IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】レチノールをベースとする組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20230630BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230630BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20230630BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230630BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/37
A61K8/41
A61K8/34
A61Q1/04
A61Q1/00
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574813
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2021065310
(87)【国際公開番号】W WO2021250008
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】2005957
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ナエマ・ヨウスフィ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワーズ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】マジョリ・リビイ
(72)【発明者】
【氏名】ガエターヌ・ダヴィド
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB152
4C083AB172
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC512
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD202
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB13
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC11
4C083CC13
4C083CC19
4C083DD31
4C083EE01
(57)【要約】
本発明は、特にケラチン物質をメーキャップ及び/又はケアするための組成物、特に化粧用組成物であって、少なくとも、レチノールと、ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメートと、エチレンジアミンジコハク酸塩と、アスコルビン酸若しくはその類似体及び/又はトコフェロール若しくはその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物とを含む組成物、特に化粧用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にケラチン物質をメーキャップ及び/又はケアするための組成物、特に化粧用組成物であって、少なくとも、
- レチノールと;
- ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメートと;
- エチレンジアミンジコハク酸塩と;
- アスコルビン酸若しくはその類似体及び/又はトコフェロール若しくはその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と
を含む組成物、特に化粧用組成物。
【請求項2】
前記組成物の総質量に対して0.02質量%~5.0質量%、好ましくは0.05質量%~3.0質量%、特に0.08質量%~1.0質量%、より優先的には0.1質量%~0.5質量%のレチノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の総質量に対して0.01質量%~2.5質量%、好ましくは0.05質量%~1.5質量%、より優先的には0.1質量%~0.3質量%のジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメートを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の総質量に対して0.01質量%~2.5質量%、好ましくは0.05質量%~1.5質量%、より優先的には0.07質量%~0.3質量%のエチレンジアミンジコハク酸塩を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の総質量に対して0.05質量%~0.50質量%、好ましくは0.05質量%~0.3質量%、より優先的には0.1質量%~0.2質量%のアスコルビン酸又はその類似体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の総質量に対して0.01質量%~1質量%、好ましくは0.05質量%~0.5質量%、より優先的には0.1質量%~0.2質量%のトコフェロール又はその誘導体を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アスコルビン酸又はその類似体は、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル及びリン酸アスコルビルマグネシウムから選択され;前記アスコルビン酸又はその類似体は、好ましくは、アスコルビン酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記トコフェロール及びその誘導体は、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール及びγ-トコフェロール又はその異性体から選択され;前記トコフェロール及びその誘導体は、優先的には、α-トコフェロールであり;前記トコフェロール及びその誘導体は、好ましくは、DL-α-トコフェロールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル及びリン酸アスコルビルマグネシウムから選択されるアスコルビン酸又はその類似体を含み;好ましくはアスコルビン酸を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
アスコルビン酸及びトコフェロール、好ましくはアスコルビン酸及びα-トコフェロールを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記エチレンジアミンジコハク酸塩は、エチレンジアミンジコハク酸のカリウム、ナトリウム及びアンモニウム塩並びにアミン塩から選択され、好ましくはエチレンジアミンジコハク酸三ナトリウムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート/エチレンジアミンジコハク酸塩の質量比は、0.1~3であり、好ましくは0.2~1.5の範囲である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
0.2質量%未満、特に0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%未満、より優先的には0.01質量%未満のブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩を含むか又は更にそれを全く含まないことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種のUV遮蔽剤も含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油も含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
少なくともグリセロールも含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ケラチン物質をケアするための化粧用組成物であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
ケラチン物質、特に皮膚及び/又は口唇をメーキャップ及び/又はケアするための、好ましくはケアするための美容的方法であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に適用する少なくとも1つのステップを含む美容的方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質のケア及び/又はメーキャップの分野、特にケラチン物質、特に皮膚のアンチエイジングケアの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的のために、「ケラチン物質」という用語は、特に、皮膚、口唇及び/又は睫毛、特に皮膚及び/又は口唇、好ましくは身体及び/又は顔、より優先的には顔の皮膚を指す。
【0003】
皮膚の老化は、内的因子及び外的因子が皮膚に影響を及ぼすことによって起こる。この老化の過程中、皮膚の構造及び機能を損なう変化が現れる。こうした皮膚の代謝の変化に起因する主要な臨床的徴候がシワ及び小ジワの出現であり、その原因は、組織が弛み、弾力を失うことである。
【0004】
更に、皮膚に変化を生じさせる自然老化により、特に皮膚細胞の再生速度が遅くなり、これは、主として、皮下脂肪組織の減少並びに細かいシワ及び小ジワの出現などの好ましくない臨床的変化の出現、弾性線維の数及び太さの増加、弾性組織の膜から垂直方向に走る線維の消失並びにこの弾性組織の細胞内に大きく不規則な線維芽細胞が存在することなどの病理組織学的変化に表れる。
【0005】
このような皮膚の老化の徴候を、老化に対抗することが可能な活性剤を含有する化粧用又は皮膚科学的組成物を使用して処置することは、公知の手法であり、レチノイド類は、活性剤を代表する公知の一群である。
【0006】
レチノイド系の化合物の中でも、ビタミンAの形態の1つであるレチノールに特に注目が集まっている。具体的には、レチノールは、人体に天然に存在する内在成分である。更に、これは、レチノイン酸よりもはるかに高い濃度で皮膚に適用しても十分に許容される。
【0007】
しかしながら、レチノールを局所適用するために化粧用又は皮膚科学的組成物に導入すると、レチノールは、光、酸素、金属イオン、酸化剤、水の影響を受けて又は特に温度の上昇によって急速に分解する。
【0008】
レチノールの分解を示す徴候の1つは、それが使用されている化粧用組成物の匂いの変化である。
【0009】
具体的には、レチノールが分解すると、使用者が特に不快に感じて使いにくくなるような匂いも発生し、これによりレチノールの化粧用組成物への使用が制限される可能性がある。
【0010】
レチノールの熱分解は、特に、(非特許文献1)に発表された研究の主題にもなっている。
【0011】
その結果、化粧用組成物に配合されたレチノールは、不安定になるため、このような配合物に含まれるレチノールを安定化させることが既に提案されている。
【0012】
