(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】治療用ポリヌクレオチドに使用するためのグアノシン類似体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20230703BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230703BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230703BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20230703BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230703BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230703BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230703BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230703BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230703BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20230703BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230703BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230703BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230703BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230703BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230703BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230703BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/12
A61P25/00
A61P21/02
A61P25/28
A61P9/00
A61P35/00
A61P3/00
A61P25/08
A61P25/06
A61P21/04
A61P25/04
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/22
A61K31/7088
A61K31/713
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575711
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2021065266
(87)【国際公開番号】W WO2021249993
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515129320
【氏名又は名称】ロシュ イノベーション センター コペンハーゲン エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アルベク ナンナ
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲドルン ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ラディフォギッド メッテ
(72)【発明者】
【氏名】ペデルセン リッケ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィン ヤコブ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA44
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA94
4C086ZB26
4C086ZC21
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合と、式(I)および式(II)からなる群から選択されるグアニン核酸塩基類似体を含む少なくとも1つのグアノシン類似体と、を含むポリヌクレオチドに関する。このようなグアノシン類似体を含むポリヌクレオチドは、天然グアノシンを含むポリヌクレオチドと比較して相対的に低下した神経毒性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合と、
-以下:
からなる群から選択されるグアニン類似体を含む少なくとも1つのグアノシン類似体と
を含むポリヌクレオチド。
【請求項2】
一本鎖である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
二本鎖である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
siRNAまたはshRNAである、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドをさらに含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記2’糖修飾ヌクレオシドが、ロックド核酸および2’糖置換ヌクレオシドからなる群から独立して選択される、請求項2または3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記2’糖修飾ヌクレオシドの1つ以上が、
からなる群から選択されるロックド核酸であり、式中、Bは天然または修飾核酸塩基であり、Zは隣接ヌクレオシドまたは5’末端基へのヌクレオシド間結合であり、Z
*は隣接ヌクレオシドまたは3’末端基へのヌクレオシド間結合である、請求項6または7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドが、
からなる群から選択される、請求項6または7のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記グアノシン類似体が
(式中、RはHまたはOHである)
からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記グアノシン類似体が(Ia)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記グアノシン類似体が(Ia1)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
前記グアノシン類似体が(Ia2)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
前記グアノシン類似体が(Ib)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
前記グアノシン類似体が(IIa)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記グアノシン類似体が(IIa1)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
前記グアノシン類似体が(IIa2)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
前記グアノシン類似体が(IIb)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
前記グアノシン類似体が(Ic)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
前記グアノシン類似体が(IIc)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項21】
前記グアノシン類似体が(Id)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項22】
前記グアノシン類似体が(IId)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
前記グアノシン類似体が(Ie)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
前記グアノシン類似体が(IIe)である、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドがギャップマーである、請求項2~3または6~20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
修飾リボースを有する少なくとも1つのさらなるヌクレオシドを含み、前記リボース修飾が、ロックド核酸または2’修飾からなる群から選択される、請求項2~3または6~21のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項27】
前記グアノシン類似体が前記ギャップマーのギャップ領域にあり、かつ式Iaまたは式IIbのものであり、式中、RがHである、請求項25~26のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
前記グアノシン類似体が前記ギャップマーのフランクに無い、請求項25~27のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載のグアノシン類似体を1つ含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項30】
請求項1~24のいずれか一項に記載のグアノシン類似体を2つ含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項31】
請求項1~24のいずれか一項に記載のグアノシン類似体を3つ含む、請求項1~30のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項32】
天然グアノシンを含まない、請求項1~31のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項33】
前記ポリヌクレオチドが、
CTCAacttg
オキソctttaAT(配列番号4);
CTCAtacttg
NctttaAT(配列番号5);
CTCAtacttg
PPGctttaAT(配列番号6);
CTAcatctcatactTgC(配列番号9);
CTAcatctcatactTg
PPGC(配列番号10);
CTAcatctcatactTg
オキソC(配列番号11);
CTAcatctcatactTg
NC(配列番号13);
ACAg
オキソg
オキソattag
オキソttCTA(配列番号15);および
ACAg
PPGg
PPGattag
PPGttCTA(配列番号16)
からなる群から選択され、これらの配列中の大文字はLNA修飾リボースを有するヌクレオシドを示し、全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、これらの配列中の小文字はDNAを示し、
g
PPGは7-デアザ-8-アザ-デオキシグアノシンであり、
g
Nは8-アミノ-dGであり、
g
オキソは8-オキソ-デオキシグアノシンである、
請求項1~28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項34】
医薬として使用するための、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項35】
中枢神経系に投与するため、または神経障害、例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アンジェルマン、アルツハイマー病、動脈瘤、背痛、ベル麻痺、脳および脊髄の先天性欠損、脳損傷、脳腫瘍、脳性麻痺、慢性疲労症候群、脳震盪、認知症、頸部および腰背部の椎間板疾患、浮動性めまい、てんかん、ギラン・バレー症候群、頭痛および片頭痛、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経痛、神経障害、神経筋および関連疾患、パーキンソン病、精神医学的症状(重度のうつ病、強迫性障害)、脊柱側弯症、発作、脊髄損傷、脊椎変形および障害、脊椎腫瘍、脳卒中および回転性めまいからなる群から選択されるCNS障害を処置するためのものである、請求項34に記載のポリヌクレオチド。
【請求項36】
髄腔内注射を介した投与のためのものである、請求項35に記載のポリヌクレオチド。
【請求項37】
Ube3Aの調節が有益である医学的症状を処置するための医薬として使用するための、例えば、アンジェルマンを処置するための、請求項1~34のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項38】
ATXN2の調節が有益である医学的症状を処置するための医薬として使用するための、請求項1~34のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項39】
ATXN3の調節が有益である医学的症状を処置するための医薬として使用するための、請求項1~34のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項40】
神経毒性の低下が必要とされる医薬として使用される、請求項1~38のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項41】
請求項1~34のいずれか一項に記載の、毒性が低下したポリヌクレオチドを合成するための方法であって、さらなるヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドにホスホロアミダイトなどのヌクレオチドモノマーをカップリングさせることを含み、前記ヌクレオチドモノマーが、請求項1~24のいずれか一項に記載のグアノシン類似体を含む、前記方法。
【請求項42】
参照ポリヌクレオチドよりも毒性が低下したポリヌクレオチドを選択するための方法であって、前記ポリヌクレオチドが請求項1~24のいずれか一項に記載されており、前記神経毒性の低いポリヌクレオチドが前記参照ポリヌクレオチドと比較して少なくとも1つのグアノシン類似体を含むという違いを伴って、前記参照ポリヌクレオチドおよび神経毒性の低いアンチセンスオリゴヌクレオチドが、同じヌクレオチド配列を有し、かつ少なくとも1つのグアノシンを含む、前記方法。
【請求項43】
ポリヌクレオチドの製造における、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)および(IIe)からなる群から選択されるグアノシン類似体を含有する化合物の使用。
【請求項44】
Ube3a-ATSを発現している標的細胞におけるUbe3a発現を上方制御するための方法であって、Ube3a-ATSを標的とする請求項1~24のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを有効量で前記細胞に投与することを含む、前記方法。
【請求項45】
インビボ方法またはインビトロ方法である、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
神経障害に罹患しているかまたは罹患する可能性があるヒトなどの対象における神経障害を処置または予防するための方法であって、前記神経障害を予防または緩和するなどのために、治療有効量または予防有効量の請求項1~24のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬有効成分として使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAまたはshRNAなどのポリヌクレオチドに関する。より詳細には、本発明は、このようなポリヌクレオチドに使用するためのグアノシン類似体に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
現在、神経障害を処置するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)またはsiRNA治療薬などのポリヌクレオチドの開発にかなりの関心が寄せられている。このようなポリヌクレオチドは、例えば、髄腔内投与によって投与することができる。しかしながら、新たなポリヌクレオチド治療薬の発見は、かなりの割合のポリヌクレオチドが動物試験において神経毒性を誘発するという所見によって妨げられてきた(例えば、国際公開第2016/126995号パンフレット参照)。一部のポリヌクレオチドを投与されたマウスは、投与後30分~1時間以内に急性神経毒性の徴候を示し、毒性がハイブリダイゼーションイベントに起因する可能性が低いことを示している。
