(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイおよびそれを駆動する方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/38 20060101AFI20230630BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20230630BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230630BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20230630BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20230630BHJP
G02F 1/163 20060101ALI20230630BHJP
G02F 1/17 20190101ALI20230630BHJP
【FI】
G09G3/38
G09G3/34 C
G09G3/20 611D
G09G3/20 641B
G09G3/20 621K
G02F1/133 550
G02F1/167
G02F1/163
G02F1/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574721
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2021035885
(87)【国際公開番号】W WO2021252283
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ペイダボシ, サラ
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ドブ, ユヴァル
【テーマコード(参考)】
2H193
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZB01
2H193ZD12
2H193ZE16
2H193ZQ22
2K101AA04
2K101AA08
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5C080AA11
5C080AA13
5C080BB01
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5C080JJ07
(57)【要約】
複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法が、提供され、そのような方法は、ピクセルがカラーを表示するように決定された場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第1の組の波形から選定される第1の波形を印加することと、ピクセルがグレースケール画像を表示するように決定された場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第2の組の波形から選定される第2の波形を印加することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
ピクセルがカラーを表示するように決定された場合、第1の波形を印加することであって、前記第1の波形は、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第1の組の波形から選定される、ことと、
前記ピクセルがグレースケール画像を表示するように決定された場合、第2の波形を印加することであって、前記第2の波形は、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第2の組の波形から選定される、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ピクセルが白色背景上に黒色テキストを表示するように決定された場合、第3の波形を印加することをさらに含み、前記第3の波形は、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第3の組の波形から選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルゴリズムが前記ピクセルにエッジアーチファクト取り除きを実施するために必要とされる場合、第4の波形を印加することをさらに含み、前記第4の波形は、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第4の組の波形から選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の組の波形は、第1の駆動モードのために構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の駆動モードは、前記ディスプレイ上にカラーを表示するために構成されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の組の波形は、第2の駆動モードのために構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の駆動モードは、前記ディスプレイ上にグレースケール画像を表示するために構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の組の波形は、第3の駆動モードのために構成されている、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の駆動モードは、前記ディスプレイ上に白黒色下地上に黒色テキストを表示するために構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
カラーフィルタアレイをさらに備えている請求項1に記載の方法を実行するように構成された電気光学ディスプレイ。
【請求項11】
回転二色部材、エレクトロクロミック、またはエレクトロウェッティング材料を備えている、請求項10に記載のディスプレイ。
【請求項12】
流体中に配置された複数の荷電粒子を備えている電気泳動材料を備え、前記複数の荷電粒子は、電場の影響下で前記流体を通して移動することが可能である、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項13】
前記荷電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められている、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項14】
前記荷電粒子および前記流体は、ポリマー材料を備えている連続相によって包囲された複数の別々の液滴として存在する、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項15】
双安定電気光学ディスプレイの動作を制御することが可能であるディスプレイコントローラであって、前記コントローラは、前記ディスプレイを動作させる駆動方法を実行するように構成され、前記方法は、
ピクセルがカラーを表示するように決定された場合、第1の波形を印加することであって、前記第1の波形は、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第1の組の波形から選定される、ことと、
前記ピクセルがグレースケール画像を表示するように決定された場合、第2の波形を印加することであって、前記第2の波形は、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第2の組の波形から選定される、ことと
を含む、コントローラ。
【請求項16】
