(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリマーを着色するための方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/22 20060101AFI20230704BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230704BHJP
C08K 3/10 20180101ALI20230704BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20230704BHJP
C08K 5/23 20060101ALI20230704BHJP
C08K 5/132 20060101ALI20230704BHJP
C08K 5/3437 20060101ALI20230704BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
C08J3/22
C08L101/00
C08K3/10
C08K3/08
C08K5/23
C08K5/132
C08K5/3437
C08K5/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022576341
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021065383
(87)【国際公開番号】W WO2021250052
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319013746
【氏名又は名称】レーム・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Deutsche-Telekom-Allee 9, 64295 Darmstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウアズラ ゴルヒャート
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ リヒター
(72)【発明者】
【氏名】イェルク クラフト
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト ディートリヒ
(72)【発明者】
【氏名】エアンスト ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ナウ
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA32
4F070AE04
4F070FA03
4F070FB04
4F070FB06
4F070FC05
4J002AA011
4J002BC021
4J002BD141
4J002BG041
4J002BG051
4J002BG061
4J002BG101
4J002CF001
4J002CG001
4J002CL001
4J002DA098
4J002DA118
4J002EE057
4J002EJ067
4J002EQ016
4J002EU057
4J002FD096
4J002FD097
(57)【要約】
本発明は、改善された光学的外観および特に高い熱安定性を有する着色成形組成物を製造するための方法に関する。さらに、本発明は、前記着色成形組成物から構成される射出成形部品および押出部品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色成形組成物を製造するための方法であって、
a)熱可塑性ポリマーを提供する工程と、
b)工程a)からの前記熱可塑性ポリマーに、着色調製物または前記着色調製物を含む液体組成物もしくはマスターバッチを添加する工程と
を含み、
前記着色調製物は、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料を含み、
前記着色調製物は、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む、
方法。
【請求項2】
工程b)で添加される前記液体組成物が、前記液体組成物の重量に基づいて、
1.0~30.0重量%の分散添加剤、
0.5~50.0重量%のモノアゾ染料および
0.0~50.0重量%の補助添加剤および
液体、好ましくは、脱塩水
を含み、
前記液体組成物の成分の重量部が、合計100重量%になる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程b)で添加される前記マスターバッチが、前記マスターバッチの重量に基づいて、
0.01~50.0重量%のモノアゾ染料、
50.0~99.99重量%の熱可塑性ポリマー、
0.0~10.0重量%の補助添加剤、
0.0~10.0重量%の更なる着色剤
を含み、
前記マスターバッチの成分の重量部が、合計100重量%になる、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記モノアゾ染料が、5-[(3,4-ジクロロフェニル)アゾ]-1,2-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-1,4-ジメチル-2-オキソニコチノニトリル、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-6-((4-(フェニルアゾ)-1-ナフチル)アゾ)-1H-ペリミジン、シアノ-5-[[5-シアノ-2,6-ビス[(3-メトキシプロピル)アミノ]-4-メチルピリジン-3-イル]アゾ]-3-メチル-2-チオフェンカルボン酸メチルエステル、5-メチル-2-フェニル-4-フェニルアゾ-4H-ピラゾール-3-オン、4-[(2,4-ジメチルフェニル)アゾ]-2,4-ジヒドロ-5-メチル-2-フェニル-3H-ピラゾール-3-オン、3-[(1-オキソナフタレン-2-イリデン)メチルヒドラジニリデン]-1-プロパ-2-エニルインドール-2-オン、4-((o-メトキシフェニル)アゾ)-3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンおよび5-メチル-2-フェニル-4-フェニルアゾ-4H-ピラゾール-3-オンからなるリストから選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリメチルメタクリルイミド、ポリメチルメタクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリマーマトリクスと、前記ポリマーマトリクス中に分散された散乱粒子とを含み、前記散乱粒子が、0.01μm~100.0μmの重量平均粒径を有し、前記散乱粒子の屈折率が、前記ポリマーマトリクスの屈折率と少なくとも0.01は異なる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーが、粒子状耐衝撃性改良剤および熱可塑性耐衝撃性改良剤から選択される耐衝撃性改良剤を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記着色調製物が、260℃で15分間の等温熱重量分析において、15重量%以下、好ましくは、0.0~10重量%、より好ましくは、0.0~7.0重量%、さらにより好ましくは、0.0~5.0重量%、特に好ましくは、0.0~4.0重量%の乾燥形態での質量損失を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記工程b)を、押出機中において、好ましくは、200℃~320℃、より好ましくは、230℃~300℃の範囲の温度で行う、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリマーが、80000g/mol~180000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリメチルメタクリレートであり、重合性成分が、重合性組成物の重量に基づいて、
(i)50.0~99.9重量%、好ましくは、80.0~99.9重量%のメチルメタクリレート、
(ii)0.1~50.0重量%、好ましくは、0.1~20.0重量%のC1~C4アルコールのアクリル酸エステル、
(iii)前記モノマー(i)および(ii)と共重合可能な0.0~30.0重量%の少なくとも1種の更なるモノマー
を含む組成物の重合により得ることができる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
工程b)で添加される前記マスターバッチまたは前記液体組成物が、
・ ペリノン染料、キノフタロン染料およびアントラキノン染料から選択される少なくとも1種の更なる染料、
・ 少なくとも1種の無機顔料、
・ 少なくとも1種のフタロシアニン顔料または
・ 上記のいずれかの混合物
をさらに含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性ポリマーおよびモノアゾ染料を含む着色成形組成物であって、
熱可塑性成形組成物は、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法により得ることができる、着色成形組成物。
【請求項13】
100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む、請求項12記載の着色成形組成物。
【請求項14】
前記着色成形組成物が、3.8kgの荷重で230℃において測定された場合、0.5~10.0g/10分のメルトフローレートを有する、請求項12または13記載の着色成形組成物。
【請求項15】
成形部品を製造するための方法であって、
請求項12から14までのいずれか1項記載の着色成形組成物を、200℃~320℃、好ましくは、230℃~300℃の範囲の温度で射出成形する工程を含み、
前記着色成形組成物を、前記成形部品を製造することができる型に射出し、
前記着色成形組成物は、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料を含み、
