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特表2023-529582局在化電流開口をもつ高効率赤色マイクロLED
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】局在化電流開口をもつ高効率赤色マイクロLED
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/14 20100101AFI20230704BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20230704BHJP
   H01L 33/30 20100101ALI20230704BHJP
   H01L 33/06 20100101ALI20230704BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20230704BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01L33/14
H01L33/38
H01L33/30
H01L33/06
H01S5/343
H01S5/042 612
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572340
(86)(22)【出願日】2021-05-08
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 US2021031456
(87)【国際公開番号】W WO2021247198
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】16/890,851
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ハーン, ベルトルト
(72)【発明者】
【氏名】ラウアーマン, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブレル, マルクス
【テーマコード(参考)】
5F173
5F241
【Fターム(参考)】
5F173AF92
5F173AH06
5F173AH22
5F173AK21
5F241AA03
5F241CA05
5F241CA07
5F241CA39
5F241CA40
5F241CA63
5F241CA64
5F241CA93
5F241CB02
5F241CB03
5F241CB11
5F241CB29
5F241FF06
(57)【要約】
マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)は、キャリア再結合が主として局在化領域において発生して光子を放出するように局在化領域に電流を閉じ込めるための電流開口を含み、これにより、表面再結合を低減し、量子効率を改善する。電流閉じ込めおよび局在化は、局在化接触による障壁層の局在化ブレークスルー、表面領域へのキャリアの横方向の輸送を抑制するための低濃度にpドープされた活性層、半導体層の選択的イオン注入、エッチング、または酸化、あるいはそれらの任意の組合せを使用して達成される。
【選択図】図11B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のn形半導体層と、
前記第1のn形半導体層上の活性領域と、
前記活性領域上の第1のp形半導体層と、
前記第1のp形半導体層上のキャリア障壁領域と、
前記キャリア障壁領域と接触しており、前記キャリア障壁領域の局在化エリアにおいてブレークスルーを引き起こすために、前記キャリア障壁領域の前記局在化エリアに電界を印加するように構成されたテーパードまたはサブミクロン構造を含む電極と
を備える、マイクロ発光ダイオード。
【請求項2】
前記キャリア障壁領域が、
前記第1のp形半導体層上の第2のn形半導体層と、
前記第2のn形半導体層上の第2のp形半導体層と
を含み、
前記第2のp形半導体層、前記第2のn形半導体層、および前記第1のp形半導体層が、PNPデバイスを形成し、任意選択で、
前記PNPデバイスおよび前記第1のn形半導体層が、サイリスタを形成する、
請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項3】
前記キャリア障壁領域が、前記第1のp形半導体層上のn+半導体層を含み、
前記第1のp形半導体層が、p+半導体層を含み、
前記n+半導体層および前記第1のp形半導体層が、トンネル接合を形成する、
請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項4】
前記キャリア障壁領域が、
前記第1のp形半導体層上のトンネル障壁層と、
前記第1のp形半導体層上の第2のn形半導体層と
を含み、
前記トンネル障壁層が、前記第1のp形半導体層および前記第2のn形半導体層よりも高いバンドギャップを有し、および/または、
前記キャリア障壁領域が、バンドベンディングを誘起してトンネル接触を形成する、ヘテロ接合、ショットキー障壁、またはヘテロ障壁を含む、
請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項5】
前記キャリア障壁領域と前記活性領域との間の距離が、前記活性領域のキャリア拡散長未満である、請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項6】
前記活性領域が、AlGaInP量子井戸を含み、赤色光を放出するように構成された、請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項7】
前記活性領域が、pドープされた量子障壁層またはpドープされた量子井戸層のうちの少なくとも1つを含み、任意選択で、
前記pドープされた量子井戸層が、1×1017/cmと1×1019/cmとの間のアクセプタ濃度を特徴とする、
請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項8】
前記テーパードまたはサブミクロン構造が、前記キャリア障壁領域の中に延びるスパイクまたはテーパード先端を含む、請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項9】
前記マイクロ発光ダイオードが、20μm未満の直線寸法を特徴とする、請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項10】
前記キャリア障壁領域の前記局在化エリアが、前記マイクロ発光ダイオードの直線寸法の1/3未満の直線寸法を特徴とする、請求項1に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項11】
第1のn形半導体層と、
前記第1のn形半導体層上の活性領域であって、少なくとも1つのpドープされた量子井戸を含む、活性領域と、
前記活性領域上の第1のp形半導体層と、
局在化電流開口を含み、前記局在化電流開口を通じて前記活性領域にキャリアを注入するように構成された電流閉じ込め構造と、
前記電流閉じ込め構造の前記局在化電流開口上の電極と
を備える、マイクロ発光ダイオード。
【請求項12】
前記電流閉じ込め構造が、キャリア障壁層を含み、
前記電極が、前記キャリア障壁層と接触しており、前記キャリア障壁層の局在化エリアにおいてブレークスルーを引き起こして前記局在化電流開口を形成するために、前記キャリア障壁層の前記局在化エリアに電界を印加するように構成されたテーパードまたはサブミクロン構造を含み、任意選択で、
前記キャリア障壁層が、
前記第1のp形半導体層上の第2のn形半導体層と、
前記第2のn形半導体層上の第2のp形半導体層と
を含み、
前記第2のp形半導体層、前記第2のn形半導体層、前記第1のp形半導体層、および前記第1のn形半導体層が、サイリスタを形成し、および/または、
前記キャリア障壁層が、トンネル接合またはヘテロ接合を含む、
請求項11に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項13】
前記pドープされた量子井戸が、1×1017/cmと1×1019/cmとの間のアクセプタ濃度を特徴とする、請求項11に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項14】
前記局在化電流開口が、前記マイクロ発光ダイオードの直線寸法の1/3未満の直線寸法を特徴とする、請求項11に記載のマイクロ発光ダイオード。
【請求項15】
前記活性領域が、AlGaInP層を含み、赤色光を放出するように構成された、請求項11に記載のマイクロ発光ダイオード。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発光ダイオード(LED)は、電気エネルギーを光エネルギーへと変換し、低減されたサイズ、改善された耐久性、および高められた効率など、その他の光源に勝る多くの利点を提供する。LEDは、テレビ、コンピュータモニタ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、プロジェクションシステム、ウェアラブル電子機器など、多くのディスプレイシステムにおける光源として使用されることが可能である。AlN、GaN、InN、AlGaInP、その他の第四リン化構成物等の合金など、III-V半導体に基づくマイクロLED(「μLED」)は、それらの小さいサイズ、高いパッキング密度、より高い解像度、およびより高い輝度により、さまざまなディスプレイ用途向けに開発され始めている。たとえば、別々の色(たとえば、赤、緑、および青)の光を放出するマイクロLEDを使用して、テレビまたはニアアイディスプレイシステムなどのディスプレイシステムのサブピクセルを形成することが可能である。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、全般的には、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)に関する。より詳細には、本開示は、AlGaInPベースの赤色マイクロLEDなど、マイクロLEDの量子効率を改善することに関する。本発明の態様によれば、第1のn形半導体層と、第1のn形半導体層上の活性領域と、活性領域上の第1のp形半導体層と、第1のp形半導体層上のキャリア障壁領域と、キャリア障壁領域と接触しており、キャリア障壁領域の局在化エリアにおいてブレークスルーを引き起こすために、キャリア障壁領域の局在化エリアに電界を印加するように構成されたテーパードまたはサブミクロン構造を含む電極とを備えるマイクロLEDが提供される。
【0003】
キャリア障壁領域は、第1のp形半導体層上の第2のn形半導体層と、第2のn形半導体層上の第2のp形半導体層とを含むことが可能であり、この場合、第2のp形半導体層、第2のn形半導体層、および第1のp形半導体層が、PNPデバイスを形成することが可能である。PNPデバイスおよび第1のn形半導体層は、サイリスタを形成することが可能である。キャリア障壁領域は、第1のp形半導体層上のn+半導体層を含むことが可能であり、第1のp形半導体層は、p+半導体層を含むことが可能であり、n+半導体層および第1のp形半導体層は、トンネル接合を形成することが可能である。キャリア障壁領域は、第1のp形半導体層上のトンネル障壁層と、第1のp形半導体層上の第2のn形半導体層とを含むことが可能であり、トンネル障壁層が、第1のp形半導体層および第2のn形半導体層よりも高いバンドギャップを有することが可能である。キャリア障壁領域は、バンドベンディングを誘起してトンネル接触を形成する、ヘテロ接合、ショットキー障壁、またはヘテロ障壁を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、キャリア障壁領域と活性領域との間の距離は、活性領域のキャリア拡散長未満であることが可能である。キャリア障壁領域の局在化エリアは、マイクロ発光ダイオードの直線寸法の1/3未満の直線寸法を特徴とすることが可能である。
【0004】
活性領域は、AlGaInP量子井戸を含むことが可能であり、赤色光を放出するように構成されることが可能である。活性領域は、pドープされた量子障壁層またはpドープされた量子井戸層のうちの少なくとも1つを含むことが可能である。pドープされた量子井戸層は、1×1017/cmと1×1019/cmとの間のアクセプタ濃度を特徴とすることが可能である。いくつかの実施形態においては、テーパードまたはサブミクロン構造は、キャリア障壁領域の中に延びるスパイクまたはテーパード先端を含むことが可能である。マイクロLEDは、20μm未満の直線寸法を特徴とすることが可能である。
【0005】
本発明の態様によれば、第1のn形半導体層と、第1のn形半導体層上にあり、少なくとも1つのpドープされた量子井戸を含む活性領域と、活性領域上の第1のp形半導体層と、局在化電流開口を含み、局在化電流開口を通じて活性領域にキャリアを注入するように構成された電流閉じ込め構造と、電流閉じ込め構造の局在化電流開口上の電極とを備えるマイクロLEDが提供される。
【0006】
電流閉じ込め構造は、キャリア障壁層を含むことが可能であり、電極は、キャリア障壁層と接触しており、キャリア障壁層の局在化エリアにおいてブレークスルーを引き起こして局在化電流開口を形成するために、キャリア障壁層の局在化エリアに電界を印加するように構成されたテーパードまたはサブミクロン構造を含むことが可能である。キャリア障壁層は、第1のp形半導体層上の第2のn形半導体層と、第2のn形半導体層上の第2のp形半導体層とを含むことが可能であり、この場合、第2のp形半導体層、第2のn形半導体層、第1のp形半導体層、および第1のn形半導体層が、サイリスタを形成することが可能である。キャリア障壁層は、トンネル接合またはヘテロ接合を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、pドープされた量子井戸は、1×1017/cmと1×1019/cmとの間のアクセプタ濃度を特徴とすることが可能である。局在化電流開口は、マイクロ発光ダイオードの直線寸法の1/3未満の直線寸法を特徴とすることが可能である。いくつかの実施形態においては、活性領域は、AlGaInP層を含むことが可能であり、赤色光を放出するように構成されることが可能である。
【0007】
上記の発明の概要は、特許請求される主題の鍵となるまたは必須の特徴を識別することを意図されているものではなく、特許請求される主題の範囲を決定するために切り離して使用されることを意図されているものでもない。主題は、本開示の明細書全体のうちの適切な部分、いずれかのまたは全ての図面、およびそれぞれの特許請求の範囲を参照することによって理解されるべきである。上述のことは、その他の特徴および例とともに、以降の明細書、特許請求の範囲、および添付の図面において、さらに詳細に後述される。
【0008】
下記の図を参照しながら、例示的な実施形態が詳細に後述される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】特定の実施形態によるニアアイディスプレイを含む人工現実システム環境の例の簡略化されたブロック図である。
図2】本明細書において開示されている例のうちのいくつかを実施するためのヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスの形態のニアアイディスプレイの例の斜視図である。
図3】本明細書において開示されている例のうちのいくつかを実施するためのメガネの形態のニアアイディスプレイの例の斜視図である。
図4】特定の実施形態による導波管ディスプレイを含む光学シースルー拡張現実システムの例を示す図である。
図5A】特定の実施形態による導波管ディスプレイを含むニアアイディスプレイデバイスの例を示す図である。
図5B】特定の実施形態による導波管ディスプレイを含むニアアイディスプレイデバイスの例を示す図である。
図6】特定の実施形態による拡張現実システムにおける画像ソースアセンブリの例を示す図である。
図7A】特定の実施形態による垂直メサ構造を有する発光ダイオード(LED)の例を示す図である。
図7B】特定の実施形態による放物線メサ構造を有するLEDの例の断面図である。
図8】発光ダイオードの光放出強度と電流密度との間の関係を示す図である。
図9】さまざまなIII-V半導体の表面再結合速度を示す図である。
図10A】電流密度に応じた、別々の物理サイズを有する別々のAlGaInP赤色マイクロLEDの外部量子効率の例を示す図である。
図10B】別々の物理サイズを有する別々のAlGaInP赤色マイクロLEDの電流電圧(I-V)曲線の例を示す図である。
図11A】マイクロLEDの例を示す図である。
図11B】特定の実施形態による、改善された外部量子効率をもつマイクロLEDの例を示す図である。
図12】特定の実施形態による、改善された外部量子効率をもつマイクロLEDの例を示す図である。
図13A】マイクロLEDにおけるnドープされた活性層のバンド図の例を示す図である。
図13B】マイクロLEDにおけるpドープされた活性層のバンド図の例を示す図である。
図14A】特定の実施形態による、AlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例のI-V曲線の例を示す図である。
図14B】特定の実施形態による、注入された電流に応じた、図14Aにおいて示されているAlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の外部量子効率を示す図である。
図15A】特定の実施形態による、注入された電流に応じた、図14Aにおいて示されているAlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の放出された光の出力強度を示す図である。
図15B】特定の実施形態による、別々の電流レベルにおける、図14Aにおいて示されているAlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の放出された光の正規化された出力スペクトルを示す図である。
図16】特定の実施形態による、図14Aにおいて示されているAlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の発光パターンを示す画像を含む図である。
図17A】特定の実施形態による、LEDのアレイのためのダイ対ウェハ接合の方法の例を示す図である。
図17B】特定の実施形態による、LEDのアレイのためのウェハ対ウェハ接合の方法の例を示す図である。
図18A】特定の実施形態による、LEDのアレイのためのハイブリッド接合の方法の例を示す図である。
図18B】特定の実施形態による、LEDのアレイのためのハイブリッド接合の方法の例を示す図である。
図18C】特定の実施形態による、LEDのアレイのためのハイブリッド接合の方法の例を示す図である。
図18D】特定の実施形態による、LEDのアレイのためのハイブリッド接合の方法の例を示す図である。
図19】特定の実施形態による、その上に製作された二次光学部品を備えたLEDアレイの例を示す図である。
図20】特定の実施形態によるニアアイディスプレイの例の電子システムの簡略化されたブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これらの図は、例示のみを目的として本開示の実施形態を示している。本開示の原理またはうたわれている利点から逸脱することなく、示されている構造および方法の代替実施形態が採用されることが可能であるということを当業者なら以降の記述から容易に認識するであろう。
【0011】
添付の図においては、同様の構成要素どうしおよび/または機能どうしが、同じ参照ラベルを有する場合がある。さらに、ダッシュと、同様の構成要素どうしの間を区別する第2のラベルとを参照ラベルの後に付けることによって、同じタイプのさまざまな構成要素が区別される場合がある。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用されている場合には、その記述は、第2の参照ラベルとは関わりなく、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のうちのいずれの構成要素にも適用可能である。
【0012】
本開示は、全般的には、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)に関する。より詳細には、および限定することなく、AlGaInPベースの赤色マイクロLEDなどの、マイクロLEDの効率を改善するための技法が本明細書で開示される。デバイス、システム、方法、材料、プロセス等を含む、さまざまな発明の実施形態が本明細書で説明される。
【0013】
半導体発光ダイオード(LED)において、光子は通常、(たとえば、1つまたは複数の半導体層)活性領域内の電子と正孔の再結合を通じて、特定の内部量子効率(IQE)で生成される。内部量子効率は、光子を放出する活性領域における放射性の電子正孔再結合の割合である。生成された光は、次いで、特定の向きに、または特定の立体角で、LEDから抽出されることが可能である。LEDから抽出された放された光子の数と、LEDを通過する電子の数との間の比率は、外部量子効率(EQE)と呼ばれ、外部量子効率(EQE)は、LEDが、注入される電子を、LEDから抽出された光子にどれだけ効率的に変換するかを表現する。LED、および特に、低減された物理的な寸法を伴うマイクロLEDに対して、内部および外部量子効率は非常に低くなることがあり、LEDの量子効率を改善することは困難な場合がある。
【0014】
LEDの量子効率は、LEDの活性領域において発生する、競合放射(光を発する)再結合と非放射(損失のある)再結合の相対レートに依存する。活性領域における非放射再結合プロセスは、欠陥サイトにおけるShockley-Read-Hall(SRH)再結合、ならびに電子-電子-正孔(eeh)および/または電子-正孔-正孔(ehh)Auger再結合を含み、これらは、3つのキャリアを伴う非放射プロセスである。マイクロLEDにおいて、LEDのサイズは、少数キャリアの拡散長に匹敵することがあるので、全活性領域のより大きい割合が、欠陥密度および非放射再結合率が高いことがあるLED側壁表面からの少数キャリアの拡散長より小さい距離内になることがあり、したがって、より多くの注入されるキャリアが側壁表面に近い領域に拡散することが可能であり、より高いSRH再結合率になりやすい。これは、LEDのピーク効率を減少させるか、ピーク効率動作電流を増加させ得る。電流注入を増加させることは、より高い電流密度における、より高いeehまたはehh Auger再結合率により、マイクロLEDの効率を低下させることがある。LEDの物理サイズがさらに低減すると、表面の不具合を含むエッチングされた側壁ファセットに近い表面再結合が、より一層重大になることにより、効率が損なわれる。AlGalnP材料は、高い表面再結合速度および少数キャリア拡散長を有する。たとえば、AlGaInP材料におけるキャリアは、高い拡散性(移動性)を有することができ、AlGaInP材料は、第III族窒化物材料より1桁高い表面再結合速度を有することが可能である。したがって、AlGaInP赤色LEDの内部および外部量子効率は、デバイスサイズが低減するにつれて、さらにいっそう著しく低下することがある。
【0015】
特定の実施形態によれば、AlGaInP赤色マイクロLEDなど、マイクロLEDは、マイクロLEDのサイズよりもはるかに小さい局在化領域に電流を閉じ込めるための電流開口を含むことが可能であり、それによってキャリア再結合は主として局在化領域において発生して光子を放出することが可能であり、マイクロLEDの側壁への活性領域における注入されたキャリアの拡散は低減されることが可能であり、これにより、表面再結合を低減し、量子効率を改善する。電流閉じ込めおよび局在化は、たとえば、(1)活性領域へのキャリアの局在化注入および閉じ込めを引き起こすことが可能である、局在化領域において高電界を生成するために使用される局在化接触(たとえば、スパイクドp接点、サブミクロンp接点、またはフィラメント)による、あるいは障壁層(たとえば、サイリスタ、トンネル接合、ヘテロ接合など)における局在化欠陥を使用する、障壁層の局在化ブレークスルー、(2)半導体層の、選択的イオン注入、エッチング、酸化など、(3)表面領域へのキャリアの横方向の輸送(たとえば、拡散)を抑制するための低濃度にpドープされた活性層、あるいはそれらの任意の組合せを使用して達成されることが可能である。電流局在化はまた、半導体の自己発熱を引き起こすことが可能であり、これは、より高い温度における低減されたキャリア拡散性および移動性により、活性領域における側壁へのキャリアの拡散を低減することが可能である。活性領域における低濃度のpドーピングは、活性領域の表面におけるトラップ状態がフェルミ準位からより遠くに離れていることを引き起こすことが可能であり、側壁領域への正孔の拡散を低減する正孔空乏領域を形成することが可能である。したがって、側壁領域における正孔濃度は、低減されることが可能であり、ひいては非放射表面再結合は、低減されることが可能である。さらに、注入された電流の閉じ込めおよび局在化により、発光は、局在化領域において発生することが可能であるのみであり、これは、マイクロLEDからのより効率的な光抽出およびアウトカップリングを促進することが可能である。したがって、マイクロLEDの全体的な外部量子効率は、改善されることが可能である。
