(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】水分配装置
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B67D1/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574366
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 IB2021054862
(87)【国際公開番号】W WO2021245589
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518247265
【氏名又は名称】クーカー インターナショナル ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ペーテリー,ニルス セオドー
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC01
3E082EE01
3E082EE02
3E082FF09
(57)【要約】
本発明は、熱水を濾過するためのフィルタ(14)を含む熱水タンク(10)と、冷水タンク(20)とを備え、冷却され濾過された飲料水を少なくとも分配するための水分配装置(1)に関する。本発明によれば、水分配装置(1)は、第1の入口(32)および第1の出口(33)を有する第1の熱交換ダクト(31)と、第2の入口(35)および第2の出口(36)を有する第2の熱交換ダクト(34)とを有する熱交換器(30)を備え、第1の入口(32)は熱水タンク放出部(13)に接続され、第1の出口(33)は冷水タンク供給部(22)に接続され、第2の入口(35)は新鮮水ダクトに接続され、第2の出口(36)は熱水タンク供給部(12)に接続され、第1の熱交換ダクト(31)を介して熱水タンク(10)から冷水タンク(20)に熱水を供給し、その後、冷却され濾過された飲料水として分配することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却され濾過された飲料水を少なくとも分配するための水分配装置であって、
熱水を例えば95℃以上である、65℃以上の温度に維持するように設計された熱水タンクであって、前記熱水を濾過するためのフィルタと、前記熱水タンク内に新鮮な水を供給するための熱水タンク供給部と、前記熱水タンクから熱水を放出するための熱水タンク放出部とを有し、前記フィルタは前記熱水タンク内、または前記熱水タンク放出部内、または前記熱水タンク供給部内に配置され、前記熱水タンク放出部によって放出される前記熱水が前記フィルタによって濾過されるように構成された、前記熱水タンクと、
冷却された水を20℃以下の温度に維持するように設計された冷水タンクであって、前記冷水タンク内に水を供給するための冷水タンク供給部と、前記冷水タンクから冷却された水を送出するための冷水タンク放出部とを有する、前記冷水タンクと、を備える水分配装置において、
第1の入口および第1の出口を有する第1の熱交換ダクトと、第2の入口および第2の出口を有する第2の熱交換ダクトとを有する熱交換器を備え、
前記第1の熱交換ダクトおよび前記第2の熱交換ダクトは、互いに熱交換するように設計され、
前記第1の入口は前記熱水タンク放出部に接続され、前記第1の出口は前記冷水タンク供給部に接続され、前記第2の入口は新鮮水ダクトに接続され、前記第2の出口は前記熱水タンク供給部に接続され、
前記熱水が、前記第1の熱交換ダクトを介して前記熱水タンクから前記冷水タンクに供給され、その後、冷却され濾過された飲料水として分配される水分配装置。
【請求項2】
前記フィルタは、活性炭フィルタである請求項1に記載の水分配装置。
【請求項3】
前記水分配装置は、前記新鮮水ダクトから前記熱水タンクへの給水を遮断するための遮断弁を備える請求項1または2に記載の水分配装置。
【請求項4】
前記水分配装置は、
前記第1の熱交換ダクトに並列に、前記熱水タンク放出部と前記冷水タンク供給部とに接続された熱水バイパスダクトと、
前記第1の熱交換ダクトを通ってまたは前記熱水バイパスダクトを通って熱水が流れることを選択的に可能にする少なくとも1つの熱水バイパス弁とを有する請求項1~3のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項5】
前記水分配装置は、
前記新鮮水ダクトに接続され、かつ、前記第2の熱交換ダクトに並列に前記熱水タンク供給部に接続された新鮮水バイパスダクトと、
前記第2の熱交換ダクトを通ってまたは前記新鮮水バイパスダクトを通って新鮮な水が流れることを選択的に可能とする少なくとも1つの新鮮水バイパス弁とを有する請求項1~4のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項6】
前記熱交換器はプレート式熱交換器である請求項1~5のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項7】
前記水分配装置は、CO
2を供給するためのCO
