(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(54)【発明の名称】具体的には燃料電池システムのための弁ユニット、タンク搭載弁、およびガス圧力タンクシステム、ならびに漏れを検出するための方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/04 20060101AFI20230630BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20230630BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20230630BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20230630BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20230630BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20230630BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F17C13/04 301D
H01M8/04 H
H01M8/04 J
H01M8/0432
H01M8/0438
H01M8/04746
H01M8/04701
F02C6/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576831
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2021065626
(87)【国際公開番号】W WO2021250171
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】102020207253.1
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522482784
【氏名又は名称】アルゴ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3E172
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB03
3E172BB12
3E172BB14
3E172BD01
3E172BD03
3E172JA05
3E172KA03
3E172KA22
3E172KA23
5H127AA01
5H127AB04
5H127AB25
5H127AB28
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA60
5H127DB03
5H127DB06
5H127DC04
5H127DC06
5H127DC18
5H127EE13
5H127EE19
(57)【要約】
本発明は、燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される燃料供給システムのための弁ユニット100であって、少なくとも1つの温度検出装置101と、少なくとも1つの圧力検出装置102と、配管区域103に組み込まれる安全弁104と、を有し、安全弁104は、ガスが配管区域103を通じて流れることができる開位置と、ガスが配管区域103を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整させることができ、温度検出装置101および圧力検出装置102は、ガスが圧力を発揮するような手法で閉じた安全弁104に存在する状態において、配管区域103を通じて流れるガスの温度および圧力を検出することができるように配置される、弁ユニット100に関する。本発明は、弁ユニット100に関連して記載されているすべての特徴を有することができ、ガス圧力タンク300に直接的に搭載させることができる点においてのみ弁ユニット100とは異なるタンク搭載弁200にさらに関する。本発明は、少なくとも1つのガス圧力タンク300と、弁ユニット100と、を備える、燃料を貯蔵するためのガス圧力タンクシステムにさらに関する。最後に、本発明は、燃料供給システムにおける可能性のある漏れを検出するための方法と、弁組立体500と、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは燃料供給システムまたは消火システムのために使用可能である、具体的にはガス取り扱いユニットである弁ユニット(100)であって、
少なくとも1つの温度検出装置(101)と、
少なくとも1つの圧力検出装置(102)と、
配管区域(103)に組み込まれる安全弁(104)であって、ガスが前記配管区域(103)を通じて流れることができる開位置と、ガスが前記配管区域(103)を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整させることができる安全弁(104)と、
を備え、
前記温度検出装置(101)および前記圧力検出装置(102)は、前記ガスが圧力を発揮するような手法で閉じた前記安全弁(104)に存在する状態において、前記配管区域(103)を通じて流れる前記ガスの温度および圧力を検出することができるように配置されることと、
弁ユニット(100)は、具体的には前記安全弁(104)の閉状態において、前記検出された温度値および圧力値に基づいて、前記配管区域(103)の気密試験、具体的には、前記配管区域(103)に接続されるガス圧力タンクシステム(400)の気密試験を実施するようにさらに適合されることと、
を特徴とする弁ユニット(100)。
【請求項2】
具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される、具体的には水素タンクであるガス圧力タンク(300)への取り付けのために、タンク搭載弁(200)の形態で構成される、請求項1に記載の弁ユニット(100)。
【請求項3】
ガス圧力タンク(300)へと捩じ込まれ、具体的には、前記ガス圧力タンク(300)の接続部品(301)へと捩じ込ませることができるように適合される接続部品(111、211)をさらに有する、請求項2に記載の弁ユニット(100)。
【請求項4】
過剰流れ弁(105)および/または絞り弁が、消費機器に向かう方向において、流れの方向(S1)で、具体的には前記ガス圧力タンク(300)からの前記ガスまたは前記燃料の流出方向において、前記安全弁(104)の前に設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項5】
流れの方向(S1)において前記安全弁(104)の後に好ましくは配置され、ガス圧力タンクの圧力(P
1)を、前記燃料が供給される消費機器の動作圧力(P
2)へと低減および/または調節するように適合される圧力調節弁(107)をさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項6】
前記圧力調節弁(107)によって調節された前記動作圧力(P
2)を所定限度値に制限するように適合される、具体的には過剰圧力弁である第1の過剰圧力デバイス(110)をさらに有する、請求項5に記載の弁ユニット(100)。
【請求項7】
前記弁ユニット(100)に接続されるガス圧力タンク(300)を過剰な圧力から保護するように適合される、具体的には破裂板である第2の過剰圧力デバイス(108)をさらに有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項8】
所定の温度限度値において、前記弁ユニット(100)に接続されるガス圧力タンク(300)における圧力未満で貯蔵される前記燃料を、排出ポート(A3)を介して周囲空気に放出するように適合される熱圧力逃がしデバイス(109)をさらに有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項9】
前記熱圧力逃がしデバイス(109)は、前記所定の温度限度値に達せられるとき、前記熱圧力逃がしデバイスの弁を開け、具体的には不可逆的に開ける作動部材を有し、前記作動部材は、前記所定の温度限度値に達せられるときに破裂し、それによって前記弁の作動を可能にするガラス体によって、または、前記ガス圧力タンクに好ましくは組み込まれ、それ自体の体積の膨張を通じて、前記所定の温度限度値に達せられるとき、前記熱圧力逃がしデバイスの前記弁を開ける機構を起動し、具体的にはピストンシステムを起動する液体によって、好ましくは形成される、請求項8に記載の弁ユニット(100)。
【請求項10】
具体的には前記温度検出装置(101)、前記圧力検出装置(102)、外部センサ、および/または、ガス圧力タンクに設けられる温度センサ(302)の測定信号である信号を受信し、前記信号を処理し、対応する制御信号を、具体的には前記安全弁(104)、前記圧力調節弁(107)、および/または前記熱圧力逃がしデバイス(109)に出力するように適合される制御デバイス(120)をさらに有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項11】
前記制御デバイス(120)は、前記配管区域(103)の気密試験であって、具体的には前記配管区域(103)に接続されるガス圧力タンクシステム(400)の気密試験を実施するために、前記安全弁(104)を閉位置にさせてから、所定の時間期間にわたって、前記安全弁(104)に存在する前記ガスまたは前記燃料の複数の温度値および圧力値を、前記温度検出装置(101)および前記圧力検出装置(102)を用いて決定し、決定された前記温度値および前記圧力値に基づいて前記気密試験を実施するように適合される、請求項10に記載の弁ユニット(100)。
【請求項12】
前記気密試験について、複数の検出された前記温度値および前記圧力値は、安定性および/または傾向の特性値を決定するために互いと比較され、前記安定性および/または前記傾向の前記特性値が所定の範囲内にある場合、前記配管区域(103)、具体的には前記配管区域(103)に接続される前記ガス圧力タンクシステム(400)は、気密である、請求項11に記載の弁ユニット(100)。
【請求項13】
前記安定性および/または前記傾向の前記特性値についての前記所定の範囲は、外部温度、開始温度、開始圧力、燃料補給する動作が行われるのか空にする動作が行われるのか、日光への露出、ガス圧力タンクの大きさ、燃料補給または空にする速さなどの群からの影響パラメータに基づいて決定される、請求項12に記載の弁ユニット(100)。
【請求項14】
具体的には前記安全弁(104)および/もしくは前記圧力調節弁(107)である個々の前記弁の圧力、温度、開閉サイクル、ならびに/または開閉位置など、前記弁ユニット(100)によって検出されたデータを、外部クライアントに送る/送信するように適合される、具体的には赤外線、無線通信、ブルートゥース(登録商標)、またはWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)を使用する無線通信デバイスである通信デバイス(130)をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項15】
前記通信デバイス(130)は、例えば、車両の外部制御装置/主制御装置や、消防隊、警察、または他の補助部隊によって動作させられ得る緊急制御システム(350)などの外部クライアントから、好ましくは前記制御デバイス(120)のために、制御命令を受信することができるようにさらに適合される、請求項14に記載の弁ユニット(100)。
【請求項16】
前記制御デバイス(120)は、燃料補給システムと情報を交換するために、前記通信デバイス(130)を用いて前記燃料補給システムと通信するように適合され、前記情報は、ガス圧力タンクの圧力(P
1)、ガス圧力タンク温度(T
1)、充填速さ(l/min)、ならびに前記ガス圧力タンク(300)の気密性、前記弁ユニット(100)の気密性、および/または前記燃料供給システムの気密性の群から選択される、請求項10を引用する請求項14または15に記載の弁ユニット(100)。
【請求項17】
前記弁ユニット(100)を通じて流れる前記燃料を、具体的には前記燃料が前記圧力調節弁(107)によって前記動作圧力(P
2)へと低減された後に、所定の動作温度(T