例えば、文献(特許文献1)は、水中油型エマルション形態における化粧用組成物中のレチノールを、少なくとも1種の脂溶性抗酸化活性剤及び/又は少なくとも1種の金属イオン封鎖剤を使用することによって安定化させることを提案している。抗酸化活性剤の例として、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。更に、金属イオン封鎖剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその誘導体が挙げられる。
【0013】
しかしながら、BHTは、人体に有毒な可能性があることから、議論の対象になっている化合物である。その上、EDTA及びBHTは、環境に優しくもなければ、生分解性を有するわけでもない。更に、この系は、組成物の匂いが変化する問題を解決できていない。
【0014】
また、文献(特許文献2)は、レチノールと、キレート剤、例えばEDTA及び酸化防止剤を含む安定化系とを含む油中水型エマルションを記載している。前記文献によれば、脂溶性酸化防止剤及び水溶性酸化防止剤からなる系で安定化されたレチノールを含む油中水型エマルションを調製することもできる。
【0015】
しかしながら、たとえEDTA及びBHTの組合せが、油中水型エマルション形態における組成物中のレチノールを安定化させることができることが前記文献に教示されていても、組成物が水中油型エマルションの形態で配合されている場合、この種の組合せには効果がないようである。
【0016】
したがって、特にケラチン物質の老化の徴候に対抗するために有効であり、前記組成物の保管時及びまたその繰り返しの使用中の両方において、長期間にわたり安定である、レチノールを含む化粧用組成物が依然として求められている。
更に、このような化粧用組成物は、特に環境的観点において且つ/又は特に心地よい匂い及び心地よい色などの使用者の期待に沿う官能特性を考慮して、消費者の要求に応えることも求められている。
更に、組成物の提供形態に関わらず、化粧用組成物中のレチノールを十分に安定化させることも依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第96/07396号パンフレット
【特許文献2】国際公開第93/00085号パンフレット
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】J.Soc.Cosm.Chem.46,191-198(July-August 1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、特にこれらの要求を満たすことに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、その第1の態様によれば、本発明は、特にケラチン物質をメーキャップ及び/又はケアするための組成物、特に化粧用組成物であって、少なくとも、
- レチノールと;
- ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメートと;
- エチレンジアミンジコハク酸塩と;
- アスコルビン酸若しくはその類似体及び/又はトコフェロール若しくはその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と
を含む組成物、特に化粧用組成物に関する。
【0021】
この組成物は、特にケラチン物質をメーキャップ及び/又はケアするための組成物、特に化粧用組成物であって、少なくとも、
- レチノールと;
- ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメートと;
- エチレンジアミンジコハク酸塩と;
- アスコルビン酸又はその類似体から選択される少なくとも1種の化合物、好ましくはアスコルビン酸と
を含む組成物、特に化粧用組成物にも関する。
【0022】
この組成物は、特にケラチン物質をメーキャップ及び/又はケアするための組成物、特に化粧用組成物であって、少なくとも、
- レチノールと;
- ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメートと;
- エチレンジアミンジコハク酸塩と;
- アスコルビン酸又はその類似体から選択される少なくとも1種の化合物、好ましくはアスコルビン酸と;
- トコフェロール又はその誘導体、好ましくはトコフェロールから選択される少なくとも1種の化合物と
を含む組成物、特に化粧用組成物にも関する。
【0023】
驚くべきことに、本発明者らは、少なくとも1種のジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート化合物と、少なくとも1種のエチレンジアミンジコハク酸塩と、アスコルビン酸若しくはその類似体及び/又はトコフェロール若しくはその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物とを組み合わせることにより、化粧用組成物に含まれるレチノールを有効に安定化させることが可能になることを確認した。
【0024】
具体的には、実施例において後に示すように、本発明による組成物は、その中に含まれるレチノール化合物の経時的な損失が低い範囲で安定である。
【0025】
有利には、本発明による組成物は、議論のある成分の含有量が低く、特に0.2質量%未満のブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はこれらの誘導体を含み、好ましくは議論のある成分を一切含まず、特にブチルヒドロキシトルエン(BHT)若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はこれらの誘導体を含まない。
【0026】
他の態様によれば、本発明は、レチノールを含む組成物、特に化粧用組成物において、組成物中のレチノール化合物の分解を遅らせるか又は更に阻止するために、少なくともジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメートと、少なくとも1種のエチレンジアミンジコハク酸塩と、アスコルビン酸若しくはその類似体及び/又はトコフェロール若しくはその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物とを使用することにも関する。
【0027】
本発明による組成物は、特にケラチン物質をケア及び/又はメーキャップするための、好ましくはケラチン物質をケアするために使用される。
【0028】
したがって、他の態様によれば、本発明は、ケラチン物質、特に皮膚及び/又は口唇をメーキャップ及び/又はケアするための、好ましくはケアするための美容的方法であって、本発明による組成物を前記ケラチン物質に適用する少なくとも1つのステップを含む美容的方法に更に関する。
【0029】
本発明による組成物の他の特徴、変形形態及び利点は、以下の記載及び実施例を読むことでより明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
レチノール
上に述べたように、本発明による組成物は、ビタミンAとしても知られるレチノールを含む。
【0031】
本発明の目的のために、「レチノール」という用語は、レチノールのあらゆる異性体、特にall-trans-レチノール、13-cis-レチノール、11-cis-レチノール、9-cis-レチノール及び3,4-ジデヒドロレチノールを指す。
【0032】
好ましくは、all-trans-レチノールが使用される。
【0033】
特に、本発明による組成物は、有効量のレチノールを含む。
【0034】
本発明の目的のために、「有効量」という用語は、それを作用させることにより所望の効果をもたらす、特にケラチン物質の老化の徴候を低減するレチノールの量を指す。
【0035】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して少なくとも0.02質量%のレチノールを含む。
【0036】
より詳細には、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して0.02質量%~5.0質量%、特に0.05質量%~3.0質量%、好ましくは0.08質量%~1.0質量%、より優先的には0.1質量%~0.5質量%のレチノールを含むことができる。
【0037】
レチノール含有量は、組成物に導入されたレチノールの、固形分含有量としても知られる活性物質の含有量に対応することが理解される。
【0038】
特定の実施形態の変形形態によれば、レチノールは、植物油などの油、例えばダイズ油に溶解された形態において、油中の含有量を特に5質量%~20質量%の範囲、好ましくは約10質量%として組成物に導入することができる。
【0039】
最も具体的には、BASF社から特にRetinol 10SUの名称で販売されている、ダイズ油中に活性物質を10質量%の含有量で含むものが使用に適している。
【0040】
他の特定の実施形態の変形形態によれば、カプセル化された形態のレチノールも使用することができる。
【0041】
ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
本発明による組成物は、少なくともジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメートも含む。
【0042】
ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート又はテトラ-ジ-t-ブチルペンタエリスリチルヒドロキシヒドロシンナメートは、ケイ皮酸及びその誘導体の群に属する化合物であり、そのCAS番号は、6683-19-8である。
【0043】
一例として、BASF社からTinogard TT(登録商標)の名称で販売されているジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート化合物を挙げることができる。
【0044】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して0.01質量%~2.5%質量%、好ましくは0.05質量%~1.5%質量%、より優先的には0.1質量%~0.3%質量%のジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート化合物を含む。
【0045】
エチレンジアミンジコハク酸塩
本発明による組成物は、少なくとも1種のエチレンジアミンジコハク酸塩も含む。
【0046】
エチレンジアミンジコハク酸は、式:
[化学式1]
【化1】
の化合物である。
【0047】
好ましくは、エチレンジアミンジコハク酸塩は、アルカリ金属塩、例えばカリウム塩及びナトリウム塩、アンモニウム塩並びにアミン塩から選択される。より詳細には、エチレンジアミンジコハク酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0048】
好ましくは、本発明に従って使用されるエチレンジアミンジコハク酸塩は、エチレンジアミンジコハク酸三ナトリウムである。
【0049】
この種の化合物は、例えば、Innospec Active Chemicals社からNatrlquest(登録商標)E30の名称で販売されている化合物又はOctel Performance Chemicals社からOctaquest E30(登録商標)の名称で販売されている化合物である。
【0050】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して0.01質量%~2.5%質量%、好ましくは0.05質量%~1.5質量%、好ましくは0.05質量%~0.5質量%、より優先的には、0.07質量%~0.3質量%のエチレンジアミンジコハク酸塩を含む。
