(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】疾病診断用の試料検定の遠隔評価のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20230630BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20230630BHJP
G16H 30/00 20180101ALI20230630BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20230630BHJP
G01N 21/64 20060101ALN20230630BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N35/00 A
G01N33/543 521
G16H30/00
G01N21/27 A
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573434
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021034928
(87)【国際公開番号】W WO2021243254
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516282776
【氏名又は名称】クイデル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤグホウビ,フーマン
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ,カーティス
(72)【発明者】
【氏名】ロンジー,スコット
(72)【発明者】
【氏名】サレム,ジアード
(72)【発明者】
【氏名】スタシノプロス,アドーニス
【テーマコード(参考)】
2G043
2G058
2G059
5L099
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043AA04
2G043BA16
2G043BA17
2G043CA03
2G043DA02
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA03
2G043EA13
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2G043FA01
2G043FA07
2G043KA02
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2G043NA12
2G058AA09
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2G058GB10
2G058GD05
2G058GE08
2G059AA01
2G059AA06
2G059BB13
2G059CC12
2G059CC16
2G059CC17
2G059CC20
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE03
2G059EE07
2G059EE20
2G059FF01
2G059FF04
2G059FF08
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2G059HH02
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM02
2G059MM09
2G059MM10
2G059MM13
2G059MM14
2G059PP04
2G059PP06
5L099AA26
(57)【要約】
主題診断を評価するための方法が提供されている。方法は、画像キャプチャ装置から画像を受け取ることであって、画像は、試験カートリッジ内の対象のエリアを有する、ことと、試験カートリッジの対象のエリアの境界を見出し、且つ、試験カートリッジ内の対象のエリアの画像を選択されたサイズ及び選択された形状にするために試験カートリッジの境界によって境界が定められたエリアに対して幾何学的変換を適用することと、を含む。また、方法は、試験カートリッジの対象のエリア内においてターゲット領域を識別することと、ターゲット領域の特性的特徴に基づいて画像の品質を評価することと、画像の品質が、選択された閾値未満である際に、画像キャプチャ装置内の光学結合を調節するためのコマンドを提供することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装された方法であって、
画像キャプチャ装置から画像を受け取ることであって、前記画像は、試験カートリッジ内の対象のエリアを有する、ことと、
前記試験カートリッジの前記対象のエリアの境界を見出し、且つ、前記試験カートリッジ内の前記対象のエリアの前記画像を選択されたサイズ及び選択された形状にするために、前記試験カートリッジの前記境界によって境界が定められたエリアに対して幾何学的変換を適用することと、
前記試験カートリッジの前記対象のエリア内においてターゲット領域を識別することと、
前記ターゲット領域の特性的特徴に基づいて前記画像の品質を評価することと、
前記画像の品質が、選択された閾値未満である際に、前記画像キャプチャ装置内の光学結合を調節するためのコマンドを提供することと、
前記画像の品質が前記選択された閾値を充足している際に、前記画像のデジタル分析に基づいて主題診断を評価するように設計されたソフトウェアを含むプロセッサに前記画像を提供することと、
を有するコンピュータ実装された方法。
【請求項2】
前記画像の前記品質を評価することは、第2画像を評価することを更に有し、前記第2画像は、ダーク試料又はブランク試料の1つである、請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項3】
前記対象のエリアの前記画像内の複数のピクセルからの選択された強度値との関係において前記対象のエリアの前記画像内のピクセルの強度値を正規化することを更に有する、請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項4】
前記ターゲット領域は、陽性対照エリア又は陰性対照エリアの少なくとも1つを含むプロセス対照エリアを有し、且つ、前記画像の品質を評価することは、前記プロセス対照エリア内の信号強度を評価することを有する、請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項5】
前記対象のエリア内のターゲット領域を識別することは、前記画像の視野内において前記試験カートリッジの前記対象のエリア内において少なくとも試験ライン及び対照ラインを識別することを有する、請求項1又は4に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項6】
コンピュータディスプレイ内において前記画像を表示することと、前記コンピュータディスプレイ内において観察ガイドを含むことと、を更に有し、前記観察ガイドは、前記画像の前記デジタル分析の少なくとも一部分とオーバーラップしている、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項7】
コンピュータディスプレイ内において試験結果を表示することと、前記画像を表示しないことと、を更に有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項8】
前記画像の品質を評価することは、前記画像の選択された特徴を既知の品質値を有する複数の画像の選択された特徴と関連する値と比較することを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項9】
コンピュータ実装された方法であって、
画像キャプチャ装置から画像を受け取ることであって、前記画像は、試験カートリッジ内の対象のエリアを有することと、
前記画像のデジタル分析に基づいて主題診断を評価するように設計されたソフトウェアを含むプロセッサに前記画像キャプチャ装置を識別する第1識別子コードを提供することと、
前記試験カートリッジの前記対象のエリア内においてターゲット領域を識別することと、
前記ターゲット領域の特性的特徴及び前記第1識別子コードに基づいて前記画像の品質を評価することと、
前記画像の品質が、選択された閾値を充足している際に、前記画像を前記プロセッサに提供することと、
を有するコンピュータ実装された方法。
【請求項10】
前記第1識別子コードを使用してリモートサーバーから較正表を取得することを更に有し、前記較正表は、前記画像キャプチャ装置と関連付けられており、且つ、前記画像の前記品質を評価するための閾値である信号値を通知している、請求項9に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項11】
前記画像の品質を評価することは、前記第1識別子コードに基づいて前記ターゲット領域内のプロセス対照エリア内の信号強度用の閾値を選択することを有する、請求項9又は10に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項12】
前記画像の品質を評価することは、前記試験カートリッジ内の試験チャネルの端部における信号強度が、試料が前記端部まで流れたことを通知する選択された閾値超であることを検証することを有する、請求項9又は10に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項13】
前記画像の品質を評価することは、基準ラインが、選択された場所において出現していることを検証することを有する、請求項9又は10に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項14】
前記画像の品質を評価することは、陰性対照の信号強度が、検定干渉を通知する選択された閾値未満であることを検証することを有する、請求項9又は10に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項15】
前記画像の品質を評価することは、前記画像の露出、焦点、及びその他の光学特性が満足できることを検証することを有する、請求項9又は10に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項16】
前記画像の品質を評価することは、前記画像が、推定のためのAIモデルに送信されるのに適切であるかどうかを評価することを有する、請求項9又は10に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項17】
前記画像の品質を評価することは、前記画像内の有効なクロップが、有効な試験カセットから予想されている特徴を含んでいることを検証することを有する、請求項9又は10に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項18】
前記画像の品質を評価することは、前記画像キャプチャ装置の物理的属性を監視することを有する、請求項9又は10に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項19】
前記物理的属性は、前記画像キャプチャ装置の内部温度である、請求項18に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項20】
コンピュータ実装された方法であって、
疾病診断のためにユーザーからの生物学的試料を担持する試験カートリッジ内の検定と関連する第1画像を取得することと、
前記第1画像のデジタル部分を選択することと、
モデルにより、前記デジタル部分の重み付けされた値を取得するために、前記第1画像の前記デジタル部分を変更することと、
前記デジタル部分の前記重み付けされた値及び前記モデルに基づいて診断値を判定することと、
前記第1画像の第2デジタル部分からの第2の重み付けされた値に基づいて前記診断値用の確実性レベルを判定することと、
を有するコンピュータ実装された方法。
【請求項21】
前記第1画像を取得することは、リモートネットワーク通信チャネルを介してクライアント装置から画像を受け取ることを有する、請求項20に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項22】
前記第1画像を取得することは、複数のユーザーからの異なる生物学的試料を含む複数の検定の複数の画像を含むデータベースにアクセスすることを有する、請求項20又は21に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項23】
前記診断値用の前記確実性レベルが既定値未満である際に前記モデルを更新することを更に有する、請求項20~22のいずれか1項に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項24】
前記第1画像の前記デジタル部分を変更することは、前記モデル内の重み付け係数に従って、前記第1画像の前記デジタル部分の値を前記第1画像の隣接するデジタル部分の複数の値と畳み込むことを有する、請求項20~23のいずれか1項に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項25】