A)へと条件付けるように適合され、具体的には冷却および/または加熱するように適合される温度制御デバイス(170)をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項18】
前記制御ユニット(120)は、好ましくは下流の燃料電池である下流の消費機器の負荷に応じて前記温度制御デバイス(170)を制御および/または調節するために、外部制御装置から、具体的には、車両の制御装置/主制御装置または燃料電池システムの制御装置から、具体的には前記通信デバイス(130)を用いて、制御命令を受信するようにさらに適合される、請求項10を引用する請求項17に記載の弁ユニット(100)。
【請求項19】
前記弁ユニット(100)の少なくとも1つの構成要素の気密性を試験するように適合される漏れ検出ユニット(160)をさらに備え、前記構成要素は、安全弁(104)、過剰流れ弁(105)、フィルタ(106)、圧力調節弁(107)、第1の過剰圧力デバイス(110)、第2の過剰圧力デバイス(108)、熱圧力逃がしデバイス(109)、温度制御デバイス(170)、温度検出装置(101)、および/または圧力検出装置(102)の群から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項20】
前記弁ユニット(100)の空間において、具体的には、前記弁ユニット(100)に接続される少なくとも1つのガス圧力タンク(300)の空間において、絶対的幾何学的配向を検出するように適合され、加速度計、ジャイロスコープ、および地磁気センサの群から選択される少なくとも1つのセンサを有する配向検出ユニット(180)をさらに備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項21】
前記制御デバイス(120)は、前記配向検出ユニット(180)によって決定される前記弁ユニット(100)の配向に基づいて、具体的には安全な空間方向である所定の空間方向においてガス圧力タンク(300)を空にすることが可能とされる排出ポート(A3)を選択するようにさらに適合される、請求項10を引用する請求項20に記載の弁ユニット(100)。
【請求項22】
前記制御ユニット(120)は、前記弁ユニット(100)に接続される少なくとも1つのガス圧力タンク(300)の燃料補給サイクルを検出および/もしくは記録するようにさらに適合される、ならびに/または、前記制御ユニット(120)は、具体的には前記漏れ検出ユニット(160)を用いて、漏れが検出される場合、前記弁ユニット(100)に接続される少なくとも1つの圧力タンク(300)の燃料補給を防止する、もしくは終結させるようにさらに適合される、請求項1から21のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項23】
具体的には前記弁ユニット(100)へと流れる前記燃料の流れエネルギーである流れエネルギーを、機械エネルギーへと変換し、具体的には回転のエネルギーへと変換するように適合される変換装置と、
前記機械エネルギーを、具体的には電力である電気エネルギーへと変換するように適合される発電機と、
を備える電力発生デバイスをさらに備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)。
【請求項24】
前記変換装置は、タービン、または1つ以上の風車などの形態で構成され、前記流れエネルギーを機械エネルギーへと変換することで、駆動シャフトを回転において設定し、前記発電機は、前記変換装置の前記駆動シャフトによって好ましくは駆動され、それによって電力を発生させる、請求項23に記載の弁ユニット(100)。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の弁ユニット(100)、または、請求項2から24のいずれか一項に記載のタンク搭載弁(200)が導入される接続部品(301)を有するガス圧力タンク(300)。
【請求項26】
前記接続部品(301)が導入される多層積層体から形成される中空体であることを特徴とする、請求項25に記載のガス圧力タンク(300)。
【請求項27】
具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される、具体的には水素である燃料を貯蔵するためのガス圧力タンクシステム(400)であって、
好ましくは請求項25および26のいずれか一項による前記ガス圧力タンクである少なくとも1つのガス圧力タンク(300)、および
好ましくは請求項1から24のいずれか一項による前記弁ユニット(100)である弁ユニット(100)、および/または、
好ましくは請求項1から24のいずれか一項および請求項2による前記タンク搭載弁(200)であるタンク搭載弁(200)、
を備えるガス圧力タンクシステム(400)。
【請求項28】
タンク搭載弁(200)がそれぞれに設けられ、ガスを搬送するように弁ユニット(100)を用いて一体に接続される少なくとも2つのガス圧力タンク(300)を、前記2つのガス圧力タンク(300)における高い圧力の下で貯蔵される燃料が燃料供給システムに供給できるように有する、請求項25に記載のガス圧力タンクシステム。
【請求項29】
請求項1から24のいずれか一項に記載の少なくとも1つの弁ユニット(100)を備える、具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される燃料供給システム。
【請求項30】
具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される、具体的には水素である燃料を貯蔵するための、具体的にはガス圧力タンクシステムである燃料供給システムにおいて、具体的にはガス漏れである可能性のある漏れを検出するための方法であって、
配管区域(103)に組み込まれる安全弁(104)を閉じるステップであって、前記安全弁(104)は、ガスが前記配管区域(103)を通じて流れることができる開位置と、ガスが前記配管区域(103)を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整させることができる、ステップと、
前記ガスが圧力を発揮するような手法で閉じた前記安全弁(104)に存在する状態において、前記配管区域(103)を通じて流れる前記ガスの温度(T
1)および圧力(P
1)を検出するステップと、
検出された前記温度値および前記圧力値に基づいて、前記配管区域(103)の気密試験、具体的には、前記配管区域(103)に接続されるガス圧力タンクシステム(400)の気密試験を実施するステップと、
を含む方法。
【請求項31】
複数の温度値および圧力値が所定の時間期間内に決定され、前記温度値および前記圧力値は、接続される圧力タンク(300)の内部で、および/または、接続されるガス圧力タンクシステム(400)の内部の複数の測定位置において、好ましくは決定される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
複数の決定された前記温度値および前記圧力値は、安定性および/または傾向の特性値を決定するために互いと比較され、前記安定性および/または前記傾向の前記特性値が所定の範囲内にある場合、前記配管区域(103)、具体的には前記配管区域(103)に接続される前記ガス圧力タンクシステム(400)は、気密である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記安定性および/または前記傾向の前記特性値についての前記所定の範囲は、外部温度、開始温度、開始圧力、燃料補給する動作が行われるのか空にする動作が行われるのか、日光への露出、ガス圧力タンクの大きさ、燃料補給または空にする速さなどの群からの影響パラメータに基づいて決定される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
好ましくは窒素(N
2)を消火剤として使用する消火システムのために好ましくは使用される、具体的には請求項1から24のいずれか一項による前記弁ユニット(100)である弁ユニットの弁組立体(500)であって、
主供給配管(501)と、
前記主供給配管(501)に組み込まれる主弁(502)であって、ガスが前記主供給配管(501)を通じて流れることができる開位置と、ガスが前記主供給配管(501)を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整可能である主弁(502)と、
前記主供給配管(501)を通じて流れる前記ガスの圧力を低減および/または調節するように適合される圧力調節弁(503)と、
を備え、
前記主弁(502)は、パルス制御される作動弁(504)を用いて、具体的には間接的に、前記開位置にさせることができる、または前記開位置へと切り替えることができ、前記弁組立体(500)は、前記パルス制御される作動弁(504)による作動が解放および/または遮断される場合であっても、前記主弁(502)が前記開位置に留まるように構成される、弁組立体(500)。
【請求項35】
前記主弁(502)は、前記パルス制御される作動弁(503)の作動によって、具体的には、前記作動弁(503)の手動の作動によって、前記開位置へとさせることができ、前記作動弁(503)は、好ましくは、パルス制御されるソレノイド弁である、請求項34に記載の弁組立体(500)。
【請求項36】
前記主弁(502)は、ピストンシステム(505)を介して間接的に前記作動弁(503)によって作動させることができ、前記ピストンシステム(505)は、プランジャを伴う制御ピストン(506)と、圧力部材(507)と、を有する、請求項34または35に記載の弁組立体(500)。
【請求項37】
前記制御ピストン(506)は、前記作動弁(503)の作動において、具体的には前記作動弁(503)による送り込み配管(508)の開放によって、圧力側において圧力に曝される、請求項36に記載の弁組立体(500)。
【請求項38】
前記主弁(502)は、好ましくは円錐状の弁座に、前記ピストンシステム(505)の前記圧力部材(507)により押し付けるようにさせられる閉鎖部材(509)を有し、それによって、前記主弁(502)は非作動状態において閉じられ、前記圧力部材(507)は、前記弁座に向かう方向においてバネによって好ましくは押される、請求項34から37のいずれか一項に記載の弁組立体(500)。
【請求項39】
前記作動弁(504)は、空気圧、電気(約24Vのスイッチングパルス)、または外部制御によって作動させることができる、請求項34から38のいずれか一項に記載の弁組立体(500)。
【請求項40】
流れの方向において前記作動弁(504)の前で前記ピストンシステム(505)に供給するために前記送り込み配管(508)に配置され、前記制御ピストン(506)に存在する圧縮空気/制御空気が漏れるのを防止する逆止弁(510)をさらに有する、請求項34から39のいずれか一項および請求項36に記載の弁組立体(500)。
【請求項41】
前記制御ピストン(506)の前記圧力側における前記圧力が、前記作動弁(504)の漏れまたは失陥の結果として、所定の最小圧力へと低下する場合であっても、前記主弁(502)が前記開位置に留まるように、前記制御ピストン(506)のピストン面積の大きさが選択される、請求項34から40のいずれか一項および38に記載の弁組立体(500)。
【請求項42】
好ましくはニードル弁、ボール弁、またはゆっくりと開く弁である放出弁(511)であって、具体的には手動での作動である作動において、前記制御ピストンの前記圧力側に存在する前記圧力を低減し、それによって前記主弁(502)が閉状態に戻るように適合される放出弁(511)をさらに有する、請求項34から41のいずれか一項に記載の弁組立体(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁ユニットと、タンク搭載弁と、同じ種類の弁ユニットおよび/または同じ種類のタンク搭載弁を有するガス圧力タンクシステムと、に関し、前記弁ユニット、前記タンク搭載弁、および前記ガス圧力タンクシステムは、例えば、燃料電池システムまたは燃料電池の用途に燃料を供給し、具体的には水素を供給する燃料供給システムにおいて、好ましくは使用され得る。本発明は、具体的にはガス圧力タンクシステムにおいて漏れを検出するための方法と、弁組立体と、にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
