(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20230629BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20230629BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230629BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20230629BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20230629BHJP
C07H 21/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/713
A61K48/00
A61K47/54
A61P31/20
C07H21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575954
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 CN2021098682
(87)【国際公開番号】W WO2021249352
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】202010529520.7
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011524835.9
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(71)【出願人】
【識別番号】518295266
【氏名又は名称】メドシャイン ディスカバリー インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】アン、クゥー
(72)【発明者】
【氏名】スゥン、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ディン、チャールズ ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューフイ
【テーマコード(参考)】
4C057
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD01
4C057MM02
4C057MM09
4C076AA95
4C076CC16
4C076CC35
4C076CC41
4C076DD66
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA75
4C084ZB33
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB33
(57)【要約】
リバビリン誘導体が挿入された二本鎖siRNA類似体、それを含むコンジュゲート、及びその塩並びに用途を提供する。提供された二本鎖siRNA類似体、それを含むコンジュゲート及びその塩は、B型肝炎ウイルスDNA、pgRNA、S抗原、E抗原など複数のウイルス指標を効果的に抑えることができ、B型肝炎の治療に効果的で実行可能な方法を提供している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩であって、前記アンチセンス鎖は配列番号2に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含み、前記rは、
【化1】
であり、
前記siRNA類似体のヌクレオチド及びrのそれぞれは独立して修飾されているか又は修飾されていない二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項2】
前記二本鎖siRNA類似体の70%、75%、80%、85%、90%又は95%以上のヌクレオチド及びrは修飾されており、任意に、前記二本鎖siRNA類似体の全てのヌクレオチド及びrは修飾されている請求項1に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項3】
前記修飾は、メトキシ修飾、フッ素修飾、ホスホロチオエート基結合、ヌクレオチドの(S)-グリセロール核酸への置き換え又はヌクレオチドの(E)-ビニルホスフェート(vinyl phosphate)への置き換えを含む請求項1又は2に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項4】
アンチセンス鎖は、配列番号2に示される配列においてrで1個、2個、3個、4個又は5個のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含み、任意に、前記アンチセンス鎖は、配列番号2に示される配列においてrで1個のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項5】
前記rへの置き換えは、前記配列番号2の任意の位置に起こる請求項1~4のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項6】
前記配列番号2は、任意に、5’末端及び/又は3’末端のオーバーハングを含み、任意に、前記配列番号2は5’末端及び/又は3’末端の0個、1個、2個、3個、4個又は5個のヌクレオチドのオーバーハングを含み、任意に、前記配列番号2は3’末端のオーバーハングを含み、前記オーバーハングは、修飾されている又は修飾されていないUUから選ばれる請求項1~5のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項7】
前記アンチセンス鎖は、配列番号4若しくは配列番号17、配列番号6若しくは配列番号19、配列番号7若しくは配列番号20、配列番号8若しくは配列番号21、配列番号9若しくは配列番号22、配列番号10若しくは配列番号23、配列番号11若しくは配列番号24、配列番号29若しくは配列番号33、配列番号30若しくは配列番号34、配列番号31若しくは配列番号35、又は配列番号32若しくは配列番号36、配列番号39若しくは配列番号44、配列番号10若しくは配列番号45、配列番号40若しくは配列番号46、配列番号10若しくは配列番号47、又は配列番号10若しくは配列番号48に示される配列を含み、又はそれらからなる請求項1~6のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項8】
前記センス鎖は、配列番号1若しくは配列番号28に示される配列を含み、又はそれらからなる請求項1~7のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項9】
前記センス鎖は、配列番号1に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含み、任意に、前記センス鎖は、配列番号1に示される配列においてrで1個、2個、3個、4個又は5個のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む請求項1~8のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項10】
前記rへの置き換えは、配列番号1の5’末端の1~19位に起こる請求項1~9のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項11】
前記センス鎖の配列は、配列番号5若しくは配列番号18、配列番号3若しくは配列番号16、配列番号14若しくは配列番号27、配列番号13若しくは配列番号26、配列番号12若しくは配列番号25、配列番号37若しくは配列番号42、又は配列番号38若しくは配列番号43に示される配列を含み、又はそれらからなる請求項1~10のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項12】
前記二本鎖siRNA類似体は、S18~S28のいずれかであり、
S18:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号4若しくは配列番号17であり、
S19:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号6若しくは配列番号19であり、
S20:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号7若しくは配列番号20であり、
S21:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号8若しくは配列番号21であり、
S22:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号9若しくは配列番号22であり、
S23:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号10若しくは配列番号23であり、
S24:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号11若しくは配列番号24であり、
S25:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号29若しくは配列番号33であり、
S26:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号30若しくは配列番号34であり、
S27:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号31若しくは配列番号35であり、
S28:センス鎖は配列番号1若しくは配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号32若しくは配列番号36であり、
又は、
前記二本鎖siRNA類似体は、S1~S17のいずれかであり、
S1:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号4若しくは配列番号17であり、
S2:センス鎖は配列番号5若しくは配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号4若しくは配列番号17であり、
S3:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号6若しくは配列番号19であり、
S4:センス鎖は配列番号5若しくは配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号6若しくは配列番号19であり、
S5:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号7若しくは配列番号20であり、
S6:センス鎖は配列番号5若しくは配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号7若しくは配列番号20であり、
S7:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号8若しくは配列番号21であり、
S8:センス鎖は配列番号5若しくは配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号8若しくは配列番号21であり、
S9:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号9若しくは配列番号22であり、
S10:センス鎖は配列番号5若しくは配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号9若しくは配列番号22であり、
S11:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号10若しくは配列番号23であり、
S12:センス鎖は配列番号5若しくは配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号10若しくは配列番号23であり、
S13:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号11若しくは配列番号24であり、
S14:センス鎖は配列番号5若しくは配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号11若しくは配列番号24であり、
S15:センス鎖は配列番号12若しくは配列番号25であり、アンチセンス鎖は配列番号4若しくは配列番号17であり、
S16:センス鎖は配列番号13若しくは配列番号26であり、アンチセンス鎖は配列番号4若しくは配列番号17であり、
S17:センス鎖は配列番号14若しくは配列番号27であり、アンチセンス鎖は配列番号4若しくは配列番号17であり、
又は、
前記二本鎖siRNA類似体は、S29~S35のいずれかであり、
S29:センス鎖は配列番号37若しくは配列番号42であり、アンチセンス鎖は配列番号10若しくは配列番号23であり、
S30:センス鎖は配列番号38若しくは配列番号43であり、アンチセンス鎖は配列番号10若しくは配列番号23であり、
S31:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号39若しくは配列番号44であり、
S32:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号10若しくは配列番号45であり、
S33:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号40若しくは配列番号46であり、
S34:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号10若しくは配列番号47であり、
S35:センス鎖は配列番号3若しくは配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号10若しくは配列番号48である請求項1~11のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項13】
前記二本鎖siRNA類似体は薬学的に許容されるコンジュゲート基に結合されており、前記薬学的に許容されるコンジュゲート基はGalNAc基を含み、任意に、前記薬学的に許容されるコンジュゲート基は1個から5個のGalNAc基を含有する請求項1~12のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート又はその塩。
【請求項14】
前記二本鎖siRNA類似体は薬学的に許容されるコンジュゲート基に結合されており、前記薬学的に許容されるコンジュゲート基は、化合物基Dを含む
【化2】
請求項1~13に記載の二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート又はその塩。
【請求項15】
前記薬学的に許容されるコンジュゲート基は、前記二本鎖siRNA類似体のセンス鎖の3’末端に結合される請求項13又は14に記載の二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート又はその塩。
【請求項16】
前記二本鎖siRNA類似体又はそのコンジュゲートのホスホロチオエート部分は、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、及び/又はそのラセミ混合物を含む請求項1~15のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項17】
