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特表2023-529751センサ、保護遮断器、充電ケーブル、及び充電ステーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】センサ、保護遮断器、充電ケーブル、及び充電ステーション
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20230704BHJP
   H01H 83/02 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
G01R15/18 B
H01H83/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022579809
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2021066052
(87)【国際公開番号】W WO2021259699
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】102020116428.9
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522496116
【氏名又は名称】マグネテック・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト・トート
【テーマコード(参考)】
2G025
5G030
【Fターム(参考)】
2G025AA11
2G025AB14
2G025AC01
5G030XX17
5G030YY13
(57)【要約】
本発明は、従来技術と比べて、遮蔽体(50)の貫通開口の内のり幅が25.2~32mmの範囲であることによって、一方で残留電流に対して、特に残留電流を両電流感応式で決定するためにより高い感度を有し、他方で、監視対象回路をオンにしたときに誤って限界電流を超えるとされた残留電流を誤って検出する可能性が低いセンサ(100)に関する。さらに、本発明は、それぞれこのようなセンサを有する、保護遮断器、充電ケーブル、及び充電ステーションに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
残留電流を決定するための、特に残留電流を両電流感応式で決定するためのセンサ(100)であって、
-前記センサ(100)が、磁場感受性素子(10)と、第1の主巻線(30)と、テスト巻線と、遮蔽体(50)とを有し、
-前記磁場感受性素子(10)が貫通開口を有し、前記磁場感受性素子(10)の前記貫通開口は、横断面が2つの対称軸を有するオーバルとして形成され、
-それぞれ複数の巻線を有する前記第1の主巻線(30)と前記テスト巻線が前記磁場感受性素子(10)を包囲し、
-前記遮蔽体(50)が、磁場感受性素子(10)、前記第1の主巻線(30)、及び前記テスト巻線を収容するように設定された収容空間を有し、
-前記遮蔽体(50)の前記収容空間が、遮蔽体外壁と遮蔽体内壁(58)によって半径方向に画定され、
-前記遮蔽体内壁(58)が前記遮蔽体(50)の貫通開口を画定し、前記遮蔽体(50)の前記貫通開口が2つの対称軸を有するオーバルとして形成され、
-前記遮蔽体(50)が、前記遮蔽体内壁(58)の領域において周方向に延びる隙間(55)を有し、
-前記センサ(100)が、少なくとも2つの電気導体(110、120)の周りに配置されるように設定され、
-前記磁気感受性素子(10)の前記貫通開口が、対称軸に沿って少なくとも1つの内のり幅を有する、センサにおいて、
前記少なくとも1つの内のり幅が、25.2~32mmの範囲であり、好ましくは25.5~29mm、特に好ましくは25.8~27mmの範囲であることを特徴とする、センサ。
【請求項2】
前記磁気感受性素子(10)が絶縁体(20)によって被覆され、前記絶縁体(20)は、前記磁気感受性素子(10)と前記第1の主巻線(30)との間、及び前記磁気感受性素子(10)と前記テスト巻線との間に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ(100)。
【請求項3】
前記センサ(100)が第2の主巻線(30)を有し、前記第2の主巻線(30)は、前記磁気感受性素子(10)及び/又は前記絶縁体(20)を複数のターンで包囲することを特徴とする、請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項4】
前記センサ(100)がスペーサリング(40)を有し、前記スペーサリング(40)は、前記遮蔽体内壁と前記第1の主巻線(30)との間に配置されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項5】
前記遮蔽体(50)がコーティング、特に電気絶縁コーティングを有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項6】
前記遮蔽体(50)が、0.25mm~0.45mmの範囲、好ましくは0.3mm~0.4mmの範囲、特に好ましくは0.32mm~0.38mmの範囲の材料厚さを有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項7】
前記周方向に延びる隙間(55)が、0.1mm~2.0mmの範囲、好ましくは0.3mm~1.7mmの範囲、特に好ましくは0.6mm~1.3mmの範囲の隙間幅を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項8】
前記センサ(100)が電気コネクタ(60)を有し、前記電気コネクタ(60)は、支持プレート(80)と、コネクタネック(90)と、複数の電気接点(70)とを有し、
-前記電気コネクタ(60)が、少なくとも各巻線について2つの電気接点(70)を有し、
-前記電気接点(70)が、半径方向で前記遮蔽体側壁の外側に配置され、
-前記支持プレート(80)が、前記遮蔽体外壁と前記第1の主巻線(30)との間に配置され、
-前記コネクタネック(90)が、前記遮蔽体外壁の開口を通って延び、前記支持プレート(80)と前記電気接点(70)とを互いに接続し、
-前記支持プレート(80)及び前記コネクタネック(90)がそれぞれ、対応する空所(92)を有し、前記空所(92)は、各巻線と作用結合している2つの電線(75)を前記収容空間から受け取るように、かつ前記収容空間から、前記遮蔽体外壁の開口を通って前記電気接点(70)へ通すように設定され、
-前記空所(92)は、前記遮蔽体外壁に対して平行の方向に切欠き(94)を有し、前記切欠きを通って、前記電線(75)を前記空所(92)の中央領域に設置できることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のセンサ(100)を有する、回路において残留電流が限界値を超える場合に前記電流回路を遮断するための保護遮断器であって、動作回路と、電子データ処理及び評価ユニットと、スイッチング装置とを有し、
-前記センサ(100)が、前記回路を形成する少なくとも2つの電気導体(110、120)の周りに配置され、
-前記スイッチング装置が、前記回路を遮断するように設定され、
-前記動作回路が、前記センサ(100)を動作させるように設定され、
-前記電子データ処理及び評価ユニットが、前記センサ(100)のセンサ信号を評価するように設定され、
-前記電子データ処理及び評価ユニットは、残留電流が認識された場合、特に残留電流が両電流感応式で認識された場合に、前記スイッチング装置が前記回路を遮断するように前記スイッチング装置を限界値、特に調整可能な限界値より大きい電流強度で駆動するよう設定されている、保護遮断器。
【請求項10】
電気車を充電するための充電ケーブルであって、前記充電ケーブルが、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のセンサ(100)及び/又は請求項9に記載の保護遮断器を有する、充電ケーブル。
【請求項11】
電気車を充電するための充電ステーションであって、前記充電ステーションが、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のセンサ(100)及び/又は請求項9に記載の保護遮断器を有する、充電ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ、保護遮断器、充電ケーブル、及び充電ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
残留電流(Differenzstroemen)を決定するためのセンサは、特に残留電流が人に危険をもたらし、火災を引き起こす可能性があるため、さまざまな設計及びさまざまな用途で知られている。
【0003】
残留電流は、電力供給網、特に電力供給網内の回路に欠陥があり、それによって電力供給網内で故障電流がアースに向かって流れる可能性がある場合に発生する。電力供給網の種類と構造に応じて、残留電流は交流成分及び/又は直流成分を有し得る。
【0004】
再生可能エネルギー、エレクトロモビリティ、回転数可変電気機械及び/又はそれに類するものの利用が絶え間なく拡大することにより、AC及びDC供給網を相互に結合した電気系統の数が増えている。これによって、残留電流の直流成分の重要性がますます高まっている。
【0005】
典型的には、特に家庭用電気設備では、タイプAの故障電流保護遮断器が1つだけ組み込まれるが、これは家庭用内の電気供給網を交流成分を含む残留電流について監視はできるが、直流故障を検出することも遮断することもできない。しかし、電気車の充電時やソーラシステムの動作時など、家庭用電気設備でも直流要素の使用が増えている。
【0006】
したがって、特に充電インフラストラクチャ又はソーラインバータ、又はそれに類するものの動作時に、検知された測定値が限界値を超えた場合に、関連するインフラストラクチャをシャットダウンせしめる残留電流センサを含む、残留電流の両電流感応式(allstromsensitiv)監視が必要である。
【0007】
充電インフラストラクチャ又はソーラインバータ、又はそれに類するものの動作については、残留電流の直流成分を検出及び監視することもできるタイプBの故障電流保護遮断器(Fl-Schutzschalter)が知られている。ただし、タイプBの故障電流保護遮断器には比較的、特にコストがかかる。
【0008】
両電流感応式残留電流センサは、相及び中性導体を流れるすべての電流を同時に監視し、考えられる直流及び交流故障を検出する。用途によっては、センサは、エラー発生時に、システムの切断を自主的に制御したり、切替閾値の超過を上位の制御ユニットに報告したりできる。許容できる故障電流が非常に小さいため、優れた測定精度が要求される。さらに、個人の安全には、システム全体の、特に迅速な検出と、それに続くシャットダウンが必要である。
【0009】
既知の残留電流センサは、例えば、磁気コアが、監視対象の導体の周りに空隙を設けて配置される構成に基づいている。電流が流れた場合、磁気コアによって導かれる磁場が誘導される。既知の構成では、磁場強度に依存して出力電圧を生成するホール素子が空隙内に配置される。測定精度を高めるために、磁気コアに取り付けられた補償巻線を設けることができる。これは、監視対象の電流によって生成される磁場を電気的に補償し、ホールセンサのゼロ位置を調整することで達成される。その場合、このようなセンサの本来の出力信号は、補償巻線で必要とされる電流を表す。
