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特表2023-529035手持ち式工作機械のハンドグリップ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】手持ち式工作機械のハンドグリップ装置
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20230630BHJP
   B23B 45/00 20060101ALI20230630BHJP
   B25G 3/12 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B25F5/02
B23B45/00 Z
B25G3/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528084
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2021064252
(87)【国際公開番号】W WO2021244947
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】102020115087.3
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518361790
【氏名又は名称】フェスツール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アルガイアー、ベンヤミン
【テーマコード(参考)】
3C036
3C064
【Fターム(参考)】
3C036EE00
3C064AA01
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA12
3C064BA33
3C064BB62
3C064CA03
3C064CA53
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB67
3C064CB69
3C064CB71
3C064CB92
(57)【要約】
本発明は、手持ち式工作機械(10)に着脱可能に取り付けるためのハンドグリップ装置(40)であって、ハンドグリップ装置が、手持ち式工作機械(10)の取付け区分(20)の収容のための締付け収容部(42)を有する締付けリング(41)と、締付けリング(41)から突出するハンドグリップ(60)とを有し、締付け収容部(42)は、操作者(BE)によって手動で操作可能な締付け操作ハンドル(78)を用いて、手持ち式工作機械(10)の取付け区分に締付け収容部(42)の内周面(43)が締まり嵌めで当接する、手持ち式工作機械(10)の取付け区分を締め付ける締付け位置(K)と、手持ち式工作機械(10)の取付け区分を差込み軸線(S)に沿って締付け収容部(42)に差込み可能である、手持ち式工作機械(10)の取付け区分を解放する解除位置(L)との間で調節可能であり、ハンドグリップ装置は、手持ち式工作機械の取付け区分の相手側軸方向形状結合輪郭(25)への係合のための軸方向形状結合輪郭(81)を有する、締付け収容部(42)に対して可動に支承された軸方向形状結合体(80)を具備する。ハンドグリップ装置が、軸方向形状結合体(80)を、軸方向形状結合輪郭(81)が相手側軸方向形状結合輪郭(25)と係合する係合位置と、軸方向形状結合輪郭が相手側軸方向形状結合輪郭と係合解除される解放位置との間で調節するために、締付け操作ハンドル(78)とは別個の、かつ締付け操作ハンドルとは無関係に操作者(BE)によって手動で操作可能な形状結合操作ハンドル(90)を有することが企図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式工作機械(10)、特に穿孔機又はねじ締め機に着脱可能に取り付けるためのハンドグリップ装置(40)であって、前記ハンドグリップ装置(40)が、前記手持ち式工作機械(10)の取付け区分(20)、特に機械首部の収容のための締付け収容部(42)を有する締付けリング(41)と、前記締付けリング(41)から突出し、操作者(BE)によって把持する及び/又は掴むために設けられ、かつ形成されているハンドグリップ(60)とを有し、前記操作者(BE)によって手動で操作可能な締付け操作ハンドル(78)を用いて、前記手持ち式工作機械(10)の前記取付け区分(20)に前記締付け収容部(42)の内周面(43)が締まり嵌めで当接する、前記手持ち式工作機械(10)の前記取付け区分(20)を締め付ける締付け位置(K)と、前記手持ち式工作機械(10)の前記取付け区分(20)を差込み軸線(S)に沿って前記締付け収容部(42)に差込み可能である、前記手持ち式工作機械(10)の前記取付け区分(20)を解放する解除位置(L)との間で前記締付け収容部(42)を調節可能であり、前記ハンドグリップ装置(40)は、前記手持ち式工作機械(10)の前記取付け区分(20)の相手側軸方向形状結合輪郭(25)への係合のための軸方向形状結合輪郭(81)を有する、前記締付け収容部(42)に対して可動に支承された軸方向形状結合体(80)を具備するハンドグリップ装置において、前記軸方向形状結合輪郭(81)が前記相手側軸方向形状結合輪郭(25)と係合し、かつ前記ハンドグリップ装置(40)を前記差込み軸線(S)に対して形状結合的に前記手持ち式工作機械(10)の前記取付け区分(20)にロックする係合位置と、前記軸方向形状結合輪郭(81)が前記相手側軸方向形状結合輪郭(25)と係合解除され、前記手持ち式工作機械(10)と保持装置を前記差込み軸線(S)に対して相対して移動可能である解放位置(F)との間で前記軸方向形状結合体(80)を調節するために、前記締付け操作ハンドル(78)とは別個の、及び前記締付け操作ハンドル(78)とは無関係に前記操作者(BE)によって手動で操作可能な形状結合操作ハンドル(90)を有することを特徴とする、ハンドグリップ装置。
【請求項2】
前記締付け収容部(42)、特に前記締付けリング(41)が前記解除位置(L)にある場合に、前記軸方向形状結合輪郭(81)を前記係合位置と前記解放位置(F)との間で調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載のハンドグリップ装置。
【請求項3】
前記締付け収容部(42)が前記解除位置(L)にある場合に、前記係合位置にある前記軸方向形状結合輪郭が前記締付け収容部(42)の前記内周面(43)の前方に突出することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のハンドグリップ装置。
【請求項4】
前記係合位置にある前記軸方向形状結合輪郭(81)が、前記ハンドグリップ装置を前記差込み軸線(S)に対して軸方向に移動不可能に、及び/又は形状結合的に固定することを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項5】
前記軸方向形状結合体(80)と前記形状結合操作ハンドル(90)とが固定的に互いに接続されているか、若しくはワンピースであり、又は連行装置によって運動結合されていることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項6】
前記軸方向形状結合体(80)は、ばねアセンブリ(95)によって前記係合位置へ負荷がかけられていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項7】
前記軸方向形状結合体(80)が前記締付けリング(41)に相対して調整軸線(SA)に沿って直線的に移動可能に支承されていることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項8】
前記軸方向形状結合体(80)を前記調整軸線(SA)に沿って直線的に案内するためのガイド装置が前記ハンドグリップ(60)及び/又は前記締付けリング(41)に設けられていることを特徴とする、請求項7に記載のハンドグリップ装置。
【請求項9】
前記調整軸線(SA)は、前記締付け収容部(42)の前記内周面(43)に対して接線方向に、又は半径方向距離をおいて接線方向に延びることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載のハンドグリップ装置。
【請求項10】
前記軸方向形状結合輪郭(81)は、前記調整軸線(SA)に対してフラットな傾斜の、及び/又は30°未満、特に25°未満、特に好ましくは20°未満の角度(α)で傾いた、前記相手側軸方向形状結合輪郭(25)、特に前記相手側軸方向形状結合輪郭(25)の底(27)に当接及び/又はくさび固定するための傾斜面又はくさび面(82B)を有することを特徴とする、請求項7~請求項9のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項11】
