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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】有孔不織布及びその吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/512 20060101AFI20230630BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20230630BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20230630BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61F13/512 300
A61F13/511 300
A61F13/514 330
A61F13/514 210
A61F13/514 100
A61F13/15 353
A61F13/15 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574828
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 CN2020095765
(87)【国際公開番号】W WO2021248436
(87)【国際公開日】2021-12-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ファンチョン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、シアオシン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、スーチア
(72)【発明者】
【氏名】トン、ロン
(72)【発明者】
【氏名】タイ、チンチン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、モン
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA07
3B200BA09
3B200BB03
3B200CA02
3B200CA11
3B200DC01
3B200DC02
3B200DC04
3B200DD01
3B200DD02
3B200DD04
3B200EA07
3B200EA08
(57)【要約】
第1のキャリパーを有する第1の領域と、第2のキャリパーを有する、複数の孔を含む第2の領域と、を含む不織布基材であって、第1のキャリパーの第2のキャリパーに対する比は、キャリパー試験に従って測定した場合、少なくとも約1.35であり、第1の領域は、キャリパー試験に従って測定した場合、約270%以上のエアリー指数を有する、不織布基材、並びに当該不織布基材を含有する吸収性物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有孔不織布基材であって、
第1のキャリパーを有する第1の領域と、
第2のキャリパーを有する、複数の孔を含む第2の領域と、
を含み、
前記第1のキャリパーの前記第2のキャリパーに対する比は、キャリパー試験に従って測定した場合、少なくとも約1.35であり、
前記第1の領域は、キャリパー試験に従って測定した場合、約270%以上のエアリー指数を有する、
有孔不織布基材。
【請求項2】
前記第1の領域は、キャリパー試験に従って測定した場合、約160%以上の回復エアリー指数を有する、請求項1に記載の有孔不織布基材。
【請求項3】
前記不織布基材は、再ロフトされた不織布である、請求項1又は2に記載の有孔不織布基材。
【請求項4】
前記第2の領域は、少なくとも3つの隣接する孔を有する少なくとも1つの孔を含み、前記1つの孔及び前記少なくとも3つの隣接する孔の各々が、約3mm以下の縁部間空間を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の有孔不織布基材。
【請求項5】
前記不織布基材は、圧縮特性試験に従って測定した場合、約700gf×mm以上の圧縮仕事量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の有孔不織布基材。
【請求項6】
前記不織布基材は、約15gsm~約75gsmの範囲の坪量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の有孔不織布基材。
【請求項7】
再ロフトされた有孔不織布基材であって、
孔がない第1の領域と、
少なくとも3つの隣接する孔を有する少なくとも1つの孔を含む第2の領域であって、前記1つの孔と前記少なくとも3つの隣接する孔の各々との間の縁部間空間は約3mm以下である、第2の領域と、
を含む、再ロフトされた有孔不織布基材。
【請求項8】
前記第1の領域は、キャリパー試験に従って測定した場合、約270%以上のエアリー指数を有する、請求項7に記載の有孔不織布基材。
【請求項9】
前記不織布基材は、約15gsm~約75gsmの範囲の坪量を有する、請求項7又は8に記載の有孔不織布基材。
【請求項10】
前記第2の領域は、高度に熱融着された繊維を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の有孔不織布基材。
【請求項11】
前記複数の孔の周囲にある繊維は、前記第1の領域内の前記繊維よりも圧縮され熱融着されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の有孔不織布基材。
【請求項12】
液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性構造と、請求項1~11のいずれか一項に記載の有孔不織布基材と、を含む、吸収性物品。
【請求項13】
前記トップシートは、請求項1~11のいずれか一項に記載の有孔不織布基材を含む、請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記バックシートは、請求項1~11のいずれか一項に記載の有孔不織布基材を含む、請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項15】
有孔不織布基材を製造するための方法であって、
不織布ウェブ上に複数の孔を形成する工程と、
前記不織布ウェブにエネルギーを印加して、前記不織布ウェブの嵩を増大させる工程と、
を含む、方法。
【請求項16】
前記有孔不織布基材は、
第1のキャリパーを有する第1の領域と、
第2のキャリパーを有する、複数の孔を含む第2の領域と、
を含み、
前記第2の領域は、少なくとも3つの隣接する孔を有する少なくとも1つの孔を含み、前記1つの孔と前記少なくとも3つの隣接する孔の各々との間の縁部間空間は約3mm以下である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のキャリパーの前記第2のキャリパーに対する比は、キャリパー試験に従って測定した場合、少なくとも約1.35である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の領域は、キャリパー試験に従って測定した場合、約270%以上のエアリー指数を有する、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
有孔不織布基材を製造するための方法であって、
前記不織布ウェブにエネルギーを印加して、前記不織布ウェブの嵩を増大させる工程と、
不織布ウェブ上に複数の孔を形成する工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有孔不織布、その不織布を含む吸収性物品、また、それを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂から形成された合成繊維を含む不織布は、生理用ナプキン、乳幼児用使い捨ておむつ、パーソナルケア用使い捨ておむつなどの吸収性物品を構成するシートとして広く使用されている。