前記検定は、免疫学的検定である、請求項20~24のいずれか1項に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項26】
前記検定は、横方向フロー免疫学的検定である、請求項20~25のいずれか1項に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項27】
前記検定は、分子診断検定である、請求項20~24のいずれか1項に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項28】
前記分子診断検定は、分子ターゲットの増幅と、視覚化のための表面への前記増幅された分子ターゲットの結合と、を有する、請求項27に記載のコンピュータ実装された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年5月29日付けで出願された米国仮特許出願第63/032,012号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この特許文献の内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0002】
技術分野
[0002] 本開示は、一般に、自宅試験、遠隔医療用途、及びその他の原位置免疫学的検定計測用の装置及び方法に関する。更に詳しくは、本開示は、疾病診断をローカル及び/又はリモートで評価するために単純且つ正確な手順においてユーザーにとって利用可能である消耗品との関連においてクライアント装置によって収集されたデータを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 現時点において、試験検定を使用した疾病診断は、正確な分析のためにユーザーが試験試料を研究室に送付することを伴っている。このステップは、医療提供者(例えば、診療所、医師、薬局)、研究室、及びユーザーの間における(試験試料の使用の前の)往復方向における試験カートリッジ(試料カートリッジとも呼称される試験試料を有するもの)の物理的移動を伴っていることから、時間を所要する。更には、これらの試験試料は、しばしば不必要に(多くの試料が陰性であり得ることから)臨床研究室内における遅延を生成する傾向をも有する。更には、試験と結果の間のタイムラグは、例えば、流行性又は汎性流行性緊急事態の、或いは、治療の開始の時点が深刻な状態の治療の結果に劇的な影響を及ぼす際の、或いは、感染したユーザーが即座の結果を伴うことなしに事務所を離れ、これにより、フォローアップを怠り且つその他の者を感染させてしまうことになる際の、潜在的な原因となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面の簡単な説明
【
図1】[0004]いくつかの実施形態による、エンクロージャ内の試験カートリッジから画像を収集するためのリモートサーバー、データベース、及び画像キャプチャ装置を含むアーキテクチャを示す。
【
図2】[0005]
図1のアーキテクチャにおいて使用される装置内の詳細事項を示す。
【
図3】[0006]いくつかの実施形態による、試料検定からの1つ又は複数の画像から疾病診断を提供するための畳み込みニューラルネットワークのアーキテクチャを示す。
【
図4A】[0007]いくつかの実施形態による、畳み込みニューラルネットワーク内の2つ層の間の畳み込み動作を示す。
【
図4B】[0007]いくつかの実施形態による、畳み込みニューラルネットワーク内の2つ層の間の畳み込み動作を示す。
【
図5A】[0008]いくつかの実施形態による、畳み込みニューラルネットワーク内の複数の層内の複数のノードのコンテンツを示す。
【
図5B】[0008]いくつかの実施形態による、畳み込みニューラルネットワーク内の複数の層内の複数のノードのコンテンツを示す。
【
図6】[0009]いくつかの実施形態による、2つのターゲットを含む検定診断の結果の表を示す。
【
図7A】[0010]いくつかの実施形態による、2つのターゲットを含む検定診断の感度及び選択性結果を示す。
【
図7B】[0010]いくつかの実施形態による、2つのターゲットを含む検定診断の感度及び選択性結果を示す。
【
図8】[0011]いくつかの実施形態による、対象の検体の存在又は不存在を判定する方法のステップを示すフローチャートである。
【
図9】[0012]いくつかの実施形態による、対象の検体の存在又は不存在を判定する方法のステップを示すフローチャートである。
【
図10】[0013]いくつかの実施形態による、対象の検体の存在又は不存在を判定する方法のステップを示すフローチャートである。
【
図11】[0014]
図1及び
図2のクライアント及びサーバー並びに
図7~
図11の方法が実装され得る例示用のコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0015] 図においては、同一又は類似の参照符号を有する要素は、そうではない旨が明示的に記述されていない限り、同一又は類似の要素に対応している。
【0006】
詳細な説明
[0016] 以下の詳細な説明においては、本開示の十分な理解を提供するために、多数の特定の詳細事項について記述されている。但し、本開示の実施形態がこれらの特定の詳細事項のいくつかを伴うことなしに実施され得ることは、当業者にとって明らかであろう。その他の例においては、周知の構造及び技法は、本開示を曖昧にすることのないように詳細に示されてはいない。
【0007】
[0017] 成長している遠隔医療のエリアにおいては、電子アプライアンスのほとんどユニバーサルな利用可能性を活用することが益々望ましくなっており、これらの電子アプライアンスは、無線ネットワークアクセス及びセンサを有することができると共に、益々高度化している演算能力を含むことができる。更には、化学的且つ生物学的物質又は病原体の検出のために設計された免疫学的検定のリモート計測のいくつかの用途は、(例えば、空港、警察、及び軍事検問所における)セキュリティ試験及びスクリーニング又は環境分析及び監視(例えば、大気汚染、疾病制御又は農業生産のための水路及び貯水池の汚染、及びこれらに類似したもの)を含み得る。
【0008】
[0018] 本開示と一貫性を有する実施形態は、選択された疾病又は感染(例えば、レジオネラ、インフルエンザ、エボラ、ライム病、心筋梗塞、A群β溶血連鎖球菌、RS(Respiratory Syncytial)ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、SARS-CoV2、及びこれらに類似したもの)用の単純ではあるが正確な診断手順を提供するために、現時点の消費者アプライアンスの高い画像キャプチャ及び処理能力を活用している。本開示における実施形態と一貫性を有する試験のタイプは、限定を伴うことなしに、反射率又は透過率分光法を含む吸収分光法(紫外線、可視、又は赤外線)、或いは、蛍光及びルミネッセンス分光法を含む放出分光法、ラマン分光法、並びに、任意のタイプの放射散乱などの電磁放射を使用した試験検定の任意のタイプの分光分析を含むことができる。更には、本明細書において開示されている実施形態は、クラウド演算解決策を使用することにより、それぞれの試験の処理能力を改善するために、このようなアプライアンスのネットワーキング能力を更に活用することもできる。従って、いくつかの実施形態においては、高品質(例えば、高い空間且つスペクトル分解能)画像、画像のシーケンス、又はビデオが、低減された時間において診断結果を提供するために超並列演算を実行し得るリモートサーバーにアップロードされている。このような分析された資料は、即座に、後の日時において、処理され得る及び/又は、例えば、試験ストリップに跨る検体の時間的変化などの時間に伴う相違点を判定するために、予め収集された資料と比較することもできる。その他のケースにおいては、データライブラリを収集及び編集する能力は、初期バージョン及びこのようなライブラリのサイズ及び多様性が増大するのに伴って改善されたバージョンを生成するために、このような画像ライブラリの分析からの自己教示アルゴリズム(人工知能又は機械学習アルゴリズム)の生成を可能にすることができる。
【0009】
[0019] 主題システムは、専門的な要員或いは複雑な機械又はインスツルメントにアクセスする必要性を伴うことなしに、ユーザーが、疾病が存在しているのか又は潜在しているのかを迅速に知る能力を含むいくつかの利点を提供している。
【0010】
[0020] モバイル演算装置及びその他のアプライアンスの形態における画像キャプチャ装置に対する広範なアクセスを有する消費者は、任意の兆候を知覚する又は医師又は診療所を訪問する前にも試験の実行を所望し得ることから、いくつかの実施形態は、医療試験キットの市場を大規模に拡大させるという利点を提供している。また、これは、人々が診療所を訪問する又は所与の医療施設のリソースを飽和させる前のスクリーニングステップの利点をも提供することができる。更には、本明細書において開示されている方法のリモートユーザー用の試験の費用は、待機時間、スケジューリング、実際に感染している患者から離れた状態における予約の取得、又は病気の人々で一杯の待機室への健康な患者の曝露を含む診療所又は研究室への訪問と関連する費用との比較において格段に小さなものとなり得る。
【0011】
[0021] 提案されている解決策は、コンピュータ(例えば、サーバー又はユーザーモバイル装置)の稼働に対する改善を更に提供しており、その理由は、画像分析データ及び結果(例えば、写真、写真のシーケンス、及び/又はビデオ)のリモート送信を可能にすることにより、データストレージ空間及びやり取り時間が節約されるからである。
【0012】
[0022] 本明細書において提供されている多くの例は、ユーザーの個人的情報及びデータ又は1つ又は複数の遠隔診療所との間のユーザーのやり取り履歴のダウンロード及び保存を識別可能であるものとして記述しているが、それぞれのユーザーは、このようなユーザー情報が供給又は保存されるための明示的許可を付与することができる。明示的許可は、開示されているシステムに統合されたプライバシー制御を使用して付与することができる。それぞれのユーザーには、そのようなユーザー情報が明示的な同意に伴って供給されることになるという通知が提供されてもよく、且つ、それぞれのユーザーは、任意の時点において、情報共有を終了することができると共に、任意の保存されているユーザー情報を削除することができる。更には、いくつかの実施形態においては、保存されているユーザー情報は、ユーザーのセキュリティ及び身元を保護するために暗号化することもできる。
【0013】
[0023]
図1は、いくつかの実施形態による、試験カートリッジ101から画像又はビデオを収集するためのリモートサーバー130、データベース152、クライアント装置110、及び画像キャプチャ装置100Aを含むアーキテクチャ10を示している。クライアント装置110は、スマートフォン又はその他のモバイル演算装置(例えば、タブレット、パッド、又は場合によってはラップトップ)を含むことができる。いくつかの実施形態においては、1つのモバイル演算装置を使用することにより、複数の画像キャプチャ装置を制御することができる。アーキテクチャ10は、検定結果から試験試料中の1つ又は複数のターゲット検体の存在又は不存在に関する正確な評価をリアルタイムで提供している。検定は、試験カートリッジ101内において稼働され得ると共に、生物学的試料中の対象の1つ又は複数の検体を検出するための免疫学的検定を含むことができる。試験カートリッジ101は、対象の1~20個(或いは、これ超の数)の検体の検出のために生物学的試料を複数の試験チャネル上において流動させるための基材を提供することができる。検定の画像は、その進捗に伴って、クライアント装置110と通信自在に結合された画像キャプチャ装置100Aによって提供することができる。
【0014】
[0024] 試験カートリッジ101は、一実施形態においては、その取扱いを容易にするためにハウジング又はカートリッジ内において封入された免疫学的検定試験ストリップである。その他の実施形態においては、試験カートリッジ101は、単純に、ディップスティックなどの免疫学的検定試験ストリップである。即ち、外部ハウジングは、任意選択であり、且つ、存在している場合にも、カートリッジ又はカセットハウジングである必要はなく、且つ、米国特許出願公開第2009/02263854号において開示されている且つ意匠特許第D606664号において示されているものなどの曲がりやすいラミネートであってよい。免疫学的検定試験ストリップは、一実施形態においては、順番に、試料パッド、ラベルパッド、試験ライン、対照ライン、及び基準ラインから選択された1つ又は複数のライン又はバンド、並びに、吸収パッドを有する。いくつかの実施形態においては、支持部材が存在しており、且つ、試料パッド、ラベルパッド、ライン、及び吸収パッドのそれぞれ又はいくつかは、支持部材上において配設されている。例示用の免疫学的検定試験ストリップについては、例えば、米国特許第9,207,181号、第9,989,466号、及び第10,168,329号において且つ米国特許出願公開第2017/0059566号及び第2018/0229232号において記述されており、これらの特許文献のそれぞれは、引用により、本明細書に包含される。免疫学的検定試験ストリップに関する更なる詳細については後述する。
