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特表2023-529023洋上風力分野の産業に適用可能な鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(54)【発明の名称】洋上風力分野の産業に適用可能な鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/44 20060101AFI20230629BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20230629BHJP
   B63B 35/38 20060101ALI20230629BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20230629BHJP
   B63B 75/00 20200101ALI20230629BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B63B35/44 Z
F03D13/25
B63B35/38 A
B63B35/00 T
B63B75/00
E02D27/52 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023512485
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 ES2021070300
(87)【国際公開番号】W WO2021224525
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P202030418
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522437968
【氏名又は名称】シープレイス、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】SEAPLACE S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ、デ、グスマン、モントン
(72)【発明者】
【氏名】ハイメ、モレウ、ガマソ
(72)【発明者】
【氏名】ミリアン、テルセーニョ、エルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ、ロペス、ビスケイノ
(72)【発明者】
【氏名】カリダード、ガルシア、メローニョ
(72)【発明者】
【氏名】サルバドール、デルガド、フランコ
(72)【発明者】
【氏名】オスカル、ペレス、ディアス
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト、タボアダ、ゴサルベス
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト、ネグエルエラ、イマーニャ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、ゴンサレス、ロペス
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル、モレウ、ムナイス
【テーマコード(参考)】
2D046
3H178
【Fターム(参考)】
2D046DA61
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB45
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD12Z
3H178DD67X
(57)【要約】
本発明は、大量生産用の鉄筋コンクリート製の浮体式風力プラットフォームのための解決手段において、コンクリートに静水圧の自然プレストレスを提供し、コンクリートを圧縮下で機能させる幾何学的な設計によって特徴付けられている解決手段に関する。最も効果的なモードで機能するためのプラットフォームの構造的な応答が改善され、コンクリートにおける破断または亀裂の発生が防止され、これによって、浸透性が低減され、構造体に含まれる鉄筋を削減することができ、また、動作安全性を高めることができる。さらに、本発明は、係留応力を均一に分散する鉄筋コンクリート製のトラスの形態で係留索を構造体にアンカー固定し、プラットフォームの高い領域でのプレストレスを最小限に抑え、プラットフォームと風力タービンのタワーとの間のセクションの変化による剪断力を分散させる領域を増加させるためのシステムを有している。さらに、幾何学的な設計により、喫水の浅いSPAR、半潜水艇、バージまたはブイなどの解決手段を採用することができ、風力タービンが、構造体の中心にまたは中心から外れて設置され、したがって、それぞれ異なる喫水要件または異なる環境条件および物流条件に適応される汎用性を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームにおいて、
a)鉄筋コンクリート製の平らな基礎から構成された下側本体(1)と、
b)相互間に真っ直ぐな接触セグメントを備えた少なくとも5つの隣接し合う準円形体(6)を互い違いに配置した形態で構成された、水平なセクションを備えた鉛直な押出体により形成された鉄筋コンクリート製の単一の中間本体(2)であって、各々の準円形体の内部が、耐漏性の空間(8)であり、3つの準円形体の内側空間のそれぞれが、中空の空間(7)であり、海に直接接続されている、中間本体(2)と、
c)準円形体(6)の延長部であり、前記風力タービン用の支持体として機能する少なくとも1つのタワー(4)により形成された、前記中間本体(2)に設けられた上側本体(3)と、
d)前記プラットフォームを海底に接続する索(10)による係留システムと
を備えることを特徴とする、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項2】
前記中間本体(2)の囲い(5)が、ドームであり、各々のドームは、鉄筋コンクリート製の前記中間本体(2)の前記セクションを形成する前記準円形体(6)の各々に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項3】
前記中間本体(2)の囲い(5)が、補強された平らなスラブまたはプレートであり、各々の補強されたスラブまたはプレートは、鉄筋コンクリート製の前記中間本体(2)の前記セクションを形成する前記準円形体(6)の各々に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項4】
各々の準円形体(6)の内側の前記耐漏性の空間(8)の一部は、固体バラストおよび液体バラストと、空気との組合せを収容する能力を有する、請求項1および2記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項5】
各々の準円形体(6)の内側の前記耐漏性の空間(8)の一部は、固体バラストおよび液体バラストと、空気との組合せを収容する能力を有する、請求項1および3記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項6】
前記係留システムは、
a)プレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)であって、コンクリート製の前記中間本体(2)とドームの形態の囲い(5)との間に位置していて、三角形状に配置された少なくとも3つの長手方向要素から構成されていて、前記格子体の頂点が、前記プラットフォームの前記中間本体(2)の前記セクションを形成する前記準円形体(6)同士の間の前記真っ直ぐな接触セグメントに位置するように位置している平らな格子体
によって特徴付けられており、
b)係留用の前記索(10)は、前記プラットフォームの前記中間本体(2)の前記セクションを形成する前記準円形体(6)同士の間の前記真っ直ぐな接触セグメントにその最も高い領域で固定されており、プレストレストコンクリート製の前記平らな格子体(9)と係留用の前記索(10)との間に構造的な連続性が存在している、
請求項4記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項7】
前記係留システムは、コンクリート製の前記中間本体(2)とドームの形態の前記囲い(5)との間に位置する補強プレートに固定された係留用の索によって特徴付けられている、請求項4記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項8】
前記係留システムは、前記平らな囲い(5)に固定された係留用の索(10)によって特徴付けられている、請求項5記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の適用の技術分野は、洋上風力産業の浮体式プラットフォームの技術分野である。
【0002】
本発明は、海上で風力発電を行うための風力タービンを支持する鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームから構成されている。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
再生可能エネルギーの普及に伴い、そのようなエネルギーの利点を最大限に活用する傾向が生まれている。特に風力発電では、陸上よりも風速が速く(かつ乱れが少なく)、したがって、より多くの発電量が保証される海上にプラットフォームを設置する傾向が見られる。また、これらの風力特性は、海岸から遠く離れるほど向上する。
【0004】
しかしながら、これらの現場は、多くの場合、海底の凹凸、地盤の種類または固定式プラットフォームが水深60mを超える領域に位置するなどの理由から、固定式プラットフォーム(すでに経済的であり、周知のプラットフォーム)では競争力がないという欠点を有している。これにより、最も成功が見込める解決手段は、現在のところ、浮体式プラットフォームとなり、このことは、この解決手段のサイズの増大、係留システムおよび海底にアンカー固定する手段の必要性、種々異なる洋上作業、新たな不確実性、リスクなどによるコストの連続的な変化を伴う。さらに、このプラットフォームは固定されていないため、風、波、潮流によって生じる移動にさらされ、風力タービンの性能低下、風力タービンを支持する構造体の疲労増加、共振などを伴う。そのため、浮体式プラットフォームは、浮体式プラットフォームの動作中と、浮体式プラットフォームの建設、輸送、設置の際との両方において、浮体式プラットフォームに影響を及ぼす一連の課題に対処する必要がある。
【0005】
