(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】組成物、治療におけるそれらの使用およびその方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/724 20060101AFI20230703BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20230703BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230703BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230703BHJP
C08B 37/16 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
A61K31/724
A61P7/10
A61P29/00
A61K9/70 401
C08B37/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574494
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 SG2021050318
(87)【国際公開番号】W WO2021246966
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】10202005191X
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514085654
【氏名又は名称】シンガポール国立大学
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL UNIVERSITY OF SINGAPORE
【住所又は居所原語表記】21 Lower Kent Ridge Road Singapore 119077 (SG)
(71)【出願人】
【識別番号】518411280
【氏名又は名称】シンガポール ヘルス サービシズ ピーティーイー. リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SINGAPORE HEALTH SERVICES PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100175075
【氏名又は名称】田中 康子
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリ・ベロニク・サンドリン
(72)【発明者】
【氏名】タン・ビエン・キーム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C090
【Fターム(参考)】
4C076AA72
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4C076CC09
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4C090BB33
4C090BB36
4C090BB52
4C090BB65
4C090BB92
4C090DA23
(57)【要約】
本発明は、有効量の組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む、リンパ浮腫の治療方法に関する。組成物は、シクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグから本質的に構成される。本発明はまた、シクロデキストリンから本質的に構成される組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の組成物をそれを必要とする患者に投与するステップであって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む、ステップを含み、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、リンパ浮腫を治療する方法。
【請求項2】
それを必要とする患者においてリンパ浮腫を治療するための組成物であって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含み、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、組成物。
【請求項3】
リンパ浮腫を治療するための医薬の製造における組成物の使用であって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含み、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、組成物の使用。
【請求項4】
投与される組成物が、組織浮腫、リンパ機能、脂質蓄積、組織コレステロール、線維症、炎症、またはそれらの組み合わせを改善または低減する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法、組成物または使用。
【請求項5】
組成物が、1日おきに投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法、組成物または使用。
【請求項6】
組成物が、少なくとも4日間にわたって少なくとも2回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法、組成物または使用。
【請求項7】
組成物が、約0.5g/kg~約10g/kgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法、組成物または使用。
【請求項8】
組成物が、ステージ2以下の重症度のリンパ浮腫を有する、それを必要とする患者に投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法、組成物または使用。
【請求項9】
シクロデキストリンを含む組成物であって、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、組成物。
【請求項10】
組成物に対するシクロデキストリンの重量比が約0.1%w/w~約50%w/wである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
シクロデキストリンが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、アルキルアシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールまたはアルキルアリールで誘導体化される、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
シクロデキストリンが、メチル、エチル、プロピル、ヒドロメチル、ヒドロエチル、ヒドロプロピル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ベンジルまたはフェニルで誘導体化される、請求項9~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
シクロデキストリンが1~24回誘導体化される、請求項9から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
シクロデキストリンが、メチル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、またはそれらの組み合わせから選択されるβ-シクロデキストリンである、請求項9~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
シクロデキストリンの内部空洞が約5.5Å~約9.7Åの直径を有する、請求項9~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
シクロデキストリンの内部空洞が、占有されていないか、または不活性分子で占有されている、請求項9~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
安定剤、可溶化剤、乳化剤、界面活性剤、水溶性ポリマー、pH調整剤、充填剤、結合剤、顔料、崩壊剤、酸化防止剤、保存剤、皮膚軟化剤、シリコーン、浸透促進剤、潤滑剤および香料から選択される賦形剤をさらに含む、請求項9~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
賦形剤が、微結晶性セルロース;酸の金属塩、例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、およびステアリン酸亜鉛;脂肪酸、炭化水素および脂肪アルコール、例えばステアリン酸、パルミチン酸、流動パラフィン、ステアリルアルコール、およびパルミトール;脂肪酸エステル類、例えばグリセリル(モノ-およびジ-)ステアレート、トリグリセリド、グリセリル(パルミチン酸ステアリン酸)エステル、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸サッカロース、モノパルミチン酸サッカロース、およびフマル酸ステアリルナトリウム、アルキル硫酸エステル類、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸マグネシウム;ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、およびポリテトラフルオロエチレン、および無機材料、例えばタルクおよびリン酸二カルシウム、ならびにデンプングリコール酸ナトリウムから選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が皮内組成物である、請求項9~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
皮内組成物が水性媒体を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
水性媒体が、0.9%NaCl生理食塩水0.9%KCl生理食塩水、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、静脈内糖溶液、生理食塩水中5%デキストロース(D5NS)、生理食塩水中10%デキストロース(D10NS)、半生理食塩水中5%デキストロース(D5HNS)、半生理食塩水中10%デキストロース(D10HNS)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、TRIS緩衝生理食塩水(TBS)、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、アール平衡塩類溶液(EBSS)、標準クエン酸生理食塩水(SSC)、HEPES緩衝生理食塩水(HBS)、およびゲイ平衡塩類溶液(GBSS)から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