前記ハンドグリップ(60)は、前記調整軸線(SA)と平行又は同軸である長手方向中心軸線(LM)を有することを特徴とする、請求項7~請求項10のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項12】
前記軸方向形状結合体(80)は、前記締付けリング(41)に相対して直線的に移動可能にのみ、及び/又は旋回不可能若しくは回転不可能に支承されていることを特徴とする、請求項7~請求項10のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項13】
前記軸方向形状結合輪郭(81)は、前記締付け収容部(42)の前記内周面(43)に対して、及び/又は前記締付け収容部(42)の中心に対して前記係合位置と前記解放位置(F)との間で相対的に、及び/又は接線方向に移動可能に支承されていることを特徴とする、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項14】
前記締付け収容部(42)を前記締付け位置(K)と前記解除位置(L)との間で調節するために前記締付け操作ハンドル(78)が前記締付けリング(41)に対して回転可能に支承され、前記軸方向形状結合体(80)を前記係合位置と前記解放位置(F)との間で調節するために前記形状結合操作ハンドル(90)が前記締付けリング(41)に対して移動可能に支承されていることを特徴とする、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項15】
前記締付け操作ハンドル(78)は、操作者(BE)によってその手のひらで掴むことができる、前記ハンドグリップ(60)の棒状のハンドグリップ体(70)によってなるか、又はそのようなハンドグリップ体(70)を有することを特徴とする、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項16】
前記形状結合操作ハンドル(90)は、前記締付けリング(41)と前記締付け操作ハンドル(78)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項17】
前記締付け操作ハンドル(78)を掴むために設けられた前記締付け操作ハンドル(78)のグリップ区分と、手動操作のために設けられた前記形状結合操作ハンドル(90)のグリップ面(92)との間に、成人操作者(BE)の手(H)の親指(DA)を大きく開いたときの前記手(H)の前親指関節(DAG)と前記手の人差し指との間の距離にほぼ相当する距離が設けられ、それにより前記操作者(BE)は、前記締付け操作ハンドル(78)の前記グリップ区分を掴みながら、前記前親指関節(DAG)で前記形状結合操作ハンドル(90)を操作できることを特徴とする、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項18】
前記形状結合操作ハンドル(90)は、リング体又はスリーブ体(91A)として形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項19】
前記締付けリング(41)を緊張アンカ(66)によって前記締付け位置(K)と前記解除位置(L)との間で調節可能であることを特徴とする、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項20】
前記軸方向形状結合体(80)は、前記緊張アンカ(66)によって通過される、及び/又は前記緊張アンカ(66)に案内されていることを特徴とする、請求項19に記載のハンドグリップ装置。
【請求項21】
前記締付け操作ハンドル(78)のハンドグリップ体(70)によって、特に前記ハンドグリップ体(70)を、緊張軸線(SP)を中心に回転操作することによって、前記緊張アンカ(66)を前記緊張軸線(SP)に沿って直線的に調節可能であることを特徴とする、請求項19又は請求項20に記載のハンドグリップ装置。
【請求項22】
前記緊張アンカ(66)のねじ山区分が前記ハンドグリップ体(70)のねじ収容部にねじ込まれ、それにより前記ハンドグリップ体(70)を回転操作することによって前記緊張アンカ(66)を前記ねじ収容部に相対して直線的に調節可能であり、前記緊張アンカ(66)が回って前記ねじ収容部から完全に外れることを阻止するストッパ(69A)が設けられていることを特徴とする、請求項21に記載のハンドグリップ装置。
【請求項23】
前記ハンドグリップ装置(40)は、前記手持ち式工作機械(10)の前記取付け区分(20)における相手側回転形状結合輪郭(30)への係合のための少なくとも1つの回転形状結合輪郭(50)を有し、前記相手側回転形状係合輪郭(30)と回転形状結合輪郭(50)が互いに係合する場合に、これらは前記ハンドグリップ装置(40)を前記手持ち式工作機械(10)の前記取付け区分(20)に相対して前記差込み軸線(S)に対して回転不可能に固定することを特徴とする、請求項1~請求項22のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項24】
前記軸方向形状結合輪郭(81)は、それが前記相手側軸方向形状結合輪郭(25)に係合する係合位置、又は前記係合位置と前記解除位置(L)との間の中間位置において、前記ハンドグリップ装置(40)を予め定められた調節ストローク(VS)の分だけ前記差込み軸線(S)に対して軸方向に移動可能であるが、離脱不可能に前記取付け区分(20)に保持することを特徴とする、請求項1~請求項23のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項25】
前記調節ストローク(VS)は、前記回転形状結合輪郭(50)と前記相手側回転形状結合輪郭(30)とを係合解除する、及び互いに係合させることができるように寸法設定されていることを特徴とする、請求項24に記載のハンドグリップ装置。
【請求項26】
前記締付け位置(K)と前記解除位置(L)との間で調節するための前記締付けリング(41)の前記リング体(44)は、互いに向かう、及び互いに離れる方向に調節可能なリング端部(44、45)を有することと、前記軸方向形状結合体(80)は、一方の若しくは両方のリング端部(44、45)に支持されている、及び/又は前記係合位置(E)と前記解放位置(F)との間で可動に支承されていることとを特徴とする、請求項1~請求項25のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項27】
前記軸方向形状結合体(80)は、前記締付けリング(41)とは別体であり、及び/又は前記締付けリング(41)とワンピースでないことを特徴とする、請求項1~請求項26のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項28】
前記軸方向形状結合体(80)は、前記締付け操作ハンドル(78)とは無関係に、前記係合位置(E)と前記解放位置(F)との間で調節可能であり、並びに/又は前記締付け操作ハンドルと運動結合されていない、及び/若しくは操作係合していないことを特徴とする、請求項1~請求項27のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項29】
前記軸方向形状結合体(80)は、前記形状結合操作ハンドル(90)のみによって前記係合位置(E)と前記解放位置(F)との間で操作可能であり、及び/又は前記締付け操作ハンドル(78)によって操作可能でないことを特徴とする、請求項1~請求項28のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項30】
前記ハンドグリップ装置が、形状結合操作ハンドル(90)は、前記締付け操作ハンドル(78)に向かって上り勾配の、及び/又は後方から係合するのに適したグリップ面(92)を有し、それによりその手が手のひらで前記締付け操作ハンドル(78)を掴む操作者は、前記グリップ面(92)を、前記手の前記手のひらの前方に突き出する指、特に人差し指で前記軸方向形状結合体(80)を前記解放位置(F)に調節するために操作できることを特徴とする、請求項1~請求項29のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項31】
前記締付け収容部(42)が前記締付け位置にある場合に、前記軸方向形状結合体(80)を前記係合位置(E)と前記解放位置(F)との間で調節可能であることを特徴とする、請求項1~請求項30のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項32】
前記軸方向形状結合体(80)は、特にその調整軸線(SA)に対して端面側の導入斜面(82B)、及び/又は前記係合位置(E)において前記相手側軸方向形状結合輪郭(25)の底(27)の向かい側に位置する、若しくは前記底(27)に支持されるフロント面(82)を有し、前記フロント面(82)は、前記軸方向形状結合体(80)の領域における前記締付け収容部(42)の輪郭にほぼ対応する輪郭の領域(82A)を有する、及び/又は前記締付け収容部(42)に対応する丸みを有することを特徴とする、請求項1~請求項31のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置。
