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特表2023-529022コロナウイルス感染症の治療のための化合物
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  • 特表-コロナウイルス感染症の治療のための化合物 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】コロナウイルス感染症の治療のための化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 237/32 20060101AFI20230629BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230629BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20230629BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230629BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C07D237/32 CSP
A61P31/14
A61K31/498
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506134
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2021000071
(87)【国際公開番号】W WO2021249667
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】20000212.9
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20000366.3
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512205898
【氏名又は名称】メトリオファーム アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ブリシュ ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】カイザー アストリド
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】シューマン サラ
(72)【発明者】
【氏名】フォン ウェーゲーナー ヨーグ
(72)【発明者】
【氏名】セッツ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト ウルリッヒ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZA082
4C084ZA392
4C084ZA542
4C084ZA592
4C084ZA612
4C084ZB072
4C084ZB082
4C084ZB112
4C084ZB322
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB352
4C084ZB382
4C084ZC202
4C084ZC422
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC41
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】
本出願は、コロナウイルス感染症の予防または治療におけるフタラジンジオンの使用に関する。医薬組成物、組み合わせおよび有利な製剤技術が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ。
【請求項2】
前記5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩が、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩である、
請求項1に記載の使用のための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ。
【請求項3】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩が、X線粉末図によって決定される以下の結晶学的数値を特徴とする結晶性無水物多形形態I、IIまたはIIIのうちの1つとして提供される、
請求項2に記載の使用のための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ:
形態Iについては、d値:13.5;6.9;5.2;4.6;3.9;3.5;3.4;3.3;3.1;3.0および/または
2シータ値:6.5;12.7;16.9;19.3;22.8;25.8;26.6;27.2;28.7;30.3、
形態IIについては、d値:12.9;7.9;7.1;6.5;5.3;4.0;3.7;3.6;3.3;3.2および/または
2シータ値:6.8;11.2;12.5;13.7;16.7;22.4;24.3;24.9;27.2;27.8、
ならびに
形態IIIについては、d値:13.131;7.987;7.186;6.566;6.512;5.372;3.994;3.662;3.406;3.288;3.283;3.222;3.215;3.127;2.889および/または
2シータ値:6.73;11.07;12.31;13.48;13.59;16.49;22.24;24.29;26.14;27.10;27.14;27.67;27.72;28.52;30.93。
【請求項4】
前記コロナウイルス感染症が、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ。
【請求項5】
コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための医薬組成物であって、
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、担体および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する
医薬組成物。
【請求項6】
コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つと、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症薬、免疫調節剤、免疫抑制剤;抗生物質、抗レトロウイルス剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗原虫剤のような抗感染剤、鎮痛剤、抗凝固剤、抗血小板薬、気管支拡張剤、肺血管拡張剤、粘液溶解剤、肺サーファクタント、酸化防止剤、ENaC活性化剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤またはAT受容体拮抗薬を含む群から選択される少なくとも1つの活性剤との組み合わせ。
【請求項7】
コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせであって、
前記物質、組成物または組み合わせが、錠剤、軟ゼラチンカプセル剤、硬ゼラチンカプセル剤、糖衣錠、丸剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤、滴剤、茶剤、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液、食用フォーム、ムース、水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンの形態で経口的に適用される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項8】
吸入投与用製剤におけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンもしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項9】
前記吸入投与が、振動メッシュネブライザによって行われる、請求項8に記載の製剤に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンもしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項10】
コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンもしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせであって、
前記物質、組成物または組み合わせが、心肺バイパス装置の換気空気に添加される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンもしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項11】
舌下錠用製剤における、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンもしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項12】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による前記組成物または本発明による組み合わせの投与が、鼻スプレー、点鼻薬または点眼薬によって行われる、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項13】
咽頭投与用製剤における、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンもしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項14】
前記咽頭投与が、喉スプレーによって行われる、請求項13に記載の製剤における、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンもしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、請求項5に記載の組成物または請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項15】
有効量の請求項5に記載の医薬組成物を、それを必要とする患者またはコロナウイルスに感染するリスクがある健常者に投与する、コロナウイルス感染症の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩の使用に関する。より詳しく説明すると、本願は、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンのナトリウム塩に関する。薬学的組成物、複合剤、及び有利な剤形技術が開示される。
【背景技術】
【0002】
生態学的、気候的、人口学的な変化の結果として、いわゆる’新興’ウイルスが自然の動物宿主から人間に伝染するケースが増えている。グローバル化の加速により、それらはパンデミックを引き起こすリスクを負っている。
【0003】
新興ウイルスは、急性でしばしば生命を脅かす病気を引き起こす可能性がある。コロナウイルスは、そのような伝染に関して悪名高い。例えば、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-1)や中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)、直近では中国の武漢で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2;COVID-19)が発生した。2021年5月31日現在、ジョンズホプキンス大学コロナウイルスリソースセンターでは、世界中で合計1億7000万件を超えるSARS-CoV-2の症例と約350万人の死傷者が報告されている。SARS-CoV-2の潜伏期間は、2日から2週間であり、場合によっては最大1か月である。SARS-CoV-2感染に起因する疾患はCOVID-19とよばれる。
【0004】
COVID-19 の典型的な症状は、発熱、咳、及び息切れである。しかし、この感染症は重度の肺損傷を引き起こす可能性もあり、特に酸素を取り込む能力に関して、肺の進行性機能不全が急速に発症する可能性がある。これは通常、他の臓器の機能不全に関連している。
【0005】
この急性肺損傷 (ALI) 状態は、広範な肺の炎症と肺胞内の体液の蓄積に関連している。これは、びまん性肺微小血管損傷により透過性が増加し、その結果、非心原性肺水腫が生じることを特徴としている。結果として、これは肺の病理学的に低い酸素レベルにつながる。ICUケアのCOVID-19患者に関連するその他の一般的な症状は、肺塞栓症、血栓症、静脈血栓塞栓症、及び脳虚血である。
【0006】
コロナウイルスは、主に濃厚接触で咳やくしゃみからの呼吸器飛沫を介して広がる。SARS-CoV や MERS-CoV とは対照的に、SARS-CoV-2 は潜伏期間中に人から人へ感染する可能性があるが、感染した患者はしばらく病気の症状を示さない。さらに、SARS-CoV-2 は、早期に喉において複製される。対照的に、SARS-CoV と MERS-CoV の受容体は、肺の奥深くに位置している。したがって、SARS-CoV-2 は、SARS-CoV や MERS-CoV と比較して、人から人への感染がはるかに容易であるため、感染率が大幅に増加する。
【0007】
一般に、コロナウイルス(コロナウイルス科、コロナウイルス群)は、大規模で比較的多様なグループを形成し、エンベロープのあるプラス鎖 RNA ウイルスで、ヒトや動物にさまざまな種類の下痢や呼吸器疾患を引き起こす可能性がある。それらは非常に狭い宿主範囲を持ち、細胞培養での複製は非常に不十分である。一方、SARS-CoV-2 の細胞培養システムの確立に成功することができた。
【0008】
SARS-CoV-2 の塩基配列を決定したところ、14 のオープンリーディングフレームからなる約 29.8 kbp のゲノムが明らかになった。また、このウイルスはSARS-CoV(塩基類似度89.1%)と系統的に近縁だった(参考:Wu et al.(2020)Nature,Epub ahead of print)。他のコロナウイルスと同様に、SARS-CoV-2は、エンドサイトーシスと膜融合により細胞内に侵入する。ウイルスは分泌経路によって細胞から放出される。ウイルスの自然宿主は不明である。
【0009】
今日まで、SARS-CoV-2 感染、それぞれ COVID-19 の治療のための特定の治療の選択肢は確立されていない。抗ウイルス剤のレムデシビル、アビファビル、ファビピラビルで一定の成果を上げることができた。SARS-CoV-2 スパイクタンパク質に対するナノ抗体を含んでいる鼻スプレーは、有望な進展である (AeroNabs)。重度の段階の COVID-19 患者では、グルココルチコイド デキサメタゾンの投与が有効であることが示された。
【0010】
したがって、SARS-CoV-2や類似のコロナウイルスに感染した患者に対する有効な薬物療法と、このウイルスの現在の流行を抑えることが医学的に強く求められている。理想的には、このような薬物療法は、少なくとも将来コロナウイルスが発生した場合の治療法の選択肢となるはずである。
【0011】
驚くべきことに、この課題は5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、水和物、結晶多形、互変異性体またはそれらの同位体濃縮形態の1つを投与することによって解決される。
【0012】
したがって、本願は、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩の1つを開示するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン(ルミノール)は、フタラジンジオンの医薬クラスに属する。このクラスの化合物は、有益な抗炎症作用が知られている。5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンは、ルミノールという名称でも知られている。ルミノールは、優れた化学発光特性を有する。それは、検出手段としての診断アッセイおよび法医学、例えば血液スポットの追跡に広く適用されている。医学では、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンがナトリウム塩の形態で開発されている。いくつかの国では、それは、とりわけ、細菌およびウイルス起源の、特に腸管の急性感染症、B型肝炎およびC型肝炎、胃腸炎、炎症、例えば前立腺炎、子宮内膜症、喉の炎症、気管支喘息、肺炎、歯周炎、腎盂腎炎、ならびに自己免疫疾、例えばクローン病、患潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡および強皮症を含む広範囲の急性および慢性炎症性障害について承認されている。5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンは、過剰な免疫反応によって引き起こされるサイトカインストームを効果的に防止することができた。さらに、科学文献および特許文献には、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩が試験された、または有益な使用が示唆されたとされる治療における適応症の長いリストが依然として存在する(とりわけ国際公開第2004/041169号パンフレット、国際公開第2007/018546号パンフレット、国際公開第2012/127441号パンフレット、国際公開第2016/096143号パンフレット、国際公開第2017/202496号パンフレット、国際公開第2018/082814号パンフレットを参照)。
【0014】
ほとんどの従来の免疫調節薬は、重篤な有害反応を示すか、または長期治療において少なくとも問題となるが、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンおよびその薬学的に許容される塩は、忍容性が高く、投与される投与量に関して安全域が高い。
【0015】
より良好な溶解性および生物学的利用能を確保するために、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩が使用される。ナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩は、治療適用のために記載されている(国際公開第2010/082858号パンフレットを参照)。リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩およびセシウム塩の結晶構造は、Guzeiら(2013)Journal of Coordination Chemistry 66,3722-3739に記載されていた。したがって、本特許出願は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンのすべての薬学的に許容される塩の使用にも言及する。
【0016】
したがって、本出願は、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つを開示する。
【0017】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスの複製の減少または阻害に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及する。
【0018】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスのウイルス量の減少に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及する。
