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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】光学素子の製造
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230703BHJP
   G03H 1/02 20060101ALI20230703BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20230703BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
G02B5/18
G03H1/02
G02B5/32
G02B3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575433
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021036244
(87)【国際公開番号】W WO2021252389
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/036,087
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シドルガタ・ブイ・スリーニヴァサン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・チェ
(72)【発明者】
【氏名】パース・パンディヤ
(72)【発明者】
【氏名】シュラワン・シンハル
【テーマコード(参考)】
2H249
2K008
【Fターム(参考)】
2H249AA13
2H249AA17
2H249AA37
2H249AA51
2H249AA62
2H249CA04
2H249CA05
2H249CA06
2H249CA15
2H249CA28
2K008FF17
2K008HH19
(57)【要約】
基板上のナノスケールパターンに幾何学的パラメータのカスタマイズした変化を導入するための方法。ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスが、ナノスケールパターンを有する基板の1つまたは複数の領域上で実施され、ここでナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスは、ナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化の関数である厚みプロファイルを有するプロファイリング膜を堆積するために使用される。方法は、プロファイリング膜の厚みプロファイルをナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化へと変換する、プロファイリング膜およびナノスケールパターンの材料のプラズマエッチングプロセスを実施するステップであって、カスタマイズした変化がプロファイリング膜の厚みプロファイルの関数である、ステップをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化を導入するための方法であって、
前記ナノスケールパターンを有する前記基板の1つまたは複数の領域上に、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスを実行するステップであって、前記ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスが、前記ナノスケールパターンにおける前記幾何学的パラメータの前記カスタマイズした変化の関数である厚みプロファイルを有するプロファイリング膜を堆積するために使用される、ステップと、
前記プロファイリング膜の前記厚みプロファイルを前記ナノスケールパターンにおける前記幾何学的パラメータの前記カスタマイズした変化へと変換する、前記プロファイリング膜および前記ナノスケールパターンの材料のプラズマエッチングプロセスを実行するステップであって、前記カスタマイズした変化が前記プロファイリング膜の前記厚みプロファイルの関数である、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ナノスケールパターンが、以下すなわち、1D回折格子、2D回折格子、マルチレベル格子、傾斜格子、表面レリーフ格子、ブラッグ格子、体積ホログラム、およびフォトニック結晶のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板が高屈折率導波路基板であり、前記方法が前記高屈折率導波路基板のパターン形成された側で実行され、前記ナノスケールパターンが回折光学素子を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記幾何学的パラメータが、以下すなわち、フィーチャの深さまたは高さ、フィーチャの横幅、および水平面に対する1つの寸法の角度のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カスタマイズした変化のうちの1つまたは複数の特性が、前記基板上の前記ナノスケールパターンの異なる領域では異なっている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスの前記実行および前記プラズマエッチングプロセスの前記実行が、前記基板上の前記ナノスケールパターンの複数の領域にわたって同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カスタマイズした変化が、前記ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスの前記実行および前記プラズマエッチングプロセスの前記実行の複数回の繰返しで達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記カスタマイズした変化を有する前記ナノスケールパターンの平均表面粗さが、前記カスタマイズした変化を有しない前記ナノスケールパターンの平均表面粗さとほぼ等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プロファイリング膜と前記ナノスケールパターン材料のエッチング速度の比率がほぼ一致する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プロファイリング膜と前記ナノスケールパターン材料のエッチング速度の比率が0.05と20の間で調整可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
カスタマイズした空間的変化が、以下すなわち、インクジェット、上板ありの示差加熱、および上板なしの示差加熱のうちの1つまたは複数を使用して前記プロファイリング膜中で達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プロファイリング膜が、前記ナノスケールパターンとほぼ一致する光学特性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
導波路基板中の1つまたは複数の収差を補正するための方法であって、
前記導波路基板中の前記1つまたは複数の収差を補正するために、前記導波路基板のパターン形成していない部分上にカスタマイズした変化を用いてプロファイリング膜を堆積することによって、前記導波路基板の前記パターン形成していない部分上で、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスを実行するステップ
を含む、方法。
【請求項14】
前記プロファイリング膜の下にある材料に所望のプロファイルを転写するため、前記プロファイリング膜のプラズマエッチングを実行するステップ
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記導波路基板の前記パターン形成していない部分が、回折光学素子を含まない前記導波路基板の表面上にある、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記導波路基板の前記パターン形成していない部分がナノスケールテクスチャを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数の収差が、以下すなわち、基板総合厚み変化(TTV)誤差および膜の堆積のうちの1つまたは複数からもたらされる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
基板上のナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化を導入するための装置であって、
プロファイリングモジュールを備え、前記プロファイリングモジュールが、前記基板上の前記ナノスケールパターンにおける前記幾何学的パラメータの前記カスタマイズした変化の関数である厚みプロファイルで、基板上にプロファイリング膜を堆積するためのインクジェットを有し、前記プロファイリング膜の前記厚みプロファイルを前記基板上の前記ナノスケールパターンにおける前記幾何学的パラメータの前記カスタマイズした変化へと変換するプラズマエッチングプロセスが、前記プロファイリング膜および前記ナノスケールパターンの材料上で行われ、前記カスタマイズした変化が前記プロファイリング膜の前記厚みプロファイルの関数である、装置。
【請求項19】
前記基板が導波路基板を備え、前記基板が前記基板上の前記ナノスケールパターンにおける前記幾何学的パラメータの前記カスタマイズした変化を有する光学素子を有する領域を有する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