前記駆動方法は、前記ピクセルが白色背景上に黒色テキストを表示するように決定された場合、第3の波形を印加することをさらに含み、前記第3の波形は、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第3の組の波形から選定される、請求項15に記載のコントローラ。
【請求項17】
前記駆動方法は、アルゴリズムが前記ピクセルにエッジアーチファクト取り除きを実施するために必要とされる場合、第4の波形を印加することをさらに含み、前記第4の波形は、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第4の組の波形から選定される、請求項15に記載コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2020年6月11日に出願された米国仮出願第63/038,014号に関連し、その優先権を主張する。
【0002】
前述の出願の開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
【0003】
本発明は、電気光学ディスプレイを駆動する方法に関する。より具体的に、本発明は、電気光学ディスプレイ内のピクセルエッジアーチファクトおよび/または画像残留を低減させる方法に関する。
【背景技術】
【0004】
電気光学ディスプレイは、典型的に、複数のピクセル電極を提供されたバックプレーンを有し、複数のピクセル電極の各々は、ディスプレイの1つのピクセルを画定する。従来的に、多数のピクセル、通常、ディスプレイ全体にわたって広がっている単一の共通電極が、電気光学媒体の反対側に提供される。個々のピクセル電極は、直接駆動され得るか(すなわち、別個の導体が各ピクセル電極に提供され得る)、または、ピクセル電極は、バックプレーン技術の当業者に熟知されているであろうアクティブマトリクス様式で駆動され得る。隣接するピクセル電極が、多くの場合、異なる電圧にあろうから、それらは、電極間の電気短絡を回避するために、有限幅のピクセル間の間隙によって分離されなければならない。一見すると、これらの間隙に重なる電気光学媒体は、駆動電圧がピクセル電極に印加されたとき、切り替わらないであろうと考えられ得る(実際、これは、多くの場合、液晶等のいくつかの非双安定電気光学媒体に当てはまり、黒色マスクが、典型的に、これらの切り替わらない間隙を隠すために提供される、)が、多くの双安定電気光学媒体の場合、間隙に重なる媒体は、「ブルーミング」として公知である現象により、切り替わる。
【0005】
ブルーミングは、ピクセル電極への駆動電圧の印加が、ピクセル電極の物理的サイズより大きいエリアにわたって電気光学媒体の光学状態の変化を引き起こす傾向を指す。過剰なブルーミングは、回避されるべきである(例えば、高解像度アクティブマトリクスディスプレイでは、ディスプレイの有効解像度を低減させるであろうから、単一のピクセルへの駆動電圧の印加がいくつかの隣接するピクセルを覆うエリアにわたる切り替わりを引き起こすことは、望まれない)が、制御された量のブルーミングは、多くの場合、有用である。例えば、従来の各数字のために7つの直接駆動されるピクセル電極の7セグメントアレイを使用して数字を表示する白地に黒色の電気光学ディスプレイを考慮されたい。例えば、ゼロが表示されるとき、6つのセグメントが、黒色に変えられる。ブルーミングが存在しない場合、6つのピクセル間の間隙が、眼で見えるであろう。しかしながら、例えば、米国特許第7,602,374号(その全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、制御された量のブルーミングを提供することによって、ピクセル間の間隙は、黒色に変化させられ、より視覚的に美しい数字をもたらし得る。しかしながら、ブルーミングは、「エッジ残影」と表される問題につながり得る。
【0006】
ブルーミングのエリアは、一様に白色または黒色ではなく、典型的に、遷移ゾーンであり、遷移ゾーンでは、ブルーミングのエリアを横断して移動すると、媒体の色が、白色から、グレーの種々の陰影を通して黒色に遷移する。
故に、エッジ残影は、典型的に、一様なグレーエリアではなく、グレーの種々の陰影のエリアであろうが、特に、ヒトの眼が、各ピクセルが純黒色または純白色であると想定される単色画像内で、グレーのエリアを検出する能力を持っているので、依然として、眼で見え、不愉快であり得る。[段落24]ある場合、非対称ブルーミングが、エッジ残影に寄与し得る。「非対称ブルーミング」は、いくつかの電気光学媒体(例えば、その全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,002,728号に説明される銅クロマイト/チタニアのカプセル化された電気泳動媒体)では、逆方向への遷移中よりピクセルの一方の極端な光学状態から他方の極端な光学状態への遷移中、より大きなブルーミングが起こるという意味で、ブルーミングが「非対称」である現象を指し、本特許に説明される媒体では、典型的に、黒色から白色への遷移中のブルーミングは、白色から黒色への遷移中のそれより大きい。
【0007】
したがって、残影またはブルーミング効果も低減させる駆動方法が、必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
故に、一側面では、本明細書に提示される主題は、複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供し、方法は、ピクセルがカラーを表示するように決定された場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第1の組の波形から選定される第1の波形を印加することと、ピクセルがグレースケール画像を表示するように決定された場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第2の組の波形から選定される第2の波形を印加することとを含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、請求項に記載の方法は、ピクセルが白色背景上に黒色テキストを表示するように決定された場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第3の組の波形から選定される第3の波形を印加することをさらに含み得る。
【0010】
ある他の実施形態では、方法は、アルゴリズムが、ピクセルにエッジアーチファクト取り除きを実施するために必要とされる場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第4の組の波形から選定される第4の波形を印加することをさらに含み得る。
【0011】
別の実施形態では、第1の組の波形は、第1の駆動モードのために構成され、第1の駆動モードは、ディスプレイ上にカラーを表示するために構成されている。
【0012】
さらに別の実施形態では、第2の組の波形は、第2の駆動モードのために構成され、第2の駆動モードは、ディスプレイ上にグレースケール画像を表示するために構成されている。
【0013】
ある他の実施形態では、第3の組の波形は、第3の駆動モードのために構成され、第3の駆動モードは、ディスプレイ上に白黒色下地上に黒色テキストを表示するために構成されている。
【0014】
本明細書に開示される主題の別の側面は、双安定電気光学ディスプレイの動作を制御することが可能であるディスプレイコントローラを提供し、コントローラは、ディスプレイを動作させる駆動方法を実行するように構成され、方法は、ピクセルがカラーを表示するように決定された場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第1の組の波形から選定される第1の波形を印加することと、ピクセルがグレースケール画像を表示するように決定された場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第2の組の波形から選定される第2の波形を印加することとを含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、駆動方法は、ピクセルが白色背景上に黒色テキストを表示するように決定された場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第3の組の波形から選定される第3の波形を印加することをさらに含み得る。