前記塩は、塩基付加塩、酸付加塩及びその組み合わせから選ばれ、任意に、前記塩基付加塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、マグネシウム塩及びその組み合わせから選ばれ、前記酸付加塩は、無機酸塩、有機酸塩及びその組み合わせから選ばれ、任意に、前記無機酸は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸及びその組み合わせから選ばれ、前記有機酸は、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、(E)-2-ブテン二酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸及びその組み合わせから選ばれる請求項1~16のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート又はその塩を含み、任意に、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項19】
B型肝炎を治療するための薬物の製造における請求項1~17のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート若しくはその塩、又は請求項18に記載の医薬組成物の用途。
【請求項20】
請求項1~17のいずれか1項に記載の二本鎖siRNA類似体、そのコンジュゲート若しくはその塩、又は請求項18に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む対象のB型肝炎の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、中国特許出願第CN202010529520.7号(出願日2020年6月11日)、中国特許出願第CN202011524835.9号(出願日2020年12月21日)、中国特許出願第CN202010524584.8号(出願日2020年6月10日)、PCT/CN2020/133982(出願日2020年12月4日)、中国特許出願第CN202010522407.6号(出願日2020年6月10日)、及び中国特許出願第CN202011524307.3号(出願日2020年12月21日)の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、バイオ医薬品分野に属し、r’が挿入されたsiRNA類似体、二本鎖siRNA類似体、それを含むコンジュゲート、及びその塩並びに用途に関し、具体的には、前記用途はB型肝炎ウイルスによる肝炎の治療薬物を製造するための用途である。
【背景技術】
【0003】
B型肝炎ウイルスによる肝炎は、B型肝炎と略称され、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus、略称HBV)の感染によって引き起こされる疾患である。B型肝炎ウイルスは、主に肝細胞に存在し、肝細胞を損傷して肝細胞の炎症、壊死、線維化を引き起こす肝臓親和性ウイルスである。B型肝炎ウイルスによる肝炎は、急性及び慢性の2つに分かれている。急性B型肝炎は、成人ではたいていの場合、自身の免疫機構により自然に治る。一方、慢性B型肝炎(CHB)は既に世界的なヘルスケアにとって大きな課題となっており、慢性肝疾患、肝硬変(cirrhosis)及び肝がん(HCC)を引き起こす主な要因でもある(Edward J.G.,et al.,The oral toll-like receptor-7 agonist GS-9620 in patients with chronic hepatitis B virus infection.Journal of Hepatology(2015);63:320-328)。世界で20億人が慢性B型肝炎ウイルスに感染しており、うち3億5000万以上がB型肝炎に発展しており、毎年約60万人は慢性B型肝炎による合併症で死亡していると推定されている(Edward J.G.,et al.,The oral toll-like receptor 7 agonist GS-9620 in patients with chronic hepatitis B virus infection.Journal of Hepatology(2015))。我が国はB型肝炎の発生率の高い地域で、B型肝炎の既存患者が多いため、深刻な影響をもたらしている。関連データによると、中国では現在、B型肝炎ウイルス感染者が約9300万おり、そのうち約2000万の患者は慢性B型肝炎と確診されており、さらにその10~20%が肝硬変に、1~5%が肝がんに発展するという試算である(張春紅,干擾素在乙型肝炎治療中的応用(B型肝炎の治療におけるインターフェロンの使用).中国医薬指南(2013);11:475-476)。
【0004】
B型肝炎の機能的治癒で肝心なのは、HBsAg(B型肝炎ウイルス表面抗原)を除去し、表面抗体を生成させることである。HBsAgの定量は、非常に重要な生物学的指標の1つである。慢性感染患者では、現行治療のエンドポイントであるHBsAgの減少とセロコンバージョンが観察されたのはごくまれである。
【0005】
現在販売が承認されている抗HBV薬は、主に、免疫調節薬(インターフェロン-α、ペグインターフェロンα-2a)及び抗ウイルス薬(ラミブジン、アデホビルジピボキシル、エンテカビル、テルビブジン、テノホビル、クレブジンなど)である。そのうち、抗ウイルス薬は核酸医薬品であり、作用機序はHBV DNAの合成を阻害することであるが、HBsAgレベルを直接低減させることはできない。核酸医薬品は、長期治療で自然に観察されたのと同等なHBsAgクリアランスを示している(Janssen et al.,Lancet(2005),365,123-129;Marcellin et al.,N.Engl.J.Med.(2004),351,1206-1217;Buster et al.,Hepatology(2007),46,388-394)。
【0006】
臨床ではHBsAgを低減させる治療法があるが、効果が満足できない。従って、遺伝子レベルでウイルス遺伝子の発現をサイレンシングして、HBVの生成及び複製、特にHBsAg及びHBeAg(B型肝炎S抗原及びE抗原)の産生を遮断することができれば、ウイルスの代謝及び肝細胞への侵入を根本的に低減させることができる。低分子干渉RNA(small interfering RNA、siRNA)は、RNA干渉(RNA interference、RNAi)という機序により、標的となる目的遺伝子の発現を配列特異的に阻害又は遮断することができ、mRNAからタンパク質への翻訳というレベルにおいて阻害効果を発揮して、疾患治療の目的を果たすことができる(WO2016077321、WO2018195165)。B型肝炎の最も理想的な治療方式とされるこの技術では、siRNAに安定化修飾を行い、目的器官及び細胞を標的とする対応する送達システムを添えることにより、代謝安定性を向上させる必要があるが、従来のsiRNAはB型肝炎ウイルスS抗原及びE抗原の含有量を効果的に低減させることができない。
【0007】
また、siRNAは、一部のmRNA断片と部分的に相補的に対合することにより、当該mRNAに対応する遺伝子の発現を調節することができる。特に、siRNAのアンチセンス鎖の5’末端のシード領域(seed region)と非標的遺伝子の相補的な対合は当該遺伝子の発現を部分的に又は完全にサイレンシングすることができ、この現象はインビボ又はインビトロでのsiRNAのオフターゲットが生じる主な要因である(Jackson et al.,RNA(2006),12,1179-1187.)。B型肝炎を治療するためのsiRNAは臨床でも前臨床段階でも当該欠点を示している(WO2020036862)。ヌクレオチドに対する一部の修飾はオフターゲットのリスクを低減できるが(Iribe et al.,ACS Omega(2017),2,2055-2064;Janas et al.,Nat.Commun.2018,9,723-732)、サイレンシングの有効性も低下してしまうため、治療の安全性ウィンドウを改善する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、リバビリン誘導体が挿入された二本鎖siRNA類似体、それを含むコンジュゲート、及びその塩並びに用途に関する。本開示に係る二本鎖siRNA類似体、それを含むコンジュゲート及びその塩は、B型肝炎ウイルスDNA、S抗原、E抗原など複数のウイルス指標を効果的に抑えることができ、B型肝炎(例えば、慢性B型肝炎)の治療(例えば、機能的治癒)に効果的で実行可能な手段を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本開示の第1態様として、センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖siRNA類似体を提供し、アンチセンス鎖は配列番号2に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含み、rは、
【化1】
であり、
ただし、前記siRNA類似体のヌクレオチド及びrのそれぞれは独立して修飾されているか又は修飾されていない。
【0010】
特定の実施形態において、前記siRNA類似体のヌクレオチド及びrの1つ又は複数は修飾されており、他のヌクレオチド及びrは修飾されていない。前記修飾は、例えば、メトキシ修飾、フッ素修飾、ホスホロチオエート基結合、又はヌクレオチドの(S)-グリセロール核酸への置き換えなどを含む。
【0011】
特定の実施形態において、前記siRNA類似体のヌクレオチド及びrの1つ又は複数は修飾されており、他のヌクレオチド及びrは修飾されていない。前記修飾は、例えば、メトキシ修飾、フッ素修飾、ホスホロチオエート基結合、ヌクレオチドの(S)-グリセロール核酸への置き換え、又はヌクレオチドの(E)-ビニルホスフェート(vinyl phosphate)への置き換えによる修飾などを含む。
【0012】
特定の実施形態において、前記siRNA類似体のほぼ全てのヌクレオチド及びrは修飾されている。特定の実施形態において、前記siRNA類似体の全てのヌクレオチド及びrは修飾されている。
【0013】
特定の実施形態において、前記二本鎖siRNA類似体の70%、75%、80%、85%、90%又は95%以上のヌクレオチド及びrは修飾されている。特定の実施形態において、前記二本鎖siRNA類似体の全てのヌクレオチド及びrは修飾されている。
【0014】
特定の実施形態において、前記配列番号2は、任意に、5’末端及び/又は3’末端のオーバーハングを含む。特定の実施形態において、前記配列番号2は、5’末端及び/又は3’末端の0個、1個、2個、3個、4個又は5個のヌクレオチドのオーバーハングを含む。
【0015】
特定の実施形態において、前記配列番号2が5’末端及び/又は3’末端の2個のヌクレオチドのオーバーハングを含む場合に、末端の3個のヌクレオチドの間に、任意に、2つのホスホロチオエート基結合を有し、ただし、当該3個のヌクレオチドで2個のヌクレオチドはオーバーハングであり、もう1個のヌクレオチドはオーバーハングに隣接する対合ヌクレオチドである。特定の実施形態において、前記オーバーハングは修飾されている又は修飾されていないUUから選ばれることが好ましい。特定の実施形態において、前記オーバーハングはuuから選ばれることが好ましい。特定の実施形態において、前記オーバーハングuuとそれに隣接する1個の対合ヌクレオチドとの間に2つのホスホロチオエート基結合を有する。
【0016】
特定の実施形態において、前記配列番号2は3’末端のオーバーハングを含み、前記オーバーハングは修飾されている又は修飾されていないUUから選ばれることが好ましい。特定の実施形態において、前記配列番号2は3’末端のオーバーハングを含み、前記オーバーハングはuuから選ばれることが好ましい。特定の実施形態において、前記配列番号2は3’末端のオーバーハングを含み、前記オーバーハングuuとそれに隣接する1個の対合ヌクレオチドとの間に2つのホスホロチオエート基結合を有する(例えば、c・u・u)。
【0017】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のアンチセンス鎖は配列番号2に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。例えば、アンチセンス鎖は配列番号2に示される配列においてrで1個のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。
【0018】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のアンチセンス鎖は配列番号2に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。例えば、アンチセンス鎖は配列番号2に示される配列においてrで1個、2個、3個、4個又は5個のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。
【0019】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のアンチセンス鎖は配列番号2に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含み、前記rへの置き換えは配列番号2の任意の位置に起こる。好ましくは、前記rへの置き換えは配列番号2の5’末端の1~21位又は1~19位に起こる。例えば、前記rへの置き換えは配列番号2の5’末端の1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20又は21位に起こる。好ましくは、前記rへの置き換えは配列番号2の5’末端の2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、10位、11位、12位、16又は18位に起こる。
【0020】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のアンチセンス鎖は配列番号4若しくは配列番号17、配列番号6若しくは配列番号19、配列番号7若しくは配列番号20、配列番号8若しくは配列番号21、配列番号9若しくは配列番号22、配列番号10若しくは配列番号23、配列番号11若しくは配列番号24、配列番号29若しくは配列番号33、配列番号30若しくは配列番号34、配列番号31若しくは配列番号35、又は配列番号32若しくは配列番号36に示される配列を含み、又はそれらからなる。特定の実施形態において、前記配列は、更なるヌクレオチド修飾として、例えば、メトキシ修飾、フッ素修飾、ホスホロチオエート基結合又はヌクレオチドの(S)-グリセロール核酸への置き換えなどを含む。
【0021】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のアンチセンス鎖は配列番号4若しくは配列番号17、配列番号6若しくは配列番号19、配列番号7若しくは配列番号20、配列番号8若しくは配列番号21、配列番号9若しくは配列番号22、配列番号10若しくは配列番号23、配列番号11若しくは配列番号24、配列番号29若しくは配列番号33、配列番号30若しくは配列番号34、配列番号31若しくは配列番号35、配列番号32若しくは配列番号36、配列番号39若しくは配列番号44、配列番号10若しくは配列番号45、配列番号40若しくは配列番号46、配列番号10若しくは配列番号47、又は配列番号10若しくは配列番号48に示される配列を含み、又はそれらからなる。特定の実施形態において、前記配列は、更なるヌクレオチド修飾として、例えば、メトキシ修飾、フッ素修飾、ホスホロチオエート基結合、ヌクレオチドの(S)-グリセロール核酸への置き換え、又はヌクレオチドの(E)-ビニルホスフェートへの置き換えによる修飾などを含む。