【0015】
[0025] いくつかの実施形態において、検定は、生物学的試料中の感染性因子(例えば、ウイルス又はバクテリア)の検出のための試薬を含む免疫学的検定である。いくつかの実施形態において、免疫学的検定は、特定の検体に対する抗体或いは小分子バイオマーカー又は自己抗体を含むタンパク質の検出用の試薬を含むことができる。いくつかの実施形態において、対象の検体は、対象の検体から選択されたそれぞれの検体と関連する一意の信号の放出によって検出可能である。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、体液(例えば、血液、血清、血漿、痰、鼻汁、唾液、涙、糞便、又は尿)を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、人間であり、且つ、1つ又は複数のターゲット検体の存在は、試料を提供している個人の医学的診断を示し得る。従って、いくつかの実施形態において、アーキテクチャ10は、試験カートリッジ101及び画像キャプチャ装置100Aを含むキットを注文したクライアント装置110のユーザーを含み、且つ、病院又は診療所又は任意のその他の場所から離れた場所における(例えば、自宅、薬局、小売店、医師の事務所、及びこれらに類似したものにおける)疾病又は状態の個人的試験を実行するための準備が完了した状態にある。
【0016】
[0026] アーキテクチャ10において、画像キャプチャ装置100Aは、周辺光が計測を混乱させる又は邪魔することを防止するためのエンクロージャ120を含む。いくつかの実施形態において、画像キャプチャ装置100Aは、試験カートリッジ101の画像をクライアント装置110に無線送信している。次いで、クライアント装置110は、処理のためにネットワーク150を介して画像又はビデオをリモートサーバー130に、データベース152に、又は両方に送信することができる。いくつかの実施形態において、画像キャプチャ装置100A及び/又はクライアント装置110は、画像をサーバー130又はデータベース152に送信する前に、それぞれ、プロセッサ112-1及び/又は112-2(以下においては、集合的に「プロセッサ112」と呼称する)を使用することにより、画像又はビデオからの1つ又は複数の画像フレームに対して少なくとも1つ又は複数の動作を実行することができる。例えば、いくつかの実施形態において、クライアント装置110は、サーバー130に送信する前に、画像キャプチャ装置100Aによって提供された1つ又は複数の画像に対して少なくとも1つ又は複数の品質制御ステップを実行することができる。いくつかの実施形態において、クライアント装置110は、試験カートリッジ101の画像の分析に基づいて予備的又は確定的診断を取得することができる。従って、いくつかの実施形態において、クライアント装置110は、試験カートリッジ101の画像を伴って又は伴うことなしに予備的又は確定的診断をサーバー130に送信することができる。これらの動作を実行するために、プロセッサ112は、命令を実行することができる共にデータを収集又は保存することができ、この場合に、命令及びデータは、(画像キャプチャ装置100A内の)メモリ132-1内において又は(クライアント装置110内の)メモリ132-2内において保存されている
【0017】
[0027] クライアント装置110は、通信モジュール118-2を使用することにより、信号160-1を介して画像キャプチャ装置100Aと通信し、及び/又は、信号160-2を介してサーバー130と通信している。例えば、いくつかの実施形態において、信号160-1は、試験カートリッジ101から画像を収集しているアレイセンサからのデータを含むプロセッサ112-1によって生成された送信可能なファイルを含む。そして、信号160-2は、送信可能なファイルの画像分析に基づいた検定の診断を含むことができる。画像キャプチャ装置100Aは、通信モジュール118-1を通じてクライアント装置110と通信することができる。信号160-1及び160-2(以下、「信号160」と集合的に呼称する)は、デジタル又はアナログ信号、無線信号、高周波(RF)信号、電気信号、Ethernet信号、及びこれらに類似したものであってよい。通信モジュール118-1及び118-2は、以下において「通信モジュール118」として集合的に呼称することとする。通信モジュール118は、WiFi、Bluetooth(例えば、低エネルギーBluetooth:BLE)、又は近距離接触(NFC)プロトコルを介した通信用のRFアンテナと関連するハードウェア及びソフトウェアを含むことができる。例えば、画像キャプチャ装置100Aとクライアント装置110が互いに相対的に近接している際には、通信モジュール118は、BLE又はNFCプロトコルを含むことができる。これに加えて、セキュリティを目的として、信号160の任意のものを暗号化及び/又はコード化することもできる。
【0018】
[0028] いくつかの実施形態において、画像キャプチャ装置100Aは、センサアレイ140と、オプティクス結合メカニズム115(例えば、自動焦点能力を有するレンズシステム)と、を含むことができる。センサアレイ140は、ビデオを形成するために望ましいフレームレートにおいて試験カートリッジ101の1つ又は複数の画像を収集することができる。いくつかの実施形態において、センサアレイ140は、(例えば、検定がその工程を終了した後に)試験カートリッジ101の単一の画像を収集してもよく、或いは、(例えば、検定がその工程を終了させる前及び後に)複数の画像を収集してもよい。更なる実施形態において、センサアレイ140は、(例えば、試験カセットが稼働しているのに伴って)予め選択された周波数レートにおいて試験カートリッジ101の複数の画像を収集することができる。周波数レートは、クライアント装置110によって実行されている予備又は品質制御試験に基づいて調節、変更、加速、又は減速することができる。
【0019】
[0029] リモートサーバー130は、クライアント装置110のメモリ132-2内にインストールされた画像キャプチャアプリケーション122のためのサポートを提供することができる。サポートは、更新のインストール、データベース152内における保存のための未加工データの取得(例えば、写真、写真のシーケンス、及びビデオ)、画像処理、及びこれらに類似したものを含むことができる。画像キャプチャアプリケーション122は、画像キャプチャ装置100Aを制御するためのコマンド及び命令を含むことができる。また、画像キャプチャアプリケーション122は、画像キャプチャ装置100Aによって提供された1つ又は複数の画像の少なくとも部分的な分析を実行するためのコマンド及び命令を含むこともできる。例えば、いくつかの実施形態において、画像キャプチャアプリケーション122内の命令は、試験カートリッジ101の1つ又は複数の画像に基づいて診断を評価するためにニューラルネットワーク(NN)、人工知能(AI)、又は機械学習(ML)アルゴリズムを含むことができる。これに加えて、いくつかの実施形態において、画像キャプチャアプリケーション122は、エンクロージャ120内の試験カートリッジ101の位置決めを通知するセンサデータに基づいて、画像キャプチャ装置100Aによって提供される1つ又は複数の画像の品質制御を評価するための命令を含むことができる。センサデータは、エンクロージャ120内において配設されたセンサによって提供することができる。
【0020】
[0030] いくつかの実施形態において、クライアント装置110は、試験カートリッジ101上の基準点ラベル105の画像を収集するための画像キャプチャ装置100Bを更に含むことができる。従って、画像キャプチャアプリケーション122は、試験カートリッジ101上のラベル105の画像を計測プロトコルに内蔵することができる。計測プロトコルは、クライアント装置110によってサーバー130及び/又はデータベース152に送信されてもよく、この場合に、サンプリングカートリッジ101と関連するメタデータは、その内部において保存されている情報と相関させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、基準点ラベル105内のメタデータは、ユーザーID及び検定識別コード(例えば、インフルエンザ試験、ライム病試験、妊娠試験、肝炎、又は任意のその他の疾病又は検定)と相関させることができる。以下においては、画像キャプチャ装置100A及び100Bは、集合的に「画像キャプチャ装置100」と呼称することとする。
【0021】
[0031] また、いくつかの実施形態において、画像キャプチャアプリケーション122は、試験カートリッジ101の使用モード及び計測プロトコルについてのユーザー用の命令を含むこともできる。例えば、命令は、(例えば、スワブ又はその他の抽出メカニズムを使用して)試料を収集する、試料を適切な試薬と混合する、且つ、試料の少なくとも一部分を試験カートリッジ101内に提供する、方法をステップバイステップでユーザーに示すことができる。従って、画像キャプチャアプリケーション122は、命令及びその他の例示用のアイコンをクライアント装置110のディスプレイ116上においてユーザーに表示することができる。
【0022】
[0032]
図2は、本開示の特定の態様による、アーキテクチャ10(
図1を参照されたい)内の例示用のサーバー130及びクライアント装置110を示している。クライアント装置110及びサーバー130は、個々の通信モジュール218-1及び218-2(以下、集合的に「通信モジュール218」と呼称する)を介してネットワーク150上において通信自在に結合されている。通信モジュール218は、データ、要求、応答、及びコマンドなどの情報をネットワーク上においてその他の装置に送信及び受信するためにネットワーク150とインターフェイスしている。通信モジュール218は、例えば、モデム又はEthernetカード及びその他のRFハードウェア及びソフトウェア(例えば、アンテナ、変調器、復調器、位相ロックループ、デジタル-アナログ変換器、デジタル信号プロセッサ、及びこれらに類似したもの)であってよい。ユーザーは、入力装置214及び出力装置216を介してクライアント装置110とやり取りすることができる。入力装置214は、マウス、キーボード、ポインタ、タッチスクリーン、マイクロフォン、及びこれらに類似したものを含むことができる。出力装置216は、スクリーンディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカ、及びこれらに類似したものであってよい。クライアント装置110は、メモリ232-1及びプロセッサ212-1を含むことができる。メモリ232-1は、クライアント装置110内において稼働するように構成されたアプリケーション222を含むことができる。アプリケーション222は、ユーザーによってサーバー130からダウンロードすることができると共に、サーバー130によってホスティングすることができる。
【0023】
[0033] サーバー130は、メモリ232-2、プロセッサ212-2、及び通信モジュール218-2を含む。以下、プロセッサ212-1及び212-2並びにメモリ232-1及び232-2は、それぞれ、集合的に「プロセッサ212」及び「メモリ232」と呼称することとする。プロセッサ212は、メモリ232内において保存されている命令を実行するように構成されている。いくつかの実施形態において、メモリ232-2は、診断エンジン240を含む。診断エンジン240は、画像処理及び予測分析と関連するツールを含む機能及びリソースをアプリケーション222に提供するか又はこれとの間において共有することができる。ユーザーは、クライアント装置110のメモリ232-1内にインストールされたアプリケーション222又はウェブブラウザを通じて診断エンジン240にアクセスすることができる。従って、アプリケーション222は、サーバー130によってインストールされることができると共に、複数のツールの任意のものを通じてサーバー130によって提供されるスクリプト又はその他のルーチンを実行することができる。アプリケーション222の実行は、プロセッサ212-1によって制御することができる。
【0024】
[0034] この関連において、診断エンジン240は、検定読取ツール242及び画像処理ツール244を含むことができる。診断エンジン240は、(例えば、ネットワーク150を通じて)データベース252内において保存されている診断結果を含むその他のユーザーから収集された検定画像及び/又はビデオの履歴に対するアクセスを有することができる。いくつかの実施形態において、診断エンジン240、その内部に含まれているツール、及びデータベース252の少なくとも一部分は、サーバー130と通信自在に結合された異なるサーバー内においてホスティングすることができる。
【0025】
