(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】MDMA応答予測
(51)【国際特許分類】
A61K 31/36 20060101AFI20230704BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230704BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/26 20060101ALI20230704BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20230704BHJP
【FI】
A61K31/36
A61P25/00
A61K31/137
A61P25/26
G16H20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574372
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 US2021027282
(87)【国際公開番号】W WO2021257169
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522340934
【氏名又は名称】ユニヴェルシテートスピタル バーゼル
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リヒティ,マティアス エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィゼリ,パトリック ラファエル
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
5L099
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA11
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA27
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA11
5L099AA22
5L099AA23
5L099AA25
(57)【要約】
エンパソーゲン/エンタクトゲンの使用前に患者特徴を評価し、患者特徴に基づいてエンパソーゲン/エンタクトゲンを患者に投与し、患者における最大の陽性自覚的急性効果をもたらすことによって、患者の治療におけるエンパソーゲン/エンタクトゲンを投与する方法。エンパソーゲン/エンタクトゲンの使用前に体重、性別、及びCYP2D6活性の患者特徴を評価し、患者特徴に基づいてエンパソーゲン/エンタクトゲンを患者に投与し、患者における最大の陽性自覚的急性効果をもたらすことによって、体重、性別、及びCYP2D6活性に基づいてエンパソーゲン/エンタクトゲンの用量を決定する方法。エンパソーゲン/エンタクトゲンの投与を改良する方法。エンパソーゲン/エンタクトゲンの将来の投与を予測する方法。患者が治療としてエンパソーゲン/エンタクトゲンを受ける実現可能性を評価する方法。患者におけるエンパソーゲン/エンタクトゲン治療を最適化する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の治療においてエンパソーゲン/エンタクトゲンを投与する方法であって、
エンパソーゲン/エンタクトゲンの使用前、患者特徴を評価するステップと;
前記患者特徴に基づいて、エンパソーゲン/エンタクトゲンを前記患者に投与するステップと;
前記患者における最大の陽性自覚的急性効果をもたらすステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記投与するステップが、健常対象において、治療状況又は法的規制状況からなる群から選択される状況下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
陽性自覚的急性効果が、良好な薬物効果、薬物嗜好、信頼、親密感、開放感、大洋感、統合体験、霊的体験、至福状態、洞察力、つながり、神秘体験、神秘的効果、前向きな気分、時間/空間の超越、言葉で言い表せない感覚、幸福感、至高体験、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者特徴が、年齢、性別、薬剤投与量、体重、以前の薬物経験、遺伝学、性格、摂取前の気分、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者特徴が、チトクロムP450 2D6活性、及びCYP2D6高代謝群と比較して、より高いMDMA濃度及びより強力なMDMA応答を示す、不十分なCYP2D6活性を有する患者に基づき、用量を調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4-メチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)、5,6-メチレンジオキシ-2-アミノインダン(MDAI)、メフェドロン、メチロン、3-MMC、その相同体、その類似体、及びそのプロドラッグからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、MDMAであり、且つ20~200mgの用量で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
エンパソーゲン/エンタクトゲンの用量を、体重、性別、及びCYP2D6活性に基づいて決定する方法であって、
エンパソーゲン/エンタクトゲンの使用前、体重、性別、及びCYP2D6活性の患者特徴を評価するステップと;
前記患者特徴に基づいて、前記エンパソーゲン/エンタクトゲンを患者に投与するステップと;
前記患者において最大の陽性自覚的急性効果をもたらすステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
体重あたり高用量のエンパソーゲン/エンタクトゲンを投与することが、エンパソーゲン/エンタクトゲンへのより強力な応答とともに、より陽性の一層の心刺激効果を引き起こす、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
低いCYP2D6活性を有する患者が、高いCYP2D6活性を有する患者より高いエンパソーゲン/エンタクトゲン血漿レベルを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
女性が、男性より高いエンパソーゲン/エンタクトゲン血漿AUCを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
陽性自覚的急性効果が、良好な薬物効果、薬物嗜好、信頼、親密感、開放感、大洋感、統合体験、霊的体験、至福状態、洞察力、つながり、神秘体験、神秘的効果、前向きな気分、時間/空間の超越、言葉で言い表せない感覚、幸福感、至高体験、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4-メチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)、5,6-メチレンジオキシ-2-アミノインダン(MDAI)、メフェドロン、メチロン、3-MMC、その相同体、その類似体、及びそのプロドラッグからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、MDMAであり、且つ20~200mgの用量で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エンパソーゲン/エンタクトゲンの投与を改良する方法であって、
