(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】急性心房細動の治療のためのサルカルディン投与
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4025 20060101AFI20230630BHJP
A61P 9/06 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K31/4025
A61P9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575898
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021037098
(87)【国際公開番号】W WO2021252959
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512123949
【氏名又は名称】フヤバイオ インターナショナル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ギリングス,ミレイユ
(72)【発明者】
【氏名】グデノフ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラジシェフスキ,ヴァルデマール
(72)【発明者】
【氏名】ロマーノ,スザンヌ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086GA12
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA06
4C086ZA38
(57)【要約】
必要とする対象にサルカルディンを投与するための組成物および方法が、本明細書に提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心房細動(AF)または心房粗動を処置する方法であって、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を、患者に投与する工程を含み、前記方法は、約25%以下のECGパラメータの増加を特徴とし、前記ECGパラメータは、QRS、PDur、PR、またはQTcF、またはそのあらゆる組合せを含む、方法。
【請求項2】
前記ECGパラメータは、約25msec以下のJTpcの減少、およびTpTeに変化がないことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ECGパラメータは、約25%以下の心拍数(HR)の増加をさらに含む、または前記ECGパラメータは、臨床的に意味のないHRの増加をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ECGパラメータの最大変化が、Tmaxの前またはほぼTmaxで生じる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は早期後脱分極を阻害する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、拡張期血圧および/または収縮期血圧を、約25%以下増加または減少させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、第2度または第3度心臓ブロックを誘導しない、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、200mg、350mg、500mg、または600mgの用量で投与される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記薬学的に許容可能な塩は、エタン-1,2-ジスルホン酸、ナフタリン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ナフタリン-2-スルホン酸、ジヒドロスルホン酸、塩酸、または臭化水素酸である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
QT間隔および/またはQRS間隔は、組成物の投与後、約5%~約20%増加する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
平均血漿プロファイルは、200mgの化合物を投与後、Cmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約1,500ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
組成物は、350mgの化合物を投与後、Cmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約3,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組成物は、500mgの化合物を投与後、Cmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約4,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
組成物は、600mgの化合物を投与後、平均Cmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約5,500ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
血漿濃度は、投与後約1時間以内に少なくとも約75%減少する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記投与は、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、または経口摂取を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約1時間未満の時間にわたって投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約30分間の時間にわたって投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約15分間の時間にわたって投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、心拍数または血圧において不整脈もしくは臨床的に意義のある変化が生じない速度で投与される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記AFは急性AFである、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記AFは発作性AFである、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記AFは再発性AFである、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記処置は心房粗動のためのものである、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、患者における、遅いナトリウムチャネル、速いナトリウムチャネル、心臓へのL型カルシウムチャネル、またはその組合せを阻害する、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
INa心臓イオンチャネル阻害に関連した、より低い薬物曝露レベル(用量)でのQTcの延長の後に、Na
LおよびICa心臓イオンチャネルに対する阻害効果の増加に関連した、より高い薬物曝露レベル(用量)でのQTc間隔の安定または減少の可能性を含む、QTcに対する二峰性の効果が生じ得る、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
化合物を含む医薬組成物であって、前記化合物はサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩であり、組成物により、25%未満の心拍数、QRS、PDur、PR、またはQTcFの増加を含む、1または複数のECGパラメータの変化が生じる、医薬組成物。
【請求項28】
前記組成物は、INaおよびLCaに加えて、NaLの阻害剤を含み、
(i)約15~25msecの、NMTのJTpcの減少、または変化がないこと、
および
(ii)TpTeへの影響も増加もないこと、
を誘導する、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記組成物は、早期後脱分極(EAD)の阻害をもたらす、請求項27または28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記ECGパラメータは心拍数をさらに含む、請求項27から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
QTcの延長または短縮の減衰は、QTc間隔の増加の後に続く、請求項27から30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記ECGパラメータの変化は、Tmaxの前またはTmaxで生じる、請求項27から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記組成物は、Tmaxの前またはTmaxで、心拍数に重大な影響を有していないか、あるいは拡張期血圧および/または収縮期血圧を、約25%以下増加または減少させる、請求項27から32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記組成物は、第2度または第3度心臓ブロックを誘導しない、請求項27から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記薬学的に許容可能な塩は、エタン-1,2-ジスルホン酸、ナフタリン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ナフタリン-2-スルホン酸、ジヒドロスルホン酸、塩酸、または臭化水素酸である、請求項27から34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記組成物は、200mg、350mg、500mg、または600mgのサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項27から35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記組成物は、非経口投与、静脈内注入、または経口摂取によって必要とする対象に投与される、請求項27から36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記組成物は、200mgの前記化合物を投与後、Cmaxが、投与後約0.5時間で少なくとも約1,500ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記組成物は、350mgの前記化合物を投与後、Cmaxが、投与後約0.5時間で少なくとも約3,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記組成物は、500mgの前記化合物を投与後、Cmaxが、投与後約0.5時間で少なくとも約4,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記組成物は、600mgの前記化合物を投与後、Cmaxが、投与後約0.5時間で少なくとも約5,500ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記組成物は、200mgの前記化合物を投与後、AUCが、投与後約0.5時間で少なくとも約1200ng.h/mLであることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記組成物は、350mgの前記化合物を投与後、AUCが、投与後約0.5時間で少なくとも約2800ng.h/mLであることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記組成物は、500mgの前記化合物を投与後、AUCが、投与後約0.5時間で少なくとも約4,000ng.h/mLであることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記組成物は、200mgの前記化合物を投与後、AUCが、投与後約0.5時間で少なくとも約5200ng.h/mLであることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する、請求項27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
心房細動(AF)または心房粗動を処置する方法であって、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を、必要とするヒト対象に投与する工程を含み、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の量は、約2.0時間未満の、サルカルディンまたはその薬学的に許容される塩の血漿濃度のTmaxを達成するのに十分である、方法。
【請求項47】
前記投与によって、
(i)約25%未満のQRS、PDur、PR、およびQTcFの増加、
