(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】電気的用途の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20230703BHJP
B21D 28/02 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H02K15/02 E
B21D28/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574450
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 IB2021054760
(87)【国際公開番号】W WO2021245535
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】102020000013117
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518294812
【氏名又は名称】コッラーダ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【氏名又は名称】横井 大一郎
(72)【発明者】
【氏名】クラートリ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッリ ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS13
(57)【要約】
せん断によって形成された磁性積層体の重なりによって画定される、電気的用途の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置(10、10’)であって、
前記ブレーキ装置は、せん断モールド(14)の下において、せん断装置(13)に結合され、
前記ブレーキ装置は、開口部(16、16’)を有する、ブレーキブロック(15、15’)を備え、
前記開口部(16、16’)は、積層体(12’)の形状に対応する形状を有し、且つ、積層体のサイズよりも小さいサイズを有し、積層体のパッキングに対して作用する、積層体との干渉(Δ)を規定し、
前記ブレーキ装置は、前記干渉(Δ)を一定に保つように適合された機械的応力補償手段を含む、前記ブレーキ装置(10、10’)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
せん断によって形成された磁性積層体の重なりによって画定される、電気的用途の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置(10、10’)であって、
前記ブレーキ装置は、せん断モールド(14)の下において、せん断装置(13)に結合され、
前記ブレーキ装置は、ブレーキブロック(15、15’)を備え、
前記ブレーキブロック(15、15’)は、せん断装置(14)のせん断要素の移動軸方向に形成された開口部(16、16’)を有し、
前記開口部(16、16’)は、前記せん断要素によってせん断された積層体(12’)の形状に対応する形状を有し、且つ、積層体を形成するせん断モールド(14)のサイズ(A)よりも小さいサイズ(A1)を有し、積層体(12’)のパッキングに対して作用する干渉(Δ)を規定し、
前記ブレーキ装置は、前記干渉(Δ)を一定に保つように適合された機械的応力補償手段を備え、
前記ブレーキ装置は、ポケット(18、18’)を備え、
前記ポケット(18、18’)は、ブレーキブロック(15、15’)の開口部(16、16’)の外側に形成され、前記ブレーキブロックの厚さにおいて開口部(16、16’)の周縁に沿って延びることを特徴とする、前記ブレーキ装置(10、10’)。
【請求項2】
前記ポケット(18、18’)が、積層体(12’)の応力強化ゾーンにおいて、ブレーキブロック(15、15’)のゾーンに形成されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記ポケット(18、18’)が貫通型であることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記ポケット(18、18’)が非貫通型であることを特徴とする、請求項1または2に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記ポケット(18’)が、ブレーキ本体(15’)の厚さにおいて軸方向に延び、半径方向に分布していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記ポケット(18、18’)が、積層体(12’)の応力強化ゾーンの延長に対応する長さの延長を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記積層体(12’)の各応力強化ゾーンに少なくとも1つのポケット(18、18’)を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項8】