【0019】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるCOVID-19の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及する。
【0020】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、無症候性である。
【0021】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、軽度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院を必要としない。
【0022】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院を必要とする。
【0023】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、急性肺損傷を受けている。
【0024】
特に、本出願は、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つを開示し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩である。
【0025】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスの複製の低減または阻害において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩である。
【0026】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスのウイルス量の減少において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩である。
【0027】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるCOVID-19の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩である。
【0028】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、無症候性である。
【0029】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、軽度のコロナウイルス感染関連症状を示し、入院を必要としない。
【0030】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染関連症状を示し、入院を必要としている。
【0031】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染関連症状を示し、急性肺傷害を受けている。
【0032】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンは、水和物、例えばナトリウム塩二水和物として使用されることが多い。したがって、本特許出願は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンおよびその薬学的に許容される塩のすべての水和物および他の溶媒和物の使用にも言及する。5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つは、好適な配位子との錯体を構築し得る。したがって、本特許出願は、そのような錯体にも言及している。本開示の範囲において、すべての水和物および溶媒和物は、「5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容され得る塩のうちの1つ」という用語に含まれるものとする。
【0033】
再現性のある標準化されたAPI生産を確実にし、活性薬剤の改善された安定性特徴を提供するために、無水製剤は、しばしば好ましい。5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩の無水物形態は、国際公開第2011/107295号パンフレット(形態I、形態II)および国際公開第2016/096143号パンフレット(形態III)に結晶多形として記載されている。これらの結晶多形は、実質的に相不純物を含まず、X線粉末回折によって特徴付けられた。この方法は、ブラッグ反射が起こる平面間間隔[Å]および対応する2シータ(2θ)角度[°]を示す特性d値のセットをもたらす。これにより、それぞれの多形体の一意で明確なフィンガープリントが得られる。
【0034】
形態Iについて、以下の値を決定した:
d値:13.5;6.9;5.2;4.6;3.9;3.5;3.4;3.3;3.1;3.0および/または
2シータ値:6.5;12.7;16.9;19.3;22.8;25.8;26.6;27.2;28.7;30.3。
【0035】
形態IIは、以下の値を特徴とする:
d値:12.9;7.9;7.1;6.5;5.3;4.0;3.7;3.6;3.3;3.2および/または
2シータ値:6.8;11.2;12.5;13.7;16.7;22.4;24.3;24.9;27.2;27.8。
【0036】
形態IIIは、以下の値をもたらした:
d値:13.131;7.987;7.186;6.566;6.512;5.372;3.994;3.662;3.406;3.288;3.283;3.222;3.215;3.127;2.889および/または
2シータ値:6.73;11.07;12.31;13.48;13.59;16.49;22.24;24.29;26.14;27.10;27.14;27.67;27.72;28.52;30.93。
【0037】
無水形態Iの5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩の使用が好ましい。
【0038】
マウスCOPDモデルでは、エキソビボの肺をタバコの煙に曝露した。5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩形態Iの適用は、3-ニトロチロシンのほぼ完全な還元をもたらした。したがって、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩は、COPDおよび他の炎症性肺疾患の病態生理学における主要なプレイヤーである酸化ストレスおよびニトロソ化ストレスから肺を保護し得ると想定される(https://copdnewstoday.com/2020/04/16/mp1032-may-protect-lungs-from-oxidative-stress-inhibit-biomarker-3-nitrotyrosine-preclinical-study/2021-03-03現在)。
【0039】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン自体も多型を示す。形態I(Paradies(1992)Ber.Bunsen-Ges.Phys.Chem 96:1027-1031)および形態II(国際公開第2017/140430号パンフレット)が開示されている。
【0040】
国際公開第2017/140430号パンフレットはまた、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンが炎症性疾患および自己免疫疾患の免疫調節治療において大きな可能性を有することを開示している。結晶形態IIは、上下気道感染症などの炎症性および自己免疫性呼吸器疾患の治療に特に有用である。
【0041】
したがって、本特許出願は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンおよびその薬学的に許容される塩のすべての結晶形態およびその多形の本発明による使用にも言及する。形態IIの5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの使用が好ましい。
【0042】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの誘導体の種々のフタラジンジオンおよびその薬学的に許容される塩についても、同様の治療効果が知られている。一例は、6-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオン(イソルミノール)である。好適なフタラジンジオンの概要は、国際公開第2007/018546号パンフレットに与えられている。これらの化合物は、本発明による治療用途に使用される場合、同等の効果を示すと仮定することが合理的である。
【0043】
欧州特許出願公開第0531370号明細書には、複製サイクル中にウイルスDNAが宿主染色体に組み込まれるウイルス感染症の治療のための、ルミノールなどのPARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)阻害剤の使用が開示されている。ウイルスは、好ましくは、HIVなどのレトロウイルスである。しかしながら、コロナウイルスは、正鎖RNAウイルスであり、したがってヒトDNAに組み込むことができない。したがって、欧州特許出願公開第0531370号明細書は、コロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つの使用を示唆していない。
【0044】
互変異性は、水素原子またはプロトンが化合物の内部に正式に移動する有機化合物の急速な内部転換に関する。これは、単結合および隣接する二重結合の切り替えを伴う。単一の形態は、互変異性体と呼ばれる。例えば、ケト-エノール互変異性は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンで起こる(ProescherおよびMoody(1939)J Lab Clin Med,1183-1189)。したがって、本特許出願は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンおよびその薬学的に許容される塩のすべての互変異性体の使用にも言及する。
【0045】
異性体とは、化学式は同じであるが化学構造が異なる分子の総称である。それらは、構成(構造)異性体(原子または官能基の交換が起こる)および立体異性体に区別することができる。立体異性体は、エナンチオマー(同じ分子の重ね合わせることができない鏡像)およびジアステレオマー(1つ以上の立体中心に異なる配置を有する同じ分子)に細分することができる。ジアステレオマーは、シス/トランス異性体(分子内の官能基の相対的な配向を指す)および他方で配座異性体(形式的に単結合の周りの回転)および回転異性体(単結合の周りの異なる回転配置)に細分することができる。5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの構成異性体の例は、6-アミノ-2,3-ジヒドロフタラジン-1,4-ジオン(イソルミノール)である。フタラジンジオン誘導体には立体異性体が生じ得る。したがって、本特許出願は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン、その誘導体および薬学的に許容される塩のすべての異性体の使用にも言及している。
【0046】
いくつかの用途では、本発明の化合物の同位体濃縮形態が、例えば診断目的のために使用されることが望ましい場合がある。したがって、本特許出願は、本発明の化合物のそのような同位体濃縮形態も指す。
【0047】
薬物動態学的観点から、または製造理論的根拠のために、プロドラッグを剤形として使用することが好ましい場合がある。プロドラッグは、薬理学的に不活性な形態で投与され、体内で代謝的に活性な形態に変換される。この変換は、全身的または局所的に起こり得る。したがって、本特許出願は、本発明の化合物のプロドラッグにも言及する。
【0048】
本出願を通して使用される場合、「5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容され得る塩のうちの1つ」という用語は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン、すなわち5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンのすべての前述の分子変異体、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、水和物、結晶多形、互変異性体もしくは同位体濃縮形態のうちの1つを包含するものとする。
【0049】
特に明記しない限り、本発明で使用されるあらゆる技術的または科学的用語は、関連する技術分野の当業者がそれらに帰する意味を有する。
【0050】
本出願によれば、「原薬」、「活性物質」、「活性薬剤」、「薬学的活性剤」、「有効成分」または「薬学的有効成分」(API)という用語は、特に明記されていないかまたは一般的な意味で使用されている場合、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩を指す。
【0051】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つで治療することができるコロナウイルス感染症は、とりわけ、高病原性SARS-CoV-1、MERS-CoVおよびSARS-CoV-2による感染症である。しかし、以下に列挙されるような病原性の低いコロナウイルスによる感染症も、このように治療することができる。「コロナウイルス」または「コロナウイルス」という用語は、主にオルトコロナウイルス亜科を指す。それらは、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルスおよびデルタコロナウイルスの属に細分される。アルファコロナウイルスは、コラコウイルス(種:バットコロナウイルスCDPHE15)、デカウイルス(バットコロナウイルスHKU10、キクガシラコウモリアルファコロナウイルスHuB-2013)、デュビナコウイルス(ヒトコロナウイルス229E)、ルカコウイルス(ルーチヨンRnラットコロナウイルス)、ミナコウイルス(フェレットコロナウイルス、ミンクコロナウイルス1)、ミヌナコウイルス(ミニオプテラスバットコロナウイルス1、ミニオプテラスバットコロナウイルスHKU8)、ミオタコウイルス(ビッグフットコウモリアルファコロナウイルスSax-2011)、ナイラクトウイルス(ヤマコウモリアルファコロナウイルスSC-2013)、ペダコウイルス(ブタ伝染性下痢ウイルス、スコトフィルス・バット・コロナウイルス512)、ライナコウイルス(キクガシラコウモリコロナウイルスHKU2)、セトラコウイルス(ヒトコロナウイルスNL63、NL63関連バットコロナウイルス株BtKYNM63-9b)およびテガコウイルス(アルファコロナウイルス1型種)の亜属を含む。ベータコロナウイルスは、エンベコウイルス(ベータコロナウイルス1(亜種:ヒトコロナウイルスOC43)、チャイニーズラッツコロナウイルスHKU24、ヒトコロナウイルスHKU1、マウスコロナウイルス型種)、ヒベコウイルス(Bat Hp-ベータコロナウイルスチョーチァン2013)、メルベコウイルス(ヘッジホッグコロナウイルス1、MERS-CoV)、ピピストレルスバットコロナウイルスHKU5、チロニクテリスバットコロナウイルスHKU4)、ノベコウイルス(ルーセットオオコウモリコロナウイルスGCCDC1、ルーセットオオコウモリコロナウイルスHKU9、サルベコウイルス(重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(亜種:SARS-CoV-1、SARS-CoV-2)の亜属を含む。ガンマコロナウイルスは、セガコウイルス(ベルーガホエールコロナウイルスSW1)およびイガコウイルス(鳥類コロナウイルス型種)の亜属を含む。デルタコロナウイルスは、アンデコウイルス(ウィジョンコロナウイルスHKU20)、ブルデコウイルス(ブルブールコロナウイルスHKU11型種、ブタコロナウイルスHKU15、ムニアコロナウイルスHKU13、メジロコロナウイルスHKU16)、ヘルデコウイルス(ゴイサギコロナウイルスHKU19)およびムールデコウイルス(バンコロナウイルスHKU21)の亜属を含む。
【0052】
ヒトにおいて病原性であるコロナウイルスは、これまで、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoVおよびHCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229Eである。最後の4つは、比較的軽度の症状(Andersenら:The Proximal Origin of SARS-CoV-2,on virologica.orgを参照、2020年2月17日現在)のみを引き起こす。
【0053】
したがって、本出願は、特に、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0054】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスの複製の減少または阻害に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染からなる群から選択される。
【0055】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスのウイルス量の減少において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染からなる群から選択される。
【0056】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、無症候性であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0057】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、軽度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院を必要とせず、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0058】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院が必要であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0059】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、急性肺傷害を受けており、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0060】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスの複製の減少または阻害において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染からなる群から選択される。
【0061】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスのウイルス量の減少において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染からなる群から選択される。
【0062】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、無症候性であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0063】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、軽度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院を必要とせず、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0064】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院が必要であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0065】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染関連症状を示し、急性肺傷害を受けており、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-HKU1、HCoV-NL-63、HCoV-OC43およびHCoV-229E感染症からなる群から選択される。
