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  • 特表-生分解性カプセル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】生分解性カプセル
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/804 20060101AFI20230703BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20230703BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20230703BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20230703BHJP
   C08K 5/1545 20060101ALI20230703BHJP
   C08L 89/00 20060101ALI20230703BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20230703BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
B65D85/804
B65D65/46
C08L67/04 ZBP
C08K3/34
C08K5/1545
C08L89/00
C08L29/04 D
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572639
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2021064419
(87)【国際公開番号】W WO2021239982
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】2005734
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522459557
【氏名又は名称】マイ ティー カップ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】MY TEA CUP AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】マックス サンデール
(72)【発明者】
【氏名】ジャック シェファー
【テーマコード(参考)】
3E086
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
3E086AD06
3E086AD24
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB05
3E086CA11
3E086DA08
4J002AD002
4J002BE023
4J002CF181
4J002DJ036
4J002EL096
4J002GG01
4J002GG02
4J200AA28
4J200BA15
4J200DA17
4J200DA18
4J200EA13
(57)【要約】
本発明は、飲料、例えばコーヒーの調製のための粉末形態の少なくとも一つの物質を含有し、圧力下で抽出することを意図する、産業用堆肥化および家庭用堆肥化によって生分解可能である、使い捨て密封カプセルの分野に関し、当該カプセルは、底と円形リムを有する側壁とを備える容器および容器のリムの円周上に溶着されたシールを含み、底、側壁および円形リムは、(i)ポリヒドロキシブチレートから選ばれる少なくとも1つのポリマーと、(ii)ケイ酸塩、ビタミンE、動物もしくは植物由来の可塑化タンパク質またはそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの成分と、を含む少なくとも1つの配合物の射出成形によって形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料の調製のための粉末の形態の物質を含有する、圧力下で抽出されることを意図する密封カプセル(1)であって、
前記カプセルは、底(3)と円形リム(5)を有する側壁(4)とを備える容器(2)および前記容器の前記円形リムの周縁に溶着されたシール(6)を含み、
前記底、前記側壁および前記円形リムは、
(i)ポリヒドロキシブチレートから選ばれる少なくとも1つのポリマーと、
(ii)ケイ酸塩、ビタミンE、動物もしくは植物由来の可塑化タンパク質またはそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの成分と、
を含む少なくとも1つの配合物の射出成形によって形成される、密封カプセル(1)。
【請求項2】
