(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ヒト及び動物において免疫系を強化して汎免疫性を獲得するために使用される組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/8962 20060101AFI20230630BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230630BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20230630BHJP
A61K 36/77 20060101ALI20230630BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230630BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230630BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K36/8962
A61P31/00
A61P43/00 121
A61K36/752
A61K36/77
A61K36/185
A61K47/02
A61K47/10
A61P37/02
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022567246
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2021062135
(87)【国際公開番号】W WO2021224455
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521309547
【氏名又は名称】レガシー ヘルスケア(スウィツァランド)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(72)【発明者】
【氏名】サード アルティ
(72)【発明者】
【氏名】ジアウェイ リュー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4C076BB01
4C076BB11
4C076CC07
4C076CC31
4C076DD23
4C076DD38
4C088AB12
4C088AB62
4C088AB87
4C088BA08
4C088MA07
4C088MA52
4C088MA55
4C088ZB07
4C088ZB26
4C088ZB31
(57)【要約】
本発明は、癌細胞の排除を含む、感染性の及び免疫学的成分による他の疾患の予防及び治療のため、免疫系を強化して汎免疫性を獲得するための組成物に関する。本発明によれば、組成物の投与は、経口、非経口又は非-非経口ルート、局所注射、局所適用又はその組み合わせにより行われ、及び各種の療法/治療におけるアジュバントポテンシエーターとしての組成物の投与は、前掲のルートを使用する。組成物は、有効成分として、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス、及びカカオ属植物のエキスを含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、ネギ属植物(Allium species)のエキス、柑橘属植物(Citrus species)のエキス、ガラナ属植物(Paullinia species)のエキス、及びカカオ属植物(Theobroma species)のエキスを含有する、ヒト及び動物において、免疫系の強化をとおして、病原体感染症及び免疫学的成分による他の疾患の治癒的又は予防的薬物療法に使用される医薬組成物。
【請求項2】
ガラナ属植物のエキス及び/又はカカオ属植物のエキスが、アトマイズされているか又はされていないものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
4つの有効成分の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス0.05~5.0質量%、及びカカオ属植物のエキス0.05~5.0質量%を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
4つの有効成分の総質量基準で、タマネギ(Allium cepa)のエキス60~70質量%、レモン(Citrus limon)のエキス7~12質量%、ガラナ(Paullinia cupana)のエキス0.08~0.20質量%、及びカカオ(Theobroma cacao)のエキス0.06~0.18質量%を含有する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
タマネギのエキス32~45質量%、レモンのエキス6~12質量%、ガラナのエキス2~3質量%、及びカカオの水性アルコールエキス0.25~3.2質量%を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
さらに、添加剤として、組成物の総質量基準で、塩化ナトリウム1.0~8.0質量%及びグリセリン10~40質量%を含有する、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
汎免疫性を獲得するために使用される、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
汎免疫性を獲得するため、癌細胞の排除を含む、感染性の疾患及び免疫学的成分による他の疾患の予防及び治療のために使用される、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
各種の療法又は治療においてアジュバントポテンシエーターとして使用される、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