【0003】
バックシート、トップシート、二次トップシート、吸収性コア構成要素、及び剥離紙の包装紙などの構成要素として使用するために提案された様々な不織布ウェブ。いくつかの構成では、不織布ウェブはロール上に供給され、吸収性物品製造位置まで移動される。吸収性物品の組み立てプロセス中、不織布ウェブをロールから巻き出し、材料のウェブを吸収性物品へと変換する組み立てラインに供給する。場合によっては、ロール上に不織布ウェブを比較的しっかりと巻き付けてもよく、したがって、関連する高い巻き付け圧力により、不織布ウェブが圧縮され、その結果、キャリパーを低減することができる。吸収性物品に組み込まれたときのそのような圧縮された不織布ウェブは、柔軟性が低減されたというメッセージを消費者に示す薄い外観を有することがあり、かつ/又は審美的に望ましくないことがある。圧縮された不織布ウェブはまた、不織布ウェブの様々な性能に悪影響を及ぼし得る。ウェブ圧縮に関連する問題を軽減するために、一部の製造業者は、ロールから巻き出した後にウェブ材料に熱を加えてもよい。次に、いくつかのタイプのウェブ材料に熱を加えることにより、ウェブ材料のキャリパー又は体積を増大させることができ、本明細書では「再ロフト(relofting)」と呼ばれる。様々な方法でウェブ材料に熱を加えることができる。
【0004】
不織布は、孔を有することが望ましい場合があり、これは、孔を有する不織布が、通気性のある外観を有し、特に孔が、流体処理性能を高めることに加えて、パターンを形成する場合に、ユニークなパターンでユーザを楽しませることができると考えられるためである。
【0005】
一方、トップシートの望ましい品質のうちの1つは、適切なクッションレベル及び望ましい嵩高回復性の特徴を提供することである。トップシートの別の望ましい品質は、吸収性物品によって流体が吸収され得る前に、トップシート上に当該流体が溜まるのを低減する能力である。別の言い方をすれば、トップシートの1つの設計基準は、トップシート上で流体が吸収性物品に吸収されるまでにかかる時間量を短縮することである。流体がトップシートの表面上に残る期間が長すぎる場合、着用者は乾燥していると感じることができず、不快感が増大することがある。トップシートの別の望ましい品質は、トップシートを通る流体の逆流を防止し、乾燥した感触を提供することである。トップシート上の流体の滞留が長くなることを理由に着用者の皮膚が濡れているように感じるという問題を解決するために、有孔トップシートを使用して、流体が吸収性物品により速く浸透することを可能にしてきた。有孔トップシートは、一般に、トップシート上における流体の滞留を低減するが、トップシートを通る流体の逆流の原因となることがある。更に、不織布に穿孔することは、キャリパー及び望ましい嵩高に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0006】
一方、不織布ウェブ内の繊維は、繊維間に存在し得る小さい毛管内にある程度の流体を捕捉及び保持し、これは、望ましくない染みとして製品のユーザに視覚的に知覚可能であり得る。また、染みが少ない清潔なユーザ接触表面を提示することは、吸収性物品の望ましい特徴である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ロフトされたキャリパーを用いた適切なクッション量及び望ましい嵩高回復性を有する有孔不織布が引き続き必要とされている。
【0008】
また、トップシートを通る流体の逆流が低減された吸収性物品が引き続き必要とされている。
【0009】
また、体液に対して改善された表面清浄度を有する吸収性物品が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、キャリパー試験に従って測定した場合、第1のキャリパーを有する第1の領域と、キャリパー試験に従って測定した場合、第2のキャリパーを有する、複数の孔を含む第2の領域と、を含む不織布基材を提供し、第1のキャリパーの第2のキャリパーに対する比は、キャリパー試験に従って測定した場合、少なくとも約1.35であり、第1の領域は、キャリパー試験に従って測定した場合、約270%以上のエアリー指数を有する。
【0011】
本発明はまた、孔がない第1の領域と、少なくとも1つの孔を含む第2の領域であって、少なくとも1つの孔は少なくとも3つの隣接する孔を有する、第2の領域と、を含む再ロフトされた有孔不織布基材を提供し、1つの孔と少なくとも3つの隣接する孔の各々との間の縁部間空間は約3mm以下である。
【0012】
本発明はまた、不織布ウェブ上に複数の孔を形成する工程と、不織布ウェブにエネルギーを印加して、不織布ウェブの嵩高を増大させる工程と、を含む、有孔不織布基材を製造するための方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、不織布ウェブにエネルギーを印加して、不織布ウェブの嵩高を増大させる工程と、不織布ウェブ上に複数の孔を形成する工程と、含む、有孔不織布基材を製造するための方法を提供する。
【0014】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、本開示を通読することで当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】有孔不織布基材の平面写真である。
図2】別の有孔不織布基材の平面写真である。
図3】別の有孔不織布基材の平面写真である。
図4】A-Aに沿った図1の有孔不織布基材の断面写真である。
図5】吸収性物品の斜視図である。
図6】不織布基材を穿孔するための1つの例示的なプロセスの概略図である。
図7】1つの例示的な再ロフトユニットの概略側面図である。
図8A】捕捉時間測定のための染み透りプレートの斜視図である。
図8B図8Aの染み透りプレートの平面図である。
図8C図8Bの染み透りプレートの11C-11C方向の断面の平面図である。
図8D図8Bの染み透りプレートの一部の平面図である。
図8E図8Bの染み透りプレートの11E-11E方向の断面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
全ての範囲は、端点を含み、組み合わせ可能である。有効桁数は、示される量に対しても、測定値の精度に対しても、限定を示すものではない。特に別途記載のない限り、全ての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。
【0017】
本明細書で使用するとき、「吸収性物品」という用語は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、陰唇間パッド、母乳用パッド、汗ふきシート、動物用排泄物処理物品、動物用おむつなどを含む。
【0018】
本明細書で使用するとき、吸収性物品の「構成要素」という用語は、トップシート、二次層、捕捉層、液体処理層、吸収性コア又は吸収性コアの層、並びにバックシートなど、吸収性物品の個々の構成成分を指す。
【0019】
不織布基材
本発明は、吸収性物品の構成要素に適した不織布基材を提供する。本発明による不織布基材は、第1のキャリパーを有する第1の領域と、複数の孔を備え、第2のキャリパーを有する第2の領域と、を含む。
【0020】
本発明による例示的な不織布基材の写真画像である図1及び図2を参照すると、不織布基材10は、第1の領域34と、複数の孔32を含む第2の領域36と、を含む。図1及び線A-Aに沿った図1の不織布の断面図である図4を参照すると、第2の領域36は、複数の孔を含み、孔の周囲にある繊維は、第1の領域内の繊維と比較して、圧縮され熱融着されている。
【0021】
