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特表2023-529304埋植式筋肉インターフェース用のシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】埋植式筋肉インターフェース用のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/389 20210101AFI20230703BHJP
   A61F 2/72 20060101ALI20230703BHJP
   A61B 5/296 20210101ALI20230703BHJP
【FI】
A61B5/389
A61F2/72
A61B5/296
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572510
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 US2021034095
(87)【国際公開番号】W WO2021242775
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/030,778
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】398076227
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】グラス コナー
(72)【発明者】
【氏名】タコル ニティシュ ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】トゥファハ サミ
(72)【発明者】
【氏名】ロー アレクシス
【テーマコード(参考)】
4C097
4C127
【Fターム(参考)】
4C097BB02
4C097BB03
4C097BB07
4C097TA01
4C097TA05
4C097TA10
4C097TB11
4C127AA04
4C127DD07
4C127JJ03
4C127LL13
(57)【要約】
随意的な肢運動を表す神経信号の制御下で運動単位から生じた筋電記録(EMG)信号をそれぞれ捕捉および増幅する第一の複数のセンサーおよび第二の複数の増幅器と、第一の複数のセンサーに接続された、運動単位の運動を表す運動信号を弁別する復号信号を生じさせる外部復号器に信号を無線で伝送するトランシーバーデバイスとを含む、EMG信号が生じる筋肉を少なくとも部分的に囲む基板;ならびに、外部システムと相互作用するために復号信号を使用する受信器デバイスを含む、埋植式筋肉インターフェースデバイスを含む埋植式ヒューマン-マシンインタフェース用システムを開示する。本システムは、下にある組織と内部の感覚性軸索とに感覚フィードバックおよびニューロモデュレーションの目的で電気刺激を伝える第一の複数の電極と第二の埋植式電源とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
随意的な肢運動を表す神経信号の制御下で運動単位から生じた筋電記録(EMG)信号をそれぞれ捕捉および増幅する第一の複数のセンサーおよび第二の複数の増幅器と、
該第一の複数のセンサーに電気的に接続された、該運動単位の運動を表す運動信号を弁別する復号信号を生じさせる外部復号器に信号を無線で伝送する無線トランシーバーデバイスと
を含む、該EMG信号が生じる筋肉を少なくとも部分的に囲む基板;ならびに、
外部システムと相互作用するために該復号信号を使用する受信器デバイス
を含む、埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項2】
基板が、可撓性、延伸可能、剛性、または半剛性である、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項3】
受信器デバイスが、増幅コンポーネント、フィルタリングコンポーネント、無線通信コンポーネント、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項4】
基板と、第一の複数のセンサーと、第二の複数の増幅器と、無線トランシーバーデバイスとが、単一の気密封止容器またはカプセル化コーティング内に封入されている、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項5】
第一の複数のセンサーと、第二の複数の増幅器と、無線トランシーバーデバイスとに給電する電源をさらに含む、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項6】
基板と、第一の複数のセンサーと、第二の複数の増幅器と、無線トランシーバーデバイスと、電源とが、単一の気密封止容器またはカプセル化コーティング内に封入されている、請求項5記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項7】
第一の複数のセンサーと、第二の複数の増幅器と、無線トランシーバーデバイスとが、電磁式、超音波式、圧電式、または光学式の電源によって外部から給電される、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項8】
無線トランシーバーデバイスによって伝送される信号が、第一の複数のセンサーからの複数のチャネルから多重化されるアナログ信号であるか、もしくは、該第一の複数のセンサーからの複数のチャネルから多重化されアナログ‐デジタル変換器でデジタル化されるアナログ信号であるか、または、安全な通信のために暗号化された信号である、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項9】
基板が、ポリマー、パリレンポリイミド、プラスチック、ゴム、シリコーン、ポリマー繊維、絹フィブロイン、3Dプリント用ポリマー、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、金属、ヒドロゲル、または無細胞足場を含む生体適合性材料で組成されている、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項10】
生体適合性の金属;導電性ポリマー;ファイバー、ナノチューブ、およびグラフェンを含む導電性の炭素系材料;金、白金、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、またはそれらの組み合わせを含む、導電性の電極と導電性のトレースとがその中に沈着または包埋された、生体適合性ポリマー
で基板が組成されている、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項11】