【請求項33】
請求項1~請求項32のいずれか一項に記載のハンドグリップ装置を備える手持ち式工作機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式工作機械、特に穿孔機又はねじ締め機に着脱可能に取り付けるためのハンドグリップ装置であって、ハンドグリップ装置が、手持ち式工作機械の取付け区分、特に機械首部の収容のための締付け収容部を有する締付けリングと、締付けリングから突出し、操作者によって把持する及び/又は掴むために設けられ、かつ形成されているハンドグリップとを有し、操作者によって手動で操作可能な締付け操作ハンドルを用いて、手持ち式工作機械の取付け区分に締付け収容部の内周面が締まり嵌め(Klemmsitz)で当接する、手持ち式工作機械の取付け区分を締め付ける締付け位置と、手持ち式工作機械の取付け区分を差込み軸線に沿って締付け収容部に差込み可能である、手持ち式工作機械の取付け区分を解放する解除位置との間で締付け収容部を調節可能であり、ハンドグリップ装置は、手持ち式工作機械の取付け区分の相手側軸方向形状結合輪郭への係合のための軸方向形状結合輪郭を有する、締付け収容部に対して可動に支承された軸方向形状結合体を具備するハンドグリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のハンドグリップ装置は、例えば独国特許出願公開第3829801号明細書に記載されている。ハンドグリップ装置は、締付け収容部を締付け位置へ調節することによって手持ち式工作機械のスピンドル首部における溝に係合する軸方向形状結合輪郭としてのいわゆる拘束突起(Arretiernase)を有するスリーブを具備する。締付け収容部は、手持ち式工作機械へのハンドグリップ装置の摩擦結合による、及び締め付ける保持を可能にする。差込み軸線に対して軸方向の追加の形状結合的ロック又は固定として軸方向形状結合輪郭が用いられる。ハンドグリップ装置を手持ち式工作機械に対して、例えば差込み軸線に対する回転ポジションに関して調節するため、及び/又はハンドグリップ装置を取り外すために、ハンドグリップの最初の回転操作区間において締付け収容部が解除位置に調節されることにより、締まり嵌めが解除される必要がある。それに加えて、それに続くハンドグリップの回転操作区間において軸方向形状結合も解消される必要がある。
【0003】
独国特許出願公開第102008000516号明細書及び国際公開第2009/109247号は、軸方向形状結合体として、弾性的に撓んで締付け収容部内に突出するばね要素を備える手持ち式工作機械を記載する。
【0004】
他のハンドグリップ装置が独国特許出願公開第102006041069号明細書又は独国特許出願公開第102016207755号明細書から知られている。
【0005】
既知のハンドグリップ装置では取扱いが快適でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第3829801号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008000516号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/109247号
【特許文献4】独国特許出願公開第102006041069号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102016207755号明細書
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の課題は、改善されたハンドグリップ装置を提案することである。
【0008】
上記課題を解決するために、冒頭で述べた種類のハンドグリップ装置では、ハンドグリップ装置が、軸方向形状結合輪郭が相手側軸方向形状結合輪郭と係合し、かつハンドグリップ装置を差込み軸線に対して形状結合的に手持ち式工作機械の取付け区分にロックする係合位置と、軸方向形状結合輪郭が相手側軸方向形状結合輪郭と係合解除され、手持ち式工作機械と保持装置を差込み軸線に対して相対して移動可能である解放位置との間で軸方向形状結合体を調節するために、締付け操作ハンドルとは別個の、及び締付け操作ハンドルとは無関係に操作者によって手動で操作可能な形状結合操作ハンドルを有することが企図されている。
【0009】
その場合、基本思想は、締付けリングが締付け操作ハンドルにより締付け位置と解除位置との間で調節可能であり、軸方向形状結合輪郭が、締付け操作ハンドル又は締付けリングとは無関係に、及び/又は別個に、形状結合操作ハンドルを用いて操作可能であるということである。すなわち2つの互いに独立した、及び/又は別個に手動で操作可能な操作ハンドルが存在する。
【0010】
軸方向形状結合輪郭は、締付けリング及び/又は締付け収容部とは無関係に可動に支承され、及び/又は操作可能である。軸方向形状結合輪郭は、締付け収容部に相対して可動に支承されている。
【0011】
軸方向形状結合輪郭は、殊にリブとして形成されている。相手側軸方向形状結合輪郭は、例えば溝として、特にリング溝として形成されている。
【0012】
軸方向形状結合輪郭及び/又は相手側軸方向形状結合輪郭には、傾斜面又は導入傾斜を設けることができ、これらが軸方向形状結合輪郭を相手側軸方向形状結合輪郭と係合させることを容易にする。
【0013】
有利には、締付け収容部が解除位置にある場合、及び/又は締付けリングが解除位置にある場合に形状結合操作ハンドルを用いて軸方向形状結合輪郭を係合位置と解放位置との間で調節可能であることが企図されている。ハンドグリップ装置と手持ち式工作機械との間の締付け固定(Verklemmung)を解除可能、すなわち締付けリングをその解除位置に調節可能であるのに対して、軸方向形状結合輪郭が手持ち式工作機械の取付け区分の相手側軸方向形状結合輪郭と係合したままであることが可能である。
【0014】
係合位置にある軸方向形状結合輪郭がハンドグリップ装置を差込み軸線に対して軸方向に移動不可能に、及び/若しくは係合結合的に取付け区分に固定し、並びに/又はこのように固定するように形成されている場合が有利である。例えば、軸方向形状結合輪郭及び相手側軸方向形状結合輪郭の、差込み軸線に対して横方向の幅は、軸方向形状結合輪郭を互いに係合させることを可能にする運動遊びを除いて同じであり得る。すなわち軸方向形状結合輪郭が相手側軸方向形状結合輪郭に係合した場合、ハンドグリップ装置は取付け区分に対して差込み軸線に沿って移動可能でない。
【0015】
有利には、係合位置にある軸方向係合結合輪郭が締付け収容部の内周面の前方に突出することが企図されている。軸方向形状結合輪郭のこの形態は、締付け収容部が締付け位置にある場合がいずれにしても有利である。しかし、締付け収容部がその解除位置にある場合には、係合位置にある軸方向形状結合輪郭が締付け収容部の内周面の前方に突出する場合が特に有利である。したがって、例えば、軸方向形状結合を解消することなしに、締付け収容部が解除されているか、又は解除されることが可能である。したがって、締付け固定が解除された場合でもハンドグリップ装置と手持ち式工作機械との間の軸方向形状結合を維持することができる。
【0016】
有利には、係合位置にある軸方向形状結合輪郭が、締付け収容部の内周面の前方に、解放位置にあるときより大きく突出することが企図されている。
【0017】
解放位置にある軸方向形状結合輪郭は、締付け収容部の内周面の前方に突出しない、及び/又は内周面と一直線上にある、及び/又は締付け収容部の内周面の後方に位置することが企図され得る。上記のすべての形態は、例えば、軸方向形状結合輪郭の係合位置と解除位置との間の調整ストロークが相応に大きいことによって実現可能である。したがって、すなわち例えば複数の解除位置を設けることもできる。例えば、軸方向形状結合輪郭が、解除位置でもまだ締付け収容部の内周面の前方に突出するが、相手側軸方向形状結合輪郭ともはや係合しないということが可能である。軸方向形状結合輪郭の相応の調整ストロークによって、これらを、例えば締付け収容部の内周面から離れる方向に引き続き調節することができ、それにより軸方向形状結合輪郭が内周面と一直線上にあるか、又はこれの後方に調節されている。
【0018】
軸方向形状結合輪郭が、係合位置において、締付け収容部のリング状又は環状の差込み横断面の前方に、半径方向内側に向かって突出し、解放位置において、差込み横断面の後方に調節されているか、又は差込み横断面と一直線に並び、それにより締付け収容部は、軸方向形状結合輪郭が解放位置にあるときに、手持ち式工作機械の取付け区分を差し込むための環状の差込み横断面を提供又は解放する場合が有利である。
【0019】
締付け収容部は、例えば円筒状の形態を有する。
【0020】