前記ブレーキブロック(15、15’)が、ポケット(18、18’)と開口部(16、16’)とを分離する薄い壁または膜(19)を備え、該薄い壁または膜(19)は、積層体(12’)の変形に応じて、ポケット(18、18’)の拡張に対して作用する弾性壁または膜を画定する、請求項1~7のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的用途の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、金属シートから始めて、磁性積層体を得るように適合されたせん断モールドで使用されるブレーキ装置に関する。ここで、磁性積層体は、パッキングされ、または互いに重ね合わされ、モーター、発電機、変圧器、メーター、イグニッションコイル、および同様の電気機器などの電気機械において使用するための積層パッケージを画定する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、前述の積層パッケージは、(単一の本体で画定されるか、または積層体を画定するために一緒に組み立てられた積層体部分からなる)個々の積層体を互いに直接接触させることで、個々の積層体を重ね合わせて、作られる。
【0004】
積層体パッケージの実現は、伝統的に、例えば、パンチによって、積層体を形成するせん断モールドから得られる個々の積層を重ね合わせて接続することによって、行われる。また、積層体パッケージの実現は、例えば、US2017/0106427およびJP6676815で言及されている従来のせん断方法の場合のように、ストリップ積層から得られる個々の積層を重ね合わせて接続することによって行われる。そして、前記積層体は、形成後、例えばJP2008078345に記載されているように、単一の積層体を形成する同じ機械上で重ね合わせて互いに接続することができる。
【0005】
積層体は、特に選択された位置で積層体自体を変形させることによって得られる「ステープル」または「エンボスメント」と呼ばれる結合またはフック部品を用いて、互いに接続することができる。前記積層体部品は、結合ステップ中に、下部の積層体の対応する凹部に導入され、押し込まれ、連続的に重なり合うことによって、積層パッケージを形成する。
【0006】
この目的のために、積層体せん断モールドの内側でせん断要素の下に、剛性要素が典型的には配置される。これは、ブレーキと呼ばれ、せん断要素のサイズに対して縮小されたサイズ、および(せん断要素との前述のサイズ差に関連する)干渉を特徴とし、せん断要素を壊すことができる。例として、円形の積層体をせん断する場合であって、直径10mmのせん断要素を考慮する場合には、ブレーキ要素は、(せん断要素の直径と等しい直径を有する)積層体の直径と、ブレーキ要素の直径との間の0.01mmの干渉Δを規定するように、例えば、9.99mmにおおよそ等しい半径を有さなければいけない。円形の全周に沿ったこのような0.01mmの干渉(円形積層体の例を考慮して)は、せん断荷重と反対方向の力を生成し、これにより、積層体が、積層パッージを形成するブレーキ内で「くっついた」ままになる。前述の特徴を備えた従来のブレーキ装置(またはカウンターパンチ)は、例えば、EP3235577またはEP2902129、またはUS2012/0241095に記載されている。
【0007】
上記の理由から、積層パッケージを画定する個々の積層体の実現およびパッキングプロセスにおいて、ブレーキ要素が基本的な装置を画定することは明らかである。これは、ブレーキ要素の存在によってのみ、せん断プロセス中に積層体のパッキングエンボスの干渉を可能にするために必要な反力を生じることができるからである。
【0008】
したがって、剛性要素であるそのようなブレーキ要素は、ブレーキ要素とせん断された積層との間の干渉によって発生する機械的応力にさらされる。この応力が高すぎると、せん断プロファイル(したがって積層パッケージ)上に、ピックアップの形成およびせん断要素自体の破損を起こす可能性がある。
【0009】
さらに、ブレーキ要素内の応力は、モールドの耐用年数の間、一定でないことが知られている。実際、せん断プロファイルの摩耗およびその結果としてのせん断クリアランスの増加により、せん断プロファイルのサイズが大きくなり、その結果、ブレーキ要素との干渉値が大きくなる。
【0010】
積層体とブレーキ要素との間の干渉の増加は、実質的かつ重要な欠点を表す。これは、上述のように、第一に追跡された要素上にピックアップが形成されること、第二にせん断要素が破損することによって、そのような干渉が引き起こされるという事実による。
【0011】
実際、直径10mmのせん断要素を用いて得られた積層に関連する上述の例を挙げると、せん断モールドの耐用年数の開始時に、得られる積層体の直径部分は、10mmに等しい。(つまり、せん断要素の直径のサイズに等しい。)そして、せん断要素の「n」回のストローク(通常はn百万回のストローク)の後(「n」値は、モールドの摩耗に依存する。)、積層体の直径は、たとえば10.01mmに等しい値に成長する可能性がある。ブレーキ要素が9.99mmに等しい固定サイズを持つことを考慮すると、モールドの耐用年数の開始時には、ブレーキ要素とせん断モールドの間のサイズの差は、0.01mmに等しく、「n」回の作業サイクルの後には、同じ干渉は、0.02mmに等しい値になる。
【0012】
前述の干渉の増加は、ブレーキ要素の応力値の増加を引き起こし、結果としてブレーキとせん断要素の両方の望ましくない破損をもたらすという事実を考慮すると、不都合である。
【0013】
この問題は、「T」プロファイルの積層の場合に特に認識される。プロファイル内の角度の存在は、「問題のある」領域の存在を定義する。というのは、知られているように、角度は、応力強化ゾーンを定義し、その結果、せん断要素の弱化点を表し、亀裂の形成につながる変形と応力が発生する可能性があるからである。
【0014】
関連する結果として、上記の欠点は、せん断モールドの耐用年数が短くなるという事実を伴い、これは、さらなるマイナスの結果として、せん断モールドに関連するコストの増加につながる。