【0066】
したがって、本出願は、特に、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに関し、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0067】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスの複製の減少または阻害において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0068】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスのウイルス量の減少において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0069】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、無症候性であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0070】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、軽度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院の必要がなく、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0071】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院を必要とし、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0072】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、急性肺傷害を受けており、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0073】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスの複製の低減または阻害において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0074】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルスのウイルス量の減少において使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0075】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、無症候性であり、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0076】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、軽度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院を必要とせず、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0077】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、入院を必要とし、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0078】
別の態様では、本出願は、ヒトにおけるコロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つに言及し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンの薬学的に許容される塩は、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩であり、前記ヒトは、重度のコロナウイルス感染症関連症状を示し、急性肺傷害を受けており、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0079】
コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つがより好ましく、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2である。
【0080】
コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩が最も好ましく、前記コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2である。
【0081】
他の上述の動物コロナウイルスは、まだヒトに移入されていない(人獣共通感染症)が、これは、予測不可能な病態を伴って将来起こり得る。したがって、本出願の範囲は、動物およびヒトにおけるこれらの動物コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つにも関する。
【0082】
すべての種にわたってコロナウイルス感染症を治療するための概念は、コロナウイルスの構造的類似性に基づいている。したがって、治療および/または予防の選択肢を1つのコロナウイルスから別のコロナウイルスに移すことができると仮定することができる。コロナウイルス粒子は、4つの主要な構造タンパク質:スパイク(S)、膜(M)、エンベロープ(E)およびヌクレオカプシド(N)を含有し、これらはすべてウイルスゲノムの3’末端内にコードされている。
【0083】
コロナウイルスは、約30kbのセグメント化されていないポジティブセンスRNAゲノムを含有する。ゲノムは、3’ポリ(A)尾部と共に5’キャップ構造を含有し、レプリカーゼポリタンパク質の翻訳のためのmRNAとして作用することを可能にする。非構造タンパク質(nsp)をコードするレプリカーゼ遺伝子は、ウイルスゲノムの約10kbのみを構成する構造タンパク質およびアクセサリータンパク質とは対照的に、ゲノムの2/3、約20kbを占める。コロナウイルスゲノムの構成は、ゲノムの3’末端の構造遺伝子内に散在する付属遺伝子を有する5’-リーダー-UTR-レプリカーゼ-S(スパイク)-E(エンベロープ)-M(膜)-N(ヌクレオカプシド)-3’UTR-ポリ(A)尾部である。アクセサリータンパク質は、組織培養における複製にほぼ排他的に必須ではないが、いくつかは、ウイルスの病因において重要な役割を有することが示されている(Zhaoら(2012)Cell Host Microbe11:607-616を参照)。
【0084】
コロナウイルスのライフサイクルは、Sタンパク質とその受容体との間の相互作用による宿主細胞へのビリオンの最初の付着から始まる。コロナウイルスSタンパク質のS1領域内の受容体結合ドメイン(RBD)の部位は、ウイルスによって変動する。Sタンパク質-受容体相互作用は、コロナウイルスが宿主種に感染するための主要な決定因子であり、ウイルスの組織向性も支配する。多くのコロナウイルスは、それらの細胞受容体としてペプチダーゼを利用する。これらのタンパク質の酵素ドメインが存在しない場合でも侵入が起こるので、ペプチダーゼが使用される理由は不明である。多くのアルファコロナウイルスは、アミノペプチダーゼN(APN)をその受容体として利用し、多くのベータコロナウイルス、例えばSARS-CoV-1、SARS-CoV-2およびHCoV-NL63は、アンジオテンシン変換酵素II(ACE2)受容体を使用し、MHVは、CEACAM1を介して侵入し、MERS-CoVは、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)に結合してヒト細胞への侵入を獲得する。受容体結合後、ウイルスは、次に宿主細胞サイトゾルに接近しなければならない。これは、一般に、カテプシン、TMPRRS2または別のプロテアーゼによるSタンパク質の酸依存性タンパク質分解切断、それに続くウイルス膜と細胞膜との融合、および最終的にはウイルスゲノムの細胞質への放出によって達成される。
【0085】
コロナウイルスは、レプリカーゼポリタンパク質を切断する2つまたは3つのプロテアーゼのいずれかをコードする。それらは、nsp3内にコードされるパパイン様プロテアーゼ(PLpro)、およびnsp5によってコードされるセリン型プロテアーゼ、メインプロテアーゼ、すなわちMproである。ほとんどのコロナウイルスは、1つのPLproのみを発現するガンマコロナウイルス、SARS-CoV-1およびMERS-CoVを除いて、nsp3内に2つのPLproをコードする(Mielechら(2014)Virus Res doi:10.1016)。
【0086】
このパパイン様プロテアーゼ(PLpro)は、ヒト細胞ユビキチンプロテアソーム系(UPS)内のデユビキチナーゼと同じように作用することがSARS-CoV-1において見出された(Raabenら(2010)J Virol84:7869-7879を参照)。SARS-CoV-2のPLproは、SARS-CoV-1と非常に高い相同性を有する(96.1%、Nguyenら(2020)https://doi:org/10:1101/2020.02.05.936013)。
【0087】
「組成物」または「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、ならびに組み合わせ、蓄積、複合体もしくは結晶として、または他の反応もしくは相互作用の結果として、直接または間接的に以下に概説される成分から生成されるすべての薬剤、ならびに任意選択的に、以下に列挙される少なくとも1つのさらなる医薬薬物と共に、任意の薬理学的に許容される定義された投与量および剤形中の少なくとも1つの有効成分を含む。
【0088】
「賦形剤」という用語は、薬学的に活性な原理を除く薬学的組成物の任意の成分を説明するために本出願で使用される。好適な賦形剤の選択は、組成物の剤形、投与量、所望の溶解度および安定性などの種々の因子に依存する。
【0089】
本明細書で言及される本発明の物質または任意の他の活性物質に関する「効果」、「治療効果」、「作用」、「治療作用」、「効能」および「有効性」という用語は、前記物質が以前に投与されたことがある生物において因果的に生じる有益な結果を指す。
【0090】
本発明によれば、「有効量」および「治療有効量」という用語は、そのような治療を必要とする対象において所望の有益な効果を引き起こすのに十分に大きい本発明の物質の量を指す。
【0091】
「治療」および「療法」という用語は、投与の時系列とは無関係に、少なくとも本発明の物質を単独で、または少なくとも1つのさらなる医薬品と組み合わせて投与することを含む。そのような投与は、疾患を完全に治癒することによって、または疾患の経過中に障害の増加を停止もしくは減速することによって、コロナウイルス感染症の疾患経過を実質的に改善することを意図している。
【0092】
「予防」または「予防的治療」という用語は、コロナウイルス感染症に起因する症状の発現を防止または抑制するために、投与の時系列とは無関係に、少なくとも本発明の物質を単独で、または少なくとも1つのさらなる医薬品と組み合わせて投与することを含む。それは、特に、そのような症状の発現が合理的な確率で遠いまたは近い将来に起こると予想される患者の病状を指す。
【0093】
「対象」および「患者」という用語は、コロナウイルス感染症に関連する疾患症状または障害に罹患している個体を含み、前記診断は、承認または疑わしいのいずれかである。個体は、哺乳動物、特にヒトである。
【0094】
本出願の範囲において、「医薬」という用語は、ヒトおよび獣医学を含むものとする。
【0095】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその許容される塩のうちの1つは、単独療法として使用することができ、またはコロナウイルス感染症のための疾患修飾療法、コロナウイルス感染症の対症療法および併存症の治療に使用される有効成分を含む群から選択される少なくとも1つのさらなる有効成分とさらに組み合わせることができる。
【0096】
コロナウイルス感染症の効果的な治療のために、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つを少なくとも1つの抗ウイルス剤と組み合わせることによって、それを必要とする患者に併用療法を提供することが有利であり得る。
【0097】
例えば、HIV、それぞれ抗レトロウイルス療法から、以下のクラスが知られている:
【0098】
そのような併用療法に適した逆転写酵素阻害剤は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)および非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)である。NRTIの例には、アバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、スタブジン、テノホビル、ジドブジン、ザルシタビン、エンテカビル、アデホビル、エルブシタビン、ホサルブジン(-チドキシル)、フォジブジンチドキシル、ラジシクロビル、アラミホビル、クレブジン、プラデホビル、テルビブジンが含まれるが、これらに限定されない。NNRTIの例には、エファビレンツ、エトラビリン、ネビラピン、リルピビリン、デラビルジン、エミビリン、レルシビリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
本発明による併用療法に適しているのは、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ドルテグラビル、MK-2048などのインテグラーゼ阻害剤である。
【0100】
本発明による併用療法に適したHIVプロテアーゼ阻害剤の例は、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、フォサンプレナビル、チプラナビル、ダルナビル、ブレカナビル、モゼナビル、チプラナビルである。
【0101】
本発明による併用療法に適した侵入阻害剤の例は、エンフビルチドおよびマラビロクである。
【0102】
さらに、本発明による併用療法に適した一般的なウイルス抑制剤は、アンクリビロク、アプラビロク、セニクリビロク、エンフビルチド、マラビロク、ビクリビロク、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリル、イドクスウリジン、アシクロビル、ブリブジン、ファムシクロビル、ペンシクロビル、ソリブジン、バラシクロビル、シドホビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ソホスブビル、ホスカルネット、リバビリン、タリバビリン、フィルブビル、ネスブビル、テゴブビル、ホスデビリン、ファビピラビル、アビファビル、メリメエポジブ、アスナプレビル、バラピラビル、ボセポビル、シルプレビル、ダノプレビル、ダクラタスビル、ナルラプレビル、テラプレビル、シメプレビル、バニペビル、ルピントリビル、レムデシビル、ホミビルセン、アメナメビル、アリスポリビル、ベビリマット、レテルモビル、ラニナマビル、オセルタミビル、ペラミビル、ザナミビルを含む群から選択することができる。
【0103】
本発明による併用療法に適した一般的な免疫賦活剤は、インターフェロン(アルファ-、ベータ-、ガンマ-、タウ-インターフェロン)、インターロイキン、CSF、PDGF、EGF、IGF、THF、レバミゾール、ジメプラノール、イノシンを含む群から選択することができる。
【0104】
さらに、本発明による可能な組み合わせは、コビシスタットなどのアジュバントを含む。
【0105】
併存症は、コロナウイルス感染に起因する障害に起因し得るか、またはそれとは独立している。したがって、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つは、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症薬、免疫調節剤;免疫抑制剤;抗生物質、抗レトロウイルス剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗原虫剤のような抗感染剤;鎮痛剤;抗凝固剤;抗血小板薬;気管支拡張薬;肺血管拡張剤;粘液溶解剤;肺サーファクタント;酸化防止剤;ENaC活性化剤;コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するためのHMG-CoAレダクターゼ阻害剤またはAT受容体アンタゴニストを含む群から選択される少なくとも1つのさらなる有効成分と組み合わせることができる。
【0106】
そのようなステロイド系抗炎症薬の好適な例は、コルチコステロイド、グルココルチコイド、コルチゾン、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デルタゾン、トリアムシノロン、ピバル酸チキソコルトール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオコニド、フルオシノロン、ハルシノニド、フルコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、ハロメタゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレニカルバート、クロベタゾン-17-ブチレート、クロベタゾール-17-プロピオネート、フルコルトロンカプロエート、フルコルトロンピバレート、酢酸フルイデン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17-アセポネート、ヒドロコルチゾン-17-ブテプラート、シクレソニド、フルニソリド、フロ酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む。
【0107】
そのような非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)に適した例は、アセチルサリチル酸、サリチル酸およびサリチレート、アセトアミノフェン(パラセタモール)、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、デキシブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラック、ジクロフェナク、アセクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、フェニルブタゾン、メフェナム酸、メクロフェナミン酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレキソキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フロコキシブ、ニメスリド、クロニキシン、リコフェロン、H-ハルパギド、フルニキシン、チアプロフェン酸を含む。
【0108】
そのような免疫調節剤の好適な例は、とりわけ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイドおよびアプレミラストを含む。
【0109】
