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特表2023-529180特定のアミノ酸を高濃度で使用してケラチン繊維を処理するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】特定のアミノ酸を高濃度で使用してケラチン繊維を処理するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20230630BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q5/04
A61K8/34
A61K8/46
A61K8/19
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574815
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2021068034
(87)【国際公開番号】W WO2022003040
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2006869
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2013092
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】レイラ・エルクエ
(72)【発明者】
【氏名】アンリ・サマン
(72)【発明者】
【氏名】シモン・ドンク
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ブレーズ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB032
4C083AC061
4C083AC111
4C083AC171
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC761
4C083AC771
4C083BB21
4C083BB47
4C083CC34
4C083DD06
4C083EE29
(57)【要約】
本発明は、ケラチン繊維を処理するための方法であって、ケラチン繊維に、1種又は複数種の特定のアミノ酸を高含有量で含む組成物を適用するステップと、次いで、ケラチン繊維を永久変形させるステップと、を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維を処理するための方法であって、次の連続したステップ:
i)前記ケラチン繊維に、式(I):
【化1】
(式(I)中、
・ pは、1又は2の整数であり;
・ p=1の場合、Rは、窒素原子と一緒に、5~8員、好ましくは5員の飽和複素環を形成し、この環は、ヒドロキシル又は(C~C)アルキルから選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されていてもよく;
・ p=2の場合、Rは:
- 水素原子を表すか、又は
- 少なくとも1個のヘテロ原子若しくは-S-、-NH-、若しくは-C(NH)-から選択される基が介在している、及び/又はヒドロキシル、アミノ、若しくは-NH-C(NH)-NHから選択される少なくとも1つの基で置換されている、(C~C12)アルキル基、好ましくは(C~C)アルキル基を表す)の化合物、これらの塩、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種のアミノ酸を含む組成物(A)を適用するステップであって;
前記アミノ酸は、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、少なくとも5質量%の総含有量で存在する、ステップと;
ii)前記ケラチン繊維を永久変形させるステップ、好ましくは前記ケラチン繊維を直毛化又は縮毛矯正するステップと;
を含む、方法。
【請求項2】
前記アミノ酸は、グリシン、プロリン、メチオニン、セリン、アルギニン、リジン、これらの塩、及びこれらの混合物から、好ましくは、グリシン、プロリン、メチオニン、セリン、これらの塩、及びこれらの混合物から選択され;より優先的には、前記アミノ酸はグリシンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アミノ酸は、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、5質量%~20質量%の範囲、好ましくは5質量%~15質量%の範囲、より優先的には8質量%~12質量%の範囲の総含有量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
組成物(A)のpHは、2~11、好ましくは4~10、より優先的には8~10である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
組成物(A)は、着色剤及び/又は還元剤を、組成物(A)の総質量に対し、0.1質量%未満、好ましくは0.01質量%未満、より優先的には0.001質量%未満の総含有量で含み;更に優先的には、組成物(A)は、着色剤及び/又は還元剤を含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
組成物(A)は、好ましくは、モノアルコール、ポリオール、ポリオールエーテル、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
組成物(A)は、有機溶媒を、組成物(A)の総質量に対し、1質量%~40質量%の範囲、好ましくは5質量%~30質量%の範囲、より優先的には8質量%~15質量%の範囲の総含有量で含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ケラチン繊維を永久変形させる前記ステップは、前記ケラチン繊維に1種又は複数種のチオール系又は非チオール系還元剤含む組成物、好ましくは1種又は複数種のチオール系還元剤を含む組成物を適用することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記チオール系還元剤は、式i-1及びi-2:
【化2】
(式i-1及びi-2中:
・ Rは:
- カルボキシルC(O)OH、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ヒドロキシル-OH、チオール-SH、若しくは-C(O)-NH-CH-C(O)OHから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/若しくは1個若しくは複数個のヘテロ原子若しくは-O-、-S-、-N(R’’’)-、C(O)、若しくはこれらの組合せから選択される基、例えば、-O-C(O)-、-C(O)-O-、-N(R’’’)-C(O)-、若しくは-C(O)-N(R’’’)-が任意選択的に介在する(ここでR’’’は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)、(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基を表すか;又は
- 1つ若しくは複数のヒドロキシル基、チオール基、若しくはカルボキシル基で任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;
・ R’及びR”は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシから選択される1つ又は複数の基で置換された(C~C)アルキル基、好ましくは(C~C)アルキル基を表すか;
或いは、R’及びR”は、これらが結合している硫黄原子と一緒になって、好ましくは飽和であり、1~3個のヘテロ原子を含み、1つ又は複数のヒドロキシル基、チオール基、又はカルボキシ基で任意選択的に置換された1つ又は複数の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された、5~7員の複素環式基を形成し;より優先的には、前記複素環式基は、1つ又は複数のカルボキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたジチオラン基である)のものに加えて、これらの塩、これらの水和物などの溶媒和物、及びこれらの混合物から選択され;
前記還元剤は、好ましくは、上に定義した式i-1のものから選択され;
前記還元剤は、より優先的には、Rが、
- カルボキシルC(O)OH、アミノ、ヒドロキシル-OH、及びチオール-SHから選択される1つ若しくは複数の基で置換されており;並びに/又は
- 1個又は複数個のヘテロ原子若しくは-O-、N(R’’’)-、C(O)、若しくはこれらの組合せから選択される基、例えば-O-C(O)-、-C(O)-O-、-N(R’’’)-C(O)-、若しくは-C(O)-N(R’’’)-(ここで、R’’’は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)が任意選択的に介在する、(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基を表す、式i-1のものから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記チオール系還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、チオリンゴ酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオジグリコール、2-メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオキサンチン、チオサリチル酸、チオジグリコール酸、リポ酸、N-アセチルシステイン、及びチオグリコール酸又はチオ乳酸エステル及びアミド、特にモノチオグリコール酸グリセリル、及びこれらの混合物から、好ましくは、チオグリコール酸、チオ乳酸、システアミン、及びこれらの混合物から、より優先的にはチオグリコール酸、チオ乳酸、及びこれらの混合物から選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記チオール系還元剤を含む前記組成物のpHは酸性であり、好ましくは1~6の範囲、より優先的には2~5の範囲、更に優先的には2.5~4の範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ケラチン繊維を永久変形させる前記ステップは、前記ケラチン繊維に、無機水酸化物、有機水酸化物、及びこれらの混合物から、好ましくは、無機水酸化物から、より優先的には、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、遷移金属水酸化物、及びこれらの混合物から、更に優先的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化マンガン、水酸化亜鉛、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種のアルカリ剤を含む組成物を適用することを含み;最も優先的には、前記アルカリ剤は水酸化ナトリウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップi)とii)との間に、組成物(A)を前記ケラチン繊維上に1分間~60分間の範囲、好ましくは3分間~40分間の範囲、より優先的には3分間~20分間の範囲の時間静置するために放置することから構成されるステップi’)を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップi)又はi’)の後、且つステップii)の前に、前記ケラチン繊維の濯ぎ及び/又は乾燥ステップi”)、好ましくは前記ケラチン繊維の乾燥ステップi”)を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、ステップi)又はi’)とステップii)との間に濯ぎステップi”)を含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップi)又はi’)又はi”)の後、且つステップii)の前及び/又はステップii)の後、好ましくは、ステップi)又はi’)又はi”)の後、且つステップii)の前に、前記ケラチン繊維を染色又は脱色するステップを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ケラチン繊維を染色又は脱色する前記ステップは、前記ケラチン繊維に、好ましくは、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸化塩、過酸及びその前駆体、並びにこれらの混合物から、より優先的には、過酸化水素、過酸化塩、及びこれらの混合物から、更に優先的には、過酸化水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過硫酸塩、過ホウ酸塩、又は過炭酸塩、及びこれらの混合物から選択され、最も優先的には過酸化水素である、少なくとも1種の化学的酸化剤を含む染色又は脱色組成物を適用することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記染色ステップは、前記ケラチン繊維に、酸化染料、直接染料、及びこれらの混合物から、好ましくは酸化染料から選択される少なくとも1種の着色剤を含む染料組成物を適用することを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(A)。
【請求項20】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(A)の、ケラチン繊維を永久変形させるための方法の前処理組成物として、好ましくは、ケラチン繊維を直毛化又は縮毛矯正するための方法の前処理組成物としての、使用。
【請求項21】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(A)の、ケラチン繊維を保護するため、好ましくは、前記ケラチン繊維を永久変形させるための処理中にこれらを破断から保護するための、使用。
【請求項22】
複数の区画を備えるデバイスであって:
・ 請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(A)を収容している第1区画と;
・ 少なくとも1種のチオール系若しくは非チオール系還元剤又は無機水酸化物、有機水酸化物、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のアルカリ剤を含む組成物を収容している第2区画と;
・ 少なくとも1種の化学的酸化剤を含む組成物を収容している任意選択的な第3区画と;
・ 酸化染料、直接染料、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の着色剤を含む組成物を収容している任意選択的な第4区画と;
を備えるデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維を処理するための方法であって、ケラチン繊維に、1種又は複数種の特定のアミノ酸を高含有量で含む組成物を適用するステップと、次いで、ケラチン繊維を永久変形させるステップと、を含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の外観に不満を抱く人は多く、特に、縮れた毛髪を有する人々は、大抵、真っ直ぐな毛髪を得ることを望み、それとは逆に、縮れのない毛髪を有する人々は、縮れた毛髪を有することを望む。
【0003】
毛髪の形状を永久的に修正する幾つかの技法が存在する。第1の技法は、水酸化物群に属する塩基を含む組成物を使用して「ランチオニン化」施術を実施することから構成される。その結果として、ケラチン中に存在する、ジスルフィド架橋としても知られるジスルフィド結合(-CH-S-S-CH-)が、ランチオニン結合(-CH-S-CH-)に置き換わる。これは1ステップで行われ、主に生まれつき縮れている毛髪を形付けするために用いられる。
【0004】
第2の技法は、第1段階において、ジスルフィド共有結合を、一般にはチオール系還元剤を含む塩基性組成物を用いて開裂すること(還元ステップ)と、次いで、こうして処理された頭髪を、一般には水で濯いだ後に、第2段階において、最終的に毛髪に所望の形状が付与されるように、予め張力をかけておいた毛髪に酸化組成物を適用することによって前記ジスルフィド結合を再構築すること(酸化ステップ、固定ステップとしても知られる)と、から構成されるものである。
【0005】
このような各種技法の主な欠点は、既に脆くなっている毛髪、例えば染色又は脱色された毛髪にこの処理を行った場合は特に、毛髪の美容特性が低下し、例えば活力及び輝きが失われたり、その機械特性、特にその機械強度が低下したりする可能性があることにある。このように毛髪の機械強度が低下すると、コーミング又はブロー乾燥時にかなりの毛髪が破断してしまう可能性がある。そのため、ケラチン繊維の質の低下を制限するか又は向上させることを目的として、コンディショニング剤を含むケア組成物の力に頼る手法が慣用されている。しかしながら、このようなケア組成物は、場合によっては、形付け処理の効率を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、過敏化している(sensitized)毛髪、特に染色又は脱色された毛髪などのケラチン繊維の質を維持するか又は向上さえさせること及びその破断を減らすことが可能であり、それと同時に、ケラチン繊維を効率的に永久変形させることを可能にする、ケラチン繊維を処理するための方法を開発することが切に求められている。このような方法には、使いやすく、とりわけ適用が容易であり、安定であり、こうして処理されたケラチン繊維の美容特性、例えば、輝き、柔らかい感触、しなやかさ、外観、又はもつれの解けやすさに関連する美容特性を維持するか又は向上さえさせることが可能な組成物が関わることも必要である。更にこのような方法は、理想的には、市販のあらゆるタイプの永久変形用組成物と適合することが必要となるであろう。