【0015】
上記の欠点を遅らせるために、せん断モールドは、モールドの「研削」作業、すなわち、前述のクリアランスを復元するためにせん断プロファイルを「復活させる」ことを含むメンテナンス作業、を定期的に受ける。この操作は、モールドのせん断要素を研削することを必要とし、その結果、モールドの高さが減少し、その結果、モールドの耐用年数が短くなる。
【0016】
上記の欠点は、研削作業がせん断装置の機械停止を必要とするという事実によって表されるさらなる欠点を引き起こし、これは生産時間の増加、したがって、すべての関連費用の増加を伴う。
【0017】
干渉の値の増加に関連するさらなる欠点は、個々の積層体の品質の低下によって表され、したがって、前記積層体の重なりによって得られる積層パッケージの品質の損失によって表される。これらは、前記パッケージを搭載する電気機器において、性能、効率、望ましくない振動や騒音の発生の点において、関連する問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、上記の欠点を克服することである。
【0019】
より具体的には、本発明の目的は、積層せん断ステップ中に、ブレーキ要素とせん断モールドとの間の干渉の増加を回避するように適合された、電気的用途の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、せん断プロファイル上にピックアップが形成されるのを回避して、せん断プロセス中にせん断された積層体の変形を吸収できるブレーキ装置を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、せん断モールドの早期摩耗および/または破損を防止するように適合されたブレーキ装置を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、せん断された積層体の品質を確保することを可能にするせん断装置用のブレーキ装置を提供することである。したがって、本発明の別の目的は、積層パッケージを搭載する電気的機械において、最適な効率、振動および/または騒音の不在を特徴とする積層パッケージの実現を可能にする、せん断装置用のブレーキ装置を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、長期にわたって高い抵抗と耐久性を保証し、容易かつ経済的に製造できるように適合された、電気的用途の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置をユーザーに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
これらおよび他の目的は、請求項1による特徴を有する本発明によって達成される。
【0025】
本発明によれば、下記が提供される。
せん断によって形成された磁性積層体の重なりによって画定される、電気的用途の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置であって、
前記ブレーキ装置は、せん断モールドの下において、せん断装置に結合され、
前記ブレーキ装置は、開口部を有する、ブレーキブロックを備え、
前記開口部は、積層体の形状に対応する形状を有し、且つ、積層体のサイズよりも小さいサイズを有し、積層体のパッキングに対して作用する、積層体との干渉(Δ)を規定し、
前記ブレーキ装置は、前記干渉(Δ)を一定に保つように適合された機械的応力補償手段を含む、前記ブレーキ装置。
【0026】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項から明らかである。
【0027】
本発明の、電気的用途のための積層パッケージを実現するためのブレーキ装置の構造的および機能的特徴は、好ましい非限定的な実施形態を表す添付図面を参照する以下の詳細な説明からよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、「T」プロファイルを有する積層パッケージの不等角投影図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明のブレーキ装置を備える積層せん断およびパッケージ装置の断面図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、本発明の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置の平面図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、代替実施形態の構成による本発明のブレーキ装置の不等角投影図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から3を参照しながら、本発明の電気的用途のための積層パッケージを実現するためのブレーキ装置が、説明される。
図1から3には、「T」プロファイルを有する積層パッケージ、すなわち、複数の「T」形の積層体12’からなる積層パッケージの実現が記載されている。ここで、複数の「T」形の積層体12’からなる積層パッケージにおいて、「T」形の積層体12’は、互いに重なり合って、前記パッケージ12を形成し、このパッケージ12は、(例えば円盤状の)回転子または固定子コアの積層パッケージの部分またはモジュールを形成する。(そのような積層パッケージの特徴は、既知であり、本明細書では詳細には記載されていない。)
【0030】