組成物に対する水性媒体対の重量比が約0.1%w/w~約50%w/wである、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項23】
皮内組成物が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、クレゾール、メチルパラベンおよびプロピルパラベンから選択される賦形剤を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
皮内組成物に対する賦形剤の重量比が約0.1%w/w~約50%w/wである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
組成物が、局所クリームまたは局所ゲルから選択される局所組成物である、請求項9~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
局所組成物が、担体、乳化剤および/または増粘剤から選択される賦形剤をさらに含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
局所組成物がさらに、アラビアガム、酢酸、アセトン、クエン酸アセチルトリブチル、寒天、エタノール、アルギン酸、アーモンド油、アルファトコフェロール、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベントナイト、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ホウ酸、ブロノポール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチレングリコール、ブチルパラベン、酢酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ヒマシ油、微結晶セルロース、セレシン、セトステアリルアルコール、セトリミド、セチルアルコール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クロロステロール、クエン酸、コロイド状二酸化ケイ素、クレゾール、クロスポビドン、シクロメチコン、安息香酸デナトニウム、フタル酸ジブチル、ジエタノールアミン、ジメチコン、フタル酸ジメチル、ジメチルアセトアミド、エデト酸二ナトリウム、ドキュセートナトリウム、酢酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、エチレンビニルアセテート、エチルパラベン、ゼラチン、グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、グリコフロール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、イミドウレア、イソプロピルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、カオリン、乳酸、ラノリン、レシチン、リノール酸、ケイ酸塩、リンゴ酸、マンニトール、メチルセルロース、メチルパラベン、モノチオグリセロール、ミリスチン酸、ミリスチルアルコール、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、パラフィン、ペトロラタム、フェノキシエタノール、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレングリコール、ポリメチルアクリレート、ポリオキシグリセリド、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレングリコール、プロピルパラベン、ピロリドン、ナトリウムヒドロルロネート(sodium hydroluronate)、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ソルビトール、デンプン、トリカプリリン、トリエタノールアミン、キサンタンガム、またはキシリトールから選択される賦形剤を含む、請求項25または26に記載の組成物。
【請求項28】
局所組成物に対する賦形剤の重量比が約0.1%w/w~約50%w/wである、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項29】
組成物が経皮パッチに適用される、請求項9~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
組成物が、経皮パッチ内の層として適用されるか、または経皮パッチの表面に適用される、請求項29に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、組成物、および治療におけるそれらの使用に関する。本発明はまた、その治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リンパ浮腫(lymphoedema)およびリンパ浮腫(lymphatic edema)としても知られているリンパ浮腫(Lymphedema)は、損なわれたリンパ系によって引き起こされる局所的な腫脹の状態である。リンパ系は、身体の免疫系の重要な部分として機能し、間質液を血流に戻す。一般に、腫脹は腕、手、脚、胸または胴体で起こる。リンパ浮腫は、最も頻繁には、癌治療、寄生虫感染症、外傷の合併症であるが、いくつかの遺伝性障害でも観察され得る。リンパ浮腫を伴う組織は、リンパ系が損なわれているため、感染、線維症および悪性形質転換のリスクが高い。
【0003】
リンパ浮腫は、原発性(遺伝性)リンパ浮腫または続発性リンパ浮腫(癌、感染などによって引き起こされる)としてさらに分類することができる。原発性リンパ浮腫は、体内のリンパ管の発達の問題によって引き起こされるまれな遺伝性の状態である。原発性リンパ浮腫の具体的な原因としては、ミルロイ病(先天性リンパ浮腫)、メージュ病(原発性リンパ浮腫)および後発性リンパ浮腫(遅発性リンパ浮腫)が挙げられる。
【0004】
続発性リンパ浮腫は、癌治療(手術および/または放射線療法)、傷害、外傷または感染によって引き起こされるリンパ排液不良によって引き起こされる消耗性の慢性炎症性疾患である。そのような原因の例としては、手術、癌の放射線治療、癌および感染症が挙げられる。リンパ浮腫はまた、リンパ系の閉塞に起因し得る。閉塞は、リンパ液が十分に排出されるのを妨げ、流体の蓄積は腫脹をもたらす。
【0005】
リンパ浮腫によって引き起こされる腫脹は、腕または脚のサイズの軽度でほとんど目立たない変化から、四肢を使用しにくくする極端な変化までの範囲にわたる。癌治療によって引き起こされるリンパ浮腫は、治療後数ヶ月または数年まで起こらないことがある。
【0006】
現在、リンパ浮腫の治療法はない。特に、リンパ浮腫の治療に適した薬剤は現在存在しない。転帰を改善するために理学的処置、例えば圧迫療法、良好なスキンケア、運動および手によるリンパ排液が一般的に推奨される。
【0007】
上述の問題の少なくとも1つを克服または改善することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、癌関連リンパ浮腫を有する患者が、疾患の後期段階中に起こる炎症および線維症などの症状も有するという理解に基づいている。これは、リンパクリアランス障害の結果として組織に蓄積する過剰な脂質を貯蔵することができない、脂肪細胞の死に起因する。これらの知見に基づいて、本発明者らは、生物体中の脂質を除去することにより、リンパ浮腫ならびに線維症および脂肪細胞喪失などの関連する組織変化が逆転すると仮定した。リンパ浮腫の動物モデルにおけるシクロデキストリンの皮内注射がリンパ浮腫の軽減に有効であることが見出された。特に、シクロデキストリンによる処置は、組織内の脂質蓄積を有意に減少させることができ、したがって組織腫脹を減少させ、リンパ排液を回復させることができた。
【0009】
本発明は、有効量の組成物をそれを必要とする患者に投与することであって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含むことを含み、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、リンパ浮腫を治療する方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、それを必要とする患者においてリンパ浮腫を治療するための組成物であって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含み、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、リンパ浮腫を治療するための医薬の製造における組成物の使用であって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含み、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、組成物の使用を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、投与される組成物は、組織浮腫、リンパ機能、脂質蓄積、組織コレステロール、線維症、炎症、またはそれらの組み合わせを改善または低減する。
【0013】
いくつかの実施形態において、組成物は1日おきに投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも4日間にわたって少なくとも2回投与される。
【0015】
いくつかの実施形態において、組成物は、約0.5g/kg~約10g/kgの用量で投与される。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物は、ステージ2以下の重症度のリンパ浮腫を有する、それを必要とする患者に投与される。
【0017】
本発明はまた、シクロデキストリンを含む組成物を提供し、
シクロデキストリンの内部空洞は占有されていない。
【0018】
いくつかの実施形態では、組成物に対するシクロデキストリンの重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。
【0019】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、アルキルアシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールまたはアルキルアリールで誘導体化される。