【0016】
本明細書において記述されているマイクロLEDは、人工現実システムなどのさまざまなテクノロジーとともに使用されることが可能である。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)またはヘッドアップディスプレイ(HUD)システムなどの人工現実システムは一般に、仮想環境内のオブジェクトを描写する人工画像を提示するように構成されているディスプレイを含む。そのディスプレイは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、または複合現実(MR)アプリケーションにおけるのと同様に、仮想オブジェクトを提示すること、または現実のオブジェクトの画像を仮想オブジェクトと組み合わせることが可能である。たとえば、ARシステムにおいては、ユーザは、たとえば、透明なディスプレイグラスもしくはレンズ(しばしば光学シースルーと呼ばれる)を通じて見ること、またはカメラによって取り込まれた周囲環境の表示された画像(しばしばビデオシースルーと呼ばれる)を閲覧することによって、仮想オブジェクトの表示された画像(たとえば、コンピュータ生成画像(CGI))と、周囲環境との両方を閲覧することが可能である。いくつかのARシステムにおいては、LEDベースのディスプレイサブシステムを使用して人工画像がユーザに提示されることが可能である。
【0017】
本明細書において使用される際には、「発光ダイオード(LED)」という用語は、少なくともn型半導体層、p型半導体層、およびn型半導体層とp型半導体層との間における発光領域(すなわち、活性領域)を含む光源を指す。発光領域は、量子井戸などの1つまたは複数のヘテロ構造を形成する1つまたは複数の半導体層を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、発光領域は、それぞれが複数の(たとえば、約2個から6個の)量子井戸を含む1つまたは複数の多重量子井戸(MQW)を形成する複数の半導体層を含むことが可能である。
【0018】
本明細書で使用される際には、「マイクロLED」または「μLED」という用語は、チップの直線寸法が、100μm未満、50μm未満、20μm未満、10μm未満、またはそれ未満など、約200μm未満であるチップを有するLEDを指す。たとえば、マイクロLEDの直線寸法は、6μm、5μm、4μm、2μm、またはそれ未満程度の小ささである場合がある。いくつかのマイクロLEDは、少数キャリアの拡散長に匹敵する直線寸法(たとえば、長さまたは直径)を有する場合がある。しかしながら、本明細書における開示は、マイクロLEDには限定されず、ミニLEDおよび大型LEDに適用されることも可能である。
【0019】
本明細書において使用される際には、「接合」という用語は、接着接合、金属対金属接合、金属酸化物接合、ウェハ対ウェハ接合、ダイ対ウェハ接合、ハイブリッド接合、はんだ付け、アンダーバンプメタライゼーション等など、2つ以上のデバイスおよび/またはウェハを物理的におよび/または電気的に接続するためのさまざまな方法を指すことが可能である。たとえば、接着接合は、硬化型接着剤(たとえば、エポキシ)を使用して、接着を通じて2つ以上のデバイスおよび/またはウェハを物理的に接合することが可能である。金属対金属接合は、たとえば、はんだ付け界面(たとえば、パッドもしくはボール)、導電性接着剤、または金属どうしの間における溶接継手を使用するワイヤ接合またはフリップチップ接合を含むことが可能である。金属酸化物接合は、それぞれの表面上に金属および酸化物のパターンを形成し、酸化物セクションどうしをともに接合し、次いで金属セクションどうしをともに接合して、導電性経路を作成することが可能である。ウェハ対ウェハ接合は、いかなる中間層も伴わずに2つのウェハ(たとえば、シリコンウェハまたはその他の半導体ウェハ)を接合することが可能であり、それらの2つのウェハの表面どうしの間における化学接合に基づく。ウェハ対ウェハ接合は、ウェハ洗浄およびその他の前処理、室温での位置合わせおよび前接合、ならびに約250℃以上などの高温でのアニーリングを含む場合がある。ダイ対ウェハ接合は、1つのウェハ上のバンプを使用して、事前に形成されたチップの機能をウェハのドライバと位置合わせすることが可能である。ハイブリッド接合は、たとえば、ウェハ洗浄、あるウェハの接点と別のウェハの接点との高精度の位置合わせ、室温でのウェハ内の誘電材料どうしの誘電接合、および、たとえば250~300℃以上での、アニーリングによる接点どうしの金属接合を含む場合がある。本明細書において使用される際には、「バンプ」という用語は、接合中に使用または形成される金属相互接続を総称的に指すことが可能である。
【0020】
以降の記述においては、説明の目的から、本開示の例の徹底的な理解を提供するために具体的な詳細が示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細を伴わずにさまざまな例が実施されることが可能であるということは明らかであろう。たとえば、それらの例を不必要に詳細にわかりにくくしないために、デバイス、システム、構造、アセンブリ、方法、およびその他の構成要素が、ブロック図形式の構成要素として示される場合がある。その他の場合においては、それらの例をわかりにくくすることを回避するために、よく知られているデバイス、プロセス、システム、構造、および技術は、必要な詳細を伴わずに示されることがある。図および記述は、限定的であることを意図されているものではない。本開示において採用されている用語および表現は、限定のではなく、記述の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用において、示され記述されている特徴またはそれらの部分のいかなる均等物も除外する意図はない。「例」という言葉は、本明細書においては、「例、実例、または例示としての役割を果たすこと」を意味するために使用されている。本明細書において「例」として記述されているいずれの実施形態または設計も、必ずしもその他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0021】
図1は、特定の実施形態によるニアアイディスプレイ120を含む人工現実システム環境100の例の簡略化されたブロック図である。図1において示されている人工現実システム環境100は、ニアアイディスプレイ120、任意選択の外部撮像デバイス210、および任意選択の入力/出力インターフェース140を含むことが可能であり、それらのそれぞれは、任意選択のコンソール110に結合されることが可能である。図1は、1つのニアアイディスプレイ120と、1つの外部撮像デバイス150と、1つの入力/出力インターフェース140とを含む人工現実システム環境100の例を示しているが、任意の数のこれらのコンポーネントが人工現実システム環境100に含まれることが可能であり、またはこれらのコンポーネントのうちのいずれかが省略されることが可能である。たとえば、コンソール110と通信状態にある1つまたは複数の外部撮像デバイス150によってモニタされる複数のニアアイディスプレイ120があることが可能である。いくつかの構成においては、人工現実システム環境100は、外部撮像デバイス150、任意選択の入力/出力インターフェース140、および任意選択のコンソール110を含まないことが可能である。代替構成においては、異なるコンポーネントまたは追加のコンポーネントが人工現実システム環境100に含まれることが可能である。
【0022】
ニアアイディスプレイ120は、コンテンツをユーザに提示するヘッドマウントディスプレイであることが可能である。ニアアイディスプレイ120によって提示されるコンテンツの例は、画像、ビデオ、オーディオ、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ120、コンソール110、または両方からオーディオ情報を受信し、そのオーディオ情報に基づいてオーディオデータを提示する外部デバイス(たとえば、スピーカーおよび/またはヘッドフォン)を介してオーディオが提示されることが可能である。ニアアイディスプレイ120は、1つまたは複数の剛体を含むことが可能であり、それらは、互いに堅固にまたは非堅固に結合されることが可能である。剛体どうしの間における堅固な結合は、結合されている剛体どうしを単一の剛体エンティティーとして機能させることが可能である。剛体どうしの間における非堅固な結合は、剛体どうしが互いに対して移動することを可能にすることができる。さまざまな実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、メガネを含む任意の適切なフォームファクタで実装されることが可能である。ニアアイディスプレイ120のいくつかの実施形態が、以降で図2および図3に関連してさらに記述されている。加えて、さまざまな実施形態においては、本明細書において記述されている機能性は、ニアアイディスプレイ120の外部の環境の画像と、人工現実コンテンツ(たとえば、コンピュータ生成画像)とを組み合わせるヘッドセットにおいて使用されることが可能である。したがって、ニアアイディスプレイ120は、生成されたコンテンツ(たとえば、画像、ビデオ、サウンドなど)を用いてニアアイディスプレイ120の外部の物理的な現実世界環境の画像を拡張して、拡張現実をユーザに提示することが可能である。
【0023】
さまざまな実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、ディスプレイエレクトロニクス122、ディスプレイオプティクス124、およびアイトラッキングユニット130のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、1つまたは複数のロケータ126、1つまたは複数の位置センサ128、および慣性測定ユニット(IMU)132を含むことも可能である。ニアアイディスプレイ120は、さまざまな実施形態においては、アイトラッキングユニット130、ロケータ126、位置センサ128、およびIMU 132のうちのいずれかを省略すること、または追加の要素を含むことが可能である。加えて、いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、図1に関連して記述されているさまざまな要素の機能を組み合わせる要素を含むことが可能である。
【0024】
ディスプレイエレクトロニクス122は、たとえば、コンソール110から受信されたデータに従ってユーザに画像を表示すること、またはそれらの画像の表示を容易にすることが可能である。さまざまな実施形態においては、ディスプレイエレクトロニクス122は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、無機発光ダイオード(ILED)ディスプレイ、マイクロ発光ダイオード(μLED)ディスプレイ、アクティブマトリックスOLEDディスプレイ(AMOLED)、透明OLEDディスプレイ(TOLED)、またはその他の何らかのディスプレイなど、1つまたは複数のディスプレイパネルを含むことが可能である。たとえば、ニアアイディスプレイ120の一実施態様においては、ディスプレイエレクトロニクス122は、フロントTOLEDパネル、リアディスプレイパネル、およびフロントディスプレイパネルとリアディスプレイパネルとの間における光学部品(たとえば、減衰器、ポラライザ、または回折フィルムもしくはスペクトルフィルム)を含むことが可能である。ディスプレイエレクトロニクス122は、赤、緑、青、白、または黄色などの主色の光を放出するためのピクセルを含むことが可能である。いくつかの実施態様においては、ディスプレイエレクトロニクス122は、画像の奥行きの主観的な知覚をもたらすために、2次元パネルどうしによって生成された立体感を通じて3次元(3D)画像を表示することが可能である。たとえば、ディスプレイエレクトロニクス122は、ユーザの左目および右目の前にそれぞれ配置されている左ディスプレイおよび右ディスプレイを含むことが可能である。左ディスプレイおよび右ディスプレイは、立体感(すなわち、画像を閲覧しているユーザによる画像の奥行きの知覚)をもたらすために、互いに対して水平にシフトされた画像のコピーどうしを提示することが可能である。
【0025】
特定の実施形態においては、ディスプレイオプティクス124は、画像コンテンツを光学的に(たとえば、光導波管およびカプラを使用して)表示するか、またはディスプレイエレクトロニクス122から受信された画像光を拡大し、その画像光に関連付けられている光学エラーを訂正し、訂正された画像光をニアアイディスプレイ120のユーザに提示することが可能である。さまざまな実施形態においては、ディスプレイオプティクス124は、たとえば、基板、光導波管、アパーチャ、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、入力/出力カプラ、または、ディスプレイエレクトロニクス122から放出される画像光に影響を与えることが可能であるその他の任意の適切な光学要素など、1つまたは複数の光学要素を含むことが可能である。ディスプレイオプティクス124は、さまざまな光学要素の組合せ、ならびにその組合せにおける光学要素どうしの相対的な間隔および向きを保持するための機械的結合を含むことが可能である。ディスプレイオプティクス124内の1つまたは複数の光学要素は、反射防止コーティング、反射コーティング、フィルタリングコーティング、またはさまざまな光学コーティングの組合せなどの光学コーティングを有することが可能である。
【0026】
ディスプレイオプティクス124による画像光の拡大は、ディスプレイエレクトロニクス122が、より大きなディスプレイよりも物理的に小さいこと、軽量であること、およびより少ない電力を消費することを可能にすることができる。加えて、拡大は、表示されるコンテンツの視野を広げることが可能である。ディスプレイオプティクス124による画像光の拡大の量は、ディスプレイオプティクス124からの光学要素を調整すること、追加すること、または除去することによって変更されることが可能である。いくつかの実施形態においては、ディスプレイオプティクス124は、表示される画像を、ユーザの目からニアアイディスプレイ120よりもさらに遠く離れていることが可能である1つまたは複数の画像平面に投影することが可能である。
【0027】
ディスプレイオプティクス124は、2次元光学エラー、3次元光学エラー、またはそれらの任意の組合せなど、1つまたは複数のタイプの光学エラーを訂正するように設計されることも可能である。2次元エラーは、2次元で発生する光学収差を含む場合がある。2次元エラーの例示的なタイプは、たる形歪み、糸巻型歪み、縦色収差、および横色収差を含む場合がある。3次元エラーは、3次元で発生する光学エラーを含む場合がある。3次元エラーの例示的なタイプは、球面収差、コマ収差、像面湾曲、および非点収差を含む場合がある。
【0028】
ロケータ126どうしは、互いに対して、およびニアアイディスプレイ120上の基準点に対して、ニアアイディスプレイ120上の特定の位置に配置されたオブジェクトどうしであることが可能である。いくつかの実施態様においては、コンソール110は、外部撮像デバイス150によって取り込まれた画像内のロケータ126を識別して、人工現実ヘッドセットの位置、向き、または両方を特定することが可能である。ロケータ126は、LED、コーナーキューブリフレクタ、反射マーカ、ニアアイディスプレイ120が動作する環境と対照をなすタイプの光源、またはそれらの任意の組合せであることが可能である。ロケータ126がアクティブコンポーネント(たとえば、LEDまたはその他のタイプの発光デバイス)である実施形態においては、ロケータ126は、可視帯域(たとえば、約380nmから750nm)における、赤外線(IR)帯域(たとえば、約750nmから1mm)における、紫外線帯域(たとえば、約10nmから約380nm)における、電磁スペクトルの別の部分における、または電磁スペクトルの部分どうしの任意の組合せにおける光を放出することが可能である。
【0029】
外部撮像デバイス150は、1つもしくは複数のカメラ、1つもしくは複数のビデオカメラ、ロケータ126のうちの1つもしくは複数を含む画像を取り込むことが可能なその他の任意のデバイス、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。加えて、外部撮像デバイス150は、(たとえば、信号対雑音比を高めるために)1つまたは複数のフィルタを含むことが可能である。外部撮像デバイス150は、外部撮像デバイス150の視野においてロケータ126から放出または反射された光を検知するように構成されることが可能である。ロケータ126が受動要素(たとえば、再帰反射器)を含む実施形態においては、外部撮像デバイス150は、外部撮像デバイス150内の光源に光を再帰反射することが可能であるロケータ126のうちのいくつかまたは全てを照らす光源を含むことが可能である。低速較正データが、外部撮像デバイス150からコンソール110へ通信されることが可能であり、外部撮像デバイス150は、1つまたは複数の較正パラメータをコンソール110から受信して、1つまたは複数の撮像パラメータ(たとえば、焦点距離、ピント、フレームレート、センサ温度、シャッタースピード、アパーチャなど)を調整することが可能である。
【0030】
位置センサ128は、ニアアイディスプレイ120の動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成することが可能である。位置センサ128の例は、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、その他の動き検知もしくはエラー訂正センサ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態においては、位置センサ128は、並進運動(たとえば、前方/後方、上/下、または左/右)を測定するための複数の加速度計と、回転運動(たとえば、ピッチ、ヨー、またはロール)を測定するための複数のジャイロスコープとを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、さまざまな位置センサは、互いに直交して配向されることが可能である。
【0031】
IMU132は、位置センサ128のうちの1つまたは複数から受信された測定信号に基づいて高速較正データを生成する電子デバイスであることが可能である。位置センサ128は、IMU132の外部、IMU132の内部、またはそれらの任意の組合せに配置されることが可能である。1つまたは複数の位置センサ128からの1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU132は、ニアアイディスプレイ120の初期位置に対するニアアイディスプレイ120の推定位置を示す高速較正データを生成することが可能である。たとえば、IMU132は、経時的に加速度計から受信された測定信号どうしを統合して速度ベクトルを推定し、その速度ベクトルを経時的に統合してニアアイディスプレイ120上の基準点の推定位置を特定することが可能である。あるいは、IMU132は、サンプリングされた測定信号をコンソール110に提供することが可能であり、コンソール110は、高速較正データを特定することが可能である。基準点は、一般には空間における点として定義されることが可能であるが、さまざまな実施形態においては、基準点は、ニアアイディスプレイ120内の点(たとえば、IMU132の中心)として定義されることも可能である。
【0032】
アイトラッキングユニット130は、1つまたは複数のアイトラッキングシステムを含むことが可能である。アイトラッキングとは、ニアアイディスプレイ120に対する、目の向きおよび場所を含む、目の位置を特定することを指すことが可能である。アイトラッキングシステムは、1つまたは複数の目を撮像するための撮像システムを含むことが可能であり、また任意選択で発光体を含むことが可能であり、その発光体は、目に向けられる光を生成することが可能であり、それにより、目によって反射された光が撮像システムによって取り込まれることが可能である。たとえば、アイトラッキングユニット130は、可視スペクトルまたは赤外線スペクトルにおける光を放出する非コヒーレントまたはコヒーレント光源(たとえば、レーザーダイオード)と、ユーザの目によって反射された光を取り込むカメラとを含むことが可能である。別の例として、アイトラッキングユニット130は、小型レーダユニットによって放出された反射電波を取り込むことが可能である。アイトラッキングユニット130は、目を傷つけることのない、または身体的不快感を引き起こすことのない周波数および強度で光を放出する低電力発光体を使用することが可能である。アイトラッキングユニット130は、アイトラッキングユニット130によって消費される全体的な電力を低減しながら(たとえば、アイトラッキングユニット130に含まれている発光体および撮像システムによって消費される電力を低減しながら)、アイトラッキングユニット130によって取り込まれた目の画像におけるコントラストを高めるようにアレンジされることが可能である。たとえば、いくつかの実施態様においては、アイトラッキングユニット130は、100ミリワット未満の電力を消費することが可能である。
【0033】
ニアアイディスプレイ120は、目の向きを使用して、たとえば、ユーザの瞳孔間距離(IPD)を特定すること、視線方向を特定すること、奥行き手がかりを導入すること(たとえば、ユーザの主視線の外側の画像をぼかすこと)、VRメディアにおけるユーザの対話についてのヒューリスティック(たとえば、露出されている刺激に応じた、いずれかの特定の被写体、オブジェクト、もしくはフレーム上で費やされた時間)を収集すること、ユーザの目のうちの少なくとも1つの向きに部分的に基づくその他のいくつかの機能、またはそれらの任意の組合せが可能である。向きは、ユーザの両方の目に関して特定されることが可能であるので、アイトラッキングユニット130は、どこをユーザが見ているかを特定することが可能であり得る。たとえば、ユーザの視線の方向を特定することは、ユーザの左目および右目の特定された向きに基づいて収束点を特定することを含むことが可能である。収束点は、ユーザの目の2つの中心窩軸が交差する点であることが可能である。ユーザの視線の方向は、収束点と、ユーザの両目の瞳孔どうしの間における中点とを通過する線の方向であることが可能である。
【0034】
入力/出力インターフェース140は、ユーザがアクション要求をコンソール110へ送信することを可能にするデバイスであることが可能である。アクション要求は、特定のアクションを実行するための要求であることが可能である。たとえば、アクション要求は、アプリケーションを開始することもしくは終了すること、またはアプリケーション内で特定のアクションを実行することであることが可能である。入力/出力インターフェース140は、1つまたは複数の入力デバイスを含むことが可能である。例示的な入力デバイスは、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、グローブ、ボタン、タッチスクリーン、または、アクション要求を受信して、その受信されたアクション要求をコンソール110へ通信するためのその他の任意の適切なデバイスを含むことが可能である。入力/出力インターフェース140によって受信されたアクション要求は、コンソール110へ通信されることが可能であり、コンソール110は、要求されたアクションに対応するアクションを実行することが可能である。いくつかの実施形態においては、入力/出力インターフェース140は、コンソール110から受信された命令に従って触覚フィードバックをユーザに提供することが可能である。たとえば、入力/出力インターフェース140は、アクション要求が受信された場合に、または要求されているアクションをコンソール110が実行して入力/出力インターフェース140に命令を通信した場合に、触覚フィードバックを提供することが可能である。いくつかの実施形態においては、外部撮像デバイス150は、ユーザの動きを特定する目的で、コントローラ(たとえば、IR光源を含むことが可能である)またはユーザの手の場所または位置を追跡把握することなど、入力/出力インターフェース140を追跡把握するために使用されることが可能である。いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、ユーザの動きを特定する目的で、コントローラまたはユーザの手の場所または位置を追跡把握することなど、入力/出力インターフェース140を追跡把握するための1つまたは複数の撮像デバイスを含むことが可能である。
【0035】
コンソール110は、外部撮像デバイス150、ニアアイディスプレイ120、および入力/出力インターフェース140のうちの1つまたは複数から受信された情報に従ってユーザに提示するためにニアアイディスプレイ120にコンテンツを提供することが可能である。図1において示されている例においては、コンソール110は、アプリケーションストア112、ヘッドセットトラッキングモジュール114、人工現実エンジン116、およびアイトラッキングモジュール118を含むことが可能である。コンソール110のいくつかの実施形態は、図1に関連して記述されているものとは異なるモジュールまたは追加のモジュールを含むことが可能である。以降でさらに記述されている機能は、ここで記述されているのとは異なる様式でコンソール110のコンポーネントどうしの間において分散されることが可能である。
