/mol~4800g/mol、又は4200g/mol~5800g/molの重量平均分子量を有し得る。
【0039】
脂肪族ポリイソシアネート樹脂が脂肪族ポリイソシアネートのブレンドを含む場合に、適切な数平均官能価及び重量平均分子量を有する脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、様々な脂肪族ポリイソシアネートを合わせることによって達成され得る。幾つかの特定の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく3.5~5の数平均官能価及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2500g/mol~7000g/molの重量平均分子量を有する高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。これに該当する場合に、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は一般に、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して15重量%~100重量%の量で高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。他の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して20重量%~95重量%、25重量%~80重量%、又は30重量%~85重量%の量で高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。
【0040】
幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂中に単一の高官能価脂肪族ポリイソシアネートが含まれ得る。他の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂中に複数の高官能価脂肪族ポリイソシアネートが含まれ得る。例えば、場合によっては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネート、又はそれらの組合せを含み得る。
【0041】
幾つかの特定の例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく4~5の数平均官能価を有し得る。幾つかの更なる例においては、第1の高官能価ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく4.2~4.7、4.3~4.8、4.4~4.9、又は4.5~5.0の数平均官能価を有し得る。さらに、幾つかの例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ISO 11909:2007に基づく14重量%~22重量%のNCO%を有し得る。幾つかの更なる例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ISO 11909:2007に基づく14重量%~18重量%、15重量%~20重量%、又は16重量%~21重量%のNCO%を有し得る。幾つかの例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2500g/mol~3800g/molの重量平均分子量を有し得る。幾つかの追加の例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2800g/mol~3400g/mol又は3000g/mol~3600g/molの重量平均分子量を有し得る。第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは一般に、線状脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、又は脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート官能性反応生成物を含み得る。幾つかの特定の例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、HDIポリイソシアネートを含み得る。幾つかの追加の特定の例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート官能性反応生成物を含み得る。幾つかの追加の例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、アロファネートを含み得る。更に追加の例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、三量体を含み得る。
【0042】
第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートが高官能価脂肪族ポリイソシアネートに含まれる場合に、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、様々な量で存在し得る。一般に、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して15重量%~100重量%の量で第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。追加の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して35重量%~99重量%の量で第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。幾つかの特定の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して35重量%~55重量%の量、45重量%~65重量%の量、55重量%~75重量%の量、65重量%~85重量%の量、又は75重量%~95重量%の量で第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。
【0043】
