(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】マイクロニードルパッチ、マイクロニードルパッチの製造方法及びマイクロニールパッチの製造装置
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
A61M37/00 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505232
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 KR2021015027
(87)【国際公開番号】W WO2022239915
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0061417
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0061451
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522032327
【氏名又は名称】フェロカ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】FEROKA INC.
【住所又は居所原語表記】411, 412-ho, 14, Seongsui-ro 10-gil Seongdong-gu Seoul 04784 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン イスル
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB24
4C267BB40
4C267CC05
4C267FF10
4C267GG16
(57)【要約】
本発明は、マイクロニードルパッチ、マイクロニードルパッチの製造方法とマイクロニードルパッチの製造装置であり、複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップと、前記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップと、前記モールドを回転軸に対して回転させるステップと、前記針溝に充填された前記ベース物質を乾燥させるステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップと、
前記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップと、
前記モールドを回転軸に対して回転させるステップと、
前記針溝に充填された前記ベース物質を乾燥させるステップとを含む、マイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項2】
前記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップは、
前記針溝に充填されたベース物質の内部バブルを除去するか、前記ベース物質と前記針溝との間の気体が除去される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項3】
前記モールドを回転軸に対して回転させるステップは、
遠心力によって前記ベース物質を前記針溝の軸方向に密着させる、請求項1に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項4】
前記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップの前に、前記ベース物質が充填された前記モールドを前記回転軸に対して予め回転させるステップをさらに含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項5】
前記回転軸は、前記針溝の軸方向と垂直である、請求項1に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項6】
ベース物質が注入される複数の針溝を有するモールドと、
前記モールドに大気圧より低い圧力を形成する圧力モジュールと、
回転軸を中心に前記モールドを回転させる回転モジュールと、
前記針溝に充填された前記ベース物質を乾燥させる乾燥モジュールとを含む、マイクロニードルパッチの製造装置。
【請求項7】
前記ベース物質は、
前記圧力モジュールで前記ベース物質の内部バブルが除去されるか、前記ベース物質と前記針溝との間の気体が除去された後に、
前記回転モジュールの駆動で生成された遠心力で、前記ベース物質が針溝の軸方向に密着される、請求項6に記載のマイクロニードルパッチの製造装置。
【請求項8】
複数の針溝を有するモールドに緩衝液を充填するステップと、
前記針溝の上にベース物質を配置するステップと、
前記ベース物質を前記緩衝液に拡散させるステップと、
前記モールドを乾燥させるステップとを含む、マイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項9】
前記ベース物質を前記緩衝液に拡散させるステップは、
前記ベース物質が前記針溝に注入される、請求項8に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項10】
前記緩衝液は前記ベース物質を溶解させる、請求項9に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項11】
前記緩衝液は水を含み、前記ベース物質はヒアルロン酸(hyaluronic acid)を含む、請求項10に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項12】
前記ベース物質の内部には有効成分が配置される、請求項10に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項13】
前記モールドを乾燥させるステップは、
前記緩衝液が除去され、前記ベース物質が前記針溝で固まる、請求項8に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルパッチ、マイクロニードルパッチの製造方法とマイクロニードルパッチの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体内への薬物投与は、伝統的には針が付いた注射で行われていたが、針が付いた注射は大きな痛みを引き起こす。そのため、非侵襲的薬物投与方法も開発されたが、投与量に比べて所要薬物の量が多すぎるという問題がある。
【0003】
このような問題から、薬物送達システム(Drug Delivery System(DDS)について多くの研究が行われてきており、ナノ技術の発達でより大きな進歩を成し遂げられるようになった。
【0004】
マイクロニードルは、従来の注射針とは異なり、痛みのない皮膚貫通及び外傷がないことを特徴とすることができる。また、マイクロニードルは皮膚の角質層を貫通しなければならないため、ある程度の物理的な硬度を必要とすることがある。また、生理活性物質が皮膚の表皮層または真皮層まで到達するための適切な長さも必要とすることがある。また、数百のマイクロニードルの生理活性物質が効果的に皮膚に送達されるためには、マイクロニードルの皮膚透過率が高いと同時に、皮膚に挿入された後、溶解されるまで一定時間維持されなければならない。
【0005】
これにより、精密な量の薬物を送達し、ターゲット位置を正確に設定できるマイクロニードルに対する関心が増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、有効成分を定量的に、目標位置に効果的に送達することができるマイクロニードルパッチを製造することができるマイクロニードルパッチ、マイクロニードルパッチの製造方法と製造装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップと、前記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップと、前記モールドを回転軸に対して回転させるステップと、前記針溝に充填された前記ベース物質を乾燥させるステップとを含むマイクロニードルパッチの製造方法を提供する。
【0008】
本発明の一側面は、複数の針溝を有するモールドに緩衝液を充填するステップと、前記針溝の上にベース物質を配置するステップと、前記ベース物質を前記緩衝液に拡散させるステップ、及び前記モールドを乾燥させるステップとを含むマイクロニードルパッチの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るマイクロニードルパッチの製造装置及びマイクロニードルパッチの製造方法は、品質の高いマイクロニードルパッチを製造することができる。本発明は、モールドに大気圧より低い圧力を形成し、マイクロニードルパッチの内部に残留する気体を除去してマイクロニードルに異物が含まれず、モールドとベース物質との間の気体を除去して対象体へ取り付けることが容易で薬物送達が効果的なマイクロニードルパッチを製造することができる。
【0010】
本発明に係るマイクロニードルパッチの製造装置及びマイクロニードルパッチの製造方法は、品質の高いマイクロニードルパッチを製造することができる。モールドに真空を形成し、マイクロニードルパッチの内部に残留する気体を除去してマイクロニードルに異物が含まれず、モールドとベース物質との間の気体を除去して対象体へ取り付けることが容易で薬物送達が効果的なマイクロニードルパッチを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチの製造装置を示す図である。