【0051】
エチレンジアミンジコハク酸塩の含有量は、組成物に導入されたエチレンジアミンジコハク酸塩の、固形分含有量としても知られる活性物質の含有量に対応することが理解される。
【0052】
特定の実施形態の変形形態によれば、エチレンジアミンジコハク酸塩は、特に、水中に25質量%~50質量%の範囲、好ましくは35質量%~40質量%の範囲の含有量で水に溶解した形態で組成物中に導入することができる。
【0053】
この種の化合物は、例えば、Innospec Active Chemicals社からNatrlquest(登録商標)E30の名称で販売されている化合物であり、水中に37質量%含有されている。
【0054】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート化合物及び少なくとも1種のエチレンジアミンジコハク酸塩を、ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート化合物/エチレンジアミンジコハク酸塩の質量比が0.1~3の範囲、好ましくは0.2~1.5の範囲となるように含む。
【0055】
アスコルビン酸及びその類似体
本発明による組成物は、少なくともアスコルビン酸及び/又はその類似体も含むことができる。
【0056】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくともアスコルビン酸及び/又はその類似体を含む。
【0057】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、アスコルビン酸を含む。一例として、アスコルビン酸は、DSM Nutritional Products社からAscorbic Acid Fine Powder(登録商標)の商品名で販売されている。
【0058】
ビタミンCとしても知られるアスコルビン酸は、特に、天然の産物から抽出することができるL体であり得る。一例として、本発明によるアスコルビン酸は、Northeast General Pharmaceutical Factory社からAscorbic Acid EP/BP/USP/FCC/E300(登録商標)の商品名又はCSPC Weisheng Pharmaceutical社からAscorbic Acid 100 Mesh(登録商標)の名称で販売されている。
【0059】
本発明によるアスコルビン酸の類似体は、アスコルビン酸の塩、エステル、エーテル及び糖から選択される。
【0060】
特定の一実施形態において、本発明によるアスコルビン酸類似体は、アスコルビン酸の単糖エステルの形態又はリン酸化アスコルビン酸の金属塩の形態である。
【0061】
本発明に使用することができるアスコルビン酸の単糖エステルは、特に、アスコルビン酸のグリコシル、マンノシル、フルクトシル、フコシル、ガラクトシル、N-アセチルグルコサミン及びN-アセチルムラミン酸誘導体並びにこれらの混合物、例えば6-O-β-D-ガラクトピラノシルL-アスコルビン酸である。後者の化合物及びそれを調製するための方法は、特に、文献欧州特許出願公開第487404A号明細書、欧州特許出願公開第425066A号明細書及び特開平05213736号公報に記載されている。
【0062】
リン酸化アスコルビン酸の金属塩に関しては、アルカリ金属のアスコルビルホスフェート、アルカリ土類金属のアスコルビルホスフェート及びマグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム又は亜鉛などの遷移金属のアスコルビルホスフェート;例えば、リン酸アスコルビルマグネシウムから選択することができる。
【0063】
アスコルビン酸の類似体は、より詳細には、その塩、特にアスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム若しくはリン酸アスコルビルナトリウムなど、そのエステル、特に酢酸、プロピオン酸若しくはパルミチン酸エステルなど、例えばパルミチン酸アスコルビル又はその糖、特にグリコシルアスコルビン酸などである。
【0064】
本発明による特定の一実施形態によれば、アスコルビン酸類似体は、以下の式に対応し、式中、R、及びR、及びRは、水素原子に対応し、Rは、飽和又は不飽和の直鎖の、任意選択的に分岐のC~C16アルキル基、好ましくは非分岐の飽和直鎖C15基に対応する。
[化学式2]
【化2】
【0065】
一例として、アスコルビン酸類似体は、より詳細には、DSM Nutritional Products社からAscorbyl palmitateの商品名で入手可能なパルミチン酸アスコルビル(又は6-O-パルミトイルアスコルビン酸)であり得る。
【0066】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、アスコルビン酸及び/又はその類似体の1種を含み、前記類似体は、アスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸の塩、上に定義した化学式2から選択されるアスコルビン酸類似体、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム及びパルミチン酸アスコルビルから選択される。
【0067】
本発明による特に好ましい一実施形態において、組成物は、アスコルビン酸を含む。
【0068】
特定の実施形態の変形形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して0.025質量%~1質量%、好ましくは0.05質量%~0.50質量%、より優先的には0.05質量%~0.3質量%、特に0.1質量%~0.3質量%、好ましくは0.1質量%~0.2質量%のアスコルビン酸及び/又はその類似体を含む。
【0069】
本発明による特定の好ましい一実施形態において、組成物は、アスコルビン酸を含む。
【0070】
トコフェロール及びその誘導体
本発明による組成物は、少なくともトコフェロール及び/又はその誘導体も含むことができる。
【0071】
特定の実施形態において、本発明による組成物は、少なくともα-トコフェロールを含む。
【0072】
ビタミンEは、4種のトコフェロール(α-、β-、δ-及びγ-トコフェロール)及び4種のトコトリエノール(α-、β-、δ-及びγ-トコトリエノール)の8種の一連の有機分子を包含する脂溶性ビタミンである。
【0073】
本発明によるトコフェロールは、特に、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール及びγ-トコフェロール若しくはこれらの異性体並びに/又はこれらの混合物から選択される。
【0074】
本発明によれば、α-トコフェロールが好ましく、これは、様々な形態:D-α-トコフェロール、L-α-トコフェロール及びDL-α-トコフェロールとして存在する。
【0075】
本発明によれば、特に好ましくは、トコフェロールは、DL-α-トコフェロールである。
【0076】
一例として、DL-α-トコフェロールは、DSM Nutritional Products社からDL Alpha Tocopherol(登録商標)の商品名で販売されている。
【0077】
本発明によるトコフェロール誘導体は、特に、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール及びニコチン酸トコフェロールなどのエステルから選択される。
【0078】
特定の実施形態の変形形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して0.01質量%~1質量%、好ましくは0.05質量%~0.5質量%、より優先的には0.1質量%~0.2質量%のトコフェロール及び/又はその誘導体を含む。
【0079】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、少なくともアスコルビン酸及び/又はその類似体並びにトコフェロール及び/又はその誘導体を含む。
【0080】
好ましくは、本発明による組成物は、アスコルビン酸及びトコフェロールを含み、特にトコフェロールは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール若しくはその異性体及び/又はこれらの混合物から選択され、好ましくはα-トコフェロールである。
【0081】
本発明の特定の実施形態において、組成物は、レチノール、ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート、少なくとも1種のエチレンジアミンジコハク酸塩、アスコルビン酸を含む。
【0082】
好ましくは、本発明による組成物、特に本発明による化粧用組成物は、レチノール、ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート、少なくとも1種のエチレンジアミンジコハク酸塩、アスコルビン酸及びトコフェロール、好ましくはDL-α-トコフェロールを含む。
【0083】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物、特に本発明による化粧用組成物は、少なくとも、組成物の総質量に対して、
- 0.08質量%~1.0質量%のレチノール、
- 0.1質量%~0.3質量%のジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート、
- 0.05質量%~1.5質量%のエチレンジアミンジコハク酸塩、
- 0.05質量%~0.50質量%のアスコルビン酸、
- 0.05質量%~1質量%のDL-α-トコフェロール
を含む。
【0084】
水性相
本発明による組成物は、概して、有効量のレチノール、ジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート及びエチレンジアミンジコハク酸塩を混合して、本発明による組成物、特に化粧用組成物を形成するための、化粧的に許容される媒体を構成する少なくとも1つの水性相及び/又は少なくとも1つの油性相を含む。
【0085】
具体的には、水性相は、本発明による組成物中において、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~85質量%、好ましくは30質量%~80質量%、より優先的には50質量%~80質量%の範囲の含有量で存在する。
【0086】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、無水である、即ち組成物の総質量に対して5質量%未満、好ましくは3質量%未満、より詳細には1質量%未満の水を含む。
【0087】
水性相は、水及び任意選択的に水溶性溶媒を含む。
【0088】
本発明による「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であり、水混和性(水との混和性が25℃の大気圧下で50質量%を超える)である化合物を表す。
【0089】
本発明の組成物中に使用することができる水溶性溶媒は、更に揮発性であり得る。
【0090】
本発明による組成物中に使用することができる水溶性溶媒の中でも、特に1~5個の炭素原子を含む低級一価アルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、2~8個の炭素原子を含むグリコール、例えばエチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコール、C及びCケトン並びにC~Cアルデヒドを挙げることができる。
