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特表2023-529045電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20230630BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20230630BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20230630BHJP
   H01M 50/375 20210101ALI20230630BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20230630BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20230630BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M50/588
H01M50/342 101
H01M50/375
H01M50/103
H01M50/55 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547739
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2021087758
(87)【国際公開番号】W WO2022217580
(87)【国際公開日】2022-10-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼ 明光
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲賢▼▲達▼
(72)【発明者】
【氏名】岳 金如
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲飄▼▲飄▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲ル▼
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011BB03
5H012AA07
5H012BB01
5H043AA04
5H043BA07
5H043BA18
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA09
5H043GA23
5H043GA25
5H043HA04D
5H043HA04F
5H043HA12D
5H043HA12F
5H043HA22D
5H043HA22F
5H043LA02D
5H043LA02F
5H043LA11D
5H043LA11F
(57)【要約】
本願の実施例は、電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び電池セルの製造装置を提供する。該電池セルは、前記電池セルの少なくとも1つの壁に設置され、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構と、少なくとも1つの前記壁の外表面を被覆し、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜と、を含み、前記保護膜は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構を少なくとも覆う。本願の実施例の技術案により、電池セルの絶縁性能を向上させることができるとともに、圧力解放機構の変形を抑制し、圧力解放機構のクリープを低減させ、その使用寿命を延ばすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
前記電池セルの少なくとも1つの壁に設置され、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構と、
少なくとも1つの前記壁の外表面を被覆し、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜と、を含み、
前記保護膜は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構を少なくとも覆うことを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記第1部分の面積は前記圧力解放機構が位置する領域の面積よりも大きく、前記第1部分の前記圧力解放機構を超える領域は少なくとも1つの前記壁の外表面に接着されることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第1部分の形状は前記圧力解放機構の形状と同じ又は類似することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1部分のエッジは前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを6mm~10mm超えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記電池セルの少なくとも1つの壁はハウジングを含み、前記ハウジングには、前記電池セルの電極組立体を収容することに用いられ、かつ開口部を有する収容キャビティが形成され、かつ、前記保護膜は前記ハウジングの外表面を被覆することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記保護膜は分離領域及び第2部分をさらに含み、前記第1部分は前記分離領域により前記第2部分から離間され、かつ、前記第2部分は、少なくとも1つの前記壁の、前記第1部分で覆われる領域以外の外表面を覆うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記分離領域は前記圧力解放機構の外側エッジを取り囲んで設置されることを特徴とする請求項6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記分離領域は連続しており、前記第1部分は前記第2部分に接続されていないことを特徴とする請求項6又は7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記分離領域は不連続であり、前記第1部分と前記第2部分との間に接続点が設置され、前記第1部分と前記第2部分は前記接続点を介して接続されることを特徴とする請求項6又は7に記載の電池セル。
【請求項10】
前記接続点の数は、前記第1部分のエッジが前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを超えるサイズと正相関することを特徴とする請求項9に記載の電池セル。
【請求項11】
前記電池セルは反対の極性を有する2つの電極端子を含み、前記2つの電極端子の接続線方向に沿って少なくとも2つの前記接続点が設置されることを特徴とする請求項9又は10に記載の電池セル。
【請求項12】
前記保護膜はパッチであり、前記保護膜は接着剤を介して少なくとも1つの前記壁の外表面に接着されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項13】
前記第1部分は前記圧力解放機構と間隔をおいて設置されることを特徴とする請求項12に記載の電池セル。
【請求項14】
分離領域は前記保護膜をレーザアブレーションすることにより形成されることを特徴とする請求項12又は13に記載の電池セル。
【請求項15】
前記保護膜はコーティングであり、前記保護膜は、吹き付けにより少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の外表面に塗布されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項16】
分離領域は、少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の表面に前記保護膜を塗布するとき、一部の領域を塗布せずに残すことにより形成されることを特徴とする請求項15に記載の電池セル。
【請求項17】
前記第1部分の厚さは第2部分の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項15又は16に記載の電池セル。
【請求項18】
電池であって、
複数の電池セルを含み、前記複数の電池セルには少なくとも1つの請求項1~17のいずれか1項に記載の電池セルが含まれ、前記複数の電池セルは前記保護膜を介して互いに絶縁されることを特徴とする電池。
【請求項19】
請求項18に記載の電池を含むことを特徴とする電力消費機器。
【請求項20】
電池セルの製造方法であって、
前記電池セルの少なくとも1つの壁に、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構を設置するステップと、
少なくとも1つの前記壁の外表面に、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜を被覆するステップと、を含み、
前記保護膜は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構を少なくとも覆うことを特徴とする電池セルの製造方法。
【請求項21】
前記第1部分の面積は前記圧力解放機構が位置する領域の面積よりも大きく、前記第1部分の前記圧力解放機構を超える領域を少なくとも1つの前記壁の外表面に接着することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1部分の形状は前記圧力解放機構の形状と同じ又は類似するように設定されることを特徴とする請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1部分のエッジは、前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを6mm~10mm超えるように設定されることを特徴とする請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記電池セルの少なくとも1つの壁はハウジングを含み、前記ハウジングには、前記電池セルの電極組立体を収容することに用いられ、かつ開口部を有する収容キャビティが形成され、かつ、前記保護膜を前記ハウジングの外表面に被覆することを特徴とする請求項20~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記保護膜は分離領域及び第2部分をさらに含み、前記第1部分は前記分離領域により前記第2部分から離間され、少なくとも1つの前記壁の外表面に保護膜を被覆する前記ステップは、
前記第2部分は、少なくとも1つの前記壁の、前記第1部分で覆われる領域以外の外表面を覆うようにするステップを含むことを特徴とする請求項20~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記分離領域は前記圧力解放機構の外側エッジを取り囲んで設置されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記分離領域は連続しており、前記第1部分は前記第2部分に接続されていないことを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記分離領域は不連続であり、前記第1部分と前記第2部分との間に接続点が設置されて、不連続な前記分離領域を形成し、前記第1部分と前記第2部分は前記接続点を介して接続されることを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項29】
前記接続点の数は、前記第1部分のエッジが前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを超えるサイズと正相関することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記電池セルは反対の極性を有する2つの電極端子を含み、2つの前記電極端子の接続線方向に沿って少なくとも2つの前記接続点が設置されることを特徴とする請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記保護膜はパッチであり、少なくとも1つの前記壁の外表面に保護膜を被覆する前記ステップは、
