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特表2023-529158流動を回復させるための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】流動を回復させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20230630BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/22 528
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574702
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 US2021035401
(87)【国際公開番号】W WO2021247669
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/035,213
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522471113
【氏名又は名称】グラビティ メディカル テクノロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アッチャニーヤサクル, クナコーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャダブ, アシュトシュ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】デサイ, シャシュヴァト エム.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
4C160NN01
(57)【要約】
血管から障害物を除去するための方法およびデバイスは、伸長可撓性シャフトの遠位端に結合される拡張可能捕捉ケージを伴う伸長可撓性シャフトを含む。拡張可能捕捉ケージは、拡張構成と、圧潰構成とを有する。圧潰構成は、血管を通して送達されるように適合され、拡張構成は、血管内で拡張され、障害物を巻き込むように適合される。一実施形態において、障害物は、血栓である。一実施形態において、血栓は、白色凝血塊または赤色凝血塊を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管から障害物を除去するためのデバイスであって、前記デバイスは、
近位端と、遠位端とを有する伸長可撓性シャフトと、
近位端と、遠位端とを有する拡張可能捕捉ケージであって、前記捕捉ケージの近位端は、前記伸長シャフトの遠位端に結合される、拡張可能捕捉ケージと
を備え、
前記拡張可能捕捉ケージは、圧潰構成と、拡張構成とを有し、
前記圧潰構成において、前記拡張可能捕捉ケージは、前記血管を通して送達されるように適合され、
前記拡張構成において、前記拡張可能捕捉ケージは、前記障害物が、前記拡張可能捕捉ケージの近位後退によって前記血管から除去され得るように、前記障害物の中に拡張し、それを巻き込むように構成される、デバイス。
【請求項2】
前記障害物は、血栓である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記血栓は、白色凝血塊または赤色凝血塊を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記伸長可撓性シャフトは、ガイドワイヤである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記拡張可能ケージは、自己拡張する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記拡張可能捕捉ケージの近位端は、開放し、前記拡張可能捕捉ケージの縦方向軸に対して斜角である近位縁を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記拡張可能捕捉ケージの近位端は、複数の開放または閉鎖リングを備え、前記複数の開放または閉鎖リングにおける各開放または閉鎖リングは、1つまたはそれを上回る閉鎖セルを備え、各開放または閉鎖リングは、合計数の閉鎖セルを有し、前記閉鎖セルの合計数は、最近位リングが単一の閉鎖セルを有する開放リングになるまで、前記近位方向に減少する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記拡張可能捕捉ケージの近位端は、複数のリングを備え、前記複数のリングのうちの少なくともいくつかは、前記開放リングの反対の縁の間に配置される間隙を伴う開放リングであり、前記間隙は、近位方向に増加する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記拡張可能ケージは、ともに結合される複数の支柱を備え、前記拡張可能ケージの近位端上に配置される前記複数の支柱のうちの少なくともいくつかは、その遠位に配置される前記複数の支柱のうちのいくつかのものを下回る幅または厚さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記拡張可能ケージは、前記拡張可能ケージの近位端から前記拡張可能ケージの遠位端に向かってテーパ状である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記拡張可能ケージは、複数の閉鎖セルを備え、前記複数の閉鎖セルは、レモン形状を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記閉鎖セルは、テーパ状近位端と、テーパ状遠位端と、前記テーパ状近位端と前記テーパ状遠位端との間の頂部と、前記テーパ状近位端と前記テーパ状遠位端との間の谷部とを備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記拡張可能ケージは、複数の閉鎖セルを備え、前記複数の閉鎖セルは、複数の凹状輪郭と、複数の凸状輪郭とを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記複数の閉鎖セルのうちのいくつかは、6つのS字形または逆S字形支柱を備え、
第1のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、内向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、
第2のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、内向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、
第3の逆S字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、
第4のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、
第5のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、
第6の逆S字形支柱は、内向きに面する凹状領域を伴う近位端と、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有する、
請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1のS字形支柱の近位端は、前記第2のS字形支柱の遠位端に結合され、
前記第2のS字形支柱の近位端は、前記第3の逆S字形支柱の遠位端に結合され、
前記第3の逆S字形支柱の近位端は、前記第4のS字形支柱の近位端に結合され、
前記第4のS字形支柱の遠位端は、前記第5のS字形支柱の近位端に結合され、
前記第5のS字形支柱の遠位端は、前記第6の逆S字形支柱の近位端に結合され、
前記第6の逆S字形支柱の遠位端は、前記第1のS字形支柱の遠位端に結合される、
請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記拡張可能ケージの近位端は、複数のレモン形セルと、複数の菱形セルとを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項17】
前記複数のレモン形セルは、S字形支柱と、第1の線形支柱と、第2の線形支柱と、逆S字形支柱とを備え、前記S字形支柱は、前記第1の線形支柱に結合され、前記第1の線形支柱は、前記第2の線形支柱に結合され、前記第2の線形支柱は、前記逆S字形支柱に結合され、前記逆S字形支柱は、前記S字形支柱に結合される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記複数の菱形セルは、ともに結合される4つの線形支柱を備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記拡張可能ケージの近位端は、減少する数の菱形セルを備え、前記減少する数の菱形セルにおける最後の菱形セルは、前記伸長シャフトと結合される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記拡張可能捕捉ケージの近位端は、前記伸長シャフトの遠位端と重複し、それに結合される単一の支柱において終端する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記単一の支柱および前記伸長シャフトの周囲に螺旋状に配置され、可撓性放射線不透過性ジョイントを形成するフィラメントをさらに備える、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記拡張可能ケージの遠位端は、複数のレモン形閉鎖セルを備え、各レモン形閉鎖セルは、尖った遠位領域を有する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項23】
前記レモン形閉鎖セルは、4つのS字または逆S字形支柱を備え、
第1のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、内向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、
第2の逆S字形支柱は、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、外向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、
第3のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、
第4の逆S字形支柱は、内向きに面する凹状領域を伴う近位端と、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有する、
請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1のS字形支柱の近位端は、前記第2の逆S字形支柱の遠位端に結合され、前記レモン形閉鎖セルにおいて頂部を形成し、
前記第2の逆S字形支柱の近位端は、前記第3のS字形支柱の近位端に結合され、前記レモン形閉鎖セルの尖った近位端を形成し、
前記第3のS字形支柱の遠位端は、前記第4の逆S字形支柱の近位端に結合され、前記レモン形閉鎖セルにおいて谷部を形成し、
前記第4の逆S字形支柱の遠位端は、前記第1のS字形支柱の遠位端に結合され、前記レモン形閉鎖セルの尖った遠位端を形成する、
請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記閉鎖セルの頂部は、内向きに面して凹状であり、前記閉鎖セルの谷部は、内向きに面して凹状である、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記拡張可能捕捉ケージの遠位端は、前記複数のレモン形セルの尖った遠位領域に結合される複数の線形支柱を備え、前記線形支柱は、ある点まで遠位にテーパ状であり、前記障害物がそれを通して通過することを防止するように構成される閉鎖多孔性先端を形成する、請求項22に記載のデバイス。
【請求項27】
前記線形支柱の周囲に配置され、非外傷性放射線不透過性先端を形成する螺旋コイル状フィラメントをさらに備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
血管から障害物を除去するためのシステムであって、前記システムは、
請求項1に記載のデバイスと、
マイクロカテーテルまたは前記デバイスにわたって摺動可能に配置されることと
を備える、システム。
【請求項29】
前記マイクロカテーテルにわたって摺動可能に配置されるシースをさらに備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
血管から障害物を除去するための方法であって、前記方法は、
伸長可撓性シャフトに結合される拡張可能捕捉ケージを備える凝血塊回収カテーテルを提供することと、
前記血管の中に前記凝血塊回収カテーテルを導入することと、
前記拡張可能捕捉ケージを前記血管を通して前記障害物まで前進させることと、
前記障害物と係合するように前記拡張可能捕捉ケージを半径方向に拡張させることと、
前記拡張可能捕捉ケージを用いて前記障害物を巻き込むことと、
前記凝血塊回収カテーテルを用いて前記血管から前記障害物を除去することと、
前記血管から前記凝血塊回収カテーテルを除去することと
を含む、方法。
【請求項31】