【0010】
さらに、電流の流れによって生成される磁場を測定するために、いわゆるフラックスゲートセンサ(Flux-Gate-Sensor)を使用することが知られている。この方法では、一次コイルが磁気コアに巻かれ、交流で駆動される。残留電流に依存する出力信号は、二次ピックアップコイルによって取り出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術に対する改良又は代替を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、残留電流を決定するための、特に残留電流を両電流感応式で決定するためのセンサであって、
-センサが、磁場感受性素子(magnetfeldempfindliches Bauelement)と、第1の主巻線と、テスト巻線と、遮蔽体とを有し、
-磁場感受性素子が貫通開口を有し、磁場感受性素子の貫通開口は、横断面が2つの対称軸を有するオーバル(Oval)として形成され、
-それぞれ複数の巻線を有する第1の主巻線とテスト巻線が磁場感受性素子を包囲し、
-遮蔽体が、磁場感受性素子、第1の主巻線、及びテスト巻線を収容するように設定された収容空間を有し、
-遮蔽体の収容空間が、遮蔽体外壁と遮蔽体内壁によって半径方向に画定され、
-遮蔽体内壁が遮蔽体の貫通開口を定義し、遮蔽体の貫通開口が2つの対称軸を有するオーバルとして形成され、
-遮蔽体が、遮蔽体内壁の領域において周方向に延びる隙間を有し、
-センサが、少なくとも2つの電気導体の周りに配置されるように設定され、
-磁気感受性素子(magnetenmpfindliches Bauelement)の貫通開口が、対称軸に沿って少なくとも1つの内のり幅(lichte Weite)を有し、
-磁気感受性素子の貫通開口が、対称軸に沿って少なくとも1つの内のり幅を有する、少なくとも1つの内のり幅が、25.2~32mmの範囲であり、好ましくは25.5~29mm、特に好ましくは25.8~27mmの範囲である、センサが課題を解決する。
【0013】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
まず、それぞれの文脈から明らかでない場合、又は当業者にとって、そこでは「正確に1つ...」、「正確に2つ...」等々を指し得ることが明らかに、又は技術的に必然である場合、本特許出願の範囲内で、「1つ」、「2つ」などの不定冠詞及び数字の記述は、一般に「少なくとも」という記述、すなわち「少なくとも1つの...」、「少なくとも2つの...」等々と理解されるべきであることを明確に指摘しておく。
【0014】
本特許出願の範囲内で、「特に」という表現は常に、この表現により任意的で好ましい特徴が導入されるということと理解されるべきである。この表現は、「厳密には」又は「つまり」と理解されるべきでない。
【0015】
「センサ」、又はさらに「検出器」は、その周辺にある特定の物理的又は化学的特性及び/又は物質的性質を「質的に」又は量的に「測定量」として検出することができる技術的組立体である。これらの量は、物理的又は化学的効果を用いて検出され、アナログ又はデジタルの電気信号に変換される。このような信号は「センサ信号」とも呼ばれる。
【0016】
殊に、センサ信号は、消費電力、特にテスト巻線及び/又は第1の主巻線及び/又は第2の主巻線の消費電力に比例する。殊に、センサ信号、特にテスト巻線及び/又は第1の主巻線及び/又は第2の主巻線のセンサ信号を、数学的規則を用いて消費電力に変換することができる。
【0017】
「消費電力」とは、定義された電圧で回路、特にテスト巻線及び/又は第1の主巻線及び/又は第2の主巻線を流れる電流強度と理解される。消費電力という用語は、電流の符号に関する情報を必要としないことを明確に指摘しておく。特に、消費電力は、正又は負の電流に相当し得る。
【0018】
センサ信号は、好ましくは、第1の主巻線の消費電力を意味すると理解される。殊に、第1の主巻線の消費電力を、数学的規則を用いて、センサによって指定されて監視される回路の1つの残留電流に転換することができる。殊に、この数学的規則は、センサの較正曲線によって決定できる。
【0019】
「残留電流」とは、センサが周囲に配置されているすべての電気導体の電流のベクトル和と理解される。
【0020】
残留電流は、交流成分及び/又は直流成分を有することができる。
【0021】
残留電流を「両電流感応式で決定する」とは、センサが交流成分と直流成分の両方を決定できるように設定されていることと理解される。
【0022】
「磁場感受性素子」とは、素子の少なくとも1つの状態量の変化よって磁場に反応する素子と理解される。
【0023】
殊に、磁場感受性素子は、磁気特性を有する物質と理解される。
【0024】
磁場感受性素子は、特に好ましくは、軟磁性物質と理解される。
【0025】
「軟磁性物質」とは、磁場中で容易に磁化できる物質と理解される。殊に、軟磁性物質は、保磁力が1,000A/m以下である。
【0026】
「保磁力」とは、飽和磁束密度まで充電される前に、磁場感受性素子を完全に消磁するために必要な磁場強度と理解される。
【0027】
殊に、軟磁性物質は、アモルファス金属から作製され、ナノ結晶構造を有する物質をと理解される。
【0028】
特に、軟磁性物質は、鉄、ニッケル及びコバルトを含む合金を有する。
【0029】
「巻線」とは、特にワイヤの形態で、磁場感受性素子の周りに延びる固体アグリゲート状態の導電性材料の巻回体と理解される。
【0030】
「主巻線」とは、電流源によって能動的に電流が供給されるように設定された巻線と理解される。これに代えて、主巻線を電圧源に接続することもできる。主巻線を「第1の主巻線」とも呼ぶことができる。
【0031】
殊に、主巻線、特に第1の主巻線は、センサ信号を、特に主巻線の消費電力によって関節的に、特に第1の主巻線及び/又は第2の主巻線の消費電力によって間接的にセンサ信号を提供するように設定されている。
【0032】
殊に、主巻線、特に第1及び/又は第2の主巻線の消費電力から、指定されてセンサで監視される回路の残留電流を、数学的規則を用いて、殊にセンサの較正から導き出すことができる数学的規則を用いて決定することができる。
【0033】
「テスト巻線」とは、全く受動的な素子として、磁場感受性素子から生じる誘導作用の結果として電流が流れるように設定された巻線と理解される。テスト巻線を、殊に、センサの較正の範囲内で使用できるテスト巻線信号を提供するように設定することができる。特に、テスト巻線は主巻線と比較して、殊に別の数のターン数を有する。
【0034】
殊に、センサの較正は、測定動作が開始される場合にはいつも本来の測定動作の開始前に実行される。
【0035】
「遮蔽体」とは、電界及び/又は磁場を磁場感受性素子から遠ざける、及び/又はセンサの周囲をセンサから発生する電界及び/又は磁場から保護するように設定された素子と理解される。
【0036】
殊に、遮蔽体は、20重量%以上のニッケル、好ましくは30重量%以上のニッケル、特に好ましくは50重量%以上のニッケルを有する合金からなる。遮蔽体は、60重量%以上のニッケル、さらに好ましくは70重量%以上のニッケル、特に好ましくは80重量%以上のニッケルを有する合金からなることがさらに好ましい。
【0037】
殊に、遮蔽体は、0.5重量%以上のモリブデン、好ましくは1重量%以上のモリブデン、特に好ましくは3重量%以上のモリブデンを有する合金からなる。遮蔽体は、4重量%以上のモリブデン、さらに好ましくは5重量%以上のモリブデン、特に好ましくは5.5重量%以上のモリブデンを有する合金からなることがさらに好ましい。
【0038】
殊に、遮蔽体は、10重量%以上の鉄、好ましくは20重量%以上の鉄、特に好ましくは30重量%以上の鉄を有する合金からなる。遮蔽体は、40重量%以上の鉄、さらに好ましくは50重量%以上の鉄、特に好ましくは55重量%以上の鉄を有する合金からなることがさらに好ましい。
【0039】
遮蔽体の合金組成に関する上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される遮蔽体の合金組成の合金組成の大きさの指標を提供すべきものである。
【0040】
殊に、遮蔽体は、複数部構成(mehrteilig)、特に2部構成(zweiteilig)で形成されている。
【0041】
特に好ましくは、2部構成の遮蔽体は、2つの遮蔽体部分が遮蔽体外壁において互いに重なるか、又は少なくとも部分的に互いに重なるように形成される。
【0042】
さらに、特に好ましくは、2部構成の遮蔽体は、2つの遮蔽体部分が遮蔽体内壁において互いに接触しないように形成され、2部構成の遮蔽体の2つの遮蔽体部分は、遮蔽体内壁において好ましくは隙間を形成する。
【0043】
「貫通開口」とは、磁場感受性素子の内部領域に形成される自由断面(freier Querschnitt)と理解される。
【0044】
特に好ましくは、磁場感受性素子外側輪郭はオーバルとして設計され、磁場感受性素子の内側輪郭も2つの対称軸を有するオーバルとして形成される。
【0045】
磁場感受性素子の内側輪郭は、磁場感受性素子の貫通開口を形成する。
【0046】
殊に、磁場感受性素子の材料厚さは、ほぼ一定又は一定である。磁場感受性素子は、断面が円として形成され、磁場感受性素子の材料厚さが一定である特殊な事例では、磁場感受性素子は、断面が円環の幾何学的形状を有する。
【0047】
「オーバル」は平らで丸みを帯びた凸状の外形である。オーバルは特殊な事例として円と楕円を含み、これとは異なり、任意のオーバルは「対称軸」を有する必要はない。特に、オーバルは、2回連続微分可能な平面上の閉じた凸曲線である。
【0048】
オーバルの曲線が仮想線の両側に鏡像的に配置されている場合、オーバルは対称軸を有する。オーバルの曲線が、2つの一致しない仮想線の両側に鏡像的に配置されている場合、オーバルは「2つの対称軸」を有する。特に、円と楕円はそれぞれ、2つの対称軸を有するオーバルである。
【0049】
「巻線」とは、磁場感受性素子の周りの巻線の周回(Umlauf)と理解される。
【0050】
「収容空間」とは、遮蔽体の内部に遮蔽体によって形作られ、かつ他の素子、特に磁場感受性素子、第1の主巻線、及びテスト巻線、ならびに殊に第2の主巻線、絶縁体、及びスペーサリングも収容するように設定されている。
【0051】
「半径方向」とは、貫通開口の可能な限り小さい断面積に対して法線方向に延びるセンサの中心軸から、中心軸に対して半径方向に直線的に延びる方向と理解される。
【0052】
「遮蔽体外壁」とは、遮蔽体、特に互いに嵌合された2部構成の遮蔽体によって形成される、半径方向に見て外側の面と理解される。
【0053】
「遮蔽体内壁」とは、遮蔽体によって形成される、特に、内側に位置する遮蔽体及び周方向に延びる隙間の、場合によって存在し得る部分面を有する、特に投影面によって形成される半径方向に見て内側の面と理解される。
【0054】
「周方向に延びる隙間」とは、遮蔽体によって形成された遮蔽体内壁の部分面間の、遮蔽体内壁において周方向に延びる隙間と理解される。半径方向に、及び中心軸から見て、周方向に延びる隙間は、遮蔽体を遮蔽体の収容空間の方向に開く。
【0055】
「電気導体」とは、可動電荷キャリアを有し、したがって電荷を輸送できるあらゆる媒体と理解される。殊に、電気導体とは、電子が移動できる導体としての銅ケーブル及び/又はアルミニウムケーブルと理解される。
【0056】
貫通開口の対称軸に沿った「内のり幅」とは、観察される対称軸の方向及び高さにおける貫通開口の延在と理解される。
【0057】