以下すなわち、導波路上のナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入すること、基板平坦度または総合厚み変化誤差の補正、および画像歪みまたは光学収差の補正、のうちの1つまたは複数について、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングを使用して製造された導波路
を備える、XRデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年6月8日に出願し、「Fabrication of Optical Elements」という題名の米国仮特許出願第63/036,087号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般的に光学製造に関し、より具体的には、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスを使用して基板上に光学素子を製造することに関する。
【背景技術】
【0003】
光学製造は、レンズ、プリズム、鏡、マイクロレンズ、屈折率分布型レンズ、回折光学素子、および導波路などといった光学構成要素の製造を含む。レンズ、プリズム、および鏡などといった光学構成要素を光学工場で製造するとき、切断、研削、粗研磨、および研磨などといった様々なプロセスを、高い品質を有する光学面を最終的に作成するために適用することができる。
【0004】
しかし、マイクロレンズ、屈折率分布型レンズ、回折光学素子、および導波路などといったより特殊な光学構成要素については、より複雑な製造技法が利用される。そのような複雑な製造技法の例としては、磁性流体仕上げ、可変工具を使用する研磨、コンピュータ制御した研磨などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念ながら、そのような現在使用される光学製造技法では、処理精度が低い。たとえば、紫外線照射を利用する従来型光学製造では、光は、光の焦点だけでなく、光で照射される部分で吸収され、そこで硬化反応が生じる。結果として、処理精度が低い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態では、基板上のナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化を導入するための方法が、ナノスケールパターンを有する基板の1つまたは複数の領域上に、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスを実施するステップであって、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスが、ナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化の関数である厚みプロファイルを有するプロファイリング膜を堆積するために使用される、ステップを含む。方法は、プロファイリング膜の厚みプロファイルをナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化へと変換する、プロファイリング膜およびナノスケールパターンの材料のプラズマエッチングプロセスを実施するステップであって、カスタマイズした変化がプロファイリング膜の厚みプロファイルの関数である、ステップをさらに含む。
【0007】
本発明の別の実施形態では、導波路基板中の1つまたは複数の収差を補正するための方法が、導波路基板中の1つまたは複数の収差を補正するために、導波路基板のパターン形成していない部分上にカスタマイズした変化を有するプロファイリング膜を堆積することによって、導波路基板のパターン形成していない部分上で、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングプロセスを実施するステップを含む。
【0008】
さらに、本発明の一実施形態では、基板上のナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化を導入するための装置がプロファイリングモジュールを備え、プロファイリングモジュールが、基板上のナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化の関数である厚みプロファイルで、基板上にプロファイリング膜を堆積するためのインクジェットを有し、プロファイリング膜の厚みプロファイルを基板上のナノスケールパターンにおける幾何学的パラメータのカスタマイズした変化へと変換する、プラズマエッチングプロセスがプロファイリング膜およびナノスケールパターンの材料上に実施され、カスタマイズした変化がプロファイリング膜の厚みプロファイルの関数である。
【0009】
加えて、本発明の一実施形態では、XRデバイスが、以下すなわち、導波路上のナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入すること、基板平坦度または総合厚み変化誤差の補正、および画像歪みまたは光学収差の補正のうちの1つまたは複数について、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリングを使用して製造された導波路を備える。
【0010】
以下の本発明の詳細な説明がより良好に理解できるように、上記では、本発明の1つまたは複数の実施形態の特徴および技術的利点が多少概略的に概説されている。本発明の請求項の主題を形成することができる本発明のさらなる特徴および利点が以降で記載される。
【0011】
本発明のより良好な理解は、以下の詳細な説明が以下の図面と一緒に考えられたときに得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に従った、nP3装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態に従った、nP3装置中のプロファイリングサブシステムの概略図である。
図3】本発明の実施形態に従った、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリング(nP3)プロセスを使用する平坦な基板上に要素を製造するための方法のフローチャートである。
図4A】本発明の実施形態に従い、図1に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4B】本発明の実施形態に従い、図1に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4C】本発明の実施形態に従い、図1に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4D】本発明の実施形態に従い、図1に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4E】本発明の実施形態に従い、図1に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4F】本発明の実施形態に従い、図1に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4G】本発明の実施形態に従い、図1に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4H】本発明の実施形態に従い、図1に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図5】本発明の実施形態に従った、上板(superstrate)と一緒にナノスケール精度プログラム可能プロファイリング(nP3)プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための方法のフローチャートである。
図6A】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6B】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6C】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6D】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6E】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6F】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6G】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6H】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図7】本発明の実施形態に従った、内向きに結合する回折光学素子(DOE)および外向きに結合するDOEとしてのナノスケールパターン領域を示す導波路基板を描く図である。
図8】本発明の実施形態に従って、ナノスケールパターン領域がそれらの幾何学的パラメータ中でカスタマイズした変化をもって示されている、内向きに結合するDOEおよび外向きに結合するDOEとしてのナノスケールパターン領域を示す導波路基板を描く図である。
図9】本発明の実施形態に従った、同じ基板上に複数のナノスケールパターン領域を有する図である。
図10】本発明の実施形態に従った、収差を補正するため導波路基板のパターン形成していない部分上にnP3プロセスを使用する様を図示する図である。
図11】本発明の実施形態に従った、プロファイリング材料とナノスケールパターン材料についてほぼ同じエッチング速度を使用する、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ中にカスタマイズした変化を導入するための方法を図示する図である。