【0003】
国際公開第2016/127000号パンフレットは、インビボで急性神経毒性を誘発する可能性が高いアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの核酸分子を同定するためのカルシウムオシレーションアッセイの使用、ならびにシトシンヌクレオチドまたはその類似体の数からグアノシンヌクレオチドまたはその類似体の数を引いて、ポリヌクレオチドの全長で割った数を計算することによって、認容できるインビボ神経毒性を有するポリヌクレオチドを選択するための方法を報告している。
【0004】
Seelaら、Chim.Acta1988、71、1191~1198は、ピロロ[2,3-d]ピリミジンのグリコシル化のための汎用的な候補として6-クロロ-7-デアザプリンおよび7-デアザ-6-(メチルチオ)プリンを使用することを記載している。
【0005】
Seela,F.、Becher,G.、Chemical Communications(1998)、(18)、2017~2018は、オリゴヌクレオチドへの7-ハロゲン化7-デアザプリン(ピロロ-[2,3-d]ピリミジンA)の導入を記載している。DNAへのこの導入の目的は、質量分析または原子間力顕微鏡法による配列決定に有用なレポーター基、切断剤または残基として働くことであると思われる。Kutyavinら、NAR2002、第30巻、4952~4959頁は、8-アザ-7-デアザグアニン(ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、PPG)がグアニンに富むオリゴデオキシリボヌクレオチドのグアニン自己会合を減少させ、PPGのグアニンによる置換が、グアニンに富むDNAプローブの親和性、特異性、感度および予測性を高めることを開示している。
【0006】
Haraら、J Org Chemは、天然DNAよりも結合親和性が低いことが分かった、LNA-7-デアザグアニンおよびLNA-8-アザ-7-デアザグアニン修飾ホスホジエステルオリゴヌクレオチド、ならびにLNA-7-デアザグアニンが、グアニンが豊富な配列であっても凝集を有効に抑制することを報告している。
【0007】
この文献の簡単な概説は、ある特定のポリヌクレオチドを中枢神経系に投与した場合に観察される神経毒性の問題を解決することが非常に少ないままであることを示している。
【0008】
発明の目的
本発明者らは、ポリヌクレオチド配列内の天然、すなわち、未修飾グアノシン核酸塩基の割合が、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAなどのポリヌクレオチドが神経毒性となる可能性と直接相関していることを見出して驚いた。本発明は、治療用オリゴヌクレオチドに使用するためのグアノシン類似体を提供し、それによって、神経毒性の低下を提供する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ポリヌクレオチド配列内の天然、すなわち、未修飾グアノシン(G)核酸塩基の割合が、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAなどのポリヌクレオチドが神経毒性となる可能性と直接相関しているという所見に基づく。未修飾G核酸塩基を神経毒性のトリガーとして同定したので、本発明者らは、多数のG類似体をスクリーニングし、未修飾Gの代わりに使用した場合に、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAなどのホスホロチオエートポリヌクレオチドの神経毒性を低下させることによって例示される、ポリヌクレオチドの神経毒性を低下させるか、または緩和するある特定のG類似体を同定した。特に、本発明者らは、ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNA中の8-アザ-7-デアザグアニン(PPG)または8-オキソ-デオキシグアノシン(8-オキソ-dG)塩基による未修飾G核酸塩基の置換が、インビボならびにインビトロ神経毒性アッセイにおいて神経毒性を緩和することを特定した。
【0010】
さらに、本発明者らは、ポリヌクレオチドへのPPG塩基の組み込みが、ポリヌクレオチド結合親和性を低下させることができるが、これは、組み込まれたPPG塩基の配列状況に大いに依存することを特定した。本発明者らは、この観察結果を使用して、維持された有効な結合親和性に関連する短い二本鎖および三本鎖モチーフを同定した。あるいは、結合親和性は、例えば、オリゴヌクレオチドへのLNAなどのさらなる高親和性ヌクレオシドの組み込みによって補償され得る。
【0011】
配列表
本出願と共に提出された配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。配列表に列挙されるアンチセンスオリゴヌクレオチド配列モチーフは、DNA配列として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例3による試験におけるグアニン類似体を使用した急性神経毒性の救済を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
オリゴヌクレオチド
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として当業者に一般に理解されるように定義される。このような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子またはオリゴマーとも呼ばれる場合がある。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、その後の精製および単離によって研究室内で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合には、共有結合したヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分の配列もしくは順序、またはその修飾が言及される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工のものであり、化学的に合成され、典型的には精製または単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ以上の修飾ヌクレオシドを含んでもよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオシド間結合などの、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。
【0014】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書で使用される「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNAでもshRNAでもない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの全長にわたって内部または相互の自己相補性の程度が50%未満である限り、ヘアピンまたは分子間二本鎖構造(同じオリゴヌクレオチドの2分子間の二本鎖)を形成することができることが理解される。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、非修飾RNAヌクレオシドを含有しなくてもよい。
【0016】
有利には、本発明のオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ以上の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含む。さらに、修飾されていないヌクレオシドがDNAヌクレオシドであることが有利である。
【0017】
連続ヌクレオチド配列
「連続ヌクレオチド配列」という用語は、標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書で「連続核酸塩基配列」という用語および「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」という用語と互換的に使用される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドが連続ヌクレオチド配列を構成する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドが、F-G-F’ギャップマー領域などの連続ヌクレオチド配列を含み、任意に、さらなるヌクレオチド、例えば、官能基(例えば、コンジュゲート基)を連続ヌクレオチド配列に結合するために使用され得るヌクレオチドリンカー領域を含み得る。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に相補的であっても相補的でなくてもよい。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が連続ヌクレオチド配列である。
【0018】
ヌクレオチドおよびヌクレオシド
ヌクレオチドおよびヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの構成単位であり、本発明の目的のために、天然に存在するヌクレオチドおよびヌクレオシドと、天然に存在しないヌクレオチドおよびヌクレオシドとの両方を含む。本来、DNAヌクレオチドおよびRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、および1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシドおよびヌクレオチドはまた、互換的に「単位」または「モノマー」と呼ばれ得る。
【0019】
修飾ヌクレオシド
本明細書で使用される「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド修飾」という用語は、糖部分または(核酸)塩基部分の1つ以上の修飾の導入によって、同等のDNAまたはRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。有利には、1つ以上の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。「修飾ヌクレオシド」という用語はまた、「ヌクレオシド類似体」または修飾「単位」または修飾「モノマー」という用語と互換的に使用されてもよい。未修飾DNAまたはRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書ではDNAまたはRNAヌクレオシドと呼ばれる。DNAまたはRNAヌクレオシドの塩基領域に修飾を有するヌクレオシドは、それらがワトソン・クリック塩基対形成可能な場合には、依然として一般的にDNAまたはRNAと呼ばれる。
【0020】
グアノシン類似体
本明細書で使用される「グアニン類似体」または「G類似体」という用語は、以下の式の核酸塩基8-オキソ-グアニン(8-オキソ-G)および/または7-デアザ-8-アザ-グアニン(PPG)を含有するヌクレオシドまたはヌクレオチドを指す:
(式中、Rは、HまたはOHである)。
【0021】
8-オキソ-デオキシグアノシン(8-オキソ-dG)および/または7-デアザ-8-アザ-デオキシグアノシン(PPG)は、以下のようにより詳細に表すこともできる:
または
【0022】
これは、以下の部分などの糖修飾を含むグアノシン類似体も包含することが理解されるべきである:
【0023】
部分(Ia)および(IIa)は、Glen Research(バージニア州スターリング)で市販されているホスホロアミダイトを使用して得ることができる。
【0024】
部分(IIb)および(IIc)は、Haraら、J.Org.Chem.2017、82、25~36およびBladeら、J.Org.Chem.2015、80、5337~5343によって記載されている合成経路に従って得ることができる。
【0025】
部分(Ib)、(Ic)、(Id)および(Ie)は、Kannanら、J.Org.Chem.2011、76、720~723によって記載されるように対応するグアノシンヌクレオシドから得ることができる。
【0026】
部分(IId)および(IIe)は、Seelaら、Nucleosides&Nucleotides(1989)、8(5~6)、789~792およびSeelaら、Helvetica Chimica Acta(1986)、69(7)、1602~1613によって記載されるように対応するペントフラノシルクロリド中間体から得ることができる。
【0027】
修飾ヌクレオシド間結合
「修飾ヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを互いに共有結合する、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として、当業者に一般的に理解されているように定義される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオシド間結合または1つ以上のホスホロジチオエートヌクレオシド間結合などの、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであり、例えばオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%または例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全てがホスホロチオエートである。
【0029】
いくつかの有利な実施形態では、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列の全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであるか、またはオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。
【0030】
欧州特許第2742135号明細書に開示されているように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他のヌクレオシド間結合(ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエート以外)、例えばアルキルホスホネート/メチルホスホネートヌクレオシド間結合を含んでもよいことが認識され、これは欧州特許第2742135号明細書によれば、例えば、別のDNAホスホロチオエートのギャップ領域内で耐性であり得る。
【0031】
核酸塩基
「核酸塩基」という用語は、ヌクレオシドおよびヌクレオチドに存在するプリン(例えばアデニンおよびグアニン)およびピリミジン(例えばウラシル、チミンおよびシトシン)部分を含み、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本発明の文脈において、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーションの際に機能的である修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」は、天然に存在する核酸塩基、例えばアデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチンおよびヒポキサンチンと、天然に存在しないバリアントの両方を指す。このようなバリアントは、例えば、Hiraoら(2012)Accounts of Chemical Research第45巻2055頁およびBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、核酸塩基部分が、プリンまたはピリミジンを修飾プリンまたはピリミジン、例えば置換プリンまたは置換ピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チアゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変えることにより修飾される。