前記拡張可能捕捉ケージを前記血管を通して前進させることは、前記伸長可撓性シャフトをマイクロカテーテルを通して前進させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記拡張可能捕捉ケージを前進させることは、前記障害物の遠位に前記拡張可能捕捉ケージを前進させることまたは前記障害物の遠位に前記マイクロカテーテルを前進させることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ガイドワイヤにわたって前記マイクロカテーテルを前進させることと、前記血管の中に前記凝血塊回収カテーテルを導入する前に、前記患者から前記ガイドワイヤを除去することとをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記障害物は、血栓を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記血栓は、白色凝血塊または赤色凝血塊を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記血管は、患者の頭部における動脈血管である、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記拡張可能捕捉ケージを半径方向に拡張させることは、前記拡張可能捕捉ケージから離れるようにマイクロカテーテルを近位に後退させ、そこから拘束部を除去することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記拡張可能捕捉ケージを半径方向に拡張させることは、前記拡張可能捕捉ケージを自己拡張させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記拡張可能捕捉ケージを半径方向に拡張させることは、ともに結合される複数のS字形および逆S字形支柱とともに形成される複数の閉鎖セルを拡張させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記障害物が、テーパ状先端がそれに結合された前記拡張可能捕捉ケージの遠位端から退出することを防止することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記血管から前記障害物を除去することは、前記拡張可能捕捉ケージを近位に後退させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記拡張可能捕捉ケージを近位に後退させることは、マイクロカテーテルまたはシースの遠位端に向かって前記拡張可能捕捉ケージの斜角近位縁を後退させることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
蛍光透視を用いて前記拡張可能捕捉ケージ上の放射線不透過性マーカを可視化することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、その全内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2020年6月5日に出願された米国仮特許出願第63/035,213号(弁理士整理番号第5543.001PRV号)の優先権の利益を主張する。
【0002】
血管の閉塞は、多くの場合、凝血塊によって引き起こされ、これは、血栓塞栓性事象と称され得、脳卒中、肺塞栓症、末梢血栓症、および同等物等の障害を引き起こし得る。血栓塞栓性事象は、毎年多くの人々に影響を及ぼし、世界中で患者における病的状態をもたらし得る。病的状態の実施例は、虚血、四肢の欠損、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症を含む。ある場合には、死亡が、血栓塞栓性事象の結果としてもたらされ得る。
【0003】
血栓塞栓性事象を治療するための一般的な既存の技法は、塞栓除去術、外科手術、ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼ等の治療剤もしくは他の血栓溶解剤の使用、または血栓除去術デバイスを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
血管の閉塞は、多くの場合、凝血塊によって引き起こされ、これは、血栓塞栓性事象と称され得、脳卒中、肺塞栓症、末梢血栓症、および同等物等の障害を引き起こし得る。血栓塞栓性事象は、毎年多くの人々に影響を及ぼし、世界中で患者における病的状態をもたらす。病的状態の実施例は、虚血、四肢の欠損、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症を含む。ある場合には、死亡が、血栓塞栓性事象の結果としてもたらされ得る。
【0005】
血栓塞栓性事象を治療するための一般的に使用される技法は、いくつか例を挙げると、塞栓除去術、外科手術、ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼ等の治療剤もしくは他の血栓溶解剤の使用、または血栓除去術デバイスを含む。これらの治療は、様々な程度の臨床的な成功を提供し、いくつかの状況では、最適ではない場合がある。
【0006】
したがって、安全であり、臨床的に有効であり、使用が容易であり、費用効果の高い、血栓塞栓性事象を治療するための改良された方法およびデバイスを提供する必要性が、存在する。凝血塊を回収するべき標的治療領域において正確に展開され得る、費用効果の高い低侵襲性デバイスを提供することが、有利であろう。そのようなデバイスはまた、これが、血流の途絶を最小限にしながら、神経血管血栓の場合におけるように、カテーテルを用いて、蛇行した毛管を通して血管アクセス点から遠く離れた治療領域まで送達されることを可能にするために、小さい外形を有してもよい。これらの目的のうちの少なくともいくつかは、概して、脳卒中患者における脳動脈からの凝血塊除去を含む、血管系における血栓塞栓性障害を治療するとき等の血管介入の間に使用される医療デバイスおよび方法に関連する、本明細書に開示される実施例によって達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
必ずしも縮尺通りに描かれない図面では、同様の番号は、異なる図において類似する構成要素を説明し得る。異なる接尾辞を有する同様の番号は、類似する構成要素の異なる事例を表し得る。図面は、概して、限定ではなく、実施例として、本書に議論される種々の実施形態を図示する。
【0008】
図1図1は、患者から障害物を除去するためのデバイスの実施例の斜視図を示す。
【0009】
図2図2は、随意の放射線不透過性マーカを伴う図1のデバイスを示す。
【0010】
図3A図3Aは、障害物を除去するための任意のデバイスと併用され得る、拡張可能捕捉ケージの実施例の側面図を示す。
【0011】
図3B図3Bは、図3Aのケージの斜視端面図を示す。
【0012】
図4A図4Aは、平坦な巻解構成において示される、図3Aの拡張可能捕捉ケージを図示する。
【0013】
図4B図4Bは、遠位テーパ状先端において弓形支柱を伴う平坦かつ巻解構成における図4Aの拡張可能ケージを示す。
【0014】
図5図5は、随意の可撓性領域を伴う図3Aの拡張可能捕捉ケージを示す。
【0015】
図6A図6Aは、随意の様々な支柱寸法を伴う図3Aの拡張可能捕捉ケージを示す。
【0016】
図6B図6Bは、テーパを伴う図3Aの拡張可能捕捉ケージを示す。
【0017】
図7図7は、巻解かつ平坦構成における、随意の二重支柱および随意の放射線不透過性マーカを伴う図3Aの拡張可能捕捉ケージを示す。
【0018】
図8A図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8B図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8C図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8D図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8E図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8F図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8G図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8H図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8I図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8J図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
図8K図8A-8Kは、本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかを使用して患者から凝血塊を除去する方法の実施例を図示する。
【0019】
図9図9は、平坦な巻解構成における拡張可能捕捉ケージの別の実施例を示す。
【0020】
図10A図10Aは、拡張構成における図9の実施例の斜視図を示す。
【0021】
図10B図10Bは、圧潰構成における図9の実施例を示す。
【0022】
図11図11は、図9におけるような捕捉ケージの遠位テーパ状端部の実施例を示す。
【0023】
図12A図12A-12Cは、コイル先端を伴うテーパ状捕捉ケージの遠位端の実施例を示す。
図12B図12A-12Cは、コイル先端を伴うテーパ状捕捉ケージの遠位端の実施例を示す。
図12C図12A-12Cは、コイル先端を伴うテーパ状捕捉ケージの遠位端の実施例を示す。
【0024】
図13A図13A-13Bは、ガイドワイヤに結合される捕捉ケージの近位端の実施例を示す。
図13B図13A-13Bは、ガイドワイヤに結合される捕捉ケージの近位端の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
図1は、患者から凝血塊等の障害物を除去するためのデバイス100の実施例を示す。本デバイスは、本明細書では、ステント回収器、凝血塊回収器、凝血塊回収カテーテル、または障害物を除去するためのデバイスと称され得る。デバイス100は、患者から凝血塊または他の障害物を除去するために使用されてもよく、本デバイスは、近位端102と、遠位端104と、伸長可撓性シャフト110のより厚い近位部分と、伸長可撓性シャフトのより薄い遠位部分116と、虚血を引き起こすことを回避するためにケージの細孔を通して血液が流動することを可能にするためにメッシュ様かつ多孔性でありながら、依然として、捕捉ケージが捕捉ケージから逃散する血栓を伴わずに凝血塊または他の障害物を捕捉し得ることを確実にするために十分に小さい細孔サイズを維持する、拡張可能捕捉ケージ108とを含む。伸長可撓性シャフト110のより厚い近位部分は、マイクロカテーテルまたはシース内に配置される伸長可撓性シャフトのより薄い遠位部分116から形成されてもよい、もしくは伸長可撓性シャフトのより薄い遠位部分116は、より良好な押出性を伴うより堅性のシャフトを提供するために、単純により厚くてもよい。拡張可能捕捉ケージ108の近位端は、伸長可撓性シャフト116のより薄い部分の遠位端に結合される。
【0026】
本実施例では、伸長シャフトは、ガイドワイヤとも称される、プッシャワイヤである。プッシャワイヤの近位部分110は、任意の断面を有してもよいが、丸形であってもよく、任意の断面を有し得るが、同様に丸形であり、近位区分よりも薄くあり得る、遠位のより薄い区分116よりも大きい直径を有する。より厚い近位区分は、脈管を通した本デバイスのより良好な押出性を提供する一方、より薄い遠位区分は、脳内等の蛇行した血管をナビゲートするためのさらなる可撓性を提供する。いったん本デバイスが標的治療面積に送達されると、拡張可能捕捉ケージ108は、バルーン拡張または自己拡張のいずれかによって、半径方向に拡張する。本実施例では、捕捉ケージは、捕捉ケージが自己拡張するように、ニチノール等の形状記憶金属または超弾性材料から作製される。捕捉ケージを拘束する伸長シャフトおよびシースの長さは、治療領域が患者の身体内で位置する場所に依存し、したがって、任意の所望の長さであってもよい。
【0027】
随意に、本デバイスの任意の実施例では、捕捉ケージ108の近位および遠位端は、捕捉ケージの近位および遠位端支柱をともに保持するためのカラー112、114を含んでもよい。近位カラー112はまた、伸長シャフト116の遠位端に捕捉ケージの近位端支柱を圧着するために使用されてもよい、またはカラーは、下記に議論されるような放射線不透過性マーカであってもよい。いくつかの実施例では、カラーは、拡張可能ケージの支柱およびガイドワイヤ116にわたって設置される別個の円筒形要素である。他の実施例では、カラーは、それから拡張可能ケージが作製される未切断管類であってもよく、したがって、カラーは、拡張可能ケージの支柱と一体的である円筒形管である。任意の実施例では、治療される障害物は、患者の頭部または身体内の任意の場所における血管(動脈等)内に配置される凝血塊であってもよい。捕捉ケージの近位端は、所望される場合、シースまたはマイクロカテーテルの中への拡張可能ケージ108の部分的または完全な近位後退を促進する、斜角開放端118を含んでもよい。捕捉ケージの遠位端は、虚血を回避するために血液がそれを通して流動することを可能にするために多孔性でありながら、依然として、凝血塊または他の障害物を捕捉し、凝血塊が捕捉ケージから逃散することを防止する、テーパ状円錐形先端106を含んでもよい。捕捉ケージにおける複数の支柱が、遠位に延在し、点に収束し、テーパ状先端を形成する。カラー114は、支柱をともに圧着または保持するために使用されてもよい。前述で言及されるように、カラー114は、別個の円筒形要素であってもよい、またはこれは、それから拡張可能ケージが形成される未切断管類であってもよく、したがって、カラー114は、拡張可能ケージ108と一体的である。カラー114はまた、オペレータが蛍光透視下で本デバイスの遠位端を可視化することを可能にするために、放射線不透過性マーカとしての役割を果たしてもよい。いくつかの幾何学形状が、捕捉ケージにおいてセルを形成するために使用されてもよく、その実施例が、本明細書に開示されるように使用されてもよい。