環境にやさしい駆動技術を開発および提供するようにという自動車業界および政界への公衆からの増加する圧力、盛んに論じられている化石燃料の段階的廃止、気候変動、ならびに、よりクリーンな技術を支持する関連する産業のより強い要望に伴って、近年、代替の駆動の概念の分野において研究が益々実施されている。これらには、一方では、水素、エタノール、または天然ガスなどの代替燃料があり、他方では、ハイブリッドエンジンおよび電気エンジンなどの代替の駆動がある。
【0003】
大きな進歩が、とりわけ、燃料電池技術または水素駆動技術の分野において行われてきた。したがって、最初に存在した多くの初期段階の問題は排除することができており、コストをもたらす要因は排除または少なくとも低減させることができている。高コストをもたらし続ける構成要素は、これまで触媒として使用されてきた白金である。しかしながら、ここでもまた、研究者および技術者は、非常に薄い白金層によって成功を収めており、同時に、コバルトがすでに白金の代用品として成功裏に実験されている。さらに、燃料電池システムの大きさを実質的に低減することが可能となった。例えば、NECAR5燃料電池システムはまだ床下全体を埋め尽くしていたが、必要な技術は、今日ではボンネットの下の空間のみに集められている。
【0004】
言及された例は、代替の駆動技術としての燃料電池システムが近年において連続生産段階に達したことを示している。したがって、必要な燃料または燃料ガスのための安全なタンクシステムに対する要求が増している。一方で、ここでは、燃料電池に水素を直接的に供給することができるが、代替で、改質装置を介して間接的に燃料電池に水素を供給することも可能である。この目的のために、改質装置は、水素の濃い化合物である貯蔵された天然ガスから水素を得て、その水素を燃料電池へと送り込み、燃料電池は、電気化学的反応によって熱および電力を発生させる。
【0005】
車両の満足できる走行可能距離を確保するために必要である、十分な燃料または燃料ガスを、車両または輸送手段において、具体的には乗用車において、貯蔵することができるようにするために、最近における傾向は、これまで確立されてきた圧力容器を伴う設計から離れ、複数の個別の容器を備える高圧容器ユニットに向かっている。
【0006】
そのため、特許文献1は、箱状のケース22と、ケース22の内部で列になって配置される複数の円筒形の容器18であって、各々の容器は、軸方向における容器18の一方の側において、端部分に開口部30Bを備える、複数の円筒形の容器18と、複数の容器18を互いと連結するために開口部30Bを接続し、複数の容器18が連通するように複数の容器18の内部を互いと接続する流路を含む連結部材20と、を備える高圧容器ユニット10を記載している。記載されている高圧容器ユニット10は、連結部材20から、ケース22に形成された貫通孔46Aを通じて、ケース22の外部へと通じる導出管32をさらに有し、流路を開けたり閉じたりすることができる弁34が導出配管32に接続される。
【0007】
このような高圧の容器ユニットは、そのコンパクト性のため、具体的にはその小さい全体の高さのため、乗客室の床を形成する床パネル16(
図1参照)の車両下側に容易に配置させることができるという利点を有する。したがって、一方では、電池によってエネルギー(電力)が供給される、または代替で、同じ車両の概念に基づいて、燃料電池システムによってエネルギー(電力)が提供される電気車両を構築することが可能である。
【0008】
したがって、電池駆動される電気車両の場合、電池は、水素駆動される電気車両の場合に高圧容器ユニット10が収容される乗客室の下の領域に設置できる。
【0009】
燃料電池システムの上記の利点および継続的なさらなる開発のおかげで、このようなシステムは、他の分野への進路も見出している、または見出そうとしている。したがって、例えば、特許文献2は、航空機における使用のための燃料電池システムのための燃料供給システムを記載している。記載されている燃料供給システム110は、燃料タンク112と、燃料タンク112を燃料電池118の入口116に接続する送り込み配管114と、送り込み配管114に配置されるタンク隔離弁128と、燃料電池118の出口120を航空機の非加圧領域および/または外気に接続する除去配管146と、燃料電池118における電気の電圧を検出するためのセンサ144と、を有する。
【0010】
このような燃料供給システムは、航空機に搭載される必要がある電気エネルギーを発生させるために、航空機において使用され得る。例えば、搭載されている電力供給のために現在使用されており、主エンジンまたは補助タービンによって駆動されている発電機を、燃料電池システムで置き換えることが考えられる。それによって、エンジンの全体の効率をさらに増加させることができる。さらに、このような燃料電池システムは、航空機の緊急電力供給のために使用されてもよく、これまで緊急電力ユニットとして使用されてきたラムエアタービン(RAT)を置き換えることもできる。
【0011】
燃料供給システムは、例えば、ロータの電気駆動を供給するための輸送用ドローンまたは乗客用ドローンなど、航空ドローンを供給するために使用されてもよい。この手法では、現在では航続距離および飛行時間を制限し、このようなドローンの輸送可能な積み荷の制限もしてしまう重い電池を省くことが可能である。
【0012】
しかしながら、燃料供給システムのための上記の適用の分野はすべて共通の1つの問題を有しており、燃料供給システムは、具体的には航空機、航空ドローン、または動力車両などの乗客輸送の分野において、利用可能性の観点における高い安全基準と高い要求とを満たさなければならない。ガス圧力タンクの完全性は、具体的には、例えば航空機における火災などの緊急の事象、車両の事故または火災の事象において、常に確保されなければならず、燃料または燃料ガスの制御不能な漏れが防止されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018116090号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102007001912号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の根底にある目的は、原則として、一方で、利用可能性の観点における上記の高い安全基準と高い要求とを満たすことができ、同時に、それぞれの構成要素の単純化、具体的には搭載される燃料供給システムのそれぞれの構成要素の単純化が達成され、そのため製作コストが低減され、保守コスト(保守の観点における出費)も低減させることができる弁ユニット、タンク搭載弁、およびガス圧力タンクシステムを提供することである。本発明の根底にあるさらなる目的は、具体的には、システム(接続されたまたは備えられた構成要素)における漏れまたはガス漏れを検出することが、単純で信頼できる手法で可能である弁ユニット、タンク搭載弁、およびガス圧力タンクシステムを提供することである。したがって、可能性のある漏れを検出するための方法を提供することも本発明の目的である。本発明は、コンパクトな設計で、安全弁を提供させることができる弁組立体をさらに提供し、安全弁または主弁は、作動パルスが遮断された場合、または漏れがある場合であっても、ひとたび作動させられた後、具体的には手動で作動させられた後は、開位置に留まる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の目的は、請求項1による弁ユニットと、請求項2によるタンク搭載弁と、請求項25によるガス圧力タンクと、請求項27によるガス圧力タンクシステムと、請求項29による燃料供給システムと、によって達成される。目的はさらに、請求項30による可能性のある漏れを検出するための方法と、請求項34による弁組立体と、によって達成される。
【0016】
本発明の好ましいさらなる発展は従属請求項において述べられており、弁ユニットまたはタンク搭載弁に関連する請求項の主題は、ガス圧力タンク、ガス圧力タンクシステム、燃料供給システムの範囲内において、可能性のある漏れを検出するための方法において、および、弁組立体においても使用でき、それらの逆もまた同様である。
【0017】
本発明の基本的な考えのうちの1つは、少なくとも1つの温度検出装置と、少なくとも1つの圧力検出装置と、配管区域に組み込まれる安全弁と、を提供することであり、安全弁は、ガスが配管区域を通じて流れることができる開位置と、ガスが配管区域を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整させることができ、温度検出装置および圧力検出装置は、ガスが圧力を発揮するような手法で閉じた安全弁に存在する状態において、別の言い方をすれば、安全弁が閉じられている状態において、配管区域を通じて流れるガスの温度および圧力を検出することができるように配置され、弁ユニットは、検出された温度値および圧力値に基づいて配管区域の気密試験を実施するようにさらに適合される。
【0018】
本発明の一態様によれば、具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される燃料供給システム、または消火システムのために好ましくは使用可能である、具体的にはガス取り扱いユニットである弁ユニットが、少なくとも1つの温度検出装置と、少なくとも1つの圧力検出装置と、配管区域に組み込まれる安全弁と、を有し、安全弁は、ガスが配管区域を通じて流れることができる開位置と、ガスが配管区域を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整させることができ、温度検出装置および圧力検出装置は、ガスが圧力を発揮するような手法で閉じた安全弁に存在する状態において、配管区域を通じて流れるガスの温度および圧力を検出することができるように配置される。
【0019】
別の言い方をすれば、温度検出装置および圧力検出装置は、流れの方向において、具体的には、ガス圧力タンクまたはガス圧力タンクシステムからのガスの流出方向において、安全弁の前で、つまり上流で、ガスの温度および圧力を検出することができるように配置または位置決めされる。
【0020】
本発明の弁ユニットは、例えば、ダイビングにおける呼吸装置、航空用途、ドローン、一般的なエネルギー供給など、高い圧力の用途のためにさらに使用できる。
【0021】
弁ユニットは、具体的には安全弁の閉状態において、検出された温度値および圧力値に基づいて、配管区域の気密試験、具体的には、配管区域に接続されるガス圧力タンクシステムの気密試験を実施するようにさらに適合される。
【0022】
弁ユニットが、窒素(N2)を消火剤として使用する消火システムの主供給配管を開ける、または閉じることができる場合、さらに好ましい。
【0023】
具体的にはガス取り扱いユニットであるこのような弁ユニットは、車両の電気モータのための発電機として供する燃料電池システムに、具体的には水素である燃料を供給するために、具体的には電気車両である車両の燃料供給システムにおいて使用できる。
【0024】
本発明の範囲内において、「車両」もしくは「輸送手段」という用語、または、以下において使用されるような他の同様の用語は、スポーツユーティリティービークル(SUV)を含む乗用車、バス、大型トラック、様々な商用車両、様々なボートおよび船を含む水上車両、航空機など、ハイブリッド車両、電気車両、プラグインハイブリッド電気車両、水素車両、および他の代替の車両(例えば、石油以外の資源から得られる燃料)など、概して動力車両を含む。本明細書で記載されているように、ハイブリッド車両は、例えばガソリンにより駆動され、同時に電気により駆動される車両といった、2つ以上のエネルギー源を伴う車両である。
【0025】
さらに、「燃料」という用語は、本発明の範囲内で、エネルギー貯蔵として供する媒体または流体を意味するとして理解されるべきである。一方では、燃料は、その化学エネルギーが、例えば燃焼エンジンまたはガスタービンなどの内燃エンジンにおける燃焼によって、機械エネルギーへと変換される燃料であり、他方では、燃料は、例えば、燃料電池(ガルバニ電池)において、化学反応を連続的に実行し、それによって電気エネルギーを発生させる、または、化学エネルギーを電気エネルギーへと変換する水素であり得る。しかしながら、特別な燃料エンジンにおいて水素を燃やすことも可能であり、それによっても水素は燃料として使用できる。燃料は気体または液体であり得る。その一方で、両方の形態で、つまり、気体および液体で水素が貯蔵される、いわゆる遷臨界貯蔵の圧力タンクが開発されてもいる。