磁場感受性素子の貫通開口を断面に形成する楕円が、対称軸に沿って異なった延在の2つの対称軸を有する場合、第1の軸に沿って第1の内のり幅が生じ、第2の対称軸に沿って第2の内のり幅が生じる。
【0058】
本明細書中で、単に内のり幅という場合、これは、殊に大きいほうの延在を有する対称軸に沿う内のり幅のことである。
【0059】
「限界電流」とは、保護遮断器の限界電流に少なくとも達するか、又はこれを超える残留電流がセンサにより検出されると直ちに、センサが十分な精度と十分な速度で検出することができ、それによってセンサにより監視される回路における電圧を保護遮断器が遮断することができる残留電流と理解される。
【0060】
保護遮断器の限界電流、したがって直接、センサのわずかな残留電流の測定適合性も小さければ小さいほど、そしてこれがセンサによる確実な認識が迅速であるほど、発生する残留電流から生じ得る危険が少なくなる。
【0061】
ここで提案されたものよりも小さい磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅を有するセンサが先行技術において知られている。
【0062】
特に、従来は、磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅を低減する努力がなされた。
【0063】
この努力の動機は、残留電流をより小さく、かつより迅速に検出できるようにしようとする要求が、磁場感受性素子を監視対象回路の通電する電気導体の可能な限り近くに配置することを必要とすることである。
【0064】
通電する電気導体から発生する磁場強度は、通電する電気導体との距離に反比例して低下する。したがって、磁場感受性素子が監視対象回路の通電する電気導体から離れれば離れるほど、通電する電気導体の周囲の磁場強度によって引き起こされる磁場感受性素子における磁束密度が低くなる。
【0065】
補強的に、これに加えて、どちらも残留電流を監視するために磁場感受性素子の貫通開口に通される必要があり、かつ電流の流れ方向が逆である監視対象回路の少なくとも2つの通電する電気導体の磁場強度が、監視対象の電流回路に残留電流が生じない限りで、重畳し、かつ理想化して考えた場合に相互に相殺される。
【0066】
これによって、磁場感受性素子に作用する磁場強度は、特に監視対象回路の残留電流が小さい場合に特に低くなり、それによって、磁場感受性素子において、特に小さい磁束密度が生ぜしめられる。
【0067】
磁場感受性素子における磁束密度が低ければ低いほど、磁場感受性素子における磁束密度がテスト巻線及び/又は第1の主巻線及び/又は第2の主巻線に生ぜしめる電流も低くなる。
【0068】
言い換えると、磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅が大きければ大きいほど、磁場感受性素子に対する監視対象回路の電気導体の距離を大きくすることができ、それにより小さい残留電流を全く検出することができないか、又は特別な困難を伴ってしか検出できない。
【0069】
この理由から、比較的小さい残留電流を検出できるようにするという要求が、磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅を可能な限り小さくするという技術的努力につながる。
【0070】
磁場感受性素子を可能な限り小さくすることは、さらに、センサの軽量化、必要な材料の削減、したがってコストの削減と所要スペースの削減にもつながる。
【0071】
したがって、磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅をより小さくすることには多くの要因がプラスの材料を提供する。
【0072】
非常に小さい残留電流を有する保護遮断器は、監視対象回路がオンにされると、誤作動する傾向があることが従来技術で知られている。
【0073】
その原因は、回路がオンにされると、従来技術で知られているセンサが、監視対象回路に残留電流があってはならないにもかかわらず、残留電流と解釈できるセンサ信号を生成することにある。残留電流を小さくするという要求は、保護遮断器の誤作動の数が増加したことを意味する。
【0074】
しかし従来の知見に反して、可能な限り小さい残留電流を十分な時間内に検出することができ、それと同時にセンサと接続された保護遮断器の誤作動の可能性を著しく低下させることができる磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅の最適な範囲があることが実験室実験で全く思いがけなく発見され、発見された範囲は、従来技術でこれまで知られていたよりも大きい磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅を要する。
【0075】
換言すれば、可能な限り小さい残留電流をロバストに決定し、それによりセンサにより監視される回路をオンにした場合に、残留電流として解釈可能である、要求される限界電流を超えるセンサ信号が生じないか、又はごくまれに生じるセンサ信号しか生じないことを可能にする貫通開口の内のり幅の範囲が発見された。
【0076】
センサでロバストに決定可能な監視対象回路における最小の限界電流を達成するために、磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅が25.2~32mmの範囲であることが提案される。
【0077】
好ましくは、磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅は、25.5mm~29mmの範囲であることが提案される。
【0078】
特に好ましくは、磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅は、25.8mm~27mmの範囲であることが提案される。
【0079】
磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅の上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅の大きさの指標を提供すべきものである。
【0080】
言うまでもなく、内のり幅の記載される範囲限界を任意に組み合わせることができる。
【0081】
監視対象回路で電圧供給がオンにされると、電気導体の周りに広がる磁場と、これと作用関係にある磁束密度との間に物理的作用接続が確立される。
【0082】
このことにより、オンにした場合に、磁場感受性素子において一次的に場所に依存する磁束の短時間の時変パルスが生じる。
【0083】
このことは、一次的に、磁場感受性素子における磁束の振動挙動をもたらす。
【0084】
磁場感受性素子におけるこの短時間の振動挙動によって、誘導を介して磁場感受性素子と作用関係にあるテスト巻線及び/又は第1の主巻線及び/又は第2の主巻線にもパスス化された電流の流れが短時間生じる。
【0085】
これによって残留電流として解釈され得るセンサ信号が短時間生じる可能性があり、それにより保護遮断器におけるセンサの指定された動作中に、予め定められた限界電流を超える可能性があることを実験室実験が示した。これによって、監視対象回路の電圧供給源がオンにされると、保護遮断器のシャットダウンが起きる可能性がある。
【0086】
この短期間の振動挙動に対して複数の異なった要因が減衰作用を及ぼす。これらの要因のいくつかには、設計上の措置によって影響を及ぼすことができない。
【0087】
実験室実験では、これらの要因の1つが、ここに提案されるセンサによって監視されるべき電気導体相互の間隔によって決きまることが発見された。上述の距離又は上述の間隔が大きければ大きいほど、電圧供給源をオンにしたときの電気導体とセンサ信号との間の動的な作用関係が強化される。
【0088】
磁場感受性素子の貫通開口の断面における電気導体の間隔については、安全性の懸念が生じることから、電気導体間の短絡を回避するために、益々大きい間隔が要求される。これによって、この要因が増幅され、回路がオンにされたときに望まざるセンサ信号が生じる傾向が高くなる。
【0089】
同様に実験室実験で確認された別の要因は、磁場感受性素子における一点に対する第1の電気導体と異なる電気導体との距離の比率と関係がある。上述の比率が1の数から遠ざかれば遠ざかるほど、磁場感受性素子における磁束密度の短期的に生じる領域差(regionale Unterschiede)が大きくなる。これらの領域差が大きければ大きいほど、回路をオンにしたときのセンサの動的な開始挙動の増幅が強化される。
【0090】
磁気感受性素子の貫通開口の内のり幅を拡大することによって、磁場感受性素子における一点に対する第1の電気導体と異なる電気導体との距離の比率を数値1に近づけることができ、これによって上述のスイッチオン効果によるセンサ挙動の減衰作用を有利に達成することができる。
【0091】
磁場感受性素子の内のり幅の拡大は、特に小さな残留電流に対する感度の低下をもたらすため、ここでは、一方でセンサの通常動作における最小限の残留電流を十分な時間内に検知でき、他方でセンサにより監視される電力網をオンにしたときに、存在しない残留電流の誤検出を伝えるセンサ信号が生じないように2つの物理的効果が考慮される磁場感受性素子の貫通開口の内のり幅の最適範囲が提案される。
【0092】
具体的には、ここでは、通常の動作中に監視対象回路へ電流を導入する、及び監視対象回路への電流を導出する回路のすべての導体の周りにセンサを配置できるようにセンサを構成することが提案される。特に、ここで提案されるセンサを保護導体(Schutzleiter)の周りに配置しないことが提案される。
【0093】
特に、ここで提案されるセンサを、単相電源網での指定された使用において、外部導体及び中性導体の周りに配置することが提案される。したがって、センサは、単相電源網において、2つの電気導体の周りに配置されることになる。
【0094】
さらに、三相電源網での指定された使用の場合、センサを3つの外部導体及び中性導体の周りに配置することが提案される。したがって、センサは、三相電源網において、合計4つの電気導体の周りに配置されることになる。
【0095】
殊に、磁場感受性素子の貫通開口は、横断面が円形であり、すなわち2つの同じ長さの半半径を有するオーバルであることが提案される。
【0096】
さらに、殊に、磁場感受性素子の貫通開口は、断面が楕円、すなわち長さの異なる2つの半半径を有するオーバルであることが提案される。
【0097】
磁場感受性素子の貫通開口は、断面が2つの対称軸を有するオーバルとして形成されているという特徴が、本発明の意味において必須ではないことを明確に指摘しておく。
【0098】
むしろ、ここでは、具体的に上記の物理的効果に関して良好な妥協を可能にする磁場感受性素子の他の幾何学的形状も考えられる。殊に、これらの幾何学的形状もまた、オーバル形の断面に基づく。
【0099】
磁場感受性素子の幾何学的形状に応じて、遮蔽体の幾何学的形状も相応に適合させることが提案される。
【0100】
具体的には、ここでは、磁場感受性素子が高い透磁率を有することも提案される。
【0101】
磁場感受性素子の「透磁率」とは、外部磁場における材料の磁化と理解される。磁場感受性素子の透磁率が高ければ高いほど、磁場感受性素子における磁束密度と磁場感受性素子に作用する磁場強度の比率が大きくなる。
【0102】
高い透磁率を有する磁場感受性素子は、磁場強度が低くても磁場感受性素子において比較的高い磁束密度が存在することをもたらす。したがって、磁場感受性素子の高い透磁率がセンサの感度を高め、その際、小さい残留電流でもセンサで検出できることを支援する。
