(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ヒトサンプル中で所定の核酸配列の存在を決定するための等温リアルタイムPCR法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/686 20180101AFI20230629BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20230629BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230629BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20230629BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230629BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20230629BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z ZNA
C12N15/09 Z
A61K45/00
A61P31/00
A61P31/22
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576077
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2021065547
(87)【国際公開番号】W WO2021250138
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522478499
【氏名又は名称】ツェルトゥス モレキュラー ダイアグノスティクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チュルヒャー, ザムエル
(72)【発明者】
【氏名】リューティ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイベル, レア
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA20
4C084ZB32
4C084ZB33
4C084ZB35
4C084ZB37
(57)【要約】
本発明は、サンプル中の所定の核酸配列の存在を決定するための方法であって、上記方法は、RNA依存性および/またはDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性ならびに鎖置換活性の活性を提供する1またはこれより多くの酵素を、上記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべきサンプルに添加する工程;少なくとも5種のDNAプライマーを、上記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべきサンプルに添加する工程であって、ここで少なくとも1種のDNAプライマーは、上記核酸配列にハイブリダイズし得る配列を含み、少なくとも1種のDNAプライマーは、上記核酸配列に逆相補的なDNA配列にハイブリダイズし得る配列を含む工程;生じるサンプルを固定温度においてインキュベートする工程;伸長されたDNA配列が、上記サンプル中に存在するか否かを決定する工程を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の所定の核酸配列の存在を決定するための方法であって、前記方法は、
(a)RNA依存性および/またはDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性ならびに鎖置換活性の活性を提供する1またはこれより多くの酵素を、前記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべき前記サンプルに添加する工程;
(b)少なくとも5種のDNAプライマーを、前記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべき前記サンプルに添加する工程であって、ここで少なくとも1種のDNAプライマーは、前記核酸配列にハイブリダイズし得る配列を含み、少なくとも1種のDNAプライマーは、前記核酸配列に対して逆相補的なDNA配列にハイブリダイズし得る配列を含む、工程;
(c)工程(a)および工程(b)から生じる前記サンプルを固定温度においてインキュベートする工程;
(d)伸長されたDNA配列が前記サンプル中に存在するか否かを決定する工程であって、ここで前記サンプル中の前記伸長されたDNA配列の存在は、前記サンプル中の前記所定の核酸配列の存在を示す、工程、
を包含し、
ここで前記サンプルは、ヒト被験体から得られ、F3プライマーは使用されない、方法。
【請求項2】
前記少なくとも5種のプライマーのうちの4種は、それぞれ、順方向内側プライマー(FIP)、逆方向内側プライマー(BIP)、ループプライマー順方向(LPF)およびループプライマー逆方向(LPB)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第5のプライマーは、B3プライマーである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の核酸配列は、RNA配列またはDNA配列である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記所定のRNAまたはDNA配列は、病原体の中に含まれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記病原体は、ウイルス、細菌、真菌または寄生生物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記病原体は、ヒトヘルペスウイルスまたはMycoplasma属の細菌である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記固定温度は、50~75℃の間である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)における前記サンプルは、1~120分間インキュベートされる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプル中の2本鎖の前記伸長されたDNA配列の存在は、2本鎖の前記伸長されたDNA配列にハイブリダイズし得る核酸分子であって、特に、ここで前記核酸分子は標識される、核酸分子を使用するか、2本鎖の前記伸長されたDNA配列の中にインターカレートする分子を使用するか、または濁度測定を使用することによって決定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
病原体の感染の処置における使用のための抗感染組成物であって、ここで被験体は、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を使用して、前記病原体に感染していることを予め決定されている、抗感染組成物。
【請求項12】
前記病原体は、ウイルス、細菌、真菌または寄生生物である、請求項11に記載の使用のための抗感染組成物。
【請求項13】
前記抗感染組成物は、それぞれ、抗ウイルス薬、抗生剤、抗真菌薬または抗寄生生物薬を含む、請求項11または12に記載の使用のための抗感染組成物。
【請求項14】
前記病原体は、ヒトヘルペスウイルスまたはMycoplasma属の細菌である、請求項12または13に記載の使用のための抗感染組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル中の所定の核酸配列の存在を決定するための方法であって、上記方法は、RNA依存性および/またはDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性ならびに鎖置換活性の活性を提供する1またはこれより多くの酵素を、上記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべきサンプルに添加する工程;少なくとも5種のDNAプライマーを上記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべきサンプルに添加する工程であって、ここで少なくとも1種のDNAプライマーは、上記核酸配列にハイブリダイズし得る配列を含み、少なくとも1種のDNAプライマーは、上記核酸配列に逆相補的なDNA配列にハイブリダイズし得る配列を含む工程;生じるサンプルを固定温度においてインキュベートする工程;伸長されたDNA配列が上記サンプル中に存在するか否かを決定する工程であって、ここで上記サンプル中の伸長されたDNA配列の存在は、上記サンプル中の上記所定の核酸配列の存在を示す工程を包含し、ここで上記サンプルは、ヒト被験体から得られ、F3プライマーは使用されない方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の方法が、核酸配列がヒト被験体から得られるサンプル中に存在するか否かを決定するために存在する。大部分の方法は、所定の配列(例えば、病原体の中に存在することが予測される配列のような)にハイブリダイズし得る核酸分子に依拠する。