図12A】本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図12B】本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図12C】本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図12D】本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図13】本発明の実施形態に従った、プロファイリング材料とナノスケールパターン材料について異なるエッチング速度を使用する、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ中にカスタマイズした変化を導入するための方法を図示する図である。
図14A】本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図14B】本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図14C】本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図14D】本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
背景技術の欄で言及したように、現在使用される光学製造技法における処理精度は低い。たとえば、紫外線照射を利用する従来型光学製造では、光は、光の焦点だけでなく、光で照射される部分で吸収され、そこで硬化反応が生じる。結果として、処理精度が低い。
【0014】
本発明の原理によって、「ナノスケール精度プログラム可能プロファイリング(nP3)」と本明細書で呼ばれるプロセスを利用することによって、光学素子を製造することにおける処理精度を改善するための手段が提供される。nP3プロセスは、拡張および複合現実用途の導波路、1つまたは複数の変化する幾何学特性(たとえば、深さ)を有する回折光学素子などといった、光学素子を製造する状況で使用することができる。1つの実施形態では、そのような回折光学素子は導波路の部分であり、プロジェクタからの光を内向きに結合すること、瞳の拡大、または目へと外向きに結合することのために使用することができる。一般的に、nP3プロセスは、存在するナノスケールパターンの幾何学的パラメータに所望のカスタマイズした変化を導入するために適用することができる。nP3プロセスに関する議論は、その全体が本明細書に参照によって両方が組み込まれる、2014年8月18日に出願された「Programmable Deposition of Thin Films of a User-Defined Profile with Nanometer Scale Accuracy」という題名の国際出願第PCT/US14/51526号および2021年2月25日に出願された「Nanoscale Thin Film Deposition Systems」という題名の国際出願第PCT/US21/19732号に記載される。
【0015】
本プロセスの一実施形態では、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリング(nP3)プロセスが平坦な基板上で実行される。これらの平坦な基板は、ナノスケールパターンを有する1つまたは複数の領域を含むことができ、そのようなナノスケールパターンは、1つの領域と別のものとの間で同様であってよく、またはかなり異なってよい。1つの実施形態では、平坦な基板は、仮想、拡張、または複合現実(集合的に、XR)用途で使用される導波路基板を表す。1つの実施形態では、ナノスケールパターンを有する領域は、導波路光結合目的で使用される回折光学素子を表し、回折光学素子は、プロジェクタからの光を内向きに結合すること、瞳の拡大、または目への光を外向きに結合することのために使用することができる。nP3プロセスによって、プロファイリング膜をナノスケールパターンで1つまたは複数の領域上に堆積することが可能になり、その結果、プロファイリング膜は所望のカスタマイズした厚み変化を有する。1つの実施形態では、プロファイリング膜は、ナノスケールパターンとほぼ一致する光学特性を有する。1つの実施形態では、プロファイリング材料は、UV硬化可能高分子レジスト(たとえば、Microresist Technologies製のmrUVcur26SF)である。この厚み変化は、ナノスケールパターンの1つまたは複数の幾何学的パラメータにおける所望のカスタマイズした変化の関数であり、そのような幾何学的パラメータとしては、限定しないが、パターン中のフィーチャの高さ、パターン中のフィーチャの幅、およびパターン中のフィーチャの角度が挙げられる。幾何学的パラメータにおける所望のカスタマイズした変化は、ナノスケールパターンを有する基板の異なる領域間で異なる場合がある。たとえば、第1の領域が第2の領域と比較して異なる高さプロファイルを必要とする場合がある一方で、第3の領域は、第1の領域と同じ変化を有するが異なる方位を有する場合がある。ナノスケールパターンの1つまたは複数の幾何学的パラメータにおけるそのようなカスタマイズした変化の目的は、導波路に所望の機能特性または光学特性をレンダリングすることである。1つの実施形態では、この特性は、外向きに結合する光学素子または瞳拡大光学素子にわたって、ほぼ均一な結合強度を維持することを含む。さらに、1つの実施形態ではナノスケールパターンが基板上に存在する一方で、別の実施形態では、ナノスケールパターンは、機能性膜(たとえば、Nippon Telegraph and Telephone-Advanced Technology製の材料#18165などといった高屈折率高分子材料)など、基板上の別の材料上に形成される。本明細書で使用する、ナノスケールパターン材料とは、ナノスケールパターンを形成するために使用される基板または基板の上の異なる材料のいずれかのことを呼ぶ。次いで、厚みプロファイルがプラズマエッチングプロセスを介してナノスケールパターン材料に転写され、その結果、基板上のナノスケールパターンにおける1つまたは複数の幾何学的パラメータに、所望のカスタマイズした変化が導入される。1つの実施形態では、プロファイリングステップまたはプラズマエッチングステップのいずれかの複数回の繰返しを使用して、カスタマイズした変化が導入される。平坦な基板上のnP3プロセスの実施形態が下で記載される。
【0016】
ここで、図を詳細に参照すると、図1は、本発明の実施形態に従った、nP3装置100の概略図である。
【0017】
nP3装置100は、2つの主なサブシステム、すなわちプロファイリングサブシステム101および計測サブシステム102からなる。プロファイリングサブシステムは、巻戻しおよび巻返しローラ、インターリーフおよびデインターリーフ用ローラ、駆動ローラ、張力制御用ニップローラ、および平坦なゾーンを確保するための精密ローラからなるウェブ処理モジュールを含む。サイドレイが、横方向の誤差なく、ウェブが互いの上に巻かれることを確かにする(テレスコーピング)。位置合わせステージ上のインクジェットプリントヘッドが、プロファイリング材料の小滴を吐出する。UVランプおよびUV透過性(UVT)チャックを使用して、プロファイリング材料を硬化し、気圧誘起湾曲を作り出す一方で上板を定位置に保持して、プロファイリング材料の小滴を広げる。示されるように、音声コイルモータ駆動のたわみ担持ステージが、上板の下に基板チャックを保持して、直線型水平ステージ103上に取り付けられる。計測サブシステムは、基板の真上に取り付けられる、表面トポグラフィ測定用センサ(シャックハルトマンセンサ、光学式プロフィルメータ、干渉計、反射率計、または分光光度計)を含む。自動化望遠システムを通し基板を通して透過するようにレーザ光線が案内され、センサ上に入射する。ある範囲の球面屈折力を有する曲がった基板を処理するときに、望遠システムが必要である。レーザ光線位置合わせシステムは、水平のレーザ光線を、基板を通して上向きに垂直に向ける転換鏡を含む。1つの実施形態では、nP3装置100は、別のコンピュータと局所的に、または、離れて配置される別のデータセンタ/ワークステーション(たとえば、クラウドベースデータセンタ、クラウドベースワークステーション)とデータの送信および交換を可能にする通信モジュールをやはり有する。このデータは、計測データ、工具センサデータ、パターンデータなどを含むことができる。
【0018】
図1を再び参照して、nP3装置100は、グラニット基部および支持テーブル104をさらに含む。
【0019】
ここで、図2を参照すると、図2は、本発明の実施形態に従った、nP3装置100中のプロファイリングサブシステム200の概略図である。
【0020】
図2に示されるように、プロファイリングサブシステム200は、電動インターリーフ/デインターリーフ用ローラ201、ニップローラ213、サイドレイモジュール202、精密アイドラ203、UV透過性真空チャック119、垂直、チップ、およびチルト動作用音声コイルモータ(VCM)駆動ステージ204、電動供給巻取りローラ205、駆動ローラ206、硬化モジュール207、固定インクジェットプリントヘッド208、プロファイリング材料209、剛体基板210、真空ピンチャック211、ならびに大移動ステージ212を含む。1つの実施形態では、剛体基板210は、公称で平坦または公称で非平坦(たとえば、球面、非球面)のいずれかである。本明細書で使用する「剛体」基板とは、固定形状および形を有するもののことを呼ぶ。本明細書で使用する「公称で平坦」とは、明らかに接触する区域を有する面が非常に大きく、その結果、個々の接点が分散され、隣接する点を通して働く力が互いに影響を及ぼさないことを呼ぶ。本明細書で使用する「公称で非平坦」とは、公称で平坦でない面のことを呼ぶ。
【0021】
図2に図示されるように、インクジェットプリントヘッド208は、大移動方向212に関して固定される。
【0022】