【0091】
代替的な実施形態によれば、本発明による組成物の水性相は、少なくとも1種のC~C32ポリオールを含み得る。
【0092】
本発明の目的のために、「ポリオール」という用語は、少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を含むあらゆる有機分子を意味すると理解すべきである。
【0093】
好ましくは、本発明によるポリオールは、室温において液体形態で存在する。
【0094】
本発明に使用するのに適したポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2個の-OH基、特に少なくとも3個の-OH基、より詳細には少なくとも4個の-OH基を有する、直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和のアルキル型の化合物であり得る。
【0095】
本発明による組成物を配合するのに特に好適なポリオールは、特に2~32個の炭素原子、好ましくは3~16個の炭素原子を含むものである。
【0096】
ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、グリセロールオリゴマーなどのポリグリセロール、例えばジグリセロール及びポリエチレングリコール並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0097】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ポリオールは、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物から選択される。
【0098】
本発明の好ましい一態様によれば、本発明の組成物は、1,3-プロパンジオール、カプリリルグリコール、グリセロール及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むことができる。
【0099】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくともグリセロールも含む。
【0100】
油性相
本発明に従って使用される組成物が油性相を含む場合、これは、好ましくは、少なくとも1種の油、特に化粧用油を含む。これは、他の脂肪性物質も含有し得る。
【0101】
「油」という用語は、室温(20℃)の大気圧(760mmHg)下で液体である、水と非混和性の非水性化合物を意味する。
【0102】
本発明による、特に化粧用組成物を調製するのに好適な油性相は、炭化水素系油、シリコーン油、フッ素系油若しくは非フッ素系油又はこれらの混合物を含み得る。
【0103】
油は、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0104】
これらは、動物、植物、鉱物又は合成由来のものであり得る。代替的な一実施形態によれば、シリコーン由来の油が好ましい。
【0105】
「不揮発性油」という用語は、室温の大気圧下における蒸気圧がゼロではなく、10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を指す。
【0106】
本発明の目的のために、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含み、特に少なくとも1個のSi-O基を含む油を意味する。
【0107】
「フッ素系油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味する。
【0108】
「炭化水素系油」という用語は、主として水素及び炭素原子を含む油を意味する。
【0109】
油は、任意選択的に、例えば水酸基又は酸基の形態の酸素、窒素、硫黄及び/又はリン原子を含み得る。
【0110】
本発明の目的のために、「揮発性油」という用語は、皮膚と接触すると、室温の大気圧下において1時間未満で蒸発することが可能な任意の油を意味する。揮発性油は、揮発性の化粧用油であり、これは、室温下で液体であり、特に蒸気圧が室温の大気圧下でゼロでなく、特に蒸気圧が0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)、特に1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)、より詳細には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲であるものである。
【0111】
揮発性油
揮発性油は、炭化水素系油又はシリコーン油であり得る。
【0112】
8~16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素系油の中でも、特に分岐C~C16アルカン、例えばC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン及び例えばIsopar又はPermethylの商品名で販売されている油、分岐C~C16エステル、例えばネオペンタン酸イソヘキシル並びにこれらの混合物を挙げることができる。特に、揮発性炭化水素系油は、8~16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素系油及びこれらの混合物から選択される。
【0113】
8~16個の炭素原子、特に10~15個の炭素原子、より詳細には11~13個の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカン、例えばSasolによってそれぞれ参照名Parafol 12-97及びParafol 14-97で販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)に加えて、これらの混合物であるウンデカン-トリデカン混合物、Cognis社からの特許出願である国際公開第2008/155059号パンフレットの実施例1及び2で得られるn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物並びにこれらの混合物も挙げられる。
【0114】
揮発性シリコーン油としては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサンなどの揮発性直鎖シリコーン油が挙げられる。
【0115】
揮発性環状シリコーン油としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン、特にシクロヘキサシロキサンが挙げられる。
【0116】
不揮発性油
不揮発性油は、特に、不揮発性炭化水素系油、フッ素系油及び/又はシリコーン油から選択することができる。
【0117】
不揮発性炭化水素系油として、特に以下を挙げることができる:
- 動物由来の炭化水素系油、
- 植物由来の炭化水素系油、10~40個の炭素原子を含む合成エーテル、例えばジカプリルエーテル、
- 合成エステル、例えば式RCOOR(式中、Rは、1~40個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の脂肪酸基を表し、Rは、1~40個の炭素原子を含む、特に分岐の炭化水素系鎖を表し、但し、R+Rは、10以上である)の油(このエステルは、特に、アルコール及び脂肪酸エステル、例えばオクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、水酸化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アルコール又は多価アルコールリシノレエート、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル及びイソノナン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル及びイソノナン酸イソトリデシルである)、
- ポリオールエステル及びペンタエリトリトールエステル、例えばテトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、
- 12~26個の炭素原子を含む分枝及び/又は不飽和の炭素系鎖を有する、室温で液体の脂肪アルコール、例えば2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオレイルアルコール、
- C12~C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びこれらの混合物;
- カーボネート、例えば炭酸ジカプリリル、
- 非フェニルシリコーン油、例えばカプリリルメチコン、及び
- フェニルシリコーン油、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、100cSt以下の粘度を有するジメチコン又はフェニルトリメチコン及びトリメチルペンタフェニルトリシロキサン並びにこれらの混合物、並びに
これらの様々な油の混合物。
【0118】
特に、本組成物は、特に、不揮発性無極性炭化水素系油、不揮発性エステル油及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の不揮発性油も含むことができる。
【0119】
本発明の目的のために、「無極性油」という用語は、25℃における溶解度パラメータδが0(J/cm1/2である油を意味する。
【0120】
ハンセン3次元溶解度空間における溶解度パラメータの定義及び計算は、C.M.Hansenによる論文:“The three dimensional solubility parameters”,J.Paint Technol.39,105(1967)に記載されている。
【0121】
このハンセン空間によると、
- δは、分子が影響し合うことにより誘起される双極子の形成により生じるロンドン分散力を特徴付け;
- δは、永久双極子間に作用するDebye相互作用力及び誘起双極子と永久双極子との間に作用するKeesom相互作用力を特徴付け;
- δは、特定の相互作用(水素結合、酸/塩基、供与体/受容体など)の力を特徴付け;
- δは、式δ=(δp+δh1/2により求められる。
【0122】
パラメータδ、δ、δ及びδは、(J/cm1/2単位で表される。
【0123】
特に、不揮発性無極性炭化水素系油は、酸素原子を含まない。
【0124】
好ましくは、不揮発性無極性炭化水素系油は、鉱物又は合成由来の直鎖又は分岐炭化水素から選択することができる。特に、これは、以下から選択することができる:
- 流動パラフィン又はその誘導体、
- 流動ワセリン、
- ナフタレン油、
- ポリブテン、特にAmoco社から販売又は製造されているIndopol H-100(モル質量、即ちM=965g/mol)、Indopol H-300(M=1340g/mol)及びIndopol H-1500(M=2160g/mol)、
- ポリイソブテン及び水添ポリイソブテン、特に日油株式会社(Nippon Oil Fats)から販売されているParleam(登録商標)、Amoco社から販売又は製造されているPanalane H-300 E(M=1340g/mol)、Synteal社から販売又は製造されているViseal 20000(M=6000g/mol)及びWitco社から販売又は製造されているRewopal PIB 1000(M=1000g/mol)、