【0003】
しかし、既存の試験は、高度に特異的であるか、または迅速に結果を提供するかのいずれであるが、十分な信頼性を欠いている。従って、高度に特異的かつ迅速な結果を提供する方法が、当該分野で必要である。
【0004】
上記の技術的課題は、本明細書で提供され、特許請求の範囲の中で特徴づけられるとおりの実施形態によって解決される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
よって、本発明は、特に、以下の実施形態に関する。
1.サンプル中の所定の核酸配列の存在を決定するための方法であって、前記方法は、
(a)RNA依存性および/またはDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性ならびに鎖置換活性の活性を提供する1またはこれより多くの酵素を、前記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべきサンプルに添加する工程;
(b)少なくとも5種のDNAプライマーを、前記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべきサンプルに添加する工程であって、ここで少なくとも1種のDNAプライマーは、前記核酸配列にハイブリダイズし得る配列を含み、少なくとも1種のDNAプライマーは、前記核酸配列に逆相補的なDNA配列にハイブリダイズし得る配列を含む工程;
(c)前記工程(a)および工程(b)から生じるサンプルを固定温度においてインキュベートする工程;
(d)伸長されたDNA配列が前記サンプル中に存在するか否かを決定する工程であって、ここで前記サンプル中の伸長されたDNA配列の存在は、前記サンプル中の所定の核酸配列の存在を示す工程、
を包含し、
ここで前記サンプルは、ヒト被験体から得られ、F3プライマーは使用されない、方法。
2.前記少なくとも5種のプライマーのうちの4種は、それぞれ、順方向内側プライマー(FIP)、逆方向内側プライマー(BIP)、ループプライマー順方向(LPF)およびループプライマー逆方向(LPB)である、実施形態1に記載の方法。
3.第5のプライマーは、B3プライマーである、実施形態1および2に記載の方法。
4.前記所定の核酸配列は、RNA配列またはDNA配列である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.前記所定のRNA配列またはDNA配列は、病原体の中に含まれる、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.前記病原体は、ウイルス、細菌、真菌または寄生生物である、実施形態5に記載の方法。
7.前記病原体は、ヒトヘルペスウイルスまたはMycoplasma属の細菌である、実施形態6に記載の方法。
8.前記固定温度は、50~75℃の間である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.前記工程(c)におけるサンプルは、1~120分間インキュベートされる、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記サンプル中の2本鎖の伸長されたDNA配列の存在は、前記2本鎖の伸長されたDNA配列にハイブリダイズし得る核酸分子であって、特にここで前記核酸分子は標識される、核酸分子を使用するか、前記2本鎖の伸長されたDNA配列の中にインターカレートする分子を使用するか、または濁度測定を使用することによって決定される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.病原体の感染の処置における使用のための抗感染組成物であって、ここで被験体は、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法を使用して、前記病原体に感染していることを予め決定されている、抗感染組成物。
12.前記病原体は、ウイルス、細菌、真菌または寄生生物である、実施形態11に記載の使用のための抗感染組成物。
13.前記抗感染組成物は、それぞれ、抗ウイルス薬、抗生剤、抗真菌薬または抗寄生生物薬を含む、実施形態11または12に記載の使用方法のための抗感染組成物。
14.前記病原体は、ヒトヘルペスウイルスまたはMycoplasma属の細菌である、実施形態12または13のいずれか1つに記載の使用のための抗感染組成物。
【0006】
よって、第1の局面において、本発明は、サンプル中の所定の核酸配列の存在を決定するための方法であって、上記方法は、RNA依存性および/またはDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性ならびに鎖置換活性の活性を提供する1またはこれより多くの酵素を、上記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべきサンプルに添加する工程;少なくとも5種のDNAプライマーを、上記所定の核酸配列の存在に関して分析されるべきサンプルに添加する工程であって、ここで少なくとも1種のDNAプライマーは、上記核酸配列にハイブリダイズし得る配列を含み、少なくとも1種のDNAプライマーは、上記核酸配列に逆相補的なDNA配列にハイブリダイズし得る配列を含む工程;生じるサンプルを固定温度においてインキュベートする工程;2本鎖の伸長されたDNA配列が上記サンプル中に存在するか否かを決定する工程であって、ここで上記サンプル中の2本鎖の伸長されたDNA配列の存在は、上記サンプル中の所定の核酸配列の存在を示す工程を包含し、ここで上記サンプルは、ヒト被験体から得られ、F3プライマーは使用されない方法に関する。
【0007】
用語「所定の核酸配列」とは、本明細書で使用される場合、核酸配列、好ましくはRNA配列またはDNA配列に言及し、ここで当業者は、上記核酸配列が、ヒト被験体から得られたサンプル(例えば、組織サンプル、気管支肺胞洗浄液、気管支洗浄物、咽頭滲出液、気管吸引物、血液、血清、血漿、骨、皮膚、軟組織、腸管標本、生殖路標本、母乳、リンパ、脳脊髄液、胸水、痰、尿、鼻分泌物、涙、胆汁、腹水、膿、滑液、硝子体液、腟分泌物、精液および/または尿道組織)中に含まれ得ることを認識している。特に、上記所定の核酸配列は、本発明内では、本発明の方法を使用して検出可能な配列である。すなわち、当業者に利用可能な核酸配列は、上記配列が、本明細書で提供されるとおりの方法を使用して、ヒト被験体から得られたサンプル中で検出可能である可能性が高いか否かを当業者が決定することができれば、所定のものである。本発明内では、上記所定の核酸配列は、本発明の方法において使用されるプライマーのうちの少なくとも1種に少なくとも部分的に同一である少なくとも1個のプライマー結合部位を含む。プライマー結合部位は、上記配列が正確に同一である場合に、またはそれらが、1つの配列がチミジンの代わりにウラシルを含むという点においてのみ異なる場合に、および/またはそれらが、1つの配列がそれぞれの改変されていないヌクレオチドの代わりに1もしくはこれより多くの改変されたヌクレオチドを含むという点においてのみ異なる場合に、プライマー部位に同一であると考えられる。
【0008】
用語「DNAプライマー」または「プライマー」とは、本明細書で使用される場合、相補的な核酸配列へのハイブリダイゼーションに際して、例えば、酵素による核酸複製反応を介して伸長され得る3’末端-OH基を含む核酸分子をいう。本発明に従うプライマーセットは、核酸の増幅のために、すなわち、LAMP分析またはRT-LAMP分析のために使用される。上記プライマーの長さの上限および下限の両方は、経験的に決定される。本明細書で記載されるプライマーは、順方向プライマーまたは逆方向プライマー(reverse primer)であり得る。用語「逆方向プライマー(backward primer)」とは、本明細書で使用される場合、DNA配列のアンチセンス鎖をプライミングして、ポリメラーゼが、DNA配列の相補的な鎖に沿って、一方向に伸長することを可能にするプライマーをいう。少なくとも1種の逆方向プライマーはまた、逆転写のためのRTプライマーとして働く。用語「順方向プライマー(forward primer)」とは、本明細書で使用される場合、DNA配列のセンス鎖をプライミングして、ポリメラーゼがDNA配列の一方の鎖に沿って一方向に伸長することを可能にするプライマーをいう。
【0009】
