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特表2023-529630瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるメロン植物
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  • 特表-瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるメロン植物 図1
  • 特表-瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるメロン植物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるメロン植物
(51)【国際特許分類】
   A01H 6/34 20180101AFI20230704BHJP
   A01H 5/10 20180101ALI20230704BHJP
   A01H 5/08 20180101ALI20230704BHJP
   A01H 5/06 20180101ALI20230704BHJP
   A01H 4/00 20060101ALI20230704BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A01H6/34 ZNA
A01H5/10
A01H5/08
A01H5/06
A01H4/00
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574561
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2021064790
(87)【国際公開番号】W WO2021245135
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2020/000519
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518049164
【氏名又は名称】ビルモラン エ コンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル モロー
(72)【発明者】
【氏名】フラン ドゥ ランジャン
(72)【発明者】
【氏名】ハミラ チャイブ
【テーマコード(参考)】
2B030
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB02
2B030AD05
2B030CA01
2B030CA06
(57)【要約】
本発明は、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)への抵抗性を有するCucumis melo (C. melo)植物を望ましい農学的形質と組み合わせた。本発明はまた、そのような植物を作製する方法、ならびにそのような植物を検出及び/又は選択する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるCucumis melo(C.melo)植物であって:
― 以下、
(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群2(LG2)及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における1つ以上のQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体:
を含み、かつ
― 商業的に許容される果実品質を有する、
前記植物。
【請求項2】
前記植物が、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない、請求項1に記載のC.melo植物。
【請求項3】
(i)LG2上に存在する瘡痂病への抵抗性を付与する前記QTLが、マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32によって区切られた染色体領域内に位置する、及び
(ii)LG5上に存在する瘡痂病への抵抗性を付与する前記QTLが、マーカー LG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58によって区切られた染色体領域内に位置する、
(iii)LG2上に存在するPMへの抵抗性を付与する前記QTLが、マーカー CMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によって区切られた染色体領域内に位置する、及び
(iv)LG5上に存在するPMへの抵抗性を付与する前記QTLが、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカー LG5-M3によって区切られる染色体領域内に位置する、
請求項1に記載のC.melo植物。
【請求項4】
― 瘡痂病に対する抵抗性を付与するLG2上の前記QTLは、マーカー Cm_MU45136_209、LG2-M4、及び/又はCm_MU45398_32の検出によって識別される、
― 瘡痂病に対する抵抗性を付与するLG5上の前記QTLは、マーカー LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、及び/又はCm_MU44050_58の検出によって識別される、
― PMに対する抵抗性を付与するLG2上の前記QTLは、マーカー CMBR120、LG2-M1、及び/又はCm_MU47536_461の検出によって識別される、
― PMに対する抵抗性を付与するLG5上の前記QTLは、マーカー Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139、及び/又はLG5-M3の検出によって識別される、
―前記Vat遺伝子類似体は、LG5上のアブラムシ抵抗性に関連する、
請求項1、2、又は3に記載のC.melo植物。
【請求項5】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性に関連する前記1つ以上のQTLは、系統MSYVVC721(NCIMB受託番号43317)の植物のゲノム中に存在するものから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のC.melo植物。
【請求項6】
前記植物が、系統MSYVVC721(NCIMB受託番号43317)の植物の子孫である、請求項1~5のいずれか1項に記載のC.melo植物。
【請求項7】
前記瘡痂病が、クラドスポリウム・ククメリヌムにより引き起こされる、請求項1~6のいずれか1項に記載のC.melo植物。
【請求項8】
前記うどん粉病が、ポドスファエラ・キサンティにより引き起こされる、請求項1~7のいずれか1項に記載のC.melo植物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のC.melo植物の細胞。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に定義されるC.melo植物から得られる植物断片。
【請求項11】
前記植物部分は種子、果実、生殖材料、根、花、台木又は接ぎ穂である、請求項10に記載の植物部分。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の植物に成長した時に生じる、C.melo植物の種子。
【請求項13】
C.melo植物と請求項1~8のいずれか一項に記載の抵抗性植物とを交配することによって得られる、C.meloの雑種植物。
【請求項14】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるC.melo植物を検出及び/又は選択するための方法であって、以下のステップ:
(i)瘡痂病への抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLの存在を検出するステップであって、前記少なくとも1つのQTLが連鎖群(LG)2及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記ステップ、
(ii)PMへの抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における少なくとも1つのQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体の存在を検出するステップ、及び
(iv)任意選択で、Zym遺伝子に関連する壊死表現型の不在を検出するステップ
を含む、前記方法。
【請求項15】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo植物を得るため、及び好ましくはZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さないための育種プログラムにおける、育種パートナーとしての請求項1~8のいずれか1項に記載のCucumis melo(C. melo)抵抗性植物の使用。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか1項に定義される、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo植物を、瘡痂病、アブラムシ及びPMが蔓延する環境において生育することを含む、前記環境において、収穫可能なCucumis melo(C. melo)植物の数を増大させる方法。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか1項に定義される、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo植物を、前記環境において生育することを含む、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)の蔓延及び/又は拡大から畑を保護するための方法。
【請求項18】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)による畑への蔓延を制御するための請求項1~8のいずれか1項に定義される、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性のあるC.melo植物の使用。
【請求項19】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)が蔓延する環境における、C.melo植物の収量を改善するための方法であって、
a.
(i)クラドスポリウムに抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群(LG)2及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、(i)における少なくとも1つのQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5上のアブラムシに対する抵抗性を付与するVAT遺伝子類似体
をそれらのゲノム中に含む、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性のあるC.melo植物を識別するステップ、及び
b.前記蔓延環境で、前記抵抗性C.melo植物を成長させるステップ:
を含む、前記方法。
【請求項20】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるCucumis melo(C. melo)植物を検出するための分子マーカーであり、前記1つ以上のマーカーが、以下の染色体領域の少なくとも1つに位置する、前記マーカー:
― マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32によってLG2で区切られた染色体領域内、
― マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58によってLG5で区切られた染色体領域内、
― マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によってLG2で区切られた染色体領域内、
― マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3によってLG5で区切られた染色体領域内、又は
― Vat遺伝子類似体内。
【請求項21】
請求項1~8のいずれか1項に規定されるC. melo植物、請求項10又は11に定義される植物部分、請求項12に定義される種子、又は請求項13に定義される雑種植物を含む容器。
【請求項22】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC. melo小植物又は植物の生産方法であって:
i.本発明に記載のC. melo植物の単離された細胞又は組織をインビトロで培養して、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性のあるC. melo微小小植物を産生するステップ、及び
ii.任意選択で、C. melo微小小植物をさらにインビボ培養段階に供し、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性のあるC. melo植物に成長させるステップ
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の農学的形質と組み合わせた、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)への抵抗性を有するCucumis melo (C. melo)植物に関する。本発明はまた、前記植物を作製する方法、並びに前記植物を検出及び/又は選択する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
クラドスポリウム、ポドスファエラ・キサンティ又はアブラムシなどの多くの病原体は、メロン(Cucumis melo)の培養物にコロニーを形成する可能性がある。
【0003】
クラドスポリウム・ククメリヌム エリス及びアーサーは、世界の多くの地域でキュウリやメロンなどのいくつかのウリ科植物の葉及び果実を攻撃する瘡痂病を引き起こす真菌である。非常に高いレベルの単一遺伝子抵抗性が、過去50年間キュウリに体系的に導入されてきたが、メロンにおいては抵抗性が全く記載されていない。前記疾病は主に涼しく湿気の多い状態で発生し、生産者が定期的に殺菌剤を使用しているフランス南西部などで広まっている。
【0004】
うどん粉病(PM)は、2つの主な病原体:ゴロビノマイセス・シコラセアラム及びポドスファエラ・キサンティによって引き起こされる葉の病気である。ポドスファエラ・キサンティがほとんどの国で優勢である一方、温帯ではゴロビノマイセス・シコラセアラムが病気の原因となり得る。フランスでは、2つの病原体の存在にもかかわらず、ポドスファエラ・キサンティが最も一般的に見られる種である。メロンでは、5つのレースのポドスファエラ・キサンティ(例:レース Px-1, Px-2, Px-3, Px-5, Px-3-5)及び2つのレースのゴロビノマイセス・シコラセアラムが記載されている。
【0005】
メロンアブラムシ、すなわちアフィス・ゴシピ グローバーは、経済的に重要な宿主植物、例えばウリ科植物に広範囲にコロニーを形成する害虫であり、それにとって主要な害虫である。A. gossypiiによるウリ科植物のコロニー形成は、植物の死につながる可能性がある発育阻害及び重度の葉のカーリングの原因になる。A. gossypiiはまた、効率的なウイルスベクターであり、ウイルス性疾患の蔓延に寄与する。抵抗性メロンアクセッションは1970年代から記載されており、抵抗性に関与する主要な遺伝子、すなわちVat遺伝子が同定されており(Dogimont et al., Cucurbitaceae 2008, Proceedings of the IXth EUCARPIA meeting on genetics and breeding of Cucurbitaceae; Dogimont et al., 2014, The Plant Journal, 80, 993-1004)、そして市販のメロン系統に導入された。しかしながら、Vat遺伝子は壊死反応(Flaccida壊死)と関連していることが実証されている(Pitrat and Lecoq, 1982, Agronomie, 2:503-508)。
【0006】
今日まで、いくつかのレースのポドスファエラ・キサンティ及びアブラムシ アフィス・ゴシピへの抵抗性がフランスで栽培されているシャラント品種に現在存在している。ポドスファエラ・キサンティのレース1、2、3、及び5に抵抗性を付与する、2つの独立した遺伝子座PmV.1及びPmXII.1は、Perchepied et al., 2005, The American Phytopathological Society, Vol.95(5):556-565によって、抵抗性メロンアクセッションPI 124112と感受性メロン「Vedrantais」との交配に由来するRIL集団を使用して同定された。また、Fukino et al., 2008, Theor. Appl. Genet., 118(1):165-75において、抵抗性AR5マスクメロン育種系統と感受性日本品種「Earl’s Favourite (Harukei 3)」との交配に由来するRILを用いて、連鎖群(LG)II(又はLG2)及びLGXII(LG12)で、ポドスファエラ・キサンティレースA及びBにPM抵抗性を付与する2つのQTLが検出された。この研究におけるLGII上のQTLは、CMBR8及びCMBR120マーカーと密接に関連していることがわかっている。
【0007】
Fazza et al., 2013, Crop Breeding and Applied Biotechnology, 13:349-355はまた、LGII (LG2) 上の2つの連鎖した遺伝子座上のメロンアクセッションPI 414723におけるポドスファエラ・キサンティのレース1、3及び5への抵抗性を付与するQTLのマッピングを開示している。しかしながら、PI 414723アクセッションは、成熟時に青白く、粉っぽく、柔らかい果肉、大きな空洞、成熟時の非常に黄色/オレンジ色の皮、低い糖分レベル (6°Brix)など、望ましくない農学的特徴を持つインドのアクセッションである(Burger et al., 2010, Horticultural Reviews, 36, 165-198)。Fazzaらはまた、LGIIが他の病害抵抗性遺伝子、例えば、ズッキーニイエローモザイクウイルス(ZYMV)に対する抵抗性を付与するZym遺伝子を含むことを開示している。しかしながら、葉/茎/果実の壊死性ストリークの表現型がZym/Zymホモ接合植物で観察されている(Pitrat and Lecoq、1984、Euphytica、33(1):57-61、US20140059712)。したがって、Zym遺伝子の存在に関連する有害な壊死効果なしにPMへの抵抗性を有する植物を得る必要がある。
【0008】
また、Fukinoらによって同定されたCMBR8マーカーはFazzaらではマッピングされておらず、CMBR120マーカーはLGIIで同定されたQTLからかなり離れており、FukinoらのQTLとFazzaらのQTLはLGIIの異なる部分に位置していることが示唆された。メロンゲノムにおける遺伝的にマッピングされたマーカーの密度が低いために、前記抵抗性のQTLの正確な位置を知ることは困難である。それゆえ、ポドスファエラ・キサンティの異なるレースに対する抵抗性のQTLはまちまちであり、それらが潜在的に組み合わせ可能かどうかを定義して、それらを1つのメロン植物で組み合わせることができるようにするために正確な位置が必要である。
【0009】
床面の消毒に使用される植物保護製品の減少に伴い、土に関連するすべての病気の発生率の増加が予想され得る。したがって、クラドスポリウム、ポドスファエラ・キサンティ、及びアブラムシに抵抗性のある品種などの多抵抗性品種の開発も、病原体の影響を制御するための、より許容可能および経済的である手段を有するために必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、Cucumis melo (C. melo)植物に瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に対する抵抗性を付与する量的形質遺伝子座を、望ましい農学的形質と組み合わせ、及び好ましくはZym遺伝子に関連する壊死表現型を伴わずに導入することができた。第1の実施形態において、本発明は、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性であるC. melo植物を提供し、前記植物は、
― 以下、
(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群2(LG2)及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における1つ以上のQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体:
を含み、かつ
― 商業的に許容される果実品質を有する。
【0011】
好ましくは、前記植物は、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない。
【0012】
いくつかの実施形態において、瘡痂病に対する抵抗性を付与するLG2上の前記QTLは、マーカー Cm_MU45136_209(MU45136_209とも呼ばれる、配列番号1)、及びCm_MU45398_32(MU45398_32とも呼ばれる、配列番号9)によって区切られる染色体領域内に位置する。
【0013】
いくつかの実施形態において、瘡痂病に対する抵抗性を付与するLG5上の前記QTLは、マーカーLG5-M1(配列番号13)及びマーカー Cm_MU44050_58(MU44050_58とも呼ばれる、配列番号20)によって区切られる染色体領域内に位置する。
【0014】
いくつかの実施形態において、PMに対する抵抗性を付与するLG2上の前記QTLは、マーカーCMBR120(配列番号24及び25を有するプライマーを用いて識別することができる)及びマーカー Cm_MU47536_461(MU47536_461とも呼ばれる、配列番号30)によって区切られる染色体領域内に位置する。
【0015】
いくつかの実施形態において、PMに対する抵抗性を付与するLG5上の前記QTLは、マーカー Cm_MU45437_855(MU45437_855とも呼ばれる、配列番号34)及びマーカーLG5-M3(配列番号42)によって区切られる染色体領域内に位置する。
【0016】
いくつかの実施形態において、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性であるC. melo植物は、系統MTYVVC721であり、代表的な種子のサンプルが受託番号NCIMB 43317でNCIMBに寄託されている。
【0017】
また、本発明に記載のCucumis melo (C. melo)植物の細胞も提供される。
【0018】
本発明に記載のC. melo植物から得られる植物部分が、さらに提供される。いくつかの実施形態において、前記植物部分は、種子、果実、生殖材料、根、花、台木又は接ぎ穂である。
【0019】
本発明はまた、本発明に記載の植物に成長したときに生じる、Cucumis melo (C. melo)植物の種子を提供する。
【0020】
また、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のCucumis melo (C. melo)の雑種植物も提供され、C.melo植物と本発明に記載の抵抗性植物とを交配することによって得られる。
【0021】
本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性であるCucumis melo (C. melo)植物を検出及び/又は選択するための方法を提供し、前記方法は、以下のステップを含む:
a)以下の有無を検出するステップ:
(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群(LG)2及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における前記少なくとも1つのQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5上のアブラムシに対する抵抗性を付与するVat遺伝子類似体、
b)瘡痂病に対する抵抗性を付与する前記少なくとも1つのQTL、PMに対する抵抗性を付与する前記少なくとも1つのQTL、及びアブラムシに対する抵抗性を付与する前記Vat遺伝子類似体が存在することが検出されたC. melo植物を、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のある植物として選択するステップ。
【0022】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性であるCucumis melo(C. melo)植物を検出するための1つ以上のマーカーの使用がさらに提供され、前記1つ以上のマーカーは、以下の染色体領域の少なくとも1つに位置している:
― マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32によってLG2で区切られた染色体領域内、
― マーカー LG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58によってLG5で区切られた染色体領域内、
― マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によってLG2で区切られた染色体領域内、
― マーカー Cm_MU45437_855及びマーカー LG5-M3によってLG5で区切られた染色体領域内、又は
― Vat遺伝子類似体内。
【0023】
本発明は、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性であり、好ましくはZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型も有さないC. melo植物を得るための育種プログラムにおける育種パートナーとしての本発明に記載のCucumis melo(C. melo)抵抗性植物の使用を提供する。
【0024】
また、Cucumis melo(C. melo)種子の製造方法も提供される。いくつかの実施形態において、前記方法は、本発明に記載のCucumis melo(C. melo)植物をそれ自体又は別のC.melo植物と交配して、得られた種子を収穫することを含む。
【0025】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病の蔓延する環境において、
― 以下、
(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群2(LG2)及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ(i)における1つ以上のQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体:
を含み、かつ
― 商業的に許容される果実品質を有する、
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性を持つC. melo植物を生育することを含む、前記環境において収穫可能なCucumis melo (C. melo) 植物の数を増大させる方法がさらに提供される。
【0026】
好ましくは、そのような植物は、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない。
【0027】
― 以下、
(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群2(LG2)及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における1つ以上のQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体:
を含み、かつ
― 商業的に許容される果実品質を有する、及び
―好ましくは、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない、
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性を持つC. melo植物を生育することを含む、瘡痂病、アブラムシ及びPMの蔓延及び/又は拡大から畑を保護するための方法も提供される。
【0028】
― 以下、
(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群2(LG2)及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における1つ以上のQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体:
を含み、かつ
― 商業的に許容される果実品質を有する、及び
― 好ましくは、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない、
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性を持つC. melo植物の、畑への瘡痂病の蔓延を制御するための使用も提供される。
【0029】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC. melo小植物又は植物を生産するための方法がさらに提供され、この方法は、
i.本発明に記載のC. melo植物の単離された細胞又は組織をインビトロで培養して、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC. melo微小小植物を産生するステップ、及び
ii.任意選択で、C. melo微小小植物をさらにインビボ培養段階に供し、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC. melo植物に成長させるステップ
を含む。
【0030】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)の蔓延する環境におけるC.melo植物の収量を改善するための方法がさらに提供され、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性であり、かつ任意選択でZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型も有さないC.melo植物を成長させることを含む。ここで、前記植物は、そのゲノム中に(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLを含み、前記少なくとも1つのQTLが連鎖群(LG)2及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在し、(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、前記少なくとも1つのQTLがLG2及び/又はLG5上に存在し、かつ(i)における少なくとも1つのQTLと異なる、及び(iii)LG5上のアブラムシに対する抵抗性を付与するVat遺伝子類似体を含む。
【0031】
a.
