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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】洋上構造物用の基礎プロファイル
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/52 20060101AFI20230704BHJP
   E02D 27/42 20060101ALI20230704BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20230704BHJP
【FI】
E02D27/52 Z
E02D27/42 C
F03D13/25
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022580041
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2021063861
(87)【国際公開番号】W WO2021259576
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】102020116518.8
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521154291
【氏名又は名称】エル・ヴェー・エー リニューワブルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】RWE Renewables GmbH
【住所又は居所原語表記】PWE Platz 4, 45141 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル バルトミン
【テーマコード(参考)】
2D046
3H178
【Fターム(参考)】
2D046DA61
3H178AA03
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
本願は、洋上構造物(220)用の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)であって、基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の意図された状態において水底地盤(222)内に配置されたプロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)と、意図された状態においてプロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)に配置され、膨張可能な材料(118、218)を受けるように構成された、少なくとも1つの細長い中空体(106、206、306、406、506)と、を備える、基礎プロファイル(100、200、300、400、500)に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上構造物(220)用の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)であって、
- 前記基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の意図された状態において水底地盤(222)内に配置されたプロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)と、
- 前記意図された状態において前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)に配置され、膨張可能な材料(118、218)を受けるように構成された、少なくとも1つの細長い中空体(106、206、306、406、506)と
を備える、基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項2】
前記細長い中空体(106、206、306、406、506)は、有孔の細長い中空体(106、206、306、406、506)であることを特徴とする、請求項1に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項3】
前記細長い中空体(106、206、306、406、506)は、前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)においてらせん形状に、好ましくは2重らせん形状に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項4】
前記膨張性材料(118、218)は、
- セメント系材料、
- CaO系材料、
- Al粉末系材料、
- アルカリシリカ材料混合物、および
- アルカリ炭酸塩材料混合物
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項5】
- 前記細長い中空体(106、206、306、406、506)は、前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)の外壁要素(332)に少なくとも部分的に埋め込まれ、
- 前記外壁要素(332)は、コンクリート含有材料および/またはモルタル含有材料から少なくとも部分的に作製される
ことを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項6】
- 前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)は、少なくとも1つの外向きの凹所(330)を有する少なくとも1つのプロファイルベース本体(336)を備え、
- 前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)は、前記凹所(330)に挿入された少なくとも1つの外壁要素(332)を備える
ことを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項7】
- 前記細長い中空体(106、206、306、406、506)は、前記膨張可能な材料(118、218)を前記細長い中空体(106、206、306、406、506)中に充填するように構成された、少なくとも1つの充填開口部(112、412、512、554)を備え、
- 前記充填開口部(112、412、512、554)は、前記意図された状態において水底地盤面(226)の少なくとも上方に配置される
ことを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項8】
- 基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の意図された状態において水底地盤(222)内に配置された少なくとも1つのプロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)を備える、少なくとも1つの基礎プロファイル(100、200、300、400、500)と、
