(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】治療用コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
A61K 47/60 20170101AFI20230704BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230704BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230704BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230704BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230704BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230704BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230704BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20230704BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A61K47/60 ZNA
A61K47/64
A61K47/68
A61K39/395 L
A61K39/395 C
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K51/10 200
A61K51/10
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574600
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 AU2021050554
(87)【国際公開番号】W WO2021243415
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521014984
【氏名又は名称】スターファーマ ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100181168
【氏名又は名称】丸山 智裕
(72)【発明者】
【氏名】シェングル,スディール ラムナトラオ
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ハフトン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】テュレヒト,クリス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF68
4C084AA12
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC751
4C085AA25
4C085BB11
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4C085BB43
4C085CC21
4C085EE01
4C085EE03
4C085HH03
4C085KA03
4C085KA07
4C085KA29
4C085KB07
4C085KB12
4C085KB15
4C085KB82
4C085LL18
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA50
4H045BA57
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
(57)【要約】
デンドリマー-標的化剤コンジュゲートであって、(a)デンドリマーであって、i)コアユニット(C)、及びii)構成ユニット(BU)を含み、デンドリマーが、2~6世代の構成ユニットを有し、コアユニットが、少なくとも2つの構成ユニットに共有結合により付着している、デンドリマーを含み、当該デンドリマーが、b)スペーサー基によりデンドリマーに共有結合により連結している、標的化剤と、c)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第1の末端基であって、第1の末端基が、放射性核種を錯体化するための錯体化基を含む、第1の末端基と、d)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第2の末端基であって、第2の末端基が、薬物動態修飾部分を含む、第2の末端基と、を更に含む、デンドリマー-標的化剤コンジュゲート又はその塩が本明細書に提供される。また、デンドリマー-標的化剤コンジュゲートを含む組成物、並びに治療用途及び画像化用途においてデンドリマー-標的化剤コンジュゲート及びそれらを含む組成物を使用する方法を提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンドリマー-標的化剤コンジュゲートであって、
a)デンドリマーであって
i)コアユニット(C)、及び
ii)構成ユニット(BU)を含み、
前記デンドリマーが、2~6世代の構成ユニットを有し、
前記コアユニットが、少なくとも2つの構成ユニットに共有結合により付着している、デンドリマーと、
b)スペーサー基により前記デンドリマーに共有結合により連結している、標的化剤と、
c)前記デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第1の末端基であって、前記第1の末端基が、放射性核種を錯体化するための錯体化基を含む、第1の末端基と、
d)前記デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第2の末端基であって、前記第2の末端基が、薬物動態修飾部分を含む、第2の末端基と、を含む、コンジュゲート
又はその塩。
【請求項2】
前記標的化剤が、最大約150kDa、又は最大約110KDa、又は最大約80KDa、又は最大約55KDa、又は最大約16kDaの分子量を有し、抗原結合部位を含むペプチド部分である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記標的化剤が、最大約80kDaの分子量を有し、抗原結合部位を含むペプチド部分である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記標的化剤が、抗体、重鎖抗体、ScFV-Fc、Fab、Fab2、Fv、scFv、又は単一ドメイン抗体から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
前記標的化剤が、重鎖可変(V
H)ドメインを含むか、又はそれからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記標的化剤が、軽鎖可変(V
L)ドメインを含むか、又はそれからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記標的化剤が、約5kDa~約30kDaの分子量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記標的化剤が、約3kDa~約20kDaの分子量を有する、請求項7に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
前記標的化剤が、120未満のアミノ酸残基を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
前記標的化剤が、HER2標的化剤である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
前記標的化剤が、HER2ナノボディである、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記標的化剤が、本明細書に記載の標的化剤アミノ酸配列のいずれかを含むか、又はそれらからなる、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記標的化剤が、小分子である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
前記標的化剤が、PSMAと結合する小分子である、請求項13に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
前記標的化剤が、DUPA類似体である、請求項14に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
前記標的化剤が、FAP結合基である、請求項13に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
前記標的化剤と前記スペーサー基との間の共有結合による連結が、前記標的化剤を含む中間体及び前記デンドリマーを含む中間体上に存在する相補的反応性官能基間の反応によって形成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
前記標的化剤を含む前記中間体が、非天然アミノ酸残基を含み、前記非天然アミノ酸残基が、反応性官能基を含む側鎖を有する、請求項17に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
前記非天然アミノ酸残基が、4-アジドフェニルアラニン残基である、請求項18に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
前記標的化剤を含む前記中間体が、反応性システイン残基を含む、請求項17に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
前記スペーサー基が、PEG基を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
前記標的化剤が、前記標的化剤のC末端で、又はその近傍で、前記スペーサー基に共有結合により連結している、請求項1~21のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
前記デンドリマーを含む前記中間体が、アルキン基である反応性官能基を含む、請求項18又は19に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
前記アルキン基が、ジベンゾシクロオクチン基である、請求項23に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
前記第1の末端基が、錯体化基と錯体化した放射性核種を更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項26】
前記錯体化基が、DOTA、ベンジル-DOTA、NOTA、DTPA、サルコファジン、マクロパ、DFO、PEPA、又はEDTA基である、請求項1~25のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項27】
放射性核種含有部分中の前記放射性核種が、ルテチウム、ガリウム、ジルコニウム、アクチニウム、ビスマス、アスタチン、テクネチウム、鉛、イットリウム、又は銅放射性核種である、請求項1~26のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
前記放射性核種が、ガリウム、ジルコニウム、鉛、又はルテチウム放射性核種である、請求項27に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
前記放射性核種が、α放射体である、請求項1~28のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項30】
前記放射性核種が、β放射体である、請求項1~28のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項31】
前記薬物動態修飾部分が、ポリエチレングリコール(PEG)基、又はポリエチルオキサゾリン(PEOX)基、又はポリ-(2)メチル-(2)-オキサゾールアミン(POZ)、又はポリサルコシン、又はポリ(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(pHPMA)基である、請求項1~30のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項32】
前記薬物動態修飾部分が、ポリエチレングリコール(PEG)基である、請求項31に記載のコンジュゲート。
【請求項33】
前記薬物動態修飾部分が、400~2400ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項31に記載のコンジュゲート。
【請求項34】
前記デンドリマーが、2~5世代の構成ユニットを有する、請求項1~33のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項35】
前記コアユニットが、
【化1】
を含むか、又はそれらから選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項36】
前記構成ユニットが、リジン残基又はそれらの類似体である、請求項1~35のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項37】
前記構成ユニットが、それぞれ、
【化2】
である、請求項1~36のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項38】
前記コンジュゲートが、例示コンジュゲートのいずれかである、請求項1~37のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項39】
請求項1~38のいずれか一項に記載の複数のコンジュゲートを含む組成物。
【請求項40】
薬学的組成物であって、
i)請求項1~38のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、
ii)薬剤的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項41】
療法若しくは画像化において使用するための、請求項1~38のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
がんの治療に使用するための、請求項1~38のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
がんの治療のための医薬品の製造における、請求項1~38のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項39に記載の組成物、又は請求項40に記載の薬学的組成物の、使用。
【請求項44】
対象におけるがんを治療する方法であって、治療有効量の請求項1~38のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項39に記載の組成物、又は請求項40に記載の薬学的組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項45】
前記がんが、前立腺がん、膵臓がん、胃腸がん、肺がん、乳がん、又は脳がんである、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法、使用、又は使用のためのコンジュゲート若しくは組成物。
【請求項46】
前記コンジュゲートが、更なる活性剤と組み合わせて投与される、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法、使用、又は使用のためのコンジュゲート若しくは組成物。
【請求項47】
請求項1~38のいずれか一項に記載の治療用コンジュゲートを生成するためのキットであって、
a)請求項1~24、26、及び31~38のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、
b)放射性核種と、を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、療法及び画像化(imaging)のための標的化剤-デンドリマーコンジュゲートに関する。コンジュゲートは、治療用途、例えば、腫瘍の治療に使用される。また、本開示は、コンジュゲートを含む薬学的組成物、及びコンジュゲートを用いた治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
WHOによると、がんは世界の死因の第2位であり、2018年には推定960万人の死亡原因となっている。最も多いがんには、肺、乳房、結腸直腸、前立腺、皮膚、及び胃の組織に影響を及ぼすものが含まれる。
【0003】
新規かつ有効な腫瘍療法の研究開発に大きな努力がなされている。しかしながら、これまでのところ、現代のがん療法は、多くの一般的な種類のがんを有する患者の寿命の治療及び延長に部分的にしか成功していないことが証明されている。この限定された成功は、多くの原発性クラスの抗がん剤及び細胞傷害性技術に見られる相対的な特異性の欠如に大きく起因する。実際、今日利用可能な腫瘍療法の大部分は、制御不能な成長を示す任意の細胞を単に破壊するのみであるという前提で機能している。このように非特異的な細胞分裂に焦点を当てると、急速に分裂する非腫瘍性細胞(例えば、腸内に存在する細胞)を誤って損傷するという非選択的な処理が行われる。結果として、腫瘍療法の投与は、多くの場合、患者の健康な細胞に不可逆的な損傷をもたらし、結果として、患者の生活の質に有害な無数の副作用をもたらす。
【0004】
そのような非特異的腫瘍療法としては、放射性核種療法が挙げられる。放射性核種療法は、放射性核種で標識された分子を使用して、一部のがんを治療するために高レベルの放射線を腫瘍細胞に送達する全身治療である。この療法は、電離放射線を使用して、がん細胞を死滅させ、細胞のDNAを損傷することによって腫瘍を縮小させ、それによってこれらの細胞の成長及び分裂の継続を妨げる。所望の部位に放射線療法を送達する既存の方法としては、Xifigo(Ra223、Bayer)放射性ビーズ(SIR-Spheres(Y-90 Sirtex)など)などのミメティック、及び標的療法(Lutathera(AAA/Novartis)など)が挙げられる。
【0005】
放射性核種は、がん細胞の成長及び拡散を減少させるのに有効であり得るが、患者の健康な組織も不用意に損傷され得る。放射性核種が有効であるように、標的部位(例えば、腫瘍細胞)で治療上適切なレベルを達成及び維持する安全な放射性核種療法を持続的な期間提供することには依然として大きな課題が残る。安全かつ長期間持続する放射性核種療法のこの課題は、放射性核種そのものの性質によって複合化され、これは、放射性核種に長期間曝露される健康な細胞(例えば、血液細胞及び免疫系の他の細胞)を不用意に損傷する。このような健康な細胞への望ましくない曝露は、しばしば、がん患者において耐えられない副作用として現れ、これにより、当該療法の有効性が更に制限される可能性がある。本質的に、少なくとも一部の放射性核種療法について、放射性核種療法の薬物動態/薬力学的特性及び/又は副作用プロファイルは、最適ではない。
【0006】
したがって、薬物動態/薬力学的特性により、放射性核種が、強力に、選択的に、長時間持続して、かつ全体的に制御されて送達され、その間中ずっと患者への副作用が低減される、安全かつ効果的な放射性核種療法を開発する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、デンドリマー-標的化剤コンジュゲートであって、
a)デンドリマーであって、
i)コアユニット(C)、及び
ii)構成ユニット(BU)を含み、各構成ユニットが、リジン残基又はその類似体であり、
デンドリマーが、2~6世代の構成ユニットを有し、コアユニットが、少なくとも2つの構成ユニットに共有結合により付着している、デンドリマーと、
b)スペーサー基によりデンドリマーに共有結合により連結している、標的化剤と、
c)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第1の末端基であって、第1の末端基が、放射性核種を錯体化するための錯体化基を含む、第1の末端基と、
d)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第2の末端基であって、第2の末端基が、薬物動態修飾部分を含む、第2の末端基と、を含む、コンジュゲート
又はその塩が提供される。
【0008】
第1の態様のデンドリマー-標的化剤コンジュゲートは、錯体化基と錯体化してデンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートを形成する放射性核種を有し得る。
【0009】
第1の態様では、デンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートであって、
a)デンドリマーであって、
i)コアユニット(C)、及び
ii)構成ユニット(BU)を含み、各構成ユニットが、リジン残基又はその類似体であり、
デンドリマーが、2~6世代の構成ユニットを有し、コアユニットが、少なくとも2つの構成ユニットに共有結合により付着している、デンドリマーと、
b)スペーサー基によりデンドリマーに共有結合により連結している、標的化剤と、
c)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第1の末端基であって、第1の末端基が、放射性核種と錯体化した錯体化基を含む、第1の末端基と、
d)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第2の末端基であって、第2の末端基が、薬物動態修飾部分を含む、第2の末端基と、を含む、コンジュゲート
又はその塩が提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、最大約150kDa、又は最大約110KDa、又は最大約80KDa、又は最大約55KDa、又は最大約20KDa、又は最大約16kDaの分子量を有し、抗原結合部位を含むペプチド部分である。
【0011】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、最大約80kDaの分子量を有し、抗原結合部位を含むペプチド部分である。
【0012】
いくつかの実施形態では、標的化剤が、抗体、重鎖抗体、ScFV-Fc、Fab、Fab2、Fv、scFv、又は単一ドメイン抗体から選択される。いくつかの実施形態では、標的化剤は、重鎖可変(VH)ドメインを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、標的化剤は、軽鎖可変(VL)ドメインを含むか、又はそれからなる。
【0013】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、約5kDa~約30kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態では、標的化剤は、約5kDa~約20kDaの分子量を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、120未満のアミノ酸残基を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、HER2標的化剤又はEGFR標的化剤である。
【0016】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、本明細書で定義される標的化剤アミノ酸配列のいずれかを含むか、又はそれらからなる。
【0017】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、小分子である。
【0018】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、PSMAと結合する小分子である。
【0019】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、DUPA類似体である。
【0020】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、FAPに結合するものである。
【0021】
いくつかの実施形態では、標的化剤とスペーサー基との間の共有結合による連結は、標的化剤を含む中間体及びデンドリマーを含む中間体上に存在する相補的反応性官能基間の反応によって形成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、標的化剤を含む中間体は、非天然アミノ酸残基を含み、非天然アミノ酸残基は、反応性官能基を含む側鎖を有する。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸残基は、4-アジドフェニルアラニン残基である。
【0023】
いくつかの実施形態では、スペーサー基は、PEG基を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、ペプチド部分のC末端で、又はその近傍で、スペーサー基に共有結合により連結している。
【0025】
いくつかの実施形態では、デンドリマーを含む中間体は、アルキン基である反応性官能基を含む。いくつかの実施形態では、アルキン基は、ジベンゾシクロオクチン-アミン基である。
【0026】
いくつかの実施形態では、上述のように、第1の末端基は、放射性核種と錯体化した錯体化基を含む。これは、放射性核種錯体化部分を形成すると考えられ得る。いくつかの実施形態では、錯体化基は、DOTA、ベンジル-DOTA、NOTA、DTPA、マクロパ、サルコファジン、DFO、EDTA、又はPEPA基である。
【0027】
いくつかの実施形態では、放射性核種錯体化部分中の放射性核種は、ルテチウム、ガドリニウム、ガリウム、ジルコニウム、アクチニウム、ビスマス、アスタチン、テクネチウム、鉛、イットリウム、又は銅放射性核種である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ガドリニウム、ガリウム、ジルコニウム、鉛、又はルテチウム放射性核種である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、α放射体である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、β発光体である。
【0028】
いくつかの実施形態では、薬物動態修飾部分は、ポリエチレングリコール(PEG)基、又はポリエチルオキサゾリン(PEOX)基、又はポリ-(2)メチル-(2)-オキサゾールアミン(POZ)、若しくはポリ(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(pHPMA)基、又はポリサルコシンである。いくつかの実施形態では、薬物動態修飾部分は、ポリエチレングリコール(PEG)基である。いくつかの実施形態では、薬物動態修飾部分は、400~2400ダルトン、又は400~2200ダルトン、又は400~1400ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基である。
【0029】
いくつかの実施形態では、デンドリマーは4世代の構成ユニットを有する。いくつかの実施形態では、構成ユニットの世代は、完全な世代である。
【0030】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、以下のものである。
【化1】
【0031】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、以下の構造を含む。
【化2】
【0032】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、以下のものである。
【化3】
【0033】
いくつかの実施形態では、構成ユニットは、リジン残基又はそれらの類似体である。いくつかの実施形態では、構成ユニットはそれぞれ、以下である。
【化4】
【0034】
いくつかの実施形態では、表面構成ユニット中に存在する1~3個の窒素原子は、第1の末端基に付着している。いくつかの実施形態では、表面構成ユニット中に存在する窒素原子の少なくとも3分の1は、第2の末端基に付着している。いくつかの実施形態では、表面構成ユニット中に存在する窒素原子の少なくとも3分の1は、第3の末端基に付着している。
【0035】
いくつかの実施形態では、デンドリマーは、アセチル基でキャップされた窒素原子を含有する表面構成ユニットを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、デンドリマーは、例示コンジュゲートのいずれかである。
【0037】
更なる態様では、本明細書で定義される複数のコンジュゲートを含む組成物が提供される。
【0038】
更なる態様では、薬学的組成物であって、
i)本明細書に記載のコンジュゲートと、
ii)薬剤的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が提供される。
【0039】
いくつかの実施形態では、コンジュゲート又は薬学的組成物は、療法において使用するためのものである。いくつかの実施形態では、コンジュゲート又は組成物は、がんの治療に使用するためのものである。このような治療的実施形態では、デンドリマー-標的化剤コンジュゲートは、このような治療を必要とする対象に分配されるデンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートとなるように、放射性核種と錯体化されていてもよい。本明細書における「コンジュゲート」又は「デンドリマーコンジュゲート」への言及は、デンドリマー-標的化剤コンジュゲート及びデンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートの両方を含み得る。
【0040】
更なる態様では、がんの治療のための医薬品の製造における、本明細書に記載のコンジュゲート又は薬学的組成物の使用が提供される。
【0041】
更なる態様では、対象のがんを治療する方法であって、治療有効量の本明細書で定義されるコンジュゲート又は薬学的組成物を、対象に投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、がんは、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、又は脳がんである。いくつかの実施形態では、がんは、膠芽腫、髄膜腫、下垂体、神経鞘、星状細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、髄芽腫、又は頭蓋咽頭腫の脳がんである。
【0042】
更なる態様では、コンジュゲートが、更なる活性剤と組み合わせて投与される、本明細書で定義される方法、使用、又は使用のためのコンジュゲート若しくは組成物が提供される。
【0043】
更なる態様では、本明細書で定義される治療用コンジュゲートを生成するためのキットであって、
a)本明細書で定義される第1の態様のコンジュゲートと、
b)放射性核種と、を含む、キットが提供される。
【0044】
更なる態様では、本明細書に記載の治療用コンジュゲートを生成するためのプロセスであって、本明細書に定義される第1の態様のコンジュゲートを放射性核種と接触させ、それによって治療用コンジュゲートを生成することを含む、プロセスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1a】SDSPAGE及び蛍光画像化によって可視化されるように、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のナノボディに連結した生成物デンドリマーの混合物を生成するデンドリマー-ナノボディコンジュゲーション反応(レーン反応混合物)を示す。SDSPAGEサイズマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表す。
【
図1b】SDSPAGE及び蛍光画像化によって可視化されるように、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のナノボディに連結した生成物デンドリマーの混合物を生成するデンドリマー-ナノボディコンジュゲーション反応(レーン反応混合物)を示す。SDSPAGEサイズマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表す。
【
図1c】SDSPAGE及び蛍光画像化によって可視化されるように、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のナノボディに連結した生成物デンドリマーの混合物を生成するデンドリマー-ナノボディコンジュゲーション反応(レーン反応混合物)を示す。SDSPAGEサイズマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表す。
【
図1d】SDSPAGE及び蛍光画像化によって可視化されるように、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のナノボディに連結した生成物デンドリマーの混合物を生成するデンドリマー-ナノボディコンジュゲーション反応(レーンM)を示す。SDSPAGEサイズマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表す。
【
図1e】SDSPAGE及び蛍光画像化によって可視化されるように、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のナノボディに連結した生成物デンドリマーの混合物を生成するデンドリマー-ナノボディコンジュゲーション反応(レーンM)を示す。SDSPAGEサイズマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表す。
【
図1f】SDSPAGE及び蛍光画像化によって可視化されるように、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のナノボディに連結した生成物デンドリマーの混合物を生成するデンドリマー-ナノボディコンジュゲーション反応(レーンM)を示す。SDSPAGEサイズマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表す。
【
図1g】SDSPAGE及び蛍光画像化によって可視化されるように、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のナノボディに連結した生成物デンドリマーの混合物を生成するデンドリマー-ナノボディコンジュゲーション反応(レーンM)を示す。SDSPAGEサイズマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表す。
【
図1h】サイズ排除から得られた画分のSDS-PAGEを示す。SDS-PAGEマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表し、赤色は、デンドリマーから放出されたCy5蛍光を表す。ナノボディ-デンドリマーの予想分子量(約25kDa)。
【
図1i】サイズ排除から得られた画分のSDS-PAGEを示す。SDS-PAGEマーカー(青色)は、おおよそのキロダルトン質量を表し、赤色は、デンドリマーから放出されたCy5蛍光を表す。ナノボディ-デンドリマーの予想分子量(約25kDa)。
【
図2】化合物71(対照)及び化合物123(標的)とMDA-MB-231、MDA-MB-231/HER2及びSKOV-3細胞との24時間にわたる平均蛍光強度値を示す。測定ごとに少なくとも10,000個の細胞がカウントされた。値は、平均値±標準偏差(SD;n=3)である。
【
図3】デンドリマーをHER2陽性細胞(MDA-MB-231/HER2)及びHER2陰性細胞(MDA-MB-231)とともに、3.33nM、37℃で24時間インキュベートしたときのフローサイトメトリー分析を示す。測定ごとに少なくとも10,000個の細胞がカウントされた。値は、平均値±標準偏差(SD;n=3)である。
【
図4】a)化合物71(対照)又はb)化合物123(標的)を濃度3.33nMで24時間処理したMDA-MB-231細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。緑色、青色、赤色の蛍光は、それぞれ、AF-488-WGAで染色した細胞膜、DAPIで染色した核、及びCy5で標識したデンドリマーを表す。スケールバー=50μm。
【
図5】a)化合物71(対照)又はb)化合物123(標的)を濃度3.33nMで24時間処理したMDA-MB-231/HER2細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。緑色、青色、赤色の蛍光は、それぞれ、AF-488-WGAで染色した細胞膜、DAPIで染色した核、及びCy5で標識したデンドリマーを表す。スケールバー=50μm。
【
図6】a)化合物71(対照)又はb)化合物123(標的)を濃度3.33nMで24時間処理したSKOV-3細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。緑色、青色、赤色の蛍光は、それぞれ、AF-488-WGAで染色した細胞膜、DAPIで染色した核、及びCy5で標識したデンドリマーを表す。スケールバー=50μm。
【
図7】48時間後に屠殺した後の、3H標識した化合物72及び化合物127のデンドリマーの腫瘍及び血液の分布データを示す。全てのデータは、平均±SEM(n=5)を表す;(NS=有意ではない;*=p値<0.05)。
【
図8】48時間後に屠殺した後の、化合物71及び化合物123の代表的なエクスビボ腫瘍分布を示す。データは、(a)非標的デンドリマー(化合物71)及び(b)標的デンドリマー(化合物123)の典型的な視野を表す。
【
図9】標的デンドリマー(化合物123)が腫瘍のコア領域及び周辺領域に取り込まれ、対照化合物71は取り込まれなかったことを示す画像を示す。
【
図10】SKOV3細胞を接種し、その後、ビヒクル、対照化合物71、標的化合物123、Kadcyla(登録商標)、又はHerceptin(登録商標)で処理したマウスの、経時的な平均腫瘍体積のプロットを示す。
【
図11】SKOV3細胞を接種し、その後、ビヒクル、対照化合物71、標的化合物123、Kadcyla(登録商標)、又はHerceptin(登録商標)で処理したマウスの、経時的な生存率を示す。
【
図12】SKOV3細胞を接種し、その後、ビヒクル、対照化合物71、標的化合物123、Kadcyla(登録商標)、又はHerceptin(登録商標)で処理したマウスの、経時的な平均%体重変化を示す。
【
図13】第4世代のデンドリマーと、単一(化合物91、MFI単一)又は複数(化合物92、MFI複数)コンジュゲート抗HER2ナノボディの内在化速度を示す。
【
図14】化合物92(複数の2D3-デンドリマーコンジュゲート)とともに37℃で、a)1時間、b)3時間、c)6時間、又はd)24時間インキュベートした後のSKOV-3細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。化合物92をCy5(マゼンタ)で標識し、細胞膜をAF488-WGA(緑色)で染色し、核をHoechst33342(青色)で標識する。スケールバー=30μM。
【
図15】化合物91(単一の2D3-デンドリマーコンジュゲート)とともに37℃で、a)1時間、b)3時間、c)6時間、又はd)24時間インキュベートした後のSKOV-3細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。化合物91をCy5(マゼンタ)で標識し、細胞膜をAF488-WGA(緑色)で染色し、核をHoechst33342(青色)で標識する。スケールバー=30μM。
【
図16】
89Zrがデンドリマーに結合していることを示す、化合物73の放射性TLC画像である。
【
図17A】化合物89、91及び93の、9日間にわたる(a)腎臓、(b)肝臓及び(c)腫瘍における1g当たりのジルコニウム注入用量パーセンテージのグラフを示す。
【
図17B】化合物89、91及び93の、9日間にわたる(a)腎臓、(b)肝臓及び(c)腫瘍における1g当たりのジルコニウム注入用量パーセンテージのグラフを示す。
【
図17C】化合物89、91及び93の、9日間にわたる(a)腎臓、(b)肝臓及び(c)腫瘍における1g当たりのジルコニウム注入用量パーセンテージのグラフを示す。
【
図18】4時間後から9日後までの動物の放射性同位元素コンジュゲートのPET画像の代表的な最大強度投影図を示す。データは、ベクレル/ボクセル(cm
3)で表され、腫瘍の取り込みを強調するために閾値が設定されている。
【
図19】BT474細胞を接種し、その後、ビヒクル、並びに15MBq
177Luを送達する試験物品(トラスツズマブKY-3-310、HER2ナノボディ標的SRS-2-304、及び非標的RH-3-160)により処理したbalb/cヌードマウスの、経時的な腫瘍体積の%変化のプロットを示す。
【
図20】BT474細胞を接種し、その後、
177Luの用量を変化させて、ビヒクル、トラスツズマブKY-3-310、又はHER2ナノボディ標的SRS-2-304により処理したbalb/cヌードマウスの、経時的な腫瘍体積の%変化のプロットを示す。
【
図21】還元されたKY-2a及び還元されていないKY-2aのSDSページゲルを示す。
【
図22】デンドリマーコンジュゲートSRS-15、SRS-16、SRS-17(及び対応する出発材料)のSDSページゲルを示す。
【
図23】デンドリマーコンジュゲートSRS-20、SRS-21、及びSRS-22(並びに対応する出発材料)のSDSページゲルを示す。
【
図24】(化合物85~97、123~127、SRS-20及びSRS-22についてのゲルを示す。)
【0046】
配列表の凡例
配列番号1の単一ドメイン抗体は、2D3アミノ酸配列である。
配列番号2:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
配列番号3:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
配列番号4:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
配列番号5:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
配列番号6:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
配列番号7:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
配列番号8:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
配列番号9:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
配列番号10:単一ドメイン抗体アミノ酸配列の例。
【0047】
説明
一般的な定義
特に他のように定義されていない限り、本明細書で使用されている全ての技術的及び科学的用語は、当業者(例えば、化学、生化学、医薬化学、高分子化学など)が一般的に理解しているものと同じ意味を有するものとする。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「及び/又は」という用語、例えば「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味するものと理解され、両方の意味又はいずれかの意味を明示的にサポートを提供するものとみなされる。
【0049】
本明細書で使用されるとき、反対の記載がない限り、「約」という用語は、指定された値の±20%、より好ましくは±10%を指す。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「a」、「an」、及び「the」という用語は、文脈上明らかに他を示す場合を除き、単数及び複数の面を含む。
【0051】
別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書で使用するとき単にラベルとして使用され、これらの用語が指すアイテムに順序的、位置的、又は階層的要件を課すことを意図するものではない。更に、「第2の」アイテムへの言及は、番号がより小さいアイテム(例えば、「第1の」アイテム)及び/若しくは番号がより大きいアイテム(例えば、「第3の」アイテム)の存在を必要としないか、又は排除しない。
【0052】
本明細書で使用するとき、「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、アイテムのリストとともに使用される場合、列挙されたアイテムのうちの1つ以上の様々な組み合わせが使用され得、リスト内のアイテムのうちの1つのみが必要とされ得ることを意味する。アイテムは、特定の物体(object)、物(thing)、又はカテゴリであり得る。換言すれば、「~のうちの少なくとも1つ」は、あらゆるアイテムの組み合わせ又はあらゆる数のアイテムがリストから使用され得るが、リスト内の全てのアイテムが必要とされ得るわけではない。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムA;アイテムA及びアイテムB;アイテムB;アイテムA、アイテムB、及びアイテムC;又はアイテムB及びアイテムCを意味し得る。いくつかの場合では、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定されないが、アイテムAのうちの2つ、アイテムBのうちの1つ、及びアイテムCのうちの10;アイテムBのうちの4つ、及びアイテムCのうちの7つ;又はいくつかの他の適切な組み合わせを意味し得る。
【0053】
本明細書で使用するとき、「対象」という用語は、疾患又は状態に罹患しやすいあらゆる生物を指す。例えば、対象は、動物、哺乳動物、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)、又は実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター)であり得る。一例では、対象は、哺乳動物である。一実施形態では、対象は、ヒトである。一実施形態では、対象は、非ヒト動物である。
【0054】
本明細書では、「治療する(treating)」という用語は、特定の障害又は状態に関連する症状を緩和することを含む。例えば、本明細書で使用するとき、「がんを治療する」という用語は、がんに関連する症状を緩和することを含む。一実施形態では、「がんを治療する」という用語は、がん性腫瘍のサイズを縮小させることを指す。一実施形態では、「がんを治療する」という用語は、無増悪生存期間を延長することを指す。本明細書では、「無増悪生存期間」という用語は、がんの治療中及び治療後に、患者が疾患、すなわちがんを有するが、疾患の再発又は疾患の症状の増加を有さずに生存している期間の長さを指す。
【0055】
本明細書では、「予防」という用語は、特定の障害又は状態を予防することを含む。例えば、本明細書では、「がんを予防する」という用語は、がんに関連する症状の発症又は持続を防ぐことを指す。一実施形態では、「がんを予防する」という用語は、がんの進行を減速させる又は停止させることを指す。一実施形態では、「がんを予防する」という用語は、転移を減速させる又は予防することを指す。
【0056】
本明細書で使用するとき、「治療有効量」とは、治療される障害又は状態の症状のうちの1つ以上をある程度緩和するか又は予防するのに十分な量で、デンドリマーが投与されることを指す。その結果は、疾患又は状態の兆候、症状若しくは原因の軽減及び/若しくは緩和、又は生物学的システムの任意の他の望ましい変化であり得る。一実施形態では、「治療有効量」という用語は、がん性腫瘍のサイズの減少をもたらすのに十分な量で、デンドリマーが投与されることを指す。一実施形態では、「治療有効量」という用語は、無増悪生存期間の延長をもたらすのに十分な量で、デンドリマーが投与されることを指す。本明細書で使用するとき、「有効量」とは、過度の副作用を伴わずに、所望の薬理効果又は治療的改善を達成するために有効なデンドリマーの量を指す。「治療的有効量」とは、例えば、予防的有効量を含む。一実施形態では、予防的有効量とは、転移の予防に十分な量である。「有効量」又は「治療的有効量」は、化合物の代謝の変動、年齢、体重、対象の全身状態、治療される状態、治療される状態の重症度、及び処方医師の判断のいずれかにより、対象によって変動し得ることは理解されている。
【0057】
「診断」という用語は、本明細書で使用するとき、状態、疾患又は障害を有するか又は有する疑いのある対象に、本開示のコンジュゲートを投与し、その後、単光子放射、陽電子放出断層撮影、及び/又は陽電子放出断層撮影-磁気共鳴画像法などの技術を使用して、身体の様々な部分における放射能のレベルに関する情報を提供する、例えば、対象の身体の一部又は複数の部分を画像化して、疾患、障害又は状態(例えば、がん)の存在に関して、並びに/あるいは疾患、障害若しくは状態の状況、病期、及び/又は程度に関して決定することができるようにするプロセスを含み得る。いくつかの実施形態では、「診断」という用語は、兆候又は症状から疾患、障害若しくは状態の状況、病期又は程度を識別する及び/又は分類する行為を含み得る。例えば、本明細書で使用するとき、「がんを診断すること」という用語は、対象におけるがんの状態、病期、又は程度を特定すること及び/又は分類することを含み得る。
【0058】
デンドリマーの好適な塩としては、有機又は無機の酸又は塩基と形成されるものが挙げられる。本明細書では、「薬学的に許容される塩」という表現は、薬学的に許容される有機又は無機の塩を指す。例示的な酸付加塩としては、これらに限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、ビタルト酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))の塩が挙げられる。例示的な塩基付加塩としては、これらに限定されないが、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、カリウム及びナトリウムの塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム及びマグネシウムの塩、有機塩基との塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルコミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ、ジ、トリの低級アルキルアミン、例えばエチル、tert-ブチル、ジエチル、ジイソプロピル-、トリエチル-、トリブチル-、又はジメチル-プロピルアミン、又はモノ-、ジ-、トリ-ヒドロキシ低級アルキルアミン、例えばモノ-、ジ-、トリエタノールアミンなどが挙げられる。薬学的に許容される塩には、酢酸イオン、コハク酸イオン、又は別の対イオンなど、別の分子が含まれていてもよい。対イオンは、親化合物の電荷を安定化させる任意の有機又は無機の部分であり得る。更に、薬学的に許容される塩は、その構造中に2つ以上の荷電原子を有してもよい。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子及び/又は1つ以上の対イオンを有することができる。また、非薬学的に許容される塩も、薬学的に許容される塩を調製する際の中間体として有用であり得るか、又は保存若しくは輸送する間に有用であり得るため、本開示の範囲内であることが理解されるであろう。
【0059】
多くの有機化合物は、それらを反応させる、又は沈殿させる、又は結晶化させる溶媒と錯体を形成できることを、有機化学及び医薬化学の当業者であれば、理解するであろう。これらの錯体は「溶媒和物」として知られている。例えば、水との錯体は、「水和物」として知られている。本明細書では、「薬学的に許容される溶媒和物」又は「溶媒和物」という語句は、1つ以上の溶媒分子と本開示の化合物との会合を指す。薬学的に許容される溶媒和物を形成する溶媒の例としては、これらに限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンなどが挙げられる。
【0060】
本明細書で使用するとき、「5~10員の単環式又は二環式複素環基」という用語は、カルボシクリル基に類似しているが、炭素原子のうちの1つ以上が、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される1つ以上のヘテロ原子によって置き換えられている、単環式若しくは二環式の芳香族又は非芳香族の環式基を指す。多環式ヘテロシクリルは、例えば、縮合環を含有してもよい。二環式ヘテロシクリル基では、各環に1つ以上のヘテロ原子が存在してもよく、又は環のうちの1つのみにヘテロ原子が存在してもよい。ヘテロ原子は、N、O、又はSであり得る。好適な窒素原子を含有するヘテロシクリル基は、対応するN-オキシドを含む。一例では、複素環基は、5~10個の原子(すなわち、5~10員の複素環)のものである。単環式非芳香族複素環基の例としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、及びアゼパニルが挙げられる。環のうちの1つが非芳香族である二環式複素環基としては、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリル、及びベンゾアゼパニルが挙げられる。単環式芳香族複素環基(単環式ヘテロアリール基とも呼ばれる)の例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、及びピリミジニルが挙げられる。二環式芳香族複素環基(二環式ヘテロアリール基とも呼ばれる)の例としては、キノキサリニル、キナゾリヌル、ピリドピラジニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ナフチリジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル[4,5-b]ピリジル、ピリドピリミジニル、イソキノリニル、及びベンゾヒドロキサゾールが挙げられる。
【0061】
本明細書で使用するとき、「飽和」という用語は、主鎖原子の全ての利用可能な原子価結合が他の原子に付着している基を指す。飽和基の代表的な例としては、ブチル、シクロヘキシル、ピペリジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書で使用するとき、「不飽和」という用語は、2つの隣接する主鎖原子の少なくとも1つの原子価結合が他の原子に付着していない基を指す。代表的な例としては、これらに限定されないが、アルケン(例えば、-CH2-CH2CH=CH)、フェニル、ピロールなどが挙げられる。
【0063】
本明細書で使用するとき、「置換」という用語は、炭素又は好適なヘテロ原子から除去され、更なる基(すなわち、置換基)で置換された1つ以上の水素又は他の原子を有する基を指す。
【0064】
本明細書では、「デンドリマー」という用語は、コア及びそのコアに付着したデンドロンを含む分子を指す。各デンドロンは、分岐した構成ユニットの世代から構成されており、構成ユニットの世代ごとに分岐数が増加する分岐構造になっている。デンドリマーには、上に定義される薬学的に許容される塩又は溶媒和物が含まれてもよい。
【0065】
本明細書で使用するとき、「構成ユニット」という用語は、官能基を含む分岐分子を指す。1つの官能基は、コア又は前世代の構成ユニットに付着するためであり、少なくとも2つの官能基は、次世代の構成ユニットに付着するか又はデンドリマー分子の表面を形成するためのものである。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「付着させる(attached)」という用語は、共有結合による化学成分間の接続を指す。「共有結合」という用語は、「共有による付着」という用語と互換的に使用される。
【0067】
コンジュゲート
第1の態様では、デンドリマー-標的化剤コンジュゲートであって、
a)
i)コアユニット(C)、及び
ii)構成ユニット(BU)を含み、
デンドリマーが、2~6世代の構成ユニットを有し、コアユニットが、少なくとも2つの構成ユニットに共有結合により付着している、デンドリマーと、
b)スペーサー基によりデンドリマーに共有結合により連結している、標的化剤と、
c)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第1の末端基であって、第1の末端基が、放射性核種を錯体化するための錯体化基を含む、第1の末端基と、
d)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第2の末端基であって、第2の末端基が、薬物動態修飾部分を含む、第2の末端基と、を含む、コンジュゲート
又はその塩が提供される。
【0068】
第1の態様のデンドリマー-標的化剤コンジュゲートは、錯体化基と錯体化されてデンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートを形成する放射性核種を有し得る。デンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートは、治療用途又は画像化/診断用途に使用するためのものであり得る。
【0069】
第1の態様では、デンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートであって、
a)デンドリマーであって、
i)コアユニット(C)、及び
ii)構成ユニット(BU)を含み、各構成ユニットが、リジン残基又はその類似体であり、
デンドリマーが、2~6世代の構成ユニットを有し、コアユニットが、少なくとも2つの構成ユニットに共有結合により付着している、デンドリマーと、
b)スペーサー基によりデンドリマーに共有結合により連結している、標的化剤と、
c)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第1の末端基であって、第1の末端基が、放射性核種と錯体化した錯体化基を含む、第1の末端基と、
d)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第2の末端基であって、第2の末端基が、薬物動態修飾部分を含む、第2の末端基と、を含む、コンジュゲート
又はその塩が提供される。
【0070】
標的化剤を組み込んだデンドリマー骨格と、放射性核種を錯体化するための錯体化基を含む第1の末端基とを含有する本開示のコンジュゲートは、薬学的用途を有する薬剤として、例えば、がんの治療に有用な治療剤として使用される。標的化剤にコンジュゲートされたPEG又はPEOX基などの薬物動態修飾基を有するデンドリマー骨格の特定の組み合わせが、持続的な治療効果を提供することができるような方法での作用部位への放射性核種の送達を提供すると考えられる。コンジュゲートの設計はまた、標的化剤、放射性核種を錯体化するための錯体化基、及び特に放射性核種を後に導入するのを可能にする方法での合成を可能にする。
【0071】
デンドリマー
コアユニット
デンドリマーのコアユニット(C)は、構成ユニットで形成されたデンドロンのための付着点を提供する。構成ユニット上に存在する官能基と共有結合による連結を形成することができる官能基を含有する任意の好適なコアユニットを利用してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、アミド結合を介して少なくとも2つの構成ユニットに共有結合で付着している。いくつかの実施形態では、各アミド結合は、コアユニット内に存在する窒素原子と、構成ユニット内に存在するアシル基の炭素原子との間で形成される。他の実施形態では、各アミド連結は、コアユニット内に存在するアシル基の炭素原子と、構成ユニット内に存在する窒素原子との間で形成される。
【0073】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、2つ、3つ又は4つの構成ユニットに、共有結合により付着している。1つの特定の実施形態では、コアユニットは、2つの構成ユニットに共有結合により付着している。コアユニットは、例えば、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成されてもよい。別の例として、コアユニットは、カルボン酸基を含むコアユニット前駆体から形成されてもよい。2つの構成ユニットに付着しているコアユニットの場合、デンドリマーのコアユニットは、例えば、2つのアミノ基を含むコアユニット前駆体から形成されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、3つの反応性窒素原子を有する前駆体から誘導可能であり、そのうちの2つは構成ユニットを付着させるために使用され得、そのうちの1つはスペーサー基を付着させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、コアユニットは、
【化5】
である。好適な保護基戦略を使用することにより、末端窒素は、中心窒素とは異なる基で官能化され得、例えば、構成ユニットは、末端窒素に付着され得、中心窒素は、スペーサー基で官能化され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、2つの反応性窒素原子を有する前駆体から誘導可能であり、これは、構成ユニットを付着させるために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、コアユニットは、エチレンジアミン、1,4-ジアミノブタン、又は1,6-ジアミノヘキサンから誘導可能であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、
【化6】
であり、すなわち、これによって、コアユニットは、酸部分がベンズヒドリルアミンでキャップされて、対応するアミドを形成するリジン残基(BHA-Lys)を含み、例えば、2つの反応性(アミノ)ニトロゲンを有するコアユニット前駆体:
【化7】
から形成され得る。
【0077】
BHA-Lysなどの2つの反応性窒素原子のみを有するコアユニット前駆体を使用する場合、2つのアミノ基は、典型的には構成ユニットで官能化され、スペーサー基は、典型的には表面構成ユニットに付着されている。
【0078】
本発明のデンドリマーでは、複数の末端基を、制御された方法で、デンドリマーの表面上に提示できるようになる。特に、リジン構成ユニットが使用される場合、構成ユニットのアルファ又はイプシロン窒素原子上の配置は、以下に記載されるとおりに予め決定することができる。いくつかの好ましい実施形態では、錯体化基(放射性核種含有部分)、薬物動態基、標的化剤、及び、存在する場合、薬学的に活性な剤の残基の全ては、構成ユニットを介した付着を介して、デンドリマーの表面に提供される。換言すれば、それらの実施形態では、コアユニットは、構成ユニットを介する以外の末端基の付着点を提供しない。このような実施形態では、構成ユニットへの共有結合による付着のために使用されないコアユニット中に存在する任意の官能基は、未反応であるか(すなわち、コンジュゲートが曝された条件では未反応である)、又は、更なる反応を予防するために好適なキャッピング基でキャップされていることが理解されるであろう。このようなコアユニットの例として、上述のBHA-Lys基が挙げられる。
【0079】
マレイミドコアユニット
いくつかの実施形態では、コアは、
【化8】
であり、
リジン窒素原子からの結合に隣接する点線は、構成ユニットの付着を示し、マレイミド窒素からの結合に隣接する点線は、例えば、本明細書で論じられる官能部分の付着点を示し得る。
【0080】
このようなコアを利用する利点は、マレイミドに付着しているチオエーテル結合から延びる各アームの性質が同じであり得るか、又は異なり得ることである。これにより、デンドリマーの合成における柔軟性が向上し、例えば、デンドリマーの世代、構成ユニットの種類、及び末端基の調整が可能になる。
【0081】
これは、いくつかの方法で達成され得るが、一実施形態では、スキーム1に示されるように、示されるように、デンドリマーが最初にリジン残基のコンジュゲーションを介して構築される単純なシスタミンコアから出発することが望ましい場合がある。デンドリマーは、シスタミンコアを用いて任意の所望の数の世代に取り込まれ得るが、2、3、4、又は5世代が最も適切であり得る。スキーム2に示されるように、シスタミンデンドリマーは、ジスルフィド結合の還元によって、2つの別個のデンドロンに切断することができる。これは、マレイミド単位への後続のカップリングのためのチオール部分をデンドロンに提供する。
【0082】
このカップリングステップはまた、いくつかの方法で達成され得るが、スキーム2に示される実施形態は、ジブロモマレイミド試薬が提供される場合に有用であることが見出されている。マレイミド環の窒素は、例えば、以下に論じる官能部分、スペーサー基、又はその前駆体若しくは成分による官能化の機会を提供する。スキーム2では、これは、テトラジン官能基で活性化されたPEG部分として示されているが、広範囲の他のスペーサー基又はリンカー基が使用され得ることが理解されるであろう。デンドロンのチオール基をジブロモマレイミド単位と反応させることにより、新しいデンドリマーコアが効果的に形成される。スキーム2は、次いで、更なる反復が、所望の世代まで追加の構成ユニットを介してデンドリマーに追加され得ることを示す。マレイミド窒素上のスペーサー基は、標的化剤、治療剤、又は他の所望の部分をコンジュゲートするために、適切な時点で更に官能化するか、又はそれ以外の方法で開発することができる。
【0083】
デンドロンがジブロモマレイミド単位に曝露されている場合、異なるデンドロンの混合物を添加することが可能であり、そのため、後に形成されるコア上に異なるデンドリマーアームを有することが理解されるであろう。シスタミンコアからの異なるデンドロンの別々のバッチを合成し、還元を介して除去してから、選択された相対量のデンドロンをマレイミド単位と混合して、マレイミドコアを有する所望のデンドリマーを得ることができる。
【0084】
一実施形態では、コアユニットは、メチルマレイミド単位であってもよく、又はそれを含んでもよく、したがって、環の一方の炭素は、メチルが付着していてもよく、したがって、二重結合は、安定性の利点を有し得る環炭素間に存在する。
【0085】
一実施形態では、マレイミド環の窒素は、単に水素を提示してもよい。一実施形態では、マレイミド環の窒素は、官能部分に付着していてもよい。窒素が官能部分に付着している場合、マレイミドコアは、追加の官能性がコアに導入され得る更なる「合成ハンドル」を本質的に有する。例えば、治療剤、標的化剤、又は薬物動態修飾剤は、官能部分としてコアにコンジュゲートされ得る。
【0086】
官能部分は、マレイミドコアに直接コンジュゲートされ得る。あるいは、官能部分は、本明細書に定義されるように、スペーサー基を介してマレイミドコアにコンジュゲートされてもよい。スペーサー基を介して官能部分をマレイミドコアにコンジュゲートする利点は、官能部分がデンドリマーに遠位に繋がれ、それ以外の場合、官能部分がその機能を発揮する能力(すなわち、治療剤又は標的化剤が標的受容体又は分子と相互作用する能力)を低下させる可能性のあるデンドリマーからのあらゆる立体障害を低減することである。
【0087】
一実施形態では、マレイミド環の窒素は、標的化剤を含む官能部分に付着している。標的化剤は、本明細書に記載されるように、マレイミドコアに直接、又はそれ以外の場合、任意の好適なスペーサー基を介してコンジュゲートされてもよい。一例では、R
3は、マレイミドコアにコンジュゲートされたHER2標的化剤である。一例では、R
3は、本明細書に記載のスペーサー基を介してマレイミドコアにコンジュゲートされたHER2標的化剤である。一例では、R
3は、マレイミドコアにコンジュゲートされたFAP結合基である。一例では、R
3は、本明細書に記載のスペーサー基を介してマレイミドコアにコンジュゲートされたFAP結合基である。
【化9-1】
【化9-2】
【0088】
スキーム2:[[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NHDOTA)4.75(α-NHCy5)0.5(α-NH2)2.75][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)/TCO-NHCO-PEG24-(MAL)Me/Cys-ナノボディSRS-15(式中、G2(NH2)=Lys[Lys]2[Lys]4[(α-NH2.TFA)4(ε-NH2.TFA)4)]、G3(NHBoc)=Lys[Lys]2[Lys]4[Lys]8(α-NHBoc)8(ε-NHPEG1100)8)]、G3(NH2)=Lys[Lys]2[Lys]4[Lys]8(α-NH2)8(ε-NHPEG1100)8)]、G3(DOTA)=Lys[Lys]2[Lys]4[Lys]8(α-NHCy5)0.5(α-NHDOTA)4.75(α-NH2)2.75(ε-NHPEG1100)8)])の合成。
【0089】
構成ユニット
任意の適切な構成ユニット(BU)は、別の構成ユニット又はコアユニット上に存在する官能基と連結を形成することができる第1の官能基を含有し、別の構成ユニット上に存在する官能基と連結を形成することができる(例えば、以下の脱保護)少なくとも2つの更なる官能基を含有する限り、デンドリマーを生成するために使用されてもよい。
【0090】
いくつかの好ましい実施形態では、異なる世代の構成ユニットは、ある構成ユニット内に存在する窒素原子と別の構成ユニット内に存在するアシル基の炭素原子との間に形成されるアミド連結を介して互いに共有結合により付着している。例えば、いくつかの実施形態では、構成ユニットは、リジン残基又はそれらの類似体であり、好適な構成ユニット前駆体、例えば、適切な保護基を含有するリジン又はリジン類似体から形成されてもよい。リジン類似体は、後世代の構成ユニットに結合するために2つのアミノ窒素原子と、前世代の構成ユニット又はコアに結合するためのアシル基と、を有する。好適な構成ユニットの例としては、
【化10】
が挙げられ、
各構成ユニットのアシル基が、コア又は前世代の構成ユニットに付着させるための共有結合による付着点を提供し、各窒素原子が、後世代の構成ユニット、又は末端基に共有結合により付着させるための共有結合による付着点を提供する。
【0091】
いくつかの好ましい実施形態では、構成ユニットは、それぞれであり;
【化11】
各構成ユニットのアシル基が、コア又は前世代の構成ユニットに付着させるための共有結合による付着点を提供し、各窒素原子が、後世代の構成ユニット、又は末端基に共有結合により付着させるための共有結合による付着点を提供する。
【0092】
いくつかの好ましい実施形態では、構成ユニットは、それぞれである。
【化12】
【0093】
他の実施形態では、構成ユニットは、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、又はそれらの類似体であり、すなわち、好適な保護基を含有する好適な前駆体、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はそれらの類似体から形成される。そのような実施形態では、コアユニットは、カルボン酸基を含むコアユニット前駆体(すなわち、アスパラギン酸/グルタミン酸/類似体内に存在するアミノ基と反応することができる)から形成されてもよい。
【0094】
最外層の世代の構成ユニット(BUouter)は、上述の他の世代の構成ユニット(BU)で使用される構成ユニット、例えば、リジン又はリジン類似体構成ユニットによって形成されてもよい。最外層の世代の構成ユニット(BUouter)は、デンドリマーのコアから最も外側にある世代の構成ユニットであり、すなわち、最外層の世代の構成ユニット(BUouter)には、それ以降の世代の構成ユニットは付着しない。
【0095】
デンドリマーのデンドロンは、例えば、構成ユニット(BU)を適宜付着させることにより、必要な世代数に合成され得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、各世代の構成ユニット(BU)が同じ構成ユニットで形成されてもよく、例えば、構成ユニットの全ての世代が、リジン構成ユニットであってもよい。他のいくつかの実施形態では、1つ以上の世代の構成ユニットは、他の世代の構成ユニットに対して、異なる構成ユニットで形成されてもよい。
【0096】
