(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】固体形態の大環状化合物、その調製およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 498/18 20060101AFI20230630BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20230630BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230630BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230630BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20230630BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230630BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230630BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230630BHJP
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A61P 37/06 20060101ALI20230630BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230630BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20230630BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230630BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230630BHJP
【FI】
C07D498/18 CSP
A61K31/439
A61P3/00
A61P9/00
A61P11/02
A61P11/00
A61P27/16
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P27/04
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A61P43/00 111
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A61P37/02
A61P37/06
A61P43/00 112
A61K9/20
A61K9/28
A61P19/06
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570340
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2021094362
(87)【国際公開番号】W WO2021233296
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】202010421308.9
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519263556
【氏名又は名称】深▲チェン▼市塔吉瑞生物医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen TargetRx, Inc.
【住所又は居所原語表記】Room 301, Building A1, Kexing Science Park, No.15 of Keyuan Road, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518057, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】王 義漢
(72)【発明者】
【氏名】李 煥銀
【テーマコード(参考)】
4C072
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA03
4C072AA06
4C072BB03
4C072BB06
4C072CC04
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4C072EE09
4C072FF04
4C072GG01
4C072GG07
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4C076AA36
4C076AA44
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4C076CC32
4C076CC35
4C076DD26
4C076DD38
4C076DD41C
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4C076EE32B
4C076EE33
4C086AA01
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4C086AA03
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4C086GA14
4C086GA15
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4C086MA52
4C086NA14
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4C086ZA36
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4C086ZA96
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4C086ZB27
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZC20
4C086ZC21
4C086ZC31
(57)【要約】
本発明は、式(A)の化合物(化合物A)の遊離塩基またはその薬学的に許容される塩の結晶体、その調製方法、ならびに細胞増殖性疾患、炎症、感染、免疫疾患、臓器移植、ウイルス性疾患、心血管疾患または代謝性疾患などのALKキナーゼおよびその突然変異体によって媒介される疾患を処置および/または防止するための医薬の調製における化合物の使用に関する。
(A)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:16.175±0.2、17.299±0.2および21.218±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A):
【化1】
(A)
の化合物の結晶体I。
【請求項2】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:9.637±0.2、12.555±0.2、14.343±0.2および19.366±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項3】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表1】
を有することを特徴とする、請求項2に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項4】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:7.435±0.2、10.11±0.2、11.808±0.2、14.922±0.2、18.359±0.2、19.859±0.2、23.401±0.2、23.939±0.2、25.117±0.2、25.727±0.2、26.831±0.2および28.862±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項5】
実質的に
図1に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項6】
示差走査熱量測定分析において232±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項7】
熱重量分析において150℃の前に実質的に重量減少を有しないことをさらに特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項8】
以下のパラメーター:
【表2】
を有することを特徴とする、式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項9】
以下のcm
-1:829±2、878±2、1069±2、1252±2、1344±2、1368±2、1395±2、1420±2、1433±2、1491±2、1499±2、1616±2、1645±2、2228±2、2934±2、2980±2、3111±2、3184±2、3308±2、3383±2および3474±2において赤外吸収スペクトルの吸収ピークを有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項10】
実質的に
図14に示される赤外吸収スペクトルを有することをさらに特徴とする、請求項9に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項11】
以下のnm:206±2および317±2においてUVスペクトルの吸収ピークを有することをさらに特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項12】
実質的に
図15に示されるUVスペクトルを有することをさらに特徴とする、請求項11に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項13】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:7.591±0.2、12.081±0.2および23.364±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の結晶体II。
【請求項14】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:14.577±0.2、15.595±0.2、16.948±0.2、17.615±0.2および20.448±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の式(A)の化合物の結晶体II。
【請求項15】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表3】
を有することを特徴とする、請求項14に記載の式(A)の化合物の結晶体II。
【請求項16】
実質的に
図17に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項13に記載の式(A)の化合物の結晶体II。
【請求項17】
示差走査熱量測定分析において230±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項13~16のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体II。
【請求項18】
熱重量分析において160℃の前に約6.69%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項13~17のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体II。
【請求項19】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:23.149±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の結晶体III。
【請求項20】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:11.429±0.2、13.027±0.2、14.542±0.2、17.949±0.2および26.994±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の式(A)の化合物の結晶体III。
【請求項21】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表4】
を有することを特徴とする、請求項20に記載の式(A)の化合物の結晶体III。
【請求項22】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:10.543±0.2、15.353±0.2、18.362±0.2、21.161±0.2、22.506±0.2および26.006±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項20または21に記載の式(A)の化合物の結晶体III。
【請求項23】
実質的に
図18に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項19に記載の式(A)の化合物の結晶体III。
【請求項24】
示差走査熱量測定分析において226±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項19~23のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体III。
【請求項25】
熱重量分析において165℃の前に約5.31%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項19~24のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体III。
【請求項26】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:10.113±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の結晶体IV。
【請求項27】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:11.583±0.2、11.768±0.2、12.098±0.2、17.143±0.2および19.267±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の式(A)の化合物の結晶体IV。
【請求項28】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表5】
を有することを特徴とする、請求項27に記載の式(A)の化合物の結晶体IV。
【請求項29】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:9.718±0.2、12.439±0.2、13.339±0.2、17.649±0.2、20.703±0.2、21.809±0.2、22.427±0.2、25.081±0.2、27.576±0.2および28.959±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項27または28に記載の式(A)の化合物の結晶体IV。
【請求項30】
実質的に
図19に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項26に記載の式(A)の化合物の結晶体IV。
【請求項31】
示差走査熱量測定分析において232±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項26~30のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体IV。
【請求項32】
熱重量分析において200℃の前に約0.28%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項26~31のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体IV。
【請求項33】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:6.939±0.2、16.276±0.2および17.494±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の結晶体V。
【請求項34】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:4.912±0.2、9.774±0.2、12.709±0.2、14.246±0.2、14.482±0.2、17.242±0.2、18.519±0.2、19.425±0.2、21.001±0.2、21.317±0.2、22.734±0.2、25.218±0.2および29.688±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項33に記載の式(A)の化合物の結晶体V。
【請求項35】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表6】
を有することを特徴とする、請求項34に記載の式(A)の化合物の結晶体V。
【請求項36】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:10.326±0.2、10.859±0.2、15.289±0.2、16.708±0.2、19.941±0.2、23.09±0.2、23.424±0.2、24.25±0.2、25.808±0.2、26.241±0.2、26.987±0.2、28.841±0.2、29.332±0.2、31.071±0.2および31.856±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項34または35に記載の式(A)の化合物の結晶体V。
【請求項37】
実質的に
図20に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項33に記載の式(A)の化合物の結晶体V。
【請求項38】
示差走査熱量測定分析において232±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項33~37のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体V。
【請求項39】
熱重量分析において200℃の前に約0.22%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項33~38のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体V。
【請求項40】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:10.247±0.2、12.198±0.2および17.258±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の結晶体VI。
【請求項41】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:12.514±0.2、17.596±0.2、19.406±0.2、21.888±0.2および27.599±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項40に記載の式(A)の化合物の結晶体VI。
【請求項42】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表7】
を有することを特徴とする、請求項41に記載の式(A)の化合物の結晶体VI。
【請求項43】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:18.659±0.2、22.479±0.2、23.799±0.2、24.41±0.2、25.158±0.2および28.504±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項41または42に記載の式(A)の化合物の結晶体VI。
【請求項44】
実質的に
図21に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項40に記載の式(A)の化合物の結晶体VI。
【請求項45】
示差走査熱量測定分析において233±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項40~44のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体VI。
【請求項46】
熱重量分析において200℃の前に実質的に重量減少を有しないことをさらに特徴とする、請求項40~45のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体VI。
【請求項47】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:7.138±0.2および9.876±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の結晶体VII。
【請求項48】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:12.572±0.2、12.945±0.2、14.675±0.2および17.16±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項47に記載の式(A)の化合物の結晶体VII。
【請求項49】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表8】
を有することを特徴とする、請求項48に記載の式(A)の化合物の結晶体VII。
【請求項50】
実質的に
図22に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項47に記載の式(A)の化合物の結晶体VII。
【請求項51】
示差走査熱量測定分析において232±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項47~50のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体VII。
【請求項52】
熱重量分析において200℃の前に約0.35%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項47~51のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体VII。
【請求項53】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:9.737±0.2、12.241±0.2および23.08±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物のマレイン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項54】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:11.982±0.2、13.601±0.2、16.495±0.2、17.186±0.2、19.625±0.2および24.527±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項53に記載の式(A)の化合物のマレイン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項55】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表9】
を有することを特徴とする、請求項54に記載の式(A)の化合物のマレイン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項56】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:7.577±0.2、15.286±0.2、17.358±0.2、17.553±0.2、19.971±0.2、22.087±0.2、23.879±0.2、25.239±0.2、25.844±0.2、26.189±0.2、29.644±0.2および31.501±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項54または55に記載の式(A)の化合物のマレイン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項57】
実質的に
図25に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項53に記載の式(A)の化合物のマレイン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項58】
示差走査熱量測定分析において209±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項53~57のいずれか一項に記載の式(A)の化合物のマレイン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項59】
熱重量分析において175℃の前に約0.44%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項53~58のいずれか一項に記載の式(A)の化合物のマレイン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項60】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:12.866±0.2および23.129±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の酢酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項61】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:10.521±0.2、11.409±0.2、13.005±0.2、14.521±0.2、17.91±0.2および21.14±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項60に記載の式(A)の化合物の酢酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項62】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表10】
を有することを特徴とする、請求項61に記載の式(A)の化合物の酢酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項63】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:15.349±0.2、16.707±0.2、17.236±0.2、18.343±0.2、19.961±0.2、22.536±0.2、25.985±0.2および26.993±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項61または62に記載の式(A)の化合物の酢酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項64】
実質的に
図28に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項60に記載の式(A)の化合物の酢酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項65】
示差走査熱量測定分析において232±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項60~64のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の酢酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項66】
熱重量分析において140℃の前に約0.67%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項60~65のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の酢酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項67】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:10.583±0.2および21.674±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項68】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:12.968±0.2および14.503±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項67に記載の式(A)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項69】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表11】