【0028】
随意に、任意の実施例では、ガイドワイヤのより厚い近位端102は、オペレータが使用の間に本デバイスを容易に操作し得るように、取っ手(図示せず)に結合されてもよい。
【0029】
図2は、図1と同一の実施例を示し、差異は、近位および遠位カラー112、114がまた、介入神経科医または放射線科医等のオペレータが、患者から凝血塊等の障害物を除去するための手技の間に、蛍光透視下で捕捉ケージの端部を可視化することを可能にする、放射線不透過性マーカであることである。白金、金、または当技術分野で公知の他の材料等の任意の高密度材料が、放射線不透過性マーカとして使用されてもよい。カラー112、114はまた、捕捉ケージの支柱をともに圧着することに役立つために、または支柱を伸長シャフト116の遠位端に結合する、もしくはテーパ状遠位先端を形成するために使用されてもよい。前述で議論されるように、カラーはまた、それから拡張可能ケージが形成される未切断管類であってもよく、したがって、カラーは、拡張可能ケージの支柱と一体的である。図2の他の側面は、概して、図1と同一である。本実施例における放射線不透過性マーカの使用は、随意であり、ここで開示される放射線不透過性マーカは、随意に、本明細書に開示される捕捉ケージの任意の実施例において使用されてもよい。
【0030】
図3Aは、本明細書に開示される障害物除去デバイスの実施例のうちのいずれかにおいて使用され得る、拡張可能捕捉ケージ300の側面図を示す。拡張可能捕捉ケージ300は、拡張構成において示され、ガイドワイヤまたは他の伸長シャフトであり得る伸長シャフト(図3Aに図示せず)の遠位端に結合される、近位端302を含み、したがって、本デバイスは、患者の血管系を通して標的治療領域まで前進され、次いで、後退され、手技の完了に応じて除去されてもよい。近位端302は、前述で上記に説明されるように、かつ本開示の別の場所にさらに説明されるであろうように、開放斜角端を含んでもよい。拡張可能捕捉ケージ300はまた、拡張可能捕捉ケージの遠位端から遠位に延在し、点に収束するいくつかの支柱から形成される、テーパ状円錐形遠位先端308もまた含み得る、遠位端306を含む。テーパ状円錐形遠位先端308は、凝血塊または他の破片が拡張可能捕捉ケージの遠位端から外に退出することを防止するための遠位フィルタトラップとしての役割を果たし、血液がテーパ状円錐形遠位先端を通して流動することを可能にする(それによって、虚血を引き起こすことを回避する)ために、支柱の間の開口に起因する十分な多孔性を有するが、開口は、凝血塊または他の破片がそれを通して通過することを最小限にする、または防止するために十分に小さい。もよいが、随意に、任意の実施例では、3mm、2.5mm、2mm、または任意の他のサイズを下回ってもよい。テーパ状円錐形遠位端における支柱厚または幅は、拡張可能ケージの主要本体における支柱と比較してより厚い、より薄い、または同一であってもよい。拡張可能捕捉ケージの主要本体310は、略円筒形に成形され、閉鎖セルを形成する相互接続された支柱314を含む。ケージの壁を形成する閉鎖セルにおける開口も同様に、虚血を引き起こすことを防止するために、血液がそれを通して流動することを可能にしながら、依然として、凝血塊または他の破片を捕捉し、それが拡張可能ケージの側壁を通して通過することを防止するために十分に多孔性である。拡張可能ケージは、拡張可能ケージの縦方向軸に沿って軸方向に延在し、ケージを形成する、いくつかの円周方向に配向されたリング312を含む。支柱314は、各リングにおいて閉鎖セルを形成し、リングは、完全に閉鎖されてもよい、またはリングの縁は、ともに継合されず、それによって、リングの縁の間に間隙を伴う開放リングを形成してもよい。例えば、図3Aの実施例では、拡張可能ケージの近位斜角領域において、少なくとも第1の2つのリングは、開放リングである一方、拡張可能ケージの本体における残りのリングは、閉鎖リングであり、遠位円錐形先端は、線形支柱が点に集束し、テーパ状先端を形成する、その独自の構成を有する。隣接するリングが、拡張可能ケージである円筒形管を形成するためにともに結合されてもよく、隣接する閉鎖セルは、共通の支柱を共有してもよい。本実施例では、閉鎖セルは、レモン形であり、各レモン形閉鎖セルは、いくつかのS字形および逆S字形支柱をともに接続し、レモン形状の頂部および谷部ならびにレモン形状の尖った近位および遠位端を形成することによって形成される。セル幾何学形状に関連する付加的開示が、本明細書に開示される。各支柱は、概して、レーザ切断、フォトエッチング、放電加工、または当技術分野で公知の他の技法によってケージを形成するために使用される皮下管類の壁厚に関連する厚さを有する。ケージに沿った支柱厚は、同一であってもよい、または支柱厚は、より堅性の領域およびより可撓性の領域を提供する等、ケージの長さに沿って様々な機械的性質を提供するために変動してもよい。支柱厚は、研削、電解研磨、または当技術分野で公知の他のプロセスの使用によって変動されてもよい。同様に、支柱長および幅はまた、ケージの長さに沿って一定であってもよい、またはそれらは、所望の機械的性質を伴う領域を提供するために、異なる領域において変動してもよい。例えば、セルにおける近位支柱は、より堅性の縁およびより多くの支持を提供し、ならびにケージと凝血塊とのより良好な係合および巻き込みのためのより多くの表面積を提供するために、セルにおける他の支柱よりも厚くてもよい。
【0031】
図3Bは、図3Aの拡張可能ケージ300の近位端の斜視端面図を示し、下記の図4Aの平坦なパターンにおいてさらに詳細に説明されるテーパ状斜角を伴う開放近位端を強調する。図3Bの他の側面は、概して、図3Aにおけるものと同一の形態をとる。図3Bはまた、カラーを用いて拡張可能捕捉ケージの近位端に結合される、伸長シャフトを示す。
【0032】
図4Aは、図3Aのステント回収器デバイス(凝血塊回収器または障害物を除去するためのデバイスとも称される)を示すが、セル幾何学形状を容易に視認するために、巻解かつ平坦構成における拡張可能捕捉ケージを伴う。拡張可能捕捉ケージ300は、近位端402および遠位端404ならびにそれらの間に配置される中間部分(中心部分または中心本体とも称される)もしくは本体406を有する。近位端402は、随意の放射線不透過性マーカバンドを含み得る、前述で議論されるガイドワイヤまたはカラーであり得る伸長シャフト408に結合される、もしくは別個の円筒形カラーまたは未切断管類カラーが、近位および遠位端402、404に結合され、使用の間に蛍光透視下で拡張可能ケージの端部を識別することに役立ち得る。
【0033】
拡張可能捕捉ケージの中心本体406は、接続点412においてともに結合される、複数の円周方向に配向されるリング424、426を含む。隣接する結合されたリング424、426の間の空間もまた、リング436であると見なされ得るが、当業者は、本リングが、隣接するリングを結合することによって形成され、したがって、リング436のセルにおける支柱が、共通の境界を伴って隣接するリングにおけるセルと共有されることを理解するであろう。中心本体406における各リングは、複数の閉鎖セル422から形成される閉鎖リングであってもよい。本デバイスは、治療領域を収容するための所望の長さの捕捉ケージを作成するために、任意の数のリングを有してもよい。同様に、閉鎖セルの直径は、異なる血管サイズを治療するために、適切な直径の拡張可能捕捉ケージを提供するように調節されてもよい。本実施例では、中心本体406におけるリング424、426、436は、それぞれ、4つの閉鎖レモン形セルを有するが、これは、限定であることを意図しておらず、閉鎖セルの数は、変動されてもよい。各レモン形閉鎖セルは、レモン形状を形成するためにともに結合される4つの支柱414、416、418、420、2つのS字形支柱414、420(近位から遠位方向)、および2つの逆S字形支柱416、418(近位から遠位方向)から形成される。S字形支柱414、420は、閉鎖セルの中心から離れるように外向きに面する凹状領域および閉鎖セルの中心に向かって内向きに面する凹状領域を伴う複心曲線を有する。逆S字形支柱416、418は、閉鎖セルの中心に向かって内向きに面する凹状領域および閉鎖セルの中心から離れるように外向きに面する凹状領域を伴う複心曲線を有する。本実施例では、時計回り方向において、第1のS字形支柱があり、逆S字形支柱が続き、S字形支柱が続き、逆S字形支柱が続く。したがって、閉鎖セルは、凹状外向き領域を有し、時計回り方向において、凹状内向き領域が続き、凹状内向き領域が続き、凹状外向き領域が続き、凹状外向き領域が続き、凹状内向き領域が続き、凹状内向き領域が続き、凹状外向き領域が続く。支柱の反対端部は、セルを閉鎖するためにともに結合される。各セルは、拡張可能であり、それによって、ケージにおける各リングに半径方向拡張を付与する。ケージは、ケージが自己拡張するように、バルーン拡張可能であってもよい、またはニチノール等の超弾性もしくは形状記憶合金を使用して形成されてもよい。レモン形閉鎖セルは、漸広近位端と、テーパ状遠位端とを有する。近位漸広は、近位点において始まり、最大セル幅まで漸広し、遠位テーパは、最大セル幅において始まり、遠位点までテーパ状になる。各レモン形閉鎖セルはまた、最大幅にある閉鎖セルの上部分における頂部と、同様に最大幅位置におけるセルの下部分における谷部または窪みとを含む。頂部および谷部は、概して、閉鎖セルの近位および遠位端の間に位置する。レモン形セルの近位および遠位端は、個別の近位または遠位方向に延在する尖った領域を有する。
【0034】
ケージの近位端402は、開放斜角端410を有してもよい。これは、リングが完全に閉鎖されたリングから開放リングに遷移するように、近位に移動する各リングにおける閉鎖セルの数を低減させることによって形成される。ここでは、最後の閉鎖リングは、4つの閉鎖セルを有し、次いで、3つの閉鎖セルの開放リングがあり、2つの閉鎖セルの開放リングが続き、1つの閉鎖セルの開放リングが続き、その全ては、円筒形に成形されたケージの壁を形成するように成形される。したがって、壁は、4つの閉鎖セルの完全に閉鎖されたリングに起因して完全に閉鎖され、次いで、壁は、部分的に開放し、3つの閉鎖セルの開放リングから2つの閉鎖セル、1つの閉鎖セルに近位に移動してますます開放する。開放リングの縁の間の開放間隙は、各リングを形成する閉鎖セルがますます減少するため、近位方向に増加するであろう。近位支柱の縁によって形成される角度440は、任意の角度であってもよいが、本実施例では、90度を下回る、もしくはこれは、60度を下回る、またはそれに等しい、もしくは45度を下回る、またはそれに等しい、もしくは30度を下回る、またはそれに等しくてもよい。任意の実施例における角度は、ゼロ度を上回る、またはそれに等しく、90度を下回る、もしくは60度を下回る、またはそれに等しい、もしくは45度を下回る、またはそれに等しい、もしくは30度を下回る、またはそれに等しい最大角度を有してもよい。
【0035】
また、議論されるように、本実施例における遠位端404は、ケージの遠位端から遠位に延在し、点に半径方向に内向きに収束し、そこで、それらの端部が捻転され、結び付けられ、圧着され、接合され、溶接され、または別様にともに結合され、多孔性遠位テーパ状先端を形成する、いくつかの線形支柱から形成されるテーパ状遠位先端または遠位トラップである。線形支柱432、434は、ケージ上の異なる量の短縮を適応させるための機構として、それらがケージの遠位端上に結合される場所に応じて、相互に対してより長い、またはより短くてもよい。例えば、短い支柱432が、レモン形閉鎖セルの遠位の尖った部分430に結合されてもよく、より長い支柱434が、レモン形セルの下または上部分438(セルの頂部または谷部もしくは最大幅部分とも称され得る)に結合されてもよい。尖った部分430は、ケージの半径方向拡張の間の各セルの拡張または収縮の間に、下または上部分438と軸方向に異なる量を移動し、したがって、異なる長さは、本異なる量の短縮を適応させ、テーパ状遠位先端の均一な形状を維持する。他の実施例では、遠位先端における支柱は、遠位点とレモン形閉鎖セルの頂部または谷部との間の中間部分428に結合されてもよい。
【0036】
図4Bは、図4Aの拡張可能ケージ300の遠位部分のみを示す。主要な差異は、遠位テーパ状先端における弓形支柱450の使用である。ここでは、弓形支柱450は、レモン形セルの尖った遠位部分に結合されてもよい、またはそれらは、本明細書に説明されるような閉鎖レモン形セルの任意の他の部分に結合されてもよい。弓形支柱は、最遠位閉鎖セルに結合される長い線形部分と、湾曲した遠位部分とを含む。湾曲した遠位部分は、起伏、S形、正弦、蛇行、または拡張可能ケージの半径方向拡張および圧潰の間に支柱450の軸方向拡張および収縮を可能にする任意の他のパターンであってもよい。したがって、起伏のある支柱は、拡張および収縮の間にケージの短縮を適応させることに役立つ。拡張可能ケージの他の側面は、図4Aにおけるものと同一であってもよい、または拡張可能ケージの他の実施例からの特徴が、図4Aの特徴と組み合わせて使用される、もしくはそれと代用されてもよい。図4Bに説明される支柱は、随意に、本明細書に開示される捕捉ケージの実施例のうちのいずれかにおいて使用されてもよい。
