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特表2023-529360ガラス面を処理する方法及び処理ガラス物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】ガラス面を処理する方法及び処理ガラス物品
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230703BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230703BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230703BHJP
   H10K 71/13 20230101ALI20230703BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20230703BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20230703BHJP
   C03C 17/32 20060101ALI20230703BHJP
   B41M 1/12 20060101ALI20230703BHJP
   B41M 1/34 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
G09F9/30 310
G09F9/00 338
G09F9/33
G09F9/30 365
H10K71/13
H10K77/10
H10K59/131
C03C17/32 A
B41M1/12
B41M1/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574512
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 US2021034702
(87)【国際公開番号】W WO2021247388
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/034,730
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ディワート ステファニー マリー
(72)【発明者】
【氏名】ゲッパート ジョン アルバート
(72)【発明者】
【氏名】ケンプトン マシュー スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ラスコフスキ クリスティーナ マリー
(72)【発明者】
【氏名】パステル デヴィッド アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】スターンクィスト ブランドン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】タデッセ ハレジェワイン
【テーマコード(参考)】
2H113
3K107
4G059
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H113BA10
2H113BB09
2H113BB21
2H113CA17
2H113FA29
2H113FA43
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107DD12
3K107DD16
3K107DD19
3K107DD39
3K107DD90
3K107DD96
3K107FF04
3K107FF06
3K107FF08
3K107FF15
3K107GG07
4G059AA08
4G059AB06
4G059AC16
4G059AC20
4G059FA21
4G059FB03
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA23
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA14
5C094DB05
5C094FB01
5C094FB18
5C094GB01
5C094JA05
5C094JA08
5G435AA14
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE41
5G435EE49
5G435HH14
5G435KK05
(57)【要約】
被覆されたエッジ面を有する基板、コーティングを実行するための装置、及びそのための方法を説明する。基板は、エッジ面電気コネクタを含むことができ、エッジコーティングが、エッジ面電気コネクタの上に被覆される。コーティング作動を実行するための装置は、エッジ面コーティングの硬化の前に基板のスタックの全てのエッジ面のコーティングを容易にするように構成された回転固定具を含み、本方法により、スタック内の対応するエッジ面の1つの群のエッジ面が、コーティング材料で被覆され、回転固定具は、次に、エッジ面の第2の群をコーティングに対して位置決めするように回転される等々である。コーティング工程は、積み重ねられた基板の主面の上への一貫した溢流を取得するように制御される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品であって、
第1の主面と、該第1の主面と反対の第2の主面と、該第1の主面から該第2の主面までの間を延びてそれらを接続する少なくとも1つのエッジ面と、を含むガラス基板を備え、
前記ガラス基板は、前記少なくとも1つのエッジ面上に及び該少なくとも1つのエッジ面に沿ってかつそれに近接して前記第1の主面又は前記第2の主面の少なくとも一部分上に連続コーティング層として堆積されたコーティング材料を更に備え、
前記コーティング層は、約25マイクロメートルに等しいか又はそれよりも長いから約170マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短いまでの範囲で前記第1の主面又は前記第2の主面の前記少なくとも一部分上で溢流距離を延びる、
ことを特徴とするガラス物品。
【請求項2】
前記コーティング層の厚みが、約100マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短い、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項3】
前記コーティング層の前記厚みは、約50マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短い、
請求項2に記載のガラス物品。
【請求項4】
前記コーティング層の前記厚みは、約10マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短い、
請求項3に記載のガラス物品。
【請求項5】
前記コーティング層の前記厚みは、約4マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短い、
請求項4に記載のガラス物品。
【請求項6】
前記コーティング材料は、エポキシを備える、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項7】
前記コーティング材料のバルク抵抗率が、1×108オームに等しいか又はそれよりも高い、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項8】
前記コーティング材料のバルク抵抗率が、1×1015オームに等しいか又はそれよりも高い、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項9】
前記コーティング層の面粗度Saが、約250ナノメートルに等しいか又はそれよりも低い、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項10】
前記コーティング層の光学密度が、約1.8に等しいか又はそれよりも高い、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項11】
前記コーティング層の前記光学密度は、約2に等しいか又はそれよりも高い、
請求項10に記載のガラス物品。
【請求項12】
前記コーティング層の前記光学密度は、約2に等しいか又はそれよりも高いから約2.5に等しいか又はそれよりも低いまでの範囲にある、
請求項11に記載のガラス物品。
【請求項13】
前記少なくとも1つのエッジ面は、複数のエッジ面を備え、前記連続コーティング層は、各エッジ面を被覆する、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項14】
前記ガラス基板の厚みが、約300マイクロメートルから約1.3ミリメートルまでの範囲にある、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項15】
前記少なくとも1つのエッジ面は、弧状面を備える、
請求項1に記載のガラス物品。
【請求項16】
前記第1の主面から前記第2の主面まで前記少なくとも1つのエッジ面を横切って延びる導電体を更に備え、前記コーティング層は、該導電体にわたって配置される、
請求項1ないし15のいずれか1項に記載のガラス物品。
【請求項17】
前記第1の主面上に堆積されて前記導電体と電気連通している電子デバイスを更に備える、
請求項16に記載のガラス物品。
【請求項18】
前記電子デバイスは、電界発光素子を備える、
請求項17に記載のガラス物品。
【請求項19】
前記電界発光素子は、発光ダイオードを備える、
請求項18に記載のガラス物品。
【請求項20】
ガラス基板を被覆する方法であって、
複数のガラス基板と複数のスペーサとを交替関係に位置決めして基板スタックを形成する段階であって、各ガラス基板が、第1の主面と、第2の主面と、該第1の主面と該第2の主面の間を延びてそれらを接続する第1のエッジ面と、該第1及び第2の主面間を延びてそれらを接続する第2のエッジ面とを備える前記形成する段階と、
固定具内の第1のプラテンと第2のプラテンの間に前記基板スタックを締結する段階と、
前記固定具をスクリーンの真下に装着する段階であって、前記締結された基板スタックが、各ガラス基板の前記第1の主面と直交する回転軸の周りに該固定具内で回転可能である前記装着する段階及び該締結されたスタックを第1の向きに向ける段階と、
コーティング材料を前記スクリーンに付加する段階と、
スキージを前記スクリーンの上に押圧して該スクリーンを前記第1のエッジ面に向けて偏向させる段階、前記回転軸と直交する第1の方向に該スキージを開始位置から停止位置まで該スクリーンを横切って横断させて前記コーティング材料を該第1のエッジ面に付加する段階、及び該スキージを該開始位置まで戻す段階と、