【
図2】
図1によって製造されるマイクロニードルパッチを示す斜視図である。
【
図3】
図1の注入モジュールにおいてベース物質が注入されることを示す図である。
【
図4】
図1の圧力モジュールの駆動を示す図である。
【
図7】
図6のB部分においてベース物質がモールドに充填されることを示す図である。
【
図8】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法を示すフローチャートである。
【
図12】本発明のマイクロニードルパッチの製造方法で製造されたマイクロニードルパッチを示す図である。
【
図14】本発明のマイクロニードルパッチの製造方法で製造されたマイクロニードルパッチと比較例を示す図である。
【
図15】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造装置を示す図である。
【
図16】本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法を示すフローチャートである。
【
図21】
図16のマイクロニードルパッチの製造方法によるマイクロニードルの製造工程を示す図である。
【
図22】
図16のマイクロニードルパッチの製造方法で製造されたマイクロニードルパッチを示す図である。
【
図25】
図22のマイクロニードルパッチの他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一側面は、複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップと、上記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップと、上記モールドを回転軸に対して回転させるステップと、上記針溝に充填された上記ベース物質を乾燥させるステップとを含むマイクロニードルパッチの製造方法を提供する。
【0013】
また、上記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップは、針溝に充填されたベース物質の内部バブルを除去するか、上記ベース物質と上記針溝との間の気体が除去されることができる。
【0014】
また、上記モールドを回転軸に対して回転させるステップは、遠心力によって上記ベース物質を上記針溝の軸方向に密着させることができる。
【0015】
また、上記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップの前に、上記ベース物質が充填された上記モールドを上記回転軸に対して予め回転させるステップをさらに含むことができる。
【0016】
また、上記回転軸は上記針溝の軸方向と垂直であってもよい。
【0017】
本発明の他の側面は、ベース物質が注入される複数の針溝を有するモールドと、上記モールドに大気圧より低い圧力を形成する圧力モジュールと、回転軸を中心に上記モールドを回転させる回転モジュール、及び上記針溝に充填された上記ベース物質を乾燥させる乾燥モジュールを含むマイクロニードルパッチの製造装置を提供する。
【0018】
また、上記ベース物質は、上記圧力モジュールから上記ベース物質の内部バブルが除去されるか、上記ベース物質と上記針溝との間の気体が除去された後に、上記回転モジュールの駆動によって生成された遠心力で、上記ベース物質が針溝の軸方向に密着することができる。
【0019】
本発明の一側面は、複数の針溝を有するモールドに緩衝液を充填するステップと、前記針溝の上にベース物質を配置するステップと、前記ベース物質を前記緩衝液に拡散させるステップ、及び前記モールドを乾燥させるステップとを含むマイクロニードルパッチの製造方法を提供する。
【0020】
また、上記ベース物質を上記緩衝液に拡散させるステップは、上記ベース物質が上記針溝に注入されてもよい。
【0021】
また、上記緩衝液は上記ベース物質を溶解させることができる。
【0022】
また、上記緩衝液は水を含み、上記ベース物質はヒアルロン酸(hyaluronic acid)を含むことができる。
【0023】
また、上記ベース物質の内部には有効成分が配置されることができる。
【0024】
また、上記モールドを乾燥させるステップは、上記緩衝液が除去され、上記ベース物質を上記針溝で固めることができる。
【0025】
本発明の他の側面は、ベース及び上記ベースに取り付けられる複数のマイクロニードルを含み、上記マイクロニードルは、緩衝液にベース物質が溶解された後に上記緩衝液が乾燥されるマイクロニードルパッチを提供する。
【0026】
また、上記緩衝液は水を含み、上記ベース物質はヒアルロン酸(hyaluronic acid)を含むことができる。
【0027】
また、上記ベース物質の内部には有効成分が配置されることができる。
【0028】
上述した以外の他の側面、特徴、利点は、以下の図面、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0029】
以下、添付の図面に示された本発明に係る実施例を参照して本発明の構成及び作用を詳細に説明する。
【0030】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、詳細に説明しようとする。本発明の効果及び特徴とそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施例を参照することで明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実装されてもよい。
【0031】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明するものとし、図面を参照して説明するとき、同一又は対応する構成要素は同一の図面符号を付与し、これに対する重複の説明は省略する。
【0032】
以下の実施例において、第1、第2などの用語は限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で用いられた。
【0033】
以下の実施例において、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0034】
以下の実施例において、含むまたは有するなどの用語は、明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在することを意味するものであり、1つまたは複数の他の特徴または構成要素が追加される可能性を予め排除するものではない。
【0035】
図面では、説明の便宜上、構成要素の大きさが誇張または縮小されてもよい。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上任意に示しているため、本発明が必ずしも示されたものに限定されるものではない。
【0036】
ある実施例が他の方法で実装可能である場合、特定の工程順序は、説明される順序と異なる方法で実行されてもよい。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に実行されてもよく、説明される順序とは逆の順序で進行されてもよい。
【0037】
図1は、本発明の一実施例に係るマイクロニードルパッチの製造装置を示す図である。
【0038】
図1を参照すると、マイクロニードルパッチの製造装置1は、注入モジュール10、圧力モジュール20、回転モジュール30及び乾燥モジュール40を備えることができる。
【0039】
図では、マイクロニードルパッチの製造装置1が、注入モジュール10、圧力モジュール20、回転モジュール30及び乾燥モジュール40がそれぞれ1つずつ順次配置されることを示しているが、これに限定されるものではなく、マイクロニードルパッチの製造工程に応じて多様に変形することができる。
【0040】
一例として、マイクロニードルパッチの製造装置1は、注入モジュール10、圧力モジュール20、回転モジュール30及び乾燥モジュール40のうち少なくとも1つは複数で備えることができる。別の例として、マイクロニードルパッチの製造装置1は、圧力モジュール20より先に回転モジュール30が配置されることができる。
【0041】
マイクロニードルパッチの製造装置1で製造されたマイクロニードルパッチ100は、ベース110に複数のマイクロニードル120が配置されることができる。マイクロニードルパッチ100は、対象体に取り付けられ、薬物を送達したり、美容物質を送達することができる。
【0042】
図2は、
図1によって製造されるマイクロニードルパッチを示す斜視図である。
【0043】
図2を参照すると、マイクロニードルパッチ100はベース110とマイクロニードル120を含むことができる。
【0044】
ベース110は、マイクロニードル120が支持され、一面に複数のマイクロニードル120を備えることができる。ベース110の一面は皮膚に接触し、反対側の他面は外部に露出されてもよい。
【0045】
ベース110は、マイクロニードル120が皮膚に埋め込まれると除去されることができる。一例で、ベースは、ユーザが力を加え、皮膚から除去されることができる。別の例として、マイクロニードルパッチ100は、ベース110とマイクロニードル120が接続される部分が先に溶解され、取り付けた後一定時間が経過した後にベース110を除去することができる。また他の例として、マイクロニードルパッチ100は、長時間取り付けた際にベース110が溶解されることができる。また他の例として、ベース110は、ユーザが溶解のための物質を塗布して除去されることができる。
【0046】
