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特表2023-529663没水構造物を清掃する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】没水構造物を清掃する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/46 20060101AFI20230704BHJP
   E03F 9/00 20060101ALI20230704BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20230704BHJP
   B08B 9/093 20060101ALI20230704BHJP
   B08B 9/049 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
B08B9/46
E03F9/00
C02F1/00 J
C02F1/00 V
B08B9/093
B08B9/049 495
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575206
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 US2021035939
(87)【国際公開番号】W WO2021248025
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】62/704,956
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/126,679
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522473058
【氏名又は名称】ユーエス サブマージェント テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】U.S. SUBMERGENT TECHNOLOGIES, LLC
【住所又は居所原語表記】235 N Orange Ave #201 Sarasota Florida 34236 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】スタットラー,ジュニア,デンバー
(72)【発明者】
【氏名】オースティン,ダナ
【テーマコード(参考)】
2D063
3B116
【Fターム(参考)】
2D063FA05
2D063FA07
3B116AA13
3B116AB52
3B116BB22
3B116BB62
3B116BB72
3B116BB75
3B116BB77
(57)【要約】
本発明は概して、貯水施設および/または水処理施設における1つ又は複数の特性を求めるための方法に関する。一実施形態において、本発明は、貯水施設容器および/または水処理施設容器の1つ又は複数の化学的および/または物理的特定を求め、次いで、必要とあれば、何らかの砂または他の堆積物が何らかの係る貯水施設容器および/または水処理施設容器の何処から除去される必要があるかを判断するために、係る1つ又は複数の化学的および/または物理的特性を使用するための方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水施設または処理施設の没水構造物内に位置する堆積物の三次元マッピング、及び堆積物の対象を絞った清掃の方法であって、
構造物の清掃前の評価を行い、
構造物の清掃前のデータ収集または調査を実施し、
構造物の清掃前の堆積物高さをマッピングし、
構造物内の清掃前の堆積物の体積および重量を計算し、
構造物から堆積物を除去することを含む、方法。
【請求項2】
前記貯水施設または処理施設の稼働が中断されない又は休止されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
構造物の清掃後の評価を行うことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記構造物の清掃後の評価は、構造物の清掃後のデータ収集または調査を実施することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記構造物の清掃前のデータ収集または調査を、構造物の清掃後のデータ収集または調査と比較することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記構造物の清掃後の評価は、構造物の清掃後の堆積物高さをマッピングすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記構造物の清掃前の堆積物高さのマッピングを、構造物の清掃後の堆積物高さのマッピングと比較することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構造物の清掃後の評価は、構造物内の清掃後の堆積物の体積および重量を計算することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
構造物内の清掃前の堆積物の体積および重量の計算結果を、構造物内の清掃後の堆積物の体積および重量の計算結果と比較することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
構造物内の清掃前の堆積物の体積および重量の計算結果を、清掃中に構造物から除去された堆積物の量と比較することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記構造物の清掃前の評価は、マッピング及び清掃のために構造物の適合性を判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記清掃前のデータ収集は、水化学の測定および分析を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
構造物内の清掃前の堆積物の体積および重量の計算結果は、構造物のマッピングされた堆積物高さを構造物の縮小された図上に重ねることにより、求められる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記構造物から堆積物を除去することは、構造物の堆積物高さをマッピングすることに基づいて、堆積物を除去するために清掃機器を誘導するようにGPSを使用することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
清掃前の堆積物のサンプルを収集して分析することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
構造物内の水温、塩分濃度、溶存酸素、pH、酸化還元電位、及び濁度の1つ又は複数からのデータが、堆積物を何処から又はどの程度除去するかを判断するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
貯水施設または処理施設の没水構造物内の堆積物をマッピングして清掃する方法であって、
適切な構造物を特定し、
事前調査の現場視察を実施し、
水化学データを収集し、
前記水学データを分析し、
清掃前の音響学的調査を実施し、
堆積物高さをマッピングし、
底の堆積物高さマップを作成し、
堆積物サンプルを収集し、
前記堆積物サンプルを分析し、
堆積物レポートを生成し、
堆積物の体積および重量を計算し、
構造物を清掃し、
石粒を水から分離し、
清掃後の音響学的調査を実施し、
堆積物高さを再マッピングし、
除去された堆積物の体積を計算し、
タンク清掃レポートを生成することを含む、方法。
【請求項18】
前記清掃前の音響学的調査と前記清掃後の音響学的調査が、清掃の十分性を判定するために前記タンク清掃レポートで比較される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記堆積物高さをマッピングすること及び前記堆積物高さを再マッピングすることが、清掃の十分性を判定するために前記タンク清掃レポートで比較される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