【0022】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のセンス鎖は配列番号1若しくは配列番号28に示される配列を含み、又はそれらからなる。
【0023】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のセンス鎖は配列番号1に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。例えば、センス鎖は配列番号1に示される配列においてrで1個のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。
【0024】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のセンス鎖は配列番号1に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。例えば、センス鎖は配列番号1に示される配列においてrで1個、2個、3個、4個又は5個のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。
【0025】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のセンス鎖は配列番号1に示される配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含み、前記rへの置き換えは配列番号1の5’末端の1~19位に起こる。例えば、前記rへの置き換えは配列番号1の5’末端の1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、又は19位に起こる。好ましくは、前記rへの置き換えは配列番号1の5’末端の2位、3位、7位、12位、15位、17位又は19位に起こる。
【0026】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のセンス鎖の配列は配列番号5若しくは配列番号18、配列番号3若しくは配列番号16、配列番号14若しくは配列番号27、配列番号13若しくは配列番号26、又は配列番号12若しくは配列番号25に示される配列を含み、又はそれらからなる。特定の実施形態において、前記配列は、更なるヌクレオチド修飾として、例えば、メトキシ修飾、フッ素修飾、ホスホロチオエート基結合などを含む。
【0027】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のセンス鎖の配列は配列番号5若しくは配列番号18、配列番号3若しくは配列番号16、配列番号14若しくは配列番号27、配列番号13若しくは配列番号26、配列番号12若しくは配列番号25、配列番号37若しくは配列番号42、又は配列番号38若しくは配列番号43に示される配列を含み、又はそれらからなる。特定の実施形態において、前記配列は、更なるヌクレオチド修飾として、例えば、メトキシ修飾、フッ素修飾、ホスホロチオエート基結合、ヌクレオチドの(S)-グリセロール核酸への置き換え、又はヌクレオチドの(E)-ビニルホスフェートへの置き換えによる修飾などを含む。
【0028】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のセンス鎖及びアンチセンス鎖は配列においてrで1個又は複数のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含み、アンチセンス鎖配列番号2に示される配列では、前記rへの置き換えが配列番号2の5’末端の2位に起こり、センス鎖配列番号1に示される配列では、前記rへの置き換えが5’末端の7位に起こる。
【0029】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体はS18~S28のいずれかである。
S18:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号4又は配列番号17であり、
S19:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号6又は配列番号19であり、
S20:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号7又は配列番号20であり、
S21:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号8又は配列番号21であり、
S22:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号9又は配列番号22であり、
S23:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号10又は配列番号23であり、
S24:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号11又は配列番号24であり、
S25:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号29又は配列番号33であり、
S26:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号30又は配列番号34であり、
S27:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号31又は配列番号35であり、
S28:センス鎖は配列番号1又は配列番号28であり、アンチセンス鎖は配列番号32又は配列番号36である。
【0030】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体はS1~S17のいずれかである。
S1:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号4又は配列番号17であり、
S2:センス鎖は配列番号5又は配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号4又は配列番号17であり、
S3:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号6又は配列番号19であり、
S4:センス鎖は配列番号5又は配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号6又は配列番号19であり、
S5:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号7又は配列番号20であり、
S6:センス鎖は配列番号5又は配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号7又は配列番号20であり、
S7:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号8又は配列番号21であり、
S8:センス鎖は配列番号5又は配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号8又は配列番号21であり、
S9:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号9又は配列番号22であり、
S10:センス鎖は配列番号5又は配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号9又は配列番号22であり、
S11:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号10又は配列番号23であり、
S12:センス鎖は配列番号5又は配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号10又は配列番号23であり、
S13:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号11又は配列番号24であり、
S14:センス鎖は配列番号5又は配列番号18であり、アンチセンス鎖は配列番号11又は配列番号24であり、
S15:センス鎖は配列番号12又は配列番号25であり、アンチセンス鎖は配列番号4又は配列番号17であり、
S16:センス鎖は配列番号13又は配列番号26であり、アンチセンス鎖は配列番号4又は配列番号17であり、
S17:センス鎖は配列番号14又は配列番号27であり、アンチセンス鎖は配列番号4又は配列番号17である。
【0031】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体はS29~S35のいずれかである。
S29:センス鎖は配列番号37又は配列番号42であり、アンチセンス鎖は配列番号10又は配列番号23であり、
S30:センス鎖は配列番号38又は配列番号43であり、アンチセンス鎖は配列番号10又は配列番号23であり、
S31:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号39又は配列番号44であり、
S32:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号10又は配列番号45であり、
S33:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号40又は配列番号46であり、
S34:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号10又は配列番号47であり、
S35:センス鎖は配列番号3又は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号10又は配列番号48である。
【0032】
特定の実施形態において、前記二本鎖siRNA類似体は、配列番号3であるセンス鎖と配列番号4であるアンチセンス鎖、配列番号5であるセンス鎖と配列番号4であるアンチセンス鎖、配列番号3であるセンス鎖と配列番号6であるアンチセンス鎖、配列番号5であるセンス鎖と配列番号6であるアンチセンス鎖、配列番号3であるセンス鎖と配列番号7であるアンチセンス鎖、配列番号5であるセンス鎖と配列番号7であるアンチセンス鎖、配列番号3であるセンス鎖と配列番号8であるアンチセンス鎖、配列番号5であるセンス鎖と配列番号8であるアンチセンス鎖、配列番号3であるセンス鎖と配列番号9であるアンチセンス鎖、配列番号5であるセンス鎖と配列番号9であるアンチセンス鎖、配列番号3であるセンス鎖と配列番号10であるアンチセンス鎖、配列番号5であるセンス鎖と配列番号10であるアンチセンス鎖、配列番号3であるセンス鎖と配列番号11であるアンチセンス鎖、配列番号5であるセンス鎖と配列番号11であるアンチセンス鎖、配列番号12であるセンス鎖と配列番号4であるアンチセンス鎖、配列番号13であるセンス鎖と配列番号4であるアンチセンス鎖、配列番号14であるセンス鎖と配列番号4であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号4であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号6であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号7であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号8であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号9であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号10であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号11であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号29であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号30であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号31であるアンチセンス鎖、配列番号1であるセンス鎖と配列番号32であるアンチセンス鎖、配列番号37であるセンス鎖と配列番号10であるアンチセンス鎖、配列番号38であるセンス鎖と配列番号10であるアンチセンス鎖、配列番号3であるセンス鎖と配列番号39であるアンチセンス鎖、配列番号3であるセンス鎖と配列番号10であるアンチセンス鎖、又は配列番号3であるセンス鎖と配列番号40であるアンチセンス鎖から選ばれ、前記二本鎖siRNA類似体のヌクレオチド及びrのそれぞれは独立して修飾されているか又は修飾されていない。
【0033】
特定の実施形態において、前記二本鎖siRNA類似体は、以下から選ばれる。
【表A-1】
【表A-2】
【0034】
前記二本鎖siRNA類似体のヌクレオチド及びrはそれぞれ独立して修飾されているか又は修飾されていない。
【0035】
特定の実施形態において、前記二本鎖siRNA類似体は、配列番号16であるセンス鎖と鎖配列番号17であるアンチセンス、配列番号18であるセンス鎖と配列番号17であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号19であるアンチセンス鎖、配列番号18であるセンス鎖と配列番号19であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号20であるアンチセンス鎖、配列番号18であるセンス鎖と配列番号20であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号21であるアンチセンス鎖、配列番号18であるセンス鎖と配列番号21であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号22であるアンチセンス鎖、配列番号18であるセンス鎖と配列番号22であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号23であるアンチセンス鎖、配列番号18であるセンス鎖と配列番号23であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号24であるアンチセンス鎖、配列番号18であるセンス鎖と配列番号24であるアンチセンス鎖、配列番号25であるセンス鎖と配列番号17であるアンチセンス鎖、配列番号26であるセンス鎖と配列番号17であるアンチセンス鎖、配列番号27であるセンス鎖と配列番号17であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号17であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号19であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号20であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号21であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号22であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号23であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号24であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号33であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号34であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号35であるアンチセンス鎖、配列番号28であるセンス鎖と配列番号36であるアンチセンス鎖、配列番号42であるセンス鎖と配列番号23であるアンチセンス鎖、配列番号43であるセンス鎖と配列番号23であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号44であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号45であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号46であるアンチセンス鎖、配列番号16であるセンス鎖と配列番号47であるアンチセンス鎖、又は配列番号16であるセンス鎖と配列番号48であるアンチセンス鎖から選ばれる。