一実施例として、ベース110は、マイクロニードル120に含まれた物質のうちいずれか1つを含むことができる。ベース110は、マイクロニードル120などの生分解性物質を含むことができる。
【0047】
選択的な実施例として、ベース110は生理活性物質を含むことができる。マイクロニードルパッチ100を皮膚に取り付けた後、ベース110から出る生理活性物質によって有効薬物を効果的に患者に送達することができる。また、ベース110から出る生理活性物質によって、ベース110とマイクロニードル120が容易に分離できるようになる。
【0048】
一実施例として、ベース110は、マイクロニードル120に最も隣接する層、すなわちマイクロニードル120のチップで最も離隔して配置される層より遅い溶解性を有することができる。マイクロニードル120でベース110に隣接する部分は最も速く溶解するため、ベース110をマイクロニードル120から容易に分離できるようになる。
【0049】
一実施例として、ベース110は水溶性高分子を含むことができる。ベース110は、水溶性高分子で構成されていてもよく、それ以外の添加物(例えば、二糖類など)を含んでいてもよい。また、ベース110は、薬物または有効成分を含まないことが好ましい。
【0050】
ベース110は生体適合性物質を含むことができる。ベース110は、後述するマイクロニードル120のベース物質として選択される生体適合性物質を基本物質として選択することができる。
【0051】
マイクロニードル120は、ベース110の表面から突出し、複数で備えられてもよい。マイクロニードル120はベース物質BMで形成して,ベース物質BMは生体適合性物質と添加剤を含むことができる。
【0052】
生体適合性物質は、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose(CMC))、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid(HA))、アルギン酸(Alginic acid)、ペクチン(Pectin)、カラギーナン(Carrageenan)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin Sulfate)、デキストラン硫酸(Dextran Sulfate)、キトサン(Chitosan)、ポリリジン(polylysine)、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(Agarose)、プルラン(pullulan)、ポリ酸無水物(polyanhydride)、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリヒドロキシ酪酸(Poly butyric acid)、ポリヒドロキシ吉草酸(Poly valeric acid)、ポリアクリレート(polyacrylate)、エチレン酢酸ビニル(ethylene-vinyl acetate)重合体、アクリル置換セルロースアセテート、ポリビニルクロライド(polyvinyl chloride)、ポリビニルフルオライド(polyvinyl Fluoride)、ポリビニルイミダゾール(polyvinyl)、クロロスルホネートポリオレフィン(chlorosulfonate polyolefins)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)、マルトース(Maltose)、ラクトース(Lactose)、トレハロース(Trehalose)、セロビオス(Cellobiose)、イソマルトース(Isomaltose)、ツラノース(Turanose)、及びラクツロース(Lactulose)のうち少なくともいずれか1つを含むか、これらの高分子を形成するモノマーの共重合体及びセルロースからなる群から選択された1以上の高分子である。
【0053】
添加剤は、トレハロース(trehalose)、オリゴ糖(oligosaccharide)、スクロース(sucrose)、マルトース(maltose)、ラクトース(lactose)、セロビオス(cellobiose)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチン(Pectin)、カラギーナン(Carrageenan)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin Sulfate)、デキストラン硫酸(dextran Sulfate)、キトサン(Chitosan)、ポリリジン(polylysine)、コラーゲン、ゼラチン、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(Agarose)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)、シクロデキストリン(Cyclodextrin)、ゲンチオビオース(gentiobiose)、セトリミド(alkyltrimethylammonium bromide(Cetrimideex)) 、ゲンチアナバイオレット(Gentian Violet)、塩化ベンゼトニウム(benzethonium chloride)、ドクサートナトリウム塩(docusate sodium salt)、スパン系の界面活性剤(a SPAN-type surfactant)、ポリソルベート(polysorbate(Tween))、ラウリル硫酸ナトリウム(SDD)、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)及びオレイン酸グリセリル(glyceryl oleate)のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0054】
ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸だけでなく、ヒアルロン酸塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム及びヒアルロン酸カルシウム)及びそれらの混合物を全て含む意味で使用される。ヒアルロン酸は、架橋ヒアルロン酸及び/または非架橋ヒアルロン酸を含む意味で使用される。
【0055】
本発明の一実装例によれば、本発明のヒアルロン酸は分子量が2kDa~5000kDaである。
【0056】
本発明の他の実装例によれば、本発明のヒアルロン酸は、分子量が100kDa~4500kDa、150kDa~3500kDa、200kDa~2500kDa、220kDa~1500kDa、240kDa~1000kDaまたは240kDa~490kDaである。
【0057】
カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose:CMC)は、公知の様々な分子量のCMCを使用することができる。例えば、本発明で使用されるCMCの平均分子量は90,000kDa、250,000kDa、または700,000kDaである。
【0058】
二糖類は、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロースまたはセロビオスなどがあり、特にスクロース、マルトース、トレハロースを含むことができる。
【0059】
選択的な実施例として、粘着剤を含むことができる。粘着剤は、シリコーン、ポリウレタン、ヒアルロン酸、物理的接着剤(ゲッコ)、ポリアクリル、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチレンビニルアセテート及びポリイソブチレンで構成された群から選択された少なくとも1つ以上の粘着剤である。
選択的な実施例として、マイクロニードル120は金属、高分子ポリマー、または粘着剤をさらに含むことができる。
【0060】
マイクロニードル120は有効成分EMを含むことができる。マイクロニードル120は、少なくとも任意の一部に薬学的、医学的または化粧学的有効成分EMを含むことができる。例えば、非限定的な例として、有効成分はタンパク質/ペプチド医薬を含むが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、シグナル伝達タンパク質またはその一部、抗体またはその一部、単鎖抗体、結合タンパク質またはその結合ドメイン、抗原、接着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及びワクチンのうち少なくともいずれか1つを含む。