接着剤を介して前記保護膜を少なくとも1つの前記壁の外表面に接着するステップを含むことを特徴とする請求項20~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1部分は前記圧力解放機構と間隔をおいて設置されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記保護膜を接着剤で少なくとも1つの前記壁の外表面に接着した後、前記保護膜をレーザアブレーションすることにより前記分離領域を形成することを特徴とする請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記保護膜はコーティングであり、少なくとも1つの前記壁の外表面に保護膜を被覆する前記ステップは、
吹き付けにより、前記保護膜を少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の外表面に塗布するステップを含むことを特徴とする請求項20~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つの前記壁の外表面に保護膜を被覆する前記ステップは、
少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の外表面に前記保護膜を塗布するとき、一部の領域を塗布せずに残して、分離領域を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1部分の塗布厚さは第2部分の塗布厚さよりも大きくように設定されることを特徴とする請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
電池セルの製造装置であって、
設置モジュールを含み、
前記設置モジュールは、
前記電池セルの少なくとも1つの壁に、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構を設置することと、
少なくとも1つの前記壁の外表面に、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜を覆うことと、に用いられ、
前記保護膜は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構を少なくとも覆うことを特徴とする電池セルの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、特に電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵である。このような場合には、電気自動車は、その省エネルギーと環境保護の利点により自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。電気自動車にとって、電池技術はその発展に関連する重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展では、電池の性能を向上させることに加えて、安全問題も無視できない問題である。電池の安全問題が確保できない場合、該電池が使用できない。従って、如何に電池の安全性を強化するかは、電池技術における解決すべき緊急の技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、電池の安全性を強化できる電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び電池セルの製造装置を提供する。
【0005】
第1態様は、電池セルを提供し、前記電池セルの少なくとも1つの壁に設置され、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構と、少なくとも1つの前記壁の外表面を被覆し、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜と、を含み、前記保護膜は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構を少なくとも覆う。
【0006】
本願の実施例では、電池セルのために少なくとも1つの壁の外表面を被覆する保護膜を設置することにより、電池セルに対して絶縁保護を行い、その絶縁性能を向上させることができるとともに、圧力解放機構を少なくとも覆う該保護膜上の第1部分は、圧力解放機構のある程度での変形を抑制し、圧力解放機構のクリープを低減させることができ、それによりその使用寿命を延ばし、さらに電池の安全性能を強化する。
【0007】
いくつかの実施例では、前記第1部分の面積は前記圧力解放機構が位置する領域の面積よりも大きく、前記第1部分の、前記圧力解放機構を超える領域は少なくとも1つの前記壁の外表面に接着される。
【0008】
第1部分の面積が、圧力解放機構が位置する領域の面積よりも大きく、圧力解放機構を覆っていない第1部分の領域が少なくとも1つの壁に接着されるように設置することにより、第1部分と少なくとも1つの壁との間に発生した接着力により、圧力解放機構の変形を抑制し、圧力解放機構のクリープを低減させることができ、それによりその使用寿命を延ばし、さらに電池の安全性能を強化する。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1部分の形状は前記圧力解放機構の形状と同じ又は類似する。
【0010】
第1部分が圧力解放機構の形状と同じ又は類似するように設定することにより、保護膜が受けた、圧力解放機構の変形により発生した力は均一であることを確保でき、第1部分が圧力解放機構の変形を抑制することに寄与する。
【0011】
いくつかの実施例では、前記第1部分のエッジは、前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを6mm~10mm超える。
【0012】
第1部分のエッジが圧力解放機構のエッジを適切なサイズだけ超えるように設定することにより、第1部分が圧力解放機構のある程度での変形を抑制できることを確保できるとともに、電池セルの内部圧力及び温度が所定の閾値になったときに第1部分を破壊して脱落させることができることを確保でき、それにより圧力解放機構の通常の作動を確保し、圧力解放機構の通常の使用に影響を与えず、それにより電池の安全を確保する。
【0013】
いくつかの実施例では、前記電池セルの少なくとも1つの壁はハウジングを含み、前記ハウジングには、前記電池セルの電極組立体を収容することに用いられ、開口部を有する収容キャビティが形成され、かつ、前記保護膜は前記ハウジングの外表面を被覆する。
【0014】
本願の実施例における電池セルはハウジングを含んでもよく、ハウジングは、カバープレート以外の5つの壁で構成される、開口部を有する収容キャビティであってもよく、本願の実施例における保護膜は、上記ハウジングの外表面を完全に又は大面積で被覆し、それにより電池セルを絶縁保護することができる。
【0015】
いくつかの実施例では、前記保護膜は分離領域及び第2部分をさらに含み、前記第1部分は前記分離領域により前記第2部分から離間され、かつ、前記第2部分は、少なくとも1つの前記壁の、前記第1部分で覆われる領域以外の外表面を覆う。
【0016】
本願の実施例における保護膜は、第1部分に加えて、第2部分をさらに含み、第1部分と第2部分は分離領域により離間され、かつ、第2部分は電池セルの第1部分で覆われる領域以外の領域を覆うことができ、従って、本願の実施例では、保護膜は、第1部分により圧力解放機構の変形を抑制でき、保護膜の第2部分は、電池セルに対する絶縁保護を同時に実現できる。
【0017】
いくつかの実施例では、前記分離領域は前記圧力解放機構の外側エッジを取り囲んで設置される。
【0018】
圧力解放機構のエッジを取り囲んで設置される分離領域は、保護膜を、圧力解放機構を覆う第1部分、及び圧力解放機構を覆っていない第2部分に分けることができる。
【0019】
いくつかの実施例では、前記分離領域は連続しており、前記第1部分は前記第2部分に接続されていない。
【0020】
本願の実施例では、分離領域が接続点のない連続領域であるとき、第1部分のエッジの少なくとも1つの壁の表面に接着される部分により、第1部分は、圧力解放機構の変形をある程度で抑制し、圧力解放機構のクリープを低減させることができ、それによりその使用寿命を延ばし、さらに電池の安全性能を強化する。
【0021】
いくつかの実施例では、前記分離領域は不連続であり、前記第1部分と前記第2部分との間に接続点が設置され、前記第1部分と前記第2部分は前記接続点を介して接続される。
【0022】
本願の実施例における分離領域は不連続であってもよく、第1部分と第2部分は接続点を介して接続されてもよく、接続点が存在するため、第1部分と第2部分との間に拘束力が存在し、該拘束力は、圧力解放機構の変形をある程度で抑制することができる。
【0023】
いくつかの実施例では、前記接続点の数は、前記第1部分のエッジが前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを超えるサイズと正相関する。
【0024】
接続点が存在するとき、第1部分と第2部分には拘束力が存在し、該拘束力は、圧力解放機構の変形を抑制でき、かつ、接続点の数が増加することに伴って、該拘束力も大きくなり、同時に、第1部分の圧力解放機構のエッジを超える位置と電池エレベータの少なくとも1つの壁の表面との間にも所定の拘束力が存在し、該拘束力は、重なり領域の面積が大きくなることに伴って大きくなり、従って、上記2種の方式を組み合わせて適切な接続点の数及び第1部分の圧力解放機構のエッジを超えるサイズを決定することができ、例えば、接続点の数が多いとき、エッジを超える小さいサイズを設定できることにより、第1部分は、圧力解放機構のある程度での変形を抑制することを確保でき、さらに圧力解放機構の通常の動作を確保できる。
【0025】
いくつかの実施例では、前記電池セルは反対の極性を有する2つの電極端子を含み、前記2つの電極端子の接続線方向に沿って少なくとも2つの前記接続点が設置される。
【0026】
理解されるように、電池セルにおいては、電極端子が存在するとき、電池セルの変形量が最大の位置は2つの電池端子の接続線に沿った方向に現れる可能性があり、従って、接続点を2つの電極端子の接続線方向に設置して、圧力解放機構の変形をより良好に抑制する効果を達成することができる。
【0027】
いくつかの実施例では、前記保護膜はパッチであり、前記保護膜は接着剤を介して少なくとも1つの前記壁の外表面に接着される。
【0028】
本願の実施例における保護膜は、プラスチックパッチ、又は青色膜などのパッチであってもよく、パッチは接着剤を介して少なくとも1つの壁の表面に張り付けられ、保護膜と少なくとも1つの壁との間の接着作用により、圧力解放機構の変形を効果的に抑制し、圧力解放機構のクリープを低減させ、それによりその使用寿命を延ばすことができる。
【0029】
いくつかの実施例では、前記第1部分は前記圧力解放機構と間隔をおいて設置される。
【0030】
本願の実施例における保護膜がパッチであるとき、パッチは少なくとも1つの壁の表面に直接接着されるため、本願の実施例における圧力解放機構が電池セルの少なくとも1つの壁の表面に嵌入されるとき、第1部分と圧力解放機構には隙間が直接存在でき、該隙間は、圧力解放機構のある程度での変形を第1部分により抑制し、圧力解放機構のクリープを低減させ、それによりその使用寿命を延ばすことができる。
【0031】
いくつかの実施例では、分離領域は前記保護膜をレーザアブレーションすることにより形成される。
【0032】
本願の実施例における保護膜がパッチであるとき、レーザアブレーションプロセスにより保護膜を加工して、第1部分と第2部分を分離する分離領域を形成することができ、レーザアブレーションプロセスにより既存のプロセスを基礎として、第1部分のサイズと形状に基づき、レーザヘッドの移動軌跡及びアブレーションパワーのみを調整すればよく、型開きを繰り返す必要がなく、それにより加工コストを削減することができる。
【0033】