10年前までのこの分野での動向は、浮体式プラットフォーム建造の構造解決手段として鋼材を使用することであった。鋼材で建造する主な利点は、石油・ガス産業での鋼材構造体、洋上風力産業での固定鋼材プラットフォームから得られた経験による、鋼材の挙動に関する知識の水準にある。しかしながら、鋼材の使用は、特に洋上で腐食しやすい材料であること、価格が不安定であること、他の材料に比べて1t(トン)当たりの取得コストおよび取扱いコストが高いことなどの欠点を有している。さらに、しかしながら、鋼材1t当たりの生産で温室効果ガスのCOが約2t発生する。
【0006】
温室効果ガス排出量削減の合意がなされ、気候変動への意識が高まっている社会では、排出量を削減する他の建材を検討することが理にかなっていると考えられる。例えば、欧州委員会の2050年の目標は、COの排出を実質ゼロにすることである。そのため、再生可能な手段による発電の動向に加えて、こういった目標達成のための代替材料の模索がまた必要である。コンクリートは、建設において世界中で最も広く使用されている材料である。コンクリートは、鋼材に比べて建設過程でのCO排出量が少なく、プラットフォームコストも低いという本質的な優位性を有している。その結果、過去10年の間にコンクリートを用いた洋上風力発電の解決手段が開発されてきた。
【0007】
中国特許出願公開第102358402号明細書は、炭化水素の生成および貯蔵のための浮体式プラットフォームに関する。この構造体は、ハニカムの形態で配置された六角形状の鋼製の複数の本体により形成されており、これらの本体の各々が炭化水素貯蔵タンクであり、各々のタンクはタンクの6つの壁を他の6つのタンクと共有している。タンクが壁を共有しているとは、連続するタンクに存在する喫水の差およびプラットフォームが海に浮遊しているときの実際の喫水との差が、構造体に一連の力を与える圧力の差を引き起こすことを意味する。この力と、波などの外的要因によって生じる荷重とが組み合わさると、リグの構造的な強度を保証しかつ動作中に崩壊しないことを保証するための環状の補強および長手方向の補強が設けられていない場合、極めて厚い壁が必要となる。鋼製の構造体は、コンクリート製の同等の構造体に比べて桁違いに薄いため、座屈の影響を受けやすい。その結果、厚みを増す必要性は、大量の鋼材と、パネル同士の間の多数の溶接とが必要となるため、解決手段のコストがより高くなる。さらに、この構造体は、露出した鋼材表面の増加により、かなり顕著な腐食を受けるため、リグのメンテナンスがより高価になる。準円筒形状を有する鉛直タンクを互い違いに配置して構成される本発明は、座屈防止のために鉄筋コンクリートを使用し、構造体の中央に、海に直接接続されている開口を有している。これにより、荷重の対称性が生まれ、異なるタンクの充填水位に関係なく、構造体が均一に作用するようになる。さらに、コンクリートに自然なプレストレス状態が得られるため、コンクリートの破断または亀裂が低減し、プラットフォームの耐漏性が向上し、波の衝撃などの非対称な荷重の事象に対しても構造的な強度が向上する。
【0008】
鉄筋コンクリート構造体は、1t当たりの材料費が安く、土木建設業界でのコンクリートの使用から得られる経験が十分にあるため、産業界でますます多く使用されているが、コンクリートの主要な課題の1つは、曲げ条件および引張条件下で作用するときの構造的な挙動が悪いことである。この課題を解決するために、ほとんどの解決手段は、鉄筋コンクリート構造体において大量の骨組みを使用することと、前述のコンクリートにプレストレス加工を適用することとに基づいている。特開2014-184863号公報では、コンクリートの構造的な挙動を改善するために、コンクリートに軸線方向のプレストレスを提供する目的で、コンクリート本体内にリブの形態で配置された鋼製構造体が使用されている。しかしながら、鋼材とコンクリートとの混合構造体の使用は、コストとCO排出量とを増加させる。さらに、コンクリート補強材として鋼製構造体を使用するには、犠牲陽極、強制通電システムなど、海水による腐食を制御するためのシステムを設ける必要がある。
【0009】
国際公開第2013/155521号では、実施形態の1つとして、コンクリート製の中心円筒体の周りに同心円状に配置され、異なる種類の長手方向の鋼製構造体によって中心円筒体に取り付けられた複数の円筒状の本体に基づいたコンクリート製のプラットフォームが記載されている。この種の解決手段では、複数の本体が互いに取り付けられているため、取付け領域において高度な局所補強が必要となる。なぜならば、取付け領域は荷重伝達領域であり、アセンブリ全体に生じる力に対して最も敏感であるからである。これらの領域を補強する必要があるため、装置の構造的な複雑性がより大きくなり、孤立した領域に応力が集中する。本発明は、構造的に単純な解決手段である。なぜならば、本発明は実際に単一の本体を含み、付加的な取付け要素を排除しており、構造体における応力集中点が防止されるため、本発明の構造的な挙動が最適化されるからである。さらに、まさに本発明の設計により、プラットフォームは圧縮下で機能するため、鉄筋コンクリートに含まれる骨組みが最小限に低減される。
【0010】
風力タービンを備えた浮体式プラットフォーム、特に鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームに影響する別の課題は、コンクリート本体がプラットフォームのタワーよりも広い場合、風力タービンのタワーからプラットフォームのコンクリート本体への移行部に存在するプラットフォームのセクションの面積が急激に変化することである。この点には顕著な力の集中が生じるため、この領域は疲労破壊に対して特に敏感になっている。この種のプラットフォームで一般的に考えられる解決手段は、この領域のセクションに大きな構造的な剛性を提供する一連の補強を施した移行部分を配置するように構成し、このような急激な面積の変化を相殺することである。
【0011】
米国特許出願公開第2019/264656号明細書は、浮体式プラットフォームの鉄筋コンクリート本体と、風力タービンを支持する鋼製タワーとの間の移行部分に関する。移行部分は、前述のタワーとプラットフォームの本体との間の取付けにおいて生じる力をより均等に分配することを可能にする双曲面形状を有している。準円筒形状を有する鉛直タンクを互い違いに配置して構成される本発明も、浮体式構造体から風力タービンのタワーへの荷重を均等に分配するが、この場合、取付けは、タワーを支持して終端する中間本体の準円筒セクションの1つから実現される。準円筒体と風力タービンのタワーとが異なる直径を有している場合、準円筒体の延長線は、風力タービンのタワーの基礎に適合するまで徐々に減少する直径を有している。
【0012】
一般的に、コンクリート構造体が遭遇する最大の課題は、この材料が曲げ荷重、引張荷重または剪断力にほとんど耐えられないことである。この産業では、現在、この課題を解決する方法として、コンクリート構造体に多量の鉄筋(骨組み)を付加することが一般的である。さらに、コンクリートは圧縮下でも良好に機能するため、必要に応じて、コンクリートが圧縮されても耐えることができる曲げ荷重、引張荷重または剪断力を増加させるプレストレス鋼を組み込んでいる。さらに、この方法では、建設時に一定の技術的な困難が伴うため、プラットフォームの建造にかかるコストが高くなる。
【0013】
米国特許第3974789号明細書は、六角形断面を有し、ハニカム状に配置された複数の本体を取り付けることによって形成される鉄筋コンクリート製の浮体式構造体に関する。六角形の本体の内部を使用して、炭化水素またはバラスト水が貯蔵される。六角形の本体の鉄筋コンクリート壁同士の間に存在する圧力差は、面同士の間の流体と喫水との違いにより、構造体に一連の力を発生させ、構造体は、アセンブリの構造的な完全性を確保するために、高い鋼材含有量を必要とする。準円筒形状を有する鉛直タンクを互い違いに配置して構成される本発明は、構造体の中央に、海に直接接続されている開口を有するため、コンクリートを圧縮下で機能させる自然なプレストレス状態が実現され、引張および曲げによる構造体の破壊が防止される。これにより、コンクリートに含まれる骨組みが削減され、ひいては、構造的に簡素化された解決手段が得られる。また、圧縮により鉄筋コンクリートの破断または亀裂の発生が防止され、構造体の浸透性が低下させられる。
【0014】
また、発電用風力タービンを支持するシステムとして浮体式プラットフォームを使用する実現可能性に影響を与える、プラットフォーム自体に関する外的要因による課題も重要である。この課題は、プラットフォームを最初に海上に設置する必要がある場合に、プラットフォームにタービンのタワー、ナセル、ブレードを設置する際に存在する、極めて大きな技術的な困難である。この設置作業には、リスクおよび高コストが伴う。また、風力タービンが動作する場所で、風力タービンをプラットフォームに取り付けるプロセスは、極めて高いリスクと、大量の補助手段を伴う技術的な複雑さとを伴う作業である。現在存在する解決手段でこの課題に対処する方法は、設置作業を安全にかつ必要な精度で実施することができるように、風の条件と波の条件とが特別に良好な時間窓でこれらのプラットフォーム設置作業を行うことに基づいている。このようなことは、短期間しか起こらず、特定の現場では1年のうち数回しか起こらない。
【0015】
別の課題は、プラットフォームに対する風、波、潮流による荷重によって生じる作用である。前述の作用により、プラットフォームに誘発される加速度および振動運動が発生し、風力タービンの性能が低下するとともに、風力タービンの機器および構成要素が劣化して、風力タービンの機器および構成要素の耐用年数が短くなる。この課題を解決するために、欧州特許出願公開第2457818号明細書に提案されているような発明が存在しており、これは、プラットフォームに作用してプラットフォームに傾倒を引き起こす動的な負荷の影響を打ち消すために、アジマススラスタのような能動手段を使用する。プラットフォームに誘発される振動および移動を相殺するためのスラスタシステムの欠点は、スラスタシステムがプラットフォームに付加する技術的な複雑さと、建設コストおよび運用・保守コストの両方において、技術的な複雑さに伴うコストの上昇とにある。なぜならば、プラットフォームに設置される機器および構成要素の量が増えるためである。
【0016】
中国特許出願公開第109941398号明細書に記載されているような他の発明は、プラットフォームに対する振動を低減するための受動的な方法を使用している。この後者の場合、方法は、各々の係留索が、単純な懸垂索として機能する一方の索と、プレストレスが適用されて機能する他方の索との2つの索に分岐し、両方の索が異なる高さの点でプラットフォームに固定され、プラットフォームが受ける振動を低減するクローフット係留システムを提供することから構成されている。この種類のシステムの欠点は、索の一部が受けるプレストレスのレベルが、極めて厳しい環境条件下で拡大し、索が破損する可能性があることである。