デンドリマーは、2~6世代の構成ユニット、すなわち、2、3、4、5、又は6世代の構成ユニットを有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、デンドリマーは3世代の構成ユニットを有する。3世代構成ユニットデンドリマーは、例えば構成ユニットがリジンである場合には、互いに共有結合により連結された3つの構成ユニットを含む構造を有するデンドリマーであり、これには、以下のサブ構造が含まれ得る。
【化13】
【0098】
いくつかの実施形態では、デンドリマーは5世代の構成ユニットを有する。5世代構成ユニットデンドリマーは、例えば構成ユニットがリジンである場合には、互いに共有結合により連結された5つの構成ユニットを含む構造を有するデンドリマーであり、これには、以下のサブ構造が含まれ得る。
【化14】
【0099】
いくつかの実施形態では、デンドリマーは4世代の構成ユニットを有する。4世代構成ユニットデンドリマーは、例えば構成ユニットがリジンである場合には、互いに共有結合により連結された4つの構成ユニットを含む構造を有するデンドリマーであり、これには、以下のサブ構造を含んでもよい。
【化15】
【0100】
いくつかの実施形態では、構成ユニットの世代は、完全な世代である。例えば、デンドリマーが3世代の構成ユニットを有する場合、いくつかの実施形態では、デンドリマーは3世代の完全な構成ユニットを有する。2つの反応性アミン基を有するコアの場合、このようなデンドリマーは、14の構成ユニット(すなわち、コアユニット+2BU+4BU+8BU)を含むであろう。
【0101】
同様に、例えば、デンドリマーが4世代の構成ユニットを有する場合、いくつかの実施形態では、デンドリマーは4世代の完全な構成ユニットを有する。2つの反応性アミン基を有するコアの場合、このようなデンドリマーは、30の構成ユニット(すなわち、コアユニット+2BU+4BU+8BU+16BU)を含むであろう。
【0102】
同様に、例えば、デンドリマーが5世代の構成ユニットを有する場合、いくつかの実施形態では、デンドリマーは5世代の完全な構成ユニットを有する。2つの反応性アミン基を有するコアの場合、このようなデンドリマーは、62の構成ユニット(すなわち、コアユニット+2BU+4BU+8BU+16BU+32BU)を含むであろう。
【0103】
しかし、デンドリマーを生成するための合成過程の性質上、デンドリマーを生成するために行われた1つ以上の反応が、完全には完了しない可能性があることは理解できるだろう。したがって、いくつかの実施形態では、デンドリマーは、不完全な世代の構成ユニットを含んでもよい。例えば、デンドリマーが、デンドリマー当たりの構成ユニットの数の分布を有する、デンドリマーの集団を得ることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、デンドリマーが3世代の構成ユニットを有する場合、デンドリマー当たり、少なくとも8、又は少なくとも9、又は少なくとも10、又は少なくとも11、又は少なくとも12、又は少なくとも13の平均構成ユニット数を有するデンドリマーの集団が得られる。いくつかの実施形態では、デンドリマーのうち、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、10以上の構成ユニットを有するデンドリマーの集団が得られる。いくつかの実施形態では、デンドリマーのうち、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、12以上の構成ユニットを有するデンドリマーの集団が得られる。
【0105】
いくつかの実施形態では、デンドリマーが4世代の構成ユニットを有する場合、デンドリマー当たり、少なくとも25、又は少なくとも26、又は少なくとも27、又は少なくとも28、又は少なくとも29の平均構成ユニット数を有するデンドリマーの集団が得られる。いくつかの実施形態では、デンドリマーのうち、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、25以上の構成ユニットを有するデンドリマーの集団が得られる。いくつかの実施形態では、デンドリマーのうち、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、29以上の構成ユニットを有するデンドリマーの集団が得られる。
【0106】
いくつかの実施形態では、デンドリマーが5世代の構成ユニットを有する場合、デンドリマー当たり、少なくとも55、又は少なくとも56、又は少なくとも57、又は少なくとも58、又は少なくとも59、又は少なくとも60の平均構成ユニット数を有するデンドリマーの集団が得られる。いくつかの実施形態では、デンドリマーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、55以上の構成ユニットを有するデンドリマーの集団が得られる。いくつかの実施形態では、デンドリマーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、60以上の構成ユニットを有するデンドリマーの集団が得られる。
【0107】
いくつかの実施形態では、コアユニット前駆体の各反応性(アミノ)基は、構成ユニットを含むデンドロンのコンジュゲーション部位を表す。
【0108】
いくつかの実施形態では、各デンドロン(X)における各世代の構成ユニットは、式[BU]2
(b-1)(式中、bは、世代数である)で表されてもよい。3世代の完全な構成ユニットを有するデンドロン(X)は、[BU]1-[BU]2-[BU]4と表される。4世代の完全な構成ユニットを有するデンドロン(X)は、[BU]1-[BU]2-[BU]4-[BU]8と表される。5世代の完全な構成ユニットを有するデンドロン(X)は、[BU]1-[BU]2-[BU]4-[BU]8-[BU]16と表される。
【0109】
いくつかの実施形態では、デンドリマーは、2つ以上のデンドロンを含む。いくつかの実施形態では、デンドロンは、同じである。いくつかの実施形態では、デンドロンは、異なる。いくつかの実施形態では、デンドロンは、構成ユニット、表面基、世代サイズ(generation size)、第1の端末基、又は第2の端末基のレベルで同じであるか、又は異なる。
【0110】
第1の末端基
第1の末端基(T1)は、放射性核種を錯体化するための錯体化基を含む。好適な放射性核種に曝露した後、放射性核種を錯体化するための錯体化基は、放射性核種及び錯体化基を含み、放射性核種含有部分と称される場合がある。
【0111】
実施形態では、放射性核種含有部分は、錯体化基でキレートされた放射性核種を含んでもよい。
【0112】
実施形態では、放射性核種含有部分は、錯体化基との配位錯体中に放射性核種を含んでもよい。
【0113】
実施形態では、放射性核種含有部分は、錯体化基の少なくとも2つの異なる原子にキレートされた放射性核種を含んでもよい。
【0114】
実施形態では、放射性核種含有部分は、錯体化基と供与(datively)結合した放射性核種を含んでもよい。
【0115】
放射性核種
任意の好適な放射性核種を、本発明のデンドリマーにおいて利用してもよい。放射性同位体としても知られる放射性核種は、放射性崩壊して、核放射線を放射する化学元素の不安定な形態である。
【0116】
放射性核種は、がんなどの疾患の治療における用途を有する。このような場合、放射性核種を含有する物質を患者に投与すると、放射性核種が腫瘍に送達され、放射性崩壊及び放射線の放射後に、腫瘍細胞が死滅する。
【0117】
好ましくは、放射性核種は、金属又は半金属(例えば、アスタチンは、本発明の目的において半金属とみなされる)放射性核種、例えば、金属イオン又は半金属イオンである。いくつかの実施形態では、放射性核種は、アルファ放射体(α放射体)である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ベータ放射体(β放射体)である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ベータ及びガンマ放射体(γ放射体)である。
【0118】
実施形態では、放射性核種は、重水素及び三重水素を含む水素の同位体ではない。
【0119】
いくつかの実施形態では、放射性核種は、アクチニウム(例えば、Ac225)、アスタチン(例えば、As211)、ビスマス(例えば、Bi212、Bi213)、鉛(例えば、Pb212)、テクネチウム(例えば、Tc99m)、トリウム(例えば、Th227)、ラジウム(例えば、Ra223)、ルテチウム(例えば、Lu177)、イットリウム(例えば、Y90)、インジウム(例えば、In111、In114)、ガドリニウム(例えば、Gd153)、ガリウム(例えば、Ga68)、ジルコニウム(例えば、Zr89)、レニウム(例えば、Re186)、ヨウ素(例えば、I131)、又は銅(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64、Cu67)放射性核種である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ルテチウム(例えば、Lu177)、ガリウム(例えば、Ga68)、ジルコニウム(例えば、Zr89)、アクチニウム(例えば、Ac225)、ビスマス(例えば、Bi212、Bi213)、アスタチン(例えば、As211)、テクネチウム(例えば、Tc99m)、又は銅(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64、Cu67)放射性核種である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ルテチウム(例えば、Lu177)、ガリウム(例えば、Ga68)、ジルコニウム(例えば、Zr89)、又は銅(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64、Cu67)放射性核種である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ガリウム(例えば、Ga68)、ジルコニウム(例えば、Zr89)、又はルテチウム(例えば、Lu177)放射性核種である。
【0120】
いくつかの実施形態では、放射性核種は、状態(例えば、がん)の治療のためのものである。このような放射性核種の例としては、アクチニウム(例えばAc225)、アスタチン(例えば、As211)、ビスマス(例えば、Bi212、Bi213)、トリウム(例えば、Th227)、ラジウム(例えば、Ra223)、ルテチウム(例えば、Lu177)、イットリウム(例えば、Y90)、ガドリニウム(例えば、Gd153)、鉛(例えば、Pb212)、及び銅(例えばCu60、Cu61、Cu62、Cu64)が挙げられる。
【0121】
いくつかの実施形態では、放射性核種は、アクチニウム(例えば、Ac225)、アスタチン(例えば、As211)、ビスマス(例えば、Bi212、Bi213)、及び鉛(例えば、Pb212)から選択されるアルファ放射体である。
【0122】
いくつかの実施形態では、放射性核種は、ルテチウム(例えば、Lu177)、イットリウム(例えば、Y90)、ヨウ素(例えば、I131)、銅(例えば、Cu67)、及びレニウム(例えば、Re186)から選択されるベータ放射体である。
【0123】
理想的には、治療用放射性核種の放射特性は、腫瘍内のエネルギーを集中させるための病変サイズを考慮し、デンドリマーの延長された送達に合わせるための好適な半減期を有するべきである。いくつかの実施形態では、放射性核種は、20日未満又は12日未満の半減期を有するアルファ放射体である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、2~20日又は5~10日の半減期を有するベータ放射体である。177Luは、0.5MeVの最大エネルギー及び<2mmの最大組織浸透を有する中エネルギーβ放射体(490keV)である。177Luはまた、208及び113keVで低エネルギーγ線を放射し、これにより、エクスビボ画像化、及び結果として、腫瘍の局在化及び線量測定に関する情報の収集を可能にする。いくつかの実施形態では、治療用放射性核種の注入用量は、1回の注射当たり1~50GBqである。他の実施形態では、注入用量は、単回注入(injection)/注入(infusion)当たり2~20GBqである。他の実施形態では、注入用量は、単回注入当たり2~10GBqである。個々の患者の用量計算は、疾患負荷、患者の体重、及び腎機能の組み合わせから決定され得る。各治療サイクルにおける画像ベースの線量測定は、例えば、SPECT-CTを用いて推奨される。
【0124】
放射性核種は、医学的診断の分野でも利用される。単光子放射、陽電子放出断層撮影(PET)画像化、及び陽電子放出断層撮影-磁気共鳴画像法(PET-MRI)などの技術を使用して、好適な放射性核種含有物質を投与した対象内の放射性核種を検出し、腫瘍などの疾患の存在及び/又は進行を知らせる画像を生成することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、放射性核種は、状態(例えば、がん)の診断又は画像化のためのものである。このような放射性核種の例としては、ガリウム(例えば、Ga68)、インジウム(例えば、In111)、ジルコニウム(例えば、Zr89)、ヨウ素(例えば、123I、131I)、テクネチウム(例えば、Tc99m)、イットリウム(例えば、Y86)、フッ素(例えば、F18)、及び銅(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64)が挙げられる。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ガリウム(例えば、Ga68)、テクネチウム(例えば、Tc99m)、ジルコニウム(例えば、Zr89)、及び銅(例えば、Cu60、Cu61、Cu62、Cu64)から選択される画像化剤である。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ガリウム(例えば、Ga68)、ジルコニウム(例えば、Zr89)、及び銅(例えば、Cu64)から選択される。
【0126】
いくつかの実施形態では、放射性核種は、ガドリニウムではない。
【0127】
いくつかの実施形態では、放射性核種は、常磁性剤ではない。
【0128】
使用される放射性核種の種類は、対象が受ける放射性曝露のレベルを最適化するために、デンドリマー構造に合わせて調整され得る。例えば、身体は、典型的には、より大きな数の世代の構成ユニットを有するデンドリマーに対してより大きな曝露を有すると考えられる。したがって、このようなデンドリマーを適切な半減期を有する放射性核種と対合させることにより、放射能への身体の曝露に関連する副作用を回避又は低減しながら、最適な治療活性及び/又は診断活性を達成することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、デンドリマーは、4世代又は5世代のデンドリマーであり、放射性核種は、10日以下、好ましくは5日未満の半減期を有する。いくつかの実施形態では、デンドリマーは、4世代のデンドリマーであり、放射性核種は、10日以下、好ましくは5日未満の半減期を有する。いくつかの実施形態では、デンドリマーは、5世代のデンドリマーであり、放射性核種は、10日未満、好ましくは5日未満の半減期を有する。いくつかの実施形態では、デンドリマーは、4世代のデンドリマーであり、放射性核種は、Y90、Tc99m、Th201、Rb82、Lt177、Ga67、Ga68、及びIn111からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、デンドリマーは、3世代のデンドリマーであり、放射性核種は、10日以下の半減期を有する。いくつかの実施形態では、デンドリマーは、3世代のデンドリマーであり、放射性核種は、Y90、Tc99m、Th201、Rb82、Lt177、Ga67、Ga68、Ac225、及びIn111からなる群から選択される。
【0130】
放射性核種錯体化基
所望の放射性核種と錯体を形成するのに適切である限り、いずれの好適な錯体化基を使用してもよい。放射性核種を錯体化するための錯体化基は、放射性核種を錯体化することができる官能部分を提供する。このような官能部分の例としては、放射性核種と錯体を形成するカルボン酸、アミン、アミド、ヒドロキシル基、チオール基、尿素、チオ尿素、-N-OH基、ホスフェート及びホスフィネート基が挙げられる。
【0131】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、放射性核種に直接錯体化される。
【0132】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、放射性核種に直接錯体化して、配位錯体を形成する。すなわち、錯体化基は、放射性核種に配位結合して錯体を形成する。
【0133】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、放射性核種への供与的共有結合のみを形成する。例えば、錯体化基は、放射性核種と少なくとも2つの別個の供与的共有結合を形成し得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、放射性核種とキレートを形成する錯体化基が使用される。本明細書で使用するとき、「放射性核種とキレートを形成する錯体化基」という語句は、錯体化基が放射性核種に少なくとも2つの別個の結合(すなわち、錯体化基の少なくとも2つの異なる原子からの結合)を形成することを意味する。
【0135】
好適な錯体化基の例を以下の表に示す:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0136】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、DOTA、NOTA、DTPA、サルコファジン、又はDFOである。
【0137】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、マクロパ基である。マクロパ基は、例えば、Ac225放射性核種との使用に特に好適である。いくつかの実施形態では、錯体化基は、マクロパ基であり、放射性核種は、Ac225である。
【0138】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、EDTA又はPEPA基である。
【0139】
第1の末端基は、最も外側の構成ユニット、例えば、最も外側の構成ユニットの窒素原子を介して、リジン残基又はそれらの類似体である構成ユニットに付着している。いくつかの実施形態では、錯体化基が、最も外側の構成ユニットとの直接反応に好適な基を含む場合、錯体化基は、構成ユニットと直接反応してもよい。他の実施形態では、装填基は、錯体化基をデンドリマー、すなわち、第1の末端が錯体化基に共有結合により付着しており、第2の末端に最も外側の構成ユニット上に存在する官能基との反応に好適な官能基を有する基(例えば、第1の末端基が最も外側の構成ユニットの窒素原子を介して付着している場合)に装填するために利用されてもよい。例えば、装填基は、アミノ基との反応に好適な官能基を有し得る。
【0140】
最も外側の構成ユニットと第1の末端基との間の付着を形成するために、好適な錯体化前駆体基と、反応に利用可能な官能基(例えば、アミン基)を有するデンドリマー中間体との間で反応を行ってもよい。いくつかの実施形態では、錯体化前駆体は、DOTA含有基、NOTA含有基、DTPA含有基、サルコファジン含有基、又はDFO含有基である。
【0141】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、構造
【化16】
を有するDOTA含有基であり、DOTA含有基は、コンジュゲートに付着している。
【0142】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、構造
【化17】
を有するNOTA含有基であり、NOTA含有基は、コンジュゲートに付着している。
【0143】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、構造
【化18】
を有するDTPA含有基であり、DTPA含有基は、コンジュゲートに付着している。
【0144】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、構造
【化19】
を有するDFO含有基であり、DFO含有基は、コンジュゲートに付着している。
【0145】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、構造
【化20】
を有するサルコファジン含有基であり、サルコファジン含有基は、コンジュゲートに付着している。
【0146】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、構造
【化21】
を有するサルコファジン含有基であり、サルコファジン含有基は、コンジュゲートに付着している。
【0147】
いくつかの実施形態では、錯体化基は、構造
【化22】
を有するマクロパ含有基であり、マクロパ含有基は、コンジュゲートに付着している。
【0148】
好適な錯体化前駆体基の具体例としては、以下が挙げられる。
【化23-1】
【化23-2】
【0149】
上記のかかる基は、最も外側の構成ユニット上に存在するアミン基と反応して、チオ尿素と連結する第1の末端基を形成することができる。
【0150】
第2の末端基
このコンジュゲートは、複数の第2の末端基(T2)を含み、各末端基は、薬物動態修飾部分、すなわち、このコンジュゲートの薬物動態プロファイルを修飾又は調節することができる部分を含む。薬物動態修飾部分は、デンドリマーの吸収、分布、代謝、排泄、及び/又は毒性を調節し得る。
【0151】
薬物動態修飾部分(T2)は、デンドリマーの溶解性プロファイルを変化させ、薬学的に許容される担体におけるデンドリマーの溶解性を増加させるか、又は低減することができる。薬物動態修飾部分(T2)は、例えば、デンドリマーのクリアランスを低下させ得る。
【0152】
デンドリマーが、薬学的活性剤を含む第3の末端基を含む場合、薬物動態修飾部分(T2)は、化学的(例えば、加水分解)又は酵素的分解経路のいずれかによって、活性剤がデンドリマーから放出される速度を遅くするか、又は上昇させることによって、薬学的活性剤の放出速度に影響を及ぼし得る。薬物動態修飾部分(T2)は、デンドリマーが薬学的活性剤を特定の組織(例えば、腫瘍)に送達するのを補助し得る。
【0153】
薬物動態修飾部分は、例えば、生体適合性であり、水溶性であるオリゴマー基又はポリマー基であってもよい。いくつかの実施形態では、薬物動態修飾部分は、300~5000ダルトンの範囲の分子量を有する水溶性オリゴマー又はポリマーである。
【0154】
いくつかの好ましい実施形態では、薬物動態修飾部分は、ポリエチレングリコール(PEG)基、又はポリエチルオキサゾリン(PEOX)基、又はポリ-(2)メチル-(2)-オキサゾラミン(POZ)、又はポリサルコシン(ポリ(n-メチル化グリシン))、又はポリ(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(pHPMA)基である。
【0155】
いくつかの実施形態では、第2の末端基は、PEG基を含む。PEG基は、ポリエチレングリコール基、すなわち、式-CH2CH2O-の繰り返し単位を含む基である。本開示のデンドリマーを生成するために使用されるPEG材料は、典型的には、分子量にある程度のばらつき(すなわち、±10%)を有するPEGの混合物を含み、したがって、分子量が指定される場合、それは、典型的には、PEG組成物の平均分子量の近似値である。例えば、「PEG~2100」という用語は、平均分子量約2100ダルトン、すなわち±約10%(PEG1890~PEG2310)を有するポリエチレングリコールを指す。「PEG~2300」とは、平均分子量約2300ダルトンすなわち±約10%(PEG2070~PEG2530)のポリエチレングリコールを有するポリエチレングリコールを指す。MW平均値の算出に一般的に用いられる3つの方法は、数平均、重量平均、Z平均分子量である。本明細書で使用されるとき、「分子量」という語句は、これらに限定されないが、NMR、質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI-TOF)、ゲル浸透クロマトグラフィー、又は他の液体クロマトグラフィー技術、光散乱技術、超遠心分離、及び粘度測定など、当技術分野において周知である技術を用いて測定できる重量平均分子量を指すことを意図している。
【0156】
いくつかの実施形態では、第2の末端基は、約200~5000ダルトン、又は200~4000ダルトン、又は300~3000ダルトン、又は300~2000ダルトン、又は400~1500ダルトン、又は400~1200ダルトン、又は400~1000ダルトン、又は400~800ダルトン、又は400~600ダルトンの平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、約400、約450、約500、約550、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、又は約1500ダルトンの平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、約470ダルトンの平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、500~3000ダルトン、又は1500~2500ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、220~2500ダルトン、又は570~2500ダルトン、又は220~1100ダルトン、又は570~1100ダルトン、又は1000~5500ダルトン、又は1000~2500ダルトン、又は1000~2300ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、1900~2300ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、2100~2500ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、2400~2800ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEG基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、又は約2800ダルトンの平均分子量を有するPEG基を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、PEG基は、約1.00~約1.50、約1.00~約1.25、又は約1.00~約1.10の多分散性指数(PDI)を有する。いくつかの実施形態では、PEG基は、約1.05の多分散性指数(PDI)を有する。用語「多分散性指数」とは、あるポリマー試料中の分子量の分布の指標である。多分散性指数(PDI)は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割ったものであり、ポリマーのバッチ内での個々の分子量の分布を示す。多分散性指数(PDI)は、1以上の値を有するが、ポリマーが、均一な変化長及び平均分子量に近づくと、多分散性指数(PDI)は1により近くなる。
【0158】
第2の末端基がPEG基を含む場合、PEG基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。所望であれば、エンドキャップPEG基を使用し得る。いくつかの実施形態では、PEG基は、メトキシ末端PEGである。
【0159】
いくつかの実施形態では、第2の末端基は、ポリサルコシン基、すなわち、下記式の繰り返し単位を含む基を含む。
【化24】
【0160】
いくつかの実施形態では、第2の末端基は、少なくとも750ダルトン、少なくとも1000ダルトン、又は少なくとも1500ダルトンの平均分子量を有するポリサルコシン基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、750ダルトン~2500ダルトン、又は1000ダルトン~2500ダルトンの範囲の平均分子量を有するポリサルコシン基を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、第2の末端基は、PEOX基を含む。PEOX基とは、ポリエチルオキサゾリン基、すなわち、下記式の繰り返し単位を含む基である。
【化25】
【0162】
PEOX基は、エチルオキサゾリンの重合によって生成できるため、この名前が付けられた。本開示のデンドリマーを生成するために使用されるPEOX材料は、典型的には、分子量にある程度のばらつき(すなわち、±10%)を有するPEOXの混合物を含み、したがって、分子量が指定される場合、それは、典型的には、PEOX組成物の平均分子量の近似値である。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、少なくとも750ダルトン、少なくとも1000ダルトン、又は少なくとも1500ダルトンの平均分子量を有するPEOX基を含む。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、750ダルトン~2500ダルトン、又は1000ダルトン~2000ダルトンの範囲の平均分子量を有するPEOX基を含む。所望であれば、エンドキャップPEOX基を使用し得る。いくつかの実施形態では、PEOX基は、メトキシ末端PEOXである。
【0163】
いくつかの実施形態では、第2の末端基は、ポリ-(2)メチル-(2)-オキサゾールアミン(POZ)基を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、第2の末端基は、ポリ(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(pHPMA)基を含む。
【0165】
第2の末端基は、任意の好適な手段を介して最も外側の構成ユニットに付着されてもよい。第2の末端基が、PEG基、PEOX基、POZ基、又はpHPMA基を含む、いくつかの実施形態では、PEG基、PEOX基、POZ基、又はpHPMA基を外側の構成ユニットに付着させるために、連結基が使用される。
【0166】
第2の末端基は、典型的には、反応性アシル基(アミド結合を形成することができる)又はアルデヒド(還元的アミノ化条件下でアミン基を形成することができる)など、アミン基と反応性のある反応性基を含有する第2の末端基前駆体の使用により付着している。
【0167】
いくつかの実施形態では、各第2の末端基は、PEG基を含み、PEG基は、PEG基中に存在する炭素原子とPEG連結基中に存在する酸素原子との間に形成されるエーテル連結を介してPEG連結基(L1)に共有結合により付着しており、各第2の末端基は、構成ユニット中に存在する窒素原子とPEG連結基中に存在するアシル基の炭素原子との間に形成されるアミド連結を介して、構成ユニットに共有結合により付着している。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、それぞれ
【化26】
であり、PEG基は、約500~3000ダルトン又は2000~2700ダルトンの範囲の平均分子量を有するメトキシ末端PEGである。
【0168】
いくつかの実施形態では、各第2の末端基は、PEOX基を含み、PEOX基は、PEOX基中に存在する窒素原子とPEOX連結基中に存在する炭素原子との間に形成される連結を介してPEOX連結基(L1’)に共有結合により付着しており、各第2の末端基は、構成ユニット中に存在する窒素原子とPEOX連結基中に存在するアシル基の炭素原子との間に形成されるアミド連結を介して、構成ユニットに共有結合により付着している。いくつかの実施形態では、第2の末端基は、それぞれ
【化27】
である。
【0169】
いくつかの実施形態では、第2の末端基は、それぞれ、例えば下記式のポリサルコシン基であり、
【化28】
構成ユニット内に存在する窒素原子とポリサルコシン基内に存在するアシル基の炭素原子との間に形成されるアミド連結を介して構成ユニットに付着している。
【0170】
標的化剤
本明細書に記載のデンドリマー-標的化剤コンジュゲートは、体内の目的の部位又は標的におけるコンジュゲートの局在化及び濃縮のための、少なくとも1つの標的化剤を含む。標的化剤としては、抗体、抗体断片、ペプチド配列、及び目的の標的に選択的に結合することができる他のモチーフが挙げられる。
【0171】
この相互作用は、例えば、共有結合、イオン結合、水素結合、及びファンデルワールス力など、あらゆる種類の結合又は会合によって生じ得る。
【0172】
本明細書で使用するとき、「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結された2つ以上のアミノ酸を含む分子を指す。
【0173】
本明細書に記載の標的化剤は、開示されたデンドリマー-標的化剤コンジュゲートを、腫瘍、がん細胞、及び/又は腫瘍微小環境などの標的に標的化するために有用である。
【0174】
標的化剤は、例えば、標的分子(本明細書では、「標的」又は「抗原」とも称される)と特異的に結合する、及び/又はそれに対して親和性を有する抗原結合部位又は抗原結合ドメインを含んでもよい。
【0175】
一実施形態では、標的は、以下のもののうちの1つ以上から選択される:ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、上皮成長因子受容体(EGFR)、血管上皮成長因子(VEGF)受容体、Gタンパク質共役型受容体161(GPR161)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR2など)、肝細胞成長因子(HGF)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)、チロシ-プロテインキナーゼmet(C-met)、非定型ケモカイン受容体3(CXCR7)、C-X-Cモチーフケモカイン受容体4(CXCR4)、がん胎児性抗原、ムチン1(MUC-1)、ムチン-16(MUC16)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、栄養膜糖タンパク質(5T4)、インターロイキン-2(IL-2)、糖タンパク質(gpNMB)、シンデカン(Syndecan)1(CD138)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、がん胎児性抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)、溶質キャリアファミリー44メンバー4(CSLC44A4)、顆粒球コロニー刺激因子受容体(G-CSFR)、エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ3(ENPP3)、メソテリン、ネクチン細胞接着分子4(ネクチン-4)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、葉酸受容体、ヒアルロン酸受容体、インテグリン受容体(αvβ3)、レクチン結合糖タンパク質、TfR、VEGFR-1及びVEGFR-2、サイトカイン、CD56、CD19、CD16、CD74、CD37、CD70、CD52、CD19、CD22、CD20、CD30、CD3、及びCD79b。
【0176】
一実施形態では、標的は、ERBB2としても知られているHER2、遺伝子ID番号2064(NCBI)である。
【0177】
一実施形態では、標的は、ERBB1又はHER1としても知られている上皮成長因子受容体(EGFR)、遺伝子ID番号1956(NCBI)である。
【0178】
一実施形態では、標的は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、遺伝子ID番号2346(NCBI)である。
【0179】
一実施形態では、標的は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)である。がんにおけるセリンプロテアーゼ線維芽細胞活性化タンパク質の過剰発現は、腫瘍の選択的標的化を容易にする(Loktev et al,J Nucl Med,2019,60(10),p1421-1429)。
【0180】
一実施形態では、標的化剤は、最大で約200kDa、又は最大で約150kDa、又は最大で約110KDa、又は最大で約80KDa、又は最大で約55KDa、又は最大で約16kDaの分子量を含む。一実施形態では、標的化剤は、最大で約200kDaの分子量を含む。一実施形態では、標的化剤は、最大で約150kDaの分子量を含む。一実施形態では、標的化剤は、最大で約110kDaの分子量を含む。一実施形態では、標的化剤は、最大で約80kDaの分子量を含む。一実施形態では、標的化剤は、最大で約55kDaの分子量を含む。いくつかの実施形態では、標的化剤は、最大で約16kDaの分子量を含む。一実施形態では、標的化剤は、約3kDa~約80kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約3kDa~約60kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約3kDa~約50kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約3kDa~約40kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約3kDa~約30kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約3kDa~約20kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約3kDa~約15kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約3kDa~約13kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約5kDa~約15kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約5kDa~約12kDaの分子量を有する。一実施形態では、標的化剤は、約5kDa~約10kDaの分子量を有する。
【0181】
本明細書で使用するとき、「kDA」又は「キロダルトン」とは、1000ダルトンからなる分子量の単位を指す。
【0182】
一実施形態では、標的化剤は、抗体、重鎖抗体、ScFV-Fc、Fab、Fab2、Fv、scFv、又は単一ドメイン抗体から選択される。一実施形態では、標的化剤は、抗体又は抗体断片から選択される。
【0183】
一実施形態では、標的化剤は、抗体である。本開示の目的において、用語「抗体」は、Fvにより1つ又は少数の密接に関連する抗原に特異的に結合することができる組換え抗体又は改変抗体(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、脱免疫抗体、及びハーフ抗体、二重特異性抗体)など、例えば2つの軽鎖及び2つの重鎖を含む4つの鎖状タンパク質を含む。抗体は、一般に、定常ドメインを含み、これは、定常領域及び定常断片、結晶化可能断片(Fc)に配置させ得る。例示的な形態の抗体は、四鎖構造を基本単位として含む。完全長抗体は、共有結合により連結した2つの重鎖(約50~70kDa)及び2つの軽鎖(それぞれ約23kDa)を含む。軽鎖は、一般に、可変領域及び定数ドメインを含み、哺乳動物では、κ軽鎖又はλ軽鎖のいずれかである。重鎖は、一般に、ヒンジ領域によって追加の定常ドメインに連結されている可変領域及び1つ又は2つの定常ドメインを含む。哺乳動物の重鎖は、α型、δ型、ε型、γ型、μ型のうちのいずれか1つである。また、それぞれの軽鎖は、重鎖のうちの1つと共有結合により連結している。例えば、2つの重鎖、及び重鎖と軽鎖は、鎖間ジスルフィド結合及び非共有結合による相互作用によって一緒に保持される。鎖間ジスルフィド結合の数は、抗体の種類によって異なり得る。各鎖は、N-末端可変領域(VH又はVL、それぞれ約110のアミノ酸長)、C-末端に1つ以上の定常ドメインを有する。軽鎖の定数ドメイン(CL:長さ約110アミノ酸)は、重鎖の第1定常ドメイン(CH:長さ約330~440アミノ酸)と整列し、ジスルフィド結合している。軽鎖の可変領域は、重鎖の可変領域と整列している。抗体重鎖は、2つ以上の追加のCHドメイン(例えば、CH2、CH3など)を含むことができ、CH1定常ドメインとCH2定常ドメインとの間のヒンジ領域を含むことができる。抗体は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)、又はサブクラスであり得る。一例では、抗体は、ヒト抗体、その脱免疫型、生殖細胞型、又はその親和性成熟型である。用語「完全長抗体」又は「全抗体」は、抗体の抗原結合断片とは対照的に、その実質的にインタクトな形態の抗体を指すために同義的に使用される。具体的には、全抗体としては、定常領域などの重鎖及び軽鎖を有する抗体が挙げられる。定常領域は、野生型配列定常領域(例えば、ヒトの野生型配列定常領域)又はそのアミノ酸配列バリアントであってもよい。
【0184】
一実施形態では、標的化剤は、融合タンパク質である。本明細書で使用するとき、「融合タンパク質」は、元々別個のタンパク質又はその一部についてコードされている2つ以上の核酸配列の接合(例えば、タンパク質受容体の一部分と抗体(エタネルセプト)の一部分との融合)によって作製されるタンパク質である。
【0185】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、抗体断片である。本明細書で使用されるとき、「抗体断片」という用語は、抗原に特異的に結合することができる抗体の一部又は断片を意味するものとし、例えば、本明細書で定義されているFV、VH、VL又は可変領域が含まれる。この用語は、抗体から直接由来する断片、並びに組換え手段を用いて生成されたタンパク質を包含するものと理解されよう。一実施形態では、抗体断片は、Fab、Fab2、Fv、scFv、重鎖抗体、ドメイン抗体、重鎖抗体、ダイアボディ、又はトリアボディから選択される。
【0186】
本明細書で使用されるとき、「Fv」という用語は、複数のポリペプチドで構成されているか、単一のポリペプチド(scFV)であるかにかかわらず、VLとVHが会合して、抗原結合ドメインを有する錯体を形成する、すなわち抗原に特異的に結合することができる任意のタンパク質を意味するものとする。抗原結合ドメインを形成するVH及びVLは、単一のポリペプチド鎖であっても、異なるポリペプチド鎖であってもよい。一実施形態では、本開示のFv(本開示の任意のタンパク質も同様)は、同じ抗原を結合してもしなくてもよい複数の抗原結合部位を有し得る。この用語は、抗体から直接由来する断片、並びに組換え手段を用いて生成されたタンパク質を包含するものと理解されよう。いくつかの例では、VHは、重鎖定数ドメインCH1に連結されておらず、及び/又はVLは、軽鎖定数ドメイン(CL)、例えば、ドメイン抗体に連結されていない。例示的なFv含有ポリペプチド又はタンパク質には、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディ、トリアボディなどがある。Fab断片は、免疫グロブリンの一価の抗原結合断片からなり、全抗体を酵素パパインで消化して、インタクトの軽鎖と重鎖の一部からなる断片を生成するか、又は組換え手段を使用して、生成され得る。Fab断片は、一般的に、VH及びCH1及びVL及びCLを含むか、これらから構成される。抗体の「Fab’断片は、全抗体をペプシンで処理した後、還元することで、インタクトの軽鎖と、VH及び単一の定常ドメインを含む重鎖の一部からなる分子を生成することによって得ることができる。このようにして処理された抗体では、2つのFab’断片が得られる。Fab’断片は、組換え手段によっても生成することができる。「一本鎖Fv」又は「scFv」は、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とが好適で柔軟なポリペプチドリンカーによって共有結合により連結されている抗体の可変領域断片(Fv)を含む組換え分子である。
【0187】
いくつかの実施形態では、抗体断片は、重鎖抗体、Fab、Fab2、Fv、scFv、又は単一ドメイン抗体から選択される。
【0188】
本明細書で使用されるとき、「ドメイン抗体(dAb)」又は「ナノボディ」とも呼ばれる「シングルドメイン抗体(sdAb)」は、単一の可変領域の重鎖VH又は軽鎖VLからなる。一実施形態では、可変領域は、ラクダ科由来である。一実施形態では、可変領域は、サメ由来する。一実施形態では、VHは、ラクダ科由来のVHである。
【0189】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、シングルドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、標的化剤は、VHシングルドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、標的化剤は、VLシングルドメイン抗体である。
【0190】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、例えば、EP2215125(A1)、US2011/0028695、Hussack et al.(2018)、Arezumand et al.(2017)、Chanier et al.(2019)に記載される単一ドメインアミノ酸配列を含む。一実施形態では、シングルドメイン抗体は、US2011/0028695に記載のシングルドメインのアミノ酸配列を含む。
【0191】
一実施形態では、シングルドメイン抗体は、実施例7に開示のシングルドメインのアミノ酸配列を含む。一実施形態では、シングルドメイン抗体は、US2011/0028695の配列番号1986に示すアミノ酸配列を含む2D3である。
【0192】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列 EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS(配列番号1)を含む。一実施形態では、配列は、コンジュゲーションのための追加のシステイン残基を含む。
【0193】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:
EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS#ENLYFQGHHHHHHであって、#が非天然アミノ酸、好ましくは4-アジドフェニルアラニン残基(配列番号2)を示す、アミノ酸配列を含む。
【0194】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:
EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS#であって、#が非天然アミノ酸、好ましくは4-アジドフェニルアラニン残基(配列番号3)を示す、アミノ酸配列を含む。
【0195】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:GGSHHHHHHGMASMTGGQQMGRDLYENLYFQGEVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS(配列番号4)を含む。
【0196】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:GGSHHHHHHGMASMTGGQQMGRDLYENLYFQGEVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS#であって、#が非天然アミノ酸、好ましくは4-アジドフェニルアラニン残基(配列番号5)を示す、アミノ酸配列を含む。
【0197】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS[X]nCであって、Xが任意のアミノ酸であり、n=0~20である、アミノ酸配列を含む。一実施形態では、n=0、1、2、3、4、又は5である。一実施形態では、n=4(配列番号6)である。
【0198】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:
C[X]nEVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSSであって、Xが任意のアミノ酸であり、n=0~20である、アミノ酸配列を含む。一実施形態では、n=0、1、2、3、4、又は5(配列番号7)である。
【0199】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS[X]nC[X]mであって、Xが任意のアミノ酸であり、m=0~20であり、n=0~20である、アミノ酸配列を含む。一実施形態では、n=0、1、2、3、4、又は5(配列番号8)である。
【0200】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:[X]nC[X]mEVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSSであって、Xが任意のアミノ酸であり、m=0~20であり、n=0~20である、アミノ酸配列を含む。一実施形態では、n=0、1、2、3、4、又は5(配列番号9)である。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、アミノ酸配列:
EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSSLGTLCTPSRENLYFQGHHHHHH(配列番号10)を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、単一ドメイン抗体であり、約4kDa~約80kDa、又は約5kDa~約80kDa、又は約5kDa~約60kDa、又は約5kDa~約50kDa、又は約5kDa~約40kDa、又は約5kDa~約30kDa、又は約5kDa~約20kDa、又は約5kDa~約16kDa、又は約5kDa~約15kDa、又は約5kDa~約12kDa、又は約10kDa~約16kDa、又は約15kDa~約20kDaの分子量を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、約500未満、約400未満、約300未満、約200未満、約150未満、約140未満、約130未満、約120未満、約110未満、約100未満のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、標的化剤は、約50を超える、約75を超える、約100を超える、又は約120を超えるアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、標的化剤は、120未満のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、標的化剤は、約100~約120のアミノ酸残基を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、抗体のミメティックである。本明細書では、「ミメティック(mimetic)」又は「ミメティクス(mimetics)」という用語は、抗体又は抗体断片のように、抗原を結合することができるが、抗体とは構造的に関連しない化合物を指す。この用語は、本明細書に記載の抗体又は抗体断片を包含しないと理解されるものとする。この用語は、合成(インビトロで生成された)ミメティクス、及び組換え手段を用いて生成されたミメティクスを包含すると理解される。この用語は、タンパク質ミメティクスを包含するものと理解される。
【0204】
一実施形態では、ミメティックは、アフィボディ、アプタマー、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アンチカリン、アビマー、アルファボディ、モノボディ、DARPin、アプタマー、Fyomer、フィブロネクチンIII型由来タンパク質スカフォールド、フィトシスタチン由来タンパク質スカフォールド、及びパラトープミメティックペプチドから選択される。抗体と同様に、ミメティックも標的化部分として使用され得る。
【0205】
一実施形態では、ミメティックは、以下のタンパク質スカフォールド:プロテインAのzドメイン、γ-Bクリスタリン、ユビキチン、シスタチン、sac7d、三重らせん、コイルドコイル、リポカリン、シクロチド、膜受容体のAドメイン、アンキリンリピートモチーフ、Fymのsh3ドメイン、プロテアーゼ阻害剤のKunitsドミアン、フィブロネクチンのIII型ドメイン、ウェルシュ菌のIgG様、耐熱性炭水化物結合モジュールファミリー32(CBM32)のうちの1つに由来する。
【0206】
一実施形態では、ミメティックは、約3kDa~約20kDa、又は約4kDa~約18kDa、又は約6kDa~約16kDa、又は約6kDa~約14kDa、又は約6kDa~約12kDa、又は約6kDa~約10kDa、又は約6kDa~約8kDaである。一実施形態では、ミメティックは、約3kDa~約20kDaである。一実施形態では、ミメティックは、約3kDa~約20kDaである。一実施形態では、ミメティックは、約4kDa~約18kDaである。一実施形態では、ミメティックは、約6kDa~約16kDaである。一実施形態では、ミメティックは、約6kDa~約14kDaである。一実施形態では、ミメティックは、約6kDa~約12kDaである。一実施形態では、ミメティックは、約6kDa~約10kDaである。一実施形態では、ミメティックは、約6kDa~約8kDaである。
【0207】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、アフィボディである。本明細書では、「アフィボディ」という用語は、「Zドメイン」として知られる長さ約58アミノ酸の3つのαヘリックス束のドメインをベースにした、非常に小さい(約6kDa)ポリペプチド抗体ミメティックのクラスのいずれかを指す。典型的には、アフィボディのスカフォールドは、プロテインAのBドメインの改変型をベースにしている。アフィボディは、非常に高い安定性(90℃の高温に耐性があり、ナノモルからピコモルの範囲の標的親和性を有する)を特徴としている。例えば、Nord et al.(1995),Protein Eng.,8:601-608を参照のこと。既知のアフィボディの例としては、例えば、HER2に対するアフィボディ(例えば、抗体-HER2抗体(登録商標)、AFFIBODY AB、Bromma,Sweden;米国特許第7,993,650号)が挙げられる。
【0208】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、アフィボディであり、約3kDa~約10kDa、又は約3kDa~約8kDa、又は約4kDa~約8kDa、又は約4kDa~約7kDa、又は約5kDa~約7kDa、又は約6kDaの範囲の分子量を有する。
【0209】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、アフィボディであり、80未満のアミノ酸残基、又は70未満のアミノ酸残基、又は65未満のアミノ酸残基、又は60未満のアミノ酸残基を有する。いくつかの実施形態では、標的化剤は、40~80のアミノ酸残基、又は50~70のアミノ酸残基、又は55~65のアミノ酸残基、又は56~60のアミノ酸残基、又は約58のアミノ酸残基で構成される。
【0210】
本開示の目的において、用語「抗体」は、Fvにより1つ又は少数の密接に関連する抗原に特異的に結合することができる組換え抗体又は改変抗体(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、脱免疫抗体、及びハーフ抗体、二重特異性抗体)など、例えば2つの軽鎖及び2つの重鎖を含む4つの鎖状タンパク質を含む。抗体は、一般に、定常ドメインを含み、これは、定常領域及び定常断片、結晶化可能断片(Fc)に配置させ得る。例示的な形態の抗体は、四鎖構造を基本単位として含む。完全長抗体は、共有結合により連結した2つの重鎖(約50~70kDa)及び2つの軽鎖(それぞれ約23kDa)を含む。軽鎖は、一般に、可変領域及び定数ドメインを含み、哺乳動物では、κ軽鎖又はλ軽鎖のいずれかである。重鎖は、一般に、ヒンジ領域によって追加の定常ドメインに連結されている可変領域及び1つ又は2つの定常ドメインを含む。哺乳動物の重鎖は、α型、δ型、ε型、γ型、μ型のうちのいずれか1つである。また、それぞれの軽鎖は、重鎖のうちの1つと共有結合により連結している。例えば、2つの重鎖、及び重鎖と軽鎖は、鎖間ジスルフィド結合及び非共有結合による相互作用によって一緒に保持される。鎖間ジスルフィド結合の数は、抗体の種類によって異なり得る。各鎖は、N-末端可変領域(VH又はVL、それぞれ約110のアミノ酸長)、C-末端に1つ以上の定常ドメインを有する。軽鎖の定数ドメイン(CL:長さ約110アミノ酸)は、重鎖の第1定常ドメイン(CH:長さ約330~440アミノ酸)と整列し、ジスルフィド結合している。軽鎖の可変領域は、重鎖の可変領域と整列している。抗体重鎖は、2つ以上の追加のCHドメイン(例えば、CH2、CH3など)を含むことができ、CH1定常ドメインとCH2定常ドメインとの間のヒンジ領域を含むことができる。抗体は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)、又はサブクラスであり得る。一例では、抗体は、ヒト抗体、その脱免疫型、生殖細胞型、又はその親和性成熟型である。
【0211】
用語「完全長抗体」又は「全抗体」は、抗体の抗原結合断片とは対照的に、その実質的にインタクトな形態の抗体を指すために同義的に使用される。具体的には、全抗体としては、定常領域などの重鎖及び軽鎖を有する抗体が挙げられる。定常領域は、野生型配列定常領域(例えば、ヒトの野生型配列定常領域)又はそのアミノ酸配列バリアントであってもよい。
【0212】
本明細書で使用されるとき、「可変領域」という用語は、本明細書で定義した抗体の軽鎖及び/若しくは重鎖の部分、又は抗原に特異的に結合できる重鎖のみの抗体(例えば、ラクダ科の抗体又は軟骨魚類の免疫グロブリン新抗原受容体(IgNAR))の部分を指し、相補的決定領域「CDR」;すなわち、CDRl、CDR2、及びCDR3、並びにフレームワーク領域「FR」のアミノ酸配列を含む。FRは、CDR残基以外の可変領域残基である。例えば、可変領域は、3つのCDRとともに、3つ又は4つのFR(例えば、FR1、FR2、FR3及び任意によりFR4)を含む。VHは、重鎖の可変領域を指す。VLは、軽鎖の可変領域を指す。
【0213】
本明細書で使用するとき、用語「相補性決定領域」(同義語CDR、すなわち、CDR1、CDR2、及びCDR3)は、抗体の可変領域のアミノ酸残基を指し、その存在は、特異的な抗原結合の主要な寄与因子である。各可変領域は、典型的には、CDRl、CDR2、及びCDR3と認定される3つのCDR領域を有する。各相補性決定領域は、Kabat et al.,(1987及び/又は1991)によって定義された「相補性決定領域」のアミノ酸残基を含んでもよい。例えば、重鎖可変領域では、CDRH1は、31~35残基、CDRH2は、50~65残基、CDRH3は、95~102残基にある。軽鎖では、CDRL1は、24~34残基、CDRL2は、50~56残基、CDRL3は、89~97残基である。これらのCDRは、例えばKabat(1987及び/又は1991)に記載のとおり、多数の挿入物も含み得る。本開示は、Kabat付番システム、これらに限定されないが、カノニカル付番システム、又はChothia and Lesk(1987)、Chothia et al.(1989)、及び/又はAl-Lazikani et al.,(1997)、Honnegher and Plukthun(2001)の付番システム、Giudicelli et al.,(1997)で論じられているIMGTシステム、又はEnhanced Chothia Numbering Scheme(http://www.bioinfo.org.uk/mdex.html)など、全ての付番システムによって定義されるFR及びCDRである。一例では、CDR及び/又はFRは、例えば、
図9A~9Dに太字で描写しているとおり、Kabatの付番システムに従って定義される。任意により、Kabat付番システムによる重鎖CDR2は、本明細書に記載の5つのC末端アミノ酸かを含まないか、又はそれらのアミノ酸のいずれか1つ以上が別の天然由来アミノ酸で置換されている。追加又は代替として、任意では、軽鎖CDR1は、本明細書に記載の4つのN-末端アミノ酸を含まないか、又はそれらのアミノ酸のいずれか1つ以上が別の天然由来のアミノ酸で置換されている。この点に関して、Padlanらは1995年に、重鎖CDR2の5つのC末端アミノ酸及び/又は軽鎖CDR1の4つのN末端アミノ酸は、一般に抗原結合に関与しないことを確立している。一例では、CDR及び/又はFRは、例えば、
図9A~9Dに下線付きテキストで描写しているとおり、Chothiaの付番システムに従って定義される。
【0214】
本明細書で使用するとき、「Kabat付番システム」という用語は、Kabat et al.(1987及び/又は1991)に記載されている、抗体の可変領域に番号を付け、CDR(超可変領域)を同定するためのスキームを指す。
【0215】
本明細書で使用するとき「Chothia付番システム」という用語は、Chothia and Lesk(1987)又はAl-Lazikani et al.(1997)に記載されている、抗体の可変領域に番号を付け、CDR(構造ループ)を同定するためのスキームを指す。
【0216】
本明細書で使用するとき「抗原結合ドメイン」という用語は、抗原(例えば、HER2)に特異的に結合することができる標的化剤の領域を意味するものとする。
【0217】
本明細書で使用されるとき、タンパク質又はその抗原結合ドメインと抗原との相互作用に関する「結合する(bind)」又は「結合すること(binding)」という用語は、その相互作用が、抗原上の特定の構造(例えば、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存することを意味する。例えば、抗体は、一般的なタンパク質ではなく、特定のタンパク質構造を認識して結合する。抗体がエピトープ「A」に結合している場合、標識された「A」を含む反応における、エピトープ「A」(又は遊離の非標識「A」)を含む分子及び抗体が存在することにより、抗体に結合する標識された「A」の量が減少する。
【0218】
本明細書で使用するとき、「特異的に結合する(specifically bind)」、「特異的に結合する(bind specifically)」、又は類似の語句は、本開示のタンパク質が、特定の抗原(HER2など)又はそれを発現する細胞と、代わりの抗原又は細胞と比較して、より頻繁に、より迅速に、より持続的に、及び/又はより高い親和性で、反応又は会合することを意味するものとする。例えば、ある抗原に特異的に結合するタンパク質は、他の抗原に結合するよりも高い親和性(例えば、20倍、40倍、60倍、80倍、又は100倍、又は150倍、又は200倍以上の親和性)、アビディティ、容易さ、及び/又はより長い持続性で、その抗原に結合する。また、この定義を読むことによって、例えば、第一の抗原に特異的に結合するタンパク質は、第二の抗原に特異的に結合し得る又は結合し得ないことが理解される。このような「特異的な結合」は、必ずしも別の抗原との排他的な結合又は検出不可能な結合を必要としないため、これは「選択的な結合」という用語によって意味される。
【0219】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、本明細書で定義される標的化剤アミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0220】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、例えば、最大20個のアミノ酸長のオリゴマーペプチド配列であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、標的化剤は、5~20個のアミノ酸、7~18個のアミノ酸、又は9~15個のアミノ酸のペプチド配列である。いくつかの実施形態では、標的化剤は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個のアミノ酸のペプチド配列である。
【0221】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、2000Da未満、1000Da未満、又は500Da未満の分子量を有する。いくつかの実施形態では、標的化剤は、約1,000Da未満、又は約750Da未満、又は約500Da未満の分子量を有するものとみなされ得る小分子である。
【0222】
一例では、標的化剤は、PSMAに結合する小分子である。PSMAに結合する小分子は、一実施形態では、ペプチドであってもよい。このような結合ペプチドは、当技術分野で既知である。一例では、標的化剤は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に結合する小分子である。
【0223】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に特異的に結合する標的化剤である。例えば、標的化剤は、DUPA基、又はその類似体であってもよく、又はそれを含有してもよい。DUPAは、以下の構造を有する。
【化29】
【0224】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、カルボキシル基を介してコンジュゲートされたDUPA基、例えば、以下のものであるか、又はそれを含有する。
【化30】
【0225】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に特異的に結合する標的化剤である。いくつかの実施形態では、標的化剤は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を阻害する基であり得るか、又はそれを含有し得る。例えば、標的化剤(targeting gent)は、以下の構造を有するFAP結合基、又はその類似体であってもよく、又はそれを含有し得る:
【化31】
式中、Rは、式Iの置換基であり、
【化32】
式I
式中、
Xは、O、NH、N(CH
3)、S、及びCH
2から選択され、
Yは、N、及びCから選択され、
nは、0、1、2、3、4、5、及び6からなる群から選択される整数であり、
Aは、5~10員の単環式又は二環式複素環基であり、
R
1は、任意選択により1つ以上の5~10員環式基で置換されたC
1-C
6アルキル基からなる群から選択され、
【化33】
は、デンドリマーへのコンジュゲーション点を表す。
【0226】
いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Xは、Oである。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Xは、NHである。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Xは、N(CH3)である。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Xは、Sである。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Xは、CH2である。
【0227】
いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Yは、Nである。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Yは、Cである。YがCである本実施形態では、Aは、芳香族又は飽和の5~10員単環式又は二環式複素環基であり得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Yは、CHである。YがCである本実施形態では、Aは、部分的又は完全に飽和した5~10員単環式又は二環式複素環基であることが理解されるであろう。
【0228】
いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、nは、0である。本実施形態では、nが0であるとき、XはYに直接結合することが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、nは、1である。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、nは、2である。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、nは、3である。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、nは、4である。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、nは、5である。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、nは、6である。
【0229】
いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、Aは、5~10員の単環式又は二環式複素環基である。一例では、Aは、5員単環式複素環基である。一例では、Aは、6員単環式複素環基である。一例では、Aは、7員単環式複素環基である。一例では、Aは、7員二環式複素環基である。一例では、Aは、8員二環式複素環基である。一例では、Aは、9員二環式複素環基である。一例では、Aは、10員二環式複素環基である。
【0230】
A基の例としては、
【化34】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0231】
いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、R1は、C1-C6アルキル基である。一例では、R1は、C1-アルキル基(すなわち、CH3)である。いくつかの実施形態では、Rは、式Iの置換基であり、式中、R1は、1つ以上の5~10員環式基で任意選択的に置換されたC1-C6アルキル基である。いくつかの実施形態では、R1は、6員環式基で置換されたC1-アルキル基である。一例では、R1は、CH2-フェニルである。
【0232】
一例では、Rは、以下の式Iの置換基である。
【化35】
【0233】
一例では、Rは、以下の式Iの置換基である。
【化36】
【0234】
R置換基の更なる例としては、Loktev et al.(Loktev,A.et al.,The Journal of Nuclear Medicine,60(10),2019,p1421-1429)によって公表されたものが挙げられる。
【0235】
したがって、一実施形態では、標的化剤は、以下の構造を有するFAP結合基である。
【化37】
であって、
式中、X、Y、n、A、及びR
1は、本明細書に記載のとおりである。
【0236】
一例では、標的化剤は、以下の構造を有するFAP結合基である。
【化38】
【0237】
一例では、標的化剤は、以下の構造を有するFAP結合基である。
【化39】
【0238】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、HER2、EGFR、PSMA、又はFAPのうちの1つ以上に対して選択的である標的化剤である。一実施形態では、標的化剤は、HER2に対して選択的である標的化剤である。一実施形態では、標的化剤は、EGFRに対して選択的である標的化剤である。一実施形態では、標的化剤は、PSMAに対して選択的である標的化剤である。一実施形態では、標的化剤は、FAPに対して選択的である標的化剤である。
【0239】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、市販のものなどの他の標的化剤との結合に関して競合的である。一例では、標的化剤は、市販の抗体療法との結合に関して競合的である。一例では、標的化剤は、HER2に対して選択的であり、HER2抗体、例えば、トラスツズマブ、ペルツズマブ、及びマルゲツキシマブとの結合に関して競合的である。一例では、標的化剤は、EGFRに対して選択的であり、EGFR抗体、例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、ニモツズマブ、及びネシツムマブとの結合に対して競合的である。一例では、標的化剤は、FAPに対して選択的であり、FAP抗体、例えば、シブロツズマブとの結合と競合的である。