【0103】
殊に、磁場感受性素子は、35,000H/m(ヘンリー毎メートル)以上の透磁率を有し、好ましくは、磁場感受性素子は、45,000H/m以上の透磁率を有し、特に好ましくは、磁場感受性素子は、50,000H/m以上の透磁率を有することが提案される。さらに好ましくは、磁場感受性素子は、60,000H/m以上の透磁率を有し、好ましくは、磁場感受性素子は、70,000H/m以上の透磁率を有し、特に好ましくは、磁場敏感な素子は、80.000H/m以上の透磁率を有することがさらに好ましい。さらに好ましくは、磁場感受性素子が、90,000H/m以上の透磁率を有し、好ましくは磁場感受性素子、100,000H/m以上の透磁率を有し、特に好ましくは、磁場感受性素子は、110,000H/m以上の透磁率を有する。さらに好ましくは、磁場感受性素子は、120,000H/m以上の透磁率を有し、好ましくは、磁場感受性素子は、130,000H/m以上の透磁率を有し、特に好ましくは、磁場感受性素子は、140,000H/m以上の透磁率を有する。殊に、磁場感受性素子の透磁率は、好ましくは150,000H/m以上である。
【0104】
上記の透磁率の値は、磁場が50Hzで振動する場合に当てはまる。
【0105】
磁場感受性素子の透磁率の上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される磁場感受性素子の透磁率の大きさの指標を提供すべきものである。
【0106】
殊に、磁場感受性素子は、1T以上の磁気飽和磁束密度を有し、好ましくは、磁場感受性素子は、1.1T以上の磁気飽和磁束密度を有し、特に好ましくは、磁場感受性素子は、1.2T以上の磁気飽和磁束密度を有する。殊に、磁場感受性素子は、1.3T以上の磁気飽和磁束密度を有する。
【0107】
磁場感受性素子の磁気飽和磁束密度の上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、値は、ここで提案される磁場感受性素子の磁気飽和磁束密度の大きさの指標を提供すべきものである。
【0108】
殊に、ここでは、磁場感受性素子が透磁率に関して高度の線形性を有し、特に透磁率に関してフェライト材料よりも高い線形性を有することが提案される。換言すれば、殊に、磁場感受性素子にフェライト材料を使用しないことが提案される。
【0109】
磁場感受性素子の透磁率に関する直線性が高ければ高いほど、センサの達成可能な測定精度が高くなる。
【0110】
殊に、磁場感受性素子は、30mA/cm以下の保磁力を有し、好ましくは、磁場感受性素子は、20mA/cm以下の保磁力を有し、特に好ましくは、磁気電磁場感受性素子は、15ma/Acm以下の保磁力を有する。さらに好ましくは、磁場感受性素子は10mA/cm以下の保磁力を有し、好ましくは、磁場感受性素子は5mA/cm以下の保磁力を有し、特に好ましくは、磁気電界感応素子は、2mA/cm以下の保磁力を有する。さらに好ましくは、磁場感受性素子は、1mA/cm以下の保磁力を有し、好ましくは、磁場感受性素子は、0.5mA/cm以下の保磁力を有し、特に好ましくは、磁気電界感応素子は、0.2mA/cm以下の保磁力を有する。殊に、磁場感受性素子は、好ましくは、0.1mA/cm以下の保磁力を有する。
【0111】
上記の保磁力の値は、磁場が50HZで振動する場合に当てはまる。
【0112】
特に磁場の磁場強度が変化する場合に磁気感受性素子の保磁力が小さいことによって、特に高い測定精度を達成することができる。磁気感受性素子の保磁力が低ければ低いほど、センサの測定精度が高くなる。
【0113】
磁場感受性素子の保磁力の上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、値は、ここで提案される磁場感受性素子の保磁力の大きさの指標を提供すべきものである。
【0114】
殊に、軟磁性物質でできた磁場感受性素子を選択又は製造することが提案される。
【0115】
殊に、磁場感受性素子は、70重量%以上の鉄、好ましくは71.5重量%以上の鉄、特に好ましくは73重量%以上の鉄を有する合金からなる。殊に、磁場感受性素子は、73.5重量%以上の鉄を有する合金からなる。
【0116】
殊に、磁場感受性素子は、0.75~1.25重量%の範囲の銅で、好ましくは0.85~1.15重量%の範囲の銅、特に好ましくは0.95~1.05重量%の範囲の銅を含む合金からなる。殊に、磁場感受性素子の合金は、銅を1重量%の割合で含む。
【0117】
殊に、磁場感受性素子は、2~4重量%の範囲のニオブ、好ましくは2.5~3.5重量%の範囲のニオブ、特に好ましくは2.8~3.2重量%の範囲のニオブを含む合金からなる。殊に、磁場感受性素子の合金は、ニオブを3重量%の割合で含む。
【0118】
殊に、磁場感受性素子は、5~9重量%の範囲のホウ素、好ましくは6~8重量%の範囲のホウ素、特に好ましくは6.5~7.5の範囲のホウ素を含む合金からなる。殊に、磁場感受性素子の合金は、ホウ素を7重量%の割合で有する。
【0119】
殊に、磁場感受性素子は14~17重量%の範囲のケイ素、好ましくは15~16重量%の範囲のケイ素、特に好ましくは15.4~15.6重量%の範囲のケイ素を含む合金からなる。殊に、磁場感受性素子の合金は、ケイ素を15.5重量%の割合で有する。
【0120】
磁場感受性素子の合金組成の上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。
【0121】
殊に、磁場感受性素子は、好ましくは、5~30gmの範囲の典型的な粒子サイズを有するナノ結晶軟磁性材料から、好ましくは、7~20gmの範囲の典型的な粒子サイズを有するナノ結晶軟磁性材料から、8~15gmの範囲の典型的な粒子サイズを有するナノ結晶軟磁性材料からなる。
【0122】
殊に、マクスウェルの式によれば、このようにして、磁気感応素子における渦電流損失を低く抑えることができることから、磁場感受性素子は、特に小さい帯厚を有する帯から製作される。
【0123】
殊に、磁場感受性素子は、5~50gmの範囲の帯厚を有する。磁場感受性素子の帯厚は、好ましくは7.5~40gmの範囲、特に好ましくは10~30gmの範囲である。
【0124】
磁場感受性素子の帯厚の上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、値は、ここで提案される磁場感受性素子の帯厚の大きさの指標を提供するべきものである。
【0125】
殊に、磁場感受性素子の鉄の断面積は、0.03~0.15cmの範囲である。さらに、殊に、磁場感受性素子の鉄の断面積は、好ましくは0.04~0.12cmの範囲である。特に好ましくは、磁場感受性素子の鉄の断面積は、0.05~0.1cmの範囲である。
【0126】
殊に、磁場感受性素子は、3~7mmの高さを有し、好ましくは、磁場感受性素子は、3.4~6.6mmの高さを有し、特に好ましくは、磁場感受性素子は、3.8~6.2mmの高さを有する。
【0127】
鉄の断面積と磁場感受性素子の高さの上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される鉄の断面積の大きさと、磁場感受性素子の高さの指標を提供すべきものである。
【0128】
殊に、センサがフェルスタープローブの動作原理に従って残留電流を決定することが提案される。
【0129】
殊に、第1の主巻線の巻線数は、磁場感受性素子の全周にわたって等間隔に配される。
【0130】
殊に、第1の主巻線は、25~150ターンの範囲のターン数、好ましくは35~135ターンの範囲のターン数、特に好ましくは40~130ターンの範囲のターン数を有する。さらに、殊に、第1の主巻線は、45~125ターンの範囲のターン数、好ましくは50~120ターンの範囲のターン数、特に好ましくは60~110ターンの範囲のターン数を有する。
【0131】
有利にも、第1の主巻線の通電時に磁場感受性素子に可能な限り局所的に均一な磁束密度が生じるようにするために、ここで提案される第1の主巻線のターン数により、個々の巻線間で可能な限り等間隔の距離で磁場感受性素子を巻き付けることができるということを達成することができる。
【0132】
第1の主巻線のターン数の上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される第1の主巻線のターン数の大きさの指標を提供すべきものである。
【0133】
殊に、テスト巻線のターン数は、磁場感受性素子の全周にわたって等間隔に配される。
【0134】
殊に、テスト巻線は、3~40ターンの範囲のターン数、好ましくは4~35ターンの範囲のターン数、特に好ましくは5~30ターンの範囲のターン数を有する。さらに、殊に、テスト巻線は、6~25ターンの範囲のターン数、好ましくは8~22ターンの範囲のターン数、特に好ましくは10~18ターンの範囲のターン数を有する。
【0135】
有利にも、特に、テスト巻線は、隣り合う巻線間の距離が等間隔であり、磁場感受性素子全体に均一に配され得るので、ここで提案されるテスト巻線のターン数により、磁場に感応する素子の磁束密度を、これがテスト巻線に引き起こす誘導作用により特に正確に決定できることを達成することができる。
【0136】
テスト巻線のターン数の上記の値は、厳密な範囲として理解されるべきではなく、むしろ、本発明の記載された態様から逸脱することなく、工学的的尺度で、上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案されるテスト巻線のターン数の大きさの指標を提要すべきものである。
【0137】
ここで提案される磁場感受性素子の貫通開口の範囲は、遮蔽体を理想的に機能設計した場合、遮蔽体の貫通開口の内のり寸法について、18.2~30mmの範囲の内のり寸法、好ましくは、19.5~27.5mmの範囲の遮蔽体の貫通開口の内のり寸法、特に好ましくは、20.5~24.2mmの範囲の遮蔽体の貫通開口の内のり寸法をもたらす。特に好ましくは、遮蔽体の貫通開口の内のり寸法は、20.8mm~22.2mmの範囲である。
【0138】
遮蔽体の貫通開口の内のり寸法の範囲の上記の値は、厳密な範囲として理解されるべきではなく、むしろ、本発明の記載される態様から逸脱することなく、工学的的な尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、遮蔽体の貫通開口の内のり寸法の個々に提案される範囲の大きさの指標を提供すべきものである。
【0139】
言うまでもなく、内のり寸法について記載された範囲限界を任意に互いに組み合わせることができる。
【0140】
好ましい実施形態によれば、磁気感受性素子が絶縁体によって被覆され、絶縁体は、磁気感受性素子と第1の主巻線との間、及び磁気感受性素子とテスト巻線との間に配置される。
【0141】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「絶縁体」とは、導電率が特に低い材料で作られ、したがってこれを取り囲む物質と比較して、電流をごくわずかしか伝導しない素子と解される。
【0142】
殊に、絶縁体は、2部構成で形成され、それにより磁場感受性素子を収容するために開き、続いて再び閉じることができる。
【0143】
2部構成の絶縁体は、絶縁体の2つの部分の間に形状結合及び/又は力結合を有し、それによりこれは磁場感受性素子を有利にも確実に包囲することができ、意図せずに開かない、及び/又は磁場感受性構素子を再びを解放しない。
【0144】
殊に、絶縁体は、巻線の材料に比べて低い硬度を有することが好ましく、それによって、絶縁体と巻線との間に場合によっては生じる摩擦は、有利にも、巻線ではなく絶縁体を損傷する。