- (デセン/ブテン)コポリマー及び(ポリブテン/ポリイソブテン)コポリマー、特にIndopol L-14、
- ポリデセン及び水添ポリデセン、特にMobil Chemicals社から販売又は製造されているPuresyn 10(M=723g/mol)及びPuresyn 150(M=9200g/mol)、並びに
- これらの混合物。
【0125】
前記不揮発性油は、特に18~70個の炭素原子を含むエステル油でもあり得る。
【0126】
その例として、モノエステル、ジエステル又はトリエステルを挙げることができる。
【0127】
エステル油は、特にヒドロキシル化され得る。
【0128】
不揮発性エステル油は、好ましくは、以下から選択することができる:
- 全体で18~40個の炭素原子を含むモノエステル、特に式RCOOR(式中、Rは、4~40個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の脂肪酸残基を表し、Rは、特に分岐の、4~40個の炭素原子を含む炭化水素系鎖を表し、但し、R+Rは、18以上である)のモノエステル、例えばPurcellin油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C12~C15アルコール安息香酸ベンゾエート、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、セバシン酸ジイソプロピル、安息香酸2-オクチルドデシル、アルコール又は多価アルコールのオクタンオクタノエート、デカノエート又はリシノレエート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸2-ジエチルヘキシル(好ましくは、これらは、式RCOORのエステルであり、式中、Rは、4~40個の炭素原子を含む直鎖又は分枝の脂肪酸残基を表し、Rは、4~40個の炭素原子を含む、特に分岐の炭化水素系鎖を表し、R及びRは、R+Rが18以上となるようなものである。好ましくは、エステルは、合計18~40個の炭素原子を含む。好ましいモノエステルとしては、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル及び/又はネオペンタン酸2-オクチルドデシルを挙げることができる);
- ジエステル、特に全体で18~60個の炭素原子を有し、特に全体で18~50個の炭素原子を有するジエステル(特にジカルボン酸とモノアルコールとのジエステル、好ましくはリンゴ酸ジイソステアリルなど、又はモノカルボン酸のグリコールジエステル、例えばジヘプタン酸ネオペンチルグリコール又はジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、特にAlzo社からDermol DGDISの商品名で販売されている化合物などを使用することができる);
- トリエステル、特に全体で35~70個の炭素原子を含むもの、特にトリカルボン酸のトリエステル、例えばクエン酸トリイソステアリル若しくはトリメリト酸トリデシル又は一価カルボン酸のグリコールトリエステル、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2など;
- テトラエステル、特に炭素の総数が35~70個の範囲であるもの、例えばモノカルボン酸のペンタエリスリトール又はポリグリセロールテトラエステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル;
- 不飽和脂肪酸二量体及び/又は三量体とジオールとの縮合により得られるポリエステル、例えば特許出願である仏国特許出願公開第0853634号明細書に記載されているもの、特にジリノール酸及び1,4-ブタンジオールの縮合により得られるものなど(これに関しては、特にBiosynthisからViscoplast 14436Hの名称で販売されているポリマー(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)又はポリオールとダイマー二酸とのコポリマー及びそのエステル、例えばHailucent ISDAを挙げることができる);
- ダイマージオール(diol dimer)とモノカルボン酸又はジカルボン酸とのエステル及びポリエステル、例えばダイマージオールと脂肪酸とのエステル及びダイマージオールとダイマージカルボン酸、特に不飽和脂肪酸、特に不飽和C~C34、特にC12~C22、特にC16~C20、より詳細にはC18脂肪酸を二量化することにより得られるダイマージカルボン酸から得ることができるものとのエステル、例えばジリノール酸(とダイマージリノレイルアルコールとのエステル、例えば日本精化株式会社(Nippon Fine Chemical)からLusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)の商品名で販売されているもの;
- (ビニルピロリドン/1-ヘキサデセン)コポリマー、例えばISP社からAntaron V-216の名称で販売されている製品(Ganex V216としても知られる)(M=7300g/mol);
- 炭化水素系植物油、例えば脂肪酸(室温下で液体であるもの)、特に7~40個の炭素原子を含む脂肪酸のトリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又はホホバ油(特に飽和トリグリセリド、例えばトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリヘプタン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル及びC1836酸トリグリセリド、例えばStearineries DuboisからDUB TGI 24の参照名で販売されているもの並びに不飽和トリグリセリド、例えばヒマシ油、オリーブ油、ハマナツメモドキ種子油(ximenia oil)、ペンタクレスラマクロロバ種子油(pracaxi oil)などを挙げることができる);並びに
- これらの混合物。
【0129】
油性相中に存在し得る他の脂肪性物質は、例えば、8~30個の炭素原子を含む脂肪酸、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸;ワックス、例えばラノリン、蜜ろう、カルナウバろう又はキャンデリラろう、パラフィンろう、亜炭ワックス又は微結晶ワックス、セレシン又はオゾケライト及び合成ワックス、例えばポリエチレンワックス及びフィッシャー・トロプシュ・ワックス;シリコーン樹脂、例えばトリフルオロメチル-C~Cアルキルジメチコン及びトリフルオロプロピルジメチコン;並びにシリコーンエラストマー、例えばShin-Etsu社からKSGの名称でDow Corning社からTrefil若しくはBY29の名称又はGrant Industries社からGransilの名称で販売される製品である。
【0130】
これらの脂肪性物質は、例えば、粘稠性又は質感の観点で所望の特性を有する組成物を調製することを目的として、当業者によって様々な手法で選択することができる。
【0131】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の脂肪性物質を含む脂肪性相を含む。
【0132】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性炭化水素系油、好ましくは少なくとも1種の無極性炭化水素系油を含む。
【0133】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも2種の不揮発性炭化水素系油及び1種の不揮発性エステル油を含む。
【0134】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性脂肪酸トリグリセリド、1種の不揮発性カーボネート油及び1種の不揮発性エステル油を含む。
【0135】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくともトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、炭酸ジカプリリル及びセバシン酸ジイソプロピルを含む。
【0136】
好ましくは、油性相は、本発明による組成物中において、前記組成物の総質量に対して5質量%~50質量%、好ましくは10質量%~35質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0137】
サンスクリーン剤
本発明による組成物は、1種又は複数のUV遮蔽剤を含むことができる。
【0138】
したがって、好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のUV遮蔽剤も含む。
【0139】
特に、本発明に使用するのに適したUV遮蔽剤は、水溶性UV遮蔽剤、脂溶性UV遮蔽剤、不溶性UV遮蔽剤及びこれらの混合物から選択される。これらのUV遮蔽剤の中では、水溶性有機遮蔽剤、脂溶性有機遮蔽剤、不溶性有機遮蔽剤及び無機遮蔽剤を区別することができる。
【0140】
「水溶性UV遮蔽剤」という用語は、水性相中に完全に溶解するか若しくは分子形態で混和することが可能であるか、又は水性相中にコロイド形態(例えば、ミセル形態)で溶解することが可能である、紫外放射を遮蔽するための任意の化合物を意味する。
【0141】
「脂溶性UV遮蔽剤」という用語は、脂肪性相中に完全に溶解するか若しくは分子形態で混和することが可能であるか、又は脂肪性相中にコロイド形態(例えば、ミセル形態)で溶解することが可能である、紫外放射を遮蔽するための任意の化合物を意味する。
【0142】
「不溶性UV遮蔽剤」という用語は、水中溶解度が0.5質量%未満であり、且つ大部分の有機溶媒、例えば流動パラフィン、脂肪アルコールベンゾエート及び脂肪酸トリグリセリド、例えばDynamit Nobel社によって販売されるMiglyol 812(登録商標)中の溶解度が0.5質量%未満である、紫外放射を遮蔽するための任意の化合物を意味する。この溶解度の測定は、70℃で行われ、溶媒中に過剰の固体を懸濁させ、室温に戻して平衡状態となった後に溶解している生成物の量として定義される。これは、実験室で容易に評価することができる。
【0143】
「水溶性有機UVA遮蔽剤」という用語は、水性相中に完全に溶解するか若しくは分子形態で混和することが可能であるか、又は水性相中にコロイド形態(例えば、ミセル形態)で溶解することが可能である、波長が320~400nmの範囲であるUVA放射を遮蔽するための任意の有機化合物を意味する。
【0144】
一例として、本発明に従って使用することができる水溶性有機UVA遮蔽剤として、ベンゼン-1,4-ジ(3-メチリデン-10-カンファースルホン)酸(INCI名:テレフタリリデンジカンフルスルホン酸)及びその様々な塩、スルホン基を有する少なくとも2つのベンズアゾリル基を含む化合物、特に1,4-ビス(ベンズイミダゾリル)フェニレン-3,3’,5,5’-テトラスルホン酸(INCI名:フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸2Na)又はその塩、例えばNeoheliopan AP(登録商標)の名称でSymrise社から販売されているもの、少なくとも1つのスルホン酸基を含むベンゾフェノン化合物、例えばベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5又はベンゾフェノン-9を挙げることができる。
