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特表2023-529460免疫応答を増強するための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】免疫応答を増強するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20230703BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230703BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230703BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230703BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20230703BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230703BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230703BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230703BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230703BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230703BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20230703BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20230703BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230703BHJP
【FI】
C12N5/0783
A61K35/17 ZNA
A61P35/00
A61K45/00
A61K38/02
A61K31/7088
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P43/00 121
A61P35/02
C12N5/10
C12N15/113 Z
C12N15/115 Z
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575729
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2021098870
(87)【国際公開番号】W WO2021249384
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/095211
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522476716
【氏名又は名称】ハンチョウ リーディング エッジ ファーマシューティカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュー メン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シャンミン
(72)【発明者】
【氏名】ドン ウェンシン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065BD39
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA03
4C084BA08
4C084BA13
4C084BA20
4C084BA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB11
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA05
4C087BB37
4C087DA31
4C087MA02
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA34
(57)【要約】
本願は、YTH N6-メチルアデノシンRNA結合タンパク質2(YTHDF2)の発現および/または活性を減弱させることを含む、免疫療法で癌を治療するための方法および組成物を提供するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾されていない対応する免疫細胞と比較して、
減弱されたYTH N6-メチルアデノシンRNA結合タンパク質2(YTHDF2)の発現および/または活性、および
増強された抗腫瘍活性、を有する
修飾された免疫細胞。
【請求項2】
前記免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である、
請求項1に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項3】
前記免疫細胞は、T細胞である、
請求項1~2のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項4】
前記免疫細胞は、CD4+細胞である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項5】
前記免疫細胞は、CD8+細胞である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項6】
前記免疫細胞は、腫瘍浸潤T細胞である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項7】
前記免疫細胞は、CAR-T細胞である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項8】
前記免疫細胞は、TCR-T細胞である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項9】
前記修飾されていない対応する免疫細胞は、TCF1-である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項10】
前記修飾されていない対応する免疫細胞は、Tim3+である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項11】
前記修飾されていない対応する免疫細胞は、PD-1+である、
請求項1~10のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項12】
前記修飾された免疫細胞は、PD-1+またはPD-1-である、
請求項1~11のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項13】
前記修飾された免疫細胞は、TCF1+および/またはTCF7+である、
請求項1~12のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項14】
前記修飾された免疫細胞は、Tim3-である、
請求項1~13のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項15】
前記免疫細胞は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤によって修飾されている、
請求項1~14のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項16】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、YTHDF2をコードする遺伝子の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または
前記YTHDF2タンパク質の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含む、
請求項15に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項17】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は高い、分子および低分子のうちの1つ以上を含む、
請求項15~16のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項18】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ポリペプチドおよび核酸分子のうちの1つ以上を含む、
請求項15~17のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項19】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、抗体またはその誘導体、抗体薬物複合体、融合タンパク質およびアンチセンス分子のうちの1つ以上を含む、
請求項15~18のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項20】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ユビキチン、PROTAC、dsRNA、siRNA、shRNA、アプタマーおよびgRNAのうちの1つ以上を含む、
請求項15~19のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項21】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、内因性YTHDF2の活性を減弱させることが可能なYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体、および前記YTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体をコードする核酸分子のうちの1つ以上を含む、
請求項15~20のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項22】
前記免疫細胞は、YTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらす修飾を受けている、
請求項1~21のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む、
組成物。
【請求項24】
YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む、
癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための組成物。
【請求項25】
YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む、
癌を治療するための組成物。
【請求項26】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、YTHDF2をコードする遺伝子の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または
前記YTHDF2タンパク質の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含む、
請求項24~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は高い、分子および低分子のうちの1つ以上を含む、
請求項24~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ポリペプチドおよび核酸分子のうちの1つ以上を含む、
請求項24~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、抗体またはその誘導体、抗体薬物複合体、融合タンパク質およびアンチセンス分子のうちの1つ以上を含む、
請求項24~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ユビキチン、PROTAC、dsRNA、siRNA、shRNA、アプタマーおよびgRNAのうちの1つ以上を含む、
請求項24~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、内因性YTHDF2の活性を減弱させることが可能なYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体、および前記YTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体をコードする核酸分子のうちの1つ以上を含む、
請求項24~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
抗癌剤である第2の活性成分をさらに含む、
請求項23~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記第2の活性成分は、癌免疫療法を含む、
請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記第2の活性成分は、免疫チェックポイント減弱剤を含む、
請求項32~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記第2の活性成分は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO減弱剤より選択される薬剤を含む、
請求項32~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記第2の活性成分は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む、
請求項32~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記第2の活性成分は、別個の容器に含まれ、前記修飾された免疫細胞または前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤と混合されない、
請求項32~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
免疫細胞を活性化するための方法であって、前記免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含む、
方法。
【請求項39】
増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成するための方法であって、前記免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含む、
方法。
【請求項40】
免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転するための方法であって、前記免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含む、
方法。
【請求項41】
前記免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である、
請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記免疫細胞は、T細胞である、
請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記免疫細胞は、CD4+細胞である、
請求項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記免疫細胞は、CD8+細胞である、
請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記免疫細胞は、腫瘍浸潤T細胞である、
請求項38~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記免疫細胞は、CAR-T細胞である、
請求項38~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記免疫細胞は、TCR-T細胞である、
請求項38~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記減弱は、前記免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤で、前記免疫細胞を修飾することを含む、
請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、YTHDF2をコードする遺伝子の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または
前記YTHDF2タンパク質の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含む、
請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は高い、分子および低分子のうちの1つ以上を含む、
請求項48~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ポリペプチドおよび核酸分子のうちの1つ以上を含む、
請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、抗体またはその誘導体、抗体薬物複合体、融合タンパク質およびアンチセンス分子のうちの1つ以上を含む、
請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ユビキチン、PROTAC、dsRNA、siRNA、shRNA、アプタマーおよびgRNAのうちの1つ以上を含む、
請求項48~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、内因性YTHDF2の活性を減弱させることが可能なYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体、および前記YTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体をコードする核酸分子のうちの1つ以上を含む、
請求項48~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記減弱は、前記免疫細胞に、YTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらす修飾を受けさせることを含む、
請求項38~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記方法は、インビボ法、インビトロ法および/またはエクスビボ法である、
請求項38~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療するための方法であって、前記被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または
請求項1~22のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞を投与することを含む、
方法。
【請求項58】
前記疾患、障害または病状は癌である、
請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記癌は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される、
請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記癌は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される、
請求項58に記載の方法。
【請求項61】
必要のある被験者における癌を治療するための方法であって、前記被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または
請求項1~22のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞を投与することを含む、
方法。
【請求項62】
前記癌は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される、
請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記癌は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される、
請求項61に記載の方法。
【請求項64】
必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための方法であって、前記被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または
請求項1~22のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞を投与することを含む、
方法。
【請求項65】
必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えるための方法であって、前記被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または
請求項1~22のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞を投与することを含む、
方法。
【請求項66】
必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための方法であって、前記被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または
請求項1~22のいずれか一項に記載の修飾された免疫細胞を投与することを含む、
方法。
【請求項67】
前記T細胞疲弊は、CD8+ T細胞の疲弊である、
請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記被験者は癌患者である、
請求項66~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記被験者は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される癌の患者である、
請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記被験者は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される癌の患者である、
請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記被験者は、抗癌治療を受けた、受けている、および/または受ける、
請求項66~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記抗癌治療は、癌免疫療法を含む、
請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記抗癌治療は、免疫チェックポイント減弱剤を含む、
請求項71~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記抗癌治療は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO減弱剤より選択される薬剤を含む、
請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記抗癌治療は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む、
請求項71~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記被験者に1つ以上の追加の抗癌治療を投与することをさらに含む、
請求項57~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記追加の抗癌治療は、癌免疫療法を含む、
請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記追加の抗癌治療は、免疫チェックポイント減弱剤を含む、
請求項76~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記他の抗癌治療は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO減弱剤より選択される薬剤を含む、
請求項76~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記追加の抗癌治療は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む、
請求項76~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
以下のような
1)免疫細胞を活性化すること、
2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、
3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、
4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、
5)必要のある被験者における癌を治療すること、
6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、
7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、
8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、
9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、
10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、
11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、
12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、
13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および
14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転すること
の目的の1つ以上のために使用される組成物および/または医薬品の製造におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤の使用。
【請求項82】
前記癌または腫瘍は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される、
請求項81に記載の使用。
【請求項83】
前記癌または腫瘍は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される、
請求項81~82のいずれか一項に記載の使用。
【請求項84】
以下のような
1)免疫細胞を活性化すること、
2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、
3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、
4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、
5)必要のある被験者における癌を治療すること、
6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、
7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、
8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、
9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、
10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、
11)腫瘍浸潤CD8+T細胞の数を増加すること、
12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、
13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および
14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転すること
の目的の1つ以上のために使用される医薬品の製造におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤と追加の活性成分との組み合わせの使用。
【請求項85】
前記追加の活性成分は、癌免疫療法を含む、
請求項84に記載の使用。
【請求項86】
前記追加の活性成分は、免疫チェックポイント減弱剤を含む、
請求項84~85のいずれか一項に記載の使用。
【請求項87】
前記追加の活性成分は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO減弱剤より選択される薬剤を含む、
請求項84~86のいずれか一項に記載の使用。
【請求項88】
前記追加の活性成分は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む、
請求項84~87のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
腫瘍の微小環境における自発的T細胞浸潤および増殖は、免疫療法の臨床効果に不可欠である。しかし、多くの患者では、腫瘍浸潤T細胞は生存せず、腫瘍の完全拒絶に必要な持続的なT細胞応答も得られない。腫瘍浸潤T細胞の機能不全状態に影響を与える分子経路を特定することによって、免疫療法に対する反応を改善するための標的が得られる可能性がある。
【0002】
癌免疫療法の分野では大きな進歩が見られているが、より強力で効果的な治療法の開発が依然として急務となっている。
【発明の開示】
【0003】
本願は、癌細胞および/または腫瘍抗原に対する免疫応答を増強するための組成物および方法に関するものである。一方、本発明者らは、タンパク質YTH N6-メチルアデノシンRNA結合タンパク質2(YTHDF2)がT細胞の疲弊シグネチャー遺伝子の発現に関連していることを見出した。T細胞にYTHDF2を欠くマウスは、リンパ腫や、固形腫瘍(メラノーマや結腸癌など)に対する抗腫瘍免疫に優れていることを示した。YTHDF2欠失マウスでは、腫瘍浸潤T細胞の機能が亢進している。さらに、T細胞疲弊の分岐は、メモリー様または幹様CD8+ T細胞の運命に向かって救助された。