【0033】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、CまたはUにより示されてもよく、各文字は、任意に等価機能の修飾核酸塩基を含んでもよい。例えば、例示したオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、および5-メチルシトシンから選択される。任意に、LNAギャップマーについて、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが使用され得る。
【0034】
修飾オリゴヌクレオチド
「修飾オリゴヌクレオチド」という用語は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシドおよび/または修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを表す。「キメラ」オリゴヌクレオチドという用語は、糖修飾ヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを記述するために文献で使用されている用語である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、有利にはキメラオリゴヌクレオチドである。
【0035】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのワトソン・クリック塩基対形成の能力を表す。ワトソン・クリック塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)およびアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾された核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでいてもよく、例えば、5-メチルシトシンは、シトシン、本明細書に記載されるグアノシン類似体の代わりに使用されることが多く、したがって、相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のワトソン・クリック塩基対形成を包含することが理解されよう(例えば、Hiraoら、(2012)Accounts of Chemical Research 第45巻 2055頁およびBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1を参照されたい)。
【0036】
本明細書で使用される「%相補的」という用語は、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、標的配列または配列モチーフ)に相補的である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセント)を指す。したがって、相補性のパーセンテージは、2つの配列間(標的配列5’-3’と3’-5’からのオリゴヌクレオチド配列とを整列させた場合)で相補的である(ワトソン・クリック塩基対から)整列した核酸塩基の数を数え、その数をオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。このような比較において、整列(塩基対を形成)しない核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと呼ばれる。挿入および欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。相補性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5’-メチルシトシンおよび本明細書に記載されるグアノシン類似体は、%同一性の計算の目的のために、それぞれシトシンおよびグアノシンと同一であると見なされる)。
【0037】
「完全に相補的な」という用語は、100%の相補性を指す。
【0038】
同一性
本明細書で使用される「同一性」という用語は、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、配列モチーフ)と同一である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)内の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセントで表される)を指す。したがって、同一性のパーセンテージは、2つの配列(本発明の化合物の連続ヌクレオチド配列および参照配列における)の間で同一の(一致する)整列された核酸塩基の数を数え、その数をオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることにより計算される。したがって、同一性のパーセンテージ=(一致数×100)/整列領域(例えば、連続ヌクレオチド配列)の長さ。挿入および欠失は、連続ヌクレオチド配列の同一性のパーセンテージの計算において許容されない。同一性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、%同一性の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0039】
ハイブリダイゼーション
本明細書で使用される「ハイブリダイズ」または「ハイブリダイズする」という用語は、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチドおよび標的核酸)が対向する鎖上の塩基対間に水素結合を形成することにより二本鎖を形成することと理解されるべきである。2つの核酸鎖の間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、多くの場合、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二本鎖を形成する温度として定義される融解温度(Tm)によって表される。生理学的条件では、Tmは親和性に厳密に比例しない(MergnyおよびLacroix、2003、Oligonucleotides13:515~537)。標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°は、結合親和性をより正確に表しており、ΔG°=-RTln(Kd)(式中、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である)によって反応の解離定数(Kd)と関連付けられている。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水溶液濃度が1M、pHが7、温度が37℃である反応に関連したエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的反応であり、自発的反応の場合のΔG°は、ゼロ未満である。ΔG°は、例えば、Hansenら、1965、Chem.Comm.36~38およびHoldgateら、2005、Drug Discov Todayに記載されているように、例えば等温滴定熱量測定(ITC)法を使用することによって、実験的に測定することができる。当業者は、ΔG°測定のために市販の装置が入手可能であることを知るであろう。ΔG°は、SantaLucia、1998、Proc Natl Acad Sci USA.95:1460~1465に記載される最近接モデルを使用して、Sugimotoら、1995、Biochemistry34:11211~11216およびMcTigueら、2004、Biochemistry43:5388~5405に記載される適切に得られる熱力学的パラメータを使用し、数値的に推定することができる。その意図した核酸標的をハイブリダイゼーションによって調節する可能性を確保するために、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションの程度または強度が、標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°によって測定される。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcalの範囲未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、および例えば-25kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズし得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドが、-10~-60kcal、例えば-12~-40、例えば-15~-30kcal、または-16~-27kcal、例えば-18~-25kcalの推定ΔG°値で、標的核酸にハイブリダイズする。
【0040】
標的核酸
本発明によると、標的核酸は、ヒト遺伝子をコードする核酸、RNA、mRNA、およびプレmRNA、成熟mRNA、またはcDNA配列であり得る。本発明のオリゴヌクレオチドを研究または診断に使用する場合、標的核酸は、cDNA、またはDNAもしくはRNAに由来する合成核酸であり得る。
【0041】
標的配列
本明細書で使用される「標的配列」という用語は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドに相補的な核酸塩基配列を含む、標的核酸中に存在するヌクレオチドの配列を指す。いくつかの実施形態では、標的配列が、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列に相補的な核酸塩基配列を有する標的核酸上の領域からなる。標的核酸のこの領域は、互換的に標的ヌクレオチド配列、標的配列、または標的領域と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、標的配列が、単一アンチセンスオリゴヌクレオチドの相補的配列よりも長く、例えば、本発明のいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドにより標的とされ得る標的核酸の好ましい領域を表し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列が、標的配列に相補的、例えば完全に相補的である。
【0043】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸、例えば本明細書に記載される標的配列に相補的であり、ハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含む。
【0044】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが相補的である標的配列は、一般に、少なくとも10ヌクレオチドの連続核酸塩基配列を含む。連続ヌクレオチド配列は、10~30ヌクレオチド長、例えば12~30、例えば14~20、例えば15~18連続ヌクレオチド長、例えば15、16、17連続ヌクレオチド長である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドの全長にわたって標的配列に完全に相補的である。
【0046】
標的細胞
本明細書で使用される「標的細胞」という用語は、標的核酸を発現している細胞を指す。いくつかの実施形態では、標的細胞が、インビボまたはインビトロであり得る。いくつかの実施形態では、標的細胞が、哺乳動物細胞、例えば、げっ歯類細胞、例えば、マウス細胞もしくはラット細胞、または霊長類細胞、例えば、サル細胞もしくはヒト細胞である。
【0047】
典型的には、標的細胞が、標的mRNA、例えば標的プレmRNAまたは標的成熟mRNAを発現する。実験的評価のために、標的配列を含む核酸を発現する標的細胞が使用され得る。
【0048】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、例えばインビボまたはインビトロのいずれかで、標的核酸を発現している細胞(標的細胞)における標的核酸の発現を阻害することができる。
【0049】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さにわたって測定して、任意に、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコンジュゲートなどの任意の官能基に結合し得るヌクレオチドベースのリンカー領域、または他の非相補的末端ヌクレオチド(例えば、領域D’またはD’’)を除いて、標的核酸に相補的、例えば完全に相補的である。標的核酸は、例えば、所与のタンパク質をコードする成熟mRNAまたはプレmRNAなどのメッセンジャーRNAであり得る。
【0050】
天然に存在するバリアント
「天然に存在するバリアント」という用語は、標的核酸と同じ遺伝子座に由来するが、例えば、同じアミノ酸をコードする多数のコドンを引き起こす遺伝コードの縮重のために、またはプレmRNAの選択的スプライシング、または多型、例えば単一ヌクレオチド多型(SNP)の存在に起因して異なり得る遺伝子または転写産物のバリアント、および対立遺伝子バリアントを指す。したがって、オリゴヌクレオチドに対する十分な相補的配列の存在に基づいて、本発明のオリゴヌクレオチドは、標的核酸およびその天然に存在するバリアントを標的とし得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、天然に存在するバリアントが、哺乳動物標的核酸に対して少なくとも95%、例えば少なくとも98%または少なくとも99%の相同性を有する。
【0052】
発現の阻害
本明細書で使用される「発現の阻害」という用語は、オリゴヌクレオチドが標的細胞において所与のタンパク質の量または活性を阻害する能力の全体的な用語として理解されるべきである。活性の阻害は、標的プレmRNAもしくは標的mRNAのレベルを測定することによって、または細胞中の標的遺伝子もしくは標的遺伝子活性のレベルを測定することによって決定され得る。したがって、発現の阻害は、インビトロまたはインビボで決定され得る。標的発現の阻害はまた、活性またはタンパク質レベルを測定することによっても決定され得る。
【0053】
典型的には、発現の阻害は、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを標的細胞に投与することによる活性の阻害を比較する、およびそのレベルをアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与しない標的細胞から得られた参照レベル(対照実験)、または既知の参照レベル(例えば、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与前の発現レベル、または所定のもしくは他の既知の発現レベル)と比較することによって決定される。
【0054】
例えば、対照実験は、生理食塩水組成物または参照オリゴヌクレオチド(多くの場合、スクランブル対照)で処理した動物もしくはヒト、または標的細胞であり得る。
【0055】
阻害または阻害するという用語は、所与の遺伝子Aの発現を下方制御する、減少させる、抑制する、減らす、低下させるとも呼ばれ得る。
【0056】
発現の阻害は、例えばプレmRNAまたはmRNAの分解(例えば、RNaseH動員オリゴヌクレオチド、例えばギャップマーを使用)によって起こり得る。
【0057】
高親和性修飾ヌクレオシド
「高親和性修飾ヌクレオシド」は、修飾ヌクレオチドであり、これは、アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれと、例えば融解温度(Tm)によって測定されるように、その相補的標的に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの親和性を高める。本発明の高親和性修飾ヌクレオシドは、好ましくは、1修飾ヌクレオシド当たり+0.5~+12℃、より好ましくは+1.5~+10℃、最も好ましくは+3~+8℃の融解温度の上昇をもたらす。多数の高親和性修飾ヌクレオシドが当技術分野において知られており、例えば、多くの2’置換ヌクレオシドおよびロックド核酸(LNA)が挙げられる(例えば、Freier&Altmann;Nucl.Acid Res.、1997、25、4429~4443およびUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development、2000、3(2)、293~213を参照されたい)。
【0058】
糖修飾
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾糖部分、すなわち、DNAおよびRNAに見られるリボース糖部分と比較した場合の糖部分の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含み得る。
【0059】