(i)クラドスポリウムに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、前記少なくとも1つのQTLは連鎖群(LG)2及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、前記少なくとも1つのQTLは、LG2及び/又はLG5上に存在し、(i)における少なくとも1つのQTLと異なる、
(iii)LG5上の、アブラムシに対する抵抗性を付与するVAT遺伝子類似体、
をそれらのゲノム中に含む、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo植物を同定するステップ、及び
b.瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)が蔓延する環境で、前記抵抗性C.melo植物を成長させるステップ:
を含む、前記蔓延環境における、C.melo植物の収量を改善するための方法も提供される。
【0032】
定義
【0033】
本明細書において使用される場合、「植物部分」という用語は、苗条、根、茎、種子、果実、葉、花弁、花、胚珠、枝、葉柄、節間、花粉、雄しべ、台木、接ぎ穂などを非限定的に含む、植物の任意の部分を指す。
【0034】
本明細書において使用される場合、「量的形質遺伝子座(QTL)」という用語は、1つ以上の遺伝子又は調節配列を含み得るゲノム領域を指す。QTLは、例えば、その産物が遺伝的抵抗性又は耐性を付与する1つ以上の遺伝子を含み得る。あるいは、QTLは、例えば、その産物が植物のゲノム中の他の遺伝子座上の遺伝子の発現に影響を与え、それにより抵抗性又は耐性を付与する調節遺伝子又は配列を含み得る。本発明のQTLは、1つ以上の分子ゲノムマーカーを用いて、それぞれの病原体抵抗性アクセッションのゲノムにおけるそれらの遺伝的位置を示すことによって定義され得る。1つ以上のマーカーは、特定の遺伝子座を示す。遺伝子座間の距離は通常、同じ染色体上の遺伝子座間の頻度又は交叉によって測定される。2つが離れているほど、それらの間で交叉が発生する可能性が高くなる。逆に、2つの遺伝子座が近接している場合、それらの間で交叉が発生する可能性は低くなる。原則として、1センチモルガン(cM)は1%の遺伝子座(マーカー)間の組換えに等しい。QTLが複数のマーカーによって示され得る場合、終点マーカー間の遺伝的距離はQTLのサイズを示す。
【0035】
「抵抗性」という用語は、害虫又は病原体に対する植物の反応、及び野菜種子産業の非生物的ストレスを記載の、ISF(国際種子連盟)の野菜及び観賞用作物セクションによって定義されているとおりである。
【0036】
具体的には、抵抗性とは、特定の害虫又は病原体の成長及び発達、及び/又は同様の環境条件及び害虫又は病原体の影響下で感受性の植物品種と比較した場合に引き起こされる被害を制限する植物品種の能力を意味する。抵抗性品種は、強い害虫又は病原体の影響下でいくつかの病気の症状又は被害を示し得る。
【0037】
「耐性」とは、成長、外観及び収量に深刻な影響を与えることなく、生物的及び非生物的ストレスに耐える植物品種の能力を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「感受性」という用語は、特定の害虫又は病原体の成長及び発達を制限することができない植物を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「子」又は「子孫」という用語は、1つ以上の親植物もしくはその子孫からの栄養繁殖又は有性生殖から、子孫として生じる任意の植物を指す。例えば、子植物は、親植物のクローニング又は自殖によって、もしくは2つの親植物を交配することによって得られ得、自殖並びにF1又はF2もしくはよりさらなる世代を含む。F1は、少なくとも1つが形質のドナーとして初めて使用される親から生じた第1世代の子であり、第2世代(F2)又はそれ以降の世代(F3、F4など)の子孫は、F1、F2などの自殖から生成された標本である。したがって、F1は2つの真正育種親間の交配から生じる雑種であり得る(及び一般的である)が(真正育種とは形質に対してホモ接合性である)、一方でF2は、前記F1雑種の自家受粉から生じる子であり得る(及び一般的である)。
【0040】
本明細書で使用される場合、「交雑」、「交配」という用語は、これによりある植物の1つの花の花粉が(人工的に又は自然に)別の植物の花の胚珠(柱頭)に適用される工程を指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、「ヘテロ接合体」という用語は、少なくとも1つの遺伝子座に存在する異なるアリル遺伝子(所与の遺伝子又は配列の形態)を有する二倍体又は倍数性の細胞又は植物を指す。
【0042】
本明細書において使用される場合、「ヘテロ接合性」という用語は、特定の遺伝子座における異なるアリル遺伝子(所与の遺伝子又は配列の形態)の存在を指す。
【0043】
本明細書において使用される場合、「ホモ接合体」という用語は、全ての相同染色体上の1つ以上の遺伝子座において同じアリル遺伝子を有する個々の細胞又は植物を指す。
【0044】
本明細書において使用される場合、「ホモ接合性」という用語は、相同染色体セグメントにおける1つ以上の遺伝子座における同一のアリル遺伝子の存在を指す。
【0045】
本明細書において使用される場合、「雑種」という用語は、1つ以上の遺伝子の異なる親間の交雑から生じる任意の個々の細胞、組織又は植物を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「近交系」又は「系統」という用語は、相対的に真正育種の株を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「表現型」という用語は、個々の細胞、細胞培養物、生物(例えば植物)、又はその個々の遺伝子構成(すなわち遺伝子型)と環境との間の相互作用から生じる生物群の観察可能な特徴を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「導入」、「導入された」及び「導入する」という用語は、ある種、品種又は栽培品種の遺伝子が、それらの種を交配することによって、別の種、品種又は栽培品種のゲノムに移動する工程を指す。交配は自然でも人工であり得る。この工程は、場合により、反復親の戻し交配によって完了し得、その場合に導入とは、種間雑種とその親の1つとの反復戻し交配を通じて、ある種の遺伝子を別の種の遺伝子プールに浸潤させることを指す。導入は、レシピエント植物のゲノムに安定に組み込まれたヘテロ遺伝物質としても説明され得る。
【0049】
本明細書において使用される場合、「分子マーカー」という用語は、核酸配列の特性の違いを視覚化するための方法において使用される指標を指す。このような指標の例は、制限断片長多型(RFLP)マーカー、増幅断片長多型(AFLP)マーカー、一塩基多型(SNP)、挿入変異、マイクロサテライトマーカー(SSR)、配列特性増幅領域(SCARs)、切断増幅多型配列(CAPS)マーカー又はアイソザイムマーカー、もしくは特定の遺伝的及び染色体位置を規定する本明細書に記載のマーカーの組み合わせである。アリル遺伝子の近傍における分子マーカーのマッピングは、一般的な分子技術を用いて当業者によって極めて容易に行うことができる手順である。
【0050】
本明細書において使用される場合、「プライマー」という用語は、DNAポリメラーゼを結合させる増幅標的にアニーリングすることができるオリゴヌクレオチドを指し、プライマー伸長産物の合成が誘導される条件下、すなわち、ヌクレオチド及びDNAポリメラーゼなどの重合剤の存在下、及び適切な温度及びpH下に置かれたときに、DNA合成の開始点として機能する。プライマーは、好ましくは増幅における最大効率のために一本鎖である。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、重合剤の存在下で伸長産物の合成をプライミングするのに十分な長さである必要がある。プライマーの正確な長さは、プライマーの温度並びに組成(A/T及びG/C含有量)など、多くの要因に依存する。一対の双方向プライマーは、PCR増幅などのDNA増幅の技術において一般的に使用される1つのフォワードプライマー及び1つのリバースプライマーからなる。
【0051】
「瘡痂病」とは、クラドスポリウムと呼ばれる子嚢菌類(屋内及び屋外のカビ)の真菌によって引き起こされる真菌性疾患を意味する。クラドスポリウム種の非限定的な例としては、クラドスポリウム・エレガンス、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス、クラドスポリウム・カリゲナム、クラドスポリウム・ムサエ、クラドスポリウム・アブラナ、クラドスポリウム・ククメリヌム及びクラドスポリウム・オキシスポラムが挙げられる。好ましくは、クラドスポリウム種は、クラドスポリウム・ククメリヌム(クラドスポリウム・ククメリヌム・エリス及びアーサーとしても知られる)である。病気の症状は、葉、葉柄、茎、果実などの植物のすべての部分に見られる。葉の病変は、薄緑色の水浸状領域として始まり、徐々に灰色から白に変わり、角張っていく。多くの場合、病変により黄色がかったハローに囲まれ、病変により中心は引き裂かれ、葉に不規則な穴が残る。果物では、小さな(1/8インチ)、灰色の、くぼんだ、にじみ出る、虫の「刺傷」に似た粘着性のスポットが発生する。その後、スポットは拡大し、最終的に明確なくぼんだ空洞になる。クレーターのようなくぼみは、果実の経年につれて不規則なかさぶたのような外観を発達させ、粘着性物質をにじみ出させる可能性がある
(https://extension.illinois.edu/hortanswers/detailproblem.cfm?PathogenID=141)。
【0052】
「うどん粉病」とは、エリシファレス目の真菌によって引き起こされる真菌性疾患を意味する。好ましくは、うどん粉病は、ゴロビノマイセス・シコラセアラム(エリシフェ・シコラセアラムDCとしても知られている)及び/又はポドスファエラ・キサンティ(スファエロテカ・フリギネアまたはオイジウム・エリシフォイデスとしても知られている)によって引き起こされる。さらに好ましくは、うどん粉病はポドスファエラ・キサンティによって引き起こされる。いくつかの実施形態において、うどん粉病は、ポドスファエラ・キサンティレースPx-1、Px-2、Px-3、Px-5、及び/又はPx3-5によって引き起こされる。この疾患は、茎、葉柄、上部及び/又は下部の葉の表面、並びに果実での白又は淡黄色の病変を特徴とする。病気が進行すると、病変はより大きく高密度になる。病変が拡大するにつれて、分生子は患部組織から生成されて、スポットは粉末状の外観を帯びる。真菌の前記胞子形成は、植物組織の細胞破壊を引き起こし、そして植物のより少ないエネルギー性能をもたらす光合成効力の喪失を引き起こす可能性がある。
(https://cuccap.org/disease-management/melon/powdery-mildew/)。
【0053】
「アブラムシ」とは、ウリ科植物などの経済的に重要な宿主植物を広範囲にコロニー形成する害虫を意味し、それゆえ主要な害虫である。アブラムシによるウリ科植物のコロニー形成は、植物の死につながる可能性がある発育阻害及び重度の葉のカールの原因となる。アブラムシはまた効率的なウイルスベクターであり、ウイルス性疾患の蔓延に寄与する。好ましくは、アブラムシは、アフィス・ゴシピ グローバーの種である。
【0054】
「Vat遺伝子類似体」とは、アブラムシ、より好ましくはDogimont et al., 2008, Pitrat M. (ed), Cucurbitaceae 2008, Proceedings of the IXth EUCARPIA meeting on genetics and breeding of Cucurbitaceae, Avignon (France), May 21-24th, 2008, pp. 219-228に記載されている、PI 414723アクセッションのアフィス・ゴシピ グローバーに対する抵抗性を担う主要な遺伝子を意味する。vat遺伝子類似体は、LG5上に位置する(Dogimont et al., 2014, The Plant Journal, 80, 993-1004)。いくつかの実施形態において、Vat遺伝子類似体は、2015年3月24日に更新されたGenBank番号KM513660.1(配列番号:46)の下で参照されるvat遺伝子によってコードされる核酸配列と99,8%の同一性を有する5897bpのヌクレオチド配列を含む、もしくはそれらから成る。いくつかの実施形態において、vat遺伝子類似体は、2014年10月27日に更新されたGenBank番号AIU36098.1(配列番号:47)の下で参照されるvatタンパク質と99,6%の同一性を有する1473aaのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし、すなわち、Vat遺伝子類似体は、2014年10月27日に更新されたGenBank番号AIU36098.1(配列番号:47)の下で参照されるvatタンパク質と比較して6つの異なるaaを有するポリペプチドをコードする。Vat遺伝子類似体の同定は、配列5’-CTCCACTCAGAATTGGTAGGTGCC-3’(配列番号:48)を有するフォワードプライマーMe-VatE-F及び配列5’-CCTTAGAAGAAGATGAAGTCTCCC-3’(配列番号:49)を有するリバースプライマーMe-VatE-Rを用いて、特許出願FR 2 849 863に記載のように行ってもよい。上記の一対のプライマーを用いて、1723bpの断片の検出は、Vat遺伝子類似体の存在を示す。
【0055】
本出願の文脈では、同一性の割合は、グローバルアラインメントを用いて計算される(すなわち、2つの配列は、それらの全長にわたって比較される)。2つ以上の配列の同一性を比較する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Needleman-Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970 J. Mol. Biol. 48:443-453) を用いて、2つの配列の全長を考慮した場合の最適なアラインメント (ギャップを含む) を見出す、「needle」プログラムが用いられ得る。Needleプログラムは、例えば ebi.ac.uk World Wide Web siteで入手できる。本発明に記載の同一性の割合は、好ましくは、10.0に等しい「ギャップオープン」パラメータ、0.5に等しい「ギャップエクステンド」パラメータ、及びBlosum62行列を有する、EMBOSS::needle(global)プログラムを用いて計算される。
【0056】
本発明の文脈において、マーカーLG2-M1、Cm_MU47536_461、LG2-M2、Cm_MU47380_465、LG2-M3、Cm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、Cm_MU45437_855及びLG5-M3についてのDNA鎖並びにアリル遺伝子の指定及び配向は、イルミナ社によって開発されたTOP/BOT法に従って行うことができる
(https://www.illumina.com/documents/products/technotes/technote_topbot.pdf)。
【0057】
SNPの名前におけるCm接尾辞は以下では省略し得るが、Cucumis.meloの同じマーカーを参照している。
【0058】
本出願の文脈において、2つのマーカーX及びYによって区切られた染色体領域(例えばSNPs)とは、これら2つのマーカー位置の間に位置し、前記マーカーを含む染色体部分を指し、したがって、この染色体領域のヌクレオチド配列は、マーカーXに対応するヌクレオチドで始まり、マーカーYに対応するヌクレオチドで終わり、すなわち、マーカーはそれらが区切った領域内に含まれる。
【0059】
「Zym遺伝子に関連する壊死表現型」とは、Zym遺伝子の存在下においてホモ接合的である、Pitrat and Lecoq, 1984, Euphytica, 33(1):57-61に記載のような壊死表現型を意味する。より具体的には、前記壊死表現型は、葉の表皮における壊死スポットの出現に対応し、これは葉上で徐々に広がり、葉または茎を完全に乾燥させる可能性がある。
【0060】
「商業的に許容される果実品質」とは、オレンジから赤のマゼンタまでの果肉の色(すなわち、ミノルタ比色計によって測定されたL * c * h値:60<L<65、40<c<50及び66<h<75を有する比色)、ペネフェルで測定した平均値4 kg / 0.5cm2 +/-2の果肉の硬さ、少なくとも11°のBrixレベル、ヴェドランタイス品種に見られる果実の直径/空洞のサイズの比、及び+12 ℃での8日を超える果実の保存を有する、シャラント、ウエスタンシッパー、ハーパー、又はイタリアンカンタロープのタイプの果物を意味する。商業的に許容される果実品質を有する果実の例は、HM-CLAUSE由来のHUGO、ALONSO又はFELINO品種の果実であり得る。
【0061】
関連、又は遺伝的関連、より具体的には遺伝的連鎖によって、遺伝子マーカー(例えば、SNPマーカーの特定のアリル遺伝子)と目的の表現型の多型は、同時に起こる、すなわち、偶然の発生によって予想されるよりも頻繁に共に遺伝する、すなわち、それらのゲノム近接の結果として、アリル遺伝子および表現型に関与する遺伝子配列の非ランダム関連が存在することを理解されたい。
【0062】
配列表
【0063】
配列番号1は、マーカー Cm_MU45136_209の隣接配列を示す。
【0064】
配列番号2は、Cm_MU45136_209マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0065】
配列番号3は、Cm_MU45136_209マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0066】
配列番号4は、Cm_MU45136_209マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0067】
配列番号5は、マーカーLG2-M4の隣接配列を示す。
【0068】
配列番号6は、LG2-M4マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0069】
配列番号7は、LG2-M4マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0070】
配列番号8は、LG2-M4マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0071】
配列番号9は、マーカー Cm_MU45398_32の隣接配列を示す。
【0072】
配列番号10は、Cm_MU45398_32マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0073】
配列番号11は、Cm_MU45398_32マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0074】
配列番号12は、Cm_MU45398_32マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0075】
配列番号13は、マーカーLG5-M1の隣接配列を示す。
【0076】
配列番号14は、CMCTN2マーカー検出用フォワードプライマーの配列を示す。
【0077】
配列番号15は、CMCTN2マーカー検出用リバースプライマーの配列を示す。
【0078】
配列番号16は、マーカー Cm_MU46579_322の隣接配列を示す。
【0079】
配列番号17は、Cm_MU46579_322マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0080】
配列番号18は、Cm_MU46579_322マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0081】
配列番号19は、Cm_MU46579_322マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0082】
配列番号20は、マーカー Cm_MU44050_58の隣接配列を示す。
【0083】
配列番号21は、Cm_MU44050_58マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0084】
配列番号22は、Cm_MU44050_58マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0085】
配列番号23は、Cm_MU44050_58マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0086】
配列番号24は、CMBR120マーカー検出用フォワードプライマーの配列を示す。
【0087】
配列番号25は、CMBR120マーカー検出用リバースプライマーの配列を示す。
【0088】
配列番号26は、マーカーLG2-M1の隣接配列を示す。
【0089】
配列番号27は、LG2-M1マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0090】
配列番号28は、LG2-M1マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0091】
配列番号29は、LG2-M1マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0092】
配列番号30は、マーカー Cm_MU47536_461の隣接配列を示す。
【0093】
配列番号31は、Cm_MU47536_461マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0094】
配列番号32は、Cm_MU47536_461マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0095】
配列番号33は、Cm_MU47536_461マーカー検出に共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0096】
配列番号34は、マーカー Cm_MU45437_855の隣接配列を示す。