【0004】
一方、本願は、修飾されていない対応する免疫細胞と比較して、減弱されたYTHDF2の発現および/または活性、および増強された抗腫瘍活性を有する修飾された免疫細胞を提供するものである。
【0005】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である。
【0006】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、CD4+細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、CD8+細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、腫瘍浸潤T細胞である。
【0007】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された細胞(例えば、免疫エフェクター細胞集団などの細胞集団)である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、CAR-T細胞である。
【0008】
いくつかの実施形態において、本願で使用されるCARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは腫瘍抗原(CD20やCLDN18.2など)に結合する。いくつかの実施形態において、抗原は、CD20、クローディンタンパク質(Claudin protein)、CLDN18またはCLDN18.2である。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、リツキシマブ(Rituximab)に由来する抗体または抗体断片である。いくつかの実施形態において、上記のCARの膜貫通ドメインは、(i)SEQ ID NO: 10のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 10のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列、または(ii)SEQ ID NO: 10の配列を有する。いくつかの実施形態において、CARの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 9またはそれと95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列を有するヒンジ領域によって膜貫通ドメインに連結されている。いくつかの実施形態において、上記のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの機能的シグナル伝達ドメインを含む一次シグナル伝達ドメインおよび/または共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、上記のCARの一次シグナル伝達ドメインは、(i)SEQ ID NO: 8のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 8のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列、または(ii)SEQ ID NO: 8のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、上記のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメイン、または一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含み、ここで、共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能的シグナル伝達ドメイン(CD137)を含む。いくつかの実施形態において、上記のCARの共刺激シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO: 7のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 7のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態において、上記のCARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO: 7の配列およびSEQ ID NO: 8の配列を有し、ここで、細胞内シグナル伝達ドメインを構成する配列は、同一のオープンリーディングフレームで単一のポリペプチド鎖として発現している。
【0009】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞受容体を発現するように操作された細胞(例えば、免疫エフェクター細胞集団などの細胞集団)である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、TCR-T細胞である。
【0010】
いくつかの実施形態において、修飾されていない対応する免疫細胞は、TCF1-である。
【0011】
いくつかの実施形態において、修飾されていない対応する免疫細胞は、Tim3+である。
【0012】
いくつかの実施形態において、修飾されていない対応する免疫細胞は、PD-1+である。
【0013】
いくつかの実施形態において、修飾された免疫細胞は、PD-1+またはPD-1-である。
【0014】
いくつかの実施形態において、修飾された免疫細胞は、TCF1+および/またはTCF7+である。
【0015】
いくつかの実施形態において、修飾された免疫細胞は、Tim3-である。
【0016】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤によって修飾されている。いくつかの実施形態において、本願の免疫細胞(例えば、T細胞などの操作または修飾された免疫エフェクター細胞)は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、YTHDF2をコードする遺伝子の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/またはYTHDF2タンパク質の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、ヒト細胞である。
【0019】
いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は高い、分子および低分子のうちの1つ以上を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ポリペプチドおよび核酸分子のうちの1つ以上を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、抗体またはその誘導体、抗体薬物複合体、融合タンパク質およびアンチセンス分子のうちの1つ以上を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ユビキチン、PROTAC、dsRNA、siRNA、shRNA、アプタマーおよびgRNAのうちの1つ以上を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、内因性YTHDF2の活性を減弱させることが可能なYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体、およびYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体をコードする核酸分子のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、優性阻害性(例えば、m6A RNAを認識、結合および/または修飾することができない)YTHDF2、または上記の優性阻害性YTHDF2をコードする核酸を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、YTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらす修飾を受けている。
【0025】
いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、(1)YTHDF2をコードする遺伝子内の1つ以上の部位を標的とする遺伝子編集システム、またはその調節要素、例えば、Ythdf2、またはその調節要素、(2)上記の遺伝子編集システムの1つ以上のコンポーネントをコードする核酸、または(3)それらの組み合わせである。
【0026】
いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、CRISPR/Cas9システム、ジンクフィンガーヌクレアーゼシステム、TALENシステム、およびメガヌクレアーゼシステムより選択される。
【0027】
いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、Ythdf2遺伝子の標的配列にハイブリダイズするターゲティング配列を有するgRNA分子を含むCRISPR/Casシステムである。いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子の初期エクソンまたはイントロン内の標的配列に結合する。いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン4の上流、例えばエクソン1、エクソン2および/またはエクソン3中の標的配列に結合する。
【0028】
いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子の後期エクソンまたはイントロン内の標的配列に結合する。いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン3の下流、例えばエクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7および/またはエクソン8中の標的配列に結合する。
【0029】
いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン1、エクソン2、エクソン3、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7および/またはエクソン8中の標的配列に結合する。
【0030】
いくつかの実施形態において、ターゲティング配列はSEQ ID NO.17で表されるターゲティング配列である。
【0031】
いくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、Ythdf2に特異的siRNAもしくはshRNA、または上記のsiRNAもしくはshRNAをコードする核酸である。いくつかの実施形態において、siRNAもしくはshRNAは、Ythdf2 mRNAの配列相補的配列を有する。
【0032】
一方、本願は、本願の修飾された免疫細胞および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を提供する。
【0033】
一方、本願は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む、癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための組成物を提供する。
【0034】
一方、本願は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および任意に薬学的に許容される賦形剤を含む、癌を治療するための組成物を提供する。
【0035】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、YTHDF2をコードする遺伝子の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/またはYTHDF2タンパク質の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含む。
【0036】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は高い、分子および低分子のうちの1つ以上を含む。
【0037】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ポリペプチドおよび核酸分子のうちの1つ以上を含む。
【0038】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、抗体またはその誘導体、抗体薬物複合体、融合タンパク質およびアンチセンス分子のうちの1つ以上を含む。
【0039】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ユビキチン、PROTAC、dsRNA、siRNA、shRNA、アプタマーおよびgRNAのうちの1つ以上を含む。
【0040】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、内因性YTHDF2の活性を減弱させることが可能なYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体、およびYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体をコードする核酸分子のうちの1つ以上を含む。本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、優性阻害性(例えば、m6A RNAを認識、結合および/または修飾することができない)YTHDF2、または上記の優性阻害性YTHDF2をコードする核酸を含む。
【0041】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、(1)YTHDF2をコードする遺伝子内の1つ以上の部位を標的とする遺伝子編集システム、またはその調節要素、例えば、Ythdf2、またはその調節要素、(2)上記の遺伝子編集システムの1つ以上のコンポーネントをコードする核酸、または(3)それらの組み合わせである。
【0042】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、CRISPR/Cas9システム、ジンクフィンガーヌクレアーゼシステム、TALENシステム、およびメガヌクレアーゼシステムより選択される。
【0043】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、Ythdf2遺伝子の標的配列にハイブリダイズするターゲティング配列を有するgRNA分子を含むCRISPR/Casシステムである。本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子の初期エクソンまたはイントロン内の標的配列に結合する。本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン4の上流、例えば、エクソン1、エクソン2および/またはエクソン3中の標的配列に結合する。
【0044】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子の後期エクソンまたはイントロン内の標的配列に結合する。本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン3の下流、例えば、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7および/またはエクソン8中の標的配列に結合する。
【0045】
いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン1、エクソン2、エクソン3、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7および/またはエクソン8中の標的配列に結合する。
【0046】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、ターゲティング配列はSEQ ID NO.17で表されるターゲティング配列である。
【0047】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、Ythdf2に特異的siRNAもしくはshRNA、または上記のsiRNAもしくはshRNAをコードする核酸である。本願の組成物のいくつかの実施形態において、siRNAもしくはshRNAは、Ythdf2 mRNAの配列相補的配列を有する。
【0048】
いくつかの実施形態において、本願の組成物はまた、第2の活性成分を含む。いくつかの実施形態において、第2の活性成分は抗癌剤である。いくつかの実施形態において、第2の活性成分は、癌免疫療法を含む。いくつかの実施形態において、第2の活性成分は、免疫チェックポイント阻害薬を含む。いくつかの実施形態において、第2の活性成分は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO阻害剤より選択される薬剤を含む。いくつかの実施形態において、第2の活性成分は、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、セミプリマブ(cemiplimab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、アベルマブ(avelumab)、デュルバルマブ(durvalumab)および/またはイピリムマブ(ipilimumab)を含む。
【0049】
本願の組成物のいくつかの実施形態において、第2の活性成分は、別個の容器に含まれ、修飾された免疫細胞またはYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤と混合されない。
【0050】
一方、本願は、免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含む、免疫細胞を活性化するための方法を提供する。
【0051】
一方、本願は、免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含む、増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成するための方法を提供する。
【0052】
一方、本願は、免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含む、免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転するための方法を提供する。
【0053】
本願の方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である。本願の方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞である。本願の方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、CD4+細胞である。本願の方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、CD8+細胞である。本願の方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、腫瘍浸潤T細胞である。
【0054】
本願の方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された細胞(例えば、免疫エフェクター細胞集団などの細胞集団)である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、CAR-T細胞である。
【0055】
本願の方法のいくつかの実施形態において、本願で使用されるCARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは腫瘍抗原(例えば、CD20やCLDN18.2)に結合する。いくつかの実施形態において、抗原はCD20またはCLDN18.2である。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、リツキシマブに由来する抗体または抗体断片である。いくつかの実施形態において、上記のCARの膜貫通ドメインは、(i)SEQ ID NO: 10のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 10のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列、または(ii)SEQ ID NO: 10の配列を有する。いくつかの実施形態において、CARの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 9またはそれと95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列を有するヒンジ領域によって膜貫通ドメインに連結されている。いくつかの実施形態において、上記のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの機能的シグナル伝達ドメインを含む一次シグナル伝達ドメインおよび/または共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、上記のCARの一次シグナル伝達ドメインは、(i)SEQ ID NO: 8のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 8のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列、または(ii)SEQ ID NO: 8のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、上記のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメイン、または一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含み、ここで、共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能的シグナル伝達ドメイン(CD137)を含む。いくつかの実施形態において、上記のCARの共刺激シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO: 7のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 7のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態において、上記のCARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO: 7の配列およびSEQ ID NO: 8の配列を有し、ここで、細胞内シグナル伝達ドメインを構成する配列は、同一のオープンリーディングフレームで単一のポリペプチド鎖として発現している。
【0056】
本願の方法のいくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞受容体を発現するように操作された細胞(例えば、免疫エフェクター細胞集団などの細胞集団)である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、TCR-T細胞である。
【0057】
本願の方法のいくつかの実施形態において、減弱は、免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤で、免疫細胞を修飾することを含む。
【0058】
本願の方法のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、YTHDF2をコードする遺伝子の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/またはYTHDF2タンパク質の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含む。
【0059】
本願の方法のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は高い、分子および低分子のうちの1つ以上を含む。
【0060】
本願の方法のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ポリペプチドおよび核酸分子のうちの1つ以上を含む。
【0061】
本願の方法のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、抗体またはその誘導体、抗体薬物複合体、融合タンパク質およびアンチセンス分子のうちの1つ以上を含む。
【0062】
本願の方法のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ユビキチン、PROTAC、dsRNA、siRNA、shRNA、アプタマーおよびgRNAのうちの1つ以上を含む。
【0063】
本願の方法のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、内因性YTHDF2の活性を減弱させることが可能なYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体、およびYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体をコードする核酸分子のうちの1つ以上を含む。本願の組成物のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、優性阻害性(例えば、m6A RNAを認識、結合および/または修飾することができない)YTHDF2、または上記の優性阻害性YTHDF2をコードする核酸を含む。
【0064】
本願の方法のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、(1)YTHDF2をコードする遺伝子内の1つ以上の部位を標的とする遺伝子編集システム、またはその調節要素、例えば、Ythdf2、またはその調節要素、(2)上記の遺伝子編集システムの1つ以上のコンポーネントをコードする核酸、または(3)それらの組み合わせである。
【0065】
本願の方法のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、CRISPR/Cas9システム、ジンクフィンガーヌクレアーゼシステム、TALENシステム、およびメガヌクレアーゼシステムより選択される。
【0066】
本願の方法のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、Ythdf2遺伝子の標的配列にハイブリダイズするターゲティング配列を有するgRNA分子を含むCRISPR/Casシステムである。本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子の初期エクソンまたはイントロン内の標的配列に結合する。本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン4の上流、例えば、エクソン1、エクソン2および/またはエクソン3中の標的配列に結合する。
【0067】
本願の方法のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子の後期エクソンまたはイントロン内の標的配列に結合する。本願の組成物のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン3の下流、例えば、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7および/またはエクソン8中の標的配列に結合する。
【0068】
本願の方法のいくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン1、エクソン2、エクソン3、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7および/またはエクソン8中の標的配列に結合する。
【0069】
本願の方法のいくつかの実施形態において、ターゲティング配列はSEQ ID NO.17で表されるターゲティング配列である。
【0070】
本願の方法のいくつかの実施形態において、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、Ythdf2に特異的siRNAもしくはshRNA、または上記のsiRNAもしくはshRNAをコードする核酸である。本願の組成物のいくつかの実施形態において、siRNAもしくはshRNAは、Ythdf2 mRNAの配列相補的配列を有する。
【0071】
本願の方法のいくつかの実施形態において、減弱は、免疫細胞に、YTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらす修飾を受けさせることを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、上記の方法は、インビボ法、インビトロ法および/またはエクスビボ法である。
【0073】
一方、本願は、必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療するための方法であって、被験者に対してYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または本願の修飾された免疫細胞を投与することを含む方法を提供する。
【0074】
いくつかの実施形態において、疾患、障害または病状は癌である。いくつかの実施形態において、癌は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される。いくつかの実施形態において、癌は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される。
【0075】
一方、本願は、必要のある被験者における癌を治療するための方法であって、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または本願の修飾された免疫細胞を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、癌は血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される。いくつかの実施形態において、癌はメラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される。
【0076】