計算された堆積物の体積および重量と除去された堆積物の計算された体積が、清掃の十分性を判定するために前記タンク清掃レポートで比較される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2020年6月4日に出願された「Cleaning of Submerged Structures Utilizing Precise Geo-Mapping andRemote Guidance of Cleaning Equipment」と題する米国仮特許出願第62/704956号、及び2020年12月17に出願された「Cleaning of Submerged Structures Utilizing Precise Geo-Mapping andRemote Guidance of Cleaning Equipment」と題する米国仮特許出願第63/126679号の優先権を主張しており、それらのそれぞれは、参照により全面的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は概して、貯水施設および/または水処理施設における、並びに以下に限定されないが、下水管、汚水槽、ポンプ桝、回収タンク、消化槽、沈澱池、選別機などのような汚物収集システム構造の水中清掃における1つ又は複数の特性を求める方法およびシステムに関する。本発明は更に、タンク又は他の没水構造物内の水中堆積物の場所および体積(量)を求めるための方法およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
水処理施設(例えば、浄水場、下水処理場など)は一般に、下水処理および/または浄水処理のプロセス中に、1つ又は複数の没水型貯水容器および/または処理容器を使用する。これら施設における係る貯水容器および/または処理容器は、任意の形状またはサイズからなることができるが、例示的なユニットは、一方の端で四角に区切られた卵形の地上コンクリート製タンクを含む場合がある。当該施設は、同じタンク内で嫌気性プロセス及び好気性プロセスを使用して下水(汚水)を処理する場合があり、この場合、一方の端部で嫌気性プロセスが優勢であり、流路内で及び反対側の端部で好気性プロセスが優勢である。当該タンクは、約60.96m(200フィート)の長さと、約18.29m(60フィート)の幅であることができる。
【0004】
当業者に知られているように、タンク又は容器のような貯水構造物および/または処理構造物、雨水パイプ及び他のパイプ、排水溝などは、所望の効率的レベルで動作し続けるために、土石、石粒、砂および/または堆積物をそれらから定期的に除去する必要があるかもしれない。これら構造物における土石、石粒、砂および堆積物の堆積は、当該構造物またはシステムの設計最大容積および処理の有効性に影響を及ぼす場合がある。係る土石、石粒、砂および/または堆積物は、パイプ及びポンプ場の収集システムを介して当該構造物に入る可能性がある。予備処理領域で除去されない何らかの石粒または砂は、当該構造物の底部に最終的に沈殿し、堆積物になる場合がある(本明細書のために、これら用語は、言い換え可能で使用されることができ、堆積物は、システムに堆積する又は存在する場合がある何からの土石、石粒または砂を含む)。堆積物が堆積するにつれて、堆積物の体積と分布が増加し、システムに影響を及ぼし始めるかもしれない。例えば、処理プロセスの有効性は、当該構造物の容積の減少、廃水流のパターンの変化、及び堆積物の堆積による滞留時間に起因して、損なわれるかもしれない。
【0005】
当該構造物を清掃する前に、堆積した堆積物の体積(量)の推定(見積もり)は、清掃するのに必要な時間、清掃プロセスに関連したコスト、及び除去されなければならない堆積物の体積を含む幾つかの因子を推定する(見積もる)ために行われ得る。当該構造物が水中に沈められている間に、推定が望ましく行われ、かくして当該構造物およびシステムが稼働中のままであることが可能になる。今まで、堆積物除去の量、体積および/または場所は一般に、容器壁およびキャットウォーク(狭い通路)に沿った近づきやすい場所でのロッドによる探査(プロービング)を含む、経験および推定法に基づいた推定を含む不適切で不正確な推定測定に基づいていた。これら測定は、単独で又は組み合わせて、堆積物の正確な体積の測定値を生じず、又は堆積物の体積分布の有意義なデータを提供しない。
【0006】
結果として、ほとんどの場合、堆積物の清掃プロセスは、後続の除去のために堆積した堆積物を露出させて視覚的に定量化するために、清掃されることが意図されている構造物の水を抜く必要がある。しかしながら、この方法は、露出して、水を抜いた構造物の十分な清掃を恐らく可能にするが、これら構造物が水を抜かれて清掃される間に、構造物および時としてシステム全体が稼働を停止されなければならないので、理想的でないかもしれない。更に、システム内の水を抜かれていない何からの構造物は、清掃されていない状態のままである、又は依然として水中に沈められている間に清掃される場合に盲目的で効果的でない清掃という結果になる。制限された処理最大容積を有する処理施設は、たとえ一時的でも、それらの管轄区域に対するそれらの全体の稼働(サービス)を中断せずに、水を抜いたり、清掃したり、構造物の使用を中止することができない場合がある。
【0007】
この理由から、タンクが水中にある状態のままで且つ使用可能な状態のままでありながら堆積物を除去することが、好ましい場合がある。しかしながら、水中推定によく似ている水中清掃は、堆積物の正確な場所と量(体積)を確かめることができない又は別な方法で高濁度水において正確に求めることができないので、非効率的で、コストがかかり、多くの時間を要する可能性がある。結果として、水中にありながら構造物を清掃することは一般に、多量のデータ無しで盲目的に行われ、それ故に係る除去が実際に有効であるか否かに関して、通常は純然たる幸運により支配される。代案として、水中清掃の他の方法は、ホースを水の抜かれていない構造物内へと下ろし、構造物の底全体を「一掃する動作(円を描く動き)」を行い、システムの最大容積と効率の最大限の回復を確実にするために堆積物と水を収集タンクへ吸引することを含むことができる。場合によっては、水中ポンプがホースに配置されて収集効率を向上させることができる。構造物内の堆積物の正確な分布が分からないので、構造物の底部全体は、堆積物が全て除去されることを確実にするために、ホースで「一掃」されなければならない。この方法は非効率的でコストがかかり、その理由は、それが清掃から最も恩恵を受けることができ且つ実際に清掃を必要とする構造物の領域を対象にしていないからである。
【0008】
当業者に理解され得るように、構造物における石粒の分布は、底部にわたってめったに均一にならない。むしろ、堆積物は、丘、山および砂州の物理的形態で堆積し、構造物およびシステム内の汚水の流れの水力学、及び構造物およびシステムに入る砂、石粒および堆積物の物理的特性の影響下にある。構造物清掃のこれら現実性は、非効率的な除去プロセスという結果になり、係るプロセスは、極度に時間がかかり、施設に費用がかかり、又は非効果的であり、所望の最大容積、効率で、又は堆積物が堆積して清掃が再び必要とされるまでの所望の時間期間にわたって動作するのに所望の又は十分な量の堆積物を完全に除去しない。
【0009】
現在の清掃プロセスを用いて生成され得る廃棄堆積物の量は、堆積物の正確な原位置での体積と密度が測定できず、ひいては原位置での堆積物の体積から廃棄物の乾燥質量を計算するための実験的因子でないという事実に起因して、正確に見積もられる(推定される)ことができない。これは、容易に求められることができない廃棄物の量が低く見積もられた場合に施設にとって予期しない廃棄処理経費という結果になり、係る廃棄物の量が低く見積もられた場合に清掃が十分であったということの疑念という結果になる。
【0010】
結果として、汚水処理タンク及び容器、雨水パイプ及び他のパイプ、排水溝などのような、構造物が満たされている間に、当該構造物から堆積した堆積物を効率的に且つ経済的に清掃することは現時点で不可能である。
【0011】
従って、当該技術において、堆積物が、タンク及び容器の内部のような、貯水施設構造物および/または水処理構造物の底部において何処に及びどの程度堆積しているかを求めるための改善された方法が必要である。更に、当該技術において、当該構造物が満たされている間に、容器の水を抜く必要がなく、その水中の場所から移動させる必要がなく、又は一時的にその稼働を中止する必要なく、タンク及び容器の内部のような、貯水施設構造物および/または水処理構造物から堆積物を取り除く方法およびシステムが必要である。
【0012】
概要
本発明は概して、貯水施設および/または水処理施設における1つ又は複数の特性を求めることに関する、並びに下水管、汚水槽、ポンプ桝、回収タンク、消化槽、沈澱池、選別機など、及びそれらの構成要素および構造物のような汚物収集システムの水中推定および/または清掃に関する方法、プロセス及びシステムに関係する。一実施形態において、本発明は、貯水施設容器および/または水処理施設容器の1つ又は複数の化学的および/または物理的特定を求め、次いで、必要とあれば、何らかの堆積物が何らかの係る貯水施設容器および/または水処理施設容器の何処から除去されることになるかを求めるために、係る1つ又は複数の化学的および/または物理的特性を使用するための方法に関係する。
