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特表2023-529269基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230703BHJP
   G03F 7/42 20060101ALI20230703BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 642A
H01L21/304 648A
H01L21/304 651B
G03F7/42
H01L21/30 572B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564278
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2020085948
(87)【国際公開番号】W WO2021212330
(87)【国際公開日】2021-10-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シァオイェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン フゥピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャア ショオナ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ダユン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
(72)【発明者】
【氏名】シァ グァンユィ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホー
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196HA18
2H196LA03
5F146MA02
5F146MA10
5F157AA64
5F157AA91
5F157AB02
5F157AB03
5F157AB33
5F157AB34
5F157AB47
5F157AB51
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC56
5F157BB02
5F157BB03
5F157BB23
5F157BC03
5F157BC12
5F157BC13
5F157BD33
5F157BE12
5F157BE23
5F157BE33
5F157BE34
5F157BE43
5F157BE44
5F157BE46
5F157CB03
5F157CE32
5F157CF16
5F157CF22
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB18
(57)【要約】
本発明は、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法及び装置を提供する。一実施形態において、当該方法は、DIO3槽に収容されたDIO3溶液に1以上の基板を搬送する工程と、前記基板が前記DIO3槽で処理された後、前記DIO3槽から前記基板を取り出してSPM槽に収容されたSPM溶液に搬送する工程と、前記基板が前記SPM槽で処理された後、前記SPM槽から前記基板を取り出して洗浄する工程と、前記基板を1以上の単室に搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程と、を備えている。本発明によれば、DIO3とSPMとを1つの洗浄シーケンスで組み合わせ、粒子又はフォトレジストの除去、特に中ドーズまたは高ドーズのイオン注入で処理されたフォトレジストの除去が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法であって、DIO3槽に収容されたDIO3溶液に1以上の基板を搬送する工程と、前記基板が前記DIO3槽で処理された後、前記DIO3槽から前記基板を取り出してSPM槽に収容されたSPM溶液に搬送する工程と、前記基板が前記SPM槽で処理された後、前記SPM槽から前記基板を取り出して洗浄する工程と、前記基板を1以上の単室に搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程と、を備えた方法。
【請求項2】
前記DIO3槽に前記基板を搬送する工程の前に、HF製剤槽に収容されたHF製剤溶液に前記基板を搬送する工程をさらに備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HF製剤溶液がHFとDIWとの混合物であり、HFとDIWとの混合比が100:1-1000:1である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記HF製剤溶液がBOE混合物であり、前記BOE混合物のHF重量パーセントが0.05%~10%、前記BOE混合物のNH4F重量パーセントが10%~40%である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記DIO3溶液のオゾン濃度が30ppm~120ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記DIO3槽に供給される前記DIO3の流量が10LPM~30LPMである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記DIO3槽に前記基板を搬送する工程の前の、前記DIO3槽中の液体がDIWである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記DIO3槽のシャッターを開けて前記基板を前記DIO3槽のDIWに搬送し、前記DIO3槽のシャッターを閉じる工程と、前記DIO3槽の底部からオゾン化DIWをオーバーフローさせて前記DIO3槽のDIWと入れ替える工程と、前記DIO3槽が前記オゾン化DIWで満たされた後、前記オゾン化DIWを5~15分間オーバーフローさせる工程と、前記オゾン化DIWを素早く排出する工程と、前記DIO3槽を純DIWで満たす工程と、前記DIO3槽のシャッターを開けて前記基板を前記DIO3槽から取り出す工程と、をさらに備えた、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記SPM溶液がH2SO4とH2O2との混合液であり、H2SO4とH2O2との混合比が3:1-50:1であり、混合液の温度は80℃~150℃である。
【請求項10】
前記基板を洗浄する工程がQDR(Quick dump drain)及びオーバーフロー洗浄を備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記SPM槽から前記基板を取り出す工程の後、前記基板を前記単室に搬送する工程の前に、前記基板を湿潤状態に保つ工程をさらに備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記単室における工程が、少なくとも1つのHF製剤表面エッチング工程と、少なくとも1つのDIO3酸化工程と、少なくとも1つのSC1粒子除去工程と、少なくとも1つのDIW洗浄工程と、少なくとも1つの乾燥工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記SC1粒子除去工程の後に、少なくとも1つのSC2金属除去工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記単室における工程が、少なくとも1つのDIO3酸化工程と、少なくとも1つのSC1粒子除去工程と、少なくとも1つのDIW洗浄工程と、少なくとも1つの乾燥工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記SC1粒子除去工程の後に、少なくとも1つのSC2金属除去工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記単室における工程が、少なくとも1つのHF製剤表面エッチング工程と、少なくとも1つのDIO3酸化工程と、少なくとも1つのDIW洗浄工程と、少なくとも1つの乾燥工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記DIO3酸化工程の後に、少なくとも1つのSC2金属除去工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記単室における工程が、少なくとも1つのSC1粒子除去工程と、少なくとも1つのDIW洗浄工程と、少なくとも1つの乾燥工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記SC1粒子除去工程の後に、少なくとも1つのSC2金属除去工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法であって、SPM槽に収容されたSPM溶液に1以上の基板を搬送する工程と、前記基板が前記SPM槽で処理された後、前記SPM槽から前記基板を取り出して洗浄する工程と、前記基板を1以上の単室に搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程と、を備え、前記単一基板洗浄・乾燥処理が少なくとも1つのDIO3酸化工程を含む方法。