一方、本願は、必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための方法であって、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または本願の修飾された免疫細胞を投与することを含む方法を提供する。
【0077】
一方、本願は、必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えるための方法であって、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または本願の修飾された免疫細胞を投与することを含む方法を提供する。
【0078】
一方、本願は、必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための方法であって、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または本願の修飾された免疫細胞を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、T細胞疲弊は、CD8+ T細胞の疲弊である。
【0079】
本願の方法のいくつかの実施形態において、被験者は癌患者である。いくつかの実施形態において、被験者は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される癌の患者。いくつかの実施形態において、被験者は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される癌の患者である。
【0080】
本願の方法のいくつかの実施形態において、被験者は、抗癌治療などの別の療法を受けた、受けている、および/または受ける。いくつかの実施形態において、抗癌治療は、癌免疫療法を含む。いくつかの実施形態において、抗癌治療は、免疫チェックポイント阻害薬を含むか、免疫チェックポイント阻害薬である。いくつかの実施形態において、抗癌治療は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO阻害剤より選択される薬剤を含む。いくつかの実施形態において、抗癌治療は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記の方法は、被験者に1つ以上の追加の抗癌治療を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、追加の抗癌治療は、癌免疫療法を含む。いくつかの実施形態において、追加の抗癌治療は、免疫チェックポイント阻害薬を含む。いくつかの実施形態において、追加の抗癌治療は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO阻害剤より選択される薬剤を含む。いくつかの実施形態において、追加の抗癌治療は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む。
【0082】
一方、本願は、以下のような:1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転することの目的の1つ以上のために使用される組成物および/または医薬品の製造におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤の使用を提供する。
【0083】
使用に係るいくつかの実施形態において、癌または腫瘍は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される。いくつかの実施形態において、癌または腫瘍は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される。
【0084】
一方、本願は、以下のような:1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転することの目的の1つ以上のために使用される医薬品の製造におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤と追加の活性成分との組み合わせの使用を提供する。
【0085】
使用のいくつかの実施形態において、追加の活性成分は、癌免疫療法を含む。いくつかの実施形態において、追加の活性成分は、免疫チェックポイント阻害薬を含む。いくつかの実施形態において、追加の活性成分は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO阻害剤より選択される薬剤を含む。いくつかの実施形態において、追加の活性成分は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含む。
【0086】
一方、本願は、以下のような:1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転することの目的の1つ以上のために使用される修飾された免疫細胞または本願の細胞集団を提供する。
【0087】
一方、本願は、以下のような:1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転することの目的の1つ以上のために使用される本願の組成物を提供する。
【0088】
一方、本願は、以下のような:1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転することの目的の1つ以上のために使用される本願のYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を提供する。
【0089】
一方、本願は、本願のYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤と本願の追加の活性成分を含むものであって、以下のような:1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転することの目的の1つ以上のために使用される組み合わせを提供する。
【0090】
一方、本願は、被験者に対して、1)本願の免疫細胞(本願の修飾された免疫細胞など)、2)本願のYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、3)本願の追加の活性成分、またはその任意の組み合わせを投与することを含む本願の被験者を治療するための方法を提供する。
【0091】
本願の他の態様や利点は、以下の詳細な説明を通じて当該技術分野における当業者には容易に明らかになるであろう。本願発明は、例示的な実施形態のみを示し、以下の詳細な説明で説明する。理解されるように、本願は、他の異なる実施形態で実施することができ、そのいくつかの詳細は、すべて本願から逸脱することなく、様々な明白な点で変更が可能である。したがって、添付の図面および明細書は例示であって、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0092】
参照による組込み
本明細書に係るすべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
本願の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本願の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を参照することにより、よりよく理解されるであろう。以下の詳細な説明は、本願の原理を採用した例示的な実施形態を、添付の図面(本明細書では「図」ともいう)とともに示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1図1a~1dは、T細胞におけるYTHDF2を減弱させた後、抗腫瘍効果が増強されたことを示す。
図2図2a~2gは、YTHDF2を減弱後、T細胞の機能が増強されたことを示す。
図3図3a~3eは、YTHDF2を減弱後、T細胞疲弊の逆転およびT細胞の機能の増強を示す。
図4図4a~4bは、CARの設計を示す。
図5図5a~5dは、細胞の異なる用量のウイルスによる感染後のCARの発現を示す。
図6図6a~6dは、本願の各種T細胞におけるCARの発現を示す。
図7図7a~7bは、本願の各種CAR-T細胞の腫瘍細胞殺傷効果を示す。
図8図8A~8Bは、本願の各種T細胞におけるCAR設計およびCAR発現を示す。
図9図9は、本願の各種CAR-T細胞の腫瘍細胞殺傷効果を示す。
図10図10は、本願の各種CAR-T細胞の腫瘍細胞殺傷効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本願の様々な実施形態は、本明細書に記載して説明されたが、これらの実施形態は全て例示として提供されていることは、当業者には明らかであろう。本願発明から逸脱することなく、当業者であれば種々の変形、変更、置換を行うことができる。本明細書に記載された本願の実施形態の様々な代替形態が採用され得ることが理解されるべきである。
【0096】
一方、本願は、修飾された免疫細胞を提供する。修飾された免疫細胞は、修飾されていない対応する免疫細胞と比較して、減弱されたYTHDF2の発現および/または活性を有する。また、修飾された免疫細胞は、増強された抗腫瘍活性を有する場合がある。
【0097】
一方、本願は、組成物を提供する。上記の組成物は、本願の修飾された免疫細胞を含み得る。上記の組成物はまた、薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0098】
一方、本願は、癌細胞に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための組成物を提供する。一方、本願は、腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための組成物を提供する。上記の組成物は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含み得る。上記の組成物は、さらに、薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0099】
一方、本願は、癌を治療するための組成物を提供する。上記の組成物は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含み得る。上記の組成物は、さらに、薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0100】
一方、本願は、免疫細胞を活性化するための方法を提供する。上記の方法は、免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含み得る。
【0101】
一方、本願は、増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成するための方法を提供する。上記の方法は、免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含み得る。
【0102】
一方、本願は、免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転するための方法を提供する。上記の方法は、免疫細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることを含み得る。
【0103】
一方、本願は、必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を投与することを含み得る。
【0104】
一方、本願は、必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、本願の修飾された免疫細胞を投与することを含み得る。
【0105】
一方、本願は、必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および本願の免疫細胞(修飾された免疫細胞など)を投与することを含み得る。
【0106】
一方、本願は、必要のある被験者における癌を治療するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対してYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を投与することを含み得る。
【0107】
一方、本願は、必要のある被験者における癌を治療するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して本願の修飾された免疫細胞を投与することを含み得る。
【0108】
一方、本願は、必要のある被験者における癌を治療するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および本願の免疫細胞(修飾された免疫細胞など)を投与することを含み得る。
【0109】
一方、本願は、必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を投与することを含み得る。
【0110】
一方、本願は、必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、本願の修飾された免疫細胞を投与することを含み得る。
【0111】
一方、本願は、必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および本願の免疫細胞(修飾された免疫細胞など)を投与することを含み得る。
【0112】
一方、本願は、必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えるための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を投与することを含み得る。
【0113】
一方、本願は、必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えるための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、本願の修飾された免疫細胞を投与することを含み得る。
【0114】
一方、本願は、必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えるための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および本願の免疫細胞(修飾された免疫細胞など)を投与することを含み得る。
【0115】
一方、本願は、必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を投与することを含み得る。
【0116】
一方、本願は、必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、本願の修飾された免疫細胞を投与することを含み得る。
【0117】
一方、本願は、必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および本願の免疫細胞(修飾された免疫細胞など)を投与することを含み得る。
【0118】
一方、本願は、1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および/または14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための組成物および/または医薬品の製造におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤の使用を提供する。
【0119】
一方、本願は、1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および/または14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための医薬品の製造におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤と追加の活性成分との組み合わせの使用を提供する。
【0120】
一方、本願は、1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および/または14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための本願に係る修飾された免疫細胞または細胞集団を提供する。
【0121】
一方、本願は、1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および/または14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための本願に係る組成物を提供する。
【0122】
一方、本願は、1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および/または14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための本願に係るYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を提供する。
【0123】
一方、本願は、1)免疫細胞を活性化すること、2)増強された抗腫瘍活性を有する免疫細胞を生成すること、3)免疫細胞の疲弊を予防および/または逆転すること、4)必要のある被験者における腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状を治療すること、5)必要のある被験者における癌を治療すること、6)必要のある被験者における癌細胞および/または腫瘍抗原に対するT細胞媒介免疫応答を刺激すること、7)必要のある被験者に抗腫瘍免疫を与えること、8)CD4+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、9)CD8+ T細胞の増殖を増加および/または改善すること、10)腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数を増加すること、11)腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数を増加すること、12)T細胞のサイトカイン産生を増強すること、13)癌免疫療法の抗腫瘍反応を増強すること、および/または14)必要のある被験者におけるT細胞疲弊を予防および/または逆転するための本願に係るYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および本願の追加の活性成分を含む組み合わせを提供する。
【0124】
一方、本願は、本願に係る被験者を治療するための方法を提供する。上記の方法は、被験者に対して、1)本願の免疫細胞(本願の修飾された免疫細胞など)、2)本願のYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および/または3)本願の追加の活性成分を投与することを含み得る。例えば、上記の方法は、被験者に対して、1)本願の免疫細胞(本願の修飾された免疫細胞など)および2)本願のYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を投与することを含み得る。また、例えば、上記の方法は、被験者に対して、1)本願の免疫細胞(本願の修飾された免疫細胞など)および3)本願の追加の活性成分を投与することを含み得る。また、例えば、上記の方法は、被験者に対して、2)本願のYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤および3)本願の追加の活性成分を投与することを含み得る。また、例えば、上記の方法は、被験者に対して、1)本願の免疫細胞(本願の修飾された免疫細胞など)、2)本願のYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤、および3)本願の追加の活性成分を投与することを含み得る。
【0125】
本明細書で使用される「含む」、「有する」、「できる」、「含有」という用語、およびそれらの変形は、通常、追加の行為または構造の可能性を排除しないオープンエンド移行句、用語または単語を指す。単数形「a」、「and」、「the」は、複数の参照語を含む。
【0126】
本明細書における数値範囲の表記については、その間にある各数値を同程度の精度で表現することを明示的に想定している。例えば、6~9の範囲では、6と9に加えて7と8の数字が想定され、6.0~7.0の範囲では、6.0, 6.1, 6.2, 6.3, 6.4, 6.5, 6.6, 6.7, 6.8, 6.9 及び 7.0の数字が明示的に想定されている。したがって、範囲の形態の説明は、単に便宜上および簡略化のためのものであり、本願発明の適用範囲を厳格に限定するものと解釈してはならない。範囲の記述は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能なサブ範囲を具体的に開示したものと理解されるべきである。例えば、1~6のような範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6のようなサブ範囲、およびその範囲内の個々の値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6を具体的に開示すると理解すべきである。また、例えば、95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の範囲には、95%、96%、97%、98%または99%の同一性のあるものを含み、96~99%、96~98%、96~97%、97~99%、97~98%、98~99%などの同一性のサブ範囲がある。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0127】
量に関連して使用される「約」という修飾語は、記載された値を含み,文脈を示す意味を持つものである(例えば、特定の量の測定に関連する誤差の程度を少なくとも含む)。「約」という修飾語は、2つの末端点の絶対値で定義される範囲を開示するものと理解されるべきである。例えば、「約2~約4」という表現も、「2~4」の範囲を開示している。量や時間的持続時間などの測定可能な値について言及する場合、「約」とは、規定値から±20%、場合によっては±10%、場合によっては±5%、場合によっては±1%、場合によっては±0.1%の変動を包含し、これらの変動が適切である。
【0128】
本明細書で使用される「被験者」という用語は、通常、ヒトまたは動物を指す。例えば、哺乳類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラットおよびマウス、非ヒト霊長類動物(例えば、カニクイザル、チンパンジーなどのサル)およびヒト)を含む(ただし、これに限定しない)任意の脊椎動物を指す場合がある。いくつかの態様において、被験者はヒトである。
【0129】
「治療(treat/treated/treating)」という用語は、本明細書において互換的に使用することができ、通常、望ましくない生理的状態、障害または疾患を緩和(軽減)すること、または有益なまたは望ましい臨床結果を得ることである治療方法という。本開示のいくつかの態様において、有益なまたは望ましい臨床結果には、症状の緩和、病状、障害または疾患の程度の軽減、病状、障害または疾患の状態の安定化(悪化なし)、病状、障害または疾患の発症の遅延、または病状、障害または疾患の進行の緩和、病状、障害または疾患状態の改善および寛解(部分寛解か完全寛解か、検出可能か非検出可能かを問わず)、または病状、障害または疾患の増強または改善が含まれる(これらに限定されない)。治療には、治療を行わない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも含まれる。
【0130】
「修飾(modified/modify/modification)」という用語は、本明細書において互換的に使用することが可能であり、通常、改変または変更の導入または生成を意味する。遺伝子の文脈で用いられる場合、上記の修飾は、標的細胞または被験者の遺伝子構成に変化を生じさせる任意の従来の方法を含み得る。例えば、紫外線照射による変異、化学的変異、細胞(例えば、免疫細胞)の部位変異などの標的変異、トランスジェニックマウスの作製などである。
【0131】
「減弱(attenuating/attenuation/attenuated)」という用語は互換的に用いられ、本明細書で用いられる場合、標的遺伝子または標的タンパク質(YTHDF2など)の量の阻害もしくは減少、または、標的遺伝子または標的タンパク質(YTHDF2など)の活性の阻害もしくは減少を指すことがある。上記の減弱は、例えば、抗体またはその誘導体、抗体薬物複合体、融合タンパク質、低分子、アンチセンス分子、dsRNA、siRNA、shRNA、アプタマーおよび/またはgRNA(例えば、遺伝子編集システム(CRIPSR/Cas9など)との組み合わせ)を用いることにより達成され得る。また、例えば、免疫細胞を、YTHDF2の阻害剤と接触させて、YTHDF2によるm6A修飾mRNAの結合および/または認識を阻害することによって、YTHDF2を減弱させることができる。
【0132】
本明細書で使用される「低分子」という用語は、通常、生物学的プロセス、特にm6A mRNA修飾の調節(例えばYTHDF2活性)に影響を及ぼすために使用できる、ペプチドおよび核酸以外の任意の化学物質または他の成分を指す。低分子は、現在知られていて使用されている治療薬、あるいは生物学的機能をスクリーニングする目的でそのような分子のライブラリーで合成される任意の数の治療薬が含まれ得る。低分子は、サイズによって高分子と区別される。低分子は、約2,500 Da未満、約1,000 Da未満、または約500 Da未満などの約5,000ダルトン(Da)未満の分子量を有していてもよい。低分子は、有機化合物およびそのペプチド模倣体、ならびに複合体を含み得る(これらに限定されない)。
【0133】
本明細書で使用される「有機化合物」という用語は、通常、核酸やポリペプチドなどの高分子以外の任意の炭素系化合物を指す。有機化合物には、炭素のほかに、カルシウム、塩素、フッ素、銅、水素、鉄、カリウム、窒素、酸素、硫黄などの元素が含まれることがある。有機化合物は、芳香族または脂肪族の形態であってもよい。有機化合物の非限定的な例としては、アセトン、アルコール、アニリン、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ヌクレオシド、ヌクレオチド、脂質、レチノイド、ステロイド、プロテオグリカン、ケトン、アルデヒド、飽和・不飽和・多価不飽和脂肪、油およびワックス、アルケン、エステル、エーテル、チオール、スルフィド、環状化合物、複素環化合物、イミダゾールおよびフェノール類が含まれる。本明細書で使用される有機化合物には、ニトロ化有機化合物およびハロゲン化(例えば、塩素化)有機化合物も含まれる。
【0134】
「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用することが可能であり、通常、天然、合成、または天然及び合成の修飾または組み合わせであり得る連結されたアミノ酸配列を指すことがある。この用語には、抗体、抗体模倣物、ドメイン抗体、リポカリンおよび標的プロテアーゼが含まれる。この用語には、ペプチドまたはペプチド断片に対する抗体を産生することを意図したペプチドまたはペプチド断片を含むワクチンも含まれる。
【0135】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、通常、抗原に特異的に結合する免疫グロブリン分子に由来するタンパク質またはポリペプチド配列を指す。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル、多重鎖または一本鎖、または無傷の免疫グロブリンであってよく、天然源または組換え源に由来のものであってもよい。抗体は免疫グロブリン分子の4量体であり得る。抗体は、化学部分とコンジュゲートされることができる。抗体はヒト抗体またはヒト化抗体であり得る。
【0136】
本明細書で使用される「抗体断片」という用語は、通常、抗原エピトープと特異的に相互作用する(例えば、結合、立体障害、安定/不安定化、空間分布による)能力を保持する抗体の少なくとも一部を指す。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv抗体断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VHとCH1ドメインで構成されるFd断片、線形抗体、sdAb(VLまたはVH)などの単一ドメイン抗体、ラクダ科VHHドメイン、抗体断片(ヒンジ領域でジスルフィドで結合された2つのFab断片を含む二価の断片など)から形成される多重特異的抗体、および抗体の単離CDRもしくはその他のエピトープ結合断片を含むがこれらに限定されない。抗原結合断片は、単一ドメイン抗体、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、ナノボディ(nanobody)、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、v-NARおよびbis-scFvにも組み込まれることができる(例えば、HollingerおよびHudson、Nature Biotechnology 23:1126-1136、2005を参照)。
【0137】
本明細書で使用される「アンチセンス」分子という用語は、通常、標的mRNA(センス)またはDNA(アンチセンス)配列に結合することができる一本鎖核酸配列(RNAもしくはDNAのいずれか)を含むアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを指す。所定のタンパク質をコードするcDN配列に基づいて、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを誘導する能力は、例えば、SteinおよびCohen、Cancer Res. 48:2659, (1988)およびvan der Krolら、BioTechniques 6:958, (1988)で説明されている。アンチセンス分子は、修飾または非修飾のRNA、DNAまたは混合ポリマーオリゴヌクレオチドであり得る。これらの分子は、マッチング配列に特異的に結合することで機能することによって、立体的なブロックやRNase H酵素の活性化によりペプチド合成を阻害する(Wu-Pong、1994年11月、BioPharm、20-33)。アンチセンス分子は、RNAプロセシングや細胞核から細胞質の輸送を阻害することでタンパク質合成を変化させることもできる(Mukhopadhyay & Roth, 1996, Crit. Rev. in Oncogenesis 7, 151-190)。さらに、一本鎖DNAとRNAの結合は、異種二本鎖のヌクレアーゼ媒介分解を引き起こすこともある(Wu-Pong、上記)。RNase H基質として作用することが示されている骨格修飾DNA化学物質は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオアート、ボロントリフルオリデート、および2'-アラビノと2'-フルオロアラビノ含有オリゴヌクレオチドである。