前記基板スタックを第2の向きに回転させる段階と、
前記スキージを前記スクリーンの上に押圧して該スクリーンを前記第2のエッジ面に向けて偏向させる段階、前記開始位置から前記停止位置まで該スクリーンを横切って前記第1の方向に該スキージを横断させて前記コーティング材料を該第2のエッジ面に付加する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記コーティング材料は、前記第1のエッジ面に前記コーティングを付加する段階と同時に各ガラス基板の前記第1の主面又は前記第2の主面のうちの少なくとも一方の少なくとも一部分に付加される、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
各ガラス基板が、前記第1の主面から前記第2の主面まで前記第1のエッジ面を横切って延びる少なくとも1つの導電体を備え、前記コーティング材料は、該少なくとも1つの導電体にわたって付加される、
請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の向きは、前記第2の向きと直交する、
請求項20ないし22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のプラテン及び前記第2のプラテンの各々が、第1の主面と、第2の主面と、該第1の主面と該第2の主面の間を延びてそれらを接続する第1のエッジ面とを備え、該第1のプラテンの該第1のエッジ面と該第2のプラテンの該第1のエッジ面は、第1の平面を定め、前記ガラス基板の前記第1のエッジ面は、約10マイクロメートルから約100マイクロメートルまでの範囲の距離を該第1の平面から外向きに延びる、
請求項20ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
各スペーサが、第1の主面と、第2の主面と、それぞれの該スペーサの該第1の主面と該第2の主面の間を延びてそれらを接続する第1のエッジ面とを備え、前記ガラス基板のうちの1つの前記第1のエッジ面と該ガラス基板のうちの該1つに隣接するスペーサの該第1のエッジ面との間の距離が、約1mmから約3mmまでの範囲にある、
請求項20ないし24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
各スペーサの厚みが、約1ミリメートルから約20ミリメートルまでの範囲にある、
請求項20ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
各ガラス基板の前記第1のエッジ面に付加される前記コーティング材料は、該コーティング材料を各基板の前記第2のエッジ面に前記付加する段階の前には硬化されない、
請求項20ないし26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記基板スタック内の各ガラス基板が、少なくとも3つのエッジ面を備え、
方法が、各ガラス基板の各エッジ面を前記コーティング材料で被覆する段階と、該コーティング材料が前記少なくとも3つのエッジ面の全てに付加された後で該コーティング材料を硬化させる段階とを更に備える、
請求項20ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の主面又は前記第2の主面の前記少なくとも一部分上の溢流距離が、約25マイクロメートルに等しいか又はそれよりも長いから約170マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短いまでの範囲にある、
請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、その内容に依存してその全体が引用によって本明細書に組み込まれる2020年6月4日出願の米国仮特許出願第63/034,730号の「35 U.S.C.§119」の下での優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、ガラス面を処理する方法、より具体的には、印刷パターンの高い接着信頼性を提供する均一分散コーティングを備えるガラス面を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロLEDディスプレイは、TFT-LCD及びOLEDディスプレイと比較して自律発光、高輝度、高コントラスト、低電力消費、及びより長い寿命に起因して注目されている。大型マイクロLEDディスプレイを作るために、ドライバ及びプリント回路基板(PCB)が各タイル、タイルアセンブリ、ガラス部品などのシームレスアセンブリに関してディスプレイの背面上に置かれるので、タイル張りを必要とするディスプレイ概念のためのビアを有する基板が典型的に求められた。基板面(ガラス、透明セラミック又は基板材料)上のマイクロLEDと背面上のICドライバ又は他の構成要素との間の接続は、ラップエッジ(巻き付け)電極によって依然として実現することができる。
【0004】
シームレスタイル張りに関して、各タイルは、直近タイルと良好に位置合わせするエッジプロファイルを持たなければならない。従って、製作中に正確なタイル位置合わせが提供されなければならず、タイルエッジにわたって巻き付け電極が機械的信頼性を示さなければならない。これに加えて、巻き付け電極は、機械的信頼性を示す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディスプレイタイルと巻き付け電極の両方に対する信頼性を高める1つの手法は、保護エッジコーティング、耐久性薄膜、又は薄型積層体を適用することである。保護コーティングは、追加の光学的利点を提供する場合もある。例えば、ディスプレイタイルの電極巻き付き式エッジ上に黒色又は他の高吸収性接着性コーティング、薄膜、又は混成コーティングを適用することは、光反射を抑制することができる。エッジコーティングは、非吸収性透明又は不透明コーティング又はフィルムである場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、ディスプレイ装置を開示し、ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面と反対の第2の主面と、第1の主面から第2の主面までの間を延びてそれらを接続する少なくとも1つのエッジ面とを含むガラス基板を備え、ガラス基板は、少なくとも1つのエッジ面上に及びこの少なくとも1つのエッジ面に沿ったかつそれに近接した第1の主面又は第2の主面の少なくとも一部分上に連続コーティング層として堆積されたコーティング材料を更に備え、コーティング層は、25マイクロメートルに等しいか又はそれよりも長いから約170マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短いまでの範囲にある第1の主面又は第2の主面の少なくとも一部分上の溢流距離を延びる。コーティング層の厚みは、約100マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短い、例えば、約50マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短い、約10マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短い、又は約4マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短いとすることができる。コーティング材料は、エポキシを備えることができる。ガラス基板の厚みは、約300マイクロメートルから約1.3ミリメートルの範囲にある。
【0007】
一部の実施形態では、コーティング材料のバルク抵抗率は、1×108オームに等しいか又はそれよりも高い、例えば、1×1015オームに等しいか又はそれよりも高いとすることができる。
【0008】
一部の実施形態では、コーティング層の面粗度Saは、約250ナノメートルに等しいか又はそれよりも低いとすることができる。
【0009】
一部の実施形態では、コーティング層の光学密度は、約1.8に等しいか又はそれよりも高い、例えば、約2に等しいか又はそれよりも高いから約2.5に等しいか又はそれよりも低いまでの範囲のような約2に等しいか又はそれよりも高いとすることができる。
【0010】
一部の実施形態では、少なくとも1つのエッジ面は、複数のエッジ面を備えることができ、連続コーティング層が、各エッジ面を被覆している。
【0011】
少なくとも1つのエッジ面は、弧状面を備えることができる。
【0012】
ガラス物品は、第1の主面から第2の主面までガラス基板の少なくとも1つのエッジ面を横切って延びる導電体を更に備える場合があり、コーティング層が、導電体にわたって配置される。一部の実施形態では、電子デバイスを第1の主面上にかつ導電体と電気連通して堆積させることができる。電子デバイスは、例えば、発光ダイオードのような電界発光素子を備える場合がある。
【0013】
他の実施形態では、複数のガラス基板と複数のスペーサとを交替関係で位置決めして基板スタックを形成する段階であって、各ガラス基板が、第1の主面、第2の主面、第1の主面と第2の主面の間を延びてそれらを接続する第1のエッジ面、及び第1及び第2の主面間を延びてそれらを接続する第2のエッジ面を備える上記形成する段階と、固定具内の第1のプラテンと第2のプラテンの間に基板スタックを締結する段階とを備えるガラス基板を被覆する方法を説明する。固定具は、スクリーンの真下に装着することができ、締結された基板スタックは、各ガラス基板の第1の主面と直交する回転軸の周りに固定具内で回転可能であり、締結された基板スタックは、第1の向きに向けられる。次に、コーティング材料をスクリーンに付加することができる。スクリーンがコーティング材料で湿潤された状態で、本方法は、スキージをスクリーンの上に押圧してスクリーンを第1のエッジ面に向けて偏向させる段階と、開始位置から停止位置まで回転軸と直交する第1の方向にスクリーンを横切ってスキージを横断させてコーティング材料を第1のエッジ面に付加する段階と、スキージを開始位置に戻す段階とを更に備える。第1のエッジ面が被覆された状態で、本方法は、基板スタックを第2の向きに回転させる段階と、スキージをスクリーンの上に押圧してスクリーンを第2のエッジ面に向けて偏向させる段階と、開始位置から停止位置までスクリーンを横切って第1の方向にスキージを横断させてコーティング材料を第2のエッジ面に付加する段階とを更に備える場合がある。一部の実施形態では、第1の向きは、第2の向きと直交することができる。