リボース糖部分の修飾を有する多数のヌクレオシドは、親和性および/またはヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドのある特定の特性を改善することを主な目的として作製されてきた。本発明のいくつかの実施形態では、「糖修飾」という用語が、「リボース修飾」または「修飾リボース」または「リボースの修飾」を意味する。
【0060】
このような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)、または典型的にはリボース環上のC2炭素とC4炭素との間にビラジカル架橋を有する二環式環(LNA)、または典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠く非結合リボース環(例えば、UNA)で置き換えることにより、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。その他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号パンフレット)または三環式核酸(国際公開第2013/154798号パンフレット)が含まれる。修飾ヌクレオシドにはまた、糖部分が例えばペプチド核酸(PNA)またはモルホリノ核酸の場合には非糖部分で置き換えられているヌクレオシドが含まれる。
【0061】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、またはDNAおよびRNAヌクレオシド中に天然に存在する2’-OH基に変更することによってなされる修飾も含まれる。置換基は、例えば、2’、3’、4’、または5’位に導入され得る。
【0062】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾としても知られている、2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にHまたは-OH以外の置換基を有するか(2’置換ヌクレオシド)、または2’炭素とリボース環中の第2の炭素との間に架橋を形成することができる2’結合ビラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドである。
【0063】
実際、2’糖置換ヌクレオシドの開発には多くの注目が集まっており、多数の2’置換ヌクレオシドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれると有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾糖は、高められた結合親和性および/または増大されたヌクレアーゼ耐性をアンチセンスオリゴヌクレオチドにもたらすことができる。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA/DNA、2’-O-メチル-RNA/DNA、2’-アルコキシ-RNA/DNA、2’-O-メトキシエチル-RNA/DNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA/DNA、および2’-F-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えばFreier&Altmann;Nucl.Acid Res.、1997、25、4429~4443およびUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development、2000、3(2)、293~213、ならびにDeleaveyおよびDamha、Chemistry and Biology 2012、19、937を参照されたい。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの例示である。
【0064】
本発明に関して、2’置換糖修飾ヌクレオシドは、LNAのような2’架橋ヌクレオシドを含まない。
【0065】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNAヌクレオシド)
「LNAヌクレオシド」は、前記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを結合するビラジカル(「2’-4’架橋」とも呼ばれる)を含む2’修飾ヌクレオシドであり、これはリボース環の立体配座を制限または固定する。これらのヌクレオシドは、文献において、架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも呼ばれる。リボースの立体配座の固定は、LNAが相補的RNAまたはDNA分子のアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の向上(二本鎖の安定化)に関連している。これは、アンチセンスオリゴヌクレオチド/相補二本鎖の融解温度を測定することによって、日常的に決定され得る。
【0066】
非限定的な、例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号パンフレット、国際公開第00/66604号パンフレット、国際公開第98/039352号パンフレット、国際公開第2004/046160号パンフレット、国際公開第00/047599号パンフレット、国際公開第2007/134181号パンフレット、国際公開第2010/077578号パンフレット、国際公開第2010/036698号パンフレット、国際公開第2007/090071号パンフレット、国際公開第2009/006478号パンフレット、国際公開第2011/156202号パンフレット、国際公開第2008/154401号パンフレット、国際公開第2009/067647号パンフレット、国際公開第2008/150729号パンフレット、Moritaら、Bioorganic&Med.Chem.Lett.12、73~76、SethらJ.Org.Chem.2010、第75(5)巻1569-81頁、ならびにMitsuokaら、Nucleic Acids Research2009、37(4)、1225~1238、ならびにWanおよびSeth、J.Medical Chemistry2016、59、9645~9667に開示されている。
【0067】
さらなる非限定的な、例示的LNAヌクレオシドを、スキーム1に開示する。
(式中、Bは天然または非天然(修飾)核酸塩基であり、Zは隣接ヌクレオシドまたは5’末端基へのヌクレオシド間結合であり、Z
*は隣接ヌクレオシドまたは3’末端基へのヌクレオシド間結合である)。
【0068】
特に明記されていない限り、LNAヌクレオシドはβ-Dまたはα-Lステレオアイソフォ-ムであり得ることが認識されよう。
【0069】
HELMアノテーションを有する例示的なヌクレオシド
DNAヌクレオシド
β-D-オキシ-LNAヌクレオシド
2’-O-メチルヌクレオシド
【0070】
HELMアノテーションを有する例示的なホスホロチオエートヌクレオシド間結合
【0071】
点線は、各ヌクレオシドと5’または3’ホスホロチオエートヌクレオシド間結合との間の共有結合を表す。5’末端ヌクレオシドにおいて、5’点線は水素原子への結合を表す(5’末端-OH基を形成する)。3’末端ヌクレオシドにおいて、3’点線は水素原子への結合を表す(3’末端-OH基を形成する)。
【0072】
RNaseHの活性および動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNaseH活性は、相補的RNA分子との二本鎖にあるときにRNaseHを動員する能力を指す。国際公開第01/23613号パンフレットは、RNaseHを動員する能力を決定するために使用され得る、RNaseH活性を決定するためのインビトロ方法を提供している。典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、相補的標的核酸配列が提供された場合に、試験されている修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、オリゴヌクレオチド中の全てのモノマー間にホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーのみを含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用し、国際公開第01/23613号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)の実施例91~95により提供される方法論を使用したときに決定された初期速度の少なくとも5%、例えば、少なくとも10%または20%超のpmol/l/分で測定された初期速度を有する場合に、このアンチセンスオリゴヌクレオチドはRNase Hを動員し得ると見なされる。RNase H活性の決定での使用について、組換えヒトRNase H1は、Creative Biomart(登録商標)(大腸菌で発現したHisタグと融合した組換えヒトRNASEH1)から入手可能である。
【0073】
ギャップマー
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列はギャップマーであってもよく、また、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはギャップマー設計とも呼ばれ得る。ギャップマーは、通常、RNaseH媒介分解を介した標的核酸の阻害に使用される。ギャップマーは、少なくとも3つの区別される構造領域、5’-フランク、ギャップ、および3’-フランク、F-G-F’を、5’->3’配向で含む。「ギャップ」領域(G)は、ギャップマーがRNaseHを動員するのを可能にする連続DNAヌクレオチドの伸長を含む。ギャップ領域は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む5’フランキング領域(F)と、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む3’フランキング領域(F’)が隣接する。領域FおよびF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するギャップマーの親和性を向上させる(すなわち、親和性向上糖修飾ヌクレオシドである)。いくつかの実施形態では、領域FおよびF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドが、例えばLNAおよび2’-MOEから独立して選択される、高親和性2’糖修飾などの2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0074】
ギャップマー設計において、ギャップ領域の最も5’側および3’側のヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり、それぞれ、5’(F)または3’(F’)領域の糖修飾ヌクレオシドに隣接して配置されている。フランクはさらに、ギャップ領域から最も遠い端、すなわち5’フランクの5’末端および3’フランクの3’末端に少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシドを有することによって定義され得る。
【0075】
領域F-G-F’は、連続ヌクレオチド配列を形成する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列は、式F-G-F’のギャップマー領域を含み得る。
【0076】
ギャップマー設計F-G-F’の全長は、例えば12~32ヌクレオシド、例えば13~24、例えば14~22ヌクレオシド、例えば14~17、例えば16~18ヌクレオシドであり得る。
【0077】
例として、本発明のギャップマーオリゴヌクレオチドは、以下の式によって表すことができる:
F1~8-G5~16-F’1~8、例えば
F1~8-G7~16-F’2~8
但し、ギャップマー領域F-G-F’の全長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0078】
本発明の一態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列が、式5’-F-G-F’-3’のギャップマー(式中、領域FおよびF’は独立して1~8個のヌクレオシドを含むかまたはそれらからなり、そのうち1~4個は2’糖修飾され、FおよびF’領域の5’および3’末端を規定し、GはRNase Hを動員することができる6~16個のヌクレオシドの領域である)からなるかまたはそれを含む。
【0079】
領域F、G、およびF’は、さらに以下に定義され、F-G-F’式に組み込むことができる。
【0080】
LNAギャップマー
LNAギャップマーは、領域FおよびF’のいずれか一方または両方が、LNAヌクレオシドを含むかまたはそれからなるギャップマーである。β-D-オキシギャップマーは、領域FおよびF’のいずれか一方または両方がβ-D-オキシLNAヌクレオシドを含むかまたはそれからなるギャップマーである。
【0081】
いくつかの実施形態では、LNAギャップマーが、式:[LNA]1~5-[領域G]-[LNA]1~5(式中、領域Gは、RNaseHを動員することができる連続DNAヌクレオシドの領域であるかまたはそれを含む)のものである。
【0082】
MOEギャップマー
MOEギャップマーは、領域FおよびF’がMOEヌクレオシドからなるギャップマーである。いくつかの実施形態では、MOEギャップマーが、設計[MOE]1~8-[領域G]5~16-[MOE]1~8、例えば[MOE]2~7-[領域G]6~14-[MOE]2~7、例えば[MOE]3~6-[領域G]8~12-[MOE]3~6(式中、領域Gはギャップマーの定義において定義される通りである)のものである。5-10-5設計(MOE-DNA-MOE)を有するMOEギャップマーは、当技術分野で広く使用されている。
【0083】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャップマーは、領域FおよびF’の一方または両方が、2’置換ヌクレオシド、例えば2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、アラビノ核酸(ANA)単位および2’-フルオロ-ANA単位からなる群から独立して選択される2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシドを含むLNAギャップマーである。領域FおよびF’の少なくとも一方、または領域FとF’の両方が少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含むいくつかの実施形態では、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドが、MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される。領域FおよびF’の少なくとも一方、または領域FとF’の両方が少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含むいくつかの実施形態では、領域FおよびF’の残りのヌクレオシドが、MOEおよびLNAからなる群から独立して選択される。いくつかの混合ウイング実施形態では、領域FおよびF’の一方または両方が、1つ以上のDNAヌクレオシドをさらに含んでもよい。
【0084】
交互フランクギャップマー
フランキング領域は、LNAヌクレオシドとDNAヌクレオシドの両方を含んでよく、それらはLNA-DNA-LNAヌクレオシドの交互のモチーフを含むことから、「交互フランク」と呼ばれる。このような交互フランクを含むギャップマーは、「交互フランクギャップマー」と呼ばれる。したがって、「交互フランクギャップマー」は、少なくとも1つのフランク(FまたはF’)がLNAヌクレオシドに加えてDNAを含む、LNAギャップマーオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、領域FもしくはF’の少なくとも一方、または領域FとF’の両方が、LNAヌクレオシドとDNAヌクレオシドの両方を含む。このような実施形態では、フランキング領域FもしくはF’、またはFとF’の両方が少なくとも3つのヌクレオシドを含み、Fおよび/またはF’領域の最も5’側および3’側のヌクレオシドがLNAヌクレオシドである。
【0085】
アンチセンスオリゴヌクレオチド内の領域D’またはD’’
