(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】アナタビン粉末組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/444 20060101AFI20230703BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20230703BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230703BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230703BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230703BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230703BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
A61K31/444
A61K9/72
A61K9/14
A61K47/26
A61K47/18
A61P29/00
A61P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575346
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2021054692
(87)【国際公開番号】W WO2021255560
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】スパダロ ファビアナ
(72)【発明者】
【氏名】ツバー ジェラルド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA32
4C076AA93
4C076CC04
4C076DD51
4C076DD67
4C076FF07
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA43
4C086MA57
4C086NA10
4C086ZA59
4C086ZB11
(57)【要約】
アナタビン粉末組成物は、糖または接着力低減化合物を含み、吸入およびそれを形成する方法に適している。糖およびアナタビン化合物は、噴霧乾燥されて、乾燥アナタビン粉末組成物を形成しうる。アナタビン粉末は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下、または約1~約4マイクロメートルの粒子サイズを有しうる。粉末は、アナタビン化合物および糖または接着力低減化合物を含む複数の粒子を含むことができ、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートルの粒子サイズを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能な粉末組成物であって、
アナタビン化合物および糖または接着力低減化合物を含む複数の粒子を含み、前記複数の粒子が、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル以下、または約10マイクロメートル以下、または約1~約4マイクロメートルの粒子サイズを有する、吸入可能な粉末組成物。
【請求項2】
粉末組成物であって、
アナタビン化合物および糖または接着力低減化合物を含む複数の粒子を含み、前記複数の粒子が、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートルの粒子サイズを有する、粉末組成物。
【請求項3】
前記アナタビン化合物が、アナタビン塩を含む、請求項1または2に記載の粉末組成物。
【請求項4】
前記アナタビン化合物が、アナタビングルタレートを含む、請求項1または2に記載の粉末組成物。
【請求項5】
前記複数の粒子が、非晶質糖を含む、請求項1~4のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項6】
前記糖が、ラクトース、スクロース、ラフィノース、トレハロース、フルクトース、デキストロース、グルコース、マルトース、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、糖がトレハロースを含む、請求項5に記載の粉末組成物。
【請求項7】
前記接着力低減化合物がアミノ酸またはペプチドを含む、請求項1~6のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項8】
前記接着力低減化合物が、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リジン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、ピロリジン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、またはその組み合わせを含み、好ましくは、前記アミノ酸がロイシンを含む、請求項1~7のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項9】
前記複数の粒子が、50~99重量%の糖、または70~90重量%の糖、または70~80重量%の糖、または80~90重量%の糖、または80~85重量%の糖を含む、請求項1~8のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項10】
前記複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビン化合物、または1~10重量%のアナタビン化合物、または10~20重量%のアナタビン化合物、または1~5重量%のアナタビン化合物、または5~15重量%のアナタビン化合物を含む、請求項1~9のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項11】
前記複数の粒子が、0.5~20重量%のアミノ酸、または1~15重量%のアミノ酸、または1~10重量%のアミノ酸を含む、請求項1~10のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項12】
前記複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および0~20重量%のロイシンを含む、請求項1~11のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項13】
前記複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~20重量%のロイシンを含み、好ましくは、前記複数の粒子が、1~10重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~10重量%のロイシンを含む、請求項1~12のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項14】
20マイクロメートル以上の、または50マイクロメートル~200マイクロメートルの粒子サイズを有する第二の複数の粒子をさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の粉末組成物。
【請求項15】
粉末組成物を形成する方法であって、
液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて、液体混合物を形成すること、および
前記液体混合物を噴霧乾燥して複数の粒子を形成すること、または
前記液体混合物を噴霧乾燥して、第一のサイズを有する複数の粒子を形成し、次いで、前記第一のサイズを有する複数の粒子をより小さいサイズへと微粒子化すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入に適している場合がある糖または接着力低減化合物を有するアナタビン粉末組成物、ならびにそれを形成する方法に関する。糖およびアナタビン化合物は、噴霧乾燥されて、吸入用の乾燥アナタビン粉末組成物を形成しうる。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器(DPI)は公知であり、薬学的に活性の化合物を含む乾燥粉末をエアロゾルの形態で、吸入によって患者の気道に送達することによって、呼吸器疾患を治療するために使用される。医薬品乾燥粉末において、医薬品有効成分(API)は、より大きい担体粒子(例えばラクトースなど)の表面上にいつも凝集している。DPIは複雑な機構で動作して、こうした凝集が分散、粉砕、または脱凝集されることを確実にし、その後、APIが肺の中へと吸い込まれるようになる。
【0003】
自由流動性であり、かつ効率的に形成されたアナタビン粉末組成物を提供することが望ましい。吸入を介してユーザの肺または気道に送達されるようにサイズ設定されるアナタビン粉末組成物を提供することが望ましい。長い貯蔵寿命を有するアナタビン粉末組成物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様によれば、吸入可能な粉末組成物は、糖または接着力低減化合物を有するアナタビン化合物を含む複数の粒子を含む。
【0005】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物は、糖または接着力低減化合物を有するアナタビン化合物を含む複数の粒子を含み、粒子は、空気動力学的中央粒子径(mass medium aerodynamic diameter)として測定される約20マイクロメートル以下、または約10マイクロメートル以下、または約1~約4マイクロメートルの粒子サイズを有する。
【0006】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物は、糖または接着力低減化合物を有するアナタビン化合物を含む複数の粒子を含み、複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートルの粒子サイズを有する。
【0007】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物は、アナタビン化合物および糖、好ましくは非晶質糖を含む複数の粒子を含む。