いくつかの実施例では、前記保護膜はコーティングであり、前記保護膜は、吹き付けにより少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の外表面に塗布される。
【0034】
本願の実施例における保護膜はコーティングを用いてもよく、このとき、吹き付けによりコーティングを電池セルの少なくとも1つの壁に塗布することができ、コーティングが吹き付けられるため、コーティングと圧力解放機構との間は直接接触でき、すなわち、コーティングは圧力解放機構の表面に直接覆われ、このとき、コーティングが圧力解放機構の表面に直接塗布されるため、コーティングと圧力解放機構の表面との間にも拘束力が存在し、該拘束力は圧力解放機構の変形を抑制することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、分離領域は、少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の表面に前記保護膜を塗布するとき、一部の領域を塗布せずに残すことにより形成される。
【0036】
本願の実施例における保護膜がコーティングであるとき、保護膜の分離領域は、コーティングを吹き付けるとき、所定の領域を塗布せずに残すことにより形成された分離領域であってもよく、例えば、分離領域を形成する位置に所定の形状の金型を事前に配置して、コーティングを分離領域の位置に塗布することを防止できる。
【0037】
いくつかの実施例では、前記第1部分の厚さは前記第2部分の厚さよりも大きい。
【0038】
本願の実施例における保護膜がコーティングであるとき、所定の範囲内で、コーティングの厚さが大きいほど、圧力解放機構との間に発生した拘束力が大きくなり、従って、第1部分がより大きい厚さを有するように設定して、圧力解放機構の変形をより良好に抑制することができる。
【0039】
第2態様は、電池を提供し、複数の電池セルを含み、前記複数の電池セルには第1態様に記載の電池セルが含まれ、前記複数の電池セルは前記保護膜を介して互いに絶縁される。
【0040】
第3態様は、電力消費機器を提供し、第2態様に記載の電池を含む。
【0041】
いくつかの実施例では、前記電力消費機器は、車両、船舶又は宇宙機である。
【0042】
第4態様は、電池セルの製造方法を提供し、前記電池セルの少なくとも1つの壁に、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構を設置するステップと、少なくとも1つの前記壁の外表面に、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜を被覆するステップと、を含み、前記保護膜は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構を少なくとも覆う。
【0043】
いくつかの実施例では、前記第1部分の面積は前記圧力解放機構が位置する領域の面積よりも大きく、前記第1部分の前記圧力解放機構を超える領域を少なくとも1つの前記壁の外表面に接着する。
【0044】
いくつかの実施例では、前記第1部分の形状は前記圧力解放機構の形状と同じ又は類似するように設定される。
【0045】
いくつかの実施例では、前記第1部分のエッジは、前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを6mm~10mm超えるように設定される。
【0046】
いくつかの実施例では、前記電池セルの少なくとも1つの壁はハウジングを含み、前記ハウジングには、前記電池セルの電極組立体を収容することに用いられ、開口部を有する収容キャビティが形成され、かつ、前記保護膜を前記ハウジングの外表面に被覆する。
【0047】
いくつかの実施例では、前記保護膜は分離領域及び第2部分をさらに含み、前記第1部分は前記分離領域により前記第2部分から離間され、少なくとも1つの前記壁の外表面に保護膜を被覆する前記ステップは、前記第2部分が、少なくとも1つの前記壁の、前記第1部分で覆われる領域以外の外表面を覆うようにするステップを含む。
【0048】
いくつかの実施例では、前記分離領域は前記圧力解放機構の外側エッジを取り囲んで設置される。
【0049】
いくつかの実施例では、前記分離領域は連続しており、前記第1部分は前記第2部分に接続されていない。
【0050】
いくつかの実施例では、前記分離領域は不連続であり、前記第1部分と前記第2部分との間に接続点が設置されて、不連続な前記分離領域を形成し、前記第1部分と前記第2部分は前記接続点を介して接続される。
【0051】
いくつかの実施例では、前記接続点の数は、前記第1部分のエッジが前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを超えるサイズと正相関する。
【0052】
いくつかの実施例では、前記電池セルは反対の極性を有する2つの電極端子を含み、2つの前記電極端子の接続線方向に沿って少なくとも2つの前記接続点が設置される。
【0053】
いくつかの実施例では、前記保護膜はパッチであり、少なくとも1つの前記壁の外表面に保護膜を被覆する前記ステップは、接着剤を介して前記保護膜を少なくとも1つの前記壁の外表面に接着するステップを含む。
【0054】
いくつかの実施例では、前記第1部分は前記圧力解放機構と間隔をおいて設置される。
【0055】
いくつかの実施例では、前記保護膜を接着剤で少なくとも1つの前記壁の外表面に接着した後、前記保護膜をレーザアブレーションすることにより前記分離領域を形成する。
【0056】
いくつかの実施例では、前記保護膜はコーティングであり、少なくとも1つの前記壁の外表面に保護膜を被覆する前記ステップは、吹き付けにより、前記保護膜を少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の外表面に塗布するステップを含む。
【0057】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの前記壁の外表面に保護膜を被覆する前記ステップは、少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の外表面に前記保護膜を塗布するとき、一部の領域を塗布せずに残して、前記分離領域を形成するステップをさらに含む。
【0058】
いくつかの実施例では、前記第1部分の塗布厚さは前記第2部分の塗布厚さよりも大きくように設定される。
【0059】
第5態様は、電池セルの製造装置を提供し、設置モジュールを含み、前記設置モジュールは、前記電池セルの少なくとも1つの壁に、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構を設置することと、少なくとも1つの前記壁の外表面に、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜を覆うことと、に用いられ、前記保護膜は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構を少なくとも覆う。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、本願の実施例で使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずに、図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0061】
図1】本願の一実施例に開示されている車両の構造模式図である。
図2】本願の一実施例に開示されている電池の構造模式図である。
図3】本願の一実施例に開示されている電池セル群の構造模式図である。
図4】本願の一実施例に開示されている電池セルの分解図である。
図5】本願の別の実施例に開示されている電池セルの分解図である。
図6】本願の一実施例に開示されている圧力解放機構の分布模式図である。
図7a】本願の一実施例に開示されている電池セルの模式図である。
図7b図7aの電池セルに対応する平面模式図である。
図7c】保護膜に対応する部分詳細図である。
図8】本願の一実施例に開示されている1つの分離領域の平面模式図である。
図9】本願の一実施例に開示されている別の分離領域の平面模式図である。
図10】本願の一実施例に開示されている別の分離領域の平面模式図である。
図11】本願の一実施例に開示されている保護膜の平面模式図である。
図12】本願の一実施例に開示されている保護膜の平面模式図である。
図13】本願の一実施例に開示されている電池セルの製造方法の模式的なフローチャートである。
図14】本願の一実施例に開示されている電池セルの製造装置の模式的なブロック図である。
【0062】
図面では、図面は実際の比例で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明するためのものであり、本願の範囲を制限するためのものではなく、すなわち、本願は説明される実施例に限定されない。
【0064】
ただし、本願の説明では、特に説明されない限り、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が示した方位又は位置関係は、本願を容易に説明し及び説明を簡素化するためのものに過ぎず、示した装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作されることを指示又は暗示しないため、本願を制限するものとして理解できない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解できない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0065】
以下の説明に現れる方位詞はいずれも図示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。ただし、本願の説明では、特に明確な規定及び限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、直接連結であってもよく、中間媒体を介した間接的連結であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0066】
本願の実施例の保護膜は電池セルを包むことに用いることができる。該保護膜は、該電池セルの絶縁分離及び防水のための絶縁及び防水材料であってもよい。該保護膜はさらに電池組立体を包むことに用いることもでき、該電池組立体は、電池セル、又は電池セルで形成された組立体、例えば、隣接する複数の電池セルで形成された電池セル群であってもよく、このような場合には、隣接する複数の電池セル全体は本願の実施例の保護膜で包まれる。以下、説明を容易にするために、保護膜で電池セルを包むことを例として説明するが、本願の実施例はこれを限定しない。
【0067】
本願の実施例における保護膜は、電池セルの成形プロセス過程で、電池セルの性能試験などのステップを完了すると、電池セルの少なくとも1つの壁に上記保護膜を被覆し、それにより電池セルを絶縁保護することができる。
【0068】
選択可能に、本願の実施例における保護膜は、電池分野で一般的に使用されている青色膜(blue film)であってもよい。
【0069】
本願では、電池セルは、一次電池、二次電池を含んでもよく、例えば、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などであってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは、円筒体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは、一般的に包装方式に応じて、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれを限定しない。
【0070】
本願の実施例に係る電池とは、1つ又は複数の電池セルを含んで、より高い電圧及び容量を提供するための単一の物理モジュールを指す。電池パックは、一般的に、1つ又は複数の電池セルを包装するための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避できる。
【0071】