【0240】
いくつかの実施形態では、当該コンジュゲートは、単一の標的化剤を含む。他の実施形態では、コンジュゲートは、複数の標的化剤、例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つの標的化剤を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、1~32個の標的化剤を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、少なくとも5つの標的化剤を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、5~30個の標的化剤を含む。
【0241】
標的化剤は、スペーサーを介して、コンジュゲートの残部に付着される。いくつかの実施形態では、標的化剤とスペーサー基との間の共有結合による付着又は連結は、標的化剤を含む中間体及びデンドリマーを含む中間体上に存在する相補的反応性官能基間の反応によって形成されている。
【0242】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、標的化剤のC末端においてスペーサー基に共有結合により連結している。
【0243】
一実施形態では、FAP結合基は、本明細書に記載されるように、スペーサー基を介してデンドリマーにコンジュゲートされる。したがって、一実施例では、標的化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)を含むスペーサー基を介してデンドリマーにコンジュゲートされたFAP結合基である。一実施形態では、標的化剤は、以下の構造を有するポリエチレングリコール(PEG)を含むスペーサー基を介して、デンドリマーにコンジュゲートされたFAP結合基である:
【化40】
、
式中、スペーサー基は、スペーサーの末端カルボン酸基を介してデンドリマーにコンジュゲートされている。
【0244】
標的化剤を、スペーサーに、したがってデンドリマーに付着させるための共有結合による付着部位は、例えば、システイン、リジン、N-末端アミン、チロシン、炭水化物、非天然アミノ酸若しくはトランスアミナーゼ、又は認識配列であり得る。タンパク質への共有結合による付着のための結合部位は、当技術分野において知られている(例えば、Milla P.,et al,Current Drug Metabolism(2012)V13,1:105-119)。いくつかの実施形態では、標的化剤を含む中間体は、スペーサーへの付着のための非天然アミノ酸残基を含む。非天然アミノ酸残基は、スペーサー基上に存在してもよく、又はスペーサー基が付着したデンドリマーを含む中間体上に存在してもよい、反応性官能基と相補的な反応性官能基を有する側鎖を有してもよい。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸残基は、アジド基を含有するものであり、例えば、4-アジドフェニルアラニン残基、例えば、
【化41】
であってもよい。アジド基は、スペーサー前駆体基中に存在し得るアルキン基と環化付加反応を起こすことができる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、ジエン含有アミノ酸、例えば、以下のものなどのスピロシクロペンタジエン含有アミノ酸である。
【化42】
ジエン基は、マレイミドに存在するようなアルケン基との環化付加反応(例えば、ディールス・アルダー反応)を起こすことができる。スペーサーに付着させるために使用され得る非天然アミノ酸の更なる例としては、ケトンなどのカルボニル基を含むもの、及びメチルシクロプロピレン基を含むものが挙げられる。非天然アミノ酸の追加例としては、
【化43】
が挙げられる。
【0245】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、本明細書で定義されているアミノ酸配列のいずれかを含むか、又はアミノ酸配列のいずれかからなる。
【0246】
スペーサー基
本明細書で使用するとき、「スペーサー基」という用語は、標的化剤をデンドリマーに付着させる役割を果たす化学的実体を指す。すなわち、スペーサー基が、標的化剤をデンドリマーに接合させる。いくつかの実施形態では、スペーサーは、単に、標的化剤がデンドリマーに結合する原子又は小化学連結基であってもよい。他の実施形態では、スペーサー基は、より広範なものであり得る。いくつかの実施形態では、スペーサー基は、デンドリマーの他の構成要素からの過度の悪影響を受けることなく、例えば、HER2受容体に結合できるように、標的化剤を位置付けることを目的としている。
【0247】
いくつかの実施形態では、標的化剤は、デンドリマーのコアを介してデンドリマーに付着している。すなわち、抗体断片などの標的化剤は、スペーサー基によってデンドリマーのコアに共有結合により付着している。デンドリマーのコアに付着されているスペーサーを介して標的化剤をデンドリマーに付着させることは、デンドリマーが立体的に密集している場合は、有益であり得、スペーサー基は、デンドリマーの表面を超えて突出するのに十分な長さであり得、それにより、インビボにおいて、標的化剤をその受容体などに結合させることができるようになる。例えば、コアがマレイミド含有コアである場合、標的化剤は、マレイミド環窒素に付着し得、そのような状況では、スペーサー基が有益であるだろう。
【0248】
いくつかの他の実施形態では、標的化剤は、デンドリマーの表面構成ユニットを介して、デンドリマーに付着している。例えば、標的化剤は、リジン残基のアミン基と、標的化剤及びスペーサー基を含む中間体上に存在するカルボン酸基との間に形成されるアミド結合などにより、スペーサー基を介してリジン残基の表面窒素に連結されてもよい。
【0249】
デンドリマーがその標的に結合できるように、デンドリマーから適切な距離で標的化剤を遠ざける役割を果たす任意の好適な化学基を利用してもよい。例示的なスペーサー基としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリアリール、アミド連結、ペプチド、アミノ酸、アルキルオキシ、アルキルアミノ、アルキル及びアルケニル鎖、並びに糖類(モノ、オリゴ、及びポリ)、又はそれらの残基を含むものが挙げられる。いくつかの実施形態では、スペーサー基は、2~60のエチレンオキシ繰り返し単位、例えば、2~20又は20~48の繰り返し単位などの、1つ以上のPEG基を含む。一実施形態では、PEGは、8~36の繰り返し単位である。更なる実施形態では、PEGは、12、16、20、24又は36の繰り返し単位である。
【0250】
いくつかの実施形態では、スペーサー基は、他の官能基に挟まれた複数のPEG基を含む。例えば、スペーサー基は、例えば、アミド基又はスペーサー基の部分を接続するために有用な他の官能基を介して連結されたPEG基を含んでいてもよい。
【0251】
スペーサー基を含む中間体を、標的化剤を含む中間体に付着させる任意の好適な手段を利用してもよい。例えば、共有結合による付着のための部位としては、システイン残基、リジン残基、C末端アミノ酸残基、N末端アミン、チロシン残基、炭水化物、好適な非天然アミノ酸残基、又はトランスアミナーゼ、又は認識配列などが挙げられるが、これらに限定されない。標的化剤などのタンパク質への共有結合による付着のための結合部位は、当技術分野において公知である(例えば、Milla P.,et al.,2012)。例えば、スペーサー基を含む中間体は、スペーサー基がC末端を介して標的化剤に付着されるように、標的化剤のC末端で標的化剤を含む中間体と反応し得る。いくつかの実施形態では、標的化剤は、標的化剤のC末端を介してスペーサー基に付着している。一実施形態では、標的化剤は、標的化剤のC末端を介して、スペーサー基に共有結合により付着される、又は連結される。
【0252】
したがって、スペーサー基を標的化剤及び/又はデンドリマーに付着させるために、スペーサー基を含む前駆体は、1つ以上の反応性官能基を含んでいてもよい。
【0253】
特定の実施形態では、反応性官能基は、ヒドロキシ、カルボキシ、NHS若しくはペンタフルオロフェノールエステルなどの活性エステル、アミノ、アジド、マレイミド(スルホマレイミドなど)、ジエン(シクロペンタジエン、例えば、スピロ[2.4]ヘプタ-4,6-ジエン基)、テトラジン、シトラコンイミド、BCN(ビシクル[6.1.0]ノン-4-イン-9-イル)、DBCO(ジベンゾシクロオクチン-アミン)などのアルキン含有基、チオール、アルデヒド及びケトンなどのカルボニル基、アルコキシアミン、ハロアセテート、ビオチン、テトラジン、TCO(トランス-シクロオクテン)などのアルケン含有基、メチル-シクロプロピレン基、並びにPTAD又は他のチロシン反応性基などの基からなる群から選択される相補的な反応基であってもよい。
【0254】
例えば、いくつかの実施形態では、スペーサー基中間体は、2つの反応性基(例えば、1つは、直交している各末端にある)含み得る。すなわち、反応性基のうちの少なくとも1つは、他の反応性基が安定しており、実質的に反応しない条件下で、標的化剤を含む中間体又はデンドリマーを含む中間体のいずれか上に存在する相補的な基と反応して、スペーサー基をコンジュゲートの構成要素に付着させることができる。これにより、スペーサーをデンドリマー又は標的化剤のいずれかに共有結合により付着させ、その後、標的化剤をデンドリマーに連結させるために、残りの構成要素上に存在する相補的な基と他の反応基を反応させることができる。
【0255】
いくつかの実施形態では、スペーサー基は、アルキン基及びアジド基をそれぞれ含む前駆体の反応により、標的化剤に対して直接的又は間接的に付着している(例えば、標的化基を含む中間体は、アジド基を含んでもよく、スペーサー基を含む中間体は、アルキン基を含んでもよい)。このような反応は、トリアゾール含有基、例えば、以下の形成をもたらし、
【化44】
以下の構造を有する前駆体の反応によって形成され得る。
【化45】
【0256】
別の例として、スペーサー基は、トリアゾール含有基、例えば、以下の形成を介して付着され得、
【化46】
以下の構造を有する前駆体の反応によって形成され得る。
【化47】
【0257】
いくつかの実施形態では、スペーサー基は、アルケン(例えば、トランス-シクロオクテンなどの歪みアルケン)及びテトラジン基をそれぞれ含む前駆体の反応によって、標的化剤に付着している。このような反応は、例えば、以下の窒素の突出を有するピリダジン含有基、例えば、以下の形成をもたらし、
【化48】
以下の構造を有する前駆体の反応によって形成され得る。
【化49】
【0258】
いくつかの実施形態では、スペーサー基は、カルボン酸基及びアミン基を含む前駆体の反応によって、デンドリマーに付着しており、例えば、スペーサー基の中間体は、コアユニットの一部として存在するか、又はコアユニットから延びているアミン基と反応して、例えば、アミド連結を形成することができるカルボン酸基を含有し得る。
【0259】
いくつかの実施形態では、スペーサー基は、カルボン酸基及びアミン基を含む前駆体の反応によって、デンドリマーに付着している。例えば、スペーサー基の中間体は、コアユニットの一部として存在するか、又はコアユニットから延びているアミン基と反応して、例えば、アミド連結を形成可能であるカルボン酸基を含み得、アルキン基及びアジド基をそれぞれ含む前駆体の反応によって標的化剤に付着する(例えば、標的基を含む中間体は、アジド基を含み得、スペーサー基を含む中間体は、アルキン基を含み得る)。
【0260】
上述のとおり、標的化剤を含む前駆体は、非天然アミノ酸残基を含んでもよい。この非天然アミノ酸残基は、例えば、反応性側鎖を示すことができる任意の非天然アミノ酸であってもよく、反応性側鎖は、スペーサー基中間体上に存在する官能基と相補的である官能基を保持している。このようにして、相補的官能基が反応し、その結果、標的化部分のスペーサー基への付着を生じさせることが可能になる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸残基は、4-アジドフェニルアラニン残基である。いくつかの実施形態では、スペーサー基を含む中間体は、アジド基を含有する非天然アミノ酸残基を含有する標的化部分を含む中間体にコンジュゲートするためのアルキン基を含有する。いくつかの実施形態では、スペーサー基含有中間体は、4-アジドフェニルアラニン残基を含有する標的化剤を含有する中間体にコンジュゲートするためのアルキン基を含有する。いくつかの実施形態では、スペーサー基含有中間体は、4-アジドフェニルアラニン残基を含有する標的化部分を含有する中間体にコンジュゲートするための、ジベンジルシクロオクチン-アミン(DBCO)基であるアルキン基を含有する。
【0261】
いくつかの実施形態では、スペーサー基の一端は、DBCO基と標的化部分の一部を形成する(例えば、以下:
【化50】
のようなトリアゾール含有基を形成する)4-フェニルアラニン残基上のアジド部分との環化付加反応によって、又はBCN((ビシクル6.1.0]ノン-4-イン-9-イル))基と、標的化部分の一部を形成する(例えば、以下:
【化51】
のようなトリアゾール含有基を形成する)4-フェニルアラニン残基上のアジド部分との反応によって、標的化部分に付着される。
【0262】
いくつかの実施形態では、スペーサー基の一端は、コア上に存在する又は表面構成ユニット上に存在するアミノ基間、及びスペーサー基上に存在するカルボキシル基間のアミド化反応によって(例えば、活性化エステルの反応による)、デンドリマーに付着される。いくつかの実施形態では、スペーサー基を含有する中間体は、テトラジン基を含有する。いくつかの実施形態では、スペーサー基を含有する中間体は、例えば、ジエン(シクロペンタジエン、例えばスピロ[2.4]ヘプタ-4,6-ジエン基など)にコンジュゲートするためのマレイミド基を含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、スペーサー基を含む中間体は、PEG基と、デンドリマーのコアの一部を形成するか又はコアから延びるアミンと反応するためのカルボキシル基と、を含み、かつ標的化部分を含有する中間体に存在するアジド基と反応するためのアルキン基を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー基を含む中間体は、デンドリマーのコアでアミンに接合するための反応性カルボキシル基を有するPEG鎖と、反応性アルキン部分を含有する標的化剤中間体にコンジュゲートするためのアジド基と、を含有する。いくつかの実施形態では、スペーサー基を含む中間体は、PEG鎖と、デンドリマーのコアでカルボキシル基に接合するための反応性アミン基と、反応性アルキン部分を含有する標的化剤中間体にコンジュゲートするためのアジド基と、を有する。いくつかの実施形態では、スペーサー基中間体は、デンドリマーのコアでアミンに接合するための反応性カルボキシル基を有するPEG鎖と、反応性チオール部分を含有する標的化剤中間体にコンジュゲートするためのマレイミド基と、を有する。いくつかの実施形態では、スペーサー基中間体は、デンドリマーのコアでカルボキシル基に結合するための反応性アミン基を有するPEG鎖と、反応性マレイミド部分を含む標的化剤中間体にコンジュゲートするためのチオール又はマスクされたチオール基と、を有する。いくつかの実施形態では、スペーサー基中間体は、デンドリマーのコアでアミンに結合するための反応性カルボキシル基を有するPEG鎖と、反応性アルケン部分を含む標的化剤中間体にコンジュゲートするためのテトラジン基と、を含有する。いくつかの実施形態では、スペーサー基中間体は、デンドリマーのコアでアミンに結合するための反応性カルボキシル基を有するPEG鎖と、反応性ジエン(シクロペンタジエン、例えばスピロ[2.4]ヘプタ-4,6-ジエン基など)を含む標的化剤中間体にコンジュゲートするためのマレイミド基と、を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、標的化剤のデンドリマーへの連結は、第1のスペーサー基を標的化剤の中間体に、第2のスペーサー基をデンドリマーに(例えば、デンドリマーのコアに)付着させ、次いで、標的化剤とデンドリマーを連結するために、第1及び第2のスペーサー基上に存在する相補的官能基を一緒に反応させることによって達成され得る。このようなアプローチは、デンドリマーと標的化を容易に接続するために提供され得る。例えば、第1のスペーサー基中間体は、一端に標的化剤上の反応性基と相補的である第1の反応性基(例えば、アジド基と相補的であるアルキン基であり、一緒に反応してトリアゾール基を形成することができる)と、第2のスペーサー基上の反応性基と相補的である第2の反応性基(例えば、トランス-シクロオクテン-含有基との反応と相補的であるテトラジン含有基)とを含んでもよい。第2のスペーサー基中間体は、例えば、一端にデンドリマー上の反応性基との反応に相補的である第3の反応性基(例えば、アミン基との反応に相補的であるカルボン酸基)、他端に第1のスペーサー基中間体上の反応性基との反応に相補的である第4の反応性基(例えば、テトラジン基との反応に相補的であるトランス-シクロオクテン含有基)を含んでもよい。例えば、トランス-シクロオクテン基とテトラジン基とを反応させることによって生成された基を介して、第1の基及びスペーサー基が付着され得、以下の構造を含み得る。
【化52】
【0265】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、標的化剤上に存在するアジド部分とスペーサー基の一端にあるアルキン含有基(例えば、DBCO、BCN)との反応、及びデンドリマーに付着したテトラジン部分とスペーサー基(例えば、トランスシクロオクテン)の他端にある歪みアルケン基との反応によって形成されるスペーサー基を介して、デンドリマーに連結されてもよい。
【0266】
第3の末端基
いくつかの実施形態では、デンドリマーは、最も外側の構成ユニットに付着した1つ以上の第3の末端基(T3)を含み、第3の末端基は、放射性核種含有部分ではない薬学的活性剤の残基を含む。構成ユニットがリジン残基又はその類似体である場合、第3の末端基は、例えば、最も外側の構成ユニットの窒素原子に付着していてもよい。薬学的活性剤をデンドリマーに組み込むと、治療特性が向上し、診断的/治療的画像化の両方及び疾患の療法のために同じデンドリマー剤を利用することが可能になる。例えば、がんの疑いがある、又はがんであると診断された対象の場合、本開示のデンドリマーを最初に投与し、画像化によって患者の状態を診断するため、及び/又はがんが存在する場合、デンドリマーによる療法の過程(course)に対するがんの感受性の可能性を判定するために、対象の身体の関連部分の画像化を行ってもよい。腫瘍がデンドリマーによる治療に感受性である可能性がある場合には、次いで、同じデンドリマー又は本開示の別のデンドリマー(例えば、異なる放射性核種を含有する)の更なる過程を、例えば、対象に投与してもよい。
【0267】
薬学的活性剤
任意の好適な薬学的活性剤は、例えば、連結基を介して、第3の末端基としてデンドリマーにコンジュゲートされてもよい。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、抗がん剤である。抗がん剤の例としては、これらに限定されないが、超細胞障害剤、タキサン、及びトポイソメラーゼ阻害剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、超細胞傷害剤である。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、アウリスタチンである。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、メイタンシノイドである。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、タキサンである。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。
【0268】
本明細書で使用されるとき、「超細胞傷害剤」とは、非常に強力な化学療法特性を呈する剤を指すが、それ自体は、非常に毒性が強いため、抗がん剤として単独で投与できない剤を指す。すなわち、超細胞傷害剤は、化学療法特性を示すが、有害で毒性のある副作用が化学療法の有益性を上回るため、一般には対象に安全に投与することができない。いくつかの実施形態では、超細胞傷害剤は、がん細胞株(例えば、SKBR3細胞及び/又はHEK293細胞及び/又はMCF7細胞)に対するインビトロIC50が、100nM未満、又は10nM未満、又は5nM未満、又は3nM未満、又は2nM未満、又は1nM未満、又は0.5nM未満である。超細胞傷害剤としては、とりわけ、例えば、ドラスタチン類(例えば、ドラスタチン-10、ドラスタチン-15)、アウリスタチン類(例えば、モノメチルアウリスタチン-E、モノメチルアウリスタチン-F)、メイタンシノイド類(例えば、メイタンシン、メルタンシン/エムタンシン(DM1、ラブタンシン(DM4))、カリキアミシン類(例えば、カリキアミシンγ1)、エスペラマイシン類(例えば、エスペラマイシンA1)、及びピロロベンゾジアゼピン類(PDB)が挙げられる。
【0269】
いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、アウリスタチンである。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、モノメチルアウリスタチンである。一実施形態では、薬学的活性剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一実施形態では、薬学的活性剤は、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)である。MMAE及びMMAFはともに、チューブリンの重合を遮断することによって、細胞分裂を阻害すると理解されている。
【0270】
いくつかの実施形態では、超細胞傷害剤は、メイタンシノイドである。一実施形態では、超細胞傷害剤は、メイタンシンである。一実施形態では、超細胞傷害剤は、アンサミトシンである。一実施形態では、超細胞傷害剤は、エムタンシン/メルタンシン(DM1)である。一実施形態では、超細胞傷害剤は、ラブタンシン(DM4)である。メイタンシノイドは、チューブリンに結合することによって、微小管の組み立てを阻害することが理解されている。
【0271】
タキサンとしては、例えば、パクリタキセル、カバジタキセル、及びドセタキセルが挙げられる。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、パクリタキセルである。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、カバジタキセルである。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、ドセタキセルである。
【0272】
トポイソメラーゼ阻害剤としては、これらに限定されないが、カンプトテシン活性剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、カンプトテシン活性剤である。カンプトテシン活性剤の例としては、これらに限定されないが、SN-38、イリノテカン(CPT-11)、トポテカン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ルルトテカン、ギマテカン、ベロテカン、及びルビテカンが挙げられる。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、SN-38である。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、イリノテカンである。
【0273】
いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、カバジタキセル、ドセタキセル、SN-38、モノメチルアウリスタチンA及びモノメチルアウリスタチンFからなる群から選択される抗がん剤である。
【0274】
リンカー
デンドリマーが、薬学的活性剤の残基を含む第3の末端基(T3)を含む、いくつかの実施形態では、薬学的活性剤の残基は、リンカーを介して最も外側の構成ユニットに付着している。一実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーである。一実施形態では、リンカーは、非切断可能リンカーである。リンカー基は、例えば、薬学的活性剤の利用可能な官能性が、構成ユニットへの直接的な付着にとって好適でない場合に、薬学的活性剤をデンドリマーに付着させるための好適な基を提供するために使用することができる。また、若しくはその代わりに、リンカー基は、デンドリマー足場からの薬学的活性剤の制御放出を容易にするために使用することもでき、これにより、好適な期間(例えば、長期間)、薬学的活性剤の治療有効濃度及び望ましい薬物動態プロファイルが提供される。
【0275】
当業者であれば、様々な好適なリンカーのいずれか1つが使用され得ることを理解できるであろう。リンカーは、全身循環中に十分な安定性を提供すると同時に、例えば、がん細胞に内在化されると、その作用部位において、活性形態の細胞傷害性薬物を迅速かつ効率的に放出することが可能であるものとする。
【0276】
いくつかの実施形態では、リンカーは、それ自体が又は薬学的活性剤へのその連結と併せて、エステル基、ヒドラゾン基、オキシム基、イミン基又はジスルフィド基のうちの1つ以上を含む切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、腫瘍環境で切断可能であり、酸に不安定である、還元環境に不安定である、加水分解に不安定である、又はプロテアーゼに不安定である。
【0277】
化学的に不安定なリンカーとしては、これらに限定されないが、酸不安定なリンカー(すなわち、ヒドラゾン)及びジスルフィドリンカーが挙げられる。酵素的に切断可能なリンカーとしては、これらに限定されないが、ペプチドリンカー(例えば、Val-Cit又はPhe-Lys基を含有するものなどのジペプチドリンカー)、及びβ-グルクロニドリンカーが挙げられる。リソソームのタンパク質分解酵素は血中において非常に低い活性を有するため、ペプチドリンカー、及びそのペプチド結合は、有利にも良好な血清安定性を有することが予想されている。Val-Cit及びPhe-Lysリンカーの両方は、カテプシンBによって速やかに加水分解される。いくつかの実施形態では、リンカーは、酵素的に切断可能なリンカーである。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは、酵素による認識及び切断が可能なアミノ酸残基を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、リンカーはペプチド基を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、ジペプチド基を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、例えば、以下の構造を有するバリン-シトルリン-パラアミノベンジルアルコール含有基(Val-Cit-PAB)を含む。
【化53】
【0279】
例えば、PAB基は、カルボニル基を介して治療剤部分に存在するアミン基と共有結合により付着して、カルバメート連結を形成してもよく、また、バリンアミノ基及び外側の構成ユニットに存在するアミン基によりアミド結合を形成するジアシルリンカーを介して、外側の構成ユニットに存在するアミン基に付着してもよい。
【0280】
いくつかの実施形態では、リンカーは、例えば、以下の構造を有するグルタル酸-バリン-シトルリン-パラアミノベンジルアルコール基を含むか、又はそれからなる。
【化54】
【0281】
いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、ヒドロキシル基を含み、薬学的活性剤の残基は、ヒドロキシル基の酸素原子を介してリンカーに付着している。このアプローチでは、エステル基を介してリンカーに付着させることが可能であり、そのようなエステル基は、インビボで切断可能であり、望ましい速度で薬学的活性剤を放出することが見出されている。
【0282】
いくつかの実施形態では、コアユニットは、アミノ基を含むコアユニット前駆体から形成され、構成ユニットは、リジン残基又はその類似体であり、薬学的活性剤は、ヒドロキシル基を含み、薬学的活性剤の残基は、ヒドロキシル基の酸素原子を介して付着しており、切断可能なリンカーは、ジアシルリンカーであり、これにより、薬剤活性剤の残基とリンカーとの間にエステル連結、及びリンカーと最外層の構成ユニット上に存在する窒素原子との間にアミド連結があるようになる。いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、ヒドロキシル基を含み、薬学的活性剤の残基は、ヒドロキシル基の酸素原子を介して付着しており、切断可能なリンカーは、下記式のジアシルリンカー基であり、
【化55】
式中、Aは、O、S、S-S、NH、又はN(Me)により中断されたC
2~C
10アルキレン基であるか、又はAは、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、及びN-メチルピロリジンからなる群から選択される複素環である。
【0283】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」という用語は、一価の直鎖(すなわち線状)又は分岐した飽和炭化水素基を指す。一例では、アルキル基は、1~10の炭素原子(すなわちC1~10アルキル)を含む。一例では、アルキル基は1~6の炭素原子(すなわち、C1~6アルキル)を含む。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル、イソ-プロピル)、ブチル基(例えば、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル)、ペンチル基、及びヘキシル基などが挙げられる。
【0284】
本明細書で使用されるとき、「アルキレン」という用語は、2価の直鎖(すなわち線状)又は分岐した飽和炭化水素基を指す。一例では、アルキレン基は、2~10の炭素原子((すなわちC2~10アルキレン)を含む。一例では、アルキレン基は、2~6の炭素原子(すなわち、C2~6アルキレン)を含む。アルキレン基の例としては、例えば、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-などが挙げられる。
【0285】
いくつかの実施形態では、薬学的活性剤は、ヒドロキシル基を含み、薬学的活性剤の残基は、ヒドロキシル基の酸素原子を介して付着しており、切断可能なリンカーは、下記式のジアシルリンカー基であり、
【化56】
Aは、O、S、NH、又はN(Me)によって中断されたC
2~C
10アルキレン基である。
【0286】
いくつかの実施形態では、薬学的活性剤が、ヒドロキシル基を有し、薬学的活性剤の残基が、ヒドロキシル基の酸素原子を介して付着しており、ジアシルリンカーが、
【化57】
である。
【0287】
切断可能なリンカーの特定の型は、ジスルフィド部分を含むものである。このようなリンカーは、グルタチオンによる切断を受けやすい。例えば、この型のリンカーは、ジスルフィド部分によって中断されたアルキル鎖を介して連結された2つのアシル基を含み得る。
【0288】
いくつかの実施形態では、リンカーは、ジスルフィド部分によって中断されたアルキル鎖を含み、ここで、ジスルフィド基に隣接する炭素原子の1つ又は両方が、1つ以上のメチル基によって置換されている。例えば、ジスルフィド部分に隣接している炭素原子のうちの1つが、gem-ジメチル基で置換されてもよく、例えば、リンカーがその基:を含んでもよい。
【化58】
【0289】
非切断可能リンカーは、必要な期間、インビボ条件に更されても、切断に対して不活性であるか、又は切断に対して実質的に不活性である連結基である。非切断可能リンカーは、生物学的条件下では切断されない。
【0290】
例えば、アルキレン基又はシクロアルキレン基(例えばC1~10アルキレン基又はC3-10シクロアルキレン基)によって架橋されたジアシルリンカーが挙げられる。非切断可能リンカーの更なる例としては、チオエーテルリンカーが挙げられる。非切断可能リンカーの具体例としては、SMCC(サクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート)を使用することによって形成されたものが挙げられる。SMCCは、マレイミド官能性を、治療剤部分に存在するか又は治療剤部分に付着しているチオール基と反応させ、チオエーテル連結を形成するために使用できる。カルボン酸の官能性は、外側の構成ユニット上に存在するアミノ基との反応に使用できる。
【0291】
組成物
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、組成物、好ましくは薬学的組成物として提示される。したがって、本明細書で定義される複数のコンジュゲートを含む組成物も提供される。
【0292】
組成物又は薬学的組成物は、複数のデンドリマー-標的化剤コンジュゲート及び/又はデンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートを含み得る。組成物又は薬学的組成物が、デンドリマー-標的化剤コンジュゲートのみを含む場合、組成物は、放射線療法若しくは画像化、又は同様の目的のための投与の前に、好適な放射性核種に曝露されて、デンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートを形成し得る。
【0293】
コンジュゲートを生成するための合成プロセスの性質の結果として、所定の組成物中に存在するコンジュゲート間の分子組成に、若干のばらつきが存在し得ることが理解されるであろう。例えば、上記のとおり、コンジュゲートを生成するために使用される1つ以上の合成ステップは、完了するまで完全には進行しない場合があり、その結果、全てが同数の標的化剤、第1の末端基、第2の末端基、又は第3の末端基を含まない、又はコンジュゲートのデンドリマー成分中に不完全な世代の構成ユニットを含有するコンジュゲートが存在することになり得る。
【0294】
組成物が3世代の構成ユニットを含むコンジュゲートを含むいくつかの実施形態では、コンジュゲート当たりの標的化剤の平均数は、約1である。組成物が3世代の構成ユニットを含むコンジュゲートを含むいくつかの実施形態では、組成物中のコンジュゲート1個当たりの第1の末端基の平均数は、1~4の範囲である。組成物が3世代の構成ユニットを含むコンジュゲートを含むいくつかの実施形態では、組成物中のコンジュゲート1個当たりの第2の末端基の平均数は、4~7の範囲である。組成物が本明細書に定義される3世代の構成ユニットを含むコンジュゲートを含むいくつかの実施形態では、コンジュゲート1個当たりの標的化剤の平均数は、約1であり、組成物中のコンジュゲート1個当たりの第1の末端基の平均数は、1~4の範囲であり、組成物中のコンジュゲート1個当たりの第2の末端基の平均数は、4~7の範囲である。
【0295】
組成物が4世代の構成ユニットを含むコンジュゲートを含むいくつかの実施形態では、コンジュゲート1個当たりの標的化剤の平均数は、約1である。組成物が4世代の構成ユニットを含むコンジュゲートを含むいくつかの実施形態では、組成物中のコンジュゲート1個当たりの第1の末端基の平均数は、1~4の範囲である。組成物が4世代の構成ユニットを含むコンジュゲートを含むいくつかの実施形態では、組成物中のコンジュゲート1個当たりの第2の末端基の平均数は、4~7の範囲である。組成物が本明細書に定義される4世代の構成ユニットを含むコンジュゲートを含むいくつかの実施形態では、コンジュゲート1個当たりの標的化剤の平均数は、約1であり、組成物中のコンジュゲート1個当たりの第1の末端基の平均数は、1~4の範囲であり、組成物中のコンジュゲート1個当たりの第2の末端基の平均数は、4~7の範囲である。
【0296】
いくつかの実施形態では、組成物中のコンジュゲートの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は、標的化剤を含有する。
【0297】
いくつかの実施形態では、組成物中のコンジュゲートの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は、第1の末端基を含有する。
【0298】
いくつかの実施形態では、組成物中のコンジュゲートの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は、第2の末端基を含有する。
【0299】
いくつかの実施形態では、組成物中のコンジュゲートの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は、第3の末端基を含有する。
【0300】
本開示はまた、獣医用途及びヒト医療用途の両方用の薬学的製剤又は組成物を提供し、これらは、本開示のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、及び任意によりあらゆる他の治療成分、安定剤などと一緒に含む。したがって、いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的組成物であり、組成物は、本明細書で定義されるコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む。
【0301】
賦形剤及び/又は担体は、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに過度に有害ではないという意味で、薬学的に許容されるものでなければならない。本開示の組成物には、高分子賦形剤/添加剤又は担体、例えば、ポリビニルピロリドン、誘導体化セルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、フィコール(高分子糖類)、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、デキストレート(例えば、シクロデキストリン(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンなど)、ポリエチレングリコール、及びペクチンも含まれ得る。組成物としては、更に、希釈剤、緩衝剤、クエン酸塩、トレハロース、結合剤、崩壊剤、増粘剤、滑剤、防腐剤(酸化防止剤など)、無機塩(例えば、塩化ナトリウム)、抗菌剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)、甘味料、帯電防止剤、ソルビタンエステル、脂質(レシチンなどのリン脂質、及び他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸、及び脂肪酸エステル、ステロイド(例えば、コレステロールなど))、及びキレート剤(例えば、EDTA、亜鉛及び他の好適なカチオンなど)を挙げることができる。本開示による組成物中での使用に好適である他の医薬賦形剤及び/又は添加剤は、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy”,19.sup.th ed.,Williams & Williams,(1995)、及び“Physician’s Desk Reference”,52.sup.nd ed.,Medical Economics,Montvale,N.J.(1998)、及び“Handbook of Pharmaceutical Excipients”,Third Ed.,Ed.A.H. Kibbe,Pharmaceutical Press,2000に列挙されている。
【0302】
本開示のコンジュゲートは、例えば非経口(腹腔内、静脈内、皮下、又は筋肉内注射を含む)投与などによる、任意の好適な経路による投与に好適なものを含む組成物に製剤化され得る。
【0303】
組成物は、簡便に単位剤形で提供されてもよく、また薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。全ての方法は、デンドリマーを1つ以上の付属成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、組成物は、デンドリマーを液体担体と会合させて溶液又は懸濁液を形成するか、あるいは、デンドリマーを固体、任意に粒子状生成物を形成するのに好適である製剤成分と会合させて、妥当である場合、生成物を所望の送達形態に成形することによって調製される。本開示の固形製剤は、微粒子化されている場合、典型的には、約1ナノメートル~約500ミクロンの範囲のサイズの粒子を含む。一般に、静脈内投与を目的とした固形製剤の場合、粒子は、直径約1nm~約10ミクロンの範囲である。組成物は、1000nm以下、例えば、5~1000nm、特に5~500nm、より特に5~400nm、例えば5~50nm、特に5~20nmの粒子径を有するナノ粒子である本開示のデンドリマーを含有してもよい。一例では、組成物は、平均サイズが5~20nmのデンドリマーを含む。いくつかの実施形態では、デンドリマーは、組成物中に多分散しており、PDIは、1.01~1.8、特に1.01~1.5、より特に1.01~1.2である。一例では、デンドリマーは、組成物中に単分散されている。
【0304】
いくつかの好ましい実施形態では、本組成物は、非経口送達用に製剤化される。例えば、一実施形態では、製剤は、注射前に水性ビヒクルで再構成するのに好適である滅菌凍結乾燥組成物であってもよい。
【0305】
一実施形態では、非経口投与に好適である製剤は、便利なことに、デンドリマーの滅菌水性調製物を含み、これは、例えば、レシピエントの血液と等張になるように製剤化されてもよい。
【0306】
いくつかの実施形態では、組成物は、腫瘍間(intertumoural)送達用に製剤化される。他の好適な送達手段を使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、洗浄液又はエアロゾルによる送達であってもよい。一実施形態では、組成物は、腹腔内送達用に製剤化され、悪性上皮性腫瘍(例えば、卵巣がん)、及びがん性腹膜炎(例えば、胃腸がん、特に大腸がん、胃がん、婦人科がん、及び原発性腹膜新生物)など、腹腔内のがんの治療のためのものである。
【0307】
また、エアロゾルとして吸入により投与するために好適である薬学的製剤も提供する。これらの製剤は、所望のコンジュゲート若しくはその塩の溶液又は懸濁液を含む。所望の製剤を小チャンバーに入れ、ネブライズしてもよい。デンドリマー又はその塩を含む複数の液滴又は固形粒子を形成するために、圧縮空気又は超音波エネルギーによってネブライジングを行うことができる。
【0308】
後述するとおり、本開示のコンジュゲートは、例えば、1つ以上の追加の薬学的活性剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、更なる活性剤と組み合わせて提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に定義されるコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体と、1つ以上の追加の薬学的活性剤(例えば、小分子細胞傷害剤、チェックポイント阻害剤、若しくは抗体療法などの追加の抗がん/腫瘍剤)と、を含む組成物が提供される。本開示のコンジュゲートは、他の化学療法薬と一緒に投与されることができるだけでなく、コルチコステロイド、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、及び回復に役立つか、又は血液毒性、例えばサイトカインから保護される薬物などの他の医薬品と組み合わせて投与され得る。
【0309】
いくつかの実施形態では、本組成物は、化学療法レジメンの一部として非経口注入するために製剤化される。
【0310】
コンジュゲートの治療的使用
本明細書に記載されるコンジュゲート及び組成物は、医療分野における様々な用途に使用することができる。例えば、コンジュゲートは、がんなどの様々な状態の治療に使用される。
【0311】
したがって、療法に使用するため、及びより具体的にはがんの療法に使用するための、本明細書に記載のコンジュゲート又は薬学的組成物が提供される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、がんの治療又は予防の方法、例えば腫瘍の成長を抑制するために使用される。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、がんの治療に使用するためのものである。また、がんの治療を必要とする対象に、治療有効量の本明細書で定義されるコンジュゲート又は薬学的組成物を投与することを含む、がんを治療する方法も提供される。また、がんの治療のための医薬品の製造における、本明細書で定義されるコンジュゲート、又は本明細書で定義される組成物の使用も提供する。
【0312】
いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍である。がんは、原発性又は転移性腫瘍であり得る。いくつかの実施形態では、がんは、原発性腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、転移性腫瘍である。
【0313】
いくつかの実施形態では、がんは、HER2(ERBB2とも呼ばれる)の異常又は過剰発現を特徴とする。このようなHER2の異常発現又は過剰発現は、例えば、乳がん、精巣がん、卵巣がん、胃がん(stomach cancer)、肺腺がん、胃がん(gastric cancer)、膵がん、唾液管がん、食道がん、及び子宮がん(例えば、子宮体重症子宮内膜がん)などで生じることが知られている。
【0314】
いくつかの実施形態では、がんは、EGFRの異常又は過剰発現を特徴とする。いくつかの実施形態では、がんは、PSMAの異常又は過剰発現を特徴とする。いくつかの実施形態では、がんは、FAPの異常又は過剰発現を特徴とする。
【0315】
いくつかの実施形態では、がんは、前立腺がん、脳がん、乳がん、精巣がん、卵巣がん、胃がん(stomach cancer)、肺腺がん、胃がん(gastric cancer)、膵臓がん、唾液管がん、食道がん、子宮がん(例えば、子宮体重症子宮内膜がん)からなる群から選択される。
【0316】
いくつかの実施形態では、がんは、大腸がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、及び乳がんからなる群から選択される。
【0317】
いくつかの実施形態では、がんは、前立腺がんである。いくつかの実施形態では、がんは、乳がんである。いくつかの実施形態では、がんは、精巣がんである。いくつかの実施形態では、がんは、卵巣がんである。いくつかの実施形態では、がんは、胃がんである。いくつかの実施形態では、がんは、肺腺がんである。いくつかの実施形態では、がんは、胃がんである。いくつかの実施形態では、がんは、膵がんである。いくつかの実施形態では、がんは、唾液管がんである。いくつかの実施形態では、がんは、食道がんである。いくつかの実施形態では、がんは、子宮体がんである。
【0318】
いくつかの実施形態では、がんは、脳がんである。脳がんとしては、膠芽腫、髄膜腫、下垂体、神経鞘、星状細胞腫、乏突起膠腫、上皮腫、髄芽腫、又は頭蓋咽頭腫が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、がんは、膠芽腫、髄膜腫、下垂体、神経鞘、星状細胞腫、乏突起膠腫、上皮腫、髄芽腫、及び頭蓋咽頭腫からなる群から選択される脳がんである。いくつかの実施形態では、脳がんは、膠芽腫である。いくつかの実施形態では、脳がんは、髄膜腫である。いくつかの実施形態では、脳がんは、下垂体である。いくつかの実施形態では、脳がんは、神経鞘である。いくつかの実施形態では、脳がんは、星細胞腫である。いくつかの実施形態では、脳がんは、乏突起膠腫である。いくつかの実施形態では、脳がんは、上皮腫である。いくつかの実施形態では、脳がんは、髄芽腫である。いくつかの実施形態では、脳がんは、頭蓋咽頭腫である。
【0319】
治療有効量のコンジュゲート又は組成物を、治療方法及び使用に使用する。用語「治療有効量」とは、治療される障害又は状態の症状のうちの1つ以上をある程度まで緩和又は予防するのに十分な量で投与されるコンジュゲート、又は当該コンジュゲートを含む組成物を指すことが理解されるであろう。
【0320】
このデンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートは、例えば、静脈内投与を含む、任意の好適な経路で投与されてもよい。いくつかの実施形態では、デンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートは、IVボーラスとして送達される。いくつかの実施形態では、デンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートは、0.5~60分の範囲、又は0.5~30分の範囲、又は0.5~15分の範囲、又は0.5~5分の範囲の期間にわたってIV投与される。別の例では、デンドリマー-標的化剤治療用コンジュゲートは、腹腔内投与されてもよい。投与経路は、例えば、対象が有する疾患又は障害を標的にしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、婦人科がん又は胃腸がんなどの腹腔内悪性腫瘍であってもよく、コンジュゲートは、腹腔内投与されてもよい。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、悪性上皮性腫瘍(例えば、卵巣がん)又は腹膜がん腫症(例えば、胃腸特に大腸がん、胃がん、婦人科がん、及び原発性腹膜新生物)など、腹膜腔のがんの治療のためのものであってもよく、コンジュゲートは、腹腔内投与される。
【0321】
治療目的で使用する場合、コンジュゲートは、治療有効用量の放射能を標的(例えば、腫瘍)に送達するのに十分な量で投与されると同時に、身体の他の部分(例えば、他の臓器)の放射線への許容できない曝露を回避する。正確な投薬量は、放射性核種(例えば、アルファ放射体、ベータ放射体)の性質、及び治療される状態に依存し得る。
【0322】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投薬量は、最大で約10GBq、又は最大で約7.5GBq、又は最大で約5GBq、又は最大で約2.5GBq、又は最大で約1GBq、又は最大で約500MBq、又は最大で約250MBq、又は最大で約100MBq、又は最大で約50MBq、又は最大で約25MBq、又は最大で約10MBq、又は最大で約5MBqの放射能を有する放射性核種の量を含有する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投薬量又は各投薬量は、0.1MBq~10GBq、0.1MBq~7.5GBq、0.1MBq~5GBq、0.1MBq~2.5GBq、0.1MBq~1GBq、0.1MBq~500MBq、0.1MBq~250MBq、0.1MBq~100MBq、0.1MBq~50MBq、0.1MBq~25MBq、0.1MBq~10MBq、0.1MBq~5MBq、0.1MBq~2MBq、0.1MBq~1MBq、0.5MBq~10MBq、1~10MBq、1~5MBq、5~10MBq、又は約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、若しくは約10MBqの範囲の放射能を有する放射性核種の量を含有する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投薬量又は各投薬量は、0.1MBq~10GBq、1MBq~10GBq、10MBq~10GBq、100MBq~10GBq、500MBq~10GBq、1GBq~10GBq、又は5GBq~10GBqの範囲の放射能を有する放射性核種の量を含有する。
【0323】
例えば、放射性核種がLu177であるいくつかの実施形態では、コンジュゲートの投薬量又は各投薬量は、1GBq~25GBqの範囲、より好ましくは4~25GBqの範囲、又は4~10GBqの範囲の放射能を有する放射性核種の量を含有する。いくつかの実施形態では、Lu177を含有するコンジュゲートは、対象の体重1kg当たり5~20MBqの範囲の放射能の量を提供するように投薬される。
【0324】
別の例として、放射性核種がGa68であるいくつかの実施形態では、コンジュゲートの投薬量又は各投薬量は、50MBq~1GBqの範囲の放射能を有する放射性核種の量を含有する。いくつかの実施形態では、Ga68を含有するコンジュゲートは、対象の体重1kg当たり1~5MBqの範囲、より好ましくは、1kg当たり1~3MBqの範囲、又は1kg当たり約2MBqの範囲の量で投薬される。
【0325】
更なる例として、放射性核種がY90であるいくつかの実施形態では、コンジュゲートの投薬量又は各投薬量は、500MBq~20GBq、又は10~20GBqの範囲の放射能を有する放射性核種の量を含有する。いくつかの実施形態では、Y90を含有するコンジュゲートは、対象の体重1kg当たり5~50MBqの範囲、より好ましくは1kg当たり10~15MBqの範囲の量で投薬される。
【0326】
放射性核種がAc225である場合、コンジュゲートの投薬量又は各投薬量は、例えば、1MBq~20MBqの範囲の放射能を有する放射性核種の量を含有してもよい。いくつかの実施形態では、Ac225を含有するコンジュゲートは、1kg体重当たり15~200KBqの範囲の量で投薬される。
【0327】
放射性核種がAt211である場合、コンジュゲートの投薬量又は各投薬量は、例えば、50MBq~400MBqの範囲の放射能を有する放射性核種の量を含有し得る。
【0328】
上述したように、投与されるコンジュゲートの用量は、治療有効用量の放射能を標的(例えば、腫瘍)に送達するのに十分であると同時に、身体の他の部分(例えば、他の臓器)への許容できない曝露を回避する。
【0329】
いくつかの実施形態では、単回用量で投薬されるコンジュゲートの量は、肺、脾臓、膀胱、腎臓、心臓、骨髄、肝臓、及び消化管からなる臓器群の臓器当たりに吸収される平均放射線が、5mGy未満、又は5mBq未満、又は2mGy未満、又は2mBq未満、又は1mGy未満、又は1mBq未満、又は0.5mGy未満であるような量である。
【0330】
コンジュゲートが、更なる薬学的活剤である第3の末端基を含む場合、いくつかの実施形態では、投与されるコンジュゲートの量は、2~100mg/m2の活性剤、2~50mg/m2の活性剤、2~40mg/m2の活性剤、2~30mg/m2の活性剤、2~25mg/m2の活性剤、2~20mg/m2の活性剤、5~50mg/m2の活性剤、10~40mg/m2の活性剤、15~35mg/m2の活性剤、10~20mg/m2、20~30mg/m2、又は25~35mg/m2の活性剤を送達するのに十分である。マウスの活性剤10mg/kgの用量は、ヒトの30mg/m2の用量にほぼ対応するものとする(FDA guidance 2005)。(ヒトのmg/kg用量をmg/m2に変換するには、37を乗じてもよい(FDA Guidance 2005)。
【0331】
いくつかの実施形態では、治療有効量のコンジュゲートを、それを必要とする対象に、所定の頻度で投与する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、1~4週間に1回投与される投与レジメンに従って、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態ではコンジュゲートは、3~4週間に1回投与される投与レジメンに従って、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、3~4週間に1回、合計2、3、4、5、6、7、8、8、9、又は10回の投与を伴う投与レジメンが使用される。
【0332】
組み合わせ
薬物は、多くの場合、特に化学療法の際には、他の薬物と組み合わせて投与される。したがって、いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、1つ以上の更なる薬学的活性剤、例えば1つ以上の更なる抗がん剤/薬物と組み合わせて投与される。デンドリマー-標的化剤コンジュゲート及び1つ以上の更なる薬学的活性剤は、同時に、続いて、又は別々に投与することができる。例えば、同じ組成物の一部として、又は別々の組成物を投与によって投与されてもよい。
【0333】
1つ以上の更なる薬学的活性剤は、例えば、前立腺がん、脳がん、乳がん、精巣がん、卵巣がん、胃がん、肺腺がん、胃がん、膵臓がん、唾液管がん、食道がん、又は子宮がん(例えば、子宮体重症子宮内膜がん)の療法のための抗がん剤であってもよい。
【0334】
1つ以上の更なる薬学的活性剤は、例えば、大腸がん、胃がん、膵がん、前立腺がん、又は乳がんの療法のための抗がん剤であってもよい。
【0335】
更なる薬学的活性剤の例としては、化学療法剤、細胞傷害剤、小分子細胞傷害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、チェックポイント阻害剤、EGFR阻害剤、抗体療法、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、ナブ-パクリタキセル)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、SN-38、イリノテカン(CPT-11)、トポテカン、シラテカン、コシテカン、エキサテカン、ルルトテカン、ギマテカン、ベロテカン、又はルビテカン)、及びアロマターゼ阻害剤が挙げられる。
【0336】
診断/画像化
本明細書に記載のコンジュゲート及び組成物はまた、診断剤、例えば画像化剤としても使用される。診断用途の例としては、画像化、セラノスティクス、コンパニオン診断療法、疾患進行の監視、療法の有効性の評価、患者群の転帰の決定、及び特定の患者又は患者群のための治療レジメンの開発が挙げられる。
【0337】
したがって、対象ががんを有するかどうかを判定する方法であって、
本明細書で定義されるコンジュゲート又は当該コンジュゲートを含む薬学的組成物を対象に投与することと、
対象の身体又はその一部に対して画像化を行うことと、
画像化結果に基づいて、対象ががんを有するかどうかを判定することと、を含む、方法が提供される。
【0338】
対象のがんを画像化する方法であって、
本明細書で定義されるコンジュゲート又は当該コンジュゲートを含む薬学的組成物を対象に投与することと、
対象の身体又はその一部に対して画像化を行うことと、を含む、方法も提供される。
【0339】
対象におけるがんの進行を判定する方法であって、
第1の量の、本明細書で定義されるコンジュゲート又は当該コンジュゲートを含む薬学的組成物を対象に投与することと、
対象の身体又はその一部に対して第1の画像化ステップを行うことと、
続いて、第2の量の、本明細書で定義されるコンジュゲート又は当該コンジュゲートを含む薬学的組成物を対象に投与することと、
対象の身体又はその一部に対して第2の画像化ステップを行うことと、
第1及び第2の画像化結果に基づいて、がんが進行したかどうかを判定することと、を含む、方法も提供される。
【0340】
がんを有する対象に対する適切な療法を判定する方法であって、
本明細書で定義されるコンジュゲート又は当該コンジュゲートを含む薬学的組成物を対象に投与することと、
対象の身体又はその一部に対して画像化を行うことと、
画像化結果が、療法による治療に対するがんの感受性を示す場合、療法を対象に投与することと、を含む、方法も提供される。
【0341】
がんを有する対象に投与されるがん療法の有効性を判定する方法であって、
第1の量の、本明細書で定義されるコンジュゲート又は本明細書で定義される薬学的組成物を対象に投与することと、
対象の身体又はその一部に対して第1の画像化ステップを行うことと、
対象にがん療法を投与することと、
続いて、第2の量の、本明細書で定義されるコンジュゲート又は本明細書で定義される薬学的組成物を対象に投与することと、
対象の身体又はその一部に対して第2の画像化ステップを行うことと、
第1及び第2の画像化結果に基づいて、がん療法の有効性を判定することと、を含む、方法も提供される。
【0342】
また、対象におけるがんの診断に使用するため、がんを有する対象に対する適切な療法を判定するのに使用するため、対象に投与されるがん療法の有効性を判定するのに使用するため、対象におけるがんの進行を判定するのに使用するため、又はがんの治療に使用するための、本明細書で定義されるコンジュゲート、又は当該コンジュゲートを含有する薬学的組成物も提供される。
【0343】
また、がんの診断のための医薬品の製造において、がんを有する対象に対する適切な療法を判定するため、対象に投与されるがん療法の有効性を判定するため、対象におけるがんの進行を判定するため、又はがんの治療のための、本明細書で定義されるコンジュゲート、又は当該コンジュゲートを含有する薬学的組成物も提供される。
【0344】
がんは、例えば、コンジュゲートの治療用途に関連して上述したがんのいずれかであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍である。がんは、原発性又は転移性腫瘍であり得る。いくつかの実施形態では、がんは、原発性腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、転移性腫瘍である。
【0345】
いくつかの実施形態では、がんは、HER2(ERBB2とも呼ばれる)の異常又は過剰発現を特徴とする。このようなHER2の異常発現又は過剰発現は、例えば、乳がん、精巣がん、卵巣がん、胃がん(stomach cancer)、肺腺がん、胃がん(gastric cancer)、膵がん、唾液管がん、食道がん、及び子宮がん(例えば、子宮体重症子宮内膜がん)などで生じることが知られている。
【0346】
いくつかの実施形態では、がんは、前立腺がん、脳がん、乳がん、精巣がん、卵巣がん、胃がん(stomach cancer)、肺腺がん、胃がん(gastric cancer)、膵臓がん、唾液管がん、食道がん、子宮がん(例えば、子宮体重症子宮内膜がん)からなる群から選択される。
【0347】
いくつかの実施形態では、がんは、大腸がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、及び乳がんからなる群から選択される。
【0348】
上記の方法及び使用において、診断的使用に十分な量のコンジュゲート又は組成物を投与するための任意の好適な手段を利用してもよい。例えば、コンジュゲート又は組成物は、対象に対して静脈内に投与され得る。
【0349】
放射性核種を含有する試料、又は放射性核種が投与された対象を画像化するための、及び結果を分析するための好適な技術は、当業者に既知であり、上記の方法及び使用に使用され得る。
【0350】
放射性核種ベースの画像化法、特にPET(陽電子放出断層撮影)は、それらの高感度(ピコモルレベル)及び無制限の組織浸透により、診断及び治療用途の両方に対して活性な領域であり続けている。いくつかの実施形態では、PET画像化が使用される。いくつかの実施形態では、PET-MRI、SPECT、SPECT-CT、CT、シントグラフィー(scintography)、又はPET-CT画像化が使用される。
【0351】
典型的には、画像化及び診断目的で使用される場合、コンジュゲートを投与し、次いで、対象、又は対象の関連部分を、好適な期間後に画像化する。投与ステップと画像化ステップとの間の期間は、標的化剤の性質を含む態様に依存し得る。例えば、小分子標的化剤が使用されるいくつかの場合では、投与後2時間以内、1時間以内、又は30分以内に対象を画像化することが有益であり得る。更なる例として、抗体標的化剤が使用される場合、又はデンダイマー(dendimer)が大きい場合、例えば、G4又はG5である場合、投与後、画像化を行う前に追加の時間、例えば、1、2、3、4、5、6、又は7日間の期間を経過させることが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、コンジュゲートを投与し、約24時間後、又は約48時間後に画像化を行う。
【0352】
いくつかの実施形態では、診断及び画像化に使用されるコンジュゲートは、2世代又は3世代の構成ユニットを有するコンジュゲートである。
【0353】
本コンジュゲート及びそれらを含む組成物は、目的の標的(例えば、腫瘍組織)に対して良好な選択性を有する。選択性を更に向上させ、腎臓又は肝臓などの他の組織又は臓器に存在するコンジュゲートのレベルを低減させるために、診断及び治療方法は、投与レジメンの一部として追加のステップを含み得る。
【0354】
例えば、腎臓の放射性剤への曝露に関連する腎毒性の可能性を減少させる薬剤の事前投与又は同時投与を行ってもよい。本発明で提供する治療方法及び診断方法のいくつかの実施形態では、コンジュゲート又は当該コンジュゲートを提供する薬学的組成物は、腎毒性の可能性を低減する薬剤と組み合わせて投与される。
【0355】
そのような薬剤の例としては、アミノ酸、例えば、リジン及び/又はアルギニンなどの塩基性アミノ酸が挙げられる。一例では、1.5~2.2Lの溶液当たり18~24gのL-リジン及び18~24gのL-アルギニンを含有する水溶液を使用する。このような溶液は、例えば、1200mOsmol未満、又は1100mOsmol未満、又は1060mOsmol未満のオスモル濃度を有してもよい。好適な薬剤の更なる例としては、スクシニル化ゼラチンが挙げられる(4%w/v溶液は、Hausmann Laboratories Ltdによって商品名Gelofusineとして販売されている)。このような薬剤の更なる例としては、フロセミド(Lasixというブランド名で販売)、及びスピロノラクトン(Aldactoneというブランド名で販売)が挙げられる。
【0356】
いくつかの実施形態では、リジン又はアルギニンなどのアミノ酸の事前投与又は同時投与を利用してもよい。したがって、本明細書で提供する治療及び診断方法のいくつかの実施形態では、コンジュゲート又は当該コンジュゲートを提供する薬学的組成物は、アミノ酸、例えば、リジン、又はアルギニンと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、アミノ酸(例えば、リジン、アルギニン)は、コンジュゲート又は当該コンジュゲートを含有する組成物の投与前に投与される。いくつかの実施形態では、アミノ酸(例えば、リジン、アルギニン)は、コンジュゲート又は当該コンジュゲートを含有する組成物と同時に投与される。
【0357】
いくつかの実施形態では、スクシニル化ゼラチンは、コンジュゲート又は当該コンジュゲートを提供する薬学的組成物と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、スクシニル化ゼラチンは、コンジュゲート又は当該コンジュゲートを含有する組成物の投与前に投与される。
【0358】
いくつかの実施形態では、スクシニル化ゼラチンとアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン)との組み合わせは、コンジュゲートの投与の前に、又はそれと同時に投与される。
【0359】
いくつかの実施形態では、フロセミドは、コンジュゲートの投与の前に、又はそれと同時に投与される。
【0360】
いくつかの実施形態では、スピロノラクトンは、コンジュゲートの投与の前に、又はそれと同時に投与される。
【0361】
薬剤(例えば、リジン、アルギニンなどのアミノ酸)は、典型的には、薬学的組成物、例えば、水性組成物の形態で投与される。薬剤は、例えば、注射又は注入によって、静脈内投与されてもよい。
【0362】
放射性核種の存在を必要とする診断、治療、画像化、及び他の目的に好適なコンジュゲートは、最終使用が、本質的には治療的ではなく、むしろ診断的又は他の方法で画像化で使用され得るにもかかわらず、本明細書に記載の治療用コンジュゲートであることが理解されるであろう。
【0363】
治療用コンジュゲートの調製
放射性材料は有害物質であり、そのような材料を使用した取り扱いステップは、理想的には最小限に抑えられる。放射性核種成分をコンジュゲートに導入するのは、後期段階、理想的には、コンジュゲートの使用の直前の時点に限ることが望ましい。
【0364】
したがって、本明細書で定義される治療用コンジュゲートを生成するためのプロセスであって、
上記で定義した好適なデンドリマー-標的化剤コンジュゲートを放射性核種と接触させ、それにより治療用コンジュゲートを生成することを含み、デンドリマー-標的化剤複合体又はその塩が、
a)デンドリマーであって、
i)コアユニット(C)、及び
ii)構成ユニット(BU)を含み、
デンドリマーが、2~6世代の構成ユニットを有し、コアユニットが、少なくとも2つの構成ユニットに共有結合により付着している、デンドリマーと、
b)スペーサー基によりデンドリマーに共有結合により連結している、標的化剤と、
c)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第1の末端基であって、第1の末端基が、放射性核種を錯体化するための錯体化基を含む、第1の末端基と、
d)デンドリマーの最も外側の構成ユニットに付着している1つ以上の第2の末端基であって、第2の末端基が、薬物動態修飾部分を含む、第2の末端基と、を含む、
プロセスも提供される。
【0365】
また、上記で定義した治療用コンジュゲートを生成するためのキットであって、a)上記で定義したデンドリマー-標的化剤コンジュゲートと、b)放射性核種と、を含む、キットも提供する。
【0366】
コンジュゲートに関する、例えば、コアユニット(C)、構成ユニット(BU)、末端基、標的化剤、又はデンドリマーに関する、本明細書に記載の任意の1つ以上の様々な実施形態又は実施例も、中間体のために提供され得ることが理解されるであろう。同様に、コンジュゲートに関連して上述した放射性核種のいずれかを、コンジュゲートを生成するためのプロセスで使用してもよい。
【0367】
デンドリマー-標的化剤コンジュゲート及び放射性核種から治療用コンジュゲートを生成する任意の好適な手段を利用してもよい。例えば、デンドリマー-標的化剤コンジュゲート及び放射性核種(例えば、金属塩の形態)を、好適な溶媒、好適には患者への投与に好適な溶媒中に混合してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、水性溶媒を使用してもよい。
【0368】
いくつかの実施形態では、水溶液中の放射性核種(例えば、Zr89シュウ酸塩)の好適な塩形態を、好適な緩衝液(例えば、HEPES)中のデンドリマー-標的化剤コンジュゲート又は中間体の溶液と混合してもよい。中間体と放射性核種塩との任意の好適なモル比、例えば、少なくとも25:1、少なくとも50:1、又は約100:1を使用してもよい。必要に応じて、非結合放射性核種から分離するための精製を行ってもよい。所望であれば、溶液は、投与前に交換してもよく、例えば、リン酸緩衝生理食塩水への緩衝液交換を行ってもよい。
【0369】
他の金属イオン種が存在する場合(例えば、中間体がかなりのレベルのキレート金属を含有する場合)、これらは、放射性核種で標識する前に必要に応じて除去され得る。例えば、鉄汚染物質は、放射性核種による標識の前に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)による処理によって除去され得る。
【0370】
デンドリマー-標的化剤コンジュゲート又は中間体の標識は、例えば、Verel et al,J.Nucl.Med.,2003,44(8),p1271-1281に記載の手順に従って行ってもよい。
【0371】
上述のキット、中間体、及びプロセスは、投与の直前に中間体の放射標識及び診療所におけるコンジュゲートの生成を可能にすることによって、診療所における薬学的組成物の効果的な調製を提供するために使用することができる。
【0372】
本開示の広範な一般的範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に多数の変形及び/又は改変がなされ得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で、例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【実施例】
【0373】
本明細書では、デンドリマーコンジュゲートの合成に関連して、以下の命名法を使用している。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表3-1】
【表3-2】
【0374】
分取HPLC
溶媒A(水、ギ酸を含む水、又はTFAを含む水)及び溶媒B(アセトニトリル、又はギ酸若しくはTFAを含むアセトニトリル)からなる二成分溶媒系を使用して、Waters XBridge(商標)BEH300 Prep C185μm OBD(商標)30×150mmカラムを使用したGilson HPLCシステム上で、分取HPLCを実行した。ピークは、波長214nm、243nm又は254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0375】