【0138】
本明細書で使用される「siRNA」という用語は、通常、低分子干渉RNAであって、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する低分子阻害性RNA二重鎖を指す。(Elbashir, S. M.ら、Nature 411:494-498 (2001)、Caplen, N. J.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:9742-9747 (2001)、Harborth, J.ら、J Cell Sci. 114:4557-4565 (2001)。)これらの分子は、長さが異なり(一般的には18~30塩基対)、アンチセンスにおいてそれらの標的mRNAに対して種々の程度の相補性を含む。全てではないがある程度のsiRNAは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’または3’末端に不対のオーバーハング塩基を有する。「siRNA」という用語には、2つの別の鎖を有する二重鎖、および二重鎖領域を含むヘアピン構造を形成し得る一本鎖を包含する。本明細書で使用されるsiRNA分子は、RNA分子に限定されず、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドも含む。siRNA遺伝子ターゲティングは、細胞へのsiRNA一過性導入(リポソーム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーションまたはマイクロインジェクションなどの古典的方法によって達成される)によって実施されることができる。
【0139】
本明細書で使用される「gRNA」という用語は、通常、Cas核酸エンドヌクレアーゼと複合体を形成することができるガイドポリヌクレオチド(すなわち、ガイドポリヌクレオチド/Cas核酸エンドヌクレアーゼ複合体)を指し、ここで、上記のガイドポリヌクレオチド/Cas核酸エンドヌクレアーゼ複合体は、DNA標的部位を認識して結合し、任意にニックまたは切断する(一本鎖または二本鎖の切断を導入する)ように、Cas核酸エンドヌクレアーゼをDNA標的部位に誘導する。本明細書におけるガイドポリヌクレオチド/Cas核酸エンドヌクレアーゼ複合体は、4つの既知のCRISPRシステム(HorvathおよびBarrangou、Science 327: 167-170、例えばタイプI、タイプIIまたはタイプIIIのCRISPRシステムなど)のいずれかのCasタンパク質および適切なポリヌクレオチドコンポーネントを含み得る。Cas核酸エンドヌクレアーゼは、標的配列でDNA二重鎖をほどき、任意に少なくとも1本のDNA鎖を切断し、これは、Casタンパク質と複合体化したポリヌクレオチド(crRNAもしくはガイドRNAであるがこれらに限定されない)による標的配列の認識によって媒介される。Cas核酸エンドヌクレアーゼによる標的配列のこのような認識および切断は、通常、正しいプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)がDNA標的配列の3'末端またはそれに隣接して位置している場合に起こる。あるいは、本明細書のCasタンパク質は、DNA切断またはニッキング活性を有さないが、適切なRNA成分と複合化した場合に、DNA標的配列に特異的に結合することができる。
【0140】
本明細書で使用される「CAR-T細胞」という用語は、通常、キメラ抗原受容体(CAR)分子を含むおよび/または発現するT細胞を指す。本明細書で使用される「CAR分子」という用語は、通常、CAR(例えば、CARポリペプチド)、CARをコードする核酸またはその両方を指す。
【0141】
本明細書で使用される「YTHDF2」という用語は、通常、N6-メチルアデノシン(m6A)含有RNAを特異的認識して結合しmRNA安定性を調節するYTH N6-メチルアデノシンRNA結合タンパク質2またはその機能的断片を指す。ヒトおよびマウスのアミノ酸と核酸配列は、GenBank、UniProtおよびSwiss-Protなどの公開データベースで見出すことができる。例えば、ヒトYTHDF2のアミノ酸配列は、アクセッション番号NP_001166299.1、NP_001166599.1およびNP_057342.2で見出すことができ、それらをコードするmRN配列は、アクセッション番号NM_001172828.1、NM_001173128.1およびNM_016258.2で見出すことができる。
【0142】
本明細書で使用される「自己由来」という用語は、通常、同じ個体に由来し、その後その個体に導入されるあらゆる物質を指す。
【0143】
本明細書で使用される「同種異系」という用語は、通常、物質が導入された個体と同じ種の異なる動物に由来する任意の物質を指す。2つ以上の個体は、1つ以上の遺伝子座の遺伝子が異なる場合、互いに同種異系であるという。ある局面では、同じ種の個体からの同種異物は、抗原的に相互作用するために遺伝的に十分に異なっている場合がある。
【0144】
「癌」および「腫瘍」という用語は、本明細書において互換的に使用することが可能であり、通常、異常な細胞の無制御な増殖を特徴とする疾患を指すものとする。いずれの用語も、固形腫瘍と、びまん性腫瘍や循環性腫瘍などの液性腫瘍を含んでいる。悪性だけでなく前悪性の癌や腫瘍も含まれる。
【0145】
本明細書で使用される「腫瘍抗原の発現に関連する疾患、障害または病状」というフレーズは、通常、例えば、癌または悪性腫瘍の増殖性疾患、または脊髄異形成、骨髄異形成症候群や前白血病の前癌症状、または腫瘍抗原を発現する細胞に関連する非癌関連適応症などの、腫瘍抗原の発現に関連する疾患または腫瘍抗原を発現する細胞に関連する病状を含むがこれらに限定されない。一実施形態において、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する癌は、血液学的癌である。一実施形態において、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する癌は、固形癌である。本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連するさらなる疾患は、例えば、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する非定型および/または非古典的な癌、悪性腫瘍、前癌症状または増殖性疾患を含むがこれらに限定されない。本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する非癌関連適応症には、例えば、自己免疫疾患、炎症性疾患および移植が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、腫瘍抗原をコードするmRNAを発現するか、または任意の時点で発現する。一実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、腫瘍抗原タンパク質(例えば、野生型または変異型)を産生し、腫瘍抗原タンパク質の量が正常、増加または減少して存在することができる。
【0146】
本明細書で使用される「免疫エフェクター細胞」という用語は、通常、免疫エフェクター応答などの免疫応答の促進に関与する細胞を指す。免疫エフェクター細胞の例としては、α/β T細胞やγ/δ T細胞などのT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マスト細胞、および骨髄由来の食細胞が含まれている。本明細書で使用される「免疫エフェクター機能または免疫エフェクター応答」とは、通常、例えば、標的細胞による免疫攻撃を増強または促進する免疫エフェクター細胞の機能または反応を指す。例えば、免疫エフェクター機能または応答とは、T細胞やNK細胞が標的細胞の殺傷を促進したり、標的細胞の成長や増殖を抑制したりする性質のことである。T細胞の場合、一次刺激と共刺激は、免疫エフェクター機能または応答の一例である。
【0147】
本明細書で使用される「活性」および「活性化」という用語は、通常、細胞の特定の機能を意味する。例えば、T細胞の活性は、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性またはヘルパー活性であってもよい。
【0148】
本明細書で使用される「コード化」という用語は、通常、ポリヌクレオチド(遺伝子、cDNAまたはmRNAなど)中の特定のヌクレオチド配列が、生物学的プロセスにおいて他のポリマーおよび高分子の合成のためのテンプレートとして用いられる固有の特性を指し、上記のポリマーおよび高分子は、規定されたヌクレオチド配列(例えば、rRNA、tRNAおよびmRNA)または特定されたアミノ酸配列、およびそれから生じる生物学的特性を備える。したがって、ある遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳により、細胞または他の生物系でタンパク質が生成される場合、その遺伝子、cDNAまたはRNAはそのタンパク質をコードしていることになる。コーディング鎖(そのヌクレオチド配列はmRNA配列と同一であり、通常配列表に記載されている)と非コーディング鎖(遺伝子またはcDNAの転写テンプレートとして使用される)の両方を、遺伝子またはcDNAをコードするタンパク質または他の生成物と呼ぶことができる。
【0149】
本明細書で使用される「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」というフレーズは、通常、互いに縮重した形態で、同一のアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。「タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列」というフレーズは、タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、ある形態ではイントロンを含み得る程度まで、イントロンを含む場合もある。
【0150】
本明細書で使用される「内因性」という用語は、通常、生物、細胞、組織または系の内部から導入されるか、その内部で産生される任意の物質を指す。
【0151】
本明細書で使用される「外因性」という用語は、通常、生物、細胞、組織または系の外部から導入されるか、その外部で産生された任意の物質を指す。
【0152】
本明細書で使用される「発現」という用語は、通常、プロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳を指す。
【0153】
本出願の文脈において、一般に存在する核酸塩基の以下の略語を使用する。「A」はアデノシンを、「C」はシトシンを、「G」はグアノシンを、「T」はチミジンを、「U」はウリジンを指す。
【0154】
本明細書で使用される「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、通常、デオキシリボ核酸(DNA)もしくはリボ核酸(RNA)、またはそれらのDNAもしくはRNAの組み合わせ、およびそれらの一本鎖または二本鎖の形態のポリマーを指す。「核酸」という用語は、遺伝子、cDNAまたはmRNAを含む。一実施形態において、核酸分子は、合成(例えば、化学合成)または組換えのものである。この用語は、特に限定されない限り、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然由来のヌクレオチドと同様の方法で代謝される天然ヌクレオチドの類似体または誘導体を含む核酸が包含される。特定の核酸配列は、特に断りのない限り、明示的に示された配列と同様に、その保存的に修飾された変異体(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、相補的配列を暗黙的に包含している。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより行われる(Batzerら、Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991)、Ohtsukaら、J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985)、およびRossoliniら、Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
【0155】
「癌関連抗原」および「腫瘍抗原」という用語は、本明細書において互換的に使用することが可能であり、通常、正常細胞と比較して癌細胞の表面に無傷または断片化した形態(例えば、MHC/ペプチド)で優先的に発現し癌細胞への薬剤の優先的標的化に有用な分子(通常、タンパク質、炭水化物または脂質)を指す。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、正常細胞および癌細胞の両方によって発現されるマーカーである。いくつかの実施形態において、癌関連抗原は、正常細胞と比較して、癌細胞で過剰発現される細胞表面分子であり、例えば、正常細胞に比べて1倍、2倍、3倍または3倍以上の過剰発現である。いくつかの実施形態において、癌関連抗原は、正常細胞で発現する分子と比較して欠失、付加または変異を含む分子など、癌細胞において不適切に合成される細胞表面分子である。いくつかの実施形態において、癌関連抗原は、癌細胞の細胞表面上でのみ、無傷または断片化した形態(例えば、MHC/ペプチド)で発現し、正常細胞の表面では合成または発現しないことになる。
【0156】
本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、通常、サンプル中に存在する同族結合リガンドタンパク質を認識して結合するが、サンプル中の他の分子を本質的に認識または結合しない分子(例えば、抗体またはリガンド)を指す。いくつかの実施形態において、本開示の分子は、標的分子に約10-6 M未満(例えば、約5×10-7 M未満、約2×10-7 M未満、約10-7 M未満、約5×10-8 M未満、約2×10-8 M未満、約10-8 M未満、約5×10-9 M未満、約4×10-9 M未満、約3×10-9 M未満、約2×10-9 M未満または約10-9 M未満)の結合親和性(KD)で特異的に結合する。
【0157】
KDは通常、結合速度に対する解離速度の比(koff/kon)を指し得、表面プラズモン共鳴法、マイクロスケール熱泳動法、HPLC-MS方法およびフローサイトメトリー(FACSなど)方法を含むがこれらに限定されない当該技術分野で公知の任意の従来の方法を使用して決定することができる。いくつかの実施形態において、KD値はフローサイトメトリーを用いることによって適切に決定することができる。
【0158】
本明細書で使用される「抗癌剤」という用語は、通常、腫瘍または癌細胞成長を抑制および/または予防することができる薬剤を指す。
【0159】
本明細書で使用される「CTLA-4」という用語は、通常、霊長類(例えば、ヒト、サル)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物由来の細胞障害性Tリンパ球関連タンパク質4、ならびにその機能的断片を指す。ヒトCTLA-4の例示的な配列には、ホモサピエンス(ヒト)CTLA-4タンパク質(NCBI参照配列番号AAL07473.1)が含まれる。CTLA-4の例示的な配列には、カニクイザル(サル)CTLA-4タンパク質(NCBI参照配列番号XP_005574071.1)が含まれる。本明細書で使用される「CTLA-4」という用語は、通常、CTLA-4の任意の形態、例えば、1)天然の未加工CTLA-4分子、「完全長」CTLA-4鎖またはスプライス変異体または対立遺伝子変異体などを含む天然に存在するCTLA-4変異体、2)細胞内でプロセシングにより産生されたCTLA-4の任意の形態、または3)組換え法により産生されたCTLA-4サブユニットの完全長、断片(例えば、短縮型、細胞外/膜貫通ドメイン)または修飾型(例えば、変異型、グリコシル化/ポリエチレングリコール化、His-タグ/免疫蛍光融合型)を包含することを意図している。
【0160】
「抗-CTLA-4抗体」、「抗-CTLA-4結合ドメイン」または「CTLA-4結合ドメイン」という用語は、CTLA-4(例えば、ヒトまたはサルCTLA-4)に特異的に結合することができる抗体または抗原結合ドメインを指す。
【0161】
本明細書で使用される「PD-1」という用語は、通常、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し免疫系を負に制御する共抑制受容体として機能するプログラム細胞死タンパク質を指す。PD-1は、CD28/CTLA-4ファミリーのメンバーであり、PD-L1およびPD-L2を含む2つのリガンドを持っている。ヒトPD-1の代表的なアミノ酸配列はNCBIアクセッション番号NP_005009.2で開示され、ヒトPD-1をコードする代表的な核酸配列はNCBIアクセッション番号NM_005018.2で示される。
【0162】
本明細書で使用される「PD-L1」という用語は、通常、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1、例えば、Freemanら、(2000) J. Exp. Med. 192: 1027を参照)を指す。ヒトPD-L1の代表的なアミノ酸配列は、NCBIアクセッション番号NP_054862.1で開示され、ヒトPD-L1をコードする代表的な核酸配列はNCBIアクセッション番号NM_014143.3で示される。PD-L1は、活性化T細胞、B細胞および骨髄細胞に発現する受容体PD-1またはB7-1に結合する。PD-L1がその受容体に結合することでシグナル伝達が誘導され、TCRを介したサイトカイン産生およびT細胞増殖の活性化が抑制される。したがって、PD-L1は、妊娠、自己免疫疾患、組織同種移植などの特定のイベント時に免疫系を抑制する重要な役割を担っており、腫瘍や癌細胞が免疫チェックポイントを回避し、免疫応答を回避することを可能にすると考えられている。
【0163】
本明細書で使用される「抗-PD-1抗体」、「抗-PD-1結合ドメイン」または「PD-1結合ドメイン」という用語は、通常、診断および/または治療のための使用を提供するのに十分である親和性でPD-1(例えば、ヒトまたはサルPD-1)に特異的に結合することができる抗体または抗原結合ドメインを指す。
【0164】
本明細書で使用される「抗腫瘍免疫」という用語は、通常、癌抗原が免疫細胞で認識されたときに誘導される免疫応答を指す。
【0165】
本明細書で使用される「癌免疫療法」という用語は、通常、患者の癌細胞に対する免疫応答を誘発または増強するように設計された任意の療法を指す。例えば、癌免疫療法には、癌抗原特異的な活性免疫療法、免疫調節剤(例えば、免疫調節剤の活性化剤もしくは阻害剤、またはチェックポイント阻害剤の阻害剤)による治療、または癌細胞もしくは癌細胞由来の抗原の混合物による治療(癌細胞株由来の抗原による治療)を含むがこれらに限定されない。癌免疫療法は、免疫応答を誘導、増強または抑制することにより、癌と闘う免疫系の能力を刺激または回復させる治療法を含む。癌免疫療法は、免疫細胞の標的に対する認識を高めるか、疾患に関連する免疫抑制を軽減することにより、疾患特異的抗原に対する免疫活性を標的化するものである。
【0166】
本明細書で使用される「腫瘍浸潤T細胞」という用語は、通常、腫瘍に浸潤するT細胞を意味する。腫瘍浸潤T細胞は、自己腫瘍抗原に対して自然な反応性を示すことがある。これらの細胞は、腫瘍間質および/または腫瘍自体の中に見出され得る。
【0167】
本明細書で使用される「TCR-T細胞」という用語は、通常、操作および/または修飾されたT細胞受容体を含むか発現するT細胞を指す。
【0168】
本明細書で使用される「IDO阻害剤」という用語は、通常、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の活性を阻害し、それによってIDOによって媒介される免疫抑制を逆転させる薬剤を意味する。IDO阻害剤は、IDO1および/またはIDO2(INDOL1)を阻害することができる。IDO阻害剤は、可逆的と不可逆的なIDO阻害剤であり得る。「可逆的IDO阻害剤」とは、触媒部位または非触媒部位のいずれかでIDO酵素活性を可逆的に阻害する化合物であり、「不可逆的IDO阻害剤」とは、酵素と共有結合を形成することによりIDO酵素活性を不可逆的に破壊する化合物である。
【0169】
本明細書で使用される「免疫チェックポイント阻害薬」という用語は、通常、免疫チェックポイント経路を直接または間接的に、あるいは部分的または完全的に阻害する任意の分子を指す。通常、免疫チェックポイント経路の機能は、免疫系の様々な側面、特にT細胞のほか、例えば骨髄細胞、NK細胞、B細胞などのスイッチをオン・オフすることであると考えられている。T細胞の活性化に続いて、適切なタイミングで免疫応答を抑制するために、多数の抑制性受容体がアップレギュレートされてT細胞の表面に存在することができる。免疫チェックポイント経路の例としては、PD-1/PD-L1、CTLA-4/B7-1、TIM-3、LAG3、B7-H1、H4、HAVCR2、IDO1、CD276およびVTCN1、B7-H3、B7-H4、CD47およびKIRが含まれているが、これらに限定されない。例えば、免疫チェックポイント阻害薬または調節剤の非限定的な例としては、BMS-936558/MDX-1106、BMS-s936559/MDX-1105、イピリムマブ/Yervoy、トレメリムマブ(tremelimumab)、BMS-986016、デュルバルマブ、MEDI4736、ウレルマブ(Urelumab)、CDX-1127およびアベルマブなどの完全ヒトノクローナル抗体、CT-011、IV1K-3475、Hu5F9-G4、CC-90002、MBG453、TSR-022およびアテゾリズマブなどのヒト化抗体、およびAMP-224、TTI-621ならびにその他などの融合タンパク質が含まれる。免疫チェックポイント調節剤(アゴニスト)の他の非限定的な例としては、例えば、CD40、OX40、GITR、CD137(4-1 BB)、CD27、ICOSおよびTRAILに対する抗体が含まれる。本開示によれば、1つ以上の免疫チェックポイント調節剤は、独立して、ポリペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸分子であり得、上記のポリペプチドは、アンタゴニスト機能(すなわち、免疫チェックポイント媒介阻害シグナルに拮抗することができる)またはアゴニスト機能(すなわち、免疫チェックポイントを介した刺激シグナルを増強することができる)を発揮するように、標的免疫チェックポイントに結合するおよび/または上記の標的免疫チェックポイントへのリガンドの結合を阻害することができるドメインを含んでいる。1つ以上の上記の免疫チェックポイント調節剤は、ペプチド(例えば、ペプチドリガンド)、天然受容体の可溶性ドメイン、RNAi、アンチセンス分子、抗体およびタンパク質骨組から独立して選択され得る。例えば、免疫チェックポイント調節剤は抗体であり得る。本開示の文脈において、免疫チェック調節剤抗体は最も広い意味で使用され、例えば、天然のもの、人工的に操作されたもの、標的免疫チェックポイントまたはエピトープに結合できる(したがって、標的結合部分を保持する)完全長抗体またはその機能断片もしくは類似体が含まれる。上記の抗体は、例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、動物抗体(例えば、げっ歯類またはラクダ抗体)またはキメラ抗体などの任意のソースであり得る。上記の抗体は、任意のアイソタイプであり得、特に好ましくは、IgG1またはlgG4アイソタイプである。また、上記の抗体は、グリコシル化されていても非グリコシル化されていてもよい。免疫チェックポイントに結合する抗体の能力を評価するための当該分野で知られる標準的な分析方法には、例えば、ELISA、ウェスタンブロット(Western blot)、RIAおよびフローサイトメトリー(Flow cytometry)がある。抗体結合動力学(例えば、結合親和性)は、Biacore分析など、当該技術分野で知られている標準的な分析方法によって評価することもできる。本出願において、免疫チェックポイント阻害薬に言及する場合、文脈の文言からそうでないことが明らかな場合を除き、免疫チェックポイント調節剤も使用することができる。
【0170】
本明細書で使用される「疲弊」という用語は、通常、多くの慢性の感染症及び癌の間に生じるT細胞機能不全状態であるT細胞疲弊を指す。T細胞疲弊は、T細胞エフェクター機能の低下、阻害性受容体の持続的発現、及び/または機能的エフェクター若しくは記憶T細胞とは異なる転写状態によって特徴付けられる。T細胞の疲弊は、感染症や腫瘍の最適な制御を妨げる。T細胞の疲弊は、T細胞機能の段階的かつ進行性の喪失を示しうる。本明細書で使用される「疲弊を回復させる」とは、一般に、疲弊したT細胞の弱められたまたは低下した抗腫瘍活性の少なくとも一部を回復させる活性または能力を意味する。また、疲弊を回復させることは、T細胞が消耗するのを防ぐことを含む場合もある。
【0171】
本明細書で使用される「PROTAC」という用語は、通常、タンパク質加水分解標的キメラを指す。PROTACは、特異的タンパク質を除去することができる少なくとも2つの活性ドメインから構成される二機能性低分子であり得る。PROTACは標的タンパク質の細胞内タンパク質の加水分解を誘導することで機能する可能性がある。例えば、PROTACは、1つはE3ユビキチンリガーゼに結合することができ、もう1つは分解するために標的タンパク質(例えば、YTHDF2)に結合することができる2つの共有結合のタンパク質結合分子を含み得る。E3リガーゼを標的タンパク質(例えば、YTHDF2)に動員すると、ユビキチン化され、その後、標的タンパク質がプロテアソームによって分解されると考えられる。
【0172】
本明細書で使用される「T細胞媒介免疫応答」という用語は、通常、T細胞の共刺激の調節によって影響を受ける免疫応答を指す。例示的な免疫応答として、サイトカイン産生および細胞傷害性などのT細胞応答が含まれる。さらに、T細胞媒介免疫応答には、抗体産生(体液性応答)やサイトカイン応答細胞(マクロファージなど)の活性化など、T細胞の活性化によって間接的に影響を受ける免疫応答も含まれる。
【0173】
本明細書で使用される「キメラ抗原受容体」、または「CAR」という用語は、通常、ポリペプチドのセットを指し、最も単純な実施形態では、免疫エフェクター細胞内にある場合に、標的細胞、典型的には癌細胞に対する特異性を細胞に持たせ、細胞内シグナルを発生させる2つのポリペプチドである。いくつかの実施形態において、CARは、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および以下に定義する刺激分子および/または共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様において、そのポリペプチドのセットは、互いに隣接する。いくつかの実施形態において、そのポリペプチドのセットは2量体化スイッチ(dimerization switch)を含む。上記の2量体化スイッチは、2量体化分子が存在する場合、例えば、抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合させることによって、ポリペプチドを互いに結合させることができる。一方、刺激分子は、T細胞受容体複合体に会合するζ鎖である。一方、細胞質シグナル伝達ドメインは、以下に定義する共刺激分子の少なくとも1つに由来する1つ以上の機能的シグナル伝達ドメインをさらに含んでいる。一方、共刺激分子は、本明細書に記載の共刺激分子、例えば、4-1BB(すなわち、CD137)および/またはCD28より選択される。一方、CARは、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。一方、CARは、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインならびに刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。一方、CARは、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、1つ以上の共刺激分子由来の2つの機能的シグナル伝達ドメインならびに刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。一方、CARは、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、1つ以上の共刺激分子由来の少なくとも2つの機能的シグナル伝達ドメインならびに刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。一方、CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N末端)に任意のリーダー配列を有している。一方、CARはまた、細胞外抗原結合ドメインのN末端には、細胞処理および細胞膜へのCAR局在化の間に抗原結合ドメイン(例えば、scFv)から任意に切り離されるリーダー配列も含まれる。
【0174】
特定の腫瘍マーカーXを標的とする抗原結合ドメイン(例えば、scFvまたはTCR)を含む本明細書に記載のようなCARは、X CARとも呼ばれる。例えば、CD20を標的とする抗原結合ドメインを含むCARは、CD20 CARまたは20 CARと呼ばれる。例えば、CLDN18.2を標的とする抗原結合ドメインを含むCARは、CLDN18.2 CARとも呼ばれる。
【0175】
本明細書で使用される「シグナル伝達ドメイン」という用語は、通常、定義されたシグナル伝達経路を通じるように細胞内で情報を伝達して作用し、セカンドメッセンジャーを生成することにより、またはそのようなメッセンジャーに応答してエフェクターとして機能することによって細胞活動を制御するタンパク質の機能部分を意味する。
【0176】
本明細書で使用される「scFv」という用語は、通常、軽鎖可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片と重鎖可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片とを含む融合タンパク質を指し、ここで、上記の軽鎖可変領域及び上記の重鎖可変領域は(例えば、短い柔軟なポリペプチドリンカーのような合成リンカーを介して)連続し、一本鎖ポリペプチドとして発現可能であり、上記のscFvはそれが由来する完全抗体の特異性を維持する。特に断らない限り、scFvは本明細書で使用される場合、任意の順序で(例えば、ポリペプチドのN-末端およびC末端に対して)上記のVLおよびVH可変領域を有し得る。上記のscFvは、VL-リンカー-VHを含んでもよく、またはVH-リンカー-VLを含んでもよい。
【0177】
本明細書で使用される「結合ドメイン」という用語は、通常、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば免疫グロブリン鎖またはその断片を指す。「結合ドメイン」または「抗体分子」という用語は、抗体および抗体断片を包含する。一実施形態では、抗体分子は二重特異的抗体分子のような多重特異的抗体分子である。
【0178】