そのような免疫抑制薬の好適な例は、上に列挙したような糖質コルチコイド;アルキル化剤(シクロホスファミドなど)などの細胞増殖抑制薬、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、フルオロウラシル、レフルノミドなどの代謝拮抗薬、タンパク質合成阻害剤およびダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミトラマイシンなどの特定の抗生物質、ミトキサントロンなどの挿入剤;ムロモナブ-CD3、リツキシマブ、ウステキヌマブ、アレムツズマブ、ナタリズマブ、バシリキシマブ、トシリズマブおよびダクリズマブなどの抗体;シクロスポリン、タクロリムスおよびシロリムスなどのイムノフィリンに作用する薬物、ベータ-インターフェロンおよびγ-インターフェロンなどの非分類免疫抑制剤、オピオイド、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブなどのTNF結合タンパク質;またはクルクミン、カテキン、ミコフェノール酸、フィンゴリモド、ミリオシンおよびフマル酸ジメチルエステルの群を含む。
【0110】
抗感染剤は、細菌、ウイルス、真菌、および寄生虫感染症(例えば、原虫または寄生虫)の治療に有用な化合物の総称であり、抗生物質、抗真菌剤、抗原虫剤、および前述の抗ウイルス剤を含む。
【0111】
そのような抗生物質の好適な例は、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、セファロスポリン、アズトレオナム、ペニシリン、例えばペニシリンGおよびペニシリンV、ピペラシリン、メズロシリン、アンピシリン、アモキシシリン、フルクロキサシリン、メチシリン、オキサシリン、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、スルタミシリン、ホスホマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、バシトラシン、コリスチン、グラミシジン、ポリミキシンB、チロトリシン、テイキソバクチン、フォスミドマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、クロラムフェニコール、フシジン酸、セスロマイシン、ナルボマイシン、テリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ダプトマイシン、ダルフォプリスチン、キヌプリスチン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、リネゾリド、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、チゲサイクリン、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、メトロニダゾール、チニダゾール、アミノクマリン、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、ピリメタミン、トリメトプリム、リファンピシンを含む。
【0112】
そのような抗真菌(抗真菌性)薬の好適な例は、アバフンギン、アムホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、ボリコナゾール、アモロールフィン、ブテナフィン、ナフィチフィン、テルビナフィン、アニデュラフンギン、カスポフンギン、ミカファンギン、安息香酸、シクロピロックス、フルシトシン、グリセオフルビン、ハロプロギン、トルナフテート、ウンデシレン酸、クリスタルバイオレット、Peruのバルサムを含む。
【0113】
そのような抗原虫薬の好適な例は、メトロニダゾール、チニダゾール、オルニダゾール、アトバコン、クリオキノール、クロルキナルドール、エメチン、ペンタミジンイセチオネート、エフロルニチン、ニトロフラール、ハロフギノン、ミルテホシン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、メパクリン、プリマキン、アモジアキン、パマキン、ピペラキン、プログアニル、シクロハンアイレンボネート、キニン、メフロキン、ピリメタミン、アルテメエーテル、アルテミシニン、アルテスネート、ジヒドロアルテミシニン、ハロファントリン、ルマントリン、スルファドキシンを含む。
【0114】
さらなる抗寄生虫薬の好適な例は、メグルミンアンチモニエート、ベンズニダゾール、スチボグルコン酸ナトリウム、フマギリン、ハロファントリン、メラルソプロール、ニフルチモックス、ニタゾキサニド、ペルメトリン、リンダン、マラチオン、カルバリル、ピレトリム、フェノトリン、バイオアレトリン、イミダクロプリド、モキシデクチン、ニテンピラム、フィプロニル、ピリプロル、セラメクチン、ディンピレート、スピノサド、インドキサカルブ、メトプレン、ピリプロキシフェン、ルフェヌロン、ニーム油、シトロネラ油、クローブ油、ペパーミント油、ユーカリプタス油を含む。
【0115】
鎮痛剤の好適な例は、上に列挙したNSAIDs;オピオイド系鎮痛剤、例えば、モルヒネ、フェンタニル、メタドン、オキシコドン、カルフェタニル、ジヒドロエトルフィン、オーメフェンタニル、エトルフィン、スフェンタニル、レミフェンタニル、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ヒドロモルホン、レボメタドン、ヒドロコドン、ピントラミド、ナルブフィン、タペンタドール、ペンタゾシン、ジヒドロコデイン、コデイン、ペチジン、トラマドール、チリジン、メプタジノール、ナロキソン、ナルトレキソン、ジプレノルフィン、ロペラミド、アポモルヒネ;エピバチジン;スコポラミン;ジコニット;カンナビノイド、例えば、テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、マリノール;フルピルチン;ケタミンおよび上に列挙した局所麻酔薬を含む。
【0116】
そのような抗凝固剤の好適な例は、ヘパリン、クマリン、例えばフェンプロクモン(マルクマル)およびワルファリン、アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン、ダビガトラン、キシメラガトラン、ヒルジン、レピルジン、ビバリルジン、クエン酸塩、EDTA、フォンダパリヌクス、アルガトロバン、オタミキサバンを含む。
【0117】
そのような抗血小板剤の好適な例は、アブシキシマブ、アセチルサリチル酸、ジピリダモール、クロピドグレル、エプチフィバチド、イロメジン、プロスタサイクリン、プラスグレル、チカグレロル、チクロピジンおよびチロフィバンを含む。
【0118】
ベータ-2アドレナリン受容体アゴニストなどの好適な気管支拡張薬は、短時間作用型ベータ-2アゴニスト(SABAs)、例えば、サルブタモール、アルブテロール、ビトルテロール、フェノテロール、イソプレナリン、レボサルブタモール、レバルブテロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、リトドリンおよびテルブタリン;長時間作用型ベータ-2アゴニスト(LABAs)、例えば、アルホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロールおよびサルメテロール;超長時間作用型ベータ-2アゴニスト、例えば、ベジテロール、カルモテロール、インダカテロール、オロダテロールおよびビランテロールを単独で、または臭化ウメクリジニウムおよび/もしくはフロ酸フルチカゾン;イソクスプリン、マブテロールまたはジルパテロールなどの作用時間が不明なベータ-2アゴニストと組み合わせて含む。
【0119】
好適なムスカリン性抗コリン薬(気管支拡張性M受容体アンタゴニスト)は、イプラトロピウムブロミド、チオトロピウムブロミド、オキシトロピウムブロミド、グリコピロニウムブロミド、アクリジニウムブロミド、ウメクリジニウムブロミド、アトロピン、ヒヨスチアミン、アクリジニウムブロミド、4-DAMP、ダリフェナシン、DAU-5884、HL-031、HL-120、J-104、J-129、プロシクリジン、オキシブチニン、トルテロジンおよびザミフェナシンを含む。
【0120】
さらなる気管支拡張薬は、エピネフリン、エフェドリン、テオフィリンおよびTSG12を含む。
【0121】
強力な肺血管拡張剤は、一酸化窒素である。さらに好適な肺血管拡張剤は、プロスタサイクリン(プロスタグランジンPGI)類似体、例えば、イロプロスト、エポプロステノールおよびトレプロスチニルである。
【0122】
好適な粘液溶解剤は、N-アセチルシステイン(NAC)、アンブロキソール、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エルドシステイン、メシステインおよびドルナーゼアルファを含む。
【0123】
好適な肺サーファクタントは、合成組成物、例えばパルミチン酸コルホセリル、Pumactant、KL-4、VenticuteおよびLucinactant、ならびに動物由来サーファクタント、例えばBeractant、CalfactantおよびPoractant alfaを含む。
【0124】
強力な酸化防止剤は、吸入一酸化炭素(CO)である。
【0125】
好適なENaC(上皮ナトリウムチャネル)活性化ペプチドは、AP301およびS3969を含む。
【0126】
好適なHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)は、アトルバスタチンを、単独で、またはアムロジピンおよび/またはペリンドプリル、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチンと組み合わせて、単独で、またはナイアシン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンと組み合わせて、単独で、またはエゼチミブ、シンバスタチンと組み合わせて、単独で、またはエゼチミブもしくはナイアシンと組み合わせて含む。
【0127】
好適なATアンタゴニスト(アンジオテンシンII受容体遮断薬;酒石酸塩)は、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、エプロサルタン、フィマサルタン、アジルサルタン、ミルファサルタン、ポミサルタン、プラトサルタン、リピサルタン、タソサルタン、サプロサルタンおよびEXP3174を含む。
【0128】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つおよびさらなる有効成分は、疾患症状を治療または予防するために、同時に、別々にまたは連続的に使用することができる。2つの活性剤は、単一剤形または別個の製剤として提供されてもよく、各製剤は、2つの活性剤のうちの少なくとも1つを含む。2つの活性剤の一方または両方は、ボーラスとして製剤化され得る。
【0129】
特に、本出願は、コロナウイルス感染症の治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせを開示し、少なくとも1つの他の薬学的に活性な薬剤による以前の治療は、難治性であった。
【0130】
「医学」または「医療」という用語は、ヒトおよび獣医学を含む。
【0131】
「生物」という用語は、自己調節免疫系を有する生物、特にヒトまたは動物を指す。
【0132】
「宿主生物」という用語は、ウイルス、本明細書では特にレトロウイルスによる感染後のウイルスによる複製に利用される生物の用途に関して使用される。
【0133】
本出願における「活性剤」という用語は、特に明記しない限り、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つを指す。さらに、この用語は、最新技術から知られているさらなる医薬品を含むことができる。
【0134】
「組成物」および「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの好適な賦形剤または担体物質と共に、任意の薬理学的に好適な定義された用量および剤形の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、ならびに上述の成分の組み合わせ、蓄積、複合体形成もしくは結晶として直接的もしくは間接的に生成されるか、または他の反応もしくは相互作用の結果として生じるすべての物質、ならびに任意選択的に、最新技術で知られている少なくとも1つのさらなる医薬剤を含む。
【0135】
「賦形剤」という用語は、本出願では、活性薬剤に加えて医薬組成物の各成分を説明するために使用される。好適な賦形剤の選択は、剤形および用量などの因子、ならびに賦形剤自体による組成物の溶解度および安定性への影響に依存する。
【0136】
「動作」という用語は、本出願の範囲内のそれぞれのエージェントの固有の特定の動作モードを説明する。
【0137】
本発明による少なくとも1つの活性剤に関する「効果」、「治療効果」、「作用」、「治療作用」という用語は、少なくとも1つの活性剤が投与された生物に対して因果関係で生じる有益な結果を指す。
【0138】
本出願に関して、「治療有効用量」は、十分な用量の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つが、そのような治療を必要とする生物または患者に投与されることを意味する。
【0139】
本発明による少なくとも1つの医薬品および/または最新技術からの少なくとも1つの医薬品の「ジョイント投与」「併用投与」または「同時投与」という用語は、同時にまたは互いに事実上関連する時点での言及された薬剤の投与、ならびにコヒーレント実験内の異なる時点での前記薬剤の投与を含む。前記薬剤の投与の時系列は、これらの用語によって限定されない。当業者は、その知識および経験からそれらの時系列または局所的順序に関して記載された投与を推定することに困難はないであろう。
【0140】
「生物」という用語は、あらゆる動物、特にヒトを含む脊椎動物を指す。本出願に関する「患者」は、定義可能で診断可能な疾患に罹患しており、好適な活性剤を投与することができる生物である。
【0141】
「予防」、「治療」および「療法」という用語は、特定の疾患の発症を防止し、症状を阻害し、軽減し、またはそれぞれの疾患の治癒過程を開始するために、5-アミノ2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つを単独で、または当技術分野で公知の少なくとも1つのさらなる医薬品と組み合わせて、生物に投与することを含む。
【0142】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による薬物の組み合わせは、それを必要とする患者への任意の医学的に許容される投与経路によるコロナウイルス感染症の予防または治療に適用することができる。そのような医学的に許容され得る投与経路は、例えば、吸入による、挿管による、経口的、非経口的、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、局所的、経皮的、皮下、皮内、舌下、結膜、膣内、直腸または経鼻的であり得る。
【0143】
コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための好ましい経口製剤は、50mg、100mg、150mg、200mg、300mg、400mg、500mgまたは600mg、好ましくは100mg、150mg、200mg、300mgまたは400mg、最も好ましくは300mgの量の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つを含有するカプセルまたは錠剤である。
【0144】
本発明の別の態様では、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための組成物が開示され、前記組成物は、5-アミノ2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、担体および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0145】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、医薬活性剤と共に医薬製剤に添加される天然または合成化合物を指す。それらは、製剤を嵩高くするのに役立ち、製剤の所望の薬物動態特性または安定性を向上させ、製造プロセスにおいて有益であり得る。本発明による賦形剤の有利なクラスには、担体、結合剤、着色剤、緩衝剤、保存剤、酸化防止剤、コーティング、甘味料、増粘剤、pH調整剤、酸性調整剤、酸性化剤、溶媒、等張化剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、乳化剤、可溶化剤、安定剤、希釈剤、固化防止剤(付着防止剤)、吸着剤、発泡剤、消泡剤、乳白剤、脂肪剤、粘稠度向上剤、ヒドロトロープ、芳香剤および香味物質が含まれる。
【0146】
一般に、1つ以上の薬学的に許容される担体は、薬学的に活性な薬剤に添加される。適格は、当技術分野で公知のすべての担体およびそれらの組み合わせである。固体剤形では、それらは、例えば、植物および動物の脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルカム、酸化亜鉛であり得る。液体剤形およびエマルジョンの場合、好適な担体は、例えば溶媒、可溶化剤、乳化剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコール、綿実油、ピーナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルである。本発明による懸濁液は、希釈剤(例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール)、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶セルロース、ベントナイト、寒天、トラガカントなどの当技術分野で公知の担体を使用し得る。
【0147】
結合剤という用語は、粉末を結合するかまたはそれらを一緒に接着させ、顆粒形成を通してそれらを凝集性にする物質を指す。それらは、製剤の「接着剤」として機能する。結合剤は、提供される希釈剤または充填剤の凝集強度を増大させる。
【0148】
好適な結合剤は、例えば、小麦、トウモロコシ、米またはジャガイモからのデンプン、ゼラチン、天然に存在する糖、例えば、グルコース、スクロースまたはベータラクトース、トウモロコシからの甘味料、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸アンモニウムカルシウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ワックスなどである。組成物中の結合剤のパーセンテージは、1~30重量%、好ましくは2~20重量%、より好ましくは3~10重量%、最も好ましくは3~6重量%の範囲であり得る。
【0149】
着色剤は、医薬製剤に着色を与える賦形剤である。これらの賦形剤は、食品着色剤であり得る。それらは、粘土または酸化アルミニウムなどの好適な吸着手段に吸着することができる。着色剤のさらなる利点は、洗浄を容易にするためにネブライザおよび/またはマウスピース上にこぼれた水溶液を視覚化し得ることである。着色剤の量は、医薬組成物の重量当たり0.01~10%、好ましくは重量当たり0.05~6%、より好ましくは重量当たり0.1~4%、最も好ましくは重量当たり0.1~1%で変動し得る。
【0150】
好適な医薬着色剤は、例えば、クルクミン、リボフラビン、リボフラビン-5’-ホスフェート、タルトラジン、アルカンニン、キノリオンイエローWS、ファストイエローAB、リボフラビン-5’-ナトリウムホスフェート、イエロー2G、サンセットイエローFCF、オレンジGGN、コチニール、カルミン酸、シトラスレッド2、カルモイシン、アマランス、ポンソー4R、ポンソーSX、ポンソー6R、エリスロシン、レッド2G、アルラレッドAC、インダスレンブルーRS、パテントブルーV、インジゴカルミン、ブリリアントブルーFCF、クロロフィルおよびクロロフィリン、クロロフィルおよびクロロフィリンの銅錯体、グリーンS、ファストグリーンFCF、カラメル、コースティックサルファイトカラメル、アンモニアカラメル、亜硫酸アンモニアカラメル、ブラックPN、カーボンブラック、植物性炭素、ブラウンFK、ブラウンHT、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ガンマ-カロテン、アナト、ビキシン、ノルビキシン、パプリカオレオレオレジン、カプサンチン、カプソルビン、リコペン、ベータ-アポ-8’-カロテナール、ベータ-アポ-8’-カロテン酸のエチルエステル、フラボキサンチン、ルテイン、クリプトキサンチン、ルビキサンチン、ビオラキサンチン、ロドキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、シトラナキサンチン、アスタキサンチン、ベタニン、アントシアニン、サフラン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、水酸化鉄、アルミニウム、銀、金、顔料ルビン、タンニン、オルセイン、グルコン酸鉄、乳酸第一鉄である。