非経口、非-非経口、経口、局所、全身ルート又はその組み合わせによる投与に好適な形状である、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト及び動物において免疫系を強化して汎免疫性を獲得する方法に使用される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
広範な病原体に対して、我々の生存には、免疫系が必須である。免疫不全は深刻な結果を有する。良好かつ健全な免疫系は、免疫細胞の機能に対する影響又は免疫ホメオスタシスを維持するために感染を制御するための抗体分泌に対する影響からなる有力な防御を編成する。これは、分子性及び細胞性炎症過程の直接的又は間接的関与を介して可能である。それ故、自己免疫疾患及び免疫学的成分による他の疾患を発症させないためには、病原体及び癌細胞に対する免疫系の保護作用を増強すること及びその作用を制御することが極めて重要である。
【0003】
本発明は、ヒト及び動物において、免疫系を強化して汎免疫性を獲得する方法で使用される組成物に関する。方法の目的は、すべての種類の病原体感染症(例えば、原虫感染症とともに、細菌、ウイルス、真菌、プリオン及び外寄生生物感染症)、及び癌細胞の排除を含む、免疫系の不全による全ての免疫関連疾患を治療及び防止することである。疾患は、皮膚接触に限らず、体液の移動、対面接触、汚染した食品及び水の摂取、浮遊粉塵又は飛沫の吸入、病原体を担持する物との接触、等を介して拡散する。特に、方法は、感染後及び治療後症状/症候群、例えば、ライム病治療後症候群と同様に、上記の病状の関連する全ての症状/症候群を治療する。
【0004】
感染後、時には、目に見えるような症状が存在しないことがある。感染後の症状のいくつかの例としては、発熱、悪寒、風邪症状(例えば、鼻水、くしゃみ、及びうっ血)、インフルエンザ関連症状(例えば、筋肉痛、せき、頭痛、倦怠感)、連鎖球菌性咽頭炎(例えば、咽頭痛、リンパ節の膨大)、尿管感染症(例えば、骨盤痛、排尿痛、血尿、腎感染症による背部痛)、感染性蜂窩織炎(例えば、赤く腫れた及び過敏の皮膚)、胃腸炎(例えば、下痢、腹痛、嘔吐)、急性肺炎(例えば、痰又は膿の吐出を伴う咳)、重症急性呼吸器症候群、中耳炎(例えば、耳痛及び耳垂れ、又は難聴)、性感染症、等が含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
我々の研究では、後述の成分を含んでなる組成物により、強化された良好な免疫系の機能に関連して、有意の健康状態の改善が可能になったが示された。しかし、本発明は、抗生物質の発明(特定の病原体に対するテストを必要とする)とは異なり、一般的免疫状態を改善する方法である。本発明における組成物は、2つの科学的に証明されたレベル:1.増大した自発ホイール走行活動(VWRA);及び2.il-8(免疫改善又は免疫調節生物活性を測定する間接的方法;後述の記載参照)におけるダウンレギュレーションで表されるように免疫系を改善する機能を有する。
【0006】
当業者に知られている最先端の科学的知識に基づけば、本願における実験データは、組成物が、免疫状態に対して有益な効果を有するとの証拠を示す。このような有益な効果は、後述するように、マウスモデルにおける「自発ホイール走行(voluntary wheel-running)」の能力によって示される。
【0007】
齧歯動物における改善された免疫と、増大した自発ホイール走行活動との間の関連を示す科学的な証拠が存在する(後述する)。
【0008】
初期の研究は、サイトカインの相互作用が、高い自発走行能力のマウスとコントロールマウスとの間で差別的に発現されたこととともに、免疫過程、免疫応答、及び免疫系器官の形態に注目した多数の遺伝子発現パターンを正確に示していた(Zhangら, 「増大された自発ホイール走行挙動の選択的育種に関連する脳領域依存性遺伝子ネットワーク PLOS ONE」, 2018年8月2日;https://doi.org/10.1371/journal.pone.0201773)。
【0009】
他の研究は、特定の天然の免疫改善成分、例えば、発酵豆乳(FSM)中に見られるものの摂取が、齧歯動物において、自発ホイール走行活動を増大させたことを証明している。さらに、FSMの投与の後、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)のタンパク質生産の増大があり、これは、ドーパミン伝達の関与を示唆するとの分析が示された。実際、チロシンヒドロキシラーゼは、ドーパミンが酵素THによるL-チロシンの水酸化にて開始する2ステップ誘導プロセスから誘導されるため、ドーパミン生産のキーである(Satoら, (2010), 「発酵豆乳は雄ラットにおいて自発ホイール走行活動及び性行動を増大させる」Appl. Physiol. Nutr. Metab. 35: 749-754;Wagarら, (2009), 「発酵した豆乳及び乳酸菌にて調製した酪農ミルクの免疫調節特性」, JOURNAL OF FOOD SCIENCE, Vol. 74, Nr. 8)。
【0010】
ドーパミンは、脳における神経伝達物質としてよく認識されている。ドーパミンは、広範な免疫調節剤として、さまざまな末梢系における批評機能、特に、免疫調節機能を調節する。多くの免疫細胞(例えば、T-リンパ球)はドーパミン受容体を発現して、それらが、ドーパミンに対して中枢的に及び末梢的に、積極的に応答することを可能にする。このため、ドーパミン作動性免疫調節は免疫機能の重要な一部である。さらに、骨髄微小環境は、造血幹細胞(HSCs)(ここから、免疫細胞が、造血作用を介して誘導される)の維持には重要である。ドーパミン伝達はHSCsの発生及び機能を調節することが示されている。