[0035] いくつかの実施形態において、アプリケーション222は、診断モデル225を含んでいてもよく、これは、メモリ232-1内において保存されている且つプロセッサ212-1によって実行される診断エンジン240の一部分又は単純化されたバージョンであってよい。診断モデル225は、検定の入力画像の分類を「陽性」(感度値超において検出されたターゲット検体)、「陰性」(感度値超において検出されなかったターゲット検体)、又は「無効」(計測エラー、低SNR、未較正の計測、及びこれらに類似したもの)として提供することができる。従って、いくつかの実施形態において、診断モデル225は、クライアント装置110のユーザーが試験カートリッジ内の検定の進捗に関する決定に相対的に迅速に到達する及び/又は限定を伴うことなしに温度範囲、光漏洩、及びこれらに類似したものを含む装置の一般的な機能を監視することを可能にする診断エンジン240の相対的に高速の且つ単純化されたバージョンであってよい。これは、ネットワーク150の信頼性が低下し得る、或いは、接続が、低速であり得る、ノイズが多い場合がある、散発的であり得る、又は失われ得る、遠隔場所において有用であり得る。
【0026】
[0036] いくつかの実施形態において、「陽性」、「陰性」、又は「無効」分類を提供するために、複数の診断モデルを使用することができる。複数のモデルが使用される際には、モデルの一致及び/又は呼応が結果分類の判定のために特定されている。いくつかの実施形態において、モデルは、同一の画像に基づいて開発されていてもよい。いくつかの実施形態において、複数モデルのそれぞれは、分類判定用の固有の特性を有する。このような実施形態において、「陽性」、「陰性」、又は「無効」分類は、分類が複数のモデルに基づいていることに起因して相対的に安定し得ると共に偽陽性又は偽陰性結果が発生しにくい傾向を有することができる。
【0027】
[0037]
図3は、いくつかの実施形態による、試料検定からの1つ又は複数の画像から疾病診断を提供するための畳み込みニューラルネットワーク(CNN)のアーキテクチャを示している。CNN300は、視覚的画像の分析に適用されるディープニューラルネットワーク(DNN)を含むことができる。いくつかの実施形態において、CNN300は、1つの層内のそれぞれのニューロンが次の層内のすべてのニューロンに接続されている完全接続ネットワークの正規化されたバージョンを含む。
【0028】
[0038] CNN300は、入力層301及び出力層302を含むことができる。入力層301は、ピクセル化された画像303、或いは、場合によっては、容積を形成するピクセル化された画像の集合体(例えば、試験検定の画像又は変化する試験検定の複数の画像、或いは、ビデオ)を含むことができる。例えば、ビデオシーケンス内の複数の2次元画像によって形成された容積のケースにおいては、画像303は、3次元ピクセル又は「ボクセル」を含むことができる。また、CNN300は、入力層301を出力層302とリンクしている複数の隠蔽層310-1、310-2、310-3、310-4、及び310-5(以下、集合的に「隠蔽層310」と呼称する)を含む。出力層302は、画像303内の検定に従って、ターゲット検体の1つ又は複数が試料中に存在しているかどうかという質問に対するバイナリ値回答であってよい。従って、いくつかの実施形態においては、出力層302は、検定内のターゲット検体の数に等しい数のコンポーネントを有するベクトルを含む。出力層302内のベクトル内のコンポーネントのそれぞれは、例えば、不存在用の「0」及び存在用の「1」などのバイナリ値を含むことができる。いくつかの実施形態において、出力層302内のコンポーネントのそれぞれは、所与のターゲット検体が試料中に存在している確率、或いは、場合によっては、試料中のその濃度を通知する「0」と「1」の間の実数を含むことができる(例えば、正規化された重量又は容積或いは任意のその他の正規化尺度によるもの)。
【0029】
[0039] 隠蔽層310は、入力層301からの1つ又は複数のピクセル又はボクセルを適切に選択された乗算係数又は内積と畳み込む畳み込み層を含むことができる。隠蔽層310のそれぞれのものを互いに結合することにより、活性化関数は、隠蔽層と呼称されるプーリング層、完全接続層、及び正規化層などの更なる畳み込みによって後から後続される正規化線形関数(例えば、正規化線形ユニット、即ち、RELU)を含んでいてもよく、その理由は、その入力及び出力が活性化関数及び最終的な畳み込みによってマスキングされているからである。
【0030】
[0040] そして、最終的な畳み込みは、出力層302における最終結果を相対的に正確に重み付けするために逆伝播を含むことができる。逆伝播ステップにおいては、出力層302からの値が(最後から最初への逆の順序において)隠蔽層310のそれぞれにおいて入力されている。それぞれのステップにおいて、疑似逆変換が適用され、且つ、最も確率の高い入力が所与の出力について得られる。このプロセスを入力層301に戻るように反復することにより、出力値を逆伝播させた後に、最も可能性が高い検定入力が得られる。入力層301内における最も確率が高い入力と実際の入力の間の差の尺度は、(例えば、RELU変換用の)畳み込みパラメータ及びサンプリングパラメータのいくつかが望ましく変更されるかどうかを通知している。
【0031】
[0041]
図4A~
図4Bは、いくつかの実施形態による、畳み込みニューラルネットワーク内の2つの層の間の畳み込み動作400を示している。第1層は、入力層401の一部分として、ピクセル化された画像403を含むことができると共に、畳み込まれた層は、隠蔽層410内において特徴マップ411を含むことができる。
【0032】
[0042]
図4Aは、畳み込み400を更に詳しく示している。畳み込み400は、それぞれの要素を画像403の選択された部分405の対角線に沿って追加し(×1係数)、且つ、選択された部分405のすべてのその他の要素を無視している(×0係数)。従って、隠蔽層410内の要素415は、値「4」を有する。選択された部分405は、ピクセル化された画像403のデジタル部分を含むことができる。いくつかの実施形態において、隠蔽層410内の残りの要素は、選択された部分405をピクセル化された画像403に跨っていずれかの方向において単純に移動させることにより、要素415と同一の方式で判定されている。
【0033】
[0043] 畳み込み400は、隠蔽層410内において、ピクセル化された画像403の次元を5×5行列から3×3行列に低減していることに留意されたい。次元の低減は、任意であり、且つ、出力層における相対的に良好な予測可能性に従って又は演算費用、完了までの時間、及びこれらに類似したものなどの任意のその他の基準に従って選択することができる。いくつかの実施形態において、畳み込み400内の選択された部分405のサイズは、演算費用の低減という所望を含む複数の基準に従って選択することができる。例えば、選択された部分405が3×3部分から1×1部分に低減された際には、演算パワーの1/9の低減を得ることができる。
【0034】
[0044]
図4Bは、画像403内のすべてのピクセルに対して畳み込み400を適用した結果としての層410内の特徴マップ411の形態を示している。要素415は、選択された部分405に畳み込み関数400を適用することにより、得られている。特徴マップ411の次元(5×5)の低減は、3×3畳み込み400の結果として、画像403の次元(7×7)との関係において低減されていることに留意されたい。入力層401から層410への遷移の際に、異なるフィルタとそれぞれが関連付けられた複数の畳み込み関数400が、画像403からの異なる特徴とそれぞれが関連付けられた複数の特徴マップ411を結果的にもたらすことができる。
【0035】
[0045]
図5A~
図5Bは、いくつかの実施形態による、畳み込みニューラルネットワーク内の複数の層510-1、510-2、510-3、及び510-4(以下、集合的に「層510」と呼称する)内の複数ノードのコンテンツを示している。層510のそれぞれは、フィルタ520-1、520-2、520-3、及び520-4の組(以下、集合的に「フィルタ520」と呼称する)と、特徴マップの組521-1、521-2、521-3、及び521-4(以下、「特徴マップ521」と集合的に呼称する)と、を含む。
【0036】
[0046] フィルタ520は、それぞれのフィルタ520ごとに特定の特徴マップ521を得るために、同一の入力に適用される、異なる畳み込み関数(例えば、フィルタ)を含む。従って、いくつかの実施形態は、フィルタマップの数が所与の層510と次のものの間において低減される絞り込み畳み込みステップを含む。絞り込み畳み込みステップにおいては、フィルタ520は、演算費用を低減するために低減された次元(例えば、3×3畳み込みではなく、1×1畳み込み)を有することができる。いくつかの実施形態においては、レイトダウンサンプリングが、システムが相対的に多くの隠蔽層510の全体を通じて複数の特徴マップ521を維持することを可能にしており、これにより、検定内の相対的に高度な特徴(例えば、複数のターゲット検体及びその間の潜在的なやり取り又は相関)をターゲットとし得る相対的に詳細な且つ正確なネットワークを提供している。いくつかの実施形態においては、拡大畳み込みステップが、フィルタ520及び特徴マップ521の数を増大させており、且つ、相対的に大きな畳み込みセット(例えば、1×1及び3×3畳み込み)を含むことができる。
【0037】
[0047]
図6は、いくつかの実施形態による、2つのターゲットを含む検定診断用の結果の表600を示している。表600に使用されている検定は、インフルエンザA(FA)及びインフルエンザB(FB)検出用のバイナリ検定である。分析は、本明細書において開示されている検定読取ツール及び画像処理ツール(例えば、診断エンジン240、検定読取ツール242、及び画像処理ツール244、アプリケーション222、及び診断モデル225)を使用して診断エンジンによって実行されたものである。例えば、表600内の結果の少なくともいくつかは、本明細書において開示されているCNN(例えば、CNN300)を使用して得られたものである。表600は、陽性及び陰性FA/FB結果の異なる組合せを相互相関させた3×3行列を表している。
【0038】
[0048]
図7A~
図7Bは、いくつかの実施形態による、2つのターゲットを含む検定診断において結果的に得られた感度チャート700A及び特異性チャート700B(以下、集合的に「チャート700」と呼称する)を示している。チャート700に使用された検定は、表600からのFA及びFB検出用のバイナリ検定である。
【0039】
[0049] いくつかの実施形態においては、単一の検定が、対象の1つ又は複数の検体の存在又は不存在を判定することができる。一実施形態においては、且つ、例として、単一の検定は、独立的に又は同時に、或いは、時間においてオーバーラップした状態において、インフルエンザA及びインフルエンザBのそれぞれのものの存在及び/又は不存在を判定することができると共に、システムは、望ましい際には、集計された結果(例えば、インフルエンザA陽性、インフルエンザB陽性、インフルエンザA陰性、インフルエンザB陰性、及びこれらの組合せ)を報告することができる。一実施形態においては、且つ、例として、単一の検定は、独立的に又は同時に、或いは、時間においてオーバーラップした状態において、RS(Respiratory Syncytial)ウイルス、インフルエンザA、インフルエンザB、及びヒトメタニューモウイルスのそれぞれのものの存在及び/又は不存在を判定することができると共に、システムは、望ましい際には、集計された結果(例えば、インフルエンザA陽性、インフルエンザB陽性、RS(Respiratory Syncytial)ウイルス陰性、ヒトメタニューモウイルス陰性、及びこれらの組合せ)を報告することがきる。一実施形態において、且つ、例として、単一の検定は、独立的又は同時に、或いは、時間においてオーバーラップした状態において、RS(Respiratory Syncytial)ウイルス、インフルエンザA、インフルエンザB、及びSARS-CoV2のそれぞれのものの存在及び/又は不存在を判定することができると共に、システムは、望ましい際には、集計された結果(例えば、インフルエンザA陽性、インフルエンザB陽性、RS(Respiratory Syncytial)ウイルス陰性、SARS-CoV2陰性、及びこれらの組合せ)を報告することができる。更には、いくつかの実施形態において、システムは、所与の試験の結果を異なる方式で異なる関係者に報告することができる(例えば、インフルエンザ+/-を患者/顧客に報告し、且つ、インフルエンザA+/-及びインフルエンザB+/-などの詳細を医師又は政府機関に報告する)。
【0040】
[0050]
図7Aは、感度チャート700Aを示している。チャート700A内の値は、試料が個々の一人又は複数の疾病を有する個人から到来した際に本明細書において開示されている診断エンジンがFA又はFBを検出することになる尤度を示している。
【0041】
[0051]
図7Bは、特異性チャート700Bを示している。チャート700B内の値は、試料が個々の一人又は複数の疾病を有していない個人から到来した際に本明細書において開示されている診断エンジンがFA又はFBを検出することにならない尤度を通知している。
【0042】
[0052]