【請求項21】
前記SPM槽に前記基板を搬送する工程の前に、HF製剤槽に収容されたHF製剤溶液に前記基板を搬送し、前記HF製剤槽から前記基板を取り出して洗浄する工程をさらに備えた、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記HF製剤溶液がHFとDIWとの混合物であり、HFとDIWとの混合比が100:1-1000:1である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記HF製剤溶液がBOE混合物であり、前記BOE混合物のHF重量パーセントが0.05%~10%、前記BOE混合物のNH4F重量パーセントが10%~40%である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記SPM溶液がH2SO4とH2O2との混合液であり、H2SO4とH2O2との混合比が3:1-50:1であり、混合液の温度は80℃~150℃である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記基板を洗浄する工程がQDR(Quick dump drain)及びオーバーフロー洗浄を備えた、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記SPM槽から前記基板を取り出す工程の後、前記基板を前記単室に搬送する工程の前に、前記基板を湿潤状態に保つ工程をさらに備えた、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記DIO3のオゾン濃度が30ppm~120ppmである、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記単室における工程が、前記DIO3酸化工程の前における少なくとも1つのHF製剤表面エッチング工程と、少なくとも1つのSC1粒子除去工程と、少なくとも1つのDIW洗浄工程と、少なくとも1つの乾燥工程とを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記SC1粒子除去工程の後に、少なくとも1つのSC2金属除去工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記単室における工程が、少なくとも1つのSC1粒子除去工程と、少なくとも1つのDIW洗浄工程と、少なくとも1つの乾燥工程とを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記SC1粒子除去工程の後に、少なくとも1つのSC2金属除去工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記単室における工程が、前記DIO3酸化工程の前における少なくとも1つのHF製剤表面エッチング工程と、少なくとも1つのDIW洗浄工程と、少なくとも1つの乾燥工程とを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記DIO3酸化工程の後に、少なくとも1つのSC2金属除去工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法であって、1以上の単室に1以上の基板を搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程であって、前記単一基板洗浄・乾燥処理が少なくとも1つのDIO3酸化工程を含む工程と、前記基板が前記単室で処理された後、SPM槽に収容されたSPM溶液に前記基板を搬送する工程と、前記基板が前記SPM槽で処理された後、前記SPM槽から前記基板を取り出して洗浄する工程と、前記基板を前記単室に搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程と、を備えた方法。
【請求項35】
前記SPM槽に前記基板を搬送する工程の前に、HF製剤槽に収容されたHF製剤溶液に前記基板を搬送し、前記HF製剤槽から前記基板を取り出して洗浄する工程をさらに備えた、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記SPM槽から前記基板を取り出す工程の後、前記基板を前記単室に搬送する工程の前に、前記基板を湿潤状態に保つ工程をさらに備えた、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
基板上の粒子又はフォトレジストを除去する装置であって、1以上の基板のベンチ洗浄処理を行うように構成されたベンチモジュールと、単一基板洗浄・乾燥処理を行うように構成された複数の単室を有するシングルモジュールと、前記ベンチモジュールと前記シングルモジュールとの間で前記基板を搬送するように構成されたプロセスロボットと、を備え、前記ベンチモジュールは、前記基板を処理するためのDIO3溶液を収容するように構成された少なくとも1つのDIO3槽と、前記基板を処理するためのSPM溶液を収容するように構成された少なくとも1つのSPM槽と、前記基板を洗浄するためのDIWを収容するように構成された少なくとも1つのDIW槽と、前記DIO3槽、前記SPM槽及び前記DIW槽の間で前記基板を搬送するように構成された少なくとも1つの第2基板搬送ロボットと、を有する装置。
【請求項38】
前記ベンチモジュールは、前記基板を処理するためのHF製剤溶液を収容するように構成された少なくとも1つのHF製剤槽をさらに有する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記ベンチモジュールは、2つの前記DIO3槽と2つの前記HF製剤槽とを有し、前記2つのDIO3槽及び前記2つのHF製剤槽が2列に配置され、各列が1つの前記HF製剤槽と1つの隣接する前記DIO3槽とを含む、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記ベンチモジュールは、前記基板を保持して回転させるように構成された基板ローダと、前記2つのHF製剤槽に対応しかつ前記基板を保持するように構成された第1リフター及び第2リフターと、前記基板を前記基板ローダから取得して前記第1リフター又は前記第2リフターに搬送する第1基板搬送ロボットと、をさらに有し、前記第1リフター又は前記第2リフターが、前記基板を対応する前記HF製剤槽に収容された前記HF製剤溶液に浸漬させ、前記基板が前記HF製剤槽で処理された後、前記第2基板搬送ロボットが、前記基板を前記HF製剤槽から取得し、隣接する前記DIO3槽に搬送し、前記第1リフター又は前記第2リフターが、前記2つのHF製剤槽の上方に位置するように上昇する、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記ベンチモジュールは、2つの前記DIO3槽と1つの前記HF製剤槽とを有し、前記HF製剤槽が前記2つのDIO3槽の間に配置された、請求項38に記載の装置。
【請求項42】
前記ベンチモジュールは、前記基板が前記単室に搬送される前に前記基板を湿潤状態に保つための湿潤バッファ領域を有する、請求項37に記載の装置。
【請求項43】
前記ベンチモジュールは、前記第2基板搬送ロボットを洗浄するように構成された洗浄槽を有する、請求項37に記載の装置。
【請求項44】