【0017】
風力タービンを備えた浮体式プラットフォームに影響を与え、また、風および波の作用によって起こる別の課題は、風によって風力タービンに生じる傾倒モーメントが、風力タービンの動作中に風力タービンに傾倒位置をとらせることである。この状態では、波の作用により、風力タービンが前述の傾倒位置の周りで連続的に振動し、したがって、風力タービンおよび風力タービンの構成要素の性能が低下させられる。この課題を解決するために、係留索に作用する能動的な方法を含む特許、例えば特開2017-074947号公報が存在しており、プラットフォームに影響を与える環境条件に応じて、プラットフォームの振動が低減されるように、前述の索が受ける応力の度合いが調整される。
【発明の概要】
【0018】
発明の開示
本発明は、風力産業用の鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームから構成されており、その技術的な特徴により、従来技術の上記のような課題を克服することが可能である。このプラットフォームの幾何学形状は、互い違いに配置された準円筒形状を有する一連の鉛直タンクであって、構造体の中央に、海に直接接続されている開口を有する鉛直タンクから構成されている。これにより、プラットフォームの鉄筋コンクリートアセンブリは、この産業の現在のコンクリート構造体が一般的に行っているように、鉄筋コンクリートアセンブリが受ける一群の荷重に対して曲げ下で機能する代わりに、圧縮下で機能することができる。この技術的な利点は、プラットフォームの構造的な挙動を改善し、破断の伝播に対する抵抗力を高め、プラットフォームに含まれるプラットフォームの骨組みを削減し、このプラットフォームの運用の安全性を高めることにつながる。
【0019】
本発明に記載されたプラットフォームは、まさにプラットフォームの幾何学形状によって与えられる汎用性の結果として、生じるニーズに応じて異なる喫水で動作させることができ、プラットフォームが、風力タービンと、タワーまたは複数のタワーがある場合には風力タービンを支えている1つのタワーとを除いて潜水している浮体式プラットフォームの概念を実現することができ、また、プラットフォームが完全に潜水しておらず、むしろ、喫水線上にある部分を有する浮体の概念も実現することができる。このように、プラットフォームはいずれのオプションにも対応可能に設計されているだけでなく、プラットフォーム自体も、輸送時には1つの喫水を有し、動作時には喫水を変更するというように、プラットフォームの耐用年数を通して、この2つの異なる形態で動作させることが可能である。さらに、この技術的な利点により、海底の深さ、風の状態、波の状態など、物理的な特性が大きく異なる領域にもプラットフォームを適応させることができる。
【0020】
本発明のプラットフォームはその技術的な特徴の結果として、TLPのような洋上風力産業における特定の浮体式プラットフォームに影響を与える課題であって、プラットフォームが動作する海上でタワー、ナセルおよびブレードを取り付ける必要があるという課題を解決する。プラットフォームの幾何学形状は、バージのように浅い喫水で浮遊する(すなわち、部分的に潜水する)ことができ、プラットフォームに設置された風力タービンを曳航している間、良好な安定性を維持することを可能にする。この事実により、風力タービンをプラットフォームに取り付けるための取付け作業を、海上よりも波の状態が穏やかな港湾で行うことができ、クレーン船よりもかなり費用対効果の高い陸上クレーンを使用することができる。その結果として、前述の取付け作業に関連する技術的な複雑さ、この作業に関連するリスクおよびプラットフォームに風力タービンを取り付けることに関連するコストが大幅に削減される。風力タービンがプラットフォームの構造体に取り付けられると、前述のプラットフォームは、補助的な安定化手段を必要とせずに、プラットフォームが動作する位置まで曳航手段によって運搬することができ、そこで、プラットフォームを係留することができる。
【0021】
また、プラットフォームの単純さは、この分野の既存の他の浮体式プラットフォームと比較して、プラットフォームの構造が簡単であり、使用される骨組みが少ないため、大幅なコストの削減につながる。
【0022】
本発明に記載のプラットフォームは、プラットフォームの高さ部分に三角形状に配置されたプレストレストコンクリート製の構造的な要素に基づく平らな格子体の形態の、係留索をプラットフォームにアンカー固定するためのシステムであって、2つの目的を有するシステムを有している。一方では、このシステムは、プラットフォームの係留索によって生じる荷重を受け、これらの荷重をプラットフォームの鉄筋コンクリート製の本体全体に均等に分散させ、これによって、プラットフォームがプラットフォームの幾何学形状によりすでに有している良好な構造的な挙動に寄与する。他方、前述の格子体は、風力タービンのタワーとプラットフォームの本体との間の取付けが、両方の領域の交差部に高い応力集中を生じさせ、その結果、この領域が、風の作用およびプラットフォームの移動によって風力タービンに生じる剪断力に対して特に敏感となり、この領域に構造的な課題が存在するという従来技術に記載の課題を解決する。プラットフォームの高い領域に格子体を配置することで、剪断力を分散させるより大きな領域が実現され、その結果、これらの力がより均等にプラットフォーム本体に分散させられる。
【0023】
本発明のプラットフォームの幾何学形状は、プラットフォームのアセンブリのセクションが風力タービンを支持するタワーよりも著しく大きく、プラットフォームがタンクを完全または部分的に水で充填することで、プラットフォームに大きな変位(体積)を与え、波の典型的な周期から容易に離れた独自の高い周期を有することを可能にする。これにより、プラットフォームの加速度が減少し、風力タービンの機器および構成要素が受ける移動および加速度に関して、より良好な動作条件が風力タービンの機器および構成要素に与えられ、ひいては、耐用年数が改善される。
【0024】
浮体式プラットフォームの風力タービンに対する風の作用は、プラットフォームの傾倒モーメントの原因となり、プラットフォームを傾倒した位置に留め、波の結果として発生する前述の傾倒した位置の周りでの振動運動につながる。これにより、前述の風力タービンが、プラットフォームの傾倒状況下で機能することから、風力タービンの性能は著しく低下する。本発明のプラットフォームは、バラストタンクが準円筒部に収容された大きな水平なセクションを備えた本体を有するので、風の作用によって生じる傾倒を、対応するバラストタンク同士の間で水を移送して傾倒モーメントを打ち消すことによって修正することが可能であり、この可能性が存在しない単一の本体を有する古典的なSPARプラットフォームとは異なっている。
【0025】
本発明は、上述の背景と比較して、洋上風力産業に適用可能であり、鉄筋コンクリート製の洋上浮体式風力プラットフォームの風、波、潮流に対する応答性を実質的に改善する以下の革新的な特徴を示す。
【0026】
・動作中に前述のプラットフォームが受ける静水圧によってプラットフォームに加えられる荷重を許容する幾何学形状は、プラットフォームのコンクリート本体のアセンブリにプレストレスを自然に提供し、これにより、プラットフォームの構造的な挙動を改善し、曲げ荷重を最小限に抑える。この品質により、より高い強度と、コンクリート構造体の破断の減少とが提供される。
【0027】
・モジュール式の幾何学形状は、喫水の浅いSPAR、半潜水艇、バージまたはブイを構築することができ、風力タービン中心にも、中心から外れても配置することができるため、解決手段に汎用性をもたらす。これにより、幾何学形状は、異なる物理的な特性および環境的な特性を備えた領域に適応することができる。
【0028】
・取り付けられた風力タービンを備えた安定した解決手段は、喫水が浅く、港湾で風力タービンを設置することができ、動作現場での高価でリスクの高い設置作業を防止することができる。プラットフォーム、タワー、風力タービンは、すでに取り付けられた状態で動作現場に運搬される。これは、タンクに水を有していない場合には、喫水の浅いバージとして機能し、アセンブリ全体が安定するため可能である。プラットフォームが設置場所に到着すると、プラットフォームはタンクに水を導入し、動作喫水に達するまで喫水が増大させられる。アセンブリは、浸漬プロセス全体を通して安定している。
【0029】
・現場で風力タービンを設置するためのクレーン船が不要になるため、プラットフォーム設置のための時間窓が増大する。
【0030】
・係留システムをプラットフォームにアンカー固定するためのプレストレストコンクリート製の平らな格子体は、係留システムにより大きな強度を提供し、係留システムの動作に関連するリスクを軽減し、構造体の耐用年数を大幅に増加させる。プラットフォームの構成における技術的な複雑さが軽減される。なぜならば、プラットフォームを形成するコンクリートにプレストレス加工を実施する必要がなく、建設時に必要な骨組みの量が少ないからである。
【0031】
・プラットフォームの水中コンクリート本体の形状は、波によってプラットフォームに誘発される加速度に対して極めて低い反応を示す。これは、風力タービンの性能向上につながり、このことは、極めて低い傾倒状態および振動下で機能する。
【0032】
・風力タービンの性能を最適化するSPAR解決手段により、タンク同士の間の液体バラストの移動の結果として、風によって生じる傾倒モーメントを補正することができる。
【0033】
上述された説明を補完し、本発明の特徴をより良く理解することを助ける目的で、以下に例示的かつ非限定的に示されている図面のセットが、前述の説明の不可欠な部分として添付される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】風により浮体式プラットフォームに生じる荷重によって生じる課題の概略図であり、風力タービンのタワーがプラットフォームのコンクリート本体と交差する、水平なセクションが急激に変化する領域に力の高い集中が発生している。
図2】本明細書で定義される浮体式プラットフォームの可能な構成の1つを示す立面図であり、プラットフォームを形成するコンクリート製の3つの本体、すなわち、下側本体(1)と、中間本体(2)と、上側本体(3)とを見ることができる。この場合、上側本体(3)は単一のタワー(4)によって形成されており、囲い(5)はドームから構成されている。