【0020】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、メチル、エチル、プロピル、ヒドロメチル、ヒドロエチル、ヒドロプロピル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ベンジルまたはフェニルで誘導体化される。
【0021】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、1~24回誘導体化される。
【0022】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、メチル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、またはそれらの組み合わせから選択されるβ-シクロデキストリンである。
【0023】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンの内部空洞は、約5.5Å~約9.7Åの直径を有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンの内部空洞は、占有されていないか、または不活性分子で占有されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、安定剤、可溶化剤、乳化剤、界面活性剤、水溶性ポリマー、pH調整剤、充填剤、結合剤、顔料、崩壊剤、酸化防止剤、保存剤、皮膚軟化剤、シリコーン、浸透促進剤、潤滑剤および香料から選択される賦形剤をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、微結晶性セルロース;酸の金属塩、例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛;脂肪酸、炭化水素および脂肪アルコール、例えばステアリン酸、パルミチン酸、流動パラフィン、ステアリルアルコール、パルミトール;脂肪酸エステル類、例えばグリセリル(モノ-およびジ-)ステアレート、トリグリセリド、グリセリル(パルミチン酸ステアリン酸)エステル、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸サッカロース、モノパルミチン酸サッカロース、およびフマル酸ステアリルナトリウム、アルキル硫酸エステル類、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸マグネシウム;ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、およびポリテトラフルオロエチレン、無機材料、例えばタルクおよびリン酸二カルシウム、ならびにデンプングリコール酸ナトリウムから選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は皮内組成物である。
【0028】
いくつかの実施形態では、皮内組成物は水性媒体を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、皮内組成物は生理食塩水を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、水性媒体は、0.9%NaCl生理食塩水0.9%KCl生理食塩水、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、静脈内糖溶液、生理食塩水中5%デキストロース(D5NS)、生理食塩水中10%デキストロース(D10NS)、半生理食塩水中5%デキストロース(D5HNS)、半生理食塩水中10%デキストロース(D10HNS)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、TRIS緩衝生理食塩水(TBS)、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、アール平衡塩類溶液(EBSS)、標準クエン酸生理食塩水(SSC)、HEPES緩衝生理食塩水(HBS)、およびゲイ平衡塩類溶液(GBSS)から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物に対する水性媒体の重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。
【0032】
いくつかの実施形態では、皮内組成物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、クレゾール、メチルパラベンおよびプロピルパラベンから選択される賦形剤を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、皮内組成物に対する賦形剤の重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。
【0034】
いくつかの実施形態では、組成物は局所組成物である。
【0035】
いくつかの実施形態では、局所組成物は局所クリームまたは局所ゲルである。
【0036】
いくつかの実施形態では、局所組成物は、担体、乳化剤および/または増粘剤から選択される賦形剤をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、担体は、鉱油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ワックス、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水から選択される。
【0038】
いくつかの実施形態では、局所組成物はさらに、アラビアガム、酢酸、アセトン、クエン酸アセチルトリブチル、寒天、エタノール、アルギン酸、アーモンド油、アルファトコフェロール、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベントナイト、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ホウ酸、ブロノポール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチレングリコール、ブチルパラベン、酢酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ヒマシ油、微結晶セルロース、セレシン、セトステアリルアルコール、セトリミド、セチルアルコール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クロロステロール、クエン酸、コロイド状二酸化ケイ素、クレゾール、クロスポビドン、シクロメチコン、安息香酸デナトニウム、フタル酸ジブチル、ジエタノールアミン、ジメチコン、フタル酸ジメチル、ジメチルアセトアミド、エデト酸二ナトリウム、ドキュセートナトリウム、酢酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、エチレンビニルアセテート、エチルパラベン、ゼラチン、グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、グリコフロール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、イミドウレア、イソプロピルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、カオリン、乳酸、ラノリン、レシチン、リノール酸、ケイ酸塩、リンゴ酸、マンニトール、メチルセルロース、メチルパラベン、モノチオグリセロール、ミリスチン酸、ミリスチルアルコール、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、パラフィン、ペトロラタム、フェノキシエタノール、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレングリコール、ポリメチルアクリレート、ポリオキシグリセリド、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレングリコール、プロピルパラベン、ピロリドン、ナトリウムヒドロルロネート(sodium hydroluronate)、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ソルビトール、デンプン、トリカプリリン、トリエタノールアミン、キサンタンガム、またはキシリトールから選択される賦形剤を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、局所組成物に対する賦形剤の重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、経皮パッチに適用される。
【0041】
いくつかの実施形態では、組成物は、経皮パッチ内の層として適用されるか、または経皮パッチの表面に適用される。
【0042】
次に、本発明の実施形態を、非限定的な例として、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】シクロデキストリンまたは生理食塩水の皮下注射を受けた後の雌の野生型(WT)マウスまたはapoE-/-マウスの足蹠の画像である。
【
図2】シクロデキストリンまたは生理食塩水の皮下注射を受けた後の雌WTまたはapoE-/-マウスの顕微鏡画像である。
【
図3】シクロデキストリンまたは生理食塩水の皮下注射を受けた後のそれぞれの雌WTマウスまたはapoE-/-マウスのリンパ節における相対蛍光のプロットである。
【
図4】異なる投与計画のもとでのそれぞれのマウスのリンパ節における相対蛍光のプロットである。
【
図6】処置後の野生型、apoE-/-マウスおよびapoE-/-マウスの前足蹠で分析した総コレステロール濃度を示す図である。
【
図7】処置マウスおよび未処置マウスの背部皮膚の染色画像である。
【
図8A】処置マウスおよび未処置マウスで評価したリンパ機能を示す図である。
【
図8B】処置マウスおよび未処置マウスの足蹠組織腫脹を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、脂質が生物体から除去され得る場合、リンパ浮腫が逆転し得、線維症および脂肪細胞喪失などの関連する組織変化が起こり得るという理解に基づいている。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、シクロデキストリンが、それらの錐台形状に起因して、脂質を可溶化し、それらを細胞から抽出することができると考えている。この目的のために、シクロデキストリンによるリンパ浮腫様状態を有する生物の処置は、組織内の脂質蓄積を有意に減少させることができ、したがって組織腫脹を減少させ、リンパ排液を回復させることができることが見出された。