外部システムが、義肢、装具、外骨格、コンピューター、家庭用電気器具、リモートコントローラー、ゲーム用デバイス、モバイルコンピューティングデバイス、音響デバイス、拡張現実システム、仮想現実システム、または人間拡張/強化デバイスを含む、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項12】
変化なし、血管柄あり‐神経支配あり、血管柄あり‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配ありの筋肉を含む、さまざまな生物学的状態にある筋肉、または、
自家移植片、異種移植片、同種移植片、同系移植片、細胞培養物、もしくは合成代替物を含む筋肉移植片
を含む標的組織と適合する、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項13】
基板が、下にある感覚性軸索に電気刺激または超音波刺激を義肢または外骨格からの感覚フィードバックのために提供する第一の複数の電極または超音波トランスデューサーを含む、請求項1記載の埋植式筋肉インターフェースシステム。
【請求項14】
以下の段階を含む、埋植式筋肉インターフェースデバイスを用いて外部デバイスを制御する方法:
下にある筋肉の興奮または収縮を表す筋電記録(EMG)信号を検出する1つまたは複数のセンサーであって、該下にある筋肉を少なくとも部分的に囲む基板内に沈着または包埋されている1つまたは複数のセンサーから、信号を得る段階;
埋植されたトランシーバーによって該EMG信号を無線で伝送する増幅およびフィルター用エレクトロニクスで該EMG信号を検出する段階;
埋植されたトランシーバーによって該EMG信号を無線で伝送する段階;
外部受信器によって該EMG信号を無線で受信する段階;
該EMG信号を離散的な制御信号に変換する復号アルゴリズムを用いて、検出された該EMG信号を復号する段階;ならびに
該制御信号をユーザーの意図と相関させる機械学習アルゴリズムに基づいてデバイスを操作するために、分離された該制御信号を用いる段階。
【請求項15】
基板が、ポリマー、プラスチック、ゴム、シリコーン、ポリマー繊維、絹フィブロイン、3Dプリント用ポリマー、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、金属、ヒドロゲル、または無細胞足場を含む生体適合性材料で組成されている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
生体適合性の金属;導電性ポリマー;ファイバー、ナノチューブ、およびグラフェンを含む導電性の炭素系材料;金、白金、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、またはそれらの組み合わせを含む、導電性の電極と導電性のトレースとがその中に沈着または包埋された、生体適合性ポリマー
で基板が組成されている、請求項14記載の方法。
【請求項17】
外部デバイスが、義肢、装具、外骨格、コンピューター、家庭用電気器具、リモートコントローラー、ゲーム用デバイス、モバイルコンピューティングデバイス、音響デバイス、拡張現実システム、仮想現実システム、または人間拡張/強化デバイスを含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
埋植式筋肉インターフェースデバイスが、
変化なし、血管柄あり‐神経支配あり、血管柄あり‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配ありの筋肉を含む、さまざまな生物学的状態にある筋肉、または、
自家移植片、異種移植片、同種移植片、同系移植片、細胞培養物、もしくは合成代替物を含む筋肉移植片
を含む標的組織と適合する、請求項14記載の方法。
【請求項19】
以下の段階を含む、埋植式筋肉インターフェースデバイスを装着する方法:
埋植部位を準備する段階;ならびに
下にある筋肉の運動を表す筋電記録(EMG)信号を検出する1つまたは複数のセンサーを含む基板であって、該下にある筋肉を少なくとも部分的に囲む基板を、該埋植部位に固定する段階。
【請求項20】
埋植部位を準備する段階が、下にある筋肉の少なくとも筋肉セグメントを、灌流を提供する血管に取り付けられたままで、周囲組織から挙上すること;該少なくとも筋肉セグメントを支配している神経を電気刺激で同定すること;脱神経を確実にするために、同定された該少なくとも筋肉セグメントを分けること;離断した神経もしくは神経束の近位断端の遠位端を、単離された少なくとも該筋肉セグメントで巻くか、または、該離断した神経の近位断端の遠位端を、該筋肉セグメントの一部分の中に置くこと;および、該近位断端を縫合糸またはフィブリン糊で固定することを含む、請求項19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年5月27日に提出された米国特許仮出願第63/030,778号に対する優先権を主張する。
【0002】
分野
本教示は概して埋植式筋肉インターフェース用のシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
切断術は、神経損傷から肢の機能性を失った多くの人にとって今なお最後の手段であると考えられており、それはなぜなら、義肢装具の機能性が過去40年間またはそれ以上にわたって比較的変化せずとどまっているからである。これは、部分的には、機械とヒト神経系との間に強い結びつきがないことによる。ヒトには機械とシームレスに通信するための有意味な手法がないため、このことが、義肢装具および外骨格補助の技術の進歩においても、そうした技術の将来性においても、ボトルネックとなっている。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示の実施例に基づき、埋植式筋肉インターフェースシステムを開示する。埋植式筋肉インターフェースシステムは、随意的な肢運動を表す神経信号の制御下で運動単位から生じた筋電記録(EMG)信号をそれぞれ捕捉および増幅する第一の複数のセンサーおよび第二の複数の増幅器と、第一の複数のセンサーに電気的に接続された、運動単位の運動を表す運動信号を弁別する復号信号を生じさせる外部復号器に信号を無線で伝送する無線トランシーバーデバイスとを含む、EMG信号が生じる筋肉を少なくとも部分的に囲む基板;ならびに、外部システムと相互作用するために復号信号を使用する受信器デバイスを含む。
【0005】