【0036】
いくつかの実施形態においては、コンソール110は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能な命令を格納している非一時的コンピュータ可読ストレージメディアとを含むことが可能である。プロセッサは、命令どうしを並行して実行する複数の処理ユニットを含むことが可能である。非一時的コンピュータ可読ストレージメディアは、ハードディスクドライブ、リムーバブルメモリ、またはソリッドステートドライブ(たとえば、フラッシュメモリまたはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM))など、任意のメモリであることが可能である。さまざまな実施形態においては、図1に関連して記述されているコンソール110のモジュールは、プロセッサによって実行されたときに、以降でさらに記述されている機能をプロセッサに実行させる非一時的コンピュータ可読ストレージメディア内の命令としてエンコードされることが可能である。
【0037】
アプリケーションストア112は、コンソール110によって実行するための1つまたは複数のアプリケーションを格納することが可能である。アプリケーションは、プロセッサによって実行されたときに、ユーザに提示するためのコンテンツを生成する命令のグループを含むことが可能である。アプリケーションによって生成されるコンテンツは、ユーザの目の動きを介してユーザから受信された入力、または入力/出力インターフェース140から受信された入力に応答することが可能である。アプリケーションの例は、ゲーミングアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、またはその他の適切なアプリケーションを含むことが可能である。
【0038】
ヘッドセットトラッキングモジュール114は、外部撮像デバイス150からの低速較正情報を使用してニアアイディスプレイ120の動きを追跡把握することが可能である。たとえば、ヘッドセットトラッキングモジュール114は、低速較正情報およびニアアイディスプレイ120のモデルから、観察されたロケータを使用してニアアイディスプレイ120の基準点の位置を特定することが可能である。ヘッドセットトラッキングモジュール114は、高速較正情報からの位置情報を使用してニアアイディスプレイ120の基準点の位置を特定することも可能である。加えて、いくつかの実施形態においては、ヘッドセットトラッキングモジュール114は、高速較正情報、低速較正情報、またはそれらの任意の組合せの部分を使用して、ニアアイディスプレイ120の今後の場所を予測することが可能である。ヘッドセットトラッキングモジュール114は、ニアアイディスプレイ120の推定されたまたは予測された今後の位置を人工現実エンジン116に提供することが可能である。
【0039】
人工現実エンジン116は、人工現実システム環境100内でアプリケーションを実行し、ニアアイディスプレイ120の位置情報、ニアアイディスプレイ120の加速度情報、ニアアイディスプレイ120の速度情報、ニアアイディスプレイ120の予測される今後の位置、またはそれらの任意の組合せをヘッドセットトラッキングモジュール114から受信することが可能である。人工現実エンジン116は、推定された目の位置および向きの情報をアイトラッキングモジュール118から受信することも可能である。受信された情報に基づいて、人工現実エンジン116は、ユーザに提示するためにニアアイディスプレイ120に提供するためのコンテンツを特定することが可能である。たとえば、受信された情報が、ユーザが左を見たということを示している場合には、人工現実エンジン116は、仮想環境におけるユーザの目の動きを反映するニアアイディスプレイ120のためのコンテンツを生成することが可能である。加えて、人工現実エンジン116は、入力/出力インターフェース140から受信されたアクション要求に応答して、コンソール110上で実行しているアプリケーション内でアクションを実行し、そのアクションが実行されたということを示すフィードバックをユーザに提供することが可能である。そのフィードバックは、ニアアイディスプレイ120を介した視覚フィードバックもしくは可聴フィードバック、または入力/出力インターフェース140を介した触覚フィードバックであることが可能である。
【0040】
アイトラッキングモジュール118は、アイトラッキングユニット130からアイトラッキングデータを受信し、そのアイトラッキングデータに基づいてユーザの目の位置を特定することが可能である。目の位置は、ニアアイディスプレイ120またはそのいずれかの要素に対する目の向き、場所、または両方を含むことが可能である。目の回転軸は、そのソケット内の目の場所に応じて変化するので、そのソケット内の目の場所を特定することは、アイトラッキングモジュール118が目の向きをより正確に特定することを可能にすることができる。
【0041】
図2は、本明細書において開示されている例のうちのいくつかを実施するためのHMDデバイス200の形態のニアアイディスプレイの例の斜視図である。HMDデバイス200は、たとえば、VRシステム、ARシステム、MRシステム、またはそれらの任意の組合せの一部であることが可能である。HMDデバイス200は、本体220およびヘッドストラップ230を含むことが可能である。図2は、本体220の下側223、前側225、および左側227を斜視図において示している。ヘッドストラップ230は、調整可能なまたは延長可能な長さを有することが可能である。ユーザがHMDデバイス200をユーザの頭に取り付けることを可能にするために、HMDデバイス200の本体220とヘッドストラップ230との間には十分なスペースがあることが可能である。さまざまな実施形態においては、HMDデバイス200は、追加の、より少ない、または異なるコンポーネントを含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態においては、HMDデバイス200は、ヘッドストラップ230ではなく、たとえば、以降の図3において示されているようなメガネテンプルおよびテンプルチップを含むことが可能である。
【0042】
HMDデバイス200は、コンピュータによって生成された要素を伴う、物理的な現実世界環境の仮想のおよび/または拡張されたビューを含むメディアをユーザに提示することが可能である。HMDデバイス200によって提示されるメディアの例は、画像(たとえば、2次元(2D)もしくは3次元(3D)画像)、ビデオ(たとえば、2Dもしくは3Dビデオ)、オーディオ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。画像およびビデオは、HMDデバイス200の本体220に含まれている1つまたは複数のディスプレイアセンブリ(図2においては示されていない)によってユーザのそれぞれの目に提示されることが可能である。さまざまな実施形態においては、1つまたは複数のディスプレイアセンブリは、単一の電子ディスプレイパネルまたは複数の電子ディスプレイパネル(たとえば、ユーザのそれぞれの目に対して1つのディスプレイパネル)を含むことが可能である。電子ディスプレイパネルの例は、たとえば、LCD、OLEDディスプレイ、ILEDディスプレイ、μLEDディスプレイ、AMOLED、TOLED、その他の何らかのディスプレイ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。HMDデバイス200は、2つのアイボックス領域を含むことが可能である。
【0043】
いくつかの実施態様においては、HMDデバイス200は、奥行きセンサ、モーションセンサ、位置センサ、およびアイトラッキングセンサなど、さまざまなセンサ(図示せず)を含むことが可能である。これらのセンサのうちのいくつかは、感知のために、構造化された光パターンを使用することが可能である。いくつかの実施態様においては、HMDデバイス200は、コンソールと通信するための入力/出力インターフェースを含むことが可能である。いくつかの実施態様においては、HMDデバイス200は、仮想現実エンジン(図示せず)を含むことが可能であり、仮想現実エンジンは、HMDデバイス200内でアプリケーションを実行し、さまざまなセンサからHMDデバイス200の奥行き情報、位置情報、加速度情報、速度情報、予測される今後の位置、またはそれらの任意の組合せを受信することが可能である。いくつかの実施態様においては、仮想現実エンジンによって受信された情報は、1つまたは複数のディスプレイアセンブリへの信号(たとえば、表示命令)を生成するために使用されることが可能である。いくつかの実施態様においては、HMDデバイス200は、互いに対して、および基準点に対して、本体220上の固定された位置に配置されたロケータどうし(図示せず、ロケータ126どうしなど)を含むことが可能である。それらのロケータのそれぞれは、外部撮像デバイスによって検知可能である光を放出することが可能である。
【0044】
図3は、本明細書において開示されている例のうちのいくつかを実施するためのメガネの形態のニアアイディスプレイ300の例の斜視図である。ニアアイディスプレイ300は、図1のニアアイディスプレイ120の特定の実施態様であることが可能であり、仮想現実ディスプレイ、拡張現実ディスプレイ、および/または複合現実ディスプレイとして動作するように構成されることが可能である。ニアアイディスプレイ300は、フレーム305およびディスプレイ310を含むことが可能である。ディスプレイ310は、コンテンツをユーザに提示するように構成されることが可能である。いくつかの実施形態においては、ディスプレイ310は、ディスプレイエレクトロニクスおよび/またはディスプレイオプティクスを含むことが可能である。たとえば、図1のニアアイディスプレイ120に関して上述されているように、ディスプレイ310は、LCDディスプレイパネル、LEDディスプレイパネル、または光学ディスプレイパネル(たとえば、導波管ディスプレイアセンブリ)を含むことが可能である。
【0045】
ニアアイディスプレイ300はさらに、フレーム305上にまたはフレーム305内にさまざまなセンサ350a、350b、350c、350d、および350eを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、センサ350a~350eは、1つまたは複数の奥行きセンサ、モーションセンサ、位置センサ、慣性センサ、または環境光センサを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、センサ350a~350eは、別々の方向における別々の視野を表す画像データを生成するように構成されている1つまたは複数の画像センサを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、センサ350a~350eは、ニアアイディスプレイ300の表示されるコンテンツを制御するための、もしくはそのコンテンツに影響を与えるための、および/またはニアアイディスプレイ300のユーザにインタラクティブなVR/AR/MR体験を提供するための入力デバイスとして使用されることが可能である。いくつかの実施形態においては、センサ350a~350eは、立体画像化のために使用されることも可能である。
【0046】
いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ300はさらに、光を物理的環境へと投射するための1つまたは複数の照明器330を含むことが可能である。投射される光は、さまざまな周波数帯域(たとえば、可視光、赤外線、紫外線など)に関連付けられることが可能であり、さまざまな目的を果たすことが可能である。たとえば、照明器330は、暗い環境に(または低強度の赤外線、紫外線などを伴う環境に)光を投射して、センサ350a~350eがその暗い環境内のさまざまなオブジェクトの画像を取り込むのを支援することが可能である。いくつかの実施形態においては、照明器330は、環境内のオブジェクト上に特定の光パターンを投射するために使用されることが可能である。いくつかの実施形態においては、照明器330は、図1に関連して上述されているロケータ126などのロケータとして使用されることが可能である。
【0047】
いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ300は、高解像度カメラ340を含むことも可能である。カメラ340は、視野内の物理的環境の画像を取り込むことが可能である。取り込まれた画像は、たとえば、仮想現実エンジン(たとえば、図1の人工現実エンジン116)によって処理されて、取り込まれた画像に仮想オブジェクトを付加すること、または取り込まれた画像内の物理オブジェクトを修正することが可能であり、処理された画像は、ARまたはMRアプリケーションのためにディスプレイ310によってユーザに表示されることが可能である。
【0048】
図4は、特定の実施形態による導波管ディスプレイを含む光学シースルー拡張現実システム400の例を示している。拡張現実システム400は、プロジェクタ410およびコンバイナ415を含むことが可能である。プロジェクタ410は、光源または画像ソース412およびプロジェクタオプティクス414を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、光源または画像ソース412は、上述されている1つまたは複数のマイクロLEDデバイスを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、LCDディスプレイパネルまたはLEDディスプレイパネルなど、仮想オブジェクトを表示する複数のピクセルを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、コヒーレントなまたは部分的にコヒーレントな光を生成する光源を含むことが可能である。たとえば、画像ソース412は、レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザー、LED、および/または上述されているマイクロLEDを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、原色(たとえば、赤、緑、または青)に対応する単色画像光をそれぞれが放出する複数の光源(たとえば、上述されているマイクロLEDのアレイ)を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、マイクロLEDの3つの2次元アレイを含むことが可能であり、マイクロLEDのそれぞれの2次元アレイは、原色(たとえば、赤、緑、または青)の光を放出するように構成されているマイクロLEDを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、空間光変調器などの光学パターン生成器を含むことが可能である。プロジェクタオプティクス414は、画像ソース412からの光を拡大すること、コリメートすること、スキャンすること、またはコンバイナ415へ投射することなど、画像ソース412からの光を調整することが可能である1つまたは複数の光学部品を含むことが可能である。1つまたは複数の光学部品は、たとえば、1つまたは複数のレンズ、液体レンズ、ミラー、アパーチャ、および/または格子を含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、マイクロLEDの1つまたは複数の1次元アレイまたは細長い2次元アレイを含むことが可能であり、プロジェクタオプティクス414は、マイクロLEDの1次元アレイまたは細長い2次元アレイをスキャンして画像フレームを生成するように構成されている1つまたは複数の1次元スキャナ(たとえば、マイクロミラーまたはプリズム)を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、プロジェクタオプティクス414は、画像ソース412からの光のスキャニングを可能にする複数の電極を備えた液体レンズ(たとえば、液晶レンズ)を含むことが可能である。
【0049】
コンバイナ415は、プロジェクタ410からの光をコンバイナ415の基板420へと結合するための入力カプラ430を含むことが可能である。コンバイナ415は、第1の波長範囲における光の少なくとも50%を透過すること、および第2の波長範囲における光の少なくとも25%を反射することが可能である。たとえば、第1の波長範囲は、約400nmから約650nmまでの可視光であることが可能であり、第2の波長範囲は、たとえば、約800nmから約1000nmまでの赤外線帯域にあることが可能である。入力カプラ430は、体積ホログラフィック格子、回折光学要素(DOE)(たとえば、表面レリーフ格子)、基板420の傾斜面、または屈折カプラ(たとえば、くさびまたはプリズム)を含むことが可能である。たとえば、入力カプラ430は、反射体積Bragg格子または透過体積Bragg格子を含むことが可能である。入力カプラ430は、可視光に対して30%、50%、75%、90%、またはそれ以上の結合効率を有することが可能である。基板420へと結合された光は、たとえば、全反射(TIR)を通じて基板420内を伝搬することが可能である。基板420は、メガネのレンズの形態であることが可能である。基板420は、平面または曲面を有することが可能であり、ガラス、石英、プラスチック、ポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、水晶、またはセラミックなど、1つまたは複数のタイプの誘電材料を含むことが可能である。基板の厚さは、たとえば、約1mm未満から約10mm以上に及ぶことが可能である。基板420は、可視光に対して透明であることが可能である。
【0050】
基板420は、複数の出力カプラ440を含むことが可能であり、または複数の出力カプラ440に結合されることが可能であり、それらの出力カプラ440はそれぞれが、基板420によって導かれて基板420内を伝搬する光の少なくとも一部分を基板420から抽出して、抽出された光460をアイボックス495に向けるように構成されており、拡張現実システム400のユーザの目490は、拡張現実システム400が使用中である場合には、そのアイボックスに配置されることが可能である。複数の出力カプラ440は、アイボックス495のサイズを増大させるように射出瞳を複製することが可能であり、それによって、表示される画像は、より大きなエリアで可視である。入力カプラ430のように、出力カプラ440は、格子カプラ(たとえば、体積ホログラフィック格子または表面レリーフ格子)、その他の回折光学要素(DOE)、プリズムなどを含むことが可能である。たとえば、出力カプラ440は、反射体積Bragg格子または透過体積Bragg格子を含むことが可能である。出力カプラ440は、さまざまな場所においてさまざまな結合(たとえば、回折)効率を有することが可能である。基板420は、コンバイナ415の前の環境からの光450がほとんどまたは全く損失なしに通過することを可能にすることもできる。出力カプラ440は、光450がほとんど損失なしに通過することを可能にすることもできる。たとえば、いくつかの実施態様においては、出力カプラ440は、光450に対してかなり低い回折効率を有することが可能であり、それによって光450は、屈折するか、またはさもなければ、ほとんど損失なしに出力カプラ440を通過することが可能であり、ひいては、抽出された光460よりも高い強度を有することが可能である。いくつかの実施態様においては、出力カプラ440は、光450に対して高い回折効率を有することが可能であり、光450を特定の所望の方向(すなわち、回折角)にほとんど損失なく回折することが可能である。結果として、ユーザは、コンバイナ415の前の環境と、プロジェクタ410によって投射された仮想オブジェクトの画像との組み合わされた画像を閲覧することが可能であり得る。
【0051】
図5Aは、特定の実施形態による導波管ディスプレイ530を含むニアアイディスプレイ(NED)デバイス500の例を示している。NEDデバイス500は、ニアアイディスプレイ120、拡張現実システム400、または別のタイプのディスプレイデバイスの例であることが可能である。NEDデバイス500は、光源510、投射オプティクス520、および導波管ディスプレイ530を含むことが可能である。光源510は、赤色発光体512のパネル、緑色発光体514のパネル、および青色発光体516のパネルなど、別々の色の発光体の複数のパネルを含むことが可能である。赤色発光体512は、アレイへと編成されており、緑色発光体514は、アレイへと編成されており、青色発光体516は、アレイへと編成されている。光源510における発光体の寸法およびピッチは、小さくてもよい。たとえば、それぞれの発光体は、2μm未満(たとえば、約1.2μm)の直径を有することが可能であり、ピッチは、2μm未満(たとえば、約1.5μm)であることが可能である。したがって、それぞれの赤色発光体512、緑色発光体514、および青色発光体516における発光体の数は、960×720、1280×720、1440×1080、1920×1080、2160×1080、または2560×1080ピクセルなど、表示画像におけるピクセルの数以上であることが可能である。したがって、表示画像は、光源510によって同時に生成されることが可能である。スキャニング要素は、NEDデバイス500において使用されないことが可能である。
【0052】
導波管ディスプレイ530に到達する前に、光源510によって放出された光は、投射オプティクス520によって調整されることが可能であり、投射オプティクス520は、レンズアレイを含むことが可能である。投射オプティクス520は、光源510によって放出された光を導波管ディスプレイ530へコリメートすることまたは集めることが可能であり、導波管ディスプレイ530は、光源510によって放出された光を導波管ディスプレイ530へと結合するためのカプラ532を含むことが可能である。導波管ディスプレイ530へと結合された光は、たとえば、図4に関連して上述されているような全反射を通じて、導波管ディスプレイ530内を伝搬することが可能である。カプラ532は、導波管ディスプレイ530内を伝搬する光の部分を、導波管ディスプレイ530からユーザの目590へ向けて結合することも可能である。
【0053】
図5Bは、特定の実施形態による導波管ディスプレイ580を含むニアアイディスプレイ(NED)デバイス550の例を示している。いくつかの実施形態においては、NEDデバイス550は、スキャニングミラー570を使用して、光源540からの光を、ユーザの目590が位置していることが可能である鏡像力場へ投射することが可能である。NEDデバイス550は、ニアアイディスプレイ120、拡張現実システム400、または別のタイプのディスプレイデバイスの例であることが可能である。光源540は、赤色発光体542の複数の行、緑色発光体544の複数の行、および青色発光体546の複数の行など、別々の色の発光体の1つもしくは複数の行または1つもしくは複数の列を含むことが可能である。たとえば、赤色発光体542、緑色発光体544、および青色発光体546は、それぞれN個の行を含むことが可能であり、それぞれの行は、たとえば、2560個の発光体(ピクセル)を含む。赤色発光体542は、アレイへと編成されており、緑色発光体544は、アレイへと編成されており、青色発光体546は、アレイへと編成されている。いくつかの実施形態においては、光源540は、それぞれの色に関して単一の列の発光体を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、光源540は、赤色、緑色、および青色のそれぞれに関して複数の列の発光体を含むことが可能であり、この場合、それぞれの列は、たとえば1080個の発光体を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、光源540における発光体の寸法および/またはピッチは、比較的大きい(たとえば、約3~5μmである)ことが可能であり、ひいては光源540は、表示画像全体を同時に生成するための十分な発光体を含まない場合がある。たとえば、単一の色に関する発光体の数は、表示画像におけるピクセルの数(たとえば、2560×1080ピクセル)よりも少ない場合がある。光源540によって放出される光は、光のコリメートされたまたは発散するビームのセットであることが可能である。
【0054】
スキャニングミラー570に到達する前に、光源540によって放出された光は、コリメーティングレンズまたは自由形状光学要素560など、さまざまな光学デバイスによって調整されることが可能である。自由形状光学要素560は、たとえば、光源540によって放出された光の伝搬方向を、たとえば約90°以上変更することなど、光源540によって放出された光をスキャニングミラー570へ向けることが可能である多面プリズムまたは別の光折り畳み要素を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、自由形状光学要素560は、光をスキャンするために回転可能であり得る。スキャニングミラー570および/または自由形状光学要素560は、光源540によって放出された光を反射して導波管ディスプレイ580へ投射することが可能であり、導波管ディスプレイ580は、光源540によって放出された光を導波管ディスプレイ580へと結合するためのカプラ582を含むことが可能である。導波管ディスプレイ580へと結合された光は、たとえば、図4に関連して上述されているような全反射を通じて、導波管ディスプレイ580内を伝搬することが可能である。カプラ582は、導波管ディスプレイ580内を伝搬する光の部分を導波管ディスプレイ580からユーザの目590へ向けて結合することも可能である。