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマー領域F-G-F’、ならびにさらなる5’および/または3’ヌクレオシドを含むか、またはそれからなり得る。さらなる5’および/または3’ヌクレオシドは、標的核酸に完全に相補的であっても、完全に相補的でなくてもよい。このようなさらなる5’および/または3’ヌクレオシドは、本明細書では領域D’およびD’’と呼ばれ得る。
【0086】
領域D’またはD’’の付加は、連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマーをコンジュゲート部分または別の官能基に連結する目的のために使用され得る。連結に使用される場合、コンジュゲート部分を有する連続ヌクレオチド配列は、生体切断可能なリンカーとしての役割を果たし得る。あるいは、それは、エキソヌクレアーゼ保護を提供するために、または合成もしくは製造を容易にするために使用され得る。
【0087】
領域D’およびD’’は、それぞれ、領域Fの5’末端または領域F’の3’末端に結合されて、以下の式D’-F-G-F’、F-G-F’-D’’、またはD’-F-G-F’-D’’の設計を生成することができる。この場合、F-G-F’はアンチセンスオリゴヌクレオチドのギャップマー部分であり、領域D’またはD’’は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの別個の部分を構成する。
【0088】
領域D’またはD’’は、独立して、1、2、3、4または5個の追加のヌクレオチドを含むかまたはそれからなり、標的核酸に相補的であっても、相補的でなくてもよい。FまたはF’領域に隣接するヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオチドではなく、例えばDNAもしくはRNAまたはこれらの塩基修飾バージョンである。D’またはD’’領域は、ヌクレアーゼ感受性の生体切断可能なリンカーとしての役割を果たし得る(リンカーの定義を参照されたい)。いくつかの実施形態では、さらなる5’および/または3’末端ヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で結合されており、DNAまたはRNAである。領域D’またはD’’としての使用に好適なヌクレオチドベースの生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号パンフレットに開示されており、これには例としてホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドが含まれる。ポリオリゴヌクレオチド構築物における生体切断可能なリンカーの使用は国際公開第WO2015/113922号パンフレットに開示されており、それらは複数のアンチセンス構築物(例えば、ギャップマー領域)を単一アンチセンスオリゴヌクレオチド内で結合するのに使用されている。
【0089】
一実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、ギャップマーを構成する連続ヌクレオチド配列に加えて、領域D’および/またはD’’を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、以下の式によって表され得る:
F-G-F’;特にF1~8-G5~16-F’2~8
D’-F-G-F’、特にD’1~3-F1~8-G5~16-F’2~8
F-G-F’-D’’、特にF1~8-G5~16-F’2~8-D’’1~3
D’-F-G-F’-D’’、特にD’1~3-F1~8-G5~16-F’2~8-D’’1~3。
【0091】
いくつかの実施形態では、領域D’と領域Fとの間に位置するヌクレオシド間結合がホスホジエステル結合である。いくつかの実施形態では、領域F’と領域D’’との間に位置するヌクレオシド間結合がホスホジエステル結合である。
【0092】
コンジュゲート
本明細書で使用されるコンジュゲートという用語は、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分または領域Cまたは第3の領域)に共有結合したアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。コンジュゲート部分は、任意に領域D’またはD’’などのリンカー基を介して、アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合していてもよい。
【0093】
アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートおよびそれらの合成については、Manoharan in Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications、S.T.Crooke編、第16章、Marcel Dekker,Inc.、2001およびManoharan,Antisense and Nucleic Acid Drug Development、2002、12、103の包括的なレビューでも報告されている。
【0094】
いくつかの実施形態では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)が、炭水化物(例えば、GalNAc)、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0095】
リンカー
結合またはリンカーは、1つ以上の共有結合を介して、ある目的の化学基またはセグメントを別の目的の化学基またはセグメントに結合する、2個の原子間の接続である。コンジュゲート部分は、直接または連結部分(例えば、リンカーまたはテザー)を介してアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合させることができる。リンカーは、第3の領域、例えばコンジュゲート部分(領域C)を、第1の領域、例えば、標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは連続ヌクレオチド配列(領域A)に共有結合する役割を果たす。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のコンジュゲートまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートが、任意に、標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは連続ヌクレオチド配列(領域Aまたは第1の領域)と、コンジュゲート部分(領域Cまたは第3の領域)との間に位置するリンカー領域(第2の領域または領域Bおよび/または領域Y)を含みうる。
【0097】
領域Bは、哺乳動物の体内で通常見られる条件下、または見られるものに類似した条件下で切断可能である生理学的に不安定な結合を含むか、またはそれからなる生体切断可能なリンカーを指す。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換(例えば、切断)を受ける条件には、哺乳動物細胞で見られる、または見られるものに類似した、pH、温度、酸化もしくは還元条件または酸化もしくは還元剤、および塩濃度などの化学的条件が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解酵素または加水分解酵素またはヌクレアーゼなどに由来する、哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。一実施形態では、生体切断可能なリンカーが、S1ヌクレアーゼ切断を受けやすい。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ感受性リンカーが、少なくとも2つの連続するホスホジエステル結合を含むDNAヌクレオシドなどの1~5個のヌクレオシドを含む。ホスホジエステルを含有する生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号パンフレットにより詳細に記載されている。
【0098】
領域Yは、必ずしも生体切断可能ではないが、主にコンジュゲート部分(領域Cまたは第3の領域)をアンチセンスオリゴヌクレオチド(領域Aまたは第1の領域)に共有結合させるのに役立つリンカーを指す。領域Yリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位またはアミノアルキル基などの反復単位の鎖構造またはオリゴマーを含み得る。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、以下の局所要素A-C、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-CまたはA-Y-Cから構築することができる。いくつかの実施形態では、リンカー(領域Y)が、例えばC6~C12アミノアルキル基を含むC2~C36アミノアルキル基などのアミノアルキルである。いくつかの実施形態では、リンカー(領域Y)がC6アミノアルキル基である。いくつかの実施形態では、リンカーがNAである。
【0099】
siRNA
「低分子干渉」または「低分子干渉RNA」またはsiRNAは、目的の遺伝子を標的とするヌクレオチドのRNA二本鎖である。「RNA二本鎖」は、RNA分子の2つの領域間の相補的対形成によって形成される構造を指す。siRNAは、siRNAの二本鎖部分のヌクレオチド配列が標的化遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であるという点で、遺伝子を「標的とする」。いくつかの実施形態では、siRNAの二本鎖の長さが30ヌクレオチド未満である。いくつかの実施形態では、二本鎖が、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11または10ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、二本鎖の長さが19~25ヌクレオチド長である。siRNAのRNA二本鎖部分はヘアピン構造の一部であり得る。二本鎖部分に加えて、ヘアピン構造は、二本鎖を形成する2つの配列の間に配置されたループ部分を含有し得る。ループの長さは様々であり得る。いくつかの実施形態では、ループが5、6、7、8、9、10、11、12または13ヌクレオチド長である。ヘアピン構造はまた、3’または5’オーバーハング部分を含有することができる。いくつかの実施形態では、オーバーハングが、0、1、2、3、4または5ヌクレオチド長の3’または5’オーバーハングである。
【0100】
本明細書で使用される場合、「shRNA分子」は、前駆体miRNA(プレmiRNA)を形成する慣用的なステムループshRNAを含む。「shRNA」には、マイクロRNA埋め込みshRNA(miRNAベースのshRNA)も含まれ、miRNA二本鎖のガイド鎖およびパッセンジャー鎖は、既存の(または天然)miRNAまたは修飾もしくは合成(設計)miRNAに組み込まれる。転写されると、慣用的なshRNAは、一次miRNA(プリmiRNA)または天然プリmiRNAに非常に類似の構造を形成する。プリmiRNAはその後、Droshaおよびその補因子によってプレmiRNAにプロセシングされる。したがって、「shRNA」という用語には、プリmiRNA(shRNA-mir)分子およびプレmiRNA分子が含まれる。
【0101】
「ステムループ構造」は、主に一本鎖ヌクレオチドの領域(ループ部分)によって片側で連結された二本鎖または二本鎖(ステム部分)を形成することが知られているかまたは予測されるヌクレオチドの領域を含む二次構造を有する核酸を指す。「ヘアピン」および「折り返し」構造という用語もまた、本明細書では、ステムループ構造を指すために使用される。このような構造は当技術分野で周知であり、この用語は当技術分野におけるその既知の意味と一致して使用される。当技術分野で知られているように、二次構造は、正確な塩基対形成を必要としない。したがって、ステムは、1つ以上の塩基のミスマッチまたはバルジを含むことができる。あるいは、塩基対形成は正確であり得る、すなわちいかなるミスマッチも含まない。
【0102】
「RNAi発現構築物」または「RNAi構築物」は、RNA干渉効果を達成するように設計された核酸調製物を含む総称である。RNAi発現構築物は、インビボで切断されてsiRNAまたは成熟shRNAを形成することができるRNAi分子を含む。例えば、RNAi構築物は、インビボでsiRNAまたは成熟shRNAを生じさせることができる発現ベクターである。本発明に従って使用され得るベクターの非限定的な例は、本明細書において、例えば第4.6節に記載されている。長いまたは短いRNAi構築物を作製および送達する例示的な方法は、例えば、国際公開第01/68836号パンフレットおよび国際公開第01/75164号パンフレットに見出すことができる。
【0103】
siRNAは核酸配列によってコードされ得、核酸配列はプロモーターも含み得る。核酸配列は、ポリアデニル化シグナルも含み得る。いくつかの実施形態では、ポリアデニル化シグナルが、合成最小ポリアデニル化シグナルである。
【0104】
処置
本明細書で使用される「処置」という用語は、既存の疾患(例えば、本明細書で言及される疾患または障害)の処置、または疾患の予防(prevention)、すなわち予防(prophylaxis)の両方を指す。したがって、本明細書で言及される処置は、いくつかの実施形態では、予防的であり得ることが認識されるであろう。
【0105】
発明の詳細な説明
第1の態様では、本発明は、
-少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合と、
-以下:
からなる群から選択されるグアニン類似体を含む少なくとも1つのグアノシン類似体と
を含む、ポリヌクレオチドに関する。
【0106】
ポリヌクレオチドは、一本鎖、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
【0107】
ポリヌクレオチドは、siRNAまたはshRNAなどの二本鎖であり得る。
【0108】
ポリヌクレオチドは、1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含むことができる。このような2’糖修飾ヌクレオシドは、ロックド核酸および2’糖置換ヌクレオシドからなる群から独立して選択され得る。
【0109】
2’糖修飾ヌクレオシドは、
(式中、Bは天然または修飾核酸塩基であり、Zは隣接ヌクレオシドまたは5’末端基へのヌクレオシド間結合であり、Z
*は隣接ヌクレオシドまたは3’末端基へのヌクレオシド間結合である)
からなる群から選択されるロックド核酸であり得る。
【0110】
2’糖修飾ヌクレオシドは、
からなる群から選択され得る。
【0111】
グアノシン類似体は、
(式中、Rは、HまたはOHである)
からなる群から選択され得る。
【0112】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(Ia)である。
【0113】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(Ib)である。
【0114】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(IIa)である。
【0115】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(IIb)である。
【0116】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(Ic)である。
【0117】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(IIc)である。
【0118】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(Id)である。
【0119】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(IId)である。
【0120】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(Ie)である。
【0121】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体が(IIe)である。
【0122】
本発明によると、アンチセンスオリゴヌクレオチドはギャップマーであり得る。
【0123】
本発明によると、ポリヌクレオチドは、修飾リボースを有する少なくとも1つのさらなるヌクレオシドを含むことができ、リボース修飾は、ロックド核酸または他の2’修飾からなる群から選択される。
【0124】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体がギャップマーのギャップ領域にあり、かつ式Iaまたは式IIbのものであり、式中、RがHである。
