(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】本態性原発性高血圧症の診断及び治療のための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20230630BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230630BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20230630BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
G01N33/68
A61K31/519
A61K31/198
A61P9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022572504
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2021063677
(87)【国際公開番号】W WO2021239623
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503285519
【氏名又は名称】ユニベルシテイト マーストリヒト
(71)【出願人】
【識別番号】517079054
【氏名又は名称】アカデミシュ ジーケンハウス マーストリヒト
【氏名又は名称原語表記】ACADEMISCH ZIEKENHUIS MAASTRICHT
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ハラルド ホルスト ハインツ ヴィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】エルバトリック マハムド ハッサン マハムド
(72)【発明者】
【氏名】ムケ ヘルマン アロイス マルティン
【テーマコード(参考)】
2G045
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045AA29
2G045BB03
2G045CA26
2G045DA20
2G045FB01
2G045FB03
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
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4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA42
4C206ZC20
4C206ZC51
(57)【要約】
本発明は、内科疾患の分子診断及びそれらの治療の分野に属する。より具体的には、本発明は、高血圧症、より具体的には本態性原発性高血圧症、より一層具体的には、NOX5依存性高血圧症を検出するための方法及び手段を提供する。本発明はまた、高血圧症、具体的には本態性原発性高血圧症、より具体的にはNOX5依存性高血圧症の治療のための方法を提供する。本発明はまた、療法を診断と組み合わせた、より具体的には、対象からの試料中でNOX5のレベルが決定され、NOX5レベルがある特定の閾値を上回る場合、NOX5阻害剤又はNOX5のレベルを低下させる化合物で対象が治療される、セラグノスティクスを提供する。さらに、本発明はまた、診断を療法と組み合わせた、より具体的には、対象からの試料中でNOX5の(血漿中)レベルが決定され、決定されたNOX5レベルが所定の閾値レベルを超えたとき、対象においてNOX5阻害剤又はNOX5活性の結果を逆転させる化合物で対象が治療される、セラグノスティクスを提供する。最後に、本発明は、NOX5依存性高血圧症に対する診断方法及び治療的処置を開発するのに適切な、動物モデルに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本態性動脈性高血圧症に罹患している対象から得られた血漿試料中において、1ml当たり少なくとも160pgのニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH,nicotinamide adenine dinucleotide phosphate)オキシダーゼ5(NOX5,NAPDH oxidase 5)濃度の存在について試験することによる、前記対象におけるNOX5依存性高血圧症の診断方法。
【請求項2】
対象からの体液試料中又は組織試料中においてNOX5のレベルを決定するステップを含む、前記対象におけるNOX5依存性高血圧症の診断方法であって、NOX5のレベルが1ml当たり160pgを上回る場合、前記対象がNOX5依存性高血圧症を有すると結論づけられる、前記診断方法。
【請求項3】
体液試料又は組織試料が血漿試料である、請求項2に記載の診断方法。
【請求項4】
(a)血漿試料から内皮マイクロパーティクルを単離するステップと、
(b)タンパク質検出アッセイを使用してステップ(a)の前記内皮マイクロパーティクル中のNOX5を測定し、前記血漿試料中のNOX5の濃度を血漿試料1ml当たりのNOX5のpgとして決定するステップと
を含む、請求項1又は3に記載の診断方法であって、ステップ(b)で決定されたNOX5の前記濃度が前記血漿試料1ml当たり少なくともNOX5 160pgである場合、対象がNOX5依存性高血圧症を罹患していると診断される、前記診断方法。
【請求項5】
本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とする、前記化合物。
【請求項6】
本態性動脈性高血圧症がNOX5依存性高血圧症である、請求項5に記載の使用のための化合物。
【請求項7】
治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物。
【請求項8】
対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有する、請求項7に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物。
【請求項10】
対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有する、請求項9に記載の使用のための化合物。
【請求項11】
セピアプテリンである、請求項5~10のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項12】
対象が、毎分20~200mgのアルブミン排泄速度として定義される中等度に上昇したアルブミン尿を有する、請求項5~11のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項13】
請求項1~4のいずれかに記載の方法によって対象がNOX5依存性高血圧症に罹患していると診断される、請求項5~12のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項14】
対象が少なくとも53歳である、請求項5~11及び13のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項15】
対象が少なくとも57歳である、請求項5~12のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項16】
対象が、健常対象の群の非対称型ジメチルアルギニンの平均血漿中濃度と比較してより高い非対称型ジメチルアルギニンの血漿中濃度を有する、請求項5~15のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項17】
対象が、1リットル当たり少なくとも0.53マイクロモル、好ましくは1リットル当たり少なくとも0.58マイクロモル、より好ましくは1リットル当たり少なくとも0.63マイクロモルの非対称型ジメチルアルギニンの血漿中濃度を有する、請求項5~16のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項18】
対象が、少なくとも140mmHgの収縮期血圧として定義される高血圧症、少なくとも90mmHgの拡張期血圧として定義される高血圧症、又は降圧薬の使用として定義される高血圧症に罹患している、請求項1~4のいずれかに記載の方法又は請求項5~17のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項19】
対象が、アンギナ、心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管疾患、炎症性疾患及び血管炎に罹りやすいいずれかの疾患のいずれかの病歴又は臨床的証拠を有しておらず、かつ、ステージ4又はステージ5の慢性腎臓病を有していない、請求項1~4及び18のいずれかに記載の方法又は請求項5~18のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項20】
対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び診断薬を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用。
【請求項21】
マウスが少なくとも68週齢である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
マウスが129/SVマウスである、請求項20又は21に記載の使用。
【請求項23】
マウスが、80% 129/SVを含む遺伝的背景を有する、請求項20又は21に記載の使用。
【請求項24】
マウスが、80% 129/SV及び20% C57BI6からなる遺伝的背景を有する、請求項20又は21に記載の使用。
【請求項25】
ノックインヒトNox5遺伝子が、プロモーターtie 2によって制御される、請求項20~24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
ヒトNOX5が、マウスの内皮細胞及び白血球において発現している、請求項20~25のいずれかに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内科疾患の分子診断及びそれらの治療の分野に属する。より具体的には、本発明は、高血圧症、より具体的には本態性原発性高血圧症、より一層具体的には、NOX5依存性高血圧症を検出するための方法及び手段を提供する。本発明はまた、高血圧症、具体的には本態性原発性高血圧症、より具体的にはNOX5依存性高血圧症の治療のための方法を提供する。本発明はまた、療法を診断と組み合わせた、より具体的には、対象からの試料中でNOX5のレベルが決定され、NOX5レベルがある特定の閾値を上回る場合、NOX5阻害剤又はNOX5のレベルを低下させる化合物で対象が治療される、セラグノスティクスを提供する。さらに、本発明はまた、診断を療法と組み合わせた、より具体的には、対象からの試料中でNOX5の(血漿中)レベルが決定され、決定されたNOX5レベルが所定の閾値レベルを超えたとき、対象においてNOX5阻害剤又はNOX5活性の結果を逆転させる化合物で対象が治療される、セラグノスティクスを提供する。最後に、本発明は、NOX5依存性高血圧症に対する診断方法及び治療的処置を開発するのに適切な、動物モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧症は、心筋梗塞、脳卒中及び他の慢性状態並びに死のリスク因子として医学的に大きな関連性がある(Olsen MH, Angell SY, Asma S, Boutouyrie P, Burger D, Chirinos JA, et al. A call to action and a lifecourse strategy to address the global burden of raised blood pressure on current and future generations: the Lancet Commission on hypertension. Lancet. 2016;388(10060):2665-712. Epub 2016/09/28. doi: 10.1016/S0140-6736(16)31134-5. PubMed PMID: 27671667)。二次性高血圧症(腎動脈狭窄、副腎腺腫、褐色細胞腫及び腎トランスポーターに影響する数多くのシグナル遺伝子変異に起因する(Oparil S, Acelajado MC, Bakris GL, Berlowitz DR, Cifkova R, Dominiczak AF, et al. Hypertension. Nat Rev Dis Primers. 2018;4:18014. Epub 2018/03/23. doi: 10.1038/nrdp.2018.14. PubMed PMID: 29565029; PubMed Central PMCID: PMCPMC6477925))を有する患者の5%を例外として、全症例の残りの95%において、高血圧症の原因は不明である。これらの、いわゆる「本態性原発性高血圧症」の症例では、治療は対症的な血管拡張性薬物療法及び生活習慣の管理に焦点を置く必要がある。治療抵抗性高血圧症においては、対症的な降圧療法でさえ無効な場合があるが、治療必要数は多く、たくさんの患者が脳卒中及び心筋梗塞などの有害事象を今もなお経験している(Ogden LG, He J, Lydick E, Whelton PK. Long-term absolute benefit of lowering blood pressure in hypertensive patients according to the JNC VI risk stratification. Hypertension. 2000;35(2):539-43. Epub 2000/02/19. doi: 10.1161/01.hyp.35.2.539. PubMed PMID: 10679494)。
【0003】
数十年間提案されてきた高血圧症の1つの分子機序は、酸化ストレス、すなわち、反応性酸素種(ROS,reactive oxygen species)の非生理学的生成であり、反応性酸素種は、血管中で、内皮由来弛緩因子である一酸化窒素(NO)による血管拡張に干渉する(Gryglewski RJ, Palmer RM, Moncada S. Superoxide anion is involved in the breakdown of endothelium-derived vascular relaxing factor. Nature. 1986;320(6061):454-6. Epub 1986/04/03. doi: 10.1038/320454a0. PubMed PMID: 3007998)。しかしながら、この仮説を立証する、又は機序ベース若しくはさらに治癒的でさえある臨床療法のためにこれを利用するための、高血圧症に関連したROSの細胞供給源は、これまでに特定されていない。
【0004】
高血圧症リスク遺伝子を探索する近年のゲノムワイド関連研究(GWAS,genome-wide association study)(Kraja AT, Cook JP, Warren HR, Surendran P, Liu C, Evangelou E, et al. New Blood Pressure-Associated Loci Identified in Meta-Analyses of 475 000 Individuals. Circ Cardiovasc Genet. 2017;10(5). Epub 2017/10/17. doi: 10.1161/CIRCGENETICS.117.001778. PubMed PMID: 29030403; PubMed Central PMCID: PMCPMC5776077)は、ROS形成に特化した唯一の知られている酵素ファミリーである、NADPHオキシダーゼ(NOX,NADPH oxidase)、特に、遺伝子Nox4及びNox5を指摘している。これは前臨床研究と合致しており、該前臨床研究では、高血圧促進剤を動物に注入しない条件において、高血圧症の惹起という点で他の血管NOXアイソフォーム、すなわち、NOX1及びNOX2を除外している(Yogi A, Mercure C, Touyz J, Callera GE, Montezano AC, Aranha AB, et al. Renal redox-sensitive signaling, but not blood pressure, is attenuated by Nox1 knockout in angiotensin II-dependent chronic hypertension. Hypertension. 2008;51(2):500-6. Epub 2008/01/16. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.107.103192. PubMed PMID: 18195161、Murdoch CE, Alom-Ruiz SP, Wang M, Zhang M, Walker S, Yu B, et al. Role of endothelial Nox2 NADPH oxidase in angiotensin II-induced hypertension and vasomotor dysfunction. Basic Res Cardiol. 2011;106(4):527-38. Epub 2011/04/30. doi: 10.1007/s00395-011-0179-7. PubMed PMID: 21528437; PubMed Central PMCID: PMCPMC3105229、Sag CM, Schnelle M, Zhang J, Murdoch CE, Kossmann S, Protti A, et al. Distinct Regulatory Effects of Myeloid Cell and Endothelial Cell NAPDH Oxidase 2 on Blood Pressure. Circulation. 2017;135(22):2163-77. Epub 2017/03/17. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.116.023877. PubMed PMID: 28298457; PubMed Central PMCID: PMCPMC5444427)。NOX4については、このアイソフォームは広く発現しているが、血圧又は高血圧症とは無関係に思われ(Kleinschnitz C, Grund H, Wingler K, Armitage ME, Jones E, Mittal M, et al. Post-stroke inhibition of induced NADPH oxidase type 4 prevents oxidative stress and neurodegeneration. PLoS biology. 2010;8(9). Epub 2010/09/30. doi: 10.1371/journal.pbio.1000479. PubMed PMID: 20877715)、むしろ血管保護的である(Ray R, Murdoch CE, Wang M, Santos CX, Zhang M, Alom-Ruiz S, et al. Endothelial Nox4 NADPH oxidase enhances vasodilatation and reduces blood pressure in vivo. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011;31(6):1368-76. Epub 2011/03/19. doi: 10.1161/ATVBAHA.110.219238. PubMed PMID: 21415386)。NOX5については、この酵素はヒト血管の血管内皮細胞中で生理学的に発現し、糖尿病性腎症と関連している可能性がある(Holterman CE, Thibodeau JF, Towaij C, Gutsol A, Montezano AC, Parks RJ, et al. Nephropathy and elevated BP in mice with podocyte-specific NADPH oxidase 5 expression. J Am Soc Nephrol. 2014;25(4):784-97. doi: 10.1681/ASN.2013040371. PubMed PMID: 24262797; PubMed Central PMCID: PMCPMC3968494、Jha JC, Banal C, Okabe J, Gray SP, Hettige T, Chow BSM, et al. NADPH Oxidase Nox5 Accelerates Renal Injury in Diabetic Nephropathy. Diabetes. 2017;66(10):2691-703. Epub 2017/07/28. doi: 10.2337/db16-1585. PubMed PMID: 28747378、Jha JC, Dai A, Holterman CE, Cooper ME, Touyz RM, Kennedy CR, et al. Endothelial or vascular smooth muscle cell-specific expression of human NOX5 exacerbates renal inflammation, fibrosis and albuminuria in the Akita mouse. Diabetologia. 2019;62(9):1712-26. Epub 2019/06/22. doi: 10.1007/s00125-019-4924-z. PubMed PMID: 31222503)。しかし、血管平滑筋細胞でヒトNOX5を発現しているマウスは正常血圧である(Montezano AC, De Lucca Camargo L, Persson P, Rios FJ, Harvey AP, Anagnostopoulou A, et al. NADPH Oxidase 5 Is a Pro-Contractile Nox Isoform and a Point of Cross-Talk for Calcium and Redox Signaling-Implications in Vascular Function. J Am Heart Assoc. 2018;7(12). Epub 2018/06/17. doi: 10.1161/JAHA.118.009388. PubMed PMID: 29907654; PubMed Central PMCID: PMCPMC6220544)。このように、高血圧症におけるNOX5の役割は未だに不明瞭なままである。
【0005】