前記DIO3槽は、底部に少なくとも1つの排気口が設けられた外槽と、前記外槽内に設置され、DIO3溶液を収容するように構成された内槽であって、前記基板を支持し保持するように構成された基板保持台座、前記内槽に設けられ前記内槽に液体を供給するように構成された少なくとも1つの液体流入管、及び、前記内槽の下部に設けられ前記内槽内の液体を前記DIO3槽の外部へ排出するように構成された排出口を有する内槽と、前記内槽の両側に設けられた2つのオーバーフロー溝であって、それぞれ当該オーバーフロー溝内の液体を前記DIO3槽の外部に排出するように構成された少なくとも1つの排出穴を有する2つのオーバーフロー溝と、前記外槽に設けられて前記外槽を密閉するシャッターであって、当該シャッターの上側に設けられた少なくとも1つのガス吸気口と当該シャッターの下側に設けられた複数の排気孔とを有するシャッターと、前記シャッターに接続されて前記シャッターを開放又は閉鎖するように構成された駆動装置と、を有する、請求項37に記載の装置。
【請求項45】
前記外槽の上部に設けられたシールリングをさらに備え、前記シャッターが閉鎖しているときに前記シャッターをロックする少なくとも一対のロック装置が前記外槽に設けられた、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記一対のロック装置は、それぞれ、ロックヘッドと、前記ロックヘッドに接続されて前記ロックヘッドを回転及び上昇・下降するように駆動するアクチュエータと、を有する、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記外槽の前記排気口に接続された少なくとも1つの排気ラインをさらに備え、少なくとも1つの圧力モニター及び少なくとも1つの圧力ダンパーがそれぞれ前記排気ライン上に設けられた、請求項44に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体湿式洗浄の技術分野に関し、より詳細には、半導体基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有機フォトレジスト剥離プロセスは、乾式処理と湿式処理とを併用して開発されていた。しかしながら、反応性プラズマアッシングによる乾式処理では、プラズマによるダメージ、レジストの飛び出し、レジストの不完全な除去、副生成物の再付着等の問題が指摘されており、湿式の剥離/洗浄のフォローアップが必要である。プラズマの問題を回避するため、有機溶媒と、硫酸及び過酸化水素の水溶液(SPM)のような強力な酸とを用いた湿式剥離プロセスが開発された。現在、SPMはフォトレジスト剥離やレジスト剥離後の洗浄プロセスに広く利用されている。
【0003】
過去数十年間、SPM湿式剥離プロセスは、低コストのオペレーションを維持しながら高いスループットを実現するため、一般的にウェットベンチツールで実施されてきた。しかし、現在の SPM ベンチオンリーの湿式プロセスでは、(1)パーティクルサイズが 45 nm 以下になるとウェットベンチツールによるパーティクル除去効率が著しく低下する、(2)通常温度145 ℃での SPM バス温度は制限されるため高ドーズ(>1E17 ion/cm2)イオン注入されたフォトレジストを除去できない、という問題から、先端技術ノードに求められる洗浄性能は確保されていない。SPMの温度が180℃と高いため、45nm未満のパーティクルを除去して高線量のイオン注入で処理されたフォトレジストを洗浄する必要がある新世代のIC製造ノードでは、単一基板湿式剥離プロセスが代替の解決手段になると考えられる。しかし、単一基板SPMプロセスでは、SPM混合物を高温に加熱する必要があり、高温のSPMのごく一部が基板表面に触れるだけで、ほとんどのSPMが基板からスピンオフし、化学エネルギーの損失により再利用することができない。当該プロセスは、硫酸の消費量が多く、廃棄物処理にコストがかかり、環境にも悪い。
【0004】
SPMの大量消費による環境負荷を低減するため、SPM湿式剥離プロセスに代わるフォトレジスト除去用のオゾン化学の利用が試みられている。しかしながら、中用量(1E15 ion/cm2)と高用量(>1E17 ion/cm2)のイオン注入を行ったフォトレジストの洗浄効率は、高温(>180℃)の単一基板SPMプロセスよりもはるかに低いものであった。
【0005】
除去効率及び環境の観点から、従来のベンチSPM洗浄モジュールと単一基板洗浄モジュールとを1つの湿式洗浄システムに統合した統合洗浄システム及びプロセスが、2018年6月7日に出願されたPCT特許出願番号PCT/CN2018/090227に開示されている。当該システムは、従来のベンチオンリー及び単一基板湿式洗浄の課題を解決するものであって、湿式ベンチと単一基板洗浄の長所を最適化する2ステップのアプローチにより、単一基板SPM洗浄と同等の洗浄効率を達成すると同時に、SPMのリサイクル・再利用を可能にし、硫酸の消費量を大幅に削減することが可能である。しかしながら、高ドーズのイオン注入で処理されたフォトレジストの湿式剥離プロセスでは、SPMの槽中温度が重要である。温度が高いとH2O2が急速に分解されたり、H2O2が急速に枯渇することがあるため、当該システムで用いるSPMは150℃までしか加熱することができない。高エネルギー・高ドーズで注入されたレジストでは、150℃のSPMではイオン注入時に形成された厚い被膜を除去できないことが明らかである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、高効率で微粒子を除去し、SPM化学薬品の消費を大幅に抑えて高エネルギー・高ドーズのイオン注入で処理されたフォトレジストや残渣を除去する方法及び装置を開示する。
【0007】
より具体的には、本発明は、DIO3とSPMを組み合わせた基板フォトレジスト湿式剥離方法及び基板フォトレジスト湿式剥離装置を開示する。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、1以上の基板をベンチモジュールにおいてSPM槽で処理した後に純水洗浄槽で処理し、その後基板を湿潤状態に保ち、その後基板をシングルモジュールの1以上の単室に搬送して残留物除去及び最終洗浄のために単一基板DIO3洗浄を行うという手順を備えている。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、1以上の基板をベンチモジュールにおいてDIO3槽で処理した後にSPM槽で処理してさらにその後純水洗浄槽で処理し、その後基板を湿潤状態に保ち、その後基板をシングルモジュールの1以上の単室に搬送して残留物除去及び最終洗浄のために単一基板洗浄を行うという手順を備えている。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、1以上の基板をベンチモジュールにおいてHF槽で処理した後にDIO3槽で処理してさらにその後SPM槽で処理してその後純水洗浄槽で処理し、その後基板を湿潤状態に保ち、その後基板をシングルモジュールの1以上の単室に搬送して残留物除去及び最終洗浄のために単一基板洗浄を行うという手順を備えている。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、1以上の基板をシングルモジュールの1以上の単室で処理して単一基板DIO3洗浄を行い、その後基板をベンチモジュールにおいてSPM槽で処理した後に純水洗浄槽で処理し、その後基板を湿潤状態に保ち、その後基板をシングルモジュールの1以上の単室に搬送して残留物除去及び最終洗浄のために単一基板洗浄を行うという手順を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】独立型ベンチSPM洗浄+独立型シングル洗浄と統合型ベンチ・シングル洗浄との洗浄性能の比較を示す図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による、ベンチDIO3-SPM 組み合わせプロセス及びその後の単一基板洗浄プロセスを、統合したシーケンスで示す図である。
図3】本発明の別の例示的な実施形態による、ベンチDIO3-SPM 組み合わせプロセス及びその後の単一基板洗浄プロセスを、統合したシーケンスで示す図である。
図4】本発明の例示的な実施形態による、ベンチSPMベースのプロセス、及び、その後のDIO3プロセスを含む単一基板洗浄プロセスを、統合したシーケンスで示す図である。
図5】本発明の別の例示的な実施形態による、ベンチSPMベースのプロセス、及び、その後のDIO3プロセスを含む単一基板洗浄プロセスを、統合したシーケンスで示す図である。
