(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】スパイク組立品を有する摂取可能な装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A61M5/142
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576338
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2021065729
(87)【国際公開番号】W WO2021250222
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フレズレクスン, モーデン レヴズゴード
(72)【発明者】
【氏名】イェンスン, ブリーアン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC07
4C066DD13
4C066EE04
4C066QQ85
(57)【要約】
概して、体腔の内腔内に嚥下するのに好適な装置などのカプセル装置が提供される。一部の実施形態では、カプセル装置(100)は、カプセルハウジング(110、120)に対して配置される組織接合構成要素(130)を備える。カプセル装置(100)は、前進していない第1の状態から前進した第2の状態へとカプセルハウジング(110、120)に対して前進可能である複数の細長いスパイク部材(182、130)を備えてもよく、ここで、細長いスパイク部材(182、130)の自由端は、体腔の内腔壁の組織に係合する。一部の実施形態では、カプセル装置(100)は、複数の細長いスパイク部材(182)に結合されたアクチュエータ(155)と、複数の細長いスパイク部材(182、130)を前進した第2の状態に移動させるために、アクチュエータ(155)に結合されたエネルギー源(140)と、を備える。複数のスパイク部材(182、130)のうちの少なくとも1つは、偏向可能なスパイク部材が第2の状態に向かって前進するにつれて横方向に偏向される、偏向可能なスパイク部材(182)として構成されており、その結果、複数のスパイク部材(182、130)は、複数のスパイク部材間の組織上の拡大係合または締付係合によって作用し、それによって、カプセル装置(100)を内腔壁に対して固定する。
【選択図】
図3d
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の消化管の内腔内に嚥下するのに好適なカプセル装置であって、前記内腔が、内腔壁を有しており、前記カプセル装置(100)が、
-前記内腔に挿入されるようにサイズ設定されたカプセルハウジング(110、120)と、
-前記カプセルハウジング(110、120)に対して配置される組織接合構成要素(130、130’、130’’、230’、230’’)であって、前記組織接合構成要素(130、130’、130’’、230’、230’’)が、標的場所で前記内腔壁と相互作用するように構成されている、組織接合構成要素(130、130’、130’’、230’、230’’)と、
-前記カプセルハウジング(110、120)に対して前進可能に配設された複数の細長いスパイク部材(182、130)であって、各スパイク部材が、基端(182a)から前記基端(182a)の反対側の組織係合端部(182b)まで延在しており、前記スパイク部材(182、130)が、概して前記カプセルハウジング(110、120)内に配設される前進していない第1の状態から、前記スパイク部材(182、130)の前記組織係合端部(182b)が前記カプセルハウジング(110、120)から延在して、前記標的場所に隣接するそれぞれの場所で組織に係合する、前進した第2の状態へと移動可能に構成されている、複数の細長いスパイク部材(182、130)と、
-前記複数のスパイク部材(182、130)と結合され、かつ第1の構成および第2の構成を有するアクチュエータ(155)であって、前記複数のスパイク部材(182、130)は、前記アクチュエータ(155)が前記第1の構成にあるときに、前記前進していない第1の状態に保持され、前記複数のスパイク部材(182、130)は、前記アクチュエータ(155)が前記第1の構成から前記第2の構成へとシフトすることによって、前記前進していない第1の状態から前記前進した第2の状態へと前進するように構成されている、アクチュエータ(155)と、
-前記アクチュエータ(155)に結合されたエネルギー源(140)であって、前記エネルギー源が、作動時に前記アクチュエータ(155)を駆動する、エネルギー源(140)と、を備え、
前記カプセル装置100が、幾何学的中心と、第1の軸に沿って前記幾何学的中心からオフセットされる質量中心と、を有する、自己復元カプセルとして構成されており、前記カプセル装置100が、前記質量中心が前記幾何学的中心から横方向にオフセットされるように配向されながら、前記内腔壁の前記組織によって支持されるときに、前記カプセル装置100が、前記組織接合構成要素(130、130’、130’’、230’、230’’)が前記標的場所で前記内腔壁と相互作用することを可能にするために、重力の方向に沿って配向された前記第1の軸と前記カプセル装置100を配向するように作用する、重力による外部から印加されるトルクを受け、
前記複数のスパイク部材(182、130)のうちの少なくとも1つが、前記組織係合端部(182b)に配置された偏向可能な端部分を備える、偏向可能なスパイク部材(182)として構成されており、前記偏向可能な端部分が、前記偏向可能なスパイク部材(182)が前記第2の状態に向かって前進するにつれて、横方向に偏向され、その結果、前記複数のスパイク部材(182、130)が、前記複数のスパイク部材(182、130)間の組織上の拡大係合または締付係合によって作用し、それによって、前記カプセル装置100を前記内腔壁に対して固定する、カプセル装置。
【請求項2】
偏向可能なスパイク部材(182)の数が、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の偏向可能なスパイク部材である、請求項1に記載のカプセル装置。
【請求項3】
各偏向可能なスパイク部材(182)は、前記偏向可能なスパイク部材(182)の前記偏向可能な端部分が、前記偏向可能なスパイク部材が前記第1の状態から前記第2の状態へと移動するにつれて横方向に方向付けられるように、前記カプセルハウジング(110,120)と関連付けられたスパイク偏向幾何学的形状(122)と係合するように構成されている、請求項1または2に記載のカプセル装置。
【請求項4】
前記スパイク偏向幾何学的形状(122)が、組織上の前記拡大係合または締付係合を排除するために生体流体に供されたときに溶解する材料によって形成され、それによって、前記カプセルの嚥下に続く所定の時間間隔、および作動に続く所定の時間間隔のうちの1つの後に、前記内腔壁に対する前記カプセル装置100の固定を不可能にする、請求項3に記載のカプセル装置。
【請求項5】
前記アクチュエータ(155)が、前記組織接合構成要素(130、130’、130’’、230’、230’’)に向かって前記第1の軸に沿って展開するために配設される、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【請求項6】
前記前進していない第1の状態において、前記複数のスパイク部材が、前記第1の軸と実質的に平行に延在している、請求項1~5のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記偏向可能なスパイク部材が、偏向可能なホイル材料の一部分を備えるか、または偏向可能なホイル材料によって完全に作製される、請求項1~6のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【請求項8】
前記スパイク部材(182、130)が、複数の偏向可能なスパイク部材(182)を含み、前記複数の偏向可能なスパイク部材が、前記複数の偏向可能なスパイク部材に共通するホイル材料によって作製される、請求項1~7のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【請求項9】
前記ホイル材料が、生物学的流体に供されるときに少なくとも部分的に溶解され、それによって、嚥下に続く所定の時間間隔、および前記アクチュエータ(155)の作動に続く所定の時間間隔のうちの1つの後に、前記内腔壁に対する前記カプセル装置100の固定を不可能にする、請求項8に記載のカプセル装置。
【請求項10】
前記組織接合構成要素(130、130’、130’’)が、前記標的場所で治療ペイロードの少なくとも一部の放出を前記内腔壁に提供するように構成された前記治療ペイロードを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【請求項11】