RNA依存性および/またはDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性の活性を提供する酵素は、DNA鎖またはRNA鎖から構成されるテンプレートに基づいて、5’→3’方向にDNAを合成し得る。当業者が認識するように、このような酵素は、上記テンプレートの遊離3’-ヒドロキシル基にヌクレオチドを逐次的に付加する。この点において、上記テンプレート鎖は、Watson-Crick塩基対合に基づいて付加されたヌクレオチドの配列を決定する。DNAポリメラーゼの活性は、RNA依存性および/またはDNA依存性であり得る。例示的なポリメラーゼとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Bst DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Vent(exo-)DNAポリメラーゼ、Deep Vent DNAポリメラーゼ、Deep Vent(exo-)DNAポリメラーゼ、Bca(exo-)DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI Klenowフラグメント、Φ29ファージDNAポリメラーゼ、Z-TaqTM DNAポリメラーゼ、ThermoPhiポリメラーゼ、9°Nm DNAポリメラーゼ、およびKOD DNAポリメラーゼ。例えば、米国特許第5,814,506号;同第5,210,036号;同第5,500,363号;同第5,352,778号;および同第5,834,285号; Nishioka, M.ら (2001) J. Biotechnol. 88, 141; Takagi, M.ら(1997) Appl. Environ. Microbiol. 63, 4504を参照のこと。
【0010】
RNA依存性DNAポリメラーゼ活性の活性を提供する酵素として、任意の適切な逆転写酵素が使用され得る。この点において、使用されるべき酵素は、特に限定されないが、ただしそれは、RNAをテンプレートとして使用してcDNAを合成する活性を有する。さらに、核酸増幅酵素の耐熱性を改善する物質(例えば、トレハロース)が添加され得る。
【0011】
単に本明細書において「5’末端側」または「3’末端側」として表現される場合、それは、全ての場合においてテンプレートとして考えられる鎖の方向を意味する。また、3’末端側が相補鎖合成の出発点になることが記載される場合、それは、3’末端側の-OH基が、相補鎖合成の出発点であることを意味する。
【0012】
用語「鎖置換(strand displacement)」とは、本明細書で使用される場合、酵素が、プライマーで開始される合成の間の2本鎖のDNA分子においておよび/または2本鎖のRNA分子において、DNA鎖および/またはRNA鎖を分離する能力に言及する。
【0013】
用語「ハイブリダイゼーション」とは、本明細書で使用される場合、相補的核酸分子のアニーリングに言及する。2つの核酸が互い「にハイブリダイズする」場合、または1つの核酸が別の核酸「にハイブリダイズする」場合、その2つの核酸分子は、その2つの核酸分子が、特定の反応に利用される特定の条件(例えば、温度、塩および他の緩衝液条件)下で互いにアニールし得る十分数の相補的な核酸塩基を示す。ハイブリダイゼーションの最も一般的な機序は、上記核酸分子の相補的核酸塩基間の水素結合(例えば、Watson-Crick、Hoogsteenまたは逆Hoogsteen水素結合)が関わる。ハイブリダイゼーションは、種々の条件下で起こり得る。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、ハイブリダイズされるべき核酸分子の性質および組成によって決定される。核酸ハイブリダイゼーション技術および条件は、当業者に公知であり、広範囲にわたって記載されている。例えば、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 第2版. Cold Spring Harbor Press, 1989; Ausubelら, 1987, Current Protocols in Molecular Biology; Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York; Tijessen, 1993, Hybridization with Nucleic Acid Probes, Elsevier Science Publishers, B.V.;およびKricka, 1992, Non-Isotopic DNA Probe Techniques, Academic Press, San Diego, Californiaを参照のこと。
【0014】
用語「F3」とは、本明細書で使用される場合、プライマーセットの外側順方向プライマーをいう。
【0015】
本発明内では、上記F3プライマーが省略された5プライマーシステムが所定の核酸配列を検出するのに最も効率的であることが、驚くべきことに見出された。「最も効率的」とは、本明細書で使用される場合、検出が、一般に使用される技術より迅速かつ高感度であるが、信頼性(これは、核酸(例えば、ヒトヘルペスウイルスまたはMycoplasma属の細菌に由来する核酸)を検出するために使用される検査において必須条件である)を維持することを意味する。さらに、標準的なLAMP技術にあるとおりの6種のプライマーの代わりに、5種のプライマーを使用することによって、より短い標的配列が検出され得ることが見出された。
【0016】
本発明は、所定の核酸配列を含むサンプル、および本発明の少なくとも1種のプライマーが存在する反応システムにおいて、上記サンプル中の所定の核酸配列の増幅反応を行う工程を包含する核酸を増幅するための方法を提供する。本発明のある特定の実施形態において、上記プライマーのうちの少なくとも1つの種は、本発明の核酸増幅反応において使用される。すなわち、本明細書で記載されるDNAプライマーは、他のプライマーと組み合わせて使用され得るか、または本明細書で記載されるDNAプライマーのうちの2種が使用され得る。
【0017】
本発明の方法内では、5種のDNAプライマーが使用されることが好ましい。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明において使用される上記プライマーのうちの少なくとも2種が、ループプライマーである。
【0019】
用語「ループプライマー(loop primer)」とは、本明細書で使用される場合、所定のRNA配列の増幅生成物のうちの少なくとも1つのループ領域にハイブリダイズし得る配列を含むDNAプライマーに言及する。上記ループ領域は、増幅生成物の鎖をそれ自体にアニールすることによって形成される。代表的には、ループプライマーは、生成されたDNA配列にハイブリダイズし、さらなるDNA伸長プロセスの開始のための出発点の数の増大を提供する。ループプライマーの使用は、増幅プロセスを加速し得る。
【0020】
本発明内では、少なくとも5個のプライマーが、それぞれ、順方向内側プライマー(FIP)、逆方向内側プライマー(BIP)、ループプライマー順方向(LPF)およびループプライマー逆方向(LPB)を含むことが好ましい。
【0021】
用語「FIP」または「順方向内側プライマー(forward inner primer)」とは、本明細書で使用される場合、鎖開始のための配列および同じFIPで開始される鎖にハイブリダイズし得る配列を含む順方向プライマーに言及する。
【0022】
用語「BIP」または「逆方向内側プライマー(backward inner primer)」とは、本明細書で使用される場合、鎖開始のための配列および同じBIPで開始される鎖にハイブリダイズし得る配列を含む逆方向プライマーに言及する。
【0023】
用語「ループプライマー順方向(loop primer forward)」または「LPF」とは、本明細書で使用される場合、順方向プライマーであるループプライマーに言及する。
【0024】
用語「ループプライマー逆方向(loop primer backward)」または「LPB」とは、本明細書で使用される場合、逆方向プライマーであるループプライマーに言及する。
【0025】
好ましくは、上記少なくとも5種のプライマーは、B3プライマーをさらに含む。
【0026】
用語「B3」とは、本明細書で使用される場合、プライマーセットのうちの外側逆方向プライマーに言及する。
【0027】