【0097】
配列番号35は、Cm_MU45437_855マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0098】
配列番号36は、Cm_MU45437_855マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0099】
配列番号37は、Cm_MU45437_855マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0100】
配列番号38は、LG5-M2マーカー検出用のフォワードプライマーの配列を示す。
【0101】
配列番号39は、LG5-M2マーカー検出用のリバースプライマーの配列を示す。
【0102】
配列番号40は、CMTAN139マーカー検出用フォワードプライマーの配列を示す。
【0103】
配列番号41は、CMTAN139マーカー検出用のリバースプライマーの配列を示す。
【0104】
配列番号42は、マーカーLG5-M3の隣接配列を示す。
【0105】
配列番号43は、LG5-M3マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0106】
配列番号44は、LG5-M3マーカーの抵抗性アリルを検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0107】
配列番号45は、LG5-M3マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0108】
配列番号46は、GenBank番号KM513660.1で参照されるVat遺伝子のゲノム配列を表す。
【0109】
配列番号47は、GenBank番号AIU36098.1で参照されるVatタンパク質のアミノ酸配列を表す。
【0110】
配列番号48は、Vat遺伝子類似体を増幅するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0111】
配列番号49は、Vat遺伝子類似体を増幅するためのリバースプライマーの配列を示す。
【0112】
配列番号50は、マーカーLG2-M2の隣接配列を示す。
【0113】
配列番号51は、LG2-M2マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0114】
配列番号52は、LG2-M2マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0115】
配列番号53は、LG2-M2マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0116】
配列番号54は、マーカー Cm_MU47380_465の隣接配列を示す。
【0117】
配列番号55は、Cm_MU47380_465マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0118】
配列番号56は、Cm_MU47380_465マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0119】
配列番号57は、Cm_MU47380_465マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【0120】
配列番号58は、マーカーLG2-M3の隣接配列を示す。
【0121】
配列番号59は、LG2-M3マーカーの感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0122】
配列番号60は、LG2-M3マーカーの抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーの配列を示す。
【0123】
配列番号61は、LG2-M3マーカー検出用の共通のリバースプライマーの配列を示す。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図1】この図は、実施例で使用されるさまざまなメロン系統及びアクセッションを示す写真 ― 外観の1枚の写真と内部側面の写真1枚を含む。
図2】この図は、本発明のマーカーが追加された、Diaz et al, 2011に開示されているLG2の遺伝子マップ、並びに対応するQTLの表示である。PMはうどん粉病抵抗性;Scabは瘡痂病に対する抵抗性、及びZYMVはズッキーニイエローモザイクウイルスに対する抵抗性を表す。
図3】この図は、本発明のマーカーが追加されたDiaz et al, 2011に開示されているLG5の遺伝子マップ、ならびに対応するQTLの表示である。PMはうどん粉病抵抗性;Scabは瘡痂病に対する抵抗性を表す。
【発明を実施するための形態】
【0125】
第一の実施形態によれば、本発明は、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるCucumis melo(C.melo)植物に関し、前記植物は、
― 以下、
(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群2(LG2)及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における1つ以上のQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5のアブラムシ抵抗性に関連するvat遺伝子類似体:
を含み、かつ
― 商業的に許容される果実品質を有する。
【0126】
好ましい実施形態によれば、前記植物は、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない。
【0127】
「瘡痂病への抵抗性を付与する1つ以上のQTL」とは、瘡痂病への抵抗性を付与する少なくとも1、2、3、4、5またはそれ以上のQTL、すなわち、LG2上に存在する少なくとも1、2、3、4、5またはそれ以上のQTL、及び/又は少なくとも1、2、3、4、5またはそれ以上のQTLがLG5上に存在することを理解されたい。
【0128】
「PMへの抵抗性を付与する1つ以上のQTL」とは、PMへの抵抗性を付与する少なくとも1、2、3、4、5またはそれ以上のQTL、すなわち、LG2上に存在する少なくとも1、2、3、4、5またはそれ以上のQTL、及び/又はLG5上に存在する少なくとも1、2、3、4、5またはそれ以上のQTLであって、LG2及び/又はLG5にPMへの抵抗性を付与するQTLは、瘡痂病への抵抗性を付与する前記QTLとは異なることを理解されたい。
【0129】
いくつかの実施形態において、LG2上に存在する瘡痂病への抵抗性を付与する前記QTLは、マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32によって区切られる染色体領域内に位置する。
【0130】
いくつかの実施形態において、LG5上に存在するへの対する抵抗性を付与する前記QTLは、マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58によって区切られる染色体領域内に位置する。
【0131】
いくつかの実施形態において、LG2上に存在するPMへの抵抗性を付与する前記QTLは、マーカー CMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によって区切られる染色体領域内に位置する。
【0132】
いくつかの実施形態において、LG5上に存在するPMへの抵抗性を付与する前記QTLは、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3によって区切られる染色体領域内に位置する。
【0133】
好ましくは、本発明に記載のC.melo植物は、本明細書で定義されるQTLの任意の組み合わせを含み、商業的に許容される果実品質を有し、いかなる壊死表現型も有さない。例えば、本発明に記載のC.melo植物は、瘡痂病、アブラムシ及びPMへの抵抗性に関連するQTL(単数又は複数)の以下の組み合わせを含み得る:
【0134】
(a)マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のLG2に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によって区切られた染色体領域内のLG2に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体;
【0135】
(b)マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内のLG5に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3で区切られた染色体領域内のLG5に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子;
【0136】
(c)マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のLG2に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3で区切られた染色体領域内のLG5に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体;
【0137】
(d)マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内のLG5に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内のLG2に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体;
【0138】
(e)マーカーCm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のLG2に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内のLG5に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によって区切られた染色体領域内のLG2に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体;
【0139】
(f)マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のLG2に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内のLG5に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3で区切られた染色体領域内のLG5上に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体;
【0140】
(g)マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のLG2に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内のLG2に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3で区切られた染色体領域内のLG5上に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体;
【0141】
(h)マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内のLG5に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内のLG2に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3で区切られた染色体領域内のLG5に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体;又は
【0142】
(i)マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のLG2に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内のLG5に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内のLG2に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3によって区切られた染色体領域内のLG5に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体。
【0143】
特に好ましい実施形態において、本発明に記載のC.melo植物は、
― マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のLG2に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58によって区切られた染色体領域内のLG5に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内のLG2に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3によって区切られた染色体領域内のLG5に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、並びにLG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体を含み、
― 商業的に許容される果実品質を有し、
― Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない。
【0144】
いくつかの実施形態において、瘡痂病への抵抗性を付与するLG2上の前記QTLは、Cm_MU45136_209、LG2-M4(配列番号5)、及び/又はCm_MU45398_32マーカーの検出;又はマーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のその他のマーカーによって同定される。いくつかの実施形態において、Cm_MU45136_209、LG2-M4、及び/又はCm_MU45398_32マーカーの検出は、Cm_MU45136_209、LG2-M4、及びCm_MU45398_32マーカーの各々の抵抗性/感受性アリル遺伝子を増幅するために使用することができる特異的プライマーを使用して、増幅によって、好ましくはPCRによって行われる。
【0145】
特に、LG2上のCm_MU45136_209マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号1を含む又は配列番号1からなる核酸、もしくは配列番号1の209位の[T/C]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカー Cm_MU45136_209の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号1又はその相補配列からなる核酸を増幅することにより、配列5’-ACAAATTTCTTGGAGCTGCAAGACTTA-3’(配列番号2)から成っていてもよく、マーカー Cm_MU45136_209の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号1又はその相補配列からなる核酸を増幅することにより、配列5’-CAAATTTCTTGGAGCTGCAAGACTTG-3’(配列番号3)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’-TATCATCGGTTCTTGTCTCAAGAAGGAAA-3’ (配列番号4)から成っていてもよい。配列番号2、配列番号3及び配列番号4の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号1の配列からなる増幅産物の209位における、アデニン(A)ではなくグアニン(G)、又は相補鎖におけるチミン(T)ではなくシトシン(C)の検出は、瘡痂病への抵抗性を付与するLG2上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0146】
特に、LG2上のLG2-M4マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号5を含む又は配列番号5からなる核酸、もしくは配列番号5の61位の[G/A]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカー LG2-M4の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号5からなる核酸を増幅することにより、配列5’-TTCACACCATTTGTAAGTTTGAACTTTG -3’(配列番号6)から成っていてもよく、マーカー LG2-M4の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号5からなる核酸を増幅することにより、配列5’-GTTTTCACACCATTTGTAAGTTTGAACTTTA -3’(配列番号7)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’- GCACGTATGATAACGAGTTCTTTAGTGTT-3’ (配列番号8)から成っていてもよい。配列番号6、配列番号7及び配列番号8の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号5の配列からなる増幅産物の61位における、グアニン(G)ではなくアデニン(A)の検出は、瘡痂病への抵抗性を付与するLG2上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0147】
特に、LG2上のCm_MU45398_32マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号9を含む又は配列番号9からなる核酸、もしくは配列番号9の32位の[T/C]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカー Cm_MU45398_32の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号9からなる核酸を増幅することにより、配列5’-CAAAACAGGGTTGTTCCGCTTTACT -3’(配列番号10)から成っていてもよく、マーカー Cm_MU45398_32の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号9からなる核酸を増幅することにより、配列5’-AAAACAGGGTTGTTCCGCTTTACC -3’(配列番号11)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’-CGTCTTCTTCTTCTTCTTCTTTGTTGCTA-3’(配列番号12)から成っていてもよい。配列番号10、配列番号11及び配列番号12の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号9の配列からなる増幅産物の32位における、チミン(T)ではなくシトシン(C)の検出は、瘡痂病への抵抗性を付与するLG2上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0148】
いくつかの実施形態において、瘡痂病への抵抗性を付与するLG5上の前記QTLは、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、及び/又はCm_MU44050_58マーカーの検出;又はマーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内の任意の他のマーカーによって同定される。いくつかの実施形態において、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、及び/又はCm_MU44050_58マーカーの検出は、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、及び/又はCm_MU44050_58マーカーの各々の抵抗性/感受性アリル遺伝子を増幅するために使用することができる特異的プライマーを使用して、増幅によって、好ましくはPCRによって行われる。
【0149】
特に、LG5上のLG5-M1マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号13を含む又は配列番号13からなる核酸、もしくは配列番号13の36位の[T/C]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る(以下の表1参照)。例えば、KASParアッセイにおいて使用することができる適切なプライマーは、熟練者によって容易に設計され得る。配列番号13の36位における[T/C]多型を検出することを可能にするプライマーを用いて、アデノシン(A)ではなくグアニン(G)、又は相補鎖におけるチミン(T)ではなくシトシン(C)の検出は、配列番号13の配列からなる増幅産物の36位における、瘡痂病への抵抗性を付与するLG2上のQTLの存在を示す。
【0150】
特に、LG5上のCMCTN2マーカーの検出は、CMCTN2マーカーの抵抗性/感受性アリル遺伝子を増幅するために使用できるフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いたPCRによって行われる。いくつかの実施形態において、前記PCRの後に、制限酵素による増幅産物の消化、又は増幅産物の配列決定を行う。特に、CMCTN2マーカーを増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーは、それぞれ配列5’-CTGAAAGCAGTTTGTGTCGA-3’(配列番号14)及び5’-AAAGAAGGAAGGGCTGAGA-3’(配列番号15)を含み得る。配列番号14及び配列番号15からなるプライマーを用いると、195bpの増幅産物の検出により、瘡痂病への抵抗性を付与するLG5上のQTLの存在が示される(以下の表2参照)。