分取HPLC法
分取HPLC法 5~60%TFA:溶媒A、水中0.05%TFA(v/v);溶媒B、MeCN中0.05%TFA(v/v);流量:8.0mL/分;勾配: 0~5分、5%B;5~35分、5~60%、35~47分、60%B;47~50分、60~5%B;50~60分、5%。ピークは、波長214及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0376】
分取HPLC法 30~50%TFA:溶媒A、水中0.05%TFA(v/v);溶媒B、MeCN中0.05%TFA(v/v);流速:8.0mL/分;勾配: 0~5分、30%B;5~35分、30~50%、35~47分、50%B;47~50分、50~30%B、50~60分、30%。ピークは、波長214及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0377】
分取HPLC法 40~70%TFA:溶媒A、水中0.05%TFA(v/v);溶媒B、MeCN中0.05%TFA(v/v);流速:8.0mL/分;勾配: 0~5分、40%B;5~35分、40~70%、35~47分、70%B;47~50分、70~40%B;50~60分、40%。ピークは、波長214及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0378】
分取HPLC法 20~60、TFA:溶媒A、水中0.05%TFA(v/v);溶媒B、MeCN中0.05%TFA(v/v);流速:8.0mL/分;勾配: 0~5分、20%B;5~35分、20~60%、35~40分、60~100%B;40~47分、100%B;47~50分、100~10%B;50~60分、10%。ピークは、波長214及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0379】
分取HPLC法 20~60:溶媒A、水;溶媒B、MeCN;流量:8.0mL/分;勾配: 0~7分、20%B;7~37分、20~60%、37~47分、60%B;47~54分、60~20%B;54~60分、20%。λ=214nm及び254nm。
【0380】
分取HPLC法 20~60(2):溶媒A、水;溶媒B、MeCN;流量:8.0mL/分;勾配: 0~5分、20%B;5~55分、20~60%、55~60分、60~20%B。λ=214nm及び254nmでの検出。
【0381】
分取HPLC法 20~90、TFA:溶媒A、水中0.05%TFA(v/v);溶媒B、MeCN中0.05%TFA(v/v);流量:8.0mL/分;勾配: 0~6分、20%B;6~40分、20~90%、40~47分、90%B;47~51分、90~20%B;51~60分、20%B。ピークは、波長214及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0382】
分取HPLC法 30~90、TFA:溶媒A、水中0.05%TFA(v/v);溶媒B、MeCN中0.05%TFA(v/v);流量:8.0mL/分;勾配: 0~5分、30%B;5~40分、30~90%、40~45分、90%B;45~50分、90~30%B;50~60分、30%B。ピークは、波長214及び254nmdで、UV検出器を使用して検出した。
【0383】
分取HPLC法 5~60:溶媒A、水;溶媒B、MeCN;流量:8.0mL/分;勾配: 0~5分、5%B;5~42分、5~60%、42~49.5分、60~80%B;49.5~55分、80%、55~57分、80~5%B;、57~60分、5%。ピークは、波長214及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0384】
分取HPLC法 5~60(2):溶媒A、水;溶媒B、MeCN;流量:8.0mL/分;勾配: 0~9分、5%B;9~38分、5~60%、38~48分、60%B;48~54分、60~5%B;54~60分、5%B。ピークは、波長214及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0385】
分取HPLC法 40~60:溶媒A、水;溶媒B、MeCN;流量:8.0mL/分;勾配: 0~9分、40%B;9~37分、40~60%、37~47.5分、60%B;47.5~54分、60~40%B;54~60分、40%B。ピークは、波長214及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0386】
分取HPLC法 20~40:溶媒A、水;溶媒B、MeCN;流量:8.0mL/分;勾配: 0~10分、20%B;10~38分、20~40%、38~47.5分、40%B;47.5~54分、40~20%B;54~60分、20%。λ=214nm及び254nmでの検出
【0387】
自動フラッシュクロマトグラフィー:
通常相又は逆相シリカカートリッジを使用したBiotage(登録商標)Selekt5自動フラッシュクロマトグラフィーシステム上で、自動フラッシュ精製を実行した。
【0388】
自動フラッシュクロマトグラフィー法
オートフラッシュ法1: カートリッジ=Biotage Sfar C18 D(Duo100 A30μm)12gカートリッジ;溶媒A、水;溶媒B、メタノール;流量: 12mL/分;勾配: 0~3CV、10%B;3~5CV、10~60%B;5~9.8CV、60~74%B;9.8~11.4CV、74%B;11.4~13.6CV、74~80%B;13.6~15.6CV、80~100%B;15.6~20.6CV、100%B;20.6~21.6CV、100~10%B、及び21.6~24.6CV、10%B。λ=214nm及び254nm及びλall198~810nmでの検出。
【0389】
オートフラッシュ法2: カートリッジ=Biotage Sfar C18 D(Duo100 A30μm)12gカートリッジ;溶媒A、水;溶媒B、メタノール;流量: 12mL/分;勾配: 0~3CV、5%B;3~4CV、5~30%B;4~14CV、30~100%B、及び14~19CV、100%B。λ=214nm及び254nm及びλall198~810nmでの検出。
【0390】
分析LCMS
溶媒A(水)、溶媒B(アセトニトリル)及び溶媒C[1%v/vのギ酸水溶液(ギ酸緩衝液)の10%又は1%v/vのTFA(TFA緩衝液)の10%]からなる三元溶媒系を使用して、Waters XBridge(商標)3.5μm 3×100mm C8カラム又はPhenomenex Kinetex(登録商標)2.6μm 2.1×75mm C18カラムを使用したWaters 2996ダイオードアレイ検出器を備えたWaters 2795HPLCで、LCMSを記録した。流量は、典型的には0.4mL/分であり、注入量は、典型的には5~10μLであった。ピークは、λ=214nm、243nm又は254nmで、UV検出器を使用して検出した(特に明記しない限り)。
【0391】
MS-Waters ZQ4000(ESIプローブ付き)、インレットフローは、MSに約50μL/分となるように分岐。質量分析データは、示されているとおり、ポジティブ又はネガティブ・エレクトロスプレー・イオン化モードで得た。生データは、Waters Corporationにより提供されたMassLynxソフトウェアv4.0に実装されているMaximum Entropyアルゴリズム(MaxEnt)を用いてデコンボリューションを行った。実験の詳細で報告されているデータは、理論上のゼロ電荷状態にデコンボリューションした後の観測値に対応する。
【0392】
LCMS法
LCMS法(親水性(philic)TFA/ギ酸緩衝液):その勾配は、0~1分、5%B;1~10分、5~60%B;10~11分、60%B;11~13分、60~5%B;13~15分、5%Bであった。
【0393】
LCMS法(疎水性(phobic)TFA/ギ酸緩衝液):その勾配は、0~1分、40%B;1~7分、40~90%B;7~9分、90%B;9~11分、90~40%B;11~15分、40%Bであった。
【0394】
LCMS法 40~65、TFA緩衝液:その勾配は、0~1分、40%B;1~10分、40~65%B;10~11分、65%B;11~12分、60~45%B;12~15分、45%Bであった。
【0395】
LCMS法(20~90、15分):その勾配は、0~1分、20%B;1~9分、20~90%B;9~11分、90%B;11~13分、90~20%B;13~15分、20%B(0.1%HCOOH酸を含む)であった。
【0396】
LCMS法 5~60、8分、TFA:勾配は、0~1分、5%B;1~5分、5~60%B;5~6分、60%B;6~6.1分、60~5%B;6.1~8分、5%Bであった。
【0397】
LCMS法 20~90、8分、TFA:勾配は、0~0.5分、5%B;0.5~1分、5~20%B;1~5分、20~90%B;5~6分、90%B;6~6.1分、90~5%B;6.1~8分、5%Bであった。
【0398】
LCMS法 40~90、8分、TFA:勾配は、0~0.5分、5%B;0.5~1分、5~40%B;1~5分、40~90%B;5~6分、90%B;6~6.1分、90~5%B;6.1~8分、5%Bであった。
【0399】
LCMS法 20~60、8分、TFA:勾配は、0~0.5分、5%B;0.5~1分、5~20%B;1~5分、20~60%B;5~6分、60%B;6~6.1分、60~5%B;6.1~8分、5%Bであった。
【0400】
LCMS法 60~90、8分、TFA:勾配は、0~0.5分、5%B;0.5~1分、5~60%B;1~5分、60~90%B;5~6分、90%B;6~6.1分、90~5%B;6.1~8分、5%Bであった。
【0401】
LCMS法 40~60、8分、TFA:勾配は、0~0.5分、5%B;0.5~1分、5~40%B;1~5分、40~60%B;5~6分、60%B;6~6.1分、60~5%B;6.1~8分、5%Bであった。
【0402】
LCMS法 5~80、8分、TFA:勾配は、0~1分、5%B;1~5分、5~80%B;5~6分、80%B;6~6.1分、80~5%B;6.1~8分、5%Bであった。
【0403】
LCMS法 5~80、15分、TFA:勾配は、0~1分、5%B;1~10分、5~80%B;10~11分、80%B;11~13分、80~5%B;13~15分、5%B;0.1%TFAであった。
【0404】
分析HPLC
Waters XBridge(商標)C8 3.5μm 3×100mmカラム又はPhenomenex Kinetex(登録商標)2.6μm 2.1×75mm C18カラムを使用した2996PDA検出器を備えたWaters 2695分離モジュールで、HPLCデータを記録した。計器制御ソフトウェアは、Waters Empower3であった。使用した3つの移動相は、a)1%v/v TFA緩衝液又は1%v/vギ酸緩衝液又は100mMギ酸アンモニウム、b)水、及びc)アセトニトリルであった。流量は、典型的には0.4mL/分であり、注入量は、典型的には5~10μLであった。ピークは、λ=214nm、243nm又は254nmで、UV検出器を使用して検出した(特に明記しない限り)。
【0405】
HPLC法
HPLC法 5~80、15分、ギ酸塩/TFA:勾配は、0.40mL/分の流量で、0~1分、5%B、1~7分、5~80%B、7~12分、80%B、12~13分、80~5%B、13~15分、5%Bであった。ピークは、波長214、243及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0406】
HPLC-法 5~80、8分、TFA:その勾配は、0.40mL/分の流量で、0~0.5分、5%B;0.5~3.5分、5~80%B;3.5~6分、80%B;6~6.5分、80~5%B;6.5~8分、5%Bであった。ピークは、波長214、243及び254nmで、UV検出器を使用して検出した。
【0407】
HPLC-親水法、ギ酸塩/TFA緩衝液、15分:その勾配は、0~1分、5%B;1~10分、5~60%B;10~11分、60%B;11~13分、60~5%B;13~15分、5%Bであった。
【0408】
分析UPLC-ToF(超高圧液体クロマトグラフィー-タイム・オブ・フライト)
UPLC-ToFデータを、Waters Aquity PDA検出器及びWaters LCT Premiere(ToF)質量分析計を備えたWaters Aquity UPLCバイナリ分離モジュールで記録した。使用されたカラムは、Phenomenex Kinetex EVO C18 2.6μm 2.1×100mmカラムであった。計器制御ソフトウェアは、Waters Masslynx Version4.1であった。使用した2つの移動相は、a)水中0.01%v/v TFA、及びb)アセトニトリル中0.01%v/v TFAであった。流量は、典型的には0.2mL/分又は0.4mL/分であり、注入量は、典型的には2~5μLであった。ピークは、200nm~400nm以内で検出された(特に明記しない限り)。
【0409】
UPLC-ToF法
方法1:勾配は、15~35%MeCN/H2O(1~9分)、35%MeCN/H2O(9~11分)、35~15%MeCN/H2O(11~12分)、15%MeCN/H2O(12~15分)、0.01%TFA緩衝液)であり、254nmでのUV検出であった。
方法2:勾配は、20~80%MeCN/H2O(1~10分)、80%MeCN/H2O(10~11分)、80~20%MeCN/H2O(11~13分)、20%MeCN/H2O(13~15分)、0.01%TFA緩衝液)であり、254nmでのUV検出であった。
【0410】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
メタノール又はアセトニトリルを溶出剤として、約50~60滴/分の流量で重力下でSephadex(商標)LH-20カラム上でサイズ排除クロマトグラフィーを実行した。各画分サイズは、400~600滴で構成されていた。PEG化化合物を含有する画分を、TLCにより検出[TLCプレートを、5%(w/v)BaCl2水溶液、続いてエタノール中のI2溶液中で展開]したか、又はHPLCにより分析した。
【0411】
タンジェント流ろ過
タンジェント流ろ過は、水を溶出培地として使用する50cm2 Pellicon(登録商標)XLカセットUltracel(登録商標)再生セルロース膜、又は水若しくはアセトニトリルを溶出培地として使用するUltracel(登録商標)再生セルロース膜を備えた0.11m2 Pellicon(登録商標)3 Cassetteのいずれかで行った。
【0412】
遠心限外ろ過
指定された分子量カットオフ(MWCO)Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心分離フィルタを使用して、Eppendorf遠心分離器5810R上で4000rpm、又は5415R上で14000rpmで行った。
【0413】
NMR
NMRスペクトルを、CD3OD、CDCl3、D2O、CD3CNで記録したか、又はそうでなければBruker(Bruker Daltonics Inc.、NSW,Australia)300 UltraShield(商標)300MHz NMR器具で記載した。
【0414】
IR
IRスペクトルを、16回のスキャンを使用してCary 630 FTIR Agilent TechnologiesダイヤモンドATRアクセサリーで記録した。
【0415】
一般手順:
カルボキシ反応性デンドリマー骨格の調製は、以前に記載されており、特に、WO2008/017125を参照されたい。当業者であれば、これらの方法を適合させて、本明細書に概説されている様々なデンドリマーを調製することができる。以下の例では、式中の[Lys]は、デンドリマーの表面層にあるリジン構成ユニットを指す。
【0416】
一般手順A.Boc脱保護
氷冷して撹拌したBoc化合物(1.0当量)/水懸濁液に、TFA(40~200当量/Boc基)を加えた。5分後、氷浴を取り除き、反応混合物を室温で一晩撹拌させた。揮発性物質を真空除去し、残った水溶液を更に水で希釈して、凍結乾燥し、定量的な収率で脱保護された生成物を得た。
【0417】
一般手順B.デンドリマー表面へのリジン層の付加。
窒素雰囲気下においてTFAデンドリマー(1.0当量)/DMF撹拌溶液に、TEA(6.0当量/NH2)を加え、次いでDBL-ONp(2.0当量/NH2)を加えた。続いて得られた反応混合物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発性物質を真空除去し、得られた粗物質を標準方法を用いて精製した。
【0418】
一般手順C.HO-Lys[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG1100)]ウェッジを用いたデンドリマー表面のPEG化。
窒素雰囲気下においてTFAデンドリマー(1.0当量)/DMF撹拌溶液に、PyBOP(2.0当量/NH2)及びDIPEA(8.0当量/NH2)を加えた。10分後、HO-Lys[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG1100)](1.35当量/NH2)/DMF溶液を加え、続いて得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。揮発性物質を真空除去し、得られた粗物質を標準方法を用いて精製した。
【0419】
一般手順D.HO-Lys[(α-NHBoc)(ε-NHFmoc)]ウェッジによるデンドリマー表面をキャッピング、その後のFmoc脱保護。
ステップ1:DMF中のHO-Lys[(α-NHBoc)(ε-NHFmoc)](1.5当量/NH2)及びNMM(2.5当量/NH2)の撹拌溶液に、PyBOP(1.4当量/NH2)を加えた。その後、得られた反応混合物を室温で15分間撹拌し、TFA-デンドリマー(1.0当量)及びNMM(2.5当量/NH2)/DMF溶液を加えた。続いて得られた反応混合物を室温で1時間撹拌させて放置した後、氷冷MeCNにゆっくりと加え、15分間撹拌した。得られた固体をろ過により回収し、MeCNで洗浄(3回)後、凍結乾燥した。
【0420】
ステップ2:Fmoc/Bocデンドリマー(1.0当量)を含むDMF溶液に、ピペリジン(21当量/Fmoc)を加えた。この溶液を室温で90分間撹拌後、氷冷Et2Oにゆっくりと加えた。15分後、析出固体をろ過により回収し、Et2Oで洗浄し、H2Oに溶解して凍結保存した。
【0421】
一般手順E.Glu-vc-PAB-MMAE又はDGA-MMAF(OMe)によるデンドリマー表面のキャッピング
アジド-PEG24CO-[N(PN)2[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)(ε-NH-COPEG570/1100/2000]8化合物10、化合物14又は化合物16(1.0当量)を、DMF及びNMM(5.0当量/NH2)の混合物中に室温で溶解させた。この溶液を、HO-Glu-vc-PAB-MMAE(Levena Biopharma)又はDGA-MMAF(OMe)(Concortis Biosystems)(1.2当量/NH2)及びPyBOP(2.0当量/NH2)に加え、室温で放置した。得られた粗材料をSECにより精製した。
【0422】
一般手順F.MMAE/MMAFデンドリマーへのアフィボディのコンジュゲーション
ステップ1:アフィボディタンパク質(HER2、アフィボディ AB、1.0mg/mL PBS)の溶液をTCEP(50mM、39.0当量)で処理し、反応混合物を650rpmで2時間、室温で振とうさせた。得られた溶液をSECにより精製した。
【0423】
ステップ2:回収した透過液を、DMSO中の((1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イル)メチル(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エチル)カルバメート(Mal-BCN)(化合物117)(20.0当量)の溶液で処理した。続いて得られた反応混合物を650rpmで2時間、室温で振とうさせた。得られた溶液をSECにより精製した。
【0424】
ステップ3:アフィボディ-BCN溶液を、アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-vc-PAB-MMAE)(ε-NH-COPEG570/1100/2000)]8化合物64、化合物65、化合物66(PBS中240μm)又はアジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHDGA-MMAF(OMe))(ε-NH-COPEG1100)]8化合物67(PBS中365μm)(1.3当量のアフィボディ-BCN/デンドリマー)の溶液で処理した。続いて得られた混合物を、室温で一晩、650rpmで振とうさせた後、DBCOアガロース(5.0当量/デンドリマー)の9.38mM(30%EtOH/水)溶液で処理した。続いて得られた懸濁液を1200rpmで室温で一晩振とうした。この懸濁液をSECより精製した。
【0425】
一般手順G.MMAEデンドリマーへのナノボディのコンジュゲーション
ステップ1:リンカー(1mg)を20:80(DMSO/10mM PBS、1mL)に溶解して、リンカー(BCN-PEG2NH-Glu-NHPEG24CO-NHPEG3-TCO化合物50又はDBCO-Glu-NHPEG24CO-NHPEG3-TCO)化合物51の溶液を調製した。
【0426】
ステップ2:TCO-リンカー溶液(1当量)を、PBS(1)中のテトラジン官能化デンドリマー(1.0当量、8mg/mL)の溶液に加えた。反応混合物を室温で30分間放置した。反応の完了は、ピンクのテトラジン色の消失によって示された。この反応をHPLCによってモニターした。
【0427】
ステップ3:反応が完了したら、内容物をPBSで希釈した(最終的に0.5mLになるように)。BCN/DBCO-MMAE-デンドリマー(1.0当量)の一部を、ナノボディ-N3(1.0当量、9.2mg/ml)トリス緩衝液(20mM、1mL)の溶液に加えた。得られた溶液を、室温で7時間、その後4℃で一晩放置した。ナノボディ-デンドリマー構築物の精製は、陰イオン交換クロマトグラフィー及びその後のSECによって行った。
【0428】
一般手順H.N3-PEG570/1100-NHSエステルによるデンドリマー表面のキャッピング、その後のBoc基の除去
ステップ1:BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH2)32](参照1、WO2007/082331A1、J.Controlled Release 2011,152,241-248)及びDIPEA(2.0当量/NH2)の撹拌DMF溶液に、N3-PEG570/1100-NHSエステル(1.5当量/NH2)、又はN3-PEG570/1100-酸(1.3当量/NH2)及びPyBOP(1.3当量/NH2)のDMF溶液を加えた。続いて得られた反応混合物を室温で15時間撹拌した。脱イオン水を反応混合物に加え、得られた溶液をろ過した(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)。ろ液を、水を循環媒体として使用して、10kDa再生セルロースPellicone膜を通して、透過液として20透析ろ過体積(DV)が収集されるまで、限外ろ過した。残留物を収集し、ラインウォッシングとともにプールし、凍結乾燥した。
【0429】
ステップ2:アジドデンドリマー(1.0当量)のDCM溶液に、トリフルオロ酢酸(321当量/NHBoc)(TFA/DCM 1:1v/v)を加えた。溶液を室温で15時間撹拌し、揮発分を真空除去した。
【0430】
一般手順I.デンドリマーへのシアニン5のコンジュゲーション、その後のアセチル化
ステップ1:BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NH-COPEG570/1100N3)32]化合物32及び化合物33並びにDIPEA(4.0当量/NH2)の撹拌DMF溶液中に、シアニン5-NHSエステル(2.0当量)を加えた。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。揮発分を真空除去し、残渣をステップ2で更に精製せずに使用した。
【0431】
ステップ2:ステップ1で得られた乾燥残渣の撹拌ピリジン(1mL)溶液に、無水酢酸(2mL)を加えた。反応混合物を周囲温度で15時間撹拌した。揮発分を真空除去し、残渣を溶出液としてメタノールを使用してSEC(Sephadex LH-20)により精製した。
【0432】
一般手順J.DUPA-BCNとアジドデンドリマーとのクリック反応
アセトニトリル及び水(1:1)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCy5)1(α-NHAc)31(ε-NH-COPEG570/1100N3)32]化合物34及び化合物35の撹拌溶液に、DUPA-BCN(19)を加えた。反応混合物を周囲温度で15時間撹拌した。反応混合物を凍結乾燥し、凍結乾燥後に得られた残渣を、溶出液としてメタノールを使用してSEC(LH-20)により精製するか、10KDa MWCO Pellicone再生セルロースTFF膜上で水を使用して限外ろ過した。
【0433】
一般手順K.DOTAデンドリマーとナノボディ-Cys SRS-13とのコンジュゲーション
ステップ1:ナノボディ二量体の還元:ナノボディ-Cys二量体(3.33mg/mL、10mM PBS、pH7.4;1当量)の溶液に、0.5M TCEP水溶液(10当量)を加えた。反応混合物を37℃で2時間インキュベートした。過剰のTCEPを、10kDaのMWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を用いたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタによって反応混合物から除去し、4000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を、pH7.4のPBS、緩衝液(×5)で、4000rpmで遠心分離して洗浄し、得られた残留物を、pH7.2のPBS緩衝液(PBS 10mM;EDTA 5mM;窒素で脱気)で交換した。
【0434】
ステップ2:ナノボディ-Cys/Me(MAL)-PEG24-CONH-PEG3-TCO SRS-14の合成。還元されたナノボディ(ステップ1、3.16mg/mL)の水性PBS pH7.2緩衝液(10mM PBS、5mM EDTA)溶液に、Me(MAL)-PEG24-CONH-PEG3-TCO SRS-12(2当量;10mg/mL)の脱イオン水溶液を加えた。得られた溶液を4℃で放置し、UPLC分析により反応を監視した。(UPLC法2)。18時間後、10kDaのMWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタを使用して、過剰なリンカーSRS-12を反応混合物から除去し、4000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を、水性PBS緩衝液(pH7.2)(10mM PBS、5mM EDTA)で、遠心分離により、4000rpm(×5)で洗浄した。
【0435】
ステップ3:コンジュゲーション反応:テトラジン置換デンドリマー(10mg/mL;1当量)の脱イオン水溶液を、ナノボディ-Cys/Me(MAL)-PEG24-CONH-PEG3-TCO SRS-14(1.2当量)の溶液に室温で加えた。18時間後、ナノボディ-デンドリマー構築物をニッケル親和性カラムクロマトグラフィー及びその後のSECによって精製した。
【0436】
一般手順L.Cy5標識デンドリマー-ナノボディコンジュゲートの定量
精製したコンジュゲートの定量は、対応する非コンジュゲートデンドリマーを使用して作製した標準曲線に対して、測定した試料の650nm吸光度を補間することによって実行した。吸光度測定は、Nanodrop ND-1000分光光度計(Thermo Fisher)上で実行した。各デンドリマー-ナノボディコンジュゲートについて、デジタルマイクロバランス(Mettler-Toledo)で計量した乾燥非コンジュゲートデンドリマーの量を、適切な体積の10mM HEPES pH8緩衝液中に溶解した。既知の濃度10mg/ml~0.05mg/mlの標準溶液を、10mM HEPES pH8緩衝液中で希釈することによって調製し、その吸光度を650nmで測定した。線形回帰によって生成された標準曲線及び補間は、Prism9ソフトウェア(Graphpad)を用いて実行した。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【表6-8】
【表6-9】
【0437】
実施例1:中間体及び対照の合成
1a.二官能性リンカー及びリジンウェッジの合成
1a.1 BCN-PEG2-Glu-CO-NHPEG24CO2H、化合物49
水/THF(1:1、4mL)混合物中のNH2-PEG24-COOH(93.7mg、0.082mmol)の溶液に、炭酸水素ナトリウム(15.2mg、0.181mmol)を加えた。混合物を室温で5分間撹拌した後、THF(2mL)中のBCN-PEG2-Glu-NHSエステル(50mg、0.093mmol)溶液を加えた。得られた反応混合物を室温で15時間撹拌した。その後、揮発分を減圧除去し、得られた水性懸濁液にMeCN(2.5mL)を加えた。この溶液を分取HPLC(分取HPLC法 5~60%TFA)によりRt32.2~34.3分間精製して、凍結乾燥後、化合物49を白色固体として得た(42mg、33%)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):0.85-0.92(m,2H);1.25-1.35(m,1H);1.43-1.57(m,2H);1.73-1.83(m,2H);2.09-2.25(m,9H);2.39(t,J=9.0Hz,2H);3.21-3.31(m,6H);3.35-3.85(m,106H);4.10(d,J=9.0Hz,2H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=10.28分、ESI MS(+ve)m/z 1566.7[M]+。
【0438】
1a.2 BCN-PEG2-Glu-CO-NHPEG24CO-NHPEG3-TCO、化合物50
DMF(3.0mL)中のBCN-PEG2-Glu-CO-NHPEG24-COOH、化合物49(10.0mg、0.006mmol)の撹拌溶液に、PyBOP(3.64mg、0.007mmol)、NMM(1.31μL、0.012mmol)、その後TCO-PEG3-NH2(Click Chemistry Tools、2.41mg、0.007mmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、溶媒を減圧除去し、得られた残渣をMeCN(2mL)に溶解し、0.45μmフィルタでろ過した。収集したろ液を分取HPLC(分取HPLC法 30~50%TFA)Rt=40~42分で精製し、生成物含有画分を減圧濃縮してMeCNを除去した。残った水溶液を一晩凍結乾燥させて、化合物50を白色固体として得た(4.7mg、39%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 0.89-1.05(m,2H),1.26-1.48(m,2H),1.52-1.79(m,5H),1.83-2.06(m,6H),2.11-2.39(m,12H),2.48(t,2H,J=6.0Hz),3.35-3.44(m,6H),3.47-3.79(m,102H),3.83-3.92(m,1H),4.16(d,2H,J=6.0Hz),4.26-4.41(m,1H),4.58(bs,10H),5.39-5.74(m,3H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=11.0分。ESI MS(+ve)1894.0[M]+;C90H165N5O36[M]+に対するm/z計算値:1894.2
【0439】
1a.3 DBCO-Glu-NHPEG24CO-NHPEG3-TCO、化合物51
DMF(3mL)中のDBCO-Glu-NHPEG24COOTFP(50.0mg、0.031mmol)の撹拌溶液に、TCO-PEG3-NH2(Click Chemistry Tools、10.7mg、0.031mmol)を加え、その後NMM(4.08μL、0.037mmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を室温で3時間撹拌した後、減圧濃縮した。得られた残渣をMeCN(2mL)に溶解し、0.45μmフィルタでろ過し、ろ液を分取HPLC(分取HPLC法 40~70%TFA)によりRt=27~29分で精製した。生成物含有画分を減圧濃縮してMeCNを除去し、残った水溶液を一晩凍結乾燥させて、化合物51を粘性の無色の液体として得た(25.0mg、42%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.31-1.62(m,4H),1.60-1.83(m,6H),1.92-2.16(m,4H),2.25(t,2H,J=6.0Hz),2.91-3.03(m,4H),3.12-3.58(m,78H),3.59-3.69(m,1H),4.01-4.18(m,1H),4.92(d,2H,J=15H),5.15-5.49(m,3H),6.95-7.59(m,8H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=7.0分。ESI MS(+ve)1775.0.0[M]+;C88H148N4O32[M]+に対するm/z計算値:1775.12
【0440】
1a.4 N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NHBoc)(ε-NHFmoc)]、化合物SRS-3
DMF(5mL)中のN3-PEG7-NH2(QuantaBiodesign、514mg、1.30mmol)、HO-Lys[(α-NHBoc)(ε-NHFmoc)](488mg、1.04mmol)及びNMM(286μL、2.60mmol)の撹拌溶液に、PyBOP(811mg、1.56mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン:MeOH(100:0~90:10v/v)で溶出するシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、SRS-3を粘性の無色油(410mg、47%)として得た。LCMS(LCMS法 20~90、15分):Rt=9.35分、ESI MS(+ve)845[M+H]+;C42H64N6O12[M+H]+に対するm/z計算値=845;1H NMR(300MHz,MeOD)δ(ppm): 1.17-1.94(m,16H),3.12(t,2H,J=6.0Hz),3.33-3.44(m,4H),3.45-3.74(m,28H),3.89-4.65(m,1H),4.12(t,1H,J=9.0Hz),4.38(d,2H,J=6.0Hz),7.33(t,2H,J=9.0Hz),7.41(t,2H,J=9.0Hz),7.66(d,2H,J=6.0Hz),7.81(d,2H,J=9.0Hz)。
【0441】
1a.5N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NH2.HCl)(ε-NHFmoc)]、化合物SRS-3a
N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NHBoc)(ε-NHFmoc)](200mg、0.236mmol)化合物SRS-3を1.5M HClのメタノール(4mL)に溶解し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。揮発分を減圧除去し、N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NH2.HCl)(ε-NHFmoc)]SRS-3aを白色固体として得た(180mg、98%)。LCMS(LCMS法 20~90、15分):Rt=6.13分、ESI MS(+ve)745[M+H]+;C37H56N6O10[M+H]+に対するm/z計算値=745。
【0442】
1a.6 N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NHFmoc)]、化合物SRS-4
DMF(5mL)中のN3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NH2.HCl)(ε-NHFmoc)]SRS-3a(58mg、0.074mmol)及びNMM(16μL、0.148mmol)の撹拌溶液に、Cy5 NHSエステル(50mg、0.074mmol)を加えた。反応混合物を20時間、室温で撹拌し、揮発物を減圧下で除去した。残渣をMQ水:MeCN(2mL、1:1v/v)に溶解し、ろ過し(0.45μmアクロディスクフィルタ)、分取HPLCを使用して精製して、化合物SRS-4を青色固体として得た(30mg、33%)。HPLC:30%MeCN/H2O(1~10分)、30~90%MeCN/H2O(10~35分)、90%MeCN/H2O(35~48分)、90~30%MeCN/H2O(48~55分)、0.05%ギ酸緩衝液)の勾配を有するC18カラム、及び254nmでのUV検出。Rt=35~40分。LCMS(LCMS法 20~90、15分)Rt=8.20分、ESI MS(+ve)1210[M+H]+;C69H93N8O11[M+H]+に対するm/z計算値=1210。
【0443】
1a.7 N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH2)]、化合物SRS-4a
N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NHFmoc)]化合物SRS-4(30mg、0.024mmol)をDMF:ピペルジン(3.0mL、4:1v/v)に溶解させ、反応混合物を室温で撹拌した。18時間後、揮発物を減圧除去し、残渣を分取HPLCにより精製して、N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH2)]SRS-4aを青色固体として得た(18.0mg、75%)。HPLC:20%MeCN/H2O(1~10分)、20~60%MeCN/H2O(10~35分)、60%MeCN/H2O(35~48分)、60~20%MeCN/H2O(48~55分)、0.05%ギ酸緩衝液)の勾配を有するC18カラム、並びに214及び254nmでのUV検出。Rt=24~28分。LCMS(LCMS法 20~90、15分)Rt=4.91分、ESI MS(+ve)988[M+H]+;C54H83N8O9[M+H]+に対するm/z計算値=988。
【0444】
1a.8 N3-PEG7-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NHDOTA)]化合物SRS-5
DMF(4mL)中のアミンSRS-4a(18.0mg、0.018mmol)の撹拌溶液に、NMM(4μL、0.036mmol)及びDMSO(500μL)中のp-SCN-Bn-DOTA(13mg、0.018mmol)の溶液を加えた。18時間撹拌した後、揮発物を減圧除去し、残渣を分取HPLCにより精製して、SRS-5を青色固体として得た(9.0mg、32%)。HPLC:40%MeCN/H2O(1~10分)、40~80%MeCN/H2O(10~35分)、80%MeCN/H2O(35~48分)、80~40%MeCN/H2O(48~55分)、0.05%ギ酸緩衝液)の勾配を有するC18カラム、並びに214及び254nmでのUV検出。Rt=26~28分。LCMS(LCMS法 20~90、15分)Rt=3.95分、ESI MS(+ve)1538[M+H]+;C78H116N13O17S[M+H]+に対するm/z計算値=1538。
【0445】
1a.9 DFO-PEG4-スルホ-DBCO、化合物55
デフェロキサミン-SCN(22.3mg、29.7mmol)及びスルホ-PEG3-DBCO(20.0mg、29.7mmol)のDMF(2mL)懸濁液に、NMM(6.5μL、59.1μmol)を加えた。超音波処理では、均質な溶液が得られなかった。NMM(10μL、91.0μmol)及びDIPEA(10μL、57.4μmol)を追加しても、反応混合物は更に可溶化しなかった。DMSO(2mL)を加え、内容物を1分間超音波処理し、最終的に透明溶液を得た。続いて得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。内容物を減圧濃縮し、残留溶液にMeCN(12mL)を添加した後、内容物をろ過した(0.45μmアクロディスク)。ろ液を、分取HPLC;注入量1000μL、5~80%MeCN、60分間、0.1%ギ酸、Rt=33.5~34.5分で精製した。生成物画分を合わせ、MeCNを減圧除去し、残った水溶液を凍結乾燥させて、表題生成物を白色固体12.7mg(30%)として得た。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=4.70分、ESI MS(+ve)1428[M]+;C65H94N12O18S3[M]+に対するm/z計算値=1427.7。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 7.71-6.98(m,12H),5.11-4.95(m,1H),3.90-3.01(m,36H),2.87-2.30(m,11H),2.21-1.90(m,4H),1.80-1.16(m,17H)。
【0446】
1a.10 DFO-DBCO化合物56の合成
DMSO(1mL)中のメシル酸デフェロキサミン(Macrocyclics、200.0mg、0.304mmol)の撹拌溶液に、NMM(100.0μL、0.912mmol)及びDBCO-NHSエステル(130.7mg、304mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで溶液に窒素ガス流を2時間吹き付けることによって濃縮した。残渣をMQ水:アセトニトリル(3mL、1:1v/v)の混合物中に溶解し、次いでろ過した(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)。ろ液を分取HPLCにより精製した。MQ水中30~40%MeCN+0.1%ギ酸(60分、Rt42~44分)により、生成物を無色の粘性液体として得た(195.0mg、73%)。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=5.64分、ESI MS(+ve)876[M]+;C46H65N7O10[M]+に対するm/z計算値=876、[M+Fe]+=929;1H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ(ppm): 9.96-9.46(bs,2H),7.92-7.24(m,9H),5.09(d,1H,J=15.0Hz),3.66(d,1H,J=12.0Hz),3.56-3.43(m,10H),3.13-2.87(m,4H),2.69-2.58(m,4H),2.40-2.27(m,3H),2.13(s,6H),2.02(s,2H),1.94-1.75(m,2H),1.68-1.09(m,17H)。
【0447】
1a.11 TCO-PEG8-ジブロモマレイミド化合物57の合成
THF(2.0mL)中の3,4-ジブロモ-2,5-ジオキソ-2H-ピロール-1(5H)-カルボキシレートエチル(25.0mg、0.077mmol)の撹拌溶液に、TCO-PEG8-NH2(Broadpharm;44.0mg、0.077mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を、ジクロロメタン:MeOH(100:0~97:3v/vの勾配溶出)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、続いて、MQ水中50~90%のMeCNで60分かけて溶出する分取HPLCにより、無色油として化合物57を得た(8.0mg、13%)。1H NMR(300MHz,MeOD)5.79-5.42(m,2H),4.77-4.62(m,1H),3.80(t,2H,J=6.0Hz),3.70-3.57(m,29H),3.53(t,2H,J=6.0Hz),3.27(t,2H,J=6.0Hz),2.48-2.30(m,1H),2.26-1.46(m,9H)。
【0448】
1a.12 HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NHDFO)]ウェッジ、化合物58の合成
DMF(5mL)中のHO-Lys[(α-NH2.TFA)(ε-NHFmoc)](57.0mg、0.118mmol)の撹拌溶液に、NMM(52μL、0.472mmol)及びCy5-NHSエステル(Lumiprobes、40.0mg、0.059mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、揮発分を真空除去した。残渣をMeCN:MQ水(3mL 1:1v/v)に溶解し、溶液をろ過した(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)。ろ液を、分取HPLC;MQ水+0.1%ギ酸中20~90% MeCN(60分、Rt=39.0~42.0分)で精製して、青色固体として化合物58を33mg(67%)得た。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=10.54分、ESI MS(+ve)833[M]+;C53H61N4O5[M]+に対するm/z計算値=833.46。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 8.21(t,2H,J=15.0Hz),7.79(d,2H,J=6.0Hz),7.63(d,2H,J=6.0Hz),7.49-7.24(m,10H),6.61(t,1H,J=12.0Hz),6.29-6.22(m,2H),4.49-4.26(m,2H),.18(t,1H,J=6.0Hz),4.07(t,2H,J=6.0Hz),3.68-3.60(m,2H),3.60(s,3H),3.12(t,2H,J=6.0Hz),2.28(t,2H,J=6.0Hz),1.94-1.61(m,6H),1.71(s,12H),1.62-1.19(m,6H)。
【0449】
1a.13 HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH2)]、化合物59
DMF(4mL)中の化合物58(36mg、0.043mmol)の撹拌溶液に、ピペリジン(1.5mL)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を分取HPLC;MQ水+0.1%ギ酸中20~90%MeCN(60分、Rt=32.0~33.0分)により精製して、青色固体として生成物である化合物59を12mg(44%)得た。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=7.65分、ESI MS(+ve)611[M]+;C38H51N4O3[M]+のm/z計算値=611。
【0450】
1a.14 HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NHDFO)]、化合物60
DMSO(5mL)中の化合物59(20.0mg、0.032mmol)の撹拌溶液に、DIPEA(32μL、0.224mmol)を加え、その後p-SCN-デフェロキサミン(Macrocyclics、24.0mg、0.032mmol)を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、溶液に窒素ガス流を数時間吹き付けて濃縮した。その後、得られた残渣を分取HPLCによって精製した。MQ水+0.1%TFA中30~60%MeCN(60分、Rt39~42分)により、青色固体として生成物である化合物60を15mg(34%)得た。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=5.93分、ESI MS(+ve)1364[M]+;C71H103N12O11S2[M]+に対するm/z計算値=1364。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 8.25(t,2H,J=12.0Hz),7.56-7.18(m,9H),6.65(t,1H,J=12.0Hz),6.37-6.15(m,2H),4.43-4.32(m,1H),4.11(t,2H,J=6.0Hz),3.70-3.46(m,8H),3.22-3.10(m,3H),2.86-2.69(m,3H),2.56-2.38(m,3H),2.31(t,2H,J=6.0Hz),2.11(s,2H),1.96-1.18(m,32H)。
1a.15 DUPA-BCNリンカー(17S,21S)-1-((1R,8S,9S)-ビシクロ[6.1.0]ノン4-イン-9-イル)-3,14,19-トリオキソ-2,7,10-トリオキサ-4,13,18,20-テトラアザトリコサン-17,21,23-トリカルボン酸、化合物61の合成
【0451】
テトラヒドロフラン及び水(1:1、4mL)混合物中の3.3(13S,17S)-1-アミノ-10,15-ジオキソ-3,6-ジオキサ-9,14,16-トリアザノナデカン-13,17,19-トリカルボン酸化合物48(149mg、0.26mmol)及びトリエチルアミン(184μL、1.32mmol)の撹拌溶液に、((1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン4-イン-9-イル)メチル(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)カーボネートジクロロメタン(BCN-NHSエステル)(84mg、0.29mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を周囲温度で2.5時間撹拌した後、揮発分を真空除去した。残渣を分取HPLC(Gilson HPLCシステム;カラム:X-Bridge BEH300 Prep C18 5um OBD 30×150mm;溶媒: A=0.05%ギ酸を含む脱イオン水;B=0.05%ギ酸を含むMeCN;流量:8mL/分)により精製して、凍結乾燥後に表題生成物である化合物61(120mg、73%)を白色固体として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 0.77-0.90(m,2H);1.13-1.36(m,1H);1.45-1.49(m,2H);1.79-1.93(m,2H);2.01-2.19(m,9H);2.24-2.31(m,2H);2.39-2.44(m,2H);3.20-3.30(m,4H);3.48-3.52(m,4H);3.56-3.62(m,4H);4.06-4.19(m,4H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=8.92分。ESI MS(+ve)627[M+1]+;C28H42N4O12[M]+に対するm/z計算値:626.28。
【0452】
1 a.16 BocHN-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe) SRS-7
DMF(12.0mL)中のHO2C-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)、SRS-5a(500mg、0.32mmol)、BocNH-PEG3-NH2、SRS-6(1-2.5mg、0.32mmol)及びNMM(53μL、0.48mmol)の撹拌溶液に、室温でPyBOP(166mg、0.32mmol)を加えた。反応混合物を16時間撹拌した後、揮発分を真空除去した。残渣をMeCN(3.0mL)に溶解し、ろ過し(0.45μmフィルタディスク)、分取HPLC(分取HPLC法 20~60、Rt=34~47分)により精製して、BocHN-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-7を赤色固体として得た(550mg、92%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.78(q,J=6.7Hz,2H),1.95(q,J=6.2Hz,2H),2.46(t,J=6.2Hz,4H),3.02(s,3H),3.13(t,J=6.8Hz,2H),3.26-3.43(m,4H),3.50-3.58(m,4H),3.58-3.78(m,128H),3.89-3.95(m,2H),4.25-4.32(m,2H),7.20(d,J=9.0Hz,2H)及び8.52(d,J=9.0Hz,2H)。LCMS(LCMS法 20~60、8分、TFA)Rt=6.12分。ESI MS(+ve)1885 [M+H2O]+;C86H159N7O36[M+H2O]+に対するm/z計算値=1885。
【0453】
1 a.17 HCl.H2N-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-8
BocHN-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-7(450mg、0.241mmol)に、メタノール(4.0mL)中2.0M HClを室温で加えた。得られた溶液を18時間撹拌し、揮発分を真空除去した。残渣を水(4.0mL)に溶解し、凍結乾燥させて、HCl.H2N-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-8をピンク色の固体420mg(97%)として得た。LCMS(LCMS法 5~60、8分、TFA):Rt=5.72分、ESI MS(+ve)1769[MH]+;C81H151N7O34[MH]+に対するm/z計算値=1769。
【0454】
1a.18 Me(MAL)-PEG24-CO2H、SRS-10
氷酢酸(15mL)中のアミノ-PEG24-酸RL-11(510mg、0.44mmol)の撹拌溶液に、シトラコン酸無水物(50μL、0.53mmol)を加えた。次いで、反応混合物を120℃で2時間撹拌しながら加熱し、その後室温まで冷却した後、シトラコン酸無水物の追加のアリコート(50μL、0.53mmol)を加えた。反応混合物を120℃で2時間加熱した後、室温まで冷却した。16時間後、反応混合物を真空濃縮し、残留褐色油を分取HPLC(分取HPLC法 5~60、Rt=35~37.5分)により精製して、Me(MAL)-PEG24-CO2H SRS-10を淡褐色固体として得た(236mg、43%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)2.07(d,J=1.8Hz,3H),2.56(t,J=6.3Hz,2H),3.48-3.72(m,98H),3.75(t,J=6.3Hz,2H)及び6.46(q,J=1.8Hz,1H)。LCMS(LCMS法 60~90、8分、TFA):Rt=5.54分。ESI MS(+ve)1258[M+H2O]+;C56H107NO29[M+H2O]についてのm/z計算値=1258。
【0455】
1a.19 Me(MAL)-PEG24-CONH-PEG3-TCO、SRS-12
DMF(2.0mL)中のMe(MAL)-PEG24-CO2 H SRS-10(130mg、0.105mmol)の撹拌溶液に、NH2-PEG3-TCO SRS-11(47mg、0.126mmol)、PyBOP(65mg、0.126mmol)、及びNMM(23μL、0.126mmol)を室温で加えた。3.5時間撹拌した後、揮発分を真空除去し、残渣をMeCN:水(1:2v/v,3mL)に溶解し、分取HPLC(分取HPLC法 5~60(2)、Rt=41~43分)により精製して、Me(MAL)-PEG24-CONH-PEG3-TCO SRS-12を無色油として得た(77mg、46%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.53-2.40(m,15H),2.07(d,J=1.85Hz,3H),2.45(t,J=6.2Hz,2H),3.13-3.21(m,2H),3.28(t,J=6.8Hz,2H),3.47-3.81(m,118H),5.42-5.84(m,2H)及び6.46(m,1H)。LCMS(LCMS法 5~60、8分、TFA)Rt=6.51分。ESI MS(+ve)1612 [M+H2O]+;C75H141N3O33[M+H2O]+に対するm/z計算値=1612。
【0456】
1a.20 Br2(MAL)-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)、RL-15
THF(2.0mL)中のHCl.H2N-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-8(100mg、0.057mmol)の溶液に、TEA(15μL、0.068mmol)及び1H-ピロール-1-カルボン酸,3,4-ジブロモ-2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-,エチルエステル RL-12(22mg、0.068mmol)を室温で加えた。反応混合物を18時間撹拌した後、真空濃縮した。残渣をMeCN:水(2.0ml、1:1v/v)に溶解し、分取HPLC(分取HPLC法 40~60、Rt=25~27分)により精製して、Br2(MAL)-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)RL-15(42mg、37%)を得た。
【0457】
あるいは、DMF(3.0mL)中のBr2(MAL)-PEG3-NH2.TFA RL-17(202mg、0.35mmol)の溶液に、HO2C-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe) SRS-5a(461mg、0.30mmol)、PyBOP(184mg、0.35mmol)及びNMM(85μL、0.78mmol)を室温で加えた。反応混合物を18時間撹拌した後、真空濃縮した。残渣をMeCN:水(1:1v/v,4.0mL)に溶解し、分取HPLC[分取HPLC法 20~60(2)]により精製して、Br2(MAL)-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)RL-15をピンク色固体として得た(37mg、6%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.70-1.82(m,2H),1.82-1.93(m,2H),2.45(m,4H),3.02(s,3H),3.20-3.43(m,4H),3.47-3.89(m,132H),3.91(m,2H),4.28(m,2H),7.20(d,J=9.0Hz,2H)及び8.50(d,J=9.0Hz,2H)。LCMS(LCMS法 40~60、8分、TFA)Rt=5.12分。ESI MS(+ve)2024 [M+H3O]+;C85H149Br2N7O36[M+H3O]+に対するm/z計算値=2024。
【0458】
1a.21 Br2(MAL)-PEG3-NHBoc、RL-16
1H-ピロール-1-カルボン酸,3,4-ジブロモ-2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-,エチルエステルRL-12(212mg、0.66mmol)のジクロロメタン(2.0mL)溶液に、BocHN-PEG3-NH2 SRS-6溶液を室温で加えた。反応混合物を2日間撹拌してから、揮発分を真空除去した。残渣を、ジクロロメタン中メタノール[勾配溶出;%メタノール(v/v)]:0%~3.3%~6.7%で溶出するシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して、Br2(MAL)-PEG3-NHBoc RL-16をオフホワイト固体として得た(220mg、59%)。1H NMR(300MHz,CD3CN):δ(ppm)1.41(s,9H),1.67(m,2H),1.82(m,2H),3.10(q,J=6.7Hz,2H),3.42-4.58(m,12H)及び3.64(t,J=7.1Hz,2H)。LCMS(LCMS法 60~90、8分、TFA)Rt=3.99分。ESI MS(+ve)459 [MH-Boc]+;C14H23Br2N2O5[MH-Boc]+に対するm/z計算値=459。
【0459】
1a.22 Br2(MAL)-PEG3-NH2.TFA、RL-17
ジクロロメタン(6.0mL)中のBr2(MAL)-PEG3-NHBoc RL-16(220mg、0.40mmol)の溶液に、TFA(609μL、7.79mmol)を室温で加えた。反応混合物を2時間撹拌し、真空濃縮した。残渣を脱イオン水(約2mL)に溶解し、得られた溶液を凍結乾燥させて、Br2(MAL)-PEG3-NH2.TFA RL-17をオフホワイト固体として得た(202mg、88%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.84-1.98(m,4H),3.12(t,J=6.4Hz,2H)及び3.49-3.74(m,14H)。LCMS(LCMS法 60~90、8分、TFA)Rt=3.19分。ESI MS(+ve)459 [MH]+;C14H23Br2N2O5[MH]+に対するm/z計算値=459。
【0460】
1a.23 Me(MAL)-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)、RL-18
DMF(2.0mL)中のMe(MAL)-PEG24-CO2 H SRS-10(50mg、0.04mmol)及び4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンゼンメタンアミンRL-13(11mg、0.06mmol)の溶液に、PyBOP(24mg、0.06mmol)及びNMM(6μL、0.06mmol)を室温で加えた。反応物を16時間撹拌してから、4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンゼンメタンアミンRL-13(5mg、0.02mmol)をDMF(2mL)中に加え、続いてPyBOP(12mg、0.02mmol)及びNMM(6μL、0.06mmol)を加えた。2時間後、反応混合物を真空濃縮し、残渣を分取HPLC(分取HPLC法 20~40、Rt=45~48分)により精製して、Me(MAL)-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RL-18をピンク色の固体として得た(24mg、42%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)2.06(d,J=1.9Hz,3H),2.56(t,J=6.0Hz,2H),3.05(s,3H),3.58-3.84(m,96H),4.55(s,2H),6.46(m,1H),7.59(d,J=8.6Hz,2H)及び8.53(d,J=8.6Hz,2H)。LCMS(LCMS法 60~90、8分、TFA)Rt=6.07分。ESI MS(+ve)1424[M]+;C66H114N6O27[M]+に対するm/z計算値=1424。
【0461】
1b.デンドリマー中間体の合成
1b.1 アジド-PEG24CO-[N(PNBoc)2]、化合物1
N2雰囲気下、DMF(20mL)中のアジド-PEG24-酸(Quanta Biodesign、2.00g、1.71mmol)及びPyBOP(1.33g、2.56mmol)の撹拌溶液に、NMM(563μL、5.12mmol)を加えた。10分後、N(PNBoc)2(622mg、1.88mmol)を含むDMF(5mL)溶液を加え、続いて得られた反応混合物を室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた油をMeCNに溶解し、分取HPLC(27-50-70%MeCN、Rt47~50分)により精製して、淡黄色の油状固体(1.37g,54%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.44(m,18H);1.65-1.84(m,4H);2.63(t,J=6.3Hz,2H);3.05(dt,J=6.9及び14.7Hz,4H);3.36-3.41(m,6H);3.60-3.78(m,98H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=9.32分。ESI MS(+ve)1486.3[M]+;C67H132N6O29[M]+に対するm/z計算値:1486.8。
【0462】
1b.2 アジド-PEG24CO-[N(PNH2.TFA)2]、化合物2
アジド-PEG24CO-[N(PNBoc)2]、化合物1(1.37g,922μmol)を用いて、一般手順Aに従って調製した。凍結乾燥生成物である化合物2を、淡黄色状油として得た(1.67g、119%)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.88-2.06(m,4H);2.74(t,J=6.0Hz,2H);2.96(t,J=7.2Hz,2H);3.04(見かけ上のt,J=7.5Hz,2H);3.42-3.52(m,6H);3.67-3.95(m,93H)。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=8.47分,ESI MS(+ve)1286.0[M]+;C57H116N6O25[M]+のm/z計算値=1286.6。
【0463】
1b.3 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[NHBoc]4、G1、、化合物3
アジド-PEG24CO-[N(PNH2.TFA)2]、化合物2(186mg、145μmol)を用いて、一般手順Bに従って調製した。粗材料をMeCNに溶解し、分取HPLC(30~80%MeCN,Rt33.5~36分)で精製して、淡黄色状油として化合物3を得た(224mg、80%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.22-1.87(m,56H);2.64(t,J=6.0Hz,2H);3.03(t,J=6.6Hz,4H);3.13-3.23(m,4H),3.36-3.45(m,6H);3.60-3.69(m,100H);3.77(t,J=6.0Hz,2H);3.85-3.88(m,1H);3.92-4.02(m,2H)。LCMS(疎水法、ギ酸緩衝液)Rt=6.74分、ESI MS(+ve)1942.4[M]+;C89H172N10O35
+[M+H]+に対するm/z計算値=1942.4。
【0464】
1b.4 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[NH2.TFA]4、G1、化合物4
アジド-PEG24CO-[N(PN)2[Lys]2[NHBoc]4、化合物3(220mg、113μmol)を用いて、一般手順Aに従って調製した。凍結乾燥生成物である化合物4を、淡黄色状油として得た(251mg、111%)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=6.49分,ESI MS(+ve)1542.1[M]+;C69H140N10O27[M]+のm/z計算値=1541.90。
【0465】
1b.5 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG1100)]4、G2、化合物5
アジド-PEG24CO-[N(PN)2[Lys]2[NH2.TFA]4、化合物4(120mg、60.1μmol)を用いて、一般手順Cに従って調製した。粗材料をMeCN/H2O(1:1)に溶解し、分取HPLC(20~70%MeCN、Rt31~32.5分)で精製して、生成物である化合物5を淡黄色状油として得た(244mg、59%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.24-1.91(m,74H);2.42-2.47(m,8H);2.62-2.66(m,2H);3.13-3.25(m,12H);3.36(s,12H);3.52-3.78(m,490H);3.85-3.88(m,4H);3.94-4.11(m,4H);4.25-4.31(m,2H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=8.70分、ESI MS(+ve)1714.0[M+4H]4+/4,1371.7[M+5H]5+/5;1143.0[M+6H]6+/6,980.0[M+7H]7+/7。6852に変換する。
【0466】
1b.6 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[(α-NH2.TFA)(ε-NH-COPEG1100)]4、G2、化合物6
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG1100)]4、化合物5(244mg、35.6μmol)を用いて、一般手順Aに従って調製した。凍結乾燥粗材料を水に再溶解し、分取HPLC(22~70%MeCN、0.01%TFA、Rt27分)により精製して、生成物である化合物6を淡黄色の粘性固体として得た(173mg、67%)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.31-1.98(m,40H);2.51-2.56(m,8H);2.72(broad t,J=6.0Hz,2H);3.16-3.30(m,16H);3.40(s,12H);3.46-3.53(m,4H);3.62-3.97(m,490H);4.03(t,J=6.6Hz,2H);4.24-4.29(m,2H)。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=9.85分、ESI MS(+ve)1614.1[M+4H]4+/4,1291.6[M+5H]5+/5;1076.5[M+6H]6+/6。6452に変換する。
【0467】
1b.7 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NHBoc]8、G2、化合物7
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[NH2.TFA]4、化合物6(117mg、58.6μmol)を用いて、一般手順Bに従って調製した。粗材料である化合物7を、淡黄色状油として得た(167mg、100%)。LCMS(疎水法、ギ酸緩衝液)Rt=8.35分、ESI MS(+ve)1328.6[M+2H]2+/2-Boc;C133H252N18O47[M]+に対するm/z計算値=2855.6。
【0468】
1b.8 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NH2.TFA]8、G2、化合物8
アジド-、PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NHBoc]8、化合物7(167mg、58.6μmol)を用いて、一般手順Aに従って調製した。粗水溶液を分取HPLC(10~60%MeCN、0.1%TFA緩衝液;Rt27~29分)によって精製して、生成物である化合物8を淡黄色の粘性固体として得た(2ステップで124mg、71%)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.30-1.96(m,42H);2.71(t,J=6.0Hz,2H);2.98-3.04(m,8H);3.13-3.30(m,8H);3.36-3.53(m,7H);3.68-3.84(m,100H);3.93(t,J=6.6Hz,2H);4.04(t,J=6.6Hz,2H);4.25(t,J=7.2Hz,2H)。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=7.76分、ESI MS(+ve)1028.3 [M+2H]2+/2、685.9[M+3H]3+/3;C93H190N18O31
2+[M+2H]2+/2に対するm/z計算値:1028.3、C93H191N18O31