単一の標的から視点を移し、ネットワーク医学(Barabasi AL, Gulbahce N, Loscalzo J. Network medicine: a network-based approach to human disease. Nat Rev Genet. 2011;12(1):56-68. Epub 2010/12/18. doi: 10.1038/nrg2918. PubMed PMID: 21164525; PubMed Central PMCID: PMCPMC3140052)によれば、大半の、特に複雑な疾患において、単一のタンパク質ではなくタンパク質モジュール、すなわち、インタラクトームの部分グラフが実際に関係していると予測されている(Alcaraz N, List M, Batra R, Vandin F, Ditzel HJ, Baumbach J. De novo pathway-based biomarker identification. Nucleic Acids Res. 2017;45(16):e151. Epub 2017/09/22. doi: 10.1093/nar/gkx642. PubMed PMID: 28934488; PubMed Central PMCID: PMCPMC5766193、Batra R, Alcaraz N, Gitzhofer K, Pauling J, Ditzel HJ, Hellmuth M, et al. On the performance of de novo pathway enrichment. NPJ Syst Biol Appl. 2017;3:6. Epub 2017/06/27. doi: 10.1038/s41540-017-0007-2. PubMed PMID: 28649433; PubMed Central PMCID: PMCPMC5445589、Menche J, Sharma A, Kitsak M, Ghiassian SD, Vidal M, Loscalzo J, et al. Disease networks. Uncovering disease-disease relationships through the incomplete interactome. Science. 2015;347(6224):1257601. Epub 2015/02/24. doi: 10.1126/science.1257601. PubMed PMID: 25700523; PubMed Central PMCID: PMCPMC4435741)。したがって、我々は、3つの相補的で不偏のインシリコでのアプローチを使用して、NOXの高血圧症及びNO依存性血管拡張との関連を再調査し、マウスと、可能であればヒト患者試料の両方においてあらゆる予測を検証することに着手した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Olsen MH, Angell SY, Asma S, Boutouyrie P, Burger D, Chirinos JA, et al. A call to action and a lifecourse strategy to address the global burden of raised blood pressure on current and future generations: the Lancet Commission on hypertension. Lancet. 2016;388(10060):2665-712. Epub 2016/09/28. doi: 10.1016/S0140-6736(16)31134-5. PubMed PMID: 27671667
【非特許文献2】Oparil S, Acelajado MC, Bakris GL, Berlowitz DR, Cifkova R, Dominiczak AF, et al. Hypertension. Nat Rev Dis Primers. 2018;4:18014. Epub 2018/03/23. doi: 10.1038/nrdp.2018.14. PubMed PMID: 29565029; PubMed Central PMCID: PMCPMC6477925
【非特許文献3】Ogden LG, He J, Lydick E, Whelton PK. Long-term absolute benefit of lowering blood pressure in hypertensive patients according to the JNC VI risk stratification. Hypertension. 2000;35(2):539-43. Epub 2000/02/19. doi: 10.1161/01.hyp.35.2.539. PubMed PMID: 10679494
【非特許文献4】Gryglewski RJ, Palmer RM, Moncada S. Superoxide anion is involved in the breakdown of endothelium-derived vascular relaxing factor. Nature. 1986;320(6061):454-6. Epub 1986/04/03. doi: 10.1038/320454a0. PubMed PMID: 3007998
【非特許文献5】Kraja AT, Cook JP, Warren HR, Surendran P, Liu C, Evangelou E, et al. New Blood Pressure-Associated Loci Identified in Meta-Analyses of 475 000 Individuals. Circ Cardiovasc Genet. 2017;10(5). Epub 2017/10/17. doi: 10.1161/CIRCGENETICS.117.001778. PubMed PMID: 29030403; PubMed Central PMCID: PMCPMC5776077
【非特許文献6】Yogi A, Mercure C, Touyz J, Callera GE, Montezano AC, Aranha AB, et al. Renal redox-sensitive signaling, but not blood pressure, is attenuated by Nox1 knockout in angiotensin II-dependent chronic hypertension. Hypertension. 2008;51(2):500-6. Epub 2008/01/16. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.107.103192. PubMed PMID: 18195161
【非特許文献7】Murdoch CE, Alom-Ruiz SP, Wang M, Zhang M, Walker S, Yu B, et al. Role of endothelial Nox2 NADPH oxidase in angiotensin II-induced hypertension and vasomotor dysfunction. Basic Res Cardiol. 2011;106(4):527-38. Epub 2011/04/30. doi: 10.1007/s00395-011-0179-7. PubMed PMID: 21528437; PubMed Central PMCID: PMCPMC3105229
【非特許文献8】Sag CM, Schnelle M, Zhang J, Murdoch CE, Kossmann S, Protti A, et al. Distinct Regulatory Effects of Myeloid Cell and Endothelial Cell NAPDH Oxidase 2 on Blood Pressure. Circulation. 2017;135(22):2163-77. Epub 2017/03/17. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.116.023877. PubMed PMID: 28298457; PubMed Central PMCID: PMCPMC5444427
【非特許文献9】Kleinschnitz C, Grund H, Wingler K, Armitage ME, Jones E, Mittal M, et al. Post-stroke inhibition of induced NADPH oxidase type 4 prevents oxidative stress and neurodegeneration. PLoS biology. 2010;8(9). Epub 2010/09/30. doi: 10.1371/journal.pbio.1000479. PubMed PMID: 20877715
【非特許文献10】Ray R, Murdoch CE, Wang M, Santos CX, Zhang M, Alom-Ruiz S, et al. Endothelial Nox4 NADPH oxidase enhances vasodilatation and reduces blood pressure in vivo. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011;31(6):1368-76. Epub 2011/03/19. doi: 10.1161/ATVBAHA.110.219238. PubMed PMID: 21415386
【非特許文献11】Holterman CE, Thibodeau JF, Towaij C, Gutsol A, Montezano AC, Parks RJ, et al. Nephropathy and elevated BP in mice with podocyte-specific NADPH oxidase 5 expression. J Am Soc Nephrol. 2014;25(4):784-97. doi: 10.1681/ASN.2013040371. PubMed PMID: 24262797; PubMed Central PMCID: PMCPMC3968494
【非特許文献12】Jha JC, Banal C, Okabe J, Gray SP, Hettige T, Chow BSM, et al. NADPH Oxidase Nox5 Accelerates Renal Injury in Diabetic Nephropathy. Diabetes. 2017;66(10):2691-703. Epub 2017/07/28. doi: 10.2337/db16-1585. PubMed PMID: 28747378
【非特許文献13】Jha JC, Dai A, Holterman CE, Cooper ME, Touyz RM, Kennedy CR, et al. Endothelial or vascular smooth muscle cell-specific expression of human NOX5 exacerbates renal inflammation, fibrosis and albuminuria in the Akita mouse. Diabetologia. 2019;62(9):1712-26. Epub 2019/06/22. doi: 10.1007/s00125-019-4924-z. PubMed PMID: 31222503
【非特許文献14】Montezano AC, De Lucca Camargo L, Persson P, Rios FJ, Harvey AP, Anagnostopoulou A, et al. NADPH Oxidase 5 Is a Pro-Contractile Nox Isoform and a Point of Cross-Talk for Calcium and Redox Signaling-Implications in Vascular Function. J Am Heart Assoc. 2018;7(12). Epub 2018/06/17. doi: 10.1161/JAHA.118.009388. PubMed PMID: 29907654; PubMed Central PMCID: PMCPMC6220544
【非特許文献15】Barabasi AL, Gulbahce N, Loscalzo J. Network medicine: a network-based approach to human disease. Nat Rev Genet. 2011;12(1):56-68. Epub 2010/12/18. doi: 10.1038/nrg2918. PubMed PMID: 21164525; PubMed Central PMCID: PMCPMC3140052
【非特許文献16】Alcaraz N, List M, Batra R, Vandin F, Ditzel HJ, Baumbach J. De novo pathway-based biomarker identification. Nucleic Acids Res. 2017;45(16):e151. Epub 2017/09/22. doi: 10.1093/nar/gkx642. PubMed PMID: 28934488; PubMed Central PMCID: PMCPMC5766193
【非特許文献17】Batra R, Alcaraz N, Gitzhofer K, Pauling J, Ditzel HJ, Hellmuth M, et al. On the performance of de novo pathway enrichment. NPJ Syst Biol Appl. 2017;3:6. Epub 2017/06/27. doi: 10.1038/s41540-017-0007-2. PubMed PMID: 28649433; PubMed Central PMCID: PMCPMC5445589
【非特許文献18】Menche J, Sharma A, Kitsak M, Ghiassian SD, Vidal M, Loscalzo J, et al. Disease networks. Uncovering disease-disease relationships through the incomplete interactome. Science. 2015;347(6224):1257601. Epub 2015/02/24. doi: 10.1126/science.1257601. PubMed PMID: 25700523; PubMed Central PMCID: PMCPMC4435741
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対象における本態性動脈性高血圧症、特に、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断するための新規の方法であって、対象からの体液試料中又は組織試料中においてNADPHオキシダーゼ5(NOX5,NADPH oxidase 5)のレベルが決定され、NOX5のレベルが所定の閾値レベルを上回る場合、前記対象が本態性動脈性高血圧症、特にNOX5依存性高血圧症を有すると結論づけられる、方法に関する。
【0008】
特定の実施形態において、所定の閾値レベルは、1ml当たり160pgである。
【0009】
本発明は、本態性動脈性高血圧症を罹患している対象から得られた血漿試料中において、1ml当たり少なくとも160pgのニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH,nicotinamide adenine dinucleotide phosphate)オキシダーゼ5(NOX5)濃度の存在について試験することによる、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断する方法に関する。
【0010】
例示的な実施形態において、本発明に係る診断の方法は、
(a)血漿試料から内皮マイクロパーティクルを単離するステップと、
(b)タンパク質検出アッセイを使用してステップ(a)の前記内皮マイクロパーティクル中のNOX5を測定し、前記血漿試料中のNOX5の濃度を血漿試料1ml当たりのNOX5のpgとして決定するステップと
を含み、ステップ(b)で決定されたNOX5の前記濃度が前記血漿試料1ml当たり少なくともNOX5 160pgである場合、(ヒト)対象がNOX5依存性高血圧症を罹患していると診断される。
【0011】
本発明はさらに、本態性動脈性高血圧症、特にNOX5依存性高血圧症を有する対象の治療における使用のための、セピアプテリン、L-シトルリン、L-アルギニン、テトラヒドロビオプテリン、葉酸及びNOX5阻害剤、特に、NOX5阻害剤5,12-ジヒドロキノキサリノ(2,3-B)キノキサリン(ML090)から選択される化合物に関する。
【0012】
本発明はさらに、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とする、化合物に関する。
【0013】
本発明はさらに、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物に関する。
【0014】
本発明はさらに、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物に関する。
【0015】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5及び脱共役NOS依存性(本態性動脈性)高血圧症における使用のための治療薬及び診断薬を発見及び開発するための、高齢NOX5ノックイン動物モデルの使用に関する。
【0016】
本発明はまた、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1D】高血圧症における、内皮NO-cGMPシグナル伝達の直接のネイバーとしてのNOX5の特定、及び臨床的検証。A.NOXアイソフォーム(灰色のノード)及びNO-cGMP関連タンパク質(明るい灰色のノード)をシードノードとして使用し、SPDに基づいて剪定された第1のネイバーサブネットワーク(中段のパネル)により、NOXモジュールを構築した。得られたNOXモジュールを、全体モジュール性最適化(左のパネル)及び集積的局所法(右のパネル)の2つの疾患モジュール特定法を用いて確認した。いずれの方法によっても、NOX5がNO-cGMPシグナル伝達に最も近いリンクとして特定され、NOX1~4及び他のすべての知られているROS源が除外された(図示せず)。B.正常血圧(NT,normo-tensive)の正常アルブミン尿対象並びに高血圧症(HT,hypertensive)の正常アルブミン尿及び微量アルブミン尿患者の血漿から単離された内皮マイクロパーティクル(MP,microparticle)中のNOX5レベルを、ELISAによって測定した。C.NOX5レベルは、正常血圧対象(n = 10)と比較して、正常アルブミン尿を有する高血圧症患者(n = 20)において上昇した。NOX5レベルは、微量アルブミン尿を有する高血圧症患者(n = 20)においてより一層高かった。一元配置ANOVAと続くTukeyの多重比較検定とにより、群間の比較を行った。D.すべての高血圧症患者の下位群分析により、二峰性分布(p = 0.0007、両側F検定、調整済み決定係数 = 0.9973)が示される。すべてのデータはn回の独立な実験の平均±S.E.M.で表され、
*P < 0.05、
***P < 0.001である。
【
図2E】高血圧症におけるNOX5の前臨床的検証。A.若齢WTマウスとNOX5 KIマウスのいずれも正常血圧であったが、KIマウスのみが加齢時に高血圧症になる。B及びC.若齢のWT(n = 19)とKI(n = 20)の間で、収縮期(B)及び拡張期(C)血圧に有意差はなかった。D及びE.高齢KIマウス(n = 33)は、WT(n = 31)と比較してより高い収縮期血圧(D)を有し、一方で同程度の拡張期血圧(E)を有していた。二元配置反復測定ANOVAと続くSidakの多重比較検定とにより、遠隔測定データを解析した。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表され、
**P < 0.01である。
【
図3C】内皮NOX5は、NOSを脱共役させることによって内皮細胞機能不全及び高血圧症を誘導する。A.フェニレフリン(Phe,phenylephrine)で予め収縮させた高齢KIマウス(n = 9)の大腿動脈は、WT(n = 9)と比較して、アセチルコリン(Ach,acetylcholine)誘導性弛緩に対する応答性がより低かったが、セピアプテリン(100μM)を用いた前治療によりKI(n = 4)における弛緩が改善し、WT(n = 3)と差がなかった。B.Pheで予め収縮させた高齢KIマウス(n = 9)の伏在動脈は、WT(n = 8)と比較して、Ach誘導性弛緩の差を示さなかった。二元配置ANOVAと続くSidakの多重比較検定とにより、ミオグラフデータを解析した。C.NOX5誘導性年齢依存性高血圧症の概略的表現。加齢の際、内皮NOX5が活性化され、正常なNO-cGMPシグナル伝達に干渉し、その結果、血管平滑筋弛緩の障害及び血圧の上昇を生じる。略称:EC、内皮細胞(endothelial cell);ET-1、エンドセリン1(endothelin-1)、H
4Bip、テトラヒドロビオプテリン(tetrahydrobiopterin);NA、ノルアドレナリン(noradrenaline);NOS3、内皮型一酸化窒素合成酵素(endothelial nitric oxide synthase);SMC、平滑筋細胞(smooth muscle cell);sGC、可溶性グアニル酸シクラーゼ(soluble guanylate cyclase);SN、交感神経(sympathetic nerve)。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表され、
***P < 0.001である。
【
図4】健常及び高血圧症対象における血漿中ADMAレベル。ADMAレベルは、健常対象(n = 10)と比較して高血圧症患者(n = 40)において有意に高かった。対応のない両側T検定によって2つの群間の比較を行った。すべてのデータは平均±S.E.M.で表され、
**P < 0.01である。
【