図2は、せん断モールド14およびブレーキ装置10を備えるせん断装置13を概略的に示す。よく知られているように、ブレーキ装置10は、せん断モールド14の下に配置される。そして、ブレーキ装置10は、上述のように、積層体12’のパッキングに必要な干渉「Δ」を生成するために、せん断モールドのサイズAよりわずかに小さいサイズA1を有する。(円盤状の積層体の場合、サイズAとA1は、せん断モールドとブレーキ装置の直径を示す。)
【0031】
図3は、(鋼または焼結材料、複合材料、または目的に適した他の材料でできている)ブレーキブロック15を備える、
図2のブレーキ装置10の断面平面図を示す。このブレーキブロック15は、せん断装置13のせん断要素(図示せず)の移動軸方向に従って形成された開口部16を備える。前記開口部16の形状は、積層パッケージ12を形成するためにせん断された積層体12’のプロファイルの型に応じて実現し、
図3の特定の場合において、ブロック15の開口部16の形状は、「T」型、すなわち、
図1の積層パッケージ12の形状と同様である。
【0032】
開口部16の外側で、前記開口部の周縁に沿って、ブレーキ装置10のブロック15の厚さにおいて延びる、貫通孔または非貫通型のポケット18が形成される。
【0033】
前記ポケット18は、(ブロック15の厚さにおけるその延長方向に垂直な平面による)断面において細長い穴の形状を有することが好ましい。前記ポケットの形状も異なっていてもよいことが理解されるべきである。
【0034】
前記ポケット18は、積層体12’の応力強化ゾーン、すなわち、応力がより集中している領域(例えば、端部または断面変化があるゾーンなど)において実現される。積層体12’の前記応力強化ゾーンは、せん断要素の弱体化領域に対応する。
【0035】
単一のポケット18は、積層体の降伏ゾーンに対応するブレーキブロック15の特定の所定の降伏ゾーンのそれぞれに配置される。ブロック15の厚さにおける同じポケットの延長方向に垂直な平面に従って、長さの延長を有し、これは積層体12’の前記降伏ゾーンの延長に実質的に対応する。特に、単一のポケット18の長さと幅のサイズは、せん断要素によってせん断された単一の積層体12’の変形に因る。
【0036】
ブロック15の単一の降伏ゾーンには、少なくとも1つのポケット18があり、前記ポケットの数は、ブロック15の降伏ゾーンの延長に因り、したがって、所定の応力の大きさに因る。(作成する積層パッケージのタイプの設計段階において事前に計算されるため。)
【0037】
したがって、ブロック15の単一のポケット18と開口部16の間に、前記ポケットを開口部16から分離する薄い壁または膜19を画定するブロック部分15が存在し、その機能は以下でより明確になる。
【0038】
前記ポケット18は、その位置と薄い壁または膜19の存在により、積層体のせん断およびパッキングプロセス中に、「衝撃吸収材」を形成する。より具体的には、前記ポケット18は、積層体のせん断中に膨張し、これは、上述のように、積層体とブレーキ装置との間の干渉によって引き起こされる薄薄い壁または膜19の変形を吸収することを可能とする。
【0039】
ポケット18の位置は、ブレーキ装置14のブロック15の降伏ゾーンまたは領域の変形に因る。より具体的には、前記ポケット18は、それらの全てが、同じ力を受けたときに同じ量だけ、拡張できるように配置および実現される。(弾性壁または膜を画定する薄い壁または膜19を考慮する。)実際、積層体のサイズの増加は、せん断モールドの耐用年数の間、ラミネーションの全周において同じであると想定される。(上記の説明を考慮すると、実際、積層体のサイズは、せん断プロファイル全体において同じであるせん断要素のせん断クリアランスに因る。)
【0040】
図4を参照すると、本発明のブレーキ装置の代替実施形態が示されており、全体が10’で示されている。このブレーキ装置は、せん断装置13のせん断要素(図示せず)の軸移動方向に従って形成された開口部16’が設けられた、(同様に鋼または焼結材料、複合材料、または目的に適した他の材料で作られている)ブレーキブロック15’を備える。前記開口部16’の形状は、積層パッケージを形成するためにせん断された積層プロファイル(例えば、円形積層)のタイプに応じて実現される。
【0041】
前記開口部16’の外側で、前記開口部の周縁に沿って、ポケット18’が形成される。このような実施形態によれば、ポケット18’は、ブレーキ本体15’の厚さ内で軸方向に有限の長さにわたって延びて、非貫通ポケットを画定する。そして、半径方向に分配される。
【0042】
図4に示される実施形態では、前記ポケット18’は、ブレーキ本体の外側表面15Bから開始して、ブレーキ本体15の内側表面15Cの方向に、ブレーキ本体の長手/軸延長方向に対して横に形成される。これは、横方向に開いているか、または前述の横方向に沿って貫通しているポケットを画定する。しかしながら、前記ポケットは、上述の通り、前記単一のポケットと開口部16’との間において、膜または薄い壁を画定するために、前述の横方向に沿って非貫通であってもよい。
【0043】
ポケット18(18’)の存在により、ブレーキ装置10(10’)は、積層体自体のせん断プロセス中に積層体の形状に自己適応することができる。
【0044】
機械的試験が、ブレーキ装置10(10’)のブレーキブロック15(15’)の開口部16(16’)に加えられた異なる力条件で、装置に対して実施された。この機械的試験は、降伏要素(ポケット18(18’)によって定義される)の変位傾向(ミリメートルで測定)(グラフ1)、および応力傾向(メガパスカル[MPa]で測定)(グラフ2)が、加えられた力の関数として、線形であることを明らかにした。
