(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】逆水性ガスシフト触媒反応器システム
(51)【国際特許分類】
C01B 32/40 20170101AFI20230704BHJP
【FI】
C01B32/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562781
(86)(22)【出願日】2021-05-03
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 US2021010021
(87)【国際公開番号】W WO2021225643
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522402405
【氏名又は名称】インフィニウム テクノロジー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】INFINIUM TECHNOLOGY,LLC
【住所又は居所原語表記】2020 L Street,Suite 120,Sacramento,CA 95811-4260(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シュツレ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シュツレ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】ハンベリー,オリオン
(72)【発明者】
【氏名】コールドウェル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ラメール
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146JA01
4G146JB04
4G146JC02
4G146JC22
(57)【要約】
本発明は、二酸化炭素を、燃料(例えば、ディーゼル燃料)及び化学物質の生成に使用できる高品質の合成ガスへと利用するための、方法、システム及び触媒を説明するものである。一形態において、本発明は、二酸化炭素及び水素を含む供給ガスを、一酸化炭素及び水を含む生成ガスへと変換するための方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素及び水素を含む供給ガスを、一酸化炭素及び水を含む生成ガスへと変換するための方法であって、
a.前記主反応容器の外側の予熱器内において前記供給ガスを1,400°Fよりも高い入口温度へ加熱して、加熱された供給ガスを生成し、
b.前記予熱器は電気を使用して熱を発生させて前記加熱された供給ガスを生成し、
c.前記加熱された供給ガスを主反応容器へ送り、
d.前記主反応容器は熱損失を最小化した断熱性又はほぼ断熱性の容器であり、
e.前記主反応容器は前記加熱された供給ガスを前記生成ガスへと変換する触媒を収容しており、
f.前記生成ガスは前記主反応容器を出口温度で出て、前記出口温度は前記入口温度よりも低い、方法。
【請求項2】
前記出口温度が前記入口温度よりも50°F以上低い、請求項1に記載された方法。
【請求項4】
前記触媒は、炭素を形成させず、1,100℃までの高い熱安定性を有する、請求項3に記載された方法。
【請求項5】
前記供給ガスはメタンも含む、請求項1に記載された方法。
【請求項6】
前記生成ガスを第2の予熱器内で加熱して第2の予熱ガスとし、前記第2の予熱ガスを第2の反応容器へ供給する、請求項1に記載された方法。
【請求項7】
前記生成ガスを冷却し圧縮した後、第2の予熱器で加熱して第2の予熱ガスとし、前記第2の予熱ガスを前記主反応容器へ供給する、請求項1に記載された方法。
【請求項8】
前記予熱器は前記供給ガスにおける1メートルトンのCO
2あたり0.5MWh未満の電気を使用する、請求項1に記載された方法。
【請求項9】
前記予熱器は前記供給ガスにおける1メートルトンのCO
2あたり0.4MWh未満の電力を使用する、請求項1に記載された方法。
【請求項10】
前記加熱されたガスから前記生成ガスへのCO
2変換が60mol%以上である、請求項1に記載された方法。
【請求項11】
前記加熱された供給ガスから前記生成ガスへのCO
2変換が70mol%以上である、請求項1に記載された方法。
【請求項12】
二酸化炭素及び水素を含む供給ガスを、一酸化炭素及び水を含む生成ガスへと変換する方法であって、
a.前記主反応容器の外側の予熱器内で前記供給ガスを1,500°Fよりも高い入口温度へ加熱して、加熱された供給ガスを生成し、
b.前記予熱器は電気を使用して熱を発生させて前記加熱された供給ガスを生成し、
c.前記加熱された供給ガスを主反応容器へ送り、
d.電気により発生した熱を前記主反応容器へ供給することにより前記主反応容器を等温状態又はそれに近い状態に維持し、