【0013】
本発明は概して、没水構造物の底上の堆積物の正確な高さマッピングを求める、満たされたタンク内の堆積物の体積(量)の正確な見積もり(推定値)を提供し、当該タンク内で清掃機器を遠隔的に誘導し、生成されることになる廃棄物の量を見積もり(推定し)、それにより当該タンクを清掃するのに必要な時間と労力を低減する、一連の方法、プロセス及びシステムに関係する。
【0014】
一実施形態において、本発明の方法は、堆積物および/または砂が貯水施設容器および/または水処理容器の何処に存在して、どの程度、貯水施設容器および/または水処理容器から除去される必要があるかを求めるための方法に関係する。
【0015】
一実施形態において、本発明の方法は、堆積物および/または砂が貯水施設容器および/または水処理容器の何処に存在して、どの程度、貯水施設容器および/または水処理容器から除去される必要があるかを求めるために、係る貯水施設容器および/または水処理容器内の水温、塩分濃度、溶存酸素、pH、酸化還元電位、及び/又は濁度の1つ又は複数に関連したデータを使用する方法に関係する。
【0016】
一実施形態において、本発明の方法およびシステムは、容器をその水中の場所から移動せずに、当該容器を清掃する方法に関係する。更に、方法は、堆積物の高さのマッピング及び除去される堆積物の体積の計算を含む清掃後の測量図を生成することを含む。
【0017】
貯水施設または処理施設の没水構造物内に位置する堆積物の三次元マッピング、及び堆積物の対象を絞った清掃の方法が開示される。方法は、構造物の清掃前の評価を行い;構造物の清掃前のデータ収集または調査を実施し;構造物の清掃前の堆積物高さをマッピングし;構造物内の清掃前の堆積物の体積および重量を計算し;構造物から堆積物を除去することの1つ又は複数(及び任意の順序で)を含むことができる。
【0018】
一実施形態において、貯水施設または処理施設の稼働は中断されない又は休止されない。一実施形態において、方法は、構造物の清掃後の評価を行うことを更に含むことができる。一実施形態において、構造物の清掃後の評価は、構造物の清掃後のデータ収集または調査を実施することを含むことができる。一実施形態において、方法は、構造物の清掃前のデータ収集または調査を、構造物の清掃後のデータ収集または調査と比較することを更に含むことができる。一実施形態において、構造物の清掃後の評価は、構造物の清掃後の堆積物高さをマッピングすることを含むことができる。一実施形態において、方法は、構造物の清掃前の堆積物高さのマッピングを、構造物の清掃後の堆積物高さのマッピングと比較することを更に含むことができる。一実施形態において、構造物の清掃後の評価は、構造物内の清掃後の堆積物の体積および重量を計算することを含むことができる。
【0019】
一実施形態において、方法は、構造物内の清掃前の堆積物の体積および重量の計算結果を、構造物内の清掃後の堆積物の体積および重量の計算結果と比較することを更に含むことができる。一実施形態において、方法は、構造物内の清掃前の堆積物の体積および重量の計算結果を、清掃中に構造物から除去された堆積物の量と比較することを更に含むことができる。一実施形態において、構造物の清掃前の評価は、マッピング及び清掃のために構造物の適合性を判断することを含むことができる。一実施形態において、清掃前のデータ収集は、水化学の測定および分析を含むことができる。一実施形態において、構造物内の清掃前の堆積物の体積および重量の計算結果は、構造物のマッピングされた堆積物高さを構造物の縮小された図上に重ねることにより、求められ得る。一実施形態において、構造物から堆積物を除去することは、構造物の堆積物高さをマッピングすることに基づいて、堆積物を除去するために清掃機器を誘導するようにGPSを使用することを更に含むことができる。一実施形態において、方法は、清掃前の堆積物のサンプルを収集して分析することを更に含むことができる。一実施形態において、構造物内の水温、塩分濃度、溶存酸素、pH、酸化還元電位、及び濁度の1つ又は複数からのデータが、堆積物を何処から又はどの程度除去するかを判断するために使用され得る。留意される点は、これら説明されたステップの何れかは、本発明の範囲から逸脱せずに、任意の順序および組み合わせで実施され得る。
【0020】
貯水施設または処理施設の没水構造物内の堆積物をマッピングして清掃する方法が開示される。一実施形態において、方法は、適切な構造物を特定し;事前調査の現場視察を実施し;水化学データを収集し;水学データを分析し;清掃前の音響学的調査を実施し;堆積物高さをマッピングし;底の堆積物高さマップを作成し;堆積物サンプルを収集し;堆積物サンプルを分析し;堆積物レポートを生成し;堆積物の体積および重量を計算し;構造物を清掃し;石粒を水から分離し;清掃後の音響学的調査を実施し;堆積物高さを再マッピングし;除去された堆積物の体積を計算し;タンク清掃レポートを生成することの1つ又は複数(及び任意の順序で)を含むことができる。
【0021】
一実施形態において、清掃前の音響学的調査と清掃後の音響学的調査が、清掃の十分性を判定するためにタンク清掃レポートで比較され得る。一実施形態において、堆積物高さをマッピングすること及び堆積物高さを再マッピングすることが、清掃の十分性を判定するためにタンク清掃レポートで比較され得る。一実施形態において、計算された堆積物の体積および重量と除去された堆積物の計算された体積が、清掃の十分性を判定するためにタンク清掃レポートで比較され得る。
【0022】
本教示の動作は、以下の図面に関連してなされる詳細な説明を参照することによってより良く理解され得る。これら添付図面は、本明細書の一部を形成し、図面に記載された情報は、本開示の一部として取り扱われるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本明細書で説明されるような没水構造物内の堆積物のマッピングと除去に関する方法とプロセスの一実施形態を示す流れ図である。
【0024】
図2】本明細書で説明されるような、マッピングされて清掃され得る貯水タンク及び/又は処理タンクを示す水処理施設の視認可能な部分の一例の空中写真である。
【0025】
図3】濁度測点(station:ステーション、置き場)1T~3Tからの濁度データを列挙するグラフである。
【0026】
図4】濁度測点4T~6Tからの濁度データを列挙するグラフである。
【0027】
図5】濁度測点7T~9Tからの濁度データを列挙するグラフである。
【0028】
図6】測点1T~3Tからの酸化還元電位データを列挙するグラフである。
【0029】
図7】測点4T~6Tからの酸化還元電位データを列挙するグラフである。
【0030】
図8】測点7T~9Tからの酸化還元電位データを列挙するグラフである。
【0031】
図9】測点1T~3Tからの溶存酸素データを列挙するグラフである。
【0032】
図10】測点4T~6Tからの溶存酸素データを列挙するグラフである。
【0033】
図11】測点7T~9Tからの溶存酸素データを列挙するグラフである。
【0034】
図12図2に示されたMaに位置するタンクの酸化溝の例示的な積算を示すマップである。
【0035】
図13図2に示されたタンクのような、タンクの底の例示的な地形学的(トポグラフィー)マップである。
【0036】
図14図13の地形学的マップの横断面図である。
【0037】
図15】水中ポンプ/真空システムが廃棄物スラリーを廃棄物コンテナへポンプで送り込むために利用される装置の一実施形態の図である。
【0038】
図16】真空システム/水中ポンプが廃棄物スラリーを廃棄物コンテナへ移動するために利用される装置の一実施形態の図である。
【0039】
発明の説明
さて、本教示の例示的な実施形態への言及が詳細になされ、それらの例は、添付図面に示される。理解されるべきは、他の実施形態が利用されることができ、構造的および機能的変更が、本教示の個々の範囲から逸脱せずに行われ得る。更に、様々な実施形態の特徴は、本教示の範囲から逸脱せずに組み合わせられ得る又は変更され得る。そのため、以下の説明は、単なる例示のために提示されており、図示された実施形態になされ得る及び本教示の思想および範囲内に依然としてある様々な代替および変更をどんな方法でも制限するべきでない。
【0040】