幾つかの追加の特定の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。これに該当する場合、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、一般的にゲル浸透クロマトグラフィーに基づく3.5~4.5の数平均官能価を有し得る。幾つかの更なる例においては、第2の高官能価ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく3.6~4.1、3.7~4.2、3.8~4.3、又は3.9~4.4の数平均官能価を有し得る。さらに、幾つかの例においては、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ISO 11909:2007に基づく2重量%~10重量%のNCO%を有し得る。幾つかの更なる例においては、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ISO 11909:2007に基づく2重量%~7重量%、3重量%~8重量%、又は4重量%~9重量%のNCO%を有し得る。幾つかの例においては、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく5500g/mol~7000g/molの重量平均分子量を有し得る。幾つかの追加の例においては、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく5700g/mol~6500g/mol又は6000g/mol~6800g/molの重量平均分子量を有し得る。第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは一般に、線状脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、又は脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート官能性反応生成物を含み得る。幾つかの特定の例においては、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、HDIポリイソシアネートを含み得る。幾つかの追加の特定の例においては、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート官能性反応生成物を含み得る。幾つかの更なる例においては、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、アロファネートを含み得る。
【0044】
第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートが高官能価脂肪族ポリイソシアネートに含まれる場合に、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、様々な量で存在し得る。一般に、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して最大85重量%の量で第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。追加の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して1重量%~85重量%の量で第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。更に追加の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して5重量%~65重量%の量で第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。幾つかの特定の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、高官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して5重量%~25重量%、15重量%~35重量%、25重量%~45重量%、35重量%~55重量%、又は45重量%~65重量%の量で第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。
【0045】
高官能価脂肪族ポリイソシアネートが第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートを含む場合に、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、様々な重量比で存在し得る。例えば、場合によっては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、0.5:1~18:1の第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート対第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在し得る。幾つかの更なる例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、1:1~7:1の第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート対第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在し得る。幾つかの特定の例においては、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、0.5:1~2:1、1:1~5:1、2:1~6:1、3:1~7:1、又は4:1~10:1の第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート対第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在し得る。幾つかの例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネートだけを含み得る。他の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネートは、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネートだけを含み得る。
【0046】
幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂はまた、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2~3.5の数平均官能価及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく500g/mol~1500g/molの重量平均分子量を有する低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。これに該当する場合に、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は一般に、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して0.1重量%~85重量%の量で低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して5重量%~80重量%の量、10重量%~75重量%の量、又は15重量%~70重量%の量で低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。幾つかの特定の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して15重量%~30重量%の量、25重量%~40重量%の量、35重量%~50重量%の量、45重量%~60重量%の量、又は55重量%~70重量%の量で低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。