【0145】
絶縁体によって、有利にも、磁場感受性素子が第1の主巻線及びテスト巻線、場合によっては第2の主巻線から領域的に(regional)分離されることを達成することができ、それによって場合によっては生じる巻線の損傷を低減することができる。
【0146】
絶縁体が、第1の主巻線及びテスト巻線、場合によっては第2の主巻線の巻線の材料として低い硬度及び/又は低い弾性係数を有する場合、絶縁体の弾性変形と、したがって絶縁体と巻線との間に形状結合を生ぜしめ、巻線が相対してより良く位置固定されるように、巻線にプリロード(Vorspannkraft)を設定することができ、それによってセンサの信頼性を有利にも高めることができる。
【0147】
さらに、絶縁体は、巻線と磁場感受性素子との間の距離を常に一定にすることを可能にする。これによって、有利にも、巻線と磁場感受性素子との間の物理的作用接続が一定のままであることを達成することができる。したがって、センサ信号の決定の精度を有利にも恒久的に維持することができる。
【0148】
好ましくは、センサは、第2の主巻線を有し、第2の主巻線は、磁気感受性素子及び/又は絶縁体を複数の巻線で包囲する。
【0149】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「第2の主巻線」とは、第1の主巻線の他に、磁場感受性素子の周りに巻かれる主巻線と理解される。
【0150】
殊に、第2の主巻線は、第1の主巻線の巻き方向とは異なる巻き方向を有する。
【0151】
第1の主巻線を有し、第2の主巻線を有していない本発明の第1の態様によるセンサの指定された動作において、第1の主巻線に交流電圧が供給され、それにより供給電圧の符号が変わるたびに、第1の主巻線の電流の流れが符号を逆にする。
【0152】
これに代えて、第1の主巻線に、電流方向を交互に逆にする電流源が供給される。電流源を使用することにより、センサのより高い測定精度を有利に達成することができる。
【0153】
換言すれば、第1の主巻線は、センサの指定された動作中に周期的に異なる方向の電流の流れを有する。
【0154】
第1の主巻線における指定されたセンサ動作中の電流の流れの時間プロファイルは、正弦状又は矩形状、又は他の振動形状を有することができる。
【0155】
第1の主巻線において振動する電流の流れは、磁場感受性素子において同様に振動する磁束密度を誘導するように設定される。
【0156】
ここで提案されるセンサは、2つの主巻線、つまり第1主巻線と第2主巻線を有する。
【0157】
好ましくは、第2主巻線のターン数は、第1主巻線のターン数と等しい。
【0158】
これによって、指定されるようにセンサを動作させるために、単一の主巻線が電流の流れ方向の符号を変更する必要がないことが可能である。むしろ、2つの主巻線はそれぞれ、パルス化して動作させることができ、それによりこれらが電流の流れを有することと、電流の流れを有さないこととが交互になる。
【0159】
2つの主巻線が異なる回転方向で磁場感受性素子の周りに巻回されている場合、2つの主巻線が同じ電圧源又は電流源と交互に接続され、電圧源又は電流源が定常的な一定の出力値を有することができることによって、磁場感受性素子において交流磁束密度を誘導することができる。これは、有利にも、指定されたセンサ動作のための動作回路のより好ましい設計を可能にする。これによって、追加の主巻線が必要な場合でも、センサと操作回路の共通コストの削減を達成できる。
【0160】
殊に、第2の主巻線の巻線数は、磁場感受性素子の全周にわたって等間隔に配される。
【0161】
殊に、第2の主巻線は、25~150ターンの範囲のターン数、好ましくは35~135ターンの範囲のターン数、特に好ましくは40~130ターンの範囲のターン数を有する。さらに、殊に、第2の主巻線は、45~125ターンの範囲のターン数、好ましくは50~120ターンの範囲のターン数、特に好ましくは60~110ターンの範囲のターン数を有する。
【0162】
有利にも、ここで提案される第2の主巻線のターン数では、第2主巻線に通電した場合に、磁場感受性素子に可能な限り局所的に均一な磁束密度が生じるようにするために、個々の巻線間の距離を可能な限り等間隔にして磁場感受性素子の周りに巻き付けることができることを達成できる。
【0163】
第2の主巻線のターン数の上記の値は、厳密な範囲として理解されるべきではなく、本発明の記載された態様から逸脱することなく、工学的的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであることを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される第2の主巻線のターン数の大きさの指標を提供するべきものである。
【0164】
特に合目的的な実施形態によれば、センサはスペーサリングを有し、スペーサリングは遮蔽体内壁と第1の主巻線との間に配置される。
【0165】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「スペーサリング」とは、遮蔽体内壁とセンサの第1の主巻線との間に配置されるように設定されたリング形状の素子と理解される。
【0166】
殊に、スペーサリングは、遮蔽体内壁と主巻線との間の収容空間における半径方向隙間を減少させるか、又は埋めるように設定される。
【0167】
殊に、スペーサリングは、第1の遮蔽体部分と第2の遮蔽体部分との間の軸方向隙間を埋めるように設定され、これにより、2つの遮蔽体部分がそれぞれスペーサリングに当接配置されると直ちに、スペーサリングは周方向隙間の幅を画定することができる。
【0168】
殊に、スペーサリングは、プラスチック、又は比較的低い比導電率を有する別の材料からなる。
【0169】
有利にも、スペーサリングによって、センサの組立時に主巻線及び/又はテスト巻線のワイヤが保護されることも達成することができる。スペーサリングは、主巻線又は複数の主巻線及びテスト巻線がすでに巻かれた磁場感受性素子とともに、特に遮蔽体の第1の部分に、特に遮蔽体の、殊に遮蔽体のもう1つの部分がその外面で少なくとも部分的に指定されて重なる部分に挿入することができる。したがって、磁場感受性素子を目視監視下で慎重に遮蔽体の第1の部分に挿入することができ、磁場感受性素子は、その内側でスペーサリングによって機械的負荷から保護され、特に、磁場感受性素子の周りに配置された巻線がスペーサリングによって内側で機械的負荷から保護される。続いて、巻線がスペーサリングと遮蔽体の重なった第1部分によって機械的負荷からすでに保護されるように遮蔽体の第2の部分を装着することができる。その限りで、遮蔽体の第2の部分の組立時に特に敏感な構成部品への視覚的アクセスが不可能な場合でも、スペーサリングによって敏感な構成部品の機械的保護を有利に改善することができる。
【0170】
好ましくは、ここで、比較的高い透磁率、特に遮蔽体の透磁率に実質的に相当する透磁率を有する材料で作られたインサートをその基材の内部に有するスペーサリングが提案される。殊に、このインサートは、これが比較的低い導電率を有する基材によって絶縁されるようにするために、スペーサリングの基材によって完全に包囲される。
【0171】
これによって、センサの指定された動作中に磁場感受性素子から生じる磁場の周方向に延びる隙間での漏れを、スペーサリングの透磁率が高い結果として低減することができることを有利にも達成することができ、それによって、センサの測定精度を有利にも高めることができ、センサのエネルギー消費量も低減することができる。
【0172】
任意的に、遮蔽体はコーティング、特に電気絶縁コーティングを有する。
【0173】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「コーティング」とは、遮蔽体の表面上の無形状の物質でできた固着層と理解される。
【0174】
殊に、コーティングは、これが電流を特に不十分に伝導するように設定される。したがって、コーティングは、殊に低い導電率を有する。
【0175】
殊に、コーティングは、好ましくはエポキシ樹脂からなる。
【0176】
殊に、コーティングは、プリント回路基板の近くに指定されて配置される外側遮蔽体面の少なくとも部分面を覆うように遮蔽体上に設けられている。
【0177】
有利にも、このようにして、指定された回路基板に対する遮蔽体の絶縁を達成することができ、それにより遮蔽体と指定された回路基板との間の短絡を有利にも防止することができる。
【0178】
合目的的な実施形態によれば、遮蔽体は、0.25mm~0.45mmの範囲、好ましくは0.3mm~0.4mmの範囲、特に好ましくは0.32mm~0.38mmの範囲の材料厚さを有する。
【0179】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「材料厚さ」又は材料厚は、面法線方向の物体の広がりと理解される。
【0180】
「渦電流」とは、時間とともに変化する磁場内で膨張した電気導体及び/又は時間的に一定であるが空間的に不均一な磁場内で移動した導体内で誘導される電流と理解される。導体が有限の電気抵抗を有する場合、導体は渦電流の結果として熱せられる。この熱に変換されたエネルギー量は「渦電流損失」と呼ばれる。
【0181】
ここで、磁場感受性素子の遮蔽体の材料厚さを少なくとも1つの主巻線、及び磁場感受性素子の周りのテスト巻線と共に低減することが提案される。
【0182】
遮蔽体の領域の材料厚さを低減する可能性は、遮蔽体の製造の分野での革新に基づいている。
【0183】
殊に、遮蔽体は深絞り又は射出成形される。
【0184】
これによって、有利にも、遮蔽体の材料厚さがより厚い場合と比較して、コスト削減を達成することができる。
【0185】
センサの指定された動作中、磁場感受性素子は振動する磁束密度を有する。遮蔽体も良好な導電性の材料からなるため、磁場感受性素子の磁束密度の変化により遮蔽体に誘導作用が及ぼされる。この誘導作用は、これによって渦電流損失が生じるため望ましくない。
【0186】
遮蔽体の材料厚さを低減することによって、センサの指定された動作中に発生する渦電流損失を有利に低減することができる。
【0187】
これによって、センサのエネルギー消費量を有利に低減することができ、センサの測定精度を高めることができる。
【0188】
遮蔽体の材料厚さの上記の値は、厳密な範囲として理解されるべきではなく、むしろ、本発明の記載された態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであることを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される遮蔽体の材料厚さの大きさの指標を提供するべきものである。
【0189】
好ましくは、周方向に延びる隙間は、0.1mmから2.0mmの範囲、好ましくは0.3mm~1.7mmの範囲、特に好ましくは0.6mm~1.3mmの範囲の隙間幅を有する。
【0190】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「隙間幅」とは、隙間の幅と理解される。殊に、隙間の幅は、遮蔽体の遮蔽体内壁上の周方向に延びる隙間の幅をと理解される。
【0191】
遮蔽体の周方向に延びる隙間は特に有利である。なぜなら、そうでない場合に遮蔽体が磁場感受性素子の周りで良好な導電性の材料でできた巻線にもなり、これに対して磁場感受性素子で磁束密度が振動するセンサの指定された動作中に、比較的強い誘導作用が及ぼされるからである。これによって、遮蔽体との関連で渦電流損失が増加し、そのことがセンサのエネルギー消費量の増加とセンサの測定精度の低下を招く可能性がある。