2キャニスタを備え、前記冷水タンクは、炭酸を含む冷却され濾過された水を分配するために、前記冷却された水にCO
2を溶解するように設計されている請求項1~6のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項8】
前記冷水タンク放出部は、前記冷水タンクから冷却され濾過された水を送出するように設計され、前記冷水タンクは、炭酸を含む冷却され濾過された水を送出するための第2の冷水タンク放出部を備える請求項1~7のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項9】
前記熱水タンクは、熱水を100℃以上の温度に維持するように設計されている請求項1~8のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項10】
前記熱水タンクは、熱水または沸騰水を送出するための第2の熱水タンク放出部を備える請求項1~9のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項11】
前記フィルタは、前記熱水タンク放出部によって送出される熱水を濾過するために、前記熱水タンク放出部内または前記熱水タンク放出部に近接して、あるいは、前記熱水タンク供給部内または前記熱水タンク供給部に近接して、配置されている請求項1~10のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項12】
前記冷水タンクは、前記冷却され濾過された水を所望の温度にしてその温度に維持するための冷却装置を備える請求項1~11のいずれか一項に記載の水分配装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の水分配装置を使用して、冷却され濾過された飲料水を分配する方法であって、
前記第1の熱交換ダクトを介して前記熱水タンクから前記冷水タンクに熱水を供給し、前記第2の熱交換ダクトを介して前記熱水タンク内に新鮮な水を供給し、
前記熱水を冷却し前記新鮮な水を温めるために、前記新鮮な水と前記熱水との間で熱交換器において熱交換が行われ、
前記冷水タンク内で前記供給された熱水をさらに冷却して、所望の温度に冷却され濾過された水を得て、
前記冷却され濾過された水を前記冷水タンクから送出することを含む方法。
【請求項14】
前記水分配装置は、前記給水ネットワークKに接続され、かつ、前記第2の熱交換ダクトに並列に前記熱水タンク供給部に接続された新鮮水バイパスダクトを有し、
前記方法は、前記冷水バイパスダクト、前記熱水タンクおよび前記第1の熱交換ダクトを介して前記冷水タンクに供給される、前記熱水タンクからの熱水で前記冷水タンクを洗浄することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記水分配装置は、前記第1の熱交換ダクトに並列に、前記熱水タンク放出部と前記冷水タンク供給部に接続された熱水バイパスダクトを有し、
前記方法は、前記熱水バイパスダクトを介して前記冷水タンクに供給される前記熱水タンクからの熱水で前記冷水タンク供給部を洗浄することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記水分配装置は、CO
2を供給するためのCO
2キャニスタを備え、前記方法は、炭酸を含む冷却された水を分配するために、前記冷水タンクの第2の容器内の前記冷却された水にCO
2を溶解させることを含む請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却され濾過された飲料水を少なくとも分配するための水分配装置に関する。
【0002】
冷却された水を分配するように設計された様々な水分配装置が知られており、この水には炭酸が添加されてもよい。冷却された水の温度は、例えば、3℃~12℃であり、例えば、10℃である。この冷却された水は、一般的に、飲料水として用いられる。フィルタによってこのような水を濾過することが望ましく、そのフィルタは、一般給水ネットワークからの新鮮な水を送出する新鮮水供給源への接続部と、例えば台所に配置された蛇口である、濾過され冷却された水を分配するための分配ポイントと、の間の送水管内に配置される。
【0003】
このような水分配装置に用いられるフィルタは、通常、活性炭フィルタから成る。水を濾過するために、この活性炭フィルタに水を通過させる。さらに、活性炭フィルタは、飲料水の味に対して好ましい効能を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような活性炭フィルタには、冷却された水で使用されるときに細菌の増殖が起きやすいという欠点がある。これは一般に望ましくない。したがって、活性炭フィルタを定期的に交換する必要があり、さもなければ、濾過され冷却された水の品質を、所望の品質よりも著しく低下させる。このような、フィルタの比較的急速な汚染という欠点はまた、冷却され濾過された飲料水を分配するための水分配装置において使用される、その他のフィルタについても生じ得る。
【0005】