【0125】
本発明の一実施形態では、グアノシン類似体がギャップマーのフランクに無い。
【0126】
本発明の一実施形態では、ポリヌクレオチドがグアノシン類似体を1つ含む。
【0127】
本発明の一実施形態では、ポリヌクレオチドがグアノシン類似体を2つ含む。
【0128】
本発明の一実施形態では、ポリヌクレオチドがグアノシン類似体を3つ含む。
【0129】
本発明の一実施形態では、ポリヌクレオチドが天然グアノシンを含まない。
【0130】
本発明の一実施形態では、ポリヌクレオチドが、
CTCAacttgオキソctttaAT(配列番号4);
CTCAtacttgNctttaAT(配列番号5);
CTCAtacttgPPGctttaAT(配列番号6);
CTAcatctcatactTgC(配列番号9);
CTAcatctcatactTgPPGC(配列番号10);
CTAcatctcatactTgオキソC(配列番号11);
CTAcatctcatactTgNC(配列番号13);
ACAgオキソgオキソattagオキソttCTA(配列番号15);および
ACAgPPGgPPGattagPPGttCTA(配列番号16)
(これらの配列中の大文字はLNA修飾リボースを有するヌクレオシドを示し、全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、これらの配列中の小文字はDNAを示し、
gPPGは7-デアザ-8-アザ-デオキシグアノシンであり、
gNは8-アミノ-dGであり、
gオキソは8-オキソ-デオキシグアノシンである)
からなる群から選択されるアンチセンスである。
【0131】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがCTCAacttgオキソctttaAT(配列番号4)である。
【0132】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがCTCAtacttgNctttaAT(配列番号5)である。
【0133】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがCTCAtacttgPPGctttaAT(配列番号6)である。
【0134】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがCTAcatctcatactTgC(配列番号9)である。
【0135】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがCTAcatctcatactTgPPGC(配列番号10)である。
【0136】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがCTAcatctcatactTgオキソC(配列番号11)である。
【0137】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがCTAcatctcatactTgNC(配列番号13)である。
【0138】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがACAgオキソgオキソattagオキソttCTA(配列番号15)である。
【0139】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドがACAgPPGgPPGattagPPGttCTA(配列番号16)
(上記配列中の大文字はLNA修飾リボースを有するヌクレオシドを示し、全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、これらの配列中の小文字はDNAを示し、
gPPGは7-デアザ-8-アザ-デオキシグアノシンであり、
gNは8-アミノ-dGであり、
gオキソは8-オキソ-デオキシグアノシンである)
である。
【0140】
本発明はまた、医薬として使用するための本発明によるポリヌクレオチドに関する。これは、中枢神経系に投与するため、または神経障害、例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アンジェルマン、アルツハイマー病、動脈瘤、背痛、ベル麻痺、脳および脊髄の先天性欠損、脳損傷、脳腫瘍、脳性麻痺、慢性疲労症候群、脳震盪、認知症、頸部および腰背部の椎間板疾患、浮動性めまい、てんかん、ギラン・バレー症候群、頭痛および片頭痛、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経痛、ニューロパチー、神経筋および関連疾患、パーキンソン病、精神医学的症状(重度のうつ病、強迫性障害)、脊柱側弯症、発作、脊髄損傷、脊椎変形および障害、脊椎腫瘍、脳卒中および回転性めまいからなる群から選択されるCNS障害を処置するために使用され得る。
【0141】
本発明によるポリヌクレオチドは、髄腔内注射を介して投与することができる。
【0142】
本発明によるポリヌクレオチドは、Ube3Aの調節が有益である医学的症状を処置するための医薬として使用するために、例えば、アンジェルマンを処置するために使用することができる。
【0143】
本発明によるポリヌクレオチドは、ATXN2の調節が有益である医学的症状を処置するための医薬として使用することができる。
【0144】
本発明によるポリヌクレオチドは、ATXN3の調節が有益である医学的症状を処置するための医薬として使用することができる。
【0145】
本発明のポリヌクレオチドは、神経毒性の低下が必要とされる医薬として使用することができる。
【0146】
本発明はまた、毒性が低下した本発明のポリヌクレオチドを合成するための方法であって、さらなるヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドにホスホロアミダイトなどのヌクレオチドモノマーをカップリングさせることを含み、ヌクレオチドモノマーが、上記に定義されるグアノシン類似体を含む、方法に関する。
【0147】
本発明はまた、参照ポリヌクレオチドよりも毒性が低下したポリヌクレオチドを選択するための方法であって、ポリヌクレオチドが少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含み、神経毒性の低いポリヌクレオチドが参照ポリヌクレオチドと比較して少なくとも1つのグアノシン類似体を含むという違いを伴って、参照ポリヌクレオチドおよび神経毒性の低いアンチセンスオリゴヌクレオチドが、同じヌクレオチド配列を有し、かつ少なくとも1つのグアノシンを含む、方法に関する。
【0148】
本発明はまた、オリゴヌクレオチドアンチセンスまたはshRNAまたはsiRNAの製造における、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)および(IIe)からなる群から選択されるグアノシン類似体を含有する化合物の使用に関する。
【0149】
本発明はまた、本発明によるポリヌクレオチドと、前記ポリヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含むコンジュゲートに関する。
【0150】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドの薬学的に許容され得る塩、または上記で定義されるコンジュゲートに関する。
【0151】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る塩がナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0152】
本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、または本発明によるコンジュゲート、または本発明による薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩および/またはアジュバントとを含む医薬組成物。
【0153】
本発明はまた、Ube3a-ATSを発現している標的細胞におけるUbe3a発現を上方制御するための方法であって、Ube3a-ATSを標的とする本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、または本発明によるコンジュゲート、または本発明による薬学的に許容され得る塩を有効量で前記細胞に投与することを含む、方法に関する。
【0154】
いくつかの実施形態では、前記方法が、インビボ方法またはインビトロ方法である。
【0155】
本発明はまた、神経障害に罹患しているか、または罹患する可能性があるヒトなどの対象における神経障害を処置または予防するための方法であって、神経障害を予防または緩和するなどのために、治療有効量または予防有効量の本発明によるポリヌクレオチド、または本発明によるコンジュゲート、または本発明による薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、方法に関する。
【0156】
少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2つ以上のホスホロチオエートを含むことができることを理解すべきである。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオシド間結合または1つ以上のホスホロチオエートヌクレオシド間結合などの、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであり、例えばオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%または例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全てがホスホロチオエートである。
【0157】
一実施形態では、ロックド核酸が
(式中、Bは天然または修飾核酸塩基であり、Zは隣接ヌクレオシドまたは5’末端基へのヌクレオシド間結合であり、Z
*は隣接ヌクレオシドまたは3’末端基へのヌクレオシド間結合である)
からなる群から選択される。
【0158】
本発明のアンチセンスの一実施形態では、2’修飾が、
からなる群から選択され得る。
【0159】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、修飾リボースを有する少なくとも1つのさらなるヌクレオシドを含むことができ、リボース修飾が、ロックド核酸または2’修飾からなる群から選択される。
【0160】
本発明の一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、上記で定義されるギャップマーである。
【0161】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、以下の式によって表され得る:
F-G-F’;特にF1~8-G5~16-F’2~8
D’-F-G-F’、特にD’1~3-F1~8-G5~16-F’2~8
F-G-F’-D’’、特にF1~8-G5~16-F’2~8-D’’1~3
D’-F-G-F’-D’’、特にD’1~3-F1~8-G5~16-F’2~8-D’’1~3
(式中、Fはフランクであり、Gはギャップである)。
【0162】
いくつかの実施形態では、領域D’と領域Fとの間に位置するヌクレオシド間結合がホスホジエステル結合である。いくつかの実施形態では、領域F’と領域D’’との間に位置するヌクレオシド間結合がホスホジエステル結合である。
【0163】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドでは、グアノシン類似体がギャップマーのギャップ内にあり得る。本発明によるいくつかの実施形態では、グアノシン類似体がギャップマーのフランクに無い。
【0164】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つのグアノシン類似体を含むことができる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2つのグアノシン類似体を含むことができる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、3つのグアノシン類似体を含むことができる。
【0165】
本発明のいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドが天然グアノシンを含まない。
【0166】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、慣用的なアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも比較的低い神経毒性を提供するので、医薬として使用することができる。これは、例えば髄腔内注射を介して中枢神経系に投与することができる。
【0167】
本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、Ube3Aの調節が有益である医学的症状、例えばアンジェルマン症候群を処置するための医薬として使用することができる。
【0168】
本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ATXN2の調節が有益である医学的症状、例えば脊髄小脳失調症II型(SCA2)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)を処置するための医薬として使用することができる。
【0169】
本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ATXN3の調節が有益である医学的症状、例えば脊髄小脳失調症3型(SCA3)を処置するための医薬として使用することができる。
【0170】
本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬の神経毒性の低下が必要とされる、医学的症状を処置するための医薬として使用することができる。
【0171】
本発明はさらに、参照化合物よりも神経毒性の低い本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計するための方法であって、参照化合物および神経毒性の低いアンチセンスオリゴヌクレオチドが同じヌクレオチド配列を有し、かつ少なくとも1つのグアノシンを含み、神経毒性の低いアンチセンスオリゴヌクレオチドが参照化合物と比較して少なくとも1つのグアノシン類似体を含むという違いを有する、方法に関する。
【0172】
本発明はさらに、オリゴヌクレオチドの製造における、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)および(IIe)からなる群から選択されるグアノシン類似体の使用に関する。
【0173】
本発明はまた、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含むコンジュゲートに関する。
【0174】
本発明はさらに、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容され得る塩またはそのコンジュゲートに関する。いくつかの実施形態では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)が、炭水化物(例えば、GalNAc)、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0175】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ナトリウム塩またはカリウム塩などの薬学的に許容され得る塩の形態であり得る。
【0176】
本発明はまた、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはコンジュゲートまたは薬学的に許容され得る塩と、1つ以上の薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩および/またはアジュバントとを含む医薬組成物に関する。
【0177】
本発明はまた、Ube3aを発現している標的細胞におけるUbe3a発現を阻害するための方法であって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはコンジュゲート、またはその薬学的に許容され得る塩を有効量で前記細胞に投与することを含む、方法に関する。本発明は、インビボ方法またはインビトロ方法であり得る。
【0178】