図6】本発明の例示的な実施形態による、単一基板DIO3ベースの洗浄プロセス、ベンチSPMベースのプロセス、及び、その後の単一基板洗浄プロセスを、統合したシーケンスで示す図である。
図7】本発明の別の例示的な実施形態による、単一基板DIO3ベースの洗浄プロセス、ベンチSPMベースのプロセス、及び、その後の単一基板洗浄プロセスを、統合したシーケンスで示す図である。
図8】本発明の例示的な実施形態による、基板上の粒子又はフォトレジストを除去するための装置の上面図である。
図9図8に示す装置におけるベンチモジュールの斜視図である。
図10】本発明の別の例示的な実施形態による、基板上の粒子又はフォトレジストを除去するための装置の上面図である。
図11図10に示す装置のベンチモジュールの斜視図である。
図12A】本発明の例示的な実施形態によるDIO3槽の斜視図である。
図12B】シャッターが開いた状態におけるDIO3槽の斜視図である。
図12C図12Bに示すDIO3槽の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
SPMの洗浄プロセスでは、粘性のあるSPMが洗い流しにくく、吸湿性のある硫黄(S)が基板表面に付着して吸湿し、乾燥後に粒子状の欠陥が発生して除去しにくいという課題がある。そのため、ベンチSPMプロセスの後、基板を湿潤状態でシングルプロセス室に搬送することで、基板表面が乾燥してウォーターマーク欠陥を形成したり外部環境からイオンや粒子状の汚染物質を吸着したりするのを防ぐ必要がある。
【0014】
図1に示すように、独立型ベンチSPM洗浄+独立型シングル洗浄プロセスと統合型ベンチ・シングル洗浄プロセスとの洗浄性能を明らかにするための比較テストを行った。
【0015】
テスト1: 独立型ベンチSPM洗浄+独立型シングル洗浄
a) シーケンス1:ベンチプロセス:SPM + QDR(Quick dump drain)+ Dry
具体的には、ベンチツールでベンチプロセスを行う。ベンチプロセスは、少なくとも1枚のウェハをSPMで処理するステップと、QDRでウェハを洗浄するステップと、最後にウェハを乾燥させるステップとを備えている。
b) シーケンス2:FOUPに3時間ウェハを滞在させる
c) シーケンス3:シングルプロセス:SC1 + N2 Spray SC1 + N2 Dry
【0016】
具体的には、シングルプロセスはシングルウェハ洗浄ツールで行う。シングルプロセスは、SC1でウェハを処理する工程と、気液噴霧スプレーノズル(N2Spray SC1)から加圧窒素ガスで加速して微粒化したSC1でウェハを処理する工程と、DIWでウェハを洗浄する工程と、最後にN 2 でウェハを乾燥させる工程とを備えている。
【0017】
テスト2:ベンチ・シングル統合型洗浄
ベンチ・シングル統合型洗浄のベンチプロセス:SPM + QDR
ベンチ・シングル統合型洗浄のシングルプロセス:SC1 + N2 Spray SC1 + N2 Dry
【0018】
具体的には、ベンチプロセスとシングルプロセスとをベンチ・シングル一体型洗浄ツールで実行する。ベンチ・シングル統合型洗浄プロセスは、少なくとも1枚のウェハをSPMで処理するステップと、その後ベンチ・シングル統合ツールのベンチモジュールにおいてQDRでウェハを洗浄するステップと、その後ウェハをベンチ・シングル統合ツールのシングルモジュールに搬送してシングルプロセスを実行するステップとを備えている。シングルプロセスは、SC1でウェハを処理する工程と、気液噴霧スプレーノズル(N2Spray SC1)から加圧窒素ガスで加速して微粒化したSC1でウェハを処理する工程と、DIWでウェハを洗浄する工程と、最後にN2でウェハを乾燥させる工程とを備えている。
【0019】
テスト1では、独立型ベンチSPM洗浄後の40nmパーティクルの添加量は297~331であった。その後ウェハをFOUPに3時間保管した後独立型シングルウェハ洗浄ツールで処理した結果、テスト1 で示された40nmパーティクルの添加量が117~130に減少した。また、図1に示すように、ベンチ・シングル統合型洗浄のテスト2では、40nmパーティクルの添加量が-1~-9に減少していることが確認された。 図1から、ベンチ・シングル統合型洗浄の効果は、独立型ベンチSPM洗浄+独立型シングル洗浄に比べて格段に優れていることがわかる。より良い欠陥除去性能を得るために重要なのは、ベンチSPM洗浄プロセス後の工程と、シングルウェハ洗浄プロセス後の工程との間、ウェハ表面を湿潤状態に保つことである。ウェハが乾燥すると、シングルウェハ洗浄プロセスでも欠陥を除去することが非常に困難であるからである。
【0020】
SPM洗浄プロセスでは、ベンチSPM洗浄プロセス後の工程と、シングルウェハ洗浄プロセス後の工程との間、ウェハ表面の液膜厚を一定に保つことが非常に重要である。これにより、ウェハ表面が乾燥してウォーターマーク欠陥を形成したり外部環境からイオンや粒子状の汚染物質を吸着したりするのを防ぐことができる。しかしながら、実際の応用では、ベンチ・シングル統合型洗浄システムであっても、ウェハの湿潤状態を完全に実現することは難しい。そこで、本発明は、ベンチモジュールからシングルモジュールへのウェハの搬送時の衝撃をなくすために、DIO3とSPMとを組み合わせた洗浄プロセスを開示する。さらに、SPMプロセス後にウェア表面に付着した硫黄の残渣や粒子は、SC1のみのプロセスでは除去しにくい。
【0021】
DIO3強化SPM洗浄の性能を明らかにするため、12インチベアシリコンウェハを用いたベンチ・シングル統合型洗浄ツールでのテストと、KLA-Tencor社製Surfscan SP5を用いた19nm計測法での粒子量計測を行った。表1に示すように、テスト条件は以下の通りである。
【0022】
テスト1:ベンチ・シングル統合型洗浄ツールでのベンチプロセス:SPM + Hot QDR + ベンチ・シングル統合型洗浄ツールでのシングルプロセス:SC1 + N2 Spray SC1 + N2 Dry
【0023】
テスト2:ベンチ・シングル統合型洗浄ツールでのベンチプロセス:SPM + Hot QDR + ベンチ・シングル統合型洗浄ツールでのシングルプロセス:O3+SC1+N2 Spray SC1+N2 Dry
【0024】
テスト3:ベンチ・シングル統合型洗浄ツールでのベンチプロセス:SPM + Hot QDR + ベンチ・シングル統合型洗浄ツールでのシングルプロセス:DHF+O3+SC1+N2 Spray SC1+N2 Dry
【表1】
【0025】
ベンチSPM-Hot QDR 洗浄とシングル洗浄とを一度に行うテストであり、SC1-N 2Spray SC1によるシングル洗浄プロセスの後、粒子が少し追加されている。O3-SC1-N2Spray SC1によるシングル洗浄により、粒子の除去率を向上させることができる。DHF-O3-SC1-N2Spray SC1によるシングル洗浄プロセスが最も粒子除去効率が高いことがわかった。DIO3とSPMとを組み合わせた洗浄プロセスでは、良好な洗浄効果が得られる。ここで、HFがウェハ表面に付着した粒子をアンダーカットし、さらにDIO3が、硫黄副生成物を除去し、HFプロセス後のウェハ表面を調整する。
【0026】
高線量(>1E17 ion/cm2 )かつ高エネルギー(>10 KeV)のイオン注入で照射又は処理されたフォトレジストでは、フォトレジスト内部のC-Hが乱れ、架橋してC=Cやグラファイト構造の二重結合を形成する。これらのグラファイト構造体はフォトレジスト表面に硬い被膜を形成し、シングルウェハ洗浄ツールで超高温(180 ℃以上)のSPMを用いないと除去が困難であった。しかしながら、ウエットベンチプロセスでは、H2O2の分解が速いため、SPMの槽温は150℃以下までしか上げられない。そのため、イオン注入で硬化した被膜を除去することが重要である。
【0027】
O3は非常に強い酸化剤である。DIO3プロセスは C=C二重結合を直接酸化するため、この反応中にレジストが薄くなる。アルケンのオゾン分解を例にとると、オゾンがC=C二重結合を攻撃して、非常に不安定なモロゾニド中間体を形成する。この不安定な性質により、モロゾニドは反応を続け、分解してカルボニル分子とカルボニルオキシド分子を形成する。第1工程で生成したカルボニル分子とカルボニルオキシド分子が再配列し、より安定なオゾニド中間体が生成する。このオゾニド中間体は、酸化的工程、還元的工程のいずれにもかけることができる。酸化反応によりカルボン酸が生成され、還元反応によりアルデヒド又はケトンが生成される。
【0028】
DIO3で処理された被膜は、150℃以下のSPMで残存する副生成物を除去する。
【0029】
