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特表2023-529622車両内部システム用の曲げ可能なガラス物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】車両内部システム用の曲げ可能なガラス物品
(51)【国際特許分類】
   B60K 37/00 20060101AFI20230704BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B60K37/00 Z
G09F9/00 351
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574433
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 US2021034389
(87)【国際公開番号】W WO2021247343
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/034,436
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】キスターー,エヴァン グレイ
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ディヴィッド エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート,ジェイソン スコット
【テーマコード(参考)】
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
3D344AA12
3D344AB01
3D344AC04
5G435AA17
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE02
5G435EE14
5G435HH20
5G435KK02
5G435LL17
(57)【要約】
車両内部システム用のガラス物品。該ガラス物品は、第1及び第2の主面、並びに第1の主面と第2の主面とを接続する非主面を有するガラスシートを含む。該ガラスシートは第1の側と第2の側とを有する。ガラスシートの第2の主面には、ヒンジが配置される。ヒンジは、ガラスシートを第1の側と第2の側との間で分割する。封入材料が、少なくとも部分的に非表面の周りに、かつ少なくとも部分的に第2の主面の上に成形される。ガラスシートの第2の側は、ヒンジの周りを第1の構成から第2の構成へと回転する。第1の構成では、第1の側は第2の側と第1の角度を形成し、第2の構成では、第1の側は、第2の側と、第1の角度とは異なる第2の角度を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内部システム用ガラス物品は、
第1の主面、前記第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに前記第1の主面と前記第2の主面とを接続する非主面を有するガラスシートであって、第1の側と第2の側とを含む、ガラスシート、
前記ガラスシートの前記第2の主面に配置された少なくとも1つのヒンジであって、前記ガラスシートを前記第1の側と前記第2の側との間で分割する、少なくとも1つのヒンジ、
少なくとも部分的に前記非表面の周りに、かつ少なくとも部分的に前記第2の主面の上に成形された、封入材料
を含み、
前記ガラスシートの前記第2の側が、前記少なくとも1つのヒンジの周りを第1の構成から第2の構成へと回転し、
前記第1の構成において、前記第1の側が前記第2の側と第1の角度を形成し、前記第2の構成において、前記第1の側が前記第2の側と第2の角度を形成し、前記第1の角度が前記第2の角度とは異なっている、
車両内部システム用ガラス物品。
【請求項2】
前記少なくとも1つのヒンジの各々が、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、たわみヒンジ、格子ヒンジ、又はリンクスヒンジのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のガラス物品。
【請求項3】
前記封入材料が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、又は反応射出成形材料を含む、請求項1に記載のガラス物品。
【請求項4】
前記第1の構成における前記第1の角度が180°であり、したがって前記第1の側と前記第2の側とが実質的に平面になり、前記第2の構成における前記第2の角度が190°から290°である、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス物品。
【請求項5】
前記ガラスシートと前記支持部材との間に配置されるように前記封入材料内に埋め込まれた支持部材をさらに含み、該支持部材が、金属シート、複合シート、又はプラスチックシートを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス物品。
【請求項6】
前記ガラスシートの前記第2の主面に接着されたディスプレイモジュールをさらに含み、前記封入材料が、前記ディスプレイモジュールを受け入れるように適合された間隙を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス物品。
【請求項7】
US DOT FMVSS 201に準拠したヘッドフォーム衝撃試験に供されたときに、前記ガラスシートに衝突するヘッドフォームが、減速中に3ミリ秒を超えて80gの力を受けない、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス物品。
【請求項8】
ガラス物品を形成する方法において、
ガラスシートを金型内に配置する工程であって、前記ガラスシートが、第1の主面、該第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに前記第1の主面と前記第2の主面とを接続する非主面を含む、工程、
前記金型内の前記ガラスシートの前記第2の主面に少なくとも1つのヒンジを位置決めする工程、
封入材料が少なくとも部分的に前記非主面を取り囲み、少なくとも部分的に前記ガラスシートの前記第2の主面を覆うように、前記金型内に前記封入材料を注入する工程
を含み、
前記ガラス物品が、前記少なくとも1つのヒンジの周りで第1の構成から第2の構成へと曲がるように構成され、かつ
前記第1の構成において、前記第1の側面が前記第2の側面と第1の角度を形成し、前記第2の構成において、前記第1の側面が前記第2の側面と第2の角度を形成し、前記第1の角度が前記第2の角度とは異なっている、
方法。
【請求項9】
前記金型内に支持部材を位置決めする工程をさらに含み、前記封入材料が、前記ガラスシートと前記支持部材との間に注入される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記封入材料内にディスプレイモジュールを受け入れるように構成された間隙を形成する工程、及び
前記ディスプレイモジュールを前記ガラスシートの前記第2の主面に接着する工程
をさらに含む、請求項8又は請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2020年6月4日出願の米国仮特許出願第63/034,436号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラス物品及びそれを形成する方法に関し、より詳細には、車両内部システム用の曲げ可能なガラス物品、並びに封入材料を使用してそのようなガラス物品を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車両内部は、さまざまなディスプレイ画面を備えている。このようなディスプレイ画面を車両の全体的な美的デザインに組み込む努力がなされている。このように、例えばダッシュボードの連続面にディスプレイを組み込む試みがなされている。さらには、美的デザインと機能性の両方を高めるために、これらの連続面を形成するためにガラスが用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガラスを使用すると、自動車業界で開発にかなりの時間を費やしてきた他の従来のプラスチック、金属、及び複合材料よりも、設計上の課題が増える。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、本開示の実施形態は、車両内部システム用ガラス物品に関する。該ガラス物品は、第1の主面、該第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに第1の主面と第2の主面とを接続する非主面を有するガラスシートを含む。ガラスシートは第1の側と第2の側とを有する。また、ガラスシートの第2の主面に配置された少なくとも1つのヒンジも含まれる。少なくとも1つのヒンジは、ガラスシートを第1の側と第2の側との間で分割する。ガラス物品はさらに、少なくとも部分的に非表面の周りに、かつ少なくとも部分的に第2の主面の上に成形された封入材料も含む。ガラスシートの第2の側は、少なくとも1つのヒンジの周りを第1の構成から第2の構成へと回転する。第1の構成では、第1の側は第2の側と第1の角度を形成し、第2の構成では、第1の側は第2の側と第2の角度を形成する。第1の角度は第2の角度とは異なる。