より詳細には、上記タンパク質/ペプチド医薬は、インスリン、IGF-1(insulinlikegrowth factor1)、成長ホルモン、エリスロポエチン、G-CSF(granulocyte-colony stimulating factors)、GM-CSF(granulocyte/macrophage-) colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン-1アルファ及びベータ、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-6、インターロイキン-2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン(calcitonin) 、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、 TNF(tumor necrosis factor)、アトビスバン(atobisban)、ブセレリン(buserelin)、セトロレリックス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、デスモプレシン(desmopressin)、ジノルフィンA(dynorphin A)(1-13)、エルカトニン(elcatonin)、エレイドシン(eleidosin)、エプチフィバチド(eptifibatide)、GHRH-II(growth hormone releasing hormone-II)、ゴナドレリン(gonadorelin)、ゴセレリン(goserelin)、ヒストレリン(histrelin)、リュプロレリン(leuprorelin)、リプレシン(lypressin)、オクトレオチド(octreotide)、オキシトシン(oxytocin)、ピトレシン(pitressin)、セクレチン(secretin)、シンカリド(sincalide)、テルリプレシン(terlipressin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(thymosine)α1、トリプトレリン(triptorelin)、ビバリルジン(bivalirudin)、カルベトシン(carbetocin)、シクロスポリン、エキセジン(exedine)、ランレオチド(lanreotide)、LHRH(luteinizing hormone-releasing hormone)、ナファレリン(nafarelin)、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド(pramLintide)、T-20(enfuvirtide)、チマルファシン(thymalfasin)及びジコノチドのうちいずれか1つを含むことができる。また、有効成分EMは、美白、フィラー、しわ除去または抗酸化剤などの美容成分であってもよい。
【0061】
一実施例において、有効成分EMは、微粒子の形態でマイクロニードル120を形成する溶媒中に分散されたコロイドであってもよい。上記微粒子は、それ自体が有効成分EMであるか、有効成分EMを担持しているコーティング材を含むことができる。
【0062】
有効成分EMは、マイクロニードル120の一部の層に集中的に分布されてもよい。つまり、有効成分EMはマイクロニードル120において特定の高さに配置されるため、効果的に有効成分EMが送達されることができる。
【0063】
別の実施例において、有効成分EMがマイクロニードル120内に溶解されることができる。上述した生分解性物質などのマイクロニードル120のベース物質内に有効成分EMが溶解され、マイクロニードル120を構成することができる。有効成分EMは、上記ベース物質に均一な濃度で溶解されることができ、上述した微粒子のようにマイクロニードル120の特定の高さに集中的に分布することもできる。
【0064】
一実施例において、マイクロニードルパッチ100は、区域に応じて複数の有効成分EMを有することができる。複数のマイクロニードルのうちの第1グループのマイクロニードルは、前記複数の有効成分のうちの第1有効成分を含み、前記第1グループとは異なる第2グループのマイクロニードルは、前記複数の有効成分のうちの第2有効成分を含めることができる。
【0065】
一実施例において、マイクロニードル120上に薬学的、医学的または化粧学的有効成分EMをコーティングすることができる。有効成分EMは、マイクロニードル120全体にコーティングされてもよく、マイクロニードル120の一部のみにコーティングされてもよい。あるいは、マイクロニードル120のコーティング層の一部は第1有効成分がコーティングされ、他の一部は第2有効成分がコーティングされてもよい。
【0066】
マイクロニードル120は様々な形状を有することができる。マイクロニードル120は、錐型状を有することができる。例えば、マイクロニードル120は円錐形、三角錐形、四角錐形などの多角形を有することができる。
【0067】
マイクロニードル120は層状構造を有することができる。マイクロニードル120は、積層された複数の層を有することができる。マイクロニードル120を形成する層の数は特定の数に限定されない。
【0068】
図3は、
図1の注入モジュールにおいてベース物質が注入されることを示す図である。
【0069】
図3を参照すると、注入モジュール10において、モールドMにベース物質BMを注入することができる。
【0070】
モールドMは、ベース溝BGと複数の針溝NGとを有する。ベース溝BGはベース110が製造される領域であって、針溝NGはマイクロニードル120が製造される領域であり、針溝NGにベース物質BMが注入される。
【0071】
ベース物質BMは、針溝NGの上部に配置され、針溝NGに注入される。ベース物質BMは様々な方法でモールドMに注入することができる。
【0072】
例えば、ベース物質BMは液体であり、ノズル11から噴射されモールドMに注入されてもよい。
【0073】
また、ベース物質BMの液滴(Droplet)を針溝NGに落下させ、針溝NGにベース物質BMを注入することができる。
【0074】
また、ベース物質BMはゲル(Gel)の形態であり、スパチュラ(spatula)を用いてモールドMの上に配置されることができる。その後、ベース物質BMは、スキージング装置(図示せず)で圧着され、針溝NGに注入されてもよい。
【0075】
モールドMに注入されたベース物質BMは、内部にバブルが形成されてもよい。ベース物質BMを製造する過程でバブルが形成されてもよく、ベース物質BMをモールドMに注入する過程でバブルが形成されてもよい。また、ベース物質BMと針溝NGとの間には気体を貯蔵することができる。ベース物質BMを注入する過程で、気体が完全に除去されず、針溝NGとベース物質BMとの間の空間に残留することがある。
【0076】
しかし、以下で説明する圧力モジュール20や回転モジュール30が駆動すると、ベース物質BMは内部でバブルが除去され、ベース物質BMは針溝NGに完全に充填されることができる。
【0077】
図4は、
図1の圧力モジュールの駆動を示す図であり、
図5は、
図4のA部分を拡大して示す図である。
【0078】
図4及び
図5を参照すると、圧力モジュール20が駆動して針溝NGに残留する気体を除去したり、ベース物質BMの内部バブルを除去することができる。
【0079】
以下で、圧力モジュール20を駆動してモールドMを低圧で形成することは、針溝NGの内部気体を除去したり、ベース物質BMの内部バブルを除去するために比較的低い圧力に設定することを意味する。つまり、モールドMに大気圧より低圧の雰囲気を形成することは、ベース物質BMの内部に含まれた気体を除去したり、モールドMとベース物質BMとの間に残留した気体を除去するほど低圧状態の雰囲気を形成することを意味する。
【0080】
例えば、圧力モジュール20を駆動してモールドMを低圧に形成することは、チャンバーの内部を大気圧より低い圧力に形成することを意味することができる。また、圧力モジュール20を駆動してモールドMを低圧に形成することは、チャンバーの内部を1気圧以下に設定することを意味することができる。また、圧力モジュール20を駆動してモールドMを低圧に形成することは、チャンバーの内部を1mbar以下に設定して実質的に真空と同様の環境を構築することも含む。
【0081】
圧力モジュール20の支持台21にモールドMを置き、圧力ポンプ22を駆動してチャンバーの内部を低圧に形成する。このとき、低圧は大気圧より低い圧力に設定することができる。モールドMの針溝NGも比較的低圧に形成されるため、ベース物質BMの内部バブルBUにある気体gは除去される。また、ベース物質BMと針溝NGとの間の空間にある気体gも除去される。
【0082】
つまり、圧力モジュール20は、ベース物質BMの内部にある気体gを除去したり、ベース物質BMと針溝NGとの間にある気体gを除去して、マイクロニードル120の品質を高めることができる。
【0083】
一実施例として、気体gが除去された後は、圧力ポンプ22の駆動を停止し、モールドMが大気圧より低い圧力の状態を解除する。モールドMの低圧状態が解除されると、ベース物質BMの内部バブルBUは空きスペースとして維持され、針溝NGの表面とベース物質BMとの間も空きスペースとして維持される。
【0084】
別の実施例として、気体gが除去された後も圧力ポンプ22の駆動を維持することで、モールドMが大気圧より低い圧力状態を維持することができる。その後、低い圧力状態を維持した状態で回転モジュール30を駆動し、ベース物質BMを空きスペースに充填することができる。
【0085】
図6は、回転モジュールの駆動を示す図であり、
図7は、
図6のB部分でベース物質がモールドに充填されることを示す図である。
【0086】
図6及び
図7を参照すると、回転モジュール30は、回転軸RXを中心にモールドMを回転させて、モールドMに遠心力Fcを提供する。
【0087】
回転軸RXは針溝NGの長手方向と異なる。針溝NGの軸方向に遠心力Fcを提供するために、回転軸RXと針溝NGの長手方向は互いに異なるように設定される。好ましくは、回転軸RXと針溝NGの長手方向は互いに垂直に設定されてもよい。
【0088】
針溝NGの長手方向に沿って遠心力Fcが形成され、ベース物質BMは針溝NGに完全に充填される。
【0089】
遠心力によって、ベース物質BMは針溝NGの端部に押し込まれる。このとき、以前に針溝NGでベース物質BMが充填されなかった領域にもベース物質BMが充填されるようになる。また、ベース物質BMの内部も遠心力Fcによってベース物質BMが密着し、内部バブルBUが除去される。
【0090】
モールドMの低圧状態を解除しても、ベース物質BMが充填されていない領域と内部バブルBUには気体gが除去され、外部より圧力が低い。このとき、遠心力がベース物質BMに作用すると、ベース物質BMを針溝NGと内部バブルBUに迅速かつ簡単に充填することができる。