【0036】
特定の実施形態において、前記二本鎖siRNA類似体は、以下から選ばれる。
【表B-1】
【表B-2】
【0037】
本開示の第2態様として、本開示の第1態様による二本鎖siRNA類似体と、二本鎖siRNA類似体にコンジュゲートされた薬学的に許容されるコンジュゲート基とを含む二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートを提供する。
【0038】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートの薬学的に許容されるコンジュゲート基は、1個から5個のGalNAc(N-アセチルガラクトサミン)基を含有する。好ましくは、前記薬学的に許容されるコンジュゲート基は1個、2個、3個、4個又は5個のGalNAc基を含有する。より好ましくは、前記薬学的に許容されるコンジュゲート基は3個又は4個のGalNAc基を含有する。
【0039】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートの薬学的に許容されるコンジュゲート基は化合物基Dを含む。
【化2】
【0040】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートの薬学的に許容されるコンジュゲート基は、二本鎖siRNA類似体のセンス鎖の3’末端に結合される。
【0041】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体又は二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートのホスホロチオエート部分は、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、及び/又はそのラセミ混合物を含む。
【0042】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートは、以下から選ばれる。
【表C-1】
【表C-2】
【0043】
前記Dは、上記のとおりである。
【0044】
本開示の第3態様として、本開示の第1態様による二本鎖siRNA類似体又は本開示の第2態様による二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートの塩を提供する。
【0045】
特定の実施形態において、前記塩は、塩基付加塩、酸付加塩及びその組み合わせから選ばれる。
【0046】
特定の実施形態において、塩基付加塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、マグネシウム塩及びその組み合わせから選ばれ、酸付加塩は、無機酸塩、有機酸塩及びその組み合わせから選ばれる。
【0047】
特定の実施形態において、無機酸は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸及びその組み合わせから選ばれ、有機酸は、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、(E)-2-ブテン二酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸及びその組み合わせから選ばれる。
【0048】
本開示の第4態様として、本開示の第1態様による二本鎖siRNA類似体、本開示の第2態様による二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート、又は本開示の第3態様による塩と、薬学的に許容される担体若しくは賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0049】
本開示の第5態様として、B型肝炎を治療するための薬物の製造における本開示の第1態様による二本鎖siRNA類似体、本開示の第2態様による二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート、又は本開示の第3態様による塩、又は本開示の第4態様による医薬組成物の用途を提供する。
【0050】
本開示の特定の実施形態において、対象のB型肝炎を治療するための、本開示の第1態様による二本鎖siRNA類似体、本開示の第2態様による二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート、又は本開示の第3態様による塩、又は本開示の第4態様による医薬組成物を提供する。
【0051】
本開示の第6態様として、本開示の第1態様による二本鎖siRNA類似体、本開示の第2態様による二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート、又は本開示の第3態様による塩、又は本開示の第4態様による医薬組成物を対象に投与するステップを含む対象のB型肝炎の治療方法を提供する。
【0052】
本開示の第7態様として、対象のB型肝炎を治療するための、本開示の第1態様による二本鎖siRNA類似体、本開示の第2態様による二本鎖siRNA類似体のコンジュゲート、又は本開示の第3態様による塩、又は本開示の第4態様による医薬組成物を提供する。
【0053】
本開示の特定の実施形態において、前記B型肝炎は、疾患の任意の段階であってもよい。例えば、急性B型肝炎、慢性B型肝炎、又はB型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる肝硬変若しくは肝がんである。特定の実施形態において、前記B型肝炎は慢性B型肝炎である。
【0054】
(定義と説明)
特に説明がない限り、本明細書で使用する下記の用語及び表現は次の意味を有する。特定の用語又は表現は、特に定義がなければ、確定しないもの又は不明瞭なものとしてではなく、当業者の理解している通常の意味を有する。本明細書で商品名が記載された場合、対応する商品又はその有効成分を指す。
【0055】
本開示において、特に説明がない限り、用語「含む、含有する」又は同等な用語は開放的な表現であり、列挙された要素、成分又はステップの他に、明記していない他の要素、成分又はステップを含んでもよいということを意味する。
【0056】
本開示において、HBV遺伝子とは、DNA配列がGenbankアクセッション番号NC_003977.1に示されている遺伝子を指す。Genbankアクセッション番号NC_003977.1に示されている遺伝子は、HBVの完全なゲノムである。
【0057】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体は、HBVのXオープン・リーディング・フレーム(X opening reading frame、X ORF)を標的とすることができる。
【0058】
本開示において、二本鎖siRNA類似体とは、二本鎖構造を有し、逆平行で実質的に相補的な2本のリボヌクレオチド鎖を含むリボ核酸分子の複合体を指し、標的RNAに対して「センス」及び「アンチセンス」の方向性を有している。本開示において、「相補」は、二本鎖核酸分子で、一方の鎖の塩基が他方の鎖の塩基と相補的に対合するという当業者に周知されている意味を有する。プリン塩基アデニン(A)は、常にピリミジン塩基ウラシル(U)に対合し、プリン塩基グアニン(C)は、常にピリミジン塩基シトシン(G)に対合する。塩基対はいずれも1個のプリンと1個のピリミジンを含む。1本の鎖のアデニンが常に他方の鎖のウラシルに対合し、且つグアニンが常にシトシンに対合している場合に、2本の鎖は互いに相補的であると見なされ、その相補鎖の配列から当該鎖の配列を推定することができる。
【0059】
本開示において、特に説明がない限り、大文字C、G、U、Aはヌクレオチドの塩基構成を表す。小文字c、g、u、aは、それぞれ、対応する大文字によって表されるヌクレオチドがメトキシ基によって修飾されているものを表し、下線は、大文字によって表されるヌクレオチドがフッ素によって修飾されていることを表し、中黒「・」は、中黒「・」と左右に隣接する2個のヌクレオチド残基の間がホスホロチオエート基結合であることを表し、VPは、文字VPの右側の1個のヌクレオチドは(E)-ビニルホスフェートによって修飾されているヌクレオチドであることを表す。例えば、「a・g」は、aとg残基がホスホロチオエート基によって結合されていることを表す。
【0060】
本開示に言うヌクレオチドの「修飾」は、メトキシ修飾、フッ素修飾、(E)-ビニルホスフェート修飾、ホスホロチオエート基結合又はヌクレオチドの(S)-グリセロール核酸への置き換えなどを含み、ただしそれらに限定されない。本開示に言う配列は、下記の表1に記載された「さらに修飾されている配列」を含んでもよい。
【0061】
本開示に言うフッ素によって修飾されているヌクレオチドとは、ヌクレオチドのリボシル基の2’位のヒドロキシ基がフッ素によって置換されて形成されたヌクレオチドを指し、前記メトキシ基によって修飾されているヌクレオチドとは、リボシル基の2’-ヒドロキシ基がメトキシ基によって置換されて形成されたヌクレオチドを指す。
【0062】
本開示に言う(E)-ビニルホスフェートによって修飾されているヌクレオチドは、下記の構造単位を表し、
【化3】
ここで、Eは、
【化4】
から選ばれ、
Xは、OCH
3及びFから選ばれる。
【0063】
本開示に言う(S)-グリセロール核酸(Agn)は、下記の構造単位を表し、
【化5】
(Agn)と他のヌクレオチド残基は、リン酸エステル又はホスホロチオエートによって互いに結合され、例えば、「a・(Agn)」はaと(Agn)残基がホスホロチオエート基によって結合されていることを表し、「a(Agn)」は、aと(Agn)残基がリン酸エステル基によって結合されていることを表す。
【0064】
特定の実施形態において、二本鎖siRNA類似体は、センス鎖又はr’が挿入されたセンス鎖とr’が挿入されたアンチセンス鎖とを含む。センス鎖、r’が挿入されたセンス鎖及びr’が挿入されたアンチセンス鎖は、いずれもヌクレオチド基を基本構造単位として含有している。ヌクレオチド基はリン酸基、リボシル基及び塩基を含有しているということは当業者に周知されているため、ここで更なる説明を省略する。
【0065】
本開示に言うr’が挿入された配列とは、rに結合されているヌクレオチド残基が少なくとも1個存在する配列を指し、配列(例えば、配列番号2)においてrで1個のヌクレオチド残基を置き換えた配列を含む。本開示に言うr’が挿入された配列は、r’が挿入された二本鎖siRNA、r’が挿入されたセンス鎖、r’が挿入されたアンチセンス鎖を含み、ただしそれらに限定されない。例えば、5’-aGUrrA・C-3’、5’-rGgAAC-3’、5’-AG・UrAAcCuCr-3’はいずれもr’が挿入されたものに該当する。
【0066】
本開示に言うr’が挿入された二本鎖siRNAとは、rに結合されているヌクレオチド残基が少なくとも1個存在する二本鎖siRNAを指し、二本鎖siRNAの配列においてrで1個のヌクレオチド残基を置き換えた二本鎖siRNAを含む。本開示に言うr’が挿入されたセンス鎖とは、rに結合されているヌクレオチド残基が少なくとも1個存在するセンス鎖を指し、センス鎖の1個又は複数のヌクレオチドがrによって置き換えられるものを含む。本開示に言うr’が挿入されたアンチセンス鎖とは、rに結合されているヌクレオチド残基が少なくとも1個存在するアンチセンス鎖を指し、アンチセンス鎖の1個又は複数のヌクレオチドがrによって置き換えられるものを含む。
【0067】
本開示に言うr’は、
【化6】
であり(ここで、Xは、SH及びOHから選ばれる)、天然のヌクレオチド塩基の類似体であり、開示されている天然のヌクレオチド塩基のいずれとも違って、核酸配列に導入すると予期もしなかった活性をもたらす。
【0068】
本開示に言うrは、下記の構造単位を表し、
【化7】
rと他のヌクレオチド残基はリン酸エステル又はホスホロチオエートによって互いに結合され、例えば、「a・r」は、aとr残基がホスホロチオエート基によって結合されていることを表し、「ar」は、aとr残基がリン酸エステル基によって結合されていることを表す。
【0069】
本開示に言う「複数」とは、2以上の整数を指し、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19又は20個を含み、ただしそれらに限定されない。前記siRNA類似体の理論的な上限までである。
【0070】
本開示において、前記二本鎖siRNA類似体のセンス鎖又はアンチセンス鎖は、「オーバーハング」を含んでもよく、例えば、RNA二重らせん構造に直接関与しない、対合せずはみ出しているヌクレオチドであり、RNA二重らせん構造は一般に本明細書で定義されている「センス鎖」と「アンチセンス鎖」の対から形成されている。そのようなオーバーハングは、修飾されている又は修飾されていないU、T及びAを1個又は複数含んでもよい。例えば、前記配列番号2は、5’及び/又は3’末端に修飾されている又は修飾されていないUUオーバーハングを含んでもよい。
【0071】
本開示において、二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートは、二本鎖siRNA類似体と薬学的に許容されるコンジュゲート基が結合して形成された化合物であり、なおかつ二本鎖siRNA類似体は薬学的に許容されるコンジュゲート基に共有結合されている。
【0072】
本開示において、薬学的に許容されるコンジュゲート基は二本鎖siRNA類似体のセンス鎖又はr’が挿入されたセンス鎖の3’末端に結合されてもよい。
【0073】
一般に、薬学的に許容されるコンジュゲート基は、薬学的に許容される標的化分子と、任意にリンカー(linker)を含む。例示的なコンジュゲート基、リンカー、標的化分子の種類は、WO2015006740A2の開示を参照することができる。例示的なコンジュゲート基は、L96又は化合物基Dを含み、ただしそれらに限定されない。
【0074】
本開示の文脈では、特に説明がない限り、「コンジュゲートする」とは、それぞれ特定の機能を有する2個又は複数の化学的成分が共有結合によって互いに結合されていることを指し、さらに、「コンジュゲート」とは、当該各化学的成分が共有結合によって形成された化合物を指す。
【0075】