【0006】
別の態様によれば、本開示の実施形態は、車両の内部システムに関する。内部システムは、車両の中心線軸を横切って配置されたダッシュボード基部を含む。中心線軸は、車両を長手方向に運転席側と助手席側とに分割する。内部システムはまた、ダッシュボード基部に取り付けられたガラス物品も含む。該ガラス物品は、第1の主面、該第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに第1の主面と第2の主面とを接続する非主面を有するガラスシートを含む。第1のガラスシートは第1の側と第2の側とを有する。第1の側は、中心線軸の運転席側に位置する。少なくとも1つのヒンジがガラスシートの第2の主面に配置される。少なくとも1つのヒンジは、ガラスシートを第1の側と第2の側との間で分割する。少なくとも部分的に非表面の周りに、かつ少なくとも部分的に第2の主面の上に、封入材料が成形される。ガラスシートの第2の側は、ヒンジの周りを第1の構成から第2の構成へと回転する。第1の構成では、ガラスシートの第1の側は、運転席側の第1の部分と助手席側の第2の部分とを含む。第2の構成では、ガラスシートの第1の側の第1の部分は第1の構成に対して増加し、ガラスシートの第1の側の第2の部分は第1の構成に対して減少する。
【0007】
さらに別の態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品を形成する方法に関する。該方法では、ガラスシートは型内に配置される。ガラスシートは、第1の主面、該第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに第1の主面と第2の主面とを接続する非主面を有する。少なくとも1つのヒンジは、金型内でガラスシートの第2の主面に位置づけられる。封入材料は、該封入材料が少なくとも部分的に非主面を取り囲み、少なくとも部分的にガラスシートの第2の主面を覆うように、金型内に注入される。ガラス物品は、第1の構成から第2の構成へと少なくとも1つのヒンジの周りで曲がるように構成される。第1の構成では、第1の側は第2の側と第1の角度を形成し、第2の構成では、第1の側は第2の側と第2の角度を形成する。第1の角度は第2の角度とは異なる。
【0008】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかとなり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含めた本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0009】
前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明の幾つかの態様を示しており、その説明とともに、本発明の原理を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な実施形態による、車両のダッシュボードに一体化されたリビングヒンジを有するガラス物品を含む、車両内部を示す図
図2】例示的な実施形態による、図1のガラス物品を示す図
図3】例示的な実施形態による、リビングヒンジを有する単純化されたガラス物品の側面図
図4】例示的な実施形態による、ガラス物品の封入された自由端を示す図
図5】例示的な実施形態による、支持部材を含むガラス物品の封入された自由端を示す図
図6】例示的な実施形態による、支持部材及びディスプレイを含むガラス物品の封入された自由端を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、車両内部システムの曲げ可能なガラス物品に関する。実施形態では、ガラス物品は、インフォテインメント画面、計器パネル、及び車両周辺カメラなど、車両のダッシュボードに見られうる複数のディスプレイ画面を組み込むように構成される。本開示のガラス物品では、第1のディスプレイ画面は、車両の運転席側と助手席側との間で実質的に等しく配向される位置から運転席側に配向される位置までの間で曲がるように構成される。このようにして、一人で移動している車両のドライバーに画面を配向することができ、又は照明条件がドライバーのディスプレイの視界を妨げている場合にも、画面を配向することができる。ガラス物品は、ガラスシートのエッジ保護を提供する封入材料を使用して形成される。封入材料はまた、ヒンジをガラス物品に組み込んで前述の曲げを提供する便利な方法も提供する。
【0013】
本明細書に開示されるガラス物品の実施形態は、関連する頭部衝撃試験(HIT)の性能要件を満たすようにさまざまなガラス物品構成要素の特性を調整することができる、カスタマイズ可能な設計を提供する。特に、封入材料を使用して形成されたガラス物品は、HIT性能に直接関連するガラス物品の回転及び並進剛性の調整を可能にする。これら及び他の態様及び利点は、以下に説明され、図に示される実施形態に関連して説明されよう。これらの実施形態は、限定としてではなく、例示のために提示される。
【0014】
図1は、ダッシュボード基部12を含む、車両内部10を示している。実施形態では、ダッシュボード基部12は、センターコンソール領域14と計器パネル領域16とを含む。概して、ダッシュボード基部12は、車両の中心線軸18を横切って配置される。中心線軸18は、車両を運転席側20と助手席側22との間で長手方向に分割する。計器パネル領域16は、中心線軸18の運転席側20にあり、センターコンソール領域14は、該センターコンソール領域14が運転席側20と助手席側22の両方にあるように、中心線18を横切って延在しうる。実施形態では、センターコンソール領域14は第1のディスプレイ画面24を含み、計器パネル領域16は第2のディスプレイ画面26を含む。実施形態では、ダッシュボード基部12は、各々が追加のディスプレイ画面30を含む、1つ以上の追加のディスプレイ領域28を含みうる。
【0015】
実施形態では、センターコンソール領域14の第1のディスプレイ画面24は、車両の運転者及び/又は同乗者に情報及び制御パネルを提供するインフォテインメントセンターである。例えば、第1のディスプレイ画面24は、車両情報、GPS方向、環境制御、音声制御などを表示することができる。実施形態では、第1のディスプレイ画面24は、タッチスクリーンとして構成することができる。実施形態では、計器パネル領域16の第2のディスプレイ画面26は、速度計、燃料ゲージ、タコメータ、冷却水温度などを表示することができる。追加のディスプレイ画面30を含む実施形態では、追加のディスプレイ画面30は、例えば、車両の前方、車両の後方、又は遠隔カメラによって捕捉された車両の1つ以上の死角の視界を表示することができる。
【0016】
第1のディスプレイ画面24、第2のディスプレイ画面26、及び追加のディスプレイ画面30(含まれる場合)はすべて、同じ湾曲したガラス物品32に組み込まれる。以下で論じるように、第2のディスプレイ画面26(及び追加の画面30)は、ダッシュボード12の計器パネル領域14に固定され、センターコンソール領域14の第1のディスプレイ画面24は、第2のディスプレイ画面26に対して曲げ可能である。実施形態では、第1のディスプレイ画面24は、該第1のディスプレイ画面24が運転席側20と助手席側22との間で実質的に等しく配向される第1の位置から第1のディスプレイ画面24が運転席側20に向かって配向される第2の位置まで曲がる。曲げを可能にするために、ガラス物品32は、第1のディスプレイ画面24側に自由端を有する。本開示によれば、少なくともこの自由端は、ガラス物品32の破砕部位として働く可能性があるエッジ応力から自由端を保護するために、封入材料でカプセル化される。