- 前記意図された状態において前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)に配置可能であり、膨張可能な材料(118、218)を受けるように構成された、少なくとも1つの細長い中空体(106、206、306、406、506)と
を備える、基礎セット。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の少なくとも1つの基礎プロファイル(100、200、300、400、500)を備える、洋上構造物(220)、具体的には、洋上風力エネルギー構造物(220)。
【請求項10】
少なくとも1つのプロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)と、前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)に配置された少なくとも1つの細長い中空体(106、206、306、406、506)とを備える基礎プロファイル(100、200、300、400、500)、具体的には、請求項1~7の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)を設置する方法であって、
- 少なくとも1つの膨張可能な材料(118、218)を前記細長い中空体(106、206、306、406、506)中に充填することと、
- 前記基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)を水底地盤(222)中に挿入することと
を含む、方法。
【請求項11】
少なくとも前記膨張可能な材料(118、218)の前記充填は、前記基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)の挿入中および/または挿入後に行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記膨張可能な材料(118、218)を充填することは、膨張可能な材料と、前記膨張可能な材料の拡張を引き起こす少なくとも1つのさらなる材料との混合物を充填することを含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
- 中間流体による前記細長い中空体(106、206、306、406、506)の少なくとも部分的な充填が行われ、
- 前記中間流体は、前記膨張可能な材料(118、218)の充填前に前記細長い中空体(106、206、306、406、506)から排出される
ことを特徴とする、請求項10~12の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、洋上構造物用、具体的には洋上風力エネルギー構造物用の、基礎プロファイルに関する。さらに、本願は、基礎セット、洋上構造物、および基礎プロファイルを設置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上構造物または洋上装置が、具体的には海に、ますます設置されている。例えば、複数の洋上風力エネルギー装置を有する洋上風力発電所が、いわゆる再生可能エネルギー源からの、発電または電力供給のために設置されている。洋上の地点は通常、比較的風が途切れない状況があることおよび平均風速が高いことを特徴とし、そのため、いわゆる洋上風力発電所の建設が増えつつある。
【0003】
典型的には、洋上風力発電所は、複数の洋上風力タービン、測定マストなど、複数の洋上風力エネルギー装置、および/または少なくとも1つの洋上変電所を備える。その洋上変電所を介して、洋上風力発電所は、例えば、陸上変電所またはさらなる洋上変電所および洋上変換所に電気接続されてよい。さらに、陸上変電所は公共の電力網に接続することができる。
【0004】
洋上風力タービンは、風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている。2つの洋上風力エネルギー装置の間、または、洋上風力エネルギー装置と陸上装置との間で発生した電気エネルギーを伝送するために、電力ケーブルが海底ケーブルの形態で設置されている。
【0005】
陸上構造物と比べると、洋上構造物の水底地盤における設置、具体的にはアンカリングに課題があり、多大な労力を必要とする。
【0006】
洋上風力発電所の場合、さらに他の洋上構造物の場合に、基礎(例えば、モノパイル、トリポッド、トリパイルまたはジャケット基礎)によって、水底、具体的には海底の形態の、水底地盤上にまたは内に直接的に洋上構造物をアンカリングすることが一般的である。
【0007】
基礎は少なくとも1つの基礎プロファイルを備える。基礎プロファイルは、プロファイル端部セクションを備え、プロファイル端部セクションは、基礎プロファイルの意図された状態において水底地盤内に配置されており、すなわち具体的には海底に挿入されている。
【0008】
基礎プロファイルの設置プロセスにおいて、基礎プロファイルの、具体的には、少なくともプロファイル端部セクションの、水底地盤中への挿入が、例えば振動および/またはラミングによって行われる。具体的には、振動の場合に、さらにラミングの場合にも、プロファイル端部セクションの領域において地盤の締固めの低下が起こり、したがって、プロファイル端部セクションと水底地盤との間の接触面における内部摩擦角が低下し、その結果、地盤の緊張が低下する。
【0009】
その課題を解決するために、プロファイル端部セクションの外面に膨張可能な材料を供給することが特許文献1によって知られている。膨張可能な材料は水と接触したときに自動的に膨張、すなわち、その体積を増大させ始め、そのため、緊張の上昇、したがって荷重負担能力の上昇が実現される。
【0010】
プロファイル端部セクションの表面全体を被覆することの一欠点は、膨張可能な材料の横方向および径方向の拡張が起こり、そのことから基礎プロファイルに望ましくない緊張が生じる場合がある。
【0011】
さらに、特許文献1の拡張プロセスは時間的に制御できない。むしろ、水反応性の膨張可能な材料が使用される場合、水と接触するとすぐに拡張プロセスが始まる。そのことは、水底地盤中へのプロファイル端部セクションの挿入が意図したとおりに行われない場合であるが、例えば、膨張可能な材料でコーティングされた端部セクションが例えば水に既に浸漬された後で遅延が起きる場合に、課題となることがある。次に、プロファイル端部セクションが最終的に挿入される前に、膨張可能な材料の拡張が既に完了していることがある。これは、所望の通りには緊張を上昇させることができず、そのため、荷重負担能力が低下するか、または計画通りには上昇しないことを意味している。その場合、そのときに、地盤の締固めのために付加的な対策を取らなければならず、そのことは高いレベルの労力を伴う。