【0055】
スキャニングミラー570は、微小電気機械システム(MEMS)ミラーまたはその他の任意の適切なミラーを含むことが可能である。スキャニングミラー570は、1次元または2次元でスキャンを行うために回転することが可能である。スキャニングミラー570が回転するにつれて、光源540によって放出された光は、導波管ディスプレイ580のさまざまなエリアに向けられることが可能であり、それによって、表示画像全体が、導波管ディスプレイ580上へ投射されて、それぞれのスキャニングサイクルにおいて導波管ディスプレイ580によってユーザの目590に向けられることが可能である。たとえば、光源540が、1つまたは複数の行または列における全てのピクセルに関する発光体を含む実施形態においては、スキャニングミラー570は、画像をスキャンするために列方向または行方向(たとえば、x方向またはy方向)に回転されることが可能である。光源540が、1つまたは複数の行または列における全てではないがいくつかのピクセルに関する発光体を含む実施形態においては、スキャニングミラー570は、行方向および列方向の両方(たとえば、x方向およびy方向の両方)に回転されて、(たとえば、ラスタタイプのスキャニングパターンを使用して)表示画像を投射することが可能である。
【0056】
NEDデバイス550は、事前に定義された表示期間で動作することが可能である。表示期間(たとえば、表示サイクル)は、画像全体がスキャンまたは投射される持続時間を指すことが可能である。たとえば、表示期間は、所望のフレームレートの逆数であることが可能である。スキャニングミラー570を含むNEDデバイス550においては、表示期間は、スキャニング期間またはスキャニングサイクルと呼ばれる場合もある。光源540による光生成は、スキャニングミラー570の回転と同期化されることが可能である。たとえば、それぞれのスキャニングサイクルは、複数のスキャニングステップを含むことが可能であり、この場合、光源540は、それぞれの各スキャニングステップにおいて別々の光パターンを生成することが可能である。
【0057】
それぞれのスキャニングサイクルにおいて、スキャニングミラー570が回転するにつれて、表示画像が導波管ディスプレイ580およびユーザの目590上へ投射されることが可能である。表示画像の所与のピクセル場所の実際の色値および光強度(たとえば、輝度)は、スキャニング期間中にピクセル場所を照らす3つの色(たとえば、赤、緑、および青)の光ビームの平均であることが可能である。スキャニング期間が完了した後に、スキャニングミラー570は、次の表示画像の最初の数行のための光を投射するために初期位置へ戻ることが可能であり、または逆の方向もしくはスキャンパターンに回転して、次の表示画像のための光を投射することが可能であり、この場合、駆動信号の新たなセットが光源540に供給されることが可能である。それぞれのスキャニングサイクルにおいてスキャニングミラー570が回転するので、同じプロセスが繰り返されることが可能である。したがって、別々のスキャニングサイクルにおいて別々の画像がユーザの目590へ投射されることが可能である。
【0058】
図6は、特定の実施形態によるニアアイディスプレイシステム600における画像ソースアセンブリ610の例を示している。画像ソースアセンブリ610は、たとえば、ユーザの目へ投射されることになる表示画像を生成することが可能であるディスプレイパネル640と、ディスプレイパネル640によって生成された表示画像を、図4図5Bに関連して上述されている導波管ディスプレイへ投射することが可能であるプロジェクタ650とを含むことが可能である。ディスプレイパネル640は、光源642と、光源642のための駆動回路644とを含むことが可能である。光源642は、たとえば、光源510または540を含むことが可能である。プロジェクタ650は、たとえば、上述されている自由形状光学要素560、スキャニングミラー570、および/または投射オプティクス520を含むことが可能である。ニアアイディスプレイシステム600は、光源642およびプロジェクタ650(たとえば、スキャニングミラー570)を同期的に制御するコントローラ620を含むことも可能である。画像ソースアセンブリ610は、画像光を生成して、導波管ディスプレイ530または580などの導波管ディスプレイ(図6においては示されていない)へ出力することが可能である。上述されているように、導波管ディスプレイは、1つまたは複数の入力結合要素において画像光を受け取ること、および受け取られた画像光を1つまたは複数の出力結合要素へ導くことが可能である。入力結合要素および出力結合要素は、たとえば、回折格子、ホログラフィック格子、プリズム、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。入力結合要素は、導波管ディスプレイで全反射が発生するように選ばれることが可能である。出力結合要素は、導波管ディスプレイからの全反射された画像光の部分どうしを結合することが可能である。
【0059】
上述されているように、光源642は、アレイまたはマトリックスに配置された複数の発光体を含むことが可能である。それぞれの発光体は、赤色光、青色光、緑色光、赤外線等などの単色光を放出することが可能である。本開示においてはRGB色がしばしば論じられているが、本明細書において記述されている実施形態は、原色として赤、緑、および青を使用することに限定されない。その他の色がニアアイディスプレイシステム600の原色として使用されることも可能である。いくつかの実施形態においては、一実施形態によるディスプレイパネルは、3つよりも多い原色を使用することが可能である。光源642におけるそれぞれのピクセルは、赤色マイクロLED、緑色マイクロLED、および青色マイクロLEDを含む3つのサブピクセルを含むことが可能である。半導体LEDは一般に、半導体材料の複数の層内に活性発光層を含む。半導体材料の複数の層は、別々の化合物材料、または、別々のドーパントおよび/もしくは別々のドーピング密度を有する同じベース材料を含むことが可能である。たとえば、半導体材料の複数の層は、n型材料層と、ヘテロ構造(たとえば、1つまたは複数の量子井戸)を含むことが可能である活性領域と、p型材料層とを含むことが可能である。半導体材料の複数の層は、特定の向きを有している基板の表面上に成長させることが可能である。いくつかの実施形態においては、光抽出効率を高めるために、半導体材料の層のうちの少なくともいくつかを含むメサが形成されることが可能である。
【0060】
コントローラ620は、光源642および/またはプロジェクタ650のオペレーションなど、画像ソースアセンブリ610の画像レンダリングオペレーションを制御することが可能である。たとえば、コントローラ620は、画像ソースアセンブリ610が1つまたは複数の表示画像をレンダリングするための命令を特定することが可能である。それらの命令は、表示命令およびスキャニング命令を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、表示命令は、画像ファイル(たとえば、ビットマップファイル)を含むことが可能である。表示命令は、たとえば、図1に関連して上述されているコンソール110などのコンソールから受信されることが可能である。スキャニング命令は、画像光を生成するために画像ソースアセンブリ610によって使用されることが可能である。スキャニング命令は、たとえば、画像光源のタイプ(たとえば、単色もしくは多色)、スキャニングレート、スキャニング装置の向き、1つもしくは複数の照明パラメータ、またはそれらの任意の組合せを指定することが可能である。コントローラ620は、本開示のその他の態様をわかりにくくしないためにここには示されていないハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組合せを含むことが可能である。
【0061】
いくつかの実施形態においては、コントローラ620は、ディスプレイデバイスのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)であることが可能である。その他の実施形態においては、コントローラ620は、その他の種類のプロセッサであることが可能である。コントローラ620によって実行されるオペレーションは、表示のためのコンテンツを取り込み、そのコンテンツを個別のセクションへと分割することを含むことが可能である。コントローラ620は、光源642の個々のソース要素に対応するアドレスおよび/または個々のソース要素に適用される電気的バイアスを含むスキャニング命令を光源642に提供することが可能である。コントローラ620は、最終的にユーザに表示される画像におけるピクセルの1つまたは複数の行に対応する発光体を使用して個別のセクションを順次提示するように光源642に指示することが可能である。コントローラ620は、光のさまざまな調整を実行するようにプロジェクタ650に指示することも可能である。たとえば、コントローラ620は、図5Bに関連して上述されている導波管ディスプレイ(たとえば、導波管ディスプレイ580)の結合要素のさまざまなエリアへの個別のセクションをスキャンするようにプロジェクタ650を制御することが可能である。したがって、導波管ディスプレイの射出瞳では、それぞれの個別の部分が、別々のそれぞれの場所において提示される。それぞれの個別のセクションは、別々のそれぞれの時点において提示されるが、それらの個別のセクションの提示およびスキャニングは、十分に高速に生じ、それによってユーザの目は、それらの別々のセクションを単一の画像または一連の画像へと統合することが可能である。
【0062】
画像プロセッサ630は、汎用プロセッサ、および/または、本明細書において記述されている機能を実行することに特化している1つもしくは複数の特定用途向け回路であることが可能である。一実施形態においては、汎用プロセッサがメモリに結合されて、本明細書において記述されている特定のプロセスをプロセッサに実行させるソフトウェア命令を実行することが可能である。別の実施形態においては、画像プロセッサ630は、特定の機能を実行することに特化している1つまたは複数の回路であることが可能である。図6における画像プロセッサ630は、コントローラ620およびドライバ回路644とは別個であるスタンドアロンのユニットとして示されているが、画像プロセッサ630は、その他の実施形態においてはコントローラ620またはドライバ回路644のサブユニットであることが可能である。言い換えれば、それらの実施形態においては、コントローラ620またはドライバ回路644は、画像プロセッサ630のさまざまな画像処理機能を実行することが可能である。画像プロセッサ630は、画像処理回路と呼ばれる場合もある。
【0063】
図6において示されている例においては、光源642は、コントローラ620または画像プロセッサ630から送信されたデータまたは命令(たとえば、表示およびスキャニング命令)に基づいて、ドライバ回路644によって駆動されることが可能である。一実施形態においては、ドライバ回路644は、回路パネルを含むことが可能であり、その回路パネルは、光源642のさまざまな発光体に接続し、それらの発光体を機械的に保持する。光源642は、1つまたは複数の照明パラメータに従って光を放出することが可能であり、それらの照明パラメータは、コントローラ620によって設定され、潜在的に画像プロセッサ630およびドライバ回路644によって調整される。照明パラメータは、光を生成するために光源642によって使用されることが可能である。照明パラメータは、たとえば、ソース波長、パルスレート、パルス振幅、ビームタイプ(連続もしくはパルス)、放出される光に影響を与えることが可能であるその他のパラメータ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、光源642によって生成される光源光は、赤色光、緑色光、および青色光の複数のビーム、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。
【0064】
プロジェクタ650は、光源642によって生成された画像光を集めること、組み合わせること、調整すること、またはスキャンすることなど、光学機能のセットを実行することが可能である。いくつかの実施形態においては、プロジェクタ650は、組合せアセンブリ、光調整アセンブリ、またはスキャニングミラーアセンブリを含むことが可能である。プロジェクタ650は、光源642からの光を光学的に調整して潜在的に向け直す1つまたは複数の光学部品を含むことが可能である。光の調整の一例は、拡大すること、コリメートすること、1つもしくは複数の光学エラー(たとえば、像面湾曲、色収差など)に関して訂正を行うこと、光のいくつかのその他の調整、またはそれらの任意の組合せなど、光を調整することを含むことが可能である。プロジェクタ650の光学部品は、たとえば、レンズ、ミラー、アパーチャ、格子、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。
【0065】
プロジェクタ650は、画像光を、その1つまたは複数の反射部分および/または屈折部分を介して向け直すことが可能であり、それによって画像光は、導波管ディスプレイへ特定の向きで投射される。画像光が導波路ディスプレイへ向け直される先の場所は、1つまたは複数の反射部分および/または屈折部分の特定の向きに依存することが可能である。いくつかの実施形態においては、プロジェクタ650は、少なくとも2次元でスキャンする単一のスキャニングミラーを含む。その他の実施形態においては、プロジェクタ650は、互いに直交する方向にそれぞれがスキャンする複数のスキャニングミラーを含むことが可能である。プロジェクタ650は、ラスタスキャン(水平にまたは垂直に)、双共鳴スキャン、またはそれらの任意の組合せを実行することが可能である。いくつかの実施形態においては、プロジェクタ650は、特定の振動周波数で水平および/または垂直方向に沿って、制御された振動を実行して、2次元に沿ってスキャンし、ユーザの目に提示されるメディアの2次元投影画像を生成することが可能である。その他の実施形態においては、プロジェクタ650は、1つまたは複数のスキャニングミラーと同様のまたは同じ機能を果たすことが可能であるレンズまたはプリズムを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソースアセンブリ610は、プロジェクタを含まないことが可能であり、この場合、光源642によって放出された光は、導波管ディスプレイ上に直接入射することが可能である。
【0066】
(たとえば、拡張現実システム400またはNEDデバイス500もしくは550における)フォトニック集積回路または導波路ベースディスプレイの全般的な効率は、個々の構成要素の効率の積であることが可能であり、どのように構成要素が接続されるかにも依存することが可能である。たとえば、拡張現実システム400における導波路ベースディスプレイの全般的な効率性ηtotは、画像ソース412の発光効率、プロジェクタオプティクス414および入力カプラ430による画像ソース412からコンバイナ415への光結合効率、ならびに出力カプラ440の出力結合効率に依存することが可能であり、したがって、以下のように決定されることが可能であり、
ηtot=ηEQE×ηin×ηout (1)
ここで、ηEQEは、画像ソース412の外部量子効率であり、ηinは、画像ソース412から導波路(たとえば、基板420)への光のインカップリング効率であり、ηoutは、出力カプラ440によるユーザの目への導波路からの光のアウトカップリング効率である。したがって、導波路ベースディスプレイの全般的な効率ηtotは、ηEQE、ηin、およびηoutの1つまたは複数を改善することによって改善されることが可能である。
【0067】
光源から導波路に放出される光を結合する光カプラ(たとえば、入力カプラ430またはカプラ532)は、たとえば、回折格子、レンズ、マイクロレンズ、プリズムを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、小さい光源(たとえば、マイクロLED)からの光は、光カプラを使用せずに、光源から導波路に直接的に(たとえば、終端間で)結合されることが可能である。いくつかの実施形態においては、光カプラ(たとえば、レンズまたは放物面形状の反射器)は、光源上に製造されることが可能である。
【0068】
上述されている光源、画像ソース、または他のディスプレイは、1つまたは複数のLEDを含むことが可能である。たとえば、ディスプレイにおける各ピクセルは、赤色マイクロLED、緑色マイクロLED、および青色マイクロLEDを含む3つのサブピクセルを含むことが可能である。半導体発光ダイオードは一般に、半導体材料の複数の層内に活性発光層を含む。半導体材料の複数の層は、別々の化合物材料、または、別々のドーパントおよび/または別々のドーピング密度を有する同じベース材料を含むことが可能である。たとえば、半導体材料の複数の層は一般に、n型材料層と、ヘテロ構造(たとえば、1つまたは複数の量子井戸)を含むことが可能である活性層と、p型材料層とを含むことが可能である。半導体材料の複数の層は、特定の向きを有している基板の表面上に成長させることが可能である。
【0069】
光子は、(たとえば、1つまたは複数の半導体層を含む)活性層内の電子と正孔の再結合を通じて、特定の内部量子効率で半導体LED(たとえば、マイクロLED)において生成されることが可能である。生成された光は、次いで、特定の向きに、または特定の立体角内で、LEDから抽出されることが可能である。LEDから抽出される放出される光子の数と、LEDを通過する電子の数との間における比は、外部量子効率と呼ばれ、外部量子効率は、どれぐらい効率よくLEDが、注入される電子をデバイスから抽出される光子に変換するかについて記述している。外部量子効率は、注入効率、内部量子効率、および抽出効率に比例する場合がある。注入効率は、活性領域へと注入される、デバイスを通過する電子の割合を指す。抽出効率は、デバイスから脱出する、活性領域内で生成される光子の割合である。LED、および特に、低減された物理的な寸法を伴うマイクロLEDに対して、内部および外部量子効率を改善することは困難であることがある。いくつかの実施形態においては、光抽出効率を高めるために、半導体材料の層のうちの少なくともいくつかを含むメサが形成されることが可能である。
【0070】
図7Aは、垂直メサ構造を有するLED700の例を示している。LED700は、光源510、540、または642における発光体であることが可能である。LED700は、半導体材料の複数の層など、無機材料で作られたマイクロLEDであることが可能である。層状半導体発光デバイスは、III-V半導体材料の複数の層を含むことが可能である。III-V半導体材料は、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、またはアンチモン(Sb)など、V族元素と組み合わせて、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、またはインジウム(In)など、1つまたは複数のIII族元素を含むことが可能である。III-V半導体材料のV族元素が窒素を含む場合には、III-V半導体材料は、第III族窒化物材料と呼ばれる。層状半導体発光デバイスは、気相エピタキシ(VPE)、液相エピタキシ(LPE)、分子線エピタキシ(MBE)、または有機金属化学気相成長法(MOCVD)などの技術を使用して基板上に複数のエピタキシャル層を成長させることによって製造されることが可能である。たとえば、半導体材料の層は、GaN、GaAs、もしくはGaP基板など、特定の結晶格子配向(たとえば、極性、非極性、もしくは半極性の配向)を有する基板、または、サファイア、炭化ケイ素、シリコン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、アルミン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ゲルマニウム、窒化アルミニウム、リチウムガレート、部分的に置換されたスピネル、もしくは、ベータLiAlO構造を共有する第4正方酸化物を含むがそれらに限定されない基板上に層ごとに成長させることが可能であり、この場合、基板を特定の方向に切断して、特定の面を成長表面として露出させることが可能である。
【0071】
図7Aにおいて示されている例においては、LED700は、基板710を含むことが可能であり、基板710は、たとえば、サファイア基板またはGaN基板を含むことが可能である。半導体層720を基板710上に成長させることが可能である。半導体層720は、GaNなどのIII-V材料を含むことが可能であり、(たとえば、Mg、Ca、Zn、もしくはBeで)pドープされること、または(たとえば、SiもしくはGeで)nドープされることが可能である。1つまたは複数の活性層730を半導体層720上に成長させて、活性領域を形成することが可能である。活性層730は、1つまたは複数の量子井戸またはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、1つもしくは複数のInGaN層、1つもしくは複数のAlGaInP層、および/または1つもしくは複数のGaN層など、III-V材料を含むことが可能である。半導体層740を活性層730上に成長させることが可能である。半導体層740は、GaNなどのIII-V材料を含むことが可能であり、(たとえば、Mg、Ca、Zn、もしくはBeで)pドープされること、または(たとえば、SiもしくはGeで)nドープされることが可能である。半導体層720および半導体層740のうちの一方はp型層であることが可能であり、他方はn型層であることが可能である。半導体層720および半導体層740は、活性層730を挟んで発光領域を形成する。たとえば、LED700は、マグネシウムでドープされたp型GaNの層と、シリコンまたは酸素でドープされたn型GaNの層との間に位置しているInGaNの層を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、LED700は、亜鉛またはマグネシウムでドープされたp型AlGaInPの層と、セレン、シリコン、またはテルルでドープされたn型AlGaInPの層との間に位置しているAlGaInPの層を含むことが可能である。
【0072】
いくつかの実施形態においては、電子遮断層(EBL)(図7Aにおいては示されていない)を成長させて、活性層730と、半導体層720または半導体層740のうちの少なくとも1つとの間に層を形成することが可能である。EBLは、電子漏れ電流を低減すること、およびLEDの効率を改善することが可能である。いくつかの実施形態においては、PまたはP++半導体層など、高濃度にドープされた半導体層750が、半導体層740上に形成されることが可能であり、オーミック接触を形成してデバイスの接触インピーダンスを低減するための接触層としての役割を果たすことが可能である。いくつかの実施形態においては、導電層760が、高濃度にドープされた半導体層750上に形成されることが可能である。導電層760は、たとえば、インジウムスズ酸化物(ITO)またはAl/Ni/Au膜を含むことが可能である。一例においては、導電層760は、透明なITO層を含むことが可能である。
【0073】
半導体層720(たとえば、n-GaN層)と接触するために、およびLED700から活性層730によって放出された光をより効率よく抽出するために、半導体材料層(高濃度にドープされた半導体層750、半導体層740、活性層730、および半導体層720を含む)をエッチングして、半導体層720を露出させること、および層720~760を含むメサ構造を形成することが可能である。メサ構造は、キャリアをデバイス内に閉じ込めることが可能である。メサ構造をエッチングすることは、成長面に直交していることが可能であるメサ側壁732の形成につながることが可能である。パッシベーション層770が、メサ構造のメサ側壁732上に形成されることが可能である。パッシベーション層770は、SiO層などの酸化物層を含むことが可能であり、LED700からの放出された光を反射するための反射器としての役割を果たすことが可能である。Al、Au、Ni、Ti、またはそれらの任意の組合せなどの金属層を含むことが可能である接触層780が、半導体層720上に形成されることが可能であり、LED700の電極としての役割を果たすことが可能である。加えて、Al/Ni/Au金属層などの別の接触層790が、導電層760上に形成されることが可能であり、LED700の別の電極としての役割を果たすことが可能である。
【0074】