【0017】
図2は、第1のディスプレイ画面24、第2のディスプレイ画面26、及び追加のディスプレイ画面30を含むガラス物品32を示している。第1のディスプレイ画面30はガラス物品32の第1の側34に提供され、第2のディスプレイ画面26及び追加のディスプレイ画面30はガラス物品32の第2の側36に提供される。図2の実施形態に示されるように、ガラス物品32の第2の側36は、1つ以上の曲率38a~dを含みうる。示されるように、第2のディスプレイ画面26は、第1のディスプレイ画面24及び追加のディスプレイ画面30の後方に配置される。この文脈において、「後方」とは、第2のディスプレイ画面26が、第1のディスプレイ画面24及び追加のディスプレイ画面30が位置する平面よりも運転者から遠くに位置づけられた平面にあることを意味する。実施形態では、第1のディスプレイ画面24及び追加のディスプレイ画面30は同じ平面に配置することができ、他の実施形態では、第1のディスプレイ画面24と追加のディスプレイ画面30は異なる平面に配置することができる。さらには、実施形態では、ディスプレイ画面24、26、30が位置する各平面は、他の平面のいずれにも平行でなくても、他の平面の一方に平行であっても、あるいは他の平面の両方に平行であってもよい。図2に示される位置決めを達成するために、ガラス物品32は、追加のディスプレイ画面30と第2のディスプレイ画面26との間に、第1の凸曲率38a及び第2の凹曲率38bを含む。さらには、ガラス物品は、第2のディスプレイ画面26と第1のディスプレイ画面24との間に、第3の凹曲率38c及び第4の凸曲率38dを含む。
【0018】
上述のように、ガラス物品32の第2の側36はダッシュボード基部12に固定され、ガラス物品32の第1の側34は、ガラス物品32の第2の側36に対して曲げ軸40を中心に曲げ可能である。実施形態では、第4の凸曲率38dは、曲げ軸40上に形成される。このようにして、第1の側34は、第4の凸曲率38dが可変であり、特に、ガラス物品32から取り外すことができるように、曲げ可能である。すなわち、ガラス物品32の第1の側34は、ガラス物品32が第3の凹曲率38cとガラス物品32の第1の側34との間で実質的に平面になるように曲げることができる。
【0019】
実施形態では、ガラス物品32の第2の側36の少なくとも一部は、第1のディスプレイ画面24が運転席側20に配向される構成において、第1の側34と約180°の角度(すなわち、実質的に平面)を形成する。実施形態では、第2の側36の少なくとも一部は、第1のディスプレイ画面が運転席側20と助手席側22との間に配向される構成において、第1の側34と190°から290°の角度を形成する。
【0020】
さらには、実施形態では、第1の画面24は、長さ寸法L1及び幅寸法W1を含む。実施形態では、長さ寸法L1又は幅寸法W1のうちの少なくとも一方は、曲げ構成における中心線軸18に対して垂直であり、平面構成では、曲げ構成において中心線軸18に対して垂直な長さ寸法L1又は幅寸法W1のうちの少なくとも一方は、平面構成において中心線軸18に対して横切るようになる。例えば、図2に示されるように、幅寸法W1は、曲げ構成では中心線軸18に対して実質的に垂直であり、第1の側34を平面構成へと回転させると、幅寸法W1は中心線軸18に対して横切るようになる。
【0021】
さらに、実施形態では、曲げ構成にあるとき、ガラス物品32の第1の側34は、中心線軸18の運転席側の第1の部分20と、中心線軸18の助手席側の第2の部分22とを有する。第1の側34を平面構成へと回転させると、運転席側20のガラス物品32の第1の側34の第1の部分は増加し、助手席側22のガラス物品32の第1の側34の第2の部分は減少する。すなわち、第1の側34は、平面構成にあるときは、運転席側20に配向される。
【0022】
図3は、曲げ軸40の領域を示す、ガラス物品32の単純化された概略的な側面図を示している。見られるように、ガラス物品32は、第1の主面44と第2の主面46とを有するガラスシート42を含む。第2の主面46は第1の主面44の反対側にあり、第1の主面44と第2の主面46との間に厚さT(平均厚さ又は最大厚さ)が画成される。実施形態では、厚さは、平均して、0.3mmから2.0mm、特に0.4mmから1.1mmである。非主面48は、ガラスシート42の周囲に延在し、第1の主面44と第2の主面46とを接続する。
【0023】
第2の主面46には少なくとも1つのヒンジ50が配置される。実施形態では、ヒンジ50は、ガラスシート42を第1の側34と第2の側36との間で分割し、第1の側34がガラス物品32の第2の側36に対して曲がることを可能にする。実施形態では、ヒンジ50は、第1の側34が、該第1の側34の最大移動位置間(すなわち、運転席側に配向された平面構成と、運転席側と助手席側との間で等しく配向された曲げ構成との間)のいずれかの角度で置かれることができるように位置決め可能である。さらには、実施形態では、ヒンジ50は手動で作動可能である、すなわち、ユーザはガラス物品32の第1の側34を手で位置決めすることができる。他の実施形態では、ヒンジ50は、第1の側34が、例えばタッチ機能、音声コマンド、又は押しボタンによってユーザが起動するアクチュエータによって位置決めされるように、電気機械的に作動可能である。ヒンジ50は、とりわけ、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、たわみヒンジ、格子ヒンジ、又はリンクスヒンジなど、曲げ軸40を提供するのに適したさまざまなヒンジのいずれかでありうる。実施形態では、ヒンジ50は単一のヒンジである。実施形態では、単一のヒンジ50は、第1の側34と第2の側36との間の曲げ軸40の10%の長さから最大で全長まで延在する。他の実施形態では、第1の側34と第2の側36との間の曲げ軸40に沿って、少なくとも2つのヒンジ50が提供される。このような実施形態では、ヒンジ50は、曲げ軸40に沿って等間隔に配置されうる。
【0024】
封入材料52は、ガラスシート42の第2の主面46の少なくとも一部の上に成形される。上記のように、封入材料52は、ガラスシート42を支持し、保護する。特に、封入材料52は、ガラスシート42の自由端54におけるエッジ応力からガラスシート42を保護する。さらには、実施形態では、封入材料52は、第2の主面46の一部だけでなく、非主面48の少なくとも一部も覆う。さらに他の実施形態では、封入材料52は、ガラスシート42の第1の主面44の一部を覆ってもよい。実施形態では、封入材料52はまた、ヒンジ50をガラスシート42の第2の主面46に結合する。他の実施形態では、ヒンジ50は、ガラスシート42の第2の主面46には結合されないが、封入材料52によって適所に保持されうる。さらに他の実施形態では、ヒンジ50は、接着剤でガラスシート42の第2の主面46に結合することができ、封入材料52にも結合することができる。
【0025】
実施形態では、封入材料52は、例えば、とりわけ、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、及び反応射出成形材料を含む。本明細書で用いられる場合、「反応射出成形材料」には、射出成形手順中に金型内で硬化する熱硬化性ポリマーが含まれる。実施形態では、反応射出成形材料には、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイソシアヌレート、ポリエステル、ポリフェノール、ポリエポキシド、及びナイロン6が含まれる。実施形態では、封入材料52は、ガラス繊維又は雲母などの強化剤を含むことができる。
【0026】
図4~6は、ガラスシート42上に成形された封入材料52を含む、ガラス物品32のさまざまな実施形態を示している。最初に図4を参照すると、ガラスシート42の第2の主面46及び非主面48上に封入材料52が配置された、ガラス物品32が示されている。見られるように、封入材料52は、第1の主面44上には設けられておらず、丸みを帯びたエッジ56が封入材料52において成形されて、ガラスシート42の自由端54の周りに滑らかな移行部を提供し、第1の主面44のレベルからテーパ状になっている。
【0027】
