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特表2023-529511遮蔽リングを含む製造物品及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(54)【発明の名称】遮蔽リングを含む製造物品及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20230703BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
A61F2/16
G02C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516458
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021025435
(87)【国際公開番号】W WO2021236236
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】16/882,302
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522457782
【氏名又は名称】イノベーガ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ, ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】レガートン, ジェローム
【テーマコード(参考)】
2H006
4C097
【Fターム(参考)】
2H006BC00
2H006BC04
4C097AA25
4C097BB01
4C097DD02
4C097DD04
4C097SA02
(57)【要約】
光学製造物品及び製造物品の作製方法が開示されている。製造物品は光学コンポーネントを含み、この光学コンポーネントは、第一屈折力を有する第一領域と第二屈折力を有する第二領域との間に接合部を含む。第一屈折力は、第二屈折力とは異なる。物品は遮蔽リングをさらに含み、この遮蔽リングは、光学コンポーネント内に含まれ、接合部とアライメントされる。方法は、基板上に薄膜ポリマー層を成形することを含む。方法は、薄膜ポリマー層上に遮蔽リングを成形することをさらに含む。遮蔽リングは、内部遮蔽リング領域及び外部遮蔽リング領域を有する。方法は、外部ワイヤグリッド偏光子を外部遮蔽リング領域上に成形することをさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一屈折力を有する第一領域と第二屈折力を有する第二領域との間の接合部を含む光学コンポーネントであって、前記第一屈折力は前記第二屈折力とは異なる、前記光学コンポーネントと、
前記光学コンポーネント内に含まれ、前記接合部とアライメントされる遮蔽リングと、
を含む、製造物品。
【請求項2】
前記光学コンポーネントは眼球内レンズ内に含まれる、請求項1に記載の製造物品。
【請求項3】
前記光学コンポーネントは、非眼球内コンタクトレンズ内に含まれる、請求項1に記載の製造物品。
【請求項4】
薄膜ポリマー層上に成形される遮蔽リングであって、内部遮蔽リング領域及び外部遮蔽リング領域を有する前記遮蔽リングと、
前記外部遮蔽リング領域内の前記薄膜ポリマー層上に成形される外部フィルタと、
を含む、製造物品。
【請求項5】
前記外部フィルタはスペクトルフィルタを含む、請求項4に記載の製造物品。
【請求項6】
前記内部遮蔽リング領域内の前記薄膜ポリマー層上に成形される内部偏光子をさらに含む、請求項4に記載の製造物品。
【請求項7】
前記内部フィルタは内部偏光を有する内部偏光子を含み、前記外部偏光子は前記内部偏光に対して実質的に直交する外部偏光を有する、請求項6に記載の製造物品。
【請求項8】
基板上に薄膜ポリマー層を成形することと、
前記薄膜ポリマー層上に遮蔽リングを成形することであって、前記遮蔽リングは内部遮蔽リング領域及び外部遮蔽リング領域を有する、前記成形することと、
前記外部遮蔽リング領域上に外部ワイヤグリッド偏光子を成形することであって、前記外部ワイヤグリッド偏光子は第一偏光を有する、前記成形することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記薄膜ポリマー層上に前記遮蔽リングを成形することは、
前記薄膜ポリマー層上に薄膜金属層を成形することと、
前記薄膜金属層を処理して前記遮蔽リングを成形することと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記内部遮蔽リング領域上に内部ワイヤグリッド偏光子を成形することであって、前記内部ワイヤグリッド偏光子は第二偏光を有し、前記第二偏光は前記第一偏光に対して実質的に直交する、前記成形することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に成形される薄膜ポリマー層と、
前記薄膜ポリマー層上に成形されるアレイであって、1つ以上の光学構造体を有する前記アレイと、