電圧信号が接触層780および790に印加された場合には、電子および正孔は、活性層730において再結合することが可能であり、この場合、電子および正孔の再結合は、光子放出を引き起こすことが可能である。放出された光子の波長およびエネルギーは、活性層730における価電子帯と伝導帯との間のエネルギーバンドギャップに依存することが可能である。たとえば、InGaN活性層は、緑色または青色の光を放出することが可能であり、AlGaN活性層は、青色から紫外線を放出することが可能であり、その一方でAlGaInP活性層は、赤色、オレンジ、黄色、または緑色の光を放出することが可能である。放出された光子は、パッシベーション層770によって反射されることが可能であり、上(たとえば、導電層760および接触層790)または下(たとえば、基板710)からLED700を出ることが可能である。
【0075】
いくつかの実施形態においては、LED700は、放出された光を集めるもしくはコリメートするか、または放出された光を導波管へと結合するために、基板710などの発光表面上にレンズなどの1つまたは複数のその他のコンポーネントを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、LEDは、平面、円錐、半放物線、または放物線などの別の形状のメサを含むことが可能であり、メサのベースエリアは、円形、長方形、六角形、または三角形であることが可能である。たとえば、LEDは、湾曲した形状(たとえば、放物面形状)および/または湾曲していない形状(たとえば、円錐形状)のメサを含むことが可能である。メサは、切り詰められること、または切り詰められないことが可能である。
【0076】
図7Bは、放物線メサ構造を有するLED705の例の断面図である。LED700と同様に、LED705は、III-V半導体材料の複数の層など、半導体材料の複数の層を含むことが可能である。半導体材料層は、GaN基板またはサファイア基板などの基板715上にエピタキシャルに成長させることが可能である。たとえば、半導体層725を基板715上に成長させることが可能である。半導体層725は、GaNなどのIII-V材料を含むことが可能であり、(たとえば、Mg、Ca、Zn、もしくはBeで)pドープされること、または(たとえば、SiもしくはGeで)nドープされることが可能である。1つまたは複数の活性層735を半導体層725上に成長させることが可能である。活性層735は、1つまたは複数の量子井戸など、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、1つもしくは複数のInGaN層、1つもしくは複数のAlGaInP層、および/または1つもしくは複数のGaN層など、III-V材料を含むことが可能である。半導体層745を活性層735上に成長させることが可能である。半導体層745は、GaNなどのIII-V材料を含むことが可能であり、(たとえば、Mg、Ca、Zn、もしくはBeで)pドープされること、または(たとえば、SiもしくはGeで)nドープされることが可能である。半導体層725および半導体層745のうちの一方はp型層であることが可能であり、他方はn型層であることが可能である。
【0077】
半導体層725(たとえば、n型GaN層)と接触するために、およびLED705から活性層735によって放出された光をより効率よく抽出するために、半導体層をエッチングして、半導体層725を露出させること、および層725~745を含むメサ構造を形成することが可能である。メサ構造は、キャリアをデバイスの注入エリア内に閉じ込めることが可能である。メサ構造をエッチングすることは、層725~745の結晶成長に関連付けられている成長面と非平行であること、またはいくつかのケースにおいては直交していることが可能であるメサ側壁(本明細書においてはファセットとも呼ばれる)の形成につながることが可能である。
【0078】
図7Bにおいて示されているように、LED705は、平らな上部を含むメサ構造を有することが可能である。誘電層775(たとえば、SiOまたはSiNx)がメサ構造のファセット上に形成されることが可能である。いくつかの実施形態においては、誘電層775は、誘電材料の複数の層を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、金属層795が誘電層775上に形成されることが可能である。金属層795は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、チタン(Ti)、銅(Cu)、またはそれらの任意の組合せなど、1つまたは複数の金属または金属合金材料を含むことが可能である。誘電層775および金属層795は、活性層735によって放出された光を基板715へ反射することが可能であるメサ反射器を形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、メサ反射器は、放出された光を少なくとも部分的にコリメートすることが可能である放物面反射器としての役割を果たすように放物面形状であることが可能である。
【0079】
電気接点765および電気接点785は、半導体層745および半導体層725上にそれぞれ形成されて、電極としての役割を果たすことが可能である。電気接点765および電気接点785はそれぞれ、Al、Au、Pt、Ag、Ni、Ti、Cu、またはそれらの任意の組合せ(たとえば、Ag/Pt/AuまたはAl/Ni/Au)などの導電性材料を含むことが可能であり、LED705の電極としての役割を果たすことが可能である。図7Bにおいて示されている例においては、電気接点785は、n接点であることが可能であり、電気接点765は、p接点であることが可能である。電気接点765および半導体層745(たとえば、p型半導体層)は、活性層735によって放出された光を基板715へ反射するための後方反射器を形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、電気接点765および金属層795は、同じ材料を含み、同じプロセスを使用して形成されることが可能である。いくつかの実施形態においては、追加の導電層(図示せず)が、電気接点765および785と半導体層との間における中間導電層として含まれることが可能である。
【0080】
電圧信号が電気接点765および785にわたって印加された場合には、電子および正孔は、活性層735において再結合することが可能である。電子および正孔の再結合は、光子放出を引き起こし、したがって光を生成することが可能である。放出された光子の波長およびエネルギーは、活性層735における価電子帯と伝導帯との間のエネルギーバンドギャップに依存することが可能である。たとえば、InGaN活性層は、緑色または青色の光を放出することが可能であり、その一方でAlGaInP活性層は、赤色、オレンジ、黄色、または緑色の光を放出することが可能である。放出された光子は、多くの異なる方向において伝搬することが可能であり、メサ反射器および/または後方反射器によって反射されることが可能であり、たとえば、図7Bにおいて示されている下側(たとえば、基板715)からLED705を出ることが可能である。レンズまたは格子など、1つまたは複数のその他の二次光学部品が、基板715などの発光表面上に形成されて、放出された光を集めるかもしくはコリメートすること、および/または放出された光を導波管へと結合することが可能である。
【0081】
メサ構造が形成される(たとえば、エッチングされる)とき、メサ側壁732などのメサ構造のファセットは、LEDの内部量子効率を減少させ得る、不十分な接合、化学的汚染、および構造的ダメージ(たとえば、ドライエッチングされたとき)など、いくらかの不具合を含むことがある。たとえば、ファセットにおいて、半導体層の原子格子構造は、突然の終端になることがあり、半導体材料のいくつかの原子は、接合が取り付けられることがある隣接を欠いていることがある。これは「ダングリングボンド」を生じ、「ダングリングボンド」は、不対価電子を特徴とすることが可能である。これらのダングリングボンドは、さもなければ半導体材料のバンドギャップ内に存在しないはずのエネルギーレベルを作り出し、メサ構造のファセットにおいて、またはその近くに、非放射電子正孔再結合を引き起こす。したがって、これらの不具合は、電子と正孔が非放射的に結合するまで制限されることが可能である再結合の中心になることが可能である。
【0082】
上述されているように、内部量子効率は、光子を放出する活性領域における放射性電子正孔再結合の割合である。LEDの内部量子効率は、LEDの活性領域において発生する、競合放射(光を発する)再結合および非放射(損失のある)再結合の相対レートに依存する。活性領域における非放射再結合プロセスは、欠陥サイトにおけるShockley-Read-Hall(SRH)再結合、およびeeh/ehh Auger再結合を含むことが可能であり、非放射再結合プロセスは、3つのキャリアを伴う非放射プロセスである。LEDの内部量子効率は、以下によって決定されることが可能であり、
ここで、A、B、およびCはそれぞれ、SRH再結合、二分子(放射)再結合、およびAuger再結合のレートであり、Nは、活性領域における電荷-キャリア密度(すなわち、電荷-キャリア濃度)である。
【0083】
図8は、発光ダイオードの光放出強度と電流密度との間の関係を示している。図8における曲線810によって示されているように、マイクロLEDデバイスの光放出強度は、電流密度(ひいては、電荷キャリア密度N)が低いとき、低いことがあり、低い外部量子効率は、等式(2)により、電荷キャリア密度Nが低いとき、比較的高い非放射SRH再結合によって引き起こされることがある。電流密度(ひいては電荷キャリア密度N)が増加するにつれて、光放出強度は、等式(2)により、電荷キャリア密度Nが高いとき、放射再結合が、非放射SRH再結合(∝N)より高いレート(∝N)で増加することが可能であるので、図8における曲線820で示されるように増加することが可能である。電流密度がさらに増加するにつれて、光放出強度は、図8における曲線830で示されるように、より遅いレートで増加することが可能であり、ひいては、外部量子効率は、たとえば、等式(2)により、電荷キャリア密度Nが十分に高いとき、非放射性Auger再結合が、放射再結合(∝N)より高いレート(∝N)で増加することが可能であるので、同様に低下することが可能である。
【0084】
Auger再結合は、3つのキャリアを伴う非放射プロセスである。Auger再結合は、効率降下の主要な原因であることがあり、直接的または間接的であることがある。たとえば、直接のAuger再結合は、電子と正孔が再結合するときに発生するが、光を発するのではなく、電子が伝導帯に、より高く上げられるか、正孔が価電子帯に、より深くプッシュされる。Auger再結合は、所与の注入電流密度Jに対して活性領域における電荷-キャリア密度Nを低くすることによって効率降下を軽減するために低減されることが可能であり、注入電流密度Jは、以下のように書かれることが可能であり、
J=qdeff(AN+BN+CN) (3)
ここで、deffは、活性領域の有効厚さである。したがって、等式(3)によれば、Auger再結合の効果は低減されることが可能であり、ひいては、LEDのIQEは、所与の注入電流密度に対して電荷-キャリア密度Nを低減させることによって改善されることが可能であり、これは、活性領域の有効厚さdeffを増加させることによって達成されることが可能である。活性領域の有効厚さは、たとえば、複数の量子井戸(MQW)を成長させることによって、増加されることが可能である。あるいは、活性領域の有効厚さを増加させるために、一重のダブルヘテロ構造(DH)を含む活性領域が使用されることが可能である。
【0085】
活性領域の有効厚さに影響を及ぼす1つの要因は、量子井戸における内部フィールドEqw(たとえば、ひずみ誘起内部フィールド)の存在である。内部フィールドEqwは、電荷キャリアを局在化させ、搬送波関数どうしの間の重なり積分を低減させることがあり、これは、LEDの放射効率を低減させることがある。ヘテロ構造(たとえば、量子井戸)を含むいくつかのLEDは、キャリア輸送方向の強い内部のひずみ誘起圧電場を有することが可能である。ひずみ誘起内部フィールドは、電子および正孔エネルギーレベルを偏移させ(したがって、バンドギャップを変化させ)、電子および正孔を量子井戸の両側に偏移させることが可能であり、これにより、空間的な電子-正孔重複を減少させ、放射再結合効率、ひいては、LEDの内部量子効率を低減させる。
【0086】
高い電流密度(および高い電荷キャリア密度)によるAuger再結合は材料プロパティに依存する固有プロセスであることが可能であるが、非放射SRH再結合は、活性領域における欠陥密度など、材料の特性および品質に依存する。図7Aおよび図7Bに関連して上述されているように、LEDは、デバイスの注入エリア内にキャリアを閉じ込めるため、および、電気接触のために活性放出層の下にn型材料を露出させるために、メサ構造を活性放出層にエッチングすることによって製作されることが可能である。メサ構造をエッチングすることは、成長面に直交しているメサ側壁の形成につながることが可能である。上述されているように、エッチングにより、露出された側壁に近接した活性領域は、転位、細穴、結晶粒境界、空格子点、沈殿物の含有等などの、欠陥のより高い密度を有することがある。欠陥は、バンドギャップにおける深いまたは浅いエネルギーレベルを有するエネルギー状態を導入することがある。キャリアは、これらが非放射的に結合するまで、これらのエネルギー状態によってトラップされることが可能である。したがって、露出された側壁に近接した活性領域は、側壁から遠く離れたバルク領域より高いSRH再結合のレートを有することがある。
【0087】
非放射表面再結合によるLED効率に対するインパクトに影響を及ぼすことがあるパラメータは、たとえば、表面再結合速度(SRV)S、キャリア拡散係数(拡散性)D、およびキャリア寿命τを含むことが可能である。高い欠陥密度による側壁表面近傍の高い再結合率は、領域内の過剰キャリア(具体的には、少数キャリア)の数に依存することが可能である。高い再結合率は、領域内のキャリアを枯渇させることがある。領域内のキャリアの枯渇は、より高いキャリア濃度を伴う取り囲んでいる領域からこの領域にキャリアを拡散させることがある。したがって、表面再結合の量は、キャリアが側壁表面に近い領域に移動する表面再結合速度Sによって制限されることが可能である。キャリア寿命τは、キャリアが別のキャリアと再結合する前に、電子-正孔生成後の励振状態で過ごすことができる平均時間である。キャリア寿命τは一般に、活性領域におけるキャリア濃度および再結合率に依存する。材料のキャリア拡散係数(拡散性)Dおよびキャリア寿命τは、キャリアが再結合するまでに生成点から進むことができる平均距離であるキャリア拡散長L=
を決定し得る。キャリア拡散長Lは、活性領域の側壁表面に隣り合い、キャリア損失に対する表面再結合の貢献が著しい、領域の幅を特徴づける。側壁表面から少数キャリアの拡散長内にある領域に注入または拡散される電荷キャリアは、より高いSRH再結合率の影響を受けやすい。
【0088】
(たとえば、amps/cmの単位での)より高い電流密度は、表面欠陥がより高いキャリア密度でますます飽和されることが可能であるにつれて、より低い表面再結合速度に関連付けられ得る。したがって、表面再結合速度は、電流密度を増加させることによって低減されることが可能である。加えて、所与の材料の拡散長は、デバイスが動作される電流密度とともに変化させることが可能である。しかしながら、LEDは一般に、高い電流密度で動作されることが可能ではない。電流注入を増加させることは、より高い電流密度で自己暖房によって引き起こされるより高い温度での、より高いAuger再結合率およびより低い変換効率により、マイクロLEDの効率を低下させることも可能である。
【0089】
(たとえば、約0.1mmから約1mmの横方向のデバイス面積を伴う)照明およびバックライト用途で使用される従来の広範な分野のLEDについて、側壁表面はデバイスの遠端にある。デバイスは、電流がメサ側壁の少数キャリアの拡散長内の領域にほとんど注入されないように、または全く注入されないように、デザインされることが可能であり、ひいては、側壁表面積対体積比、およびSRH再結合の全般的なレートは、低いことが可能である。しかしながら、マイクロLEDでは、LEDのサイズが少数キャリアの拡散長に匹敵する値か、同じ桁を有する値に低減されるにつれて、増加された表面積対体積比は、全活性領域のより大きい割合が、LED側壁表面からの少数キャリアの拡散長に含まれることが可能なので、高いキャリア表面再結合率につなげることが可能である。したがって、より多くの注入されるキャリアが、より高いSRH再結合率の影響を受けやすい。これは、LEDのサイズが減少するにつれて、LEDの漏出電流を増加させ、LEDの効率を減少させる、および/または、LEDのサイズが減少するにつれてピーク効率動作電流を増加させる恐れがある。たとえば、100μm×100μm×2μmのメサを伴う第1のLEDについて、側壁表面積対体積比は約0.04であることが可能である。しかしながら、5μm×5μm×2μmのメサを伴う第2のLEDについて、側壁表面積対体積比は約0.8であることが可能であり、これは、第1のLEDより約20倍高い。したがって、同様の表面欠陥密度に関して、第2のLEDのSRH再結合係数は、同様に約20倍高いことが可能である。したがって、第2のLEDの効率は、著しく低減されることが可能である。
【0090】
AlGaInP材料は、第III族窒化物材料など、その他のいくつかの発光材料より高い表面再結合速度および少数キャリアの拡散長を有することが可能である。たとえば、赤色AlGaInP LEDは一般に、低減されたキャリア濃度(たとえば、約1017cm-3から1018cm-3)で動作することが可能であり、ひいては、比較的長いキャリア寿命τを有することが可能である。赤色AlGaInP LEDのドープされていない量子井戸における活性領域におけるキャリア拡散性Dも、いくぶん大きいことが可能である。結果として、キャリア拡散長L=
は、たとえば、いくつかのデバイスでは、約10μm~25μm以上であることが可能である。加えて、AlGaInP材料の表面再結合速度は、第III族窒化物材料の表面再結合速度より1桁大きいことが可能である。したがって、第III族窒化物材料から作られるLED(たとえば、GaNから作られる青色および緑色LED)に比べて、AlGaInPベースの赤色LEDの内部および外部量子効率は、デバイスサイズが減少するにつれて、さらにいっそう著しく低下させることが可能である。
【0091】
図9は、さまざまなIII-V半導体材料の表面再結合速度を示している。図9のバー910は、III-V半導体材料のレポートされたSRV値の範囲を示し、その一方で、バー910上の記号920は、共通のまたは平均されたSRVを示す。ボックス930は、材料バンドギャップに伴う表面再結合速度の全体的な傾向を示す。図9に示されているように、SRVは、InP(S~10cm/s)またはGaN(約0.5×10cm/s未満のS)に比べて、GaAsにおいて高い(S~10cm/s)。AlGaInP材料(たとえば、~10cm/s)の表面再結合速度は、第III族窒化物材料の表面再結合速度(たとえば、<10cm/s)より少なくとも1桁高いことが可能である。加えて、AlGaInPなどのAl含有合金では、SRVは、Alの一部でかなりスケーリングすることが可能である。たとえば、SRVは、(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pに対する約10cm/sから、Al0.51In0.49Pに対する約10cm/sに増加させることが可能である。
【0092】
加えて、窒化物LEDは、リン化物LEDよりはるかに高い非平衡キャリア濃度で動作可能であり、これは、窒化物LEDにおけるかなり短いキャリア寿命を生じる。したがって、第III族窒化物LEDの活性領域におけるキャリア拡散長は、リン化物LEDにおけるキャリア拡散長よりかなり短い。したがって、AlGaInPベースの赤色マイクロLEDなどのリン化物LEDは、より高いSRVとより長いキャリア拡散長の両方を有することが可能であり、ひいては、第III族窒化物LEDよりはるかに高い表面再結合および効率低減を有することが可能である。
【0093】
図10Aは、電流密度に応じた、別々の物理サイズを有する別々のAlGaInP赤色LEDの外部量子効率の例を示す。曲線1010、1020、1030、1040、1050、および1060は、電流密度に応じた、それぞれ、横方向のサイズ15×15μm、22×22μm、50×50μm、100×100μm、150×150μm、および350×350μmをもつAlGaInP赤色LEDのEQEを示す。図10Aは、EQEがLEDサイズに依存することを示す。より大きいLEDは、同じ電流密度において、より小さいLEDよりも高いEQEを呈する。図10Aにおける曲線1010、1020、および1030はまた、LEDの横方向のサイズが、たとえば、約100×100μmよりも大きいとき、LEDのEQEは類似する場合があることを示す。
【0094】
図10Bは、別々の物理サイズを有する別々のAlGaInP赤色LEDの電流電圧(I-V)曲線の例を示す。曲線1012、1022、1032、1042、1052、および1062は、それぞれ、横方向のサイズ15×15μm、22×22μm、50×50μm、100×100μm、150×150μm、および350×350μmをもつAlGaInP赤色LEDのI-V曲線を示す。同じ電流において、LEDの直列抵抗および順方向電圧は、チップサイズの減少とともに増加することが可能である。図10Bは、チップサイズが約15×15μmまで減少されたときでも、順方向および逆方向漏れ電流特性は著しく劣化されないことが可能であることを示す。これは、小さいLEDのより低いEQEが、増加された漏れ電流によって引き起こされた電流注入効率の劣化によって引き起こされないことが可能であることを示す。図10Aおよび図10Bは、小さいLEDのより低いEQEが、主に非放射表面再結合によって引き起こされることがあることを示す。
【0095】
非放射表面再結合は、表面を、SiO、SiN、またはAlなどの適切な誘電材料でパッシベートすることによって、低減されることが可能である。SRVは、化学的処置を使用して、非常に欠陥のある表面材料を離してエッチングすることによって低減されることが可能である。あるいはまたは加えて、表面再結合は、横方向のキャリア移動を減少させることによって低減されることが可能である。たとえば、横方向のキャリア移動は、イオン注入を使用して、マイクロLEDの中央部分の外側の半導体格子を乱すことによって減少されることが可能である。イオン注入は、マイクロLEDの側壁表面に到達することが可能である電子の数を低減することが可能であり、したがって、表面再結合の量を低減することが可能である。高エネルギーイオンを用いて半導体材料に衝撃を与えることは、2つの影響を有することが可能である。第1に、半導体材料の格子は、より導電性でなくなることが可能であり、よって、電流は、全ての方向に構造全体を通じて広がらず、代わりに、中央領域を通じて垂直方向に集中される。第2に、拡散性は、衝撃を与えられた領域において低減され、それによってキャリアは、横方向に遠くに移動しない。したがって、拡散性Dおよび電子拡散長Lの両方は、イオン注入によって低減されることが可能である。
【0096】
あるいはまたは加えて、横方向のキャリア移動は、量子井戸の混合を使用して、マイクロLEDの中央部分の外側の半導体層のエリアの構成物を変化させることによって減少されることが可能である。量子井戸の混合は、半導体層の外側領域にイオンを注入することと、その後、半導体層の外側領域をアニールしてイオンを半導体層の外側領域内の原子と混合することとによって、半導体層の外側領域におけるバンドギャップを増加させるために使用されることが可能である。したがって、量子井戸の混合はまた、マイクロLEDの側壁表面に到達することが可能である電子の数を低減することが可能であり、したがって、表面再結合の量を低減することが可能である。
【0097】
表面再結合を低減するためのこれらの取り組みにもかかわらず、マイクロLEDのメササイズが低減するとき、非放射表面再結合により、マイクロLEDの効率は一般に減少し、ピーク効率動作電流密度は一般に増加する。デバイスの(ウォールプラグ効率と呼ばれる)全体的な電気-光電力変換効率は、低いことがある。
【0098】
特定の実施形態によれば、AlGaInP赤色マイクロLEDは、電流が、発光再結合が発生することが可能である小さい局在化領域に閉じ込められることが可能であるような構造および材料組成を含むことが可能である。局在化領域は、マイクロLEDの横方向の直線寸法(たとえば、マイクロLEDのメサ構造の横方向の直線寸法)の約1/2、1/3、1/4、1/5、1/8、1/10未満またはそれ未満である横方向の直線寸法を有することが可能である。結果として、側壁領域への活性領域におけるキャリアの拡散、ひいては側壁領域における非放射表面再結合は低減されて量子効率を改善することが可能である。いくつかの実施形態においては、電流局在化および電流閉じ込めは、たとえば、電流注入領域を制限するための障壁層または他の電流開口の局在化ブレークスルー、表面領域へのキャリアの横方向拡散を抑制するための低濃度にpドープされた活性層、あるいはそれらの任意の組合せによって達成されることが可能である。
【0099】