本明細書で使用される限り、単語「例」および「例示的な」は、実例または例証を意味する。単語「例」および「例示的な」は、必須の手段または好適な態様または実施形態を示さない。単語「又は」は、特に文脈上他に示唆しない限り、排他的ではなくて包括的であることが意図されている。一例として、語句「AはB又はCを利用する」は、任意の包括的置換を含む(例えば、AはBを利用する;AはCを利用する;又はAはBとCの双方を利用する)。別の事項として、冠詞「a」及び「an」は一般に、特に文脈上他に示唆しない限り、「1つ又は複数」を意味することが意図されている。
【0041】
本明細書で言及するように、本発明は概して、貯水施設および/または水処理施設における1つ又は複数の特性を求めるための方法に関する。一実施形態において、本発明は、貯水施設容器および/または水処理施設容器における1つ又は複数の化学的および/または物理的特定を求め、次いで係る1つ又は複数の化学的および/または物理的特性を用いて、必要とあれば、何らかの砂または他の堆積物が任意の係る貯水施設容器および/または水処理施設容器の何処から取り除かれるべきであるかを判断するための方法に関する。
【0042】
一実施形態において、本発明の方法は、堆積物および/または砂が貯水施設容器および/または水処理施設容器の何処から及び/又はどの程度除去される必要があるかを判断するための方法に関する。
【0043】
一実施形態において、本発明の方法は、貯水施設容器および/または水処理施設容器における水温、塩分濃度、溶存酸素、pH、酸化還元電位および/または濁度の1つ又は複数に関係するデータを用いて、堆積物および/または砂が係る貯水施設容器および/または水処理施設容器の何処から及び/又はどの程度除去される必要があるかを判断する方法に関する。
【0044】
一実施形態において、本発明の方法は、水中タンク内の堆積した土石、堆積物、石粒などの三次元モデルを作成する方法に関する。当該方法は、GPS及び他のマッピング技術を用いて三次元モデルを作成することを含むことができる。
【0045】
本発明は、現在のプロセスよりも正確に清掃されることになる領域内にある廃棄堆積物の量の推定(見積もり)および計算を可能にする。本発明は、原位置での堆積物の体積から廃棄物の乾燥質量を計算するために実験的因子として使用するために、原位置での堆積物のより正確な体積と密度を測定および計算することができる。結果として、見積もった/実際の廃棄処理経費および見積もった/実際の廃棄物除去も、現在の方法を用いる場合よりも正確である。例えば、多くの場合、廃液タンクなどのような構造物からの廃棄物の除去は、係る構造物から除去される廃棄物(汚物)の量により請求される。本発明は、除去されるべき廃棄物のより正確な計算を可能にし、それにより、事業計画の開始時により正確な見積価格が提供される。これは、構造物の所有者/経営者が予め価格を知って、適切な資金調達/承認を確保することに役立つことができる。
【0046】
図1は、没水構造物内の堆積物をマッピング及び除去する方法またはプロセス100の流れ図である。一般的に言えば、方法100は、(1)清掃されるべき構造物(単数または複数)を特定し、(2)本明細書で説明されるような事前調査の現場視察を実施し、(3)本明細書で説明される様々なタイプの水化学データを収集し、(4)次のステップに関する判断を行うことに役立つように当該化学データを分析し、(5)清掃前の音響学的調査、(6)堆積物高さのGEOデータマッピングを実施し、(7)タンクの底の堆積物高さマップを求め、(8)堆積した堆積物体積(堆積物量)の計算結果を求め、(9)堆積物サンプルを収集し、(10)サンプルを分析し、(11)堆積物レポートを仕上げて精査し、(12)計画した堆積物の処分量と重量を求め、(13)水中清掃し、(14)坑井内ポンプ又は真空装置のためにGPS誘導システムを使用し、(15)堆積物を水から分離し、(16)清掃後の音響学的調査を実施し、(17)堆積物高さのGEOデータマッピングを実施し、(18)除去された堆積物の量の計算結果を求め、及び(19)計画した堆積物処分量および重量と、除去された堆積物の量との比較に基づいて、タンク清掃レポートを仕上げて精査することの1つ又は複数を含むことができる。
【0047】
一実施形態において、方法100は、上記の列挙された順序で上記の列挙されたステップのそれぞれを含む。留意されるべきは、上記列挙されたステップの1つ又は複数は、当該開示された方法から逸脱せずに、組み合わせられ得る、再順序付けされ得る、除外され得るなどでもある場合がある。また、留意されるべきは、方法100は、異なる時間または異なる段階で完了する場合がある、又は別個の方法として完全に使用され得る別個のプロセスへ分割されることができ、当該別個のプロセスは、清掃前の調査(当該水施設およびシステムの評価、堆積(沈殿)作用の評価とマッピングを含むことができる)、除去されるべき所望の堆積の判断または計算、堆積の除去、及び清掃後の調査(堆積作用の再評価および再マッピング、又は除去された実際の堆積と除去されるべき所望の堆積との比較を含むことができる)を含む。言い換えれば、上記の列挙されたステップの評価要素は、記述された清掃ステップから分離して及び切り離されて実施される場合がある。実際には、異なるエンティティが、清掃を実行するエンティティから評価ステップを実行することができる。
【0048】
一実施形態において、方法100は、特定の順序で幾つかのプロセス及び方法を組み合わせることができる。方法100は、マッピング段階において、構造物内の堆積した土石の三次元モデルを生成して利用することができる。方法100は、清掃段階において、GPS及び生成された三次元マップを用いて、清掃機器を遠隔的に誘導することができる。例えば、三次元モデルから、構造物内の堆積した堆積物の正確な量、ほぼ正確な量またはおおよその量が計算されることができ、タンク内のその場所が求められ得る。構造物内で水中清掃機器を誘導するためにGPSを用いて、堆積物の著しい堆積を有する又は清掃されることが必要とされているこれら領域のみが、清掃されることができ、堆積物が領域からどれぐらい取り除かれたかと、堆積物が当該領域にどれぐらい存在したかに関する計算結果との比較により、進捗が監視され得る。この選択的および計画した清掃は、清掃に必要な時間と施設に対する費用の双方を低減することができ、システムの効率と最大容積(能力)を向上させるために構造物の十分な清掃も確実にすることができる。また、堆積物の量のより正確な見積もりが、廃棄処理経費をより良く見積もるために、構造物を清掃する前に行われ得る。更に、堆積物の場所を知ることは、清掃を行う当事者が清掃を行うために最も適切な清掃装置を選択することに役立つことができる。制限しない例として、清掃されている構造物の側面から離れた場所に堆積物がある場合、構造物を清掃するエンティティは、坑井内ポンプ/真空トラックと滴の垂れない構造の管(距離を伸長できる)の組み合わせを使用するために選択することができる。一例は、米国特許第9796003号に開示されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
方法100は、本発明が首尾よく適用され得る、適切な構造物の特定(1)を含む。適切な構造物は、以下に限定されないが、貯蔵タンク又は処理タンク、容器または沈砂池(貯水池)、ポンピングシステム、スクリーニングチャンバ、セパレーションチャンバ又は濾過チャンバ、沈殿池、消化槽、曝気システム、処理チャンバ、殺菌剤チャンバ及び添加剤チャンバ、貯水または処理システム内の雨水および他のパイプ、廃水渠、集水域などを含むことができる。また、適切な構造物は、液体(単数または複数)、固体(単数または複数)および/またはバイオソリッド(単数または複数)を含む任意の種類の収容装置も含むことができる。本教示が適用され得る構造物は、本明細書で説明されたものだけに制限されない。上記の属性の何れかを有する任意の種類の収容装置が、この記載に従って適切な構造物であることができる。測定を行うためにタンクの重要な領域に近づけないような、様々な理由で、全ての没水構造物がマッピング及び清掃のプロセス及び方法に適切であるとは限らない場合がある。方法および適切な構造物の特定(1)は、空中写真または衛星写真を用いて、潜在的な構造物の適合性をランク付けするために開発された基準のアプリケーションを更に含むことができ、それは、物理的な場所の訪問を行わずに実施されることができ、又は物理的な場所の訪問を行うことを含むことができる。空中写真または衛星写真を精査する又は物理的な場所の訪問を行う場合、潜在的な構造物は、マッピング及び清掃するために様々な構造物の適合性を判断するために、機器および車両の近づきやすさ、水深、地表面上のタンク壁の高さ、キャットウォーク及び手すりの場所などを含む基準により評価されるべきである。マッピング及び清掃するための構造物の適切な質は、例えば、より大きい近づきやすさを有する領域、より堆積した堆積物を有すると分かっている領域、タンク内の組成物の全般的な代表であると分かっている領域などを含む。マッピング及び清掃するための構造物の不適切な質は、例えば、何らかの液体を有さない又は清掃するために十分な固体またはバイオソリッドを有さない構造物を含むことができる。しかしながら、留意されるべきは、適切な構造物は、カバー又は蓋も含む場合があり、図面に示された開放タンクに制限されない。