【0026】
具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される、具体的には水素タンクであるガス圧力タンクへの取り付けのために、タンク搭載弁の形態で弁ユニットが構成される場合、さらに有利であり得る。
【0027】
タンク搭載弁は、弁ユニットに関連して記載されているすべての特徴を有することができ、ガス圧力タンクに直接的に搭載させることができる点においてのみ異なる。
【0028】
この手法では、一方では、不必要な配管を省くことが可能であり、他方では、それによって、保護弁などの弁ユニットに設けられる構成要素が、ガス圧力タンクのできるだけ近く、具体的には、ガス圧力タンクの出口開口のできるだけ近くに、据え付けることができる。結果として、燃料供給システムの漏れの事象において、例えば、燃料のさらなる漏れを保護弁によって回避させることができる。したがって、弁ユニットを「タンク搭載弁」(OTV: On-Tank Valve)の形態でガス圧力タンクに直接的に取り付けることで、失われる具体的には水素などの燃料の量を最小限に保つことができる。
【0029】
タンク搭載弁は、例えば、燃料供給システムの以下の配管が損傷させられる、具体的には、ガス圧力タンクから分離または離れるように破壊される事故の事象において、少なくともタンク搭載弁に設けられる構成要素がガス圧力タンクに存在し続け、それによって、少なくとも弁ユニットの所望の緊急機能が維持され得ることを確保することができるという利点をさらに有する。
【0030】
具体的にはタンク搭載弁である弁ユニットが、ガス圧力タンクへと捩じ込ませることができ、具体的には、ガス圧力タンクの接続部品/出口開口へと捩じ込ませることができるように適合される接続部品を有する場合、さらに有利である。
【0031】
それによって、弁ユニットは、標準化されたガス圧力タンクに簡単でしっかりとした手法で取り付けることができ、保守作業または試験のためにガス圧力タンクから素早く取り外すことができる。
【0032】
本発明の弁ユニットの一実施形態によれば、配管区域は、ガス圧力タンクに取り付けられる状態において、ガス圧力タンクへと突出し、ガス圧力タンクを向く側に開放端を有するように設けられる。
【0033】
少なくとも一部において配管区域から別に延び、ガス圧力タンクへと突出するように構成され、端において温度検出装置および/または圧力検出装置が好ましくは設けられるセンサ管が設けられることは、さらに好ましい。
【0034】
温度検出装置および圧力検出装置は、一方では、熱電対または歪みゲージ(DMS)としてそれぞれ構成でき、他方では、完全なセンサとして、具体的には、例えばすでに処理されたセンサ信号を出力するスマートセンサとして、構成できる。つまり、スマートセンサは、制御信号および/または調節信号を、制御装置なしで直接的に出力することができる。別の言い方をすると、分散した制御および/または調節を実行する。
【0035】
過剰流れ弁および/または絞り弁が、消費機器に向かう方向において、具体的には燃料電池に向かう方向において、流れの方向S1において、具体的にはガス圧力タンクからのガスまたは燃料の流出方向において、好ましくはパルス制御される弁であり、具体的にはソレノイド弁である安全弁の前に設けられる場合、さらに有利である。
【0036】
本発明の範囲内で、「パルス制御される弁」は、外部パルス、または力の外部からの適用によって弁が作動させられることを意味するとして理解されるべきである。パルスは、例えばソレノイド弁による磁力の形態で、弁に導入され得る。しかしながら、空気圧、液圧、または光学信号によって弁を作動させる、または制御することも可能である。フィルタが流れの方向S1において安全弁の前および/または後に配置される場合、さらに有利である。
【0037】
それによって、弁ユニットに設けられる構成要素、具体的には弁は、ガスまたは燃料に存在する汚染物質から保護でき、したがって、個々の構成要素の耐用期間を延ばすことができ、弁ユニットの保守の観点における出費を低減することができる。
【0038】
有利には、圧力調節弁を、流れの方向S1において安全弁の後に好ましくは配置させることができ、つまり、安全弁の下流に設けることができ、ガス圧力タンクの圧力P1を、ガスまたは燃料が供給される消費機器の動作圧力P2へと低減および/または調節するように適合させることができる。
【0039】
本発明の範囲内において、「ガス圧力タンクの圧力P1」は、例えば、燃料で少なくとも部分的に満たされている閉じたガス圧力タンクに存在する圧力であると理解されるべきである。しかしながら、ガス圧力タンクの圧力P1は、安全弁に存在し、ガス圧力タンクシステムを形成するために組み合わされる複数の圧力タンクによって送り込まれる圧力であってもよい。
【0040】
従来のガス圧力タンクでは、貯蔵された燃料の圧力、具体的には貯蔵された水素の圧力は、最大で900barであり得る。したがって、保護弁は、最大で900barの圧力に耐え、好ましくは最大で700barまたは875barの圧力に耐えなければならず、具体的には、最大で900barの圧力、好ましくは最大で700barまたは875barの圧力に抗して閉じたり開いたりすることができなければならない。
【0041】
さらに、本発明の範囲内において、「動作圧力P2」という用語は、弁ユニットの下流の消費機器以上の消費機器へと弁ユニットによって提供される圧力であるとして理解されるべきである。したがって、動作圧力P2は、弁ユニットまたは燃料供給システムによって燃料が供給される消費機器によって決定される。消費機器が燃料電池である場合、例えば、動作圧力P2は10barであり得る。
【0042】
弁ユニットが、圧力調節弁によって調節された動作圧力P2を所定限度値に制限するように適合される、具体的には過剰圧力弁である第1の過剰圧力デバイスを有する場合、さらに有利である。燃料電池システムの場合、例えば、動作圧力は20barに制限させることができ、それによって、弁ユニットの圧力調節弁の異常/障害の事象において、具体的には燃料電池である下流の消費機器は、高過ぎるガス圧力によって損傷させられることはない。
【0043】
弁ユニットに接続されるガス圧力タンクを過剰な圧力から保護するように適合される、具体的には破裂板である第2の過剰圧力デバイスが設けられる場合、さらに好ましい。
【0044】
第2の過剰圧力デバイスが、保護弁がガス圧力タンクまたはガス圧力タンクシステムに接続されるのに介される配管区域を介さず、別の配管を介して1つ以上のガス圧力タンクに接続される場合、有利である。
【0045】
別の配管がこの目的のために設けられる場合、前記配管は、ガス圧力タンクに存在するガス圧力タンクの圧力P1を圧力検出装置に適用するために使用されてもよい。
【0046】
この手法では、例えば、ガス圧力タンクまたはガス圧力タンクシステムに燃料補給または充填するときに許容不可能な高い圧力を導入する燃料補給システムの誤動作の事象において、個々のガス圧力タンクは、損傷させられず、つまり、許容可能な最大圧力を超えて充填されることはない。ガス圧力タンクにおける圧力が、障害のある燃料補給の間に所定の最大圧力に到達する場合、過剰圧力デバイスは、排出ポートへの流体接続を開放し、ガスまたは燃料を環境に放出する。これは、例えば、破裂板の破裂によって行うことができ、それによって、過剰圧力デバイスは開状態に留まることがさらに確保される。
【0047】
所定温度限度値において、弁ユニットに接続されるガス圧力タンクにおける圧力未満で貯蔵される燃料を、排出ポートを介して周囲空気に放出するように適合される熱圧力逃がしデバイスを弁ユニットが有することは、さらに好ましい。
【0048】
熱圧力逃がしデバイスは、所定温度限度値に達せられるとき、熱圧力逃がしデバイスの弁を開け、具体的に不可逆的に開ける作動部材を好ましくは有することができ、作動部材は、所定温度限度値に達せられるときに破裂し、それによって弁の作動を可能にするガラス体によって、または、ガス圧力タンクに好ましくは組み込まれ、それ自体の体積の膨張を通じて、所定温度限度値に達せられるとき、熱圧力逃がしデバイスの弁を作動させる、もしくは開ける機構を起動し、具体的にはピストンシステムを起動する液体によって、好ましくは形成される。
【0049】
代替または追加で、熱圧力逃がしデバイス(109)が、外部パルスによって、具体的には外部制御命令によって、開くように命令されおよび/または作動させられる可能性が提供されてもよく、外部パルスは外部制御装置によって送られ得る。
【0050】
本発明のさらなる実施形態によれば、温度検出装置および圧力検出装置、具体的には、温度検出装置および/または圧力検出装置の測定位置は、配管区域を通じて流れるガスの流れの方向S1において安全弁の上流に配置され、好ましくは、少なくとも測定位置はガス圧力タンクの内部に配置される。
【0051】
この手法では、安全弁を用いて、例えばガス圧力タンクにおいて貯蔵される燃料をガス圧力タンクに閉じ込めること、または、燃料がガス圧力タンクから流れ出るのを防止することで、ガス圧力タンクもしくはガス圧力タンクシステムに定常状態を作り出すことが可能である。
【0052】
これは、特定の時間期間にわたってガス圧力タンクまたはガス圧力タンクシステムに貯蔵される燃料の気体状態を監視し、それによって気体状態の安定性を決定することを可能にする。ガス圧力タンクまたはガス圧力タンクシステムにおける気体状態が、例えば、周囲温度、日光への露出などの外部の影響を考慮して、特定の時間期間にわたって一定である場合、システムは完全なままであること、つまり、漏れやガス漏れがないと、仮定することができる。
【0053】
具体的には温度検出装置、圧力検出装置、外部センサ、および/または、ガス圧力タンクに設けられる温度センサの測定信号である信号を受信し、それらの信号を処理し、対応する制御信号を、具体的には安全弁、圧力調節弁、および/または熱圧力逃がしデバイスに出力するように適合される制御デバイスを弁ユニットが有することは、さらに好ましい。
【0054】
制御デバイスを弁ユニットに直接的に組み込むことで、燃料電池システムまたは車両の制御装置などの外部制御装置の関与なしで、独立して自身を制御または調節する自律システムを作り出すことが、一方では可能である。これは、弁ユニットの個々の構成要素を外部制御装置と接続する高価なケーブルハーネスを省くことが可能であるという利点をさらに有する。対照的に、望まれる場合、信号を送るために制御デバイスを外部制御装置に接続することが必要である。
【0055】
この手法では、車両制御装置は、例えば、開始信号を制御デバイスに送ることができ、それによって制御デバイスは、下流の燃料電池システムの開始動作に必要なすべてのステップを開始および制御する。
【0056】
制御デバイスが、配管区域の気密試験であって、具体的には配管区域に接続されるガス圧力タンクシステムの気密試験を実施するために、安全弁を閉位置へと持って行ってから、所定の時間期間にわたって、安全弁に存在するガスまたは燃料の複数の温度値および圧力値を、温度検出装置および圧力検出装置を用いて決定し、決定された温度値および圧力値に基づいて気密試験を実施するように適合される場合、さらに有利である。
【0057】
温度値および圧力値が、接続されたガス圧力タンクの内部で決定される場合、および/または、好ましくは、接続されたガス圧力タンクシステムの内部の複数の測定位置で決定される場合、さらに有利である。
【0058】
気密試験について、複数の検出された温度値および圧力値は、安定性および/または傾向の特性値を決定するために好ましくは互いと比較される。安定性および/または傾向の特性値が所定の範囲内にある場合、配管区域、具体的には配管区域に接続されるガス圧力タンクシステムは、気密である。つまり、漏れがない。
【0059】
本発明の範囲内で、「傾向」という用語は、少なくとも特定の時間期間にわたって続く、検出された温度および/または検出された圧力における変化を定める。他方で、安定性の特性値は、所定の時間期間にわたる検出された温度および/または検出された圧力の安定性または一貫性についての情報を提供する。
【0060】
具体的には安全弁および/または圧力調節弁である個々の弁の圧力(P1、P2)、温度、開閉サイクル、および/または開閉位置など、弁ユニットによって検出されたデータまたは情報を、外部クライアントに送る/送信するように適合される、赤外線、無線通信、ブルートゥース(登録商標)、またはWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)を使用する無線通信デバイスで有利にはあり得る通信デバイスを弁ユニットが有することは、さらに好ましい。