【0045】
これは、リンパ浮腫の現在の治療が衣服または顕微手術のいずれかに限定されるため有利である。薬物療法はない。これに関して、組成物は、リンパ浮腫の薬物治療として製剤化することができる。
【0046】
さらに、シクロデキストリンは、タンパク質および脂質を除去するのに役立ち、したがって、炎症および線維症を軽減する。このため、シクロデキストリンは、リンパ静脈吻合およびリンパ節移植を含むリンパ輸送の回復を目的とした現在の顕微手術の効率を改善することも期待されている。シクロデキストリンはまた非毒性であり、したがって倫理的および臨床試験の承認を容易にすることができる。
【0047】
したがって、本発明は、シクロデキストリンから本質的に構成される組成物を提供する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「シクロデキストリン」は、α-1,4グリコシド結合によって結合されたグルコースサブユニットの大環状環から構成される環状オリゴ糖のファミリーを指す。シクロデキストリンは、アミロース(デンプンの断片)の場合と同様に、1→4で連結された5個以上のα-D-グルコピラノシド単位で構成される。見出された最大のシクロデキストリンは、32個の1,4-アンヒドログルコピラノシド単位を含む。より一般的には、シクロデキストリンは、6~8単位の範囲の数のグルコースモノマーを環に含み、円錐形状を形成する。6つのグルコースサブユニットを有するシクロデキストリンは、α(アルファ)-シクロデキストリンとしても知られ、7つのグルコースサブユニットはβ(ベータ)-シクロデキストリン、8つのグルコースサブユニットはγ(ガンマ)-シクロデキストリンとしても知られている。シクロデキストリンはトロイド形状を有し、トロイドのより大きい開口部およびより小さい開口部は、それぞれ溶媒の二級ヒドロキシル基および一級ヒドロキシル基に曝露される。この配置のために、トロイドの内部は疎水性ではないが、水性環境よりもかなり親水性が低く、したがって他の疎水性分子を保持することができる。対照的に、外部は、シクロデキストリン(またはそれらの複合体)に水溶性を付与するのに十分に親水性である。それらは典型的な有機溶媒に可溶性ではない。
【0049】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンまたはそれらの組み合わせから選択される。
【0050】
本明細書で使用される場合、シクロデキストリンはその誘導体も含む。誘導体化は、化学において使用される技術であり、化合物を誘導体と呼ばれる類似の化学構造の生成物(反応の誘導体)に変換する。一般に、化合物の特定の官能基は誘導体化反応に関与し、遊離体を反応性、溶解性、沸点、融点、凝集状態、または化学組成が逸脱した誘導体に変える。シクロデキストリン上のヒドロキシル基は化学的に修飾することができ、したがってそのホスト-ゲスト挙動も修飾する。例えば、O-メチル化、アセチル化などの変換を用いることができる。ヒドロキシプロピル化誘導体は、プロピレンオキシドを使用して形成することもできる。第一級アルコールをトシル化することもできる。
【0051】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは場合により誘導体化されている。任意選択の誘導体は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、アルキルアシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールまたはアルキルアリールから選択することができる。任意選択の誘導体は、メチル、エチル、プロピル、ヒドロメチル、ヒドロエチル、ヒドロプロピル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ベンジルまたはフェニルから選択することができる。他の種類の誘導体化シクロデキストリンを以下の表1に示す:
【0052】
【0053】
表1はα-シクロデキストリンの誘導体を示しているが、当業者は、β-シクロデキストリンおよびγ-シクロデキストリンも同様に誘導体化できることを理解するであろう。
【0054】
他の実施形態では、誘導体化シクロデキストリンはランダムに置換されている。ランダムに置換されたシクロデキストリン誘導体は様々な位置で修飾され、それらは置換度によって特徴付けることができる。
【0055】
誘導体化の程度は調整することができる。例えば、シクロデキストリンは、完全にメチル化されていても、部分的にメチル化されていてもよい。α-シクロデキストリンの場合、錐台形状の化合物に対して6個の二級ヒドロキシル基が露出している(
図5)。この目的のために、α-シクロデキストリンは、1、2、3、4または5個の二級ヒドロキシル基がメチル化されているという点で部分的にメチル化され得る。メチル化は、一級ヒドロキシル基でも起こり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、約5%誘導体化されている。他の実施形態では、誘導体化は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。
【0057】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンは、1~24回誘導体化される。他の実施形態では、シクロデキストリンは、1~22回、1~20回、1~18回、1~16回、1~14回、1~12回、1~10回、1~9回、1~8回、1~7回、1~6回、1~5回、1~4回、1~3回、または1~2回誘導体化される。
【0058】
本明細書で使用される場合、シクロデキストリンはシクロデキストリンコンジュゲートを除外する。コンジュゲートは、2つ以上の化合物の結合によって形成される化合物を指す。したがって、シクロデキストリンコンジュゲートは、シクロデキストリンと別の化合物との結合によって形成される化合物を指す。別の化合物は、例えば、活性剤、フルオロフォアまたはポリマーであり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンはメチル-β-シクロデキストリンである。他の実施形態では、シクロデキストリンは2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである。他の実施形態では、シクロデキストリンは3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである。他の実施形態では、シクロデキストリンはジメチル-β-シクロデキストリンである。他の実施形態では、シクロデキストリンはトリメチル-β-シクロデキストリンである。他の実施形態では、シクロデキストリンはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンである。他の実施形態では、シクロデキストリンはカルボキシメチル-β-シクロデキストリンである。他の実施形態では、シクロデキストリンは、メチル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、またはそれらの組み合わせから選択されるβ-シクロデキストリンである。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物はシクロデキストリンを含む。他の実施形態では、組成物はシクロデキストリンから本質的に構成される。これに関して、シクロデキストリンは、組成物中の唯一の活性剤である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、リンパ浮腫を治療するための組成物中の唯一の活性成分として投与される。したがって、いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、組成物中の賦形剤として使用されない。しかしながら、これは、組成物中で活性薬物の役割を果たさない賦形剤の存在を排除するものではない。
【0061】
いくつかの実施形態において、組成物中のシクロデキストリンは、複合体化されていない状態または占有されていない状態で提供される。すなわち、シクロデキストリンの内部空洞は占有されていない。本明細書で使用される場合、「複合体」は、錐台形状のシクロデキストリンの空洞または空間内へのゲスト分子の閉じ込めを指す。そうすることによって、シクロデキストリンは、脂質との複合体化の効果をより容易に発揮することができる。本発明者らは、本明細書に開示される組成物が特に有利であることを見出した。特定の賦形剤が、使用までシクロデキストリンをその複合体化されていない状態に維持するのに特に有利であることも見出された。
【0062】
したがって、本発明は、シクロデキストリンを含む組成物を提供し、シクロデキストリンの内部空洞は占有されていない。
【0063】
いくつかの実施形態では、組成物はシクロデキストリンから本質的に構成され、シクロデキストリンの内部空洞は占有されていない。
【0064】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンの内部空洞は、約5.5Å~約9.7Åの直径を有する。他の実施形態では、直径は、約5.7Å~約9.7Å、約5.7Å~約9.5Å、約5.7Å~約9.3Å、約5.7Å~約9.0Å、約5.7Å~約8.8Å、約5.7Å~約8.6Å、約5.7Å~約8.4Å、約5.7Å~約8.2Å、約5.7Å~約8.0Å、約5.9Å~約8.0Å、約6.0Å~約8.0Å、約6.2Å~約8.0Å、約6.4Å~約8.0Å、約6.6Å~約8.0Å、約6.8Å~約8.0Å、約7.0Å~約8.0Å、約7.2Å~約8.0Å、約7.4Å~約8.0Å、約7.6Å~約8.0Å、または約7.6Å~約7.8Åである。
【0065】
いくつかの実施形態において、組成物中のシクロデキストリンは、不活性分子と複合体化される。このシクロデキストリン-分子複合体の錯化エネルギーまたは相互作用エネルギーは、好ましくは、最終的なシクロデキストリン-脂質複合体の錯化エネルギーよりも低い。したがって、脂質とシクロデキストリンとの複合体化が依然として好ましい。シクロデキストリンと複合体化した不活性分子を有することにより、組成物の安定性を向上させることができることが分かった。そのような場合、シクロデキストリンが活性薬物を担持するための送達プラットフォーム/薬剤として使用されないという点で、シクロデキストリン-分子複合体はホスト-ゲスト複合体の意味で使用されないことに留意されたい。したがって、送達プラットフォームとしてのシクロデキストリン(およびその任意の形態)の使用は除外される。不活性分子は、例えば、組成物内に見出すことができる賦形剤であり得る。不活性分子は、必要に応じて脂質とホスト-ゲスト複合体を効率的に形成することができるように、シクロデキストリンの空洞を「保護」するのに役立つことができる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「錯化エネルギー」または「相互作用エネルギー」は、分子AとBとの間のエネルギー(ΔEAB)を指す。これは、二量体のエネルギー(EA、B)とモノマーエネルギーの和(EA+EB)との差として決定することができる。