【0007】
驚くべきことに、本願出願人は、これらの目的が全て本発明による組成物を用いることによって達成されることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を処理するための方法であって、次の連続したステップ:
i)ケラチン繊維に、式(I):
【化1】
(式(I)中、
・ pは、1又は2の整数であり;
・ p=1の場合、Rは、窒素原子と一緒に、5~8員、好ましくは5員の飽和複素環を形成し、この環は、ヒドロキシル又は(C~C)アルキルから選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されていてもよく;
・ p=2の場合、Rは:
- 水素原子を表すか、又は
- 少なくとも1個のヘテロ原子若しくは-S-、-NH-、若しくは-C(NH)-から選択される基が介在している、及び/又はヒドロキシル、アミノ、若しくは-NH-C(NH)-NHから選択される少なくとも1つの基で置換されている、(C~C12)アルキル基、好ましくは(C~C)アルキル基を表す)の化合物、これらの塩、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種のアミノ酸を含む組成物(A)を適用するステップであって;
アミノ酸は、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、少なくとも5質量%の総含有量で存在する、ステップと;
ii)ケラチン繊維を永久変形させるステップと;
を含む、方法にある。
【0009】
第2の態様によれば、本発明の主題は、上に定義した組成物(A)にある。
【0010】
第3の態様によれば、本発明の主題は、上に定義した組成物(A)の、ケラチン繊維を永久変形させるための方法の前処理組成物としての使用にある。
【0011】
第4の態様によれば、本発明の主題は、上に定義した組成物(A)の、ケラチン繊維を保護するため、好ましくは、ケラチン繊維を永久変形させるための処理中にそれらを破断から保護するための使用にある。
【0012】
第5の態様によれば、本発明の主題は、複数の区画を備えるデバイスであって:
・ 上に定義した組成物(A)を収容している第1区画と;
・ 少なくとも1種のチオール系若しくは非チオール系還元剤又は無機水酸化物、有機水酸化物、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のアルカリ剤を含む組成物を収容している第2区画と;
・ 少なくとも1種の化学的酸化剤を含む組成物を収容している任意選択的な第3区画と;
・ 酸化染料、直接染料、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の着色剤を含む組成物を収容している任意選択的な第4区画と;
を備えるデバイスにある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的に関して、別段の指定がない限り、以下の通りである。
- 「ケラチン繊維」という用語は、頭髪、体毛、睫毛、眉毛、羊毛、アンゴラヤギの毛、カシミヤ、又は毛皮などのヒト又は動物由来の繊維を意味する。本発明によれば、ケラチン繊維は、好ましくはヒトのケラチン繊維、より優先的には毛髪である。
- 「連続したステップ」という用語は、指示された順序でステップを実施することを意味する。
- 「ケラチン繊維を永久変形させる」という用語は、ケラチン繊維のパーマネントウェーブ処理、直毛化、又は縮毛矯正(relaxing)を意味する。
- 「染料組成物」という用語は、少なくとも1種の着色剤を含む組成物を意味する。
- 「脱色組成物」という用語は、少なくとも1種の化学的酸化剤を含む組成物を意味する。
- 「アルキル基」という用語は、直鎖又は分岐の飽和炭化水素系基を意味する。
- 「(C~C)アルキル基」という用語は、x~y個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。
- 「着色剤」という用語は、酸化染料、直接染料、又は顔料を意味する。
- 「酸化染料」という用語は、酸化性塩基及びカプラーから選択される酸化染料プレカーサーを意味する。酸化性塩基及びカプラーは、無色又は色の薄い化合物であり、酸化剤の存在下における縮合反応を介して有色の化学種を与えるものである。
- 「直接染料」という用語は、酸化染料以外の、抽出物の形態を含む、天然及び/又は合成染料を意味する。これらは、繊維の表面上に広がることになる有色の化合物である。これらは、イオン性又は非イオン性、即ちアニオン性、カチオン性、中性、又は非イオン性であり得る。
- 「還元剤」という用語は、チオール、アルカリ性サルファイト、水素化物、及びホスフィンから選択される化合物などの、毛髪のジスルフィド結合を還元することができる薬剤を意味する。
- 「化学的酸化剤」という用語は、大気酸素以外の酸化剤を意味する。
【0014】
別段の指定がない限り、本特許出願において化合物に言及する場合、これは、単独で又は混合物としての、その光学異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その塩、又はその溶媒和物も含む。
【0015】
「少なくとも1の」及び「1又は複数の」は同義であり、互換的に使用することができる。
【0016】
ケラチン繊維を処理するための方法
第1の態様によれば、本発明の主題は、上に定義したケラチン繊維を処理するための方法にある。
【0017】
驚くべきことに、本願出願人は、本発明による方法が、過敏化している毛髪、特に染色又は脱色された毛髪などのケラチン繊維の質を維持するか又は向上さえさせること及びその破断を減らすことを可能にすると同時に、ケラチン繊維を効率的に永久変形させることも可能にすることを見出した。更に、本発明による方法は、ケラチン繊維を永久変形させるステップとは異なる前処理ステップ、つまり、市販のあらゆるタイプの永久的変形用組成物と適合する、前処理ステップを含む。
【0018】
本発明による組成物において、ステップi)及びii)を連続させること、即ち、ステップii)をステップi)の後に実施することが必須である。
【0019】
本方法は、ステップi)及びii)の間に1又は複数の追加のステップを含むことができるが、そのような実施形態においてさえも、ステップii)は常にステップi)よりも後に実施される。
【0020】
組成物(A)
アミノ酸
本方法のステップi)においてケラチン繊維に適用される組成物(A)は、上に定義した式(I)の化合物、その塩、及びこれらの混合物から、好ましくは式(I)の化合物から選択される、1種又は複数種のアミノ酸を含む。
【0021】
式(I)の化合物の塩は、有機又は無機塩基との塩、例えば、アルカリ金属の塩、例えば、リチウム、ナトリウム、又はカリウム塩;アルカリ土類金属の塩、例えば、マグネシウム又はカルシウム塩、及び亜鉛塩を含む。
【0022】
式(I)の化合物は、L、D、又はDL配置、好ましくはL配置の光学異性体形態とすることができる。
【0023】
L配置の光学異性体形態にある式(I)の化合物の本発明による例として、L-プロリン、L-メチオニン、L-セリン、L-アルギニン、及びL-リジンを挙げることができる。
【0024】
好ましくは、組成物(A)に含まれるアミノ酸は、グリシン、プロリン、メチオニン、セリン、アルギニン、リジン、これらの塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0025】
より優先的には、組成物(A)に含まれるアミノ酸は、グリシン、プロリン、メチオニン、セリン、これらの塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0026】
更に優先的には、組成物(A)に含まれるアミノ酸は、グリシン、その塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0027】
本発明において使用することができるグリシン塩の例としては、グリシンナトリウム、グリシン亜鉛、グリシンカルシウム、グリシンマグネシウム、グリシンマンガン、及びグリシンカリウムを挙げることができ、グリシンナトリウム又はグリシンカリウムが好ましい。
【0028】
特に好ましくは、組成物(A)に含まれるアミノ酸はグリシンである。
【0029】
式(I)の化合物、これらの塩、及びこれらの混合物から選択されるアミノ酸は、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも8質量%の総含有量で存在する。
【0030】
式(I)の化合物、これらの塩、及びこれらの混合物から選択されるアミノ酸は、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、5質量%~20質量%の範囲、好ましくは5質量%~15質量%の範囲、より優先的には8質量%~12質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0031】
組成物(A)は、好ましくは、グリシン、その塩、及びこれらの混合物を、組成物(A)の総質量に対し、少なくとも5質量%、より優先的には少なくとも8質量%含むことができる。
【0032】
好ましくは、組成物(A)は、グリシン、その塩、及びこれらの混合物を、組成物(A)の総質量に対し、5質量%~20質量%、好ましくは5質量%~15質量%、より優先的には8質量%~12質量%含む。
【0033】
好ましい一実施形態によれば、本方法のステップi)においてケラチン繊維に適用される組成物(A)は、上に定義した式(I)の化合物から選択される1種又は複数種のアミノ酸を含む。
【0034】
この好ましい実施形態によれば、組成物(A)に含まれるアミノ酸は、好ましくは、グリシン、プロリン、メチオニン、セリン、アルギニン、リジン、及びこれらの混合物から、より優先的には、グリシン、プロリン、メチオニン、セリン、及びこれらの混合物から選択され、更に優先的には、組成物(A)に含まれるアミノ酸はグリシンである。
【0035】
この好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物から選択されるアミノ酸は、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも8質量%の総含有量で存在する。
【0036】
この好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物から選択されるアミノ酸は、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、好ましくは5質量%~20質量%の範囲、より優先的には5質量%~15質量%の範囲、更に優先的には8質量%~12質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0037】
この好ましい実施形態によれば、組成物(A)は、グリシンを、組成物(A)の総質量に対し、好ましくは少なくとも5質量%、より優先的には少なくとも8質量%含むことができる。
【0038】
この好ましい実施形態によれば、組成物(A)は、グリシンを、組成物(A)の総質量に対し、好ましくは5質量%~20質量%、より優先的には5質量%~15質量%、更に優先的には8質量%~12質量%含む。
【0039】
pH
組成物(A)のpHは2~11の範囲とすることができる。好ましくは、組成物(A)のpHは4~10の範囲にある。より優先的には、組成物(A)のpHは8~10の範囲にある。一例として、組成物(A)のpHは9とすることができる。
【0040】
一実施形態によれば、組成物(A)のpHは2~4の範囲にある。
【0041】
組成物(A)のpHは、少なくとも1種の有機若しくは無機酸で、又は無機若しくは有機若しくはハイブリッド型(hybrid)アルカリ剤及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のアルカリ剤で調整することができる。
【0042】
「有機酸」という用語は、酸、即ち、水性媒体中で陽イオン又はプロトンH又はHを放出することができる、任意選択的に不飽和である直鎖若しくは分岐C~C20炭化水素系鎖、(ヘテロ)シクロアルキル基、又は(ヘテロ)アリール基のうちの少なくとも1つと、特にカルボキシルC(O)OH、スルホンSOH、スルフィンSOH、ホスホンPOH、及びホスフィンPOから選択される少なくとも1つの酸性化学的官能基と、を含む化合物を意味する。
【0043】
より詳細には、使用される有機又は無機酸は、塩酸HCl、臭化水素酸HBr、硫酸HSO、アルキルスルホン酸:(C~C)Alk-S(O)OH、例えば、メチルスルホン酸及びエチルスルホン酸;アリールスルホン酸:Ar-S(O)OH、例えば、ベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸;(C~C)アルコキシスルフィン酸:Alk-O-S(O)OH、例えば、メトキシスルフィン酸及びエトキシスルフィン酸;アリールオキシスルフィン酸、例えば、トルエンオキシスルフィン酸及びフェノキシスルフィン酸;リン酸HPO;トリフルオロメタンスルホン酸CFSOH及びテトラフルオロホウ酸HBF;並びに次の式(II)のカルボン酸並びにこれらの塩:
【化2】
(式(II)中、
Aは、1~50個の炭素原子を含み、1個若しくは複数個のヘテロ原子が任意選択的に介在し、及び/又は特に1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、一価(tが0の場合)又は多価(tが1以上の場合)の飽和又は不飽和の環状又は非環状の芳香族又は非芳香族炭化水素系基を表し;好ましくは、Aは、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された一価(C~C)アルキル基又は多価(C~C)アルキレン基を表す)から選択される。
【0044】
特に、使用される酸は、上に定義した式(II)のカルボン酸から選択される。好ましくは、使用される酸は、乳酸、グリコール酸、酒石酸、又はクエン酸などのα-ヒドロキシ酸である。
【0045】
無機アルカリ剤は、好ましくは、アンモニア水、炭酸ナトリウム若しくはカリウム及び炭酸水素ナトリウム若しくはカリウムなどのアルカリ性炭酸塩若しくは炭酸水素塩、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム、又はこれらの混合物から選択される。
【0046】
有機アルカリ剤は、好ましくは有機アミンから選択される、即ち、少なくとも1つの置換又は無置換アミノ基を含む。
【0047】
有機アルカリ剤は、より優先的には、25℃におけるpKが12未満、好ましくは10未満、更に有利には6未満である有機アミンから選択される。これは、最も高い塩基性度を有する官能基に対応するpKであることに留意すべきである。
【0048】
有機アルカリ剤は、例えば、アルカノールアミン、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、並びに次の式(III):
【化3】
(式(III)中:
〇 Wは、ヒドロキシル基若しくは(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されており、且つ/又は1個若しくは複数個の酸素などのヘテロ原子若しくはNRが任意選択的に介在する、二価のC~Cアルキレン基であり;
〇 R、R、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか又は(C~C)アルキル、C~Cヒドロキシアルキル、若しくはC~Cアミノアルキルから選択される基を表す)の化合物から選択される。
【0049】
好ましくは、アルカノールアミンはエタノールアミン(又はモノエタノールアミン)である。
【0050】
本発明の一変形において、組成物(A)は、アルカリ剤として、1種又は複数種のアルカノールアミン(好ましくはエタノールアミン)及びアンモニア水を含む。この変形において、アルカノールアミンは、アンモニア水に対し優位な量で存在する。
【0051】
ハイブリッド型アルカリ剤としては、上に述べたアミンと、炭酸又は塩酸などの酸との塩を挙げることができる。
【0052】
カチオン性ポリマー
組成物(A)は、1種又は複数種のカチオン性ポリマーを含むことができる。
【0053】
「カチオン性ポリマー」という用語は、カチオン性基及び/又はカチオン性基にイオン化することが可能な基を含み、アニオン性基及び/又はアニオン性基にイオン化することが可能な基を含まない任意のポリマーを意味する。好ましくは、カチオン性ポリマーは、親水性又は両親媒性である。
【0054】
好ましいカチオン性ポリマーは、第1級、第2級、第3級、及び/又は第4級アミン基を含む単位を含むものから選択され、この単位は、高分子主鎖の一部を構成するものであってもよいし、又はそこに直接結合している側鎖置換基が有するものであってもよい。
【0055】
好ましくは、使用することができるカチオン性ポリマーの質量平均モル質量(Mw)は、500~5×10g/molの範囲、好ましくは10~3×10g/molの範囲にある。
【0056】
好ましくは、組成物(A)は、その構造内に、式(I)又は(II):