以下の特徴のうち1つまたは複数を含む、さまざまな追加的特徴が、埋植式筋肉インターフェースシステムに含まれてもよい。基板は、可撓性、剛性、または半剛性である。受信器デバイスは、増幅コンポーネント、フィルタリングコンポーネント、無線通信コンポーネント、またはそれらの組み合わせを含む。基板と、第一の複数のセンサーと、第二の複数の増幅器と、無線トランシーバーデバイスとは、単一の気密封止容器またはカプセル化コーティング内に封入されている。埋植式筋肉インターフェースシステムは、第一の複数のセンサーと、第二の複数の増幅器と、無線トランシーバーデバイスとに給電する電源をさらに含んでもよい。基板と、第一の複数のセンサーと、第二の複数の増幅器と、無線トランシーバーデバイスと、電源とは、単一の気密封止容器またはカプセル化コーティング内に封入されている。第一の複数のセンサーと、第二の複数の増幅器と、無線トランシーバーデバイスとは、電磁式、超音波式、圧電式、または光学式の電源によって外部から給電される。無線トランシーバーデバイスによって伝送される信号は、第一の複数のセンサーからの複数のチャネルから多重化されるアナログ信号であるか、もしくは、第一の複数のセンサーからの複数のチャネルから多重化されアナログ‐デジタル変換器でデジタル化されるアナログ信号であるか、または、安全な通信のために暗号化された信号である。基板は、ポリマー、パリレン、プラスチック、ゴム、シリコーン、ポリマー繊維、絹フィブロイン、3Dプリント用ポリマー、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、金属、ヒドロゲル、または無細胞足場を含む生体適合性材料で組成されている。基板は、生体適合性の金属;導電性ポリマー;ファイバー、ナノチューブ、およびグラフェンを含む導電性の炭素系材料;金、白金、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、またはそれらの組み合わせを含む、導電性の電極と導電性のトレースとがその中に沈着または包埋された、生体適合性ポリマーで組成されている。外部システムは、義肢、装具、外骨格、コンピューター、家庭用電気器具、リモートコントローラー、ゲーム用デバイス、モバイルコンピューティングデバイス、音響デバイス、拡張現実システム、仮想現実システム、または人間拡張/強化デバイスを含む。埋植式筋肉インターフェースデバイスは、変化なし、血管柄あり‐神経支配あり、血管柄あり‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配ありの筋肉を含む、さまざまな生物学的状態にある筋肉、または、自家移植片、異種移植片、同種移植片、同系移植片、細胞培養物、もしくは合成代替物を含む筋肉移植片を含む標的組織と適合する。基板は、下にある感覚性軸索に電気刺激または超音波刺激を義肢または外骨格からの感覚フィードバックのために提供する第一の複数の電極(1つもしくは複数の刺激用電極など)または超音波トランスデューサーを含む。
【0006】
本開示の実施例に基づき、埋植式筋肉インターフェースデバイスを用いて外部デバイスを制御する方法を開示する。本方法は以下の段階を含む:下にある筋肉の興奮または収縮を表す筋電記録(EMG)信号を検出する1つまたは複数のセンサーであって、下にある筋肉を少なくとも部分的に囲む基板内に沈着または包埋されている1つまたは複数のセンサーから、信号を得る段階;埋植されたトランシーバーによってEMG信号を無線で伝送する増幅およびフィルター用エレクトロニクスでEMG信号を検出する段階;埋植されたトランシーバーによってEMG信号を無線で伝送する段階;外部受信器によってEMG信号を無線で受信する段階;EMG信号を離散的な制御信号に変換する復号アルゴリズムを用いて、検出されたEMG信号を復号する段階;ならびに、制御信号をユーザーの意図と相関させる機械学習アルゴリズムに基づいてデバイスを操作するために、分離された制御信号を用いる段階。
【0007】
以下の特徴のうち1つまたは複数を含む、さまざまな追加的特徴が、埋植式筋肉インターフェースシステムに含まれてもよい。基板は、ポリマー、プラスチック、ゴム、シリコーン、ポリマー繊維、絹フィブロイン、3Dプリント用ポリマー、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、金属、ヒドロゲル、または無細胞足場を含む生体適合性材料で組成されている。基板は、生体適合性の金属;導電性ポリマー;ファイバー、ナノチューブ、およびグラフェンを含む導電性の炭素系材料;金、白金、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、またはそれらの組み合わせを含む、導電性の電極と導電性のトレースとがその中に沈着または包埋された、生体適合性ポリマーで組成されている。外部システムは、義肢、装具、外骨格、コンピューター、家庭用電気器具、リモートコントローラー、ゲーム用デバイス、モバイルコンピューティングデバイス、音響デバイス、拡張現実システム、仮想現実システム、または人間拡張/強化デバイスを含む。埋植式筋肉インターフェースデバイスは、変化なし、血管柄あり‐神経支配あり、血管柄あり‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配ありの筋肉を含む、さまざまな生物学的状態にある筋肉、または、自家移植片、異種移植片、同種移植片、同系移植片、細胞培養物、もしくは合成代替物を含む筋肉移植片を含む標的組織と適合する。
【0008】
本開示の実施例に基づき、埋植式筋肉インターフェースデバイスを装着する方法が開示される。埋植式筋肉インターフェースデバイスを装着する方法は以下の段階を含む:埋植部位を準備する段階;ならびに、下にある筋肉の運動を表す筋電記録(EMG)信号を検出する1つまたは複数のセンサーを含む基板であって、下にある筋肉を少なくとも部分的に囲む基板を、埋植部位に固定する段階。埋植部位を準備する段階は、下にある筋肉の少なくとも筋肉セグメントを、灌流を提供する血管に取り付けられたままで、周囲組織から挙上すること;前記少なくとも筋肉セグメントを支配している神経を、1つもしくは複数の刺激用電極を用いた電気刺激、または1つもしくは複数の超音波トランスデューサーで同定すること;脱神経を確実にするために、同定された少なくとも筋肉セグメントを分けること;離断した神経もしくは神経束の近位断端の遠位端を、単離された少なくとも前記筋肉セグメントで巻くか、または、離断した神経の近位断端の遠位端を、前記筋肉セグメントの一部分の中に置くこと;および、近位断端を縫合糸またはフィブリン糊で固定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれかつその一部をなす添付の図面は、本教示の実施形態を図示し、そして本明細書の記述とともに本開示の原理を説明する。
【0010】
図1図1Aは、本開示の実施例に基づく第一の例示的な埋植式筋肉インターフェースシステムの斜視図を示す。図1Bは、図1Aの一部分の詳細図を示す。図1Cは、図1Aのシステムの前面図を示す。図1Dは、図1Aのシステムの前面図を示す。図1Eは、図1Aのシステムの別の前面図を示す。