e.前記主反応容器は前記加熱された供給ガスを前記生成ガスへと変換する触媒を収容しており、
f.前記生成ガスは前記主反応器を出口温度で出て、前記出口温度は前記入口温度の5°以内である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を高品質の合成ガスへと利用するための、改良された触媒反応器及び関連する方法について説明するものであり、ひいては、燃料(例えば、ディーゼル燃料、ジェット燃料、ガソリン、灯油、その他)、化学物質及びその他の生成物の生成に使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素は、工業的及び生物学的な多くのプロセスで生成される。二酸化炭素は、通常、大気中に排出される。しかし、二酸化炭素は著しい温室効果ガスとして認識されているため、これらのプロセスからの二酸化炭素排出量を削減する必要がある。二酸化炭素は、限られた事例において油井からの石油及びガスの回収を促進するために使用されることがあるが、大部分は大気中へと排出されている。二酸化炭素に対処する好ましい方法は、二酸化炭素を効率的に回収して利用し、例えば燃料及び化学物質等の有用な生成物へと変換し、例えば石油及び天然ガス等の化石資源から生成される燃料及び化学物質に取って代わることができ、その結果として、大気中への二酸化炭素について正味の総排出量を減少させることである。
【0003】
二酸化炭素の利用のために考慮されてきた1つの反応は、二酸化炭素の水素化として言及される場合が多い、逆水性ガスシフト(Reverse Water Gas Shift:RWGS)反応である。
【0004】
【0005】
この反応により、二酸化炭素及び水素は、一酸化炭素及び水へと変換される。この反応は、室温で吸熱性であり、進行させるために熱を必要とする。コークス化(炭素の形成)を最小にする又は起こさずに、二酸化炭素を一酸化炭素へと大幅に変換するためには、温度の上昇と効率的な触媒とを必要とする。
【0006】
水素(H2)は、天然ガスを含め多くの供給源から生成することができ、又は、より好ましくは、電気分解若しくは他の手段を介して水から生成することができる。
【0007】
【0008】
RWGS反応からのCO(一酸化炭素)と、水の電気分解からのH2とを用いて、有用な生成物の見込みがある。H2とCOとの混合ガスは、合成ガス(synthesis gas)又はシンガス(syngas)と呼ばれる。シンガスは、液体及び気体の炭化水素燃料、アルコール、酢酸、ジメチルエーテル並びに他の多くの化学的生成物を含む、広範囲の化学的生成物を生成するための供給原料として使用され得る。
【0009】
RWGS反応のための幾つかの触媒が開示されている。以前に研究された主要な触媒は、金属酸化物の担体上に分散されたCu又はPt又はRhであった(Daza & Kuhn, RSC Adv. 2016, 6, 49675-49691)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
幾つかの報告にもかかわらず、RWGS化学反応に関連する新規な方法、システム及び触媒が、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、二酸化炭素及び水素を含む供給ガスを、一酸化炭素及び水を含む生成ガスへと変換するための方法に関するものである。供給ガスが、主反応容器の外側の予熱器で少なくとも部分的に、1,400°Fよりも高い、好ましくは1,500°Fよりも高い、より好ましくは1,600°Fよりも高い入口温度へ加熱されて、加熱された供給ガスが生成される。予熱器は、電気を用いて発熱し、その熱を伝達して、加熱された供給ガスを生成する。加熱された供給ガスは、主反応容器へ送られる。主反応容器は、熱損失を最小化した断熱性又はほぼ断熱性の容器である。主反応容器は、加熱された供給ガスを生成ガスへと変換する触媒を収容している。生成ガスは主反応容器を出口温度で出て行き、該出口温度は入口温度よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、逆水性ガスシフトを用いた二酸化炭素の水素化のための統合された高効率な方法、及び、効率的な変換のための独自の方法体系を示す。
【0013】
【
図2】
図2は、独自の逆水性ガスシフト反応器及び関連する機器について、一般的な配置を示す。具体的には、
図2は、RWGSを出て行く高温のシンガス生成物を用いて供給物のH
2及びCO
2を予熱するクロス交換器(cross exchanger)と、次にH
2及びCO
2を反応温度にさせる電気ヒーターと、最後にH
2及びCO
2をCO及びH
2Oへと変換する触媒があるRWGS反応容器と、を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、RWGS反応器のフローシートを示す。水素は、供給ガスの1つであり、水の電気分解により生成することができる。