図5B】若齢及び高齢のWT及びKIマウスにおける平均動脈圧(MAP,mean arterial pressure)。A.若齢のWT(n = 19)とKI(n = 20)の間にMAPの有意差はなかった。B.高齢KIマウス(n = 33)はWT(n = 31)と比較してより高いMAPを有していた。二元配置反復測定ANOVAと続くSidakの多重比較検定とにより、遠隔測定データを解析した。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表され、
**P < 0.01である。
【
図6E】高齢のWT及びKIマウスにおける体重及び臓器重量。A~E.WT(n = 24)マウスとKIマウス(n = 20)の間で、体重、心臓重量及び腎臓重量の差はなかったが、肺重量/体重比はKIマウスでより高かった。対応のない両側T検定によって群間の比較を行った。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表され、
*P < 0.05である。
【
図7C】高齢のWT及びKIマウスにおける動脈硬化度。A~C.弛緩時壁張力と動脈管腔直径の間の関係は、胸部大動脈(A)、大腿動脈(B)及び伏在動脈(C)において、KIマウス(n = 9)とWTマウス(n = 9)の間で差がなかった。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表される。
【
図8J】高齢のWT及びKIマウスの動脈におけるアセチルコリン(Ach)誘導性弛緩。A~C.Ach誘導性弛緩は、K
+で予め収縮させた高齢KIマウス(n = 9)の大腿動脈(A)ではWT(n = 8~9)と比較して障害されたが、伏在動脈(B)及び胸部大動脈(インドメタシンあり/なし)(C)では障害されなかった。D~F.Ach誘導性弛緩は、エンドセリン1で予め収縮させた高齢KIマウス(n = 9)の大腿動脈(D)ではWT(n = 8~9)と比較して障害されたが、伏在動脈(E)及びインドメタシンあり/なしにおける胸部大動脈(F)では障害されなかった。G.WT(n = 9)マウスとKIマウス(n = 9)の間で、フェニレフリンで予め収縮させた胸部大動脈(インドメタシンあり/なし)におけるAch誘導性弛緩に差はなかった。H~J.エンドセリン1を用いて収縮させた動脈におけるAch誘導性弛緩は、高齢のKIマウス(n = 8~9)とWTマウス(n = 8~9)のいずれにおいても、大腿動脈(H)及び胸部大動脈(I)では100μM L-NAMEによって逆転したが、伏在動脈(J)では逆転しなかった。二元配置ANOVAと続くSidakの多重比較検定とにより、ミオグラフデータを解析した。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表され、
*P < 0.05である。
【
図9】高齢KIマウスの胸部大動脈(TAO,thoracic aorta)、大腿動脈(FA,femoral artery)及び伏在動脈(SA,saphenous artery)におけるNOX5のqPCR。3つの血管型(n = 3、各々が二重反復試験による)間で、NOX5遺伝子発現に差はなかった。一元配置ANOVAによって比較を行った。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表される。
【
図10I】高齢のWT及びKIマウスの動脈における収縮応答。大腿動脈(A~C)、伏在動脈(D~F)及び胸部大動脈(インドメタシンあり/なし)(G~I)において、WTマウス(n = 8~9)とKIマウス(n = 9)の間で、K
+、フェニレフリン及びエンドセリン1に対する収縮応答に差はなかった。両側T検定によって、K
+に対する収縮応答の2群間の比較を行った。二元配置ANOVAと続くSidakの多重比較検定とにより、他のミオグラフデータを解析した。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表される。
【
図11D】高齢のWT及びKIマウスの動脈における内皮依存性弛緩。A~C.WTマウス(n = 8~9)とKIマウス(n = 9)の間で、大腿動脈(A)、伏在動脈(B)及び胸部大動脈(インドメタシンあり/なし)(C)においてNOドナーPAPA NO(0.01~10μM)によって誘導された弛緩に差はなかった。D.WTマウス(n = 4)とKIマウス(n = 4)の間で、大腿動脈においてapo-sGC活性化物質Bay60-2770(0.01~10μM)によって誘導された弛緩に差はなかった。二元配置ANOVAと続くSidakの多重比較検定とにより、ミオグラフデータを解析した。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表される。
【
図12B】抗酸化剤で治療した高齢KIマウスの大腿動脈におけるアセチルコリン(Ach)誘導性弛緩。10μMフェニレフリンを用いて収縮させた大腿動脈のセグメント(n = 3~6)において、Ach(10μM)の弛緩効果は、10μM N-アセチルシステイン(NAC,N-acetylcysteine)(A)によっても100μMテンポール(B)によっても逆転しなかった。対応のない両側T検定によって群間の比較を行った。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表される。
【
図13N】高齢のWT及びKIマウスにおける心エコー検査。WT(n = 28)マウスとKIマウス(n = 29)の間で、すべてのパラメータ(A~N)に差はなかった。対応のない両側T検定によって群間の比較を行った。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表される。
【
図14C】高齢のWT及びKIマウスにおける動脈直径。WTマウス(n = 9)とKIマウス(n = 9)の間で、胸部大動脈(A)、大腿動脈(B)及びインドメタシンあり又はなしにおける伏在動脈(C)の直径に差はなかった。対応のない両側T検定によって群間の比較を行った。すべてのデータはn匹の個々の動物の平均±S.E.M.で表される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
NOXアイソフォームと高血圧症及びNO依存性血管拡張の間の考えられ得る関連性を探索するために、我々は、IID(Kotlyar M, Pastrello C, Malik Z, Jurisica I. IID 2018 update: context-specific physical protein-protein interactions in human, model organisms and domesticated species. Nucleic Acids Res. 2019;47(D1):D581-D9. Epub 2018/11/09. doi: 10.1093/nar/gky1037. PubMed PMID: 30407591; PubMed Central PMCID: PMCPMC6323934)インタラクトームデータベースから得られた実験により検証されたインタラクトームにおいて、シードノードとしてのNOXファミリーメンバー及び一酸化窒素環状GMP関連タンパク質の第1のネイバーから、剪定された分子サブネットワークを構築した。これらは、NOX1、NOX3、NOX4、NOX5、NOS1、NOS3、GUCYA1、GUCYA2、GUCYB1、PDE5A、PDE9A及びPRKG1を含んでいたが、NOX2及びNOS2は含んでいなかった。
【0019】
得られたサブネットワークを、ハブノード(すなわち、ネットワーク全体において相互作用の数が多いことに主に起因して生じたタンパク質)について補正するために、サブネットワーク参加度(SPD,subnetwork-participation-degree)に従ってさらに剪定した。この結果、いくつかの接続されたコンポーネントからなる疾患モジュールが得られ、これにより、NOX5以外のすべてのNOXアイソフォームが、内皮NO環状GMPシグナル伝達の近接ネイバーとしては除外されたことが明らかとなった。NOX5は、NO受容体GUCYA1、GUCYA2及びGUCYB1をコードする遺伝子、並びに内皮NOS(NOS3)と接続した同じコンポーネントに該当した(
図1A)。IIDより、この接続は、ハイスループットアフィニティークロマトグラフィーによって示唆される、物理的な相互作用に基づく(Huttlin EL, Bruckner RJ, Paulo JA, Cannon JR, Ting L, Baltier K, et al. Architecture of the human interactome defines protein communities and disease networks. Nature. 2017;545(7655):505-9. Epub 2017/05/18. doi: 10.1038/nature22366. PubMed PMID: 28514442; PubMed Central PMCID: PMCPMC5531611)。
【0020】
我々によるインシリコでのNOX疾患モジュールの発見を別角度から確認するため、我々は、全体モジュール性最適化及び集積的局所探索という、いずれも近年のモジュール特定DREAMチャレンジにおいて最上位の成績を有する2つのさらなるコンピュータネットワークモジュール特定法を採用した(Choobdar S, Ahsen ME, Crawford J, Tomasoni M, Fang T, Lamparter D, et al. Assessment of network module identification across complex diseases. Nat Methods. 2019;16(9):843-52. Epub 2019/09/01. doi: 10.1038/s41592-019-0509-5. PubMed PMID: 31471613; PubMed Central PMCID: PMCPMC6719725)。簡潔に述べると、全体モジュール性最適化アプローチは、複数のモジュール検出アルゴリズムを組み合わせることで、個々のアルゴリズムに起因する最適ではないパーティションを回避する(Arenas A, Fernandez A, Gomez S. Analysis of the structure of complex networks at different resolution levels. New Journal of Physics. 2008;10(5):053039. doi: 10.1088/1367-2630/10/5/053039)。集積的局所法は、SPICiアルゴリズム(Jiang P, Singh M. SPICi: a fast clustering algorithm for large biological networks. Bioinformatics. 2010;26(8):1105-11. Epub 2010/02/27. doi: 10.1093/bioinformatics/btq078. PubMed PMID: 20185405; PubMed Central PMCID: PMCPMC2853685)を使用することで、シードノード周辺のモジュールの局所密度を最適化する。3つのインシリコでの方法すべてにより、我々は、NOX5を除くすべてのNOX遺伝子が内皮一酸化窒素環状GMPシグナル伝達の直接のネイバーとしては除外されるという、同じ結論に辿り着いた(
図1A)。
【0021】
ヒト高血圧症に対するこの原因内皮NOX5仮説を検証するために、我々は、本態性原発性高血圧症及び30mL/分/1.73m
2以上のベースライン推算糸球体濾過量(eGFR,estimated glomerular filtration rate)を有する継続外来患者を登録した。研究対象を、健常(n = 10)、正常アルブミン尿(normo-albuminuria)を有する高血圧症患者(n = 20)及び中等度に上昇したアルブミン尿(moderately increased albuminuria)(以前は微量アルブミン尿と称されていた)を有する高血圧症患者(n = 20)の3群に分けた。患者のベースライン特性を表1に掲載する。NOX5タンパク質レベルを測定するために、循環内皮マイクロパーティクル、すなわち、細胞活性化又は細胞死が生じると内皮細胞から放出され、内皮タンパク質を運搬する膜小胞(Dignat-George F, Boulanger CM. The many faces of endothelial microparticles. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011;31(1):27-33. Epub 2010/12/17. doi: 10.1161/ATVBAHA.110.218123. PubMed PMID: 21160065)を参加者の血漿から単離した(
図1B)。我々は、正常血圧対象に対して、高血圧症対象の内皮マイクロパーティクルにおいてより高いNOX5タンパク質レベルを観察し、高血圧症対象内においては、微量アルブミン尿を有する患者がより一層高いNOX5タンパク質レベルを示した(
図1C)。これらのデータは、NOX5レベルが高血圧症と関連しており、疾患重症度と相関することを示唆する。高血圧症とは、すべてが同様の表現型、すなわち、血圧の上昇に至る異なる分子機序を包含し得る、かなり包括的な用語である。NOX5依存性高血圧症はそのようなエンドタイプである可能性があるが、患者全体の一部にのみ適用される(Aguirre-Plans J, Pinero J, Menche J, Sanz F, Furlong LI, Schmidt H, et al. Proximal Pathway Enrichment Analysis for Targeting Comorbid Diseases via Network Endopharmacology. Pharmaceuticals (Basel). 2018;11(3). Epub 2018/06/23. doi: 10.3390/ph11030061. PubMed PMID: 29932108; PubMed Central PMCID: PMCPMC6160959、Mazein A, Ostaszewski M, Kuperstein I, Watterson S, Le Novere N, Lefaudeux D, et al. Systems medicine disease maps: community-driven comprehensive representation of disease mechanisms. NPJ Syst Biol Appl. 2018;4:21. Epub 2018/06/07. doi: 10.1038/s41540-018-0059-y. PubMed PMID: 29872544; PubMed Central PMCID: PMCPMC5984630、Burns NS, Miller PW. Learning What We Didn't Know - The SPRINT Data Analysis Challenge. N Engl J Med. 2017;376(23):2205-7. Epub 2017/04/27. doi: 10.1056/NEJMp1705323. PubMed PMID: 28445656)。したがって、我々は全高血圧症患者の下位群分析を実施したところ、実際にNOX5レベルは二峰性分布を示した(
図1D)。これに基づくと、約4人に1人の高血圧症患者が高NOX5メカノタイプに該当することになり、PPI相互作用により、これはNO-cGMPシグナル伝達機能不全を引き起こすと考えられる。さらに我々は、NOS脱共役及び内皮細胞機能不全のバイオマーカーである血漿中ADMAレベル(Forstermann U, Munzel T. Endothelial nitric oxide synthase in vascular disease: from marvel to menace. Circulation. 2006;113(13):1708-14. Epub 2006/04/06. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.105.602532. PubMed PMID: 16585403)を決定した。健常対象と比較して高血圧症患者においてADMAレベルが有意に増加したことを我々は見出したが(
図4)、これは過去の知見(Perticone F, Sciacqua A, Maio R, Perticone M, Maas R, Boger RH, et al. Asymmetric dimethylarginine, L-arginine, and endothelial dysfunction in essential primary hypertension. J Am Coll Cardiol. 2005;46(3):518-23. Epub 2005/08/02. doi: 10.1016/j.jacc.2005.04.040. PubMed PMID: 16053968、Sonmez A, Celebi G, Erdem G, Tapan S, Genc H, Tasci I, et al. Plasma apelin and ADMA Levels in patients with essential primary hypertension. Clin Exp Hypertens. 2010;32(3):179-83. Epub 2010/05/28. doi: 10.3109/10641960903254505. PubMed PMID: 20504125)と一致する。
【0022】
【0023】
表1中、トリグリセリドはmg/dLで表示し、血糖値はmg/dLであり、尿酸はmg/dLであり、アディポネクチンはmg/dLである。
【0024】
我々は、マウスの内皮NO-cGMPシグナル伝達機能不全及び高血圧症におけるNOX5の考えられ得る役割を検証した。しかし、マウスにはNox5遺伝子がない。本発明はまた、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための、治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用に関する。したがって我々は、生理学的な内皮細胞の位置でヒトNox5を発現しているノックインマウスモデル(Casas AI, Kleikers PW, Geuss E, Langhauser F, Adler T, Busch DH, et al. Calcium-dependent blood-brain barrier breakdown by NOX5 limits postreperfusion benefit in stroke. J Clin Invest. 2019;130:1772-8. Epub 2019/03/19. doi: 10.1172/JCI124283. PubMed PMID: 30882367; PubMed Central PMCID: PMCPMC6436900)を分析した(
図2A)。しかし、両性の若齢(9~15週齢)NOX5 KIマウス(n = 19~20)において、収縮期血圧、拡張期血圧及び平均動脈圧(MAP)は、歳及び性別が一致する野生型(WT,wild type)マウスと差がなかった(
図2B、2C及び
図5A)。だが加齢すると(68~87週)、歳及び性別が一致するWTマウス(n = 31)と比較して、KIマウス(n = 33)において収縮期血圧及び平均動脈圧が終日にわたり有意に上昇した(
図2D及び
図5B)。心臓重量対体重比(
図6A)がKIマウスに心肥大がなかったことを示すように、拡張期血圧は不変であったが(
図2E)、これは高血圧症の後期(年齢依存性)発症と整合する。さらに、心肥大は必ずしも高血圧症と共に存在するとは限らない。例えば、eNOSノックアウト(KO,knock-out)マウスなどの他の高血圧症動物モデルは、心肥大を有さない(Bubikat A, De Windt LJ, Zetsche B, Fabritz L, Sickler H, Eckardt D, et al. Local atrial natriuretic peptide signaling prevents hypertensive cardiac hypertrophy in endothelial nitric-oxide synthase-deficient mice. J Biol Chem. 2005;280(22):21594-9. Epub 2005/03/29. doi: 10.1074/jbc.M501103200. PubMed PMID: 15793309、Godecke A, Decking UK, Ding Z, Hirchenhain J, Bidmon HJ, Godecke S, et al. Coronary hemodynamics in endothelial NO synthase knockout mice. Circ Res. 1998;82(2):186-94. Epub 1998/02/19. doi: 10.1161/01.res.82.2.186. PubMed PMID: 9468189)。このことは、すべての高血圧症患者(下位群)が心肥大を有するとは限らないという臨床観察(Devereux RB, Pickering TG, Alderman MH, Chien S, Borer JS, Laragh JH. Left ventricular hypertrophy in hypertension. Prevalence and relationship to pathophysiologic variables. Hypertension. 1987;9(2 Pt 2):1153-60. Epub 1987/02/01. doi: 10.1161/01.hyp.9.2_pt_2.ii53. PubMed PMID: 2879790、Park JB, Schiffrin EL. Small artery remodeling is the most prevalent (earliest?) form of target organ damage in mild essential primary hypertension. J Hypertens. 2001;19(5):921-30. Epub 2001/06/08. doi: 10.1097/00004872-200105000-00013. PubMed PMID: 11393676、Cuspidi C, Sala C, Negri F, Mancia G, Morganti A, Italian Society of H. Prevalence of left-ventricular hypertrophy in hypertension: an updated review of echocardiographic studies. J Hum Hypertens. 2012;26(6):343-9. Epub 2011/11/25. doi: 10.1038/jhh.2011.104. PubMed PMID: 22113443)とも一致する。注目すべきことに、群内においてオスのマウスとメスのマウスの間で血圧の差はなかった。