更に以下の専用のセクションにおいて第1の領域34及び第2の領域36についてより詳細に個別に論じるが、このセクションは、これらの2つの領域を含む不織布基材10を全体として簡単に説明する。
【0022】
第1の領域は、第1のキャリパーを有し、複数の孔を含む第2の領域は、第2のキャリパーを有する。不織布基材の第1のキャリパーの第2のキャリパーに対する比は、本明細書に開示されるキャリパー試験に従って測定した場合、少なくとも約1.35、又は少なくとも約1.4、又は少なくとも約1.5、又は少なくとも約1.6である。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明の不織布基材は、複数の第1の領域を含んでもよい。第1の領域(すなわち、非有孔部分)は、規則的で均質かつ均一な形状であっても、あるいは不規則かつ不均一な形状であってもよい。不織布基材の第1の領域の少なくとも一部は、複数の第2の領域のうちの少なくとも一部を取り囲んでいる。
【0024】
本発明の不織布基材は、以下に詳述するような特定のパラメータ要件を満たすことができる。対象のパラメータのうち、以下の圧縮特性試験下のFTT試験から、圧縮仕事量(Compression Work、CW)が得られる。FTT試験方法に関する情報は、Xiao Liaoらによる「A Simultaneous Measurement Method to Characterize Touch Properties of Textile Materials」と題された論文「Fibers and Polymers 2014、第15巻、第7号、1548~1559」に見出すことができる。
【0025】
不織布基材の圧縮仕事量は、試験方法に記載の圧縮特性に従って測定した場合、約700gf×mm以上、又は約800gf×mm以上、又は約900gf×mm以上であり得る。圧縮仕事量は、圧縮プロセス中に試験片に対して行われる総仕事量を定量化することによって、試験片の順応特性を示すことができるパラメータである。不織布におけるより高い圧縮仕事量は、柔らかさの知覚及び快適な使用体験の所望の消費者利益を押し進めるより高いクッション特性を表し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の不織布基材は、第1の領域におけるロフトされエアリーな構造に起因して、高い圧縮仕事量を呈し得ると考えられる。
【0026】
本発明の有孔不織布基材は、再ロフトされた不織布であってもよい。再ロフトプロセスは、不織布ウェブがその嵩高を取り戻すように、不織布ウェブに熱又はエネルギーを提供するプロセスである。
【0027】
本発明の不織布基材は、1つ以上の層を含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、不織布基材は、少なくとも2つの層を含み、それらの層の各々は、例えば、熱結合、圧縮、接着剤結合、又はこれらの任意の組み合わせによって、互いに付着され得る別個の層として残る。不織布基材中の第1の層及び第2の層は、接着剤及びラテックスなどの化学物質を使用せずに互いに結合されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、不織布基材は、単一構造を含む。本明細書における単一構造とは、互いに別個の特性及び/又は組成を有するいくつかの副層で形成することができるが、これらの副層は、副層間の明確な境界の代わりに、異なる副層が互いに移行する領域を識別することが可能であるように、副層が境界領域で何らかの形で相互に混じり合っていることを意味するものとする。かかる単一構造は、典型的に、例えば、エアレイド又はウェットレイド堆積を使用して、異なる副層を連続的な形で他の層の上に形成することによって構築される。典型的に、一体型材料の副層間に接着剤は使用されない。しかしながら、場合によっては、接着剤及び/又は結合剤は、典型的に、別個の層によって形成される多層材料におけるより少ない量で存在してもよい。
【0030】
不織布基材は、熱可塑性繊維を含み得る。不織布基材は、ポリプロピレン繊維、他のポリオレフィン、ポリ乳酸などのPET以外の他のポリエステル、熱可塑性デンプンを含有する持続可能な樹脂、他の持続可能な樹脂、バイオPE、バイオPP、及びバイオPETなど、任意の好適な種類の熱可塑性繊維を含み得る。不織布基材は、例えば、ビスコース繊維、レーヨン繊維、又は他の好適な不織繊維など、任意の他の好適な種類の繊維を含み得る。これらの繊維は、任意の好適なデニール若しくはデニール範囲、及び/又は繊維長さ若しくは繊維長さ範囲を有してもよい。
【0031】
不織布基材は、2成分繊維を含み得る。2成分繊維は、シース及びコアを有することができる。シース及びコアはまた、当業者に既知の任意の他の好適な材料を含み得る。コア/シース複合繊維は、樹脂を含むコア成分と、コア成分の樹脂の融点よりも少なくとも約20℃低い融点を有する熱可塑性樹脂を含むシース成分と、を含むことができる。シース及びコアは、それぞれ、繊維の約50重量%の繊維を含み得るが、その他の変更例(例えば、シース60%、コア40%;シース30%、コア70%など)もまた本開示の範囲内である。第1の層及び/又は第2の層を構成している2成分繊維又は他の繊維は、約0.5~約6、約0.75~約4、約1.0~約4、約1.5~約4、約1.5~約3、約1.5~約2.5の範囲、又は約2のデニールを有してよく、具体的には、特定した範囲内の全ての0.1デニールの増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を含む。デニールは、9000メートルの繊維長さ当たりの質量(グラム単位)として定義される。別の場合では、第1の層の繊維のデニールは、約1.5デニール~約6デニール又は約2デニール~約4デニールの範囲であってよく、第2の層の繊維のデニールは、約1.2デニール~約3デニール又は約1.5デニール~約3デニールの範囲であってよく、具体的には、特定した範囲内の全ての0.1デニールの増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。2成分繊維は、サイドバイサイド型繊維であり得る。
【0032】
ある形態では、不織布基材の坪量は、不織布の適用例に応じて適切に選択され得る。吸収性物品のトップシートとしての本発明の不織布の場合、不織布基材の坪量は、約15gsm(g/m)~約75gsm、又は約20gsm~約75gsm、又は約30gsm~約65gsmであり得る。不織布基材に関する全ての他の好適な坪量範囲は、本開示の範囲内に含まれる。したがって、不織布基材の坪量は、特定の製品の必要条件のために設計されてもよい。
【0033】
不織布基材は、不織布基材の着用者に面する表面上の突出部及び/又は陥没部などの3次元要素を更に含んでもよい。不織布基材は、突出部を含み、突出部のキャリパーは、第1の領域内の第1のキャリパーよりも高くてもよい。
【0034】
本明細書で使用するとき、「不織布」又は「不織布基材」という用語は、個々の繊維又は糸が入り組んではいるが、ランダムに配向された繊維を典型的には有しない織布又は編布におけるような繰り返しパターンではない構造を有するウェブのことを指す。不織布基材又は布地は、例えば、メルトブロー、スパンボンド、水流交絡、エアレイド、ウェットレイド、空気通過湿式製紙プロセス、及びカード熱結合を含む結合カードウェブプロセスなど、多くのプロセスから形成されてきた。不織布基材は、非結合繊維、交絡繊維、トウ繊維などを含むことができる。繊維は、伸縮性かつ/又は弾性であり得、加工のために予め伸張されていてもよい。繊維は、スパンボンド法によって製造されるものなど、連続的であり得る、又は典型的にはカードプロセスで利用されるものなど、ある長さに切断され得る。繊維は、2成分、多成分、成形、けん縮、又は、不織布基材及び繊維の技術分野において既知であるその他の任意の配合又は構成のものであってもよい。一般に、繊維は、化学的結合(例えば、ラテックス又は接着剤結合)、圧力結合、又は熱結合のいずれかによって結合可能であることができる。以下に記載する結合プロセスで熱結合技術が使用される場合、特定の割合の、熱可塑性の粉末又は繊維などの熱可塑性材料を使用することができる。