【表1】
【表2】
【0045】
図1から3は、「T」型プロファイルを有する積層パッケージを実現するためのブレーキ装置を示している。しかしながら、上述の応力補償または「衝撃吸収」手段は、例えば、円盤状プロファイル積層体などの異なるプロファイルを有する積層体にも適用できることを理解されたい。
【0046】
上記から分かるように、本発明の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置によって達成される利点は明らかである。
【0047】
本発明の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置は、有利には、積層せん断プロセス中のせん断要素の破損を防止することを可能にする。
【0048】
本発明のブレーキ装置の更なる利点は、せん断されたプロファイルのピックアップを排除することを可能にするという事実によって表される。
【0049】
さらに有利なことは、本発明のブレーキ装置の「衝撃吸収」挙動により、ブレーキとせん断された積層体との間の「Δ」を一定に保つことができ、その結果、せん断要素を破損させる傾向がある干渉力の発生を回避できるという事実である。
【0050】
さらに、ブレーキ装置の弾性挙動が、モールドの研ぎ回数の減少を可能にし、その結果、機械の停止および関連する費用の減少を可能にするという事実が有利である。
【0051】
さらなる利点は、ブレーキ装置のポケットが、同じブレーキの降伏要素を画定することである。せん断された積層体が過度に膨張した場合、せん断要素の破損ではなく、そのような降伏要素の破損が発生し、結果として、せん断要素とモールドのコストが、ブレーキ装置のコストよりもはるかに高いことを考慮すると、コストの節約になる。
【0052】
さらに有利なことは、本発明のブレーキ装置は、せん断された積層体の最適な品質を確保することを可能にし、したがって、積層パッケージを搭載する電気的機械において、最適な効率、振動および/または騒音の不在を特徴とする積層パッケージの実現を可能にする。
【0053】
本発明は、単に非限定的な例として与えられた実施形態を特に参照して上記に説明されたが、上記の説明に照らして当業者には多数の修正および変形が明らかであろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲に含まれるすべての修正および変更を包含することを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
せん断によって形成された磁性積層体の重なりによって画定される、電気的用途の積層パッケージを実現するためのブレーキ装置(10、10’)であって、
前記ブレーキ装置は、せん断モールド(14)の下において、せん断装置(13)に結合され、
前記ブレーキ装置は、ブレーキブロック(15、15’)を備え、
前記ブレーキブロック(15、15’)は、せん断装置(14)のせん断要素の移動軸方向に形成された開口部(16、16’)を有し、
前記開口部(16、16’)は、前記せん断要素によってせん断された積層体(12’)の形状に対応する形状を有し、且つ、積層体を形成するせん断モールド(14)のサイズ(A)よりも小さいサイズ(A1)を有し、積層体(12’)のパッキングに対して作用する干渉(Δ)を規定し、
前記ブレーキ装置は、前記干渉(Δ)を一定に保つように適合された機械的応力補償手段を備え、
前記ブレーキ装置は、ポケット(18、18’)を備え、
前記ポケット(18、18’)は、ブレーキブロック(15、15’)の開口部(16、16’)の外側に形成され、前記ブレーキブロックの
軸方向の展開の厚さにおいて開口部(16、16’)の周縁に沿って延びることを特徴とする、前記ブレーキ装置(10、10’)。
【請求項2】
前記ポケット(18、18’)が、積層体(12’)の応力強化ゾーンにおいて、ブレーキブロック(15、15’)のゾーンに形成され
、前記応力強化ゾーンは、応力がより集中している、せん断要素の弱体化領域に対応することを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記ポケット(18、18’)が貫通型であることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記ポケット(18、18’)が非貫通型であることを特徴とする、請求項1または2に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記ポケット(18’)が、ブレーキ本体(15’)の厚さにおいて軸方向に延び、半径方向に分布していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記ポケット(18、18’)が、積層体(12’)の応力強化ゾーンの延長に対応する長さの延長を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記積層体(12’)の各応力強化ゾーンに少なくとも1つのポケット(18、18’)を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【請求項8】
前記ブレーキブロック(15、15’)が、ポケット(18、18’)と開口部(16、16’)とを分離する薄い壁または膜(19)を備え、該薄い壁または膜(19)は、積層体(12’)の変形に応じて、ポケット(18、18’)の拡張に対して作用する弾性壁または膜を画定する、請求項1~7のいずれか一項に記載のブレーキ装置。
【国際調査報告】