【0151】
さらに、緩衝溶液は、液体製剤、特に医薬液体製剤に好ましい。特に水溶液の緩衝液、緩衝系および緩衝溶液という用語は、酸または塩基の添加による、または溶媒による希釈によるpH変化に抵抗する系の能力を指す。好ましい緩衝系は、ギ酸塩、乳酸塩、安息香酸、シュウ酸塩、フマル酸塩、アニリン、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、グルタミン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、コハク酸塩、ピリジン、フタル酸塩、ヒスチジン、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、マレイン酸、カコジル酸塩(ヒ酸ジメチル)、炭酸、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸、PIPES(4-ピペラジン-ビス-エタンスルホン酸)、BIS-TRISプロパン(1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノール]プロパン)、エチレンジアミン、ACES(2-[(アミノ-2-オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸)、イミダゾール、MOPS(3-(N-モルフィノ)プロパンスルホン酸)、ジエチルマロン酸、TES(2-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノエタンスルホン酸)、HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸)、および3.8~7.7のpKを有する他の緩衝液を含む群から選択され得る。
【0152】
酢酸緩衝液などの炭酸緩衝液ならびにフマル酸塩、酒石酸塩およびフタル酸塩などのジカルボン酸緩衝液、ならびにクエン酸塩などのトリカルボン酸緩衝液が好ましい。
【0153】
好ましい緩衝剤のさらなる群は、硫酸塩水酸化物、ホウ酸塩水酸化物、炭酸塩水酸化物、シュウ酸塩水酸化物、水酸化カルシウムおよびリン酸緩衝剤などの無機緩衝剤である。好ましい緩衝剤の別の群は、イミダゾール、ジエチレンジアミンおよびピペラジンなどの窒素含有パフである。スルホン酸緩衝液、例えばTES、HEPES、ACES、PIPES、[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス-(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(TAPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-プロパンスルホン酸(EEPS)、MOPSおよびN,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)がさらに好ましい。好ましい緩衝液の別の群は、グリシン、グリシル-グリシン、グリシル-グリシル-グリシン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)グリシンおよびN-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]グリシン(トリシン)である。グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、N,N,N-トリメチルリジン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、o-ホスホセリン、ガンマ-カルボキシグルタメート、[エプシロン]-N-アセチルリジン、[オメガ]-N-メチルアルギニン、シトルリン、オルニチンおよびそれらの誘導体などのアミノ酸緩衝液も好ましい。KHPO緩衝液が特に好ましい。
【0154】
液体および/または固体剤形用の防腐剤は、要求に応じて使用することができる。それらは、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カルシウム、メチルパラベン、エチルパラベン、メチルエチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチル、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチルナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸プロピルナトリウム、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコール、クレゾール、塩化セチルピリジニウム、クロルブタノール、チオメルサール(2-(エチルメルクリチオ)安息香酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素カリウム、ビフェニル、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、チアベンダゾール、ニシン、ナタマイシン、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム、ヘキサミン、ホルムアルデヒド、二炭酸ジメチル、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、二酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、乳酸、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸カリウム、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、二酸化炭素、リンゴ酸、フマル酸、リゾチーム、銅-(II)-硫酸、塩素、二酸化塩素および当業者に公知の他の好適な物質または組成物を含む群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0155】
十分な量の酸化防止剤の添加は、液体および局所剤形に特に好ましい。酸化防止剤の好適な例には、メタ重亜硫酸ナトリウム、アルファ-トコフェロール、アスコルビン酸、マレイン酸、アスコルビン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、フマル酸または没食子酸プロピルが含まれる。メタ重亜硫酸ナトリウム、アルファ-トコフェロールおよびパルミチン酸アスコルビルの使用が好ましい。
【0156】
錠剤または丸剤は、通常コーティングされており、すなわちコーティングは、外層を構成する。これは、フィルムコーティング、糖類を含む糖コーティングおよび圧縮コーティングであり得る。薬学的に許容されるワニスまたはワックス、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、MC(メチルセルロース)またはHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)を使用することができる。そのようなコーティングは、味を偽装し、嚥下または識別を容易にするのに役立ち得る。多くの場合、可塑剤および顔料がコーティングに含まれる。カプセルは、通常、活性物質を封入するゼラチン状エンベロープを有する。このゼラチン状層の具体的な組成および厚さは、カプセルの摂取後にどれだけ速く吸収が起こるかを決定する。当技術分野で知られているように、持続放出製剤が特に興味深い。
【0157】
好適な甘味料は、マンニトール、グリセロール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、シクラメート、イソマルト、イソマルチトール、サッカリンならびにそのナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、スクラロース、アリテーム、タウマチン、グリチルリチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ネオテーム、アスパルテーム-アセスルファム塩、マルチトール、マルチトールシロップ、ラクチトール、キシリトール、エリスリトールを含む群から選択することができる。
【0158】
好適な増粘剤は、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ポリデキストロース、変性デンプン、アルカリ変性デンプン、漂白デンプン、酸化デンプン、酵素処理デンプン、リン酸モノデンプン、トリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンでエステル化されたリン酸ジデンプン、リン酸ジデンプンリン酸ジデンプン、アセチル化ジデンプンリン酸ジデンプン、無水酢酸でエステル化された酢酸デンプン、酢酸ビニルでエステル化された酢酸デンプン、アセチル化ジデンプンアジペート、アセチル化ジデンプングリセロール、ジデンプングリセリン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルジデンプングリセリン、ヒドロキシプロピルジデンプンホスフェート、ヒドロキシプロピルジデンプングリセロール、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、アセチル化酸化デンプン、ヒドロキシエチルセルロースを含む群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0159】
液体剤形に適したpH調節剤は、例えば、水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸二水素ナトリウムまたはリン酸水素二ナトリウムなどの緩衝物質である。
【0160】
好適な酸性度調整剤は、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、二酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、二酸化炭素、リンゴ酸、フマル酸、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、乳酸アンモニウム、乳酸マグネシウム、クエン酸、モノ-、ジ-、クエン酸三ナトリウム、モノ-、ジ-、クエン酸三カリウム、モノ-、ジ-、クエン酸三カルシウム、酒石酸、酒石酸一、二ナトリウム、酒石酸一、二カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、オルトリン酸、クエン酸レシチン、クエン酸マグネシウム、リンゴ酸アンモニウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸水素ナトリウム、リンゴ酸カルシウム、リンゴ酸水素カルシウム、アジピン酸、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アンモニウム、コハク酸、フマル酸ナトリウム、フマル酸カリウム、フマル酸カルシウム、フマル酸アンモニウム、1,4-ヘプトノラクトン、クエン酸三アンモニウム、クエン酸第二アンモニウム、グリセロリン酸カルシウム、クエン酸イソプロピル、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸第一鉄、硫酸アンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、グルコン酸を含む群から選択することができる。
【0161】
酸性化剤は、酸を生産するかまたは酸になる無機化学物質であるように使用される。好適な例は、塩化アンモニウム、塩化カルシウムである。
【0162】
好適な溶媒は、水、炭酸水、注射用水、等張化剤を含む水、生理食塩水、等張性生理食塩水、アルコール、特にエチルおよびn-ブチルアルコール、およびそれらの混合物を含む群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0163】
好適な等張化剤は、例えば、薬学的に許容される塩、特に塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、グルコースまたはラクトースなどの糖、マンニトールおよびソルビトールなどの糖アルコール、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩ならびにそれらの混合物である。
【0164】
好適な崩壊剤は、とりわけデンプン、カルボキシメチルデンプンなどの冷水溶性デンプン、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、微結晶セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムなどの架橋微結晶セルロース、グアー、寒天、カラヤ(インドトラガカント)、ローカストビーンガム、トラガカントなどの天然および合成ゴム、ベントナイトなどの粘土、キサンタンガム、アルギン酸およびアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、発泡性組成物を含む群から選択することができる。水分膨張は、例えばデンプン、セルロース誘導体、アルギネート、多糖類、デキストラン、架橋ポリビニルピロリドンによって支持される。組成物中の崩壊剤の量は、重量当たり1~40%、好ましくは重量当たり3~20%、最も好ましくは重量当たり5~10%で変動し得る。
【0165】
滑剤は、それぞれのサプリメントの焼き付きを防止し、流れが滑らかで一定になるように造粒物の流れ特性を改善する材料である。好適な流動促進剤は、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、デンプンおよびタルクを含む。組成物中の流動促進剤の量は、重量当たり0.01~10%、好ましくは重量当たり0.1~7%、より好ましくは重量当たり0.2~5%、最も好ましくは重量当たり0.5~2%で変動し得る。
【0166】
「潤滑剤」という用語は、錠剤、顆粒などがプレス金型または出口ノズルから放出されるのを容易にするために剤形に添加される物質を指す。それらは、摩擦または摩耗を減少させる。潤滑剤は通常、顆粒の表面上および顆粒とプレス金型の部品との間に存在すべきであるため、プレスの直前に添加される。組成物中の潤滑剤の量は、重量当たり0.05~15%、好ましくは重量当たり0.2~5%、より好ましくは重量当たり0.3~3%、最も好ましくは重量当たり0.3~1.5%で変動し得る。好適な潤滑剤は、とりわけ、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸金属塩、ステアリン酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸、高融点を有するワックス、ポリエチレングリコールである。
【0167】
乳化剤は、例えば、以下のアニオン性乳化剤および非イオン性乳化剤から選択することができる:アニオン性乳化剤ワックス、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、ステアリン酸、オレイン酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への2~60molのエチレンオキシドの付加生成物、ウールワックス油(ラノリン)、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエテンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエテンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエテンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエテンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエテンソルビタントリステアレート、ポリオキシエテンステアレート、ポリビニルアルコール、メタ酒石酸、酒石酸カルシウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、プロパン-1,2-ジオールアルギネート、カラギーナン、加工ユーケマ海藻、ローカストビーンガム、トラガカント、アカシアガム、カラヤガム、ジェランガム、ガティガム、グルコマンナン、ペクチン、アミド化ペクチン、アンモニウムホスファチド、臭素化植物油、スクロースアセテートイソブチレート、ウッドロジンのグリセロールエステル、リン酸二ナトリウム、二リン酸三ナトリウム、二リン酸二カルシウム、二水素二リン酸カルシウム、三リン酸ナトリウム、三リン酸五カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム、ベータ-シクロデキストリン、粉末セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルヒドロキシエチルセルロース、クロスカルメロース、酵素加水分解カルボキシメチルセルロース、脂肪酸のモノ-およびジグリセリド、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの酢酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドのモノ-およびジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドのモノ-およびジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの混合酢酸および酒石酸エステル、スクシニル化モノグリセリド、脂肪酸のショ糖エステル、スクログリセリド、脂肪酸のポリグリセロールエステル、ポリグリセロールポリリシノール酸、脂肪酸のプロパン-1、2-ジオールエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、グリセロールおよびプロパン-1のラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドと相互作用する熱酸化ダイズ油、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ステアロイル-2-乳酸ナトリウム、ステアロイル-2-乳酸カルシウム、酒石酸ステアリル、クエン酸ステアリル、フマル酸ステアリルナトリウム、フマル酸ステアロイルカルシウム、酒石酸ステアリル、クエン酸ステアリル、フマル酸ステアリルナトリウム、フマル酸ステアロイルカルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、エトキシル化モノ-およびジグリセリド、メチルグルコシド-ココナッツオイルエステル、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリリン酸カルシウムナトリウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム、コール酸、コリン塩、ジデンプングリセロール、デンプンナトリウムオクテニルスクシネート、アセチル化酸化デンプン。グリセリンモノオレエート、ステアリン酸、レシチンなどのリン脂質が好ましい。
【0168】
