(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】変換器のための測定アセンブリ、および変換器アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230704BHJP
【FI】
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575725
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 AT2021060204
(87)【国際公開番号】W WO2021253064
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518151386
【氏名又は名称】エーヴィエル・リスト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイジンガー、エルウィン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、マーティン
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA28
5H770BA01
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA41
5H770DA44
5H770EA01
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA07Z
5H770LB02
5H770LB07
(57)【要約】
少なくとも2つの電子的なハーフブリッジ(3,3')が制御ユニット(4)により変調方式で時間的にオフセットされた制御信号によって切り換えられる、切換式の電気的な変換ユニット(2)のブリッジ電流を決定するための測定アセンブリであって、電流センサ(6,6')と接続された測定ユニット(1)を含み、電流センサ(6,6')はハーフブリッジ(3,3')の出力回線または入力回線でブリッジ電流を測定するために配置され、測定ユニット(1)は時間的な同期化のために制御ユニット(4)と接続され、測定ユニット(1)は、ハーフブリッジ(3,3')の制御信号と時間的に同期化された、電流センサ(6,6')の測定時点(8,8')を定義するために構成され、ならびに、このような種類の測定アセンブリを有する変換器アセンブリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの電子的なハーフブリッジが制御ユニットにより変調方式で時間的にオフセットされた制御信号によって切り換えられる、切換式の電気的な変換ユニットの電気出力を決定するための測定アセンブリであって、電流センサと接続された測定ユニットを含む、測定アセンブリにおいて、
a.前記電流センサは前記変換ユニットの前記ハーフブリッジの出力回線または入力回線でブリッジ電流を測定するために構成され、
b.前記測定ユニットは時間的な同期化のために前記制御ユニットと接続され、
c.前記測定ユニットは、前記ハーフブリッジの制御信号と時間的に同期化された、前記電流センサの測定時点を定義するために構成される、測定アセンブリ。
【請求項2】
前記測定ユニットは、制御信号の周波数にほぼ相当する測定周波数で前記電流センサに照会を行い、時間的に実質的に制御信号のターンオン時間t
onの中央に位置する測定時点を事前に定義するために構成される、請求項1に記載の測定アセンブリ。
【請求項3】
前記測定ユニットは、制御信号の周波数よりも高い測定周波数で前記電流センサに照会を行い、時間的に実質的に制御信号のターンオン時間t
onの中央に位置する測定時点を事後に選択するために構成される、請求項1に記載の測定アセンブリ。
【請求項4】
前記測定ユニットは、制御信号のターンオン時間t
onの間に複数の測定時点前記電流センサに照会を行い、その結果として生じる測定値を平均化するために構成される、請求項2に記載の測定アセンブリ。
【請求項5】
前記測定ユニットは、
a.前記変換ユニットの直流電圧側に配置された少なくとも1つの直流電圧センサと接続され、および、
b.前記変換ユニットの、または前記変換ユニットの個々の相の、切り換えられる電気出力を、測定されたブリッジ電流と測定された直流電圧とから計算するために構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の測定アセンブリ。
【請求項6】
前記測定ユニットは、前記変換ユニットの電気出力を計算するとき、半導体スイッチの、および前記ハーフブリッジのその他の電子コンポーネントの、電気的な内部抵抗を考慮するために構成される、請求項5に記載の測定アセンブリ。
【請求項7】