【0050】
ひとたび適切な構造物が特定されたならば、事前調査の現場視察(2)が、適合性の判断を確認し、且つ清掃中に生じるかもしなれない何らかの潜在的な問題を特定するために行われ得る。例えば、事前調査の現場視察(2)は、1つ又は複数の近づく方法、ソナーイメージングのサイジング及び間隔のための寸法、水質、個体サンプルなどを求めるために使用され得る。事前調査の現場視察は、構造物内の堆積物を評価するために、後述されるような様々な水化学測定値の収集(3)と分析(4)を含むことができる。例えば、構造物内の水の、1つ又は複数の又は以下の、即ち、温度、pH、塩分濃度、酸化還元電位、濁度などの測定値および分析が使用され得る。更に、清掃前の音響学的調査(5)は、様々な方法、機器、プロセス及び分析によって行われ得る。清掃前の音響学的調査は、特殊な業務用機器を用いて実行されることができ、音響測量機器、遠隔操作の水上艦、ソフトウェア及びデータ処理装置などを含むことができる。また、化学分析は、水化学と音響学的調査の測定値との間の関係についての特定の洞察力も与えることができる。例えば、化学分析は、濁度とソナー範囲との間の関係についての洞察力を与えることができる。化学分析は、塩分濃度、温度測定値、pH、酸化還元電位(低すぎる場合、嫌気性プロセス、及び施設のプロセスを妨げる可能性がある望ましくない窒素ガスの生成を示唆する場合があり、及び/又は構造物内の物質を測定するための能力にマイナスの影響を与える可能性がある)、酸素レベル、濁度などの1つ又は複数を含むことができる。濁度レベルは、高い濁度レベルが構造物内の物質量を測定するための本システムの能力にマイナスの影響を与える可能性があるという点で重要である。濁度を知ることは、情報の精度を判定する又はユーザがより高い濁度を考慮するためにシステムを調整することを可能にすることに役立つことができる。好適な寸法を下りる各測定の変化(例えば、表面からの高さの各フィート)は、タンク内の層の不連続性の手掛かりとなり、並びに堆積物およびバイオソリッドの組成および層形成、及びそれぞれの量と場所の手掛かりとなることができる。化学分析は、プローブを汚水の中を通って下げて、深さを変えながらポイント測定を行う、又は深さを増大させながら連続的な測定を行うことにより、実施され得る。化学分析レポートが生成されて、水化学と音響学的調査の測定値との間の関係を更に理解するために過去データと比較され得る。また、他の分析は、構造物内で発見された固形物質および/またはバイオソリッドの粒度分析も含むことができる。粒度を知ることは、除去される必要がある構造物内の物質の全重量を求めることに役立つことができる。これは、どれぐらいの物質が除去されることになるかを知る、及び施設の所有者/経営者に対する、構造物から物質を除去するための総費用を知ることに役立つことができる。物質の密度を知ることは、物質を除去する費用を知るのに不可欠である重量を求めることに役立つ。
【0051】
上述されたデータ収集後、収集されたデータは、構造物内および構造物の底上の堆積した堆積物の三次元の地形学的イメージ又はタンクの底の高さマップ(7)を生成する及び当該データを当該三次元の地形学的イメージ又はタンクの底の高さマップ(7)へ変換するために、ソフトウェアを用いて処理され、評価され、分析され且つマッピング(6)され得る。三次元の地形学的イメージ又はタンクの底の高さマップ(7)は、タンク内のより高い及びより低い堆積した堆積物の領域に関連した高さ情報を含むことができ、ソナーマップへも変換され得る。高さ情報は、最も高い高さの赤色、より低い高さの青色(及びそれらの間で変化する高さを示すために、オレンジ色、黄色、緑色など)のような色付けを含むことができ、これら高さは、より高い高さのみが取り除かれるように、堆積物の特定の清掃を対象(目標)にするために使用され得る。これは、清掃のプロセスの効率性を高めて、且つタンクを使用最大容積にするために必要な清掃を終えるために必要とされる労力と時間を低減することができる。また、これにより、ユーザが、問題のある領域または他の領域よりも多い固形物質/バイオソリッドを有する領域を、より容易に特定(識別)することを可能にすることができる。これは、分析を用いない場合と比べて、分析を用いて構造物の清掃をより容易にすることに清掃労力を集中させることに役立つことができる。上述した分析は、情報データポイントを取得し、それらを評価し、次いで情報を出力するソフトウェア・プログラム又はアプリケーションにより、実行され得る。任意の既知のコンピューティング装置の持続性メモリ内のソフトウェア・プログラムが利用され得る。
【0052】
また、化学的分析および/または高さマップは、多くの場合実際の除去よりも遙かに低くなる及び遙かに高くなる可能性がある現在の測定プロセスに比べて、より正確な除去の見積もり(推定)も提供することができる。タンクの底の高さマップ(7)の一例650が図13に示され、断面図700図14に示される。次いで、この三次元の地形学的イメージ又はタンクの底の高さマップ(7)は、構造物の竣工図上に重ねられることができ、堆積した堆積物の量の計算結果(8)を求めることができる。結果として、GEOマッピング(地理学的マッピング又は地理情報システムとも呼ばれる)から収集されたデータは、タンクの底の高さマップ(7)を生成するために及び堆積した堆積物の量の計算結果(8)を求めるために使用され得る。堆積した堆積物の量の計算結果(8)は、三次元情報の体積を計算するソフトウェアを用いることにより、求められ得る。
【0053】
次いで、タンクの底の高さマップ(7)は、堆積物コアサンプル(9)を収集する場所を決定するために使用され得る。一例として、堆積物コアサンプル(9)は、タンクの底の高さマップ(7)を通じて、堆積物の著しい堆積(蓄積)を有するものとして特定された領域から収集され得る。汚水タンクから無傷の堆積物コアサンプルを取り出すように設計された特殊機器を用いて、堆積物コアサンプル(9)を収集することができる。係る特殊なコアサンプリング機器は、無傷の堆積物サンプルを取得するように改良された「汚泥(スラッジ)鑑定器」を含むことができる。次いで、堆積物コアサンプル(9)は、余分な水を取り除くために現場でフィルタリングされることができ、残りのサンプルは、分析のために堆積物コアサンプル(9)を保存するために冷蔵庫に格納される。次いで、堆積物コアサンプル(9)は、更なるデータ分析(10)のために処理され得る。一態様において、処理される堆積物コアサンプル(9)は、特定のプロトコルに従った分析のために、定量的分析研究所に持って行かれ得る。分析は、粒度分布および他の物理的特有の性質に関する分析を含むことができる。この情報は、原位置での密度、及び廃棄されるべき、結果として得られる除去された物質を求めることを支援することができる。他の分析は、HOの割合、有機物の割合、及び無機物の割合を含むことができる。別の態様において、処理される堆積物コアサンプル(9)は、現場に持って来られた携帯型ラボを用いて、現場で分析され得る。結果としてのデータは、堆積物の密度を求めるための計算結果、容積の割合、堆積物内に含有される無機物および有機物の質量を含むことができる。堆積物分析レポート(11)が生成されて、清掃動作(13)が行われた後の堆積物の処分量および重量(12)を見積もるために使用される。これら量(体積)と重量は特に、効率的な清掃を目的にするように、汚水タンクの物質と組成を把握する際に有用であることができる。清掃動作(13)が行われた後に測定された堆積物の処分量および重量(12)は、十分な又は所望の清掃が行われた及び十分な又は所望の堆積物が構造物から除去された時を示す、又は特定の場所における所望の堆積物が除去されたことを示すことができる。
【0054】
構造物の清掃は、没水構造物から堆積物を効率的に除去するように設計された特注機器(例えば、水中ポンプ)を用いて実施され得る。その一例が後述される。一例において、清掃動作は、堆積物の著しい堆積を有する構造物の領域が選択的に対象を絞られて清掃されるように、タンクの底の高さマップ(7)に関連してGPSトランスポンダを用いて正確に誘導され得る(14)。清掃プロセス中、汚水(廃水)および有機物質は、重力分離および濾過機器、又は当該技術分野で知られている又は別な方法で知られるようになることができる任意の他の技術またはプロセスを用いて、堆積物から分離され得る。次いで、堆積物を含んでいない汚水および有機物質は、更なる処理のために構造物に戻され得る。次いで、収集された固形堆積物は、係る物質の廃棄前に、「塗料用フィルタ(paint-filter)」乾燥状態に脱水され得る。廃棄は、現場での廃棄、又は埋め立て地への輸送を含む様々な方法で遂行され得る。廃棄の前に、固形堆積物質の量および/または重量(12)が、更なる分析のために収集されて記録される。