を含む、製造物品であって、
前記1つ以上の光学構造体のそれぞれは、
前記薄膜ポリマー上に成形される遮蔽リングであって、内部ポリマー領域及び外部ポリマー領域を有する前記遮蔽リングと、
前記内部ポリマー領域上に成形される内部ワイヤグリッド偏光子であって、第一偏光を有する前記内部ワイヤグリッド偏光子と、
前記外部ポリマー領域上に成形される外部ワイヤグリッド偏光子であって、前記外部ワイヤグリッド偏光子は第二偏光を有し、前記第二偏光は前記第一偏光に対して実質的に直交する、前記外部ワイヤグリッド偏光子と、
を含む、前記製造物品。
【請求項12】
基板上のポリマーシート上に複数のコンポーネントを成形することと、
複数のメニスカス形状のコンポーネントを成形するように前記ポリマーシートを成形してトリミングすることと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記基板上の前記ポリマーシート上に前記複数のコンポーネントを成形することは、
遮蔽リングによって第二ワイヤグリッド偏光子から分離された第一ワイヤグリッド偏光子を含むように、前記複数のコンポーネントのうちの少なくとも1つを成形すること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合してレンズを成形することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに前記液体ポリマーを結合して前記レンズを成形することは、前記ワイヤグリッド偏光子及び前記遮蔽リングを前記ポリマーシートから前記レンズに転写することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマーシートはポリイミドを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに前記液体ポリマーを結合して前記レンズを成形することは、前記ワイヤグリッド偏光子及び前記遮蔽リングを前記ポリマーシートから第二ポリマー層に転写することと、前記ポリマーシートを除去することと、前記第二ポリマー層に液体ポリマーを結合してレンズを成形することとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
基板上のポリマーシート上に複数のコンポーネントを成形することと、
前記ポリマーシートをトリミングして、複数の平坦なコンポーネントを成形することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記基板上の前記ポリマーシート上に前記複数のコンポーネントを成形することは、
遮蔽リングによって第二ワイヤグリッド偏光子から分離された第一ワイヤグリッド偏光子を含むように、前記複数のコンポーネントのうちの少なくとも1つを成形すること、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の平坦なコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して、眼球内レンズを成形することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の平坦なコンポーネントのうちの1つに前記液体ポリマーを結合して前記眼球内レンズを成形することは、前記ワイヤグリッド偏光子及び前記遮蔽リングを前記ポリマーシートから第二ポリマー層に転写することと、前記ポリマーシートを除去することと、前記第二ポリマー層に液体ポリマーを結合して眼球内レンズを成形することとを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の平坦なコンポーネントのうちの1つを、予成形された眼球内レンズ内に外科的に埋め込むことをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記予成形された眼球内レンズは眼内に位置している、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマーシートはポリイミドを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月22日に出願された米国出願第16/882,302号の優先権を主張するものである。上記に言及された本出願の内容全体は、参照により本明細書に援用されている。
【0002】
本開示は、光学系で使用するための製造物品及びそれらの物品を作製するための製造方法に関し、特に、光学系の性能を改善するための構造体及び方法に関する。光学系は、光学系によって成形された画像にハローなどの望ましくないアーティファクトを形成する方法で光を散乱させる構造体を含むことができる。開示された実施形態の態様は、光学系に関するこの問題及び他の問題に対処する。
【発明の概要】
【0003】