さらに、図2は、除去および再塗布期間の、ウェブ経路とその後の上板およびインターリーフ膜を示す。図2では、ニップおよび駆動ローラ組立体(213および206参照)を通して、張力制御が達成される。1つの実施形態では、摩擦を改善し、モータ能力によって制限されるより高い張力を可能にするポリウレタンローラが使用されて、駆動ローラ206上に垂直の圧力を加える。1つの実施形態では、ニップローラ213が駆動ローラ206に対して軸方向に平行であることが確保される。プロファイリングゾーンの真上にUVランプが置かれる。UV透過性チャック119は、上板とUVランプの間に位置決めされる。精密アイドラ203は、それが上板を平坦にして面外誤差および面内剪断誤差を最小にするのを確実にする様が示される。音声コイルモータステージ204は、水平XYステージに対して取り付けられる。基板は、ジェットステーションからプロファイリングステーション、次いで計測ステーションへとXYステージを使用して移動される。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に従った、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリング(nP3)プロセスを使用する平坦な基板上に要素を製造するための方法300のフローチャートである。図4A図4Hは、本発明の実施形態に従い、図3に記載されたステップを使用して平坦な基板上に要素を製造するための断面図を描く。
【0024】
図4A図4Hと一緒に図3を参照して、図4Aに示されるように、ステップ301において、プロファイリング材料401がインクジェット403を使用して基板402上に吐出される。1つの実施形態では、プロファイリング材料吐出位置は、以下の位置、すなわちローカルコンピュータ、リモートコンピュータ、およびクラウドベースコンピュータのうちの1つで走るアルゴリズムを使用して決定される。
【0025】
ステップ302において、上板404が紫外線透過性(UVT)チャック405の下方に位置決めされ、張力が図4Bに示されるように調整される。
【0026】
ステップ303において、図4Cに示されるように、上板404がUVTチャック405を使用してチャックされる。さらにステップ303において、図4Cに示されるように、接触(上板404と基板402間の接触)を始めるために空気圧が加えられる。
【0027】
ステップ304において、図4Dに示されるように、すべての小滴が一体化するまで空気圧が徐々に増やされる。
【0028】
ステップ305において、図4Eおよび図4Fに示されるように、連続膜407を形成するために、エアバーでの圧力がUV(紫外線)の閃光406とともに連続して加えられる。
【0029】
ステップ306において、基板402は、図4Fに示されるように、垂直チャック動作(VCM)ステージ408を使用して上板404から分離される。
【0030】
ステップ307において、基板402およびVCMステージ408は、図4Gに示されるように、xステージ410を使用して計測ステーション409へと動かされる。
【0031】
ステップ308において、xyステージは、図4Hに示されるように、(最終的な基板プロファイルに対応して)レーザ光線411を介して基板402上のすべての点で光学測定を実施するようにスキャンされる。
【0032】
図4A図4Hに関連して、方法300のより詳細な記載が下で提供される。
【0033】
図3および図4A図4Hを参照して、nP3を使用して平坦な基板402上に光学素子を製造するプロセス期間に、小滴パターン401が生成され、大きい区域にわたって、平坦な基板402上に吐出される。1つの実施形態では、基板402は、既存のナノスケールのフィーチャまたはパターンを有することができ、そのようなナノスケールのフィーチャは、回折効果を引き起こすために電磁放射と相互作用できるため光学素子または回折光学素子に対応することができる。インクジェット小滴または小滴パターン401は、基板402上に既存のフィーチャおよび、フィーチャの1つまたは複数の幾何学的パラメータのカスタマイズした空間的変化に基づいた、所望の膜厚プロファイルが存在する下で、広がること、一体化すること、および満たすことを考慮して生成される。これは、ジェットサイクルと同期した基板402のXY動作を通して達成される。1つの実施形態では、基板402は、次いで、紫外線(UV)ランプおよびUV透過性(UVT)チャック405の下方でプロファイリングゾーンに移動される。
【0034】
1つの実施形態では、上板404は、UVTチャック405の下方に位置決めされ、上板404の張力は、最終的な面プロファイルが必要とする所望のレベルに調整される。上板404は、テクスチャを付けたまたはパターンを付けたロールであってよく、テクスチャまたはパターンの横方向空間長のスケールは、所望のプロファイルの横方向空間長のスケールより少なくとも1桁低い。1つの実施形態では、UVTチャック405が使用され、次いで所定の場所に上板404を保持する。基板402がチャック上に取り付けられる音声コイルモータ駆動ステージが、水平XYステージの助けをかりて、プロファイリングゾーンに運ばれる。垂直チャック動作(VCM)ステージ408の垂直チップチルト動作によって、上板404と基板402の適切な位置合わせおよび間隙制御が可能になる。小滴が一体化して連続膜407を形成するのが可能になる、上板ウェブの湾曲を作り出すために、空洞中の空気圧が増やされる。このことによって、閉じ込められる空気の泡を低減することが可能になる。1つの実施形態では、UVTチャック405上に取り付けられるカメラを使用して、泡の閉じ込めを観察する。画像処理を使用して、泡が識別され、標的の位置の上板404に自動的に空気が送り込まれ、小滴401をそこで広げて、泡を確実に低減する。毛細管力が所望のトポグラフィを作り出すのに必要な指定された長さの時間の後で、プロファイリング材料がUV硬化される。1つの実施形態では、VCMステージ408を使用して、その垂直の動作を通して、上板404から基板402を分離する。
【0035】
1つの実施形態では、基板402ならびにVCMステージ408が計測ステーション409に運ばれる。1つの実施形態では、VCMステージ408は、測定点で、プロフィルメータ、シャックハルトマン波面センサ、干渉計、反射率計などといった光学式計測機器の光軸に向けて基板402を位置合わせするのを助ける。1つの実施形態では、所望の厚みプロファイルを得るための機械の命令(たとえば、小滴パターン)が、自動化されたアルゴリズムを使用して決定される。
【0036】
nP3プロセスで、プログラム可能な膜のためインクジェットを使用する代わりに、代替実施形態では、スピンコーティング、スロットダイコーティング、浸漬コーティングなどといった技法を使用して基板上に堆積されるほぼ均一なプロファイリング膜を使用することが含まれる。均一な膜は、基板上の既存のフィーチャを満たすとともに、カスタマイズしたプロファイルが得られた後に存在する必要がある最も厚い厚みとほぼ一致するのに十分な厚さである。この場合、カスタマイズしたプロファイルは、所望の波長(たとえば、3.3マイクロメートル)で輻射を放出するランプに接続される1つまたは複数の空間光変調器(たとえば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)配列)などといったデバイスを使用して、プロファイリング膜を示差加熱することによって得られ、ここで、プロファイリング材料(たとえば、メチルメタクリレート)または基板は、基板チャック上にマイクロヒータの配列などを吸着する。1つの実施形態では、示差加熱によって、以下のメカニズム、すなわち、熱勾配、表面張力勾配に起因するマランゴニ流、蒸発、または組成勾配のうちの1つまたは複数を通して、コーティングした膜に流れを引き起こすことができる。1つの実施形態では、膜の流れのモデルを使用して、空間的時間的示差加熱特性を決定することができ、その結果、流れの過渡事象によって、所望の膜厚プロファイルが与えられる。次いで膜は、過渡状態を「凍結する」ために架橋される。この代替実施形態は、蒸発を制御する必要またはコーティングした膜の流れに対して追加の制御ノブを加える必要に基づいて、上板ありまたは上板なしで使用することができる。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に従った、上板と一緒にナノスケール精度プログラム可能プロファイリング(nP3)プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための方法500のフローチャートである。図6A図6Hは、本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図を描く。
【0038】
図6A図6Hと一緒に図5を参照して、図6Aに示されるように、ステップ501において、プロファイリング材料601がインクジェット603を使用して基板602上に吐出される。1つの実施形態では、プロファイリング材料吐出位置は、以下の位置、すなわちローカルコンピュータ、リモートコンピュータ、およびクラウドベースコンピュータのうちの1つで走るアルゴリズムを使用して決定される。
【0039】
ステップ502において、図6Bに示されるように、上板604が紫外線透過性(UVT)チャック605の下方に位置決めされる。
【0040】
ステップ503において、図6Cに示されるように、上板604がプロファイリング材料601と接触し始め、それによって、プロファイリング材料601が広がる。
【0041】
ステップ504において、図6Dに示されるように、上板604がプロファイリング材料601と接触し続け、それによって、厚み変化(厚みプロファイル)を有する連続膜606を形成する。
【0042】
オプションのステップ505において、図6Eに示されるように、連続膜606の厚みプロファイルは、可能な場合に、示差加熱607を使用してさらに調整される。
【0043】
ステップ506において、図6Fに示されるように、連続膜606は、連続膜606を紫外線(UV)光608に露光させることによって硬化され、それによって、硬化した連続膜609を形成する。