【0047】
幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂中に単一の低官能価脂肪族ポリイソシアネートが含まれ得る。他の例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂中に複数の低官能価脂肪族ポリイソシアネートが含まれ得る。例えば、場合によっては、低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、第1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート、第2の高官能価脂肪族ポリイソシアネート、又はそれらの組合せを含み得る。
【0048】
幾つかの特定の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2~3.5の数平均官能価を有し得る。幾つかの更なる例においては、第1の低官能価ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2.1~2.6、2.2~2.7、2.3~2.8、又は2.4~2.9の数平均官能価を有し得る。さらに、幾つかの例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ISO 11909:2007に基づく16重量%~25重量%のNCO%を有し得る。幾つかの更なる例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ISO 11909:2007に基づく16重量%~21重量%、17重量%~22重量%、又は18重量%~23重量%のNCO%を有し得る。幾つかの例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく500g/mol~1500g/molの重量平均分子量を有し得る。幾つかの追加の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく600g/mol~1200g/mol又は700g/mol~1400g/molの重量平均分子量を有し得る。第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは一般に、線状脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、又は脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート官能性反応生成物を含み得る。幾つかの特定の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、HDIポリイソシアネートを含み得る。幾つかの追加の特定の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、脂環式ポリイソシアネートを含み得る。幾つかの追加の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、アロファネートを含み得る。更に追加の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、三量体を含み得る。
【0049】
低官能価脂肪族ポリイソシアネートが第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含む場合に、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは一般に、低官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して65重量%~100重量%の量で含まれ得る。幾つかの追加の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、低官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して70重量%~99重量%の量で含まれ得る。幾つかの特定の例においては、低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、低官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して70重量%~80重量%の量、75重量%~85重量%の量、80重量%~90重量%の量、又は85重量%~95重量%の量で第1の低官能価ポリイソシアネートを含み得る。
【0050】
幾つかの例においては、低官能価ポリイソシアネートはまた、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。これに該当する場合に、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2~3.5の数平均官能価を有し得る。幾つかの更なる例においては、第2の低官能価ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2.1~2.6、2.2~2.7、2.3~2.8、又は2.4~2.9の数平均官能価を有し得る。さらに、幾つかの例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ISO 11909:2007に基づく8重量%~20重量%のNCO%を有し得る。幾つかの更なる例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ISO 11909:2007に基づく8重量%~14重量%、10重量%~16重量%、又は12重量%~18重量%のNCO%を有し得る。幾つかの例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく500g/mol~1500g/molの重量平均分子量を有し得る。幾つかの追加の例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく600g/mol~1200g/mol又は700g/mol~1400g/molの重量平均分子量を有し得る。第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは一般に、線状脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、又は脂肪族ポリイソシアネートとイソシアネート反応性材料とのイソシアネート官能性反応生成物、又はそれらの組合せを含み得る。幾つかの特定の例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、脂環式ポリイソシアネートを含み得る。幾つかの追加の特定の例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、IPDIポリイソシアネートを含み得る。幾つかの更なる例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、アロファネートを含み得る。