を有することを特徴とする、請求項68に記載の式(A)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項70】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:5.544±0.2、14.012±0.2、16.886±0.2、18.417±0.2、19.607±0.2、21.298±0.2、23.266±0.2および26.437±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項68または69に記載の式(A)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項71】
実質的に
図31に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項67に記載の式(A)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項72】
示差走査熱量測定分析において269±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項67~71のいずれか一項に記載の式(A)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項73】
熱重量分析において220℃の前に約0.6%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項67~72のいずれか一項に記載の式(A)の化合物のp-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項74】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:4.32±0.2および6.642±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物のシュウ酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項75】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:5.54±0.2、10.366±0.2、10.98±0.2および13.242±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項74に記載の式(A)の化合物のシュウ酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項76】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表12】
を有することを特徴とする、請求項75に記載の式(A)の化合物のシュウ酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項77】
実質的に
図34に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項74に記載の式(A)の化合物のシュウ酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項78】
示差走査熱量測定分析において209±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項74~77のいずれか一項に記載の式(A)の化合物のシュウ酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項79】
熱重量分析において130℃の前に約0.86%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項74~78のいずれか一項に記載の式(A)の化合物のシュウ酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項80】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:15.763±0.2および23.266±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の硫酸塩結晶体I。
【請求項81】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:11.604±0.2、13.318±0.2、14.74±0.2、15.961±0.2、18.385±0.2、19.228±0.2、21.413±0.2、22.361±0.2、23.936±0.2および24.958±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項80に記載の式(A)の化合物の硫酸塩結晶体I。
【請求項82】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表13】
を有することを特徴とする、請求項81に記載の式(A)の化合物の硫酸塩結晶体I。
【請求項83】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:11.78±0.2、12.667±0.2、19.447±0.2、22.083±0.2、22.576±0.2、23.618±0.2、27.303±0.2、27.522±0.2、28.765±0.2、29.725±0.2、30.906±0.2および32.032±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項81または82に記載の式(A)の化合物の硫酸塩結晶体I。
【請求項84】
実質的に
図35に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項80に記載の式(A)の化合物の硫酸塩結晶体I。
【請求項85】
示差走査熱量測定分析において251±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項80~84のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の硫酸塩結晶体I。
【請求項86】
熱重量分析において90℃の前に約2.95%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項80~85のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の硫酸塩結晶体I。
【請求項87】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:13.206±0.2、23.995±0.2および24.941±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の臭化水素酸塩結晶体I。
【請求項88】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:9.222±0.2、11.905±0.2、19.937±0.2、26.773±0.2および27.5±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項87に記載の式(A)の化合物の臭化水素酸塩結晶体I。
【請求項89】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表14】
を有することを特徴とする、請求項88に記載の式(A)の化合物の臭化水素酸塩結晶体I。
【請求項90】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:12.652±0.2、14.702±0.2、16.396±0.2、16.924±0.2、18.636±0.2、19.148±0.2、20.294±0.2、21.102±0.2、21.532±0.2、25.492±0.2および33.154±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項88または89に記載の式(A)の化合物の臭化水素酸塩結晶体I。
【請求項91】
実質的に
図36に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項87に記載の式(A)の化合物の臭化水素酸塩結晶体I。
【請求項92】
示差走査熱量測定分析において241±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項87~91のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の臭化水素酸塩結晶体I。
【請求項93】
熱重量分析において150℃の前に約8.18%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項87~92のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の臭化水素酸塩結晶体I。
【請求項94】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:12.079±0.2、13.319±0.2および24.093±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物の塩酸塩結晶体I。
【請求項95】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:9.38±0.2、12.749±0.2、24.92±0.2および27.559±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項94に記載の式(A)の化合物の塩酸塩結晶体I。
【請求項96】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表15】
を有することを特徴とする、請求項95に記載の式(A)の化合物の塩酸塩結晶体I。
【請求項97】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:6.699±0.2、7.944±0.2、8.28±0.2、14.111±0.2、14.758±0.2、17.103±0.2、18.618±0.2、19.996±0.2、20.449±0.2、21.83±0.2、25.118±0.2、26.613±0.2および27.006±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項95または96に記載の式(A)の化合物の塩酸塩結晶体I。
【請求項98】
実質的に
図37に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項94に記載の式(A)の化合物の塩酸塩結晶体I。
【請求項99】
示差走査熱量測定分析において221±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項94~98のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の塩酸塩結晶体I。
【請求項100】
熱重量分析において125℃の前に約1.67%の重量減少および125~230℃で約3.84%の重量減少を有することをさらに特徴とする、請求項94~99のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の塩酸塩結晶体I。
【請求項101】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:8.338±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A)の化合物のメシル酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項102】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:11.706±0.2、13.932±0.2、14.738±0.2、18.341±0.2、21.148±0.2、21.588±0.2、22.597±0.2および25.732±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項101に記載の式(A)の化合物のメシル酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項103】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表16】
を有することを特徴とする、請求項102に記載の式(A)の化合物のメシル酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項104】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:9.363±0.2、10.092±0.2、12.513±0.2、15.053±0.2、15.742±0.2、19.093±0.2、23.17±0.2、23.716±0.2、24.469±0.2、24.65±0.2、24.824±0.2、30.238±0.2および32.189±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする、請求項102または103に記載の式(A)の化合物のメシル酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項105】
実質的に
図40に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、請求項101に記載の式(A)の化合物のメシル酸塩(1:1)結晶体I。
【請求項106】
請求項1~105のいずれか一項に記載の結晶体および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項107】
以下の成分:
(i)請求項1~105のいずれか一項に記載の結晶体、
(ii)希釈剤、
(iii)崩壊剤、
(iv)結合剤、および
(v)滑沢剤
を含む医薬組成物。
【請求項108】
結晶体が、化合物の遊離塩基の重量に基づいて、医薬組成物の総重量の1~30重量%、代替として2~20重量%、代替として3~15重量%、さらに代替として約4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%または10重量%を占め、代替として単位用量中の結晶体の量が1~100mg、代替として2~50mg、代替として3~40mg、代替として約5、10、15、20、25、30、35または40mgである、請求項107に記載の医薬組成物。
【請求項109】
希釈剤が医薬組成物の総重量の65~95重量%、代替として70~90重量%、代替として約80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%または90重量%を占め、代替として単位用量中の希釈剤の量が50~380mg、代替として60~360mg、代替として70~350mg、例えば、約70mgまたは350mgである、請求項107~108のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項110】
希釈剤が微結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、およびマンニトール、例えば、微結晶セルロース102、マンニトール100SD、およびマンニトール50C、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、代替として微結晶セルロース102およびマンニトール50Cの両方が存在する場合、微結晶セルロース102対マンニトール50Cの重量比が5:1~1:5、代替として3:1~1:2、代替として約2:1である、請求項107~109のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項111】
崩壊剤が医薬組成物の総重量の1~5重量%、代替として2~4重量%、代替として約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%または4重量%を占め、代替として単位用量中の崩壊剤の量が1~20mg、代替として2~16mg、代替として約2、2.5、3、6、9または12mgである、請求項107~110のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項112】
崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドンXL-10、代替としてクロスカルメロースナトリウムである、請求項107~111のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項113】
結合剤が医薬組成物の総重量の1~5重量%、代替として2~4重量%、代替として約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%または4重量%を占め、代替として単位用量中の結合剤の量が1~20mg、代替として2~16mg、代替として約2、2.5、3、6、9または12mgである、請求項107~112のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項114】
結合剤がヒドロキシプロピルセルロースEXFまたはポビドンK30、代替としてヒドロキシプロピルセルロースEXFである、請求項107~113のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項115】
滑沢剤が医薬組成物の総重量の0.1~5重量%、代替として0.5~2重量%、代替として約1重量%を占め、代替として単位用量中の滑沢剤の量が0.1~20mg、代替として0.5~8mg、代替として約0.5、1、2、3、4、5、6、7または8mgである、請求項107~114のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項116】
滑沢剤がステアリン酸マグネシウムまたはステアリルフマル酸ナトリウムPRUV、代替としてステアリン酸マグネシウムである、請求項107~115のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項117】
以下の成分:
(i)1~30重量%の化合物A結晶体I、
(ii)65~95重量%の微結晶セルロース102およびマンニトール50C(重量で2:1)、
(iii)2~4重量%のクロスカルメロースナトリウム、
(iv)2~4重量%のヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)0.1~5重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項107~116のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項118】
単位用量が以下の成分:
(i)約5mgの化合物A結晶体I、
(ii)約45mgの微結晶セルロース102および約25mgのマンニトール50C、
(iii)約2.5mgのクロスカルメロースナトリウム、
(iv)約2.5mgのヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)約1mgのステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項117に記載の医薬組成物。
【請求項119】
単位用量が以下の成分:
(i)約25mgの化合物A結晶体VI、
(ii)約230mgの乳糖一水和物および約120mgの微結晶セルロース、
(iii)約12mgのクロスカルメロースナトリウム、
(iv)約12mgのヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)約4mgのステアリン酸マグネシウム
を含む、請求項117に記載の医薬組成物。
【請求項120】
錠剤、代替としてコーティングされた錠剤であり、代替としてコーティング剤がOpadry II 85F620077である、請求項107~119のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項121】
ALKおよびROS1キナーゼならびにそれらの突然変異体によって媒介される疾患の処置および/または防止のための医薬の製造における請求項1~105のいずれか一項に記載の結晶体の使用。
【請求項122】
以下の疾患:細胞増殖性疾患、炎症、感染、免疫疾患、臓器移植、ウイルス性疾患、心血管疾患または代謝性疾患、例えば、非小細胞肺がん、肺がん、頭頸部がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、直腸がん、結腸がん、鼻咽頭がん、子宮がん、膵がん、リンパ腫、血液がん、骨肉腫、黒色腫、腎臓がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、大腸がん、リウマチ様関節炎、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風、喘息、気管支炎、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、または嚢胞性線維症の処置および/または防止のための医薬の製造における請求項1~105のいずれか一項に記載の結晶体の使用。
【請求項123】
ALKおよびROS1キナーゼならびにそれらの突然変異体によって媒介される疾患の処置および/または防止に使用するための、請求項1~105のいずれか一項に記載の結晶体。
【請求項124】
細胞増殖性疾患、炎症、感染、免疫疾患、臓器移植、ウイルス性疾患、心血管疾患または代謝性疾患、例えば、非小細胞肺がん、肺がん、頭頸部がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、直腸がん、結腸がん、鼻咽頭がん、子宮がん、膵がん、リンパ腫、血液がん、骨肉腫、黒色腫、腎臓がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、大腸がん、リウマチ様関節炎、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風、喘息、気管支炎、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、または嚢胞性線維症の処置および/または防止に使用するための、請求項1~105のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体。
【請求項125】
対象に請求項1~105のいずれか一項に記載の結晶体を投与することを含む、対象においてALKおよびROS1キナーゼならびにそれらの突然変異体によって媒介される疾患を処置および/または防止する方法。
【請求項126】
対象に請求項1~105のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体を投与することを含む、対象において以下の疾患:細胞増殖性疾患、炎症、感染、免疫疾患、臓器移植、ウイルス性疾患、心血管疾患または代謝性疾患、例えば、非小細胞肺がん、肺がん、頭頸部がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、直腸がん、結腸がん、鼻咽頭がん、子宮がん、膵がん、リンパ腫、血液がん、骨肉腫、黒色腫、腎臓がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、大腸がん、リウマチ様関節炎、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風、喘息、気管支炎、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、または嚢胞性線維症を処置および/または防止する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製薬技術の分野に属し、特に大環状化合物(10R)-7-アミノ-12-フルオロ-2-(メチル-d3)-10,16-ジメチル-15-オキソ-10,15,16,17-テトラヒドロ-2H-8,4-(メテノ)ピラゾロ[4,3-h][2,5,11]ベンゾオキサジアザシクロテトラデシン-3-カルボニトリル(式(A)の化合物または化合物A)の遊離塩基またはその薬学的に許容される塩の結晶体、およびその調製の方法、および非小細胞肺がんなどの未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、c-rosがん遺伝子1(ROS1)またはそれらの突然変異体によって媒介される疾患の処置のための医薬の製造における化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物Aの化学式はC21H16D3FN6O2であり、分子量は409.17g/molであり、化学構造は:
【0003】
【0004】
化合物Aは、重水素原子を有するALK-およびROS1-キナーゼ阻害剤であり、ALKおよびROS1キナーゼならびにそれらの突然変異体によって媒介される疾患、細胞増殖性疾患、炎症、感染、免疫疾患、臓器移植、ウイルス性疾患、心血管疾患または代謝性疾患、例えば、非小細胞肺がん、肺がん、頭頸部がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、直腸がん、結腸がん、鼻咽頭がん、子宮がん、膵がん、リンパ腫、血液がん、骨肉腫、黒色腫、腎臓がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、大腸がん、リウマチ様関節炎、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風、喘息、気管支炎、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、または嚢胞性線維症の処置に使用され得る。国際特許公開第WO2017/148325A1号は、この化合物を初めて開示したが、化合物Aの結晶体は開示しなかった。WO2017/148325A1の出願人はShenzhen TargetRx Inc.である。WO2017/148325A1の対応する中国出願CN201780013374.9は、2019年10月18日に登録番号CN108699081Bで公開された。米国出願第US16/081,611号は、2020年1月28日に登録番号US10543199B2で公開された。欧州出願第EP17759176.5に特許を付与する意向が発表された。日本出願JP2018-545928はまだ審査中である。上記の出願のそれぞれの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
ALKはインスリン受容体スーパーファミリーに属する受容体型タンパク質チロシンキナーゼである。それは1994年にMorrisおよびShiotaらによって、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)における染色体再編成の生成物として発見された。最もよく見出される融合体は、第5染色体上のNPM(ヌクレオフォスミン)遺伝子が第2染色体上のALK遺伝子と融合したものである。NPM-ALK融合タンパク質はALK陽性ALCL患者のほぼ75%において検出された。異なる形態のALK融合体が、炎症性筋線維芽細胞腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む様々ながんに存在することが、その後の調査で見出された。2007年にSodaらは、非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEML4-ALK融合タンパク質の発生率が5%であることを発見した。
【0006】
ROS1は、インスリン受容体サブファミリーに属するがん原遺伝子受容体型チロシンキナーゼであり、細胞増殖および分化プロセスに関与する。ROS1は、ヒトでは様々な異なる組織の上皮細胞において発現される。ROS1発現および/または活性化は、神経膠芽腫および中枢神経系の腫瘍において見出されている。ROS1を含む遺伝的変更は、神経膠芽腫および非小細胞肺がん(NSCLC)におけるFIG-ROS1欠失転座、NSCLCにおけるSLC34A2-ROS1転座、ならびにNSCLCおよび胆管癌におけるCD74-ROS1転座を含むROS1キナーゼの異常な融合タンパク質をもたらす。TPM3-ROS1、SDC4-ROS1、EZR-ROS1およびLRIG3-ROS1を含む追加の融合体が肺がん患者の腫瘍試料において報告されている。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本開示は化合物Aの遊離塩基の様々な結晶体を提供する。
【0008】
一実施形態では、本開示は化合物Aの結晶体I(化合物A結晶体I)を提供する。
【0009】
一実施形態では、本開示は化合物Aの結晶体II(化合物A結晶体II)を提供する。
【0010】
一実施形態では、本開示は化合物Aの結晶体III(化合物A結晶体III)を提供する。
【0011】
一実施形態では、本開示は化合物Aの結晶体IV(化合物A結晶体IV)を提供する。
【0012】
一実施形態では、本開示は化合物Aの結晶体V(化合物A結晶体V)を提供する。
【0013】
一実施形態では、本開示は化合物Aの結晶体VI(化合物A結晶体VI)を提供する。
【0014】
一実施形態では、本開示は化合物Aの結晶体VII(化合物A結晶体VII)を提供する。
【0015】
別の態様では、本開示は化合物Aの塩の様々な結晶体を提供する。
【0016】
一実施形態では、本開示は化合物Aマレイン酸塩の結晶体I(化合物Aマレイン酸塩結晶体I)を提供する。
【0017】
一実施形態では、本開示は化合物A酢酸塩の結晶体I(化合物A酢酸塩結晶体I)を提供する。
【0018】
一実施形態では、本開示は化合物A p-トルエンスルホン酸塩の結晶体I(化合物A p-トルエンスルホン酸塩結晶体I)を提供する。
【0019】
一実施形態では、本開示は化合物Aシュウ酸塩の結晶体I(化合物Aシュウ酸塩結晶体I)を提供する。
【0020】
一実施形態では、本開示は化合物A硫酸塩の結晶体I(化合物A硫酸塩結晶体I)を提供する。
【0021】
一実施形態では、本開示は化合物A臭化水素酸塩の結晶体I(化合物A臭化水素酸塩結晶体I)を提供する。
【0022】