表面活性可溶化剤(可溶化剤)として適しているのは、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエステル、ポリエチルプロピレングリコールコポリマー、シクロデキストリン、例えばα-およびβ-シクロデキストリン、モノステアリン酸グリセリル、例えばSolutol HS 15(BASFからのMacrogol-15-ヒドロキシステアレート、PEG 660-15ヒドロキシステアレート)、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンオキシステアリン酸トリグリセリド、ポリビニルアルコール、ドデシル硫酸ナトリウム、(アニオン性)グリセリルモノオレエートである。
【0169】
安定剤は、望ましくない変化を防止するために添加することができる物質である。安定剤は、実際の乳化剤ではないが、それらは、エマルジョンの安定性にも寄与し得る。安定剤に適した例は、オキシステアリン、キサンタンガム、寒天、オーツガム、グアーガム、タラガム、ステアリン酸ポリオキシエテン、アスパルタム-アセスルファム塩、アミラーゼ、プロテアーゼ、パパイン、ブロメライン、フィシン、インベルターゼ、ポリデキストロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、クエン酸トリエチル、マルチトール、マルチトールシロップである。
【0170】
希釈剤または充填剤は、最小量の活性剤を取り扱うために薬物に添加される不活性物質である。好適な希釈剤の例は、水、マンニトール、アルファ化デンプン、デンプン、微結晶セルロース、粉末セルロース、ケイ化微結晶セルロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、アラビアガムまたはそれらの任意の組み合わせである。
【0171】
固化防止剤(付着防止剤)は、塊の形成を防止し、包装、輸送、分配キャップの少なくとも1つのチャンバからの放出および消費を容易にするために、サプリメントまたはサプリメントの組成物に添加することができる。好適な例には、リン酸三カルシウム、粉末セルロース、ステアリン酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、骨リン酸塩、ケイ酸ナトリウム、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク粉末、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムアルミニウム、アルミノケイ酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、ポリジメチルシロキサンが含まれる。
【0172】
吸着剤は、水から油を吸い上げる材料である。好適な例には、天然吸着剤、例えばピートモス、おがくず、羽毛、ならびに炭素を含有する任意の天然吸着剤およびポリエチレンおよびナイロンなどの合成吸着剤が含まれる。吸着剤は、乾燥状態での限られた流体吸着(吸着または吸着による液体または気体の取り込み)による錠剤/カプセルの防湿のために使用される。
【0173】
いくつかのガレヌス製剤では、液体経口剤形が溶解時にいくらかの泡を生成することが望ましい場合がある。そのような効果は、液体の表面張力を低下させ、したがって気泡の形成を促進する発泡剤の添加によって支持することができ、または気泡の合体を阻害することによってそのコロイド安定性を増加させる。あるいは、泡を安定させ得る。好適な例には、鉱油、キラヤ抽出物、クエン酸トリエチル、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムが含まれる。
【0174】
あるいは、いくつかの液体経口剤形は、調製時にわずかに泡沫状に見える場合がある。これは、所望の用途を妨げないが、医薬品の場合には患者のコンプライアンスに、または栄養補助食品の場合には商業的成功に影響を及ぼし得る。したがって、薬学的に許容される消泡剤(脱泡剤)を添加することが望ましい場合がある。例は、栄養補助食品中のポリジメチルシロキサンもしくはシリコーン油、または医薬品中のシメチコンである。
【0175】
乳白剤は、必要に応じて、液体投与量を不透明にする物質である。それらは、溶媒、ほとんどの場合ここでは水と実質的に異なる屈折率を有さなければならない。同時に、それらは、組成物の他の成分に対して不活性でなければならない。好適な例には、二酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、ベヘン酸、セチルアルコール、またはそれらの混合物が含まれる。
【0176】
好適な脂肪分は、例えば、オレイン酸デシルエステル、水和ヒマシ油、軽質鉱油、鉱油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0177】
稠度向上剤は、例えば、セチルアルコール、セチルエステルワックス、水和ヒマシ油、マイクロクリスタリンワックス、非イオン性乳化剤ワックス、蜜蝋、パラフィンまたはステアリルアルコールである。
【0178】
好適なヒドロトロープは、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、またはグリセリンなどのポリオールである。
【0179】
好適な芳香物質および香味物質は、とりわけ、この目的のために使用することができるエッセンシャルオイルを含む。一般に、この用語は、それぞれの特徴的な匂いを有する植物または植物の一部からの揮発性抽出物を指す。それらは、水蒸気蒸留によって植物または植物の一部から抽出することができる。
【0180】
好適な例は、エッセンシャルオイル、それぞれ、アブラナ、セージ、スギ、クローブ、カモミール、アニス、アニシード、スターアニス、タイム、ティーツリー、ペパーミント、ミント油、メントール、シネオール、ボルネオール、ジンゲロール、ユーカリ、マンゴー、イチジク、ラベンダー油、カモミールの花、マツの針、ヒノキ、オレンジ、ローズ、ローズウッド、プラム、カラン、サクランボ、カバノキの葉、シナモン、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、ジュニパー、バレリアン、レモン、レモンバラ、レモングラス、パルマロサ、クランベリー、ザクロ、ローズマリー、ショウガ、パイナップル、グアバ、エキナセア、アイビーエキス、ブルーベリー、カキ、メロン、アルファ-またはベータ-ピネン、アルファ-ピネンオキシド、アルファ-カンフォレンアルデヒド、アルファ-シトロネロール、アルファ-イソアミル-桂皮酸、アルファ-桂皮酸テルピネン、アルファ-テルピネオール、アルファ-テルピネン、アルデヒドC16、アルファ-フェランドレン、アミル桂皮酸アルデヒド、サリチル酸アミル、アニスアルデヒド、バジル、アネトール、ベイ、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ベルガモン、ビターオレンジピール、ブラックペッパー、カラムス、カンフル、キャナンガ油、カルダモン、カーネーション、カルバクロール、カルベオール、カッシア、ヒマシ、セダーウッド、桂皮アルデヒド、桂皮アルコール、cis-ピナン、シトラール、シトロネラ、シトロネラール、シトロネロールデキストロ、シトロネロール、シトロネリルアセテート;シトロネリルニトリル、シトラスウンシウ、クラリーセージ、クローブ芽、コリアンダー、トウモロコシ、ワタ種子、d-ジヒドロカルボン、デシルアルデヒド、フタル酸ジエチル、ジヒドロアネトール、ジヒドロカルベオール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセン、ジヒドロミルセノール、ジヒドロミルセニルアセテート;ジヒドロテルピネオール、サリチル酸ジメチル、ジメチルオクタナール、ジメチルオクタノール、酢酸ジメチルオクタニル、ジフェニルオキシド、ジプロピレングリコール、d-リモネン、d-プレゴン、エストラゴール、エチルバニリン、ユーカリプトール;ユーカリ-シトリオドーラ、ユーカリ-グローブス、オイゲノール、月見草、フェンコール、フェンネル、フェルニオール、魚、フロラゾン、ガラキソリド、ゲラニオール、ゼラニウム、酢酸ゲラニル、ゲラニルニトリル、グアヤコール、グアヤックウッド、グルジュンバルサム、ヘリオトロピン、エルバネート、ヒバ、ヒドロキシニトロネラル、i-カルボン、酢酸i-メチル、イオノン、イソブチルキノレイン、酢酸イソボルニル、イソボルニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソロンギフォレン、ジャスミン、ラベンダー、リモネン、リナロールオキシド(linallol oxide)、リナロール(linallol)、リナロール、酢酸リナリル、亜麻仁、アオモジ、I-酢酸メチル、ロンギホレン、マンダリン、ハッカ、メンタンハイドロパーオキシド、メントール結晶、メントールレボ、メントンレボ、アントラニル酸メチル、メチルセドリルケトン、メチルチャビコール、メチルヘキシルエーテル、メチルイオノン、サリチル酸メチル、鉱物、ミント、ムスクアンブレット、ムスクケトン、ムスクキシロール、ミルセン、ネロール、酢酸ネリル、ノニルアルデヒド、ナツメグ、オリス根、パラ-シメン、パラヒドロキシフェニルブタノン結晶、パチョリ、p-シメン、ペンチロイル油、ペッパー、ペリルアルデヒド、ペチグレン、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルプロピオネート、フェニルエチル-2メチルブチレート、ピメントベリー、ピメント葉、ピナンハイドロパーオキシド、ピナノール、パインエステル、パイン、ピネン、ピペロナル、酢酸ピペロニル、ピペロニルアルコール、プリノール、酢酸プリニル、プソイドイオノン、ロジノール、酢酸ロジニル、ロサリン、リュウ、ビャクダン、サンデノール、サッサフラス、ゴマ、大豆、スペアミント、香辛料、スパイクラベンダー、スピラントール、スターフラワー、茶種子、テルペノイド、テルピネオール、テルピノレン、酢酸テルピニル、酢酸tert-ブチルシクロヘキシル、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロリナリルアセテート、テトラヒドロミルセノール、ツラシ、チモール、トマト、トランス-2-ヘキセノール、トランス-アネトール、ターメリック、テレビン油、バニリン、ベチバー、バイタリゼール、ホワイトシダー、ホワイトグレープフルーツ、ウィンターグリーンなど、またはそれらの混合物、およびメントールと、ペパーミントと、スターアニスオイルとの混合物、またはメントールとチェリーフレーバーとの混合物からの芳香物質である。
【0181】
これらの芳香族または香味物質は、全組成物に対して、重量(特に組成物中)当たり0.0001~10%、好ましくは重量当たり0.001~6%、より好ましくは重量当たり0.001~4%、最も好ましくは重量当たり0.01~1%の範囲で含まれ得る。適用または単一の場合に関連して、異なる量を使用することが有利であり得る。
【0182】
本発明によれば、上述の賦形剤および賦形剤のクラスのすべては、本発明の使用が妨害されない限り、毒性作用が起こり得るか、またはそれぞれの国の法律が不成立である限り、単独でまたはそれらの任意の考えられる組み合わせで制限なく使用することができる。
【0183】
本発明の別の態様では、本出願は、コロナウイルス感染症の予防または治療における経口投与のための製剤に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関する。
【0184】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせの経口剤形に適した医薬製剤は、錠剤、軟ゼラチンカプセル剤、硬ゼラチンカプセル剤、糖衣錠もしくは丸剤;粉末もしくは粒状物;水性もしくは非水性液体中の液剤、シロップ剤、滴剤、茶剤、溶液もしくは懸濁液;食用フォームもしくはムース;またはエマルジョン中の水中油型もしくは油中水型などの別個の単位として投与され得る。
【0185】
したがって、錠剤またはカプセルなどの経口剤形では、活性剤は、エタノール、グリセロールまたは水などの非毒性の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。粉末は、化合物を好適に小さい粒径に粉砕し、それらを同様の方法で医薬担体、例えばデンプンまたはマンニトールなどの食用炭水化物と混合することによって生産される。香味剤、防腐剤、分散剤または着色剤も存在することができる。
【0186】
錠剤は、粉末混合物を生産、造粒または乾式プレスし、潤滑剤および崩壊剤を添加し、混合物を錠剤にプレスすることによって製剤化される。粉末混合物は、好適に粉砕された化合物を前述のように希釈剤または塩基と混合し、適用可能であれば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、例えばパラフィンなどの溶解遅延剤、例えば四級塩などの吸収促進剤、および/または例えばベントナイト、カオリンもしくはリン酸二カルシウムなどの吸収剤と混合することによって生産される。粉末混合物を、例えばシロップ、デンプンペースト、アカシア粘液またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液などの結合剤で湿潤させ、ふるいを通してプレスすることによって造粒することができる。造粒の代替として、粉末混合物を打錠機に通し、分解されて顆粒を形成する不均一な形状の塊を得ることができる。顆粒は、錠剤鋳型への付着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油の添加によって潤滑化することができる。次いで、潤滑された混合物をプレスして錠剤を得る。本発明による化合物を、流動性の不活性賦形剤と合わせ、次いで、造粒ステップまたは乾式プレスステップを行わずに直接プレスして錠剤を得ることもできる。
【0187】
本発明の別の態様では、5-アミノ2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つが硬質ゼラチンカプセル中に提供される。それらは、前述のように粉末混合物を生産し、それを成形ゼラチンカバーに充填することによって制作される。高分散シリカ、タルカム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールなどの光沢剤および潤滑剤を固体として粉末混合物に添加することができる。カプセルの摂取後の医薬品の利用可能性を改善するために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を同様に添加することができる。さらに、所望または必要に応じて、好適な結合剤および/または着色剤を混合物に添加することができる。
【0188】
本発明の別の態様では、5-アミノ2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つは、ソフトゼラチンカプセル(SGC)に含まれる。SGCsは、消化管を通過する際に溶解される。それらは、グリセロールまたはソルビタンなどの様々な量の可塑剤が濃縮されたゼラチンから主になる。放出速度は、SGC担体材料の具体的な配合に依存する。それらはまた、活性薬剤の持続放出にも適している。SGCsは、難水溶性活性薬剤の投与に特に有用である。
【0189】
本発明の別の態様では、5-アミノ2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つは、チュアブル錠または硬質カラメルに含まれる。ここで、物質は、錠剤またはカラメルのマトリックスに組み込まれる。
【0190】
本発明の別の態様では、本出願は、吸入投与用製剤におけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関する。
【0191】
肺炎、肺水腫および/または急性肺損傷を引き起こし得るコロナウイルス感染症の有効な予防的または治療的処置のために、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせが患者の肺胞に到達することが有利である。したがって、粒径は、肺組織の気道の最も低い部分に到達するのに十分に小さくなければならない。薬学的活性剤の吸入適用のための最良の吸入装置クラスは、いわゆるメッシュネブライザである。本出願の範囲では、咳および寒さのための、または凝った目的のためのむしろ単純な使い捨てメッシュネブライザから、下気道の重篤な疾患または状態の臨床的または家庭内治療のための洗練されたハイエンドメッシュネブライザまで、当技術分野で公知の実質的にすべてのメッシュネブライザを使用することができる。
【0192】
好適な市販のメッシュネブライザ、ジェットネブライザ、超音波ネブライザ、乾燥粉末吸入器および(加圧式)定量吸入器は、PARI eFlow(登録商標)rapid、PARI LC STAR(登録商標)、PARI VeloxおよびPARI Velox Junior(PARI GmbH、スターンベルグ、ドイツ)、Philips Respironics I-nebおよびPhilips InnoSpire Go(Koninklijke Philips N.V.、アイントホーフェン、オランダ)、VENTA-NEB(登録商標)-ir、OPTI-NEB(登録商標)、M-neb(登録商標)用量+メッシュネブライザ吸入MN-300/8、M-Neb Flow+およびM-neb(登録商標)メッシュネブライザMN-300/X(NEBU-TEC、エルゼンフェルト(Eisenfeld)、ドイツ)、Hcmed Deepro HCM-86CおよびHCM860(HCmed Innovations Co.,Ltd.台北、台湾)、OMRON MicroAirU22およびU100(OMRON、京都、日本)、Aerogen(登録商標)Solo、Aerogen(登録商標)UltraおよびAerogen(登録商標)PRO(Aerogen、ゴールウェイ、アイルランド)、KTMED NePlus NE-SM1(KTMED Inc.、ソウル、韓国)、Vectura Bayer Breelib(商標)(Bayer AG、レバークーゼン、ドイツ)、Vectura Fox、MPV TrumaおよびMicroDrop(登録商標)Smarty(MPV MEDICAL GmbH、キルヒハイム、ドイツ)、MOBI MESH(APEX Medical、新北市、台湾)、B.Well WN-114、TH-134およびTH-135(B.Well Swiss AG、ヴィナウ、スイス)、Babybelle Asia BBU01(Babybelle Asia Ltd.、香港)、CA-MI Kiwiおよびその他(CA-MI sri、ランギラノ、イタリア)、Diagnosis PRO MESH(Diagnosis S.A.、ビャウィストク、ポーランド)、DIGI O((DigiO International Co.,Ltd.、新北市、台湾)、feellife AIR PLUS、AEROCENTRE+、AIR 360+、AIR GARDEN、AIRICU、AIR MASK、AIRGEL BOY、AIR ANGEL、AIRGEL GIRLおよびAIR PRO 4(Feellife Health Inc.、深セン、中国)、Hannox MA-02(Hannox International Corp.、台北、台湾)、HealthおよびLife HL100およびHL100A(HEALTH&LIFE Co.,Ltd.、新北市、台湾)、Honsun NB-810B(Honsun Co.,Ltd.、南通、中国)K-jump(登録商標)KN-9100(K-jump Health Co.,Ltd.、新北市、台湾)、microlife NEB-800(Microlife AG、ヴィナウ、スイス)、OK Biotech Docspray(OK Biotech Co.,Ltd.、新竹市、台湾)、Prodigy Mini-Mist(登録商標)(Prodigy Diabetes Care,LLC、シャーロット、米国)、Quatek NM211,NE203,NE320およびNE403(Big Eagle Holding Ltd.、台北、台湾)、Simzo NBM-1およびNBM-2(Simzo Electronic Technology Ltd.、東莞、中国)、Mexus(登録商標)BBU01およびBBU02(Tai Yu International Manufactory Ltd.、東莞、中国)、TaiDoc TD-7001(TaiDoc Technology Co.、新北市、台湾)、Vibralung(登録商標)およびHIFLO Miniheart Circulaire II(Westmed Medical Group、パーチェス、米国)、KEJIAN(Xuzhou Kejian Hi-Tech Co.,Ltd.、徐州、中国)、YM-252、P&S-T45およびP&S-360(TEKCELEO、ヴァルボンヌ、フランス)、Maxwell YS-31(Maxwell India、ジャイプール、インド)、Kernmed(登録商標)JLN-MB001(Kernmed、ドゥルマースハイム、ドイツ)を含むが、これらに限定されない。