そこで、粒子やフォトレジストを除去するため、特に中ドーズ又は高ドーズのイオン注入で処理されたフォトレジストを除去するため、本発明は、DIO3とSPMとを1つの洗浄シーケンスで組み合わせる複数の方法を開示する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、ベンチDIO3-SPM 組み合わせプロセスとその後のシングル洗浄プロセスとを統合したシーケンスで構成される。当該方法は、
DIO3槽に収容されたDIO3溶液に1以上の基板を搬送する工程と、
基板がDIO3槽で処理された後、DIO3槽から基板を取り出してSPM槽に収容されたSPM溶液に搬送する工程と、
基板がSPM槽で処理された後、SPM槽から基板を取り出して洗浄する工程と、
基板を1以上の単室に搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程と、を備えている。
【0031】
より具体的には、図2に示すように、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のベンチモジュールにおいて、ベンチDIO3-SPM 組み合わせプロセスが実行される。 ベンチDIO3-SPM 組み合わせプロセスは、
DIO3槽に収容されたDIO3溶液に1以上の基板を搬送する工程(ここで、DIO3は、C=C二重結合の酸化やフォトレジスト被膜の軟化等、その後のフォトレジスト剥離プロセスを容易にするための前処理に使用される。)と、
基板がDIO3槽で処理された後、DIO3槽から基板を取り出してSPM剥離プロセスを実行するためにSPM槽に収容されたSPM溶液に搬送する工程(ここで、SPMは、強力な化学反応によって、軟化したフォトレジスト被膜とバルクレジストとを除去するために使用される。)と、
基板がSPM槽で処理された後、SPM槽から基板を取り出してDIW槽に搬送して洗浄する工程と、を備えている。
【0032】
硫黄系混合液は、SPMの洗浄プロセスで強力な剥離剤として作用する。剥離メカニズムは2タイプあることが広く受け入れられている。1つ目は、硫酸によって有機物の炭化と脱水とが起こり、レジストがまずアンダーカットされ、次に基板から浮き上がることである。2つ目は、酸化メカニズムであり、硫酸と過酸化水素が混ざるとカロ酸(H2SO5)となり、レジストの炭化物を非常に強い酸化剤であるCOとCO2に酸化する。
【0033】
SPM洗浄プロセスでの反応は、以下のとおりである。
H2SO4 + H2O2 → HO-(SO2) -O -OH + H2O
HO -(SO2) -O -OH + -(CH2)n → CO2 + H2O
【0034】
高ドーズのイオン注入で処理されたフォトレジストを除去するためには、SPM槽中の温度が重要である。温度が高いとH2O2が急速に分解されたり、H2O2が急速に枯渇することがある。そのため、ベンチモジュールで用いるSPMは150℃までしか加熱することができない。高エネルギー・高ドーズで注入されたレジストでは、150℃のSPMではイオン注入時に形成された厚い被膜を除去できないことが明らかである。
【0035】
そこで、本発明は、SPM(<150℃)プロセスの前にDIO3(オゾン化DIW)プロセスを追加する方法を開示する。O3は非常に強い酸化剤であり、C=C二重結合を直接酸化することができるため、高エネルギー・高ドーズのイオン注入時に形成されるレジストの厚い被膜をこの反応時に軟化させることができる。レジストの被膜を軟化させた後、下層のレジストを150℃以下のSPMで除去することができる。
【0036】
一実施形態において、SPM溶液はH2SO4とH2O2との混合液であり、H2SO4とH2O2との混合比は3:1-50:1であり、混合液の温度は80℃~150℃である。
【0037】
一実施形態において、DIW槽の洗浄工程は、QDR(Quick dump drain)及びオーバーフロー洗浄を備えている。
【0038】
一実施形態において、DIO3槽中のDIO3溶液のオゾン濃度は、30ppm~120ppmである。
【0039】
一実施形態において、DIO3槽に供給するDIO3溶液の流量は、10LPM~30LPMである。
【0040】
一実施形態において、DIO3槽に1以上の基板を搬送する前、DIO3槽中の液体はDIWである。DIO3酸化工程は、
ステップ1: DIO3槽のシャッターを開けて基板をDIO3槽のDIWに搬送し、オゾンガスの漏洩を防ぐためにDIO3槽のシャッターを閉じる(基板をDIO3槽に搬送する前、DIO3槽中の液体はDIWである。)
ステップ2: DIO3槽の底部からオゾン化DIWをオーバーフローさせ、DIO 3槽のDIWと入れ替える。
ステップ3: DIO3槽がオゾン化DIWで満たされた後、オゾン化DIWを算出時間(一実施形態では5~15分間、より好ましくは10分間)オーバーフローさせる。
ステップ4: オゾン化DIWを素早く排出する。
ステップ5: DIO3槽を純DIWで満たす。
ステップ6: DIO3槽のシャッターを開けて基板をDIO3槽から取り出す。
【0041】
ステップ3では、オゾン破壊の半減期を考慮し、かつ、オゾン濃度を一定に保つため、DIO3の供給流量をDIO3槽を満たすような十分な量とし、プロセス中にオゾン濃度が大きく下がらないようにする。よく知られているように、オゾン化したDIWは急速に減衰し、25℃、pH7.0での半減期は通常約15分である。オゾン破壊の半減期をいかに補正し、オゾン濃度を一定に保つかが重要である。強力な酸化力を確保するには、処理中のDIO3濃度の減少をD=10ppm以下に抑え、オゾン分解速度、オゾン化DIWの供給流量、最適なDIO3処理時間を十分に考慮した処理が必要である。
【0042】
tはDIO3の半減期、CはDIO3の目標濃度、VはDIO3槽の容積として、平均オゾン分解率は下記式1で推定できる(瞬間的なオゾン分解率は変化し、高濃度ほど大きく、低濃度ほど小さい)。オゾン化DIWの供給流量はr=V/(D/d)である。DIO3の処理時間は、5~15分間、より好ましくは10分間である。
[式1]
【0043】
一実施形態において、DIO3槽中のDIO3溶液のオゾン濃度は90ppm、DIO3の半減期は15min、DIO3槽の容積は50L、平均オゾン分解速度はd=0.5*90/15=3ppm/min、DIW供給流量はr=50/(10/3)=15LPMである。平均的なオゾン分解速度を計算に用いることを考慮すると、実用上は2r=30LPMとするのが好ましい。
【0044】
本発明によると、DIO3槽は、オゾン化DIWと純DIWとを一つの槽に組み合わせ、DIO3工程とDIW洗浄工程とを1つの槽で行うことができる。これにより、DIO3液から排出されるオゾンガスによる環境問題を解決する。オゾンは、刺激臭があり、健康に害を及ぼす可能性のある有毒ガスである。
【0045】
基板を DIW槽で洗浄した後、基板を統合型ベンチ・シングル洗浄装置のベンチモジュールの1以上の単室に搬送する前に、基板を湿潤状態に保つ。より具体的には、基板を湿潤バッファ領域に搬送して湿潤状態に保つ。
【0046】
引き続き、図2を参照されたい。本発明の一実施形態において、単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。1つの単室での単一基板洗浄・乾燥処理は、
HF製剤の溶液を基板表面に噴霧し、表面エッチング処理を行う工程と、
DIO3を基板表面に噴霧し、DIO3の酸化処理を行う工程と、
SC1を基板表面に噴霧し、粒子除去処理を行う工程と、
基板表面にDIWを噴霧し、DIW洗浄処理を行う工程と、
基板を乾燥させる工程と、を備えている。
【0047】
単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1を用いた粒子除去処理の後、金属除去処理を行うためにSC2を基板表面に噴霧する工程をさらに含んでよい。
【0048】
本発明の別の実施形態において、1つの単室での単一基板洗浄・乾燥処理は、
DIO3を基板表面に噴霧し、DIO3の酸化処理を行う工程と、
SC1を基板表面に噴霧し、粒子除去処理を行う工程と、
基板表面にDIWを噴霧し、DIW洗浄処理を行う工程と、
基板を乾燥させる工程と、を備えている。
【0049】
単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1を用いた粒子除去処理の後、金属除去処理を行うためにSC2を基板表面に噴霧する工程をさらに含んでよい。
【0050】
本発明のさらに別の実施形態において、1つの単室での単一基板洗浄・乾燥処理は、