【0025】
まとめると、我々による観察は、マウスにおいて、内皮におけるNOX5の発現が加齢の際に収縮期動脈血圧の選択的な上昇につながることを示している。高血圧症表現型を誘導するNOX5の潜在能力を確証した我々は、インシリコでのネットワーク分析から示唆された血管NO-cGMPシグナル伝達との機序的なつながりを検証する方向に進んだ。
【0026】
我々は、両性の高齢のノックイン(KI)及び野生型(WT)マウス(n = 9)から単離された胸部大動脈、大腿動脈及び伏在動脈において、構造的な平滑筋及び内皮血管運動特性を分析した。まとめると、これらの血管は、それぞれ、大型の弾性導管動脈、筋性導管動脈及び小型で抵抗を生じる太さの筋性動脈の全範囲を範囲に含む。高齢動物の胸部大動脈、大腿動脈及び伏在動脈において、KIマウスとWTマウスの間で、弛緩時壁張力と動脈管腔直径の間の関係に差はなかった(
図7A~C)。したがって、KIマウスの血圧表現型が、導管又は抵抗動脈の硬化又は内向きの組織修復に起因する可能性は低い。このことは、動脈の構造的硬化が本態性高血圧症の齧歯類モデルにおいて一般的ではないという、過去の研究(Bezie Y, Lamaziere JM, Laurent S, Challande P, Cunha RS, Bonnet J, et al. Fibronectin expression and aortic wall elastic modulus in spontaneously hypertensive rats. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 1998;18(7):1027-34. Epub 1998/07/22. doi: 10.1161/01.atv.18.7.1027. PubMed PMID: 9672062、Hayoz D, Rutschmann B, Perret F, Niederberger M, Tardy Y, Mooser V, et al. Conduit artery compliance and distensibility are not necessarily reduced in hypertension. Hypertension. 1992;20(1):1-6. Epub 1992/07/01. doi: 10.1161/01.hyp.20.1.1. PubMed PMID: 1618544、Lacolley P, Ghodsi N, Glazer E, Challande P, Brissac AM, Safar ME, et al. Influence of graded changes in vasomotor tone on the carotid arterial mechanics in live spontaneously hypertensive rats. Br J Pharmacol. 1995;115(7):1235-44. Epub 1995/08/01. doi: 10.1111/j.1476-5381.1995.tb15031.x. PubMed PMID: 7582551; PubMed Central PMCID: PMCPMC1908801、Intengan HD, Schiffrin EL. Structure and mechanical properties of resistance arteries in hypertension: role of adhesion molecules and extracellular matrix determinants. Hypertension. 2000;36(3):312-8. Epub 2000/09/16. doi: 10.1161/01.hyp.36.3.312. PubMed PMID: 10988257)と一致する。また、とりわけ高齢高血圧症患者からの臨床データが本発見と整合する(Bussy C, Boutouyrie P, Lacolley P, Challande P, Laurent S. Intrinsic stiffness of the carotid arterial wall material in essential hypertensives. Hypertension. 2000;35(5):1049-54. Epub 2000/05/20. doi: 10.1161/01.hyp.35.5.1049. PubMed PMID: 10818063、Laurent S, Girerd X, Mourad JJ, Lacolley P, Beck L, Boutouyrie P, et al. Elastic modulus of the radial artery wall material is not increased in patients with essential primary hypertension. Arterioscler Thromb. 1994;14(7):1223-31. Epub 1994/07/01. doi: 10.1161/01.atv.14.7.1223. PubMed PMID: 8018679、Laurent S, Hayoz D, Trazzi S, Boutouyrie P, Waeber B, Omboni S, et al. Isobaric compliance of the radial artery is increased in patients with essential primary hypertension. J Hypertens. 1993;11(1):89-98. Epub 1993/01/01. doi: 10.1097/00004872-199301000-00013. PubMed PMID: 8382244、Laurent S. Arterial wall hypertrophy and stiffness in essential hypertensive patients. Hypertension. 1995;26(2):355-62. Epub 1995/08/01. doi: 10.1161/01.hyp.26.2.355. PubMed PMID: 7635546)。
【0027】
内皮依存性NO-cGMP媒介弛緩に対する内皮NOX5の効果を検証するために、動脈セグメントを脱分極(K
+)、α1-アドレナリン活性化(フェニレフリン)、又はエンドセリン1のいずれかによって予め収縮させ、次いで、古典的内皮由来弛緩因子刺激物質であるアセチルコリン(Ach)によって血管弛緩を誘導した(Furchgott RF, Zawadzki JV. The obligatory role of endothelial cells in the relaxation of arterial smooth muscle by acetylcholine. Nature. 1980;288(5789):373-6. Epub 1980/11/27. doi: 10.1038/288373a0. PubMed PMID: 6253831)。大腿動脈では、K
+、フェニレフリン、エンドセリン1のいずれで予め収縮させたかによらず、Ach誘導性弛緩応答の振幅は、WTマウスと比較してKIマウスにおいて有意に小さかった(
図3A、8A及び8D)。逆に、伏在動脈(
図3B、8B及び8E)及び胸部大動脈(
図8C、8F及び8G)では、Ach誘導性弛緩応答はKIマウスとWTマウスの間で差がなかった。我々の研究を過去の研究と比較すると、両マウス群の伏在動脈のAch誘導性弛緩は減弱しているようであった(Chennupati R, Lamers WH, Koehler SE, De Mey JG. Endotheliumdependent hyperpolarization-related relaxations diminish with age in murine saphenous arteries of both sexes. Br J Pharmacol. 2013;169(7):1486-99. Epub 2013/03/16. doi: 10.1111/bph.12175. PubMed PMID: 23488619; PubMed Central PMCID: PMCPMC3724106、Chennupati R, Meens MJ, Marion V, Janssen BJ, Lamers WH, De Mey JG, et al. Endothelial arginine resynthesis contributes to the maintenance of vasomotor function in male diabetic mice. PLoS One. 2014;9(7):e102264. Epub 2014/07/18. doi: 10.1371/journal.pone.0102264. PubMed PMID: 25033204; PubMed Central PMCID: PMCPMC4102520、Chennupati R, Meens MJ, Janssen BJ, van Dijk P, Hakvoort TBM, Lamers WH, et al. Deletion of endothelial arginase 1 does not improve vasomotor function in diabetic mice. Physiol Rep. 2018;6(11):e13717. Epub 2018/06/12. doi: 10.14814/phy2.13717. PubMed PMID: 29890043; PubMed Central PMCID: PMCPMC5995309)。この不一致について、2つの説明が考えられる。1点目は、我々は非常に老いたマウスを使用し、他の研究では若齢マウスを使用している点である(Chennupati R, Lamers WH, Koehler SE, De Mey JG. Endotheliumdependent hyperpolarization-related relaxations diminish with age in murine saphenous arteries of both sexes. Br J Pharmacol. 2013;169(7):1486-99. Epub 2013/03/16. doi: 10.1111/bph.12175. PubMed PMID: 23488619; PubMed Central PMCID: PMCPMC3724106、Chennupati R, Meens MJ, Marion V, Janssen BJ, Lamers WH, De Mey JG, et al. Endothelial arginine resynthesis contributes to the maintenance of vasomotor function in male diabetic mice. PLoS One. 2014;9(7):e102264. Epub 2014/07/18. doi: 10.1371/journal.pone.0102264. PubMed PMID: 25033204; PubMed Central PMCID: PMCPMC4102520、Chennupati R, Meens MJ, Janssen BJ, van Dijk P, Hakvoort TBM, Lamers WH, et al. Deletion of endothelial arginase 1 does not improve vasomotor function in diabetic mice. Physiol Rep. 2018;6(11):e13717. Epub 2018/06/12. doi: 10.14814/phy2.13717. PubMed PMID: 29890043; PubMed Central PMCID: PMCPMC5995309)。2点目は、我々は混合型の遺伝的背景(80% 129/Sv及び20% C57BI6)を有するマウスを使用したが、過去のデータは、内皮依存性弛緩が129/SvマウスとC57BI6マウスとで似ていることを示している点である(Ryan MJ, Didion SP, Davis DR, Faraci FM, Sigmund CD. Endothelial dysfunction and blood pressure variability in selected inbred mouse strains. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2002;22(1):42-8. Epub 2002/01/15. doi: 10.1161/hq0102.101098. PubMed PMID: 11788459)。
【0028】
256nMエンドセリン1で収縮させた胸部大動脈及び大腿動脈のセグメントにおいて、Achの弛緩効果は100μM L-NAME(NO合成酵素の薬理学的阻害剤)によって逆転し、これはKI及びWTマウスの標本間で有意差はなかった(
図8H及び8I)。両種のマウスの伏在動脈において、L-NAMEはAchの弛緩効果を変えなかった(
図8J)。このことは、これらの抵抗を生じる太さの動脈において、Ach誘導性弛緩が内皮依存性過分極によって媒介されるがNOによっては媒介されないという、我々の以前の発見(Chennupati R, Lamers WH, Koehler SE, De Mey JG. Endotheliumdependent hyperpolarization-related relaxations diminish with age in murine saphenous arteries of both sexes. Br J Pharmacol. 2013;169(7):1486-99. Epub 2013/03/16. doi: 10.1111/bph.12175. PubMed PMID: 23488619; PubMed Central PMCID: PMCPMC3724106、Chennupati R, Meens MJ, Marion V, Janssen BJ, Lamers WH, De Mey JG, et al. Endothelial arginine resynthesis contributes to the maintenance of vasomotor function in male diabetic mice. PLoS One. 2014;9(7):e102264. Epub 2014/07/18. doi: 10.1371/journal.pone.0102264. PubMed PMID: 25033204; PubMed Central PMCID: PMCPMC4102520、Chennupati R, Meens MJ, Janssen BJ, van Dijk P, Hakvoort TBM, Lamers WH, et al. Deletion of endothelial arginase 1 does not improve vasomotor function in diabetic mice. Physiol Rep. 2018;6(11):e13717. Epub 2018/06/12. doi: 10.14814/phy2.13717. PubMed PMID: 29890043; PubMed Central PMCID: PMCPMC5995309)と整合している。
【0029】
血管運動機能に対するこの内径特異的効果が、全身の動脈樹にわたるNOX5の発現差異に起因するかを調べるため、我々は定量的PCRによってNOX5遺伝子発現を測定した。しかし、NOX5 KIマウスの胸部大動脈、大腿動脈及び伏在動脈の間でNOX5遺伝子発現に差はなかった(
図9)。これらのデータは、NOX5に起因する内皮NO-cGMPシグナル伝達の加齢依存性機能不全を示唆するとともに、この効果が全身の動脈樹にわたって一様に分布していないことを示唆する。
【0030】
次に我々は、一方で、下位にある動脈平滑筋層における慢性的変化が、高齢NOX5 KIマウスにおいて観察された血圧及び血管運動表現型に寄与していた可能性があるかを検証した。しかし、K
+に対する収縮応答並びにフェニレフリン及びエンドセリン1に対する感受性及び最大応答性は、すべての動脈セグメントにおいてKIマウスとWTマウスの間で差がなかった(
図10A~I)。また、インドメタシンによるアゴニスト誘導性収縮応答の鈍化は、KI及びWTマウスの胸部大動脈において類似していた(
図10G~I)。
【0031】
NO-cGMPシグナル伝達のどの構成要素が最も影響を受けた可能性が高いかを検証するため、我々は内皮NO合成酵素(Gebhart V, Reiss K, Kollau A, Mayer B, Gorren ACF. Site and mechanism of uncoupling of nitric-oxide synthase: Uncoupling by monomerization and other misconceptions. Nitric Oxide. 2019;89:14-21. Epub 2019/04/26. doi: 10.1016/j.niox.2019.04.007. PubMed PMID: 31022534)、又は酸化型若しくはヘム未結合apo-sGCを産するNO受容体可溶性グアニル酸シクラーゼ(Mendes-Silverio CB, Leiria LO, Morganti RP, Anhe GF, Marcondes S, Monica FZ, et al. Activation of haem-oxidized soluble guanylyl cyclase with BAY 60-2770 in human platelets lead to overstimulation of the cyclic GMP signaling pathway. PLoS One. 2012;7(11):e47223. Epub 2012/11/13. doi: 10.1371/journal.pone.0047223. PubMed PMID: 23144808; PubMed Central PMCID: PMCPMC3493568、Stasch JP, Schmidt PM, Nedvetsky PI, Nedvetskaya TY, H SA, Meurer S, et al. Targeting the heme-oxidized nitric oxide receptor for selective vasodilatation of diseased blood vessels. J Clin Invest. 2006;116(9):2552-61. Epub 2006/09/07. doi: 10.1172/JCI28371. PubMed PMID: 16955146; PubMed Central PMCID: PMCPMC1555649)の酸化的損傷に対する、脱共役効果について調べた。sGC/apo-sGCについて調べるため、NOドナー化合物及びsGC刺激物質PAPA/NO(0.01~10μM)(Hrabie JA, Klose JR, Wink DA, Keefer LK. New nitric oxide-releasing zwitterions derived from polyamines. The Journal of Organic Chemistry. 1993;58(6):1472-6. doi: 10.1021/jo00058a030)、並びにapo sGC活性化物質BAY 60-2770(0.01~10μM)(Mendes-Silverio CB, Leiria LO, Morganti RP, Anhe GF, Marcondes S, Monica FZ, et al. Activation of haem-oxidized soluble guanylyl cyclase with BAY 60-2770 in human platelets lead to overstimulation of the cyclic GMP signaling pathway. PLoS One. 2012;7(11):e47223. Epub 2012/11/13. doi: 10.1371/journal.pone.0047223. PubMed PMID: 23144808; PubMed Central PMCID: PMCPMC3493568)に対する弛緩応答を分析した。PAPA/NO(
図13A~C)応答もBAY 60-2770(
図11D)応答も、WTマウスとKIマウスの間で差はなかった。これらの観察結果は、sGCが高齢NOX5 KIマウスにおいて機能不全性ではないことを示唆した。
【0032】
内皮NOSの脱共役は、NOX形成の減少及びスーパーオキシド生成の増加を特徴とする内皮細胞機能不全の主要因と考えられ、ROSがNOS補因子テトラヒドロビオプテリン(H
4Bip)を酸化するときに主に生じる(Kietadisorn R, Juni RP, Moens AL. Tackling endothelial dysfunction by modulating NOS uncoupling: new insights into its pathogenesis and therapeutic possibilities. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2012;302(5):E481-95. Epub 2011/12/15. doi: 10.1152/ajpendo.00540.2011. PubMed PMID: 22167522)。我々がフェニレフリン、H
4Bip前駆体セピアプテリン(100μM)で予め収縮させた高齢NOX5 KIマウスの大腿動脈をインキュベートしたとき、Ach誘導性弛緩は大いに改善し、WTにおけるそれと区別不能になった(
図3A)。また、高齢NOX5 KIマウスの大腿動脈は、WTより高いスーパーオキシド生成を呈し(DHE染色で示される)、この増加は、NOS阻害剤L-NAMEによる前治療で阻害された。
【0033】
我々はまた、NOX5 KIマウスの大腿動脈におけるAch誘導性弛緩の障害が浴媒に抗酸化剤を添加することによって逆転し得るかを検証した。しかし、10μM N-アセチルシステインも100μMテンポールも効果的ではなかった(
図12)。まとめると、これらのデータは、内皮NOX5は内皮NOSの脱共役によって内皮細胞機能不全を誘導し、筋性導管動脈の内皮依存性弛緩の障害、ひいては収縮期高血圧症に至らしめることを示唆する(
図3C)。
【0034】