ここで述べておきたいのは、締付け収容部の差込み横断面が殊に環状であり、及び/又は正確に若しくは約43mmの直径を有するということである。それによりハンドグリップ装置は、外周がほぼ環状であり、及び/又は約43mmの直径の締付け部分を取付け区分が有する複数の手持ち式工作機械と互換性がある。手持ち式工作機械が適合する相手側軸方向形状結合輪郭を有していなくても、ハンドグリップ装置がその解放位置をとるか、又は解放位置に調節されている場合にハンドグリップ装置の軸方向形状結合輪郭は邪魔しない。
【0021】
殊に、締付けリングは全体として、及び/又は締付け収容部の領域において非導電性であるか、又は電気絶縁性である。少なくとも締付け収容部が電気絶縁性又は非導電性であることが有利である。例えば、締付け収容部又は締付けリング全体がプラスチック材料、特に非導電性プラスチック材料からなる。しかし、締付け収容部を直接提供する金属の締付けリングも問題なく可能であろう。電気絶縁のために、金属の締付けリングが締付け収容部の領域に電気絶縁コーティングを備えることができる。
【0022】
軸方向形状結合体は、殊に締付けリングとは別体である。軸方向形状結合体は、殊に締付けリングとワンピースでない。
【0023】
殊に、軸方向形状結合体は、締付け操作ハンドルとは無関係に、係合位置と解放位置との間で調節可能であり、並びに/又は締付け操作ハンドルと運動結合されていない、及び/若しくは操作係合していない。
【0024】
殊に、軸方向形状結合体は、形状結合操作ハンドルのみによって係合位置と解放位置との間で操作可能であり、特に係合位置から解放位置へ、及び/又は解放位置から係合位置へ操作可能であることが企図されている。
【0025】
軸方向形状結合体が締付け操作ハンドルによって操作可能でない場合が有利である。それにより、すなわち、このような調節時に軸方向形状結合体が係合位置と解放位置との間で調節されることなしに、例えば締付け操作ハンドルを締付け収容部の締付け位置に割り当てられた位置へ、及び/又は締付け収容部の解除位置に割り当てられた位置へ調節することができる。
【0026】
締付け収容部が締付け位置にある場合に軸方向形状結合体を係合位置と解放位置との間で調節可能であることが有利である。それにより、締付けリングが手持ち式工作機械の取付け区分を締め付ける場合にも軸方向形状結合体を解放位置へ調節することができる。
【0027】
当然のことながら、複数の軸方向形状結合輪郭、すなわち少なくとも2つの軸方向形状結合輪郭を設けることができる。これらの軸方向形状結合輪郭を同一の軸方向形状結合体に設けることができる。しかし、複数の軸方向形状結合体が設けられることも可能である。
【0028】
少なくとも1つの軸方向形状結合体を操作するために、唯一の形状結合操作ハンドルを設けることができる。形状結合操作ハンドルは、例えば伝動装置、連行体アセンブリ、又はそれに類するものを用いて1つの軸方向形状結合体又は複数の軸方向形状結合体と接続されている。1つの軸方向形状結合体又は複数の軸方向形状結合体のために複数の形状結合操作ハンドルが設けられていることも可能である。したがって、例えば操作者は、異なった形状結合操作ハンドル、例えば2つの異なる形状結合操作ハンドルを操作することによって、同じ軸方向形状結合体又は複数の軸方向形状結合体を同時に操作することができる。
【0029】
軸方向形状結合体と形状結合操作ハンドルとが固定的に互いに接続されているか、又はワンピースである場合が有利である。これに代えて、例えば連行装置及び/若しくは伝動装置、又はそれに類するものが少なくとも1つの形状結合操作ハンドルと少なくとも1つの軸方向形状結合体との間に配置されていることも可能である。連行装置は、例えば伝動装置である、又は伝動装置を備えることができる。連行装置は、軸方向形状結合体と形状結合操作ハンドルとの間にクリアランス(Freigang)を備えることもできる。
【0030】
軸方向形状結合体を手動で係合位置から解放位置へ、及びその逆に解放位置から係合位置へ操作可能であるか、又は操作することが可能ではある。しかし軸方向形状結合体がばねアセンブリによって係合位置へ負荷がかけられている場合が好ましい。それにより、操作者は、軸方向形状結合体をばねアセンブリの力に抗して解放位置の方向に操作するのに対して、ばねアセンブリは、逆の方向、すなわち係合位置へ作用する。例えば、軸方向形状結合体は、係合位置の方向に負荷がかけられる係止部材として形成されている。
【0031】
ばねアセンブリは、例えばコイルばね及び/又は金属のばねを備える。ばねアセンブリが締付けリングを解除位置と締付け位置との間で調節するための緊張アンカ(Spannanker)によって通過又は貫通されている場合が好ましい。
【0032】
ばねアセンブリが軸方向形状結合体とは別個の少なくとも1つのばねを備えることが有利である。
【0033】
ばねアセンブリは、殊に、軸方向形状結合体の弾性的な枢着部(Anlenkung)、及び/又は軸方向形状結合体とは別個のばねによってなる。したがって、すなわち軸方向形状結合体は、例えば締付けリングなどの別体に弾性的に可動に枢着され、それ自体はばね弾性特性を有していない。
【0034】
当然、ばねアセンブリが、例えば締付けリングの基体への軸方向形状結合体の弾性的な枢着によってなるか、又はそのような弾性的な枢着部を備えていることが可能である。
【0035】
軸方向形状結合体が締付けリングに相対して調整軸線に沿って直線的に移動可能に支承されている場合が好ましい。ばね又はばねアセンブリは、特に調整軸線の方向で軸方向形状結合体に作用する。軸方向形状結合体が1つ又は複数の調整軸線に沿って締付けリングに相対して直線的に移動可能にのみ支承されていることが可能である。さらに、軸方向形状結合体が締付けリングに相対して回動不可能又は旋回不可能であることが可能である。軸方向形状結合体が締付けリングに対して、直線的に移動可能にのみ支承されているが旋回不可能に支承されていることが有利である。
【0036】
しかしこれに代えて、係合位置と解放位置との間で旋回運動可能な支承、又は滑動旋回運動可能な支承、又は軸方向形状結合体の曲線軌道に沿う支承も可能であろう。その場合、軸方向形状結合体は、例えば、解放位置と係合位置との間で、旋回軸受を用いて旋回運動可能に、又はガイドカム機構を用いて曲線軌道に沿って、及び/若しくは滑動旋回運動可能に支承されている。旋回軸受は、例えば軸方向形状結合体と接続された軸部材を有することができ、軸部材は、軸受収容部に旋回軸線を中心に旋回可能に支承されている。
【0037】
軸方向形状結合体の移動可能な支承を提供するために、殊にガイド装置又はリニア軸受が設けられている。好ましくは、ハンドグリップ及び/又は締付けリングに、軸方向形状結合体を調整軸線に沿って直線的に案内するためのガイド装置が設けられている、及び/又は配置されている。例えば、ガイド装置のガイド面を、軸方向形状結合体が調整軸線に対して直線的に支承されている締付けリングと、ハンドグリップ、特にハンドグリップの支持体とに配置することができる。
【0038】
調整軸線は、殊に締付け収容部の内周面に対して接線方向に、又は半径方向距離をおいて接線方向に延びる。
【0039】
軸方向形状結合輪郭が、相手側軸方向形状結合輪郭、例えばその底に当接及び/又はくさび固定する(Verkeilen)ための傾斜面又はくさび面を有する場合が有利である。底は、例えば溝として形成された相手側軸方向形状結合輪郭の溝底である。軸方向形状結合体が、手持ち式工作機械の相手側軸方向形状結合輪郭にくさび固定するように形成された、及び/又は設けられたくさび体として形成されている、又はくさび体を有する場合が特に有利である。傾斜面又はくさび面は、殊に調整軸線に対してフラットに傾斜している(flachgeneigt)。例えば、傾斜面又はくさび面は、30°未満、特に25°未満、好ましくはそれどころかわずか20°未満、又は15°未満の傾斜を有する。すなわち、傾斜面又はくさび面と調整軸線とは、このような角度で互いに角度をなす。ここで言及しておきたいのは、傾斜面又はくさび面が弧状の形態又は弧状の区分を有することもできるということである。したがって、すなわち傾斜面又はくさび面が平面又は平坦面である必要はない。
【0040】
くさび面又は傾斜面の斜めの傾きによって、軸方向形状結合体が相手側軸方向形状結合輪郭に作用するときの押付け力に関して、例えば調整軸線に沿って作用する調整力が増幅される。例えば軸方向形状結合体に作用するばねアセンブリのばね力は、相手側軸方向形状結合輪郭、例えばその底への押付け力を生成し、傾斜面又はくさび面と調整軸線との間の上記の小さい角度によって押付け力が増幅され、特に何倍も増幅される。すなわち、軸方向形状結合体の接線方向の力の導入がいわば増幅される。
【0041】
好ましいコンセプトは、ハンドグリップが調整軸線と平行又は同軸である長手方向中心軸線を有することを企図する。
【0042】
有利な処置は、軸方向形状結合輪郭が締付け収容部の内周面に対して、及び/又は締付け収容部の中心に対して接線方向に移動可能に支承されていることを企図する。
【0043】