患者でのNEO-FFI、STAI-T、及びAMRS尺度を含む質問表を用いるステップと;
質問表応答を評価するステップと;
前記質問表に基づき、前記患者における前記エンパソーゲン/エンタクトゲンの投与を改良するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
NEO-FFIでの経験への開放性が、一層の陽性急性応答を予測し、NEO-FFIでの神経症的傾向が陰性経験を予測し、STAI-Tでの特性不安が陰性経験を予測し、且つAMRSが陰性急性効果の可能性を予測する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4-メチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)、5,6-メチレンジオキシ-2-アミノインダン(MDAI)、メフェドロン、メチロン、3-MMC、その相同体、その類似体、及びそのプロドラッグからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、MDMAであり、且つ20~200mgの用量で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エンパソーゲン/エンタクトゲンの将来の投与を予測する方法であって、
ある用量の前記エンパソーゲン/エンタクトゲンの投与後、患者における前記エンパソーゲン/エンタクトゲンの血漿濃度を測定するステップと;
前記患者における前記エンパソーゲン/エンタクトゲンの用量を調節し、それにより前記エンパソーゲン/エンタクトゲンへの陽性応答を最適化し、且つ前記エンパソーゲン/エンタクトゲン治療の有効性及び安全性を最適化するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4-メチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)、5,6-メチレンジオキシ-2-アミノインダン(MDAI)、メフェドロン、メチロン、3-MMC、その相同体、その類似体、及びそのプロドラッグからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、MDMAであり、且つ20~200mgの用量で投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
患者が治療としてエンパソーゲン/エンタクトゲンを受ける実現可能性を評価する方法であって、
患者特徴を評価するステップと;
前記患者が治療として前記エンパソーゲン/エンタクトゲンを受ける実現可能性を評価するステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
患者特徴が、年齢、性別、薬剤投与量、体重、以前の薬物経験、遺伝学、性格、摂取前の気分、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4-メチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)、5,6-メチレンジオキシ-2-アミノインダン(MDAI)、メフェドロン、メチロン、3-MMC、その相同体、その類似体、及びそのプロドラッグからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、MDMAであり、且つ20~200mgの用量で投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
患者におけるエンパソーゲン/エンタクトゲン治療を最適化する方法であって、
エンパソーゲン/エンタクトゲン使用前に前記患者における開放性を評価するステップと;
さらなる開放性を引き起こす陽性応答を予測するステップと;
異なる治療セッションにおける反復投与を含むエンパソーゲン/エンタクトゲン治療を最適化し、長期にわたって開放性の拡大及び治療反応の拡大をもたらすステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4-メチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)、5,6-メチレンジオキシ-2-アミノインダン(MDAI)、メフェドロン、メチロン、3-MMC、その相同体、その類似体、及びそのプロドラッグからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記エンパソーゲン/エンタクトゲンが、MDMAであり、且つ20~200mgの用量で投与される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、(±)3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)への応答を予測し、医学的状態の治療における特定の急性効果の誘発を最適化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
MDMAは、気分及び認知を変更する向精神薬であり、外傷後ストレス障害に対する精神療法における補助剤として検討され、後に種々の他の医学的状態について試験されることもある(Mithoefer et al.,2019;Mithoefer et al.,2010;Oehen et al.,2013)。
【0003】
この治療様式におけるMDMAの理想的用量が何であるかは不明である。具体的には、用量は、限定はされないが、MDMA投与前の性別、体重、年齢、代謝差、気分及び精神の状態、並びに性格特性因子を含む多くの要素に応じて変化し得る。したがって、個体におけるMDMAの正確な用量を見出すことが課題である。
【0004】
MDMAが、主に、気分の高揚、開放性、信頼、及び共感性の高まりを含む、陽性自覚的効果を急性誘導する一方、陰性薬物効果も生じ得る(Hysek et al.,2014a;Schmid et al.,2014)。
【0005】
いくつかの先行試験では、MDMAへの応答に影響する単一変数が定義されている。薬物経験に影響する変数は、古典的にセットとセッティングに大別される(Leary et al.,1963)。セットは、性格、年齢、及び以前の薬物経験、並びに薬物効果に関する個人の期待及び意図などの個人に関する要素からなる。セッティングは、薬物摂取の場所、摂取時に居合わせる者、及び文化的環境などの環境的要素に関する(Hartogsohn,2016)。
【0006】
MDMAの薬物効果は、用量依存性であることが示されている(Bedi&de Wit,2011;Vizeli&Liechti,2017)。しかし、投与がMDMAへの個別応答の予測を助けることに加えて、セットとセッティングなどの追加的要素がいかに使用され得るかは不明である。