【0008】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物は、アナタビン化合物および接着力低減化合物、好ましくはアミノ酸またはペプチドを含む複数の粒子を含む。
【0009】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物を形成する方法は、液体担体中にアナタビン化合物を組み合わせて液体混合物を形成し、液体混合物を噴霧乾燥して複数の粒子を形成することを含む。
【0010】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物を形成する方法は、液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、液体混合物を噴霧乾燥して複数の粒子を形成することを含む。
【0011】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物を形成する方法は、液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、液体混合物を噴霧乾燥して、空気動力学的中央粒子径として測定される、約20マイクロメートル以下または約10マイクロメートル以下~、あるいは約1~約4マイクロメートルのサイズを有する複数の粒子を形成することを含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物を形成する方法は、液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、液体混合物を噴霧乾燥して、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートルのサイズを有する複数の粒子を形成することを含む。
【0013】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物を形成する方法は、液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、液体混合物を噴霧乾燥して第一のサイズを有する複数の粒子を形成し、次に第一のサイズを有する複数の粒子をより小さいサイズへと微粒子化することを含む。
【0014】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物を形成する方法は、液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、液体混合物を噴霧乾燥して第一のサイズを有する複数の粒子を形成し、次に第一のサイズを有する複数の粒子を、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル以下~、または約10マイクロメートル以下~、または約1~約4マイクロメートルの範囲のより小さいサイズへと微粒子化することを含む。
【0015】
本発明の別の態様によれば、粉末組成物を形成する方法は、液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、液体混合物を噴霧乾燥して第一のサイズを有する複数の粒子を形成し、次に第一のサイズを有する複数の粒子を、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約50~約150マイクロメートルの範囲のより小さいサイズへと微粒子化することを含む。
【0016】
有利なことに、アナタビン粉末組成物は、自由流動性粉末である。有利なことに、アナタビン粉末組成物は、自由流動性であり、かつ吸入を介してユーザの肺または気道に送達されるようにサイズ決めされてもよい。アナタビン粉末組成物は安定的であってもよく、長い貯蔵寿命を有する。本方法は、自由流動性であり、例えば吸入に適切でありうる乾燥粉末アナタビン粒子をもたらす。方法は、アナタビン粉末組成物の物理的および化学的特性を損なうことなく、アナタビン粉末組成物の高スループット製造を可能にしうる。
【0017】
噴霧乾燥方法は、アナタビンと糖などのマトリクス化合物とを、各々が含有する複合アナタビン粒子を形成する。複合アナタビン粒子は、本明細書に記載の粉末組成物を形成する。アナタビンは、糖基質内に分散されてもよい。好ましくは、アナタビンは、25°Cで固体塩である。
【0018】
噴霧乾燥方法は、アナタビンと、糖などのマトリクス化合物と、接着力低減化合物被覆、好ましくはアミノ酸とを、各々が含有する複合アナタビン粒子を形成する。アナタビンは、糖基質内に分散されてもよく、ロイシンなどのアミノ酸は、自由流動性複合アナタビン粒子組成物を形成する複合アナタビン粒子の各々を被覆または封入しうる。好ましくは、アナタビンは、25°Cで固体塩である。
【0019】
アナタビンは、たばこ中に存在するアルカロイドであり、低濃度では、グリーントマト、グリーンポテト、熟した赤ピーマン、トマティーヨ、およびサンドライトマトを含む様々な食品中に存在する。これは、米国特許第9,387,201号およびWO2013/032558に開示されているように、抗炎症サポートを提供する市販の栄養補助食品アナタブロックの主な有効成分である。アナタビンの単離された形態の調製は、例えば、WO2011/119722に記載されている。
【0020】
アナタビンは、3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジンとしても知られる。アナタビンのS-およびR-エナンチオマーのエナンチオ選択的合成は、例えば、以下に記載されている。Ayers,J.T.;Xu,R.;Dwoskin,L.P.;Crooks,P.A.A general procedure for the enantioselective synthesis of the minor Tobacco alkaloids nornicotine,anabasine,and anatabine.The AAPS Journal 2005;7(3)Article 75。
【0021】
用語「アナタビン」は、ここで使用される場合、(1)アナタビン(R,S)のラセミ混合物、(2)S-(-)-アナタビンの精製形態、または(3)R-(+)-アナタビンの精製形態を指しうる。好ましいアナタビン化合物は、アナタビングルタレートまたは3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジングルタレートなどのアナタビン塩である。3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジングルタレートは、3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン対グルタレートのモル比が1:1であることが好ましい。
【0022】
アナタビンの薬学的に許容可能な塩は、米国特許第8,207,346号および米国特許 8,557,999号に記載されている。特に、米国特許第8,207,346号の実施例6および米国特許第8,557,999号の実施例6は、アセトン中のアナタビン溶液に酒石酸またはクエン酸を添加することによる、酒石酸アナタビンおよびクエン酸アナタビンの調製を記載する。
【0023】
本明細書の「3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジングルタレート」または「アナタビングルタレート」についての任意の言及が、任意のその薬学的に許容可能な溶媒和化合物を指すものとしても理解されるべきことを理解されたい。
【0024】
3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジングルタレートは、以下の式(I)によって表される化学構造を有する。
【化1】
【0025】
好ましい実施形態では、3-[1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジングルタレートは、したがって、以下の式(Ia)を有しうる。
【化2】
【0026】
好ましくはアナタビングルタレートは、3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジングルタレートの、特に3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジングルタレートの結晶の特定の多形(本明細書では多形体とも呼ぶ)である。多形は、
図1に実質的に示されるX線粉末回折パターン(CuKα)を有することが好ましい。多形は、8.0±0.2°2θ、11.0±0.2°2θ、13.3±0.2°2θ、16.5±0.2°2θ、18.0±0.2°2θ、20.7±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、21.4±0.2°2θ、22.0±0.2°2θ、22.3±0.2°2θ、23.3±0.2°2θおよび24.5±0.2°2θから選択された一つ以上のピークを含む、X線粉末回折パターン(CuKα)を有することが好ましい。より好ましくは、多形は、8.0±0.2°2θ、13.3±0.2°2θ、16.5±0.2°2θ、21.4±0.2°2θ、22.0±0.2°2θおよび24.5±0.2°2θから選択される一つ以上のピークを含むX線粉末回折パターン(CuKα)を有することが好ましい。
【0027】
さらにより好ましくは、多形は、8.0±0.1°2θ、11.0±0.1°2θ、13.3±0.1°2θ、16.5±0.1°2θ、18.0±0.1°2θ、20.7±0.1°2θ、21.0±0.1°2θ、21.4±0.1°2θ、22.0±0.1°2θ、22.3±0.1°2θ、23.3±0.1°2θおよび24.5±0.1°2θから選択された一つ以上のピークを含む、X線粉末回折パターン(CuKα)を有することが好ましい。さらにより好ましくは、多形は、8.0±0.1°2θ、13.3±0.1°2θ、16.5±0.1°2θ、21.4±0.1°2θ、22.0±0.1°2θおよび24.5±0.1°2θから選択される一つ以上のピークを含むX線粉末回折パターン(CuKα)を有することが好ましい。
【0028】