一実施形態では、本開示は化合物A塩酸塩の結晶体I(化合物A塩酸塩結晶体I)を提供する。
【0023】
一実施形態では、本開示は化合物Aメシル酸塩の結晶体I(化合物Aメシル酸塩結晶体I)を提供する。
【0024】
別の態様では、本開示は、本開示の結晶体のいずれかおよび薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0025】
別の態様では、本開示は(i)薬学的活性成分:化合物Aの遊離塩基の結晶体またはその薬学的に許容される塩の結晶体、(ii)希釈剤、(iii)崩壊剤、(iv)結合剤、および(v)滑沢剤を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
別の態様では、本開示は、ALKおよびROS1キナーゼならびにそれらの突然変異体によって媒介される疾患の処置および/または防止のための医薬の製造における本開示の結晶体のいずれかの使用を提供する。
【0027】
別の態様では、本開示は、ALKおよびROS1キナーゼならびにそれらの突然変異体によって媒介される疾患の処置および/または防止に使用するための本開示の結晶体のいずれかを提供する。
【0028】
別の態様では、本開示は、対象に本開示の結晶体のいずれかを投与することを含む、対象においてALKおよびROS1キナーゼならびにそれらの突然変異体によって媒介される疾患を処置および/または防止する方法を提供する。
【0029】
一実施形態では、上記の疾患は、細胞増殖性疾患、炎症、感染、免疫疾患、臓器移植、ウイルス性疾患、心血管疾患または代謝性疾患、例えば、非小細胞肺がん、肺がん、頭頸部がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、直腸がん、結腸がん、鼻咽頭がん、子宮がん、膵がん、リンパ腫、血液がん、骨肉腫、黒色腫、腎臓がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、大腸がん、リウマチ様関節炎、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風、喘息、気管支炎、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、または嚢胞性線維症を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図5】DVS試験前後の化合物A結晶体IのXRPD比較。
【
図6】化合物A結晶体Iの
1H NMRスペクトル。
【
図7】化合物A結晶体Iの
13C NMRスペクトル。
【
図10】化合物A結晶体Iの
19F NMRスペクトル。
【
図11】化合物A結晶体IのHSQC-NMRスペクトル。
【
図12】化合物A結晶体IのHMBC-NMRスペクトル。
【
図13】化合物A結晶体IのCOSY-NMRスペクトル。
【
図16】化合物A結晶体IのHR-MSスペクトル。
【
図18】化合物A結晶体IIIのXRPDパターン。
【
図22】化合物A結晶体VIIのXRPDパターン。
【
図23】室温で化合物Aの遊離塩基をスラリー化することによって得られた固体のXRPDパターン。
【
図24】190℃に加熱された化合物A結晶体VのXRPDパターン。
【
図25】化合物Aマレイン酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図26】化合物Aマレイン酸塩結晶体IのDVS曲線。
【
図27】DVS試験前後の化合物Aマレイン酸塩結晶体IのXRPD比較。
【
図28】化合物A酢酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図30】DVS試験前後の化合物A酢酸塩結晶体IのXRPD比較。
【
図31】化合物A p-トルエンスルホン酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図32】化合物A p-トルエンスルホン酸塩結晶体IのDVS曲線。
【
図33】DVS試験前後の化合物A p-トルエンスルホン酸塩結晶体IのXRPD比較。
【
図34】化合物Aシュウ酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図35】化合物A硫酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図36】化合物A臭化水素酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図37】化合物A塩酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図39】DVS試験前後の化合物A塩酸塩結晶体IのXRPD比較。
【
図40】化合物Aメシル酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図41】化合物A結晶体Iの加速安定性調査のXRPDパターン。
【
図42】化合物Aマレイン酸塩結晶体Iの加速安定性調査のXRPDパターン。
【
図43】化合物A酢酸塩結晶体Iの加速安定性調査のXRPDパターン。
【
図44】化合物A p-トルエンスルホン酸塩結晶体Iの加速安定性調査のXRPDパターン。
【
図45】異なる溶解媒体中の化合物A結晶体IのXRPDパターン。
【
図46】異なる溶解媒体中の化合物Aマレイン酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図47】異なる溶解媒体中の化合物A酢酸塩結晶体IのXRPDパターン。
【
図49】化合物Aの単結晶試料の計算値および測定値のXRPD比較。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、本開示の実施形態の以下の詳細な説明および本明細書に含まれる実施例を参照することによってより容易に理解され得る。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することだけを意図しており、限定することを意図していないことが理解されるべきである。文脈によって特に定義されない限り、本明細書で使用される用語は、関連技術分野において公知のようなそれらの通常の意味を与えられるものとすることがさらに理解されるべきである。
【0032】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、そうでないことが明示されない限り複数の参照物を含む。例えば、用語「1つの(a)」化合物は1つまたは複数の化合物を含む。
【0033】
用語「約」は、当業者によって考慮された場合に、許容される平均の標準誤差内に入る値を有することを意味する。例えば、「約」は示された量の±10%または示された量の±5%を意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に」は、特定の方法の典型的な変動性および測定値の標準誤差を考慮に入れることを意味する。例えばX線粉末回折ピークの位置について、用語「実質的に」は、ピーク位置および強度の典型的な変動性を考慮に入れることを意味する。当業者は、ピーク位置(2θ)がいくらかの変動性、典型的には±0.2°までを示すことを認識しているであろう。加えて当業者は、相対ピーク強度がデバイス間の変動性ならびに結晶化度、優先配向、試験される試料表面、および当業者に公知の他の因子に起因する変動性を示すことを認識しているであろう。同様に、1H、13Cおよび19FのNMRスペクトル(ppm)は変動性、典型的には±0.2ppmまでを示す。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「結晶質」および「結晶体」は、規則的な繰り返し配置を有する分子からなる固体を指す。結晶体は、熱力学的安定性、物理的パラメーター、X線構造および調製プロセスに関して異なり得る。
【0036】
用語「非晶質」は、無秩序な配置を有する分子からなる固体を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」は、非共有結合の分子間結合により結晶格子中に化学量論または非化学量論量の溶媒(例えば、水、メタノール、酢酸エチルなど、またはそれらの混合物)を有する結晶体を指す。用語「水和物」は、溶媒が水である溶媒和物を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「無水」は、カールフィッシャー分析などの標準方法によって決定されるような約1%(w/w)未満の吸着水分を含有する結晶体を指す。
【0039】
化合物Aおよびその結晶体
化合物(10R)-7-アミノ-12-フルオロ-2-(メチル-d3)-10,16-ジメチル-15-オキソ-10,15,16,17-テトラヒドロ-2H-8,4-(メテノ)ピラゾロ[4,3-h][2,5,11]ベンゾオキサジアザシクロテトラデシン-3-カルボニトリルは、本明細書で化合物Aまたは化合物Aの遊離塩基と称され、式:
【0040】
【0041】
本開示は「化合物A結晶体I」「化合物A結晶体II」、「化合物A結晶体III」、「化合物A結晶体IV」、「化合物A結晶体V」、「化合物A結晶体VI」および「化合物A結晶体VII」などの化合物Aの様々な結晶体に関する。一部の実施形態では、化合物Aのこれらの結晶体は、溶媒和、水和、または非溶媒和であり得る。
【0042】
化合物A結晶体I
一実施形態では、本開示は無水物である化合物A結晶体Iを提供する。
【0043】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体IのX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:16.175±0.2、17.299±0.2および21.218±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、以下の°2θ:9.637±0.2、12.555±0.2、14.343±0.2および19.366±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、以下の°2θ:7.435±0.2、10.11±0.2、11.808±0.2、14.922±0.2、18.359±0.2、19.859±0.2、23.401±0.2、23.939±0.2、25.117±0.2、25.727±0.2、26.831±0.2および28.862±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0044】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、以下の特徴的なピーク:
【0045】
【0046】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表3.1の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、実質的に
図1に示される通りである。
【0047】
別の実施形態では、結晶体Iは、示差走査熱量測定分析において232±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0048】
別の実施形態では、結晶体Iは、熱重量分析において150℃の前に実質的に重量減少を有しない。
【0049】
別の実施形態では、結晶体Iは以下の単結晶パラメーター:
【0050】
【0051】
別の実施形態では、結晶体Iは以下のcm
-1:829±2、878±2、1069±2、1252±2、1344±2、1368±2、1395±2、1420±2、1433±2、1491±2、1499±2、1616±2、1645±2、2228±2、2934±2、2980±2、3111±2、3184±2、3308±2、3383±2および3474±2において赤外吸収スペクトルの吸収ピークを有する。別の実施形態では、結晶体Iは、実質的に
図14に示されるような赤外吸収スペクトルを有する。
【0052】
別の実施形態では、結晶体Iは以下のnm:206±2および317±2においてUVスペクトルの吸収ピークを有する。別の実施形態では、結晶体Iは実質的に
図15に示されるようなUVスペクトルを有する。
【0053】
一実施形態では、本開示はブタノンの溶媒和物である化合物A結晶体IIを提供する。
【0054】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体IIのX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:7.591±0.2、12.081±0.2および23.364±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、以下の°2θ:14.577±0.2、15.595±0.2、16.948±0.2、17.615±0.2および20.448±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0055】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0056】
【0057】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表3.2の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図17に示される通りである。
【0058】
別の実施形態では、結晶体Iは示差走査熱量測定分析において230±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0059】
別の実施形態では、結晶体Iは熱重量分析において160℃の前に約6.69%の重量減少を有する。
【0060】
一実施形態では、本開示はブタノンの溶媒和物である化合物A結晶体IIIを提供する。
【0061】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体IIIのX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:23.149±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:11.429±0.2、13.027±0.2、14.542±0.2、17.949±0.2および26.994±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:10.543±0.2、15.353±0.2、18.362±0.2、21.161±0.2、22.506±0.2および26.006±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0062】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0063】
【0064】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表3.3の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図18に示される通りである。
【0065】
別の実施形態では、結晶体IIIは示差走査熱量測定分析において226±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0066】
別の実施形態では、結晶体IIIは熱重量分析において165℃の前に約5.31%の重量減少を有する。
【0067】
一実施形態では、本開示は無水物である化合物A結晶体IVを提供する。
【0068】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体IVのX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:10.113±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:11.583±0.2、11.768±0.2、12.098±0.2、17.143±0.2および19.267±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:9.718±0.2、12.439±0.2、13.339±0.2、17.649±0.2、20.703±0.2、21.809±0.2、22.427±0.2、25.081±0.2、27.576±0.2および28.959±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0069】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0070】
【0071】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表3.4の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図19に示される通りである。
【0072】
別の実施形態では、結晶体IVは示差走査熱量測定分析において232±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0073】
別の実施形態では、結晶体IVは熱重量分析において200℃の前に約0.28%の重量減少を有する。
【0074】
一実施形態では、本開示は無水物である化合物A結晶体Vを提供する。
【0075】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体VのX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:6.939±0.2、16.276±0.2および17.494±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:4.912±0.2、9.774±0.2、12.709±0.2、14.246±0.2、14.482±0.2、17.242±0.2、18.519±0.2、19.425±0.2、21.001±0.2、21.317±0.2、22.734±0.2、25.218±0.2および29.688±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:10.326±0.2、10.859±0.2、15.289±0.2、16.708±0.2、19.941±0.2、23.09±0.2、23.424±0.2、24.25±0.2、25.808±0.2、26.241±0.2、26.987±0.2、28.841±0.2、29.332±0.2、31.071±0.2および31.856±0.2位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0076】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0077】
【0078】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表3.5の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図20に示される通りである。
【0079】
別の実施形態では、結晶体Vは示差走査熱量測定分析において232±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0080】
別の実施形態では、結晶体Vは熱重量分析において200℃の前に約0.22%の重量減少を有する。
【0081】
一実施形態では、本開示は無水物である化合物A結晶体VIを提供する。
【0082】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体VIのX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:10.247±0.2、12.198±0.2および17.258±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:12.514±0.2、17.596±0.2、19.406±0.2、21.888±0.2および27.599±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:18.659±0.2、22.479±0.2、23.799±0.2、24.41±0.2、25.158±0.2および28.504±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0083】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0084】
【0085】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表3.6の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図21に示される通りである。
【0086】
別の実施形態では、結晶体VIは示差走査熱量測定分析において233±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0087】
別の実施形態では、結晶体VIは熱重量分析において200℃の前に実質的に重量減少を有しない。
【0088】
一実施形態では、本開示は溶媒和物である化合物A結晶体VIIを提供する。
【0089】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体VIIのX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:7.138±0.2および9.876±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:12.572±0.2、12.945±0.2、14.675±0.2および17.16±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0090】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0091】
【0092】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表3.7の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図22に示される通りである。
【0093】
別の実施形態では、結晶体VIIは示差走査熱量測定分析において232±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0094】
別の実施形態では、結晶体VIIは熱重量分析において200℃の前に約0.35%の重量減少を有する。
【0095】
化合物Aの塩およびその結晶体
本開示はマレイン酸塩、酢酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、塩酸塩、およびメシル酸塩などの化合物Aの様々な塩に関する。
【0096】
本開示は「化合物Aマレイン酸塩結晶体I」、「化合物A酢酸塩結晶体I」、「化合物A p-トルエンスルホン酸塩結晶体I」、「化合物A臭化水素酸塩結晶体I」、「化合物A硫酸塩結晶体I」、「化合物Aシュウ酸塩結晶体I」、「化合物A塩酸塩結晶体I」および「化合物Aメシル酸塩結晶体I」などの化合物Aの様々な塩の結晶体にも関する。
【0097】
化合物Aマレイン酸塩結晶体I
一実施形態では、本開示は無水物である化合物Aマレイン酸塩(1:1)結晶体Iを提供する。
【0098】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:9.737±0.2、12.241±0.2および23.08±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:11.982±0.2、13.601±0.2、16.495±0.2、17.186±0.2、19.625±0.2および24.527±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:7.577±0.2、15.286±0.2、17.358±0.2、17.553±0.2、19.971±0.2、22.087±0.2、23.879±0.2、25.239±0.2、25.844±0.2、26.189±0.2、29.644±0.2および31.501±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0099】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0100】
【0101】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表7.1の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図25に示される通りである。
【0102】
別の実施形態では、結晶体は示差走査熱量測定分析において209±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0103】
別の実施形態では、結晶体は熱重量分析において175℃の前に約0.44%の重量減少を有する。
【0104】
化合物A酢酸塩(1:1)結晶体I
一実施形態では、本開示は無水物である化合物A酢酸塩(1:1)結晶体Iを提供する。
【0105】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:12.866±0.2および23.129±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、以下の°2θ:10.521±0.2、11.409±0.2、13.005±0.2、14.521±0.2、17.91±0.2および21.14±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:15.349±0.2、16.707±0.2、17.236±0.2、18.343±0.2、19.961±0.2、22.536±0.2、25.985±0.2および26.993±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0106】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0107】
【0108】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表7.2の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図28に示される通りである。
【0109】
別の実施形態では、結晶体は示差走査熱量測定分析において232±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0110】
別の実施形態では、結晶体は熱重量分析において140℃の前に約0.67%の重量減少を有する。
【0111】
化合物A p-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体I
一実施形態では、本開示は無水物である化合物A p-トルエンスルホン酸塩(1:1)結晶体Iを提供する。
【0112】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:10.583±0.2および21.674±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:12.968±0.2および14.503±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:5.544±0.2、14.012±0.2、16.886±0.2、18.417±0.2、19.607±0.2、21.298±0.2、23.266±0.2および26.437±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0113】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0114】
【0115】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表7.3の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図31に示される通りである。
【0116】
別の実施形態では、結晶体は示差走査熱量測定分析において269±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0117】
別の実施形態では、結晶体は熱重量分析において220℃の前に約0.6%の重量減少を有する。
【0118】
化合物Aシュウ酸塩(1:1)結晶体I
一実施形態では、本開示は溶媒和物である化合物Aシュウ酸塩(1:1)結晶体Iを提供する。
【0119】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:4.32±0.2および6.642±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:5.54±0.2、10.366±0.2、10.98±0.2および13.242±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0120】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0121】
【0122】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表7.4の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図34に示される通りである。
【0123】
別の実施形態では、結晶体は示差走査熱量測定分析において209±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0124】
別の実施形態では、結晶体は熱重量分析において130℃の前に約0.86%の重量減少を有する。
【0125】
化合物A硫酸塩結晶体I
一実施形態では、本開示は一水和物である化合物A硫酸塩結晶体Iを提供する。