3+[M+3H]3+/3に対するm/z計算値:685.9。
【0469】
1b.9 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG1100)]8、G3、化合物9
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NH2.TFA]8、化合物8(123mg、41.5μmol)を用いて一般手順Cに従って調製して、粗材料である化合物9を褐色油として得た。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=11.52分、ESI MS(+ve)2113[M+6H]6+/6,1812[M+7H]7+/7,1585[M+8H]8+/8,1409[M+9H]9+/9,1268[M+10H]10+/10,1153[M+11H]11+/11,1057[M+12H]12+/12。12,673に変換する。
【0470】
1b.10 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)(ε-NH-COPEG1100)]8、G3、化合物10
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG1100)]8、化合物9(526mg、41.5μmol)を用いて、一般手順Aに従って調製した。粗水溶液を分取HPLC(3~60%MeCN、0.1%TFA緩衝液;Rt38~39分)によって精製して、生成物である化合物10を淡黄色の粘性固体として得た(2ステップで359mg、68%)。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=10.27分、11,880に変換。
【0471】
1b.11 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NH-Fmoc)]8、G3、化合物11
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NH2.TFA]8、化合物8(105mg、35.4μmol)を用いて、一般手順Dに従って調製した。生成物である化合物11を、白色固体として得た(166mg、83%)。1H NMR(300MHz,(CD3)2S=O)δ(ppm): 1.23-1.49(m,160H);2.73-2.95(m,36H);3.44-3.60(m,94H);3.83(m,8H);4.05-4.28(m,29H);6.33-6.90(m,8H,NH);7.24-7.87(m,84H)。
【0472】
1b.12 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε -NH2)]8、G3、化合物12
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NHFmoc)]8、化合物11(169mg、29.9μmol)を用いて、一般手順Dに従って調製して、化合物12を綿毛状固体(95mg、82%)として得た。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.46-1.49(m,160H);2.69(br s,14H);3.09-3.19(m,18H);3.38-3.41(m,8H);3.55-3.78(m,96H),3.89-4.33(m,14H)。
【0473】
1b.13 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG570)]8、G3、化合物13及びアジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)(ε-NH-COPEG570)]8、G3、化合物14
DMF(1.5mL)中のmPEG570-CO2H(205mg、348μmol)、NMM(60μL、546μmol)、及びPyBOP(171mg、329μmol)の溶液に、DMF(0.5mL)中のアジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NH2)]8、化合物12を加えた。続いて得られた反応混合物を室温で一晩撹拌させ、その後、真空濃縮して、粗化合物13を得、これを水に溶解させて、TFAで処理し、室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、水に取り込んだ後、Millipore Centrifugationろ過ユニット(3K MWCO再生セルロース)を用いて精製し、凍結乾燥生成物である化合物14をオフホワイトの綿毛状材料として得た(2ステップで68%)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.33-1.90(m,88H);2.51-2.55(m,16H);2.67-2.75(m,4H),3.16-3.23(m,32H);3.40-3.53(m,32H),3.62-4.03(m,470H);4.21-4.39(m,7H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=7.50分。
【0474】
1b.14 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG2000)]8、G3、化合物15
DMF(4mL)中のアジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NH2)]8、化合物12(95.0mg、24.5μmol)の撹拌溶液に、DIPEA(85μL、488μmol)、続いてmPEG2000-NHS(720mg、313μmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。粗残渣を水に溶解し、限外ろ過(5K、Pall PES膜)により精製した。残留物を収集し、凍結乾燥させて、化合物15をオフホワイトの綿毛状材料として得た(76%)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.33-1.63(m,160H);3.05-3.15(m,35H);3.29(s,24H);3.35-3.96(m,1370H);4.13-4.19(m,6H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=11.24分。
【0475】
1b.15 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)(ε-NH-COPEG2000)]8、G3、化合物16
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)(ε-NH-COPEG2000)]8、化合物15(40.0mg、1.87μmol)を使用して、一般手順Aに従って調製して、オフホワイトの綿毛状材料(35mg、88%)として生成物を得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.28-1.79(m,88H);2.51-2.58(m,4H);3.04-3.18(m,35H);3.28(s,24H);3.35-3.97(m,1348H),4.14-4.25(m,6H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=9.12分。
【0476】
1b.16 BHALys[Lys]2[Lys]4[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)3)(ε-NH-COPEG1000)4]、G2、化合物17
反応容器を箔で包んで光を除外したことを除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[(α-NH2.TFA)4(ε-NH-COPEG1000)4](参照1)(50.0mg、0.007mmol)及びHOOCPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)(Click Chemistry Tools、13.39mg、0.010mmol)を用いて、一般手順Cに従って調製し、残渣を溶出液としてメタノールを用いてSEC(Sephadex(商標)LH-20)により精製して、生成物である化合物17(44.00mg、77%)を得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):8.42-8.26(m,2H),7.44-7.11(m,12H),6.04(bs,1H),4.44-4.07(m,8H),4.07-3.37(m,556H),3.33(s,12H),3.25-2.90(m,17H),2.62-2.43(m,2H),1.96-0.97(m,48H);HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配(ギ酸塩緩衝液):5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.08~9.01分。
【0477】
1b.17 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)7)(ε-NH-COPEG412)8]、G3、化合物18
反応容器を箔で包んで光を除外したことを除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG412)8](参照1)(50.0mg、0.008mmol)及びHOOC-PEG24NH-COPEG4(PhTzMe)(Click Chemistry Tools、11.2mg、0.008mmol)を使用して一般手順Cに従って調製し、メタノールを溶出液として使用して残渣をSEC(Sephadex(商標)LH-20)により精製して、生成物である化合物18(29mg、55%)を得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):8.43-8.20(m,2H),7.50-7.09(m,10H),6.03(bs,1H),4.41-4.05(m,10H),4.01-3.41(m,258H),3.31(s,16H),3.24-2.83(m,28H),2.41(bs,13H),2.00-0.98(m,75H);HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配(ギ酸塩緩衝液):5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.16~8.93分。
【0478】
1b.18 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)7)(ε-NH-COPEG1000)8]、G3、化合物19
反応容器を箔で包んで光を除外したことを除いて、BHALys[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG1000)8](参照1)(100.0mg、0.007mmol)及びHOOCPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)(Click Chemistry Tools、15.97mg、0.010mmol)を用いて、一般手順Cに従って調製し、残渣を溶出液としてメタノールを用いてSEC(Sephadex(商標)LH-20)により精製して、生成物である化合物19(69mg、66%)を得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):8.45-8.25(m,2H),7.47-7.07(m,12H),6.07(bs,1H),4.45-4.05(m,12H),4.04-3.37(m,936H),3.32(s,25H),3.23-2.88(m,32H),2.59-2.32(m,6H),1.90-0.98(m,90H);HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配(ギ酸緩衝液):5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.21~9.15分。
【0479】
1b.19 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)15)(ε-NH-COPEG1000)16]、G4、化合物20
反応容器を箔で包んで光を除外したことを除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[(α-NH2.TFA)16(ε-NH-COPEG1000)16](参照1)(100.0mg、0.004mmol)及びHOOCPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)(Click Chemistry Tools、6.74mg、0.005mmol)を使用して一般手順Cに従って調製し、メタノールを溶出液として使用して残渣をSEC(Sephadex(商標)LH-20)により精製して、生成物である化合物20(63mg、65%)を得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):8.45-8.28(m,2H),7.47-7.07(m,12H),6.03(bs,1H),4.40-4.08(m,23H),4.06-3.38(m,1906H),3.33(s,56H),3.29-2.91(m,78H),2.63-2.45(m,3H),1.98-0.98(m,200H);HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配(ギ酸塩緩衝液):5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、243nm、0.4mL/分、Rt=8.51~9.02分。
【0480】
1b.20 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)31)(ε-NH-COPEG1000)32]、G5、化合物21
反応容器を箔で包んで光を除外したことを除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NH-COPEG1000)32](参照1)(100.0mg、0.002 mmol)及びHOOCPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)(Click Chemistry Tools、3.38mg、0.005mmol)を使用して一般手順Cに従って調製し、メタノールを溶出液として使用して残渣をSEC(Sephadex(商標)LH-20)により精製して、生成物である化合物21(68mg、72%)を得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm):8.44-8.29(m,2H),7.44-7.09(m,12H),6.02(bs,1H),4.37-4.11(m,31H),4.08-3.37(m,2937H),3.32(s,83H),3.27-2.88(m,116H),2.59-2.42(m,3H),2.18-0.92(m,313H);HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配(ギ酸塩緩衝液):5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.77分。
【0481】
1b.21 BHALys[Lys]2[Lys]4[(α-NHBoc)4(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)4]、G2、化合物22
DMF中のBHALys[Lys]2[Lys]4[(α-NHBoc)4(ε-NH2)4](参照1)(46.0mg、0.031mmol)の撹拌溶液に、NMM(68.0μL、0.620mmol)、HOOCPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)(Click Chemistry Tools;43.0mg、0.155mmol)及びPyBOP(81.0mg、0.155mmol)を室温で加えた。16時間後、反応混合物をMeCN:MQ水(3mL,1:1v/v)に溶解し、溶液をろ過した(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)。ろ液を分取HPLC;30~80%MeCN、60分間、移動相:MQ水及びアセトニトリル、Rt33.0~36.0分で精製し、、化合物22をピンク色の固体52mg(22%)として得た。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=5.66分、1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 8.52(d,8H,J=9.0Hz),7.40-7.26(m,10H),7.20(d,8H,J=9.0Hz),6.23-6.17(m,1H),4.36-4.21(m,10H),3.99-3.83(m,13H),3.82-3.46(m,487H),3.46-3.32(m,22H),3.27-3.02(m,15H),3.02(s,12H),2.54-2.38(m,17H),1.92-1.14(m,89H)。
【0482】
1b.22 BHALys[Lys]2[Lys]4[(α-NH2.HCl)4(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)4]、G2、化合物23
メタノール(2mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[(α-NHBoc)4(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)4]、G2、化合物22(48.0mg)の撹拌溶液に、3M HClのメタノール(2mL)溶液を加え、反応混合物を室温で20時間撹拌した。揮発分を減圧下で除去して、BHALys[Lys]2[Lys]4[(α-NH2.HCl)4(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)4]、G2、化合物23をピンク色固体41.0mg(91%)として得た。LCMS(LCMS法 20~90、8分、TFA)Rt=5.27分。
【0483】
1b.23 BHALys[Lys]2[Lys]4[((α-Lys(α-NHCy5)( α-NHDFO))1(α-NH2)3)(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)4]、G2、化合物24
DMF(3mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[(α-NH2.HCl)4(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)4]、G2、化合物23(11.0mg、0.0015mmol)の撹拌溶液に、NMM(3.32μL、0.039mmol)、HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NHDFO)]化合物60(2.06mg、0.0015mmol)及びPyBOP(1.18mg、0.0022mmol)を室温で加えた。18時間後、揮発物を減圧除去し、青色固体残渣をMQ水に溶解し、溶液をろ過した(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)。ろ液をスピンカラム(Amicon Ultra,0.5mL,3kDa MWカットオフ)によって濃縮し、保持液をMQ水(10x450μL)で繰り返し洗浄して、化合物24(MQ水での濃度10mg/mL;1.3mL)を得た。LCMS(LCMS法 20~90、8分、TFA)Rt=5.64分;1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 8.52(d,8H,J=9.0Hz),8.32(s,1H),8.29-8.17(m,2H),7.78-7.70(m,2H),7.69-7.62(m,2H),7.57-7.47(m,2H),7.48-7.25(m,16H),7.21(d,8H,J=9.9Hz),7.15-7.08(m,1H),7.06-7.00(m,1H),6.70-6.60(m,2H),6.21-6.12(m,2H),4.37-4.20(m,14H),4.18-4.06(m,8H),3.98-3.50(m,480H),3.48-3.34(m,15H),3.27-3.06(m,18H),3.06-2.97(m,19H),2.88(s,8H),2.54-2.40(m,19H),2.08-1.98(m,28H),1.93-1.12(m,99H),1.00-0.82(m,8H)。
【0484】
1b.24 BHALys[Lys]2[Lys]4[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)2)(ε-NH-COPEG1000)4]、G2、化合物25
BHALys[Lys]2[Lys]4[(α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)3)(ε-NH-COPEG1000)4]、G2、化合物17(3.0mg、0.414μmol)、及びHO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NHDFO)]化合物60(0.56mg、0.414μmol)を使用して、一般手順Cに従って調製し、スピンカラム(10kDa MWカットオフ、10×450μL MQ水で洗浄)によって精製して、所望の生成物である化合物25(300μL MQ水中3.56mgの最終濃度)を得た。
【0485】
1b.25 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)6)(ε-NH-COPEG412)8]、G3、化合物26
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NHCOPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)7))(ε-NH-COPEG412)8]、G3、化合物18(2.97mg、0.452μmol)、及びHO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NHDFO)]化合物60(0.61mg、0.452μmol)を使用して、一般手順Cに従って調製し、スピンカラム(10kDa MWカットオフ、450μL MQ水で洗浄)によって精製して、生成物である化合物26(300μL MQ水中3.60mgの最終濃度)を得た。
【0486】
1b.26 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)6)(ε-NH-COPEG1000)8]、G3、化合物27
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NHCOPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)7)(ε-NHCOPEG1000)8]、G3、化合物19(3.14mg、0.234μmol)、及びHO-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO)化合物60(0.32mg、0.234μmol)を使用して、一般手順Cに従って調製し、スピンカラム(10kDa MWカットオフ、10×450μL MQ水で洗浄)によって精製し、スピンカラム(10kDa MWカットオフ、10×450μL MQ水で洗浄)によって精製して、生成物である化合物27(300μL MQ水中3.45mgの最終濃度)を得た。
【0487】
1b.27 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)14)(ε-NH-COPEG1000)16]、G4、化合物28
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8-[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)15)(ε-NH-COPEG1000)16]、G4、化合物20(11.8mg、0.454μmol)及びHO-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO)化合物60(0.62mg、0.454μmol)を用いて一般手順Cに従って調製し、スピンカラム(10kDa MWカットオフ、10x450μL MQ水で洗浄)で精製して、9.3mgの化合物28を青色固体として得た(凍結乾燥後)。
【0488】
1b.28 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)30)(ε-NH-COPEG1000)32]、G5、化合物29
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8-[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)30)(ε-NH-COPEG1000)32]、G4、化合物21(12.9mg、0.271μmol)及びHO-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO)化合物60(0.37mg、0.271μmol)を用いて一般手順Cに従って調製し、スピンカラム(10kDa MWカットオフ、10x450μL MQ水で洗浄)で精製して、8.4mgの化合物29を青色固体として得た(凍結乾燥後)。
【0489】
1b.29 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH-COPEG570N3)32]、化合物30
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH2)32](参照1))、75mg、6.5μmol)を用いて、一般手順H、ステップ1に従って調製した。凍結乾燥生成物である化合物30を、オフホワイト粘着性固体として得た(40mg、19%)。1HNMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 0.39-2.11(m,666H);2.25-2.53(m,58H);2.53-2.70(m,12H);2.70-4.42(m,1540H);6.89-7.48(m,12H)。HPLC(HPLC法 5~80、15分、ギ酸塩)Rt=10.21分。
【0490】
1b.30 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH-COPEG1100N3)32]、化合物31
BHALys-[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH2)32](参照1)(0,50mg、4.4μmol)及びN3-PEG1100-COOHを使用して、一般手順H、ステップ1に従って調製した。凍結乾燥生成物である化合物31を、オフホワイト粘着性固体として得た(159mg、75%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 0.91-2.08(m,666H);2.27-2.58(m,64H);3.01-3.27(m,113H);3.33-3.92(m,3018H);3.95-4.18(m,33H);4.20-4.50(m,31H);7.10-7.55(m,12H),7.62-8.15(m,24H)。HPLC(HPLC法 5~80、15分、ギ酸塩)Rt=9.62分。
【0491】
1b.31 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NH-COPEG570N3)32]、化合物32
一般手順H、ステップ2に従って、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH-COPEG570N3)32]化合物30(40mg、1.3μmol)を使用して調製した。生成物である化合物32を、淡黄色状油として得た(41mg、定量的)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 0.87-1.93(m,378H);2.24-2.51(m,67H);2.52-2.69(m,20H);2.77-3.20(m,122H);3.20-4.05(m,1312H);4.05-4.32(m,34H);5.97(s,1H);6.98-7.34(m,10H)。
【0492】
1b.32 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NH-COPEG1100N3)32]、化合物33
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH-COPEG1100N3)32]化合物31(145mg、3.0μmol)を用いて、一般手順H、ステップ2に従って調製した。生成物である化合物33を、淡黄色の粘着性固体として得た(146mg、定量的)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.20-2.03(m,378H);2.37-2.59(m,63H);3.00-3.28(m,121H);3.35-3.96(m,3036H);3.96-4.13(m,22H);4.18-4.56(m,39H);6.19(s,1H);7.20-7.42(m,10H)。HPLC HPLC法 5~80、15分、ギ酸塩)Rt=9.41分。
【0493】
1b.33 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCy5)1(α-NHAc)31(ε-NH-COPEG570N3)32]、化合物34
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NH-COPEG570N3)32](46.1mg、1.6μmol)を用いて、一般手順I、ステップ1及び2に従って調製した。生成物である化合物34を、青色固体として得た(31mg、72%)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 0.93-1.85(m,400H);1.89-2.02(m,89H);2.04-2.09(m,23H);2.30-2.52(m,59H);2.53-2.73(m,13H);2.91-3.21(m,121H);3.24-3.94(m,1313H);3.97-4.37(m,67H);5.87-6.31(m,6H);6.83-7.60(m,25H)。IR(cm-1): 2100(-N3)。
【0494】
1b.34 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCy5)1(α-NHAc)31(ε-NH-COPEG1100N3)32]、化合物35
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NH-COPEG1100N3)32]、化合物33(112.5mg、2.3μmol)を用いて、一般手順I、ステップ1及び2に従って調製した。生成物である化合物35を、青色固体として得た(98mg、85%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.04-2.18(m,507H);2.38-2.55(m,64H);2.99-3.27(m,122H);3.37-3.96(m,3026H);4.15-4.51(m,67H);6.10-6.48(m,5H);7.15-7.58(m,24H)。HPLC HPLC法 5~80、15分、ギ酸塩)Rt=9.52分。
【0495】
1b.35 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NHCy5)1(α-NHDOTA)10(α-NH2)4(ε-NH-COPEG1000)16]、G4、化合物SRS-1
DMF(4mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe))1(α-NH2)15)(ε-NH-COPEG1000)16]、G4、化合物20(148.0mg、0.0054mmol)及びNMM(38.0μL、0.474mmol)の撹拌溶液に、Cy5-NHSエステル(Lumiprobes、3.66mg、0.0054mmol)を加え、反応混合物を室温で撹拌し、LCMSによりCy5 NHSエステルの消費を監視した。18時間後、DMSO(1mL)中のp-SCN-Bn-DOTA(Macrocyclics、75.0mg、0.109mmol)の溶液を加え、24時間撹拌を続けた。揮発分を真空除去し、残渣をMQ水(15.0mL)に溶解し、次いで溶液をろ過した(0.45μmのアクロディスクフィルタ)。ろ液をスピンカラム(Amicon Ultra-15、10kDa MWCO)で精製し、残留物をMQ水(5×15mL)で繰り返し洗浄した。残留物を凍結乾燥により乾燥させて、SRS-1を青色固体として得た(173.0mg、96%)。HPLC:5~80%MeCN/H2O(1~7分)、80%MeCN/H2O(7~12分)、80~5%MeCN/H2O(12~13分)、5%MeCN/H2O(13-15分)、10mM HCOONH4)の勾配を有するXBridge C8カラム、及び214nmでのUV検出。Rt=5.07分。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 0.33-2.08(m,177H),2.26-4.46(m,1979H),6.87-7.66(bs,59H),8.34(bs,2H)。
【0496】
1b.36 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2)30(α-NHDOTA)2(ε-NHCOPEG2000)32]、G5、RH-2
DMF(6.0mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(α-(ε-NHCOPEG2000)32](WO2020/0014750の実施例1に記載されるような)RH-1(301mg、3.97μmol)の撹拌溶液に、p-SCN-Bn-DOTA(8.13mg、11.8μmol、2.98当量)を加え、続いてNMM(114μL、1.03mmol)を加えた。得られた反応混合物を周囲温度で4.5時間撹拌した後、反応混合物の一部(2.0mL)を除去し、撹拌バーを備えた別の反応フラスコに入れ、撹拌を続けた。24時間後、反応混合物のより小さなアリコートを真空から乾燥まで濃縮し、MeOH(1.0mL)に溶解し、SEC(固定相=Sepahdex LH-20(商標)、移動相=アセトニトリル、溶出速度=約1滴秒-1、分画サイズ=400滴)により精製した。生成物含有画分を合わせて真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解させ、ろ過し(0.45μmアクロディスクフィルタ)、凍結乾燥させて、化合物RH-2を白色の固体として得た(82.5mg)。1H NMR(300MHz,CD3OD-d4)δ(ppm): 1.17-2.29(m,401H),3.36(s,96H),3.39-3.43(m,43H),3.50-4.08(m,5564H),4.21-4.67(m,84H),6.17(ブロード,1H),7.18-7.64(m,18H),8.09(s,1H)。1H NMR分析では、約2.1DOTA/デンドリマー;DOTAの%(w/w)=2.0%が示唆される。
【0497】
1b.37 [(ε-NHBoc)(α-NHBoc)][Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2、RL-3
DMF(100mL)中の塩酸シスタミンRL-1(1.26g、5.6mmol)及びBoc-Lys(Boc)-ONp RL-2(5.68g、12.2mmol)の撹拌溶液に、TEA(5.44mL、39.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で3日間撹拌し、脱イオン水(10mL)中のグリシン(1.82g、24.4mmol)の溶液を加え、溶液から白色固体を沈殿させた。懸濁液を2時間撹拌し、揮発分を真空除去した。残渣を酢酸エチル(50mL)に懸濁し、有機物を飽和炭酸ナトリウム水溶液(5×20mL)、0.1M HCl水溶液(20mL)、ブライン(20mL)で順次洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、揮発分を真空除去した。残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解し、0.2MのNaOH水溶液(4×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、揮発分を真空除去して[(ε-NHBoc)(α-NHBoc)][Lys]-NHCO-CH2-CH2-S-]2 RL-3をオフホワイト固体として得た(3.66g、81%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.13-1.82(m,48H),2.83(t,J=6.6Hz,4H),3.02(t,J=6.6Hz,4H),3.52(m,4H),3.98(m,2H)。LCMS(LCMS法 40~90、8分、TFA):Rt=5.36分、ESI MS(+ve)809[M]+;C36H68N6O10S2[M]+に対するm/z計算値=809。
【0498】
1b.38 [(ε-NH2.TFA)(α-NH2.TFA)][Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2、RL-4
[(ε-NHBoc)(α-NHBoc)][Lys]-NHCO-CH2-CH2-S-]2 RL-3(3.66g、4.5mmol)のジクロロメタン溶液(30mL)に、TFA(27.7mL、362.0mmol)を室温で5分間滴下した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、真空濃縮した。残渣を脱イオン水(50mL)に溶解し、凍結乾燥させて、[(ε-NH2.TFA)(α-NH2.TFA)][Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-4を淡褐色固体として得た(3.91g、定量的)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.28-1.42(m,4H),1.54-1.68(m,4H),1.76-1.88(m,4H),2.70-2.86(m,4H),2.90(t,J=7.7Hz,2H),3.39-3.62(m,4H),3.88(t,J=6.6Hz,2H)。LCMS(LCMS法 5~60、8分、TFA)Rt=0.80分。ESI MS(+ve)409[M]+;C16H36N6O2S2[M]+に対するm/z計算値=409。
【0499】
1b.39 [[(ε-NHBoc)2(α-NHBoc)2][Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2、RL-5
DMF(18mL)中の[(ε-NH2.TFA)(α-NH2.TFA)][Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-4(3.9 1g、4.52mmol)の溶液に、Boc-Lys(Boc)-ONp RL-2(10.13g、21.7mmol)を添加した。この混合物を透明溶液が得られるまで40℃で加熱後室温まで冷却し、TEA(7.55mL、54.2mmol)を加えた。室温で18時間撹拌した後、グリシン(509mg、4.46mmol)の水溶液(1.28mL)を加え、反応混合物を撹拌しながら40℃で加熱した。2時間後、反応混合物を室温まで冷却し、次いで(撹拌しながら)20分かけて水に滴下した。得られた沈殿物をろ過により回収し、脱イオン水(5×30mL)で洗浄し、空気流中で30分間乾燥させた。固体をDMF(18mL)に溶解し、溶液を撹拌しながら水(180mL)に滴下した。得られた白色固体をろ過により回収し、水(3×30mL)で洗浄し、真空オーブンで20時間、40℃で乾燥させて、[[(ε-NHBoc)2(α-NHBoc)2][Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-5を白色固体として得た(6.49g、83.3%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.26-1.93(m,108H),2.84(m,4H),3.04(m,8H),3.20(m,4H),3.51(m,4H),4.00(m,4H),4.33(m,2H)。LCMS(LCMS法 40~90、8分、TFA)Rt=6.34分。ESI MS(+ve)1722[M]+;C80H148N14O22S2[M]+に対するm/z計算値=1722。
【0500】
1b.40 [[(ε-NH2.TFA)2(α-NH2.TFA)2][Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2、RL-6
ジクロロメタン(65mL)中の[[(ε-NHBoc)2(α-NHBoc)2][Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-5(6.49g、3.8mmol)の撹拌懸濁液に、0℃で、TFA(34.6mL、451.2mmol)を10分かけて滴下した。得られた溶液を室温まで温め、4時間撹拌した後、揮発分を真空除去した。残渣を最小量の脱イオン水に溶解し、2回凍結乾燥した(注記:第2の凍結乾燥プロセス中に、白濁した水溶液を0.45μmフィルタディスクを通してろ過し、ろ液を凍結乾燥した)ことにより、[[(ε-NH2.TFA)2(α-NH2.TFA)2][Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2RL-6を淡褐色フォームとして得た(6.20g、96.9%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.13-1.87(m,36H),2.72(m,4H),2.87(m,8H),3.09(t,J=7.0Hz,4H),3.30-3.53(m,4H),3.79(t,J=6.6Hz,2H),3.90(t,J=6.5Hz,2H),4.13(t,J=7.1Hz,2H)。
【0501】
1b.41 [[(ε-NHBoc)4(α-NHBoc)4][Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-7
DMF(16mL)中の[[(ε-NH2.TFA)2(α-NH2.TFA)2][Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-6(4.02g、2.20mmol)の溶液に、Boc-Lys(Boc)-ONp RL-2(9.02g、19.3mmol)を添加した。この混合物を透明溶液が得られるまで40℃で加熱後室温まで冷却し、TEA(7.35mL、52.8mmol)を加えた。室温で18時間撹拌した後、DMF(25mL)を添加して任意の沈殿固形物を溶解させ、得られた溶液を55℃で加熱し、水(1.20mL)のグリシン(250mg、3.3mmol)の溶液を加えた。2時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、次に10分間撹拌しながら水(200mL)に滴下した。得られた沈殿物をろ過により回収し、空気流中で30分間乾燥させた。固体をDMF(40mL)に溶解し、得られた溶液を撹拌しながら脱イオン水(200mL)に滴下した。得られた白色固体をろ過により回収し、空気流で30分間乾燥させた後、MeCNに懸濁し、揮発分を真空除去して[[(ε-NHBoc)4-(α-NHBoc)4][Lys]4[Lys] 2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-7を白色固体として得た(4.80g、37.0%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.17-1.95(m,228H),2.86(m,4H),3.05(m,16H),3.20(m,12H),3.53(m,4H),4.03 & 4.32(14H)。LCMS(LCMS法 40~90、8分、TFA)Rt=7.69分。ESI MS(+ve)1773[M]+;C84H154N15O23S1[M/2]+に対するm/z計算値=1773。
【0502】
1b.42 [[(ε-NH2.TFA)4(α-NH2.TFA)4][Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2、RL-8
ジクロロメタン(50mL)中の[[(ε-NHBoc)4-(α-NHBoc)4][Lys]4[Lys] 2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-7(4.80g、1.4mmol)の撹拌懸濁液に、0℃でTFA(50.0mL、648.0mmol)を15分間にわたって滴下した。得られた溶液を室温まで温め、4時間撹拌した後、揮発分を真空除去した。残渣を最小量の脱イオン水に溶解し、凍結乾燥して(2回)、淡褐色泡沫(5.38g)を得、続いてメタノール(約15mL)に溶解し、得られた溶液を撹拌しながらジエチルエーテル(300mL)に滴下した。このようにして形成された白い析出物をろ過により回収し、メタノールに溶解し、揮発物を真空除去して、[[(ε-NH2.TFA)4(α-NH2.TFA)4]4[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-8をオフホワイトの吸湿性フォームとして得た(3.50g、74.1%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.27-2.01(m,84H),2.82(m,4H),2.90-3.04(m,16H),3.06-3.29(m,12H),3.52(m,4H),3.87(m,4H),3.99(t,J=6.32Hz,4H),4.30(m,4H),4.38(m,2H)。LCMS(LCMS法 5~60、8分、TFA)Rt=0.65分。ESI MS(+ve)975(M/2)+H]+;C44H91N15O7S1[(M/2)+H]+に対するm/z計算値=975。
【0503】
1b.43 [[(ε-NHBoc)8(α-NHBoc)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2、RL-9及び[[(ε-NH2.TFA)8(α-NH2.TFA)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2、RL-10
DMF(17mL)中の[(ε-NH2.TFA)4(α-NH2.TFA)4]4[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-8(1.5g、0.398mmol)の溶液に、Boc-Lys(Boc)-ONp RL-2(3.27g、6.99mmol)及びNMM(2.10mL、19.1mmol)を室温で加えた。反応混合物を2日間撹拌した後、水(1.0mL)中のグリシン(66mg)の溶液を加えた。4時間後、反応混合物を撹拌しながら水(200mL)に滴下した。得られた黄色沈殿物をろ過により回収し、水(5×50mL)で洗浄し、空気流中で乾燥させた。固体をDMF(20mL)に溶解し、得られた溶液を水(200mL)に添加して、オフホワイト沈殿物を得、これを収集し、上述のように乾燥させた。固体をDMF(4.0mL)及びTEA(2.1mL)に溶解させ、55℃で撹拌して加熱し、水(1mL)中のグリシン(66mg)の溶液を加えた。4時間後、反応混合物を室温まで冷却し、2日間撹拌した後、撹拌しながら水(250mL)に滴下した。得られた沈殿物をろ過により回収し、水(3×50mL)で洗浄し、真空乾燥させて、オフホワイト固体である[[(ε-NHBoc)8(α-NHBoc)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-9(約0.8g)を得、これを更に精製せずに使用した。
【0504】
ジクロロメタン中の[[(ε-NHBoc)8(α-NHBoc)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-9(約0.8g)の溶液に、0℃(16mL)でTFA(16mL)を加えた。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌し、揮発物を真空除去した。残渣を水(20mL)に溶解し、3kDaのMWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えた15mLのAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタを用いて、4000rpmで20分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を水で希釈し、遠心分離/濃縮プロセスを繰り返し(10回)、最終的な残留物を凍結乾燥させて、[[(ε-NH2.TFA)8(α-NH2.TFA)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-10をオフホワイト固体として得た(606mg、20%、2ステップ)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.24-2.00(m,180H),2.81(m,4H),2.90-3.04(m,32H),3.12-3.33(m,28H),3.52(m,4H),3.83(m,8H),3.94(m,8H)及び4.23-4.42(m,14H)。LCMS(LCMS法 5~60、8分、TFA)Rt=3.76分。ESI MS(+ve)1000[M/4+H]+;[C184H373N62O30S2]/4[M/4+H]+に対するm/z計算値=1000。
【0505】
1b.44 [(ε-NH2.TFA)8(α-NH2.TFA)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-Me(MAL)-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-1
水(6.0mL)中の[[Lys(ε-NH2.TFA)(α-NH2.TFA)]8-[Lys]4-[Lys]2-[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-10(128mg、0.017mmol)の撹拌溶液に、TCEP0.5Mの水溶液(335μL、0.170mmol)を室温で加えた。反応混合物を1時間撹拌した後、反応混合物のpHを測定し(pH5.2)、0.1M NaOH水溶液を滴下することによりpH6.5に調整した。次いで、Me(MAL)-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RL-18(28.6mg、0.020mmol)を単一部分で添加し、撹拌を続けた。2時間後、反応混合物を、3kDa MWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタに移し、4000rpmで20分間遠心分離して濃縮した。残留物を、4000rpmでの遠心分離によって水で洗浄し(×5)、凍結乾燥させて、黄色の固体(109mg)を得た。固体を水(6mL)に溶解し、空気を溶液を通して18時間泡立て、ピンク色の溶液を得た。溶液を凍結乾燥させて、ピンク色の固体(111mg)を得、これを分取HPLC(HPLC法 5~80、8分、TFA)により更に精製して、[(ε-NH2.TFA)8(α-NH2.TFA)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]CONH-CH2-CH2-S-(Me)MAL-Me(MAL)-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-1をピンク色の固体として得た(32.5mg、32.5%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.21-2.05(m,87H),2.90-3.04(m,14H),3.06(s,3H),3.06-3.26(m,11H),3.48-4.07(m,89H),4.17-4.53(m,11H),7.59(d,J=7.6Hz,2H)及び8.53(d,J=8.0Hz,2H)。LCMS(LCMS法 40~90、8分、TFA)Rt=3.98分。ESI MS(+ve)1141 [(M/3)+H]+;C158H301N37O42S[(M/3)+H]+に対するm/z計算値=1141。
【0506】
1b.45 [(ε-NHBoc)16(α-NHCOPEG25)16][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]CONH-CH2-CH2-S-Me(MAL)-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)、RP-3
無水DMF(3.0mL)中の[(ε-NH2.TFA)8(α-NH2.TFA)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]CONH-CH2-CH2-S-(Me)MAL-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-1(31.4mg、6μmol)の撹拌溶液に、NMM(105μL、955μmol)、続いて無水DMF(2.0mL)中のPyBOP(59.8mg、115μmol)及びHO-Lys(Boc)(PEG1100)RP-2の溶液を加えた。反応混合物を、18時間撹拌した後、透過液として10透析ろ過体積を収集するまで、水を循環媒体として使用してTFF(Pellicon 10kDa MWCO膜)により精製した。残留物を収集し、ラインウォッシングでプールし、凍結乾燥させて、[(ε-NHBoc)16(α-NHCOPEG25)16][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]CONH-CH2-CH2-S-(Me)MAL-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-3をピンク色の固体として得た(104mg、65%)。1H NMR(300MHz,CD 3OD):δ(ppm)1.19-1.97(m,383H),2.38-2.54(m,36H),3.06(s,3H),3.09-3.29(m,64H),3.38(s,56H),3.39-3.48(m,8H),3.51-3.59(m,36H),3.59-3.70(m,1889H),3.70-3.80(m,32H),3.85-3.92(m,6H),3.94-4.15(m,7H),4.21-4.44(m,10H),7.60(d,J=8.1Hz,2H)及び8.53(d,J=8.1Hz,2H)。HPLC(HPLC法 5~80、8分、TFA)Rt=5.10分。
【0507】
1b.46 [(ε-NH2.HCl)16(α-NHCOPEG25)16][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]CONH-CH2-CH2-S-Me(MAL)-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)、RP-4
冷却したバイアル中の[(ε-NHBoc)16(α-NHCOPEG25)16][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]CONH-CH2-CH2-S-(Me)MAL-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-3(83mg、3.3μmol)に、メタノール(1.75mL)中の3.0M HClを添加した。得られた溶液を18時間撹拌し、室温まで温めてから、揮発分を真空除去した。残渣を水に溶解させ、凍結乾燥させて、[(ε-NH2.HCl)16(α-NHCOPEG25)16][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]CONH-CH2-CH2-S-Me(MAL)-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-4をピンク色の固体として得た(82.6mg、定量的)。1H NMR(300MHz,CD 3OD):δ(ppm)1.27-2.05(m,198H),2.39-2.57(m,36H),3.15-3.29(m,44H),3.38(s,39H),3.39-3.59(m,9H),3.59-3.73(m,32H),3.59-3.70(m,1217H),3.73-3.83(m,33H)及び3.85-4.15(m,31H)及び4.21-4.55(m,26H)。HPLC(HPLC法 5~80、8分、TFA)Rt=4.78分。
【0508】
1b.47 [(ε-NHCO-PEG1100)16(α-NHCy5)1(α-NHDOTA)8(α-NH2)7]][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-(Me)MAL-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)、RP-5
DMF(2.0mL)中の[(ε-NHCO-PEG1100)16(α-NH2.HCl)16][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-(Me)MAL-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-4(82.6mg、3.2μmol)及びNMM(24μL、0.21mmol)の撹拌溶液に、室温で、DMF(1.0mL)中のシアニン5 NHSエステル(2.3mg、3.2μmol)を添加した。反応混合物を、シアニン5 NHSエステルの消費について、LCMS(LCMS法 20~90、8分、TFA)によって監視した。18時間後、DMSO溶液(1.0mL)中のp-SCN-Bn-DOTA(44.7mg、68μmol)の溶液を反応混合物に加え、撹拌を続けた。2日後、水(50mL)を加え、得られた溶液を、0.45μmフィルタディスクを通してろ過し、11ディアフィルトレーション体積を透過液として収集するまで、水を循環媒体として使用してTFF(Pellicon 10kDa MWCO膜)によって精製した。残留物を収集し、ラインウォッシングでプールし、凍結乾燥させて、[(ε-NHCO-PEG1100)16(α-NHCy5)1(α-NHDOTA)8(α-NH2)7][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-(Me)MAL-PEG24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-5を青色固体として得た(74.5mg)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)0.74-2.23(m,230H),2.36-2.65(m,53H),2.91-3.28(m,102H),3.38(s,63H),3.40-3.46(m,19H),3.52-3.94(m,1959H),6.17-6.86(m,3H),6.96-7.74(m,46H)。芳香族領域(δ6.96~7.74ppm)の積分を内部標準の芳香族プロトン(δ8.62ppm、2HIS)と比較することによって、DOTAの負荷を、3,4,5-トリクロロピリジンを内部標準として使用して、qNMRによって決定した。このようにして、1分子当たりのDOTA基の数は8.6であることが認められた。シアニン5 NHSエステルの完全消費が観察されたため、デンドリマー1個当たりのシアニン5基の数を1と設定した。デンドリマーの分子量は、26,665Daであると計算された。HPLC(HPLC法 5~80、8分、TFA)Rt=4.76分。
【0509】
1b.48 [[(ε-NH2)4(α-NH2)4][Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-1-Mal
水(1.0mL)中の[[(ε-NH2.TFA)4(α-NH2.TFA)4][Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2 RL-8(65mg、17.2μmol)の溶液に、0.5M TCEPの水溶液(17.0μL、8.5μmol、pH7.0)を室温で加えた。反応混合物をLCMS(LCMS法2)により監視し、ジスルフィド結合の完全な還元が観察されるまで、0.5M TCEP溶液を徐々に加えた(合計で、17.0μL、8.5μmolのTCEPを約1時間にわたって加えた)。反応混合物のpHを0.1N NaOH(水性)を用いて6.2に調整してから、水(0.5mL)中のBr2(MAL)-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)RL-15(32mg、16.4μmol)の溶液を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、水(30mL)で希釈し、ろ過し(0.45μmシリンジフィルタディスク)、ろ液を3kDa MWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えた15mL Amicon(登録商標)Ultra遠心分離フィルタに移し、4000rpmで20分間遠心分離することにより濃縮した。残留物を水(6×15mL)で4000rpmで遠心分離により洗浄し、凍結乾燥させて、[[(ε-NH2)4(α-NH2)4][Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-Bn-Tz(Me)SRS-1-Malをオレンジ色の固体として得た(65mg、99%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.31-1.66(m,37H),1.66-2.02(m,45H),2.05-2.26(m,7H),2.38-2.59(11H),2.91-3.08(m,18H),3.12-3.26(m,8H),3.27-3.41(m,8H),3.40-3.62(m,20H),3.68-3.80(m,20H),3.80-4.05(m,9H),4.23-4.47(m,7H),7.21(d,J=9.0Hz,2H)及び8.52(d,J=9.0Hz,2H)。LCMS(LCMS法 5~60、8分、TFA)Rt=5.04。ESI MS(+ve)1265[(M/3)+H]+;C171H327N39O50S2[(M/3)+H]+に対するm/z計算値=1265。
【0510】
1b.49 [[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NH2)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)、SRS-2
DMF(4.0mL)中の[[(ε-NH2)4(α-NH2)4][Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-Bn-Tz(Me)SRS-1-Mal(65mg、17.1μmol)、HO-Lys(Boc)(PEG1100)RP-2(289mg、208μmol)及びNMM(119μL、1.08mmol)の溶液に、室温でPyBOP(108mg、208μmol)を加えた。18時間後、反応混合物を水(50mL)で希釈し、ろ過し(0.45μmシリンジフィルタディスク)、10透析ろ過体積を透過液として収集するまで、水を循環媒体として使用してTFF(Pellicon 10kDa MWCO膜)によって精製した。残留物を収集し、ラインウォッシングでプールし、凍結乾燥させて、[[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NH2)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-2を濃いオレンジ色の固体(158mg、36%)として得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm): 1.19-2.01(m,307H),2.40-2.55(m,34H),3.03(s,3H)3.10-3.30(m,52H),3.38(s,45H),3.39-3.44(m,9H)3.53-3.59(m,35H),3.59-3.70(m,1522H),3.70-3.80(m,37H),3.84-3.94(m,7H),3.95-4.14(m,8H),4.26-4.44(m,11H),7.22(d,J=9Hz,2H)及び8.53(d,J=9Hz,2H)。HPLC(HPLC法 5~80、8分、TFA)Rt=5.09分。
【0511】
1b.50 [[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NH2.HCl)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)、SRS-3-Mal
[[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NH2)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-2(156mg、6.1μmol)をメタノール(3.23mL)中の3.0M HClに室温で溶解した。得られた溶液を18時間撹拌してから、揮発分を真空除去した。残渣を水(約10mL)に溶解し、溶液を凍結乾燥させて、[[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NH2.HCl)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-3-Malを濃いオレンジ色の固体として得た(142mg、95%)。HPLC(HPLC法 5~80、8分、TFA)Rt=4.77分。
【0512】
1b.51 [[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NHDOTA)4.75(α-NHCy5)0.5(α-NH2)2.75][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)、SRS-4-Mal
DMF(mL)中の[[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NH2.HCl)8][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-3-Mal(130mg、5.3μmol)及びNMM(37μL、337μmol)の溶液に、シアニン5 NHSエステル(3.5mg、5.2μmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌し、DMSO(500μL)中のp-SCN-Bn-DOTA(72mg、105μmol)の溶液を加え、更に24時間撹拌した。揮発分を真空除去し、残渣を水(50mL)に溶解した後、溶液をろ過し(0.45μmシリンジフィルタディスク)、10透析ろ過体積を透過液として収集するまで、水を循環媒体として使用してTFF(Pellicon 10kDa MWCO膜)により精製した。残留物を収集し、ラインウォッシングでプールし、凍結乾燥させて、[[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NHDOTA)4.75(α-NHCy5)0.5(α-NH2)2.75][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-4-Malを青色固体(120mg)として得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm): 1.02-2.14(m,110H),2.36-2.61(m,26H),3.03(s,3H),3.07-3.30(m,39H),3.38(s,32H),3.39-3.45(m,11H),3.53-3.59(m,33H),3.69-3.97(m,61H),6.87-7.79(m,22H)及び8.52(d,J=9.0Hz,2H)。芳香族領域(δ6.80~7.92ppm)の積分を内部標準の芳香族プロトン(δ8.62ppm、2HIS)と比較することによって、DOTAの負荷を、3,4,5-トリクロロピリジンを内部標準として使用して、qNMRによって決定した。このようにして、1分子当たりのDOTA基の数は9.5であることが認められた。シアニン5 NHSエステルの完全消費が観察されたため、デンドリマー1個当たりのシアニン5基の数を1と設定した。デンドリマーの分子量は、29,817Daであると計算された。LCMS(LCMS法 20~90、8分、TFA、MSなし):Rt=5.03分。
【0513】
1b.52 [(ε-NHCO-PEG1100)16(α-DOTA)7(α-NHCy5)1(α-NH2)8][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-(PN)NCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)、HH-2
DMF(4.0mL)中の[(ε-NHCO-PEG1100)16(α-NH2.HCl)16][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-(PN)NCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)HH-1(129mg、5.6μmol)の撹拌溶液に、NMM(39μL、357μmol)、続いてシアニン5 NHSエステル(3.7mg、5.5 5.5μmol)を加えた。18時間撹拌した後、反応混合物(LCMS法3)の分析では、シアニン5 NHSエステルの完全な消費が示された。p-SCN-Bn-DOTA(77mg、112μmol)のDMSO溶液(1.0mL)を加え、更に24時間撹拌を続けた。次いで、反応混合物を希釈し、得られた溶液を、10kDa MWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタに移し、4000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を4000rpmで遠心分離することによって水(×5)で洗浄し、残留物を凍結乾燥して青色ガム(117mg)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm): 1.05-2.16(m,172H),2.37-2.58(m,32H),2.98-3.29(m,61H),3.38(s,48H),3.40-3.44(m,9H),3.58-3.70(m,1351H),3.70-3.83(m,43H),3.83-3.97(m,15H)及び6.99-7.70(m,25H)。芳香族領域(δ6.99~7.70ppm)の積分を内部標準の芳香族プロトン(δ8.62ppm、2HIS)と比較することによって、DOTAの負荷を、3,4,5-トリクロロピリジンを内部標準として使用して、qNMRによって決定した。このようにして、1分子当たりのDOTA基の数は7であることが認められた。シアニン5 NHSエステルの完全消費が観察されたため、デンドリマー1個当たりのシアニン5基の数を1と設定した。デンドリマーの分子量は、27,420Daであると計算された。LCMS(LCMS法 20~90、8分、TFA、MSなし):Rt=5.11分。
【0514】
1b.53 (MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NHCy5)1(α-NHAc)7)(ε-NH-COPEG1100)8]、G3、化合物52