本願におけるCARの抗体またはその抗体断片を含む部分は、抗原結合ドメインが、例えば、単一ドメイン抗体断片(sdAb)、一本鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体、または二種特異的抗体を含む連続したポリペプチド鎖の一部として発現される種々の形態で存在し得る。一態様において、本願におけるCARの抗原結合ドメインは、抗体断片からなる。さらなる態様において、CARは、scFvを含む抗体断片を含んでなる。
【0179】
本明細書で使用される「抗原」または「Ag」という用語は、通常、免疫応答を誘発する分子を指す。この免疫応答には、抗体産生、特定の免疫学的担当細胞の活性化、あるいはその両方が関与している可能性がある。実質的にあらゆるタンパク質やペプチドを含むあらゆる高分子が抗原として作用しうることは、当業者には理解されよう。さらに、抗原は組換えDNAまたはゲノムDNAに由来してもよい。当業者であれば、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分的ヌクレオチド配列からなる任意のDNAは、したがって、本明細書で用いられる用語の「抗原」をコードしていると理解するであろう。さらに、抗原は遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はないことは、当業者には理解されることだろう。抗原は「遺伝子」によってコード化されている必要はない。抗原は合成されたものでも、生体試料に由来するものでも、また、ポリペプチド以外の高分子であってもよい。このような生体試料には、組織試料、腫瘍試料、細胞、または他の生体成分を含む流体が含まれるが、これらに限定されない。
【0180】
本明細書で使用される「抗癌」、または「抗腫瘍」という用語は、通常、例えば、腫瘍サイズの縮小、癌細胞の数の減少、転移の数の減少、余命の延長、癌細胞増殖の減少、癌細胞生存の減少、または癌状態に関連する種々の生理症状の改善を含むがこれに限らない種々の形態で発現され得る生物学的作用を指す。また、「抗がん」または「抗腫瘍」効果は、がんの発生を未然に防ぐ能力として表現されることもある。
【0181】
本明細書で使用される「由来する」という用語は、通常、第1の分子と第2の分子との間の関係を意味する。通常、第1分子と第2分子の構造的類似性を指し、第2分子由来の第1分子のプロセスやソースの制限を意味するものでも、それを含むものでもない。例えば、CD3ζ分子由来の細胞内シグナル伝達ドメインの場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、所望の機能、すなわち適切な条件下でシグナルを産生する能力を有するために十分なCD3ζ構造を保持する。これは、細胞内シグナル伝達ドメインを生み出す特定のプロセスに対する制限を意味するものでも、含むものでもない。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインを提供するためには、CD3ζ配列から始めて不要な配列を削除したり変異を課したりして、細胞内シグナル伝達ドメインに達しなければならないことを意味するものでもない。
【0182】
本明細書で使用される「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、通常、分子の細胞内部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞(例えば、CART細胞)の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを生成する。例えば、CART細胞では、免疫エフェクター機能の例としては、サイトカイン分泌を含む細胞溶解活性およびヘルパー活性が含まれている。
【0183】
細胞内シグナル伝達ドメインは一次細胞内シグナル伝達ドメインから構成されてもよい。例示的な一次細胞内シグナル伝達ドメインには、一次刺激または抗原依存性刺激を担う分子に由来するものが含まれる。一実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内ドメインを含む。例示的な共刺激細胞内シグナル伝達ドメインには、共刺激シグナルまたは抗原非依存性刺激を担う分子に由来するものが含まれる。例えば、CARTの場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体の細胞質配列を含み、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共受容体または共刺激分子からの細胞質配列を含み得る。
【0184】
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含み得る。ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例としては、CD3ζに由来するものが含まれるがこれらに限定されない。
【0185】
「ζ」または「ζ鎖」、「CD3-ζ」または「TCR-ζ」という用語は、GenBankアクセッション番号BAG36664.1として提供されるタンパク質、またはマウス、げっ歯類、サル、類人猿などの非ヒト種由来の同等の残基として定義され、「ζ刺激ドメイン」または「CD3-ζ刺激ドメイン」または「TCR-ζ刺激ドメイン」とは、T細胞の活性化に必要な初期シグナルを機能的に伝達するのに十分なものであるζ鎖の細胞質ドメインからのアミノ酸残基またはその機能的誘導体と定義される。一方、ζの細胞質ドメインは、GenBankアクセッション番号BAG36664.1の残基52から164、またはマウス、げっ歯類、サル、類人猿などの非ヒト種に由来し、上記の残基の機能的オーソログである同等の残基を含む。一方、「ζ刺激ドメイン」または「CD3-ζ刺激ドメイン」はSEQ ID NO: 8として提供される配列である。
【0186】
本明細書で使用される「共刺激分子」という用語は、通常、共刺激リガンドに特異的に結合するため、T細胞による共刺激応答(例えば、増殖に限定されない)を媒介するT細胞上の同族結合パートナーを意味する。共刺激分子は、有効な免疫応答に必要な非抗原受容体の細胞表面分子またはそのリガンドである。共刺激分子は、CD28、4-1BB (CD137)などを含むがこれらに限定されない。共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分であってよい。共刺激分子は、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球細胞活性化分子(SLAMタンパク質)および活性化性NK細胞受容体のタンパク質ファミリーに提示することができる。そのような分子の例としては、CD28および4-1BB (CD137)などが含まれている。
【0187】
細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来する分子の完全な細胞内部分または完全な天然の細胞内シグナル伝達ドメインまたはその機能的断片もしくは誘導体から構成され得る。
【0188】
本明細書で使用される「4-1BB」という用語は、通常、GenBankアクセッション番号AAA62478.2として提供されるアミノ酸配列、またはマウス、げっ歯類、サル、類人猿などの非ヒト種由来の同等の残基を有するTNFRスーパーファミリーメンバーを指し、「4-1BB共刺激ドメイン」とは、GenBankアクセッション番号AAA62478.2のアミノ酸残基214から255、またはマウス、げっ歯類、サル、類人猿などの非ヒト種由来の同等の残基として定義される。一方、「4-1BB共刺激ドメイン」は、SEQ ID NO: 7として提供される配列、またはマウス、げっ歯類、サル、類人猿などの非ヒト種由来の同等の残基である。
【0189】
本明細書で使用される「免疫エフェクター機能」、または「免疫エフェクター応答」という用語は、通常、例えば、標的細胞による免疫攻撃を強化または促進する免疫エフェクター細胞の機能または応答を指す。例えば、免疫エフェクター機能あるいは応答とは、標的細胞の殺傷を促進するか、標的細胞の成長や増殖を抑制するT細胞またはNK細胞の特性を指す。T細胞の場合、一次刺激と共刺激は、免疫エフェクター機能または応答の一例である。
【0190】
特に断りのない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、互いに縮重合した状態で、同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。「タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列」という表現は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がある形態でイントロンを含む可能性がある程度にイントロンを含み得る。
【0191】
本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」という用語は、通常、特定の生物学的結果を得るのに有効な本明細書に記載の化合物、製剤、材料または組成物の量を意味する。
【0192】
本明細書で使用される「発現」という用語は、通常、プロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳を指す。
【0193】
本明細書で使用される「相同」または「同一性」という用語は、通常、2つのポリマー分子間(例えば、2つの核酸分子(2つのDNA分子または2つのRNA分子など)間または2つのポリペプチド分子間)のサブユニット配列同一性を指す。この2つの分子の両方のサブユニット位置が同一の単量体サブユニットによって占められている場合、例えば、2つのDNA分子のそれぞれの1つの位置がアデニンによって占められている場合、それらはその位置において相同または同一である。2つの配列間の相同性は、例えば、2つの配列の半分の位置(例えば、長さ10のサブユニットのポリマーでは5つの位置)が相同であれば、2つの配列は50%相同であり、90%の位置(例えば、10のうち9つ)が一致または相同であれば、2つの配列は90%相同であるなど、一致または相同な位置の数によって直接変化する。
【0194】
本明細書で使用される「癌関連抗原」または「腫瘍抗原」という用語は、通常、癌細胞の表面上に、全体としてまたは断片(例えば、MHC/ペプチド)として発現し、癌細胞への薬理学的薬剤の優先的標的化に有用な分子(典型的にはタンパク質、炭水化物または脂質)のことを指す。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、例えば、B細胞上のCD19などの細胞系マーカーのような、正常細胞と癌細胞の両方によって発現されるマーカーである。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、正常細胞と比較して、癌細胞で1倍、2倍、3倍または3倍以上過剰発現される細胞表面分子である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、正常細胞で発現される分子と比較して欠失、付加または変異を含む分子など、癌細胞において不適切に合成された細胞表面分子である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、癌細胞の表面上にのみ全体としてまたは断片(例えば、MHC/ペプチド)として発現し、正常細胞の表面では合成も発現もされないことになる。
【0195】
本明細書で使用される「実質的に精製された」細胞という用語は、通常、他の細胞型を実質的に含まない細胞を指す。また、実質的に精製された細胞とは、天然に存在状態において、通常関連する他の細胞型から分離された細胞を意味する。ある場合には、実質的に精製される細胞集団は、均質な細胞集団を指す。他の場合、この用語は、単に、天然状態でそれらに天然に関連する細胞から分離された細胞を指す。いくつかの態様において、細胞は、インビトロで培養される。他の場合、細胞はインビトロで培養されない。
【0196】
本明細書で使用される「遺伝子編集システム」という用語は、通常、例えば、1つ以上の分子が上記のシステムを標的とするゲノムDNA部位またはその近傍において、欠失などの1つ以上の核酸の変更を指示および作用するシステムを指す。遺伝子編集システムは当該技術分野で知られている。
【0197】
本明細書で使用される「優性阻害性」という用語は、通常、他の遺伝子産物またはタンパク質の機能を妨害する遺伝子産物またはタンパク質を指す。影響を受ける他の遺伝子産物はその優性阻害性のタンパク質と同じであっても異なっていてもよい。優性阻害性遺伝子産物は、短縮、点変異を伴う全長タンパク質またはその断片、もしくは全長野生型または変異型タンパク質またはその断片と他のタンパク質の融合を含む、様々な形態で存在することができる。観察される阻害のレベルは、非常に低い場合もある。例えば、効果を確認するためには、あるプロセスに関与する機能的タンパク質と比較して、優性阻害性のタンパク質を大量に必要とする場合がある。通常の生物学的分析条件下では、その効果を確認することは困難である場合がある。一実施形態において、優性阻害性のYTHDF2は、m6A RNAに結合、認識および/または修飾することができない。
【0198】
免疫細胞
本願の免疫細胞は、免疫エフェクター細胞であり得る。例えば、免疫細胞は、T細胞などのリンパ球細胞であり得る。ある場合には、免疫細胞は、CD4+細胞であり得る。ある場合には、免疫細胞は、CD8+細胞であり得る。ある場合には、免疫細胞は、腫瘍特異的キメラ抗原受容体および/または腫瘍特異的T細胞受容体などの腫瘍特異的受容体を発現または含むことができる。ある場合には、免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球細胞(例えば、腫瘍浸潤T細胞)であり得る。ある場合には、免疫細胞は、被験者(癌患者など)から得られたリンパ球細胞(例えば、T細胞)であり得る。ある場合には、免疫細胞は、腫瘍組織から単離されてもよい。
【0199】
免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された細胞(例えば、免疫エフェクター細胞集団などの細胞集団)であり得る。ある場合には、免疫細胞は、CAR-T細胞であり得る。ある場合には、免疫細胞は、T細胞受容体(腫瘍特異的T細胞受容体など)を発現するように操作された細胞(例えば、免疫エフェクター細胞集団などの細胞集団)であり得る。ある場合には、免疫細胞は、TCR-T細胞であり得る。
【0200】
修飾されていない免疫細胞は、TCF1-であり得る。ある場合には、修飾されていない免疫細胞は、Tim3+であり得る。ある場合には、修飾されていない免疫細胞は、PD-1+であり得る。ある場合には、修飾されていない免疫細胞は、TCF1-Tim3+であり得る。ある場合には、修飾されていない免疫細胞は、TCF1-PD-1+であり得る。ある場合には、修飾されていない免疫細胞は、Tim3+PD-1+であり得る。ある場合には、修飾されていない免疫細胞は、TCF1-PD-1+Tim3+であり得る。
【0201】
ある場合には、修飾前、免疫細胞集団におけるTCF1-細胞の割合は、TCF1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0202】
ある場合には、修飾前、免疫細胞集団におけるTim3+細胞の割合は、Tim3-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0203】
ある場合には、修飾前、免疫細胞集団におけるPD-1+細胞の割合は、PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0204】
ある場合には、修飾前、免疫細胞集団におけるTCF1-Tim3+細胞の割合は、TCF1+Tim3-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0205】
ある場合には、修飾前、免疫細胞集団におけるTCF1-PD-1+細胞の割合は、TCF1+PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0206】
ある場合には、修飾前、免疫細胞集団におけるTim3+PD-1+細胞の割合は、Tim3-PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0207】
ある場合には、修飾前、免疫細胞集団におけるTCF1-PD-1+Tim3+細胞の割合は、TCF1+PD-1-Tim3-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0208】
修飾後、修飾された免疫細胞は、PD-1+またはPD-1-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF1+および/またはTCF7+であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、Tim3-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF1+Tim3-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF7+Tim3-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、PD-1+Tim3-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、PD-1-Tim3-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、Tim3-TCF7+TCF1+であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、Tim3-TCF1+PD-1+であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、Tim3-TCF1+PD-1-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、Tim3-TCF7+PD-1+であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、Tim3-TCF7+PD-1-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、Tim3-TCF7+TCF1+PD-1+であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、Tim3-TCF7+TCF1+PD-1-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF7+TCF1+であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF7+PD-1+であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF7+PD-1-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF7+TCF1+PD-1-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF7+TCF1+PD-1+であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF1+PD-1-であり得る。ある場合には、修飾された免疫細胞は、TCF1+PD-1+であり得る。
【0209】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF1+細胞の割合は、TCF1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0210】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+細胞の割合は、TCF7-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0211】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるPD-1+細胞の割合は、PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0212】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるPD-1-細胞の割合は、PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0213】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-細胞の割合は、Tim3+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0214】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF1+Tim3-細胞の割合は、TCF1-Tim3+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0215】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+Tim3-細胞の割合は、TCF7-Tim3+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0216】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるPD-1+Tim3-細胞の割合は、PD-1-Tim3+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0217】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるPD-1-Tim3-細胞の割合は、PD-1+Tim3+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0218】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+細胞の割合は、Tim3+TCF7-TCF1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0219】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF1+PD-1+細胞の割合は、Tim3+TCF1-PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0220】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF1+PD-1-細胞の割合は、Tim3+TCF1-PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0221】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+PD-1+細胞の割合は、Tim3+TCF7-PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0222】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+PD-1-細胞の割合は、Tim3+TCF7-PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0223】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+PD-1+細胞の割合は、Tim3+TCF7-TCF1-PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0224】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+PD-1-細胞の割合は、Tim3+TCF7-TCF1-PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0225】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+細胞の割合は、TCF7-TCF1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0226】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+PD-1+細胞の割合は、TCF7-PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0227】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+PD-1-細胞の割合は、TCF7-PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0228】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+PD-1-細胞の割合は、TCF7-TCF1-PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0229】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+PD-1+細胞の割合は、TCF7-TCF1-PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0230】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF1+PD-1-細胞の割合は、TCF1-PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0231】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF1+PD-1+細胞の割合は、TCF1-PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0232】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0233】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF7+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0234】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるPD-1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるPD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0235】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるPD-1-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるPD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0236】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTim3-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0237】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF1+Tim3-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF1+Tim3-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0238】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+Tim3-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF7+Tim3-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0239】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるPD-1+Tim3-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるPD-1+Tim3-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0240】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるPD-1-Tim3-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるPD-1-Tim3-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0241】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0242】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF1+PD-1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTim3-TCF1+PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0243】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF1+PD-1-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTim3-TCF1+PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0244】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+PD-1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0245】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+PD-1-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0246】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+PD-1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0247】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+PD-1-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTim3-TCF7+TCF1+PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0248】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0249】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+PD-1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF7+PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0250】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+PD-1-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF7+PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0251】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+PD-1-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0252】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+PD-1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF7+TCF1+PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0253】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF1+PD-1-細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF1+PD-1-細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0254】