【0014】
コーティング材料は、第1のエッジ面にコーティングを付加する段階と同時に各ガラス基板の第1の主面又は第2の主面の少なくとも一方の少なくとも一部分に付加することができる。第1の主面又は第2の主面の少なくとも一部分上の溢流距離は、25マイクロメートルに等しいか又はそれよりも長いから約170マイクロメートルに等しいか又はそれよりも短いまでの範囲にある。
【0015】
一部の実施形態では、各ガラス基板は、第1の主面から第2の主面まで第1のエッジ面を横切って延びる少なくとも1つの導電体を備えることができ、コーティング材料は、少なくとも1つの導電体にわたって付加される。
【0016】
第1のプラテン及び第2のプラテンの各々は、第1の主面、第2の主面、及び第1の主面と第2の主面の間を延びてそれらを接続する第1のエッジ面を備え、第1のプラテンの第1のエッジ面と第2のプラテンの第1のエッジ面は、第1の平面を定める。ガラス基板の第1のエッジ面は、約10マイクロメートルから約100マイクロメートルの範囲の距離を第1の平面から外向きに延びることができる。
【0017】
一部の実施形態では、各スペーサが、第1の主面、第2の主面、それぞれのスペーサの第1の主面と第2の主面の間を延びてそれらを接続する第1のエッジ面を備え、ガラス基板のうちの1つの第1のエッジ面とガラス基板のうちの1つに隣接するスペーサの第1のエッジ面との間の距離は、約1mmから約3mmの範囲にあるとすることができる。
【0018】
各スペーサの厚みは、約1ミリメートルから約20ミリメートルの範囲にあるとすることができる。
【0019】
一部の実施形態では、各ガラス基板の第1のエッジ面に付加されるコーティング材料は、コーティング材料を各基板の第2のエッジ面に付加する段階の前には硬化されない。
【0020】
一部の実施形態では、基板スタック内の各ガラス基板は、少なくとも3つのエッジ面を備え、本方法は、各ガラス基板の各エッジ面をコーティング材料で被覆する段階と、コーティング材料が各エッジ面に付加された後でコーティング材料を硬化させる段階とを更に備える。
【0021】
本明細書に開示する実施形態の追加の特徴及び利点は、以下の詳細説明に列挙しており、かつ一部は詳細説明から当業者に明らかであるか又は以下の詳細説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む本明細書に説明する実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0022】
以上の概要説明及び以下の詳細説明の両方は、本明細書に開示する実施形態の性質及び特徴を理解するための概要又は骨組みを提供するように意図していることは理解されるものとする。添付図面は、更に別の理解を提供するために含められ、かつ本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は、本発明の開示の様々な実施形態を例示しており、本発明の説明と共にその原理及び作動を解説するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】例示的ディスプレイ装置の側面断面図である。
図2図1のディスプレイ装置の上面図である。
図3】ピクセル要素とエッジ面コネクタとを示す図1及び図2のディスプレイ装置の製造に使用可能な例示的ディスプレイタイルの斜視図である。
図4】エッジ面コネクタを提供するのに使用することができる例示的フレックス回路の前面図である。
図5図4のフレックス回路の断面図である。
図6】例示的ディスプレイタイルのエッジの一部分の断面斜視図である。
図7】タイル基板の主面と直交する平坦エッジ面を有する例示的ディスプレイタイルのエッジの断面図である。
図8】面取りエッジ面を有する例示的ディスプレイタイルのエッジの断面図である。
図9】丸いコーナを備えるタイル基板の上面図である。
図10】ディスプレイタイル、例えば、ディスプレイタイルのスタックにコーティング材料を付加するための例示的装置の立面図である。
図11】交替配置でディスプレイタイル間に配置されたスペーサを含むディスプレイタイルのスタックの断面図である。
図12】タイル基板が弧状エッジ面を備えるディスプレイタイルのスタックの一部分の断面図である。
図13図10の装置と共に使用可能な回転固定具の断面図である。
図14】エッジコーティング付加の準備でディスプレイタイルのスタックを組み立てるためのスタッキングジグの斜視図である。
図15】ジグに位置決めされたディスプレイタイル及びスペーサを示す図14のスタッキングジグの斜視図である。
図16】スペーサエッジ面に対する一貫したディスプレイタイルエッジ面間隔を取得するのに使用可能なテンプレートブロックの斜視図である。
図17】スクリーン印刷を通じてディスプレイタイルのスタックのエッジ面に付加されているコーティング材料の立面図である。
図18】スペーサ厚みの関数としてタイル基板の主面の上への平均コーティング材料溢流を示すチャートである。
図19】エッジ面面取りの関数としてタイル基板の主面の上への平均コーティング材料溢流を示すチャートである。
図20】不均等エッジ面高さを有するディスプレイタイルのスタックの断面側面図である。
図21図20の不均等エッジ面高さに関して平均コーティング材料溢流に対する効果を示すチャートである。
図22】面取りエッジ面と不均等エッジ面高さとを有するディスプレイタイルの別のスタックの断面側面図である。
図23図22の不均等エッジ面高さに関して平均コーティング材料溢流に対する効果を示すチャートである。
図24】印刷スクリーン条件の関数として平均コーティング材料溢流を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで添付図面に例を示す本発明の開示の実施形態を詳細に説明する。各図において同じか又は類似の部分を指示するのに可能な限り同じ参照番号を使用する。しかし、本発明の開示は、多くの異なる形態に具現化することができ、本明細書に説明する実施形態に限定されると解釈すべきではない。
【0025】
本明細書に使用する時に、「約」という用語は、量、サイズ、公式、パラメータ、並びに他の数量及び特質が、「ちょうど」ではなく又はそうである必要はなく、公差、換算係数、丸め、及び測定誤差など、並びに当業者に公知の他の因子を必要に応じて反映した近似的及び/又は大きめ又は小さめなものとすることができることを意味する。
【0026】
本明細書では、範囲を「約」1つの特定値から及び/又は「約」別の値までとして表す場合がある。そのような範囲を表す時に、別の実施形態は、1つの値から他の値までを含む。同様に、値を「約」という先行語を用いて近似値として表す時に、このような値が別の実施形態を形成することは理解されるであろう。範囲の各々の端点は、他の端点に関する場合と他の端点とは独立した場合の両方で有意であることを更に理解されるであろう。
【0027】
本明細書に使用する方向用語、例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部は、作図した図だけに関して記すものであり、絶対の向きを含意するように意図したものではない。
【0028】
他に明示しない限り、本明細書に説明するいずれかの方法もその段階を特定の順序で実施することを必要とするものと解釈されること又はいずれかの装置に関して特定の向きを必要とすることを決して意図していない。従って、方法請求項がその段階が辿るべき順序を実際に列挙しない場合、又はいずれかの装置請求項が個々の構成要素に対する順序又は向きを実際に列挙しない場合、又は段階を特定の順序に限定されることを特許請求の範囲又は説明で他に具体的に説明しない場合、又は装置の構成要素に対する特定の順序又は向きを列挙しない場合に、順序又は向きは、いずれの点に関しても推断されることを決して意図していない。これは、段階の配置に関する論理事項、作動フロー、構成要素の順序、又は構成要素の向きと、文法構成又は句読点から導き出される明白な意味と、本明細書に説明する実施形態の個数又はタイプとを含む解釈に対するいずれの考え得る言外の基準にも適用される。
【0029】
本明細書に使用する時に、複数形で表されていない指示物は、状況が他に明確に定めない限り、複数の指示物を含む。従って、例えば、単に「構成要素」と説明する場合に、状況が他に明確に示さない限り、2又は3以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0030】
本明細書では、例、事例、又は実施形態として機能することを意味するのに「例示的」、「例」という言葉、又はこれらの様々な形態を使用する。本明細書で「例示的」又は「例」として説明するいずれの態様又は設計も他の態様又は設計よりも好ましい又は有利なものと解釈すべきではない。更に、例は、明瞭化及び理解を唯一の目的として提供するものであり、本発明の開示の主題又は本発明の開示の該当部分をいずれかの形で限定又は制約するように意図したものではない。異なる範囲の多数の追加又は代わりの例を提供することができる場合もあるが、簡潔化の目的で除外したことを認めることができる。
【0031】
本明細書に使用する時に「備える」及び「含む」という用語及びこれらの変化語形は、他に示さない限り、同義的かつ非限定的であると解釈しなければならない。備えている又は含んでいるという移行句に先行する要素の列記は、非限定的な列記であり、従って、当該列記で具体的に列挙するもの以外の要素が存在する可能性もある。
【0032】
本明細書に使用する「実質的な」、「実質的に」という用語及びこれらの変化語形は、説明する特徴が、ある値又は描写に等しいか又はほぼ等しいことを表すように意図している。例えば、「実質的に平面」の面は、平面又はほぼ平面である面を表すように意図している。更に、「実質的に」は、2つの値が等しいか又はほぼ等しいことを表すように意図している。一部の実施形態では、「実質的に」は、互いの約10%の範囲、例えば、互いの約5%の範囲、又は互いの約2%の範囲にある値を表すことができる。
【0033】
図1及び図2は、ディスプレイパネル12を備える例示的ディスプレイ装置10を例示している。ディスプレイパネル12は、アレイ、例えば、ディスプレイタイルの複数の行とそれらに直交するディスプレイタイルの複数の列とを備える矩形アレイで配置された複数のディスプレイタイル14を備える。例えば、図2は、限定ではなく例示の目的でディスプレイタイル14の5つの行A~Eとディスプレイタイル14の5つの列1~5とを備えるディスプレイパネル12を描いている。他の実施形態では、ディスプレイタイル14の個数は、5よりも多いか又は少ない行数又は5よりも多いか又は少ない列数を備えることができる。例えば、ディスプレイ装置10は、ディスプレイタイルの10又はそれよりも多い行及び/又は列を備えることができる。更に、ディスプレイタイルの列数がディスプレイタイルの行数に等しいという要件はない。各ディスプレイタイル14は、複数のピクセル要素16を備える。ピクセル要素16は、あらゆる数の幾何学的アレイ、例えば、矩形(例えば、正方形)アレイ、三角形アレイ、及び六角形アレイなどで配置することができる。