要約すれば、ヒト遺伝子、ヒト臨床、及び遺伝的前臨床機序的検証に基づき、我々はここに、加齢に関連するヒト収縮期高血圧症の初めて特定された原因分子機序を報告する。このエンドタイプは4人の患者中約1人に影響を与え、分子的には、内皮NO合成酵素のNOX5誘導性脱共役と、筋性導管動脈における続く内皮依存性血管拡張の障害とからなる。循環マイクロパーティクルにおけるNOX5のレベルの上昇を検出することは、治療的介入に向けて患者を階層化するための、機序ベースの液体生検マーカーとして役立つと思われる。我々によるインビボ検証に基づけば、そのような介入は、H4Bip前駆体及びNOS再共役剤であるセピアプテリン及びNOX5阻害剤を含み得る(Altenhofer S, Kleikers PW, Radermacher KA, Scheurer P, Rob Hermans JJ, Schiffers P, et al. The NOX toolbox: validating the role of NADPH oxidases in physiology and disease. Cell Mol Life Sci. 2012;69(14):2327-43. Epub 2012/06/01. doi: 10.1007/s00018-012-1010-9. PubMed PMID: 22648375; PubMed Central PMCID: PMCPMC3383958、Altenhofer S, Radermacher KA, Kleikers PW, Wingler K, Schmidt HH. Evolution of NADPH Oxidase Inhibitors: Selectivity and Mechanisms for Target Engagement. Antioxid Redox Signal. 2015;23(5):406-27. doi: 10.1089/ars.2013.5814. PubMed PMID: 24383718; PubMed Central PMCID: PMCPMC4543484、Augsburger F, Filippova A, Rasti D, Seredenina T, Lam M, Maghzal G, et al. Pharmacological characterization of the seven human NOX isoforms and their inhibitors. Redox Biol. 2019;26:101272. Epub 2019/07/23. doi: 10.1016/j.redox.2019.101272. PubMed PMID: 31330481; PubMed Central PMCID: PMCPMC6658998、Dao VT, Elbatreek MH, Altenhofer S, Casas AI, Pachado MP, Neullens CT, et al. Isoform-selective NADPH oxidase inhibitor panel for pharmacological target validation. Free Radic Biol Med. 2019. Epub 2019/12/29. doi: 10.1016/j.freeradbiomed.2019.12.038. PubMed PMID: 31883469)。
【0035】
ここで我々は、内皮細胞及び白血球においてヒトNOX5を発現するKIマウスモデルを使用したが、これはヒトにおけるNOX5発現の生理学的パターンをかなりの程度模倣する(Casas AI, Kleikers PW, Geuss E, Langhauser F, Adler T, Busch DH, et al. Calcium-dependent blood-brain barrier breakdown by NOX5 limits postreperfusion benefit in stroke. J Clin Invest. 2019;130:1772-8. Epub 2019/03/19. doi: 10.1172/JCI124283. PubMed PMID: 30882367; PubMed Central PMCID: PMCPMC6436900)。マウスにおけるヒトNOX5の発現は、加齢と共に重度の収縮期高血圧症に至った。これは、全身の動脈樹における硬化、構造的組織修復、又は血管収縮神経刺激に対する感受性の増加に起因するものでなかった。これはむしろ、NOSの脱共役を介した、中間の太さの筋性導管動脈における、NO媒介内皮依存性弛緩の領域選択的かつ特異的な減衰によるものであった。
【0036】
まとめると、我々によるデータは、NOX5の上昇、例えば、酸化によって改変されたタンパク質によるROS過剰生成、及びNOX5を阻害しNOSを再共役させるネットワーク薬学アプローチによる機序ベースの機能修復の検出に基づいて注意深く階層化された高血圧症患者における、セラグノスティクス(Frangos S, Buscombe JR. Why should we be concerned about a “g”? European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging. 2019;46(2):519-. doi: 10.1007/s00259-018-4204-z)戦略を目指した概念実証型臨床試験を正当化する。これは、本態性原発性高血圧症という表現型の疾患定義に対する分子的再定義の初めてのケースであり、現在、治療必要数の多い適応症における精密医療への第一歩である。これは、高血圧症全体のおよそ4分の1に当てはまる可能性がある。
【0037】
高血圧症が主要なリスク要因である(Hornsten C, Weidung B, Littbrand H, Carlberg B, Nordstrom P, Lovheim H, et al. High blood pressure as a risk factor for incident stroke among very old people: a population-based cohort study. J Hypertens. 2016;34(10):2059-65. Epub 2016/07/20. doi: 10.1097/HJH.0000000000001048. PubMed PMID: 27434102; PubMed Central PMCID: PMCPMC5398900)脳卒中においてNOX5も予後不良に関与し(Casas AI, Kleikers PW, Geuss E, Langhauser F, Adler T, Busch DH, et al. Calcium-dependent blood-brain barrier breakdown by NOX5 limits postreperfusion benefit in stroke. J Clin Invest. 2019;130:1772-8. Epub 2019/03/19. doi: 10.1172/JCI124283. PubMed PMID: 30882367; PubMed Central PMCID: PMCPMC6436900)、アテローム性動脈硬化症と相関がある(Guzik TJ, Chen W, Gongora MC, Guzik B, Lob HE, Mangalat D, et al. Calcium-dependent NOX5 nicotinamide adenine dinucleotide phosphate oxidase contributes to vascular oxidative stress in human coronary artery disease. J Am Coll Cardiol. 2008;52(22):1803-9. Epub 2008/11/22. doi: 10.1016/j.jacc.2008.07.063. PubMed PMID: 19022160; PubMed Central PMCID: PMCPMC2593790)ということから、本アプローチは、血圧を低下させるだけでなく、高血圧症の2つの大きな結果である脳卒中及び心筋梗塞も減らす可能性がある。
【0038】
より広いスケールで、疾患モジュールの発見、前臨床的検証及び臨床的検証のための我々による今回の3重のインタラクトームベースのアプローチは、広範な一般的又は複雑な疾患に適用可能と思われる。我々はここで、NOX5をROSとNOシグナル伝達の障害の間のミッシングリンクとして特定する。完全なモジュールは、cGMP依存性タンパク質キナーゼPKG1に加え、NOX5、NOS3、NO受容体sGCの異なるサブユニット、並びにホスホジエステラーゼPDE5及びPDE9からなる。このようなモジュールの調節不全は、異なるタンパク質コンポーネントを標的とする複数の薬物によって最も良好に治療される可能性がある。今回の場合、WTマウスは薬理学的なNOX5阻害及びセピアプテリンによる治療、すなわち、NOS再共役を模倣する。
【0039】
疾患モジュール構築は、生物医学及びバイオインフォマティクスの境界にある若い研究分野である。我々は、臨床的に検証されたタンパク質に基づくシード遺伝子ベースのアプローチから始めた。NOXは、老齢患者におけるGWAS(Kraja AT, Cook JP, Warren HR, Surendran P, Liu C, Evangelou E, et al. New Blood Pressure-Associated Loci Identified in Meta-Analyses of 475 000 Individuals. Circ Cardiovasc Genet. 2017;10(5). Epub 2017/10/17. doi: 10.1161/CIRCGENETICS.117.001778. PubMed PMID: 29030403; PubMed Central PMCID: PMCPMC5776077)によって示唆されたが、より若齢の患者(Li H, Han X, Hu Z, Huang J, Chen J, Hixson JE, et al. Associations of NADPH oxidase-related genes with blood pressure changes and incident hypertension: The GenSalt Study. J Hum Hypertens. 2018;32(4):287-93. Epub 2018/02/22. doi: 10.1038/s41371-018-0041-6. PubMed PMID: 29463833; PubMed Central PMCID: PMCPMC5889722)ではそうではなく、ROS形成に特化した唯一知られている酵素ファミリーである(Elbatreek MH, Pachado MP, Cuadrado A, Jandeleit-Dahm K, Schmidt H. Reactive Oxygen Comes of Age: Mechanism-Based Therapy of Diabetic End-Organ Damage. Trends Endocrinol Metab. 2019. Epub 2019/04/01. doi: 10.1016/j.tem.2019.02.006. PubMed PMID: 30928357)。NO-cGMP経路は、血圧制御及び高血圧症の顕著な特徴であるその機能不全にとって重要である(Hermann M, Flammer A, Luscher TF. Nitric oxide in hypertension. J Clin Hypertens (Greenwich). 2006;8(12 Suppl 4):17-29. Epub 2006/12/16. doi: 10.1111/j.1524-6175.2006.06032.x. PubMed PMID: 17170603)。我々のアプローチにより、重要なことにNox5をただ1つのROS源として有する、十分に揃ったNO-cGMPシグナル伝達コンポーネントを含むモジュールが見出された。我々はこれらの発見を、2つの相補的なインシリコでのネットワークモジュール検出アプローチによって独立に確認した。
【0040】
内皮マイクロパーティクルは、高血圧症及びその進行と関連する十分に確立された代替バイオマーカーである(Helbing T, Olivier C, Bode C, Moser M, Diehl P. Role of microparticles in endothelial dysfunction and arterial hypertension. World J Cardiol. 2014;6(11):1135-9. Epub 2014/11/28. doi: 10.4330/wjc.v6.i11.1135. PubMed PMID: 25429325; PubMed Central PMCID: PMCPMC4244610、Shantsila E. Endothelial microparticles: a universal marker of vascular health? J Hum Hypertens. 2009;23(5):359-61. Epub 2008/11/21. doi: 10.1038/jhh.2008.138. PubMed PMID: 19020535)。これらはROSを生成し、NOXを含有し、内皮細胞機能不全を誘発し及び内皮依存性弛緩を障害する(Burger D, Turner M, Munkonda MN, Touyz RM. Endothelial Microparticle-Derived Reactive Oxygen Species: Role in Endothelial Signaling and Vascular Function. Oxid Med Cell Longev. 2016;2016:5047954. Epub 2016/06/18. doi: 10.1155/2016/5047954. PubMed PMID: 27313830; PubMed Central PMCID: PMCPMC4893592)。ヒト内皮細胞において、臨床で使用されるアンジオテンシン1型受容体遮断薬及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤の標的であるアンジオテンシンIIと、高血圧症促進性オータコイドであるエンドセリン1とが、NOX5発現(遺伝子及びタンパク質)及び活性を増加させる(Montezano AC, Burger D, Paravicini TM, Chignalia AZ, Yusuf H, Almasri M, et al. Nicotinamide adenine dinucleotide phosphate reduced oxidase 5 (Nox5) regulation by angiotensin II and endothelin-1 is mediated via calcium/calmodulin-dependent, rac-1-independent pathways in human endothelial cells. Circ Res. 2010;106(8):1363-73. Epub 2010/03/27. doi: 10.1161/CIRCRESAHA.109.216036. PubMed PMID: 20339118; PubMed Central PMCID: PMCPMC3119893)。NOX5は、内皮細胞におけるその生理学的な血管発現に加え、高血圧症患者のヒト腎近位尿細管細胞においてもより高いレベルへと増加し(Yu P, Han W, Villar VA, Yang Y, Lu Q, Lee H, et al. Unique role of NADPH oxidase 5 in oxidative stress in human renal proximal tubule cells. Redox Biol. 2014;2:570-9. Epub 2014/04/02. doi: 10.1016/j.redox.2014.01.020. PubMed PMID: 24688893; PubMed Central PMCID: PMCPMC3969603)、このことが、NOX5、血圧及び微量アルブミン尿の観察された相関に寄与している可能性がある。平滑筋細胞におけるNOX5の誘導は高血圧症それ自体を引き起こさないが、アテローム性動脈硬化症病変の進行と相関し、罹病した冠動脈は高いNOX5発現及び活性を示す(Guzik TJ, Chen W, Gongora MC, Guzik B, Lob HE, Mangalat D, et al. Calcium-dependent NOX5 nicotinamide adenine dinucleotide phosphate oxidase contributes to vascular oxidative stress in human coronary artery disease. J Am Coll Cardiol. 2008;52(22):1803-9. Epub 2008/11/22. doi: 10.1016/j.jacc.2008.07.063. PubMed PMID: 19022160; PubMed Central PMCID: PMCPMC2593790)。高血圧症とは、異なる血圧上昇機序に対する、かなり包括的な用語である。これらのうちの一部が不良な臨床成績と関係し、一部はそうではない可能性がある。しかし、NOX5依存性高血圧症は、この分子機序もまた高血圧症関連臨床成績、脳卒中(Casas AI, Kleikers PW, Geuss E, Langhauser F, Adler T, Busch DH, et al. Calcium-dependent blood-brain barrier breakdown by NOX5 limits postreperfusion benefit in stroke. J Clin Invest. 2019;130:1772-8. Epub 2019/03/19. doi: 10.1172/JCI124283. PubMed PMID: 30882367; PubMed Central PMCID: PMCPMC6436900)、心筋梗塞(Hahn NE, Meischl C, Kawahara T, Musters RJ, Verhoef VM, van der Velden J, et al. NOX5 expression is increased in intramyocardial blood vessels and cardiomyocytes after acute myocardial infarction in humans. Am J Pathol. 2012;180(6):2222-9. Epub 2012/04/17. doi: 10.1016/j.ajpath.2012.02.018. PubMed PMID: 22503554)及び腎不全(Yu P, Han W, Villar VA, Yang Y, Lu Q, Lee H, et al. Unique role of NADPH oxidase 5 in oxidative stress in human renal proximal tubule cells. Redox Biol. 2014;2:570-9. Epub 2014/04/02. doi: 10.1016/j.redox.2014.01.020. PubMed PMID: 24688893; PubMed Central PMCID: PMCPMC3969603、Holterman CE, Thibodeau JF, Kennedy CR. NADPH oxidase 5 and renal disease. Curr Opin Nephrol Hypertens. 2015;24(1):81-7. Epub 2014/11/22. doi: 10.1097/MNH.0000000000000081. PubMed PMID: 25415612)に至るか又はこれを増悪させることから、疾患に関係があると思われる。
【0041】