図2図2Aは、本開示の実施例に基づく第二および第三の例示的な埋植式筋肉インターフェースシステムの前面図を示す。図2Bは、図2Aのシステムの背面図を示す。図2Cは、図2Aのシステムの詳細図を示す。図2Dは、図2Aのシステムの別の図を示す。
図3】本開示の実施例に基づく埋植式筋肉インターフェースシステム内の電子コンポーネントの例を示す。
図4】本開示の実施例に基づく、埋植式筋肉インターフェースデバイスを用いて、外部デバイスに、および外部デバイスから、信号を伝送する方法を示す。
図5】本開示の実施例に基づく、埋植式筋肉インターフェースデバイスから伝送された信号を分解することを通じて外部デバイスを制御する方法を示す。
図6】本開示の実施例に基づく、埋植式筋肉インターフェースデバイスを装着する方法を示す。
図7】本開示の実施例に基づく、複数の筋単位で制御される義肢装具を示す。
図8】本開示の実施例に基づく、筋単位で制御される触覚センサー付き義肢装具を示す。
図9】本開示の実施例に基づく、残存肢上への図1または図2のデバイスの取り付け図を示す。
図10】本開示の実施例に基づく、3つの別々のEMGセンサーによって取得されたEMG信号を図示する。
図11図11Aは本開示の実施例に基づくEMGユニットを表した上面斜視図1100を示し、図11Bはその側面図1102を示す。
図12】本開示の実施例に基づく、可撓性かつ延伸可能なポリマー電極アレイを備えたEMGデバイスを示す。
図13】本開示の実施例に基づく、可撓性かつ延伸可能なメッシュ電極アレイを備えたEMGデバイスを示す。
図14A】腕を、本開示の実施例に基づく切断線を描写した点線とともに示している。
図14B図14Aの腕の一区画を神経線維とともに示しており、本開示の実施例に基づいて巻き付けられた可撓性無線デバイスもともに示されている。
図14C】本開示の実施例に基づく、神経線維の活性化に対する応答性があり、かつ接続された血液供給を有する、筋線維のセグメントを示す。
図14D】本開示の実施例に基づいて可撓性無線デバイス(例えば神経ラップ(neural wrap))が巻き付けられている、図14Cの筋線維のセグメントを示す。
図15】本開示の実施例に基づく、上肢および下肢の義肢装具を両方とも制御するための可撓性無線デバイスの使用例を示す。
図16】本開示の実施例に基づく、義手用の可撓性無線デバイスの使用例を示す。
図17】本開示の実施例に基づく、外骨格などのロボットデバイスを無線で制御するために使用されてもよい、負傷していない個人の体内に技術の制御のために埋植される可撓性無線デバイスを示す。
図18】本開示の実施例に基づく、埋植部位を準備するための方法を示す。
【0011】
留意されるべき点として、図面の詳細の一部は、構造的な正確性、詳細、および縮尺を厳密に維持することより、本教示の理解を容易にする目的で簡略化され描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
概して、本開示は、埋植式筋肉インターフェースシステムと、埋植式筋肉インターフェースデバイスを用いて外部デバイスを制御する方法と、埋植式筋肉インターフェースデバイスを装着する方法とを提供する。いくつかの実施例において、埋植式筋肉インターフェースデバイスは、電極もしくは超音波トランスデューサー、エレクトロニクス、無線、および3Dプリントされるその他の例の、コンポーネントシステムからアセンブリすることができ;神経離断後に新たに神経支配された筋肉セクションと相互作用する、カフ状の筋肉インターフェースとして構成でき;そして、(記録用電極などの1つまたは複数のセンサーによって)筋肉から記録を取ること、および(1つもしくは複数の刺激用電極、または1つもしくは複数の超音波トランスデューサーによって)筋肉を刺激すること、ならびに、末梢神経系における神経活動に影響を与えて義肢装具のパフォーマンスを制御することの、両方を行うことができる。埋植式筋肉インターフェースデバイスは、単一神経傷害または肢の完全切断などの神経切断後に神経痛を処置/予防するために用いられる外科的介入から生じるEMG信号を利用するために使用できる。埋植式筋肉インターフェースデバイスは次に、捕捉されたEMG信号を通じて機械またはデバイスを制御するために使用でき、そうした機械またはデバイスには、非限定的に、義肢、外骨格、または電動車椅子などの補助用もしくは移動用デバイスなどがある。本明細書において用いる「センサー(sensor)」という用語は記録用電極でありうる。
【0013】
図1Aは、本開示の実施例に基づく第一の例示的な埋植式筋肉インターフェースシステム100の斜視図を示す。図1Bは、図1Aの一部分の詳細図を示す。図1Cは、図1Aのシステムの前面図を示す。図1Dは、図1Aのシステムの前面図を示す。図1Eは、図1Aのシステムの別の前面図を示す。図2Aは、本開示の実施例に基づく第二および第三の例示的な埋植式筋肉インターフェースシステム200の前面図を示す。図2Bは、図2Aのシステムの背面図を示す。図2Cは、図2Aのシステムの詳細図を示す。図2Dは、図2Aのシステムの別の図を示す。埋植式筋肉インターフェースシステム100および200は、埋植式筋肉インターフェースデバイス102を含む。埋植式筋肉インターフェースデバイス102は、血管柄あり‐神経支配あり、血管柄あり‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配ありの筋肉を含む、さまざまな生物学的状態にある筋肉、または、自家移植片、異種移植片、同種移植片、同系移植片、細胞培養物、もしくは合成代替物を含む筋肉移植片を含む標的組織と適合する。
【0014】
埋植式筋肉インターフェースデバイス102は、第一の基板104または第二の基板202を含む。第一の基板104および第二の基板202は、可撓性、剛性、または半剛性であってもよい。第一の基板104は剛性であり、第二の基板202は可撓性である。いくつかの実施例において、第一の基板104および/または第二の基板202は、ポリマー、プラスチック、ゴム、シリコーン、ポリマー繊維、絹フィブロイン、3Dプリント用ポリマー、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、金属、ヒドロゲル、無細胞足場、またはそれらの組み合わせを含む生体適合性材料で組成されている。いくつかの実施例において、第一の基板104および/または第二の基板202は、生体適合性の金属;導電性ポリマー;ファイバー、ナノチューブ、およびグラフェンを含む導電性の炭素系材料;金、白金、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、他の導電性ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、導電性の電極または超音波トランスデューサーと導電性のトレースとがその中に沈着または包埋された、生体適合性ポリマーで組成されている。