本開示に係る化合物には特定の幾何異性体又は立体異性体の形態が存在してもよい。本開示に係るこの種の化合物は、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー及びそのラセミ混合物、並びにその他の混合物であって、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーを大量に含有する混合物を含み、それらの混合物が全て本開示の範囲に含まれている。アルキル基などの置換基には他の不斉炭素原子が存在してもよい。それらの異性体及びそれらの混合物は、いずれも本開示の範囲に含まれる。
【0076】
特に説明がない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは、互いに鏡像の関係である立体異性体を指す。
【0077】
特に説明がない限り、用語「ジアステレオマー」とは、2つ又はそれ以上のキラル中心を有する分子であって、分子同士が互いに非鏡像の関係である立体異性体を指す。
【0078】
特に説明がない限り、くさび形の実線結合
【化8】
及びくさび形の破線結合
【化9】
でキラル中心の絶対配置を表し、直線形の実線結合
【化10】
及び直線形の破線結合
【化11】
でキラル中心の相対配置を表し、波線
【化12】
でくさび形の実線結合
【化13】
若しくはくさび形の破線結合
【化14】
を表し、又は波線
【化15】
で直線形の実線結合
【化16】
及び/若しくは直線形の破線結合
【化17】
を表す。
【0079】
特に説明がない限り、用語「1種の異性体を大量に含有する」、「異性体の大量含有」、「1種のエナンチオマーを大量に含有する」又は「エナンチオマーの大量含有」とは、特定の1種の異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上で、且つ100%未満であることを指す。
【0080】
特に説明がない限り、用語「異性体過剰」又は「エナンチオマー過剰」とは、2種の異性体又は2種のエナンチオマーの相対パーセント含有量の差を指す。例えば、一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が90%で、他方の異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合に、異性体又はエナンチオマー過剰(ee値)は80%である。
【0081】
不斉合成、不斉試薬又はその他の通常の技術で、光学活性を有する(R)-異性体と(S)-異性体、及びD異性体とL異性体を製造することができる。本開示に係る特定の化合物のエナンチオマーを得るためには、不斉合成又は不斉助剤での誘導合成を利用できる。ジアステレオマー混合物を分離させ、且つ補助的な基を脱去させることで所望の純粋なエナンチオマーを得る。又は、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれた場合に、光学活性を有する適切な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させた後、本分野で周知される通常の方法でジアステレオマーを分割し、その後、回収して純粋なエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は一般にクロマトグラフィーによって実行され、クロマトグラフィーではキラルな固定相が用いられ、任意に化学的誘導法と組み合わせる(例えば、アミンからのカルバメート生成)。本開示に係る化合物は当該化合物を構成する1個又は複数の原子に非天然的な割合で同原子の同位体が含まれてもよい。例えば、化合物は三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)などの放射能同位体で標識されてもよい。又は、重水素で水素を置換して重水素化薬物を生成させてもよく、重水素と炭素の結合が水素と炭素からなる通常の結合よりも堅牢で、非重水素化薬物と比べて、重水素化薬物は毒性と副作用が軽減され、薬物安定性と治療効果が改善され、薬物の生物学的半減期が延長されるなどの利点を有する。本開示に係る化合物の同位体を含むバリアントは、放射性があるかどうかに関らず、いずれも本開示の範囲に含まれる。
【0082】
用語「塩」とは、本開示に係る特定の置換基を有する化合物と相対的に毒性のない酸又は塩基から製造される本開示に係る化合物の塩である。本開示に係る化合物に相対的に酸性を示す官能基が含まれる場合に、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基を当該化合物に接触させることで塩基付加塩を得る。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、マグネシウム塩又は類似する塩を含む。本開示に係る化合物に相対的に塩基性を示す官能基が含まれる場合に、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の酸を当該化合物に接触させることで酸付加塩を得る。薬学的に許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸の塩、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、(E)-2-ブテン二酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの有機酸の塩、アルギニンなどのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸などの有機酸の塩を含む。本開示に係る一部の特定の化合物は塩基性又は酸性の官能基を含んでいるため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩への変換が可能である。
【0083】
本開示に係る塩は、酸基又は塩基を含有している母体化合物から通常の化学的方法で合成できる。一般に、そのような塩は水、有機溶媒又は両者の混合物において、それらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態と化学量論的に適切な塩基又は酸を反応させることによって製造する。
【0084】
本開示に係る化合物は、下記で挙げる特定の実施形態、他の化学的合成方法と組み合わせた実施形態及び当業者の熟知する均等な代替の形態を含み、好ましい実施形態は本開示の実施例を含み、ただしそれらに限定されない当業者の熟知する様々な合成方法で製造することができる。
【0085】
本開示で使用する溶媒は市販品であってもよい。
【0086】
特に説明がない限り、本開示において、カラムクロマトグラフィー、分取薄層シリカゲルクロマトグラフィーで使用する溶媒の比率はいずれも体積比である。
【0087】
【0088】
化合物は、本分野の通常の命名規則に基づいて、又はソフトウェアChemDraw(登録商標)を用いて命名され、市販化合物はメーカーのカタログに記載の名称を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】
図1は、AAV/HBVマウス血漿中のHBsAgに対するWRG01の影響である。
【
図2】
図2は、AAV/HBVマウス血漿中のHBeAgに対するWRG01の影響である。
【
図3】
図3は、AAV/HBVマウス血漿中のHBV DNAに対するWRG01の影響である。
【
図4】
図4は、AAV/HBVマウス血漿中のHBV pgRNAに対するWRG01の影響である。
【
図5】
図5は、WRG01投与後のマウスの体重変化である。
【
図6】
図6は、AAV/HBVマウス血漿中のHBsAgに対するWR007及びWR012の影響である。
【
図7】
図7は、AAV/HBVマウス血漿中のHBeAgに対するWR007及びWR012の影響である。
【
図8】
図8は、AAV/HBVマウス血漿中のHBV DNAに対するWR007及びWR012の影響である。
【
図9】
図9は、AAV/HBVマウス血漿中のHBsAgに対する異なる用量のWRG01の影響である。
【
図10】
図10は、マウスの血漿、肝臓、腎臓におけるWRG01の濃度である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下、実施例を用いて本開示を詳細に説明し、ただし、本開示に何らかの限定を加えることにはならない。本開示に係る化合物は、下記で挙げる特定の実施形態、他の化学的合成方法と組み合わせた実施形態及び当業者の熟知する均等な代替の形態を含み、好ましい実施形態は本開示の実施例を含み、ただしそれらに限定されない当業者の熟知する様々な合成方法で製造することができる。本開示の趣旨と範囲を逸脱することなく本開示の特定の実施形態に様々な変形や改善を行うことができ、これは当業者にとって自明である。
【実施例】
【0091】
〔実施例1:ホスホロアミダイトモノマーの合成〕
【化18】
【0092】
ステップA:(2S,3R,4R,5R,6R)-3-アセチルアミノ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-メチン三酢酸塩(式1-1)(30g、94.26mmol)及び1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸メチル(11.98g、94.26mmol)を酢酸メチル(220mL)の溶液に溶解し、90℃油浴中、圧力1barでほぼ完全に乾燥するまで濃縮した。トリフルオロメタンスルホン酸(141.46mg、0.94mmol)の酢酸メチル溶液(2mL)を混合液に加え、圧力30mbarで、125℃油浴中で4時間撹拌した。反応液を70℃に冷却し、エタノール(70mL)を加えて、70℃で撹拌し、均一な溶液を得たら、撹拌を停止して50℃に冷却した。沈殿物が生成した後、静置して25℃に冷却し、反応液を0℃で16時間静置した。反応液をブフナー漏斗で濾過し、フィルターケーキを180mLのエタノール(60mL×3)で溶出し、真空乾燥して式1-2を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.40(s,1H),6.04(d,J=3.42Hz,1H),5.69-5.81(m,1H),5.54(t,J=5.38Hz,1H),4.42-4.51(m,2H),4.16-4.30(m,1H),3.98(s,3H),2.05-2.18(m,9H)。
【0093】
ステップB:式1-2(15g、38.93mmol)に示される化合物及びトリエチルアミン(4.14g、40.87mmol)をメタノール(100mL)に溶解した。混合液を窒素保護下、50℃で17時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して式1-3を得た。
1H NMR(400MHz,CD3OD):δ 8.87(s,1H),5.93(d,J=3.42Hz,1H),4.48(dd,J=3.48,4.83Hz,1H),4.33(t,J=5.26Hz,1H),4.10-4.16(m,1H),3.95(s,3H),3.84(dd,J=3.24,12.29Hz,1H),3.70(dd,J=4.46,12.29Hz,1H)。
【0094】
ステップC:式1-3(10g、38.58mmol)に示される化合物をピリジン(250mL)に溶解し、0℃で1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン(12.29g、38.97mmol)を滴加した。混合液を徐々に25℃に上げて16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、濃縮物を酢酸エチル(250mL)に懸濁して、ブフナー漏斗で濾過した。濾液を3M 塩酸750mL(250mL×3)及び飽和食塩水250mL(250mL×1)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル:ジクロロメタン:酢酸エチル=3:1:1)で精製して式1-4を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.43(s,1H),5.95(s,1H),4.73(dd,J=4.75,8.00Hz,1H),4.41(d,J=4.75Hz,1H),4.09-4.19(m,2H),3.94-4.03(m,4H),2.71-3.34(m,1H),1.01-1.15(m,28H)。
【0095】
ステップD:式1-4(8.23g、16.40mmol)に示される化合物、炭酸カリウム(11.34g、82.02mmol)及び酸化銀(I)(19.01g、82.02mmol)を含有しているN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)の混合液にヨードメタン(11.64g、82.02mmol)を加え、25℃で3時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(300mL)で希釈して、ブフナー漏斗で濾過した。濾液をチオ硫酸ナトリウムの水溶液250mL(250mL×1)、水250mL(250mL×1)及び飽和食塩水250mL(250mL×1)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル:酢酸エチル=5:1)で精製して式1-5を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.58(s,1H),5.91(s,1H),4.46(dd,J=4.22,9.35Hz,1H),4.17-4.28(m,2H),3.96-4.06(m,5H),3.68(s,3H),0.99-1.13(m,28H)。
【0096】
ステップE:0℃で、式1-5(3.27g、6.34mmol)に示される化合物のテトラヒドロフラン(50mL)溶液にトリエチルアミン三フッ化水素酸塩(2.25g、13.95mmol)を滴加し、混合液を徐々に25℃に上げて16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン:メタノール=20:1)で精製して式1-6を得た。
1H NMR(400MHz,CD3OD):δ 8.88(s,1H),6.04(d,J=3.26Hz,1H),4.44(t,J=5.33Hz,1H),4.20(dd,J=3.33,4.83Hz,1H),4.07-4.14(m,1H),3.96(s,3H),3.84(dd,J=3.20,12.36Hz,1H),3.69(dd,J=4.39,12.30Hz,1H),3.52(s,3H)。
【0097】
ステップF:0℃で、式1-6(1.30g、4.76mmol)に示される化合物のピリジン(20mL)溶液に4,4-ジメトキシトリチルクロリド(2.42g、7.14mmol)を加え、25℃で16時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(70mL)で希釈した後、25℃で飽和炭酸水素ナトリウムの水溶液(20mL)でクエンチして水(40mL)で希釈した。分液した後、合わせた有機相を水60mL(60mL×1)及び飽和食塩水60mL(60mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。p-HPLC(分離カラム:Phenomenex luna C18(仕様:250mm×50mm、粒径:10μm)、移動相:[水(10mM 炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル]、溶離勾配:35%-65%、20分)で精製して式1-7を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.44(s,1H),7.38-7.45(m,2H),7.28-7.34(m,5H),7.18-7.27(m,2H),6.70-6.92(m,4H),5.97(d,J=2.88Hz,1H),4.37-4.43(m,1H),4.33(dd,J=2.88,5.00Hz,1H),4.19-4.25(m,1H),3.98(s,3H),3.80(s,6H),3.58(s,3H),3.43-3.49(m,1H),3.33-3.40(m,1H),2.55(d,J=6.88Hz,1H)。