【0193】
噴霧プロセスの圧電活性化を有するメッシュネブライザ、それぞれ振動メッシュネブライザが好ましい。
【0194】
したがって、本発明の別の態様では、本出願は、吸入投与のための製剤におけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関し、吸入投与は、振動メッシュネブライザによって行われる。
【0195】
メッシュネブライザは、患者との相互作用に従って、連続モード装置およびトリガ作動装置の2つのグループに分類することができる。連続モードメッシュネブライザでは、噴霧されたエアロゾルは、マウスピース内に連続的に放出され、患者は、提供されたエアロゾルを吸入しなければならない。トリガ作動装置では、規定量のエアロゾルは、能動的かつ深い吸気呼吸時にのみ放出される。このようにして、連続モード装置よりもはるかに大量の活性剤含有エアロゾルが吸入され、最も低い気道に到達する。後者は、エアロゾル放出が呼吸サイクルに結合されないので、周囲または上気道の通路のいずれかに大量の活性剤含有エアロゾルを失う。
【0196】
したがって、トリガ作動メッシュネブライザ、特に振動メッシュネブライザが好ましい。
【0197】
噴霧プロセスの圧電活性化を有するトリガ活性化メッシュネブライザが特に好ましい。
【0198】
メッシュネブライザモデルPARI eFlow(登録商標)rapid、Philips Respironics I-neb、Philips InnoSpire Go、M-neb(登録商標)用量+メッシュネブライザ吸入MN-300/8、Hcmed Deepro HCM-86CおよびHCM860、OMRON MicroAir U100、Aerogen(登録商標)Solo、KTMED NePlus NE-SM1、Vectura Fox、Vectura Bayer Breelib(商標)が好ましい。
【0199】
最も好ましい振動メッシュネブライザモデルは、PARI eFlow(登録商標)rapid、PARI Velox、Philips Respironics I-neb、M-neb(登録商標)用量+メッシュネブライザ吸入MN-300/8、Aerogen(登録商標)Solo、Vectura Fox、Vectura Bayer Breelib(商標)などのハイエンドモデルである。
【0200】
平均液滴サイズは、通常、MMAD(空気動力学的質量中央径)として特徴付けられる。個々の液滴サイズは、MAD(質量空気動力学的直径)と呼ばれる。この値は、噴霧された粒子(液滴)の直径がそれぞれ50%より小さいか大きいかを示す。MMADが>10μmの粒子は、通常、下気道に到達せず、しばしば喉に詰まる。MMADが>5μmかつ<10μmの粒子は、通常、気管支に到達するが、肺胞には到達しない。100nm~1μmのMMADの粒子は、肺胞に沈着せず、直ちに吐き出される。したがって、最適範囲は、1μm~5μmのMMADである。最近の刊行物は、3.0μm~4.0μmのより狭い範囲をさらに支持している(Amiravら(2010)J Allergy Clin Immunol 25:1206-1211、Haidlら(2012)、Pneumologie 66:356~360を参照)。
【0201】
さらに一般的に受け入れられている品質パラメータは、1μm~5μmの範囲の直径を有する生成されたエアロゾル中の粒子の割合である(FPM;微粒子質量)。FPMは、粒子分布の尺度である。それは、<5μmの範囲の直径を有する生成されたエアロゾル中の粒子のパーセンテージ全体から<1μmの範囲の直径を有する生成されたエアロゾル中の粒子のパーセンテージを減算することによって計算される(FPF;微粒子画分)。
【0202】
本発明の別の態様では、本出願はまた、コロナウイルス感染症を予防または治療するための本発明によるエアロゾルを生産するための方法であって、以下のステップ:
a)5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせおよび任意選択的に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する0.1ml~5mlの水溶液をメッシュネブライザの噴霧チャンバに充填するステップと、
b)80kHz~200kHzの周波数でメッシュネブライザのメッシュの振動を開始するステップと、
c)生成されたエアロゾルを、メッシュネブライザのメッシュの噴霧チャンバとは反対側に排出するステップと、を含む、方法にも言及する。
【0203】
振動メッシュネブライザの振動周波数は、通常、80kHz~200kHz、好ましくは90kHz~180kHz、より好ましくは100kHz~160kHz、最も好ましくは105kHz~130kHzの範囲である(Chen,The Aerosol Society:DDL2019;Gardenshireら(2017)A Guide to Aerosol Delivery Devices for Respiratory Therapists,第4版を参照)。
【0204】
したがって、前述の方法はまた、前記振動周波数範囲と共に開示される。
【0205】
したがって、本発明による方法は、前記水溶液に含有される少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせが、生成されたエアロゾル中に噴霧されることを特徴とする。
【0206】
本発明の方法は、短時間の間に提供された水溶液から高パーセンテージの薬学的活性剤を噴霧するのに特に有効である。これは、患者のコンプライアンスにとって重要な特徴である。患者集団のかなりのパーセンテージが、吸入プロセスが不快であり、疲れており、身体的に要求が厳しいことに気付いている。一方、患者の能動的な協働は、効果的かつ標的化された吸入用途に不可欠である。したがって、治療上十分な量が可能な限り短い期間に適用されることが望ましい。驚くべきことに、3分間の時間幅の間に、水溶液中に提供された物質の95%を噴霧できることが示された。これは、高い患者コンプライアンスにとって理想的な時間幅である。
【0207】
したがって、本発明による方法は、生成されたエアロゾルの少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%が、メッシュネブライザでの噴霧開始後3分間の間に生産されることを特徴とする。
【0208】
医薬活性剤は、通常、噴霧手順ごとに単一の投与容器で提供されるが、ネブライザおよび/またはマウスピースは、一定期間にわたって使用することができ、一定の間隔で交換する必要がある。ネブライザおよびマウスピースの洗浄は、各噴霧後にデフォルトで推奨される。しかし、本明細書では、患者のコンプライアンスを合理的に認めることはできない。しかし、慎重な洗浄の後でさえ、噴霧チャンバ、出口および/またはマウスピース内にエアロゾルのいくらかの堆積物が常に存在する。エアロゾルは、水溶液から生産されるため、これらの堆積物は、吸入されたエアロゾルを汚染する可能性がある細菌のバイオバーデンを生成するリスクを有する。堆積物はまた、メッシュネブライザのメッシュ膜の孔を塞いでもよい。一般に、ネブライザおよび/またはマウスピースは、1週間または2週間ごとに交換されるべきである。したがって、医薬品とネブライザとを組み合わせた製品として提供すると便利である。
【0209】
したがって、本発明の別の態様では、本出願はまた、メッシュネブライザと、コロナウイルス感染症を予防または治療するための有効量の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせ、および任意選択的に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する水溶液を含む薬学的に許容される容器と、を備えるキットに言及する。
【0210】
代替的なキットでは、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせは、水溶液の形態ではなく、2つの分離された容器で提供され、1つは活性剤の固体形態であり、もう1つは水溶液である。最終水溶液は、最終溶液中に活性剤を溶解することによって新たに調製される。これにより、最終的水溶液がメッシュネブライザの噴霧チャンバに充填される。これらの2つの容器は、完全に分離された容器、例えば2つのバイアル、または例えばデュアルチャンババイアルであり得る。活性剤を溶解するために、例えば、2つのチャンバ間の膜が穿孔されて、両方のチャンバの内容物の混合を可能にする。
【0211】
したがって、本出願はまた、メッシュネブライザと、注射用水または生理食塩水を含む第1の薬学的に許容される容器と、コロナウイルス感染症を予防または治療するための有効投与量の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つの固体形態、本発明による組成物または本発明による組み合わせを含む第2の薬学的に許容される容器と、を備えるキットであって、任意選択的に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤が、第1の薬学的に許容される容器および/または第2の薬学的に許容される容器に含有されている、キットを開示している。
【0212】
本発明による方法によって生成されたエアロゾルは、マウスピースによってそれぞれ投与され、自己投与される。任意選択的に、そのようなマウスピースは、前述のキットにさらに含むことができる。
【0213】
提供された水溶液または最終水溶液を、注射針を装備したシリンジによってメッシュネブライザの噴霧チャンバに移送する一般的な方法。まず、水溶液をシリンジ内に引き上げて、次いで噴霧チャンバ内に注入する。任意選択的に、そのようなシリンジおよび/または注射針は、前述のキットにさらに含むことができる。限定するものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたは環状オレフィンコポリマーで作製された典型的なシリンジを使用することができ、ステンレス鋼注射針の典型的なゲージは、14~27の範囲である。
【0214】
本発明のさらに別の態様では、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせ、前記物質、組成物または組み合わせは、心肺バイパス装置の換気空気への添加剤として、補助換気の形態で提供される。集中治療室内の患者の状態が悪化すると、患者は、自身の呼吸が十分な酸素供給を可能にするまで、そのような装置内で無期限に換気される必要があることが多い。Yピースの吸入チャンバと組み合わせた定量吸入器のエアロゾルを用いた場合、良好な結果が達成された。これにより、気管支拡張薬の適投与量を1.5倍~4倍増加させることができる(Fullerら(1994)、Chest 105:214~218)。38%の薬学的活性剤を送達することができた(Marikら(1999)、Chest 115:1653~1657)。あるいは、定出力メッシュネブライザは、シンチグラフィー研究(Dugernierら(2016)Ann Intensive Care6:73)で評価したところ、10~15%の割合をもたらした。振動メッシュネブライザは、抗生物質の投与のための超音波ネブライザまたはジェットネブライザよりも良好な結果をもたらした。定出力振動メッシュネブライザを吸気肢上のY字型部分10cmに配置し、特定の換気パラメータ(1回換気量8ml/kg、呼吸数12c/分、デューティサイクル50%、30l/分未満の一定かつ低い吸気流量、および吸気休止終了20%)を設定すると、37%の肺外沈着(Luら(2011)Am J Respir Crit Care Med 184:106-115)に対して、投与された薬物(セフタジジム、アミカシン)の63%が気管内チューブの入口に到達する。ほとんどの場合、投与された薬物は、両肺間に均一に分布する。ブタでは、吸入ガス中の窒素(N/O)の代わりにヘリウム(He/O)を使用すると、胸膜下肺標本中のセフタジジム濃度が増加することが分かった(Tonnelierら(2005)Anesthesiology 102:995-1000)。
【0215】
これらの場合、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つは、固体形態(乾燥粉末)または液体形態(前に記載したように、水溶液中で、または噴霧エアロゾルとして)で挿管換気空気に添加することができる。
【0216】
したがって、本出願は、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせも開示し、前記物質、組成物または組み合わせは、心肺バイパス装置の換気空気に添加される。
【0217】
本発明のさらに別の態様では、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせ、前記物質、組成物または組み合わせが、リポソーム、ミセル、多層小胞またはシクロデキストリン複合体の形態で適用される。
【0218】
本発明のさらに別の態様では、本出願は、舌下錠用製剤におけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関する。
【0219】
本発明のさらに別の態様では、本出願は、液体剤形におけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関する。
【0220】
本出願はまた、静脈内注射、動脈内注射または腹腔内注射の形態でのコロナウイルス感染症の予防または治療における5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせの非経口投与を開示する。
【0221】
これらの液体剤形は、溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む。例は、非経口注射用の水および水/プロピレングリコール溶液、または経口溶液、懸濁液およびエマルジョン用の甘味料もしくは乳白剤の添加である。
【0222】
これらの液体剤形は、バイアル、IVバッグ、アンプル、カートリッジ、およびプレフィルドシリンジに保存することができる。好適な賦形剤には、可溶化剤、安定剤、緩衝剤、張度調整剤、増量剤、増粘剤/還元剤、界面活性剤、キレート剤およびアジュバントが含まれる。
【0223】
本発明のさらに別の態様では、コロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせ、前記物質、組成物または組み合わせは、凍結乾燥物として製剤化される。凍結乾燥物は、注射用水または生理食塩水または水/エタノール溶液で再構成し、次いで注射によって投与することができる。
【0224】
静脈内注射のための典型的な適用形態には、注入ポンプ、皮下注射針、点滴チャンバ、末梢カニューレ(末梢静脈カテーテル)および圧力バッグが含まれる。
【0225】
一般的には、水溶液または生理食塩水が好ましい。本発明による難溶性医薬品の場合、エタノールまたはエタノール/水混合物も使用することができる。
【0226】
さらに好適な液体剤形には、滴剤、点眼剤および点耳剤が含まれる。
【0227】
SARS-CoVおよびMERS-CoVは、とりわけ下気道に感染するが、SARS-CoV-2は、最初に咽頭/咽喉領域に感染する。これらの患者のごく一部が、後に肺感染症および肺炎を発症する。これらの咽頭感染症は通常、風邪のような軽度の症状または無症状しか引き起こさないが、これらの患者は、いずれもその環境に対して感染性が高い。ほとんどの場合、彼らは、感染症のスプレッダになったことを知らない。したがって、そのような患者を治療するためだけでなく、流行の拡散を防止するための疫学的理由のために、まだ咽頭段階にあるときにコロナウイルス感染症を既に治療する医学的必要性がある。咽頭感染症を有する患者にとって、有害な副作用も引き起こす場合がある非常に有効な薬物または薬物の組み合わせによる全身投与経路、例えば静脈内または経口投与のみが理想的ではない。したがって、感染した咽頭組織を局所的に治療する投与経路を提供することが望ましい。
【0228】
したがって、本発明のさらに別の態様では、本出願は、咽頭投与用製剤におけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関する。
【0229】
咽頭への医薬品の投与は、滴剤、ローションもしくはチンキ剤としての好適な液体剤形、またはゲルもしくはヒドロゲルなどの粘性剤形による咽頭/咽頭領域のブラッシング、うがい薬によるうがい、舌下錠、ロゼンジ、喉スプレーもしくは咽頭後壁注射などの局所投与によって行うことができる。
【0230】
ローションは、皮膚または粘膜への適用を意図した低粘度局所製剤である。ローションは、素手、ブラシ、清潔な布、または綿で皮膚または粘膜に適用される。
【0231】
ローションの利点は、ローションが薄く広がることができ、皮膚または粘膜の広い領域を覆うことができることである。ローションの形態で投与することができる典型的な薬物には、抗生物質、防腐剤、抗真菌剤、コルチコステロイド、抗座瘡剤、鎮静剤、平滑剤、保湿剤もしくは保護剤、または抗アレルゲン剤が含まれる。
【0232】
ほとんどのローションは、エマルジョンを一緒に保つためにセテアリルアルコールなどの物質を使用する水中油型エマルジョンであるが、油中水型ローションも配合される。重要な成分は、水性相および油性相、これらの2つの相および原薬の分離を防止するためのエマルジョンである。香料、グリセロール、ワセリン、染料、防腐剤、タンパク質および安定剤などの多種多様な賦形剤が一般にローションに添加される。
【0233】
ローションの厚さ、稠度および粘度は、製造中に調整することができる。ローションを製造することは、2サイクルで行うことができる:a)皮膚軟化剤および潤滑剤をブレンド剤および増粘剤と共に油中に分散させ、b)香料、着色料および防腐剤を水相に分散させる。薬学的に活性な原理は、関与する原料およびローションの所望の特性に応じて両方のサイクルで分解される。
【0234】
チンキ剤は、典型的にはアルコール抽出物または配合物である。25~60%(またはさらに90%)の溶媒濃度が一般的である。チンキ剤を生産するための他の溶媒には、酢、グリセリン、ジエチルエーテルおよびプロピレングリコールが含まれる。エタノールは、酸性成分およびアルカリ性成分の両方に対して優れた溶媒であるという利点を有する。グリセリンを使用するチンキ剤は、グリセライトと呼ばれる。グリセリンは、一般に、エタノールよりも貧溶媒である。酸性である酢は、アルカロイドを得るためのより良好な溶媒であるが、酸性成分のための貧溶媒である。
【0235】
ゲルは、固体分散相が流体連続相のネットワークとの組み合わせでネットワークを形成し、粘性半剛性ゾルをもたらすコロイドである。ゲル特性は、柔らかくて弱いものから硬くて丈夫なものまでの範囲である。それらは、定常状態で流れを示さない実質的に希薄な架橋系として定義される。重量で、ゲルは、ほとんどが液体であるが、液体内の三次元架橋ネットワークのために固体のように挙動する。ゲルにその粘稠度を与え、接着スティックに寄与するのは、流体内の架橋である。ゲルは、固体媒体内の液体の分子の分散体である。
【0236】
