(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(54)【発明の名称】改善された品質のタンパク質濃縮物のための微生物ベースのプロセス
(51)【国際特許分類】
A23J 3/16 20060101AFI20230704BHJP
C12P 1/02 20060101ALI20230704BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230704BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20230704BHJP
A23L 11/45 20210101ALI20230704BHJP
A23L 11/50 20210101ALI20230704BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20230704BHJP
A23K 10/12 20160101ALI20230704BHJP
A23K 20/147 20160101ALI20230704BHJP
C07K 14/415 20060101ALN20230704BHJP
C12N 1/16 20060101ALN20230704BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20230704BHJP
【FI】
A23J3/16
C12P1/02 Z
A23L5/00 L
A23L29/00
A23L11/45 Z
A23L11/50 209
A23L11/45 108Z
A23J3/00 503
A23K10/12
A23K20/147
C07K14/415 ZNA
C12N1/16 E
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518707
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 US2021021663
(87)【国際公開番号】W WO2021252038
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522476705
【氏名又は名称】プレーリー アクアテック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】ハースタード デニス
(72)【発明者】
【氏名】ネイツ セルジオ エフ.
【テーマコード(参考)】
2B150
4B020
4B035
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AA06
2B150AA07
2B150AB20
2B150AC15
2B150AD02
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2B150CE04
2B150CE07
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4B020LB02
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4B065CA43
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA40
4H045EA01
4H045EA07
4H045FA73
4H045GA15
(57)【要約】
本発明は、植物由来のセルロースおよび炭水化物を、好気的インキュベーションを介して生体利用可能なタンパク質に変換することによって、高品質のタンパク質濃縮物(HQPC)を生成するためのバイオベースのプロセスであって、水産養殖用食餌における魚粉代替品としての使用を含めて、そのようにして生成されたそのようなHQPCの栄養分としての使用を含む、プロセスを記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非動物性タンパク質濃縮物を含む組成物であって、前記濃縮物がA.プルランス(A.pullulans)を含有する発酵した植物性産物を少なくとも約65%~約75%のタンパク質含量(乾燥物質ベース)で含有し、前記タンパク質濃縮物が、少なくとも約10%の加水分解度(DH)、約2.5%未満の灰分含量、または約0.1ppm未満のカリウムおよびマグネシウム含量から選択される特性のうちの1つまたは複数を示す、組成物。
【請求項2】
前記A.プルランスが、0.35~0.5g/Lの酵母抽出物を含む培地中で増殖させた場合に約3.0g/L未満のプルランを産生する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非動物性タンパク質濃縮物が、大豆、モロコシ、ピーナッツ、豆類、ナタネ、カラス麦、大麦、ライ麦、ルピナス、ソラマメ、キャノーラ、エンドウ、ゴマ、綿実、パーム核、大麦、ブドウ種子、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、コプラ、トウモロコシ、ココナッツ、亜麻仁、ヘーゼルナッツ、小麦、イネ、ジャガイモ、キャッサバ、マメ科植物、カメリナ種子、カラシナ種子、胚芽ミール、トウモロコシグルテンミール、蒸留所/醸造所の副産物、およびそれらの組合せからなる群からの植物材料から単離されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記植物材料が、大豆フレークまたは大豆ミールの形態にある大豆に由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物を含む飼料または食糧。
