(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】コンプレッサ駆動シャフトアセンブリ及びこれを含むコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/62 20060101AFI20230704BHJP
F04D 29/056 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
F04D29/62 F
F04D29/056 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575757
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021035571
(87)【国際公開番号】W WO2021252247
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511158339
【氏名又は名称】エマーソン クライメイト テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウィルクス,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ゼージ
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB46
3H130AC11
3H130BA16D
3H130BA16E
3H130DB01Z
3H130DB02X
3H130EA01C
3H130EA01D
3H130EA01E
3H130EB02D
3H130ED02C
3H130ED02D
3H130ED02E
(57)【要約】
コンプレッサシステムは、コンプレッサハウジングと、コンプレッサハウジング内に回転可能に支持される駆動シャフトとを含む。コンプレッサシステムは、駆動シャフトの回転時に入ってくる冷媒ガスに運動エネルギーを与えるインペラと、駆動シャフトに結合されるスラストディスクと、コンプレッサハウジングに取り付けられる軸受アセンブリとをさらに含む。インペラは、内面を有するインペラ・ボアを含み、スラストディスクは、外側ディスク及びハブを含む。軸受アセンブリは、スラストディスクの外側ディスクを回転可能に支持する。ハブは、インペラ・ボア内に配置され、インペラ・ボアの内面と接触するハブ外面を含む。ハブ外面とインペラ・ボアの内面との間の第1の接触力は、駆動シャフトの回転速度の上昇とともに増大する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサシステムであって、当該コンプレッサシステムは、
コンプレッサハウジングと、
該コンプレッサハウジング内に回転可能に支持される駆動シャフトと、
該駆動シャフトの回転時に入ってくる冷媒ガスに運動エネルギーを与えるインペラであって、内面を有するインペラ・ボアを含むインペラと、
前記駆動シャフトに結合されるスラストディスクであって、該スラストディスクは外側ディスク及びハブを含み、該ハブは前記インペラ・ボア内に配置され、前記ハブは、前記インペラ・ボアの前記内面と接触するハブ外面を含み、該ハブ外面と前記インペラ・ボアの前記内面との間の第1の接触力が、前記駆動シャフトの回転速度の上昇とともに増大する、スラストディスクと、
前記コンプレッサハウジングに取り付けられる軸受アセンブリであって、前記スラストディスクの前記外側ディスクを回転可能に支持する軸受アセンブリと、を含む、
コンプレッサシステム。
【請求項2】
前記スラストディスクはスラストディスク・ボアを規定し、前記駆動シャフトは前記スラストディスク・ボア内に圧入される、請求項1に記載のコンプレッサシステム。
【請求項3】
前記スラストディスク・ボアはボア内面を含み、該ボア内面は前記駆動シャフトと接触し、前記ボア内面と前記駆動シャフトとの間の摩擦接続が前記駆動シャフトの回転速度動作中に維持される、請求項2に記載のコンプレッサシステム。
【請求項4】
前記ボア内面は、前記外側ディスクに近接する第1のボア内面と、前記外側ディスクから遠位にある第2のボア内面とを含み、第2の接触力が、前記第2のボア内面と前記駆動シャフトとの間にある、請求項3に記載のコンプレッサシステム。
【請求項5】
前記ハブ外面は、前記外側ディスクに近接する第1の部分と、前記外側ディスクの遠位にある第2の部分とを含み、前記第1の接触力は、前記ハブ外面の前記第1の部分と前記インペラ・ボアの前記内面との間にある、請求項1に記載のコンプレッサシステム。
【請求項6】
前記駆動シャフトは内側止まり穴を含み、前記内側止まり穴はボアねじ部分を含む、請求項1に記載のコンプレッサシステム。
【請求項7】
前記インペラ・ボア及び前記駆動シャフトの前記内側止まり穴内に配置されたねじを含み、該ねじは、前記ボアねじ部分と螺合するねじ山部分を含む、請求項6に記載のコンプレッサシステム。
【請求項8】
前記駆動シャフトの回転は、前記ボアねじ部分と螺合するねじを外さない、請求項7に記載のコンプレッサシステム。
【請求項9】
前記外側ディスクは、外側ディスク半径及び外側ディスク慣性モーメントを含み、前記ハブは、ハブ半径及びハブ慣性モーメントを含み、前記外側ディスク半径及び前記外側ディスク慣性モーメントは、前記ハブ半径及び前記ハブ慣性モーメントよりも大きい、請求項1に記載のコンプレッサシステム。
【請求項10】