【0016】
さらに別の実施形態では、駆動方法は、アルゴリズムが、ピクセルにエッジアーチファクト取り除きを実施するために必要とされる場合、黒色から白色への遷移および白色から白色への遷移のための第4の組の波形から選定される第4の波形を印加することをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、電気泳動ディスプレイを表す回路図である。
【0018】
【
図2】
図2は、電気光学結像層の回路モデルを示す。
【0019】
【
図3】
図3は、カラーフィルタアレイを有する電気光学ディスプレイの断面図を図示する。
【0020】
【
図4】
図4は、異なる駆動スキームまたはモードのための異なる波形の比較を図示する。
【0021】
【
図5】
図5は、本明細書に開示される主題による例示的波形を図示する。
【0022】
【
図6】
図6は、異なる表示用途のための異なるモードおよび波形を選択するための表を図示する。
【0023】
【
図7A】
図7Aは、表示用途に応じて波形を選択する1つの駆動モードを示す別の表を図示する。
【0024】
【
図7B】
図7Bは、表示用途に基づいて波形を選択する1つの駆動モードを示すフローチャートを図示する。
【0025】
【
図8】
図8は、電気光学デバイスの動作を制御するためのコントローラまたは制御デバイスを図示する。
【0026】
【
図9】
図9は、表示用途に基づいて波形を選択する別の駆動モードを示す別のフローチャートを図示する。
【0027】
【
図10】
図10は、例示的トウィドゥル波形(twiddle waveform)を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、電気光学ディスプレイ、特に、双安定電気光学ディスプレイを駆動する方法と、そのような方法で使用するための装置とに関する。より具体的に、本発明は、そのようなディスプレイにおいて、「残影」およびエッジ効果の低減、および閃光の低減を可能にし得る駆動方法に関する。本発明は、排他的ではないが、特に、1つ以上のタイプの荷電粒子が流体中に存在し、ディスプレイの外観を変化させるように電場の影響下で流体を通して移動させられる粒子ベースの電気泳動ディスプレイとの使用のために意図されている。
【0029】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用される場合、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であり、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる材料を指すために、本明細書で使用される。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能なカラーであるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または擬似色(機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味において)等の別の光学特性であり得る。
【0030】
用語「グレー状態」は、画像化技術分野におけるその従来的な意味で本明細書で使用され、2つの極端なピクセルの光学状態の中間の状態を指し、必ずしも黒色と白色とのこれらの2つの極端な状態間の遷移を意味するわけではない。例えば、下記に参照されるいくつかのE Ink特許および公開された出願は、極端な状態が白色および濃青であり、中間の「グレー状態」が実際には薄青である電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに記述されているように、光学状態の変化は、カラーの変化では全くないこともある。用語「黒色」および「白色」は、ディスプレイの2つの極端な光学状態を指すために以降で使用され得、通常、厳密には黒色および白色ではない極端な光学状態、例えば、前述の白色および濃青色状態を含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降では、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをそれらの2つの極端な光学状態のみに駆動する駆動スキームを指すために使用され得る。
【0031】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味において固体であるが、材料は、多くの場合、内部液体充填空間または気体充填空間を有し得る。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降では、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化された電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化された液晶ディスプレイを含む。
【0032】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイであって、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように、有限持続時間のアドレスパルスを用いて、任意の所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極端な黒色および白色状態においてだけではなく、それらの中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定ではなく、「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書では、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0033】
用語「インパルス」は、時間に対する電圧の積分のその従来の意味で、本明細書で使用される。しかしながら、いくつかの双安定電気光学媒体は、電荷トランスデューサとしての機能を果たし、そのような媒体を用いると、インパルスの代替定義、すなわち、経時的な電流の積分(印加される全電荷に等しい)が、使用され得る。インパルスの適切な定義が、媒体が電圧時間インパルストランスデューサとしての機能を果たすか、電荷インパルストランスデューサとしての機能を果たすかに応じて、使用されるべきである。
【0034】
下記の議論の多くは、初期グレーレベルから最終グレーレベル(初期グレーレベルと異なることも、異ならないこともある)への遷移を通して、電気光学ディスプレイの1つ以上のピクセルを駆動する方法に焦点を当てるであろう。用語「波形」は、ある特定の初期グレーレベルから特定の最終グレーレベルへの遷移をもたらすために使用される時間に対する電圧全体の曲線を示すために使用されるであろう。典型的に、そのような波形は、複数の波形要素を備えているであろう。すなわち、これらの要素が、本質的に長方形である場合(すなわち、所与の要素が、ある期間にわたって、一定電圧の印加を備えている場合)、要素は、「パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。用語「駆動スキーム」は、特定のディスプレイに関するグレーレベル間のあらゆる可能な遷移をもたらすために十分な波形の組を示す。ディスプレイは、2つ以上の駆動スキームを利用し得る。例えば、前述の米国特許第7,012,600号は、駆動スキームが、ディスプレイの温度またはその寿命の間に動作中であった時間等のパラメータに応じて、修正される必要があり得、したがって、ディスプレイが、異なる温度等で使用されるための複数の異なる駆動スキームを提供され得ることを教示する。このようにして使用される駆動スキームの組は、「関連駆動スキームの組」と称され得る。前述のMEDEOD出願のうちのいくつかに説明されるように、2つ以上の駆動スキームを同じディスプレイの異なるエリア内で同時に使用することも可能であり、このようにして使用される駆動スキームの組は、「同時駆動スキームの組」と称され得る。