【0012】
したがって、本願の目的は、改善された手法、具体的には、より信頼できる手法で、水底地盤と基礎プロファイルのプロファイル端部セクションとの間の接触面における緊張の増大を可能にする洋上構造物用の基礎プロファイルを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2017 121 037(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
その目的は、請求項1に記載の洋上構造物用の基礎プロファイルによって、本願の第1の態様に従って解決される。基礎プロファイルは、基礎プロファイルの意図された状態において水底地盤内に配置されたプロファイル端部セクションを備える。基礎プロファイルは、意図された状態においてプロファイル端部セクション上に(またはその周りに)配置された(または敷設された)、膨張可能な材料を受けるように構成された少なくとも1つの細長い中空体を備える。
【0015】
先行技術と異なり、膨張可能な材料はプロファイル端部セクションの外面全体には施されないが、膨張可能な材料を受けるかまたはその材料で充填するように構成された細長い中空体がプロファイル端部セクション上に配置されるということから、水底地盤と基礎プロファイルのプロファイル端部セクションとの間の接触面における緊張の増大を、改善された手法で行うことが可能である。具体的には、本願によれば、より広範囲の膨張可能な材料を使用でき、それらの材料は、好ましくは、先行技術で使用できるものよりも高い拡張率を有することができる。
【0016】
細長い中空体の精密な敷設、したがって膨張可能な材料のより精密な拡張を行うことができる。さらに、細長い中空体の敷設は、膨張可能な材料の拡張を時間的に制御する可能性をもたらす。具体的には、膨張可能な材料の拡張が早すぎないことを保証するように、少なくとも1つの細長い中空体の充填を時間調節することができる。基礎プロファイルの設置は、高い信頼性で行うことができる。この点において、後続の精密な注入によって、ならびに/または、細長い中空体、その壁および/もしくはベディング(独:Bettung,英:bedding)の反応遅延特性によって、時間の制御を実現することができる。
【0017】
基礎は、本願による少なくとも1つの基礎プロファイルを備えるか、または本願による基礎プロファイルを形成する。基礎は、したがって本願による基礎プロファイルは、具体的には、洋上構造物の一部とすることができる。具体的には、基礎プロファイルは、洋上構造物の洋上装置を支持するように働く。
【0018】
洋上装置または洋上構造物は、好ましくは、洋上風力タービン、洋上測定マストなどの洋上風力エネルギー装置、または洋上変電所である。さらに、洋上構造物は、ドリリングプラットフォームもしくはプロダクションプラットフォーム、または水素製造施設などのエネルギーを抽出、変換、もしくは貯蔵するための他のプラットフォームでよい。
【0019】
既に記載したように、洋上構造物は、本願による基礎プロファイルによって好ましくは水底、具体的には海底の形態の水底地盤に固定できる洋上ユニットを備えることができる。洋上構造物は、具体的には、洋上ユニット(例えば、プラットフォーム、ナセルなど)および基礎によって形成することができる。
【0020】
例示的でありかつ包括的でない基礎または基礎構造物は、モノパイル、トリポッド、トリパイル、またはジャケット基礎を備える。このような基礎は、具体的には基礎パイルの形態の、少なくとも1つの基礎プロファイルを備える。
【0021】
本願によれば、基礎プロファイルとは、具体的には、細長い構造部材を意味し、好ましくは、実質的に同一の断面を有することができる。基礎プロファイルは、中実のプロファイルもしくは閉鎖型のプロファイル(例えば、中実のパイル)または開放型のプロファイルもしくは中空のプロファイル(例えば、中空のパイル)でよい。基礎プロファイルは、好ましくは、金属、具体的には鋼から形成されてよい。しかし、代替的または付加的に、コンクリート、ガラス繊維(ガラス繊維複合材)、炭素繊維(炭素繊維複合材)および/または木材など、他の材料も考えられる。基本的には、断面形状は、所望の通りに、好ましくは、実質的に円形に形成することができる。具体的には、基礎プロファイルは、筒形状またはタワー型に形成することができる。
【0022】
本願による基礎プロファイルは、プロファイル端部セクションを備える。プロファイル端部セクションとは、具体的には、基礎プロファイルの意図された状態または設置された状態において、すなわち基礎プロファイルが所望(最小)の貫入深さで水底地盤中に設置されたときに、基礎プロファイルのうちの、水底地盤中に配置されている、すなわち、水底地盤面の実質的に下方にある部分またはセクションを意味する。そのセクションは、基礎プロファイルを水底地盤中にアンカリングするように働くため、アンカーセクションと称されることもある。基礎プロファイルのうちのプロファイル端部セクションの上方にあるさらなる部分またはセクションは、具体的には、水に囲まれており、具体的には、(直接的または間接的に)隣接する洋上ユニットを支持するように働く。
【0023】
本願によれば、基礎プロファイルは、プロファイル端部セクションに配置または敷設された少なくとも1つの細長い中空体を備える。具体的には、これは、少なくとも1つの細長い中空体がプロファイル端部セクションの外壁上または内に配置されていることを意味する。一実施形態では、細長い中空体は、プロファイル端部セクションの外壁に外から敷設されており、具体的には、それに取り付けられていてよい。好ましい実施形態では、細長い中空体は、プロファイル端部セクションの外壁要素に、少なくとも部分的に埋め込まれるかまたは組み込まれてよい。
【0024】
本願において、細長い中空体とは、具体的にはホースを意味する。細長く、かつ具体的には可撓性の中空体は、好ましくは、筒形に形成されてよく、周方向の外壁またはシースを備えることができる。シースは内部空間を囲むことができる。
【0025】
好ましくは、細長い中空体は、プラスチック材料などの可撓性材料から形成することができる。具体的には、可撓性材料は、細長い中空体の体積を広げるかまたは拡張させることが可能でよい。
【0026】
細長い中空体は、膨張可能な材料を受けるように、すなわち、その材料で充填されるように構成されている。具体的には、上記に記載した内部空間はそのために使用される。膨張可能な材料とは、具体的には、さらなる材料と組み合わせて体積を拡張できる材料を意味する。好ましくは、膨張可能な材料は、水反応性物質とすることができ、例えば硫酸塩による促進によって、水と組み合わせて膨張または拡張する。
【0027】
2つ以上の細長い中空体を設けてよいことを理解されたい。基礎プロファイルの少なくとも1つのさらなるセクションに細長い中空体の少なくとも一部分を配設できることをさらに理解されたい。
【0028】