HF製剤の溶液を基板表面に噴霧し、表面エッチング処理を行う工程と、
DIO3を基板表面に噴霧し、DIO3の酸化処理を行う工程と、
基板表面にDIWを噴霧し、DIW洗浄処理を行う工程と、
基板を乾燥させる工程と、を備えている。
【0051】
単一基板洗浄・乾燥処理は、DIO3の酸化処理を行う工程の後、金属除去処理を行うためにSC2を基板表面に噴霧する工程をさらに含んでよい。
【0052】
本発明のさらに別の実施形態において、1つの単室での単一基板洗浄・乾燥処理は、
SC1を基板表面に噴霧し、粒子除去処理を行う工程と、
基板表面にDIWを噴霧し、DIW洗浄処理を行う工程と、
基板を乾燥させる工程と、を備えている。
【0053】
単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1を用いた粒子除去処理の後、金属除去処理を行うためにSC2を基板表面に噴霧する工程をさらに含んでよい。
【0054】
図3に示すように、本発明の別の実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、ベンチDIO3-SPM 組み合わせプロセスとその後のシングル洗浄プロセスとを統合したシーケンスで構成される。図3に示す方法は、DIO3槽に基板を搬送する工程の前に、HF製剤槽に収容されたHF製剤溶液に基板を搬送してHF製剤浸漬を行う工程をさらに備えた点において、図2に示す方法と相違している。
【0055】
一実施形態において、HF製剤溶液はHFとDIWとの混合物であり、HFとDIWとの混合比は100:1-1000:1である。
【0056】
一実施形態において、HF製剤溶液はBOE混合物である。BOE混合物のHF重量パーセントは0.05%~10%であり、BOE混合物のNH4F重量パーセントは10%~40%である。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、ベンチSPMベースのプロセスとその後のDIO3ベースのシングル洗浄プロセスとを統合したシーケンスで構成される。当該方法は、
SPM槽に収容されたSPM溶液に1以上の基板を搬送する工程と、
基板がSPM槽で処理された後、SPM槽から基板を取り出して洗浄する工程と、
基板を1以上の単室に搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程と、を備えている。当該単一基板洗浄・乾燥処理は、少なくとも1つのDIO3酸化工程を含む。
【0058】
DIO3を使用する目的は、SPM処理後の硫黄残渣と、前のベンチモジュールでのSPM処理で除去しきれなかったフォトレジストの残渣を除去するためである。DIO3のオゾン濃度は、30ppm~120ppm、好ましくは80ppmである。
【0059】
より具体的には、図4に示すように、ベンチSPMベースのプロセスは、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のベンチモジュールで実行される。ベンチSPMベースのプロセスは、
SPM槽に収容されたSPM溶液に基板を搬送してSPM剥離プロセスを実行する工程(ここで、SPMは、ベンチモジュールで濃硫酸と強力な化学反応をし、軟化したフォトレジスト被膜とバルクレジストとを除去するために使用される。)と、
基板がSPM槽で処理された後、SPM槽から基板を取り出してDIW槽に搬送して洗浄する工程と、を備えている。
【0060】
一実施形態において、SPM溶液はH2SO4とH2O2との混合液であり、H2SO4とH2O2との混合比は3:1-50:1であり、混合液の温度は80℃~150℃である。
【0061】
一実施形態において、DIW槽の洗浄工程は、QDR(Quick dump drain)及びオーバーフロー洗浄を備えている。
【0062】
基板を DIW槽で洗浄した後、基板を統合型ベンチ・シングル洗浄装置のベンチモジュールの1以上の単室に搬送する前に、基板を湿潤状態に保つ。より具体的には、基板を湿潤バッファ領域に搬送して湿潤状態に保つ。
【0063】
引き続き、図4を参照されたい。本発明の一実施形態において、DIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。1つの単室でのDIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、
HF製剤の溶液を基板表面に噴霧し、表面エッチング処理を行う工程と、
DIO3を基板表面に噴霧し、DIO3の酸化処理を行う工程と、
SC1を基板表面に噴霧し、粒子除去処理を行う工程と、
基板表面にDIWを噴霧し、DIW洗浄処理を行う工程と、
基板を乾燥させる工程と、を備えている。
【0064】
単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1を用いた粒子除去処理の後、金属除去処理を行うためにSC2を基板表面に噴霧する工程をさらに含んでよい。
【0065】
本発明の別の実施形態において、DIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。1つの単室でのDIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、
DIO3を基板表面に噴霧し、DIO3の酸化処理を行う工程と、
SC1を基板表面に噴霧し、粒子除去処理を行う工程と、
基板表面にDIWを噴霧し、DIW洗浄処理を行う工程と、
基板を乾燥させる工程と、を備えている。
【0066】
単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1を用いた粒子除去処理の後、金属除去処理を行うためにSC2を基板表面に噴霧する工程をさらに含んでよい。
【0067】
本発明のさらに別の実施形態において、DIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。1つの単室でのDIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、
HF製剤の溶液を基板表面に噴霧し、表面エッチング処理を行う工程と、
DIO3を基板表面に噴霧し、DIO3の酸化処理を行う工程と、
基板表面にDIWを噴霧し、DIW洗浄処理を行う工程と、
基板を乾燥させる工程と、を備えている。
【0068】
単一基板洗浄・乾燥処理は、DIO3の酸化処理を行う工程の後、金属除去処理を行うためにSC2を基板表面に噴霧する工程をさらに含んでよい。
【0069】
図5に示すように、本発明の別の実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、ベンチDIO3-SPM 組み合わせプロセスとその後のシングル洗浄プロセスとを統合したシーケンスで構成される。図5に示す法は、SPM槽に基板を搬送する工程の前に、HF製剤槽に収容されたHF製剤溶液に基板を搬送してHF製剤浸漬を行う工程をさらに備えた点において、図4に示す方法と相違している。具体的には、HF製剤槽に収容されたHF製剤溶液に基板を搬送してHF製剤槽で基板を処理した後、HF製剤槽から基板を取り出して洗浄し、その後SPM槽に基板を搬送する。HF製剤溶液は、フォトレジストに作用し、基板の側壁からSi含有ポリマー及びフルオロカーボンポリマーを除去することができ、その後のSPMによるフォトレジスト除去に有益であろう。
【0070】
一実施形態において、HF製剤溶液はHFとDIWとの混合物であり、HFとDIWとの混合比は100:1-1000:1である。
【0071】
一実施形態において、HF製剤溶液はBOE混合物である。BOE混合物のHF重量パーセントは0.05%~10%であり、BOE混合物のNH4F重量パーセントは10%~40%である。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、フォトレジストに作用してフォトレジストを薄膜化するためのDIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理と、その後のベンチSPMベースのプロセスと、最後の単一基板洗浄・乾燥処理とを統合したシーケンスで構成される。当該方法は、
基板を1以上の単室に搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程(当該単一基板洗浄・乾燥処理は、少なくとも1つのDIO3酸化工程を含む。)と、
基板が単室で処理された後、SPM槽に収容されたSPM溶液に基板を搬送する工程と、