Cy5-NHSエステルの溶液(1mg/mLのDMF溶液1.0mL;1.0mg、1.59μmol)を、DMF(0.5mL)の(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH2)8)(ε-NH-COPEG1100)8]、化合物113(20mg、1.59μmol)の入ったバイアルに添加した。この溶液に、NMM(10μL、91.0μmol)を加え、その後得られた反応混合物を光から保護して、室温で撹拌した。3.5時間後、無水酢酸(20μL、212μmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌させて放置した。反応混合物を減圧濃縮後、MQ水(5mL)に取り込んで2つに分け、2つの(事前に平衡化させた)PD10カラムにより精製した。サンプルがカラム床に入ると、3.5mLのMQ水で溶出し、ろ液を回収した。ろ液を合わせて一晩凍結乾燥した。凍結乾燥により、表題生成物を鮮やかな青色の粉末として19.3mg(93%)得られた。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.30分。
【0515】
1b.54 (MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NHCy5)1(α-NHAc)15)(ε-NH-COPEG1100)16]、G4、化合物53
Cy5-NHSエステルの溶液(1mg/mLのDMF溶液520μL;0.52mg、844nmol)を、DMF(1.0mL)中の(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH2.HCl)16)(ε-NH-COPEG1100)16]、化合物120(20mg、844nmol)の入ったバイアルに添加した。この溶液に、NMM(10μL、94.5μmol)を加え、その後得られた反応混合物を光から保護して、室温で撹拌した。3.5時間後、無水酢酸(20μL、230μmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌させて放置した。反応混合物を減圧濃縮後、MQ水(5mL)に取り込んで2つに分け、2つの(事前に平衡化させた)PD10カラムにより精製した。サンプルがカラム床に入ると、3.5mLのMQ水で溶出し、ろ液を回収した。ろ液を合わせて一晩凍結乾燥した。凍結乾燥により、表題生成物を鮮やかな青色の粉末として19.9mg(98%)得られた。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.40分。
【0516】
1b.55 (MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NHCy5)1(α-NHAc)31)(ε-NH-COPEG1100)32]、G5、化合物54
Cy5-NHSエステルの溶液(1mg/mLのDMF溶液300μL;0.30mg、487nmol)を、DMF(1.2mL)中の(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NH-COPEG1100)32]、化合物122(20mg、435nmol)の入ったバイアルに添加した。この溶液に、NMM(11μL、97.5μmol)を加え、その後得られた反応混合物を光から保護して、室温で撹拌した。3.5時間後、無水酢酸(22μL、237μmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌させて放置した。反応混合物を減圧濃縮後、MQ水(5mL)に取り込んで2つに分け、2つの(事前に平衡化させた)PD10カラムにより精製した。サンプルがカラム床に入ると、3.5mLのMQ水で溶出し、ろ液を回収した。ろ液を合わせて一晩凍結乾燥した。凍結乾燥により、表題生成物を鮮やかな青色の粉末として18.7mg(91%)が得られた。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.50分。
【0517】
1b.56 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-vc-PAB-MMAE)8(ε-NH-COPEG570)8]、G3、化合物64
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG570)8]、化合物14(7.2mg、842nmol)及びHO-Glu-vc-PAB-MMAE(10.0mg、8.08μmol)を用いて、一般手順Eに従って調製して、生成物である化合物64を14.6mg/3.5mLの濃度(240μM)で得た。
【0518】
1b.57 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-vc-PAB-MMAE)8(ε-NH-COPEG1100)8]、G3、化合物65
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG1100)8]、化合物10(10.8mg、842nmol)及びHO-Glu-vc-PAB-MMAE(10.0mg、8.08μmol)を用いて、一般手順Eに従って調製し、生成物である化合物65を18mg/3.5mLの濃度(240μM)で得た。
【0519】
1b.58 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-vc-PAB-MMAE)8(ε-NH-COPEG2000)8]、G3、化合物66
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG2000)8]、化合物16(18.1mg、842nmol)及びHO-Glu-vc-PAB-MMAE(10.0mg、8.08μmol)を用いて、一般手順Eに従って調製し、生成物である化合物66を25.5mg/3.5mLの濃度(240μM)で得た。
【0520】
1b.59 アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHDGA-MMAF(OMe))8(ε-NH-COPEG1100)8]、G3、化合物67
アジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG1100)8]、化合物10(16.3mg、1.28μmol)及びDGA-MMAF(OMe)(10.6mg、12.3μmol)を用いて、一般手順Eに従って調製し、生成物である化合物67を23.8mg/3.5mLの濃度(365μM)で得た。
【0521】
1b.60 BHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))1(α-NH2)7)( ε-NH-COPEG1000)8]、G3、化合物69
DMF(300μL)中のBHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG1000)8](参照1)(100mg、0.00786mmol、1.0当量)の撹拌溶液を室温で調製した。これに(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO2H(Click Chemistry Tools;16mg、0.01mmol、1.3当量)、PyBOP(8mg、0.013mmol、1.6当量)及びDMF(200μL)を加えた。反応混合物を3分間撹拌した後、NMM(40mg、50μL、0.38mmol、48当量)を加えた。この内容物を光から保護して、室温で一晩撹拌した。反応混合物をMQ水で希釈し、一晩凍結保存した。凍結乾燥材料をMeOH(1mL)に取り込み、SEC(400滴/チューブ、MeOH sephadex LH20、35滴/分)により精製した。生成物含有画分をHPLCにより確認し、2つの異なる画分に分けて回収した。各画分を減圧濃縮し、次いで、得られた残渣をMQ水に取り込み、ろ過し(0.45μmアクロディスクフィルタ)、凍結乾燥させて、化合物69をピンク色の固体として得た(69mg、66%)。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.4分(ブロードピーク)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.00-2.00(m,90H),2.51(t,3H),2.60(br s,3H),3.00-3.12(m,6H),3.12-3.35(br s,27H),3.35-3.45(m,26H),3.45-4.15(m,937H),4.15-4.45(m,12H),6.12(s,1H),7.15-7.50(m,12H),8.40-8.50(m,2H)。
【0522】
1b.61 BHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG2-BCN)1(α-NH2)7)(ε-NH-COPEG1000)8]、G3、化合物70
DMF(200μL)中のBCN-PEG2CO-NHPEG24-CO2H、化合物19(9.6mg、0.006mmol、1.3当量)の撹拌溶液を室温で調製した。これに、PyBOP(4mg、0.008mmol、1.6当量)及びNMM(23mg、25μL、0.226mmol、48当量)を加え、5分後にBHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG1000)8](参照1)(60mg、0.006mmol、1.0当量)、続いてDMF(200μL)を加えた。内容物を光から保護して、室温で一晩撹拌した。反応混合物をMeCN(10mL)で希釈し、その後SEC(400滴/チューブ、MeCN sephadex LH20、35滴/分)により精製した。生成物含有画分をHPLCにより確認し、回収し、ろ過し(0.45μmアクロディスクフィルタ)、減圧濃縮し、一晩凍結乾燥させて、化合物70を淡黄色の固体として得た(58mg、収率92%)。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.43分(ブロードピーク)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 0.75-1.12(m,15H)、1.12-2.15(m,95H),2.15-2.35(m,7H)、2.55(br s,3H),3.00-3.35(m,90H),3.35-3.38(s,17H),3.38-4.09(m,592H),4.13(d,2H),4.18-4.63(br s,7H),6.18(s,0.9H),7.12-7.48(m,7H)。
【0523】
1b.62 (MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NHCy5)1(α-NHGlu-VC-PAB-MMAE)7)( ε-NH-COPEG1100)8]、G3、化合物71
Cy5-NHS(DMF中の4.2mg/mL溶液214μL、1.43μmol、1.0当量)の溶液を、ニート(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.HCl)8(ε-NH-COPEG1100)8]、化合物113(18mg、1.43μmol)に添加した。完全に溶解した後、NMM(10μL,91.0μmol)を加え、得られた反応混合物を撹拌して、光から保護した。2時間後、NMM(10μL、91.0μmol)及びPyBOP(7.3mg、14.0μmol)をデンドリマー溶液、その後DMF中のGlu-VC-PAB-MMAE溶液(60mg/mLの溶液290μL、14.0μmol、9.8当量)に加えた。続いて得られた反応混合物を光から保護して、室温で一晩撹拌した。反応混合物をPBS(2.0mL)で希釈し、最終容量2.5mLとした。その後、希釈溶液をPD10脱塩カラム(PBSで事前に平衡化した)に通した。全溶液がカラム床に入った後、PBS(3.5mL)を加えて生成物を溶出させた(青色のバンドとして現れた)。化合物71の最終理論濃度=PBS中8.7mg/mL。材料を、-80℃で冷凍保存した。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=95~10分(ブロードピーク);17%MMAE/MMAEリンカーを含む83%コンジュゲート関連ピーク。
【0524】
1b.63 (MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[3H-Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-VC-PAB-MMAE)8(ε-NH-COPEG1100)8]、G3、化合物72
NMM/DMF(7.8μL/0.5mL)中の(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[3H-Lys]4[Lys]8[(α-NH2.HCl)8(ε-NH-COPEG1100)8](化合物114の合成に使用した手順に従って合成したが、G2層の合成にトリチウム化DBL-OPNP(参照1)を使用する)(36.8mg、2.93μmol)の溶液に、固体PyBOP(24.7mg、47.5μmol)を加えた。完全に溶解させた後、このデンドリマー溶液を、NMM/DMF(7.8μL/0.5mL)中のHO-Glu-VC-PAB-MMAE(40mg、32.3μmol)の溶液に加えた。続いて得られた反応混合物を光から保護して、室温で一晩撹拌した。反応混合物をPBS(4.0mL)で希釈して、最終容量5mLとした。その後、希釈した溶液を2つのPD10脱塩カラム(PBSで事前に平衡化、各カラムに2.5mL)に通した。全ての溶液がカラム床に入ったときに、PBS(3.5mL)を各カラムに加えて生成物を溶出させた。得られた粗混合物を、再生セルロースAmicon Ultra-0.5mL遠心分離ユニット(10K MWCO)を用いて更に精製した。化合物72の最終理論濃度=PBS中29~30mg/mL。材料を、-20℃で冷凍保存した。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=9.5~12分(ブロードピーク);8.6%MMAE/MMAEリンカー関連ピークを含む91.4%コンジュゲート関連ピーク。
【0525】
1b.64 (MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NHDFO)2(α-NHGlu-VC-PAB-MMAE)6)(ε-NH-COPEG1100)8]、化合物73
DMSO(100μL)中のp-SCN-デフェロキサミン(2.1mg、2.79μmol)の撹拌溶液を室温で調製した。これに、DMF(200μL)中の(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.HCl)8(ε-NH-COPEG1100)8]化合物113(17.0mg、1.35μmol)を添加した。その後得られた反応混合物を3分間撹拌した後、NMM(10μL、91.0μmol)を加えた。得られた溶液を光から保護して、室温で4時間撹拌した。PyBOP(7.0mg、13.5μmol)を加え、5分後に反応混合物をニートHO-Glu-VC-PAB-MMAE(9.76mg、7.89μmol)に加えた。続いて得られた反応混合物を一晩放置した。反応混合物を、PBS緩衝液(4.5mL)で希釈し、4枚のAmicon Ultra遠心分離フィルタ(10K MWCO)に分け、フィルタを遠心分離(14K rcf、15分)した。残留物をPBSに対して透析ろ過した(400μL、14K rcf、15分×10回)。保持液を混合してピンク色の溶液を得た。化合物73の濃度は、2mL中約16mgである。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=8.7~9.8分(ブロードピーク)。
【0526】
1b.65 BHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))1(α-NHDFO)2(α-NHGlu-VC-PAB-MMAE)5)(ε-NH-COPEG1100)8]、化合物74
DMSO(100μL)中のp-SCN-デフェロキサミン(2.0mg、2.66μmol)の撹拌溶液を室温で調製した。これに、DMF(200μL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))1(α-NH2)7)( ε-NHPEG1100)8]、化合物69(17.0mg、1.27μmol)を加えた。その後得られた反応混合物を3分間撹拌した後、NMM(10μL、91.0μmol)を加えた。得られた溶液を光から保護して、室温で4時間撹拌した。PyBOP(7.0mg、13.5μmol)を加え、5分後に反応混合物をニートHO-Glu-VC-PAB-MMAE(9.17mg、7.41μmol)に加えた。続いて得られた反応混合物を一晩放置した。反応混合物を、PBS緩衝液(4.5mL)で希釈し、4枚のAmicon Ultra遠心分離フィルタ(10K MWCO)に分け、フィルタを遠心分離(14K rcf、15分)した。残留物をPBSに対して透析ろ過した(400μL、14K rcf、15分×10回)。保持液を混合してピンク色の溶液を得た。化合物74の濃度は、2mL中約16mgである。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=9.3~9.7分(ブロードピーク)。
【0527】
1b.66 (MeTzPh)-PEG24-CO[N(PNBoc)2]、化合物106
DMF(3mL)中の(MeTzPh)-PEG24-CO2H(0.402g、0.305mmol)、PyBOP(0.205g、0.394mmol)、及びNMM(130μL、1.18mmol)の撹拌溶液に、N2雰囲気下でNH(PNBoc)2(0.147g、0.444mmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた油をシリカクロマトグラフィー(5%~10%MeOH/DCM)で精製して、所望の生成物である化合物106を赤色の残渣として得た(0.474g,95%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.43-1.44(m,18H); 1.64-1.80(m,4H); 2.63(t,J 6.0Hz,2H); 3.00(s,3H); 3.02-3.09(m,4H); 3.34-3.40(m,4H),3.58-3.77(m,99H); 3.88-3.91(m,2H); 4.25-4.28(m,2H); 7.15-7.20(m,2H); 8.46-8.51(m,2H)。LCMS(疎水法、ギ酸緩衝液)Rt=6.20分。ESI MS(+ve)1631.0[M+H]+;C76H140N7O30[M+H]+に対するm/z計算値:1631.0。
【0528】
1b.67 (MeTzPh)-PEG24-CO[N(PNH2.HCl)2]、化合物107
氷/水浴中の(MeTzPh)-PEG24-CO[N(PNBoc)2]化合物106(0.420g,0.258mmol)に、1.25M HCl/MeOH溶液(8mL,10.0mmol)をゆっくりと加えた。5分後、氷浴を取り除き、続いて得られる反応混合物を室温で一晩撹拌させた。揮発分を真空除去し、生成物である化合物107を赤色の残渣として得た(0.388g,100%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.91-2.07(m,4H);2.68(t,J6.0Hz,2H);2.94-3.09(m,7H);3.53-3.80(m,108H);3.88-3.91(m,2H);4.25-4.28(m,2H);7.16-7.20(m,2H);8.47-8.51(m,2H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=8.12分。ESI MS(+ve)1430.9[M+H]+;C66H124N7O26[M+H]+に対するm/z計算値:1430.8。
【0529】
1b.68 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PNH2.HCl)2] 化合物108
DMF(2.0mL)中のH2N-PEG24-CO[N(PNBoc)2](0.418g、0.286mmol)の撹拌溶液に、(MeTzPh)-PEG4-CO2H(0.15g、0.344mmol)、PyBOP(0.178g、0.342mmol)及びNMM(80μL、0.727mmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた油を氷/水浴で冷却した後、1.25M HCl/MeOH溶液(10.0mL,12.5mmol)をゆっくりと加えた。5分後、氷浴を取り除き、続いて得られる反応混合物を室温で一晩撹拌させた。揮発分を真空除去し、得られた油をMeCN/H2O(8mL,1:1)に溶解し、分取HPLC(10~50%MeCN、0.1%ギ酸緩衝液、RT35分)で精製して、赤色の固形化合物108(1.37g、54%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.91-2.04(m,4H);2.43(t,J6.0Hz,2H);2.68(t,J6.0Hz,2H);2.94-3.07(m,4H);3.00(s,3H);3.35(t,J6.0Hz,2H);3.51-3.80(m,119H);3.88-3.91(m,2H);4.25-4.28(m,2H);7.16-7.20(m,2H);8.46-8.51(m,2H)。LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=8.15分。ESI MS(+ve)1677.9[M+H]+;C77H145N8O31[M+H]+に対するm/z計算値:1678.0。
【0530】
1b.69 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2[Lys]2[NHBoc]4 G1 化合物109
N2雰囲気下、DMF(3.0mL)中の(MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PNH2.HCl)2]、化合物108(0.195g、0.111mmol)及びDBL-OPNP(参照1)(0.146g、0.312mmol)の撹拌溶液に、NMM(125μL、0.864mmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた油状残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(5%-10%-15% MeOH/DCM)で精製し、所望の生成物である化合物109を赤色の油として得た(0.186g,72%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.28-1.87(m,56H);2.43(t,J6.0Hz,2H);2.63(t,J6.0Hz,4H);3.00(s,3H);3.02-3.06(m,4H);3.10-3.21(m,4H);)。3.35-3.41(m,6H);3.51-3.78(m,110H);3.84-3.99(m,4H);4.25-4.28(m,4H);7.15-7.20(m,2H);8.47-8.51(m,2H)。LCMS(疎水法、ギ酸緩衝液)Rt=6.68分、ESI MS(+ve)2335.3,[M+H]+;C109H201N12O41+[M+H]+のm/z計算値=2335.4。
【0531】
1b.70 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2[Lys]2[NH2.HCl]4 G1 化合物110
氷冷した(MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2[Lys]2[NHBoc]4、化合物109(0.215g、0.0921mmol)に、1.25M HCl/MeOH(6.0mL、7.50mmol)の溶液をゆっくりと加えた。5分後、氷浴を取り除き、続いて得られる反応混合物を室温で一晩撹拌させた。揮発物を真空除去し、生成物である化合物110を赤色油として得た(0.208g、108%)。%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.51-1.99(m,20H);2.47(t,J6.0Hz,2H);2.67(t,J6.0Hz,4H);2.90-3.04(m,7H);3.35-3.41(m,7H);3.51-3.78(m,106H);4.25-4.28(m,2H);7.17-7.20(m,2H);8.47-8.51(m,2H);LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=7.28分、ESI MS(+ve)1934.9[M+H]+;C89H169N12O33[M]+に対するm/z計算値=1935.2。
【0532】
1b.71 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NHBoc]8、G2、化合物111
N2雰囲気下、DMF(3.0mL)中の(MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2[Lys]2[NH2.HCl]4、化合物110(0.192g、0.0822mmol)及びDBL-OPNP(参照1)(0.215g、0.460mmol)の撹拌溶液に、NMM(215μL、0.1.96mmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた油状残渣をシリカクロマトグラフィー(5%-10%-15% MeOH/DCM)で精製して、所望の生成物である化合物111を赤色の油として得た(0.231g,87%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.28-1.87(m,140H);2.44(t,J6.0Hz,2H);2.63(t,J6.0Hz,2H);3.00(s,3H);3.02-3.06(m,10H);3.10-3.21(m,16kH))。3.33-3.40(m,8k H);3.51-3.77(m,120H);3.84-3.99(m,14H);3.94-4.10(m,4H);4.25-4.28(m,4H);7.15-7.20(m,2H);8.47-8.52(m,2H)。LCMS(疎水法、ギ酸緩衝液)Rt=8.15分、ESI MS(+ve)[M+2]+=1624.5;[(M-3Boc)+3]=1016.6;C153H281N20O53
+[M+H]+に対するm/z計算値=3247.99。
【0533】
1b.72 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NH2.HCl]8、G2、化合物112
氷冷した(MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NHBoc]8 、化合物111(0.231g,0.0711mmol)に、1.25M HCl/MeOH(9.0mL,11.3mmol)の溶液をゆっくりと加えた。5分後、氷浴を取り除き、続いて得られる反応混合物を室温で一晩撹拌させた。揮発物を真空除去し、生成物である化合物112を赤い油として得た(0.226g,100%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.51-1.96(m,40H);2.53(t,J=6.0Hz,2H);2.96-3.04(m,10H);3.15-3.20(m,8H);3.39-3.45(m,7H);3.54-4.10(m,102H);4.25-4.28(m,2H);7.17-7.20(m,2H);8.48-8.51(m,2H);LCMS(親水法、ギ酸緩衝液)Rt=6.38分、ESI MS(+ve)2447.6[M+H]+;C113H217N20O37[M+H]+に対するm/z計算値=2447.6。
【0534】
1b.72 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.HCl)(ε-NH-CO PEG1100)]8、G3、化合物113
N2雰囲気下、DMF(2mL)中のHO-Lys(Boc)(PEG1100)(参照1)(0.541g、0.402mmol)及びPyBOP(0.195g、0.375mmol)の撹拌溶液に、NMM(225μL、2.96mmol)を加えた。10分後、その溶液を、DMF(1mL)中の(MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NH2.HCl]8、化合物112(0.109g、0.0398mmol)に添加した。続いて得られた反応混合物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた粗産物を氷/水浴で冷却した。冷却した残渣に、1.25M(8.0mL、10mmol)をゆっくりと加えた。10分後、冷水浴を除去し、反応物を室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、H2O(16mL)に溶解した。この溶液をMillipore Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Units(4ユニット×10kDa MWCO ユニット)を用いた遠心分離*により精製した。保持液を一晩凍結乾燥し、生成物である化合物113(0.327g、65%)を赤色の固体として得た。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.40-1.87(m,88H);2.49-2.56(m,18H);2.68-2.72(m,2H);3.08(s,3H);3.17-3.30(m 30H);3.37-3.51(m,10H);3.41(s,24H);3.59-4.01(m,816H);4.25-4.40(m,8H);7.29-7.33(m,2H);8.44-8.49(m,2H);LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=10.28分。
【0535】
*[ユニットをH2O(5mL)で事前にすすぎ洗し、4000rpmで5分間回転させた。 このプロセスを繰り返した。この粗液を0.45μmのシリンジフィルタでろ過し、遠心分離装置に入れた。その後、ユニットを4000rpmで15分間回転させた。その後、保持液をH2O(4mL)で希釈し、再び4000rpmで15分間回転させた。このプロセスを8回繰り返した]。
【0536】
1b.73 ナノボディ-N3/DBCO-DFO、化合物114
トリス緩衝液(pH8)中のナノボディ-N3(「ナノボディ-N3-C末端タグ」)溶液(228μg、0.015μmol)に加えた200μLのDMSO、124μLのDBCO-DFO溶液(48μg、0.054μmol)に0.4mgの化合物を溶解させることによってDBCO-DFO化合物56の溶液を調製し、この溶液を4℃で一晩放置する。反応混合物のUPLC分析では、未反応のアジドナノボディが示され、反応が完了していないことが示唆された。更に24μg(0.027μmol)のDBCO-DFO化合物を反応混合物に加え、反応混合物を週末にわたって4℃で放置した。反応混合物のUPLC分析では、反応が完了したことが示された。UPLC: 0.01 TFAを含む30~40%MeCN、15分間、Rt: アジドナノボディ-N3の場合は9.91分(m/z14308)及びRt:NB-DFO製品の場合は10.79(m/z15184)。
【0537】
トリス緩衝液(pH8)を使用して1mLに希釈した後、スピンカラム(Amicon0.5mL;10kDaカットオフ;移動相としてトリス;10回洗浄(450μL/洗浄))を使用して精製した。NB-DFO生成物114を、トリス緩衝液(pH8)中で約250μg/300μLの濃度で得た。
【0538】
1b.74 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NH-COPEG24-NHFmoc)8]、G3、化合物115
DMF(2mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[α-NHBoc)8(ε-NH2)8](参照1)(100mg、0.0344mmol)の溶液に、Fmoc-NH-PEG24-COOH(451mg、0.329mmol)、PyBOP(171mg、0.329mmol)及びNMM(90μL、0.0826mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応の進行をHPLCにより確認し、完了したと判断されたものを真空濃縮し、生成物である化合物115を更に精製することなく次のステップに使用した。
【0539】
1b.75 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NH-COPEG24-NH2)8]、G3、化合物116
DMA(4mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NH-COPEG24-NHFmoc)8]、化合物115(470mg、0.0343mmol、先行ステップから100%収率として処理)の溶液に、ピペリジン(1mL)を加え、反応をHPLC分析によって監視した。出発材料を消費すると、反応物を減圧下で濃縮し、SEC(400滴/チューブ、MeOH sephadex LH20、35滴/分)により精製した。画分をTLC分析(5%BaCl2溶液、続いてヨウ素染色、暗褐色斑)により確認し、続いてHPLCにより確認し、生成物を含有するものを合わせ、減圧濃縮した。残渣をMQ水に取り込み、ろ過し(0.45μmアクロディスクフィルタ)、凍結乾燥させて、化合物116を淡褐色のフィルム(190mg、2つのステップで46%の収率)として得た。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 0.9-1.93(m,162H),2.44(m,16H),2.93-3.24(m,46H),3.40(m,7H),3.48-3.78(m,800H),3.87(m,6H),4.00(m,9H),4.3(m,7H),4.45(m,1H),6.19(s,1H),7.23-7.37(m,10H)。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=7.9~8.1分(ブロードピーク)
【0540】
1b.76 ((1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン4-イン-9-イル)メチル(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エチル)カルバメート、化合物117
DMF(3.0mL)中のMPS-EDA.TFA(0.204g、0.627mmol、Quanta BioDesign製)及びBCN-NHS(0.224g、0.769mmol、SynAffix製)の溶液に、NMM(0.210mL、1.91mmol)を加えた。この反応物を、2時間、室温で撹拌させ、次いで、真空濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィー(100%EtOAc、1%Et3N)で精製して、生成物(0.147g、61%)を得た。1H NMR(300MHz,d6-DMSO)δ(ppm): 0.85-0.87(m,2H);1.23-1.28(m,2H);1.49-1.51(m,2H);2.15-2.32(m,8H);2.98-3.02(m,4H);3.57-3.61(m 2H););4.01-4.03(m 2H);6.98(brs,2H);7.05(brs,1H);7.97(brs,1H)。
【0541】
1b.77 ナノボディ(精製タグを有するプレーン)GGSHHHHHHGMASMTGGQQMGRDLYENLYFQGEVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS、化合物118
1b.78 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[NH2.HCl]16、G3、化合物119
N2雰囲気下、DMF(2.0mL)中の(MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[NH2.HCl]8、化合物112(0.098g,0.0358mmol)及びDBL-OPNP(参照1)(0.207g、0.443mmol)の撹拌溶液に、NMM(190μL、1.973mmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた油状残渣をシリカクロマトグラフィー(5%-10%-15% MeOH:ジクロロメタン)で精製して、Boc保護された生成物を赤色油として得た(0.128g、70%)。精製材料を氷/水浴で冷却した後、1.25M HCl/MeOH(6.5mL、8.5mmol)の溶液をゆっくりと加えた。5分後、氷浴を取り除き、続いて得られる反応混合物を室温で一晩撹拌させた。揮発物を真空除去し、生成物である化合物119を赤い油として得た(0.107g,100%)。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=7.48分、ESI MS(+ve)3471[M+H]+;[M+H]+に対するm/z計算値=3472。
【0542】
1b.79 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[(α-NH2.HCl)(ε-NH-CO PEG1100)]16、G4、化合物120
N2雰囲気下、DMF(1.5mL)中のHO-Lys(Boc)PEG1100)(参照1)(0.107g、0.132mmol)及びPyBOP(0.065g、0.125mmol)の撹拌溶液に、NMM(50μL、0.455mmol)を加えた。10分後、その溶液を(MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[NH2.HCl]16、化合物119(0.0221g、0.00545mmol)に加えた。続いて得られた反応混合物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた粗産物を氷/水浴で冷却した。冷却した残渣に、1.25M HCl/MeOH(1.5mL、1.88mmol)をゆっくりと加えた。10分後、冷水浴を除去し、反応物を室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、H2O(5mL)に溶解した。この溶液をMillipore Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Unit(10kDa MWCO)を用いた遠心分離により精製した。残留物を一晩凍結乾燥し、ギルソン計器(単一勾配60分、10>60%MeCN(0.1%TFA緩衝液、RT36分)上で分取HPLCにより更に精製して、生成物である化合物120(0.021g、25%)を赤色固体として得た。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 1.28-1.87(m,184H);2.42-249(m,35H);3.00(s,3H);3.12-3.23(m 60H);3.34-3.40(m,63H);3.52-4.01(m,826H);4.25-4.39(m,16H);7.17-7.20(m,2H);8.48-8.51(m,2H);LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=8.96分。ESI MS(+ve)2095[M+7H]+;1834[M+8H]+;1630[M+9H]+。
【0543】
1b.80 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[NH2.TFA]32、G4、化合物121
化合物119と同様に調製し、TFA/AcOHを用いて脱保護し、化合物121(0.078g,78%)を赤色固体として得た。LCMS(親水法、TFA緩衝液)RT=7.74分.ESI MS(+ve)2095[M+7H]+;1834[M+8H]+;1630[M+9H]+。
1b.81 (MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)( ε-NH-COPEG1100)]32、G5、化合物122
【0544】
N2雰囲気下、DMF(3.0mL)中のHO-Lys(Boc)(PEG1100)(参照1)(0.476g、0.354mmol)及びPyBOP(0.170g、0.327mmol)の撹拌溶液に、NMM(180μL、0.500mmol)を加えた。10分後、その溶液を(MeTzPh)-PEG4-PEG24-CO[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[NH2.TFA]32、化合物121(0.078g、0.00850mmol)に加えた。続いて得られた反応混合物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発成分を真空除去し、得られた粗製品をH2O(1.0mL)に溶解し、TFA(1.0mL)をゆっくりと加えた。この反応を室温で一晩撹拌した。反応物をH2O(12mL)で希釈し、Millipore Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Unit(10kDa MWCO)を用いた遠心分離によって精製した。保持液を一晩凍結乾燥し、化合物122(0.374g、91%)をピンク色の固体として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.41-1.87(m,376H);2.52-2.56(m,64H);3.09(s,3H);3.17-3.24(m,126H);3.41(s,93H)3.48-3.98(m,2960H);4.27-4.39(m,32H);7.30-7.33(m,2H);8.46-8.49(m,2H);HPLC分析(HPLC-親水法、ギ酸塩緩衝液、15分)Rt=8.60分。
【0545】
1b.82 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHAc)30(α-NHDOTA)2(ε-NHCOPEG2000)32]、化合物RH-3
DMF(0.6mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2)30(α-NHDOTA)2(ε-NHCOPEG2000)32]、化合物RH-2(63mg、860μmol)の撹拌溶液に、TEA(25μL、228μmol)、続いて酢酸無水物(41μL、430μmol)を加えた。続いて得られた反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、MeOH(1.0mL)に溶解し、SECにより精製した。生成物含有画分を合わせて真空濃縮し、得られた残渣をMQ水に溶解させ、ろ過し(0.45μmアクロディスクフィルタ)、凍結乾燥させた。得られた固体をMQ水(50mL)に溶解させ、MQ水を用いた限外ろ過(minimate)により精製した。11DVの透過液を収集した後、残留物を濃縮し、ろ過し(0.22μmアクロディスクフィルタ)、凍結乾燥させて、化合物RH-3-160(52.2mg)を得た。HPLC(HPLC-親油性方法、ギ酸塩緩衝液、15分)Rt=8.56分。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.16-1.90(m,359H),2.02(broad s,101H),3.01-3.31(m,133H),3.38(s,96H),3.45-3.48(m,43H),3.52-4.40(m,5267H),6.09(broad s,1H),7.13-7.54(m,17H)。1H NMR分析により、約1.8DOTA/デンドリマー;DOTAの%(w/w)=1.7%が示唆される。
【0546】
1c.ナノボディ対照の合成
1c.1 ナノボディ-N3/DBCO-Sulfo-PEG3-DFO、化合物82
ナノボディ-N3(「ナノボディ-N3-C末端タグ」)(20mM Tris、pH8の2ml中5.78mg)の溶液を、DBCO-スルホ-PEG4-DFO、化合物55(1mg/mlの水溶液535μl、1当量)と反応させた。続いて得られた反応混合物を室温で一晩放置した。過剰の未反応のDBCO-スルホ-PEG3-DFOを、10k MWCO Amicon Ultra遠心分離フィルタを用いて実行した緩衝液交換によって除去した。次いで、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートを、放射性標識のために、10mMのHEPES、pH8に緩衝液交換した。未反応のDBCO-スルホ-PEG3-DFOの除去をHPLCによって確認した。
【0547】
1c.2 ナノボディ-Cys/MAL-Cy5 SRS-19
TCEPによる還元後、ナノボディ-Cys SRS-13をスルホ-シアニン5マレイミド(Lumiprobeカタログ13380)にコンジュゲートした。10モル当量のTCEPを、pH7.2 10mM PBS中のナノボディ-Cys SRS-13に添加した。反応チューブを窒素でフラッシュし、反応混合物を室温で2時間放置した。7kのMWCO Zebaspin脱塩カラム(Thermo Fisherカタログ89882)を用いて脱塩することにより、過剰なTCEPを除去した。次いで、5モル当量のスルホ-シアニン5マレイミドを加えた。反応チューブを窒素でフラッシュし、反応混合物を室温で20時間放置した。7kのMWCOゼバスピン脱塩カラムを使用して、任意の未反応のスルホ-シアニン5マレイミドを除去した。
【0548】
1d.トラスツズマブ対照の合成
1d.1 トラスツズマブ-デグリコシル化化合物KY-1
SC注射用のHerceptin(登録商標)(トラスツズマブ)の溶液(200μLの120mg/mLのherceptin)を、7K Zeba(商標)スピン脱塩カラム、0.5mL(Thermo Scientific(商標))を介して、10mM PBS(pH7.4)に緩衝液交換した。濃度を10mM PBSで10mg/mLに調整した。PNGase F(New England Biolabs、3.5μL)を溶液に添加し、振とう(400rpm)しながら37℃でインキュベートし、反応をUPLCによって監視した。KY-1の還元には、β-メルカプトエタノール10%v/v(Sigma-Aldrich)を使用した。β-メルカプトエタノール還元生成物のUPLC-ToF分析(方法1):重鎖:m/z49153(反応前:m/z50593)で9.06分(Rt);軽鎖:m/z23439(反応前:m/z25377)で8.55(Rt)。22時間後、PNGase Fを遠心分離(Amicon Ultra-0.5、50kDa MWCO)を用いて除去し、試料を5,000×gで5分間、合計4回洗浄した。
【0549】
1d.2トラスツズマブ-{CONH-PEG
4-スルホ-DBCO}
2、化合物KY-2(及びKY-2a)
脱グリコシル化トラスツズマブKY-1のPBS緩衝液pH7.4(2mL、10mg/mL)に、MQ水(240μL)中のスルホDBCO-PEG
4-アミン(Click Chemistry Tools,7.2mg、0.01mmol)の溶液を室温で加えた。反応混合物を37℃に加熱し、その後、MQ水(300μL)中に再懸濁したトランスグルタミナーゼ(Microbial-Transglutaminase、[MTGase]、Zedira GmbH)を加えた。最終濃度は、1mgのKY-1当たり6.7単位のMTGaseである。試料を37℃で12~18時間、又は改変の完了までインキュベートした(UPLC-Tof(方法1)を介して監視した反応)。KY-1の重鎖質量の増加は、9.62分(R
t)でのピーク、49,885Daでのm/z(反応前のm/z49153)を伴うUPLC分析によって観察することができる。完了したら、サイズ排除カラム(SEC)緩衝液10mM HEPES、150mM NaCl、pH8を使用して、MTGase及び未反応リンカーをSuperdex(登録商標)200 Increase10/300 GL(Cytiva)で除去した。280nmの吸光度に基づいて精製を監視した。目的のピークを収集し、50kDa MWCO Amicon Ultra-0.5遠心フィルタユニット(Merck)で1mLに濃縮した(10mM HEPES緩衝液中16.43mg/mL)。KY-2のアリコートをAFDye 647アジド(Click Chemistry Tools)で処理してKY-2aを得、続いてSDSページゲルを使用して分析することにより、トランスグルタミン化の証拠を確認した(
図21、レーン1及び3、並びに還元生成物レーン2及び4を参照)。対応する細胞結合データを実施例7に示す。
【0550】
1d.3 トラスツズマブ-{PEG4-DBCO/N3-PEG7-Lys[(α-Cy5)1(ε-NHDOTA)1]}2、化合物KY-3-310
トラスツズマブ-{CONH-PEG4-Sulfo-DBCO}2 KY-2(1.2mLのトリス緩衝液(pH8)中16mg)の溶液に、DMSO中のN3-PEG7-NHCO-Lys[((α-NHCy5)(ε-NHDOTA)]、化合物SRS-5(0.65mg、0.42μmol、10mg/mL)を添加した。反応混合物を室温で18時間放置し、次いでMQ水で15mLの体積に希釈した。得られた溶液を遠心分離(Amicon Ultra-15、10kDa MWCO)により濃縮し、トリス緩衝液pH8(5×15mL)で洗浄して、トリス緩衝液(pH8)(16.3mg/mL)中のトラスツズマブ-{PEG4-DBCO/N3-PEG7-Lys[(α-Cy5)1(ε-NHDOTA)1]}2(化合物KY-3-310)の溶液を得た。β-メルカプトエタノール還元生成物のUPLC-Tof分析(方法1):重鎖:m/z51345(反応前:m/z49885)で10.19分(Rt);軽鎖:m/z23439(反応前:m/z23439)で8.72(Rt)。
【0551】
1e.FAPI中間体の合成
1e.1 FAPI-04-NH RHa-2
MeCN(10mL)中のFAPI-04-NBoc、RHa-1(425mg、0.72mmol)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(206mg、1.09mmol)を加えた。得られた白濁した混合物を50~60℃で撹拌し、反応の進行をLCMS(LCMS法 20~90、8分、TFA)によって監視した。反応混合物を合計31.5時間加熱し、p-トルエンスルホン酸(144mg、0.72mmol)の追加部分を3.5時間及び30時間後に加えた。反応混合物を室温まで冷却し、真空濃縮して、FAPI-04-NH ,RHa-2を得た。材料を更に精製することなく使用した。LCMS(LCMS法 20~90、8分、TFA)Rt=0.661分及び3.36分。ESI MS(+ve)487[M]+;C24H28F2N6O3[M]+に対するm/z計算値=487。1製品の大部分は、この方法を使用して注入時にカラムから直接溶出するように見える(Rt=0.66分)が、また保持される(Rt=3.36分)。
【0552】
1e.2 FAPI-04-NC(O)-dPEG1100-CO2H、RHa-4
DMF(10mL)中のFAPI-04-NH RHa-2(0.72mmol)の撹拌溶液に、酸-dPEG1100-NHSエステルRHa-3(795mg、0.60mmol)を室温で加えた。全ての固体を溶解させたら、NMM(1.3mL、11.15mmol)を加え、反応混合物及び撹拌を続けた。18時間後、反応混合物を真空濃縮した。残渣をMeCN(8mL)に溶解し、ろ過し(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)、ろ液を分取HPLC(分取HPLC法20-60,TFA;R t=26~29分)によって精製して、FAPI-04-NC(O)-dPEG1100-CO2H RHa-4を淡黄色状油として得た(1.1g、99%)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)2.33-2.47(m,2H),2.55(t,J=9.0Hz,2H),2.62-3.22(m,4H),3.34-3.54(m,4H),3.56-3.68(m,100H),3.68-3.91(m,5H),3.92-4.57(m,7H),5.12-5.16(m,1H),7.72(dd,J=3.0,9.0Hz,1H),7.90(d,J=5.1Hz,1H),8.15-8.26(m,2H)及び9.02(d,J=6Hz,1H)。LCMS(LCMS法 5~60、8分、TFA)Rt=5.22分。ESI MS(+ve)1688[M]+;C78H132F2N6O31[M]+に対するm/z計算値=1688。
【0553】
1e.3 HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH2.TFA)]、RHa-7
DMF(2.0mL)中のCy5-NHSエステルRHa-5(51mg、0.077mmol)の溶液に、室温でHO-Lys[(α-NH2)(ε-NHBoc)]RHa-6(38mg、0.154mmol)、続いてNMM(70μL、0.154mmol)を加えた。反応混合物を5分間超音波処理した後、2日間撹拌してから、揮発分を真空除去した。残渣をジクロロメタン(2.0mL)に溶解し、TFA(0.5mL)を室温で加えた。反応混合物を4.5時間撹拌し、MeCN(約5mL)で希釈し、真空濃縮し、分取HPLC(分取HPLC法 30~90、TFA;Rt=24~26分)により精製して、HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH2.TFA)]RHa-7を濃紺色固体として得た(46mg、82%)。LCMS(LCMS法 20~90、8分、TFA)Rt=5.09分。ESI MS(+ve)612[M]+;C38H51N4O3[M]+に対するm/z計算値=612。
【0554】
1e.4 HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)]、RHa-9
HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH2.TFA)] RHa-7(93mg、0.13mmol)に、DMSO(2.0mL)及びDIPEA(150μL、0.86mmol)中のp-SCN-Ph-DFO RHa-8(120mg、0.16mmol)の溶液を室温で加えた。得られた溶液を18時間撹拌し、次いで、反応混合物の表面(16時間)に窒素を吹き付けて、体積の約半分まで濃縮した。水(約20mL)を濃縮溶液に添加し、続いてMeCN(約2mL)を添加して任意の固体を溶解させた。得られた溶液を凍結乾燥させ、次いで自動フラッシュクロマトグラフィー(オートフラッシュ法1、RCV=11~13CV)により精製して、HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)] RHa-9を濃紺色固体として得た(108mg、57%)。LCMS(LCMS法 5~60、8分、TFA):Rt=6.73分、ESI MS(+ve)1365[M]+;C71H103N12O11S2[M]+に対するm/z計算値=1365。
【0555】
1e.5 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCOPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31] RHa-12
DMF(5mL)中のFAPI-04-NC(O)-PEG1100-CO2H RHa-4(100mg、0.06mmol)及びmPEG1000-CO2H RHa-11の撹拌溶液に、PyBOP(200mg、0.38mmol)を室温で加えた。反応混合物を5分間撹拌してから、DMF(3mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH2)32] RHa-10(110mg、0.01mmol)及びNMM(150μL、1.35mmol)の溶液を得た。得られた溶液を2日間撹拌し、真空濃縮した。残渣に水(20mL)を添加し、得られた白濁した溶液をろ過した。ろ液を水で希釈して約70mLの総量とし、脱イオン水(10DV)で溶出するTFF(Pellicon XLカセット、50cm2、10kDa MWCO Ultracel膜)にかけた。残留物を更にスピンカラム(Amicon Ultra、10kDa MWCO、15mL)によって濃縮し、凍結乾燥させて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31] RHa-12を淡黄色のガム(317mg)として得た。1H NMR分光法を用いて、ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04基の数(nFAPI)及びε-NHCO-mPEG1000 基の数(nmPEG)を決定した。BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31] RHa-12(25mg)をCD3OD(600μL)中に溶解させ、得られた溶液を揺さぶり、室温で24時間静置した。1H NMRスペクトルを記録し[スキャン数=500、d1(パルス遅延)=30s]、処理し、δ=7.16~7.44ppmでのベンズヒドリル(BHA)プロトンに関連する共鳴の積分を10Hに設定した。δ=8.70~8.86ppmでの共鳴の積分値は(1H)×nFAPIキノリンプロトンに起因し、δ=3.36ppmでの共鳴は(3H)×nmPEGプロトンに起因した。その際、nFAPI=1であり、nmPEG=31であった。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)R t=5.06分。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm): 0.73-2.15(m,649H),2.90-3.29(m,100H),3.36(s,93H),3.37-3.92(m,2991H),3.93-4.66(m,103H),6.16-6.28(m,1H),7.16-7.44(m,10H),7.78-8.08(m,26H)及び8.70-8.86(m,1H)。
【0556】
1e.6 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCOPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3]、RHa-13
DMF(5+3mL)中のFAPI-04-NC(O)-PEG1100-CO2H RHa-4(355mg、0.21mmol)、mPEG1000-CO2H RHa-11(218mg、0.42mmol)、PyBOP(218mg、0.42mmol)、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH2)32] RHa-10(125mg、0.011mmol)及びNMM(192μL、1.75mmol)を使用して、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3] RHa-13)を濃黄色ガムとして得た(460mg、85%、MWCalc=49,214Da)ことを除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31] RHa-12について記載されているように合成した。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.83分。1H NMR(300MHz,CD3OD+D2O):δ(ppm): 1.01-2.01(m,681H),2.14-2.29(m,16H),2.39-2.52(m,19H),2.59-2.77(m,17H),2.77-3.29(m,168H),3.36(s,71H),3.38-3.92(m,3239H),3.92-4.48(m,149H),5.03-5.21(m,10H),7.12-7.38(m,10H),7.44-7.56(m,10H),7.56-7.64(m,9H),7.79-8.20(m,88H)及び8.73-8.86(m,10H)。nFAPI=10及びnmPEG=19。
【0557】
1e.7 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)4(ε-NHCO-dPEG1100)28] RHa-14
DMF(3.5mL)中のFAPI-04-NC(O)-PEG1100-CO2H RHa-4(53mg、31.4μmol)の撹拌溶液に、室温でPyBOP(16.3mg、31.4μmol)を加えた。反応混合物を5分間撹拌し、その後BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NH2)32] RHa-10(75mg、6.5μmol)、続いてNMM(20μL、18.2μmol)を加えた。得られた溶液を18時間撹拌し、DMF(1.7mL)中のdPEG1100-CO2H RHa-32(255mg、0.22mmol)、PyBOP(114mg、0.22mmol)、及びNMM(121μL、1.10mmol)の溶液を加え、撹拌を続けた。18時間後、揮発分を真空濃縮し、残渣を脱イオン水(20mL)に溶解した。得られた溶液を、4×Amicon(登録商標)Ultra 15、10kDa MWCOスピンカラムに均一に分配し、遠心分離によって濃縮した(4000rpm、20分間)。残留物を水で洗浄し(10分間、4000rpmで10×3mL)、最終的な残留物を凍結乾燥させて、淡黄色固体(277mg、84%、MWCalc=50,156Da)を得た。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.98分。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm): 1.00-2.03(m,698H),2.25-2.57(m,70H),2.61-2.81(m,6H),2.98-3.27(m,115H),3.36(s,90H),3.37-3.92(m,3361H),3.92-4.16(m,25H),4.16-4.50(m,46H),5.05-5.20(m,4H),7.15-7.41(m,10H),7.45-7.54(m,4H),7.56-7.63(m,4H),7.73-8.19(m,33H),8.73-8.86(m,4H);nFAPI=4及びnmPEG=28。
【0558】
1e.8 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)5(ε-NH2)2]、RHa-16
DMF(10mL)中のFAPI-04-NC(O)-PEG1100-CO2H RHa-4(627mg、0.37mmol)、mPEG1000-CO2H RHa-11(450mg、0.37mmol)、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NH2)8] RHa-15(225mg、0.077mmol)、PyBOP(387mg、0.74mmol)、及びNMM(340μL、3.10mmol)を使用して、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)5(ε-NH2)2] RHa-16を黄色ガムとして合成した(220mg、25 %、MWCalc=11,225Da)ことを除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31] RHa-12について記載されるように合成した。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=5.08分。1H NMR(300MHz,CD3OD+D2O):δ(ppm): 1.03-1.99(m,165H),2.20-2.38(m,1H),2.38-2.52(m,2H),2.63-2.76(m,1H),2.92-3.29(m,33H),3.36(s,19H),3.38-3.92(m,721H),3.93-4.11(m,18H),4.11-4.42(m,9H),5.07-5.20(m,1H),6.14-6.25(m,1H),7.20-7.40(m,10H),7.44-7.54(m,1H),7.56-7.64(m,1H),7.77-8.21(m,18H)及び8.75-8.82(m,11H)。nFAPI=1及びnmPEG=5。
【0559】
1e.9 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5]、RHa-17
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)5(ε-NH2)2] RHa-16を真空濃縮し、脱イオン水(24mL)に溶解し、Amicon(登録商標)Ultra 15遠心分離3kDa MWCOスピンカラム(4000rpm、30分間)を使用してろ過した。残留物を脱イオン水で洗浄し(1サイクル当たり15分間、4000rpmで10×15mL)、凍結乾燥させて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5] RHa-17を黄色ガムとして得た(670mg、64%、MWCalc=13,457Da)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=5.08分。1H NMR(300MHz,CD3OD+D2O):δ(ppm): 0.82-2.05(m,170H),2.22-2.54(m,9H),2.64-2.77(m,4H),3.01-3.29(m,34H),3.36(s,18H),3.38-3.82(m,764H),3.82-4.10(m,18H),4.10-4.52(m,19H),5.07-5.19(m,2H),7.15-7.42(m,10H),7.42-7.70(m,5H),7.81-8.12(m,8H)及び8.72-8.87(m,3H)。nFAPI=3及びnmPEG=5。
【0560】
1e.10 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)7.4(ε-NH2)0.6]、RHa-18
DMF(2.0mL)中のFAPI-04-NC(O)-PEG1100-CO2H RHa-4(77mg、0.05mmol)の撹拌溶液に、PyBOP(23mg、0.050mmol)を室温で加えた。反応混合物を5分間撹拌してから、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NH2)8] RHa-15(13mg、0.005mmol)及びNMM(21μL、0.19mmol)を加えた。18時間後、揮発分を真空除去し、残渣をSECにより精製した(静止相=Sephadex LH-20、移動相=MeCN、h=30cm、dia=2.5mm、滴下速度=約1滴/秒、分画サイズ=400滴、分画をHPLC(HPLC法1)により分析した)。精製生成物を含有する画分をプールし、真空濃縮した。残渣を脱イオン水に溶解し、ろ過し(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)、凍結乾燥させて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)7.4(ε-NH2)0.6] RHa-18(20mg)を得た。不純物画分を別々にプールし、上記のように(移動相=MeOHを除いて)SECに再供給して、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)7.4(ε-NH2)0.6] RHa-18をグミ固体として得た(47mg、合計収率=67mg、98%、MWCalc=15,265Da)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.62分。1H NMR(300MHz,CD3OD+D2O):δ(ppm): 1.15-1.94(m,171H),1.97-2.21(m,14H),2.36-2.74(m,72H),2.74-3.27(m,39H),3.35-3.92(m,813H),3.91-4.72(m,58H),5.05-5.29(m,5H),6.16-6.22(m,1H),7.20-7.38(m,10H),7.41-7.53(m,7H),7.53-7.64(m,7H),7.89-8.06(m,15H)及び8.70-8.83(m,7.4H)。nFAPI=7.4。
【0561】
1e.11 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3]、RHa-19
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-dPEG1100)19(ε-NH2)3] RHa-13(83mg、1.6μmol)のジクロロメタン(2.5mL)溶液に、室温でTFA(1.5mL)を加えた。反応混合物を18時間撹拌し、真空濃縮してBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3] RHa-19を得、これを更に精製せずに使用した。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.61分。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm): 1.21-2.18(m,348H),2.28-2.54(m,39H),3.03-3.38(m,85H),3.36(s,64H),3.40-4.15(m,2118H),4.15-4.51(m,79H),7.13-7.42(m,10H),7.48-7.73(m,19H),7.90-8.11(m,21H)及び8.67-8.88(m,10H)。
【0562】
1e.12 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31] RHa-20
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31] RHa-12(80mg、1.7μmol)を使用して、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3] RHa-19について記載した手順に従って調製し、更に精製することなく使用した。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.74分。
【0563】
1e.13 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5] RHa-23
TFA:ジクロロメタン(1.8mL、1:2v/v)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5] RHa-17(60mg、4.5μmol)の溶液を室温で20時間撹拌し、反応混合物を真空濃縮した。残渣を水(約5mL)に溶解し、凍結乾燥させて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5] RHa-23を黄色ガム(定量的)として得た。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.52分。
【0564】
1f.DUPA標的中間体の合成
1f.1 DUPA(O-tBu)3-NHS ester、化合物39
MeCN(3mL)中のDUPA(O-tBu)3-OH(248mg、0.507mmol)の溶液に、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート(200mg、0.778mmol)及びピリジン(250μL、3.21mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を減圧濃縮し、溶出液として1:4~1:1EtOAc/ヘキサンの勾配を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物である化合物39を白色固体として得た(223mg、75%)。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm): 1.43(2つの重複する一重項、18H)、1.47(s,9H),1.58-2.18(m,4H),2.20-2.44(m,3H),2.52-2.69(m,2H),2.72-3.10(m,4H),4.34(m,1H),4.54(m,1H),5.22(d,J=8.2Hz,1H),5.53(d,J=8.2Hz,1H)。
【0565】
1f.2 DUPA(O-tBu)3-NHPEG24CO2H、化合物40