【0035】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、第6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、上で記述される特許のうちのいくつかでは、回転部材が球形ではないので、用語「回転二色部材」の方がより正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つ以上の区分と、内部双極子とを有する多数の小さい本体(典型的に、球形または円筒形)を使用する。これらの本体は、マトリクス内に液体が充填された空胞内に懸濁され、空胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填されている。ディスプレイの外観は、ディスプレイに電場を印加し、したがって、本体を種々の位置まで回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分を変動させることによって、変更される。このタイプの電気光学媒体は、典型的に、双安定である。
【0036】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極に付着した可逆的色変化が可能な複数の染色分子とを備えているナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体を使用する。例えば、O’Regan,B.,et al.,Nature 1991,353,737、およびWood,D.,Information Display,18(3),24 (March 2002)を参照されたい。また、Bach,U.,et al.,Adv. Mater.,2002,14(11),845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムはまた、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体はまた、典型的に、双安定である。
【0037】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes,R. A.,et al. “Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting”,Nature,425,383-385(2003)に説明されるエレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは、双安定にされ得ることが示されている。
【0038】
長年にわたり集中的な研究および開発の関心の対象である、あるタイプの電気光学ディスプレイは、複数の荷電粒子が電場の影響下で流体を通して移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期画質に関する問題は、それらの広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0039】
上記のように、電気泳動媒体は、流体の存在を要求する。殆どの従来技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産されることもできる(例えば、Kitamura,T.,et al. Electrical toner movement for electronic paper-like display,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi,Y.,et al.,Toner display using insulative particles charged triboelectricaily,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4参照)。米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が鉛直平面に配置される看板で、媒体がそのような沈降を可能にする配向で使用されるとき、粒子沈降に起因して液体ベース電気泳動媒体と同じタイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする液体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度により、液体ベース電気泳動媒体よりガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0040】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体が、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルは、それら自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレントな層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
【0041】
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
【0042】
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
【0043】
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
【0044】
(d)マイクロセルを充填および密閉する方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
【0045】
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
【0046】
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイで使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
【0047】
(g)カラー形成およびカラー調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
【0048】
(h)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
【0049】
(i)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に説明されるような非電気泳動ディスプレイ、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照)
【0050】
(j)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第5,930026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、および米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0070032号、第2007/0076289号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2007/0296452号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0169821号、第2008/0218471号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号参照)