【0007】
プシロシビンなどの他の物質の場合、急性効果が主に用量依存性であることが見出された(Haijen et al.,2018;Studerus et al.,2012)。また、薬物摂取前の性格特性及び気分などの追加的変数が、プシロシビンの急性効果に影響することが見出された(Haijen et al.,2018;Studerus et al.,2012)。
【0008】
「バッドトリップ」(中等度の場合、「挑戦的な経験」とも称される)は、MDMAを含む向精神物質を使用するとき、特に興味深い。性格特性は、そのようなバッドトリップを予測し得る。例えば、個人の情動不安定及びストレス源への対処不良を反映する「神経症的傾向」(Ormel et al.,2012)は、プシロシビン摂取後の「挑戦的な経験」に関連することが示された(Barrett et al.,2017)。
【0009】
いくつかの以前の試験では、性別(Bedi&de Wit,2011;Liechti et al.,2001;Pardo-Lozano et al.,2012;Simmler et al.,2011)、薬物動態(Pardo-Lozano et al.,2012;Vizeli et al.,2017)、性格特性(White,2017)、及び遺伝学(Bershad et al.,2016;Schmid et al.,2016;Vizeli&Liechti,2018;Vizeli et al.,2018;Vizeli et al.,2019;Vizeli et al.,2017)を含む、MDMAへの応答に寄与する潜在的な薬理学的及び非薬理学的要素が検討された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、これら試験の全てが、少数の潜在的な予測変数に限り、それぞれ評価し、潜在的な交絡変数について調節せず、異なる変数の重要性を評価しなかった。加えて、以前の試験の試験サンプルサイズは、むしろ小さかったため、そのような分析を遂行できなかった。したがって、複数の変数を考慮して、MDMAへの応答を予測する方法が必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明は、患者特徴をエンパソーゲン/エンタクトゲンの使用前に評価し、患者特徴に基づいてエンパソーゲン/エンタクトゲンを患者に投与し、患者における最大の陽性自覚的急性効果(positive subjective acute effects)をもたらすことによって、患者の治療においてエンパソーゲン/エンタクトゲン(MDMAなど)を投与する方法を提供する。
【0012】
本発明は、体重、性別、及びCYP2D6活性の患者特徴をエンパソーゲン/エンタクトゲンの使用前に評価し、患者特徴に基づいてエンパソーゲン/エンタクトゲンを患者に投与し、患者における最大の有利な自覚的急性効果をもたらすことによって、体重、性別、及びCYP2D6活性に基づいてエンパソーゲン/エンタクトゲンの投与量を決定する方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、患者でのNEO-FFI、STAI-T、及びAMRS尺度を含む質問表を用い、質問表応答を評価し、質問表に基づいて患者におけるエンパソーゲン/エンタクトゲンの投与を改良することによって、エンパソーゲン/エンタクトゲンの投与を改良する方法を提供する。
【0014】
本発明は、ある用量のエンパソーゲン/エンタクトゲンの投与後、患者におけるエンパソーゲン/エンタクトゲンの血漿濃度を測定し、患者におけるエンパソーゲン/エンタクトゲンの用量を調節し、それによりエンパソーゲン/エンタクトゲンへの陽性応答を最適化し、且つエンパソーゲン/エンタクトゲン治療の有効性及び安全性を最適化することによって、エンパソーゲン/エンタクトゲンの将来の投与を予測する方法を提供する。
【0015】
本発明は、患者特徴を評価し、患者が治療としてエンパソーゲン/エンタクトゲンを受ける実現可能性を評価することによって、患者が治療としてエンパソーゲン/エンタクトゲンを受ける実現可能性を評価する方法を提供する。
【0016】
本発明は、エンパソーゲン/エンタクトゲン使用前に患者における開放性を評価し、さらなる開放性を引き起こす陽性応答を予測し、反復投与を含むエンパソーゲン/エンタクトゲン治療を最適化し、長期にわたって開放性の拡大及び治療反応の拡大をもたらすことによって、患者におけるエンパソーゲン/エンタクトゲン治療を最適化する方法をさらに提供する。
【0017】
図面の説明
本発明の他の利点は、以下の貼付する図面と関連させて考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによってより十分に理解されるようになることから、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】予測変数及び応答変数としてMDMA血漿濃度を用いる未調整の線形混合効果モデルを示すグラフであり、小さい方のアスタリスクは、非補正P値を示し、大きい方のアスタリスクは、Benjamini-Hochberg法(Benjamini&Hochberg,1995)を用いて、全ての20
*25=500有意性検定を通じて多重検定について補正されたP値である。
*p<0.05,
**p<0.01,
***p<0.001;
【
図2】用量/体重について補正された変数を用いる混合効果モデルを示すグラフであり、小さい方のアスタリスクは、非補正P値を示し、大きい方のアスタリスクは、Benjamini-Hochberg法(Benjamini&Hochberg,1995)を用いて、全ての17
*25=425有意性検定を通じて多重検定について補正されたP値である。
*p<0.05,
**p<0.01,
***p<0.001;
【
図3】予測変数値及びMDMAの効果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、一般に、エンパソーゲン/エンタクトゲン(MDMAなど)治療への応答を、患者における様々な予測変数を分析することによって予測する方法を提供する。より具体的には、エンパソーゲン/エンタクトゲンの使用前に患者特徴を評価し、限定はされないが、臨床試験、治療専門家を訓練するための使用、又は健常対象における任意の他の法的規制状況を含む、治療状況下又は健常対象における法的規制状況下で、エンパソーゲン/エンタクトゲンを患者に投与し、患者における最大の陽性自覚的急性効果をもたらすことによって、患者の治療においてエンパソーゲン/エンタクトゲンを投与する方法が提供される。この方法を用いて、個体における用量範囲をより良く標的にし、エンパソーゲン/エンタクトゲンへの陽性急性応答をもたらす可能性を高めることができる。
【0020】
「陽性自覚的急性効果」は、本明細書で用いられるとき、限定はされないが、「良好な薬物効果」、「薬物嗜好」、「信頼」、「親密感」、「開放感」、5D-ASC尺度又は神秘的効果(Mystical Effects)尺度評定又は大洋感(Oceanic Boundlessness)に類するもの、統合体験(experience of unity)、霊的体験、至福状態、洞察力、つながり、神秘体験、神秘的効果(mystical-type effects)、前向きな気分、時間/空間の超越、言葉で言い表せない感覚(ineffability)、幸福感、及び至高体験を含む、視覚的アナログスケールについての自己評定などといったMDMAの任意の所望される効果を指す。