前記測定ユニットは、
a.前記変換ユニットの直流電圧側に配置された少なくとも1つの直流電流センサと接続され、および、
b.前記変換ユニットの直流電圧側での電気出力を計算するために構成され、ならびに、
c.前記変換ユニットの電気的な効率を計算するために構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の測定アセンブリ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の測定アセンブリと、少なくとも2つの電子的なハーフブリッジが制御ユニットにより変調方式で時間的にオフセットされた制御信号によって切り換えられる変換ユニットとを含む変換器アセンブリにおいて、前記変換ユニットは直流電圧V
dcを交流電圧V
acに変換するための切換式のインバータアセンブリである、変換器アセンブリ。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の測定アセンブリと、少なくとも2つの電子的なハーフブリッジが制御ユニットにより変調方式で時間的にオフセットされた制御信号によって切り換えられる変換ユニットとを含む変換器アセンブリにおいて、前記変換ユニットは交流電圧V
acを直流電圧V
dcに変換するための切換式のコンバータアセンブリである、変換器アセンブリ。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項に記載の測定アセンブリと、少なくとも2つの電子的なハーフブリッジが制御ユニットにより変調方式で時間的にオフセットされた制御信号によって切り換えられる変換ユニットとを含む変換器アセンブリにおいて、前記変換ユニットは第1の直流電圧V
1を第2の直流電圧V
2に変換するための切換式の直流電圧コンバータである、変換器アセンブリ。
【請求項11】
前記変換ユニットはたとえば電気モータや発電機などの電気機械に接続され、前記測定ユニットは前記電気機械と接続される、請求項8から10のいずれか1項に記載の変換器アセンブリ。
【請求項12】
前記測定ユニットは、回転数、トルクなどの機械的な測定値を受信するため、および前記電気機械の機械出力を計算するために構成される、請求項11に記載の変換器アセンブリ。
【請求項13】
前記測定ユニットは、前記電気機械のモータ巻線の温度、廃熱、冷却媒体の温度差などの熱的な測定値を受信するために構成される、請求項11または12に記載の変換器アセンブリ。
【請求項14】
前記測定ユニットは、電気的または機械的な測定値から、前記電気機械の電気的および/または機械的な等価回路のコンポーネントのパラメータを決定するために構成される、請求項11から13のいずれか1項に記載の変換器アセンブリ。
【請求項15】
前記測定ユニットは、前記変換ユニットの切り換えられる電気出力から、および前記電気機械の機械出力から、前記電気機械の効率を決定するために構成される、請求項11から14のいずれか1項に記載の変換器アセンブリ。
【請求項16】
前記制御ユニットと前記測定ユニットが共通のユニットに統合される、請求項8から15のいずれか1項に記載の変換器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変換器のための測定アセンブリに関し、ならびに、このような種類の測定アセンブリを有する変換器アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術より、電気的な変換器から伝送される出力を決定するための測定アセンブリが知られている。その際には、通常、変換器の交流側または直流側で電流と電圧が測定され、これらをもとにして伝送される出力が決定される。このことは、擾乱のない調波信号の場合には高い精度で可能である。
【0003】
しかし、高周波で切り換えられる変換ユニットを有する変換器アセンブリでは、このような測定アセンブリは不正確な結果につながる。このような種類の高周波で切り換えられる変換ユニットは電子制御される複数のハーフブリッジを備えていて、これらが電子制御ユニットによってたとえばパルス幅変調(PWM)などの変調方式で、時間的にオフセットされた制御信号によりオンオフされる。たとえばPWMインバータでは、ハーフブリッジの半導体スイッチが、時間的に可変に制御される高い切換周波数で入力電圧をオンオフする。したがって、生成される交流電圧は幅の異なる小さなパルスが組み合わされて構成され、これらがスロットルに通され、それによって近似的に正弦波の出力電流が生じる。このときハーフブリッジの切換周波数は、有用信号の周波数よりも大幅に高い。
【0004】