図8は、いくつかの実施形態による、対象の検体の存在又は不存在を判定する方法800のステップを示すフローチャートである。本開示と一貫性を有する方法は、本明細書において開示されているリモートサーバー、データベース、クライアント装置、及び画像キャプチャ装置(例えば、アーキテクチャ10、リモートサーバー130、データベース152、クライアント装置110、及び画像キャプチャ装置100)を含むアーキテクチャ内の1つ又は複数の装置によって少なくとも部分的に実行される方法800のステップの少なくとも1つ又は複数を含むことができる。サーバー、データベース、クライアント装置、及び画像キャプチャ装置のいずれか1つは、方法800のステップの1つ又は複数を少なくとも部分的に実行するために、命令を保存するメモリ回路及び命令を実行するように構成されたプロセッサ回路(例えば、メモリ回路132及びプロセッサ112)を含むことができる。いくつかの実施形態において、サーバー、データベース、クライアント装置、又は画像キャプチャ装置の少なくとも1つ又はすべては、ネットワークを通じて又は1対1(有線又は無線)通信チャネルを介して(例えば、通信モジュール118及びネットワーク150)、アーキテクチャ内の装置の1つ又は複数にデータを送信及び受信するように構成された通信モジュールを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法800のステップの少なくとも1つは、本明細書において開示されている検定読取ツール及び画像処理ツール(例えば、診断エンジン240、検定読取ツール242、及び画像処理ツール244)を使用してサーバー内の診断エンジンによって部分的に実行することができる。いくつかの実施形態において、方法800のステップの少なくとも1つは、クライアント装置内においてインストールされたアプリケーションによって部分的に実行されていてもよく、この場合に、アプリケーションは、サーバーによってホスティングされた診断モデル(例えば、アプリケーション222及び診断モデル225)を含む。画像キャプチャ装置は、結合メカニズムを封入するエンクロージャ及び試験カートリッジを受け取るように構成されたカートリッジマウント(例えば、エンクロージャ120、結合メカニズム115、及び試験カートリッジ101)を含むことができる。照明された試験カートリッジの画像は、境界線によって境界が定められた試験カートリッジ内の読取ゾーンの少なくとも一部分を含むことができる。読取部分は、免疫学的検定(例えば、横方向フロー免疫学的検定)を含むことができる。いくつかの実施形態において、横方向フロー免疫学的検定は、時間に伴って収集された横方向フロー免疫学的検定の一連の画像を含むことができる。
【0043】
[0053] いくつかの実施形態において、本開示と一貫性を有する方法は、方法800の少なくとも1つのステップ或いは異なる順序において実行される又は時間においてオーバーラップしている方法800からの複数のステップを含むことができる。例えば、本開示と一貫性を有するいくつかの実施形態は、同時に又は準同時に実行される方法800の1つ又は複数のステップを含むことができる。
【0044】
[0054] ステップ802は、画像キャプチャ装置から画像を受け取ることを含み、この場合に、画像は、試験カートリッジ内の対象のエリアを含む。
【0045】
[0055] ステップ804は、試験カートリッジの対象のエリアの境界を見出すことと、試験カートリッジ内の対象のエリアの画像を選択されたサイズ及び選択された形状にするために、試験カートリッジの境界によって境界が定められたエリアに対して幾何学的変換を適用することと、を含む。
【0046】
[0056] ステップ806は、試験カートリッジ内の対象のエリアの画像を選択されたサイズ及び選択された形状にするために、試験カートリッジの境界によって境界が定められたエリアに対して幾何学的変換を適用することを含む。
【0047】
[0057] ステップ808は、試験カートリッジの対象のエリア内においてターゲット領域を識別することを含む。いくつかの実施形態において、ターゲット領域は、陽性対照エリア又は陰性対照エリアの少なくとも1つを含むプロセス対照エリアを有し、且つ、ステップ808は、プロセス対照エリア内の信号強度を評価することを含む。
【0048】
[0058] いくつかの実施形態において、ステップ808は、画像の視野内の試験カートリッジの対象のエリア内において少なくとも試験ライン及び対照ラインを識別することを含む。
【0049】
[0059] ステップ810は、ターゲット領域の特性的特徴に基づいて画像の品質を評価することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ810は、画像の選択された特徴を既知の品質値を有する複数の画像の選択された特徴と関連する値と比較することを含む。
【0050】
[0060] ステップ812は、画像の品質が、選択された閾値未満である際に、画像キャプチャ装置内の光学結合を調節するためのコマンドを提供することを含む。
【0051】
[0061] ステップ814は、画像の品質が、選択された閾値を充足している際に、画像のデジタル分析に基づいて主題診断を評価するように設計されたソフトウェアを含むプロセッサに画像を提供することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ814は、コンピュータディスプレイ内において画像を表示することと、コンピュータディスプレイ内において観察ガイドを含むことと、を含み、この場合に、観察ガイドは、画像のデジタル分析の少なくとも一部分とオーバーラップしている。いくつかの実施形態において、ステップ814は、コンピュータディスプレイ内において試験結果を表示することと、画像を表示しないことと、を含む。
【0052】
[0062]
図9は、いくつかの実施形態による、対象の検体の存在又は不存在を判定する方法900のステップを示すフローチャートである。本開示と一貫性を有する方法は、本明細書において開示されているリモートサーバー、データベース、クライアント装置、及び画像キャプチャ装置を含むアーキテクチャ(例えば、アーキテクチャ10、リモートサーバー130、データベース152、クライアント装置110、及び画像キャプチャ装置100)内の1つ又は複数の装置によって少なくとも部分的に実行される方法900のステップの少なくとも1つ又は複数を含むことができる。サーバー、データベース、クライアント装置、及び画像キャプチャ装置のいずれか1つは、命令を保存するメモリ回路及び方法900のステップの1つ又は複数を少なくとも部分的に実行するために命令を実行するように構成されたプロセッサ回路(例えば、メモリ回路132及びプロセッサ回路112)を含むことができる。いくつかの実施形態において、サーバー、データベース、クライアント装置、又は画像キャプチャ装置の少なくとも1つ又はすべては、ネットワークを通じて又は1対1(有線又は無線)通信チャネルを介して(例えば、通信モジュール118及びネットワーク150)、アーキテクチャ内の装置の1つ又は複数にデータを送信及び受信するように構成された通信モジュールを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法900のステップの少なくとも1つは、本明細書において開示されている検定読取ツール及び画像処理ツール(例えば、診断エンジン240、検定読取ツール242、及び画像処理ツール244)を使用することにより、サーバー内の診断エンジンによって部分的に実行することができる。いくつかの実施形態において、方法900内のステップの少なくとも1つは、クライアント装置内においてインストールされたアプリケーションによって部分的に実行されていてもよく、アプリケーションは、サーバーによってホスティングされた診断モデル(例えば、アプリケーション222及び診断モデル225)を含む。画像キャプチャ装置は、結合メカニズムを封入するエンクロージャ及び試験カートリッジを受け取るように構成されたカートリッジマウント(例えば、エンクロージャ120、結合メカニズム115、及び試験カートリッジ101)を含むことができる。照明された試験カートリッジの画像は、境界線によって境界が定められた試験カートリッジ内の読取ゾーンの少なくとも一部分を含むことができる。読取部分は、免疫学的検定(例えば、横方向フロー免疫学的検定)を含むことができる。いくつかの実施形態において、横方向フロー免疫学的検定は、時間に伴って収集された横方向フロー免疫学的検定の一連の画像を含むことができる。
【0053】
[0063] いくつかの実施形態において、本開示と一貫性を有する方法は、方法900からの少なくとも1つのステップ或いは異なる順序において実行される又は時間においてオーバーラップしている方法900からの複数のステップを含むことができる。例えば、本開示と一貫性を有するいくつかの実施形態は、同時に又は準同時に実行される方法900の1つ又は複数のステップを含むことができる。
【0054】
[0064] ステップ902は、画像キャプチャ装置から画像を受け取ることを含み、画像は、試験カートリッジ内の対象のエリアを有する。
【0055】
[0065] ステップ904は、画像のデジタル分析に基づいて主題診断を評価するように設計されたソフトウェアを含むプロセッサに画像キャプチャ装置を識別する第1識別子コード(例えば、モバイル装置ID及びこれに類似したもの)を提供することを含む。
【0056】
[0066] ステップ906は、試験カートリッジの対象のエリア内においてターゲット領域を識別することを含む。
【0057】
[0067] ステップ908は、ターゲット領域の特性的特徴及び第1識別子コードに基づいて画像の品質を評価することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ908は、第1識別子コードに基づいてターゲット領域内のプロセス対照エリア内の信号強度用の閾値を選択することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ908は、試験カートリッジが正しく稼働したことを通知する画像内の特定の特徴又は属性を選択することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ908は、試験カートリッジ内の試験チャネルの端部における信号強度が試料が端部まで流れたことを通知する選択された閾値超であることを検証することを含むことができる。いくつかの実施形態において、ステップ908は、基準ラインが選択された場所において出現していることを検証することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ908は、陰性対照の信号強度が検定干渉を通知する選択された閾値未満であることを検証することを含むことができる。いくつかの実施形態において、ステップ908は、画像の露出、焦点、及びその他の光学特性が満足できるものであることを検証することを含むことができる。従って、いくつかの実施形態において、ステップ908は、画像が、推定のためにAIモデルに送信するべく適切であるかどうかを評価することを含む。例えば、いくつかの実施形態において、ステップ908は、画像内の有効なクロップが、有効な試験カセットから予測された特徴を含んでいることを検証することを含む。
【0058】
[0068] 画像の品質が、選択された閾値を充足している際には、ステップ910は、画像をプロセッサに提供することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ910は、第1識別子コードを使用してリモートサーバーから較正表を取得することを含み、較正表は、画像キャプチャ装置と関連付けられており、且つ、画像の品質を評価するための閾値である信号値を通知している。いくつかの実施形態において、較正表は、クライアント装置内において保存されていてもよく、或いは、(クライアント装置によってキャプチャされ得る且つ較正表を取得するためにサーバーに提供され得る)試験カートリッジ内のバーコードを使用してサーバーからクライアント装置に提供することもできる。いくつかの実施形態において、ステップ910は、試験カートリッジを識別する第2識別子コードをプロセッサに提供することを含み、この場合に、画像の品質を評価することは、第2識別子コードに基づいてターゲット領域内のプロセス対照エリア内の信号強度用の閾値を選択することを更に有する。
【0059】
[0069] いくつかの実施形態において、閾値は、試料を「陽性」又は「陰性」に分類するために変調することができる。いくつかの実施形態において、このような変調は、複数の画像によるトレーニングと結果的に得られる分類の推定の間における正規化係数を変更することにより、実行されている。いくつかの実施形態において、「陽性」又は「陰性」分類は、選択された閾値の適切な変調に起因して、相対的に安定したものになり得ると共に、偽陽性又は偽陰性結果が生じにくい傾向を有し得る。
【0060】
[0070]