【0051】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生産し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられていない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の第2002/0131147号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0052】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、例えば、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。例えば、国際出願公開第WO02/01281号および公開された米国出願第2002/0075556号を参照されたい(両方は、Sipix Imaging,Inc.に譲渡されている)。
【0053】
前述のE InkおよびMIT特許および出願の多くは、マイクロセル電気泳動ディスプレイおよび高分子分散電気泳動ディスプレイも検討する。用語「カプセル化された電気泳動ディスプレイ」は、あらゆるそのようなディスプレイタイプを指し得、それは、壁の形態を横断して一般化するために、集合的に、「マイクロキャビティ電気泳動ディスプレイ」とも説明され得る。
【0054】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes,R. A.,et al. “Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting”,Nature,425,383-385(2003)に説明されるエレクトロウェッティングディスプレイである。2004年10月6日に出願された同時係属中の出願第10/711,802号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは、双安定にされ得ることが示されている。
【0055】
他のタイプの電気光学材料も、使用され得る。特に着目すべきこととして、双安定強誘電液晶ディスプレイ(FLC)が、当技術分野において公知であり、それは、残留電圧挙動を示している。
【0056】
電気泳動媒体は、不透明であって(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子がディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作し得るが、いくつかの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「シャッタモード」で動作するようにされることができ、シャッタモードにおいて、ある表示状態が、実質的に不透明であり、ある表示状態が、光透過性である。例えば、米国特許第6,130,774号および第6,172,798号、および米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイに類似するが、電場強度の変動に依拠する誘電泳動ディスプレイは、類似モードで動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。
【0057】
高分解能ディスプレイは、隣接するピクセルからの干渉を伴わずにアドレス可能である個々のピクセルを含み得る。そのようなピクセルを取得するための1つの方法は、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することであり、少なくとも1つの非線形要素は、各ピクセルに関連付けられ、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生産する。1つのピクセルにアドレスするアドレスまたはピクセル電極は、関連付けられた非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。非線形要素が、トランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され得、この配置が、以下の説明では仮定されるであろうが、本質的に、恣意的であり、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の特定のピクセルが、1つの規定された行と1つの規定された列の交点によって一意的に画定されるように、行および列の2次元アレイで配置され得る。各列内の全てのトランジスタのソースは、単一列電極に接続され得る一方、各行内の全てのトランジスタのゲートは、単一行電極に接続され得る。再び、行へのソースおよび列へのゲートの割り当ては、所望に応じて、逆転され得る。
【0058】
ディスプレイは、行毎様式で書き込まれ得る。行電極は、行ドライバに接続され、それは、選択された行電極に、選択された行内の全てのトランジスタが伝導性であることを確実にするような電圧を印加する一方で、全ての他の行に、これらの選択されていない行内の全てのトランジスタが非伝導性のままであることを確実にするような電圧を印加し得る。列電極は、列ドライバに接続され、それは、種々の列電極に、選択された行内のピクセルをそれらの所望の光学状態に駆動するように選択される電圧をかける。(前述の電圧は、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供され、ディスプレイ全体にわたって広がり得る共通フロント電極に対するものである。当技術分野において公知のように、電圧は、相対的であって、2つの点の間の電荷差の測定値である。一方の電圧値は、別の電圧値に対するものである。例えば、ゼロ電圧(「0V」)は、別の電圧に対して無電圧差を有することを指す。)「ラインアドレス時間」として公知である事前選択された間隔後、選択された行が、選択解除され、別の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変化させられる。
【0059】
しかしながら、使用時、ある波形が、電気光学ディスプレイのピクセルへの残留電圧を生産し得、上記議論から明白であるように、この残留電圧は、いくつかの不要な光学効果を生成し、一般に、望ましくない。
【0060】
本明細書に提示されるように、アドレスパルスに関連付けられた光学状態における「シフト」は、電気光学ディスプレイへの特定のアドレスパルスの最初の印加が、第1の光学状態(例えば、第1のグレー色調)をもたらし、電気光学ディスプレイへの同じアドレスパルスの後続の印加が、第2の光学状態(例えば、第2のグレー色調)をもたらす、状況を指す。残留電圧は、アドレスパルスの印加中に電気光学ディスプレイのピクセルに印加される電圧が、残留電圧とアドレスパルスの電圧との合計を含むので、光学状態におけるシフトを生じさせ得る。
【0061】
経時的なディスプレイの光学状態における「ドリフト」は、ディスプレイが休止している間(例えば、アドレスパルスがディスプレイに印加されない期間中)、電気光学ディスプレイの光学状態が変化する状況を指す。残留電圧は、ピクセルの光学状態が、ピクセルの残留電圧に依存し得、ピクセルの残留電圧が経時的に減衰し得るので、光学状態におけるドリフトを生じさせ得る。
【0062】
上記に議論されるように、「残影」は、電気光学ディスプレイが書き換えられた後、前の画像の痕跡が、依然として、眼で見える状況を指す。残留電圧は、前の画像の一部の輪郭(エッジ)が見えたままである残影のタイプである、「エッジ残影」を生じさせ得る。
【0063】
(例示的EPD)
【0064】
図1は、本明細書に提起される主題による電気光学ディスプレイのピクセル100の概略図を示す。ピクセル100は、結像フィルム110を含み得る。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、双安定であり得る。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、限定ではないが、例えば、荷電顔料粒子を含み得るカプセル化された電気泳動結像フィルムを含み得る。