【0015】
【0016】
水素は、例えばメタン又は天然ガス等の炭化水素の水蒸気改質(steam reforming)によっても生成することができる。
【0017】
【0018】
二酸化炭素は、数多くの工業原料及び天然物によりもたらされ得る。CO
2は、天然ガス鉱床中に見出される場合が多い。CO
2は、例えば嫌気性消化等の多くの生物学的プロセスから排出される。他の多くのプロセス(例えば、発電所、セメント工場、エタノール生産、石油精製、化学工場等)は、大気中へと通常は排出される二酸化炭素を生成する。CO
2は、大気中にもまた見出される。CO
2は、これらの生物学的プロセス、工業的プロセス及び大気に関するプロセスから、多くの既知の技術により回収することができ、本発明のための供給原料として使用することができる。
図1において、H
2の流れ1と、CO
2の流れ2と、を混ぜ合わせて流れ3を形成させる。H
2/CO
2の比率は、2.5~4.5v/vの間であり、好ましくは3.0~4.0v/vの間である。混ぜ合わせた供給原料を、間接的な熱交換により1,400°Fよりも高温へ加熱することができる。この初期温度の上昇は、炭素含有ガスの直接燃焼を使用せずに行われて熱を供給することが重要であり、炭素含有ガスの直接燃焼を使用することは二酸化炭素が生成されていることを意味し、二酸化炭素を有用な燃料及び化学物質へと変換する効果を否定する可能性があるためである。
【0019】
混合された水素及び二酸化炭素を含む供給ガスを、主反応容器の外側の予熱器のユニット4内で少なくとも部分的に、1,400°Fよりも高温、好ましくは1,500°Fよりも高温、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温な入口温度へ加熱し、加熱された供給ガスを生成させる。予熱器を電気的に加熱し、間接的な熱交換により供給ガスの温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、より好ましくは1,600°Fよりも高温へ上昇させる。供給ガスの電気加熱を行うことができる方法は、数多くある。一つの方法は、電気加熱される輻射炉(electrically heated radiant furnace)を使用することである。この実施形態において、供給ガスの少なくとも一部は、炉内の加熱コイルを通り抜ける。炉内において、加熱コイルは、輻射の電気加熱エレメント(radiant electric heating element)により囲まれている。本発明の別の実施形態において、ガスは加熱エレメント上を直接通り過ぎ、それによって、ガスは対流熱伝達により加熱される。電気加熱エレメントは、数多くの原料から作ることができる。最も一般的な加熱エレメントは、ニッケルクロム合金である。これらのエレメントは、帯状若しくは線状に巻かれたものでもよく、又は、ジグザグ形状に鋳造されたものでもよい。エレメントは、一般的にセラミックファイバーが断熱(insulation)に使用される断熱容器(insulated vessel)内に、固定される。輻射のエレメントは、加熱のパターンを制御するために複数の区域に分割されてもよい。加熱された供給ガスを生成するエネルギーを供給するために、複数のコイル及び複数の区域を必要としてもよい。輻射炉では、良好な形態係数(good view factors)及び良好な熱伝達を確保するために、加熱エレメント及び流体コイルの適切な設計が必要である。輻射炉による電力使用量は、可能な限り少なくするべきである。輻射炉による電力使用量は、供給ガス中のCO2について、電力0.5MWh(メガワット時)/CO2メートルトン(MT)未満であり、さらに好ましくは0.40MWh/CO2MT未満であり、さらにいっそう好ましくは0.20MWh/CO2MT未満である。
【0020】
次いで、加熱された供給ガスの流れ5を、主反応容器のユニット6内へと供給する。主反応容器には、可能な実施形態が2つある。第1の実施形態において主反応容器は、断熱性又はほぼ断熱性であり、熱損失を最小化するように設計されているが、主反応容器に熱を加えず、主反応容器内の温度は反応器の入口から出口へ向けて低下していくことになる。第2の実施形態において主反応器は、同様に設計されているが、容器内の等温又はほぼ等温の温度分布を維持するために、容器に追加の熱を加えている。主反応容器は、直径よりも長い長さを有するチューブ状の反応器である。主反応容器への入口は、容器の全体的な径よりも小さい。主反応容器は、鋼製の容器である。鋼製の容器は、熱損失を制限するために内部で断熱されている。環境への熱損失を制限するために、流し込まれた若しくは不定形の耐火物ライニング(poured or castable refractory lining)又は断熱レンガを含む、様々な断熱材が使用されてもよい。(Harbison-Walker Handbook of Refractory Practices, 2005, https://mha-net.org/docs/Harbison%20Walker%202005%20-Handbook.pdf を参照)。