【0055】
構造物の清掃および堆積物の除去後、清掃後の音響学的調査が行われて、施設との合意した計画(18)に従って、最大容積の測定された損失が回復されたことが検証され得る。堆積した堆積物の量(8)、除去された堆積物の量の計算結果(18)、及び堆積物の廃棄量および重量(12)は、最終のタンク清掃レポート(19)を準備するために利用され得る。
【0056】
更に、本明細書で説明される音響レポート及び分析は、顧客および施設に対して、将来の清掃に関する特定の推定も可能にすることができ、施設が施設の機能を妨げる最大容積の10%損失に達すると予想される時に基づいて、スケジュールを提供することができる。これにより、施設が、施設のために生成された予防保守管理スケジュールを有することが可能になることができる。これは、清掃を必要としていない構造物の不必要な清掃を防止し、清掃される必要がある構造物のその部分のみが清掃されていることを可能にし、又は役に立たなくされる又は動作不可能にされる望ましくない物質のレベルに構造物が到達するのを防止する。システムにより、操作者は、これを構造物の所有者/経営者にサービスとして販売することが可能になる。当該所有者/経営者は、彼らの構造物が動作不可能になることを防止するために、この予防保守管理が必要とされる時を知るために当該システムを使用することができ、不必要な清掃を行うことが防止され、それらの全ては、所有者/経営者のお金と時間を節約することに役立つことができる。
【0057】
本発明の方法100が如何にして動作するかに関する一例が、図2に示された例示的な施設で行われた。施設は、その北に位置する端で四角に区切られている卵形の地上コンクリート製タンクである。施設は、同じタンク内で嫌気性プロセス及び好気性プロセスの双方を用いて下水を処理し、北に位置する端で優勢である嫌気性プロセス、及び流路において及び南に位置する端で好気性プロセスを有する。タンクは、約60.96m(200フィート)の長さと、約18.29m(60フィート)の幅である。
【0058】
水柱プロファイル
水の循環および曝気は、0900に停止され、その結果、一連の9個の水柱プロファイル210が様々な測点(例えば、(1)タンクの北に位置する端から、(2)西に位置する流路壁に沿って、及び(3)タンクの南に位置する端で(図2を参照))から取得され得る。これらの測点は、場所特有の構造に対する近づきやすさの容易性に起因して選択された。しかしながら、水柱プロファイル210は、任意の場所から及び任意の総計の場所から取得され得る。本教示は、これらの例示的な場所だけに制限されない。
【0059】
pH、酸化還元電位、塩分濃度、濁度、及び溶存酸素の測定値が、図2に示された9個の測点210のそれぞれにおいてタンクの水面から底部まで30.48cm(1フィート)の間隔で取得された。理解されるべきは、1フィートの間隔は、単なる例示である。任意の適切な間隔が選択されることができ、サンプルが取得されている構造物の深さに基づいてのように、変化することができる。
【0060】
測点STA1-T~3-Tは、0913から0946までの時間(33分)にわたる嫌気性沈砂池領域内にある。測点STA4-T~6-Tは、0957から1022までの時間(25分)にわたる好気性消化領域内で西側流路壁に沿って位置する。STA7-T~10-Tは、1334から1356までの時間(22分)にわたる南に位置する旋回沈砂池(好気性でもある)内にある。
【0061】
温度および塩分濃度
温度および塩分濃度は、サンプリング期間中に全ての測点において表面から底部までほぼ均一であり、水柱が温度躍層または塩分躍層を形成せずに、良好に混合されていたことを示す。
【0062】
濁度
濁度測定値300、330、360が、深さ及び曝気が停止されてからの時間によって変化する高い値(1000~4000FNU)を示した(図3図5を参照)。上側の水柱が澄んでくることは、かなり急速で劇的であり、フロックの塊が水よりも大きい密度で良好に形成されていることを示している。曝気停止後の4時間以内で、水は、表面から深さ2.44m(8フィート)まで、1FNU未満である。より低い水柱の濁度レベルは、時間と共に増加し、フロックの塊の沈殿速度が上側の水柱において大幅にゆっくりであることを示している。これに関する1つの説明は、硝酸塩の脱窒から窒素ガスまでのピンフロックの形成であることができ、フロック内に気泡を閉じ込め、それらの浮力を増す。表面スカムを壊す窒素の気泡の「ポッピング(はじける)」現象がその時にこの領域で観測され、脱窒の目視確認を提供する。1334で、非常に急な濁度のクラインが2.44m(8フィート)から3.05m(10フィート)の深さで形成され、ここで濁度は、1FNU未満から2000FNUを越えている。
【0063】
酸化還元電位
酸化還元電位の測定値400、430、460は、全ての測点にわたって、高い方の約150mVから低い方の-30mVの範囲にわたる(図6図8を参照)。STA1-T~3-Tにおいて、タンクの嫌気性領域から、酸化還元電位は、細菌(バクテリア)のプロセスが、主にcBOC分解(減成)及び脱窒であることを示す。STA4-Tも、同定中であり、この場合、STA5-T~6-Tは主に、硝化作用中である。STA7-T~9-Tは、表面より下の深さ1.83m(6フィート)から2.44m(8フィート)において、強い酸化還元クラインの成長を示す。細菌のプロセスは、表面の水での強い硝化作用から、より深い水での力強い脱窒まで進む。
【0064】
溶存酸素
溶存酸素測定値500は、タンクの表面から底部まで10mg/Lから3mg/Lまでの範囲にわたる値を有する、溝の嫌気性領域において比較的高い(図9を参照)。STA4-T~6-Tからの結果530(図10を参照)は、類似した高い酸素飽和度レベルを示す。STA7-T~9-Tの領域における酸素レベル560(図11を参照)は、水柱が、特に水柱の上側半分において、酸素で過飽和していることを示す。
【0065】
SediVision(登録商標)の結果
地球物理学的調査は、酸化溝(Oxidation Ditch)タンク底部の約90%を調査(600)することができる(図12を参照)。タンクの両端における2つのミキサの下のタンク底部領域は、調査の時の機器の制限に起因して調査できなかった。酸化溝の調査は、191.9m(251立方ヤード)の損失を示し、この場合、最も大きい堆積はタンクの北に位置する(無酸素)区画にある。この領域において、堆積は、西に位置する壁と東に位置する壁に沿って最も高く、1.28m(4.2フィート)の高さを有する。タンク底部の堆積物の残りの領域は、かなり均一であり、この場合、堆積は、3.05cm(0.1フィート)から30.48cm(1フィート)の範囲にわたる。比較として、調査した領域が均一な30.48cm(1フィート)の堆積を有する場合、堆積物の総量は、347.1m(454立方ヤード)である。容積の損失割合は、3.64%であるように計算される。地球物理学的調査は、任意の適切な装置により行われ得る。制限しない例において、音響学的調査装置が利用され得る。音響学的調査装置の一例は、ベクトル音響センサを用いることを含む。別の例は、一般に圧縮空気で満たされた異なるサイズの空気室のアレイであるエネルギー源である。当該エネルギー源は、高圧エネルギーのバーストを水中へ放出する。戻ってくる音波は、一定の間隔で並べられたハイドロフォンにより検出されて記録され、或いは単一のハイドロフォンが利用される。更に別の例において、調査をもたらすことができるソナー装置が利用され得る。これは、魚群探知機などのような他のソナー装置で使用される技術に類似することができる。理解されるべきは、これらは単なる例示的な音響学的調査装置であり、水中または液体中で動作することができる音響学的調査装置の任意の構成が利用され得る。
【0066】
上述されたように、図2に示された施設は、多量の固形物質および砂を除去するために、流入の事前処理と共に組み合わされた嫌気性/好気性処理プロセスを使用する。水化学測定値は、処理プロセスが良好な処理規格内で実施していることを示す。経時的に安定した温度は、水柱の均一な混合を示す。酸化還元電位の値は、汚水と共に生じる重大な化学的プロセスのタイプの直接的な判定の目安となる。
【0067】