前記インペラは、前記駆動シャフトに直接結合されていない、請求項1に記載のコンプレッサシステム。
【請求項11】
コンプレッサのための駆動シャフトアセンブリであって、当該駆動シャフトアセンブリは、
駆動シャフトと、
該駆動シャフトに結合され、外側ディスク及びハブを含むスラストディスクであって、前記ハブはハブ外面を含む、スラストディスクと、
該スラストディスクに結合されるインペラであって、内面を有するインペラ・ボアを含むインペラと、を含み、
前記スラストディスクの前記ハブは前記インペラ・ボア内に配置され、前記ハブ外面は前記インペラ・ボアの前記内面と接触しており、前記ハブ外面と前記インペラ・ボアの前記内面との間の第1の接触力が、前記駆動シャフトの回転速度の上昇とともに増大する、
駆動シャフトアセンブリ。
【請求項12】
前記スラストディスクはスラストディスク・ボアを規定し、前記駆動シャフトは前記スラストディスク・ボア内に圧入される、請求項11に記載の駆動シャフトアセンブリ。
【請求項13】
前記スラストディスク・ボアはボア内面を含み、前記ボア内面は前記駆動シャフトと接触しており、前記ボア内面と前記駆動シャフトとの間の摩擦接続が前記駆動シャフトの回転速度動作中に維持される、請求項12に記載の駆動シャフトアセンブリ。
【請求項14】
前記ボア内面は、前記外側ディスクに近接する第1のボア内面部分と、前記外側ディスクの遠位にある第2のボア内面部分とを含み、第2の接触力が、前記第2のボア内面部分と前記駆動シャフトとの間にある、請求項13に記載の駆動シャフトアセンブリ。
【請求項15】
前記ハブ外面は、前記スラストディスクに近接する第1のハブ部分と、前記スラストディスクの遠位にある第2のハブ部分とを含み、前記第1の接触力は、前記ハブ外面の前記第1のハブ部分と前記インペラ・ボアの前記内面との間にある、請求項11に記載の駆動シャフトアセンブリ。
【請求項16】
前記駆動シャフトは内側止まり穴を含み、該内側止まり穴はボアねじ部分を含む、請求項11に記載の駆動シャフトアセンブリ。
【請求項17】
前記インペラ・ボア及び前記駆動シャフトの前記内側止まり穴内に配置されたねじを含み、該ねじは、前記ボアねじ部分と螺合するねじ山部分を含む、請求項16に記載の駆動シャフトアセンブリ。
【請求項18】
前記外側ディスクは、外側ディスク半径及び外側ディスク慣性モーメントを含み、前記ハブは、ハブ半径及びハブ慣性モーメントを含み、前記外側ディスク半径及び前記外側ディスク慣性モーメントは、前記ハブ半径及び前記ハブ慣性モーメントよりも大きい、請求項11に記載の駆動シャフトアセンブリ。
【請求項19】
前記インペラは、前記駆動シャフトに直接結合されていない、請求項11に記載の駆動シャフトアセンブリ。
【請求項20】
コンプレッサを組み立てる方法であって、当該方法は、
駆動シャフトをスラストディスクのスラストディスク・ボアに挿入することによって、前記スラストディスクを前記駆動シャフトに結合するステップと、
前記スラストディスクのハブをインペラのインペラ・ボア内に挿入することにより、前記インペラを前記スラストディスクに結合し、前記ハブの外面が前記インペラ・ボアの内面と接触し、前記ハブの外面と前記インペラ・ボアの前記内面との間の第1の接触力が、駆動シャフトの回転速度の上昇とともに増大する、ステップと、
軸受が前記スラストディスクの外側ディスクを回転可能に支持するように、前記軸受をコンプレッサハウジングに取り付けるステップと、を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年6月9日に出願した米国非仮特許出願第16/946,173号に対する優先権を主張するものであり、この文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、概して、コンプレッサのための駆動シャフトアセンブリに関し、より具体的には、コンプレッサで使用するためのスラストディスク及びインペラを含む駆動シャフトアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
R134A等の最近のCFCを含まない商用冷媒組成物は、R12等の以前に使用していたCFC又はHCFC冷媒と比較して密度が低いことを特徴とする。その結果、空調システムは、同等量の冷却能力を提供するために、CFC又はHCFC冷媒と比較して、CFCを含まないより大量の冷媒組成物を処理しなければならない。大量の冷媒を処理するために、ガスコンプレッサの設計を変更して、冷媒をより高い動作速度で処理する、及び/又はより高い効率で動作させる場合がある。
【0004】
連続的な動的圧縮を利用する遠心コンプレッサは、容積式圧縮を利用する往復、回転、スクロール、及びスクリュー式コンプレッサ等の他のコンプレッサ設計に対して少なくともいくつかの利点を提供する。遠心コンプレッサには、少なくとも一部の容積式コンプレッサの設計に比べて、振動が少ない、効率が高い、構造がよりコンパクトでこれに伴い重量が軽い、信頼性が高い、磨耗し易い部品点数が少ないためメンテナンスコストが低い等、多くの利点がある。遠心コンプレッサを採用した大容量冷却システムは、駆動シャフトを高回転速度で作動させて動力をモータからインペラに伝達させ、入ってくる冷媒に運動エネルギーを与える。高回転速度の駆動シャフトに関連する課題を軽減するために、遠心コンプレッサは、典型的に、比較的厳しい公差及び高い製造精度を必要とする。さらに、モータ、ポンプ、タービン等の他のタイプの機械システムも、高回転速度で駆動シャフトを作動させる。これらのタイプの回転機械システムに精通している人には知られているように、駆動シャフトに取り付けられる構成要素の緩み及び位置ずれが動作中に発生する可能性があり、不均衡な負荷が発生して振動が発生し、駆動シャフトに周期的な応力負荷がかかり、動作寿命が短くなり、早期故障、特に軸受及びシールの早期故障が発生する可能性がある。