前記組織接合構成要素(130、130’、130’’、230’、230’’)が、前記カプセルハウジング(110、120)内で使い捨てである送達部材(130)を備え、前記送達部材(130)が、前記内腔壁の組織を貫通するように成形されており、前記送達部材が、前記治療ペイロードを備えるか、または前記治療ペイロードを貯蔵部から送達するように構成されているかのいずれかである、請求項10に記載のカプセル装置。
【請求項12】
前記送達部材(130)が、前記アクチュエータ(155)に結合され、前記送達部材(130)が、前記アクチュエータ(155)が前記第1の構成にあるときに、前記カプセルハウジング(110、120)内に保持され、前記送達部材(130)が、前記第1の構成から前記第2の構成への前記アクチュエータ(155)の移動によって、前記カプセルハウジング(110、120)から前記内腔壁内に前進するように構成されている、請求項11に記載のカプセル装置。
【請求項13】
前記送達部材(130)が、前記治療ペイロードを含む調製物から完全に形成された固体であり、前記送達部材(130)が、ロッド形状であり、前記内腔壁の組織に挿入されたときに溶解して、前記治療ペイロードの少なくとも一部分を組織に送達する、溶解可能な材料から作製される、請求項11または12に記載のカプセル装置。
【請求項14】
前記送達部材(130)が、長手方向の内腔を有する注射針であり、前記治療ペイロードが、前記カプセルハウジング(110、120)内の貯蔵部から前記注射針の前記内腔を通して排出可能である液体、ゲル、または粉末として提供される、請求項11または12に記載のカプセル装置。
【請求項15】
前記偏向可能なスパイク部材(182)が、密封区画(180)の一部を形成するなどで関連付けられており、前記密封区画が、前記アクチュエータ(155)が前記第1の構成をとるときに前記送達部材(130)を収容し、前記送達部材(130)が、前記アクチュエータが前記第2の構成をとるときに前記密封区画(180)から外側に突出する、請求項11~14のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の内腔に導入するために適合され、内腔壁に対して医療装置の固定を提供することができる、薬剤送達のためのシステムを含む、医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主にインスリンの送達による糖尿病治療が参照されるが、これは本発明の例示的な使用に過ぎない。
【0003】
多くの人々が、糖尿病などの疾患に罹り、定期的に、およびしばしば、日常的に、薬剤の注射を受けることを必要としている。疾患を治療するために、これらの人々は、複雑であるとみなされ得る、かつ不快な経験となり得る、異なるタスクを実施する必要がある。さらに、その人々は、外出時に注射装置、針、薬剤を持参することが必要となる。したがって、治療が錠剤またはカプセルの経口摂取に基づき得る場合、そのような疾患の治療の有意な改善とみなされるであろう。
【0004】
しかしながら、タンパク質ベースの薬剤は、摂取時に吸収されるのではなく、分解および消化されることになるため、そのような解決策は、実現が非常に困難である。
【0005】
経口摂取を通してインスリンを血流中に送達するための作用溶液を提供するために、薬剤は、まず消化管の内腔に送達され、さらに消化管の壁(内腔壁)内に送達されなければならない。これは、以下の数個の課題を提示する:(1)薬剤は、胃内の酸による分解または消化から保護されなければならない。(2)薬剤は、胃内、または下部消化管、すなわち、胃の後に放出されなければならず、これは、薬剤放出の絶好の機会を制限する。(3)薬剤は、胃および下部消化管内の流体の分解環境に曝露される時間を制限するために、内腔壁に送達されなければならない。壁で放出されない場合、薬剤は、放出点から壁への移動中に分解され得るか、または分解流体から保護されない限り、吸収されずに下部消化管を通過し得る。
【0006】
活性薬剤の経口投与および上記の課題のうちの1つ以上への対処に関する先行技術文献は、[特許文献1]および[特許文献2]を含む。[特許文献3]は、第1および第2の区画を有するカプセルを開示しており、ここで、第1の区画は、第2の区画内に収容された構成要素を放出するように構成された機構を備える。第2の区画内に含まれる例示の構成要素には、展開装置、および自己回転システムが含まれる。
【0007】
治療剤の送達および/または摂取されたカプセルからの医療関連データの取得の両方について、摂取可能なカプセルが提案されている。特定の用途では、装置の効果的な利用を確実にするために、最小時間スパンの間、標的場所に装置を保持することが、最も重要である。
【0008】
上記に関して、本発明の目的は、患者の内腔に導入するための医療装置を提供することであり、当該医療装置は、内腔壁に対して装置を高度で効果的かつ確実に保持し、かつ費用効果の高い様式でかつ最小限の侵襲的かつ安全な様式で保持作用を取得するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2018/213600(A1)号
【特許文献2】国際公開第2017/156347(A1)号
【特許文献3】国際公開第2019/222572号
【発明の概要】
【0010】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または例示的な実施形態の説明と同様に下記の開示から明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。
【0011】
したがって、本発明の第1の態様では、患者の消化管の内腔に嚥下するのに好適なカプセル装置が提供されており、内腔は、内腔壁を有する。カプセル装置は、
-内腔に挿入されるようにサイズ設定されたカプセルハウジングと、
-カプセルハウジングに対して配置される組織接合構成要素であって、組織接合構成要素が、標的場所で内腔壁と相互作用するように構成されている、組織接合構成要素と、
-カプセルハウジングに対して前進可能に配設された複数の細長いスパイク部材であって、各スパイク部材が、基端から基端の反対側の組織係合端部まで延在しており、スパイク部材が、概してカプセルハウジング内に配設される前進していない第1の状態から、スパイク部材の組織係合端部がカプセルハウジングから延在して、標的場所に隣接するそれぞれの場所で組織に係合する、前進した第2の状態へと移動可能に構成されている、複数の細長いスパイク部材と、
-複数のスパイク部材と結合され、かつ第1の構成および第2の構成を有する、アクチュエータであって、複数のスパイク部材が、アクチュエータが第1の構成にあるときに、前進していない第1の状態に保持され、複数のスパイク部材が、アクチュエータが第1の構成から第2の構成へとシフトすることによって、前進していない第1の状態から前進した第2の状態へと前進するように構成されている、アクチュエータと、
-アクチュエータに結合されたエネルギー源であって、エネルギー源が、作動時にアクチュエータを駆動する、エネルギー源と、を備え、
複数のスパイク部材のうちの少なくとも1つが、組織係合端部に配置された偏向可能な端部分を備える、偏向可能なスパイク部材として構成されており、偏向可能な端部分が、偏向可能なスパイク部材が第2の状態に向かって前進するにつれて、横方向に偏向され、その結果、複数のスパイク部材が、複数のスパイク部材間の組織上の拡大係合または締付係合によって作用し、それによって、カプセル装置を内腔壁に対して固定する。
【0012】
一部の実施形態では、カプセル装置は、幾何学的中心と、第1の軸に沿って幾何学的中心からオフセットされる質量中心と、を有する、自己復元カプセルとして構成されており、カプセル装置が、質量中心が幾何学的中心から横方向にオフセットされるように配向されながら、内腔壁の組織によって支持されるときに、カプセル装置は、組織接合構成要素が標的場所で内腔壁と相互作用することを可能にするために、重力の方向に沿って配向された第1の軸とカプセル装置を配向するように作用する、重力による外部から印加されるトルクを受ける。カプセル装置、すなわち、カプセルハウジング、組織接合構成要素、およびアクチュエータは、少なくとも、アクチュエータが第1の構成をとる間に、概して重力の方向に沿って配向された第1の軸とカプセル装置を自動的に配向することができる、自己回転カプセルとして機能する。
【0013】
他の代替的な実施形態では、カプセル装置は、自己配向性カプセルとして構成されるが、カプセル装置が、支持組織壁に対してカプセルが自己配向するときに、重力誘導型自己回転に依存しないように構成される。