濁度測定値は、曝気/循環の停止直後から始まる、水柱の上側半分の急速に澄むことを示し、フロックの塊の敏速な沈降を示す。最も興味深いことは、3.05m(10フィート)から5.18m(17フィート)の深さにおける急激な濁度の増加と同時に、2.44m(8フィート)から3.05m(10フィート)の深さにおける非常に急な濁度のクラインの成長である。通常、これは水密度の不連続性と関連付けられると考えられる。しかしながら、温度および塩分濃度(水密度の2つの主要な制御因子)の均一な水柱の値は、係る不連続性が存在しないことを示す。従って、制限しない一例において、上側層のフロックがタンクの下側半分へ沈んでいると同時に、下側半分のフロックが浮遊した状態のままである又は少なくとも遙かに低い沈殿速度を有すると結論付けられ得る。下側半分のフロックのゆっくりした沈殿と組み合わせられた、上側水柱からの急速に沈むフロックからの物質は、3.05m(10フィート)から5.18m(17フィート)の深さの範囲におけるより高い濁度レベルという結果になる。
【0068】
濁度クラインの成長と同時に、同じ領域の酸化還元電位は、比較的高い正の値(強い硝化状態)から適度に低い負の値(強い脱窒状態)へと深さと共に、急激に下落している。脱窒中、細菌(バクテリア)が硝酸塩を窒素ガス(N)に変えて、窒素の気泡を形成する。当該気泡が表面まで上昇するのに十分に大きくなり、スカムを打ち破る場合、「ポッピング(はじける)」が観測される。この現象は、汚水中の溶存酸素の濃度を求めた化学測定値により示されるように、測定の時にこの領域で観測され、底部の水の脱窒がその時に良好に進行中であることが確認される。
【0069】
以前の汚水タンク調査において、濁度濃度がタンク内のSediVision又は音響学的/ソナー調査範囲に無関係であることが、この調査により確認された。これは、曝気プロセス(バブラー又は循環装置)からの残りの気泡(ソナー信号の強い減衰要素である)がソナー範囲を制限したという結論に至る。これら気泡は、時間と共に、表面まで上昇し且つ汚水中に溶解し、タンクの底および側壁を検査するためにソナー範囲を段階的に増大させると予想される。以前の研究はこれを完全に実証しておらず、ソナー範囲は最良の場合で約7.62m(25フィート)に制限されていた。気泡がソナー範囲を制限することに重要な役割を果たす可能性があるが、他の制限因子(単数または複数)も進行中に存在することが避けられないことは明らかである。
【0070】
図2に示された施設および実施された実験からの結果は、脱窒から生じる窒素の気泡が少なくとも2つの方法でソナー範囲の制限の重要な因子であるという有力な証拠を提供する。第1に、自由に上昇する窒素の泡立ち(ポッピング)は、タンクの下側部分において脱窒プロセスが優勢であるように及び減少する酸化還元電位により測定されるように、経時的に増加する。これは、より一定の気泡濃度を維持するために、溶解による(曝気/循環プロセスからの)気泡の減少を相殺する。第2に、小さい窒素の気泡は、浮遊するフロックの塊に捕らえられ、それらの浮力を増加し、それらの沈降(沈殿)速度を低減する。時間が経つにつれて、水柱に浮かんだフロックを背負った高濃度の微泡(マイクロバブル)が予想される。これはSediVision又は音響学的/ソナー調査範囲に適用されるので、気泡が溶解(分解)する際に、増加する範囲を見られると予想され、窒素の気泡濃度が増加する際に、当該範囲は妨害される(又は恐らくは低減される)。この情報は、システムに適用されて、他のバージョンよりも正確である音響学的/ソナー調査をもたらすことができ、その理由は、以前に品質を劣化させていた様々な要因を考慮することができるからである。これら要因を考慮することは、より正確な調査を可能にし、その結果として、構造物内の堆積物、固形物質、バイオソリッドなどのより正確な場所とそれらの量の計算を可能にする。これを知ることは、より効率的でコスト効果の高い方法でそれらの除去に役立つ。
【0071】
さて、図15及び図16を参照すると、本発明のシステムは、高圧水を生成するための高圧水ポンプアセンブリ1010、高圧水ホース1012、ホースリール1013、高圧水を受け取り且つ下水管を清掃するための清掃ヘッド1014、スラリーが大量の液体を含んでいる際に、下水管から固形物質と液体からなるスラリーを汲み上げるための水中ポンプ1016、水中ポンプ1016用の電源1017、スラリーホース1018、汲み上げられたスラリーを収容するための廃棄物コンテナ1020、デカント水ホース1022、当該コンテナから水を放出するためのデカント水出口1024、主送水管路1032、及び主送水源1034を含む。本発明は、図15及び図16で看取されるように、トラック1040に、又は現場へ及び現場から牽引される必要がある不動ユニットに搭載され得る。一貫性を保つために、当該ユニットは、本明細書の全体にわたってトラックとして説明される。留意されるべきは、水中ポンプ1016が動作する液体として水が言及されるが、本教示は、そのような物に制限されない。水中ポンプ1016は、任意の種類の液体で動作することができる。
【0072】
高圧水ポンプアセンブリ1010及びポンプ電源1017は、例えばトラック1040に搭載され、電力(動力)のためにトラックのエンジンを使用することができる。ポンプアセンブリ1010の目的は、高圧水ホース1012に取り付けられた及びそれと連絡する清掃ヘッド1014を用いて下水管路1042を洗浄する際に使用するための水を加圧することである。ポンプアセンブリ1010用の水源は、消火栓、トラック1040上のタンクを含む任意の水源1034から、又は下水管1042自体から得られることができる。更に、高圧水ポンプアセンブリ1010は、任意の適切な構成およびタイプからなることができる。制限しない例として、高圧水ポンプアセンブリ1010は、油圧駆動式の坑井内(水中)ポンプとして構成され得る。単一の水ポンプアセンブリ1010が図示されて説明されるが、任意の数(例えば、2個、3個、4個など)の水ポンプアセンブリ1010が、本教示から逸脱せずに利用され得る。幾つかの実施形態において、4個の水ポンプアセンブリ1010が単一のトラックに取り付けられ得る。
【0073】
清掃ヘッド1014は、前面と後面を有する銃弾形状であることができる。清掃ヘッド1014の後面は、後方へ向けられた水ジェット排水口1015を含むことができる。トラック1040、高圧水ホース1012、及び清掃ヘッド1014は、任意の適切な従来の装置からなることができる。清掃ヘッド1014がマンホール1041の中を通って下水管1042へと下げられる場合、2000psiのような高圧水がホース1012を介して清掃ヘッド1014に加えられ得る。清掃ヘッド1014に加えられた高圧水は、幾つかの機能を有する。第1に、水が出口1015から噴き出して、出て行く高圧水が下水管1042の壁から固形物質を洗い流し、下水管の固形物質をスラリー中に懸濁する。更に、清掃ヘッド1014に加えられている高圧水は、清掃ヘッド1014を方向1043に移動させる。下水管1042を清掃後、清掃ヘッド1014は、ホースリール1013を用いて、高圧水ホース1012を引っ込めることにより、回収され得る。
【0074】
状況が水中ポンプ1016を使用すべきであることを決定付ける場合、即ち比較的大量の液体が下水管1042中に存在する場合、清掃ヘッド1014に投入されている水および任意の通常の下水道流の総流量よりも大きい能力を有する水中ポンプ1016が設けられる。液体スラリーに下水管1042の固形粒子および固形物質を浮かせることにより、下水管1042を効率的に清掃するために、下水管1042に大きい水分量を有することが望ましい。水中ポンプ1016は、固形物質を80%まで有するスラリーを汲み上げることができる。
【0075】
単なる例として、高圧水ポンプは、227.1L(60ガロン)/分の流量を供給し、80%の固形物質を1分当たり7.57kL(2000ガロン)除去できる適切な水中ポンプ1016は、本発明が内部で流体を流している稼働中の下水管を清掃することを可能にするのに望ましい。任意の適切な水中ポンプ1016が提供され得るが、Gamer Environmental Services, Inc.により販売されているポンプシリーズ53が満足できる。係るポンプは、油圧駆動され得る、ディーゼルエンジンにより駆動され得る、電気モータにより駆動され得る、ガソリンエンジンにより駆動され得る、又は任意の他の利用可能な動力源により駆動され得る。更に、ジェッタータイプの下水管ポンプが本明細書で企図される。一実施形態において、180GMPの等級を有する2個のジェッター下水管ポンプが利用され得る。
【0076】