このように高い切換周波数が、生成される出力信号に反映し、そのため出力信号には高調波が付随することになる。高調波は損失を引き起こすので、切り換えられる電気出力およびその他の電気的な特性量は、このような種類の変換器にあっては決定することが難しい。たとえば作業点や効率の決定は、機械入力側で電気的なパラメータが測定される場合には、可能にするのが困難である。このような種類の測定は特定の周波数領域で行わなければならず、高調波の出力が考慮されないからである。このことは、電気機械の制御のために必要な特性量や機械パラメータに、大きな不確実性が付随することに帰結する。電流や切換周波数に関する非線形の効果を判定することは事実上できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした理由から、およびその他の理由から、切換式の変換器において切り換えられる電気出力およびその他の特性量を正確に決定するための測定アセンブリの必要性が存する。この課題およびその他の課題は、本発明により、請求項1に記載の測定アセンブリによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による測定アセンブリは、少なくとも2つの電子的なハーフブリッジが制御ユニットにより変調方式で時間的にオフセットされた制御信号によって切り換えられる、切換式の電気的な変換ユニットの電気出力を決定するために構成される。ハーフブリッジはそれぞれ2つの半導体スイッチを、特にSiC半導体スイッチまたはGaN半導体スイッチを、有することができる。このような種類の半導体スイッチは複数のコンポーネントで構成することができ、特に、並列回路に配置されるフリーホイーリングダイオードを含むことができる。
【0007】
変換ユニットは、たとえば直流電圧Vdcを交流電圧Vacに変換するための切換式のインバータアセンブリであってよい。変換ユニットは、交流電圧Vacを直流電圧Vdcに変換するための切換式のコンバータアセンブリであってもよい。さらに変換ユニットは、第1の直流電圧V1を第2の直流電圧V2に変換するための切換式の直流電圧コンバータであってもよい。
【0008】
本発明による測定アセンブリは、変換ユニットのハーフブリッジの出力回線または入力回線でブリッジ電流を測定するために構成される電流センサと接続された測定ユニットを含む。この目的のために、変換ユニットのインターフェースを利用することができる。電流センサは、測定周波数がPWM法の切換周波数に少なくとも等しい高さであるか、またはこれよりも高いハイダイナミックセンサであってよい。電流センサは、変換ユニットのハーフブリッジの出力回線または入力回線に配置されていてよい。
【0009】
制御ユニットと測定ユニットは、電子式のデータ処理ユニットとして構成されていてよい。制御ユニットと測定ユニットは独立した別々のユニットとして構成されていてよく、それにより、制御ユニットを有する既存の変換器アセンブリを、出力測定のためのコンパチブルな測定ユニットによって補完することができる。別案として、制御ユニットと測定ユニットが共通のユニットに統合されていてよい。
【0010】
測定ユニットは、時間的な同期化のために制御ユニットと接続される。それにより、制御ユニットによって定義されるPWM制御信号の時点を測定ユニットに伝送することができる。
【0011】
測定ユニットは、ハーフブリッジの制御信号と時間的に同期化された、電流センサの測定時点を定義するために構成される。それにより、相応のハーフブリッジが作動化される時点で、すなわち通電される時点で、電流センサの測定値が考慮されることが実現される。このようにして、PWM法の各々のパルスで、ハーフブリッジにより供給または調達される電流を測定することができる。したがって電気出力を計算するときに、変換ユニットのそれぞれ個々のハーフブリッジの電流を考慮することができ、このことは、あたかも結果として生じる全体電流だけが考慮されたかのような、いっそう正確な出力測定に帰結する。それによって特に、それぞれのブリッジスイッチの間のむだ時間も考慮されることが可能となる。
【0012】
測定ユニットは、制御信号の周波数にほぼ相当する測定周波数で電流センサに照会をするために構成されていてよい。このケースでは制御ユニットまたは測定ユニットは、時間的に実質的に制御信号のターンオン時間の中央に位置する測定時点を事前に定義する。別案として測定ユニットは、制御信号の周波数よりも高い測定周波数で電流センサに照会をするために構成されていてよい。このケースでは測定ユニットは、1つのPWMパルスの間に複数の測定値を調達し、時間的に実質的に制御信号のターンオン時間tonの中央に位置する測定時点を測定ユニットが事後に選択する。このケースでは測定ユニットは、制御信号のターンオン時間中にセンサ電流を複数の測定時点で照会し、1つのPWMパルスの間で結果として生じる測定値を平均化するために構成されていてもよい。それにより、当該PWMパルスの平均電流値を特別に正確に測定することができる。