活性炭フィルタの使用に加えて、UVフィルタまたはUV-Cフィルタとしても知られる紫外線フィルタも使用されることがある。このフィルタは、細菌を死滅させるために使用される。しかし、ある場合には、これらのフィルタはさらなる欠点を有することがある。例えば、比較的長く温かい水が初期に流れることであり、このことは、冷却された飲料水の場合など、ある場合には望ましくない。
【0006】
本発明の目的は、冷却され濾過された水を少なくとも分配するための水分配装置であって、例えば活性炭フィルタから成るフィルタでの細菌の増殖やフィルタのその他の汚れが起きにくい、水分配装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、冷却され濾過された飲料水を少なくとも分配するための水分配装置であって、
熱水を例えば95℃以上である、65℃以上の温度に維持するように設計された熱水タンクであって、前記熱水を濾過するためのフィルタと、前記熱水タンク内に新鮮な水を供給するための熱水タンク供給部と、前記熱水タンクから熱水を放出するための熱水タンク放出部とを有し、前記フィルタは前記熱水タンク内、または前記熱水タンク放出部内、または前記熱水タンク供給部内に配置され、前記熱水タンク放出部によって放出される前記熱水が前記フィルタによって濾過されるように構成された、前記熱水タンクと、
冷却された水を20℃以下の温度に維持するように設計された冷水タンクであって、前記冷水タンク内に水を供給するための冷水タンク供給部と、前記冷水タンクから冷却された水を送出するための冷水タンク放出部と、を有する、前記冷水タンクと、
を備える水分配装置において、
第1の入口および第1の出口を有する第1の熱交換ダクトと、
第2の入口および第2の出口を有する第2の熱交換ダクトと、
を有する熱交換器を備え、
前記第1の熱交換ダクトおよび前記第2の熱交換ダクトは、互いに熱交換するように設計され、
前記第1の入口は前記熱水タンク放出部に接続され、前記第1の出口は前記冷水タンク供給部に接続され、前記第2の入口は新鮮水ダクトに接続され、前記第2の出口は前記熱水タンク供給部に接続され、
濾過された前記熱水が、前記第1の熱交換ダクトを介して前記熱水タンクから前記冷水タンク供給部に供給され、その後、冷却され濾過された飲料水として分配される水分配装置を提供する。
【0008】
本発明による前記水分配装置では、飲用の前記水を濾過するための前記フィルタが、熱水を例えば95℃以上である、65℃以上の温度に維持するように設計された前記熱水タンク内または前記熱水タンクに近接して配置される。一実施態様において、前記熱水タンクは、100℃以上の温度に維持される。前記水が例えば95℃以上である、65℃以上の高温であることにより、前記フィルタ内における細菌の増殖は全くないかあるいは殆ど起こらない。
【0009】
その結果、前記冷水タンクには、殺菌され濾過された水のみが供給される。したがって、冷却され濾過された飲料水を送出するために、前記冷水タンク内にフィルタを設ける必要がなくなる。
【0010】
濾過された前記熱水を冷却され濾過された飲料水として使用するために、前記熱水を、冷却された水に適した温度まで冷却しなければならない。この冷却時のエネルギー損失を制限するために、本発明に係る前記水分配装置は、濾過された前記熱水から、前記新鮮水供給源から引き出され前記熱水タンクに充填するために使用される新鮮な水に熱を伝達する熱交換器を備えている。このようにして、前記新鮮な水を、前記熱水タンクの例えば100℃以上である、所望の温度まで加熱するのに必要な熱量も大幅に低減される。
【0011】
一実施形態において、前記フィルタは活性炭フィルタである。活性炭フィルタは、飲料水として使用される水を濾過するために使用され得る。しかし、活性炭フィルタは細菌の増殖を受けやすい。したがって、65℃以上という高い温度により前記活性炭フィルタでの細菌の増殖が全くないかまたは殆どない前記熱水タンク内に、このような活性炭フィルタを設置することは有利である。
【0012】
一実施形態において、前記水分配装置は、前記第1の熱交換ダクトに並列に、前記熱水タンク放出部と前記冷水タンク供給部に接続された熱水バイパスダクトと、前記第1の熱交換ダクトを通ってまたは前記熱水バイパスダクトを通って熱水が流れることを選択的に可能にする少なくとも1つの熱水バイパス弁とを有する。
【0013】
前記熱水バイパスダクトは、所望に応じて、前記熱交換器の外部で前記冷水タンクに熱水を送るために設けられる。
【0014】
前記熱水バイパス弁は、少なくとも通常位置とバイパス位置とに置かれる。前記通常位置では、前記熱水タンク放出部からの前記熱水は、前記第1の熱交換ダクトを通って前記冷水タンク供給部に送られる。前記バイパス位置では、前記熱水タンク放出部からの前記熱水は、前記熱水バイパスダクトを介して前記冷水タンク供給部に送られる。前記熱水バイパス弁はまた、2つの別個の遮断弁から構成されてもよく、一方の遮断弁は、前記熱水バイパスダクトを遮断することができ、他方の遮断弁は、前記熱交換器の前記第1の入口へのアクセスを遮断することができる。
【0015】