【0192】
しかしながら、センサの遮蔽体の周方向に延びる隙間は、特に周方向に延びる隙間内の空気の透磁率が遮蔽体の透磁率よりも格段に低いため、磁場感受性素子の周りの磁場の減少にもつながる。
【0193】
したがって、周方向に延びる隙間の幅が大きすぎると、さまざまな種類の物理的効果が生じ、それが同様にセンサのエネルギー消費量とセンサの測定精度に悪影響を及ぼす。
【0194】
そこでここでは周方向に延びる隙間の隙間幅の特定の範囲が提案され、それによって、異なった物理的効果に基づいて、周方向に延びる隙間の幅が小さすぎる場合と、周方向に延びる隙間の幅が大きすぎる場合のセンサの最適感度の測定精度間の最適状態を有利にも達成することができる。
【0195】
さらに、ここで提案される周方向に延びる隙間の幅により、センサの動作のためのエネルギー消費量を有利に最小化できることが達成され得る。
【0196】
周方向に延びる隙間の隙間幅の上記の値は、厳密な限界として理解されるべきではなく、むしろ、本発明の記載された態様から逸脱することなく、工学的的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであることを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される周方向に延びる隙間の隙間幅の大きさの指標を提供すべきものである。
【0197】
合目的的な実施形態によれば、センサは電気コネクタを有し、電気コネクタは、支持プレートと、コネクタネックと、複数の電気接点とを有する。
-電気コネクタは、少なくとも巻線ごとに2つの電気接点を有し、
-電気接点は、遮蔽体外壁の外側で半径方向に配置され、
-支持プレートは、遮蔽体外壁と第1の主巻線との間に配置され、
-コネクタネックが遮蔽体外壁の開口を通って延び、支持プレートと電気接点とを互いに接続し、
-支持プレートとコネクタネックはそれぞれ対応する空所を有し、空所は、各巻線と作用接続している2つの電線を収容空間から受け取り、かつ収容空間から遮蔽体の開口を通って電気接点へ通すように設定されている。
-空所は、遮蔽体外壁に対して平行の方向に切欠きを有し、切欠きを通して電線を空所の中央領域に挿入することができる。
【0198】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「電気コネクタ」とは、センサに取り付けるように設定され、かつ少なくとも必要な数のアクセス可能な電気接点を有する素子と理解される。
【0199】
殊に、コネクタは、センサの電気及び/又は電子部品(Bauelement)をコネクタの電気接点と電気的に接続できることを可能にし、コネクタの電気接点は、比較的良好なアクセス性を有する。
【0200】
殊に、コネクタは、好ましくは、少なくとも間接的に、電気接点をセンサに対して相対的に定置に配置できることを可能にする。
【0201】
したがって、全体として、コネクタは、磁場感受性素子と電気接点との間の相対配置が固定された状態でセンサを使用できることを、殊に、かつ有利に可能にし、センサの電子及び/又は電気素子を、センサの製造時にすでに電気接点と電気的に接続することができる。
【0202】
したがって、センサを、半田付けによって直接、又はその他の接触要素、特にプラグによって電気コネクタの電気接点を介して間接的に基板と、電気コネクタによって少なくとも間接的に可能にされた接続によって基板に対する磁場感受性素子の相対位置を固定できるように、有利に接続することができる。
【0203】
殊に、電気コネクタは、基材としてプラスチック、特に比較的低い導電率のプラスチックを有する。
【0204】
殊に、電気コネクタの電気接点は、コネクタの基材によって少なくとも部分的に囲まれ、それにより基材と電気接点との間に力結合的及び/又は形状結合的な接続が存在する。さらに、殊に、電気接点は電気コネクタの基材によって互いに空間的に分離して配置され、これによって、有利にも、2つの電気接点間に直接的な電気接点が存在せず、それによりセンサの個々の電気及び/又は電子素子間の短絡を防ぐことができる。
【0205】
「支持プレート」とは、磁場感受性素子と電気コネクタとの間を形状結合的及び/又は力結合的に少なくとも間接的に接続するように設定されている電気コネクタの領域と理解される。
【0206】
殊に、支持プレートは、遮蔽体の収容空間内に、特に遮蔽体と主巻線との間、殊に主巻線と遮蔽体の遮蔽体外壁との間に収容することができる。
【0207】
殊に、支持プレートは、好ましくは、磁場感受性素子及び磁場感受性素子を取り囲む巻線と一緒に遮蔽体に挿入されるように設定される。これにより、有利にも、遮蔽体への組み込みの際に機械的負荷から巻線を追加的に保護することが支持プレートによって達成される。
【0208】
「コネクタネック」とは、支持プレートと電気接点を互いに接続するように設定された電気コネクタの領域と理解される。
【0209】
「電気接点」とは、センサの電気及び/又は電子素子間で接触させるように設定された電気コネクタの素子と理解される。
【0210】
殊に、電気接点は、それが電気コネクタの基材から2方向に突出するように形成される。その場合、特に、センサの電気及び/又は電子部品と、電気接点との接触が前記接点の突出端で行うことができるということを念頭におくべきである。さらに、センサの動作回路との接触は、電気接点の異なる突出端で、特に半田付けによって、又は1つの電気接点又は複数の電気接点に対応するプラグコネクタによって行うことができるということを念頭におくべきである。
【0211】
殊に、電気接点は、17~19重量%の範囲のニッケル、好ましくは17.5~18.5重量%の範囲のニッケル、特に好ましくは18重量%のニッケルを含む合金からなる。
【0212】
殊に、電気接点は、18~22重量%の範囲の亜鉛、好ましくは19~21重量%の範囲の亜鉛、特に好ましくは20重量%の亜鉛を含む合金からなる。
【0213】
殊に、電気接点は、58重量%以上の銅、好ましくは60重量%以上の銅、特に好ましくは61重量%以上の銅を含む合金からなる。さらに、好ましくは、電気接点は、62重量%以上の銅、さらに好ましくは63重量%以上の銅、特に好ましくは64重量%以上の銅を含む合金からなる。
【0214】
電気接点のための上述の合金組成は、有利にも、比較的高い弾性係数と非常に良好な浸漬錫メッキ特性及び半田付け特性と同時に、非常に良好な導電率を可能にする。
【0215】
電気接点の合金組成に関する上記の値は、明確な限界として理解されるべきではなく、むしろ、記載された本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回ることができるべきであるということを明確に指摘しておく。簡単に言えば、これらの値は、本明細書中で提案される電気接点の合金組成の大きさの指標を提供すべきものである。
【0216】
殊に、電気接点は、金コーティングを有し、それによって有利にも、電気接点の導電率を改善することができる。
【0217】
「開口」とは、遮蔽体における一領域であって、支持プレートと電気接点とを互いに接続する電気コネクタのコネクタネックが、この領域を通って遮蔽体内の収容空間から遮蔽体の外側の領域まで延びることができ、それによって電気コネクタの電気接点を遮蔽体の外側に配置できる、領域と理解される。このために、遮蔽体は、殊にコネクタネックに対応する開口を有する。
【0218】
2部構成の遮蔽体の場合、遮蔽体の一方又は両方の部分が、遮蔽体部分の接合後に開口を形成する空所を有することを念頭におくべきである。
【0219】
殊に、開口は、遮蔽体外壁の領域にある。
【0220】
「空所」とは、素子の基材によって形成されていず、したがって素子に損傷を与えることなしに他の物体が侵入できる、素子の断面の領域と理解される。
【0221】
殊に、空所は、部品の基材を通るチャネルである。
【0222】
さらに、殊に、空所は、部品の基材における窪みの形で形成され、それにより他の物体を窪みの開口を通して空所に挿入することができる。
【0223】
コネクタネック及び支持プレートにおける「対応する空所」とは、空所が空所の主延在方向に実質的に一定の輪郭形状で、支持プレートとコネクタネックの両方を通って延びることと理解される。
【0224】
「電線」とは、長さ方向に細く、柔軟な金属と理解される。殊に、電線は、円形の断面を有する。殊に、電線は、複数の素線を有する。殊に、電線は、銅の割合が高い。
【0225】
「切欠き」は、先の尖った、又はくさび形の切り込みと理解される。
【0226】
本発明の第1の態様によるセンサは、複数の電気及び/又は電子部品を有する。センサの指定された動作中に、電子及び/又は電気部品において電流が生じるか、又は部品に能動的に供給される。
【0227】
センサのこれらの電気及び/又は電子部品は、遮蔽体の収容空間に指定されて配置され、遮蔽体の外側から電気的に接触させる必要がある。
【0228】
電気的接触の最も単純な形態は、電気及び/又は電子部品と接続された電線が、遮蔽体を通り抜けて外へ通され、外側で、センサの動作回路を有する回路基板に半田付けされることに基づいている。
【0229】
この解決策では、電線、したがって全体としてセンサの多数の異なった損傷源があり、センサの故障につながる可能性がある。一方では、大抵の場合、導体の断面が非常に小さい電線は、機械的負荷、特に遮蔽体の領域におけるせん断負荷、又は巻線間の、及び電線と回路基板との接続の引張負荷により、簡単に破壊される可能性がある。このような引張負荷は、センサの組立て中、又はセンサの動作中も、磁場感受性素子との相対運動、及び電線と回路基板との接触が行われる場合に生じる可能性がある。
【0230】
ここで、センサの電線を電気コネクタによって機械的及び電気的に接続可能にすること、そしてそれによりセンサのロバスト性及び可用性を有利に高めることが提案される。
【0231】
本明細書中で提案される電気コネクタは、遮蔽体の収容空間内に配置された支持プレートを有する。電気コネクタの第2の領域として、コネクタネックが支持プレートから延びる。コネクタネックは、特に遮蔽体を通って、特に遮蔽体外壁の領域において延在する。センサの電気及び/又は電子的構成部品と電気的に接触するように設定された複数の電気接点がコネクタネックに接続される。
【0232】
支持プレートは、電気コネクタとセンサとの、特にセンサの遮蔽体との力結合的及び/又は形状結合的接続を可能にする。
【0233】
コネクタネックは、電線を収容するように設定され、したがって、特に遮蔽体の領域において機械的負荷から保護する。このために、コネクタネック及び支持プレートは、電線を挿入することができ、かつ外部の機械的負荷から電線を保護する対応する空所を有する。
【0234】
さらに、コネクタネックは、センサの磁場感受性素子と、電気的に接触するように設定された電気接点との間の相対位置を固定する。電線を、コネクタネック及び支持プレートの対応する空所を通って電気接点まで通すことができ、そこで電気接点に接触させることができる。
【0235】
コネクタネック及び支持プレートの対応する空所は、対応する空所の長手延在方向に対して横向きの方向に開いているトラフの形に仕上げられ、それにより電線を長手方向にのみならず、長手方向に対して横向きにも空所に挿入することができる。電線を次々に、かつ束ねて長手方向と長手方向に対して横向きとに挿入でき、それによって空所への電線の敷設が著しく容易になることから、この形式は、センサを組み立てにおける利点を可能にする。
【0236】