(iii)10%未満のJTpの減少、および、
(iii)TpTeへの影響も増加もないこと、
がもたらされる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記薬学的に許容可能な塩は、エタン-1,2-ジスルホン酸、ナフタリン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ナフタリン-2-スルホン酸、塩酸、または臭化水素酸である、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、静脈内注射、腹腔内注射、または経口摂取によって必要とする対象に投与される、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記方法によって、投与後に約20%を超えて増加することなくQTc間隔に変化が生じる、請求項46から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記方法によって、投与後に約5%から約20%までQTc間隔の増加が生じる、請求項46から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約1時間未満の時間にわたって投与される、請求項46~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約30分間の時間にわたって投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、血圧または心拍数において不整脈もしくは臨床的に意義のある変化が生じない速度で投与される、請求項52または53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、抗凝固を要することなく、症状の発症後から7日未満の後に投与される、請求項46から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、症状の発症後から72時間以内に投与される、請求項46から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記AFは急性AFである、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記AFは発作性AFである、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記AFは再発性AFである、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
処置は心房細動のためのものである、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年6月12日に出願された米国特許出願第63/038,664号の利益を主張するものであり、その全体がすべて参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明の教示は、必要とする対象へサルカルディン(sulcardine)を投与するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第8,541,464号および8,637,566号(その各々はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)は、様々な用途および必要とする対象への治療上有効量のサルカルディンを投与する方法に加えて、N-[4-ヒドロキシ-3,5-ビス(1-ピロリジニルメチル)ベンジル]-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(以下「サルカルディン」)およびその薬学的に許容可能な塩の活性を記載している。
【0004】
Chenらは、ヒトへ経口投与したときのサルカルディンの薬物動態プロファイルを報告している。Chen et al.,“Pharmacokinetics,safety,and tolerability of sulcardine sulfate:an open-label,single-dose,randomized study in healthy Chinese subjects”,Fundamental & Clinical Pharmacology.31(2017) 120-125を参照されたい。
【0005】
様々ではあるが望ましい薬物動態および有効性のプロファイルを達成するために、ヒトを対象とする代替的なサルカルディン投与のための製剤および方法を開発する必要が今なお存在している。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、心房細動または心房粗動の処置のための治療上有効量のサルカルディンを投与するための組成物が本明細書に提供される。一実施形態では、治療上有効量のサルカルディンの増強された、および、より安全な投与のための組成物が本明細書に提供される。
【0007】
一態様では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が本明細書で提示され、この組成物はQRS、PDur、PR、またはOTcF、またはそのあらゆる組合せにおける約25%以下のECGパラメータの変化を生成する。いくつかの実施形態では、医薬組成物はNaL、INa、およびLCaの阻害剤であり、(i)約15~25msecのNMTのJTpcにおける減少または変化なし、および(ii)TpTeへの影響または増加なし、におけるECGパラメータの変化を特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は早期後脱分極(EAD)の阻害をもたらす。いくつかの実施形態では、ECGパラメータは心拍数をさらに含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、主にINa心臓イオンチャネル阻害に関連した、より低い薬物曝露レベル(用量)でのQTcの延長の後に続く、NaLおよびICa心臓イオンチャネルに対して増加する阻害効果に関連した、より高い薬物曝露レベル(用量)でのQTc間隔が潜在的なプラトーに達することまたは減少の可能性を含む、QTcに対する二峰性の効果を生じさせる。いくつかの実施形態では、ECG変化は、Tmaxの前、Tmax付近で、またはほぼTmaxで生じ、変化の大きさは末梢中への薬物分布と関連したTmax後の血漿濃度を反映する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、Tmaxの前またはTmaxで、心拍数に重大な(臨床的に意味のある)影響がないか、あるいは拡張期血圧および/または収縮期血圧において約25%以下の増加または減少がない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、第2度または第3度心臓ブロックを誘導しない。
【0008】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、エタン-1,2-ジスルホン酸、ナフタリン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ナフタリン-2-スルホン酸、ジヒドロスルホン酸、塩酸、または臭化水素酸である。いくつかの実施形態では、組成物は200mg、350mg、500mg、もしくは600mgのサルカルディンまたはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、mg投与量は、サルカルディンの遊離塩基から算出される。いくつかの実施形態では、組成物は必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、投与は非経口投与または経口摂取である。
【0009】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が提供され、組成物は、200mgの化合物を投与後、対象における組成物のCmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約1,500ng/mL、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0010】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が提供され、組成物は、350mgの化合物を投与後、対象における化合物のCmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約3,000ng/mL、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0011】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が提供され、組成物は、500mgの化合物を投与後、対象における化合物のCmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約4,000ng/mL、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0012】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が提供され、組成物は、600mgの化合物を投与後、対象における化合物のCmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約5,500ng/mL、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0013】
別の実施形態では、必要とするヒト対象にサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む、心房細動(AF)または心房粗動を処置する方法が本明細書で提供され、これは、一時的であるが、QRS、PDur、PRを堅調に増加させ、JTpcの減少または変化なしを伴うQTcに付随する変化を生じ、そしてTpTeを影響も増加もしない。一実施形態において、特定の理論に縛られないが、これらのECGパラメータの変化は、血流、および心臓などの高度に血管が発達した臓器から二次コンパートメントへの薬物の迅速な固有の再分配と組み合わされた、静脈内注入または他の非経口投与経路による血流中の薬物の迅速な蓄積に関連付けられる。このようなプロファイルは、心房細動から洞調律への一時的にリンクしたカーディオバージョンに関連する関連ECGパラメータの迅速で顕著な変化につながり、その後、薬物再分配時のECGパラメータの変化が迅速に逆転し、QT、PR、およびQRSの延長に関する催不整脈事象のリスクが軽減する。
【0014】
別の実施形態では、必要とするヒト対象にサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む、心房細動(AF)または心房粗動を処置する方法が本明細書に提供され、それによって(i)QRS、PDur、PR、およびQTcFの約25%未満の増加、(ii)JTpcの25msec未満の減少もしくは変化なし、および/または(iii)TpTeへの影響も増加もなし、がもたらされる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与後、組成物は、QTcF間隔において約20%を超えて増加しない変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与後、組成物は、QTcF間隔の約5%~約20%の増加を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与後約1時間以内に血漿濃度は少なくとも約75%減少する。
【0015】
別の態様では、必要とするヒト対象にサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む、心房細動(AF)または心房粗動を処置する方法が本明細書に提供され、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の量は、約2時間未満で、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の血漿濃度のTmaxを達成するのに十分である。
【0016】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約1時間未満の時間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約30分間の時間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、心拍数または血圧において、不整脈または臨床的に意味のある変化が生じない速度で投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、AFは急性AFである。いくつかの実施形態では、AFは発作性AFである。いくつかの実施形態では、AFは再発性AFである。いくつかの実施形態では、処置は心房粗動のためである。
【0018】
本教示のこれらならびにその他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、実施例、および添付の特許請求の範囲の参照により、より良好に理解される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本説明で使用される用語および語句は、特に示されていない限り、以下の意味を有する。