【0014】
一部の実施形態では、カプセル装置が自己回転カプセルを画定するか、またはカプセル装置が自己配向カプセルを画定するかのいずれかで、アクチュエータおよびエネルギー源は、例えば、カプセルハウジングによって画定される内部中空空間内に、カプセル内に配設される。
【0015】
一部の実施形態では、内腔は、対象ユーザの胃であり、ここで、カプセル装置は、スパイク部材が胃の組織壁に対してカプセル装置を固定するように胃内腔内に展開するよう構成されている。
【0016】
他の実施形態では、内腔は、対象ユーザの小腸または大腸の内腔のいずれかであり、ここで、装置は、小腸または大腸のいずれかの組織壁に対して、スパイク部材がカプセル装置を固定するように、腸内腔内に展開するよう構成されている。
【0017】
一部の実施形態では、アクチュエータは、第1の構成から第2の構成へと、射出軸に沿って移動可能である。特定の実施形態では、その射出軸は、第1の軸と同軸であってもよい。
【0018】
異なる実施形態では、偏向可能なスパイク部材の数は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の偏向可能なスパイク部材として提供される。
【0019】
例示的な実施形態では、偏向可能なスパイク部材は、スパイク部材がそれらの前進した位置をとるときに、カプセルハウジングから1~3mm延在するように偏向可能なスパイク部材が形成されるような長さを有する。別の方法として、スパイク部材は、スパイク部材がカプセルハウジングから3~5mmまたは5~7mmの選択された距離を延在するように形成される。
【0020】
例示的な実施形態では、1つ以上の偏向可能なスパイク部材のうちの少なくとも1つは、カプセルハウジングに対して分離不可能に配設され、その結果、少なくとも複数のスパイク部材が組織上の拡大係合または締付係合によって作用する間に、1つ以上の偏向可能なスパイク部材のうちのその少なくとも1つは、カプセルハウジングから分離不可能である。
【0021】
偏向方向における偏向可能なスパイク部材の例示的な厚さは、0.2~0.5mmなど、0.1~1.0mmで選択され得る。
【0022】
一部の実施形態では、組織接合構成要素は、組織接合構成要素が、アクチュエータが第1の構成にあるときに、前進していない第1の状態に保持されるように、また組織接合構成要素が、アクチュエータが第1の構成から第2の構成へとシフトすることによって、前進していない第1の状態から前進した第2の状態へと前進するように、アクチュエータと結合される。他の実施形態では、組織接合構成要素は、カプセルハウジングに対して固定的に取り付けられる。
【0023】
特定の実施形態では、組織接合構成要素は、組織接合構成要素が、アクチュエータからの力の印加時に組織を貫通することを可能にするために、組織貫通端部が形成される細長いスパイクまたはロッド形状部材として形成される。
【0024】
カプセル装置の組織接合構成要素は、一部の実施形態では、アクチュエータが第1の構成および/または第2の構成をとるときに、組織接合構成要素の少なくとも一部が第1の軸と交差するように配設され得る。組織接合構成要素が細長いスパイクまたはロッド形状部材として形成される実施形態では、アクチュエータが第1の構成および/または第2の構成をとるときに、組織接合構成要素は、組織接合構成要素が第1の軸と同軸に配向されるように配設され得る。一部のさらなる実施形態では、組織接合構成要素は、カプセルハウジングに対して固定的に配設され、内腔壁の組織と接合するように構成された概して平坦な表面積を含んでもよく、一方で、複数のスパイク部材は、複数のスパイク部材間の組織上の拡大係合または締付係合によって作用する。
【0025】
組織接合構成要素が細長いスパイクまたは針として形成される実施形態では、カプセル装置の組織接合構成要素は、複数の細長いスパイク部材のうちの1つを画定し得る。また、カプセル装置は、組織接合構成要素と一緒に組織と係合し、それによって、少なくとも1つの偏向可能なスパイク部材と組織接合構成要素との間の組織上の拡大係合または締付係合によって作用する、その少なくとも1つの偏向可能なスパイク部材を備える。
【0026】
さらなる実施形態では、少なくとも1つまたは各偏向可能なスパイク部材は、偏向可能なスパイク部材の偏向可能な端部分が、偏向可能なスパイク部材が前進していない第1の状態から前進した第2の状態へと移動するにつれて横方向に方向付けられるように、カプセルハウジングと関連付けられたスパイク偏向幾何学的形状と係合するように構成されている。偏向幾何学的形状は、前進していない第1の状態から前進した第2の状態へのスパイク部材の移動の少なくとも一部について、それぞれのスパイク部材を摺動させて誘導および偏向するように形成され得る。
【0027】
一部の実施形態では、アクチュエータは、組織接合構成要素に向かって第1の軸に沿って展開するために配設される。他の実施形態では、アクチュエータは、第1の軸と平行ではなく、それに対して角度の付いた軸に沿って移動可能である。
【0028】
カプセル装置の一部の形態では、前進していない第1の状態をとる複数のスパイク部材について、複数のスパイク部材は、第1の軸と平行または実質的に平行に延在する。
【0029】
さらなる形態では、アクチュエータは、1つ以上の追加の構成要素を介して直接的または間接的に、複数のスパイク部材の基端に結合する。なおもさらなる形態では、アクチュエータは、複数の細長いスパイク部材のうちの1つ以上と一体的に形成される。
【0030】
少なくとも1つの偏向可能なスパイク部材、または全ての偏向可能なスパイク部材は、偏向可能なホイル材料の一部分を含むように形成されてもよく、または偏向可能なホイル材料によって完全に作製されてもよい。
【0031】
一部の変形では、2つ以上の偏向可能なスパイク部材は、2つ以上の偏向可能なスパイク部材に共通するホイル材料によって作製される。
【0032】
一部の変形では、少なくとも1つの偏向可能なスパイク部材、および任意に偏向可能なスパイク部材の全ては、偏向可能なスパイク部材の組織係合端部が、偏向可能なスパイク部材が前進していない第1の状態から前進した第2の状態へと前進するにつれて、例えば、2mm未満、1mm未満などの3mm未満で横方向に移動するように構成されている。
【0033】
そのホイル材料は、生物学的流体に供されるときに少なくとも部分的に溶解され、それによって、嚥下に続く所定の時間間隔、およびアクチュエータの作動に続く所定の時間間隔のうちの1つの後に、内腔壁に対するカプセル装置の固定を不可能にする、材料が提供されてもよく、またはその材料を備えてもよい。
【0034】
別の方法として、またはこれと組み合わせて、スパイク偏向幾何学的形状は、組織上の拡大係合または締付係合を排除するために生体流体に供されたときに溶解する材料を含んでもよく、それによって、カプセルの嚥下に続く所定の時間間隔、および作動に続く所定の時間間隔のうちの1つの後に、内腔壁に対するカプセル装置の固定を不可能にする。
【0035】
カプセル装置の様々な形態では、組織接合構成要素は、診断ユニットおよび治療ユニットのうちの少なくとも1つを含む。診断ユニットは、カプセル装置を囲む環境から医療データを取得するためのモニタリング装置として構成され得る。
【0036】
一部の実施形態では、組織接合構成要素は、標的場所で治療ペイロードの少なくとも一部の放出を内腔壁に提供するように構成された治療ペイロードを含む。
【0037】
治療ペイロードは、一部の実施形態では、治療ペイロード上に力を印加することによって、標的場所でカプセルから内腔壁内に導入されるように構成されてもよい。一部の実施形態では、アクチュエータは、治療ペイロードと結合されて、治療ペイロードをカプセル装置から内腔壁内に導入する力を提供し得る。一部の形態では、治療ペイロードは、アクチュエータによって直接的に保持され、アクチュエータと同期して移動する。
【0038】
組織接合構成要素は、一部の実施形態では、使い捨てであるか、またはカプセル装置内に配置される送達部材を備え得、送達部材は、内腔壁の組織を貫通するように成形されており、送達部材は、治療ペイロードを備えるか、または貯蔵部から治療ペイロードを送達するように構成されている。
【0039】
カプセル装置のなおもさらなる実施形態では、送達部材は、治療ペイロードを備える調製物から完全に形成される固体として提供される。送達部材は、ロッド形状であってもよく、内腔壁の組織内に挿入されたときに溶解して、治療ペイロードの少なくとも一部分を組織に送達する、溶解可能な材料から作製されてもよい。ロッド形状の送達部材は、標的場所で組織内への容易な貫通を可能にする尖った先端部を含み得る。
【0040】
他の実施形態では、送達部材は、長手方向の内腔を有する注射針であり、治療ペイロードは、カプセル内の貯蔵部から注射針の内腔を通して排出可能である液体、ゲル、または粉末として提供される。