前記水分配装置の通常使用時には、前記熱水バイパス弁は前記閉位置にある。このとき、前記熱水タンクから前記冷水タンクに流入する前記熱水は、前記第1の熱交換ダクトを通って流れる。前記熱水バイパス弁を前記バイパス位置に置くことによって、前記熱水は、前記熱水タンクから前記冷水タンクへ直接、即ち、前記熱交換器の前記第1の熱交換ダクトを通らずに流れる。このとき、この熱水を、前記冷水タンク内で経時的に発生した可能性のある全ての細菌を殺すために用いることができる。例えば、この冷水タンク内の細菌を死滅させるために、予め定められた期間ごとに1回、例えば3ヶ月または6ヶ月に1回、前記冷水タンクを熱水で洗浄することが望ましい。
【0016】
一実施形態において、前記水分配装置は、前記新鮮水ダクトに接続され、かつ、前記第2の熱交換ダクトに並列に前記熱水タンク供給部に接続される新鮮水バイパスダクトと、前記第2の熱交換ダクトを通ってまたは前記新鮮水バイパスダクトを通って新鮮な水が流れることを選択的に可能とする少なくとも1つの新鮮水バイパス弁とを有する。前記熱水バイパスダクトの代わりにまたは前記熱水バイパスダクトに加えて、前記新鮮水ダクトを前記熱水タンク供給部に接続する新鮮水バイパスダクトを設けてもよい。前記新鮮水バイパスダクトを使用して、前記新鮮な冷水を前記第2の熱交換ダクトの外側で前記熱水タンク供給部に送ることができる。その場合、新鮮な冷水は前記熱交換器を通って流れることはない。そこで、前記熱水は、前記第1の熱交換ダクト内で冷却されることなく、前記冷水タンクを熱水で洗浄するための熱水として使用することができ、これにより、前記冷水タンク内で経時的に発生した可能性のある全ての細菌が殺される。前記第1の熱交換ダクトも、前記熱水で洗浄することができる。
【0017】
前記新鮮水バイパス弁は、少なくとも通常位置とバイパス位置とに置かれる。前記通常位置では、前記給水ネットワークからの前記新鮮な冷水は、前記第2の熱交換ダクトを通して前記熱水タンク供給部に送られる。前記バイパス位置では、前記給水ネットワークから到来する新鮮な冷水は、前記新鮮水バイパスダクトを通して前記熱水タンク供給部に送られる。前記新鮮水バイパス弁はまた、2つの別個の遮断弁から構成されてもよく、一方の遮断弁は、前記新鮮水バイパスダクトを遮断することができ、他方の遮断弁は、前記熱交換器の前記第2の入口へのアクセスを遮断することができる。
【0018】
一実施形態において、前記熱交換器は、プレート式熱交換器である。プレート式熱交換器は、互いに積み重ねられ、その内部に通路が設けられて第1および第2の熱交換ダクトを形成するように構成された、多数のプレートによって熱を交換する熱交換器である。このようなプレート式熱交換器は、熱を交換するために有効に利用することができる。このような熱交換器を用いて、前記熱水からの熱の大部分を前記新鮮な水に伝達することができる。
【0019】
一実施形態において、前記水分配装置は、CO2を供給するためのCO2キャニスタを備え、前記冷水タンクは、炭酸を含む冷却され濾過された水を分配するために、前記冷却された水にCO2を溶解するように設計されている。ある実施形態において、前記冷水タンクから炭酸を含む冷却された水を送出することが望ましい。このため、前記水分配装置は、前記冷水タンク内の冷却された水に溶解可能なCO2を供給するように設計されたCO2キャニスタを備えてよい。
【0020】
一実施形態において、前記冷水タンク放出部は、前記冷水タンクから冷却された水を送出するように設計され、前記冷水タンクは、炭酸を含む冷却された水を送出するための第2の冷水タンク放出部を備える。本実施形態によれば、冷却された水と炭酸を含む冷却された水の両方を送出するために前記冷水タンクを用いることができる。このため、前記冷水タンクは、炭酸が溶解していない冷却された水を保持するための第1の容器と、炭酸を含む冷却された水を保持するための第2の容器とを有し、前記冷却された水にCO2を溶解させるために、前記CO2キャニスタが前記第2の容器に接続されている。
【0021】
一実施形態において、前記熱水タンクは、熱水を100℃以上の温度に維持するように設計される。
【0022】
一実施形態において、前記熱水タンクは、熱水または沸騰水を送出するための第2の熱水タンク放出部を備える。前記熱水タンクは、熱水または沸騰水を送出するために使用され得る。
【0023】
一実施形態において、前記フィルタは、前記熱水タンク放出部によって送出される熱水を濾過するために、前記熱水タンク放出部内または前記熱水タンク放出部に近接して配置される。前記熱水タンク放出部内または前記熱水タンク放出部に近接して前記フィルタを設けることにより、前記熱水は、前記熱水タンクから出る際にまさに濾過される。その結果、前記熱水タンク内の前記熱水は、例えば95℃以上の前記所望の温度を最長期間保ち、細菌によって前記フィルタを汚染することがないか、あるいは、殆ど汚染しないであろう。
【0024】
一実施形態において、前記フィルタは、前記熱水タンク供給部内または前記熱水タンク供給部に近接して配置される。これにより、前記フィルタを流れる温められた新鮮な水は、前記熱交換器によって、例えば、80℃~95℃に加熱される。このことはまた、前記新鮮な水中に存在する細菌の、全てではなくてもその大半を確実に死滅させるようにする。
【0025】