【0051】
低官能価脂肪族ポリイソシアネートが第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含む場合に、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは一般に、低官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して35重量%以下の量で存在し得る。幾つかの例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、低官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して1重量%~35重量%の量で存在し得る。幾つかの特定の例においては、第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、低官能価脂肪族ポリイソシアネートの総重量に対して1重量%~10重量%の量、5重量%~15重量%の量、10重量%~20重量%の量、15重量%~25重量%の量、又は20重量%~30重量%の量で存在し得る。
【0052】
低官能価脂肪族ポリイソシアネートが第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートを含む場合に、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、様々な重量比で含まれ得る。幾つかの例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、0.5:1~60:1の第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネート対第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在する。他の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、2:1~30:1又は3:1~20:1の第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネート対第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在する。更に追加の例においては、第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネート及び第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、1:1~5:1、3:1~8:1、5:1~10:1、又は12:1~18:1の第1の低官能価脂肪族ポリイソシアネート対第2の低官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在する。
【0053】
上記のように、幾つかの例においては、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び低官能価脂肪族ポリイソシアネートの組合せを含み得る。これに該当する場合に、高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、様々な重量比で存在し得る。幾つかの例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、0.3:1~10:1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート対低官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在し得る。幾つかの他の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、0.5:1~5.5:1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート対低官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在し得る。幾つかの特定の例においては、高官能価脂肪族ポリイソシアネート及び低官能価脂肪族ポリイソシアネートは、0.5:1~2:1、1:1~3:1、2:1~4:1、又は3:1~5:1の高官能価脂肪族ポリイソシアネート対低官能価脂肪族ポリイソシアネートの重量比で存在し得る。
【0054】
したがって、脂肪族ポリイソシアネート樹脂は、様々な脂肪族ポリイソシアネートを含み得る。一般に、ポリイソシアネート組成物は、芳香族ポリイソシアネートを含まない。幾つかの例においては、ポリイソシアネート組成物は、5重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満、又は0.01重量%未満の芳香族ポリイソシアネートを含む。
【0055】
本開示はまた、ポリイソシアネート組成物を製造する方法を記載している。この方法は、複数の異なる脂肪族ポリイソシアネートを合わせて、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく1000g/mol~6000g/molの重量平均分子量を有し、かつ脂肪族ポリイソシアネート樹脂の総重量に対して50重量%未満又はそれと等しい脂環式ポリイソシアネートを有する脂肪族ポリイソシアネート樹脂を調製することを含み得る。溶剤を任意に添加して、ポリイソシアネート組成物のNCO%を、ISO 11909:2007に基づく2重量%~18重量%に調整することができる。ポリイソシアネート組成物の総固形分含有量は一般に、ポリイソシアネート組成物の総重量に対して84重量%~100重量%であり得る。ポリイソシアネート組成物の製造に使用され得る異なる脂肪族ポリイソシアネートは、本開示全体を通して記載されている。
【0056】