【0151】
特に、LG5上のCm_MU46579_322マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号16を含む又は配列番号16からなる核酸、もしくは配列番号16の51位の[T/C]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカー Cm_MU46579_322の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号16からなる核酸を増幅することにより、配列5’- TCCGATCCTCACTGGAACTATCT -3’(配列番号17)から成っていてもよく、マーカー Cm_MU46579_322の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号16からなる核酸を増幅することにより、配列5’- CCGATCCTCACTGGAACTATCC -3’(配列番号18)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’- CAGCCTCATCGACTGTGAACTTCAT -3’(配列番号19)から成っていてもよい。配列番号17、配列番号18及び配列番号19の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号16の配列からなる増幅産物の51位における、アデニン(A)ではなくグアニン(G)、又は相補鎖におけるチミン(T)ではなくシトシン(C)の検出は、瘡痂病への抵抗性を付与するLG5上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0152】
特に、LG5上のCm_MU44050_58マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号20を含む又は配列番号20からなる核酸、もしくは配列番号20の58位の[T/C]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカー Cm_MU44050_58の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号20からなる核酸を増幅することにより、配列5’- GCGTTGCTTTCATGGCGAGCTTT -3’(配列番号21)から成っていてもよく、マーカー Cm_MU44050_58の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号20からなる核酸を増幅することにより、配列5’- CGTTGCTTTCATGGCGAGCTTC -3’(配列番号22)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’- CTGTGGAACGGAGAAGCTCAAAGAA -3’(配列番号23)から成っていてもよい。配列番号21、配列番号22及び配列番号23の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号20の配列からなる増幅産物の58位における、アデニン(A)ではなくグアニン(G)、又は相補鎖におけるチミン(T)ではなくシトシン(C)の検出は、瘡痂病への抵抗性を付与するLG5上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0153】
いくつかの実施形態において、PMへの抵抗性を付与するLG2上の前記QTLは、CMBR120、LG2-M1(配列番号26)、及び/又はCm_MU47536_461マーカーの検出;又はマーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内の任意の他のマーカーにより同定される。いくつかの実施形態において、CMBR120、LG2-M1、及び/又はCm_MU47536_461マーカーの検出は、CMBR120、LG2-M1、及び/又はCm_MU47536_461マーカーの各々の抵抗性/感受性アリル遺伝子を増幅するために使用することができる特異的プライマーを使用して、増幅によって、好ましくはPCRによって行われる。
【0154】
特に、LG2上のCMBR120マーカーの検出は、CMBR120マーカーの抵抗性/感受性アリル遺伝子を増幅するために使用できるフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いたPCRによって行われる。いくつかの実施形態において、前記PCRの後に、制限酵素による増幅産物を消化する、又は増幅産物を配列決定する。特に、CMBR120マーカーを増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーは、それぞれ配列5’- CTGGCCCCCTCCTAAACTAA-3’(配列番号24)及び5’- CAAAAAGCATCAAAATGGTTG -3’(配列番号25)を含み得る。配列番号24及び配列番号25からなるプライマーを用いると、165bpの増幅産物の検出によりPMへの抵抗性を付与するLG2上のQTLの存在が示される(以下の表2参照)。
【0155】
特に、LG2上のLG2-M1マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号26を含む又は配列番号26からなる核酸、もしくは配列番号26の69位の[C/T]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカー LG2-M1の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号26又はその相補配列からなる核酸を増幅することにより、配列5’-CCTCATTTGGGCCCCGGG-3’(配列番号27)から成っていてもよく、マーカーLG2-M1の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号26又はその相補配列からなる核酸を増幅することにより、配列5’-AATCCTCATTTGGGCCCCGGA-3’(配列番号28)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’-TCATGGCTTCTGATACTCGTTCTGATAT-3’ (配列番号29)から成っていてもよい。配列番号27、配列番号28及び配列番号29の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号26の配列からなる増幅産物の69位における、グアニン(G)ではなくアデニン(A)、又は相補鎖におけるシトシン(C)ではなくチミン(T)の検出は、PMへの抵抗性を付与するLG2上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0156】
特に、LG2上のCm_MU47536_461マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号30を含む又は配列番号30からなる核酸、もしくは配列番号30の51位の[A/T]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカーCm_MU47536_461の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号30からなる核酸を増幅することにより、配列5’- ATGTACAAGATTTTGATAATGTGATTGATACA -3’(配列番号31)から成っていてもよく、マーカーCm_MU47536_461の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号30からなる核酸を増幅することにより、配列5’- ATGTACAAGATTTTGATAATGTGATTGATACT -3’(配列番号32)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’- CGAAGAATATTAGCTGAGCCTTTGATGTT -3’(配列番号33)から成っていてもよい。配列番号31、配列番号32及び配列番号33の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号30の配列からなる増幅産物の51位における、アデニン(A)ではなくチミン(T)の検出は、PMへの抵抗性を付与するLG2上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0157】
いくつかの実施形態において、PMへの抵抗性を付与するLG5上の前記QTLは、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139、及び/又はLG5-M3マーカーの検出;又はマーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3で区切られた染色体領域内の他のマーカーによって同定される。いくつかの実施形態において、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139、及び/又はLG5-M3マーカーの検出は、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139、及び/又はLG5-M3マーカーの各々の抵抗性/感受性アリル遺伝子を増幅するために使用することができる特異的プライマーを使用して、増幅によって、好ましくはPCRによって行われる。
【0158】
特に、LG5上のCm_MU45437_855マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号34を含む又は配列番号34からなる核酸、もしくは配列番号34の51位の[G/A]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカーCm_MU45437_855の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号34からなる核酸を増幅することにより、配列5’-AAAGTTTCTGTGTATTAAATCTGAACTCG -3’(配列番号35)から成っていてもよく、マーカーCm_MU45437_855の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号34からなる核酸を増幅することにより、配列5’-AATTAAAGTTTCTGTGTATTAAATCTGAACTCA -3’(配列番号36)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’-CAGAGCACGTTTCGAAGGCACATAT-3’(配列番号37)から成っていてもよい。配列番号35、配列番号36及び配列番号37の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号34の配列からなる増幅産物の51位における、グアニン(G)ではなくアデニン(A)の検出は、PMへの抵抗性を付与するLG5上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0159】
特に、LG5上のLG5-M2マーカーの検出は、LG5-M2マーカーの抵抗性/感受性アリル遺伝子を増幅するために使用できるフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いたPCRによって行われる。いくつかの実施形態において、前記PCRの後に、制限酵素による増幅産物の消化、又は増幅産物の配列決定を行う。特に、LG5-M2マーカーを増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーは、それぞれ配列5’-CACTTTCTAAATAGTTTGGAAAAGAG-3’(配列番号38)及び5’-GAGAATGTCTCTTTATCTAC-3’(配列番号39)を含み得る。配列番号38及び配列番号39からなるプライマーを用いると、178bpの増幅産物の検出によりPMへの抵抗性を付与するLG5上のQTLの存在が示される(以下の表2参照)。
【0160】
特に、LG5上のCMTAN139マーカーの検出は、CMTAN139マーカーの抵抗性/感受性アリル遺伝子を増幅するために使用できるフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いたPCRによって行われる。いくつかの実施形態において、前記PCRの後に、制限酵素による増幅産物の消化、又は増幅産物の配列決定を行う。特に、CMTAN139マーカーを増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーは、それぞれ配列5’-CGTAGAAGACACACATAATG-3’(配列番号40)及び5’-GAACTAGAACCACAAATCAC -3’(配列番号41)を含み得る。配列番号40及び配列番号41からなるプライマーを用いると、134bpの増幅産物の検出によりPMへの抵抗性を付与するLG5上のQTLの存在が示される(以下の表2参照)。
【0161】
特に、LG5上のLG5-M3マーカーの検出は、1つは抵抗性アリル遺伝子に特異的であり、及び1つは感受性アリル遺伝子に特異的である、2つのフォワードプライマー、及び共通の1つのリバースプライマーを用いて実行される。前記2つのフォワードプライマーは、配列番号42を含む又は配列番号42からなる核酸、もしくは配列番号42の51位の[C/T]多型を含むそれらのフラグメントを増幅できるように選択され得る。例えば、マーカーLG5-M3の感受性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号42又はその相補配列からなる核酸を増幅することにより、配列5’-CAGTCACAGAATTTGTAGTAGACTTATAG -3’(配列番号43)から成っていてもよく、マーカーLG5-M3の抵抗性アリル遺伝子を検出するためのフォワードプライマーは、配列番号42又はその相補配列からなる核酸を増幅することにより、配列5’-CAGTCACAGAATTTGTAGTAGACTTATAA -3’(配列番号44)から成っていてもよく、及び共通のリバースプライマーは配列5’-AGAGTTCTTTCTAACGGGCATTGAGATT-3’(配列番号45)から成っていてもよい。配列番号43、配列番号44及び配列番号45の配列からなるプライマーを用いる場合、配列番号42の配列からなる増幅産物の51位における、グアニン(G)ではなくアデニン(A)、又は相補鎖におけるシトシン(C)ではなくチミン(T)の検出は、PMへの抵抗性を付与するLG5上のQTLの存在を示す(以下の表1参照)。
【0162】
いくつかの実施形態において、LG5上のアブラムシへの抵抗性に関連する前記Vat遺伝子類似体は、配列5’-CTCCACTCAGAATTGGTAGGTGCC-3’(配列番号48)を有するフォワードプライマーMe-VatE-F及び配列5’-CCTTAGAAGAAGATGAAGTCCC-3’(配列番号49)を有するリバースプライマーMe-VatE-Rの増幅産物によって同定される。この一対のプライマーを用いる場合、1723bpの断片の検出により、Vat遺伝子類似体の存在が示される。
【0163】
上記で定義されたマーカーによって増幅された瘡痂病及びうどん粉病(PM)への抵抗性を付与するアリル遺伝子は、表1及び表2に記載されている通りである。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
いくつかの実施形態において、瘡痂病、PM及びアブラムシへの抵抗性を付与する前記QTL(単数又は複数)は、以下の検出によって同定される:
― (1)Cm_MU45136_209のアリル遺伝子C、LG2-M4のアリル遺伝子A、及びCm_MU45398_32のアリル遺伝子C、
― (2)LG5-M1のアリル遺伝子C、CMCTN2のアリル遺伝子195bp、Cm_MU46579_322のアリル遺伝子C、及びCm_MU44050_58のアリル遺伝子C、
― (3)CMBR120のアリル遺伝子165bp、LG2-M1のアリル遺伝子T、及びCm_MU47536_461のアリル遺伝子T、
― (4)Cm_MU45437_855のアリル遺伝子A、LG5-M2のアリル遺伝子178bp、CMTAN139のアリル遺伝子134bp、LG5-M3のアリル遺伝子T、又は
― (5)Me_VatEのアリル遺伝子1723bp。
【0167】
瘡痂病、PM及びアブラムシへの抵抗性を付与するQTLが表1及び2に記載される特定のアリル遺伝子によって識別され得る限り、本発明の植物は、好ましくは、本明細書において上記で定義されるアリル遺伝子の任意の組み合わせを含み、商業的に許容される果実品質を有し、任意選択でいかなる壊死表現型も有さない。例えば、本発明に記載のC.melo植物は、瘡痂病、PM及びアブラムシへの抵抗性に関連するアリル遺伝子の以下の組合せを含み得る:
I)アリル遺伝子の組み合わせ(1)、(3)及び(5)、
II)アリル遺伝子の組み合わせ(2)、(4)及び(5)、
III)アリル遺伝子の組み合わせ(1)、(4)及び(5)、
IV)アリル遺伝子の組み合わせ(2)、(3)及び(5)、
V)アリル遺伝子の組み合わせ(1)、(2)、(3)及び(5)、
VI)アリル遺伝子の組み合わせ(1)、(2)、(4)及び(5)、
VII)アリル遺伝子の組み合わせ(1)、(3)、(4)及び(5)、
VIII)アリル遺伝子の組み合わせ(2)、(3)、(4)及び(5)、又は
IX)アリル遺伝子の組み合わせ(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)、
【0168】
したがって特に好ましい実施形態において、本発明に記載のC.melo植物は:
― 上記に定義されたアリル遺伝子の組み合わせIX)を含み、
― 商業的に受け入れられる果実品質を有し、
― 任意選択で、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない。
【0169】
いくつかの実施形態において、前記1つ以上のQTLは、クラドスポリウム、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性に関連し、その種子はNCIMB受託番号43317で寄託される系統MTYVVC721の植物のゲノム中に存在するものから選択される。
【0170】
いくつかの実施形態において、クラドスポリウム、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性に関連する前記1つ以上のQTLは、寄託物質MTYVVC721(NCIMB受託番号43317)に対応する植物のゲノム中に見出される通りである。
【0171】
いくつかの実施形態において、本発明に記載のC.melo植物は、系統MTYVVC721であり、その種子はNCIMB受託番号43317の下で寄託される。
【0172】
いくつかの実施形態において、本発明に記載の植物は、受託番号43317の下でNCIMBに寄託された、C.melo系統MTYVVC721の寄託種子から成長した植物の子孫又は子であり得る。寄託された種子から成長する植物は、実際に瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に対してホモ接合的に抵抗性であり、それらは商業的に許容される果実品質を有し、そしてZym遺伝子に関連する壊死表現型を有さない、すなわちそれらは、ホモ接合状態で上記に定義された、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性に関連するLG2及びLG5上のQTLをゲノム中に有し;Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を持たない。それらは、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を移すことなく、交配並びに自殖及び/又は戻し交配によって、別のバックグラウンドにおいてLG2及びLG5上の前記QTLを移すために使用することができる。寄託された種子から得られた植物の子孫は、当業者によって、例えばマーカーCm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、CMBR120、LG2-M1、Cm_MU47536_461、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139、LG5-M3及び/又はMe-VatEを用いて同定することができる。好ましくは、前記子孫は、少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの前記マーカーにより識別され;好ましい実施形態によれば、マーカーの少なくとも1つは、瘡痂病への抵抗性に関連するLG2又はLG5上のQTLに関連し、マーカーの少なくとも1つは、うどん粉病への抵抗性に関連するLG2又はLG5上のQTLに関連し;第3のマーカーは、Me-VatEなどのアブラムシへの抵抗性に関連するマーカーであり得る。
【0173】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性は、感受性(商用)系統、例えばVedrantais系統と比較することにより有利に決定される。クラドスポリウムへの抵抗性は、好ましくは、実施例1.1に詳述されるように、一葉の段階での植物の接種試験に基づいて決定される。PMへの抵抗性は、好ましくは、実施例1.2に詳述されているように、一葉の段階での植物の接種試験に基づいて、または切断葉に適用される噴霧試験に基づいて決定される。アブラムシへの抵抗性は、好ましくは、先行技術に開示されているように決定される。
【0174】
第2の態様によれば、本発明は、本発明に記載の植物部分を対象としている。
【0175】
いくつかの実施形態において、植物部分は、植物細胞である。したがって本発明は、本発明に記載のC.melo植物の細胞すなわち、
(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群2(LG2)及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、