さらにより具体的には、多形は、7.960±0.2°2θ、10.907±0.2°2θ、13.291±0.2°2θ、14.413±0.2°2θ、15.239±0.2°2θ、16.479±0.2°2θ、17.933±0.2°2θ、20.610±0.2°2θ、20.977±0.2°2θ、21.318±0.2°2θ、21.927±0.2°2θ、22.203±0.2°2θ、22.792±0.2°2θ、23.246±0.2°2θ、24.426±0.2°2θおよび24.769±0.2°2θから選択された一つ以上のピークを含む、X線粉末回折パターン(CuKα)を有することが好ましい。さらにより具体的には、多形は、7.960±0.1°2θ、10.907±0.1°2θ、13.291±0.1°2θ、14.413±0.1°2θ、15.239±0.1°2θ、16.479±0.1°2θ、17.933±0.1°2θ、20.610±0.1°2θ、20.977±0.1°2θ、21.318±0.1°2θ、21.927±0.1°2θ、22.203±0.1°2θ、22.792±0.1°2θ、23.246±0.1°2θ、24.426±0.1°2θおよび24.769±0.1°2θから選択された一つ以上のピークを含む、X線粉末回折パターン(CuKα)を有することが好ましい。アナタビングルタレートの上記の形態は、
【0029】
a)3-[1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジン、グルタル酸、および溶媒を含む溶液を調製する工程と、
【0030】
b)グルタル酸を伴う3-[1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジンの塩の形成を可能にする工程と、
c)3-[1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジングルタル酸塩を回収する工程と、を含む方法を使用して調製されうる。
【0031】
3-[1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジン、グルタル酸、および溶媒の溶液の調製に使用される溶媒は、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルおよび/または酢酸エチルを含むことが好ましい。溶媒は2-メチルテトラヒドロフランを含むことがより好ましい。
【0032】
方法はさらに、d)3-[1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジングルタル酸塩を再結晶する工程を含んでもよい。この再結晶に適した溶媒には、アセトニトリルが含まれる。
【0033】
工程a)では、アナタビン遊離塩基、溶媒、およびグルタル酸を組み合わせて反応混合物を生成することによって、アナタビングルタレートを調製することができる。アナタビングルタレートは、典型的には、アナタビン遊離塩基のグルタル酸との接触を介して、このような反応混合物中に形成される。アセトニトリル中の1~5質量%の溶液としてのアナタビン遊離塩基は、グルタル酸と組み合わされることが好ましい。
【0034】
好ましくは、アナタビン遊離塩基、溶媒、およびグルタル酸の溶液または懸濁液を組み合わせて反応混合物を形成し、続いて沈殿させ、混合物からアナタビングルタレート塩の回収を行う。グルタル酸は、固体として、または溶液もしくは懸濁液としてのいずれかで溶媒中に添加されうる。
【0035】
溶媒は、1~8個の炭素原子を含有するアルカノール、3~8個の炭素原子を含有する脂肪族エステル、3~8個の炭素原子を含有する脂肪族直鎖または環状エーテル、3~8個の炭素原子を含有する脂肪族ケトン、C6-12芳香族炭化水素(ベンゼンおよびナフタレンなど)、アセトニトリル、水、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択されることが好ましい。溶媒は、3~8個の炭素原子を含有する脂肪族エステル、3~8個の炭素原子を含有する脂肪族環状エーテル、アセトニトリル、およびそれらの混合物から選択されることが好ましい。溶媒は、酢酸エチル、アセトニトリル、2-メチルテトラヒドロフラン、およびそれらの任意の混合物から選択されることがより好ましい。溶媒は、アセトニトリルを含有することがさらにより好ましい。溶媒は、アセトニトリルであることがさらにより好ましい。
【0036】
アナタビン遊離塩基、グルタル酸、および少なくとも一つの溶媒を組み合わせて、ほぼ室温(すなわち、好ましくは15°C~25°Cの範囲)で反応混合物を形成することが好ましい。かかる反応混合物中に存在するグルタル酸の濃度は、飽和点に近い濃度であることが好ましい(例えば、最大達成可能濃度の少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%)。アナタビングルタレートは、典型的には混合物から沈殿する。沈殿は、それ自体で発生してもよく、または例えば、種晶の導入によって誘発されてもよい。反応混合物は、沈殿の前、最中、または後に攪拌されてもよい。
【0037】
反応混合物を加熱し、次いで冷却して、アナタビングルタレートの沈殿を促進しうる。加熱は、室温から溶媒の煮沸温度の範囲の任意の温度(例えば、約50°C~約80°C)まで実施されうる。その後、冷却は一般に、40°C未満、好ましくは約30°C~約20°C、より好ましくは室温(すなわち、好ましくは15°C~25°Cの範囲)まで行われ、沈殿を促進する。
【0038】
得られた沈殿物は、濾過などの様々な技術によって回収されうる。沈殿物は、大気圧または減圧および/または高温下で乾燥させてもよい。
【0039】
アナタビングルタレート、および特に上述の多形体は、高結晶性、形態、多形変換および/または脱水に対する熱的および機械的安定性、貯蔵安定性、残留溶媒の低含有量、低い吸湿性程度、流動性、ならびに有利な処理および取り扱い特性などの有利な特性を有する。さらに、アナタビングルタレートは、真空下での乾燥などの適切な手段によって水分が除去された場合、水分に曝露された後も、結晶塩として再結晶する。
【0040】
アナタビン(例えば、アナタビングルタレート)は、慢性的な低レベルの炎症を含む炎症性要素を含む障害を治療するために、個体に投与することができる。アナタビンは、NFKBを介した炎症性要素を含む症状または障害を低減するため、および/またはこのような障害を発症するリスクを低減するために、個体に投与することができる。NFKBを介した炎症性要素は、例えば、甲状腺炎、癌、関節炎、アルツハイマー病、および多発性硬化症で発生する慢性炎症と関連付けられうる。アナタビンを含む吸入可能粉末は、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害効果を有してもよい。追加的に、または代替的に、アナタビンを含む吸入可能粉末は、STAT3リン酸化阻害効果を有してもよい。
【0041】
一部の実施形態では、アナタビンは塩として製剤化される。任意の薬学的に許容可能な塩を使用してもよい。好ましくは、アナタビン塩は、室温で固体である(例えば、25°Cで固体である)。好適な塩としては、例えば、アスパラギン酸の塩(「アスパラギン酸塩」)、ゲンチシン酸の塩(「ゲンチシン酸塩」)、安息香酸の塩(「ベンゾアート」)、フマル酸の塩(「フマル酸塩」)、塩酸の塩(「水和物」)、アルファ-レソルシル酸の塩(「アルファ-レソルシレート」)、ベータ-レソルシル酸の塩(「ベータ-レソルシレート」)、シュウ酸の塩(「シュウ酸塩」)、p-アニス酸の塩(「アニス酸塩」)、またはグルタル酸の塩(「グルタレート」)が挙げられる。好ましくは、塩は、アナタビングルタレートなどのグルタレートを含む。好ましくは、アナタビン塩は、アナタビングルタレートである。アナタビングルタレートは、上述の多形体であることが好ましい。
【0042】
アナタビンまたはアナタビン化合物は、粉末組成物中に、0.1~30重量%のアナタビン化合物、または0.5~20重量%のアナタビン化合物の量で存在しうる。アナタビンまたはアナタビン化合物は、粉末組成物中に、1~10重量%のアナタビン化合物の量で存在しうる。アナタビンまたはアナタビン化合物は、粉末組成物中に、10~20重量%のアナタビン化合物の量で存在しうる。アナタビンまたはアナタビン化合物は、粉末組成物中に、1~5重量%のアナタビン化合物の量で存在しうる。アナタビンまたはアナタビン化合物は、粉末組成物中に、5~15重量%のアナタビン化合物の量で存在しうる。
【0043】
複数の粒子は、糖を含みうる。糖は、粉末組成物を形成する粒子全体にわたってアナタビンを分散させるためのマトリクスを形成しうる。糖およびアナタビンは、複合粒子を形成しうる。
【0044】
糖は、非晶質糖であることが好ましいことがある。複数の粒子は、単糖類、二糖類、多糖類、またはそれらの混合物を含みうる。複数の粒子は、ラクトース、スクロース、ラフィノース、トレハロース、フルクトース、デキストロース、グルコース、マルトース、またはそれらの組み合わせを含みうる。複数の粒子は、トレハロースを含むことが好ましいことがある。
【0045】
複数の粒子(または各粒子)は、50~99重量%の糖を含みうる。複数の粒子(または各粒子)は、70~90重量%の糖を含みうる。複数の粒子(または各粒子)は、70~80重量%の糖を含みうる。複数の粒子(または各粒子)は、80~90重量%の糖を含みうる。複数の粒子(または各粒子)は、80~85重量%の糖を含みうる。
【0046】
粉末組成物は、粒子の凝集を低減し、自由流動性粉末組成物を確保または促進するための、接着力低減化合物を含みうる。接着力低減化合物は、粉末組成物の粒子によって経験される接着または凝集を低減しうる。添加剤材料は、小さい粒子間の弱い結合力に干渉してもよく、粒子を分離させ、このような粒子の、互いへの、製剤において他の粒子への、および関連する吸入器装置の内部表面への接着を低減するのに役立つ。
【0047】
接着力低減化合物は、リン脂質またはその誘導体、例えばレシチンを含んでもよい。
【0048】
接着力低減化合物は、ステアリン酸金属塩、またはその誘導体、例えば、フマル酸ステアリルナトリウムまたは乳酸ステアリルナトリウムを含んでもよい。有用なステアリン酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、またはステアリン酸リチウムが挙げられる。好ましくは、接着力低減化合物はステアリン酸マグネシウムを含む。
【0049】