【0013】
本発明によると測定ユニットは、変換ユニットの直流電圧側に配置された少なくとも1つの直流電圧センサと接続されることが意図されていてよい。測定ユニットは、測定されたブリッジ電流と、直流電圧側で測定された直流電圧とから、切り換えられる電気出力を決定するために構成されていてよい。このとき原則として、出力の流れがどの方向に向いているかは重要ではない;変換ユニットは、コンバータまたはインバータとして構成されていてよい。有用信号の1つの周期の間に伝送される全体の電気出力は、有用信号の周期時間に対するPWMパルスのそれぞれの時間の長さに関して、PWMパルスで測定された個々の電流値の合計に、測定された直流電圧を乗算したものとして計算することができる。このような計算は、多相の変換ユニットの場合、相ごとに供給または調達される電気出力を決定するために、変換ユニットの個々の相について実行することもできる。
【0014】
さらに測定ユニットは、変換ユニットの電気出力を計算するとき、半導体スイッチと、ハーフリッジのその他の電子コンポーネントとの、たとえば並列につながれたフリーホイーリングダイオードとの、電気的な内部抵抗を考慮するために構成されていてよい。
【0015】
さらに本発明によると、測定ユニットは、変換ユニットの直流電圧側に配置された直流電圧センサとも接続されることが意図されていてよい。したがって測定ユニットは、直流電流側で調達または供給される電気出力を計算することができる。交流電流側で個々のブリッジ電流から計算される電気出力と比較することで、変換ユニットの電気的な効率を計算することができる。
【0016】
さらに本発明は、本発明による測定アセンブリを有する変換器アセンブリに関し、変換ユニットは、切換式のコンバータアセンブリ、切換式のインバータアセンブリ、または切換式の直流電圧コンバータであってよい。このケースでは、測定ユニットは制御ユニットとともに共通のデータ処理ユニットに統合されるのが好ましい。
【0017】
変換ユニットは、たとえば電気モータや発電機などの電気機械に接続されていてよい。測定ユニットも、同じく電気機械と接続されていてよい。
【0018】
特に測定ユニットは、回転数、トルク、加速度などの機械的な測定値を受信するため、および、これらの機械的な測定値から電気機械の機械出力を計算するために構成されていてよい。この目的のために測定ユニットは、機械の外部のセンサに接続するために構成されていてよい。
【0019】
測定ユニットは、電気機械のモータ巻線の温度、冷却媒体の廃熱、または温度差などの熱的な測定値を受信するために構成されていてよい。測定ユニットは、これらの熱的な測定値から電気機械の機械出力を決定するために構成されていてもよい。
【0020】
測定ユニットは、電気的または機械的な測定値から、電気機械の電気的および/または機械的な等価回路のコンポーネントのパラメータを決定するために構成されていてよい。
【0021】
さらに測定ユニットは、変換ユニットの計算された電気出力および電気機械の計算された機械出力から電気機械の効率を決定するために、すなわち電気出力から機械出力への、およびこの逆への変換の効率を決定するために、構成されていてよい。
【0022】
測定ユニットは、電気的および機械的な測定値から導き出される、電気機械の有効出力、無効出力、または出力係数などの特性量を決定するために構成されていてもよい。
【0023】
特に、変換器アセンブリは産業用の用途、車両用の試験台、または車両で適用されることが意図されていてよい。変換器アセンブリの変換ユニットは、試験台の直流電圧中間回路から直流電圧を調達し、またはこれを供給することもできるのが特別に好ましい。試験台での用途の場合、直流電圧センサは、変換ユニットにより調達または供給される電気出力を簡易に計算できるようにするために、中央の直流電圧中間回路に配置され得るのが好ましい。
【0024】
本発明のその他の構成要件は、特許請求の範囲、図面、および以下の説明から明らかとなる。次に、他を排除するのではない実施例を参照しながら本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1a】
図1aは、本発明による測定アセンブリの実施形態の実施例を、電気機械を含めた模式的なブロック図として示す。
【
図1b】
図1bは、本発明による測定アセンブリの実施形態の実施例を、模式的な回路図として示す。
【
図1c】
図1cは、本発明による測定アセンブリの実施形態の別の実施例を、模式的な回路図として示す。
【
図2a】
図2aは、本発明による測定アセンブリの実施形態において、制御信号と、ハーフブリッジの出力回線で結果として生じる電流との推移を模式的に示す。
【
図2b】