前記配合物は、前記配合物の総重量に対して、50~99.9重量%、好ましくは75~99.5重量%、有利には90~99重量%の、ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレートなどのポリヒドロキシブチレート、およびそれらの混合物から選ばれる1つ以上のポリマーを含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記配合物は、前記配合物の総重量に対して、0.1~50重量%、好ましくは0.5~25重量%、有利には1~10重量%の、ケイ酸塩、ビタミンE、植物もしくは動物のいずれか由来の可塑化タンパク質またはそれらの混合物から選択される1つ以上の成分を含む、請求項1または2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記配合物は、(iii)さらに少なくとも1つのポリビニルアルコールを、前記配合物の総重量に対して、好ましくは1~30重量%、好ましくは2~20重量%、有利には5~10重量%の範囲の量で含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記ケイ酸塩のBET比表面積は、1~250m/gの範囲であり、および/または前記ケイ酸塩のメジアン径は、0.5~20μmであり、および/または前記ケイ酸塩の寸法形状係数は、1:2以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項6】
前記ケイ酸塩は、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムから選択され、好ましくはケイ酸アルミニウムから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項7】
前記配合物は、ケイ酸塩とは異なる無機填料、過酸化生成物、ビタミンEとは異なるビタミン類、動物または植物のいずれか由来のワックスから選ばれる1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項8】
前記1つ以上の添加剤は、前記配合物の総重量の0.05~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、有利には1~10重量%を占める、請求項7に記載のカプセル。
【請求項9】
EN 13432規格に準拠する、請求項1から8のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項10】
少なくとも60重量%の生体由来材料を含有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項11】
前記底、前記側壁および前記円形リムは、前記配合物を金型内で単層に射出成形することによって形成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項12】
前記シールは、生分解性材料から選ばれる、好ましくは紙、不織布、セルロース、SiOx層、ポリ乳酸ポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、有機ポリマーと無機繊維とのハイブリッド層、ポリビニルアルコールまたはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでコーティングされた層、例えばアルミニウムで金属化された層、から選ばれる、1つ以上の材料から作製される単層または多層フィルムからなり、このような材料の層は、接着層によって分離され得る、請求項1から11のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項13】
前記シールは、
(i)紙または濾紙のフィルムと、
(ii)バリア層と、
(iii)不織布層であり、前記不織布層は、前記カプセルの内側に存在する、不織布層と、
からなる多層から作製される、請求項12に記載のカプセル。
【請求項14】
前記バリア層は、
有機ポリマーと無機化合物とのハイブリッドバリア層、および/または
SiOxバリア層、および/または
セルロースバリア層、
から選ばれる1つ以上の層からなる、請求項13に記載のカプセル。
【請求項15】
(a)成分を混合することによって配合物を調製するステップと、
(b)ステップ(a)において得られた配合物を容器の層を形成するように型内で射出成形するステップであって、適切な場合、前記容器の1つ以上の層は、ステップ(a)の前記配合物と異なる配合物を用いて射出成形される、射出成形するステップと、
(c)前記容器を粉末形態の前記物質で充填するステップと、
(d)カプセルを形成するために前記シールを用いて前記容器を密封するステップと、
を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のカプセルを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性であり、産業用堆肥化および/または家庭用堆肥化によって堆肥化可能であり、圧力をかけて抽出することを意図する、飲料、例えばコーヒー、の調製用の粉末形態の少なくとも1つの物質を含有する使い捨て密封カプセルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
事前投与および事前包装されたコーヒーのポーションは、エスプレッソタイプのコーヒーを調製するために広く使用されており、同様のものはシンプルで使いやすい。
【0003】
一般に市販されているカプセルには、通常、容器およびシールからなる硬質カプセルとフィルター層を含有する軟質カプセルとの2種類がある。本発明は、最初のカテゴリのカプセルに関する。
【0004】
ヨーロッパでは、Nespresso(登録商標)カプセルなどの硬質カプセルが広く使用されている。このようなカプセルは、従来実質的にアルミニウムから作製される、本体または容器とシールとを備える。
【0005】