標的核酸またはその相補的な配列に特異的に結合する本明細書で記載されるDNAプライマーは、長さが少なくとも10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、または18ヌクレオチド、B3に関しては少なくとも10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、17ヌクレオチド、または18ヌクレオチド、FIPおよびBIPに関しては少なくとも25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、33ヌクレオチド、または36ヌクレオチド、ならびにLPFおよびLPBに関しては少なくとも10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、17ヌクレオチド、または18ヌクレオチドであり得る。標的核酸配列に特異的に結合するDNAプライマーは、相当する領域と少なくとも80%相補性、詳細には90%相補性、より詳細には95%相補性、96%相補性、97%相補性、98%相補性、99%相補性または100%相補性の核酸配列を有し得る。
【0028】
これらの用語は、ループ媒介性等温増幅(LAMP)法(例えば、Nagamineら. 2002. Molecular and Cellular Probes 16. 223-229によって記載されるもの)に関する方法において一般に使用される。
【0029】
本発明の方法内では、F3プライマーは使用されず、従って、第5のプライマーがB3プライマーであることが好ましい。これは、B3プライマーの存在下であって、F3プライマーの非存在下であっても、検出が同程度に迅速かつ高感度であることが本発明者らによって驚くべきことに発見されたことが理由である。本発明の方法を使用すると、検出は、10分以内に可能であり、サンプル中の少数の所定のRNA配列を検出するために同程度に高感度であることが観察された(
図1)。すなわち、添付の実施例に示されるように、Mycoplasma属の細菌の16S rRNAの所定のRNA配列の陽性検出は、5種のプライマー、特に、FIP、BIP、LPF、LPBおよびB3を使用して、プライマーおよび酵素の添加後10分以内に達成された(
図1)。ヒトヘルペスウイルスの所定のDNA配列の陽性検出は、5種のプライマー、特に、FIP、BIP、LPF、LPBおよびB3を使用して、プライマーおよび酵素の添加後10分以内に達成された(
図2)。よって、本発明の方法は、例えば、感染のパンデミック勃発を制御するにあたって重要である、感染を検出するための信頼性が高くかつ迅速な方法を初めて提供する。
【0030】
本発明の方法内で、RNA依存性および/またはDNA依存性のDNAポリメラーゼ活性ならびに鎖置換活性の活性を提供する1またはこれより多くの酵素が使用される。すなわち、RNA配列の場合には、全3種の活性が、分析されるべきRNA配列に添加されるべきである。DNA配列の場合には、RNA依存性DNAポリメラーゼの活性は必要とされない。上記活性は、全2種/3種の活性を有する1つの酵素、または各々が上記2種/3種の活性のうちの1またはこれより多くを有するいくつかの酵素によって提供され得る。
【0031】
所定の核酸配列がRNA配列またはDNA配列であることは好ましい。
【0032】
いくつかの実施形態において、所定のRNA配列またはDNA配列が、病原体の中に含まれることは好ましい。すなわち、本明細書で提供される方法は、ヒト被験体から得られたサンプル中の病原体の核酸配列の存在を検出するために使用される。本発明は従って、特に、ヒト被験体が病原体によって引き起こされる疾患に罹患しているまたは罹患している可能性があるか否かを診断するための方法であって、ここで上記病原体の核酸配列の存在が本明細書で提供される方法を使用して決定される方法に関する。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記病原体は、ウイルス、細菌、真菌または寄生生物である。
【0034】
用語「ウイルス」とは、本明細書で使用される場合、生物の生細胞の内部でのみ複製する感染性因子に言及する。スタジアム(stadium)(例えば、細胞のまたはウイルスエンベロープの内部)を構成する任意の核酸は、本発明によって決定され得る。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、Adenoviridae、Anelloviridae、Arenaviridae、Astroviridae、Bunyaviridae、Bunyavirus、Caliciviridae、Coronaviridae、Filoviridae、Flaviviridae、Hepadnaviridae、Herpesviridae、Orthomyxoviridae、Papillomaviridae、Paramyxoviridae、Parvoviridae、Picornaviridae、Pneumoviridae、Polyomaviridae、Poxviridae、Reoviridae、Retroviridae、Rhabdoviridae、Rhabdovirus、Togaviridaeからなる群より選択される属のうちの少なくとも1種のウイルスの所定の核酸配列の存在を決定するために使用される。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、Abiotrophia、Achromobacter、Acidaminococcus、Acidovorax、Acinetobacter、Actinobacillus、Actinobaculum、Actinomadura、Actinomyces、Aerococcus、Aeromonas、Afipia、Agrobacterium、Alcaligenes、Alloiococcus AlteromonasAmycolata、Amycolatopsis、Anaerobospirillum、Anaerorhabdus、「Anguillina」、Arachnia、Arcanobacterium、Arcobacter、Arthrobacter、Atopobium、Aureobacterium、Bacillus、Bacteroides、Balneatrix、Bartonella、Bergeyella、Bifidobacterium、Bilophila、Branhamella、Borrelia、Bordetella、Brachyspira、Brevibacillus、Brevibacterium、Brevundimonas、Brucella、Burkholderia、Buttiauxella、Butyrivibrio、Calymmatobacterium、Campylobacter、Capnocytophaga、Cardiobacterium、Catonella、Cedecea、Cellulomonas、Centipeda、Chlamydia、Chlamydophila、Chromobacterium、Chyseobacterium、Chryseomonas、Citrobacter、Clostridium、Collinsella、Comamonas、Corynebacterium、Coxiella、Cryptobacterium、Delftia、Dermabacter、Dermatophilus、Desulfomonas、Desulfovibrio、Dialister、Dichelobacter、Dolosicoccus、Dolosigranulum、Edwardsiella、Eggerthella、Ehrlichia、Eikenella、Empedobacter、Enterobacter、Enterococcus、Erwinia、Erysipelothrix、Escherichia、Eubacterium、Ewingella、Exiguobacterium、Facklamia、Filifactor、Flavimonas、Flavobacterium、Flexispira、Francisella、Fusobacterium、Gardnerella、Gemella Globicatella、Gordona、Haemophilus、Hafnia、Helicobacter、Helococcus、Holdemania、Ignavigranum、Johnsonella、Kingella、Klebsiella、Kocuria、Koserella、Kurthia、Kytococcus、Lactobacillus、Lactococcus、Lautropia、Leclercia、Legionella、Leminorella、Leptospira、Leptotrichia、Leuconostoc、Listeria、Listonella、Megasphaera、Methylobacterium、Microbacterium、Micrococcus、Mitsuokella、Mobiluncus、Moellerella、Moraxella、Morganella、Mycobacterium、Mycoplasma、Myroides、Neisseria、Nocardia、Nocardiopsis、Ochrobactrum、Oeskovia、Oligella、Orientia、Paenibacillus、Pantoea、Parachlamydia、Pasteurella、Pediococcus、Peptococcus、Peptostreptococcus、Photobacterium、Photorhabdus、Plesiomonas