【0005】
遠心コンプレッサは、駆動シャフトを支持し及びこのシャフトの位置合せを維持する1つ又は複数の軸受アセンブリを含む。典型的な遠心コンプレッサでは、インペラ及びスラストディスク等の構成要素が、例えば圧入又は焼き嵌め等の摩擦嵌め接続を使用して駆動シャフトに個別に結合される。高速で回転する駆動シャフト、インペラ、及びスラストディスクは、回転速度の上昇とともに増大する遠心力を誘発する。遠心力は、回転軸から離れる方向に、半径方向に向けられ、構成要素を駆動シャフトから離れる外側に引っ張り、摩擦嵌め接続を緩める。さらに、構成要素の慣性、特に回転軸から離れる方向に延びる質量の半径方向の分布は、駆動シャフトとの摩擦接続をさらに緩める遠心力に寄与する。接続が緩むと偏心荷重が発生し、取り付けた構成要素の質量中心が駆動シャフトの回転軸と一致しなくなる。偏心負荷の影響は、高回転速度でさらに大きくなり、振動が発生して摩耗が増加し、システムのダウンタイムが増加する可能性がある。
【0006】
高回転速度の駆動シャフトに取り付けられる構成要素の設計は、駆動シャフトと構成要素との間の摩擦嵌め接続を維持するという進行中の課題を提起する。さらに、高回転動作速度中に駆動シャフトの回転軸と一致する構成要素の重心の位置合せを維持することにより、遠心コンプレッサの構成要素を損傷する可能性のある振動につながる偏心負荷を回避することが容易になる。
【0007】
この背景技術の段落は、以下で説明及び/又は特許請求に記載される、本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図している。この議論は、読者に背景技術の情報を提供して、本開示の様々な態様のより良い理解を促すのに役立つと考えられる。従って、これらの記述は、先行技術の承認としてではなく、この先行技術の観点から読むべきであると理解すべきである。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、コンプレッサシステムは、コンプレッサハウジングと、コンプレッサハウジング内に回転可能に支持される駆動シャフトとを含む。コンプレッサシステムは、駆動シャフトの回転時に入ってくる冷媒ガスに運動エネルギーを与えるインペラと、駆動シャフトに結合されるスラストディスクと、コンプレッサハウジングに取り付けられる軸受アセンブリとをさらに含む。インペラは、内面を有するインペラ・ボアを含み、スラストディスクは、外側ディスク及びハブを含む。軸受アセンブリは、スラストディスクの外側ディスクを回転可能に支持する。ハブは、インペラ・ボア内に配置され、インペラ・ボアの内面と接触するハブ外面を含む。ハブ外面とインペラ・ボアの内面との間の第1の接触力は、駆動シャフトの回転速度の上昇とともに増大する。
【0009】
別の態様では、コンプレッサのための駆動シャフトアセンブリは、駆動シャフト、駆動シャフトに結合されるスラストディスク、及びスラストディスクに結合されるインペラを含む。スラストディスクは外側ディスク及びハブを含み、ハブはハブ外面を含む。インペラは、内面を有するインペラ・ボアを含む。スラストディスクのハブは、インペラ・ボア内に配置され、ハブ外面はインペラ・ボアの内面と接触する。ハブ外面とインペラ・ボアの内面との間の第1の接触力は、駆動シャフトの回転速度の上昇とともに増大する。
【0010】
さらに別の態様では、コンプレッサを組み立てる方法は、駆動シャフトをスラストディスクのスラストディスク・ボアに挿入することによって、スラストディスクを駆動シャフトに結合するステップを含む。この方法はさらに、スラストディスクのハブをインペラのインペラ・ボア内に挿入することによって、インペラをスラストディスクに結合させ、それによって、ハブの外面がインペラ・ボアの内面と接触し、ハブ外面とインペラ・ボアの内面との間の第1の接触力は、駆動シャフトの回転速度の上昇とともに増大するステップを含む。この方法はさらに、軸受がスラストディスクの外側ディスクを回転可能に支持するように、軸受をコンプレッサハウジングに取り付けるステップを含む。
【0011】
上述の態様に関連して言及した特徴の様々な改良が存在する。更なる特徴も、上述した態様に同様に組み込むことができる。これらの改良点及び追加の特徴は、個別に、又は任意の組合せで存在する可能性がある。例えば、例示した実施形態のいずれかに関連して以下で議論する様々な特徴は、単独で、又は任意の組合せで、上記の態様のいずれかに組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図は、本開示の様々な態様を示している。
【
図1】組み立てられたコンプレッサの斜視図である。
【
図2】
図1の線2-2に沿って切り取られたコンプレッサの断面図である。
【
図3】
図2のコンプレッサの一部の拡大断面図である。
【
図4】駆動シャフトの端部に取り付けられるスラストディスク及びインペラを含むコンプレッサの駆動シャフトアセンブリの断面図である。
【
図5】
図4の駆動シャフトの端部に取り付けられるスラストディスク及びインペラの拡大断面図である。
【
図6】