【0067】
したがって、いくつかの実施形態では、組成物はシクロデキストリンを含み、シクロデキストリンの内部空洞は占有されていないか、または不活性分子で占有されている。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物は、シクロデキストリンから本質的に構成され、シクロデキストリンの内部空洞は、占有されていないか、または不活性分子で占有されている。
組成物はまた、賦形剤を含むことができる。シクロデキストリンの溶解性を高めるため、安定性を促進するため、または組成物を処理するために、賦形剤または添加剤を添加することができる。そのような添加剤および賦形剤には、安定剤、可溶化剤、乳化剤、界面活性剤、水溶性ポリマー、pH調整剤、充填剤、結合剤、顔料、崩壊剤、酸化防止剤、保存剤(パラベン、安息香酸およびベンゾエート)、皮膚軟化剤(ソルビトールなどのポリオール;ヒマシ油、ホホバ油などの天然油;ワックス、合成有機ポリマー、ワセリン)、シリコーン、浸透促進剤、潤滑剤および香料が含まれる。他の添加剤もまた、シクロデキストリンの皮膚への浸透、または少なくとも皮膚の表皮層への浸透を助け得る。このような成分の例は、微結晶性セルロース;酸の金属塩、例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛;脂肪酸、炭化水素および脂肪アルコール、例えばステアリン酸、パルミチン酸、流動パラフィン、ステアリルアルコール、パルミトール;脂肪酸エステル類、例えばグリセリル(モノ-およびジ-)ステアレート、トリグリセリド、グリセリル(パルミチン酸ステアリン酸)エステル、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸サッカロース、モノパルミチン酸サッカロース、およびフマル酸ステアリルナトリウム、アルキル硫酸エステル類、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸マグネシウム;ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、およびポリテトラフルオロエチレン、無機材料、例えばタルクおよびリン酸二カルシウム、ならびにデンプングリコール酸ナトリウムである。
【0069】
他の賦形剤は、カルボマー(ゲル化剤)、精製水(溶媒)、ソルビン酸カリウム(防腐剤)、プロピレングリコール(透過促進剤)から選択することができる。局所製剤中の賦形剤のさらなる例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるChangら、The AAPS Journal、15:41-52(2013)に見出すことができる。いくつかの実施形態では、賦形剤は、アクリレートコポリマー、カルボマー940、ドキュセートナトリウム、エデト酸二ナトリウム、グリセリン、ポロキサマー182、プロピレングリコール、精製水、二酸化ケイ素、水酸化ナトリウムから選択され得る。別の変形例では、賦形剤は、カルボマー、EDTA二ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラウレス-4、水酸化ナトリウム、水を含み得る。局所製剤のさらなる例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるRaphaelら,Therapeutic Delivery,Feb 6,2:197-216(2015)に見出すことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物に対するシクロデキストリンの重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。他の実施形態では、重量比は、約0.1%w/w~約45%w/w、0.5%w/w~約45%w/w、1%w/w~約45%w/w、1%w/w~約40%w/w、1%w/w~約35%w/w、1%w/w~約30%w/w、1%w/w~約25%w/w、または1%w/w~約20%w/wである。組成物に対するシクロデキストリンの重量比は、例えば、シクロデキストリンが含まれる製剤の種類に依存し得る。
【0071】
シクロデキストリンは、その薬学的に許容される塩として対象に投与することができる。適切な薬学的に許容される塩には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸などの薬学的に許容される無機酸の塩、または酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、および吉草酸などの薬学的に許容される有機酸の塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
塩基塩には、それだけに限らないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムなどの薬学的に許容されるカチオンで形成されたものが含まれる。特に、本発明は、その範囲内に、カチオン性塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩、またはリン酸基のアルキルエステル(例えば、メチル、エチル)を含む。
【0073】
塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド、例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルクロリド、ブロミドおよびヨージド;硫酸ジメチルおよび硫酸ジエチルのような硫酸ジアルキル;その他の薬剤で四級化されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、組成物は生理食塩水を含む。他の実施形態では、生理食塩水は0.9%生理食塩水である。塩はNaClまたはKClであり得る。他の生理食塩水、例えば乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、静脈内糖溶液、生理食塩水中5%デキストロース(D5NS)、生理食塩水中10%デキストロース(D10NS)、半生理食塩水中5%デキストロース(D5HNS)、半生理食塩水中10%デキストロース(D10HNS)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、TRIS緩衝生理食塩水(TBS)、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、アール平衡塩類溶液(EBSS)、標準クエン酸生理食塩水(SSC)、HEPES緩衝生理食塩水(HBS)、およびゲイ平衡塩類溶液(GBSS)も使用することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、組成物に対する水性媒体の重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。他の実施形態では、重量比は、約0.1%w/w~約45%w/w、0.5%w/w~約45%w/w、1%w/w~約45%w/w、1%w/w~約40%w/w、1%w/w~約35%w/w、1%w/w~約30%w/w、1%w/w~約25%w/w、または1%w/w~約20%w/wである。
【0076】
シクロデキストリンのプロドラッグである任意の化合物も本発明の範囲および精神の範囲内であることが理解されよう。したがって、シクロデキストリンは、薬学的に許容されるプロドラッグの形態で対象に投与され得る。「プロドラッグ」という用語は、その最も広い意味で使用され、インビボで本発明の化合物に変換される誘導体を包含する。そのような誘導体は、当業者には容易に想到されるであろう。プロドラッグ(およびその調製)を一般的に記載する他のテキストには、以下が含まれる:Design of Prodrugs,1985,H.Bundgaard(Elsevier);The Practice of Medicinal Chemistry,1996,Camille G.Wermuth et al,Chapter 31(Academic Press);およびA Textbook of Drug Design and Development,1991,Bundgaard et al,Chapter 5,(Harwood Academic Publishers)。例えば、シクロデキストリン上のヒドロキシル基を保護基で誘導体化して、メトキシメチルエーテル、テトラヒドロプラニルエーテル、t-ブチルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテル、t-ブチルジメチルシリルエーテル、t-ブチルジフェニルシリルエーテル、酢酸エステル、ピバル酸エステル、安息香酸エステル、アセトニドまたはベンジリデンアセタールを形成することができる。
【0077】
シクロデキストリンは、遊離化合物または溶媒和物(例えば、水和物)のいずれかとして結晶形態であり得、両方の形態が本発明の範囲内であることが意図される。溶媒和の方法は、当技術分野において一般に公知である。
【0078】
上述のように、組成物はリンパ浮腫の治療に適している。他の実施形態では、組成物は、リンパ浮腫予防薬として適している。
【0079】
組成物は、治療有効量で患者に投与される。本明細書で使用される場合、治療有効量は、所望の効果を少なくとも部分的に達成すること、またはリンパ浮腫の発症を遅延させること、またはリンパ浮腫の進行を阻害すること、またはリンパ浮腫の発症または進行を停止または逆転させることを含むことが意図される。
【0080】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、所望の投与レジメンに従って投与された場合に所望の治療活性を提供するシクロデキストリンの量に関する。投与は、数分、数時間、数日、数週間、数ヶ月もしくは数年の間隔で、またはこれらの期間のいずれか1つにわたって連続的に行われ得る。適切な投与量は、約0.1mg/kg体重~100g/kg体重/投与量の範囲内、例えば1mg~50g/kg体重/投与量の範囲内であり得る。一実施形態では、投与量は、投与量当たり体重1kg当たり1mg~20gの範囲であり得る。別の実施形態では、投与量は、投与量当たり体重1kg当たり1mg~10gの範囲であり得る。さらに別の実施形態では、投与量は、投与量当たり体重1kg当たり1mg~50g、例えば投与量当たり体重1kg当たり最大5gの範囲であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、投与量は、体重1kg当たり0.5g~10g、体重1kg当たり0.5g~9g、体重1kg当たり0.5g~8g、体重1kg当たり0.5g~7g、体重1kg当たり0.5g~6g、体重1kg当たり0.5g~5g、体重1kg当たり0.5g~4g、または体重1kg当たり0.5g~3gの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.5g/kg~約10g/kg体重の用量で投与される。