【0034】
ディスプレイ装置10は、ディスプレイパネル12とディスプレイ装置の閲覧者20の間に配置されたカバープレート18を更に備えることができる。すなわち、ディスプレイカバープレート18は、閲覧者20に対してディスプレイパネル12の前に配置される。カバープレート18は、ガラスプレート又はポリマー(例えば、プラスチック)カバープレートとすることができる。一部の実施形態では、カバープレート18は、複数の層、例えば、ガラス層とポリマー層の組合せを備える積層カバープレートとすることができる。一部の実施形態では、カバープレート18は、1又は2以上のフィルム、例えば、反射防止フィルムを備えることができる。
【0035】
次に、図3を参照すると、1又は2以上の実施形態による個々のディスプレイタイル14は、あらゆる適切な材料のタイル基板22、例えば、ディスプレイタイルを生成するのに適切なあらゆる望ましいサイズ及び/又は形状を有するポリマー基板又はガラスベースの基板を備えることができる。本明細書に使用する時に「ガラスベースの基板」という用語は、全体的又は部分的にガラスで製造されたいずれかの物体を備えるように最も広義の意味で使用する。例えば、ガラスベースの基板は、ガラスと非ガラス材料との積層体、ガラスと結晶性材料との積層体、又はガラスとガラスセラミック(非晶相と結晶相を備える)との積層体を備えることができる。ガラスベースのタイル基板22は、ディスプレイデバイスでの使用に適する当業技術で公知のいずれかのガラスベースの材料を備えることができる。例えば、ガラスベースのタイル基板22は、アルミノケイ酸塩、アルカリ-アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリ-ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、アルカリ-アルミノホウケイ酸塩、ソーダ石灰、又は他の適切なガラスを備えることができる。ガラスベースのタイル基板での使用に適する市販のガラスの非限定例は、例えば、Corning IncorporatedのEAGLE XG(登録商標)ガラス、Lotus(登録商標)ガラス、及びWillow(登録商標)ガラスを含む。
【0036】
タイル基板22は、様々な実施形態で平面又は実質的に平面、例えば、実質的に平坦とすることができる第1の主面24と第2の主面26を備える。第1の主面24と第2の主面26は、様々な実施形態で平行又は実質的に(例えば、製造公差内で)平行とすることができる。タイル基板22は、第1の主面24と第2の主面26の間を延びてそれらを接続し、タイル基板22の外周を定めるエッジ面30を更に備える。非限定例としてタイル基板22は、図3に示すように互いに直角に(直交して)接合される4つのエッジ面30のような4つのエッジ面を有する矩形(例えば、正方形)又は偏菱形のプレートを備えることができるが、1又は2以上の曲線形部分を有するエッジ面を備える他の形状及び構成も本発明の開示に収まるように意図している。他の実施形態では、タイル基板22は、4よりも少なく、例えば、三角形のエッジ面30を備えることができる。更に他の実施形態では、タイル基板22は、単一エッジ面30を備えることができ、例えば、円形又は他の弧状とすることができる。3又はそれ以上の明確に異なるエッジ面を有するタイル基板では、隣接し合うエッジ面がコーナ32で交わる。従って、4つのエッジ面30を有するタイル基板は、4つのコーナ32を備える。
【0037】
ある一定の実施形態では、タイル基板22は、第1の主面24と第2の主面26の間に約3mmよりも小さいか又はそれに等しい、例えば、約0.1mmから約3mmまで、約0.1mmから約2.5mmまで、約0.3mmから約2mmまで、約0.3mmから約1.5mmまで、約0.3mmから約1mmまで、約0.3mmから約0.7mmまでの範囲、又は約0.3mmから約0.5mmの範囲であるこれらの値間にある全ての範囲及び部分的範囲を含めた範囲にある厚みTh1を有することができる。
【0038】
実施形態では、タイル基板22の第1の主面24は、その上に堆積されてアレイ、例えば、ピクセル要素16の複数の行36とピクセル要素16の複数の列38とで配置されたピクセル要素16を備えることができる。例えば、図3に示す例示的ディスプレイタイルは、ピクセル要素16の5つの行(R1~R5)とピクセル要素16の8つの列(C1~C8)とを描いている。
【0039】
当業界で理解されているように、異なるタイプのディスプレイは、ディスプレイ画像を提供するのに異なるタイプのピクセル要素を利用することができる。例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイでは、ピクセル要素は、「発光器」の行及び/又は列と、ピクセル要素を活性化する行ドライバと列ドライバとによって接続した薄膜トランジスタ(TFT)とを備えることができ、それに対して液晶ディスプレイ(LCD)でのピクセル要素は、液晶(LC)光バルブの行及び列と、ピクセル要素を活性化する行ドライバと列ドライバとによって接続したトランジスタとを備えることができる。従って、ピクセル要素は、ディスプレイ内の個々のピクセルの機能に必要とされる構成要素であり、発光要素(例えば、発光ダイオード)又は光バルブとTFTとを備えることができる。本明細書で提供する説明は、各ピクセル要素が1つの色のピクセルを備えることを示すように単純化したものであるが、現実には、各ピクセル要素を1又は2以上のサブピクセル(例えば、赤色、緑色、及び青色のサブピクセル)を備えることができる。個々のピクセル要素は、公知の技術を利用して行と列との独特な組合せによってアドレス可能である。
【0040】
ピクセル要素16の各行36は、行電気トレース40によって接続することができ、ピクセル要素16の各列38は、列電気トレース42によって接続することができる。本明細書に使用する時に、電気トレースは、電流をディスプレイ装置の電気構成要素にかつそこから誘導するように構成された導電体である。電気トレースは、例えば、導電体材料をタイル基板の面上に堆積し、導電体材料の選択部分をマスキング材料で覆い、不要な導電体材料をエッチング液を用いて除去するフォトリソグラフィによって電気トレースを形成することによってタイル基板の主面に付加することができる。しかし、当業技術で公知の他の電気トレース形成法を使用することができる。例えば、更に別の実施形態では、電気トレースは、接着剤を使用するなどで付加することができる。一部の実施形態では、電気トレースは、ワイヤを備えることができる。
【0041】
図3に示す例示的ディスプレイタイルは、ピクセル要素16の5つの行とピクセル要素16の8つの列とを示すが、他の実施形態では、個々のディスプレイタイル14は、数百個又は数千個のピクセル要素16を備えることができる。行電気トレース40と列電気トレース42は、選択的なピクセル要素16で交差する。従って、各行電気トレース40と各列電気トレース42が独特なアドレス可能ピクセル要素で交差するように別個の行電極及び列電極に接続されたピクセル要素を備えるピクセル要素16のアレイが存在する。1又は2以上の実施形態によるタイル基板は、ピクセル要素18の1又は2以上の行36内の少なくとも1つのピクセル要素16を電気的に活性化するように構成された少なくとも1つの行ドライバ50と、ピクセル要素の1又は2以上の列38内の少なくとも1つのピクセル要素16を活性化するように構成された少なくとも1つの列ドライバ52とを備えることができる。行ドライバ50及び列ドライバ52は、第1の主面24と反対の第2の主面26上に位置付けることができる。しかし、他の実施形態では、行ドライバ50及び列ドライバ52は、別個の基板(図示せず)又は別の適切な構造体の上のような別個の構造体上に位置付けることができる。
【0042】
理解されるように、ピクセル要素16を活性化するために、行ドライバ50及び列ドライバ52は、行電気トレース40及び列電気トレース42に接続されなければならない。従って、複数の行エッジコネクタ54を提供することができ、各行エッジコネクタ54をエッジ面30に巻き付けることができ、各行エッジコネクタ54は、行電気トレース40を通してピクセル要素16の行36と行ドライバ50とを電気接続することができる。ディスプレイタイル14は、複数の列エッジコネクタ56を更に備えることができ、各列エッジコネクタ56をエッジ面30に巻き付けることができ、各列エッジコネクタ56は、列電気トレース42を通してピクセル要素16の列38と列ドライバ52とを電気接続することができる。本明細書に使用する時に、行エッジコネクタ及び列エッジコネクタは、タイル基板のエッジに巻き付ける導電体を備える。図示の実施形態では、各行ドライバ50は、行電気トレース40の1つの行36を行ピクセル要素に接続し、各列ドライバ52は、列電気トレース42の2つの列を列ピクセル要素に接続する。しかし、図示の配置は例示目的のためであり、本発明の開示は、行ドライバ、列ドライバのいずれの特定の個数にも、行ドライバ及び列ドライバによってそれぞれ駆動される行電気トレース又は列電気トレースのいずれの特定の個数にも限定されない。例えば、行及び列のエッジコネクタは、ディスプレイ装置の特定の設計及びレイアウトに基づいて1又は2以上のエッジ面30上に存在することができる。
【0043】
ディスプレイタイル14は、タイル基板22の外周の周りの斜面が不在とすることができる。シームレスディスプレイ装置を達成するために、タイル間シームを跨ぐピクセルピッチ(最も近い隣接ピクセル要素間の距離)は、単一ディスプレイタイル内で隣接し合うピクセル要素間の同等の距離にほぼ一致させなければならない。例えば、隣接し合うピクセル要素間の距離は、ディスプレイタイル基板のエッジから約10ミリメートル(mm)に等しいか又はそれよりも短い、約5mmに等しいか又はそれよりも短い、約3mmに等しいか又はそれよりも短い、約1mmに等しいか又はそれよりも短い、約0.5mmに等しいか又はそれよりも短い、又は約0.3mmに等しいか又はそれよりも短いとすることができる。この場合に、1つのディスプレイタイル上のピクセル要素は、隣接するディスプレイタイル上で隣接するピクセル要素に対してピクセルピッチ(ディスプレイタイル上で隣接し合うピクセル間の距離)の約50%に等しいか又はそれよりも小さい、又は約30%に等しいか又はそれよりも小さい、又は約10%に等しいか又はそれよりも小さい、又は約5%に等しいか又はそれよりも小さい配置誤差を用いて位置合わせすることができる。