【化4】
(式中、
・ k及びtは、0又は1であり、k+tの合計は1であり;
・ R12は、水素原子又はメチル基を表し;
・ R10及びR11は、互いに独立して、(C~C)アルキル基、C~Cヒドロキシアルキル基、C~Cアミドアルキル基を表すか;或いは、R10及びR11は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式基、例えば、ピペリジル又はモルホリニルを表し;好ましくは、R10及びR11は、互いに独立して、C~Cアルキル基を表し;
・ Yは、ブロミド、クロリド、アセテート、ボレート、サイトレート、タータレート、ビスルフェート、バイサルファイト、スルフェート、又はホスフェートから好ましく選択されるアニオンである)に対応する1種又は複数種の単位を含むホモポリマー又はコポリマーから選択される1種又は複数種のカチオン性ポリマーを含む。
【0057】
より優先的には、組成物(A)は、その構造内に、上に定義した式(I)に対応する1種又は複数種の単位を含むホモポリマー又はコポリマーから選択される1種又は複数種のカチオン性ポリマーを含む。
【0058】
更に優先的には、組成物(A)は、ジアリルジメチルアンモニウム塩のホモポリマー及びジアリルジメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとのコポリマーから選択される1種又は複数種のカチオン性ポリマーを含む。
【0059】
特に好ましくは、組成物(A)は、ジアリルジメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとのコポリマーから選択される1種又は複数種のカチオン性ポリマーを含む。
【0060】
より具体的には、例えば、Nalco社からMerquat 100の名称で販売されているジメチルジアリルアンモニウム塩(例えばクロリド)のホモポリマー、及び特にMerquat 550又はMerquat 7SPRの名称で販売されている、ジアリルジメチルアンモニウム塩(例えばクロリド)とアクリルアミドとのコポリマーを挙げることができる。
【0061】
カチオン性ポリマーは、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、0.00001質量%~5質量%の範囲、好ましくは0.00005質量%~1質量%の範囲、より優先的には0.00007質量%~0.5質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0062】
アミノシリコーン
組成物(A)は、好ましくはアミノシリコーンから選択される1種又は複数種のシリコーンを含むことができる。
【0063】
「アミノシリコーン」という用語は、少なくとも1つの第1級、第2級、又は第3級アミン基を含む任意のシリコーンを意味する。
【0064】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、室温(25℃)下で、ポリスチレン換算で測定することができる。カラムはμ styragelカラムを使用する。溶出液はTHFとし、流速を1ml/分とする。THF中に0.5質量%のシリコーンを含む溶液200μlを注入する。検出は屈折率測定及びUV測定により実施する。
【0065】
好ましくは、アミノシリコーンは、次の式(B):
R’3-a-Si(OSiG-(OSiGR’2-b-O-SiG3-a-R’ (B)
(式中、
- Gは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか又はフェニル、OH、C~Cアルキル、例えばメチル、若しくはC~Cアルコキシ、例えばメトキシからの基を表し、
- aは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1~3の整数、特に0を表し、
- bは、0又は1、特に1を表し、
- m及びnは、総和(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲になる数であり、nは、0~1999、特に49~149の数を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10の数を表すことができ;
- R’は、同一であっても異なっていてもよく、式-CqH2qL(式中、qは、2~8の範囲の数であり、Lは、次の基:
-N(R”);-N(R”)A-;-NR”-Q-N(R”);及び-NR”-Q-N(R”)A-
(式中、R”は、同一であっても異なっていてもよく、水素、フェニル、ベンジル、又は一価の飽和炭化水素系基、例えばC~C20アルキル基を表し;Qは、式C2rの直鎖又は分岐の基を表し、rは、2~6、好ましくは2~4の範囲の整数であり;Aは、化粧的に許容されるアニオン、とりわけハライド、例えば、フルオリド、クロリド、ブロミド、又はヨージドを表す)から選択される任意選択的に4級化されたアミン基である)の一価の基を表す)のアミノシリコーンから選択される。
【0066】
より優先的には、アミノシリコーンは、次の式(F):
【化5】
(式中、
- p及びqは、総和(p+q)が、1~1000の範囲、特に50~350の範囲、より詳細には150~250の範囲となる数であり;pは、0~999、特に49~349、より詳細には159~239の数を表すことができ、qは、1~1000、特に1~10、より詳細には1~5の数を表すことができ;
- R及びRは、異なっており、ヒドロキシル又はC~Cアルコキシ基を表し、R基又はR基の少なくとも1つはアルコキシ基を表す)のアミノシリコーンから選択される。
【0067】
好ましくは、アルコキシ基はメトキシ基である。
【0068】
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、概して1:0.8~1:1.1の範囲、好ましくは1:0.9~1:1の範囲にあり、より詳細には1:0.95である。
【0069】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~200000、一層詳細には5000~100000、より詳細には10000~50000の範囲である。
【0070】
構造(F)のシリコーンを含む市販品は、その組成物中に、式(F)とは異なる構造を有する1種又は複数種の他のアミノシリコーンを含んでいてもよい。
【0071】
構造(F)のアミノシリコーンを含む製品は、WackerからFluid WR 1300(登録商標)の名称で販売されている。
【0072】
式(F)のアミノシリコーンの中では、Wackerからの製品であるBelsil ADM Log 1も挙げることができる。
【0073】
これらのアミノシリコーンが使用される場合、特に有利な一実施形態は、これらを水中油型エマルション形態で使用することから構成される。水中油型エマルションは、1種又は複数種の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、任意の性質のものとすることができるが、好ましくはカチオン性及び/又は非イオン性である。エマルション中のシリコーン粒子の数平均粒子径は、概して、3nm~500ナノメートルの範囲にある。
【0074】
シリコーンは、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、0.001質量%~10質量%の範囲、好ましくは0.01質量%~5質量%の範囲、より優先的には0.02質量%~1質量%の範囲、更に優先的には0.05質量%~0.5質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0075】
アミノシリコーンは、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、0.001質量%~10質量%の範囲、好ましくは0.01質量%~5質量%の範囲、より優先的には0.02質量%~1質量%の範囲、更に優先的には0.05質量%~0.5質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0076】
組成物(A)は、好ましくは、着色剤及び/又は還元剤を、組成物(A)の総質量に対し、0.1質量%未満、より優先的には0.01質量%未満、より優先的には0.001質量%未満の総含有量で含む。
【0077】
特に好ましい一実施形態によれば、組成物(A)は、着色剤及び/又は還元剤を含まない。
【0078】
組成物(A)は、好ましくは、化学的酸化剤を、組成物(A)の総質量に対し、0.1質量%未満、より優先的には0.01質量%未満、更に優先的には、0.001質量%未満の総含有量で含む。
【0079】
界面活性剤
組成物(A)は、好ましくは、界面活性剤を、組成物の総質量に対し、5質量%未満、より優先的には2質量%未満、更に優先的には1質量%未満含む。
【0080】
特に、組成物(A)は、アニオン性界面活性剤を、組成物(A)の総質量に対し、0.1質量%未満、好ましくは0.01質量%未満、より優先的には0.001質量%未満の総含有量で含むことができる。
【0081】
特に好ましい実施形態によれば、組成物(A)は、アニオン性界面活性剤を含まない。
【0082】
組成物(A)は、非イオン性界面活性剤を、組成物(A)の総質量に対し、0.5質量%未満の総含有量で含むことができる。
【0083】

組成物(A)は、水を、組成物(A)の総質量に対し、1質量%~95質量%の範囲、好ましくは20質量%~95質量%の範囲、より優先的には、40質量%~90質量%の範囲、更に優先的には60質量%~85質量%の範囲の総含有量で含むことができる。
【0084】
有機溶媒
組成物(A)は、好ましくは、モノアルコール、ポリオール、ポリオールエーテル、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含むことができる。
【0085】
組成物(A)は、1種又は複数種のモノアルコールを、組成物(A)の総質量に対し、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも8質量%含むことができる。モノアルコールは直鎖であっても分岐であってもよい。
【0086】
モノアルコールは、好ましくは、C~Cモノアルコール、より優先的にはC~Cモノアルコール、更に優先的には、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、及びこれらの混合物から選択される。
【0087】
特に好ましい一実施形態によれば、モノアルコールはエタノールである。
【0088】
モノアルコールは、組成物(A)中に、組成物(A)の総質量に対し、5質量%~20質量%の範囲、好ましくは5質量%~15質量%の範囲、より優先的には8質量%~12質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0089】
ポリオールは、好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、及びこれらの混合物から選択される。
【0090】
ポリオールエーテルは、好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテル、並びにこれらの混合物から選択される。
【0091】
組成物(A)は有機溶媒を、組成物の総質量に対し、1質量%~40質量%の範囲、好ましくは5質量%~30質量%の範囲、より優先的には8質量%~15質量%の範囲の総含有量で含むことができる。
【0092】
ケラチン繊維を永久変形させるステップ
本方法は、ケラチン繊維を永久変形させるステップii)を含む。ケラチン繊維を永久変形させるステップii)は、好ましくは、ケラチン繊維を直毛化又は縮毛矯正するステップである。
【0093】
還元剤
ケラチン繊維を永久変形させるステップは、ケラチン繊維に1種又は複数種のチオール系又は非チオール系還元剤、好ましくは1種又は複数種のチオール系還元剤を含む組成物を適用することを含み得る。
【0094】
チオール系還元剤
チオール系還元剤は、1つ又は複数の-SH基、-S-基、又はジスルフィド(-S-S-)基、好ましくは-SH基と、カルボン酸基、アミン基、アミド基、エステル基、及びアルコール基、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの他の官能基とを含む有機化合物から選択される。
【0095】
本発明の特定の実施形態によれば、チオール系還元剤は、式i-1及びi-2:
【化6】
(式i-1及びi-2中:
・ Rは:
- カルボキシルC(O)OH、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ヒドロキシル-OH、チオール-SH、若しくは-C(O)-NH-CH-C(O)OHから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されており、及び/若しくは1個若しくは複数個のヘテロ原子若しくは-O-、-S-、-N(R’’’)-、C(O)、若しくはこれらの組合せから選択される基、例えば、-O-C(O)-、-C(O)-O-、-N(R’’’)-C(O)-、若しくは-C(O)-N(R’’’)-(ここでR’’’は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)が任意選択的に介在する、(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基を表すか;又は
- 1つ若しくは複数のヒドロキシル基、チオール基、若しくはカルボキシル基で任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;
・ R’及びR”は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシから選択される1つ又は複数の基で置換された(C~C)アルキル基、好ましくは(C~C)アルキル基を表すか;
或いは、R’及びR”は、これらが結合している硫黄原子と一緒になって、好ましくは飽和であり、1~3個のヘテロ原子を含み、1つ又は複数のヒドロキシル基、チオール基、又はカルボキシ基で任意選択的に置換された1つ又は複数の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された、5~7員の複素環式基を形成し;より優先的には、この複素環式基は、1つ又は複数のカルボキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたジチオラン基である)のもの並びにこれらの混合物から選択される。
【0096】
本発明の特定の実施形態によれば、チオール系還元剤は、式i-1のものから、特に、Rが、
- カルボキシルC(O)OH、アミノ、ヒドロキシル-OH、及びチオール-SHから選択される1つ若しくは複数の基で置換されており;並びに/又は
- 1個若しくは複数個のヘテロ原子若しくは-O-、-N(R’’’)-、C(O)、若しくはこれらの組合せから選択される基、例えば-O-C(O)-、-C(O)-O-、-N(R’’’)-C(O)-、若しくは-C(O)-N(R’’’)-(ここでR’’’は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表す)が任意選択的に介在する、(C~C)アルキル基、好ましくは(C~C)アルキル基を表す、式i-1のものから選択される。
【0097】
本発明の好ましい実施形態によれば、チオール系還元剤は、Rが、何も介在しておらず、カルボキシルC(O)OH、アミノ、ヒドロキシル-OH、及びチオール-SHから選択される1つ又は複数の基で置換されている、(C~C)アルキル基、好ましくは(C~C)アルキル基を表す、式i-1のものから選択される。
【0098】
本発明の他の特定の実施形態によれば、チオール系還元剤は、Rが:
- カルボキシルC(O)OH、アミノ、ヒドロキシル-OH、及びチオール-SHから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されたフェニル基であるか;又は
- O、S、若しくはNから選択される、好ましくはNである、1~4個のヘテロ原子を含み、1つ若しくは複数のヒドロキシル基若しくはチオール基で任意選択的に置換された、5~10員、好ましくは9若しくは10員の二環式ヘテロアリール基である;
式i-1のものから選択される。
【0099】
本発明の他の特定の実施形態によれば、チオール系還元剤は、R’及びR”が、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシルから選択される1つ又は複数の基で置換された(C~C)アルキル基、好ましくは(C~C)アルキル基を表す、式i-2のものから選択される。
【0100】
本発明の他の特定の実施形態によれば、チオール系還元剤は、R’及びR”が、これらが結合している硫黄原子と一緒になって、好ましくは飽和であり、1~3個のヘテロ原子を含み、1つ又は複数のヒドロキシル、チオール、又はカルボキシ基で任意選択的に置換された1つ又は複数の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された、5~7員の複素環式基を形成しており;より優先的には、この複素環式基が、1つ又は複数のヒドロキシル、チオール、又はカルボキシ基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されたジチオラン基である、式i-2のものから選択される。
【0101】