【0021】
主反応容器の内部には、触媒床(bed of catalyst)がある。触媒は、反応器内にわたる圧力降下を最小にするために、顆粒、ペレット、球体、3裂片状(trilobes)、4裂片状(quadra-lobes)、モノリス又は他の任意に設計された形状の形態にすることができる。理想的には、触媒粒子の形状及び粒径は、反応器内にわたる圧力降下が1平方インチあたり50ポンド(pounds per square inch:psi)[345kPa]未満となるように、さらに好ましくは20psi[139kPa]未満となるように管理される。触媒形態のサイズは、1mm~10mmの間の特徴ある寸法を有し得る。触媒粒子は、20m2/gよりも広い、さらに好ましくは30m2/gよりも広い内部表面積を有する多孔質物質である。幾つかの触媒物質は、RWGS反応を触媒することができると見込まれる。以前に研究された主要な触媒は、金属酸化物の担体上に分散されたCu又はPt又はRhであった。(Daza & Kuhn, RSC Adv. 2016, 6, 49675-49691)。好ましい触媒は担持触媒であり、この触媒は、1,100℃までの高い熱安定性を有し、炭素を形成(コークス化)させず、回収したCO2の流れ中に存在している混入物質への良好な耐性を有する触媒であることを、我々は見出した。触媒は、例えば0.5~20重量%等の低い金属濃度でも高い活性を示す。触媒の形状及び粒径は、反応器内にわたる圧力降下が1平方インチあたり50ポンド未満又は1平方インチあたり20ポンド未満となるように管理される。
【0022】
本方法において使用される触媒は、汎用性が高く、RWGS反応を効率的に触媒する高性能の触媒である。
【0023】
主反応容器内において、二酸化炭素から一酸化炭素への変換は、一般的に60~90モル%の間であり、さらに好ましくは70~90モル%の間である。断熱性の反応器の実施形態が使用される場合、主反応器容器内の温度は入口から出口へ向けて低下する。主反応容器の出口温度は、主反応容器の入口温度よりも100~200°F低く、さらに好ましくは主反応容器の入口温度よりも105~160°Fの間で低い。反応物(H2+CO2)の1時間あたりの質量流量を、主反応器の床(bed)における触媒の質量で割った、1時間あたりのガス空間速度(Gas Hourly Space Velocity:GHSV)は、1,000~60,000hr-1の間であり、さらに好ましくは10,000~30,000hr-1である。
【0024】
主反応容器から出て行くガスは、生成ガスである。生成ガスには、CO、H2、未反応のCO2、及び、H2Oが含まれる。さらに、生成ガスには、主反応容器内で副反応により生成されたメタン(CH4)が含まれてもよい。一実施形態においてメタン生産量は好ましくは10%未満であり、別の実施形態において5%未満であり、別の実施形態において1%未満である。
【0025】
本方法におけるこの時点において、生成ガスの流れ7を様々な方法で使用することができる。生成ガスを、冷却し、圧縮し、燃料及び化学物質を生成するための下流工程において使用することができる。生成ガスをまた、冷却し、ユニット8内で圧縮し、予熱器へ送り返し、主反応容器へと戻して供給することもできる。生成ガスを、第2の電気予熱器(ユニット9)内において再加熱し、第2の反応容器(ユニット10)へ送り、CO2からCOへの追加の変換を行うこともできる。CO及びH(又はシンガス)を液体燃料の合成ステップ(流れ12)へ送る前に、必要に応じて圧縮(ユニット11)を行うことができる。
【0026】
図4は、電気ガス予熱器、RWGS反応器及びクロス交換器を含む、一般的な配置の詳細を示す。H
2 CO
2の混合ガスを含む供給ガスを、シェルアンドチューブクロス交換器のシェル側に入れ、そこでRWGS反応器を出た高温の生成ガスを収容しているチューブにより加熱する。次に、供給ガスを、電気ガス予熱器のユニット内でさらに加熱し、そこで電気的な抵抗加熱エレメントにより供給ガスの温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温へ上昇させる熱エネルギーを供給する。加熱された供給ガスを、次にRWGS反応器内へ入れ、そこでCO
2とH
2とを触媒の充填床(packed bed of catalyst)により反応させ、一酸化炭素及び水を生成させる。この反応は吸熱性であり、RWGS反応器内の温度低下を引き起こすか、又は、温度を維持するためにRWGS反応器内にさらなる熱エネルギーを供給する電気的な抵抗加熱エレメントを追加する必要がある。RWGS反応器の出口からの高温な生成ガスを、次にクロス交換器のチューブ側に入れ、そこで入ってくる供給ガスにより冷却する。