いくつかの実施形態においては、障壁層は、たとえば、サイリスタ、トンネル接合、ヘテロ接合などを含むことが可能である。障壁層は、活性領域からおよそ数キャリア拡散長またはキャリア拡散長内になど、活性領域の近くにあることが可能である。障壁層上の、スパイクドp接点、サブミクロンp接点、またはフィラメントなど、局在化接触は、適切にバイアスされたとき、電流が局在化ブレークスルー領域を通じて活性領域に注入されることが可能であるように障壁層の局在化ブレークスルーを引き起こすために、障壁層の局在化領域において高電界を生成することが可能である。局在化ブレークスルー領域は、小さい領域に電流注入を制限する電流開口として機能することが可能である。いくつかの実施形態においては、電流注入は、イオン注入、エッチング、酸化などを通じて局在化されることが可能である。
【0100】
低濃度にpドープされた活性層は、表面領域へのキャリアの横方向拡散を抑制することが可能であり、それによって、小さい電流開口から活性領域に注入されたキャリアは、活性層内の小さい領域にとどまることが可能である。たとえば、活性領域における低濃度のpドーピングは、側壁領域への正孔の拡散を低減することが可能である正孔空乏領域を形成することが可能である。活性領域における低濃度のpドーピングはまた、トラップ状態がフェルミ準位からより遠くに離れていることを引き起こすことが可能である。したがって、側壁における正孔濃度は、低減されることが可能であり、ひいては表面再結合は、低減されることが可能である。活性領域における電流局在化は、半導体の自己発熱を引き起こすことが可能であり、これも、温度が増加するにつれて、活性領域における側壁へのキャリアの拡散を低減することが可能である。加えて、電流の閉じ込めおよび局在化により、発光は、局在化領域において発生することになり、これは、マイクロLEDからの効率的な光抽出およびアウトカップリングを促進することが可能である。したがって、マイクロLEDの全体的な外部量子効率は、著しく改善されることが可能である。
【0101】
図11Aは、マイクロLED1100の例を示す。マイクロLED1100は、LED700の例であることが可能である。マイクロLED1100は、セレン、シリコン、またはテルルでドープされたAlInP層またはAlGaInP層など、n形半導体層1150を含むことが可能である。n形半導体層1150は、たとえば、GaAs基板またはAlGaAs層上に成長させることが可能である。1つまたは複数の活性層1140を、活性領域を形成するために、n形半導体層1150上に成長させることが可能である。たとえば、活性層1140は、1つまたは複数の量子井戸あるいはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、1つまたは複数のGaInP層および1つまたは複数のAlGaInP層含むことが可能であり、この場合、GaInP層は、量子井戸であることが可能であり、AlGaInP層は、量子障壁層であることが可能である。真性層1130が、活性層1140上に形成されることが可能である。真性層1130は、電子遮断層、クラッディング層、または別個の閉じ込め層であることが可能であり、たとえば、真性AlGaInP層を含むことが可能である。真性層1130は、キャリアを閉じ込め、電子漏れ電流を低減してLEDの効率を改善することが可能である。p型層1120が、真性層1130上に形成されることが可能である。p型層1120は、たとえば、亜鉛またはマグネシウムでドープされたAlInPまたはAlGaInP層を含むことが可能である。p型層1110が、p型層1120上に形成されることが可能である。p型層1110は、たとえば、亜鉛またはマグネシウムでドープされたGaP層、GaInP層、AlInP層、またはAlGaInP層を含むことが可能である。p型層1110は、高濃度にドープされることが可能であり、金属電極とのオーミック接触を形成してデバイスの接触インピーダンスを低減するための接触層としての役割を果たすことが可能である。p接触層1160が、アノードとしてp型層1110上に形成されることが可能である。p接触層1160は、たとえば、金属層(たとえば、Al、Au、Ni、Ti、またはそれらの任意の組合せ)、あるいは酸化インジウムスズ(ITO)またはAl/Ni/Au膜を含むことが可能である。パッシベーション層1190が、マイクロLED1100の側壁上に形成されることが可能である。パッシベーション層1190は、酸化物層(たとえば、SiO層)または別の誘電体層を含むことが可能であり、上述されているようなマイクロLED1100からの放出された光を反射するための反射器としての役割を果たすことが可能である。図11Aは垂直メサ構造を示すが、マイクロLED1100は、円錐の、放物線状の、内側に傾けられた、または外側に傾けられたメサ形状など、異なるメサ形状を含むことが可能である。
【0102】
電圧信号が、(たとえば、p接触層1160を通じて)p型層1110に、および(たとえば、図11Aにおいて示されていないカソードを通じて)n形半導体層1150に印加されたとき、電子および正孔は、活性層1140に注入されることが可能であり、活性層1140において再結合することが可能であり、この場合、電子と正孔の再結合は、光子放出を引き起こすことが可能である。放出された光子は、パッシベーション層1190によって反射されることが可能であり、上(たとえば、p接触層1160側)からマイクロLED1100を出ることが可能である。上述されているように、マイクロLED1100の内部量子効率および外部量子効率は、少なくとも非放射表面再結合によって引き起こされた損失により低いことがある。
【0103】
図11Bは、特定の実施形態による、改善された外部量子効率をもつマイクロLED1105の例を示す。マイクロLED1100のように、マイクロLED1105は、メサ構造を含むことが可能である。マイクロLED1105のメサ構造は、約100μm未満、約50μm未満、約20μm未満、約10μm未満、約5μm未満、約3μm未満、約2μm未満、またはそれ未満の横方向の直線寸法を有することが可能である。マイクロLED1105のメサ構造は、たとえば、GaAs基板またはAlGaAs層上に成長させられたn型層1165を含むことが可能である。n型層1165は、たとえば、セレン、シリコン、またはテルルでドープされたAlInP層またはAlGaInP層を含むことが可能である。1つまたは複数の活性層1155を、活性領域を形成するために、n形層1165上に成長させることが可能である。活性層1155は、たとえば、1つまたは複数の量子井戸あるいはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、1つまたは複数のGaInP層(たとえば、量子井戸層)および1つまたは複数のAlGaInP層(たとえば、障壁層)を含むことが可能である。任意選択で、層1145が、活性層1155上に形成されることが可能である。層1145は、電子ブロック層、クラッディング層、または別個の閉じ込め層であることが可能であり、たとえば、真性またはp形AlGaInP層を含むことが可能である。層1145は、活性領域にキャリアを閉じ込め、電子漏れ電流を低減してマイクロLED1105の効率を改善することが可能である。p型層1135が、層1145上に形成されることが可能である。p型層1135は、たとえば、亜鉛またはマグネシウムでドープされたAlInPまたはAlGaInPを含むことが可能である。薄いn型層1125が、p型層1135上に形成されることが可能である。n型層1125は、たとえば、セレン、シリコン、またはテルルでドープされたAlInP層またはAlGaInP層を含むことが可能である。p型層1115が、n型層1125上に形成されることが可能である。p型層1115は、たとえば、亜鉛またはマグネシウムでドープされたGaP層、GaInP層、AlInP層、またはAlGaInP層を含むことが可能である。p型層1115は、高濃度にドープされることが可能であり、オーミック接触を形成してデバイスの接触インピーダンスを低減するための接触層としての役割を果たすことが可能である。p接触層1175が、アノードとしてp型層1115上に形成されることが可能である。p接触層1175は、たとえば、金属層(たとえば、Al、Au、Ni、Ti、またはそれらの任意の組合せ)、あるいは酸化インジウムスズ(ITO)またはAl/Ni/Au膜を含むことが可能である。パッシベーション層1195が、マイクロLED1105の側壁上に形成されることが可能である。パッシベーション層1195は、酸化物層(たとえば、SiO層)または別の誘電体層を含むことが可能であり、上述されているようなマイクロLED1105からの放出された光を反射するための反射器としての役割を果たすことが可能である。図11Bは垂直メサ構造を示すが、マイクロLED1105は、円錐の、放物線状の、内側に傾けられた、または外側に傾けられたメサ形状など、異なるメサ形状を含むことが可能である。
【0104】
図11Bにおいて示されているマイクロLED1105において、p型層1115、n型層1125、およびp型層1135は、PNP構造を有する障壁層を形成することが可能である。p型層1115、n型層1125、p型層1135、およびn型層1165は、p型層1115とn型層1125との間のpn接合、n型層1125とp型層1135との間のnp接合、およびp型層1135とn型層1165との間のpn接合(またはpin構造)を含むサイリスタを形成することが可能である。正の電圧信号が、n型層1165に関してp接触層1175に印加されたとき、pn接合は、順方向にバイアスされることが可能であり、その一方で、n型層1125とp型層1135との間のnp接合は、逆方向にバイアスされることが可能である。したがって、np接合は、p型層1115からn型層1165への電流の流れを遮断することが可能である。負の電圧信号が、n型層1165に関してp接触層1175に印加されたとき、np接合は、順方向にバイアスされることが可能であり、その一方で、pn接合は、逆方向にバイアスされてn型層1165からp型層1115への電流の流れを遮断することが可能である。十分に高い順方向バイアス電圧信号が、p接触層1175とn型層1165との間に印加されたとき、np接合は、ブレークダウン状態にあって電流を通すことが可能であり、それによってサイリスタは、順方向導通状態にあることが可能である。サイリスタは、順方向電流が(「保持電流」と呼ばれる)しきい値を下回るまで、順方向導通状態にとどまることが可能である。たとえば、サイリスタは、サイリスタが逆方向にバイアスされたとき、スイッチを切られることが可能である。
【0105】
図11Bに示されているように、p接触層1175は、スパイク、フィラメント、テーパード先端、V字形構造、または別のサブミクロン構造など、構造1176を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、構造1176は、p型層1115の中に延びてp型層1115との局在化されたテーパード接触を形成することが可能である。したがって、高い電圧信号が、p接触層1175に印加されたとき、構造1176とp型層1115との間の小さい局在化接触により、高電界が、構造1176の近くの領域において構築されることが可能であり、これは、n型層1125とp型層1135との間のnp接合の小さい領域においてブレークスルーを引き起こしてサイリスタをオンにすることが可能である。小さいブレークスルー領域は、構造1176の近くに局在化されることが可能である。局在化された小さいブレークスルー領域は、マイクロLED1105の横方向の直線寸法(たとえば、図11Bにおいて示されているメサ構造の横方向の直線寸法)の約1/2、1/3、1/4、1/5、1/8、1/10未満またはそれ未満の横方向の直線寸法を有することが可能である。したがって、キャリア(たとえば、正孔)は、局在化された小さいブレークスルー領域を通じて活性層1155に注入されることが可能であるのみであり、活性層1155における小さい局在化領域において電子と結合して光子を放出することが可能である。放出された光子は、パッシベーション層1195によって反射されることが可能であり、上(たとえば、p接触層1175)からマイクロLED1105を出ることが可能である。電子と比較して、正孔のより低い移動性により、活性層1155における再結合の中心は、p型層1135(または層1145)および局在化された小さいブレークスルー領域の近くにあることが可能である。
【0106】
マイクロLED1105は、障壁層(またはn型層1125とp型層1135との間のnp接合)と活性層1155との間の距離が、キャリア拡散長の約2倍未満、およそキャリア拡散長未満、約1ミクロン未満、または数百ナノメートル未満など、数キャリア拡散長未満であることが可能であるように構成されることが可能である。したがって、局在化された小さいブレークスルー領域を通じて活性層1155に注入されたキャリア(たとえば、正孔)は、拡散しないことが可能であるか、またはキャリアが他のキャリア(たとえば、電子)と再結合して光子を放出する前に水平方向に短い距離だけ拡散することが可能であるのみである。したがって、注入されたキャリアは、活性層1155の側壁領域に到達しないことが可能であり、ひいては非放射表面再結合は、低減されることが可能である。
【0107】
上述されているように、電流局在化はまた、他の障壁層または他の技術を使用して達成されることが可能である。たとえば、電流局在化は、トンネル接合、ヘテロ接合、バンドベンディングを誘起してトンネル接触を形成するヘテロ障壁、ショットキー障壁、または別の障壁層を使用して達成されることが可能である。いくつかの実施形態においては、電流局在化は、たとえば、局在化酸化、局在化イオン注入、局在化エッチングなどによって形成された電流開口を使用して達成されることが可能である。
【0108】
図12は、特定の実施形態による、改善された外部量子効率をもつマイクロLED1200の例を示す。マイクロLED1200は、約100μm未満、約50μm未満、約20μm未満、約10μm未満、約5μm未満、約3μm未満、約2μm未満、またはそれ未満の横方向の直線寸法を有することが可能であるメサ構造を含むことが可能である。マイクロLED1200のメサ構造は、セレン、シリコン、またはテルルでドープされたAlInP層またはAlGaInP層など、n形層1260を含むことが可能である。n形層1260は、たとえば、GaAs基板またはAlGaAs層上に成長させることが可能である。1つまたは複数の活性層1250を、活性領域を形成するために、n形層1260上に成長させることが可能である。活性層1250は、たとえば、1つまたは複数の量子井戸あるいはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、(たとえば、量子井戸層としての)1つまたは複数のGaInP層および(たとえば、量子障壁層としての)1つまたは複数のAlGaInP層を含むことが可能である。任意選択で、層1240が、活性層1250上に形成されることが可能である。層1240は、電子ブロック層、クラッディング層、または別個の閉じ込め層であることが可能であり、たとえば、真性またはp形AlGaInP層を含むことが可能である。層1240は、活性領域にキャリアを閉じ込め、電子漏れ電流を低減してLEDの効率を改善することが可能である。p型層1230が、層1240上に形成されることが可能である。p型層1230は、たとえば、亜鉛またはマグネシウムでドープされたAlInPまたはAlGaInPを含むことが可能である。n型層1210が、P型層1230上に形成されることが可能である。n型層1210は、たとえば、セレン、シリコン、またはテルルでドープされたAlInP、GaP、GaInP、またはAlGaInP層を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、n型層1210およびp型層1230は、高濃度にドープされることが可能であり、それによって薄い空乏層が、トンネル接合1220を形成するために、n型層1210とp型層1230との間に形成されることが可能である。いくつかの実施形態においては、より高いバンドギャップの材料を含むトンネル障壁層が、トンネル接合1220を形成するために、n型層1210とp型層1230との間に形成されることが可能である。トンネル接合1220は、キャリア障壁層としての機能を果たすことが可能である。電極層1205が、n型層1210上に形成されることが可能である。電極層1205は、たとえば、金属層(たとえば、Al、Au、Ni、Ti、またはそれらの任意の組合せ)、あるいは酸化インジウムスズ(ITO)またはAl/Ni/Au膜を含むことが可能である。パッシベーション層1290が、マイクロLED1200の側壁上に形成されることが可能である。パッシベーション層1290は、酸化物層(たとえば、SiO層)または別の誘電体層を含むことが可能であり、上述されているようなマイクロLED1200からの放出された光を反射するための反射器としての役割を果たすことが可能である。図12は垂直メサ構造を示すが、マイクロLED1200は、円錐の、放物線状の、内側に傾けられた、または外側に傾けられたメサ形状など、異なるメサ形状を含むことが可能である。
【0109】
図12において示されているマイクロLED1200において、n型層1210、p型層1230、およびn型層1260は、NPN構造を形成することが可能である。マイクロLED1200が、順方向にバイアスされたとき、トンネル接合1220は、逆方向にバイアスされることが可能である。逆方向バイアスは、トンネル接合にわたって電子をトンネリングするための好都合なバンド位置合わせをもたらすことが可能であり、これは、活性層1250に正孔を効果的に注入する。電極層1205は、スパイク、フィラメント、テーパード先端、V字形構造、または別のサブミクロン構造など、構造1206を含むことが可能である。したがって、高い電圧信号が、電極層1205に印加されたとき、構造1206とn型層1210との間の小さい局在化接触により、高電界が、構造1206の近くの局在化領域において構築されることが可能であり、これは、トンネル接合1220を通じて小さい局在化トンネルを生成することが可能である。局在化トンネルは、マイクロLED1200の横方向の直線寸法(たとえば、図12において示されているメサ構造の横方向の直線寸法)の約1/2、1/3、1/4、1/5、1/8、1/10未満またはそれ未満である横方向の直線寸法を有することが可能である。したがって、キャリアは、小さい局在化トンネルを通じて活性層1250に注入されることが可能であるのみであり、活性層1250における局在化領域において再結合して光子を放出することが可能である。放出された光子は、パッシベーション層1290によって反射されることが可能であり、上からマイクロLED1200を出ることが可能である。電子と比較して、正孔のより低い移動性により、活性層1255における再結合の中心は、p型層1230(または層1240)および局在化されたブレークスルー領域の近くにあることが可能である。
【0110】
マイクロLED1200は、トンネル接合1220と活性層1250との間の距離が、キャリア拡散長の約2倍未満、およそキャリア拡散長未満、1ミクロン未満、または数百ナノメートル未満など、数キャリア拡散長未満であることが可能であるように構成されることが可能である。たとえば、p型層1230および層1240は、薄いことがある。したがって、小さい局在化トンネルを通じて活性層1250に注入されたキャリアは、拡散しないことが可能であるか、またはキャリアが再結合して光子を放出する前に水平方向に短い距離だけ拡散することが可能であるのみである。したがって、注入されたキャリアは、活性層1250の側壁領域に到達しないことが可能であり、ひいては非放射表面再結合は、低減されることが可能であり、量子効率は、改善されることが可能である。
【0111】
上述されているように、他の技術も、キャリア注入を局在化するために使用されることが可能である。たとえば、ヘテロ接合が、障壁層として使用されることが可能であり、小さい局在化領域に電流を閉じ込めるための小さい電極構造(たとえば、構造1176または1206)と組み合わせて使用されることが可能である。別の例において、電流開口は、小さい酸化されていない領域を有する選択的に酸化された層を使用して形成されることが可能である。別の例において、電流開口は、半導体層における選択的イオン注入によって形成されることが可能である。また別の例において、電流開口は、半導体層における選択的エッチングによって形成されることが可能である。電流開口は、マイクロLEDの横方向の直線寸法(たとえば、マイクロLEDのメサ構造の横方向の直線寸法)の約1/2、1/3、1/4、1/5、1/8、1/10未満またはそれ未満である横方向の直線寸法を有することが可能である。
【0112】
追加として、または代替として、いくつかの実施形態においては、マイクロLED1105またはマイクロLED1200など、マイクロLEDにおける量子井戸層および/または量子障壁層は、pドープされることが可能である。たとえば、活性層(たとえば、量子井戸層)は、亜鉛またはマグネシウムで低濃度にpドープされることが可能である。いくつかの実施形態においては、活性層は、量子井戸内のアクセプタ濃度の積分が、量子井戸の側壁表面エリアにわたる表面状態密度の積分に等しいかまたはそれよりも高いことが可能であるようにpドープされることが可能である。たとえば、ドーピング濃度は、約5×1017/cmと約1×1019/cmとの間など、約1017/cmまたはそれより高いことが可能である。活性領域は、均一におよび低濃度にドープされるので、マイクロLEDは、性能劣化を受けないことが可能である。pドープされた活性層は、注入されたキャリア(たとえば、正孔)のメサ側壁領域への横方向拡散を抑制することが可能であり、それによって、小さい電流開口から活性層1155または1250に注入されたキャリアは、活性層1155または1250内の小さい領域にとどまることが可能である。たとえば、活性層1155または1250における低濃度pドーピングは、活性層1155または1250において正孔空乏領域を形成することが可能である。正孔空乏領域は、メサ側壁領域への正孔の拡散を低減することが可能である。Pドーピングはまた、メサ側壁領域におけるキャリアの濃度を低減するようにメサ側壁領域の近くの活性層のエネルギーバンドを好都合に変更することが可能であり、これにより、表面再結合を低減する。いくつかの実施形態においては、量子障壁層はまた、正孔輸送を改善し、量子井戸における正孔注入の効率を増加させるために、pドープされることが可能である。
【0113】
図13Aは、nドープされた活性層のバンド図の例を示す。nドーピングは、nドープされた活性層の側壁表面において伝導帯1310および価電子帯1320におけるバンドベンディングを引き起こすことが可能である。nドープされた活性層の側壁表面におけるバンドベンディングにより、側壁表面におけるフェルミ準位1330は、欠陥によって形成されたトラップ状態1340の近くにあることがある。したがって、nドープされた活性層の側壁表面における正孔の濃度は、高い非放射表面再結合を引き起こすほどに高くなることがある。
【0114】
図13Bは、pドープされた活性層のバンド図の例を示す。pドーピングは、pドープされた活性層の側壁表面において伝導帯1360および価電子帯1370におけるバンドベンディングを引き起こすことが可能である。pドープされた活性層の側壁表面におけるバンドベンディングにより、側壁表面におけるフェルミ準位1380は、欠陥によって形成されたトラップ状態1390からさらに遠く離れていることが可能である。したがって、側壁表面における正孔濃度は、低減されることが可能であり、ひいては非放射表面再結合は、低減されることが可能である。
【0115】
小さい電流開口を通じた局在化キャリア注入および/または活性層におけるpドーピングによる活性層におけるキャリア拡散の抑圧により、キャリアは、活性層における側壁表面から離れた領域に閉じ込められることが可能である。活性領域における電流局在化はまた、半導体の自己発熱を引き起こすことが可能であり、これも、より高い温度における低減されたキャリア移動性および拡散性により、温度が増加するにつれて、活性領域における側壁へのキャリアの拡散を低減することが可能である。加えて、電流閉じ込めおよび局在化により、発光は、小さい局在化領域において発生することが可能であり、これは、マイクロLEDからのより効率的な光アウトカップリングを促進することが可能である。
【0116】
図14Aは、特定の実施形態による、AlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の電流電圧(I-V)曲線の例を示す図1400を含む。マイクロLEDは、たとえば、マイクロLED1105に関して上述されているような構成を有することが可能であり、サイリスタを含むことが可能である。曲線1410は、バイアス電圧が徐々に増加されたときのマイクロLEDのI-V曲線を示す。曲線1420は、バイアス電圧が徐々に減少されたときのマイクロLEDのI-V曲線を示す。曲線1410および1420は、マイクロLEDが、サイリスタと同様のやり方で挙動することが可能であることを示す。示されているように、順方向バイアス電圧が、約3.5Vから増加するとき、マイクロLEDは、順方向遮断モードにあることが可能であり、この場合、順方向漏れ電流は、順方向バイアス電圧が約5Vの近くにあるブレークダウン電圧1405に到達し、電流がラッチング電流1430(たとえば、約2μA)に到達するまで増加することが可能である。ブレークダウン電圧1405において、マイクロLEDは、オンにされることが可能であり、順方向バイアス電圧は、著しく低減することが可能であり、その一方で、電流は、およそラッチング電流1430に維持されることが可能である。マイクロLEDがオンである間に順方向バイアス電圧が増加するとき、電流は、より高いレベル(たとえば、10μA)に増加することが可能であり、その一方で、順方向バイアス電圧は、相対的に低い(たとえば、約2.5Vを下回る)ままである。マイクロLEDは、電流が保持電流1440を下回る(たとえば、約2μAを下回る)レベルにバイアス電圧が低下するまで、オンのままであることが可能である。