ヒドロゲルは、親水性であるポリマー鎖のネットワークであり、水が分散媒であるコロイドゲルとして見出されることもある。三次元固体は、架橋によって一緒に保持されている親水性ポリマー鎖から生じる。固有の架橋のために、ヒドロゲルネットワークの構造的完全性は、高濃度の水から溶解しない。ヒドロゲルは、高度に吸収性である(それらは、90%を超える水を含有することができる)天然または合成のポリマーネットワークである。ヒドロゲルはまた、それらの有意な含水量のために、天然組織に非常に類似した程度の柔軟度を有する。医学では、ヒドロゲルは、化学系をカプセル化することができ、化学系は、pHの変化などの外的要因によって刺激されると、ほとんどの場合、液体状態へのゲル-ゾル転移によって特定の薬学的活性剤を環境に遊離させ得る。
【0237】
好適なゲル形成剤は、寒天、アルギン、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カラギーナン、ヘクトライト、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボマーナトリウムを含むが、これらに限定されない群から選択することができる。
【0238】
うがい薬は、口周囲の筋肉の収縮および/もしくは頭部の動きによって口の中に受動的に保持されるか、または口の周りをすすぐ液体であり、うがいしてもよく、頭部を後ろに傾けて、液体は口の奥で泡立つ。したがって、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせの水溶液またはアルコール溶液を製剤化し、咽頭に投与することができる。
【0239】
舌下投与剤形は、肝代謝を迂回するので、経口薬物送達と比較した場合、舌下薬物送達は代替法であり得る。薬理学的効果の迅速な発現は、いくつかの薬物、特に急性障害の治療に使用される薬物にしばしば望まれる。舌下錠は、急速に崩壊し、存在する少量の唾液は通常、より良好な溶解およびバイオアベイラビリティの増加と相まって剤形の崩壊を達成するのに十分である。
【0240】
薬物は、脂質二重層を通して分配することができるのに十分な親油性でなければならないが、一旦脂質二重層に入ると、再び分配されないような親油性ではない。吸収の拡散モデルによれば、脂質二重層を横切る流動は、濃度勾配に正比例する。したがって、より低い唾液溶解度は、より低い吸収速度をもたらし、逆もまた同様である。一般に、舌下用に製剤化された薬物は、理想的には、その拡散を促進するために500未満の分子量を有するべきである。口腔は、5.0~7.0にある狭いpH範囲を有する。イオン化可能な薬物の製剤中に好適な緩衝液を含めることにより、水性唾液のpHを制御することが可能になる。
【0241】
薬物味マスキングの不快な味または臭いの可能性を回避するために、必要である。甘味料、香味剤および他の矯味剤は、必須成分である。糖系賦形剤は、唾液中で急速に溶解し、溶解吸熱を生じる。それらは、口の中に心地よい感触を作り出し、他の風味と共に舌下錠に最も適している。
【0242】
舌下錠を製造するための典型的な技術には、直接圧縮、圧縮成形、凍結乾燥およびホットメルト押出が含まれる(Khanら(2017)J Pharmaceut Res16:257-267)。
【0243】
嚥下が回避される場合、舌下錠による薬学的活性剤の投与は、咽頭/咽喉に局所的に到達することもできる。薬学的活性剤の吸収は、咽頭粘膜を介して良好な部分に起こる。
【0244】
ロゼンジ(トローチ)は、口または喉の局所治療に使用される収斂薬、消毒薬または減粘薬を含有する固化ペーストで構成された小型の円盤状または菱形体であり、ロゼンジは溶解するまで口の中に保持される。ロゼンジのビヒクルまたはベースは、通常、アカシアまたはトラガカントとの混合によって作製された接着剤である糖、黒色または赤色のカラントから作製されたフルーツペースト、バラの菓子、またはトルーのバルサムである。
【0245】
特に、本出願は、咽頭投与のための製剤におけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関し、咽頭投与は、喉スプレーによって行われる。
【0246】
喉スプレーは、典型的には咽頭炎または咳を治療するためのスプレーとして喉に投与される薬用液体である。
【0247】
喉スプレーは、典型的には、局所麻酔薬(例えば、リドカイン、ベンゾカイン)、消毒剤(例えば、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム)、ハーブ抽出物またはそれらの組み合わせを含有し得る。製剤が何であれ、粘膜をさらに刺激する糖またはエタノールを過剰に含有すべきではない。そして最後に、ユーザは、いかなる不快な後味も経験すべきではない。
【0248】
喉スプレーの標準は、現在、10~30mlの液体製剤を含有するボトルに取り付けられた計量ポンプである。製剤は、スクリュクロージャによってポンプが固定され、ボトルネックにクリンプされるか、または単にスナップ留めされた状態で、ガラスまたはプラスチックボトルに充填される。選択された固定オプションに関係なく、系は、きつくなければならず、ユーザによる運搬または取り扱い中に漏れが観察されない。通常、容器は、ガラスまたはプラスチックから作製される。
【0249】
典型的には、喉スプレーポンプは、作動当たり50~200μlの範囲の用量を送達する。標的投与のために、ポンプには、延長ノズルを備えたアクチュエータが装備される。ノズル長さは、30mm~70mmの範囲であってもよい。そのような長い固定ノズルで患部を標的にすることはより容易であるが、これは、ユーザが運搬するには大きすぎる可能性があり、それが折り畳み式または旋回式ノズルを有するアクチュエータが好ましい理由である。
【0250】
あるいは、装置は、連続バルブを利用する。アクチュエータが押し下げられている間に製剤がエアロゾル化されるので、連続弁は、標的化された治療を送達するが、正確な投薬は送達しない。1つの技術的解決策は、加圧ヘッドスペースを有するスズまたはアルミニウム缶である。弁を作動させるとき、上昇した内圧は、弁システムが押し下げられている限り、製剤を缶から押し出す。
【0251】
関連するがより洗練されたシステムは、バッグ・オン・バルブ(BOV)システムである。推進剤(ほとんどの場合、圧縮空気)がバッグと外側缶との間の空間に充填されている間に、製品はバッグの内側に配置される。連続弁が作動されると、製品は圧縮空気によってバッグから絞り出される。BOVシステムは、任意の360°の配向で機能する。
【0252】
喉スプレー製剤は、非常に攻撃的であり、表面張力を低下させ得る成分を含有し得るので、注意すべきである。スプレー性能の簡単な試験は、製剤がシステムによってエアロゾル化され得ること、ならびに送達されるスプレーパターンおよび粒径が意図する用途に適切であることを確実にする。
【0253】
スプレーパターンおよび液滴サイズ分布は、喉スプレーの最も重要なパラメータである。スプレーパターンは、完全に発達したスプレーのスプレー角度およびプルームの形状を説明するために使用される用語である。スプレーがレーザ回折法を使用して完全に現像されると、液滴サイズが特徴付けられる。微粒子(平均動的直径が10μm未満の液滴)は、下気道における液滴堆積を回避するために可能な限り低くすべきである。
【0254】
最近、ウイルス由来の上気道感染症に対する保護を主張するいくつかのカラゲロースベースの喉スプレーが登場した。このプラットフォームの第1のポリマーは、呼吸器疾患を治療するための広く活性な抗ウイルス化合物であるCarragelose(登録商標)である。化合物は、その湿潤効果に加えて、粘膜細胞上のウイルスの結合を防止する。
【0255】
あるいは、上気道での堆積のために、高い出力速度および調整された液滴サイズを有する携帯型ネブライザを使用することができる。フェイスマスクを通して呼吸すると、上気道全体の粘膜上に液滴が堆積する可能性がある(MarxおよびNadler(2018)Drug Development&Deliveryを参照)。
【0256】
特に、本出願は、咽頭投与のための製剤におけるコロナウイルス感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関し、咽頭投与は、咽頭後壁注射によって行われる。
【0257】
この技術は、整形外科における水酸化カルシウムアパタイトの注入による咽頭形成術および他の方法に使用される。しかしながら、薬学的に活性な薬剤を投与するために、咽頭組織に局所注射を行うこともできる。注射液は、静脈内または筋肉内注射の場合とほぼ同じであり得る。水溶液、生理食塩水、またはかなり親油性の薬学的に活性な薬剤の場合、エタノール/水混合物が好ましい。
【0258】
本発明のさらなる態様では、本出願は、経鼻投与用製剤におけるSARS-CoV-2感染症の予防または治療に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関する。
【0259】
特に、経鼻投与は、鼻腔スプレーまたは点鼻薬によって行われる。
【0260】
鼻腔用スプレー製品に使用される一般的な製剤タイプは、溶液、懸濁液およびエマルジョンである。鼻スプレー製剤は、水性、水性アルコール性または非水性ベースであり得る。系の種類に応じて、製剤は、溶媒および共溶媒;粘膜付着剤;pH緩衝剤;酸化防止剤;防腐剤;重量オスモル濃度および張度剤;浸透促進剤;懸濁化剤;ならびに界面活性剤を含む一連の機能的賦形剤を含む。製剤タイプおよび選択される賦形剤の選択肢は、5-アミノ2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つの溶解度および安定性、ならびに典型的な100μlスプレーで有効用量を送達するのに必要な濃度によって決定される(KulkarniおよびShaw(2016)in:Essential Chemistry for Formulators of Semisolid and Liquid Dosages,Elsevierを参照)。前述のCarragelose(登録商標)技術は、鼻スプレーにも使用される。
【0261】
ノーズドロップは、同様の製剤で投与されるが、ディスペンサを押す代わりに滴下される。
【0262】
特に、本出願は、経鼻投与のためのSARS-CoV-2感染症の予防または治療における製剤に使用するための5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関し、経鼻投与は、経鼻スプレーまたは点鼻薬によって行われる。
【0263】
目の粘膜は、生物に対するSARS-CoV-2の別の入口点であることが知られており、例えば、人は目をこすりながら手にウイルスを持つ。
【0264】
したがって、本出願はまた、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせに関し、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせの投与は、点眼剤によって行われる。
【0265】
点眼剤は、主に医薬活性剤を含有する水溶液である。pHは、通常、7.1~7.5に調整される。点眼剤の一般的な緩衝剤は、ホウ酸および一塩基性リン酸ナトリウムである。等張性は、0.9%の生理食塩水(または別の等張化剤、例えば硝酸カリウム、ホウ酸、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウムリン酸緩衝液またはマンニトール)によって角膜上皮と等張の浸透圧(225~430mosm/kg)に調整されるべきである。好適な防腐剤には、チオメルサール、有機水銀化合物、例えばフェニル水銀、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジンおよびベンジルアルコールが含まれる。接触時間を延長するために、セルロース誘導体(ヒプロメロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒアルロン酸、酢酸フタル酸セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールまたはポロキサマーなどの接触時間増粘物質(増粘剤)を添加することができる。塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの湿潤剤または界面活性剤を含めることができる。いくつかのアミノ酸は、単独で、またはヒアルロン酸ナトリウムと組み合わせて、必要に応じて組織再構成の促進に役立ち得る。好適なアミノ酸は、グリシン、ロイシン、リジンおよびプロリンである(欧州特許第1940381号明細書を参照)。
【0266】
本発明のさらなる態様では、コロナウイルス感染症の治療方法が開示され、有効量の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンまたはその薬学的に許容される塩のうちの1つ、本発明による組成物または本発明による組み合わせが、それを必要とする患者またはコロナウイルスに感染するリスクがある健常者に投与される。
【実施例
【0267】
すべての実験において、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩の溶液を、上述の無水形態Iの5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩(MetrioPharmによって提供される)を使用して調製した。
【0268】
実施例1:5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩は、感染VeroB4細胞におけるSARS-CoV-2の複製を阻害する
【0269】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩がウイルス感染症の広がりに影響を及ぼすかどうかを調べるために、ウエスタンブロット(WB)分析を行った。Vero B4細胞(米国国立衛生研究所、Bethesda、米国;Meyerら(2015)Emerg Infect Dis21:181-182)を、10%(v/v)の不活化ウシ胎児血清(FCS)、2mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で維持した。Vero B4細胞のコンフルエントな単層を、100倍希釈の野生分離株SARS-CoV-2PR-1(推定感染日の6日後および軽度のCOVID-19症状の開始の2日後に61歳の患者から単離した)を含むFCS非含有DMEMに1時間感染させた。次いで、細胞をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、非細胞傷害性濃度(0.5μM、1μM、2μM)の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩を含有する新鮮な培地を提供した。5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩による処理を実験手順全体にわたって行った。感染3日後(dpi)ウイルス含有細胞培養上清を回収した。細胞培養上清から20%(w/v)のスクロース緩衝液(20,000×g、4℃、90分)を介してビリオンを精製した。細胞をPBSで洗浄し、ペレットをSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)試料緩衝液に溶解し、SDS-PAGEゲル電気泳動によって分離し、ニトロセルロースメンブランに転写し、3%のウシ血清アルブミンによりブロッキング処理し、適切な一次抗体とインキュベーションした。回復期SARS-CoV-2患者血清を使用してSARS-CoV-2タンパク質を可視化した。セイヨウワサビペルオキシダーゼに結合した抗ヒト二次抗体は、Dianova(ハンブルグ、ドイツ)から入手した。可視化は、電気化学発光反応によって行った。
【0270】
ここで、Vero B4細胞では、SARS-Cov-2複製の阻害が示された。5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質の明確な減少を示した。それぞれのゲルバンドを図1Aに示す。
【0271】
解析プログラムAIDA(登録商標)を用いて、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドの濃度測定評価を行った。デンシトメトリー評価は、ウエスタンブロットにおけるシグナル強度の定量化を可能にし、したがって、試料中の特定のタンパク質の量に関する結論を可能にする。評価は、5-アミノ2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩の添加後、SARS-CoV-2タンパク質の生成が用量依存的に阻害されたことを明確に示した(図1B)。統計分析は、ウェルチの補正による対応のないT検定を使用して実行した;**p<0.01、*p<0.05。
【0272】
実施例2:有効濃度では、5-アミノ2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩は、VeroB4細胞培養物において細胞傷害性ではない
【0273】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩が上記の系において細胞傷害効果を示すかどうかの疑問に対処するために、非感染Vero B4細胞を、増加する濃度の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩(0.25mM、0.5mM、1mM、2mM、4mM)を用いてウエスタンブロット研究と並行して処理した。毒性をWST(水溶性テトラゾリウム塩1)アッセイで評価する。ここで、インタクトなミトコンドリアコハク酸-テトラゾリウムデヒドロゲナーゼ系を有する生細胞は、かすかに赤いテトラゾリウム塩WST-1(4-[3-(4-ヨードフェニル)-2-(4-ニトロフェニル)-2H-5-テトラゾリオ]-1,3ベンゼンジスルホネート)の暗赤色ホルマザンへの酵素的変換をもたらす。この色の変化は、分光光度計で測光的に測定することができる。したがって、WSTアッセイは、細胞代謝に対する物質の毒性を測定するための非常に高感度の方法である。未処理細胞についての値を100%に設定した。
【0274】
5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩は、3日間の観察期間中、Vero B4細胞において抗ウイルス有効濃度でいかなる有意な毒性効果も示さないことが示され得る。
【0275】
図2では、生細胞のパーセンテージを未処理細胞と比較して示す。未処理細胞についての値を100%に設定した。1μMのスタウロスポリン(ストレプトマイセス・スタウロスポレウス(Streptomyces staurosporeus)由来のインドロカルバゾール化合物、アポトーシス誘導剤)を陽性対照として使用した。統計分析は、ウェルチの補正による対応のないT検定を使用して実行した;**p<0.01、*p<0.05。
【0276】
したがって、5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩の抗ウイルス効果は、非特異的な細胞傷害効果によるものではないと言える。
【図面の簡単な説明】
【0277】
図1A】ビヒクルおよび未処理細胞に対する、それぞれ0.5mM、1mMおよび2mMの5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩での3日間の処理後のSARS-CoV-2ヌクレオカプシドのウエスタンブロットバンドを示す図である。
図1B】ビヒクルおよび未処理細胞に対する、それぞれ0.5mM、1mMおよび2mMの5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩での3日間の処理後にウエスタンブロットバンドで検出されたSARS-CoV-2ヌクレオカプシドの濃度測定評価を示す図である。検出されたウイルスタンパク質のパーセンテージを示す。ビヒクルを100%に設定した。(平均±SEM;n=3/群;各々重複;**p<0.01、*p<0.05)
図2】異なる濃度の5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオンナトリウム塩による3日間の処理後のWSTアッセイにおける細胞生存率を示す図である。生細胞のパーセンテージを示す。未処理細胞を100%とした。スタウロスポリン(1μM)を陽性対照として使用した。(平均±SEM;n=3/群;各複製して)
図1A
図1B
図2
【国際調査報告】