【0015】
第一の基板104および/または第二の基板202は、第一の複数のセンサー106と第一の複数の増幅器108とを含む。随意的な肢運動を表す神経信号の制御下で運動単位から生じた筋電記録(EMG)信号を、第一の複数のセンサー106が捕捉し、第一の複数の増幅器108が増幅する。埋植式筋肉インターフェースデバイス102はまた、第一の複数のセンサー106に電気的に接続された無線トランシーバーデバイスであって、運動単位の運動を表す運動信号を弁別する復号信号を生じさせる外部復号器112に信号を無線で伝送する無線トランシーバーデバイス110も含む。第一の基板104および/または第二の基板202は、EMG信号が生じる筋肉を少なくとも部分的に囲む。いくつかの実施例において、第一の基板104および/または第二の基板202と、第一の複数のセンサー106と、第一の複数の増幅器108と、無線トランシーバーデバイス110とは、単一の気密封止容器内に封入されている。組織と相互作用するように設計される基盤およびセンサーなどは部分的に封入される可能性があるが、気密封止容器は、そうではないインターフェースデバイスのすべてのコンポーネントを完全に封入し、かつ、非限定的にチタン、アルミナ、ジルコニア、または他のセラミックなどである何らかの生体適合性材料を含む。いくつかの実施例において、第一の基板104および/または第二の基板202は、義肢からの感覚フィードバックのために、下にある感覚性軸索に(1つもしくは複数の刺激用電極によって)電気刺激を提供する(または、1つもしくは複数の超音波トランスデューサーによって超音波刺激を提供する)、第一の複数の電極114(または超音波トランスデューサー)を含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施例において、埋植式筋肉インターフェースデバイス102は、第一の複数のセンサー106、第一の複数の増幅器108、無線トランシーバーデバイス110、または第一の複数の電極114のうち、1つまたは複数に給電する電源116を含む。いくつかの実施例において、第一の複数のセンサー106、第一の複数の増幅器108、無線トランシーバーデバイス110、または第一の複数の電極114のうち、1つまたは複数は、電磁式、超音波式、圧電式、または光学式の電源によって外部から給電される。図3に、これらすべての電子コンポーネントについてのレイアウト例300を示す。無線トランシーバーデバイス110によって伝送される信号は、第一の複数のセンサーからの複数のチャネルから多重化されるアナログ信号であるか、もしくは、第一の複数のセンサーからの複数のチャネルから多重化されアナログ‐デジタル変換器でデジタル化されるアナログ信号であるか、または、安全な通信のために暗号化された信号であってもよい。
【0017】
埋植式筋肉インターフェースシステム100は、外部システム120と相互作用するために復号信号を使用する受信器デバイス118もまた含む。受信器デバイス118は、増幅コンポーネント、フィルタリングコンポーネント、またはその両方を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施例において、外部システム120は、義肢、車椅子、コンピューター、マウスカーソル、家庭用電気器具、リモートコントローラー、ゲーム用デバイス、モバイルコンピューティングデバイス、音響デバイス、拡張現実システム、仮想現実システム、または人間拡張/強化デバイスを含む。
【0019】
図4に、本開示の実施例に基づく、埋植式筋肉インターフェースデバイスを用いて外部デバイスを制御する方法400を示す。方法300は、402にあるように、下にある筋肉の興奮または収縮を表す筋電記録(EMG)信号を検出する1つまたは複数のセンサーから信号を得る段階で始まる。図1および2に戻ると、第一の複数のセンサー106などの1つまたは複数のセンサーは、下にある筋肉を少なくとも部分的に囲む、第一の基板102または第二の基板202などの基板上に沈着されるか、基板内に包埋されるか、または基板に取り付けられる。埋植式筋肉インターフェースデバイス102の第一の基板102および第二の基板202は、ポリマー、プラスチック、ゴム、シリコーン、ポリイミド、ペリレン、ポリマー繊維、絹フィブロイン、3Dプリント用ポリマー、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、金属、ヒドロゲル、無細胞足場、またはそれらの組み合わせを含む生体適合性材料で組成されてもよい。第一の基板102および第二の基板202は、生体適合性の金属;導電性ポリマー;ファイバー、ナノチューブ、およびグラフェンを含む導電性の炭素系材料;金、白金、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、またはそれらの組み合わせを含む、導電性の電極と導電性のトレースとがその中に沈着または包埋された、生体適合性ポリマーで組成されてもよい。埋植式筋肉インターフェースデバイス102は、血管柄あり‐神経支配あり、血管柄あり‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配なし、血管柄なし‐神経支配ありの筋肉を含む、さまざまな生物学的状態にある筋肉、または、自家移植片、異種移植片、同種移植片、同系移植片、細胞培養物、もしくは合成代替物を含む筋肉移植片を含む標的組織と適合してもよい。
【0020】
方法400は、404にあるように、埋植されたトランシーバーによってEMG信号を無線で伝送する増幅およびフィルター用エレクトロニクスでEMG信号を検出する段階に続く。図1および2に関する実施例で続けると、EMG信号は第一の複数のセンサー106によって検出され、第一の複数の増幅器108によって増幅される。方法400は、404にあるように、外部受信器によってEMG信号を無線で受信する段階に続く。同実施例で続けると、無線トランシーバーデバイス110がEMG信号を受信し、それらを受信器デバイス118に無線で伝送する。方法400は、406にあるように、EMG信号を離散的な制御信号に変換する復号アルゴリズムを用いて、検出されたEMG信号を復号する段階に続く。方法400は、408にあるように、複数の制御信号をユーザーの意図と相関させる機械学習アルゴリズムに基づいてデバイスを操作するために、分離された制御信号を用いる段階に続く。例えば、デバイスは、義肢、車椅子、コンピューター、マウスカーソル、家庭用電気器具、リモートコントローラー、ゲーム用デバイス、モバイルコンピューティングデバイス、音響デバイス、拡張現実システム、仮想現実システム、または人間拡張/強化デバイスを含んでもよい。