開示された実施形態に一致して、第一屈折力を有する第一領域と第二屈折力を有する第二領域との間に接合部を有する光学コンポーネントを含む製造物品が開示されている。第一屈折力は、第二屈折力とは異なる。製造物品は遮蔽リングをさらに含み、この遮蔽リングは、光学コンポーネント内に含まれ、接合部とアライメントされる。いくつかの実施形態では、光学コンポーネントは眼球内レンズ内に含まれる。いくつかの実施形態では、光学コンポーネントは非眼球内コンタクトレンズ内に含まれる。いくつかの実施形態では、第一屈折力及び第二屈折力は、製造物品が遮蔽リングを含むように完成したレンズ内のものであり、遮蔽リングは、完成したレンズ内で第一屈折力及び第二屈折力の接合部とアライメントされる。製造物品は、内部遮蔽リング領域または外部封入リング領域内の少なくとも1つのフィルタからなる。
【0004】
開示された実施形態と一致して、遮蔽リング及び内部フィルタを含む製造物品が開示されている。遮蔽リングは薄膜ポリマー層上に成形される。遮蔽リングは、内部遮蔽リング領域及び外部遮蔽リング領域を有する。内部フィルタは、内部遮蔽リング領域内の薄膜ポリマー層上に成形される。いくつかの実施形態では、内部フィルタはスペクトルフィルタを含む。いくつかの実施形態では、製造物品は、外部遮蔽リング領域内の薄膜ポリマー層上に成形された外部ワイヤグリッド偏光子をさらに含む。いくつかの実施形態では、内部フィルタは内部ワイヤグリッド偏光を有する内部ワイヤグリッド偏光子を含み、外部ワイヤグリッド偏光子は内部ワイヤグリッド偏光に対して実質的に直交する外部ワイヤグリッド偏光を有する。
【0005】
開示された実施形態と一致して、光学構造体またはコンポーネントを成形する方法が開示されている。この方法は、基板上に薄膜ポリマー層を成形することを含む。この方法は、薄膜ポリマー層上に遮蔽リングを成形することをさらに含む。遮蔽リングは、内部遮蔽リング領域及び外部遮蔽リング領域を有する。この方法は、外部遮蔽リング領域上に外部ワイヤグリッド偏光子を成形することをさらに含む。外部ワイヤグリッド偏光子は、第一偏光を有する。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層上に遮蔽リングを成形することは、薄膜ポリマー層上に薄膜金属層を成形することをさらに含む。この方法は、薄膜金属層を処理して遮蔽リングを成形することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、内部遮蔽リング領域上に内部ワイヤグリッド偏光子を成形することをさらに含む。内部ワイヤグリッド偏光子は第二偏光を有し、この第二偏光は第一偏光に対して実質的に直交する。
【0006】
開示された実施形態と一致して、製造物品が開示されている。製造物品は基板を含む。製造物品は、基板上に成形された薄膜ポリマー層をさらに含む。製造物品は、薄膜ポリマー層上に成形されたアレイをさらに含む。アレイは、1つ以上の光学構造体を含む。1つ以上の光学構造体のそれぞれは、薄膜ポリマー上に成形された遮蔽リングを含む。遮蔽リングは、内部ポリマー領域及び外部ポリマー領域を有する。1つ以上の光学構造体のそれぞれは、内部ポリマー領域上に成形された内部ワイヤグリッド偏光子をさらに含む。内部ワイヤグリッド偏光子は、第一偏光を有する。1つ以上の光学構造体のそれぞれは、外部ポリマー領域上に成形された外部ワイヤグリッド偏光子を含む。外部ワイヤグリッド偏光子は、第二偏光を有する。第二偏光は、第一偏光に対して実質的に直交する。
【0007】
開示された実施形態と一致して、方法が開示されている。この方法は、基板上のポリイミドシート上に複数のコンポーネントを成形することを含む。方法は、複数のメニスカス形状のコンポーネントを成形するように、ポリイミドシートを成形してトリミングすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、基板上のポリイミドシート上に複数のコンポーネントを成形することは、遮蔽リングによって第二ワイヤグリッド偏光子から分離された第一ワイヤグリッド偏光子を含むように、複数のコンポーネントのうちの少なくとも1つを成形することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合してレンズを成形することをさらに含む。いくつかの実施形態では、複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合してレンズを成形することは、ワイヤグリッド偏光子及び遮蔽リングをポリイミドからレンズに転写することを含む。いくつかの実施形態では、複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合してレンズを成形することは、ワイヤグリッド偏光子及び遮蔽リングをポリイミドから転写することと、物品をレンズに転写する前に物品の内部遮蔽リング領域内に予成形されたマイクロレンズを置くこととを含む。マイクロレンズは、レンズよりも高い屈折率を有し、外部遮蔽リング領域での第一屈折力よりも大きい第二屈折力を有し、マイクロレンズのエッジは、遮蔽リングとアライメントされる接合部を成形する。
【0008】