【0065】
結像フィルム110は、正面電極102と背面電極104との間に配置され得る。正面電極102は、結像フィルムとディスプレイの正面との間に形成され得る。いくつかの実施形態では、正面電極102は、透明であり得る。いくつかの実施形態では、正面電極102は、限定ではないが、酸化インジウムスズ(ITO)を含む任意の好適な透明材料から形成され得る。背面電極104は、正面電極102と反対側に形成され得る。いくつかの実施形態では、寄生静電容量(図示せず)が、正面電極102と背面電極104との間に形成され得る。
【0066】
ピクセル100は、複数のピクセルのうちの1つであり得る。複数のピクセルは、行および列の2次元アレイに配置され、マトリクスを形成し得、それによって、任意の特定のピクセルが、1つの規定された行と1つの規定された列の交点によって一意的に画定される。いくつかの実施形態では、ピクセルのマトリクスは、各ピクセルが少なくとも1つの非線形回路要素120に関連付けられた「アクティブマトリクス」であり得る。非線形回路要素120が、バックプレート電極104とアドレス電極108との間に結合され得る。いくつかの実施形態では、非線形要素120は、ダイオードおよび/または、限定ではないが、MOSFETを含むトランジスタを含み得る。MOSFETのドレイン(またはソース)は、バックプレート電極104に結合され得、MOSFETのソース(またはドレイン)は、アドレス電極108に結合され得、MOSFETのゲートは、MOSFETのアクティブ化および非アクティブ化を制御するように構成されたドライバ電極106に結合され得る。(便宜上、バックプレート電極104に結合されるMOSFETの端子は、MOSFETのドレインと称され、アドレス電極108に結合されるMOSFETの端子は、MOSFETのソースと称されるであろう。しかしながら、当業者は、いくつかの実施形態では、MOSFETのソースおよびドレインが交換され得ることを認識するであろう。)
【0067】
アクティブマトリクスのいくつかの実施形態では、各列内の全てのピクセルのアドレス電極108は、同じ列電極に接続され得、各行内の全てのピクセルのドライバ電極106は、同じ行電極に接続され得る。行電極は、行ドライバに接続され得、行ドライバは、選択された行電極に、選択された行内の全てのピクセル100の非線形要素120をアクティブ化するために十分な電圧を印加することによって、ピクセルの1つ以上の行を選択し得る。列電極は、列ドライバに接続され得、列ドライバは、選択された(アクティブにされた)ピクセルのアドレス電極106に、ピクセルを所望の光学状態に駆動するために好適な電圧をかけ得る。アドレス電極108に印加される電圧は、ピクセルのフロントプレート電極102に印加される電圧(例えば、約ゼロボルトの電圧)に対するものであり得る。いくつかの実施形態では、アクティブマトリクス内の全てのピクセルのフロントプレート電極102は、共通電極に結合され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、アクティブマトリクスのピクセル100は、行毎様式で書き込まれ得る。例えば、ピクセルの行は、行ドライバによって選択され得、ピクセルの行に関する所望の光学状態に対応する電圧が、列ドライバによって、ピクセルに印加され得る。事前選択された時間間隔(「ラインアドレス時間」として公知である)の後、選択された行が、選択解除され得、別の行が、選択され得、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの別のラインが書き込まれるように変化させられ得る。
【0069】
図2は、本明細書に提示される主題による正面電極102と背面電極104との間に配置される電気光学結像層110の回路モデルを示す。抵抗器202およびコンデンサ204は、任意の接着剤層を含む電気光学結像層110、正面電極102、および背面電極104の抵抗および静電容量を表し得る。抵抗器212およびコンデンサ214は、積層接着剤層の抵抗および静電容量を表し得る。コンデンサ216は、正面電極102と背面電極104との間、例えば、結像層と積層接着剤層との間および/または積層接着剤層とバックプレーン電極との間の界面等の層間の界面接触エリアに形成され得る静電容量を表し得る。ピクセルの結像フィルム110を横断した電圧Viは、ピクセルの残留電圧を含み得る。
【0070】
使用時、
図1および2に図示されるような電気光学ディスプレイが、ディスプレイの背景の閃光を伴わずに、後続画像を更新することが望ましい。しかしながら、ある背景色を背景色(例えば、白色/白色または黒色/黒色)波形に更新する画像における空の遷移を使用する容易な方法は、エッジアーチファクト(例えば、ブルーミング)の蓄積につながり得る。黒色および白色電気光学ディスプレイでは、エッジアーチファクトは、トップオフ(top off)波形によって低減させられ得る。しかしながら、カラーフィルタアレイ(CFA)を使用して発生させられるカラーを伴う電気泳動ディスプレイ(EPD)等の電気光学ディスプレイでは、カラー品質およびコントラストを維持することは、時として、困難であり得る。
【0071】
図3は、本明細書に開示される主題によるCFAベースのカラーEPDの断面図を図示する。
図3に示されるように、カラー電気泳動ディスプレイ(概して、300として指定される)が、複数のピクセル電極304を持つバックプレーン302を備えている。このバックプレーン302に、反転フロントプレーンラミネートが積層され得、この反転フロントプレーンラミネートは、黒色および白色の極端な光学状態を有するモノクロ電気泳動媒体層306と、接着剤層308と、ピクセル電極304と整列させられた赤色、緑色、および青色エリアを有するカラーフィルタアレイ310と、実質的に透明伝導性層312(典型的に、酸化インジウムスズから形成される)と、正面保護層314とを備え得る。
【0072】
使用時、CFAベースのカラーEPDでは、画像内の任意のカラーエリアは、各CFA要素の背後のピクセルの変調をもたらすであろう。例えば、最良の赤色は、赤色CFAピクセルがオンにされ(例えば、白色に変えられ)、緑色および青色CFAピクセルがオフにされる(例えば、黒色)と、取得される。白色ピクセルの中へ任意のブルーミングは、赤色の色度および明度における低減を引き起こし得る。カラー飽和を犠牲にせずに、上で述べられたエッジアーチファクト(例えば、ブルーミング)を識別し、低減させ得るアルゴリズムが、さらに下で詳細に解説される。
【0073】
(EPD駆動スキーム)
【0074】
しかしながら、駆動スキームにおける変形例は、使用されるグレーレベルの数における差異に制限されない。例えば、駆動スキームは、大域的駆動スキーム(大域的更新駆動スキーム(より正確に、「大域的完全」または「GC」駆動スキームと称される)が適用される領域(ディスプレイ全体またはそのある定義された一部であり得る)内の全てのピクセルに、駆動電圧が、印加される)と、部分的更新駆動スキームとに分割され得、部分的更新駆動スキームでは、駆動電圧は、非ゼロ遷移(すなわち、初期グレーレベルと最終グレーレベルとが互いに異なる遷移)を受けるピクセルのみに印加されるが、駆動電圧は、ゼロ遷移(初期グレーレベルと最終グレーレベルとが、同じである)中、印加されない。中間が、駆動スキーム(「大域的限定」または「GL」駆動スキームと指定される)を形成し、それは、駆動電圧がゼロの白色から白色への遷移を受けるピクセルに印加されないことを除き、GC駆動スキームに類似する。例えば、白色背景上に黒色テキストを表示する電子書籍読み取り機として使用されるディスプレイにおいて、特に、テキストの余白内およびラインの間に多数の白色ピクセルがあり、それらは、テキストの1ページから次のページまで不変のままであり;故に、これらの白色ピクセルを書き換えないことは、ディスプレイ書き換えの見掛け「閃光」を実質的に低減させる。しかしながら、ある問題が、このタイプのGL駆動スキームに残る。第1に、前述のMEDEOD特許のうちのいくつかにおいて詳細に議論されるように、双安定電気光学媒体は、典型的に、完全に双安定ではなく、1つの極端な光学状態に置かれたピクセルが、中間グレーレベルに向かって、数分から数時間の期間にわたって徐々にドリフトする。特に、白色に駆動されるピクセルは、薄いグレー色に向かってゆっくりとドリフトする。故に、GL駆動スキームにおいて、白色ピクセルが、数枚のページめくりを通して、駆動されないままであることが可能にされる場合、その間に、他の白色ピクセル(例えば、テキスト文字の部分を形成するもの)が駆動され、新たに更新された白色ピクセルは、駆動されていない白色ピクセルより若干明るく、最終的に、差異は、訓練されていないユーザにさえ明白になるであろう。