(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における1つ以上のQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体:
を含む、植物の細胞を提供する。
【0176】
LG2及びLG5上の前記QTLの異なる特徴は、本発明の第1の態様に関連して定義されており、本発明のこの態様に準用する。前記QTLは、好ましくは、寄託物質MTYVVC721(NCIMB受託番号43317)に対応する植物のゲノム中に存在するものから選択される。いくつかの実施態様において、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性を付与するLG2及びLG5上の前記QTLは、寄託物質MTYVVC721(NCIMB受託番号43317)に対応する植物のゲノム中に見出される通りである。
【0177】
いくつかの実施形態において、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性を付与するLG2及びLG5上の前記QTLは、本発明の第1の態様において定義される通りである。
【0178】
いくつかの実施形態において、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性を付与するアリル遺伝子は、表1及び表2に記載の通りである。
【0179】
いくつかの実施形態において、本発明に記載の植物部分は、本発明の第1の態様で定義されたアリル遺伝子の組み合わせI)~IX)を含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、上記の本明細書に記載されるアリル遺伝子の組み合わせは、寄託物質MTYVVC721(NCIMB受託番号43317)に対応する植物のゲノム中に見出される通りである。
【0181】
本発明の植物細胞は、植物全体に再生する能力を有してもよく、該植物は、商業的に許容される果実品質を有し、いかなる壊死表現型も有さない。
【0182】
あるいは、本発明は、再生不可能であり、したがって植物全体を生じることができない植物細胞にも関連する。
【0183】
好ましくは、本発明に記載の植物細胞は、マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32によって区切られた染色体領域内のLG2上に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58によって区切られた染色体領域内のLG5上に位置する瘡痂病への抵抗性を付与するQTL、マーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内のLG2に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、マーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3によって区切られた染色体領域内のLG5に位置するPMへの抵抗性を付与するQTL、及びLG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体を含む。
【0184】
別の実施形態によれば、植物部分は、本発明に記載の植物の任意の他の部分であり、特に種子、生殖材料、根、花、果実、台木又は接ぎ穂であり得る。
【0185】
本発明の第1の態様に関連して前のセクションで詳述した全ての実施形態もまた、本発明のこの第2の態様に記載される好ましい実施形態である。
【0186】
本発明は、上記で定義したように、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるC.melo植物に成長したときに生じる、C.melo植物の種子により特に関連する。前記種子は、「本発明の植物の種子」、すなわち本発明の植物を生じさせる種子である。本発明はまた、本発明の植物由来の種子、すなわち自殖又は交配後に前記植物から得られる種子に関連し、しかしながら、前記種子から得られた植物が、上記で定義したLG2およびLG5上のQTLのために瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に対して抵抗性であり、好ましくは、Zym遺伝子に関連する壊死表現型を有さないことを提供する。
【0187】
本発明はまた、本発明に記載の上記で定義した再生可能な植物細胞の組織培養物にも関連する;好ましくは、再生可能細胞は、本発明の胚、プロトプラスト、分裂組織細胞、カルス、花粉、葉、葯、茎、葉柄、根、根先、果実、種子、花、子葉、及び/又は胚軸に由来し、したがって、本明細書の上記に記載される瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性を付与するLG2及びLG5上のQTLをそれらのゲノム中に含む。
【0188】
組織培養物は、好ましくは、前述のC.melo植物の生理学的及び形態学的特徴を有する植物を再生することができ、かつ、前述のC.melo植物と実質的に同じ遺伝子型を有する植物を再生することができる。本発明はまた、本発明の組織培養物から再生されたC.melo植物を提供する。
【0189】
本発明はまた、上記で定義した植物のプロトプラスト、又は上記で定義した組織培養物から、上記で本明細書に定義した瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性を付与するLG2およびLG5上のQTLをそのゲノム中に含む前記プロトプラストを提供する。
【0190】
本発明の第1の態様に関連して前項で詳述した全ての実施形態もまた、本発明のこの第2の態様に係る実施形態である。
【0191】
第3の態様によれば、本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるC.melo植物を得るための育種プログラムにおける育種パートナーとしての、本発明の第1の態様に従って詳述されたようなC.melo植物、すなわち瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるC.melo植物の使用にも関連する。実際に、第1の態様に記載の前記C.melo植物は、前記抵抗性を付与する上記で定義したQTLsを、好ましくはZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を持たずに、そのゲノム内に有する。この植物を感受性又は抵抗性の低い植物と交配することにより、これらのQTLを子孫に移し、所望の表現型を付与することが可能である。本発明に記載の植物は、所望の表現型をC.melo植物又は生殖質に(すなわち、Zym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を導入することなく)付与するQTLを導入するための育種パートナーとして使用することができる。本発明はまた、受託番号43317でNCIMBに寄託されたMTYVVC721の植物又は種子と同様の使用に関連する。前記植物は、C.melo植物又は生殖質に所望の表現型を付与することを目的とした育種プログラムにおける導入パートナーとしても適している。
【0192】
前記育種プログラムにおいて、所望の表現型を示す子孫、または所望の表現型に関連する担持配列の選択は、上記で本明細書に開示されるマーカーのアリル遺伝子に基づいて有利に行うことができる。子孫は、好ましくは、以下の特定のアリル遺伝子のうちの1つ以上の存在下で選択される:Cm_MU45136_209のアリル遺伝子C、LG2-M4のアリル遺伝子A、Cm_MU45398_32のアリル遺伝子C、LG5-M1のアリル遺伝子C、CMCTN2のアリル遺伝子195bp、Cm_MU46579_322のアリル遺伝子C、Cm_MU44050_58のアリル遺伝子C、CMBR120のアリル遺伝子165bp、LG2-M1のアリル遺伝子T、Cm_MU47536_461のアリル遺伝子T、Cm_MU45437_855のアリル遺伝子A、LG5-M2のアリル遺伝子178bp、CMTAN139のアリル遺伝子134bp、LG5-M3のアリル遺伝子T、及びMe_VatEのアリル遺伝子1723 bp。子孫は、好ましくは、本発明の第1の態様で定義されるアリル遺伝子の組み合わせI)~IX)の存在下で選択される。
【0193】
所望の表現型を有する子孫の選択は、特に実施例のScab試験及び/又はPM試験の項に開示されているように、または熟練読者に周知であるその他の試験と共に、病原体が蔓延している条件で行うこともできる。
【0194】
本発明に記載の植物、又は受託番号NCIMB 43317で寄託された植物は、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性があるが、好ましくはZym遺伝子に関連する壊死表現型を全く有さない、市販のC.melo系統及び品種を得るためのマーカー支援選択プログラムにおいて特に価値がある。
【0195】
本発明の第1及び第2の態様について記載された任意の実施形態も、本発明のこの態様に適用可能である。
【0196】
本発明はまた、所望の表現型を付与する遺伝子配列を同定、配列決定及び/又はクローニングすることを目的としたプログラムにおける前記植物の使用に関連する。
【0197】
本発明の前の態様で記載された任意の特定の実施形態も、特に目的の表現型を付与するQTLの特徴に関しても、本発明のこの態様に適用可能である。
【0198】
別の態様によれば、本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のあるC.melo植物、特に市販植物の生産方法に関する。これらの特徴を有する植物の生産のための方法又は工程は、以下のステップを含む:
a)本発明の第1の態様に係る植物(例えば、寄託された種子(NCIMB 43317)に対応する植物)と感受性又は抵抗性の低いC.melo植物とを交配し、所望の表現型を導入もしくは所望の表現型に改良するステップ、
b)瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性であるが、好ましくは、得られた子孫においてZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない1つの植物、又は瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性に関連するQTLを有するが、好ましくはZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない1つの植物を選択するステップ、
c)任意選択で、ステップb)で得られた抵抗性植物を1回又は数回自家受粉して、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性であるが、好ましくは、得られた子孫のZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない植物を選択するステップ、
d)ステップb)又はc)で選択された抵抗性植物を、感受性のあるC.melo植物(すなわち、瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病に罹患しやすい)と戻し交配するステップ、及び
e)瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性があるが、好ましくはZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない植物を選択するステップ。
【0199】
あるいは、本方法又は工程は、以下のステップを含み得る:
a1)本発明の第1の態様に記載の植物(例えば、寄託された種子(NCIMB 43317)に対応する植物)と感受性又は抵抗性の低いC.melo植物とを交配し、所望の表現型を導入又は所望の表現型に改良し、F1集団を生成するステップ、
a2)F1集団を自家受粉してF2集団を作成するステップ、
b)得られた子孫において、抵抗性個体、及び好ましくはZym遺伝子に関連する壊死表現型を全く有さない個体を選択するステップ、
c)任意選択で、ステップb)で得られた抵抗性植物を1回又は数回自家受粉し、好ましくは得られた子孫においてZym遺伝子に関連する壊死表現型を全く有さない抵抗性植物を選択するステップ、
d)ステップb)またはc)で選択された抵抗性植物を、感受性のC.melo植物(すなわち、瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病にかかりやすい)と戻し交配するステップ、
e)瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性があり、好ましくはZym遺伝子に関連する壊死表現型を有しない植物を選択するステップ。
【0200】
いくつかの実施形態において、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性であるが、Zym遺伝子に関連する壊死表現型を全く有さない植物は、ステップb)、c)及びe)で選択することができる。
【0201】
ステップe)で選択される植物は、好ましくは商業用植物、特にオレンジから赤のマゼンタまでの果肉の色(すなわち、ミノルタ比色計によって測定されたL * c * h値:60<L<65、40<c<50及び66<h<75を有する比色)、ペネフェルで測定した平均値4 kg / 0.5cm2 +/-2の果肉の硬さ、少なくとも11°のBrixレベル、Vedrantais品種に見られる果実の直径/空洞サイズの比、及び+12 ℃での8日を超える果実の保存を有する、シャラント、ウエスタンシッパー、ハーパー、又はイタリアンカンタロープのタイプの果物である。
【0202】
好ましくは、ステップd)及びe)は、少なくとも2回及び好ましくは3回繰り返されるが、同じ感受性C.melo植物とである必要はない。前記感受性C.melo植物は、育種系統であることが好ましい。
【0203】
自家受粉及び戻し交配ステップは、任意の順序で実施されてもよく、及び挿入することもでき、例えば、戻し交配は、1つ又は複数の自家受粉の前後に実施することができ、自家受粉は、1つ又は複数の戻し交配の前後に想定され得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、前記方法は、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性があり、好ましくはZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない植物を選択するためのステップb)、c)及び/又はe)で実施される1つ以上の選択ステップについて本明細書に記載されるようなマーカーを使用することによって有利に実施される。
【0205】
いくつかの実施形態において、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性があり、好ましくはZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さない植物を選択するためのマーカーは、以下の通りである:
― Cm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG2-M1、Cm_MU47536_461、CMBR120及びMe-VatEの1つ以上のマーカー、又はCm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG2-M1、Cm_MU47536_461、CMBR120及びMe-VatEの全てのマーカー、
― LG5-M1、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、CMCTN2、Cm_MU45437_855、LG5-M3、LG5-M2、CMTAN139及びMe-VatEの1つ以上のマーカー、又はLG5-M1、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、CMCTN2、Cm_MU45437_855、LG5-M3、LG5-M2、CMTAN139及びMe-VatEの全てのマーカー、
― Cm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG2-M1、Cm_MU47536_461、CMBR120、LG5-M1、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、CMCTN2、Cm_MU45437_855、LG5-M3、LG5-M2、CMTAN139、及びMe-VatEの1つ以上のマーカー、又はCm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG2-M1、Cm_MU47536_461、CMBR120、LG5-M1、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、CMCTN2、Cm_MU45437_855、LG5-M3、LG5-M2、CMTAN139、及びMe-VatEの全てのマーカー。
【0206】
いくつかの実施形態において、ステップb)、c)及び/又はe)のいずれか1つで選択される植物は、好ましくは、本発明の第1の態様において定義されるアリル遺伝子の組み合わせI)~IX)のうちの1つの存在下で選択される。
【0207】
所望の表現型を有する子孫の選択は、特に実施例のScab試験及び/又はPM試験の項に開示されているように、または熟練読者に周知であるその他の試験と共に、病原体の蔓延の条件で行うこともできる。
【0208】
アリル遺伝子検出に使用される方法は、特定の染色体上で、2つの異なるアリル遺伝子のマーカーの区別を可能にする任意の技術に基づくことができる。
【0209】
本発明はまた、前記方法により得られる又は得ることができるC.melo植物に関する。前記植物は、本発明の第1の態様に記載の瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性であるC.melo植物である。
【0210】
さらなる態様によれば、本発明はまた、本発明の第1の態様に記載の抵抗性植物、例えば、NCIMB受託番号43317の下で寄託された種子の代表的なサンプルである、植物MTYVVC721、又は上記に開示された方法により得られる抵抗性植物と、例えば瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病感染に感受性の植物、又は瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病感染に対して異なるレベルの抵抗性を有する植物との交配によって得られるC.melo植物に関連する。特に好ましい雑種C.melo植物は、農学的に利益のある任意の形質又は表現型を示す植物である。
【0211】
本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性である市販のC.melo植物を得るための方法に関連し、前記方法は、以下のステップを含む:
― 寄託種子MTYVVC721(NCIMB受託番号43317)を発芽させることにより得られた植物又は本発明の第1の態様に記載のC.melo植物を、例えば瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に感受性のC.melo植物等と戻し交配するステップ、
― 瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性があり、好ましくはZym遺伝子に関連する壊死表現型を有さない植物を選択するステップ。
【0212】
第2のステップにおける選択は、本発明のその他の方法について上記で詳述したように行うことが好ましい。前記選択は、好ましくは、系統MTYVVC721に見出されるような、本明細書に記載される1つ以上の、マーカーの特異的アリル遺伝子及びVat遺伝子類似体の存在下で行われる。
【0213】
植物は、好ましくは商業用植物、特にオレンジから赤のマゼンタまでの果肉の色(すなわち、ミノルタ比色計によって測定されたL * c * h値:60<L<65、40<c<50及び66<h<75を有する比色)、ペネフェルで測定した平均値4 kg / 0.5cm2 +/-2の果肉の硬さ、少なくとも11°のBrixレベル、ヴェドランタイス品種に見られる果実の直径/空洞のサイズの比、及び+12 ℃での8日を超える果実の保存を有する、シャラント、ウエスタンシッパー、ハーパー、又はイタリアンカンタロープのタイプの果物である。
【0214】
C.melo植物の種子を生産する方法も提供される。いくつかの実施形態において、前記方法は、本発明に記載のC.melo植物をそれ自体又は別のC.melo植物と交配し、得られた種子を収穫するステップを含む。
【0215】
瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病への抵抗性に関連するQTLの導入に加えて、本発明の方法に詳述されるように、前記配列は、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性のある市販のC.melo植物を得るために、遺伝子工学によってC.meloバックグラウンドに導入することもできる。所望の表現型を付与するC.melo、特に寄託物から導入QTLを同定すること及びクローニングすることは、当業者にとってルーチンである。
【0216】
さらなる態様によれば、本発明は、上述の方法の1つによって得られる、又は得ることができる植物を提供する。前記植物は、実際には、本発明の第1の態様による所望の表現型、すなわち瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病に抵抗性を有し、好ましくはZym遺伝子に関連する任意の壊死表現型を有さないC.melo植物である。
【0217】
本発明の種子又は植物は、異なるプロセス、特にUV突然変異誘発などの技術的プロセス又は誘導型組換えなどの遺伝子工学によって得られてもよく、本質的に生物学的プロセスによって排他的に得られるのではないことに留意されたい。
【0218】