接着力低減化合物は、一つ以上の表面活性材料、特に固体状態で表面活性である材料を含むか、またはそれらから成ってもよく、それらは水溶性かまたは水分散性であってもよく(例えば、レシチン、特に大豆レシチン)、または実質的に非水溶性(例えば、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ベヘン酸などの固体状態の脂肪酸、またはそれらの誘導体(エステルおよび塩など)例えばベヘン酸グリセリルなど)でありうる。こうした材料の具体的な例には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、および天然および合成肺界面活性剤のその他の例、ラウリン酸およびその塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、Dynsan 118およびCutina HRなどのトリグリセリド、ならびに一般に糖エステルが挙げられる。あるいは、添加剤はコレステロールであってもよい。
【0050】
他の可能性のある接着力低減化合物としては、安息香酸ナトリウム、室温で固体である硬化油、タルク、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、およびデンプンが挙げられる。
【0051】
接着力低減化合物は、アミノ酸またはペプチド(例えば、三つのアミノ酸を含有する)を含みうる。アミノ酸は、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リジン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、ピロリジン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、またはその組み合わせを含みうる。好ましくはアミノ酸は、ロイシン、アラニン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、またはその組み合わせを含む。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンを含むことが好ましい。存在する場合、ペプチドは、トリロイシンを含むことが好ましい。
【0052】
アナタビン含有粒子は、アミノ酸もしくはペプチドまたはステアリン酸金属塩などの接着力低減化合物によって被覆されてもよい。アナタビン含有粒子は、粉末組成物を形成する粒子全体に分散された、アミノ酸またはペプチドまたはステアリン酸金属塩などの接着力低減化合物を含みうる。
【0053】
アミノ酸、またはアミノ酸もしくはペプチドもしくはステアリン酸金属塩などの接着力低減化合物を、噴霧乾燥後にアナタビン含有粒子に添加してもよい。例えば、噴霧乾燥によって形成される粒子は、接着力低減化合物と混合されてもよく、混合物は、共粉砕(例えば、微粒子化)されてもよい。共粉砕によって、アミノ接着力低減化合物がアナタビン含有粒子を被覆することが可能となりうる。共粉砕は、所望の最終粒子サイズ(例えば、約50μmの粒子サイズから約2μmに減少された)をさらに達成しうる。
【0054】
アナタビン含有粒子は、アナタビン含有粒子の重量で、5重量%以上または10重量%以上の接着力低減化合物、および30重量%以下または25重量%以下の接着力低減化合物を含んでもよい。複数の粒子は、0.5~20重量%の接着力低減化合物を含んでもよい。複数の粒子は、1~15重量%の接着力低減化合物を含んでもよい。複数の粒子は、1~10重量%の接着力低減化合物を含んでもよい。
【0055】
アナタビン含有粒子は、アナタビン含有粒子の重量で、5重量%以上または10重量%以上のアミノ酸またはペプチド、および30重量%以下または25重量%以下のアミノ酸またはペプチドを含んでもよい。複数の粒子は、0.5~20重量%のアミノ酸またはペプチドを含みうる。複数の粒子は、1~15重量%のアミノ酸を含みうる。複数の粒子は、1~10重量%のアミノ酸を含みうる。
【0056】
アミノ酸、好ましくはL-ロイシンなどの接着力低減化合物を、アナタビン含有粒子と共に提供することは、アナタビン含有粒子の接着力を低減させる場合があり、粒子間の引力を低減させる場合があり、したがってさらに、粒子の凝集を低減させる場合がる。同様に、風味、他の粒子への接着力を含みうる複数の第二の粒子などの他の粒子を含む粉体系もまた低減されてもよく、したがって他の粒子とのアナタビン含有粒子の凝集もまた低減される。風味を含む場合がある複数の第二の粒子などの他の粒子は、存在する場合、アミノ酸、好ましくはL-ロイシンなどの接着力低減化合物を含んで、アナタビン含有粒子および他の粒子の接着力をさらに低減させうる。それ故に、本明細書に記載の粉体系は自由流動材料であってもよく、またアナタビン含有粒子と他の粒子とが組み合わされる時でさえも、各粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有する。
【0057】
アナタビン含有粒子は、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および0~20重量%の接着力低減化合物を含んでもよい。アナタビン含有粒子は好ましくは、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~20重量%の接着力低減化合物を含みうる。アナタビン含有粒子は好ましくは、1~10重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~10重量%の接着力低減化合物を含みうる。
【0058】
アナタビン含有粒子は、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および0~20重量%のロイシンを含んでもよい。アナタビン含有粒子は好ましくは、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~20重量%のロイシンを含みうる。アナタビン含有粒子は好ましくは、1~10重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~10重量%のロイシンを含みうる。
【0059】
アナタビン含有粒子は、20マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下、または5マイクロメートル以下、または0.1マイクロメートル以上、0.2マイクロメートル以上、または0.5マイクロメートル以上、または0.5マイクロメートル~10マイクロメートル、または0.75マイクロメートル~5マイクロメートルの範囲の粒子サイズを有しうる。所望の粒子サイズ範囲は、噴霧乾燥、粉砕、ふるい分け、またはそれらの組み合わせによって達成されうる。このサイズ範囲は、アナタビン含有粒子の深肺沈着などの呼吸沈着に有用でありうる。
【0060】
アナタビン含有粒子は、20マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下、または5マイクロメートル以下、または1マイクロメートル以上、2マイクロメートル以上、または5マイクロメートル以上、または5マイクロメートル~10マイクロメートル、または7.5マイクロメートル~10マイクロメートルの範囲の粒子サイズを有しうる。所望の粒子サイズ範囲は、噴霧乾燥、粉砕、ふるい分け、またはそれらの組み合わせによって達成されうる。このサイズ範囲は、アナタビン含有粒子の気管支沈着などの呼吸沈着に有用でありうる。
【0061】
アナタビン含有粒子は、20マイクロメートル以上、または20~200マイクロメートル、または50~200マイクロメートル、または50~150マイクロメートルの粒子サイズを有してもよい。所望の粒子サイズ範囲は、噴霧乾燥、粉砕、ふるい分け、またはそれらの組み合わせによって達成されうる。このサイズ範囲は、アナタビン含有粒子の副鼻腔および口腔沈着などの呼吸器系最上部の沈着に有用でありうる。
【0062】
アナタビン含有粒子は、特定の粒子サイズ分布を有してもよい。例示的な実施例において、組成物のアナタビン含有粒子の約90%、または約95%、または約98%は、約5マイクロメートル以下、または約4.5マイクロメートル以下、または約4.2マイクロメートル以下のサイズを有し、粒子の約50%は、約2.5マイクロメートル以下、または約2.1マイクロメートル以下のサイズを有する。これらの実施例の多くにおいて、アナタビン含有粒子の約10%は約820ナノメートル以下のサイズを有する。組成物のアナタビン含有粒子は、約1~約4マイクロメートルの範囲の空気動力学的中央粒子径を有しうる。組成物を形成する実質的に全てのアナタビン含有粒子は、約500ナノメートル~約5マイクロメートルの範囲の粒子サイズを有しうる。本明細書に記載の粒子サイズ分布に関連するパーセンテージは、粒子体積に基づくものである(体積%)。
【0063】
アナタビン含有粒子は、さらに、第二の複数の粒子と混合されてもよく、または組み合わされてもよい。一部の実施形態では、第二の複数の粒子は、アナタビン含有粒子とは異なる粒子サイズを有し、アナタビン含有粒子よりも大きい第二の粒子集団を形成する。第二の複数の粒子は、アナタビン粒子の制御または送達の支援に有用でありうる。第二の複数の粒子は、風味化合物を含みうる。第二の複数の粒子は、選択的にユーザの口または口腔の中に吸入送達するために任意の有用なサイズ分布を有してもよい。例えば、第二の複数の粒子は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、または50マイクロメートル~200マイクロメートル、または50マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲の粒子サイズを有しうる。あるいは、アナタビン粒子が口または口腔への堆積に適したサイズである場合、それらは風味化合物を含んでもよい。
【0064】
粉体系は、第一の複数のアナタビン含有粒子と第二の複数の粒子との、約1:1~約10:1、または約2:1~約8:1、または約2:1~約6:1、または約3:1~約5:1、好ましくは約4:1の重量比を含みうる。第一の複数のアナタビン含有粒子と第二の複数の粒子との重量比を選択することにより、類似した量の粉末を含有する一連の吸入における粉体系を含有する容器(カプセルなど)の内容物の送達を改善することが可能である。
【0065】
粉体系は、第一の複数のアナタビン含有粒子と第二の複数の風味粒子との、約1:1~約10:1、または約2:1~約8:1、または約2:1~約6:1、または約3:1~約5:1、好ましくは約4:1の重量比を含みうる。第一の複数のアナタビン含有粒子と第二の複数の風味粒子との重量比を選択することにより、類似した量の粉末を含有する一連の吸入における粉体系を含有する容器(カプセルなど)の内容物の送達を改善することが可能である。
【0066】