前記着色成形組成物は、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む、
方法。
【請求項16】
押出部品を製造するための方法であって、
請求項12から14までのいずれか1項記載の着色成形組成物を、200℃~320℃、好ましくは、230℃~300℃の範囲の温度で押出加工することを含み、
前記着色成形組成物を、溶融させ、最終部品にダイキャストし、
前記着色成形組成物は、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料を含み、
前記着色成形組成物は、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む、
方法。
【請求項17】
前記成形部品が、異なる壁厚、1つ以上のパーフォレーション孔、少なくとも1つの非平坦面またはこれらの特徴の組み合わせを有する、請求項15記載の方法。
【請求項18】
請求項15から17までのいずれか1項記載の方法により得ることができる、成形部品または押出部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された光学的外観および特に高い熱安定性を有する着色成形組成物を製造するための方法に関する。また、本発明は、本発明の方法により得ることができる着色成形組成物に関する。さらに、本発明は、前記着色成形組成物から構成される射出成形部品および押出部品に関する。
【0002】
先行技術
透明な熱可塑性ポリマー、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリアミドは、一般的には、可溶性有機染料を使用して種々の色に着色される。典型的には、ペリノン-、アゾ-およびアントラキノン-タイプの染料は、それらの商業的入手可能性および明るい色のために、この目的に使用される。本出願で使用する場合、「可溶性」という用語は、染料が熱可塑性ポリマーのマトリクス中で、それを着色するのに使用される量で可溶性であることを示す。したがって、本明細書で使用する場合、「着色成形組成物」という用語は、熱可塑性ポリマーのマトリクス中に均一に分布する有機染料を含む熱可塑性組成物を指す。
【0003】
例えば、国際公開第2012/080397号には、透明な熱可塑性材料、例えば、ポリカーボネートと、種々の着色剤、とりわけ、ペリノン染料の組み合わせとを含む、ポリマー組成物が記載されている。
【0004】
国際公開第2015/036526号には、スチレンコポリマー、カーボンブラック顔料および成形組成物に可溶性の少なくとも3種の染料からなる、熱可塑性成形組成物が教示されている。この文献には、ペリノン染料の使用も示唆されている。
【0005】
特開2016-037518号公報には、被覆部品と同等の漆黒を示し、その耐候性および遮蔽性を維持するメタクリル樹脂組成物製の成形部品が記載されている。この組成物は、典型的には、赤色、黄色、緑色、青色および紫色の染料からなる群から選択される3種以上の染料を含む。
【0006】
可溶性モノアゾ染料、特に、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料は、それらの優れた色明度および高い耐候安定性のために、透明な熱可塑性ポリマー、例えば、PMMAを着色するのに使用されてきた(Plastics Additives, an A-Z Reference, G. Pritchard et al., Springer, 1998)。国際公開第2010/020474号および同第2012/004257号には、熱可塑性ポリマー、例えば、PMMAをこのような染料で着色するための方法が記載されている。国際公開第2010/020474号および同第2012/004257号の例には、PLEXIGLAS(登録商標)8Nを着色するための市販の染料であるThermoplast(登録商標)Red454(C.I.Solvent Red195)およびMacrolex(登録商標)Yellow G(C.I.Solvent Yellow114)の使用が開示されている。対応する染料は、着色調製物の形態で種々の製造業者から市販されている。このような調製物は、実質的に、変化する化学純度を有した対応するモノアゾ染料からなる。添加された補助剤により、着色調製物の貯蔵寿命が延長され、顧客によるそれらの利用が改善される。
【0007】
少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含む市販のモノアゾ染料は、多くの利点を提供するが、PMMA等のポリマーの着色へのそれらの使用は、これまで制限されてきた。主な理由の1つは、このような染料が多くの場合、中程度の熱安定性しか有さず、熱可塑性ポリマーの加工温度および条件において、暗色粒子の望ましくない形成を被るという一般的な観察である。場合により、このような暗色粒子は、着色成形組成物のブレンド中または製造中にすでに形成される。他の場合には、暗色粒子の形成は、モノアゾ染料で着色されたPMMAが利用される場合、射出成形による複雑な幾何学的形状を有する部品の製造中に予想外に起こる場合がある。
【0008】
着色成形組成物の不十分な熱安定性のために、多くの場合、温度上昇に曝された際に、望ましくない変色がもたらされる。したがって、所定の成形組成物の熱安定性は、多くの場合、このような成形組成物のサンプルのCIELAB色空間の色を、それを高温に曝す前後に測定することにより推定することができる。色差、すなわち、これらの2つの色間の差を、熱安定性のための指標として役立てることができる。さらに、モノアゾ染料を含む着色調製物の不十分な熱安定性により、例えば、それらの加工中に、高温に曝されると、着色成形物中に望ましくない混入および黒色粒子の形成がもたらされる場合がある。
【0009】
発明の目的
したがって、本発明の目的は、熱可塑性ポリマーと、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料とを含む、熱安定性着色成形組成物を製造するための方法を提供することである。特に、前記成形組成物は、優れた光学特性を有し、例えば、複雑な幾何学的形状を有する部品の射出成形中に、高温および/または高いせん断力に曝されても、望ましくない暗色粒子を実質的に含まないままであることが望ましい。
【0010】
本発明の別の目的は、優れた光学特性ならびに高い熱安定性および耐候安定性を有する着色成形組成物を提供することであった。最後に、本発明は、着色成形部品、特に、これらの有利な特性を有する複雑な幾何学的形状を有する着色成形部品を提供することを目的とする。
【0011】
発明の概要
本発明は、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を有するモノアゾ染料を含む成形組成物中の望ましくない暗色粒子の形成を、100ppm未満のアルミニウム化合物および300ppm未満のケイ素化合物を含む着色調製物を使用することにより効率的に防止することができるという驚くべき発見に基づいている。少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を有するモノアゾ染料は、利用される熱可塑性ポリマー中で優れた溶解度を有するため、ポリマーマトリクス中で完全かつ均一に溶解し、得られた着色成形組成物は、優れた光学特性および低いヘイズを有する。
【0012】
本出願で使用する場合、「着色調製物」という用語は、「染料」として製造業者から市販されている材料を指す。着色調製物は、実質的に、変化する化学純度を有した対応するモノアゾ染料と、場合により、添加される分散剤とからなる。典型的には、このような市販の染料は、種々の量の幾つかの金属イオン、例えば、アルミニウムおよびケイ素を示す。さらに、このような市販の染料の異なるバッチは、多くの場合、変化する金属含量を示す。典型的には、有害金属、例えば、カドミウム、水銀およびクロムの量のみが特定され、制限される。
【0013】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、アルミニウムおよびケイ素の化合物が数百ppm程度の低量で存在する場合であっても、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料とキレート型化学錯体を形成する場合があることを見出した。遊離モノアゾ染料とは対照的に、このような化学錯体は、熱可塑性ポリマーマトリクス中で実質的に不溶性であり、得られる成形部品中に暗色粒子の望ましくない形成をもたらす。特に、複雑な幾何学的形状を有する成形部品が、射出成形により製造される場合、ポリマー溶融物の十分に低い粘度を保証するために、多くの場合、高温を使用する必要がある。射出成形プロセス中の高いせん断力と組み合わせた高温は、アルミニウムまたはケイ素の存在下で、このような望ましくない暗色粒子の形成を促進すると考えられる。
【0014】
したがって、第1の態様では、本発明は、着色成形組成物を製造するための方法であって、
a)熱可塑性ポリマーを提供する工程と、
b)工程a)からの熱可塑性ポリマーに、着色調製物または前記着色調製物を含む液体組成物もしくはマスターバッチを添加する工程と
を含み、
前記着色調製物が、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料を含み、
着色調製物が、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む、
方法を対象とする。
【0015】
アルミニウムおよびケイ素の量は、着色調製物の総重量に基づいて、重量ppmとして上記に与えられる。例えば、ppmで与えられるアルミニウムおよびケイ素の含量は、1kgの着色調製物に基づくmgのアルミニウムまたはケイ素を意味する。
【0016】
着色調製物中のアルミニウムおよびケイ素の含量は、原子発光分析法等の方法により容易に決定することができる。例えば、サンプルを、マイクロ波圧力消化システムであるMARS5 PLUS/MARS6を使用して消化無機化し、ついで、ThermoFischer Scientificから入手可能な原子発光分光計であるiCAP(商標)7400 ICP-OES分析器を使用して分析することができる。
【0017】