【0041】
なおもさらなる実施形態では、治療ペイロードは、生物学的流体に供されたときに溶解する、マイクロニードルなどのマイクロニードルのアレイを備える。
【0042】
複数のスパイク部材を備えるカプセル装置の一部の形態では、複数のスパイク部材は、密封区画の一部を形成するなど、密封区画と関連付けられ、密封区画は、アクチュエータが第1の構成をとるときに送達部材を密封可能に収容し、送達部材は、アクチュエータが第2の構成をとるときに密封区画から外側に突出する。こうした形態については、送達部材は、生物学的流体に供されたときに溶解する、部材として提供されてもよい。
【0043】
特定の実施形態では、カプセル装置は、予め定義された状態の発生時に、アクチュエータを作動させて、エネルギー源がアクチュエータを駆動することを可能にするように構成された射出機構を備える。一部の実施形態では、予め定義された状態は、内腔内の予め定義された状態、内腔内の予め定義された状態のセット、またはカプセル装置によって受信され、かつ外部制御装置によって放射される信号のうちの1つ以上として提供される。なおもさらなる実施形態において、射出機構は、環境感受性機構を含む。射出機構は、射出前構成では、射出機構がアクチュエータを第1の構成に保持し、射出構成では、エネルギー源が第1の構成から第2の構成へとアクチュエータを駆動できるようにアクチュエータを解放するように構成されてもよい。
【0044】
射出機構の一部の形態では、カプセルハウジングおよびアクチュエータは、射出前構成にアクチュエータを維持するために、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対を備える。ラッチおよび保持部分の各対について、カプセル装置は、溶解可能な射出部材を画定し、溶解可能な射出部材は、生物学的流体などの流体内で少なくとも部分的に溶解され、保持部分が、カプセルハウジングおよびアクチュエータのうちの一方によって構成され、偏向可能なラッチが、カプセルハウジングおよびアクチュエータのうちの他方によって構成される。偏向可能なラッチは、射出軸に対する横方向移動のために構成され、偏向可能なラッチは、閉塞部分を有する第1の表面と、第1の表面に対向して配置され、溶解可能な射出部材と相互作用するように構成された、支持表面と、を画定する。射出前構成では、偏向可能なラッチの閉塞部分が、ラッチ係合において保持部分に係合し、偏向可能なラッチの支持表面が、溶解可能な射出部材と相互作用して、偏向可能なラッチの移動を制限し、それによって、ラッチ係合の解放を防止する。溶解可能な射出部材が少なくとも部分的に溶解されている射出構成では、偏向可能なラッチが移動することを可能にし、それによって、偏向可能なラッチの閉塞部分と保持部分との間のラッチ係合を解放して、エネルギー源がアクチュエータを駆動することを可能にする。
【0045】
この配置によって、エネルギー源の全動力または荷重を担持する溶解可能な部材を有する代わりに、溶解可能な部分は、単に機械的作動システムを閉塞するように設計される。機械的作動システムは、プラスチックなどの好適な高強度材料から作製された部品に依存するように設計され得、機械的作動システムを潜在的に妨害し得る未溶解片を残さない。
【0046】
例示的な実施形態では、偏向可能なラッチは、射出軸に対する半径方向移動のために構成される。一部の実施例では、射出軸およびアクチュエータ移動は、直線状である。他の例示的な実施形態では、射出軸は、直線状ではなく、例えば、アクチュエータの射出軌道は、弓状もしくは湾曲していてもよく、または弓状もしくは湾曲した軌道を含んでもよい。本明細書では、ラッチは、アクチュエータを解放するためのアクチュエータの軌道に対する横方向移動のために構成され得る。
【0047】
例示的な実施形態では、ラッチおよび保持部分の2つ、3つ、4つ、5つ以上の対などの、ラッチおよび保持部分の複数の対が提供され、ラッチおよび保持部分の対は、軸の周囲に等しく配置される。
【0048】
一部の実施形態では、溶解可能な射出部材は、ラッチおよび保持部分の全ての対に共通である。
【0049】
さらなる実施形態では、溶解可能な射出部材が、軸に沿って配設され、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つの対が、溶解可能な射出部材の半径方向外側に配置される。
【0050】
他の変形例では、1つ以上の溶解可能な射出部材が、軸の周囲のリング状構成などに配置され、1つ以上の溶解可能な射出部材が、ラッチおよび保持部分の少なくとも1つ対を取り囲んでいる。
【0051】
カプセルは、胃液などの生物学的流体が溶解可能な射出部材を溶解するためにカプセルハウジングに入ることを可能にする、1つ以上の開口部を備え得る。
【0052】
一部の実施形態では、エネルギー源は、駆動ばねとして構成された少なくとも1つのばねであるか、またはそれを備える。例示的なばね構成は、1つ以上の圧縮ばね、ねじりばね、板ばね、または定力ばねを含む。ばねは、アクチュエータに動力供給するために、引っ張られているか、または引っ張られているように構成され得る。アクチュエータについての他の非限定的な例示的なタイプのエネルギー源としては、圧縮ガスアクチュエータまたはガス発生器が挙げられる。一部の実施形態では、射出前構成では、エネルギー源は、アクチュエータ上に荷重を及ぼし、それによって、射出軸に沿ってアクチュエータを付勢する。他の実施形態では、エネルギー源は、トリガー部材またはカプセル装置の機構のトリガー時にのみ、アクチュエータ上に負荷をかけるように構成されている。
【0053】
本開示は、主に、カプセル装置から内腔または内腔壁までの薬剤送達を指すが、その最も広い態様における本発明は、薬剤または物質の送達に限定されないが、胃腸管の内腔の壁に対して摂取可能なカプセル装置を固定するための特定の概念に関する。本発明によるスパイク部材を備えるカプセル装置は、他の使用のために構成されてもよい。非限定的な使用としては、例えば、体腔または内腔壁からカプセル装置に試料を導入するための試料採取装置を含むことによる、体腔から1つ以上の試料を得ること、および、例えば、カプセル装置から内腔または内腔壁内にセンサ装置を配置または位置付けることによる、モニタリングまたは分析装置を送達することが挙げられる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「薬剤」または「ペイロード」という用語は、指定された標的部位内またはその上に送達されることができる任意の薬剤製剤を包含することを意味する。薬剤は、単一の薬剤化合物、または予混合もしくは予配合された複数の薬剤化合物であってもよい。代表的な薬剤としては、固体、粉末または液体の両方の形態における、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬剤、GLP-1含有薬剤ならびにその誘導体)、タンパク質、およびホルモンなどの医薬品、生物由来または活性物質、ホルモンおよび遺伝子に基づく物質、栄養製剤、ならびに他の物質が挙げられる。具体的には、薬剤は、インスリンまたはGLP-1含有薬剤であってもよく、これは、その類似体、ならびに1つ以上のこれらおよび他の薬剤との組み合わせを含む。
【0055】
以下では、本発明の実施形態が、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、本発明による、カプセル装置100の第1の実施形態の断面正面図を示しており、装置は射出前構成をとっている状態であり、参照は主に作動機構を指す。
【
図2】
図2は、
図1と同じ断面正面図を示しているが、参照は、主にスパイク組立品180を指す。
【
図3a-3d】
図3a~
図3dは各々、各図が動作中の装置のそれぞれの状態に対応する、カプセル装置100の第1の実施形態の断面正面図を示している。
【
図4a-4b】
図4aおよび
図4bは、第1の実施形態のスパイク組立品180の底部および上部斜視図である。
【
図4c-4e】
図4c~
図4eは、第1の実施形態のスパイク組立品180の底部、側面、および上部平面図である。
【
図5a】
図5aは、第2の実施形態100’および第3の実施形態200’のカプセル装置を表す断面斜視図を概略的に示しており、その図は、射出前構成における装置を示している。
【
図5b】
図5bは、第2の実施形態100’および第3の実施形態200’のカプセル装置を表す断面斜視図を概略的に示しており、その図は、射出構成における装置を示している。
【
図6a】
図6aは、第4の実施形態100’および第5の実施形態200’’のカプセル装置を表す断面斜視図を概略的に示しており、その図は、射出前構成における装置を示している。
【
図6b】