このような態様によれば、本発明は、C.melo植物又は種子、好ましくは非天然に生じるC.melo植物又は種子に関連し、そのゲノム中に1つ以上の変異を含み得、変異植物に瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病への抵抗性を提供し、この変異は、例えば、代表的なサンプルが受諾番号NCIMB 43317でNCIMBに寄託された植物のゲノム中に存在する。
【0219】
好ましくは、前記変異は、C.melo植物の相同配列の置換における、(i)瘡痂病に対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群(LG)2及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記少なくとも1つのQTL、(ii)PMに対する抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における1つ以上のQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び(iii)LG5のアブラムシに対する抵抗性に関連するvat遺伝子類似体の組み込みである。さらにより好ましくは、前記変異は、(i)代表的なサンプルが受諾番号NCIMB 43317でNCIMBに寄託された植物のゲノムにおけるLG2上の相同配列の、C.meloゲノムのLG2上のマーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32によって区切られた配列又はそのフラグメントでの置換、(ii)代表的なサンプルが受諾番号NCIMB 43317でNCIMBに寄託された植物のゲノムにおけるLG5上の相同配列の、C.meloゲノムのLG5上のマーカー LG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58によって区切られた配列又はそのフラグメントでの置換、(iii)代表的なサンプルが受諾番号NCIMB 43317でNCIMBに寄託された植物のゲノムにおけるLG2上の相同配列の、C.meloゲノムのLG2上のマーカー CMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によって区切られた配列又はそのフラグメントでの置換、(iv)代表的なサンプルが受諾番号NCIMB 43317でNCIMBに寄託された植物のゲノムにおけるLG5上の相同配列の、C.meloゲノムのLG5上のマーカー Cm_MU45437_855及びマーカー LG5-M3によって区切られた配列又はそのフラグメントでの置換、及び(v)その配列又は断片が、瘡痂病、アブラムシ及びPMへの抵抗性を組み合わせた時に付与する、前記vat遺伝子類似体である。
【0220】
一実施形態において、本発明は、そのゲノム中に1つ以上の変異を有するC.melo植物又は種子を得る(carrying)ための方法に関し、植物に、瘡痂病、アブラムシ及びPMへの抵抗性を提供する。前記方法は、実施例6に例示され、以下を含み得る:
a)変異原性試薬で改変されるC.melo植物のM0種子を処理して、M1種子を得るステップ;
b)このようにして得られたM1種子から植物を成長させてM1植物を得るステップ;
c)M1植物の自家受粉によってM2種子を生産するステップ;及び
d)任意選択で工程b)及びc)をn回繰り返して、M2+n種子を得るステップ。
【0221】
M2+n種子は植物に成長し、瘡痂病、アブラムシ及びPM感染に寄託される。生存した植物、又は瘡痂病、アブラムシ及びPM感染で軽度の症状である植物は、瘡痂病、アブラムシ及びPMへの抵抗性の選択を続ける限り、さらに1世代以上増殖する。この方法では、ステップa)のM1種子をEMS変異導入法等の化学的変異導入法を経て得ることができる。その他の化学的変異原性試薬としては、非限定的に、ジエチルスフェート(des)、エチレンイミン(ei)、プロパンスルトン、N-メチル-N-ニトロソウレタン(mnu)、N-ニトロソ-N-メチル尿素(NMU)、N-エチル-N-ニトロソ尿素(enu)、及びアジ化ナトリウムが挙げられる。あるいは、変異は、例えばX線、高速中性子、UV放射から選択される照射によって誘発される。
【0222】
本発明の別の実施形態において、変異は、遺伝子工学により誘導される。前記変異には、瘡痂病、アブラムシ及びPM抵抗性を付与する配列の組み込み、並びに瘡痂病、アブラムシ及びPM抵抗性を付与する代替配列による常在配列の置換も含まれる。
【0223】
使用可能な遺伝子工学的手段としては、遺伝的変異を通じて植物に新しい特性を作り出すために開発及び/又は使用されるさまざまな新技術である、新育種技術と呼ばれるすべての技術の使用が挙げられ、その目的は、標的突然変異誘発、新しい遺伝子の標的導入、又は遺伝子サイレンシング(RdDM)である。前記新育種技術の例は、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)技術の使用を通じて促進される標的配列変化(ZFN-1、ZFN-2及びZFN-3、米国特許番号第9,145,565号を参照、その全体が参照により組み込まれる)、オリゴヌクレオチド指定突然変異(ODM)、シスジェネシス及びイントラジェネシス、RNA依存性DNAメチル化(RdDM、ヌクレオチド配列を必ずしも変化させるわけではないが、配列の生物学的活性を変化させることができる)、接ぎ木(GM台木上で)、逆育種、農業浸潤(農業浸潤「センスストリクト」、農業接種、フローラルディップ)、35転写活性因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENs、米国特許番号第8,586,363号及び第9,181,535号を参照、参照によりその全体が組み込まれる)、CRISPR/Casシステム(米国特許番号第8,697,359号、第8,771,945号、第8,795,965号、第8,865,406号、第8,871,445号、第8,889,356号、第8,895,308号、第8,906,616号、第8,932,814号、第8,945,839号、第8,993,233号、及び第8,999,641号を参照、参照によりその全体が組み込まれる)、操作されたメガヌクレアーゼ再設計ホーミングエンドヌクレアーゼ、DNA誘導ゲノム編集(Gao et al., Nature Biotechnology (2016), doi: 10.1038/nbt.3547, 参照によりその全体が組み込まれる)、および合成5ゲノミクス)。今日の標的ゲノム編集の大部分(新育種技術の別の指定)は、改変が意図されているゲノム内の選択された位置にDNA日本差切断(DSB)を誘導する用途である。DSBの指向性修復により、標的ゲノム編集が可能になる。前記用途は、突然変異の生成(例えば、標的突然変異または正確な天然遺伝子編集)並びに遺伝子 (例えば、シス遺伝子、イントラジェン、又はトランス遺伝子)の正確な挿入に利用することができる。突然変異を導く用途は、SDN1、SDN2、SDN3などの部位特異的ヌクレアーゼ(SDN)技術として識別されることが多い。SDN1の場合、標的化された非特異的な遺伝子欠失変異がもたらされる:DNA DSBの位置は正確に選択されるが、宿主細胞によるDNA修復はランダムであり、小分子ヌクレオチドの欠失、付加、又は置換をもたらす。SDN2の場合、SDNは標的DSBを生成するために使用され、DNA修復テンプレート(1つないし数個のヌクレオチド変化を除き、標的DSB DNA配列と同一の短いDNA配列)を使用してDSBを修復する:これにより、所望の目的遺伝子に標的化された所定の点突然変異が生じる。SDN3に関しては、SDNは、新しいDNA配列(遺伝子など)を含むDNA修復テンプレートとともに使用される。前記技術の成果は、そのDNA配列を植物ゲノムに統合することであり得る。SDN3を使用する最も可能性の高い用途は、選択されたゲノム位置にシスジェニック、イントラジェニック、またはトランスジェニック発現カセットを挿入することである。これらの各技術の完全な説明は、2011年にJoint Research Center (JRC) Institute for Prospective Technological Studies of the European Commissionによって作成された"New plant breeding techniques - State-of-the-art and prospects for commercial development"と題された報告書に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0224】
本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性であり、かつ任意選択でZym遺伝子に関連する任意の壊死性表現型を有さないC.melo植物を検出及び/又は選択するための方法を提供し、前記方法は、以下の工程を含む:
(i)瘡痂病への抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLの存在を検出するステップであって、前記少なくとも1つのQTLが連鎖群(LG)2及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する、前記ステップ、
(ii)PMへの抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、かつ、(i)における少なくとも1つのQTLと異なる、前記少なくとも1つのQTL、及び
(iii)LG5上のアブラムシ抵抗性に関連するVat遺伝子類似体の存在を検出するステップ、及び
(iv)任意選択で、Zym遺伝子に関連する壊死表現型の不在を検出するステップ
【0225】
好ましくは、LG2上に存在する瘡痂病への抵抗性を付与する前記QTLは、マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32によって区切られた染色体領域内に位置する。いくつかの実施形態において、LG2上に存在する前記QTLは、以下のマーカーのいずれか1つを増幅することによって同定することができる:Cm_MU45136_209、LG2-M4、及びCm_MU45398_32;又はマーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内のその他のマーカー。
【0226】
好ましくは、LG5上に存在する瘡痂病への抵抗性を付与する前記QTLは、マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58によって区切られた染色体領域内に位置する。いくつかの実施形態において、LG5上に存在する前記QTLは、以下のマーカーのいずれか1つを増幅することによって同定することができる:LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、及びCm_MU44050_58;又はマーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内の任意のその他のマーカー。
【0227】
好ましくは、LG2上に存在するPMへの抵抗性を付与する前記QTLは、マーカー CMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によって区切られた染色体領域内に位置する。いくつかの実施形態において、LG2上に存在する前記QTLは、以下のマーカーのいずれか1つを増幅することによって同定することができる:CMBR120、LG2-M1、及びCm_MU47536_461;又はマーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内のその他のマーカー。
【0228】
好ましくは、LG5上に存在するPMへの抵抗性を付与する前記QTLは、マーカーCm_MU45437_855及びマーカー LG5-M3によって区切られた染色体領域内に位置する。いくつかの実施形態において、LG5上に存在する前記QTLは、以下のマーカーのいずれか1つを増幅することによって同定することができる:Cm_MU45437_855、LG5-M2, CMTAN139、及びLG5-M3;又はマーカーCm_MU45437_855及びマーカー LG5-M3で区切られた染色体領域内の任意のその他のマーカー。
【0229】
好ましい実施形態によれば、本発明に記載の植物は、LG2上のZym遺伝子をホモ接合的に含まない。しかしながら、本発明の植物は、ポティウイルス、特にZYMVに対する抵抗性を与える前記遺伝子をヘテロ接合的に含み得る。したがって本発明の方法又は工程は、好ましくは、Zym遺伝子が存在するかどうかを検出する工程も含む。
【0230】
本出願の実験セクション、特に実施例5において詳述されるように、Zym遺伝子の存在は、抵抗性を与え、SNPマーカーLG2-M2(配列番号50)、Cm-MU47380_465(別名MU47380_465、配列番号54)及び/又はLG2-M3(配列番号58)によって検出することができる。好ましくは、前記QTL又はLG2上に存在するZYMVに対する抵抗性を付与する遺伝子は、マーカーLG2-M2及びLG2-M3によって区切られた染色体領域内に位置する。いくつかの実施形態において、LG2上に存在する前記QTLは、以下のマーカーのいずれか1つを増幅することによって識別することができる:LG2-M2、Cm-MU47380_465及びLG2-M3;又はマーカーLG2-M2及びマーカーLG2-M3で区切られた染色体領域内の任意のその他のマーカー。本発明によれば、植物は、以下のアリル遺伝子のうちの少なくとも1つを含む場合に選択される:LG2-M2のアリル遺伝子C、LG2-M3のアリル遺伝子G又はMU47380_465アリル遺伝子A。これらのアリル遺伝子は、実際にポティウイルスに対する抵抗性を付与するQTL又は遺伝子の不在を表し、これらのアリル遺伝子の1つ以上の検出は、Zym遺伝子がホモ接合的に存在しないことを示し、したがって、Zym遺伝子に関連する壊死表現型の不在を保証する。
【0231】
ZYMVに対する耐性に関連するマーカー及びアリル遺伝子は、表Dに記載の通りである。マーカー配列及びSNPの異なるアリル遺伝子間の識別を増幅するために使用できる潜在的なプライマーは、表Gに報告されている。
【0232】
いくつかの実施形態において、植物は、本発明の第1の態様で定義されるアリル遺伝子の組み合わせI)~IX)のいずれか1つが、選択される植物の遺伝物質サンプルにおいて検出される場合に選択される。好ましくは、植物は、本発明の第1の態様で定義されるアリル遺伝子の組み合わせIX)が、選択される植物の遺伝物質サンプルにおいて検出される場合に選択される。
【0233】
好ましくは、本発明の第1の態様で定義されるアリル遺伝子の組み合わせI)~IX)に加えて、Zym遺伝子の不在を表すアリル遺伝子の1つが検出された場合に、植物は検出される。
【0234】
いくつかの実施形態において、マーカー Cm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG5-M1、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、LG2-M1、Cm_MU47536_461、Cm_MU45437_855及び/又はLG5-M3の検出は、例えばPCRによって、各マーカーについて、抵抗性アリル遺伝子を増幅するために使用され得る1つのフォワードプライマー、感受性アリル遺伝子を増幅するために使用され得る1つのフォワードプライマー及び1つの共通リバースプライマーを用いて増幅することによって行われる。特に、前記マーカーのそれぞれを増幅するためのプライマーは、本発明の第1の態様に記載され、表Gに詳述されているような配列を有し得る。同じことが、上記に開示されたZym遺伝子に関連するマーカーにも当てはまる;潜在的なプライマーは、表Gに開示されている。
【0235】
好ましい実施形態において、増幅は実施例に記載の通りである。さらに好ましい実施形態において、増幅は、伸長ステップ及びアニーリングステップが単一のステップに組み込まれる2ステップタッチダウン法を用いて行われる。アニーリング段階に使用される温度は、反応の特異性、及びプライマーがDNAテンプレートにアニーリングする能力を決定する。タッチダウンPCRには、Taqポリメラーゼ活性化の第1ステップ、それに続く、各PCRサイクルにおける、高いアニーリング温度及びアニーリング温度を徐々に低下させることを含むタッチダウンステップと呼ばれる第2ステップ、及びDNA増幅の第3ステップが含まれる。タッチダウンの初期のサイクルにおける高温のアニーリング温度により、DNAとプライマーとの間で非常に特異的な塩基対形成のみが発生するため、最初に増幅される配列が目的の配列である可能性が最も高い。アニーリング温度は徐々に下げられ、反応の効率が上昇する。高度に特異的な初期タッチダウンサイクル中に最初に増幅された領域はさらに増幅され、低温で発生する可能性のある非特異的増幅を凌駕する。
【0236】
別の実施形態において、SNPマーカーの増幅は、KASParアッセイで推奨され、実施例(実施例5参照)に例示されているように、すなわち約15分間の94 ℃での最初の変性ステップ、94 ℃で約20秒、それに続く低下温度(第1サイクルにおける65 ℃~最後のサイクルにおける57 ℃)で約60秒を10サイクル、及び94°Cで約20秒、それに続く57°Cで約60秒を約35サイクル、を含むPCRサイクルによって実施される。このプロトコルは、使用されるプライマーの種類に応じて、熟練者が簡単に適応させることができる。
【0237】
いくつかの実施形態において、マーカーLG5-M2、CMTAN139、CMCTN2、CMBR120、及び/又はMe_VatEの検出は、各マーカーについて、1つのフォワードプライマー及び1つのリバースプライマーを用いて、例えばPCRによる増幅によって行われる。特に、前記各マーカーを増幅するためのプライマーは、本発明の第1の態様に記載の配列を有し得る。
【0238】
本発明はまた、本発明の第1の態様に記載のC.melo植物、又は上記に開示された方法により得られる又は得ることができる抵抗性植物を、例えば瘡痂病、アブラムシ、及びPMに罹患しやすいC.melo植物、又は瘡痂病、アブラムシ、及びPMに対して異なるレベルの抵抗性を有するC.melo植物と交配することにより得られる又は得ることができる、雑種C.melo植物に関する。
【0239】
さらなる態様によれば、本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病(PM)への抵抗性を付与する、上記で定義されるLG2及び/又はLG5上のQTLに関連する分子マーカーを提供する。
【0240】
いくつかの実施形態において、LG2に瘡痂病への抵抗性を付与するQTLに関連する前記分子マーカーは、マーカー Cm_MU45136_209、LG2-M4、及びCm_MU45398_32のうちの1つ以上、又はマーカー Cm_MU45136_209、LG2-M4、及びCm_MU45398_32すべて、もしくはマーカー Cm_MU45136_209、LG2-M4、及びCm_MU45398_32の組み合わせ、もしくはマーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32で区切られた染色体領域内の任意のその他のマーカーである。
【0241】
いくつかの実施形態において、LG5に瘡痂病への抵抗性を付与するQTLに関連する前記分子マーカーは、マーカーLG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、及びCm_MU44050_58のうちの1つ以上、又はマーカーLG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、及びCm_MU44050_58の全て、もしくはマーカーLG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、及びCm_MU44050_58の組み合わせ、もしくは、マーカーLG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58で区切られた染色体領域内の任意のその他のマーカーである。
【0242】
いくつかの実施形態において、LG2にPMへの抵抗性を付与するQTLに関連する前記分子マーカーは、マーカー CMBR120、LG2-M1、及びCm_MU47536_461のうちの1つ以上、又はマーカー CMBR120、LG2-M1、及びCm_MU47536_461の全て、もしくはマーカー CMBR120、LG2-M1、及びCm_MU47536_461の組み合わせ、もしくはマーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461で区切られた染色体領域内の任意のその他のマーカーである。
【0243】
いくつかの実施形態において、LG5にPMへの抵抗性を付与するQTLに関連する前記分子マーカーは、マーカーCm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139、及びLG5-M3のうちの1つ以上、又はマーカーCm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139、及びLG5-M3の全て、もしくはマーカーCm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139、及びLG5-M3の組み合わせ、もしくは、マーカーCm_MU45437_855及びマーカー LG5-M3で区切られた染色体領域内の任意のその他のマーカーである。
【0244】
上述のマーカーの配列は、表1及び2、並びに実施例において記載される。
【0245】
1つ以上の分子マーカー Cm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、CMBR120、LG2-M1、Cm_MU47536_461、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139及びLG5-M3、又はマーカー Cm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、CMBR120、LG2-M1、Cm_MU47536_461、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139及びLG5-M3の全て、もしくはマーカーCm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、CMBR120、LG2-M1、Cm_MU47536_461、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139及びLG5-M3の組み合わせの、瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo植物を検出するための使用が、さらに提供される。前記使用はまた、Zym遺伝子に関連する壊死表現型を示さないC.melo植物を検出するための、LG2-M2、Cm-MU47380_ 及び LG2-M3の1つ又は全部のSNPマーカーの使用をさらに含み得る。