電池セルは、電極組立体及び電解質を含み、電極組立体は、正極板、負極板及び分離膜で構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極板と負極板との間に移動することにより動作する。正極板は、正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとして機能する。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとして機能する。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流が流れるが溶断しないことを確保するために、正極タブは数が複数でありかつ一体に積層され、負極タブは数が複数でありかつ一体に積層される。保護膜の材質は、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)又はポリエチレン(Polyethylene、PE)などであってもよい。また、電極組立体は、巻回構造であってもよく、積層構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。電池技術の発展は、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率などの性能パラメータなどの多くの設計要素を同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要がある。
【0072】
電池にとって、主な安全上の危険は、充電及び放電過程で発生し、電池の安全性能を向上させるために、電池セルに対して一般的に圧力解放機構を設置する。圧力解放機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値になったときに作動して内部圧力又は温度を解放する素子又は部材を指す。該所定の閾値は、設計需要の異なりにより調整されてもよい。前記所定の閾値は、電池セルの正極極板、負極極板、電解質及び分離膜のうちの1種又は複数種の材料により決められる。圧力解放機構は、例えば感圧又は感温素子又は部材を用いてもよく、すなわち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値になったときに、圧力解放機構は作動して、それにより内部圧力又は温度を解放できる通路を形成する。
【0073】
本願に係る「作動」とは、圧力解放機構が動作して、それにより電池セルの内部圧力及び温度を解放させることを指す。圧力解放機構が発生した動作は、圧力解放機構の少なくとも一部が破裂されるか、引き裂かれるか又は溶解されるなどを含んでもよいが、これらに限定されない。圧力解放機構が作動すると、電池セルの内部の高温高圧物質が排出物として圧力解放機構から外側に排出される。このように、圧力又は温度を制御できる場合、電池セルに圧力を解放させ、それにより潜在的により深刻な事故の発生を回避することができる。
【0074】
本願に係る電池セルからの排出物は、電解質、溶解又は分裂された正負極極板、分離膜の破片、反応により発生した高温高圧ガス、火炎などを含むが、これらに限定されない。
【0075】
電池セルの圧力解放機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、電池セルが短絡したり、過充電されたりするとき、電池セルの内部が熱暴走して圧力又は温度を急激に上昇する可能性がある。このような場合には、圧力解放機構が作動することにより内部圧力及び温度を外側に解放して、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
【0076】
現在の圧力解放機構の技術案では、圧力解放機構が作動すると、内部圧力又は温度を外側に解放して、電池セルの安全性能を確保することができるが、圧力解放機構が作動する前に、圧力解放機構は、長時間の応力作用及び高くなる温度作用でクリープ現象が発生する。圧力解放機構のクリープ現象は、微視的に、圧力解放機構の粒界が滑り、結晶粒子が粒界に沿って拡散し、最後に圧力解放機構が構造的に薄くなり、それにより圧力解放機構の圧力受け能力が低減し、すなわち圧力解放機構が変形して薄化領域が発生する。時間の蓄積に伴って、圧力解放機構の変形量が大きくなり、圧力解放機構の作動圧力が小さくなる。圧力解放機構の変形量を制御しないと、圧力解放機構の変形量が所定の程度になったときに、圧力解放機構が引き裂かれるクリープ障害現象が発生し、圧力解放機構の使用寿命が短縮し、さらに電池の使用寿命も短縮する。かつ、このようなクリープ障害現象が隠されて見つけにくいため、障害した圧力解放機構が見つけにくくなり、電池の安全性能に大きな影響を与える。
【0077】
これに鑑みて、本願の実施例は技術案を提供し、保護膜を用いて電池セルの圧力解放機構を含む少なくとも1つの壁を被覆し、該保護膜に含まれる第1部分は該圧力解放機構を少なくとも覆い、一方では、電池セルを被覆することにより、電池セルの表面を絶縁保護し、それにより電池セルの絶縁分離性能を向上させることができ、他方では、電池セルの圧力解放機構を覆うことにより、保護膜は圧力解放機構の変形を抑制でき、それにより圧力解放機構のクリープ量を低減させ、その使用寿命を延ばし、さらに電池の安全性を向上させることができる。
【0078】
本願の実施例で説明される技術案は、例えば、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、電気自転車、電動玩具、電動工具、電気自動車、船舶及び宇宙機などの電池を使用する様々な装置に適用でき、例えば、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0079】
理解されるように、本願の実施例で説明される技術案は、上記説明される機器に適用できるだけでなく、電池を使用する全ての機器に適用できるが、説明を簡潔にするために、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0080】
例えば、図1は、本願の一実施例に係る車両1の構造模式図であり、車両1はガソリン車、ガス車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよく、コントローラ30は電池10がモータ40に給電するように制御することに用いられる。例えば、車両1の底部又は前部又は尾部に電池10が設置されてもよい。電池10は車両1の給電に用いられてもよく、例えば、電池10は車両1の操作電源として機能でき、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本願の別の実施例では、電池10は、車両1の操作電源として機能できるだけでなく、車両1の駆動電源として機能でき、ガソリン又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供する。
【0081】
異なる使用電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよく、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは、直列接続と並列接続の組み合わせを指す。電池は電池パックと呼ばれてもよい。選択可能に、複数の電池セルを、先ず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを形成し、次に複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を形成してもよい。すなわち、複数の電池セルは、電池を直接形成してもよく、先ず電池モジュールを形成して、電池モジュールを電池に形成してもよい。
【0082】
例えば、図2は、本願の一実施例に係る電池10の構造模式図であり、電池10は複数の電池セル20を含んでもよい。電池10は筐体(又はカバー)をさらに含んでもよく、筐体の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体内に収容される。図2に示すように、筐体は、2つの部分を含んでもよく、ここで、それぞれ第1部分111と第2部分112と呼ばれ、第1部分111と第2部分112は一体に締め付けられる。第1部分111と第2部分112の形状は、複数の電池セル20を組み合わせた形状に応じて決められてもよく、第1部分111と第2部分112はいずれも1つの開口部を有してもよい。例えば、第1部分111と第2部分112はいずれも中空の直方体であってもよく、それぞれ1つの面のみが開口面であり、第1部分111の開口部と第2部分112の開口部は対向して設置され、第1部分111と第2部分112は互いに締め付けられて密閉チャンバを有する筐体を形成する。複数の電池セル20は互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせられて、第1部分111と第2部分112が締め付けられて形成された筐体内に配置される。
【0083】
選択可能に、電池10は他の構造をさらに含んでもよく、ここで繰り返し説明が省略する。例えば、該電池10はバス部材をさらに含んでもよく、バス部材は、複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。具体的には、バス部材は、電池セル20の電極端子を接続することにより電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーはさらに導電機構を介して筐体を貫通して引き出され得る。
【0084】
異なる電力需要に応じて、電池セル20の数は任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されて大きな容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数は多い可能性があるため、取付を容易にするために、電池セル20をグループ化して設置することができ、各グループの電池セル20は電池モジュールを形成する。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は限られず、必要に応じて設定できる。例えば、図3は電池モジュールの一例である。電池は複数の電池モジュールを含んでもよく、これらの電池モジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されてもよい。
【0085】
図4は、本願の一実施例に係る電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は、1つ又は複数の電極組立体22、ハウジング211及びカバープレート212を含む。ハウジング211とカバープレート212はケーシング21を形成する。ハウジング211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ハウジング211は、1つ又は複数の電極組立体22を組み合わせた形状に応じて決められ、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円筒体であってもよく、ハウジング211の1つの面には、1つ又は複数の電極組立体22をハウジング211内に配置できる開口部がある。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体であるとき、ハウジング211の1つの平面は開口面であり、すなわち該平面は壁体を有さないためハウジング211の内外を連通させる。ハウジング211が中空の円筒体であるとき、ハウジング211の端面は開口面であり、すなわち該端面は壁体を有さないためハウジング211の内外を連通させる。カバープレート212は、開口部を覆ってハウジング211に接続されて、電極組立体22を配置する密閉キャビティを形成する。ハウジング211内に電解液などの電解質が充填される。
【0086】