図6bは、第4の実施形態100’’および第5の実施形態200’’のカプセル装置を表す断面斜視図を概略的に示しており、その図は、射出構成における装置を示している。
【0057】
図において、同様の構造は、主として同様の参照番号で識別される。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」などの用語、または同様の相対表現が使用されるとき、これらは、添付の図に言及するだけであり、必ずしも実際の使用状況ではない。示された図は、概略表現であり、そのため、異なる構造の構成、およびそれらの相対寸法は、例示的な目的のみを果たすことが意図される。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用されるとき、これは概して、説明される実施形態においてこの構成要素が単一の構成要素であることを示すが、代替的に、説明される構成要素のうちの2つ以上が単一の構成要素として、例えば、単一の射出成形部品として製造される可能性があるように、同一の部材または要素がいくつかの下位構成要素を備えてもよい。「組立品」および「サブ組立品」という用語は、説明された構成要素が所与の組み立て手順の間に単一の、または機能組立品またはサブ組立品を提供するために組み立てられる必要があることを暗示しておらず、機能的により密接に関連するものとしてともに分類される構成要素を説明するために使用されるに過ぎない。
【0059】
図1および
図2を参照すると、本発明の態様による薬剤送達装置の第1の実施形態が説明され、実施形態は、組織接合構成要素が、カプセル装置に隣接して位置する組織と接合できるように、標的場所に組織に対して固定するための、内腔壁を有する内腔内に取り込まれるように構成されているカプセル装置100を提供するように設計される。第1の実施形態では、組織接合構成要素は、固形用量として提供され、ここで、カプセル装置からの固形用量の配備により、内腔壁への物質送達が可能となる。開示される実施形態は、カプセル装置100であって、患者によって摂取されて、カプセル装置が、胃内腔に入り、その後、胃壁に対して配向し、最終的に胃壁の組織内の標的場所における挿入のための固形用量ペイロードを展開することを可能にするために好適な、カプセル装置100に関する。カプセル装置100について、胃壁に対してカプセルを配向するための一般原理は、国際公開第2018/213600(A1)号に開示されている原理のいずれかを利用してもよい。
図1および
図2は両方とも、第1の実施形態のカプセル装置100を、装置と同じ状態を想定した同じ図で示している。
図1は主に作動機構に関連する部分を指し、一方で、
図2は、以下にさらに記載されるいわゆるスパイク組立品を指す。
【0060】
摂取可能な自己復元カプセル装置100は、ある平均密度を有する第1の部分100Aと、第1の部分100Aの平均密度とは異なる平均密度を有する第2の部分100Bと、を備える。カプセル装置100は、物品を摂取する被験体ユーザの内部放出のために薬剤を担持するための治療ペイロード130を収容する。示される実施形態では、展開前のカプセル装置の平均密度は、消化液の密度よりも大きく、カプセル装置が胃内腔の底部まで沈むことを可能にする。自己復元物品の外形は、ゴンボック形状、すなわち、形状の単一の安定した配向以外の任意の配向で表面上に配置されたとき、形状がその単一の安定した配向に再配向する傾向がある、ゴンボックタイプの形状である。ペイロードの配置は、作動機構の作動によって提供される。
【0061】
示されるカプセル装置は、上部(近位)カプセル部分110を含み、これは、下部(遠位)カプセル部分120に嵌合して取り付く。上部カプセル部分110および下部カプセル部分120は、装置のシェル/カプセルハウジングをともに形成する。カプセルは、API針130として提供されるペイロード部分に対応する内部中空を画定し、示される実施形態では、組織に押し込まれるように構成された尖った端部を有する固体用量の薄いロッド形状部材として形成される。カプセル装置100は、作動前に外部から流体的に分離されたAPI針を維持するために、API針130のアンカー機構およびAPI密封チャンバの両方として機能するスパイク組立品180をさらに組み込む。カプセル装置の作動時に、スパイク組立品180は、組織に対して標的場所にカプセル装置を固定させ、API針130がAPI密封チャンバの外側に突出することを可能にすることを提供する。エネルギー源(駆動ばね140)に結合されたアクチュエータ150はさらに、API針130の移動、およびカプセル部分110/120に対するスパイク組立品180の展開を生成するために、カプセル装置100内に配設される。
【0062】
API針130は、射出軸に沿って配向され、射出軸に沿った移動のために構成される。示される実施形態では、上部カプセル部分110および下部カプセル部分120は、射出軸の周囲に対称である回転対称部分を形成する。図面では、装置は、射出軸が垂直に向き、API針130が下部カプセル部分120の中央に配設された出口孔124に向かって垂直に下向きに向いた状態で配向され、出口孔は、API針130の尖った端部が、出口孔を通って輸送され、カプセル装置100の外部に向かって移動されることを可能にする。下部部分120は、出口孔124を取り囲む、実質的に平坦な下部外部表面として形成される、組織係合表面123を含む。
【0063】
図1および
図2に示される実施形態のカプセル部分に好適な材料について、上部部分は、ポリカプロラクトン(PCL)などの低密度材料から好適に作製され得るが、一方、下部部分120は、316Lステンレス鋼などの高密度材料から好適に作製され得る。
【0064】
示される実施形態では、カプセル装置100全体の密度分布に起因して、および装置の外部形状に起因して、カプセル装置100が最初にどのように配向されていても、カプセル装置は、射出軸が表面(例えば、重力に実質的に直交する表面、消化管の壁などの組織の表面)に対して実質的に垂直な状態で、それ自体を配向する傾向がある。したがって、カプセル装置は、組織係合表面123が垂直に下向きに面するように、重力の方向に対して配向する傾向がある。
【0065】
下部カプセル部分120の内部は、カプセル内部のほぼ中間から、下部カプセル部分120に形成された内側底面によって画定されるアクチュエータ停止表面128、すなわち、近位に面する停止表面に向かって、射出軸と同心状に延在するスリーブ状軸方向ガイド構造125を含む。さらに、示される実施形態では、第2のスリーブ状構造115は、上部カプセル部分110の近位端から、射出軸と同心状に、そして射出軸に沿って下方に延在する。第2のスリーブ状構造115は、カプセル内に配設された付勢された駆動ばね140、すなわち、エネルギー源から放出する駆動力に対抗して、アクチュエータ150を保持するための保持構造としての役割を果たす。示される実施形態では、保持構造は、第2のスリーブ状構造115に沿った場所に配設された半径方向内向きに突出する保持部分113を有する。示される実施形態では、保持部分113は、2つの対向する半径方向内向きに突出する弧状突出部として提供される。
【0066】
図1および
図2に示される第1の実施形態では、API針130は、治療ペイロードを含む調製物から部分的にまたは完全に形成される固体送達部材を画定する。示される実施形態では、固体送達部材は、内腔壁の組織を貫通するように形状決めされた薄い円筒形ロッドとして形成され、円筒形ロッドは、組織貫通端および組織貫通端の反対側の後端を有する。ロッドの組織貫通端は、内腔壁の組織内への容易な挿入を促進するために向けられるが、示される実施形態では、後端は、90度の切断によって切断された切頭円筒を画定する。カプセル装置100による送達に好適な薬剤の非限定的な例は、インスリンなどの乾燥圧縮APIである。
【0067】
アクチュエータ150は、上部保持部分151と、API針130の後端を定位置に保持するために構成された下部接合部分155と、を備える。示される実施形態では、接合部分は、API針130が孔内に堅固に取り付けられるように、API針130の後端部を受容する下向き開口孔を含む。下部接合部分155は、軸方向ガイド構造125の直径よりもやや小さい直径を有する環状外フランジをさらに画定し、スパイク組立品が下部接合部分155の外部フランジと軸方向ガイド構造との間に位置することを可能にする。示される実施形態では、アクチュエータ150は、
図1および
図2に示す射出前構成から
図3dに示される射出された構成まで、軸方向ガイド構造125によって軸方向移動のためにガイドされている間、移動可能である。
【0068】