【0037】
図5は、図3Aにおいて前述で示されるものと同一である拡張可能捕捉ケージ300の実施例を示し、唯一の差異は、拡張可能捕捉ケージ300が、捕捉ケージにおいて随意の可撓性領域502を含むことである。可撓性領域は、拡張可能ケージの長さに沿った任意の場所に、例えば、中間(拡張可能ケージの近位端と遠位端との間の途中)、拡張可能ケージの長さの1/3であり、ケージの近位端により近接する場所、または拡張可能ケージの長さの2/3であり、遠位端により近接する場所、または任意の他の場所に配置されてもよい。中間における可撓性領域の場合では、2つのケージ区画が、形成される一方、可撓性領域がケージの長さの1/3およびケージの長さの2/3に配置される場合では、3つの区画が、作成される。これは、限定であることを意図しておらず、任意の数または任意の位置の可撓性ジョイントが、採用されてもよい。可撓性ジョイントは、拡張可能ケージに円周方向に沿った任意の場所に配置されてもよく、例えば、図5の断面が、円によって表され、時計が、断面上に重ねられると仮定すると、可撓性ジョイントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12時等の1つまたはそれを上回る位置にあってもよい。実施例として、2つの可撓性ジョイントが、12時および6時の位置または3時および9時の位置においてケージの上部および底部に配置されてもよい。可撓性領域は、隣接するレモン形セルの近位または遠位の尖った部分において隣接する閉鎖セルの間に断絶または間隙を作成することによって形成される。図5の実施例では、隣接する閉鎖セルを結合解除することによって形成される、2つの可撓性領域が、存在する。各可撓性領域は、間隙の両側上の拡張可能ケージの部分が、相互に対して撓曲することを可能にし、それによって、可撓性領域を作成する。これは、蛇行した血管を通した送達の間のさらなる屈曲を可能にする、または拡張可能ケージが解剖学的構造の局所的輪郭により容易に共形化することを可能にする。加えて、拡張可能ケージが、シースによって拘束され、次いで、部分的に後退されると、可撓性領域は、納設解除された可撓性ケージの遠位部分の完全な拡張を可能にする。可撓性領域は、隣接する閉鎖セルの間の接続点を切断し、間隙または断絶を形成することによって形成されてもよい。切断は、拡張可能ケージの製造の間に遂行されてもよい、またはこれは、患者における送達の直前に医師オペレータによって実施されてもよく、必要に応じてカスタマイズされてもよい。可撓性領域は、拡張可能ケージの各リングの円周方向に周囲の任意の位置において、または拡張可能ケージの縦方向軸に沿った任意の軸方向位置において配置されてもよく、したがって、拡張可能ケージは、任意の数の可撓性領域を有することができる。間隙に隣接する、または隣接する接続点における支柱幅または厚さは、間隙の周囲に増加された強度を提供するために、他の支柱を上回ってもよい。放射線不透過性マーカが、オペレータが蛍光透視下で可撓性領域を可視化し得るように、間隙に隣接して配置されてもよい。拡張可能ケージの他の側面は、概して、図3Aにおける実施例と同一である。したがって、可撓性ジョイントは、随意に、図3Aの実施例に関して開示される特徴のうちのいずれかまたは本明細書に開示される拡張可能ケージの実施例のうちのいずれかと組み合わせられる、または代用されてもよい。
【0038】
図6Aは、図3Aに前述で示されるものと同一である拡張可能捕捉ケージ300の別の実施例を示し、唯一の差異は、拡張可能捕捉ケージ300が、随意に、開放斜角近位領域上により薄い支柱を含むことである。拡張可能ケージの本体における支柱606は、ある厚さおよび幅を有する。厚さは、概して、それから拡張可能ケージが切断される管類の壁厚によって決定付けられるが、これは、研削、電解研磨、または当技術分野で公知の他の方法によって制御されてもよい。また、支柱幅は、レーザまたは他の管切断プロセスによって制御される。図6Aの実施例では、近位開放斜角領域608(時として、近位テーパとも称される)における支柱604は、拡張可能ケージの主要本体における支柱606のものを下回る厚さまたは幅を有してもよい。例えば、支柱幅は、近位部分において25~50ミクロンであってもよい。ケージの近位部分における支柱の低減された厚さまたは幅は、ケージの近位端が、低減された半径方向強度に起因してより容易に圧潰することを可能にし、したがって、拡張可能ケージは、再納設が実施される場合、シースまたはマイクロカテーテルの中により容易に後退されることができる。近位開放斜角領域608は、ガイドワイヤ等の伸長シャフト602の遠位部分に結合される。図6Aの拡張可能ケージ300の他の側面は、図3Aにおける実施例と実質的に同一である。したがって、図6Aに関して説明される低減された支柱寸法は、随意に、図3Aの実施例における特徴のうちのいずれかまたは本明細書に開示される拡張可能ケージの他の実施例のうちのいずれかと併せて使用される、またはそれと代用されてもよい。
【0039】
図6Bは、図3Aに前述で示されるものと同一である拡張可能捕捉ケージ300の別の実施例を示し、唯一の差異は、拡張可能ケージ300が、随意に、その長さに沿ってテーパ状であることである。拡張可能捕捉ケージの一部が、テーパ状であってもよい、または捕捉ケージの全長が、テーパ状であってもよい。テーパリングは、捕捉ケージが、血管の解剖学的構造により良好に合致することを可能にし、それによって、ケージと血管壁とのより良好な並置を可能にする。本実施例では、拡張構成におけるケージの近位端の直径610は、拡張構成における捕捉ケージの遠位端の直径612よりも大きい。カテーテルおよび捕捉ケージの他の側面は、伸長シャフト602、随意の様々な支柱寸法604、606(図6Aに関して説明される)、近位斜角608等を含む、図3および6Aを含む前述の実施例に関して前述で説明されるものと実質的に同一である。したがって、図6Bに開示される特徴のうちのいずれかは、本明細書に開示される他の拡張可能ケージのうちのいずれかに関する特徴のうちのいずれかと組み合わせて使用される、またはそれと代用されてもよい。
【0040】
図7は、本明細書に開示される患者から障害物を除去するための任意のデバイスと併用され得る、拡張可能ケージの別の実施例を示す。拡張可能ケージ300は、図3Aに示されるものと同一であり、主要な差異は、図7のケージ300が、本明細書に開示される拡張可能ケージの任意の実施例において使用され得る随意の二重支柱領域と、随意の放射線不透過性マーカとを含むことである。
【0041】
図7に示される拡張可能ケージ300は、図3Aに前述で示されるものと同一であり、主要な差異は、随意の二重支柱、随意の可撓性領域、および随意の放射線不透過性マーカの使用である。二重支柱は、二重支柱を伴うセルのその縁に沿ってさらなる堅性および強度を提供し、また、増加された表面積に起因して、巻き込みおよび凝血塊除去ならびに蛍光透視下の可視化の改良に役立つ。図7は、巻解および平坦化された拡張可能ケージを示す。拡張可能ケージ300は、前述で説明されるカラーのうちのいずれかの有無を問わないガイドワイヤであり得る、伸長シャフト702に結合される、近位テーパ状または斜角縁704を有する。近位テーパ状縁の他の側面は、図3Aに関して前述で議論されるものと実質的に同一である。同様に、ケージの遠位部分718もまた、凝血塊または他の破片がケージから退出することを防止しながら、依然として、それを通した血流を可能にするためのトラップとしての役割を果たすテーパ状遠位円錐体または先端を含む、図3Aのケージの遠位部分と同一である。
【0042】
拡張可能ケージの支柱は、医師オペレータが手技の間に蛍光透視下でケージを可視化することに役立つための放射線不透過性マーカを含む。放射線不透過性マーカは、ケージに沿った任意の場所に位置してもよい。例えば、ケージの近位端は、閉鎖セルの近位支柱上に放射線不透過性マーカ706を含んでもよいが、これは、限定であることを意図していない。各リングは、放射線不透過性マーカを含んでもよい、または他の放射線不透過性マーカパターンも、使用されてもよい。限定であることを意図していない、本実施例では、放射線不透過性マーカは、閉鎖レモン形セルの近位S字状支柱上に位置し、各リングは、少なくとも2つの閉鎖セルを含み、マーキングされていない閉鎖セルを伴う放射線不透過性マーカが、その間に配置される。隣接するリングが、放射線不透過性マーカがケージの縦方向軸に沿って線形アレイにおいて延在するように、同一の放射線不透過性マーカパターンを有してもよい。ともに接続される2つの隣接するリングによって形成されるリング(例えば、隣接するセルと支柱を共有するセルを伴うリング)は、放射線不透過性マーカを含む場合とそうではない場合があり、本実施例では、そのリングにおいていかなるマーカも、存在しない。
【0043】
拡張可能ケージの遠位部分は、近位部分と同一の放射線不透過性マーカのパターンを有してもよい、またはこれは、異なるパターンを有してもよい。ケージの長さの1/2、または1/3、もしくは1/4であり得る拡張可能ケージの中間部分714は、放射線不透過性マーカ708のより密度の高いパターンを有してもよい。ここでは、放射線不透過性マーカ708は、各閉鎖セル上で増加される。例えば、ここでは、中間部分における閉鎖セルのうちの少なくともいくつかは、閉鎖セルを構成する4つの支柱(2つのS字形および2つの逆S字形支柱)の各支柱上に1つずつ、4つの放射線不透過性マーカ708を含む。これは、拡張可能ケージが、患者から除去されるべき凝血塊または他の障害物と整合されることを確実にすることに役立つ。また、ケージは、血管壁と係合するように自己拡張するため、付加的マーカを有することは、オペレータが拡張されたケージの全体的な3次元形状を可視化することに役立ち、これは、ケージの完全拡張を阻止または妨害し得るプラーク等の血管壁における任意の異常を反映するであろう。
【0044】
図7はまた、前述で説明された随意の可撓性領域716、720、722の使用を示す。可撓性領域は、隣接する閉鎖セルを結合解除されたままにし、その間に間隙を形成することによって形成され、ケージが間隙の周囲で撓曲することを可能にする。ここでは、可撓性領域は、2つの可撓性領域を含み(716および722は、同一の可撓性領域である)、それらは、ケージの中間部分に配置されるが、それらは、ケージに沿った任意の場所に位置してもよく、任意の数が、使用されてもよい。
【0045】
図7の実施例はまた、随意に、平坦ビューに沿って斜めに延設される二重平行支柱712を含むが、ケージの巻き上げられた円筒形ビューでは、二重支柱は、円筒形に成形されたケージの周囲の螺旋のように見えるであろう。二重支柱はまた、巻き上げられた円筒形ビューにおける螺旋線(巻解されたビューにおける対角線)に沿ってともに接続されるいくつかのS字形支柱によって形成されてもよい。ここでは、随意に、2つの二重支柱領域が、存在する。二重支柱領域は、ケージの2つのより堅性の領域と、また、より堅性の縁とを提供し、ケージが凝血塊または障害物の中に拡張することに役立ち、また、凝血塊または障害物を通して摺動し得るより堅性の縁を提供し、ケージが前進または後退されているときにこれを切断する。小さいスリットまたは間隙が、二重支柱の間に配置される。随意に、本実施例では、二重支柱はまた、手技の間の蛍光透視下の可視化を促進するために、二重支柱の一方または両方の上に放射線不透過性マーカ710を含んでもよい。
【0046】
図7の拡張可能ケージ300の他の側面は、概して、図3Aまたは本明細書に開示される他のケージ実施例のうちのいずれかに前述で説明されるものと同一である。図7に関して開示される特徴のうちのいずれかは、図3Aまたは本明細書に開示される拡張可能ケージの任意の他の実施例に説明される特徴のうちのいずれかと併用される、またはそれと代用されてもよい。したがって、随意に、拡張可能ケージは、セル幾何学形状、放射線不透過性マーカパターンのうちのいずれか、支柱寸法のうちのいずれか、近位斜角特徴のうちのいずれか、遠位テーパ状先端特徴のうちのいずれか、二重支柱パターン、可撓性領域パターン、伸長シャフト特徴等の任意の並べ替えまたは組み合わせを含んでもよい。
【0047】
図8A-8Iは、脳の動脈内の凝血塊に起因する脳卒中を患う患者を治療する実施例を図示する。これは、限定であることを意図しておらず、当業者は、本明細書に開示されるデバイスおよび方法が、身体の血管の他の部分における凝血塊または障害物を治療するために使用され得ることを理解するであろう。
【0048】
図8Aでは、脳の動脈Aが、血管を閉塞し、酸素化された血液が閉塞部を過ぎて流動しないように妨害または限定し、それによって、虚血に起因する脳卒中を引き起こす、凝血塊Cとともに示される。凝血塊は、血管を通した血流を完全または部分的に閉塞し得る。
【0049】
図8Bでは、ガイドワイヤGWが、血管、典型的には、動脈の中に経皮的に導入され、血管を通して、凝血塊を通して、凝血塊の遠位に前進される。ガイドワイヤは、セルディンガー手技等の標準的手技を使用して、または外科的切開を使用して、血管の中に経皮的に導入されてもよい。アクセス点の実施例は、鼠径部、手首、頸部等を含んでもよく、ガイドワイヤは、公知のアクセス技法を使用して、任意の動脈(例えば、大腿動脈、頸動脈、橈骨動脈等)または静脈等の任意の血管内で前進されてもよい。
【0050】