図3】互い違いに隣接し合って配置された準円形体(6)であって、準円形体(6)同士の間に真っ直ぐな接触セグメントを備えた準円形体(6)を見ることができる断面図であり、準円形体(6)の鉛直な押出体がプラットフォームの中間本体(2)を形成している。同図は、これらの準円形体(6)の可能な構成の1つを示し、同図では、3つの準円形体セクションごとの間に存在する開口(7)を見ることができる。
図4】プラットフォームから得ることができる可能な構成の1つにおける、プレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)の配置の概略図である。この平らな格子体(9)が、係留索(10)から到来する応力をプラットフォームのコンクリート製の中間本体(2)に分散させる態様が示してある。
図5】プラットフォームのコンクリート製の中間本体(2)を形成する水平なセクションにさらに準円形体(6)を付加することによってプラットフォームが採用することができる別の可能な構成を示す図である。プレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)をプラットフォームの幾何学形状の変化に適合させることができる態様と、プラットフォームの幾何学形状のいかなる変化においても荷重が平らな格子体(9)に伝達されるように係留索(10)を配置することができる態様も示してある。
図6】本特許で定義される浮体式プラットフォームの可能な構成の1つ、この場合には半潜水型の構成の輪郭図である。同図には、風力タービンのタワーを支持するものを含む様々なタワー(4)が水面(11)の上方に位置し、これによって、設置段階および動作段階において安定させるために必要な慣性をプラットフォームに与える様子が示してある。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の好ましい実施形態
したがって、本発明の目的は、コンクリートに静水圧の自然プレストレスを提供し、コンクリートをその最も有効なモード、すなわち、圧縮下で機能させ、プラットフォームの構造的な応答を改善し、コンクリートにおける破断または亀裂の発生を防止し、これによって、浸透性を低減し、構造体に含まれる骨組みを削減することができ、また、動作安全性を高めることができる幾何学的な設計によって特徴付けられる、大量生産用の鉄筋コンクリート製の浮体式風力プラットフォームのための解決手段を提供することにある。本発明は、係留応力を均一に分散する鉄筋コンクリート製の格子状の形態で係留索を構造体にアンカー固定し、プラットフォームの高い領域でのプレストレスを最小限に抑え、プラットフォームと風力タービンのタワーとの間のセクションの変化による剪断力を分散させる領域を増加させるためのシステムを有している。さらに、幾何学的な設計により、喫水の浅いSPAR、半潜水艇、バージまたはブイなどの解決手段を採用することができ、風力タービンが、構造体の中心にまたは中心から外れて設置され、したがって、それぞれ異なる喫水要件または異なる環境条件および物流条件に適応される汎用性を有している。
【0036】
本発明は、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームから構成されており、この浮体式プラットフォームでは、3つの部分、つまり、下側本体(1)と、中間本体(2)と、単一の洋上風力タービンが配置される上側本体(3)とが区別されている(図2)。プラットフォームは、可能な限り等間隔に配置された少なくとも3本の索(10)から構成された拡散係留型の係留システム(図4)を有している。
【0037】
洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製浮体式プラットフォーム(図2)の下側本体(1)は、平らなコンクリート基礎から構成されており、下側本体(1)の目的は、前述の本体に支持されるプラットフォームの残りの部分に構造的な支持を提供し、また、プラットフォームの軽量化に寄与し、これによって、プラットフォームの安定性を改善することである。
【0038】
洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームの中間本体(2)は、相互間に真っ直ぐな接触セグメントを備えた少なくとも5つの隣接し合う準円形体(6)を互い違いに配置して構成された、水平なセクション(図3)を備えた鉛直な押出体として形成された単一のコンクリート本体から構成されている。各々の準円形体の内側空間(8)は、固体バラストと液体バラストとの組合せを収容することができる耐漏性の空間である。
【0039】
上述した中間本体(2)の配置(図3)において、3つの準円形体(6)ごとに互いに接触して形成された一連の内側の開口(7)が存在している。前述の内側の開口(7)は、プラットフォームの上側領域で開放していて、内側の開口(7)の下側部分を通って外側に連通している。前述の開口(7)の目的は、開口(7)と外側との接続の結果として、プラットフォームが常に有する喫水と一致するように充填されたままにすることである。これによって、プラットフォームが部分的または完全に潜水しているときに受ける静水圧の均衡が実現される。これによって、この圧力の均衡の結果として、プラットフォームの中間本体(2)を形成するコンクリート壁(図2)は、前述の圧力の結果としての一定の圧縮プレストレスに自然に適応し、プラットフォームの良好な構造的な挙動にとって好都合となる。
【0040】
本発明の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームの上側本体(3)(図2)は、上記の中間本体(2)に配置されていて、一連の囲いから構成されており、これによって、各々の囲いが、前述の本体(2)の最も高いセクションにおいて、中間本体(2)の水平なセクションを形成する各々の準円形体(6)に配置されている。ただし、プラットフォームの残りの部分よりも高くなっているタワー(4)を形成する延長部が配置され、プラットフォームの風力タービン用の支持体が配置される少なくとも1つの前述のセクション(6)を除く。
【0041】
中間本体(2)(図2)に存在する囲い(5)の幾何学形状は、上述したように、プラットフォームの潜水の程度に関連して設けられるプラットフォームの概念によって異なっている。
【0042】
一方、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームは、潜水した状態でも動作可能であり、タワー(4)が複数存在する場合には、タワー(4)の一部のみが風力タービンを支持し、風力タービン自体は、海面(11)の上方に位置している(図6)。この状況において、プラットフォームの下側本体(1)を形成するコンクリート基礎がリグの重心を可能な限り低く保つ結果として、プラットフォームの安定性がより大きく得られる。この構成では、コンクリート製の中間本体(2)の囲い(5)は、タワー(4)が配置された準円形体(6)を除いて、プラットフォームの中間本体(2)のセクションを形成する各々の準円形体に配置された一連のドームから構成されている(図6)。これらのドームの目的は、プラットフォームが潜水したときに受ける静水圧を受け、前述の圧力によって生じる荷重を中間本体(2)に伝達し、前述の本体が、これらの荷重に対して圧縮下で機能するようにすることである。
【0043】
他方、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するためのコンクリート製の浮体式プラットフォームは、中間本体(2)全体が潜水するのではなく、中間本体(2)の一部が海面上に位置するように動作させることが可能である。このプラットフォーム構成の場合、中間本体(図2)に配置される囲い(5)は、単に強化スラブまたは強化プレートから構成される。なぜならば、建設面から、このことは最も単純な解決手段であり、これらの要素は喫水線の上方にあるため、静水圧にさらされず、合理的であるからである。これらの囲い(5)は、タワーを除いて、プラットフォームの中間本体のセクションを形成する各々の準円形体に配置されている(図6)。
【0044】
洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームのコンクリート製の中間本体(2)(図2)の実際の幾何学形状は、上述のように、準円形体(6)の最小数を5つに保ちながら、中間本体(2)を形成する水平なセクション(図3)に準円形体(6)をより多く配置するかまたはより少なく配置するかに応じて、多種のプラットフォームの概念を構成することを可能にする。これらの変形によって、上側本体(3)(図2)を形成するタワー(4)(図6)を、少なくとも1である数でかつプラットフォームにおける適所に配置する変形とともに、広い範囲のプラットフォームの概念、例えば、水線面積が比較的小さく、重心を極めて低く保つことによってリグの安定性が実現されるため、前述の安定性にほとんど寄与しない単一のタワーを備えたプラットフォーム、上側本体に1つよりも多くのタワー(4)が存在しており、タワーの1つが風力タービンを支持しており、複数のタワーが互いに離間させられており、これによって、リグアセンブリの安定性に有利である水線面積の慣性が確保されるプラットフォーム等を得ることが可能となる。
【0045】
本発明の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームは、プラットフォーム(図2)の下側本体(2)と上側本体(3)との間に配置されるプレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)をさらに備えている(図4)。前述の平らな格子体(9)は、三角形状に配置されたプレストレストコンクリート製の少なくとも3つの長手方向要素から構成されており、三角形形状の頂点が、プラットフォームの中間本体(2)を形成する準円形体セクション(6)同士の間の真っ直ぐな接触セグメントを備えた領域(図3)に位置するように配置されている。洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームの係留索(10)(図4)は、プラットフォームの中間本体(2)のセクションを形成する準円形体(6)同士の間の真っ直ぐな接触セグメントにその最も高い領域で固定されており、その結果、係留索(10)とプレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)の頂点との間に構造的な連続性が存在している。
【0046】
プレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)の実際の構成は、コンクリート製の中間本体(2)のセクションに存在する準円形体(6)の数(図5)に応じて、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームの幾何学形状に適応可能であることを可能にし、プレストレストコンクリート製の長手方向要素を付加することにより、三角形状に配置されたこれらの長手方向要素の幾つかから格子体(9)を形成することができる。この特徴は、本発明の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームが採用することができるあらゆる可能な構成に適するようにした前述の格子体(9)に一定の汎用性を付与する。
【0047】
本発明は、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の全般的な範囲から逸脱することなく、特定の事例を参照して説明されている。このため、本明細書ひいては図面は、制限的でも限定的でもなく、一例として理解する必要がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の適用の技術分野は、洋上風力産業の浮体式プラットフォームの技術分野である。
【0002】
本発明は、海上で風力発電を行うための風力タービンを支持する鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームから構成されている。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
再生可能エネルギーの普及に伴い、そのようなエネルギーの利点を最大限に活用する傾向が生まれている。特に風力発電では、陸上よりも風速が速く(かつ乱れが少なく)、したがって、より多くの発電量が保証される海上にプラットフォームを設置する傾向が見られる。また、これらの風力特性は、海岸から遠く離れるほど向上する。
【0004】
しかしながら、これらの現場は、多くの場合、海底の凹凸、地盤の種類または固定式プラットフォームが水深60mを超える領域に位置するなどの理由から、固定式プラットフォーム(すでに経済的であり、周知のプラットフォーム)では競争力がないという欠点を有している。これにより、最も成功が見込める解決手段は、現在のところ、浮体式プラットフォームとなり、このことは、この解決手段のサイズの増大、係留システムおよび海底にアンカー固定する手段の必要性、種々異なる洋上作業、新たな不確実性、リスクなどによるコストの連続的な変化を伴う。さらに、このプラットフォームは固定されていないため、風、波、潮流によって生じる移動にさらされ、風力タービンの性能低下、風力タービンを支持する構造体の疲労増加、共振などを伴う。そのため、浮体式プラットフォームは、浮体式プラットフォームの動作中と、浮体式プラットフォームの建設、輸送、設置の際との両方において、浮体式プラットフォームに影響を及ぼす一連の課題に対処する必要がある。
【0005】
10年前までのこの分野での動向は、浮体式プラットフォーム建造の構造解決手段として鋼材を使用することであった。鋼材で建造する主な利点は、石油・ガス産業での鋼材構造体、洋上風力産業での固定鋼材プラットフォームから得られた経験による、鋼材の挙動に関する知識の水準にある。しかしながら、鋼材の使用は、特に洋上で腐食しやすい材料であること、価格が不安定であること、他の材料に比べて1t(トン)当たりの取得コストおよび取扱いコストが高いことなどの欠点を有している。さらに、しかしながら、鋼材1t当たりの生産で温室効果ガスのCOが約2t発生する。
【0006】
温室効果ガス排出量削減の合意がなされ、気候変動への意識が高まっている社会では、排出量を削減する他の建材を検討することが理にかなっていると考えられる。例えば、欧州委員会の2050年の目標は、COの排出を実質ゼロにすることである。そのため、再生可能な手段による発電の動向に加えて、こういった目標達成のための代替材料の模索がまた必要である。コンクリートは、建設において世界中で最も広く使用されている材料である。コンクリートは、鋼材に比べて建設過程でのCO排出量が少なく、プラットフォームコストも低いという本質的な優位性を有している。その結果、過去10年の間にコンクリートを用いた洋上風力発電の解決手段が開発されてきた。
【0007】
中国特許出願公開第102358402号明細書は、炭化水素の生成および貯蔵のための浮体式プラットフォームに関する。この構造体は、ハニカムの形態で配置された六角形状の鋼製の複数の本体により形成されており、これらの本体の各々が炭化水素貯蔵タンクであり、各々のタンクはタンクの6つの壁を他の6つのタンクと共有している。タンクが壁を共有しているとは、連続するタンクに存在する喫水の差およびプラットフォームが海に浮遊しているときの実際の喫水との差が、構造体に一連の力を与える圧力の差を引き起こすことを意味する。この力と、波などの外的要因によって生じる荷重とが組み合わさると、リグの構造的な強度を保証しかつ動作中に崩壊しないことを保証するための環状の補強および長手方向の補強が設けられていない場合、極めて厚い壁が必要となる。鋼製の構造体は、コンクリート製の同等の構造体に比べて桁違いに薄いため、座屈の影響を受けやすい。その結果、厚みを増す必要性は、大量の鋼材と、パネル同士の間の多数の溶接とが必要となるため、解決手段のコストがより高くなる。さらに、この構造体は、露出した鋼材表面の増加により、かなり顕著な腐食を受けるため、リグのメンテナンスがより高価になる。準円筒形状を有する鉛直タンクを互い違いに配置して構成される本発明は、座屈防止のために鉄筋コンクリートを使用し、構造体の中央に、海に直接接続されている開口を有している。これにより、荷重の対称性が生まれ、異なるタンクの充填水位に関係なく、構造体が均一に作用するようになる。さらに、コンクリートに自然なプレストレス状態が得られるため、コンクリートの破断または亀裂が低減し、プラットフォームの耐漏性が向上し、波の衝撃などの非対称な荷重の事象に対しても構造的な強度が向上する。
【0008】
鉄筋コンクリート構造体は、1t当たりの材料費が安く、土木建設業界でのコンクリートの使用から得られる経験が十分にあるため、産業界でますます多く使用されているが、コンクリートの主要な課題の1つは、曲げ条件および引張条件下で作用するときの構造的な挙動が悪いことである。この課題を解決するために、ほとんどの解決手段は、鉄筋コンクリート構造体において大量の骨組みを使用することと、前述のコンクリートにプレストレス加工を適用することとに基づいている。特開2014-184863号公報では、コンクリートの構造的な挙動を改善するために、コンクリートに軸線方向のプレストレスを提供する目的で、コンクリート本体内にリブの形態で配置された鋼製構造体が使用されている。しかしながら、鋼材とコンクリートとの混合構造体の使用は、コストとCO排出量とを増加させる。さらに、コンクリート補強材として鋼製構造体を使用するには、犠牲陽極、強制通電システムなど、海水による腐食を制御するためのシステムを設ける必要がある。
【0009】
国際公開第2013/155521号では、実施形態の1つとして、コンクリート製の中心円筒体の周りに同心円状に配置され、異なる種類の長手方向の鋼製構造体によって中心円筒体に取り付けられた複数の円筒状の本体に基づいたコンクリート製のプラットフォームが記載されている。この種の解決手段では、複数の本体が互いに取り付けられているため、取付け領域において高度な局所補強が必要となる。なぜならば、取付け領域は荷重伝達領域であり、アセンブリ全体に生じる力に対して最も敏感であるからである。これらの領域を補強する必要があるため、装置の構造的な複雑性がより大きくなり、孤立した領域に応力が集中する。本発明は、構造的に単純な解決手段である。なぜならば、本発明は実際に単一の本体を含み、付加的な取付け要素を排除しており、構造体における応力集中点が防止されるため、本発明の構造的な挙動が最適化されるからである。さらに、まさに本発明の設計により、プラットフォームは圧縮下で機能するため、鉄筋コンクリートに含まれる骨組みが最小限に低減される。
【0010】
風力タービンを備えた浮体式プラットフォーム、特に鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームに影響する別の課題は、コンクリート本体がプラットフォームのタワーよりも広い場合、風力タービンのタワーからプラットフォームのコンクリート本体への移行部に存在するプラットフォームのセクションの面積が急激に変化することである。この点には顕著な力の集中が生じるため、この領域は疲労破壊に対して特に敏感になっている。この種のプラットフォームで一般的に考えられる解決手段は、この領域のセクションに大きな構造的な剛性を提供する一連の補強を施した移行部分を配置するように構成し、このような急激な面積の変化を相殺することである。
【0011】
米国特許出願公開第2019/264656号明細書は、浮体式プラットフォームの鉄筋コンクリート本体と、風力タービンを支持する鋼製タワーとの間の移行部分に関する。移行部分は、前述のタワーとプラットフォームの本体との間の取付けにおいて生じる力をより均等に分配することを可能にする双曲面形状を有している。準円筒形状を有する鉛直タンクを互い違いに配置して構成される本発明も、浮体式構造体から風力タービンのタワーへの荷重を均等に分配するが、この場合、取付けは、タワーを支持して終端する中間本体の準円筒セクションの1つから実現される。準円筒体と風力タービンのタワーとが異なる直径を有している場合、準円筒体の延長線は、風力タービンのタワーの基礎に適合するまで徐々に減少する直径を有している。
【0012】
一般的に、コンクリート構造体が遭遇する最大の課題は、この材料が曲げ荷重、引張荷重または剪断力にほとんど耐えられないことである。この産業では、現在、この課題を解決する方法として、コンクリート構造体に多量の鉄筋(骨組み)を付加することが一般的である。さらに、コンクリートは圧縮下でも良好に機能するため、必要に応じて、コンクリートが圧縮されても耐えることができる曲げ荷重、引張荷重または剪断力を増加させるプレストレス鋼を組み込んでいる。さらに、この方法では、建設時に一定の技術的な困難が伴うため、プラットフォームの建造にかかるコストが高くなる。
【0013】