図5は、支持部材58を含むガラス物品32の別の実施形態を示している。特に、支持部材58は、ガラスシート42の第2の主面46と支持部材58との間に封入材料を注入することによって、ガラス物品32に一体化される。支持部材58は、ガラス物品32に追加の剛性及び曲げ剛性を提供し、これにより、以下で論じるようにヘッドフォーム衝撃試験における性能が向上する。実施形態では、支持部材58は、金属(例えば、鋼若しくはアルミニウム合金)、複合材料(例えば、繊維強化プラスチック)、又はプラスチックのシートを含む。実施形態では、支持部材58は、該支持部材58の幾何学形状(例えば、形状、厚さなど)並びに材料特性(ヤング率及びポアソン比など)を考慮して、所望の剛性又は曲げ剛性に基づいて選択することができる。
【0028】
さらには、実施形態では、支持部材58は、ガラス物品32の固定された第2の側36のための取り付け機構を提供する。特に、支持部材58は、図1に示されるダッシュボード12の基部など、車両内部ベースに係合するように構成された複数のポスト60又はスタッドを含みうる。図5に示される実施形態に関して、ポスト60は、支持部材58からガラスシート42とは反対の方向に延在する。以下で論じるように、支持部材58は、封入材料52を使用する成形プロセスによってガラス物品32に一体化することができる。ガラス物品32の第1の側34では、ポスト60は、ダッシュボード基部12との嵌合相互作用を提供して、ガラス物品32を曲げ構成で保持することができる(すなわち、第1の側34が典型的な運転条件下で振動しないように)。さらには、ポスト60は、第1の側34を平面構成と曲げ構成との間に位置決めするために、上述の電気機械作動機構の取り付け点を提供することができる。
【0029】
図6は、図6の実施形態がさらにディスプレイモジュール62も含むことを除き、図5の実施形態と実質的に同様のガラス物品32の別の実施形態を示している。実施形態では、ディスプレイモジュール62は、封入材料52に形成された間隙64内に位置付けられる。さらには、支持部材58も含む実施形態では、支持部材58は、ディスプレイモジュール62を挿入する開口部を含むことができる。実施形態では、ディスプレイモジュール62は、ディスプレイユニット及びバックライトユニットを含む。実施形態では、ディスプレイモジュール62は、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、又はプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つである。ディスプレイモジュール62は、ガラスシート42の第2の主面46に配置されており、該ディスプレイモジュール62は、光学的に透明な接着剤を使用してガラスシート42の第2の主面46に結合することができる。図2図6の両方を参照すると、ガラス物品32の各ディスプレイ画面24、26、30に、ディスプレイモジュール62を提供することができる。さらには、実施形態では、ディスプレイ画面24、26、30のいずれかを提供するディスプレイモジュール62のいずれも、ユーザ対話のためのタッチ機能を備えることができる。
【0030】
ガラス物品32のさまざまな実施形態を説明してきたが、次に、ガラス物品32を形成する方法を説明する。実施形態では、封入材料52は、射出成形プロセスによってガラスシート42上に成形される。例えば、ガラス物品32は、金型(例えば、クラムシェル型)内にガラスシート42を配置し、ヒンジ50及び支持部材58(含まれる場合)を金型内に位置づけることによって成形される。さらに、ディスプレイモジュール62がガラス物品32に含まれる場合、金型は、ディスプレイモジュール62が位置付けられる間隙を生成するように形作ることができ、あるいは、取り外し可能な成形ブロックを配置して、ディスプレイモジュール62が位置付けられる間隙64を生成することができる。その後、封入材料52は、要望どおりに第2の主面46及び非主面48を覆うように、金型内に注入される。さらに、封入材料52は、追加の接着剤を必要とせずに、ガラスシート42、ヒンジ50、及び支持部材58に結合する。したがって、封入材料52はまた、ガラスシート42、ヒンジ50、及び支持部材58を結合して一体型のガラス物品32にする。実施形態では、ガラスシート52、ヒンジ50、及び/又は支持部材58にプライマーを塗布して、封入材料52との結合を容易にすることができる。
【0031】
ガラス物品32の、特に第2の側36の曲率38a~cは、熱間成形又は冷間成形のいずれかによって製造することができる。「冷間成形」とは、曲率38がガラスの軟化温度よりも低い温度でガラスシート42に導入されることを意味する。より具体的には、冷間成形は200℃未満、100℃未満、又はさらには室温で行われる。対照的に、「熱間成形」は、ガラスシート42の軟化温度以上の温度で、プレス、垂下装置、成形徐冷炉などを使用して行われる。熱間成形と冷間成形との間のさらなる際立った特徴は、ガラスシート42が軟化温度以上の温度で再形成されるまで曲率を保持するという点で、熱間成形によって導入された曲率38が永続的であることである。
【0032】
冷間成形によって導入される曲率は永続的ではない。特に、冷間成形中、ガラスシート42に圧力を印加して、ガラスシート42を所望の形状に適合させる。圧力は、真空圧、機械プレス、ローラなど、さまざまな異なる方法で印加することができる。次に、ガラスシート42を支持構造(例えば、支持部材58)に結合して、ガラスシート42をその冷間成形形状に保持する。しかしながら、支持構造から剥がされると、ガラスシート42はその平面構成へと跳ね戻る。この特性は、図2に示される第4の曲率38dに利用され、ヒンジ50を使用することによって、ガラスシート42は、平面構成(運転席側20に配向された)と曲げ構成(運転席側20と助手席側22との間に配向された)との間で曲がることが可能になる。しかしながら、固定された第2の側36にある、他の曲率38a~cは、冷間成形された位置に保持されるであろう。
【0033】
実施形態では、ガラスシート42は、封入材料52を用いて射出成形する前に、所望の曲率38a~cを導入するために熱間成形される。他の実施形態では、ガラスシート42は、所望の曲率38を導入するために封入材料52を用いて射出成形する前に冷間成形される。さらに他の実施形態では、ガラスシート42は、所望の曲率38を導入するために封入材料52を用いた射出成形中に冷間成形される。
【0034】
有利には、本明細書に記載されるガラス物品32は、頭部衝撃試験(HIT)の要件に合格するように構成される。HIT中、車両の内部表面が調査され、衝突時の車両内部システムとのシミュレートされた頭部衝撃に基づいて、車両内部システムが、関連する頭部損傷基準(HIC)を満たしているかどうかが判断される。特に、人間の頭部をシミュレートするヘッドフォームを使用して、試験された車内部システムとの衝突の減速特性が決定される。減速の大きさと減速が発生する時間の両方を低減することによって、試験性能の成功を達成することができる。US DOT FMVSS 201で定義されているように、ヘッドフォームが15mph(約24.14km/時)の速度で衝突した場合、ヘッドフォームは3ミリ秒より長い間80gを超えない。さらに、ガラスシート42は、損傷の原因にもなりうる鋭利なガラスの破片が生成しないように、HIT後に無傷のままであることが望ましい。
【0035】
前述のように、開示されたガラス物品32のHIT性能は、支持部材58を組み込むことによって操作することができる。具体的には、支持部材58は、過度に大きい減速を生じさせるほど高くなく、ガラスシート42の破壊に寄与するガラスシートの大きいたわみを生じさせるほど低くない程度の剛性及び曲げ剛性を提供するように調節することができる。これらの考慮事項は車両内部の任意のガラス表面に関連し、本開示のガラス物品32は、第1の側34が第2の側36に対して曲がる能力に基づいて、ガラス物品32の動的運動を説明するという追加の問題を提示する。具体的には、第1の側34が運転席側20に向いている場合、自由端54はヒンジ50によってその位置に支持されるだけであり、ガラスシート42のエッジは故障点としてのより高い可能性を有する。しかしながら、本開示によれば、エッジは、第2の主面46及び非主面48上の封入材料によって保護される。したがって、ガラス物品32は、適切な支持部材58の選択に少なくとも部分的に基づいて、HITに合格するのに必要な剛性及び曲げ剛性を提供するように構成することができ、ガラスシート42のエッジ及び表面は、封入材料52によって保護される。