【0082】
いくつかの実施形態において、組成物は1日おきに投与される。
【0083】
いくつかの実施形態では、組成物は、それを必要とする対象に、1日おきに2~10回提供される。他の実施形態では、組成物は、1日おきに2、4、5、6、7、8、9または10回提供される。
【0084】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも4日間にわたって少なくとも2回投与される。例えば、組成物は、治療の1日目および3日目に、治療日に単回用量で投与することができる。
【0085】
好ましい単位投薬組成物または組み合わせは、本明細書中上記で記載されるような1日用量もしくは単位、1日サブ用量、またはその適切な割合の有効成分を含有するものである。
【0086】
他の適切な投与量および投与レジメンは、主治医によって決定することができ、状態の重症度ならびに治療される患者の一般的な年齢、健康状態および体重に依存し得る。
【0087】
本発明の組成物は、単回用量または一連の用量で投与され得る。組成物を医薬組成物として提供することが好ましい。このような組成物の製剤は、当業者に周知である。組成物は、任意の適切な担体、希釈剤または賦形剤を含有し得る。これらには、すべての従来の溶媒、分散媒、充填剤、固体担体、コーティング、抗真菌剤および抗菌剤、皮膚浸透剤、界面活性剤、等張剤および吸収剤などが含まれる。
【0088】
担体は、組成物の他の成分と適合性であり、患者に有害ではないという意味で、薬学的に「許容」でなければならない。組成物は、単位剤形で都合よく提供され得、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。そのような方法は、活性成分を、1つまたは複数の補助成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、組成物は、活性成分を液体担体または細かく分割された固体担体またはその両方と均一かつ密接に会合させ、次に必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0089】
組成物は局所投与に適し得る。非経口経路は、経腸的でない(すなわち胃腸管を介して投与されない)任意の経路である。例えば、組成物は、皮下送達(皮膚下への適用)に適し得る。皮下注射は、皮下組織、すなわち真皮および表皮(まとめて皮膚と呼ばれる)の直下の皮膚の層にボーラスとして投与される。あるいは、組成物は、皮膚上送達(皮膚への適用)または皮内送達(皮膚への適用)に適し得る。
【0090】
他の実施形態では、組成物は、経皮送達に適し得る。経皮は、有効成分が全身分布のために皮膚を横切って送達される投与経路である。
【0091】
いくつかの実施形態では、組成物は、経皮パッチに適用される。経皮は、シクロデキストリンが皮膚を横切って送達される投与経路である。シクロデキストリンは、パッチの形態で投与することができる。パッチは、特定の用量の薬剤を皮膚を通して、場合により血流中に送達するために、皮膚上に配置される接着性パッチであり得る。経口、局所、静脈内、筋肉内などの他の種類の薬物送達に対する経皮薬物送達経路の利点は、パッチが、通常は、薬物のリザーバを覆う多孔質膜を介して、または接着剤に埋め込まれた薬物の体熱溶融薄層を介して、患者への薬物の制御放出を提供できることである。さらに、リンパ浮腫が観察される皮膚の表面に直接貼付することができるため、治療を視覚的に追跡することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、組成物は、経皮パッチ内の層として適用される。他の実施形態では、組成物は、経皮パッチの表面に適用される。
【0093】
例えば、経皮パッチは、アルミニウム箔、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレンまたは不織布などのバッキング層を含むことができる。組成物は、バッキング層上に層として塗布することができる。接着剤層はまた、患者の皮膚に接触するために存在することができる。組成物層および接着剤層は、組成物が皮膚を介して患者に送達され得る限り、任意の形態および構成であり得る。あるいは、組成物と接着剤とを分離不能に混合して単層を形成することができる。接着剤は、アクリル系接着剤またはシリコン系接着剤であり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、経皮パッチ中のシクロデキストリンの重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。他の実施形態では、重量比は、約0.1%w/w~約45%w/w、0.5%w/w~約45%w/w、1%w/w~約45%w/w、1%w/w~約40%w/w、1%w/w~約35%w/w、1%w/w~約30%w/w、1%w/w~約25%w/w、または1%w/w~約20%w/wである。
【0095】
本発明の組成物は、任意の公知の投与技術を使用して対象に投与することができる。例えば、組成物は、連続送達(長期間にわたって慎重に調節された量の流体を可能にする)、間欠送達(設定された間隔でより短い期間に与えられる投与量)または直接送達(単回用量またはボーラスを送達するため)として投与することができる。例えば、組成物は、20g/m2までの用量で投与され得る。
【0096】
そのような使用のための注射剤は、従来の形態で、液体溶液もしくは懸濁液として、または注射前の液体中の溶液もしくは懸濁液として、またはエマルジョンとしての調製に適した固体形態で調製することができる。担体としては、例えば、水、生理食塩水(例えば、生理食塩水(NS)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、平衡生理食塩水(BSS))、乳酸ナトリウムリンゲル液、デキストロース、グリセロール、エタノールなどを挙げることができる。必要に応じて、湿潤剤または乳化剤、緩衝剤などの少量の補助物質を添加することができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、組成物は皮内組成物である。皮内組成物は、それを必要とする患者への皮内注射に適している。皮内注射は、表皮と皮下組織との間に位置する真皮への物質の浅いまたは表面的な注射である。皮内経路は、皮下注射と比較して全身的にシクロデキストリンの迅速な取り込みに関連し、したがって、リンパ浮腫を治療するための応答時間がより速いことが見出された。さらに、組成物に対する身体の反応は、表面により近いためにより見やすくなる。
【0098】
いくつかの実施形態では、皮内組成物は水性媒体を含む。本明細書で使用される「水性媒体」という用語は、水系溶媒または溶媒系を指し、主に水から構成される。そのような溶媒は、極性もしくは非極性のいずれか、および/またはプロトン性もしくは非プロトン性のいずれかであり得る。溶媒系は、最終的な単相をもたらす溶媒の組み合わせを指す。「溶媒」および「溶媒系」の両方は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、ギ酸、ブタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、酢酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたは水を含むことができ、これらに限定されない。水系溶媒または溶媒系はまた、溶解したイオン、塩および分子、例えばアミノ酸、タンパク質、糖およびリン脂質を含み得る。そのような塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化亜鉛、HEPESナトリウム、塩化カルシウム、硝酸第二鉄、重炭酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸ナトリウムであり得るが、これらに限定されない。したがって、生物学的流体、生理学的溶液および培養培地もこの定義に含まれる。
【0099】
いくつかの実施形態では、皮内組成物に対するシクロデキストリンの重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。他の実施形態では、重量比は、約0.1%w/w~約45%w/w、0.5%w/w~約45%w/w、1%w/w~約45%w/w、1%w/w~約40%w/w、1%w/w~約35%w/w、1%w/w~約30%w/w、1%w/w~約25%w/w、または1%w/w~約20%w/wである。
【0100】
いくつかの実施形態では、皮内組成物は賦形剤を含む。賦形剤は、組成物中のシクロデキストリンの溶解性および/または安定性を改善するのを助けることができる。例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、クレゾール、メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベンなどの賦形剤を使用することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、皮内組成物に対する賦形剤の重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。他の実施形態では、重量比は、約0.1%w/w~約45%w/w、0.5%w/w~約45%w/w、1%w/w~約45%w/w、1%w/w~約40%w/w、1%w/w~約35%w/w、1%w/w~約30%w/w、1%w/w~約25%w/w、または1%w/w~約20%w/wである。
【0102】
本発明の組成物は、化合物、組成物または組み合わせと意図するレシピエントの血液とを等張性にする抗酸化剤、緩衝剤、殺菌剤および溶質を含有し得る水性および非水性の等張性滅菌注射液、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液を含む、非経口投与に適し得る。化合物、組成物または組み合わせは、単位用量または複数用量の密封容器、例えばアンプルおよびバイアルで提供されてもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0103】