【0020】
本明細書で使用するとき、別段の定めがない限り、サルカルディン(遊離塩基形)の化学名は、N-[4-ヒドロキシ-3,5-ビス(1-ピロリジニルメチル)ベンジル]-4-メトキシベンゼンスルホンアミドであり、以下の構造を有する。
【0021】
【0022】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、エタン-1,2-ジスルホン酸、ナフタリン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ナフタリン-2-スルホン酸、ジヒドロスルホン酸、塩酸、または臭化水素酸である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩はエタン-1,2-ジスルホン酸である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩はナフタリン-1,5-ジスルホン酸である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩はナフタリン-2-スルホン酸である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は塩酸または臭化水素酸である。
【0023】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩はサルカルディン硫酸塩である。
【0024】
本明細書で使用するとき、別段の定めがない限り、サルカルディン硫酸塩は以下の構造を有する。
【0025】
【0026】
一実施形態において、サルカルディン硫酸塩はサルカルディン硫酸塩三水和物である。
【0027】
本明細書で使用するとき、別段の定めがない限り、「Cmax」は最高血漿濃度を表す。
【0028】
本明細書で使用するとき、別段の定めがない限り、「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語は、組成物または剤形の成分の用量、量、または重量パーセントに関連して使用されるとき、指定された用量、量、または重量パーセントから得られるものと同等の薬理効果をもたらすと当業者に認められる用量、量、または重量パーセントを意味する。ある実施形態では、「約」および「およそ」という用語は、この文脈で使用するとき、指定された用量、量、または重量パーセントの30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内の用量、量、または重量パーセントを意図する。
【0029】
「処置する(treat)」、「処置(treatment)」、「処置すること(treating)」は、予防および/または治療目的のための医薬組成物または製剤の投与を指すように本明細書で使用される。「治療的処置(therapeutic treatment)」という用語は、すでに不整脈などの状態がある患者に処置を施すことを指す。ゆえに、好ましい実施形態では、処置するとは、治療上有効量の抗不整脈剤の哺乳動物への投与である。
【0030】
処置の「対象(subject)」は、原核細胞、真核細胞、組織培養物、組織、または動物、例えば、ヒトを含む哺乳動物である。処置を受けるヒト以外の動物は、例えば、サル、マウス、イヌ、ウサギ科、家畜、競技用動物、およびペットである。本明細書で使用するとき、別段の定めがない限り、「患者(patient)」はヒト対象である。
【0031】
「処置集団(treatment population)」は、処置を受ける臨床的に典型的な患者の群、および上述の患者から予想される典型的な反応を指す。
【0032】
本明細書で使用する「抗不整脈剤(anti-arrhythmic agent)」は、対象内における不整脈の処置または関連症状の軽減の治療効果を有する分子を指す。不整脈の非限定的な例として、心房細動などの上室性頻脈性不整脈、心室性期外収縮、心室頻拍、および心室細動が挙げられる。一態様では、抗不整脈剤はサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩である。別の態様では、抗不整脈剤はサルカルディン硫酸塩である。
【0033】
本明細書で使用するとき、サルカルディンの薬学的に許容される塩は、不整脈の処置のために有用な製剤の活性薬剤であり得る。このようなサルカルディン塩の例は、(A)酢酸塩、ホウ酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、塩酸塩、臭化物、塩化物、ヨウ化物、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、およびフルオロリン酸塩などの無機酸塩、(B)アムソン酸塩(amsonate)(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホン酸塩)、酒石酸水素塩、酪酸塩、クエン酸塩、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩(camsylate)、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、グルタミン酸塩、グルコン酸塩、グルセプト酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メテン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、エンボン酸塩(einbonate))、パモ酸塩、パントテン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、スラメート(suramate)、プロピオン酸塩、吉草酸塩、フィウナレート(fiunarate)、フマル酸塩、および酒石酸塩などの有機酸塩、ならびに、(C)サルカルディンのナトリウム、カリウム、リチウム、およびカルシウム塩などのアルカリ金属塩およびアルカリ土類塩である。この文脈において、薬学的に許容可能な塩は、その構造内に、1つよりも多くの荷電原子、したがって、1つ以上の対イオンを有し得る。
【0034】
「有効量(effective amount)」、「治療上有効量(therapeutically effective amount)」、および「薬学的有効量(pharmaceutically effective amount)」という語句は、治療効果を有する、現在開示されている抗不整脈剤などの活性薬剤の量を示す。処置において有用な活性薬剤の用量が治療上有効量である。よって、治療上有効量は、臨床試験結果および/またはモデル動物研究によって判定された所望の治療効果をもたらす活性薬剤の量である。特定の実施形態では、活性薬剤は所定の用量で投与される。よって、治療上有効量は投与される用量の量である。この量は、患者の身長、体重、性別、年齢、および病歴によって異なり得る。
【0035】
「担体(carrier)」または「賦形剤(excipient)」は、化合物の投与を促進するために、例えば、化合物の放出および/またはバイオアベイラビリティを制御するために用いられる化合物または材料である。固体の担体は、例えば、デンプン、ラクトース、リン酸二カルシウム、スクロース、およびカオリンを含む。液体担体としては、例えば、滅菌水、生理食塩水、緩衝剤、非イオン性界面活性剤、ならびに、油、ピーナッツ油、およびごま油などの食用油が挙げられる。加えて、当該分野において一般的に使用される多様なアジュバントが含まれ得る。これらおよび他のこのような化合物は、例えば、以下の文献に記載されている:Merck Index,Merck&Company,Rahway,N.J。医薬組成物中に含まれる多様な成分についての検討について、例えば、以下の文献に記載されている:Gilman et al.(Eds.)(1990);GOODMAN AND GILMAN’S:THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,8th Ed.,Pergamon Press。
【0036】
「薬学的に許容可能な担体(pharmaceutically acceptable carrier)」、および「薬学的に許容可能な賦形剤(pharmaceutically acceptable excipient)」という語句は、あらゆるかつすべての溶媒、分散媒、コーティング、等張剤、および吸収遅延剤などを指す。薬学的活性物質に対するこのような媒体、および薬剤の使用は、当該分野において周知である。あらゆる従来の媒体または薬剤が当該活性成分と不適合である場合以外は、当該媒体または薬剤の処置組成物中での使用が考えられる。補助活性成分も組成物に含まれ得る。適切な薬学的に許容可能な賦形剤は、限定されないが、緩衝剤、希釈剤、等張化剤、安定剤、抗酸化剤、防腐剤、およびこれらの混合物を含む。
【0037】
「緩衝剤(buffer)」という用語は、薬学調製物のpHを安定させる薬学的に許容可能な賦形剤を意味する。適切な緩衝剤は当該分野において公知であり、文献において見出すことができる。薬学的に許容可能な緩衝剤は、限定されないが、グリシン緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、およびリン酸緩衝剤を含む。使用した緩衝剤から独立して、pHは約2~約9の範囲、または約2.5~約7の範囲、または約3~約5の範囲、または約3の値で、当該分野において公知の酸または塩基、例えば、コハク酸、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸、およびクエン酸、水酸化ナトリウム、ならびに水酸化カリウムを用いて、調整可能である。
【0038】
適切な緩衝剤としては、限定されないが、グリシン緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カコジル酸塩、リン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、およびクエン酸塩を含む。一態様では、緩衝剤はグリシン緩衝剤である。別の態様では、緩衝剤はヒスチン緩衝剤である。緩衝剤の濃度は、約1mM~約100mM、または代替的には約2mM~約40mM、または代替的には約5mM~約20mMであり得る。
【0039】
本明細書で使用するとき、用語「平均(average)」は、同じ処置および/もしくは化合物を与えられた、可変的量の患者および/または対象から導出した値の平均値を指す。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「平均(mean average)」は、同じ処置および/または化合物を与えられた集団中の患者数で割られた患者の可変集団の値の合計値を指す。
【0041】
使用方法
心房細動(AF)の処置における薬学的治療の目的は、正常洞調律に対する高速カーディオバージョンを誘導するために、急性AFを処置しているのか、もしくは発作性AFを処置しているのか、または薬物の長期投与によるAF再発を予防しようとしているのかに応じて異なる。頻繁な再発歴のない患者の急性AFまたは発作性AFの場合、そして、おそらくある程度の再発性AFの場合にも、再発性AFはいずれにしても急性カーディオバージョンに対してより耐性があるが、目的は、典型的には単回の薬物用量の投与または制限された投与回数の投与によって、現在AFエピソードを患っている患者に迅速に薬理学的にカーディオバージョンを誘導することである。あるいは、再発性AFエピソードの予防には慢性的な予防処置が必要になることもある。
【0042】
迅速なカーディオバージョンを誘導するための急性AFまたは発作性AFの処置の文脈において、サルカルディンおよびその薬学的に許容可能な塩の有効性は、ピーク血漿濃度の関数であると考えられ、正常洞調律へのカーディオバージョンのための時間を得るために、高血漿レベルを最小限の期間、例えば、数分間から1時間未満の時間にわたって維持する必要がある。その期間後、患者は、何らかの他の引き金となる事象が将来の不整脈の発生を引き起こす場合を除いて、継続的な薬物の薬学的血漿レベルを必要とすることなく、正常洞調律のままであるはずである。AFエピソードの以前の病歴がないか、または限られているのみであるタイプの患者は、再発リスクが低く、介入方法にかかわらず、典型的にはよりうまくカーディオバージョンすることができるので、カーディオバージョン後の継続的な薬物治療の必要性は示されない。急性AFまたは発作性AFの示唆については、一定の薬物の血液レベル(一定の血漿-時間曲線下薬物濃度面積)を長期間維持することは不要である。このような臨床的状況における薬物の使用は、心臓を正常洞調律へと迅速に戻すための電気カーディオバージョンの利用に類似している。
【0043】
持続性AFまたは再発性AFの患者の処置におけるサルカルディンおよびその薬学的に許容可能な塩の有効性は、ピーク血漿濃度ではなく、血漿-時間曲線下面積の関数であると考えられる。以前の重大なAF病歴があり、頻繁なAF再発を経験している患者は、上記の急性コホートよりも再発のリスクがはるかに高い。頻繁なまたは長期的な(慢性)AFエピソード後に、心房はリモデリングするようであり、患者を将来の事象のより高いリスクにさらすことになる。
【0044】