【0035】
本発明の不織布は、適切なクッション量及び嵩高回復性の特徴を有する。
【0036】
したがって、本発明の不織布は、好ましくは、不織布が皮膚と接触する適用例、具体的には、第1のウェブ層が皮膚と接触する表面である適用例で使用され得る。本発明の不織布は、好ましくは、第1のウェブ層の表面が皮膚と接触する吸収性物品用のトップシートとして使用される。
【0037】
第1の領域
図1を参照すると、本発明の不織布基材10は、第1の領域34を含む。第1の領域34は、第1のキャリパーを有するランド領域、すなわち、非有孔領域である。
【0038】
第1の領域は、キャリパー試験に従って測定した場合、約270%以上、又は約300%以上、又は約350%以上のエアリー指数を有し得る。第1の領域は、キャリパー試験に従って測定した場合、約160%以上、又は約180%以上、又は約200%以上、約220%以上の回復エアリー指数を有し得る。高いエアリー指数は、エアリーな知覚に関連し、エアリー指数と回復エアリー指数の両方が軽い接触のクッションのような感触に結びついている。
【0039】
第2の領域
図1を参照すると、本発明の不織布基材10は、複数の孔32を含む第2の領域36を含んでいる。第2の領域36は、本明細書に開示されるキャリパー試験に従って測定される第2のキャリパーを有する。第2のキャリパーは、第1の領域の第1のキャリパーよりも小さい。
【0040】
孔は、円形、楕円形、砂時計形、星形、多角形などのいずれか、及びこれらの組み合わせであってもよい。多角形の形状としては、三角形、四角形、六角形、八角形、又は台形が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、孔は円形である。別の実施形態では、孔は楕円形である。孔は、約0.1mm~約3mmの範囲、又は約0.2mm~約2mmの範囲、又は約0.3mm~約1mmの範囲のサイズを有し得る。第2の領域は、同じサイズ及び/又は形状を有する孔を有してもよい。第2の領域は、異なるサイズ及び/又は形状を有する孔を有してもよい。
【0041】
第2の領域は、パターンを形成する孔を含んでもよい。孔によって形成されたパターンは、任意の形状のパターン、例えば、1つ又は複数の直線又は曲線、円形、楕円形、三角形、多角形、花、雲などの形状であってもよい。パターンは、規則的、均等かつ均一なパターン、あるいは不規則、不均等かつ不均一なパターンであってもよい。いくつかの実施形態では、本発明の不織布基材は、複数の第2の領域を含み、第2の領域の穿孔パターンは、必ずしも同じ形状又はサイズではない。すなわち、1つの第2の領域における穿孔パターンは、本発明の不織布基材内の別の第2の領域における穿孔パターンとは異なっていてもよい。パターンは、様々な形状及び/又は様々なサイズであってもよい。本発明の不織布基材は、均一な孔パターンを有してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、不織布基材は、クラスター化された孔を含む第2の領域を含む。本明細書における「クラスター化された孔」という用語は、少なくとも1つの孔が少なくとも3つの隣接する孔を有し、かつ、1つの孔及び少なくとも3つの隣接する孔の各々が、約3mm以下の縁部間空間(1つの孔の縁部と隣接する孔の縁部との間の最短空間)を有する、孔パターンを意味することを意図している。図1を参照すると、孔32Aは3つの隣接する孔を有し、孔32Bは6つの隣接する孔を有している。
【0043】
更に、第2の領域の繊維が第1の領域よりも圧縮され熱融着されているそのような不織布構造はまた、局所的な毛管現象勾配の生成に役立つ。図1及び図4を参照すると、流体は、毛管現象の違いに起因して、毛管現象が低い第1の領域34から、クラスター化された孔を有し、毛管現象が高い第2の領域36へと移動する。結果として、本発明の不織布基材は、吸収性物品のトップシートとして使用される場合、より少ない再湿潤量及びより小さい染み領域を有することができる。
【0044】
第2の領域の孔パターンは、吸収性物品の構成要素として使用される場合、例えば、不織布基材内又は吸収性物品の別の構成要素内に配置された、グラフィック、印、印刷、インク、色、及び/又はパターン化された接着剤と協働し得る。
【0045】
吸収性物品
本発明は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性構造と、本発明の有孔不織布基材と、を含む吸収性物品を対象とする。いくつかの実施形態では、吸収性物品は、本発明の有孔不織布基材を含むトップシートを含む。
【0046】
具体的な例示を目的として、図5は、本明細書に開示される不織布基材から作製された構成要素を含み得る吸収性物品100の例を示す。特に、図5は、生理用ナプキンとして構成された吸収性物品100の平面図の一例を示している。
【0047】
図5に示すように、本発明による吸収性物品100は、身体に面する表面28と、身体に面する表面28の反対側に配置された衣類に面する表面(図5には示されていない)とを有する、トップシート20を含む。吸収性物品100は、衣類に面する表面と、衣類に面する表面の反対側に配置されたユーザに面する表面とを有する、バックシート40を更に含み、バックシート40は、トップシート20に少なくとも部分的に接合されている。また、吸収性物品100は、トップシート20とバックシート40との間に配置された吸収性コア30も備える。吸収性物品100は、二次トップシート60並びに/あるいは一対のフラップ又はウィング70を更に含むことができる。トップシート20、バックシート40、及び吸収性コア30は、様々な周知の構成に組み立てられ得る。
【0048】
バックシート40及びトップシート20は、様々な方法で一緒に固定することができる。トップシート20及びバックシート40は、接着剤、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、又はクリンプシールを使用することによって互いに結合することができる。流体不透過性クリンプシール24は、製品の縁部を通じた流体の横方向に移動(「ウィッキング」)に耐性を有することができ、ユーザの下着のサイド汚れを防ぐ。
【0049】
吸収性物品が図5に示されるような生理用ナプキンである場合、生理用ナプキンなどに典型的であるように、生理用ナプキンは、バックシート40の衣類に面する側に配置されたパンティ固定用接着剤を有することができる。パンティ固定用接着剤は、この目的のために当該技術分野において用いられる任意の既知の接着剤とすることができ、当該技術分野において周知であるように、使用前には剥離紙で覆うことができる。フラップ又はウィングが存在する場合、パンティ固定用接着剤は、ユーザのパンティの下面に接触して接着するように、衣類に面する側に適用され得る。
【0050】
トップシート
本出願では、トップシートは、ユーザの皮膚と接触する、吸収性物品の部分である。トップシートは、バックシート、吸収性コア、及び/又は当業者には知られているような任意の他の層に接合され得る。通常は、トップシート及びバックシートは、いくつかの箇所(例えば、吸収性物品の周辺部又はその付近)で互いに直接接合され、また他の箇所では、トップシート及びバックシートを物品の1つ以上の他の構成要素に直接接合することによって、間接的に一緒に接合される。
【0051】
トップシートは、ユーザの皮膚に対して順応性があり、軟らかな感触で、刺激を与えないものでよい。更に、トップシートの一部分又は全体は液体透過性であってよく、そのキャリパーを通して液体を容易に浸透させることができる。
【0052】