【0126】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:15.763±0.2および23.266±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:11.604±0.2、13.318±0.2、14.74±0.2、15.961±0.2、18.385±0.2、19.228±0.2、21.413±0.2、22.361±0.2、23.936±0.2および24.958±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは、以下の°2θ:11.78±0.2、12.667±0.2、19.447±0.2、22.083±0.2、22.576±0.2、23.618±0.2、27.303±0.2、27.522±0.2、28.765±0.2、29.725±0.2、30.906±0.2および32.032±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0127】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0128】
【0129】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表7.5の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図35に示される通りである。
【0130】
別の実施形態では、結晶体は示差走査熱量測定分析において251±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0131】
別の実施形態では、結晶体は熱重量分析において90℃の前に約2.95%の重量減少を有する。
【0132】
化合物A臭化水素酸塩結晶体I
一実施形態では、本開示は一水和物である化合物A臭化水素酸塩結晶体Iを提供する。
【0133】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:13.206±0.2、23.995±0.2および24.941±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:9.222±0.2、11.905±0.2、19.937±0.2、26.773±0.2および27.5±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:12.652±0.2、14.702±0.2、16.396±0.2、16.924±0.2、18.636±0.2、19.148±0.2、20.294±0.2、21.102±0.2、21.532±0.2、25.492±0.2および33.154±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0134】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0135】
【0136】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表7.6の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図36に示される通りである。
【0137】
別の実施形態では、結晶体は示差走査熱量測定分析において241±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0138】
別の実施形態では、結晶体は熱重量分析において150℃の前に約8.18%の重量減少を有する。
【0139】
化合物A塩酸塩結晶体I
一実施形態では、本開示は溶媒和物である化合物A塩酸塩結晶体Iを提供する。
【0140】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:12.079±0.2、13.319±0.2および24.093±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:9.38±0.2、12.749±0.2、24.92±0.2および27.559±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:6.699±0.2、7.944±0.2、8.28±0.2、14.111±0.2、14.758±0.2、17.103±0.2、18.618±0.2、19.996±0.2、20.449±0.2、21.83±0.2、25.118±0.2、26.613±0.2および27.006±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0141】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0142】
【0143】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表7.7の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図37に示される通りである。
【0144】
別の実施形態では、結晶体は示差走査熱量測定分析において221±2℃での融解吸熱ピークを有する。
【0145】
別の実施形態では、結晶体は熱重量分析において125℃の前に約1.67%の重量減少、および125~230℃に約3.84%の重量減少を有する。
【0146】
化合物Aメシル酸塩(1:1)結晶体I
一実施形態では、本開示は化合物Aメシル酸塩(1:1)結晶体Iを提供する。
【0147】
別の実施形態では、CuKα線を使用して得られる結晶体のX線粉末回折パターンは、少なくとも以下の°2θ:8.338±0.2に位置する特徴的なピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:11.706±0.2、13.932±0.2、14.738±0.2、18.341±0.2、21.148±0.2、21.588±0.2、22.597±0.2および25.732±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の°2θ:9.363±0.2、10.092±0.2、12.513±0.2、15.053±0.2、15.742±0.2、19.093±0.2、23.17±0.2、23.716±0.2、24.469±0.2、24.65±0.2、24.824±0.2、30.238±0.2および32.189±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含む。
【0148】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは以下の特徴的なピーク:
【0149】
【0150】
別の実施形態では、X線粉末回折パターンは表7.8の2θ値における1つまたは複数のピークを含む。別の実施形態では、X線粉末回折パターンは実質的に
図40に示される通りである。
【0151】
化合物Aの実質的に純粋な結晶体
本開示は、大規模生産に安全で適しており、化合物Aの結晶体を含む組成物に使用され得る、高い純度および高いキラル純度の化合物Aの結晶体を合成するための方法を提供する。一方では、化合物Aの結晶体は、商業的規模の方法によって生産される。用語「商業的規模の方法」は、少なくとも約100gの単一のバッチで操作される方法を指す。他方では、本出願の方法は限定された不純物を有する化合物Aの結晶体を改善された収率(>90%)で生産する。
【0152】
用語「純度」は、本明細書で使用される場合、HPLCに基づく化合物Aの結晶体の含有率を指す。純度は化合物の「有機」純度に基づく。純度は水、溶媒、金属、無機塩などに関連しない。化合物Aの結晶体の純度は、ピーク下面積を比較することによって、参照標準の純度と比較される。
【0153】
一実施形態では、化合物Aの結晶体は約96%以上の純度を有する。別の実施形態では、化合物Aの結晶体は約98%以上の純度を有する。さらに別の実施形態では、化合物Aの結晶体は約98.5%以上の純度を有する。さらに別の実施形態では、化合物Aの結晶体は約99%以上の純度を有する。さらに別の実施形態では、化合物Aの結晶体は約99.5%以上の純度を有する。さらに別の実施形態では、化合物Aの結晶体は96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%の純度を有する。
【0154】
本開示で調製される化合物Aの結晶体は、R配置であるキラル炭素原子を含有する。化合物Aの結晶体のキラル中心は、出発材料から導入され、その後の工程に関与しない。ラセミ化は観察されない。
【0155】
用語「キラル純度」は、本明細書で使用される場合、キラルHPLCによって決定されるような化合物Aの結晶体のキラル純度を指す。キラル純度は化合物の「有機」純度に基づく。キラル純度は水、溶媒、金属、無機塩などに関連しない。化合物Aの結晶体のキラル純度は、ピーク下面積を比較することによって参照標準のキラル純度と比較される。
【0156】
一実施形態では、化合物Aの結晶体は約96%以上のキラル純度を有する。別の実施形態では、化合物Aの結晶体は約98%以上のキラル純度を有する。さらに別の実施形態では、化合物Aの結晶体は約99%以上のキラル純度を有する。さらに別の実施形態では、化合物Aの結晶体は約99.4%以上のキラル純度を有する。別の実施形態では、化合物Aの結晶体は96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%のキラル純度を有する。
【0157】
一実施形態では、本開示は約0.8%未満の総不純物を含有する化合物Aの結晶体に関する。別の実施形態では、総不純物は約0.5%未満である。さらに別の実施形態では、総不純物は約0.3%未満である。さらに別の実施形態では、総不純物は約0.2%未満である。
【0158】
一実施形態では、本開示は約1%以下の水、約0.8%以下の水、約0.7%以下の水、約0.6%以下の水、約0.5%以下の水、約0.4%以下の水、約0.3%以下の水、約0.2%以下の水、約0.1%以下の水、約0.09%以下の水、約0.08%以下の水、約0.07%以下の水、約0.06%以下の水、約0.05%以下の水を含有する化合物Aの結晶体に関する。別の実施形態では、本開示は約0.11%以下の水を含有する化合物Aの結晶体に関する。さらに別の実施形態では、本開示は約0.1%以下の水を含有する化合物Aの結晶体に関する。さらに別の実施形態では、本開示は約0.09%以下の水を含有する化合物Aの結晶体に関する。
【0159】
医薬組成物
別の態様では、本開示は(i)薬学的活性成分:化合物Aの遊離塩基またはその薬学的に許容される塩の結晶体、(ii)希釈剤、(iii)崩壊剤、(iv)結合剤、および(v)滑沢剤を含む医薬組成物を提供する。
【0160】
上記の態様の特定の実施形態では、薬学的活性成分は化合物Aの遊離塩基の結晶体であり、代替として結晶体は、化合物A結晶体I、化合物A結晶体II、化合物A結晶体III、化合物A結晶体IV、化合物A結晶体V、化合物A結晶体VIおよび化合物A結晶体VIIから選択され、代替として結晶体は化合物A結晶体Iである。別の特定の実施形態では、薬学的活性成分は化合物Aマレイン酸塩結晶体I、化合物A酢酸塩結晶体I、化合物A p-トルエンスルホン酸塩結晶体I、化合物A臭化水素酸塩結晶体I、化合物A硫酸塩結晶体I、化合物Aシュウ酸塩結晶体I、化合物A塩酸塩結晶体Iおよび化合物Aメシル酸塩結晶体Iから選択され、代替として結晶体は化合物Aマレイン酸塩結晶体Iおよび化合物A酢酸塩結晶体Iから選択される。
【0161】
別の態様では、本開示は、結晶体が化合物の遊離塩基の重量に基づいて、医薬組成物の総重量の1~30重量%、代替として2~20重量%、代替として3~15重量%、さらに代替として約4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%または10重量%を占め、代替として単位用量中の結晶体の量が1~100mg、代替として2~50mg、代替として3~40mg、代替として約5、10、15、20、25、30、35または40mgである、上記の医薬組成物を提供する。
【0162】
別の態様では、本開示は、希釈剤が医薬組成物の総重量の65~95重量%、代替として70~90重量%、代替として約80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%または90重量%を占め、代替として単位用量中の希釈剤の量が50~380mg、代替として60~360mg、代替として70~350mg、例えば、約70mgまたは350mgである、上記の医薬組成物を提供する。
【0163】
別の態様では、本開示は、希釈剤が微結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、およびマンニトール、例えば、微結晶セルロース102、マンニトール100SD、およびマンニトール50C、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、代替として微結晶セルロース102およびマンニトール50Cの両方が存在する場合、微結晶セルロース102対マンニトール50Cの重量比が5:1~1:5、代替として3:1~1:2、代替として約2:1である、上記の医薬組成物を提供する。
【0164】
別の態様では、本開示は、崩壊剤が医薬組成物の総重量の1~5重量%、代替として2~4重量%、代替として約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%または4重量%を占め、代替として単位用量中の崩壊剤の量が1~20mg、代替として2~16mg、代替として約2、2.5、3、6、9または12mgである、上記の医薬組成物を提供する。
【0165】
別の態様では、本開示は、崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドンXL-10、代替としてクロスカルメロースナトリウムである、上記の医薬組成物を提供する。
【0166】
別の態様では、本開示は、結合剤が医薬組成物の総重量の1~5重量%、代替として2~4重量%、代替として約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%または4重量%を占め、代替として単位用量中の結合剤の量が1~20mg、代替として2~16mg、代替として約2、2.5、3、6、9または12mgである、上記の医薬組成物を提供する。
【0167】
別の態様では、本開示は、結合剤がヒドロキシプロピルセルロースEXFまたはポビドンK30、代替としてヒドロキシプロピルセルロースEXFである、上記の医薬組成物を提供する。
【0168】
別の態様では、本開示は、滑沢剤が医薬組成物の総重量の0.1~5重量%、代替として0.5~2重量%、代替として約1重量%を占め、代替として単位用量中の滑沢剤の量が0.1~20mg、代替として0.5~8mg、代替として約0.5、1、2、3、4、5、6、7または8mgである、上記の医薬組成物を提供する。
【0169】
別の態様では、本開示は、滑沢剤がステアリン酸マグネシウムまたはステアリルフマル酸ナトリウムPRUV、代替としてステアリン酸マグネシウムである、上記の医薬組成物を提供する。
【0170】
別の態様では、本開示は以下の成分:
(i)1~30重量%の化合物A結晶体I、
(ii)65~95重量%の微結晶セルロース102およびマンニトール50C(重量で2:1)、
(iii)2~4重量%のクロスカルメロースナトリウム、
(iv)2~4重量%のヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)0.1~5重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む上記の医薬組成物を提供する。
【0171】
別の態様では、本開示は、単位用量が以下の成分:
(i)約5mgの化合物A結晶体I、
(ii)約45mgの微結晶セルロース102および約25mgのマンニトール50C、
(iii)約2.5mgのクロスカルメロースナトリウム、
(iv)約2.5mgのヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)約1mgのステアリン酸マグネシウム
を含む、上記の医薬組成物を提供する。
【0172】
別の態様では、本開示は、単位用量が以下の成分:
(i)約25mgの化合物A結晶体VI、
(ii)約230mgの乳糖一水和物および約120mgの微結晶セルロース、
(iii)約12mgのクロスカルメロースナトリウム、
(iv)約12mgのヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)約4mgのステアリン酸マグネシウム
を含む、上記の医薬組成物を提供する。
【0173】
別の態様では、本開示は、錠剤、代替としてコーティングされた錠剤である上記の医薬組成物を提供し、代替としてコーティング剤はOpadry II 85F620077である。
【0174】
薬理学および有効性
別の態様では、本開示は、対象に有効量の化合物Aの遊離塩基、またはその薬学的に許容される塩、およびそれらの様々な結晶体を投与することを含む、対象において異常な細胞成長を処置する方法を提供する。
【0175】
一実施形態では、異常な細胞成長はがんである。別の実施形態では、異常な細胞成長は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)によって媒介されるがんである。別の実施形態では、異常な細胞成長は遺伝的に変更されたALKキナーゼである。別の実施形態では、突然変異はL1196Mである。別の実施形態では、突然変異はG1202Rである。別の実施形態では、突然変異はL1196M/G1202Rである。
【0176】
別の実施形態では、異常な細胞成長はROS1キナーゼによって媒介されるがんである。別の実施形態では、ROS1キナーゼは遺伝的に変更されたROS1キナーゼである。別の実施形態では、突然変異はG2032Rである。
【0177】
別の実施形態では、異常な細胞成長は、肺がん、骨がん、膵がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚または眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門がん、胃がん、結腸がん、乳がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、膣がん、外陰がん、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓がんまたは尿管がん、腎細胞がん、腎盂がん、中枢神経系(CNS)がん、原発性中枢神経系リンパ腫、脊髄軸がん(spinal cord axial cancer)、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、またはこれらの組合せからなる群から選択されるがんである。
【0178】
別の実施形態では、異常な細胞成長はNSCLCである。別の実施形態では、NSCLCはALKおよび/またはROS1によって媒介される。別の実施形態では、NSCLCは遺伝的に変更されたALKおよび/または遺伝的に変更されたROS1によって媒介されるNSCLCである。
【実施例】
【0179】
略語
SGF:模擬胃液
FaSSIF:絶食状態の模擬腸液
FeSSIF:摂食状態の模擬腸液
HBr:臭化水素酸
HCl:塩酸
H2SO4:硫酸
PTSA:p-トルエンスルホン酸
CH3SO3H:メタンスルホン酸
PhSO3H:ベンゼンスルホン酸
シュウ酸:エタン二酸
マレイン酸:トキシル酸
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
IPA:イソプロピルアルコール
IBA:イソブタノール
MEK:メチルエチルケトン
THF:テトラヒドロフラン
ACN:アセトニトリル
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
アセトン:ジメチルケトン
IPrOAc:酢酸イソプロピル
H2O:水
hr:時間
min:分
μL:マイクロリットル
【0180】
一般的方法1。X線粉末回折(XRPD)
実験から得られた固体試料を、LynxEye検出器を備えたD8 advance粉末X線回折分析装置(Bruker)で分析した。3°~40°の範囲の2θ走査角度、0.02°の走査ステップ長、および0.3秒/ステップの走査速度で、D8 advance粉末X線回折分析装置(Bruker)によって試料を試験した。試料を試験するとき、光管電圧および光管電流は、それぞれ40KVおよび40mAであった。
【0181】
一般的方法2.偏光顕微鏡分析(PLM)
PLM分析に使用した機器モデルはECLIPSE LV100POL偏光顕微鏡(ニコン、日本)であった。
【0182】
一般的方法3.核磁気共鳴水素分光分析(1H NMR)
固体試料の化学構造を1H NMRによって確認した。B-ACS120オートサンプリングシステムを備えたBruker Advance 300を使用して1H NMR分析を行った。
【0183】
一般的方法4.示差走査熱量測定分析(DSC)
示差走査熱量測定分析のための機器モデルはDiscovery DSC 250(TA、USA)であった。約2mgの試料を秤量し、DSC試料ポットに入れ、ポットに穴を開けた。試料を25℃で平衡化し、次いで10℃/分のランプ速度で300℃に加熱した。
【0184】
一般的方法5.熱重量分析(TGA)
熱重量分析装置モデルはDiscovery TGA 55(TA、USA)であった。試料を、平衡化したオープンアルミニウム試料ポットに入れ、質量をTGA加熱オーブン内で自動的に秤量した。次いで試料を10℃/分のランプ速度で300℃に加熱した。
【0185】
一般的方法6.動的水蒸気吸着および脱着分析(DVS)
DVS Intrinsic(SMS、UK)を使用して吸湿性について試料を試験した。30~50mgの試料を試料パンに入れ、25℃での湿度による試料質量の変化を記録した。機器のパラメーターは:
【0186】
【0187】
吸湿性試験が完了した後、試料の結晶体をXRPDによって試験した。
[実施例1]
【0188】
化合物Aの調製
以下の経路を合成に使用した:
【0189】
【0190】
工程1:化合物Gの合成。
磁気撹拌を備えた250mLの三口フラスコに化合物J(7.0g、42.2mmol)および無水ジクロロメタン(120mL)を添加し、溶液が澄明になるまで混合物を撹拌した。化合物H(8.77g、46.4mmol)、次いでトリエチルアミン(4.69g、46.4mmol)を連続で添加した。混合物を窒素雰囲気下室温で30分間撹拌し、さらに使用するための淡黄色の澄明な溶液を得た。
【0191】
磁気撹拌を備えた別の500mLの三口フラスコに無水塩化アルミニウム(6.17g、46.4mmol)を添加し、系を吸引で真空にし、窒素ガスでパージした。無水ジクロロメタン(60mL)を窒素雰囲気下で添加し、混合物を氷水浴で0℃に冷却した。トリエチルアミン(6.39g、63.3mmol)をゆっくり滴下添加した。添加が完了した後、混合物をこの温度で10分間撹拌した。ジクロロメタン中の原料の上記の溶液を30分にわたりゆっくり滴下添加した。混合物をこの温度で撹拌しながらさらに2時間反応させた。TLC(PE:EA=1:1)およびHPLCモニタリングによって、反応は完了した。水(200mL)を添加することによって反応をクエンチした。有機相を分離し、水性層をジクロロメタン(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、水(100mL)、次いで飽和ブライン(100mL)で連続で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮乾固して12.66gの黄色の油状物を94.0%の収率および>90%の純度(HPLC)(ee>98%)で得た。中間体は室温で不安定であり、したがって、直ちに次の工程に入れるか、または-20℃の冷蔵庫内で保存すべきである。LC-MS(APCI): m/z=320.1(M+1)+. 1H NMR(300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.92-7.89(m, 1H), 7.27-7.17(m, 2H), 7.03-6.97(m, 1H), 6.84(s, 1H), 4.92(q, J=6.3 Hz, 1H), 4.83(s, 2H), 2.89(s, 3H), 1.50(d, J=6.3 Hz, 3H).
【0192】
工程2:化合物Fの合成。
磁気撹拌を備えた250mLの三口フラスコに化合物G(12.6g、39.5mmol)および無水ジクロロメタン(120mL)を添加し、溶液が澄明になるまで混合物を撹拌した。混合物を氷水浴で冷却した。トリエチルアミン(7.98g、79.5mmol)を添加し、次いで塩化メチルスルホニル(5.85g、51.4mmol)をゆっくり滴下添加した。添加が完了した後、氷浴を取り除き、混合物を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら1時間反応させた。TLC(DCM:MeOH=20:1)は、反応が完了したことを示した。氷水(100mL)を添加することによって反応をクエンチした。有機相を分離し、水性層をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、水(50mL)、次いで飽和ブライン(50mL)で連続で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮乾固し、次いでさらに使用するために無水アセトニトリル(50mL)に溶解した。
【0193】
工程3:化合物D-aの合成。
磁気撹拌を備えた別の250mLの三口フラスコに化合物E-a(11.2g、59.3mmol)およびアセトニトリル(200mL)を添加し、炭酸セシウム(25.7g、79.0mmol)を撹拌しながら添加した。混合物を窒素雰囲気下50℃に加熱し、混合物をこの温度で30分間撹拌した。アセトニトリル中の化合物Fの上記の溶液を50℃で10分にわたりゆっくり滴下添加した。滴下添加が完了した後、混合物をこの温度で撹拌しながら2時間反応させた。TLC(DCM:MeOH=20:1)およびHPLCモニタリングによって、反応は完了した。室温に冷却した後、水(200mL)を添加することによって反応をクエンチした。反応溶液を酢酸エチル(300mL)で希釈し、5分間撹拌し、次いでセライトで濾過して不溶性固体を除去した。濾過ケーキを酢酸エチル(50mL)で洗浄した。有機層を濾液から分離し、水性相を酢酸エチル(60mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、炭酸ナトリウムの飽和水溶液(100mL×3)、次いで飽和ブライン(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮乾固して17.5gの褐色固体を90.1%の収率および>85%の純度(HPLC)(ee>95%)で得た。LC-MS(APCI):m/z=390.1(M+1)+。
【0194】
工程4:化合物Cの合成。
磁気撹拌を備えた250mLの一口フラスコに化合物D-a(17.5g、35.8mmol)およびジクロロメタン(200mL)を添加し、溶液が澄明になるまで混合物を撹拌した。トリエチルアミン(14.5g、143.2mmol)、次いでDMAP(850mg、7.2mmol)を連続で添加した。Boc2O(23.4g、107.4mmol)をゆっくり滴下添加し、混合物を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら終夜反応させた。TLC(DCM:MeOH=20:1)およびHPLCモニタリングによって、反応は完了した。反応溶液を減圧下で蒸発させて溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EA/PE=0~35%)によって精製して15.4gの白色固体を62.4%の収率および>95%の純度(HPLC)(ee>95%)で得た。LC-MS(APCI): m/z=590.1(M+1-100)+. 1H NMR(300 MHz, CDCl3) (δ/ppm): 8.06(d, J=1.8 Hz, 1H), 7.53-7.48(m, 1H), 7.24-7.20(m, 2H), 7.04-6.98(m, 1H), 6.81(s, 1H), 5.66-5.59(m, 1H), 4.89-4.69(m, 2H), 2.97(s, 3H), 1.58(d, J=6.0 Hz, 3H), 1.47(s, 18H).
【0195】
工程5:化合物Bの合成。
磁気撹拌を備えた500mLの一口フラスコに化合物C(15.4g、22.3mmol)および2-メチル-2-ブタノール(300mL)を添加し、溶液が澄明になるまで混合物を撹拌した。酢酸カリウム(6.56g、66.9mmol)を添加した。系を吸引で真空にし、窒素ガスで3回パージした。酢酸パラジウム(0.75g、3.35mmol)およびn-ブチルビス(1-アダマンチル)ホスフィン(1.60g、4.46mmol)を素早く添加した。系を吸引で真空にし、窒素ガスで3回パージした。反応溶液を窒素雰囲気下110℃に加熱し、この温度で撹拌しながら終夜反応させた。TLC(PE:EA=1:1)およびHPLCモニタリングによって、反応は完了した。反応溶液を室温に冷却し、ジクロロメタン(300mL)で希釈し、セライトで濾過して不溶性固体を除去した。濾過ケーキをジクロロメタン(50mL)で洗浄した。濾液を合わせ、減圧下で濃縮乾固した。残渣にアセトニトリル(150mL)を添加し、混合物を1時間加熱還流した。油浴を取り除き、混合物を室温にゆっくり冷却した。大量の白色固体が沈殿し、沈殿した固体を濾過した。濾過ケーキをアセトニトリル(10mL)で洗浄し、乾燥させて8.2gの白色固体を60.4%の収率および>99.5%の純度(HPLC)(ee>99.9%)で得た。LC-MS(APCI): m/z=510.1(M+1-100)+. 1H NMR(300 MHz, CDCl3) (δ/ppm): 8.22(d, J=1.8 Hz, 1H), 7.29-7.25(m, 1H), 7.22-7.16(m, 2H), 7.03-6.96(m, 1H), 5.76-5.70(m, 1H), 4.42(q, J=14.1 Hz, 2H), 3.15(s, 3H), 1.76(d, J=6.0 Hz, 3H), 1.44(s, 18H).