【0044】
行エッジコネクタ54及び列エッジコネクタ56を与えるのにあらゆる適切なコネクタタイプを利用することができる。同様に、行エッジコネクタと列エッジコネクタは、同じタイプ又は設計のものである必要はない。1又は2以上の実施形態では、行エッジコネクタ54及び/又は列エッジコネクタ56は、図4及び図5に示すフレックス回路60を備えることができる。例示的フレックス回路60は、可撓性高分子フィルム62と導電体64とを備えることができる。描いた実施形態では、行で配置され複数の導電体64を例示している。フレックス回路60は、それをタイル基板22のエッジ面30に接着することができる接着剤66を更に備えることができる。図示の実施形態では、接着剤66は、フレックス回路と一体形成された接着層とすることができる。一部の実施形態では、フレックス回路60は、可撓性高分子フィルム62と導電体64とを備えることができ、接着剤は、タイル基板のエッジ面又はフレックス回路に別個に付加することができる。フレックス回路60は、約10μmから約150μm、例えば、約10μmから約50μmの範囲又は約10μmから約20μmの範囲にある全厚Th2を有することができる。高分子フィルム62に適する材料は、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成される群から選択される材料を備えることができるがこれらに限定されない。接着剤66は、感圧接着剤、例えば、ポリイミド、アクリル、アクリラート、エチレンビニルアセタート、ブチルゴム、ニトリル、又はシリコーンを備えることができる。フレックス回路60は、硬化性接着剤又は液体接着剤を使用することによってエッジ面30に接着することができる。導電体64は、銅又は銀、又は他の金属又は他の導電材料から選択することができ、例えば、堆積、メッキ、印刷、厚膜のようなあらゆる適切な方法によって形成することができる。堆積フィルムを利用しない導電材料は、銀含有インクのような溶液システムの材料を備えることができる。フレックス回路60の全体寸法は変化することができ、最終的にディスプレイタイルのサイズによって決定されることになる。適切な幅「W」は、約10mmから約500mmの範囲、例えば、約50mmから約100mmの範囲にあるとすることができ、導電体は、約20μmから約500μmの範囲、例えば、約100μmの幅「Wc」を有することができるが、他の幅も考えている。各導電体間隔「S」は、約10μmから約500μmの範囲にあり、例えば、50μmとすることができる。
【0045】
例示的ディスプレイタイル14の第1のエッジ面30の一部分を示す図6を参照すると、様々な実施形態では、エッジ面、及び/又は行エッジコネクタ54及び/又は列エッジコネクタ56に機械的かつ電気的な保護を付加するためにディスプレイタイル14のエッジ面30にコーティング材料を付加することができる。コーティング材料は、必要に応じて光学的に透明、半透明、又は不透明とすることができる。例えば、一部の実施形態では、コーティング材料は、ディスプレイタイルのエッジ面からの光反射を低減するための顔料、例えば、カーボンブラック又は金属粒子状物質(例えば、金属酸化物)を備えることができる。コーティング材料は、熱硬化性、UV(紫外線)硬化性とすることができ、又は一部の実施形態ではUV硬化と熱硬化の両方によって硬化させることができる。コーティング材料は、1×108オーム(Ω)に等しいか又はそれよりも高い、例えば、1×1015Ωに等しいか又はそれよりも高いバルク抵抗率を有するように選択することができる。バルク抵抗率は、選択的なコーティング材料をシリコンウェーハの一部分の上に堆積し、コーティング材料を硬化させ、次に、硬化されたコーティング材料に銀含有インクを被覆して銀含有インクを硬化させ、コーティング材料上に銀層を取得することによって決定される。バルク抵抗率は、抵抗計を用いてコーティング材料の厚みの端から端までで測定される。抵抗計の一方のプローブをシリコンウェーハの無被覆部分の上に接触させ、他方のプローブをコーティング層の上の銀層の上に接触させる。コーティングは、混成材料(ポリマーナノ(マイクロ)複合材、例えば、ケイ酸塩、ナノ材料、及び/又はシルセスキオキサン)、溶剤を有する樹脂、及び溶剤システム中に分散されたマイクロ粒子などを備えることができる。ベース樹脂は、耐薬品性及び耐湿性に適するようにアクリラート又はウレタンベースのものとすることができ、低収縮性を有するコーティング層を形成することができる。コーティング材料は、例えば、エポキシ樹脂を備えることができる。エポキシ樹脂は、硬度、良好な接着、及び優れた摩耗特性に関して選択することができ、耐腐食性に関してシリコーンベースのエポキシ樹脂を選択することができ、耐高温性に関してポリイミドベースのエポキシ樹脂を使用することができ、良好な電気性能に関してポリ(p-キシリレン)ベースのエポキシ樹脂(例えば、パリレン)を付加することができる。コーティング層70は、これらのエポキシ樹脂のうちの1又は2以上と任意的な粒子とを1又は2以上の層内に含有することができる。他の適切なポリマーは、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、又はポリフタルアミドを備えることができる。
【0046】
様々な実施形態では、コーティング材料は、エッジ面30上の行エッジコネクタ54及び列エッジコネクタ56の上に配置することができる。より具体的には、コーティング材料は、ディスプレイ基板の1又は2以上のエッジ面にわたって連続コーティング層70を形成することができる。本明細書に使用する時に、「連続」は、コーティング層が間隙又は不連続点を持たずに不断であることを意味する。様々な実施形態では、コーティング材料は、タイル基板22の第1の主面24及び/又は第2の主面26の少なくとも一部分がタイル基板のエッジ面上に配置されたコーティング層70と連続するコーティング層70を備えるようにディスプレイタイル14の主面24及び/又は26にも付加することができる。すなわち、コーティング層70は、エッジ面30上に配置することができ、接続した主面(例えば、第1の及び/又は第2の主面24又は26)上までそれぞれのエッジ面の長さに沿ってエッジ面の上に延びることができる。ディスプレイタイルの一方又は両方の主面24又は26上へのコーティング層70のこの延長を「溢流」と呼ぶ。様々な実施形態では、コーティング層70は、第1及び第2の主面24、26それぞれの上への溢流の終止に対応する終端エッジ72及び74を備えることができる。例えば、溢流が不在の場合に、十分に付加されたコーティング材料の終端エッジは、エッジ面30と第1の主面24との交差部及び/又はエッジ面30と第2の主面26との交差部に対応する。しかし、溢流が存在する場合に、コーティング層の終端エッジは、ディスプレイタイルのうちでコーティング層を有する部分と無被覆部分とを分画する(例えば、分離する)線に対応する。すなわち、終端エッジ72、74は、コーティング材料の流れがそれぞれのディスプレイタイル主面上で停止したコーティング層のエッジである。溢流の広がりD1は、エッジ面30と主面との交差部から対応する終端エッジまで交差部に直交する線に沿って測定した溢流の距離を定める。以上の説明は、単一エッジ面30に関するものであるが、コーティング層は、ディスプレイタイルの各エッジ面30に類似の方式で付加することができる。コーティング層の溢流距離D1は、ゼロμmよりも長い距離から約170μmに等しいか又はそれよりも短い距離の範囲、例えば、25μmに等しいか又はそれよりも長い距離から約150μmに等しいか又はそれよりも短い範囲にあるとすることができる。しかし、更に別の実施形態では、170μmよりも長いD1が得られた。様々な実施形態では、コーティング層の光学密度は、Gretag Macbeth D200-II光学密度計を用いて測定した場合に約1.8に等しいか又はそれよりも高いとすることができる。例えば、コーティング層の光学密度は、約2に等しいか又はそれよりも高い、例えば、約2から約2.5に等しいか又はそれよりも低い密度の範囲にあるとすることができる。
【0047】
コーティング層70の厚みTh3(図7を参照)は、約100μmに等しいか又はそれよりも短い、例えば、約80μmに等しいか又はそれよりも短い、例えば、約60μmに等しいか又はそれよりも短い、約50μmに等しいか又はそれよりも短い、約30μmに等しいか又はそれよりも短い、約10μmに等しいか又はそれよりも短い、約4μmに等しいか又はそれよりも短い、一部の実施形態では1μmに等しいか又はそれよりも短いとすることができる。様々な実施形態では、コーティング層70の平均エアリアル面粗度Saは、Zygo NewView 8000光学面形状測定器を用いて測定した場合に約250nmに等しいか又はそれよりも低いとすることができる。例えば、面積面粗度Saは、約200nmに等しいか又はそれよりも低い、例えば、約150nmに等しいか又はそれよりも低いとすることができる。
【0048】
一部の実施形態では、図7に示すように、エッジ面30は実質的に平面とし、第1及び第2の主面24、26に直交することができる。しかし、他の実施形態では、エッジ面30は、図8に示すように面取りすることができる。図8の面取りエッジ面30は、傾斜(面取り)部分78によって第1及び第2の主面24、26に接続された末端部分76を備える。面取りエッジ面は、そこへのコーティング材料の付加中に印刷スクリーンへの損傷を防止することを助けることができる。一部の実施形態では、エッジ面は、弧状とするか又は弧状部分を備えることができる。更に、一部の実施形態では、タイル基板のコーナ32(1つのエッジ面が隣接エッジ面と交わる場所)は、図9に示すように丸める(例えば、アールを付ける)ことができる。面取りと同様に、タイル基板の丸めは、鋭い突出を回避し、スクリーン印刷機器、例えば、印刷スクリーンへの損傷を防止することができる。
【0049】
次に、図10を参照すると、例示的コーティング装置100が示されている。コーティング装置100は、ベース102と、フレーム106及びその中に装着されたスクリーン108を備えるスクリーンアセンブリ104と、コーティング材料をスクリーン108に送出するためのコーティング材料送出システム110と、スクリーン108を通して加工物(例えば、ディスプレイタイル)上にコーティング材料114を押し出すためのスキージアセンブリ112と、ディスプレイタイル14のスタック118を保持し、ディスプレイタイルのエッジ面へのコーティング材料114の付加に関してディスプレイタイルのスタック118を向けるように構成された回転固定具116とを備えることができる。スクリーン108は、スクリーン印刷に適するいずれかのスクリーンとすることができるが、非金属スクリーンは、ディスプレイタイル、特にガラスベースのディスプレイタイルのエッジ面上にコーティング層をスクリーン印刷するのに使用される時に耐損傷性が高い。様々な実施形態では、ポリマースクリーン、例えば、ステンレス鋼メッシュと比較して変形に対する高い回復力を与え、それによってスクリーンの断裂を最小にするためにポリエステル及び/又はナイロンのメッシュを備えるポリマースクリーンを使用することができる。