図5の駆動シャフトの端部に取り付けられるスラストディスク、スラスト軸受、及びインペラの拡大断面図である。
【
図7】
図4のスラストディスク、インペラ、及び駆動シャフトを含む駆動シャフトアセンブリの分解図である。 対応する参照符号は、図面全体に亘って対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、二段冷媒コンプレッサの形態で示されるコンプレッサが全体的に100で示されている。コンプレッサ100は、一般に、少なくとも1つの密封されたキャビティを形成するコンプレッサハウジング102を含み、そのキャビティ内で、冷媒圧縮の各段階が達成される。コンプレッサ100は、冷媒蒸気を第1の圧縮段に導入する第1の冷媒入口110、第1の冷媒出口114、圧縮した冷媒を第1の圧縮段から第2の圧縮段に移送する冷媒移送導管112、冷媒蒸気を第2の圧縮段(
図1に図示せず)に導入する第2の冷媒入口118、及び第2の冷媒出口120を含む。冷媒移送導管112は、反対側の端部で第1の冷媒出口114及び第2の冷媒入口118のそれぞれに動作可能に接続される。第2の冷媒出口120は、圧縮した冷媒を、第2の圧縮段から、コンプレッサ100を組み込んだ冷却システムに送る。冷媒移送導管112は、必要に応じてコンプレッサ100において冷媒を追加又は除去するための冷媒ブリード(bleed)122をさらに含むことができる。
【0014】
図2を参照すると、コンプレッサハウジング102は、コンプレッサ100の両端で第1の圧縮段124及び第2の圧縮段126を取り囲む。第1の圧縮段124は、第1の冷媒入口110を介して入る流入冷媒ガスに運動エネルギーを与えるように構成された第1段のインペラ106を含む。第1段のインペラ106によって冷媒に与えられた運動エネルギーは、第1段の入口リング101と外側コンプレッサハウジング102の部分との間に形成されるディフューザへの移送時に冷媒速度が減速されるにつれて、増大した冷媒圧力(すなわち、圧縮)に変換される。同様に、第2の圧縮段126は、第1の圧縮段階124から移送され、第2の冷媒入口118を介して入る冷媒に運動エネルギーを加えるように構成された第2段のインペラ116を含む。第2段のインペラ116によって冷媒に与えられるエネルギーは、第2段の入口リング103と外側コンプレッサハウジング102の第2部分との間に形成されるディフューザへの移送時に冷媒速度が減速されるにつれて、増大した冷媒圧力(すなわち、圧縮)に変換される。圧縮した冷媒は、第2の冷媒出口120(
図2には図示せず)を介して第2の圧縮段126を出る。
【0015】
第1段のインペラ106及び第2段のインペラ116は、駆動シャフト軸A104の周りを回転する駆動シャフト104の両端で接続される。駆動シャフトは、駆動シャフトの第1の端部130から駆動シャフトの第2の端部132まで延びており、駆動シャフト軸A104に関して軸対称である。さらに、駆動シャフト軸A104は、駆動シャフト104の重心を通って延びる。駆動シャフト104は、第1段のインペラ106と第2段のインペラ116との間に位置付けされたモータ108に動作可能に接続され、モータ108は駆動シャフト104を駆動シャフト軸A104の周りに回転させる。第1段のインペラ106及び第2段のインペラ116は両方とも駆動シャフト104に結合され、第1段のインペラ106及び第2段のインペラ116は、選択した回転速度で回転し、冷媒を第2の冷媒出口120から出る予め選択した圧力まで圧縮するようにする。電気モータを含むがこれに限定されない任意の適切なモータをコンプレッサ100に組み込むことができる。
【0016】
図2~
図4を参照すると、駆動シャフト104は、第1のシャフト部分の半径R
134を有する第1のシャフト部分134と、第1のシャフト部分の半径R
134よりも小さい第2のシャフト部分の半径R
136を含む減少した直径を有する第2のシャフト部分136とを含む。すなわち、駆動シャフト104は、第1段のインペラ106に近接して、駆動シャフトの第1の端部130に近接するステップダウン機構を含む。第1のシャフト部分134は、第1の端面138を含み、第2のシャフト部分136は、第1の端面138の遠位に、駆動シャフトの第1の端部130に配置された第2の端面140を含む。第2のシャフト部分136は、駆動シャフト軸A
104に沿って第1の端面138と第2の端面140との間に延びる第2のシャフト部分長さL
136を含む。駆動シャフト104はさらに、駆動シャフト軸A
104に沿って第2の端面140からボア長さL
142まで駆動シャフト104内に軸方向内側に延びる止まり穴(blind bore:ブラインド・ボア)142を含む。すなわち、止まり穴142は、駆動シャフト軸A
104と同軸である。いくつかの例示的な実施形態では、ボアの長さL
142は、第2のシャフト部分L
136の長さと実質的に同じ長さであり得る。ボア142は、駆動シャフト軸A
104から止まり穴142の境界を規定するボア内面144まで延びる半径R
142を含む。ボア半径R
142は、第2のシャフト部分の半径R
134よりも小さく、第2のシャフト部分136は、ボア内面144と第2のシャフト部分の外面146との間に延びる厚さT
136を有する環状壁を含む。ボア142は、テーパー付きの端部148(
図4)と、ボアの内面144に規定されるねじ部分とをさらに含む。
【0017】
図2~