締付け操作ハンドルと形状結合操作ハンドルは、殊に締付けリングに対して異なった運動自由度で可動に、すなわち、例えば締付け操作ハンドルは、締付けリングに対して回転可能、形状結合操作ハンドルは締付けリングに対して移動可能に支承されている。したがって、一実施例は、締付け収容部を締付け位置と解除位置との間で調節するために締付け操作ハンドルが締付けリングに対して回転可能に支承され、軸方向形状結合体を係合位置と解放位置との間で調節するために形状結合操作ハンドルが締付けリングに対して移動可能に支承されていることを企図する。基本的に、軸方向形状結合輪郭を係合位置と解放位置との間で調節するために、形状結合操作ハンドルが締付けリングに対して回転可能に支承されていることも考えられよう。その場合、形状結合操作ハンドルの回転運動が伝動装置を用いて形状結合輪郭の直線運動に方向転換されることも可能である。
【0044】
軸方向形状結合体と締付け操作装置とは、特に以下にさらに説明される緊張軸線に対して、及び/又は以下に同様にさらに説明される緊張アンカの長手軸に対して同軸に配置されていることが有利である。
【0045】
締付け操作ハンドルは、操作者によってその手のひらで掴むことができるハンドグリップの棒状のハンドグリップ体によってなるか、又はそのようなハンドグリップ体を有することが有利である。すなわち、ハンドグリップ体は、締付けリングから突出する、及び手持ち式工作機械を保持及び誘導するために操作者によって掴むことができる、及び/又は把持することができるハンドグリップの一構成要素、特に重要な構成要素、又は主要構成要素をなす。
【0046】
ハンドグリップは、例えばハンドグリップ体の交換、又は異なったハンドグリップ体の使用によって様々な幾何学的形態、例えば異なった直径を有すること、及び/又は様々な長さに形成することができる。したがって、人間工学的な適合を問題なく実現することができる。
【0047】
締付け操作ハンドルと締付けリングとの間に形状結合操作ハンドルが配置されている場合が有利である。したがって、すなわち操作者は、締付け操作ハンドル又はハンドグリップ体を、例えば親指及び/又は人差し指で掴んで、形状結合操作ハンドルを操作することができる。
【0048】
有利なコンセプトは、締付け操作ハンドルを掴むために設けられた締付け操作ハンドル、例えば上記のハンドグリップ体のグリップ区分と、手動操作のために設けられた形状結合操作ハンドルのグリップ面との間に、成人の操作者の手の親指を大きく開いたときの前親指関節(vorderes Daumenglied)と同じ手の人差し指との間の距離にほぼ相当する距離が設けられていることを企図する。したがって、操作者は、締付け操作ハンドルのグリップ区分を掴み、それと同時に前親指関節で形状結合操作ハンドルを操作することができる。操作者は、特に解放位置の方向に軸方向形状結合体を操作するために、例えば締付け操作ハンドルのグリップ区分に向かって形状結合操作ハンドルを軸方向に移動させることができる。
【0049】
締付け操作ハンドルのハンドグリップ体は、形状結合操作ハンドルに向いた側に殊に支持凸部、特にフランジ凸部を有し、これに操作者の手を、特に形状結合操作ハンドルを操作するために支持することができる。
【0050】
形状結合操作ハンドルがリング体又はスリーブ体として形成されている場合が有利である。特に、このようなスリーブ体は、操作者による操作のために設けられた、締付けリングとは反対側に向かって上り勾配で延びる、及び/又はグリップ窪みを有するグリップ面を有する。
【0051】
締付け操作ハンドルは、殊に形状結合操作ハンドルとは独立して締付けリングに支持されている。
【0052】
締付けリングを操作するために、緊張アンカが有利である。例えば、締付けリングは、緊張アンカによって締付け位置と解除位置との間で調節可能である。緊張アンカは、締付け操作ハンドルのハンドグリップ体、例えば上記のハンドグリップ体によって緊張軸線に沿って直線的に操作可能である。ハンドグリップ体は、殊に緊張軸線を中心に回転可能にハンドグリップの基体に支承され、かつ締付け操作体をなす。緊張アンカには、例えばハンドグリップ体と回転不可能に接続されているねじ収容部にねじ込まれているねじ山区分が設けられている。ハンドグリップ体の回転操作によって、締付けリングを締付け位置と解除位置との間で調節するために、緊張アンカをねじ収容部に相対して直線的に調節可能である。
【0053】
緊張アンカは、上述したハンドグリップ体と同様に殊に交換可能である。
【0054】
様々な長さの緊張アンカによって、例えばハンドグリップの長さを様々に形成すること、及び/又は締付けリングと締付け操作ハンドル、特にハンドグリップ体との間のより大きい、若しくはより小さい距離を実現することが可能である。例えば、特に緊張アンカによって貫通される異なった長さのスペーサ要素、特に詳細な説明で言及された支持体を、締付け操作ハンドルと形状結合操作ハンドルとの間に配置することができる。
【0055】
緊張アンカは、例えば棒状又はボルト状の部品である。緊張アンカは、例えば締付けリングの互いに向かい側に位置するリング端部を、締付け位置の方向に互いに調節するべく緊張させることができ、かつ互いに離れる方向に動かすべく締付け固定を解除するために、すなわち解除位置の方向に解放するか、又はリング端部を能動的に解除位置の方向に互いに離れる方向に調節することができる。
【0056】
緊張アンカは、すなわち、例えば締付けリングと締付け操作ハンドル、特にそのハンドグリップ体との間に延在する。
【0057】
軸方向形状結合体が緊張アンカによって通過される、及び/又は緊張アンカに案内されている場合が有利である。緊張アンカは、すなわち同時に軸方向形状結合体のためのガイド要素又は上述したガイド装置をなし得る。
【0058】
好ましい一実施例は、ハンドグリップ装置が、手持ち式工作機械の取付け区分における相手側回転形状結合輪郭への係合のための少なくとも1つの回転形状結合輪郭を有し、相手側回転形状結合輪郭と回転形状結合輪郭とが互いに係合している場合に、これらはハンドグリップ装置を手持ち式工作機械の取付け区分に相対して差込み軸線に対して回転不可能に固定することを企図する。回転形状結合輪郭と相手側回転形状結合輪郭とを、例えば取付け区分とハンドグリップ装置との差込み軸線に沿う相対運動によって係合及び係合解除させることができる。回転形状結合輪郭と相手側回転形状結合輪郭とは、例えばリブ構造、歯構造、若しくはそれに類するものとして形成されている、又はそのような構造を有する。例えば、環状の歯を回転形状結合輪郭及び相手側回転形状結合輪郭として設けることができる。特に、回転形状結合輪郭は、取付け区分に相対してハンドグリップ装置を差込み軸線に対して少なくとも2つ、殊に複数の角度位置で回動不可能に固定できるように形成されている。
【0059】
例えば、回転形状結合輪郭は、差込み軸線によって通過される締付けリングの端面に配置されている。特に、締付けリングの互いに反対側の端面にそれぞれ回転形状結合輪郭が設けられている場合が有利である。それにより、ハンドグリップ装置を互いに反対側の組付けポジションで取付け区分に取り付けることができ、回転形状結合輪郭が互いに係合する。ハンドグリップは、2つの組付けポジションにおいて、互いに反対の側のもう一方においてそれぞれ手持ち式工作機械の取付け区分から突出する。
【0060】
係合位置にある軸方向形状結合輪郭が、回転形状結合輪郭が相手側回転係合結合輪郭と係合保持されるようにハンドグリップ装置を差込み軸線に対して軸方向に移動不可能に、及び/若しくは係合結合的に取付け区分に固定し、並びに/又はそのように固定するように形成されている場合が有利である。例えば、軸方向形状結合輪郭の1つの回転形状結合輪郭に対する1つの距離、又は複数の回転形状結合輪郭に対する複数の距離が、締付けリングの互いに反対側の端面において、係合位置にある軸方向形状結合輪郭が、ハンドグリップ装置が取付け区分に組み付けられている場合に、回転形状結合輪郭が相手側回転形状結合輪郭と係合保持されるように、ハンドグリップ装置を差込み軸線に対して軸方向に移動不可能に、及び/又は係合結合的に取付け区分に固定するように寸法設定されている。
【0061】
有利なコンセプトは、軸方向形状結合輪郭が、それが相手側軸方向形状結合輪郭に係合する係合位置、又は係合位置と解除位置との間の中間位置において、ハンドグリップ装置を予め定められた調節ストロークの分だけ差込み軸線に対して軸方向に移動可能であるが、離脱不可能に(verliersicher)取付け区分に保持することを企図する。例えば、軸方向形状結合輪郭が係合位置においてハンドグリップ装置を差込み軸線に対して移動不可能に取付け区分に保持し、解除位置において、ハンドグリップ装置を取付け区分から遠ざけることを可能にする一方で、中間位置において、軸方向形状結合輪郭の一部分又は一部分区分が相手側軸方向形状結合輪郭に係合するが、手持ち式工作機械の取付け区分に相対するハンドグリップ装置の軸方向運動遊びを差込み軸線に対して可能にすることが可能である。
【0062】
例えば、軸方向形状結合輪郭が、相手側軸方向形状結合輪郭に係合するが、係合位置又は上記の中間位置において差込み軸線に沿って可動にそこに収容されているように、差込み軸線に対する相手側軸方向形状結合輪郭の横幅を寸法設定すること、及び/又は調節ストロークを提供することができる。このような軸方向の可動性又は調節ストロークは、例えば軸方向形状結合輪郭の自由端領域若しくは前領域に向かって斜めに延びて終わる軸方向形状結合輪郭の傾斜輪郭によって、及び/又は軸方向形状結合輪郭の基体の前方に突出するなどの軸方向形状結合輪郭の保持凸部によって実現されることも可能である。