【0091】
回転モジュール30は、モールドMに遠心力Fcを提供し、ベース物質BMを針溝NGに完全に充填することができる。これにより、モールドMは、精巧なマイクロニードル120を製造することができ、マイクロニードル120の内部の気孔を除去することができる。
【0092】
別の実施例として、回転モジュール30は圧力モジュール20より先に駆動されてもよい。つまり、注入モジュール10において、ベース物質BMがモールドMに注入され、回転モジュール30が駆動される。回転モジュール30が生成する遠心力Fcによって、ベース物質BMを針溝NGの端部まで充填することができる。
【0093】
その後、上述したチャンバーが駆動され、ベース物質BMの内部バブルの中の気体や、ベース物質BMと針溝NGとの間の気体が除去される。その後、再び回転モジュール30が駆動され、ベース物質BMを針溝NGに完全に充填することができる。
【0094】
また
図1を再び参照すると、乾燥モジュール40はベース物質BMを乾燥させる。乾燥したベース物質BMはマイクロニードル120として完成される。乾燥が完了すると、マイクロニードルパッチ100をモールドMから分離させる。
【0095】
図8は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法を示すフローチャートである。
【0096】
図8を参照すると、マイクロニードルパッチの製造方法は、複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップS10と、上記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップS20と、上記モールドを回転軸に対して回転させるステップS30と、上記針溝に充填された上記ベース物質を乾燥させるステップS40とを含む。
【0097】
複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップS10では、ベース物質BMをモールドMに注入する。
【0098】
選択的な実施例として、ベース物質BMをモールドMに注入するステップで、モールドMが設置されたチャンバーを低い圧力に設定することができる。つまり、複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップS10においても、チャンバーの内部圧力を大気圧より低い圧力状態に維持することができる。これにより、バブルがベース物質BMの内部に発生することを最小限に抑えることができる。
【0099】
ベース物質BMは、製造過程において、空気のような気体が内部にバブルBUの形態で貯蔵されてもよい。ベース物質BMが針溝NGに注入されても、内部バブルBUは依然として針溝NGに存在することができる。
【0100】
ベース物質BMの内部バブルBUに残留する気体gは、マイクロニードル120の品質を著しく低下させる可能性がある。マイクロニードル120は対象体の皮膚に移植される部分であるため、気体を含む異物を含まれてはならない。もし、バブルBUの中の気体gが対象体に注入されると、対象体の安全を脅かす可能性がある。
【0101】
針溝NGは非常に小さい体積を有し、ベース物質BMは所定の粘性を有するため、ベース物質BMが完全に針溝NGに充填されることは難しい。ベース物質BMが針溝NGに配置されても、ベース物質BMと針溝NGの表面との間に気体gが残る可能性がある。
【0102】
針溝NGとベース物質BMとの間の空きスペースは、マイクロニードルパッチ100の品質を著しく低下させる。マイクロニードル120は対象体の皮膚を貫通して挿入されるべきであるため、マイクロニードル120の端部は先端チップ(sharpened tip)で製造しなければならない。しかし、針溝NGとベース物質BMとの間の空きスペースは、マイクロニードル120を鈍くすると形成するため、マイクロニードル120が対象体に取り付けられにくく、薬物送達効果を低下させる。
【0103】
マイクロニードルパッチ100の製造上発生する品質低下を防止するために、以下のステップが行われる。
【0104】
上記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップS20では、針溝NGに充填されたベース物質BMの内部バブルBUを除去したり、ベース物質BMと針溝NGとの間の気体gを除去することができる。上記ステップS20では、モールドMに大気圧より低い圧力を形成し、つまり、モールドMが取り付けられたチャンバーの内部圧力を1気圧より低い圧力に設定し、ベース物質BMの内部バブルBUの中の気体gを除去し、針溝NGに留まる気体gを除去することができる。
【0105】
モールドMを大気圧より低い圧力で形成すると、内部バブルBUの中の気体はモールドMの外部に排出される。また、モールドMを大気圧より低い圧力で形成すると、ベース物質BMと針溝NGの表面との間に貯蔵された気体もモールドMの外部に排出される。
【0106】
上記モールドを回転軸に対して回転させるステップS30では、モールドMに遠心力を形成し、ベース物質BMを針溝NGに完全に充填することができる。上記ステップS30では、遠心力によってベース物質BMを針溝NGの軸方向に密着させる。
【0107】
一実施例として、モールドMに遠心力を加える前に、モールドMの低圧状態を解除する。その後、モールドMを回転軸RXに対して回転させると、ベース物質BMが遠心力によって針溝NGに深く注入される。
【0108】
別の実施例として、モールドMを大気圧より低い圧力に維持した状態で、モールドMを回転軸RXに対して回転させることができる。モールドMは持続的に低圧の雰囲気を維持するため、ベース物質BMは遠心力によって針溝NGに深く注入される。
【0109】
回転軸RXと針溝NGの長手方向の軸は互いに異なる方向であるため、遠心力がベース物質BMに加わると、ベース物質BMは針溝NGの端部まで完全に充填される。回転モジュール30で発生した遠心力がモールドMに提供されると、チャンバーから気体gが除去された空間にはベース物質BMが充填される。
【0110】
上記針溝に充填された上記ベース物質を乾燥させるステップS40では、モールドMに充填されたベース物質BMを乾燥させ、マイクロニードル120を生成する。その後、製造されたマイクロニードル120をモールドMから除去することができる。
【0111】
図9は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法を示すフローチャートである。
【0112】
図9を参照すると、モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップの前に、ベース物質が充填されたモールドを回転させるステップS15をさらに含むことができる。
【0113】
つまり、モールドMにベース物質BMを注入した後、モールドMを回転軸に対して回転させる。これにより、発生した遠心力によってベース物質BMは針溝NGから深く押し出される。
【0114】
ベース物質BMが充填されたモールドMに一次的に遠心力を加えると、遠心力によってベース物質BMを針溝NGに均一に分配することができる。モールドMが設置されたチャンバー内部を低い圧力に設定すると、針溝NGやベース物質BMから気体gが除去される。再びモールドMに二次的に遠心力を加えると、遠心力によってベース物質BMが針溝NGに完全に密着し、マイクロニードル120の品質を向上させることができる。
【0115】
本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法は、複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップS10、上記モールドに大気圧より低い圧力を形成するステップS20、上記モールドを回転軸に対して回転させるステップS30を、全て同一チャンバーで進めることができる。
【0116】
このとき、複数の針溝を有するモールドにベース物質を充填するステップS10と、上記モールドを回転軸に対して回転させるステップS30において、いずれも上記モールドに大気圧より低い圧力を形成し、低い圧力の状態を維持することができる。
【0117】
ベース物質BMをモールドMに充填する過程でも低い圧力の雰囲気を維持するため、注入過程で発生するバブルを最小限に抑えることができる。また、モールドMを回転軸に対して回転させるステップでも低い圧力の雰囲気を維持するため、ベース物質BMを針溝NGの端部まで緻密に注入することができる。
【0118】
図10~
図12は、本発明のマイクロニードルパッチの製造方法で製造されたマイクロニードルパッチを示す図である。
【0119】
図10を参照すると、マイクロニードルパッチ100は、上述したマイクロニードルパッチの製造装置1やマイクロニードルパッチの製造方法でベース110と単層のマイクロニードル120とを備えることができる。マイクロニードル120は、内部に有効成分EMを含むことができる。
【0120】
図11を参照すると、マイクロニードルパッチ200は、上述したマイクロニードルパッチの製造装置1やマイクロニードルパッチの製造方法で製造することができる。マイクロニードルパッチ200は、ベース210と多層構造のマイクロニードル220を有することができる。
【0121】
上述したマイクロニードルパッチの製造装置1を複数回駆動させるか、マイクロニードルパッチの製造方法を複数回行うと、多層構造のマイクロニードルパッチ200を製造することができる。
【0122】
詳細には、第1ベース物質を針溝NGに注入し、モールドMに大気圧より低い圧力を一次的に形成して、モールドMを回転させ、第1ベース物質を乾燥させて第1層221を形成する。