また、シールおよび本体がプラスチック材料から作製されるカプセルも存在する。
【0006】
現在市場に存在するカプセルは、(i)産業用堆肥化によって生分解されること、(ii)家庭用堆肥化によって生分解されることおよび(iii)酸素および水蒸気に対するバリア機能を有することの3つの要件を満たしていない。
【0007】
したがって、本発明の課題は、エスプレッソマシン、より詳細にはNespresso(登録商標)マシンで使用されるときに、満足すべき品質のコーヒーなどの、飲料を調製するために使用され得る、産業用堆肥化および/または家庭用堆肥化によって堆肥化可能であり、酸素および水蒸気に対して良好なバリア機能を有する、カプセルを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
より正確には、本発明は、飲料の調製のための粉末の形態の物質を含有する、圧力下で抽出されることを意図する密封カプセル1に関し、当該カプセルは、底3と円形リム5を有する側壁4とを備える容器2および容器リムの円周の周縁に溶着されたシール6を備え、底、側壁および円形リムは、
(i)ポリヒドロキシブチレートから選ばれる少なくとも1つのポリマーと、
(ii)ケイ酸塩、ビタミンE、動物もしくは植物由来の可塑化タンパク質またはそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの成分と、
を含む少なくとも1つの配合物の射出成形によって形成される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、50~99.9重量%、好ましくは75~99.5重量%、有利には90~99重量%の、ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレートなどのポリヒドロキシブチレートおよびそれらの混合物から選ばれる1つ以上のポリマーを含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、0.1~50重量%、好ましくは0.5~25重量%、有利には1~10重量%の、ケイ酸塩、ビタミンE、植物もしくは動物のいずれか由来の可塑化タンパク質またはそれらの混合物から選択される1つ以上の成分を含む。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、配合物は、(iii)さらに少なくとも1つのポリビニルアルコールを、配合物の総重量に対して、好ましくは1~30重量%、好ましくは2~20重量%、有利には5~10重量%の範囲の量で含む。
【0012】
別の実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、1重量%未満のPVOH、好ましくは0.5重量%未満のPVOHを含む。より具体的には、本発明の一実施形態によれば、配合物は、PVOHを含まない。
【0013】
好ましくは、ケイ酸塩のBET比表面積は、1~250m/gの範囲であり、および/またはケイ酸塩のメジアン径は、0.5~20μmの範囲であり、および/またはケイ酸塩の寸法形状係数は、1:2以上である。
【0014】
好ましくは、ケイ酸塩は、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムから選択され、好ましくはケイ酸アルミニウムから選択される。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、配合物は、ケイ酸塩とは異なる無機填料、過酸化生成物、ビタミンEとは異なるビタミン類、動物または植物のいずれか由来のワックス類から選ばれる1つ以上の添加剤をさらに含む。
【0016】
好ましくは、当該1つ以上の添加剤は、配合物の総重量の0.05~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは1~10重量%を占める。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、カプセルは、EN 13432規格に準拠する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、カプセルは、少なくとも60重量%の生体由来材料を含有する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、底、側壁および円形リムは、当該配合物を金型内で単層に射出成形することによって形成される。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、シールは、生分解性材料から選ばれる、好ましくは紙、不織布、セルロース、SiOx層、ポリ乳酸ポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、有機ポリマーと無機繊維とのハイブリッド層、ポリビニルアルコールまたはエチレン-ビニルアルコールコポリマーでコーティングされた層、例えばアルミニウムで金属化された層、から選ばれる、1つ以上の材料から作製される単層または多層フィルムからなり、このような材料層は、接着層によって分離され得る。
【0021】
好ましくは、シールは、
(i)紙または濾紙のフィルムと、
(ii)バリア層と、
(iii)不織布層であり、当該不織布層は、カプセルの内側に存在する、不織布層と、
からなる、多層からなる。
【0022】
より好ましくは、バリア層は、