【0027】
幾つかの逆水性ガスシフト法の実施形態
【0028】
以下は、逆水性ガスシフト触媒反応器システムを使用して二酸化炭素を生成ガスへ変換するための方法について、幾つかの実施形態である。
【0029】
1.水素と二酸化炭素とを混合してRWGS触媒反応器内へ供給し、ここで、RWGS反応容器は断熱性又はほぼ断熱性である。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含んでいる触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0030】
2.水素と二酸化炭素とを混合してRWGS触媒反応器内へ供給し、ここで、RWGS反応容器に熱を加えて容器内の等温又はほぼ等温の温度分布を維持する。加熱は、炭素含有ガスの直接燃焼を用いずに行う。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネル上に担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0031】
3.水素と二酸化炭素とを混合し、H2/CO2の比率を2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、逆水性ガスシフト「RWGS」触媒反応器へ送り、RWGS反応容器は断熱性又はほぼ断熱性である。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0032】
4.水素と二酸化炭素とを混合し、H2/CO2の比率を2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは23.0v/v~4.0v/vの間で、「RWGS」触媒反応器内へ供給し、ここで、容器内の等温又はほぼ等温の温度分布を維持するために容器に熱を加え、炭素含有ガスの直接燃焼を用いずに加熱を行うRWGS反応容器を使用する。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0033】
5.水素と二酸化炭素とを混合し、入口温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率を2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、逆水性ガスシフト「RWGS」触媒反応器内へ供給し、ここで、RWGS反応容器は断熱性又はほぼ断熱性である。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0034】
6.混ざり合っている水素と二酸化炭素とを、入口温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率が2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、逆水性ガスシフト「RWGS」触媒反応器内へ供給し、ここで、容器内の等温又はほぼ等温の温度分布を維持するためにRWGS容器に熱を加え、加熱は炭素含有ガスの直接燃焼を用いずに行う。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0035】
7.水素と二酸化炭素とを混合し、電気加熱される輻射炉により入口温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率を2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、RWGS触媒反応器内へ供給し、ここで、RWGS反応容器は断熱性又はほぼ断熱性である。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0036】
8.混ざり合っている水素と二酸化炭素とを、電気加熱される輻射炉により入口温度を1,400°Fよりも高温又は1,500°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率を2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、逆水性ガスシフト「RWGS」触媒反応器内へ供給し、ここで、容器内の等温又はほぼ等温の温度分布を維持するためにRWGS反応容器に熱を加え、加熱は炭素含有ガスの直接燃焼を用いずに行う。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0037】