水中ポンプ1016からの流体化されたスラリーは、スラリーホース1018を介して廃棄物コンテナ1020に送られ得る。流体化されたスラリーは、コンテナ1020の上部に入り、ここで、固形物質と水が分離されて、固形物質が、重力によりコンテナの底部に沈殿する。必要に応じて、バッフルがコンテナ1020内に設けられて、分離を支援することができる。次いで、水は、コンテナ1020からデカントされ(静かに移され)、コンテナ1020が満タンになると、デカントされた水は、水をデカント水ホース1022を介して強制的に送る正圧を用いて、コンテナ1020から放出される。廃棄物コンテナ1020は、任意の適切な構成とタイプからなることができる。制限しない例として、廃棄物コンテナ1020は、より詳細に後述されるように加圧され得る。単一の水中ポンプ1016が図示されて説明されたが、任意の数(例えば、2個、3個、4個など)の水中ポンプ1016が利用され得る。
【0077】
廃棄物コンテナ1020は、トラック1040に取り外せない方法で固定され得るか、又はトラック1040から取り外し可能であることができる。廃棄物コンテナ1020が取り外し可能である場合、コンテナ1020が固形粒子で実質的に満タンになった際に、コンテナ1020が取り外されることができ、交換したコンテナ1020が所定位置に転がり込んで、ホース1018及び1022に接続される。次いで、満タンのコンテナ1020は、廃棄物集積場へ移動することができると同時に、トラック1040は、現場に留まり、清掃動作を継続する。廃棄物コンテナ1020がトラック1040に取り外せない方法で固定されている場合、トラック1040は、廃棄物コンテナ1020が固形物質で実質的に満タンになるたびに、廃棄物集積場へ行かなければならない。更に、更なる複数の廃棄物コンテナ1020が本教示から逸脱せずに利用され得る。係る実施形態において、廃棄物コンテナ1020は、例えば直列に、互いに関連して動作するように取り付けられ得る。これら実施形態において、廃棄物コンテナ1020の1つが固形物質で満タンになった場合、隣接した廃棄物コンテナ1020が上述されたように、スラリーで満タンになることができる。複数の廃棄物コンテナ1020が使用される場合、廃棄物コンテナ1020の1つが満タンになるやいなやポンプ1016の稼働を停止する必要がないように、廃棄物コンテナ1020のそれぞれは、連続的に満たされ得る。任意の適切な管類が、複数の廃棄物コンテナ1020間に取り付けられ得る。
【0078】
水中ポンプ1016が使用される場合、清掃ヘッド1014及び下水管1042を流れる水が多ければ多いほど、清掃動作をますます良くする。本システムにおいて、デカントされる水は、清掃ヘッド1014及びポンプ1016の上流へ注入することにより、追加の洗浄を提供するために使用され得る。これは、下水管の固形物質を懸濁液中に保持することを可能にし、その結果、当該固形物質は、ポンプ1016によって、より容易に移動することができる。デカントされる水は、下水道流の水を増加させるために、デカント水出口1024を介して、デカント送水管1022へ送られ、次いでマンホール1041を通って下水管1042内へと、清掃ヘッド1014の上流に送られる。
【0079】
下水管1042に加えられるこの追加の水は、下水管1042をより効率的に清掃することを支援し、ポンプ1016は、システムにおける水を完全に除去するための能力を有する。かくして、本実施形態は、事実上、閉ループであり、デカントされた水、注入された又はデカントされた水の全ては、下水管の上流部分の清掃に利用される。更に、水は、トラック輸送により廃棄される必要がない。下水管1042が清掃された後、デカントされた清浄な水が下水管1042に廃棄され得る。例えば、本システムは、清掃ヘッド1014からの注入のために、227.1L(60ガロン)/分の水を利用する。清掃ヘッド1014に供給するために、追加の水が利用可能である場合、より良好な水注入システム及び清掃システムが提供され得る。満タンの下水管(即ち、下水管の容量が最大限)を清掃する場合、デカントされる水は、下水管の下流に廃棄され得る。
【0080】
さて、図16を参照すると、システムは、高圧水を生成するための、トラックに搭載された高圧水ポンプアセンブリ1110、高圧水ホース1112、ホースリール1113、高圧水を受け取って下水管を清掃するための清掃ヘッド1114、ブーム1119により所定位置に保持された真空チューブ1118を含む真空システム、真空を生成するために使用される空気ポンプ1150を含み、当該空気ポンプ1150は概して、消音装置1151及び空気が大気に放出される排出箇所1152に位置する又はそれらの近くに位置する。システムは更に、汲み上げられたスラリーを収容するための廃棄物コンテナ1120、主供給水管路1132、及び主供給水源1134を含む。ブーム1119は、様々な装置の位置、及び廃棄物収集システムを通じて加圧水を注入するための有圧水ホース1112の移動を制御するために使用され得る。
【0081】
高圧水ポンプアセンブリ1110は、例えばトラック1140に搭載される。ポンプアセンブリ1110の目的は、高圧水ホース1112に取り付けられた及びそれと連絡する清掃ヘッド1114を用いて下水管路1142を洗浄する際に使用するための水を加圧することである。ポンプアセンブリ1110用の水源は、消火栓、トラック1140上のタンクを含む任意の水源1134から、又は下水管自体から得られることができる。ポンプアセンブリ1110は、上述されたポンプアセンブリ1010と同等であることができる。
【0082】
清掃ヘッド1114は、前面と後面を有する銃弾形状であることができる。清掃ヘッド1114の後面は、後方へ向けられた水ジェット排水口を有する。トラック1140、高圧水ホース1112、及び清掃ヘッド1114は、任意の適切な従来の装置からなることができる。清掃ヘッド1114がマンホール1141の中を通って下水管1142へと下げられる場合、2000psiのような高圧水がホース1112を介して清掃ヘッド1114に加えられる。清掃ヘッド1114に加えられた高圧水は、幾つかの機能を有する。第1に、水が出口から噴き出して、出て行く高圧水が下水管1142の壁から固形物質を洗い流し、下水管の固形物質をスラリー中に懸濁する。更に、清掃ヘッド1114に加えられている高圧水は、清掃ヘッド1114を方向1143に移動させる。下水管1142を清掃後、清掃ヘッド1114は、ホースリール1113を用いて、高圧水ホース1112を引っ込めることにより、回収され得る。
【0083】
状況が真空システムを使用するべきであることを決定付ける場合、即ち比較的少量の液体が下水管1142中に存在する場合、ブーム1119により所定位置に保持された真空チューブ1118、消音装置1151及び空気が大気に放出される排出箇所1152に概して位置する又はそれらの近くに位置する空気ポンプ1150を含む真空システムが提供される。空気ポンプ1150は、システム内に負圧を生成し、それにより、スラリーが真空チューブ1118を介して、廃棄物コンテナ1120へと吸い上げられる。次いで、廃棄物スラリー中の固形物質が、廃棄物コンテナ1120の底部に落下する。空気ポンプ1150は、空気ポンプ1150を介してコンテナ1120内の空気を引いて、消音装置1151を通して、排出箇所1152を介して大気に放出し続ける。
【0084】
水中ポンプを使用することは、清掃動作を行うと同時に、水をデカントする(静かに移す)ことを可能にする。これは、真空システムで可能にすることはできない。しかしながら、清掃されるべき管内に水がほとんど又は全く存在しない時に、水中ポンプは有効に使用されることができないので、真空システムは、これらのタイプの状況を扱うために必要である。これら実施形態において、水中ポンプは、真空システムが動作中である際に使用することができない場合があるか、又は真空システムと同時に使用することができる場合がある。同様に、真空システムは、水中ポンプと同時に使用されることができない場合があるか、又は同時に使用されることができる場合がある。
【0085】
廃棄物収集システムの壁から固形物質(即ち、土石、泥など)をバラバラにして、当該固形物質を水中ポンプ1016へ持って行くことは、高圧水の流れを必要とする。上述されたような加圧水ポンピングシステムは、廃棄物収集システムを清掃するために、常に利用可能ではなく又は実用的でない。
【0086】
本発明の実施形態が添付図面に示され、上記の詳細な説明で説明されたが、理解されるべきは、本発明は、開示された実施形態だけに制限されず、本明細書に説明された本発明は、以下の特許請求の範囲の範囲から逸脱せずに、多くの再構成、変形および置き換えをすることができる。以下の特許請求の範囲は、全ての変形態様および代案が特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入る限り、係る全ての変形態様および代案を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
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【国際調査報告】