【0063】
軸方向調節ストロークが係合位置において、又は特に上記の中間位置において、ハンドグリップ装置の回転形状結合輪郭と取付け区分の相手側回転形状結合輪郭とを係合解除する、及び互いに係合させることができるように寸法設定されていることが好ましい。したがって、すなわち軸方向形状結合輪郭は、相手側軸方向形状結合輪郭に係合し、それによりハンドグリップ装置が離脱不可能に取付け区分に保持されている。しかし、ハンドグリップ装置が相手側回転形状結合輪郭から差込み軸線に沿って離れる方向に可動であり、それにより差込み軸線を中心に回転可能である。
【0064】
手持ち式工作機械は、殊に穿孔機又はねじ締め機である。手持ち式工作機械は、手持ち式工作機械及びハンドグリップ装置を備えるシステムの構成要素をなすことが有利である。手持ち式工作機械に取り付け可能な作業工具は、殊に穿孔工具又はねじ締め工具である。
【0065】
以下、図面を用いて本発明の一実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、手持ち式工作機械及びハンドグリップ装置を備えるシステムの図である。
図2図2は、手持ち式工作機械にハンドグリップ装置が組み付けられた図1によるシステムの図である。
図3図3は、先行する図によるハンドグリップ装置の前部分の斜め斜視図である。
図4図4は、図3によるハンドグリップ装置の代替の軸方向形状結合体の図である。
図5図5は、先行する図によるハンドグリップ装置及び手持ち式工作機械の機械首部の図である。
図6図6は、先行する図によるハンドグリップ装置の分解図である。
図7図7は、軸方向形状結合体が係合位置にあるときの、図5の切断線A-Aにほぼ沿う図5によるハンドグリップ装置の断面図である。
図8図8は、軸方向形状結合体が解放位置に調節された図7によるハンドグリップ装置の部分図である。
図9図9は、変更された相手側軸方向形状結合輪郭を有する手持ち式工作機械の取付け区分と協働する図7の切断線B-Bにほぼ沿う図7によるハンドグリップ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
システム5は、手持ち式工作機械10、例えばねじ締め器具とハンドグリップ装置30を備える。
【0068】
手持ち式工作機械10の機械ハウジング11は、駆動区分12を有し、駆動区分からハンドグリップ区分13が突き出す。ハンドグリップ区分13の、駆動区分12とは反対側の自由足区分14に、手持ち式工作機械10の電気エネルギー供給のためのエネルギー貯蔵器14A、例えばバッテリパックを着脱可能に配置可能である。移動式エネルギー貯蔵器14Aに代えて、又はこれに加えて、手持ち式工作機械10は、電気エネルギー供給系統に接続するための電源接続、特に電源コードも有することができる。
【0069】
例えばねじ締め工具又は穿孔工具などの作業工具19を配置するための工具収容部17を直接、又は伝動装置16を介して有する、例えば電気又は空気圧駆動モータなどの駆動モータ15が駆動区分12に配置されている。駆動モータ15は、工具収容部17を、例えば回転軸線DAを中心に駆動する。
【0070】
駆動モータ15は、スイッチ18を用いてスイッチオン及びスイッチオフ可能であり、特に回転数に関して変化させることができる。
【0071】
工具収容部17は、手持ち式工作機械10の取付け区分20、例えばいわゆる機械首部に設けられている。
【0072】
取付け区分20には、差込み軸線Sに沿って、例えば穿孔スタンド、特に以下に説明されるハンドグリップ装置40などの対象物を装着することができる。
【0073】
取付け区分20は、工具収容部17が配置された取付け区分20の自由端面22との間に、機械ハウジング11、特に駆動区分12の端面23まで延在する収容区分21を有する。収容区分21は、差込み軸線Sに対して円筒状の形態を有する。収容区分21は、差込み軸線Sに対して円筒外套面として形成されているか、又は差込み軸線Sの周りに延在する円筒外套面である保持面24を有する。保持面24は、締付け面として適している。端面23は、保持面24に対して角度があり、例えば直角である。
【0074】
差込み軸線Sに対して平行に対象物を取付け区分21に形状結合的に取り付けるために、保持面24に相手側軸方向形状結合輪郭25が設けられている。相手側軸方向形状結合輪郭25は、収容区分21において端面22と23の間に設けられている。相手側軸方向形状結合輪郭25は、例えば底27を有する溝26として形成され、側壁又は支持面28が底から離れる方向に、例えば直角に保持面24まで延在する。
【0075】
差込み軸線Sに対して収容区分21の外周全体の周りに相手側軸方向形状結合輪郭25が延在することが好ましい。しかし、相手側軸方向形状結合輪郭が収容区分21の円周の一部のみに延在することも可能であろう。複数の相手側軸方向形状結合輪郭を設けることも有利であり、これらは、収容区分21において、例えば差込み軸線Sに対して並べて、及び/又は差込み軸線Sに対して周方向に並べて配置される。差込み軸線Sに対して並べて配置された相手側軸方向形状結合輪郭は、例えば2つ以上の収容溝を備えるリブ構造のように形成され得る。差込み軸線Sに対して周方向に並べて収容区分21に配置された相手側軸方向形状結合輪郭は、例えばそれぞれ差込み軸線Sの周りの角度区分の周りに延在すること、例えば部分リング状の収容溝として形成することができる。
【0076】
対象物を差込み軸線Sに対して周方向又は回転方向に取付け区分20に形状結合的に保持するために、回転形状結合輪郭30が用いられる。回転形状結合輪郭30は、例えば端面23の前方に保持面24に向かって、及び/又は保持面24の前方に半径方向外方に突出する。回転形状結合輪郭30は、例えば差込み軸線Sに対して平行に端面23の前方に突出する複数の形状結合凸部31を有する。回転形状結合輪郭30は、差込み軸線Sに対して同じ半径方向距離32を有し、それにより、取付け区分20に取り付けられるべき対象物を、距離32に相当する角度距離を有する複数の角度ポジションで取付け可能である。
【0077】
取付け区分20は、機械ハウジング11の一構成要素をなすか、又はこれと接続されている手持ち式工作機械10の取付け体35に設けられている。取付け体35は、保持面24を提供する半径方向外周を有する周壁36と、周壁36の前方にフランジのように突出し、端面23が設けられている端面壁37とを備える。
【0078】
工具収容部17には、例えばドリルチャック、アングルアタッチメント、又はそれに類するアタッチメント17Aも配置することができる。図2によれば例示的にドリルチャックであるアタッチメント17Aに、例えばドリルなどの作業工具19Aを着脱可能に取り付けることができる。穿孔動作にとって、穿孔動作時に発生する力を支えるために、操作者が手持ち式工作機械を確実に把持できることこそが重要である。この目的で、手持ち式工作機械は、その機械ハウジング11、例えばハンドグリップ区分13、場合によってはさらに駆動区分12でだけでなく、それに加えて手持ち式工作機械10と着脱可能に接続可能なハンドグリップ装置40を用いても把持可能である。
【0079】
ハンドグリップ装置40は、手持ち式工作機械10に取り付けるための締付けリング41を有する。締付けリング41は、手持ち式工作機械10の取付け区分20を差込み軸線Sに沿って差込み可能な締付け収容部42を備えている。締付け収容部42は、手持ち式工作機械10の保持面24との締付け固定のために設けられ、かつ形成されている円筒状内周面43、特に締付け面を有する。締付け収容部42が締まり嵌めで保持面24に当接する場合、ハンドグリップ装置40は、手持ち式工作機械10に摩擦結合的に保持される。
【0080】
締付けリング41は、締付け収容部42を画定するリング体44を有する。リング体44は、円周側のスリット45Aを有し、このスリットを用いて締付け収容部42の差込み横断面を差込み軸線Sに対して調節することができる。スリット45Aは、差込み軸線Sに対して半径方向に延びる。リング体44のリング端部45及び46は、スリット45Aの領域で互いに向かい合う。締付けリング41のリング端部45及び46を緊張軸線SPに沿って互いに向けて操作することによって、締付け収容部42の差込み横断面を差込み軸線Sに対して縮小することができ、それによって確立可能な締付け位置Kで手持ち式工作機械の取付け区分20が締め付けられる。締付け位置Kは、図7に破線で示されている。リング端部45及び46が互いに離れる方向に動かされる場合、締付け収容部42の差込み横断面が拡大され、図7に実線で示されている、取付け区分20が締付け収容部42において差込み軸線Sに対して移動可能である解除位置Lに調節される。
【0081】