該電池セル20は電極端子214をさらに含んでもよく、電極端子214はカバープレート212に設置されてもよい。電極端子214の一端はハウジング211内部の電極組立体22に接続され、他端はハウジング211外部の電力消費機器又は外部電源などに接続されて、電池セル20の電気エネルギーを出力するか又は電池セル20に充電することに用いられる。カバープレート212は、通常、平板形状であり、電極端子214は2つの電極端子214を含んでもよく、図4に示すように、2つの電極端子214はカバープレート212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正電極端子214a及び負電極端子214bであり、又は、214aと214bは反対の極性を有する電極端子であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
【0087】
該電池セル20においては、実際の使用需要に応じて、電極組立体22は1つ又は複数設定されてもよく、図4に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極組立体22が設置される。
【0088】
図5は、本願の別の実施例に係る圧力解放機構213を含む電池セル20の構造模式図である。
【0089】
図5におけるハウジング211、カバープレート212及び電極組立体22は、図4におけるハウジング211、カバープレート212及び電極組立体22と一致し、簡潔にするために、ここで詳細な説明が省略する。
【0090】
電池セル20の1つの壁、例えば、図5に示される第1壁21aには圧力解放機構213がさらに設置されてもよい。図5では、ハウジング211の底側に開口部があり、第1壁21aは底側の開口部を覆ってハウジング211に接続され、接続方式は溶接又は接着などであってもよい。代替的には、第1壁21aとハウジング211は一体構造であってもよい。圧力解放機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0091】
該圧力解放機構213は、第1壁21aの一部であってもよく、第1壁21aとは別個の構造であってもよく、例えば溶接によって第1壁21aに固定される。圧力解放機構213が第1壁21aの一部であるとき、例えば、圧力解放機構213は、第1壁21aに切り込みを設置することにより形成されてもよく、該切り込みに対応する第1壁21aの厚さは圧力解放機構213の切り込み以外の他の領域の厚さよりも小さい。切り込み部は、圧力解放機構213の最も薄い位置である。電池セル20により発生されたガスが多すぎると、ハウジング211の内部圧力が上昇して閾値になるか又は電池セル20の内部反応により熱量が発生して電池セル20の内部温度を上昇させて閾値にしたとき、圧力解放機構213は、切り込み部で破裂されてハウジング211の内外を連通させ、ガス圧力及び温度を圧力解放機構213の亀裂を通って外側に放出し、さらに電池セル20の爆発を回避する。
【0092】
選択可能に、本願の一実施例では、図5に示すように、圧力解放機構213が電池セル20の第1壁21aに設置される場合、電池セル20の他の壁に電極端子214が設置され、電極端子214が設置される該壁は第1壁21aとは異なる。
【0093】
選択可能に、電極端子214が設置される該壁は第1壁21aと対向して設置される。例えば、第1壁21aは電池セル20の底壁であってもよく、電極端子214が設置される該壁は電池セル20のカバープレート212であってもよい。
【0094】
選択可能に、図5に示すように、該電池セル20はバッキングプレート24をさらに含んでもよく、該バッキングプレート24は電極組立体22とハウジング211の底壁との間に位置し、電極組立体22を支持する役割を果たすだけでなく、電極組立体22がハウジング211の底壁の周囲の丸い角に干渉することを効果的に防止できる。また、該バッキングプレート24に1つ又は複数の貫通孔が設置されてもよく、例えば、均一に配列された複数の貫通孔が設置されてもよく、又は、圧力解放機構213がハウジング211の底壁に設置されるとき、該圧力解放機構213に対応する位置に貫通孔が設置されて、それにより電解液を導通するか又はガスを導通することが容易になってもよく、具体的には、このように、バッキングプレート24の上下表面の空間を連通させることができ、電池セル20内部に発生したガス、電解液がバッキングプレート24を自由に貫通することができる。
【0095】
圧力解放機構213と電極端子214は電池セル20の異なる壁に設置されると、圧力解放機構213が作動するとき、電池セル20の排出物が電極端子214から離れ、それにより排出物による電極端子214及びバス部材への影響を低減させることができ、従って、電池の安全性を強化できる。
【0096】
圧力解放機構213は様々な可能な圧力解放機構であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。例えば、圧力解放機構213は、圧力解放機構213が設けられた電池セル20の内部温度が閾値になったときに溶融できるように構成される感温性の圧力解放機構であってもよく、及び/又は、圧力解放機構213は、圧力解放機構213が設けられた電池セル20の内部気圧が閾値になったときに破裂できるように構成される感圧性の圧力解放機構であってもよい。
【0097】
上記実施例では、圧力解放機構213がハウジング211の第1壁21aに位置することを例として説明されているが、選択可能に、本願の実施例における圧力解放機構213はカバープレート212に位置してもよく、又は、圧力解放機構213はハウジング211の側壁に位置してもよく、又は、圧力解放機構213は、ハウジング211の曲がり角部に設置されてもよく、例えば、ハウジング211の交差する2つの壁が互いに接続される部分に位置し、図6は本願の実施例に係る圧力解放機構がハウジングの曲がり角部に位置する模式図を示し、具体的には、図6に示すように、第1壁21aと側壁21bとの接合部には圧力解放機構213が設置されてもよく、本願は圧力解放機構213の位置を限定しない。
【0098】
現在の圧力解放機構213の技術案では、圧力解放機構213が作動すると、内部圧力又は温度を外側に解放して、それにより電池セル20の安全性能を確保することができるが、圧力解放機構213が作動する前に、電池の内部温度及び圧力に影響されてクリープ変形が発生し、変形量が大きすぎると、圧力解放機構がクリープ障害を発生させる恐れがあるため、圧力解放機構213の使用寿命を短縮する。
【0099】
かつ、電池10の内部で、化学システムのガス発生については、化学反応の進行に伴って、ガス発生現象が発生し、電池10の内部に化学反応が発生してガスが発生すると、電池10内部のガスが増加し、電池10全体が密封されるため、電池10の使用サイクル全体から見れば、化学ガスは電池10の内部気圧を徐々に増加させ、電池10の使用過程で充放電作業条件、貯蔵作業条件を経験し、異なる使用作業条件で電池10自体の温度が増加-減少-増加で周期的に変化し、それにより電池ケーシング内の気圧が温度につれて周期的に変化し、圧力解放機構は、ケーシング構造全体の最も薄い領域として、この気圧の変化に伴って呼吸変形する。電池セル20の使用作業条件による圧力解放機構213の呼吸変形は、圧力解放機構213の使用過程中の呼吸疲労の現象を引き起こす。変形量が大きいとき、呼吸変形による圧力解放機構213の障害現象も引き起こされる。かつ、圧力解放機構213が非カバープレート212のハウジング211の壁に位置するとき、ハウジング211の壁が一般的にカバープレート212よりも薄いため、圧力解放機構213のハウジング211に位置する壁も大きく変形し、従って、圧力解放機構213がハウジング211の壁に位置するとき、使用過程中の変形量は圧力解放機構213がカバープレート212に位置する変形量よりも大きい。
【0100】
本願は、上記問題に対して、保護膜を用いて電池セル20の圧力解放機構213を含む少なくとも1つの壁を被覆し、該保護膜は該圧力解放機構213を覆うことができ、一方では、電池セル20の表面を覆うことにより、電池セル20を絶縁保護し、それにより電池セル20の絶縁分離性能を向上させることができ、他方では、電池セル20の圧力解放機構213を覆うことにより、保護膜は、圧力解放機構213の変形を制限することができ、それにより圧力解放機構213のクリープ変形を低減させ、その使用寿命を延ばすことができる。
【0101】
理解を容易にするために、以下、本願の実施例における圧力解放機構213が第1壁21aに位置することを例として説明するが、本願はこれに限定されない。
【0102】
本願の実施例における電池セル20は、電池セル20の少なくとも1つの壁に設置され、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して内部圧力を解放するための圧力解放機構213と、少なくとも1つの壁の外表面を被覆し、少なくとも1つの壁に絶縁保護を提供するための保護膜50と、を含んでもよく、保護膜50は第1部分510を含み、第1部分510は圧力解放機構213を少なくとも覆う。
【0103】
図7a~7dは本願の実施例に係る保護膜を覆う電池セルの模式図を示す。図7aは本願の実施例に係る電池セルの模式図であり、図7bは図7aの電池セルに対応する平面模式図であり、図7cは保護膜に対応する部分詳細図である。
【0104】
理解されるように、第1壁21aを直感的に表示するために、本願の実施例では、図面における電池セル20が上下逆に配置され、すなわち第1壁21aが上向きであり、カバープレート212が底部に位置するが、本願の実施例の図面における表示方式は、直感的表示を容易にするためのものに過ぎず、電池セル20の構造について他の制限を行うものではない。例えば、図7aにおける第1壁21aは上向きであり、カバープレート212は下向きであり、カバープレート212に電極端子214などが設置されてもよい。
【0105】
図7a~7cに示すように、該電池セル20は圧力解放機構213を含み、圧力解放機構213の形状は長円形、円形、楕円形又は多角形などであってもよい。図7a及び7bに示すように、圧力解放機構213は長円形であり、両端の円弧上の2つの点の間の最も遠い距離は長円形の長径であり、該長径方向は2つの電極端子214の接続線方向と平行であり、もちろん、圧力解放機構213の長径方向が2つの電極端子の接続線方向と垂直であるように設定されてもよい。圧力解放機構213は1層の圧力解放シートを含んでもよく、積層して間隔をおいて設置された多層の圧力解放シートを含んでもよい。圧力解放シートは、例えば、アルミニウム箔又は銅箔などの金属箔で製造されてもよい。圧力解放機構213の圧力解放シートは平面のシート状であってもよく、電池セルの余分な体積を占有せず、エネルギー密度を向上させ、円弧形又は波形に設定されてもよく、電池セルのガス発生状況に応じて所定の予変形量又は予応力を設定してガス発生による変形影響の一部を相殺することができる。
【0106】
該圧力解放機構213は電池セル20の少なくとも1つの壁に設置され、例えば、ここでは上記説明される第1壁21a、ハウジング211の側壁21b、又は第1壁21a又は側壁21bの接続部であってもよく、もちろん、圧力解放機構213は、電池セル20のカバープレート212に位置してもよい。電池セル20のハウジング211は、一体成形されて電極組立体を収容する収容キャビティを形成し、ハウジング211の開口箇所から電極組立体を収容キャビティ内に配置し、カバープレート212を覆い、カバープレート212とハウジング211を密封接続する。カバープレート212には、電極端子、注液孔(図示せず)などの機能部材が設置されてもよく、カバープレート212の厚さがハウジング211の厚さよりも大きく設定して、十分な剛性及び強度を維持することができる。
【0107】
該電池セル20は保護膜50をさらに含み、該保護膜50は第1壁21aの外表面に被覆される。選択可能に、図7aに示すように、保護膜は第1壁21aの面積の大部分を被覆してもよく、第1壁21aを完全に被覆してもよく、もちろん、さらにハウジング211の側壁などを被覆してもよい(例えば、図7aに示される底部に向かうカバープレート212上の1点鎖線部分は、保護膜50がハウジング211の表面全体を基本的に覆い、そのエッジがカバープレート212の4辺を所定の距離だけ覆うことにより、保護膜50が所定の張力でハウジング211のすべての外表面を完全に覆うことができることを確保できるように示される)。保護膜50は、ポリエステル樹脂又はポリプロピレン材料で製造されてもよく、0.03mm~0.50mmの厚さであってもよく、選択可能に、保護膜50は0.1mmであり、電池セル20の金属カバープレート及びハウジングを絶縁保護する。
【0108】