【0050】
図11に最も明確に示すように、スタック118は、介在するスペーサ120を用いて交替配置を備えた複数のタイル基板16を備える。複数のタイル基板16のエッジ面30間は、実質的に平行で実質的に共面であるように位置合わせすることができる。限定ではなく例として図11は、2つの対向プラテン122a、122bの間に配置され、各々が4つのエッジ面30を備える矩形ディスプレイタイル14のスタック118を描いている。矩形ディスプレイタイル14の各エッジ面30は、スタック内の残りのディスプレイタイルの対応するエッジ面と実質的に平行で実質的に共面である。「対応する」によって意味することは、スタック118が、ほぼ幾何学的な形状、例えば、直方体、例えば、立方体(正直方体)に対応することである。従って、一例として直方体等である形状の各面は、ほぼ平面によって表すことができ、スタックの特定の面を備える構成要素としてタイル基板のエッジ面は、それらが直方体の同じ面の場所に位置付けられる点で「対応する」エッジ面に対応する。更に、この関連では、「実質的に」は、ディスプレイ基板が、平行で共面であることの約100μmに等しいか又はそれよりも小さい範囲にあることを意味する。すなわち、いずれのディスプレイ基板エッジ面も、隣接ディスプレイ基板から100μmよりも高く又は低くなく、最も高い端面と最も低い端面の間の全距離は200μmよりも長くない。
【0051】
対応するエッジ面が湾曲している場合に、各対応するエッジ面30は、エッジ面の長さに沿って長さ方向に延びる頂点を備え、ディスプレイタイルは、複数の対応する平行エッジ面の頂点間が平面を定めるように配置される。この配置は、複数の弧状エッジ面30を備えるスタックに配置された複数のディスプレイ基板の側面を示す図12を用いてより良く理解することができるであろう。各弧状エッジ面30は、図示のスタックの側面上でエッジ面の長さに沿って延びる頂点124を備える。この場合に、スタック内のタイル基板の全てに対応する頂点の集合は、これらのエッジ面30にわたって横たわる平面状の物体(例えば、平坦なガラスプレート)が各頂点線の最大広がりに沿って各エッジ面に接触するような平面126を定める。上記とは逆に、この状況での共面は、エッジ面30自体が必ず平面であることを必要とすることを意味しないが、一部の実施形態では、エッジ面30は平面とすることができる。従って、この関連では、直前の実施形態に関して、共面は、対応するエッジ面が真っ直ぐで平面の中を延びることを意味する。
【0052】
明確化の目的で、図7に示す平坦エッジ面の頂点はエッジ面全体であり、それに対して図8に示す面取りエッジ面の頂点は、最も突出した部分である。従って、頂点は、エッジ面に沿う線と考える必要はなく、面を含むことができる。
【0053】
上述のように、スタック118内のディスプレイタイル14間にはスペーサ120を配置することができる。例えば、スペーサ120は、スタック118内に挟み込まれた時に、スペーサ120のエッジ面128が、隣接し合うディスプレイタイルの対応するエッジ面30に対して距離D3だけ陥入されるようにサイズ決定及び構成することができる(図11を参照されたい)。実施形態では、距離D3は、スタックの各面に関して均一とすることができ、基板エッジ面30とスペーサエッジ面128の両方が露出される。距離D3は、例えば、約0.2mmから約3mmの範囲、例えば、約1mmから約3mmの範囲にあり、例えば、1.5mmとすることができる。スペーサ厚みTh4は、約0.1mmから約0.5mmの範囲、例えば、約0.2mmから約0.5mmの範囲、例えば、約0.3mmから約0.5mmの範囲にあるとすることができる。スペーサ厚みは、例えば、ノギス及び/又はマイクロメートルを用いてスペーサの一方又は両方の主面に対する法線に沿って測定される。スペーサ120は、様々な材料から形成することができる。例えば、一部の実施形態では、スペーサ120はガラスを備えることができ、それに対して他の実施形態では、スペーサ120はポリマーを備えることができる。ポリマースペーサは、コーティング材料が付加された後でディスプレイ基板から分離することを容易にすることができる。しかし、ポリマーが十分な耐熱性を持たない限り、硬化の前にスタックから個々のディスプレイ基板を分離する必要がある場合があり(コーティング材料が熱硬化材料である場合)、それに対してガラススペーサを備えるスタックは、個々のディスプレイ基板の分離の前にコーティング材料の堆積から硬化炉に直接移送することができ、それによって工程段階が低減する。
【0054】
回転固定具116は、スタック118を基準平面、例えば、ベース102の平面に対して予め決められた向きで保持すように構成することができる。この場合に、スクリーン108の平面がスタックの上方の面と平行であるようにスクリーンアセンブリ104を調節することができる。フレーム106へのスクリーン108の取り付け点間に平面130が定められる。例えば、回転固定具116は、スタックの面(エッジ面30に対応する)がベース102に対して実質的に平行に保持されるように、より具体的には、スタック118を備えるディスプレイ基板のスクリーン108に向く対応するエッジ面がベース102と実質的に平行であるようにスタック118を保持するように構成することができる。図13で最も明確に見ることができるように、回転固定具116は、支持部材140、例えば、U字形支持部材と、支持部材140に回転可能に結合され、締結面144を備える第1の締結パッド142aとを備えることができる。回転固定具116は、支持部材140に回転可能に結合され、第1の締結面144に向く第2の締結面146を備える第2の締結パッド142bを更に備えることができる。第1の締結パッド142aは、例えば、そこから延びる心棒148によって支持部材140に回転可能に結合することができる。図13に描いた実施形態では、第1の締結パッド142aは、第1の軸受アセンブリ150を用いて支持部材140に回転可能に結合することができ、それによって回転軸152の周りの支持部材140に対する第1の締結パッド142aの自由回転を可能にする。第1の軸受アセンブリ150を通して心棒148に結合された第1の締結パッド142aが示されているが(第1の軸受アセンブリ150は、第1の締結パッド142a内に含まれるか又はそこに装着される)、更に別の実施形態では、心棒148を締結パッド142aに剛的に固定し又はそれと一体形成し、支持部材140内に含まれるか又はその上に装着された軸受アセンブリを通して支持部材140に回転可能に結合することができる。
【0055】
一部の実施形態では、図13に更に示すように、第2の締結パッド142bは、支持部材140上の相補的なネジ切りソケット又はボアに配置されたネジ切りロッド154(例えばスクリュー又はボルト)により、ネジ切りロッド154の回転が第2の締結パッド142bをネジ切りロッド154の長手軸線156に沿って、すなわち、対向する第1の締結パッド142aに向けて又はそこから離れるように移動するように支持部材140に結合することができる。長手軸線156は、回転軸152と同軸とすることができ、これらのいずれかに言及することは両方に言及することである。一部の実施形態では、ネジ切りロッド154は手で回転させることができ(例えば、ノブ159を用いて)、それに対して他の実施形態では、モータ(例えば、ステッパモータ、減速ギヤアセンブリに結合されたモータなど、図示していない)によって回転させることができる。更に他の実施形態では、ネジ切りロッド154は、ピストン駆動アセンブリを備えることができ、第2の締結パッド142bは、回転軸152に沿ってシリンダ、例えば、空圧シリンダによって移動される。一部の実施形態では、第2の締結パッド142bは、例えば、第2の軸受アセンブリ158によってネジ切りロッド154に回転可能に結合することができる。
【0056】
回転固定具116は、ボアに配置されて第1の締結パッド142aを予め決められた向きに保持し、同時に第1の締結パッド142aに十分な回転力が印加された場合に第1の締結パッド142aが回転軸152の周りに依然として回転することを可能にするように構成された戻り止め機構160、例えば、バネ荷重式戻り止めを更に備えることができる。本明細書に使用する時に、戻り止め機構は、1つの機械的部分を別のものに対してこれらの部分の一方に力を印加することによって戻り止めを解除することができるような方式で位置決めする及び保持するための機構である(戻り止め、例えば、係止具、ピン、回し金、又はバネ作動式ボールを備えるような)。例えば、支持部材140は、戻り止め162をボア164から第1の締結パッド142aに向けて外向きに付勢するようなバネ力の下でボア164の中に維持された戻り止め162を備えることができる。ボア164は、戻り止め162をボア164の中に維持するためのカラー又は他のデバイスをボアの外向きエッジに備えることができる。第1の締結パッド142aは、それが回転軸152の周りに回転する時に戻り止め162に係合するように配置され、戻り止め162に係合した時にスタック118の側面がスクリーン108の平面130と実質的に平行に向くように配置された複数の凹部166を備えることができる。例えば、4つの側面を有するディスプレイ基板を受け入れるように設計された装置では、第1の締結パッド142aは、スタック118が回転軸152の周りに回転される時に、スタックの側面が平面130と平行に向くように予め決められた間隔、例えば、90度間隔でスタック118を向けるように戻り止め162が第1の締結パッド142aに係合するように90度間隔(例えば、0度、90度、180度、270度)で配置された4つの凹部を備えることができる。一部の実施形態では、検出機構160は不要とすることができる。例えば、一方又は両方の締結パッドがモータ、例えば、ステッパモータに結合される場合に、モータと通信しているモータコントローラは、スタックの回転を予め決められた角度の向きで停止してモータコントローラが更に別の回転を開始するまで選択される予め決められた向きを維持するように構成することができる。更に他の実施形態では、モータは、戻り止め機構と併用することができる。
【0057】