ある場合には、修飾後、免疫細胞集団におけるTCF1+PD-1+細胞の割合は、上記の修飾前の対応する免疫細胞集団におけるTCF1+PD-1+細胞の割合よりも高くてもよい(例えば、少なくとも約1%高い、少なくとも約2%高い、少なくとも約3%高い、少なくとも約4%高い、少なくとも約5%高い、少なくとも約8%高い、少なくとも約10%高い、少なくとも約15%高い、少なくとも約16%高い、少なくとも約17%高い、少なくとも約18%高い、少なくとも約19%高い、少なくとも約20%高い、少なくとも約25%高い、少なくとも約30%高い、少なくとも約35%高い、少なくとも約40%高い、少なくとも約45%高い、少なくとも約50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも2.5倍高い、少なくとも3倍またはそれ以上高い)。
【0255】
免疫細胞は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤によって修飾されている場合がある。例えば、1つの免疫細胞集団において、1つ以上の細胞がYTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤によって修飾されている場合がある。いくつかの実施形態において、本願の免疫細胞(例えば、T細胞などの操作または修飾された免疫エフェクター細胞)は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を含み得る。
【0256】
YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を、免疫細胞に導入し、免疫細胞(条件による)において、活性化するおよび/または免疫細胞における発現を誘導することができる。ある場合には、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させるのに十分な時間、免疫細胞と接触させることができる。例えば、免疫細胞の培養に用いる培地にその薬剤を投与することができる。
【0257】
免疫細胞は、YTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらすように修飾されている場合がある。例えば、1つの免疫細胞集団において、1つ以上の細胞は、YTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらすように修飾されている。例えば、このような修飾としては、Ythdf2遺伝子の少なくとも一部を含む核酸分子(例えば、欠失、付加または置換が導入されるベクター)を用いることにより、例えば、Ythdf2遺伝子を機能的に破壊するなどYthdf2遺伝子を変更する相同組換えを含み得る。Ythdf2遺伝子は、ヒト遺伝子、またはヒトYthdf2遺伝子の非ヒトホモログであり得る。例えば、マウスYthdf2遺伝子は、マウスゲノムの内因性Ythdf2遺伝子をそれぞれ変更するのに適した相同組換えベクターを構築するために用いられる。いくつかの実施形態において、ベクターは、内因性Ythdf2遺伝子が相同組換え後、機能的に破壊される(すなわち、機能的タンパク質をコードしなく、「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ように設計されてもよい。または、ベクターは、内因性Ythdf2遺伝子が相同組換え後変異または変更されていても、機能的タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域を変更することにより、内因性Ythdf2タンパク質の発現を変更することが可能である)ように設計されてもよい。相同組換えベクターにおいて、Ythdf2遺伝子の変更部分は、そのベクターによって運ばれる外因性Ythdf2遺伝子と細胞(免疫細胞など)の内因性Ythdf2遺伝子との間の相同組換えを可能にするために、その5’末端および3’末端でYthdf2遺伝子の追加の核酸に隣接してよい。上記の追加の隣接したYthdf2核酸は、内因性遺伝子との相同組換えを成功させるのに十分な長さを有し得る。通常、ベクターには、数千塩基の隣接するDNA(5’末端および3’末端の両方)が含まれ得る。ベクターは、免疫細胞(例えば、エレクトロポレーション法による)に導入され、導入されたYthdf2遺伝子が内因性Ythdf2遺伝子と相同組換えされている細胞が選択され得る。
【0258】
ある場合には、修飾は、免疫細胞(例えば、T細胞などの免疫エフェクター細胞)自体に直接適用されず、代わりに、免疫細胞は、細胞または生物におけるYTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらす修飾を受けた上記の細胞(免疫細胞の前駆細胞など)または上記の生物に由来することが可能である(例えば、免疫細胞の子孫として、などから分化)。
【0259】
このような修飾された細胞(例えば、免疫細胞またはその前駆細胞)または生物(例えば、トランスジェニック非ヒト動物)は、遺伝子の制御された発現および/または制御された削除を可能にする選択されたシステムを含み得る。このようなシステムの一例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/loxPリコンビナーゼシステムの説明については、例えば、Laksoら、(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-6236を参照されたい。リコンビナーゼシステムの他の例として、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のFLPリコンビナーゼシステムである(O'Gormanら、(1991) Science 251:1351-1355)。
【0260】
ある場合には、免疫細胞(例えば、T細胞などの操作または修飾された免疫エフェクター細胞)は、CARまたはTCRをコードする核酸分子を含み得る。例えば、核酸分子は、免疫細胞に直接導入されてもよい。ある場合には、核酸分子は、ベクター(例えば、リポソームまたはウイルスベクター)を介して、免疫細胞に導入されてもよい。核酸分子は、哺乳類の免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)においてCARまたはTCRを発現させることができる場合がある。
【0261】
免疫細胞は、ヒトT細胞などのヒト細胞であり得る。
【0262】
ある場合には、免疫細胞(T細胞など)またはその前駆細胞などの細胞のソースは、増幅、遺伝子修飾またはその他の修飾の前に、被験者から得てもよい。本明細書における「被験者」とは、免疫応答を誘発することができる生体(例えば、哺乳類)を含むことが意図されている。被験者の例としては、ヒト、サル、チンパンジー、イヌ、ネコ、マウス、ラットおよびそのトランスジェニック種が含まれている。免疫細胞またはその前駆細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織および/または腫瘍を含む様々なソースから得ることができる。
【0263】
キメラ抗原受容体(CAR)
本願の免疫細胞は、CARおよび/またはCARをコードする核酸分子を含むおよび/または発現し得る。CARは、配列が細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列に隣接し同一のオープンリーディングフレームにある、本明細書に記載の癌関連抗原に特異的に結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体または抗体断片、TCRまたはTCR断片)を含み得る。細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインおよび/または一次シグナル伝達ドメイン、例えばζ鎖を含み得る。共刺激シグナル伝達ドメインとは、共刺激分子の細胞内ドメインの少なくとも一部を含むCARの一部を指す。
【0264】
例えば、本願で使用されるCARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。抗原結合ドメインは、腫瘍抗原(例えば、CD20またはCLDN18.2)に結合することができる。例として、抗原結合ドメインは、リツキシマブに由来する抗体または抗体断片を含むか、またはそれであり得る。
【0265】
CARの膜貫通ドメインは、(i)SEQ ID NO: 10のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 10のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列、または(ii)SEQ ID NO: 10の配列を有し得る。
【0266】
CARの抗原結合ドメインは、ヒンジ領域によって膜貫通ドメインに連結され得る。上記のヒンジ領域は、SEQ ID NO: 9またはそれと95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列を有し得る。
【0267】
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメインおよび/または共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。一次シグナル伝達ドメインは、CD3ζの機能的シグナル伝達ドメインを含み得る。ある場合には、CARの一次シグナル伝達ドメインは、(i)SEQ ID NO: 8のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 8のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列、または(ii)SEQ ID NO: 8のアミノ酸配列を有し得る。
【0268】
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメイン、または一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能的シグナル伝達ドメイン(CD137)を含み得る。ある場合には、CARの共刺激シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO: 7のアミノ酸配列の少なくとも1、2もしくは3個の修飾を有するが20、10または5個以下の修飾のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 7のアミノ酸配列に対して95~100%(例えば、95~96%、95~97%、95~98%、95~99%、95~99.5%またはそれ以上)の同一性を有する配列を有し得る。
【0269】
ある場合には、CARの細胞内ドメインは、SEQ ID NO: 7の配列およびSEQ ID NO: 8の配列を有し、ここで、細胞内シグナル伝達ドメインを構成する配列は、同一のオープンリーディングフレームで発現し、単一のポリペプチド鎖として発現することができる。
【0270】
例として、本願のCARは、scFvドメインを含み得る。scFvは、SEQ ID NO: 9で提供されるような任意のヒンジ配列、SEQ ID NO: 10で提供されるような膜貫通領域、SEQ ID NO: 7で提供されるような細胞内シグナル伝達ドメイン、および例えばSEQ ID NO: 8を有するCD3ζ配列がすぐに続いてよく、ここで、上記のドメインは互いに隣接し、同一のオープンリーディングフレームにあり、単一の融合タンパク質を形成することができる。
【0271】
例示的なCAR構築物は、任意のリーダー配列、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、本明細書に記載の抗原結合ドメイン)、ヒンジ(例えば、本明細書に記載のヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載の膜貫通ドメイン)および細胞内刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載の細胞内刺激ドメイン)を含み得る。
【0272】
別の例示的なCAR構築物は、任意のリーダー配列(例えば、本明細書に記載のリーダー配列)、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、本明細書に記載の抗原結合ドメイン)、ヒンジ(例えば、本明細書に記載のヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載の膜貫通ドメイン)、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の共刺激シグナル伝達ドメイン)および/または細胞内一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の一次シグナル伝達ドメイン)を含み得る。
【0273】
例示的なヒンジ/スペーサー配列は、SEQ ID NO: 9として提供される。例示的な膜貫通ドメイン配列は、SEQ ID NO: 10として提供される。4-IBBタンパク質の例示的な細胞内シグナル伝達ドメイン配列は、SEQ ID NO: 7として提供される。例示的なCD3ζドメイン配列は、SEQ ID NO: 8として提供される。
【0274】
抗原結合ドメイン
本願のCARは、抗原結合ドメインとも呼ばれる標的特異的結合要素を含み得る。部分の選択は、標的細胞の表面を定義するリガンドの種類と数によって決まる。例えば、抗原結合ドメインは、特定の疾患状態に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択され得る。したがって、本願のCARにおける抗原結合ドメインのリガンドとして機能し得る細胞表面マーカーの例としては、ウイルス、細菌および寄生虫感染、自己免疫疾患および癌細胞に関連するものが含まれている。
【0275】
例えば、CAR媒介T細胞応答は、CARに所望の抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを操作することによって目的の抗原に向けることができる。
【0276】
例えば、抗原結合ドメインを含むCARの部分は、腫瘍抗原(例えば、本明細書に記載の腫瘍抗原)を標的とする抗原結合ドメインを含み得る。
【0277】
抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体およびその機能的断片を含むがこれらに限定されない抗原に結合する任意のドメインであってよく、ラクダ科動物由来のナノボディなどの重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)および可変ドメイン(VHH)などの単一ドメイン抗体、および当該技術分野で公知の抗原結合ドメインとして機能する代替骨組、例えば組換えフィブロネクチンドメイン、T細胞受容体(TCR)またはその断片、例えば一本鎖TCRなどを含むがこれらに限定されない。場合によっては、抗原結合ドメインは、CARが最終的に使用されるのと同じ同一種に由来することが有利である。例えば、ヒトでの使用のために、CARの抗原結合ドメインが抗体または抗体断片の抗原結合ドメインのヒトまたはヒト化された残基を含むことは有利である場合がある。
【0278】
例として、20 CARは、CD20に特異的に結合する抗原結合ドメインを含むCD20 CARである。ある場合には、CD20に対する抗原結合ドメインは、CDRなどの抗体リツキシマブ、オファツムマブ(Ofatumumab)、オクレリズマブ(Ocrelizumab)、ベルツズマブ(Veltuzumab)またはGA101の抗原結合部分であるか、またはそれらを含むものである。
【0279】
抗原結合ドメインは、上記に挙げた抗体の1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR(HC CDR1、HC CDR2およびHC CDR3)および/または上記に挙げた抗体の1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR(LC CDR1、LC CDR2およびLC CDR3)を含み得る。
【0280】
ある場合には、抗原結合ドメインは、上記に挙げた抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含み得る。
【0281】
ある場合には、抗原結合ドメインは、ヒト化抗体または抗体断片を含み得る。
【0282】
ある場合には、非ヒト抗体はヒト化されてもよく、ここで、抗体の特異的配列または領域は、ヒトで天然に産生される抗体またはその断片との類似性を高めるように修飾されることができる。例えば、抗原結合ドメインは、ヒト化されてもよい。
【0283】
CARの抗原結合ドメインは、本明細書に記載の腫瘍抗原に特異的に結合することができる。
【0284】
CARの抗原結合ドメインは、そのVL領域とVH領域の間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50またはそれ以上のアミノ酸残基を有するリンカーからなるscFvを含み得る。上記のリンカー配列は、任意の天然に存在するアミノ酸を含み得る。例えば、リンカー配列は、アミノ酸のグリシンおよびセリンを含み得る。別の例として、リンカー配列は、(Gly4Ser)nのようなグリシンおよびセリンの複数の繰り返し配列のセットを含み得、ここで、nは1以上の正の整数である。例えば、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上であり得る。
【0285】
ある場合には、抗原結合ドメインは、一本鎖TCR(scTCR)などのT細胞受容体(TCR)またはその断片であり得る。例えば、scTCRは、リンカー(例えば、柔軟なペプチド)によって連結されたT細胞クローンからのvαおよびvβ遺伝子を含むように操作されることができる。
【0286】
時には、本願のタンパク質は、例えば、別個のプロモーター、またはバイシストロニックな転写産物(単一の翻訳産物の切断、または2つの異なるタンパク質産物の翻訳により2つのタンパク質を産生することが可能である)を使用することにより産生され得る。例えば、本願のCARおよびYTHDF2減弱剤(例えば、優性阻害性YTHDF2タンパク質)は、バイシストロニックな転写産物として産生され得る。例えば、P2AまたはF2配列のような切断可能なペプチドをコードする配列は、第1のタンパク質と第2のタンパク質の間に配置されていてもよい。ペプチド切断部位の例としては、GSG残基が任意であり、T2A(SEQ ID NO: 19)、P2A(SEQ ID NO: 16)、E2A(SEQ ID NO: 20)および/またはF2A(SEQ ID NO: 21)が含まれている。
【0287】
YTHDF2の発現および/または活性の減弱
本願は、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させるための複数の方法を提供する。
【0288】
例えば、本願では、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤を用いてもよい。YTHDF2をコードする遺伝子の発現を減弱させることが可能な薬剤を含み得る。YTHDF2をコードする遺伝子の活性を減弱させることが可能な薬剤を含み得る。YTHDF2タンパク質の発現を減弱させることが可能な薬剤を含み得る。YTHDF2タンパク質の活性を減弱させることが可能な薬剤を含み得る。
【0289】
ある場合には、YTHDF2減弱剤はまた、YTHDF2以外の標的の発現および/または活性を減弱し得る。ある場合には、YTHDF2減弱剤は、YTHDF2以外の標的の活性および/または発現を増強または増加し得る。
【0290】
このような減弱剤は、高分子であり得る。高分子は、約1000ダルトン以上から約1、2、3、5、7、10または10兆ダルトン超えの天然に存在するか化学的に合成される有機または無機分子であり得る。高分子は、共有結合、イオン結合、または水素結合、イオン対合、塩基対合あるいは電荷分極によって形成される電荷間の対合などの他の化学的相互作用によって連結された2つ以上の単量体サブユニットまたはその誘導体を含み得る。単量体サブユニットは、互いに異なっていても、互いに同一であってもよく、いくつかの実施形態において、ポリマーを形成することができる。高分子は、1つ以上のサブユニットを有するか否かおよび/またはポリマーであるか否かを問わず、3次および/または4次構造を形成することができる分子であってもよい。高分子の例としては、ポリヌクレオチド、核酸分子(DNA、RNA、siRNA、snRNA、tRNA、アンチセンスRNAおよびリボザイムを含む)、ペプチド核酸(PNA)、ポリペプチド、グリコペプチド、タンパク質、炭水化物または脂質またはそれらの誘導体若しくは組み合わせ、例えば、それぞれペプチド核酸部分または糖タンパク質を含む核酸分子が含まれている。高分子の例としては、ウイルス、ウイルス粒子、ファージ、ウイロイド、プリオン、およびそれらの組み合わせならびに抱合体などの高分子集合体も含まれる。
【0291】
このような減弱剤は、低分子であり得る。低分子は、約1000ダルトン未満、約1000ダルトンから約950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5またはそれ以下のダルトンの天然に存在するか、化学合成の有機または無機分子であり得る。低分子は、タンパク質または核酸など、高分子ではない任意の分子であり得る。「低分子」とは、ジペプチドまたはジヌクレオチドなどの2つ以上の単量体サブユニットを有する分子を含み得る。例えば、YTHDF2阻害剤は、YTHドメイン含有ファミリータンパク質のN6-メチルアデノシン(m6A)結合ドメインを阻害することができる。例えば、YTHDF2阻害剤は、10000 nM以下、1000 nM以下、100 nM以下、10 nM以下、1 nM以下のIC50で、YTHDF2とm6Aとの相互作用を阻害することが可能である。例えば、YTHDF2阻害剤は、そのKd値が10000 nM以下、1000 nM以下、100 nM以下、10 nM以下、1 nM以下で、YTHドメインに対して高い結合活性を示し得る。
【0292】
このような減弱剤は、ポリペプチドを含むか、またはそれであり得る。ある場合には、このような減弱剤は、核酸分子を含むか、またはそれであり得る。例えば、このような減弱剤は、抗体またはその誘導体、抗体薬物複合体、融合タンパク質および/またはアンチセンス分子を含み得る。
【0293】
ある場合には、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、ユビキチン、PROTAC、dsRNA、siRNA、shRNA、アプタマーおよびgRNAのうちの1つ以上を含む。上記の薬剤(例えば、核酸分子またはタンパク質)は、天然に存在するものであっても、修飾されたものであってもよい。例えば、RNAもしくはDNAは、ヌクレアーゼ耐性を持つように修飾されてもよい。
【0294】
ある場合には、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、内因性YTHDF2の活性を減弱させることが可能なYTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体を含み得る。ある場合には、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、YTHDF2タンパク質の突然変異体または変異体をコードする核酸分子を含み得る。
【0295】
例えば、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、優性阻害性YTHDF2、またはその優性阻害性YTHDF2をコードする核酸分子を含み得る。優性阻害性YTHDF2は、野生型機能を有する対応するYTHDF2タンパク質がその野生型機能を果たすことを実質的に妨げる、変異または変異体YTHDF2タンパク質、またはその変異または変異体タンパク質をコードする遺伝子であり得る。上記の野生型機能は、m6A RNAを認識、結合および/または修飾する活性を含み得る。
【0296】
優性阻害性遺伝子産物は、短縮、点変異を伴う全長タンパク質またはその断片、もしくは全長野生型または変異型タンパク質またはその断片と他のタンパク質の融合を含む、様々な形態で存在することができる。観察される阻害のレベルは、非常に低い場合もある。例えば、効果を確認するためには、あるプロセスに関与する機能的タンパク質と比較して、優性阻害性のタンパク質を大量に必要とする場合がある。通常の生物学的分析条件下では、その効果を確認することは困難である場合がある。一実施形態において、優性阻害性のYTHDF2は、m6A RNAに結合、認識および/または修飾することができない場合がある。
【0297】
ある場合には、YTHDF2の発現および/または活性は、遺伝子操作によって減弱させることができる。例えば、免疫細胞は、YTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらす修飾を受けた場合がある。
【0298】
例えば、1つの免疫細胞集団において、1つ以上の細胞は、YTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらす修飾を受けている。
【0299】
例えば、このような修飾としては、欠失、付加または置換が導入されたYthdf2遺伝子の少なくとも一部を含む核酸分子(例えば、ベクター)を用いて、Ythdf2遺伝子を変更する(例えば、機能的に破壊する)相同組換えを含み得る。Ythdf2遺伝子は、ヒト遺伝子、またはヒトYthdf2遺伝子の非ヒトホモログであり得る。例えば、マウスYthdf2遺伝子は、マウスゲノムの内因性Ythdf2遺伝子をそれぞれ変更するのに適した相同組換えベクターを構築するために用いられる。いくつかの実施形態において、ベクターは、内因性Ythdf2遺伝子が相同組換え後、機能的に破壊される(すなわち、機能的タンパク質をコードしなくなり、「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ように設計されてもよい。または、ベクターは、内因性Ythdf2遺伝子が相同組換え後変異または他の形態で変更されていても、機能的タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域を変更することにより、内因性Ythdf2タンパク質の発現を変更することが可能である)ように設計されてもよい。相同組換えベクターにおいて、Ythdf2遺伝子の変更部分は、ベクターによって運ばれる外因性Ythdf2遺伝子と細胞(例えば、免疫細胞)の内因性Ythdf2遺伝子との間の相同組換えを可能にするために、その5'および3'末端でYthdf2遺伝子の追加の核酸に隣接してよい。追加の隣接したYthdf2核酸は、内因性遺伝子との相同組換えを成功させるのに十分な長さを有し得る。通常、ベクターには、数千塩基の隣接するDNA(5'および3'末端の両方)が含まれ得る。ベクターは、免疫細胞(例えば、エレクトロポレーション法による)に導入され、導入されたYthdf2遺伝子が内因性Ythdf2遺伝子と相同組換えされている細胞が選択され得る。
【0300】
ある場合には、修飾は、免疫細胞(例えば、T細胞などの免疫エフェクター細胞)自体に直接適用されず、代わりに、免疫細胞は、細胞または生物におけるYTHDF2を発現する遺伝子の完全または部分的な欠失、完全または部分的な置換および/または発現の低下をもたらす修飾を受けた上記の細胞(例えば、免疫細胞の前駆細胞)または上記の生物に由来することが可能である(例えば、免疫細胞の子孫として、などから分化)。
【0301】
このような修飾された細胞(例えば、免疫細胞またはその前駆細胞)または生物(例えば、トランスジェニック非ヒト動物)は、遺伝子の制御された発現および/または制御された削除を可能にする選択されたシステムを含み得る。このようなシステムの一例として、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステムである。cre/loxPリコンビナーゼシステムの説明については、例えば、Laksoら、(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-6236を参照されたい。リコンビナーゼシステムの他の例として、出芽酵母のFLPリコンビナーゼシステムである(O'Gormanら、(1991) Science 251:1351-1355)。
【0302】
ある場合には、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、(1)YTHDF2をコードする遺伝子またはその調節要素(例えば、Ythdf2またはその調節要素)内の1つ以上の部位を標的とする遺伝子編集システム、(2)上記の遺伝子編集システムの1つ以上のコンポーネントをコードする核酸、または(3)それらの組み合わせを含むか、それであり得る。
【0303】
例えば、遺伝子編集システムは、CRISPR/Cas9システム、ジンクフィンガーヌクレアーゼシステム、TALENシステム、およびメガヌクレアーゼシステムより選択されてよい。
【0304】