【請求項6】
前記組成物が、1つまたは複数の肉代用品と組み合わされる、請求項5に記載の食糧。
【請求項7】
前記肉代用品が、解凍されてスライスされた冷凍豆腐、オンチョム、テンペ、豆腐、トーファーキー、人造ターキー、パニール、グラモーガン、パンノキの実、サパル、ナス、ジャックフルーツ、フェラフェル、がんもどき、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の食糧。
【請求項8】
前記濃縮物が、前記1つまたは複数の肉代用品の、質感、芳香、口当たり、歯ごたえ、カリッとした感じ、風味、外観、またはそれらの組合せから選択される官能的特性のうちの1つまたは複数を、前記濃縮物を欠く同じ前記肉代用品と比較して改善する、請求項6に記載の食糧。
【請求項9】
前記組成物がヒトの消費用である、請求項6に記載の食糧。
【請求項10】
魚類、貝類、甲殻類、飼育動物、家畜、およびそれらの組合せからなる群から選択される動物用に調合される、請求項5に記載の飼料。
【請求項11】
前記A.プルランスがNRRL-Y-2311-1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記最終産物に関する生NIRスペクトルの4664cm
-1~4836cm
-1に、前記供給原料に比して有意な下方シフトがみられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記下方シフトが、少なくとも約10%~約20%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
植物性材料を処理する方法であって、
a)前記植物性材料を第1の混合タンクに移すことであって、前記植物性材料が、洗浄されたマッシュを生成するために1つまたは複数の第1の溶媒と混合される、移すこと;
b)前記洗浄されたマッシュを、少なくとも1つの遠心分離液および洗浄されたケークに分離すること;
c)前記洗浄されたケークを1つまたは複数の第2の混合タンクに移すことであって、前記1つまたは複数の第2の溶媒が、洗浄されたケーク懸濁液を生成するために前記洗浄されたケークと混合される、移すこと;
d)前記洗浄されたケーク懸濁液を1つまたは複数の発酵槽に移すことであって、前記移された洗浄されたケーク懸濁液が、少なくとも1つの微生物を接種され、前記接種された洗浄されたケーク懸濁液が、発酵した混合物を生成するために十分な時間にわたってインキュベートされる、移すこと;
e)前記発酵した混合物を、その中のタンパク質について少なくとも約10%の加水分解度(DH)が達成されるのに十分な時間にわたって加熱すること;
f)前記加熱された発酵した混合物を、発酵した遠心分離液および発酵したケークに分けること;
g)前記発酵した遠心分離液を、
(i)第1の混合タンクおよび/または
(ii)1つもしくは複数の第2の混合タンク
に移すことであって、混合タンクが前記植物性材料または前記洗浄されたケークを含み、ステップ(c)~(f)およびh)が、サブステップ(i)または(ii)について少なくとも1回反復される、移すこと;ならびに
h)前記発酵したケークを乾燥させること、
を含み、前記少なくとも1つの微生物が、乾燥の間に粘性のある発酵したケークを生成するのに十分な菌体外多糖を生じず、前記得られる乾燥された発酵したケークが、前記移された植物性材料と比較して、より高いタンパク質含量を有する、および/または実質的に減少した抗栄養因子を有する、方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの微生物が、0.35~0.5g/Lの酵母抽出物を含有する培地中で増殖させた場合に約3g/L未満のプルランを産生する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(b)の前記少なくとも1つの遠心分離液を、接種の前に、前記混合タンクのうちの1つまたは複数に移すことをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記遠心分離液の再利用により、a)第1の混合タンクおよび/もしくは1つもしくは複数の第2の混合タンクに添加される新規の溶媒の量が減少する、ならびに/またはb)タンパク質の収量および回収率が増加する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