【0117】
図14Bは、特定の実施形態による、注入された電流に応じた、図14Aにおいて示されているAlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の外部量子効率を示す図1450を含む。曲線1460は、バイアス電圧が増加されたときのマイクロLEDの外部量子効率と注入された電流との間の関係を示す。曲線1460は、バイアス電圧が減少されたときのマイクロLEDの外部量子効率と注入された電流との間の関係を示す。図14Bは、順方向バイアス電圧がブレークダウン電圧(たとえば、約5V)を超え、電流が(たとえば、2μAを上回る)ラッチング電流に到達した後、マイクロLEDがオンにされたとき、外部量子効率は、高い最大値に到達することが可能であることを示す。マイクロLEDがオンのままであり、バイアス電圧が増加するとき、外部量子効率は減少し始めることがあり、これは、auger再結合による損失が、アクション層における小さい局在化領域における高い電流密度により増加することがあることを示す。
【0118】
図15Aは、特定の実施形態による、注入された電流に応じた、図14Aにおいて示されているAlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の放出された光の出力強度を示す図1500を含む。曲線1510は、バイアス電圧が増加されたときのマイクロLEDの放出された光の出力強度と注入された電流との間の関係を示す。曲線1520は、バイアス電圧が減少されたときのマイクロLEDの放出された光の出力強度と注入された電流との間の関係を示す。図15Aは、順方向バイアス電圧がブレークダウン電圧を超え、電流が(たとえば、2μAを上回る)ラッチング電流に到達した後、マイクロLEDがオンにされたとき、出力強度は、著しく増加(たとえば、10倍よりも大きく急増)することが可能であることを示す。マイクロLEDがオンのままであり、バイアス電圧がさらに増加するとき、放出された光の出力強度は増加し続けることが可能であるが、外部量子効率は減少することがある。
【0119】
図15Bは、特定の実施形態による、別々の電流レベルにおける、図14Aにおいて示されているAlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の放出された光の正規化された出力スペクトルを示す図1550を含む。曲線1560は、注入された電流が、0.5μA、0.8μA、および1μAにあるときの放出された光の出力スペクトルを示す。曲線1570は、注入された電流が、3μA、5μA、8μA、20μA、30μA、および50μAにあるなど、ラッチング電流を上回るときの放出された光の出力スペクトルを示す。図15Bは、注入された電流が1μAから3μAに増加したとき、動作モード遷移があることを示し、この場合、放出された光の中心波長は、より長い波長(たとえば、約10ナノメートル)にシフトすることが可能であり、出力スペクトルは、著しく広くなることが可能である。
【0120】
図16は、特定の実施形態による、図14Aにおいて示されているAlGaInPベースの赤色マイクロLEDの例の発光パターンの画像1600を含む。マイクロLEDのメサ構造のエリアが、円1610によって示されている。中心電極接触領域が、円1620によって示されている。画像1600は、発光が、中心電極接触領域からオフセットしている小さい領域1630に非常に局在化されることを示す。
【0121】
上述されているLEDの1次元または2次元アレイは、光源(たとえば、光源642)を形成するためにウェハ上に製造されることが可能である。ドライバ回路(たとえば、ドライバ回路644)は、たとえば、CMOSプロセスを使用してシリコンウェハ上に製作されることが可能である。ウェハ上のLEDおよびドライバ回路は、ダイシングされてからともに接合されることが可能であり、またはウェハレベルで接合されてからダイシングされることが可能である。LEDおよびドライバ回路を接合するためには、接着接合、金属対金属接合、金属酸化物接合、ウェハ対ウェハ接合、ダイ対ウェハ接合、ハイブリッド接合等など、さまざまな接合技術が使用されることが可能である。
【0122】
図17Aは、特定の実施形態による、LEDのアレイのためのダイ対ウェハ接合の方法の例を示している。図17Aにおいて示されている例においては、LEDアレイ1701が、キャリア基板1705上に複数のLED1707を含むことが可能である。キャリア基板1705は、GaAs、InP、GaN、AlN、サファイア、SiC、Si等など、さまざまな材料を含むことが可能である。たとえば、接合を実行する前に、さまざまなエピタキシャル層を成長させ、メサ構造を形成し、電気接点または電極を形成することによって、LED1707が製作されることが可能である。エピタキシャル層は、GaN、InGaN、(AlGaIn)P、(AlGaIn)AsP、(AlGaIn)AsN、(AlGaIn)Pas、(Eu:InGa)N、(AlGaIn)N等など、さまざまな材料を含むことが可能であり、n型層と、p型層と、1つまたは複数の量子井戸またはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を含む活性層とを含むことが可能である。電気接点は、金属または金属合金など、さまざまな導電性材料を含むことが可能である。
【0123】
ウェハ1703がベース層1709を含むことが可能であり、ベース層2609は、その上に製作された受動または能動集積回路(たとえば、ドライバ回路1711)を有する。ベース層1709は、たとえば、シリコンウェハを含むことが可能である。ドライバ回路1711は、LED1707のオペレーションを制御するために使用されることが可能である。たとえば、それぞれのLED1707のためのドライバ回路は、2つのトランジスタと1つのコンデンサとを有する2T1Cピクセル構造を含むことが可能である。ウェハ1703は、接合層1713を含むことも可能である。接合層1713は、金属、酸化物、誘電体、CuSn、AuTi等など、さまざまな材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、パターン化された層1715が接合層1713の表面上に形成されることが可能であり、この場合、パターン化された層1715は、Cu、Ag、Au、Al等などの導電性材料で作られた金属グリッドを含むことが可能である。
【0124】
LEDアレイ1701は、接合層1713またはパターン化された層1715を介してウェハ1703に接合されることが可能である。たとえば、パターン化された層1715は、CuSn、AuSn、またはナノポーラスAuなど、さまざまな材料で作られた金属パッドまたはバンプを含むことが可能であり、これらは、LEDアレイ1701のLED1707をウェハ1703上の対応するドライバ回路1711と位置合わせするために使用されることが可能である。一例においては、ドライバ回路1711に対応するそれぞれの金属パッドまたはバンプとLED1707が接触するまで、LEDアレイ1701をウェハ1703へ近づけることが可能である。LED1707のうちのいくつかまたは全ては、ドライバ回路1711と位置合わせされることが可能であり、次いで金属対金属接合などのさまざまな接合技術によって、パターン化された層1715を介してウェハ1703に接合されることが可能である。LED1707がウェハ1703に接合された後に、キャリア基板1705は、LED1707から除去されることが可能である。
【0125】
図17Bは、特定の実施形態による、LEDのアレイのためのウェハ対ウェハ接合の方法の例を示している。図17Bにおいて示されているように、第1のウェハ1702が、基板1704、第1の半導体層1706、活性層1708、および第2の半導体層1710を含むことが可能である。基板1704は、GaAs、InP、GaN、AlN、サファイア、SiC、Si等など、さまざまな材料を含むことが可能である。第1の半導体層1706、活性層1708、および第2の半導体層1710は、GaN、InGaN、(AlGaIn)P、(AlGaIn)AsP、(AlGaIn)AsN、(AlGaIn)Pas、(Eu:InGa)N、(AlGaIn)N等など、さまざまな半導体材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、第1の半導体層1706は、n型層であることが可能であり、第2の半導体層1710は、p型層であることが可能である。たとえば、第1の半導体層1706は、(たとえば、SiまたはGeでドープされている)nドープGaN層であることが可能であり、第2の半導体層1710は、(たとえば、Mg、Ca、Zn、またはBeでドープされている)pドープGaN層であることが可能である。活性層1708は、たとえば、1つまたは複数の量子井戸またはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、1つまたは複数のGaN層、1つまたは複数のInGaN層、1つまたは複数のAlGaInP層などを含むことが可能である。
【0126】
いくつかの実施形態においては、第1のウェハ1702は、接合層を含むことも可能である。接合層1712は、金属、酸化物、誘電体、CuSn、AuTi等など、さまざまな材料を含むことが可能である。一例においては、接合層1712は、p接点および/またはn接点(図示せず)を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、基板1704と第1の半導体層1706との間におけるバッファ層など、その他の層が第1のウェハ1702上に含まれることも可能である。バッファ層は、多結晶GaNまたはAlNなど、さまざまな材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、第2の半導体層1710と接合層1712との間に接触層があることが可能である。接触層は、第2の半導体層1710および/または第1の半導体層1706に電気接触を提供するための任意の適切な材料を含むことが可能である。
【0127】
第1のウェハ1702は、接合層1713および/または接合層1712を介して、上述されているようにドライバ回路1711と接合層1713とを含むウェハ1703に接合されることが可能である。接合層1712および接合層1713は、同じ材料または別々の材料で作られることが可能である。接合層1713および接合層1712は、実質的に平らであることが可能である。第1のウェハ1702は、金属対金属接合、共晶接合、金属酸化物接合、陽極接合、熱圧縮接合、紫外線(UV)接合、および/または融着接合など、さまざまな方法によってウェハ1703に接合されることが可能である。
【0128】
図17Bにおいて示されているように、第1のウェハ1702は、第1のウェハ1702のp側(たとえば、第2の半導体層1710)が下へ(すなわち、ウェハ1703の方へ)向いている状態でウェハ1703に接合されることが可能である。接合後に、基板1704は、第1のウェハ1702から除去されることが可能であり、第1のウェハ1702は、次いでn側から処理されることが可能である。その処理は、たとえば、個々のLEDのための特定のメサ形状の形成、ならびに個々のLEDに対応する光学部品の形成を含むことが可能である。
【0129】
図18A図18Dは、特定の実施形態による、LEDのアレイのためのハイブリッド接合の方法の例を示している。ハイブリッド接合は一般に、ウェハの洗浄および活性化、あるウェハの接点と別のウェハの接点との高精度な位置合わせ、室温でのウェハの表面における誘電材料の誘電接合、ならびに高温でのアニーリングによる接点の金属接合を含むことが可能である。図18Aは、その上に製造された受動または能動回路1820を備えた基板1810を示している。図8A図8Bに関連して上述されているように、基板1810は、たとえば、シリコンウェハを含むことが可能である。回路1820は、LEDのアレイのためのドライバ回路を含むことが可能である。接合層は、電気相互接続1822を通じて回路1820に接続されている誘電領域1840および接触パッド1830を含むことが可能である。接触パッド1830は、たとえば、Cu、Ag、Au、Al、W、Mo、Ni、Ti、Pt、Pdなどを含むことが可能である。誘電領域1840における誘電材料は、SiCN、SiO、SiN、Al、HfO、ZrO、Taなどを含むことが可能である。接合層は、たとえば化学機械研磨を使用して、平坦化および研磨されることが可能であり、その平坦化または研磨は、接触パッドにおけるディッシング(ボウルのような外形)をもたらす可能性がある。接合層の表面は、たとえばイオン(たとえばプラズマ)または高速原子(たとえばAr)ビーム1805によって、洗浄および活性化されることが可能である。活性化された表面は、原子的に清浄であることが可能であり、ウェハどうしが、たとえば室温で、接触させられた際のそれらのウェハどうしの間における直接接合の形成に対して反応性が高いことが可能である。
【0130】
図18Bは、たとえば、図7A、7B、17Aおよび17Bに関連して上述されているようにその上に製作されたマイクロLED1870のアレイを含むウェハ1850を示している。ウェハ1850は、キャリアウェハであることが可能であり、たとえば、GaAs、InP、GaN、AlN、サファイア、SiC、Siなどを含むことが可能である。マイクロLED1870は、ウェハ1850上にエピタキシャルに成長させられたn型層、活性領域、およびp型層を含むことが可能である。エピタキシャル層は、上述されているさまざまなIII-V半導体材料を含むことが可能であり、p型層側から処理されて、実質的に垂直な構造、放物線状の構造、円錐状の構造等など、エピタキシャル層におけるメサ構造をエッチングすることが可能である。パッシベーション層および/または反射層が、メサ構造の側壁上に形成されることが可能である。p接点1880およびn接点1882が、メサ構造上に堆積された誘電材料層1860において形成されることが可能であり、それぞれ、p型層およびn型層との電気接触を形成することが可能である。誘電材料層1860における誘電材料は、たとえば、SiCN、SiO、SiN、Al、HfO、ZrO、Taなどを含むことが可能である。p接点1880およびn接点1882は、たとえば、Cu、Ag、Au、Al、W、Mo、Ni、Ti、Pt、Pdなどを含むことが可能である。p接点1880、n接点1882、および誘電材料層1860の上面は、接合層を形成することが可能である。接合層は、たとえば化学機械研磨を使用して、平坦化および研磨されることが可能であり、その場合、研磨は、p接点1880およびn接点1882におけるディッシングをもたらす可能性がある。接合層は次いで、たとえばイオン(たとえばプラズマ)または高速原子(たとえばAr)ビーム1815によって、洗浄および活性化されることが可能である。活性化された表面は、原子的に清浄であることが可能であり、ウェハどうしが、たとえば室温で、接触させられた際のそれらのウェハどうしの間における直接接合の形成に対して反応性が高いことが可能である。
【0131】
図18Cは、接合層における誘電材料どうしを接合するための室温接合プロセスを示している。たとえば、誘電領域1840と接触パッド1830とを含む接合層と、p接点1880と、n接点1882と、誘電材料層1860とを含む接合層とが表面活性化された後に、ウェハ1850およびマイクロLED1870は、逆さまにされて、基板1810およびその上に形成されている回路と接触させられることが可能である。いくつかの実施形態においては、圧縮圧力1825が、基板1810およびウェハ1850に印加されることが可能であり、それによって接合層どうしは、互いに押し付けられる。接点における表面活性化およびディッシングに起因して、誘電領域1840および誘電材料層1860は、表面引力のために直接接触状態にあることが可能であり、それらの間において反応して化学接合を形成することが可能である。なぜなら、表面原子がダングリングボンドを有することが可能であり、活性化後に不安定なエネルギー状態にあることが可能であるからである。したがって、誘電領域1840および誘電材料層1860における誘電材料どうしは、熱処理または圧力の有無にかかわらず、ともに接合されることが可能である。
【0132】
図18Dは、接合層における誘電材料どうしを接合した後に接合層における接点どうしを接合するためのアニーリングプロセスを示している。たとえば、接触パッド1830と、p接点1880またはn接点1882とは、たとえば約200~400℃以上での、アニーリングによってともに接合されることが可能である。アニーリングプロセス中に、熱1835が、接点を誘電材料よりも大きく膨張させることが可能であり(別々の熱膨張係数に起因して)、ひいては、接点どうしの間におけるディッシングギャップを閉じることが可能であり、それによって接触パッド1830と、p接点1880またはn接点1882とが接触状態になることが可能であり、活性化された表面において直接金属接合を形成することが可能である。
【0133】
2つの接合されるウェハが、別々の熱膨張係数(CTE)を有する材料を含むいくつかの実施形態においては、室温で接合される誘電材料どうしは、別々の熱膨張によって引き起こされる接触パッドどうしの位置ずれを低減または防止する上で役立つことが可能である。いくつかの実施形態においては、アニーリング中の高温での接触パッドの位置ずれをさらに低減または回避するために、接合前に、マイクロLEDどうしの間において、マイクロLEDのグループどうしの間において、基板の一部または全部を通じて、といった具合にトレンチが形成されることが可能である。
【0134】
マイクロLEDがドライバ回路に接合された後に、マイクロLEDが製作されている基板は、薄くされることまたは除去されることが可能であり、さまざまな二次光学部品が、マイクロLEDの発光表面上に製作されて、たとえば、マイクロLEDの活性領域から放出された光を抽出すること、コリメートすること、および向け直すことが可能である。一例においては、マイクロレンズがマイクロLED上に形成されることが可能であり、この場合、それぞれのマイクロレンズは、それぞれのマイクロLEDに対応することが可能であり、光抽出効率を改善する上で、およびマイクロLEDによって放出された光をコリメートする上で役立つことが可能である。いくつかの実施形態においては、二次光学部品は、マイクロLEDの基板またはn型層において製作されることが可能である。いくつかの実施形態においては、二次光学部品は、マイクロLEDのn型側に堆積された誘電層において製作されることが可能である。二次光学部品の例は、レンズ、格子、反射防止(AR)コーティング、プリズム、フォトニック結晶などを含むことが可能である。
【0135】
図19は、特定の実施形態による、その上に製作された二次光学部品を備えたLEDアレイ1900の例を示している。LEDアレイ1900は、たとえば、図17A図18Dに関連して上述されている任意の適切な接合技術を使用して、LEDチップまたはウェハを、その上に製作された電気回路を含むシリコンウェハと接合することによって作られることが可能である。図19において示されている例においては、LEDアレイ1900は、図18A図18Dに関連して上述されているウェハ対ウェハハイブリッド接合技術を使用して接合されることが可能である。LEDアレイ1900は、基板1910を含むことが可能であり、基板1910は、たとえば、シリコンウェハであることが可能である。LEDドライバ回路などの集積回路1920が、基板1910上に製作されることが可能である。集積回路1920は、相互接続1922および接触パッド1930を通じてマイクロLED1970のp接点1974およびn接点1972に接続されることが可能であり、この場合、接触パッド1930は、p接点1974およびn接点1972と金属接合を形成することが可能である。基板1910上の誘電層1940が、融着接合を通じて誘電層1960に接合されることが可能である。
【0136】
LEDチップまたはウェハの基板(図示せず)は、マイクロLED1970のn型層1950を露出させるために薄くされることが可能であり、または除去されることが可能である。球面マイクロレンズ1982、格子1984、マイクロレンズ1986、反射防止層1988等など、さまざまな二次光学部品が、n型層1950の中または上に形成されることが可能である。たとえば、グレースケールマスクと、暴露光に対して線形応答を有するフォトレジストとを使用して、またはパターン化されたフォトレジスト層の熱リフローによって形成されたエッチマスクを使用して、球面マイクロレンズアレイがマイクロLED1970の半導体材料にエッチングされることが可能である。二次光学部品は、同様のフォトリソグラフィー技術またはその他の技術を使用して、n型層1950上に堆積された誘電層にエッチングされることも可能である。たとえば、マイクロレンズアレイは、バイナリーマスクを使用してパターン化されるポリマー層の熱リフローを通じてポリマー層において形成されることが可能である。ポリマー層におけるマイクロレンズアレイは、二次光学部品として使用されることが可能であり、またはマイクロレンズアレイの外形を誘電層もしくは半導体層へと転写するためのエッチマスクとして使用されることが可能である。誘電層は、たとえば、SiCN、SiO、SiN、Al、HfO、ZrO、Taなどを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、マイクロLED1970は、マイクロレンズおよび反射防止コーティング、半導体材料にエッチングされたマイクロレンズおよび誘電材料層にエッチングされたマイクロレンズ、マイクロレンズおよび格子、球面レンズおよび非球面レンズ等など、複数の対応する二次光学部品を有することが可能である。マイクロLED1970上に形成されることが可能である二次光学部品のいくつかの例を示すために、3つの異なる二次光学部品が図19において示されており、これは、別々の二次光学部品があらゆるLEDアレイに対して同時に使用されるということを必ずしも意味しない。
【0137】
本明細書で開示される実施形態は、人工現実システムの構成要素を実装するために使用されることが可能であるか、または、人工現実システムとともに実装されることが可能である。人工現実は、ユーザへの提示の前にいくつかの様式で調節された現実の形式であり、たとえば、仮想現実、拡張現実、複合現実、ハイブリッドリアリティ、または、そのいくつかの組合せおよび/もしくは派生語を含むことが可能である。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、または、キャプチャされた(たとえば、現実世界の)コンテンツと結合して生成されたコンテンツを含むことが可能である。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触感フィードバック、またはそのいくつかの組合せを含むことが可能であり、これらのいずれかが、単一のチャネルで、または、複数のチャネル(鑑賞者への3次元効果を生み出すステレオビデオなど)で提示されることが可能である。加えて、いくつかの実施形態においては、人工現実はまた、たとえば、人工現実におけるコンテンツを作り出すために使用される、および/または、さもなければ、人工現実において使用される(たとえば、人工現実における活動を実施する)、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそのいくつかの組合せに関連付けられることが可能である。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたHMD、スタンドアロンのHMD、モバイルデバイスもしくはコンピューティングシステム、または、人工現実コンテンツを1人もしくは複数の鑑賞者に提供可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含むさまざまなプラットフォーム上で実装されることが可能である。
【0138】
図20は、本明細書において開示されている例のうちのいくつかを実施するための例示的なニアアイディスプレイ(たとえば、HMDデバイス)の例示的な電子システム2000の簡略化されたブロック図である。電子システム2000は、上述されているHMDデバイスまたはその他のニアアイディスプレイの電子システムとして使用されることが可能である。この例においては、電子システム2000は、1つまたは複数のプロセッサ2010と、メモリ2020とを含むことが可能である。プロセッサ2010は、複数のコンポーネントにおいてオペレーションを実行するための命令を実行するように構成されることが可能であり、たとえば、ポータブル電子デバイス内での実施に適した汎用プロセッサまたはマイクロプロセッサであることが可能である。プロセッサ2010は、電子システム2000内の複数のコンポーネントと通信可能に結合されることが可能である。この通信可能な結合を実現するために、プロセッサ2010は、バス2040を介してその他の示されているコンポーネントと通信することが可能である。バス2040は、電子システム2000内でデータを転送するように適合されている任意のサブシステムであることが可能である。バス2040は、データを転送するための複数のコンピュータバスおよび追加の回路を含むことが可能である。