一方で、ドーパミンは、サイトカインの分泌を含むさまざまな免疫機能を調節する(Mattら, 「ドーパミンはどこにあるか及び免疫細胞はどのようにしてそれに見るか?:健康及び疾患におけるドーパミン関与の免疫細胞の機能(Where Is Dopamine and how do Immune Cells See it?:Dopamine-Mediated Immune Cell Function in Health and Disease)」, Journal of Neuroimmune Pharmacology, 2019年5月11日)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さまざまな生理活性成分(例えば、発酵大豆飲料中に見られるもの)の免疫調節生理活性は、腫瘍壊死因子α(TNFα)治療後の腸上皮細胞(IEC)の炎症誘発性応答について、IL-8産生に対する影響を測定することによって評価される。免疫改善発酵大豆飲料及びミルクブレンドについて、IL-8産生のダウンレギュレーションが観察され(上記のWagarら)、本願による組成物の免疫改善生理活性に関する観察、すなわち、TNFαを受けたヒト内皮細胞におけるIL-8産生のダウンレギュレーションと一致することが見いだされた(下記の実施例2:免疫調節/抗炎症効果参照)。
【0012】
他方、本発明による組成物の免疫調節効果は、免疫抑制マウスモデルにおいて、自発ホイール走行能力の増大によって示される。
【0013】
本願において使用される動物モデルは、末梢の放射線照射によって誘発された疲労のマウスモデルである。放射線照射は、主に、リンパ球のアポトーシス及び免疫調節の不全のため、一般的な免疫抑制を起こすことが証明されている(McFarlandら, (2012), 「γ線誘発免疫抑制における制御性T細胞」, PLoS ONE 7(6): e39092. doi:10.1371/journal.pone.0039092)。
【0014】
このような状況下では、治療しない場合、本願における実験結果によって示されるように(表1及び
図1参照)、マウスの自発走行活動は、一般に、低減された。しかし、本発明による組成物の摂取によって、照射後のこのようなホイール走行能力(走行距離及び速度の両方;表1及び
図2、3、4参照)が改善され、先に説明したように、マウスの自発ホイール走行能力の増大に関連する免疫学的状態の向上を示した。
【0015】
研究結果の概要を、以下に、表1及び
図1~6における実験部分に示す。
【0016】
このように、後述する成分を含んでなる本発明の組成物は、良好な免疫機能のために免疫系を強化する方法を提供し、最終的に、汎免疫性を獲得する。
【0017】
プラセボ制御実験において、後述する成分を含んでなる組成物を免疫欠損状態のマウスに経口投与した。プラセボ処置のマウスと比較して、組成物は、強化された免疫系の良好な機能の回復(有意に増大されたホイール走行能力によって証明及び測定された)の結果、その健康状態を有意に改善したことが観察された。
【0018】
感染、負傷、又は治療による免疫系の活性化は、炎症性サイトカイン又は他の免疫因子の放出を導き、いくつかのケースでは、「サイトカインストーム(免疫系の危険な過剰反応)」さえも生ずる。これらのサイトカインは、局所性及び全身性の不逞な免疫反応を編成し、各種の病的状態を仲介する。
【0019】
炎症誘発分子:インターロイキン8、ICAM-1、及びE-セレクチンのTNFα誘発発現のダウンレギュレーション経由の免疫改善/免疫調節/抗炎症効果についての本発明による組成物の研究も、後述の表2~4における実験部分において示されている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、有効成分として、ネギ属植物(Allium species)のエキス、柑橘属植物(Citrus species)のエキス、ガラナ属植物(Paullinia species)のエキス、及びカカオ属植物(Theobroma species)のエキスを含有する、免疫系を強化するために使用される組成物に関する。ガラナ属植物のエキス及び/又はカカオ属植物のエキスは、アトマイズされてもよいし、されなくてもよい。
【0021】
本発明の他の具体例によれば、前記組成物は、4つの有効成分の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス0.05~5.0質量%、及びカカオ属植物のエキス0.05~5.0質量%を含有する。
【0022】
本発明のさらに他の具体例によれば、前記組成物は、4つの有効成分の総質量基準で、タマネギ(Allium cepa)のエキス60~70質量%、レモン(Citrus limon)のエキス7~12質量%、ガラナ(Paullinia cupana)のエキス0.08~0.20質量%、及びカカオ(Theobroma cacao)のエキス0.06~0.18質量%を含有する。
【0023】
また、本発明の具体例によれば、前記組成物は、添加剤として、組成物の総質量基準で、塩化ナトリウム1.0~8.0質量%及びグリセリン10~40質量%を含有する。
【0024】
この組成物は汎免疫性を獲得するために使用される。
【0025】
他の具体例によれば、組成物は、癌細胞の排除を含む、感染症及び免疫学的成分による他の疾患、例えば、ウイルス感染症及び/又は自己免疫疾患を予防及び治療するために使用される。
【0026】
また、さらに他の具体例によれば、この組成物は、各種の療法又は治療におけるアジュバントポテンシエーターとして使用される。
【0027】
この組成物は、非経口ルート、非-非経口ルート、経口ルート、又は局部又は局所ルート、又はその組み合わせによって投与される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】照射前後における「プラセボ」群の1日当たりの走行距離を示すグラフである。
【
図2】照射前後において、累積走行距離を「プラセボ」群と「組成物」群(「Drug」)とを比較して示すグラフ、及び1日当たりの走行距離を「プラセボ」群と「組成物」群(「Drug」)とを比較して示すグラフである。
【
図3】暗期の走行速度を、「プラセボ」群と「組成物」群(「Drug」)とを比較して示すグラフである。
【