本発明によれば、特定のアルミニウムおよびケイ素含量を有する適切な着色調製物の選択により、本発明の方法により得られる有利な着色成形組成物がもたらされ、この着色成形組成物は、高い熱安定性を示しかつ/または暗色粒子の形成が少ない。必要に応じて、モノアゾ染料(例えば、市販の染料)を含む着色調製物の化学純度を、典型的に公知の精製工程、例えば、結晶化、再結晶化、クロマトグラフィー、固相抽出により、使用前に向上させることができる。
【0018】
好ましくは、本発明の方法は、モノアゾ染料を含む着色調製物を提供することを包含し、この着色調製物は、100ppm未満のアルミニウムおよび300ppm未満のケイ素を含み、この着色調製物を、必要に応じて、1つ以上の精製工程、例えば、結晶化、再結晶化、クロマトグラフィー、固相抽出により得ることができる。
【0019】
特に、着色成形組成物を製造するための本発明の方法は、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む着色調製物を提供することを含む。好ましくは、着色調製物を提供することは、着色調製物中のアルミニウムおよびケイ素の含量を、例えば、アルミニウムおよびケイ素の消化および湿式化学的または分光学的(例えば、原子発光分光法による)決定により決定すること、場合により、着色調製物の精製ならびに100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む適切な着色調製物の選択を含む。
【0020】
本方法に使用される着色調製物は、アルミニウムまたはその化合物およびケイ素またはその化合物の含量が特に低いため、液体組成物またはそれを含むマスターバッチも、通常、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む。再度、液体組成物またはマスターバッチ中のアルミニウムおよびケイ素の含量を、原子吸光分析法等の方法により決定することができる。
【0021】
加えて、本発明は、熱可塑性ポリマーおよびモノアゾ染料を含む着色成形組成物ならびにそれを使用することによる成形部品または押出部品を製造するための方法を提供する。本方法に使用される着色調製物は、アルミニウムまたはその化合物およびケイ素またはその化合物の含量が特に低いため、この着色成形組成物は、典型的には、原子吸光分析法により決定される場合、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む。
【0022】
詳細な説明
本発明に使用するためのモノアゾ染料はそれ自体、当業者に周知であり、ジアゼン(ジイミド)HN=NH(式中、両方の水素は、芳香族部分またはヘテロ芳香族部分により置換されている)の誘導体である(IUPAC Recommendations 1995, published in Pure & Appl. Chem., Vol. 67, No. 819, pp. 1307-1375, 1995)。すなわち、全てのモノアゾ染料の化学構造は、1つの化学部分-N=N-を含む。
【0023】
本出願で使用する場合、「ヘテロ芳香族部分」という用語は周知であり、典型的には、その構造中に少なくとも1つのヘテロ原子を含む5員または6員の芳香族部分を指す。通常、ヘテロ原子は、N、O、S、SeまたはTe原子であり、より好ましくは、N、OまたはS原子であり、さらにより好ましくは、N原子である。ヘテロ芳香族部分の具体的な例は、例えば、フラン、チオフェン、ピラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、3H-ピラゾール-3-オン、ピラゾリン-5-オン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、セレナゾールおよびテルラゾールを含む。ヘテロ芳香族部分の更なる例は、例えば、インドリジン、プリン、プテリジン、カルボリン、ピロロイミダゾール、ピロロトリアゾール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、トリアゾロピリジン、テトラアザインデン、イミダゾイミダゾール、イミダゾピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、イミダゾピリダジン、オキサゾロピリジン、オキサゾロピラジン、オキサゾロピリミジン、オキサゾロピリダジン、チアゾロピリジン、チアゾロピラジン、チアゾロピリミジン、チアゾロピリダジン、ピリジノピラジン、ピラジノピラジン、ピラジノピリダジン、ナフチリジン、イミダゾトリアジンおよび1H-ペリミジンを含む。
【0024】
ヘテロ芳香族部分は、通常、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アミノ、アルコキシル、アリールオキシ、アシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、スルホニルアミノ、スルファモイル、-カルバモイル、アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、シアノならびに複素環基およびハロゲン原子である場合がある1つまたは複数の置換基により置換されている。アルキル、アルケニル、アリール、アルコキシル、アリールオキシ、シアノならびに複素環基およびハロゲン原子がより好ましく、さらにより好ましくは、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシおよび芳香族複素環基であり、特に好ましくは、アルキル、アリール、アルコキシルおよび芳香族複素環基である。
【0025】
本発明に使用するためのモノアゾ染料の具体的な例は、Disperse Yellow241(5-[(3,4-ジクロロフェニル)アゾ]-1,2-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-1,4-ジメチル-2-オキソニコチノニトリル)、Solvent Black3(2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-6-((4-(フェニルアゾ)-1-ナフチル)アゾ)-1H-ペリミジン)、Solvent Red195(シアノ-5-[[5-シアノ-2,6-ビス[(3-メトキシプロピル)アミノ]-4-メチルピリジン-3-イル]アゾ]-3-メチル-2-チオフェンカルボン酸メチルエステル)、Solvent Yellow16(5-メチル-2-フェニル-4-フェニルアゾ-4H-ピラゾール-3-オン)、Solvent Yellow18(4-[(2,4-ジメチルフェニル)アゾ]-2,4-ジヒドロ-5-メチル-2-フェニル-3H-ピラゾール-3-オン)、Solvent Yellow21(3-[(1-オキソナフタレン-2-イリデン)メチルヒドラジニリデン]-1-プロパ-2-エニルインドール-2-オン)、Solvent Yellow72(4-((o-メトキシフェニル)アゾ)-3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン)、Solvent Yellow82、Solvent Yellow16(5-メチル-2-フェニル-4-フェニルアゾ-4H-ピラゾール-3-オン)を含むが、これらに限定されない。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態では、モノアゾ染料は、Solvent Red195である。Solvent Red195を含む着色成形組成物は、驚くべきことに、先行技術の他の赤色ソルベント染料、例えば、赤色ペリノン染料等を含む、同等のPMMA系成形組成物より顕著に高い熱安定性を有する。したがって、Solvent Red195を含む本発明の熱可塑性成形組成物は、好ましくは、ポリマーマトリクスに可溶性である他の赤色染料を実質的に含有しないのが有利である。本発明の意味の範囲内の赤色染料は、色指数(C.I.)に従ってSolvent Red、Acid RedまたはModern Redと命名されたものである。特に、Solvent Red195を含む本発明の熱可塑性成形組成物は、通常、着色成形組成物の重量に基づいて、0.1重量%未満、より好ましくは、0.01重量%未満、さらにより好ましくは、0.001重量%未満、さらにより好ましくは、0.0001重量%未満、さらにより好ましくは、0.00001重量%未満、最も好ましくは、0.000001重量%未満の他の赤色染料を含む。
【0027】
本発明者らは、着色調製物が、260℃で15分間の等温熱重量分析(TGA)において、15.0重量%以下、好ましくは、0.0~10.0重量%、より好ましくは、0.0~7.0重量%、さらにより好ましくは、0.0~5.0重量%、特に好ましくは、0.0~4.0重量%の乾燥形態での質量損失を有する場合、着色成形組成物の光学特性および熱安定性を、さらに改善することができることをさらに見出した。熱可塑性ポリマーが、実質的に透明である場合、着色プロセスにより、5%未満、好ましくは、3%未満のヘイズ値を有する着色成形組成物を得ることができる。ヘイズを、規格ASTM D1003に従って、厚さ3.2mmのサンプルを使用して測定することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、驚くべきことに、乾燥形態で特に低い質量損失を有する着色調製物が熱可塑性ポリマー中で低い溶解度を有し、最終着色成形組成物中でのヘイズ形成の原因となる副生成物を、特に少ない量生成することを見出した。
【0028】
本発明によれば、熱可塑性ポリマーを、工程b)における未着色熱可塑性ポリマーに着色調製物を添加することによりあるいは前記着色調製物を含む液体組成物またはマスターバッチを添加することにより、直接着色することができる。着色調製物が、液体組成物の成分として熱可塑性ポリマーに添加される場合、液体組成物は、典型的には、
1.0~30.0重量%、好ましくは、5.0~25.0重量%、より好ましくは、1.0~20.0重量%の分散添加剤、
0.5~50.0重量%、好ましくは、5.0~40.0重量%の上記された少なくとも1種のモノアゾ染料および
0.0~50.0重量%、好ましくは、0.0~10.0重量%、より好ましくは、0.0~5.0重量%の補助添加剤ならびに
液体、例えば、脱塩水または有機溶媒
を含み、