Porphyrimonas、Prevotella、Propionibacterium、Proteus、Providencia、Pseudomonas、Pseudonocardia、Pseudoramibacter、Psychrobacter、Rahnella、Ralstonia、Rhodococcus、Rickettsia、Rochalimaea、Roseomonas、Rothia、Ruminococcus、Salmonella、Selenomonas、Serpulina、Serratia、Shewenella、Shigella、Simkania、Slackia、Sphingobacterium、Sphingomonas、Spirillum、Staphylococcus、Stenotrophomonas、Stomatococcus、Streptobacillus、Streptococcus、Streptomyces、Succinivibrio、Sutterella、Suttonella、Tatumella、Tissierella、Trabulsiella、Treponema、Tropheryma、Tsakamurella、Turicella、Ureaplasma、Vagococcus、Veillonella、Vibrio、Weeksella、Wolinella、Xanthomonas、Xenorhabdus、YersiniaおよびYokenellaからなる群より選択される属に由来する少なくとも1種の細菌の所定の核酸配列の存在を決定するために使用される。
【0036】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、Candida、Aspergillus、Cryptococcus、Histoplasma、Pneumocystisおよび/またはStachybotrysからなる群より選択される属のうちの少なくとも1種の真菌の所定の核酸配列の存在を決定するために使用される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「寄生生物」とは、第2の生物の中でまたは第2の生物上で生活する生物に言及する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、外寄生生物、原生動物生物および/または蠕虫類(例えば、条虫類、吸虫類および/もしくは回虫類)からなる群より選択される属に由来する少なくとも1種の寄生生物の所定の核酸配列の存在を決定するために使用される。
【0038】
1つの実施形態において、本発明の方法において使用されるプライマー、特に、Mycoplasma pneumoniaeのためのプライマーが、以下のうちのいくつかまたは好ましくは全てであることは、好ましい:
1.FIPプライマーは、TGC GGG TCC CCG TCA ATT GCC TGG GTA GTA CAT TCG(配列番号1)の配列を含む;および/または
2.BIPプライマーは、CAA GTG GTG GAG CAT GTT TGT CAA GTC TAG GTA AGG(配列番号2)の配列を含む、および/または
3.LPFプライマーは、GTT TGA GTT TCA TTC TTG(配列番号3)の配列を含む;および/または
4.LPBプライマーは、f CTT AAT TCG ACG GTA CAC(配列番号4)の配列を含む;および/または
5.B3プライマーは、TGT TTC CAT AAC TTT GCC(配列番号5)の配列を含む。
【0039】
上記プライマー配列は、Mycoplasma pneumoniaeの配列を標的化する。特に、上記プライマーは、以下の配列を標的化する。
#AF132740.1_Mycoplasma_pneumoniae_株_ATCC_15531_16SリボソームRNA遺伝子および16S-23S_rRNA遺伝子間スペーサー完全配列
【化1-1】
【化1-2】
【0040】
いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用されるプライマー、特に、Mycoplasma pneumoniaeのためのプライマーは、以下の群から選択される少なくとも1つを含む:
a)配列:TGC GGG TCC CCG TCA ATT GCC TGG GTA GTA CAT TCG(配列番号1)と少なくとも88%、91%、94%、97%または100%の配列同一性を有し、その配列は、プライマー機能性をなおも提供する配列を含むFIPプライマー、
b)配列: CAA GTG GTG GAG CAT GTT TGT CAA GTC TAG GTA AGG(配列番号2)と少なくとも88%、91%、94%、97%または100%の配列同一性を有し、その配列は、プライマー機能性をなおも提供する配列を含むBIPプライマー、
c)配列: GTT TGA GTT TCA TTC TTG(配列番号3)と少なくとも88%、94%、または100%の配列同一性を有し、その配列は、プライマー機能性をなおも提供する配列を含むLPFプライマー、
d)配列: CTT AAT TCG ACG GTA CAC(配列番号4)と少なくとも88%、94%、または100%の配列同一性を有し、その配列は、プライマー機能性をなおも提供する配列を含むLPBプライマー、および
e)配列: TGT TTC CAT AAC TTT GCC(配列番号5)と少なくとも88%、94%、または100%の配列同一性を有し、その配列は、プライマー機能性をなおも提供する配列を含むB3プライマー、
好ましくはここで上記プライマー機能性は、配列番号13におけるプライマー機能性である。
【0041】
1つの実施形態において、本発明の方法において使用されるプライマー、特に、ヒトヘルペスウイルス1のためのプライマーが、以下のうちのいくつかまたは好ましくは全てであることは好ましい:
1.FIPプライマーは、GTT GGG TGG TGG AGG AGA CGT CCT TTT GGT TCT TGT CGG T(配列番号7)の配列を含む;および/または
2.BIPプライマーは、GGT CGT CCC TCG CAT GAA GCG GCG TGG TAA GGC TGA TG(配列番号8)の配列を含む、および/または
3.LPFプライマーは、TTG GTG GGA ACC CCC GAT AC(配列番号9)の配列を含む;および/または
4.LPBプライマーは、AAC ATG ACC CAG ACC GGC AC(配列番号10)の配列を含む;および/または
5.B3プライマーは、TAC TTG GCA TGG GGG GTG(配列番号11)の配列を含む。
【0042】
上記プライマー配列は、ヒトヘルペスウイルス1の配列を標的化する。特に、上記プライマーは、以下の配列を標的化する。
#AY240834.1_ヒトヘルペスウイルス1分離株E19_US4およびUS5遺伝子完全cdsならびにUS6遺伝子部分cds
【化2-1】
【化2-2】
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用されるプライマー、特に、ヒトヘルペスウイルス1のためのプライマーは、以下の群から選択される少なくとも1つを含む:
a)配列: GTT GGG TGG TGG AGG AGA CGT CCT TTT GGT TCT TGT CGG T(配列番号7)と少なくとも87%、90%、92%、95%、97%または100%の配列同一性を有し、その配列はプライマー機能性をなおも提供する配列を含むFIPプライマー、
b)配列: GGT CGT CCC TCG CAT GAA GCG GCG TGG TAA GGC TGA TG(配列番号8)と少なくとも89%、92%、94%、97%または100%の配列同一性を有し、その配列はプライマー機能性をなおも提供する配列を含むBIPプライマー、
c)配列: TTG GTG GGA ACC CCC GAT AC(配列番号9)と少なくとも85%、90%、95%、または100%の配列同一性を有し、その配列はプライマー機能性をなおも提供する配列を含むLPFプライマー、
d)配列: AAC ATG ACC CAG ACC GGC AC(配列番号10)と少なくとも85%、90%、95%、または100%の配列同一性を有し、その配列はプライマー機能性をなおも提供する配列を含むLPBプライマー、
e)配列: TAC TTG GCA TGG GGG GTG(配列番号11)と少なくとも88%、94%、または100%の配列同一性を有し、その配列はプライマー機能性をなおも提供する配列を含むB3プライマー、
好ましくはここで上記プライマー機能性は、配列番号14におけるプライマー機能性である。
【0044】