図4】暗期の走行距離を、「プラセボ」群と「組成物」群(「Drug」)とを比較して示すグラフである。
【
図5】照射前後において、1日当たりの消費された溶液の容量を、「プラセボ」群と「組成物」群(「Drug」)とを比較して示すグラフ。
【
図6】照射前後において、平均体重を、「プラセボ」群と「組成物」群(「Drug」)とを比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
経口ルート、又は非経口ルート、又は局所注射、又はその組み合わせによる、有効成分として、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス、及びカカオ属植物のエキスを含有する組成物の投与は、汎免疫性を獲得するために、ヒト及び動物において、免疫系を強化することについて新規かつ未知の効果を有することが発見された。
【0030】
後述の成分を含んでなる組成物を、炎症の点で異常な状態のヒト対象に局所的に投与した。組成物は、組成物の抗炎症性機能のおかげで、皮膚の炎症状態を有意に改善したことが観察された。
【0031】
本発明は、免疫系を改善/強化する方法であって、各種の療法/治療又はその組み合わせにおいて、有効成分として、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス、及びカカオ属植物のエキスを含有する組成物を、経口、非経口、局所適用、又は局所注射によって及び/又はアジュバントポテンシエーターとして投与することを含んでなる。
【0032】
特に、本発明は、有効成分として、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス、及びカカオ属植物のエキスを含有する組成物を、経口ルート、非経口ルート、又は局所適用、又は注射、又はその組み合わせによって投与することを含んでなる、免疫系を強化する方法に関する。本発明によれば、免疫系を強化して、汎免疫性を獲得するための方法の中でも特に興味深いものは、好適な組成物が、4つの有効成分の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%、及びカカオ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%を含有するものである方法である。具体例によれば、組成物は、組成物の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%、カカオ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%、塩化ナトリウム1.0~8.0質量%、及びグリセリン10~40質量%を含んでなる。
【0033】
免疫系を強化する方法の中でも興味深いものは、組成物が、従来の経口組成物、注射(局部又は全身)用組成物として使用されるだけでなく、免疫系を強化して、汎免疫性を獲得するための療法/治療におけるアジュバントポテンシエーターとしても使用される方法である。組成物は、4つの有効成分の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%、及びカカオ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%を含有する。
【0034】
具体例によれば、組成物は、4つの有効成分の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%、及びカカオ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%を含有する。
【0035】
具体例によれば、組成物は、組成物の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%、カカオ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%、塩化ナトリウム1.0~8.0質量%、及びグリセリン10~40質量%を含んでなる。
【0036】
用語「ネギ族植物のエキス」とは、特に、ネギ属(ネギ科)の全ての植物、殊に、タマネギ(Allium cepa)から得られるエキス及び生のエキスをいう。
【0037】
用語「柑橘類」は、特に、ミカン科(family Rutaceae)、殊に、レモン(Citrus limon)をいう。
【0038】
用語「ガラナ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)」とは、特に、ガラナ属(ムクロジ科(family Sapindaceae))の全ての植物、殊に、ガラナ(Paullinia cupana)から得られるエキス又は生のエキスをいう。
【0039】
用語「カカオ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)」とは、特に、カカオ属植物(アオイ科(family Malvaceae))の全ての植物、殊に、カカオ(Theobroma cacao)から得られる水性アルコールエキス又は生のエキスをいう。
【0040】
本発明に従って使用される最も好ましい組成物は、4つの有効成分の総質量基準で、タマネギのエキス約66質量%、レモンのエキス約9質量%、ガラナのエキス(アトマイズされている又はされていない)約0.11質量%、及びカカオのエキス(アトマイズされている又はされていない)約0.11質量%を含有するものである。本発明によれば、組成物は、有効成分として、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス、及びカカオ属植物のエキスを含有する混合物として慢性的に投与される。本発明の具体例によれば、組成物は、有効成分として、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス、及びカカオ属植物のエキスを含有する組成物にて、数か月又はそれ以上の期間、毎日投与される。