【0123】
その後、第1層221の上に第2ベース物質を注入し、モールドMに再び大気圧より低い圧力を二次的に形成し、モールドMを回転させた後、第2ベース物質を乾燥させて第2層222を形成する。
【0124】
このとき、モールドMに一次的に形成された圧力と二次的に形成された圧力とは互いに異なるように設定されてもよい。一例として、二次的に形成された圧力は、一次的に形成された圧力より低い圧力を有し、ベース物質BMや針溝NGに残留する気体gを完全に除去することができる。
【0125】
マイクロニードルパッチ200は、ベース210の一面に配置されるマイクロニードル220が多層構造を有し、ターゲット位置に正確に有効成分EMを送達することができる。マイクロニードル220は複数の層状構造を有するため、各層は有効成分を搭載することができる。例えば、第1層221は第1有効成分EM1を搭載し、第2層222は第2有効成分EM2を搭載することができる。それにより、マイクロニードルパッチ200は、層の高さに応じてそれぞれ有効成分の活性深さを調整することができる。つまり、マイクロニードルパッチ200は、有効成分を表皮、真皮、皮下脂肪、筋肉のいずれか1つに送達することができる。
【0126】
マイクロニードルパッチ200は多層構造を有し、各層の生分解速度を異なるように設定することができる。マイクロニードル220は、第1層221と第2層222の分解速度を異なるように設定し、第1有効成分EM1と第2有効成分EM2とは互いに異なる活性時間を有することができる。
【0127】
マイクロニードルパッチ200は多層構造を有し、各層の強度を異なるように設定することができる。第1層221の強度を第2層222の強度より高く設定することで、マイクロニードル220を皮膚に容易に注入することができる。
【0128】
図12を参照すると、マイクロニードルパッチ200'は、上述したマイクロニードルパッチの製造装置1またはマイクロニードルパッチの製造方法で製造することができる。マイクロニードルパッチ200'は、ベース210と多層構造のマイクロニードル220'を有することができる。
【0129】
マイクロニードル220'は、第1層221'と第2層222'を含むことができる。まず、第1ベース物質をモールドMに注入して第1層221'を形成する。乾燥過程で第1ベース物質が乾燥することによって、第1層221'は曲面を有することができる。その後、第2ベース物質を第1層221'上に注入し、第2層222'を形成する。
【0130】
図13及び
図14は、本発明のマイクロニードルパッチの製造方法で製造されたマイクロニードルパッチと比較例を示す図である。
【0131】
図13は、200kDa10%HAをベース物質に選定したもので、(a)は本発明の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法で製造されたマイクロニードルパッチであり、(b)は本発明の比較例としてモールドを回転させ、遠心力のみを形成して製造されたマイクロニードルパッチである。
【0132】
(a)では、200kDa10%HAをモールドに注入した後、モールドに低い圧力(1mbar未満)を10分加えた。その後、モールドを500rpmで30秒間回転させて遠心力をモールドに加えた。その後、オーブンで48時間乾燥した。
【0133】
(b)では、200kDa10%HAをモールドに注入した後、モールドを500rpmで30秒間回転させて遠心力をモールドに加えた。その後、オーブンで48時間乾燥した。比較例では、モールドに低い圧力を加えていない。
【0134】
本発明のマイクロニードルパッチの製造方法によるマイクロニードルパッチは、マイクロニードルの先端が非常に細かく、尖った形で形成される。しかし、比較例は、マイクロニードルの端部が鈍く形成されるため、マイクロニードルパッチを対象体に取り付けるのが困難である。比較例では、モールドを大気圧より低い圧力で形成しないため、ヒアルロン酸がモールドの針溝に完全に注入されず、注入されたヒアルロン酸の内部に気体が残留しており、マイクロニードルパッチの品質が低い。
【0135】
図14は、1.4MDa10%HAをベース物質に選定したもので、(a)は本発明の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法で製造されたマイクロニードルパッチであり、(b)は本発明の第1比較例で、モールドの低い圧力のみを形成して製造されたマイクロニードルパッチであり、(c)は本発明の第2比較例でモールドを回転させて遠心力のみを形成して製造されたマイクロニードルパッチである。
【0136】
図14の1.4MDa10%HAは、
図13の200kDa10%HAより粘性が強く、強度が高い。したがって、粘性の高い1.4MDa10%HAを使用してマイクロニードルを製造することは、200kDa10%HAを使用してマイクロニードルを製造するより比較的難しい。
【0137】
(a)では、1.4MDa10%HAをモールドに注入した後、モールドに低い圧力(1mbar未満)を10分間加えた。その後、モールドを2000rpmで2分間回転させて遠心力をモールドに加えた。その後、オーブンで48時間乾燥した。
【0138】
(b)では、1.4MDa10%HAをモールドに注入した後、モールドに低い圧力(1mbar未満)を10分間加えた。その後、オーブンで48時間乾燥した。
【0139】
(c)では、1.4MDa10%HAをモールドに注入した後、モールドを500rpmで30秒間回転させて遠心力をモールドに加えた。その後、モールドを2000rpmで2分間回転させて遠心力をモールドに加えた。その後、オーブンで48時間乾燥した。
【0140】
本発明のマイクロニードルパッチの製造方法によるマイクロニードルパッチは、マイクロニードルの端部が非常に細かく、尖った形で形成される。しかし、第1比較例と第2比較例とはマイクロニードルの端部が鈍く形成されるため、マイクロニードルパッチを対象体に取り付けるのが困難である。
【0141】
本発明のマイクロニードルパッチの製造方法は、高分子のヒアルロン酸を完全に針溝に注入し、マイクロニードルパッチの品質を向上させることができる。高分子である1.4MDa10%HAは粘性が高く針溝に完全に注入されるのに困難があるが、本発明は大気圧より低い圧力と遠心力をモールドに提供し、1.4MDa10%HAをモールドに完全に注入し、マイクロニードルパッチの品質を高めることができる。
【0142】
図15は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造装置を示す図である。
【0143】
図15を参照すると、マイクロニードルパッチの製造装置2は、第1注入モジュール10A、第2注入モジュール20A及び乾燥モジュール30Aを備えることができる。
【0144】
図では、マイクロニードルパッチの製造装置2に第1注入モジュール10A、第2注入モジュール20A及び乾燥モジュール30Aがそれぞれ1つずつ順次配置されることを示しているが、これに限定されるものではなく、マイクロニードルパッチの製造工程に応じて多様に変形することができる。
【0145】
一例として、マイクロニードルパッチの製造装置2は、第1注入モジュール10A、第2注入モジュール20A及び乾燥モジュール30Aのうち少なくとも1つは複数で備えることができる。他の例として、マイクロニードルパッチの製造装置2は、第2注入モジュール20Aより先に乾燥モジュール30Aが配置されることができる。
【0146】
一実施例として、第1注入モジュール10AはモールドMに緩衝液BSを注入し、第2注入モジュール20AはモールドMにベース物質BMを配置することができる。
図15に示すように、第1注入モジュール10Aと第2注入モジュール20Aはそれぞれ備えることができる。
【0147】
他の実施例として、第1注入モジュール10Aは、モールドMに緩衝液BSとベース物質BMの両方を注入することができる。第1注入モジュール10Aは、緩衝液BSとベース物質BMの両方を注入するように統合されてもよい。
【0148】
乾燥モジュール30Aは、モールドMが内部に取り付けられた後に、モールドMを乾燥させる。乾燥モジュール30Aが駆動されると、緩衝液BSを除去することができる。
【0149】
図16は、本発明の他の実施例に係るマイクロニードルパッチの製造方法を示すフローチャートで、
図17~
図21は、
図16のマイクロニードルパッチ製造方法によるマイクロニードルの製造工程を示す図であり、ず22は、
図16のマイクロニードルパッチ製造方法で製造されたマイクロニードルパッチを示す図である。
【0150】
図16~
図22を参照すると、マイクロニードルパッチ製造方法は、複数の針溝を有するモールドに緩衝液を充填するステップS100、上記針溝の上にベース物質を配置するステップS200、上記ベース物質を上記緩衝液に拡散させるステップS300、上記モールドを乾燥させるステップS400を含む。
【0151】
以下において、緩衝液BSは、ベース物質BMを溶解できる溶液と定義する。緩衝液BSは、マイクロニードルを形成するベース物質BMを溶解できる物質である。緩衝液BSはベース物質BMに溶解性を有し、ベース物質BMの種類に依存する。
【0152】
例えば、緩衝液BSは、Aのベース物質を溶解することができるa溶液に設定することができる。また、緩衝液BSは、Bのベース物質を溶解することができるb溶液に設定することができる。
【0153】
一実施例として、ベース物質BMがヒアルロン酸(hyaluronic acid)に設定されると、緩衝液BSは水、特に精製水に設定することができる。
【0154】