図2bは、本発明による測定アセンブリの別の実施形態において、制御信号と、ハーフブリッジの出力回線で結果として生じる電流との推移を模式的に示す。
【
図3】
図3は、本発明による測定アセンブリの別の実施形態の実施例を、模式的な回路図として示す。
【
図4】
図4は、本発明による変換器アセンブリの実施形態の実施例を、模式的なブロック図として示す。
【
図5】
図5は、本発明による測定アセンブリの実施形態の実施例を、インバータアセンブリを含めた模式的なブロック図として示す。
【
図6】
図6は、本発明による測定アセンブリの実施形態の実施例を、切換式の直流電圧コンバータを含めた模式的なブロック図として示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1aは、本発明による測定アセンブリの実施形態の実施例を、模式的なブロック図として示している。測定アセンブリは、電気的な変換ユニット2にある(図示しない)電流センサ6,6'とインターフェースを介して接続された、電子式の測定ユニット1を含んでいる。
【0027】
さらに測定ユニット1は、電気機械7の機械的な量を、すなわち電気機械の速度、加速度、トルク、廃熱などを、測定するためのセンサとインターフェースを介して接続されている。
【0028】
変換ユニット2は、本実施例では、バッテリから提供される直流電圧V1を、電気機械7の動作のための交流電圧Vacに変換する切換式のインバータアセンブリである。変換ユニット2は、電子式の制御ユニット4によって変調方式で時間的にオフセットされた制御信号により切り換えられる、2つの電子式のハーフブリッジ3,3'を含んでいる。本実施例では、制御ユニット4と測定ユニット1は別々のユニットとして構成されている。制御ユニット4は、変換ユニット2の電子式のハーフブリッジ3,3'を制御するためのトリガ時点を計算して、これを変換ユニット2に提供する。電流センサ6,6'は、変換ユニット2のハーフブリッジ3,3'の出力回線または入力回線でブリッジ電流を測定するために配置される。
【0029】
測定ユニット1は制御ユニット4と時間的な同期化のために接続されており、ハーフブリッジ3,3'の制御信号と時間的に同期化された、電流センサ6,6'の測定時点8,8'を定義するために構成されている。それにより測定ユニット1は、ちょうどPWM制御信号がそれぞれのハーフブリッジを作動化させるときに、電流値を検知することができる。
【0030】
図1bは、本発明による測定アセンブリの実施形態の実施例を、模式的な回路図として示している。この回路図では、ここではインバータとして作動する変換ユニット2の内部構造が模式的に示されている。ハーフブリッジ3,3'は、それぞれ2つの電子式の半導体スイッチを含んでおり、すなわち-所望の電圧範囲と所望のダイナミクスに応じて-フリーホイーリングダイオード(図面の見やすさの理由から図示せず)が並列につながれたSiCトランジスタまたはGaNトランジスタQ
1,Q
2,Q
1',Q
2'を含んでいる。これらの半導体スイッチは、制御回線を介して制御ユニット4と接続されている。
【0031】
入力側に、すなわち直流電圧V1の側に、直流電圧センサ10が配置されている。出力側に、すなわち交流電圧Vacの側に、高いダイナミクスを有する電流センサ6,6'がハーフブリッジ3,3'の両方の出力回線に配置されている。直流電圧センサ10と電流センサ6,6'は、データ回線を介して測定ユニット1と接続されている。制御ユニット4は測定ユニット1にトリガ信号を提供して、PWM制御信号と電流測定の同期化を可能にする。
【0032】
図1cは、本発明による測定アセンブリの実施形態の別の実施例を、模式的な回路図として示している。この実施形態は
図1bのものに実質的に相当するが、制御ユニット4が測定ユニット1を含んでおり、換言すると、測定ユニット1の機能が本実施例では制御ユニット4によって担われる。
【0033】
図2aは、スイッチQ1,Q2'またはQ2,Q1'の制御信号の推移を、およびその結果として生じる、
図1bの回路の左側のハーフブリッジ3の出力回線における電流I3の推移を、模式的に示している。ここではスイッチのPWM制御信号が実線で示されている。制御ユニット4は半導体スイッチをPWM変調信号により制御して、出力回線でほぼ正弦波形の電流推移が生じるようにする。破線は電流センサ6,6'の測定時点8,8'を示している。測定ユニット1は、本実施例では制御信号の周波数にほぼ相当する周波数で電流センサに照会を行い、それにより各々のPWM制御信号で電流測定が行われる。周期Tごとに測定される電流値が点で図示されている。PWM制御信号の周期時間は記号Tで表されている。
【0034】
測定ユニット1は、ここでは制御信号の予想される推移がわかっており、時間的に制御信号のターンオン時間tonの中央に実質的に位置する測定時点8,8'を事前に定義する。したがってこの実施形態では、電流センサ6,6'は、PWM制御信号の周波数に相当する周波数に合わせて設計されていなくてはならない。