本明細書において記載されるポリイソシアネート組成物は、二成分系(2K)のポリウレアコーティング系又はポリウレタンコーティング系の部分であり得る。したがって、本開示はまた、本明細書において記載されるポリイソシアネート組成物と、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物とを含む2Kコーティング系を記載している。本開示はまた、本明細書において記載されるポリイソシアネート組成物と、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物との0.9:1~1.7:1のNCO:NH又はNCO:OHの当量比での反応生成物を含む、低VOC(例えば、1Lのコーティング組成物当たり180gのVOC未満又はそれと等しい)ポリウレアコーティング組成物又はポリウレタンコーティング組成物を記載している。幾つかの追加の例においては、ポリイソシアネート組成物と、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物とを、0.9:1~1.2:1、1.1:1~1.3:1、1.2:1~1.4:1、又は1.3:1~1.5:1のNCO:NH又はNCO:OHの当量比で合わせることができる。
【0057】
幾つかの特定の例においては、ポリイソシアネート組成物とポリアスパルテート組成物とを合わせて、コーティング組成物を製造することができる。更に詳細には、ポリアスパルテートは、ポリアミンと、マイケル付加受容体、すなわち、オレフィン炭素の一方又は両方においてシアノ、ケト、又はエステル等の電子求引基で置換されたオレフィン(求電子体)とのマイケル付加反応における反応によって製造され得る。適切なマイケル付加受容体の例としては、限定されるものではないが、アクリレート、及びジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジブチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、及びジブチルフマレート等のジエステルが挙げられる。
【0058】
さらに、ポリアスパルテートは、低分子量ジアミン、高分子量ジアミン、又はそれらの組合せを含む様々なポリアミンを用いて調製され得る。さらに、ポリアミンは、広範囲のアミン官能価、繰返単位型、分布等を有し得る。この広範囲の分子量、アミン官能価、繰返単位型、及び分布は、新しい化合物又は混合物の設計において多様性をもたらし得る。
【0059】
適切な低分子量ジアミンは、様々な実施形態においては60~400、選択された実施形態においては60~300の分子量を有する。適切な低分子量ジアミンとしては、限定されるものではないが、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン及び1,3-ジアミノプロパン、1,5-ジアミノペンタン、1,3-ジアミノヘキサン、1,4-ジアミノヘキサン、及び1,6-ジアミノヘキサン、1,3-ジアミノ-2,2-ジメチルプロパン、2-メチルペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン、4,4-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,4-ビス(2-アミノ-プロパ-2-イル)シクロヘキサン、ヒドラジン、ピペラジン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、並びにそのようなジアミンの混合物が挙げられる。これらの低分子量ジアミンから調製される代表的なポリアスパルテートとしては、COVESTROから市販されているDESMOPHEN NH-1220、DESMOPHEN NH-1420、及びDESMOPHEN NH-1520が挙げられる。
【0060】
本発明の幾つかの追加の実施形態においては、単一の高分子量ポリアミンが使用され得る。また、高分子量ポリアミンの混合物、例えば二官能性材料及び三官能性材料及び/又は異なる分子量又は異なる化学組成の材料の混合物が使用され得る。「高分子量」という用語は、様々な実施形態においては、少なくとも400の分子量を有するポリアミンを含むことが意図される。選択された実施形態においては、ポリアミンは、400~6000の分子量を有する。非限定的な例としては、ポリエチレングリコールビス(アミン)、ポリプロピレングリコールビス(2-アミノプロピルエーテル)等、又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0061】
幾つかの特定の例においては、ポリアミンは、アミン末端ポリエーテルであり得る。アミン末端ポリエーテルの市販の例としては、例えば、JEFFAMINE D-230、JEFFAMINE D-400、JEFFAMINE D-2000、JEFFAMINE D-4000、JEFFAMINE T-3000、及びJEFFAMINE T-5000等のHuntsman Corp.製のJEFFAMINEシリーズのアミン末端ポリエーテルが挙げられる。
【0062】
幾つかの例においては、ポリアスパルテートとしては、式(I):
【化1】
(式中、
nは、少なくとも2の整数であり、
Xは、脂肪族残基を表し、
R
1及びR
2は、互いに独立して、反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である有機基を表し、かつ、
R
3及びR
4は、互いに独立して、水素、又は反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である有機基を表す)に対応する1つ以上のポリアスパルテートを挙げることができる。
【0063】
幾つかの追加の例においては、nは、2~6の値を有する。更に追加の例においては、nは、2~4の値を有する。更に追加の例においては、nは、2の値を有する。
【0064】
幾つかの例においては、Xは、100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性である、nの価数を有する有機基を表す。幾つかの追加の例においては、Xは、脂肪族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、又は脂環式ポリアミンからアミノ基を除去することによって得られる基を表す。
【0065】
幾つかの例においては、R1及びR2は、独立して、1個~9個の炭素原子を有するアルキル基を表す。幾つかの特定の例においては、R1及びR2は、独立して、メチル基、エチル基、又はブチル基を表す。更に追加の例においては、R1及びR2は、一緒になって脂環式環又は複素環式環を形成する。
【0066】