開示された実施形態と一致して、方法が開示されている。この方法は、基板上のポリイミドシート上に複数のコンポーネントを成形することを含む。方法は、ポリイミドシートをトリミングして、複数の平坦なコンポーネントを成形することをさらに含む。いくつかの実施形態では、基板上のポリイミドシート上に複数のコンポーネントを成形することは、遮蔽リングによって第二ワイヤグリッド偏光子から分離された第一ワイヤグリッド偏光子を含むように、複数のコンポーネントのうちの少なくとも1つを成形することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数の平坦なコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して眼球内レンズを成形することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数の平坦なコンポーネントのうちの1つを予成形された眼球内レンズ内に外科的に埋め込むことをさらに含む。眼球内レンズは術前状態であってもよく、または眼内にあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、光学コンポーネント及び遮蔽リングを含む製造物品の図解を示す。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、遮蔽リング及び内部フィルタを含む製造物品の図解を示す。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、光学製造物品を成形するための方法の流れ図を示す。
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、基板、薄膜ポリマー層、及び1つ以上の光学構造体を含む製造物品の側断面図の図解を示す。
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、薄膜ポリマー層及び1つ以上の光学構造体を含む、図4Aに示される製造物品の上面図の図解を示す。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、複数のメニスカス形状のコンポーネントを成形するための方法の流れ図を示す。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、複数の平坦なコンポーネントを成形するための方法の流れ図を示す。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、基板及び基板上に成形された薄膜ポリマー層を含み、コンポーネントのアレイを含む製造物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、本開示に従って実装された実施形態について詳細に言及されているが、それらの例は添付の図面に示されている。
【0011】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、光学コンポーネント102及び遮蔽リング104を含む製造物品100の図解を示す。光学コンポーネント102は、第一屈折力を有する第一領域108と第二屈折力を有する第二領域110との間に接合部106を含む。第一屈折力は、第二屈折力とは異なる。遮蔽リング104は、光学コンポーネント102内に含まれ、接合部106とアライメントされる。光学コンポーネント102は、特定の材料から成形されることに限定されない。いくつかの実施形態では、光学コンポーネントはポリマーを含む。
【0012】
封入リング104は、光が接合部106によって散乱するのを防止するように成形される。遮蔽リング104は、特定の材料から成形されることに限定されない。いくつかの実施形態では、遮蔽リング104は、アルミニウムなどの金属を含む。遮蔽リング104を成形する例示的な方法は、光学コンポーネント102の接合部106上にアルミニウムを成膜させることと、フォトリソグラフィ法を使用して、アルミニウムを処理し、遮蔽リング104を成形することとを含む。遮蔽リング104は、遮蔽リング幅105を有する。遮蔽リング幅105は、特定の値に限定されない。いくつかの実施形態では、遮蔽リング幅105は、約0.1ミリメートルから約1.0ミリメートルの間である。いくつかの実施形態では、遮蔽リング幅105は約0.125ミリメートルである。遮蔽リング104は、光学コンポーネント102の焦点深度を拡張するのに効果的ではない。また、遮蔽リング104は、光学コンポーネント102の光学絞りとして機能するのに効果的ではない。したがって、遮蔽リング104は、光学コンポーネント102のアパーチャとして機能することができない。
【0013】