【0021】
図5に、そうした外部デバイスを制御するために埋植式筋肉インターフェースシステムを用いるための方法500を示す。この実施例では、上肢切断患者における腕神経叢のニューロン活動の結果として伝送されたEMG信号が、義腕内の受信器デバイス118によって受信される。信号は、手を電子的に再ポジショニングするために復号される。この方法500は、502にあるように、一方向の前向き制御システムであってもよい。代替的に、方法500は、504にあるように、感覚フィードバックを伴う二方向の通信システムであってもよい。二方向のシステムにおいて、埋植式筋肉インターフェースデバイス102は、無線トランシーバー110と、外部センサーからの信号を受信するための受信器との両方を有する。これらの信号は、電気刺激の形式で符号化され、第一の複数の刺激用電極114、または、1つもしくは複数の超音波トランスデューサーを通じて神経系に送達される。
【0022】
図6に、本開示の実施例に基づく、埋植式筋肉インターフェースデバイスを装着する方法600を示す。方法600は、602にあるように、埋植部位を準備する段階で始まる。例えば、埋植部位を準備する段階は、下にある筋肉の少なくとも筋肉セグメントを、灌流を提供する血管に取り付けられたままで、周囲組織から挙上すること;前記少なくとも筋肉セグメントを支配している神経を電気刺激で同定すること;脱神経を確実にするために、同定された筋肉セグメントを分けること;離断した神経もしくは神経束の近位断端の遠位端を、少なくとも前記筋肉セグメントで巻くか、または、離断した神経の近位断端の遠位端を、前記筋肉の一部分の中に置くこと;および、前記断端を縫合糸またはフィブリン糊で固定することを含む。
【0023】
方法600は、604にあるように、基板を埋植部位に固定する段階に続く。デバイスには縫合穴が組み込まれており、デバイスの近位端上および遠位端上で互いから180度である少なくとも2つの縫合(合計で少なくとも4つの縫合)によって、関心対象組織および周囲の組織床に固定される。これらの縫合は、筋肉、神経上膜、神経周膜、筋膜、腱、靭帯、骨膜などに固定されてもよい。取り付ける組織および位置は、個々の患者の解剖学的要求によって異なる。次に、組織/デバイス構築物(tissue/device construct)が何らかの保護的な生分解性の被覆内に覆われてもよく、それには非限定的に異種移植用の腸、無細胞ラップ、合成ラップが含まれる。これは、治癒プロセス中の線維症および係留(tethering)からデバイスを保護するために行われる。再び図1および2に戻ると、第一の基板104および第二の基板202などの基板は、下にある筋肉の運動を表す筋電記録(EMG)信号を検出する、第一の複数のセンサー106などの、1つまたは複数のセンサーを含む。基板は、下にある筋肉を少なくとも部分的に囲む。無線トランシーバーデバイス110などの無線トランシーバーデバイスが、前記1つまたは複数のセンサーと、受信器デバイス118および/または外部システム120などの外部コントローラーにEMG信号を無線で伝送する、付随的な/インターフェース用のエレクトロニクスとに、電気的に接続される。
【0024】
図7に、本開示の実施例に基づく、複数の筋単位で制御される義肢装具を示す。3つの筋単位702が残存肢704内に示されており、ここで各筋単位は、筋肉を支配する神経710と、筋肉の血管柄となる血管708とを含む。EMG信号が、図1または2のデバイスを用いて各筋単位から検出され、そして、義肢装具706を制御するために無線通信モジュール714を用いる、関連するエレクトロニクス712によって、増幅、フィルタリング、給電、および無線通信される。
【0025】
図8に、本開示の実施例に基づく、筋単位で制御される触覚センサー付き義肢装具を示す。筋単位702が残存肢704内に示されており、ここで筋単位は、筋肉を支配する神経710と、筋肉の血管柄となる血管708とを含む。EMG信号が、図1または2のデバイスを用いて筋単位702から検出され、そして、触覚センサー付き義肢装具812を制御するために無線通信モジュール804を用いる、関連するエレクトロニクス802によって、増幅、フィルタリング、給電、および無線通信される。残存肢704に取り付けられた刺激用センサー810が、触覚センサー付き義肢装具812上の触覚センサー808に伝達された感覚フィードバックをユーザーのために提供し、それは806において、無線通信モジュール804によって図1または2のデバイスに戻るように提供される。
【0026】
図9に、本開示の実施例に基づく、残存肢上への図1または図2のデバイスの取り付け図を示す。筋単位702が残存肢704内に示されており、ここで筋単位は、筋肉を支配する神経710と、筋肉の血管柄となる血管708とを含む。
【0027】
図10に、本開示の実施例に基づく、3つの別々のEMGセンサーによって取得されたEMG信号に基づく制御信号処理を示す。センサー1002は、電極1における筋肉1006の運動単位の活動を表すEMG1 1004を示す。センサー1010は、電極2における筋肉1006の運動単位の活動を表すEMG2 1012を示す。センサー1014は、電極3における筋肉1006の運動単位の活動を表すEMG3 1016を示す。EMG1 1004、EMG2 1012、およびEMG3 1016の各々は、EMGエレクトロニクス1018によって受信され、復号用エレクトロニクス1020によって復号されて、それぞれの制御信号1022、1024、および1026を生じさせる。制御信号1022、1024、および1026は、義肢1032内に包埋されたコントローラー1030を制御するために機械学習アルゴリズム1028によって処理される。
【0028】
図11Aは本開示の実施例に基づくEMGユニットを表した上面斜視図1100図11Bはその側面図1102を示す。電極1104の終端が、筋肉1106と物理的に接触した状態でポジショニングされる。気密封止パッケージ1108は、電極1104と電気的に接触しているエレクトロニクス1110(シリコンチップまたは回路)を含む。
【0029】
図12に、本開示の実施例に基づく、可撓性であるか、金属電極、炭素繊維、もしくはファイバーメッシュであるか、または延伸可能であるポリマー電極アレイ1200を備えたEMGデバイスを示す。可撓性かつ延伸可能なポリマー電極アレイ1200は、筋肉1206と物理的に接触している、ポリマー材料1204内にカプセル化された電極1202のアレイを含む。
【0030】
図13に、本開示の実施例に基づく、可撓性かつ延伸可能なメッシュ電極アレイ1300を備えたEMGデバイスを示す。可撓性かつ延伸可能なメッシュ電極アレイ1300は、筋肉1206と物理的に接触している、メッシュ材料1302内にカプセル化された電極1202のアレイを含む。