好ましくは、還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、チオリンゴ酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオジグリコール、2-メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオキサンチン、チオサリチル酸、チオジグリコール酸、リポ酸、N-アセチルシステイン、及びチオグリコール酸又はチオ乳酸エステル及びアミド、特にモノチオグリコール酸グリセリル、並びにこれらの混合物から選択される。
【0102】
チオール系還元剤は、特に、塩の形態で、特に、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、例えばマグネシウム及びカルシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、並びにアミノアルコール塩を使用することができる。したがって、チオグリコール酸アンモニウムをチオール系還元剤として使用することができる。
【0103】
特に好ましくは、チオール系還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸、及びシステアミン、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0104】
更に特に好ましくは、チオール系還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0105】
ケラチン繊維を永久変形させるステップにおいてケラチン繊維に適用される組成物は、チオール系還元剤を、組成物の総質量に対し、1質量%~30質量%の範囲、好ましくは、5質量%~25質量%の範囲の総含有量で含むことができる。
【0106】
本発明の特定の実施形態によれば、チオール系還元剤を含む組成物のpHは、塩基性であり、好ましくは8~10の範囲にある。
【0107】
本発明の他の特定の実施形態によれば、チオール系還元剤を含む組成物のpHは、酸性であり、好ましくは1~6の範囲、より優先的には2~5の範囲、更に優先的には2.5~4の範囲にある。
【0108】
一例として、チオール系還元剤を含む組成物のpHは3.5とすることができる。
【0109】
チオール系還元剤を含む組成物は、有利には、ケラチン繊維に、ケラチン繊維1グラム当たり組成物が0.1g~10gの範囲となる量で適用することができる。
【0110】
非チオール系還元剤
「非チオール系 還元剤」という用語は、チオール基を一切有しない還元剤を意味する。
【0111】
非チオール系還元剤は、好ましくは、サルファイト、バイサルファイト、スルフィネート、ホスフィン、糖、レダクトン、水素化物、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0112】
非チオール系還元剤は、より優先的には、亜硫酸及び亜硫酸水素アンモニウムに加えて、金属亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩から、更に優先的にはアルカリ金属又はアルカリ土類金属亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩から、最も優先的には亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムから選択することができる。
【0113】
スルフィネートとしては、スルフィン酸塩及びベンゼンスルフィン酸塩、例えばそのナトリウム塩を挙げることができる。FR-A-2814948号明細書に記載されているスルフィン酸誘導体も使用することができる。好ましいスルフィネート化合物は、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩である。
【0114】
ホスフィンとしては、FR-A-2870119号明細書に記載されているモノホスフィン及びジホスフィンを挙げることができる。本発明の特定の実施形態によれば、ホスフィンは、次の式i-3:
【化7】
(式中、
- Lは、共有結合を表すか又は酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1個若しくは複数個のヘテロ原子を任意選択的に含む二価の炭化水素系基を表す連結基(連結剤(linking agent))であり;
- mは、0又は1の整数であり;
- qは、1又は2の整数であり;
- pは、0又は1の整数であり;
- R31、R32、及びR33は、同一であっても異なっていてもよく:
水素原子;
ハロゲン原子;
ヒドロキシル基;
カルボキシル基;
硫黄原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、及びケイ素原子から選択される1個又は複数個のヘテロ原子を任意選択的に含む一価の炭化水素系基であって:
ハロゲン原子;
ヒドロキシル基;
アルコキシ基;
ハロアルキル基,
アミノ基;
カルボキシル基;
アルコキシカルボニル基;
アミド基;
アルキルアミノカルボニル基;
アシルアミノ基;
モノ-又はジ(アルキル)アミノ基;
モノ-又はジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基;
N-アリール-N-アルキルアミノ基;
無置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びモノ-若しくはジ(アルキル)アミノ基から選択される1つ若しくは複数の基で置換された芳香族又は複素芳香族環;
シアノ基;
ホスフィンの水溶性を高めるスルホネート基、スルフィネート基、ホスホネート基、又はカルボキシレート基などの基;
置換又は無置換の芳香族又は非芳香族複素環式基;
置換又は無置換のアリール基;
置換又は無置換のアリールアルキル基;
アリールアルキルオキシ基;
置換又は無置換の芳香族又は非芳香族複素環式基;
シリル基;
から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された一価の炭化水素系基;
を表し、
但し、
- q=1の場合、m=0且つp=1であり;
- q=2の場合、m=1且つp=0又は1であり:
- p=0の場合、連結基Lはリン原子に結合しており;
- p=1の場合、連結基Lは、R31基、R32基、又はR33基のうちの1つに結合している;
ことが理解される)の化合物
及びその酸付加塩から選択することができる。
【0115】
上に定義した式i-3の化合物の基が置換されている場合、置換基は、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノ-又はジアルキルアミノ、モノ-又はジヒドロキシアルキルアミノ、及びカルボキシルから選択される。例えば、p-メトキシフェニル基は置換されたアリール基である。
【0116】
好ましくは、R31基、R32基、及びR33基は、同時に水素原子を表さない。
【0117】
有利には、しかしながら任意選択的に、R31基、R32基、及びR33基の少なくとも1つは、炭化水素系基として、任意選択的に置換されたアルキル基を表す。
【0118】
本発明の特定の実施形態によれば、R31、R32、及びR33は、水素原子;アルキル基;1つ又は複数のアルキル基で任意選択的に置換されたシクロアルキル基;アルコキシ基;アルコキシアルキル基;ハロアルキル基;シアノアルキル基;ヒドロキシアルキル基;カルボキシアルキル基;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;アルケニル基;モノ-又はジアルキルアミノ基;N-アリール-N-アルキルアミノアルキル基;アルキル基、アルコキシ基、モノ-又はジアルキルアミノ基、モノ-又はジアルキルアミノアルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、及びモノ-又はジアルキルアミノアルキル基で置換されたアリール基から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール基;アリールアルキル基;アリールアルキルオキシ基;ピロリジノ基;フリル基;モルホリノ基;チエニル基;ピリジル基;トリアルキルシリル基;並びにピロリジノ基、フリル基、モルホリノ基、又はチエニル基で置換されたアルキル基;から選択される。
【0119】
一例として、R31、R32、及びR33は、水素原子、メチル基、エチル基;プロピル基;イソプロピル基;n-ブチル基;イソブチル基;tert-ブチル基;オクチル基;シクロヘキシル基;シクロペンチル基;メトキシ基;エトキシ基;メトキシプロピル基;クロロエチル基;シアノエチル基;ヒドロキシメチル基;ヒドロキシプロピル基;カルボキシエチル基;塩素原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;トリフルオロメチル基;クロロメチル基;アリル基;ビニル基;ジメチルアミノ基;ジエチルアミノ基;ジ(イソプロピル)アミノ基;フェニル基;o-トリル基;m-トリル基;p-トリル基;ジメチルフェニル基;トリメチルフェニル基;o-メトキシフェニル基;m-メトキシフェニル基;p-メトキシフェニル基;ジメトキシフェニル基;トリメトキシフェニル基;o-(ジメチルアミノ)フェニル基;m-(ジメチルアミノ)フェニル基;p-(ジメチルアミノ)フェニル基;ジ(tert-ブチル)フェニル基;トリ(tert-ブチル)フェニル基;トリフルオロメチルフェニル基;ビス(トリフルオロメチル)フェニル基;o-フルオロフェニル基;m-フルオロフェニル基;p-フルオロフェニル基;o-クロロフェニル基;m-クロロフェニル基;p-クロロフェニル基;o-ヒドロキシフェニル基;m-ヒドロキシフェニル基;p-ヒドロキシフェニル基;4-(ジエチルアミノメチル)フェニル基;3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基;2-メチルビフェニル基;ベンジル基;ベンジルオキシ基;ナフチル基;モルホリノ基;モルホリノメチル基;ピロリジノ基;フリル基;ピリジル基;チエニル基;トリメチルシリル基;2-(4-ジエチルアミノメチルフェニル)フェニル基;5-メチル-2-イソプロピルシクロヘキシル基;N-メチル-N-フェニルアミノメチル;及びカルボキシフェニル基から選択することができる。
【0120】
本発明に関連して使用することができるホスフィンは、任意選択的に、強無機酸、例えば、HCl、HBr、HSO、若しくはHBF、又は有機酸、例えば、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、若しくはコハク酸との塩であってもよい。
【0121】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明に関連して使用することができるホスフィンはモノホスフィンから選択される。例えば、ホスフィンが式i-3のものである場合、qは、好ましくは1である。
【0122】
モノホスフィンの例として、トリ(ヒドロキシメチル)ホスフィン;トリ(ヒドロキシプロピル)ホスフィン;ビス(ヒドロキシメチル)(フェニル)ホスフィン;アリルジフェニルホスフィン;ベンジルジフェニルホスフィン;ビス(3,4,5-トリメトキシフェニル)クロロホスフィン;ビス(3,4,5-トリメトキシフェニル)ホスフィン;ベンジルオキシ(ジイソプロピルアミノ)メチルホスフィン;ビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン;ビス(2-シアノエチル)ホスフィン;ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)クロロホスフィン;ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィン;ビス(ジエチルアミノ)メチルホスフィン;ビス(ジエチルアミノ)クロロホスフィン;ビス(ジエチルアミノ)フェニルホスフィン;ビス(3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル)クロロホスフィン;ビス(3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル)ホスフィン;ビス(3,5-ジメチルフェニル)クロロホスフィン;ビス(3,5-ジメチルフェニル)ジエチルアミノホスフィン;ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン;ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)クロロホスフィン;ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィン;ビス(4-フルオロフェニル)クロロホスフィン;ビス(2-フリル)クロロホスフィン;ビス(2-フリル)ホスフィン;ビス(ヒドロキシメチル)フェニルホスフィン;ビス(4-メトキシフェニル)フェニルホスフィン;ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン;ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)クロロホスフィン;ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィン;ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)クロロホスフィン;ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィン;ビス(4-フルオロフェニル)クロロホスフィン;ビス(4-メトキシフェニル)クロロホスフィン;ビス(4-メトキシフェニル)フェニルホスフィン;ビス(4-メチルフェニル)クロロホスフィン;ビス(4-メチルフェニル)ホスフィン;ビス(4-トリフルオロメチルフェニル)クロロホスフィン;ビス(4-トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン;ビス(ジエチルアミノ)メチルホスフィン;ビス(ジエチルアミノ)フェニルホスフィン;ビス(ヒドロキシメチル)フェニルホスフィン;ビス(o-トリル)クロロホスフィン;ビス(o-トリル)ホスフィン;ビス(ピロリジノ)メチルホスフィン;ブチルジクロロホスフィン;ブチルジフェニルホスフィン;tert-ブチルジフェニルホスフィン;シクロヘキシル(ジエチルアミノ)クロロホスフィン;シクロヘキシル(ジメチルアミノ)クロロホスフィン;シクロヘキシルジクロロホスフィン;シクロヘキシルジフェニルホスフィン;2-クロロエチルジフェニルホスフィン;2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル;2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル;ジエチルアミノジエチルホスフィン;ジメチルアミノジクロロホスフィン;(4-ジメチルアミノフェニル)ジフェニルホスフィン;N-[(ジフェニルホスフィニル)メチル]-N-メチルアニリン;o-ジフェニルホスフィノ安息香酸;2-メトキシ(ジクロロホスフィノ)ベンゼン;4-メトキシフェニル(ジエチルアミノ)クロロホスフィン;4-メトキシフェニル(ジメチルアミノ)クロロホスフィン;(2-メトキシフェニル)メチルフェニルホスフィン;2-メトキシホスフィノベンゼン;(5-メチル-2-イソプロピルシクロヘキシル)ジフェニルホスフィン;トリフェニルホスフィン;ジアリルフェニルホスフィン;ジベンジルホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン;ジブチルホスフィン;ジシクロヘキシルクロロホスフィン;ジシクロヘキシルフェニルホスフィン;ジシクロヘキシルホスフィン;ジエチルクロロホスフィン;ジエチルフェニルホスフィン;ジエチルホスフィン;ジイソブチルホスフィン;ジイソプロピルクロロホスフィン;ジイソプロピルホスフィン;ジメチル(フェニル)ホスフィン;ジメチル(トリメチルシリル)ホスフィン;ジメチルクロロホスフィン;ジフェニル(o-トリル)ホスフィン;ジフェニル(p-トリル)ホスフィン;ジフェニル(トリメチルシリル)ホスフィン;ジフェニルクロロホスフィン;ジフェニルホスフィン;ジフェニルプロピルホスフィン;ジフェニルビニルホスフィン;ジ-tert-ブチルクロロホスフィン;ジ-tert-ブチルヒドロキシホスフィン;ジ-tert-ブチルメチルホスフィン;ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン;ジ-tert-ブチルホスフィン;ジビニルフェニルホスフィン;エチルジクロロホスフィン;エチルジフェニルホスフィン;イソプロピルジクロロホスフィン;メトキシジエトキシホスフィン;メチルジクロロホスフィン;メチルジフェニルホスフィン;メチルフェニルクロロホスフィン;フェニルホスフィン;プロピルジクロロホスフィン;tert-ブチルビス(トリメチルシリル)ホスフィン;tert-ブチルジクロロホスフィン;tert-ブチルジエチルホスフィン;tert-ブチルジフェニルホスフィン;tert-ブチルホスフィン;トリ(m-トリル)ホスフィン;トリ(o-トリル)ホスフィン;トリ(p-トリル)ホスフィン;トリシクロヘキシルホスフィン;トリシクロペンチルホスフィン;トリエチルホスフィン;トリイソブチルホスフィン;トリイソプロピルホスフィン;トリメチルホスフィン;トリ-n-ブチルホスフィン;トリ-n-オクチルホスフィン;トリプロピルホスフィン;トリス(1-ナフチル)ホスフィン;トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン;トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン;トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン;トリス(2-シアノエチル)ホスフィン;トリス(2-フリル)ホスフィン;トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン;トリス(2-チエニル)ホスフィン;トリス(3,5-ジメチル-4-メトキシ)ホスフィン;トリス(3-クロロフェニル)ホスフィン;トリス(3-フルオロフェニル)ホスフィン;トリス(3-メトキシフェニル)ホスフィン;トリス(3-メトキシプロピル)ホスフィン;トリス(4-クロロフェニル)ホスフィン;トリス(4-フルオロフェニル)ホスフィン;トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン;トリス(4-モルホリノ)ホスフィン;トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン;トリス(トリメチルシリル)ホスフィン;トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン;トリ-tert-ブチルホスフィン;2-シアノエチルジフェニルホスフィン;2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-メチルビフェニル;ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン;及び2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニルを挙げることができる。