図10は、いくつかの実施形態による、対象の検体の存在又は不存在を判定する方法1000のステップを示すフローチャートである。本開示と一貫性を有する方法は、本明細書において開示されているリモートサーバー、データベース、クライアント装置、及び画像キャプチャ装置を含むアーキテクチャ(例えば、アーキテクチャ10、リモートサーバー130、データベース152、クライアント装置110、及び画像キャプチャ装置100)内の1つ又は複数の装置によって少なくとも部分的に実行される方法1000のステップの少なくとも1つ又は複数を含むことができる。サーバー、データベース、クライアント装置、及び画像キャプチャ装置のいずれか1つは、命令を保存するメモリ回路及び方法1000のステップの1つ又は複数を少なくとも部分的に実行するために命令を実行するように構成されたプロセッサ回路(例えば、メモリ回路132及びプロセッサ回路112)を含むことができる。いくつかの実施形態において、サーバー、データベース、クライアント装置、又は画像キャプチャ装置の少なくとも1つ又はすべては、ネットワークを通じて又は1対1(有線又は無線)通信チャネルを介して(例えば、通信モジュール118及びネットワーク150)、アーキテクチャ内の装置の1つ又は複数にデータを送信及び受信するように構成された通信モジュールを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法1000のステップの少なくとも1つは、本明細書において開示されている検定読取ツール及び画像処理ツール(例えば、診断エンジン240、検定読取ツール242、及び画像処理ツール244)を使用してサーバー内の診断エンジンによって部分的に実行することができる。いくつかの実施形態において、方法1000のステップの少なくとも1つは、クライアント装置内においてインストールされたアプリケーションによって部分的に実行されていてもよく、アプリケーションは、サーバーによってホスティングされた診断モデル(例えば、アプリケーション222及び診断モデル225)を含む。画像キャプチャ装置は、結合メカニズムを封入するエンクロージャ及び試験カートリッジを受け取るように構成されたカートリッジマウント(例えば、エンクロージャ120、結合メカニズム115、及び試験カートリッジ101)を含むことができる。照明された試験カートリッジの画像は、境界線によって境界が定められた試験カートリッジ内の読取ゾーンの少なくとも一部分を含むことができる。読取部分は、免疫学的検定(例えば、横方向フロー免疫学的検定)を含むことができる。いくつかの実施形態において、横方向フロー免疫学的検定は、時間に伴って収集された横方向フロー免疫学的検定の一連の画像を含むことができる。
【0061】
[0071] いくつかの実施形態において、本開示と一貫性を有する方法は、方法1000からの少なくとも1つのステップ或いは異なる順序において実行される又は時間においてオーバーラップしている方法1000からの複数のステップを含むことができる。例えば、本開示と一貫性を有するいくつかの実施形態は、同時に又は準同時に実行される方法1000内の1つ又は複数のステップを含むことができる。
【0062】
[0072] ステップ1002は、疾病診断のために、ユーザーからの生物学的試料を担持する試験カートリッジ内の検定と関連する第1画像を取得することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1002は、リモートネットワーク通信チャネルを介してクライアント装置から画像を取得することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1002は、無線通信チャネルを介して画像キャプチャ装置から画像を受け取ることを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1002は、複数のユーザーからの異なる生物学的試料を含む複数の検定の複数の画像を含むデータベースにアクセスすることを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1002は、異なる時点において同一の検定から収集された第2画像を取得することを含み、且つ、デジタル部分が非線形方式で時点と組み合わせられている。いくつかの実施形態において、ステップ1002は、異なる時点において同一の検定から収集された第2画像を取得することと、第1画像と第2画像の間において容積を形成することと、を含み、この場合に、第1画像のデジタル部分を選択することは、デジタル部分を容積の一部分として選択することを有し、デジタル部分は、時間の次元を有し、且つ、この場合に、重み付けされた値が検定用の動的値に関連付けられている。いくつかの実施形態において、ステップ1002は、第1画像を生成した画像キャプチャ装置を識別する第1識別コードを受け取ることと、画像キャプチャ装置と関連するパラメータに基づいてモデルを調節することと、を含む。いくつかの実施形態において、ステップ1002は、試験カートリッジを識別する第2識別コードを受け取ることと、試験カートリッジと関連するパラメータに基づいてモデルを調節することと、を含む。
【0063】
[0073] ステップ1004は、第1画像のデジタル部分を選択することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1004は、検定のプロトタイプストリップ内の試験チャネルとオーバーラップするようにデジタル部分をクロッピングすることを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1004は、デジタル部分を試験カートリッジ内の検定と関連する第1画像のエッジにおける基準点マークとマッチングさせることを含む。
【0064】
[0074] ステップ1006は、モデルにより、デジタル部分の重み付けされた値を取得するために第1画像のデジタル部分を変更することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1006は、デジタル部分内の隣接ピクセルの複数の値を畳み込み値に集計することと、モデルから選択された係数によって畳み込み値を変更することと、を含む。いくつかの実施形態において、ステップ1006は、モデル内の重み付け係数に従って、第1画像のデジタル部分の値を第1画像の隣接するデジタル部分の複数の値と畳み込むことを含む。いくつかの実施形態において、モデルは、データベース内の複数の画像によるトレーニングから得られた係数を重み付けすることを含み、画像のそれぞれは、既知の診断結果と関連付けられており、且つ、ステップ1006は、既知の診断結果を診断値と比較することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1006は、クライアント装置から第2画像を取得することと、第1画像のデジタル部分と第2画像のデジタル部分の間の差に基づいて検定用の動的値を評価することと、を含む。いくつかの実施形態において、ステップ1006は、生物学的試料用の診断値と既知の診断の間の比較に従って、変更された重み付けされた係数によってモデルを更新することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ1006は、モデルにより、試験カートリッジのバッチ識別子に基づいてデジタル部分の重み付けされた値を取得するために重み付け係数を選択することを含む。
【0065】
[0075] ステップ1008は、デジタル部分の重み付けされた値及びモデルに基づいて診断値を判定することを含む。
【0066】
[0076] ステップ1010は、第1画像の第2デジタル部分からの第2の重み付けされた値に基づいて診断値用の確実性レベルを判定することを含む。
【0067】
[0077] いくつかの実施形態において、ステップ1010は、診断値の確実性レベルが既定の値未満である際にモデルを更新することを含むことができる。
【0068】
ハードウェアの概要
[0078]
図11は、
図1及び
図2のクライアント装置110及びサーバー130並びに
図8~
図10の方法が実装され得る例示用のコンピュータシステム1100を示すブロック図である。特定の態様において、コンピュータシステム1100は、専用のサーバー内において、又は別のエンティティ内に統合された状態において、又は複数のエンティティに跨って分散された状態において、ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアの組合せを使用して実装することができる。
【0069】
[0079] コンピュータシステム1100(例えば、クライアント110及びサーバー130)は、情報を伝達するためのバス1108又はその他の通信メカニズムと、情報を処理するためにバス1108に結合されたプロセッサ1102(例えば、プロセッサ112及び212)と、を含む。例として、コンピュータシステム1100は、1つ又は複数のプロセッサ1102によって実装することができる。プロセッサ1102は、汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、用途固有の集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能な論理装置(PLD)、コントローラ、状態機械、ゲート付きロジック、個別のハードウェアコンポーネント、或いは、計算又は情報のその他の操作を実行し得る任意のその他の適切なエンティティであってよい。
【0070】
[0080] コンピュータシステム1100は、ハードウェアに加えて、例えば、プロセッサ1102によって実行されるように情報及び命令を保存するためのバス1108に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能な読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)などの含まれているメモリ1104(例えば、メモリ132及び232)、レジスタ、ハードディスク、着脱自在のディスク、CD-ROM、DVD、或いは、任意のその他の適切なストレージ装置内において保存されているプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はこれらの1つ又は複数のものの組合せを構成するコードなどの対象のコンピュータプログラム用の稼働環境を生成するコードを含むことができる。プロセッサ1102及びメモリ1104は、特殊目的論理回路によって補完することが可能であり、或いは、その内部に内蔵することもできる。
【0071】
[0081] 命令は、例えば、メモリ1104内において保存することができると共に、コンピュータシステム1100による実行のために又はその動作を制御するために、且つ、限定を伴うことなしに、データ指向の言語(例えば、SQL、dBase)、システム言語(例えば、C、Objective-C、C++、アセンブリ)、アーキテクチャ型言語(例えば、Java、.NET)、及びアプリケーション言語(例えば、PHP、Ruby、Perl、Python)などのコンピュータ言語を含む当業者には周知の任意の方法に従って、コンピュータ可読媒体上においてエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールなどの1つ又は複数のコンピュータプログラムプロダクトにおいて実装することができる。また、命令は、アレイ言語、アスペクト指向の言語、アセンブリ言語、オーサリング言語、コマンドラインインターフェイス言語、コンパイル型言語、コンカレント言語、カーリー-ブラケット言語、データフロー言語、データ構造化言語、宣言型言語、難解言語、拡張言語、第4世代言語、機能的言語、対話型モード言語、インタープリタ型言語、対話型言語、リストに基づいた言語、小言語、論理に基づいた言語、機械言語、マクロ言語、メタプログラミング言語、マルチパラダイム言語、数値解析、英語に基づいていない言語、オブジェクト指向のクラスに基づいた言語、オブジェクト指向のプロトタイプに基づいた言語、オフサイド規則言語、手続型言語、反射型言語、規則に基づいた言語、スクリプト言語、スタックに基づいた言語、同期言語、構文処理言語、視覚的言語、ワース言語、及びxmlに基づいた言語などのコンピュータ言語において実装することができる。また、メモリ1104は、プロセッサ1102によって実行される命令の実行の際に、一時的変数又はその他の中間情報を保存するために使用することもできる。
【0072】
[0082] 本明細書において記述されているコンピュータプログラムは、必ずしも、ファイルシステム内のファイルに対応しているわけではない。プログラムは、その他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語文書内において保存された1つ又は複数のスクリプト)を保持するファイルの一部分内において、対象のプログラムに専用の単一のファイル内において、又は複数の調整されたファイル(例えば、1つ又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部分を保存するファイル)内において、保存することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上において、或いは、1つのサイトにおいて配置された又は複数のサイトに跨って分散された且つ通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上において、実行されるように配備することができる。本明細書において記述されているプロセス及び論理フローは、入力データに対して動作し且つ出力を生成することにより、機能を実行するために1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラム可能なプロセッサによって実行することができる。