GWASにより、Nox4及びNox5の2つのNOX候補遺伝子が提唱された。Nox4のノックアウトは血圧表現型を伴わず(Kleinschnitz C, Grund H, Wingler K, Armitage ME, Jones E, Mittal M, et al. Post-stroke inhibition of induced NADPH oxidase type 4 prevents oxidative stress and neurodegeneration. PLoS biology. 2010;8(9). Epub 2010/09/30. doi: 10.1371/journal.pbio.1000479. PubMed PMID: 20877715、Bouabout G, Ayme-Dietrich E, Jacob H, Champy MF, Birling MC, Pavlovic G, et al. Nox4 genetic inhibition in experimental hypertension and metabolic syndrome. Arch Cardiovasc Dis. 2018;111(1):41-52. Epub 2017/11/09. doi: 10.1016/j.acvd.2017.03.011. PubMed PMID: 29113787)、多くのモデルにおいて、Nox4はむしろ血管保護的であった(Ray R, Murdoch CE, Wang M, Santos CX, Zhang M, Alom-Ruiz S, et al. Endothelial Nox4 NADPH oxidase enhances vasodilatation and reduces blood pressure in vivo. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011;31(6):1368-76. Epub 2011/03/19. doi: 10.1161/ATVBAHA.110.219238. PubMed PMID: 21415386、Schroder K, Zhang M, Benkhoff S, Mieth A, Pliquett R, Kosowski J, et al. Nox4 is a protective reactive oxygen species generating vascular NADPH oxidase. Circ Res. 2012;110(9):1217-25. Epub 2012/03/30. doi: 10.1161/CIRCRESAHA.112.267054. PubMed PMID: 22456182、Veith C, Kraut S, Wilhelm J, Sommer N, Quanz K, Seeger W, et al. NADPH oxidase 4 is not involved in hypoxia-induced pulmonary hypertension. Pulm Circ. 2016;6(3):397-400. Epub 2016/09/30. doi: 10.1086/687756. PubMed PMID: 27683617; PubMed Central PMCID: PMCPMC5019094)。NOX4の酵素反応産物であるH2O2はNOSを活性化し(Brandes RP, Takac I, Schroder K. No superoxide--no stress?: Nox4, the good NADPH oxidase! Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011;31(6):1255-7. Epub 2011/05/20. doi: 10.1161/ATVBAHA.111.226894. PubMed PMID: 21593458)、それ自体がもう1つの内皮由来弛緩因子である(Miura H, Bosnjak JJ, Ning G, Saito T, Miura M, Gutterman DD. Role for hydrogen peroxide in flow-induced dilation of human coronary arterioles. Circ Res. 2003;92(2):e31-40. Epub 2003/02/08. doi: 10.1161/01.res.0000054200.44505.ab. PubMed PMID: 12574154、Leurgans TM, Bloksgaard M, Brewer JR, Bagatolli LA, Fredgart MH, Rosenstand K, et al. Endothelin-1 shifts the mediator of bradykinin-induced relaxation from NO to H2O2 in resistance arteries from patients with cardiovascular disease. Br J Pharmacol. 2016;173(10):1653-64. Epub 2016/02/26. doi: 10.1111/bph.13467. PubMed PMID: 26914408; PubMed Central PMCID: PMCPMC4842913、Shimokawa H. Hydrogen peroxide as an endothelium-derived hyperpolarizing factor. Pflugers Arch. 2010;459(6):915-22. Epub 2010/02/09. doi: 10.1007/s00424-010-0790-8. PubMed PMID: 20140449)。これによりNox5は候補遺伝子とされ、NO-cGMPシグナル伝達と関連づけられた第1ネイバー分析によりこのことが確かめられた。NOX4とは異なり、NOX5は、セピアプテリン可逆的な様式(Mitchell BM, Dorrance AM, Webb RC. GTP cyclohydrolase 1 inhibition attenuates vasodilation and increases blood pressure in rats. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2003;285(5):H2165-70. Epub 2003/07/12. doi: 10.1152/ajpheart.00253.2003. PubMed PMID: 12855421)におけるH4Bipの酸化により、高血圧症において内皮NO合成酵素を脱共役させることができるスーパーオキシドを生成する(Landmesser U, Dikalov S, Price SR, McCann L, Fukai T, Holland SM, et al. Oxidation of tetrahydrobiopterin leads to uncoupling of endothelial cell nitric oxide synthase in hypertension. J Clin Invest. 2003;111(8):1201-9. Epub 2003/04/17. doi: 10.1172/JCI14172. PubMed PMID: 12697739; PubMed Central PMCID: PMCPMC152929、Dumitrescu C, Biondi R, Xia Y, Cardounel AJ, Druhan LJ, Ambrosio G, et al. Myocardial ischemia results in tetrahydrobiopterin (BH4) oxidation with impaired endothelial function ameliorated by BH4. Proc Natl Acad Sci U S A. 2007;104(38):15081-6. Epub 2007/09/13. doi: 10.1073/pnas.0702986104. PubMed PMID: 17848522; PubMed Central PMCID: PMCPMC1986616)。高血圧症におけるNOX5のこの役割に対する機序的検討が、マウスゲノムには存在しないNOX5を発現する前臨床マウスKIモデルにおいて、NOX5が内皮移動及び血管新生にとって重要である内皮細胞という生理学的細胞型で実施された(Pi X, Xie L, Portbury AL, Kumar S, Lockyer P, Li X, et al. NADPH oxidase-generated reactive oxygen species are required for stromal cell-derived factor-1alphastimulated angiogenesis. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2014;34(9):2023-32. Epub 2014/07/06. doi: 10.1161/ATVBAHA.114.303733. PubMed PMID: 24990230; PubMed Central PMCID: PMCPMC4149803)。平滑筋細胞内で非生理学的にNOX5を発現するマウスにおいて、血圧は正常であり、アンジオテンシンII誘導性圧迫効果は増強されない(Montezano AC, De Lucca Camargo L, Persson P, Rios FJ, Harvey AP, Anagnostopoulou A, et al. NADPH Oxidase 5 Is a Pro-Contractile Nox Isoform and a Point of Cross-Talk for Calcium and Redox Signaling-Implications in Vascular Function. J Am Heart Assoc. 2018;7(12). Epub 2018/06/17. doi: 10.1161/JAHA.118.009388. PubMed PMID: 29907654; PubMed Central PMCID: PMCPMC6220544)。特に興味深いのはNOX5の領域選択的な効果であるが、これは、加齢内皮細胞機能不全における血管の不均一性を暗示していた(Barton M, Cosentino F, Brandes RP, Moreau P, Shaw S, Luscher TF. Anatomic heterogeneity of vascular aging: role of nitric oxide and endothelin. Hypertension. 1997;30(4):817-24. Epub 1997/10/23. doi: 10.1161/01.hyp.30.4.817. PubMed PMID: 9336378、Matz RL, de Sotomayor MA, Schott C, Stoclet JC, Andriantsitohaina R. Vascular bed heterogeneity in age-related endothelial dysfunction with respect to NO and eicosanoids. Br J Pharmacol. 2000;131(2):303-11. Epub 2000/09/19. doi: 10.1038/sj.bjp.0703568. PubMed PMID: 10991924; PubMed Central PMCID: PMCPMC1572322)。NOX5は、KIマウスの筋性大腿導管動脈には存在するが、小型で抵抗を生じる太さの伏在動脈には存在せず、したがって、動脈パルス圧の上昇を伴う収縮期高血圧症が選択的に生じ得る。この効果は我々の抗酸化剤によるエクスビボでの実験では逆転されなかったが、これは、NOX5由来スーパーオキシドによってNOS脱共役が既にインビボで慢性的に確立されていたことによると考えられる。前臨床において、セピアプテリン又はH4BipはNOS脱共役によって誘導されて上昇した血圧を低下させる(Wang S, Xu J, Song P, Wu Y, Zhang J, Chul Choi H, et al. Acute inhibition of guanosine triphosphate cyclohydrolase 1 uncouples endothelial nitric oxide synthase and elevates blood pressure. Hypertension. 2008;52(3):484-90. Epub 2008/07/23. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.108.112094. PubMed PMID: 18645049; PubMed Central PMCID: PMCPMC3523107、Podjarny E, Hasdan G, Bernheim J, Rashid G, Green J, Korzets Z, et al. Effect of chronic tetrahydrobiopterin supplementation on blood pressure and proteinuria in 5/6 nephrectomized rats. Nephrol Dial Transplant. 2004;19(9):2223-7. Epub 2004/07/15. doi: 10.1093/ndt/gfh383. PubMed PMID: 15252157)。
【0042】
我々の発見の臨床的次元に関して、高血圧症患者において血漿中ADMAレベルが上昇したという我々の観察結果は、NOS脱共役を支持するものであるが(Perticone F, Sciacqua A, Maio R, Perticone M, Maas R, Boger RH, et al. Asymmetric dimethylarginine, L-arginine, and endothelial dysfunction in essential primary hypertension. J Am Coll Cardiol. 2005;46(3):518-23. Epub 2005/08/02. doi: 10.1016/j.jacc.2005.04.040. PubMed PMID: 16053968、Sonmez A, Celebi G, Erdem G, Tapan S, Genc H, Tasci I, et al. Plasma apelin and ADMA Levels in patients with essential primary hypertension. Clin Exp Hypertens. 2010;32(3):179-83. Epub 2010/05/28. doi: 10.3109/10641960903254505. PubMed PMID: 20504125)、NOX5 KIマウスにおいて前臨床で我々が得たのと類似したNOX5との機序的なつながりについて、単離されたヒト血管のエクスビボでの分析又はセピアプテリンを用いた介在的な治験が必要となると思われる。実際、セピアプテリン類似体、すなわち、葉酸及びH4Bipは、内皮機能を改善することにより上昇した血圧を低下させるのに臨床的に有効である(Porkert M, Sher S, Reddy U, Cheema F, Niessner C, Kolm P, et al. Tetrahydrobiopterin: a novel antihypertensive therapy. J Hum Hypertens. 2008;22(6):401-7. Epub 2008/03/07. doi: 10.1038/sj.jhh.1002329. PubMed PMID: 18322548、McRae MP. High-dose folic acid supplementation effects on endothelial function and blood pressure in hypertensive patients: a meta-analysis of randomized controlled clinical trials. J Chiropr Med. 2009;8(1):15-24. Epub 2009/08/04. doi: 10.1016/j.jcm.2008.09.001. PubMed PMID: 19646382; PubMed Central PMCID: PMCPMC2697578)。葉酸は、単独(Kong X, Huang X, Zhao M, Xu B, Xu R, Song Y, et al. Platelet Count Affects Efficacy of Folic Acid in Preventing First Stroke. J Am Coll Cardiol. 2018;71(19):2136-46. Epub 2018/05/12. doi: 10.1016/j.jacc.2018.02.072. PubMed PMID: 29747834)又は降圧薬との組合せ(Huo Y, Li J, Qin X, Huang Y, Wang X, Gottesman RF, et al. Efficacy of folic acid therapy in primary prevention of stroke among adults with hypertension in China: the CSPPT randomized clinical trial. JAMA. 2015;313(13):1325-35. Epub 2015/03/17. doi: 10.1001/jama.2015.2274. PubMed PMID: 25771069、Wang WW, Wang XS, Zhang ZR, He JC, Xie CL. A Meta-Analysis of Folic Acid in Combination with Anti-Hypertension Drugs in Patients with Hypertension and Hyperhomocysteinemia. Front Pharmacol. 2017;8:585. Epub 2017/09/16. doi: 10.3389/fphar.2017.00585. PubMed PMID: 28912716; PubMed Central PMCID: PMCPMC5584015)において、高血圧症患者における心血管及び脳血管事象のリスクを低減させる。
【0043】
全体として、インシリコでのネットワークアプローチ並びにさらなる臨床的及び前臨床的検証を使用した我々の発見は、酸化ストレス、内皮細胞機能不全及び収縮期高血圧症の間の長期にわたって観察された相関を説明する。ヒト化内皮細胞NOX5 KIマウスは、ヒト加齢高血圧症及び内皮細胞機能不全の最初の機序ベースの動物モデルである。理想的には、例えば、内皮マイクロパーティクル液体生検試料に基づく機序的バイオマーカー階層化と組み合わせたNOX5阻害及びNOS再共役は、治療上では、対症的な血管拡張薬を不要のものとする治癒的降圧療法のための、ファースト・イン・クラスの機序ベースのアプローチである。
【0044】
要約すると、高血圧症は、高齢者における死及び身体障害の最も重要な原因である。しかし、10症例のうち9症例において、分子的原因は今もなお不明のままである。この群は、通常は原発性動脈性高血圧症と称される。
【0045】
本明細書において、我々は、現在もなお治療抵抗性高血圧症とみなされている、原発性動脈性高血圧症症例の少なくとも大部分の背後にある機序を特定する。
【0046】
我々は、反応性酸素種(ROS)による内皮依存性血管拡張の障害を伴うこの機序を特定した。我々は、ROS形成Nox遺伝子が高血圧症と関連していることを見出しており、本明細書において、齧歯類には存在しないNox5をヒト血管拡張性内皮一酸化窒素(NO)シグナル伝達の唯一のネイバーとして特定する。
【0047】
我々は、高血圧症患者において、疾患重症度と相関して、内皮マイクロパーティクルが二峰性分布を伴うより高いレベルのNOX5を含有することを見出した。
【0048】
高レベルの循環NOX5レベルを有する対象は、NOX5阻害剤又はセピアプテリン、L-シトルリン、L-アルギニン、テトラヒドロビオプテリン及び葉酸からなる群から選択される化合物で効果的に治療できるであろうと思われた。適切なNOX5阻害剤の一例は、ML090である。
【0049】
我々は、内皮細胞中でヒトNOX5を発現するマウスは、加齢時に、脱共役したNO合成酵素に起因する重度の収縮期高血圧症及び内皮依存性血管拡張の障害を発症することを見出した。我々は、内皮型NO合成酵素のNOX5誘導性脱共役が加齢高血圧症エンドタイプの原因機序及び治療標的であると結論する。我々は、Nox5ノックインマウスが高血圧症の最初の機序ベースの動物モデルであると結論する。
【0050】
したがって、一実施形態において、本発明は、対象における本態性動脈性高血圧症を診断するための新規の方法であって、対象からの体液試料中又は組織試料中においてNADPHオキシダーゼ5(NOX5)のレベルが決定され、NOX5のレベルが所定の閾値レベルを上回る場合、前記対象が(NOX5依存性)本態性動脈性高血圧症を有すると結論づけられる、方法に関する。この方法は、これまでに治療抵抗性高血圧症と呼ばれていた疾病を有する対象を特定する。それらの症例は、NOX5阻害剤又はセピアプテリン、L-シトルリン、L-アルギニン、テトラヒドロビオプテリン及び葉酸からなる群から選択される化合物で今や有効に治療され得る。それらの症例は、分子構造(I):
【0051】
【0052】
を有するNOX5阻害剤ML090(5,12-ジヒドロキノキサリノ(2,3-B)キノキサリン)で今や有効に治療され得る。
【0053】
本発明はさらに、本態性動脈性高血圧症を罹患している対象から得られた血漿試料中において、1ml当たり少なくとも160pgのニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)オキシダーゼ5(NOX5)濃度の存在について試験することによる、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断する方法に関する。
【0054】
例示的な実施形態において、本発明に係る診断の方法は、
(a)血漿試料から内皮マイクロパーティクルを単離するステップと、
(b)タンパク質検出アッセイを使用してステップ(a)の前記内皮マイクロパーティクル中のNOX5を測定し、前記血漿試料中のNOX5の濃度を血漿試料1ml当たりのNOX5のpgとして決定するステップと
を含み、ステップ(b)で決定されたNOX5の前記濃度が前記血漿試料1ml当たり少なくともNOX5 160pgである場合、(ヒト)対象がNOX5依存性高血圧症を罹患していると診断される。
【0055】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を罹患している対象から得られた血漿試料中において、1ml当たり少なくとも160pgのニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)オキシダーゼ5(NOX5)濃度の存在について試験することによる、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断する方法であって、前記対象が、少なくとも140mmHgの収縮期血圧、少なくとも90mmHgの拡張期血圧、又は降圧薬の使用として定義される高血圧症に罹患している、方法を提供する。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を罹患している対象から得られた血漿試料中において、1ml当たり少なくとも160pgのニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)オキシダーゼ5(NOX5)濃度の存在について試験することによる、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断する方法であって、前記対象が、アンギナ、心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管疾患、炎症性疾患及び血管炎に罹りやすいいずれかの疾患のいずれかの病歴又は臨床的証拠を有しておらず、かつ、対象がステージ4又はステージ5の慢性腎臓病を有していない、方法を提供する。
【0057】
本発明はさらに、対象からの体液試料中又は組織試料中においてNOX5のレベルを決定することを含む、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断する方法であって、NOX5のレベルが1ml当たり160pgを上回る場合、前記対象がNOX5依存性高血圧症を有すると結論づけられる、方法に関する。
【0058】
さらなる実施形態において、本発明は、対象からの体液試料中又は組織試料中においてNOX5のレベルを決定することを含む、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断する方法であって、NOX5のレベルが1ml当たり160pgを上回る場合、前記対象がNOX5依存性高血圧症を有すると結論づけられ、前記体液試料又は組織試料が血漿試料である、方法に関する。
【0059】
さらなる実施形態において、本発明は、対象からの体液試料中又は組織試料中においてNOX5のレベルを決定することを含む、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断する方法であって、NOX5のレベルが1ml当たり160pgを上回る場合、前記対象がNOX5依存性高血圧症を有すると結論づけられ、前記対象が、少なくとも140mmHgの収縮期血圧、少なくとも90mmHgの拡張期血圧、又は降圧薬の使用として定義される高血圧症に罹患している、方法を提供する。
【0060】
例示的な実施形態において、本発明に係る診断の方法は、
(a)血漿試料から内皮マイクロパーティクルを単離するステップと、