【0031】
本開示の実施例に基づき、任意の種類またはサイズである1つまたは複数の筋肉に巻き付く、可撓性無線デバイスを開示する。可撓性無線デバイスは、筋肉の上に横たわるか、切断断端の全周に巻き付くか、または切断断端の全周の周りに縫合もしくは糊付けされてもよい。可撓性無線デバイスは、皮膚の下、かつ下にある筋肉の上に埋植される、長い電極シートを含んでもよい。電極シートは、可撓性かつ/または延伸可能であるので、任意の解剖学的構造に合致できる。例えば図14A図14B図14C、および図14Dに示されているように、無線給電の受信器を含有するシートの端部が、皮膚までセンチメートル単位の距離内に留まっている限り、デバイスの残りの部分は、個々のユーザーのニーズが何であれ、それに合わせて構成されうる。可撓性の電極シートを、神経支配と血管柄とがある離散的な筋肉片に巻き付ける代わりに、可撓性の電極シートを埋植し、そして、直接的な操作を受けていてもまたは受けていなくてもよい、1つまたは複数の筋肉に巻き付けてもよい。この実施例において、筋肉の状態は関係しない。可撓性の電極シートを含む本デバイスは、高度な外科的操作(筋肉の神経再支配)があったか否かにかかわらず、埋植先の身体の一部分内でどのような筋肉信号が生成されても、それを拾い上げることができる。本デバイスは、下にある筋肉からの電気活動を望ましい様式で記録するための任意の解剖学的構造に合致できる。
【0032】
図14Aは、腕を、切断線を描写した点線1402とともに示している。図14Bは、図14Aの切断断端を神経線維1404、1406、および1408とともに示しており、神経線維が中に埋植された筋肉片に巻き付けられた可撓性無線デバイス1410もともに示されている。図14Cは、埋植された神経線維1406の活性化に対する応答性があり、かつ接続された血液供給1414を有する、筋肉のセグメント1412を示す。図14Dは、可撓性無線デバイス1414(例えば神経ラップ)が巻き付けられている、図14Cの筋肉のセグメントを示す。筋肉のセグメント1412は、それぞれの軸索信号によって活性化され、その後に可撓性無線デバイス1414によって検出される。無線制御信号は、可撓性無線デバイス1414から義肢装具部1416に、または可撓性無線デバイス1502から外部リンク1514に、伝送される;外部リンク1514は次に、関心対象の機械(すなわち義肢装具)1416に信号をリレーできる。
【0033】
図18に、本開示の実施例に基づく、埋植部位を準備するための方法を示す。埋植部位を準備する段階は、下にある筋肉の少なくとも筋肉セグメントを、灌流を提供する血管に取り付けられたままで、周囲組織から挙上すること;前記少なくとも筋肉セグメントを支配している神経を電気刺激で同定すること;脱神経を確実にするために、同定された前記少なくとも筋肉セグメントを分けること;離断した神経もしくは神経束の近位断端の遠位端を、単離された少なくとも前記筋肉セグメントで巻くか、または、離断した神経の近位断端の遠位端を、前記筋肉セグメントの一部分の中に置くこと;および、近位断端を縫合糸またはフィブリン糊で固定することを含む。
【0034】
図15に、本開示の実施例に基づく、上肢および下肢の両方の義肢装具のための可撓性無線デバイスの使用例を示す。可撓性無線デバイス1502の上面図1504および底面図1506が示されている。上面図1504は誘導電力モジュール1508(圧電超音波インターフェーシングなど、電力伝送の何らかの代替手段の形態もまた取りうる)を示しており、底面図1506は記録用電極1510を示している。可撓性無線デバイス1502は筋肉1512を囲み、そこで記録用電極1510が筋肉1512からの信号を検出する。可撓性無線デバイス1502は、バッテリー、送電器、ASIC、アンテナを(非限定的に)含有してもよい外部給電リンク1514によって起動され、そして可撓性無線デバイス1502は、一般に利用されているデータ伝送機構を介して、無線データストリーム1516の形式で、外部リンク1514に、または直接的に機械(すなわち上肢および下肢の両方の義肢装具)に、データを無線で伝送する。
【0035】
いくつかの実施例において、関心対象の身体部分内に置かれた複数の埋植物があってもよい。例えば、1つのデバイスが、切断断端の望ましい外周をカバーするには不十分であるならば、必要な面積をカバーするために複数の埋植物が埋植されてもよい。ここでも、埋植物の無線受信器部分は、皮膚と上にある組織とを通して給電または再充電できるように、皮膚の比較的近くに留まる。各デバイスは、各デバイス自体の外部リンクで別々に給電もしくは再充電されてもよく、または、上にある1つのコイル(もしくは超音波トランスデューサーなどの代替的な電源)を介して一緒に給電もしくは再充電されてもよい。
【0036】
図16に、本開示の実施例に基づく、義手用の可撓性無線デバイスの使用例を示す。可撓性無線デバイス1602の上面図1604、底面図1606、側面図1608が示されている。上面図1604および側面図1608はトランシーバーとバッテリーモジュール1610とを示しており、底面図1606および側面図1608は記録用電極1612を示している。可撓性無線デバイス1602は筋肉1614を囲み、そこで記録用電極1612が筋肉1614からの信号を検出する。可撓性無線デバイス1602は、トランシーバーおよびバッテリーモジュール1610によって能動的に給電されるか、または再充電されるかのいずれかであり、そして可撓性無線デバイス1602は、無線伝送モジュール1616から無線データストリームの形式でデータを無線で伝送する。可撓性無線デバイスは、主として、経皮的な誘導手段を通じて持続的に給電されてもよく、または、経皮的な誘導手段(もしくは何らかの妥当な代替的電力スキーマ)を通じて断続的に再充電されてもよい。図16に示すように、各々が異なる筋肉クラスターを囲んでいる、2つの別々の可撓性無線デバイスが存在する。これは非限定的な一例にすぎない。例えば、ニーズ、例えば特定の肢および切断のレベルなど個人の解剖学的構造、ならびに、肢(または他の技術)の制御に対する機能的ニーズに基づいてユーザーごとに適用される使用事例に応じて、1つのみの可撓性無線デバイス、または2つより多い可撓性無線デバイスが存在してもよい。
【0037】
可撓性無線デバイスは、本明細書に開示するように、健康で丈夫な(負傷していない)個人に埋植されてもよい。可撓性無線デバイスは、皮膚および結合組織の下で、筋区画の周りに埋植されてもよい。可撓性無線デバイスは次に、下の正常な筋肉からの信号を記録してもよく、そしてそれらを望ましい目的のために体外に無線でリレーしてもよい。可撓性無線デバイスは、望ましい使用事例に応じて、身体の任意の筋肉の上または周りに埋植されてもよい。
【0038】