米国特許第3974789号明細書は、六角形断面を有し、ハニカム状に配置された複数の本体を取り付けることによって形成される鉄筋コンクリート製の浮体式構造体に関する。六角形の本体の内部を使用して、炭化水素またはバラスト水が貯蔵される。六角形の本体の鉄筋コンクリート壁同士の間に存在する圧力差は、面同士の間の流体と喫水との違いにより、構造体に一連の力を発生させ、構造体は、アセンブリの構造的な完全性を確保するために、高い鋼材含有量を必要とする。準円筒形状を有する鉛直タンクを互い違いに配置して構成される本発明は、構造体の中央に、海に直接接続されている開口を有するため、コンクリートを圧縮下で機能させる自然なプレストレス状態が実現され、引張および曲げによる構造体の破壊が防止される。これにより、コンクリートに含まれる骨組みが削減され、ひいては、構造的に簡素化された解決手段が得られる。また、圧縮により鉄筋コンクリートの破断または亀裂の発生が防止され、構造体の浸透性が低下させられる。
【0014】
また、発電用風力タービンを支持するシステムとして浮体式プラットフォームを使用する実現可能性に影響を与える、プラットフォーム自体に関する外的要因による課題も重要である。この課題は、プラットフォームを最初に海上に設置する必要がある場合に、プラットフォームにタービンのタワー、ナセル、ブレードを設置する際に存在する、極めて大きな技術的な困難である。この設置作業には、リスクおよび高コストが伴う。また、風力タービンが動作する場所で、風力タービンをプラットフォームに取り付けるプロセスは、極めて高いリスクと、大量の補助手段を伴う技術的な複雑さとを伴う作業である。現在存在する解決手段でこの課題に対処する方法は、設置作業を安全にかつ必要な精度で実施することができるように、風の条件と波の条件とが特別に良好な時間窓でこれらのプラットフォーム設置作業を行うことに基づいている。このようなことは、短期間しか起こらず、特定の現場では1年のうち数回しか起こらない。
【0015】
別の課題は、プラットフォームに対する風、波、潮流による荷重によって生じる作用である。前述の作用により、プラットフォームに誘発される加速度および振動運動が発生し、風力タービンの性能が低下するとともに、風力タービンの機器および構成要素が劣化して、風力タービンの機器および構成要素の耐用年数が短くなる。この課題を解決するために、欧州特許出願公開第2457818号明細書に提案されているような発明が存在しており、これは、プラットフォームに作用してプラットフォームに傾倒を引き起こす動的な負荷の影響を打ち消すために、アジマススラスタのような能動手段を使用する。プラットフォームに誘発される振動および移動を相殺するためのスラスタシステムの欠点は、スラスタシステムがプラットフォームに付加する技術的な複雑さと、建設コストおよび運用・保守コストの両方において、技術的な複雑さに伴うコストの上昇とにある。なぜならば、プラットフォームに設置される機器および構成要素の量が増えるためである。
【0016】
中国特許出願公開第109941398号明細書に記載されているような他の発明は、プラットフォームに対する振動を低減するための受動的な方法を使用している。この後者の場合、方法は、各々の係留索が、単純な懸垂索として機能する一方の索と、プレストレスが適用されて機能する他方の索との2つの索に分岐し、両方の索が異なる高さの点でプラットフォームに固定され、プラットフォームが受ける振動を低減するクローフット係留システムを提供することから構成されている。この種類のシステムの欠点は、索の一部が受けるプレストレスのレベルが、極めて厳しい環境条件下で拡大し、索が破損する可能性があることである。
【0017】
風力タービンを備えた浮体式プラットフォームに影響を与え、また、風および波の作用によって起こる別の課題は、風によって風力タービンに生じる傾倒モーメントが、風力タービンの動作中に風力タービンに傾倒位置をとらせることである。この状態では、波の作用により、風力タービンが前述の傾倒位置の周りで連続的に振動し、したがって、風力タービンおよび風力タービンの構成要素の性能が低下させられる。この課題を解決するために、係留索に作用する能動的な方法を含む特許、例えば特開2017-074947号公報が存在しており、プラットフォームに影響を与える環境条件に応じて、プラットフォームの振動が低減されるように、前述の索が受ける応力の度合いが調整される。
【0018】
国際公開第2014/013098号は、半潜水式プラットフォームおよびその建造方法を開示している。プラットフォームは、鉄筋コンクリート製の内側柱と、少なくとも4つの外側柱とを備える。各々の柱は、抵抗力のある基礎と、軸と、所定の高さに位置し、より大きな抵抗力を有するセクションとを備える。また、プラットフォームは、前述の所定の高さにおいて、外側柱と内側柱とを接続しかつ隣り合う外側柱同士の間を接続する複数の梁と、各々の外側柱のより大きな抵抗力を有するセクションにアンカー固定された複数のアンカー索とを備える。また、プラットフォームは、柱が固定される下側プレートであって、各々の外側柱の基礎と内側柱の基礎とを接続しかつ隣り合う各々の外側柱の基礎同士を接続する複数の梁で補強された下側プレートを備える。
【0019】
国際公開第2019/070140号は、吸引式アンカーシステムを有する浮体式洋上風力タービン基礎を開示する。この基礎は、浮体/アンカーユニット、金属製支持体および移行部品の3つの主要な構成要素から構成されている。各々の浮体/アンカーユニットは、複数の浮力アンカー柱と、複数の接続梁とから形成されている。金属製の支持体は、浮体/アンカーユニットを移行部品に接続し、移行部品は、金属製の支持体を風力タービンマストに接続する。
【0020】
中国特許出願公開第110453711号明細書は、弾性移行セクション構造体を備えた海洋構造体の基礎と、その施工方法とを開示している。弾性移行セクション多円筒状基礎構造体は、中心点が円形体に接続された複数の鋼製の円筒状基礎を備えている。前述の円筒状基礎は一緒に溶接され、鋼製天板が基礎の上側部分に接続され、コンクリートプレートが鋼製天板に配置され、梁プレートシステムがコンクリートプレートに分布し、コンクリート移行セクションが中間環状梁に位置し、鋼製のタワー筒がコンクリート移行セクションの上側部分に埋込み式に接続され、鋼製のタワー筒の上側部分と下部部分との接合部は、弾性緩衝装置を通してコンクリート移行セクションと内側環状梁とに接触している。
【0021】
米国特許出願公開第2012/155967号明細書には、改良された真空支援式の樹脂移送成形プロセスを使用して鉛直配向または水平配向に成形された1つ以上の連続繊維複合管を備えた桁プラットフォームが開示されている。これは、プラットフォームが使用される意図された現場または現場付近で製造される。桁プラットフォームは、幾つかの実施形態において、相対的に長い中央管と相対的に短い周辺管とを含む。幾つかの実施形態では、桁プラットフォームは、単一の長い管である。他の実施形態では、桁プラットフォームは、風力タービンアセンブリを支持する。
【発明の概要】
【0022】
発明の開示
本発明は、風力産業用の鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームから構成されており、その技術的な特徴により、従来技術の上記のような課題を克服することが可能である。このプラットフォームの幾何学形状は、互い違いに配置された準円筒形状を有する一連の鉛直タンクであって、構造体の中央に、海に直接接続されている開口を有する鉛直タンクから構成されている。これにより、プラットフォームの鉄筋コンクリートアセンブリは、この産業の現在のコンクリート構造体が一般的に行っているように、鉄筋コンクリートアセンブリが受ける一群の荷重に対して曲げ下で機能する代わりに、圧縮下で機能することができる。この技術的な利点は、プラットフォームの構造的な挙動を改善し、破断の伝播に対する抵抗力を高め、プラットフォームに含まれるプラットフォームの骨組みを削減し、このプラットフォームの運用の安全性を高めることにつながる。
【0023】
本発明に記載されたプラットフォームは、まさにプラットフォームの幾何学形状によって与えられる汎用性の結果として、生じるニーズに応じて異なる喫水で動作させることができ、プラットフォームが、風力タービンと、タワーまたは複数のタワーがある場合には風力タービンを支えている1つのタワーとを除いて潜水している浮体式プラットフォームの概念を実現することができ、また、プラットフォームが完全に潜水しておらず、むしろ、喫水線上にある部分を有する浮体の概念も実現することができる。このように、プラットフォームはいずれのオプションにも対応可能に設計されているだけでなく、プラットフォーム自体も、輸送時には1つの喫水を有し、動作時には喫水を変更するというように、プラットフォームの耐用年数を通して、この2つの異なる形態で動作させることが可能である。さらに、この技術的な利点により、海底の深さ、風の状態、波の状態など、物理的な特性が大きく異なる領域にもプラットフォームを適応させることができる。
【0024】
本発明のプラットフォームはその技術的な特徴の結果として、TLPのような洋上風力産業における特定の浮体式プラットフォームに影響を与える課題であって、プラットフォームが動作する海上でタワー、ナセルおよびブレードを取り付ける必要があるという課題を解決する。プラットフォームの幾何学形状は、バージのように浅い喫水で浮遊する(すなわち、部分的に潜水する)ことができ、プラットフォームに設置された風力タービンを曳航している間、良好な安定性を維持することを可能にする。この事実により、風力タービンをプラットフォームに取り付けるための取付け作業を、海上よりも波の状態が穏やかな港湾で行うことができ、クレーン船よりもかなり費用対効果の高い陸上クレーンを使用することができる。その結果として、前述の取付け作業に関連する技術的な複雑さ、この作業に関連するリスクおよびプラットフォームに風力タービンを取り付けることに関連するコストが大幅に削減される。風力タービンがプラットフォームの構造体に取り付けられると、前述のプラットフォームは、補助的な安定化手段を必要とせずに、プラットフォームが動作する位置まで曳航手段によって運搬することができ、そこで、プラットフォームを係留することができる。
【0025】
また、プラットフォームの単純さは、この分野の既存の他の浮体式プラットフォームと比較して、プラットフォームの構造が簡単であり、使用される骨組みが少ないため、大幅なコストの削減につながる。
【0026】