再発性AFの予防またはカーディオバージョンさせた慢性AFの患者の処置は、薬物濃度ピークおよびトラフ濃度を、投与期間にわたって、高血漿濃度に関連する有害事象のリスクを最小化し、さらに血液レベルをある程度最小限に薬理学的に抗不整脈で活性な濃度よりも上に維持する範囲内に維持しておく必要がある。よって、再発性または慢性的なカーディオバージョンさせたAF患者の処置において、例えば、制御放出製剤によって、またはゆっくりとした静脈内注入によって、活性薬剤をより長期間にわたって投与することには、果たすべき役割がある。急性/発作性AFの医療現場において、目的は、数分間~1または2時間にわたって、かなり高い血中濃度を達成することで、心臓が薬物治療に反応して正常洞調律へ戻るための十分な時間を確保することである。この期間にわたって連続的な短期間の点滴によって薬物を負荷することは、迅速なIV Push法による薬物投与とは対照的に、血漿濃度ピークを鈍化させ、ICaイオンカルシウムチャネルにおいて活性を有するか、または、迷走神経抑制作用を有する抗不整脈剤を用いて生じ得る低血圧症のリスクを最小化しつつ、カーディオバージョンを得られるのに十分な期間にわたって高い血中濃度を達成することができる。
【0045】
AF、例えば、急性AFまたは発作性AFの処置に適した薬物動態/薬力学(PK/PD)プロファイルを可能にする、対象におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の投与のための組成物および方法が、本明細書で提供される。一実施形態では、特定の理論に縛られないが、PK/PDプロファイルは、迅速なTmaxおよび高いCmaxのための静脈内投与、不整脈のリスクを下げるための迅速な再分配、ECGの汎電気生理学的効果、ならびに低TdePリスクを示す相対するQTc/TpTeおよびJTpcのプロファイルのうち1つ以上の要素によって達成される。一実施形態では、特定の理論に縛られないが、驚くべきことに、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は特定の投与量および特定の経路で投与でき、特定の薬物動態学的および薬力学的なパラメータを用いて測定した場合にはすぐに効果が得られるが、すぐに効果を失うことも発見されている。したがって、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、特定の投与量および特定の投与経路を用いて、より安全かつ効果的に対象へ投与することができ、有益な結果も得られる。
【0046】
一態様では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が本明細書に提供され、組成物は、心拍数(HR)、QRS、PDur、PR、およびQTcFの増加、JTpの減少、ならびにTpTeへの影響も増加もないこと、を含むECGパラメータの変化を生じさせる。
【0047】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、QRS、PDur、PR、QTcFの増加、JTpの減少、およびTpTeへの影響も増加もないことを含む、用量に比例したECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、QRS、PDur、PR、およびTpTeの増加を含む、用量に比例したECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、JTpの減少を含む、用量に比例したECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、JTpの減少を含む、用量に比例したECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、TpTe間隔への影響も延長もないことを含む、用量に比例したECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、JTpの減少およびQTcの延長と組み合わせて、TpTe間隔への影響も延長もないことを含む、用量に比例したECGパラメータの変化を生じさせる。
【0048】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬品組成物は、QRS、PDur、PR、およびQTcFの約25%以下の増加を含む、1または複数のECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、ECGパラメータの変化は、心拍数、ならびに、QRS、PDur、PR、およびQTcFのうち1または複数の、約25%以下の増加を含む。いくつかの実施形態では、サルカルディンは多数のECGパラメータでECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、HRの約25%以下の増加を含む、ECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、HR、QRS、PDur、PR、およびQTcFの約0.5%~約20%の増加を含む、1または複数のECGパラメータの変化を生じさせる。いくつかの実施形態では、ECGパラメータの変化は、心拍数、QRS、PDur、PR、およびQTcFの約1.0%~約15%、約1.0%~約10%の増加を含む。いくつかの実施形態では、心拍数、QRS、PDur、PR、およびQTcFの増加は、約0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、もしくは24.5%、またはその中のあらゆる変化率である。いくつかの実施形態では、増加は約25%または約30%以下である。
【0049】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、心臓に対するINa(速いナトリウムチャネル)とLCa(L型カルシウムチャネル)の阻害剤であることに加えて、NaL(遅いナトリウムチャネル)の阻害剤である。これにより、トルサード・ド・ポワントの危険性を緩和することができるECGパラメータの変化を特徴とするQTc期間に対する二相効果がもたらされる。これらのECGパラメータの変化は、(i)変化が起こらないまたはNMTのJTpcの約15~25msecの減少、および(ii)TpTeへの影響も増加もないことを含む。いくつかの実施形態では、ECGパラメータの変化は、早期後脱分極(EAD)の阻害を含む。いくつかの実施形態では、ECGパラメータの変化は、低濃度用量のサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩でのQTc間隔の増加に続いて、QTcの延長または短縮の減衰を含む。多くの場合、これはNaLおよびLCaチャネル阻害が増加した結果である。
【0050】
いくつかの実施形態では、ECGパラメータの最大変化は、Tmaxの前またはTmaxで生じる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、Tmaxの前またはほぼTmaxで、心拍数に重大な影響を及ぼさない、または心拍数を約25%以下増加させる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、Tmaxの前またはTmax付近で、心拍数に重大な影響を及ぼさない、または心拍数を約25%以下増加させる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、Tmaxの前またはほぼTmaxで、心拍数に重大な影響を及ぼさない、あるいは拡張期血圧および/または収縮期血圧を約25%以下増加または減少させる。
【0051】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、第2度または第3度心臓ブロックを誘導しない。
【0052】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の投与範囲は、20~1,000mgである。いくつかの実施形態では、範囲は20~600mgである。一実施形態では、範囲は100~600mgである。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約200mg、350mg、500mg、または600mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約350mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約600mgの用量で投与される。
【0053】
用量は、サルカルディンの遊離塩基(すなわち、酸性の対イオンを伴わない)形態から算出される。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物中の薬学的に許容可能な塩はサルカルディン硫酸塩である。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、200mgのサルカルディンを投与後、対象におけるサルカルディンのCmaxが、ほぼTmaxで約1,000ng/mL~約2,000ng/mL、またはその中のあらゆる範囲であり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0057】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、200mgのサルカルディンを投与後、対象におけるサルカルディンのCmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約1,500ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。いくつかの実施形態では、血漿プロファイルは、ほぼTmaxで少なくとも約1,000ng/mL、1,100ng/ml、1,200ng/ml、1,300ng/ml、または1,400mg/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%である平均Cmaxを特徴とする。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は、350mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物(サルカルディン)のCmaxが、ほぼTmaxで約2,000ng/mL~約3,500ng/mL、またはその中のあらゆる範囲であり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0059】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、350mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物(サルカルディン)のCmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約3,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。いくつかの実施形態では、血漿プロファイルは、ほぼTmaxで少なくとも約2,500ng/mL、2,600ng/mL、2,600ng/mL、2,700ng/mL、2,800ng/mL、または2,900mg/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%である平均Cmaxを特徴とする。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物は、500mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物(サルカルディン)のCmaxが、ほぼTmaxで約3,500ng/mL~約5,000ng/mL、またはその中のあらゆる範囲であり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0061】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、500mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物(サルカルディン)のCmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約4,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。いくつかの実施形態では、血漿プロファイルは、ほぼTmaxで少なくとも約3,500ng/mL、3,600ng/ml、3,700ng/ml、3,800ng/ml、または3,900mg/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%である平均Cmaxを特徴とする。
【0062】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、600mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物(サルカルディン)の平均Cmaxが、ほぼTmaxで約5,000ng/mL~約6,000ng/mL、またはその中のあらゆる範囲であり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0063】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、600mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物(サルカルディン)のCmaxが、ほぼTmaxで少なくとも約5,500ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。いくつかの実施形態では、血漿プロファイルは、ほぼTmaxで少なくとも約5,000ng/mL、5,100ng/ml、5,200ng/ml、5,300ng/ml、または5,400mg/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%である平均Cmaxを特徴とする。