【0246】
本発明はまた、前記QTLに関連する代替分子マーカーを同定するための、本発明に記載の瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病(PM)への抵抗性を付与するLG2(リストの1~6番目のSNP)及びLG5(リストの7~14番目のSNP)上のQTLに関連する、リストCm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、CMBR120、LG2-M1、Cm_MU47536_461、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139及びLG5-M3のマーカーのうちの少なくとも1つの使用に関し、ここで、前記代替分子マーカーは:
・LG2上でマーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32、又はマーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によって区切られた染色体領域内、
・LG5上でマーカー LG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58、又はマーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3によって区切られた染色体領域内、
・本発明の14個のマーカー、すなわちCm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、CMBR120、LG2-M1、Cm_MU47536_461、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139及びLG5-M3の遺伝子座から2メガベース単位未満
である。
【0247】
代替分子マーカーは、好ましくは、0.05以下、好ましくは0.01未満のp値を有する前記QTL(複数可)に関連する。QTLは、寄託種子NCIMB 43317内に含まれている。
【0248】
本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病(PM)への抵抗性を付与するQTLに関連する分子マーカーを、分子マーカーがヘテロ接合的又はホモ接合的に存在する場合に同定するための方法に関し、前記方法は以下を含む:
― 以下の染色体領域における分子マーカーを同定するステップ:
・マーカー Cm_MU45136_209及びマーカー Cm_MU45398_32、又はマーカーCMBR120及びマーカー Cm_MU47536_461によってLG2で区切られた染色体領域内、
・マーカー LG5-M1及びマーカー Cm_MU44050_58、又はマーカー Cm_MU45437_855及びマーカーLG5-M3によってLG5で区切られた染色体領域内、
・本発明の15個のSNPマーカー、すなわちCm_MU45136_209、LG2-M4、Cm_MU45398_32、CMBR120、LG2-M1、Cm_MU47536_461、LG5-M1、CMCTN2、Cm_MU46579_322、Cm_MU44050_58、Cm_MU45437_855、LG5-M2、CMTAN139及びLG5-M3の遺伝子座から2メガベース単位未満、及び
― 前記抵抗性を示す植物から発行された分離集団において、前記分子マーカーが、瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病(PM)への抵抗性に関連しているか、または関係しているかどうかを判断するステップ。
【0249】
集団は、好ましくは、寄託種子NCIMB 43317又はその子孫から成長した植物から発行され、本発明に記載されるように、瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病(PM)への抵抗性を示す。
【0250】
本発明に記載の瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病(PM)への抵抗性を付与する上記のLG2及びLG5上のQTLは、MTYVVC721(NCIMB 43317)に存在するQTLである。
【0251】
遺伝的関連又は連鎖は上記のとおりである。好ましくは関連又は連鎖は、好ましくは0.05未満、最も好ましくは0.01未満又はそれ以下のp値を有する。
【0252】
分子マーカー及び抵抗性表現型は、減数分裂の好ましくは90%以上、好ましくは95%以上において共に遺伝する。
【0253】
さらなる態様において、本発明は、瘡痂病、アブラムシ及び/又はうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo小植物又は植物の生産方法に関し、この方法は、
i.本発明によるC.melo植物の単離された細胞または組織をインビトロで培養して、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo微小小植物を産生するステップ、及び
ii.任意選択で、C.melo微小小植物をさらにインビボ培養段階に供して、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo植物に成長させるステップ、
を含む。
【0254】
微小小植物を生産するために使用される単離された細胞又は組織は、増殖される本発明のC.melo親植物から無菌条件下で得られた外植体である。外植体は、例えば、子葉、胚軸、幹組織、葉、胚、分裂組織、節芽、茎頂、又はプロトプラストを含むか、もしくはそれらからなる。外植片は、組織培養用の培養培地上に載せる前に表面滅菌され得る。
【0255】
植物の組織培養に好適に用いることができる条件及び培地は、植物栽培の当業者に周知であり、例えば、「Plant Propagation by Tissue Culture, Handbook and Directory of Commercial Laboratories, eds. Edwin F George and Paul D Sherrington, Exegetics Ltd, 1984」に記載されている。
【0256】
組織培養には通常、次のものが含まれる。
i.腋窩シュート増殖:腋窩シュート増殖は、サイトカイニンをシュート培養培地に添加することによって誘導され、好ましくは最小のカルス形成でシュートを産生する。
ii.不定芽増殖:土壌に移すことができる小植物を生産するために、培地へのオーキシンの添加により、根形成を誘発する。あるいは、根形成を土壌中で直接誘導することもできる。
【0257】
小植物はさらに、実験室条件下で土壌に培養し、その後自然気候に徐々に適応させることにより、インビボ培養段階に供することができ、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のあるC.melo植物に成長する。
【0258】
瘡痂病、アブラムシ及びPMによって引き起こされる被害を制限する本発明の抵抗性植物の能力を考慮して、それらは、アブラムシ、クラドスポリウム、ポドスファエラ キサンティ及び/又はゴロビノマイセス シコラセアラムに蔓延する、又は感染する可能性のある環境で有利に生育され;これらの条件において、本発明の抵抗性植物は、感受性植物よりもより多くの市場性のあるメロンを生産する。本発明はまた、C.melo植物の収量を改善するため、又は収穫可能なC.melo植物もしくは果実の数を増加させるための方法に関し、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に蔓延する環境において、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性のあるC.melo植物を前記環境で生育させることを含み、LG2及び/又はLG5上に本発明に記載のQTL又は配列を含み、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)への抵抗性を前記植物に付与する。
【0259】
好ましくは、本方法は、前記植物に瘡痂病、アブラムシ及びPMへの抵抗性を付与する、目的の前記配列を含むC.melo植物を選別又は選択する第1のステップを含み、好ましくはZym遺伝子に関連するいかなる壊死表現型も含まない。本方法はまた、C.melo畑、トンネル又は温室の生産性を高める方法として、もしくはメロンの生産における化学物質又は殺菌剤散布の強度又は数を軽減する方法として定義することもできる。
【0260】
本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及びPMの蔓延又は感染状態下におけるC.melo産生の損失を低減するための方法に関し、上記で定義したC.melo植物を成長させることを含む。
【0261】
本発明の抵抗性植物はまた、瘡痂病及びPMの原因となる病原体、並びにアブラムシの増殖を制限することができ、さらなる植物の感染、並びに病原体及びアブラムシの繁殖を制限することができる。本発明はまた、畑、トンネル又は温室、もしくは任意のその他のタイプの栽培場を、瘡痂病、アブラムシ及びPMの蔓延から保護するための方法、又は少なくとも蔓延のレベルを制限するか、もしくは瘡痂病、アブラムシ及びPMの蔓延を制限する方法に関する。前記方法は、好ましくは、本発明の抵抗性又は耐性植物、すなわち、瘡痂病、アブラムシ及びPMへの抵抗性を付与する配列を、LG2及び/又はLG5上に含む植物を、好ましくはZym遺伝子に連結したいかなる壊死表現型も伴わずに生育させる工程を含む。
【0262】
本発明はまた、畑、トンネル又は温室、もしくは任意のその他の栽培場における瘡痂病、アブラムシ及びPMによる蔓延を防除するための、本発明に記載の、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性のC.melo植物の使用に関する。
【0263】
QTLの全ての好ましい特徴は、本発明の他の態様に関連して定義される通りであり、すなわち、好ましくはMTYVVC721(NCIMB受諾番号43317)の種子中に存在し、本発明に従って定義されるマーカーにより識別可能である。
【0264】
本発明はまた、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)が蔓延する環境におけるC.melo植物の収量を改善するための方法に関し、以下のステップを含む:
a.(i)クラドスポリウムに抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、連鎖群(LG)2及び/又は連鎖群5(LG5)上に存在する前記少なくとも1つのQTL、(ii)PMへの抵抗性を付与する少なくとも1つのQTLであって、LG2及び/又はLG5上に存在し、(i)における少なくとも1つのQTLと異なる前記少なくとも1つのQTL、及び(iii)LG5上のアブラムシに対する抵抗性を付与するVAT遺伝子類似体をそれらのゲノム中に含む、瘡痂病、アブラムシ及びPMに抵抗性のあるC.melo植物を同定するステップ、
b.前記蔓延環境における、抵抗性C.melo植物を成長させるステップ。
【0265】
この方法により、C.melo植物の収量が増加し、とりわけ、より市場性のあるメロンを収穫することができ、より多くの市販のメロンが生産される、又はより多くの種子が得られる。
【0266】
なおさらなる態様において、本発明はまた、以下のステップを含むメロンの製造方法に関する:
a)先に定義したように、本発明のC.melo植物を栽培するステップ;
b)前記植物を結実させるステップ;及び
c)好ましくは成熟時及び/又は成熟前に、前記植物の果実を収穫するステップ。
【0267】
C.melo植物に関する全ての好ましい実施形態は、本発明の前述の態様において既に開示されている通りである。
【0268】
この方法は、前記メロンを加工食品に加工するさらなる工程を有益に含み得る。
【0269】
本出願全体を通して、「含む」という用語は、特に言及されたすべての特徴、並びに任意の、追加の、不特定の特徴を包含するものとして解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「含む」という用語の使用はまた、具体的に言及された特徴以外の特徴が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示する。
【0270】
種子の寄託
【0271】
本発明に記載のC.melo植物由来の種子(すなわちMTYVVC721植物由来の種子)の代表的なサンプルは、HM-Clause, S.A., Rue Louis Saillant, Z.I. La Motte, BP83, 26802 Portes-les-Valence cedex, Franceによって寄託され、2018年12月13日、受諾番号43317で、National Collection of Industrial, Food and Marine Bacteria (NCIMB) 23 St Machar Drive, Aberdeen, Scotland, AB21 9YA, United Kingdom,との特許手続のための微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(「ブダペスト条約」)の要件に従い、これを満たしている。
【0272】
MTYVVC721種子の寄託物は、HM-Clause、S.A.、Rue Louis Saillant、Z.I. La Motte、BP83、26802 Portes-les-Valence cedex、Franceによって維持されている。
【実施例
【0273】
以下の実験の目的は、分子マーカーにより、連鎖群5上の2つの野生アクセッション由来の2つの抵抗性QTL(1つの瘡痂病抵抗性QTL及び1つのPM / vat抵抗性QTL)、及びLG2上の2つの抵抗性QTL(野生のアクセッション由来及び瘡痂病抵抗性QTL上の1つのPM抵抗性QTL、シャラント系統において識別される)、したがって、2つの連鎖群上の合計4つの抵抗性QTLを累積する、育種系統及び市販雑種に有用な新しい疾患耐性パッケージを得ることであった。
【0274】
マーカー、PM人工試験を含む試験、多くの自殖及び戻し交配サイクル(8つの育種サイクル)、いくつかのサイクル(24~100以上)の多数の植物を用いることで、発明者らは野生のアクセッションゲノムから2つの小さな染色体領域を導入し、果実の形状と皮の色に関連するリンケージドラッグの発生を制限することに成功した。
【0275】
Scab抵抗性をエリート繁殖系統に導入するために、本発明者らは野生の在来種を使用し、この在来種に関連するすべての望ましくない形質を破棄する必要があった。このメロンは実際に、青白い果肉の色、及び大きな空洞を持つ望ましくない形をしている(図1D参照)。ブリックスレベルもかなり低く、完全に成熟すると約10~11°Bであり、クライマクテリックの危機の後、果肉は非常に柔らかくなる。本発明者らは、シャラントのエリート系統から内部の品質、貯蔵寿命の可能性、果物の外観及び形を回復することができた。さらに、2つの連鎖群(LG)キャリア(LG2及びLG5)上の2つの同定されたQTLに結合した隣接マーカー及び非キャリアLG上のランダムマーカーの使用に加えて、戻し交配植物の人工病理試験を使用することで、シャラントバックグラウンドの回復が可能になった。
【0276】
戻し交配又は自殖サイクルごとに、本発明者らは、これらの異なるツールに加えて、望ましくないもの(細長い形状、柔らかくて青白い果肉、成熟するとオレンジ色になる灰色/緑色の皮など)を廃棄するための果実評価を使用して、100~300の植物を管理し、最も望ましいシャラントエリート系統特性を持つ植物を維持する。
【0277】
隣接マーカー、並びにクラドスポリウム試験及びマーカー分析でスクリーニングされた多数の植物を用いることで、本発明者らは、野生のアクセッションから小さなゲノム断片を導入し、これらのメロンアクセッション由来の望ましくない形質(空洞のサイズ、果肉の硬さ、果肉の色など)、並びにPM及びScab抵抗性に関連するものとして本技術分野で開示されている壊死症状を回避した。
【0278】
材料と方法
【0279】
クラドスポリウム試験(又はScab試験)
【0280】
試験に用いたクラドスポリウム・ククメリウム株は-80℃で保存した。接種材料は、接種前に14日間真菌を培養することによって調製される。
【0281】
テストされる系統又は遺伝子型ごとに、20の異なる種子/植物、並びに2つの感受性対照及び2つの抵抗性対照がテストされる。
【0282】
試験は、成長の1葉段階(すなわち、播種後約10~14日)の植物に対して行われる。接種のために、分生子を水に懸濁し、濾過し、1ml当たり104~105分生子の濃度に到達させる。接種は、試験する植物の葉に接種材料を噴霧することによって行われる。その後、植物は、最初の数日間は飽和湿度条件下で、14時間の日光で18°Cの夜/22°Cの日中に相当する条件で培養される。
【0283】
Scab試験の結果は、接種後7日目に読み取られ(1回目の読み取り)、2回目の読み取りは、次のように、症状の1~9のスコアリングスケールで1回目の読み取りから5日後に行われる。
【0284】
【表3】
【0285】
植物集団の病害指数(DI)は、次のように、個々の植物の抵抗性スコアに基づいて計算される。
【0286】
DI = [(0 × 抵抗性スコアが1の植物の数)+(3 × 抵抗性スコアが3の植物の数)+(5 × 抵抗性スコアが5の植物の数)+(7 × 抵抗性スコア7の植物の数)+(9 × 抵抗性スコア9の植物の数)] / (9 × 植物の総数)。
【0287】
DI = 1の場合、すべての植物は抵抗性である。
【0288】
DI = 0の場合、すべての植物は感受性である。
【0289】
1.2. うどん粉病試験
【0290】
最初のテスト リーフディスクアッセイ:
【0291】
ポドスファエラ キサンティ (Px) 及び ゴロビノマイセス シコラセアラム var. シコラセアラム (Gc)を含む、さまざまな真菌がメロンにうどん粉病を引き起こす可能性がある。これらの真菌が偏性真菌である限り、それらは感受性ズッキーニ及びメロン植物、すなわちそれぞれTosca及びEdistoの品種で維持された。
【0292】
前記試験は、成長の1葉の段階、2枚目の葉が出現しているとき(すなわち、播種後約11~13日)の植物に実施される。
【0293】
テストされた系統又は遺伝子型ごとに、24の異なる種子/植物、並びにより感受性の高いものからより抵抗性の高いものまで8つの異なるコントロール:Vedrantais、Nantais oblong、PMR 45、WMR 29、Edisto 47、PMR 5、PI 124112、MR1及びPM1がテストされる。
【0294】
接種のために、ズッキーニ上の分生子は水に懸濁され、1ml当たり104~105分生子の濃度に到達させる。接種は、試験する植物の葉に接種材料を噴霧することによって行われる。2回目の接種はまた、最初の接種の3日後に、葉に接種材料を散布することによって行われる。
【0295】
結果の読み取り:読み取りは接種後10日に行われる。2回目の読み取りは、1回目の読み取りの5~6日後に行われる。
【0296】
症状の段階は次のとおりである(抵抗性スコア):
【0297】
【表4】
【0298】
改善されたテスト 切断葉試験:
【0299】
PM試験の速度を向上させるために、第2のテストを設計し、切断葉に適用した。この試験では、試験中の15の異なる植物の子孫を同時に試験し、植物ごとに2つのレプリケート(R1及びR2)、および植物ごとに2回のレクチャー(Lect 1及びLect 2)を行う。対照植物は1つ又は2つの植物でテストされ、植物ごとに2回のレプリケート(R1及びR2)及び植物ごとに2回のレクチャー(Lect 1及びLect 2)が行われる。単離したポドスファエラ キサンティ子孫(Px1、Px2、Px3、Px5、Px3-5)及びゴロイビノマイセス シコラセアラム子孫1(GC)の接種は、寒天プレート上に広げられた葉面円板に各子孫を噴霧することによって行われた。各椎間板における胞子形成の発生は、読み取り1及び読み取り2(それぞれ接種後9日目及び11日目)の2回行われる。スコアリングスケール(感受性スコアリングスケール)は以下の通りである:
【0300】
0:胞子形成なし(抵抗性)、1:葉のディスクの<10%の軽い胞子形成(抵抗性)、3:葉のディスクの<30%の胞子形成(中間)、5:葉面板の<60%の胞子形成(中間)、7:葉のディスクの>60%の胞子形成(感受性)、9:ディスク全体の胞子形成(感受性)。
【0301】
注目すべきことに、このテストに従って決定された感受性スコアは、次の関係に適合するように調整されている。
【0302】
「感受性スコア」= 9-「抵抗性スコア」
【0303】
1.3. 壊死試験:
【0304】
壊死の発生は、湿度の高い温室で試験された。植物は壊死を示すかどうかで分類された。
【0305】
「Zym遺伝子に関連する壊死性表現型」とは、Pitrat and Lecoq, 1984, Euphytica, 33(1):57-61に記載されているような壊死表現型を意味する。より具体的には、このような壊死表現型は、葉の表皮における壊死斑点の出現に対応し、これは葉上で徐々に広がり、葉または茎を完全に乾燥させる可能性がある。
【0306】
ウイルスの分離及びメンテナンス:
【0307】
壊死表現型は、メロン植物にズッキーニイエローモザイクポティウイルス(ZYMV)の分離株を接種し、-80°Cのビニール袋又は+4℃の乾燥した感染葉に保存することによって評価された。接種源は、機械的接種プロセスに従ってメロンの小植物に繁殖される。
【0308】
機械的接種:
【0309】
接種材料は、感染した葉1gを、0.2%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを含む0.03M Na2HPO4バッファー4mlとカーボランダム(7.5%)及び活性炭(10%)で粉砕することによって作成された。最初に拡張した葉を持つ苗を両方の子葉に接種した。