【0021】
本発明は、正確な投与及び投与の最適化に使用可能である予測変数の特徴づけによって、先行技術において経験された投与課題の解決策を提供し、患者のより優れた、より安全な選択及びMDMAで治療されるべき患者における投与を可能にする。本発明では、複数の変数の影響及びそれらの相互依存を明らかにし、MDMAへの生理学的及び心理学的応答について投与推奨及び予測変数を導出するため、(専ら単一変数及び小規模なデータセットを使用した先行技術に反して)大規模なデータセットが使用される。本発明は、10年間にわたり同じ実験室内で試験された、全サンプルサイズが健常対象194名である、10の制御された実験的試験のデータに基づく。
【0022】
予測変数/患者特徴として、限定はされないが、年齢、性別、薬剤投与量、体重、以前の薬物経験、遺伝学、性格、及び摂取前の気分を挙げることができる。試験から、いくつかの予測変数が、効果の予測において最も重要であることが見出された。
【0023】
MDMAが本明細書で参照される一方で、類似のMDMA型急性自覚的効果特性をもたらす、任意のエンパソーゲン/エンタクトゲン又はMDMA様化合物、例えば、限定はされないが、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、3,4,-メチレンジオキシエチルアンフェタミン(MDEA)、5,6-メチレンジオキシ-2-アミノインダン(MDAI)、メフェドロン、メチロン、3-MMC、その相同体、その類似体、又は新規化合物若しくはプロドラッグが、本明細書中の方法において使用可能であることは理解されるべきである。類似のMDMA型急性自覚的効果特性を提供する任意の他の化合物も使用可能である。本明細書中の方法において、MDMAは、好ましくは、20~200mgの用量で投与される。
【0024】
個体への投与後のMDMA血漿濃度及びその代理変数の用量/kg体重は、MDMAへの急性応答及びMDMAへの応答の強度の最も重要な予測変数である。体重あたりのMDMAの用量は、MDMAの血漿濃度に対応する代理尺度である。この代理尺度は、MDMA投与前に通知され、正確の投与のために使用可能である。(75~125mg絶対用量範囲内の)体重あたりの高用量のMDMAは、MDMAへのより強力な応答とともに、より陽性のさらなる心刺激効果を引き起こす(
図1に示される通り)。
【0025】
投与では、体重が考慮される場合、個体の性別について考慮する必要はない(
図2)。しかし、制御された試験において、たとえ投与における差異に対する調節後であっても、MDMA経験におけるいくつかの性差が以前に報告された(Liechti et al.,2001;Simmler et al.,2011;Vizeli&Liechti,2017)。投与が体重非依存性に実施される場合、性別間の体重差を考慮するため、女性は男性より約20~30%低く投与される(男性が125mg、女性が100mg)必要がある。
【0026】
チトクロムP450(CYP)2D6活性(遺伝的に又は表現型的に決定された;Schmid et al.,2016)は、MDMAの血漿濃度に影響する(
図1及び2)。CYP2D6活性が低い対象は、CYP2D6高代謝群と比較して、より高いMDMA濃度及びより強力なMDMA応答を示す。この知見と一致して、CYP2D6低代謝群は、高代謝群/正常代謝群より高いMDMA血漿濃度を有することが以前に示されている(de la Torre et al.,2005;Schmid et al.,2016)。本発明は、加えて、異なるCYP2D6機能を有する患者における用量を規定し、CYP2D6低代謝群状態を有する対象におけるMDMAの用量減少を示唆することを可能にする。例えば、MDMAが、既知の2D6活性を有するような患者において、本発明に基づき、さらなる投与パラメータを考慮することなく、最初に使用される場合、125mgの代替としての100mgの用量は、男性低代謝群において使用されることになり、100mgの代替としての80mgの用量は、女性患者において使用されることになる。
【0027】
したがって、本発明は、MDMAの用量を、体重、性別、及びCYP2D6活性に基づき、MDMA使用前に、体重、性別、及びCYP2D6活性といった患者特徴を評価することによって決定し、MDMAを患者に投与し、且つ患者における最大の陽性自覚的急性効果をもたらす方法を提供する。
【0028】
「新しい経験への開放性」、「神経症的傾向」、又は「特性不安」などの心理学的要素は、用量/kgについて調節後の、MDMAの急性自覚的薬物効果についての有意な予測変数である。
【0029】
性格特性の「開放性」は、治療アライアンスを強化するMDMAに応答して、「親密感」の増加を可能にする。「経験への開放性」(NEO-FFI)は、MDMA後により高い「親密さ」(VAS)を予測する(
図2)。この予測は、「経験への開放性」(Roberti,2004)に関連する、より大きな刺激を求める人(Harvanko et al.,2016)におけるより高い良好な薬物効果と一致している。MDMA後の親密さ及び開放性は、PTSD症状の低減に関連することが見出された(Wagner et al.,2017)。
【0030】
「経験への開放性」(NEO-FFI)は、MDMA後の「幻覚的再構造化(visionary restructuralization)」のより高い5D-ASC評定を予測する(
図2)。一貫して、「吸収」/開放性は、サイケデリック剤の視覚的効果を予測した(Haijen et al.,2018)。また、一貫して、「経験への開放性」は、「親密さ」の感情(VAS)の最強の予測変数であり、MDMA後の「幻覚的再構造化」の高い5D-ASC評定を有していた(
図3)。
【0031】
「特性不安」及び「神経症的傾向」で高いスコアを有する対象は、より陰性のMDMA効果を経験する。これらの性格特性は、制御喪失の一層の恐怖に導く可能性が高い。
【0032】
より高い「神経症的傾向」(NEO-FFI)は、より大きい不安(5D-ASCにおける「自我消失の恐怖」)を予測する(
図2)。一貫して、神経症的傾向(NEO-FFI)は、MDMA後の5D-ASCにおける自我消失の恐怖の評定増加の最良の予測変数であった(
図3)。
【0033】
一貫して、より明白な「神経症的傾向」は、サイケデリック剤摂取後のより「挑戦的な経験」に関連した(Barrett et al.,2017;Haijen et al.,2018;Studerus et al.,2012)。
【0034】
より高い「特性不安」(STAI-T)は、より大きい不安(5D-ASCにおける「自我消失の恐怖」)を予測する(
図2)。
【0035】
以前のMDMA経験は、別の試験(Bedi&deWit,2011)に一致し、MDMAへの応答に対して効果を示さなかった。しかし、本データセットが、主に、MDMAナイーブであるか又は最大でわずか5回の過去のMDMA経験を有した対象を含むことを認めることは重要である。したがって、より重篤な過去のMDMA使用の影響は、評価できなかった。特に、MDMAを使用する臨床試験における患者は、本試験集団と同様、MDMA使用における経験を全く又はほとんど有しない可能性が高くなる。