図3を参照すると、スラスト軸受アセンブリ200は、コンプレッサの動作中に(例えば、第1段のインペラ106及び/又は第2段のインペラ116によって生成されるスラスト力から)駆動シャフト104に加えられる軸方向力を支持する。軸方向力は、駆動シャフト軸A
104に略平行に向けられる。スラスト軸受アセンブリ200は、例えばローラ型軸受、流体膜軸受、エアフォイル軸受、及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない、任意の適切な軸受タイプを含むことができる。スラスト軸受アセンブリ200は、コンプレッサハウジング102に結合される軸受ブラケット202を含む。軸受ブラケット202は、ある距離だけ離間し、且つスラスト軸受アセンブリ200のスラストディスク204の軸方向の両側に配置された第1のプレート202a及び第2のプレート202bを含む。第1及び第2のプレート202a及び202bは、形状が環状であり、コンプレッサ100が(
図3に示されるように)組み立てられるとき駆動シャフト104の少なくとも一部をその中に受け入れる中央開口部(符号なし)を含む。第1及び第2のプレート202a及び202bは、例えば圧入接続及び/又は機械的締結を含むがこれらに限定されない、任意の適切な手段を使用してコンプレッサハウジング102に結合され得る。第1及び第2のプレート202a及び202bのそれぞれは、スラスト軸受アセンブリ200の軸受を支持及び係合するために、対向する第1のプレート202a又は第2のプレート202bに面する内面を含み得る。
【0018】
図4~
図6を参照すると、スラストディスク204は、中央ハブ216と、このハブ216から半径方向外向きに延びる外側ディスク210とを含む。スラストディスク204、具体的には図示の実施形態におけるハブ216は、スラストディスク・ボア206を規定し、スラストディスク・ボア206の境界を規定するスラストディスク・ボア面208を含む。スラストディスク軸A
204はスラストディスク204の重心を貫いて延び、スラストディスク204はスラストディスク軸A
204に関して軸対称である。スラストディスク・ボア206は、スラストディスク軸A
204からスラストディスク・ボア面208まで延びる半径R
206を有する。駆動シャフト104の第2のシャフト部分136は、スラストディスク・ボア206に突出してこれを貫いて延びており、スラストディスク軸A
204及び駆動シャフト軸A
104は一致している。
【0019】
スラストディスク204は、摩擦又は圧入接続によって駆動シャフト104に結合される。例えば、スラストディスク・ボア面208は、第2のシャフト部分の外面146と摩擦係合し、外側ディスク210は、駆動シャフト104の第1の端面138と摩擦係合し、駆動シャフト104の回転によって回転をスラストディスク204に伝達するようにする。スラストディスク・ボア面208は、第2のシャフト部分の外面146と、制限されたギャップ又はスペースで、又は全くギャップ又はスペースなしで接触している。さらに、半径R206は、スラストディスク204と駆動シャフト104との間に干渉が生じるようなサイズにされる。例示的な実施形態では、スラストディスク204等の構成要素は、締まり嵌め及び/又は摩擦嵌めとも呼ばれる圧入によって駆動シャフト104に結合される。干渉する2つの部品を圧入組立した後に、2つの部品の合わせ面の間に摩擦が発生する。スラストディスク204と駆動シャフト104との間の干渉量に基づいて、スラストディスク204は、ハンマー又は油圧ラムを使用して駆動シャフト104に組み付けられ得る。場合によっては、焼き嵌め技術を使用して構成要素を組み付けることができる。焼き嵌め技術は、焼き嵌めによって結合される構成要素を選択的に加熱及び/又は冷却することによって行われる。いくつかの実施形態では、例えば、スラストディスク204が加熱され、スラストディスク・ボア206を拡張させ、膨張したスラストディスク・ボア206内に第2のシャフト部分136を挿入して位置付けできるようにする。その後、スラストディスク・ボア206は、スラストディスク204の冷却時に収縮し、第2のシャフト部分136の周りに縮まる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の整列機構又は構成要素を使用して、嵌合構成要素を組み立てることができ、これには、例えば、整列(位置合せ)ピン、キー付き(キー溝)機構、又はスラストディスクと駆動シャフトとの間に係合する他の機構が含まれる。
【0020】
駆動シャフト104、第1段のインペラ106、及びスラストディスク204は、コンプレッサ100の駆動シャフトアセンブリ201の一部である。図示の実施形態では、駆動シャフトアセンブリ201は、第2段のインペラ116も含む。駆動シャフトアセンブリ201は、他の実施形態では、追加の又はより少ない構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、第2段のインペラ116は、第1段のインペラ106と同じ方法でスラストディスクによって駆動シャフト104の第2の端部132に結合され得る。
【0021】
再び
図5を参照すると、外側ディスク210は、第1のディスク面212と、第1のディスク面212からディスク長さL
210だけ軸方向に離間した対向する第2のディスク面214とを含む。ハブ216は、第2のディスク面214からハブ端面218までハブ長さL
216だけ軸方向に延びる。スラストディスク204の全長は、ディスク長さL
210及びハブ長さL
216を含む。いくつかの実施形態では、ハブ長さL