いったんガイドワイヤが定位置に来ると、これは、それにわたってマイクロカテーテルが治療部位まで前進され得るレールとして作用する。図8Cでは、管腔を伴うマイクロカテーテル802が、患部動脈A内でガイドワイヤGWにわたって凝血塊Cまで遠位に前進される。マイクロカテーテルは、それを通してステント回収器カテーテル(時として、本明細書では凝血塊回収器または障害物を除去するためのデバイスとも称される)が脈管を通して治療部位まで前進され得る、トンネルを提供する単一管腔カテーテルであってもよい。マイクロカテーテルのサイズは、治療される血管に基づいて選択されてもよい。
【0051】
図8Dは、シースSの随意の使用を示す。ここでは、ガイドワイヤが挿入された後、シース(例えば、ガイドシース)が、ガイドワイヤGWにわたって前進されてもよい。マイクロカテーテルは、次いで、ガイドワイヤGWにわたって、シースSの管腔を通して、マイクロカテーテルが凝血塊Cに隣接または当接するまで前進される。したがって、シースが、使用される場合、図8Dは、図8Cに取って代わる。いったんマイクロカテーテルが適切に前進され、位置付けられると、シースは、定位置に留まるか、近位に後退され、進路を外れてこれを移動させるが、血管内に留まるかのいずれかであってもよい、またはシースは、血管から完全に除去されてもよい。
【0052】
図8Eでは、マイクロカテーテル802は、その遠位先端が凝血塊を通して通過し、凝血塊Cの遠位になるように、動脈Aを通して前進される。ガイドワイヤGWは、近位に後退され、患者から除去されてもよい。
【0053】
いったんマイクロカテーテルが位置付けられると、本明細書に開示されるもののうちのいずれか等のステント回収器カテーテルは、血管アクセス点において導入器(図示せず)のポートを通して導入され、マイクロカテーテルを通して治療領域に向かって前進されてもよい。外側シース(図示せず)が、包装および出荷目的のために、ならびに拡張可能ケージを拘束するために、ステント回収器カテーテルにわたって配置されてもよい。したがって、いったんステント回収器がマイクロカテーテルの中に挿入されると、ステント回収器上の外側シースは、近位に後退され、拡張可能ケージから除去されてもよい。マイクロカテーテルは、次いで、拡張可能ケージを拘束し、これが自己拡張することを防止する。
【0054】
図8Fは、マイクロカテーテル802内に配置され、凝血塊Cを横断する、凝血塊回収器カテーテル806を示す。凝血塊Cを横断する拡張可能ケージの遠位部分と、拡張可能捕捉ケージ804と、伸長シャフト810と、随意の近位放射線不透過性マーカまたはカラー812と、随意の遠位放射線不透過性マーカまたはカラー808とを含む、凝血塊回収デバイス806が、示される。凝血塊回収器カテーテル806は、本明細書に開示される実施例のうちのいずれかであってもよい。
【0055】
マイクロカテーテル802は、凝血塊回収器カテーテル806を送達するためのチャネルを提供するだけではなく、また、送達の間に圧潰構成において拡張可能捕捉ケージ804を保持する拘束部を提供する。随意の近位および遠位放射線不透過性マーカ808、812は、オペレータが、本デバイスの位置を可視化し、拡張可能捕捉ケージが凝血塊Cの全長に沿って配置されることを確実にすることを可能にする。伸長シャフト810は、拡張可能捕捉ケージに結合されるガイドワイヤであり、オペレータが、動脈Aに沿って、マイクロカテーテルを通して、凝血塊Cに対して本デバイスを押動または引動することを可能にする。拡張可能捕捉ケージは、本明細書の任意の実施例に説明される捕捉ケージ特徴の任意または全ての並べ替えもしくは組み合わせを含んでもよい。
【0056】
いったん捕捉ケージ804が凝血塊Cに対して適切に位置付けられると、マイクロカテーテル802は、図8Gに示されるように近位に後退される一方、凝血塊回収カテーテルは、定常に留まる、またはマイクロカテーテルから外にわずかに前進される。マイクロカテーテル802が、拡張可能捕捉ケージ804から除去される際、これは、凝血塊Cおよび血管壁と係合するように自己拡張する(814)。捕捉ケージの壁は、閉鎖セルから形成されるため、ケージの壁は、メッシュ様ケージ壁を作成する壁を通して延在する開口を伴って多孔性であり、これは、凝血塊Cの中に拡張し、凝血塊がケージの内側に配置され、ケージの支柱が凝血塊の外側または殆ど外側にあるように、凝血塊を巻き込むことができる。図8Gは、凝血塊を越えて延在するケージの遠位部分の部分的拡張を示す。
【0057】
図8Hでは、マイクロカテーテル802のさらなる近位後退は、これが自己拡張し、凝血塊Cを巻き込み、それによって、凝血塊を拡張可能ケージと統合し得るように、捕捉ケージ全体を納設解除する。捕捉ケージは、血管の壁と並置するように自己拡張してもよい。凝血塊C全体は、ここでは、実質的に拡張された捕捉ケージ814内にある。
【0058】
図8Iは、いったんケージ814が自己拡張し、凝血塊Cを巻き込むと、凝血塊回収デバイス806全体が、オペレータが近位端を握持および操作し得るように、患者の身体の外側に近位に延在する、伸長シャフト810を引っ張ることによって近位に後退されることを示す。カテーテルの近位後退はまた、これが近位に後退される際、ケージ814とともに巻き込まれた凝血塊Cを搬送する。カテーテル806および凝血塊は、マイクロカテーテル802とともに、次いで、それらが患者から除去されるまで近位に後退される。拡張可能ケージ814は、拡張可能ケージの近位端がマイクロカテーテルの遠位端に接近するように近位に後退されてもよい、または2つの端部は、相互から分離したままであってもよい。マイクロカテーテルおよび凝血塊回収カテーテルの伸長シャフト810の両方は、ともに、または個別に近位に後退されてもよい。
【0059】
図8Jは、凝血塊回収カテーテル(図8D参照)を送達することに役立つために使用されている場合がある随意のシースSを示す。凝血塊がケージ814内に巻き込まれた後、マイクロカテーテルおよびケージ814は、シースSの中に近位後退され、全てのものが、患者から除去されてもよい。または、随意に、マイクロカテーテルおよびケージ814は、必ずしもシースSの中に最後までではないが、部分的に、シースSの遠位端に隣接して近位に後退されてもよく、次いで、全てのものが、患者から除去されてもよい。
【0060】
図8Kは、凝血塊、マイクロカテーテル、随意のシース、および凝血塊除去デバイスが動脈Aから除去された後の動脈を示す。いったん障害物が除去されると、血管は、ここでは、再び開存し、凝血塊の下流の組織は、ここでは、酸素化された血液を受け取るであろう。
【0061】
手技は、理想的には、可能な限り迅速に実施される。任意の実施例では、5、4、3、2、または1分が、その拡張に続けて、本デバイスが凝血塊を除去するために近位に後退される前に、凝血塊が拡張されたケージに統合されるために許容されてもよい。
【0062】
図8A-8Kに示される方法の実施例は、脳卒中の間の脳内の動脈からの凝血塊除去に関して図示される。しかしながら、これは、限定であることを意図しておらず、本方法は、身体の他の動脈内の凝血塊または他の血管障害物を含む、身体の他の部分からの障害物を除去するステップに適用されてもよい。加えて、図8A-8Kに示される凝血塊回収デバイスは、任意の並べ替えまたは組み合わせにおいて使用される特徴のうちのいずれかを伴う本明細書に開示されるデバイスのうちのいずれかであってもよい。したがって、任意の拡張可能ケージが、放射線不透過性マーカ、レモン形閉鎖セル幾何学形状、可撓性領域、二重支柱、テーパ状または斜角近位端およびテーパ状遠位端、ならびに支柱構成のうちのいずれか等の任意の特徴と併用されてもよい。
【0063】
図9は、本明細書に説明される任意の凝血塊回収カテーテルと併用され得る、拡張可能ケージの別の実施例を示す。ここでは、凝血塊回収カテーテルは、近位端Pと、遠位端Dとを有する拡張可能捕捉ケージ900のみを示す。伸長シャフトは、本図に示されないが、これは、概して、上記の図1、2、3B、4A、6B、7、および8A-8Kにおけるもの等の本明細書に説明される捕捉ケージに結合される他の伸長シャフトのうちのいずれかと同一である。
【0064】
図9の実施例は、その縦方向軸に沿って巻解され、平坦化された拡張可能ケージ900である。拡張可能ケージは、自己拡張し、ニチノール等の任意の形状記憶材料または超弾性材料から形成されてもよい。拡張可能ケージは、その縦方向軸に沿っていくつかの領域を含む。近位端から遠位端に移動して、拡張可能ケージは、単一の支柱902、菱形閉鎖セル領域904、レモン形閉鎖セル領域906、ピーナッツまたは枝豆のさやのように見え得るセルをもたらす複数の凸状および凹状輪郭を伴う閉鎖セルを有する中間領域908を含む。次の領域は、閉鎖レモン形セル910を有し、拡張可能ケージは、点に収束する線形支柱から形成される閉鎖テーパ状多孔性先端領域912において終端する。各領域は、隣接する領域に結合される。ケージ全体は、ハイポ管類からレーザ切断または放電加工(EDM)される、もしくは材料の平坦なシートからフォトエッチングされ、次いで、巻き上げられ、対向する縁が、ともに溶接されてもよい。
【0065】
単一の支柱902は、略長方形断面を有する(内面および外面は、それからこれが切断されるハイポチューブの曲率に起因して、わずかに弓形であり得る)が、任意の断面が、使用されてもよく、幅および厚さは、支柱に所望の機械的性質を与えるために、修正されてもよい。単一の支柱は、捕捉ケージの他の領域のうちのいずれかにおける支柱よりも幅広い/短い、または厚い/薄くてもよい。単一の支柱902は、近位に延在し、ガイドワイヤ等の伸長シャフト(図示せず)の遠位端に解放可能に、または固定して結合されてもよい。伸長シャフトは、次いで、これが治療部位に送達されている際に拡張可能ケージ位置を前進させる、後退させる、または別様に操作するために使用される。単一の支柱が伸長シャフトに結合され得る方法についての付加的開示が、下記に説明される。
【0066】
閉鎖セル菱形セル904の領域は、最後の列が単一の菱形セルのみを有するまで近位方向に減少する、菱形セルの複数の列を含む。捕捉ケージの本領域は、捕捉ケージが、これが送達および展開されている際、または後退の間に、血管の輪郭に対する良好な押出性および追跡性を有するように、本デバイスに所望の機械的性質を提供することに役立つ。菱形閉鎖セルの強度はまた、本領域において捕捉ケージに所望の強度を与える。本実施例では、領域は、3つの菱形セルの列を含み、遠位端から近位端まで、2つの菱形セルの列が続き、単一の菱形セルが続く。列は、ケージの縦方向軸を横断する、円周方向にある。各菱形セルは、菱形閉鎖セルを形成するためにともに結合される、4つの線形支柱914を含む。支柱幅または厚さは、所望の機械的性質を提供するために、必要に応じて調節されることができる。したがって、菱形閉鎖セル領域における支柱は、これがマイクロカテーテルまたはシースから納設解除される際の捕捉ケージの座屈を防止するために、捕捉ケージの他の領域における支柱よりも厚いまたは薄い、もしくは幅広いまたは短くあり得る。菱形閉鎖セル領域が、円筒形形状に巻き上げられ、捕捉ケージを形成すると、ケージの開放近位端が、もたらされ、近位方向に減少する支柱の対向する縁の間に間隙を伴う斜角形状を有する。斜角形状は、上記の実施例に前述で説明されるものと実質的に同一である。テーパ状斜角形状は、ケージの近位端をシースと整合させることに役立ち、ケージが、シースの遠位縁に引っ掛かることなく、シース(シースが使用される場合)の中に容易に後退され得ることを確実にする。菱形セルの近位および遠位端上の隣接する支柱の間の角度は、拡張可能ケージが開放するにつれて増加し、ケージが閉鎖するにつれて減少する。菱形セルの上部および底部における隣接する支柱の間の角度は、ケージが拡張するにつれて減少し、ケージが圧潰するにつれて増加する。
【0067】
本実施例におけるレモン形閉鎖セル906の領域は、閉鎖レモン形セルの円周方向における単一のリング(または列)を含む。各レモン形セルは、隣接するセルと共有され得る4つの支柱から形成される。ここでは、4つの支柱は、レモン形状の近位の尖った部分を形成するためにともに結合される2つの線形支柱916、918と、S字形支柱922(遠位から近位横行においてS字状)と、逆S字形支柱920(遠位から近位方向において)とを含む。S字および逆S字形支柱は、レモン形状の遠位の尖った部分を形成するためにともに結合される。S字および逆S字状支柱の反対端部は、閉鎖レモン形セルを形成するために、2つの線形支柱の反対端部に結合される。したがって、本実施例では、S字形支柱の近位端は、上側線形支柱の遠位端に結合され、レモン形セルにおける頂部を形成し、上側線形支柱の近位端は、下側線形支柱の近位端に結合され、レモン形状の近位の尖った端部を形成する。下側線形支柱の遠位端は、逆S字形支柱の近位端に結合され、レモン形セルにおける谷部を形成し、逆の形状の支柱の遠位端は、S字形支柱の遠位端に結合され、レモン形状の遠位の尖った端部を形成する。S字形支柱922は、閉鎖セルから外向きに面する遠位凹状領域と、閉鎖セルに向かって内向きに面する近位凹状領域とを有する。逆S字形支柱920は、閉鎖セルから離れるように外向きに面する遠位凹状領域と、また、閉鎖セルに向かって内向きに面する近位凹状領域とを有する。上記の実施例におけるレモン形セルまたは下記に説明されるであろうようなケージ900の遠位端上のレモン形セルにおいて説明されるように、上側線形支柱916は、逆S字形支柱と置換されてもよく、下側線形支柱918は、S字形支柱と置換されてもよい。線形支柱、S字形支柱、または逆S字形支柱は、捕捉ケージの他の領域のうちのいずれかにおける支柱よりも幅広い/短い、または厚い/薄くてもよい。
【0068】