【0036】
本方法を用いて、MDMAへの応答を予測するためのスコアを設計することができる。
【0037】
本方法を用いて、将来のセッションにおけるMDMAへの陽性応答を予測する、又は1つのセッションにおけるMDMAの濃度を測定することに基づいて投与を調節することができる。
【0038】
一旦MDMAの完全な用量が体重及びCYP2D6状態(及び性別)に基づいて決定されていると、本方法を用いて、MDMAへの応答をさらに最適化又は予測することができる。また、一旦患者がMDMAによる治療に適するように選択されると、本方法を用いて、最適な用量を見出すことができる。
【0039】
一旦MDMA用量が決定されていると、又は有望な患者がMDMAを受ける実現可能性を決定するため、応答における重要な予測変数は、次の通りである:
より高い親密さ、大洋感(5D-ASC)、及び幻覚的再構造化(5D-ASC)を含む、より陽性の急性応答を予測する経験への開放性(NEO-FFI)(
図2);
自我消失の恐怖(5D-ASC)並びに制御及び認知障害(5D-ASC)を含む、陰性経験を予測する神経症的傾向(NEO-FFI)(
図2);
自我消失の恐怖(5D-ASC)及び制御及び認知障害(5D-ASC)を含む、陰性経験を予測する特性不安(STAI)(
図2)。
【0040】
したがって、セッション前にNEO-FFI及びSTAIを用いて、セッション中にMDMAの陽性及び/又は陰性急性効果の可能性を予測するためのスコアを形成することができる。
【0041】
さらに、以下を含む摂取前の気分を予測変数として用いることができる:
不安/うつ病性(AMRS)は、不安(5D-ASC)を予測する(
図2);
内向性(AMRS)は、不安(5D-ASC)を予測する(
図2)。
【0042】
したがって、MDMA投与前にAMRSを用いて、セッション中に不安を含むMDMAの陰性急性効果の可能性を予測することができる。
【0043】
したがって、本発明は、患者でのNEO-FFI、STAI-T、及びAMRS尺度を含む質問表を使用し、質問表応答を評価し、患者におけるMDMAの投与を質問表に基づいて改良することによって、MDMAの投与を改良する方法を提供する。例えば、低いNEO-FFIの開放性評定、高い神経症的傾向のNEO-FFI評定、高いSTAIの特性不安評定を有する患者において、MDMAの用量減少が推奨される。薬物摂取前の高い不安・うつ病性(AMRS)及び内向性(AMRS)評定は、MDMA後のより高い不安を予測し、また用量減少は、本発明に基づいて勧められ、本願のさらなる改良及び実施を受けることになる。
【0044】
まとめると、本発明で、MDMAの体重あたりの用量、CYP2D6遺伝子型、NEO-FFI及びSTAI及びAMRSから得られるデータなどの投与パラメータを利用し、投与を最適化し、MDMAによる陰性経験にわたってより陽性であることを予測し、それにより患者におけるその投与の安全性及び有効性を増強する。
【0045】
PTSD患者における試験では、MDMA治療後、PTSD症状の減少と「開放性」の増加との間の関係が見出された(Wagner et al.,2017)。「開放性」及び「神経症的傾向」という特性は、増加し、MDMA治療後、それぞれ減少した。また、プシロシビン又はLSDの使用後、性格特性に対する同様の持続的効果が認められた(MacLean et al.,2011;Schmid&Liechti,2018)。
【0046】
さらに、MDMAが開放性を増加させ、開放性がより大きい治療効果を含むMDMAへのより陽性の応答を予測することから、これは、患者が、経験に長期にわたってより開放的になる可能性が高いことから、複数のMDMAで支援された精神療法セッションから次第に利益を得るかもしれないことを示す。
【0047】
したがって、本発明は、MDMA使用前に患者における開放性を評価し、さらなる開放性を引き起こす陽性応答を予測し、反復投与を含むMDMA治療を最適化し、長期にわたって開放性の拡大及び治療反応の拡大を引き起こすことによって、患者におけるMDMA治療を最適化する方法を提供する。
【0048】
本発明はまた、ある用量のMDMAの投与後、患者におけるMDMAの血漿濃度を測定し、患者におけるMDMAの用量を調節し、それによりMDMAへの陽性応答を最適化し、且つMDMA治療の有効性及び安全性を最適化することによって、MDMAによる将来の投与を予測する方法を提供する。
【0049】
本発明は、患者特徴を評価し、患者が治療としてMDMAを受ける実現可能性を評価することによって、患者が治療としてMDMAを受ける実現可能性を評価する方法を提供する。
【0050】
本発明は、以下の実験実施例を参照することによって、さらに詳しく説明される。これらの実施例は、あくまで例示を目的として提供され、特に指定されない限り、限定することが意図されない。したがって、本発明は、決して以下の実施例に限定されるものとして解釈されるべきでないどころか、本明細書に提供される教示の結果として明白となるありとあらゆる変更を包含すると解釈されるべきである。
【実施例】
【0051】
実施例1
材料及び方法
試験設計
健常ヒト対象における10の二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験からのローデータについてのプールされた分析を実施したが、それらの全てについては以前に記載がなされている(Dolder et al.,2018;Holze et al.,2020;Hysek et al.,2012a;Hysek&Liechti,2012;Hysek et al.,2012b;Hysek et al.,2011;Hysek et al.,2012c;Hysek et al.,2014b;Schmid et al.,2015a;Schmid et al.,2015b)。
【0052】
2009~2018年にバーゼル大学病院(University Hospital Basel)で実施された試験は、全部で194名の健常対象を含む。7つの試験は、125mgのMDMAの2回、単独の1回及びある薬剤での前治療後の1回を受ける16名の対象(全部で112名の対象)をそれぞれ含んだ(Hysek et al.,2012a;Hysek&Liechti,2012;Hysek et al.,2012b;Hysek et al.,2011;Hysek et al.,2012c;Hysek et al.,2014b;Schmid et al.,2015b)。3つの追加的試験において、対象は、MDMA単独、プラセボ、及び1つ若しくは2つの他の物質を受けた(Dolder et al.,2018;Holze et al.,2020;Schmid et al.,2015a)。これらの内、一方では75mgのMDMA用量を使用し(n=30)(Schmid et al.,2015a)、他方では125mgを使用した(n=24及びn=28)(Dolder et al.,2018;Holze et al.,2020)。
【0053】