コネクタネック及び支持プレートにおける対応する空所は、対応する空所の長手軸に対して横向きに延在する切欠きを有し、切欠きの先端が空所の方向を指す。切欠きによって、個々の電線、又は束の電線を簡単に横向きに空所に挿入することが可能にあされ、その際、切欠きの狭小箇所を各電線が通過できなければならない。ノッチの狭小箇所は、電線が空所に挿入されると、電線が空所の長手方向に対して横向きに、より多大な労力をもってしか空所から再び離れることができず、それにより指定されて空所の保護領域にとどまるように設定されている。これによって、電線の一連の組み付けを簡易化することができ、かつ電線が空所への挿入後にはすでに、とりわけ機械的負荷から保護されることを確保することができる。
【0237】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様によるセンサと、動作回路と、電子データ処理及び評価ユニットと、スイッチング装置とを有する、限界値を超える残留電流が回路に生じた場合に回路を遮断するための保護遮断器であって、
-センサが、回路を形成する少なくとも2つの電気導体の周りに配置され、
-スイッチング装置が、回路を遮断するように設定され、
-動作回路がセンサを動作させるように設定され、
-電子データ処理及び評価ユニットが、センサのセンサ信号を評価するように設定され、
-電子データ処理及び評価ユニットは、残留電流が認識された場合、特に残留電流が両電流感応式で認識された場合に、スイッチング装置が回路を遮断するように、スイッチング装置を限界値、特に調整可能な限界値より大きい電流強度で駆動するよう設定されている、保護遮断器が課題を解決する。
【0238】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「保護遮断器」とは、保護遮断器によって監視される回路において決まった残留を超えた場合、特に、調整可能な残留電流を超えた場合に、監視対象回路の電圧をシャットダウンするように設定されている装置と理解される。このようにして、人やインフラへの残留電流のリスクを有利にも減らすことができる。
【0239】
「動作回路」とは、センサの能動的又は受動的動作のための回路と理解される。殊に、動作回路は、センサの第1の主巻線及び/又は第2の主巻線に電圧を供給するように設定されている。
【0240】
さらに、動作回路が、殊に、センサのテスト巻線で電圧を取り出し、信号としてデータ取得及び評価ユニット(Datenerfassungs-und-auswerteeinheit)に転送するように設定されている。
【0241】
同様に、動作回路はまた、殊に、センサの第1の主巻線及び/又は第2の主巻線で電圧を取り出し、信号としてデータ取得及び評価ユニットに転送するように設定される。
【0242】
殊に、動作回路は、テスト巻線及び/又は第1の主巻線及び/又は第2の主巻線の消費電力を評価するように設定された消費電力測定装置を有することも念頭に置かれるべきである。
【0243】
「電子データ処理及び評価ユニット」とは、大量のデータを整理して扱い、その場合、これらの大量のデータに関する情報を取得する、又はこれらの態様のデータを変更するという目標を追求する電子ユニットである。その場合、データはデータセットの形でまとめられ、人又は機械によって所定の方法で処理され、結果として出力される。
【0244】
「データ」とは、特に測定値、特にセンサ信号、又は他の、物理的又は化学的測定量又は量の値と理解される。
【0245】
「スイッチング装置」とは、回路、特に回路遮断器によって監視される回路の電圧供給をシャットダウンするように設定された装置をと理解される。
【0246】
「回路」とは、閉じた経路を表す導体の径からなる電気回路と理解される。
【0247】
「センサ信号」とは、センサによって提供される状態量と理解される。特に、センサ信号は、センサによって監視対象回路の残留電流への物理的及び/又は化学的依存性によってセンサ信号から推測できるように設定される。殊に、センサによって監視される残留電流は、センサ信号から直接計算することができる。殊に、センサ信号は、決定可能な電流強度及び/又は決定可能な電圧である。
【0248】
「電流強度」とは、物理的量の形で電流、特に電気回路の電流を量定する電流と理解される。その場合、電流強度は、適切に配向された面、殊に電気導体の断面に関連する。この場合、電流強度は断面を流れた、かつ観察された期間に関連する電荷の量である。
【0249】
殊に、センサ信号とは、数学的規則によって残留電流に変換することができる第1の主巻線の消費電力と理解される。
【0250】
「限界値」とは、保護遮断器によって監視される回路において超えた場合に、スイッチング装置が、遅くとも保護遮断器によって監視対象回路の電圧供給をシャットダウンしければならない状態量、特に残留電流の定義された値と理解される。殊に、遮断器の限界値は調整可能であり得る。
【0251】
すなわち、ここでは、回路を監視するために本発明の第1の態様によるセンサを利用する遮断器が具体的に提案される。
【0252】
言うまでもなく、本発明の第1の態様による残留電流を決定するためのセンサの利点は、上述のように、本発明の第1の態様による保護遮断器を有する保護遮断器にも直接及ぶ。
【0253】
これによって、特に、残留電流に対してより高い感度を有する保護遮断器を有利に達成することができ、それにより保護遮断器は、監視対象回路における残留電流が非常に小さい場合でも回路を遮断することができる。さらにその場合、同時に、保護遮断器が、監視対象回路をオンにした場合に誤って限界電流を超えるとされる残留電流を誤って検出する可能性が特に低いことを有利にも達成することができる。
【0254】
第2の態様の主題を本発明の前述の態様の主題と個別に又は任意の組み合わせで累積的に有利に組み合わせることができることを明確に指摘しておく。
【0255】
本発明の第3の態様によれば、電気車を充電するための充電ケーブルであって、充電ケーブルが本発明の第1の態様によるセンサ及び/又は本発明の第2の態様による保護遮断器を有する充電ケーブルが課題を解決する。
【0256】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「充電ケーブル」とは、電気車を電源に接続するように設定された電気接続と理解され、この場合、充電ケーブルは、電気車のトラクションバッテリを充電するように設定されている。殊に、充電ケーブルは、場合によって存在する残留電流の監視装置を有する。
【0257】
「電気車」とは、少なくとも部分的に電気モータによって駆動される車両と理解される。殊に、電気車は、軌道に拘束されないか、又は少なくとも恒久的に軌道に拘束されない。
【0258】
ここでは、本発明の第2の態様による保護遮断器及び/又は本発明の第1の態様によるセンサを有する、電気車のバッテリを充電するための充電ケーブルが提案される。
【0259】
言うまでもなく、本発明の第1の態様による残留電流を決定するためのセンサ、及び/又は、回路に残留電流が生じる場合に回路を遮断するための保護遮断器の利点は、上述のように、電気車を充電するための充電ケーブルであって、本発明の第1の態様によるセンサ及び/又は本発明の第2の態様による保護遮断器を有する充電ケーブルに直接及ぶ。
【0260】
第3の態様の主題を本発明の前述の態様の主題と個別に又は任意の組み合わせで累積的に有利に組み合わせることができることを明確に指摘しておく。
【0261】
本発明の第4の態様によれば、電気車を充電するための充電ステーションであって、本発明の第1の態様によるセンサ及び/又は本発明の第2の態様による回路遮断器を有する、充電ステーションが解決する。
【0262】
これに関して、用語について以下のことを説明しておく:
「充電ステーション」又は「壁充電ステーション」とは、電気車を充電するための充電器と理解される。壁充電ステーションの場合、充電ステーションは特に壁に取り付けられるように設定されている。殊に、充電ステーションは、さまざまな場所にさまざまに設置できる移動機器である。殊に、充電ステーション又は壁充電ステーションは、充電ステーションを電気車と接続するため、及び電力供給網に接続するための充電ケーブルのプラグイン接続の他に、他の機能、特に、場合によっては生じる残留電流の監視装置も提供する。
【0263】
ここでは、本発明の第2の態様による保護遮断器及び/又は本発明の第1の態様によるセンサを有する、電気車を充電するための充電ステーションが提案される。
【0264】
言うまでもなく、本発明の第1の態様による残留電流を決定するためのセンサ、及び/又は、第2の態様による、回路に限界値を超える残留電流が生じた場合に、回路を遮断するための保護遮断器の利点は、上述のように、電気車を充電するための充電ステーションであって、本発明の第1の態様によるセンサ及び/又は本発明の第2の態様による保護スイッチを有する充電ステーションに直接及ぶ。
【0265】
第4の態様の主題を本発明の前述の態様の主題と個別に又は任意の組み合わせで累積的に有利に組み合わせることができることを明確に指摘しておく。本発明の他の利点、詳細及び特徴は、以下に説明する実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0266】
図1図1は、回路における本発明によるセンサの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、回路をオンにしたときの物理的作用結合を概略的に示す図である。
図3図3は、磁場感受性素子における例示的箇所での回路をオンにしたときの時間上の磁束密度の動的推移を概略的に示す図である。
図4図4は、磁場感受性素子の内のり幅と、のり幅に依存したセンサの誤作動の傾向のプロファイルと、内のり幅に依存したセンサの測定可能な最小残留電流のプロファイルとの間の物理的関係を模式的に示す図である。
図5図5は、本発明によるセンサの模式的断面図である。
図6図6a~6gは、電気コネクタの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0267】
次に続く説明において、同じ参照符号は同じ部品若しくは同じ特徴を示し、したがって図を参照しながら部品に関して行われる説明は、他の図にも当てはまり、それにより説明の繰り返しが回避される。さらに、一実施形態との関連で説明された個々の特徴を、他の実施形態で別々に使用することもできる。
【0268】
図1に模式的に図示されたセンサ100は、電気導体110、120の周りに配置され、これらを通って、指定された電流112、114がセンサ100により監視される回路(図示せず)に流入し、再び流出する。
【0269】
その場合、電流112は、外側導体110を介してセンサ100により監視される回路(図示せず)に流入し、中性導体120を介して再び流出する。
【0270】
回路(図示せず)における電圧源(図示せず)をオンにすると、電気導体110、120の周りに生じる磁場114、124と、磁場感受性素子10における領域的な磁束密度116、118との間に、図2の動的な物理的作用結合が生じる。
【0271】
電気導体110、120を出発点とする磁場114、124は、電圧供給源(図示せず)がオンにされると、磁場感受性素子10に対して領域的に、かつ時間的に制限されて、様々に影響を及ぼし、それにより、磁場感受性素子10に短時間、領域的に逆方向の磁束密度116、126が生じる。
【0272】
磁場感受性素子10における一時的で領域的に逆方向の磁束密度116、126は、磁場感受性素子10における例示的な箇所(図示せず)での時間130に対する図3におけるその補償過程の間、磁束密度132の振動の形態の磁束密度の動的挙動をもたらすことが観察される。