参照配列に関する「パーセント(%)配列同一性」とは、配列をアラインメントさせ、必要であればギャップを導入し、最大パーセント配列同一性を達成した後に、上記参照配列中のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のアラインメントは、当該分野の技術範囲内の種々の方法において、例えば、公に入手可能なコンピューターソフトウェア(例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア)を使用して、達成され得る。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含め、配列をアラインメントさせるための適切なパラメーターを決定し得る。
【0045】
しかし、当業者は、サンプル中で検出されるべき標的配列に応じて、代替のまたはさらなるプライマー配列を設計する方法を十分に認識している(例えば、Jia, B.ら, 2019, Frontiers in microbiology, 10, 2860を参照のこと)。
【0046】
本発明の方法において、特にその工程(c)において、温度が固定され得る。
【0047】
用語「固定温度」とは、本明細書で使用される場合、酵素およびプライマーが実質的に機能し得るように、一定またはほぼ一定の温度条件を維持することに言及する。ほぼ一定の温度条件とは、設定温度が正確に維持されるのみならず、その温度におけるわずかな変化が、上記酵素およびプライマーの実質的機能をだめにしないそのような程度の範囲内もまた許容可能であることを意味する。例えば、およそ0~10℃の温度の変化は許容可能である。
【0048】
固定温度下での核酸増幅反応は、使用されるべき酵素の活性が維持され得るこのようなレベルで温度を保持することによって実施され得る。さらに、上記核酸増幅反応においてプライマーと標的核酸とのアニールをもたらし、例えば、反応温度を設定するために、プライマーのおおよそのTm値の温度またはそれより低い温度に設定され得、プライマーのTm値を考慮に入れることによってストリンジェンシーのレベルにおいてその温度を設定することは好ましい。上記核酸増幅反応において、増幅反応は、上記酵素が不活性化されるかまたはプライマーを含む試薬のうちの1つが使い尽くされるまで、反復され得る。
【0049】
すなわち、上記1またはこれより多くの酵素、DNAプライマーおよび分析されるべきサンプルは、一定の温度において同じチューブの中でインキュベートされる。上記温度は、好ましくは50~75℃の間である。しかし、上記温度はまた、より低い、例えば、30~75℃の間の場合もある。代替の実施形態において、タッチダウン温度工程が使用される。すなわち、上記温度は、分析の過程の間に下げられ、例えば、70℃の温度で出発し、それは、その後50℃へと下げられる。
【0050】
本発明の方法において、上記1またはこれより多くの酵素、DNAプライマーおよび分析されるべきサンプルは、1~120分の間、好ましくは1~60分の間、1~45分の間、1~30分の間、または1~15分の間の時間にわたって、同じチューブの中でインキュベートされる。好ましい実施形態において、上記サンプルは、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分または30分にわたってインキュベートされる。
【0051】
本発明の方法は、2本鎖の伸長されたDNA配列がサンプル中に存在するか否かを決定する工程を包含し、特にここで上記サンプル中の2本鎖の伸長されたDNA配列の存在は、上記サンプル中に所定の核酸配列が存在することを示す。当業者は、サンプル中の2本鎖のDNA配列の存在を決定するために使用されるのに適した方法を十分に認識し、特にここで検出されるべき配列は既知である。従って、その目的に関して当業者に公知の任意の方法が、本発明内で使用され得る。しかし、伸長された2本鎖のDNAの存在は、伸長された2本鎖のDNA配列にハイブリダイズし得る核酸分子であって、特にここで上記核酸分子は標識される、核酸分子を使用するか、伸長された2本鎖のDNA配列の中にインターカレートする分子を使用するか、または濁度測定を使用することによって決定されることは特に好ましい。
【0052】
用語「標識(label)」またはその文法上のバリエーションは、本明細書で使用される場合、任意の検出可能なもしくはシグナルを生成する分子またはレポーター分子に言及する。便利な標識としては、比色、化学発光、色素生成、放射活性および蛍光標識が挙げられるが、酵素(例えば、比色、発光、色素生成)もしくは抗体ベースの標識方法またはシグナル生成システムがまた、使用され得る。従って、用語「標識」とは、本明細書で使用される場合、直接的に検出可能なシグナルを与える部分または受動的な部分のみならず、シグナルを生成するかもしくはシグナル生成反応に関与する、または何らかの方法で間接的に検出され得る任意の部分をも含む。「標識された(labelled)」とは、本明細書で使用される場合、検出可能な標識に接続または連結されていることをいう。伸長された2本鎖のDNA配列が上記サンプル中に存在するか否かを決定する工程は、蛍光報告を介して達成され得る。このようなアプローチのうちの大部分は、インターカレートする色素(例えば、臭化エチジウム、SYBR Green、EvaGreenおよびYO-PRO-I)の使用に基づく(Zhang Xら, 2013, PLoS One 8(12):e82841; Mair Gら. 2013, BMC Veterinary Research 9: 108)。本明細書で使用される場合、「インターカレートする(intercalate)」作用物質または色素とは、核酸の二重らせんにおいてスタックされた塩基対の間での非共有結合的挿入の能力のある作用物質または部分に言及する。伸長された2本鎖のDNA配列がサンプル中に存在するか否かを決定する工程は、Forster共鳴エネルギー移動(FRET)の機序に依拠する蛍光技術によって達成され得る(Chen Qら, 1997, Biochemistry 36(15):4701-11)。本発明のある特定の実施形態において、上記LPBおよび/またはLPFは、5’末端において少なくとも1つの標識および/またはアクセプターフルオロフォアで標識される。
【0053】
用語「濁度」とは、本明細書で使用される場合、光が散乱または吸収される流体または透明な固体中に懸濁および/または可溶性の粒子の尺度をいう。本発明のある特定の実施形態において、伸長された2本鎖のDNA配列がサンプル中に存在するか否かの間接的な決定は、反応副生成物としてのピロホスフェートの形成に本質的に依拠する。ピロリン酸イオンは、核酸重合の間にデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)をDNA鎖に組み込むことによって放出され得、これらのイオンは、反応ミックス中に存在する二価金属イオン、特にマグネシウムイオンと反応して、Mori Y.ら, 2001(Biochem. Biophys. Res. Commun. 289: 150-154)によって記載されるように白色の不溶性ピロリン酸マグネシウム沈殿物を生成する。この沈殿物は、反応溶液の濁度の漸進的な増大を生じ、ピロホスフェート沈殿物は、濁度に関して定量的に測定され得るか、または遠心分離後にペレットとして裸眼で観察され得る。本発明の代替の実施形態において、伸長された2本鎖のDNA配列がサンプル中に存在するか否かを決定する工程は、反応においてマンガンイオンおよびカルセインの組み込みを通じて達成される。カルセインの蛍光は、マンガンイオンの結合によって自然にクエンチされる。反応副生成物としてのピロホスフェート生成は、沈殿を通じて緩衝液からマンガンイオンを除去し、回復されたカルセイン蛍光と合わさって増大した濁度は、可視光またはUV光のいずれかでの励起の際に容易な視覚的読み取りを可能にする(Tomita N.ら. 2008. Nat. Protoc. 3:877-882)。本発明のさらに別の実施形態において、ピロホスフェートからATPへの酵素による変換(これは、DNA合成の間に生じる)は、伸長された2本鎖のDNA配列がサンプル中に存在するか否かを決定するために、熱安定性ホタルルシフェラーゼによって生成される生体発光を通じてモニタリングされる(Gandelman OA.ら, 2010, PLoS One 5(11): el4155)。
【0054】
一般に、Becherer, Lisa,ら(「Loop-mediated isothermal amplification (LAMP)-review and classification of methods for sequence-specific detection」. Analytical Methods 12.6 (2020): 717-746)によって記載される全ての方法は、本発明の方法と組み合わせられ得る。
【0055】
さらなる実施形態において、本発明は、病原体に感染した被験体を処置する方法であって、上記方法は、効率的な量の治療薬物を上記被験体に投与する工程を包含し、ここで上記被験体は、本発明の方法を使用して、上記病原体に感染していることが予め決定されている方法に関する。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明は、病原体の感染の処置における使用のための抗感染組成物であって、ここで上記被験体は、本発明の方法を使用して、上記病原体に感染していることが予め決定されている抗感染組成物に関する。