本分析において、MDMA単独及びプラセボセッションからのデータのみを使用した。プールされた試験の全てにおいて、MDMAの単回用量投与間の休薬期間は、少なくとも7日であり、キャリーオーバー効果を除外した。試験は全て、ClinicalTrials.govに登録した(NCT00886886、NCT00990067、NCT01136278、NCT01270672、NCT01386177、NCT01465685、NCT01771874、NCT01951508、NCT01616407、NCT03019822)。
【0054】
これら試験からの詳細な薬物動態及び安全性データは、他で公表されている(Schmid et al.,2016;Vizeli&Liechti,2017;Vizeli et al.,2017)。
【0055】
試験セッションは、静かな研究病棟内で実施し、研究対象は1セッションあたり2名以下であった。参加者は、病床に快適に横臥し、主に音楽を聴き、身体的活動に従事していなかった。午前中の8:00~9:00AMに、食事を伴わない空腹状態でMDMAが投与された。12:00~1:00PMに、少ない既定の昼食が出された。
【0056】
参加者
全部で194名(女性97名)の18~45歳(平均±標準偏差=25.1±4歳)の健常対象が試験に参加した。1つの遺伝子型サンプルが欠損し、参加者3名が遺伝子型同定に同意しなかった。体重の平均±標準偏差は、69±10kg(範囲:46~97kg)であった。除外基準は、精神障害、身体的疾患の病歴、(過去の大麻使用を例外とする)10回を超える違法薬物使用の生涯履歴、過去2か月以内の違法薬物使用、及び試験中の違法薬物使用を含んだ。他で詳細に報告された通り、試験セッション前、薬物スクリーニングが実施された(Hysek et al.,2012a;Hysek&Liechti,2012;Hysek et al.,2012b;Hysek et al.,2012c)。75名の対象が、事前に違法薬物経験を有し(1~8回)、その中の41名の対象が以前にMDMAを使用していて(1~5回)、18名の対象が以前にアンフェタミン又はメタンフェタミンを使用していて(1~2回)、15名の対象が以前にコカインを使用していて(1~4回)、10名の対象が以前にリゼルギン酸ジエチルアミドを使用していて(1~2回)、15名の対象が以前にプシロシビンを使用していた(1~4回)。
【0057】
試験薬
(±)MDMA塩酸塩(Lipomed AG,Arlesheim,Switzerland)を、ゼラチンカプセル剤として調製した75又は125mgの単回用量で経口投与した。男性及び女性対象は、彼らの体重と無関係に、治療的試験の場合と同じ用量のMDMAを受けた(Mithoefer et al.,2010;Oehen et al.,2013)。体重あたりの投与量(平均±標準偏差)は、1.7±0.4mg/kg(範囲:0.8~2.7mg/kg)であった。
【0058】
予測変数
MDMAの効果は、用量及び体重依存性であることが予想された(Schmid et al.,2014;Vizeli&Liechti,2017)。したがって、体重で除された用量が、分析における共変数として含められた。これはまた、女性における体重が男性と比較してより低いことから、女性におけるMDMAのmg/kg用量が男性と比較してより高いことを説明した。
【0059】
社会・人口統計の予測変数ドメインから、予測変数として性別及び年齢が含められた。いくつかの対照試験において、MDMA経験における性差が投与における差異についての調節後であっても報告されたことから、性別が含められた(Liechti et al.,2001;Simmler et al.,2011;Vizeli&Liechti,2017)。
【0060】
より若い年齢がプシロシビンのより不快な急性効果に関連したことから、年齢が含められた(Studerus et al.,2012)一方で、MDMAに関するデータは利用可能でない。
【0061】
MDMAを代謝する酵素における個別の代謝差異は、MDMAへの曝露、ひいてはその急性効果に影響する。具体的には、チトクロムP450酵素の活性が、MDMA濃度及びそれに伴う自覚的な心血管応答を変化させることが示されている(de la Torre et al.,2012;Schmid et al.,2016;Vizeli et al.,2017)。したがって、CYP2D6遺伝子活性スコア(Hicks et al.,2013;Schmid et al.,2016)が、追加的な予測変数として含められた。
【0062】
他のCYP酵素活性の尺度は、これらがMDMAへの応答に対する効果を全く有しないか又は非常に小さい効果を有するに過ぎないことが示されていることから、含められなかった(Vizeli et al.,2017)。同様に、他の有望な遺伝薬理学的な予測変数は、やはりMDMAへの急性応答に対する効果を全く示さなかったか又は最小の効果を示したに過ぎないことから、含められなかった(Bershad et al.,2016;Vizeli&Liechti,2018;Vizeli et al.,2018;Vizelis et al.,2019)。
【0063】
全ての対象は、向精神物質の以前の経験を全く有しなかったか又は非常に限られた経験を有したに過ぎないが(0~5回)、MDMA効果が長期使用とともに変化することが報告されており、より経験のあるユーザが非経験者より少ない薬物効果を経験したことから、参加前のMDMA消費の数が分析に含められた(Kirkpatrick et al.,2014)。本試験は、広範な以前の薬剤経験を有する者が含められず、全ての対象が薬剤応答中に身体活動的でなかったことから、高い以前の物質使用(>5回)の潜在的効果又はMDMAへの心血管及び発熱応答に対する身体活動性の中程度の効果に対処することができなかった(Liechti,2014)。
【0064】
向精神物質の投与前の気分状態は、類似試験においてプシロシビンについて以前に示された通り、その応答に影響し得る(Studerus et al.,2012)。したがって、MDMA投与前の気分状態を評価するため、形容詞気分評価尺度(Adjective Mood Rating Scale)(AMRS)(Janke&Debus,1978)についての評定が含められた。60の形容詞が4ポイントリッカート尺度で評定され、項目が6つの主な尺度:「性能に関連した活動性(Performance-Related Activity)」、「一般的非活動性(General inactivation)」、「外向性-内向性」、「一般的幸福感」、「感情的な興奮性」、及び「不安・うつ病性」に大別された。「外向性」及び「内向性」は、別々に分析された。
【0065】
性格特性は、4ポイントリッカート尺度で評定された60の自己を反映した口述を含むNEO-FFI(Borkenau&Ostendorf,2008)を用いて評価された。NEO-FFIは、「神経症的傾向」、「外向性」、「経験への開放性」、「同意性」及び「誠実度」の性格特性を包含する。対象は、試験の開始時、スクリーニング手順の一部として、質問表を完成させた。最後に、状態-特性不安項目(STAI-T)の特性尺度が含められた(Spielberger et al.,1970)。この自己評価質問表は、安定な性格特性として不安を記述する20の口述を含む。
【0066】
応答変数
薬物動態応答のための血液サンプルを、MDMA又はプラセボの投与から0、0.33、0.67、1、1.5、2、3、4、及び6時間後、リチウムヘパリンチューブに収集し、直ぐに遠心分離した。