【0064】
別の態様では、必要とする対象に、本明細書に提供されるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、多数のECGパラメータは、対象において変化する。一実施形態では、QRS、PDur、PR、QTcF、およびTpTeは対象において増加し、JTpは対象において減少する。いくつかの実施形態では、QRS、PDur、PR、TpTe、およびQTcFは増加し、JTpは減少する。いくつかの実施形態では、JTpは変化しない。
【0065】
別の態様では、必要とするヒト対象にサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む、心房細動(AF)または心房粗動を処置する方法が本明細書に提供され、その結果、QRS、PDur、PR、QTcF、またはそのあらゆる組合せの約25%以下の増加を含むECGパラメータに至る。いくつかの実施形態では、ECGパラメータは、心拍数(HR)の約25%以下の増加をさらに含む。いくつかの実施形態では、ECGパラメータは、JTpの約25msec以下の減少、TpTeの変化がないこと、またはTpTeの約10msec以下の増加をさらに含む。いくつかの実施形態では、JTpは変化しない。
【0066】
いくつかの実施形態では、HR、QRS、PDur、PR、QTcF、またはそのあらゆる組合せの増加は、約0.5%~約20%である。いくつかの実施形態では、増加は、約0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、もしくは24.5%、またはその中のあらゆる変化率である。
【0067】
いくつかの実施形態では、JTPcの減少は、約0.5%~約10%である。いくつかの実施形態では、JTPcの減少は、約0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、もしくは10%、またはその中のあらゆる変化率である。
【0068】
いくつかの実施形態では、JTPcの減少は、約10msec~約25msecである。いくつかの実施形態では、JTpcの減少は、約0.5msec、1.0msec、1.5msec、2.0msec、2.5msec、3.0msec、3.5msec、4.0msec、4.5msec、5.0msec、5.5msec、6.0msec、6.5msec、7.0msec、7.5msec、8.0msec、8.5msec、9.0msec、9.5msec、もしくは10msec、またはその中のあらゆる変化率である。いくつかの実施形態では、NMTのJTpcの変化は約15msecである。いくつかの実施形態では、JTpcは変化しない。
【0069】
いくつかの実施形態では、TpTcの増加は約0.5%~約10msecである。いくつかの実施形態では、TpTeの増加は、約0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、もしくは10%、またはその中のあらゆる変化率である。
【0070】
いくつかの実施形態では、TpTcの増加は約0.5msec~約10msecである。いくつかの実施形態では、TpTeの増加は、約0.5msec、1.0msec、1.5msec、2.0msec、2.5msec、3.0msec、3.5msec、4.0msec、4.5msec、5.0msec、5.5msec、6.0msec、6.5msec、7.0msec、7.5msec、8.0msec、8.5msec、9.0msec、9.5msec、もしくは10msec、またはその中のあらゆる変化率である。いくつかの実施形態では、TpTeは変化しない。
【0071】
いくつかの実施形態では、投与によって、
(i)QRS、PDur、PR、およびQTcFの約25%未満の増加、
(ii)JTpcの約25msec未満の減少、もしくは変化がないこと、および/または
(iii)TpTeへの影響も増加もないこと、
がもたらされる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ヒト対象のQTcF間隔は、投与の終了時に約60msec以下から増加する。いくつかの実施形態では、ヒト対象のQTcF間隔は、投与の終了時に約10msec~約340msec増加する。いくつかの実施形態では、ヒト対象のQTcF間隔は、投与の終了時に約30msec~約60msec増加する。いくつかの実施形態では、QT間隔は約50msec以下増加する。いくつかの実施形態では、QTcF間隔は約40msec以下増加する。いくつかの実施形態では、QTcF間隔は約30msec以下増加する。いくつかの実施形態では、QTcF間隔は約20msec以下増加する。いくつかの実施形態では、QTcF間隔は約10msec以下増加する。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物によって、組成物の投与後に約20%より上を逸脱しないQTcF間隔の変化が生じる。いくつかの実施形態では、組成物によって、組成物の投与後にQTcF間隔は約5%~約20%増加する。
【0074】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約20~約1,000mg(遊離塩基当量)の用量範囲で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約20~約600mgの用量範囲で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約60~約600mgの用量範囲で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約100~約600mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、200~500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約200mg、350mg、500mg、または600mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約350mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約100mg~約1,000mgの用量範囲で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約100mg~約200mg、約100mg~約300mg、約100mg~約400mg、約100mg~約500mg、約100mg~約600mg、約100mg~約700mg、約100mg~約800mg、約100mg~約900mg、約100mg~約1,000mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約600mg、約200mg~約700mg、約200mg~約800mg、約200mg~約900mg、約200mg~約1,000mg、約300mg~約400mg、約300mg~約500mg、約300mg~約600mg、約300mg~約700mg、約300mg~約800mg、約300mg~約900mg、約300mg~約1,000mg、約400mg~約500mg、約400mg~約600mg、約400mg~約700mg、約400mg~約800mg、約400mg~約900mg、約400mg~約1,000mg、約500mg~約600mg、約500mg~約700mg、約500mg~約800mg、約500mg~約900mg、約500mg~約1,000mg、約600mg~約700mg、約600mg~約800mg、約600mg~約900mg、約600mg~約1,000mg、約700mg~約800mg、約700mg~約900mg、約700mg~約1,000mg、約800mg~約900mg、約800mg~約1,000mg、または約900mg~約1,000mgの用量範囲で投与される。
【0075】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、または約1,000mgの用量範囲で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、少なくとも約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、または約900mgの用量範囲で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、最大約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、または約1,000mgの用量範囲で投与される。
【0076】
別の態様では、必要とするヒト対象に、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を、約200mg、350mg、500mg、または600mgの用量で、非経口投与することを含む、心房細動(AF)を処置する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約350mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約600mgの用量で投与される。
【0077】
サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の投与は、PK/PDパラメータの変化を特徴とする。サルカルディンは、静脈内注射の終了時、または他の非経口経路の30分に相当する、比較的短いTmaxにおける、用量に比例したCmaxを含む血漿プロファイルを生成する。続いて、血漿から化合物の急速な減少が生じる。いくつかの実施形態では、サルカルディンの血漿濃度は、投与後約1時間以内に少なくとも75%減少する。
【0078】
別の実施形態では、必要とするヒト対象に、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む、心房細動(AF)または心房粗動を処置する方法が本明細書に提供され、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の量は、約2時間未満で、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の血漿濃度のTmaxを達成するのに十分である。いくつかの実施形態では、サルカルディンの量は、約0.5~約2.0時間でサルカルディンの血漿濃度のTmaxを達成するのに十分である。
【0079】
いくつかの実施形態では、Tmaxの前またはほぼTmaxで、ECGの変化が生じる。いくつかの実施形態では、Tmaxの前またはTmax付近で、ECGの変化が生じる。
【0080】
いくつかの実施形態では、必要とする対象に、本明細書に提供される組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、200mgの化合物を投与後、対象における化合物(サルカルディン)の平均Cmaxが、投与後約0.5時間で約1,000ng/mL~約2,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0081】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、組成物は、200mgの組成物を投与後、対象における組成物のCmaxが、投与後0.5時間で少なくとも約1,500ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0082】
いくつかの実施形態では、必要とする対象に、本明細書に提供される組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、350mgの組成物を投与後、対象における化合物のCmaxが、投与後約0.5時間で約2,000ng/mL~約3,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0083】
一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、組成物は、350mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物のCmaxが、投与後約0.5時間で少なくとも約3,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0084】
いくつかの実施形態では、必要とする対象に、本明細書に提供される組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、500mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物(サルカルディン)のCmaxが、投与後約0.5時間で約4,000ng/mL~約5,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0085】
一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、500mgの化合物を投与後、対象における化合物(サルカルディン)のCmaxが、投与後約0.5時間で少なくとも約4,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0086】