有機ポリマーと無機化合物とのハイブリッドバリア層、および/または
SiOxバリアチェック層、および/または
セルロースバリア層、
から選ばれる1つ以上の層からなる。
【0023】
本発明は、さらに、
(a)成分を混合することによって配合物を調製するステップと、
(b)ステップ(a)において得られた配合物を容器の層を形成するように金型内で射出成形するステップであって、適切な場合、容器の1つ以上の層は、ステップ(a)における配合物と異なる配合物を用いて射出成形され得る、射出成形するステップと、
(c)容器を粉末形態の物質で充填するステップと、
(d)カプセルを形成するようにシールで容器を密封するステップと、
を含む、本発明による製造方法に関する。
【0024】
本発明によるカプセルは、堆肥化規格EN13432を満たし、産業用堆肥化条件下において生分解性を有すると判定される。
【0025】
家庭用堆肥化については、現在、国際規格または欧州規格はなく、国内規格しか存在しない。本発明によるカプセルは、フランスの勧告に従って家庭用堆肥化条件で生分解性である。特に、カプセルは、NF T 51800規格(2015)に準拠する。本発明によるカプセルは、通常、オーストラリア規格AS 5810(2010)に適合する。
【0026】
本発明によるカプセルは、通常、少なくとも60重量%の生体由来材料を含む。
【0027】
本発明によるカプセルは、酸素および水蒸気に対する密封性が良好であるため、保管時に安定である。特に、カプセルは、消費される前に少なくとも12ヶ月間保管および保存され得る。
【0028】
本発明によるカプセルは、Nespresso(登録商標)マシンに対応する。
【0029】
本発明によるカプセルは、バリア機能を有する。すなわち、同様のものは、ASTM F1307規格またはISO 15105-2規格に準拠して測定される、通常、23℃および50%RH(相対湿度)において0.21atmで3.0×10-3cm/カプセル/24hrs未満、好ましくは23℃および50%RHにおいて0.21atmで2.5×10-3cm/カプセル/24hrs以下、さらに好ましくは23℃および50%RHにおいて0.21atmで1.5×10-3cm/カプセル/24hrs以下の酸素に対する透過性を有する。
【0030】
さらに、本発明によるカプセルは、産業用堆肥化および/または家庭用堆肥化によって堆肥化可能であり、有利には、産業用堆肥化および家庭用堆肥化の両方によって堆肥化可能である。
【0031】
本発明の実施の形態の他の特徴、変形例および利点は、下記の説明および本発明の説明として与えられた実施例を読めば明らかになるが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に従って実施される容器の概略断面図である。
図2】本発明に従って実施されるカプセルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、挽きコーヒー、茶などの飲料または可溶性粉末の調製のために、少なくとも1つの粉末形態の食用物質を含有する、圧力下での抽出に適した個別の形態の密封カプセルに関する。
【0034】
カプセルは、抽出液を注入したときの圧力上昇の影響下で開封するのに適している。
【0035】
好ましくは、本発明によるカプセルは、少なくとも95重量%の生分解性材料、好ましくは、100%の生分解性材料からなる。
【0036】
「生分解性」とは、例えば、二酸化炭素、水および/またはメタンに変換されるために、バクテリア、菌類、藻類などの生物の作用の下で分解される傾向がある物質を指す。
【0037】
本発明によるカプセルは、容器と容器のリムの円周に溶着されたシールとを含む。このため、容器は、底と円形リムを有する側壁とを備える。円形リムは、カプセルがマシンに挿入されるときにカプセルを保持し、コーヒーマシンなどの当該マシンで使用されるときにシールゾーンを形成する。
【0038】
カプセル容器は、通常、底、側壁および円形リムを、配合物から出発して、一体成形することによって作製される。一体成形は、少なくとも1つの層が本発明に記載の配合物からなるという条件で、1つ以上の層において行われ得る。2つの層が含まれるとき、通常、各層は、異なる配合物からなる。容器の成形が、例えば、2つの層で製造される場合、本発明による配合物の層と例えばポリビニルアルコール(PVOH)からなるバリア層とが使用され得る。
【0039】
3つの層が含まれるとき、通常、そのうちの少なくとも1つの層が本発明の配合物からなる、少なくとも2つの異なる層が使用され得る。次いで、3つの層のうちの1つは、例えばPVOHからなるバリア層であり得る。
【0040】
好ましい実施形態によれば、容器は、本発明による配合物の単層で成形される。
【0041】
配合物は、
(i)ポリヒドロキシブチレート(PHB)から選択される少なくとも1つのポリマーと、
(ii)ケイ酸塩、ビタミンE、動物または植物のいずれか由来の可塑化タンパク質およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分と、
適切な場合、当該PVOHポリマーが標準EN13432規格に準拠して生分解性であるという条件の下で、少なくとも1つのポリビニルアルコール(PVOH)ポリマーと、を含む。
【0042】
通常、配合物中の全ての成分は、生分解性である。
【0043】