CRISPR/Casシステムは、真核生物(マウスまたは霊長類動物など)における遺伝子編集(特定の遺伝子のサイレンシング、増強または変化)に使用することができる。これは、例えば、特別に設計されたCRISPRおよび1つ以上の適切なのCasを含むプラスミドを真核細胞に導入することによって達成される。CRISPR配列は、CRISPR遺伝子座と呼ばれることもあり、交互性反復配列とスペーサー配列を含む。天然に存在するCRISPRでは、スペーサー配列は、典型的には、プラスミドまたはファージ配列などの細菌の外来配列を含み、例示的なYTHDF2 CRISPR/Casシステムでは、スペーサー配列は、Ythdf2遺伝子配列またはその調節要素の配列に由来し得る。
【0305】
CRISPR遺伝子座からのRNAは、構成的に発現され、小RNAに加工される。これらの小RNAは、反復配列が隣接したスペーサー配列を含む。RNAは、他のCasタンパク質をRNAもしくはDNAレベルで外来性遺伝的要素に対して発現抑制するように導く。Horvathら、(2010) Science 327: 167-170、Makarovaら、(2006) Biology Direct 1: 7。したがって、スペーサー配列は、siRNAに類似して、RNA分子のテンプレートとしての役割を果たす。Pennisi (2013) Science 341: 833-836。
【0306】
CRISPRシステムは、二重らせんの各鎖に1つずつ、2つの活性切断部位を有するヌクレアーゼであるタンパク質Cas9に依存する場合がある。Cas9と修飾されたCRISPR遺伝子座RNAとの結合を遺伝子編集システムに使用できる。
【0307】
例えば、CRISPR/Casシステムは、Ythdf2遺伝子の1つ以上の核酸、例えば、Ythdf2遺伝子調節要素を削除するか、または中途終止を導入し、機能的YTHDF2の発現を低下させるように修飾するために使用することができる。CRISPR/CasシステムをRNA干渉のように用いて、Ythdf2遺伝子を可逆的な方式でオフにすることができる。例えば、哺乳類細胞では、RNAはCasタンパク質をYthdf2プロモーターにガイドし、RNAポリメラーゼを立体的に遮断することができる。
【0308】
真核細胞における遺伝子編集のためのCRISPR/Casシステムは通常、(1)ターゲティング配列(ゲノムDNA標的配列にハイブリダイズすることができる)およびCas(例えば、Cas9酵素)に結合することが可能な配列を含むガイドRNA分子(gRNA)、および(2)Cas9やタンパク質などのCasを含む。ターゲティング配列は、Cas(例えば、Cas9酵素)に結合することが可能な配列と同一分子上に配置しても、異なる分子上に配置してもよい。異なる分子に配置した場合、それぞれの分子は、例えばハイブリダイゼーションによって分子が会合することを可能にするハイブリダイゼーションドメインを含んでもよい。
【0309】
当該技術分野において知られるテクノロジー、例えば、米国特許出願公開No. 20140068797、WO2015/048577およびCong (2013) Science 339: 819-823に記載のものを使用して、YTHDF2の活性および/または発現を減弱する人工CRISPR/Casシステムを産生できる。例えば、Tsai (2014) Nature Biotechnol., 32:6 569-576、米国特許8,871,445、8,865,406、8,795,965、8,771,945および8,697,359号に記載のものような、YTHDF2を阻害する当該技術分野において公知の他の人工CRISPR/Casシステムも産生でき、この内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。YTHDF2を阻害するためのこのようなシステムは、例えば、Ythdf2遺伝子の配列にハイブリダイズするターゲティング配列を有するgRNA分子を含むように、CRISPR/Casシステムを操作することにより産生され得る。例えば、gRNAは、Ythdf2遺伝子の15~25ヌクレオチド(例えば、20ヌクレオチド)に完全に相補的なターゲティング配列を含み得る。ある場合には、Ythdf2遺伝子の15~25ヌクレオチド(例えば、20ヌクレオチド)はCRISPR/CasシステムのCasタンパク質によって認識されるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列のすぐ5'側に配置され得る(例えば、そのシステムは化膿連鎖球菌(S. pyogenes)Cas9タンパク質、PAM配列はNGGを含み、ここでNは、A、T、GまたはC中のいずれかであり得る)。
【0310】
本明細書に記載のCARをコードするDNAなどの外来DNAをCRISPR/Casシステムと共に、細胞に導入し、外来DNAの配列および染色体配列に応じて、このプロセスを用いて、例えば、CRISPR/Casシステムにより標的とされる部位または近傍に、本明細書に記載のようなCARをコードするDNAを組み込むことができる。このような組み込みは、CARの発現およびYthdf2遺伝子の破壊をもたらす可能性がある。
【0311】
ある場合には、遺伝子編集システムは、Ythdf2遺伝子の標的配列にハイブリダイズするターゲティング配列を有するgRNA分子を含むCRISPR/Casシステムを含むか、それであり得る。遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子の初期エクソンまたはイントロン内の標的配列に結合することができる。ある場合には、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン4の上流(例えば、エクソン1、エクソン2および/またはエクソン3内)の標的配列に結合することができる。ある場合には、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子の後期エクソンまたはイントロン内の標的配列に結合することができる。例えば、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン3の下流(例えば、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7および/またはエクソン8内)の標的配列に結合することができる。
【0312】
ある場合には、遺伝子編集システムは、YTHDF2をコードする遺伝子のエクソン1、エクソン2、エクソン3、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7および/またはエクソン8内の標的配列に結合することができる。いくつかの実施形態において、ターゲティング配列はSEQ ID NO. 17で表されるターゲティング配列である。
【0313】
ある場合には、TALEN遺伝子編集システムは、YTHDF2の発現および/または活性を減弱するためのものであり得る。TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることにより人工的に産生される。転写アクティベーター様エフェクター(TALE)は、Ythdf2遺伝子の一部を含む任意の所望のDNA配列に結合できるように操作できる。操作されたTALEとDNA切断ドメインを合わせることにより、任意の所望のDNA配列(Ythdf2遺伝子配列を含む)に特異的な限制性エンドヌクレアーゼを産生できる。次いで、これらの限制性エンドヌクレアーゼを細胞に導入し、そこで、それらはゲノム編集のために使用され得る。Boch (2011) Nature Biotech. 29: 135-6、およびBochら(2009) Science 326: 1509-12、Moscouら(2009) Science 326: 3501。TALEは、ザントモナスにより分泌されるタンパク質である。DNA結合ドメインは、12番目および13番目のアミノ酸以外、反復した、高度に保存的33-34アミノ酸配列を含む。これらの2箇所は高度に可変であり、特定のヌクレオチド認識と強い相関を示す。それらは、それゆえに、所望のDNA配列と結合するように操作され得る。
【0314】
TALENを産生するために、TALEタンパク質を、例えば野生型または変異Foklエンドヌクレアーゼであるヌクレアーゼ(N)と融合する。TALENにおいて使用するために、Foklについていくつかの変異が行われており、これらは、例えば、切断特異性または活性の改善を含む。Cermakら、(2011) Nucl. Acids Res. 39: e82、Millerら、(2011) Nature Biotech. 29: 143-8、Hockemeyerら、(2011) Nature Biotech. 29: 731-734、Woodら、(2011) Science 333: 307、Doyonら、(2010) Nature Methods 8: 74-79、Szczepekら、(2007) Nature Biotech. 25: 786-793、およびGuoら、(2010) J. Mol. Biol. 200: 96。
【0315】
Foklドメインは、2量体として機能し、適切な配向および間隔を有する標的ゲノムにおける部位のための独特なDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする。TALE DNA結合ドメインとFokl切断ドメインの間のアミノ酸残基数および2つの個々のTALEN結合部位の間の塩基数の両者が、高レベルの活性を達成するために重要なパラメータであると考えられる。Millerら、(2011) Nature Biotech. 29: 143-8。
【0316】
Ythdf2遺伝子TALENを細胞内で使用して、二本鎖切断(DSB)を産生できる。変異は、修復機構が切断を非相同末端結合により不適切に修復するならば、切断部位に導入できる。例えば、不適切な修復は、フレームシフト変異を導入し得る。あるいは、本明細書に記載のCARをコードするDNAなどの外来DNAを、TALENと共に細胞に導入でき、外来DNAの配列および染色体配列により、この方法は本明細書に記載のCARをコードするDNAが、TALENを標的とする部位または近傍に組み込まれるために使用され得る。本明細書に記載のように、実施例では、理論にとらわれることなく、このような組み込みは、Ythdf2遺伝子の破壊だけでなく、CARの発現をもたらす可能性がある。
【0317】
Ythdf2遺伝子における配列に特異的なTALENは、モジュラー要素を使用する多様なスキームを含む、当該技術分野で公知の任意の方法を使用して構築できる。Zhangら、(2011) Nature Biotech. 29: 149-53、Geiblerら、(2011) PLoS ONE 6: el9509、US 8,420,782、US 8,470,973、この内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0318】
ある場合には、ジンクフィンガーヌクレアーゼは、YTHDF2の発現および/または活性を減弱するためのものであり得る。「ZFN」または「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」とは、ジンクフィンガーヌクレアーゼを指し、所望の核酸配列(例えば、Ythdf2遺伝子)の1つ以上の核酸を修飾、例えば、削除するために使用できる人工ヌクレアーゼである。TALENと同様に、ZFNはDNA結合ドメインに融合したFoklヌクレアーゼドメイン(またはその誘導体)を含んでいる。ZFNの場合、DNA結合ドメインは、1つ以上のジンクフィンガーを含む。Carrollら、(2011) Genetics Society of America 188: 773-782、およびKimら、(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 1156-1160。
【0319】
ジンクフィンガーは、1以上の亜鉛イオンにより安定化される小タンパク質構造モチーフである。ジンクフィンガーは、例えば、Cys2His2を含み得、約3bpの配列を認識できる。既知特異性の多様なジンクフィンガーを合わせて、約6、9、12、15または18 bp配列を認識する多フィンガーポリペプチドを産生できる。ファージディスプレイ、酵母ワンハイブリッド系、細菌ワンハイブリッドおよびツーハイブリッド系および哺乳動物細胞を含む、特異的配列を認識するジンクフィンガー(およびそれらの組み合わせ)を産生するための多様な選択およびモジュラーアセンブリー技術が利用可能である。
【0320】
TALENと同様、ZFNは、DNAを切断するために2量体化しなければならない。それゆえに、ZFNの対が、非パリンドロームDNA部位を標的とすることが必要である。2つの個々のZFNは、そのヌクレアーゼが適切に離れて、DNAの逆の鎖に結合しなければならない。Bitinaiteら、(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 10570-5。
【0321】
また、TALENと同様、ZFNはDNAに二本鎖切断を作製でき、これは、不適切に修復されたならばフレームシフト変異を作製でき、細胞におけるYthdf2遺伝子の発現および量の減少に至る。ZFNはまた、Ythdf2遺伝子を変異させるか、CARをコードする核酸を標的配列またはその近傍の部位に導入するために相同組換えとの使用もできる。上記のように、CARをコードする核酸はテンプレートDNAの一部として導入することができる。
【0322】
Ythdf2遺伝子における配列に特異的なZFNは、当該技術分野で知られる任意の方法を使用して構築できる。例えば、Provasi (2011) Nature Med. 18: 807-815、Torikai (2013) Blood 122: 1341-1349、Cathomenら、(2008) Mol. Ther. 16: 1200-7、およびGuoら、(2010) J. Mol. Biol. 400: 96、米国特許公開2011/01589570号、および米国特許公開2012/0060230号を参照し、この内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。ZFN遺伝子編集システムは、例えば、Ythdf2遺伝子を標的とするZFN遺伝子編集システムの1つ以上のコンポーネントをコードする核酸を含み得る。
【0323】
ある場合には、siRNAもしくはshRNAなどの二本鎖RNA(「dsRNA」)は、Ythdf2を減弱させるために、またはYTHDF2減弱剤として使用することができる。また、本願は、上記のdsRNA Ythdf2遺伝子減弱剤をコードする核酸の使用が企図される。
【0324】
ある場合には、YTHDF2減弱剤は、dsRNA、例えば、YTHDF2をコードする核酸(例えば、YTHDF2をコードするゲノムDNAまたはmRNA)に特異的なsiRNAもしくはshRNAのような核酸である。
【0325】
本願は、少なくとも15個の連続したヌクレオチド、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の連続したヌクレオチド、例えば、21個の連続したヌクレオチドを含むdsRNA、例えば、siRNAもしくはshRNAを含む組成物を提供し、上記の連続したヌクレオチドはYthdf2遺伝子核酸配列の配列(例えば、YTHDF2をコードするゲノムDNAまたはmRNA)に相補的(例えば、100%に相補的)である。上記の少なくとも15個の連続したヌクレオチド、例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の連続したヌクレオチド、例えば、21個の連続したヌクレオチドは、shRNAの標的配列もしくはYTHDF2 shRNAをコードする核酸の連続したヌクレオチドを含み得る。いくつかの標的配列および/またはshRNA分子はDNAとして提示されるが、これらの配列を標的とするまたはこれらの配列を有するdsRNA薬剤は、分子が依然としてRNA干渉を媒介できるという条件で、RNA、または本明細書及び/または当該技術分野で公知の任意のヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは代替物であり得ることは理解される。
【0326】
したがって、ある場合には、YTHDF2の発現および/または活性を減弱させることが可能な薬剤は、Ythdf2に特異的なsiRNAもしくはshRNA、または上記のsiRNAもしくはshRNAをコードする核酸を含むか、それらであり得る。いくつかの実施形態において、siRNAもしくはshRNAはYthdf2 mRNAの配列に相補的な配列を含む。
【0327】
癌/腫瘍関連抗原
本願では、癌関連抗原は、癌細胞の表面上で発現され得る。ある場合には、癌関連抗原自体は、細胞内に存在する場合もあるが、このような抗原の断片(ペプチド)がMHC(主要組織適合性複合体)によって癌細胞の表面に提示される場合もある。癌/腫瘍関連抗原の例として、例えば、EGFR、HER2/neu、HER3、HER4、Ep-CAM、CEA、TrAIL、TRAIL受容体1、TRAIL受容体2、リンホトキシン-β受容体、CCR4、CD19、CD20、CD22、CD28、CD33、CD40、CD80、CSF-1R、CTLA-4、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、hepsin、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、VEGF受容体1、VEGF受容体2、IGF-1R、TSLP-R、TIE-1、TIE-2、TNF-α、TNFと同様に弱いアポトーシス(TWEAK)、IL-1Rが含まれ、好ましくはEGFR、HER2/neu、CEA、CD20および/またはIGF-1Rが含まれる。
【0328】
薬学的に許容される賦形剤
本願の組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。上記の薬学的に許容される賦形剤は、本願の1つ以上の活性成分(例えば、修飾細胞または減弱剤)と組み合わせた任意の不活性物質を含み得る。
【0329】
例えば、薬学的に許容される賦形剤としては、溶媒、浸透促進剤、抗酸化剤、増粘剤、軟膏基剤、保護剤、吸着剤、粘滑剤、軟膏剤、保存剤、保湿剤、緩衝剤、アジュバント、バイオアベイラビリティ促進剤、担体、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、染料/着色剤、調味料、可溶化剤(界面活性剤含む)、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤および/または等張剤のうちの1つ以上を含み得る。
【0330】
併用療法
本願の修飾細胞(例えば、修飾免疫細胞)、YTHDF2減弱剤、組成物および/または方法は、1つ以上の追加の活性成分または治療(本明細書では第2の活性成分とも呼ばれる)組成物と組み合わせて使用することができる。
【0331】
例えば、組成物は、1つ以上の追加の活性成分を含み得る。ある場合には、修飾細胞(例えば、修飾免疫細胞)は、追加の活性成分を含んでいてもよく、または追加の活性成分もしくは治療と組み合わせて投与されてもよい。
【0332】
追加の活性成分または療法は、本願の修飾細胞(例えば、修飾免疫細胞)、組成物、YTHDF2減弱剤および/または本願の方法の投与前、投与と同時、または投与後に投与され得る。
【0333】
ある場合には、追加の活性成分は、本願の修飾細胞(例えば、修飾免疫細胞)および/またはYTHDF2減弱剤と同じパッケージまたは同じ容器に含まれていてもよい。ある場合には、追加の活性成分は、別個の容器に含まれてもよく、例えば、本願の修飾細胞(例えば、修飾免疫細胞)および/またはYTHDF2減弱剤を含む容器と異なる容器に含まれてもよい。ある場合には、追加の活性成分は、同じ容器内または同じパッケージ内に存在するとしても、本願の修飾細胞(例えば、修飾免疫細胞)および/またはYTHDF2減弱剤と直接接触していない(例えば、混合されていない)。
【0334】
追加の活性成分は、抗癌剤であり得る。例えば、追加の活性成分は、癌免疫療法を含み得る。ある場合には、追加の活性成分は、免疫チェックポイント減弱剤を含み得る。いくつかの実施形態において、追加の活性成分は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分およびIDO減弱剤より選択される薬剤を含み得る。例えば、追加の活性成分は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、イピリムマブおよび/または上記のいずれかの1つ以上の抗原結合部分を含む任意の抗癌剤を含み得る。
【0335】
インビボ法、インビトロ法、エクスビボ法
本願は、例えば、CAR 20発現細胞などの本明細書に記載のCAR発現細胞のような免疫細胞(例えば、免疫エフェクター細胞)の活性および/または免疫応答を増加させる方法であって、上記の細胞におけるYTHDF2の発現および/または活性を減弱させるステップを含む方法を提供する。上記の方法は、YTHDF2の機能または発現を低減または排除することを含み得る。
【0336】
例えば、上記の方法は、上記の細胞を本明細書に記載のYTHDF2減弱剤と接触させることを含み得る。上記の接触は、エクスビボで行われてもよい。ある場合には、接触は、インビボで行われてもよい。ある場合には、接触は、例えば、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現するように上記の細胞を修飾する前、それと同時に、またはその後に実施され得る。
【0337】
本願は、例えば上記の方法のように、細胞を、例えばYthdf2遺伝子を標的とするCRISPR/Cas遺伝子編集システム、例えばYthdf2遺伝子の標的配列に相補的なターゲティング配列を有するgRNAを含むCRISPR/Casシステムである遺伝子編集システムに導入するステップを含む方法を提供する。ある場合には、CRISPR/Casシステムは、例えばエレクトロポレーションによって、gRNAとCas酵素のリボ核タンパク質複合体として上記の細胞に導入されてもよい。例えば、上記の方法は、CRISPR/Casシステムの1つ以上コンポーネントをコードする核酸分子を、上記の細胞に導入することを含み得る。ある場合には、核酸は、CAR(例えば、本明細書に記載のCAR)をコードするベクター上に配置されてもよい。
【0338】
ある場合には、上記の方法は、細胞に、Ythdf2遺伝子を標的とする減弱型dsRNA(例えば、shRNAもしくはsiRNA)を導入するステップを含み得る。例えば、上記の方法は、Ythdf2遺伝子を標的とする減弱型dsRNA(例えば、shRNAもしくはsiRNA)をコードする核酸を上記の細胞に導入することを含み得る。ある場合には、核酸は、CAR(例えば、本明細書に記載のCAR)をコードするベクター上に配置されてもよい。
【0339】
疾患、障害または病状
本願の細胞、方法および組成物は、本明細書に記載の癌/腫瘍関連抗原の発現に関連する疾患、障害または病状などの疾患、障害または病状を予防、改善および/または治療するために使用することができる。
【0340】
例えば、疾患、障害または病状は、癌であり得る。
【0341】
ある場合には、癌は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択され得る。
【0342】
ある場合には、癌は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択され得る。
【0343】
被験者
本願の修飾免疫細胞、YTHDF2減弱剤、組成物および/または方法は、それを必要とする被験者に投与することができる。
【0344】
ある場合には、被験者は、癌患者であり得る。例えば、被験者は、血液癌、リンパ腫および固形腫瘍より選択される癌に罹患している患者であり得る。ある場合には、被験者は、メラノーマ、結腸癌、膵臓癌、乳癌、肺癌および肝臓癌より選択される癌に罹患している患者であり得る。
【0345】
ある場合には、被験者は、追加の治療を受けた、受けているおよび/または受けようとする。上記の追加の治療は、抗癌治療であり得る。
【0346】
ある場合には、抗癌治療は、癌免疫療法を含み得る。例えば、抗癌治療は、免疫チェックポイント減弱剤を含み得るか、または免疫チェックポイント減弱剤であり得る。ある場合には、抗癌治療は、抗-PD-L1抗体またはその抗原結合部分、抗-PD-1抗体またはその抗原結合部分、抗-CTLA-4抗体またはその抗原結合部分、およびIDO減弱剤より選択される薬剤を含む。ある場合には、抗癌治療は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよび/またはイピリムマブを含み得る。
【0347】
免疫細胞の活性化および免疫応答の増強
本願のYTHDF2減弱剤、修飾免疫細胞、組成物および方法は、免疫細胞を活性化するためおよび/または抗腫瘍免疫応答などの免疫応答を増強するために使用することができる。
【0348】
例えば、活性化された免疫細胞がインビボで腫瘍細胞を殺すか、または腫瘍成長を制御する能力は、(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)増加し得る。
【0349】
ある場合には、1つの免疫細胞集団において、CD4+ T細胞の増殖の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)が観察され得る。ある場合には、1つの免疫細胞集団において、CD8+ T細胞の増殖の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)が観察され得る。
【0350】
ある場合には、増強された抗腫瘍免疫応答は、腫瘍部位中または腫瘍部位の周囲におけるCD8+細胞傷害性T細胞の数の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0351】
ある場合には、増強された抗腫瘍免疫応答は、腫瘍浸潤CD8+ T細胞の数の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0352】
ある場合には、免疫細胞(例えば、T細胞)の活性の増加は、免疫細胞によるサイトカイン産生(例えば、IFN-γおよび/またはIL-2)の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0353】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、免疫細胞の疲弊の遅延または逆転(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)、例えばCD8+ T細胞の疲弊の遅延または逆転(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0354】
例えば、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、TCF-1および/またはTCF-7の発現の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。発現の増加は、細胞内/細胞上のTCF-1および/またはTCF-7の量/レベルの増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができ、または1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)においてTCF-1および/またはTCF-7発現細胞の数/割合の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができる。
【0355】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、T-betの発現の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。発現の減少は、細胞内/細胞上のT-betの量/レベルの減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができ、または1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、T-bet発現細胞の数/割合の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができる。
【0356】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、エオメソデルミン(Eomes)の発現の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。発現の減少は、細胞内/細胞上のEomesの量/レベルの減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができ、または1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、Eomes発現細胞の数/割合の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができる。
【0357】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、PD-1の発現の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。発現の減少は、細胞内/細胞上のPD-1の量/レベルの減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができ、または1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、PD-1発現細胞の数/割合の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができる。
【0358】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、Tim-3の発現の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。発現の減少は、細胞内/細胞上のTim-3の量/レベルの減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができ、または1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、Tim-3発現細胞の数/割合の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって特徴付けることができる。