粉体系は自由流動性であることが好ましい。第一の複数のアナタビン含有粒子は自由流動性であることが好ましい。第二の複数の粒子は自由流動性であることが好ましい。容器またはカプセル内に収容される粉体系は、自由流動性であることが好ましい。容器またはカプセル内に収容される第一の複数のアナタビン含有粒子は、自由流動性であることが好ましい。容器またはカプセル内に収容される第二の複数の粒子は、自由流動性であることが好ましい。粉体系は、安定したサイズ分布を有してもよい。粉体系は凝集しないことが好ましい。
【0067】
第二の複数の粒子は、アナタビンを含まない場合がある。第二の複数の粒子は、風味を含みうる。適切な風味としては、たばこ、煙、メントール、ミント(ペパーミント、スペアミントなど)、チョコレート、甘草、柑橘類および他の果実風味、ガンマ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、およびジンジャー油、およびこれに類するものなどの任意の天然風味または合成風味が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびこれに類するものからなる群から選択される風味化合物が含まれうる。適切な風味化合物は例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスチグマトリエノン、2-ヘプタノン、ベンジルアルコール、cis-3-ヘキセニルアセタート、吉草酸、吉草酸アルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、イソ吉草酸、その組み合わせ、およびこれに類するものから成る群から選択されてもよい。
【0068】
風味剤または風味は、固体の風味として(摂氏約22度の室温および1気圧で)提供されてもよく、風味製剤、風味含有材料および風味前駆体を含んでもよい。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。
【0069】
風味化合物/成分は、天然風味物質、天然と同一の風味物質、または人工風味物質に由来しうる。風味成分または風味の非限定的な例には、バナナ、チェリー、シナモン、果実、グレープ、オレンジ、ナシ、パイナップル、バニラ、ウインターグリーン、イチゴ、およびミントが含まれる。一実施形態では、風味はメントールである。別の実施形態では、風味はミントである。当業者であれば理解するように、ミントとは一般に、シソ科植物の属に関連するありとあらゆる風味を指すが、これらに限定されない。一実施形態では、ミントは天然抽出物である。別の実施形態では、ミントは、例えばInternational Flavors & Fragrancesから供給されているCoolmint Trusil Flavoring Powderなどの市販の製剤である。一実施形態では、ミントはひとつの物質である。別の実施形態では、ミントは物質の混合物である。一実施形態では、ミントはメントールを含む。別の実施形態では、ミントはtrans‐メントンを含む。別の実施形態では、ミントはピネンを含む。別の実施形態では、ミントはイソメントンを含む。別の実施形態では、ミントはリモネンを含む。別の実施形態では、ミントはユーカリプトールを含む。別の実施形態では、ミントはピン-2(3)-エンを含む。別の実施形態では、ミントは酢酸メンチルを含む。別の実施形態では、ミントはシネオールを含む。別の実施形態では、ミントは4,5,6,7-テトラヒドロ3,6-ジメチルベンゾフランを含む。別の実施形態では、ミントはピン-2(10)-エンを含む。別の実施形態ではミントはジペンテンを含む。別の実施形態では、ミントはd-リモネンを含む。別の実施形態では、ミントは、(R)-p-メンタ-l,8-ジエンを含む。第二の複数の粒子はメントールまたはミントを含むことが好ましい。
【0070】
第二の複数の粒子は、接着力または表面エネルギーおよび任意の結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含んでもよい。第二の複数の粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された粒子を形成してもよい。接着力低減化合物は、上述のアミノ酸またはペプチド、またはステアリン酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせを含みうる。
【0071】
第二の複数の粒子において接着力または表面エネルギーおよび任意の結果としてもたらされる凝集を低減するアミノ酸は、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リジン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、ピロリジン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、またはその組み合わせを含みうる。好ましくはアミノ酸は、ロイシン、アラニン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、またはその組み合わせを含む。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンを含むことが好ましい。ペプチドは、トリロイシンを含むことが好ましい。アミノ酸またはペプチドは、好ましくは、第二の複数の粒子を形成する粒子を被覆してもよい。アミノ酸またはペプチドは、好ましくは、風味粒子を被覆してもよい。
【0072】
ひとつの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムであってもよい。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物に第二の複数の粒子を提供すること、特に第二の複数の粒子を被覆することは、風味を含み得る第二の複数の粒子の接着力を低減する場合があり、また粒子の間の引力を低減し、それ故に粒子の凝集を低減する場合がある。第二の複数の粒子のアナタビン含有粒子との凝集もまた低減されうる。粉体系は、アナタビン含有粒子と第二の複数の粒子とが組み合わされた時でさえも、アナタビン含有粒子と第二の複数の粒子との安定した相対的な粒子サイズを有しうる。好ましくは、粉体系は自由流動性であってもよい。
【0073】
アナタビン含有粒子および第二の複数の粒子は、任意の有用な相対量で組み合わされてもよい。第二の複数の粒子が風味を含む場合、は、任意の有用な相対量で組み合わされてもよく、その結果、風味粒子は、アナタビン含有粒子と共に消費された時にユーザによって検出される。アナタビン含有粒子および第二の複数の粒子は、粉体系の全重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0074】
粉体系は、本発明において有用な化合物を、その意図された機能を実行しうるように、対象内または対象に運搬または輸送するのに関与する、任意の薬学的に許容可能な材料、組成物または担体、例えば、液体もしくは固体充填剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、増粘剤、溶媒または封入材料である賦形剤をさらに含みうる。一実施形態では、製剤は安定化剤をさらに含む。各材料は、アナタビンを含む、製剤の他の成分と適合性があり、対象に有害でないという意味で「許容可能である」ものでなくてはならない。本発明の製剤に有用でありうる一部の材料としては、薬学的に許容可能な担体、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖、コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、粉末化トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、com油および大豆油などのオイル、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、およびポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、界面活性剤、ロイシン、L-ロイシン、D-ロイシン、DL-ロイシン、イソロイシン、リジン、バリン、アルギニン、アスパラギン酸、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニンなどのアミノ酸、アルギン酸、アミノ酸の誘導体、例えば、アスパルテームまたはアセスルファムKなどのアミノ酸の誘導体、パイロジェンを含まない水、等張食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、ならびに医薬品製剤において用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられる。製剤に有用でありうる他の薬学的に許容可能な材料としては、アナタビンまたは本発明内で有用な任意の他の化合物の活性と適合性があり、対象にとって生理学的に許容可能である、あらゆる全てのコーティング、抗菌剤および抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤、ならびにこれに類するものが挙げられる。
【0075】
粉末組成物は、ヒトの消費に推奨される範囲のpH(溶液中)を有してもよい。一部の実施形態では、吸入可能粉末は、水に溶解されたときに、6以下、7以下、もしくは8以下の、または4~8、もしくは4~6のpHを有する。粉末組成物のpHは、水中の粉末の1.0mg/mLの溶液を調製し、溶液のpHを測定することによって試験することができる。粉末組成物は、追加の緩衝剤を使用することなく製剤化されてもよい。追加の緩衝剤は、活性剤で塩を形成するために使用される酸、または活性剤含有粒子に含まれるアミノ酸以外の緩衝が可能な化合物(例えば、塩、酸、塩基、およびそれらの組み合わせ)であるとみなされうる。粉末組成物は、界面活性剤を含まない場合がある。
【0076】