【0061】
具体的には無線通信デバイスである通信デバイスの組み込みは、例えば燃料補給システムによるガス圧力タンクシステムの燃料補給動作の間、燃料補給システムが、ガス圧力タンクシステムまたは燃料供給システムの完全性を問い合わせるために、燃料補給動作の開始の前に弁ユニットと通信することを可能にする。燃料補給されるガス圧力タンクシステムが欠陥および/または漏れを有することを燃料補給システムが確証した場合、例えば、燃料補給システムは、燃料補給の開始を拒否することができる、または、燃料補給がすでに開始しているときは燃料補給動作を終結させることができる。
【0062】
通信デバイスが、例えば、車両の外部制御装置/主制御装置や、消防隊、警察、または他の補助部隊によって動作させられ得る緊急制御システムなどの外部クライアントから、好ましくは制御デバイスのために、制御命令を受信することができるように適合される場合、さらに有利である。
【0063】
それによって、例えば車両の事故または火災の事象において、運転者が、車両を離れる前に、具体的にはガス圧力タンクシステムである燃料供給システムを安全な状態とさせ、必要な場合、排出ポートA3を介して個々のガス圧力タンクを空にすることが可能となり、空にする動作は、熱圧力逃がしデバイスを用いて、制御された手法で行われる。この目的のために、熱圧力逃がしデバイスはパルス制御される弁を有することができ、それを用いることで、熱圧力逃がしデバイスは、例えば無線通信を介して、遠隔から制御することができ、具体的には開けることができる。
【0064】
「制御された手法で」という表現は、1つ以上のガス圧力タンクを空にすることが、一方では、ガス圧力タンクに損傷をもたらす可能性のあるガス圧力タンクの過冷却が防止されるように、空にすることが過度に素早く起こらないように選択され、他方では、火災の事象において、例えば、空にすることが通常は3~5分間の時間期間内に行われることが確保され得ることで、ガス圧力タンクが空となるまでガス圧力タンクの完全性が確保され得るように、空にすることが十分に素早く起こることが確保されるように選択される所定の流量で行われることを意味するとして理解されるべきである。ガス圧力タンクを空にするための時間は、ガス圧力タンクの大きさに相当の度合いで依存する。
【0065】
制御デバイスが、燃料補給システムと情報を交換するために、通信デバイスを用いて燃料補給システムと通信するように適合され、情報が、ガス圧力タンクの圧力P1、ガス圧力タンク温度T1、充填速さ(l/min)、ならびにガス圧力タンクの気密性(漏れがない)、弁ユニットの気密性(漏れがない)、および/または燃料供給システムの気密性(漏れがない)の群から選択されることは、さらに好ましい。
【0066】
この手法では、先にすでに説明されているように、損傷させられたガス圧力タンクまたはガス圧力タンクシステムの燃料補給が実行されないことが確保され得る。
【0067】
弁ユニットを通じて流れるガスまたは燃料を、具体的にはガスまたは燃料が圧力調節弁によって動作圧力P2へと低減された後、所定の動作温度TAへと条件付けるように適合され、具体的には冷却および/または加熱するように適合される温度制御デバイスを弁ユニットが有する場合、さらに有利である。
【0068】
動作温度TAは、例えば、ガスまたは燃料が供給される燃料電池などの消費機器によって同様に定められる。動作温度TAおよび動作圧力P2は消費機器の負荷状態に依存し得る。例えば、下流の燃料電池システムの低温始動の場合、始動は、具体的には燃料電池である燃料電池システムをより素早く動作温度にさせるために、増加した動作温度でもたらされ得る。
【0069】
この目的のために、温度制御デバイスは加熱および/または冷却のレジスタを有することができ、加熱のレジスタは、例えば、燃料電池システムの排熱によって供給される。低温始動のために、温度制御デバイスは、加熱コイルの形態での電気ヒータがさらに搭載されてもよい。
【0070】
弁ユニットに、弁ユニットの少なくとも1つの構成要素の気密性を試験または監視するように適合される漏れ検出ユニット(臭い探知システム)が追加的に搭載され、構成要素は、安全弁、過剰流れ弁、フィルタ、圧力調節弁、第1の過剰圧力デバイス、第2の過剰圧力デバイス、熱圧力逃がしデバイス、温度制御デバイス、温度検出装置、および/または圧力検出装置の群から選択される場合、さらに好ましい。
【0071】
それによって、気密性(ガス気密性)、つまり、漏れのないことを、連続的に試験および記録することが可能であり、漏れの事象では、それに応じて、例えば、弁ユニットまたは燃料供給システムの特定の構成要素を閉じる、または空にすることで、続行することが可能である。
【0072】
漏れ検出ユニットは、非常に少量のガスを検出することができる漏れセンサ(臭い探知機)またはガスセンサが配置されるいわゆる収集室が、弁ユニットに設けられるように構成され得る。例えば安全弁および/または圧力調節弁など、弁ユニットに設けられる個々の構成要素は、収集室へと導かれ、これは、それぞれの構成要素が流体搬送通路によって収集室に接続され、それにより、それぞれの構成要素の漏れの事象において、漏れたガスは収集室へと流れ、または案内され得、そこでガスセンサによって検出されることを意味する。この手法では、複数の境界面または構成要素が、それらの気密性のために確認または監視され得る。
【0073】
弁ユニットの空間(三次元での空間)において、具体的には、弁ユニットに接続される少なくとも1つのガス圧力タンクの空間において、絶対的幾何学的配向を検出するように適合され、加速度計、ジャイロスコープ、および地磁気センサの群から選択される少なくとも1つのセンサを有する配向検出ユニットを弁ユニットが有する場合、さらに有利である。
【0074】
制御デバイスが、配向検出ユニットによって決定または検出される弁ユニットの配向に基づいて、所定の安全な空間方向においてガス圧力タンクを空にすることが可能とされる排出ポートを選択するように適合されることは、好ましい。
【0075】
この目的のために、弁ユニットが、設けられている弁、具体的にはソレノイド弁によって、それぞれ開けられ得るかまたは閉じられ得る複数の排出ポートを有することができる。排出管が排出ポートの各々に有利に設けられ得、排出ポートは、車両の事故の事象において、所望の空間方向または有利な空間方向に燃料を排出するために、異なる空間方向に配向される。
【0076】
排出管は、放出される燃料が、安全性の観点において関連し、車両へのアクセスを妨害することもない車両のいかなる構成要素も、具体的には燃料供給システムのいかなる構成要素も、損傷することのないように好ましくは配置される。経験上、例えば事故の事象において、側面を下にし得る車両の位置に応じて、具体的には救助隊のために、側面からの車両へのアクセスが確保されるように、上向きに、つまり鉛直方向に燃料を放出する排出管が選択されることが分かっている。
【0077】
本発明のさらなる実施形態によれば、弁ユニットは、弁ユニットを外部の構成要素/デバイスに電気的および/または電子的に伝導的に接続することができる電気的および/または電子的なインターフェースを有し、外部の構成要素/デバイスは、例えば電池などのエネルギー源、車両の制御装置/主制御装置、燃料電池の制御装置などの群から選択される。
【0078】
この手法では、例えば、すでに先に記載されているように、ケーブルによってそれぞれのセンサに直接的に接続されることなく、弁ユニットによって検出される圧力および/または温度などのパラメータに、外部の車両制御装置がアクセスすることが可能であり、これは、ケーブル敷設の観点における出費を大幅に低減する。
【0079】
弁ユニットが、外部の構成要素/デバイスを弁ユニットに電気的および/または電子的に接続するように適合される接続領域を有する場合、さらに有利であり、外部の構成要素/デバイスは、例えばガス圧力タンクに設けられる温度センサなどの外部センサ、タンク搭載弁などの群から選択される。電気的および/または電子的なインターフェースは、例えばCANバスの形態で実施され得る。
【0080】
この接続領域は、要件に応じて、好ましくは燃料供給システムまたはガス圧力タンクシステムに属する個々の外部構成要素を弁ユニットに接続することができる複数の接続端子を有する点において、先に言及された電気的および/または電子的なインターフェースと異なる。そのため、この手法で弁ユニットに送信されるセンサ信号は、電気的および/または電子的なインターフェースによって、1つ以上の外部制御装置に、まとめて転送させることができる。
【0081】
弁ユニットの制御ユニットが、弁ユニットに接続される少なくとも1つのガス圧力タンクの燃料補給サイクルを検出および/もしくは記録するように適合される、ならびに/または、制御ユニットが、具体的には漏れ検出ユニットを用いて、漏れが検出される場合、弁ユニットに接続される少なくとも1つの圧力タンクの燃料補給を終結させる、もしくは開始さえしないように適合される場合、さらに有利である。
【0082】
弁ユニットが、具体的には弁ユニットへと流れる燃料の流れエネルギーである流れエネルギーを、具体的には回転のエネルギー(または回転エネルギー)である機械エネルギーへと変換するように適合される少なくとも1つの変換装置と、機械エネルギーを、具体的には電力である電気エネルギーへと変換するように適合される発電機とを有する電力発生デバイスを有する場合、さらに好ましい。
【0083】
以前にすでに記載されているように、具体的に水素である燃料は、1つ以上のガス圧力タンクにおいて極めて高い圧力の下で貯蔵され、圧力は最大で1000barであり得る。対応するような大きな量のポテンシャルエネルギー(内部エネルギー、単位体積当たりの運動エネルギー)が、1つ以上のガス圧力タンクに貯蔵され、個々のガス圧力タンクからの燃料の取り出しにおいて、運動エネルギーまたは流れエネルギーに変換される。燃料が下流の消費機器の動作の間に1つ以上のガス圧力タンクから流れ出るときに生成される運動エネルギーまたは流れエネルギーは、電力発生デバイスによって、具体的には電力である電気エネルギーへと変換させることができる。それによって生成された電力は、例えば、電池へと送り込むことができ、電池において一時的に貯蔵することができる。必要に応じて、そのように得られた電力は、例えば、具体的には水素である燃料を下流の消費機器の動作のために条件付けるために使用され得る。
【0084】
変換装置がタービンの形態で構成され、タービンは、ハブにおける複数の羽根、1つ以上の風車などを好ましくは有することができ、変換装置は、流れる燃料の流れエネルギーまたは内部エネルギーを機械エネルギーへと変換することで、駆動シャフトを回転において設定し、発電機は、変換装置の駆動シャフトによって好ましくは駆動され、それによって電力を発生させる場合、さらに有利である。
【0085】
電力発生デバイスは、弁ユニットに、具体的には弁ユニットの弁ブロックに、直接的に組み込むことができる、または、弁ユニットの上流に配置させることができる、つまり、別の組立体として構成することができる。
【0086】
弁ユニットの圧力調節弁の前に、具体的には弁ユニットの入口に直接的に、電力発生デバイスを配置することは、さらに有利である。
【0087】
具体的にはタービンである変換装置が、ガス圧力容器に存在する圧力に依存して、内部エネルギーにおける低下、またはデルタP(変換装置の前の燃料の圧力-変換装置の後の燃料の圧力)を制御または調節することは、さらに好ましい。別の言い方をすれば、高い圧力がガス圧力タンクに存在する場合、変換装置は大きなデルタP(内部エネルギー)を小さくすることができ、一方、ガス圧力容器における燃料の圧力が下流の消費機器の動作圧力に近づく場合、デルタPは、十分な動作圧力を確保することができるようにするために低減されなければならない。
【0088】
本発明は、先に記載されているような弁ユニット、または先に記載されているタンク搭載弁を導入させることができる接続部品を有するガス圧力タンクにさらに関する。弁ユニットおよび/またはガス圧力タンクは、任意選択で、ガス圧力タンクの接続部品の内部に気密の手法で弁ユニットを位置決めするために、シールが設けられる。
【0089】
同じ種類のガス圧力タンクは、多層積層体から、具体的には多層プラスチック積層体から形成される中空体として通常は構成される。プラスチック積層体には、その安定性を増加させるために、例えば炭素繊維またはガラス繊維といった強化繊維材料が好ましくは提供され得る。接続部品は、この積層体へと導入され、好ましくはガス圧力タンクにおいて、具体的にはタンク搭載弁である弁ユニットをガス圧力タンクに取り付けるために、通常は、弁ユニットの接続部品に設けられる合致するネジ山が捩じ込まれ得る雌ネジ山が設けられる。