一実施形態において、前記冷水タンクは、前記冷却され濾過された水を所望の温度に維持するために冷却装置を備える。前記冷却装置は、前記冷却された水を前記所望の温度に維持するための任意の適切な装置であってよい。
【0026】
本発明はまた、請求項1~12のいずれか一項に記載の水分配装置を使用して、冷却され濾過された飲料水を分配する方法であって、
前記第1の熱交換ダクトを介して前記熱水タンクから前記冷水タンクに熱水を供給し、前記第2の熱交換ダクトを介して前記熱水タンクに新鮮な水を供給し、
前記熱水を冷却し前記新鮮な水を温めるために、前記新鮮な水と前記熱水との間で熱交換器において熱交換を行い、
前記冷水タンク内で前記供給された熱水をさらに冷却して、所望の温度の冷却され濾過された水を得て、
前記冷却され濾過された水を前記冷水タンクから送出することを含む方法。
【0027】
前記方法の一実施形態において、前記水分配装置は、前記第1の熱交換ダクトに並列に、前記熱水タンク放出部と前記冷水タンク供給部に接続された熱水バイパスダクトを有し、前記方法は、前記熱水バイパスダクトを介して前記冷水タンクに供給される前記熱水タンクからの熱水で前記冷水タンクを洗浄することを含む。
【0028】
前記方法の一実施形態において、前記水分配装置は、CO2を供給するためのCO2キャニスタを備え、前記方法は、炭酸を含む冷却された水を分配するために、前記冷水タンク内の前記冷却された水にCO2を溶解させることを含む。
【0029】
本発明による前記装置は、請求項1~12のいずれか一項に記載の水分配装置の冷水タンクを殺菌する方法であって、
前記熱水タンク内の前記熱水を100℃以上の温度に維持し、
前記熱水タンクへの給水を遮断し、
前記冷水タンクから冷却された水を送出すること、を含み、
前記熱水タンクからの熱水が前記冷水タンクを洗浄し、これにより前記冷水タンクを殺菌するようにした方法の可能性を提供する。
【0030】
一実施形態において、前記熱水タンク内の前記熱水は100℃以上の温度に維持される。次に、前記熱水タンクが新鮮水供給源から遮断されている間に前記熱水タンクから水が放出されると、前記水分配装置内の過圧が低下し、その結果、前記熱水タンク内の過熱水が瞬時に沸騰し、それにより形成された蒸気が前記冷却された水を前記冷水タンクから追い出し、そこで、前記冷水タンクが前記蒸気によって殺菌される。これは、前記水分配装置を殺菌するための効果的な方法を提供する。例えば、3リットルの容量の冷水タンクを殺菌するには、1リットル足らずの過熱水を必要とするだけである。
【0031】
尚、本特許出願において、各種の水が記載されている。これらは、以下の通りである。
・熱水:例えば95℃以上である、65℃以上の温度の水、100℃以上の温度の場合には沸騰水とも呼ばれる。
・温水:25℃~65℃の範囲の温度の水。
・新鮮な水:中央給水ネットワークからまたは別の新鮮水供給源から送水ダクトによって送出される水。
・冷却された水:前記冷水タンクによって、例えば12℃以下である、20℃以下の温度に冷却された水。
・炭酸を含む冷却された水:加圧炭酸ガスが溶解された冷却された水。
・濾過された水:フィルタによって濾過された水、例えば(炭酸を含む)冷却され濾過された水。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の実施形態による水分配装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の実施形態において使用可能なプレート式熱交換器の断面を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態による水分配装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態に係る水分配装置について、図面を参照してより詳細に説明する。
【0034】
図1は、冷却され濾過された飲用のための水を少なくとも分配するための水分配装置の実施形態を示す。水分配装置は、概して符号1で示されている。水分配装置1は、熱水タンク10と、冷水タンク20と、熱交換器30と、蛇口40とを備えている。
【0035】
熱水タンク10は、熱水を例えば108℃の温度に維持するように設計されている。熱水タンク10内の水を所望の温度に加熱し、この温度に維持するために、熱水タンク10内に温度制御付きの加熱装置11が配置されている。熱水タンク10は、熱水タンク10内に新鮮な水を供給するための熱水タンク供給部12と、熱水タンク10から熱水を放出するための熱水タンク放出部13とを備えている。熱水タンク10内には、熱水タンク放出部13の始点に近接してフィルタ14が設けられ、このフィルタは、熱水タンク放出部13により放出される熱水を濾過するためのものである。フィルタ14は、活性炭を用いて水から特定の物質を吸着するように設計された活性炭フィルタである。熱水の温度が比較的高いため、フィルタ14は、熱水タンク10内に配置されている。この高温により、フィルタ14は細菌の増殖が起きないままとなる。特に、飲料水は、細菌を含まないことが望ましい。
【0036】