トップシートは、本開示の不織布基材を含む不織布層を含む。トップシートは、本開示の不織布基材を含む不織布層を含む複合材又は積層体であってもよい。様々な構成のいずれにおいても、本開示の不織布基材は、孔が吸収性物品の吸収性コア内に向かうようにして、吸収性物品の身体に面する表面の少なくとも一部分を形成することを意図する。
【0053】
トップシートはまた、任意選択的に、顔料、レーキ、トナー、染料、インク、又は材料に色を付与するために使用される他の薬剤などの着色剤を含んでもよい。本明細書において好適な顔料には、無機顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料などが挙げられる。
【0054】
トップシートの任意の部分は、当該技術分野で一般に開示されているような、ローション及び/又はスキンケア組成物でコーティングしてもよい。
【0055】
トップシートは、そこを通る流体及び/又は空気の浸透を容易にするための複数の孔を含む。少なくとも一次孔のサイズは、所望の流体及び/又は空気の浸透性能、並びに着用者が期待する他の性能を達成するように決定され得る。孔が小さ過ぎると、流体は、流体源と孔の位置との位置合わせが不十分であること、又は例えば孔よりも大きい直径を有する糞便の塊が流れやすいことのいずれかに起因して、孔を通過しない場合がある。孔が大き過ぎると、物品からの「再湿潤」により汚染される可能性のある皮膚面積が増大する。
【0056】
トップシートは、より布に似た外観を提供するために、複数のエンボス加工を含んでもよい。
【0057】
トップシートは、任意の坪量で形成され得る。しかしながら、坪量が相対的に高くなると、外見のキャリパー及びかさばりが相対的に大きくなる一方、費用も相対的に大きくなる。トップシートの好適な坪量は、200gsm以下、又は15gsm~80gsm、又は20gsm~70gsm、又は15gsm~60gsmであり得る。
【0058】
吸収性コア
吸収性物品の吸収性コアは、使用中に排出される体液を貯蔵するように機能する。吸収性コアは、多種多様の大きさ及び形状で製造することができ、かつ製品の面にわたって異なる場所において、異なるキャリパー、親水性勾配、超吸収体勾配、密度、又は平均坪量を有するように形状加工されてもよい。
【0059】
吸収性コアは、流体分配層及び流体貯蔵層を含んでもよい。流体分配層は、受容した流体を下向き及び横方向の両方に移し、一般に、流体貯蔵層に比べて透過性が大きく、毛管現象が低い。
【0060】
縮みセルロース詰め物(creped cellulose wadding)、毛羽立てられたセルロース繊維、エアフェルトとしても知られている木材パルプ繊維、及び織物繊維など従来の吸収性材料に加えて、流体貯蔵層はしばしば、流体を吸収し、ヒドロゲルを形成する超吸収性材料を含む。これらの材料は典型的に、大量の体液を吸収することができ、かつそれらを中程度の圧力下で保持することができる。吸収性コアの流体貯蔵層は、毛羽立てられた形体のセルロース繊維又は補強された繊維など好適な担体に分散された超吸収性材料を含んでもよい。吸収性コアの流体貯蔵層は、超吸収性材料を含んでもよく、かつ、毛羽立てられた形体のフリーセルロース繊維又は補強された繊維を含まなくてもよい。
【0061】
バックシート
吸収性コアの下側面を被覆するバックシートは、吸収性コア内の流体が、下着など、生理用ナプキンに接触する物品を濡らすのを防ぐ。したがって、バックシートは、好ましくは液体不透過性薄膜、又は液体不透過性ではあるが蒸気透過性フィルム/不織布積層体、ミクロ孔質フィルム、有孔成形フィルム、又は蒸気透過性であるか、若しくは蒸気透過性にされているが、実質的に流体には不透過性であるその他のポリマーフィルムから作製することができる。
【0062】
有孔不織布基材の製造プロセス
本発明の有孔不織布基材は、不織布ウェブ上に複数の孔を形成する工程と、不織布ウェブにエネルギーを印加して、不織布ウェブの嵩高を増大させる工程と、を含む方法によって製造することができる。一実施形態では、本発明の有孔不織布基材を製造するための方法は、不織布ロールから巻き出された不織布基材を供給する工程と、不織布基材上に複数の孔を形成する工程と、次いで、不織布に熱を印加して、不織布の嵩高を戻す工程と、を含む。
【0063】
本発明の有孔不織布基材は、不織布ロールから巻き出された不織布基材を供給する工程と、不織布に熱を印加して、不織布の嵩高を戻す工程と、不織布基材上に複数の孔を形成する工程と、を含むプロセスによって製造することができる。
【0064】
孔形成プロセスは、ピンホール孔、パンチ孔、及び水噴射孔などの穿孔プロセスなど、当業者には既知の様々なプロセスによって行われ得る。
【0065】
図6は、例示的な孔形成プロセスとしての機械的穿孔プロセスの概略図である。図6を参照すると、不織布ウェブ16は、有孔不織布ウェブ16を形成するために、一対のロール500、噛み合っている2つロール504及び506によって形成されたニップ502を通過する。ロール504及び506のうちの少なくとも1つは、不織布ウェブを構成する繊維の融点よりも高い温度まで加熱され得る。繊維がシース/コアタイプのビコポリマー(bicopolymer)を含むとき、ロール504及び506のうちの少なくとも1つは、シースポリマーの融点よりも高い温度に加熱され得る。
【0066】
一実施形態では、第1のロール504は、(第2のロールと組み合わせて)不織布ウェブ16に孔32を作成することができる。第1のロール504は、第1のロール504から外向きに延びる複数の突出部を含んでもよい。第1のロール504上の突出部は、孔32のサイズ、形状、及び寸法を決定し得る、様々なサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法であってもよい。第2のロール506は、平坦な表面を有し得る。または、第2のロール506は、第1のロール504の突出部と噛み合う溝を含み得る。
【0067】
別の実施形態では、第1のロール504は、(第2のロールと組み合わせて)孔32を作成することができ、第2のロール506は、不織布ウェブ16内の(第1のロールと組み合わせて)突起部を作成することができる。第1のロール504は、第1のロール504から径方向外向きに延びる複数の円錐形状の突出部を含んでもよい。第1のロール504はまた、第1のロール504の径方向外側表面に形成された複数の陥没部を含んでもよい。第2のロール506は、第2のロール506から径方向外向きに延びる複数のドーム形状の突出部を含んでもよい。第2のロール506はまた、第2のロール506の径方向外側表面に形成された複数の陥没部を含んでもよい。第1のロール504上の突出部は、第2のロール506上の突出部とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法を有してもよい。
【0068】
本発明の有孔不織布は、再ロフトされた不織布であってもよい。再ロフトプロセスは、不織布ウェブにエネルギーを提供することによって、不織布ウェブが嵩高を取り戻すプロセスである。再ロフトプロセスは、当業者には既知の様々なプロセスを介して行われ得る。加熱源は、オーブン、バーナー、又は赤外放射を含み、熱を生成して不織布基材の温度を上昇させる。温度が上昇するにつれて、不織布基材内の繊維は軟化し始め、繊維の少なくとも一部が、繊維と再整列し始める、及び/又は繊維から分離し始める。繊維の再整列及び/又は分離は、不織布基材をキャリパー内で増大させ、それによって不織布基材の密度を低下させる。最終的に再ロフトされるキャリパーは、温度と、不織布基材が再ロフトプロセスにおいて上昇した温度に曝露される時間全体である滞留時間とに依存する。
【0069】
一実施形態では、不織布の再ロフトは、2019年9月5日に出願されたPCT/US2019/066455に開示される方法に従って行うことができる。このPCT出願は、明示的に除外又は限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