9.水素と二酸化炭素とを混合し、電気加熱される輻射炉により入口温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、又は好ましくは1,600°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率が2.5v/vから4.5v/vの間、又は好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、逆水性ガスシフト「RWGS」触媒反応器内へ供給する。輻射炉による電気使用量は、供給ガス中のCO2について、電力0.5MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.4MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.2MWh/CO2メートルトン未満である。RWGS反応容器は、断熱性又はほぼ断熱性である。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0038】
10.水素と二酸化炭素とを混合し、電気加熱される輻射炉により入口温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率が2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、RWGS触媒反応器内へ供給する。輻射炉による電気使用量は、供給ガス中のCO2について、電力0.5MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.4MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.2MWh/CO2メートルトン未満である。RWGS反応容器では、容器内の等温又はほぼ等温の温度分布を維持するために容器に熱を加え、炭素含有ガスの直接燃焼を用いずに加熱を行う。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0039】
11.水素と二酸化炭素とを混合し、電気加熱される輻射炉により入口温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率を2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、RWGS触媒反応器内へ供給する。輻射炉による電気使用量は、供給ガス中のCO2について、電力0.5MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.4MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.2MWh/CO2メートルトン未満である。RWGS反応容器は、断熱性又はほぼ断熱性である。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、(長さが直径よりも長い)チューブ状である。反応器は、改良された担持触媒を含む触媒床を収容しており、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0040】
12.混ざり合っている水素と二酸化炭素とを、電気加熱される輻射炉により入口温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率が2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.5v/vの間で、RWGS触媒反応器内へ供給する。輻射炉による電気使用量は、供給ガス中のCO2について、電力0.5MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.4MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.2MWh/CO2メートルトン未満である。RWGS反応容器では、容器内の等温又はほぼ等温の温度分布を維持するために容器に熱を加え、加熱は炭素含有ガスの直接燃焼を用いずに行う。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、(長さが直径よりも長い)チューブ状である。この反応器は、担持触媒を含む触媒床を収容しており、触媒は金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で構成されている。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【0041】