LCMS(ESI)m/z:574.2[M-H]-。
【0098】
ステップG:0℃で、式1-7(1.10g、1.91mmol)に示される化合物のジクロロメタン(8mL)溶液にN,N-ジイソプロピルアミドクロリド亜リン酸2-シアノエチル(678.45mg、2.87mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加え、20℃で30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル:酢酸エチル=50:1~1:2)で精製して式1化合物を得た。
LCMS(ESI)m/z:776.3[M+H]+。
【0099】
【0100】
ステップA:11-ドデイン-1-オール(25g、137.14mmol)及びトリエチルアミン(16.65g、164.56mmol)をジクロロメタン(250mL)に溶解し、0℃でメタンスルホニルクロリド(18.85g、164.56mmol)を加えた。混合液を0℃で2時間撹拌した。反応液を水(400mL)で希釈して、ジクロロメタン800mL(400mL×2)で抽出した。合わせた有機相を水400mL(200mL×2)及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過した後、減圧濃縮して式2-2を得た。
【0101】
ステップB:式2-3(20g、67.26mmol)に示される化合物をN,N-ジメチルホルムアミド(200mL)に溶解し、0℃で水素化ナトリウム(純度60%、4.04g、100.89mmol)を加え、続いて式2-2(19.27g、73.99mmol)に示される化合物を加えた。混合液を25℃で16時間撹拌した。反応液を水(1L)でクエンチして、ジクロロメタン1.6L(800mL×2)で抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水800mL(800mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過した後、減圧濃縮して式2-4を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.63-6.89(m,10H),5.64-5.52(m,2H),4.27-4.01(m,2H),3.98-3.77(m,2H),3.72-3.18(m,4H),2.23-2.14(m,2H),1.98-1.92(m,1H),1.54-1.23(m,16H)。
【0102】
ステップC:式2-4(48g、103.98mmol)に示される化合物をメタノール(870mL)に溶解し、塩化水素-メタノール溶液(4mol/L、400mL、1.6mol)を加えた。混合液を30℃で2時間撹拌した。反応液に塩化水素-メタノール溶液(4mol/L、350mL、1.4mol)を加えた。混合液を30℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、クロロホルム200mL(100mL×2)を加え、白い固体が現れるまで減圧濃縮した。トルエン(130mL)及び石油エーテル(130mL)を加え、混合液を15℃で16時間撹拌した。反応液をブフナー漏斗で濾過し、フィルターケーキを回収して真空乾燥して白い固体を得た。白い固体をジクロロメタン(50mL)に溶解し、水酸化ナトリウム(6.59g、164.66mmol)の水溶液(50mL)を加え、20℃で1時間撹拌した。反応液を水(500mL)で希釈して、ジクロロメタン1L(500mL×2)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して式2-5を得た。
【0103】
ステップD:式2-5(23g、80.58mmol)に示される化合物及び水酸化ナトリウム(322.31mg、8.06mmol)のあるジメチルスルホキシド(70mL)と水(6mL)の混合液にアクリル酸tert-ブチル(22.72g、177.28mmol)を加え、窒素保護下、25℃で16時間撹拌した。反応液を水(500mL)で希釈して、酢酸エチル1L(500mL×2)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(水酸化アンモニウムを0.1%含んでいる)=36:3:1~16:3:1)で精製して式2-6を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 3.60-3.54(m,4H),3.32(br s,5H),3.15(s,5H),2.74-2.66(m,1H),2.40(t,J=6.0Hz,4H),2.18-2.11(m,2H),1.58-1.38(m,22H),1.34-1.23(m,12H)。
【0104】
ステップE:式2-6(24.5g、45.22mmol)に示される化合物のジクロロメタン(250mL)溶液にトリエチルアミン(9.15g、90.45mmol)及び無水コハク酸(6.79g、67.83mmol)を加え、20℃で16時間撹拌した。反応液にジクロロメタン(1L)及び塩酸(1mol/L、1L)を加え、分液した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過した後、減圧濃縮して式2-7を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 6.49-6.37(m,1H),3.72(s,2H),3.70-3.57(m,8H),3.37(t,J=6.7Hz,2H),2.69-2.51(m,4H),2.50-2.36(m,4H),2.22-2.13(m,2H),1.96-1.90(m,1H),1.57-1.47(m,4H),1.46-1.40(m,18H),1.40-1.31(m,2H),1.30-1.21(m,10H)。
【0105】
ステップF:式2-7(27.4g、42.69mmol)に示される化合物をギ酸(140mL)に溶解し、混合液を窒素保護下、20℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、トルエン300mL(150mL×2)を加えて、減圧濃縮して式2-8を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 9.79-9.22(m,3H),6.44-6.23(m,1H),3.88-3.43(m,10H),3.39-3.20(m,2H),2.77-2.31(m,8H),2.15-2.06(m,2H),1.87(t,J=2.6Hz,1H),1.48-1.28(m,6H),1.26-1.12(m,10H)。
【0106】
ステップG:式2-8(22.6g、42.67mmol)に示される化合物、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(33.09g、256.03mmol)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(51.92g、136.55mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(250mL)に溶解し、N-(3-アミノプロピル)カルバミン酸tert-ブチル(29.74g、170.69mmol)を加えた。混合液を20℃で16時間撹拌した。反応液にジクロロメタン(1L)及び塩酸(1mol/L、1L)を加え、分液した有機相を水1L(1L×1)、炭酸水素ナトリウム水溶液1L(1L×1)、次に飽和食塩水1L(1L×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール=40:3:1~10:3:1)で精製した式2-9を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.22-6.79(m,3H),6.77-6.44(m,1H),5.45-5.00(m,3H),3.86-3.73(m,2H),3.72-3.63(m,4H),3.62-3.45(m,4H),3.41-3.32(m,2H),3.32-3.20(m,6H),3.19-3.03(m,6H),2.56-2.47(m,4H),2.47-2.39(m,4H),2.21-2.12(m,2H),1.95-1.90(m,1H),1.70-1.57(m,6H),1.56-1.47(m,4H),1.46-1.38(m,29H),1.30-1.25(m,10H)。
【0107】
ステップH:式2-9(15g、15.03mmol)に示される化合物をジクロロメタン(114mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(38mL)を加えて、混合液を20℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、トルエン:アセトニトリル=3:1混合液600mL(250mL×3)を加えて減圧濃縮して式2-10(トリ(トリフルオロ酢酸塩))を得た。
【0108】
ステップI:式2-11(22.15g、49.50mmol)に示される化合物、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.75g、60.00mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(6.12g、45.00mmol)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(20.53g、54.00mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(90mL)に溶解し、当該混合液に式2-10に示される化合物(トリ(トリフルオロ酢酸塩)、15.6g、15.00mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(21.32g、165.00mmol)のあるN,N-ジメチルホルムアミド(120mL)溶液を加えた。混合液を20℃で16時間撹拌した。反応液にジクロロメタン(1.2L)及び塩酸(1mol/L、1L)を加え、分液した有機相を水1L(1L×1)、炭酸水素ナトリウム水溶液1L(1L×1)、次に飽和食塩水1L(1L×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン:メタノール=100:1~10:1-ジクロロメタン:エタノール=1:1)で精製して式2-12を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.87-7.66(m,9H),7.09(s,1H),5.21(d,J=3.4Hz,3H),4.96(dd,J=3.4,11.3Hz,3H),4.48(d,J=8.5Hz,3H),4.06-3.98(m,9H),3.91-3.82(m,3H),3.74-3.66(m,3H),3.58-3.46(m,12H),3.31(br s,3H),3.07-2.98(m,12H),2.71(t,J=2.6Hz,1H),2.33-2.22(m,8H),2.16-2.12(m,2H),2.10(s,9H),2.04(br t,J=7.1Hz,6H),1.99(s,9H),1.89(s,9H),1.81-1.74(m,9H),1.54-1.39(m,22H),1.32(br dd,J=4.5,6.7Hz,2H),1.24(s,10H)。
【0109】
ステップJ:式2-12(1.00g、0.50mmol)に示される化合物及びN-メチル-N,N,N-トリ-n-オクチルアンモニウムクロリド(20.35mg、50.35μmol)を酢酸(2.7mL)とn-ペンタン(6.3mL)の混合液に溶解し、0℃で当該混合液に過マンガン酸カリウム(0.40g、2.52mmol)の水(9mL)溶液を滴加した。混合液を0~15℃で2時間撹拌した。亜硫酸水素ナトリウム(1.27g)で反応をクエンチして、塩酸(2mol/L、5mL)及び水(30mL)を加え、クロロホルム:イソプロパノール=3:1混合液120mL(40mL×3)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して、トルエン:アセトニトリル=1:1混合液180mL(30mL×6)を加え、減圧濃縮して式2-13を得た。
1H NMR(400MHz,CD3OD):δ 5.34(d,J=2.9Hz,3H),5.06(dd,J=3.3,11.2Hz,3H),4.56(d,J=8.4Hz,3H),4.19-4.06(m,9H),4.04-3.98(m,3H),3.87(td,J=5.7,9.9Hz,4H),3.72-3.64(m,9H),3.57-3.50(m,3H),3.39(br t,J=6.4Hz,2H),3.22(q,J=6.4Hz,12H),2.51-2.40(m,9H),2.21(br t,J=7.3Hz,6H),2.14(s,9H),2.03(s,9H),1.94(d,J=7.9Hz,18H),1.72-1.57(m,22H),1.39(br s,12H)。
【0110】
ステップK:式2-13(1.00g、0.50mmol)に示される化合物のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.26g、1.99mmol)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(0.23g、0.60mmol)を加えた。混合液を撹拌した後、式2-14(0.23g、0.55mmol)に示される化合物を加えた。混合液を15℃で16時間撹拌した。反応液にジクロロメタン(50mL)及び水(50mL)を加え、分液した有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mL(50mL×1)、水50mL(50mL×1)、次に飽和食塩水50mL(50mL×1)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン:メタノール(トリエチルアミンを0.1%含んでいる)=20:1~10:1)で精製して式2-15を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.90-7.82(m,6H),7.78(br d,J=4.8Hz,3H),7.40-7.26(m,10H),6.91(br dd,J=3.1,9.0Hz,4H),5.26(d,J=3.4Hz,3H),5.03-4.99(m,3H),4.53(d,J=8.4Hz,3H),4.43(br d,J=3.8Hz,1H),4.23-4.14(m,1H),4.12-4.02(m,9H),3.92(td,J=9.0,11.0Hz,3H),3.78(s,6H),3.77-3.71(m,3H),3.66-3.51(m,13H),3.49-3.41(m,4H),3.11-3.01(m,16H),2.38-2.37(m,1H),2.32(br s,9H),2.14(s,9H),2.08(br t,J=6.9Hz,7H),2.04(s,9H),1.93(s,9H),1.82(s,9H),1.57-1.46(m,22H),1.31-1.26(m,12H)。
【0111】