【0090】
例えば温度センサまたは電圧センサ(歪みゲージ(DMS))などの少なくとも1つのセンサがガス圧力タンクの積層体に埋め込まれる場合、有利である。この手法では、ガス圧力タンクの完全性についての追加の情報が収集され、弁ユニットへと転送され得る。
【0091】
本発明は、具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される、具体的には水素である燃料を貯蔵するためのガス圧力タンクシステムであって、好ましくは接続部品が組み込まれている先に記載されたガス圧力タンクである少なくとも1つのガス圧力タンク、および、好ましくは先に記載された弁ユニットである弁ユニット、および/または少なくとも1つのタンク搭載弁を有し、タンク搭載弁は、好ましくは先に記載されたタンク搭載弁である、ガス圧力タンクシステムにさらに関する。
【0092】
この手法では、複数の個々のガス圧力タンクは組立体を形成するために組み合わせることができ、それによって、個々のガス圧力タンクは、より小さく作ることができ、具体的には直径においてより小さく作ることができ、したがって、具体的にはガス圧力タンク組立体であるガス圧力タンクシステムは、より容易に車両に収容させることできる。しかしながら、ガス圧力タンクシステムを1つだけのガス圧力タンクで構築することも可能である。1つ以上のガス圧力タンクの数および大きさは、ガス圧力タンクシステムが実施されるそれぞれの車両の要件および利用可能な空間に依存して選択され得る。
【0093】
ガス圧力タンクシステムが、タンク搭載弁がそれぞれに設けられ、ガスを搬送するように弁ユニットを用いて一体に接続される少なくとも2つのガス圧力タンクを、2つのガス圧力タンクにおける高い圧力の下で貯蔵される燃料が燃料供給システムに供給できるように有する場合、さらに好ましい。
【0094】
2つのタンク搭載弁には、ガス圧力タンクシステムまたは燃料供給システムにおける漏れの事象においてそれぞれのガス圧力タンクを遮断するなど、主に緊急機能を確保するために供する構成要素/機能が最小の数で設けられ得る。これらは、とりわけ、過剰流れ弁を設けることを含む可能性があり、それによって、事故の事象において、下流の燃料供給システムがもはや完全ではなく、具体的には漏れがあるとしても、燃料が制御された手法で放出され得ることが確保され得る。
【0095】
他方で、このようなガス圧力タンクシステムは、制御、インターフェース、圧力調節、圧力制限などのさらなる機能性が、すべてのガス圧力タンクについて弁ユニットにおいて一緒に提供され得るという利点を有し、それによって、構成要素の数が低減でき、ケーブル敷設の観点における出費が低減でき、したがって、製作コストおよび保守コストも低減できる。
【0096】
本発明は、具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される燃料供給システムにさらに関し、燃料供給システムは、先に記載されている弁ユニットを有し、先に記載されているガス圧力タンクシステムを任意選択で有する。
【0097】
本発明は、具体的には水素である燃料を燃料電池システムに供給するように好ましくは適合される、具体的には水素である燃料を貯蔵するための、具体的にはガス圧力タンクシステムである燃料供給システムにおいて、ガス漏れである可能性のある漏れを検出するための方法にさらに関する。方法は、以下のステップ、すなわち、
- 配管区域に組み込まれる安全弁を閉じるステップであって、安全弁は、ガスが配管区域を通じて流れることができる開位置と、ガスが配管区域を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整させることができる、ステップと、
- ガスが圧力を発揮するような手法で閉じた安全弁に存在する状態において、配管区域を通じて流れるガスの温度T1および圧力P1を検出するステップと、
- 検出された温度値および圧力値に基づいて、配管区域の気密試験、具体的には、配管区域に接続されるガス圧力タンクシステムの気密試験を実施するステップと、
を有する。
【0098】
複数の温度値および圧力値が所定の時間期間内に決定され、温度値および圧力値は、接続される圧力タンクの内部において、および/または、接続されるガス圧力タンクシステムの内部の複数の測定位置において、好ましくは決定される場合、有利である。
【0099】
複数の測定位置は、複数の圧力タンクの内部に、ならびに/または、ガス圧力タンクシステムの配管分岐部および/もしくは弁に、設けられるように選択される。
【0100】
複数の決定された温度値および圧力値が、安定性および/または傾向の特性値を決定するために互いと比較され、安定性および/または傾向の特性値が所定の範囲内にある場合、配管区域、具体的には配管区域に接続されるガス圧力タンクシステムが、気密である場合、さらに有利である。別の言い方をすれば、漏れがない。
【0101】
本発明のさらなる実施形態によれば、安定性および/または傾向の特性値についての所定の範囲(許容範囲)は、外部温度、開始温度、開始圧力、燃料補給する動作が行われるのか空にする動作が行われるのか、日光への露出、ガス圧力タンクの大きさ、燃料補給または空にする速さなどの群からの影響パラメータに基づいて決定される。
【0102】
本発明は、好ましくは窒素(N2)を消火剤として使用する消火システムのために好ましくは使用される、具体的には先に記載されている弁ユニットである弁ユニットの弁組立体であって、主供給配管と、主供給配管に組み込まれる主弁であって、ガスが主供給配管を通じて流れることができる開位置と、ガスが主供給配管を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整可能である主弁と、主供給配管を通じて流れるガスの圧力を低減および/または調節するように適合される圧力調節弁と、を備え、主弁は、パルス制御される作動弁を用いて、具体的には間接的に、開位置にさせることができ、または開位置へと切り替えることができ、弁組立体は、パルス制御される作動弁による作動が解放および/または遮断される場合であっても、主弁が開位置に留まるように構成される、弁組立体にさらに関する。
【0103】
本発明の意味の中で、「解放」という用語は、作動弁が例えば電圧降下によって能動的または非能動的に解放されることを意味するとして理解されるべきである。他方で、本発明の意味の中での「遮断」という用語は、主弁を開けるために使用され、具体的には永久的に開けるために使用される圧縮空気または制御空気の圧力が、例えば漏れのため、低下することを意味する。
【0104】
本発明のさらなる実施形態によれば、主弁は、パルス制御される作動弁の作動によって、具体的には、作動弁の手動の作動によって、開位置にさせることができ、作動弁は、好ましくは、パルス制御されるソレノイド弁である。
【0105】
主弁は、ピストンシステムを介して間接的に作動弁によって作動させることができ、ピストンシステムは、ラムを伴う制御ピストンと、圧力部材と、を好ましくは有する場合、さらに有利である。
【0106】
制御ピストンが、作動弁の作動において、具体的には作動弁による送り込み配管の開放によって、圧力側において圧力に曝される場合、さらに好ましい。
【0107】
主弁が、好ましくは円錐状の弁座に、ピストンシステムの圧力部材により押し付けるようにさせられる閉鎖部材を有し、それによって、主弁は非作動状態において閉じられ、圧力部材は、弁座に向かう方向においてバネによって好ましくは押される/付勢される場合、さらに有利である。
【0108】
作動弁が、空気圧、電気(例えば約24Vのスイッチングパルスによって)、または外部制御によって作動させることができる場合、さらに有利である。
【0109】
本発明のさらなる実施形態によれば、弁組立体は、流れの方向において作動弁の前でピストンシステムに圧縮空気/制御空気を供給するために送り込み配管に配置され、制御ピストンに存在する圧縮空気/制御空気が漏れるのを防止する逆止弁を有する。
【0110】
制御ピストンの圧力側における圧力が、例えば作動弁の漏れまたは失陥の結果として、所定の最小圧力へと低下する場合であっても、主弁が開位置に留まるように、制御ピストンのピストン面積の大きさが選択されることは、さらに好ましい。別の言い方をすれば、プランジャを介して圧力部材に作用する発生させられたピストン力は、所定の最小圧力であっても、反対のバネ力/閉鎖力より大きい。
【0111】
弁組立体が、好ましくはニードル弁、ボール弁、またはゆっくりと開く弁である放出弁であって、具体的には手動での作動である作動において、具体的には作動弁の作動の後、制御ピストンの圧力側に存在する圧力を(再び)低減し、それによって主弁が閉状態に戻ることができるように適合される放出弁を有する場合、同様に有利である。
【0112】
デバイス、使用、および/または方法のさらなる特徴ならびに利点は、添付の図面を参照して、実施形態の以下の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【
図1】先行技術による高圧容器ユニットの斜視図である。
【
図2】先行技術による燃料供給システムの線図である。
【
図3】本発明による弁ユニットの実施形態を単純化した形態で示す図である。
【
図4】本発明による弁ユニットの実施形態の配管および機器の系統図である。
【
図5】本発明によるガス圧力タンクシステムの実施形態を単純化した形態で示す図である。
【
図6】示されている弁ユニットが、
図3~
図5に示されている弁ユニットのさらなる発展である、本発明による弁ユニットのさらなる実施形態を示す図である。
【
図7】本発明によるガス圧力タンクシステムの実施形態の概略的な形態での斜視図である。
【
図8】本発明によるガス圧力タンクシステムのさらなる実施形態の概略的な形態での斜視図である。
【
図9】本発明による弁ユニットのさらなる実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0114】
異なる図において提供されている同一の符号は、同一の要素、相互に対応する要素、または機能的に同様の要素を示している。
【0115】
図1は、先行技術による高圧容器ユニット10の斜視図である。示されている高圧容器ユニット10は、箱状のケース22と、ケース22の内部で列になって配置される複数の円筒形の容器18であって、各々の容器18は、軸方向における一方の側において、端部分に開口部30Bを備える、複数の円筒形の容器18と、複数の容器18を互いと連結するために開口部30Bを接続し、複数の容器18が連通するように複数の容器18の内部を互いと接続する流路を含む連結部材20と、を有する。記載されている高圧容器ユニット10は、連結部材20から、ケース22に形成された貫通孔46Aを通じて、ケース22の外部へと通じる導出管32をさらに有し、流路を開けたり閉じたりすることができる弁34が導出管32に接続されている。
【0116】
記載されているように、示されている高圧容器ユニット10は、それぞれの容器18(ガス圧力タンク)を、容器18および/または連結部材20の漏れ/欠陥の事象において、弁34を介して、別々にではなく一緒にのみ閉じることができ、それに応じて、高圧容器ユニット10全体が機能しなくなる。
【0117】
図2は、例えば航空機において使用され得る、先行技術による燃料供給システム110の線図をさらに示している。記載されている燃料供給システム110は、燃料タンク112と、燃料タンク112を燃料電池118の入口116に接続する送り込み配管114と、送り込み配管114に配置されるタンク隔離弁128と、燃料電池118の出口120を航空機の非加圧領域および/または外気に接続する除去配管146と、燃料電池118における電気の電圧を検出するためのセンサ144と、を有する。
【0118】
タンク隔離弁128を用いて、単一の燃料タンク112を遮断すること、いわば隔離することが、ここでは可能であるが、タンク隔離弁128は燃料タンク112に直接的に設置されておらず、それによって、燃料タンク112とタンク隔離弁128との間の漏れの事象において、タンク隔離弁128を閉じることでガス漏れを閉鎖する能力がない。タンク隔離弁128が閉じられた後、燃料タンク112および接続する配管の完全性についての情報を提供することも可能ではない。
【0119】