【0310】
試験は、昼光24℃で14時間及び夜20℃で10時間の光周期の下、成長室で行われた。
【0311】
症状の評価
【0312】
評価は、感受性対照が症状を示した場合(接種後約10~14日目)に行われる。
【0313】
1つの「壊死性」対照(Fn遺伝子を持つ);1つの「モザイク」対照(前記遺伝子を持たない)及び抵抗性対照が試験に含まれており、試験を検証して、ウイルスの毒性をチェックする。
【0314】
評価は、順序尺度に従って葉に対して行われる:1:植物の死、完全な植物のしおれ;3:明らかな葉脈のクリアリング;5:穏やかなモザイク;7:若い葉の明るい菱黄病スポット;9:全く症状がない。
【0315】
数日後に2回目のスコアリングを行うことにより、症状の進展を確認できる。
【0316】
1.4.メロンアクセッション及び系統
【0317】
シャラントエリート系統C(図1B)は、Cucumis melo L. subsp. melo種に属する。このエリート系統は、P. xanthiiレースPx-1、Px-2、Px-3、Px-5、及びPx3-5に感受性であり、成熟時に濃いオレンジ色でしっかりした果肉、濃い緑色の縫合線、黄色い滑らかな皮、良好な貯蔵寿命、及び高い糖レベル(15~16°のBrix)を持っている。
【0318】
シャラントエリート系統A(図1A)は、Cucumis melo L. subsp. melo種に属する。このエリート系統は、C. cucumerinumに感受性であり、及びうどん粉病への耐性であり、成熟時にオレンジ色でしっかりした果肉、濃い緑色の縫合線、黄色い薄らとした網状の皮がほとんど存在しない、良好な貯蔵寿命、及び高い糖レベル(15~16°のBrix)を持っている。
【0319】
シャラント雑種Bは、Cucumis melo L. subsp. melo種に属する。この雑種は、高い内部品質(高Brix(15~16°)の鮮やかなオレンジ色の果肉)を有し、より密度の高い網目、早晩性、及び優れた貯蔵寿命を備えている。
【0320】
メロンアクセッションPM1(図1E)は、Cucumis melo sp. Momordica種に属する。このアクセッションは、P. xanthiiレースPx-1、Px-2、Px-3、Px-5、及びPx3-5に抵抗性であり、成熟時には青白く柔らかい果肉、大きな空洞、成熟時の非常に黄色/オレンジ色である皮、低レベルの糖度(10°Brix)を持っている。
【0321】
メロンアクセッションSC1(図1D)は、Cucumis melo L. subsp. melo種に属する。この在来種はC. cucumerinumに抵抗性があり、成熟すると青白いオレンジ色及び柔らかい果肉、大きな空洞、うねの多い形状、非常に黄色い皮、低レベルの糖度(10°Brix)を持っている。
【0322】
シャラントエリート系統F(図1C)は、Cucumis melo L. subsp. melo種に属する。このエリート系統は、SCAB及びPMに感受性である。それは雌雄同体の系統で、丸みを帯びており、鮮やかな濃い緑色の縫合線を伴い網目状になっており、中程度の内部品質、オレンジ色の果肉、中程度の硬さを有し、平均BRIX 12~14 ℃で、黄色い皮を有する早熟系統に分類される。
【0323】
1.5.DNA抽出及び遺伝子型分類プロトコル
【0324】
DNA精製
【0325】
ゲノムDNA自動単離は、製造元の指示に従って、NucleoMag(登録商標)96 plant kit (Macherey Nagel)を使用して第1若葉組織で実施した。
【0326】
SSR遺伝子型分類は、熟練者に周知の方法に従って実施した。適切なプライマーは、以下の表Eに開示されている。
【0327】
SNP遺伝子型分類も周知の方法、特にKASParアッセイ(KBioscience競合アリル遺伝子特異的ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ)によるアリル遺伝子の決定に従って実施した。このKBioscienceからのSNP遺伝子型分類アッセイは、競合アリル遺伝子特異的PCR(アリル遺伝子ごとに1つのプライマー)及びFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)に基づき、分離ステップを必要とせずにSNPを検出することができる。
【0328】
各SNPについて、2つの競合アリル遺伝子特異的フォワードプライマー及び1つの共通リバースプライマーを含むKASParミックスを調製する。KASPアッセイミックスは、標的となるSNPに特異的である。KASPアッセイミックスは、試験対象のDNAサンプル、及びユニバーサルFRETカセット、ROX(商標)パッシブリファレンスダイ、taqポリメラーゼ、遊離ヌクレオチド、及びMgCl2を含むKASP Maser mix(登録商標)に最適化されたバッファー溶液で混合される。
【0329】
PCRサイクルは以下のとおりである。
ステップ1:変性:94 ℃で15分
ステップ2:94 ℃で20秒、65~57 ℃(サイクルごとに-0.8 ℃)で60°秒の10サイクル
ステップ3:94 ℃で20秒、57 ℃で60°秒の35サイクル
ステップ4:15 ℃
【0330】
アリル遺伝子蛍光は、Pherastar Plate Readerで検出され、FAM/VICアリル遺伝子への解析は、事前定義されたクラスター割り当てパラメータを備えたKlusterCallerソフトウェアで実施されている。
【0331】
2.シャラントメロンにおけるPM1アクセッションによるうどんこ病抵抗性のマーカー支援導入
【0332】
P. xanthiiの異なるレースに対して高いレベルの抵抗性を有するメロン系統を開発するために、QTLを用いて育種計画を開始した。メロンアクセッションPM1からQTLを導入することによる前記メロン系統の遺伝的浮動を回避するため(図1E)、分子マーカーを使用してQTL抵抗性を導入し、うどん粉病(PM)抵抗性を提供するQTLに関連することが知られている、望ましくない農学的形質(特に成熟時の青白く柔らかい果肉、大きな空洞、成熟時の黄色/オレンジ色の皮、低レベルの糖度(10°Brix))との連鎖を断ち切った。
【0333】
シャラントエリート系統C(図1B)を、抵抗性があることが知られているが望ましくない農学的形質を有するCucumis melo sp. Momordica植物であるメロンアクセッションPM1と交配した。得られたF1種子を発芽させ、発芽種子から植物を成長させ、そして得られた植物を自己培養してF2種子/植物を生産し、さらなる選択及び育種を行った。300のF2植物が、局所分離株Px3-5を用いたPMリーフディスクアッセイに寄託された。抵抗性植物の中で、約50個のマーカーマイクロサテライト(SSR)のセットを使用してF2植物を選択した。これらのマーカーは、Cucumis melo sp. Momordica種のうどん粉病抵抗性QTLを有するものとして、LG2及びLG5を中心としており、文献から公知のものである。ホモ接合段階でPM抵抗性と関連する可能性のあるLG2及びLG5上のQTLを保持するF2植物が選択された。300のF2植物のうち6つのF2植物が選択され、シャラントエリート系統Cと戻し交配してBC1種子/植物が得られた。このヘテロ接合レベルでは、PMの圧力は行われていない。BC1植物の表現型評価のみが行われている。BC1植物の果実は内部及び外部で観察されている。皮の色がはっきりしており、できるだけ規則正しく網目がかっている、丸い又は極端に長楕円形でない果実、及び開封後12 ℃で5日間、及び室温で2日間の保存で、しっかりした、カラフルで、甘くて透明でない果実を有する植物が保持される。
【0334】
同様のアプローチは、植物が主にそれらの農学的特徴に基づいて選択された、次の選択段階のほとんどで採用されており、壊死因子を示す植物は排除されている。
【0335】
さらに、約50個のマイクロサテライト(SSR)による遺伝子型分類により、これらのBC1上の反復ゲノムの%及び導入断片のサイズを計算することができる。BC1植物の1つの集団は、より小さな導入断片、はっきりとした樹皮と鮮やかで濃い緑色の線、濃いオレンジ色の果肉、しっかりした甘い、及び少し細長い形が可能であるものが選択された。前記集団由来のBC1植物は、F2BC1種子/植物を生産するために自殖された。236のF2BC1植物が、局所分離株Px 3-5を用いるPM試験に寄託された。次に、67の抵抗性植物をSSRでスクリーニングし、ホモ接合又はヘテロ接合の段階でLG2及びLG5上でのPM1からのQTL/導入がより短い植物を選択した。236のF2BC1植物から5つのF2BC1植物を選択し、自殖してF3BC1の種子/植物を生産した、又はシャラントエリート系統Cと戻し交配してBC2種子/植物を得た。F3BC1子孫は、選択された植物の広範囲スペクトルを検証するために、リーフディスクアッセイによってPM個々のレースPx1/2/3/5/3-5に寄託される。テストされたすべての植物は、これらすべてのレースに対して良好なレベルの抵抗性を有していた。
【0336】
キャリア連鎖群(LG)上のより短いPM1断片及び非キャリア連鎖群上のより高い反復ゲノムを保持するために、170のBC2植物を同じSSRでスクリーニングした。170のBC2植物から15のBC2植物を選択し、自殖してF2BC2の種子/植物を生産した。
F2BC2植物を自殖することにより、シャラントエリート系統と逆交配してBC3種子/植物を得るF3BC2種子/植物を生産した。BC3植物を自殖することにより、自殖してF3BC3種子/植物を生産するF2BC3種子/植物を生産した。F3BC3種子/植物をまた自殖して、F4BC3種子/植物を得た。
【0337】
個々のレースPx1/2/3/5/3-5を用いた人工PMリーフディスクアッセイの後、33のF4BC3子孫を各キャリアLGの3つのSSR(LG2についてはCMAG36、NR39及びCMBR120、LG5についてはCNTAAN128、NR2及びLG5-M2)で分析した。前記分析は、PM1由来の抵抗性QTLが実際にLG2及びLG5上にあり、表現型の選択に本質的に基づく、育種スキームによって固定されていることを示した。F4BC3の植物を選択し、系統F(図1C)と交配し、BC4種子/植物を生産した。前記BC4植物を4回自殖して、LG2及びLG5上のPMに対する抵抗性QTLのドナー系統として使用できるF5植物を生産する。しかしながら、この段階では、LG2の壊死因子との連鎖は依然存在しており、水滴と接触する植物の壊死による過剰反応に感受性である。
【0338】
3.シャラントメロンのSC1在来種からの瘡痂抵抗性のマーカー支援導入
【0339】
C. cucumerinumに対して高い抵抗性を有するメロン系統を開発するために、野生種に存在するQTLを用いて育種計画を開始した。メロンアクセッションSC1からQTLを導入することによる、前記野生のメロン系統の遺伝的浮動を回避するため(図1D)、分子マーカーを使用して抵抗性QTLを導入し、抵抗性に関連する望ましくない農学的形質(特に成熟時の青白いオレンジ及び柔らかい果肉、大きな空洞、成熟時の黄色/オレンジ色の皮、低レベルの糖度(10°Brix))との連鎖を断ち切った。
【0340】
シャラントエリート系統A(図1A)を、メロンアクセッションSC1と交配させた。得られたF1種子を発芽させ、発芽種子から植物を成長させ、得られた植物をシャラントエリート系統Aと戻し交配して、さらなる選択及び育種のためのBC1種子/植物を生産した。96のBC1植物がScab試験に寄託された(実施例1.1を参照)。抵抗性植物の中で、ゲノム間に広がり、両方のソースからゲノム配列を区別することができる36の分子マーカーのセットを使用して、エリートゲノム比が最も高いBC1植物、つまりSC1から導入されたゲノム配列が最も少ない植物を選択した。選択されたBC1植物のダースの中で、果物の評価に基づいて最良の3つが選択され、自殖によりBC1l1種子/植物を生産した。24のBC1l1植物がScab試験に寄託されて、BC1植物及び果物の表現型評価に関連する、得られたデータにより、最良の2~3の最良のBC1植物及びあとを継ぐBC2子孫の選択が可能になった。最良の2~3個のBC1植物を、シャラントエリート系統Aと戻し交配することにより、BC2種子/植物を生産した。96のBC2植物がScab試験に寄託された。抵抗性植物の中で、同様の36の分子マーカーのセットを使用して、エリートゲノム比が最も高いBC2植物が選択された。選択されたBC2植物を、自殖することによりBC2l1種子/植物を生産した。該工程は、さらなるステップのために選択される植物の農学的特徴、特に果実形態、果肉の色及び硬さ、空洞のサイズ及び成熟時の樹皮色に適用される重要な選択圧と共に、1つの追加の戻し交配を用いて本発明者によって続けられた。さらに、3回目の戻し交配では、Scab抵抗性の多様化を促進すると同時に、早晩性、網目、及び果肉の内部品質をもたらすために、代替雑種系統が反復親としてテストされた。瘡痂抵抗性及び農学的特徴に対する選択圧を維持しながら、2つの追加の自殖を行った。実施例2で選択されたうどん粉病抵抗性を提供するPM1由来の導入QTLを有する材料と組み合わせるために、1つの特定の系統が維持された。
【0341】
4.シャラントメロンにおけるPM1アクセッションによるうどん粉病抵抗性とSC1アクセッションによる瘡痂抵抗性との組み合わせ
【0342】
PM1アクセッション育種スキーム(実施例2参照)からの1系統とSC1育種スキーム(実施例3参照)からの1系統との間の交配から、F2植物を発芽させた。400のF2植物がSCAB試験に寄託されて、LG5上のマーカーによって分析され、基本的にLG5上で見られると推測される、果物の低品質の原因となる配列との連鎖を断ち切る可能性のある潜在的な組換えイベントを探索する。9つのF2植物が、潜在的な組換えイベント及びその挙動に基づいてSCAB試験において保持された。F3子孫での選択が続けられ、SCAB試験を通じて200のF3植物/子孫が寄託されて、植物の約50%で、抵抗性と同定された植物のLG5及びLG2上のマーカーが用いられた。子孫あたり13~16個のF3植物が保持された。各ファミリーにおいて、各F3植物の外部および内部の果実品質、壊死挙動、および温室内のPMレベルが評価された。保持されたF3植物のF4子孫は、レース トゥ レースPM試験及びZYMV試験によりテストされている。本発明者らによって得られた結果は、F3 PM抵抗性植物の壊死反応がZYMV遺伝子座と密接に関連していることを示した。壊死性の低いF3植物は、ZYMV又は分離の影響を受けやすい。反対に、ZYMV抵抗性植物はすべて実際に壊死性である。
【0343】
選択スキームは、2つの特定のF4子孫(それぞれZYMVの影響を受けやすい(子孫1607/003)及び分離の影響を受けやすい(子孫1607/007))で続けられた。PM試験では、同じ壊死パターン、つまり壊死パターンの欠如を伴う2番目のテスト(表Aを参照)において、わずかに高いレベルが明らかになった。F5子孫570番(F4 1607/007から発行された)が、Scab抵抗性に関するさらなる試験のために選択された。具体的には、F5子孫570番(F4 1607/003由来)の20の植物、ならびに2つの抵抗性対照及び2つの感受性対照について試験された。
【0344】
結果は以下の表Bに報告されており、SCAB試験におけるこれらの植物の非常に低い病害指数を示している。
【0345】
自家受粉によって得られ、PM及びSCABに抵抗性のあるMTYVVC721と名付けられたこのF5子孫の種子は、2018年12月13日に受託番号NCIMB 43317でNCIMBに寄託された。これらの植物(図1Fの例示植物を参照)は、市販のメロン系統のものと本質的に同一の表現型の特徴を有する(図1A、1B及び1Cの例示植物を参照)。
【0346】
【表5】
【0347】
PM切断葉試験(実施例1.2参照)によって得られた感受性スコアの結果は、2つの子孫1607/003及び16/007の15の植物、並びに抵抗性対照、すなわちPM1導入パートナー、PMR5(2つの植物、ポドスファエラ・キサンティのいくつかの株の対照)及び感受性対照、すなわちVedrantais、Nantais oblongに適用された。少なくとも1つの菌株に抵抗性があることが知られている植物も試験されている(Edisto 47、PMR45)。
ND=不確定。
【0348】
【表6】
【0349】
病害指数は次のように計算される。
DI = [(0 × 抵抗性スコアが1の植物の数)+(3 × 抵抗性スコアが3の植物の数)+(5 × 抵抗性スコアが5の植物の数)+(7 × 抵抗性スコア7の植物の数)+(9 × 抵抗性スコア9の植物の数)] / (9 × 植物の総数)。
【0350】
これらの結果は、NCIMBで寄託された種子がPMに抵抗性があり、SCABに抵抗性があることを裏付けている。Vat遺伝子により提供される、アブラムシに対する抵抗性も確認されている。これらの植物はまた、商業的に許容される果実の品質及び態様を有し(図1F参照)、Zym遺伝子に関連する壊死性表現型を有さない。
【0351】
5.特異的マーカーの開発
【0352】
ゲノムスキャンアプローチを使用して、ゲノムに沿って均一に分布し、12のメロン染色体(12の連鎖群に対応)を十分に包含する4500を超えるSNPマーカーが、系統パネル上で遺伝子型分類された。このパネルは、ZYMV抵抗性系統、PM抵抗性系統、SCAB抵抗性系統及び感受性系統、並びに最初のSCAB及びPM抵抗性ドナー、すなわちPM1及びSC1、育種プロセスの最初の感受性系統、すなわちエリート系統A及びC、並びに果実の品質に影響を与えることなくSCAB及びPMのQTLをピラミッディングする最終育種系統(MTYVVC721及びその子孫)が含まれていた。データ分析により、LG2及びLG5のSCAB抵抗性QTL、並びにLG2及びLG5のPM抵抗性QTLの、特異的マーカーハプロタイプを特定できる。
【0353】
LG2及びLG5のSCAB抵抗性QTL並びにLG2及びLG5のPM抵抗性QTLについて、隣接マーカー、並びにこれらの隣接マーカーによって区切られた領域内のさらなるマーカーを表Cに報告する。さらに、メロン(DHL92)バージョン3.6.1(Garcia-Mas et al、2012)及び以下のアドレス http://cucurbitgenomics.org/organism/18 で利用可能であるゲノムアセンブリ上のマーカーの位置はまた、表Cにおいて報告されている。Diaz et al, 2011に開示されたいくつかのマーカーに対する前記マーカーの位置は、図2(LG2)及び図3(LG5)にも例示されている。
【0354】
また、LG2上のPM抵抗性QTL付近にあることが知られている、ZYMV遺伝子をたどることにより、本発明者らは、寄託種子に対応するゲノムを有する植物体においてこの遺伝子が存在しなくなることを確認した。したがって、本発明者らは、表現型レベルで観察される組換え事象、すなわち組換えによるZYMV遺伝子の喪失が壊死症状のない植物を生じさせることを分子レベルで確認した。ZYMV遺伝子の存在又は非存在を検出するために使用されるマーカー、並びにメロンゲノムの同じバージョン上のそれらの物理的位置も表Cに示される。SSRおよびSNP遺伝子型分類は、実施例1に詳述されているように実施される。
【0355】
表Dの詳細は、表CのSNPマーカーについて、多型そのもの、抵抗性QTLの存在に関連するアリル遺伝子、有益な多型の周辺の配列(すなわち多型ヌクレオチドならびに3’及び5’隣接配列)、並びに付属の配列表に対応する配列番号である。
【0356】
表Eは、表CのSSRマーカーについて、マイクロサテライトの増幅に使用されるフォワードプライマー及びリバースプライマー、並びに増幅されたフラグメントの長さの存在を表す抵抗性QTL(PM又はSCAB抵抗性QTL)を報告する。
【0357】
表Fは、表D及びEのマーカーについて、遺伝子型決定された系統パネルで見つかったアリル遺伝子を報告する。
【0358】
表Gは、本発明に開示されるSNPのアリル遺伝子を検出するために、本発明者らによって使用されたプライマーを記載する。
【0359】
表C:マーカーのリスト。
列は、マーカー名、マーカーの種類(SSR又はSNP)、マークされている抵抗性の種類、連鎖群、及び各マーカーのこのLG上のメロンゲノムバージョン3.6.1上の位置(SNPの多型ヌクレオチドの位置に対応し、マイクロサテライトの場合、与えられた位置は増幅に使用されたプライマーの配列に対する位置である)、及びマーカーが抵抗性QTLの隣接マーカーであるかどうかを示す。
【0360】
【表7】
【0361】
表D:SNPマーカー。
この表は、異なる抵抗性について、マーカー配列を同定された種々のSNPマーカー(多型ヌクレオチドを含む)を報告する。「Polym R / S」と題された列は、多型ヌクレオチドの2つのアリル遺伝子を示し、抵抗性に関連するアリル遺伝子(「抵抗性アリル遺伝子」)が最初に言及され、感受性を表すアリル遺伝子が2番目に言及される。
【0362】
【表8-1】
【0363】
【表8-2】
【0364】
表E:SSRマーカー
この表は、異なる抵抗性について、マイクロサテライト領域を増幅するために用いられ得る2つのプライマーの配列、並びに増幅された断片の長さ、抵抗性QTLの存在の表れが同定された種々のSSRマーカーを報告する。
【0365】
【表9】
【0366】
表F:同定されたマーカーに関して、親系統及び寄託植物の遺伝子型分類
【0367】
【表10】
【0368】
表G:KASpar技術及び対応する配列番号を用いる、SNPのアリル遺伝子の検出のために本発明者らが使用したプライマー
【0369】
【表11】
【0370】
6.メタンスルホン酸エチル(EMS)によるC.melo種子の遺伝子改変
【0371】
C.melo植物の種子は、約2000個の種子を0.5%(w / v)又は0.7%EMS通気溶液に室温で24時間浸水させることにより、EMSで処理される。
【0372】
EMS用量当たり約1500個の処理種子を発芽させ、得られた植物を、好ましくは温室内で、例えば3月から9月に生育させて種子を生産する。
【0373】
成熟後、M2種子は収穫され、処理ごとに品種ごとに1つのプールにまとめられる。得られたM2種子のプールは、個々のM2種子と、瘡痂病、アブラムシ及びうどん粉病(PM)に抵抗性のある植物を特定するための出発材料として使用される。
【0374】
参考文献
【0375】
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図1
図2
図3
【配列表】
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【国際調査報告】