上述の駆動ばね140に関して、カプセル装置100では、螺旋圧縮ばねが、射出軸と同軸に配設される。駆動ばね140の近位端は、上部カプセル部分110のばね座に対して着座し、すなわち、第2のスリーブ状構造115と上部カプセル部分110の外側シェルとの間に半径方向に位置する。駆動ばね140の遠位端は、アクチュエータ150の下部接合部分155によって画定されたフランジの近位表面によって形成されたばね座に対して着座する。カプセル装置100の組み立ての一部として、駆動ばね140は、2つのばね座の間で駆動ばね140を軸方向に圧縮することによって付勢される。したがって、アクチュエータは、最初、10~30N程度などの、駆動ばねからの荷重下に維持される。駆動力を生成するために圧縮ばねを使用する代替例として、ねじりばね、板ばね、定力ばね、または類似のものを組み込むなどの、カプセル装置100を付勢するために、他のばねおよび駆動構成が使用されてもよい。さらなる代替例では、ガスばねまたはガス発生器が使用されてもよい。
【0069】
アクチュエータ150の上部保持部分151は、アクチュエータの上部端から出口開口部124に向かって遠位方向に延在する、2つの偏向可能なアーム152の形態で提供される偏向可能なラッチを含み、各アームは、半径方向内向き方向に弾性的に偏向可能である。各偏向可能なアーム152の端は、弾性アームから半径方向外向きに突出する閉塞部分153を含む。
図1および
図2に示される射出前構成では、閉塞部分153の各々の遠位表面は、保持部分113の対応する1つの近位表面に係合する。閉塞部分153は、最初、保持部分113の近位に位置するため、アクチュエータ150は、偏向可能なアーム152が半径方向内向き方向に十分に偏向されない限り、保持部分113を通過して遠位に移動することができない。
【0070】
主に
図1を参照すると、射出前構成では、溶解可能なペレット160が、2つの偏向可能なアーム152の間に配設され、それにより、ペレット160の半径方向に対向する表面が、2つの偏向可能なアーム152の半径方向内向きに面する支持表面に係合する。示される実施形態では、ペレット160は、上部カプセル部分110内の区画内に配設され、上部カプセル部分110内の近位に配置された上部開口部は、カプセル装置が流体中に浸漬されたときに、溶解可能なペレットへの流体曝露を促進する。
図1および
図2に示される射出前構成では、溶解可能なペレット160が非圧縮状態をとるため、ペレットは、2つの偏向可能なアームが内向きに曲がることを防止する。しかしながら、患者の胃の中に存在する胃液などの流体に曝露すると、溶解可能なペレットは、溶解し始める。ペレット160は、事前定義された起動時間の後、ペレットがある程度溶解されて、2つの偏向可能なアーム152が、内向きに十分に偏向されることを可能にして、アクチュエータ150の閉塞部分153が保持部分113を遠位に通過して移動することを可能にするように、徐々に溶解されるように設計される。この条件、すなわち、射出構成では、アクチュエータ150は、駆動ばね140の荷重で射出されるようになり、アクチュエータ150を出口孔124に向かって遠位に付勢する。アクチュエータ150は、ペイロード先端がカプセルから最初に突出して、API針130の全体または主要部分を徐々に押し出すことを伴って、API針130を遠位に駆動する。API針130の前方移動は、アクチュエータ150が下部カプセル部分120の底部から出るときに停止される。この条件は
図3dに示されており、後で説明する。
【0071】
示される実施形態では、保持部分113と閉塞部分153との間の接合部は、溶解可能なペレットが溶解されたときに、偏向可能なアームが内向きに摺動するように、およそ30°だけ勾配を有する/傾斜している。角度は、ペレット上の剪断力を決定し、その程度に対して、偏向可能なアームは、荷重力に供されたときに、内向きに摺動する傾向がある。射出されたときのアクチュエータの加速長と関連すると、最適な角度は、0°であるが、そのような構成を起動するためにはるかに高いばね力を必要とする。勾配を有する部分について、他の実施形態では、30°以外の角度が使用されてもよい。
【0072】
アクチュエータ150の示される例では、上部保持部分151は、半径方向内向きに面する表面152aを有するチャンバとして形成され、溶解可能なペレット160が、締まり嵌めを有するチャンバ内で受容される。示される実施形態では、カプセル装置100の中央上部部分は、カプセル内に胃液を導入するための単一の開口部を含む。他の実施形態では、カプセルは、カプセルの周囲に分布する複数の開口部などの、流体入口開口部の他の設計を含み得る。第1の実施形態などの一部の設計では、API針130は、最初に可溶性ペレットのチャンバから流体密封され、かつまた出口孔124を通してカプセル装置100に入り得る流体に対して最初に密封される、チャンバ内に収容される。他の実施形態では、このような密封チャンバは、設計に組み込まれない。
【0073】
上で考察された溶解可能な部材、すなわち、溶解可能な射出部材を形成する溶解可能なペレット160について、異なる形態および組成物が使用されてもよい。非限定的な例としては、ソルビトールまたは微結晶性セルロース(MCC)から作製されたペレットが挙げられる。他の非限定的な例としては、射出成形イソマルトペレット、圧縮造粒イソマルトペレット、クエン酸/NaHCO3の顆粒組成物から作製された圧縮ペレット、またはイソマルト/クエン酸/NaHCO3の顆粒組成物から作製された圧縮ペレットが挙げられる。溶解可能ペレットの非限定的な例示的なサイズは、製造時に
を測定するペレットである。
【0074】
意図される使用の状況では、API針130は、内腔壁の組織内に挿入され、概して射出軸に沿った方向にアンカー固定されることになる。
図3aから
図3dは、カプセル装置100の第1の実施形態の断面側面図を示しており、各図は、作動中に異なる状態にある装置を表す。装置の動作は、以下でさらに詳細に説明される。
【0075】
ここで
図4a~
図4eを参照すると、上述のスパイク組立品180は、様々な斜視図および平面図に示されている。上述のように、スパイク組立品180は、アンカー機構およびAPI針130のAPI密封チャンバの両方として機能し、後者は、アクチュエータ150の下部接合部分155と組み合わせて取得される。
【0076】
この第1の実施形態では、スパイク組立品180は、薄いが比較的硬い材料で作製された材料部分の第1のグループと、ゴムまたは弾性材料などの柔らかい弾性材料で作製された材料部分の第2のグループとを有する、共成形二部品構成要素として形成される。示される実施形態では、材料部分の第1のグループは、生分解性である材料から作製される。材料部分の第1のグループは、概して、API密封チャンバの主要部を構成する円筒体181を形成し、それと一体的に形成されるスパイク部材を形成する。この実施形態では、4つの細長いスパイク部材182は、その半径方向外向きの側面上の円筒体181の近位上部リム部分に接続される。4つのスパイク部材182は、2つのスパイク部材が対で互いに対向するように、円筒体181の周囲の周りに等しく分布している。各スパイク部材は、円筒体181に接続された基端182aから延在しており、基端182aから十分に離れて位置する尖った端部182bに向かって概して遠位方向に配向されて、その中に形成される開口部を通して下部カプセル部分120に対して尖った端部182b(組織係合端部)が前進可能になるようにする。各スパイク部材の半径方向外向きに位置される戻り止め突出部182cは、半径方向外向きに突出して、下部カプセル部分120の縁部セクション120cと協働する(
図2を参照のこと)。
【0077】
材料部分の第2のグループによって形成される軟質の材料部分は、カプセル装置100が射出前構成をとるときに密封可能に係合するように、アクチュエータ150の下部接合部分155のフランジ部分と協働するように構成された円筒体181の近位上部リム部分に円周リップシール183’として配設される。しかしながら、密封係合は、カプセル装置のアクチュエータのトリガー時に係脱される。
【0078】
また、材料部分の第2の材料グループによって形成される、さらなる軟質材料部分は、円筒体181の遠位下側リム部分に配置され、API針130の遠位部分を、API針の尖った端部がエンクロージャ185’の遠位端壁186’の方を指すように収容するために、エンクロージャ185’として形成される。遠位端壁186’は、射出軸と交差して配設された中央部分を有する。示される実施形態では、端壁186’は、その中に形成されるプレスリットであるが流体密封の開口部/シャッター187’を有し、開口部/シャッター187’は、クロス187’として形成される。プレスリット開口部/シャッターは、作動前に流体密封されるように形成されるが、API針130が、カプセル装置100の射出時に開口部を通して容易に突出することを可能にする。
図3dに示すように、示される実施形態では、エンクロージャ185’は、装置の作動時に軸方向に折り畳まれて、ほぼ平坦な蛇行形状に畳まれることができるベローズとして形成される。
【0079】