【0139】
メモリ2020は、プロセッサ2010に結合されることが可能である。いくつかの実施形態においては、メモリ2020は、短期および長期の両方の格納を提供することが可能であり、いくつかのユニットへと分割されることが可能である。メモリ2020は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)および/もしくはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など、揮発性であること、ならびに/または読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等など、不揮発性であることが可能である。さらにメモリ2020は、セキュアデジタル(SD)カードなど、取り外し可能なストレージデバイスを含むことが可能である。メモリ2020は、電子システム2000に関するコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、およびその他のデータの格納を提供することが可能である。いくつかの実施形態においては、メモリ2020は、別々のハードウェアモジュールへと分散されることが可能である。命令のセットおよび/またはコードが、メモリ2020上に格納されることが可能である。命令は、電子システム2000によって実行可能であり得る実行可能コードの形態を取ることが可能であり、ならびに/またはソースおよび/もしくはインストール可能コードの形態を取ることが可能であり、これは、(たとえば、さまざまな一般的に利用可能なコンパイラ、インストレーションプログラム、圧縮/解凍ユーティリティーなどのいずれかを使用した)電子システム2000上でのコンパイルおよび/またはインストール時に、実行可能コードの形態を取ることが可能である。
【0140】
いくつかの実施形態においては、メモリ2020は、複数のアプリケーションモジュール2022~2024を格納することが可能であり、これらは、任意の数のアプリケーションを含むことが可能である。アプリケーションの例は、ゲーミングアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、またはその他の適切なアプリケーションを含むことが可能である。アプリケーションは、奥行き感知機能またはアイトラッキング機能を含むことが可能である。アプリケーションモジュール2022~2024は、プロセッサ2010によって実行されることになる特定の命令を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、アプリケーションモジュール2022~2024のうちの特定のアプリケーションまたは部分は、その他のハードウェアモジュール2080によって実行可能であり得る。特定の実施形態においては、メモリ2020は、セキュアなメモリを追加で含むことが可能であり、これは、セキュアな情報に対するコピーまたはその他の不正アクセスを防止するための追加のセキュリティー制御を含むことが可能である。
【0141】
いくつかの実施形態においては、メモリ2020は、その中にロードされているオペレーティングシステム2025を含むことが可能である。オペレーティングシステム2025は、アプリケーションモジュール2022~2024によって提供される命令の実行を開始するように、ならびに/またはその他のハードウェアモジュール2080と、1つまたは複数のワイヤレストランシーバを含むことが可能であるワイヤレス通信サブシステム2030とのインターフェースとを管理するように動作可能であり得る。オペレーティングシステム2025は、スレッド化、リソース管理、データストレージ制御、およびその他の同様の機能性を含めて、電子システム2000のコンポーネントどうしにわたるその他のオペレーションを実行するように適合されることが可能である。
【0142】
ワイヤレス通信サブシステム2030は、たとえば、赤外線通信デバイス、ワイヤレス通信デバイスおよび/もしくはチップセット(Bluetooth(登録商標)デバイス、IEEE802.11デバイス、Wi-Fiデバイス、WiMAXデバイス、セルラー通信設備等など)、ならびに/または同様の通信インターフェースを含むことが可能である。電子システム2000は、ワイヤレス通信のための1つまたは複数のアンテナ2034を、ワイヤレス通信サブシステム2030の一部として、またはシステムのいずれかの部分に結合されている別個のコンポーネントとして含むことが可能である。所望の機能性に応じて、ワイヤレス通信サブシステム2030は、ベーストランシーバステーションならびにその他のワイヤレスデバイスおよびアクセスポイントと通信するための別個のトランシーバを含むことが可能であり、その通信は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、またはワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)など、さまざまなデータネットワークおよび/またはネットワークタイプと通信することを含むことが可能である。WWANは、たとえば、WiMax(IEEE802.16)ネットワークであることが可能である。WLANは、たとえば、IEEE802.11xネットワークであることが可能である。WPANは、たとえば、Bluetoothネットワーク、IEEE802.15x、またはいくつかのその他のタイプのネットワークであることが可能である。本明細書において記述されている技術は、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組合せのために使用されることも可能である。ワイヤレス通信サブシステム2030は、ネットワーク、その他のコンピュータシステム、および/または、本明細書において記述されているその他の任意のデバイスとの間でデータがやり取りされることを許可することが可能である。ワイヤレス通信サブシステム2030は、アンテナ2034およびワイヤレスリンク2032を使用して、HMDデバイスの識別子、位置データ、地理的マップ、ヒートマップ、写真、またはビデオなどのデータを送信または受信するための手段を含むことが可能である。ワイヤレス通信サブシステム2030、プロセッサ2010、およびメモリ2020はともに、本明細書において開示されているいくつかの機能を実行するための手段のうちの1つまたは複数の少なくとも一部を含むことが可能である。
【0143】
電子システム2000の実施形態は、1つまたは複数のセンサ2090を含むことも可能である。センサ2090は、たとえば、画像センサ、加速度計、圧力センサ、温度センサ、近接センサ、磁力計、ジャイロスコープ、慣性センサ(たとえば、加速度計とジャイロスコープとを組み合わせるモジュール)、環境光センサ、または、奥行きセンサもしくは位置センサなど、感覚出力を提供するように、および/もしくは感覚入力を受信するように動作可能なその他の任意の同様のモジュールを含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施態様においては、センサ2090は、1つもしくは複数の慣性測定ユニット(IMU)および/または1つもしくは複数の位置センサを含むことが可能である。IMUは、位置センサのうちの1つまたは複数から受信された測定信号に基づいて、HMDデバイスの初期位置に対するHMDデバイスの推定位置を示す較正データを生成することが可能である。位置センサは、HMDデバイスの動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成することが可能である。位置センサの例は、1つもしくは複数の加速度計、1つもしくは複数のジャイロスコープ、1つもしくは複数の磁力計、動きを検知する別の適切なタイプのセンサ、IMUのエラー訂正のために使用されるタイプのセンサ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能であるが、それらには限定されない。位置センサは、IMUの外部に、IMUの内部に、またはそれらの任意の組合せで配置されることが可能である。少なくともいくつかのセンサは、感知のために、構造化された光パターンを使用することが可能である。
【0144】
電子システム2000は、ディスプレイモジュール2060を含むことが可能である。ディスプレイモジュール2060は、ニアアイディスプレイであることが可能であり、画像、ビデオ、およびさまざまな指示などの情報を電子システム2000からユーザにグラフィカルに提示することが可能である。そのような情報は、1つもしくは複数のアプリケーションモジュール2022~2024、仮想現実エンジン2026、1つもしくは複数のその他のハードウェアモジュール2080、それらの組合せ、または、ユーザのためのグラフィカルコンテンツを解像するためのその他の任意の適切な手段(たとえば、オペレーティングシステム2025によって)から導出されることが可能である。ディスプレイモジュール2060は、LCDテクノロジー、LEDテクノロジー(たとえば、OLED、ILED、μ-LED、AMOLED、TOLEDなどを含む)、発光ポリマーディスプレイ(LPD)テクノロジー、またはその他の何らかのディスプレイテクノロジーを使用することが可能である。
【0145】
電子システム2000は、ユーザ入力/出力モジュール2070を含むことが可能である。ユーザ入力/出力モジュール2070は、ユーザがアクション要求を電子システム2000へ送信することを可能にすることができる。アクション要求は、特定のアクションを実行するための要求であることが可能である。たとえば、アクション要求は、アプリケーションを開始することもしくは終了すること、またはアプリケーション内で特定のアクションを実行することであることが可能である。ユーザ入力/出力モジュール2070は、1つまたは複数の入力デバイスを含むことが可能である。例示的な入力デバイスは、タッチスクリーン、タッチパッド、マイクロフォン、ボタン、ダイヤル、スイッチ、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、または、アクション要求を受信して、その受信されたアクション要求を電子システム2000へ通信するためのその他の任意の適切なデバイスを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、ユーザ入力/出力モジュール2070は、電子システム2000から受信された命令に従って触覚フィードバックをユーザに提供することが可能である。たとえば、触覚フィードバックは、アクション要求が受信されたときに、または実行されたときに提供されることが可能である。
【0146】
電子システム2000は、たとえば、ユーザの目の位置を追跡把握する目的で、ユーザの写真またはビデオを撮影するために使用されることが可能であるカメラ2050を含むことが可能である。カメラ2050は、たとえば、VR、AR、またはMRアプリケーションのために、環境の写真またはビデオを撮影するために使用されることも可能である。カメラ2050は、たとえば、数百万または数千万ピクセルを伴う相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサを含むことが可能である。いくつかの実施態様においては、カメラ2050は、3D画像を取り込むために使用されることが可能である2つ以上のカメラを含むことが可能である。
【0147】
いくつかの実施形態においては、電子システム2000は、複数のその他のハードウェアモジュール2080を含むことが可能である。その他のハードウェアモジュール2080のそれぞれは、電子システム2000内の物理的なモジュールであることが可能である。その他のハードウェアモジュール2080のそれぞれは、構造として恒久的に構成されることが可能であるが、その他のハードウェアモジュール2080のうちのいくつかは、特定の機能を実行するように一時的に構成されること、または一時的にアクティブ化されることが可能である。その他のハードウェアモジュール2080の例は、たとえば、オーディオ出力および/または入力モジュール(たとえば、マイクロフォンまたはスピーカー)、近距離無線通信(NFC)モジュール、充電式バッテリー、バッテリー管理システム、有線/ワイヤレスバッテリー充電システムなどを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、その他のハードウェアモジュール2080の1つまたは複数の機能は、ソフトウェアで実施されることが可能である。
【0148】
いくつかの実施形態においては、電子システム2000のメモリ2020は、仮想現実エンジン2026を格納することも可能である。仮想現実エンジン2026は、電子システム2000内のアプリケーションを実行すること、およびHMDデバイスの位置情報、加速度情報、速度情報、予測される今後の位置、またはそれらの任意の組合せをさまざまなセンサから受信することが可能である。いくつかの実施形態においては、仮想現実エンジン2026によって受信された情報は、ディスプレイモジュール2060への信号(たとえば、表示命令)を生成するために使用されることが可能である。たとえば、受信された情報が、ユーザが左を見たことを示している場合には、仮想現実エンジン2026は、仮想環境におけるユーザの動きを反映するHMDデバイスのためのコンテンツを生成することが可能である。加えて、仮想現実エンジン2026は、ユーザ入力/出力モジュール2070から受信されたアクション要求に応答してアプリケーション内でアクションを実行すること、およびフィードバックをユーザに提供することが可能である。提供されるフィードバックは、視覚、可聴、または触覚フィードバックであることが可能である。いくつかの実施態様においては、プロセッサ2010は、仮想現実エンジン2026を実行することが可能である1つまたは複数のGPUを含むことが可能である。
【0149】
さまざまな実施態様においては、上述のハードウェアおよびモジュールは、単一のデバイス上に、または有線もしくはワイヤレス接続を使用して互いに通信することが可能である複数のデバイス上に実装されることが可能である。たとえば、いくつかの実施態様においては、GPU、仮想現実エンジン2026、およびアプリケーション(たとえば、トラッキングアプリケーション)など、いくつかのコンポーネントまたはモジュールは、ヘッドマウントディスプレイデバイスとは別個のコンソール上に実装されることが可能である。いくつかの実施態様においては、1つのコンソールが、複数のHMDに接続されること、または複数のHMDをサポートすることが可能である。
【0150】
代替構成においては、異なるコンポーネントおよび/または追加のコンポーネントが電子システム2000に含まれることが可能である。同様に、それらのコンポーネントのうちの1つまたは複数の機能性は、上述されている様式とは異なる様式でそれらのコンポーネントの間において分散されることが可能である。たとえば、いくつかの実施形態においては、電子システム2000は、ARシステム環境および/またはMR環境など、その他のシステム環境を含むように修正されることが可能である。
【0151】
上で論じられている方法、システム、およびデバイスは、例である。さまざまな実施形態は、必要に応じて、さまざまな手順またはコンポーネントを省略すること、置換すること、または追加することが可能である。たとえば、代替構成においては、記述されている方法は、記述されているのとは異なる順序で実行されることが可能であり、ならびに/またはさまざまな段階が追加されること、省略されること、および/もしくは組み合わされることが可能である。また、特定の実施形態に関して記述されている特徴どうしは、さまざまなその他の実施形態において組み合わされることが可能である。実施形態の別々の態様および要素は、同様の様式で組み合わされることが可能である。また、テクノロジーは進化しており、したがって、要素のうちの多くは例であり、それらの例は、本開示の範囲をそれらの特定の例に限定するものではない。
【0152】
実施形態の徹底的な理解を提供するために、記述においては具体的な詳細が与えられている。しかしながら、実施形態は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施されることが可能である。たとえば、よく知られている回路、プロセス、システム、構造、および技術は、実施形態をわかりにくくすることを回避するために、不必要な詳細を伴わずに示されている。この記述は、例示的な実施形態を提供しているだけであり、本発明の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図されているものではない。むしろ、実施形態についての前述の記述は、さまざまな実施形態を実施するための有効な記述を当業者に提供するであろう。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置においてさまざまな変更が行われることが可能である。
【0153】
また、いくつかの実施形態は、流れ図またはブロック図として示されているプロセスとして記述された。それぞれが、オペレーションを順次プロセスとして記述している場合があるが、オペレーションのうちの多くは、並列にまたは同時に実行されることが可能である。加えて、オペレーションどうしの順序は、並べ替えられることが可能である。プロセスは、図に含まれていない追加のステップを有することが可能である。さらに、これらの方法の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組合せによって実施されることが可能である。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実施される場合には、関連付けられているタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、ストレージメディアなどのコンピュータ可読メディアに格納されることが可能である。プロセッサは、関連付けられているタスクを実行することが可能である。
【0154】
具体的な要件に従って実質的な変更が行われることが可能であるということは当業者にとって明らかであろう。たとえば、カスタマイズされたもしくは専用のハードウェアが使用されることも可能であり、および/または特定の要素が、ハードウェア、ソフトウェア(アプレット等などのポータブルソフトウェアを含む)、もしくは両方で実装されることが可能である。さらに、ネットワーク入力/出力デバイスなどのその他のコンピューティングデバイスへの接続が採用されることが可能である。
【0155】
添付の図を参照すると、メモリを含むことが可能であるコンポーネントは、非一時的なマシン可読メディアを含むことが可能である。「マシン可読メディア」および「コンピュータ可読メディア」という用語は、マシンを特定の様式で動作させるデータを提供することに関与する任意のストレージメディアを指すことが可能である。上で提供されている実施形態においては、さまざまなマシン可読メディアが、実行のために処理ユニットおよび/またはその他のデバイスに命令/コードを提供することに関与することが可能である。追加として、または代替として、マシン可読メディアは、そのような命令/コードを格納および/または搬送するために使用されることが可能である。多くの実施態様においては、コンピュータ可読メディアは、物理的なおよび/または有形のストレージメディアである。そのようなメディアは、不揮発性メディア、揮発性メディア、および送信メディアを含むがそれらには限定されない多くの形態を取ることが可能である。コンピュータ可読メディアの一般的な形態は、たとえば、コンパクトディスク(CD)もしくはデジタル多用途ディスク(DVD)などの磁気および/もしくは光メディア、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有するその他の物理的なメディア、RAM、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュEPROM、その他の任意のメモリチップもしくはカートリッジ、以降で記述されている搬送波、またはコンピュータが命令および/もしくはコードを読み出すことが可能であるその他の任意のメディアを含む。コンピュータプログラム製品は、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、アプリケーション(アプリ)、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラスを表すことが可能であるコードおよび/もしくはマシン実行可能命令、または命令、データ構造、もしくはプログラムステートメントの任意の組合せを含むことが可能である。
【0156】
本明細書において記述されているメッセージを通信するために使用される情報および信号は、さまざまな異なるテクノロジーおよび技術のうちのいずれかを使用して表されることが可能であるということを当業者なら理解するであろう。たとえば、上の記述全体を通して参照されることが可能であるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは粒子、光場もしくは粒子、またはそれらの任意の組合せによって表されることが可能である。
【0157】
本明細書において使用される「および」および「または」という用語は、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存することも予想されるさまざまな意味を含むことが可能である。典型的には、「または」は、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合には、A、B、およびC(ここでは包括的な意味で使用される)、ならびにA、B、またはC(ここでは排他的な意味で使用される)を意味することを意図されている。加えて、本明細書において使用される「1つまたは複数」という用語は、単数形の任意の機能、構造、もしくは特徴を記述するために使用されることが可能であり、または機能、構造、もしくは特徴の何らかの組合せを記述するために使用されることが可能である。しかしながら、これは単に説明例であり、特許請求されている主題は、この例に限定されるものではないということに留意されたい。さらに、「~の少なくとも1つ」という用語は、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合には、A、AB、AC、BC、AA、ABC、AAB、AABBCCC等など、A、B、および/またはCの任意の組合せを意味すると解釈されることが可能である。
【0158】
さらに、特定の実施形態が、ハードウェアおよびソフトウェアの特定の組合せを使用して記述されてきたが、ハードウェアおよびソフトウェアのその他の組合せも可能であるということを認識されたい。特定の実施形態は、ハードウェアのみで、またはソフトウェアのみで、またはそれらの組合せを使用して実施されることが可能である。一例においては、ソフトウェアは、本開示において記述されているステップ、オペレーション、またはプロセスのいずれかまたは全てを実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムコードまたは命令を含むコンピュータプログラム製品を用いて実装されることが可能であり、この場合、コンピュータプログラムは、非一時的コンピュータ可読メディア上に格納されることが可能である。本明細書において記述されているさまざまなプロセスは、同じプロセッサまたは別々のプロセッサ上で任意の組合せで実施されることが可能である。
【0159】
デバイス、システム、コンポーネント、またはモジュールが、特定のオペレーションまたは機能を実行するように構成されているものとして記述されている場合には、そのような構成は、たとえば、オペレーションを実行するための電子回路を設計することによって、プログラム可能な電子回路(マイクロプロセッサなど)を、オペレーションを実行するようにプログラムすることによって、たとえば、コンピュータ命令もしくはコード、または非一時的なメモリメディア上に格納されているコードもしくは命令を実行するようにプログラムされたプロセッサもしくはコア、またはそれらの任意の組合せを実行することによって達成されることが可能である。プロセスは、プロセス間通信のための従来の技術を含むがそれらには限定されないさまざまな技術を使用して通信することが可能であり、プロセスどうしの別々のペアが、別々の技術を使用することが可能であり、またはプロセスどうしの同じペアが、別々の時点で別々の技術を使用することが可能である。
【0160】
したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味でみなされるべきである。しかしながら、特許請求の範囲に記載されているさらに広い精神および範囲から逸脱することなく、追加、削減、削除、およびその他の修正および変更が行われることが可能であるということは明らかであろう。したがって、特定の実施形態が記述されているが、これらは、限定することを意図されているものではない。さまざまな修正および均等物は、添付の特許請求の範囲の範疇内にある。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19
図20
【国際調査報告】