【0057】
用語「抗感染組成物(anti-infective composition)」とは、本明細書で使用される場合、抗ウイルス薬、抗生剤、抗真菌薬、および/または抗寄生生物薬を含む薬剤または組成物に言及する。
【0058】
好ましい実施形態において、上記病原体は、ウイルス、細菌、真菌または寄生生物である。さらに好ましい実施形態において、上記治療薬は、それぞれ、抗ウイルス薬、抗生剤、抗真菌薬または抗寄生生物薬である。
【0059】
用語「抗ウイルス薬(antiviral drug)」とは、本明細書で使用される場合、ウイルス関連疾患に対する処置において有用な特性を有する薬物をいう。抗ウイルス薬は、特に、ウイルスの増殖、生存、複製、機能、および/または伝播(dissemination)を防止する、阻害する、抑制する、低減する、それに対して悪影響を与える、および/または干渉するという特性を有し得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される抗ウイルス薬は、抗ヘルペスウイルス薬、抗RNAウイルス薬および抗レトロウイルス薬の群から選択される少なくとも1種の薬剤を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される抗ウイルス薬は、以下の群から選択される少なくとも1種の薬剤を含む:アバカビル、アシクロビル、アデフォビル、アマンタジン、アンプリゲン(Ampligen)、アンプレナビル、ウミフェノビル(Umifenovir)、アタザナビル、アトリプラ、バロキサビルマルボキシル、ビクタルビ、ボセプレビル、ブレビルチド、シドフォビル、コビシスタット、コンビビル、ダクラタスビル、ダルナビル、デラビルジン、デシコビ、ジダノシン、ドコサノール、ドルテグラビル、ドラビリン(Doravirine)、エドクスジン(Edoxudine)、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド(Enfuvirtide)、エンテカビル、エトラビリン、ファムシクロビル、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イバリズマブ、イドクスウリジン、イミキモド、イムノビル、インジナビル、ラミブジン、レテルモビル、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、メチサゾン、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネクサビル(Nexavir)、ニタゾキサニド、ノービア、オセルタミビル、ペンシクロビル、ペラミビル、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、ラルテグラビル、レムデシビル、リバビリン、リルピビリン、リルピビリン、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、シメプレビル、ソホスブビル、スタブジン、タリバビリン(Taribavirin)、テラプレビル、テルビブジン、テノフォビル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル(Trizivir)、トロマンタジン、ツルバダ、ウミフェノビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロック(Vicriviroc)、ビダラビン、ザルシタビン、ザナミビルおよびジドブジン。
【0062】
用語「抗生剤(antibiotic drug)」とは、本明細書で使用される場合、細菌に対しておよび/または細菌関連疾患の処置において有用な特性を有する薬剤または組成物をいう。上記抗生剤は、特に、少なくとも1種の細菌の増殖、生存、複製、機能、および/または伝播を防止する、阻害する、抑制する、低減する、それに対して悪影響を与える、および/または干渉するという特性を有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される抗生剤は、以下の群から選択される少なくとも1種の薬剤を含む:抗細菌ファージ、マクロライド(例えば、エリスロマイシン)、ペニシリン(例えば、ナフシリン)、セファロスポリン(例えば、セファゾリン)、カルバペネム(例えば、イミペネム)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、他のβ-ラクタム系抗生物質、β-ラクタム系インヒビター(例えば、スルバクタム)、オキサリン(oxaline)(例えば、リネゾリド)、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン)、クロラムフェニコール、スルフォナミド(sufonamide)(例えば、スルファメトキサゾール)、糖ペプチド(例えば、バンコマイシン)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン)、テトラサイクリン(例えば、ミノサイクリン)、フシジン酸、トリメトプリム、メトロニダゾール、クリンダマイシン、ムピロシン、リファマイシン(例えば、リファンピン)、ストレプトグラミン(例えば、キヌプリスチンおよびダルホプリスチン)、リポタンパク質(例えば、ダプトマイシン)およびポリエン(例えば、アンホテリシンB)。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される抗生剤は、アモキシシリン、アジスロマイシン、アモキシシリン/クラブラン酸、クリンダマイシン、セファレキシン、シプロフロキサシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリムおよびメトロニダゾールの群から選択される少なくとも1種の薬剤を含む。
【0063】
用語「抗真菌薬(antifungal drug)」とは、本明細書で使用される場合、真菌関連疾患に対する処置において有用な特性を有する薬剤または組成物をいう。抗真菌薬は、特に、少なくとも真菌の増殖、生存、複製、機能、および/または伝播を防止する、阻害する、抑制する、低減する、それに対して悪影響を与える、および/または干渉するという特性を有し得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される抗真菌薬は、エキノカンジン、イミダゾール抗真菌剤、ラノステロール14α-デメチラーゼインヒビターおよびトリアゾール抗真菌剤の群から選択される少なくとも1種の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、上記抗真菌薬は、以下の群から選択される少なくとも1種の薬剤を含む:アバフンギン、酢酸、アクリソルシン(Acrisorcin)、アリシン、アミノカンジン(Aminocandin)、アモロルフィン、アンホテリシンB、アニデュラフンギン、バシロマイシン(Bacillomycin)、ビホナゾール、ブラストサイジンA、ホウ酸、ブロモクロロサリチルアニリド、ブテナフィン、カンジシジン、カプリル酸、カスポファンギン、セルレニン、クロルダントイン(Chlordantoin)、クロルミダゾール(Chlormidazole)、クロロフェタノール(Chlorophetanol)、クロロキシレノール、シクロピロクス、シロファンギン(Cilofungin)、シナモン、クリオキノール、クレオリン(Creolin)、クロコダイル油、クルエンタレン(Cruentaren)、クリスタルバイオレット、ジマゾール(Dimazole)、ドロソマイシン(Drosomycin)、エキノカンジン、エキノカンジンB、エトナン(Ethonam)、フェンチクロール、フィリピン(Filipin)、グリセオフルビン、ハリシリンドラミド(Halicylindramide)、ハロプロジン、ハマイシン、ヒノキニン(Hinokinin)、ヒドロコルチゾン、ルフェヌロン、ルリコナゾール、薬用キノコ(Medicinal fungi)、メラフィクス(Melafix)、ミカファンギン、ミルテホシン、マイコバシリン(Mycobacillin)、ナタマイシン、ニコマイシン(Nikkomycin)、ナイスタチン、オロトマイド(Orotomide)、パプラカンジンB(Papulacandin B)、パリエチン(Parietin)、ペシロシン(Pecilocin)、ペンタミジン、ペリマイシン(Perimycin)、ピロクトンオラミン、ニューモカンジン、ポリエン抗真菌薬、プチロミカリンA(Ptilomycalin A)、ピロールニトリン、リモプロギン、二硫化セレン、スパラッソール、Streptomyces単離物、スルベンチン(Sulbentine)、タバボロール、ティーツリー油、テルビナフィン、セオネラミドF(Theonellamide F)、ツヤプリシン、タイム、チクラトン(Ticlatone)、トルシクラート、トルナフテート、トリコスタチンA、トリクロサン、トリメトレキサート、ウンデシレン酸、ベンツリシジン(Venturicidin)、ビニルジチイン、Vusionおよびジンクピリチオン。