基板がSPM槽で処理された後、SPM槽から基板を取り出して洗浄する工程と、
基板を1以上の単室に搬送して単一基板洗浄・乾燥処理を行う工程と、を備えている。
【0073】
より具体的には、図6に示すように、ベンチSPMベースのプロセスの前のDIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。DIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、HF製剤表面エッチング工程と、DIO3酸化工程と、DIW洗浄工程と、乾燥工程とを備えている。
【0074】
一実施形態において、ベンチSPMベースのプロセスの前のDIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。DIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理は、DIO3酸化工程と、DIW洗浄工程と、乾燥工程とを備えている。
【0075】
一実施形態において、ベンチSPMベースのプロセスは、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のベンチモジュールで行われる。ベンチSPMベースのプロセスは、SPM剥離工程と、DIW洗浄工程とを備えている。
【0076】
ベンチモジュールでDIW洗浄工程を行った後、基板を1以上の単室に搬送する前に、基板を湿潤状態に保つ。より具体的には、基板を湿潤バッファ領域に搬送して湿潤状態に保つ。
【0077】
図2に示す方法と同様に、一実施形態において、ベンチSPMベースのプロセスの後の単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。単一基板洗浄・乾燥処理は、HF製剤表面エッチング工程と、DIO3酸化工程と、SC1粒子除去工程と、DIW洗浄工程と、乾燥工程とを備えている。単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1粒子除去工程の後、SC2金属除去工程をさらに含んでよい。
【0078】
別の実施形態において、ベンチSPMベースのプロセスの後の単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。単一基板洗浄・乾燥処理は、DIO3酸化工程と、SC1粒子除去工程と、DIW洗浄工程と、乾燥工程とを備えている。単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1粒子除去工程の後、SC2金属除去工程をさらに含んでよい。
【0079】
さらに別の実施形態において、ベンチSPMベースのプロセスの後の単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。単一基板洗浄・乾燥処理は、HF製剤表面エッチング工程と、DIO3酸化工程と、DIW洗浄工程と、乾燥工程とを備えている。単一基板洗浄・乾燥処理は、DIO3酸化工程の後、SC2金属除去工程をさらに含んでよい。
【0080】
さらに別の実施形態において、ベンチSPMベースのプロセスの後の単一基板洗浄・乾燥処理は、統合型ベンチ・シングル洗浄装置のシングルモジュールの1つの単室で行われる。単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1粒子除去工程と、DIW洗浄工程と、乾燥工程とを備えている。単一基板洗浄・乾燥処理は、SC1粒子除去工程の後、SC2金属除去工程をさらに含んでよい。
【0081】
図7に示すように、本発明の別の実施形態によれば、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する方法は、フォトレジストに作用してフォトレジストを薄膜化するためのDIO3ベースの単一基板洗浄・乾燥処理と、その後のベンチSPMベースのプロセスと、最後の単一基板洗浄・乾燥処理とを統合したシーケンスで構成される。図7に示す法は、SPM剥離工程の前に、HF製剤浸漬工程をさらに備えた点において、図6に示す方法と相違している。
【0082】
本発明における上述の実施形態の全てにおいて、DIO3はDIWに溶存するオゾンである。SC1は、水酸化アンモニウムと過酸化水素とを脱イオン水に溶かしたものであり、「スタンダードクリーン-1」とも呼ばれている。SC2は、塩酸と過酸化水素とを脱イオン水に溶かしたものであり、「スタンダードクリーン2」とも呼ばれている。
【0083】
単室では2つの化学工程の間に1つのDIW洗浄工程を挿入できる点を認識されたい。例えば、DIO3酸化工程とSC1粒子除去工程との間に、1つのDIW洗浄工程を挿入できる。
【0084】
本発明は、基板上の粒子又はフォトレジストを除去する装置を開示する。当該装置は、1以上の基板のベンチ洗浄処理を行うように構成されたベンチモジュールと、単一基板洗浄・乾燥処理を行うように構成された複数の単室を有するシングルモジュールと、ベンチモジュールとシングルモジュールとの間で基板を搬送するように構成されたプロセスロボットと、を備え、ベンチモジュールは、基板を処理するためのDIO3溶液を収容するように構成された少なくとも1つのDIO3槽と、基板を処理するためのSPM溶液を収容するように構成された少なくとも1つのSPM槽と、基板を洗浄するためのDIWを収容するように構成された少なくとも1つのDIW槽と、DIO3槽、SPM槽及びDIW槽の間で基板を搬送するように構成された少なくとも1つの第2基板搬送ロボットと、を有する。
【0085】
より具体的には、図8及び図9に、本発明の例示的な一実施形態に係る基板上の粒子又はフォトレジストを除去するための装置が示されている。当該装置は、それぞれFOUPを受ける複数の(例えば4つの)ロードポート81と、インデックスロボット82と、バッファ88と、ベンチモジュール83と、プロセスロボット84と、複数の単室851を有するシングルモジュール85と、を含む。
【0086】
ベンチモジュール83は、基板ローダ8301と、洗浄槽8302と、第1HF製剤槽8303と、第2HF製剤槽8304と、第1DIO3槽8305と、第2DIO3槽8306と、SPM槽8307と、第1DIW槽8308と, 湿潤バッファ領域8310と、第1基板搬送ロボット8313と、第2基板搬送ロボット8314と、第3基板搬送ロボット8315と、第1リフター8311と、第2リフター8312と、第3リフター8316と、第4リフター8317と、第5リフター8318とを備えている。
【0087】
当該装置を基板上の粒子又はフォトレジストを除去するために使用するときの工程は、以下の通りである。
【0088】
インデックスロボット82は、1つのFOUPから1以上の基板を取得し、1又は複数回に分けて基板ローダ8301に搬送する。基板ローダ8301は、1以上の基板を保持して、当該基板を水平軸に沿って90度回転させ、さらに垂直軸に沿って90度回転させて、当該基板が基板ローダ8301に垂直方向に保持されるようにする。
【0089】
第1基板搬送ロボット8313は、基板ローダ8301から1以上(例えば13枚又は12枚)の基板を取得し、第1リフター8311に搬送する。第1リフター8311は、1以上の基板を保持し、第1HF製剤槽8303に収容されたHF製剤溶液に1枚以上の基板を浸漬させる。第1基板搬送ロボット8313は、基板ローダ8301から1以上(例えば13枚又は12枚)の基板を取得し、第1リフター8312に搬送する。第2リフター8312は、1以上の基板を保持し、第2HF製剤槽8304に収容されたHF製剤溶液に1以上の基板を浸漬させる。
【0090】
第1HF製剤槽8303での処理又は第2HF製剤槽8304での処理が終了すると、第2基板搬送ロボット8314が、第1HF製剤槽8303から1以上の基板を取得して第1DIO3槽88305に搬送し、或いは、第2基板搬送ロボット8314が、第2HF製剤槽8304から1以上の基板を取得して第2DIO3槽8306に搬送する。基板表面に形成されるウォーターマークのリスクを低減するため、搬送時間を、20秒以下に制御することが好ましく、より好ましくは10秒以下に制御する。第1リフター8311及び第2リフター8312は、それぞれ、第1HF製剤槽8303及び第2HF製剤槽8304の上方に位置するように上昇する。本実施形態において、第1HF製剤槽8303と、第2HF製剤槽8304と、第1DIO3槽88305と、第2DIO3槽8306とは、2列に配置されている。各列が、1つのHF製剤槽と、1つの隣接するDIO3槽とを含む。