【0041】
免疫系を強化して、汎免疫性を獲得することに関する測定可能な効果を得るため、組成物の投与を慢性的に行うことが必要である。本発明によって得られる組成物を使用する場合、用量は、比較的に広い限度範囲で変動でき、被験者及び関連する状態に応じて設定されなければならない。医薬組成物は、通常、乾燥エキス又は液体溶液の形の、上述の有効成分0.4~1000 mg、好ましくは、2~400 mgを含有する。例えば、組成物は、ヒトにおいて、毎日2回、各摂取において5mlで経口投与される。
【0042】
本発明は、経口、非経口、他の上述のルートによる、汎免疫性を獲得するための免疫系の強化における使用、及び/又は各種の療法/治療、又はその組み合わせにおけるアジュバントポテンシエーターとしての使用のための、有効成分として、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス、及びカカオ属植物のエキスを含有する組成物にも関する。本発明の具体例によれば、汎免疫性を獲得するための免疫系の強化における使用のための組成物は、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)、及びカカオ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)を含有する。本発明の他の具体例によれば、汎免疫性を獲得するための免疫系の強化における使用のための組成物は、4つの有効成分の総質量基準で、4つの有効成分の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%、及びカカオ属植物のエキス(アトマイズされている又はされていない)0.05~5.0質量%を含有する。
【0043】
[組成物/治療の例]
[例1]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス(ケルセチンを含有する):71%
レモンのエキス:1.7%
ガラナのエキス:4.5%
カカオのエキス:4.8%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0044】
[例2]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス(ケルセチンを含有する):60.50%
レモンのエキス:5.25%
ガラナのエキス:2.5%
カカオのエキス:2.3%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0045】
[例3]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス(ケルセチンを含有する):52.50%
レモンのエキス:6.20%
ガラナのエキス:1%
カカオのエキス:1%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0046】
[例4]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス(ケルセチンを含有する):48.50%
レモンのエキス:20.5%
ガラナのエキス:1.5%
カカオのエキス:1.35%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0047】
[例5]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス(ケルセチンを含有する):45.50%
レモンのエキス:20%
ガラナのエキス:0.75%
カカオのエキス:0.65%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0048】
[例6]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス(ケルセチンを含有する):31.50%
レモンのエキス:18%
ガラナのエキス:0.15%
カカオのエキス:0.18%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0049】
[例7]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギ以外のネギ科に属するネギ属植物のエキス:30.50%
レモンのエキス:3.20%
ガラナのエキス:0.06%
カカオのエキス:0.05%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0050】
[例8]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス:30.50%
レモンのエキス:3.20%
ガラナのエキス:0.06%
カカオのエキス:0.05%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0051】
[例9]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス:35.50%
レモンのエキス:3.80%
ガラナのエキス:0.03%
カカオのエキス:0.03%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0052】
[例10]
マウスに、下記の組成(添加剤を除く):
タマネギのエキス:36.45%
レモンのエキス:10%
ガラナのエキス:2.5%
カカオのエキス:1.35%
を有する組成物による治療を、毎日、経口ルートによって施した。
【0053】
上記例において使用した添加剤は、組成物の総質量基準で、塩化ナトリウム1.0~8.0質量%及びグリセリン10~40質量%である。
【0054】
実験結果
例1~10に示す範囲の上記組成物を使用することによって結果を得た。上記組成物の全てについて、マウスについて行ったテストは、驚くべきことには、マウスの免疫系の強化を示した。これらの強化は、上記で説明したように、当分野において公知の証拠方法に従って有意に論証され、組成物の摂取前のマウスの免疫系のレベルと比較して、増大したホイール走行能力によって測定される。