電池セル20の成形プロセスで、電池セル20の性能試験などのステップを完了すると、ハウジング211及び/又はカバープレート212を保護膜50で被覆し、保護膜50とハウジング211及び/又はカバープレート212との完全な密着を維持し、それらの間の気泡の発生を回避し、さらに最後のサイズ検出などを行い、電池セル20の成形を完了する。保護膜50は、電池セル20のハウジング211及び/又はカバープレート212を大面積で緊密に被覆して、電池セル20を絶縁保護する必要があるため、ハウジング211及び/又はカバープレート212に設置された圧力解放機構は、選択的にこれらのプレート部材の内側に設置され、又は圧力解放機構の最も外側の点はこれらのプレート部材の外表面から突出していない。圧力解放機構を取り付けるために、対応する固定構造を加工する必要があるとき、選択可能に、これらの固定構造の最も外側の点はこれらのプレート部材の外表面から突出していない。複数の電池セル20が配列されて並列接続又は直列接続又は直並列接続されて電池モジュール又は電池パックを形成するとき、保護膜50により各電池セル20のハウジング211及び/又はカバープレート212の間が互いに絶縁されることを維持することは重要である。
【0109】
保護膜50の第1部分510は圧力解放機構213を少なくとも覆う。保護膜50は電池セル20のハウジングを大面積で被覆するとき、圧力解放機構213の外側から圧力解放機構213を覆っている。圧力解放機構213を覆う保護膜50の部分は、本願の実施例の第1部分510である。図7b及び7cに示すように、該第1部分510は、圧力解放機構213の電池セル20から離れて外側から圧力解放機構213を完全に覆い、それにより圧力解放機構213のハウジング211の厚さ方向での変形量を制限し、圧力解放機構213の使用過程中のクリープ障害及び/又は呼吸障害を回避することができる。
【0110】
電池セル20のために圧力解放機構213の少なくとも1つの壁の表面を少なくとも覆う保護膜50を設置することにより、一方では、電池セルの表面を絶縁保護することができ、それにより電池セルの絶縁分離性能を向上させ、他方では、保護膜50の圧力解放機構213を覆う第1部分510を用いて圧力解放機構213の変形を制限し、圧力解放機構213のクリープを低減させ、その使用寿命を延ばすことができる。
【0111】
同時に、従来技術における、圧力解放機構の外側にさらなる保護パッチが設置されるという技術案と比較すると、本願の実施例の技術案は、電池セルの保護膜を直接用いて圧力解放機構を保護でき、保護パッチの役割を果たすだけでなく、変形を抑制する役割も果たす。ハウジング又はカバープレートに保護パッチを固定するように固定構造を追加的に加工する必要がなく、保護パッチを追加的に設置する必要がないため、製造材料を節約し、加工手順を削減し、電池セルの製造コストを削減する。
【0112】
一実現形態として、本願の実施例における電池セル20の少なくとも1つの壁はハウジング211を含んでもよく、ハウジング211には、電池セル20の電極組立体を収容することに用いられ、かつ開口部を有する収容キャビティが形成され、かつ、保護膜50はハウジング211の外表面を被覆する。
【0113】
選択可能に、ハウジング211には電極組立体を収容する収容キャビティが形成され、電池セル20の構造形状については、角形電池の場合、ハウジング211はカバープレート212以外の4つの側壁及び第1壁21aを含み、保護膜50はカバープレート212以外の5つの壁を被覆し、円筒形電池の場合、ハウジング211は円筒形の周囲壁を含んでもよく、円筒形の周囲壁及び1つの底壁を含んでもよい。圧力解放機構213は保護膜50で被覆される上記ハウジング211に設置される。被覆とは、該ハウジング211の外表面に対する完全な被覆であってもよく、ハウジング211の一部の外表面に対する被覆であってもよい。
【0114】
一実現形態として、ハウジング211の厚さはカバープレート212の厚さよりも小さいため、電池セル20の内部のガス発生に影響されて変形しやすくなり、圧力解放機構213がハウジング211の第1壁21a及び/又は側壁に設置されるとき、変形しやすくなる。保護膜50は、圧力解放機構213の変形を制限し、それにより圧力解放機構213の使用寿命を延ばすことができる。
【0115】
又は、本願の実施例における圧力解放機構213は、カバープレート212に位置してもよく、このとき、ハウジング211を被覆するものと同じ保護膜50で圧力解放機構213を含むカバープレート212のすべての外表面を覆ってもよく、又は、圧力解放機構213を少なくとも含むカバープレート212の一部の外表面を覆ってもよい。
【0116】
一実現形態として、本願の実施例における保護膜50の第1部分510の面積は、圧力解放機構213が位置する領域の面積よりも大きく、第1部分510の圧力解放機構213を超える領域は、少なくとも1つの壁の外表面に接着される。
【0117】
図7bに示すように、図7bにおける長円形領域の中間の破線部分は、保護膜50で覆われる圧力解放機構213のエッジであり、圧力解放機構213外側の実線部分は、保護膜50の第1部分510のエッジである。第1部分510のエッジは圧力解放機構213のエッジを超えており、すなわち第1部分510の面積は、圧力解放機構213が位置する領域の面積よりも大きい。第1部分510の圧力解放機構213を超える部分は、電池セル20の少なくとも1つの壁に固定接続されてもよく、第1部分510の少なくとも1つの壁に固定接続される部分は、保護膜50の張力を維持し、それにより保護膜50が所定の剛性を維持する。圧力解放機構213のクリープ変形又は呼吸変形が発生したとき、第1部分510は、該剛性を用いて圧力解放機構213の変形を抑制し、圧力解放機構213のクリープ変形量を低減させ、それによりその使用寿命を延ばすことができる。
【0118】
理解されるように、本願の実施例における保護膜50の第1部分510は、圧力解放機構213の変形をある程度で制限することができ、電池セル20の内部圧力が圧力解放機構213の作動閾値になるか又は超えたとき、圧力解放機構213が作動し、第1部分510も破壊され、それにより圧力解放機構213の通常の動作は確保され、電池の安全性能も確保される。
【0119】
具体的には、例えば、電池セル20が正常に使用されるとき、電池セル20の内部気圧は一般的に0.5MPaを超えず、正常に使用されるとき、第1部分510は圧力解放機構213の変形を抑制できるが、内部気圧が0.5MPaを超えるとき、圧力解放機構213の変形量が大きすぎるため、第1部分510が少なくとも1つの壁の表面から破られ、それにより正常に作動して、内部圧力を解放する。
【0120】
一実現形態として、本願の実施例における保護膜50の第1部分510は、圧力解放機構213の形状と同じ又は類似する。
【0121】
図7bに示すように、第1部分510は、圧力解放機構213の形状と同じであり、両者の形状を同じに設定すると、第1部分510が受けた、圧力解放機構213の変形により発生した張力が均一になることができ、第1部分510が圧力解放機構213の変形を抑制することに寄与し、又は、両者が、類似する形状、又は異なる形状を用いてもよく、例えば、長方形などであり、本願の実施例はこれを限定しない。
【0122】
一実現形態として、本願の実施例における第1部分510のエッジが前記圧力解放機構213の中心から離れる方向に前記圧力解放機構213のエッジを超える距離Tは、6mm~10mmである。
【0123】
図7bに示すように、中間の実線部分である第1部分510のエッジと、中間の破線部分である圧力解放機構213のエッジとの距離は、6mm~10mmに設定されてもよい。第1部分510の圧力解放機構213のエッジを超える部分は、電池セル20の少なくとも1つの壁に接着されるため、両者の間には所定の拘束が存在し、第1部分510のエッジが圧力解放機構213のエッジを超える距離を調整することにより、第1部分510と電池セル20の少なくとも1つの壁との拘束力の大きさを調整でき、その結果、電池セル20が正常に使用される過程で、第1部分510が圧力解放機構213の変形を抑制する役割を果たすことを確保できる。選択可能に、圧力解放機構213の面積が大きく、クリープ変形量が大きくなるとき、より大きい距離Tを設定して大変形量に対する拘束力を発生させる必要があり、圧力解放機構213の面積が小さいとき、小さい距離Tを設定することができる。電池セル20の内部圧力及び温度が所定の閾値になって内部圧力を解放する必要があるとき、該距離Tの設定により、第1部分510が圧力解放機構213により破られ、電池セル20の少なくとも1つの壁から脱落し、圧力解放機構213の通常の使用に影響を与えず、電池の安全を確保することができる。
【0124】
例えば、第1部分510のエッジが圧力解放機構213のエッジを6mm超えるように設定でき、電池セル20が正常に使用されるとき、その内部圧力は一般的に0.5MPa以下であり、このとき、第1部分510と少なくとも1つの壁との間の拘束力が十分に大きく、圧力解放機構213により破られて脱落しないことを確保でき、電池セル20の内部圧力が0.5MPaよりも大きいとき、圧力解放機構213の変形は、第1部分510を少なくとも1つの壁から脱落させることができる。
【0125】
理解されるように、以上は、第1部分510の脱落と電池セル20の内部圧力との関係を例示的に説明するためのものに過ぎず、圧力の大きさ及び設定サイズは他の数値に設定されてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
【0126】
一実現形態として、本願の実施例における保護膜50は、ポリエステル樹脂(Polyethylene terephthalat、PET)又はポリプロピレンPP材料で製造されてもよく、該保護膜50は、電池分野で一般的に使用されている青色膜(blue film)であってもよく、又は、選択可能に、本願の実施例における保護膜50は、他の材料で製造されてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
【0127】
一実現形態として、本願の実施例における保護膜は、分離領域530及び第2部分520をさらに含んでもよく、第1部分510は、分離領域530により第2部分520から離間され、かつ、第2部分520は、少なくとも1つの壁の、前記第1部分510で覆われる領域以外の外表面を覆う。
【0128】
図7a~7cに示すように、保護膜50は、第1部分510及び第2部分520を含んでもよく、第1部分510と第2部分520との間は分離領域530により離間され、かつ、第1部分510は少なくとも1つの壁に設置された圧力解放機構213の外表面を少なくとも覆い、第2部分520は、少なくとも1つの壁の、第1部分510で覆われていない外表面を覆い、選択可能に、該第2部分520は、電池セル20のすべての壁の、第1部分510で覆われていない領域を覆ってもよく、すなわち、第2部分520は、周囲壁及びトップカバーの、第1部分510で覆われていないすべての外表面を覆ってもよく、又は、第2部分520は、そのうちの一部のみを覆ってもよく、例えば、圧力解放機構213を含む1つの壁の、第1部分510で覆われていない外表面のみを覆い、例えば、図7a~7cにおける第1壁21aが挙げられる。
【0129】
選択可能に、本願の実施例における分離領域530は、線形領域であってもよく、該領域には保護膜50の欠落部分が含まれ、図7cに示すように、分離領域530は、保護膜50の第1部分510と第2部分520との間の、保護膜50の一部の材料を欠く部分を含み、すなわち2つの部分が材料で分割される。図7a~7cに示される線形分離領域530は、幅広い分離帯であってもよく、本願はこれを限定しない。
【0130】
一実現形態として、本願の実施例における分離領域530は、前記圧力解放機構213の外側エッジを取り囲んで設置されてもよい。
【0131】
図7bに示すように、分離領域530は、圧力解放機構213のエッジを取り囲んで設置されて、圧力解放機構213を少なくとも覆う第1部分510及び第1部分510で覆われる領域以外の外表面を覆う第2部分520を形成する。
【0132】
一実現形態として、本願の実施例における分離領域530は連続してもよく、第1部分510は第2部分520に接続されていない。
【0133】