【0123】
好ましくは、モノホスフィンは、トリヒドロキシメチルホスフィン;トリヒドロキシプロピルホスフィン;及びビス(ヒドロキシメチル)フェニルホスフィンから選択される。
【0124】
本発明の他の特定の実施形態によれば、本発明に関連して使用することができるホスフィンはジホスフィンである。ホスフィンが式i-3のものである場合、qは、好ましくは2である。
【0125】
好ましくは、pは0であり、連結基Lは、共有結合であるか、又はビナフチレン基;メチレン基;エチレン基;プロピレン基;ブチレン基;ペンチレン基;ヘキシレン基;フェニレン基;メタ-ジメチレンベンゼン基;N-メチル-N’-メチルヒドラゾ基;ビニレン基;及びジエチレンオキシ基から選択される二価の基である。
【0126】
本発明に関連して使用することができるジホスフィンの例として、2,2’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル;2,2’-ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニルホスフィノ)]-1,1’-ビナフチル;1,4-ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]ブタン;1,2-ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]エタン;ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]メタン;1,5-ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]ペンタン;1,3-ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]プロパン;2,2’-ビス[ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチル;1,4-ビス[ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ]ブタン;1,2-ビス[ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ]エタン;ビス[ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ]メタン;1,5-ビス-[ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ]ペンタン;1,3-ビス[ビス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ]プロパン;1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ベンゼン;1,4-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ブタン;1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)エタン;1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノメチル)ベンゼン;1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)プロパン;1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン;1,3-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン;1,4-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン;1,4-ビス(ジクロロホスフィノ)ブタン;1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)-1,2-ジメチルヒドラジン;1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)エタン;ビス(ジクロロホスフィノ)メタン;1,3-ビス(ジクロロホスフィノ)プロパン;1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ベンゼン;2,2’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル;1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン;(2R,3R)ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン;(2S,3S)-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン;1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン;ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン;1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン;ビス[2-(4-ジエチルアミノメチルフェニル)フェニルホスフィノ]エチルエーテル;1,2-ビス(ジエチルホスフィノ)エタン;1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)ベンゼン;1,4-ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン;1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン;ビス(ジメチルホスフィノ)メタン;1,3-ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン;1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン;1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン;1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン;2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル;1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン;cis-1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン;trans-1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン;ビス(2-ジフェニルホスフィノ)エチルエーテル;1,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン;ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン;1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン;1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン;1,2-ビス(ジトリフルオロメチルホスフィノ)エタン;1,2-ビス[(2-メトキシフェニル)フェニルホスフィノ]エタン;1,2-ビス(フェニルホスフィノ)エタン;1,3-ビス(フェニルホスフィノ)プロパン;ビス-2-[(フェニル)(3-ピリジル)ホスフィノエチル]エーテル;1,2-ビス(ホスフィノ)ベンゼン;1,2-ビス(ホスフィノ)エタン;ビス(ホスフィノ)メタン;1,2-ビス(トリフルオロメチル)ホスフィノ)エタン;ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ペンタン;及びテトラフェニルビホスフィンを挙げることができる。
【0127】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明に関連して使用することができるホスフィンは、化粧的に許容される媒体に可溶である。好ましくは、本発明に関連して使用することができるホスフィンは、水溶性である。
【0128】
本発明に関連する「水溶性」という用語は、20℃における水に対する溶解度が0.01質量%を超える任意のホスフィンを指す。好ましくは、ホスフィンはトリヒドロキシメチルホスフィンである。
【0129】
糖としては、リボース、グルコース、マルトース、ガラクトース、ラクトース、及びキシロースを挙げることができる。
【0130】
レダクトンとしては、アスコルビン酸及びエリソルビン酸を挙げることができる。
【0131】
水素化物としては、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素、水素化リチウム、及び水素化リンを挙げることができる。水素化物前駆体及び特に水素化ホウ素、例えば、ジボラン、テトラボラン、ペンタボラン、デカボラン、及びドデカボランを使用することができる。
【0132】
特に好ましい実施形態によれば、非チオール系還元剤は、サルファイト、バイサルファイト、ホスフィン、及びこれらの混合物から選択される。
【0133】
アルカリ剤
ケラチン繊維を永久変形させるステップは、ケラチン繊維に無機水酸化物、有機水酸化物、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種のアルカリ剤を含む組成物を適用することを含むことができる。
【0134】
無機水酸化物は、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、遷移金属水酸化物、及びこれらの混合物から選択され、より優先的には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化マンガン、水酸化亜鉛、及びこれらの混合物から選択される。
【0135】
更に優先的には、アルカリ剤は水酸化ナトリウムである。
【0136】
有機水酸化物の中でも、好ましくは、水酸化グアニジニウムが使用されるであろう。
【0137】
水酸化グアニジニウムは、一般に、使用時に炭酸グアニジン及び水酸化カルシウムを混合することにより得ることができる。
【0138】
第1の変形によれば、本発明による組成物は炭酸グアニジンを含み、そして使用時に、この組成物は、「活性化剤」として知られる水酸化カルシウムを含む組成物と混合される。
【0139】
第2の変形によれば、本発明による組成物は水酸化カルシウムを含み、そして使用時に、この組成物は、「活性化剤」として知られる炭酸グアニジンを含む組成物と混合される。
【0140】
好ましくは、無機水酸化物、有機水酸化物、及びこれらの混合物から選択されるアルカリ剤の量は、組成物のpHが12~14の範囲となるものである。
【0141】
組成物は、無機水酸化物、有機水酸化物、及びこれらの混合物から選択されるアルカリ剤を、組成物の総質量に対し、1質量%~10質量%の範囲の総含有量で含むことができる。
【0142】
アルカリ剤を含む組成物は、有利には、ケラチン繊維に、ケラチン繊維1グラム当たり組成物0.1g~10gの範囲の量で適用することができる。
【0143】
ケラチン繊維の濯ぐ及び/又は乾燥させるサブステップ
ケラチン繊維を永久変形させるステップii)は、ケラチン繊維を濯ぐ及び/又は乾燥させるサブステップ、好ましくは、濯ぎステップ及びその次の乾燥ステップを含むことができる。
【0144】
濯ぎサブステップは、水で又は化学的酸化剤を含む水性組成物を使用して濯ぐサブステップとすることができる。化学的酸化剤として過酸化水素を使用することができる。
【0145】
化学的酸化剤は、ケラチン繊維に、過酸化水素を0.3質量%~12質量%(1~40volume)、好ましくは0.6質量%~2質量%(2~7volume)含む水性組成物の形態で適用することができる。
【0146】
乾燥サブステップは、ヘアドライヤー、フード型ドライヤー(styling hood)を使用するか又は自然乾燥させることにより実施することができる。乾燥サブステップは、有利には、20℃~70℃の範囲の温度で実施することができる。乾燥サブステップは、ヘアドライヤー及びブラシを使用して(ブロー乾燥)実施することができる。
【0147】
熱処理サブステップ
ケラチン繊維を永久変形させるステップii)は、加熱器具を使用してケラチン繊維を熱処理するサブステップを含むことができる。
【0148】
加熱器具は、好ましくは、65℃~250℃の範囲、より優先的には80℃~230℃の範囲、更に優先的には150℃~230℃の範囲、最も優先的には160℃~230℃の範囲、最も優先的には180℃~230℃の範囲の温度に維持される。
【0149】
加熱器具は、好ましくは、ストレートアイロン(又は平らなトング)、スチームアイロン、フード型ドライヤー、ヘアドライヤー、赤外線照射装置(infrared ray dispenser)、及び加熱コーム(heating comb)から、より優先的にはスチームアイロン又はストレートアイロンから、更に優先的にはストレートアイロンから選択される。
【0150】
「アイロン」という用語は、ケラチン繊維を加熱器具と接触するように配置することにより前記繊維を加熱するための器具を意味する。一般に、ケラチン繊維と接触するアイロンの端部は、2つの平らな面を有する。この2つの面は金属又はセラミック製であり得る。特にこれらの2つの面は、滑らかであっても、波状であっても、湾曲していてもよい。本発明による方法に使用することができるアイロンの例として、あらゆるタイプのフラットアイロン並びに、これらに限定されるものではないが、特に、特許である米国特許第5957140号明細書及び米国特許第5046516号明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0151】
「スチームアイロン」という用語は、水蒸気を放出する装置を備え、この水蒸気を直毛化操作の前、途中、又は後に当てるアイロンを意味する。
【0152】
スチームアイロンの例として、RowentaからのSteampodタイプのアイロンを挙げることができる。
【0153】
有利には、水蒸気は、ケラチン繊維に、5g/分未満、特に、1~4g/分の流量で適用される。
【0154】
ストレートアイロン又はスチームアイロンは、別々の数秒間のストロークを連続して行うか又は毛束に沿って徐々に移動させるか若しくは滑らせることにより適用することができる。
【0155】
ストレートアイロン又はスチームアイロンは、根本から毛先に向かう連続的な移動を1又は複数ストローク、特に2~20ストローク行うことにより適用することができる。ストレートアイロン又はスチームアイロンの各ストロークの時間は2秒間~1分間の範囲とすることができる。
【0156】
ストレートアイロン又はスチームアイロンは、好ましくは、予め乾燥させておいたケラチン繊維に適用される。
【0157】
好ましい実施形態によれば、ケラチン繊維を永久変形させるステップii)は、濯ぎサブステップと、その次の乾燥サブステップと、その次のストレートアイロンを用いる熱処理サブステップと、を含む。
【0158】
本方法に関する更なる特徴
組成物(A)は濡れた又は乾いたケラチン繊維に適用することができる。
【0159】
浴比
組成物(A)は、有利には、ケラチン繊維に、ケラチン繊維1グラム当たり組成物(A)が0.1g~10gの範囲となる量で適用することができる。
【0160】
好ましくは、組成物(A)は、ケラチン繊維に、ケラチン繊維1グラム当たり組成物(A)が0.2g~5gの範囲となる量で適用することができる。
【0161】
放置時間ステップi’)
本方法は、好ましくは、ステップi)及びii)の間に、組成物(A)をケラチン繊維上に1分間~60分間の範囲、より優先的には3分間~40分間の範囲、更に優先的には3分間~20分間の範囲の時間静置するために放置することから構成されるステップi’)を更に含む。