動作中、光学コンポーネント102の遮蔽リング104が接合部106に向かう光を遮断することで、光が接合部106によって散乱するのが防止される。したがって、遮蔽リング104は、2つの光学面が交差するときに光学的な欠陥を遮断する。接合部106は、第一領域108が第二領域110に接合する光学コンポーネント102の領域である。遮蔽リング104は、予想外に、接合部106を含む光学コンポーネント102によって成形された画像中の望ましくない光学的な効果を実質的に除去する。例えば、遮蔽リング104が第一領域108内に直線偏光子を含み、第二領域110にフィルタを含まない場合、遮蔽リング104は、光学コンポーネント102が撮像した光源によって光学的な欠陥が成形されるのを実質的に防止する。
【0014】
本明細書で使用される場合、コンタクトレンズという用語は、外科的に埋め込まれる眼球内レンズだけでなく、外眼表面に適用されるコンタクトレンズも含む。いくつかの実施形態では、光学コンポーネント102は非眼球内コンタクトレンズ内に含まれる。いくつかの実施形態では、光学コンポーネント102は眼球内コンタクトレンズ内に含まれる。
【0015】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、遮蔽リング202及び内部フィルタ204を含む製造物品200の図解を示す。遮蔽リング202は薄膜ポリマー層206上に成形される。遮蔽リング202は、内部遮蔽リング領域208及び外部遮蔽リング領域210を有する。内部フィルタ204は、内部遮蔽リング領域208内の薄膜ポリマー層206上に成形される。いくつかの実施形態では、製造物品200は、遮蔽リング202及び内部フィルタ204を含むコンタクトレンズを製造するためのプロセスでの使用に適している。いくつかの実施形態では、遮蔽リング202及び内部フィルタ204は、薄膜ポリマー層206から分離され、コンタクトレンズの製造プロセスに含まれる。
【0016】
薄膜ポリマー層206は、特定の材料に限定されない。薄膜ポリマー層206の製造での使用に適している例示的な材料は、約1パーセント未満の水溶性を有する。薄膜ポリマー層206の製造での使用に適している例示的な材料は、摂氏約190度を上回り、材料の分解温度を下回るガラス転移点を有する。薄膜ポリマー層206は、疎水性または親水性であり得る。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層206は、ポリイミドなどのサーモプラスチックから成形される。ポリイミドは、イミド系モノマーのポリマーである。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層206は、ポリスルホンから成形される。薄膜ポリマー層206は、薄膜ポリマー層の厚さ207を有する。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層の厚さ207は、約1ミクロンから約80ミクロンの間である。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層の厚さ207は、約5ミクロンから25ミクロンの間である。
【0017】
薄膜ポリマー層206は、形状面を有するように成形されることができる。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層206は、凸状の前面を有するように成形される。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層206は、実質的に非曲面を有するように成形される。実質的に非曲面は、平坦から実質的に変化しない表面である。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層206は、実質的に凹状の後面を有する形状に作られる。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層206は、実質的に非曲面である後面を有する形状に作られる。
【0018】
遮蔽リング202は、特定の材料から成形されることに限定されない。いくつかの実施形態では、遮蔽リング202は、アルミニウムなどの金属を含む。遮蔽リング202を成形するための例示的な方法は、薄膜ポリマー層206上にアルミニウムを成膜させることと、フォトリソグラフィ法を使用して、アルミニウムを処理し、遮蔽リング202を成形することとを含む。遮蔽リング202は、遮蔽リング幅203を有する。遮蔽リング幅203は、特定の値に限定されない。いくつかの実施形態では、遮蔽リング幅203は、約0.1ミリメートルから約1.0ミリメートルの間である。いくつかの実施形態では、遮蔽リング幅203は約0.125ミリメートルである。
【0019】
内部遮蔽リング領域208は、内部遮蔽リング領域の直径209を有する。内部遮蔽リング領域の直径209は、特定の値に限定されない。いくつかの実施形態では、内部遮蔽リング領域の直径209は、約0.7ミリメートルから1.5ミリメートルの間である。いくつかの実施形態では、内部遮蔽リング領域の直径209は、約1.0ミリメートルである。
【0020】
外部遮蔽リング領域210は、外部遮蔽リング領域の直径211を有する。外部遮蔽リング領域の直径211は、特定の値に限定されない。いくつかの実施形態では、外部遮蔽リング領域の直径211は、約5.0ミリメートルから約13ミリメートルの間である。いくつかの実施形態では、外部遮蔽リング領域の直径211は、約5.0ミリメートルである。いくつかの実施形態では、外部遮蔽リング領域の直径211は、約8.5ミリメートルである。