閉鎖セルの中間領域908は、拡張可能ケージ900の縦方向軸の周囲に円周方向に延在する、複数の閉鎖リングを含む。各リングは、ピーナツまたは枝豆のさやのように大まかに成形される複数の閉鎖セルを含む。各閉鎖セルは、閉鎖セルを形成するためにともに結合される、2つの上側S字形支柱と、上側逆S字形支柱と、2つの下側S字形支柱と、下側逆S字形支柱とを含む、6つの支柱から形成される。S字および逆S字形支柱は、捕捉ケージの他の領域のうちのいずれかにおける支柱よりも幅広い/短い、または厚い/薄くてもよい。
【0069】
各レモン形閉鎖セル908は、第1の逆S字形支柱に結合される第2のS字形支柱926に結合される第1のS字形支柱928(遠位から近位方向にS字形)から形成される。第1の逆S字形支柱924は、第3のS字形支柱930に結合され、これは、第4のS字形支柱932に結合され、これは、次いで、第2の逆S字形支柱934に結合される。第2の逆S字形支柱934は、第1のS字形支柱928に結合される。したがって、第1のS字形支柱928の近位端は、第2のS字形支柱926の遠位端に結合され、第1の頂部領域を形成し、第2のS字形支柱926の近位端は、第1の逆S字形支柱924の遠位端に結合され、第2のより高い頂部を形成する。第1の逆S字形支柱924の近位端は、第3のS字形支柱930の近位端に結合され、レモン形セルの近位の尖った領域を形成し、第3のS字形支柱930の遠位端は、第4のS字形支柱932の近位端に結合され、わずかな第1の谷部を形成する。第4のS字形支柱932の遠位端は、第2の逆S字形支柱934の近位端に結合され、第2のより深い谷部を形成し、第2の逆S字形支柱934の遠位端は、第1のS字形支柱928の遠位端に結合され、レモン形セルの遠位の尖った部分を形成する。レモン形セルの上側部分上のS字形支柱926、928は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位部分ならびに内向きに面する凹状領域を伴う近位部分を有する。上側逆S字形支柱924は、内向きに面する凹状領域を伴う遠位部分と、外向きに面する凹状領域を伴う近位部分とを有する。2つの下側S字形支柱930、932は、内向きに面する凹状領域を伴う遠位部分と、外向きの凹状領域を伴う近位部分とを有する。下側逆S字形支柱934は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位領域と、内向きに面する凹状領域を伴う近位部分とを有する。ここでは、中間領域は、枝豆形閉鎖セルの7つの列または閉鎖リングを含むが、これは、限定ではなく、セルの数は、より長いまたはより短い治療領域を収容するために、増加または減少されてもよい。
【0070】
捕捉ケージ900に沿って遠位に継続すると、次の領域は、レモン形セル910のリングまたは列を含む。ここでは、レモン形セルの単一のリングのみが、存在するが、これは、限定ではなく、レモン形セルのリングまたは列の数は、必要に応じて増加されてもよい。ここでは、セル910は、上側S字形支柱938に結合される下側逆S字形支柱942に結合される下側S字形支柱940に結合される上側逆S字形支柱936に結合される上側S字形支柱938から形成されるため、レモン形セルは、前述のレモン形セル906とわずかに異なる。S字および逆S字形支柱は、捕捉ケージの他の領域のうちのいずれかにおける支柱よりも幅広い/短い、または厚い/薄くてもよい。したがって、上側S字形支柱938の近位端は、上側逆S字形支柱936の遠位端に結合され、頂部を形成し、上側逆S字形支柱936の近位端は、下側S字形支柱940の近位端に結合され、レモンの尖った近位端を形成する。下側S字形支柱940の遠位端は、下側逆S字形支柱942の近位端に結合され、レモン形状における谷部を形成し、下側逆S字形支柱942の遠位端は、上側S字形支柱938の遠位端に結合され、レモンの遠位の尖った端部を形成する。
【0071】
拡張可能ケージ900の最近位領域は、複数の線形支柱944から形成される閉鎖多孔性円錐形またはテーパ状先端912である。図9は、平坦な巻解されたビューにおいて捕捉ケージを図示するため、図9は、水平かつ相互と平行に延在する線形支柱944を示す。円錐形またはテーパ状の形状は、後の図でより明白であろう。ここでは、閉鎖多孔性円錐形またはテーパ状先端912は、近位端と、遠位端とを有する、4つの線形支柱944から形成される。線形支柱944の近位端は、各レモン形閉鎖セルの遠位の尖った端部に結合され、線形支柱は、遠位に延在する。それらは、テーパ状または円錐形先端を形成するために半径方向に内向きに延在し、線形支柱の遠位端は、点に収束し、そこで、それらは、下記により詳細に説明されるであろうように、ともに結合される。線形支柱の間の間隙は、多孔性先端912を作成し、間隙は、血栓が遠位先端から逃散することを防止するために十分に小さいが、血液がそれを通して流動することを可能にし、凝血塊回収デバイスによって引き起こされる虚血を防止するために十分に大きい。線形支柱は、捕捉ケージの他の領域のうちのいずれかにおける支柱よりも幅広い/短い、または厚い/薄くてもよい。
【0072】
図10Aは、ガイドワイヤ等の伸長シャフト1002に結合される、図9からの拡張可能捕捉ケージ900を示す。拡張可能捕捉ケージ900は、拡張構成にある。また、閉鎖テーパ状または円錐形遠位先端912は、本図においてより明確に可視である。
【0073】
図10Bは、圧潰構成における図9からの拡張可能捕捉ケージ900を示す。円錐形遠位先端912は、外側シースが圧潰構成において捕捉ケージを拘束するように、捕捉ケージが外側シース1002(またはマイクロカテーテルもしくは任意の他の管類)の管腔の中に摺動可能に前進されることに役立つ。円錐形遠位先端912の遠位端は、円錐形遠位先端から離れるように縦方向かつ遠位に延在する支柱とともに示される。コイルとともに形成される放射線不透過性および/または非外傷性先端が、随意に、支柱に結合されてもよい。近位の単一の支柱902は、前述で議論されるようなガイドワイヤ等の伸長シャフトに結合されてもよい。外側シース1002が、捕捉ケージから除去されるとき、捕捉ケージは、その非付勢拡張構成に自己拡張するであろう。
【0074】
図11は、図9-10からの閉鎖テーパ状または円錐形遠位多孔性先端912をより明確に図示する。ここでは、レモン形閉鎖セル910は、それに線形支柱944が結合される尖った遠位端914を有して可視である。線形支柱944は、捕捉ケージの中心線に向かって半径方向に内向きに延在し、遠位Dに点に収束し、そこで、線形支柱の遠位端は、相互に結合され、先端を形成する。線形支柱の間の間隙は、閉鎖テーパ状遠位先端において多孔性を作成するが、多孔性は、凝血塊物質が遠位多孔性先端から逃散することを可能にするほど大きくはないが、これは、血液がそれを通して流動し、虚血を防止または回避するために十分に多孔性である。
【0075】
図11の4つの線形支柱944は、点に収束し、これは、鋭的であってもよい。鋭的な外傷を引き起こす先端を回避するために、図12は、多孔性先端の遠位端が、随意に、仕上げられ得る方法を示す。図11では、フィラメント1102が、4つの線形支柱944の周囲に螺旋状に巻回され、非外傷性先端を作成する。フィラメントは、ステンレス鋼またはニチノール等の金属ワイヤであってもよく、フィラメントは、4つの線形支柱の周囲に螺旋状に巻回され、それらがフィラメントによって形成される螺旋コイルを過ぎて延在することを防止する。フィラメントは、次いで、安全な構成において遠位端を保持するために、4つの線形支柱に溶接される、接合される、はんだ付けされる、または別様に結合されてもよい。螺旋コイルは、したがって、非外傷性先端を形成し、ならびに遠位Dに本デバイスのより密度の高い部分を提供し、これは、オペレータが蛍光透視または他の放射線撮像下で本デバイスの位置を可視化し得るように、遠位先端の放射線不透過性を強化する。本随意の遠位先端は、本明細書に開示される凝血塊回収デバイスの実施例のうちのいずれかにおいて使用されてもよい。
【0076】
図12Bは、4つの線形支柱944が螺旋コイル1102の下に配置される、テーパ状または円錐形遠位先端の遠位先端の端面図を示す。
【0077】
図12Cは、4つの線形支柱944が螺旋コイル1102の下に配置される、テーパ状または円錐形遠位先端の遠位先端の側面図を示す。
【0078】
図13A-13Bは、捕捉ケージの近位端が凝血塊回収カテーテルの伸長シャフトに結合される方法を示す。
【0079】
図13Aでは、捕捉ケージの近位端から近位に延在する単一の線形支柱1302は、凝血塊回収カテーテルの伸長シャフトがガイドワイヤであるとき、ガイドワイヤコイル1308のコアワイヤ1306の下に配置される、より幅狭の平坦な長方形ワイヤ1304までテーパ状になる平坦な長方形ワイヤであってもよい。ここでは、コアワイヤ1306は、正方形断面を有してもよいが、任意の断面が、使用されてもよい。フィラメント、ここでは、ステンレス鋼または任意の他の材料等のワイヤが、コアワイヤの周囲に螺旋状に巻回され、ガイドワイヤコイル1308を形成する。捕捉ケージの単一の支柱1304とガイドワイヤコアワイヤ1306との間の重複の領域は、ともに接合され、溶接され、はんだ付けされ、または別様にともに結合され、それによって、捕捉ケージを伸長シャフト、ここではガイドワイヤに固着させてもよい。付加的な随意のフィラメント1310もまた、捕捉ケージから単一の支柱1304の近位端の周囲に螺旋状に巻回され、放射線不透過性マーカを作成し、オペレータが蛍光透視または他の放射線撮像下で捕捉ケージの近位端を可視化することに役立ち得る。
【0080】
図13Bは、図13Aの線A-Aに沿って得られる凝血塊回収カテーテルの近位端の断面を示す。ここでは、捕捉ケージの単一の支柱1304とガイドワイヤコアワイヤ1306との間の重複領域は、明確に可視であり、これは、2つの構成要素が接合される、溶接される、または別様に相互に取り付けられ得る場所である。また、放射線不透過性コイル1310またはガイドワイヤコイル1308のいずれかであり得る外側コイルもまた、ガイドワイヤコイルと放射線不透過性コイルとの間の遷移が存在する場所に応じて見られる。図13A-13Bに示される取付技法よび放射線不透過性マーカ特徴は、随意であり、本明細書に開示される凝血塊回収カテーテルの任意の実施例において使用されてもよい。
【0081】
上記の図9-13Bに図示される凝血塊回収デバイスの使用は、上記の図8A-8Kに説明される使用の方法と実質的に同一である。神経血管系における凝血塊の回収は、概して、赤色凝血塊または白色凝血塊の捕捉に関連する。白色凝血塊はまた、凝血塊中のフィブリンの濃度に起因するフィブリンリッチ凝血塊として公知であり、赤色凝血塊はまた、凝血塊中の赤血球(RBC)の濃度に起因するRBCリッチ凝血塊と称される。本明細書に説明される実施例のうちのいずれかにおける本デバイスは、商業的に入手可能なデバイスと同様に効果的に、またはそれよりも効果的に赤色凝血塊を回収し得るが、図9を含む本明細書に開示される設計は、試験に基づいて、他の商業的に入手可能な凝血塊回収デバイスよりも効果的に白色凝血塊を捕捉すると考えられる。任意の特定の理論によって拘束されるわけではないが、支柱幾何学形状は、赤色凝血塊と比較して、白色凝血塊のより効果的な回収を可能にすると考えられる。したがって、支柱は、それらの形状および機械的性質に起因して、白色凝血塊を巻き込む能力がより高く、捕捉ケージは、次いで、白色凝血塊を保持し、血管からそれらを除去することが可能である。支柱幅および形状は、本臨床結果を可能にし得る。図9の設計は、前述で説明される形状を有し、支柱幅は、約0.0254mm~約0.1016mm(約0.001インチ~0.004インチ)、または約0.0508mm~約0.0889mm(約0.0020インチ~約0.0035インチ)に及んでもよく、厚さは、それから支柱が切断されるハイポチューブの厚さによって判定される。したがって、支柱厚は、約0.0254mm~約0.127mm(約0.001インチ~約0.005インチ)、または約0.0508mm~約0.1016mm(約0.002インチ~約0.004インチ)、もしくは約0.0762mm~約0.0889mm(約0.003インチ~約0.0035インチ)に及んでもよい。一実施例では、公称寸法は、約0.09144mm(約0.0036インチ厚さ)×0.0508mm~約0.08889mm(約0.0020インチ~約0.0035インチ幅)である。図9の実施例では、拡張可能ケージの凝血塊係合区画における支柱は、約41.52平方ミリメートル(約0.064357平方インチ)の合計支柱接触面積を有してもよく、したがって、捕捉ケージが公称5ニュートン半径方向力を有する公称の場合では、単位面積あたりの力は、41.52平方ミリメートルあたり約5ニュートンまたは1平方ミリメートルあたり0.1204ニュートンであろう。本計算は、本明細書に開示される半径方向力の他の範囲に関して繰り返されてもよい。
【0082】