セルロース分解酵素の添加を含まない、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記洗浄されたケーク懸濁液を、1つまたは複数の発酵槽に移す前に、加熱することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記洗浄されたケーク懸濁液を、100℃よりも高温に加熱する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記発酵遠心分離液を前記第1の混合タンクに移す、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記遠心分離液およびケークが流体力によって生成され、前記方法が、4つの混合タンクおよび4つの遠心分離機が連続しているシステムを含み、第2の発酵の前に、混合タンク4の発酵遠心分離液が混合タンク3に移され、混合タンク3の遠心分離液が混合タンク2に移され、混合タンク2の遠心分離液が混合タンク1に移される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記溶媒が、水、酸、水性酵素混合物、消泡剤またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数から選択され、前記水性酵素混合物がフィターゼを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の混合タンク、前記発酵した遠心分離液、またはその両方からの前記遠心分離液を、液体タンパク質凝縮物を生成する少なくとも1つの蒸発器に移す、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記遠心分離液を、約60℃~90℃の温度および/または約1psia~6psiaで蒸発させる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記非動物性タンパク質濃縮物が、大豆、モロコシ、ピーナッツ、豆類、ナタネ、カラス麦、大麦、ライ麦、ルピナス、ソラマメ、キャノーラ、エンドウ、ゴマ、綿実、パーム核、大麦、ブドウ種子、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、コプラ、トウモロコシ、ココナッツ、亜麻仁、ヘーゼルナッツ、小麦、イネ、ジャガイモ、キャッサバ、マメ科植物、カメリナ種子、カラシナ種子、胚芽ミール、トウモロコシグルテンミール、蒸留所/醸造所の副産物、およびそれらの組合せからなる群からの植物材料から単離される、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
乾燥が100℃よりも高温で実施され、前記乾燥された発酵したケークが、約7%未満の含水量を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの微生物がNRRL Y-2311-1である、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
処理が、1つまたは複数のセルロース分解酵素を添加することを含まない、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記最終産物に関する生NIRスペクトルの4664cm
-1~4836cm
-1に、前記供給原料に比して有意な下方シフトがみられる、請求項14に記載の組成物。
【請求項31】
前記下方シフトが少なくとも約10%~約20%である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
請求項14に記載の方法によって生成される固体タンパク質濃縮物を含む組成物。
【請求項33】
請求項24に記載の方法によって生成されるタンパク質凝縮物を含む組成物。
【請求項34】
請求項32または33に記載の組成物を含む飼料または食糧。
【請求項35】
魚類、貝類、甲殻類、飼育動物、家畜、およびそれらの組合せからなる群から選択される動物用に調合される、請求項28に記載の飼料。
【請求項36】
前記組成物がヒトの消費用である、請求項28に記載の食糧。
【請求項37】
稚エビの生存率を改善する方法であって、
稚エビに請求項5に記載の飼料を給餌することであって、エビ酵素による前記飼料中の前記タンパク質の加水分解度(DH)が少なくとも7%である、給餌すること、
を含む方法。
【請求項38】
前記飼料の予想される見かけのタンパク質消化率(PPD)が少なくとも90%である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項5または34に記載の飼料を含む稚エビ用の飼料であって、少なくとも7%の加水分解度(DH)、少なくとも90%の予想される見かけのタンパク質消化率(PPD)、またはそれらの組合せを示す飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、インキュベーションプロセス、特に、高品質のタンパク質濃縮物を生産するための微生物ベースのインキュベーションプロセスに関し、これにはそれから作成される産物、およびそのような産物の栄養飼料の調合における使用が含まれる。
【背景技術】
【0002】
人口の増加に伴って1人あたりの魚介類消費の需要が増加しているにもかかわらず、2008年には世界の野生海水魚資源の約28%が乱獲され、十分に利用されたのは52%であった。野生の魚資源が減少するのに伴い、この需要の増加に対処するために、商業的な水産養殖生産が劇的に増加している。しかし、水産養殖用の食餌調合物の主要な構成成分の1つである魚粉タンパク質も、野生捕獲漁業に由来する。商業的な水産養殖生産を支えるには、2012年までに少なくとも6.7mmtの魚粉が必要になると推定されている。これは現在の傾向に基づけば明らかに持続不可能である。