粉末組成物は、適切な剤形で提供されてもよい。例えば、粉末組成物はカプセルで提供されてもよい。剤形(例えば、カプセル)は、適切な吸入器または送達装置で使用するように構成されうる。例えば、カプセルは、カプセル空洞を有する吸入器装置で利用されてもよい。吸入器装置のカプセル空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中にその中に包含されたカプセルを回転させる場合がある。カプセルは、アナタビン粒子、および任意選択的に、風味を含みうる複数の第二の粒子(別名、風味粒子)を含有してもよい。貫通されたカプセルの回転は、貫通されたカプセルから吸入器装置を通して移動する吸入空気中へと放出された粉末組成物を懸濁およびエアロゾル化してもよい。風味を含む場合がある複数の第二の粒子は、アナタビン含有粒子よりも大きくてもよく、アナタビン粒子をユーザの肺の中へと搬送するのを助けつつ、その一方で風味を含む場合がある複数の第二の粒子は、優先的にユーザの口または口腔内に残る。アナタビン含有粒子、および任意選択の風味を含む場合がある複数の第二の粒子は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量内の吸入量または気流量で、吸入器装置を用いて送達されてもよい。
【0077】
粉末組成物または粉体系を含有するカプセルは気密材料で形成されてもよく、この気密材料は、吸入器と別個であってもよい、または吸入器と組み合わされてもよい貫通要素によって、貫通または穿孔されてもよい。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセルの中のアナタビン粒子の消費前に貫通要素によって貫通または穿孔される場合がある。カプセルは高分子材料で形成されてもよい。高分子材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルは、サイズ0~サイズ5カプセル、またはサイズ2カプセル、またはサイズ3カプセル、またはサイズ4カプセルとしうる。カプセルは、20mg~80mgの吸入可能粉末、または40mg~60mgの吸入可能粉末、または50mgの吸入可能粉末を含有してもよい。
【0078】
別段の記載がない限り、ここで用語「粒子サイズ」は、粒子または粒子セットの空気動力学的中央粒子径(MMAD)を指すために使用される。このような値は、特徴づけられる粒子と同じ空気力学的挙動を有する、1gm/cm3の密度を有する球体の直径として定義される、空気力学的粒子径の分布に基づく。
【0079】
特に、粉体系とは一般的に、空気動力学的粒子径分布の単一の数値記述子として最も広く採用されている指標のひとつである、空気動力学的中央粒子径(MMAD)のことを言及する。MMADは、粒子サンプルに対して統計的に導出された数値であり、一例として、5マイクロメートルのMMADは、総サンプル質量の50パーセントが、5マイクロメートル未満の空気動力学的粒子径を有する粒子中に存在すること、および総サンプル質量の残りの50パーセントが、5マイクロメートルよりも大きい空気動力学的粒子径を有する粒子中に存在することを意味する。本発明の文脈において、粉体系を記述するとき、「粒子サイズ」という用語は、好ましくは、粉体系のMMADを指す。
【0080】
粉体系のMMADは、好ましくは、カスケードインパクターで測定される。カスケードインパクターは、エアロゾル粒子の空気動力学的サイズ分類を決定するための空中浮遊粒子のサンプリングおよび分離に広く使用されている装置である。実際には、カスケードインパクターは、粒子サイズ、密度および速度の関数である粒子慣性に基づいて、入ってくるサンプルを個別の分画に分離する。カスケードインパクターは、典型的には、一連のステージを含み、その各々は、特定のノズル配設および収集面を有するプレートを含む。ステージ数が増えるにつれノズルサイズと総ノズル面積の両方が減少するため、サンプルを含んだ空気は装置内を進むにつれて速度が速くなる。各ステージで、十分な慣性力を有する粒子は、主流の空気の流れから外れて捕集面に衝突する。したがって、任意の所与の流量において、各ステージは、カットオフ径、収集される粒子のサイズを画定する形態に関連付けられる。ステージ数が増えると、速度が増大してステージカットオフ径が減少する。したがって、所与のステージに関連付けられたカットオフ径は、試験に使用される気流量の関数である。使用中の性能を反映するため、ネブライザーは15L/分で定期的に試験され、乾燥粉末吸入器は最大100L/分の流量で試験されうる。
【0081】
本発明の文脈において、粉体系のMMADは、次世代インパクター(NGI)170(Copley Scientific AGから入手可能)を用いて測定されることが好ましい。NGIは、七つのステージとマイクロオリフィスコレクター(MOC)を有する高性能で高精度な粒子分類カスケードインパクターである。NGIの特徴および動作原理は、例えば、Marple et al.,Journal of Aerosol Medicine-Volume 16,Number 3(2003)に記載されている。測定は、摂氏20±3度、および35±5パーセントの相対湿度で実施されることがより好ましい。
【0082】
乾燥粉末製剤は、典型的には、約15重量パーセント以下の水分、好ましくは、約10重量パーセント以下の水分、なおより好ましくは、約6重量パーセント以下の水分を含有する。乾燥粉末製剤は、約5重量パーセント以下の水分、または約3重量パーセント以下の水分、または約1重量パーセント以下の水分を含有することが最も好ましい。
【0083】
パーセンテージとして報告された全ての値は、総重量に基づく重量パーセントであると推定される。
【0084】
本明細書で使用されている全ての科学的用語および技術的用語は、別途指定のない限り、当該技術分野で一般的に使用されている意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0085】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0086】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で採用されているが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくは全て、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0087】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは、その制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る」、「から成る」、およびこれに類するものは、「含む、備える」およびこれに類するものに包摂される。
【0088】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0089】
ここで使用される「実質的に」という用語は、「著しく」と同じ意味を有し、関連する用語を少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%修正すると理解されうる。ここで使用される「実質的に~ではない」という用語は、「著しく~ではない」と同じ意味を有し、および「実質的に」と逆の意味を有し、すなわち関連する用語を10%以下、5%以下、または2%以下修正すると理解されうる。
【0090】
本発明は特許請求の範囲で定義される。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴の任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0091】
実施例1
粉末組成物は、アナタビン化合物を含む複数の粒子を含む。
実施例2
粉末組成物は、アナタビン化合物および糖を含む複数の粒子を含む。
実施例3
粉末組成物は、アナタビン化合物および接着力低減化合物を含む複数の粒子を含む。
実施例4
粉末組成物は、アナタビン化合物と糖と、接着力低減化合物とを含む複数の粒子を含む。
実施例5
粉末組成物は、アナタビン化合物を含む複数の粒子を含み、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル以下、または約10マイクロメートル以下、または約1~約4マイクロメートルの粒子サイズを有する。
実施例6
粉末組成物は、アナタビン化合物および糖を含む複数の粒子を含み、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル以下、または約10マイクロメートル以下、または約1~約4マイクロメートルの粒子サイズを有する。
実施例7
粉末組成物は、アナタビン化合物および接着力低減化合物を含む複数の粒子を含み、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル以下、または約10マイクロメートル以下、または約1~約4マイクロメートルの粒子サイズを有する。
実施例8
粉末組成物は、アナタビン化合物および糖および接着力低減化合物を含む複数の粒子を含み、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル以下、または約10マイクロメートル以下、または約1~約4マイクロメートルの粒子サイズを有する。
実施例9
粉末組成物は、アナタビン化合物を含む複数の粒子を含み、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートルの粒子サイズを有する。
実施例10
粉末組成物は、アナタビン化合物および糖を含む複数の粒子を含み、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートルの粒子サイズを有する。
実施例11
粉末組成物は、アナタビン化合物および接着力低減化合物を含む複数の粒子を含み、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートルの粒子サイズを有する。
実施例12
粉末組成物は、アナタビン化合物および糖および接着力低減化合物を含む複数の粒子を含み、この複数の粒子は、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートルの粒子サイズを有する。
実施例13
複数の粒子が、アナタビン化合物および非晶質糖を含む、実施例1~実施例12のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例14
複数の粒子が、アナタビン化合物、およびアミノ酸またはペプチドを含む、実施例1~実施例13のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例15
アナタビン化合物が、アナタビン塩を含む、実施例1~実施例14のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例16