【0359】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、CD45+細胞(例えば、CD45+CD4+細胞またはCD45+CD8+細胞)の数および/または割合の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0360】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、PD1-TCF1+細胞の数および/または割合の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0361】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)においてPD1-TCF1+CD62L-細胞の数および/または割合の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0362】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、PD1-TCF1+CD62L+細胞の数および/または割合の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0363】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、Tim3-TCF1+細胞の数および/または割合の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0364】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、IFN-γ+CD8+細胞の数および/または割合の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0365】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、IFN-γ+IL-2+細胞の数および/または割合の増加(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【0366】
ある場合には、免疫細胞の活性の増加または免疫応答の増強は、1つの免疫細胞集団(例えば、T細胞集団などの免疫エフェクター細胞集団)において、Tim3+TCF1-細胞の数および/または割合の減少(例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、またはそれ以上)によって明らかにされ得る。
【実施例
【0367】
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように実施し、使用するかについての完全な開示および説明を提供するように記載されており、本発明者らが発明とみなす範囲を制限することを意図しておらず、以下の実験がすべてまたは唯一の実験であることを表すことを意図していない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを確保するための努力がなされているが、いくつかの実験誤差および偏差は考慮する必要がある。特に断りのない限り、部は重量部、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏、圧力は大気圧または大気圧近傍であることを示す。例えば、bpは塩基対、kbはキロベース、plはピコリットル、sまたはsecは秒、minは分、hまたはhrは時間、aaはアミノ酸、ntはヌクレオチド、i.m.は筋肉内、i.p.は腹腔内、s.c.は皮下であるような標準的な略語を用いてもよい。
【0368】
材料および方法
マウス
Ythdf2flox/floxマウスは上記のように作製し、CD4-Creトランスジェニックマウスは標準的な手順で作製した。実験に使用されたマウスは、さらにC57BL/6Jに2世代戻し交配した。遺伝的背景の比較可能性を確保するために、マウスはCD4creYthdf2flox/floxおよびYthdf2flox/floxを交配することによって維持された。CD4creYthdf2flox/floxまたはその同腹のコントロールWTマウスはすべての実験に使用された。同腹仔は、実験期間中、微生物と環境の変化を減らすために同居飼育させた。Ythdf2flox/floxマウスのジェノタイピングに使用したプライマー:GAACGGTATTGTCGGTATTGTCA(SEQ ID NO. 1)およびAGACCACTCCAACACAGAACTT(SEQ ID NO. 2);CD4-Creのジェノタイピングに使用したプライマー:GTTCTTTGTATATATTGAATGTTAGCC(SEQ ID NO.3)、TATGCTCTAAGGACAAGAATTGACA(SEQ ID NO. 4)およびCTT TGC AGA GGG CTA ACA GC(SEQ ID NO. 5) CD45.1 OTIマウスはジャクソン研究所(Jackson Laboratory)から購入された。CD45.1 OTI CD4creDF2flox/floxマウスは社内で作製された。すべてのマウスは6-12週齢で使用された。すべてのマウスは特定の病原体を含まない状態で維持され、清華大学実験動物管理使用委員会が定めた動物実験ガイドラインに準拠して使用された。
【0369】
細胞株
B16-OVAは、マウスメラノーマ細胞株B16に由来するOVAトランスフェクションクローンであった。mB16-zsGreen-OTIp(B16-OZ)は、zsGreen-OTIp (SIINFEKL)を発現するレンチウイルスにより形質導入した後に、単一クローンとして選択された。MC38は、マウス結腸腺癌細胞株であった。E. G7は、マウスリンパ腫細胞株EL4に由来するOVAトランスフェクションクローンであった。E. G7を、10%FBSと1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むRPMI 1640(Thermo)に、0.1 MのHEPESバッファー、0.1 mMの非必須アミノ酸を添加し37℃、5% CO2で培養し、他の細胞を、10%FBSと1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含み、2 mMのL-グルタミン、0.1 MのHEPESバッファー、0.1 mMの非必須アミノ酸を補充したDMEM(Thermo)で、37℃、5% CO2で維持された。
【0370】
Lenti-X 293細胞株はClontech(Mountain View, CA)から購入した。Raji細胞は、中国科学院幹細胞バンク(中国上海)から好意的に提供された。Lenti-X 293はDMEMで培養された。RajiはRPMI-1640で維持された。すべての細胞培地には、10%熱不活性化ウシ胎児血清(Gibco)、2 mmol/LのL-グルタミン、100単位/mLのペニシリンおよび100 μg/mLのストレプトマイシンが補充された。
【0371】
初代細胞培養
T細胞の単細胞懸濁液を、10%ウシ胎児血清含有RPMI-1640培地中、37℃、5% CO2で培養し、2 μg/mLの抗CD3および0.5 μg/mLの抗CD28(Invitrogen)で刺激し、55 μM 2-メルカプトエタノール、0.1 M HEPESバッファー、0.1 mM非必須アミノ酸を補充した。
【0372】
インビトロ寛容誘導
CD4creDF2f/fマウス由来のCD8+ T細胞を、EasySep(商標)マウスCD8+ T細胞単離キット(カタログ番号19853)を用いて単離した。0、3、5日目に、RPMI-1640完全培地中、5×105/mLのCD8+ T細胞を、2 μg/mLの抗-CD3、0.5 μg/mLの抗-CD28(Invitrogen)および10 ng/mLのIL-2で24時間刺激した。その後、刺激培地を除去し、細胞を休ませるためにIL-2のみを補充した完全培地に置換した。3ラウンドの刺激後、生細胞をフローサイトメトリー用に精製した。
【0373】
腫瘍の増殖と治療
約1×106個のB16-OVAまたはMC38またはE.G7腫瘍細胞を、マウスの脇腹に皮下接種した。腫瘍体積は、長さ(a)と幅(b)によって測定され、腫瘍体積=ab2/2として計算された。腫瘍体積が2000 mm3未満のマウスは生存していると見なされた。インビボ疲弊実験では、200 μgの抗CD8または抗CD4抗体を腫瘍接種の3日後に腹腔内注射した。抗PD-L1治療では、1×106個のB16-OVA腫瘍細胞を、マウスの脇腹に皮下接種した。腫瘍接種後9日目に、100 μgの抗PD-L1抗体またはラット免疫グロブリンを投与した。T細胞の養子免疫伝達のために、Rag1-/-または他の受容体マウスに、0日目に5×105個のB16-OVAを接種した。同日、CD45.1 OTI CD4creDF2f/fまたはCD45.1 OTI DF2f/fマウスから、T細胞陰性単離キット(Stemcell)を用いてT細胞を精製した。5×106個のT細胞を受容体マウスに静脈内注射した。
【0374】
急性および慢性のウイルス感染
マウスは通常、LCMV-アームストロング(Armstrong)(2×105個のプラーク形成ユニット(PFU))で腹腔内感染させ、またはLCMVクローン13(2×106個のPFU)で静脈内感染させた。マウスは、6-10週齢で感染させ、無作為化および盲検化は行わず、雌雄両方を組み入れた。感染から8日後に、マウスを安楽死させ、脾臓細胞を評価した。脾臓のCD8+ T細胞は、LCMV-GP33-41-4量体(GP33+)染色を用いてフローサイトメトリーで分析された。
【0375】
フローサイトメトリーおよび細胞選別
実施例1~4におけるフローサイトメトリー分析および細胞選別のために(該当する場合)、マウスから腫瘍、リンパ節および脾臓を採取し、0.26 U/mLのLiberase TLおよび0.25 mg/mLのDNase Iを用いて37℃、30分間消化した。その後、サンプルを70 μmのセルストレーナーでろ過し、染色バッファーで2回洗浄した。細胞を染色バッファー(PBSに2% FBSおよび1 mM EDTAが加えられた)に再懸濁した。細胞を、Fc Block(クローン2.4G2)と共に10分間インキュベートした。その後、特異的抗体を加えて氷上で30分間染色した。iTAg 4 量体/H-2KbOVA(SIINFEKL)(MBL)を使用してOT-I特異的T細胞を染色した。洗浄ステップの後、細胞を、BD Fortessa(BD)で分析するか、Aria IIIu(BD)で選別した。Flowjoを用いてフローサイトメーターのデータの分析を行った。
【0376】
実施例5~8におけるフローサイトメトリー分析および細胞選別のために(該当する場合)、単細胞懸濁液を抗CD16/32(抗FcγRII/III、クローン2.4G2)と共に10分間インキュベートし、続いて、コンジュゲート抗体で染色した。蛍光標識モノクローナル抗体は、抗ヒトCD3-FITC(OKT3)および抗ヒトCD19-APC(H1B19)がBioLegend社から、Alexa Fluor 647標識ヤギ抗マウスFab抗体がJackson ImmunoResearch Laboratoriesから入手したものであった。サンプルは、Cytoflex(Beckman Coulter)上で分析し、データはFlowJoソフトウェア(TreeStar, Inc)で分析した。
【0377】
RNA配列決定
腫瘍接種後7日目のCD4creDF2f/fまたはDF2f/fマウスからの腫瘍浸潤CD8+ T細胞を、フローサイトメトリーにより選別した。LCMVクローン13感染CD4creDF2f/fまたはDF2f/fマウスの脾臓からGp33+ CD8+ T細胞を分離した。T細胞からTRIzol試薬(Invitrogen)を用いて全RNAを抽出した。RNAライブラリーは、SMARTER Stranded Total RNA-seq Kit V2-Pico input(Clontech 634418)を用いて構築した。
【0378】
m 6 A配列決定
全RNAをT細胞から単離した。ポリアデニル化RNAはDynabeads mRNA精製キット(Invitrogen)を用いてさらに濃縮した。RNAサンプルはRNA断片化試薬(Thermo)を用いて94℃、45秒で約100ヌクレオチド長の断片に断片化された。m6A-IPは断片化したRNA(100 ng mRNAもしくは5 μg全RNA)を用いて、EpiMark N6-メチルアデノシン濃縮キット(NEB E1610S)のプロトコルに従い実施した。ライブラリーはRNAをRNA Clean&Concentration-5(Zymo Research)によって濃縮し、SMARTER Stranded Total RNA-seq Kit V2-Pico input(Clontech 634418)を用いて作製した。配列決定はIllumina HiSeq4000マシンで行った。
【0379】
ATAC配列決定
腫瘍浸潤CD8+ T細胞またはインビトロで培養した寛容性T細胞はATAC-RSBバッファーで溶解させた。細胞溶解液を、氷上でTn5トランスポザーゼで消化した。その後、TruePrep DNA Library Prep Kit V2 for Illumina (Vazyme)を用いてライブラリー構築を行った。配列決定は、Illumina HiSeq4000マシンで行った。
【0380】
CARの設計および作製
キメラ抗原受容体(CAR)の抗原標的領域scFv(SEQ ID NO. 6)はリツキシマブに由来するものであった。「20 CAR」(SEQ ID NO. 11)は、リツキシマブに由来するscFv、細胞内シグナル伝達ドメイン41BB(SEQ ID NO. 7)およびCD3ζ(SEQ ID NO. 8)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO. 9)および41BB膜貫通ドメイン(SEQ ID NO. 10)を含み、ここで、scFvがCD8αヒンジドメインおよび41BB膜貫通ドメインを介して細胞内シグナル伝達ドメインに連結されている。YTHDF2(SEQ ID NO. 15)をP2Aペプチド(SEQ ID NO. 16)を介してCD3ζ(SEQ ID NO. 8)に連結して、20-YTHDF2(SEQ ID NO. 14)を産生した。
【0381】
20 CARコードDNA(SEQ ID NO. 12)および20-YTHDF2 CARコードDNA(SEQ ID NO. 13)をpCDH-EF1-MSCベクター骨格(Palo Alto, CA, USA)にクローニングして、レンチウイルストランスファーベクターを作製した。レンチウイルスは作製されたベクタープラスミドをLenti-X 293細胞に一過性にトランスフェクションすることにより作製された。トランスフェクションの48および72時間後に、レンチウイルス粒子を含む上清を採取し、次いで、4℃、25000 rpmで超遠心分離(Beckman)することにより濃縮した。濃縮されたウイルスを完全なRPMI-1640培地に4~16時間かけてゆっくりと溶解させた。ウイルス力価は、形質導入されたLenti-X 293細胞のフローサイトメトリー分析により、指示された容量で決定された。
【0382】
CAR-T細胞の製造
末梢血単核細胞(PBMC)は、Shanghai Longyao Biotechnology Co Ltd(中国、上海)から提供され、EasySep(商標)ヒトT細胞単離キット(幹細胞)を用いてネガティブ選択によって精製された。精製されたT細胞を96ウェルプレートに接種し、抗CD3および抗CD28抗体で72時間刺激した。次に、活性化したT細胞に、20 CARまたは20-YTHDF2 CARをコードするレンチウイルスを最終感染多重度(MOI)10で形質導入した。20-YTHDF2-ノックアウトCAR-T細胞(本明細書では20-YTHDF2-KOと呼ばれる)については、20個のCAR-T細胞を採取し、PBSで2回洗浄し、P3初代細胞溶液(Lonza)に再懸濁した。Alt-R crRNA(SEQ ID NO: 17)(90 pmol)およびAlt-R tracrRNA(SEQ ID NO: 18)(45 pmol)(IDT)をヌクレアーゼフリー二重鎖バッファー(IDT)で再構成し、PCRサーモサイクラーで95℃、5分間加熱してオリゴヌクレオチドをアニールし、混合物を室温にゆっくりと冷却した。CrRNA-tracrRNA二重鎖およびCas9タンパク質V3(50 μg)(IDT)を上下に移液して穏やかに混合し、室温で少なくとも15分間インキュベートした。T細胞を混合し、5 μl RNPと共に室温で2分間インキュベートした。細胞/RNP混合物を4D-Nucleofector(4D-Nucleofectorコアユニット:Lonza)を用いてエレクトロポレーションし、トランスフェクションした細胞を予め温めたT細胞培地を用いて96ウェルプレートに移した。インビトロでの増幅中、CAR-T細胞は毎週、照射されたRaji細胞で刺激された。CAR-T細胞は、200 IU/mL IL-2および4 ng/mL IL-21を含むRPMI-1640培地で培養された。
【0383】
インビトロ腫瘍細胞死滅アッセイ
96ウェルプレートで、合計1×105個のCAR-T細胞を異なるエフェクター細胞:標的細胞(E:T)比(1:1または1:2など)でRaji細胞とインキュベートした。プレーティングから24時間後細胞を採取し、フローサイトメーターで分析した。抗CD3および抗CD19を使用してCAR-T細胞と腫瘍細胞を区別した。
【0384】
実施例1 ノックアウトマウスの作製
Ythdf2flox/floxマウスは、前述のように作製しC57BL/6クグラウンドで維持された。いくつかの実施形態では、マウスは、OT-I TCRトランスジェニックマウスまたはCd4遺伝子調節要素(Cd4Cre)の制御下でCreリコンビナーゼを発現するマウスと交配された。いくつかの実施形態において、CD4creYthdf2flox/floxマウスをOT-I TCRトランスジェニックマウスと交配させた。
【0385】
実施例2 T細胞機能の評価
E. G7腫瘍においてネオアンチゲン特異的CD8+ T細胞応答が生成されるかどうかを決定するために、CD4creYthdf2flox/flox (CD4creDF2f/f)およびYthdf2flox/flox (DF2f/f)マウスにおける腫瘍浸潤SIINFEKL MHC-I 4量体+ CD8+ T細胞の頻度を分析した。図2に示すように、CD4+とCD8+ T細胞の割合は、CD4creYthdf2flox/floxマウスにおいて増加し(図2a)、腫瘍の微小環境におけるT細胞浸潤が強化されたことを示している。また、DF2f/f マウスは腫瘍内に抗原特異的CD8+ T細胞を集積できなかったが、CD4creDF2f/fマウスはDF2f/f マウスと比較して、インビボで腫瘍ネオアンチゲンに対するCD8+ T細胞の有意な増加を示した(図2b-2c)。腫瘍浸潤T細胞の機能をさらに調べるために、腫瘍浸潤T細胞をPMAとイオノマイシンで刺激し、BFAで2時間遮断した。IFN-γを産生する細胞を定量した場合、CD4creDF2f/fマウスではIFN-γ+ CD8+ T細胞の割合がコントロールマウスと比較して有意に増加した(図2d)。同様の結果は、B16メラノーマモデルでも観察された(図2e-2g)。
【0386】
実施例3 抗腫瘍効果の評価
m6Aリーダータンパク質Ythdf2コンディショナルノックアウトマウス(図1a)に、WTコントロールのDF2flox/floxマウスと共に、オバルブミンタンパク質(OVA)発現リンパ腫E. G7細胞を皮下接種した。WTコントロールマウスと比較して、CD4creYthdf2flox/floxマウスは、より良い腫瘍制御およびより長い生存期間を示した。これらの知見は、より広いネオアンチゲンプールを有すると報告されているOVA発現B16メラノーマモデル、MC38細胞結腸癌モデルおよびHepa 1-6細胞肝細胞癌でも検証された。CD4creYthdf2flox/floxマウスでは、WTコントロールマウスと同程度の腫瘍抑制効果が観察された(図1b-1d)。
【0387】
実施例4 T細胞疲弊の逆転
上記実施例の結果から分かるように、Ythdf2の欠失は、抗腫瘍能力の向上を示した。さらに、Ythdf2コンディショナルノックアウトマウスおよびWTマウスでは、腫瘍浸潤CD8+ T細胞の疲弊の段階が異なることがわかった。PD-1-TCF1+CD62l+で標識された初期T細胞はYthdf2コンディショナルノックアウトマウスで蓄積された(図3a)。WTコントロールマウス(DF2flox/floxマウス)では、疲弊したT細胞(TCF1-Tim3+細胞)の密度が高く、Ythdf2コンディショナルノックアウトマウスでは、疲弊したT細胞前駆細胞(TCF1+Tim3-)の割合が増えている(図3b)。T細胞因子-1(TCF-1)は、T細胞の発達を決定的に調節している。最近の研究から、TCF-1はT細胞の運命決定の初期発生を制御するだけでなく、T細胞の疲弊の過程にも関与していることが明らかになった。
【0388】
Ythdf2コンディショナルノックアウトT細胞では、WT T細胞中と比較してTCF-1の発現が約2倍アップレギュレートされることが見出された(図3c)。PD-1およびTim3の発現も、WTマウスと比較して、Ythdf2コンディショナルノックアウトマウスのT細胞で低下していた(図3d)。
【0389】
腫瘍接種後7日目に、5×105個の野生型(WT)OT-I(n=5)とYthdf2 cKO OT-I(n=8)細胞をB16-OVAを持つマウスに養子移入した。腫瘍の成長は1日おきに観察した。Ythdf2コンディショナルノックアウトT細胞は、より良い腫瘍制御およびより長い生存期間を示した(図3e)。
【0390】
YTHDF2欠損と免疫チェックポイント遮断の組み合わせについては、抗-PD-L1抗体および抗-CD40抗体投与および非投与でのMC38を有するWTコントロールDF2f/fマウスとCD4creDF2f/fマウスを試験した。
【0391】
実施例5 CARの発現
図4a-4bは20 CARの設計を示した。24ウェルプレートにおいて、2×105個のLenti-X 293細胞を10 μg/mlのポリブレン(polybrene)の存在下で、0 μl(図5a)、0.33 μl(図5b)、1 μl(図5c)または3 μl(図5d)の濃縮ウイルスで感染させた。24時間後、細胞に完全なDMEM培地を加えて、さらに37℃、5% CO2でインキュベートした。ウイルス力価は、48時間後、フローサイトメーター分析によって測定された。わずか0.33 μlの濃縮ウイルスを用いた場合、Lenti-X 293細胞の86.8%がCARを発現したことがわかった(図5b)。さらに、CARの発現の増加は、投与されたウイルスの用量に依存していた。
【0392】
図8AはCLDN18.2 CARの設計を示した。
【0393】
実施例6 CAR-T細胞の産生
CARがT細胞の表面に発現するかどうかを評価するために、ヒト初代T細胞を0.25 μg/mlの抗CD3および1 μg/mlの抗CD28で2日間刺激し、3日間放置後、MOI 10でウイルス感染させて、20 CAR-T(20 CARを発現)および20-YTHDF2-OE CAR-T(20-YTHDF2 CARを発現)細胞を産生した。さらに、20 CAR-T細胞を用いて、CRISPR/Cas9遺伝子編集システムによりその中のYTHDF2をノックアウトし、20-YTHDF2-KO CAR-T細胞を作製した。5日後、CARの発現をフローサイトメーターで調べた。図6に示すように、トランスフェクトされたT細胞の70%以上が20 CARを発現し(20 CAR-Tについては図6b、20-YTHDF2-KO CAR-Tについては図6d)、トランスフェクトされたT細胞の30%以上が20-YTHDF2 CARを発現した(20-YTHDF2-OE CAR-T細胞については図6c)。また、照射したRaji細胞でT細胞を毎週刺激すると、CARの発現率は約100%に上昇した。
【0394】
抗ヒトCLDN18.2一本鎖可変断片(scFv)(SEQ ID NO: 22)をCD8ヒンジTm(SEQ ID NO:23)、4-1BB(SEQ ID NO:7)およびCD3ζ(SEQ ID NO:8)に連結してCAR構築物を作成した。YTHDF2 sgRNA(5番はSEQ ID NO: 24、6番はSEQ ID NO: 25)またはYTHDF2(SEQ ID NO:15)は、ブタテスコウイルス(porcine teschovirus)-1 2A(P2A)(SEQ ID NO: 16)ペプチドを介してCD3ζに連結されている。CARをコードするDNAをpCDH-MSC-EF1ベクター骨格(SBI System Biosciences, PaloAlto, CA)にクローニングし、レンチウイルストランスファーベクターを作製した。レンチウイルスは、Lenti-X 293T細胞を用いて作製した。
【0395】
末梢血単核細胞(PBMC)は、Shanghai Longyao Biotechnology Co, Ltd(中国、上海)から提供された臍帯血に由来し、Ficoll-Paque密度勾配遠心法を用いて単離された。EasySep(商標)ヒトT細胞単離キット(Stemcell)を用いて全T細胞を精製した。精製したT細胞を96ウェルプレートに接種し、プレートに結合した抗CD3(0.25 μg/mL)および抗CD28(1 μg/mL)抗体で72時間刺激した。次に、活性化したT細胞に、指定されたCARをコードするレンチウイルスを感染多重度(MOI)10で形質導入した。インビトロでの増幅中、CAR-T細胞は毎週、照射したRaji細胞で刺激された(エフェクター細胞と標的細胞の比(E:T)= 3 :1)。CAR-T細胞は、10%熱不活性化FBS、2 mmol/Lグルタミン、100単位/mLペニシリン、100 μg/mLストレプトマイシン、50 IU/mL IL-2および4 ng/mL IL-21を補充したRPMI-1640培地で培養された。YTHDF2を過剰発現させたCLDN18.2 CARはレンチウイルスのトランスフェクションにより構築され、YTHDF2ノックアウトCARはCLDN18.2 CARとYTHDF2 sgRNAエレクトローテーションを用いてCRISPR/cas9技術により構築された。細胞の単細胞懸濁液を抗CD16/32(抗FcgIII/II受容体、クローン2.4G2)と共に10分間インキュベートした後、示されたコンジュゲート抗体(conjugated Ab)で染色した。すべての蛍光標識モノクローナル抗体(mAb)はBiolegendまたはeBioscienceから入手したものであった。サンプルは、Cytoflexフローサイトメーター(Beckman Coulter)上で分析し、データは、FlowJoソフトウェアV10(TreeStar)で分析した。照射したRaji細胞で刺激後、CAR-Tの割合は100%近くまで上昇した。図8Bに示すように、CLDN18.2 CAR-T(CLDN18.2 CARを発現)、CLDN18.2-YTHDF2-OE CAR-T(CLDN18.2-YTHDF2 CARを発現)、CLDN18.2-YTHDF2-KO CAR-T-#5(CLDN18.2 CARを発現しsgRNA #5でYTHDF2をノックアウト)、CLDN18.2-YTHDF2-KO CAR-T-#6(CLDN18.2 CARを発現しsgRNA #6でYTHDF2をノックアウト)およびコントロールT細胞が産生された。
【0396】
実施例7 CAR-T細胞の腫瘍細胞死滅効果
実施例6に従って産生された20 CAR-T、20-YTHDF2-OE CAR-Tおよび20-YTHDF2-KO CAR-T細胞の増殖を調べた。簡単に言うと、細胞は毎週、照射したRaji細胞で刺激された。トリパンブルー(trypan blue)によって明らかになるように、細胞数を記録した。図7aに示すように、20-YTHDF2-KO CAR-T細胞は、特に長期培養の後期において、20 CAR-T細胞や20-YTHDF2-OE CAR-T細胞よりも速く増殖することが観察された。
【0397】
次に、リンパ腫細胞株Rajiを例として、実施例6に従って産生された20 CAR-T、20-YTHDF2-OE CAR-Tおよび20-YTHDF2-KO CAR-T細胞の腫瘍殺傷活性を検討した。簡単に言うと、1×105個のCAR-T細胞を、様々な指定のエフェクター細胞:標的細胞(E:T)比率でRaji細胞と3連で共培養させた。24時間後、腫瘍細胞を殺す能力はフローサイトメーターで残存腫瘍細胞(CD3-CD19+)を分析することによって決定された。図7bに示すように、20-YTHDF2-KO CAR-T細胞は20 CAR-T細胞と比較して有意に優れた腫瘍殺傷活性を示し、YTHDF2過剰発現20-YTHDF2-OE CAR-T細胞は腫瘍細胞を殺す活性が最も低いことを示し、E:Tの1:1および1:2の比で得られる結果は同様であった。
【0398】
図9に示すように、CFAPC-1におけるYTHDF2ノックアウトCLDN18.2 CARのインビボでの抗腫瘍効果を調べた。雌のNOD/SCID/γ-/-(NSG)マウスはShanghai Southern Model Organisms Center, Inc.(中国、上海)から購入し、特異的病原体無しの条件下で維持した。動物の世話と使用は、機関および米国国立衛生研究所(NIH)のプロトコルおよびガイドラインに従った。NSGマウス(n=6)に2*106個のCFPAC-1(膵臓癌細胞株)を皮下接種した。腫瘍細胞接種から1週間後、マウスをランダムにグループ分けし、PBS、1*107個のCLDN18.2 CAR-Tまたは1*107個のYTHDF2をノックアウトしたCLDN18.2 CAR-T(CLDN18.2-YTHDF2-KO CAR-T-#5またはCLDN18.2-YTHDF2-KO CAR-T-#6)で処理した。腫瘍体積はCAR-T処理後に週2回測定し、直交する3軸(a、b、c)に沿って測定し、式(a*b*c)/2により算出した。
【0399】
図10に示すように、CFAPC-1におけるYTHDF2過剰発現CLDN18.2 CARのインビボでの抗腫瘍効果を調べた。雌のNOD/SCID/γ-/-(NSG)マウスは購入して維持した。NSGマウス(n=6)に2*106個のCFPAC-1を皮下接種した。腫瘍細胞接種から1週間後、マウスをランダムにグループ分けし、PBS、1*107個のCLDN18.2 CAR-Tまたは1*107個のYTHDF2過剰発現CLDN18.2 CAR-T(CLDN18.2-YTHDF2-OE CAR-T)で処理した。腫瘍体積はCAR-T処理後に週2回測定し、直交する3軸(a、b、c)に沿って測定し、式(a*b*c)/2により算出した。
【0400】
これらの結果から、YTHDF2の発現/活性が減弱された免疫細胞(T細胞など)は、増殖活性が向上し、腫瘍細胞を死滅させる能力が高まることが示唆された。
【0401】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、当業者には、そのような実施形態が単なる例として提供されていることが明らかであろう。本発明は、明細書内で提供される特定の実施形態によって限定されることを意図していない。本発明は、前述の明細書を参照して説明されてきたが、本明細書における実施形態の説明および例示は、限定的な意味で解釈されることを意図されていない。現在、当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を思い付くであろう。さらに、本発明のすべての態様は、さまざまな条件および変数に依存する、本明細書に記載の特定の描写、構成、または相対的比率に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に採用され得ることが理解されるべきである。したがって、本発明は、そのような代替物、修正物、変形物、または均等物も包含するものと考えられる。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物がそれによってカバーされることが意図されている。
図1
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図9
図10
【配列表】
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【国際調査報告】