液体組成物の成分の重量部は、合計100重量%になる。
【0029】
有機溶媒の例は、公衆に公知の有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2-メトキシ-2-プロパノールおよびテトラグライムまたはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0030】
分散添加剤の選択は、この添加剤が得られる着色成形組成物の特性に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。pH非依存性分散添加剤の使用は、得られる着色成形組成物の熱安定性および色均一性の点で特に有利であることが示された。
【0031】
例えば、分散添加剤は、モノマー単位としての、少なくとも無水マレイン酸、スチレンおよびアミノポリエーテルを含む高分子量コポリマーであることができる。代替的には、分散添加剤は、メタクリル酸と疎水性メタクリレートとのコポリマーであることもできる。本明細書で使用する場合、「疎水性メタクリレート」という用語は、好ましくは、メタクリル酸と、少なくとも3個かつ24個以下の炭素原子を有するアルコールとのエステルを指す。さらに、分散添加剤は、ポリエーテル、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドならびにスチレンオキシドのコポリマーであることができる。
【0032】
適切な分散添加剤は、例えば、BASF SEから市販されているポリアクリレートであるDispex(登録商標)Ultra4550(以前は、EFKA(登録商標)4550)を含む。このポリマーは、モノマーであるα-メチルスチレン、2-エチルヘキシルアクリレートおよびMPEGメタクリレートから本質的になる。適切な分散添加剤の更なる例は、Evonik Industries AGから入手可能なTEGO(登録商標)Dispers750Wおよび755WならびにBYK-Chemie GmbH製のDisperbyk(登録商標)190である。
【0033】
場合により、高温での成形組成物の望ましくない黄変を最小限にするために、乾燥形態での分散添加剤の質量損失が、260℃で15分間の等温熱重量分析(TGA)において、15.0重量%以下、好ましくは、0.0~10.0重量%、より好ましくは、0.0~7.0重量%、さらにより好ましくは、0.0~5.0重量%、特に好ましくは、0.0~4.0重量%であるように、分散添加剤を選択することができる。等温熱重量分析は、自動熱天秤、例えば、TA Instruments製のQ5000 IR等により、5K/分の加熱速度で260℃までかつその後の260℃で15分間の等温分析により行う。サンプルを、分析前に調製しないが、TGAによる分析前に乾燥オーブン中で一定質量まで乾燥させる。分散助剤としてのビーズポリマーの場合、TGAを、固体ビーズポリマーにおいて行う。すなわち、ビーズポリマーのアルカリ水溶液の場合、この溶液を調製するのに使用される固体ビーズポリマーが分析される。
【0034】
分散添加剤に加えて、液体組成物は、補助添加剤、例えば、崩壊または細菌分解を防止するための作用剤、殺菌剤、レベリング剤、増粘剤および消泡剤を含むことができる。
【0035】
一部の実施形態では、例えば、液体組成物が、液相に不溶性の着色剤または着色剤混合物を含有する場合、特に、それらの濃度が、10.0重量%未満である場合、粘度調整が、その沈降を防止するのに有利である場合がある。これを、好ましくは、1種以上の増粘剤を添加することにより行う。好ましい増粘剤は、とりわけ、セルロース、特に、エチルセルロースを含む。更なる可能性として、水溶性またはアルカリ可溶性固体生成物として、コロイド溶液としてまたは水性分散液として入手可能なカルボキシレート含有ポリマー、例えば、酢酸ビニルおよびクロトン酸または部分的に加水分解されたポリ(メタ)アクリレートをベースにするホモポリマーおよびコポリマーを、増粘剤として使用することができる。そのナトリウム塩の形態にあるアクリル酸および/またはメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーが特に好ましい。
【0036】
エチレン性不飽和フリーラジカル重合性カルボン酸の割合は、増粘剤を調製するのに使用されるモノマーの総重量に基づいて、好ましくは、6.0重量%以上かつ80.0重量%以下、好ましくは、10.0~80.0重量%、特に、20.0~80.0重量%である。アクリル酸および/またはメタクリル酸ならびにマレイン酸が好ましい。
【0037】
増粘剤の形成に関与するコモノマーは、高水溶性または低水溶性のエチレン性不飽和フリーラジカル重合性モノマーであることができる。有利な効果は、特に、アルキル基中に1~4個の炭素原子を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸のエチレンおよびアルキルエステルによりもたらされる。他の使用可能なコモノマーは、例えば、スチレン、アクリロニトリルまたは酢酸ビニルである。より高い親水性を有するかまたは水溶性であるコモノマー、例えば、アクリルアミドおよび/もしくはメタクリルアミドまたはアクリル酸および/もしくはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルも、例えば、増粘剤を調製するのに使用されるモノマーの総重量に基づいて、合計約30.0重量%、好ましくは、最大10重量%の割合で使用することができる。
【0038】
熱可塑性ポリマーを、工程a)からの熱可塑性ポリマーに着色調製物を含むマスターバッチを添加することによっても着色することができる。マスターバッチは、着色調製物およびポリマー成形材料の配合物を意味すると理解される。マスターバッチ中の着色調製物の濃度は、マスターバッチが工程a)からの未着色熱可塑性ポリマーを着色するのに使用されるときに、所望の色印象が生じるように調整される。
【0039】
工程b)で添加されるマスターバッチは、典型的には、
0.01~50.0重量%のモノアゾ染料、
50.0~99.99重量%の熱可塑性ポリマー、
0.0~30.0重量%の補助添加剤、
0.0~10.0重量%の更なる着色剤を含む。
【0040】
マスターバッチ中の熱可塑性ポリマーは、典型的には、工程a)で使用される熱可塑性ポリマーと同じであり、補助添加剤は、上記されたのと実質的に同じであることができる。工程a)およびマスターバッチにおける熱可塑性ポリマーの選択は、熱可塑性ポリマーが着色および熱可塑性加工、特に、射出成形および押出に適している限り、特に限定されない。例えば、熱可塑性ポリマーを、有利には、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリメチルメタクリルイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル(好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの混合物からなる群から選択することができる。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリメチルメタクリルイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル(好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、熱可塑性ポリマーは、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリメチルメタクリルイミド、ポリアルキル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリカーボネートまたはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
熱可塑性ポリマーを、工程a)からの熱可塑性ポリマーに、製造業者から得られた着色調製物を添加することによっても着色することができる。
【0042】
上記された成分に加えて、工程b)で添加されるマスターバッチまたは液体組成物は、場合により、更なる着色剤として、以下の成分のうちの1種以上を含むことができる。
・ ペリノン染料、キノフタロン染料およびアントラキノン染料から選択される少なくとも1種の更なる染料、
・ 硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、カーボンブラックおよびドロマイトから選択される少なくとも1種の無機顔料、
・ 少なくとも1種のフタロシアニン顔料または
・ 上記のいずれかの混合物
【0043】
アントラキノン染料は、構造中にアントラキノン部分を有する染料である。適切なアントラキノン染料の例は、(色指数C.I.)Solvent Yellow117、163、167、189;Solvent Orange77、86;Solvent Red111、143、145、146、150、151、155、168、169、172、175、181、207、222、227、230、245、247;Solvent Violet11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;Solvent Blue14、18、35、36、45、58、59、59:1、63、68、69、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;Solvent Green3、28、29、32、33;Acid Red80;Acid Green25、27、28、41;Acid Violet34;Acid Blue25、27、40、45、78、80、112;Disperse Yellow51;Disperse Violet26、27;Disperse Blue1、14、56、60;Direct Blue40;Modern Red3、11;Modern Blue8を含む。
【0044】
本発明での使用に適したペリノン染料の例は、(色指数C.I.)Solvent Orange60、78、90;Solvent Red135、162、179;Solvent Violet29等を含む。
【0045】