NH2PEG24CO2H(193mg、0.170mmol)のDCM溶液に、DUPA(O-tBu)-NHSエステル化合物39(100mg、0.170mmol)及びNMM(20μL、0.187mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を減圧濃縮し、分取HPLC(20~90%MeCN、Rt=33分)を使用して精製した。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm): 1.37-1.45(m,27H),1.75-2.11(m,5H),2.27(m,4H),2.57(m,2H),3.32-3.84(m,103H),4.26(m,2H)。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=5.49分、ESI MS(+ve)1617.5[M]+;C74H141N3O34[M]+に対するm/z計算値=1616.9。
【0566】
1f.3 DUPA(O-tBu)3-NHPEG24-NHSエステル、化合物41
DCM(3mL)中のDUPA(O-tBu)3-NHPEG24CO2H、化合物40(110mg、0.0538mmol)の溶液に、DCC(11mg、0.0538mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(6mg、0.0538mmol)を加え、反応をLCMSによって監視した。出発材料を消費すると、反応物を減圧濃縮した。粗残渣をMeCN(約1~2mL)に懸濁し、0.45μmフィルタでろ過し、透明溶液を減圧濃縮し、更に精製せずに化合物41の粗残渣を使用した。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=5.66分。ESI MS(+ve)1736[M]+;C78H144N4NaO36[M]+に対するm/z計算値=1735.95。
【0567】
1f.4 HO-Lys[(α-NH-COPEG24NH-DUPA(O-tBu)3)( ε-NHFmoc)]、化合物42
DMF(3mL)中のDUPA(O-tBu)3-NHPEG24-NHSエステル化合物41(116mg、0.0676mmol)及びLys-α-NH2.TFA-ε-NHFmoc(30mg、0.0676mmol)の混合物に、トリエチルアミン(9μL、0.203mmol)を加えた。懸濁液は徐々に透明になり、一晩室温で撹拌された。LCMS分析は、生成物の形成を示し、反応物を減圧濃縮し、分取HPLC(20~90%MeCN、Rt=37分)により精製した。表題化合物である化合物42を無色油として収集した(23mg、17%)。LCMS(親水法、TFA緩衝液)Rt=6.09。ESI MS(+ve)1989[M]+;C95H163N5NaO37[M]+に対するm/z計算値=1989.09。
【0568】
1f.5 DOTA(O-tBu)4-p-BnNH-Glu-OH、化合物43
DOTA(O-tBu)4-p-BnNH2.TFA(50mg、0.0589mmol)及びグルタル酸無水物(8mg、0.0708mmol)のDMF(2mL)溶液に、NMM(10μL、0.0884mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。この反応をLCMSによって監視し、出発材料の完全な消費時に、減圧濃縮した。粗残渣をEtOAc(5mL)に取り込み、pH3リン酸緩衝液(3×5mL)、ブライン(3mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧濃縮して、化合物43を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm): 1.39-1.52(m,36H),1.79-3.52(m,36H),6.95(m,2H),7.75(d,J=8.35Hz,2H)。
【0569】
1f.6 DOTA(O-tBu)4-BnNH-Glu-NHSエステル、化合物44
DCM(2mL)中のDOTA(O-tBu)4-p-BnNH-Glu-OH、化合物43(30mg、0.0354mmol)の化合物に、DCC(7mg、0.0354)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(4mg、0.0354mg)を加え、室温で一晩撹拌した。この反応を、出発材料の消費及び生成物の形成についてLCMSによって監視した。反応が完了したとみなされると、反応物を減圧濃縮し、少量のMeCN(約1~2mL)に懸濁し、0.45μmのアクロディスクフィルタでろ過し、透明溶液を減圧濃縮した。残渣を、更に精製することなく、次のステップで直接使用した。LCMS(LCMS法 40~65、TFA緩衝液)Rt=5.29。ESI MS(+ve)944[M]+;C48H77N6O13[M]+に対するm/z計算値=944.6。
【0570】
1f.7 HO-Lys[(α-NH-COPEG24NH-DUPA(O-tBu)3)(ε-GluNH-p-Bn-DOTA(OtBu)4)]、化合物45
Lys[(α-NH-COPEG24NH-DUPA(O-tBu)3)(ε-NHFmoc)]化合物42(30mg、17.6μmol)のDMF(3mL)溶液に、ピペリジン(1mL)を加え、反応物を室温で撹拌した。2時間後、揮発分を真空濃縮し、粗材料Lys[(α-NH-COPEG24NH-DUPA(O-tBu)3)(ε-NH2)]を4℃で必要とされるまで保存した。
【0571】
Lys[(α-NH-COPEG24NH-DUPA(O-tBu)3)(ε-NH2)](26mg、15.6μmol)のDMF(1mL)溶液に、DOTA(O-tBu)4-p-Bn-NH-Glu-NHS化合物44(14mg、15.6μmol)及びNMM(5μL、46.8μmol)を加えた。2時間後、反応物をLCMSにより確認し、出発材料の消費を示し、反応物を減圧濃縮し、分取HPLC(50~65%MeCN、Rt=49分)を使用して精製した。表題化合物である化合物45を無色油として単離した(4mg、9%)。LCMS(LCMS法 40~65、TFA緩衝液)Rt=4.40。ESI MS(+ve)2575[M]+;C124H225N10O45[M]+に対するm/z計算値=2575.6。
【0572】
1f.8 ジ-tert-ブチル((1-(tert-ブトキシ)-5-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)カルバモイル)グルタメート、化合物46
アセトニトリル(5mL)中の5-(tert-ブトキシ)-4-(3-(1,5-ジ-tert-ブトキシ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)-5-オキソペンタン酸(Amadis Chemicals、100mg、0.20mmol)の撹拌溶液に、ピリジン(80μL、0.45mmol)中のN,N-ジスクシンイミジルカーボネート(79mg、0.31mmol)の溶液を加えた。反応混合物を周囲温度で15時間撹拌した。反応の進行をTLC(EtOAc:ヘキサン1:1)によって監視した。揮発分を真空除去し、粗混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、勾配0~60%EtOAc/ヘキサン)により精製して、化合物46(85mg、71%)を白色固体として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm): 1.30-1.62(3 x br s,27H);1.64-1.94(m,4H);1.97-2.22(m,2H);2.25-2.52(m,3H);2.55-2.74(m,2H);2.77-3.14(m,4H);4.26-4.44(m,1H);4.48-4.67(m,1H);5.08-5.85(2 x br s,2H)。
【0573】
1f.9 トリ-tert-ブチル(18S,22S)-2,2-ジメチル-4,15,20-トリオキソ-3,8,11-トリオキサ-5,14,19,21-テトラアザートテトラコサン-18,22,24-トリカルボキシレート、化合物47
ジクロロメタン(5mL)中の化合物46(85mg、0.15mmol)の撹拌溶液に、tert-ブチル(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(54mg、0.22mmol)及びNMM(24μL、0.22mmol)を連続して加えた。反応混合物を周囲温度で30分間撹拌した。揮発分を真空除去し、粗混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、勾配0~60%アセトン/ヘキサン)により精製して、化合物47(98mg、2ステップで67%)を無色の粘性油として得た。1HNMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm): 1.14-1.20(m,4H);1.42-1.51(m,32H);1.76-2.38(m,8H);2.55-2.81(m,8H);2.93-3.09(m,1H);3.24-3.35(m,2H);3.63-3.74(m,1H);3.82-3.94(m,1H);4.30-4.50(m,2H);6.14-6.34(m,2H);9.22-9.28(m,1H)。LCMS(方法 20~90、15分、ギ酸)Rt=9.52分。ESI MS(+ve)719[M+1]+;C34H62N4O12[M]+に対するm/z計算値:718.44。
【0574】
1 f.10 (13S,17S)-1-アミノ-10,15-ジオキソ-3,6-ジオキサ-9,14,16-トリアザノナデカン-13,17,19-トリカルボン酸、化合物48
ジクロロメタン(3mL)中のトリ-tert-ブチル(18S,22S)-2,2-ジメチル-4,15,20-トリオキソ-3,8,11-トリオキサ-5,14,19,21-テトラアザトラコサン-18,22,24-トリカルボキシレート(90mg、0.13mmol)の撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸(3mL)を加えた。反応混合物を周囲温度で4時間撹拌してから、揮発分を真空除去した。残渣に脱イオン水(5mL)を加え、得られた溶液をろ過し(0.45μmのアクロディスクシリンジフィルタ)、ろ液を凍結乾燥させて、化合物48(71mg、定量的)を白色固体として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 1.78-1.93(m,2H);2.00-2.13(m,2H);2.25-2.30(m,2H);2.37-2.44(m,2H);3.06-3.11(m,2H);3.25-3.29(m,2H);3.49-3.53(m,2H);3.59(s,4H);3.60-3.66(m,2H);4.09(dd,J=6Hz及び9Hz,1H);4.16(dd,J=6Hz及び9Hz,1H)。
【0575】
1f.11 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NH-COPEG24NH-DUPA(OtBu)3)8]、G3、化合物36
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NH-COPEG24-NH2)8]、化合物116(44mg、3.68μmol)及びDUPA(OtBu)3OH(17mg、35.3μmol)を使用して、一般手順Dに従って調製した。反応物を減圧下にて濃縮し、SEC(400滴/チューブ、MeOH sephadex LH20、35滴/分)により精製する。画分をTLC分析(5%BaCl2溶液、続いてヨウ素染色、暗褐色斑)により確認し、HPLCにより確認し、生成物を含有するものを合わせ、減圧濃縮した。表題化合物を、非常に薄い褐色のフィルムとして得た(47mg、81%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 0.76-1.92(m,402H)1.99-2.16(m,14H),2.23-2.39(m,26H),2.44(m,16H),3.02-3.26(m,32H),3.34-3.41(m,21H),4.34-4.38(m,861H),6.20(s,1H),7.20-7.39(m,10H)。
【0576】
1f.12 DOTA(OtBu)4GA-NHSエステル、RL-20
ジクロロメタン(5mL)中のDOTAGA-テトラ(tert-ブチルエステル)RL-19(300mg、0.428mmol)の溶液に、DCC(88mg、0.428mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(49mg、0.428mmol)を加え、続いて得られた反応物を室温で一晩撹拌した。反応物をN2流下で濃縮し、少量のMeCN(約2mL)に取り込み、ろ過した(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)。ろ液を真空濃縮し、DOTA(OtBu)4GA-NHSエステルRL-20(380mg、定量的収率)を淡褐色泡沫として得、更に精製することなく使用した。LCMS(LCMS法 40~90、8分、TFA)Rt=4.70分。ESI MS(+ve)799[M]+;C39H67N5O12[M+H]+に対するm/z計算値:799。
【0577】
1f.13 DOTA(OtBu)4GA-NHCO-PEG24-COOH、RL-21
DMF(5mL)中のDOTA(OtBu)4GA-NHSエステルRL-20(100mg、0.143mmol)の溶液に、アミノ-PEG24-酸(163mg、0.143mmol)及びNMM(47μL、0.429mmol)を加え、続いて生じる反応物を室温で18時間撹拌した。反応物を減圧濃縮し、分取HPLC(分取HPLC法20~90,TFA,Rt=28分)を用いて精製し、表題化合物RL-21を無色油状物として得た(47mg)。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)1.27-1.90(m,37H),2.56(t,J=6.01,2H),2.72(m,4H),2.94-2.62(m,120H)。LCMS(LCMS法 40~90、8分、TFA)Rt=5.20分。ESI MS(+ve)1830[M]+;C86H165N5O35[M+H+]+に対するm/z計算値=1830。
【0578】
実施例2.標的デンドリマーコンジュゲート
2a HER-2ナノボディコンジュゲート
2a.1ナノボディの配列情報
ナノボディ2D3配列化合物118(配列番号1)
EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS
【0579】
ナノボディ2D3 N末端タグ、TEVプロテアーゼ切断部位、C末端アジド(「N末端タグ-ナノボディ-N3」)(配列番号5)
GGSHHHHHHGMASMTGGQQMGRDLYENLYFQGEVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS#
【0580】
ナノボディ2D3、C末端タグ、TEVプロテアーゼ切断部位、アジド(「ナノボディ-N3-C末端タグ」)(配列番号2)
EVQLVESGGSLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSSINWSGTHTDYADSVKGRFTISRNNANNTLYLQMNSLKSEDTAVYYCAKNWRDAGTTWFEKSGSAGQGTQVTVSS#ENLYFQGHHHHHH
#=非天然アミノ酸。
【0581】
2a.2 ナノボディ-N3発現プラスミド
抗HER2ナノボディクローン2D3のコーディング配列(US2011/0028695(A1)配列番号:1986)を、標準的な分子生物学的手法を用いて、発現プラスミドpET-His6-TEV-1B(Addgene plasmid 29653)に挿入した。E.coli K12のコドン最適化DNA配列を合成し、プラスミドpET-His6-TEV-1Bにクローン化した。
【0582】
組換えタンパク質に非天然アミノ酸を取り込むために、ナノボディのコーディング配列の最後の位置にamberの終止コドン(TAG)をインフレームで挿入し、その後、翻訳を終了させるためにochre(TAA)又はopal(TGA)の終止コドンを挿入した。C末端にhis6タグを使用する場合は、ナノボディコーディング配列の最後の位置にamber終止コドン(TAG)をインフレームで挿入し、TEVプロテアーゼ切断部位及び6hisタグをコードし、翻訳終了のためのochre(TAA)又はopal(TGA)の終止コドンが続く配列を、この配列に付加した。
【0583】
2a.3 ナノボディ-N3の発現及び精製
抗HER2ナノボディ2D3の発現は、ナノボディ発現プラスミド及び直交ペア発現プラスミドpEVOL-pAcFRS.2.t1(Amiram et al.,Nat.Biotechnol(2015),33(12)で形質転換したE.coli株B95(DE3)(Mukai et al.,Scientific Reports(2015),5,9699)で行った。細胞は、37℃のバッフル付き振とうフラスコに入れたTerrificブロス(25g/Lトリプトン、30g/L酵母、及び5g/Lグリセロール、0.017M KH2PO4、0.072MK2HPO4 、50μg/mLの硫酸カナマイシン、30μg/mLクロラムフェニコール)で、OD6000.7~1.0の細胞密度に達するまで培養した。組換えタンパク質の発現は、1.5mM IPTG及び0.05%w/v L-(+)-アラビノースを加え、1.5mM p-アジド-フェニルアラニンを加えることにより誘導し、25℃で20時間進行させた。菌体は遠心分離により採取し、高圧ホモジナイズ後、プロテアーゼ阻害剤カクテル、リゾチームを加え、DNAse処理を施して細胞溶解液を生成した。不溶物は、リフォールディング緩衝液(6M グアニジンHCl、50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mM イミダゾール、pH8)に溶解することができる。高速遠心分離による清澄化と0.45μMの膜フィルタでのろ過の後、ニッケル荷電ニトリロ三酢酸-アガロースを用いた固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)により、his6タグ付きナノボディを精製した。オンカラムリフォールディングは、最初に結合したタンパク質を3MグアニジンHCl、50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mMイミダゾール、pH8のカラムボリュームで洗浄し、続いて50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mMイミダゾール、pH8のカラムボリュームを2回行うことにより達成した。結合したタンパク質は、2カラムボリュームの50mM NaH2PO4、300mM NaCl、250mMイミダゾール、pH8で溶出した。IMAC後、-ナノボディ-N3をHiTrap Q HPカラム(GE Healthcare、カタログ17115301)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより更に精製した。結合ステップ及び洗浄ステップは、トリス緩衝液(20mM、pH8)を用いて行い、溶出は1M NaCl緩衝液(1M NaCl、20mMトリス、pH8)の0%~50%のグラジエントを用いて行った。得られた関連するナノボディ画分は、Amicon 10k MWCOフィルタユニット(Merck、カタログUFC901008)を用いて、20mMトリス、pH8に緩衝交換した。
【0584】
2a.4 デンドリマーへのナノボディ-N3-C末端タグのコンジュゲーション
バイオ直交クリック化学を使用して、ナノボディ-N3-C末端タグをデンドリマー化合物128~132、SRS-4-Mal及びHH-2にコンジュゲートし、リンカーDBCO-Glu-NHPEG24CO-NHPEG3-TCO(化合物51)を使用したことを除いて、化合物83及び84について記載した手順に従って化合物85、86、87、89、91、92、93、94、96、97、SRS-20及びSRS-22を生成した。
【0585】
化合物85~97、123~127、SRS-20及びSRS-22(
図24)についてゲルを泳動させたところ、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートの適切なMWにバンドが見られた。各ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートの純度は、非還元性ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を用いて確認した。4~15%ポリアクリルアミドゲル(Bio-rad、カタログ4561086)上で電気泳動分離させた後、Typhoon Biomolecular Imager(GE Healthcare)を用いて画像化したときに、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートは、デンドリマーのサイズにナノボディの追加質量を加えたサイズにほぼ対応する蛍光バンドとして現れる。その後、Coomassie Brilliant Blue(CBB)で染色して、同じ場所にナノボディが存在していることが判明した。CBBにより他のバンドが検出されることはなく、これは、未反応のナノボディが存在せず、調製物の純度が高いことがわかった。
【0586】
2a.4.1 ナノボディ-N3/DBCO-Glu-NHPEG24CONHPEG3-TCO/(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]4[Lys]8[((α-NHDFO)2(α-NHGlu-VC-PAB-MMAE)6)(ε-NH-COPEG1100)8]、化合物83
DBCO-Glu-NHPEG24CO-NHPEG3-TCO化合物51(DMSO:PBS緩衝液(20:80)中1mg/mL溶液167μL、1当量)の溶液を(MeTzPh)PEG4CO-NHPEG24CO-[N(PN)2][Lys]4[Lys]8[((α-NHDFO)2(α-NHGlu-VC-PAB-MMAE)6)(ε-NH-COPEG1100)8]、化合物73(PBS中8mg/mL溶液250μL、1当量)の溶液に加え、混合物を室温で30分間静置した。反応混合物をPBS緩衝液で500μLに希釈し、得られた溶液をHPLCによって分析したところ、反応混合物中にリンカーが残っていないことが示された。この反応混合物(177μL;1当量)の一部分をナノボディ-N3(「ナノボディ-N3-C-末端タグ」)(9.2mg/mLの溶液62.5μL/トリス緩衝液;1当量)の溶液に加え、続いて得られる反応混合物を室温で7時間、次いで4℃で一晩放置した。得られたナノボディ-デンドリマーコンジュゲートを、HiTrap Q HPカラム(GE Healthcare、カタログ17115301)を用いて未反応のデンドリマーを除去するための陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。結合ステップ及び洗浄ステップは、トリス緩衝液(20mM、pH8)を用いて行い、溶出は1M NaCl緩衝液(1M NaCl、20mMトリス、pH8)の0%~50%のグラジエントを用いて行った。次いで、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、未反応のナノボディを除去した。分離は、カラム緩衝液(50mM NaH2PO4、150mM NaCl、pH8)で平衡化したSuperdex 75 10/300カラム(GE Healthcare、カタログ17517401)を用いて達成した。次いで、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートを濃縮し、放射性標識のために10k MWCO Amicon Ultra遠心フィルタを用いて10mM HEPES pH8に緩衝液交換した。
【0587】
2a.4.2 BHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)1(α-NHDFO)2(α-NHGlu-VC-PAB-MMAE)5)(ε-NH-COPEG1000)8]、G3、化合物84
BHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)1(α-NHDFO)2(α-NHGlu-VC-PAB-MMAE)5)(ε-NHCOPEG1000)8]、化合物74(250μLの8mg/mL PBS溶液、1当量)の溶液に、DBCO-Glu-NHPEG24CO-NHPEG3-TCO(DMSO:PBS緩衝液(20:80)中1mg/mL溶液202μL、1当量)を加え、混合物を室温で30分間静置した。
【0588】
反応混合物をPBS緩衝液で500μLまで希釈し、得られた溶液をHPLCにより分析したところ、反応混合物中にはリンカーが残存していないことが示された。この反応混合物(175μL;1当量)の一部分をナノボディ-N3(「ナノボディ-N3-C-末端タグ」)(9.2mg/mLの溶液62.5μL/トリス緩衝液;1当量)の溶液に加え、続いて得られる反応混合物を室温で7時間、次いで4℃で一晩放置した。得られたナノボディ-デンドリマーコンジュゲートを、HiTrap Q HPカラム(GE Healthcare、カタログ17115301)を用いて未反応のデンドリマーを除去するための陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。結合ステップ及び洗浄ステップは、トリス緩衝液(20mM、pH8)を用いて行い、溶出は1M NaCl緩衝液(1M NaCl、20mMトリス、pH8)の0%~50%のグラジエントを用いて行った。次いで、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、未反応のナノボディを除去した。分離は、カラム緩衝液(50mM NaH2PO4、150mM NaCl、pH8)で平衡化したSuperdex 75 10/300カラム(GE Healthcare、カタログ17517401)を用いて達成した。次いで、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートを濃縮し、放射性標識のために10k MWCO Amicon Ultra遠心フィルタを用いて10mM HEPES pH8に緩衝液交換した。
【0589】
2a.4.3 BHALys[Lys]2[Lys]4[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)2)(ε-NH-COPEG1000)4]、G2、化合物85、及びBHALys[Lys]2[Lys]4[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)2(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2))1(ε-NHCOPEG1000)4]、G2、化合物86
以下を除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)1)(ε-NH-COPEG1000)4]、G2、化合物25を用いて、一般手順Gに従って調製した。
ステップ1:TCOリンカー溶液51は、ニートDMSOで調製した。
ステップ2:デンドリマーをpH8のトリス緩衝液に溶解し、TCOリンカーとデンドリマーが完全に反応したときに(UPLC又はLCMS)、反応混合物をDMSOの最終濃度が5%(v/v)以下になるようにトリス緩衝液で希釈し、遠心限外ろ過(Amicon、0.5mL再生セルロース膜、10kDa MWCO)により精製した。
【0590】
精製方法は、化合物83及び84の精製に使用した方法と同じであり、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲート化合物85(232μg;HEPES緩衝液(pH8)中0.45μg/μL;
図1aのレーン6及び7に示される)及びナノボディ-デンドリマーコンジュゲート化合物86(60μg;HEPES緩衝液(pH8)中0.30μg/μL;
図1aのレーン9に示される)を得た。
【0591】
2a.4.4 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)6)(ε-NH-COPEG412)8]、G3、化合物87、)及びBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)2(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)5)(ε-NH-COPEG412)8]、G3、化合物88、以下を除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)6)(ε-NH-COPEG412)8]、G3、化合物26を使用して、一般手順Gに従って調製した。
ステップ1:TCOリンカー化合物51の溶液は、ニートDMSOで調製した。
ステップ2:デンドリマーをpH8のトリス緩衝液に溶解し、TCOリンカーとデンドリマーが完全に反応したときに(UPLC又はLCMS)、反応混合物をDMSOの最終濃度が5%(v/v)以下になるようにトリス緩衝液で希釈し、遠心限外ろ過(Amicon、0.5mL再生セルロース膜、10kDa MWCO)により精製した。
【0592】
精製方法は、化合物83及び84の精製に使用した方法と同じであり、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲート化合物87(140μg;HEPES緩衝液(pH8)中1.48μg/μL;
図1bのレーン6及び7に示される)及び化合物88(純粋ではない;
図1bのレーン8及び9に示される)を得た。
【0593】
2a.4.5 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)6)(ε-NH-COPEG1000)8]、G3、化合物89、及びBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)2(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)5)(ε-NH-COPEG1000)8]、G3、化合物90
以下を除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))1(α-Lys(α-NHCy5)( ε-NHDFO))1(α-NH2)6)( ε-NH-COPEG1000)8]、G3、化合物27を用いて、一般手順Gに従って調製した。
ステップ1:TCOリンカー(化合物51)の溶液は、ニートDMSOで調製した。
ステップ2:デンドリマーをpH8のトリス緩衝液に溶解し、TCOリンカーとデンドリマーが完全に反応したときに(UPLC又はLCMS)、反応混合物をDMSOの最終濃度が5%(v/v)以下になるようにトリス緩衝液で希釈し、遠心限外ろ過(Amicon、0.5mL再生セルロース膜、10kDa MWCO)により精製した。
【0594】
精製方法は、化合物83及び84の精製に使用した方法と同じであり、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲート化合物89(249μg;HEPES緩衝液(pH8)中2.68μg/μL;
図1cのレーン6及び7に示される)及び化合物90(純粋ではない;
図1cのレーン9及び10に示される)を得た。
【0595】
2a.4.6 BHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)14(ε-NH-COPEG1000)16]、G4、化合物91、及びBHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((a-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)2(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)13(ε-NHCOPEG1000)16]、G4、化合物92
以下を除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)1(α-Lys(α-NHCy5)( ε-NHDFO))1(α-NH2)14(ε-NH-COPEG1000)16]、G4、化合物28を使用して、一般手順Gに従って調製した:
ステップ1:TCOリンカー(化合物51)の溶液は、ニートDMSOで調製した。
ステップ2:デンドリマーをpH8のトリス緩衝液に溶解し、TCOリンカーとデンドリマーが完全に反応したときに(UPLC又はLCMS)、反応混合物をDMSOの最終濃度が5%(v/v)以下になるようにトリス緩衝液で希釈し、遠心限外ろ過(Amicon、0.5mL再生セルロース膜、10kDa MWCO)により精製した。
【0596】
精製方法は、化合物83及び84の精製に使用した方法と同じであり、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲート化合物91;
図1dのレーン1及び2に示される)(203μg;HEPES緩衝液(pH8)中の0.975μg/μL及び0.556μg/μL)、並びに化合物92;
図1dのレーン3に示される(101μg;HEPES緩衝液(pH8)中0.34μg/μL)を得た。
【0597】
2a.4.7 BHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)1(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)30(ε-NH-COPEG1000)32]、G5、化合物93、及びBHA[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)2[α-Lys(α-NHCy5)( ε-NHDFO)]1(α-NH2)29(ε-NH-COPEG1000)32]、G5、化合物94
以下を除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))1(α-Lys(α-NHCy5)( ε-NHDFO))1(α-NH2)30)( ε-NH-COPEG1000)32]、G5、化合物29を使用して、一般手順Gに従って調製した:
ステップ1:TCOリンカー化合物51の溶液は、ニートDMSOで調製した。
ステップ2:デンドリマーをpH8のトリス緩衝液に溶解し、TCOリンカーとデンドリマーが完全に反応したときに(UPLC又はLCMS)、反応混合物をDMSOの最終濃度が5%(v/v)以下になるようにトリス緩衝液で希釈し、遠心限外ろ過(Amicon、0.5mL再生セルロース膜、10kDa MWCO)により精製した。
【0598】
精製方法は、化合物83及び84の精製に使用した方法と同じであり、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲート化合物93;
図1eのレーン5に示される)(370μg;HEPES緩衝液(pH8)中3.66μg/μL)及び生成物化合物94;
図1eのレーン7に示される)(177μg;HEPES緩衝液(pH8)中1.72μg/μL)を得た。
【0599】
2a.4.8 BHALys[Lys]2[Lys]4[(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)3)( ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))2)(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)2]、G2、化合物95、BHALys[Lys]2[Lys]4[(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)3)(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))1(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)3]、G2、化合物96、及びBHALys[Lys]2[Lys]4[(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)3)( ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)4]、G2、化合物97
以下を除いて、BHALys[Lys]2[Lys]4[(α-Lys(α-NHCy5)(ε-NHDFO))1(α-NH2)3)(ε-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhMeTz))4]、G2デンドリマー、化合物24を用いて、一般手順Gに従って調製した:
ステップ1:TCOリンカー化合物51の溶液を水で調製した。
ステップ2:デンドリマーをMQ水に溶解した。
【0600】
精製方法は、化合物83及び84の精製に使用した方法を用いて行って、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲート化合物97及び化合物96を分離不可能な混合物として得た(HEPES緩衝液(pH8)中の最終濃度は294ug;
図1fのレーン1に示される)。
【0601】
また、DBCO-Glu-NHPEG
24CO-NHPEG
3-TCO化合物51の溶液(MQ水中10mg/mLの溶液57μL、0.322μmol)をナノボディ-N
3(「ナノボディ-N3-C末端タグ」)(2.5mg、900μLのトリス緩衝液中0.161μmolの溶液にpH8で加えて調製した。この反応混合物を室温で2日間放置した後、反応混合物を、トリス緩衝液pH8を使用する遠心限外ろ過(Amicon、0.5mL再生セルロース膜、10kDa MWCO;10×450μL)によって精製した。この溶液に化合物24の溶液(500μL MQ水中230.0μg;0.026umol)を加え、反応混合物を室温で一晩放置した。精製方法は、化合物83及び84の精製に使用した方法と同様にして、ナノボディ-デンドリマー化合物97、化合物95及び化合物96を分離不可能な混合物として得た(HEPES緩衝液、pH8中の最終濃度124μg;
図1gのレーン9及び10に示される)。
【0602】
2a.4.9 BHALys[Lys]
2[Lys]
4[((α-NH-COPEG
24NH-COPEG
4(PhTzMe)/TCO-PEG
8-ナノボディ)
1(α-Lys(α-NHCy5)
1(ε-NHDFO)
1)
1(α-NH
2)
2)(ε-NH-COPEG
1000)
4]、G2、化合物98
2.0mgを1mL DMSO(1.0mL)に溶解することによって、ジブロモマレイミドリンカー化合物57の溶液を調製した。ナノボディ(「ナノボディ-N3-C-末端タグ」)(化合物118)(1.0mg、0.058μmol/トリス緩衝液715μL、pH8)の溶液に、TCEP(0.5M/PBS、pH7)の溶液(2.3μL、1.174μmol)を加えた。反応混合物を37℃で1時間加熱後、DMSOを加え(673μL)、その後リンカー化合物57(93.0μg、0.117μmmol)/DMSO溶液(47.0μL)を加えた。1.5時間後、反応混合物を室温まで冷却して遠心分離し、沈殿物に化合物25(100μg、17μL、1.78mg/MQ水300μL)の溶液を加え、溶液を4℃で一晩放置した。化合物83及び84の精製に用いた方法と同様の方法で、化合物98(29μg;
図1hのレーン2及び3に示される)を、溶液/トリス緩衝液、pH8(最終濃度=1.78mg/mL)として得た。
【0603】
2a.4.10 BHALys[Lys]
2[Lys]
4[((α-NH-COPEG
24-NH-COPEG
4(PhTzMe)/TCO-PEG
3-ナノボディ)
1(α-Lys(α-NHCy5)
1(ε-NHDFO)
1)
1(α-NH
2)
2)(ε-NH-COPEG
1000)
4]、G2、化合物99
TCO-PEG
3-アルデヒド(コンジュ-プローブ)リンカー溶液(0.7mg、1.46μmol)/DMSO(50μL)溶液を、ナノボディ(「ナノボディ-N3-C-」)(化合物118)の溶液(1.07mg/mLストック溶液/PBS緩衝液、pH6.5、931μL)に加え、その後NaBH
3CN(0.09mg、1.5μmol)/水(19μL)溶液を加えた。反応混合物を4℃まで冷却し、UPLC分析により反応をモニターした。16時間後、反応混合物をPBS緩衝液(pH6.5)で希釈して総量2.0mLとし、PBS緩衝液pH6.5を用いた遠心限外ろ過(Amicon、0.5mL再生セルロース膜、10kDa MWCO;14×450μL)により精製した。UPLC:5-20-30MeCN%、15分、0.01%TFA緩衝液を使用;ナノボディ(化合物118)Rt=8.46分、m/z13802;生成物:9.99分m/z14263。ナノボディ-PEG
3-TCO溶液(500μL PBS pH6.5)に、G2デンドリマー化合物17(179μg、0.020μmol)/MQ水(15μL)溶液を加えた。4℃で一晩静置した後、反応混合物を、化合物83及び84の精製に用いた方法と同じ方法で精製し、化合物99(12μg;
図1i、レーン1に示される)を、溶液/トリス緩衝液、pH8として得た(最終濃度=575μg/mL)。
【0604】
2a.4.11 [[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NHDOTA)4.75(α-NHCy5)0.5(α-NH2)2.75][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)/TCO-PEG3-NHCO-PEG24-Glu-DBCO/N3-ナノボディ、SRS-20
ステップ1:[[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NHDOTA)4.75(α-NHCy5)0.5(α-NH2)2.75][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)/TCO-PEG3-NHCO-PEG24-Glu-DBCO SRS-20aの合成:[[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NHDOTA)4.75(α-NHCy5)0.5(α-NH2)2.75][Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-CONH-CH2-CH2-S-]2MAL-PEG3-NHCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)SRS-4-Mal(8.89mg;脱イオン水中10mg/mL)]の溶液に、TCO-PEG3-NHCO-PEG24-Glu-DBCO化合物51(1.05mg;2当量;脱イオン水中10mg/mL)を加え、室温で2時間放置した。過剰な過剰リンカーを、10kDa MWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタによって反応混合物から取り除き、4,000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を、4000rpmでの遠心分離によって脱イオン水(×5)で洗浄した。過剰のリンカーの除去を、LCMSを使用した精製生成物の分析によって確認した(LCMS法3)。
【0605】
ステップ2:コンジュゲーション反応:[[(ε-NHCO-PEG
1100)
8(α-NHDOTA)
4.75(α-NHCy5)
0.5(α-NH2)
2.75][Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-CONH-CH
2-CH
2-S-]
2MAL-PEG
3-NHCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)/TCO-PEG
3-NHCO-PEG
24-Glu-DBCO SRS-20a(9.41mg、10mg/mL、1当量)の脱イオン水溶液を、ナノボディ-N3(8.91mg、10mg/mLのpH8トリス緩衝液、2当量)の溶液に室温で加えた。18時間後、ナノボディ-デンドリマー構築物を最初に、30kDaのMWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタによって精製し、4000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を、pH8のTris緩衝液(×5)で、遠心分離により4000rpmで洗浄した。次いで、得られた生成物をnニッケル親和性カラムクロマトグラフィー、続いてSECによって精製し、[[(ε-NHCO-PEG
1100)
8(α-NHDOTA)
4.75(α-NHCy5)
0.5(α-NH2)
2.75][Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-CONH-CH
2-CH
2-S-]
2MAL-PEG
3-NHCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)/TCO-PEG
3-NHCO-PEG
24-Glu-DBCO/N3-ナノボディSRS-20(0.42mg)を得た。精製生成物のSDS Pageゲル分析については、
図2a(レーン6)を参照のこと。反応混合物。
【0606】
2a.4.12 [(ε-NHCO- PEG1100)16(α-DOTA)7(α-NHCy5)1(α-NH2)8][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-(PN)NCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)/TCO-PEG3-NHCO-PEG24-Glu-DBCO/N3-ナノボディSRS-22
ステップ1:[(ε-NHCO-PEG1100)16(α-DOTA)7(α-NHCy5)1(α-NH2)8][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-(PN)NCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)/TCO-PEG3-NHCO-PEG24-Glu-DBCO SRS-22aの合成:[(ε-NHCO-PEG1100)16(α-DOTA)7(α-NHCy5)1(α-NH2)8][Lys]16[Lys]8[Lys]4[Lys]2[Lys]-(PN)NCO-PEG24-CONH-PEG4-(PhTzMe)HH-2(1.50mg;脱イオン水中10mg/mL)]の溶液に、TCO-PEG3-NHCO-PEG24-Glu-DBCO化合物51(0.20mg;2当量;脱イオン水中10mg/mL)を加え、室温で2時間放置した。過剰な過剰リンカーを、10kDa MWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタによって反応混合物から取り除き、4,000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を、4000rpmでの遠心分離によって脱イオン水(×5)で洗浄した。過剰のリンカーの除去を、LCMSを使用した精製生成物の分析によって確認した(LCMS法 20~90、8分、TFA)。
【0607】
ステップ2:コンジュゲーション反応:[(ε-NHCO-PEG
1100)
16(α-DOTA)
7(α-NHCy5)
1(α-NH
2)
8][Lys]
16[Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-(PN)NCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)/TCO-PEG
3-NHCO-PEG
24-Glu-DBCO(1.59mg、10mg/mL、1当量)の脱イオン水溶液を、ナノボディ-N3(1.64mg、10mg/mLのpH8トリス緩衝液、2当量)の溶液に室温で加えた。18時間後、反応混合物を最初に、30kDaのMWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタによって精製し、4000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を、pH8のTris緩衝液(×5)で、遠心分離により4000rpmで洗浄した。次いで、得られた生成物をニッケル親和性カラムクロマトグラフィー、続いてSECによって精製し、[(ε-NHCO-PEG
1100)
16(α-DOTA)
7(α-NHCy5)
1(α-NH
2)
8][Lys]
16[Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-(PN)NCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)/TCO-PEG
3-NHCO-PEG
24-Glu-DBCO/N3-ナノボディSRS-22(0.65mg)を得た。精製生成物のSDS Pageゲル分析については、
図23(レーン2)を参照のこと。
【0608】
2.4a.12 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)/TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ)1(α-NHCy5)1(α-NHDOTA))10(α-NH2)4)(ε-NH-COPEG1000)16]、G4、化合物SRS-2-304
ステップ1:TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ(「ナノボディ-N3-C末端タグ」を使用)化合物SRS-2aの調製:MQ水(469μL)中のTCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO、化合物51(4.69mg、2.6μmol)の溶液を、ナノボディ-N3(「ナノボディ-N3-C末端タグ」)(pH8トリス緩衝液中5.84mg/mL溶液3.5mL;1.3μmol)に加えた。反応混合物を室温で18時間放置した後、スピンカラム(Amicon Ultra-15、10kDa MWCO)によって濃縮した。残留物を、20mMのpH8トリス緩衝液(6 ×15mL)で繰り返し洗浄し、最後に濃縮して、化合物SRS-2a(11.3mg/mL)を得た。UPLC-ToF(方法2):Rt =4.74分。ESI MS(+ve)17242[M]+;m/z[M]+計算値:17242
【0609】
ステップ2:MQ水(4.0mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)1(α-NHCy5)1(α-NHDOTA))10(α-NH2)4)(ε-NH-COPEG1000)16]、G4 化合物SRS-1(36.0mg、1.09μmol)の溶液に、TCO-PEG3NH-COPEG24NH-Glu-DBCO/N3-ナノボディ(「ナノボディ-N3-C末端タグ」を使用)化合物SRS-2a(1.2当量、pH8トリス緩衝液中11.3mg/mLの溶液2.0mL)を加えた。得られた溶液を室温で18時間放置し、その後、金属親和性クロマトグラフィー、続いてSECで精製して、化合物SRS-2-304(32.28mg、60%;SDS-ゲルで確認、図示せず)を得た。Her2+細胞結合データについては、実施例7の表を参照のこと。
【0610】
2a.4 ナノボディ-Cys SRS-13発現プラスミド
抗HER2ナノボディクローン2D3のコーディング配列(US2011/0028695(A1)配列番号:1986)を、標準的な分子生物学的手法を用いて、発現プラスミドpET-His6-TEV-1B(Addgene plasmid 29653)に挿入した。E.coli K12のコドン最適化DNA配列を合成し、プラスミドpET-His6-TEV-1Bにクローン化した。
【0611】
組換えタンパク質にC末端の非対システイン残基を取り込むために、スルファターゼペプチドモチーフ(LCTPSR)の一部としてのシステインコドン(TGC)(Carrico et.al,Nat Chem Biol,3,2007,p321-322)を、ナノボディコーディング配列の後にインフレームで挿入し、その後、TEVプロテアーゼ切断部位をコードする配列、6hisタグ、及び翻訳終了のためのopal(TGA)停止コドンを挿入した。これらの追加のモチーフは、単にシステインコドンを超えて任意であることが理解されるであろう。
【0612】
2a.5 ナノボディ-Cys SRS-13の発現及び精製
抗HER2ナノボディ2D3の発現は、ナノボディ発現プラスミドで形質転換したE.coli株BL21(DE3)(Invitrogen)で実行した。細胞は、37℃のバッフル付き振とうフラスコに入れたTerrificブロス(25g/Lトリプトン、30g/L酵母、及び5g/Lグリセロール、0.017M KH2PO4、0.072MK2HPO4、50μg/mL硫酸カナマイシン)で、OD6000.7~1.0の細胞密度に達するまで培養した。組換えタンパク質の発現は、1.5mM IPTGを加えることにより誘導し、25℃で20時間進行させた。菌体は遠心分離により採取し、高圧ホモジナイズ後、プロテアーゼ阻害剤カクテル、リゾチームを加え、DNAse処理を施して細胞溶解液を生成した。溶解液を、リフォールディング緩衝液(6M グアニジンHCl、50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mM イミダゾール、pH8)中で一晩インキュベートした。高速遠心分離による清澄化と0.45μMの膜フィルタでのろ過の後、ニッケル荷電ニトリロ三酢酸-アガロースを用いた固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)により、his6タグ付きナノボディを精製した。オンカラムリフォールディングは、最初に結合したタンパク質を6MグアニジンHCl、50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mMイミダゾール、pH8のカラムボリュームで洗浄し、その後、同じ緩衝液を使用するが、4M、3M、2M、1M、及び0.5MのグアニジンHCl濃度で洗浄することにより達成した。これに続き、2カラムボリュームの50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mMイミダゾール、pH8を加えた。リフォールディングしたタンパク質を、2カラムボリュームの50mM NaH2PO4、300mM NaCl、250mMイミダゾール、pH8で溶出した。IMAC後、ナノボディ-Cys SRS-13をHiTrap Q HPカラム(GE Healthcare,カタログ17115301)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより更に精製した。結合ステップ及び洗浄ステップは、トリス緩衝液(20mM、pH8)を用いて行い、溶出は1M NaCl緩衝液(1M NaCl、20mMトリス、pH8)の0%~50%のグラジエントを用いて行った。得られた関連するナノボディ画分は、Amicon 10k MWCOフィルタユニット(Merck、カタログUFC901008)を用いて、20mMトリス、pH8に緩衝交換した。注記:ナノボディ-Cys SRS-13は、主に二量体化形態(-S-S-結合を介する)であり、コンジュゲーションの前に還元されなければならない)。
【0613】
2a.6 ナノボディ-Cys SRS-13のデンドリマーへのコンジュゲーション
一般手順Kに記載の手順に従って、マレイミド/Cysコンジュゲーション化学を使用して、ナノボディ-Cys SRS-13をデンドリマーSRS-4-Mal、RP-5、HH-2及びSRS-1にコンジュゲートして、化合物SRS-15~17及び21を生成した。
【0614】
コンジュゲートSRS-15~17及び21についてゲルを泳動させたところ(
図23)、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートの適切なMWにバンドが見られた。各ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートの純度は、非還元性ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を用いて確認した。4~15%ポリアクリルアミドゲル(Bio-rad、カタログ4561086)上で電気泳動分離させた後、Typhoon Biomolecular Imager(GE Healthcare)を用いて画像化したときに、ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートは、デンドリマーのサイズにナノボディの追加質量を加えたサイズにほぼ対応する蛍光バンドとして現れる。その後、Coomassie Brilliant Blue(CBB)で染色して、同じ場所にナノボディが存在していることが判明した。CBBにより他のバンドが検出されることはなく、これは、未反応のナノボディが存在せず、調製物の純度が高いことがわかった。
【0615】
2a.6.1 [[(ε-NHCO-PEG
1100)
8(α-NHDOTA)
4.75(α-NHCy5)
0.5(α-NH
2)
2.75][Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-CONH-CH
2-CH
2-S-]
2MAL-PEG
3-NHCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)/TCO-NHCO-PEG
24-(MAL)Me/Cys-ナノボディ、SRS-15
ナノボディ-Cys/Me(MAL)-PEG
24-CONH-PEG
3-TCO SRS-14 (6.50mg)及び[[(ε-NHCO-PEG
1100)
8(α-NHDOTA)
4.75(α-NHCy5)
0.5(α-NH
2)
2.75][Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-CONH-CH
2-CH
2-S-]
2MAL-PEG
3-NHCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)SRS-4-Mal(9.0mg)を使用して一般手順Kを用いてSRS-15を合成して、[[(ε-NHCO-PEG
1100)
8(α-NHDOTA)
4.75(α-NHCy5)
0.5(α-NH
2)
2.75][Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-CONH-CH
2-CH
2-S-]
2MAL-PEG
3-NHCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)/TCO-NHCO-PEG
24-(MAL)Me/Cys-ナノボディSRS-15(0.80mg)を得た。反応混合物のSDS Pageゲル分析については、
図22(レーン2)を参照のこと。
【0616】
2a.6.2 [(ε-NHCO-PEG
1100)
16(α-NHCy5)
1(α-NHDOTA)
8(α-NH
2)
7][Lys]
16[Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-CONH-CH
2-CH
2-S-(Me)MAL-PEG
24-CONH-Bn-Tz(Me)/TCO-NHCO-PEG
24-(MAL)Me/Cys-ナノボディ、SRS-16
ナノボディ-Cys/Me(MAL)-PEG
24-CONH-PEG
3-TCO SRS-14(6.66mg)及び[(ε-NHCO-PEG
1100)
16(α-NHCy5)
1(α-NHDOTA)
8(α-NH
2)
7][Lys]
16[Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-CONH-CH
2-CH
2-S-(Me)MAL-PEG
24-CONH-Bn-Tz(Me)RP-5(9.5mg)を使用して一般手順Kを用いてSRS-16を合成して[(ε-NHCO-PEG
1100)
16(α-NHCy5)
1(α-NHDOTA)
8(α-NH
2)
7][Lys]
16[Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-CONH-CH
2-CH
2-S-(Me)MAL-PEG
24-CONH-Bn-Tz(Me)/TCO-NHCO-PEG
24-(MAL)Me/Cys-ナノボディSRS-16(0.81mg)を得た。反応混合物のSDS Pageゲル分析については、
図22(レーン4)を参照のこと。
【0617】
2a.6.3 [(ε-NHCO-PEG
1100)
16(α-DOTA)
7(α-NHCy5)
1(α-NH
2)
8][Lys]
16[Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-(PN)NCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)/TCO-NHCO-PEG
24-(MAL)Me/Cys-Nb、SRS-17
ナノボディ-Cys/Me(MAL)-PEG
24-CONH-PEG
3-TCO SRS-14(9.0mg)及び[(ε-NHCO-PEG
1100)
16(α-DOTA)
7(α-NHCy5)
1(α-NH
2)
8][Lys]
16[Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-(PN)NCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)HH-2(14.2mg)を使用して一般手順Kを用いてSRS-17を合成して、[(ε-NHCO-PEG
1100)
16(α-DOTA)
7(α-NHCy5)
1(α-NH
2)
8][Lys]
16[Lys]
8[Lys]
4[Lys]
2[Lys]-(PN)NCO-PEG
24-CONH-PEG
4-(PhTzMe)/TCO-NHCO-PEG
24-(MAL)Me/Cys-ナノボディSRS-17(3.26mg)を得た。反応混合物のSDS Pageゲル分析については、
図22(レーン6)を参照のこと。
【0618】
2a.6.4 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)/TCO-PEG3-NHCO-PEG24-(MAL)Me/Cys-ナノボディ)1(α-NHCy5)1(α-NHDOTA))10(α-NH2)4)(ε-NH-COPEG1000)16、SRS-21
ステップ1:BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)/TCO-PEG3-NHCO-PEG24-(MAL)Me)1(α-NHCy5)1(α-NHDOTA))10(α-NH2)4)(ε-NH-COPEG1000)16] SRS-21aの合成:BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[((α-NH-COPEG24NH-COPEG4(PhTzMe)1(α-NHCy5)1(α-NHDOTA))10(α-NH2)4)(ε-NH-COPEG1000)16] SRS-1(13.0mg、pH6.8水中10mg/mL)の溶液に、TCO-PEG3-NHCO-PEG24-(MAL)Me SRS-12(2当量;1.40mg;脱イオン水中10mg/mL))を添加し、反応混合物を室温で2時間放置した。過剰なリンカーを、10kDaのMWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を用いたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタによって反応混合物から取り除き、4000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物をpH6.8の水(×5)で4000rpmで遠心分離することによって洗浄した。
【0619】
ステップ2:ナノボディ-Cys二量体のナノボディ-Cys SRS-13への還元:ナノボディ-Cys二量体(3.33mg/mL、10mM PBS、pH7.2;1当量)の溶液に、0.5M TCEP水溶液(10当量)を加えた。反応混合物を37℃で2時間インキュベートし、更に精製することなく後続ステップで使用した。
【0620】
ステップ3:コンジュゲーション反応:pH6.8水中のBHALys[Lys]
2[Lys]
4[Lys]
8[Lys]
16[((α-NH-COPEG
24NH-COPEG
4(PhTzMe)/TCO-PEG
3-NHCO-PEG
24-(MAL)Me)
1(α-NHCy5)
1(α-NHDOTA))
10(α-NH
2)
4)(ε-NH-COPEG
1000)
16] SRS-21a(13.68mg;10mg/mL;1当量)の溶液を、ナノボディ-Cys SRS-13(7.0mg;3.33mg/mL、10mM PBS、pH7.2;1.1当量)溶液に室温で加えた。18時間後、反応混合物を最初に、30kDaのMWCO Ultracel(登録商標)再生セルロース膜を備えたAmicon(登録商標)Ultra遠心フィルタによって精製し、4000rpmで10分間遠心分離することによって濃縮した。残留物を、pH7.2のPBS緩衝液(×5)で、遠心分離により4000rpmで洗浄した。次いで、得られた半純粋生成物を、ニッケル親和性カラムクロマトグラフィー、続いてSECによって精製して、BHALys[Lys]
2[Lys]
4[Lys]
8[Lys]
16[((α-NH-COPEG
24NH-COPEG
4(PhTzMe)/TCO-PEG
3-NHCO-PEG
24-(MAL)Me/Cys-ナノボディ)
1(α-NHCy5)
1(α-NHDOTA))
10(α-NH
2)
4)(ε-NH-COPEG
1000)
16] SRS-21(0.65mg)を得た。精製生成物のSDS Pageゲル分析については、
図23(レーン4)を参照のこと。
【0621】
2b HER-2アフィボディ-デンドリマーコンジュゲート
2b.1 アフィボディ-BCN/N3-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-vc-PAB-MMAE)8(ε-NH-COPEG1100)8]、G3、化合物77
アフィボディ-BCN (2.0mg、1.0mg/mLのPBSで286nmol)及びアジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-vc-PAB-MMAE)8(ε-NH-COPEG1100)8]化合物65(240μM溶液1.0mL)を用いて、一般手順Fに従って調製した。精製した材料を凍結乾燥させて、白色の綿毛状粉末を得た(2.19mg,31%)。SDS-PAGE分析では、アフィボディ-デンドリマーコンジュゲートに対応するバンドが30kDa(700nm)付近で示されていた。
【0622】
2b.2 アフィボディ-BCN/N3-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-vc-PAB-MMAE)8(ε-NH-COPEG2000)8]、G3、化合物78
アフィボディ-BCN(1.0mg、1.0mg/mL PBSで143nmol)及びアジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHGlu-vc-PAB-MMAE)8(ε-NH-COPEG2000)8]化合物66(233μM溶液250μL)を用いて、一般手順Fに従って調製した。SDS-PAGE分析では、アフィボディ-デンドリマーコンジュゲートに対応するバンドが40kDa(700nm)付近で示されていた。
【0623】
2b.3 アフィボディ-BCN/N3-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHDGA-MMAF(OMe)8(ε-NH-COPEG1100)8]、G3、化合物81
アフィボディ-BCN(2.0mg、1.0mg/mLのPBSで286nmol)及びアジド-PEG24CO-[N(PN)2][Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHDGA-MMAF(OMe)8(ε-NH-COPEG1100)8]化合物67(600μLの365μM溶液)を用いて、一般手順Fに従って調製した。精製した材料を凍結乾燥させて、白色の綿毛状粉末を得た(2.06mg,33%)。SDS-PAGE分析では、アフィボディ-デンドリマーコンジュゲートに対応するバンドが30kDa(700nm)付近で示されていた。
【0624】
2c.FAPI標的化デンドリマー及び対照
2c.1 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31]、RHa-26
DMF(1.0mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31] RHa-20(1.7μmol)の溶液に、室温で、DMF(10μL/mL、37μL、34μmol)中のNMM、HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)] RHa-9のDMF溶液(20mg/mL、185μL、2.5μmol)、及びPyBOPのDMF溶液(100mg/mL、13μL、2.5μmol)を加えた。反応混合物の進行に続いて、HO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)]RHa-9(Rt=5.32分)の消失を監視することにより、HPLC(HPLC-法1)を行った。18時間後、DMF中のNMM(70μL、54μmol)を加え、続いて新たに調製したDMF中のPyBOP(50mg/mL、30μL、2.9μmol)を加えた。反応混合物を18時間撹拌してから、DMF中のNMM(100μL、109μmol)及びPyBOP(6mg、11.5μmol)の追加部分を加えた。更に16時間撹拌した後、反応混合物を真空濃縮し、残渣を脱イオン水(10mL)に溶解した。得られた溶液をAmicon(登録商標)Ultra 1,5 10kDa MWCOスピンカラムに移し、遠心分離によって濃縮した(4000rpm、20分間)。残留物を水(15分間、4000rpmで10×5mL)で洗浄し、最終残留物を凍結乾燥させて、濃紺色ガム(108mg)を得た。HPLCによりHO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)]RHa-9の完全消費が観察されたため、反応生成物をBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31]RHa-26として割り当てた。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.99分。
【0625】
2c.2 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3]、RHa-25
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3] RHa-13(1.6μmol)から、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31]RHa-26について上述した方法に従って合成した。合計2.4μmolのPyBOP、DMF(1.5mL)中のNMM90μmolを、室温で3日間にわたって少しずつ添加して、全てのHO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)]RHa-9(2.2μmol)を確実に消費した(HPLCにより反応を監視した)。精製後、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3]RHa-25を濃厚な濃紺色(thick dark-blue)油として得た(81mg)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.73分。
【0626】
2c.3 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)4(ε-NHCO-dPEG1100)28(ε-NH2)2]、RHa-27