いくつかの実施形態では、必要とする対象に、本明細書に提供される組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、600mgの化合物を投与後、対象における化合物(サルカルディン)のCmaxが、投与後約0.5時間で約5,000ng/mL~約6,000ng/mLであり、投与後約1.0時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0087】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、600mgの化合物(サルカルディン)を投与後、対象における化合物のCmaxが、投与後約0.5時間で少なくとも約5,500ng/mLであり、投与後約1時間でCmaxの最大25%であることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0088】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、200mgの化合物を投与後、対象における化合物のAUCが、投与後約0.5時間で少なくとも約1,200ng.h/mLであることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0089】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、350mgの化合物を投与後、対象における化合物のAUCが、投与後約0.5時間で少なくとも約2,800ng.h/mLであることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0090】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、500mgの化合物を投与後、対象における化合物のAUCが、投与後約0.5時間で少なくとも約4,000ng.h/mLであることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0091】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する方法が本明細書に提供され、化合物(サルカルディン)は、600mgの化合物を投与後、対象における化合物のAUCが、投与後約0.5時間で少なくとも約5,200ng.h/mLであることを特徴とする平均血漿プロファイルを生成する。
【0092】
いくつかの実施形態では、Tmaxは約30分である。
【0093】
一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約60mg~約800mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約180mg~約800mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約360mg~約800mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約400mg~約800mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約450mg~約750mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約500mg~約700mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約550mg~約650mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約600mgの用量で投与される。
【0094】
一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約60mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約180mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約360mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約400mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約450mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約500mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約550mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約600mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約650mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約700mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約750mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約800mg以上の用量で投与される。
【0095】
一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約60mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約180mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約360mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約400mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約450mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約500mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約550mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約600mgの用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約650mgの用量で投与される。
【0096】
いくつかの実施形態において、サルカルディンの投与量は、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg、490mg、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg、590mg、およびその間の投与量を含んでもよい。投与量は、約610mg、620mg、630mg、640mg、650mg、660mg、670mg、680mg、690mg、700mg、710mg、720mg、730mg、740mg、750mg、760mg、770mg、780mg、790mg、800mg、およびその間の投与量も含んでもよい。次のような投与量が安全かつ意図した効果を有することが示され得る場合には、サルカルディンの投与量は、約850mg、900mg、950mg、および1,000mgを含んでもよい。
【0097】
一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約200mg、350mg、500mg、または600mgの用量、およびその間の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約200mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約350mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約500mg以上の用量で投与される。一実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約600mg以上の用量で投与される。
【0098】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディン硫酸塩が投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、非経口投与によって投与される。いくつかの実施形態では、非経口投与は静脈内注入、または筋肉内注射もしくは皮下注射である。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、筋肉内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、経口投与される。
【0099】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約50mg/mLの濃度の溶液として投与される。いくつかの実施形態では、50mlの容量で、約200~500mgの用量を患者に送達するために、溶液は約8mg/mlまたはそれ以下に希釈される。
【0100】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約15分~約2時間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約30分~約1時間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約1時間未満の時間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約30分間の時間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、約15分間の時間にわたって投与される。
【0101】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、心拍数または血圧において、不整脈もしくは臨床的に意味のある変化が生じない、正常洞調律が生じる速度で投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、心拍数または血圧において、不整脈もしくは臨床的に意味のある変化が生じない速度で投与される。いくつかの実施形態では、方法によって、拡張期血圧および/または収縮期血圧は、25%以下増加または減少する。いくつかの実施形態では、方法は、第2度または第3度心臓ブロックを誘導しない。
【0102】
いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、症状の発症後から投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、症状の発症後約15分~約72時間に投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、症状の発症後約72時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその塩は、抗凝固を要することなく投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、抗凝固を要することなく、症状の発症後7日未満の後に投与される。いくつかの実施形態では、サルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩は、症状の発症後、および抗凝固療法後の72時間後に投与される。
【0103】