216は、ディスク長さL
210よりも長い。外側ディスク210は、スラストディスク軸A
204から外側ディスク210の外周面219まで測定されたディスク半径R
210を有する。ハブ216は、スラストディスク軸A
204からハブ216の半径方向外面220まで測定されたハブ半径R
216を有する。外側ディスク210及びハブ216は、一体的に、すなわち、鋳造又は積層造形等によって単一部材として形成される。他の実施形態では、外側ディスク210及びハブ216は、別々に形成され、例えば溶接接続等の任意の適切な手段を使用して結合してもよい。
【0022】
ハブ半径R216は、ディスク半径R210よりも小さい。図示の実施形態では、例えば、ディスク半径R210は、ハブ半径R216よりも約2~3倍大きい。他の実施形態では、ディスク半径R210は、ハブ半径R216よりも2~3倍大きいか、又は小さくてもよい。さらに、外側ディスク210の質量は、ハブ216の質量より大きい。遠心力は、質量及び質量の半径方向分布に比例する。従って、外側ディスク210に発生する遠心力は、駆動シャフト104の高速回転中にハブ216に発生する遠心力よりも大きい。いくつかの実施形態では、外側ディスク210にかかる遠心力は、ハブ216にかかる遠心力よりもはるかに大きい。
【0023】
スラストディスク・ボア206の半径R
206は、第1のシャフト部分134の第1の半径R
134(
図2)より小さい。第1のディスク面212の少なくとも一部が、第1のシャフト部分134の第1の端面138と接触している。さらに、外側ディスク半径R
210は、外側ディスク210の一部が第1のシャフト部分134から半径方向外向きに延びるように、第1のシャフト部分半径R
134より大きい。スラストディスク204は、スラストディスク軸A
204を通る平面の周りのスラストディスク204の断面が、第2のシャフト部分136の各側に配置された略「L字形」の外形をもたらすように、成形される。外側ディスク210は、外側ディスク210の少なくとも一部が軸受ブラケット202の第1のプレート202aと第2のプレート202bとの間に配置されるように、駆動シャフト104から離れる方向に延びる。第1のディスク面212は、第1のプレート202aに向けて(すなわち、向かい合って)配置され、第2のディスク面214は、第2のプレート202bに向けて(すなわち、向かい合って)配置される。適切な軸受が、第1及び第2のプレート202a、202bによって支持され、外側ディスク210と回転可能に係合し、それによって、外側ディスク210が第1のプレート202a及び第2のプレート202bに対して回転できるようにする。
【0024】
図5~
図7を参照すると、第1段のインペラ106は、インペラ軸A
106に沿ってインペラの第1の端部302とインペラの第2の端部304との間で長さL
106に延びる。インペラ軸A
106は、インペラ106の重心を通って延びる。インペラ106は、軸対称である、つまり、インペラ軸A
106に関して対称である。インペラ106はさらに、インペラの第1の端部302からインペラ106内に軸方向に延びる第1のインペラ・ボア306と、インペラの第2の端部304からインペラ106内に軸方向に延びる第2のインペラ・ボア308とを含む。第1のインペラ・ボア306は半径R
306を有しており、第2のインペラ・ボア308は半径R
308を有する。半径R
306はR
308より大きい。第1のインペラ・ボア306及び第2のインペラ・ボア308は、インペラの第2の端部304からインペラの第1の端部302までインペラ106を完全に通過する開口部を集合的に形成するように配置される。インペラ106は、複数の羽根(vane)をさらに含み、シュラウド(shroud:覆い)を含み得る。インペラ106は、入ってくる冷媒に運動エネルギーを与えるために使用される任意の適切なタイプの羽根を含むことができる。
【0025】
第1のインペラ・ボア306は、第1のインペラ・ボア306の境界を規定するインペラ内面310を含む。スラストディスク204のハブ216は、インペラ軸A106が、スラストディスク軸A204と駆動シャフト軸A104との両方と一致するように、インペラ106の第1のインペラ・ボア306内に配置される。ハブ216は、外面220がインペラの内面310と最小限のギャップ又はスペースで摩擦接続されるように、第1のインペラ・ボア306内に圧入される。いくつかの例示的な実施形態では、ハブ216は、焼き嵌め技術を使用して第1のインペラ・ボア306と摩擦接続することができる。従って、駆動シャフト104の回転は、スラストディスク204及びインペラ106の回転をもたらす。スラストディスク204は、トルクを駆動シャフト104からインペラ106に伝達し、こうして、インペラ106は駆動シャフト104に直接取り付けられない。スラストディスク204及びインペラ106は、スラストディスク204及びインペラ106の重心が駆動シャフト軸A104と整列するように、駆動シャフト104に対して配置される。換言すれば、駆動シャフト軸A104、スラストディスク軸A204、及びインペラ軸A106は全て同軸である。さらに、駆動シャフト104、スラストディスク204、及びインペラ106のアセンブリは、駆動シャフト軸A104に関して軸対称である。
【0026】
再び