適切なキノフタロン染料は、(色指数C.I.)Solvent Yellow33、114、128、129、Disperse Yellow14、49、54、Disperse Yellow等を含む。
【0046】
また、工程b)で添加される液体組成物またはマスターバッチは、少なくとも1種の無機顔料も含むことができる。無機顔料を、例えば、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、カーボンブラックおよびドロマイトから選択することができる。利用されるモノアゾ染料との不溶性の化学錯体の形成を回避するために、無機顔料は、無機顔料の総重量に基づいて、重量ppmで与えられる、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含むのが有利である。
【0047】
着色成形組成物に黒色または灰色がかった色を付与するために、必要に応じて、カーボンブラックを含む液体組成物またはマスターバッチを使用することができる。カーボンブラック顔料の平均一次粒径は、好ましくは、5.0~100.0nm、好ましくは、7.0~60.0nmの範囲である。平均粒径d50は、当業者に公知の方法により、例えば、市販の機器、例えば、Beckman Coulter Inc.製のLS13320 Laser Diffraction Particle Size Analyzerを使用して、規格DIN ISO13320に従う光子相関分光法により決定することができる。さらに、BET法、規格ISO9277により測定された場合、50~500m2/g、例えば、70~200m2/gの比表面積を有するカーボンブラック粒子を選択することが、着色性能の点で有利であることが示された。カーボンブラックは処理されていてもよくまたは処理されていなくてもよい。例えば、カーボンブラックを、特定のガスまたは有機物質、例えば、ブチルリチウム等で処理することができる。このような処理により、表面を修飾しまたは官能化することが可能となる。これにより、対応して使用されるポリマーマトリクスとの適合性を促進することができる。
【0048】
本発明の範囲内で適切なカーボンブラックは、導電性が低いかまたは導電性が無いという点で、いわゆる導電性ブラックとは異なる。本明細書で使用されるカーボンブラックと比較して、導電性ブラックは、高い導電性を達成するために、特定の形態および超格子を有する。対照的に、本明細書で使用されるカーボンブラック粒子は、熱可塑性樹脂中に非常に容易に分散させることができ、その結果、実質的にカーボンブラックの凝集領域(それに対応する導電性が生じる可能性がある)が生じない。本発明の範囲内の適切なカーボンブラックは、多数の商標名および多数の形態、例えば、ペレットまたは粉末で商業的に入手可能である。例えば、適切なカーボンブラックは、商標名BLACK PEARLS(登録商標)で、名称ELFTEX(登録商標)、REGAL(登録商標)およびCSX(登録商標)での湿式加工ペレットの形態でならびに名称MONARCH(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、REGAL(登録商標)およびMOGUL(登録商標)での綿状形態で入手可能である。これらは全て、Cabot Corporationから入手可能である。Printex60およびPrintex90(Orion Engineered Carbons GmbH)も適している。
【0049】
好ましくは、熱可塑性ポリマーは、実質的に透明である。本出願で使用する場合、「実質的に透明」という用語は、規格ISO13468-2(2006)に従って、2.0mmの厚さを有するサンプルについて測定された場合、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%、さらにより好ましくは、少なくとも80%、特に好ましくは、少なくとも90%の透過率(D65)を有する材料を指す。
【0050】
ポリアルキル(メタ)アクリレート
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、通常、アルキル(メタ)アクリレート、典型的には、メチルメタクリレート(a)および少なくとも1種の更なる(メタ)アクリレート(b)を典型的に含む混合物のフリーラジカル重合により得られる。これらの混合物は、一般的には、モノマーの重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも60重量%、特に好ましくは、少なくとも80重量%、さらにより好ましくは、少なくとも90重量%のメチルメタクリレート(a)を含む。一般的に使用されるメチルメタクリレート(a)の量は、モノマーの重量に基づいて、50.0重量%~99.9重量%、好ましくは、80.0重量%~99.0重量%、特に好ましくは、90.0重量%~99.0重量%である。
【0051】
また、ポリアルキル(メタ)アクリレートの製造のためのこれらの混合物は、メチルメタクリレート(a)と共重合可能な他の(メタ)アクリレート(b)も含むことができる。本明細書で使用する場合、「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート、アクリレートおよびこれらの混合物を包含することを意味する。(メタ)アクリレートは、飽和アルコール、例えば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレートおよび2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート;または不飽和アルコール、例えば、オレイル(メタ)アクリレート、2-プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート;ならびにアリール(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、3-ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;グリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、1,4-ブタンジオール(メタ)アクリレート、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のアミドおよびニトリル等から得ることができる。
【0052】
一般的に使用される(メタ)アクリルコモノマー(b)の量は、モノマーの重量に基づいて、0.1重量%~50.0重量%、好ましくは、1.0重量%~20.0重量%、特に好ましくは、1.0重量%~10.0重量%である。本明細書において、この化合物を、個々にまたは混合物の形態で使用することができる。
【0053】
重合反応は、一般的には、公知のフリーラジカル開始剤により開始される。中でも、好ましい開始剤は、とりわけ、当業者に周知のアゾ開始剤、例えば、AIBNおよび1,1-アゾビシクロヘキサンカルボニトリルおよびペルオキシ化合物、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert-ブチル 2-エチルペルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、tert-ブチル 2-エチルペルオキシヘキサノエート、tert-ブチル 3,5,5-トリメチルペルオキシヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートまたはこれらの混合物である。
【0054】
重合されるべき組成物は、上記されたメチルメタクリレート(a)および(メタ)アクリレート(b)だけでなく、単独でまたはメチルメタクリレートおよび前述の(メタ)アクリレートとの共重合を容易にする他のモノマーを利用することにより共重合可能な他の不飽和モノマーも含むことができる。中でも、これらは、とりわけ、1-アルケン、例えば、1-ヘキセン、1-ヘプテン;分岐鎖アルケン、例えば、ビニルシクロヘキサン、3,3-ジメチル-1-プロペン、3-メチル-1-ジイソブチレン、4-メチル-1-ペンテン;アクリロニトリル;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル;スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、α-メチルスチレンおよびα-エチルスチレン、マレイン酸誘導体、例えば、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、マレイミド、メチルマレイミドおよびジエン、例えば、ジビニルベンゼンである。
【0055】
一般的に使用されるこれらのコモノマー(c)の量は、モノマーの重量に基づいて、0.0重量%~30.0重量%、好ましくは、0.0重量%~15.0重量%、特に好ましくは、0.0重量%~10.0重量%である。本明細書において、この化合物を、個々にまたは混合物の形態で使用することができる。
【0056】
重合性成分として、
(a)50.0重量%~99.9重量%のメチルメタクリレート、
(b)0.1重量%~50.0重量%のC1~C4アルコールのアクリル酸エステル、
(c)モノマー(a)および(b)と共重合可能な0.0重量%~30.0重量%のモノマー
を有する組成物の重合により得ることができるポリアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0057】
特に好ましい実施形態では、ポリアルキル(メタ)アクリレートは、重合性構成成分が、重合性組成物の重量に基づいて、
(a)80.0重量%~99.0重量%のメチルメタクリレートおよび
(b)1.0重量%~20.0重量%のC1~C4アルコールのアクリル酸エステル
を含む組成物の重合により得ることができる。
【0058】