また、捕捉ケージ設計は、約1~10ニュートン、または約1~8ニュートン、または約1~約6ニュートン、もしくは約1~5ニュートンの半径方向力(圧潰に抵抗する能力)を有する。一実施例では、公称半径方向力は、約5ニュートンである。捕捉ケージは、本デバイスの周囲に円周方向に延在する任意の数の支柱を有してもよく、例えば、図9の実施例では、ケージは、縦方向場所に応じて、捕捉ケージの周囲に円周方向に延在する4~8つの支柱を有し、したがって、支柱あたりの半径方向力は、8つの支柱あたり約1ニュートン、または支柱半径方向強度あたり0.125ニュートン~4つの支柱あたり約1ニュートン、または範囲の下限の支柱半径方向強度あたり0.25ニュートン~範囲の上限の8つの支柱あたり約10ニュートン、または支柱半径方向強度あたり約1.25ニュートン~4つの支柱あたり約10ニュートン、もしくは支柱半径方向強度あたり約2.5ニュートンに及ぶ。公称半径方向強度が、5ニュートンであるとき、支柱あたりの半径方向強度は、8つの支柱あたり約5ニュートン、または支柱半径方向強度あたり0.625ニュートン~4つの支柱あたり約5ニュートン、もしくは支柱半径方向強度あたり1.25ニュートンに及ぶ。他の支柱の数あたりの半径方向強度もまた、本明細書に開示される支柱の範囲のうちのいずれかを用いて正規化される半径方向強度の範囲のうちのいずれかを使用して計算されてもよい。これらの支柱あたりの半径方向強度は、商業的に入手可能なデバイスと同様に効果的に、またはそれよりも効果的に赤色および赤色凝血塊の捕捉ならびに除去を確実にする際の因子であり得る。しかし、支柱あたりの半径方向強度を含む本デバイスのセル幾何学形状および機械的性質を前提として、図9を含む本明細書に開示される実施例は、商業的に入手可能なデバイスと比較したとき、除去することが困難な凝血塊(白色凝血塊等)を除去する際により効果的であると考えられる。
【0083】
随意に、本明細書に開示される凝血塊回収デバイスの任意の実施例もまた、治療剤を治療部位に送達するために使用されてもよい。例えば、ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼ等の血栓溶解薬もまた、本デバイスによって送達されてもよい。ヘパリンのような血液希釈剤等の他の治療薬もまた、凝血塊回収器によって治療部位に送達されてもよい。
(注記および実施例)
【0084】
以下の非限定的実施例は、とりわけ、本明細書に議論される課題を解決し、利益を提供するための本主題のある側面を詳述する。
【0085】
実施例1は、血管から障害物を除去するためのデバイスであり、本デバイスは、近位端と、遠位端とを有する、伸長可撓性シャフトと、近位端と、遠位端とを有する、拡張可能捕捉ケージであって、捕捉ケージの近位端は、伸長シャフトの遠位端に結合される、拡張可能捕捉ケージとを備え、拡張可能捕捉ケージは、圧潰構成と、拡張構成とを有し、圧潰構成において、拡張可能捕捉ケージは、血管を通して送達されるように適合され、拡張構成において、拡張可能捕捉ケージは、障害物が、拡張可能捕捉ケージの近位後退によって血管から除去され得るように、障害物の中に拡張し、それを巻き込むように構成される。
【0086】
実施例2は、実施例1のデバイスであり、障害物は、血栓である。
【0087】
実施例3は、実施例1-2のいずれかに記載のデバイスであり、血栓は、白色凝血塊または赤色凝血塊を含む。
【0088】
実施例4は、実施例1-3のいずれかに記載のデバイスであり、伸長可撓性シャフトは、ガイドワイヤである。
【0089】
実施例5は、実施例1-4のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、自己拡張する。
【0090】
実施例6は、実施例1-5のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能捕捉ケージの近位端は、開放し、拡張可能捕捉ケージの縦方向軸に対して斜角である近位縁を備える。
【0091】
実施例7は、実施例1-6のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能捕捉ケージの近位端は、複数の開放または閉鎖リングを備え、複数の開放または閉鎖リングにおける各開放または閉鎖リングは、1つまたはそれを上回る閉鎖セルを備え、各開放または閉鎖リングは、合計数の閉鎖セルを有し、閉鎖セルの合計数は、最近位リングが単一の閉鎖セルを有する開放リングになるまで、近位方向に減少する。
【0092】
実施例8は、実施例1-7のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能捕捉ケージの近位端は、複数のリングを備え、複数のリングのうちの少なくともいくつかは、開放リングの反対の縁の間に配置される間隙を伴う開放リングであり、間隙は、近位方向に増加する。
【0093】
実施例9は、実施例1-8のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、ともに結合される複数の支柱を備え、拡張可能ケージの近位端上に配置される複数の支柱のうちの少なくともいくつかは、その遠位に配置される複数の支柱のうちのいくつかのものを下回る幅または厚さを有する。
【0094】
実施例10は、実施例1-9のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、拡張可能ケージの近位端から拡張可能ケージの遠位端に向かってテーパ状である。
【0095】
実施例11は、実施例1-10のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、複数の閉鎖セルを備え、複数の閉鎖セルは、レモン形状を有する。
【0096】
実施例12は、実施例1-11のいずれかに記載のデバイスであり、閉鎖セルは、テーパ状近位端と、テーパ状遠位端と、テーパ状近位および遠位端の間の頂部と、テーパ状近位および遠位端の間の谷部とを備える。
【0097】
実施例13は、実施例1-12のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、複数の閉鎖セルを備え、複数の閉鎖セルは、複数の凹状輪郭と、複数の凸状輪郭とを備える。
【0098】
実施例14は、実施例1-13のいずれかに記載のデバイスであり、複数の閉鎖セルのうちのいくつかは、6つのS字形または逆S字形支柱を備え、第1のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、内向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、第2のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、内向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、第3の逆S字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、第4のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、第5のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、第7の逆S字形支柱は、内向きに面する凹状領域を伴う近位端と、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有する。
【0099】
実施例15は、実施例1-14のいずれかに記載のデバイスであり、第1のS字形支柱の近位端は、第2のS字形支柱の遠位端に結合され、第2のS字形支柱の近位端は、第3の逆S字形支柱の遠位端に結合され、第3の逆S字形支柱の近位端は、第4のS字形支柱の近位端に結合され、第4のS字形支柱の遠位端は、第5のS字形支柱の近位端に結合され、第5のS字形支柱の遠位端は、第6の逆S字形支柱の近位端に結合され、第6の逆S字形支柱の遠位端は、第1のS字形支柱の遠位端に結合される。
【0100】
実施例16は、実施例1-15のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージの近位端は、複数のレモン形セルと、複数の菱形セルとを備える。
【0101】
実施例17は、実施例1-16のいずれかに記載のデバイスであり、複数のレモン形セルは、S字形支柱と、第1の線形支柱と、第2の線形支柱と、逆S字形支柱とを備え、S字形支柱は、第1の線形支柱に結合され、第1の線形支柱は、第2の線形支柱に結合され、第2の線形支柱は、逆S字形支柱に結合され、逆S字形支柱は、S字形支柱に結合される。
【0102】
実施例18は、実施例1-17のいずれかに記載のデバイスであり、複数の菱形セルは、ともに結合される4つの線形支柱を備える。
【0103】
実施例19は、実施例1-18のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージの近位端は、減少する数の菱形セルを備え、減少する数の菱形セルにおける最後の菱形セルは、伸長シャフトと結合される。
【0104】
実施例20は、実施例1-19のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能捕捉ケージの近位端は、伸長シャフトの遠位端と重複し、それに結合される単一の支柱において終端する。
【0105】
実施例21は、実施例1-20のいずれかに記載のデバイスであり、単一の支柱および伸長シャフトの周囲に螺旋状に配置され、可撓性放射線不透過性ジョイントを形成する、フィラメントをさらに備える。
【0106】
実施例22は、実施例1-21のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージの遠位端は、複数のレモン形閉鎖セルを備え、各レモン形閉鎖セルは、尖った遠位領域を有する。
【0107】
実施例23は、実施例1-22のいずれかに記載のデバイスであり、レモン形閉鎖セルは、4つのS字または逆S字形支柱を備え、第1のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、内向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、第2の逆S字形支柱は、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、外向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、第3のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、第4の逆S字形支柱は、内向きに面する凹状領域を伴う近位端と、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有する。
【0108】
実施例24は、実施例1-23のいずれかに記載のデバイスであり、第1のS字形支柱の近位端は、第2の逆S字形支柱の遠位端に結合され、レモン形閉鎖セルにおいて頂部を形成し、第2の逆S字形支柱の近位端は、第3のS字形支柱の近位端に結合され、レモン形閉鎖セルの尖った近位端を形成し、第3のS字形支柱の遠位端は、第4の逆S字形支柱の近位端に結合され、レモン形閉鎖セルにおいて谷部を形成し、第4の逆S字形支柱の遠位端は、第1のS字形支柱の遠位端に結合され、レモン形閉鎖セルの尖った遠位端を形成する。
【0109】
実施例25は、実施例1-24のいずれかに記載のデバイスであり、閉鎖セルの頂部は、内向きに面して凹状であり、閉鎖セルの谷部は、内向きに面して凹状である。
【0110】
実施例26は、実施例1-25のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能捕捉ケージの遠位端は、複数のレモン形セルの尖った遠位領域に結合される複数の線形支柱を備え、線形支柱は、点まで遠位にテーパ状であり、障害物がそれを通して通過することを防止するように構成される閉鎖多孔性先端を形成する。
【0111】
実施例27は、実施例1-26のいずれかに記載のデバイスであり、線形支柱の周囲に配置され、非外傷性放射線不透過性先端を形成する、螺旋コイル状フィラメントをさらに備える。
【0112】
実施例28は、血管から障害物を除去するためのシステムであり、本システムは、実施例1-27のいずれかに記載のデバイスと、本デバイスにわたって摺動可能に配置される、マイクロカテーテルとを備える。
【0113】
実施例29は、実施例28に記載のシステムであり、マイクロカテーテルにわたって摺動可能に配置される、シースをさらに備える。
【0114】
実施例30は、血管から障害物を除去するための方法であり、該方法は、伸長可撓性シャフトに結合される拡張可能捕捉ケージを備える、凝血塊回収カテーテルを提供するステップと、血管の中に凝血塊回収カテーテルを導入するステップと、拡張可能捕捉ケージを血管を通して障害物まで前進させるステップと、障害物と係合するように拡張可能捕捉ケージを半径方向に拡張させるステップと、拡張可能捕捉ケージを用いて障害物を巻き込むステップと、凝血塊回収カテーテルを用いて血管から障害物を除去するステップと、血管から凝血塊回収カテーテルを除去するステップとを含む。
【0115】
実施例31は、実施例30に記載の方法であり、拡張可能捕捉ケージを血管を通して前進させるステップは、伸長可撓性シャフトをマイクロカテーテルを通して前進させるステップを含む。
【0116】
実施例32は、実施例30-31のいずれかに記載の方法であり、拡張可能捕捉ケージを前進させるステップは、障害物の遠位に拡張可能捕捉ケージを前進させるステップまたは障害物の遠位にマイクロカテーテルを前進させるステップを含む。
【0117】
実施例33は、実施例30-32のいずれかに記載の方法であり、ガイドワイヤにわたってマイクロカテーテルを前進させるステップと、血管の中に凝血塊回収カテーテルを導入する前に、患者からガイドワイヤを除去するステップとをさらに含む。
【0118】
実施例34は、実施例30-33のいずれかに記載の方法であり、障害物は、血栓を含む。
【0119】
実施例35は、実施例30-34のいずれかに記載の方法であり、血栓は、白色凝血塊または赤色凝血塊を含む。
【0120】
実施例36は、実施例30-35のいずれかに記載の方法であり、血管は、患者の頭部における動脈血管である。