各スパイク部材182は、スパイク部材が下部カプセル部分120に対して前進していない位置から前進した位置へと移動するにつれて、標的場所での組織との浅い貫通または穿刺係合を可能にするのに十分な剛性で設計される。しかしながら、スパイク部材の寸法は、概して直線的な構成を想定し得るが、ガイド構造との協働により、スパイク部材の延長に沿って湾曲した構成に偏向され得る、フィルム材料の形態で提供されている。概して、スパイク部材は、横方向に偏向可能であり、すなわち、主にそれらの自由端は、半径方向など横方向に移動することができる。示される実施例では、スパイク部材182は各々、他の構造によって偏向されないときに、射出軸と概して平行に延在する概して直線の形状をとる。他の実施形態では、スパイク部材は、スパイク部材が他の構造によって偏向されないときに、射出軸から離れて湾曲するなど、それらの尖った端部に向かって半径方向外向きにわずかに延在するように形成されてもよい。
【0080】
カプセル装置100の動作に戻って、ここで
図3aを参照すると、カプセル装置が貯蔵中または摂取直後をとっている状態を表す初期状態が示されている。この状態では、アクチュエータ150は、2つの偏向可能なアーム152が、2つの偏向可能なアーム152の半径方向内向きに面する支持面152aと係合する未溶解ペレット160と係合することによって、示される位置に維持されている、射出前構成をとっている。偏向可能なアーム152の閉塞部分153は、最初は保持部分113に近位に位置するため、駆動ばね140がその全負荷をアクチュエータ150に及ぼしても、アクチュエータ150は、保持部分113を越して遠位に移動することができない。
【0081】
この状態では、スパイク組立品180は、スパイク部材182が、下部カプセル部分120の外側に延在するスパイク部材のわずかな画分を有さないか、またはわずかな画分のみを有する、前進していない位置に位置するように、カプセル部分110/120に対する初期近位位置をとる。アクチュエータ150は、円周リップシール183’と係合して、この接合流体密封を維持する。また、開口部/シャッター187’が閉じているエンクロージャ185’は、API針エンクロージャの流体密封を維持する。スパイク部材182から半径方向外向きに延在する戻り止め突出部182cは、下部カプセル部分120の対応する近位縁部セクション120cと係合し、スパイク組立品180全体をその初期近位位置に取り外し可能に維持する。
【0082】
カプセル装置100の摂取後、カプセル装置は、胃の底部に急速に沈む。胃壁によって支持されると、カプセル装置の自己矯正能力により、カプセル装置は、その組織接合面123が実質的に垂直に配向されたカプセル装置の射出軸と、すなわち、API針が下向きに向いた組織胃壁と係合するように、速やかに再配向することになる。
図3bは、上部カプセル部分110の開口部(複数可)に入る胃液への曝露に起因してペレット160の溶解が開始されたことを概略的に示すものであり、ペレット160からの偏向可能なアーム152に対する支持は、嚥下後の特定の時点で停止される。駆動ばね140の負荷は、偏向可能なアーム152を半径方向内向きに偏向させ、閉塞部分153が保持部分113を通過してアクチュエータを遠位方向に射出することを可能にする。
【0083】
図3cに示すように、協働する近位縁部セクション120cを係合解除する戻り止め突出部182cの抵抗は、円周リップシール183’を係合解除するアクチュエータ150の抵抗よりも大きい。したがって、アクチュエータは、カプセル下部部分120に対してまだ停止しているスパイク組立品180に対して遠位移動を開始する。この移動の間、アクチュエータ150の下部接合部分155は、API針130が開口部/シャッター187’を通って突出し、API針130の先端部分を内腔壁の組織に徐々に挿入するにつれて、円筒体181の半径方向内向きに面する表面に沿って摺動的にガイドされる。
図3cでは、遠位表面158は、スパイク組立品180のフランジ部分188に対して底をつき、駆動ばね140からの全ての力は、スパイク組立品に作用し、スパイク組立品180を遠位に付勢する。アクチュエータ150の下部接合部分155のフランジと円周リップシール183’との間の係合解除により、円筒体181の最も近位部分およびスパイク部材182は、それらの半径方向内向きに面する表面で支持されない。スパイク組立品180上の遠位付勢力およびスパイク組立品180の弾性特性は、スパイク部材182および円筒体181を内向きに偏向させ、戻り止め突出部182cと近位縁部セクション120cとの間の拘束係合を停止させる。したがって、駆動ばね140は、その後、スパイク組立品180を、アクチュエータ150の遠位移動に従属して、遠位方向に駆動する。
【0084】
図3dは、スパイク組立品180およびアクチュエータ150が、スパイク組立品180のフランジ部分188の遠位に面する表面が下部カプセル部分120の近位に面する表面128に到達し、それによって、スパイク組立品180およびアクチュエータ150のさらなる移動を防止する状態まで、さらに遠位に移動した、さらなる状態を示している。アクチュエータが
図3cに示される状態から
図3dに示される状態まで遠位に移動するにつれて、スパイク組立品180は、アクチュエータ150との同期した遠位移動のために拘束され、カプセル部分110/120に対して同期した遠位移動が発生する。これにより、スパイク部材182は、下部カプセル部分120内に形成された開口部に対して遠位に移動して、スパイク部材182を前進していない位置から前進した位置へと移動させる。示される実施形態では、下部カプセル部分120は、各スパイク部材に関連付けられた縁部122によって形成されるガイド表面を含み、各縁部122は、スパイク部材182の半径方向内向きに面する表面と係合することによって協働する。スパイク部材182の基端182aの半径方向場所に対する、および半径方向内向きに面する表面125の縁部に対する、縁部122の半径方向場所に起因して、各スパイク部材の組織係合端部182bは、スパイク組立品180が
図3cに示される位置から
図3dに示される位置に遠位に移動するにつれて、半径方向外向きに付勢される。これは、4つのスパイク部材182の各々の組織係合端部182bが、それらのそれぞれの場所で最初に軟部組織に浅く穿刺または突き刺すことによって、組織に穏やかに係合する効果を有する。スパイク組立品180がさらに遠位に移動すると、対向して配設されたスパイク部材182間の相対距離は、スパイク部材の対向する対の間に位置する組織を拡大する役目を徐々に増加させる。これは、スパイク部材182の対向する対の間に位置する組織に対してグリップ効果をもたらし、そしてこのようにして、組織への吸収のためにAPIの大部分を送達するためにAPI針について十分な時間、胃壁の組織に対してカプセル装置100を一時的に取り付ける働きをする結果である。
【0085】
ある時点で、射出されたカプセル装置は、組織から取り外される。示される実施例では、スパイク組立品180の材料の第1のグループは、生物流体への曝露時に徐々に分解する生分解性材料から作製され、スパイク部材182は、時間とともに組織への把持効果を放出する傾向にある剛性を徐々に緩める。例示的な非限定的な実施形態は、特定のカプセル装置の特定の適用に応じて、組織に対するカプセル装置の放出に好適な時間、例えば、10分、20分、30分、1時間、またはさらに長い時間などが選択され得る。さらに、例えば、カプセル装置100に影響を与える食品などによる移動のため、カプセル装置は、スパイクが分解される前に組織から取り外され得る。その後、カプセル装置の残りの部分は、ユーザの消化器系を通って移動し、排出されることになる。示される実施形態では、スパイク部材182は、スパイク部材がそれらの前進した位置をとるときに、カプセル部分120から1~3mm延在するように形成される。本発明によるカプセル装置の特定の用途に応じて、非限定的な実施形態については、カプセル部分120から3~5mmまたは5~7mmで選択された距離を伸縮するように、他の長さのスパイク部材182が選択されてもよい。スパイク部材の半径方向の厚さは、0.2~0.5mmなどの、0.1~1.0mmで選択され得る。
【0086】
示される実施形態では、スパイク部材を形成する材料は、胃液に曝露された後、特定の時間後に徐々に軟質になる、または溶解して、それによって、アンカー効果を停止する部分を含み得る。他の実施形態では、スパイク部材が分解不能である場合、組織からのカプセル装置の取り外しは、API針の溶解がある程度まで溶解されて、カプセル装置の組織に対する取り付けを解放することに依存してもよい。なおも他の実施形態では、第1の実施形態の縁部122などのスパイク部材と協働するカプセルハウジングのガイド表面は、特定の曝露時間後にカプセル装置の取り外しのためにスパイク部材の拡大効果を停止させるために、胃液に曝露された後、徐々に溶解するように構成される材料部分を含んでもよい。