スタック118は、適切なスタッキングジグを用いて組み立てることができる。例えば、図14は、スタック118を組み立てることを目的とし、ベース202と複数の位置合わせピン204とを備える例示的スタッキングジグ200を描いている。例えば、一部の実施形態では、スタッキングジグ200は、ベース202の上側主面206から延びる少なくとも3つの位置合わせピンを備えることができる。実施形態では、位置合わせピン204は、主面206から直交方向に延びることができる。図14に描いた実施形態では、スタッキングジグ200は、側面位置合わせピンと端面位置合わせピンとを備えることができる。ベース202は、複数のスタック寸法を受け入れるための位置合わせピンの再配置を可能にするために位置合わせピン204を挿入することができる複数の孔208を更に定めることができる。更に、図15に描いた実施形態では、ベース202は、回転固定具116の少なくとも一部分を受け入れるようにサイズが決定されたスロット210を更に備えることができる。例えば、実施形態では、回転固定具116は、U字形とすることができ、支持部材140は、心棒148及びネジ切りロッド154と協働する対向アーム212a、212bを備える。従って、スロット210は、第1の締結パッド142aが結合された回転固定具116のアーム(例えば、アーム212a)を受け入れるようにサイズ決定することができる。図示のスタッキングジグでは、ベース202の厚みは、第1の締結パッド142aの第1の締結面144がベース202の主面206と共面であるように構成することができる。
【0058】
次に、図15を参照すると、スタック118を組み立てるために、回転固定具116は、支持部材140の適切なアーム(例えば、アーム212a)をスロット210の中に挿入することによってベース202に係合する。回転固定具のアーム間にディスプレイ基板及びスペーサを挿入する余地を与えるために、例えばネジ切りロッド154を適切な方向(例えば、反時計周り)に回転させることによって第2の締結パッド142bが第1の締結パッド142aから引き離される。主面206上に第1のプラテン122aが配置され、第1のプラテン122aの第1のエッジ面が位置合わせピン204のセットに接触するように移動される。第1のプラテン122aは、それを配置することを助けて第1の締結パッド142aに対する第1のプラテン122aの移動を回避するために第1の締結パッド142aを受け入れる(それに係合する)ようにサイズ決定及び構成されて第1のプラテン122aの面上に設けられた凹部220を備えることができる。例えば、一部の実施形態では、第1の締結パッド142aは円筒形とすることができ、第1のプラテン122aは、相補的なサイズの円筒形凹部220を備えることができる。長円形、矩形(例えば、正方形)、三角形等々のような締結パッド及びプラテン凹部の他の形状を使用することができる。第1のプラテン122aは、追加の位置合わせピン204が、第1のエッジ面に直交する第1のプラテン122aの別の(例えば、隣接する)エッジ面に接触するように更に移動することができる。第1のプラテン122aは、タイル基板の破断を招く可能性があると考えられるタイル基板の曲げを有することなくディスプレイタイル14に印加される力を均一に伝達するように作用する。従って、第1のプラテン122aは、十分な平坦性及び剛性を提供するように構成しなければならない。例えば、一部の実施形態では、第1のプラテン122aは、適切な金属、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼で形成することができる。
【0059】
第1のプラテン122aが定位置にある状態で、最初のタイル基板のエッジ面30が第1のプラテン122aの対応するエッジ面から外向きに延びるように最初のディスプレイタイル14を第1のプラテン122a上に配置することができる。すなわち、第1のプラテンのエッジ面は、最初のタイル基板の対応するエッジ面30に対して陥入されるようになっている。適切な凹部深さD4(図11を参照されたい)は、約0μmから約100μmの範囲にあるとすることができる。次に、プラテン、スペーサ、及びディスプレイ基板の対応するエッジ面の適正な位置合わせ及び位置決めが維持されることを再度保証しながら、最初のディスプレイタイル上に最初のスペーサ120を配置することができる。スペーサの長さ及び幅の寸法は、スペーサのエッジ面がディスプレイタイルのエッジ面に対して距離D3だけ陥入されるように、隣接するディスプレイタイルの対応する寸法よりも小さくなければならない。図16に示すテンプレートブロック300のようなテンプレートブロックを用いて、プラテンエッジ面対スペーサエッジ面対ディスプレイ基板エッジ面の適正な位置決めを保証することができる。すなわち、テンプレートブロック300を用いて、スタックの組み立て中にプラテンのエッジ面とディスプレイタイルのエッジ面とスペーサのエッジ面との間の一貫した関係を維持することができる。テンプレートブロック300は、例えば、D3に従う予め決められたオフセットを用いてディスプレイ基板のエッジ面とスペーサのエッジ面とを互いに対して配置する交替する凹部302と歯304とを備えることができる。スペーサ120は、そのエッジ面がディスプレイタイルの対応するエッジ面から約1mmから約3mmの範囲にある距離D3だけ陥入されるようにサイズ決定及び位置決めされなければならない。必要に応じて複数のテンプレートブロックを使用することができる。最初のスペーサ120及び最初のディスプレイタイル14が予め決められたオフセットに従って配置された状態で、スタック内に含めるべき全てのスペーサ及びディスプレイタイルを追加し終わるまで上述の作動が繰り返され、全てが追加された時点で、第2のプラテン122bをスタックに追加し、ネジ切りロッド154を回転させ、それぞれの締結パッド142aと142b及びプラテン122aと122bの間にスタックを締結することができる。第1のプラテン122aの場合と同様に、第2のプラテン122bは、それを配置することを助けて第2の締結パッド142bに対する第2のプラテンの移動を回避するために第2の締結部材142bを受け入れる(それに係合する)ようにサイズ決定及び構成されて外向き(スタック118に対向する)面上に設けられた凹部220を備えることができる。例えば、一部の実施形態では、第2の締結部材142bは円筒形とすることができ、第2のプラテン122bは、相補的なサイズの円筒形凹部220を備えることができる。長円形、矩形(例えば、正方形)、三角形等々のような他の締結部材及びプラテン凹部形状を使用することができる。
【0060】
プラテンに隣接するタイル基板で開始するディスプレイ基板を追加するための加工工程を説明したが、一部の実施形態では、この工程は、プラテンに隣接するスペーサで開始及び終了することができる。スタック118が回転固定具116内に締結された状態で、回転固定具116は、スタッキングジグ200から取り外すことができる。
【0061】
次に、図17を参照すると、先に上述のように、コーティング装置100は、ベース102と、フレーム106及びその中に装着されたスクリーン108を備えるスクリーンアセンブリ104と、コーティング材料をスクリーン108に送出するためのコーティング材料送出システム110と、スクリーン108を通してコーティング材料を押し出すためのスキージアセンブリ112と、タイル基板のエッジ面へのコーティング材料の付加に関してディスプレイタイル14のスタック118を保持して向けるように、例えば、ディスプレイタイルの主面と直交する回転軸の周りにディスプレイタイルを回転させるように構成された回転固定具116とを備えることができる。スタッキングジグ200からの回転固定具116の取り外しの後に、回転固定具116は、ベース102に装着することができる。異なるディスプレイ基板サイズを受け入れるために、一部の実施形態では、ベース102に対する垂直方向「z」の移動の機能を有し、それによって回転固定具116及びその中に締結されたスタック118の垂直高さを平面130に対して調節することを可能にする中間プラットフォーム(図示せず)によって回転固定具116をベース102に装着することができる。一部の実施形態では、そのような中間プラットフォームは、3つの直交方向の移動の機能を有するx-y-zステージとすることができる。しかし、更に別の実施形態では、様々なサイズのディスプレイタイルを受け入れるために、スクリーンアセンブリ104は、垂直軸に沿って移動することができる。更に他の実施形態では、回転固定具116とフレーム106との両方に対する調節を行うことができる。いずれの場合にも、スタックの1つの面のディスプレイタイルエッジ面がベース140と実質的に平行であるように回転固定具116及び/又はスクリーン108を向けることができ、平面130がスタック118の上方の面と平行であるようにスクリーンアセンブリ104を調節することができる。
【0062】
次に、コーティング材料送出システム110からコーティング材料を吐出することによってコーティング材料でスクリーン108を湿潤させることができる。一部の実施形態では、スクリーン108が完全に湿潤されることを保証するために、スタックに印刷する前に代用材料、例えば、紙にスクリーン印刷することが必要である場合がある。完全湿潤の決定に関して紙上の印刷品質を評価することができる。
【0063】
スクリーンが完全に湿潤され、印刷が満足されるという決定が行われた状態で、スキージを用いてスクリーン上に下向きの力を印加しながらスキージをディスプレイ基板エッジ面の長さ方向と平行な方向にスクリーンを横切って移動するようにスキージアセンブリ112を作動させることにより、スタック118の第1の側を印刷することができる。スキージブレードは、平面130に対してある角度、例えば、45度の角度に向けることができるが、一貫したコーティング層を達成するのに必要に応じて他の角度を使用することができる。
【0064】
スタックの1つの側のエッジ面が印刷されると、スタックの第2の面をスクリーン平面と実質的に平行であるように向けるようにプラテン122a、122bを回転させる(ネジ切りロッド154により)ことによってスタックを回転させることができ、ディスプレイ基板エッジ面の第2のセットにコーティング材料を付加するために再度スキージがスクリーンを横切って横断される。コーティング層を必要とする全てのエッジ面がコーティング材料で被覆されるまで、上述の工程が繰り返される。エッジ面へのコーティング材料の各付加の後にコーティング材料を硬化させる必要はない。コーティング材料の硬化は、全てのエッジ面がコーティング材料製造業者の指示に合致する方式で被覆され終わった後に、コーティング材料の硬化を実施することができる。例えば、コーティング材料が熱硬化コーティング材料である場合に、コーティング材料製造業者の案内(例えば、時間及び温度)に従って熱硬化を実施することができる。コーティング材料がUV硬化性コーティング材料である場合に、同様に、例えば、コーティング製造業者の推奨実施法に従ってUV硬化を達成することができる。