当業者は、組成物を注射および/または投与するための他の手段も使用できることを理解するであろう。これらの他の手段は、例えば、医療送達装置を含むことができる。これらの装置および方法は、例えば、薬剤の長期送達のために対象の体内に挿入される生分解性ポリマー送達部材を含むことができる。
【0104】
局所投与を含む他の投与様式も可能であり得る。局所送達は、身体上または体内の特定の場所への適用を指す。ほとんどの用途では、局所投与は、クリーム、フォーム、ゲル、ローション、および軟膏を含む広範囲のクラスを介して疾患を治療するための皮膚または粘膜などの体表面への適用を意味する。例えば、本発明の組成物の溶液または懸濁液は、対象の皮膚表面に直接適用される膜パッチとして製剤化され得る。あるいは、組成物は、対象の皮膚表面に塗布されるクリームまたはゲルであり得る。局所適用は、典型的には、シクロデキストリンを0.1mg~100gの量で投与することを含む。
【0105】
皮下注射は、真皮などの皮膚の同じ層がこれら2つの投与経路によって標的化されるので、局所適用を反映する可能性が高いと考えられる。
【0106】
いくつかの実施形態では、組成物は局所組成物である。局所薬は、身体上または体内の特定の場所に適用することができる薬剤である。ほとんどの場合、局所投与は、クリーム、フォーム、ゲル、ローション、および軟膏を含む広範囲のクラスを介して疾患を治療するための皮膚または粘膜などの体表面への適用を意味する。多くの局所薬は皮膚上であり、これは皮膚に直接適用されることを意味する。局所薬はまた、喘息薬などの吸入薬であってもよく、または結膜に適用される点眼薬、または耳に入れられる点耳薬、または歯の表面に適用される薬など、皮膚以外の組織の表面に適用されてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、局所組成物に対するシクロデキストリンの重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。他の実施形態では、重量比は、約0.1%w/w~約45%w/w、0.5%w/w~約45%w/w、1%w/w~約45%w/w、1%w/w~約40%w/w、1%w/w~約35%w/w、1%w/w~約30%w/w、1%w/w~約25%w/w、または1%w/w~約20%w/wである。
【0108】
いくつかの実施形態では、局所組成物は賦形剤を含む。賦形剤は、組成物中のシクロデキストリンの溶解性および/または安定性を改善するのを助けることができる。例えば、賦形剤は、乳化剤および/または増粘剤であり得る。例えば、賦形剤は、アラビアガム、酢酸、アセトン、クエン酸アセチルトリブチル、寒天、エタノール、アルギン酸、アーモンド油、アルファトコフェロール、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベントナイト、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ホウ酸、ブロノポール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチレングリコール、ブチルパラベン、酢酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ヒマシ油、微結晶セルロース、セレシン、セトステアリルアルコール、セトリミド、セチルアルコール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クロロステロール、クエン酸、コロイド状二酸化ケイ素、クレゾール、クロスポビドン、シクロメチコン、安息香酸デナトニウム、フタル酸ジブチル、ジエタノールアミン、ジメチコン、フタル酸ジメチル、ジメチルアセトアミド、エデト酸二ナトリウム、ドキュセートナトリウム、酢酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、エチレンビニルアセテート、エチルパラベン、ゼラチン、グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、グリコフロール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、イミドウレア、イソプロピルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、カオリン、乳酸、ラノリン、レシチン、リノール酸、ケイ酸塩、リンゴ酸、マンニトール、メチルセルロース、メチルパラベン、モノチオグリセロール、ミリスチン酸、ミリスチルアルコール、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、パラフィン、ペトロラタム、フェノキシエタノール、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレングリコール、ポリメチルアクリレート、ポリオキシグリセリド、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレングリコール、プロピルパラベン、ピロリドン、ナトリウムヒドロルロネート(sodium hydroluronate)、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ソルビトール、デンプン、トリカプリリン、トリエタノールアミン、キサンタンガム、またはキシリトールであり得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、局所組成物に対する賦形剤の重量比は、約0.1%w/w~約50%w/wである。他の実施形態では、重量比は、約0.1%w/w~約45%w/w、0.5%w/w~約45%w/w、1%w/w~約45%w/w、1%w/w~約40%w/w、1%w/w~約35%w/w、1%w/w~約30%w/w、1%w/w~約25%w/w、または1%w/w~約20%w/wである。
【0110】
本発明の組成物は、皮膚への局所投与に適していてもよく、任意の適切な担体または基剤に溶解または懸濁された化合物を含んでもよく、ローション、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏などの形態であってもよい。適切な担体としては、鉱油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ワックス、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。経皮パッチもまた、本発明の化合物を投与するために使用され得る。
本発明は、有効量の組成物をそれを必要とする患者に投与することであって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含むことを含み、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、リンパ浮腫を治療する方法を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態では、リンパ浮腫を治療する方法は、有効量の組成物をそれを必要とする患者に投与することを含み、組成物はシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグから本質的に構成される。
【0112】
いくつかの実施形態では、リンパ浮腫を治療する方法は、有効量の組成物をそれを必要とする患者に投与することであって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグから本質的に構成されることを含み、シクロデキストリンの内部空洞は占有されていない。
【0113】
本明細書で使用される「治療する」という用語は、(1)障害の1つもしくは複数の症状の出現を予防または遅延させること、(2)障害または障害の1つもしくは複数の症状の発症を阻害すること、(3)障害を軽減すること、すなわち、障害または障害の少なくとも1つもしくは複数の症状の退行を引き起こすこと、および/または(4)障害の1つまたは複数の症状の重症度の低下を引き起こすことを指し得る。
【0114】
「投与する」という用語は、本明細書で言及される阻害剤を対象に接触、適用、注射、トランスフェクションまたは提供することを指す。
【0115】
本発明はまた、それを必要とする患者においてリンパ浮腫を治療するための組成物であって、組成物がシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含み、
シクロデキストリンの内部空洞が占有されていない、組成物を提供する。
【0116】
いくつかの実施形態では、組成物は、それを必要とする患者のリンパ浮腫を治療するためのものであり、組成物は、シクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグから本質的に構成される。
【0117】
いくつかの実施形態では、組成物は、それを必要とする患者のリンパ浮腫を治療するためのものであり、組成物は、シクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグから本質的に構成され、シクロデキストリンの内部空洞は占有されていない。
本発明はまた、リンパ浮腫を治療するための医薬の製造における組成物の使用を提供し、組成物はシクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含み、
シクロデキストリンの内部空洞は占有されていない。
【0118】
いくつかの実施形態では、組成物の使用は、リンパ浮腫を治療するための医薬の製造におけるものであり、組成物は、シクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグから本質的に構成される。
【0119】
いくつかの実施形態では、組成物の使用は、リンパ浮腫を治療するための医薬の製造におけるものであり、組成物は、シクロデキストリンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグから本質的に構成され、シクロデキストリンの内部空洞は占有されていない。
【0120】
いくつかの実施形態では、リンパ浮腫は原発性リンパ浮腫である。他の実施形態では、リンパ浮腫は続発性リンパ浮腫である。他の実施形態では、リンパ浮腫は、原発性リンパ浮腫または続発性リンパ浮腫から選択される。
【0121】
いくつかの実施形態では、投与される組成物は、組織浮腫、リンパ機能、脂質蓄積、組織コレステロール、線維症、炎症、またはそれらの組み合わせを改善または低減する。
【0122】
原発性および続発性リンパ浮腫を分類する方法は以下の通りである。
【表2】
【0123】
病期分類システムは、リンパ浮腫の重症度を特定するのに役立つ。MRIまたはCTなどの医療撮像装置の助けを借りて、医師によって病期分類を確立することができ、治療的または医療的介入を適用することができる。