一実施形態によれば、PHBは、ポリ3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエートポリマー(PHBH)、ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレートポリマー(PHBV)およびそれらの混合物から選択される。
【0044】
一実施形態によれば、ケイ酸塩は、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムから選ばれ、好ましくはケイ酸アルミニウムから選ばれる。
【0045】
ケイ酸アルミニウムマグネシウムは、モンモリロナイトを含む。
【0046】
一実施形態によれば、ケイ酸塩は、フィロケイ酸塩、好ましくはアルミニウムフィロケイ酸塩から選択される。
【0047】
一実施形態によれば、フィロケイ酸塩は、カオリナイト、ハロイサイトおよびそれらの混合物から選択される。
【0048】
一実施形態によれば、ケイ酸アルミニウムは、カオリンである。
【0049】
一実施形態によれば、ケイ酸塩、好ましくはケイ酸アルミニウムは、レーザーサイズ分析によって測定されるメジアン径が0.5μm~20μmの範囲の粒子サイズ、および/または1~250m2/gの範囲の比表面積(BET法)を有する。
【0050】
通常、このようなケイ酸塩は、1:2以上、有利には1:4以上、特に1:6以上の寸法形状係数を有し、針状形状を有するケイ酸塩と呼ばれる。形状係数は、顕微鏡観察、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により決定され得る。針状填料は、好ましくは、カプセルの注入時に流の方向に沿って配向し、
長さ方向に沿った機械的補強(カプセルの潰れを少なくする)と、
さらなるバリア効果をもたらす針状形状の粒子の存在によるポリマーマトリックスの屈曲率の増加と、
をもたらす。
【0051】
一実施形態によれば、通常針状形状を有するケイ酸塩は、ケイ酸塩が少なくとも1つのマイクロメートル寸法(1μmから1mm未満)を有することを条件として、食品接触に関する基準を満たすように、1つまたは2つのナノメートル寸法(1nmから100nm)を有することになるであろう。このようなナノ/マイクロ寸法は、マイクロメートル規模の炭酸塩またはタルクと比較して、より少量のケイ酸塩を導入するために使用され得、
同一の機械的特性を維持しながら、完成品の重量を削減し、環境面をも改善することと、
塑性変形性を向上させ、使用中および輸送中の破損を減少させる、マトリックスの塑性効果の保持(弾性率は同じであるが、破断点伸びが優れている)と、の、少なくとも2つの利点を有する。
【0052】
一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、
(i)50~99.9重量%、好ましくは75~99.5重量%、有利には90~99重量%の、PHBから選ばれるポリマーの組成物と、
(ii)0.1~50重量%、好ましくは0.5~25重量%、より好ましくは1~10重量%の、ケイ酸塩、ビタミンE、植物もしくは動物のいずれか由来の可塑化タンパク質およびそれらの混合物から選択される1つ以上の成分と、を含む。
【0053】
一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、
(i)50~99.9重量%、好ましくは75~99.5重量%、有利には90~99重量%の、PHBから選ばれるポリマーの組成物と、
(ii)0.1~50重量%、好ましくは0.5~25重量%、有利には1~10重量%の、ケイ酸塩、ビタミンEおよびそれらの混合物から選択される1つ以上の成分と、を含む。
【0054】
一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、
(i)50~99.9重量%、好ましくは75~99.5重量%、有利には90~99重量%の、ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレート(PHBV)から選ばれるポリマーの組成物と、
(ii)0.1~50重量%、好ましくは0.5~25重量%、有利には1~10重量%の、ケイ酸アルミニウムと、を含む。
【0055】
一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、
(i)50~98.9重量%、好ましくは75~97.5重量%、有利には80~94重量%の、PHBから選ばれるポリマーの組成物と、
(ii)0.1~40重量%、好ましくは0.5~25重量%、より好ましくは1~10重量%の、ケイ酸塩、植物もしくは動物のいずれか由来の可塑化タンパク質、ビタミンEまたはそれらの混合物から選択される1つ以上の成分と、
(iii)1~30重量%、好ましくは2~20重量%、有利には5~10重量%の、PVOHと、を含む。
【0056】
一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、
(i)50~98.9重量%、好ましくは75~97.5重量%、有利には80~94重量%の、PHBVから選ばれるポリマーの組成物と、
(ii)0.1~40重量%、好ましくは0.5~25重量%、有利には1~10重量%の、ケイ酸アルミニウムと、
(iii)1~30重量%、好ましくは2~20重量%、有利には5~10重量%の、PVOHと、を含む。
【0057】
本発明の特定の一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、