図3は、本発明による弁ユニット100の実施形態を単純化された形態でさらに示しており、弁ユニット100は、図示されている実施形態では、タンク搭載弁(OTV)200として実施され、具体的にはOTV-Rとして実施され、つまり、圧力調節弁107を有するタンク搭載弁として実施されている。
図3から分かるように、タンク搭載弁200は温度検出装置101と圧力検出装置102とを有する。温度検出装置101はタンク搭載弁200の接続部品111に直接的に留め付けられ、接続部品111を用いて、タンク搭載弁はガス圧力タンク300に捩じ込まれている。温度検出装置101は、ガス圧力タンク300へと突出する接続部品111の端に設けられている。したがって、温度検出装置101は、ガス圧力タンク300に貯蔵される燃料と直接的に接触している。
【0120】
他方で、圧力検出装置102は、ガス気密の手法でタンク搭載弁200に接続され、具体的には捩じ込まれる外部構成要素に収容される。圧力検出装置102は、独立した流体配管を介して、貯蔵された燃料(燃料ガスまたは水素)と接触しており、その流体配管は接続部品111を少なくとも部分的に通じて延びている。したがって、圧力検出装置102は、ガス圧力タンク300において広がる圧力(ガス圧力タンクの圧力P1)を直接的に検出または測定することができる。
【0121】
図示されているタンク搭載弁200は、配管区域103に組み込まれた安全弁104をさらに有し、安全弁104は、好ましくはパルス制御され、ガスが配管区域103を通じて流れることができる開位置と、ガスが配管区域103を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整させることができる。示されている実施形態では、配管区域103は、ガス圧力タンク300において高い圧力(最大900bar)の下で貯蔵される燃料を、供給ポートA2を介して下流の消費機器(図示略)へと提供するように供する。
【0122】
図3から分かるように、温度検出装置101および圧力検出装置102は、ガスが圧力を発揮するような手法で閉じた安全弁104に存在する状態において、配管区域103を通じて流れるガスの温度および圧力を検出することができるように配置されている。別の言い方をすれば、センサとして構成されている2つの検出装置は、安全弁104によってガス圧力タンクに閉じ込められている燃料の温度および圧力を直接的に検出することができる。
【0123】
安全弁104が開けられる場合、約350bar、約700bar、約875bar、または約900barといった高い圧力の下でガス圧力タンクに貯蔵される燃料が、配管区域103を介して供給ポートA2に向かう方向に流れ、それによって、貯蔵されている燃料が下流の消費機器に提供される。安全弁104に到達する前、貯蔵された燃料は、貯蔵された燃料に存在する汚染物質を除去するために、最初にフィルタ106を通じて流れる。次に、燃料は過剰流れ弁105を通じて流れ、それによって、ガス圧力タンク300から流れ出る燃料の最大流れが制限され、具体的には、接続された消費機器によって必要とされる最大流れより若干大きくなるように最大流れが決定されるように、制限される。
【0124】
この手法では、一方では、1つ以上の下流の消費機器に供給するための十分に大きな燃料の流れが確保され、他方では、望ましくない多くの量の燃料が障害の事象において漏れないように、流れができるだけ制限される。
【0125】
流れの方向S1において安全弁104の後に、配管区域103には、ガス圧力タンク300によって導入されるガス圧力(ガス圧力タンクの圧力P1)を、下流の消費機器の動作負荷に事前設定または適合される動作圧力P2へと低減および/または調節する圧力調節弁107が設けられている。
【0126】
安全弁104と圧力調節弁107との間には、圧力調節弁107から安全弁104に向かう方向への逆流が防止されるように、逆止弁が配置されている。
【0127】
さらに、図示されている実施形態では、さらなる好ましくは磁気の安全弁が圧力調節弁107の後に配置され、この安全弁を用いることで、動作圧力P2にすでに低下した燃料を、弁ユニット100において、具体的にはタンク搭載弁200において、遮るまたは閉じ込めることが可能であり、その後に配置されている燃料電池システムなどの消費機器を空にするまで運転させることが可能である。別の言い方をすれば、燃料を燃料電池システムから除去し、それによって、存在する圧力を低減することが可能である。例えば50barなどの所定の圧力、つまり、一方では、ガス圧力タンク300において広がる350bar、700bar、875bar、または900barの最大圧力より低く、他方では、下流の消費機器によって必要とされる動作圧力P2より高い圧力までのみ開くことができるようにさらなる安全弁が構成される場合、さらに有利である。
【0128】
図示されているタンク搭載弁200は、過剰圧力弁の形態での第1の過剰圧力デバイス110をさらに有し、第1の過剰圧力デバイス110は、示されている実施形態では、19barの圧力に設定されており、したがって、下流の消費機器に存在する動作圧力P2は19barに制限される。圧力調節弁107が障害を有し、例えば燃料の圧力を50barまでしか低減しない場合、過剰圧力弁110は開き、排出ポートA3を介して環境に過剰な燃料を排出する。
【0129】
図3からさらに分かるように、図示されているタンク搭載弁200は、破裂板として構成され、タンク搭載弁200に接続されたガス圧力タンク300を過剰な圧力から保護するように適合されている第2の過剰圧力デバイス108をさらに有する。
【0130】
タンク搭載弁200は、ガス圧力タンク300に貯蔵される燃料を、排出ポートA3を介して環境に放出するために、所定温度限度値において開くように適合され、つまり、デフォルトで閉じられる熱圧力逃がしデバイス109の弁を開けるように適合される熱圧力逃がしデバイス109を、さらに有する。熱圧力逃がしデバイス109は、ガス圧力タンク300を損傷から保護するために、しかし、ガス圧力タンク300が完全に空になるまでその完全性が確保され得るように、燃料を概して3~5分間以内といった十分に高い速さで漏れさせるために、燃料が過剰に早く漏れることができないように構成されている。
【0131】
熱圧力逃がしデバイス109は、図示されている実施形態に示されているように、流体を搬送するように排出ポートA3をガス圧力タンク300の内部(貯蔵室)に接続する流体配管において、第2の過剰圧力デバイス108(破裂板)および圧力検出装置102と並列に配置され得る。熱圧力逃がしデバイス109はさらに、ガラス体の破裂によって、不可逆的に作動させることができ、つまり、開けることができ、ガラス体の破裂は、破裂が所定の温度で起こるように設定され、任意選択で、所定の温度が特定の時間期間にわたって存在した後のみに起こるように設定される。熱圧力逃がしデバイスがひとたび作動または起動された後に、望ましくない閉鎖が排除され得るようにするために、熱圧力逃がしデバイスの作動または起動が不可逆的に行われる場合、安全性の理由にとって有利である。しかしながら、熱圧力逃がしデバイスの作動は、外部パルスまたは発動によって行われてもよい。
【0132】
図3でさらに示されているように、図示されているタンク搭載弁は、検出装置101および102によって検出された値を評価し、任意選択で記録し、検出された値に基づいて、ガス圧力タンク300およびタンク搭載弁200の完全性の状態を決定するように供することができる制御デバイス120を有する。制御デバイス120は、検出された値に基づいて、下流の消費機器の燃料供給動作を制御するように、具体的には、圧力調節弁107を対応して開ける、または閉じるように、さらに適合されている。異なる圧力を確立することができるようにするために、圧力調節弁は、0%から100%の間の開放の度合いが同様に可能となるように、部分的に開けるまたは閉じることもできる。
【0133】
図3に図示されているタンク搭載弁200は、ブルートゥース(登録商標)およびWLANのアンテナなどを有する通信デバイスをさらに有し、そのアンテナを用いて、タンク搭載弁200は外部クライアントと無線で通信することができる。示されているタンク搭載弁は、すでに先に詳細に記載されているような漏れ検出ユニットをさらに有する。
【0134】
最終的に、示されているタンク搭載弁200は、燃料補給ポート(充填ポート)A1を有し、そのポートを用いて、ガス圧力タンクを、具体的には燃料であるガスで満たすことができる。この目的のために、図示されているタンク搭載弁200は、導入された燃料が流れの方向S2においてガス圧力タンク300へと案内される別の燃料補給通路を有する。燃料補給通路において、導入される燃料に存在する汚染物質がガス圧力タンク300に入り、ガス圧力タンク300に蓄積するのを防止するために、フィルタがここでも設けられる。流れ方向S2においてフィルタの後には、導入された燃料がフィルタへと逆流するのを防止する逆止弁、または次々に接続された複数の逆止弁が、さらに配置される。さらなる逆止弁が、ガス圧力タンク300に向く燃料補給通路の端にさらに設けられ、導入された燃料が燃料補給ポートA1を介して漏れるのを防止する。
【0135】
図4は、本発明による弁ユニット100の実施形態の配管および機器の系統図を示しており、図示されている弁ユニット100は、その基本的な構造の観点において、
図3に図示されているタンク搭載弁200に対応している。
【0136】
図4から分かるように、示されている弁ユニット100、具体的にはガス取り扱いユニットは、弁ユニット100を外部構成要素に接続させることができ、具体的には流体を搬送するように接続させることができる6つのインターフェースを有する。インターフェース1は、例えば、単一のガス圧力タンク300またはガス圧力タンクシステム400を弁ユニット100に接続するように供する。したがって、インターフェース1は、ガス圧力タンク300を燃料で満たすことができるように介される送り込み配管(副供給配管)と、ガス圧力タンク300において高い圧力の下で貯蔵される燃料を消費機器へと送り込むことができるように介される主供給配管と、2つの測定診断経路と、を有する。第1の測定診断経路は、ガス圧力タンク300の内部(燃料充填)を、弁ユニットに設けられ、ガス圧力タンク300における燃料の温度を検出することができる温度要素(温度検出装置101)に接続する。第2の測定診断経路は、並列に配置される3つの経路/配管の間で分割され、一方では、3つの経路のうちの1つにおいて、交換可能/搭載可能な圧力センサ要素(圧力検出装置102)が接続されるインターフェース5が形成されている。インターフェース5に接続される圧力センサ要素は、第2の測定診断経路を介してガス圧力タンク300の内部の圧力を検出する。第2の経路において、接続されたガス圧力タンク300を過剰な圧力から保護する破裂板(過剰圧力デバイス108)が配置される。別の言い方をすれば、例えばガス圧力タンクの充填の間、ガス圧力タンク300の内部の圧力が、障害のある燃料補給システムの結果として、900barなどの所定の限度値に達する場合、破裂板は破壊し、それによってインターフェース4(排出ポートA3)へのアクセスを開放し、インターフェース4を介して燃料を周囲空気へと排出させることができる。
【0137】
第3の経路には、例えば火災を生じる事故の事象において、所定の限度値/最大温度に到達されるとき、インターフェース4(排出ポートA3)へのアクセスを同様に開放する熱圧力逃がしデバイス(TPRD)が提供され、それによって、ガス圧力タンク300に貯蔵された燃料は、制御された手法で環境へと排出/放出させることができる。環境への導かれた放出を行うことができる。これは、構成要素および/または人が危険に曝されない方向に流出する燃料が放出されるように、放出の方向が選択されることを意味するとして理解されるべきである。
【0138】
図4からさらに分かるように、ガス圧力タンク300の内部に、フィルタF2と、逆止弁CV2と、
図3との関連でその機能がすでに記載されている過剰流れ弁EFVと、が配置されている。
【0139】
主供給配管には、例えば燃料電池システムなどの下流の消費機器が接続され得るインターフェース3への流れの方向において、安全弁SV1と、逆止弁CV3と、圧力調節弁PRと、さらなる安全弁SV2と、が配置されており、2つの安全弁はソレノイド弁として構成されている。
【0140】
流れの方向における第2の安全弁SV2の後には、下流の消費機器が損傷され得ないように選択されている所定最大圧力に到達されるときに起動し、作動した状態においてインターフェース4(排出ポートA3)へのアクセスを開放する過剰圧力デバイスPRVがさらに接続されており、それによって、過剰な燃料を外部へ放出することができる。