熱水タンク10は、第2の熱水タンク放出部15と、第3の熱水タンク放出部16とを備える。第1の熱水タンク放出部13と、第2の熱水タンク放出部15と、第3の熱水タンク放出部16は、熱水タンク10からの3つの別々のダクトとして、または、
図1に示すように、別々の放出部に分離される熱水タンク10からの複合ダクトとして設けてもよい。
【0037】
第2の熱水タンク放出部15は、熱水を分配するために、蛇口40に直接接続されている。熱水を分配するために操作ボタン41が設けられている。熱水タンク10から流出する際、熱水はフィルタ14を通り、したがって飲用に適した濾過された熱水として分配される。熱水タンク10内の水圧は、新鮮な水を供給する給水ネットワークKからの水の圧力の結果として、また、加熱装置11により発生される熱によって加熱される際に水が膨張するため、大気圧超えの水圧である。この過圧のため、熱水タンク10内の例えば108℃の熱水が沸騰することはない。蛇口40を出る際、熱水の圧力は大気圧に低下する。その結果、蛇口を出る際に熱水は沸騰する。このようにして、本実施形態において、熱水が沸騰水として分配される。
【0038】
操作ボタン41は、弁を制御するために用いられる電気信号を送出するように設計されている。代替実施形態において、操作ボタン41は、機械弁を操作するように設計されてもよい。
【0039】
第3の熱水タンク放出部16は、熱水タンク10からの熱水を給水ネットワークKからの新鮮な水に一定の混合比で混合して温水を生成する混合装置17に接続されている。そして、この温水は、蛇口40に送られる。蛇口40には、操作要素42によって操作可能な第2の混合装置(図示せず)が設けられている。第2の混合装置は、操作要素42を所望の混合比に手動で調整することにより新鮮な水を温水と混合し、新鮮な水の温度と温水の温度の間の温度範囲において蛇口40から混合水を分配するように設計されている。
【0040】
冷水タンク20は、冷却された水を例えば10℃以下である、20℃以下の温度に維持するように設計されている。温度調節付きの冷却装置21が、冷水タンク20内の水を所望の温度に冷却し、この温度に維持するために冷水タンク20内に配置されている。冷水タンク20は、冷水タンク20内に水を供給する冷水タンク供給部22と、冷水タンク20からの冷却された水を放出する冷水タンク放出部23とを備えている。
【0041】
水分配装置1は、加圧されたCO2を供給するCO2キャニスタ24を備えている。冷水タンク20は、冷水タンク20に保持された冷却された水にCO2が溶解するように設計されている。冷却された水にCO2を溶解させるために、水供給ネットワークKにより送出される水圧より通常高い圧力が必要である。冷水タンク20は、CO2キャニスタ24のより高い圧力に抗して冷水タンク供給部22を通って冷水タンク20内に水を流入させるためのポンプを備えてよい。そこで、このポンプは、CO2キャニスタ24によって冷水タンク20に加えられる圧力よりも高い水圧を送出することができる。
【0042】
冷却された水にCO2を溶解させることにより、冷却された水を、飲用のための炭酸を含む冷却された水として分配することができる。冷水タンク20は、炭酸を含む冷却された水を送出する第2の冷水タンク放出部25を備えている。冷水タンク放出部23および第2の冷水タンク放出部25は、冷却された水の分配を起動させることができる操作ボタン41を有する蛇口40に接続されている。冷水タンク20は、操作ボタン41の操作に応じて、所望に応じて、炭酸を含む冷却された水またはCO2キャニスタ24からのCO2が溶解していない冷却された水を送出するように設計されている。
【0043】
冷却された水または炭酸を含む冷却された水を分配するための冷水タンク放出部23および/または第2の冷水タンク放出部25には、それぞれ、弁27、28が設けられている。そこで、操作ボタン41を用いて、これらの弁27、28を制御することができる。
【0044】
熱水と冷却された水を分配するために、一つの同じ分配ダクト43が用いられる。同じ操作ボタン41が、操作ボタン41の操作に応じて沸騰水または冷却された水のいずれかを分配するためにも使用される。一実施形態において、沸騰水用および冷却された水用の別個の操作ボタンを有するように選択してもよい。
【0045】
弁44が分配ダクト43に設けられ、この弁44は、熱水タンク10からの熱水を分配する際または冷水タンク放出部23から冷却された水を分配するときに開状態に置かれ、分配ダクト43を介して水が分配されないときには閉状態に置かれる。この弁44は、蛇口40から冷水タンク放出部23へ細菌が移動するのを防止することができる。弁44を共用の分配ダクト43内に配置することにより、熱水が分配されるときに弁44と、分配ダクト43の弁44に対して下流の部分とが熱水により洗浄され、これにより分配ダクト43内に存在する細菌を死滅させるという追加の利点を得る。
【0046】
弁44は、冷水タンク20の分配ダクトの非共用部分に配置することも考えられる。
【0047】
弁44は、開状態と閉状態とに置くことができる任意の適切な弁であってよい。弁44は、例えば電磁弁である、能動的に作動する弁、例えば逆流防止弁である、水圧によって作動する弁、、または、手動弁であってよい。
【0048】