【0162】
放置時間ステップは、15~45℃の範囲の温度、好ましくは室温(25℃)で行うことができる。放置時間は、密閉(occlusive)系で行うことができる。密閉系の非限定的な例として、アルミ箔若しくはプラスチックフィルムから作製された包み(envelope)型の密閉系又は穴が開いている若しくは開いていないヘアキャップを挙げることができる。
【0163】
濯ぎ及び/又は乾燥ステップi”)
本方法はまた、ステップi)又はi’)の後、且つステップii)の前に、ケラチン繊維の濯ぎ及び/又は乾燥ステップi”)、好ましくはケラチン繊維の乾燥ステップi”)も含むことができる。
【0164】
好ましい一実施形態によれば、本方法は、ステップi)又はi’)とステップii)との間に濯ぎステップを含まない。
【0165】
「濯ぎステップ」という用語は、水で濯ぐステップを意味する。
【0166】
乾燥ステップは、吸収紙、ヘアドライヤー、若しくはフード型ドライヤーを使用するか又は自然乾燥させることにより実施することができる。
【0167】
ケラチン繊維を染色又は脱色するステップ
本発明による方法は:
- ステップi)若しくはi’)若しくはi”)の後、且つステップii)の前に;及び/又は
- ステップii)の後に;
ケラチン繊維を染色又は脱色するステップを更に含むことができる。
【0168】
好ましくは、本発明による方法は、ステップi)又はi’)又はi”)の後、且つステップii)の前に、ケラチン繊維を染色又は脱色するステップを含む。
【0169】
染色又は脱色ステップは、ケラチン繊維に染色又は脱色組成物を適用することを含むことができる。
【0170】
化学的酸化剤
染色又は脱色組成物は、少なくとも1種の化学酸化剤を含むことができる。
【0171】
好ましくは、化学的酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸化塩、過酸及びその前駆体、並びにこれらの混合物から選択される。
【0172】
より優先的には、化学的酸化剤は、過酸化水素、過酸化塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0173】
更に優先的には、化学的酸化剤は、過酸化水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過硫酸塩、過ホウ酸塩、又は過炭酸塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0174】
更に優先的には、化学的酸化剤は、過酸化水素である。
【0175】
過酸化塩の例として、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、又は過硫酸アンモニウム及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0176】
組成物が脱色組成物である場合、これは、好ましくは、過酸化水素及び過酸化塩を含むことができる。
【0177】
染色又は脱色組成物は、化学的酸化剤を、染色又は脱色組成物の総質量に対し、0.5~60質量%の範囲、好ましくは0.5~40質量%、より優先的には1~30質量%の範囲の総含有量で含むことができる。
【0178】
液体脂肪性物質
染色又は脱色組成物はまた、塩形態にある脂肪酸以外の、室温(25℃)の大気圧(1.013×10Pa)下で液体である1種又は複数種の脂肪性物質も含むことができる。
【0179】
「脂肪性物質」という用語は、室温(25℃)の大気圧(1.013×10Pa)下で水に不溶(溶解度が5質量%未満、好ましくは1質量%未満、更に優先的には0.1質量%未満)である有機化合物を意味する。これらは、その構造内に、少なくとも6個の炭素原子及び/又は少なくとも2つの連続したシロキサン基を含む、少なくとも1つの炭化水素系の鎖を有する。更に、脂肪性物質は、一般に、同温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、エタノール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、流動ワセリン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶である。
【0180】
「油」という用語は、室温(25℃)の大気圧(1.013×10Pa)下で液体である「脂肪性物質」を意味する。
【0181】
「非シリコーン脂肪性物質」という用語は、Si-O結合を含まない脂肪性物質を指し、「シリコーン脂肪性物質」という用語は、少なくとも1つのSi-O結合を含む脂肪性物質を指す。
【0182】
染色又は脱色組成物中に使用することができる液体脂肪性物質は、塩形態にある脂肪酸とは異なる。つまりこれらは、組成物中に遊離脂肪酸の形態で存在し得る。つまり、これらの脂肪性物質は、塩形態のカルボン酸基(-C(O)O-)を全く含まない。特に、これらの脂肪性物質は、ポリオキシアルキレン化もポリグリセロール化もされていない。
【0183】
好ましくは、脂肪性物質は、塩形態にない脂肪酸とは異なる。
【0184】
より詳細には、本発明による液体脂肪性物質は、C~C16液体炭化水素、16個を超える炭素原子を含む液体炭化水素、動物由来の非シリコーン油、植物又は合成由来のトリグリセリド型の油、フッ素油、液体脂肪アルコール、トリグリセリド以外の液体脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステル、並びにシリコーン油、並びにこれらの混合物から選択される。
【0185】
脂肪アルコール及びエステルは、より詳細には、特に1つ又は複数のヒドロキシル基(特に、1~4つ)で任意選択的に置換された、6~30個、より良好には8~30個の炭素原子を含む、少なくとも1つの飽和又は不飽和の直鎖又は分枝の炭化水素系基を含むことを想起されたい。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0186】
~C16液体炭化水素に関しては、これらは直鎖、分枝、又は任意選択的に環状であり、好ましくはアルカンである。その例として、ヘキサン、シクロヘキサン、ウンデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、又はイソヘキサデカン若しくはイソデカンなどのイソパラフィン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0187】
16個を超える炭素原子を含む液体炭化水素は、直鎖又は分枝であってもよく、鉱物又は合成由来であってもよく、好ましくは、流動パラフィン又は流動ワセリン、ポリデセン、Parleam(登録商標)などの水添ポリイソブテン、及びこれらの混合物から選択される。
【0188】
動物由来の炭化水素系油として、パーヒドロスクアレンを挙げることができる。
【0189】
植物又は合成由来のトリグリセリド油は、好ましくは、6~30個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、或いは、例えば、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、カボチャ(marrow)油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカデミア油、アララ(arara)油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社により販売されているもの又はDynamit Nobel社によりMiglyol(登録商標)810、812、及び818の名称で販売されているもの、ホホバ油及びシア脂油、並びにこれらの混合物から選択される。
【0190】
フッ素油に関しては、BNFL Fluorochemicals社によりFlutec(登録商標)PC1及びFlutec(登録商標)PC3の名称で販売されているパーフルオロメチルシクロペンタン及びパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン;パーフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;パーフルオロアルカン、例えば、3M社によりPF 5050(登録商標)及びPF 5060(登録商標)の名称で販売されているドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサン、又はAtochem社からForalkyl(登録商標)の名称で販売されているブロモパーフルオロオクチル;ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブタン;パーフルオロモルホリン誘導体、例えば、3M社によりPF 5052(登録商標)の名称で販売されている4-トリフルオロメチルパーフルオロモルホリンから選択することができる。
【0191】
液体脂肪アルコールは、より詳細には、6~30個の炭素原子、好ましくは8~30個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルコール、好ましくは不飽和又は分岐アルコールから選択することができる。その例として、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール及びリノレイルアルコール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0192】
上述のトリグリセリド以外の脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの液体エステルに関しては、とりわけ、飽和又は不飽和の直鎖C~C26又は分枝C~C26脂肪族一価酸又は多価酸と、飽和又は不飽和の直鎖C~C26又は分枝C~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとのエステルを挙げることができ、このエステルの総炭素数は6以上であり、より有利には10以上である。
【0193】
モノアルコールのエステルに関しては、好ましくは、本発明のエステルを誘導するアルコール及び酸のうちの少なくとも1種は分枝である。
【0194】
モノエステルの中では、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸イソステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、アセチルリシノール酸メチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えば、イソプロピル2-オクチルドデシルミリステート、ステアリン酸イソブチル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0195】
好ましくは、一価酸及び一価アルコールのモノエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリル、並びにこれらの混合物が使用されるであろう。
【0196】
更にこの変形に関連する範囲内では、C~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸とC~C26ジヒドロキシアルコール、トリヒドロキシアルコール、テトラヒドロキシアルコール、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用することができる。
【0197】
とりわけ、セバシン酸ジエチル;セバシン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジ-n-プロピル;アジピン酸ジオクチル;アジピン酸ジイソステアリル;マレイン酸ジオクチル;ウンデシレン酸グリセリル;ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル;モノリシノール酸ペンタエリスリチル;テトライソノナン酸ペンタエリスリチル;テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル;テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル;テトラオクタン酸ペンタエリスリチル;ジカプリル酸プロピレングリコール;ジカプリン酸プロピレングリコール;エルカ酸トリデシル;クエン酸トリイソプロピル;クエン酸トリイソステアリル;トリ乳酸グリセリル;トリオクタン酸グリセリル;クエン酸トリオクチルドデシル;クエン酸トリオレイル;ジオクタン酸プロピレングリコール;ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール;ジイソノナン酸ジエチレングリコール;及びジステアリン酸ポリエチレングリコール;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0198】
染色又は脱色組成物はまた、脂肪エステルとして、C~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルも含み得る。「糖」という用語は、幾つかのアルコール官能基を有し、アルデヒド又はケトン官能基を含むか又は含まず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を有する炭化水素系の化合物を指すことを想起されたい。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であり得る。
【0199】
好適な糖の例として、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにこれらの誘導体、とりわけメチル誘導体などのアルキル誘導体、例えばメチルグルコースを挙げることができる。
【0200】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、上述の糖と、直鎖又は分枝の飽和又は不飽和のC~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から選択することができる。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0201】
この変形によるエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、及びテトラエステル、ポリエステル、並びにこれらの混合物からも選択され得る。
【0202】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、アラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、特に、オレオパルミチン酸エステル、オレオステアリン酸エステル、及びパルミトステアリン酸エステルといった混合エステルなどである。
【0203】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、特に、スクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノ-又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステル、並びにこれらの混合物が使用される。
【0204】
その例として、メチルグルコースジオレイン酸エステルである、Amerchol社からGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0205】
好ましくは、一価酸と一価アルコールとの液体エステルが使用されるであろう。
【0206】
染色又は脱色組成物に使用することができるシリコーン油は、揮発性又は不揮発性の環状、直鎖、又は分枝シリコーン油であってもよく、これらは未変性であるか又は有機基で変性されており、好ましくは、25℃における粘度が5×10-6~2.5m/s、好ましくは1×10-5~1m/sである。
【0207】
好ましくは、シリコーン油は、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0208】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。染色又は脱色組成物に使用することができる有機変性シリコーン油は、好ましくは、例えばアミン基及びアルコキシ基から選択される炭化水素系基を介して結合している1つ又は複数の有機官能基をその構造内に含む、上に定義した液体シリコーンである。
【0209】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll’s Chemistry and Technology of Silicones(1968),Academic Pressにおいてより詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0210】
これらが揮発性である場合、シリコーン油は、より詳細には、60℃~260℃の沸点を有するものから選択され、更に詳細には、以下のものから選択される:
【0211】
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは例えば、特にUnion CarbideによりVolatile Silicone(登録商標)7207の名称で、又はRhodiaによりSilbione(登録商標)70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union CarbideによりVolatile Silicone(登録商標)7158の名称で、及びRhodiaによりSilbione(登録商標)70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。