【0141】
示されている弁ユニット100は、例えば、燃料補給システムがガス圧力タンク300を満たすために弁ユニット100に接続させることができるように介されるインターフェース2を追加的に有する。ガス圧力タンク300に設けられたフィルタF1、逆止弁CV1、および逆止弁CV2は、インターフェース2から、ガス圧力タンク300が接続されるインターフェース1への流れの方向に配置される。送り込み配管(副供給配管)は、具体的には逆止弁CV3と圧力調節弁PRとの間で、逆止弁CV4を介して主供給配管に有利に接続される。
【0142】
インターフェース6は、安全弁SV1およびSV2と、圧力調節弁PRと、センサ要素PT、TEと、を制御ユニットに接続することができる信号接続を示しており、制御ユニットは、弁ユニット100へと組み込むこともできる。
【0143】
図5は、本発明によるガス圧力タンクシステム400の実施形態を単純化された形態で示しており、ガス圧力タンクシステム400は、例として、2つのガス圧力タンク300と、各々がガス圧力タンク300へと捩じ込まれる2つのタンク搭載弁200と、ガス取り扱いユニットとして構成される弁ユニット100と、から成る。ガス取り扱いユニットは、
図3に示されているタンク搭載弁200に関連して記載されているすべての構成要素または関連する機能を含む。
【0144】
2つの図示されているタンク搭載弁200は、他方では、最小限に必要とされる安全機能に限定される。例えば、2つのタンク搭載弁200は、具体的には事故の事象において、個々のガス圧力タンク300からの燃料の望ましくない流出を防止することができる安全弁204をそれぞれ有する。したがって、保護弁204は、ガス取り扱いユニット100の保護弁104と同様に、自動閉鎖弁である。タンク搭載弁200は、燃料の流出を所定の最大値に制限するように適合される過剰流れ弁206をそれぞれさらに備える。タンク搭載弁200は、逆止弁が設けられる燃料補給通路207をさらに有する。フィルタ205が、安全弁204の前に、具体的には過剰流れ弁206の前に、さらに配置される。最後に、2つのタンク搭載弁200は、温度および/または圧力を検出するユニット201も有する。
【0145】
流出方向S1においてタンク搭載弁200の下流に配置されるガス取り扱いユニット100は、接続された複数の(ここでは、2つの)ガス圧力タンク300によって蓄積されている燃料の流れを制限するように供する過剰流れ弁106を同様に有する。ガス取り扱いユニット100は、2つのタンク搭載弁200を、ガス取り扱いユニット100に、具体的にはガス取り扱いユニット100の制御ユニット120に電気的および電子的に接続する接続領域150をさらに有する。この手法では、制御ユニット120は、温度および/または圧力を検出するユニット201を用いて決定される値またはデータにアクセスすることができ、必要な場合、安全弁204を作動させることができる。
【0146】
図6は、示されている弁ユニットが、
図3~
図5に示されている弁ユニットのさらなる発展である、本発明による弁ユニット100のさらなる実施形態の配管および機器の系統図を示している。
図6に示されている弁ユニットは、インターフェース1~4を同様に有し、インターフェース5(圧力検出装置102)および6(信号接続)だけがない。これは、制御デバイス120と圧力検出装置102とが弁ユニット100に直接的に組み込まれているためである。
【0147】
図6から分かるように、弁ユニット1の図示されている実施形態では、インターフェース1から、消費機器が同様に接続され得るインターフェース3への流れの方向において、主供給配管において、過剰流れ弁EFV1.1と、第1の手動弁(安全弁)MV1.1と、フィルタF1.1と、ソレノイド弁XV1.1と、圧力調節弁PRV1.1と、第2のフィルタF1.2と、第2の手動弁MV1.4と、がある。ここでもまた、
図4におけるように、過剰圧力デバイスPSV1が、過剰な流体を、インターフェース4を介して外部に放出することができる圧力調節弁PRV1.1の後に設けられる。
【0148】
図4に描写されている弁ユニットに対する主な違いは、一方では、圧力センサPT1.1および温度センサTT1.1が圧力調節弁PRV1.1の前に設けられるだけでなく、圧力センサPT1.2および温度センサTT1.2が流れの方向において圧力調節弁PRV1.1の後に設けられることである。この構成は、具体的には弁ユニット100が温度制御デバイス170を有するとき、有利である。この場合、圧力低減が圧力調節弁PRV1.1によって実行された後の燃料の状態(温度および圧力)が、第2のセンサの対PT1.2、TT1.2を用いて検出でき、それに応じて温度制御デバイス170が制御され得る。この手法では、後続の消費機器のために燃料を最適に条件付けることが可能である。さらに、追加的に決定される状態の情報が気密試験を実施するために使用できる。この手法では、具体的にはガス圧力タンク300および/またはガス圧力タンクシステム400の気密試験である気密試験を、具体的には燃料電池システムの下流の消費機器の動作の間、つまり、ガス圧力タンク300に貯蔵された燃料が連続的に流出している間、より確実に実施することができる。
【0149】
図7は、本発明によるガス圧力タンクシステム400の実施形態の概略的な形態での斜視図である。図示されているガス圧力タンクシステム400は、タンク搭載弁200(OTV)が各々に設けられ、タンク搭載弁200は流体配管を介して互いに接続されている、隣り合って配置された4つのガス圧力タンク300から成る。
【0150】
図7から分かるように、ガス圧力タンク300の前側に取り付けられている4つのタンク搭載弁200(OTV)は、熱圧力逃がしデバイス(TPRD)と、温度および圧力の検出装置(TT、PT)と、ソレノイド弁(SV)と、をそれぞれ有する。4つのタンク搭載弁200は、配管を介して共通の圧力調節弁へとさらに接続されており、その圧力調節弁は、ガス圧力タンク300における圧力を動作圧力へと低減する。圧力検出装置(PT)を同様に有する圧力調節弁(PR)の後、導かれた燃料は配管を介して手動弁へと案内され、その手動弁は安全弁と連結される。4つのガス圧力タンクは送り込み配管へとさらに導かれ、送り込み配管を介して、4つのガス圧力タンク300は燃料補給または充填され得る。4つの熱圧力逃がしデバイス(TPRD)の排出出口は、緊急時に流出する燃料を、導かれて方向付けられる手法で、具体的には、必要とされる方向において、共通の配管を介して流出させるために、同様に導かれる。
【0151】
図8は、本発明によるガス圧力タンクシステム400のさらなる実施形態の概略的な形態での斜視図である。図示されているガス圧力タンクシステム400は、
図7に図示されているガス圧力タンクシステム400と同じ構成要素を原則として有している。しかしながら、
図8に図示されているガス圧力タンクシステム400は、
図7のガス圧力タンクシステム400において別々に構成されていた、安全性の観点において関係する複数の構成要素が、ユニットに、つまり、ガス取り扱いユニット100に、組み込まれているという点において異なる。図示されている実施形態では、圧力調節弁(PR)、手動弁、および安全弁がガス取り扱いユニットに組み込まれている。また、タンク搭載弁200(OTV)の各々において
図7で提供されたソレノイド弁(SV)は、ガス取り扱いユニット100において単一のソレノイド弁(SV)として実現されている。この手法では、一方では、個々の構成要素を弁ブロックにおいてコンパクトな手法で組み込むことと、他方では、ケーブル敷設および管敷設の観点における出費を低減し、延いては保守の観点におけるコストおよび出費を低減することと、が可能である。
【0152】
図9は、本発明による弁ユニット100のさらなる実施形態の断面図である。
図9は、原則として、窒素を消火剤として好ましくは使用する消火システムなどのために使用される弁ユニットにおいて好ましくは使用される主弁の具体的な実施を示している。
【0153】
図9から分かるように、このような弁ユニットの弁組立体500は、主供給配管501と、主供給配管に組み込まれる主弁502であって、ガスが主供給配管501を通じて流れることができる開位置と、ガスが主供給配管501を通じて流れることができない閉位置と、の間で調整可能である主弁502と、主供給配管を通じて流れるガスの圧力を低減および/または調節するように適合される圧力調節弁503と、を有する。主弁502は、ピストンシステム505を介して、ソレノイド弁として構成されるパルス制御される作動弁504を用いて間接的に作動させることができ、ピストンシステム505は、プランジャを伴う制御ピストン506と、圧力部材507と、を有する。
【0154】
作動弁504が作動させられる場合、作動弁504は送り込み配管508を開放し、送り込み配管508を介して、制御ピストン506は、具体的には制御ピストンの圧力側は、圧縮空気もしくは制御空気が供給される、または圧縮空気もしくは制御空気に曝される。逆止弁510が、圧縮空気または制御空気の流れの方向において作動弁504の前に配置されており、作動弁が短時間だけ作動させられるとき、または欠陥の結果として起動するときであっても、制御ピストンの圧力側に存在する圧力が低下するのを防止する。
【0155】
図9からさらに分かるように、主弁502の閉位置において、制御ピストン506の圧力部材507は、制御ピストン506に向かう方向において、具体的には、弁座に向かう方向において、バネ512の力によって付勢され、それによって、主弁502の閉鎖部材509が圧力部材507によって弁座へと押し付けられ、主弁502は閉状態へと移動させられる。
【0156】
ここで作動弁504が作動させられ、圧縮空気または制御空気が制御ピストン506の圧力側に存在する場合、制御ピストンは、主弁502に向かう方向に押され、具体的には、主弁502の閉鎖部材509に向けて押され、制御ピストン506によって発生させられるピストン力がバネ512のバネ力より大きいため、制御ピストン506のプランジャは圧力部材507をバネ512に押し付け、それによって閉鎖部材509は自由にさせられ、ガス(有用なガス)によって発揮される圧力によって弁座から離れるように押される。主弁502は開位置にある。
【0157】
制御ピストンの圧力側における圧力が、例えば作動弁の漏れまたは失陥の結果として起こり得る、所定の最小圧力へと低下する場合であっても、主弁502が開位置に留まるように、弁組立体500、具体的には、制御ピストン506のピストン面積の大きさが選択される。別の言い方をすれば、発生させられ、プランジャを介して圧力部材に作用するピストン力は、所定の最小圧力であっても、反対のバネ力/閉鎖力より大きい。
【0158】
主弁502が意図的に解放される場合、放出弁511は手動で作動させられる。放出弁511が作動させられる場合、制御ピストンの圧力側に存在する圧力は低減させられ、それによって主弁502は閉状態に戻る。
【0159】
異なる実施形態において記載された個々の特徴が、構造的に矛盾しない場合、単一の実施形態において実施されてもよいことは、当業者には明らかである。同じく、単一の実施形態の範囲内で記載されている異なる特徴は、複数の実施形態において、個別に、または、任意の適切な部分組み合わせで提供されてもよい。
【符号の説明】
【0160】
100 弁ユニット
101 温度検出装置
102 圧力検出装置
103 配管区域
104 安全弁
105 過剰流れ弁
106 フィルタ
107 圧力調節弁
108 第2の過剰圧力デバイス
109 熱圧力逃がしデバイス
110 第1の過剰圧力デバイス/過剰圧力弁
111 接続部品
120 制御デバイス
130 通信デバイス
140 電気的および/または電子的なインターフェース
150 接続領域
160 漏れ検出ユニット(臭い探知機)
170 配向検出ユニット
180 温度制御デバイス
200 タンク搭載弁
201 温度および/または圧力の検出装置
204 安全弁
205 過剰流れ弁
206 フィルタ
207 燃料補給通路
211 接続部品
300 ガス圧力タンク
301 接続部品
302 温度センサ
400 ガス圧力タンクシステム
500 弁組立体
501 主供給配管
502 主弁
503 圧力調節弁
504 作動弁
505 ピストンシステム
506 制御ピストン
507 圧力部材
508 送り込み配管
509 閉鎖部材
510 逆止弁
511 放出弁
512 バネ
【国際調査報告】