【0021】
内部フィルタ204は、特定のタイプのフィルタに限定されない。いくつかの実施形態では、内部フィルタ204は、偏光フィルタを含む。いくつかの実施形態では、内部フィルタ204はスペクトルフィルタを含む。製造物品200の製造に関連して使用するのに適している例示的なスペクトルフィルタは、3バンド、バンドパスフィルタを含む。いくつかの実施形態では、内部フィルタ204は広域スペクトルフィルタを含む。製造物品200の製造での使用に適している例示的な広域スペクトルフィルタは、フォトクロミックフィルタ、エレクトロクロミックフィルタ、及び減光フィルタを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、外部遮蔽リング領域210は、外部偏光フィルタを含む。いくつかの実施形態では、外部フィルタはスペクトルフィルタを含む。製造物品200の外部フィルタの製造に関連して使用するのに適している例示的なスペクトルフィルタは、3バンド、ノッチフィルタを含む。いくつかの実施形態では、外部フィルタは広域スペクトルフィルタを含む。製造物品200の製造での使用に適している例示的な広域スペクトルフィルタは、フォトクロミックフィルタ、エレクトロクロミックフィルタ、及び減光フィルタを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、製造物品200は、外部遮蔽リング領域210内の薄膜ポリマー層206上に成形された外部ワイヤグリッド偏光子212をさらに含む。いくつかの実施形態では、内部フィルタ204は、内部ワイヤグリッド偏光を有する内部ワイヤグリッド偏光子214と、外部ワイヤグリッド偏光を有する外部ワイヤグリッド偏光子212とを含む。外部ワイヤグリッド偏光は、内部ワイヤグリッド偏光に対して実質的に直交する。いくつかの実施形態では、内部ワイヤグリッド偏光子204は、薄膜ポリマー層206上に成形された薄膜金属構造体のアレイを含む。いくつかの実施形態では、外部ワイヤグリッド偏光子212は、薄膜ポリマー層206上に成形された薄膜金属構造体の規則配列を含む。いくつかの実施形態では、内部偏光子204及び外部偏光子212は反射型偏光子であり、それらの構造体に対して垂直に振動する光のみを通過させる。内部偏光子204及び外部偏光子212は、特定のタイプの偏光子に限定されない。いくつかの実施形態では、内部偏光子204は吸収型偏光子を含む。いくつかの実施形態では、外部偏光子212は吸収型偏光子を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、動作中、製造物品200の遮蔽リング202及び内部フィルタ204は、非眼球内コンタクトレンズまたは眼球内コンタクトレンズを有するコンタクトレンズ内に含まれる。外部フィルタワイヤグリッド偏光子204は、関連する眼鏡レンズの透過偏光に対してアライメントされた透過であり、内部ワイヤグリッド偏光子の透過方向は、眼鏡レンズの透過偏光に対して実質的に直交する。マイクロディスプレイが実施形態に含まれる場合、マイクロディスプレイからの光の偏光は、外部ワイヤグリッド偏光子212の透過偏光に対して実質的に直交する。
【0025】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、光学製造物品を成形するための方法300の流れ図を示す。方法300は、基板上に薄膜ポリマー層を成形することと(ブロック302)、薄膜ポリマー層上に遮蔽リングを成形することであって、遮蔽リングは内部遮蔽リング領域及び外部遮蔽リング領域を有する、成形することと(ブロック304)、外部遮蔽リング領域上に外部ワイヤグリッド偏光子を成形することであって、外部ワイヤグリッド偏光子は第一偏光を有する、成形することと(306)を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層上に遮蔽リングを成形することは、薄膜ポリマー層上に薄膜金属層を成形することと、薄膜金属層を処理して遮蔽リングを成形することとを含む。いくつかの実施形態では、方法300は、内部遮蔽リング領域内に内部ワイヤグリッド偏光子を成形することをさらに含み、内部ワイヤグリッド偏光子は第二偏光を有し、第二偏光は第一偏光に対して実質的に直交する。