【0075】
第2に、駆動されていないピクセルが更新されているピクセルに隣接して位置するとき、「ブルーミング」として公知である現象が起こり、駆動されたピクセルの駆動が、駆動されたピクセルのエリアよりわずかに大きいエリアにわたって光学状態の変化を引き起こし、本エリアが、隣接するピクセルのエリアの中に侵入する。そのようなブルーミングは、駆動されていないピクセルが駆動されたピクセルに隣接して位置するエッジに沿って、エッジ効果として現れる。類似エッジ効果は、領域更新の場合、エッジ効果が更新されている領域の境界で起こることを除き、領域更新(ディスプレイの特定の領域のみが、例えば、画像を示すように更新される)を使用するとき、起こる。経時的に、そのようなエッジ効果は、視覚的に煩わしく、取り除かれなければならない。これまで、そのようなエッジ効果(および駆動されていない白色ピクセルにおけるカラードリフトの効果)は、典型的に、間隔を置いて単一のGC更新を使用することによって、除去されてきた。残念ながら、そのような時折のGC更新の使用は、「閃光のような」更新という問題を再導入し得、実際に、更新の閃光性は、閃光のような更新が長い間隔を置いてのみ起こるという事実によって高められ得る。
【0076】
(残影および/またはブルーミング低減)
【0077】
図4は、CFAを伴う電気光学ディスプレイ(例えば、電気泳動ディスプレイまたはEPD)を駆動するために使用され得るいくつかの駆動モードまたはスキームを図示する。第1のGC駆動モード変形(すなわち、GC16)と第2のGC駆動モード変形(すなわち、GCC16)との間の比較が、
図4に示される。いくつかの実施形態では、GC16駆動モードは、黒色および白色表示用途に最良に好適である波形を含み、白色から白色への遷移(すなわち、W→W)波形は、黒色および/または白色にディスプレイピクセルを駆動するように設計された2つの完全な長パルスを有することができる。
例えば、ディスプレイピクセルを黒色に駆動するように構成された18フレームの持続時間と15ボルトの大きさとを伴う第1の部分502の後、ディスプレイピクセルを白色に駆動するように構成された18フレームの持続時間と負の15ボルトの大きさとを伴う第2の部分504が、続く(
図5参照)。一方、黒色から白色への遷移(すなわち、B→W)波形は、ピクセルを白色に駆動するように設計された単一の完全な長パルスを含むことができる。ある場合、GCC16駆動モードが、差動ブルーミング効果を低減させ得るので、カラー用途により良好に好適であり得る。差動ブルーミングは、切り替わるピクセルのフリンジフィールドが、その隣接ピクセルの光学状態に影響を及ぼすとき、生じ得る。レンダリングされた画像において、ピクセルレベルのサイズパターンが存在し得、ピクセルが、異なる光学状態に進む。または、ピクセルが、異なる波形を使用して、異なる初期光学状態から同じ光学状態に進み、結果として、ピクセルが、異なるブルーミングアーチファクトを経験し、それらは、若干異なる最終明度に達するであろう。全てのこれらのブルーミングアーチファクトは、差動ブルーミング残影に寄与する。GCC16駆動モードは、いくつかの実施形態では、GC16のそれと比較して、より長い更新時間を有し得る。例えば、
図4に図示されるように、GCC16黒色から白色への遷移(すなわち、B→W)波形は、GC16駆動スキームのそれより長くあることができる。GCC16B→W波形は、前部パルス402部分と、中間パルス部分404と、後部パルス部分とを含み得、各部分は、最適視認外観を達成するために、調節されることができる。
【0078】
GC駆動モードのさらに別の変形では、GL16モードは、GC16モードに類似するが、白色から白色への遷移は、ページが更新されるとき、画面の閃光を低減させるために、空の波形で駆動される(例えば、電圧は、ピクセルに印加されない)。例えば、白色背景上に黒色テキストを表示しているとき、テキストが更新されている間、背景ピクセルが白色から白色への遷移を通して進むので、電気光学ディスプレイの画面は、更新に起因して過度に閃光のように見えないであろう。
【0079】
ここで、
図6を参照すると、表1が、GL、GC16、およびGCC16駆動モードの説明を図示している。示されるように、GLまたはGL16モードは、テキストを表示するための最良性能を提供し得、GC16モードは、グレースケール画像のための最良性能を送達し得、GCC16モードは、カラー画像に最良に好適であり得る。また、3つのモードは、異なる光学状態遷移のための異なる波形を提供する。例えば、白色から白色への遷移またはW→W遷移に関して、GL16モードは、空の遷移波形を使用し得る一方、GC16およびGCC16の両方は、
図4に図示されるGC16W→W波形を使用し得、B→W遷移に関して、GL16およびGC16モードの両方は、
図4に図示されるGC16B→W波形を使用し得るが、GCC16モードは、
図4に図示されるGCC16B→W波形を使用し得、全ての他の遷移に関して、GL16およびGC16の両方は、GC16遷移波形を使用し得るが、GCC16モードは、GCC16遷移波形を使用するであろう。
【0080】
いくつかの実施形態では、単一モードが、異なる駆動モードから全ての異なる波形を含み、特定の表示用途に基づいて、波形を選択し、印加するように構成され得る。例えば、CFAを伴う双安定ディスプレイ等の電気光学ディスプレイに関連付けられ、双安定電気光学ディスプレイの動作を制御することが可能であるディスプレイコントローラまたは制御デバイスが、GL16/GC16/GCC16駆動モードからの全ての遷移波形を記憶するように構成されることができる。ディスプレイは、アルゴリズムを用いてプログラムされることができ、アルゴリズムは、ディスプレイが使用されている特定の表示用途に応じて、特定の遷移のための最良波形を選択する。例えば、
図7に示される表2に図示されるように、コントローラまたは制御デバイスが、特定の駆動モード、例えば、GCC16を起動することができるが、このコントローラまたは制御デバイスは、GL16/GC16/GCC16モードからの全ての波形を記憶するようにも構成され、白色から白色への遷移またはW→W遷移に関して、コントローラまたは制御デバイスは、ディスプレイがテキストに関して更新されている場合、空の波形を選択するか、または、代替として、ディスプレイがグレースケール画像またはカラー画像を用いて更新されている場合、GC16W→W遷移を選択することができる。同様に、コントローラまたは制御デバイスは、ディスプレイが、テキストまたはグレースケール画像を用いて更新されている場合、GC16B→W遷移波形を選択し得るが、代替として、ディスプレイがカラー画像を用いて更新されている場合、GCC16B→W遷移波形を選択することができる。この方式では、コントローラまたは制御デバイスは、ディスプレイ上で更新されている特定のタイプの画像に応じて、ディスプレイ上で最良画像品質を送達し得る波形を選択し、印加するように構成される。いくつかの実施形態では、ここで種々の駆動モードから全ての遷移波形を含むこの新しいモードに関して、GC16B→Wが、5ビット波形構造(例えば、1→32空間)内の空の空間に設置されることができ、空の空間が、空のW→W遷移(例えば、32→32)のために予約されることができる。現在の画像および次の画像のコンテンツに応じて、アルゴリズムは、波形状態番号を割り当てることができる。