13.水素と二酸化炭素とを混合し、電気加熱される輻射炉により入口温度を1,400°Fよりも高温へ、好ましくは1,500°Fよりも高温へ、さらに好ましくは1,600°Fよりも高温へ加熱し、H2/CO2の比率を2.5v/vから4.5v/vの間、好ましくは3.0v/vから4.0v/vの間で、RWGS触媒反応器内へ供給する。輻射炉による電気使用量は、供給ガス中のCO2について、電力0.5MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.4MWh/CO2メートルトン未満、又は電力0.2MWh/CO2メートルトン未満である。RWGS反応容器は、断熱性又はほぼ断熱性である。主反応容器は、断熱された鋼製の容器であり、(長さが直径よりも長い)チューブ状である。反応器は、金属-アルミナのスピネルに担持された1以上の第1族金属及び第2族金属で触媒が構成された担持触媒を含む触媒床を収容している。RWGSの生成ガスを、RWGS反応容器から出す。
【実施例】
【0042】
実施例1:断熱性の主反応器により生じるプロセスフローシート
【0043】
図1は、この実施例のための全体的なプロセスの流れを示す。表1は、このフローシートの実施例について流れのまとめを示す。番号1の流れ(CO
2)と番号2の流れ(電気分解からの水素)とを混合し、約70~984°Fの間接的な熱交換を介して、番号3の加熱された流れを形成させる。これは、供給ガスの流れであり、流れ35は加熱された供給ガスの流れである。電気加熱器のユニット4により、供給ガスを984°Fから1,600°まで加熱する。予熱器は電気輻射炉であり、加熱を達成するために30.7MWの電力を使用する。この実施例に関して、主反応容器のユニット6は断熱性である。番号7の流れは生成ガスである。生成ガスの温度は、1,600°Fから144°Fへ低下している。CO
2の変換は70mol%である。RWGS反応器のユニット6内にわたる圧力降下は10psiである。
【0044】
この実施例において、生成ガスを、第2の予熱器のユニット9内で加熱して1,600°Fに戻して流れ13を形成させ、次に第2の反応容器のユニット10内で反応させて流れ14を形成させる。第2の反応器内におけるCO2変換は7%である。
【0045】
【手続補正書】
【提出日】2023-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素及び水素を含む供給ガスを、一酸化炭素及び水を含む生成ガスへと変換するための方法であって、
a
.主反応容器の外側の予熱器内において前記供給ガスを1,400°Fよりも高い入口温度へ加熱して、加熱された供給ガスを生成し、
b.前記予熱器は電気を使用して熱を発生させて前記加熱された供給ガスを生成し、
c.前記加熱された供給ガスを
前記主反応容器へ送り、
d.前記主反応容器は熱損失を最小化した断熱性又はほぼ断熱性の容器であり、
e.前記主反応容器は前記加熱された供給ガスを前記生成ガスへと変換する触媒を収容しており、
f.前記生成ガスは前記主反応容器を出口温度で出て、前記出口温度は前記入口温度よりも低い、方法。
【請求項2】
前記出口温度が前記入口温度よりも50°F以上低い、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
前記触媒は、炭素を形成させず、1,100℃までの高い熱安定性を有する、請求項
1に記載された方法。
【請求項4】
前記供給ガスはメタンも含む、請求項1に記載された方法。
【請求項5】
前記生成ガスを第2の予熱器内で加熱して第2の予熱ガスとし、前記第2の予熱ガスを第2の反応容器へ供給する、請求項1に記載された方法。
【請求項6】
前記生成ガスを冷却し圧縮した後、第2の予熱器で加熱して第2の予熱ガスとし、前記第2の予熱ガスを前記主反応容器へ供給する、請求項1に記載された方法。
【請求項7】
前記予熱器は前記供給ガスにおける1メートルトンのCO
2あたり0.5MWh未満の電気を使用する、請求項1に記載された方法。
【請求項8】
前記予熱器は前記供給ガスにおける1メートルトンのCO
2あたり0.4MWh未満の電力を使用する、請求項1に記載された方法。
【請求項9】
前記加熱されたガスから前記生成ガスへのCO
2変換が60mol%以上である、請求項1に記載された方法。
【請求項10】
前記加熱された供給ガスから前記生成ガスへのCO
2変換が70mol%以上である、請求項1に記載された方法。
【請求項11】
二酸化炭素及び水素を含む供給ガスを、一酸化炭素及び水を含む生成ガスへと変換する方法であって、
a
.主反応容器の外側の予熱器内で前記供給ガスを1,500°Fよりも高い入口温度へ加熱して、加熱された供給ガスを生成し、
b.前記予熱器は電気を使用して熱を発生させて前記加熱された供給ガスを生成し、
c.前記加熱された供給ガスを
前記主反応容器へ送り、
d.電気により発生した熱を前記主反応容器へ供給することにより前記主反応容器を等温状態又はそれに近い状態に維持し、
e.前記主反応容器は前記加熱された供給ガスを前記生成ガスへと変換する触媒を収容しており、
f.前記生成ガスは前記主反応器を出口温度で出て、前記出口温度は前記入口温度の5°以内である、方法。
【国際調査報告】