【0027】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、基板402、薄膜ポリマー層404、及び1つ以上の光学構造体408を有する規則配列406を含む製造物品400の側断面図の図解を示す。基板402は、薄膜ポリマー層404を支持するために基部を設ける。いくつかの実施形態では、基板402は、単結晶シリコンのスライスを含む。本明細書で使用される場合、基板という用語は、固体の非可撓性基板に限定されない。いくつかの実施形態では、基板402は、ロールツーロール処理で使用されるポリマーシートなどの可撓性シートである。ロールツーロール処理は、プラスチック、金属、またはポリマーなどの材料のロール上に電子デバイスまたは光学デバイスを成形することを含む。ロールツーロール処理中に複雑な光学デバイスまたは電気デバイスを作製するために、複数のプロセスが材料のロールに適用される場合がある。薄膜ポリマー層404は、基板402上に成形される。薄膜ポリマー層404の製造での使用に適している例示的な材料は、約1パーセント未満の水溶性を有する。薄膜ポリマー層404の製造での使用に適している例示的な材料は、摂氏約190度を上回り、材料の分解温度を下回るガラス転移点を有する。薄膜ポリマー層404は、疎水性または親水性であり得る。製造物品400の製造での使用に適している例示的なポリマーは、ポリイミド及びポリスホン(polysufone)などのポリマーを含む。薄膜ポリマー層404は、薄膜ポリマー層の厚さ405を有する。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層の厚さ405は、約1ミクロンから約80ミクロンの間である。いくつかの実施形態では、薄膜ポリマー層の厚さ405は、約5ミクロンから25ミクロンの間である。規則配列406は、薄膜ポリマー層404上に成形され、遮蔽リング410、内部ワイヤグリッド偏光子412、及び外部ワイヤグリッド偏光子414などの構造体を有する1つ以上の光学構造体408を含む。
【0028】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、薄膜ポリマー層404と、1つ以上の光学構造体408を有する規則配列406とを含む製造物品400の上面図の図解を示す。いくつかの実施形態では、1つ以上の光学構造体408のそれぞれは、遮蔽リング410、内部ワイヤグリッド偏光子412、及び外部ワイヤグリッド偏光子414を含む。遮蔽リング410は、薄膜ポリマー層404上に成形される。遮蔽リング410は、内部ポリマー領域416及び外部ポリマー領域418を有する。内部ワイヤグリッド偏光子412は、第一偏光を有し、内部ポリマー領域416上に成形される。外部ワイヤグリッド偏光子414は、第二偏光を有し、外部ポリマー領域418上に成形される。第一偏光は、第二偏光に対して実質的に直交する。
【0029】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、複数のメニスカス形状のコンポーネントを成形するための方法500の流れ図を示す。方法500は、基板上のポリマーシート上に複数のコンポーネントを成形することと(ブロック502)、複数のメニスカス形状のコンポーネントを成形するようにポリマーシートを成形してトリミングすることと(ブロック504)を含む。トリミングは、レーザートリミング、ナイフトリミング、シザートリミング、ダイカット、スクライブトリミング、またはマスキング及びエッチングを有する化学的トリミングを含むが、これらに限定されない。「成形してトリミングすること」は、特定の成形プロセスに限定されない。成形法は、熱成形、室温での機械的成形、室温での加圧成形、及び化学的弱化とその後の機械的または加圧延伸を含む。本明細書で使用される場合、「加圧」という用語は、フィルム全体の圧力差によって成形が行われる真空プロセスを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、基板上のポリマーシート上に複数のコンポーネントを成形することは、遮蔽リングによって第二ワイヤグリッド偏光子から分離された第一ワイヤグリッド偏光子を含むように、複数のコンポーネントのうちの少なくとも1つを成形することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法500は、複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合してレンズを成形することをさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合してレンズを成形することは、ワイヤグリッド偏光子及び遮蔽リングをポリイミドからレンズに転写することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法500は、複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して、第二ポリマー層を有する製造物品を成形することをさらに含む。第二ポリマー層として使用するのに適している材料は、ハイドロゲル、シリコーンハイドロゲル、及びシリコーンエラストマーのコンタクトレンズ材料だけでなく、親水性及び疎水性の眼球内レンズ材料を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して、第二ポリマー層を有する製造物品を成形することは、ワイヤグリッド偏光子及び遮蔽リングをポリイミドから硬化した第二ポリマー層に転写することと、ポリイミド層を除去することとを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、複数のメニスカス形状のコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して、第二ポリマー層を有し、硬化した第二ポリマー層に転写されるワイヤグリッド偏光子及び遮蔽リングを有し、除去されるポリイミドを有する製造物品を成形することは、製造物品に液体ポリマーを結合してレンズを成形することを含む。