他のイソシアネート反応性組成物を、本明細書において記載される低NCOポリイソシアネート組成物と合わせることもできる。他のイソシアネート反応性組成物は一般に、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネートエステル、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン等、又はそれらの組合せを基礎とするポリオール又はポリアミン、例えば、本明細書の他の箇所に記載されているこれらのポリオール又はポリアミンを含み得る。幾つかの更なる例においては、イソシアネート反応性組成物は、300g/mol~10000g/mol、400g/mol~6000g/mol、又は600g/mol~4000g/molの数平均分子量を有するそのようなポリオール又はポリアミンを含み得る。
【0067】
ポリイソシアネート組成物を、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物のどちらと合わせてコーティング組成物を形成するかにかかわらず、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物は一般に、比較的低い溶剤含有量を有し得る。幾つかの例においては、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物は、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物の総重量に対して15重量%未満又はそれと等しい全溶剤を含み得る。幾つかの追加の例においては、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物は、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物の総重量に対して10重量%未満若しくはそれと等しい全溶剤、又は8重量%未満若しくはそれと等しい全溶剤を含み得る。幾つかの特定の例においては、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物は、ポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物の総重量に対して100重量%の固形分、又は99重量%を超える固形分、又は95重量%を超える固形分であり得る。
【0068】
ポリイソシアネート組成物、ポリアスパルテート組成物、他のイソシアネート反応性組成物、又はそれらの組合せは、任意に1つ以上の添加剤を含み得ることに更に留意されたい。添加剤の非限定的な例としては、流動助剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、溶剤、レベリング剤、発泡剤等、又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0069】
低VOCコーティング組成物は一般に、1リットルのコーティング組成物当たり180グラムのVOC(g/L)未満又はそれと等しい総溶剤含有量(すなわち、免除溶剤を含む)を有し得る。更に追加の例においては、低VOCコーティング組成物は、140g/L未満若しくはそれと等しい、120g/L未満若しくはそれと等しい、又は100g/L未満若しくはそれと等しい総溶剤含有量を有し得る。幾つかの更なる例においては、コーティング組成物は、コーティング組成物の総重量に対して80重量%を超える若しくはそれと等しい、85重量%を超える若しくはそれと等しい、90重量%を超える若しくはそれと等しい、91重量%を超える若しくはそれと等しい、92重量%を超える若しくはそれと等しい、93重量%を超える若しくはそれと等しい、94重量%を超える若しくはそれと等しい、又は95重量%を超える若しくはそれと等しい総固形分含有量を有し得る。
【0070】
使用されるポリイソシアネート組成物及びポリアスパルテート組成物又は他のイソシアネート反応性組成物に応じて、コーティング組成物は、様々な初期粘度を有し得る。一般に、コーティング組成物は、ISO 3219:2003に基づく23℃での1000センチポアズ(cP)~2000cPの初期粘度を有し得る。本明細書において使用される場合に、「初期粘度」は、一般に混合後最初の5分以内にISO 3219:2003に従って決定される粘度を指す。幾つかの特定の例においては、コーティング組成物は、ISO 3219:2003に基づく23℃での1000cP~1400cP、1200cP~1600cP、1400cP~1800cP、又は1600cP~2000cPの初期粘度を有し得る。
【0071】
さらに、コーティング組成物は一般に、コーティング組成物を表面に適用するのに十分な長さの時間にわたって比較的低い粘度を維持することができる。例えば、場合によっては、コーティング組成物は、混合後30分以降に又は混合の少なくとも30分後にISO 3219:2003に基づく23℃での2500cPの粘度まで増加し得る。幾つかの追加の例においては、コーティング組成物は、混合の少なくとも35分後、混合の少なくとも40分後(すなわち、混合後40分以降)、混合の少なくとも45分後(すなわち、混合後45分以降)、混合の少なくとも50分後(すなわち、混合後50分以降)、又は混合の少なくとも60分後(すなわち、混合後60分以降)にISO 3219:2003に基づく23℃での2500cPの粘度まで増加し得る。
【0072】
コーティング組成物は一般に、コーティング組成物の総重量に対して2重量%~4.5重量%の適合NCO%を有し得る。本明細書において使用される場合に、「適合NCO%」は、ポリイソシアネート組成物中のNCO基の総重量をコーティング組成物の総重量で割ることによって計算され得るコーティング組成物のNCO%を指す。幾つかの追加の例においては、コーティング組成物は、コーティング組成物の総重量に対する2重量%~3重量%、2.5重量%~3.5重量%、3重量%~4重量%、又は3.5重量%~4.5重量%の適合NCO%を有し得る。
【0073】
幾つかの追加の例においては、コーティング組成物は比較的迅速に乾燥して乾燥コーティングを形成することができ、これを本明細書においては硬乾燥時間と呼ぶ。例えば、場合によっては、コーティング組成物は、ASTM D5895-03に基づく1時間~7時間の硬乾燥時間を有し得る。幾つかの追加の例においては、コーティング組成物は、ASTM D5895-03に基づく1時間~3時間、2時間~4時間、3時間~5時間、又は4時間~6時間の硬乾燥時間を有し得る。さらに、コーティング組成物は、典型的には、硬乾燥後に少なくとも3B、少なくとも1H、又は少なくとも2Hの鉛筆硬度を有するコーティングをもたらし得る。
【0074】
低VOCコーティング組成物は、様々な基材上にコーティングされ得る。基材の非限定的な例としては、金属、プラスチック、木材、セメント、コンクリート、ガラス等、又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0075】
低VOCコーティング組成物は、吹き付け塗布、ナイフコーティング、カーテンコーティング、真空コーティング、ロール塗布、流し塗布、浸漬塗布、スピンコーティング、スキージ塗布、刷毛塗布、噴射塗布、印刷等、又はそれらの組合せによって適用され得る。印刷技術としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、又はオフセット印刷、そしてまた様々な転写方法を挙げることができる。