これは、本発明による組成物が、免疫系に積極的に影響を及ぼし、強化できることを表す。
発意者らの研究は、上述の成分を含んでなる組成物が、強化された良好な免疫系の機能に関連する健康状態の改善を可能にしたことを示した。
【実施例1】
【0055】
ホイール走行能力
この研究の成果の要約を、表1及び
図1~6に示す。
【表1】
【0056】
図1:「プラセボ」群マウスのVWRAは大きく減少し、照射後第3日で最低の走行距離に達した。マウスは次の数日間で徐々に回復し、照射前の期間に測定された初期の走行距離に戻った。
図2:「組成物」群(「Drug」)についての照射後に走った平均累積距離は、「プラセボ」群よりも17%大きい。「組成物」群マウスは、7日後に、日常のベースライン走行距離に戻った;「プラセボ」群マウスは、照射後12日でベースライン走行距離に戻った。
図3:記載のモデルにおけるように、自発ホイール走行速度の低下は、活動期(すなわち、暗サイクル)の遅い時間に最も多く認められた。照射後の走行速度は、活動期の各セクションにおいて、「組成物」群(「Drug」)vs「プラセボ」群で系統的に大きかった。
図4:記載のモデルにおけるように、自発ホイール走行距離の低下は、活動期(すなわち、暗サイクル)の遅い時間に最も多く認められた。照射後の走行速度は、活動期の各セクションにおいて、「組成物」群(「Drug」)vs「プラセボ」群で系統的に大きかった。
図5:「組成物」及び「プラセボ」の両方に、1%サッカリン溶液で与えた。「組成物」群(「Drug」)マウスによって消費された溶液の容量は、照射の前後で、「プラセボ」群マウスより少なかった。
図6:グループの平均体重は、「プラセボ」群マウスと「組成物」群(「Drug」)マウスと間で差異がないことが示された。
【実施例2】
【0057】
免疫改善/免疫調節/抗炎症効果
研究の成果の要約を表2~4に示す。
有効成分として、ネギ属植物のエキス、柑橘属植物のエキス、ガラナ属植物のエキス、及びカカオ属植物のエキスを含有する例1~10における範囲の組成物を、炎症促進分子:インターロイキン-8、ICAM-1 及びE-セレクチンのTNFα誘導の発現のダウンレギュレーションを介する、その免疫改善/免疫調節/抗炎症効果についての研究を実施するために使用した(表2~4に要約する)。
【表2】
* 結合した特異的抗体/細胞
【表3】
* 結合した特異的抗体/細胞
【表4】
* 結合した特異的抗体/細胞
【0058】
このように、上述の研究は、本発明による組成物が、抗炎症作用をとおして、免疫応答の過剰反応の調節を可能にしたことを示す。その結果、組成物は、強化された免疫系の良好な機能の結果として、健康状態を改善した。このように、本発明による組成物は、良好な免疫機能のために免疫系を強化し、最終的に汎免疫性を獲得するための方法を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、ネギ属植物(Allium species)のエキス、柑橘属植物(Citrus species)のエキス、ガラナ属植物(Paullinia species)のエキス、及びカカオ属植物(Theobroma species)のエキスを含有する、ヒト及び動物において、免疫系の強化をとおして、病原体感染症及び免疫学的成分による他の疾患の治癒的又は予防的薬物療法に使用される医薬組成物。
【請求項2】
ガラナ属植物のエキス及び/又はカカオ属植物のエキスが、アトマイズされているか又はされていないものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
4つの有効成分の総質量基準で、ネギ属植物のエキス20~80質量%、柑橘属植物のエキス1.5~20質量%、ガラナ属植物のエキス0.05~5.0質量%、及びカカオ属植物のエキス0.05~5.0質量%を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
4つの有効成分の総質量基準で、タマネギ(Allium cepa)のエキス60~70質量%、レモン(Citrus limon)のエキス7~12質量%、ガラナ(Paullinia cupana)のエキス0.08~0.20質量%、及びカカオ(Theobroma cacao)のエキス0.06~0.18質量%を含有する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
タマネギのエキス32~45質量%、レモンのエキス6~12質量%、ガラナのエキス2~3質量%、及びカカオの水性アルコールエキス0.25~3.2質量%を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
さらに、添加剤として、組成物の総質量基準で、塩化ナトリウム1.0~8.0質量%及びグリセリン10~40質量%を含有する、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
汎免疫性を獲得するために使用される、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
汎免疫性を獲得するため、癌細胞の排除を含む、感染性の疾患及び
免疫系の不全による他の免疫関連疾患を予防及び治療するために使用される、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
各種の療法又は治療においてアジュバントポテンシエーターとして使用される、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
非経口、非-非経口、経口、局所、全身ルート又はその組み合わせによる投与に好適な形状である、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【国際調査報告】