【0145】
「水溶性有機UVB遮蔽剤」という用語は、水性相中に完全に溶解するか若しくは分子形態で混和することが可能であるか、又は水性相中にコロイド形態(例えば、ミセル形態)で溶解することが可能である、波長が280~320nmの範囲であるUVB放射を遮蔽するための任意の有機化合物を意味する。
【0146】
一例として、本発明に従って使用することができる水溶性有機UVB遮蔽剤として、水溶性ケイ皮酸誘導体、例えばフェルラ酸又は3-メトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸、水溶性ベンジリデンカンファー化合物、水溶性フェニルベンズイミダゾール化合物、水溶性p-アミノ安息香酸系(PABA)化合物、水溶性サリチル酸系化合物及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0147】
「脂溶性有機UVA遮蔽剤」という用語は、脂肪性相中に完全に溶解するか若しくは分子形態で混和することが可能であるか、又は脂肪性相中にコロイド形態(例えば、ミセル形態)で溶解することが可能である、波長が280~320nmの範囲であるUVA放射を遮蔽するための任意の有機化合物を意味する。脂溶性有機UV遮蔽剤の中には、室温で液体のものもある。
【0148】
一例として、本発明に従って使用することができる脂溶性有機UV遮蔽剤として、ケイ皮酸誘導体、アントラニレート、サリチル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、カンファー誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロネート誘導体、特に米国特許第5624663号明細書に引用されているもの、特許出願である欧州特許出願公開第0832642号明細書、欧州特許出願公開第1027883号明細書、欧州特許出願公開第1300137号明細書及び独国特許出願公開第10162844号明細書に記載されている、イミダゾリン、p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン、例えば特に特許出願である国際公開第93/04665号パンフレットに記載されているもの、a-アルキルスチレンをベースとする二量体、例えば特許出願である独国特許出願公開第19855649号明細書に記載されているもの、特許出願である欧州特許出願公開第0967200号明細書、独国特許出願公開第19746654号明細書、独国特許出願公開第19755649号明細書、欧州特許出願公開第1008586A号明細書、欧州特許出願公開第1133980号明細書及び欧州特許出願公開第133981号明細書に記載されている4,4-ジアリールブタジエン、米国特許第4195999号明細書、特許出願である国際公開第2004/006878号パンフレット、国際公開第2008/090066号パンフレット、国際公開第2011113718号パンフレット及び国際公開第2009027258号パンフレット並びに2009年2月23に発行された文献IP COM Journal No.000179675D、2009年4月29日に発行されたIP COM Journal No.000182396D、2009年11月12日に発行されたIP COM Journal No.000189542D及び2004年3月4日に発行されたIP COM Journal No.IPCOM000011179Dに記載されているメロシアニン誘導体、メロシアニン類並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0149】
好ましくは、脂溶性有機UV遮蔽剤は、ジベンゾイルメタン誘導体、例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン、特にDSM Nutritional Products社からParsol(登録商標)1789の商品名で販売されているもの、サリチル酸誘導体、例えばRona/EM IndustriesからEusolex(登録商標)HMSの名称で販売されているホモサレート又はSymriseからNeo Heliopan(登録商標)OSの名称で販売されているサリチル酸エチルヘキシル、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、特にBASFからUvinul(登録商標)N539の商品名で販売されているオクトクリレン又はBASFからUvinul(登録商標)N35の名称で販売されているエトクリレンなど、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0150】
一例として、本発明に従って使用することができる不溶性有機UV遮蔽剤として、シュウ酸アニリド系、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ビニルアミド系、ケイ皮酸アミド系、ベンザゾール及び/若しくはベンゾフラン、ベンゾチオフェンである1つ又は複数の基を含む系若しくはインドール系、アリールビニレンケトン系、フェニレンビスベンゾオキサジノン誘導体系、アミド、スルホンアミド若しくはアクリロニトリルのカルバメート誘導体系の有機UV遮蔽剤又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0151】
一例として、本発明に従って使用することができる無機UV遮蔽剤として、金属酸化物顔料、例えば平均一次粒子径が0.50μm以下、より優先的には0.005~0.50μm、更に優先的には0.01~0.2μm、更に良好には0.01~0.1μm、より優先的には0.015~0.05μmである金属酸化物粒子を挙げることができる。
【0152】
「一次径」という用語は、凝集していない粒子の径を意味する。
【0153】
サンスクリーン剤は、本発明による組成物中において、組成物の総質量に対して1.0質量%~25質量%の範囲、好ましくは3.0質量%~20質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0154】
補助剤
界面活性剤
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤も含むことができる。
【0155】
界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性界面活性剤並びにこれらの混合物から選択することができる。界面活性剤の乳化性及び機能の定義に関しては、Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,volume 22,pages 333-432,3rd Edition,1979,Wileyを参照することができ、特にアニオン性、両性及び非イオン性界面活性剤に関しては、この参考文献の347~377頁を参照することができる。
【0156】
非イオン性界面活性剤
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0157】
非イオン性界面活性剤は、特にポリ(エチレンオキシド)のアルキル及びポリアルキルエステル、オキシアルキレン化アルコール、ポリ(エチレンオキシド)のアルキル及びポリアルキルエーテル、任意選択的にポリオキシエチレン化されている、ソルビタンのアルキル及びポリアルキルエステル、任意選択的にポリオキシエチレン化されている、ソルビタンのアルキル及びポリアルキルエーテル、アルキル及びポリアルキルグリコシド又はアルキル及びポリアルキルポリグリコシド、特にアルキル及びポリアルキルグルコシド又はアルキル及びポリアルキルポリグルコシド、ショ糖のアルキル及びポリアルキルエステル、任意選択的にポリオキシエチレン化されている、グリセロールのアルキル及びポリアルキルエステル、任意選択的にポリオキシエチレン化されている、グリセロールのアルキル及びポリアルキルエーテル、ジェミニ型界面活性剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0158】
好ましく使用されるオキシアルキレン化、特にオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたアルコールは、1~150個のオキシエチレン単位及び/若しくはオキシプロピレン単位を含み得るもの、特に20~100個のオキシエチレン単位を含むもの、特に脂肪アルコール、特にC~C24、好ましくはC12~C18のもの;エトキシル化されていてもされていなくてもよいもの、例えば20個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:ステアレス-20)、例えばUniqema社から販売されているBrij 78、30個のオキシエチレン単位でエトキシ化されたセテアリルアルコール(CTFA名:セテアレス-30)及び7個のオキシエチレン単位を含むC12~C15脂肪アルコールの混合物(CTFA名:(C12~15)パレス-7)、例えばShell ChemicalsからNeodol 25-7(登録商標)の名称で販売されている製品;又は特に1~15個のオキシエチレン単位及び/若しくはオキシプロピレン単位を含むオキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)されたアルコール、特にエトキシル化されたC~C24、好ましくはC12~C18脂肪アルコール、例えば2個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:ステアレス-2)、例えばUniqema社から販売されているBrij 72(登録商標)である。
【0159】
好ましく使用される、任意選択的にポリオキシエチレン化されたソルビタンのアルキル及びポリアルキルエステルとしては、エチレンオキシド(EO)単位の数が0~100の範囲であるものが挙げられる。その例として、ラウリン酸ソルビタン4又は20EO付加物、特にポリソルベート20(又はポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、例えばUniqema社から販売されている製品であるTween(登録商標)20又はポリソルベート60、パルミチン酸ソルビタン20EO付加物、イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン20EO付加物、オレイン酸ソルビタン20EO付加物又はBASFからの製品であるCremophor(登録商標)(RH40、RH60等)を挙げることができる。CrodaからArlacel(登録商標)2121U-FLの名称で販売されているステアリン酸ソルビタンとヤシ脂肪酸スクロースとの混合物も挙げることができる。
【0160】