記載したように、細長い中空体は、可撓性材料または伸縮可能な材料のシースを備えてよい。好ましくは、細長い中空体の材料のヤング率(弾性係数とも呼ばれる)は、(20℃で)最大10GPa、例えば、(20℃で)0.01GPaと5GPaとの間にあってよい。このような(細長い中空体の、少なくとも1つのセクションにおける)中空体が前に記載した膨張可能な材料で(ほぼ完全に)充填されているときに、中空体の体積の増大は(少なくとも前記中空体セクションにおいて)膨張可能な材料の拡張の際に膨張可能な材料によって引き起こすことができる。膨張可能な材料の拡張率は1%でよい。
【0029】
例えば、中空体の直径は(通常の状態で)2cmと10cmとの間にあってよい。直径は、拡張した状態で、0.5%と5%との間、例えば1%と2%との間増大させることができる。
【0030】
本願による基礎プロファイルのさらなる実施形態によれば、細長い中空体は、代替的または付加的に、有孔の細長い中空体でよい。言い換えれば、細長い中空体は、少なくとも各セクションに複数の(孔)開口部または穿孔をシースに備えることができる。有利には、膨張可能な材料の拡張時に、膨張可能な材料が部分的に開口部から外部にはみ出すことができるように、開口部を形成することができる。代替的または付加的に、(孔)開口部によって、例えば設置プロセス中に、水が細長い中空体に(自動的に)浸入できることを実現できる。水反応性物質の場合は、膨張可能な材料の拡張が(自動的に)起こるかまたは開始されることが実現される。
【0031】
開口部の直径は、細長い中空体が膨張可能な材料で予め充填済み(すなわち、基礎プロファイルの設置プロセス前に充填済み)の場合、水は浸入できるが、膨張可能な材料はその初期状態では(すなわち、膨張プロセスまたは拡張プロセスの前には)外部に(ほとんど)到達できないように選択することができる。
【0032】
基本的に、細長い中空体は、プロファイル端部セクション上にどの手法でも配置でき、すなわち、具体的には、プロファイル端部セクション上にどのパターンでも敷設できる。例えば、具体的には基礎プロファイルの長手方向軸に実質的に平行に延びるように、複数の細長い中空体をプロファイル端部セクションに配置することができる。
【0033】
また、細長い中空体は、U字形に配置されてよく、具体的には、U字形の2つのレッグが、互いに、具体的には基礎プロファイルの長手方向軸に、実質的に平行に延びることができる。
【0034】
本願による基礎プロファイルの好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの細長い中空体は、プロファイル端部セクションの周りでらせん形状に、好ましくは2重らせん形状に配置または敷設することができる。らせん形状の軸は、基礎プロファイルの長手方向軸と実質的に同一でよい。このような経路によって、特に効率的に前記接触面におけるブレーシングが強化される。
【0035】
既に記載したように、膨張性材料は、好ましくは、水反応性物質でよい。本願による基礎プロファイルの好ましい実施形態によれば、膨張性材料は、
- セメント系材料、
- CaO(酸化カルシウム)系材料、
- Al粉末系材料、
- アルカリ二酸化ケイ素(アルカリシリカ)(反応性)材料混合物、および
- アルカリ炭酸塩(反応性)材料混合物、
を含む群から選択することができる。
【0036】
このような材料は、基礎プロファイルで使用するのに非常に適しており、具体的には高い拡張率を示すことが証明済みである。特に好ましくは、具体的にはCaOをベースとすることができる、いわゆる膨張性爆発物(独:Quellsprengstoff,英:swelling explosive)(例えば、Dynacem(登録商標))を使用することができる。
【0037】
既に記載したように、好ましくは、少なくとも1つの細長い中空体は、設置パターンに関係なく、プロファイル端部セクションの外壁要素に少なくとも部分的に組み込むことができる。本願による基礎プロファイルの好ましい実施形態によれば、細長い中空体は、プロファイル端部セクションの外壁要素に少なくとも部分的に埋め込むことができる。例えば、シースは、外壁要素内に全体的に組み込まれるかまたはそれに囲まれてよい。代替的に、シースの少なくとも一部分は外壁要素から外に延びてよい。具体的には、中空体は、外壁要素内にプレス嵌めすることができる。
【0038】
外壁要素は、少なくとも部分的に、コンクリート含有材料および/またはモルタル含有材料から作製されてよい。具体的には、少なくとも1つの細長い中空体は、モルタル、グラウト、またはコンクリートの筒状シェルから形成された1つまたは複数の外壁要素に組み込まれてよい。好ましくは、外壁要素は、例えば(周方向の)プロファイルベース本体に機械的に連結された補強材を備えることができる。
【0039】
代替的に、または好ましくは付加的に、プロファイル端部セクションは、少なくとも1つの外向きの(周方向の)凹所を有する少なくとも1つのプロファイルベース本体を備えることができる。具体的には、プロファイルベース本体は、金属(例えば、鋼)ならびに/またはガラス繊維複合材料および/もしくは炭素繊維複合材料から作製されてよい。
【0040】
プロファイル端部セクションは、凹所に挿入された少なくとも1つの外壁要素を備えることができる。記載したように、好ましくは少なくとも1つの細長い中空体は、前記外壁要素に埋め込むことができる。
【0041】
基礎プロファイルのさらなる実施形態によれば、細長い中空体は、少なくとも膨張可能な材料を細長い中空体中に充填する(具体的には注入する)ように構成された、少なくとも1つの充填開口部を備えることができる。好ましくは、少なくとも1つの充填開口部は、細長い中空体の少なくとも1つの端部に配置することができる。考えられるところでは、細長い中空体の他方の端部は閉鎖されており、すなわち、具体的には、他方の端部には充填開口部がない。しかし、中空体は先に記載したように他方の端部が有孔でよいことを理解されたい。さらに、他の変形例では、2つの(またはそれよりも多くの)充填開口部を設けることができる。例えば、先に記載した細長い中空体のU字形の構成において各端部に充填開口部を設けることができる。
【0042】
充填開口部は、前に記載した(孔)開口部とは、具体的には直径が異なる。したがって、充填開口部の直径は、孔開口部の直径の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍(好ましくは、10倍と20倍との間)の大きさである。本願の変形例において、充填開口部は、閉鎖可能になるように形成することができる。
【0043】
基礎プロファイルの意図された状態において、充填開口部は、水底地盤面の少なくとも上方に位置してよい。言い換えれば、少なくとも1つの充填開口部は、プロファイル端部セクションの上方のセクションに配置されてよい。
【0044】
少なくとも1つの充填開口部、具体的には少なくとも設置状態において水底地盤面の上方に位置する充填開口部によって、膨張可能な材料の拡張を時間的に制御することが可能である。例えば、膨張可能な材料は、例えば基礎プロファイルの設置プロセス中および/またはその後に、設置場所でだけ充填できる。代替的または付加的に、中空体は予め充填でき、水だけは、例えば基礎プロファイルの設置プロセス中および/またはその後に設置場所で充填することができる。