図6を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、ハブ216は、外側ディスク210から延びる第1のハブ部分216aと、第1のハブ部分216aから延びる第2のハブ部分216bとを含む。第1のハブ部分216aは、第1の外面220aと、スラストディスク・ボア206の第1の部分206aを規定する第1の内面208aとを含む。第1のハブ部分216aは、スラストディスク軸A
204から第1の内面208aまで測定される内側ハブ半径(図示せず)と、スラストディスク軸A
204から第1の外面220aまで測定される外側半径(図示せず)とを有する。第2のハブ部分216bは、第2の外面220bと、スラストディスク・ボア206の第2の部分206bを規定する第2の内面208bとを含む。第2のハブ部分216bは、スラストディスク軸A
204から第2の内面208bまで測定される内側ハブ半径(図示せず)と、スラストディスクA
204から第2の外面220bまで測定される外側半径(図示せず)とを含む。第2のハブ部分216bの外径は、第1のハブ部分216aの外径よりも小さいので、第1の外面220aとインペラ内面310との間の干渉は、第2の外面220bとインペラ内面310との間の干渉と比較してより大きくなる(すなわち、より緊密に嵌合する)。いくつかの実施形態では、第2の外面220bとインペラ内面310との間にクリアランス又はギャップC
2があってもよい。例えば、クリアランスC
2は、0.1~1ミリメートル(mm)であり得る。第2のハブ部分216bの第2の外面220bは、分解中に駆動シャフト104からのスラストディスク204の取り外しを容易にすることができるねじ山を含むことができる。
【0027】
第2のハブ部分216bの内径は、第1のハブ部分216aの内径より小さくてもよく、それによって、第2の内面208bは、第1の内面208aと駆動シャフト104との間の干渉と比較して、駆動シャフト104とのより大きな干渉(すなわち、より緊密な嵌合)を有する。いくつかの実施形態では、第1の内面208aと駆動シャフト104との間にクリアランス又はギャップC1があってもよい。例えば、第1の内面208aと駆動シャフト104との間のクリアランスC1は、0.1~1(mm)であり得る。
【0028】
駆動シャフト104、スラストディスク204、及びインペラ106の回転は、駆動シャフト軸A104に直交する半径方向外向きの遠心力を誘発する。誘発される遠心力は、回転速度の2乗に比例して増加する。遠心力は、回転軸、すなわち駆動シャフト軸A104の周りの質量の半径方向分布に比例する慣性力である。外側ディスク210は、ハブ216のハブ半径R216と比較して、より大きな半径R210を有する。従って、外側ディスク210は、ハブ216が受ける遠心力と比較して、より大きな遠心力を受ける。外側ディスク210にかかる遠心力は、外側ディスク210を、駆動シャフト軸A104に直交して、駆動シャフト104から離れる半径方向に引っ張る。外側ディスク210にかかる遠心力はまた、外側ディスク210に近接する第1のハブ部分216aに対して半径方向外向きの力を加える。第1のハブ部分216aに及ぼされる半径方向外向きの力は、第1のハブ部分216aの第1の外面220aに、第1の接触力F1と呼ばれるインペラ内面310に対する力を加えさせ、それにより、第1の外面220aとインペラ内面310との間の摩擦接続(力)を増大させる。第1の接触力F1は、駆動シャフト104の回転速度の上昇とともに増大し、ハブ216とインペラ106との間の摩擦接続を維持し、高回転動作速度でインペラ106の重心とスラストディスク204の重心の位置合せを維持するための十分高い接触力を提供する。
【0029】
第2のハブ部分216bにかかる遠心力は、第2のハブ部分216bを駆動シャフト104から半径方向外向きに引っ張る。外側ディスク210及び第1のハブ部分216aにかかる遠心力は、第2のハブ部分216bを、駆動シャフト104に向けて半径方向内側方向に僅かに屈曲させることができる。いくつかの実施形態では、第2のハブ部分216bと駆動シャフト104との間の摩擦嵌めは、駆動シャフト104の回転速度の上昇とともに減少し得る。第2のハブ部分216bの第2の内面208bと駆動シャフト104との間の接触力F2は、スラストディスク204と駆動シャフト104との間の摩擦接続、及び駆動シャフト104の通常の動作速度でスラストディスク204の重心を駆動シャフト軸A104と整列するのを維持するのに十分である。換言すれば、駆動シャフト104の回転速度が上昇するにつれて、スラストディスク204と駆動シャフト104との間の締まり嵌め又は接続は、僅かに減少し、スラストディスク204とインペラ106との間の接続はより強く(すなわち、よりきつく)なる。スラストディスク204と駆動シャフト104との間の摩擦嵌め又は接続は、スラストディスク204と駆動シャフト104との間の滑り又は相対運動を防止し、駆動シャフト104からスラストディスク204へのトルクの伝達を可能にし、その結果、駆動シャフト104からインペラ106へのトルクの伝達を可能にする。
【0030】
インペラ106は、第2のインペラ・ボア308及び第1のインペラ・ボア306を通って駆動シャフト104の止まり穴142内に延びるねじ314をさらに含む。ねじ314は、ボア内面144に規定されるねじ溝(図示せず)と係合するねじ山を有するねじ部分を含む。ねじ314は、インペラの第2の端部304と係合するヘッド316を含む。ねじ314が締め付けられると、ねじ314はインペラ106をスラストディスク204に対して圧縮し、それにより、スラストディスク204からインペラへのトルクの伝達を容易にする。より具体的には、ねじ314は、インペラの第1の端部302をスラストディスク204の第2のディスク面214と接触させ、それにより外側ディスク210の一部を、インペラの第1の端部302と駆動シャフト104の第1の端面138との間で圧縮させる。ねじ314を締め付けると、スラストディスク204にクランプ力が生じる。ねじ314のねじ山は、駆動シャフト104の回転によってねじ314のねじ山が止まり穴142のねじ溝と緩んだり外れたりしないように配置される。