【0036】
本開示のガラス物品32及び該ガラス物品32を形成する方法の他の利点には、全体的な設計における軽量化、ガラス物品32へのヒンジ50の構造的一体化、簡素化されたアセンブリ(例えば、射出成形プロセスによる)、ガラス物品32の構成要素間の熱的不一致の低減が含まれる。
【0037】
以下の段落では、図1~3を参照して、ガラスシート42のさまざまな幾何学的特性、並びにガラスシートの組成が提供される。上記のように、ガラスシート42は、実質的に一定であり、第1の主面44と第2の主面46との間の距離として定義される、厚さTを有する。さまざまな実施形態では、Tは0.3mmから2.0mmである。加えて、ガラスシート42は、厚さTに直交する第1又は第2の主面44、46のうちの一方の第1の最大寸法として定義される幅W2と、厚さと幅の両方に直交する第1又は第2の主面44、46のうちの一方の第2の最大寸法として定義される長さL2とを含む。他の実施形態では、幅W2及び長さL2は、それぞれ、ガラスシート42の平均幅及び平均長さであってよく、他の実施形態では、幅W2及び長さL2は、それぞれ、ガラスシート42(例えば、可変の幅又は長さを有するガラスシート42)の最大幅及び最大長さでありうる。さまざまな実施形態では、幅W2は5cmから250cmの範囲にあり、長さL2は約5cmから約1500cmの範囲にある。さらには、さまざまな実施形態では、ガラス物品32の曲率38a~dは、各々が約20mmから約10,000mmの範囲の曲率半径を有しうる。
【0038】
車両内部システムのさまざまな実施形態は、列車、自動車(例えば、乗用車、トラック、バス等)、船舶(ボート、船、潜水艦等)、並びに航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプター等)などの車両に組み込むことができる。
【0039】
実施形態では、ガラスシート42は強化することができる。1つ以上の実施形態では、ガラスシート42は、表面から圧縮の深さ(DOC)まで延在する圧縮応力を含むように強化することができる。圧縮応力領域は、引張応力を示す中央部分によって平衡化されている。DOCでは、応力は正(圧縮)応力から負(引張)応力へと移行する。
【0040】
さまざまな実施形態では、ガラスシート42は、圧縮応力領域と引張応力を示す中央領域とを作り出すために、物品の部分間の熱膨張係数の不一致を利用することによって機械的に強化することができる。幾つかの実施形態では、ガラスシートは、ガラスを、ガラス転移点を超える温度へと加熱し、次いで急冷することによって、熱的に強化することができる。
【0041】
さまざまな実施形態では、ガラスシート42は、イオン交換によって化学的に強化することができる。イオン交換プロセスでは、ガラスシートの表面又はその近くのイオンは、同じ原子価又は酸化状態を有する、より大きいイオンで置き換えられるか、又はそれらと交換される。ガラスシートがアルカリアルミノケイ酸ガラスを含む実施形態では、物品の表面層内のイオン及びより大きいイオンは、Li、Na、K、Rb、及びCsなどの一価のアルカリ金属カチオンである。あるいは、表面層内の一価のカチオンを、アルカリ金属カチオン以外の一価のカチオン、例えばAgなどで置き換えてもよい。このような実施形態では、ガラスシート内へと交換された一価のイオン(又はカチオン)は、応力を生じさせる。
【0042】
イオン交換プロセスは、典型的には、ガラスシート中のより小さいイオンと交換されるべきより大きいイオンを含有する1つの溶融塩浴(若しくは2つ以上の溶融塩浴)中にガラスシートを浸漬することによって行われる。水性塩浴も利用することができることに留意されたい。加えて、(一又は複数の)浴の組成は、2種類以上のより大きいイオン(例えば、Na+及びK+)又は単一のより大きいイオンを含みうる。浴組成及び温度、浸漬時間、(一又は複数の)塩浴へのガラスシートの浸漬回数、複数の塩浴の使用、アニーリング、洗浄などの追加の工程などを含むが、それらに限定されない、イオン交換プロセスのためのパラメータは、概して、ガラスシートの組成(物品の構造及び存在するあらゆる結晶相を含む)、並びに強化から生じるガラスシートの所望のDOC及びCSによって決定されることが、当業者に認識されるであろう。例示的な溶融浴組成物は、より大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、及び塩化物を含みうる。典型的な硝酸塩には、KNO、NaNO、LiNO、NaSO、及びそれらの組合せが含まれる。溶融塩浴の温度は、典型的には、約380℃から最高で約450℃までの範囲であり、一方、浸漬時間は、ガラスシートの厚さ、浴温度、及びガラス(又は一価のイオン)の拡散性に応じて、約15分から最長約100時間までの範囲である。しかしながら、上述のものとは異なる温度及び浸漬時間も使用することができる。
【0043】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、約370℃~約480℃の温度を有する、100%NaNO、100%KNO、又はNaNOとKNOとの組合せの溶融塩浴中に浸漬することができる。幾つかの実施形態では、ガラスシートは、約5%~約90%のKNO及び約10%~約95%のNaNOを含む溶融混合塩浴中に浸漬することができる。1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、第1の浴に浸漬させた後に第2の浴に浸漬させてもよい。第1の浴及び第2の浴は、互いに異なる組成物及び/又は温度を有していてもよい。第1の浴及び第2の浴への浸漬時間は変化させることができる。例えば、第1の浴への浸漬は、第2の浴への浸漬よりも長くすることができる。
【0044】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、約420℃未満(例えば、約400℃又は約380℃)の温度を有する、NaNO及びKNO(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴に、約5時間未満、さらには約4時間以下の時間、浸漬させることができる。
【0045】
イオン交換条件は、「スパイク」を提供するように、又は得られるガラスシートの表面又はその近くの応力プロファイルの勾配を増加させるように、調整することができる。スパイクは、より大きい表面CS値をもたらすことができる。このスパイクは、本明細書に記載されるガラスシートに用いられるガラス組成物の独特の性質に起因して、単一組成又は混合組成を有する(一又は複数の)浴を用いた、単一の浴又は複数の浴によって達成することができる。
【0046】
2以上の一価のイオンがガラスシート内へと交換される1つ以上の実施形態では、異なる一価のイオンは、ガラスシート内の異なる深さまで交換されうる(かつ、異なる深さにおいて、ガラスシート内に異なる大きさの応力を生じさせる)。応力を発生するイオンの結果的に得られる相対深さは、決定することができ、応力プロファイルの異なる特性を生じさせることができる。
【0047】
CSは、折原製作所(日本所在)製造のFSM-6000などの市販の機器を使用する表面応力計(FSM)によってなど、当技術分野で知られている手段を使用して測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依拠している。SOCは、その両方が、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、ASTM規格C770-98(2013)に「ガラス応力-光学係数の測定のための標準試験方法(Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient)」に記載される、ファイバ法及び4点曲げ法、並びにバルクシリンダ法などの当技術分野で知られている方法によって測定される。本明細書で用いられる場合、CSとは、圧縮応力層内で測定される最高の圧縮応力値である「最大圧縮応力」でありうる。幾つかの実施形態では、最大圧縮応力は、ガラスシートの表面に位置している。他の実施形態では、最大圧縮応力は、表面下のある深さにおいて生じ、圧縮プロファイルに「埋没ピーク」の出現をもたらすことがある。
【0048】