アナタビン化合物が、アナタビングルタレートを含む、実施例1~実施例15のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例17
糖が、単糖類、二糖類、多糖類、またはそれらの混合物を含む、実施例1~実施例16のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例18
糖が、ラクトース、スクロース、ラフィノース、トレハロース、フルクトース、デキストロース、グルコース、マルトース、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、糖がトレハロースを含む、実施例17に記載の粉末組成物。
実施例19
複数の粒子が、アミノ酸を含む、実施例1~実施例18のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例20
複数の粒子が、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リジン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、ピロリジン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、またはその組み合わせを含み、好ましくは、アミノ酸がロイシンを含むことが好ましい、実施例19に記載の粉末組成物。
実施例21
複数の粒子が、トリロイシンを含む、実施例19に記載の粉末組成物。
実施例22
複数の粒子が、50~99重量%の糖、または70~90重量%の糖、または70~80重量%の糖、または80~90重量%の糖、または80~85重量%の糖を含む、実施例1~実施例21のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例23
複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビン化合物、または1~10重量%のアナタビン化合物、または10~20重量%のアナタビン化合物、または1~5重量%のアナタビン化合物、または5~15重量%のアナタビン化合物を含む、実施例1~実施例22のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例24
複数の粒子が、0.5~20重量%の接着力低減化合物、または1~15重量%の接着力低減化合物、または1~10重量%の接着力低減化合物を含む、実施例1~実施例23のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例25
複数の粒子が、0.5~20重量%のアミノ酸、または1~15重量%のアミノ酸、または1~10重量%のアミノ酸を含む、実施例1~実施例24のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例26
複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および0~20重量%のロイシンを含む、実施例1~実施例25のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例27
複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~20重量%のロイシンを含む、実施例1~実施例26のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例28
複数の粒子が、1~10重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~10重量%のロイシンを含む、実施例1~実施例27のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例29
粒子の90%、または95%、または95%、または98%が、5マイクロメートル以下、または4.5マイクロメートル以下、または4.2マイクロメートル以下のサイズを有し、粒子の50%が、2.5マイクロメートル以下、または2.1マイクロメートル以下のサイズを有する、実施例1~実施例28のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例30
複数の粒子の90%が4.5マイクロメートル以下の粒子サイズを有し、複数の粒子の50%が2.5マイクロメートル未満の粒子サイズを有する、実施例1~実施例29のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例31
20マイクロメートル以上の、または50マイクロメートル~200マイクロメートルの粒子サイズを有する第二の複数の粒子をさらに含む、実施例1~実施例30のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例32
第一の複数の粒子の第二の複数の粒子に対する重量比が、1:1~10:1、または2:1~6:1、または3:1~5:1、好ましくは4:1である、実施例31に記載の粉末組成物。
実施例33
第二の複数の粒子が風味を含み、この風味がメントールを含みうる、実施例31または実施例32に記載の粉末組成物。
実施例34
吸入可能粉末がカプセル内に含有される、実施例1~実施例33のいずれかに記載の粉末組成物。
実施例35
カプセルが、サイズ2~サイズ4、またはサイズ3のカプセルであってもよく、20mg~80mgの吸入可能粉末、または40mg~60mgの吸入可能粉末、または50mgの吸入可能粉末を含有しうる、実施例34に記載の粉末組成物。
実施例36
液体担体中でアナタビン化合物を組み合わせて液体混合物を形成し、この液体混合物を噴霧乾燥して複数の粒子を形成することを含む、粉末組成物を形成する方法。
実施例37
液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、この液体混合物を噴霧乾燥して複数の粒子を形成することを含む、粉末組成物を形成する方法。
実施例38
液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、この液体混合物を噴霧乾燥して第一のサイズを有する複数の粒子を形成し、次に第一のサイズを有する複数の粒子をより小さいサイズへと微粒子化することを含む、粉末組成物を形成する方法。
実施例39
液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、この液体混合物を噴霧乾燥して、空気動力学的中央粒子径として測定される、約20マイクロメートル以下~、または約10マイクロメートル以下~、または約1~約4マイクロメートルの範囲のサイズを有する複数の粒子を形成することを含む、粉末組成物を形成する方法。
実施例40
液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、この液体混合物を噴霧乾燥して、空気動力学的中央粒子径として測定される、約20マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約50~約150マイクロメートルの範囲のサイズを有する複数の粒子を形成することを含む、粉末組成物を形成する方法。
実施例41
液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、この液体混合物を噴霧乾燥して第一のサイズを有する複数の粒子を形成し、次に第一のサイズを有する複数の粒子を、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル以下~、または約10マイクロメートル以下~、または約1~約4マイクロメートルの範囲のより小さいサイズへと微粒子化することを含む、粉末組成物を形成する方法。
実施例42
液体担体中でアナタビン化合物と糖とを組み合わせて液体混合物を形成し、この液体混合物を噴霧乾燥して第一のサイズを有する複数の粒子を形成し、次に第一のサイズを有する複数の粒子を、空気動力学的中央粒子径として測定される約20マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約50~約150マイクロメートルの範囲のより小さいサイズへと微粒子化することを含む、粉末組成物を形成する方法。
実施例43
複数の粒子が、アナタビン化合物、および接着力低減化合物を含む、実施例36~実施例42のうちの一つに記載の方法。
実施例44
複数の粒子が、アナタビン化合物、およびアミノ酸またはペプチドを含む、実施例36~実施例42のうちの一つに記載の方法。
実施例45
アナタビン化合物が、アナタビン塩を含む、実施例36~実施例44のうちの一つに記載の方法。
実施例46
アナタビン化合物が、アナタビングルタレートを含む、実施例36~実施例45のうちの一つに記載の方法。
実施例47
糖が、非晶質糖を含む、実施例36~実施例46のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例48
糖が、単糖類、二糖類、多糖類、またはそれらの混合物を含む、実施例36~実施例47のうちの一つ以上に記載の方法。
実施例49
糖が、ラクトース、スクロース、ラフィノース、トレハロース、フルクトース、デキストロース、グルコース、マルトース、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、糖がトレハロースを含む、実施例36~実施例48の一つ以上に記載の方法。
実施例50
複数の粒子が、アミノ酸を含む、実施例36~実施例49のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例51
複数の粒子が、ヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リジン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、ピロリジン、プロリン、セレノシステイン、セリン、チロシン、またはその組み合わせを含み、好ましくは、アミノ酸がロイシンを含むことが好ましい、実施例50に記載の方法。
実施例52
複数の粒子が、トリロイシンを含む、実施例44に記載の方法。
実施例53
複数の粒子が、50~99重量%の糖、または70~90重量%の糖、または70~80重量%の糖、または80~90重量%の糖、または80~85重量%の糖を含む、実施例36~実施例52のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例54