手持ち式工作機械10の回転形状結合輪郭30の係合のための締付けリング41の互いに反対側の端面47及び48に設けられた回転形状結合輪郭50が取付け区分20における締付けリング41の差込み軸線Sに対する回動不可能な保持をもたらす。締付けリング41の各端面47及び48に回転形状結合輪郭50が設けられていることにより、取付け区分20の回転形状結合輪郭30を、差込み軸線Sに対してあらゆる差込み方向でそれぞれハンドグリップ装置40の回転形状結合輪郭50と係合させることができる。
【0082】
回転形状結合輪郭50は、差込み軸線Sに対して距離32に対応する角度距離52を有する、形状結合凸部31の係合のための形状結合収容部51を備える。リング端部45及び46の領域において回転形状結合輪郭30に対して解除位置Lから締付け位置Kへ調節する場合に締付けリング41の運動遊びを可能にするために、形状結合収容部51が、締付けリング41のリング端部45及び46の領域において差込み軸線Sに対して角度幅を有する場合が有利である。
【0083】
締付けリング41からハンドグリップ60が突き出す。ハンドグリップ60は、締付けリング41に支持される支持体61を有する。支持体61はスリーブ体62を備え、その前方に支持凸部63が突出する。支持凸部63は、リング体44のリング端部46において収容部53に向かって突出する。支持体61の支持輪郭64は、緊張軸線SPに対して締付けリング41の支持輪郭54に支持されている。支持輪郭54は、例えば収容部53の周壁55の端面に形成されているが、問題なく収容部53の内部に段部を備えることもできよう。
【0084】
締付けリング41の締付け位置Kと解除位置Lとの間の調節のためにリング端部45及び46の領域で締付けリング41を通過する緊張アンカ66が用いられ、締付け収容部を締付け位置Kに調節するべくリング端部45及び46が互いに向かって動かされるか、又は解除位置Lの方向に調節するために、リング端部45及び46の互いに離れる方向の動きが可能にされるか、若しくはもたらされる。緊張アンカ66は、リング端部45において収容部49に回動不可能に収容される、ボルト区分68に配置された頭部67を有する。頭部67と収容部49は、例えば互いに相補的な、特に多角形の回動防止輪郭を有する。
【0085】
ボルト区分68は、リング端部45及び46において貫通開口(Durchtrittoeffnung)56及び57と支持体61とを通過し、自由リング端部(Ringende)でハンドグリップ60のハンドグリップ体70の差込み開口77に係合する。ボルト区分68の自由端にはねじ山が設けられ、このねじ山が、ハンドグリップ体70に回動不可能に収容されているナット69にねじ込まれる。
【0086】
さらに、ボルト区分68の自由端には、ボルト区分68に沿うナット69の調整ストロークを制限する、例えば回動不可能に固定されたナット、フランジ凸部、又はそれに類するものであるストッパ69Aが配置されている場合が有利であり、それによりナット69が抜け落ちることができず、及び/又はボルト区分68が回ってナット69から完全に外れることがない。したがって、すなわちストッパ69Aは、ナット69のための一種の離脱防止をなす。
【0087】
ハンドグリップ60、特にハンドグリップ体70は長尺の形態(Laengsgestalt)を有し、ハンドグリップ60の長手方向中心軸線LMに沿って延在する。
【0088】
ハンドグリップ体70は、緊張軸線SPに対して殊に同軸、及び/又は長手方向中心軸線LMに対して同軸である回転軸線Dを中心に支持体61に相対して、及びリング体に相対して回動可能であり、それによりナット69がボルト区分68に沿ってねじ込まれ、したがって対向受け体(Widerlagerkoerper)をなす緊張アンカ66の頭部67がハンドグリップ体70に向かって、又はこれから離れる方向に動かされる。それによって、リング端部45がリング端部46に向かって締付け位置Kへ操作されるか、又はリング端部46から離れる方向に動かすべく解除位置の方向に操作若しくは解放される。操作者BEの手Hは、グリップ区分71を例えば複数の指Fで掴んでハンドグリップ体70、したがってナット69を回転軸線Dを中心に回転操作することができる。ハンドグリップ体70は、締付け収容部42を解除位置Lと締付け位置Kとの間で調節するための締付け操作ハンドル78をなす。
【0089】
当然のことながら、ナット69の代わりに、ボルト区分68をねじ込むためのねじ山をハンドグリップ体70に直接、又は一体化して設けることもできる。さらに、緊張軸線SPに対して緊張操作をもたらすために、ハンドグリップ体70は、リング体44のリング端部45におけるねじ収容部にねじ込まれるねじ凸部を有することもできる。
【0090】
ハンドグリップ体70は、操作者によって掴むためのグリップ区分71を有する。グリップ区分71は、ハンドグリップ60の自由端領域にある、又は支持体61の方に向いた支持凸部72及び73の間に延在する。支持凸部72及び73は、フランジ凸部のように形成されている。ハンドグリップ体70は、ナット69のための保持収容部74をさらに有している。
【0091】
グリップ区分71及び/又は支持凸部72の領域には殊に弾性層75が設けられている。
【0092】
支持凸部73に補強体76が設けられていることが有利であり、この補強体を用いてハンドグリップ体70が支持体61に支持される。
【0093】
ハンドグリップ装置40を手持ち式工作機械10の取付け区分20に差込み軸線Sに対して軸方向に形状結合的にロックする、又は取り付けるために、取付け区分20の相手側軸方向形状結合輪郭25への係合のための軸方向形状結合輪郭81を有する軸方向形状結合体80が用いられる。軸方向形状結合輪郭81は、軸方向形状結合輪郭81が相手側軸方向形状結合輪郭25と係合する場合に、溝26の底27の向かい側に位置する、又は底27に支持されるフロント面82を有する。溝26の支持面28に形状結合的に支持するために設けられている、例えば側面又は側壁などの支持面83がフロント面82から離れる方向に角度をなして、例えば離れる方向に直角に延在する。
【0094】
軸方向形状結合体80は、ガイド装置87を用いて、調整軸線SAに沿って、軸方向形状結合輪郭81が相手側軸方向形状結合輪郭25又は溝26と係合する係合位置Eと、軸方向形状結合体80又は軸方向形状結合輪郭81が相手側軸方向形状結合輪郭25と係合解除される解除位置Fとの間で移動可能に支承されている。
【0095】
フロント面82は、調整軸線SAに対して斜めに傾き、かつ傾斜面82Bをなすか、又は導入斜面82Bとしての傾斜面を有する。導入斜面82Bは、軸方向形状結合輪郭81が相手側軸方向形状結合輪郭25と係合することを容易にする。
【0096】
例えば軸方向形状結合体80の貫通開口86を貫通する緊張アンカ87をガイド装置87の構成要素として用いることができる。軸方向形状結合体80は、緊張アンカ87に沿って調整軸線SAに対して移動可能に支承されている。
【0097】
さらに、軸方向形状結合体80を収容及び/又は案内するために、締付けリング41に収容部53が形成されている。軸方向形状結合体80は、収容部53に収容される、及び/又は調整軸線SAに沿って案内される。
【0098】
軸方向形状結合体80の実質的に円筒状の区分88は、例えばリング端部46における実質的に円筒状のガイド収容部58に収容される。
【0099】
解放位置Fにおいて、軸方向形状結合体80はガイド収容部58にのみ位置する、及び/又はガイド収容部58に引き戻されている。係合位置Eにおいて、軸方向形状結合体80は、ガイド収容部58の前方に突出し、かつ軸方向形状結合体は、ガイド収容部58の向かい側に位置してこれと一直線に並ぶリング端部47にある支持収容部59に入り込む。
【0100】
しかし基本的に、軸方向形状結合体80は、相応の長さの場合に、解放位置Fにおいても支持収容部59に少なくとも部分的に係合することも可能であろう。支持収容部59及びガイド収容部58は、殊に調整軸線SAに対して横向きに同じ横断面を有する。したがって、軸方向形状結合体80は、係合位置Eにおいて、差込み軸線Sに対して横向きに両方のリング端部46及び47に支持され、したがってハンドグリップ装置40を、差込み軸線Sの方向に軸方向に作用する力に関して最適に手持ち式工作機械10の取付け区分20に支持することができる。
【0101】
さらに、軸方向形状結合体80は、調整軸線SAに対して、例えば締付けリング41に対して殊に回動不可能にハンドグリップ装置40に案内されている。そのために、軸方向形状結合体80は、例えば回動防止輪郭89、特に差込み軸線Sに対して半径方向外方に突出し、相手側回動防止輪郭59A、例えば溝、スリット、又はそれに類する他のガイド収容部と係合するガイド凸部を有する。回動防止輪郭89及び相手側回動防止輪郭59Aは、調整軸線SAに対して平行に延在し、殊にこれに対して長尺の形態を有する。
【0102】
軸方向形状結合体80を操作するために、形状結合操作ハンドル90が用いられる。形状結合操作ハンドル90は、原則的に、例えば互いに係合する連行輪郭によって、軸方向形状結合体80と運動結合することができるかもしれないが、殊に軸方向形状結合体80とワンピースである。
【0103】