【0044】
ステップ507において、図6Gに示されるように、上板604は基板602から分離される。
【0045】
ステップ508において、図6Hに示されるように、計測ステーション611からのレーザ光線610を介して、基板602上のすべての点で光学測定が実施される。
【0046】
代替実施形態では、単純に、上で議論したステップ501および505~508を実施することによって、上板を使用することなく、nP3プロセスを使用して平坦な基板上に光学素子を製造することができる。そのような実施形態では、基板上にプロファイリング材料を吐出した後、プロファイリング材料の厚みプロファイルは、示差加熱を使用して調整される。
【0047】
1つの実施形態では、nP3プロセスは、下で議論されるような精密光学系での用途に利用することができる。
【0048】
精密光学素子は、種々多様な用途の鏡およびレンズを含む。用途に応じて、そのような要素は、異なる基板材料から製造する必要がある場合があり、平坦、自由形状、または公称で湾曲のいずれかであってよい。nP3プロセスは、所望のトポグラフィと一致するように基板上の既存のトポグラフィを補正するために使用することができ、または、開始基板から完全に異なるプロファイルを生成するために使用することができる。いくつかの用途では、nP3プロセスは、基板上に残される機能性膜を堆積する。たとえば、光学用途では、機能性材料は、基板のものと一致する屈折率を有する膜であってよい。たとえば、高屈折率の導波路基板(たとえば、Schott Realview)上に、高屈折率の高分子レジスト(たとえば、Nippon Telegraph and Telephone-Advanced Technology製の#18165)を使用することができる。1つの実施形態では、nP3プロセスは、高屈折率の導波路基板のパターン形成した側で実行される。いくつかの用途では、nP3プロセスは、犠牲膜(たとえば、Microresist Technologies製のmrUVcur26SF)を堆積する。これは、次いで、エッチングステップを使用して、膜のプロファイルを基板に、または、下にあるナノスケールパターン材料に転写するために使用することができる。これらの用途には、たとえば、高強度レーザ光線光学系では、高分子膜の存在が基板の機能性を低下させる可能性があり、したがって除去される必要がある場合が挙げられる。エッチングステップは、通常、犠牲プロファイリング材料と下にあるナノスケールパターン材料のエッチング速度間で所望の一致を得るように、プラズマチャンバ中で行われる。使用されるエッチングガスは、O、不活性ガス(たとえば、Ar)、フッ素化ガス(CHF、CF、SFなど)、または他のハロゲンガス(Cl、HBrなど)の組合せであってよい。1つの実施形態では、プロファイリング膜とナノスケールパターン材料のエッチング速度の比率はほぼ一致する。1つの実施形態では、プロファイリング膜は、ナノスケールパターンとほぼ一致する光学特性を有し、そのような光学特性は、1つまたは複数の波長における屈折率を含む。1つの実施形態では、エッチング速度間での所望の一致を、0.05:1と20:1の間の比率であるように調整することができる。この調整は、物理的(O、不活性ガス)エッチング構成要素と化学的(フッ素化化学物質、他のハロゲン)エッチング構成要素間の相対的な流量を調節することによって行われる。たとえば、OおよびArの流量を増加させると、高分子材料のエッチング速度が増加する一方で、溶融石英などの材料のエッチング速度は、ほぼ影響を受けないように保たれる。1つの実施形態では、高分子レジストのエッチング速度は、10~1000nm/分の間である。1つの実施形態では、エッチングステップ自体は、複数回の粗いステップと微細なステップの繰返しへと分解することができ、かなりの量の材料を、高いスループットのための高いエッチング速度を有する粗いステップで除去し、微細なステップで所望のプロファイルでの誤差を補正することができる。粗いステップと微細なステップの間で、中間の計測を行うことができる。さらに、いくつかの用途では、nP3プロファイリング膜上に追加の均一な膜を堆積することができる。たとえば、nP3プロセスの後に均一な金属層を堆積することができ、その結果、それによって、基板に対して適切なプロファイルを有する光学的反射特性をレンダリングすることができる。精密光学面に対するnP3プロセスのいくつかの例示的な応用が下で記載される。
【0049】
拡張現実(AR)/複合現実(MR)、集合的に「XR」のヘッドセットは、ディスプレイから目の近くの瞳に光を伝播する高屈折率導波路の使用が必要である。この仮想画像は、目に知覚される実世界上に重ね合わされる。これらの導波路は、典型的には、マイクロディスプレイから格子に入射する光の少なくとも1つの波長を、光が導波路の中に内部全反射されるのを可能にする角度で導波路の中に結合する格子を有する。次いで光は、1つまたは複数の格子の助けをかりて導波路から外へと結合される。これらの導波路は、良好な平坦度および/または総合厚み変化(TTV)を有する必要がある基板から製造される。これは、ゼロに近いTTVを有する平坦な導波路からのかなりのずれが、所望の経路からの光線をシフトさせる、または、光線にその直径を変えさせ、それによって、実際の画像に対して仮想画像を歪ませるためである。さらに、これらのヘッドセットが複数の導波路を有し、各導波路が1つまたは複数の波長に対処してよい。したがって、各導波路がその光線を同じヘッドセット中の別の導波路と異なってシフトさせる場合、組み合わせた画像は色収差がもたらされる可能性がある。
【0050】
導波路中の反射の数が増えると、導波路の出口の瞳における画像の歪みが増える。反射の数は、内向きに結合する格子と外向きに結合する格子または出口の瞳との間の距離を増やすことによって増える。したがって、導波路が不完全な場合、導波路の中へとさらに進行する光束は、所望のものより大きいずれを被る。反射の数は、導波路およびそれによるヘッドセット自体の重さを下げるために、基板の厚さが減らされると、やはり増える。
【0051】
本発明の平坦な基板用のnP3プロセスを使用して、基板における固有のTTVおよび/または平坦度の誤差を補正する膜を堆積することによって、透過性導波路基板における平坦度およびTTVを補正することができる。1つの実施形態では、開始基板は、平坦度/TTVの仕様を満たさないより低品質のものであってよい。1つの実施形態では、開始基板は、現在利用可能であるより低い厚さ(たとえば、100マイクロメートル)を有する基板であってよい。1つの実施形態では、開始基板は、所望の仕様に合致し、nP3プロセス後にかなりの改善が得られる仕様を有する。導波路基板は、典型的には1.6以上の屈折率を有するため、プロファイルを堆積し次いでそれを基板に転写するために犠牲膜を使用することができる。あるいは、屈折率が基板のものと厳密に一致して界面からのスプリアス反射が光強度のかなりの損失をもたらさない場合、残される機能性膜として、Microresist(登録商標)およびNippon Telegraph and Telephone-Advanced Technologyによって開発された高屈折率プロファイリング材料などの高屈折率プロファイリング材料を使用することもできる。1つの実施形態では、平坦度/TTV補正は、反射防止特性のために、モスアイ構造のテクスチャ付けと組み合わせることができる。1つの実施形態では、基板の両側がプロファイリングされ、やはりテクスチャ付けされてよい。
【0052】
上に加えて、nP3プロセスをやはり使用して、導波路基板のパターン形成していない部分をプロファイリングすることによって、仕上がった導波路のTTV/平坦度誤差を補正することができる。これらの誤差は、開始基板または以前の製造ステップにおける固有のTTV/平坦度誤差の結果であってよい。たとえば、ナノインプリントリソグラフィは残余層を残し、残余層中の不均一性が平坦度/TTV誤差に加えられる場合がある。また、反射防止コーティングなどの膜の堆積は、それら固有の不均一性を有し、それによる平坦度/TTV誤差への寄与がやはりあってよい。さらに、パッケージングなどの後続ステップからのTTV/平坦度中に予期される変化が、やはり、追加のTTV/平坦度誤差をもたらす可能性がある。プロファイルは、実際の収差の測定値、または、画像変換、拡大率、および仕上がった導波路中のTTV/平坦度からのずれについての他の歪みおよび収差の依存性を予測するモデルに基づいて、同じ仕上がった導波路に行われる測定に基づいて計算することができる。このパターン形成していない部分は、回折光学素子を作るナノスケールのフィーチャがない表面全体であってよい。1つの実施形態では、基板(たとえば、導波路基板)のパターン形成していない部分がナノスケールテクスチャを有する。さらに、プロファイリング膜の屈折率が対象の波長で基板の屈折率とほぼ一致する場合、プロファイリング材料が基板上に残される場合がある。屈折率が一致しない場合、界面からの寄生反射を減らすために、ナノテクスチャ付けしたモスアイ構造を使用することができる。
【0053】
XR導波路基板は、いくつかの目的で回折光学素子を使用する。内向きに結合する回折光学素子を使用して、光をプロジェクタから導波路の中に結合する。この回折光学素子は、回折格子(たとえば、バイナリ格子、位相格子、表面レリーフ格子、ブラッグ格子、1次元(1D)格子、2次元(2D)格子、傾斜格子、マルチレベル格子、またはそれらのなんらかの組合せなど)、体積ホログラム、またはフォトニック結晶であってよい。この結合した光は、次いで導波路基板を通して内部全反射される。内部全反射の期間に、光が、その経路中でさらなる回折光学素子にさらされる場合がある。これらの回折光学素子は、やはり、回折格子(たとえば、バイナリ格子、位相格子、表面レリーフ格子、ブラッグ格子、1D格子、2D格子、マルチレベル格子、またはそれらのなんらかの組合せなど)、体積ホログラム、またはフォトニック結晶であってよい。これらの要素の目的は、画像を少なくとも1つの次元、好ましくは両方の次元に拡大し、光を目へと出すことを可能にし、アイボックスと呼ばれるものの中と異なる位置に画像が見えることを可能にすることである。拡大され外向きに結合された光は、プロジェクタから導波路に内向きに結合された画像の品質と比較したときに、画像の品質に著しい歪みを受けないはずである。いくつかの要因が画像の品質を決定する。回折光学素子は、回折する光を多くの次数で回折させ、1次は最高の強度を有し、これが撮像用に主に利用される。しかし、より低い強度のいくつかの他の次数がやはり存在し、光が回折光学素子と相互作用するたびに強度の損失を生じさせる場合がある。また、異なる波長では、回折特性および回折効率が異なり、異なる波長の光が異なる角度で回折することが暗示される。