【0121】
実施例37は、実施例30-36のいずれかに記載の方法であり、拡張可能捕捉ケージを半径方向に拡張させるステップは、拡張可能捕捉ケージから離れるようにマイクロカテーテルを近位に後退させ、そこから拘束部を除去するステップを含む。
【0122】
実施例38は、実施例30-37のいずれかに記載の方法であり、拡張可能捕捉ケージを半径方向に拡張させるステップは、拡張可能捕捉ケージを自己拡張させるステップを含む。
【0123】
実施例39は、実施例30-38のいずれかに記載の方法であり、拡張可能捕捉ケージを半径方向に拡張させるステップは、ともに結合される複数のS字形および逆S字形支柱とともに形成される、複数の閉鎖セルを拡張させるステップを含む。
【0124】
実施例40は、実施例30-39のいずれかに記載の方法であり、障害物が、テーパ状先端がそれに結合された拡張可能捕捉ケージの遠位端から退出することを防止するステップをさらに含む。
【0125】
実施例41は、実施例30-40のいずれかに記載の方法であり、血管から障害物を除去するステップは、拡張可能捕捉ケージを近位に後退させるステップを含む。
【0126】
実施例42は、実施例30-41のいずれかに記載の方法であり、拡張可能捕捉ケージを近位に後退させるステップは、マイクロカテーテルまたはシースの遠位端に向かって拡張可能捕捉ケージの斜角近位縁を後退させるステップを含む。
【0127】
実施例43は、実施例30-42のいずれかに記載の方法であり、蛍光透視を用いて拡張可能捕捉ケージ上の放射線不透過性マーカを可視化するステップをさらに含む。
【0128】
実施例44は、血管から障害物を除去するためのデバイスであり、近位端と、遠位端とを有する、伸長可撓性シャフトと、近位端と、遠位端とを有する、拡張可能捕捉ケージであって、捕捉ケージの近位端は、伸長シャフトの遠位端に結合される、拡張可能捕捉ケージとを備え、拡張可能捕捉ケージは、圧潰構成と、拡張構成とを有し、圧潰構成において、拡張可能捕捉ケージは、血管を通して送達されるように適合され、拡張構成において、拡張可能捕捉ケージは、障害物の中に拡張し、それを巻き込むように構成される。
【0129】
実施例45は、実施例44に記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、ニッケル-チタン合金から形成される。
【0130】
実施例46は、実施例44-45のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能捕捉ケージの遠位端は、閉鎖され、遠位テーパ状多孔性先端を備える。
【0131】
実施例47は、実施例44-46のいずれかに記載のデバイスであり、遠位テーパ状先端は、拡張可能ケージの遠位端から延在し、点に収束する、複数の線形支柱または弓形支柱を備える。
【0132】
実施例48は、実施例44-47のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、複数の相互接続された支柱を備え、テーパ状先端における複数の線形支柱または弓形支柱のうちの少なくともいくつかは、拡張可能ケージにおける複数の相互接続された支柱のうちの少なくともいくつかよりも薄い。
【0133】
実施例49は、実施例44-48のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、頂部と、谷部と、尖った領域とを有する、複数の閉鎖セルを備え、複数の線形支柱または弓形支柱は、頂部のうちの1つ、谷部のうちの1つ、尖った領域のうちの1つ、または頂部もしくは谷部のうちの1つと尖った領域のうちの1つとの間に配置される面積のいずれかに結合される。
【0134】
実施例50は、実施例44-49のいずれかに記載のデバイスであり、複数の線形支柱は、第1の長さを有する支柱と、第1の長さよりも長い第2の長さを有する支柱とを備え、第1の長さを伴う支柱は、尖った領域に結合され、第2の長さの支柱は、頂部または谷部に結合され、それによって、遠位テーパ状先端が拡張可能ケージの短縮を適応させることを可能にする。
【0135】
実施例51は、実施例44-50のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能捕捉ケージの近位端は、伸長可撓性シャフトの遠位端に結合される線形支柱に近位に収束する複数の支柱を備える。
【0136】
実施例52は、実施例44-51のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能捕捉ケージの近位端は、複数のリングを備え、複数のリングにおける各リングは、1つまたはそれを上回る閉鎖セルを備え、各リングは、合計数の閉鎖セルを有し、閉鎖セルの合計数は、最近位リングが単一の閉鎖セルを有する開放リングになるまで、近位方向に減少する。
【0137】
実施例53は、実施例44-52のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージの近位端に隣接して配置される近位放射線不透過性マーカまたは拡張可能ケージの遠位端に隣接して配置される遠位放射線不透過性マーカをさらに備える。
【0138】
実施例54は、実施例44-53のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、複数の閉鎖セルを備え、複数の閉鎖セルのうちの少なくともいくつかは、ともに結合される一方、複数の閉鎖セルのうちの少なくともいくつかは、隣接する閉鎖セルから接続解除され、それによって、拡張可能ケージにおいて可撓性領域を作成する間隙を形成する。
【0139】
実施例55は、実施例44-54のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、ともに結合される複数の支柱を備え、拡張可能ケージは、相互と平行に延設される2つまたはそれを上回る横並びの支柱を伴う1つまたはそれを上回る領域を備える。
【0140】
実施例56は、実施例44-55のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージは、ともに結合される複数の支柱を備え、複数の支柱のうちの1つまたはそれを上回るものに結合される1つまたはそれを上回る放射線不透過性マーカをさらに備える。
【0141】
実施例57は、実施例44-56のいずれかに記載のデバイスであり、拡張可能ケージにわたって配置される、外側シースまたはマイクロカテーテルをさらに備え、外側シースまたはマイクロカテーテルは、拡張可能ケージを拘束し、圧潰構成においてこれを保持する。
【0142】
実施例58は、実施例44-57のいずれかに記載のデバイスであり、複数の閉鎖セルのうちの少なくともいくつかの近位端は、複数の閉鎖セルのうちの少なくともいくつかにおける隣接する支柱よりも厚い支柱を備える。
【0143】
実施例59は、実施例44-58のいずれかに記載のデバイスであり、複数の閉鎖セルのうちのいくつかは、4つのS字または逆S字形支柱を備え、第1のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う近位端と、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、第2の逆S字形支柱は、内向きに面する凹状領域を伴う近位端と、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端とを有し、第3のS字形支柱は、外向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、内向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有し、第4の逆S字形支柱は、内向きに面する凹状領域を伴う遠位端と、外向きに面する凹状領域を伴う近位端とを有する。
【0144】
実施例60は、実施例44-59のいずれかに記載のデバイスであり、第1のS字形支柱の遠位端は、第2の逆S字形支柱の近位端に結合され、閉鎖セルにおける頂部を形成し、第2の逆S字形支柱の遠位端は、第3のS字形支柱の遠位端に結合され、閉鎖セルの尖った遠位端を形成し、第3のS字形支柱の近位端は、第4の逆S字形支柱の遠位端に結合され、閉鎖セルにおける谷部を形成し、第4の逆S字形支柱の近位端は、第1のS字形支柱の近位端に結合され、閉鎖セルの尖った近位端を形成する。
【0145】
実施例61は、実施例44-60のいずれかに記載のデバイスであり、閉鎖セルの頂部は、内向きに面して凹状であり、閉鎖セルの谷部は、内向きに面して凹状である。
【0146】
実施例62は、血管から障害物を除去するためのシステムであり、該システムは、伸長可撓性シャフトに結合される拡張可能捕捉ケージを備える、凝血塊回収カテーテルであって、拡張可能捕捉ケージは、圧潰構成と、拡張構成とを有し、圧潰構成において、拡張可能捕捉ケージは、血管を通して送達されるように適合され、拡張構成において、拡張可能捕捉ケージは、障害物の中に拡張し、それを巻き込むように構成される、凝血塊回収カテーテルと、凝血塊回収カテーテルを摺動可能に受容するように定寸される管腔を有する、マイクロカテーテルとを備える。
【0147】
実施例63は、実施例62に記載のシステムであり、拡張可能捕捉ケージにわたって摺動可能に配置される、シースをさらに備える。
【0148】
実施例64では、実施例1-63のいずれか1項または任意の組み合わせに記載の装置、システム、または方法は、随意に、列挙される全ての要素または選択肢が使用もしくは選択することが可能であるように構成されることができる。
【0149】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する、付随の図面の参照を含む。図面は、例証として、本発明が実践され得る、具体的実施形態を示す。これらの実施形態はまた、本明細書では「実施例」と称される。そのような実施例は、示される、または説明されるものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らはまた、示される、または説明されるそれらの要素のみが提供される実施例を想定する。また、本発明者らはまた、特定の実施例(もしくはその1つまたはそれを上回る側面)に関して、もしくは本明細書に示される、または説明される他の実施例(もしくはその1つまたはそれを上回る側面)に関してのいずれかで、示される、または説明されるそれらの要素(もしくはその1つまたはそれを上回る側面)の任意の組み合わせもしくは並べ替えを使用する実施例を想定する。
【0150】
本書と参照することによってそのように組み込まれる任意の文書との間の使用法が一貫しない場合では、本書における使用法が、優先される。
【0151】
本書では、用語「a」または「an」は、特許文書で一般的であるように、「少なくとも1つ」もしくは「1つまたはそれを上回る」の任意の他の事例もしくは使用法とは無関係に、1つまたは1つを上回るものを含むように使用される。本書では、用語「または」は、別様に示されない限り、非排他的なものを指すために、もしくは「AまたはB」が、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、ならびに「AおよびB」を含むように使用される。本書では、用語「~を含む(including)」および「その中で(in which)」は、個別の用語「~を備える(comprising)」ならびに「その中で(wherein)」の平易な英語の同義語として使用される。また、以下の請求項では、用語「~を含む(including)」および「~を備える(comprising)」は、非制限的であり、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙されるものに加えて要素を含む、システム、デバイス、物品、組成物、配合物、またはプロセスが、依然として、その請求項の範囲内に該当すると見なされる。また、以下の請求項では、用語「第1」、「第2」、および「第3」等は、単に、標識として使用され、それらの物体に対して数値的要件を課すことを意図していない。
【0152】
上記の説明は、制限的ではなく、例証的であることを意図している。例えば、上記に説明される実施例(もしくはその1つまたはそれを上回る側面)は、相互と組み合わせて使用されてもよい。他の実施形態が、上記の説明を精査することに応じて、当業者によって等、使用されることができる。要約は、読者が、技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。これは、これが請求項の範囲または意味を解釈もしくは限定するために使用されないであろうことを理解した上で提出される。また、上記の詳細な説明では、種々の特徴が、本開示を合理化するためにともに群化され得る。これは、請求されない開示される特徴が、任意の請求項に必須であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明的主題は、特定の開示される実施形態の全ての特徴よりも少ないものにあり得る。したがって、以下の請求項は、本明細書に実施例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立し、そのような実施形態が、種々の組み合わせまたは並べ替えにおいて、相互と組み合わせられ得ることが想定される。本発明の範囲は、そのような請求項が享受する均等物の全範囲とともに、添付される請求項を参照して判定されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
【国際調査報告】