一実施例として、緩衝液BSは有効成分EMを溶解しなくてもよい。有効成分EMはベース物質BMの内部に配置され、ベース物質BMは緩衝液BSに溶解されるが、有効成分EMは緩衝液BSに溶解されない。しかし、有効成分EMは、ベース物質BMと共に針溝NGに注入され、マイクロニードルの内部に配置されることができる。
【0155】
他の実施例として、緩衝液BSは有効成分EMを溶解することができる。有効成分EMはベース物質BMの内部に配置され、ベース物質BMと有効成分EMは両方とも緩衝液BSに溶解される。例えば、緩衝液BSが水で、有効成分EMが水溶性である場合、有効成分EMは緩衝液BSに溶解されることができる。
【0156】
複数の針溝を有するモールドに緩衝液を充填するステップS100では、モールドMに緩衝液BSを充填し、針溝NGに緩衝液BSを充填する(
図17参照)。第1注入モジュール10Aを介して、緩衝液BSをモールドMに充填することができる。
【0157】
モールドMは、ベース溝BGと針溝NGを有することができる。ベース溝BGではベース110が形成され、針溝NGではマイクロニードル320が形成されてもよい。
【0158】
緩衝液BSは、針溝NGの全体に充填されてもよい。
【0159】
一実施例として、緩衝液BSは複数の針溝NGにのみ充填することができる。マイクロニードル320を先に成形し、その後ベース310を成形するために、針溝NGにのみ緩衝液BSを注入する。
【0160】
他の実施例として、緩衝液BSは、針溝NGとベース溝BGの両方にフル充填されてもよい。ベース310とマイクロニードル320が一体化されたマイクロニードルパッチ300を製造するために、緩衝液BSを針溝NGとベース溝BGの両方に充填し、ベース物質BMをモールドMの全体に充填することができる。
【0161】
また別の実施例として、緩衝液BSは針溝NGの一部にのみ充填することができる。多層構造を有するマイクロニードル320を製造するために、針溝NGの一部のみに緩衝液BSを注入し、その後また緩衝液BSを充填して、順次にマイクロニードル320を製造することができる。これについては、以下で詳細に説明する。
【0162】
上記針溝の上にベース物質を配置するステップS200では、ベース物質BMをモールドMに配置する(
図18参照)。
【0163】
ベース物質BMを針溝NGの上に配置することで、ベース物質BMは針溝NGに貯蔵された緩衝液BSに容易に溶解されるように設定される。ベース物質BMは、第2注入モジュール20Aのノズル21Aによってベース溝BGに注入されてもよい。
【0164】
ベース物質BMは所定の粘性を有するため、針溝NGに直接注入することは困難である。しかし、ベース物質BMが緩衝液BSに溶解されると流動性が高まるため、ベース物質BMを針溝NGに充填することができる。
【0165】
一実施例として、ベース物質BMはモールドMのベース溝BGに注入される。ベース物質BMが針溝NGに十分に充填されるように、ベース物質BMはベース溝BGをフル充填するか、ベース溝BGの容量を超えて凸に形成されることができる。
【0166】
上記ベース物質を上記緩衝液に拡散させるステップS300では、ベース物質BMが緩衝液BSに溶解されてもよい。
【0167】
ベース物質BMは緩衝液BSに溶け、各針溝NGに注入される。
【0168】
図19に示すように、最初は針溝NGの上部でベース物質BMが拡散され、次第にベース物質BMは針溝NGの先端まで拡散する。
【0169】
その後は、
図20に示すように、全体的にベース物質BMがモールドMに充填される。緩衝液BSにベース物質BMが全て溶解されると、ベース物質BMの濃度は薄くなり、粘性は減少する。
【0170】
緩衝液BSは針溝NGに完全に充填されているため、ベース物質BMが緩衝液BSに溶けながら針溝NGに完全に充填される。ベース物質BMが針溝NGに完全に充填されるため、マイクロニードル120は針溝NGの形状に製造することができる。
【0171】
一実施例として、ベース物質BMがヒアルロン酸(hyaluronic acid)である場合、水、特に精製水が緩衝液BSとして針溝NGに貯蔵されている。ヒアルロン酸は水に溶解されるため、ヒアルロン酸が針溝NGに充填される。ヒアルロン酸は粘性を有する物質であるため、ヒアルロン酸を単独で針溝NGに充填することには限界がある。しかし、水に溶解されたヒアルロン酸は粘性が弱くなり、高い流動性を有するため針溝NGに充填することができる。
【0172】
一実施例として、ベース物質BMの内部には有効成分EMが配置されることができる。ベース物質BMと有効成分EMは混合された形態で存在し、ベース物質BMが緩衝液BSに溶解されることによって、有効成分EMを共に針溝NGに注入することができる。
【0173】
このとき、有効成分EMは緩衝液BSに溶けない。したがって、モールドMに注入する際にベース物質BMに混合された有効成分EMと最終的に製造されたマイクロニードル320の内部の有効成分EMは同一である。有効成分EMが緩衝液BSに反応しないため、有効成分EMの有効性は製造過程で変化しない。
【0174】
他の実施例として、緩衝液BSは有効成分EMを溶解することができる。有効成分EMはベース物質BMの内部に配置され、ベース物質BMと有効成分EMは両方とも緩衝液BSに溶解される。例えば、緩衝液BSが水で、有効成分EMが水溶性である場合、有効成分EMは緩衝液BSに溶解されることができる。有効成分EMが緩衝液BSに溶解されても、有効成分EMの効果は変化しない。
【0175】
選択的な実施例として、環境を調整してベース物質BMの拡散を調整することができる。
【0176】
一例として、モールドMが位置するチャンバー内部の温度や湿度を調整して、ベース物質BMの拡散速度を高めることができる。
【0177】
他の例として、緩衝液BSに拡散速度を増加させる添加剤(図示せず)を注入して、ベース物質BMの拡散速度を高めることができる。
【0178】
また他の例として、モールドMを攪拌機(図示せず)に取り付け、前記攪拌機の駆動で発生した振動によって、ベース物質BMの拡散速度を増加させることができる。
【0179】
上記モールドを乾燥させるステップS400では、緩衝液BSを乾燥させてマイクロニードル320を製造することができる(
図21参照)。
【0180】
乾燥モジュール30AにモールドMを取り付け、乾燥モジュール30Aを駆動してモールドMを乾燥させる。乾燥モジュール30Aによって、ベースモールドMに貯蔵された緩衝液BSを除去することができる。
【0181】
緩衝液BSが乾燥すると、ベース物質BMは濃度が増加する。その後、緩衝液BSが完全に除去され、ベース物質BMに含まれていた水分も除去されるため、ベース物質BMからなるマイクロニードル320が生成される。
【0182】
緩衝液BSが完全に除去されるため、針溝NGにはベース物質BMのみを有効に貯蔵することができる。ベース物質BMは固体に変化し、マイクロニードル320は所定の剛性を有する。
【0183】
固体に成形されたマイクロニードル320は、内部に有効成分EMが存在する。有効成分EMは、ベース物質BMに含まれた状態を維持する。
【0184】
マイクロニードルを形成するのに適したベース物質BMは所定の粘性を有する。モールドMの針溝NGは非常に微細に製造されるため、粘性を有するベース物質BMを針溝NGに完全に充填することは困難である。
【0185】
ベース物質BMが針溝NGに完全に充填されない場合、マイクロニードルの先端は鈍く形成される。マイクロニードル320は対象体の皮膚を貫通して挿入されるべきであるため、マイクロニードル320の端部は先端チップ(sharpened tip)の形状に製造されなければならない。しかし、粘性を有するベース物質BMが針溝NGに完全に充填されず、空きスペースによってマイクロニードル320が鈍く形成され、マイクロニードル320が対象体に取り付けにくく、薬物送達効果を低下させる。
【0186】
また、粘性を有するベース物質BMは、マイクロニードルパッチ300の製造過程において、空気などの気体がバブルの形態で貯蔵されてもよい。ベース物質BMをスキージングして針溝NGに注入しても、内部バブルは依然として針溝NGに存在してもよい。ベース物質BMの内部バブルに残留する気体は、マイクロニードル320の品質を著しく低下させる可能性がある。マイクロニードル320は対象体の皮膚に移植される部分であるため、気体を含む異物を含まれてはならない。もし、バブルの中の気体が対象体に注入されると、対象体の安全を脅かす可能性がある。
【0187】
本発明に係るマイクロニードルパッチの製造方法は、ベース物質を完全にモールドに充填し、精巧な形状を有し、品質が向上したマイクロニードルパッチを製造することができる。ベース物質は緩衝液によって針溝に完全に充填されるため、マイクロニードルは端部が先端チップ(sharpened tip)の形状に製造されるため、対象体の皮膚に容易に取り付けることができる。また、製造工程において空気等の異物が針溝に注入されないため、高品質を有するマイクロニードルパッチを製造することができる。
【0188】
詳細には、剛性の高いマイクロニードルを製造するためには、高分子である1.4MDa10%HAをベース物質として選択しなければならない。 しかし、高分子である1.4MDa10%HAは比較的高粘性であるため、モールドに完全に注入することが難しい。 本発明に係るマイクロニードルパッチの製造方法によれば、緩衝液である精製水をモールドに注入し、高分子である1.4MDa10%HAを緩衝液に溶解させると、ベース物質が完全に針溝に注入される。その後、精製水を乾燥させると、針溝の形状と同様のマイクロニードルが製造される。
【0189】