代替の実施形態において、様々な分配ダクトおよび/または様々な操作ボタンを、熱水、冷却された水および/または冷却された炭酸を含む水を分配するために用いてもよい。例えば、混合水用の別個の蛇口、熱水用の別個の蛇口、および冷却された水のための別個の蛇口などの、複数の別個の蛇口を提供してもよい。
【0049】
熱交換器30は、プレート式熱交換器である。この熱交換器30の断面は、
図2に概略的に示されている。熱交換器30は、第1の入口32および第1の出口33を有する第1の熱交換ダクト31と、第2の入口35および第2の出口36を有する第2の熱交換ダクト34とを備える。第1の熱交換ダクト31と第2の熱交換ダクト34とは、第1の熱交換ダクト31と第2の熱交換ダクト34との間に配置されたプレート37を介して互いに熱交換するように設計されている。
【0050】
図1に示すように、熱交換器30の第1の入口32は熱水タンク放出部13に接続され、第1の出口33は冷水タンク供給部22に接続され、これにより熱水タンク10からの熱水を熱交換器30を介して冷水タンク20内に供給することができる。
【0051】
熱交換器30の第2の入口35は、新鮮な水を供給可能な新鮮水供給ネットワークKに接続されている。第2の入口35はまた、例えば、新鮮水貯蔵タンクのような、新鮮な水を供給するための任意の他の適切な供給源に接続されてもよい。第2の出口36は、熱水タンク供給部12に接続されている。
【0052】
熱交換器30の内部容積は、冷水タンク20の容積に対して小さい容積であってよい。熱交換器30の内部容積は、例えば、冷水タンク20の内部容積の10%以下であるような、例えば、冷水タンク20の内部容積の20%以下である。
【0053】
蛇口40の操作ボタン41を操作することにより冷却された水の分配を起動すると、冷水タンク20から冷却された水が分配される。冷水タンク20から冷水が流出するために、冷水タンク20内の水圧が低下する。その結果、分配された冷却された水と入れ替わるように、熱水タンク10から第1の熱水タンク放出部13を通って熱交換器30の第1の熱交換ダクト31を介して冷水タンク20に熱水が流入することになる。同時に、熱水タンク10から流出する熱水は、給水ネットワークKから第2の熱交換ダクト34を介して熱水タンク10の熱水タンク供給部12に流れる新鮮な水と入れ替わることになる。
【0054】
したがって、冷水タンク20から分配される冷却された水は、熱水タンク10から到来する。この水は熱水タンク10から冷水タンク20に流れるため、この水は、フィルタ14を通過しこれにより濾過される。したがって、蛇口40から分配される冷却された水は、飲用に適した濾過された水である。さらに、フィルタ14で細菌の増殖が起きないか、あるいは、殆ど起きないように、フィルタ14を熱水タンク10内に配置することが有利である。
【0055】
熱交換器30を新鮮な水と熱水とが反対方向に流れることにより、第1の熱交換ダクト31内の熱水からの熱が、第2の熱交換ダクト34内の新鮮な水に効果的に伝達される。そうして、熱交換器30において熱水の温度が低下し、逆に、新鮮な水の温度が上昇する。このことは、新鮮な水を所望の温度である108℃に加熱するために熱水タンク10において必要とされるエネルギーが少なくて済む一方、冷却される熱水を例えば10℃である、冷水の所望の温度に冷却するために冷水タンク20において必要とされる追加エネルギーも、供給水の直接冷却と比較して、限られた量で済むことを意味する。
【0056】
図2に模式的に示すようなプレート式熱交換器においては、例えば、熱水を約108℃から約22℃~30℃まで冷却することができる一方、新鮮な水を例えば15℃から例えば80℃~95℃まで温めることができる。
【0057】
図1の実施形態において、弁26が、新鮮な水用の供給ダクト内、即ち、新鮮水供給ネットワークKと熱水タンク10との間に設けられている。図示の実施形態において、弁26を、給水ネットワークKから熱交換器30の第2の入口35までのダクト内に配置している。代替として、弁26を、熱交換器30の第2の出口36と熱水タンク10の熱水タンク供給部12との間に設けてもよい。
【0058】
弁26を、開状態と閉状態とに置くことが可能である。水分配装置1の通常使用時に、弁26を開状態に置き、したがって、蛇口40を介して分配される水を、新鮮水供給ネットワークKからの水によって補完する。水が冷水タンク20から送出される炭酸を含む水でなければ、新鮮水供給ネットワークKの水圧が、水を分配するためにも用いられる。具体的には、炭酸を含む水を分配する際には、CO2キャニスタ24によって加えられる、冷水タンク20の第2の容器内の圧力よりも高い水圧を送出するポンプを用いる。
【0059】