【0212】
Union Carbide社により販売されているVolatile Silicone(登録商標)FZ 3109などのジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型の環状コポリマーも挙げることができる。
【0213】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラ(トリメチルシリル)ペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1’-ビス(2,2,2’,2’,3,3’-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる;
【0214】
(ii)2~9個のケイ素原子を含み、25℃における粘度が5×10-6/s以下である直鎖揮発性ポリジアルキルシロキサン。その例として、特にToray Silicone社によりSH 200の名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンが挙げられる。ここに分類されるシリコーンは、Cosmetics and Toiletries,Vol.91,Jan.76,pages 27-32,Todd&Byers Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公開されている記事にも記載されている。
【0215】
好ましくは、不揮発性ポリジアルキルシロキサンが使用される。
【0216】
これらのシリコーン油は、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中でも、主として、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに準拠し25℃で測定される。
【0217】
これらのポリジアルキルシロキサンの中でも、これらに限定されるものでないが、以下に示す市販の製品を挙げることができる:
- Rhodiaにより販売されている47及び70047シリーズのSilbione(登録商標)油又はMirasil(登録商標)油、例えば70047 V 500000油;
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社からの200シリーズの油、例えば、60000mm/sの粘度を有するDC200;
- General ElectricからのViscasil(登録商標)油及びGeneral ElectricからのSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0218】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られている、ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社からの48シリーズの油も挙げることができる。
【0219】
染色又は脱色組成物中に使用することができる有機変性シリコーンは、その構造内に、炭化水素系基を介して結合している1つ又は複数の有機官能基を含む、上に定義した液体シリコーンである。
【0220】
少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンに関して言えば、これらは特に、上述の有機官能基で官能基化されたポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンであり得る。
【0221】
ポリアルキルアリールシロキサンは、特に、25℃における粘度が1×10-5~5×10-2/sの範囲にある、直鎖及び/又は分枝のポリジメチル/メチルフェニルシロキサン及びポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
【0222】
これらのポリアルキルアリールシロキサンの中でも、例えば、次の名称で販売されている製品を挙げることができる:
- Rhodiaからの70641シリーズのSilbione(登録商標)油;
- RhodiaからのRhodorsil(登録商標)70633及び763シリーズの油;
- Dow Corningの油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid;
- BayerからのPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20;
- BayerからのPN及びPHシリーズのシリコーン、例えば製品PN1000及びPH1000;
- General ElectricからのSFシリーズの特定の油、例えば、SF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0223】
有機変性シリコーンの中でも:
- 置換又は無置換のアミン基(例えば、Genesee社によりGP 4 Silicone Fluid及びGP 7100の名称で販売されている製品又はDow Corning社によりQ28220及びDow Corning 929若しくは939の名称で販売されている製品。置換アミン基は、特にC~Cアミノアルキル基である);
- アルコキシ基;
- ヒドロキシル基;
を含むポリオルガノシロキサンを挙げることができる。
【0224】
液体脂肪性物質は、優先的には、16個を超える炭素原子を含む液体炭化水素、植物油、液体脂肪アルコール及び液体脂肪エステル、シリコーン油、並びにこれらの混合物から選択される。
【0225】
優先的には、液体脂肪性物質は、16個を超える炭素原子を含む液体炭化水素、特に流動ワセリンから選択される。
【0226】
特定の実施形態において、染色又は脱色組成物に含まれる液体脂肪性物質の総含有量は、染色又は脱色組成物の総質量に対し、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より優先的には35質量%以上である。
【0227】
より優先的には、染色又は脱色組成物に含まれる液体脂肪性物質の総含有量は、染色又は脱色組成物の総質量に対し、20質量%~80質量%の範囲、好ましくは30質量%~70質量%の範囲にある。
【0228】
アルカリ剤
染色又は脱色組成物は、任意選択的に、1種又は複数種のアルカリ剤も含むことができる。
【0229】
好ましくは、染色又は脱色組成物は、1種又は複数種の有機又は無機アルカリ剤を含む。
【0230】
無機アルカリ剤は、好ましくは、アンモニア水、アルカリ金属の炭酸塩若しくは炭酸水素塩、例えば炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム及び炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム、アルカリ金属ケイ酸塩若しくはメタケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム若しくはカリウム若しくはメタケイ酸ナトリウム若しくはカリウム、又はこれらの混合物から選択される。
【0231】
有機アルカリ剤は、好ましくは、25℃におけるpKが12未満、好ましくは10未満、更に有利には6未満である有機アミンから選択される。これは、最も高い塩基性度を有する官能基に対応するpKであることに留意すべきである。加えて、有機アミンは、10個を超える炭素原子を含むアルキル又はアルケニル脂肪鎖を含まない。
【0232】
有機アルカリ剤は、例えば、アルカノールアミン、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、アミノ酸、並びに次の式(III):
【化8】
(式(III)中:
〇 Wは、ヒドロキシル基若しくは(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されており、且つ/又は1個若しくは複数個の酸素などのヘテロ原子若しくはNRが任意選択的に介在する、二価のC~Cアルキレン基であり;
〇 R、R、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか又は(C~C)アルキル、C~Cヒドロキシアルキル、若しくはC~Cアミノアルキルから選択される基を表す)の化合物から選択される。
【0233】
式(III)のアミンの例として、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン、及びスペルミジンを挙げることができる。
【0234】
「アルカノールアミン」という用語は、第1級、第2級、又は第3級アミン官能基と、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する1つ又は複数の直鎖又は分枝C~Cアルキル基とを含む有機アミンを意味する。
【0235】
同一又は異なる1~3つのC~Cヒドロキシアルキル基を含むモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、又はトリアルカノールアミンなどのアルカノールアミンから選択される有機アミンは、本発明を実施するのに特に好適である。
【0236】
この種の化合物の中でも、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを挙げることができる。
【0237】
より詳細には、使用することができるアミノ酸は、L体、D体、又はラセミ体の形態にある天然又は合成由来のものであり、より詳細には、カルボン酸官能基、スルホン酸官能基、ホスホン酸官能基、及びリン酸官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を含む。このアミノ酸は、中性形態であってもイオン形態であってもよい。
【0238】
染色又は脱色組成物に使用することができるアミノ酸としては、特に、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンを挙げることができる。
【0239】
有利には、アミノ酸は、追加のアミン官能基を、任意選択的に環内又はウレイド基内に含む、塩基性アミノ酸である。
【0240】
このような塩基性アミノ酸は、好ましくは、次の式(IV):
R-CH-CH(NH)-C(O)-OH (IV)
(式中、Rは、イミダゾリル、好ましくは、イミダゾリル-4-イル;アミノプロピル;アミノエチル;-(CHN(H)-C(O)-NH;及び-(CH-N(H)-C(NH)-NHから選択される基を表す)に対応するものに加えて、その塩からも選択される。
【0241】
式(IV)に相当する化合物は、ヒスチジン、リジン、アルギニン、オルニチン、及びシトルリンである。
【0242】
有機アミンは、複素環型の有機アミンからも選択することができる。アミノ酸に関し既に挙げたヒスチジンに加えて、特にピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、及びベンゾイミダゾールも挙げることができる。
【0243】
有機アミンは、アミノ酸ジペプチドからも選択することができる。本発明において使用することができるアミノ酸ジペプチドとしては、特にカルノシン、アンセリン、及びバレニンを挙げることができる。
【0244】
有機アミンは、グアニジン官能基を含む化合物からも選択することができる。本発明で使用され得るこの種のアミンとして、アミノ酸として既に挙げたアルギニンに加えて、特にクレアチン、クレアチニン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1-ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、n-アミジノアラニン、3-グアニジノプロピオン酸、4-グアニジノ酪酸、及び2-([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン-1-スルホン酸を挙げることができる。
【0245】
ハイブリッド型化合物としては、上に述べたアミンと炭酸又は塩酸などの酸との塩を挙げることができる。
【0246】
特に、炭酸グアニジン又はモノエタノールアミン塩酸塩を使用することができる。
【0247】
好ましくは、染色又は脱色組成物中に存在するアルカリ剤は、アンモニア水、アルカノールアミン、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、及びこれらの混合物から選択される。
【0248】
より優先的には、染色組成物中に存在するアルカリ剤は、モノエタノールアミンである。
【0249】
より優先的には、脱色組成物中に存在するアルカリ剤は、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0250】
染色又は脱色組成物に含まれるアルカリ剤の総含有量は、染色又は脱色組成物の総質量に対し、0.01質量%~30質量%の範囲、好ましくは0.1質量%~20質量%の範囲とすることができる。
【0251】
溶媒
染色又は脱色組成物は、任意選択的に、1種又は複数種の有機溶媒も含むことができる。
【0252】
有機溶媒の例としては、直鎖又は分枝のC~Cアルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;グリセロール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテルに加えて、芳香族アルコール又はエーテル、例えば、ベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0253】
有機溶媒は、染色又は脱色組成物中に、染色又は脱色組成物の総質量に対し、0.01質量%~30質量%の範囲、好ましくは2質量%~25質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0254】
ケラチン繊維を染色するステップ
染色ステップは、ケラチン繊維に染色組成物を適用することを含むことができる。
【0255】
染料組成物は、酸化染料、直接染料、及びこれらの混合物から、好ましくは酸化染料から選択される少なくとも1種の着色剤を含むことができる。
【0256】
酸化染料
酸化染料は、一般に、1種又は複数種のカップリング剤(カプラーとしても知られる)を任意選択的に組み合わせた1種又は複数種の酸化性塩基から選択される。
【0257】
酸化性塩基
染料組成物は、任意選択的に、有利にはケラチン繊維の染色に従来使用されているものから選択される1種又は複数種の酸化性塩基を含むことができる。
【0258】
一例として、酸化性塩基は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール、及び複素環式塩基、並びに対応する付加塩から選択される。
【0259】
パラフェニレンジアミンの中でも、例えば、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β、γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4’-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン、及び3-ヒドロキシ-1-(4’-アミノフェニル)ピロリジン、並びに酸との対応する付加塩を挙げることができる。
【0260】
上に述べたパラ-フェニレンジアミンの中でも、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、並びに酸との対応する付加塩が特に好ましい。
【0261】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中でも、例えば、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(エチル)-N,N’-ビス(4’-アミノ-3’-メチルフェニル)エチレンジアミン、及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、並びに対応する付加塩を挙げることができる。
【0262】
パラ-アミノフェノールの中でも、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及び4-アミノ-2-フルオロフェノール、並びに酸との対応する付加塩を挙げることができる。
【0263】
オルト-アミノフェノールの中でも、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール、並びに酸との対応する付加塩を挙げることができる。
【0264】
複素環式塩基の中でも、例えば、ピリジン、ピリミジン、及びピラゾール誘導体を挙げることができる。
【0265】
ピリジン誘導体の中でも、例えば、特許であるGB1026978号明細書及びGB1153196号明細書に記載されている化合物、例えば、2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、及び3,4-ジアミノピリジン、並びに対応する付加塩を挙げることができる。
【0266】
本発明に有用な他のピリジン酸化性塩基は、例えば、仏国特許出願公開第2801308号明細書に記載されている酸化性塩基である3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン又は対応する付加塩である。その例として、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、及び2-(4-ジメチルピペラジニウム-1-イル)-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、並びに対応する付加塩を挙げることができる。