DOCは、強化方法及び条件に応じて、FSM又は散乱光偏光器(SCALP)(エストニア国タリン所在のGlasstress Ltd.社から入手可能なSCALP-04散乱光偏光器など)によって測定することができる。ガラスシートがイオン交換処理によって化学的に強化されている場合、どのイオンがガラスシート内へと交換されるかに応じて、FSM又はSCALPが用いられうる。カリウムイオンをガラスシート内へと交換することによってガラスシートの応力が発生する場合には、FSMを使用してDOCを測定する。ナトリウムイオンをガラスシート内へと交換することによって応力が発生する場合には、SCALPを使用してDOCを測定する。カリウムとナトリウムの両方のイオンをガラス内へと交換することによってガラスシートの応力が生じる場合には、ナトリウムの交換深さはDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは圧縮応力の規模の変化(ただし、圧縮から引張への応力変化ではない)を示すと考えられることから、DOCはSCALPで測定される;このようなガラスシート中のカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定される。中央張力又はCTは最大引張応力であり、SCALPで測定される。
【0049】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、(本明細書で説明されているように)ガラスシート42の厚さTの一部として記載されているDOCを示すように強化することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、DOCは約0.05T以上から約0.25Tでありうる。場合によっては、DOCは、約20μmから約300μmでありうる。さらには、1つ以上の実施形態では、強化されたガラスシートは、約200MPa以上、約500MPa以上、又は約1000MPa以上のCS(ガラスシートの表面又はガラスシート内のある深さに見られうる)を有しうる。1つ以上の実施形態では、強化されたガラスシートは、約20MPa以上、約50MPa以上、又は約85MPa以上の最大引張応力又は中央張力(CT)を有しうる。
【0050】
ガラスシート42での使用に適したガラス組成物には、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウアルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、及びアルカリ含有ホウアルミノケイ酸ガラスが含まれる。
【0051】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約66モル%から約80モル%の範囲の量のSiO、約4モル%から約15モル%の範囲の量のAl、約0モル%から約5モル%の範囲の量のB、約0モル%から約2モル%の範囲の量のP、約8モル%から約20モル%の範囲の量のRO、約0モル%から約2モル%の範囲の量のRO、約0モル%から約0.2モル%の範囲の量のZrO、及び約0モル%から約0.2モル%の範囲の量のSnOを含みうる。上記組成において、ROは、アルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO、RbO、及びCsOなど)の総量を指す。特に、NaOは、約8モル%から約20モル%の範囲の量で存在することができ、KOは、約0モル%から約4モル%の範囲の量で存在することができる。さらには、上記組成において、ROは、CaO、MgO、BaO、ZnO、及びSrOなどのアルカリ土類金属酸化物の総量を指す。特に、CaOは、約0モル%から約1モル%の範囲の量で存在することができ、MgOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在することができる。
【0052】
実施形態では、ガラス組成物は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、及びMoなどの他の金属酸化物を含みうる。特に、Feの形態のFeは、約0モル%から約1モル%の範囲の量で存在することができ、TiOは、約0モル%から約5モル%の範囲の量で存在することができる。
【0053】
例示的なガラス組成物は、約65モル%~約75モル%の範囲の量のSiO、約8モル%~約14モル%の範囲の量のAl、約12モル%~約17モル%の範囲の量のNaO、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のKO、及び約1.5モル%~約6モル%の範囲の量のMgOを含む。任意選択的に、SnOは、本明細書に他に開示されている量で含まれうる。
【0054】
本開示の態様(1)は、第1の主面、該第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに第1の主面と第2の主面とを接続する非主面を有するガラスシートであって、第1の側と第2の側とを含む、ガラスシート;該ガラスシートの第2の主面に配置された少なくとも1つのヒンジであって、ガラスシートを第1の側と第2の側との間で分割する、少なくとも1つのヒンジ;少なくとも部分的に非表面の周りに、かつ少なくとも部分的に第2の主面の上に成形された封入材料;を含む、車両内部システム用ガラス物品に関し、ここで、ガラスシートの第2の側は、少なくとも1つのヒンジの周りを第1の構成から第2の構成へと回転し;第1の構成では、第1の側は第2の側と第1の角度を形成し、第2の構成では、第1の側は第2の側と第2の角度を形成し、第1の角度は第2の角度とは異なっている。
【0055】
本開示の態様(2)は、少なくとも1つのヒンジの各々が、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、たわみヒンジ、格子ヒンジ、又はリンクスヒンジのうちの少なくとも1つを含む、態様(1)に記載のガラス物品に関する。
【0056】
本開示の態様(3)は、封入材料が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、又は反応射出成形材料を含む、態様(1)又は態様(2)に記載のガラス物品に関する。
【0057】
本開示の態様(4)は、第1の構成における第1の角度が180°であり、したがって第1の側と第2の側とが実質的に平面になる、態様(1)から(3)のいずれかに記載のガラス物品に関する。
【0058】
本開示の態様(5)は、第2の構成の第2の角度が190°から290°である、態様(1)から(4)のいずれかに記載のガラス物品に関する。
【0059】
本開示の態様(6)は、封入材料がガラスシートと支持部材との間に配置されるように封入材料内に埋め込まれた支持部材をさらに含む、態様(1)から(5)のいずれかに記載のガラス物品に関する。
【0060】
本開示の態様(7)は、支持部材が、金属シート、複合シート、又はプラスチックシートを含む、態様(6)に記載のガラス物品に関する。
【0061】
本開示の態様(8)は、支持部材が、ガラス物品を車両内部ベースに接続するように構成された取付機構をさらに含む、態様(6)又は態様(7)に記載のガラス物品に関する。
【0062】
本開示の態様(9)は、ガラスシートの第2の主面に接着されたディスプレイモジュールをさらに含み、封入材料が、ディスプレイモジュールを受け入れるように適合された間隙を含む、態様(1)から(8)のいずれかに記載のガラス物品に関する。
【0063】
本開示の態様(10)は、US DOT FMVSS 201に準拠したヘッドフォーム衝撃試験に供されたときに、ガラスシートに衝突するヘッドフォームが、減速中に3ミリ秒を超えて80gの力を受けない、態様(1)から(9)のいずれかに記載のガラス物品に関する。
【0064】
本開示の態様(11)は、車両の中心線軸を横切って配置されたダッシュボード基部であって、中心線軸が車両を長手方向に運転席側と助手席側とに分割する、ダッシュボード基部;該ダッシュボード基部に取り付けられたガラス物品であって、第1の主面、該第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに第1の主面と第2の主面とを接続する非主面を含む、ガラスシート(ここで、第1のガラスシートが、第1の側と第2の側とを含み、第1の側が、中心線軸の運転席側に位置する)と、該ガラスシートの第2の主面に配置された少なくとも1つのヒンジであって、ガラスシートを第1の側と第2の側との間で分割する、少なくとも1つのヒンジと、少なくとも部分的に非表面の周りに、かつ少なくとも部分的に第2の主面の上に成形された封入材料とを含む、ガラス物品;を備えた、車両の内部システムに関し、ここで、ガラスシートの第2の側は、ヒンジの周りを第1の構成から第2の構成へと回転し、第1の構成では、ガラスシートの第1の側は、運転席側の第1の部分と助手席側の第2の部分とを含み;第2の構成では、ガラスシートの第1の側の第1の部分は第1の構成に対して増加し、ガラスシートの第1の側の第2の部分は第1の構成に対して減少する。