上記の実施形態では、記載されたECGパラメータの変化は、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルに依存することがある。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約1,000ng.h/mL~、約10,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約1,000ng.h/mL~約2,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約3,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約7,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約8,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約9,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約3,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約7,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約8,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約9,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約7,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約8,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約9,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約7,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約8,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約9,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL~約7,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL~約8,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL~約9,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mL、約6,000ng.h/mL~約7,000ng.h/mL、約6,000ng.h/mL~約8,000ng.h/mL、約6,000ng.h/mL~約9,000ng.h/mL、約6,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mL、約7,000ng.h/mL~約8,000ng.h/mL、約7,000ng.h/mL~約9,000ng.h/mL、約7,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mL、約8,000ng.h/mL~約9,000ng.h/mL、約8,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mL、または約9,000ng.h/mL~約10,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約1,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL、約6,000ng.h/mL、約7,000ng.h/mL、約8,000ng.h/mL、約9,000ng.h/mL、または約10,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、少なくとも約1,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL、約6,000ng.h/mL、約7,000ng.h/mL、約8,000ng.h/mL、または約9,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、最大約2,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL、約6,000ng.h/mL、約7,000ng.h/mL、約8,000ng.h/mL、約9,000ng.h/mL、または約10,000ng.h/mLである。
【0104】
いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約1,000ng.h/mL~約6,500ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約1,000ng.h/mL~約1,500ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約2,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約2,500ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約3,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約3,500ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約4,500ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約1,000ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約2,000ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約2,500ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約3,000ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約3,500ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約4,500ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約1,500ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約2,500ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約3,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約3,500ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約4,500ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約2,000ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約2,500ng.h/mL~約3,000ng.h/mL、約2,500ng.h/mL~約3,500ng.h/mL、約2,500ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約2,500ng.h/mL~約4,500ng.h/mL、約2,500ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約2,500ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約2,500ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約2,500ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約3,500ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約4,500ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約3,000ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約3,500ng.h/mL~約4,000ng.h/mL、約3,500ng.h/mL~約4,500ng.h/mL、約3,500ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約3,500ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約3,500ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約3,500ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約4,500ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約4,000ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約4,500ng.h/mL~約5,000ng.h/mL、約4,500ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約4,500ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約4,500ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約5,000ng.h/mL~約5,500ng.h/mL、約5,000ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約5,000ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、約5,500ng.h/mL~約6,000ng.h/mL、約5,500ng.h/mL~約6,500ng.h/mL、または約6,000ng.h/mL~約65,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約1,000ng.h/mL、約1,500ng.h/mL、約2,000ng.h/mL、約2,500ng.h/mL、約3,000ng.h/mL、約3,500ng.h/mL、約4,000ng.h/mL、約4,500ng.h/mL、約5,000ng.h/mL、約5,500ng.h/mL、約6,000ng.h/mL、または約6,500ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、少なくとも約1,000ng.h/mL、約1,500ng.h/mL、約2,000ng.h/mL、約2,500ng.h/mL、約3,000ng.h/mL、約3,500ng.h/mL、約4,000ng.h/mL、約4,500ng.h/mL、約5,000ng.h/mL、約5,500ng.h/mL、または約6,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、最大約1,500ng.h/mL、約2,000ng.h/mL、約2,500ng.h/mL、約3,000ng.h/mL、約3,500ng.h/mL、約4,000ng.h/mL、約4,500ng.h/mL、約5,000ng.h/mL、約5,500ng.h/mL、約6,000ng.h/mL、または約6,500ng.h/mLである。
【0105】
いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約100ng.h/mL~約1,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約100ng.h/mL~約200ng.h/mL、約100ng.h/mL~約300ng.h/mL、約100ng.h/mL~約400ng.h/mL、約100ng.h/mL~約500ng.h/mL、約100ng.h/mL~約600ng.h/mL、約100ng.h/mL~約700ng.h/mL、約100ng.h/mL~約800ng.h/mL、約100ng.h/mL~約900ng.h/mL、約100ng.h/mL~約1,000ng.h/mL、約200ng.h/mL~約300ng.h/mL、約200ng.h/mL~約400ng.h/mL、約200ng.h/mL~約500ng.h/mL、約200ng.h/mL~約600ng.h/mL、約200ng.h/mL~約700ng.h/mL、約200ng.h/mL~約800ng.h/mL、約200ng.h/mL~約900ng.h/mL、約200ng.h/mL~約1,000ng.h/mL、約300ng.h/mL~約400ng.h/mL、約300ng.h/mL~約500ng.h/mL、約300ng.h/mL~約600ng.h/mL、約300ng.h/mL~約700ng.h/mL、約300ng.h/mL~約800ng.h/mL、約300ng.h/mL~約900ng.h/mL、約300ng.h/mL~約1,000ng.h/mL、約400ng.h/mL~約500ng.h/mL、約400ng.h/mL~約600ng.h/mL、約400ng.h/mL~約700ng.h/mL、約400ng.h/mL~約800ng.h/mL、約400ng.h/mL~約900ng.h/mL、約400ng.h/mL~約1,000ng.h/mL、約500ng.h/mL~約600ng.h/mL、約500ng.h/mL~約700ng.h/mL、約500ng.h/mL~約800ng.h/mL、約500ng.h/mL~約900ng.h/mL、約500ng.h/mL~約1,000ng.h/mL、約600ng.h/mL~約700ng.h/mL、約600ng.h/mL~約800ng.h/mL、約600ng.h/mL~約900ng.h/mL、約600ng.h/mL~約1,000ng.h/mL、約700ng.h/mL~約800ng.h/mL、約700ng.h/mL~約900ng.h/mL、約700ng.h/mL~約1,000ng.h/mL、約800ng.h/mL~約900ng.h/mL、約800ng.h/mL~約1,000ng.h/mL、または約900ng.h/mL~約1,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約100ng.h/mL、約200ng.h/mL、約300ng.h/mL、約400ng.h/mL、約500ng.h/mL、約600ng.h/mL、約700ng.h/mL、約800ng.h/mL、約900ng.h/mL、または約1,000ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、少なくとも約100ng.h/mL、約200ng.h/mL、約300ng.h/mL、約400ng.h/mL、約500ng.h/mL、約600ng.h/mL、約700ng.h/mL、約800ng.h/mL、または約900ng.h/mLである。いくつかの実施形態では、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、最大約200ng.h/mL、約300ng.h/mL、約400ng.h/mL、約500ng.h/mL、約600ng.h/mL、約700ng.h/mL、約800ng.h/mL、約900ng.h/mL、または約1,000ng.h/mLである。