形状結合操作ハンドル90は、軸方向形状結合体80の区分88の、軸方向形状結合輪郭81とは反対側の端領域に配置されているスリーブ体91Aとして形成されたグリップ片91を備える。グリップ片91は、殊に傾斜した形態及び/又はグリップ窪みを有するグリップ面92を有している。グリップ面92は、締付けリング41からハンドグリップ体70の方向に上り勾配になる。したがって、グリップ面92を、操作者BEの親指DAによって快適に把持可能であり、操作者BEがその別の指Fでハンドグリップ体60を掴んで、調整軸線SAに沿ってハンドグリップ体60の方向に操作可能である。
【0104】
形状結合操作ハンドル90は、その締付けリング41の方に向いた側に、締付けリング41の収容部53を画定する周壁55が係合する収容部93を有する。互いに係合するこれらのコンポーネントもガイド装置87の構成要素をなし得る。いずれの場合も周壁55は、係合位置Eにおいてグリップ片91の収容部93に係合する。解放位置Fでも周壁55が少なくとも部分的にさらに収容部93に係合する場合が有利である。
【0105】
軸方向形状結合体80、したがって軸方向形状結合輪郭81は、ばねアセンブリ95によって係合位置Eへばね負荷がかけられている。ばねアセンブリ95は、例えばコイルばねなどのばね96を備える。ばねアセンブリ95は、一方で収容部94において軸方向形状結合体80に、例えばハンドグリップ体70の方に向いた区分88の長手方向端領域に、他方で支持体61に、例えば支持体の支持凸部63、特に支持凸部63の端面に支持されている。すなわち、軸方向形状結合体をばねアセンブリ85の力に抗して係合位置Eから解放位置Fへ操作することができる。解放位置Fには、ハンドグリップ60に対して定置のストッパ65が割り当てられている。ストッパ65は、例えば支持体61の支持輪郭64によってなるか、又はこれによって提供され、解放位置Fにおいて支持輪郭にグリップ片91のストッパ97が打ち当たる。
【0106】
軸方向形状結合輪郭81を溝26と容易に係合させることができるようにするために、フロント面82に軸方向形状結合体80の自由端85に向かって上り勾配になる傾斜面84が、自由端85が軸方向形状結合体80の区分88の方に向いたフロント面82の領域より大きい距離を締付け収容部42又は内周面43に対して有するように設けられている。
【0107】
その丸みが内周面43の丸みにほぼ相当する丸くえぐった領域82Aがフロント面82に設けられることが有利であり、それにより領域82Aは、係合位置Eにおいて溝26の底27に形状結合的に当接できる。
【0108】
フロント面82には、相手側軸方向形状結合輪郭25とのくさび固定という意味でこれと係合させることができる傾斜面又はくさび面82Bがさらに形成されている。くさび面82Bは、調整軸線SPに対して角度αで傾けられている。角度αは、例えば約5°~25°、この場合は約10°~15°のフラットな角度(flacher Winkel)である。くさび面82Bによって、調整軸線SPに沿って作用する、例えばばねアセンブリ95によって生成される調整力Fsが相手側軸方向形状結合輪郭25の底27に作用を及ぼす押付け力Faに方向転換される。その場合、くさび面82Bのフラットな傾斜、したがってすなわち小さい角度αが力を増幅させ、すなわち押付け力Faが、調整力Fsより大きく、特に数倍大きくなる。
【0109】
ハンドグリップ装置40は、工作物への作業工具19又は19Aの侵入深さを設定するために深さストッパ要素99を有する。深さストッパ要素99は、例えばハンドグリップ装置40の収容部98において差込み軸線Sに対して平行に移動可能に収容されている棒である。収容部98は、締付けリング41に、特にリング端部45に設けられている。
【0110】
ハンドグリップ装置40が手持ち式工作機械10から取り外されるべき場合、まず締付け収容部42が締付け位置Kから解除位置Lへ調節されることが企図されている。そのために、ハンドグリップ体70、すなわち締付け操作ハンドル78を回転軸線Dを中心にわずかに回動させることで十分である。次いで、操作者は、形状結合操作ハンドル90をハンドグリップ体70の方向に調節する、例えば操作者の親指DAの前親指関節DAGにより移動させることにより、操作者は、軸方向形状結合体80を係合位置Eから解放位置Fへ調節することによって形状結合的ロックを解除する。そのために短い調整ストロークで十分である。次に、操作者は、ハンドグリップ装置40を、例えば手持ち式工作機械10の取付け区分20から完全に取り外す、すなわち差込み軸線Sに沿っていわば引き離すことができる。
【0111】
操作者がハンドグリップ装置40を差込み軸線Sに沿って部分的にのみ調節し、それにより回転形状結合輪郭30、50が係合解除され、ハンドグリップ装置40が手持ち式工作機械10に対して差込み軸線Sを中心に回動可能であることも可能である。機械ハウジング11に対してハンドグリップ装置40の適切な角度ポジションが設定されている場合、ハンドグリップ装置40が再び差込み軸線Sの方向に機械ハウジング11に向かって調節され、回転形状結合輪郭30、50が互いに係合する。ばねアセンブリ95が力を加えることによって、軸方向形状結合体80が相手側軸方向形状結合輪郭25に係止することも有利である。
【0112】
図9に示されるコンセプトは、軸方向形状結合体80がハンドグリップ装置40を手持ち式工作機械10に締付け固定するために、ハンドグリップ装置40が手持ち式工作機械10から完全に外れることのみを防ぐ追加の安全措置として設けられるにすぎないことを企図する。図9において、これまで説明した要素は同じ構造であり、特にハンドグリップ装置40は変更されていないのに対して、代替の取付け体35A、又はこれを備えた代替の手持ち式工作機械10Aが企図されている。相手側軸方向形状結合輪郭25の代わりに、差込み軸線Sに対してより幅の広い溝26Aを有するより幅の広い相手側軸方向形状結合輪郭25Aが設けられ、その支持面28Aは、差込み軸線Sに対して支持面28より大きい距離を有する。それによって、ハンドグリップ装置40は、締付け収容部42の締付け固定の解除後、すなわち解除位置Lへのその調節後に、差込み軸線Sに沿って保持面24沿いに移動させることができるが、軸方向形状結合体80が支持面28Aの1つに形状結合的に打ち当たるまでの範囲のみである。差込み軸線Sに対する溝26A又は相手側軸方向形状結合輪郭25Aの幅は、差込み軸線Sに沿ってハンドグリップ装置40と手持ち式工作機械10Aとを相対して調節ストロークVSの分だけ軸方向に移動させることによって、回転形状結合輪郭30、50を係合解除及び係合させることができるが、ハンドグリップ装置40は、軸方向形状結合体80が相手側軸方向形状結合輪郭25Aに係合しなくなる解放位置Fに調節されて初めて手持ち式工作機械10Aから取り外すことができるように寸法設定されている。この解決策に代えて、又は加えて、例えば差込み軸線Sに対して軸方向形状結合輪郭81の幅を変更することができ、それにより、例えば溝26又は相手側軸方向形状結合輪郭25における軸方向形状結合体80が、係合位置Eにおいて、差込み軸線Sに対して運動遊びを有し、この運動遊びが、回転形状結合輪郭30、50を係合又は係合解除させることを可能にする。
【0113】
図4に示される軸方向形状結合体80Aでは、これまでに説明した2つの解決策がいわば互いに結合され、すなわち、一方では、軸方向形状結合体80Aが、係合位置Eにおいて、少なくとも手持ち式工作機械10へのハンドグリップ装置40のそれぞれの組付けポジションにおける相手側回転形状結合輪郭30との距離がより大きい支持面83で、相手側回転形状結合輪郭30から最も遠く離れた溝26の支持面28に当接し、したがって締付けリング41が解除位置Lに調節された場合でも、手持ち式工作機械10へのハンドグリップ装置40の形状結合的な保持を差込み軸線Sに対して、差込み軸線Sの半径方向にも軸方向にも実現する。さらに、形状結合操作ハンドル90を用いて、軸方向形状結合体80Aをそれが相手側軸方向形状結合輪郭25にもはや係合しない解放位置Fへ調節することもでき、それによりハンドグリップ装置40を手持ち式工作機械から完全に取り外すことができる。
【0114】
さらに、例えば傾斜面84の前方に突出する保持輪郭81Aはまだ相手側軸方向形状結合輪郭25と係合している、係合位置Eと解放位置Fとの間の軸方向形状結合体80の中間位置Zを設定することができる。保持輪郭81Aは、例えばフロント面82の前方に突出するが、差込み軸線に対して支持面83との距離を有する保持凸部、特にリブ、傾斜面、又はそれに類するものとして形成されている。軸方向形状結合体80Aが中間位置Zに調節されている場合、ハンドグリップ装置40は、保持凸部又は保持輪郭81Aの支持面83Aが溝26の支持面28間で差込み軸線Sに対して移動可能であり、それにより回転形状結合輪郭30及び50を係合解除及び係合させることができるが、ハンドグリップ装置40を手持ち式工作機械10の取付け区分20から取り外すことができないように差込み軸線Sに対して運動遊びを有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】