【0076】
低VOCコーティング組成物は、様々なコーティング厚さで基材に適用され得る。例えば、場合によっては、コーティング組成物は、1/1000インチ(mil)~16milのコーティング厚さで基材の表面部分に適用され得る。他の例においては、コーティング組成物は、1mil~5mil、3mil~9mil、6mil~12mil、又は10mil~16milのコーティング厚さで基材の表面部分に適用され得る。
【実施例】
【0077】
実施例において使用される材料:
ポリアスパルテートA およそ200mg KOH/gのアミン価、1100mPa・s~1500mPa・sの25℃での粘度を有する100%の固形分含有量のアスパラギン酸エステル官能性アミン
ポリアスパルテートB およそ190mg KOH/gのアミン価、1000mPa・s~1800mPa・sの25℃での粘度を有する100%の固形分含有量のアスパラギン酸エステル官能性アミン
ポリイソシアネートA ISO 11909:2007に基づく6%のNCO%、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく6200g/molの重量平均分子量、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく4の数平均官能価を有するHDIとポリエーテルポリオールとの反応生成物を基礎とする脂肪族ポリイソシアネート
ポリイソシアネートB ISO 11909:2007に基づく19.5%のNCO%、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく3200g/molの重量平均分子量、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく4.6の数平均官能価を有するHDI三量体を基礎とする脂肪族ポリイソシアネート
ポリイソシアネートC ISO 11909:2007に基づく15%のNCO%、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく830の重量平均分子量、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2.5の数平均官能価を有するIPDIアロファネートを基礎とする脂環式ポリイソシアネート
ポリイソシアネートD ISO 11909:2007に基づく20重量%のNCO%、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく800の重量平均分子量、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく2.5の数平均官能価を有するアロファネート化HDI三量体を基礎とする脂肪族ポリイソシアネート
添加剤A BYKから市販されている分散添加剤
添加剤B BYKから市販されているシリコーンフリー消泡剤
添加剤C PALMER HOLLANDから市販されているアミン変性カストールワックス
添加剤D KRONOSから市販されている顔料
添加剤E THE CARY COMPANYから市販されている微細化された機能性充填剤
添加剤F GRACEから市販されている微細化された高度に多孔質の結晶性アルミノケイ酸塩
添加剤G BASFから市販されている液体UV吸収剤
添加剤H BASFから市販されている液体ヒンダードアミン光安定剤
添加剤I SIGMA-ALDRICHから市販されている酢酸n-ブチル。
【0078】
表1において列挙された以下のポリアスパルテート組成物は、本明細書において提示される各実施例において使用されるポリアスパルテート組成物の代表である:
【0079】
【0080】
多数のポリイソシアネート組成物を調製して、ポリアスパルテート組成物と個別に合わせた。より具体的には、ポリイソシアネートA、ポリイソシアネートB、ポリイソシアネートC、及びポリイソシアネートDを様々な割合でブレンドして、様々なポリイソシアネート組成物を得た。試料1~試料3は、ブレンドされた配合物ではない比較例である。試料4~試料103は、ブレンドされた配合物を含んだ本発明による実施例である。これらのポリイソシアネート組成物の配合を表IIにおいて表す:
【0081】
【0082】
表IIに列挙される各配合を評価して、ISO 11909:2007のNCO%、ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく重量平均分子量(Mw)、及びゲル浸透クロマトグラフィーに基づく数平均官能価を決定した。さらに、ポリイソシアネート組成物が100%未満の固形分に希釈される場合に、酢酸ブチルを溶剤として使用した。ポリイソシアネート組成物のこれらの特質を表IIIにおいて列挙する:
【0083】
【0084】
表IIのポリイソシアネート組成物を、表Iによる一般的な配合を有するポリアスパルテート組成物と個々に合わせた。ポリイソシアネート組成物及びポリアスパルテート組成物を、1.05の当量比(NCO:NH)で個々に合わせた。合わせた後に、最初に粘度測定値を取得し、その後15分ごとに取得した。これに従って、得られたコーティング組成物を評価して、ISO 3219:2003に基づく初期粘度、ISO 3219:2003に基づく2500cPの粘度までの時間、粘度変化速度(ROC)、ASTM D5895-03に基づく硬乾燥時間、及び適合NCO%を決定した。様々なコーティング組成物の特性を表IVにおいて列記する:
【0085】
【0086】
表IVの結果から分かるように、比較試料1及び比較試料3は、ブレンドされた試料4~試料103のどれよりも長い硬乾燥時間を有した。さらに、比較試料2は、ブレンドされた試料4~試料103と比較して過度に高いROCを有した。さらに、比較試料1~比較試料3では、所望されるよりも一般に軟質であるか又はより脆性であるという最終的なコーティング特性がもたらされたことに注目される。しかしながら、異なるポリイソシアネートをともにブレンドした場合に、適切なROC、硬乾燥時間、及び最終的なコーティング特性を達成することができた。
【0087】
上記の実施例は、本発明の幾つかの実施形態を例示するにすぎないことを理解されたい。当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、数多くの変更及び代替構成を考え出すことができ、添付の特許請求の範囲は、そのような変更及び構成を含むことが意図される。したがって、本発明の最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられるものに関連して、本発明を具体的かつ詳細に記載してきたが、当業者には、本明細書において示される原則及び概念から逸脱することなく、変化を加えることができることは明らかであろう。
【国際調査報告】