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHBoc)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)4(ε-NHCO-dPEG1100)28(ε-NH2)2] RHa-14(82mg、1.7μmol)から、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31]RHa-26について上述した方法に従って合成した。合計16.9μmolのPyBOP、DMF(1.5mL)中のNMM1.58mmolを、室温で3日間にわたって少しずつ添加して、全てのHO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)]RHa-9(2.6μmol)を確実に消費した(HPLCにより反応を監視した)。精製後、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)4(ε-NHCO-dPEG1100)28(ε-NH2)2]RHa-27を青色ガムとして得た(83mg)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.78分。
【0627】
2c.4 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)6.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)5(ε-NH2)1]、RHa-28
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)5(ε-NH2)2] RHa-16(85mg、6.9μmol)から、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31]RHa-26について上述した方法に従って合成した。合計20.9μmolのPyBOP、DMF(1.5mL)中のNMM1.23mmolを、室温で2日間にわたって少しずつ添加して、全てのHO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)]RHa-9(10.3μmol)を確実に消費した(HPLCにより反応を監視した)。精製後、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)6.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)5(ε-NH2)2]RHa-28を青色ガムとして得た(96mg)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.89分。
【0628】
2c.5 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)6.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5]、RHa-29
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5] RHa-17(85mg、6.9μmol)から、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31]RHa-26について上述した方法に従って合成した。合計19.7μmolのPyBOP、DMF(1.5mL)中のNMM1.22mmolを、室温で2日間にわたって少しずつ添加して、全てのHO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)]RHa-9(9.5μmol)を確実に消費した(HPLCにより反応を監視した)。精製後、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)6.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5]RHa-29を青色ガムとして得た(94mg)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=5.23分。
【0629】
2c.6 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)6.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)7.4(ε-NH2)0.6]、RHa-30
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)7.4(ε-NH2)0.6]RHa-18(40mg、2.5μmol)から、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)30.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)1(ε-NHCO-mPEG1000)31]RHa-26について上述した方法に従って合成した。合計3.9μmolのPyBOP、DMF(1.0mL)中のNMM0.1mmolを添加して、全てのHO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)]RHa-9(3.9μmol)を確実に消費した(HPLCにより反応を監視した)。精製後、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHCO-Lys[(α-NHCy5)(ε-NH-Ph-DFO)])1.5(α-NH2)6.5(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)7.4(ε-NH2)0.6]RHa-30を青色ガムとして得た(45mg)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.61分。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm): 1.10-2.02(m,186H),2.08(s,6H),2.14-2.37(m,18H),2.37-2.59(m,25H),2.59-3.27(m,120H),3.36-403(m,906H),4.03-4.52(m,54H),5.03-5.23(m,5H),6.07-6.44(m,4H),6.44-6.78(m,1H),7.12-7.43(m,28H),7.43-7.69(m,21H),7.85-7.92(m,1H),7.92-8.07(m,FAPI-04-DFO15H),8.15-8.30(m,4H)及び8.70-8.88(m,8H)。
【0630】
2c.7 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH-C(S)-NH-Bn-DOTA)4(α-NH2)4(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5]、RHa-34
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5]RHa-23に、p-SCN-Bn-DOTA RHa-33のDMF溶液(10.3mg/mL、1.2mL、18μmol)を加えた。DMF(1.2mL)及びDIPEA(100μL、0.17mmol)で希釈した反応混合物を加えた。1.5時間撹拌した後、反応混合物を真空濃縮し、水(6mL)に溶解し、得られた溶液を1×Amicon(登録商標)Ultra 15 3k MWCOスピンカラムに移し、4000rpmで25分間室温で遠心分離した。濃縮された残留物を水で洗浄し(10×2.5mL、4000rpm、15分)、凍結乾燥させて、BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH-C(S)-Bn-DOTA)4(α-NH2)4(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)3(ε-NHCO-mPEG1000)5]RHa-34を淡黄色固体(59mg、定量的)として得た。HPLC(HPLC-法、5~80、8分、TFA)Rt=4.45分。1H NMR(300MHz,CD 3OD):δ(ppm)1.00-2.10(m,104H),2.10-2.37(m,8H),2.37-2.54(m,8H),2.54-2.78(m,13H),2.78-3.28(m,74H),3.35(s,21H),3.37-3.92(m,914H),3.92-4.60(m,52H),5.07-5.23(m,3H),6.12-6.23(m,1H),7.09-7.40(m,19H),7.40-7.72(m,14H),7.92-8.06(m,6H),8.70-8.74(m,3H)。
【0631】
2c.8 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH-C(S)-NH-Bn-DOTA)8(α-NH2)24(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3]、RHa-35
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3]RHa-19に、p-SCN-Bn-DOTA RHa-33のDMF溶液(10.3mg/mL、0.55mL、8μmol)を加えた。DMF(1.45mL)及びDIPEA(100μL、0.17mmol)で希釈した反応混合物を加えた。1.5時間撹拌した後、反応混合物を真空濃縮し、水(6mL)に溶解し、得られた溶液を1×Amicon(登録商標)Ultra 15 10k MWCOスピンカラムに移し、4000rpmで25分間室温で遠心分離した。濃縮残留物を水で洗浄し(10×2.5mL、4000rpm、15分)、凍結乾燥してBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH-C(S)-NH-Bn-DOTA)8(α-NH2)24(ε-NHCO-dPEG1100-C(O)N-FAPI-04)10(ε-NHCO-mPEG1000)19(ε-NH2)3]RHa-35を淡黄色固体として得た(51mg、98%)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=4.61分。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)0.95-2.34(m,401H),2.34-2.61(m,35H),2.61-3.28(m,235H),3.36H(s,76H),3.38-3.81(m,3358H),3.81-3.91(m,46H),3.91-4.55(m,203H),5.04-5.21(m,16H),7.03-7.42(m,28H),7.55-7.72(m,17H),7.93-8.06(m,20H),8.72-8.84(m,10H)。
【0632】
2c.9 FAPI-04-DFO、RHa-31(FAPI-DFO対照)
DMSO(0.5mL)中のp-SCN-Ph-DFO RHa-8(24.7mg、33μmol)の溶液を、室温でFAPI-04-NH(TsOH塩)RHa-2(25.9mg、39μmol)に加え、続いてDIPEA(51μL、293μmol)を加えた。1.5時間後、FAPI-04-NH(TsOH塩)RHa-2(15mg、23μmol)の別の部分を加えて撹拌を続けた。2日後、反応混合物を自動フラッシュカラムクロマトグラフィー(オートフラッシュ法2、RCV=10~12CV)によって直接精製し、FAPI-04-DFO RHa-31をオフホワイト固体(29mg、71%)として得た。LCMS(LCMS法 5~80、8分、TFA)Rt=4.56分。ESI MS(+ve)1240[M+H]+;C57H81F2N14O11S2[M+H]+に対するm/z計算値=1240。1H NMR(300MHz,CD3OD): 1.24-1.71(m,20H),2.09-2.15(m,5H),2.41-2.50(m,4H),2.66-3.00(m,13H),3.12-3.19(m,4H),3.54-3.63(m,8H),3.95-4.40(m,7H),5.05-5.20(m,1H),7.19-7.34(m,4H),7.48(dd,J=3.0,9.0Hz,1H),7.58(d,J=3.0Hz,1H),7.86-8.05(m,2H)及び8.76(d,J=6.0Hz,1H)。
【0633】
2d.DUPA標的化デンドリマー及び対照
2d.1 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG24NH-DUPA(OH)3)8]、G3、化合物37
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NHBoc)8(ε-NH-COPEG24NH-DUPA(OtBu)3)8]、化合物36(36mg、2.29μmol)を使用して、一般手順Aに従って調製した。反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を減圧下にて濃縮し、SEC(400滴/チューブ、MeCN sephadex LH20、35滴/分)を使用して精製した。画分をTLC分析(5%BaCl2溶液、続いてヨウ素染色、暗褐色斑)を用いて確認し、生成物を含有するものを合わせ、減圧濃縮した。表題化合物である化合物37を無色フィルムとして収集した(24mg、72%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 0.60-1.99(m,138H),2.08-2.22(m,16H),2.24-2.52(m,48H),3.07-4.06(m,845H),4.27-4.35(m,16H),6.18(s,1H),7.25-7.39(m,10H)。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=6.80分(ブロードピーク、低強度)。
【0634】
2d.2 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-(NHDOTA))1(a-NHAc)7)(ε-NH-COPEG24NH-DUPA)8]、G3、化合物38
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-(NHDOTA))1(α-NH2)7)( ε-NH-COPEG24NH-DUPA)8]化合物106(23mg、1.66μmol)を使用して、一般手順I、ステップ2に従って調製した。反応物をN2流下で濃縮し、SEC(400滴/チューブ、MeOH sephadex LH20、35滴/分)により精製した。画分をTLC分析(5%BaCl2溶液、続いてヨウ素染色、暗褐色斑)により確認し、続いてHPLCにより確認し、生成物を含有するものを合わせ、減圧濃縮した。残渣をMQ水に取り込み、ろ過し(0.45μmアクロディスクフィルタ)、凍結乾燥させて、表題化合物を褐色蝋状固体として得た(22mg、91%)。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=7.22分(ブロードピーク)。
【0635】
2d.3 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCy5)1(α-NHCO-PEG24-NH-DUPA)15(α-NHCO-PEG24NH-GADOTA)4(α-NH2.TFA)11(ε-NHCOPEG1000)32]、RL-22
DMF(3mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCOPEG1000)32](100mg、1.97μmol)及びCy5-NHSエステル(2.6mg、3.94μmol)の撹拌溶液に、NMM(20μL、189μmol)を加え、続く反応物を室温で一晩撹拌してから、揮発分を真空除去し、青色油を得た。残渣をDMF(3mL)中に溶解し、DUPA(OtBu)3-NHPEG24CO2H、化合物40(30mg、18.6μmol)、PyBOP(10mg、18.6μmol)及びNMM(10μL、92.9μmol)を順次添加した。続いて得られた反応物を、室温で一晩撹拌させて放置した。反応混合物を半分に分割し、一部分に、DOTA(OtBu)4GA-NHCO-PEG24-COOH RL-21(34mg、19.9μmol)及びPyBOP(10mg、18.9μmol)を加え、続いて得られた反応物を室温で一晩撹拌させた。揮発分を真空除去し、得られた青色残渣を脱イオン水に溶解した。溶液をスピンカラム(Amicon Ultra、15mL、30kDa MWカットオフ、4000rpm、20分間)によって濃縮し、残留物を水で繰り返し洗浄し(20分間、4000rpmで10×5mL)、最終的な残留物を凍結乾燥によって乾燥させて濃紺色油を得た。得られた油(20mg)の一部分をジクロロメタン(0.5mL)に溶解し、TFA(0.5mL)を室温で1回で加えた。続いて得られた反応物を、室温で一晩撹拌させて放置した。反応混合物をN2流下で濃縮し、得られた青色残渣を水に溶解し、ろ過し(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)、次に凍結乾燥により乾燥させて、表題化合物RL-22を青色固体として得た(15mg)。
【0636】
DUPA及びDOTAの数は、単離された中間化合物の1H NMRスペクトル上の0.0~2.0ppmと3.4~4.0ppm領域との間の共鳴の相対積分の変化を比較することによって決定した。PEG1000の末端メトキシ基(3.83ppm、96H)を基準として使用した。
1H NMR(300MHz,CD 3OD):δ(ppm)0.77-2.03(m,383H),2.08-2.27(m,36H),2.27-2.37(m,28H),2.36-2.47(m,28),2.48-2.83(m,63H),3.83(s,96H),3.39-3.93(m,4520),4.01(m,62H)及び6.0-8.59(m,24H)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=7.08分。
【0637】
2d.4 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCy5)1(α-NHCO-PEG24NH-DUPA)5(α-NHDGA-SN38)16(α-NH2.TFA)10(ε-NHCOPEG1000)32]、RL-23
DMF(5mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCOPEG1000)32] (200mg、3.94 μmol)及びCy5-NHSエステル(3mg、4.73μmol)の撹拌溶液に、NMM(42μL、378μmol)を加え、続く反応物を室温で一晩撹拌させた。揮発分を真空除去して青色残渣を得、これを脱イオン水に溶解し、溶液をスピンカラム(Amicon Ultra、15mL、30kDa MWカットオフ、4000rpm、15分間)によって濃縮し、残留物を水で繰り返し洗浄し(15分間、4000rpmで6×5mL)、最終的な残留物を凍結乾燥させて、濃紺色固体(171mg)を得た。得られた固体(46mg、0.968μmol)の一部分をDMF(2mL)に溶解させ、DGA-(C-20)SN38 RL-24(9.4mg、18.6μmol)のDMF(1mL)溶液を濃紺色溶液に加え、続いてPyBOP(9.6mg、18.6μmol)及びNMM(10μL、92.2μmol)を加え、続いて得られた反応物を室温で一晩撹拌させた。揮発分を真空除去して青色残渣を得、これをサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した(静止相=Sephadex LH-20(登録商標)、移動相=MeCN、流量=約35滴/分、400滴/分を収集)。青色画分を収集し、合わせ、真空濃縮して、濃紺色油を得た。得られた油(33mg、0.593μmol)をDMF(2mL)に再溶解し、DUPA(OtBu)3-NHPEG24CO2H化合物40(18mg、11.4μmol)、PyBOP(6mg、11.4μmol)、続いてNMM(6.25μL、56.9μL)を加えた。続いて得られた反応物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去して青色残渣を得、これをサイズ排除クロマトグラフィー精製した(静止相=Sephadex LH-20(登録商標)、移動相=MeCN、流量=約35滴/分、400滴/分を収集)。青色材料を含有する画分をLCMS分析によってチェックし、純粋な生成物を含有するとみなされるものを真空濃縮して、濃紺色の残渣を得た。得られた残渣のジクロロメタン(1mL)溶液に、TFA(1mL)を室温で一度に加え、得られた明緑色の溶液を一晩撹拌させた。この反応をN2流下で、次いで高真空下で濃縮し、得られた青色/緑色の残渣を、サイズ排除クロマトグラフィー(静止相=Sephadex LH-20(登録商標)、移動相=MeCN、流量=約35滴/分、400滴/分を収集)を用いて精製した。青色材料を含有する画分をHPLC分析を使用して確認し、生成物を含有するとみなされるものを合わせて真空濃縮した。得られた青色残渣を水に溶解し、ろ過し(0.45μmアクロディスクシリンジフィルタ)、次いで凍結乾燥により乾燥させて、表題化合物RL-23を青色固体として得た(9mg)。
【0638】
DUPA及びSN38の数は、PEG1000の末端メトキシ基(3.83ppm、96H)を基準として、1H NMRスペクトルの分析によって決定した。
1H NMR(300MHz,CD3CN):δ(ppm)0.5-1.9(m,582H),2.51-3.00(m,76H),3.33(s,96H),3.40-5.0(m,3282H),4.45(m,16H),5.3(m,16H)及び6.0-8.59(m,102H)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=8.60分。
【0639】
2d.5 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCy5)1(α-NHCO-PEG24NH-DUPA)8(α-NHDOTA)14(α-NH2.TFA)9(ε-NHCOPEG1000)32]、RL-25
DMF(3mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NH2.TFA)32(ε-NHCOPEG1000)32](300mg、5.92μmol)及びCy5-NHSエステル(6mg、7.10μmol)の撹拌溶液に、NMM(62μL、568μmol)を加え、続く反応物を放置して室温で一晩撹拌した。反応物をLCMS分析を使用してCy5-NHSエステルの消費を確認し、揮発分を真空除去して青色油を得た。得られた油(46mg、0.968μmol)の一部分をDMF(2mL)に溶解し、DOTAGA-テトラ-(tert-ブチルエステル)RL-19(12mg、17.4μmol)、PyBOP(9mg、17.4μmol)、及びNMM(10μL、92.9mmol)を順次加えた。(反応混合物のLCMS分析により監視した)DOTAGA-テトラ(tert-ブチルエステル)RL-19の完全な消費時に、揮発分を真空除去した。得られた青色残留物を脱イオン水に溶解し、溶液をスピンカラム(Amicon Ultra、15mL、30kDa MWカットオフ、4000rpm、15分間)によって濃縮し、残留物を水で繰り返し洗浄し(15分間、4000rpmで6×5mL)、最終的な残留物を真空濃縮した。残渣をDMF(2mL)中に溶解し、DUPA(OtBu)3-NHPEG24CO2H、化合物40(30mg、18.6μmol)、PyBOP(10mg、18.6μmol)及びNMM(10μL、92.9μmol)を順次添加した。続いて得られた反応物を、室温で一晩撹拌させて放置した。揮発分を真空除去し、得られた青色残渣を脱イオン水に溶解し、溶液をスピンカラム(Amicon Ultra、15mL、30kDa MWカットオフ、4000rpm、15分間)によって濃縮した。残留物をMQ水(15分間、4000rpmで6×5mL)で繰り返し洗浄し、最終的な残留物を凍結乾燥によって乾燥させて、濃紺色固体を得た。得られた固体をジクロロメタン(2mL)に溶解させ、TFA(1mL)を室温で1回で溶液に加えた。続いて得られた反応物を室温で一晩撹拌させた後、N2流下で濃縮し、脱イオン水に溶解させ、溶液をスピンカラム(Amicon Ultra、15mL、30kDa MWカットオフ、4000rpm、15分間)によって濃縮した。残留物をMQ水(15分間、4000rpmで5×5mL)で繰り返し洗浄し、最終的な残留物を凍結乾燥により乾燥させて、青色油(11mg)を得た。
【0640】
DUPA及びDOTAの数は、単離された中間体の1H NMRスペクトル上の0.0~2.0ppm領域間を比較することによって決定した。PEG1000の末端メトキシ基(3.83ppm、96H)を基準として使用した。
1H NMR(300MHz,CD 3OD):δ(ppm)0.97-1.99(m,412H),2.06-2.93(m,182H),2.93-3.29(m,144H),3.37(s,96H),3.33-4.72(m,4228H),7.32(m,10H)及び6.0-8.59(m,24H)。HPLC(HPLC法、5~80、8分、TFA)Rt=8.29分。
【0641】
2d.6 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α/ε-NHCy5)1(α/ε-NHCO-PEG24NH-DUPA)5(α/ε-NH-DOTAGA)7(α/ε-NH2.TFA)3]、RL-26
DMF(3mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH2.TFA)8](50mg、25.1μmol)の溶液に、Cy5-NHSエステル(20mg、30.1μmol)及びNMM(52μL、0.481mmol)を加え、続く反応物を室温で一晩撹拌した。揮発分を真空除去し、得られた青色残渣の一部分(25mg、16.2μmol)をDMF(2mL)に再溶解した。得られた青色溶液に、DOTAGA-テトラ-(tert-ブチルエステル)RL-19(95mg、0.136mmol)、PyBOP(70mg、0.136mmol)、及びNMM(85μL、0.778mmol)を順次加え、反応物を室温で一晩撹拌した。揮発分を真空除去し、残渣をサイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製した(静止相=Sephadex LH-20(登録商標)、移動相=MeCN、流量=約35滴/分、400滴/分を収集)。濃紺色の物質を含有する画分を合わせて真空濃縮し、残渣を水に再溶解した後、凍結乾燥により乾燥した。得られた青色固体(14mg、2.31μmol)の溶液に、DUPA(OtBu)3-NHPEG24CO2H、化合物40(35mg、2.2μmol)、PyBOP(11mg、22.2μmol)、続いてNMM(12μL、110μmol)を加え、得られた反応物を室温で一晩撹拌した。揮発分を真空除去し、残渣をサイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製した(静止相=Sephadex LH-20(登録商標)、移動相=MeCN、流量=約35滴/分、400滴/分を収集)。濃紺色の材料を含む画分をLCMS分析を用いて確認し、生成物を含むとみなされるものを合わせて真空濃縮した。得られた青色油をジクロロメタン(1mL)に再溶解させ、TFA(1mL)を室温で1回で加え、続いて得られた緑色溶液を一晩撹拌した。反応物をN2流下で濃縮し、その後脱イオン水に溶解し、溶液をスピンカラム(Amicon Ultra、15mL、30kDa MWカットオフ、4000rpm、15分間)によって濃縮した。残留物を水(15分間、4000rpmで4×5mL)で繰り返し洗浄し、最終的な残留物を凍結乾燥により乾燥させて、青色油(11mg)を得た。
【0642】
DUPA及びDOTAの数は、単離された中間化合物の1H NMRスペクトル上の0.0~2.0ppm、3.4~4.0ppm、及び4.0~4.5ppm、及び6.0~8.5ppm領域間の共鳴の相対積分の変化を比較することによって決定した。
1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)0.67-2.03(m,112H),2.05-2.23(m,19H),2.24-2.84(m,67H),2.90-3.20(m,58H),3.33-3.48(m,30H),3.48-4.09(m,565H),4.10-4.52(m,33H)及び6.0-8.59(m,24H)。HPLC(HPLC法 5~80、8分、TFA)Rt=9.92分(ブロード)。
【0643】
2d.7 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NHCy5)1(α-NHAc)31)((ε-NH-COPEG570N3)12(ε-NH-COPEG570N3/BCN-DUPA)20]、化合物100
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16-[Lys]32[((α-NHCy5)1(α-NHAc)31)(ε-NH-COPEG570N3)32]、化合物34(10.0mg、0.4μmol)、及びDUPA-BCN(化合物61(10.9mg、17.4μmol)を用いて、一般手順Jに従って調製した。SEC(Sephadex LH-20)により精製した後、化合物100を青色固体として得た(11.6mg、80%)。1HNMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 0.54-2.54(m,797H);2.54-2.86(m,44H);2.88-3.18(m,123H);3.19-4.32(m,1409H);4.34-4.53(m,40H);6.92-7.53(m,21H);7.76-8.25(m,14H)。LC(LCMS法 5~80、15分、TFA、MSなし)Rt=9.15分。1HNMR分析は、20DUPA/デンドリマーを示す。化合物100のMWは、約40.2kDaである。
【0644】
2d.8 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NHCy5)1(α-NHAc)31)((ε-NH-COPEG570N3)20(ε-NH-COPEG570N3/BCN-DUPA)12]、化合物101
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8-[Lys]16[Lys]32[((α-NHCy5)1(α-NHAc)31)(ε-NH-COPEG570N3)32]、化合物34(10.0mg、0.4μmol)、及びDUPA-BCN(化合物61(4.2mg、6.7μmol)を用いて、一般手順Jに従って調製した。SEC(Sephadex LH-20)により精製した後、化合物101を青色固体として得た(15.4mg、121%)。1HNMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 0.40-2.53(m,1430H);2.55-2.83(m,36H);2.91-3.17(m,123H);3.18-4.32(m,1392H);4.35-4.55(m,24H);6.98-7.50(m,26H);7.76-8.17(m,20H)。LC(LCMS法 5~80、15分、TFA、MSなし)Rt=9.15分。1HNMR分析により、12DUPA/デンドリマーが示される。化合物101のMWは、約35.2kDaである。
【0645】
2d.9 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NHCy5)1(α-NHAc)31)((ε-NH-COPEG1100N3)25(ε-NH-COPEG1100N3/BCN-DUPA)7]、化合物102
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-NHCy5)1(α-NHAc)31(ε-NH-COPEG1100N3)32]化合物35(25.2mg、0.5μmol)、及びDUPA-BCN(化合物61(4.2mg、6.7μmol)を用いて、一般手順Jに従って調製した。限外ろ過及び凍結乾燥により精製した後、化合物102を青色固体として得た(21.9mg、79%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 0.50-2.56(m,668H);2.76-2.92(m,125H);3.04-3.62(m,2982H);3.74-3.88(m,28H);3.91-4.21(m,94H);6.85-7.24(m,26H);7.57-7.69(m,47H)。LC(LCMS法 5~80、15分、TFA、MSなし)Rt=10.11分。1H NMR分析により、7DUPA/デンドリマーが示される。化合物102のMWは、約54.6kDaである。
【0646】
2d.10 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-NHCy5)1(α-NHAc)31)((ε-NH-COPEG1100N3)22(ε-NH-COPEG1100N3/BCN-DUPA)10]、化合物103
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[(α-Cy5)1(α-NHAc)31(ε-NH-COPEG1100N3)32](25.0mg、0.5μmol)、及びDUPA-BCN(化合物61(4.2mg、6.7μmol)を用いて、一般手順Jに従って調製した。限外ろ過及び凍結乾燥により精製した後、化合物103を青色固体として得た(19.7mg、70%)。1H NMR(300MHz,D2O)δ(ppm): 0.82-2.19(m,707H);2.45(bs,64H);3.05-3.21(m,135H);3.38-3.92(m,3053H);4.04-4.30(m,101H);6.93-7.54(m,26H)。LC(LCMS法 5~80、15分、TFA、MSなし)Rt=10.44分。1H NMR分析により、10DUPA/デンドリマーが示される。化合物103のMWは、約54.6kDaである。
【0647】
2d.11 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16[Lys]32[((α-Cy5)1(α-NHAc)31(ε-NH-COPEG1100N3)19(ε-NH-COPEG1100N3/BCN-DUPA)13]、化合物104
BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[Lys]16-[Lys]32[((α-Cy5)1(α-NHAc)31)(ε-NH-COPEG1100N3)32]、化合物35(26.3mg、0.5μmol)、及びDUPA-BCN(化合物61(12.6mg、20.1μmol)を用いて、一般手順Jに従って調製した。限外ろ過及び凍結乾燥により精製した後、生成物を青色固体として得た(28.8mg、94%)。1H NMR(300MHz,CD3OD)δ(ppm): 0.73-2.90(m,823H);2.96-3.27(m,133H);3.34-3.99(m,2894H);4.05-4.22(m,40H);4.24-4.44(m,78H);4.44-4.58(m,34H);7.16-7.57(m,22H);7.89-8.05(m,38H)。LC(LCMS法 5~80、15分、TFA、MSなし)Rt=9.62分。1H NMR分析により、13DUPA/デンドリマーが示される。化合物104のMWは、約58.4kDaである。
【0648】
2d.12 [[(ε-NHCO-PEG1100)8(α-NHDOTA)4.75(α-NHCy5)0.5(α-1.90 BHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[((α-(NHDOTA))1(α-NH2)7)(ε-NH-COPEG24-N3/BCN-DUPA)8]、G3、化合物105
DMF(4mL)中のBHALys[Lys]2[Lys]4[Lys]8[(α-NH2.TFA)8(ε-NH-COPEG24N3/BCN-DUPA(OH)3)8]化合物37(23mg、1.66μmol)の溶液に、p-SCN-Bn-DOTA(2.6mg、3.8μmol)のDMF溶液を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。HPLC分析は、出発材料の消費を示し、反応物を減圧下で濃縮した。更に精製することなく、化合物105を使用した。HPLC(C8 XBridge、3×100mm)勾配: 5%MeCN/H2O(0~1分)、5~80%MeCN(1~7分)、80%MeCN(7~12分)、80~5%MeCN(12~13分)、5%MeCN(13~15分)、214nm、0.4mL/分、Rt=6.15~6.97分(ブロードピーク)。
【0649】
実施例3.アフィボディ-MMAEデンドリマー及びErb2 ECDのSPR結合試験
ErbB2-ECDの直接固定化
ProteOn XPR36装置を用いて、ErbB2-ECDは、HBS-P+泳動緩衝液(10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、0.05% Tween20)を用いて、25℃で、GLCセンサーチップ表面(Bio-Rad)に固定化した。この固定化には、アミンカップリングキット(Bio-Rad)に記載されている標準的なアミンカップリング方法を用いた。レーン1は、EDC(0.5mM)及びスルホ-NHS(0.125mM)の50:50の混合液により活性化した。ErbB2タンパク質を10mM酢酸ナトリウムで2mg/mL、pH5.0に希釈し、活性化された表面チャネル上に注入した。残った活性化部位は、1Mエタノールアミン-HCl(pH8.5)で遮断した。平均応答レベル約590RU(1RU=1pgタンパク質/mm2)のタンパク質結合が観察された。
【0650】
SPR実験分析
全てのSPR結合実験は、HBS-EP+/BSA(10mM HEPES,pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05% Tween20、0.1mg/ml BSA)を装置の泳動緩衝液(RB)として使用し、25℃で行った。固定化手順後、様々な濃度の抗ErbB2アフィボディ及びそれらのMMAE-デンドリマーコンジュゲートを、固定化されたErbB2タンパク質上に60μl/分で注入し、それらの会合を90秒間監視した。その後、泳動緩衝液を、結合したAb-ErbB2コンジュゲートに注入し、解離を最長60分間監視した。Herceptin及びアフィボディの対照は、泳動緩衝液中でチップ表面から適度な時間枠(60分以内)では解離しなかった。全ての結合測定は3回行った。
【0651】
SPRデータの処理及び解析
収集した実験データは、Scrubber-Proソフトウェア(www.biologic.com.au)を用いて処理した。実験データの各セットをLangmuir 1:1結合モデルに当てはめて、キネティックパラメータ(ka=会合及びkd=解離速度定数)及び平衡解離定数(KD=kd/ka)を導出した。全ての結合パラメータは、平均値+/-標準偏差として報告した。
【0652】
SPRの結果
アフィボディ-MMAE-デンドリマーコンジュゲートは、あるプロセスにおいてErbB2タンパク質に特異的に結合し、古典的なキネティック結合プロファイルが得られた。その後、用量反応法を用いて、アフィボディ-MMAE-デンドリマーコンジュゲートのキネティック結合解析を行った。SPRセンサーグラムから得られた速度論的パラメータ及び親和性パラメータを以下にまとめた。このアフィボディは二量体であるため、その結合定数は、デンドリマーコンジュゲートに使用される単量体のアフィボディで観察されるものよりも低いことに留意されたい。化合物65及び66には、いかなる結合も観察されなかった。この結果は、ネイティブアフィボディに比べて少ない量にもかかわらず、アフィボディ-デンドリマー標的に対するナノモルの特異的結合を明らかに示している。
【表7】
【0653】
実施例4.アフィボディ-MMAEデンドリマーによる細胞成長阻害(SRBアッセイ)
HER2-(ES2)及びHER2+(SKOV3)細胞株における細胞成長阻害は、72時間後に様々ながん細胞株に対してSulforhodamine B(SRB)アッセイ[Voigt W.”Sulforhodamine B assay and chemosensitivity”Methods Mol.Med.2005,110,39-48.]を使用して測定し、各実験を2回実施した。GI50は、NCIの標準プロトコルに従って、全細胞の成長を50%阻害するのに必要な濃度である。
【0654】
全ての化合物は、同等の薬物負荷に基づいて検査を行った。その結果は、PEG1100を標的化したデンドリマーコンジュゲートが、PEG2000の表面を有するデンドリマーよりも、細胞の成長阻害において有効であることを示している。アフィボディ単独では、HER2+細胞株、HER2-細胞株のいずれにおいても、このアッセイでは有効でなかった。
【表8】
【0655】
実施例5.アフィボディ-MMAEデンドリマーのインビボでの忍容性
デンドリマー(0.1~0.3mlのPBS溶液)を週1回、3週間(1日目、8日目、及び15日目)にマウスに静脈内注射した。マウスの体重を毎日測定し、毒性の兆候を観察した。最終薬物投与後、最長10日間動物をモニターした。倫理的エンドポイントを超えたマウス(20%以上の体重減少、全身状態不良)はいずれも、直ちに屠殺し、観察結果を記録した。
【0656】
化合物77の1mg/kgの投与は、ヌードSCIDマウス及びbalb/cマウスのいずれにおいても良好な忍容性を示し、健康状態不良のために屠殺する必要のある動物はいなかった。
【0657】
実施例6.:コンジュゲートのインビトロ効率
【表9】
パート1:GI
50パネル:
MDA-MB-231、SKOV-3、SK-Br-3、NCI-N87、及びOE-19細胞に対するHerceptin(登録商標)、Kadcyla(登録商標)、ラパチニブ、化合物71(対照)、及び2D3ナノボディ標的デンドリマー(化合物123)の細胞傷害性をMTTアッセイを用いて評価した。96ウェルプレートに5×103の密度で細胞を播種し、一晩インキュベートした。その後、細胞を試験組成物の1log単位の連続希釈液で72時間(Herceptinの場合は6日間)処理した。最後の2時間のインキュベーション中に、10%培地量のMTT(チアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド(Merck,Cat#M5655,5mg/ml滅菌溶液))を添加した。生細胞内でのMTTの還元により、紫色の不溶性ホルマザン代謝物が生成される。2時間のインキュベーション後、アッセイプレートから全ての培地を取り除き、100μlのDMSOを加え、直ちに570nmの吸光度を読み取った。GI
50は、細胞の成長/増殖を50%阻害する濃度と定義されている。細胞生存率及びその後のGI
50値は、GraphPad Prism 7.02で4パラメータ非線形曲線フィットを用いてブランク補正した用量反応曲線から求めた。その結果、本開示の例示のコンジュゲートは、特にSK-BR-3、NCI-N87、及びOE19などのHER2を過剰に発現する細胞株に対して、強力な細胞傷害効果を有することが明らかになった。
【表10】
【0658】
パート2:HER2細胞株におけるIC50
ペアとなる高/低HER2細胞株についてのMDA-MB-231乳がん細胞株におけるHER2+ノックの生成
MDA-MB-231乳がん細胞は、製造業者の指示に従って、Lipofectamine 3000を用いて、プラスミドHER2 WT(Addgene,16257)でトランスフェクトした。500ug/ml Geneticin(Thermo Fisher、カタログ10131035)の存在下で継代後、MoFlo Astrios(Beckman Coulter)を用いた蛍光活性化シングルセルソーティングにより、HER2 WTを安定的に過剰発現させた細胞を単離した。この工程で単離されたクローン細胞集団について、Geneticinで更に継代後、2回目のセルソーティング及び導入遺伝子発現のスクリーニングを行った。その後、選択されたクローンを更に増殖させ、MDA-MB-231/HER2と呼ばれるこの細胞株のストックを凍結保存して、安定的に導入された細胞のマスターストックを作成した。
【0659】
低/高発現MDA-MB-231モデルでのIC50結果:
化合物71(対照)及び化合物123(標的)のMDA-MB-231及びMDA-MB-231/HER2トランスフェクション細胞に対する細胞傷害性をalamarBlueアッセイで評価した。96ウェルプレートに5x103の密度で細胞を播種し、一晩インキュベートした。その後、細胞を指示された濃度の試験組成物で48時間処理した。最後の4時間のインキュベーション中にAlamarBlue(Thermo Fisher,DAL1025)を添加した。生細胞内でalamarBlueが還元されることにより、赤い蛍光の代謝物が生成され、プレートリーダーで読み取ることができる(励起560nm/発光610nm)。細胞生存率及びその後のIC50は、GraphPad Prism 7.02で4パラメータ非線形曲線フィット、可変スロープ(4パラメータ)を用いて、ブランク補正した用量反応曲線から求めた。下表は、化合物71(対照)及び化合物123(標的)とMDA-MB-231細胞及びMDA-MB-231/HER2細胞とのIC50値を示す。MDA-MB-231/HER2に対する化合物71(対照)及び化合物123(標的)のIC50値は、それぞれ2.842μM及び13.55nMであった。化合物123(標的)は、化合物71(対照)と比較して、MDA-MB-231/HER2細胞の成長阻害効果が約140倍になった。
【0660】
化合物71(対照)及び化合物123(標的)の異なるMMAE濃度でのMDA-MB-231及びMDA-MB-231/HER2に対する用量反応曲線及びIC
50値を以下に示す。値は、平均±標準偏差(sd;n=4)。
【表11】
【0661】
実施例7.2D3-デンドリマーコンジュゲートのHER2+細胞への結合
シアニン5(Cy5)で標識された異なるサイズのナノボディ-デンドリマーコンジュゲート、化合物124、125、及び126を用いて、非標的化合物52、53、及び54(G3、G4、及びG5)に対するHER2+ヒト細胞株への結合を実証した。
【0662】
HER2発現ヒト転移性がん細胞株MDA-MB-453(ATCC HTB-131)及びHER2-低上皮性腺がん細胞株MDA-MB-231(ATCC HTB-26)を、10%FBS及びペニシリン-ストレプトマイシン(100U/mL)を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を用いて、5%CO2加湿雰囲気下で37℃で維持し、トリプシンを使用して、コンフルエントになるまで継代培養した。ヒト腺がん卵巣細胞株SKOV-3(ATCC(登録商標)HTB-77)細胞を、10%(v/v)FBS及びペニシリン-ストレプトマイシン(100U/mL)を加えたRPMI培地を用いて、5%CO2加湿雰囲気下で37℃で維持し、コンフルエントになるまで継代培養した。
【0663】
蛍光顕微鏡による細胞会合の測定及び画像化には、8ウェルチャンバースライドに、1x105個/ウェルの細胞を播種し、一晩かけて付着させた。翌日、非コンジュゲートデンドリマー化合物52、53、及び54(対照)又はナノボディデンドリマー化合物124、125、及び126を最終濃度0.5μg/mlになるまで培地に添加し、氷上で1時間インキュベートした。細胞を染色し、細胞膜(小麦胚芽凝集素-alexa fluor 488)及び核(Hoechst 33342)を可視化した。細胞は、10%FBSを添加した400μlの冷Fluorobrite培地で3回洗浄した。40x0.9NAの空気対物レンズが付属しているOlympus IX83顕微鏡を使用して、標準的な「Pinkel」DAPI/FITC/CY5フィルタセットを用いて細胞を画像化した。
【0664】
インビトロ会合試験
MDA-MB-231、MDA-MB-231/HER2(HER2ノックイン)(上記の実施例6に記載されるように)、又はSKOV-3細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を添加した500μLの適切な成長培地で24ウェルプレート(ウェル当たり1x105細胞)に播種し、インキュベーション時間を1時間から24時間まで変化させて、化合物36又は化合物41を3.33nM、37℃、5%CO2加湿雰囲気下でインキュベートした。インキュベーション後、DPBSで穏やかに3回洗浄することにより、付着細胞から非結合粒子/非会合粒子を除去した(300μL/ウェル)。TrypLE(商標)Express Enzyme(1X)、no phenol red(150μL/ウェル)を用いて、室温で5~10分間処理することにより、プレートから細胞を除去した。その後、プレートを氷上に置いた。その後、フローサイトメトリーによりCy5からのシグナルを取得することにより、試料の細胞結合及び会合を決定した。
【0665】
内在化速度を測定するために、37℃で24時間、4時間、1時間、0.5時間、0.1時間、ナノボディデンドリマーを細胞とインキュベートした後、結合していないナノボディデンドリマーを洗浄によって除去し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0666】
フローサイトメトリーの結果:G3~G5デンドリマーのHER高/低細胞株への結合:
これらの結果は、ナノボディ-デンドリマー化合物124、125、及び126は、HER2陽性MDA-MB-453細胞に結合することを示す。非コンジュゲートデンドリマー化合物52、53、及び54は、MDA-MB-453細胞に結合しなかった。示されているデータは、3つのウェルで処理された細胞の平均MFIであり、標準偏差とともに示している。統計解析には、ダネット多重比較検定を用いたANOVAを使用した。
【表12】
【0667】
フローサイトメトリーの結果:HER2低及びHER2+細胞株に結合する化合物71及び化合物123
これらの結果は、24時間にわたる3つの細胞株全てに対する化合物71(対照)の最小限の結合を明確に示している。化合物123(標的)は、細胞株のHER2受容体の発現レベルに応じて、結合の増加を示した。フローサイトメトリーにより、24時間後までに、化合物123で処理したMDA-MB-231/HER2細胞(146.1±9.6)は、化合物71で処理した細胞(16.05±1.89)と比較して、約9倍強い蛍光を示したことが明らかになった。また、化合物123で処理したSKOV-3細胞(277.5±5.9)は、化合物71で処理した細胞(16.4±6.86)と比較して、約16倍強い蛍光を示した。その結果を
図2に示す。
【0668】
細胞会合:HER2低及びHER+細胞株に結合するデンドリマーサイズG3~G5:
追加のデンドリマー世代を試験した:化合物52及び124(G3)、化合物53及び125(G4)、並びに化合物54及び126(G5)、それぞれ2D3にコンジュゲートされていない、及びコンジュゲートされている。非コンジュゲート対照デンドリマー化合物52、53、及び54は、MDA-MB-231(HER2低)及びMDA-MB-231/HER2(HER2陽性)との会合が有意に少なかった。2D3-コンジュゲートデンドリマー化合物124、125及び126は、24時間にわたってMDA-MB-231/HER2と有意に会合し、化合物126(G5)が、最も高い細胞会合率を有し(73.47%±0.92)、2番目は化合物124(G3、60.73±0.21)及び化合物125(G4、56.27±1.02)であった。デンドリマーの生成にかかわらず、デンドリマーとコンジュゲートされた2D3 HER2-ナノボディは、HER2受容体を過剰に発現している細胞に対する結合が大幅に改善する。これらのコンジュゲートのフローサイトメトリーの結果を
図3に示す。
【0669】
以下の表は、様々なサイズのG2、G3、G4、及びG5 2D3コンジュゲートデンドリマーとMDA-MB-231細胞及びMDA-MB-231/HER2細胞との24時間にわたる細胞会合値のパーセントを示す。値は平均±標準偏差(SD;n=3)である。
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【0670】
以下の表は、化合物52(G3)、化合物53(G4)、及び化合物54(G5)とMDA-MB-231及びMDA-MB-231/HER2細胞との24時間にわたる細胞会合値のパーセントを示す。値は平均±標準偏差(SD;n=3)である。
【表17】
【表18】
【0671】
化合物124(G3)、化合物125(G4)、化合物126(G5)とMDA-MB-231細胞及びMDA-MB-231/HER2細胞との24時間にわたる平均蛍光強度値。値は平均±標準偏差(SD;n=3)である。
【表19】
【表20】
【0672】
化合物52(G3)、化合物53(G4)、化合物54(G5)とMDA-MB-231細胞及びMDA-MB-231/HER2細胞との24時間にわたる平均蛍光強度値。値は平均±標準偏差(SD;n=3)である。
【表21】
【0673】
化合物SRS-2-304とMDA-MB-231及びMDA-MB-231/HER2細胞との24時間にわたる平均蛍光強度値。値は平均±標準偏差(SD;n=3)である。
【表22】
【0674】
デンドリマーとコンジュゲートされたHER2-ナノボディは、HER2受容体をトラスツズマブと同等のレベルで過剰に発現している細胞への結合を示す。
【0675】
上記結合アッセイもまた、BT-474細胞株を使用して実施した。1時間インキュベーション後の濃度範囲における化合物の平均蛍光強度値を下表に示す。値は、平均値±標準偏差(SD;n=3)である。データは、Her2+細胞に結合するHer2標的デンドリマーを示す。
【表23】
【0676】
実施例8.HER2過剰発現細胞へのコンジュゲートの内在化を示す試験
共焦点細胞取り込み
MDA-MB-231、MDA-MB-231/HER2及びSKOV-3細胞をμ-スライド8ウェルチェンバーカバースリップ(ibidi)に1.0x104細胞/ウェルでプレーティングし、37℃、5%CO2で一晩接着させた。その後、化合物71及び化合物123(3.33nM)を添加し、1、3、6、及び24時間インキュベートした。細胞を洗浄し、次いで1%パラホルムアルデヒドで20分間、室温で固定した。細胞膜は、Alexa Fluor488-小麦胚芽凝集素(AF488-WGA、5μg mL-1)/DPBSで、室温で10分間染色した。細胞核は、4’、6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI,2μg mL-1)/DPBSを用いて、室温で10分間対比染色した。共焦点顕微鏡(Leica SP8)を用いて、蛍光画像及び光学的切片を収集した。画像は、Fiji(Image J 1.52n)で処理した。
【0677】
共焦点顕微鏡画像を、
図4~6に示す。共焦点画像では、24時間インキュベート後も、
図4a)の化合物71及び
図4b)の化合物123はいずれも、ほとんどMDA-MB-231と会合していない。一方、標的化合物123は、24時間インキュベート後に、MDA-MB-231/HER2及びSKOV-3細胞によって内在化され(
図5a及び
図6a)、化合物71は、内在化されなかった(
図5b及び
図6b)。
【0678】
実施例9.トリチウム標識MMAEコンジュゲートデンドリマー(化合物72及び127)の腫瘍分布
MDA-MB-231/HER2細胞(50μLのPBS:マトリゲルに5x106個)を、雌のNOD/SCIDマウス(5~7週齢)の第4乳腺脂肪パッドに皮下移植した。固形腫瘍は、100mm3まで成長させた(約3~4週間)。マウスを各群6匹の2つの異なる群に分けた。化合物72(対照群)又は化合物127(標的群)(100μL中0.5μCi、PBS pH7)を、イソフルラン鎮静下で尾静脈注射した。マウスは、48時間後にイソフルラン麻酔させ、頸椎脱臼直前に心臓穿刺により血液を採取した。その後、選択した器官(腫瘍、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓、肺、心臓、及び脳など)を摘出し、重量を測定して、トリチウム(3H)の体内分布用に処理した。
【0679】
その結果を
図7に示す。標的化デンドリマー化合物127は、HER2陽性腫瘍に蓄積され(3.53%用量/g±0.43)、非コンジュゲート対照化合物72(1.88%用量/g±0.28)よりも広い範囲で、腫瘍への取り込みが約80%増加したことになる(p<0.05)。血中濃度差は、標的デンドリマーと対照デンドリマーとでは有意ではなく、それぞれ4.52%用量/g±0.24、及び3.69%用量/g±0.31であった。薬物動態の差が腫瘍の保持に影響を与える可能性はないため、2D3 HER2-ナノボディ標的化により、デンドリマーの保持が改善された。
【0680】
実施例10.SKOV3腫瘍モデルにおけるCy5標識-MMAEコンジュゲートデンドリマー(化合物71及び123)の腫瘍への取り込みの有効性及び共焦点画像化
雌のNOD SCIDマウス(8週齢)の脇腹に、3x106個のSKOV3細胞/PBS:マトリゲル(1:1)を皮下接種した。固形腫瘍は、200mm3まで成長させた(約3週間)。マウスを5つの異なる群に分け、化合物71(対照群)又は化合物123(標的群)(250μLのPBS、pH7中にMMAE換算で0.5mg/kg)、Kadcyla(登録商標)40mg/kg及びHerceptin(登録商標)(40mg/kg)を、イソフルラン鎮静下で尾静脈注射した。
【0681】
(a)共焦点画像化
マウスは、48時間後にイソフルラン麻酔させ、頸椎脱臼直前に心臓穿刺により血液を採取した(n=2/群))。その後、腫瘍を摘出し、4%パラホルムアルデヒドで一晩固定した後、PBSで洗浄し、アガロースに包埋した。その後、腫瘍をビブラトームで100μmまで切開し、切片には核(DAPI、同時、時間、サプライヤー)及び血管(CD31、同時、時間、サプライヤー)の染色を行った。共焦点顕微鏡(Leica SP8)を用いて、蛍光画像及び光学的切片を収集した。その結果は、
図8及び
図9に示す。標的化デンドリマー(化合物123)は、腫瘍の中心部及び周辺部に取り込みが示されたが、化合物71では示されなかった。
【0682】
(b)コンジュゲートの有効性
倫理的エンドポイントが満たされるまで、一定の間隔で腫瘍の測定を行った(n=6/群)。その結果を、
図10(経時的平均腫瘍体積のプロット)、
図11(経時的生存率のプロット)、及び
図12(経時的平均体重変化のプロット)に示す。標的化デンドリマー化合物123は、化合物71、Herceptin(登録商標)及びKadcyla(登録商標)と比較して、腫瘍の完全な退縮を示した。
【0683】
実施例11.MDA-MB-231/HER2+細胞株における第4世代複数ナノボディデンドリマー内在化のキネティックス
第4世代では、上述のように分離した1個(単一ナノボディ)又は2~4個(複数ナノボディ)の抗HER2 2D3ナノボディ、化合物91及び化合物92のいずれかにコンジュゲートされたシデロフォ由来のキレーターであるデスフェリオキサミン(DFO)を有するCy5標識ナノボディ-デンドリマーコンジュゲートを用いて、デンドリマー1個当たりに対して異なる数のナノボディが付着しているHER2+ヒト細胞株への結合性を比較した。
【0684】
HER2ノックイン上皮性腺がん細胞株MDA-MB-231/HER2(実施例6に記載)を、10%FBS及びペニシリン-ストレプトマイシン(100UmL-1)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で、5%CO2加湿雰囲気下、37℃で維持した。
【0685】
フローサイトメトリーによる細胞結合の測定では、10%FBSを添加したDMEM培地で、96ウェルの培養プレートに20,000個/ウェルの細胞を一晩かけてプレーティングした。単一又は複数のナノボディデンドリマーを3nM、6nM、12nM、及び30nMで細胞に添加し、37℃で0.5時間、1時間、2時間、4時間、及び6時間インキュベートした。同様にして調製した対照細胞を事前冷却し、30nMの単一及び複数のナノボディデンドリマーと氷上で6時間インキュベートした。
【0686】
ナノボディコンジュゲートデンドリマーとのインキュベーション後、1%ウシ血清アルブミンを添加した氷冷PBSで細胞を3回洗浄し、結合していないデンドリマーを除去し、TrypLE(商標)Express Enzyme(1X)、no phenol red(Gibco,12604013)を用いてプレートから遊離させた。フローサイトメトリー(Stratedigm S1000EON,California)によって分析するために、細胞を冷DPBSに再懸濁し、デンドリマーの存在をCy5からシグナルを得ることによって測定した。各濃度、各時点で内在化したデンドリマーの量を推定するために、氷上でデンドリマーとインキュベートした細胞のCy5シグナルを、内在化がないと仮定した場合の最大の表面結合デンドリマーとした。このシグナルを、37℃でインキュベートした細胞中で測定したシグナルから差し引き(これは、表面に結合し、内在化したデンドリマーを表す)、内在化したデンドリマーからのシグナルのみを単離した(
図13を参照のこと)。
【0687】
複数(化合物92)コンジュゲート抗HER2ナノボディデンドリマーは、単一(化合物91)の場合と比べて、低濃度でより迅速に身体内に内在化される。高濃度の場合、化合物91は、約2時間後に化合物92よりも高いレベルの内在化を示す。
【0688】
実施例12.HER2 Hi細胞株における単一及び複数のナノボディとのコンジュゲートの共焦点画像化
HER2高,SKOV-3細胞をμ-スライド8ウェルチェンバーカバースリップ(ibidi)に1.0x104細胞/ウェルでプレーティングし、37℃、5%CO2で一晩接着させた。その後、化合物92(複数の2D3-デンドリマーコンジュゲート)及び化合物91(単一の2D3-デンドリマーコンジュゲート)(3.33nM)を加え、1時間、3時間、6時間、及び24時間インキュベートさせた。細胞をDPBSで洗浄し、その後、1%パラホルムアルデヒドで20分間、室温で固定した。細胞膜は、小麦胚芽凝集素のAlexa Fluor488(登録商標)コンジュゲート(AF488-WGA、5μg mL-1)/DPBSで、室温で10分間染色した。細胞核は、Hoechst 33342(2μg mL-1)/PBSで、室温で10分間対比染色した。共焦点顕微鏡(Leica SP8)を用いて、蛍光画像及び光学的切片を収集した。画像は、Fiji(ImageJ 1.52p)で処理した。
【0689】
共焦点顕微鏡画像を
図14及び
図15に示す。化合物91及び化合物92は両方とも、24時間のインキュベーションの後、SKOV-3細胞と結合し、内在化する。注目すべきことに、化合物92(
図14b、c)は、化合物91(
図15b、c)と比較して、3時間及び6時間後に、より大きい結合及び内在化の程度を示す。
【0690】
複数(化合物92)コンジュゲート抗HER2ナノボディG4デンドリマーは、この濃度では単一のナノボディG4デンドリマー(化合物91)よりも迅速に内在化し、6時間までは違いが見られるが、24時間では、違いは現れなくなる。
【0691】
実施例13.標的化されたZr放射性核種含有デンドリマー-SKOV3乳がん異種移植片を用いた画像化試験
卵巣がんのSKOV3マウス異種移植モデルにおける89Zr-標識HER2標的デンドリマー構築物及び非標的デンドリマー構築物の蓄積を調べた。注射後9日目までの体内分布をPET-CTによって測定し、2日目及び9日目に摘出した器官のエクスビボガンマ・シンチレーションによって検証した(可能な場合)。試験は、3部構成で行った。
【0692】
腫瘍の発生及び成長
5x106のSKOV3細胞(50:50のマトリゲル:PBS50μL)を、健康な雌のNOD-SCID(約20g)8週齢マウスの右脇腹にSC注射した。画像化化合物を注射する前に、腫瘍を4週間成長させた。
【0693】
全ての腫瘍は画像化時に触知でき、画像化実験時のサイズは約3~5mmであった。
【0694】
試験化合物
以下の表中の化合物を、以下に記載されるように標識した。
【表24】
【0695】
89Zrによる試験化合物の放射性標識及びRadioTLC分析
全ての構築物(必要に応じて鉄除去の前処理を施したもの:http://jnm.snmjournals.org/content/44/8/1271.long)を、0.1M pH7.4 HEPES緩衝液中でデンドリマーの過剰量(過剰量については上記の表参照)で
89Zrと37℃で45分間インキュベートした。各溶液の試料を採取し、50mM DTPAと1:1で混合した。各溶液の5μLをTLC紙(シリカゲル含浸Agilent iTLC-SGガラスマイクロファイバークロマトグラフィー紙)にスポットし、50:50 H
2O:エタノールで実施した。その後、プレートをEckert&Ziegler Mini-Scan and Flow-Count iTLC Readerで画像化した。必要に応じて、7K MWCO Zeba Spin Columns(Thermo Scientific)を用いて、製造業者のプロトコルに従って精製することによって、結合していないジルコニウムを除去した。全てのサンプルが、95%を超える標識を示した。品質管理のために、遊離の
89Zr及びDTPAに結合した
89Zrの溶出挙動を監視するための対照実験を行い、また、
89Zrで標識された任意の未結合のキレート剤を確認するために、各試料をDTPAを含めて又はDTPAを含まずに実施した。代表的なRadioTLCの画像を
図16に示し、これらは、
89Zrが全てデンドリマーに結合しており、遊離
89Zrが、存在しなかったことを示す。
【0696】
試験注射詳細
インビボ画像化実験では、2匹のマウスに尾静脈から100μLの試験化合物を注射し(29G針、約1.5~3.5MBq)、様々な時点での腫瘍の蓄積及び生体内分布を観察した。注射後9日目の器官分布を決定するために、ガンマ線計数を用いてエクスビボで定量化を行った。生体内分布実験では、2匹のマウスに構築物を注射して、注射後48時間後にエクスビボでの腫瘍の蓄積及び生体内分布をガンマ線計数で監視した。
【0697】
結果
PET-CT画像化
注射後4時間、24時間、48時間、5日、7日、及び9日に、30~90分の静止画撮影を行った。PET画像は、サブセット化による期待値最大化法(ordered-subset expectation maximization)(OSEM2D)アルゴリズムを用いて再構成され、CT及びPET画像の融合及び関心領域(ROI)の定義が可能なInveon Research Workplaceソフトウェア(IRW 4.1)(Siemens)を用いて分析した。各動物のCT及びPETデータセットは、IRWソフトウェア(Siemens)を用いてアライメントを行い、目的の器官が確実にオーバーラップするようにした。ボクセル当たりの活性量は、PETスキャナの効率を考慮して,既知の活性量の
89Zrを充填した円筒形ファントムをスキャンすることによって得られた変換係数を用いて、nci/ccに変換した。活性濃度は、組織1cm
3当たりの減衰補正された注入活性のパーセンテージとして表され、注入用量/gパーセント(ID/g%)として近似させ得る。結果を、化合物89、91、93の9日間にわたる(a)腎臓、(b)肝臓、及び(c)腫瘍における1g当たりのジルコニウム注入用量率(パーセンテージ)を示すグラフとして、
図17に示す。代表的なPET画像を
図18に示す。放射性同位元素で標識されたコンジュゲートの代表的な最大強度投影図。全てのPETデータは、ベクレル/ボクセル(cm
3)で表され、腫瘍の取り込みを強調するために閾値が設定されている。
【0698】
注入後2日目及び9日目に器官を取り出し、エクスビボガンマ解析によってシグナル強度を定量化し、画像化した。更に、48時間後に各コホートにつきn=2を集め、ガンマ解析により生体内分布を評価した。エクスビボでの生体内分布の結果を、以下の表に示す。
【表25】
【0699】
その結果、特に化合物87(低分子G3デンドリマー)の2日目の結果から、非標的と比較して標的の腫瘍対血液の比率が高いことが示されている。9日目には、非標的と比較して、特に化合物91及び化合物93(より大きいG4及びG5のデンドリマー)では、標的の腫瘍対血液の比率がより良好である。
【表26】
【表27】
【表28】
【0700】
その結果は、特に化合物91及び化合物93(より大きいG4及びG5のデンドリマー)では2日目に、また化合物89(G3のデンドリマー)では9日目に、非標的と比較して、標的の腫瘍において高いシグナルを示す。
【0701】
結論
1.デンドリマーが大きいほど、腫瘍への蓄積がより良好である。化合物49(2D3)は、迅速なクリアランス及び低い蓄積を示した。
【0702】
2.標的化療法では、非標的化デンドリマーよりも、腫瘍への蓄積性が高くなる。
【0703】
3.化合物87(G3 1K-ナノボディ)は、他の低分子デンドリマーと比較して、腫瘍中でのシグナルが有意に増強することを示す。
【0704】
4.化合物91及び化合物93(G4及びG5ナノボディ)は、48時間後に腫瘍中で12%超のID/gを示し、9日の時点では、8%超のID/gを示した。
【0705】
5.デンドリマーを含む低分子ナノボディ及びナノボディのみは、腎臓の高い滞留性を有する。他のクリアランス器官での異常な蓄積は観察されず、肝臓及び脾臓のシグナルは、ポリマーナノ材料で典型的に観察されるような予想濃度範囲を示した。
【0706】
PET-CT画像化に基づくヒト線量測定モデリング
線量測定計算は、MIRDスキーマに従って実行した。
【0707】
供給された
89Zrマウスデータに単指数を適合させた。次いで、同位体
177Lu及び
68GaについてΛ
physを修正して、各同位体の崩壊の総数を計算した。
【数1】
【0708】
腫瘍用量は、マウス腫瘍のサイズにモデル化した。
【0709】
一般的な観察
-列挙されていない臓器への交差照射による線量は最小限であり、取り込みが顕著な臓器の線量よりも数桁少ない。
-
177Luの腎臓のmGy/MBqは、
1Lutathera及び
177LuPSMA-617などの他の
177Lu放射性医薬品と同程度の大きさのようである。
-腫瘍用量は、通常の臓器摂取量と比較して比較的多い。
【表29】
【0710】
実施例14.BT474異種移植モデルにおける放射線治療効果
動物モデル
健康な雌のBalb/cヌードマウス(9週齢)を、西オーストラリア州のAnimal Resource Centreから入手した。投与群当たり合計4匹のマウスに、最初にエストロゲンペレット(17ベータ-エストラジオール0.72mg/ペレット60日放出;Innovative Research of America)を移植し、次いで、2日目に、PBS:マトリゲル(1:1)中の10×106 BT474細胞を乳房の脂肪パッドに皮下接種した。マウスの体重を測定し、電子カリパスを使用して腫瘍を毎週2~3回測定した。腫瘍体積(mm3)を((長さ(mm)×(幅(mm))2)/2として計算した。腫瘍が約100mm3の平均体積(細胞の移植から約5週間)に達したため、マウスを、以下の表に概説される8つの投与群に無作為化した。
【0711】
放射線標識及びTLC分析。
デンドリマー又は修飾トラスツズマブのいずれかを、デンドリマー/トラスツズマブの100倍過剰量で、0.1M pH5.5酢酸アンモニウム緩衝液中で37℃で45分間177Luとインキュベートした。各溶液の試料を採取し、50mM DTPAと1:1で混合した。各DTPAインキュベート試料又はニート溶液の5μLをTLC紙(シリカゲル含浸Agilent iTLC-SGガラスマイクロファイバークロマトグラフィー紙)にスポットし、50:50 H2O:エタノールで実施した。その後、Eckert and Ziegler Mini-Scan及びFlow-Countシステムを使用して、放射性標識種の移動の検出を達成した。全ての試料が、95%を超える標識を示した。品質管理のために、遊離177Lu及びDTPAに結合した177Luの溶出挙動を監視するための対照実験を行った。
【0712】
必要に応じて、7K MWCO Zeba Spin Columns(Thermo Scientific)を用いて、製造業者のプロトコルに従って精製することによって、結合していない銅を除去した。
【0713】
議論された各分析について、放射性同位体TLCは、試料を過剰のDTPA(50mM)と混合して、任意の非結合177Luをスカベンジすることによって得られた。試験化合物を177Luで放射標識し、所望の特異的活性及び薬物負荷を達成するために、高温材料を低温材料で希釈することにより、約9又は15MBqの放射線測定用量を送達した。
【0714】
処理プロトコル
被験試料は、下記のスケジュールで尾静脈注射(29G針)により約0.1mL/10gの体重でIV投与した。腫瘍が有意なサイズ(>1cm
3)に達した場合、又は倫理的要件に従って、マウスを選別した。
【表30】
【0715】
結果
図19及び下表に示すように、標的放射性核種デンドリマー(化合物SRS-2-304)及び非標的放射性核種デンドリマー(化合物RH-3-160)は、いずれも腫瘍成長を抑制するのに有効であり、標的デンドリマーが最も効果的であった。
図20は、15mBq及び2×9MBqの
177Lu用量での、標的(化合物SRS-2-304)の67日目の腫瘍再成長を示していない。
【表31】
【配列表】
【国際調査報告】