【0065】
用語「抗寄生生物薬(antiparasitic drug)」とは、本明細書で使用される場合、寄生生物関連疾患に対する処置において有用な特性を有する薬物をいう。抗寄生生物薬は、特に、寄生生物の増殖、生存、複製、機能、および/または伝播を防止する、阻害する、抑制する、低減する、それに対して悪影響を与える、および/または干渉するという特性を有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される抗寄生生物薬は、以下の群から選択される少なくとも1種の薬剤を含む:アバメクチン、アバメタピル、抗条虫薬、アルプリノシド、アルセナマイド(arsenamide)、殺回虫薬(ascaricide)、アベルメクチン、ベフェニウムヒドロキシナフトエート、ビチオノール、カルバドックス、クロピドール、シミアゾール、デコキネート、ジクロロフェン、ジクラズリル、ジエチルカルバマジン、ジメトリダゾール、殺外寄生生物薬、エモデプシド、エプリノメクチン、エトパベート、フェキシニダゾール、フルベンダゾール、ハロフジノン、ヒカントン(hycanthone)、塩化イソメタミジウム、イベルメクチン、ラサロシド、マラチオン、薬用キノコ、メラルソミン、メトリホネート、ミルベマイシンオキシム/ルフェヌロン、ナラシン、ニフルチモックス/エフロルニチン、ニリダゾール(niridazole)、ニタゾキサニド、ニトロキシニル、オルチプラズ(oltipraz)、オリザリン、オキサムニキン、オキサンテル、パフラミジン(pafuramidine)、ペルメトリン、プラジカンテル、プロパミジン、キナピラミン(quinapyramine)、ロベニジン、サリチルヒドロキサム酸、サリノマイシン、セラメクチン、スチボフェン、streptomyces単離物、テンプレート:抗節足動物薬(anti-arthropod medications)、テトラフェニルポルフィンスルホネート、チアベンダゾールおよびトルトラズリル。
【0066】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の使用のための抗感染組成物であって、ここで病原体は、ヒトヘルペスウイルスまたはMycoplasma属の細菌である抗感染組成物に関する。
【0067】
当業者は、病原体が本発明の方法を使用していったん特定されてしまえば、上記病原体の感染を処置する方法を認識する。
【0068】
本発明の方法は、病原体を効率的に決定し得、早期検出、スクリーニング、モニタリングおよび/または過去の感染の確認を容易にする。
【0069】
従って、本発明の方法によって可能にされる病原体の決定は、その後、感染の処置を改善し得る、病原体の拡がりを低減し得る、および/または疾患の進行を回避し得る。
【0070】
本発明はまた、キットに、特に、ヒト被験体からサンプル中の所定の核酸配列の存在を決定することにおける使用のためのキットに関する。上記キットは、本発明の方法において使用される5プライマー、または本明細書で使用されるとおりの6プライマーの全てを含み得る。上記キットは、異なる標的配列を標的化する1より多くのプライマーシステムを含み得、ここで上記異なる標的配列は、同じ病原体または異なる病原体の一部であり、例えば、クエンチャー-フルオロフォア二重鎖領域を含むプライマーを使用することによる(Tanner NA, Zhang Y, Evans TC Jr. Simultaneous multiple target detection in real-time loop-mediated isothermal amplification. Biotechniques. 2012;53(2):81-89)。よって、キットは、1回の実験で1より多くの所定の核酸配列の存在を決定するために使用され得る。
【0071】
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明の(文脈において調製されるべき)キットまたは本発明の方法および使用は、取扱説明書をさらに含み得るか、またはこれとともに提供され得る。例えば、上記取扱説明書は、当業者が本明細書で提供される診断上の使用においておよび本発明に従って、本発明のキットを(どのようにして)使用するかをガイドし得る。詳細には、上記取扱説明書は、本明細書で提供される方法または使用を使用するまたは適用するためのガイダンスを含み得る。
【0072】
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに類似のまたは等価な方法および材料は、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料は以下に記載される。矛盾する場合、定義を含め、本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は、例証に過ぎず、限定することは意図されない。
【0073】
本明細書で記載される一般的方法および技術は、別段示されなければ、当該分野で周知の、ならびに本明細書全体を通じて引用および考察される種々の一般的およびより科学的な参考文献に記載されるとおりの従来法に従って行われ得る。例えば、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)およびAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992)、ならびにHarlow and Lane Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1990)を参照のこと。
【0074】
本発明の局面は、図面および前述の説明において詳細に例証および記載されるが、このような例証および記載は、例証または例示であって、限定ではないと見做されるべきである。変更および改変が、以下の特許請求の範囲および趣旨の範囲内で当業者によって行われ得ることは、理解される。特に、本発明は、上記または下記で記載される異なる実施形態からの特徴の任意の組み合わせを有するさらなる実施形態を網羅する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】
図1は、5種または6種のプライマーおよび本明細書で提供される方法を使用して、Mollicutes綱の細菌における所定の16S rRNA配列を検出するための5プライマーシステムおよび6プライマーシステムの比較を示す。
【0076】
【
図2】
図2は、5種または6種のプライマーならびに本明細書で提供される方法を使用して、ヒトヘルペスウイルス1における所定のDNA配列を検出するための5プライマーシステムおよび6プライマーシステムの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
さらに、特許請求の範囲において、文言「含む、包含する(comprising)」とは、他の要素または工程を排除せず、不定冠詞「a(1つの、ある)」または「an(1つの、ある)」は、複数を排除しない。1つのユニットは、特許請求の範囲の中で記載されるいくつかの特徴の機能を満たし得る。属性または特に値に関連する用語「本質的に(essentially)」、「約(about)」、「およそ(approximately)」などはまた、それぞれ、上記属性を正確にまたは上記値を正確に定義する。特許請求の範囲における任意の引用符合は、範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0078】
以下は、本発明の方法および組成物の例である。上記で提供される一般的な記載を考慮すれば、種々の他の実施形態が実施され得ることが理解される。
F3なしの新規な5プライマーシステムは、F3ありの6プライマーシステムと同程度に効率的にMollicutesを増幅する。
【表1-1】
【表1-2】
【表2】
【表3】
【表4】
1反応あたり17.0μl PEMを添加する。
【0079】
テンプレート添加
8.0μl 抽出RNAを添加する。
8.0μl RNase非含有H
2Oを陰性アッセイコントロールとして添加する。
【表5】
F3なしの新規な5プライマーシステムは、F3ありの6プライマーシステムと同程度に効率的にヒトヘルペスウイルス1を増幅する
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
1反応あたり17.0μl PEMを添加する。
【0080】
テンプレート添加
8.0μl 抽出DNAを添加する。
8.0μl RNase非含有H
2Oを陰性アッセイコントロールとして添加する。
【表10】
【配列表】
【国際調査報告】