本発明に記載のプラットフォームは、プラットフォームの高さ部分に三角形状に配置されたプレストレストコンクリート製の構造的な要素に基づく平らな格子体の形態の、係留索をプラットフォームにアンカー固定するためのシステムであって、2つの目的を有するシステムを有している。一方では、このシステムは、プラットフォームの係留索によって生じる荷重を受け、これらの荷重をプラットフォームの鉄筋コンクリート製の本体全体に均等に分散させ、これによって、プラットフォームがプラットフォームの幾何学形状によりすでに有している良好な構造的な挙動に寄与する。他方、前述の格子体は、風力タービンのタワーとプラットフォームの本体との間の取付けが、両方の領域の交差部に高い応力集中を生じさせ、その結果、この領域が、風の作用およびプラットフォームの移動によって風力タービンに生じる剪断力に対して特に敏感となり、この領域に構造的な課題が存在するという従来技術に記載の課題を解決する。プラットフォームの高い領域に格子体を配置することで、剪断力を分散させるより大きな領域が実現され、その結果、これらの力がより均等にプラットフォーム本体に分散させられる。
【0027】
本発明のプラットフォームの幾何学形状は、プラットフォームのアセンブリのセクションが風力タービンを支持するタワーよりも著しく大きく、プラットフォームがタンクを完全または部分的に水で充填することで、プラットフォームに大きな変位(体積)を与え、波の典型的な周期から容易に離れた独自の高い周期を有することを可能にする。これにより、プラットフォームの加速度が減少し、風力タービンの機器および構成要素が受ける移動および加速度に関して、より良好な動作条件が風力タービンの機器および構成要素に与えられ、ひいては、耐用年数が改善される。
【0028】
浮体式プラットフォームの風力タービンに対する風の作用は、プラットフォームの傾倒モーメントの原因となり、プラットフォームを傾倒した位置に留め、波の結果として発生する前述の傾倒した位置の周りでの振動運動につながる。これにより、前述の風力タービンが、プラットフォームの傾倒状況下で機能することから、風力タービンの性能は著しく低下する。本発明のプラットフォームは、バラストタンクが準円筒部に収容された大きな水平なセクションを備えた本体を有するので、風の作用によって生じる傾倒を、対応するバラストタンク同士の間で水を移送して傾倒モーメントを打ち消すことによって修正することが可能であり、この可能性が存在しない単一の本体を有する古典的なSPARプラットフォームとは異なっている。
【0029】
本発明は、上述の背景と比較して、洋上風力産業に適用可能であり、鉄筋コンクリート製の洋上浮体式風力プラットフォームの風、波、潮流に対する応答性を実質的に改善する以下の革新的な特徴を示す。
【0030】
・動作中に前述のプラットフォームが受ける静水圧によってプラットフォームに加えられる荷重を許容する幾何学形状は、プラットフォームのコンクリート本体のアセンブリにプレストレスを自然に提供し、これにより、プラットフォームの構造的な挙動を改善し、曲げ荷重を最小限に抑える。この品質により、より高い強度と、コンクリート構造体の破断の減少とが提供される。
【0031】
・モジュール式の幾何学形状は、喫水の浅いSPAR、半潜水艇、バージまたはブイを構築することができ、風力タービン中心にも、中心から外れても配置することができるため、解決手段に汎用性をもたらす。これにより、幾何学形状は、異なる物理的な特性および環境的な特性を備えた領域に適応することができる。
【0032】
・取り付けられた風力タービンを備えた安定した解決手段は、喫水が浅く、港湾で風力タービンを設置することができ、動作現場での高価でリスクの高い設置作業を防止することができる。プラットフォーム、タワー、風力タービンは、すでに取り付けられた状態で動作現場に運搬される。これは、タンクに水を有していない場合には、喫水の浅いバージとして機能し、アセンブリ全体が安定するため可能である。プラットフォームが設置場所に到着すると、プラットフォームはタンクに水を導入し、動作喫水に達するまで喫水が増大させられる。アセンブリは、浸漬プロセス全体を通して安定している。
【0033】
・現場で風力タービンを設置するためのクレーン船が不要になるため、プラットフォーム設置のための時間窓が増大する。
【0034】
・係留システムをプラットフォームにアンカー固定するためのプレストレストコンクリート製の平らな格子体は、係留システムにより大きな強度を提供し、係留システムの動作に関連するリスクを軽減し、構造体の耐用年数を大幅に増加させる。プラットフォームの構成における技術的な複雑さが軽減される。なぜならば、プラットフォームを形成するコンクリートにプレストレス加工を実施する必要がなく、建設時に必要な骨組みの量が少ないからである。
【0035】
・プラットフォームの水中コンクリート本体の形状は、波によってプラットフォームに誘発される加速度に対して極めて低い反応を示す。これは、風力タービンの性能向上につながり、このことは、極めて低い傾倒状態および振動下で機能する。
【0036】
・風力タービンの性能を最適化するSPAR解決手段により、タンク同士の間の液体バラストの移動の結果として、風によって生じる傾倒モーメントを補正することができる。
【0037】
上述された説明を補完し、本発明の特徴をより良く理解することを助ける目的で、以下に例示的かつ非限定的に示されている図面のセットが、前述の説明の不可欠な部分として添付される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】風により浮体式プラットフォームに生じる荷重によって生じる課題の概略図であり、風力タービンのタワーがプラットフォームのコンクリート本体と交差する、水平なセクションが急激に変化する領域に力の高い集中が発生している。
図2】本明細書で定義される浮体式プラットフォームの可能な構成の1つを示す立面図であり、プラットフォームを形成するコンクリート製の3つの本体、すなわち、下側本体(1)と、中間本体(2)と、上側本体(3)とを見ることができる。この場合、上側本体(3)は単一のタワー(4)によって形成されており、囲い(5)はドームから構成されている。
図3】互い違いに隣接し合って配置された準円形体(6)であって、準円形体(6)同士の間に真っ直ぐな接触セグメントを備えた準円形体(6)を見ることができる断面図であり、準円形体(6)の鉛直な押出体がプラットフォームの中間本体(2)を形成している。同図は、これらの準円形体(6)の可能な構成の1つを示し、同図では、3つの準円形体セクションごとの間に存在する開口(7)を見ることができる。
図4】プラットフォームから得ることができる可能な構成の1つにおける、プレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)の配置の概略図である。この平らな格子体(9)が、係留索(10)から到来する応力をプラットフォームのコンクリート製の中間本体(2)に分散させる態様が示してある。
図5】プラットフォームのコンクリート製の中間本体(2)を形成する水平なセクションにさらに準円形体(6)を付加することによってプラットフォームが採用することができる別の可能な構成を示す図である。プレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)をプラットフォームの幾何学形状の変化に適合させることができる態様と、プラットフォームの幾何学形状のいかなる変化においても荷重が平らな格子体(9)に伝達されるように係留索(10)を配置することができる態様も示してある。
図6】本特許で定義される浮体式プラットフォームの可能な構成の1つ、この場合には半潜水型の構成の輪郭図である。同図には、風力タービンのタワーを支持するものを含む様々なタワー(4)が水面(11)の上方に位置し、これによって、設置段階および動作段階において安定させるために必要な慣性をプラットフォームに与える様子が示してある。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の好ましい実施形態
したがって、本発明の目的は、コンクリートに静水圧の自然プレストレスを提供し、コンクリートをその最も有効なモード、すなわち、圧縮下で機能させ、プラットフォームの構造的な応答を改善し、コンクリートにおける破断または亀裂の発生を防止し、これによって、浸透性を低減し、構造体に含まれる骨組みを削減することができ、また、動作安全性を高めることができる幾何学的な設計によって特徴付けられる、大量生産用の鉄筋コンクリート製の浮体式風力プラットフォームのための解決手段を提供することにある。本発明は、係留応力を均一に分散する鉄筋コンクリート製の格子状の形態で係留索を構造体にアンカー固定し、プラットフォームの高い領域でのプレストレスを最小限に抑え、プラットフォームと風力タービンのタワーとの間のセクションの変化による剪断力を分散させる領域を増加させるためのシステムを有している。さらに、幾何学的な設計により、喫水の浅いSPAR、半潜水艇、バージまたはブイなどの解決手段を採用することができ、風力タービンが、構造体の中心にまたは中心から外れて設置され、したがって、それぞれ異なる喫水要件または異なる環境条件および物流条件に適応される汎用性を有している。
【0040】
本発明は、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームから構成されており、この浮体式プラットフォームでは、3つの部分、つまり、下側本体(1)と、中間本体(2)と、単一の洋上風力タービンが配置される上側本体(3)とが区別されている(図2)。プラットフォームは、可能な限り等間隔に配置された少なくとも3本の索(10)から構成された拡散係留型の係留システム(図4)を有している。
【0041】
洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製浮体式プラットフォーム(図2)の下側本体(1)は、平らなコンクリート基礎から構成されており、下側本体(1)の目的は、前述の本体に支持されるプラットフォームの残りの部分に構造的な支持を提供し、また、プラットフォームの軽量化に寄与し、これによって、プラットフォームの安定性を改善することである。
【0042】
洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームの中間本体(2)は、相互間に真っ直ぐな接触セグメントを備えた少なくとも5つの隣接し合う準円形体(6)を互い違いに配置して構成された、水平なセクション(図3)を備えた鉛直な押出体として形成された単一のコンクリート本体から構成されている。各々の準円形体の内側空間(8)は、固体バラストと液体バラストとの組合せを収容することができる耐漏性の空間である。
【0043】