この方法は、機械方向MDに不織布基材を前進させる工程であって、不織布基材は、第1の表面及び反対の第2の表面を含み、かつ、横断方向の幅を画定する、工程と、第1の赤外放射源を提供する工程と、不織布基材の第1の長さの第1の表面が第1の放射源と対向関係にあるように、第1の方向に前進するように不織布基材の第1の長さを方向付ける工程と、第1の赤外放射源からの赤外放射で、不織布基材の第1の長さの第1の表面を照射する工程であって、不織布基材が、第1の放射源の上流に第1のキャリパーを含み、不織布基材が、第1の放射源の下流に第2のキャリパーを含み、第2のキャリパーが、第1のキャリパーよりも高い、工程と、を含む。
【0071】
図7を参照すると、再ロフトユニット800は、第1の放射源304a及び第2の放射源304bと、回転軸322を中心に回転するように適合された外周面320を含む横断アイドラ318として構成され得る可動軸316を含むことができる。第1の可動軸316は、不織布基材16を第1の放射源304a及び第2の放射源304bと対向関係で配置する(又は不織布基材16を第1の放射源304a及び第2の放射源304bから隔離する)ように、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり得る。動作中、第1のガイドローラ324aは、不織布基材8不織布基材16の第1の表面202の第1の長さL1が第1の放射源304aと対向関係にあり、不織布基材16の第1の表面202の第2の長さL2が第2の放射源304bと対向関係にあるように、不織布基材16を第1の方向326で横断アイドラ318へと方向付けることができる。不織布基材16の第1の長さL1は、第1の方向326に前進して第1の放射源304aを通過することができ、不織布基材16の第2の長さL2は、第2の方向328に前進して第2の放射源304bを通過することができる。したがって、第1の放射源304aは、前進している不織布基材16の第1の表面202の第1の長さL1を赤外放射306aで照射する。また、第2の放射源304bは、前進している不織布基材16の第1の表面202の第2の長さL2を赤外放射306bで照射する。次に、赤外放射306は、可動軸316が第2の位置にあるときに、前進している不織布基材16を加熱する。図7に示すように、再ロフトユニット800の上流にある不織布基材16は、第1のキャリパーC1を含み、赤外放射306は、下流にある不織布基材16のキャリパーが第1のキャリパーC1よりも大きい第2のキャリパーC2まで増大するように、基材を加熱する。
【0072】
いくつかの構成では、一部の赤外放射306は、不織布基材16を通って移動してもよく、そのような赤外放射306を利用して、不織布基材16の他の部分を照射してもよい。例えば、図7に示すように、可動軸316は、不織布基材16の第1の長さL1の第2の表面204が不織布基材16の第2の長さL2の第2の表面204と対向関係にあるように、不織布基材16の第2の長さL2を第1の方向326から方向転換して、第2の方向328に前進させることができる。次に、第1の放射源304aからの赤外放射306aの一部分306aaは、不織布基材16の第1の長さL1を通って、不織布基材16の第1の長さL1の第2の表面204から離れるように移動することができ、不織布基材16の第2の長さL2の第2の表面204を照射することができる。更に、第2の放射源304bからの赤外放射306bの一部分306bbは、不織布基材16の第2の長さL2を通って、不織布基材16の第2の長さL2の第2の表面204から離れるように移動することができ、不織布基材16の第1の長さL1の第2の表面204を照射することができる。
【0073】
本明細書の再ロフトユニット800は、前進している不織布基材を様々な温度まで加熱するように構成することができ、不織布基材を再ロフトして、基材のキャリパーを様々な量だけ増大させ得ることを理解されたい。例えば、いくつかの構成では、再ロフトユニット800は、不織布基材を約70℃~約110℃の範囲の温度まで加熱することができ、具体的には、上記範囲内の全ての0.1℃の増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。
【0074】
孔形成プロセス及び再ロフトプロセスは、意識的に、又は不連続的にカリエスアウトすることができる。
【0075】
試験方法
1.キャリパー試験
Mettler-Toledo AG(スイス)の熱機械分析(Thermomechanical Analysis、TMA)、Module TMA/SDTA 1 IC/600、又は同等物を使用して、周囲空気条件における不織布材料の局所的なキャリパー変化を、印加された力の関数として測定する。石英ガラス試料ホルダーと、直径3mmのサイズの平坦な円形端部を有する石英ガラス測定プローブとを使用して、圧縮モード下で測定を行う。
【0076】
不織布がその原材料形態で入手可能であるとき、約8mm×5mmの寸法を有する試験片を原材料から切断する。不織布が吸収性物品のトップシートなどの構成要素層である場合、このサイズの不織布試験片を、かみそり刃を使用して吸収性物品から取り出して、吸収性物品の下方層から構成要素層を切除する。必要に応じて、トップシート試験片を下方層から取り除くために極低温スプレー(Cyto-Freeze、Control Company、Houston TXなど)、又は不織布試験片の組成物の特性を恒久的に変化させない他の好適な溶媒を使用してもよい。有孔不織布の場合、試験片は、材料の異なるゾーンから試料採取され、有孔ゾーン及び非有孔ゾーンにおいて別々に測定することが可能になる。
【0077】
テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として使用する以下の工程により、任意の残りの接着剤を試験片から除去してもよい。
1)フード内で、1リットルのTHFを3~4リットルのビーカーに移す。
2)1リットルのTHF中に試験片を浸漬する。
3)ビーカーを振動台に置き、15分間穏やかに撹拌し、試料を含む溶液を更に5分間静置する。
4)THF溶液から試験片を取り出し、試験片からTHF溶液を注意深く圧搾する。
5)試験片をフード内で最低15分間空気乾燥させる。
【0078】
消費者に面する側が露出している状態で、試料を試料ホルダーに平らに置く。対象の領域が試料ホルダーの中心に配置され、プローブによって測定されるように、試験片の位置を調整する。測定プローブは、試験片へと下向きに移動し、以下に特定される段階的圧縮(セグメント1~10)と次の段階的回復(セグメント11~19)との方法に従って、法線方向に力を加える。同時に、試験片の局所的なキャリパデータをTMAにおいて、規則的なインターバルの1秒当たり5回の読み取り頻度で収集する。
【0079】
【表1】
【0080】
0.005Nの印加された力又は0.1psiの圧力下でのセグメント2の中間点(すなわち、3秒の時点)で測定された試験片キャリパーを、0.1psiでのキャリパーとして記録する。0.08Nの印加された力又は1.6psiの圧力下でのセグメント10の中間点で測定された試験片キャリパーを、1.6psiでのキャリパーとして記録する。0.005Nの印加された力又は0.1psiの圧力下でのセグメント18の中間点で回復中に測定された試験片キャリパーを、0.1psiでのキャリパーとして記録する。有孔ゾーン及び非有孔ゾーンそれぞれについて、合計3つの実質的に同様の複製試料を調製し、分析する。報告された値は、μm単位の最も近い整数に対する3つの複製試料の算術平均である。
【0081】
0.1psiでのキャリパー比は、圧縮中に0.1psiの圧力条件で測定された、非有孔ゾーンと有孔ゾーンとの間のキャリパー比である。エアリー指数(Airy Index)及び回復エアリー指数(Recovery Airy Index)は、以下の式を使用して計算される。
エアリー指数(%)=[(0.1psiでのキャリパー-1.6psiでのキャリパー)/1.6psiでのキャリパー]×100