例えば最初の使用時に、水分配装置1を効果的に殺菌するために、弁26を閉状態に置くことができ、熱水タンク内の熱水の温度は100℃以上でなければならない。弁26をこの閉状態として、次に弁27および/または弁28を開くことにより、冷却された水が冷水タンク20から分配されるとき、熱水タンク10内の降下圧力によって過熱された水を瞬時に沸騰させ、これによって形成された蒸気が、冷水タンク放出部23および/または第2の冷水タンク放出部25および分配ダクト等の関連するダクトを介して、冷却された水を、冷水タンク20から蛇口40へと押し出すことができる。例えば108℃の熱水タンク内に形成される水蒸気の過圧は0.3バールであり、冷水タンクから冷却された水を追い出すのに十分すぎるほどである。冷却された水が追い出されると、冷水タンク20および関連するダクトの内部が熱く沸騰するまで、蒸気が冷水タンク20および関連するダクトを通って流れる。そして、全ての細菌が死滅する。次いで、入口弁26を開いて、空になった冷水タンク20を再び冷却された水で満たし、その後、第1の弁27および/または第2の弁28を再び閉じることができる。このようにして水分配装置1を殺菌するために必要な過熱された水の量は、殺菌のために蒸気を使用することにより、比較的制限される。2リットルの容量の冷水タンクを殺菌するために、たった1リットル足らずの加熱水を必要とするだけである。
【0060】
このようにして水分配装置1が殺菌されると、冷水タンク20内の全ての水は熱水タンク10から到来する。熱水タンク10内の温度が100℃超であれば、この水は無菌であり、冷水タンク20内に新たな細菌が侵入することはない。
【0061】
さらに、蛇口からの汚染も生じないか、あるいは、殆ど生じないことが明らかにわかる。既に説明したように、汚染の危険性をさらに制限するために、分配ダクト43内に弁44を配置してもよい。
【0062】
この水分配装置1を用いて、無菌の冷却された水や熱水をより長時間分配することができることが明らかにわかる。所望に応じて、水分配装置1を、定期的に、例えば、3ヶ月または6ヶ月に1回、あるいは、水分配装置が使用されない一定期間の後に、殺菌してもよい。
【0063】
図3は、本発明の別の実施形態による水分配装置を示す。尚、同一の符号を付した構成要素は、同一の機能を有しており、ここでは別途の説明をしない。
【0064】
この実施形態において、混合水を分配するために、第1の熱交換器放出部33からの水が使用され、この水は、冷水タンク放出部22から分岐するダクト29を介して混合装置17に、および/または、直接、蛇口40内の第2の混合装置に、送られる。
【0065】
また、本実施形態においては、熱水タンク放出部13にフィルタ14が配置されている。
【0066】
図3の水分配装置1は、第1の熱交換ダクト31と並列に、熱水タンク放出部13および冷水タンク供給部22に接続された熱水バイパスダクト50と、第2の熱交換ダクト32と並列に、一端が給水ネットワークKに接続され、他端が熱水タンク供給部12に接続された新鮮水バイパスダクト52とを備えている。これらのバイパスダクトの一方または両方を開放することにより、熱水タンクからの熱水によって冷水タンクと、その供給および放出ダクトとを殺菌することができる。
【0067】
熱水バイパスダクト50および第1の熱交換ダクト31内には、一組の熱水バイパス弁51が配置されている。これら熱水バイパス弁51は、少なくとも通常位置とバイパス位置とに置かれる。通常位置では、上述したように、熱水タンク放出部13からの熱水は、第1の熱交換ダクト31を通って冷水タンク供給部22に送られる。バイパス位置では、熱水タンク放出部13から到来する熱水は、熱水バイパスダクト50を介して冷水タンク供給部22に送られる。熱水バイパス弁51がこの位置にある状態で、熱水は、熱水タンク10から冷水タンク20へ直接、即ち、熱交換器30の第1の熱交換ダクト31を通る代わりに熱水バイパスダクト50を介して流れる。このとき、熱水は、熱交換器30において冷却されず、例えば95℃以上の高温で冷水タンク20内に流入する。冷水タンク20内で、この熱水を、冷水タンク20内で経時的に発生した可能性があるすべての細菌を殺すために用いることができる。
【0068】
さらに、または代替として、新鮮水バイパスダクト52を、冷水タンクと、その供給および放出ダクトを熱水で殺菌するために用いてもよい。新鮮水バイパスダクト52および第2の熱交換ダクト32内に、一組の新鮮水バイパス弁53を設け、これにより、第2の熱交換ダクト32または新鮮水バイパスダクト52を通って新鮮な水を選択的に流通させるようにしてもよい。
【0069】
このために、これら新鮮水バイパス弁53を通常位置とバイパス位置とに置いてもよい。通常位置では、上述したように、給水ネットワークKから到来する新鮮な水が、第2の熱交換ダクト32を介して熱水タンク供給部12に送られる。バイパス位置では、給水ネットワークKから到来する新鮮な水が、新鮮水バイパスダクト52を通って熱水タンク供給部12に送られる。
【0070】
新鮮水バイパスダクト52を用いて、第2の熱交換ダクト32の外側で熱水タンク供給部12に新鮮な冷水を供給することができる。この場合には、熱交換器30に新鮮な冷水が流れることはない。このように、熱水バイパス弁51が通常位置に置かれている場合には、熱水は、第1の熱交換ダクト31内で積極的に冷却されることはなく、熱水として使用することができ、冷水タンク20を熱水で洗浄して冷水タンク20内や第1の熱交換ダクト31内で経時的に発生した可能性のある全ての細菌を殺すことができる。
【0071】
熱水バイパスダクト50と新鮮水バイパスダクト52とを、二者択一に、あるいは組み合わせて設けてもよい。
【国際調査報告】