【0036】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、複数の平坦なコンポーネントを成形するための方法の流れ図600を示す。方法600の流れ図600は、基板上のポリイミドシート上に複数のコンポーネントを成形することと(ブロック602)、ポリイミドシートをトリミングして複数の平坦なコンポーネントを成形することと(ブロック604)を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、基板上のポリイミドシート上に複数のコンポーネントを成形することは、遮蔽リングによって第二ワイヤグリッド偏光子から分離された第一ワイヤグリッド偏光子を含むように、複数の平坦なコンポーネントのうちの少なくとも1つを成形することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、方法600は、複数の平坦なコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して、眼球内レンズを成形することをさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法500は、複数の平坦なコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して、第二ポリマー層を有する製造物品を成形することをさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、複数の平坦なコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して、第二ポリマー層を有する製造物品を成形することは、ワイヤグリッド偏光子及び遮蔽リングをポリイミドから硬化した第二ポリマー層に転写することと、ポリイミド層を除去することとを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数の平坦なコンポーネントのうちの1つに液体ポリマーを結合して、第二ポリマー層を有し、硬化した第二ポリマー層に転写されるワイヤグリッド偏光子及び遮蔽リングを有し、除去されるポリイミドを有する製造物品を成形することは、製造物品に液体ポリマーを結合して眼球内に成形することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法600は、複数の平坦なコンポーネントのうちの1つを、すでに眼内にある予成形された眼球内レンズ内に外科的に埋め込むことをさらに含む。
【0043】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、基板702及び基板702上に成形された薄膜ポリマー層704を含み、コンポーネント708のアレイ706を含む製造物品700を示す。基板702は、特定の材料に限定されない。いくつかの実施形態では、基板702は、集積回路の製造での基板として使用される結晶シリコンなどの結晶シリコンを含む。いくつかの実施形態では、基板702は、可撓性プラスチックなどの可撓性材料から成形される。基板702上に成形される薄膜ポリマー層704は、特定の材料に限定されない。いくつかの実施形態では、ポリマー層704はポリイミドである。いくつかの実施形態では、ポリマー層704はポリスルホンである。アレイ706のコンポーネント708は、電気、光学、及び電気光学のコンポーネントを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、コンポーネント708は、レンズ、フィルタ、もしくは反射器、またはレンズ、フィルタ、もしくは反射器のコンポーネントなどの光学コンポーネントまたは構造体である。
【0044】
前述の明細書では、さまざまな例示的な実施形態は、添付の図面を参照して説明されてきた。ただし、様々な修正及び変更がそれらに行われることができ、本開示の原理に基づいてさらなる実施形態が実装されることができることは明らかであろう。従って、本明細書及び図面は、限定する意味ではなくて例示的なものとみなされる。
【0045】
例えば、開示された技術のステップが異なる順序で実行された場合、または開示されたシステムでの構成要素が異なる方法で組み合わされた、もしくは他の構成要素によって置換されたもしくは補足された場合でも、有利な結果が得られる可能性がある。他の実装もまた以下の例示的な特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】