好ましく使用されるアルキル及びポリアルキルグルコシド又はアルキル及びポリアルキルポリグルコシドとしては、6~30個の炭素原子、好ましくは6~18個、更に好ましくは8~16個の炭素原子を含むアルキル基を含み、且つ好ましくは1~5個、特に1、2又は3個のグルコシド単位を含むグルコシド基を含むものが挙げられる。アルキルポリグルコシドは、例えば、デシルグルコシド(アルキルC/C11-ポリグルコシド(1,4))、例えばKao Chemicals社からMydol 10(登録商標)の名称で販売されている製品又はHenkel社からPlantacare 2000UP(登録商標)の名称で販売されている製品及びSEPPIC社からOramix NS 10(登録商標)の名称で販売されている製品;(カプリリル/カプリル)グルコシド、例えばCognis社からPlantacare KE3711(登録商標)の名称で販売されている製品又はSEPPIC社からOramix CG 110(登録商標)の名称で販売されている製品;ラウリルグルコシド、例えばHenkel社からPlantacare 1200UP(登録商標)の名称で販売されている製品又はHenkel社からPlantaren 1200N(登録商標)の名称で販売されている製品;ヤシ油アルキルグルコシド、例えばHenkel社からPlantacare 818 UP(登録商標)の名称で販売されている製品;カプリリルグルコシド、例えばCognis社からPlantacare 810 UP(登録商標)の名称で販売されている製品;INCI名がアラキジルアルコール(及び)ベヘニルアルコール(及び)アラキジルグルコシドであり、SEPPIC社からMontanov(登録商標)202の名称で販売されている、アラキジルグルコシル及びベヘニルアルコール及びアラキジルアルコールの混合物;並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0161】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、アルキルエーテルスルフェート、カルボキシレート、アミノ酸誘導体、スルホネート、イセチオネート、タウレート、スルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、ホスフェート及びアルキルホスフェート、ポリペプチド、C10~C30、特にC16~C25脂肪酸の金属塩、特にステアリン酸及びベヘン酸金属並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0162】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、アルキルイミダゾリジニウム、例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトスルフェート、(C12~30-アルキル)-トリ(C1~4-アルキル)アンモニウムハライドなどのアンモニウム塩、例えばN,N,N-トリメチル-1-ドコサンアミニウムクロリド(又はベヘントリモニウムクロリド)から選択することができる。
【0163】
両性界面活性剤
本発明による組成物は、1種又は複数の両性界面活性剤、例えばN-アルキルアミノアセテート及びココアンホジ酢酸二ナトリウムなどのN-アシルアミノ酸並びにステアラミンオキシドなどのアミンオキシド又はシリコーン界面活性剤、例えばPhoenix Chemical社からPecosil PS 100(登録商標)の名称で販売されている製品などのリン酸ジメチコンコポリオールも含むことができる。
【0164】
シリコーン界面活性剤
本組成物は、少なくとも1種のシリコーン界面活性剤も含むことができる。一例として、単独で又は混合物として使用される、25℃におけるHLBが8以上である非イオン性界面活性剤として、ジメチコンコポリオール又はジメチコンコポリオールベンゾエートを挙げることができ、単独で又は混合物として使用される、25℃におけるHLBが8未満である非イオン性界面活性剤として、単独で又は混合物として使用される、シクロメチコン/ジメチコンコポリオール混合物を挙げることができる。
【0165】
界面活性剤は、本発明による組成物中において、組成物の総質量に対して0.5質量%~15質量%の範囲、好ましくは0.5質量%~10質量%の範囲の比率で存在することができる。
【0166】
ゲル化剤及び増粘剤
得ようとしている組成物の粘度に応じて、特に親水性の、即ち水溶性又は水分散性の1種又は複数の増粘剤及び/又はゲル化剤を組成物に組み込むことができる。
【0167】
好ましい一実施形態によれば、ゲル化剤は、合成高分子ゲル化剤、架橋アクリル系ホモポリマー又はコポリマー、会合性ポリマー、特にポリウレタン型の会合性ポリマー、ポリアクリルアミド並びに架橋及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、変性又は非変性カルボキシビニルポリマー並びにこれらの混合物、特に以下に定義するものから選択される。
【0168】
親水性ゲル化剤の例としては、変性又は非変性カルボキシビニルポリマー、例えばGoodrich社からCarbopol(登録商標)(CTFA名:カルボマー)及びPemulen(登録商標)(CTFA名:(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10~30))クロスポリマー)の名称で販売されている製品、ポリアクリルアミド、任意選択的に架橋及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、例えばHoechst社からHostacerin(登録商標)AMPSの名称で販売されているポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム)、油中水型エマルションの形態における、架橋されたアクリルアミドとAMPSとのアニオン性コポリマー、例えばSEPPIC社からSepigel(登録商標)305の名称で(CTFA名:ポリアクリルアミド/(C13~14)イソパラフィン/ラウレス-7)及びSimulgel(登録商標)600の名称で(CTFA名:(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)販売されているもの、多糖類である生体高分子、例えば変性セルロース、カラギーナン、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、アルギン酸をベースとする化合物、特にアルギン酸ナトリウム、スクレログルカンガム、グアーガム、イヌリン、プルラン、カシアガム、カラヤガム、コンニャクガム、トラガカントゴム、タラガム、アカシアガム又はアラビアガム並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0169】
本発明に使用するのに好適な親水性高分子ゲル化剤は、天然又は天然由来のものであり得る。
【0170】
本発明の目的のために、「天然由来の」という用語は、天然高分子ゲル化剤の修飾によって得られる高分子ゲル化剤を指す。
【0171】
これらのゲル化剤は、粒子状又は非粒子状であり得る。
【0172】
より詳細には、多糖に分類されるこれらのゲル化剤は、幾つかの種類に分けることができる。
【0173】
したがって、本発明に使用するのに好適な多糖は、フルクタン、グルカン、ガラクタン及びマンナンなどのホモ多糖又はヘミセルロースなどのヘテロ多糖であり得る。
【0174】
同様に、これらは、プルランなどの直鎖状多糖又はアラビアガム及びアミロペクチンなどの分枝鎖状多糖又はデンプンなどの混合多糖であり得る。
【0175】
より詳細には、本発明に使用するのに好適な多糖は、それらがデンプンであるか否かに応じて区別することができる。このデンプン多糖の代表例として、最も具体的には、天然デンプン、加工デンプン及び粒子状デンプンが挙げられる。
【0176】
一般に、非デンプン多糖は、微生物によって産生される多糖;藻類から単離される多糖及び高等植物の多糖、例えば均一な多糖、特にセルロース及びその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース又はフルクトサン、不均一な多糖、例えばアラビアガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン及びペクチン並びにこれらの誘導体;並びにこれらの混合物から選択され得る。
【0177】
増粘剤及び/又はゲル化剤は、本組成物中において、組成物の総質量に対して0.05質量%~5.0質量%の範囲、好ましくは0.1質量%~4.0質量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0178】
フィラー
本発明による組成物は、少なくとも1種のフィラーも含むことができる。
【0179】
フィラーは、顔料、酸化チタン、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、窒化ホウ素、真珠光沢剤、合成又は天然雲母、雲母及び酸化チタンを含む真珠光沢剤、粉末シリカ、タルク、ポリアミド粒子、特にAtochem社からOrgasol(登録商標)の名称で販売されているもの、粉末ポリエチレン、アクリル系コポリマーをベースとする微小球、例えばDow Corning社からPolytrap(登録商標)の名称で販売されているエチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーから製造されたもの、膨張済み粉体、例えば中空微小球、特にExpancel(登録商標)の名称でKemanord Plast社から又はMicropearl(登録商標)F 80 EDの名称でMatsumoto社から販売されている微小球、シリコーン樹脂マイクロビーズ、例えばTospearl(登録商標)の名称でToshiba Silicone社から販売されているもの及びこれらの混合物から選択することができる。
【0180】
好ましくは、本発明による組成物は、窒化ホウ素を含む。
【0181】
このようなフィラーは、本発明による組成物中において、組成物の総質量に対して0.1質量%~5.0質量%の範囲、好ましくは1.0質量%~3.0質量%の範囲の含量で存在することができる。
【0182】
活性剤
本発明による組成物は、追加の活性剤、特に本発明に従って使用されるレチノール以外の抗老化活性剤を含むことができる。
【0183】
抗老化活性剤の一例として、ヒアルロン酸ナトリウム、n-オクタノイル-5-サリチル酸、アデノシン、c-β-d-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン及び(3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸のナトリウム塩を挙げることができる。
【0184】
このような活性剤は、本発明による組成物中において、組成物の総質量に対して0.05質量%~5.0質量%の範囲、好ましくは0.05質量%~1.5質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0185】
上に述べたように、本発明による組成物は、好ましくは、人体及び/又は環境に有害となり得る化合物を含まない。即ち、0.2質量%未満、特に0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%未満、より優先的には0.01質量%未満の、人体及び/又は環境に有害となり得る化合物を含むか又は更にそれを全く含まず、特にブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩を含まない。
【0186】
したがって、本発明による組成物は、特に、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩を含まず、好ましくはエチレンジアミン四酢酸又はその塩を全く含まない。
【0187】
本発明による組成物は、化粧品分野において従来使用されている補助剤、例えば防腐剤、香料、着色剤、極性添加剤、皮膜形成ポリマー、pH調整剤(酸又は塩基)、化粧活性剤、例えば保湿剤、瘢痕形成剤、脂性肌に対抗するための薬剤及び/又は汚染防止剤並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤も含むことができる。