【0045】
特に好ましくは、本願によれば、少なくとも1つの細長い中空体は、(現地)生産された膨張可能な材料と水の混合物で充填することができる。そのことにより、最適な混合比、したがって最適化された膨張プロセスに加え、膨張プロセスを時間的に制御することができる。具体的には、時間的制御は、挿入プロセスにおける時間遅延を考慮に入れることができる。
【0046】
例えば、注入装置(例えば、ショットクリート機)を有する船、具体的には船舶を、基礎プロファイルの設置場所に設けることができる。注入装置は、少なくとも1つの充填開口部に接続ホースを介して一時的に接続することができる。具体的には、注入装置は、例えば水に対する膨張可能な材料の特定の混合比で、少なくとも膨張可能な材料(および/または水)を中空体中に注入するように構成することができる。具体的には、膨張可能な材料または好ましくは前記混合物による中空体の(ほぼ完全な)充填を可能にするために、圧力の印加を行うことができる。
【0047】
混合物、具体的にはセメントを含有する混合物は、混合物の圧力の発達および体積の拡大が、含有されているコンクリートに適合されるように設計でき、そうすることで、体積の拡大が注入の少なくとも1時間後、好ましくは注入の3時間後に実現されるときに補強材の降伏が実現される。
【0048】
本願のさらなる態様は基礎セットである。基礎セットは、基礎プロファイルの意図された状態において、少なくとも1つのプロファイル端部セクションが水底地盤内に配置された少なくとも1つの基礎プロファイル(具体的には、請求項1に記載されている(が固定された中空体がない))を備える。基礎セットは、意図された状態において、プロファイル端部セクションの上(または周り)に配置可能(または敷設可能)であり、膨張可能な材料を受けるように構成された少なくとも1つの細長い中空体を備える。
【0049】
本願のさらなる態様は、(具体的には前に説明した)洋上構造物、具体的には、洋上風力エネルギー構造物である。洋上構造物は、先に記載した基礎プロファイルを少なくとも1つ備える。例えば、洋上構造物は、先に記載した基礎プロファイルを少なくとも1つ有する基礎を備えることができる。
【0050】
本願のさらなる態様は、少なくとも1つのプロファイル端部セクションと、プロファイル端部セクションの周りに配置(または敷設)された少なくとも1つの細長い中空体とを備える、基礎プロファイル、具体的には先に記載した基礎プロファイルを設置する方法である。本方法は、
- 少なくとも1つの膨張可能な材料を細長い中空体中に充填することと、
- 基礎プロファイルのプロファイル端部セクションを水底地盤中に挿入することと
を含む。
【0051】
基礎プロファイルのプロファイル端部セクションを水底地盤中に挿入することは、好ましくは、基礎プロファイルのプロファイル端部セクションを(予め決定できる最小の貫入深さに至るまで)振動させることを含むことができる。振動で押し込むことによって、具体的には、プロファイル端部セクションの領域における、水底地盤の不透過性を低減させる。
【0052】
代替的または付加的に、基礎プロファイルのプロファイル端部セクションのラミングを行うことができる。穴を作って次にその穴に基礎プロファイルを挿入するなど、他の方法も利用できることを理解されたい。
【0053】
充填によって、拡張を時間的に制御することができる。基礎プロファイルと水底地盤との間の接触面に緊張の上昇が引き起こされると、表面摩擦が上昇され、そうすることでさらに、荷重負担能力を上昇させることができる。
【0054】
膨張可能な材料を少なくとも1つの細長い中空体中に充填することは、基礎プロファイルのプロファイル端部セクションの挿入前に、例えば、事前に陸上でまたは港で行うことができる。例えば、充填は工場で行うことができる。
【0055】
本願による方法の好ましい実施形態によれば、少なくとも膨張可能な材料の充填は、基礎プロファイルの洋上の設置場所で、すなわち、具体的には、基礎プロファイルのプロファイル端部セクションを水底地盤中に設置する(直)前に、設置中に、および/または設置後に行うことができる。そのことは、基礎プロファイルの設置、具体的には、設置場所までの搬送を容易にすることができる。膨張プロセスの時間的制御を実現することができる。記載してきたように、例えば、注入装置を有する船を充填のために使用することができる。
【0056】
本願による方法のさらなる好ましい実施形態によれば、膨張可能な材料を充填することは、膨張可能な材料と、膨張可能な材料の拡張を引き起こす少なくとも1つのさらなる材料(好ましくは水)との混合物を充填することを含むことができる。具体的には、混合物の用意は、(オンサイトで、すなわち、具体的には設置場所で)前記材料を特定の混合比で混合することによって行われる。混合物を用意した直後に(または特定の時間遅延の後に)、混合物は、先に記載したように少なくとも1つの細長い中空体中に充填または注入することができる。
【0057】
本願による方法の特に好ましい実施形態によれば、具体的には液体の形態の中間流体による、細長い中空体の少なくとも部分的な充填を実行することができる。中間流体とは、具体的には、液体、好ましくは水であり、膨張可能な材料で充填する前にその流体で細長い中空体が充填される。そのことによって、例えば、外壁要素に少なくとも部分的に組み込まれている場合であっても、細長い中空体がその形状を維持することが可能になる。
【0058】
具体的には、中空体に狭窄が形成されないことを実現できる。例えば、中空体が(孔および/または充填開口部を用いて)空気だけで充填されている場合に、(例えば、中空体を埋め込む材料から)中空体のシェルに作用する力が中空体の体積または直径を(直径0cmまで)(恒久的に)縮小できることが起こり得ると認識されている。その場合、膨張可能な材料による中空体の(完全な)充填は行うことができないか、またはさらに労力を費やしてのみ行うことができる。中間的な充填によって、狭窄を防止できることが実現され、具体的には、中空体の完全な充填を保証できる。
【0059】
具体的には、一実施形態によれば、中空体中に膨張可能な材料を充填する(直)前に、中間流体が中空体から出されることが提案される。好ましくは、中間流体は、基礎プロファイルの洋上の設置位置で細長い中空体から少なくとも部分的に排出することができる。例えば、中間流体は、(開閉できる)開口部を通して排出しかつ/または送り出すことができる。
【0060】
基礎プロファイル、基礎セット、洋上構造物および方法の特徴は、互いに自由に組み合わせることができる。具体的には、本明細書および/または従属請求項の特徴は単独でもまたは互いに自由に組み合わせても、独立請求項の特徴を完全にまたは部分的に回避しても独立して進歩性を有することができる。
【0061】