(b)タンパク質検出アッセイを使用してステップ(a)の前記内皮マイクロパーティクル中のNOX5を測定し、前記血漿試料中のNOX5の濃度を血漿試料1ml当たりのNOX5のpgとして決定するステップと
を含み、ステップ(b)で決定されたNOX5の前記濃度が前記血漿試料1ml当たり少なくともNOX5 160pgである場合、(ヒト)対象がNOX5依存性高血圧症を罹患していると診断される。
【0061】
さらなる実施形態において、本発明は、対象からの体液試料中又は組織試料中においてNOX5のレベルを決定することを含む、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断する方法であって、NOX5のレベルが1ml当たり160pgを上回る場合、前記対象がNOX5依存性高血圧症を有すると結論づけられ、前記対象が、アンギナ、心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管疾患、炎症性疾患及び血管炎に罹りやすいいずれかの疾患のいずれかの病歴又は臨床的証拠を有しておらず、かつ、対象がステージ4又はステージ5の慢性腎臓病を有していない、方法を提供する。
【0062】
本発明はさらに、本態性動脈性高血圧症、特に、NOX5依存性高血圧症を有する対象の治療における使用のための、セピアプテリン、L-シトルリン、L-アルギニン、テトラヒドロビオプテリン、葉酸及びNOX5阻害剤、特に、NOX5阻害剤5,12-ジヒドロキノキサリノ(2,3-B)キノキサリン(ML090)からなる群から選択される化合物に関する。
【0063】
本発明はさらに、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とする、化合物に関する。
【0064】
さらなる実施形態において、本発明はさらに、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とし、前記本態性動脈性高血圧症がNOX5依存性高血圧症である、化合物に関する。
【0065】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とする、セピアプテリンである化合物に関する。
【0066】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とし、前記対象が、毎分20~200mgのアルブミン排泄速度として定義される中等度に上昇したアルブミン尿を有する、化合物に関する。
【0067】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とし、本発明に係る方法の少なくとも1つによって前記対象がNOX5依存性高血圧症に罹患していると診断される、化合物に関する。
【0068】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とし、前記対象が少なくとも53歳である、化合物に関する。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とし、前記対象が少なくとも57歳である、化合物に関する。
【0070】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とし、前記対象が、健常対象の群の非対称型ジメチルアルギニンの平均血漿中濃度と比較してより高い非対称型ジメチルアルギニンの血漿中濃度を有する、化合物に関する。
【0071】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とし、前記対象が、1リットル当たり少なくとも0.53マイクロモル、好ましくは1リットル当たり少なくとも0.58マイクロモル、より好ましくは1リットル当たり少なくとも0.63マイクロモルの非対称型ジメチルアルギニンの血漿中濃度を有する、化合物に関する。
【0072】
さらなる実施形態において、本発明は、本態性動脈性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本態性動脈性高血圧症を有する前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有することを特徴とし、前記対象が、少なくとも140mmHgの収縮期血圧、少なくとも90mmHgの拡張期血圧、又は降圧薬の使用として定義される高血圧症に罹患している、化合物に関する。
【0073】
本発明はさらに、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物に関する。
【0074】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有する、化合物に関する。
【0075】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、セピアプテリンである化合物に関する。
【0076】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、毎分20~200mgのアルブミン排泄速度として定義される中等度に上昇したアルブミン尿を有する、化合物に関する。
【0077】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本発明に係る方法の少なくとも1つによって前記対象がNOX5依存性高血圧症に罹患していると診断される、化合物に関する。
【0078】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が少なくとも53歳である、化合物に関する。
【0079】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が少なくとも57歳である、化合物に関する。
【0080】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、健常対象の群の非対称型ジメチルアルギニンの平均血漿中濃度と比較してより高い非対称型ジメチルアルギニンの血漿中濃度を有する、化合物に関する。
【0081】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、1リットル当たり少なくとも0.53マイクロモル、好ましくは1リットル当たり少なくとも0.58マイクロモル、より好ましくは1リットル当たり少なくとも0.63マイクロモルの非対称型ジメチルアルギニンの血漿中濃度を有する、化合物に関する。
【0082】
さらなる実施形態において、本発明は、治療抵抗性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、少なくとも140mmHgの収縮期血圧、少なくとも90mmHgの拡張期血圧、又は降圧薬の使用として定義される高血圧症に罹患している、化合物に関する。
【0083】
本発明はさらに、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物に関する。
【0084】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、血漿1ml当たり少なくともNOX5 160pgのNOX5血漿中濃度を有する、化合物に関する。
【0085】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、セピアプテリンである化合物に関する。
【0086】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、毎分20~200mgのアルブミン排泄速度として定義される中等度に上昇したアルブミン尿を有する、化合物に関する。
【0087】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、本発明に係る方法の少なくとも1つによって前記対象がNOX5依存性高血圧症に罹患していると診断される、化合物に関する。
【0088】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が少なくとも53歳である、化合物に関する。
【0089】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が少なくとも57歳である、化合物に関する。
【0090】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、健常対象の群の非対称型ジメチルアルギニンの平均血漿中濃度と比較してより高い非対称型ジメチルアルギニンの血漿中濃度を有する、化合物に関する。
【0091】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、1リットル当たり少なくとも0.53マイクロモル、好ましくは1リットル当たり少なくとも0.58マイクロモル、より好ましくは1リットル当たり少なくとも0.63マイクロモルの非対称型ジメチルアルギニンの血漿中濃度を有する、化合物に関する。
【0092】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5依存性高血圧症を有する対象を治療する方法における使用のための、セピアプテリン、葉酸、L-シトルリン、L-アルギニン及びテトラヒドロビオプテリンから選択される化合物であって、前記対象が、少なくとも140mmHgの収縮期血圧、少なくとも90mmHgの拡張期血圧、又は降圧薬の使用として定義される高血圧症に罹患している、化合物に関する。
【0093】
本発明はまた、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用に関する。
【0094】
さらなる実施形態において、本発明は、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、前記マウスが少なくとも68週齢である、使用に関する。
【0095】
さらなる実施形態において、本発明は、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、前記マウスが129/SVマウスである、使用に関する。
【0096】
さらなる実施形態において、本発明は、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、本態性動脈性高血圧症がNOX5依存性高血圧症である、使用に関する。
【0097】
さらなる実施形態において、本発明は、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、前記マウスが、80% 129/SVを含む遺伝的背景を有する、使用に関する。
【0098】
さらなる実施形態において、本発明は、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、前記マウスが、80% 129/SV及び20% C57BI6からなる遺伝的背景を有する、使用に関する。
【0099】
したがって、具体的には、マウスは、80% 129/SVを含む混合型の遺伝的背景を有する。より具体的には、マウスは、80% 129/SV及び20% C57BI6からなる混合型の遺伝的背景を有する。
【0100】
具体的には、マウスは、80% 129/SVを含む混合型の遺伝的背景を有する。より具体的には、マウスは、80% 129/SV及び20% C57BI6からなる混合型の遺伝的背景を有する。
【0101】
さらなる実施形態において、本発明は、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、前記ノックインヒトNox5遺伝子がプロモーターtie 2によって制御される、使用に関する。
【0102】
さらなる実施形態において、本発明は、対象におけるNOX5依存性高血圧症における使用のための治療薬及び検出のための方法を発見及び開発するための、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、ヒトNOX5が前記マウスの内皮細胞及び白血球において発現している、使用に関する。
【0103】
具体的には、マウスは、80% 129/SVを含む混合型の遺伝的背景を有する。より具体的には、マウスは、80% 129/SV及び20% C57BI6からなる混合型の遺伝的背景を有する。
【0104】
一実施形態は、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、前記ノックインヒトNox5遺伝子がプロモーターtie 2によって制御される、使用である。
【0105】
一実施形態は、ノックインヒトNox5遺伝子を有するマウスの使用であって、ヒトNOX5が前記マウスの内皮細胞及び白血球において発現している、使用である。
【0106】
さらなる実施形態において、本発明は、所定の閾値レベルが、本態性動脈性高血圧症を有していない健常対象から同一の方法を使用して採取した試料において決定されたNOX5のレベルである、上記の方法に関する。より一層好ましい実施形態において、閾値レベルは、1ml当たり160pgのNOX5である。より一層好ましい実施形態において、対象はまた、微量アルブミン尿を有する。本明細書で記載される方法で使用される試料は、体液試料又は組織試料であってもよく、好ましくは、試料は血管内皮細胞を含み、より一層好ましくは、試料は循環内皮マイクロパーティクルを含む。さらなる実施形態において、本発明は、NOX5のレベルがNox5メッセンジャーRNAのレベルを測定することによって決定される、上記の方法を提供する。
【0107】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5のレベルが脱共役一酸化窒素合成酵素(NOS)のレベルを測定することによって決定される、上記の方法を提供する。
【0108】
さらなる実施形態において、本発明は、脱共役NOSのレベルが非対称型ジメチルアルギニン(ADMA,asymmetric dimethylarginine)のレベルを測定することによって決定される、上記の方法を提供する。
【0109】
さらなる実施形態において、本発明は、試料が、血漿、血液及び血清を含む群から選択される、上記の方法を提供する。
【0110】
さらなる実施形態において、本発明は、試料が、白血球を含有する多血小板血漿を含む、上記の方法を提供する。
【0111】
さらなる実施形態において、本発明は、試料が少血小板血漿を含む、上記の方法を提供する。
【0112】
本発明はさらに、本態性動脈性高血圧症を有する対象の治療における使用のための、セピアプテリン、L-シトルリン、L-アルギニン、テトラヒドロビオプテリン、葉酸及びNOX5阻害剤からなる群から選択される化合物に関する。
【0113】
さらなる実施形態において、本発明は、治療前に、本明細書に記載される方法を使用して対象が本態性動脈性高血圧症と診断される、上記の使用のための化合物に関する。
【0114】
さらなる実施形態において、本発明は、治療が、セピアプテリン、L-シトルリン、L-アルギニン、テトラヒドロビオプテリン、葉酸及びNOX5阻害剤からなる群から選択される化合物の対象への投与を含む、上記の使用のための化合物であって、前記化合物のレベルが、試料が採取された体液又は組織において規格化されるような量で投与される、化合物に関する。
【0115】
さらなる実施形態において、本発明は、治療が、本明細書に記載されるNOX5のレベルを測定するステップを含む、上記の使用のための化合物に関する。
【0116】
さらなる実施形態において、本発明は、NOX5及び脱共役NOS依存性本態性動脈性高血圧症における使用のための治療薬及び診断薬を発見及び開発するための、高齢NOX5ノックイン動物モデルの使用に関する。
[実施例]
【実施例1】
【0117】
研究設計。
ヒト対象のサンプルサイズをG*Powerソフトウェアによって決定した。マウスについては、我々は式n = 2x s2x(Za/2+Zb)2/D2(L. Sachs, Angewandte Statistik, Springer, 1983, Berlijn, Springer Verlag)による検出力分析を使用した。アンギナ、心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管疾患、炎症性疾患、又は血管炎に罹りやすいいずれかの疾患の病歴又は臨床的証拠を有するヒト対象を除外した。適当な調査により、二次性高血圧症の原因を除外した。ステージ4及び5の慢性腎臓病(GFR<30mL/分/1.73m2)を有する患者も除外した。血圧及びアルブミン尿値に基づいて、ヒト試料を異なる群に割り当てた。遺伝子型に従ってマウスを各実験群に割り当てた。調査者は実験群について情報を秘匿された。反復実験は成功であった。すべての実験を、独立な生体試料を用いて少なくとも3回再現した。
【実施例2】
【0118】
インシリコでの方法
我々は、NOXファミリーメンバー及び一酸化窒素環状GMP関連タンパク質をシードノードとして使用して、IID(Kotlyar M, Pastrello C, Malik Z, Jurisica I. IID 2018 update: context-specific physical protein-protein interactions in human, model organisms and domesticated species. Nucleic Acids Res. 2019;47(D1):D581-D9. Epub 2018/11/09. doi: 10.1093/nar/gky1037. PubMed PMID: 30407591; PubMed Central PMCID: PMCPMC6323934)データベース(インタラクトーム)から得た実験により検証されたタンパク質-タンパク質相互作用から分子サブネットワークを抽出した。このシードの組は、NOX1、NOX3、NOX4、NOX5、NOS1、NOS3、GUCYA1、GUCYA2、GUCYB1、PDE5A、PDE9A及びPRKG1を含む。我々は、インタラクトームからシード遺伝子のすべての第1ネイバーによって導出された、サブネットワークを得た。次いで、導出されたサブネットワークを、完全なインタラクトームにおけるノード(タンパク質)次数によって規格化されたサブネットワーク内のノード次数として定義される、サブネットワーク参加度(SPD)に従って剪定した。SPDは、あるタンパク質の相互作用があるサブネットワークにおいてどれだけ豊富であるかを定量化する。このようにして我々は、接続されたコンポーネント及びいくつかの単一ノードの組によって表現される、重みつきの疾患モジュールを明らかにした。ほとんどのモジュール特異的相互作用を含みつつほとんどの非特異的なノードを除外することから、我々は、剪定ステップにおけるカットオフ値として、ノードの百分率の積算合計80%に対応するSPDカットオフ値を選択した。最終的なサブネットワークは、56種のタンパク質及び83通りのタンパク質-タンパク質相互作用からなっていた。
【0119】
さらに我々は、モジュール特定DREAMチャレンジ(Choobdar S, Ahsen ME, Crawford J, Tomasoni M, Fang T, Lamparter D, et al. Assessment of network module identification across complex diseases. Nat Methods. 2019;16(9):843-52. Epub 2019/09/01. doi: 10.1038/s41592-019-0509-5. PubMed PMID: 31471613; PubMed Central PMCID: PMCPMC6719725)による2つのトップクラスの疾患ネットワークモジュール特定法をインタラクトームに適用した。我々は、全体的及び局所的という2つの相補的な方法のカテゴリーからこれらの方法を選択した。これら2つの方法の間の主な違いは、全体的方法はPPIネットワークの全体的な構造情報を活用するのに対し、局所的方法は、局所的なネイバー情報のみを考慮する。MONETツールに同梱されているDREAMチャレンジの全体モジュール性最適化法(M1)及びSPICiツール(Jiang P, Singh M. SPICi: a fast clustering algorithm for large biological networks. Bioinformatics. 2010;26(8):1105-11. Epub 2010/02/27. doi: 10.1093/bioinformatics/btq078. PubMed PMID: 20185405; PubMed Central PMCID: PMCPMC2853685)による集積的局所法(L1)を選択し(それらのカテゴリーでは最良の成績を有する)、インタラクトーム中の疾患モジュールを見出すために適用した。M1は、複数のモジュール検出アルゴリズムを組み合わせることで、個々のアルゴリズムに起因する最適でないパーティションを回避し(Arenas A, Fernandez A, Gomez S. Analysis of the structure of complex networks at different resolution levels. New Journal of Physics. 2008;10(5):053039. doi: 10.1088/1367-2630/10/5/053039)、本ツールにおいてシードノードがまったくなくても顕著に動作する、アンサンブルアプローチである点に留意されたい。集積的L1法は、自動的に選択された高い重みつき次数を有する局所シードから始めて、ひたすらにネットワークのクラスター形成を行う。このアルゴリズムは、シードノードの隣接領域におけるモジュールの局所密度を改善する。
【実施例3】
【0120】
ヒト研究参加者
我々は、2008年4月から2008年12月にTaipei Veterans General Hospitalにて、本態性原発性高血圧症及び30mL/分/1.73m2以上のベースライン推算GFRを有する継続外来患者を登録した過去の研究(Hsu CY, Huang PH, Chiang CH, Leu HB, Huang CC, Chen JW, et al. Increased circulating endothelial apoptotic microparticle to endothelial progenitor cell ratio is associated with subsequent decline in glomerular filtration rate in hypertensive patients. PLoS One. 2013;8(7):e68644. Epub 2013/07/23. doi: 10.1371/journal.pone.0068644. PubMed PMID: 23874701; PubMed Central PMCID: PMCPMC3709900、Huang PH, Huang SS, Chen YH, Lin CP, Chiang KH, Chen JS, et al. Increased circulating CD31+/annexin V+ apoptotic microparticles and decreased circulating endothelial progenitor cell levels in hypertensive patients with microalbuminuria. J Hypertens. 2010;28(8):1655-65. Epub 2010/06/04. doi: 10.1097/HJH.0b013e32833a4d0a. PubMed PMID: 20520578)に基づき、本研究を設計した。高血圧症を、140mmHg以上の収縮期血圧、90mmHg以上の拡張期血圧、又は降圧薬の使用と定義した。本発明に係る、対象における本態性動脈性高血圧症、特に、対象におけるNOX5依存性高血圧症を診断するための方法であって、前記対象が、少なくとも140mmHgの収縮期血圧、少なくとも90mmHgの拡張期血圧、又は降圧薬の使用として定義される高血圧症に罹患している方法の、一実施形態に従った。