【0073】
[0083] コンピュータシステム1100は、情報及び命令を保存するためにバス1108に結合された磁気ディスク又は光ディスクなどのデータストレージ装置1106を更に含む。コンピュータシステム1100は、入力/出力モジュール1110を介して様々な装置に結合することができる。入力/出力モジュール1110は、任意の入力/出力モジュールであってよい。例示用の入力/出力モジュール1110は、USBポートなどのデータポートを含む。入力/出力モジュール1110は、通信モジュール1112に接続するように構成されている。例示用の通信モジュール1112(例えば、通信モジュール118及び218)は、Ethernetカード又はモデムなどのネットワーキングインターフェイスカードを含む。特定の態様において、入力/出力モジュール1110は、入力装置1114(例えば、入力装置214)及び/又は出力装置1116(例えば、出力装置216)などの複数の装置に接続されるように構成されている。例示用の入力装置1114は、キーボードと、例えば、マウス又はトラックボールなどのポインティング装置と、を含み、これにより、ユーザーは、入力をコンピュータシステム1100に提供することができる。同様に、ユーザーとの間のやり取りを提供するために、触覚入力装置、視覚入力装置、オーディオ入力装置、又は脳-コンピュータインターフェイス装置などのその他の種類の入力装置1114を使用することができる。例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどの任意の形態の感覚フィードバックであることが可能であり、且つ、ユーザーからの入力は、音響、発話、触覚、又は脳波入力を含む任意の形態において受け取ることができる。例示用の出力装置1116は、情報をユーザーに表示するLCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置を含む。
【0074】
[0084] 本開示の一態様によれば、クライアント装置110及びサーバー130は、プロセッサ1102がメモリ1104内において含まれている1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行することに応答してコンピュータシステム1100を使用することにより、実装することができる。このような命令は、データストレージ装置1106などの別の機械可読媒体からメモリ1104に読み込むことができる。メインメモリ1104内に含まれている命令のシーケンスの実行は、プロセッサ1102が本明細書において記述されているプロセスステップを実行するようにしている。また、メモリ1104内において含まれている命令のシーケンスを実行するために、マルチ処理構成における1つ又は複数のプロセッサを利用することもできる。代替態様においては、本開示の様々な態様を実行するために、ソフトウェア命令の代わりに又はこれとの組合せにおいて、配線接続された回路を使用することができる。従って、本開示の態様は、ハードウェア回路とソフトウェアの任意の特定の組合せに限定されるものではない。
【0075】
[0085] 本明細書において記述されている主題の様々な態様は、例えば、データサーバーなどのバックエンドコンポーネントを含む、或いは、例えば、アプリケーションサーバーなどのミドルウェアコンポーネントを含む、或いは、例えば、ユーザーが本明細書において記述されている主題の実装形態とやり取りし得るグラフィカルユーザーインターフェイス又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含む、或いは、1つ又は複数のこのようなバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンドコンポーネントを含む、演算システム内において実装することができる。システムのコンポーネントは、例えば、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の任意の形態又は媒体によって相互接続することができる。通信ツール(例えば、ネットワーク150)は、例えば、LAN、WAN、インターネット、及びこれらに類似したものの任意の1つ又は複数を含むことができる。更には、通信ツールは、限定を伴うことなしに、例えば、バスネットワーク、スターネットワーク、リングネットワーク、メッシュネットワーク、スター-バスネットワーク、ツリー又は階層構造ネットワーク、或いは、これらに類似したものを含むツールトポロジーの任意の1つ又は複数を含むことができる。通信モジュールは、例えば、モデム又はEthernetカードであってよい。
【0076】
[0086] コンピュータシステム1100は、クライアント及びサーバーを含むことができる。クライアント及びサーバーは、一般に、相互に離れており、且つ、通常は、通信ネットワークを通じてやり取りしている。クライアントとサーバーの関係は、個々のコンピュータ上において稼働する且つ相互にクライアント-サーバー関係を有するコンピュータプログラムに起因して生じている。コンピュータシステム1100は、例えば、且つ、限定を伴うことなしに、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はタブレットコンピュータであってよい。また、コンピュータシステム1100は、例えば、且つ、限定を伴うことなしに、携帯電話機、PDA、モバイルオーディオプレーヤー、全地球測位システム(GPS)レシーバ、ビデオゲートコンソール、及び/又はテレビジョンセットトップボックスなどの別の装置内において埋め込むことができる。
【0077】
[0087] 本明細書において使用されている「機械可読ストレージ媒体」又は「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のために、命令をプロセッサ1102に提供することに参加している任意の1つ又は複数の媒体を意味している。このような媒体は、限定を伴うことなしに、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び送信媒体を含む多くの形態を有することができる。不揮発性媒体は、例えば、データストレージ装置1106などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ1104などのダイナミックメモリを含む。送信媒体は、バス1108を形成するワイヤを含む同軸ケーブル、銅ワイヤ、及び光ファイバを含む。機械可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意のその他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、任意のその他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する任意のその他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュメモリ、任意のその他のメモリチップ又はカートリッジ、或いは、コンピュータが読み取ることができる任意のその他の媒体を含む。機械可読ストレージ媒体は、機械可読ストレージ装置、機械可読ストレージ基材、メモリ装置、機械可読伝播信号に影響を及ぼす物質の組成、又はこれらの1つ又は複数のものの組合せであってよい。
【0078】
[0088] ハードウェア及びソフトウェアの相互交換可能性を示すために、様々な例示用のブロック、モジュール、コンポーネント、方法、動作、命令、及びアルゴリズムなどの項目は、一般的に、その機能の観点において記述されている。このような機能がハードウェアとして、ソフトウェアとして、又はハードウェアとソフトウェアの組合せとして、実装されるのかどうかは、全体システムに対して課された特定の用途及び設計制約に依存している。当業者は、それぞれの特定の用途ごとに変化する方式により、記述されている機能を実装することができる。
【0079】
[0089] 試験カートリッジ101内のものなどの上述の免疫学的検定試験ストリップは、対象の種の特定の病原体又は検体の検出のために固有の方式で構成することができる。これらは、限定を伴うことなしに、蛋白質、ハプテン、免疫グロブリン、酵素、ホルモン、ポリヌクレオチド、ステロイド、リポ蛋白質、薬剤(乱用薬物を含む)、バクテリア抗原、及びウイルス抗原を含む。当技術分野において感染性抗原としてより一般的に参照されているバクテリア及びウイルス抗原との関係において、対象の検体は、ストレプトコッカス(Streptococcus)、インフルエンザA、インフルエンザB、RS(Respiratory Syncytial)ウイルス(RSV)、肝炎A、B、及び/又はC、肺炎球菌(pneumococcal)、ヒトメタニューモウイルス、及び当業者には周知のその他の感染性因子を含む。いくつかの実施形態において、試験装置は、ライム病と関連する抗原の1つ又は複数のものの検出のために意図されている。いくつかの実施形態において、免疫学的検定試験ストリップは、女性の健康の分野において使用されるように意図されている。例えば、胎児性フィブロネクチン、クラミジア、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、高グリコシル化絨毛性ゴナドトロピン、ヒトパピローマウイルス(HPV)、及びこれらに類似したものの1つ又複数のものの検出ための試験装置が想定されている。別の実施形態において、ビタミンDの検出用の免疫学的検定試験ストリップは、本明細書において記述されている正規化の装置及び方法とのやり取りのために設計されている。
【0080】
[0090] 例示用の免疫学的検定試験ストリップは、ラベルゾーンとの流体連通状態において試料受取ゾーンを含むことができる。試料ゾーンの上部又は内部において配置された流体試料は、試料ゾーンからの毛細管現象により、下流方向において流動する。ラベルゾーンは、少なくとも試験ライン又はバンドとの、且つ、任意選択により、対照ライン又はバンド及び/又は基準ライン又はバンドとの、流体連通状態にある。通常、ラベルゾーンは、試料ゾーンの下流に位置しており、且つ、一連の対照及び試験ラインは、ラベルゾーンの下流に位置しており、且つ、任意選択の吸収パッドは、ラインがその上部において位置決めされている試験ストリップの一部分の下流に位置している。
【0081】
[0091] 試料ゾーンは、対象の検体を含むことが疑われている試料を受け取っている。ラベルゾーンは、いくつかの実施形態において、ラベル要素を含む粒子から構成された2つの乾燥した複合体を含む。ラベル要素は、例えば、電磁放射、アルファ粒子放射、陽電子放射、ベータ放射、及びこれらに類似したものなどのいくつかの選択された放出プロセスの任意のものにおいて信号を放出するラベルを含む。いくつかの実施形態において、電磁放射放出は、蛍光放出、ラマン放出、及びこれらに類似したものを含むことができる。更には、いくつかの実施形態において、ラベルは、例えば、マイクロ波吸収、赤外線(IR)吸収、可視吸収、又は紫外線(UV)吸収におけるものなどのように、電磁放射などの選択されたタイプの放射を吸収することができる。更には、いくつかの実施形態において、ラベル要素は、以上の上述の放射放出及び/又は吸収のすべて又は更に多くのものから選択された複数のラベル要素を含むこともできる。
【0082】
[0092] 一般性の喪失を伴うことなしに、且つ、システムの動作を簡潔に示すために、一実施形態においては、ラベル要素は、蛍光要素を含むことができる。例示用の蛍光要素は、15個の元素であるランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウム、及びイットリウムの1つなどのランタニド材料である。一実施形態において、ランタニド材料は、ポリスチレン粒子などの粒子の内部又は上部において埋め込まれている。粒子は、ルミネッセント又は蛍光ランタニドを含むマイクロ粒子(直径において約1000マイクロメートル未満である粒子、いくつかの例においては、直径において約500マイクロメートル未満であり、いくつかの例においては、直径において200、150、又は100マイクロメートル未満である)であることが可能であり、この場合に、いくつかの実施形態において、ランタニドは、ユーロピウムである。いくつかの実施形態において、ランタニドは、キレート化ユーロピウムである。マイクロ粒子は、いくつかの実施形態において、ポリスチレン被覆を有するユーロピウムコアなどのポリマー被覆を有するランタニド材料のコアを有する。試料内の対象の1つ又は複数の検体用の結合パートナーがマイクロ流体の外側表面に装着されているか又はこれと関連付けられている。いくつかの実施形態において、対象の1つ又は複数の検体の結合パートナーは、抗体、モノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体である。当業者は、その他の結合パートナーが、選択されることが可能であり、且つ、ビオチン及びストレプトアビジン複合体などの複合体を含み得ることを理解であろう。液体試料は、例示用の免疫学的検定試験ストリップのラベルゾーンに進入した際に、水和し、懸濁し、且つ、乾燥したマイクロ粒子抗体複合体を移動させ、且つ、試験ストリップ上において、下流に、免疫学的検定試験ストリップ上において配設された対照又は基準及び/又は試験ラインまで、試料と共に複合体を搬送している。対象の検体は、試料中において存在している場合に、標本及びマイクロ粒子がラベルゾーンから流れるのに伴って、その個々の複合体に結合することになる。