今や、本願による基礎プロファイル、本願による基礎セット、本願による洋上構造物、および本願による方法を設計し、さらに発展させる可能性が多数存在する。そのために、一方で独立請求項に従属する請求項が、他方で図面に関連する実施形態の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本願による基礎プロファイルの一実施形態の概略斜視図である。
図2】本願による基礎プロファイルの一実施形態を有する、本願による洋上構造物の一実施形態の概略(断面)図である。
図3】本願による基礎プロファイルのさらなる実施形態の概略図である。
図4】本願による基礎プロファイルのさらなる実施形態の概略図である。
図5】本願による基礎プロファイルのさらなる実施形態の概略図である。
図6】本願による方法の一実施形態のダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下では、同じ要素には同じ参照符号が用いられる。さらに、各実施形態において、以下では、Xは垂直方向を示し、Yは水平方向を示す。
【0064】
図1は、本願による洋上構造物用の基礎プロファイル100の一実施形態の概略斜視図を示す。具体的には、基礎プロファイル100は基礎102の一部である。モノパイル102の形態の例示的な基礎102において、基礎プロファイル100は基礎102を形成することができる。他の変更例において、他の基礎が、例えば、複数の基礎プロファイルを備えてよいことを理解されたい。
【0065】
本実施形態では、基礎プロファイル100は、筒状のパイル100、例えば、中空または中実のパイル100として形成されている。基礎プロファイル100の直径は、実質的に一定のままでよい。好ましくは、基礎プロファイル100は、鋼ならびに/またはガラス繊維複合材および/もしくは炭素繊維複合材から作製されてよい。
【0066】
見て分かるように、基礎プロファイル100はプロファイル端部セクション104を備える。具体的には、プロファイル端部セクション104は、基礎プロファイル100の意図された状態において、すなわち、基礎プロファイル100が水底地盤にアンカリングされているときに、基礎プロファイル100のうちの水底地盤内に配置されているセクション104である。
【0067】
具体的には、プロファイル端部セクション104の長さは、基礎プロファイル100の全長の1/3でよい。
【0068】
本願によれば、少なくともプロファイル端部セクション104に細長い中空体106が配置されている。細長い中空体106は、具体的には、ホース106である。具体的には図1の拡大図を見ると分かるように、ホース106は、空所116または内部を囲むシース114を備える。
【0069】
空所116は、膨張可能な材料118で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、充填されてよいかまたは少なくとも充填可能でよい。具体的には、これは、ホース106が膨張可能な材料118を受けるか、または膨張可能な材料118で充填されるように構成されていることを意味する。
【0070】
特に好ましくは、膨張可能な材料118は、CaO系でよい、いわゆる膨張性爆発物118(例えば、Dynacem)でよい。上記に記載したように、他の膨張可能な材料を使用してもよい。具体的には、膨張可能な材料118は、水反応性物質118でよい。
【0071】
好ましくは、シース114は、可撓性材料および/または弾性材料から形成されてよい。弾性材料、好ましくは、プラスチック材料および/またはテキスタイル材料は、具体的には、ヤング率が(20℃で)0.01GPaと5GPaとの間でよい。このような材料は、具体的には、膨張可能な材料118の拡張によって引き起こされる、ホース106の体積の増大を可能にする。
【0072】
任意選択で、ホース106は、有孔でよく、具体的には、開口部108または孔108を備えてよい。(孔)開口部108は、具体的には基礎プロファイル100のプロファイル端部セクション104を水底地盤中に挿入する間および/または挿入した後に、中空体106に水が入ることを可能にできる。水を入れることによって、膨張可能な材料118と入った水との間に化学反応が始まり、その反応により、ホース106内に配置された膨張可能な材料118が拡張し、具体的には、その体積が増大する。これはさらに、ホースの体積の増大につながり、かつ/または膨張可能な材料118は少なくとも部分的に開口部108から外部にはみ出す(したがって、ホース106の体積を増大させる)。
【0073】
既に記載したように、ホース106の体積を増大させると、具体的には、プロファイル端部セクション104と水底地盤との間のブレーシングを強化できる。安全かつ同時に単純な手法で、基礎プロファイル100の水底地盤へのアンカリングを実現することができる。
【0074】
本実施形態では、ホース106は、ホース106の一端110に充填開口部112を備え、充填開口部112は、少なくとも膨張可能な材料118でホース106を充填しかつ充填される(具体的には注入する)ように構成されている。好ましくは、(具体的には無孔のホースの場合)膨張可能な材料118および水の混合物を、充填開口部112を通してホース中に注入することができる。
【0075】
充填開口部112は、垂直方向Xにおいて基礎プロファイル100のうちのプロファイル端部セクション104の上方にあるセクション107に位置してよい。言い換えれば、基礎プロファイル100の意図された状態において、充填開口部112は、具体的には、水底地盤面の上方に配置される。具体的には、少なくとも1つのホース106の(例えば、記載した混合物による)充填を時間的に制御できることから、そのような配置によって、拡張プロセスを時間的に制御できるようになる。
【0076】
本願の他の変形例では、複数の充填開口部を設けてもよく、充填開口部を設けなくてもよい。本願の他の変形例では、複数のホースを設けてよいことをさらに理解されたい。
【0077】
図2は、本願による基礎プロファイル200の一実施形態を有する、本願による洋上構造物220の概略図を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の実施形態を参照する。
【0078】
例示的に、本願の洋上構造物220は洋上風力タービン220である。公知の通り、洋上風力タービン220は、洋上風力エネルギー装置228および基礎202を備える。本例では、洋上構造物220、したがって本例の基礎プロファイル200によって形成されている基礎202は、基礎プロファイル200の設置状態またはアンカリング状態で示されている。
【0079】
図2を見ると分かるように、プロファイル端部セクション204は、設置状態において水底地盤222内に配置され、具体的には、アンカリングされている。参照符号224は水底地盤面を示し、参照符号226は水面、具体的には海水面を示す。
【0080】
さらに見て分かるように、意図された状態において、少なくとも1つの細長い中空体206は、プロファイル端部セクション204にまたはその周りに、敷設または配置されており、細長い中空体206は膨張可能な材料218を受けるように構成されている。