本発明に係るマイクロニードルパッチの製造方法は、ニードルが複雑で細かい形状を有するマイクロニードルパッチを製造することができる。マイクロニードルパッチの製造過程でベース物質を緩衝液に拡散させると、ベース物質の粘性が低下し、流動性が高くなる。針溝の形状が複雑で非常に精巧だとしても、ベース物質は流動性によって針溝に完全に充填されることができる。
【0190】
図22を参照すると、マイクロニードルパッチ300は、上述したマイクロニードルパッチの製造装置2やマイクロニードルパッチの製造方法でベース310と単層のマイクロニードル320を備えることができる。マイクロニードル320は、内部に有効成分EMを含むことができる。
【0191】
マイクロニードルパッチ300には、上述したマイクロニードルパッチ100のベース物質BMと有効成分EMが適用されてもよい。
【0192】
マイクロニードル320は、緩衝液にベース物質BMが溶解された後、緩衝液BSが乾燥されて形成される。このとき、緩衝液BSは完全に除去することができる。
【0193】
一実施例として、緩衝液は水を含み、ベース物質BMはヒアルロン酸(hyaluronic acid)を含むことができる。
【0194】
一実施例として、ベース物質BMの内部には有効成分EMが配置され、有効成分EMは緩衝液に溶解されなくてもよい。
【0195】
【0196】
図23を参照すると、マイクロニードルパッチ400は、上述したマイクロニードルパッチの製造装置2やマイクロニードルパッチの製造方法で製造することができる。マイクロニードルパッチ400は、ベース410と多層構造のマイクロニードル420を有することができる。
【0197】
上述したマイクロニードルパッチの製造装置2を複数回駆動させるか、マイクロニードルパッチの製造方法を複数回行うと、多層構造のマイクロニードルパッチ400を製造することができる。
【0198】
詳細には、第1緩衝液を針溝NGに注入する。第1緩衝液は針溝NGに完全に充填されない。
【0199】
一例として、第1緩衝液は、第1層421の体積より大きい体積を有するように充填される。第1緩衝液は、
図23のh1より高い高さであるh1'で充填することができる。
【0200】
第1ベース物質BM1はモールドMに配置され、第1ベース物質BM1を第1緩衝液に拡散させる。第1ベース物質BM1が第1緩衝液に溶解されるため、針溝NGの先端には第1ベース物質BM1が充填される。
【0201】
その後の工程で、第1緩衝液と第1ベース物質BM1が充填されたモールドMを乾燥させて、第1緩衝液を除去する。これにより、針溝NGの先端には第1層421が第1ベース物質BM1で形成される。乾燥工程で第1緩衝液が除去されると、第1層421の高さはh1に形成される。
【0202】
その後、第2緩衝液を針溝NGに注入する。第2緩衝液は、針溝NGで第1層421の上部に充填される。
【0203】
第2ベース物質BM2はモールドMに配置され、第2ベース物質BM2を第2緩衝液に拡散させる。第2ベース物質BM2が第2緩衝液に溶解されるため、第1層421の上には第2ベース物質BM2が充填される。
【0204】
その後の工程で、第2緩衝液と第2ベース物質BM2が充填されたモールドMを乾燥させて、第2緩衝液を除去する。これにより、第1層421の上には第2層422が第2ベース物質BM2で形成されるため、マイクロニードル420は多層構造を有する。
【0205】
第1層421と第2層422のうち少なくとも1つは有効成分を有することができる。図に示すように、第1層421には第1有効成分EM1を配置し、第2層422には第2有効成分EM2が配置されることができる。ただし、これに限定されるものではなく、第1有効成分EM1のみを有するか、第2有効成分EM2のみを有することができる。また、各層に複数種類の有効成分が混合されてもよい。
【0206】
第1層421は、第2層422より強度が大きく形成されてもよい。第1層421は、第2層422の製造過程で乾燥工程が追加で進行される。追加の乾燥工程によって第1層421の強度を高めることができる。第1層421の強度が強化されると、マイクロニードルパッチ400を対象体の皮膚に容易に取り付けることができる。
【0207】
一実施例として、第2緩衝液は第2ベース物質BM2のみを溶解し、第1ベース物質BM1は溶解しなくてもよい。第1ベース物質BM1からなる第1層421が形成された後、第2緩衝液を針溝NGに注入しても、第1層421が第2緩衝液によって溶解しない可能性がある。これにより、第1層421と第2層422とは境界が明確に区別されるため、第1層421と第2層422のターゲット位置を明確に区別することができる。
【0208】
マイクロニードルパッチ400は、ベース410の一面に配置されるマイクロニードル420が多層構造を有し、ターゲット位置に正確に有効成分EMを送達することができる。マイクロニードル420は複数の層状構造を有するため、各層に有効成分を搭載することができる。例えば、第1層421には第1有効成分EM1を搭載し、第2層422には第2有効成分EM2を搭載することができる。それにより、マイクロニードルパッチ400は、層の高さに応じてそれぞれ有効成分の活性深さを調整することができる。つまり、マイクロニードルパッチ400は、有効成分を表皮、真皮、皮下脂肪、筋肉のいずれか1つに送達することができる。
【0209】
マイクロニードルパッチ400は多層構造を有し、各層の生分解速度を異なるように設定することができる。マイクロニードル420は、第1層421と第2層422の分解速度を異なるように設定し、第1有効成分EM1と第2有効成分EM2とは互いに異なる活性時間を有することができる。
【0210】
マイクロニードルパッチ400は多層構造を有し、各層の強度を異なるように設定することができる。第1層421の強度を第2層422の強度より高く設定することで、マイクロニードル420を皮膚に容易に注入することができる。
【0211】
図24を参照すると、マイクロニードルパッチ400Aはベース410とマイクロニードル420Aを有することができる。
【0212】
マイクロニードル420Aは、第1層421A、第2層422A、第1層421Aと第2層422Aとの間の遷移層423Aを形成することができる。遷移層423Aは、第1ベース物質BM1と第2ベース物質BM2が混在した形態を有することができる。
【0213】
第2緩衝液は、第2ベース物質BM2と第1ベース物質BM1の両方を溶解させることができる。第1ベース物質BM1からなる第1層421Aが形成された後、第2緩衝液が針溝NGに注入されると、第1層421Aの上面は、一部溶解される場合がある。
【0214】
その後、第2ベース物質BM2を第1層421Aの上面に注入すると、第1層421Aと第2層422Aの境界領域に遷移層423Aを形成することができ、第1層421Aで溶解された第1ベース物質BM1と、追加で注入された第2ベース物質BM2とが混合された形態を有することができる。
【0215】
遷移層423Aは、第1層421Aと第2層422Aとの結合力を高め、マイクロニードル420Aの強度を高めることができる。遷移層423Aによって第1層421Aと第2層422Aの特性が急激に変化せず、第1層421Aと第2層422Aとの結合力が増大することができる。
【0216】
図25を参照すると、マイクロニードルパッチ400Bは、上述したマイクロニードルパッチの製造装置2やマイクロニードルパッチの製造方法で製造することができる。マイクロニードルパッチ420Bは、ベース410Bと多層構造のマイクロニードル420Bとを有することができる。
【0217】
マイクロニードル420Bは、層状構造を有する第1層421Bと第2層422Bとを備えることができる。
【0218】
まず、第1ベース物質BM1を第1緩衝液が充填されたモールドMに注入する。乾燥過程で第1緩衝液が除去される、第1ベース物質BM1からなる第1層421Bは曲面を有することができる。
【0219】
その後、第2緩衝液をモールドMに充填し、第2ベース物質BM2を第2緩衝液に拡散させる。乾燥過程で第2緩衝液が除去され、第1層421Bの上に第2層422Bを形成することができる。
【0220】
このように、本発明は図に示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、このことから様々な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【0221】
実施例で説明する特定の実行は、一実施例であり、いかなる方法でも実施例の範囲を限定するものではない。また、「必須」、「重要」などのような具体的な言及がなければ、本発明を適用するために必ずしも必要な構成要素ではない可能性がある。
【0222】
実施例の明細書(特に特許請求の範囲において)における「上記」の用語及び同様の指示用語の使用は、単数形及び複数形の両方に対応するものであってもよい。なお、実施例において範囲(range)を記載した場合、上記範囲に属する個別の値を適用した発明を含むもので(これに反する記載がない場合)、詳細の説明に上記範囲を構成する各個別の値を記載したものと同様である。最後に、実施例に係る方法を構成するステップについて明らかに順序を記載、またはそれに反する記載がない場合、上記ステップは適切な順序で行われてもよい。必ずしも上記ステップの記載順序によって実施例が限定されるものではない。実施例における全ての例または例示的な用語(例えば、等)の使用は、単に実施例を詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲によって限定されない限り、上記の例または例示的な用語によって実施例の範囲が限定されるものではない。さらに、当業者は、様々な修正、組み合わせ及び変更が追加された特許請求の範囲またはその均等物の範囲内で設計条件及び要因によって構成され得ることを理解することができる。
【国際調査報告】