【0031】
従って、本開示に示される実施形態では、スラストディスク204、インペラ106、及び駆動シャフト104は、構成要素同士の間の摩擦接続又は嵌合が駆動シャフト104の回転速度動作で概ね維持されるように配置される。駆動シャフト104とスラストディスク204との間の摩擦嵌めは、駆動シャフト104の回転速度の上昇とともに僅かに減少し得る。駆動シャフト104とスラストディスク204との間の摩擦嵌め力の減少は、駆動シャフト104の回転速度に大きく依存しない。さらに、駆動シャフト104の回転速度の上昇は、スラストディスク204とインペラ106との間の摩擦接続力を増大させる可能性がある。より具体的には、駆動シャフト104の回転速度の上昇は、ハブ216とインペラ106との間の第1の接触力F1を増大させ、ハブ216と駆動シャフト104との間の第2の接触力F2を僅かに減少させるだけである。第1及び第2の接触力F1、F2は、組み立てられた構成要素同士の間の摩擦接続を維持するのに十分である。さらに、部品の組立は、スラストディスク204及びインペラ106の重心が回転軸と一致し、高回転速度での偏心負荷を制限するようになっている。
【0032】
説明したシステム及び方法の実施形態は、スラスト軸受アセンブリに関連する従来のシステム及び方法と比較して優れた結果を達成する。スラストディスク、インペラ、及び駆動シャフトアセンブリは、コンプレッサシステムと一致する高回転動作速度での回転構成要素の位置合せの維持を容易にする。駆動シャフトの高い回転動作速度は、スラストディスクとインペラとの間の摩擦嵌め接続(力)を増大させ、スラストディスクと駆動シャフトとの間の摩擦嵌め接続を維持する。いくつかの実施形態では、インペラは駆動シャフトに直接結合されておらず、トルクは駆動シャフトからスラストディスクを介してインペラに伝達される。改良した摩擦嵌め接続により、スラストディスク、インペラ、及び駆動シャフトの重心と回転軸との位置合せが維持される。開示したアセンブリは、典型的に高回転速度で作動する遠心コンプレッサと互換性がある。本明細書に記載の構成要素のアセンブリは、任意のタイプの遠心コンプレッサの設計に組み込むことができる。開示したシステムでの使用に適した遠心コンプレッサの非限定的な例には、単段、二段、及び多段遠心コンプレッサが含まれる。さらに、説明したアセンブリは、高回転速度駆動シャフトに結合されるインペラ及び軸受アセンブリ等の構成要素を有する他の機械システムを含む他の用途によく適している。
【0033】
コンプレッサシステムの駆動シャフトに取り付けられる既知の軸受システム及びインペラとは異なり、本開示に記載のスラストディスク、インペラ、及び駆動シャフトアセンブリは、構成要素の重心の整列(位置合せ)だけでなく、摩擦嵌め接続の維持を可能にし、駆動シャフトの高い回転動作速度に関係なく、どちらも上記の遠心コンプレッサの実装を成功させる上で重要な要素である。さらに、高速回転により、スラストディスクとインペラの間の摩擦嵌めが向上し、摩擦接続が維持され、駆動シャフトへの偏心負荷が防止される。説明したアセンブリは、構成要素の摩耗を低減しながら、改善した動作寿命をもたらし、それにより回転機械の修理及びダウンタイムに関連するコストを削減することができる。説明したアセンブリは、HVACシステムの冷媒コンプレッサの厳しい動作環境で使用するために、インペラ、スラストディスク、及び駆動シャフトの耐用年数及び耐久性を向上させる拡張機能を提供する。
【0034】
冷媒コンプレッサ等のコンプレッサシステム及び方法の例示的な実施形態は、上で詳細に説明している。システム及び方法は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、むしろ、システム及び方法の構成要素は、本明細書に記載の他の構成要素とは独立して別個に使用され得る。例えば、本明細書に記載のインペラ及びスラストディスクは、ターボチャージャーコンプレッサ等の、冷媒コンプレッサ以外のコンプレッサで使用することができる。
【0035】
本開示又はその実施形態の要素を紹介するときに、冠詞「1つの(a,an)」、「その(the)」及び「前記(said)」は、1つ又は複数の要素があることを意味することを意図している。「備える、有する、含む(comprising)」、「含む、有する(including)」、「含む(containing)」、及び「有する、含む(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。特定の向きを示す用語の使用(例えば、「上部」、「下部」、「側面」等)は、説明の便宜のためであり、説明するアイテムの特定の方向を必要としない。
【0036】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構造及び方法に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈すべきでないことを意図している。
【国際調査報告】