【0081】
本実施形態では、少なくとも1つの細長い中空体206は、プロファイル端部セクション204の周りでらせん形状に、好ましくは2重らせん形状に敷設されている。らせんの軸は、基礎プロファイル200の長手方向軸と実質的に同一でよい。中空体のこのような経路によって、特に効率的に接触面におけるブレーシングが強化される。
【0082】
図3は、本願による基礎プロファイル300のさらなる実施形態の概略図、具体的には断面図を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の説明を参照する。
【0083】
本実施形態では、少なくとも1つの細長い中空体306は、プロファイル端部セクション304の外壁に少なくとも部分的に埋め込まれるかまたは組み込まれている。見て分かるように、基礎プロファイル300は、少なくとも1つの外向きの(周方向の)凹所330を有するプロファイルベース本体336を備える。プロファイル端部セクション304はさらに、凹所330に挿入された外壁要素332を少なくとも1つ備える。
【0084】
外壁要素332は、コンクリート含有材料および/またはモルタル含有材料から少なくとも部分的に形成されてよい。具体的には、少なくとも1つの細長い中空体306は、モルタル、グラウト、またはコンクリートの筒状シェルから形成された1つまたは複数の外壁要素332と一体でよい。好ましくは、外壁要素332は補強材334を含んでよい。具体的には、外壁要素332は「ホワイトタンク(独:Weissen Wanne,英:white tank)」と同様に働くことができる。
【0085】
図4は、本願による基礎プロファイル400のさらなる実施形態の概略図、具体的には、断面図を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の実施形態を参照する。
【0086】
見て分かるように、複数の細長い中空体406は実質的に垂直方向xに延びるように設けられている。具体的には、細長い中空体406は実質的に、互いに平行にかつ基礎プロファイルの長手方向軸440に平行に延びる。他の変更例では、角度の付いた経路を設けてもよい。
【0087】
本実施形態では、細長い中空体406はそれぞれ、その上端410に充填開口部412を備える。見て分かるように、充填開口部412は何れも、プロファイル端部セクション404よりも(垂直方向xに見て)上方のセクションに配置されている。それぞれの下端442は閉じられているかまたは充填開口部を有しない。膨張可能な材料による中空体406の充填は、単純な手法で可能である。
【0088】
このような実施形態において、(不図示の)分配ホースを設けることができる。分配ホースは、充填開口部と、例えば細長い中空体406の充填開口部412の数に相当する複数の出口開口部とを備えることができる。出口開口部は、細長い中空体406のそれぞれの充填開口部412に流体接続することができる。1つの分配ホースの代わりに複数の分配ホースを設けてよいことを理解されたい。
【0089】
図5は、本願による基礎プロファイル500のさらなる実施形態の概略図、具体的には、断面図を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の説明を参照する。
【0090】
見て分かるように、複数の細長い中空体506が設けられており、それぞれ実質的にU字形の構成を備える。具体的には、細長い中空体506のそれぞれのレッグ550は実質的に、互いに平行にかつ基礎プロファイルの長手方向軸540に平行に延びる。本願の他の変形例において、V字またはW字(またはWWなど)の配置も提供できる。
【0091】
本実施形態では、細長い中空体506はそれぞれ、両端510、542に充填開口部512、554を備える。見て分かるように充填開口部512、554は何れも、プロファイル端部セクション504よりも(垂直方向に見て)上方のセクションに配置されている。膨張可能な材料による中空体506の充填は、単純な手法で可能である。
【0092】
このような実施形態において、(不図示の)分配ホースを設けることができる。分配ホースは、充填開口部と、例えば細長い中空体506の充填開口部512、554の数に相当する複数の出口開口部とを備えることができる。出口開口部は、細長い中空体506のそれぞれの充填開口部512、554に流体接続することができる。1つの分配ホースの代わりに複数の分配ホースを設けてよいことを理解されたい。
【0093】
図6は、具体的には図1から図5の何れかによる基礎プロファイルなどの基礎プロファイルを設置するための、本願による方法の一実施形態のダイヤグラムを示す。
【0094】
ステップ601で、少なくとも1つの膨張可能な材料の少なくとも1つの細長い中空体への充填が行われる。好ましくは、特定の混合比で、(直前にまたは特定の時間遅延後に用意される)膨張可能な材料と、膨張可能な材料の拡張を引き起こす少なくとも1つのさらなる材料(好ましくは水)との混合物を、充填、具体的には、(圧力下で)注入することができる。
【0095】
ステップ602で、基礎プロファイルのプロファイル端部セクションの、水底地盤中への挿入が行われる。
【0096】
ステップ601は、時間的に、少なくとも部分的にステップ602の前に、少なくとも部分的にステップ602中に、および/または少なくとも部分的にステップ602後に行うことができる。
【0097】
本願による方法の好ましい変形例において、基礎プロファイルのプロファイル端部セクションは、まず、好ましくは振動させることによって、水底地盤中に導入される。他の変形例において、ラミングを行うこともできるか、またはまずボアホールを作って次にその中に基礎プロファイルのプロファイル端部セクションを挿入することができる。
【0098】
その後、例えば、少なくとも1つの充填開口部に流体接続できる注入装置によって、膨張可能な材料、好ましくは上記に記載した混合物で、具体的には圧力を利用して、少なくとも1つの細長い中空体を充填することができる。
【0099】
好ましい実施形態では、液体の形態の中間流体で中空体を充填することができる。膨張可能な材料、具体的には上記に記載した混合物で充填する前に、その中間流体、具体的には水を排出することができる。
【0100】
細長い中空体における任意選択の孔によって、具体的には、水底地盤に存在する地下水が浸入し、膨張可能な材料と反応することができる。上記に記載した混合物では孔を省略できることを理解されたい。
【0101】
具体的には、本願による方法において、拡張を時間的に制御することができる。基礎プロファイルと水底地盤との間の接触面においてブレーシングが強化されるため、表面摩擦が上昇され、そうすることでさらに、荷重負担能力を上昇させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上構造物(220)用の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)であって、