【0188】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物の有利な特性が、想定されている添加により悪影響を受けないか又は実質的に受けないように、この又はこれらの任意選択的な追加の化合物及び/又はその量の選択に注意を払うであろう。
【0189】
組成物
先に述べたように、本発明による組成物は、化粧用及び/又は皮膚科学的なものであり得、好ましくは化粧用である。
【0190】
本発明による組成物は、概して、皮膚に局所適用するのに適しており、したがって概して生理学的に許容される媒体、即ち皮膚に適合性のある媒体を含む。
【0191】
これは、好ましくは、化粧的に許容される媒体、即ち心地よい色、匂い及び感触を有し、使用者にこの組成物の適用を思い留まらせやすくなる許容できない不快感、即ちひりひり感、つっぱり感又は赤みを一切生じさせない媒体である。
【0192】
本発明による化粧用組成物は、化粧品分野において意図された用途、特に局所適用のために従来用いられている任意の提供形態であり得る。
【0193】
ケラチン物質、特に皮膚又はその外皮に局所適用するための組成物は、特に、ローション若しくは美容液タイプの水性若しくは油性溶液の形態又は分散液の形態、脂肪性相を水性相中に分散させる(水中油型)か若しくはその逆(油中水型)により得られる、液状若しくは半液状の粘稠性を有する乳液タイプのエマルションの形態又は軟らかい粘稠性を有する水性若しくは無水ゲル若しくはクリームタイプの懸濁物若しくはエマルションの形態であるか、或いはマイクロカプセル若しくは微粒子の形態又はイオン性及び/若しくは非イオン性タイプのベシクル分散物の形態であり得る。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0194】
好ましくは、本発明による組成物は、水中油型(O/W)エマルション、乳化ゲル又は油性溶液の形態である。
【0195】
特に、本発明による組成物のpHは、3~8の範囲である。好ましくは、本組成物のpHは、4~7の範囲、更に優先的には5~7の範囲である。
【0196】
本発明による組成物は、当業者に周知の技法に従って調製され得る。
【0197】
組成物に意図された使用
本発明による組成物は、ケラチン物質、特に身体又は顔、好ましくは顔をケア及び/又はメーキャップするための化粧用組成物の形態であり得る。
【0198】
これらの組成物は、顔、手若しくは身体の清浄化、保護、治療若しくはケア用クリーム、例えばデイクリーム、ナイトクリーム、メーキャップクリーム、ファンデーションクリーム、日光防御クリーム、リキッドファンデーション、保護若しくはケア用ボディミルク、日光防御乳液、ローション又は水疱治療用製品を構成することができる。
【0199】
したがって、本発明による組成物は、油、乳液、程度の差はあるが、滑らかなクリーム又はゲルクリームなど、液状若しくは半液状の粘稠性を有する顔及び/又は身体用ケア製品及び/又は日光防御製品として使用することができる。
【0200】
好ましくは、本発明による組成物は、有利には、ケラチン物質、特に身体又は顔、好ましくは顔の皮膚をケアするための化粧用組成物の形態である。
【0201】
特に、本発明の組成物は、身体又は顔、特に顔の皮膚のアンチエイジングケア用組成物の形態であり得る。
【0202】
他の実施形態によれば、本発明の組成物は、ケラチン物質、特に身体又は顔、好ましくは顔の皮膚をメーキャップするための組成物の形態であり得る。
【0203】
したがって、本実施形態の下位態様によれば、本発明の組成物は、メーキャップのためのメーキャップベース組成物の形態であり得る。本発明の組成物は、特に、ファンデーションの形態であり得る。
【0204】
この実施形態の更なる他の下位態様によれば、本発明の組成物は、口唇用製品、特に口紅の形態であり得る。
【0205】
この実施形態の更なる他の下位態様によれば、本発明の組成物は、睫毛用製品、特にアイブローペンシルの形態であり得る。
【0206】
この種の組成物は、特に当業者の一般知識に従って調製される。
【0207】
したがって、本発明は、本発明による組成物の、ケラチン物質をケア及び/又はメーキャップするための、好ましくはケラチン物質、特に身体及び/又は顔の皮膚をケアするための使用にも関する。
【0208】
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚及び/又は口唇をメーキャップ及び/又はケアするための美容的方法であって、先に定義した組成物を前記ケラチン物質に適用する少なくとも1つのステップを含む美容的方法にも関する。
【0209】
好ましくは、本発明は、ケラチン物質、特に皮膚及び/又は口唇をケアするための美容的方法であって、先に定義した組成物を前記ケラチン物質に適用する少なくとも1つのステップを含む美容的方法にも関する。
【0210】
特に本発明による組成物は、皮膚老化の徴候に対抗するために使用することができる。
【0211】
したがって、本出願は、本発明による組成物の、皮膚老化の徴候に対抗するための使用にも関する。
【0212】
本組成物は、皮膚に手で又は適用具を用いて適用することができる。
【0213】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、「含む」という表現は、別段の指定がない限り、「少なくとも1つを含む」と同義であると理解すべきである。
【0214】
「...~...」、「...~...を含む」、「...~...で構成される」及び「...~...の範囲」という表現は、別段の指定がない限り、境界値を包含するものと理解すべきである。
【0215】
以下に示す実施例により本発明をより詳細に説明する。特段の指定がない限り、ここに示す量は、質量百分率で表す。
【実施例
【0216】
測定及び評価方法
安定性の測定
組成物の安定性試験を、規格ISO/TR 18811:2018によって課せられた指針に従って実施した。これは、配合物を30mlの不透明なエナメル塗装ガラス製広口ビンに包装して実施する。
【0217】
測定は、配合から24時間後及び1ヵ月後に実施する。これは、3つの異なる温度、具体的には20℃、4℃及び45℃で実施され得る。
【0218】
分解率の測定
4℃及び45℃で1ヵ月間(T=1ヵ月)保管した後、保管後の組成物中に残存しているレチノールを分析することにより分解率を測定する。分解率は、HPLC測定を用いて、初期百分率の理論値に対する値又はHPLCにより測定された初期百分率に対する値として求める。理論量は、初期レチノール含有量の理論値に対応する。
【0219】
組成物の官能特性の測定
20℃でT=24時間の広口ビン並びに20℃、4℃及び45℃で保管したT=1ヵ月の広口ビン中の配合物について、外観、色及び匂いを3人のパネルが判定する。
【0220】
組成物がいわゆる「原料臭」を呈する場合、これは、酸化された油の臭い(酸敗臭)と異なり、香料で隠すことができる。
【0221】
20℃における測定
30mlの不透明な広口ガラスビンを室温(20℃)下において個別の戸棚で保管する。
【0222】
4℃における測定
30mlの不透明な広口ガラスビンの配合物を、Manumesure社から供給されているLiebbern Gastro Line冷蔵庫で4℃において保管する。
【0223】
45℃における測定
Manumesure社から供給されているJouvanオーブンを使用して45℃で1ヵ月間オーブンに保管する。30mlの不透明な広口ビンをオーブンに入れて所要時間放置する。
【0224】
比色特性の評価
以下の手順に従って組成物の比色特性を評価した。
【0225】
フィルムコーターを用いて50μmの薄膜をコントラストカード上に作成した後、組成物の色を評価した。
【0226】
次いで、Minolta CM2600D分光測色計を使用して、フィルム上の2点で比色測定を行った。
【0227】
結果は、(L,a,b)系で表し、ここで、Lは、明度を表し、aは、赤-緑軸を表し(-a=緑、+a=赤)、bは、黄-青軸を表す(-b=青、+b=黄)。したがって、a*及びb*は、化合物の色相を表す。
【0228】
各配合物について、t=0において20℃で測色を行い、次いでt=1ヵ月で(45℃で保管した後)再び測色を行った。
【0229】
各組成物の色差ΔE*を以下の式に従って求めた:
(ΔE*)=(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)
ΔL*=L*(t=0の配合物)-L*(t=1ヵ月の配合物)
Δa*=a*(t=0の配合物)-a*(t=1ヵ月の配合物)
Δb*=b*(t=0の配合物)-b*(t=1ヵ月の配合物)
ΔE*の値が高いほど、1ヵ月後の色の変化が大きい。
【0230】
実施例1
本発明による組成物I1~I5及び発明外組成物CC1を、以下の表に詳述する質量比で調製する。数値は、組成物の総質量に対する質量パーセントとして表す。
【0231】
【表1】
【0232】
【表2】
【0233】
【表3】
【0234】
組成物の調製手順
A相の成分を、遊星撹拌機及び乳化撹拌機を備えたMinilabを用いて70℃~75℃の温度に加熱する。
【0235】
ビーカー内のB相の成分を、ホットプレートにより75℃の温度に加熱した後、A相に注ぐ。
【0236】
この混合物を10分間乳化(乳化撹拌機2000rpm、遊星撹拌機30rpm)する。
【0237】
C相を加えて10分間混合(乳化撹拌機3600rpm、遊星撹拌機40rpm)する。
【0238】
加熱装置を停止し、混合物を放冷する。水を加える。
【0239】
次いで、混合物を-0.60Paに減圧し、乳化撹拌機を2400rpmに調整し、遊星撹拌機を50rpmに調整する。
【0240】
混合物の温度が40℃に達したら、水酸化ナトリウムを加え、真空を-0.40Paに調整する。
【0241】
混合物の温度が37℃に達したら、フィラーを加える。
【0242】
真空を-0.60Paに維持したまま、乳化撹拌機の速度を2500rpmに上昇させ、遊星撹拌機の速度を40rpmに低下させる。
【0243】
他の相を加える。
【0244】
混合物の温度が33℃に達したら、Minilabを停止し、配合物をビーカーに移し替える。
【0245】
レチノールの添加は、グローブボックス内で不活性雰囲気(窒素)下において実施する。適量のレチノールを秤量し、ビーカーに加えながら、Rayneriを用いて650~700rpmの速度で10分間撹拌する。
【0246】
不活性雰囲気のまま配合物を30mlの広口ガラスビン及び100mlのピルボトルに包装して閉じる。この物品を気密室に入れ、窒素を排気するために真空サイクルにかける。次いで、包装された配合物を回収する。
【0247】
組成物中のレチノールの安定性の測定
本発明による組成物I1~I5及び発明外組成物CC1の分解率を測定した結果を以下の表2に示す。
【0248】
【表4】
【0249】
本発明による組成物I1~I5のレチノールの損失は、EDTA及びBHTを含むか又はジ-t-ブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート及びエチレンジアミンジコハク酸塩、アスコルビン酸及び/若しくはトコフェロールの組合せを含まない発明外組成物CC1で観測された損失よりも著しく少ない。
【0250】
したがって、この結果は、本発明による組成物が発明外組成物よりも安定であることを示している。
【国際調査報告】