【0083】
[0093] 試料及びマイクロ粒子-抗体複合体が免疫学的検定試験ストリップ上を下流に流れることを継続するのに伴って、対象の検体が試料中において存在している場合には、いまや対象の抗原/検体と結合している蛍光マイクロ粒子-抗体複合体は、1つ又は複数の試験ラインにおいて不動化された対象の検体用の特定の結合要素に結合することになる。いくつかの実施形態においては、単一試験ラインが試験ストリップ上において存在している。いくつかの実施形態においては、少なくとも2つの又は2つ以上の試験ラインがストリップ上において存在している。例として、インフルエンザA及びインフルエンザBの検出及び/又は弁別のために意図された試験ストリップは、インフルエンザAを検出するための第1試験ライン及びインフルエンザBを検出するための第2試験ラインを含むことができる。インフルエンザAに固有の抗体によって被覆されたマイクロ粒子及びインフルエンザBに固有の抗体によって被覆されたマイクロ粒子を有するマイクロ粒子-抗体複合体をラベルゾーン内において、且つ、いくつかの実施形態において、ネガティブ対照ラインの下流において、含むことができる。インフルエンザA用の第1試験ライン及びインフルエンザB用の第2試験ランは、ラベルゾーンの下流に配設することができる。インフルエンザA用の第1試験ラインは、インフルエンザAの核蛋白質上の決定因に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体を有し、且つ、インフルエンザB用の第2試験ラインは、インフルエンザBの核蛋白質上の決定因に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体を有する。抗原が試料中に存在している場合には、通常の免疫学的検定挟持体が、試料内の抗原にマッチングした個々の試験ライン上において形成されることになる。その他の検定は、インフルエンザA及び/又はB用の上述の検定と実質的に同一のアーキテクチャを有するSARS-COV2検定を含むことができる。その他の検定は、血清学検定を含んでいてもよく、この場合には、病原体に抗する抗体の存在を判定することができる。
【0084】
[0094] 1つの検体、1つのパスに加えて、いくつかの実施形態は、同一のパス内において複数の検体の分析を許容している検定を含むことができる。更にその他の実施形態においては、検定は、RVP4検定のように、1つのフロー方向の複数のパスにおいて複数の検体を含むことができる。いくつかの実施形態において、検定は、ライム検定(SOFIA Lyme, Quidel Corporation)又は変更されたライム検定のように、複数のフロー方向において複数の検体を含むことができる。
【0085】
[0095] 陰性対照ライン又は試験ラインに結合しないマイクロ粒子-抗体複合体は、毛細管現象によって下流に流れることを継続し、且つ、残りの試料は、基準ラインと遭遇し、いくつかの実施形態においては、これにより、吸収パッド内に進行する。
【0086】
[0096] 免疫学的検定試験装置は、限定を伴うことなしに、鼻汁、鼻咽腔分泌物、唾液、粘液、尿、膣分泌物、糞便試料、血液、などを含む人間の体液からの生物学的試料を含む様々な試料を受け取るように意図されている。
【0087】
[0097] 免疫学的検定試験キットには、いくつかの実施形態においては、陽性対照スワブ又は試料が提供されている。いくつかの実施形態においては、陰性対照スワブ又は試料が提供されている。外部陽性及び/又は陰性対照を必要としている検定の場合には、陽性又は陰性対照試料又はスワブを挿入又は適用するように、ユーザーに指示することができる。
【0088】
[0098] 免疫学的検定バンドは、免疫学的検定ストリップ内の免疫蛋白質に対する接着(例えば、吸収、化学収着、免疫-リガンド、及びこれらに類似したもの)によって基材上において固定されていることから、主には、ターゲット検体に結合された蛍光から蛍光光を放出している。従って、バンドの境界線内の赤色放出の存在は、そのほとんどをターゲット検体の存在(例えば、病原性抗原及びこれらに類似したものの存在)に帰することができる。但し、免疫学的検定バンドの境界内の赤色信号の量は、なんらかの背景を含み得る。(例えば、バンド上の抗体に結合されたターゲット検体に由来しない)背景信号を相対的に良好に評価するために、いくつかの試料カートリッジは、ブランク対照エリアを含むことができる。
【0089】
[0099] 項目の任意のものを分離するために「及び」又は「又は」という用語と共に本明細書において使用されている一連の項目に先行する「~の少なくとも1つ(at least one of)」というフレーズは、リストのそれぞれの構成要素(例えば、それぞれの項目)ではなく、全体としてリストを修飾している。「~の少なくとも1つ」というフレーズは、少なくとも1つの項目の選択を必要としてはおらず、むしろ、フレーズは、項目の任意のものの少なくとも1つ及び/又は項目の任意の組合せの少なくとも1つ及び/又は項目のそれぞれのものの少なくとも1つを含む意味を許容している。例として、「A、B、及びCの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCの少なくとも1つ」というフレーズは、それぞれ、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、A、B、及びCの任意の組合せ、及び/又はA、B、及びCのそれぞれのものの少なくとも1つを意味している。
【0090】
[0100] 「含む(include)」、「有する(have)」という用語又はこれらに類似したものが説明又は請求項において使用されている範囲においては、このような用語は、「含む(include)」が請求項において移行語として利用された際に解釈されるように、「含む(include)」という用語に類似した方式で包含的となることが意図されている。「例示用の(exemplary)」という用語は、本明細書においては、「例(example)、例証(instance)、又は例示(illustration)として機能する」ことを意味するように使用されている。「例示用(exemplary)」として本明細書において記述されている任意の実施形態は、必ずしも、その他の実施形態のとの比較において好ましい又は有利であると解釈するべきではない。
【0091】
[0101] 単数形の要素に対する参照は、具体的に記述されていない限り、「1つの且つ唯一の(one and only one)」を意味することを意図してはおらず、むしろ、「1つ又は複数の(one and more)」を意味するように意図されている。当業者に既知である又は後から既知となる本開示の全体を通じて記述されている様々な構成の要素に対する構造的且つ機能的均等物は、引用により、明示的に本明細書に包含され、且つ、主題技術によって包含されるように意図されている。更には、本明細書において開示されているものは、そのような開示が以上の説明において明示的に記述されているかどうかとは無関係に、公衆への提供が意図されたものではない。
【0092】
[0102] 本明細書は、多くの詳細事項を含んでいるが、これらは、特許請求され得るものの範囲に対する制限として解釈されてはならず、むしろ、主題の特定の実装形態の説明として解釈することを要する。また、別個の実施形態の文脈において本明細書において記述されている特定の特徴は、単一の実施形態において、組合せにおいて実装することできる。また、逆に、単一の実施形態の文脈において記述されている様々な特徴は、複数の実施形態において、別個に又は任意の適切なサブ組合せにおいて実装することもできる。更には、特徴は、特定の組合せにおいて機能するものとして上述されている場合があり、且つ、場合によっては、そのように当初特許請求されている場合があるが、特許請求されている組合せからの1つ又は複数の特徴は、いくつかのケースにおいては、組合せから削除することが可能であり、且つ、特許請求されている組合せは、サブ組合せ又はサブ組合せの変形を対象とし得る。
【0093】
[0103] 本明細書の主題は、特定の態様の観点において記述されているが、その他の態様が、実装され得ると共に、添付の請求項の範囲に含まれている。例えば、動作は、図面においては、特定の順序において描かれているが、これは、望ましい結果を実現するために、そのような動作が図示の特定の順序において又は順番に実行される又はすべての示されている動作が実行されることを必要としているものと理解してはならない。請求項において記述されているアクションは、異なる順序において実行することが可能であり、且つ、依然として望ましい結果を実現することができる。一例として、添付の図において描かれているプロセスは、必ずしも、望ましい結果を実現するために図示の特定の順序又はシーケンシャルな順序を必要としてはいない。特定の状況においては、マルチタスク及び並列処理が有利であり得る。更には、上述の態様における様々なシステムコンポーネントの分離は、そのような分離がすべての態様において必要とされているものと理解してはならず、且つ、記述されているプログラムコンポーネント及びシステムは、一般に、単一のソフトウェアプロダクトにおいて1つに統合することが可能であり、或いは、複数のソフトウェアプロダクトにパッケージ化することが可能であることを理解されたい。その他の変形も、添付の請求項に含まれている。
【0094】
[0104] 一態様において、方法は、動作、命令、又は機能であってもよく、且つ、逆もまた真である。一態様において、請求項は、その他の1つ又は複数の請求項、1つ又は複数の用語、1つ又は複数の文、1つ又は複数のフレーズ、1つ又は複数の段落、及び/又は1つ又は複数の請求項において記述されている用語(例えば、命令、動作、機能、又はコンポーネント)のいくつか又はすべてを含むように補正することができる。
【0095】
[0105] ハードウェア及びソフトウェアの相互交換可能性を示すために、様々な例示用のブロック、モジュール、コンポーネント、方法、動作、命令、及びアルゴリズムなどの項目は、一般に、その機能の観点において記述されている。このような機能がハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組合せとして実装されるかどうかは、全体的なシステムに課された特定の用途及び設計制約に依存している。当業者は、それぞれの特定の用途ごとに変化する方式で記述されている機能を実装することができる。
【0096】
[0106] 一態様、その態様、別の態様、いくつかの態様、1つ又は複数の態様、一実装形態、その実装形態、別の実装形態、いくつかの実装形態、1つ又は複数の実装形態、一実施形態、その実施形態、別の実施形態、いくつかの実施形態、1つ又は複数の実装形態、一構成、その構成、別の構成、いくつかの構成、1つ又は複数の構成、主題技術、開示、本開示、これらのその他の変形、及びこれらに類似したものなどのフレーズは、利便を目的としたものであり、且つ、このような1つ又は複数のフレーズに関係する開示が主題技術にとって不可欠である又はこのような開示が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。1つ又は複数のこのようなフレーズに関係する開示は、すべての構成又は1つ又は複数の構成に適用することができる。このような1つ又は複数のフレーズに関係する開示は、1つ又は複数の例を提供することができる。1つ又はいくつかの態様などのフレーズは、1つ又は複数の態様を意味し得ると共に、逆もまた真であり、且つ、これは、同様にその他の上述のフレーズにも適用される。
【0097】
[0107] 男性代名詞(例えば、彼の(his))は、女性及び中性(例えば、彼女の(her)又はその(its))を含み、且つ、逆もまた真である。「いくつかの(some)」という用語は、1つ又は複数を意味している。下線の及び/又はイタリック体のヘディング及びサブヘッディングは、利便を目的としてのみ使用されており、主題技術を限定するものではなく、且つ、主題技術の説明の解釈との関連において参照されるものではない。第1の(first)及び第2の(second)並びにこれらに類似したものなどの関係的用語は、そのようなエンティティ又はアクションの間の任意の実際的なそのような関係又は順序を必ずしも必要とする又は意味することなしに、1つのエンティティ又はアクションを別のものから弁別するために使用されている場合がある。当業者には既知の又は後から既知となる本開示の全体を通じて記述されている様々な構成の要素に対するすべての構造的且つ機能的均等物は、引用により、明示的に本明細書に包含されており、且つ、主題技術によって包含されることが意図されている。請求項要素は、要素が「means for」というフレーズを使用して明示的に記述されていない限り、或いは、方法請求項のケースにおいては、要素が「step for」というフレーズを使用して記述されていない限り、米国特許法第112条第6段落の規定の下に解釈されるべきではない。
【国際調査報告】