【0087】
第1の実施形態では、スパイク部材182は、スパイク部材が他の構造によって偏向されないときに、スパイク部材が射出軸に実質的に平行に延在するように成形される。カプセル装置の他の実施形態では、スパイク部材は、スパイク部材が他の構造、すなわち、拡大構成によって偏向されないときに、各スパイク部材が円筒体181から半径方向に離れて延在する、非バイアス形態を呈するように成形される。こうしたカプセル装置を組み立てるときに、スパイク部材は、カプセル装置内の非拡大構成に入るように強制される。こうした実施形態では、カプセル装置の作動に伴い、スパイク部材の組織係合端部182bは、スパイク部材がカプセルから出て前進するので、任意選択で、拡大効果を得るためにガイドを必要とせずに、拡大構成に戻ることに対する固有のバイアスのために、互いに対して自動的に拡大する傾向がある。また、なおも他の実施形態では、スパイク部材は、標的場所での組織に対するカプセル装置の保持効果を提供するように、スパイク部材の対の間で組織を締め付けるように設計されることに留意されたい。
【0088】
示される第1の実施形態では、偏向可能なスパイク部材の数は、均等に分布する4つである。他の実施形態では、スパイク部材の数を、特定のパターンで分布する、1、2、3、5、6またはさらにより多くの偏向可能なスパイク部材として提供してもよい。単一の偏向可能なスパイク部材のみを含む実施形態については、示されるAPI針130などの組織内に押し込まれる針形状部材を追加的に含む実施形態では、針形状部材は、偏向可能なスパイク部材と協働して、スパイク部材の間に位置する組織上の拡大効果または締付効果を獲得し、それゆえに組織のアンカー効果も得る追加のスパイク部材として作用し得ることに留意されたい。
【0089】
第1の実施形態について上述したように、カプセル装置100は、作動前に外部から流体的に分離されたAPI針を維持するために、API針130のアンカー機構およびAPI密封チャンバの両方として機能するスパイク組立品180を組み込む。しかしながら、本発明の異なる態様については、カプセル装置の異なるさらなる実施形態に従い、2つの機能のうちの単一の1つのみを取得するための組立品が提供されてもよく、その結果、スパイク組立品180に対応する組立品は、API密封チャンバ機能またはアンカー/スパイクのいずれかを省略する。
【0090】
本発明によるカプセル装置の異なる実施形態では、API針とアクチュエータとの間の取り付けは、摩擦または圧入を使用して得ることができる。あるいは、スクロースなどの接着剤が、接合部で使用されてもよい。さらに代替的に、取り付けは、最初にAPI針を湿潤させ、アクチュエータとAPI針との間の固有スティクションを利用することによって得られ得る。特定の実施形態において、使用状況において、アクチュエータがその最終目的地に到達すると、API針130とアクチュエータ150との間の剥離が、例えば、指定された期間の間、胃液に曝露されたときに、API針とアクチュエータとの間の接合において、発生し得、針が組織壁に脱落し、組織中のAPI針のさらなる溶解、すなわち、残りのカプセル装置から独立および分離することが可能となる。他の実施形態では、所望の取り外しは、API針の大部分を、アクチュエータに依然として接着または固定されている残りのAPI針から取り外すことによって得られ得る。一部の実施形態では、API針は、分離点を決定する脆弱点を含む。またさらなる実施形態では、以下でさらに考察されるように、アクチュエータおよびAPI針は、APIを含有する組成物で全て作製された一体構成要素として形成され得、カプセル装置から押し出される意図されたAPI針は、アクチュエータ部分から分離される。また、代替的な実施形態では、ペイロードは、それ自体がアクチュエータとして作用して、取り外し機構およびエネルギー源と直接的に協働してもよい。
【0091】
上述の第1の実施形態では、スパイク組立品180は、アクチュエータ150が、スパイク組立品180が底部カプセル部分120から取り外されるまで遠位に第1の距離を移動する際に、カプセル部分110/120に対して軸方向に固定的な保持を維持される。他の実施形態では、カプセル装置は、少なくとも、アクチュエータが経験するストロークの初期部分について、同期してスパイク組立品およびアクチュエータを移動させるように構成され得る。特定の実施形態では、スパイク組立品は、最初にアクチュエータストロークの第1の部分に対してアクチュエータと拘束されるが、一方で、アクチュエータストロークの第2の部分に対しては、スパイク組立品180は、カプセル部分110/120に対して停止され、一方で、アクチュエータは、API針をさらに組織に押し込み続け、すなわち、スパイク部材の締付効果の拡大に続くさらなる遠位の移動が完全に確立されている。
【0092】
ここで
図5aおよび
図5bを参照すると、示された図は、例示的なカプセル装置の第2の実施形態100’および第3の実施形態200’の両方を概略的に表す。第2の実施形態および第3の実施形態は、概して第1の実施形態のカプセル装置100に対応するが、組織接合構成要素、すなわち、API針は、カプセル装置を囲む環境から医療データを取得するために、錠剤形状のAPI部分130’またはモニタリング装置230’のいずれかによって置き換えられている。
図5aに示す図は、概して
図3aに示す図、すなわち、カプセル装置100’/200’が、射出前構成、すなわち、貯蔵中または摂取前の構成をとる状態に対応している。
図5bに示す図は、概して
図3dに示す図、すなわち、カプセル装置100’/200’が射出構成において、すなわち、アクチュエータの移動が終了した後にとる状態に対応している。
【0093】
第2の実施形態100’では、錠剤形状のAPI部分130’は、
図5aに示す位置から
図5bに示す位置へのスパイク組立品の移動に従うように配設されている。
図5bでは、錠剤は、カプセル装置100’の下方に位置する組織と緊密に接触する。スパイク組立品180は、API部分130’が組織に吸収されるようになるAPIの大部分を有するように、組織に対してカプセル装置100’を保持または固定して、組織との密接な接触を確実にする役割を果たす。さらなる実施形態において、API部分130’は、API部分130’のAPIの粘膜送達のために構成されたマイクロニードルのアレイを組み込むために提供されてもよい。
【0094】
第3の実施形態200’では、モニタリング装置230’は、
図5aに示す位置から
図5bに示す位置へのスパイク組立品の移動に従うように配設されている。
図5bでは、錠剤は、カプセル装置200’の下方に位置する組織と接触して、または隣接して位置される。スパイク組立品180は、組織に対してカプセル装置200’を保持または固定して、少なくともモニタリング装置230’によって医療データを取得するための適切な間隔にわたって保持を確実にする役割を果たす。
【0095】
図6aおよび
図6bは、例示的なカプセル装置の第4の実施形態100’’および第5の実施形態200’’の両方を表す概略図をさらに示している。第4の実施形態および第5の実施形態は、概して、
図5aおよび
図5bに示す第2の実施形態および第3の実施形態に従うカプセル装置に対応するが、カプセル装置を囲む環境から医療データを取得するための錠剤形状またはマイクロニードル装備のAPI部分130’’のいずれか、またはモニタリング装置230’’は、カプセル部分110/120に対して固定された場所で組み込まれている。したがって、こうした実施形態では、アクチュエータ150は、標的場所での組織に対するカプセル装置の所望の保持またはアンカー効果を得るために、スパイク組立品180を移動させることのみの役割を果たす。
【0096】
例示的な実施形態の上記説明は、主に胃における送達のための摂取可能なカプセルに関するものであるが、本作動原理は、概して、カプセル装置が体腔の壁に対する取り付けのために体腔内に位置付けられている、一般的な内腔挿入のためのカプセル装置に有用性を見出す。カプセル装置の非限定的な例としては、腸内腔内への送達または腸内腔の組織壁内への送達のいずれかによる薬剤の腸送達のためのカプセル装置が挙げられ得る。薬剤送達について、送達は、針などの送達部材を使用して、または内腔の組織壁内に挿入されるマイクロニードルを介して、実施され得る。あるいは、薬剤送達は、内腔壁の粘膜内壁へのジェット注入によるなどの、送達部材を使用せず、カプセル装置の1つ以上の出口開口部を通して実施されてもよい。
【0097】
例示的な実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかである程度まで、説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。
【国際調査報告】