【0267】
より詳細には、本発明に有用な酸化性塩基は、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジンから選択され、好ましくは2位の炭素原子が:
a)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基(前記アルキル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、アミノ、又はイミダゾリウム基で置換されていてもよい);
b)1つ若しくは複数の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された、1~3個のヘテロ原子を含む、任意選択的にカチオン性の5~7員のヘテロシクロアルキル基、例えば、ジ(C~C)アルキルピペラジニウム基;又は
c)1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ基、例えばβ-ヒドロキシアルコキシ基;
で置換されているもの及び対応する付加塩である。
【0268】
ピリミジン誘導体の中でも、例えば、特許である独国特許第2359399号明細書;日本特許第88-169571号公報;特開平05-63124号公報;欧州特許第0770375号明細書、又は特許出願である国際公開第96/15765号パンフレットに記載されている化合物、例えば、2,4,5,6-テトラアミノピリジミン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリジミン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリジミン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリジミン、2,5,6-トリアミノピリミジン及びその付加塩、並びに、互変異性平衡が存在する場合は、その互変異性体を挙げることができる。
【0269】
ピラゾール誘導体の中でも、特許である独国特許第3843892号明細書、及び独国特許第4133957号明細書、並びに特許出願である国際公開第94/08969号パンフレット、国際公開第94/08970号パンフレット、FR-A2733749号明細書、独国特許第19543988号明細書に記載されている化合物、例えば、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4’-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2’-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、並びに対応する付加塩を挙げることができる。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールも使用され得る。
【0270】
好ましくは4,5-ジアミノピラゾールが使用され、更に優先的には、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は対応する塩が使用されるであろう。
【0271】
更に、ピラゾール誘導体として、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に、特許出願であるFR-A-2886136号明細書に記載されているもの、例えば、以下の化合物及び対応する付加塩:2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、及び2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンを挙げることができる。
【0272】
好ましくは、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又は対応する塩が使用されるであろう。
【0273】
好ましく使用される複素環式塩基は、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/若しくは2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン並びに/又は対応する塩であろう。
【0274】
カップリング剤
染料組成物は、任意選択的に、有利にはケラチン繊維の染色に従来使用されているものから選択することができる1種又は複数種のカップリング剤を含むことができる。
【0275】
これらのカップリング剤の中でも、特にメタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップリング剤、及び複素環式カップリング剤に加えて、対応する付加塩を挙げることができる。
【0276】
例えば、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、及び3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、酸との対応する付加塩及び対応する混合物を挙げることができる。
【0277】
一般に、本発明に関連して使用することができる酸化性塩基及びカップリング剤の付加塩は、特に酸との付加塩、例えば、塩酸塩、臭素酸塩、スルフェート、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、及び酢酸塩から選択される。
【0278】
有利には、酸化性塩基は、それぞれ、染料組成物の総質量に対し0.001質量%~10質量%、好ましくは、染料組成物の総質量に対し0.005質量%~5質量%を占める。
【0279】
カップリング剤が存在する場合、これは、有利には、それぞれ、染料組成物の総質量に対し、0.001質量%~10質量%、好ましくは、染料組成物の総質量に対し0.005質量%~5質量%を占める。
【0280】
直接染料
染料組成物は、任意選択的に、1種又は複数種の直接染料を含むことができる。
【0281】
好適な直接染料の例としては、単独で又は混合物形態での、アゾ直接染料;(ポリ)メチン染料、例えば、シアニン、ヘミシアニン、及びスチリル;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料;フタロシアニン染料;及び天然の直接染料を挙げることができる。
【0282】
直接染料は、好ましくは、カチオン性直接染料である。次の式(IIIa)及び(III’a)のヒドラゾノカチオン性染料、アゾカチオン性染料(IVa)及び(IV’a)、並びにジアゾカチオン性染料(Va)を挙げることができる:
【0283】
【化9】
(式(IIIa)、(III’a)、(IVa)、(IV’a)、及び(Va)中:
〇 Hetは、任意選択的に、好ましくは1つ又は複数のメチルなどの(C~C)アルキル基で置換された、好ましくは環内にカチオン性電荷を有する、イミダゾリウム、インドリウム、又はピリジニウムなどのカチオン性ヘテロアリール基を表し;
〇 Arは、環外にカチオン性電荷、好ましくはアンモニウム、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C~C)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
〇 Arは、好ましくは、1つ若しくは複数の電子供与性基、例えば:i)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノ、で任意選択的に置換されたアリール基、特にフェニルを表すか、又は一変形として、Arは、ジュロリジン基を表し;
〇 Ar’は、好ましくは1つ又は複数の(C~C)アルキル基、ヒドロキシル基、又は(C~C)アルコキシ基で任意選択的に置換された、フェニレン、特にパラフェニレン、又はナフタレンなどの任意選択的に置換された二価の(ヘテロ)アリーレン基を表し;
〇 Ar”は、好ましくは1つ又は複数の(C~C)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(C~C)アルコキシ、又はフェニル基で任意選択的に置換された、フェニル又はピラゾリルなどの任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し:
〇 R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、若しくは好ましくはヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか;
又は、一変形として、置換基RがHetの置換基と、及び/若しくはRがArの置換基と、及び/若しくはRがRと、それらが結合している原子と一緒になって、(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
特に、R及びRは、水素原子を表すか、又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
〇 Anは、アニオン性対イオン、例えば、メシレート又はハライドを表す)。
【0284】
特に、上に定義した式(IIIa)、(III’a)、及び(IVa)の、環内にカチオン電荷を有するアゾ及びヒドラゾノカチオン染料を挙げることができる。より詳細には、特許出願である国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されている染料から誘導される、式(IIIa)、(III’a)、及び(IVa)のものである。
【0285】
好ましくは、カチオン性部分は、次の誘導体から誘導されたものである:
【0286】
【化10】
(式(IIIa-1)及び(IVa-1)中:
- Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
- R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
- Rは、水素原子又は電子供与性基、例えば、任意選択的に置換された(C~C)アルキル基、任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ基、若しくはそのアルキル基が任意選択的にヒドロキシル基で置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ基を表し;特にRは水素原子を表し;
- Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し;
- Anは、アニオン性対イオン、例えば、メシレート又はハライドを表す)。
【0287】
特に、式(IIIa-1)及び(IVa-1)の染料は、ベーシックレッド51(Basic Red 51)、ベーシックイエロー87(Basic Yellow 87)、及びベーシックオレンジ31(Basic Orange 31)、又は対応する誘導体から選択される:
【0288】
【化11】
本発明に従い使用することができる天然直接染料の中では、ヘンノタンニン酸、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、及びオルセインを挙げることができる。これらの天然染料を含有する抽出物又は煎出液、特にヘンナベースの湿布又は抽出物も使用することができる。
【0289】
直接染料が存在する場合、これは、より詳細には、染料組成物の総質量に対し、0.001質量%~10質量%、好ましくは0.005質量%~5質量%を占める。
【0290】
染色又は脱色組成物はまた、任意選択的に、上に述べた化合物とは異なる1種又は複数種の添加剤も含むことができ、その中でも、カチオン性、アニオン性、非イオン性、若しくは両性ポリマー、又はこれらの混合物、抗フケ剤、抗脂漏剤、脱毛防止剤及び/又は毛髪再生促進剤、ビタミン及びパンテノールなどのプロビタミン、日焼け止め剤、無機又は有機顔料、金属イオン封鎖剤、可塑剤、可溶化剤、酸性化剤、無機又は有機増粘剤、特に高分子増粘剤、乳白剤又は真珠光沢剤、酸化防止剤、ヒドロキシ酸、香料、防腐剤、顔料、並びにセラミドを挙げることができる。
【0291】
組成物(A)
第2の態様によれば、本発明の主題は、上に定義した組成物(A)にある。
【0292】
使用
第3の態様によれば、本発明の主題は、上に定義した組成物(A)の、ケラチン繊維を永久変形させるための方法の前処理組成物として、好ましくは、ケラチン繊維を直毛化又は縮毛矯正するための方法の前処理組成物としての使用にある。
【0293】
ケラチン繊維は、過敏化しているケラチン繊維、特に、事前に染色又は脱色処理が施されたケラチン繊維であってもよい。
【0294】
第4の態様によれば、本発明の主題は、上に定義した組成物(A)の、ケラチン繊維を保護するため、好ましくは、ケラチン繊維を永久変形させるための処理中にそれらを破断から保護するための使用にある。
【0295】
複数の区画を有するデバイス(キット)
第5の態様によれば、本発明の主題は、複数の区画を備えるデバイスであって:
・ 上に定義した組成物(A)を収容している第1区画と;
・ 少なくとも1種のチオール系若しくは非チオール系還元剤又は無機水酸化物、有機水酸化物、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のアルカリ剤を含む組成物を収容している第2区画と;
・ 少なくとも1種の化学的酸化剤を含む組成物を収容している任意選択的な第3区画と;
・ 酸化染料、直接染料、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の着色剤を含む組成物を収容している任意選択的な第4区画と;
を備えるデバイスにある。
【0296】
チオール系又は非チオール系還元剤、アルカリ剤、化学的酸化剤、及び着色剤に関し上に定義した任意選択的な技術的特徴は、第2、第3、及び第4区画に含まれる組成物にも適用される。
【実施例
【0297】
以下に示す実施例によって本発明をより明確に理解することが可能になるが、これらは本発明の性質を限定するものではない。以下に示す実施例において、別段の指定がない限り、量は全て組成物の総質量に対する質量百分率で表す。
【0298】
実施例1
次の前処理組成物を調製した。
【0299】
【表1】
【0300】
適用手順
ブラジル人のタイプIVの毛髪の毛束2.7gを2本使用した:毛束1(対照)及び毛束2(発明品)。毛束1及び2に脱色処理を行った後、直毛化処理を行い、その後更に脱色処理を行った。更に毛束2(発明品)には、脱色及び直毛化処理を行う前に組成物A1を用いる前処理も行った。
【0301】
1.次の決められた手順に従い、各毛束を:繋がっていない毛髪を取り除くように、目の粗い側で10回、次いで目の細かい側で10回櫛通しした。
【0302】
2.次いで、サーモスタットで33℃に調節したホットプレートの上に毛束を置いた。
【0303】
3.前処理組成物A1を、毛髪1g当たり組成物2gとなる浴比で毛束2に適用した。
【0304】
4.5分間の放置時間が経過した後、Kimtech 7505吸収性ペーパータオルを使用して水分を吸い取ることにより毛束2を乾かした。
【0305】
5.パースルフェートをベースとする脱色用粉末1質量部を過酸化水素水溶液(30 volume)2質量部と混合することにより脱色組成物を調製し、次いでこれを毛束1及び毛束2に適用した。浴比は毛髪1g当たり組成物10gとする。
【0306】
6.次いで、各毛束をアルミ箔で包んでから33℃のホットプレートの上に戻した。
【0307】
7.50分間の放置時間が経過した後、毛束を水で濯ぎ、L’Oreal Blond Studio シャンプーで洗浄した後、Kimtech 7505吸収性ペーパータオルを使用して水分を吸い取ることにより乾かした。
【0308】
8.次いで、アルミ箔の上に平らに寝かせた毛束1及び毛束2に、8質量%のチオ乳酸溶液(pH3.5)を室温で適用した。浴比は毛髪1g当たり組成物2gとする。
【0309】
9.30分間の放置時間が経過した後、毛束を水で濯ぎ、次いでヘアドライヤーで乾燥させた。
【0310】
10.乾いたら、ストレートアイロンの温度を230℃に保ちながら、各毛束を10回通した。
【0311】
11.次いで毛束を酸性pHの4.5%の過酸化水素水溶液で(浴比を毛髪1g当たり組成物2gとして)10分間処理した後、濯ぎ、Garnier Ultra Douxシャンプーで洗浄した。
【0312】
12.ステップ8~11をもう1回繰り返した。
【0313】
13.ステップ5~7をもう1回繰り返した。
【0314】
毛髪の破断の評価
処理した毛髪の破断率を、ブロー乾燥破断試験(blow-drying breakage test)により測定した。これを行うために、各毛束に次の処理を3回続けて実施した:
1.毛束を水で濡らす;
2.ブロー乾燥により毛束を乾燥させる;
3.毛髪1グラム当たり0.4gのGarnier Ultra Douxシャンプーで毛束を洗浄する。
【0315】
ブロー乾燥破断試験を行う前及び60℃の乾燥器で20分間乾燥させた後に毛束の質量を測定した。
【0316】
各毛束の破断率を、次の式を用いて表す:
【数1】
ここで、
- mは、ブロー乾燥破断試験前の毛束の質量の測定値であり;
- mは、ブロー乾燥破断試験後の毛束の質量の測定値である。
【0317】
【表2】
【0318】
この結果は、グリシンを高濃度で含む組成物を用いる前処理ステップを含む、本発明による組成物で処理された毛束では、前処理ステップを行わない同じ方法と比較して、ブロー乾燥による毛髪の破断が顕著に減少することを示している。
【国際調査報告】