【0124】
リンパ浮腫および慢性浮腫の両方は、患者およびその家族の両方に破壊的な身体的および心理社会的影響を及ぼし得る。膨張した手足の余分な重量は、歩行、可動性に影響を及ぼし、周囲の関節および筋肉に痛みを引き起こす可能性がある。衣類および履物にはしばしば困難があり、これは身体像および社会問題を引き起こす。多くの人々は、現在の雇用を維持したり、代替案を見つけたりすることが困難であると考えており、これは、座ったままの生活をもたらしたり、悪化させたりする可能性がある。他の合併症としては、悪性形質転換および再発性皮膚感染が挙げられる。
【0125】
いくつかの実施形態では、組成物は、ステージ2以下の重症度のリンパ浮腫を有する、それを必要とする患者に投与される。他の実施形態では、組成物は、ステージ1以下の重症度のリンパ浮腫を有する、それを必要とする患者に投与される。
【実施例】
【0126】
方法
続発性リンパ浮腫に対するシクロデキストリンの効果を評価するために、リンパ浮腫のヒト病態生理学を模倣するリンパ機能不全の動物モデル、例えば脂肪組織リモデリング、脂質蓄積、炎症および線維症を使用した。このマウスモデルは、apoEリポタンパク質E欠損マウスであり得る。マウスは、皮膚リンパ輸送の障害、組織腫脹、脂質蓄積および組織の炎症を呈することが示されている。このリンパ機能不全は、ヒト続発性リンパ浮腫でも観察されるように、脂肪組織の拡大、それから損失および線維症をもたらすと考えられている。これを確認するために、雌のapoE-/-マウスを、2g/kg体重のシクロデキストリン(生理食塩水)皮下またはビヒクル単独(生理食塩水)皮下で1日おきに合計2回、4回または8回処置した。マウスを安楽死させ、組織腫脹を肉眼的に観察し、前足蹠から排出リンパ節へのFITCデキストランの輸送を追跡することによってリンパ輸送を調べた。皮膚組織も脂質含有量について組織学的に検査した(オイルレッドO染色)。
【0127】
結果および分析
apoE-/-マウスにおける組織浮腫、脂質蓄積およびリンパ輸送に対する4回のシクロデキストリンの効果を試験した(
図1、
図2および
図3)。4回の投与により、足蹠の組織浮腫が有意に改善され(
図1)、シクロデキストリンで処置したマウスの組織のオイルレッドO染色の減少によって脂質蓄積が減少した(
図2)ことが示されている。さらに、シクロデキストリンは、apoE-/-マウスにおいてリンパ輸送を完全に回復させ(
図3)、したがって組織腫脹状態を改善することが実証される。
【0128】
図1は、シクロデキストリ(CD;2g/kg体重)または生理食塩水(対照、NT)を1日おきに合計4回皮下注射し、マウスが高脂肪食で17週齢になったときに採取された後の雌野生型(WT)マウスまたはapoE-/-マウスの足蹠の画像を示す。マウスの足蹠の腫脹は肉眼的に観察された(矢頭:腫脹領域)。シクロデキストリンで処置されたApoE-/-マウス(apoE CD)は、処置されていないapoE-/-マウス(apoE NT)と比較して、足蹠腫脹の減少を示した。
【0129】
図2は、シクロデキストリン(CD;2g/kg体重)または生理食塩水(対照、NT)を1日おきに合計4回皮下注射し、マウスが高脂肪食で17週齢になったときに採取した後の雌WTまたはapoE-/-マウスの顕微鏡画像を示す。足蹠皮膚の切片を中性脂質についてオイルレッドOで染色して(赤色染色)、組織中の脂質蓄積を同定した。非処置ApoE-/-マウス(apoE NT)は、非処置野生型マウス(WT NT)と比較して、皮膚における脂質の蓄積を示した。対照的に、シクロデキストリンで処置したapoE-/-マウス(apoE CD)は、非処置apoE-/-マウスと比較して脂質の蓄積の減少を示した。
【0130】
図3は、シクロデキストリン(CD;2g/kg体重)または生理食塩水(対照、NT)を1日おきに合計4回皮下注射した後のそれぞれ雌WTまたはapoE-/-マウスのリンパ節における相対蛍光をプロットしている。マウスが高脂肪食で17週齢になったときにマウスを回収した。足蹠(注射部位)から排液リンパ節への蛍光デキストランの輸送を測定することによってリンパ排液を評価した。
【0131】
次に、リンパ機能に対するシクロデキストリンの改善効果を試験し、これはapoE-/-マウスが1日おきに2回、4回または8回処置を受けた場合に観察された。2回の投与はリンパ機能を改善したが、4回の投与と比較してより少ない程度であり、一方、8回の投与は、これらのマウスにおいて既に完全にリンパ機能を回復していた4回の投与と比較して、apoE-/-マウスにおいてリンパ機能をさらに増強しなかった(
図4)。
【0132】
図4は、異なる投与計画のもとでのそれぞれのマウスのリンパ節における相対蛍光をプロットする。17週齢の雌の野生型(WT)マウスまたはapoE-/-マウスに、シクロデキストリン(2g/kg体重)を1日おきに2回、4回または8回皮下投与した(SCD:2回;UCD:4回(通常の処置)およびLCD:8回。非処置(NT)処置WTおよびapoEマウスには生理食塩水を4回投与した。
図3に記載のように、リンパ輸送を評価した。2回のシクロデキストリンは、apoE-/-マウスにおいてリンパ機能を改善するのに十分であったが、4回はそれを完全に回復させた。長期処置は、apoE-/-マウスにおいてさらなるリンパ機能を改善しなかった。
【0133】
したがって、シクロデキストリン製剤による皮下治療は、リンパ浮腫の皮膚および組織浮腫における脂質蓄積を減少させることができることが実証されている。さらに、リンパ輸送を回復させる。脂質蓄積は、ヒトリンパ浮腫において脂肪組織リモデリングならびにその後の炎症および線維症を開始するので、シクロデキストリン組成物をリンパ浮腫の治療に使用することができると考えられる。
【0134】
シクロデキストリンによる、リンパ浮腫病態生理学を再現する動物モデルであるapoE-/-マウスの処置は、組織コレステロールを減少させるが、血漿コレステロールレベルには影響せず、シクロデキストリンが皮膚からコレステロールを除去するのに強力であることを示している(
図6)。
【0135】
図6は、17週齢の野生型(n=4)、apoE-/-(n=4)、4回処置apoE-/-マウス(n=2)および8回処置apoE-/-マウス(n=5)の前足蹠で分析した総コレステロール濃度を示す。*p<0.05。シクロデキストリンの投与量が増加するにつれて、apoE-/-マウスの前足蹠の総コレステロールレベルが低下した。シクロデキストリンは1日おきに皮下投与した。
【0136】
製剤が線維症および炎症を含むリンパ浮腫に関連するいくつかの組織変化を逆転させることができるかどうかを評価した。apoE-/-マウスをシクロデキストリンで処置すると、特に8回投与計画では、脂肪組織におけるコラーゲンの沈着およびマクロファージの浸潤の減少によって示されるように、線維症(
図7A)および炎症(
図7B)が減少する。これらのデータは、リンパ浮腫がシクロデキストリン処置によって改善され得ることを示している。
【0137】
図7Aは、17週齢の野生型、非処置apoE-/-マウス、4回処置マウスおよび8回処置マウスの背部皮膚のマッソン・トリクローム染色を示す。コラーゲンは青色に染色され、筋肉および細胞質は赤色に染色され、核は黒色に染色された。
【0138】
図7Bは、17週齢の野生型、未処置apoE-/-およびシクロデキストリン処置apoE-/-マウスの背部皮膚の免疫蛍光染色を示す。CD68はパンマクロファージマーカーであり、ペリリピンは脂肪細胞を同定するために使用し、DAPI染色を核に使用した。CD68染色によって示されるように、シクロデキストリン投与量が増加するにつれて、マクロファージ蓄積および王冠様構造(白色囲み)の程度が減少する。
【0139】
8回のシクロデキストリンによる処置の有効性を、より重篤なリンパ機能不全および疾患で試験した。17週齢の代わりに42週齢のマウスを試験した。8回では、シクロデキストリンはリンパ機能を改善することができず、組織腫脹などの組織変化を改善することができないことが観察された。
【0140】
図8Aは、足蹠から排出リンパ節へ輸送されるFITCデキストランの量を定量することによって、8回の投与について42週齢のWT、非処置apoE-/-およびシクロデキストリン処置apoE-/-で評価されたリンパ機能を示す。
【0141】
図8Bは、8回の投与について、42週齢のWT、非処置apoE-/-およびシクロデキストリン処置apoE-/-の足蹠組織の腫脹を肉眼で調べたことを示す。
【0142】
まとめると、これらのデータは、組織コレステロールを減少させ、続いて脂肪組織リモデリング、線維症および炎症を減少させることによる、リンパ浮腫に対するシクロデキストリンの潜在的な治療上の利益をさらに裏付けている。
【0143】
記載された実施形態の様々な態様の多くのさらなる修正および置換が可能であることが理解されよう。したがって、記載された態様は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に入るすべてのそのような変更、修正、および変形を包含することが意図されている。
【0144】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、文脈がそうでないことを要求しない限り、「含む(comprise)」 という単語、ならびに「含む(comprises)」 および「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップのグループを含むが、任意の他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップのグループを除外しないことを意味すると理解される。
【0145】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、文脈がそうでないことを要求しない限り、「本質的に構成される(consisting essentially of)」という語句および「本質的に構成される(consists essentially of)」などの変形は、列挙された要素が必須である、すなわち本発明の必要な要素であることを示すと理解される。この語句は、本発明の特徴に実質的に影響を及ぼさない他の列挙されていない要素の存在を可能にするが、定義された方法の基本的かつ新規な特徴に影響を及ぼすであろう追加の不特定の要素を除外する。
【0146】
本明細書における任意の先行する刊行物(またはそれに由来する情報)または任意の既知の事項への言及は、その先行する刊行物(またはそれに由来する情報)または既知の事項が、本明細書が関連する努力の分野における共通の一般知識の一部を形成することの承認または容認または任意の形態の示唆として解釈されず、そのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】