60~95重量%の、ポリ3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエートポリマー(PHBH)およびポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレートポリマー(PHBV)からなるポリマー混合物と、
5~40重量%の少なくとも1つのケイ酸塩と、を含む。
【0058】
本発明の特定の一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、
70~90重量%の、ポリ3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエートポリマー(PHBH)およびポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレートポリマー(PHBV)からなるポリマー混合物と、
1~30重量%の少なくとも1つのケイ酸塩と、を含む。
【0059】
本発明の特定の一実施形態によれば、配合物は、配合物の総重量に対して、
60~80重量%の、ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレートポリマー(PHBV)と、
5~20重量%の、ポリ3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエートポリマー(PHBH)と、
1~30重量%の少なくとも1つのカオリンと、を含む。
【0060】
配合物は、必要に応じて、ケイ酸塩とは異なる無機填料、過酸化生成物、ビタミンEとは異なるビタミン、動物または植物由来のワックスから選択される1つ以上の添加剤をさらに含み得る。そのような実施形態によれば、当該1つ以上の添加剤は、配合物の総重量の0.05~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、有利には1~10重量%を占める。
【0061】
好ましくは、配合物は、完全に生分解性材料からなる。
【0062】
本発明で実施される配合物は、通常、押出によって、好ましくは、二軸押出によって製造される。次いで、顆粒の形態の配合物が得られ得る。
【0063】
通常、カプセルは、EN 13432規格に準拠する。
【0064】
一実施形態によれば、本発明によるカプセルは、カプセルの総重量に対して、生体由来材料を少なくとも60重量%含有する。生体由来材料の濃度は、ISO16620-1-3規格に準拠して決定され得る。
【0065】
カプセルは、飲料を調製するための粉末形態の物質を含有する。飲料は、好ましくはコーヒー、紅茶、チョコレート製品、好ましくはコーヒーである。コーヒーを調製するための粉末の形態の物質は、焙煎および挽きコーヒー、可溶性コーヒーまたはそれらの混合物であり得る。
【0066】
本発明によるカプセルは、
(a)成分の押し出しによって配合物を調製することと、
(b)容器の層を形成するように金型内で配合物を射出成形することであって、適切な場合、容器の1つ以上の他の層は、通常、ステップ(a)において使用した配合物とは異なる少なくとも1つの配合物を使用して、例えばPVOH配合物を使用して、射出成形され得ることと、
(c)容器を粉末形態の物質で充填することと、
(d)カプセルを形成するためにシールを使用して容器を密封することと、
の方法によって調製され得る。
【0067】
好ましくは、調製プロセスは、本発明で定義された配合物を使用する単一の射出成形ステップを含む。次に、この実施形態によれば、本発明による容器は、本発明で定義された配合物を有する1つのみの層からなる。
【0068】
容器は、概して、0.2~1mm、好ましくは0.5~0.8mmの範囲の厚さを有する。
【0069】
容器の底は穿孔される傾向があり、適切な場合、凹部を備え得る。
【0070】
円形リムは、適切な形状を有する金型への熱可塑性樹脂の射出によって、容器の製造中に形成される。当該円形リムは、1~4mmの範囲の幅を有し得る。円形リムの主な機能は、例えばコーヒーなどの飲料を抽出する段階において、飲料作成装置のカプセルホルダーの縁に対して接することであり、これによって、圧力が上昇している間、カプセルが堅固に保持されることが可能になる。
【0071】
したがって、射出用の金型は、容器の各層を得るために、通常、底、側壁および円形リムを備え、好ましくは、容器は、本発明による配合物の単一の層からなる。
【0072】
シールは、通常、カプセル容器の円形リムの輪郭に一致するように較正されたサイズを有し、こうして容器を密封する。
【0073】
このようにして、粉末形態の物質、好ましくは挽きコーヒーは、中空容器の内側に閉じ込められる。通常、シールは、カプセル容器の円形リムに接着または熱溶着される。
【0074】
一実施形態によれば、シールは、生分解性フィルムからなる。通常、シールは、90~300μmの範囲の総厚さを有する単層または多層フィルムのいずれかであり得る。
【0075】
したがって、シールは、紙、不織布、セルロース、バリア層から選択される材料の1つ以上の層からなり得、材料の層は、生分解性などである接着剤の層によって分離され得る。
【0076】
不織布は、ポリ乳酸(PLA)不織布またはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)不織布を含む。
【0077】