【0035】
出力信号の伝送される電気出力は、ハーフブリッジの個数Mと、出力信号T
outの周期ごとのPWMパルスの個数Nとにわたる合計として、ハーフブリッジごとに測定された平均のブリッジ電流I
i,jと、変換ユニットの直流電圧側で現在のパルスで測定された直流電圧V
1,jとから計算され、現在のパルスで測定される直流電圧V
1,jは、場合により一定として仮定することもできる。
【数1】
【0036】
計算された伝送される電気出力を、引き続き、電気機械7の機械量から計算される機械出力と対比することができる。
【0037】
電気出力に対する機械出力の比率から、電気機械7の効率を計算することができる。電気機械7の機械出力は、測定された廃熱から決定することもできる。
【0038】
図2bは、制御信号の推移と、その結果としてハーフブリッジの出力回線で生じる電流の推移とを、本発明による測定アセンブリの別の実施形態で模式的に示している。この実施例では測定ユニット1は、数多くの破線によって明らかなように、制御信号の周波数よりも大幅に高い測定周波数で電流センサ6,6'に照会を行う。後になってから初めて、すなわちポストプロセシングステップで、時間的に実質的に制御信号のターンオン時間t
onの中心に位置する測定時点8,8'を測定ユニット1が選択する。出力信号の伝送される電気出力は、ここでも上記の式に従って計算される。このことは、PWM法に合わせた出力測定のフレキシブルな適合化を可能にする;ただし、ハイダイナミック電流センサの使用が必要となる。
【0039】
図3は、本発明による測定アセンブリの別の実施形態の実施例を、模式的な回路図として示している。この実施例では変換ユニット2は、制御ユニット4により電子式に制御される並列に配置された6つのハーフブリッジ3,3',3a,3a',3b,3b'により、直流電圧V
1を、3つの相L1,L2,L3を有する3相交流電圧に変換する3相インバータとして構成される。それぞれ2つのハーフブリッジが、電流補償型のインターリービングスロットル9,9',9a,9a',9b,9b'を介してつなぎ合わされて、それぞれのハーフブリッジの間で平滑な電流意向を可能にする。ハーフブリッジの各々の出力回線に、電流センサ6,6',6a,6a',6b,6b'が配置されている;入力直流電圧が、直流電圧センサ10を通じて測定される。この実施形態でも、測定ユニット1は同じく制御ユニット4に統合されている。測定ユニット1は、電流センサ6,6',6a,6a',6b,6b'と直流電圧センサ10の同期化された測定値から、各々の相L1,L2,L3の電気出力を計算するために構成される。
【0040】
図4は、本発明による変換器アセンブリの実施形態の実施例を、模式的なブロック図として示している。1.この変換器アセンブリは、測定アセンブリと、インバータおよびこれに後置されたコンバータとして作動する2つの変換ユニット2,2'とを含んでいる。この実施形態でも、測定ユニット1は同じく制御ユニット4に統合されている。各々の変換ユニット2,2'で2つの電子式のハーフブリッジ3,3'が、制御ユニット4により変調方式で時間的にオフセットされた制御信号により切り換えられる。すなわち両方の変換ユニット2,2'は、直流電圧V
1を直流電圧V
2に変換する直流電圧コンバータを共同で構成する。
【0041】
両方の変換ユニット2,2'のうちの各々で、ハーフブリッジの入力電流または出力電流が電流センサ6,6'を通じて、制御信号に対して同期して測定される;さらに、直流電圧V1およびV2も同じく測定される。それにより、両方の変換ユニット2,2'の電気出力を互いに別々に測定することができ、各々の変換ユニット2,2'の効率を決定することができる。さらにこの実施例では、入力側と出力側に直流電圧センサ5,5'が設けられている。これらは、変換ユニット2,2'に配置されたダイナミックな電流センサ6,6'をキャリブレーションするために利用され、この目的のために、事前に定義された負荷が出力側に接続される。
【0042】
本発明は本実施例に限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲の枠内にある一切の装置および方法を含む。特に本発明は、一定の切換周波数でのパルス幅変調方式の適用だけに限定されるものではなく、可変の切換周波数でのパルス幅変調方式の適用も含む。
【0043】
ここで使用している用語は狭義に解釈されるべきではない。インバータアセンブリまたはコンバータアセンブリの具体的な回路技術上の具体化は、発明の要部をなすものではない。
【0044】