【0081】
図7Bは、上で説明されるプロセスを要約するブロック図を図示する。ステップ702では、ディスプレイ上に表示されるべき画像がカラー画像であるかどうかが、決定されることができる。画像が、カラー画像である場合、GCC16B→W遷移波形およびGCC16/GC16W→W遷移波形が、使用されるべきであり、そうでなければ、画像がカラー画像ではない場合、GC16B→W遷移波形および空のW→W遷移波形が、使用されるべきである。
【0082】
さらに別の実施形態では、GLモードは、エッジ残影またはブルーミングアーチファクトを取り除くように構成されたアルゴリズム(例えば、Regalアルゴリズム)、例えば、米国特許第11,030,936号および米国特許出願第17/334,751号(本明細書にその全体として組み込まれる)に説明されるようなアルゴリズムを含むように、さらに修正され得る。これらのアルゴリズムは、隣接ピクセルからブルーミングを経験しているピクセルに、補正パルスを印加するように構成され得る。この新しい駆動モード(例えば、GLR16)は、ブルーミングによって引き起こされる最小限のテキスト残留物を伴って、白色背景を更新しながら、閃光を低減させるように機能することができる。
【0083】
別の実施形態では、新しいモード(例えば、GLRC16モード)が、GCC16およびGLR16モードの特性を含むように構築され得、1つのモードに異なるモードを統合し、各ピクセルのコンテンツに基づいて、使用されるべき最良波形を識別するためのアルゴリズムを使用することによって、カラー面積内の差動ブルーミング残影は、低く、テキストエリア内の背景に、閃光がない。
【0084】
図8は、本明細書に開示される主題によるEPD800等の電気光学ディスプレイを示すブロック図を図示する。ここで
図8を参照すると、EPD800は、ディスプレイ区分802と、コントローラ804と、中心処理ユニット(CPU)806と、ビデオRAM(VRAM)808と、ランダムアクセスメモリ(RAM)810と、ROM812とを含み得る。複数の区分は、バスを通して、相互に接続される。コントローラ804は、EPD800の制御デバイスに対応する。いくつかの実施形態では、コントローラ804と組み合わせられたCPU806とを含む部分が、EPD800のための制御デバイスとして定義され得ることを理解されたい。代替として、コントローラ804と、CPU806と、VRAM808と、RAM810と、ROM812との全体は、EPD800のための制御デバイスとして定義され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、コントローラ804は、ディスプレイ区分802上に表示されるべき画像を示す画像信号と、種々の種類の他の信号(クロック信号等)とを出力する。CPU806は、EPD800の動作を制御し、特に、VRAM808におけるディスプレイ区分802上に表示されるべき画像データを記憶することを制御するプロセッサである。VRAM808は、フレームバッファとして機能し得、CPU806による制御に基づいて、ディスプレイ区分802上に表示されるべき画像データを記憶する。
【0086】
いくつかの実施形態では、黒色および白色テキストおよびカラー画像等の異なるコンテンツが、同時に表示されている、EPD画面上で、カラー領域において、GCCまたは他の駆動スキームまたはカラーコンテンツのためには最適化されたモードが、使用され得る一方、黒色および白色領域において、他の駆動モードが、画像品質を最適化するために使用され得る。また、実装が、異なるモードを横断して更新時間を統一するように行なわれることができる。例えば、より高速のGLRモードが、追加の空またはゼロボルトが、更新時間においてより遅いGCCモードに合致するように駆動することを含むように修正され得る。いくつかの実施形態では、それは、5ビット波形の偶状態において、16グレートーンの間のGCCベースの遷移を投入し、黒色および白色モードのための奇状態(例えば、より高速のGLRベースの遷移)を使用することによって展開され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムが、表示用途に応じて、印加されるべき最良波形を選択するために、使用され得る。例えば:
【0088】
For 任意の順序における全てのピクセル
If ピクセルがカラー表示ピクセルである場合、Then GCC16B->W遷移およびGCC16またはGC16W->W遷移を印加する
Else
If ピクセルがグレースケール画像を表示している場合、Then GC16B->W遷移およびGCC16またはGC16W->W遷移を印加する
Else
If ピクセルが、エッジアーチファクト取り除きを必要とすることが識別される場合、Then GC16B->W遷移およびT W->W遷移を印加する
Else
GC16B->W遷移および空のW->W遷移を印加する
End
【0089】
ここで
図9を参照すると、本明細書に開示される主題による波形を選択するためのアルゴリズムを概略するフローチャートが、図示される。EPDの動作を制御するためのコントローラまたは制御が、1つのモードで起動しているが、他の駆動スキームまたはモードから利用可能な全ての波形を有し得、特定の表示用途のために最良好適である波形を選ぶように構成される。例えば、ステップ902では、ピクセルが、カラー画像ピクセルであるべきことが決定される場合、「はい」である場合、コントローラまたは制御デバイスは、B→W遷移のためのGCC16B→W波形と、W→W遷移のためのGCC16/GC16W→W波形とを選択するであろう(ステップ904参照)。そうでなければ、「いいえ」である場合、ピクセルがグレースケール画像を表示するために更新されているかどうかを決定することに進み(ステップ906参照)、「はい」である場合、コントローラまたは制御デバイスは、B→W遷移のためのGC16B→W波形と、W→W遷移のためのGCC16/GC16W→W波形とを選択するであろう(ステップ908参照)。「いいえ」である場合、ステップ910に進み、エッジ取り除きアルゴリズム(例えば、Regal)が、エッジアーチファクト(例えば、残影)を取り除くために必要とされるかどうかを決定し、「はい」である場合、コントローラまたは制御デバイスは、B→W遷移のためのGC16B→W波形と、W→W遷移のためのT W→W波形とを選択するであろう(ステップ912参照)。そうでなければ、「いいえ」である場合、ステップ914において、コントローラまたは制御デバイスは、B→W遷移のためのGC16B→W波形と、W→W遷移のための空の波形とを選択するであろう。
【0090】
図10は、例示的T W→W遷移波形1000を図示する。このT W→W遷移波形1000は、波形1000の内側に可変場所を伴う可変数のトウィドゥルパルス(twiddle pulse)1010と、トウィドゥルパルス1010に対して波形1000の内側に可変場所を伴う可変数のトップオフパルス(top-off pulse)1008とを含むことができる。いくつかの実施形態では、単一トップオフパルス1008は、負の15ボルトの振幅を伴う1つのフレームの駆動白色に対応し、トウィドゥルパルス1010は、負の15ボルトにおいて、白色への1つのフレーム駆動を伴う15ボルトにおいて、黒色への1つのフレーム駆動を含むことができる。トウィドゥルパルス1010は、多数の反復のために
図4Bに図示されるようにそれ自体を繰り返すことができ、トップオフパルス1008は、トウィドゥルパルス1010の前、トウィドゥルパルス1010の後、および/またはトウィドゥルパルス1010の間に、位置することができる。
【0091】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上で説明される本発明の具体的実施形態に行われ得ることが、当業者に明白であろう。故に、前述の説明の全体は、限定的ではなくて例証的な意味で解釈されるものである。
【国際調査報告】