ステップL:式2-15(0.80g、0.33mmol)に示される化合物のジクロロメタン(8mL)溶液にトリエチルアミン(67.24mg、0.64mmol)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン(0.12g、1.00mmol)、無水コハク酸(83.13mg、0.83mmol)をこの順に加えた。混合液を10℃で16時間撹拌した。反応液にジクロロメタン(50mL)、水(30mL)及び飽和食塩水(30mL)を加え、分液した有機相を水30mL(30mL×1)、次に飽和食塩水30mL(30mL×1)で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。p-HPLC(分離カラム:Waters Xbridge C18(仕様:150mm×50mm、粒径:10μm)、移動相:[水(10mM 炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル]、溶離勾配:27%-57%、11分)で精製して実施例2(化合物D01)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.96-7.69(m,9H),7.33-7.09(m,10H),6.90-6.78(m,4H),5.21(d,J=3.3Hz,3H),4.97(dd,J=3.3,11.2Hz,3H),4.49(d,J=8.4Hz,3H),4.06-3.97(m,9H),3.91-3.83(m,3H),3.79-3.66(m,11H),3.63-3.45(m,18H),3.02(br d,J=4.6Hz,14H),2.46-2.37(m,4H),2.35-2.14(m,12H),2.10(s,9H),2.04(br t,J=7.0Hz,6H),1.99(s,9H),1.88(s,9H),1.77(s,9H),1.57-1.37(m,22H),1.22(br s,12H)。
【0112】
〔実施例3:二本鎖siRNA類似体又はそのコンジュゲートの合成〕
Dを含んでいる一本鎖オリゴリボヌクレオチドの合成:ホスホロアミダイト固相合成技術によりオリゴリボヌクレオチドを合成する。コントロールされた多孔質ガラス(アミノCPG、500Å)とD01を共有結合によって結合させて作製した固体支持体において合成した。全ての2’-修飾されたRNAホスホロアミダイト(phosphoramidite)及び補助試薬はいずれも市販試薬を使用してもよい。全てのアミドを無水アセトニトリルに溶解してモレキュラーシーブ(3Å)を加え、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)を活性化剤として使用し、カップリング時間は5分であった。50mM 3-((ジメチルアミノ-メチレン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン(DDTT)の無水アセトニトリル:ピリジン(v:v=1:1)溶液を使用してホスホロチオエート結合を生成させ、反応時間は3分間であった。全ての配列は最後にDMT基を除去して得られた。
【0113】
Dを含まない一本鎖オリゴリボヌクレオチドの合成:ホスホロアミダイト固相合成技術によりオリゴリボヌクレオチドを合成する。通常のコントロールされた多孔質ガラスCPG(500Å)において合成した。全ての2’-修飾されたRNAホスホロアミダイト(phosphoramidite)及び補助試薬はいずれも市販試薬を使用してもよい。全てのアミドを無水アセトニトリルに溶解してモレキュラーシーブ(3Å)を加え、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)を活性化剤として使用し、カップリング時間は5分であった。50mM 3-((ジメチルアミノ-メチレン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-チオン(DDTT)の無水アセトニトリル:ピリジン(v:v=1:1)溶液を使用してホスホロチオエート結合を生成させ、反応時間は3分間であった。全ての配列は最後にDMT基を除去して得られた。
【0114】
CPGに結合しているオリゴマーの切断と脱保護:固相合成を終了した後、ジエチルアミンを20%含んでいるアセトニトリル溶液で30分間処理して保護基を除去し、オリゴヌクレオチドはCPGから切断されずに済む。続いて、乾燥したCPGを40℃で、濃水酸化アンモニウムで18時間処理した。遠心分離した後、上清を新しいチューブに移して水酸化アンモニウムでCPGを洗浄した。合わせた溶液を濃縮して固体混合物を得た。
【0115】
一本鎖オリゴリボヌクレオチドの精製:HPLCで精製したオリゴマーをNanoQ陰イオンを用いて交換する。バッファーAは、10mM 過塩素酸ナトリウム溶液、20mM Tris、1mM EDTA(pH 7.4)、及び20%でアセトニトリルを含有しており、バッファーBは、500mM 過塩素酸ナトリウム、20mM Tris、1mM EDTA(pH 7.4)、及び20%でアセトニトリルを含有している。分離して目的生成物を得て、逆相C18カラムで脱塩した。
【0116】
一本鎖オリゴリボヌクレオチドのアニーリングによるsiRNA生成:アニーリングされる一本鎖オリゴリボヌクレオチドを無菌RNaseフリー水(RNA加水分解酵素なし)で200μMに調製した。次のようにアニーリング反応系を設定した。総量が100μLの混合液10nmolを95℃のウォーターバスで10分間静置し(100nmol以上を必要とする場合に20分間高温処理する必要がある)→直ちに60℃水浴に入れて、自然に冷却させ→アニーリングが完了した溶液は高温で静置して保存することができない。一本鎖オリゴリボヌクレオチド溶液を等モルで合わせて相補鎖を形成させた。
【0117】
【表E-1】
【表E-2】
【表E-3】
【表E-4】
【0118】
*:Dは、小分子断片D01を化学反応させた後の残基であり、共有結合によって核酸に結合されており、構造は次のとおりである。
【化20】
**:r’が挿入された配列のアンチセンス鎖配列は、コア配列の3’末端UUを有しているアンチセンス鎖配列にr’を挿入して得られる。例えば、配列番号4は、3’末端UUを有している配列番号2にr’を挿入して得られる。
***:配列がDを含有している場合に、前記Dはコンジュゲート基Dの結合位置を示す。例えば、
【化21】
は、配列番号16に示される配列
【化22】
が3’末端でDに結合していることを表す。
【0119】
〔実施例3:HBVインビトロ実験〕
1.実験目的:
酵素結合免疫吸着法(ELISA)でHepG2-NTCP細胞培養上清中のHBV抗原(HBsAg、HBeAg)の含有量を検出し、化合物のEC50値を指標として、HBVに対する化合物の阻害活性を評価し、また、Cell-titer Gloで細胞生存能力を検出して、化合物の細胞毒性を評価する。
【0120】
2.実験材料:
2.1 細胞株:HepG2-NTCP細胞
HepG2-NTCP細胞培地(DMEM、Invitrogen-11330032と、10%血清、Invitrogen-10099141と、100単位/mL ペニシリン及び100μg/mL ストレプトマイシン、Hyclone-SV30010と、1%非必須アミノ酸、Invitrogen-11140050と、2mM L-グルタミン、Invitrogen-25030081と、1mM ピルビン酸ナトリウム、Gibco-11360-070と、500μg/mL ジェネティシン(Geneticin)、Invitrogen-10131027)
【0121】
2.2 試薬:
トリプシン(Invitrogen-25300062)、DPBS(Corning-21031CVR)、DMSO(Sigma-D2650-100ML)、Cell-titer Glo(Promega-G7573)、B型肝炎表面抗原定量検出キット(安図生物-CL 0310)、B型肝炎e抗原定量検出キット(安図生物-CL 0312)。
【0122】
2.3 消耗品及び器具:
96ウェル細胞培養プレート(Corning-3599)、CO2インキュベーター(HERA-CELL-240)、
マイクロプレートリーダー(BioTek Synergy 2)。
【0123】
3.実験手順及び方法:
3.1 0日目に、HepG2-NTCP細胞(7.5×104細胞/ウェル)を48ウェルプレートに接種し、37℃で、5%CO2で一晩培養した。
【0124】
3.2 1日目に、DMSOを1%含んでいる培地を交換した。
【0125】
3.3 2日目に、D型HBV(HepG2.2.15細胞の培養上清から濃縮したもの)でHepG2-NTCP(2000GE/細胞)を感染した。
【0126】
3.4 3日目に、感染液を吸い取って、DMSOを1%含んでいる新鮮な培地を加えた。
【0127】
3.5 6日目に、Lipofectamine(登録商標)RNAiMax(Invitrogen社)の取扱説明に従って、siRNAコンジュゲートをトランスフェクトした。コンジュゲートを5倍で段階希釈して7濃度を得て、3連ウェルであり、最終濃度は0.16pMであった。化合物はセンス鎖とアンチセンス鎖の組み合わせで、1つの化学実体であり、最大濃度は2.5nMであった。
【0128】
3.6 12日目に、培養ウェルから上清を回収して、ELISAでHBV表面抗原及びe抗原を測定した。上清を回収した後、Cell-titer Gloを加えて細胞生存能力を測定した。
【0129】
3.7 ELISAでB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)及びe抗原(HBeAg)を測定し、具体的な手順は取扱説明を参照し、手順を次のとおりに要約することができる。50μLのサンプル及び標準物質をそれぞれ反応プレートに加え、次に各ウェルにそれぞれ50μLの酵素複合体を加えて、振盪して均一に混合させ、37℃で60分間インキュベートし、次に洗浄液でプレートを5回洗浄し、さらに各ウェルに50μLの発光基質を加え、均一に混合して、暗所で室温下10分間反応させ、最後にマイクロプレートリーダーを用いて化学発光強度を検出した。
【0130】
3.8 データ分析:
細胞生存率の計算:
%viability=(サンプルの発光値-培地対照の発光値)/(DMSO対照の発光値-培地対照の発光値)×100。
【0131】
HBV表面抗原及びe抗原の阻害パーセントの計算:
%Inh.=(1-サンプル中の抗原値/DMSO対照の抗原値)×100。
【0132】
CC50及びEC50の計算:ソフトウェアGraphPad Prismを用いて化合物のCC50及びHBVに対する50%阻害濃度(EC50)値を計算する。
【0133】
4.実験結果:表2。
【0134】
【0135】
*被験サンプルは、二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートであった。
【0136】
〔実施例4:組換え8型アデノ随伴ウイルスベクター媒介性B型肝炎ウイルスマウスモデル(AAV-HBV)における抗B型肝炎ウイルスの活性及び安全性実験〕
実験目的:
AAVベクター媒介性HBVトランスフェクションマウスモデルは、迅速で効率的なHBVモデルである。AAV8ベクターの高い肝臓親和性を利用し、1.3コピーのHBVゲノムを担持している組換え8型アデノ随伴ウイルス(rAAV8-1.3HBV)をマウスの尾静脈に注射することにより、担持されている1.3コピーのHBVゲノムを効率よく肝細胞に導入することができる。AAVウイルスベクターの特性により、それによって媒介されるベクターは持続的に長時間に発現することができ、AAV/HBVモデルを用いればマウスの肝臓内でHBV DNAを持続的に複製してHBsAg及びHBeAgを発現することができる。
【0137】
AAV/HBVマウスモデルを用いて、被検化合物で治療した後のマウス血清中のHBsAg、HBeAg、DNA、pgRNA及びマウス体重を検出することにより、そのインビボ抗HBV効果及び安全性を評価する。
【0138】
実験材料:
C57BL/6マウス、PBS(RNaseなし)溶媒、被検化合物、組換えウイルスrAAV8-1.3HBV。本実験の主な試薬は、QIAamp96 DNAキット(Qiagen、51162)、FastStart Universal Probe Master(Rox)(Roche、04914058001)、B型肝炎ウイルス表面抗原検出キット(安図生物、CL0310)、B型肝炎ウイルスe抗原検出キット(安図生物、CL0918)、PureLink(商標) Pro 96 Viral RNA/DNA kit(Invitrogen、12280-096A)、及びFastQuant RT Kit(gDNaseあり)(TIANGEN、KR106-02)を含む。主に器具は、遠心機(Beckman Allegra X-15R)、多目的マイクロプレートリーダー(BioTek、Synergy 2)、蛍光定量PCR装置(Applied Biosystems、7900HT Fast Real-time PCR system)、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、SpectraMax 340PC384)を含む。
【0139】
実験方法:
a)マウスにウイルスを注射した34日目に、皮下注射投与を開始し、この日を0日目とした。投与前に全てのマウスは顎下採血して血漿を回収した。具体的な投与計画は表3を参照する。
【0140】
b)マウスへの投与後の0日目、14日目、21日目、28日目及び32日目に、顎下静脈から採血して血漿を回収し、回収した血液サンプルをK2-EDTAで抗凝固し、4℃で、7000g/分の条件で10分間遠心分離して血漿を回収した。具体的な採血日は表3を参照する。
【0141】
c)35日目又は42日目に、全てのマウスは顎下静脈から採血して血漿を回収し、次にCO2吸入で安楽死を実施し、心臓から採血して血漿サンプルを回収し、肝臓サンプルを回収した。
【0142】
d)血漿サンプルを検出した。
【0143】
【0144】
*1:WRG01はコンジュゲートであり、センス鎖は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号23であり、コンジュゲート基はDであった。
*2:WR007はコンジュゲートであり、センス鎖は配列番号42であり、アンチセンス鎖は配列番号23であり、コンジュゲート基はDであった。
*3:WR012はコンジュゲートであり、センス鎖は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号47であり、コンジュゲート基はDであった。
/:エンドポイント未到達。
【0145】
サンプル分析:
ELISAによるマウス血清中HBsAg、HBeAgの含有量検出:実験手順は、HBsAg ELISA(安図生物、CL 0310)及びHBeAg ELISA(安図生物、CL0918)キットの取扱説明を参照する。
【0146】
qPCRによるマウス血漿中HBV DNAの含有量検出:血漿からHBV DNAを抽出し、実験手順はQIAamp 96 DNA Blood Kitの取扱説明を参照し、qPCRでマウス血漿中のHBV DNA含有量を検出した。
【0147】
RT-qPCRによるマウス血漿中HBV pgRNAの含有量検出:血漿からHBV pgRNAを抽出し、実験手順はPureLink(商標) Pro 96 Viral RNA/DNA Kitの取扱説明を参照する。DNAを消化し、B型肝炎ウイルス特異性配列を含有している3’RACEプライマーでRNAを逆転写してcDNAを得て、実験手順はFastQuant RT Kit(gDNaseあり)の取扱説明を参照する。最後に、qPCRでcDNAの含有量を定量的に検出し、即ち、マウス血漿中HBV pgRNAの含有量を検出することであった。
【0148】
各群のマウスのサンプルの平均±標準誤差で示し、特に説明がない限り、n=5であった。スチューデントのt検定で統計分析を行った。
【0149】
実験結果:
a)血清中HBsAgの含有量でAAV/HBVマウスモデルにおける被検化合物の抗HBV活性を評価する。結果は表4、表4-1、