【0067】
血漿を-20℃で分析まで貯蔵した。MDMAの血漿濃度を前述のように決定した(Hysek et al.,2012c)。投与から0~6時間後の濃度-時間曲線下面積(AUC)を、MDMAへの全曝露の尺度としての台形規則に従って計算した。
【0068】
MDMAへの自覚的応答は、心理測定尺度を用いて評価した。MDMA又はプラセボ投与の前と0.33、0.67、1、1.5、2、2.5、3、4、5及び6時間後、視覚的アナログスケール(VAS)(Hysek et al.,2011;Hysek et al.,2012c)を使用した。「任意の薬物効果」、「良好な薬物効果」、「悪い薬物効果」、「高揚した気分」、「薬物嗜好」、及び「刺激性」におけるVASは、100mmの水平線として提示し(0~100%)、左側の「皆無」から右側の「極値」にかけてマークした。「親密さ」、「集中」、「開放性」、及び「」のVASは、双方向性であった(±50%)。加えて、AMRSは、MDMA又はプラセボの投与から1.25、2、及び5時間後、実施した。VAS及びAMRS下位尺度それぞれに対する応答は、試験日全体を通じた総合効果を反映する、効果-時間曲線下面積(AUEC)値として分析に含めた。
【0069】
血圧、心拍数、及び体温を、MDMA又はプラセボ投与の前と0、0.33、0.67、1、1.5、2、2.5、3、4、5及び6時間後、反復的に評価した。自動オシロメトリック装置(OMRON Healthcare Europe NA,Hoofddorp,Netherlands)を用いて、収縮期血圧及び拡張期血圧及び心拍数を測定した。測定は、二連で、少なくとも5分の休憩時間後、実施した。分析のため、平均を計算した。Genius(商標)2耳温度計(Tyco Healthcare Group LP,Watertown,NY,USA)を用いて、芯(鼓膜)温度を測定した。平均動脈圧(MAP)を、拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3として計算した。異なる自律応答の尺度として、高い心血管刺激又は体温が臨床的に重要な潜在的にMDMA使用に関連する有害な転帰であることから、分析における転帰変数として最高値(Emax)が使用された(Liechti,2014;Liechti et al.,2005;Vizeli&Liechti,2017)。
【0070】
MDMAによって誘導される覚醒における変化を遡及的に評定するため、薬剤投与から6時間後、5D-ASC尺度(Dittrich,1998;Studerus et al.,2010)を実施した。
【0071】
統計学的解析
全てのデータは、統計的コンピューティングのためのR言語及び環境を用いて分析された(R Core Team,2019)。予測変数及び応答変数の一部が欠測データを含んだことから(表1)、まず多重補完(MI)が、Rにおける連鎖方程式による多重補完(MICE)パッケージを用いて実施された(Buuren & Groothuis-Oudshoorn,2010)。この方法は、「ランダムな欠測」(MAR)又は「完全にランダムな欠測」(MCAR)の欠測データの機構下で不偏のパラメータ推定値及び標準誤差をもたらし、全ての利用可能な情報を用いることによって検出力を最大化することから選択された(Enders,2010)。MARの仮定は、欠測データが多くはプールした試験中の異なる試験設計から得られたことから、この試験において妥当性があった。欠測値の20の補完が生成され、それにより、20の完成されたデータセットが得られ、過少数の補完からの潜在的な検出力低下に対して保護した(Graham et al.,2007)。次に、完成された各データセットにおいて目的の分析が実施され、パラメータ推定値が、LASSOモデル(下記参照)以外では、Rubinの規則(Little&Rubin,2019)に従ってプールされた。
【0072】
【0073】
【0074】
試験を通じたプーリングから得られるデータにおけるクラスタリングを説明するため、線形混合効果モデルが用いられたが、そこでは、切片が、試験を通じてランダムに変化することを可能にした。予測変数及び応答変数の各組み合わせの場合、調整及び非調整モデルが、Rパッケージnimeを用いてフィットされた(Pinheiro et al.,2019)。非調整モデルにおいて、目的の予測変数のみが、モデルの一部の固定的効果に含められた一方で、調整モデルにおいて、「体重あたりの投与量」がさらに含められた。予測変数及び応答変数は、モデルへの包含前、z変換されることで、推定された回帰係数が正規化され、予測変数及び応答を通じて同等であった。多重検定を説明するため、P値が、全ての有意性検定を通じてBenjamini-Hochberg法(Benjamini&Hochberg,1995)を用いて補正された。
【0075】
各応答変数に対する予測変数の最良のサブセットを同定するため、最小絶対収縮及び選択オペレーター(LASSO)が罰則付きRパッケージを用いて適用された(Goeman,2018)。LASSOは、変数の選択及び正則化の双方(即ち、回帰係数の縮小)が実施され、モデルの予測精度及び解釈可能性が最適化される。LASSOによる変数選択が、段階的方法などの伝統的方法によるよりも正確であることが多いことが示されている(Tibshirani,1997)。各応答変数について、LASSOモデルは、以下の手順に従って開発された。第1に、各モデルの最適な縮小パラメータが、グリッドサーチを実施することによって決定された。グリッドにおける各ラムダの場合、50回反復を伴うブートストラップが実施され、全てのアウトオブバッグサンプルを通じての平均予測性能(即ち、平均平方誤差)が、R(mlr)パッケージにおける機械学習を用いて計算された(Bischl et al.,2016)。第2に、最高のアウトオブバッグ予測性能をもたらすラムダ値が、最適なラムダ値として選択され、全サンプルについてフィットさせた最終のLASSOモデルとして使用された。複数の補完されたデータセットを通じてLASSOモデルの組み合わせ方が現在不明であり、且つ我々のデータセット中の欠測データの量が比較的少なかったことから、単一の補完のみがLASSOモデルに使用された。さらに、簡単には、有望なクラスタリングが、これらの分析におけるデータ中に認められなかった。
【0076】
結果
MDMA応答変数の大部分における最も重要な予測変数は、
図1中の非調整線形混合効果モデルに示す通り、MDMA血漿濃度であった。小さい方のアスタリスクは、非補正P値を示す。大きい方のアスタリスクは、Benjamini-Hochberg法(Benjamini&Hochberg,1995)を用いて、全ての20
*25=500の有意性検定を通じて多重検定について補正されたP値である。
*p<0.05,
**p<0.01,
***p<0.001。
【0077】
MDMAの血漿濃度における最も重要な予測変数は、薬剤投与量、体重、性別、及び遺伝的に決定されたCYP2D6活性であった(
図1)。
【0078】
具体的には、6時間にわたるMDMA血漿AUCは、薬剤に対する全曝露の尺度である。MDMA血漿AUCは、MDMAの用量と強力且つ高度に有意に相関する(
図1)。MDMA血漿AUCはまた、MDMAを摂取する対象の体重と強力且つ高度に有意に逆相関する(