本発明はさらに、神経障害に罹患しているか、または罹患する可能性があるヒトなどの対象における神経障害を処置または予防するための方法であって、神経障害を予防または緩和するなどのために、治療有効量または予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、または本発明によるコンジュゲート、または本発明の薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、方法に関する。
【0179】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、標的の発現を阻害または下方制御することにより調節することができる。好ましくは、このような調節は、標的の正常な発現レベルと比較して少なくとも20%の発現の阻害、より好ましくは、標的の正常な発現レベルと比較して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%の阻害をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、0.031μM、0.1μM、および0.4μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドを標的細胞に施用した後、インビトロで標的mRNAの発現レベルを少なくとも60%または70%阻害することができ得る。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、0.031μM、0.1μM、および0.4μMのオリゴヌクレオチドを標的細胞に施用した後、インビトロで標的遺伝子の発現レベルを少なくとも50%阻害することができ得る。好適には、実施例は、標的RNAまたはタンパク質阻害を測定するために使用され得るアッセイを提供する。標的調節は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列と標的核酸との間のハイブリダイゼーションによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間のミスマッチを含む。ミスマッチにもかかわらず、標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的遺伝子発現の所望の調節を示すのに依然として十分であり得る。ミスマッチから生じる結合親和性の低下は、アンチセンスオリゴヌクレオチド内のヌクレオチド数の増加、および/または標的への結合親和性を増加させることができる修飾ヌクレオシドの数、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド配列内に存在する、LNAを含む2’糖修飾ヌクレオシドの数の増加により有利に補償され得る。
【0180】
本発明の一態様は、標的プレmRNAもしくはmRNAまたはそれに由来する転写産物バリアントに対して少なくとも90%の相補性を有する10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0181】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、10~30ヌクレオチド長の連続配列を含み、これは、標的核酸または標的配列の領域と、少なくとも90%相補的、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、または100%相補的である。
【0182】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列は、標的核酸の領域に完全に相補的(100%相補的)である場合、またはいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つもしくは2つのミスマッチを含み得る場合に有利である。
【0183】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、標的核酸の領域に完全に(または100%)相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
【0184】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸の領域、例えば本明細書に記載される標的配列に相補的であるかまたはハイブリダイズする連続ヌクレオチド配列を含む。
【0185】
治療用アンチセンスオリゴヌクレオチドが相補的であるかまたはハイブリダイズする標的核酸配列は、一般に、少なくとも10ヌクレオチドの連続核酸塩基の伸長を含む。連続ヌクレオチド配列は、12~70ヌクレオチド、例えば12~50、例えば13~30、例えば14~25、例えば14~20連続ヌクレオチドである。
【0186】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列が、10~30ヌクレオチド長、例えば12~25、例えば11~22、例えば12~20、例えば14~18または14~16連続ヌクレオチド長を含むか、またはそれからなる。
【0187】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列が、22以下のヌクレオチド、例えば20以下のヌクレオチド、例えば18以下のヌクレオチド、例えば14、15、16または17ヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。本明細書で提供されるいずれの範囲も、範囲の終点を含むことを理解すべきである。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドが10~30ヌクレオチドを含むと記される場合、10ヌクレオチドと30ヌクレオチドの両方が含まれる。
【0188】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30連続ヌクレオチド長を含むか、またはそれからなる。
【0189】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22連続ヌクレオチド長を含むか、またはそれからなる。
【0190】
有利な実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、例えば1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANAおよびLNAヌクレオシドからなる群から独立して選択される1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含む。修飾ヌクレオシドの1つ以上がロックド核酸(LNA)である場合が有利である。
【0191】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、LNAヌクレオシドを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、LNAヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドを含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、LNAヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドおよび2’-O-メチルRNAヌクレオシドを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、LNAヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドおよび2’-O-メチルRNAヌクレオシドを含み、連続ヌクレオチド結合の各ヌクレオシド間のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0195】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、LNAヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドおよび2’-O-メチルRNAヌクレオシドを含み、連続ヌクレオチド結合の各ヌクレオシド間のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0196】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)ヌクレオシドを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列が、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)ヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドを含む。
【0198】
有利には、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列の最も3’側のヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0199】
有利には、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエートなどの少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0201】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロジチオエートヌクレオシド間結合である。
【0202】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列中の少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0203】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列内の全てのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0204】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列内の少なくとも75%のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0205】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列内の全てのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0206】
本発明の有利な実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、RNase H、例えばRNase H1を動員することができる。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列がギャップマーである。
【0207】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその連続ヌクレオチド配列が、式5’-F-G-F’-3’のギャップマーからなるかまたはそれを含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、領域Gが、6個~16個のDNAヌクレオシドからなる。
【0209】
いくつかの実施形態では、領域FおよびF’がそれぞれ、少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む。
【0210】
薬学的に許容され得る塩
さらなる態様では、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩、例えば、薬学的に許容され得るナトリウム塩、アンモニウム塩またはカリウム塩を提供する。
【0211】
製造方法
さらなる態様では、本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを製造するための方法であって、ヌクレオチド単位を反応させ、それによってアンチセンスオリゴヌクレオチド内に含まれる共有結合された連続ヌクレオチド単位を形成することを含む、方法を提供する。好ましくは、この方法は、ホスホロアミダイト化学を使用する(例えば、Caruthersら、1987、Methods in Enzymology、第154巻、287~313頁を参照されたい)。さらなる実施形態では、この方法が、連続ヌクレオチド配列をコンジュゲート部分(リガンド)と反応させて、コンジュゲート部分をアンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合させることをさらに含む。さらなる態様では、本発明の組成物を製造する方法であって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはコンジュゲートアンチセンスオリゴヌクレオチドを、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩および/またはアジュバントと混合することを含む、方法が提供される。
【0212】
医薬組成物
さらなる態様では、本発明は、前述のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/またはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその塩のいずれかと、薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩および/またはアジュバントとを含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容され得る希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれ、薬学的に許容され得る塩には、それだけに限らないが、ナトリウム塩およびカリウム塩が含まれる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る希釈剤が、無菌リン酸緩衝生理食塩水または無菌炭酸ナトリウム緩衝液である。
【0213】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、薬学的に許容され得る希釈剤中の溶液、例えばPBSまたは炭酸ナトリウム緩衝液に溶解した溶液の形態である。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容され得る塩が、粉末、例えば凍結乾燥粉末などの固体形態である。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを溶液中に予め製剤化してもよく、またはいくつかの実施形態では、投与前に薬学的に許容され得る希釈剤に溶解され得る乾燥粉末(例えば、凍結乾燥粉末)の形態であってもよい。
【0214】
適切には、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、0.1~100mg/ml、例えば1~10mg/薬学的に許容され得る希釈剤の濃度で溶解され得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドが、0.5~100mg、例えば、1mg~50mgまたは2~25mgの単位用量で製剤化される。
【0216】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、薬学的に許容され得る希釈剤中50~300μMの濃度で使用される。
【0217】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、医薬組成物または製剤を調製するために、薬学的に許容され得る活性または不活性物質と混合されてもよい。医薬組成物を製剤化するための組成物および方法は、それだけに限らないが、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含むいくつかの基準に依存する。
【0218】
溶液などの医薬組成物は、慣用的な滅菌技術によって滅菌されてもよく、または滅菌フィルタにかけてもよい。得られた溶液は、そのまま使用するために包装するか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥された調製物は、投与前に無菌水性担体と組み合わされる。調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9または6~8、最も好ましくは7~8、例えば7~7.5であろう。得られた固体形態の組成物は、錠剤またはカプセルの密封パッケージなどのように、各々が固定量の上記の薬剤または薬剤群を含有する複数の単回用量単位で包装することができる。固体形態の組成物はまた、局所施用可能なクリームまたは軟膏用に設計された絞り出し可能なチューブなどの柔軟な量の容器に包装することもできる。