図1及び
図6に示している。マウス血漿のHBsAg含有量はELISA法で測定した。エラーバーは標準誤差を示している。0日目に、全てのマウスにビヒクル又は化合物を1回目に投与した。29日目に、実験群のWRG01マウス及び当回のブランク対照群のマウスにビヒクル又は化合物を2回目に接種した。
【0150】
【0151】
【0152】
b)血清中HBeAgの含有量でAAV/HBVマウスモデルにおける被検化合物の抗HBV活性を評価する。結果は表5、表5-1、
図2及び
図7に示している。マウス血漿のHBeAg含有量はELISA法で測定した。エラーバーは標準誤差を示している。0日目に、全てのマウスに1回目にビヒクル又は化合物を投与した。
【0153】
【0154】
【0155】
c)血清中DNAの含有量でAAV/HBVマウスモデルにおける被検化合物の抗HBV活性を評価する。結果は表6、表6-1、
図3及び
図8に示している。マウス血漿のHBV DNA含有量は定量PCRで測定した。エラーバーは標準誤差を示している。0日目に、全てのマウスに1回目にビヒクル又は化合物を投与した。29日目に、全てのマウスに2回目にビヒクル又は化合物を接種した。
【0156】
【0157】
【0158】
/:データ未取得。
【0159】
d)血清中pgRNAの含有量でAAV/HBVマウスモデルにおける被検化合物の抗HBV活性を評価する。結果は表7及び
図4に示している。マウス血漿のHBV pgRNAの含有量は定量PCRで測定した。エラーバーは標準誤差を示している。0日目に、全てのマウスに1回目にビヒクル又は化合物を投与した。29日目に、全てのマウスに2回目にビヒクル又は化合物を接種した。
【0160】
【0161】
e)体重変化は
図5に示している。0日目の体重を基準として比較し、IACUCの規定により、20%体重減少を人道的エンドポイントとし、体重減少が20%を超えているマウスは、いずれも実験から除外する。この実験では体重減少で除外されたマウスはなかった。
【0162】
実験結論:
本実験では、被検化合物がAAV/HBVマウスモデルにおいて、HBsAg、DNA及びpgRNAを顕著に低減させていた。また、被検化合物はHBeAgにもある程度は阻害効果を有している。被検化合物で治療するプロセスで、マウスに良好な忍容性が認められ、体重が徐々に増加していった。
【0163】
〔実施例5:HepG2.2.15細胞を用いるHBVインビトロ実験〕
1.実験目的:
リアルタイム定量的qPCRアッセイ(real time-qPCR)でHepG2.2.15細胞培養上清のHBV DNAの含有量を検出し酵素結合免疫吸着法(ELISA)でHBV表面抗原及びe抗原含有量を検出し、qRT-PCRで細胞内のHBV RNAの含有量を検出し、化合物のEC50値を指標として、HBVに対する化合物の阻害効果を評価し、また、CCK8アッセイで細胞活性に対する被検化合物の影響を検出する。
【0164】
2.実験材料:
2.4 細胞株:HepG2.2.15細胞
HepG2.2.15細胞培地(DMEM/F12、Invitrogen-11330032と、10%血清、Hyclone-SV30087.0と、100単位/mL ペニシリン及び100μg/mL ストレプトマイシン、Hyclone-SV30010と、1%非必須アミノ酸、Invitrogen-11140050と、2mM L-グルタミン、Invitrogen-25030081と、300μg/mL ジェネティシン(Geneticin)、Invitrogen-10131027)。
【0165】
2.5 試薬
Opti-MEM(Gibco-31985-070)、Lipofectamine(登録商標)RNAiMax(Invitrogen-13778-150)、CCK8(上海李記生物-AC11L057)、ハイスループットDNA精製キット(QIAamp 96 DNA Blood Kit、Qiagen-51162)、RNA調製用RNEASYキット(RNeasy 96 Kit(12)、Qiagen-74182)、FastStart Universal Probe Master、Roche-04914058001、FastKing cDNA First Strand Synthesis Kit(TianGen-KR106-02)、B型肝炎表面抗原定量検出キット(安図生物、CL 0310)、B型肝炎e抗原定量検出キット(安図生物、CL 0312)。
【0166】
2.6 消耗品及び器具:
Collagen I 96 Well White/Clear Flat Bottom TC-Treated Microplate(Corning BioCoat-356650)、CO2インキュベーター(HERA-CELL-240)、蛍光定量PCR装置(Applied Biosystems-7900 real time PCR system)、蛍光定量PCR装置(Applied Biosystems-QuantStudio 6 Flex)、マイクロプレートリーダー(Molecular Device-SpectraMax M2e)、マイクロプレートリーダー(BioTek -Synergy 2)。
【0167】
3.実験手順及び方法:
3.1 初日に、siRNAトランスフェクションと細胞プレーティングを同時に行い、方法を次のとおりに要約することができる。HepG2.2.15細胞をDPBSで洗浄した後、0.05%トリプシンで消化し、FBSを10%含んでいるDMEM/F12培地で消化を終了し、遠心分離して再懸濁し、細胞を軽くピペッティングして単一の細胞になったらカウントした。所定の体積比率でトランスフェクション試薬を調製し(表8)、室温で15分間インキュベートした。
【0168】
【0169】
siRNAを段階希釈して8濃度を得て、3倍で段階希釈し、2連ウェルであり、15μLのRNAiMax/Opti-MEM混合液を15μLの異なる濃度のsiRNAと均一に混合して、室温で15分間インキュベートした。最初に10μLの前記混合溶液を96ウェル細胞培養プレートに加え、次に90μLの細胞懸濁液を加え、最終細胞密度は1万5000細胞/ウェルであり、最終容量は100μL/ウェルであり、細胞を5%CO2×37℃のインキュベーターに置いて培養した。
【0170】
3.2 4日目に、化合物を含有している新鮮な培養液を交換し、初日と同じ方法でトランスフェクションした。
【0171】
3.3 7日目に培養ウェルから培養液を回収し、一部のサンプルを取得してELISAでB型肝炎ウイルスS抗原及びe抗原の含有量を測定し、また一部のサンプルを取得してハイスループットDNA精製キット(Qiagen-51162)でDNAを抽出し、上清を回収した後、CCK-8キットの取扱説明に従って細胞生存能力を測定し、マイクロプレートリーダー(SpectraMax M2e)で各ウェルの吸光度(450nm/650nm)を検出し、RNeasy 96 kit抽出キット(Qiagen-74182)を用いて、キットの取扱説明に従って細胞培養からHBV RNAを抽出した。
【0172】
3.4 PCR反応液の調製は、表9に示すとおりである。
【0173】
【0174】
96ウェルPCRプレートの各ウェルに8μLの反応混合液を加え、次に、各ウェルに2μLのDNAサンプル又はHBV DNAの標準物質を加えた。
【0175】
PCRの反応条件は次のとおりであった。95℃で10分間加熱し、次に95℃で15秒間変性し、60℃で1分間伸長させ、合計で40サイクルであった。
【0176】
3.5 ELISAでB型肝炎ウイルスS抗原及びe抗原の含有量を測定し、具体的な手順は取扱説明を参照し、手順を次のとおりに要約することができる。50μLのサンプル及び標準物質をそれぞれ反応プレートに加え、次に各ウェルにそれぞれ50μLの酵素複合体を加えて、振盪して均一に混合させ、37℃温水浴において60分間保持し、次に洗浄液でプレートを5回洗浄し、さらに各ウェルに50μLの発光基質を加え、均一に混合して、暗所で室温下10分間反応させ、最後にマイクロプレートリーダーを用いて化学発光強度を検出した。
【0177】
3.6 RNeasy 96 kit抽出キット(Qiagen、74182)を用いて、キットの取扱説明に従って細胞培養からHBV RNAを抽出した。150μLのRLTを加えて細胞を溶解し、最後に50μLのRNaseフリー水でRNAを溶離した。逆転写キット(天根生化、KR106)の取扱説明に従って、ランダムプライマーを加えて逆転写してcDNAを得て、次にHBV特異的プライマーでサンプル中のトータルRNAを検出し、同時に、GAPDHプライマー及びプローブでGAPDH cDNAを特異的に検出し、qPCRでサンプル中のHBV cDNAを定量した。
【0178】
qPCR反応は次のとおりであった。95℃で10分間、95℃で15秒間、60℃で1分間とし、40サイクルであった。各サンプルのCt値からサンプルのHBV RNAの含有量を計算した。
【0179】
各サンプルの目的遺伝子HBV mRNAの発現レベルはΔΔCt相対定量法で計算する。目的遺伝子の相対発現量は2-ΔΔCtで表し、計算式は次のとおりであった。
ΔCT=目的遺伝子の平均Ct値-内部参照遺伝子の平均Ct値、
ΔΔCT=ΔCT群(投与群)-ΔCT(RNAiMax対照群)、
HBV mRNA相対発現量=2-ΔΔCt
【0180】
3.7 データ分析:
阻害パーセントの計算:
%Inh.=(1-サンプルの値/PBS対照の値)×100。
細胞生存率%=(サンプルの検出値-培養液バックグラウンドの平均検出値)/(対照群の平均検出値-培養液バックグラウンドの平均検出値)×100。
【0181】
EC50及びCC50の計算:ソフトウェアGraphPad Prismを用いてHBVに対する化合物の50%阻害濃度(EC50)値及び50%細胞死に対応する薬物濃度(CC50)値を計算する。
【0182】
【0183】
/:データ未取得。
*被験サンプルは、二本鎖siRNA類似体のコンジュゲートであった。
【0184】
〔実施例6:AAV-HBVマウスモデルにおける抗B型肝炎ウイルス活性用量の検討〕
AAV/HBVマウスモデルを用いて、異なる用量の被検化合物での治療後のマウス血清中のHBsAgを検出することにより、そのインビボ抗HBV効果を評価する。
【0185】
実験材料:
C57BL/6マウス、PBS(RNaseなし)溶媒、被検化合物、組換えウイルスrAAV8-1.3HBV。本実験の主な試薬は、FastStart Universal Probe Master(Rox)(Roche、04914058001)、B型肝炎ウイルス表面抗原検出キット(安図生物、CL0310)を含む。主な器具は、遠心機(Beckman Allegra X-15R)、多目的マイクロプレートリーダー(BioTek、Synergy 2)、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、SpectraMax 340PC384)を含む。
【0186】
実験方法:
a)全てのマウスはウイルス注射後の34日目に皮下注射投与を開始し、この日を0日目とした。投与前に全てのマウスは顎下採血して血漿を回収した。0日目に1回投与した。具体的な投与計画は表14を参照する。
【0187】
b)全てのマウスは投与後の0日目、14日目、21日目、28日目及び35日目に、顎下静脈から採血して血漿を回収し、回収した血液サンプルをK2-EDTAで抗凝固し、4℃で、7000g/分の条件で10分間遠心分離して血漿を回収した。具体的な採血日は表11を参照する。
【0188】
c)42日目に、全てのマウスは顎下静脈から採血して血漿を回収し、次にCO2吸入で安楽死を実施し、心臓から採血して血漿サンプルを回収し、肝臓サンプルを回収した。
【0189】
d)全ての血漿サンプルを検出した。
【0190】
【0191】
*:WRG01はコンジュゲートであり、センス鎖は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号23であり、コンジュゲート基はDであった。
/:エンドポイント未到達。
【0192】
サンプル分析:
ELISAによるマウス血清中HBsAgの含有量検出:実験手順は、HBsAg ELISA(安図生物、CL 0310)キットの取扱説明を参照する。
【0193】
各群のマウスのサンプルの平均±標準誤差で示し、特に説明がない限り、n=5であった。スチューデントのt検定で統計分析を行った。
【0194】
実験結果:
血清中HBsAgの含有量を検出してAAV/HBVマウスモデルにおける被検化合物の抗HBV活性を評価する。結果は表12、
図9に示している。マウス血漿のHBsAg含有量はELISA法で測定した。エラーバーは標準誤差を示している。0日目に、全てのマウスに1回目にビヒクル又は化合物を投与した。
【0195】
【0196】
実験結論:
本実験では、被検化合物WRG01はAAV/HBVマウスモデルで、HBsAgの低減に良好な用量依存効果を示しており、即ち、用量が増加するにつれてHBsAg低減活性が向上することであり、また、長期的なHBsAg阻害効果を示している。
【0197】
〔実施例7:マウスの血漿、肝臓、腎臓における薬物濃度試験〕
本実験では、C57BL/6マウスに単回皮下注射で投与し、投与後、異なる時間で血漿及び組織サンプルを回収し、SL-qPCRで血漿及び組織中のsiRNAレベルを検出することによりマウスにおける化合物のインビボ代謝レベルを評価する。
【0198】
【0199】
*:WRG01はコンジュゲートであり、センス鎖は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号23であり、コンジュゲート基はDであった。
/:「非エンドポイント」では採血なし、採血はエンドポイントのみ。
【0200】
実験結果:
SL-qPCR法(参考文献:Nair et al.,Nucleic Acids Research(2017),45,10969-10977)でマウスへの投与後の異なるタイミングでの血漿、肝臓、腎臓中のsiRNAレベルを検出し、結果は
図10に示している。
【0201】
実験結論:
本実験では、被検化合物WRG01はC57BL/6マウスモデルにおいて良好な組織分布及び代謝安定性を有している。WR-G01の肝臓への暴露量が大きく、半減期が長く、肝臓中/血漿中濃度比は500を超えていることから、WRG01は安定的に代謝しており、高い肝臓親和性を有することが証明されている。
【0202】
〔実施例8:FRG-KOヒト化肝臓マウスを用いる血液生化学実験〕
ヒト化FRGマウスは最もよく利用されるヒト化肝臓モデルの1つであり、ヒト化率は一般に70%に達している。マウス肝臓で定着しているのはヒト肝臓細胞であるため、ヒトのHBV自然感染とcccDNA複製プロセスをよりよくシミュレートすることができ、ヒトにおける薬物動態と肝臓毒性をよく予測することができる。
【0203】
本実験では、ヒト化FRGマウスに複数回投与した後、異なるタイミングで血漿サンプルを回収し、血漿中のALT、AST及びビリルビンレベルを検出することによりマウスに対する化合物の肝臓毒性及び副作用を評価する。本実験では、被検化合物はヒト化肝臓に明らかな炎症反応を生じなかったため、ヒトには良好な安全性を有することを示している。
【0204】
【0205】
*:WRG01はコンジュゲートであり、センス鎖は配列番号16であり、アンチセンス鎖は配列番号23であり、コンジュゲート基はDであった。
/:エンドポイント未到達。
【0206】
本開示は、予期もしなかったHBsAg及びHBeAgへの優れた阻害活性を示しているだけでなく、HBV DNA及びpgRNAの発現を効果的に阻害できることから、B型肝炎ウイルスの活性を阻害することができ、良好な組織分布と代謝安定性を有し、高い肝臓親和性を有することが示されており、マウスの肝機能への影響が小さいことも予測されるため、B型肝炎(例えば、慢性B型肝炎)に効率的な臨床治療手段を提供している。
【国際調査報告】