図1)。さらに、MDMA血漿AUはまた、CYP2D6活性と逆相関する(
図1)。したがって、(遺伝的に規定された)低いCYP2D6活性を有する者は、より高いMDMA血漿レベルを有する。最終的に、MDMAの全用量が同様であるMDMAが投与され、体重に関係しない場合、女性は、男性より有意に高いMDMA血漿AUCを示す。
【0079】
まとめると、データ(
図1)は、MDMA曝露に関連するパラメータ(MDMA血漿AUC、体重あたりの薬剤投与量、及び二次的にCYP2D6活性)が、自覚的感情(VAS)としての任意の薬物効果、良好な薬物効果、高揚した気分、嗜好、刺激性、内向性(AMRS)及び大洋感(5D-ASC)、並びに平均動脈圧の上昇を含む、MDMAへの応答に最も強力且つ最も有意に影響する予測変数であることを示す。
【0080】
上記に一致して、
図3は、体重あたりの投与量が、MDMA投与後の以下の転帰効果:MDMA血漿AUC、平均動脈圧(MAP)増加、内向性(AMRS)、情緒興奮性(AMRS)、不安(AMRS)、任意の薬物効果(VAS)、良好な薬物効果(VAS)、高揚した気分(VAS)、好み(VAS)、刺激性(VAS)、大洋感(5D-ASC)、並びに制御及び認知障害(5D-ASC)における最強の予測変数であることを示す。LASSOモデルを適用し、各応答変数に対する予測変数の最良のサブセットを同定した(Goeman,2018)。
【0081】
分析は、より高齢であることが、MDMA後のより低い心拍数増加及びより低い温度増加、並びにより高い悪い薬物効果の最良の予測変数であることを示した(
図3)。これは、高齢者において血圧増加の可能性が心拍数増加と比較してより高いことを意味する。
【0082】
身体におけるMDMA曝露又はこれに関連する尺度(MDMA用量及び体重及びCYP2D6活性)が多くはMDMAへの急性応答を予測するという知見は、臨床的に重要であり、セットとセッティングの要素が、応答の予測において、MDMAの用量ほどに大して関連性がないことを示す。したがって、制御されたセッティング内の体重あたりの正確な投与量が、陽性急性効果をもたらすのに決定的であるばかりか、セットとセッティングに関連する要素より決定的であることが推定される。結果として、本発明が、主に、患者の体重及び性別及びCYP2D6活性に基づいて使用されるべき正確な用量を決定することによって、MDMAの陽性効果を最大化し得ることが推定される。
【0083】
投与量と良好な薬物効果(ここで試験した投与量の範囲内)との間の関係についての知見によると、高用量のMDMA(>75mg)がより高い陽性効果をもたらすために必要であることが示される。
【0084】
MDMA血漿濃度が薬剤投与後に限って知られるようになる変数であることから、それは、さらなる混合効果モデル分析における予測変数というよりも応答変数として分類した。
【0085】
体重あたりのMDMA用量がMDMA血漿レベルを介して応答変数に対する影響を有することから、体重あたりのMDMA用量の結果を調節し、MDMA用量に依存しない予測変数を理解した。
【0086】
用量調節の結果を
図2に表示する。小さい方のアスタリスクは、非補正P値を示す。大きい方のアスタリスクは、Benjamini-Hochberg法(Benjamini&Hochberg,1995)を用いて、全ての17
*25=425の有意性検定を通じて多重検定について補正されたP値である。
*p<0.05,
**p<0.01,
*p<0.001。
【0087】
性別は、用量及び体重について調節するとき、その予測変数値を失った(
図2)。
【0088】
遺伝的に決定されたCYP2D6活性は、やはりMDMA血漿濃度と逆相関した(p<0.01)(
図2)。加えて、心拍数と年齢との間の逆相関は、有意性を維持した(p<0.05)(
図2)。
【0089】
NEO-FFIにおける「経験への開放性」は、MDMA後の「親密さ」のVAS評定、並びに「大洋感」及び「幻覚的再構造化」の5D-ASC評定と正相関した(それぞれ、p<0.05,p<0.05、及びp<0.01)(
図2)。
【0090】
「神経症的傾向」(NEO-FFI)及び「特性不安」(STAI-T)のスコアがより高い対象は、5D-ASCにおける「自我消滅の恐怖」及び「制御及び認知障害」を経験する可能性がより高かった(それぞれ、いずれもp<0.01及びいずれもp<0.05)(
図2)。
【0091】
さらに、0~5の範囲内のMDMAの先行使用は、MDMAへの応答に対する有意な効果を有しなかった(
図2及び
図3)。これは、以前の経験を全く有しない者又はいくつか(最大5つ)有する者において顕著な差異が認められなかったことを意味する。
【0092】
さらに、MDMA前の幸福感(AMRS)は、MDMAへの応答に対する予測変数として有意な効果を有しなかった。これは、現在の気分にかかわらず、MDMAが比較的類似する効果をもたらし、MDMA後に一層の幸福感を経験するのに非常に良好である必要がないことを意味する(
図2)。これは、MDMAへの陽性応答を予測する、ここで説明される発明の範囲内で考慮されるべき重要な要素である。
【0093】
多変量分析の各応答変数における最も重要な予測変数を、
図3にLASSOモデルの使用によって示す。
【0094】
制限
本試験及び本発明の制限は、第1に、若い、主にMDMAナイーブな健常試験集団を含む。したがって、それらの知見は、明確により重篤な精神病理、そしておそらくは、より高いMDMAへの有害な心理学的応答の可能性を示す精神科患者向けに部分的に解釈されるに過ぎない。
【0095】
第2に、2つの投与量のみを検討し、対象の大部分が、MDMAを伴う臨床試験においても一般に用いられる、125mgのMDMA用量を受けた。
【0096】
加えて、有害事象は、MDMA投与後、制御された実験的状況下で比較的希少であり(Hysek et al.,2014b;Kirkpatrick et al.,2014;Vollenweider et al.,2002)、本分析としての分析にあまり適合できず、さらに患者で試験中に報告されることが稀である(Mithoefer et al.,2010;Oehen et al.,2013)ことから、試験されなかった。
【0097】
さらに、「身体的及び社会的環境」は、重要であり得るが、本試験においては多様性をほとんど示さなかった(Hartogsohn,2016;Leary et al.,1963)。
【0098】
本願全体を通じて、米国特許を含む様々な出版物は、筆者及び年及び番号付き特許によって参照される。出版物についての十分な引用が、以下に列記される。これらの出版物及び特許のそれら全体の開示は、本発明が関連する先端技術をより十分に説明するため、ここで参照により本願に組み込まれる。
【0099】
本発明は、例示的な様式で説明されており、使用されている用語が、記載用語の本質であり、限定的なものでないことが意図されることは理解されるべきである。
【0100】
明らかに、上記教示内容に照らすと、本発明の多くの修飾及びバリエーションが可能である。したがって、本発明が、具体的記載がある場合以外、貼付の特許請求の範囲の範囲内で実施可能であることは理解されるべきである。
【0101】
参考文献
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