80.0重量%~99.5重量%のメチルメタクリレートおよび0.5重量%~20.0重量%のメチルアクリレートから構成されるポリアルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。ここでの量は、100重量%の重合性成分に基づいている。特に有利なコポリマーは、85.0重量%~99.5重量%のメチルメタクリレートと0.5重量%~15.0重量%のメチルアクリレートとの共重合により得ることができるコポリマーである。その量は、100重量%重合性成分に基づいている。例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレートは、85.0重量%~99.9重量%のメチルメタクリレートおよび0.1重量%~15.0重量%のメチルアクリレート、好ましくは、95.0重量%~99.9重量%のメチルメタクリレートおよび0.1重量%~5.0重量%のメチルアクリレート、より好ましくは、98.0重量%~99.9重量%のメチルメタクリレートおよび0.1重量%~2.0重量%のメチルアクリレートを含むことができる。前記ポリアルキル(メタ)アクリレートのビカー軟化点VSP(ISO306:2013、方法B50)は、典型的には、少なくとも90℃、好ましくは、95℃~120℃である。
【0059】
ポリアルキル(メタ)アクリレートの重量平均分子量Mwは、一般的には、50000g/mol~300000g/molの範囲である。特に有利な機械的特性は、各場合において、PMMA較正標準に対するGPCおよび溶出液としてのTHFにより決定される重量平均分子量Mwが50000g/mol~200000g/mol、好ましくは、80000g/mol~180000g/molの範囲であるポリアルキル(メタ)アクリレートを使用して得られる。
【0060】
対応するコポリマーは、Roehm GmbHから商標PLEXIGLAS(登録商標)で市販されている。
【0061】
ポリ(メタ)アクリルイミド
本発明に使用することができるポリ(メタ)アクリルイミド(PMMI)は、ポリ(メタ)アクリルイミドの重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは、少なくとも50重量%、最も好ましくは、少なくとも60重量%の式(I):
【化1】
[式中、R
1およびR
2は、独立して、水素およびメチル基から選択され、R
1およびR
2は、好ましくは、メチル基により表され、R
3は、水素またはC
1~C
4-アルキル基、好ましくは、メチル基である]
の繰り返し単位を含む。
【0062】
PMMIのための製造方法は、例として、欧州特許出願公開第216505号明細書、同第666161号明細書または同第776910号明細書に開示されており、その開示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0063】
PMMIの製造に使用される出発材料は、メタクリル酸のアルキルエステルから誘導され、一般的には、50.0重量%超、好ましくは、80.0重量%超、特に好ましくは、95.0重量%~100.0重量%の、アルキル基中に1~4個の炭素原子を有するメタクリル酸のアルキルエステルの単位から構成されるポリマーを含む。メチルメタクリレートが好ましい。好ましいポリマーは、少なくとも80.0重量%、好ましくは、90.0重量%超、より好ましくは、95.0重量%超、さらにより好ましくは、99.0重量%超のメチルメタクリレートから構成される。純粋なメチルメタクリレートの使用が最も好ましい。使用することができるコモノマーは、メチルメタクリレートと共重合可能なモノマーのいずれか、特に、アルキル基中に1~4個の炭素原子を有するアクリル酸のアルキルエステル、アクリロ-もしくはメタクリロニトリル、アクリルもしくはメタクリルアミド、スチレンまたは他に無水マレイン酸を含む。低減された粘度が20ml/g~92ml/g、好ましくは、50ml/g~80ml/g(ISO8257(2006)、パート2に従って測定)の範囲である、このタイプの熱可塑的に加工可能なポリマーが好ましい。それらは、その中央粒径が約0.03mm~5mmである粉末またはペレットの形態で使用される。
【0064】
典型的には、本発明に使用するためのPMMIは、PMMAを標準として使用するGPCにより決定された場合、80000g/mol~200000g/mol、好ましくは、90000g/mol~150000g/molの重量平均モル重量Mwを有する。このような材料は、商標PLEXIMID(登録商標)で、Roehm GmbHから市販されている。適切な製品は、PLEXIMID(登録商標)TT50、PLEXIMID(登録商標)TT70、PLEXIMID(登録商標)8805、PLEXIMID(登録商標)8813、PLEXIMID(登録商標)8817を含むが、これらに限定されない。
【0065】
ポリカーボネート
また、ポリカーボネートも、本発明の方法において、熱可塑性ポリマーとして使用することができる。ポリカーボネートは、形式的には、炭酸および脂肪族または芳香族ジヒドロキシル化合物から形成されるポリエステルであると考えることができる。それらを、例えば、ジグリコールまたはビスフェノールをホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることにより、重縮合またはエステル交換反応により容易に得ることができる。
【0066】
ビスフェノールから得られるポリカーボネートが好ましい。これらのビスフェノールは、特に、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールC)、2,2’-メチレンジフェノール(ビスフェノールF)、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)および2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラメチルビスフェノールA)およびこれらの混合物を含む。典型的には、そのような芳香族ポリカーボネートは、界面重縮合またはエステル交換により調製される。ポリカーボネートの特性を、ビスフェノールを選択することにより、所望の目的に調整することができる。
【0067】
散乱粒子
本発明の一部の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリマーのマトリクス中に分散された有機または無機散乱粒子をさらに含むことができる。散乱粒子の選択は、特に限定されないが、それらは、典型的には、散乱粒子の屈折率がポリマーマトリクスの屈折率と少なくとも0.01は異なるように選択される。屈折率を、規格ISO489(1999)に規定されているように、23℃において、589nmのNaD線で測定することができる。
【0068】
散乱粒子は、通常、0.01μm~100.0μmの重量平均粒径を有する。散乱粒子の重量平均粒径-いわゆる、体積平均d50値(すなわち、50体積%の粒子が、特定の平均粒径未満の粒径を有する)として示される-は、レーザー回折測定についての規格ISO13320-1(2009)に従って測定することができる。典型的には、散乱粒子のサイズは、各場合において、乾燥粉末形態で、Beckman Coulter LS13320レーザー回折粒径分析器、トルネード乾燥粉末システムを使用して、レーザー光散乱(室温、23℃)により決定される。測定は、マニュアルに記載されたように行われる。コンピュータ支援分析モデルであるMieが使用される。
【0069】
無機散乱粒子は、伝統的な無機乳白剤、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含むことができる。
【0070】
有機散乱粒子は、典型的には、架橋ポリマー材料、例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン、ポリスチレン等からなる球状散乱ビーズである。本発明の目的で、「球状」という用語は、散乱ビーズが好ましくは、球形を有することを意味するが、当業者には、製造方法の結果として、ある他の形状を有する散乱ビーズが存在する場合があることまたは散乱ビーズの形状が理想的な球形から逸脱する場合があることも可能であることが明らかである。したがって、「球状」という用語は、散乱ビーズの最大寸法と最小寸法との比が、4以下、好ましくは、2以下であることを示す。これらの寸法はそれぞれ、散乱ビーズの重心を通って測定される。散乱ビーズの数に基づいて、少なくとも70%、特に、少なくとも90%が、好ましくは、球状である。
【0071】
架橋ポリスチレンから構成される好ましい散乱ビーズは、商標Techpolymer(登録商標)SBX-4、Techpolymer(登録商標)SBX-6、Techpolymer(登録商標)SBX-8およびTechpolymer(登録商標)SBX-12で、Sekisui Plastics Co., Ltd.から市販されている。
【0072】
散乱剤として使用される他の特に好ましい球状プラスチック粒子は、架橋シリコーンを含む。本発明に特に好ましく使用されるシリコーン散乱剤は、TOSPEARL(登録商標)120およびTOSPEARL(登録商標)3120として、Momentive Performance Materials Inc.から得ることができる。
【0073】
耐衝撃性改良剤
着色成形組成物の機械的特性を、熱可塑性ポリマーが耐衝撃性改良剤を含む場合、所望の目的にさらに調整することができる。本発明に使用するための耐衝撃性改良剤自体は周知であり、種々の化学組成および種々のポリマー構造を有することができる。耐衝撃性改良剤は、架橋されていてもよくまたは熱可塑性であってもよい。加えて、耐衝撃性改良剤は、コア-シェルまたはコア-シェル-シェル粒子として、粒子形態であることができる。典型的には、粒子状耐衝撃性改良剤は、20nm~500nm、好ましくは、50nm~450nm、より好ましくは、100nm~400nm、最も好ましくは、150nm~350nmの平均粒径を有する。この文脈における「粒子状耐衝撃性改良剤」は、一般的には、コア、コア-シェル、コア-シェル-シェルまたはコア-シェル-シェル-シェル構造を有する架橋耐衝撃性改良剤を意味する。粒子状耐衝撃性改良剤の平均粒径は、当業者に公知の方法により、例えば、規格DIN ISO13321:1996に従った光子相関分光法により決定することができる。
【0074】