【0196】
工程6:化合物Aの合成。
磁気撹拌を備えた250mLの一口フラスコに化合物B(8.2g、13.5mmol)およびジクロロメタン(100mL)を添加し、溶液が澄明になるまで混合物を撹拌した。混合物を氷水浴で冷却し、トリフルオロ酢酸(20mL)をゆっくり滴下添加した。添加が完了した後、氷浴を取り除き、混合物を室温で撹拌しながら2時間反応させた。TLC(DCM:MeOH=20:1)およびHPLCモニタリングによって、反応は完了した。反応溶液を減圧下で蒸発させて有機溶媒を除去した。ジクロロメタン(100mL)および重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(60mL)を冷却下で添加し、混合物を10分間撹拌した。有機相を分離し、水性層をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、水(30mL)、次いで飽和ブライン(40mL)で連続で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して5.1gの非晶質の白色固体を92.6%の収率および>99.5%の純度(HPLC)(ee>99.9%)で得た。LC-MS(APCI): m/z=410.2(M+1)+. 1H NMR(300 MHz, CDCl3) (δ)ppm 7.79(d, J=1.8 Hz, 1H), 7.31-7.27(m, 1H), 7.23-7.19 (m, 1H),7.06-6.97(m, 1H), 6.87(d, J=1.8 Hz, 1H), 5.75-5.70(m, 1H), 5.09(br s, 2H), 4.40(q, J = 14.1 Hz, 2H), 3.12(s, 3H), 1.78(d, J = 6.6 Hz, 3H).
[実施例2]
【0197】
化合物Aの様々な結晶体の調製
化合物Aの遊離塩基の様々な結晶体のスクリーニングにおいて、化合物Aを出発材料として使用して、室温での揮発、懸濁液中での撹拌および逆溶媒中での沈殿によって、化合物Aの遊離塩基の様々な結晶体をスクリーニングした。4種の無水結晶体(結晶体I、結晶体IV、結晶体V、結晶体VI)および3種の溶媒和物(結晶体II、結晶体IIIおよび結晶体VII)が見出された。
[実施例2.1]
【0198】
出発材料の処理および化合物A結晶体Iの調製
ある特定の量の出発材料化合物Aにイソブタノールを溶媒として添加した。懸濁液を室温で1日スラリー化し、次いで吸引によって濾過した。固体を真空下50℃で終夜乾燥させて1gの化合物A結晶体Iを得、これは無水結晶体であった。
[実施例2.2]
【0199】
96ウェルプレートにおける13×13(1:1)二成分溶媒のスクリーニング
約30mgの化合物A結晶体Iをバイアルに添加し(8mL、合計13個のバイアル)、3mLの対応する溶媒(それぞれメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ブタノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル、アセトン、水、ジクロロメタン、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピル)を少しずつ添加した。混合物を室温で、ある時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を使用するために取っておいた。濾液を96ウェルプレートにおける二成分溶媒のスクリーニングに使用した。上記の対応する濾液を各濾液につき100μLの体積で96ウェルプレートにペアで分配した。96ウェルプレートを密封フィルムで密封し、ヒュームフードにおいて室温で揮発乾固させた。96ウェルプレートにおける13種の溶媒の情報を表2.2に示す。
【0200】
表2.2: 96ウェルプレートにおける13×13溶媒の情報
【表18】
【0201】
注釈:AMは非晶質を表し、CRは結晶質を表し、GLはガラス質を表す。
【0202】
*は、表に示されるようなこのウェルにおける試料の結果がXRPD結果であるが、他のウェルにおける試料の結果がPLM結果であることを示す。
【0203】
96ウェルプレートに沈殿した固体をPLMおよびXRPDについて試験した。結果は、化合物A結晶体IIと命名された新しい結晶体が得られたことを示した。結晶体IIは、ブタノン/イソプロパノール、ブタノン/テトラヒドロフラン、ブタノン/アセトニトリル、ブタノン/アセトン、ブタノン/ジクロロメタン、ブタノン/酢酸エチル、およびブタノン/酢酸イソプロピルにおいて得られた。非晶質または不十分に結晶化した固体が他の溶媒において得られた。
[実施例2.3]
【0204】
13種の単一溶媒における蒸発結晶化の調査
実施例2.2の96ウェルプレートに蒔くための残りの13種の単一の濾液をヒュームフードに入れ、室温で3日間揮発乾固させた。試料を真空下50℃で終夜乾燥させて2種の新しい結晶体を得た。ブタノンの単一溶媒における蒸発は、化合物A結晶体IIIと命名された新しい結晶体をもたらした。メタノールの単一溶媒における蒸発は、化合物A結晶体IVと命名された別の新しい結晶体をもたらした。他の溶媒における蒸発は、非晶質または不十分に結晶化した固体をもたらした。
[実施例2.4]
【0205】
室温での懸濁液におけるスラリー化の調査
ある特定の量の化合物A結晶体Iに異なる溶媒を添加した。懸濁液を室温で1日スラリー化し、次いで吸引によって濾過した。試料を真空下50℃で終夜乾燥させ、XRPDで特性決定した。試験条件および結果を表2.4に示す。
【0206】
表2.4 室温での懸濁液におけるスラリー化の試験条件および結果
【表19】
【0207】
結果は、酢酸イソプロピル、エタノールおよびMTBE/MeOH(9:1)において得られた結晶体Iに加えて、結晶体V、結晶体VIおよび結晶体VIIと命名された3種の新しい結晶体が得られたことを示した。3種の新しい結晶体において、結晶体Vは水およびメタノールの懸濁液において得られ、結晶体VIはメタノールの懸濁液において得られ、結晶体VIIは水およびアセトニトリルの懸濁液において得られた。
[実施例2.5]
【0208】
50℃の懸濁液におけるスラリー化の調査
500μLの貧溶媒中の30mgの化合物A結晶体Iの懸濁液を調製した。懸濁液を50℃で1日スラリー化し、次いで吸引によって濾過した。試料を真空下50℃で終夜乾燥させ、XRPDで特性決定した。試験条件および結果を表2.5に示す。
【0209】
表2.5 50℃での懸濁液におけるスラリー化の試験条件および結果
【表20】
【0210】
結果は、結晶体Iが全ての溶媒系において得られたことを示した。
[実施例2.6]
【0211】
逆溶媒における沈殿の調査
30mgの化合物A結晶体Iを200μLの良溶媒に添加し、混合物を室温で撹拌した。逆溶媒における沈殿試験のために逆溶媒をそれぞれ添加した。得られた固体をXRPD特性決定に供した。試験条件および結果を表2.6に示す。
【0212】
表2.6 逆溶媒における沈殿の試験条件および結果
【表21】
【0213】
結果は、酢酸エチル/MTBEだけが結晶体Iをもたらし、他の溶媒系が固体沈殿をもたらすことができないことを示した。
[実施例3]
化合物Aの遊離塩基の様々な結晶体の特性決定
[実施例3.1]
【0214】
化合物A結晶体Iの特性決定
化合物A結晶体Iを実施例2.1の方法によって調製し、XRPD、PLM、DSC、TGA、DVS、NMR、IR、UVおよびMSで特性決定した。具体的な結果は以下の通りである。
【0215】
XRPD分析
図1は、一般的方法1によって得られた化合物A結晶体IのXRPDデータを示す。回折角度2θ°(°2θ)±0.2°2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表3.1に提供する。XRPD結果は、結晶体Iの結晶化度が良好であることを示した。
【0216】
表3.1:化合物A結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表22】
【0217】
PLM分析
化合物A結晶体Iを一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、結晶体Iが粒状結晶であることを示した。
【0218】
DSCおよびTGA熱分析
図2および3は、それぞれ一般的方法4および5によって入手した化合物A結晶体IのDSCおよびTGA曲線を示す。DSC結果は、開始温度が約231.78℃で、ピーク温度が約232.48℃の狭い融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、150℃で0.01339%までの重量減少を示した。DSCおよびTGA分析は、試料が無水結晶体であることを示した。
【0219】
DVS分析
図4は、一般的方法6によって入手した化合物A結晶体IのDVS曲線を示す。DVS結果は、湿度が0%RHから80%RHに上昇した場合、0.17%の重量増加を示した。
【0220】
図5に示されるように、試料の結晶体はDVS試験前後で変化しなかった。
【0221】
NMR分析
機器および装置:Bruker AVANCE III 400 MHz核磁気共鳴分光計
【0222】
溶媒:DMSO-d6
73.66mgの化合物A結晶体Iを正確に秤量し、0.6mLのDMSO-d6を添加することによって完全に溶解した。1H-NMR、13C-NMR、DEPT、19F-NMR、HSQC、HMBCおよびCOSY試験のために溶液をNMR管に移した。
【0223】
36.81mgの化合物A結晶体Iを正確に秤量し、0.6mLのDMSO-d6を添加することによって完全に溶解した。次いで追加の50μLのDMSO-d6を添加した。溶液を十分に混合し、D-NMR試験のためにNMR管に移した。
【0224】
化合物AのNMR原子分布構造式は以下のように示される:
【0225】
【0226】
化合物Aの決定的なHMBCおよびCOSY関連構造は以下のように示される:
【0227】
【0228】
1H-NMR
図6は化合物A結晶体Iの
1H NMRスペクトルを示す。表3.2は、化合物A結晶体Iの
1H NMRスペクトルの試験結果を示す。
【0229】
表3.2 化合物A結晶体Iの核磁気共鳴水素スペクトルの試験結果
【表23】
【0230】
結果は、水素スペクトルが、HSQCと組み合わせて、6個のメチル水素、2個のメチレン水素、6個のメテニル水素、および2個の活性水素を含む16個の水素シグナルを有することを示す。δH6.23(br s,2H)の化学シフトを有する水素シグナルはHSQC相関を有せず、C-8とのHMBC相関に基づいてNH-12に帰属され;δH7.61(重複,1H)の化学シフトを有する芳香族水素シグナルはC-14、C-15、C-16、C-18、およびC-19とのHMBC相関に基づいてH-20に帰属され;δH7.58(重複,1H)はC-1、C-2、C-5、C-8、およびC-9とHMBC相関を有し、H-10に帰属され;δH7.45(dd,J=8.8,6.0Hz,1H)はδH7.16(td,J=8.8,2.8Hz,1H)とCOSY相関を有し、HMBC相関と組み合わせて、それぞれH-17およびH-18に帰属され;δH6.80(d,J=1.6Hz,1H)の化学シフトはC-1、C-2、C-8、C-9およびC-10とのHMBC相関に基づいてH-5に帰属され;δH5.61(m,1H)はδH1.68(J=6.0Hz,3H)の水素シグナルとCOSY相関を有し、HMBC相関と組み合わせて、それぞれH-14およびH-32に帰属され;δH4.41(d,J=14.4Hz,1H)およびδH4.19(d,J=14.4Hz,1H)の化学シフトを有するメチレン水素シグナルはC-2、C-3、C-13およびC-23とHMBC相関を有し、それぞれH-4aおよびH-4bに帰属され;δH2.99(s,3H)の化学シフトを有するメチル水素シグナルは、C-4およびC-13とのHMBC相関に基づいてH-23に帰属される。
【0231】
13C-NMRおよびDEPT
図7および8は、それぞれ化合物A結晶体Iの
13C NMRスペクトルおよびDEPTスペクトルを示し、表3.3は化合物A結晶体Iの
13C NMRスペクトルの試験結果を示す。
【0232】
表3.3 化合物A結晶体Iの核磁気共鳴炭素スペクトルの試験結果
【表24】
【0233】
結果は、13C-NMRスペクトルが合計21個の炭素シグナルを有することを示し、これらはDEPTと組み合わせて2個のメチル炭素、1個のメチレン炭素、6個のメテニル炭素、重水素原子に結合した1個の炭素、および水素に結合していない11個の炭素が含有されることを示した。HSQCデータによると、水素に結合した全ての上記の炭素シグナルは帰属され、水素に結合していない残りの炭素は化学シフトおよびHMBCデータに基づいて帰属される。HMBCスペクトルにおいて、δC168.24はH-4、H-17、H-20およびH-23に関連し、C-13に帰属され;δC164.57、162.12はH-14、H-17、H-18およびH-20に関連し、結合定数と組み合わせてC-19に帰属され;δC151.40はH-5およびH-10に関連し、C-9に帰属され;δC144.24はH-4に関連し、化学シフトと組み合わせてC-3に帰属され;δC143.88、143.81はH-14、H-17、H-18、H-20およびH-32に関連し、結合定数と組み合わせてC-15に帰属され;δC138.63はH-5、H-10、NH-12、およびH-14に関連し、C-8に帰属され;δC133.16、133.13はH-14、H-17、H-18、およびH-20に関連し、C-16に帰属され;δC127.66はH-4、H-5、およびH-10に関連し、C-2に帰属され;δC113.18はH-5およびH-10に関連し、化学シフトと組み合わせてC-1に帰属され;δC111.78およびδC111.55は、それらの化学シフトに基づいて、それぞれC-24/C-28およびC-28/C-24に帰属され;δC38.64、38.43、38.21は、化学シフトおよび結合定数に基づいてC-27に帰属される。
【0234】
D-NMRスペクトル
図9は、化合物A結晶体IのD-NMRスペクトルを示す。D-NMRスペクトルにおいて、δ3.97の化学シフトは重水素原子のシグナルである。
【0235】
19F-NMRスペクトル
図10は、化合物A結晶体Iの
19F-NMRスペクトルを示す。
19F-NMRスペクトルにおいて、δ110.08の化学シフトはベンゼン環に結合したフッ素のシグナルである。
【0236】
HSQCおよびHMBCスペクトル
図11および12は、化合物A結晶体IのNMR HSQCおよびHMBCスペクトルを示す。表3.4は、化合物A結晶体IのNMR HSQCおよびHMBCスペクトルの試験結果を示す。
【0237】
表3.4 化合物A結晶体IのNMR HSQCおよびHMBCスペクトルの試験結果
【表25】
【0238】
結果は、HMBCスペクトルにおいて、H-20がC-13、C-14、C-15、C-16、C-18およびC-19に関連し、H-17がC-13、C-14、C-15、C-16、C-18、C-19およびC-20に関連し、H-18がC-15、C-16、C-19およびC-20に関連し、H-14がC-8、C-15、C-16、C-19、C-20およびC-32に関連し、H-32がC-14およびC-15に関連し、H-10がC-1、C-2、C-5、C-8およびC-9に関連し、H-5がC-1、C-2、C-8、C-9およびC-10に関連し、構造中のフラグメントA(fragment A)の存在と一致し;H-4がC-2、C-3、C-13およびC-23に関連し、H-23がC-4およびC-13に関連し、構造中のフラグメントB(fragment B)の存在と一致し;H-17およびH-20がC-13に関連し、フラグメントAのC-16がフラグメントBのC-13に連結していることを示し、H-5およびH-10がC-2に関連し、フラグメントAのC-1がフラグメントBのC-2に連結していることを示すことを示す。
【0239】
COSY
図13は化合物A結晶体IのNMR COSYスペクトルを示す。表3.5は、化合物A結晶体IのNMR COSYスペクトルの試験結果を示す。
【0240】
表3.5 化合物A結晶体IのNMR COSYスペクトルの試験結果
【表26】
【0241】
結果は、COSYスペクトルにおいてH-17がH-18に関連し、H-14がH-32に関連することを示し、構造中のフラグメントAの存在をさらに実証した。
【0242】
IR分析
機器および装置:Shimadzu SHIMADZU IR Tracer 100フーリエ変換赤外分光計
【0243】
化合物A結晶体Iの赤外吸収スペクトルは、KBr錠剤法によって4000~400cm
-1の波数範囲内で収集した。
図14は化合物A結晶体IのIRスペクトルを示す。表3.6は化合物A結晶体IのIRスペクトルの試験結果を示す。
【0244】
表3.6 化合物A結晶体IのIRスペクトルの試験結果
【表27】
【0245】
結果は、化合物A結晶体Iの化学構造がNH2、C≡N、CH3、CH2、CH、C=O、ベンゼン環、およびアリールエーテルの構造を含有することを示す。具体的な分析は以下の通りである:3474、3383、3308cm-1はN-H伸縮振動吸収ピークを表し、これらは-NH2を含有する構造と一致し;3184、3111cm-1は=C-H伸縮振動吸収ピークを表し、1499、1491cm-1はC=C二重結合伸縮振動吸収ピークを表し、878、829cm-1は=C-H面外変角振動吸収ピークを表し、これらはベンゼン環構造の存在と一致し;2980、2934cm-1は飽和C-H結合伸縮振動吸収ピークを表し、1433、1420、1395、1368、1344cm-1は飽和C-H結合変角振動吸収ピークを表し、これらはCH3、CH2およびCH構造の存在と一致し;2228cm-1はC≡N伸縮振動吸収ピークを表し、これはC≡N部分を含有する構造と一致し;1645、1616cm-1はC=O伸縮振動ピークを表し、これらはカルボニル部分を含有する構造と一致し;1252cm-1はC-O-C非対称伸縮振動吸収ピークを表し、1069cm-1はC-O-C対称伸縮振動吸収ピークを表し、これらはアリールエーテル部分を含有する構造と一致する。
【0246】
UV分析
機器および装置:UV-2600 UV-Vis分光光度計(島津製作所、日本)
【0247】
試料(15.23μg/mL)のメタノール溶液を使用してUV分析を行った。
図15は化合物A結晶体IのUV吸収スペクトルを示す。表3.7は化合物A結晶体IのUV吸収の試験結果を示す。
【0248】
表3.7 化合物A結晶体IのUV吸収の試験結果
【表28】
【0249】
結果は、λmax317、206nmでの吸収ピークが、化合物の共役系のn-π*遷移および置換ベンゼン環のπ-π*遷移の吸収ピークであることを示す。
【0250】
HR-MS
機器および装置:超高速液体クロマトグラフィーと高分解能質量分析系を組み合わせたWaters Acquity I Class UPLC/Xevo G2-XS QT of HRMS。
【0251】
15.23μg/mLの濃度のメタノール中の化合物A結晶体Iの溶液をクロマトグラフィー分析に使用した。
【0252】
図16は化合物A結晶体Iの高分解能質量スペクトルを示す。結果は、理論値(理論値410.1820、C
21H
17D
3FN
6O
2)から5ppm未満逸脱している、高分解能質量スペクトルにおけるm/z410.1822[M+H]
+の質量電荷比を有するイオンピークを示し、試料の分子式がC
21H
16D
3FN
6O
2であることを示唆する。
[実施例3.2]
【0253】
化合物A結晶体IIの特性決定
実施例2.2の方法によって、ブタノン/酢酸エチルの溶媒混合物の蒸発後に化合物A結晶体IIを調製し、XRPD、PLM、DSCおよびTGAで特性決定した。具体的な結果は以下の通りである。
【0254】
XRPD分析
図17は、一般的方法1によって得られた化合物A結晶体IIのXRPDデータを示す。回折角度2θ°(°2θ)±0.2°2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表3.2に提供する。XRPD結果は、結晶体IIの結晶化度が良好であることを示した。
【0255】
表3.2:化合物A結晶体IIのXRPDピークリスト(2θ°)
【表29】
【0256】
PLM分析
化合物A結晶体IIを一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、結晶体IIが不規則形状の結晶であることを示した。
【0257】
DSCおよびTGA熱分析
化合物A結晶体IIのDSCおよびTGA分析を一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約227.91℃で、ピーク温度が約230.09℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、160℃で約6.69%までの重量減少を示した。DSCおよびTGA分析は、試料がブタノンの溶媒和物であることを示した。