【0054】
さらに、所望の幾何形状からの回折光学素子(DOE)の幾何形状中に望ましくないずれをもたらす製造誤差に起因して、1次で回折した光の波長がシフトする、または、望ましくない強度の変化を有する場合がある。たとえば、格子の高さまたは深さが、回折される光の強度を制御することが知られている。しかし、光の一部が1つの区域から外向きに結合されると、残りの部分は導波路の内側を伝播し続け、導波路の他の部分から外向きに結合される。格子の深さがどこでも均一である場合、入射強度が最大である導波路の開始部分から外向きに結合される光の強度は、光のかなりの部分が導波路の前の部分で外向きに結合されているので入射強度が指数関数的に低い導波路の終端部分から外向きに結合される光の強度よりも、指数関数的に高くなる。したがって、複数の瞳を有するアイボックスにわたって均一な光の強度を得るために、格子効率または外向きに結合される光の画分が、導波路の開始部分で低い状態から導波路の終端部分で高い状態に漸進的に変化するように、不均一な格子高さを有することが望ましい。1つの実施形態では、目の中にカラー画像を実現するため、3つの主な色の波長帯用にDOEの3つの異なる設計が必要であり、その結果、それらを組み合わせて必要な画像を提供することができる。上述の要因のため、色スペクトルにおける分散が、画像中に望ましくない色収差を引き起こすことに留意されたい。
【0055】
ここで、図7を参照すると、図7は、本発明の実施形態に従った、内向きに結合するDOEおよび外向きに結合するDOEとしてのナノスケールパターン領域を示す導波路基板を描く。
【0056】
図7に示されるように、プロジェクタ701が、仮想画像を導波路702の中に投入し、そこでは内向きに結合するDOE703が光704を導波路702の中に結合する。次いで、実画像が導波路702を通して伝送される。
【0057】
図7にさらに示されるように、外向きに結合するDOE705は、導波路702からの光706をアイボックス707の中に結合する。
【0058】
さらに、図7に示されるように、実画像708が導波路702を通って伝送される。
【0059】
ここで、図8を参照すると、図8は、本発明の実施形態に従って、ナノスケールパターン領域がそれらの幾何学的パラメータ中でカスタマイズした変化をもって示されている、内向きに結合するDOEおよび外向きに結合するDOEとしてのナノスケールパターン領域を示す導波路基板を描く。
【0060】
図8に示されるように、プロジェクタ801が、仮想画像を導波路802の中に投入し、そこでは(その幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を有する)内向きに結合するDOE803が光804を導波路802の中に結合する。次いで、実画像が導波路802を通して伝送される。
【0061】
図8にさらに示されるように、(その幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を有する)外向きに結合するDOE805は、導波路802からの光806をアイボックス807の中に結合する。
【0062】
さらに、図8に示されるように、実画像808が導波路802を通って伝送される。
【0063】
以前に議論したように、図7および図8は、本発明の実施形態に従った、内向きに結合するDOEおよび外向きに結合するDOEとしてのナノスケールパターン領域を示す導波路基板を描く。やはり以前に議論したように、本明細書で議論した基板は、ナノスケールパターンを有する1つまたは複数の領域を含むことができ、そのようなナノスケールパターンは、1つの領域と別のものとの間で同様であってよく、またはかなり異なってよい。たとえば、図9に示されるように、図9は、本発明の実施形態に従った、同じ基板902上に複数のナノスケールパターン領域901を有して図示される。
【0064】
さらに、上で議論したように、nP3プロセスをやはり使用して、導波路基板のパターン形成していない部分をプロファイリングすることによって、仕上がった導波路のTTV/平坦度誤差を補正することができる。図10は、本発明の実施形態に従った、収差を補正するため導波路基板のパターン形成していない部分上にnP3プロセスを使用する様を図示する。特に、この場合には、TTV誤差を補正するための、nP3プロセスの使用が示される。プロファイリング材料は、対象の波長で、基板とほぼ同様の屈折率を有し、基板上に残される。TTVおよび他の基板歪み誤差を補正することによって、(たとえば、実画像と仮想画像間の画像の位置ずれ、画像焦点のずれなど)光学収差および分散誤差が最小化される。
【0065】
図10に示されるように、プロジェクタ1001が、仮想画像を導波路1002の中に投入し、そこでは内向きに結合するDOE1003が光1004を導波路1002の中に結合し、導波路1002が基板1005上にプロファイリング材料を含む。次いで、実画像が導波路1002を通して伝送される。
【0066】
図10にさらに示されるように、外向きに結合するDOE1006は、導波路1002からの光1007をアイボックス1008の中に結合する。
【0067】
さらに、図10に示されるように、実画像1009が導波路1002を通って伝送される。
【0068】
1つの実施形態では、本発明の原理は、DOEの1つまたは複数の幾何学的パラメータにおける制御されカスタマイズした変化を使用して、製造誤差を克服することによって回折特性および/もしくは効率中に所望の均一性を実現する、または、回折特性および/もしくは効率中に制御された変化を実現する。1D格子では、幾何学的パラメータは、格子のフィーチャの深さもしくは高さ、フィーチャの横幅、格子の向き、すなわち、格子上の線が導波路上の所与の軸に対してなす角度、フィーチャの幅、または、水平面に対するフィーチャの角度であってよい。1つの実施形態では、高さは、10~400nmの間の範囲で変化する。多角形形状を有する2D格子では、制御された変化を有することができる幾何学的パラメータは、1つもしくは複数の方向における格子のフィーチャの深さ、導波路基板上の所与の軸に対する2D格子の向き、2D格子を含む2つの多角形間の相対的な間隔、または、多角形の側面が水平線に対してなす角度であってよい。1つの実施形態では、高さは、10~400nmの間の範囲で変化する。この実施形態は、導波路基板用の回折光学素子における1つまたは複数の幾何学的パラメータの制御されカスタマイズした変化の使用を具体的に開示する一方で、その使用法は、ナノスケールパターンにおける1つまたは複数の幾何学的パラメータのカスタマイズされて制御された変化を導入する使用法に拡張することができる。1つの実施形態では、そのように制御された変化の使用は、前の製造ステップ中の誤差または後続の製造ステップ中の予期される誤差を補償するものとなる。
【0069】
典型的な例では、回折格子は、マスターテンプレートの助けをかりて、ナノインプリントリソグラフィを使用して製造される。マスターテンプレートは、eビームリソグラフィ、フォトリソグラフィなどといった標準的なリソグラフィ技法を使用して製造することができる。マスターテンプレート自体の1つまたは複数の格子パラメータに制御された変化を導入することによって、上述のリソグラフィ技法を使用した、極めて費用のかかるテンプレートの製造を行うことができる。本発明の原理は、マスターテンプレートの1つまたは複数の回折格子パラメータに制御され、プログラム可能/カスタマイズ可能な変化を導入するためにnP3プロセスを利用する。例として、格子の深さにおける制御された変化が議論される。この目的で、マスターテンプレートは、深さにおける所望のパラメータ変化なしに、標準的なリソグラフィ技法を使用して、シリコン、溶融石英、または他の基板上に最初に製造される。その後、nP3プロセスを使用して、格子をUV効果可能な高分子で満たし、満たした格子の上に所望の厚みプロファイルを有する膜をやはり堆積する。このプロセスは、単一のステップで実行することができる。ここで、nP3小滴生成アルゴリズムが修正されて、制御されたプロファイルを作成するのに必要なものに加えて格子を満たすために使用される液体の体積を考慮し、そのようなプロファイルは、1つまたは複数の次元での線形型、放物型、または任意の他の多項式であってよい。
【0070】
さらに、このプロファイルは、異なる向きを有することができる。たとえば、導波路上のDOEの一部が1つの方向に変化する深さプロファイルを有することができる一方で、同じDOEの別の部分または異なるDOEは、異なる方向に変化する深さプロファイルを有することができる。さらに、1つの実施形態では、格子深さプロファイルの異なる向きを有する領域からの遷移は、5マイクロメートルから10ミリメートル内で生じることができる。1つの実施形態では、そのようなプロセスは、複数の繰返しで行われ、最初の繰返しは、格子のフィーチャをほぼ平坦化するために使用することができ、1つまたは複数の後続の繰返しは、1つまたは複数の異なる向きで所望の膜厚プロファイルを得るために使用することができる。1つの実施形態では、平坦化ステップ後の格子構造上の膜厚はほぼ均一であり、平均膜厚は、高分子膜中に閉じ込められた泡に起因して引き起こされた欠陥を低減するように選択することができる。たとえば、1D格子構造中で一体化した個別の小滴は、優先的に、格子の線に平行な方向に流れる。これらの小滴の流れは、nP3プロセス期間に上板によって印加される圧力によって左右される。平均膜厚が準最適である場合、それによって膜中の圧力が減る場合があり、そのことによって、泡は、所望より長く残留することになる。したがって、ナノスケールパターンの幾何形状および所望のスループットに基づいて、規定された許容差の下に欠陥の数を保つように平均膜厚を選択することができる。これは、モデルの助けをかりて得ることもできる。さらに、このプロセスは、所望の仕様に合致させるため、製造される導波路基板の深さまたは他の幾何学的パラメータにおける不要な変化を補正するために使用することができる。たとえば、導波路基板を製造して、その性能を測定することができる。性能が望ましくない場合、堆積された膜厚プロファイルおよびその後のプラズマエッチング(下で記載される)によって、幾何学的パラメータの所望のプロファイルをもたらすことができるように、上のnP3プロセスに導波路基板をかけることができる。