回復エアリー指数(%)=[(0.1psiでの回復キャリパー-1.6psiでのキャリパー)/1.6psiでのキャリパー]×100
【0082】
2.圧縮特性試験
(1)試験片の調製
不織布原材料の試験片を得るために、技術面側を上向きにして、材料をベンチ上に平らに置き、110mm×110mmの正方形状の試験片をはさみを使用して切断する。技術面側は、不織布が吸収性物品内の構成要素として使用されるときに身体に面する表面として使用されることを意図した表面である。
【0083】
吸収性物品からトップシート不織布の試験片を得るために、吸収性物品の長手方向中心線と横方向中心線との交点を中心として、吸収性物品から110mm×110mmのトップシート試験片を取り出す。吸収性物品からトップシートを取り出すことを目的として、かみそり刃を使用して、110mm×110mmの領域の外周の周囲で、吸収性物品の下方層からトップシートを切除する。必要に応じて、トップシート試験片を下方層から取り除くために極低温スプレー(Cyto-Freeze、ControlCompany、HoustonTX)を使用してもよい。試験片は、試験前に、23±2℃かつ50±5%の相対湿度に維持された室内で少なくとも4時間調整する必要がある。
【0084】
(2)圧縮仕事量
圧縮仕事量は、圧縮プロセス中に試験片に対して行われる総仕事量を示す。圧縮曲線の積分値は、式(1)に従って求められ、式中、Dはゼロ圧力における初期キャリパーであり、Dは最大圧力における最小キャリパーであり、Fは測定された力であり、Dは圧縮中の測定されたキャリパーである。
【0085】
【数1】
【0086】
試験片の圧縮仕事量は、FTTシステムソフトウェアを実行するFabric Touch Tester(Fabric Touch Tester、FTT M293)(SDL Atlasから入手可能)及び同等物を使用して測定される。FTTは、5つのモジュールを含み、これは、同時に活性化することができ、かつ、試験片によって異なる試験片からの動的応答を記録することができる。これらは、圧縮、熱、曲げ、摩擦、及び表面モジュールを含む。この機器は、ベンダーによって提供される標準校正布地を使用して、メーカーの指示に従って校正される。全ての試験は、23±2℃及び50±5%の相対湿度に維持した室内で実施される。試験手順は、FTT M293マニュアルの取り扱い説明書に従って行われる。
【0087】
110mm×110mm試験片を、技術面側を上向きにして下側プレートの中央に置く。圧縮試験は、単面試験モードで開始され、試験片は、0~8470gf(すなわち、0~70gf/cm)から連続的に増加する垂直力を印加する上側プレートによって下向きに押される。
【0088】
5つの試験片を測定し、圧縮仕事量又は任意のそのサブセットを算出して平均値と共に報告する。
【0089】
3.人工月経流体(Artificial Menstrual Fluid、「AMF」)調製
AMFは、脱線維ヒツジ血液、リン酸緩衝生理食塩水溶液、及び粘液成分の混合物で構成され、23±1℃において7.15cSt~8.65cStの粘度を有する。
【0090】
AMFについての粘度は、ULアダプタ(Cannon Instrument Co.(State College,US))又は同等物を有するCannon LV-2020 Rotary Viscometerなどの低粘度回転粘度計を使用して実施される。粘度範囲のための適切なサイズのスピンドルが選択され、器具は、製造元に従って操作及び較正される。測定は、23±1℃及び60rpmで行われる。結果は、0.01cSt単位で報告される。
【0091】
脱線維ヒツジ血液
滅菌条件下で採取された38%以上のヘマトクリット値を有する脱線維ヒツジ血液(Cleveland Scientific,Inc.(Bath,OH,US)から入手可能)又は同等物が使用される。
【0092】
リン酸緩衝生理食塩水溶液
リン酸緩衝生理食塩水は、2つの個々に調製された溶液(溶液A及び溶液B)からなる。1Lの溶液Aを調製するために、1.38±0.005gのリン酸ナトリウム一塩基性一水和物及び8.50±0.005gの塩化ナトリウムを1000mLのメスフラスコに添加し、蒸留水を容器容積まで添加する。完全に混合する。1Lの溶液Bを調製するために、1.42±0.005gのリン酸ナトリウム二塩基無水物及び8.50±0.005gの塩化ナトリウムを1000mLのメスフラスコに添加し、蒸留水を容器容積まで添加する。完全に混合する。450±10mLの溶液Bを1000mLビーカーに添加し、撹拌プレート上で低速において撹拌する。較正されたpHプローブ(0.1までの精度)を溶液Bのビーカーに挿入し、撹拌しながら十分な溶液Aを添加して、pHを7.2±0.1にする。
【0093】
粘液成分
粘液成分は、リン酸緩衝生理食塩水、水酸化カリウム水溶液、胃粘素、及び乳酸水溶液の混合物である。粘液成分に添加する胃粘素の量は、調製したAMFの最終粘度に直接影響する。胃粘素の良い範囲は、通常38~50グラムである。約500mLの粘液成分を調製するために、460±10mLの既に調製されたリン酸緩衝生理食塩水溶液及び7.5±0.5mLの10%w/v水酸化カリウム水溶液を、1000mLの丈夫なガラスビーカーに添加する。このビーカーを撹拌ホットプレート上に配置し、撹拌しながら、温度を45℃±5℃にする。所定量の胃粘素(±0.50g)を秤量し、45℃にされた予め調製された液体に、凝集しないようにゆっくりと振り入れる。ビーカーを覆い、混合を継続する。15分間にわたって、この混合物の温度を50℃超ではあるが80℃を超えないようにする。この温度範囲を維持しながら、2.5時間穏やかに撹拌しながら加熱し続け、次いでビーカーをホットプレートから取り出し、40℃未満まで冷却する。次に、1.8±0.2mLの10%v/v乳酸水溶液を添加し、十分に混合する。粘液成分混合物を121℃で15分間オートクレーブし、5分間冷却させる。粘液成分の混合物をオートクレーブから取り出し、温度が23℃±1℃に達するまで撹拌する。
【0094】
ヒツジ血液及び粘液成分の温度を23℃±1℃になるようにする。500mLのメスシリンダを使用して、粘液成分のバッチ全体の体積を測定し、その体積を1200mLのビーカーに添加する。等量のヒツジ血液をビーカーに添加し、十分に混合する。前述の粘度法を使用して、AMFの粘度が7.15~8.65cStであることを確認する。そうでない場合は、バッチを廃棄し、必要に応じて粘液成分を調節して別のバッチを作製する。
【0095】
認定されたAMFは、即時使用を意図しない限り、4℃で冷蔵する必要がある。AMFは、調製後4℃で最大48時間、気密容器内に貯蔵され得る。試験前に、AMFを23℃±1℃にしなければならない。試験が完了した後に、いかなる未使用部分も廃棄される。
【0096】
4.再湿潤試験
人工月経流体(AMF)を充填した吸収性物品について再湿潤を測定する。
【0097】
トップシート上に残った流体量、すなわち0.1psiの圧力下での再湿潤を、6.0mL及び12.0mLのAMFが分注された後に測定する。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%に維持された実験室内で実施する。
【0098】
試験製品は、取り扱い中に製品を押し下げるか、又は引っ張ることがないように注意を払って全ての包装から取り出される。しわを滑らかにするための試みはなされていない。試験前に、試験製品を、23℃±2℃かつ相対湿度50%±2%で少なくとも2時間調整する。
【0099】
身体側を上向きにして平坦な水平表面上に試験製品を置き、試験製品の中心に染み透りプレートを載せて、試験製品に0.25psiの圧力を印加する。
【0100】