- 前記基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の意図された状態において水底地盤(222)内に配置されたプロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)と、
- 前記意図された状態において前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)に配置され、膨張可能な材料(118、218)を受けるように構成された、少なくとも1つの細長い中空体(106、206、306、406、506)と
を備える、基礎プロファイル(100、200、300、400、500)であって、
- 前記細長い中空体(106、206、306、406、506)は、前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)の外壁に、外から敷設されていることを特徴とする、基礎プロファイル(100、200、300、400、500)
【請求項2】
前記細長い中空体(106、206、306、406、506)は、有孔の細長い中空体(106、206、306、406、506)であることを特徴とする、請求項1に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項3】
前記細長い中空体(106、206、306、406、506)は、前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)においてらせん形状に、好ましくは2重らせん形状に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項4】
前記膨張性材料(118、218)は、
- セメント系材料、
- CaO系材料、
- Al粉末系材料、
- アルカリシリカ材料混合物、および
- アルカリ炭酸塩材料混合物
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項5】
- 前記細長い中空体は、可撓性材料から作製されたシースを備え、
- 前記細長い中空体の前記材料は弾性係数が、20℃で最大10GPa、具体的には、20℃で0.01GPaと5GPaとの間にある
ことを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項6】
- 前記細長い中空体は直径が、通常の状態で、2cmと10cmとの間にあり、
- 前記直径は、拡張した状態で、0.5%と5%との間増大する
ことを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項7】
- 前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)は、少なくとも1つの外向きの凹所(330)を有する少なくとも1つのプロファイルベース本体(336)を備え、
- 前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)は、前記凹所(330)に挿入された少なくとも1つの外壁要素(332)を備える
ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項8】
- 前記細長い中空体(106、206、306、406、506)は、前記膨張可能な材料(118、218)を前記細長い中空体(106、206、306、406、506)中に充填するように構成された、少なくとも1つの充填開口部(112、412、512、554)を備え、
- 前記充填開口部(112、412、512、554)は、前記意図された状態において水底地盤面(226)の少なくとも上方に配置される
ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)。
【請求項9】
- 基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の意図された状態において水底地盤(222)内に配置された少なくとも1つのプロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)を備える、少なくとも1つの基礎プロファイル(100、200、300、400、500)と、
- 前記意図された状態において前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)の外壁に配置可能であり、膨張可能な材料(118、218)を受けるように構成された、少なくとも1つの細長い中空体(106、206、306、406、506)と
を備える、基礎セット。
【請求項10】
請求項1~の何れか一項に記載の少なくとも1つの基礎プロファイル(100、200、300、400、500)を備える、洋上構造物(220)、具体的には、洋上風力エネルギー構造物(220)。
【請求項11】
求項1~の何れか一項に記載の基礎プロファイル(100、200、300、400、500)を設置する方法であって、
- 少なくとも1つの膨張可能な材料(118、218)を前記細長い中空体(106、206、306、406、506)中に充填することと、
- 前記基礎プロファイル(100、200、300、400、500)のプロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)を水底地盤(222)中に挿入することと
を含む、方法。
【請求項12】
少なくとも前記膨張可能な材料(118、218)の前記充填は、前記基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)の挿入中および/または挿入後に行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも前記膨張可能な材料(118、218)の前記充填は、前記基礎プロファイル(100、200、300、400、500)の前記プロファイル端部セクション(104、204、304、404、504)の挿入前に行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記膨張可能な材料(118、218)を充填することは、膨張可能な材料と、前記膨張可能な材料の拡張を引き起こす少なくとも1つのさらなる材料との混合物を充填することを含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
- 中間流体による前記細長い中空体(106、206、306、406、506)の少なくとも部分的な充填が行われ、
- 前記中間流体は、前記膨張可能な材料(118、218)の充填前に前記細長い中空体(106、206、306、406、506)から排出される
ことを特徴とする、請求項1114の何れか一項に記載の方法。
【国際調査報告】