【0071】
高分子膜中に所望のプロファイルを得た後、導波路基板がプラズマエッチングプロセスを受ける。エッチングプロセスにおいて、高分子膜および導波路基板は、高分子と下にある基板の両方にほぼ同じエッチング速度をもたらすプラズマ化学物質中でエッチングされる。ここで、下にある基板は、Si、溶融石英、高屈折率ガラス(たとえば、Schott Realview(登録商標))などであってよい。このことによって、堆積されるプロファイルを下にある基板に直接転写することが可能になり、その結果、回折格子の所望のパラメータ(深さなど)が、膜厚プロファイルで明らかな同じパラメータ変化を得られる。さらに、膜と基板の間の相対的なエッチング速度が、1に等しくない比率を有するように変調される場合、格子深さスケールの転写されるプロファイルは、エッチング深さの比率で拡大縮小する。1つの実施形態では、nP3プロセスおよびエッチングプロセスは、基板上でナノスケールパターンの領域にわたって同時に行われる。
【0072】
エッチング速度比率のこの調整は、こうして、所望のプロファイルを得るための追加制御ノブであってよい。基板は、エッチングからのなんらかの残留レジストまたは汚染物を除去するために浄化することができる。プロセスの終わりに、nP3の前の値とほぼ同様の基板の表面粗さを保つこと、またはそれを1nmを超えずに増やすことが望ましい。1つの実施形態では、カスタマイズした変化を有するナノスケールパターンの平均表面粗さは、カスタマイズした変化を有しないナノスケールパターンの平均表面粗さとほぼ等しい。
【0073】
図11を参照して、図11は、本発明の実施形態に従った、プロファイリング材料とナノスケールパターン材料についてほぼ同じエッチング速度を使用する、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ(たとえば、高さ)中にカスタマイズした変化を導入するための方法1100を図示する。図12A図12Dは、本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ(たとえば、高さ)にカスタマイズした変化を導入するための断面図を描く。
【0074】
下でさらに詳細に議論されるように、図11および図12A図12Dは、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ(たとえば、高さ)にカスタマイズした変化を導入するために、例示的な格子構造上にプラズマエッチングプロセスでnP3プロセスを利用することを図示する。
【0075】
図12A図12Dと一緒に図11をここで参照して、ステップ1101において、図12A図12Bに示されるように、プログラム可能な厚み変化を有するプロファイリング膜1201が、nP3プロセスを使用して基板1203(例示的な格子構造)上で、開始ナノスケールパターン1202上に堆積される。
【0076】
ステップ1102において、図12Cに示されるように、プロファイリング膜1201およびナノスケールパターン1202の材料は、プロファイリング材料およびナノスケールパターン材料についてほぼ同じエッチング速度を使用して、プラズマエッチングプロセス中でエッチングされる。
【0077】
ステップ1103では、残っているプロファイリング膜1201が、ウェットプロセス(たとえば、ピラニア洗浄)またはドライプロセス(たとえば、UVオゾン洗浄、Oアッシングなど)のいずれかを使用して除去され、図12Dに示されるような構造を形成する。
【0078】
図12C図12Cに図示されるように、プロファイリング膜1201およびナノスケールパターン1202の材料は、同様のエッチング速度でプラズマエッチングプロセス中でエッチングされる。プロファイリング材料とナノスケールパターン材料についてのエッチング速度が実質的に異なるナノスケールパターンの幾何学的パラメータ(たとえば、高さ)にカスタマイズした変化を導入する説明が、図13および図14A図14Dに関連して下で議論される。
【0079】
図13を参照して、図13は、本発明の実施形態に従った、プロファイリング材料とナノスケールパターン材料について実質的に異なるエッチング速度を使用する、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ(たとえば、高さ)中にカスタマイズした変化を導入するための方法1300を図示する。図14A図14Dは、本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ(たとえば、高さ)にカスタマイズした変化を導入するための断面図を描く。
【0080】
図14A図14Dと一緒に図13をここで参照して、ステップ1301において、図14A図14Bに示されるように、プログラム可能な厚み変化を有するプロファイリング膜1401が、nP3プロセスを使用して基板1403(例示的な格子構造)上で、開始ナノスケールパターン1402上に堆積される。
【0081】
ステップ1302において、図14Cに示されるように、プロファイリング膜1401およびナノスケールパターン1402の材料は、プロファイリング材料およびナノスケールパターン材料について実質的に異なるエッチング速度を使用して、プラズマエッチングプロセス中でエッチングされる。
【0082】
ステップ1303では、残っているプロファイリング膜1401が、ウェットプロセス(たとえば、ピラニア洗浄)またはドライプロセス(たとえば、UVオゾン洗浄、Oアッシングなど)のいずれかを使用して除去され、図14Dに示されるような構造を形成する。
【0083】
上で議論した本発明の原理を使用した結果として、光学素子の製造における処理精度が改善される。
【0084】
本発明の様々な実施形態の記載が、説明のために提示されてきたが、網羅的であることまたは開示される実施形態に限定されることは意図していない。記載される実施形態の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正形態および変形形態が当業者に明らかになろう。本明細書で使用する用語は、本実施形態の原理、実際の用途、もしくは市場に見いだせる技術を超える技術的な改善を最も良好に説明するため、または、当業者が本明細書で議論した実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【符号の説明】
【0085】
100 nP3装置
101 プロファイリングサブシステム
102 計測サブシステム
103 直線型水平ステージ
104 支持テーブル
119 UV透過性真空チャック
200 プロファイリングサブシステム
201 電動インターリーフ/デインターリーフ用ローラ
202 サイドレイモジュール
203 精密アイドラ
204 音声コイルモータ(VCM)駆動ステージ
205 電動供給巻取りローラ
206 駆動ローラ
207 硬化モジュール
208 固定インクジェットプリントヘッド
209 プロファイリング材料
210 剛体基板
211 真空ピンチャック
212 大移動ステージ、大移動方向
213 ニップローラ
401 プロファイリング材料
402 基板
403 インクジェット
404 上板
405 紫外線透過性(UVT)チャック
406 閃光
407 連続膜
408 垂直チャック動作(VCM)ステージ
409 計測ステーション
410 xステージ
411 レーザ光線
601 プロファイリング材料
602 基板
603 インクジェット
604 上板
605 紫外線透過性(UVT)チャック
606 連続膜
607 示差加熱
608 紫外線(UV)光
609 硬化した連続膜
610 レーザ光線
611 計測ステーション
701 プロジェクタ
702 導波路
703 内向きに結合するDOE
704 光
705 外向きに結合するDOE
706 光
707 アイボックス
708 実画像
801 プロジェクタ
802 導波路
803 内向きに結合するDOE
804 光
805 外向きに結合するDOE
806 光
807 アイボックス
808 実画像
901 ナノスケールパターン領域
902 基板
1001 プロジェクタ
1002 導波路
1003 内向きに結合するDOE
1004 光
1005 基板
1006 外向きに結合するDOE
1007 光
1008 アイボックス
1009 実画像
1201 プロファイリング膜
1202 開始ナノスケールパターン
1203 基板
1401 プロファイリング膜
1402 開始ナノスケールパターン
1403 基板
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
【手続補正書】
【提出日】2023-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
図1】本発明の実施形態に従った、nP3装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態に従った、nP3装置中のプロファイリングサブシステムの概略図である。