[実施例3.3]
【0258】
化合物A結晶体IIIの特性決定
実施例2.3の方法によって、ブタノンの単一溶媒における蒸発によって化合物A結晶体IIIを得、XRPD、PLM、DSCおよびTGAで特性決定した。具体的な結果は以下の通りである。
【0259】
XRPD分析
図18は、一般的方法1によって得られた化合物A結晶体IIIのXRPDデータを示す。回折角度2θ°(°2θ)±0.2°2θのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表3.3に提供する。XRPD結果は結晶体IIIの結晶化度が良好であることを示した。
【0260】
表3.3:化合物A結晶体IIIのXRPDピークリスト(2θ°)
【表30】
【0261】
PLM分析
化合物A結晶体IIIを一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、結晶体IIIが不規則形状の結晶であることを示した。
【0262】
DSCおよびTGA熱分析
化合物A結晶体IIIのDSCおよびTGA分析を一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約220.19℃で、ピーク温度が約226.13℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、165℃で約5.31%までの重量減少を示した。DSCおよびTGA分析は、試料がブタノンの溶媒和物であることを示した。
[実施例3.4]
【0263】
化合物A結晶体IVの特性決定
実施例2.3の方法によってメタノールの単一溶媒における蒸発により化合物A結晶体IVを得、XRPD、PLM、DSCおよびTGAで特性決定した。具体的な結果は以下の通りである。
【0264】
XRPD分析
図19は、一般的方法1によって得られた化合物A結晶体IVのXRPDデータを示す。回折角度2θ°(°2θ)±0.2°2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表3.4に提供する。XRPD結果は、結晶体IVの結晶化度が普通であることを示した。
【0265】
表3.4:化合物A結晶体IVのXRPDピークリスト(2θ°)
【表31】
【0266】
PLM分析
化合物A結晶体IVを一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、結晶体IVが不規則形状の結晶であることを示した。
【0267】
DSCおよびTGA熱分析
一般的方法4および5によって、化合物A結晶体IVのDSCおよびTGA分析を行った。DSC結果は、開始温度が約229.83℃で、ピーク温度が約231.62℃の吸熱ピークを示した。TGA結果は、200℃の前に約0.28%までの重量減少を示した。DSCおよびTGA分析は、試料が無水結晶体であることを示した。
[実施例3.5]
【0268】
化合物A結晶体Vの特性決定
実施例2.4の方法に従う室温での混合溶媒(水:メタノール=9:1)中の懸濁液におけるスラリー化後に化合物A結晶体Vを得、XRPD、PLM、DSCおよびTGAで特性決定した。具体的な結果は以下の通りである。
【0269】
XRPD分析
図20は、一般的方法1によって得られた化合物A結晶体VのXRPDデータを示す。回折角度2θ°(°2θ)±0.2°2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表3.5に提供する。XRPD結果は結晶体Vの結晶化度が良好であることを示した。
【0270】
表3.5:化合物A結晶体VのXRPDピークリスト(2θ°)
【表32】
【0271】
PLM分析
化合物A結晶体Vを一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、結晶体Vが不規則形状の結晶であることを示した。
【0272】
DSCおよびTGA熱分析
化合物A結晶体VのDSCおよびTGA分析を一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約230.9℃で、ピーク温度が約232.13℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、200℃の前に約0.22%の重量減少を示した(残留溶媒)。DSCおよびTGA分析は、試料が無水結晶体であることを示した。
[実施例3.6]
【0273】
化合物A結晶体VIの特性決定
実施例2.4の方法に従う室温でのメタノール溶媒中の懸濁液におけるスラリー化後に化合物A結晶体VIを得、XRPD、PLM、DSCおよびTGAで特性決定した。具体的な結果は以下の通りである。
【0274】
XRPD分析
図21は、一般的方法1によって得られた化合物A結晶体VIのXRPDデータを示す。回折角度2θ°(°2θ)±0.2°2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表3.6に提供する。XRPD結果は、結晶体VIの結晶化度が良好であることを示した。
【0275】
表3.6:化合物A結晶体VIのXRPDピークリスト(2θ°)
【表33】
【0276】
PLM分析
化合物A結晶体VIを一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、結晶体VIが不規則形状の結晶であることを示した。
【0277】
DSCおよびTGA熱分析
化合物A結晶体VIのDSCおよびTGA分析を一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約231.56℃で、ピーク温度が約232.83℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は200℃の前に実質的に重量減少を示さなかった。DSCおよびTGA分析は、試料が無水結晶体であることを示した。
[実施例3.7]
【0278】
化合物A結晶体VIIの特性決定
実施例2.4の方法に従う室温での混合溶媒(水:アセトニトリル=1:9)中の懸濁液におけるスラリー化後に化合物A結晶体VIIを得、XRPD、PLM、DSCおよびTGAで特性決定した。具体的な結果は以下の通りである。
【0279】
XRPD分析
図22は、一般的方法1によって得られた化合物A結晶体VIIのXRPDデータを示す。回折角度2θ°(°2θ)±0.2°2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表3.7に提供する。XRPD結果は、結晶体VIIの結晶化度が普通であることを示した。
【0280】
表3.7:化合物A結晶体VIIのXRPDピークリスト(2θ°)
【表34】
【0281】
PLM分析
化合物A結晶体VIIを一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、結晶体VIIが針状結晶であることを示した。
【0282】
DSCおよびTGA熱分析
化合物A結晶体VIIのDSCおよびTGA分析を一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約230.70℃で、ピーク温度が約232.38℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は200℃の前に約0.35%の重量減少を示した。DSCおよびTGA分析は、試料が溶媒和物であることを示した。
[実施例4]
【0283】
化合物Aのトランス結晶化調査
4.1室温での競争的スラリー化試験
化合物Aの結晶体I、結晶体IV、結晶体V、および結晶体VIの10mgを3つの異なる溶媒系(イソブタノール、イソプロパノール、およびメチルtert-ブチルエーテル)500μLそれぞれに添加した。混合物を室温で1日スラリー化した。固体を真空下50℃で一晩乾燥し、XRPDで特性決定した。もたらされた結果を、表4.1および
図23に示す。
【0284】
表4.1 室温での競争的スラリー化試験の結果
【表35】
【0285】
結果は、化合物Aの結晶体IV、V、およびVIのすべてが、イソブタノール、イソプロパノール、およびメチルtert-ブチルエーテルの3つの溶媒系で結晶体Iにトランス結晶化されたことを示し、化合物Aの結晶体Iは安定した結晶体であることをさらに証明した。
【0286】
4.2加熱調査
化合物Aの結晶体VおよびVIの一定量を秤量し、190℃に加熱し、次いで、XRPDで特性決定した。結果を
図24に示す。結果は、化合物Aの結晶体Vが、190℃に加熱することによって結晶体Iに転換されたことを示し、化合物Aの結晶体Iが熱力学的に安定した結晶体であることをさらに証明した。
[実施例5]
【0287】
化合物Aの結晶体Iの安定性調査
安定性影響因子試験を、化合物Aの結晶体Iの試料に行った。対応するセット条件および試験結果を表5に列挙する。
【0288】
表5 化合物Aの結晶体Iの安定性の影響因子の試験データ
【表36】
[実施例6]
【0289】
化合物Aの結晶塩の調製
化合物Aの結晶体Iを出発材料として使用する化合物Aの結晶塩を調製する最初の試みは、2つの段階で構成された。第1の段階は、出発材料の安定性調査および96ウェルプレートでの塩生成スクリーニングからなり、第2の段階は、ミリグラム単位で形成可能な結晶塩のスケールアップ調製からなった。これらの最初の試みは、化合物Aの塩の8つの結晶体、すなわち、化合物Aのマレイン酸塩結晶体I、化合物Aの酢酸塩結晶体I、化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体I、化合物Aの臭化水素酸塩結晶体I、化合物Aの硫酸塩結晶体I、化合物Aのシュウ酸塩結晶体I、化合物Aの塩酸塩結晶体I、および化合物Aのメシル酸塩結晶体Iを特定した。
[実施例6.1]
【0290】
出発材料(化合物Aの結晶体I)の溶解度調査
出発材料約2mgを2mLバイアルに添加し、試料を溶解する、または溶解度が1mg/mL未満となるまで異なる溶媒をゆっくり(1時間当たり50μL)添加した。溶解度の結果を表6.1に列挙する。
【0291】
結果は、出発材料の溶解度がアセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノール、アセトニトリル、ブタノン、および酢酸エチルにおいて比較的高いことを示し、それらのすべては100mg/mLより高く、溶解度は、酢酸イソプロピルおよびエタノールにおいて減少し、それらの両方は約20mg/mLであり、溶解度は、イソプロパノール、MTBE、イソブタノール、および水において比較的低く、それらは約1~2mg/mLであった。
【0292】
表6.1:異なる溶媒中の出発材料(化合物Aの結晶体I)の遊離塩基の溶解度
【表37】
[実施例6.2]
【0293】
96ウェルプレートでの塩のスクリーニング
臭化水素酸、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、およびマレイン酸の一定量をメタノールに溶解し、10mLに希釈して濃度が0.1Mの8つの酸性溶液を調製した。出発材料約750mgを秤量し、メタノール25mLに添加して濃度が30mg/mLの遊離塩基溶液を調製した。遊離塩基溶液30mg/mLを96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLで添加し、対応する酸性溶液75μLを各ウェルに添加した(硫酸37.5μLを添加した)。96ウェルプレートを室温で揮発させ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ブタノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、MTBE、酢酸エチル、アセトン、酢酸イソプロピル、および水100μLを、溶媒の完全な揮発後にウェルの各カラムにそれぞれ添加した。96ウェルプレートを封止フィルムで封止し、フィルムを穿刺した。96ウェルプレートを室温でドラフトに設置した。溶媒を、乾燥するまでゆっくり揮発し、結果として生じる固体試料を次いでPLMで特性決定した。96ウェルプレートおよび固体状態で塩類をスクリーニングするための条件を、表6.2に列挙する。
【0294】
表6.2 96ウェルプレート中の塩類のスクリーニングにおけるサンプル状態
【表38】
【0295】
注釈:oilはオイルを表し、CRは結晶を表し、GLはガラス質を表す。
【0296】
96ウェルプレート試験の結果は、臭化水素酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、およびマレイン酸において白色固体が得られることを示した。
[実施例6.3]
【0297】
化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iの少量調製
出発材料(化合物Aの結晶体I)約30.1mgを秤量し、酢酸エチル400μLに溶解して溶液を形成し、次いで、マレイン酸10.3mgを添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、固体を沈殿させた。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を、真空下50℃で24時間乾燥した。
[実施例6.4]
【0298】
化合物Aの酢酸塩結晶体Iの少量調製
出発材料(化合物Aの結晶体I)約29.5mgを秤量し、酢酸エチル400μLに溶解して溶液を形成し、次いで、酢酸5.15μLを添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、固体を沈殿させた。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を、真空下50℃で24時間乾燥した。
[実施例6.5]
【0299】
化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体Iの少量調製
出発材料(化合物Aの結晶体I)約29.9mgを秤量し、酢酸エチル400μLに溶解して溶液を形成し、次いで、p-トルエンスルホン酸16.8mgを添加した。混合物を室温で2.5時間撹拌し、固体を沈殿させた。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を、真空下50℃で24時間乾燥した。
[実施例6.6]
【0300】
化合物Aのシュウ酸塩結晶体Iの少量調製
出発材料(化合物Aの結晶体I)約30.0mgを秤量し、酢酸エチル400μLに溶解して溶液を形成し、次いで、シュウ酸11.1mgを添加した。混合物を室温で30間撹拌し、固体を沈殿させた。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。乾燥固体30mgをイソプロパノール160μLおよび水40μLの混合溶媒に添加し、混合物を室温で1日間スラリー化した。混合物を次いで吸引によって濾過した。吸引濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
[実施例6.7]
【0301】
化合物Aの硫酸塩結晶体Iの少量調製
出発材料(化合物Aの結晶体I)約40.0mgを秤量し、酢酸エチル400μLに溶解して溶液を形成し、次いで、硫酸4.71μLを添加した。混合物を室温で撹拌し、固体を直ちに沈殿させた。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。乾燥固体40mgをイソプロパノール160μLおよび水40μLの混合溶媒に添加し、混合物を室温で1日間スラリー化した。混合物を次いで吸引によって濾過した。吸引濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
[実施例6.8]
【0302】
化合物Aの臭化水素酸塩結晶体Iの少量調製
出発材料(化合物Aの結晶体I)約61.1mgを秤量し、酢酸エチル800μLに溶解して溶液を形成し、次いで、臭化水素酸23.62μLを添加した。固体を室温で直ちに沈殿させた。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
[実施例6.9]
【0303】
化合物Aの塩酸塩結晶体Iの少量調製
方法1:出発材料(化合物Aの結晶体I)約29.8mgを秤量し、酢酸エチル300μLに溶解して溶液を形成し、次いで、塩酸6.72μLを添加した。固体を室温で直ちに沈殿させた。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
【0304】
方法2:出発材料(化合物Aの結晶体I)約29.3mgを秤量し、ブタノン180μLに溶解して溶液を形成し、次いで、塩酸6.72μLを添加した。固体を室温で直ちに沈殿させた。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
【0305】
方法3:出発材料(化合物Aの結晶体I)約29.4mgを秤量し、アセトン330μLに溶解して溶液を形成し、次いで、塩酸6.72μLを添加した。固体を室温で直ちに沈殿させた。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
【0306】
方法4:出発材料(化合物Aの結晶体I)約29.9mgを秤量し、酢酸イソプロピル1.4mLに溶解して溶液を形成し、次いで、塩酸6.72μLを添加した。固体を室温で直ちに沈殿した。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
【0307】
方法5:出発材料(化合物Aの結晶体I)約29.6mgを秤量し、アセトニトリル170μLに溶解して溶液を形成し、次いで、塩酸6.72μLを添加した。固体を室温で直ちに沈殿させた。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
[実施例6.10]
【0308】
化合物Aのメシル酸塩結晶体Iの少量調製
出発材料(化合物Aの結晶体I)約30.2mgを秤量し、酢酸エチル400μLに溶解して溶液を形成し、次いで、メタンスルホン酸5.84μLを添加した。固体を室温で直ちに沈殿した。混合物をさらに30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過によって得られた固体を真空下50℃で一晩乾燥した。
[実施例7]
化合物Aの結晶塩の特性評価
[実施例7.1]
【0309】
化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iの特性評価
化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iを実施例6.3における方法によって調製し、XRPD、PLM、1HNMR、DSC、TGA、およびDVSで特性決定した。特定の結果は以下のとおりである:
【0310】
XRPD分析
図25は、一般的方法1によって得られた化合物Aのマレイン酸塩結晶体IのXRPDデータを示す。回折角2θ
o(
o2θ)±0.2
o2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表7.1に示す。XRPD結果は、マレイン酸塩結晶体Iの結晶化度が良好であることを示した。
【0311】
表7.1:化合物Aのマレイン酸塩結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表39】
【0312】
PLM分析
化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iを一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、マレイン酸塩結晶体Iが、小さな粒径で、凝集した不規則結晶であることを示した。
【0313】
1HNMR分析
化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iの1HNMR分析を、一般的方法3によって行った。1HNMR結果は、試料が化学シフトを有しており、マレイン酸塩が、マレイン酸対遊離塩基のモル比が1:1で形成されることを示した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.64 - 7.55 (m, 2H), 7.48 (dd, J = 8.6, 5.7 Hz, 1H), 7.20 (td, J = 8.5, 2.7 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.57 (s, 2H), 6.24 (s, 2H), 5.77 - 5.56 (m, 1H), 4.45 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.21 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.00 (s, 3H), 1.69 (d, J = 6.2 Hz, 3H).