具体的には、図7bに示すように、分離領域530は、連続した環状形状であり、第1部分510と第2部分520は分離領域530により完全に分割され、すなわち第1部分510と第2部分520との間に接続点がない。このとき、第1部分510は、少なくとも1つの壁の表面と部分的に接着された領域を有するため、該部分的に接着された領域の間に存在する拘束力は、第1部分510が圧力解放機構213の変形を抑制することを確保し、それによりそのクリープを抑制し、圧力解放機構213の使用寿命を延ばすことができる。同時に、圧力解放機構213の内部圧力及び温度が所定の閾値になったとき、第1部分510が破られ、それにより第1部分510が少なくとも1つの壁の表面から脱落して、それにより圧力解放機構213が正常に作動し、内部の排出物を排出し、電池の安全使用を確保することができる。
【0134】
理解されるように、本願の実施例における分離領域530が連続して接続点がないとき、本願の実施例における保護膜50の第1部分510の面積は、圧力解放機構213が位置する領域の面積よりも大きくてもよく、それにより第1部分510の一部の領域が少なくとも1つの壁の表面に接着できることを確保し、それにより圧力解放機構213の変形を抑制できる拘束力を発生させる。
【0135】
別の実現形態として、本願の実施例における分離領域530は不連続であってもよく、前記第1部分510と前記第2部分520との間に接続点540が設置され、前記第1部分510と前記第2部分520は前記接続点540を介して接続される。
【0136】
具体的には、図8は本願の実施例に係る1つの不連続な分離領域の平面模式図を示す。図8に示すように、該分離領域530に接続点540がさらに設置され、すなわち、第1部分510と第2部分520は、接続点540を介して接続され、第1部分510と第2部分520は不完全に分割される。第2部分520は、接続点540を介して第1部分510を拘束し及び力を伝達することができ、このとき、第1部分510のエッジ領域はそれに応じて小さく設定されてもよい。
【0137】
一実現形態として、本願の実施例における接続点540の数は、前記第1部分510のエッジが前記圧力解放機構213の中心から離れる方向に前記圧力解放機構213のエッジを超えるサイズと正相関してもよい。
【0138】
上記から分かるように、保護膜50の第1部分510と電池セル20の少なくとも1つの壁との間の接着部分は、拘束力を発生させて圧力解放機構213の変形を抑制することができ、所定の範囲内で、第1部分510のエッジが圧力解放機構213の中心から離れる方向に圧力解放機構213のエッジを超える距離は大きいほど、両者の間に発生した接着力が大きくなり、分離領域530に接続点540が設置されるとき、接続点540が第1部分510と第2部分520を接続するため、第2部分520は、第1部分510に対して拘束力が存在し、第2部分520は、少なくとも1つのハウジングの他の部分の面積を被覆し、ハウジングと緊密に密着され、より強い拘束力を持っている。従って、接続点540を設置することにより、第2部分520と少なくとも1つの壁との間の接着などの固定力により第1部分510の拘束力を強化でき、それにより第1部分510の面積を小さくすることができる。所定の範囲内で、接続点540の数が多いほど、接続点540が存在するため発生した拘束力も大きくなり、従って、さらに、接続点540の数が上記接着部分の面積に関連するように設定でき、すなわち、第1部分510のエッジが圧力解放機構213の中心から離れる方向に圧力解放機構213のエッジを超えるサイズが大きいほど、設置された接続点540の数が少なくなり、逆に、上記サイズが小さいほど、設置された接続点540の数が多くなる。このように、第1部分510の少なくとも1つの壁の表面に接着された部分が発生した拘束力と、接続点540が存在するため発生した拘束力は、圧力解放機構213の変形を共同で抑制でき、同時に、圧力解放機構213の内部圧力及び温度が所定の閾値になったときに、第1部分510を破り脱落させることを確保でき、それにより圧力解放機構213が正常に作動することを確保する。
【0139】
一実現形態として、本願の実施例における電池セル20は反対の極性を有する2つの電極端子214を含み、前記2つの電極端子214の接続線方向に沿って少なくとも2つの前記接続点540が設置される。
【0140】
図8に示すように、電池セル20は2つの電極端子214を含み、正極端子及び負極端子を含んでもよく、圧力解放機構213が図8に示されるように設置されるとき、すなわち、圧力解放機構213が第1壁21a又はカバープレート212に位置する場合に対応して、長円形の圧力解放機構213の長径方向は、2つの電極端子214の接続線方向と平行であり、圧力解放機構213が変形したとき、最大変形量の位置は、2つの電極端子214の接続線方向にある。第1部分510に対応して、圧力解放機構213の変形をより良好に抑制するために、圧力解放機構213の変形特徴に基づき、接続点540を、図8に示される分離領域530の、2つの電極端子の接続線と平行な直線部分に設置することができる。
【0141】
選択可能に、本願の実施例における圧力解放機構213は、図8に示されるように設置されなくてもよく、圧力解放機構213が長円形であることを例として、圧力解放機構213の長径方向が2つの電極端子214の接続線方向と垂直であるように設置されてもよい。このとき、接続点540の設置位置は、上記原理に応じて設定されてもよく、すなわち、接続点540が、分離領域530の、2つの電極端子214と平行な接続線方向の領域に設置され、すなわち、本願の実施例における接続点540の設置位置は、電極端子の接続線方向に直接関係するが、圧力解放機構213の形状及び設置方式に直接関係しない。
【0142】
一実現形態として、本願の実施例では、分離領域530の他の位置に接続点540が設置されてもよい。
【0143】
図9は本願の実施例に係る別の不連続な分離領域の模式図を示す。図9に示すように、接続点540は、分離領域530の曲線部分に設置されてもよく、それにより第1部分510が圧力解放機構213の変形を抑制する役割を強化できる。本願の実施例における分離領域530は複数の接続点540を含んでもよく、該複数の接続点540は、等間隔で分布してもよく、例えば、等角度で設置されてもよく、又は等弧長で設置されてもよく、不等間隔で分布してもよく、本願の実施例は、接続点540の数及び設置位置を限定しない。
【0144】
以上の説明では、第1部分510の面積は、いずれも圧力解放機構213が位置する領域の面積よりも大きく、選択可能に、分離領域530に接続点540が設置されるとき、第1部分510のエッジは、圧力解放機構213のエッジと重なってもよい。
【0145】
具体的には、図10は本願の実施例に係る別の不連続な分離領域の模式図を示す。図10に示すように、第1部分510のエッジが圧力解放機構213のエッジと重なっているため、図10では、第1部分510のエッジのみが示されている。かつ、図10では、接続点540の分布の別の実施例構造が示されており、すなわち、接続点540と長円形の円心との接続線は、2つの電極端子の接続線と所定の夾角をなす領域として設定されてもよく、該所定の夾角は、例えば、第1部分510の面積の変化に適応して接続点540の数を調整するように、0度~90度の範囲内であってもよい。理解されるように、本願の図8図12に示される接続点540の設置方式は、対応する図における第1部分510の構造に厳密に対応せず、図8図12は、接続点540の可能な設置方式を例示的に示すためのものに過ぎず、これに限定されない。
【0146】
理解されるように、本願の実施例の圧力解放機構213は、例えば、図8図10に示すように、上記第1壁21aなどのハウジング211の1つの壁に設置されてもよく、又は、本願の実施例における圧力解放機構は、ハウジング211の側壁に設置されてもよいが、本願はこれに限定されない。
【0147】
具体的には、図11は本願の実施例に係る保護膜の平面模式図を示す。該保護膜50は、圧力解放機構213が、側壁又は底壁などのハウジング211のいずれか1つの壁に設置される状況に適用でき、このとき、保護膜50は、電極端子214に対応する開孔を設置する必要がなく、残りの内容は、上記圧力解放機構213が第1壁21aに位置するときの状況と同じであり、ここで詳細な説明が省略する。
【0148】
選択可能に、電池セル20のカバープレート212とハウジング211が通常、別個の2つの部分であるため、圧力解放機構213がカバープレート212に設置される場合、保護膜50の第2部分520には電極端子214を収容するための領域が含まれてもよい。具体的には、図12は本願の実施例に係る保護膜50の平面模式図を示し、図12に示すように、該保護膜50は、電極端子214を収容するための開孔550を含んでもよい。
【0149】
一実現形態として、本願の実施例における保護膜50はパッチであってもよく、前記保護膜50は接着剤を介して少なくとも1つの前記壁の外表面に接着される。
【0150】
例えば、該保護膜50は、ポリエステル樹脂又はポリプロピレン材料のプラスチックパッチなどのプラスチックパッチであってもよく、又は、青色膜と呼ばれてもよく、パッチは、接着剤を介して圧力解放機構を少なくとも含む1つの壁の外表面に接着されてもよい。
【0151】
選択可能に、本願の実施例における保護膜50は、接着剤を介して少なくとも1つの壁の外表面に接着されてもよく、又は、他の方式によって少なくとも1つの壁の外表面に固定されてもよく、本願はこれを限定しない。
【0152】
本願の実施例における保護膜50がプラスチックパッチであるとき、プラスチックパッチは電池セル20の少なくとも1つの壁の外表面に張り付けられるため、保護膜50と圧力解放機構213との間に所定の隙間が存在し、すなわち、前記第1部分510は前記圧力解放機構213と間隔をおいて設置され、両者の間に隙間が存在するとき、圧力解放機構213は、隙間によって許容される空間内で、ある程度で変形でき、圧力解放機構213の変形量が隙間のハウジング211の厚さ方向での距離を超える場合、第1部分510は、その変形を抑制し、ハウジングの呼吸変形による圧力解放機構の変形を低減させ、かつクリープ変形を抑制し、それによりこの2種の変形による圧力解放機構213の障害を回避する。
【0153】
具体的には、保護膜50の第1部分510は、少なくとも1つの壁との間の接着及び/又は接続点540により発生した拘束力を用い、圧力解放機構213のある程度での変形を抑制し、圧力解放機構213のクリープを低減させ、それによりその使用寿命を延ばすことができる。
【0154】
選択可能に、本願の実施例における保護膜50が上記パッチの形を用いるとき、分離領域530は、前記保護膜50をレーザアブレーションすることにより形成されてもよい。
【0155】
具体的には、先ず、電池セル20の少なくとも1つの壁に上記パッチを覆うことができ、このとき、該パッチは全体として完全であり、次に、レーザ切断プロセスにより、パッチ上に分離領域530を形成し、それにより保護膜50を第1部分510と第2部分520に分割する。
【0156】
レーザアブレーションプロセスにより本願の実施例における分離領域530を加工して取得することができ、保護膜50を基礎として、圧力解放機構213の変形を抑制するための第1部分510が形成され、一方では、既存のプロセスを用い、レーザヘッドの移動軌跡及びアブレーションパワーを制御することにより、保護膜50の形状及びサイズをタイムリーに調整することを実現でき、型開きを繰り返す必要がなく、加工コストを削減する。他方では、加工された保護膜50は、電池セル20を絶縁保護でき、例えば、電池セル20の生産過程における注液工程で、電解液と圧力解放機構213との接触を効果的に防止し、それにより圧力解放機構213を保護することができ、かつ圧力解放機構213の変形をある程度で抑制することを実現し、それによりその使用寿命を延ばすことができる。
【0157】
別の実現形態として、本願の実施例における保護膜50はコーティングであってもよく、前記保護膜50は、吹き付けにより少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構213の外表面に塗布される。
【0158】
保護膜50がコーティングを用いるとき、分離領域530は、少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構213の表面に前記保護膜50を塗布するとき、一部の領域を塗布せずに残すことにより形成されてもよい。例えば、分離領域530が設置される位置にダイプレートを事前に配置して、コーティングを分離領域530の位置に吹き付けることを防止する。