【0065】
本開示の態様(12)は、ガラス物品が、該ガラス物品の第2の側にディスプレイをさらに含む、態様(11)に記載の内部システムに関する。
【0066】
本開示の態様(13)は、第1の側が少なくとも1つの曲率を含む、態様(11)又は態様(12)に記載の内部システムに関する。
【0067】
本開示の態様(14)は、US DOT FMVSS 201に準拠したヘッドフォーム衝撃試験に供されたときに、ガラスシートに衝突するヘッドフォームが、減速中に3ミリ秒を超えて80gの力を受けない、態様(11)から(13)のいずれかに記載の内部システムに関する。
【0068】
本開示の態様(15)は、少なくとも1つのヒンジの各々が、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、たわみヒンジ、格子ヒンジ、又はリンクスヒンジのうちの少なくとも1つを含む、態様(11)から(14)のいずれかに記載の内部システムに関する。
【0069】
本開示の態様(16)は、封入材料が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、又は反応射出成形材料を含む、態様(11)から(15)のいずれかに記載の内部システムに関する。
【0070】
本開示の態様(17)は、封入材料がガラスシートと支持部材との間に配置されるように封入材料内に埋め込まれた支持部材をさらに含む、態様(11)から(16)のいずれかに記載の内部システムに関する。
【0071】
本開示の態様(18)は、支持部材が、金属シート、複合シート、又はプラスチックシートである、態様(17)に記載の内部システムに関する。
【0072】
本開示の態様(19)は、支持部材が、ガラス物品をダッシュボード基部に接続するように構成された取り付け機構をさらに含む、態様(17)又は態様(18)に記載の内部システムに関する。
【0073】
本開示の態様(20)は、封入材料が、ディスプレイモジュールが挿入される間隙を含む、態様(11)から(19)のいずれかに記載の内部システムに関する。
【0074】
本開示の態様(21)は、ガラスシートを金型内に配置する工程であって、ガラスシートが第1の主面、該第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに第1の主面と第2の主面とを接続する非主面を含む、工程;金型内のガラスシートの第2の主面に少なくとも1つのヒンジを位置づける工程;封入材料が、少なくとも部分的に非主面を取り囲み、少なくとも部分的にガラスシートの第2の主面を覆うように金型に封入材料を注入する工程;を含む、ガラス物品を形成する方法に関し、ここで、ガラス物品は、第1の構成から第2の構成へと少なくとも1つのヒンジの周りで曲がるように構成され;第1の構成では、第1の側は第2の側と第1の角度を形成し、第2の構成では、第1の側は第2の側と第2の角度を形成し、第1の角度は第2の角度とは異なっている。
【0075】
本開示の態様(22)は、金型内に支持部材を位置づける工程をさらに含み、封入材料が、ガラスシートと支持部材との間に注入される、態様(21)に記載の方法に関する。
【0076】
本開示の態様(23)は、支持部材が、金属シート、複合シート、又はプラスチックシートを含む、態様(22)に記載の方法に関する。
【0077】
本開示の態様(24)は、支持部材が、ガラス物品を車両内部ベースに接続するように構成された取り付け機構をさらに含む、態様(22)又は態様(23)に記載の方法に関する。
【0078】
本開示の態様(25)は、封入材料内にディスプレイモジュールを受け入れるように構成された間隙を形成する工程をさらに含む、態様(21)から(24)のいずれかに記載の方法に関する。
【0079】
本開示の態様(26)は、ディスプレイモジュールをガラスシートの第2の主面に接着する工程をさらに含む、態様(25)に記載の方法に関する。
【0080】
本開示の態様(27)は、封入材料が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、又は反応射出成形材料を含む、態様(21)から(26)のいずれかに記載の方法に関する。
【0081】
本開示の態様(28)は、第1の構成における第1の角度が180°であり、したがって第1の側と第2の側とが実質的に平面になる、態様(21)から(27)のいずれかに記載の方法に関する。
【0082】
本開示の態様(29)は、第2の構成の第2の角度が190°から290°である、態様(21)から(28)のいずれかに記載の方法に関する。
【0083】
本開示の態様(30)は、少なくとも1つのヒンジの各々が、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、たわみヒンジ、格子ヒンジ、又はリンクスヒンジのうちの少なくとも1つを含む、態様(21)から(29)のいずれかに記載の方法に関する。
【0084】
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法は、その工程が特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることは、決して意図していない。したがって、方法クレームがその工程が従うべき順序を実際に列挙していないか、又は工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に具体的に述べられていない場合には、いかなる特定の順序も、推測されることは、決して意図していない。加えて、本明細書で用いられる場合には、冠詞「a」は、1つ又は1つ以上の構成要素又は要素を含むことが意図されており、1つだけを意味すると解釈されることは意図されていない。
【0085】
開示される実施形態の精神又は範囲から逸脱することなく、さまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明白であろう。実施形態の精神及び本質を組み込んだ開示された実施形態の修正、組合せ、部分組合せ、及び変形が当業者に想起されうることから、本開示の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内のあらゆるものを含むと解釈されるべきである。
【0086】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0087】
実施形態1
車両内部システム用ガラス物品は、
第1の主面、前記第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに前記第1の主面と前記第2の主面とを接続する非主面を有するガラスシートであって、第1の側と第2の側とを含む、ガラスシート、
前記ガラスシートの前記第2の主面に配置された少なくとも1つのヒンジであって、前記ガラスシートを前記第1の側と前記第2の側との間で分割する、少なくとも1つのヒンジ、
少なくとも部分的に前記非表面の周りに、かつ少なくとも部分的に前記第2の主面の上に成形された、封入材料
を含み、
前記ガラスシートの前記第2の側が、前記少なくとも1つのヒンジの周りを第1の構成から第2の構成へと回転し、
前記第1の構成において、前記第1の側が前記第2の側と第1の角度を形成し、前記第2の構成において、前記第1の側が前記第2の側と第2の角度を形成し、前記第1の角度が前記第2の角度とは異なっている、
方法。
【0088】
実施形態2
前記少なくとも1つのヒンジの各々が、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、たわみヒンジ、格子ヒンジ、又はリンクスヒンジのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1に記載のガラス物品。
【0089】
実施形態3
前記封入材料が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、又は反応射出成形材料を含む、実施形態1又は実施形態2に記載のガラス物品。