複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビン化合物、または1~10重量%のアナタビン化合物、または10~20重量%のアナタビン化合物、または1~5重量%のアナタビン化合物、または5~15重量%のアナタビン化合物を含む、実施例36~実施例53のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例55
複数の粒子が、0.5~20重量%のアミノ酸、または1~15重量%のアミノ酸、または1~10重量%のアミノ酸を含む、実施例36~実施例54のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例56
複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および0~20重量%のロイシンを含む、実施例36~実施例55のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例57
複数の粒子が、0.5~20重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~20重量%のロイシンを含む、実施例36~実施例56のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例58
複数の粒子が、1~10重量%のアナタビングルタレート、70~90重量%の糖、および1~10重量%のロイシンを含む、実施例36~実施例57のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例59
粒子の90%、または95%、または95%、または98%が、5マイクロメートル以下、または4.5マイクロメートル以下、または4.2マイクロメートル以下のサイズを有し、粒子の50%が、2.5マイクロメートル以下、または2.1マイクロメートル以下のサイズを有する、実施例36~実施例58のいずれか一つに記載の方法。
実施例60
複数の粒子の90%が4.5マイクロメートル以下の粒子サイズを有し、複数の粒子の50%が2.5マイクロメートル未満の粒子サイズを有する、実施例36~実施例59のいずれか一つ以上に記載の方法。
実施例61
アナタビン化合物が、8.0±0.2°2θ、11.0±0.2°2θ、13.3±0.2°2θ、16.5±0.2°2θ、18.0±0.2°2θ、20.7±0.2°2θ、21.0±0.2°2θ、21.4±0.2°2θ、22.0±0.2°2θ、22.3±0.2°2θ、23.3±0.2°2θおよび24.5±0.2°2θから選択された一つ以上のピークを含む、X線粉末回折パターン(CuKα)を有する多形体を含む、実施例1~実施例60の一つ以上に記載の粉末組成物または方法。
実施例62
アナタビン化合物が、7.960±0.2°2θ、10.907±0.2°2θ、13.291±0.2°2θ、14.413±0.2°2θ、15.239±0.2°2θ、16.479±0.2°2θ、17.933±0.2°2θ、20.610±0.2°2θ、20.977±0.2°2θ、21.318±0.2°2θ、21.927±0.2°2θ、22.203±0.2°2θ、22.792±0.2°2θ、23.246±0.2°2θ、24.426±0.2°2θ、および24.769±0.2°2θから選択された一つ以上のピークを含む、X線粉末回折パターン(CuKα)を有する多形体を含む、実施例1~実施例60の一つ以上に記載の粉末組成物または方法。
【0092】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】
図1は、アナタビングルテレート(gluterate)の好ましい多形のX線粉末回折パターン(CuKα)である。
【0094】
概略図は図示の目的で提示されていて、限定するものではない。
【0095】
アナタビングルタレートの調製
アナタビン遊離塩基を、以下の方法によって1:1のアナタビングルタレートに変換した:
a)アセトニトリル(500mL)中のグルタル酸(16.5g、125mmol、1.00当量)の溶液に、アナタビン(20.0g、125mmol、1.00当量)を25°Cで滴下し、混合物を25°Cで1時間攪拌した。TLC(ジクロロメタン:メタノール=20:1)は、アナタビン(Rf=0.5)が消費されたことを示した。混合物を濾過した。濾過ケーキを回収し、濃縮乾燥して、アナタビングルタレート(30.0g、103mmol、収率82.2%、純度100%)をオフホワイトの固体として得た。
b)アセトニトリル(700ml)中のアナタビン(11.6g、72mmol)の溶液に、グルタル酸(9.6g、72mmol)を添加した。反応混合物は濁った。次いで、反応混合物を、透明な黄色溶液が得られるまで加熱した。混合物を室温(20°C)まで冷却し、2時間攪拌した。グミのような固体が現れ、それをスパチュラで引っ掻いた。混合物をさらに30分間攪拌し、得られた淡黄色固体を、アルゴン雰囲気下で濾過し、アセトニトリル(500ml)で洗浄し、45°Cで45分間減圧下で乾燥させて、淡黄色固体としてアナタビングルタレート(18.3g、87%)を得た。
【0096】
1HNMR(D2O)、δ:8.84-8.45(m、2H)、7.99(d、J=7.8Hz、1H)、7.59-7.55(m、1H)、6.08(d、J=8.4Hz、1H)、5.85(d、J=10.4Hz、1H)、4.63-4.59(m、1H)、3.97-3.87(m、1H)、3.81-3.70(m、1H)、2.80-2.53(m、2H)、2.25(t、J=7.6Hz、4H)、1.82-1.74(m、2H)。アナタビングルタレートの化学的純度を、PDA検出器およびSQD質量分析計を備えたWaters Acquity UPLC H-class、カラムBEH C18、2.1x50mm、1.7μMを使用し、261nMで検出するグラジエントを実行して評価した。アナタビングルタレートの保持時間は、1.125分、純度99.41%、[M+H]+161.0であった。アナタビングルタレートおよびアナタビン遊離塩基のFTIRスペクトルの比較は、塩形成の確認を示唆するN-Hバンドの変化を示す。
【0097】
このようにして得られたアナタビングルタレートを、加熱還流した後、冷却しながら2.5mLのアクトニトリルから再結晶させた。固相を回収し、乾燥させた。
【0098】
アナタビングルタレート塩を、ゼロバックグラウンドのシリコンウエハ(9mmのくぼみを有する)を使用して、2~40°2θの間でX線粉末回折(XRPD)により分析した。これは、uHPLCにより99%よりも高い純度を有することが見出された。
図1は、アナタビングルテレート(gluterate)の好ましい多形のX線粉末回折パターン(CuKα)である。
【実施例】
【0099】
アナタビン粉末組成物の調製
アナタビングルタレートは固体塩である。噴霧乾燥中のこのような固体塩の使用は、損失を制限し、得られた粉末を安定化させ、かつ高有効含量のアナタビングルタレートを有する粉末の製造を可能にする。
【0100】
噴霧乾燥されたアナタビン粉末製剤の二つの異なるバッチが作製され、結果が以下に提供される。
【0101】
これらの噴霧乾燥された製剤の製造には、以下の原材料を使用した。
1)アナタビングルタレート固体塩;2%(有効)アナタビン(アナタビングルタレートの3.62%)製剤(すなわち、複数回吸入使用のため=>すなわち、1mgのアナタビンを送達するための50mgの粉末)、および10%(有効)アナタビン(18.17%のアナタビングルタレート)製剤(すなわち、1回のストレート吸入使用のため=>すなわち、1mgを送達するためのカプセルの10mgの粉末)を作製した。アナタビンとグルタル酸との化学量論比は1:1である。
2)L-ロイシン;その使用は粉末流動性に有益であるが、強制的ではない。ロイシンを含む/含まない(任意選択)アナタビン粉末製剤を製造することができる。10% w/w L-ロイシン。
3)トレハロース二水和物;賦形剤として使用される。86.35% w/wトレハロースまたは71.76% w/wトレハロース。
【0102】
噴霧乾燥フィード溶液を脱イオン(DI)水中で調製し、調製直後に噴霧乾燥させた。噴霧乾燥は、Buchi二流体ノズルと標準的なBuchiサイクロンとを備えたBuchiB-290噴霧乾燥機を使用して行った。フィード溶液は、処理中に光から保護された。全ての粉末を、低減された湿度(<30%RH)下で処理し、2~8°Cで密封されたガラス製の褐色の瓶に保存した。
【0103】
BuchiB-290噴霧乾燥機上での噴霧乾燥条件。アトマイゼーション圧力6バール。目標出口温度80°C。吸引器100%。フィード速度3g/分。
【0104】
R3レンズ(範囲0.5~175マイクロメートル)およびASPIROS分散ユニットを備えたSympatec HELOS粒子サイズ分析器を使用して、噴霧乾燥された粉末の粒子サイズ分析を実施した。分散は、1バールの圧力で圧縮空気を使用して達成された。測定は3回繰り返して行い、平均データが報告された。
【0105】
ブレンドと微粒子化。 6.500gの噴霧乾燥された製剤を、1.147gのロイシンと、36rpmで、タービュラミキサーを使用して5分間ブレンドした。得られたブレンド、85% w/wの噴霧乾燥された製剤および15% w/wのロイシンを、以下の条件下で、Atritor M3流体エネルギーミルを使用して微粒子化した。ベンチュリ圧力8.0バール。粉砕圧力3~4バール。フィード速度2.4g/分。
【0106】
二つの噴霧乾燥機フィード溶液を、以下の表1に従って調製した。トレハロースを、トレハロース二水和物として添加し、処理中の水和の水の喪失を、全ての計算で補正した。
【表1】
【表2】
【0107】
実施例1および実施例2の両方とも、約85%の処理収率で正常に噴霧乾燥した。実施例1および実施例2の噴霧乾燥された材料は両方とも、微細な、自由流動性の白色粉末として認識された。
【0108】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、全ての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字「A」はA±2%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、全ての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】