最も単純な場合には、粒子状耐衝撃性改良剤は、乳化重合により得られ、平均粒径が10nm~150nm、好ましくは、20nm~100nm、より好ましくは、30nm~90nmの範囲にある架橋粒子である。これらは、一般的には、少なくとも20.0重量%、好ましくは、20.0重量%~99.0重量%、特に好ましくは、30.0重量%~98.0重量%のブチルアクリレートおよび0.1重量%~2.0重量%、好ましくは、0.5重量%~1.0重量%の架橋性モノマー、例えば、多官能性(メタ)アクリレート、例えば、アリルメタクリレートならびに必要に応じて、他のモノマー、例えば、0.0重量%~10.0重量%、好ましくは、0.5重量%~5.0重量%のC1~C4-アルキルメタクリレート、例えば、エチルアクリレートもしくはブチルメタクリレート、好ましくは、メチルアクリレートまたは他のビニル重合性モノマー、例えば、スチレンから構成される。
【0075】
さらに好ましい耐衝撃性改良剤は、コア-シェル構造またはコア-シェル-シェル構造を有することができ、乳化重合により得られるポリマー粒子である(例えば、欧州特許出願公開第0113924号明細書、同第0522351号明細書、同第0465049号明細書および同第0683028号明細書を参照のこと)。本発明では、典型的には、20nm~500nm、好ましくは、50nm~450nm、より好ましくは、150nm~400nm、最も好ましくは、200nm~350nmの範囲のこれらのエマルジョンポリマーの適切な平均粒径が必要である。
【0076】
コアおよび2つのシェルを有する3層または3相構造を、以下のように調製することができる。最も内側の(硬質)シェルを、例えば、メチルメタクリレート、少量のコモノマー、例えば、エチルアクリレートおよびある量の架橋剤、例えば、アリルメタクリレートから構成することができる。中間(軟質)シェルを、例えば、ブチルアクリレートと、必要に応じて、スチレンとを含むコポリマーから構成することができる。一方、最も外側の(硬質)シェルは、マトリクスポリマーと同じであり、このため、マトリクスへの相溶性および良好な結合をもたらす。2層または3層コア-シェル構造の耐衝撃性改良剤のコアまたはシェル中のポリブチルアクリレートの割合は、耐衝撃性改良作用に決定的であり、好ましくは、耐衝撃性改良剤の総重量に基づいて、20.0重量%~99.0重量%の範囲、特に好ましくは、30.0重量%~98.0重量%の範囲、さらにより好ましくは、40.0重量%~97.0重量%の範囲である。
【0077】
熱可塑性耐衝撃性改良剤は、粒子状耐衝撃性改良剤とは異なる作用メカニズムを有する。それらは、一般的には、マトリクス材料と混合される。ドメインが形成される場合、例えば、ブロックコポリマーを使用する場合において、これらのドメインについての好ましいサイズが存在する場合、そのサイズを、例えば、電子顕微鏡により決定することができ、コア-シェル粒子についての好ましいサイズに対応させる。
【0078】
種々のクラスの熱可塑性耐衝撃性改良剤が存在する。その一例は、脂肪族熱可塑性ポリウレタン(TPU)、例えば、Covestro AGから市販されているDesmopan(登録商標)製品である。例えば、TPUであるDesmopan(登録商標)WDP85784A、WDP85092A、WDP89085AおよびWDP89051Dは全て、1.490~1.500の屈折率を有し、耐衝撃性改良剤として特に適している。
【0079】
耐衝撃性改良剤として本発明に従って使用するための更なるクラスの熱可塑性ポリマーは、メタクリレート-アクリレートブロックコポリマー、特に、アクリルTPEであり、これは、PMMA-ポリ-n-ブチルアクリレート-PMMAトリブロックコポリマーを含み、例えば、Kurarayにより製品名Kurarity(登録商標)で市販されている。ポリ-n-ブチルアクリレートブロックは、10nm~20nmのサイズを有するポリマーマトリクス中にナノドメインを形成する。
【0080】
本発明に使用するための熱可塑性ポリマーは、任意のタイプの更なる従来の添加剤/補助剤を含むことができる。これらの中でも、これらは、とりわけ、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、潤滑剤、流動性向上剤、充填剤、UV吸収剤、光安定剤および有機リン化合物、例えば、ホスファイトまたはホスホネート、顔料、耐候性を提供する作用剤および可塑剤である。添加剤の選択および量は、意図される用途に応じて調節することができる。得られる着色成形組成物の熱安定性および耐候安定性は、これらの添加剤により過度に損なわれるべきではない。
【0081】
本発明に係る着色成形組成物を製造するための方法を、熱可塑性ポリマーと液体組成物またはマスターバッチとを組み合わせ、混合し、均質化することによる従来の組み込み方法により実施することができる。この方法を、せん断力の作用下において、溶融物中で実施することができる。溶融均質化の前の組み合わせおよび混合は、場合により、特に、着色調製物がマスターバッチの成分として導入される場合、粉末プレミックスを使用して行われる。
【0082】
製造業者から得られた熱可塑性ポリマーおよびマスターバッチ、液体組成物または純粋な着色調製物を、従来の装置、例えば、スクリュー型押出機(例えば、二軸押出機、ZSK)、ニーダー、ブラベンダーまたはバンバリーミル中で、組み合わせ、混合し、均質化し、ついで、押し出すことができる。押出後、押出物を冷却し、ペレット化することができる。個々の成分を予備混合し、その後、残りの出発材料を別々にかつ/または混合物として同様に添加することも可能である。
【0083】
更なる実施形態では、熱可塑性ポリマーを、ホットメルトの形態で提供することができ、液体組成物またはマスターバッチがそれに添加される。この方法は、熱可塑性ポリマーの製造プロセスの直後に熱可塑性ポリマーを着色するのに特に有利である。
【0084】
熱可塑性ポリマーが、ポリアルキル(メタ)アクリレートである場合、工程b)を、典型的には、押出機において、好ましくは、200℃~320℃、より好ましくは、230℃~300℃の範囲の温度で行う。成形組成物は、この段階で、優れた熱安定性を有し、暗色粒子の望ましくない形成が起こらないためである。本発明の着色成形組成物は、典型的には、ISO1133(2011)に従って、3.8kgの荷重で230℃において測定された場合、0.5~10.0g/10分のメルトボリュームフローレートMVRを有する。したがって、熱可塑性ポリマーとしてポリアルキル(メタ)アクリレートを含む着色成形組成物を、射出成形および押出に有利に使用することができる。
【0085】
さらに、本発明は、熱可塑性ポリマーおよびモノアゾ染料を含む、着色成形組成物であって、熱可塑性成形組成物が上記された本発明の方法により得ることができる、着色成形組成物を対象にする。
【0086】
好ましくは、着色成形組成物は、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む。アルミニウムまたはケイ素の量は、本明細書において、着色成形組成物の総重量に基づいて、重量ppmで与えられる。
【0087】
好ましくは、着色成形組成物は、3.8kgの荷重で230℃において測定された場合、0.5~10.0g/10分のメルトフローレートを有する。
【0088】
着色成形組成物は、好ましくは、DIN5033-7(2014)に従って、3mmの厚さを有する射出成形された試験片に対して23℃で測定された場合、40%~93%の範囲、特に、70%~92%の範囲の光透過率TD65を示す。
【0089】
着色成形組成物中に少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料の濃度は、所望の知覚色により決まる。この濃度は、一般的には、着色成形組成物の重量に基づいて、0.00001~5.0重量%、好ましくは、0.0001~4.0重量%、より好ましくは、0.001~3.0重量%の範囲である。更なる染料が存在する場合、染料濃度の合計は、好ましくは、着色成形組成物の重量に基づいて、0.00001~5.0重量%、好ましくは、0.0001~4.0重量%、より好ましくは、0.001~3.0重量%の範囲である。
【0090】
その更なる態様では、本発明は、成形部品を製造するための方法であって、着色成形組成物を射出成形する工程を含む、方法に関する。加工温度は、通常、200℃~320℃、好ましくは、230℃~300℃の範囲であり、着色成形組成物を、成形部品を製造することができる型に射出し、着色成形組成物は、少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料を含み、着色成形組成物は、100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む。
【0091】
アルミニウムおよびケイ素の量は、着色成形組成物の総重量に基づいて、重量ppmとして上記のように与えられる。例えば、ppmで与えられるアルミニウムおよびケイ素の含量は、1kgの着色成形組成物に基づくmgのアルミニウムまたはケイ素を意味する。
【0092】
本発明の射出成形プロセス中での例えば、ポリメチルメタクリレート(コ)ポリマーを含む溶融着色成形組成物の温度は、通常、210~270℃、さらにより好ましくは、240~250℃に保たれる。ただし、意図される結果として生じる制限はない。射出成形ノズルの温度は、さらに好ましくは、230~270℃、さらにより好ましくは、240~250℃であり、射出成形型の温度は、好ましくは、40~80℃、さらにより好ましくは、50~60℃である。射出成形シリンダの温度は、好ましくは、220~260℃、さらにより好ましくは、230~250℃である。本発明の方法において、成形組成物を、50~1000barの範囲の圧力で型内に射出する。本明細書における特定の一実施形態は、段階的に圧力を印加し、圧力は、第1の段階において50barであり、第2の段階において400barである。
【0093】
また、射出速度を、第1の段階において0.01m/s~0.1m/sの範囲、第2の段階において0.1m/s~1m/sの範囲、可能性のある第3の段階において0.05m/s~0.5m/sの範囲で段階分けすることもできる。本明細書において、計量ストロークは、好ましくは、スクリュー直径の1~4倍である。
【0094】
重要なことに、本発明の方法は、複雑な成形部品、例えば、種々の厚さおよび/またはパーフォレーション孔を有する成形部品を製造するために非常に適している。対応する射出成形型における厚さの差、特に、パーフォレーション孔、すなわち、溶融物が型内に射出される領域は、材料が1つ以上の型キャビティを満たすときに材料のレオロジーに著しい影響を及ぼす。本発明の目的で、複雑な成形部品は、以下に記載される特徴のうちの1つ以上を有する成形部品である。