【0090】
実施形態4
前記第1の構成における前記第1の角度が180°であり、したがって前記第1の側と前記第2の側とが実質的に平面になる、実施形態1から3のいずれかに記載のガラス物品。
【0091】
実施形態5
前記第2の構成における前記第2の角度が190°から290°である、実施形態1から4のいずれかに記載のガラス物品。
【0092】
実施形態6
前記ガラスシートと前記支持部材との間に配置されるように前記封入材料内に埋め込まれた支持部材をさらに含む、実施形態1から5のいずれかに記載のガラス物品。
【0093】
実施形態7
前記支持部材が、金属シート、複合シート、又はプラスチックシートを含む、実施形態6に記載のガラス物品。
【0094】
実施形態8
前記支持部材が、前記ガラス物品を車両内部ベースに接続するように構成された取付機構をさらに含む、実施形態6又は実施形態7に記載のガラス物品。
【0095】
実施形態9
前記ガラスシートの前記第2の主面に接着されたディスプレイモジュールをさらに含み、前記封入材料が、前記ディスプレイモジュールを受け入れるように適合された間隙を含む、実施形態1から8のいずれかに記載のガラス物品。
【0096】
実施形態10
US DOT FMVSS 201に準拠したヘッドフォーム衝撃試験に供されたときに、前記ガラスシートに衝突するヘッドフォームが、減速中に3ミリ秒を超えて80gの力を受けない、実施形態1から9のいずれかに記載のガラス物品。
【0097】
実施形態11
車両の内部システムにおいて、
前記車両の中心線軸を横切って配置されたダッシュボード基部であって、前記中心線軸が前記車両を長手方向に運転席側と助手席側とに分割する、ダッシュボード基部、
前記ダッシュボード基部に取り付けられたガラス物品であって、
第1の主面、前記第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに前記第1の主面と前記第2の主面とを接続する非主面を含む、ガラスシートであって、前記第1のガラスシートが、第1の側と第2の側とを含み、前記第1の側が、前記中心線軸の前記運転席側に位置する、ガラスシート、
前記ガラスシートの前記第2の主面に配置された少なくとも1つのヒンジであって、前記ガラスシートを前記第1の側と前記第2の側との間で分割する、少なくとも1つのヒンジ、及び
少なくとも部分的に前記非表面の周りに、かつ少なくとも部分的に前記第2の主面の上に成形された、封入材料
を含む、ガラス物品
を備えており、
前記ガラスシートの前記第2の側が、前記ヒンジの周りを第1の構成から第2の構成へと回転し、
前記第1の構成では、前記ガラスシートの前記第1の側が、前記運転席側の第1の部分と前記助手席側の第2の部分とを含み、
前記第2の構成では、前記ガラスシートの前記第1の側の前記第1の部分が前記第1の構成に対して増加し、前記ガラスシートの前記第1の側の前記第2の部分が前記第1の構成に対して減少する、
車両の内部システム。
【0098】
実施形態12
前記ガラス物品が、該ガラス物品の前記第2の側にディスプレイをさらに含む、実施形態11に記載の内部システム。
【0099】
実施形態13
前記第1の側が、少なくとも1つの曲率を含む、実施形態11又は実施形態12に記載の内部システム。
【0100】
実施形態14
US DOT FMVSS 201に準拠したヘッドフォーム衝撃試験に供されたときに、前記ガラスシートに衝突するヘッドフォームが、減速中に3ミリ秒を超えて80gの力を受けない、実施形態11から13のいずれかに記載の内部システム。
【0101】
実施形態15
前記少なくとも1つのヒンジの各々が、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、たわみヒンジ、格子ヒンジ11、又はリンクスヒンジのうちの少なくとも1つを含む、実施形態11から14のいずれかに記載の内部システム。
【0102】
実施形態16
前記封入材料が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、又は反応射出成形材料を含む、実施形態11から15のいずれかに記載の内部システム。
【0103】
実施形態17
前記ガラスシートと前記支持部材との間に配置されるように前記封入材料内に埋め込まれた支持部材をさらに含む、実施形態11から16のいずれかに記載の内部システム。
【0104】
実施形態18
前記支持部材が、金属シート、複合シート、又はプラスチックシートである、実施形態17に記載の内部システム。
【0105】
実施形態19
前記支持部材が、前記ガラス物品をダッシュボード基部に接続するように構成された取り付け機構をさらに含む、実施形態17又は実施形態18に記載の内部システム。
【0106】
実施形態20
前記封入材料が、ディスプレイモジュールが挿入される間隙を含む、実施形態11から19のいずれかに記載の内部システム。
【0107】
実施形態21
ガラス物品を形成する方法において、
ガラスシートを金型内に配置する工程であって、前記ガラスシートが、第1の主面、該第1の主面とは反対側の第2の主面、並びに前記第1の主面と前記第2の主面とを接続する非主面を含む、工程、
前記金型内の前記ガラスシートの前記第2の主面に少なくとも1つのヒンジを位置決めする工程、
前記封入材料が、少なくとも部分的に前記非主面を取り囲み、少なくとも部分的に前記ガラスシートの前記第2の主面を覆うように、前記金型内に封入材料を注入する工程
を含み、
前記ガラス物品が、前記少なくとも1つのヒンジの周りで第1の構成から第2の構成へと曲がるように構成され、かつ
前記第1の構成において、前記第1の側が前記第2の側と第1の角度を形成し、前記第2の構成において、前記第1の側が前記第2の側と第2の角度を形成し、前記第1の角度が前記第2の角度とは異なっている、
方法。
【0108】
実施形態22
前記金型内に支持部材を位置決めする工程をさらに含み、前記封入材料が前記ガラスシートと前記支持部材との間に注入される、実施形態21に記載の方法。
【0109】
実施形態23
前記支持部材が、金属シート、複合シート、又はプラスチックシートを含む、実施形態22に記載の方法。
【0110】
実施形態24
前記支持部材が、前記ガラス物品を車両内部ベースに接続するように構成された取り付け機構をさらに含む、実施形態22又は実施形態23に記載の方法。
【0111】
実施形態25
前記封入材料内にディスプレイモジュールを受け入れるように構成された間隙を形成する工程をさらに含む、実施形態21から24のいずれかに記載の方法。
【0112】
実施形態26
前記ディスプレイモジュールを前記ガラスシートの前記第2の主面に接着する工程をさらに含む、実施形態25に記載の方法。
【0113】
実施形態27
前記封入材料が、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、又は反応射出成形材料を含む、実施形態21から26のいずれかに記載の方法。
【0114】
実施形態28
前記第1の構成における前記第1の角度が180°であり、したがって前記第1の側と前記第2の側とが実質的に平面になる、実施形態21から27のいずれかに記載の方法。
【0115】
実施形態29
前記第2の構成における前記第2の角度が190°から290°である、実施形態21から28のいずれかに記載の方法。
【0116】
実施形態30
前記少なくとも1つのヒンジの各々が、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、たわみヒンジ、格子ヒンジ、又はリンクスヒンジのうちの少なくとも1つを含む、実施形態21から29のいずれかに記載の方法。
【符号の説明】
【0117】
10 車両内部
12 ダッシュボード基部
14 センターコンソール領域
16 計器パネル領域
18 中心線軸
20 運転席側
22 助手席側
24 第1のディスプレイ画面
26 第2のディスプレイ画面
28 追加のディスプレイ領域
30 追加のディスプレイ画面
32 ガラス物品
34 第1の側
36 第2の側
38a 第1の凸曲率
38b 第2の凹曲率
38c 第3の凹曲率
40 曲げ軸
42 ガラスシート
44 第1の主面
46 第2の主面
48 非主面
50 ヒンジ
52 封入材料
54 自由端
56 丸みを帯びたエッジ
58 支持部材
60 ポスト
62 ディスプレイモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】