【0065】
最初のスタックのディスプレイ基板をスクリーン印刷した後に、追加のスタックを印刷することが望ましい場合に、上述した手順を繰り返すことができる。各スタックを印刷した後に、その後のスタックにインクが均一に付加される(例えば、スクリーンが完全に湿潤され、スクリーンの目詰まりが発生していない)ことを保証するために、紙への印刷を実施することができる。
【実施例
【0066】
コーティング層の溢流幅D1に対するスペーサ厚みの影響を評価するための実験が行われた。0.19mmと0.3mmと0.5mmとの間で異なる厚みを有するガラススペーサとポリエチレンテレフタラートグリコールスペーサとの両方を本明細書で説明するように回転固定具116によって保持されたスタック内のガラスタイル基板間に挟んだ。1つのそのような実験では、0.3mm厚スペーサと0.5mm厚スペーサとの混在形態を用いた。15重量%のFC-182希釈剤と10重量%のFC-941触媒とを用いてChime Mien Ink Chemical Company、Ltd.からのエポキシインクWayglo FC-725(以下では「Wayglo」)を本明細書で説明する方法に従ってタイル基板のエッジ面に付加した。得られたコーティング層を150℃で30分にわたって硬化させ、コーティング層溢流を測定した。光学散乱計器を用いてコーティング層の厚みを測定し、光学顕微鏡を用いて溢流を測定した。結果を図18にプロットしており、データは、スペーサ厚みが増大する時に増大する溢流を例示している。0.19mmのスペーサ厚みを有するスペーサは、0.3mm、0.5mm、及び0.3mmスペーサと0.5mmスペーサとの混在形態と比較した時に少なくとも12%から45%少ない溢流を生成した。更に、0.19mmスペーサでは、より大きい変動が終端溢流エッジの形状に見られ、0.19mmスペーサからもたらされた溢流は、増大した波形と間欠的な間隙を示した。
【0067】
溢流幅D1に対する面取りの影響を決定するための実験が行われた。本明細書で説明するように回転固定具116によって保持されたスタック内で面取りなしのエッジ面を有する100枚のタイル基板の間に複数の0.5mmスペーサを交替配置で挟んだ。本明細書で説明する方法に従ってタイル基板のエッジ面にWaygloを付加した。得られたコーティング層を150℃で30分にわたって硬化させ、コーティング層溢流を光学顕微鏡を用いて測定した。結果を図19にプロットしており、データは、面取りエッジ面では面取りなしエッジ面と比較して大きい溢流を示している。面取りタイル基板の場合により大きい溢流が測定されている。更に、単一基板タイルでの溢流長さが各タイルの側面A(側面1)上と側面B(側面2)上とで非対称の面取り長さによって制御可能であることが示されている。大きめ(深め)の面取りがより大きい溢流を生成している。
【0068】
コーティング層溢流幅D1に対するタイル基板-スペーサ位置合わせ(例えば、オフセット)の影響を評価するための実験が行われた。第1の実験では、7つのタイル基板を6つの0.5mm厚スペーサとの交替配置で積み重ね、得られたスタックを本明細書で説明するように回転固定具116によって保持した。タイル基板は、いくつかのタイル基板が、隣接するタイル基板よりも短く(例えば、隣接するタイル基板の下方に陥入し)、いくつかのタイル基板が、隣接するタイル基板よりも高くなるようにシム310を用いて持ち上げられるように配置された。このタイル基板配置を図20に示しており、タイル基板1及び7は、隣接するタイル基板2及び6よりもそれぞれ低かった(同じくそれぞれのプラテン122a及び122bよりも低かった)。タイル基板3は、70μmシムを用いて持ち上げ、タイル基板5は、2つの70mmを用いて持ち上げた(隣接するタイル基板4及び6に対する140mmの合計高さを達成するために)。更に、タイル基板1及び7は、面取りエッジ面を備えたものであった。本明細書で説明する方法に従ってタイル基板のエッジ面にWaygloを付加した。それまでにコーティング工程で使用されなかった未使用スクリーンを採用した。得られたコーティング層を150℃で30分にわたって硬化させ、Zygo光学散乱計器を用いてコーティング層平均溢流を測定し、光学顕微鏡を用いて溢流を測定した。結果を図21にプロットしている。水平軸に沿う「固定具」という用語は、プラテン高さにあるタイル基板を指し、「短い」は、このタイル基板を隣接するタイル基板に対して陥入させたことを指している。データは、短かったタイル基板に関して小さい溢流幅D1を示し、持ち上げた(シムを詰めた)タイル基板に関して大きい溢流幅を示している。更に、データは、タイル基板オフセットを指定することによってエッジカバレージ及び溢流幅を制御する機能を示している。一般的に、固定具(プラテン)レベルよりも高いか又はそれと類似の高さを有する基板タイルは、より短い高さのタイルよりも良好にインクによって覆われることが明らかにされている。より長いタイルでは、汚染の存在に起因し、かつ潜在的にコーティング材料の脱湿に起因するカバレージの欠損が見られた。高い(例えば、「突出した」)タイル基板エッジ面は、より短いタイルよりも良好に被覆されている。同様に、より短いタイルに隣接するように配置された基板タイルは、より長いタイルの隣に配置された基板タイルよりも低劣なカバレージを示している。結果は、スタックでのタイル基板位置合わせが、コーティング層の品質を左右する可能性があることを明らかにした。例えば、隣にあるタイルから大きく突出したタイルは、スクリーンをテント状に突っ張ることになり、従って、隣にあるタイルは、スクリーンとそれほど良好に接触しないことになり、従って、より短いタイルは被覆されない場合がある。
【0069】
コーティング層溢流幅D1に対するタイル基板-スペーサ位置合わせ(例えば、オフセット)の影響を評価するための別の実験が行われた。第1の実験では、8つのタイル基板を7つの0.5mm厚スペーサとの交替配置で積み重ね、得られたスタックを本明細書で説明するように回転固定具116によって保持した。タイル基板は、いくつかのタイル基板が、隣接するタイル基板よりも短く(例えば、隣接するタイル基板の下方に陥入し)、いくつかのタイル基板が、隣接するタイル基板よりも高くなるようにシム310を用いて持ち上げられるように配置された。このタイル基板配置を図22に示しており、タイル基板1、2、及び8は、隣接するタイル基板3及び7よりもそれぞれ低かった(同じくそれぞれのプラテン122a及び122bよりも低かった)。タイル基板4を70μmシムを用いて持ち上げ、タイル基板6を2つの70mmを用いて持ち上げた(隣接するタイル基板5及び7に対する140mmの合計高さを達成するために)。更に、タイル基板1、2、及び8は、面取りエッジ面を備えたものであった。本明細書で説明する方法に従ってタイル基板のエッジ面にWaygloを付加した。湿潤スクリーンを採用し、スクリーンをコーティング材料で完全に湿潤した。得られたコーティング層を150℃で30分にわたって硬化させ、コーティング層平均溢流を測定した。結果を図23にプロットしている。水平軸に沿う「固定具」という用語は、プラテン高さにあるタイル基板を指し、「短い」は、このタイル基板を隣接するタイル基板に対して陥入させたことを指している。
【0070】
コーティング層の溢流幅D1に対するスクリーン状態の影響を評価するための追加の実験が行われた。第1の実験では、複数のタイル基板を0.5mm厚スペーサとの交替配置で積み重ね、得られたスタックを本明細書で説明するように回転固定具116によって保持した。本明細書で説明する方法に従ってタイル基板のエッジ面にWaygloを付加し、スクリーンは、エッジ面への印刷の前にコーティング材料を含有しなかった。得られたコーティング層を150℃で30分にわたって硬化させ、従来の実験と同じくコーティング層平均溢流を測定した。別の実験では、別の複数のタイル基板(100枚までのタイル基板)を0.5mm厚スペーサとの交替配置で積み重ね、得られたスタックを本明細書で説明するように回転固定具116によって保持した。コーティング材料で完全に湿潤したスクリーンを用いて、本明細書で説明する方法に従ってタイル基板のエッジ面にWaygloを付加した。すなわち、タイル基板への印刷の前に完全に湿潤したスクリーンを保証するために、スクリーンを用いて紙に7回印刷した。得られたコーティング層を150℃で30分にわたって硬化させ、コーティング層平均溢流を測定した。更に別の実験では、別の複数のタイル基板を0.5mm厚スペーサとの交替配置で積み重ね、得られたスタックを本明細書で説明するように回転固定具116によって保持した。以前の印刷作動からのインク残留物を備えるスクリーンを用いて、本明細書で説明する方法に従ってタイル基板のエッジ面にWaygloを付加した。得られたコーティング層を150℃で30分にわたって硬化させ、上述のようにコーティング層平均溢流を測定した。これらの実験からのデータを図24に提供している。未使用スクリーン印刷実験から得られたエッジ面は、間隙を含んで非常に波形をした終端エッジを見せた。完全に湿潤した実験からのエッジ面は、波形を有するが間隙のない終端エッジを呈し、それに対してコーティング材料残留物を備えるスクリーンを用いて印刷したエッジ面は、湿潤スクリーンの結果よりも有意に小さい波形のみを有し、約32%から約36%の範囲の溢流幅の増大があった。従って、スクリーン湿潤は、重要な変数であるが、ある限度内でそうであることが見出された。過湿潤は、スクリーンの背後のインク蓄積を引き起こす可能性があり、かつ過度の溢流を引き起こす場合がある。湿潤工程は、インクがスクリーンの裏面上へのインクの蓄積なしにスクリーンメッシュを貫通することを保証する。
【0071】
当業者には本発明の開示の思想及び範囲から逸脱することなく本発明の開示の実施形態に様々な修正及び変更を加えることができることは認められるであろう。例えば、本明細書に開示する実施形態による基板コーティングは、他の目的に使用することができ、ディスプレイ装置に制限されない。すなわち、本発明の開示は、そのような修正及び変更をそれらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物内に収まることを前提として網羅するように意図している。
図1
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図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図22
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【国際調査報告】