【0091】
第1DIO3槽8305での処理又は第2DIO3槽8306での処理が終了すると、第2基板搬送ロボット8314が、第1DIO3槽8305又は第2DIO3槽8306から1以上の基板を取り出して第3リフター8316に搬送する。第3リフター8316は、1以上の基板を保持し、SPM槽8307に収容されたSPM溶液に1以上の基板を浸漬させる。
【0092】
SPM槽8307での処理が終了すると、第3基板搬送ロボット8316が、SPM槽8307の上方に位置するように上昇し、第2基板搬送ロボット8314が、第3リフター8316から1以上の基板を取得して第4リフター8317又は第5リフター8318に当該基板を搬送する。第4リフター8317又は第5リフター8318は、1以上の基板を第1DIW槽8308又は第2DIW槽8309に搬送してQDR(Quick dump drain)又はオーバーフロー洗浄工程を実行させる。
【0093】
第1DIW槽8308又は第2DIW槽8309で1以上の基板が処理された後、第4リフター8317又は第5リフター8318が、第1DIW槽8308又は第2DIW槽8309の上方に位置するように上昇し、第3基板搬送ロボット8315が、第4リフター8317又は第5リフター8318から1以上の基板を取得し、当該基板を1又は複数回に分けて湿潤バッファ領域8310に搬送する。湿潤バッファ領域8310において、1以上の基板は、シングルモジュール85の1以上の単室851に搬送される前に、垂直から水平に回転され、湿潤状態が保たれる。この待機期間の間、湿潤バッファ領域8310内の基板に純水を噴霧することで、基板表面を湿潤状態に保つことができる。
【0094】
プロセスロボット84は、湿潤バッファ領域8310から1以上の基板を取得し、当該基板を1以上の単室851に搬送して、単一基板洗浄・乾燥処理を実行する。
【0095】
1つの単室851で単一基板洗浄・乾燥工程が完了すると、プロセスロボット84が単室851から基板を取得してバッファ88に搬送し、次にインデックスロボット82がバッファ88から基板を取得してFOUPに搬送し直す。
【0096】
ベンチモジュール83において、洗浄槽8302は、第2基板搬送ロボット8314がアイドル状態のときに、第2基板搬送ロボット8314の洗浄に使用される。
【0097】
図10及び図11に、本発明の別の例示的な実施形態に係る基板上の粒子又はフォトレジストを除去する装置が示されている。当該装置は、それぞれFOUPを受ける複数の(例えば4つの)ロードポート101と、インデックスロボット102と、バッファ108と、ベンチモジュール103と、プロセスロボット104と、複数の単室10501を有するシングルモジュール105と、を含む。
【0098】
ベンチモジュール103は、基板ローダ10301と、洗浄槽10302と、HF製剤槽10303と、第1DIO3槽10304と、第2DIO3槽10305と、SPM槽10306と、第1DIW槽10307と、第2DIW槽10308と、湿潤バッファ領域10309と、第1基板搬送ロボット10310と、第2基板搬送ロボット10311と、第3基板搬送ロボット10312と、第1リフター10313と、第3リフター10314と、第4リフター10315と、第5リフター10316とを備えている。
【0099】
図8及び図9の装置と比較すると、本実施形態に係る装置は、HF製剤槽10303を1つ有し、HF製剤槽10303は、第1DIO3槽10304と第2DIO3槽10305との間に配置されている。図8及び図9の装置と比較すると、本実施形態に係る装置は、第2HF製剤槽が欠如しており、それに伴い、第2リフターが欠如している。基板搬送シーケンスは、図8及び図9に示す実施形態のものと同様であり、説明を省略する。
【0100】
図12A図12Cに、本発明の例示的な実施形態によるDIO3槽が示されている。DIO3槽は、外槽121と、内槽122と、2つのオーバーフロー溝123と、シャッター124と、駆動装置125とを有する。
【0101】
外槽121の底面には、2つの排気口1211が設けられている。外槽121の2つの排気口1211には、それぞれ、排気ライン128が接続されている。2つの排気ライン128には、圧力モニター及び圧力ダンパー129がそれぞれ設けられている。外槽121の材料として、PVCを選択できる。
【0102】
内槽122は、外槽121内に設けられ、DIO3溶液を収容するように構成されている。内槽122は、1つ以上の基板を支持し保持するように構成された基板保持台座1221を有する。内槽122に、2つの液体流入管1222が設けられている。各液体流入管1222は、内槽122に液体を供給するように構成されている。内槽122の下部に、排出穴1223が設けられている。排出穴1223は、内槽122内の液体をDIO3槽の外部へ排出するように構成されている。排出穴1223は、好ましくは、クイックドレンポートである。内槽122は、高純度の石英材料からなる。
【0103】
2つのオーバーフロー溝123は、内槽122の両側に設けられている。各オーバーフロー溝123は、2つの排出穴1231を有する。各排出穴1231は、オーバーフロー溝123内の液体をDIO3槽の外部へ排出するように構成されている。
【0104】
シャッター124は、外槽121に設けられており、外槽121を密閉する。シャッター124は、シャッター124の上側に設けられた少なくとも1つのガス吸気口1241と、シャッター124の下側に設けられた複数の排気孔1242と、を備えている。駆動装置125は、シャッター124に接続され、シャッター124を開放又は閉鎖するように構成されている。
【0105】
密閉性を高めるために、外槽121の上部にシールリング126が設けられることが好ましい。シャッター124が閉鎖しているときにシャッター124をロックする少なくとも一対のロック装置が外槽に設けられている。一対のロック装置は、それぞれ、ロックヘッド1271と、ロックヘッド1271に接続されてロックヘッド1271を回転及び上昇・下降するように駆動するアクチュエータ1272と、を有する。アクチュエータ1272は、シャッター124が閉じられた後、ロックヘッド1271がシャッター124の上方に位置するようにロックヘッド1271を回転駆動し、その後ロックヘッド1271がシャッター124をロックするようにロックヘッド1271を下降駆動する。シャッター124を開く必要がある場合、アクチュエータ1272は、ロックヘッド1271が上昇するようにロックヘッド1271を駆動し、その後ロックヘッド1271がシャッター124から離れるようにロックヘッド1271を回転させる。これにより、シャッター124を開くことができる。
【0106】
プロセス中、1以上の基板がDIO3槽に搬送されて基板保持台座1221によって保持されると、シャッター124が閉じられる。これにより、DIO3槽が密閉され、オゾンガスが周囲に漏れ出ないようにすることができる。オゾンは、刺激臭があり、健康に害を及ぼす可能性のある有毒ガスである。安全を守るため、DIO3槽をいかに密閉し、周囲のオゾン濃度を非常に低く保てるかが、課題であり、重要である。
【0107】
本実施形態において、内槽122は、DIO3を収容するために用いられる。2つのオーバーフロー溝123は、DIO3のオーバーフロー領域として用いられる。外槽121は、ガスを排出するために用いられる。内槽122の上面と外槽121の上面との間には隙間があり、ガスを排出するための面積を十分に確保することができ、外槽121からオゾンガスが漏れることを防止できる。さらに、本発明は、オゾンガス漏洩防止構造も開示している。具体的には、シャッター124の上側に設けられた少なくとも1つのガス吸気口1241と、シャッター124の下側に設けられた複数の排気孔1242とを介して、N2又はCDA等のパージガスが外槽121に供給される。パージガスは、外槽121内に供給され、オゾンガスが周囲に漏れないようにするためのガスキャリアとして機能する。一方、外槽121の排気圧力を制御してガスの吸入と出力のバランスをとることが重要であり、これは圧力モニター及び圧力ダンパー129で実現できる。
【0108】
以上、本発明について説明したが、これは説明の便宜のためである。本発明は、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図したものではなく、明らかに多くの修正および変形が、上記の教示に照らして可能である。当業者に明らかなこのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
【国際調査報告】