【0314】
DSCおよびTGA熱分析
化合物Aのマレイン酸塩結晶体IのDSCおよびTGA分析を、一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約205.24℃でピーク温度が208.87℃の狭い融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、175℃より前に約0.44%の重量減少(少量の残留溶媒)を示した。DSCおよびTGA分析は、試料が無水結晶体であることを示した。
【0315】
DVS分析
図26は、一般的方法6によって得られた化合物Aのマレイン酸塩結晶体IのDVS曲線を示す。DVS結果は、湿度が10%RHから80%RHに上昇すると約2.3%の重量増加を示した。
【0316】
図27に示されるように、試料の結晶体は、DVS試験前後で変化しなかった。
[実施例7.2]
【0317】
化合物Aの酢酸塩結晶体Iの特性評価
化合物Aの酢酸塩結晶体Iを、実施例6.4の方法によって調製し、XRPD、PLM、1HNMR、DSC、TGA、およびDVSで特性決定した。特定の結果は以下のとおりである:
【0318】
XRPD分析
図28は、一般的方法1によって得られた化合物Aの酢酸塩結晶体IのXRPDデータを示す。回折角2θ
o(
o2θ)±0.2
o2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを表7.2に示す。XRPD結果は、酢酸塩結晶体Iの結晶化度が良好であることを示した。
【0319】
表7.2:化合物Aの酢酸塩結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表40】
【0320】
PLM分析
化合物Aの酢酸塩結晶体Iを、一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、酢酸塩結晶体Iが小さな粒径の不規則結晶であることを示した。
【0321】
1HNMR分析
化合物Aの酢酸塩結晶体Iの1HNMR分析を、一般的方法3によって行った。1HNMR結果は、試料が化学シフトを有しており、酢酸塩が、酢酸対遊離塩基のモル比が1:1で形成されることを示した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.95 (s, 1H), 7.65 - 7.55 (m, 2H), 7.47 (dd, J = 8.5, 5.7 Hz, 1H), 7.18 (td, J = 8.5, 2.7 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.20 (s, 1H), 5.72 - 5.54 (m, 1H), 4.44 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.20 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.00 (s, 3H), 1.91 (s, 3H), 1.68 (d, J = 6.2 Hz, 3H).
【0322】
DSCおよびTGA熱分析
化合物Aの酢酸塩結晶体IのDSCおよびTGA分析を、一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約227.27℃でピーク温度231.99℃の融解吸熱ピークを示した。
【0323】
TGA結果は、140℃より前に約0.67%の迅速な重量減少(少量の残留溶媒)を示した。
【0324】
DSCおよびTGA分析は、試料が無水結晶体であることを示した。
【0325】
DVS分析
図29は、一般的方法6によって得られた化合物Aの酢酸塩結晶体IのDVS曲線を示す。DVS結果は、湿度が10%RHから80%RHに上昇すると0.01%の重量増加を示した。
【0326】
図30に示されるように、試料の結晶体は、DVS試験前後で変化しなかった。
[実施例7.3]
【0327】
化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体Iの特性評価
化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体Iを、実施例6.5の方法によって調製し、XRPD、PLM、1HNMR、DSC、TGA、およびDVSで特性決定した。特定の結果は以下のとおりである:
【0328】
XRPD分析
図31は、一般的方法1によって得られた化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体IのXRPDデータを示す。回折角2θ
o(
o2θ)±0.2
o2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを、表7.3に示す。XRPD結果は、p-トルエンスルホン酸塩結晶体Iの結晶化度が良好であることを示した。
【0329】
表7.3:化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表41】
【0330】
PLM分析
化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体Iを、一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、p-トルエンスルホン酸塩結晶体Iが小さな粒径の不規則結晶であることを示した。
【0331】
1HNMR分析
化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体Iの1HNMR分析を、一般的方法3によって行った。1HNMR結果は、試料が化学シフトを有しており、p-トルエンスルホン酸塩が、p-トルエンスルホン酸対遊離塩基のモル比が1:1で形成されることを示した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.12 (s, 1H), 7.66 - 7.42 (m, 5H), 7.26 (td, J = 8.5, 2.6 Hz, 1H), 7.20 - 7.05 (m, 2H), 5.86 - 5.72 (m, 1H), 4.48 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 4.27 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.00 (s, 3H), 2.29 (s, 3H), 1.73 (d, J = 6.2 Hz, 3H).
【0332】
DSCおよびTGA熱分析
化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体IのDSCおよびTGA分析を、一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約263.64℃でピーク温度が約269.08℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、試料が220℃より前に約0.60%の穏やかな重量減少(少量の残留溶媒)を示した。DSCおよびTGA分析は、試料が無水結晶体であることを示した。
【0333】
DVS分析
図32は、一般的方法6によって得られた化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体IのDVS曲線を示す。湿度が10%RHから80%RHに上昇すると、DVS結果は、5.1%の重量増加を示した。
【0334】
試料の結晶体はDVS試験前後で変化せず、
図33に示されるように、水和物が形成され得ることが推測された。
[実施例7.4]
【0335】
化合物Aのシュウ酸塩結晶体Iの特性評価
化合物Aのシュウ酸塩結晶体Iを、実施例6.6における方法によって調製し、XRPD、PLM、1HNMR、DSC、およびTGAで特性決定した。特定の結果は以下のとおりである:
【0336】
XRPD分析
図34は、一般的方法1によって得られた化合物Aのシュウ酸塩結晶体IのXRPDデータを示す。回折角2θ
o(
o2θ)±0.2
o2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを、表7.4に示す。XRPD結果は、シュウ酸塩結晶体Iの結晶化度が良好であることを示した。
【0337】
表7.4:化合物Aのシュウ酸塩結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表42】
【0338】
PLM分析
化合物Aのシュウ酸塩結晶体Iを、一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、シュウ酸塩結晶体Iが不規則形状の結晶であることを示した。
【0339】
1HNMR分析
化合物Aのシュウ酸塩結晶体Iの1HNMR分析を、一般的方法3によって行った。1HNMR結果は、試料が5.80ppmの近くのピークの顕著な化学シフトを有し、シュウ酸塩が、シュウ酸対遊離塩基のモル比が1:1で形成されることを示した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.58 (d, J = 1.7 Hz, 2H), 7.48 (dd, J = 8.5, 5.7 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 8.5, 2.6 Hz, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.52 - 6.16 (m, 2H), 5.63 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 4.45 (d, J = 14.4 Hz, 2H), 4.22 (s, 1H), 3.00 (s, 3H), 1.69 (d, J = 6.2 Hz, 3H).
【0340】
DSCおよびTGA熱分析
化合物Aのシュウ酸塩結晶体IのDSCおよびTGA分析を、一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約182.04℃でピーク温度が約209.28℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、130℃より前に約0.86%の重量減少(少量の残留溶媒)を示した。DSCおよびTGA分析は、試料が溶媒和物であることを示した。
[実施例7.5]
【0341】
化合物Aの硫酸塩結晶体Iの特性評価
化合物Aの硫酸塩結晶体Iを、実施例6.7における方法によって調製し、XRPD、PLM、1HNMR、DSC、およびTGAで特性決定した。特定の結果は以下のとおりである:
【0342】
XRPD分析
図35は、一般的方法1によって得られた化合物Aの硫酸塩結晶体IのXRPDデータを示す。回折角2θ
o(
o2θ)±0.2
o2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを、表7.5に示す。XRPD結果は、硫酸塩結晶体Iの結晶化度が良好であることを示した。
【0343】
表7.5:化合物Aの硫酸塩結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表43】
【0344】
PLM分析
化合物Aの硫酸塩結晶体Iを、一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、硫酸塩結晶体Iが不規則形状の結晶であることを示した。
【0345】
1HNMR分析
化合物Aの硫酸塩結晶体Iの1HNMR分析を、一般的方法3によって行った。1HNMR結果は、試料が5.80ppmの近くのピークの顕著な化学シフトを有し、硫酸塩が形成されることを示した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.61 - 7.48 (m, 3H), 7.23 (dd, J = 8.1, 5.9 Hz, 1H), 7.04 (s, 1H), 5.73 (s, 1H), 4.47 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.25 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.00 (s, 3H), 1.72 (d, J = 6.1 Hz, 3H).
【0346】
DSCおよびTGA熱分析
化合物Aの硫酸塩結晶体IのDSCおよびTGA分析を、一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約244.89℃でピーク温度が約250.97℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、90℃より前に約2.95%の重量減少を示し、それは水和物を示した。
[実施例7.6]
【0347】
化合物Aの臭化水素酸塩結晶体Iの特性評価
化合物Aの臭化水素酸塩結晶体Iを実施例6.8における方法によって調製し、XRPD、PLM、1HNMR、DSC、およびTGAで特性決定した。特定の結果は以下のとおりである:
【0348】
XRPD分析
図36は、一般的方法1によって得られた化合物Aの臭化水素酸塩結晶体IのXRPDデータを示す。回折角2θ
o(
o2θ)±0.2
o2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを、表7.6に示す。XRPD結果は、臭化水素酸塩結晶体Iの結晶化度が良好であることを示した。
【0349】
表7.6:化合物Aの臭化水素酸塩結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表44】
【0350】
PLM分析
化合物Aの臭化水素酸塩結晶体Iを、一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、臭化水素酸塩結晶体Iが棒状結晶であることを示した。
【0351】
1HNMR分析
化合物Aの臭化水素酸塩結晶体Iの1HNMR分析を、一般的方法3によって行った。1HNMR結果は、試料が5.80ppmの近くのピークの顕著な化学シフトを有し、臭化水素酸塩が形成されることを示した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.02(br s, 1H), 8.24 - 7.80 (m, 2H), 7.60 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.58 - 7.49 (m, 2H), 7.26 (td, J = 8.6, 2.6 Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 5.78 (q, J = 6.0 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 4.27 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 3.00 (s, 3H), 1.73 (d, J = 6.2 Hz, 3H).
【0352】
DSCおよびTGA熱分析
化合物Aの臭化水素酸塩結晶体IのDSCおよびTGA分析を、一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約232.49℃でピーク温度が約240.87℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、試料が150℃より前に約8.18%の迅速な重量減少(溶媒残留物)を有することを示した。DSCおよびTGA分析は、試料が溶媒和物である可能性があることを示した。
[実施例7.7]
【0353】
化合物Aの塩酸塩結晶体Iの特性評価
実施例6.9による5つの調製方法のすべてによって化合物Aの塩酸塩結晶体Iを得て、方法1によって得られた試料を、XRPD、PLM、1HNMR、DSC、TGA、およびDVSで特性決定した。特定の結果は以下のとおりである:
【0354】
XRPD分析
図37は、一般的方法1によって得られた化合物Aの塩酸塩結晶体IのXRPDデータを示す。回折角2θ
o(
o2θ)±0.2
o2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを、表7.7に示す。XRPD結果は、塩酸塩結晶体Iの結晶化度が良好であることを示した。
【0355】
表7.7:化合物Aの塩酸塩結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表45】
【0356】
PLM分析
化合物Aの塩酸塩結晶体Iを、一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、塩酸塩結晶体Iが、サイズが大きい棒状結晶であることを示した。
【0357】
1HNMR分析
化合物Aの塩酸塩結晶体Iの1HNMR分析を、一般的方法3によって行った。1HNMR結果は、6.80ppmの近くの試料の水素が約0.12ppmの化学シフトを有することを示し、塩酸塩は塩酸および遊離塩基で形成されることを示した。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.24 - 7.85 (m, 3H), 7.62 (s, 1H), 7.54 (ddd, J = 14.3, 9.3, 4.2 Hz, 1H), 7.25 (td, J = 8.5, 2.6 Hz, 1H), 7.11 (s, 1H), 5.76 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.47 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 4.27 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.00 (s, 3H), 1.73 (d, J = 6.2 Hz, 3H).
【0358】
DSCおよびTGA熱分析
収集された化合物Aの塩酸塩結晶体IのDSCおよびTGA分析を、一般的方法4および5によって行った。DSC結果は、開始温度が約207.44℃でピーク温度が約221.36℃の融解吸熱ピークを示した。TGA結果は、少量の残留溶媒による125℃より前に約1.67%の重量減少および125℃から230℃で約3.84%の重量減少を示した。DSCおよびTGA分析は、試料が溶媒和物である可能性があることを示した。
【0359】
DVS分析
図38は、一般的方法6によって得られた化合物Aの塩酸塩結晶体IのDVS曲線を示す。湿度が10%RHから80%RHに上昇すると、DVS結果は、3.5%の重量増加を示した。
【0360】
試料の結晶体はDVS試験前後で変化し、
図39に示されるように、水和物が形成され得ることが推測された。
[実施例7.8]
【0361】
化合物Aのメシル酸塩結晶体Iの特性評価
化合物Aのメシル酸塩結晶体Iを実施例6.10における方法によって調製し、XRPD、PLMおよび1HNMRで特性決定した。特定の結果は以下のとおりである:
【0362】
XRPD分析
図40は、一般的方法1によって得られた化合物Aのメシル酸塩結晶体IのXRPDデータを示す。回折角2θ
o(
o2θ)±0.2
o2θでのXRPDピークおよびその相対強度のリストを、表7.8に示す。XRPD結果は、メシル酸塩結晶体Iの結晶化度が劣っていることを示した。
【0363】
表7.8:化合物Aのメシル酸塩結晶体IのXRPDピークリスト(2θ°)
【表46】
【0364】
PLM分析
化合物Aのメシル酸塩結晶体Iは、一般的方法2によるPLM分析に供した。PLM結果は、メシル酸塩結晶体Iが不規則形状の結晶であることを示した。
【0365】
1HNMR分析
化合物Aのメシル酸塩結晶体Iの1HNMR分析を、一般的方法3によって行った。1HNMR結果は、5.80ppmの近くの試料の水素が顕著な化学シフトを有することを示し、メシル酸塩が、メチルスルホン酸対遊離塩基のモル比が1:1で形成されることを示した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.17(br s, 1H), 7.61(d, J=4.0 Hz, 1H), 7.54 (ddd, J = 10.0, 8.6, 4.2 Hz, 2H), 7.26 (td, J = 8.5, 2.6 Hz, 1H), 7.14(s, 1H), 5.89 - 5.65 (m, 1H), 4.48 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 4.28 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 3.00(s, 3H), 2.33(s, 3H), 1.73 (d, J = 6.2 Hz, 3H).