図3】本発明の実施形態に従った、ナノスケール精度プログラム可能プロファイリング(nP3)プロセスを使用する平坦な基板上に要素を製造するための方法のフローチャートである。
図4A】本発明の実施形態に従い、図に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4B】本発明の実施形態に従い、図に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4C】本発明の実施形態に従い、図に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4D】本発明の実施形態に従い、図に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4E】本発明の実施形態に従い、図に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4F】本発明の実施形態に従い、図に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4G】本発明の実施形態に従い、図に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図4H】本発明の実施形態に従い、図に記載されたステップを使用した平坦な基板上に要素を製造するための、断面図である。
図5】本発明の実施形態に従った、上板(superstrate)と一緒にナノスケール精度プログラム可能プロファイリング(nP3)プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための方法のフローチャートである。
図6A】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6B】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6C】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6D】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6E】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6F】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6G】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図6H】本発明の実施形態に従った、図5に記載されたステップを使用し、上板と一緒にnP3プロセスを使用する、平坦な基板上に光学素子を製造するための断面図である。
図7】本発明の実施形態に従った、内向きに結合する回折光学素子(DOE)および外向きに結合するDOEとしてのナノスケールパターン領域を示す導波路基板を描く図である。
図8】本発明の実施形態に従って、ナノスケールパターン領域がそれらの幾何学的パラメータ中でカスタマイズした変化をもって示されている、内向きに結合するDOEおよび外向きに結合するDOEとしてのナノスケールパターン領域を示す導波路基板を描く図である。
図9】本発明の実施形態に従った、同じ基板上に複数のナノスケールパターン領域を有する図である。
図10】本発明の実施形態に従った、収差を補正するため導波路基板のパターン形成していない部分上にnP3プロセスを使用する様を図示する図である。
図11】本発明の実施形態に従った、プロファイリング材料とナノスケールパターン材料についてほぼ同じエッチング速度を使用する、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ中にカスタマイズした変化を導入するための方法を図示する図である。
図12A】本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図12B】本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図12C】本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図12D】本発明の実施形態に従い、図11に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図13】本発明の実施形態に従った、プロファイリング材料とナノスケールパターン材料について異なるエッチング速度を使用する、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータ中にカスタマイズした変化を導入するための方法を図示する図である。
図14A】本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図14B】本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図14C】本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
図14D】本発明の実施形態に従い、図13に記載されるステップを使用して、ナノスケールパターンの幾何学的パラメータにカスタマイズした変化を導入するための断面図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
さらに、図2は、除去および再塗布期間の、ウェブ経路とその後の上板およびインターリーフ膜を示す。図2では、ニップおよび駆動ローラ組立体(213および206参照)を通して、張力制御が達成される。1つの実施形態では、摩擦を改善し、モータ能力によって制限されるより高い張力を可能にするポリウレタンローラが使用されて、駆動ローラ206上に垂直の圧力を加える。1つの実施形態では、ニップローラ213が駆動ローラ206に対して軸方向に平行であることが確保される。プロファイリングゾーンの真上にUVランプが置かれる。UV透過性真空チャック119は、上板とUVランプの間に位置決めされる。精密アイドラ203は、それが上板を平坦にして面外誤差および面内剪断誤差を最小にするのを確実にする様が示される。音声コイルモータ駆動ステージ204は、水平XYステージに対して取り付けられる。基板は、ジェットステーションからプロファイリングステーション、次いで計測ステーションへとXYステージを使用して移動される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
図3および図4A図4Hを参照して、nP3を使用して平坦な基板402上に光学素子を製造するプロセス期間に、プロファイリング材料401のパターンが生成され、大きい区域にわたって、平坦な基板402上に吐出される。1つの実施形態では、基板402は、既存のナノスケールのフィーチャまたはパターンを有することができ、そのようなナノスケールのフィーチャは、回折効果を引き起こすために電磁放射と相互作用できるため光学素子または回折光学素子に対応することができる。インクジェット小滴またはプロファイリング材料401のパターンは、基板402上に既存のフィーチャおよび、フィーチャの1つまたは複数の幾何学的パラメータのカスタマイズした空間的変化に基づいた、所望の膜厚プロファイルが存在する下で、広がること、一体化すること、および満たすことを考慮して生成される。これは、ジェットサイクルと同期した基板402のXY動作を通して達成される。1つの実施形態では、基板402は、次いで、紫外線(UV)ランプおよびUV透過性(UVT)チャック405の下方でプロファイリングゾーンに移動される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
1つの実施形態では、上板404は、UVTチャック405の下方に位置決めされ、上板404の張力は、最終的な面プロファイルが必要とする所望のレベルに調整される。上板404は、テクスチャを付けたまたはパターンを付けたロールであってよく、テクスチャまたはパターンの横方向空間長のスケールは、所望のプロファイルの横方向空間長のスケールより少なくとも1桁低い。1つの実施形態では、UVTチャック405が使用され、次いで所定の場所に上板404を保持する。基板402がチャック上に取り付けられる音声コイルモータ駆動ステージが、水平XYステージの助けをかりて、プロファイリングゾーンに運ばれる。垂直チャック動作(VCM)ステージ408の垂直チップチルト動作によって、上板404と基板402の適切な位置合わせおよび間隙制御が可能になる。小滴が一体化して連続膜407を形成するのが可能になる、上板ウェブの湾曲を作り出すために、空洞中の空気圧が増やされる。このことによって、閉じ込められる空気の泡を低減することが可能になる。1つの実施形態では、UVTチャック405上に取り付けられるカメラを使用して、泡の閉じ込めを観察する。画像処理を使用して、泡が識別され、標的の位置の上板404に自動的に空気が送り込まれ、プロファイリング材料401の滴をそこで広げて、泡を確実に低減する。毛細管力が所望のトポグラフィを作り出すのに必要な指定された長さの時間の後で、プロファイリング材料がUV硬化される。1つの実施形態では、VCMステージ408を使用して、その垂直の動作を通して、上板404から基板402を分離する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
図12C図12に図示されるように、プロファイリング膜1201およびナノスケールパターン1202の材料は、同様のエッチング速度でプラズマエッチングプロセス中でエッチングされる。プロファイリング材料とナノスケールパターン材料についてのエッチング速度が実質的に異なるナノスケールパターンの幾何学的パラメータ(たとえば、高さ)にカスタマイズした変化を導入する説明が、図13および図14A図14Dに関連して下で議論される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4A
【国際調査報告】