【0121】
アンギナ、心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管疾患、炎症性疾患、又は血管炎に罹りやすいいずれかの疾患の病歴又は臨床的証拠を有する対象を除外した。適当な調査により、二次性高血圧症の原因を除外した。ステージ4及び5の慢性腎臓病(GFR<30mL/分/1.73m2)を有する患者も除外した。各人の問診中及び医療ファイルから、心血管疾患のリスク因子、過去及び現在の心血管系事象、並びに現行の投薬計画を含む診療歴を得た。体重、身長、及び腹囲を測定し、肥満度指数(BMI)を計算した。患者を15分以上座位とした後、医師が水銀血圧計で上腕血圧を測定した。3回の測定値の平均を分析に使用した。
【実施例4】
【0122】
血液及び尿の測定
測定のための8時間の夜間絶食の後、すべての患者から静脈血試料を採取した。採取後すぐに、血液試料を3000rpmで10分間遠心分離し、血漿試料を分析まで-70℃で凍結させておいた。それぞれの標準及び血漿試料を2回分析し、その後のすべての分析において平均値を使用した。ラテックス増強免疫比濁アッセイ(Dade Behring社, Marburg, Germany)を使用して、血漿中高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベルを決定した。2種の抗体(Cortez Diagnostics社, Calabasas, CA, USA)を用いたサンドイッチ免疫測定法(EIMA)によって、血漿中N末端プロb型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP,N-terminal pro b-type natriuretic peptide)を決定した。ADMA Fast ELISAキット(DLD Diagnostika社, Hamburg, Germany)を使用して、血漿中ADMAレベルを測定した。アルブミン排泄速度の測定のために、夜間尿試料を得た。正常アルブミン尿を20mg/分未満のアルブミン排泄速度として定義し、中等度に上昇したアルブミン尿(以前は微量アルブミン尿として知られていた)を20~200mg/分のアルブミン排泄速度として定義し、重度アルブミン尿(以前は顕性アルブミン尿として知られていた)を200mg/分を超えるアルブミン排泄速度として定義した。
【実施例5】
【0123】
内皮マイクロパーティクル抽出及びNOX5の測定
CD144+マイクロパーティクルを、改変を加えた上で記載の通りに単離した(Shang F, Wang SC, Hsu CY, Miao Y, Martin M, Yin Y, et al. MicroRNA-92a Mediates Endothelial Dysfunction in CKD. J Am Soc Nephrol. 2017;28(11):3251-61. Epub 2017/07/12. doi: 10.1681/ASN.2016111215. PubMed PMID: 28696247; PubMed Central PMCID: PMCPMC5661278、Chen Z, Wen L, Martin M, Hsu CY, Fang L, Lin FM, et al. Oxidative stress activates endothelial innate immunity via sterol regulatory element binding protein 2 (SREBP2) transactivation of microRNA-92a. Circulation. 2015;131(9):805-14. Epub 2015/01/01. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.114.013675. PubMed PMID: 25550450; PubMed Central PMCID: PMCPMC4351177)。簡潔に述べると、Dynabeads G(Invitrogen社, Carlsbad, CA)を0.1% BSAを含有するPBSで洗浄し、次いで、PBSで再構成した。内皮細胞を特異的に標的とする抗CD144抗体(Santa Cruz Biotechnology社, Dallas, TX)を、洗浄しておいたDynabeads Gと2時間混合し、次いで、1:200希釈の血漿試料と共に4℃で終夜インキュベートした。沈殿後、Dynabeads GをPBS及び1% Tween-20で3回洗浄した。FACS分析によって決定したCD144+MPの純度は、70%±5.6%であった。大きさの参照としてFITC共役ビーズを使用して当該粒子の大きさを評価したところ、直径が0.5μm未満であった。市販の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA,enzyme-linked immunosorbent assay、Cusabio Technology社, Houston, Texas)キットを使用して、製造業者による使用説明書に従い、ヒトNADPHオキシダーゼ5(NOX5)レベルを測定した。2008年の採取日から2014年のNOX5についての試験まで、試料を-70℃で保存した(全部で50試料が利用可能であった)。試験のアッセイ内及びアッセイ間変動係数は、それぞれ8%未満及び10%未満であった。
【実施例6】
【0124】
動物
マウスは天然においてNOX5遺伝子を発現しないため、我々は、過去に記載されているヒト化NOX5ノックイン(KI)マウス(Casas AI, Kleikers PW, Geuss E, Langhauser F, Adler T, Busch DH, et al. Calcium-dependent blood-brain barrier breakdown by NOX5 limits postreperfusion benefit in stroke. J Clin Invest. 2019;130:1772-8. Epub 2019/03/19. doi: 10.1172/JCI124283. PubMed PMID: 30882367; PubMed Central PMCID: PMCPMC6436900)を作製し、検証した。マウスは、記載されている通り、129/SVマウス、具体的には、80% 129/SV/20% C57BI6マウスであった(Casas AI, Kleikers PW, Geuss E, Langhauser F, Adler T, Busch DH, et al. Calcium-dependent blood-brain barrier breakdown by NOX5 limits postreperfusion benefit in stroke. J Clin Invest. 2019;130:1772-8. Epub 2019/03/19. doi: 10.1172/JCI124283. PubMed PMID: 30882367; PubMed Central PMCID: PMCPMC6436900)。簡潔に述べると、Tie2プロモーターの制御下でヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Hprt,hypoxanthine phospho-ribosyl-transferase)標的トランスジェニックアプローチを使用して、モデルを開発した。したがって、我々のNOX5 KIマウスは、内皮細胞及び白血球においてNOX5を発現し、これはNOX5のヒトにおける生理学的発現を模倣する。KIマウス組織におけるNOX5の発現は、定量的リアルタイムPCRによって過去に検証され、野生型(WT)マウスと比較されている(Casas AI, Kleikers PW, Geuss E, Langhauser F, Adler T, Busch DH, et al. Calcium-dependent blood-brain barrier breakdown by NOX5 limits postreperfusion benefit in stroke. J Clin Invest. 2019;130:1772-8. Epub 2019/03/19. doi: 10.1172/JCI124283. PubMed PMID: 30882367; PubMed Central PMCID: PMCPMC6436900)。オス及びメスのマウスの歳及び性別が一致する群(9~15週齢、n = 19~20及び68~87週齢、n = 31~33)を使用した。すべてのマウスは温度制御室(22℃)中で水及び食物を自由に利用できるようにされ、12時間の明暗サイクル中に置かれた。
【実施例7】
【0125】
血圧記録(遠隔測定)
NOX5 KI及びWTマウスをイソフルランで麻酔し(導入時、3~4%;維持時、1.5~2.5%)、心エコー検査(超音波検査)を実施した(
図13)。遠隔測定用送信機を埋入するため、超音波検査から5日後、マウスを同じプロトコルで麻酔し、0.05mg/kgブプレノルフィンの皮下注射を12時間毎に繰り返すことにより、術前鎮痛を行った。各マウスを加熱パッド(UNO温度制御ユニット、UNO Roestvaststaal社)上に置き、直腸プローブを使用して体温をモニタリングし、フィードバック制御された赤外光を使用して37.0℃に維持した。頸動脈を覆う皮膚を切開した。この切開により、側腹部の皮下空間に、血圧、心拍数、及び運動活性をモニタリングする遠隔測定用送信機(TA11PA-C10;Data Sciences社, St. Paul, MN)を挿入するためのポケットが作り出された。左頸動脈を解離し、3本の結紮糸(5-0、シルク)を、血管を塞ぐための、内頸動脈と外頸動脈の分岐と、血管を一時的に塞ぐための、心臓と、カテーテルを固定するための、これらの中間とに設置した。動脈において切られた小孔を介してカテーテルを挿入し、大動脈弓へと進入させた。次いで、側腹部のポケットを予め温めておいた3mLの食塩水で満たし、ポケット中に送信機を設置した。次いで、polysorb 5-0縫合糸を使用して創傷を塞いだ。すべての外科手術手技は、無菌条件下で行われた。6時間後に0.05mg/kgブプレノルフィンを、24及び48時間後に5mg/kgカプロフェンを皮下注射することにより、術後鎮痛を行った。測定を開始する前に7~14日間マウスを回復させた。マウスを静かな部屋に個別に収容した。1時間当たり75秒の10サイクルで、72時間の期間にわたって血圧を測定した(Wang Y, Thorin E, Luo H, Tremblay J, Lavoie JL,Wu Z, et al. EPHB4 Protein Expression in Vascular Smooth Muscle Cells Regulates Their Contractility, and EPHB4 Deletion Leads to Hypotension in Mice. J Biol Chem. 2015;290(22):14235-44. Epub 2015/04/24. doi: 10.1074/jbc.M114.621615. PubMed PMID: 25903126; PubMed Central PMCID: PMCPMC4447992、Xu P, Costa-Goncalves AC, Todiras M, Rabelo LA, Sampaio WO, Moura MM, et al. Endothelial dysfunction and elevated blood pressure in MAS gene-deleted mice. Hypertension. 2008;51(2):574-80. Epub 2008/01/09. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA. 107.102764. PubMed PMID: 18180400、Shirey-Rice JK, Klar R, Fentress HM, Redmon SN, Sabb TR, Krueger JJ, et al. Norepinephrine transporter variant A457P knock-in mice display key features of human postural orthostatic tachycardia syndrome. Dis Model Mech. 2013;6(4):1001-11. Epub 2013/04/13. doi: 10.1242/dmm.012203. PubMed PMID: 23580201; PubMed Central PMCID: PMCPMC3701219)。送信機からの無線信号を、完全自動化データ取得システム(Dataquest A.R.T.;Data Sciences社)を用いて連続的にモニタリングした。CO
2/O
2吸入によってマウスを屠殺し、さらなる分析のために臓器を取り出した。臓器及び体重を
図6に提示する。
【実施例8】
【0126】
ミオグラフ
マウスを屠殺後、胸部大動脈、大腿動脈及び伏在動脈を血管周囲脂肪組織から解離し、ワイヤーミオグラフ(DMT社, Aarhus, DK)にマウントした。臓器チャンバーを、95% O
2/5% CO
2で連続的にエアレーションし37℃に維持したKrebs-Ringer炭酸水素緩衝化塩溶液(KRB,Krebs-Ringer bicarbonate-buffered salt solution)で満たした。過去に記載されている生理学的に関連性のある内腔内径(Lazor R, Feihl F, Waeber B, Kucera P, Perret C. Endothelin-1 does not mediate the endothelium-dependent hypoxic contractions of small pulmonary arteries in rats. Chest. 1996;110(1):189-97. Epub 1996/07/01. doi: 10.1378/chest.110.1.189. PubMed PMID: 8681627)を模倣するため、受動的な伸張措置を実施した。動脈の収縮及び弛緩応答を、胸部大動脈及び大腿動脈では100mmHgの拡張圧に相当する内腔直径で、抵抗を生じる太さの伏在動脈ではこの直径の90%で記録した。これは、拡張期動脈血圧が高齢のKIマウスとWTマウスの間で有意差がなかったことから正当化される。同等の直径-張力関係から鑑みて、これらの直径は2つのマウス株間で有意差がなかった(
図14)。円筒管に対するラプラスの法則P=T/R(Pは経壁圧、Tは壁張力、Rは管の内腔半径)に従い、直径・張力関係を構築した。結果として、1)半径の変化(ワイヤーミオグラフィー)の印加に応答した張力の変化又は2)経壁圧の変化(圧力ミオグラフィー)に応答した半径の変化を記録することにより、壁硬化を等しく決定することができる(Bloksgaard M, Leurgans TM, Spronck B, Heusinkveld MHG, Thorsted B, Rosenstand K, et al. Imaging and modeling of acute pressure-induced changes of collagen and elastin microarchitectures in pig and human resistance arteries. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2017;313(1):H164-H78. Epub 2017/04/23. doi: 10.1152/ajpheart.00110.2017. PubMed PMID: 28432057、Pourageaud F, De Mey JG. Structural properties of rat mesenteric small arteries after 4-wk exposure to elevated or reduced blood flow. Am J Physiol. 1997;273(4):H1699-706. Epub 1997/11/15. doi: 10.1152/ajpheart.1997.273.4.H1699. PubMed PMID: 9362233)。ここで、前者のアプローチが後者より高いスループットを有することから、我々は前者のアプローチを使用した。応力-歪み関係とより一層良好な「増分弾性(ヤング)係数」(壁厚の記録がさらに必要となる)のみが、動脈硬化度の変化に対する構造的特性の寄与と物質的特性の寄与とを区別する際に役立つ。単離された胸部大動脈の一部について、この血管において内皮由来血管作動性因子として作用し得るプロスタグランジンの産生を阻害する、10μMインドメタシンの非存在下及び部分的に連続的な存在下で研究を行った。40mM K
+に対する収縮応答と、後続でアセチルコリン(Ach)(0.01~100μM)、PAPA/NO(0.01~10μM)又はBay60-2770(0.01~10μM)誘導性弛緩を伴うフェニレフリン(0.01~100μM)及びエンドセリン1(1~256nM)の濃度-応答曲線とについて、血管を試験した。血管セグメントの壁張力を、LabChart Pro(ADInstruments社, Oxford, UK)を用いて連続的に記録した。
【実施例9】
【0127】
スーパーオキシド形成の測定:DHE標識
蛍光色素ジヒドロエチジウム(DHE,dihydroethidium)(Thermo Scientific Technology社, The Netherlands)を使用して、大腿動脈においてスーパーオキシドを測定した。凍った状態の大腿動脈凍結切片をPBS中の4%パラホルムアルデヒド(PFA,paraformaldehyde)で固定し、次いで、2μM DHEと共に37℃で30分間インキュベートした。3回のPBSを用いた洗浄ステップの後、薄片を2μg/ml DAPI(Sigma-Aldrich社, The Netherlands)と共に10分間インキュベートした。切片をPBS中で洗浄し、次いで、Dako Fluorescence Mounting Medium(S3023、Agilent Technologies社)を使用してマウントした。免疫蛍光シグナルを、Leica DMI3000 B蛍光顕微鏡を使用して目視した。DHE染色を実施する前に、一部の動脈を37℃で30分間、500μM L-NAMEによって前処理した。
【実施例10】
【0128】
RNA抽出、cDNA合成及び定量的リアルタイムPCR
胸部大動脈、大腿動脈及び伏在動脈をマウスから単離し、すぐにRNAlater溶液(Thermo Fisher Scientific社)中に浸した。RNeasy(登録商標)Micro Kit(Qiagen社)を使用し、製造業者によるプロトコルに従ってRNAを抽出した。High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Thermo Fisher Scientific社)を使用して、20μlの反応物中における1μgの全RNAからcDNAを合成した。合成後、cDNAを-20℃で保存した。
【0129】
CFX96TM Real-Time PCR Detection System(Bio-Rad社)上でRT-qPCRを実施した。すべての反応を、各々TaqMan(登録商標) Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems-Life Technologies社)を使用し、製造業者による使用説明書に従って、20μlの総量で3重反復にて実施した。3μlのcDNAを鋳型として使用し、予め設計された、β-アクチン及びNox5のTaqMan(登録商標)プライマーを使用した。使用したプライマーについての具体的なアッセイIDを補足表1に示す。標準的なPCR条件は、以下の通りであった:95℃で10分、その後95℃で15秒及び60℃で1分、59回反復。mRNAの量を、測定されたβ-アクチンmRNAの発現に対して規格化した。
【実施例11】
【0130】
統計解析
すべてのヒト及び動物のデータを、数値変数については平均±SEM、カテゴリー変数については数字(百分率)として表す。2つのマウス群間における連続変数の比較をStudentの対応のない両側t検定によって実施し、3つのヒト群間の比較を一元配置分散分析(ANOVA,analysis of variance)と続くTukeyの多重比較検定(事後検定)とによって実施した。ヒト群間のカテゴリー変数の比較を、χ2(カイ二乗)によって評価した。2つのマウス群間における遠隔測定データの比較を二元配置反復測定ANOVAによって行い、ミオグラフの比較を通常の二元配置ANOVAと続くSidakの多重比較検定とによって行った。ヒト対象におけるNOX5レベルの下位群分析のために、ビン幅をSturgesの規則(Scott DW. Sturges' rule. Wire computational statistics. 2009;1(3):303-6. doi: https://doi.org/10.1002/wics.35)を使用して計算する、頻度分析を実行した。データのモダリティを評価するため、出力頻度を単一のガウシアン及び2つのガウス分布の和にフィッティングし、帰無仮説をガウシアンとし、対立仮説を2つのガウシアンの和として両側F検定を実施した。さらに、調整済みの決定係数値を比較して、試料についての最良のフィッティング分布を選択した。試料の二峰性の性質を考慮し、式「振幅*SD/0.3989」を使用して各ガウス分布下の面積を計算し、その後、NOX5メカノタイプの割合を2つの分布間の比として報告した。GraphPad Prism Version 8.2(GraphPad Software社, San Diego, CA)を使用してデータを解析した。0.05未満のp値を、多重検定補正後に統計的有意性を示すものとした。
【0131】
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【国際調査報告】