図8A図8Eを参照すると、染み透りプレート9001は、長さ10.2cm×幅10.2cm×高さ3.2cmの全体寸法を有するPlexiglasから構築される。プレートの長さに及ぶ長手方向チャネル9007は、プレートの頂面において深さ13mm及び幅28mmであり、横方向壁は、65°で下向きに15mm幅の基部へと傾斜する。中央試験流体ウェル9009は、プレートの頂面において長さ26mm、深さ24mm、及び幅38mmであり、横方向壁は、65°で下向きに15mm幅の基部へと傾斜する。試験流体ウェル9009の基部には、流体が下層の物品上に導入されるために、プレートの底部に開放する「H」形状の試験流体リザーバ9003が存在する。試験流体リザーバ9003は、25mmの全長(「L」)、15mmの幅(「W」)、及び8mmの深さ(「D」)を有する。リザーバの長手方向脚部は、幅4mmであり、丸めた端部を有し、半径9010は、2mmである。脚部は、3.5mm離れている。中央支柱は、3mmの半径9011を有し、対向する電極9004を6mm離して収容する。リザーバの側面は、15mmの全幅Wによって境界された14mmの半径9012において外向きに弓状に曲がる。横方向チャネルの外側に位置する2つのウェル9002(長さ80.5mm×幅24.5mm×深さ25mm)は、鉛ショットが充填されて、プレートの全体的な質量を調節して、試験領域に0.25psi(17.6gf/cm)の拘束圧力を提供する。電極9004は、プレート9001に埋め込まれ、外部バナナジャック9006を流体リザーバ9003の内壁に接続する。回路インターバルタイマーは、流体リザーバ9003の内壁9005へのジャック9006に差し込まれる。
【0101】
ピペットを使用して、3.0mLのAMFを染み透りプレートの開放穴を通して、2秒以内で試験物品の中心に注意深く分注する。噴出流体が捕捉されると、プレートを除去し、3分間タイマーを開始する。プレートを除去した後、カラースキャナHP Scanjet G4010又は同等物を使用して、試験製品のトップシートの画像を迅速に捕捉し、各スキャン後にスキャナ表面を洗浄する。画像を評価して、以下の染み領域試験により、トップシート上の染み領域を測定する。3分終了時、予め秤量された(「乾燥重量」と呼ぶ)5枚の濾紙(典型的な実験室濾紙、例えば、Ahlstrom#632 12.7cm×12.7cmの濾紙)を、流体の染みが付いた領域のほぼ中心の上に置く。必要な質量を印加して、試験製品の上部に0.1psiの圧力を生成し、それを圧力下で5秒間保つ。濾紙を再度秤量する(「湿潤重量」と呼ぶ)。濾紙の湿潤重量と乾燥重量との差は、流体の添加量における軽い圧力による再湿潤である。
【0102】
試験製品上に総量12.0mLの流体が分注されるまで、上記の工程を繰り返す。6.0mL及び12.0mLの噴出レベルについて、再湿潤値を0.001グラム単位で報告する。
【0103】
同様に、評価対象の各試験製品について、合計3つの複製試料を試験する。軽い圧力による再湿潤量を複製の算術平均として計算して、0.001グラム単位で報告する。
【0104】
5.染み面積試験
トップシート上に残っている流体に起因して吸収性物品のトップシート上に見える染みの面積を、6.0mL及び12.0mLの噴出レベルについて、上記の再湿潤試験で捕捉された試験製品のトップシート画像で測定する。
【0105】
画像分析は、ImageJソフトウェア(バージョン1.52p以上、米国国立衛生研究所)及び同等物などの画像分析プログラムを使用して実行される。画像解像度、すなわち、1mm当たり7.95画素を得るために定規の画像を用いて画像を距離較正する必要がある。
【0106】
ImageJでトップシートの画像を開く。画像解像度に従ってスケールを設定する。中央領域内の画像をクロップして、複数のパッド層にわたって見える染み領域全体の周囲で最小境界矩形選択を行う。画像タイプを8ビットに変換する。ガウシアンぼかしフィルタを適用して、ガウス関数によってシグマ(半径)2で画像を平滑化する。次いで、「最小」閾値法を使用して、フィルタリングされた8ビットグレースケール画像を二値画像に変換して、後続の層からのより明るい色の染み領域に対して(トップシート上に流体が残っている結果として)トップシート上の染み領域の境界を発見する。
【0107】
トップシート上の選択された染み領域の面積を求め、トップシートの染み面積として0.01cm単位で記録する。この全体の手順は、3つの実質的に同様の複製物品上で繰り返される。報告された値は、トップシートの染み面積についての3つの個々の記録された測定値の、0.01cm単位の平均である。
【実施例
【0108】
実施例1.不織布基材の調製
不織布1~9:2デニールのPET/PEコア/シース2成分繊維から作製されたカード加工された通気性不織布を、以下の表1に従って製造し、従来のプロセスを使用して製造した。有孔不織布の場合、得られたカード加工された通気性不織布を一対のロールを含む機械的穿孔プロセスに入れて、有孔不織布基材を得た。再ロフトのために、有孔不織布基材を再ロフトユニットに移し、温度約80℃~約110℃の熱気を不織布基材に提供すること、又は放射源からの赤外放射で不織布基材を照射することによって、第1の領域におけるキャリパーを初期キャリパーの少なくとも1.2倍にした。
【0109】
不織布10:2デニールのPET/PEコア/シースビコポリマー繊維から作製された上部層不織布と、2デニールのPET/PEコア/シース2成分繊維及び6デニールのPET繊維から作製された下部層不織布とを有する、50gsmのカード加工された通気性不織布を製造した。不織布を一対のロールを含む機械的穿孔プロセスに入れて、図3に示す孔パターンを有する有孔不織布基材を得た。
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
実施例2.不織布基材試験
得られた不織布基材を以下に記載するように評価した。試験方法におけるキャリパー試験に従って不織布のキャリパーを測定した。試験方法における圧縮特性試験に従って不織布基材の圧縮仕事量を測定した。全ての結果を以下の表2に示す。
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】
実施例3.吸収性物品
一般的な二次トップシート、吸収性コア、及びバックシートを使用して、上記の実施例1による不織布基材によって作製されたトップシートを有する例示的な吸収性物品としての生理用ナプキン1~4を製造した。一般的な二次トップシート、吸収性コア、及びバックシートを使用して、上記の実施例1による不織布基材によって作製されたトップシートを有する例示的な吸収性物品としての生理用ナプキン5及び6を製造した。生理用ナプキン5及び6の二次トップシート及び吸収性コアは、生理用ナプキン1~4とは異なるものであった。
【0116】
上記の表3に示した試験方法における再湿潤試験及び染み面積試験に従って、生理用ナプキン試料の再湿潤及び染みの知覚を測定した。生理用ナプキン1~4を同じバッチで試験し、生理用ナプキン5及び6を別個のバッチで試験した。
【0117】
【表6】
【0118】
本発明による不織布基材によって作製されたトップシートを有する生理用ナプキン2及び4は、生理用ナプキン1及び3と比較して、再湿潤が著しく改善されている。更に、生理用ナプキン2及び4は、生理用ナプキン1及び3よりもはるかに低いひずみ知覚を有する。
【0119】
クラスター化されていない孔を有する不織トップシートを有する生理用ナプキン5は、生理用ナプキン6と比較して、再湿潤又はひずみ知覚のいずれにおいても改善を示さない。
【0120】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0121】
相互参照される文書又は関連特許若しくは出願を含めた、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか又は特に限定されない限り、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0122】
本発明の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
【国際調査報告】