[実施例8]
【0366】
化合物Aの遊離塩基および結晶塩の加速安定性調査
化合物Aの結晶体I、化合物Aのマレイン酸塩結晶体I、化合物Aの酢酸塩結晶体I、および化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体Iの一定量を、安定性試験室に40℃/75%RHおよび60℃で7日間それぞれ入れた。結晶を異なる時間点でHPLCおよびXRPDについて試験した。
【0367】
結果は、化合物Aの結晶体I、化合物Aのマレイン酸塩結晶体I、化合物Aの酢酸塩結晶体I、および化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩結晶体Iの結晶体および純度が、40℃/75%RHおよび60℃で7日間維持した後に変化しないことを示し、
図41~44に示されるように、良好な安定性を示した。特定の結果を表8に列挙する。
【0368】
表8 化合物Aの遊離塩基および結晶塩の加速安定性調査の結果
【表47】
[実施例9]
【0369】
異なるビヒクル中の化合物Aの遊離塩基および結晶塩の溶解度調査
水、SGF(模擬胃液)、FaSSIF(絶食状態の模擬腸液)、およびFeSSIF(摂食状態の模擬腸液)中での化合物Aの結晶体I、化合物Aのマレイン酸塩結晶体I、および化合物Aの酢酸塩結晶体Iの溶解性および安定性を調査した。特定の結果を表9に列挙する。
【0370】
表9 異なるビヒクル中の化合物Aの遊離塩基および結晶塩の溶解度
【表48】
【0371】
結果は、化合物Aの結晶体IがSGFの生物学的ビヒクル中で良好な溶解度(>5mg/mL)を有し、水、FaSSIF、およびFeSSIFの生物学的ビヒクル中で低い溶解度(3mg/mL)を有することを示した。化合物Aの結晶体Iの結晶体は、水中で変化しなかった。化合物Aの結晶体Iの結晶化度は、
図45に示されるようにFaSSIFおよびFeSSIFの生物学的ビヒクルにおいてほぼ非晶質に減少し、化合物Aの結晶体Iは、FaSSIFおよびFeSSIFの生物学的ビヒクルにおいて時間とともに固体として沈殿せず、常に溶解したままであることを示した。
【0372】
化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iは、水およびSGFの生物学的ビヒクル中で良好な溶解度(>5mg/mL)を有し、FaSSIFおよびFeSSIFの生物学的ビヒクル中で低い溶解度(<3mg/mL)を有した。化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iの結晶体は、水中で変化しなかった。化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iの結晶化度は、
図46に示されるように24時間後にFaSSIFおよびFeSSIFにおいてほぼ非晶質に減少し、化合物Aのマレイン酸塩結晶体Iは、FaSSIFおよびFeSSIFの生物学的ビヒクルにおいて時間とともに固体として沈殿せず、常に溶解したままであることを示した。
【0373】
化合物Aの酢酸塩結晶体Iは、SGFの生物学的ビヒクル中で良好な溶解度(>5mg/mL)を有し、水、FaSSIFおよびFeSSIFの生物学的ビヒクル中で低い溶解度(<3mg/mL)を有した。化合物Aの酢酸塩結晶体Iの結晶化度は、
図47に示されるようにFaSSIFおよびFeSSIFにおいてほぼ非晶質に減少し、化合物Aの酢酸塩結晶体Iは、FaSSIFおよびFeSSIFの生物学的ビヒクルにおいて時間とともに固体として沈殿せず、常に溶解したままであることを示した。
【0374】
水中の化合物Aのマレイン酸塩および酢酸塩の溶解度は、遊離塩基と比較して、0.2mg/mL未満から0.8mg/mLを超えて(マレイン酸塩について6mg/mLを超えて)著しく増加し、生物学的に適切な媒体FaSSIFでは、マレイン酸塩溶解度は、遊離塩基と比較して著しく増加した。
[実施例10]
【0375】
化合物Aの単結晶X線構造および絶対立体化学
穏やかな揮発方法を使用して、室温で化合物Aの単結晶を形成する試みをした。実験は、アセトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、およびエタノール中に化合物Aの結晶体Iの約100mgを溶解することによって、1.5mLバイアル(一般に使用される液相分析バイアル)中でそれぞれ行った。上記透明な溶液に、溶液がわずかに濁るまで、アンチ溶媒としてn-ヘプタンを添加した。溶液が再び透明になるまで、溶媒1~2滴を添加し、温度を上昇させた。キャップを緩め、バイアルを放置し室温でゆっくり揮発させた。一日後に、酢酸エチルおよびn-ヘプタンの溶媒混合物中で単結晶を得た。
【0376】
単結晶構造データの収集および分析を、北京大学の結晶学研究所で行った。CuターゲットKαスペクトル線(λ=1.54178Å)を使用し、180KでAgilentのSuperNova XRD回折システムを使用して、試料の単結晶回折データを得た。データ変更および吸収補正を、CrysAlisProプログラムを使用して行い、SHELXTプログラムを使用して、デュアル線形空間アルゴリズムによって構造を決定した。非水素原子は異なるフーリエグラフに位置し得、水素原子をそれらの親原子に幾何学的に充填した。最終構造の精密化を、SHELXLプログラムを使用するF2フルマトリックス最小二乗法に基づいて行った。
【0377】
化合物Aの精密化した単結晶構造を、
図48に示す。解像度により得られた結晶構造のパラメーターを表10に列挙する。単結晶は塊状の結晶で、C
21H
16D
3FN
6O
2の構造式を有し、単斜晶系P2
1空間群に属する。
【0378】
単結晶試料を、XRPDに関して試験し、
図49に示されるような計算値と比較しした。XRPDにおけるすべての特徴的ピークは、シミュレーション値に相当することができ、化合物Aの結晶体IのXRPDと一致し、それが化合物Aの結晶体Iの単結晶であることを示した。
【0379】
表10 化合物Aの結晶構造パラメーター
【表49】
[実施例11]
【0380】
化合物Aの結晶体Iの代表的錠剤配合
経口フィルムコーティング錠剤を、用量5mgおよび25mgで粉体直接錠剤化工程を使用して調製した。錠剤の組成を表11-1に示す。
【0381】
表11-1 単位用量中の錠剤製品の組成
【表50】
【0382】
注釈:*精製水1を造粒工程において湿潤剤として使用し、乾燥工程において除去した。精製水1は材料の計算においてカウントしなかった。精製水の一般的な用量は35重量%であった。しかし、実際の用量は、湿式造粒の実際の状態に従って調節され得る。
【0383】
**Opadry II 85F620077の成分は、二酸化チタン、ポリビニルアルコール、滑石粉末、ポリエチレングリコール、および酸化鉄イエローである。
【0384】
***精製水2をコーティング液の調製の間に溶媒として使用し、コーティング工程の間に除去した。精製水2は材料の計算においてカウントしなかった。
【0385】
この製品の5mgおよび25mgの仕様の錠剤を、混合材料の合計の同じバッチを使用し、次いで、錠剤の異なる仕様にプレスすることによって等しい割合でそれぞれ製剤化した。代表的なものとして全体で製造された5mg仕様の20,000個の錠剤および25mg仕様の30,000個の錠剤のバッチを取り上げて、バッチの配合情報を以下の表11-2に示す。
【0386】
表11-2 5mg/25mg仕様のGMPバッチの配合情報
【表51】
【0387】
注釈:*精製水1を造粒工程において湿潤剤として使用し、乾燥工程において除去した。精製水1は材料の計算においてカウントしなかった。精製水の一般的な用量は35重量%であった。しかし、実際の用量は、湿式造粒の実際の状態に従って調節され得る。
【0388】
**Opadry II 85F620077の成分は、二酸化チタン、ポリビニルアルコール、滑石粉末、ポリエチレングリコール、および酸化鉄イエローである。
【0389】
***精製水2をコーティング液の調製の間に溶媒として使用し、コーティング工程の間に除去した。精製水2は材料の計算においてカウントしなかった。
【0390】
錠剤を以下のように調製した:
1.秤量
API化合物Aの結晶体Iおよび添加剤を配合量に従って秤量した。
【0391】
2.ふるい分け
化合物Aの結晶体Iを、120メッシュふるいに通した(APIを装填したLDPEバッグを、マンニトール50Cの総量の約1/4で洗浄し、洗浄液を同じ120メッシュふるいに通した)。マンニトール50Cの残量を、60メッシュふるいに通し、ステアリン酸マグネシウムを60メッシュふるいに通した。
【0392】
3.湿式造粒
混合:微結晶セルロース102、化合物Aの結晶体I、マンニトール50C、クロスカルメロースナトリウム、およびヒドロキシプロピルセルロースEXFを、湿式造粒ポットに添加し、撹拌パドル速度250rpm、剪断速度400rpm、および混合時間10分で予混合した。
【0393】
液体噴霧:混合を完了した後、撹拌パドル速度を200rpmに設定し、剪断速度を1000rpmに設定し、蠕動ポンプ回転速度を241.7rpmに設定した。精製水の配合量を約3分間、湿式造粒機の材料ポットに噴霧した。
【0394】
造粒:液体噴霧を完了した後、造粒を、撹拌パドル速度200rpmおよび剪断速度1000rpmで2分間行った。
【0395】
湿式仕上げ:造粒材料を、速度1500rpmおよびメッシュサイズ6×6mmで仕上げ機において仕上げた。
【0396】
乾燥:流動床を、流入空気温度50~70℃、流入空気容量35~120m3/h、フィルターバッグ振盪期間0.5秒、および振盪バッグ間隔3~5秒で設定した。湿式粒子を予熱し、次いで<2%w/wの材料水分まで乾燥した。
【0397】
乾燥仕上げ:乾燥物を、速度1500rpmおよびメッシュサイズ1.0mmで、仕上げ機で仕上げた。
【0398】
4.全体の混合
乾燥し、仕上げた材料をホッパーミキサーに添加した。ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合速度20rpmおよび混合期間5分で完全に混合した。試料を取り、全体の混合均一性について試験した。
【0399】
5.錠剤化
錠剤5mg用のパンチは、6mmディンプル円形パンチであり、錠剤25mg用のパンチは、10.0mmディンプル円形パンチであった。装置を試運転した後、正式な製造を行った。錠剤の重量、硬度、および破砕性を、錠剤が以下の基準に適合するようにオンライン監視した:
【0400】
表11-3 化合物Aの結晶体Iの錠剤の調製工程用の打錠基準
【表52】
【0401】
6.コーティング
12%Opadryコーティング液を、精製水で新たに調製した。
【0402】
予熱:流入空気温度を50~60℃に設定し、コーティングパンを回転速度2rpmで予熱した。
【0403】
液体噴霧:コーティングパンを排出空気温度42℃に予熱した場合、スプレーコーティングを行った。
【0404】
装置のパラメーター:流入空気温度を50~70℃に設定し、ポット速度を5~12rpmに設定し、流入空気容量を300±100m3/hに設定した。ポンプ流量を8ml/min~80ml/minに設定し、噴霧圧力を1.5±1バールに設定し、噴霧角度制御圧力を、5mg仕様の錠剤について1±0.5バールおよび25mg仕様の錠剤について2.5±1バールに設定した。コーティングパラメーターおよびコーティング重量増加を監視した。コーティング重量増加が3.0±0.5%の目標範囲に達した場合、噴霧を停止した。
【0405】
乾燥:加熱を停止した。コーティングパンの回転速度を5rpmに調節し、流入空気容量を200~500m3/hに調節した。製品を5分間の乾燥後に排出した。
【0406】
7.包装
5mg錠剤および錠剤25mg用包装材料は、それぞれ、経口固形薬剤用の45mLおよび75mL高密度ポリエチレンボトルであった。30個の錠剤を各ボトルに入れた。
【0407】
8.ラベル貼付
ボトルラベルを、ボトル当たり1枚のラベルで製品ボトルに貼りつけた。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが少なくとも以下の°2θ:16.175±0.2、17.299±0.2および21.218±0.2に位置する特徴的なピークを含むことを特徴とする、式(A):
【化1】
(A)
の化合物の結晶体I。
【請求項2】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:9.637±0.2、12.555±0.2、14.343±0.2および19.366±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする;あるいは
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の特徴的なピーク:
【表1】
を有することを特徴とする、
請求項1に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項3】
CuK
α線を使用して得られるそのX線粉末回折パターンが以下の°2θ:7.435±0.2、10.11±0.2、11.808±0.2、14.922±0.2、18.359±0.2、19.859±0.2、23.401±0.2、23.939±0.2、25.117±0.2、25.727±0.2、26.831±0.2および28.862±0.2に位置する特徴的なピークをさらに含むことを特徴とする;あるいは
実質的に
図1に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、
請求項2に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項4】
示差走査熱量測定分析において232±2℃での吸熱ピークを有することをさらに特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項5】
熱重量分析において150℃の前に実質的に重量減少を有しないことをさらに特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項6】
以下のパラメーター:
【表2】
を有することを特徴とする、式(A):
(A)
の化合物の結晶体I。
【請求項7】
以下のcm
-1:829±2、878±2、1069±2、1252±2、1344±2、1368±2、1395±2、1420±2、1433±2、1491±2、1499±2、1616±2、1645±2、2228±2、2934±2、2980±2、3111±2、3184±2、3308±2、3383±2および3474±2において赤外吸収スペクトルの吸収ピークを有することを特徴とする;あるいは
実質的に
図14に示される赤外吸収スペクトルを有することを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項8】
以下のnm:206±2および317±2においてUVスペクトルの吸収ピークを有することをさらに特徴とする;あるいは
実質的に
図15に示されるUVスペクトルを有することをさらに特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体I。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の結晶体および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
以下の成分:
(i)請求項1~8のいずれか一項に記載の結晶体、
(ii)希釈剤、
(iii)崩壊剤、
(iv)結合剤、および
(v)滑沢剤
を含む医薬組成物。
【請求項11】
結晶体が、化合物の遊離塩基の重量に基づいて、医薬組成物の総重量の1~30重量%、あるいは2~20重量%、あるいは3~15重量%、さらに、あるいは約4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%または10重量%を占め、あるいは単位用量中の結晶体の量が1~100mg、あるいは2~50mg、あるいは3~40mg、あるいは約5、10、15、20、25、30、35または40mgである;
および/または、希釈剤が医薬組成物の総重量の65~95重量%、あるいは70~90重量%、あるいは約80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%または90重量%を占め、あるいは単位用量中の希釈剤の量が50~380mg、あるいは60~360mg、あるいは70~350mg、例えば、約70mgまたは350mgである;
および/または、崩壊剤が医薬組成物の総重量の1~5重量%、あるいは2~4重量%、あるいは約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%または4重量%を占め、あるいは単位用量中の崩壊剤の量が1~20mg、あるいは2~16mg、あるいは約2、2.5、3、6、9または12mgである;
および/または、結合剤が医薬組成物の総重量の1~5重量%、あるいは2~4重量%、あるいは約2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%または4重量%を占め、あるいは単位用量中の結合剤の量が1~20mg、あるいは2~16mg、あるいは約2、2.5、3、6、9または12mgである;
および/または、滑沢剤が医薬組成物の総重量の0.1~5重量%、あるいは0.5~2重量%、あるいは約1重量%を占め、あるいは単位用量中の滑沢剤の量が0.1~20mg、あるいは0.5~8mg、あるいは約0.5、1、2、3、4、5、6、7または8mgである、
請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
希釈剤が微結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、およびマンニトール、例えば、微結晶セルロース102、マンニトール100SD、およびマンニトール50C、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、あるいは微結晶セルロース102およびマンニトール50Cの両方が存在する場合、微結晶セルロース102対マンニトール50Cの重量比が5:1~1:5、あるいは3:1~1:2、あるいは約2:1である;
および/または、崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドンXL-10、あるいはクロスカルメロースナトリウムである;
および/または、結合剤がヒドロキシプロピルセルロースEXFまたはポビドンK30、あるいはヒドロキシプロピルセルロースEXFである;
および/または、滑沢剤がステアリン酸マグネシウムまたはステアリルフマル酸ナトリウムPRUV、あるいはステアリン酸マグネシウムである、
請求項10または11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
以下の成分:
(i)1~30重量%の化合物A結晶体I、
(ii)65~95重量%の微結晶セルロース102およびマンニトール50C(重量で2:1)、
(iii)2~4重量%のクロスカルメロースナトリウム、
(iv)2~4重量%のヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)0.1~5重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む;あるいは
単位用量が以下の成分:
(i)約5mgの化合物A結晶体I、
(ii)約45mgの微結晶セルロース102および約25mgのマンニトール50C、
(iii)約2.5mgのクロスカルメロースナトリウム、
(iv)約2.5mgのヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)約1mgのステアリン酸マグネシウム
を含む;あるいは
単位用量が以下の成分:
(i)約25mgの化合物A結晶体I、
(ii)約230mgの乳糖一水和物および約120mgの微結晶セルロース、
(iii)約12mgのクロスカルメロースナトリウム、
(iv)約12mgのヒドロキシプロピルセルロースEXF、ならびに
(v)約4mgのステアリン酸マグネシウム
を含む、
請求項10~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
錠剤、あるいはコーティングされた錠剤であり、あるいはコーティング剤がOpadry II 85F620077である、請求項10~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ALKおよびROS1キナーゼならびにそれらの突然変異体によって媒介される疾患を処置および/または防止するための;あるいは
細胞増殖性疾患、炎症、感染、免疫疾患、臓器移植、ウイルス性疾患、心血管疾患または代謝性疾患、例えば、非小細胞肺がん、肺がん、頭頸部がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、直腸がん、結腸がん、鼻咽頭がん、子宮がん、膵がん、リンパ腫、血液がん、骨肉腫、黒色腫、腎臓がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がん、甲状腺がん、大腸がん、リウマチ様関節炎、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風、喘息、気管支炎、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、または嚢胞性線維症の処置および/または防止に使用するための、
請求項1~8のいずれか一項に記載の式(A)の化合物の結晶体を含む、医薬組成物。
【国際調査報告】