上述した中間本体(2)の配置(図3)において、3つの準円形体(6)ごとに互いに接触して形成された一連の内側の開口(7)が存在している。前述の内側の開口(7)は、プラットフォームの上側領域で開放していて、内側の開口(7)の下側部分を通って外側に連通している。前述の開口(7)の目的は、開口(7)と外側との接続の結果として、プラットフォームが常に有する喫水と一致するように充填されたままにすることである。これによって、プラットフォームが部分的または完全に潜水しているときに受ける静水圧の均衡が実現される。これによって、この圧力の均衡の結果として、プラットフォームの中間本体(2)を形成するコンクリート壁(図2)は、前述の圧力の結果としての一定の圧縮プレストレスに自然に適応し、プラットフォームの良好な構造的な挙動にとって好都合となる。
【0044】
本発明の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームの上側本体(3)(図2)は、上記の中間本体(2)に配置されていて、一連の囲いから構成されており、これによって、各々の囲いが、前述の本体(2)の最も高いセクションにおいて、中間本体(2)の水平なセクションを形成する各々の準円形体(6)に配置されている。ただし、プラットフォームの残りの部分よりも高くなっているタワー(4)を形成する延長部が配置され、プラットフォームの風力タービン用の支持体が配置される少なくとも1つの前述のセクション(6)を除く。
【0045】
中間本体(2)(図2)に存在する囲い(5)の幾何学形状は、上述したように、プラットフォームの潜水の程度に関連して設けられるプラットフォームの概念によって異なっている。
【0046】
一方、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームは、潜水した状態でも動作可能であり、タワー(4)が複数存在する場合には、タワー(4)の一部のみが風力タービンを支持し、風力タービン自体は、海面(11)の上方に位置している(図6)。この状況において、プラットフォームの下側本体(1)を形成するコンクリート基礎がリグの重心を可能な限り低く保つ結果として、プラットフォームの安定性がより大きく得られる。この構成では、コンクリート製の中間本体(2)の囲い(5)は、タワー(4)が配置された準円形体(6)を除いて、プラットフォームの中間本体(2)のセクションを形成する各々の準円形体に配置された一連のドームから構成されている(図6)。これらのドームの目的は、プラットフォームが潜水したときに受ける静水圧を受け、前述の圧力によって生じる荷重を中間本体(2)に伝達し、前述の本体が、これらの荷重に対して圧縮下で機能するようにすることである。
【0047】
他方、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するためのコンクリート製の浮体式プラットフォームは、中間本体(2)全体が潜水するのではなく、中間本体(2)の一部が海面上に位置するように動作させることが可能である。このプラットフォーム構成の場合、中間本体(図2)に配置される囲い(5)は、単に強化スラブまたは強化プレートから構成される。なぜならば、建設面から、このことは最も単純な解決手段であり、これらの要素は喫水線の上方にあるため、静水圧にさらされず、合理的であるからである。これらの囲い(5)は、タワーを除いて、プラットフォームの中間本体のセクションを形成する各々の準円形体に配置されている(図6)。
【0048】
洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームのコンクリート製の中間本体(2)(図2)の実際の幾何学形状は、上述のように、準円形体(6)の最小数を5つに保ちながら、中間本体(2)を形成する水平なセクション(図3)に準円形体(6)をより多く配置するかまたはより少なく配置するかに応じて、多種のプラットフォームの概念を構成することを可能にする。これらの変形によって、上側本体(3)(図2)を形成するタワー(4)(図6)を、少なくとも1である数でかつプラットフォームにおける適所に配置する変形とともに、広い範囲のプラットフォームの概念、例えば、水線面積が比較的小さく、重心を極めて低く保つことによってリグの安定性が実現されるため、前述の安定性にほとんど寄与しない単一のタワーを備えたプラットフォーム、上側本体に1つよりも多くのタワー(4)が存在しており、タワーの1つが風力タービンを支持しており、複数のタワーが互いに離間させられており、これによって、リグアセンブリの安定性に有利である水線面積の慣性が確保されるプラットフォーム等を得ることが可能となる。
【0049】
本発明の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームは、プラットフォーム(図2)の中間本体(2)と上側本体(3)との間に配置されるプレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)をさらに備えている(図4)。前述の平らな格子体(9)は、三角形状に配置されたプレストレストコンクリート製の少なくとも3つの長手方向要素から構成されており、三角形形状の頂点が、プラットフォームの中間本体(2)を形成する準円形体セクション(6)同士の間の真っ直ぐな接触セグメントを備えた領域(図3)に位置するように配置されている。洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームの係留索(10)(図4)は、プラットフォームの中間本体(2)のセクションを形成する準円形体(6)同士の間の真っ直ぐな接触セグメントにその最も高い領域で固定されており、その結果、係留索(10)とプレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)の頂点との間に構造的な連続性が存在している。
【0050】
プレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)の実際の構成は、コンクリート製の中間本体(2)のセクションに存在する準円形体(6)の数(図5)に応じて、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームの幾何学形状に適応可能であることを可能にし、プレストレストコンクリート製の長手方向要素を付加することにより、三角形状に配置されたこれらの長手方向要素の幾つかから格子体(9)を形成することができる。この特徴は、本発明の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームが採用することができるあらゆる可能な構成に適するようにした前述の格子体(9)に一定の汎用性を付与する。
【0051】
本発明は、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の全般的な範囲から逸脱することなく、特定の事例を参照して説明されている。このため、本明細書ひいては図面は、制限的でも限定的でもなく、一例として理解する必要がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォームにおいて、
a)鉄筋コンクリート製の平らな基礎から構成された下側本体(1)と、
b)相互間に真っ直ぐな接触セグメントを備えた少なくとも5つの隣接し合う準円形体(6)を互い違いに配置した形態で構成された、水平なセクションを備えた鉛直な押出体により形成された鉄筋コンクリート製の単一の中間本体(2)であって、各々の準円形体の内部が、耐漏性の空間(8)であり、3つの準円形体の内側空間のそれぞれが、中空の空間(7)であり、海に直接接続されている、中間本体(2)と、
c)準円形体(6)の延長部であり、前記風力タービン用の支持体として機能する少なくとも1つのタワー(4)により形成された、前記中間本体(2)に設けられた上側本体(3)と、
d)前記プラットフォームを海底に接続する索(10)による係留システムと
を備えることを特徴とする、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項2】
前記中間本体(2)の囲い(5)が、ドームであり、各々のドームは、鉄筋コンクリート製の前記中間本体(2)の前記セクションを形成する前記準円形体(6)の各々に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項3】
前記中間本体(2)の囲い(5)が、補強された平らなスラブまたはプレートであり、各々の補強されたスラブまたはプレートは、鉄筋コンクリート製の前記中間本体(2)の前記セクションを形成する前記準円形体(6)の各々に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項4】
各々の準円形体(6)の内側の前記耐漏性の空間(8)の一部は、固体バラストおよび液体バラストと、空気との組合せを収容する能力を有する、請求項1および2記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項5】
各々の準円形体(6)の内側の前記耐漏性の空間(8)の一部は、固体バラストおよび液体バラストと、空気との組合せを収容する能力を有する、請求項3記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項6】
前記係留システムは、
a)プレストレストコンクリート製の平らな格子体(9)であって、コンクリート製の前記中間本体(2)とドームの形態の囲い(5)との間に位置していて、三角形状に配置された少なくとも3つの長手方向要素から構成されていて、前記格子体の頂点が、前記プラットフォームの前記中間本体(2)の前記セクションを形成する前記準円形体(6)同士の間の前記真っ直ぐな接触セグメントに位置するように位置している平らな格子体
によって特徴付けられており、
b)係留用の前記索(10)は、前記プラットフォームの前記中間本体(2)の前記セクションを形成する前記準円形体(6)同士の間の前記真っ直ぐな接触セグメントにその最も高い領域で固定されており、プレストレストコンクリート製の前記平らな格子体(9)と係留用の前記索(10)との間に構造的な連続性が存在している、
請求項4記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項7】
前記係留システムは、コンクリート製の前記中間本体(2)とドームの形態の前記囲い(5)との間に位置する補強プレートに固定された係留用の索によって特徴付けられている、請求項4記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【請求項8】
前記係留システムは、前記平らな囲い(5)に固定された係留用の索(10)によって特徴付けられている、請求項5記載の、洋上風力産業に適用可能である、風力タービンを支持するための鉄筋コンクリート製の浮体式プラットフォーム。
【国際調査報告】