可撓性無線デバイスは、本明細書に開示するように、経皮的な(皮膚をまたぐ)磁気リンケージまたは無線周波数(無線)リンケージを介して所定の位置に保持された外部給電リンク/ハードウェアを用いて作動してもよい。外部リンクはまた、接着フィルム、スリーブ状の圧迫材料、衣服、または、外部の物体を身体上の望ましい位置に固定する他の任意の手段を介して、所定の位置に保持されてもよい。埋植されたデバイスは、身体の表面上にある外部給電リンクにデータを無線で(Bluetoothまたは他の何らかの手段を介して)リレーしてもよい。外部給電リンクは次に、同期された任意のデバイス(電話、義肢装具、装具、外骨格など)に情報を無線でリレーしてもよい。埋植されたデバイスはまた、中間物としての給電リンクを伴わずに、同期されたデバイスに直接的に情報を無線でリレーしてもよい。いくつかの実施例において、同期されたデバイスへのデータ伝送の前に、外部給電リンク内で何らかの形式のデータ処理が生じてもよい。埋植されたシステムおよび外部給電リンクは、ユーザーの所望に基づいて、どのデバイスに同期されているかを、独立にまたはユニットとして切り替えてもよい。
【0039】
本明細書に開示するように、埋植式デバイス(例えば可撓性無線デバイス)はまた、デバイスの表面上に存在する電極を介して、下にある組織中に電流を伝えてもよい。これらの電極は、筋肉信号の記録に用いられるものと同じ電極、または、特に刺激用の目的でデバイスに組み込まれた異なる電極の、いずれかであってもよい。刺激の目的は、疼痛を処置するためまたは感覚を生成するために、求心性の(脳に向かう)神経活動を誘発することである。求心性神経活動の興奮は、超音波的な手段または電気的な手段を介して実現されてもよい。小型の超音波トランスデューサーが、ちょうど電極のように可撓性埋植物の表面上に置かれてもよく、そして、電気刺激と同じ効果を実現するために、下にある組織中に超音波エネルギーを伝えてもよい。電気/超音波刺激は、望ましいエンドエフェクトに基づき、離散的な位置に向かってフォーカスまたはターゲット化されてもよい。このことは、刺激パラメーター変調(stimulation parameter modulation)および時空マルチソース変調(spatiotemporal multi-source modulation)を介して実現されてもよい。
【0040】
図17に、外骨格1706などの機械/デバイスを無線で制御するために使用されてもよい、健康で丈夫な個人の腕1702または脚1704のいずれかの内部の筋肉上に埋植された、1つまたは複数の可撓性無線デバイスを示す。
【0041】
以上の記述は例示的なものであり、当業者には構成および実施形態におけるバリエーションが考えられる可能性がある。例えば、本明細書に開示する諸態様との関連において記述される、さまざまな例示的な論理、論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書に記述する機能を行うように設計された、汎用プロセッサー、デジタル信号プロセッサー(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、暗号コプロセッサー、または、他のプログラム可能な論理デバイス、離散的なゲートもしくはトランジスターロジック、離散的なハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせによって、実施されまたは行われてもよい。汎用プロセッサーはマイクロプロセッサーであってもよいが、代替として、プロセッサーは、任意の従来式プロセッサー、コントローラー、マイクロコントローラー、または状態機械であってもよい。プロセッサーはまた、例えば、DSPとマイクロプロセッサーとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサー、DSPコアと結合した1つもしくは複数のマイクロプロセッサー、または他の任意のそうした構成など、コンピューティングデバイスの組み合わせとして実施されてもよい。
【0042】
1つまたは複数の例示的態様において、本明細書に記述する機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実現されてもよい。ソフトウェアの実施形態について、本明細書に記述する技法は、本明細書に記述する機能を行うモジュール(例えば、プロシージャー、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、およびクラスなど)で実現されてもよい。モジュールは、情報、データ、引数、パラメーター、またはメモリ内容を、引き渡しおよび/または受信することによって、別のモジュールまたはハードウェア回路に連結されてもよい。情報、引数、パラメーター、またはデータなどは、メモリ共有、メッセージパッシング、トークンパッシング、およびネットワーク伝送などを含む、任意の好適な手段を用いて、引き渡し、順送り、または伝送されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニット内に保管されそしてプロセッサーによって実行されてもよい。メモリユニットは、プロセッサー内に実現されるかまたはプロセッサーの外部で実現されてもよく、後者の場合は、当技術分野において公知であるようにさまざまな手段を介してプロセッサーと通信的に連結されてもよい。
【0043】
1つまたは複数の例示的態様において、本明細書に記述する機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実現されてもよい。ソフトウェアの実施形態について、本明細書に記述する技法は、本明細書に記述する機能を行うモジュール(例えば、プロシージャー、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、およびクラスなど)で実現されてもよい。モジュールは、情報、データ、引数、パラメーター、またはメモリ内容を、引き渡しおよび/または受信することによって、別のモジュールまたはハードウェア回路に連結されてもよい。情報、引数、パラメーター、またはデータなどは、メモリ共有、メッセージパッシング、トークンパッシング、およびネットワーク伝送などを含む、任意の好適な手段を用いて、引き渡し、順送り、または伝送されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニット内に保管されそしてプロセッサーによって実行されてもよい。メモリユニットは、プロセッサー内に実現されるかまたはプロセッサーの外部で実現されてもよく、後者の場合は、当技術分野において公知であるようにさまざまな手段を介してプロセッサーと通信的に連結されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】