バリア層は、SiOx層、PLA層、有機ポリマーと無機繊維とのハイブリッド層、PVOH(ポリビニルアルコール)またはEVOH(エチレン-ビニルアルコールコポリマー)でコーティングされた層、例えばアルミニウムで金属化された層および気化(プラズマまたは空気真空蒸着)によって生成されたバリア層を含む。
【0078】
「バリア」とは、酸素および/または水蒸気または水分の通過を制限または低減する材料の能力を指し、酸素および/または水分に対するバリア層と呼ばれ得る。有機ポリマーと無機化合物とのハイブリッド層は、有機基で修飾されたケイ酸重縮合物と無機化合物からなる層を含む。有機基は、ポリカプロラクトン、キトサンおよびセルロースを含む。ケイ酸重縮合物は、Si-O-Si結合を含有する。無機化合物は、必要に応じて、アルミニウム、チタン、ホウ素またはジルコニウムなどの他のカチオンと組み合わせたケイ素カチオンを含む。
【0079】
シールの製造の例は、
(i)パーチメントペーパーフィルムと、
(ii)接着層および/またはバリア層と、
(iii)不織布層と、
からなり、
カプセル内に実装されると、層(i)は、外側の層であり、層(iii)は、カプセルの内側の層である、
シールと、
(i)濾紙フィルムと、
(ii)バリア層と、
(iii)セルロースフィルムまたはPLAフィルムなどのバリアフィルムと、
(iv)不織布層と、
からなり、
カプセル内に実装されると、層(i)は、外側の層であり、層(iv)は、カプセルの内側の層である、
シールと、
(i)例えばNaturflex(登録商標)などの、セルロースフィルムと、
(ii)不織布層と、
からなり、
カプセル内に実装されると、層(i)は、外側の層であり、層(iv)は、カプセルの内側の層である、
シールと、
(i)紙または濾紙のフィルムと、
(ii)有機ポリマーと無機化合物とのハイブリッドバリア層と、
(iii)SiOxバリア層と、
(iv)セルロースバリア層と、
(v)不織布層と、
からなり、
カプセル内に実装されると、層(i)は、外側の層であり、層(iv)は、カプセルの内側の層である、
シールと、を含む。
【0080】
図1を参照すると、本発明による容器2は、実質的に円形の底3と円形リム5を有する側壁4とからなる。
【0081】
図2を参照すると、本発明によるカプセル1は、容器2とシール6とを備える。容器2は、実質的に円形の底3と円形リム5を有する側壁4とからなる。本発明によるカプセルは、図2には示されていない(カプセルをシールで密封する前に導入される)飲料を調製するための粉末の形態の物質をさらに含む。
【0082】
本発明はさらに、本発明によるカプセルの製造方法に関する。本発明による方法は、
(a)成分の押し出しによって配合物を調製するステップと、
(b)容器の層を形成するように金型内で配合物を射出成形するステップであって、必要に応じて、容器の1つ以上の他の層は、通常、ステップ(a)において使用した配合物とは異なる少なくとも1つの配合物を使用して、例えばPVOH配合物を使用して、射出成形され得るステップと、
(c)容器を粉末形態の物質で充填するステップと、
(d)カプセルを形成するためにシールを使用して容器を密封するステップと、
を含む。
【0083】
好ましくは、調製プロセスは、本発明で定義された配合物を使用する単一の射出成形ステップを含む。次に、本発明による容器は、この実施形態によれば、本発明で定義された配合物を有する1つのみの層からなる。
【0084】
最後に、本発明は、ガスおよび水分に対する低い透過性を有するカプセルを調製するための、本発明で定義される配合物の使用に関する。
【0085】
通常、本発明による容器は、ASTM F1307規格またはISO 15105-2規格に準拠して測定される、23℃および50%RH(相対湿度)において0.21atmで3.0×10-3cm/カプセル/24hrs未満、好ましくは23℃および50%RHにおいて0.21atmで2.5×10-3cm/カプセル/24hrs以下、さらに好ましくは23℃および50%RHにおいて0.21atmで1.5×10-3cm/カプセル/24hrs以下の酸素に対する透過性を有する。透過性測定試験中、プレートが容器を「密封する」ように、容器をプレートに固定する。
【実施例
【0086】
容器の酸素に対する透過性を測定するために、異なる配合物から複数の容器を調製した。
【0087】
表1に、調製した配合物を記載する。提示したパーセンテージは、配合物の総重量に対する重量パーセンテージである。
【0088】
【表1】
【0089】
容器を、前述の方法に従って調製した。すなわち、配合物顆粒を得るために成分を二軸押出機で押し出すことによって、その後、容器の底、側壁および円形リムを形成するように金型内で1層のみ射出成形することによって、調製した。
【0090】
容器の酸素透過性を、ASTM F1307規格またはISO 15105-2規格に準拠して測定し、表2に示した。
【0091】
【表2】
【0092】
表2に示されるように、本発明で定義される、すなわち本発明の配合物を有する、容器を備えるカプセルは、酸素に対する透過性が非常に低い。反対に、生分解性材料の配合2、3、4は、容器の酸素に対する透過性をより高くする。
【0093】
実施例は、本発明が、こうして、特に産業用堆肥化および家庭用堆肥化条件下で、容器が配合物の1つのみの層からなるときでさえも非常に低い酸素に対する透過性を有する、生分解性カプセルを得ることを可能にすることを示す。
図1
図2
【国際調査報告】