【0273】
観察された回路(図示せず)のための電流供給源(図示せず)をオンにした結果としての磁束密度132のこの振動は、減衰推移し、漸近線132、134に沿ってその時間的限界値に接近する。
【0274】
その場合、磁束密度132の短時間の振動は、テスト巻線(図示せず)及び/又は第1の主巻線及び/又は第2の主巻線と物理的相互作用(図示せず)するに至り、それによってセンサ信号(図示せず)が生じ、このことを、定められた限界値(図示せず)を超える残留電流(図示せず)と解釈することができる。これをスイッチオンエラー(Einschaltfehler)と説明することもできる。
【0275】
図4に示される磁場感受性素子10の貫通開口(図示せず)の内のり幅12と、センサ100を指定して使用する保護遮断器(図示せず)の誤作動140の傾向と、センサ100で測定可能な最小残留電流150との関係は、磁場感受性素子10の貫通開口(図示せず)の内のり幅12には、測定可能な最小残留電流150と誤作動140の傾向との間に良好な妥協が見いだされる最適値160があることを示す。
【0276】
この最適値160は、ここに提示される図の観察では、プロファイル142、152の交点に位置する。
【0277】
さらに、磁場感受性素子10の貫通開口(図示せず)の内のり幅12の最適範囲165が明らかになり、これは最適値160の周りに配置されている。
【0278】
図5のセンサ100は、実質的に磁場感受性素子10と、磁場感受性素子10を取り囲む絶縁体20と、主巻線30と、テスト巻線(図示せず)と、スペーサリング40と、遮蔽体50と、電気コネクタ60と、複数の電気接点70とからなる。
【0279】
絶縁体20は、2部構成で形成され、絶縁体20の個々の部品(図示せず)は形状結合的に互いに接続されている。
【0280】
主巻線30は、電気コネクタ60により支持される電気接点70に電線75によって接続される。
【0281】
遮蔽体50は、2部構成で形成され、周方向に延びる隙間55を遮蔽体内壁58上に形成する。
【0282】
図6の電気コネクタ60は、実質的に支持プレート80と、コネクタネック90と、複数の電気接点70とからなる。
【0283】
図6b)には、電気コネクタ60の3次元図が示されている。
【0284】
図6a)には、電気コネクタ60の正面図が示され、この正面図は、指定されたセンサに対して外側から見た図である。
【0285】
図6c)には、電気コネクタ60の上面図が示されている。さらに、切断線A-A及びB-Bが示されている。
【0286】
図6d)には、電気コネクタ60の断面A-Aが示されている。
【0287】
図6e)には、電気コネクタ60の断面B-Bが示されている。
【0288】
図6f)には、電気コネクタ60の正面図が示され、この正面図は、指定されたセンサに対して内側から見た図である。
【0289】
図6g)には、コネクタ60の側面図が示されている。
【0290】
支持プレート80は、遮蔽体(図示せず)の収容空間(図示せず)に収容されるように設定されている。
【0291】
コネクタネック90は、複数の電気接点70を支持プレート80と接続する。
【0292】
コネクタネック90は、各巻線(図示せず)と作用結合する2つの電線(図示せず)を収容空間(図示せず)から受け取るように、かつ収容空間(図示せず)から遮蔽体外壁(図示せず)の開口(図示せず)を通って電気接点(70)へ通すように設定された空所92を有する。
【0293】
空所92は、さらに、遮蔽体外壁(図示せず)に対して平行の方向に切欠き94を有し、この切欠きを通って、電線(図示せず)を空所92の中央領域(図示せず)に設置することができる。
【0294】
切欠き94を通って、電線(図示せず)を個別に、又は束にして簡単に横方向に、空所92内に挿入できることが可能にされ、その場合、切欠き94は、その狭小箇所(図示せず)において各電線(図示せず)によって通過されなければならない。切欠き94の狭小箇所(図示せず)は、電線(図示せず)が空所92に一旦設置されると、多大な労力をもってしか、空所92の長手方向(図示せず)に対して横向きに空所92から再び出ることができず、したがって、指定されて空所92の保護領域(図示せず)にとどまる。
【符号の説明】
【0295】
10 磁場感受性素子
12 内のり幅
20 絶縁体
30 主巻線
40 スペーサリング
50 遮蔽体
55 周方向に延びる隙間
58 遮蔽体内壁
60 電気コネクタ
70 電気接点
75 電線
80 支持プレート
90 コネクタネック
92 空所
94 切欠き
100 センサ
110 電気導体/外部導体
112 電流の方向
114 磁場
116 磁束密度
120 電気導体/中性導体
122 電流の方向
124 磁場
126 磁束密度
130 時間軸
132 磁束密度の振動
134 漸近線
136 漸近線
140 誤トリガの傾向
142 誤トリガの傾向のプロファイル
150 測定可能な最小残留電流
152 測定可能な最小残留電流のプロファイル
160 最適地
165 最適範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6a)】
図6b)】
図6c)】
図6d)】
図6e)】
図6f)】
図6g)】
【手続補正書】
【提出日】2021-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
留電流を両電流感応式で決定するためのセンサ(100)であって、
-前記センサ(100)が、磁場感受性素子(10)と、第1の主巻線(30)と、テスト巻線と、遮蔽体(50)とを有し、
-前記磁場感受性素子(10)が貫通開口を有し、前記磁場感受性素子(10)の前記貫通開口は、横断面が2つの対称軸を有するオーバルとして形成され、
-それぞれ複数の巻線を有する前記第1の主巻線(30)と前記テスト巻線が前記磁場感受性素子(10)を包囲し、
-前記遮蔽体(50)が、磁場感受性素子(10)、前記第1の主巻線(30)、及び前記テスト巻線を収容するように設定された収容空間を有し、
-前記遮蔽体(50)の前記収容空間が、遮蔽体外壁と遮蔽体内壁(58)によって半径方向に画定され、
-前記遮蔽体内壁(58)が前記遮蔽体(50)の貫通開口を画定し、前記遮蔽体(50)の前記貫通開口が2つの対称軸を有するオーバルとして形成され、
-前記遮蔽体(50)が、前記遮蔽体内壁(58)の領域において周方向に延びる隙間(55)を有し、
-前記センサ(100)が、少なくとも2つの電気導体(110、120)の周りに配置されるように設定され、
-前記磁場感受性素子(10)の前記貫通開口が、対称軸に沿って少なくとも1つの内のり幅を有する、センサにおいて、
前記少なくとも1つの内のり幅が、25.2~32mmの範囲であり、好ましくは25.5~29mm、特に好ましくは25.8~27mmの範囲であることを特徴とする、センサ。
【請求項2】
前記磁場感受性素子(10)が絶縁体(20)によって被覆され、前記絶縁体(20)は、前記磁場感受性素子(10)と前記第1の主巻線(30)との間、及び前記磁場感受性素子(10)と前記テスト巻線との間に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ(100)。
【請求項3】
前記センサ(100)が第2の主巻線(30)を有し、前記第2の主巻線(30)は、前記磁場感受性素子(10)及び/又は絶縁体(20)を複数のターンで包囲することを特徴とする、請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項4】
前記センサ(100)がスペーサリング(40)を有し、前記スペーサリング(40)は、前記遮蔽体内壁と前記第1の主巻線(30)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項5】
前記遮蔽体(50)がコーティング、特に電気絶縁コーティングを有することを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項6】
前記遮蔽体(50)が、0.25mm~0.45mmの範囲、好ましくは0.3mm~0.4mmの範囲、特に好ましくは0.32mm~0.38mmの範囲の材料厚さを有することを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項7】
前記周方向に延びる隙間(55)が、0.1mm~2.0mmの範囲、好ましくは0.3mm~1.7mmの範囲、特に好ましくは0.6mm~1.3mmの範囲の隙間幅を有することを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項8】
前記センサ(100)が電気コネクタ(60)を有し、前記電気コネクタ(60)は、支持プレート(80)と、コネクタネック(90)と、複数の電気接点(70)とを有し、
-前記電気コネクタ(60)が、少なくとも各巻線について2つの電気接点(70)を有し、
-前記電気接点(70)が、半径方向で前記遮蔽体側壁の外側に配置され、
-前記支持プレート(80)が、前記遮蔽体外壁と前記第1の主巻線(30)との間に配置され、
-前記コネクタネック(90)が、前記遮蔽体外壁の開口を通って延び、前記支持プレート(80)と前記電気接点(70)とを互いに接続し、
-前記支持プレート(80)及び前記コネクタネック(90)がそれぞれ、対応する空所(92)を有し、前記空所(92)は、各巻線と作用結合している2つの電線(75)を前記収容空間から受け取るように、かつ前記収容空間から、前記遮蔽体外壁の開口を通って前記電気接点(70)へ通すように設定され、
-前記空所(92)は、前記遮蔽体外壁に対して平行の方向に切欠き(94)を有し、前記切欠きを通って、前記電線(75)を前記空所(92)の中央領域に設置できることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のセンサ(100)。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のセンサ(100)を有する、回路において残留電流が限界値を超える場合に前記電流回路を遮断するための保護遮断器であって、動作回路と、電子データ処理及び評価ユニットと、スイッチング装置とを有し、
-前記センサ(100)が、前記回路を形成する少なくとも2つの電気導体(110、120)の周りに配置され、
-前記スイッチング装置が、前記回路を遮断するように設定され、
-前記動作回路が、前記センサ(100)を動作させるように設定され、
-前記電子データ処理及び評価ユニットが、前記センサ(100)のセンサ信号を評価するように設定され、
-前記電子データ処理及び評価ユニットは、残留電流が認識された場合、特に残留電流が両電流感応式で認識された場合に、前記スイッチング装置が前記回路を遮断するように前記スイッチング装置を限界値、特に調整可能な限界値より大きい電流強度で駆動するよう設定されている、保護遮断器。
【請求項10】
電気車を充電するための充電ケーブルであって、前記充電ケーブルが、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のセンサ(100)又は請求項9に記載の保護遮断器を有する、充電ケーブル。
【請求項11】
電気車を充電するための充電ステーションであって、前記充電ステーションが、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のセンサ(100)又は請求項9に記載の保護遮断器を有する、充電ステーション。
【国際調査報告】