【0106】
いくつかの実施形態では、上に具体化されるような、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、Tmaxの前またはTmaxで到達される。いくつかの実施形態では、上に具体化されるような、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約5%のTmax~約95%のTmaxで達成される。いくつかの実施形態では、上に具体化されるような、所与の患者における、サルカルディンまたは薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約5%のTmax~約10%のTmax、約5%のTmax~約20%のTmax、約5%のTmax~約30%のTmax、約5%のTmax~約40%のTmax、約5%のTmax~約50%のTmax、約5%のTmax~約60%のTmax、約5%のTmax~約70%のTmax、約5%のTmax~約80%のTmax、約5%のTmax~約90%のTmax、約5%のTmax~約95%のTmax、約10%のTmax~約20%のTmax、約10%のTmax~約30%のTmax、約10%のTmax~約40%のTmax、約10%のTmax~約50%のTmax、約10%のTmax~約60%のTmax、約10%のTmax~約70%のTmax、約10%のTmax~約80%のTmax、約10%のTmax~約90%のTmax、約10%のTmax~約95%のTmax、約20%のTmax~約30%のTmax、約20%のTmax~約40%のTmax、約20%のTmax~約50%のTmax、約20%のTmax~約60%のTmax、約20%のTmax~約70%のTmax、約20%のTmax~約80%のTmax、約20%のTmax~約90%のTmax、約20%のTmax~約95%のTmax、約30%のTmax~約40%のTmax、約30%のTmax~約50%のTmax、約30%のTmax~約60%のTmax、約30%のTmax~約70%のTmax、約30%のTmax~約80%のTmax、約30%のTmax~約90%のTmax、約30%のTmax~約95%のTmax、約40%のTmax~約50%のTmax、約40%のTmax~約60%のTmax、約40%のTmax~約70%のTmax、約40%のTmax~約80%のTmax、約40%のTmax~約90%のTmax、約40%のTmax~約95%のTmax、約50%のTmax~約60%のTmax、約50%のTmax~約70%のTmax、約50%のTmax~約80%のTmax、約50%のTmax~約90%のTmax、約50%のTmax~約95%のTmax、約60%のTmax~約70%のTmax、約60%のTmax~約80%のTmax、約60%のTmax~約90%のTmax、約60%のTmax~約95%のTmax、約70%のTmax~約80%のTmax、約70%のTmax~約90%のTmax、約70%のTmax~約95%のTmax、約80%のTmax~約90%のTmax、約80%のTmax~約95%のTmax、または約90%のTmax~約95%のTmaxである。いくつかの実施形態では、上に具体化されるような、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、約5%のTmax、約10%のTmax、約20%のTmax、約30%のTmax、約40%のTmax、約50%のTmax、約60%のTmax、約70%のTmax、約80%のTmax、約90%のTmax、または約95%のTmaxで達成される。いくつかの実施形態では、上に具体化されるような、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、少なくとも約5%のTmax、約10%のTmax、約20%のTmax、約30%のTmax、約40%のTmax、約50%のTmax、約60%のTmax、約70%のTmax、約80%のTmax、または約90%のTmaxで達成される。いくつかの実施形態では、上に具体化されるような、所与の患者におけるサルカルディンまたはその薬学的に許容可能な塩の平均血漿濃度および/あるいは平均血漿曝露(AUC)のレベルは、最大約10%のTmax、約20%のTmax、約30%のTmax、約40%のTmax、約50%のTmax、約60%のTmax、約70%のTmax、約80%のTmax、約90%のTmax、または約95%のTmaxで達成される。
【0107】
いくつかの実施形態では、AFは急性AFである。
【0108】
いくつかの実施形態では、AFは発作性AFである。
【0109】
いくつかの実施形態では、AFは再発性AFである。
【0110】
いくつかの実施形態では、処置は心房粗動のためである。
【実施例】
【0111】
本開示の態様は、以下の実施例に照らしてさらに理解され得るが、これらの実施例は、本開示の範囲をいかなる方法でも限定するものと解釈されるべきではない。
略語
AE 有害事象
AF 心房細動
最近の発症のAF 患者によって報告されるか、または心電図(ECG)によって臨床的に分析される、2~72時間の投薬期間中に進行する心房細動のエピソード。エピソードは、初発のAFを患う患者においては最初の既知のイベントになり得、または発作性AFを患う患者においては再発性のイベントになり得る。
APA 活動電位の振幅
APD 活動電位持続時間
AUC 血漿中濃度-時間曲線下面積
AUC(0-24) 投薬後0~24時間の血漿中濃度-時間曲線下面積
AUC(0-inf) 0時間~無限時間まで外挿した血漿中濃度-時間曲線下面積
AUC(0-last) 0時間~最終定量可能時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積
BP 血圧
BPM 拍/分
CE 濃度効果
CI 信頼区間
CL 全身クリアランス
CLr 腎クリアランス
Cmax 最高血漿濃度
CV% パーセント変動係数
CYP2D6 シトクロムP450 2D6
ECG 心電図
EF 駆出率
HF 心不全
IV 静脈内
LVEF 左心室駆出率
MI 心筋梗塞
MRT 平均滞留時間
msec ミリ(秒)
PCI 経皮的冠動脈インターベンション
PK 薬物動態
PVC 心室性期外収縮
QRS PR間隔の末端からS波の末端への間隔
QTc 補正QT間隔
QTcF Fridericia法を使用して、心拍数で補正されたQT間隔
SD 標準偏差
SR 洞調律
t1/2 明瞭な排出半減期
TdP トルサード・ド・ポワント
Tmax 最高血漿濃度に達するまでの時間
Vmax 最高脱分極速度
【0112】
実施例1-サルカルディンの投与
【0113】
ClinicalTrials.gov Identifier:NCT03397641で提供されるプロトコルに従って、HBI-3000(サルカルディン硫酸塩)を、ヒト対象に投与した。プロトコルはその全体を引用することによって本明細書に組み込まれる。
【0114】
背景:HBI-3000は、INa-Peak、INa-Late、ICa,L、およびIKrに対して比較的バランスのとれたインビトロの阻害効果を有する、最近発症した心房細動(AF)の転換のために開発された多重イオンチャネル遮断薬である。
【0115】
目的:健康な対象における静脈内(IV)のHBI-3000の第1相単回投与漸増試験の安全性、忍容性、薬物動態および心電図(ECG)の結果が本明細書に提供される。選択されたECGパラメータおよび略語が、表1に示される。
【0116】
【0117】
方法:47名の対象を、8名の対象のコホート6つに無作為化し、HBI-3000の5つの内の1つの単回漸増静脈内用量(表2)またはプラセボを(6:2で)受けさせ、2つのコホートは600mgの用量を受けた。HBI-3000の用量は、20mg(コホートA)、60mg(コホートB)、180mg(コホートC)、360mg(コホートD)から600mg(コホートEおよびF)までの範囲であった。薬物は凍結乾燥粉末であり、50ml/mlに再構成後、生理食塩水で希釈し、50mLの溶液として30分かけて静脈内注入にて送達した。
【0118】
ベースライン、およびその後の11の時点で、継続的な12誘導ホルターECGデータを記録した。各用量のCmaxにおいて、平均ベースライン、およびプラセボを差し引いた(ΔΔ)ECG時間間隔(QTcF、HR、PR、QRS、およびP波周期[PDur])、およびT波セグメント(JからTピーク[JTp]、TピークからTエンド[TpTe])を算出した。
【0119】
結果:HBI-3000は忍容性が良好であり、用量を制限する有害事象または不整脈は観察されなかった。
【0120】
表2は、混合効果モデル化で予測された各用量のCmaxのECGデータをまとめている。HBI-3000は、すべてのECGパラメータに用量比例の変化を誘発した。QRSとPDurの増加はINa-Peak封鎖と一致している。PR間隔の増加は、PDurの増加、およびINa-PeakとICa,Lの両方の阻害と一致している。TpTeの延長は、IKr封鎖と一致しており、それとは別にJTpも延長させることが予想される。観察されたJTpの用量に関連する減少は、HBI-3000がINa-LateとICa,Lを両方阻害することで、IKrに対する効果を相殺することによると考えられる。
【0121】
【0122】
表3は、各用量における選択された薬物動態データを示す。
【0123】
【0124】
いくつかの例では、患者に350mgのHBI-3000を投与する。表4は、350mgの用量における選択された薬物動態データを示す。
【0125】
【0126】
その他の発見:サルカルディン硫酸塩を特定の投与量で投与すると、化合物は、ヒト対象で薬力学的に活性化するだけではなく、すぐに無効になる。言い換えると、化合物を特定の投与量で投与することで、対象に迅速な効果をもたらし、その後、化合物は対象の心血管系でもはや有効ではない。この化合物がどのような経路で心血管系から取り除かれたり、単離されたりして、効果が発揮されなくなるのかは、不明である。しかし、上記のプロトコルに従ってサルカルディン硫酸塩を約400mg~約800mgの量で投与すると、この化合物はすぐに効果を発揮し、その後すぐに効果を失うことを発見した。当業者であれば、これらの効果によって、化合物の安全性のプロファイルがさらに向上し、それによって望ましくない副作用を回避する特定の投与量、および/または剤形が調製、および投与されてもよいことを認識するだろう。
【0127】
結論:これらのデータは、HBI-3000がAFの発症、および維持に関与する複数の心筋イオンチャネルの有力な阻害剤であることを示している。そのJTpの強力な減少は、IKr封鎖に関連する不整脈からの解放を予測できる。これらの結果および前臨床データは、低崔不整脈リスクを示す。
【0128】
また、当業者であれば、ELISAなどの酵素結合法を用いて、患者の血漿中のサルカルディンの濃度をあらゆる時点で測定する様々な方法を認識するだろう。そのような方法は、対象においてCmaxが達成されているかどうか、および、サルカルディンの投与をいつ終了させるかを決定するのに有用である。
【0129】
サルカルディンの経口投与で予想される半減期が約16時間であることを考慮すると(Chen et al., Fundamental & Clinical Pharmacology. 31 (2017) 120-125を参照)、本製剤を本明細書に提供されるように投与することで、迅速な「オン/オフ」プロファイルが得られることは驚くべきことであった。このような予想外の結果は、米国特許第8,541,464号および8,637,566号に提供されるように、サルカルディンの投与による意図した効果をより安全に提供する機会をもたらす。さらに、Chen et al., Fundamental & Clinical Pharmacology. 31 (2017) 120-125のようにサルカルディンが対象にゆっくりと再配分されるのではなく、本発明で製剤化され投与されたサルカルディンが対象中で迅速に再配分されることは驚くべきことである。またこのことは、サルカルディンをより安全に投与し、催不整脈リスクを低減する手段も提供する。
【0130】
上述の詳細な説明は、当業者が本発明を実行することを支援するために提供される。しかし、本明細書に記載され、請求された発明は、これらの実施形態が発明のいくつかの態様の説明を意図したものであるため、本明細書に開示された特定の実施形態によって、範囲が限定されるものではない。あらゆる同等の実施形態が、本発明の範囲内にあることが意図される。実際、本明細書に示され、説明された変更に加えて、前述の説明から当業者なら、本発明的な発見の真の趣旨、および範囲から逸脱することなく、様々な変更が明らかになる。このような変更も、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図する。
【0131】
本出願で引用されたすべての刊行物、特許、特許出願、およびその他の参考文献は、それぞれの刊行物、特許、特許出願、またはその他の参考文献がすべての目的のために全体として参照により組み込まれることが、具体的、および個々に指し示された場合と同じ程度に、すべての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で参考文献を引用することは、その文献が本発明の先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】