【0219】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートがプロドラッグである。特にアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートに関して、プロドラッグが作用部位、例えば標的細胞に送達されると、コンジュゲート部分がアンチセンスオリゴヌクレオチドから切断される。
【0220】
用途
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、診断、治療および予防のための研究試薬として利用され得る。
【0221】
研究では、このようなオリゴヌクレオチドを使用して、細胞(例えば、インビトロ細胞培養物)および実験動物におけるタンパク質の合成を特異的に調節し、それによって標的の機能分析または治療的介入の標的としてのその有用性の評価を促進することができる。典型的には、標的調節は、タンパク質を生成するmRNAを分解または阻害し、それによってタンパク質形成を防止することによって、またはタンパク質を生成する遺伝子もしくはmRNAのモジュレータを分解もしくは阻害することによって達成される。
【0222】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを研究または診断に使用する場合、標的核酸は、cDNA、またはDNAもしくはRNAに由来する合成核酸であり得る。
【0223】
本発明は、標的タンパク質を発現している標的細胞における遺伝子発現を調節するためのインビボまたはインビトロ方法であって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを有効量で前記細胞に投与することを含む、方法を提供する。
【0224】
いくつかの実施形態では、標的細胞が、哺乳動物細胞、特にヒト細胞である。標的細胞は、インビトロ細胞培養物または哺乳動物の組織の一部を形成するインビボ細胞であってよい。好ましい実施形態では、標的細胞が中枢神経系に存在する。
【0225】
治療用途
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、または本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、塩もしくは医薬組成物は、神経障害の予防または処置のために動物またはヒトに投与され得る。
【0226】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、または本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、塩もしくは医薬組成物で処置され得る神経障害は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、医薬組成物または塩を使用して予防、処置または改善され得る筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、動脈瘤、背痛、ベル麻痺、脳および脊髄の先天性欠損、脳損傷、脳腫瘍、脳性麻痺、慢性疲労症候群、脳震盪、認知症、頸部および腰背部の椎間板疾患、浮動性めまい、てんかん、ギラン・バレー症候群、頭痛および片頭痛、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経痛、ニューロパチー、神経筋および関連疾患、パーキンソン病、精神医学的症状(重度のうつ病、強迫性障害)、脊柱側弯症、発作、脊髄損傷、脊椎変形および障害、脊椎腫瘍、脳卒中および回転性めまいであり得る。
【0227】
本発明は、上記の神経障害を予防または処置するために使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、組成物または塩を提供する。
【0228】
本発明はさらに、上記の神経障害を処置または予防するための医薬を製造するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物の使用に関する。
【0229】
本発明は、医薬として使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、医薬組成物または塩を提供する。
【0230】
本発明は、医薬を製造するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、医薬組成物または塩の使用を提供する。
【0231】
本発明は、上記の神経障害を予防または処置するために使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、医薬組成物または塩を提供する。
【0232】
本発明はさらに、上記の神経障害を処置または予防するための医薬を製造するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物の使用に関する。
【0233】
処置方法
本発明は、上記の神経障害に罹患しているか、または罹患する可能性があるヒトなどの対象における神経障害を処置または予防するための方法であって、治療有効量または予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物を、上記の神経障害に罹患しているか、または罹患しやすい対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0234】
例として、処置方法は、上記の神経障害からなる群から選択される適応症に罹患している対象におけるものであり得る。
【0235】
本発明の方法は、上記の神経障害を処置するためのものであり得る。
【0236】
本発明の方法は、好ましくは、上記の神経障害を処置または予防するために使用される。
【0237】
投与
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物は、非経口投与を介して投与され得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、投与経路が皮下または静脈内である。
【0239】
いくつかの実施形態では、投与経路が、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、硬膜外、脳室内、眼内、髄腔内投与、および経椎間孔投与からなる群から選択される。
【0240】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物が脳を標的とする、すなわち脳に送達される。
【0241】
いくつかの有利な実施形態では、投与が、髄腔内投与、または硬膜外投与または経椎間孔投与を介する。
【0242】
有利には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物が髄腔内投与される。
【0243】
本発明はまた、神経障害を予防または処置するための医薬を製造するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、例えば本発明の医薬塩または組成物の使用であって、医薬が髄腔内投与用の剤形である、使用を提供する。
【0244】
本発明はまた、神経障害を予防または処置するための医薬を製造するための医薬を製造するために記載される本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用であって、医薬が髄腔内投与用の剤形である、使用を提供する。
【0245】
本発明はまた、神経障害を予防または処置するための医薬として使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート、例えば本発明の医薬塩または組成物であって、医薬が髄腔内投与用の剤形である、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを提供する。
【0246】
本発明はまた、神経障害を予防または処置するための医薬として使用するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートであって、医薬が髄腔内投与用の剤形である、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはそのアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを提供する。
【0247】
併用療法
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物が、別の治療剤との併用処置に使用される。治療剤は、例えば、上記の疾患または障害の標準治療であり得る。いくつかの実施形態では、本発明の化合物が、本発明の化合物または組成物の投与と同時にまたは独立して投与され得る低分子鎮痛薬と組み合わせて使用される。本発明の化合物と低分子鎮痛薬の併用療法の利点は、低分子鎮痛薬が、典型的には短い作用持続時間(数時間~数日間)で神経障害軽減活性の迅速な発現を有するのに対して、本発明の化合物が、遅延した活性発現(典型的には数日またはさらには1週間+)を有するが、長い作用持続時間(数週間~数ヶ月、例えば2+、3+または4ヶ月+)を有することである。
【実施例】
【0248】
実施例A:オリゴマー化合物の合成
標準的なホスホロアミダイト化学を使用して一本鎖オリゴヌクレオチドを合成した。非修飾DNAホスホロアミダイトおよび全ての標準試薬は、Merck KGaA(ドイツのダルムシュタット)から購入した。LNAホスホロアミダイトを社内で製造した(LNAホスホロアミダイトも例えばMerck KGaAで市販されている)。8-アミノ-dG、8-オキソ-dG、7-デアザ-8-アザ-dG(PPG)および2’-デオキシイノシンホスホロアミダイトは、Glen Research(バージニア州スターリング)から購入した。
【0249】
オリゴヌクレオチドを、MerMade12(テキサス州アービングのLGC BioAutomation)上のNittoPhase HL UnyLinker350支持体(カリフォルニア州オーシャンサイドのKinovate)上で20μmolスケールで合成した。合成後、オリゴヌクレオチドを、アンモニア水を使用して65℃で一晩、支持体から切断した。オリゴヌクレオチドを、10mM NaOH緩衝液および2M NaClの勾配を使用してSuperQ-5PWゲル(ドイツグリースハイムのTosoh Bioscience)上でのイオン交換によって精製し、Millipore膜を使用して脱塩した。凍結乾燥後、化合物を最後に液体クロマトグラフィー-質量分析(逆相およびエレクトロスプレーイオン化-質量分析)によって特徴付けた。
【0250】
実施例1:マウスにおけるグアノシン類似体を含むオリゴヌクレオチドのインビボ試験
この実施例では、天然グアノシンまたはグアノシン類似体を含むギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドを、以下の急性神経毒性アッセイにおいてそれらの神経毒性について試験した。
【0251】
1群当たり6匹のC57BL/6黒色マウスからなる9つの群に、100μgのアンチセンスオリゴヌクレオチドの単回用量を脳室内注射を介して注射した。
【0252】
1群のマウスに生理食塩水を注射した。2群のマウスに配列番号1(対照)を注射した。3~9群のマウスに配列番号2~8をそれぞれ注射した。
【0253】
注射後のマウスの行動を、以下の行動スコアリングカテゴリー(0~4)に従って30分、1時間、24時間および14日で観察、報告した:
A.「多動、常同およびホームケージ行動」
B.「覚醒状態、探索および応答性の低下」
C.「運動協調性および強度」
D.「姿勢、外観および呼吸」
E.「振戦、多動、痙攣」
【0254】
典型的には、高い神経毒性は、注射後30分以内に運動失調、痙攣および発作として見られる。
【0255】
(表1)
これらの配列中の大文字は、LNA修飾リボースを有するヌクレオシドを示す。全てのLNA Cは5-メチルシトシンである
これらの配列中の小文字はDNAを示す。
N.a.:異常なし
I:イノシンヌクレオシド
以下の修飾グアノシンヌクレオシドをこれらの配列で使用した:
g
PPG:7-デアザ-8-アザ-デオキシグアノシン
g
N:8-アミノ-dG:
g
オキソ:8-オキソ-デオキシグアノシン
【0256】
この試験は以下を示す:
- gを含まない配列(配列番号1、対照)は神経毒性を示さない
- 2個または3個のgを含む配列(配列番号7および8)は、1個のgを含む配列(配列番号2)と比較して相対的に高い神経毒性を示す
- gを含む配列(配列番号2)は神経毒性を示す
- Iを含む配列(配列番号3)は神経毒性を示す
【0257】
結論:
- 配列中の多くのg:相対的に高い神経毒性
- 配列中の修飾gは、非修飾gを含む配列と比較して相対的に低い神経毒性を示す。
- 配列中のgオキソおよびgPPGは、最も相対的に低い神経毒性を示す
【0258】
7群および8群の急性神経毒性は安楽死をもたらす
gは毒性であり、多くのgはより毒性が高く、修飾gはより毒性が低いことを示唆している。
【0259】
実施例2
実施例1の手順に従って、表2のギャップマー化合物を6匹のC57BL/6マウスの8つの群で試験した。結果を表2に示す。
【0260】
(表2)
これらの配列中の大文字は、LNA修飾リボースを有するヌクレオシドを示す。全てのLNA Cは5-メチルシトシンである
これらの配列中の小文字はDNAを示す。
N.a.:異常なし
I:イノシンヌクレオシド
以下の修飾グアノシンヌクレオシドをこれらの配列で使用した:
g
PPG:7-デアザ-8-アザ-デオキシグアノシン
g
N:8-アミノ-dG
g
オキソ:8-オキソ-デオキシグアノシン
【0261】
この試験は、グアノシンを含まない配列が神経毒性を示さないことを示す、配列(配列番号1、対照)を参照されたいgPPGを含む配列(配列番号10)は、天然グアノシンを含む同じ配列(配列番号9)と比較して、はるかに少ない神経毒性を示す。gオキソを含む配列(配列番号11)は神経毒性を示さない。これは、天然グアノシン(配列番号9)およびgPPG(配列番号10)を含む同じ配列と比較することができる。Iを含む配列(配列番号12)は、グアノシンを含む同じ配列よりも相対的に高い神経毒性を示す。gNを含む配列(配列番号13)は、グアノシンを含む同じ配列よりも相対的に高い神経毒性を示す。
【0262】
結論:本発明者らは、ポリヌクレオチド配列内の天然、すなわち、未修飾グアノシン核酸塩基の割合が、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのポリヌクレオチドが神経毒性となる可能性と直接相関していることを見出して驚いた。このような神経毒性は、急性かつ致死的であることを示す。グアノシン類似体gPPGおよびgオキソによる天然グアノシンの置換は、神経毒性を低下させた。
【0263】
実施例3
実施例1の手順に従って、表2のギャップマー化合物を6匹のC57BL/6マウスの9つの群で試験した。結果を表3に示す。
【0264】
(表3)
これらの配列中の大文字は、LNA修飾リボースを有するヌクレオシドを示す。全てのLNA Cは5-メチルシトシンである
これらの配列中の小文字はDNAを示す。
N.a.:異常なし
I:イノシンヌクレオシド
以下の修飾グアノシンヌクレオシドをこれらの配列で使用した:
g
PPG:7-デアザ-8-アザ-デオキシグアノシン
g
N:8-アミノ-dG
g
オキソ:8-オキソ-デオキシグアノシン
【0265】
この試験は、50μgおよび100μgで試験された、ギャップに3つの天然グアノシンを含む同じヌクレオチド配列(配列番号14)が神経毒性の用量依存的増加を示すことを明らかにしている。
【0266】
配列番号14のギャップマーと同じヌクレオチド配列であるが、3つのグアノシン類似体(gオキソ)を含むもの(配列番号15)を、50μgおよび100μgで試験したところ、配列番号14のギャップマーと比較して相対的にはるかに低い神経毒性を示す。興味深いことに、用量を50μgから100μgに増加させた場合でも、神経毒性の増加はない。
【0267】
配列番号14のギャップマーと同じヌクレオチド配列であるが、3つのグアノシン類似体(gPPG)を含むもの(配列番号16)を、50μgおよび100μgで試験したところ、配列番号14のギャップマーと比較して相対的にはるかに低い神経毒性を示す。興味深いことに、用量を50μgから100μgに増加させた場合でも、神経毒性の増加はない。
【配列表】
【国際調査報告】