本発明に基づいて意図されるインバータアセンブリまたはコンバータアセンブリまたは直流電圧コンバータの形態の変換ユニットは、常に、内部の電気的な分離を意図することもでき、たとえば12V、24V、48V、230V、または850Vの直流電圧のもとで10kWから100kWの範囲内の、または最大300kVAの交流電圧出力の、中程度の電気出力から高度の電気出力までについて意図されていてよい。
【0045】
図5は、本発明による測定アセンブリの実施形態の実施例を、模式的なブロック図として示している。この実施例は、電気機械7に代えてインバータアセンブリ11がテストされることによって、
図1aで説明したものと相違する。測定アセンブリは、電気的な変換ユニット2にある(図示しない)電流センサ6,6'とインターフェースを介して接続された、電子式の測定ユニット1を含んでいる。
【0046】
さらに測定ユニット1は、テストされるべきインバータアセンブリ11の電気量すなわち直流電流Idcおよび直流電圧Vdcを測定するためのセンサと、インターフェースを介して接続されている。
【0047】
変換ユニット2は、本実施例では、バッテリから提供される直流電圧V1を、テストされるべきインバータアセンブリ11を作動させるための交流電圧Vacに変換する切換式のインバータアセンブリ11である。変換ユニット2は、電子式の制御ユニット4によって変調方式で時間的にオフセットされた制御信号により切り換えられる、2つの電子式のハーフブリッジ3,3'を含んでいる。本実施例では、制御ユニット4と測定ユニット1は別々のユニットとして構成されている。制御ユニット4は、変換ユニット2の電子式のハーフブリッジ3,3'を制御するためのトリガ時点を計算して、これを変換ユニット2に提供する。電流センサ6,6'は、変換ユニット2のハーフブリッジ3,3'の出力回線または入力回線でブリッジ電流を測定するために配置される。
【0048】
測定ユニット1は制御ユニット4と時間的な同期化のために接続されており、ハーフブリッジ3,3'の制御信号と時間的に同期化された、電流センサ6,6'の測定時点8,8'を定義するために構成されている。それにより測定ユニット1は、ちょうどPWM制御信号がそれぞれのハーフブリッジを作動化させるときに、電流値を検知することができる。
【0049】
テストされるべきインバータアセンブリ11は、特に、電気機械に付属する変換器である。
【0050】
図6は、切換式の直流電圧コンバータ12がテストされる、本発明による測定アセンブリの実施形態の実施例を、模式的なブロック図として示している。測定アセンブリは、電気的な変換ユニット2にある(図示しない)電流センサ6,6'とインターフェースを介して接続された、電子式の測定ユニット1を含んでいる。
【0051】
さらに測定ユニット1は、テストされるべき切換式の直流電圧コンバータ12の電気量すなわち直流電流Idc2および直流電圧Udc2を測定するためのセンサと、インターフェースを介して接続されている。
【0052】
変換ユニット2は、本実施例でも同じく、バッテリから提供される直流電圧V1を、テストされるべき切換式の直流電圧コンバータ12を作動させるための直流電圧Vdcに変換する、切換式の直流電圧コンバータである。変換ユニット2は、電子式の制御ユニット4によって変調方式で時間的にオフセットされた制御信号により切り換えられる、2つの電子式のハーフブリッジ3,3'を含んでいる。本実施例では、制御ユニット4と測定ユニット1は別々のユニットとして構成されている。制御ユニット4は、変換ユニット2の電子式のハーフブリッジ3,3'を制御するためのトリガ時点を計算して、これを変換ユニット2に提供する。電流センサ6,6'は、変換ユニット2のハーフブリッジ3,3'の出力回線または入力回線でブリッジ電流を測定するために配置される。
【0053】
測定ユニット1は制御ユニット4と時間的な同期化のために接続されており、ハーフブリッジ3,3'の制御信号と時間的に同期化された、電流センサ6,6'の測定時点8,8'を定義するために構成されている。それにより測定ユニット1は、ちょうどPWM制御信号がそれぞれのハーフブリッジを作動化させるときに、電流値を検知することができる。
【0054】
テストされるべき直流電圧コンバータ12は、特に、車両の燃料電池に後置される直流電圧コンバータであり、または、直流電圧充電インフラストラクチャーの直流電圧コンバータである。
【符号の説明】
【0055】
1 測定ユニット
2,2' 変換ユニット
3,3',3a,3a',3b,3b' ハーフブリッジ
4 制御ユニット
5,5' 直流電流センサ
6,6',6a,6a',6b,6b' 電流センサ
7 電気機械
8,8' 測定時点
9,9',9a,9a',9b,9b' インターリービングスロットル
10,10' 直流電圧センサ
11 インバータアセンブリ
12 直流電圧コンバータ
【国際調査報告】