【0095】
本発明の方法の一実施形態では、複雑な成形部品は、異なる壁厚を有する。得られた成形部品は、好ましくは、その壁厚が1~30mmの範囲であり、成形部品内で変動する場合があるものである。例として、壁厚の変動は、成形部品の最小壁厚と最大壁厚との間の差で説明することができ、この差は、1mm超、好ましくは、5mm超、特に好ましくは、10mm超である。最大壁厚対最小壁厚の比は、好ましくは、1:20超の範囲、より好ましくは、1:10超、特に好ましくは、1:4超、最も好ましくは、1:2超の範囲である。
【0096】
本発明の方法の別の実施形態では、複雑な成形部品は、少なくとも1つのパーフォレーション孔を有する。成形部品の壁厚は、パーフォレーション孔の部位でゼロである。パーフォレーション孔を囲う成形部品組成物により、包囲領域において均一なまたは変動する壁厚が生じる場合があり、壁厚は、好ましくは、上記された範囲内である。
【0097】
上記された方法の別の実施形態により、少なくとも1つの非平坦面を有する複雑な成形部品が製造される。この表面は、好ましくは、凸状または凹状の設計である。
【0098】
本発明の更なる態様は、押出部品を製造するための方法であって、着色成形組成物を、200℃~320℃、好ましくは、230℃~300℃の範囲の温度で押出加工することを含み、着色成形組成物を、溶融させ、最終部品にダイキャストし、着色成形組成物が少なくとも1つのヘテロ芳香族部分を含むモノアゾ染料を含み、着色成形組成物が100ppm未満、好ましくは、50ppm未満のアルミニウムまたはその化合物および300ppm未満、好ましくは、200ppm未満のケイ素またはその化合物を含む、方法に関する。
【0099】
熱可塑性ポリマーの押出は広く知られており、例えば、Kunststoffextrusionstechnik II [Plastics extrusion technology II], Hanser Verlag, 1986, p. 125 ffに記載されている。本発明に係る方法において、ホットメルトを、押出機のノズルから2つのカレンダーロール間のギャップ上に押し出す。溶融物の最適温度は、例えば、混合物の組成により決まり、したがって、広い範囲で変化する場合がある。例えば、熱可塑性ポリマーが、ポリアルキル(メタ)アクリレートである場合、ノズル入口での好ましい温度は、150~300℃の範囲、特に好ましくは、180~270℃の範囲、特により好ましくは、200~220℃の範囲にある。カレンダーロールの温度は、好ましくは、150℃以下、好ましくは、60℃~140℃である。
【0100】
試験方法
着色調製物のTGAの測定
等温熱重量分析を、TA Instruments製の自動熱天秤Q5000 IRにより、5K/分の加熱速度で最大260℃行い、その後、等温分析を260℃で15分間行った。サンプルを、TGAによる分析前に、乾燥オーブン中で一定質量まで乾燥させた。分散助剤としてのビーズポリマーの場合、TGAを、固体ビーズポリマーにおいて行った。
【0101】
アルミニウムおよびケイ素の含量
サンプル中のアルミニウムおよびケイ素の含量を、以下の手法を使用して決定した。
【0102】
サンプルを、マイクロ波圧力消化システムであるMARS5 PLUS/MARS6を使用して消化無機化し、ついで、ThermoFischer Scientificから入手可能な原子発光分光計であるiCAP(商標)7400 ICP-OES分析器を使用して分析した。
【0103】
アルミニウムおよびケイ素の含量は、アルミニウムまたはケイ素の重量に基づいて計算される重量ppm(wt.-ppm)として与えられる。
【0104】
試験片の製造
各実施例において、3mmの厚さを有する2つの別個の試験片を、以下の条件下で、ARBURG GmbH & Co KG, Lossburgから入手可能なArburg Allrounder320Cにおいて、260℃および290℃で射出成形した。
射出時間:0.92秒
材質温度:250℃
シリンダ温度:250~220℃
型温度:70℃
射出から型内圧力600barでの圧力保持への切り替え
合計サイクル時間:40秒
密閉された通気シリンダによる射出成形
【0105】
色測定を、X-Rite Inc, Grand Rapids United Statesから入手可能な分光光度計であるColor Eye7000Aを使用して行った。続けて、試験片の色座標(L、a*およびb*)を、規格DIN5033(2017)、パート1~パート4に従って、分光光度計を使用して測定し、各サンプルの色差ΔE CIELAB 1976(D65、10°)を、規格DIN6174に従って決定した。0.7超のΔEを有する試験片を、低い熱安定性を有する試験片として評価し、0.1~0.7のΔEを有する試験片を、良好な熱安定性を有する試験片として評価し、0.1未満のΔEを有する試験片を、優れた熱安定性を有する試験片として評価した。
【0106】
実施例
実施例1~実施例3の着色成形組成物を、以下の方法で製造した。
【0107】
製造業者から入手したポリマー顆粒および着色調製物を、回転ミキサー中で使用して、混合物を製造した。この混合物を、Herbert Stork Maschinenbau GmbH, Moerfelden製の単軸押出機30 ESEの供給ゾーンに、漏斗により計量供給した。押出を、250℃で行った。通気ゾーンを、真空ポンプに取り付けた。造粒機を、押出機の下流に接続した。
【0108】
第2の加工工程において、試験片を、このようにして得られた顆粒から射出成形した。
【0109】
実施例1(比較例)
Solvent Red195のサンプルを、商業的な製造業者から購入し、何ら精製せずに使用した。この材料は、110ppmのアルミニウム、15ppm未満のケイ素を含有し、7.4重量%の乾燥形態での質量損失を有した。
【0110】
Solvent Red195は、複素環式部分を有するモノアゾソルベント染料である。この材料は、幾つかの製造業者から、異なる純度で、場合により、少量の添加剤を伴って、商業的に入手可能である。
【0111】
Roehm GmbHから市販されているポリメチルメタクリレートPLEXIGLAS(登録商標)7Hを、熱可塑性材料として使用した。得られた着色成形組成物は、0.01重量%のSolvent Red195を含有した。
【0112】
試験片のΔEは、1.3であり、これは、低い熱安定性を示す。
【0113】
実施例2(比較例)
Solvent Red195のサンプルを、商業的な製造業者から購入し、何ら精製せずに使用した。この材料は、15ppm未満のアルミニウム、370ppmのケイ素を含有し、6.2重量%の乾燥形態での質量損失を有した。
【0114】
Roehm GmbHから市販されているポリメチルメタクリレートPLEXIGLAS(登録商標)7Hを、熱可塑性材料として使用した。得られた着色成形組成物は、0.01重量%のSolvent Red195を含有した。
【0115】
試験片のΔEは、0.74であり、これは、比較的低い熱安定性を示す。
【0116】
実施例3(本発明)
Solvent Red195の高純度サンプルを使用した。この材料は、15ppm未満のアルミニウム、15ppm未満のケイ素を含有し、3.0重量%の乾燥形態での質量損失を有した。
【0117】
Roehm GmbHから市販されているポリメチルメタクリレートPLEXIGLAS(登録商標)7Hを、熱可塑性材料として使用した。得られた着色成形組成物は、0.01重量%のSolvent Red195を含有した。
【0118】
試験片のΔEは、0.33であり、これは、良好な熱安定性を示す。望ましくない黒色ドットは形成されなかった。
【0119】
実施例4(比較例)
実施例4および実施例5の着色成形組成物を、以下の方法で製造した。
【0120】
ポリマー顆粒を、Herbert Stork Maschinenbau GmbH製の単軸押出機30 ESEの供給ゾーンに、漏斗により計量供給した。液体着色調製物を、第2の通気ゾーンの後の押出機に、240℃~260℃の範囲の温度で導入した。通気ゾーンを、真空ポンプに取り付けた。造粒機を、押出機の下流に接続した。
【0121】
第2の加工工程において、試験片を、このようにして得られた顆粒から射出成形した。
【0122】
液体着色組成物:
31.3重量% Solvent Red195*
8.1重量% MACROLEX(登録商標)Yellow G
16.7重量% DISPEX(登録商標)Ultra4550
0.07重量% EBOTEC(登録商標)MT15
0.6重量% BYK024
43.23重量% 水
*サンプルを、製造業者から購入し、何ら精製することなく使用した。この材料は、110ppmのアルミニウム、15ppm未満のケイ素を含有し、7.4重量%の乾燥形態での質量損失を有した。
【0123】
Roehm GmbHから市販されているポリメチルメタクリレートPLEXIGLAS(登録商標)8Nを、熱可塑性材料として使用した。着色成形組成物を、99.932重量%のPLEXIGLAS(登録商標)8Nおよび0.068重量%の液体着色組成物を含む混合物から調製した。
【0124】
望ましくない黒色粒子の著しい形成が、着色プロセス中に起こった。
【0125】
実施例5(本発明)
液体着色組成物:
31.3重量% Solvent Red195*
8.1重量% MACROLEX(登録商標)Yellow G
16.7重量% DISPEX(登録商標)Ultra4550
0.07重量% EBOTEC(登録商標)MT15
0.6重量% BYK024
43.23重量% 水
*高純度サンプル。この材料は、15ppm未満のアルミニウム、19ppm未満のケイ素を含有し、2.8重量%の乾燥形態での質量損失を有した。
【0126】
Roehm GmbHから市販されているポリメチルメタクリレートPLEXIGLAS(登録商標)8Nを、熱可塑性材料として使用した。着色成形組成物を、99.932重量%のPLEXIGLAS(登録商標)8Nおよび0.068重量%の液体着色組成物を含む混合物から調製した。
【0127】
望ましくない黒色ドットの形成は、着色プロセスおよび射出成形中に起こらなかった。
【国際調査報告】