【0159】
選択可能に、保護膜50がコーティングを用いるとき、コーティングは、圧力解放機構213の表面を直接覆うことができ、厚さが大きいコーティングは、圧力解放機構213の変形に対してより大きな拘束効果を有するため、このとき、第1部分510の塗布厚さを第2部分520の塗布厚さよりも大きく設定して、圧力解放機構213の変形をより良好に抑制する効果を達成することができる。
【0160】
選択可能に、本願の実施例における保護膜50がコーティングを用いるとき、第1部分510と圧力解放機構213との間が互いに接着されるため、両者の間に所定の拘束が存在し、第1部分510のエッジは、圧力解放機構213のエッジと重なってもよく、又は、上記実施例に基づき、第1部分510のエッジが圧力解放機構213のエッジを超えるように設置されてもよく、さらに、分離領域530に接続点540が設置されてもよく、本願の実施例は、具体的な実現形態を限定しない。
【0161】
一実現形態として、本願の実施例における電池10は複数の電池セルを含んでもよく、該複数の電池セルには上記各実施例における少なくとも1つの電池セル20が含まれ、該複数の電池セル20は保護膜50を介して互いに絶縁されてもよい。
【0162】
本願の一実施例は電力消費機器をさらに提供し、該電力消費機器は、上記各実施例における電池10を含んでもよい。選択可能に、電力消費機器は、車両1、船舶又は宇宙機であってもよい。
【0163】
以上、本願の実施例の電池セル、電池及び電力消費機器が説明されており、以下、本願の実施例の電池の製造方法及び装置について説明され、ここで詳細に説明されていない部分は上記各実施例を参照すればよい。
【0164】
図13は本願の一実施例に係る電池セルの製造方法300の模式的なフローチャートを示す。図13に示すように、該方法300は以下を含んでもよい。
【0165】
S310、前記電池セル20の少なくとも1つの壁に圧力解放機構213を設置する。
【0166】
一実現形態として、前記圧力解放機構213は、前記電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放することに用いられる。
【0167】
S320、少なくとも1つの前記壁の外表面に、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜50を被覆する。
【0168】
一実現形態として、前記保護膜50は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構213を少なくとも覆う。
【0169】
図14は本願の一実施例に係る電池セルの製造装置400の模式的なブロック図を示す。図14に示すように、電池の製造装置400は、設置モジュール410を含んでもよい。
【0170】
設置モジュール410は、前記電池セル20の少なくとも1つの壁に、前記電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構213を設置することと、少なくとも1つの前記壁の外表面に、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜50を覆うことと、に用いられ、前記保護膜50は第1部分510を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構213を少なくとも覆う。
【0171】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、様々な改良を行い、等価物でその中の部材を置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に記載されている各技術的特徴を任意の方式で組み合わせることができる。本願は本明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内にある全ての技術案を含む。
【符号の説明】
【0172】
1 車両
10 電池
20 電池セル
21 ケーシング
21a 第1壁
21b 側壁
22 電極組立体
24 バッキングプレート
30 コントローラ
40 モータ
50 保護膜
111 第1部分
112 第2部分
211 ハウジング
212 カバープレート
213 圧力解放機構
214 電極端子
214a 正電極端子
214b 負電極端子
400 電池の製造装置
410 設置モジュール
510 第1部分
520 第2部分
530 分離領域
540 接続点
550 開孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
前記電池セルの少なくとも1つの壁に設置され、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になったときに作動して前記内部圧力を解放するための圧力解放機構と、
少なくとも1つの前記壁の外表面を被覆し、少なくとも1つの前記壁に絶縁保護を提供するための保護膜と、を含み、
前記保護膜は第1部分を含み、前記第1部分は前記圧力解放機構を少なくとも覆う池セル。
【請求項2】
前記第1部分の面積は前記圧力解放機構が位置する領域の面積よりも大きく、前記第1部分の前記圧力解放機構を超える領域は少なくとも1つの前記壁の外表面に接着される求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第1部分の形状は前記圧力解放機構の形状と同じ又は類似し、
前記第1部分のエッジは前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを6mm~10mm超える請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記電池セルの少なくとも1つの壁はハウジングを含み、前記ハウジングには、前記電池セルの電極組立体を収容することに用いられ、かつ開口部を有する収容キャビティが形成され、かつ、前記保護膜は前記ハウジングの外表面を被覆する求項1~のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記保護膜は分離領域及び第2部分をさらに含み、前記第1部分は前記分離領域により前記第2部分から離間され、かつ、前記第2部分は、少なくとも1つの前記壁の、前記第1部分で覆われる領域以外の外表面を覆う求項1~のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記分離領域は前記圧力解放機構の外側エッジを取り囲んで設置される求項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記分離領域は連続しており、前記第1部分は前記第2部分に接続されていない求項6又は7に記載の電池セル。
【請求項8】
前記分離領域は不連続であり、前記第1部分と前記第2部分との間に接続点が設置され、前記第1部分と前記第2部分は前記接続点を介して接続される求項又はに記載の電池セル。
【請求項9】
前記接続点の数は、前記第1部分のエッジが前記圧力解放機構の中心から離れる方向に前記圧力解放機構のエッジを超えるサイズと正相関する求項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記電池セルは反対の極性を有する2つの電極端子を含み、前記2つの電極端子の接続線方向に沿って少なくとも2つの前記接続点が設置される求項又はに記載の電池セル。
【請求項11】
前記保護膜はパッチであり、前記保護膜は接着剤を介して少なくとも1つの前記壁の外表面に接着される求項1~10のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記第1部分は前記圧力解放機構と間隔をおいて設置される求項11に記載の電池セル。
【請求項13】
分離領域は前記保護膜をレーザアブレーションすることにより形成される求項11又は12に記載の電池セル。
【請求項14】
前記保護膜はコーティングであり、前記保護膜は、吹き付けにより少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の外表面に塗布される求項1~10のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項15】
分離領域は、少なくとも1つの前記壁及び前記圧力解放機構の表面に前記保護膜を塗布するとき、一部の領域を塗布せずに残すことにより形成される求項14に記載の電池セル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本願の実施例では、分離領域が連続しており、前記第1部分と前記第2部分との間に接続点のない域であるとき、第1部分のエッジの少なくとも1つの壁の表面に接着される部分により、第1部分は、圧力解放機構の変形をある程度で抑制し、圧力解放機構のクリープを低減させることができ、それによりその使用寿命を延ばし、さらに電池の安全性能を強化する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
接続点が存在するとき、第1部分と第2部分には拘束力が存在し、該拘束力は、圧力解放機構の変形を抑制でき、かつ、接続点の数が増加することに伴って、該拘束力も大きくなり、同時に、第1部分の圧力解放機構のエッジを超える位置と電池セルの少なくとも1つの壁の表面との間にも所定の拘束力が存在し、該拘束力は、重なり領域の面積が大きくなることに伴って大きくなり、従って、上記2種の方式を組み合わせて適切な接続点の数及び第1部分の圧力解放機構のエッジを超えるサイズを決定することができ、例えば、接続点の数が多いとき、エッジを超える小さいサイズを設定できることにより、第1部分は、圧力解放機構のある程度での変形を抑制することを確保でき、さらに圧力解放機構の通常の動作を確保できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
かつ、電池10の内部で、化学反応の進行に伴って、ガス発生現象が発生し、電池10の内部に化学反応が発生してガスが発生すると、電池10内部のガスが増加し、電池10全体が密封されるため、電池10の使用サイクル全体から見れば、化学ガスは電池10の内部気圧を徐々に増加させ、電池10の使用過程で充放電作業条件、貯蔵作業条件を経験し、異なる使用作業条件で電池10自体の温度が増加-減少-増加で周期的に変化し、それにより電池ケーシング内の気圧が温度につれて周期的に変化し、圧力解放機構は、ケーシング構造全体の最も薄い領域として、この気圧の変化に伴って呼吸変形する。電池セル20の使用作業条件による圧力解放機構213の呼吸変形は、圧力解放機構213の使用過程中の呼吸疲労の現象を引き起こす。変形量が大きいとき、呼吸変形による圧力解放機構213の障害現象も引き起こされる。かつ、圧力解放機構213が非カバープレート212のハウジング211の壁に位置するとき、ハウジング211の壁が一般的にカバープレート212よりも薄いため、圧力解放機構213のハウジング211に位置する壁も大きく変形し、従って、圧力解放機構213がハウジング211の壁に位置するとき、使用過程中の変形量は圧力解放機構213がカバープレート212に位置する変形量よりも大きい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
図7a~7cは本願の実施例に係る保護膜を覆う電池セルの模式図を示す。図7aは本願の実施例に係る電池セルの模式図であり、図7bは図7aの電池セルに対応する平面模式図であり、図7cは保護膜に対応する部分詳細図である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
理解されるように、本願の実施例における分離領域530が連続しており、第1部分510と第2部分520との間に接続点がないとき、本願の実施例における保護膜50の第1部分510の面積は、圧力解放機構213が位置する領域の面積よりも大きくてもよく、それにより第1部分510の一部の領域が少なくとも1つの壁の表面に接着できることを確保し、それにより圧力解放機構213の変形を抑制できる拘束力を発生させる。
【国際調査報告】