【0003】
低コストでより持続可能な植物由来のタンパク質源が、水産養殖飼料において魚粉の一部を代替するために使用されている。脱脂大豆ミール(SBM、タンパク質42~48%)は、いくつかの種の育成食餌中の総タンパク質の最大20%を代替するように一般的に使用されており、一方、大豆タンパク質濃縮物(SPC、タンパク質65%)は、より高い総タンパク質代替レベルでの試験に成功しているが、これはその種の栄養状態によって大きく左右される。これらの大豆産物は、高タンパク質で比較的良好なアミノ酸プロファイルをもたらすが、肉食性海洋魚が必要とするいくつかの重要なアミノ酸(例えば、タウリン)が依然として不足している。SPCは大豆ミールよりも高いレベルで使用することができるが、これは主として、SPCを生成するために使用される溶媒抽出プロセスにより、栄養分吸収阻止因子(例えば、オリゴ糖)が除去され、それによってタンパク質の生物学的利用能が高まるためである。加えて、熱不安定性の抗原因子を不活性化するために加熱ステップが使用されている。現行の溶媒抽出プロセスの主な制限は、そのコスト、プロセスにおいて除去されるオリゴ糖が使用されないこと、食餌中に含められる総タンパク質がしばしば50%までに限定されるという品質の問題である。さらに、大豆材料を大豆ミールや大豆タンパク質濃縮物に加工することは、環境面で問題となる可能性もある(例えば、ヘキサン抽出に伴う化学廃棄物の処分の問題)。
【0004】
動物性タンパク質の生産者は、様々な持続可能性リスクに直面している。持続可能なタンパク質に多様化することにより、これらの事業はこれらのリスクを分散させて、急成長する市場に参入することが可能になる。
【0005】
同時に、食品技術の革新は加速しており、現在の産業を破壊する可能性のあるタンパク質生産の機会を生み出している。集約的な動物性タンパク質生産者にとって、この革新に取り組まないことはリスクである。したがって、代替的(すなわち非動物性)タンパク質の生産への多様化は、資源に制約のある供給チェーンのリスク管理のため、および市場成長の機会をつかむためという両方にとっての鍵となる。
【0006】
従来の動物性食品の代用品として機能し得る肉の代替物およびより広範なタンパク質の代替物は、かなりの財政投資を引きつけている。
【0007】
したがって、費用対効果が高く持続可能であり、動物食餌における動物タンパク質のより多くを完全または実質的に代替するのに十分に高品質である植物由来のタンパク質源が求められており、これには、そのような植物由来の源の肉代替物全般における使用が含まれる(例えば、ヒトの消費用)。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、植物材料を、微生物ガム(菌体外多糖)結合剤をも含有する、消化性の高い濃縮されたタンパク質源に変換するための有機微生物ベースのシステムに関し、これには、動物用の飼料およびヒトの消費用の食糧としての使用に好適なそのような濃縮された源が含まれる。
【0009】
複数の実施形態では、非動物性タンパク質濃縮物を含む組成物であって、濃縮物が、低いプルラン収量のA.プルランス(A.pullulans)を含有する発酵した植物性産物を少なくとも約65%~約75%のタンパク質含量(乾燥物質ベース)で含有し、タンパク質濃縮物が、少なくとも約2%の加水分解度(DH)、最大4%の灰分含量、または約0.1ppm未満のカリウムおよびマグネシウム含量から選択される特性のうちの1つまたは複数を示す、組成物が開示される。
【0010】
一態様では、A.プルランスは、0.35~0.5g/Lの酵母抽出物を含む培地中で増殖させた場合に約3.0g/L未満のプルランを産生する。
【0011】
別の一態様では、非動物性タンパク質濃縮物は、大豆、モロコシ、ピーナッツ、豆類、ナタネ、カラス麦、大麦、ライ麦、ルピナス、ソラマメ、キャノーラ、エンドウ、ゴマ、綿実、パーム核、大麦、ブドウ種子、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、コプラ、トウモロコシ、ココナッツ、亜麻仁、ヘーゼルナッツ、小麦、イネ、ジャガイモ、キャッサバ、マメ科植物、カメリナ種子、グンバイナズナ種子、カラシナ種子、小麦胚芽ミール、トウモロコシグルテンミール、トウモロコシグルテン飼料、蒸留所/醸造所の副産物、およびそれらの組合せを含む植物材料から単離されている。
【0012】
関連した一態様では、植物材料は、大豆フレークまたは大豆ミールの形態にある大豆に由来する。
【0013】
一態様では、上記の組成物を含む飼料または食糧が開示される。
【0014】
関連する一態様では、組成物は1つまたは複数の肉代用品と組み合わされる。さらなる関連した一態様では、肉代用品は、解凍されてスライスされた冷凍豆腐、オンチョム、テンペ、豆腐、トーファーキー、人造ターキー、パニール、グラモーガン、パンノキの実、サパル、ナス、ジャックフルーツ、ファラフェル、がんもどき、およびそれらの組合せを含む。さらなる関連した一態様では、濃縮物は、1つまたは複数の肉代用品の、質感、芳香、口当たり、歯ごたえ、カリッとした感じ、風味、外観、またはそれらの組合せを含む官能的特性のうちの1つまたは複数を、前記濃縮物を欠く同じ肉代用品と比較して改善する。別の関連する一態様では、食糧はヒトの消費用である。
【0015】
一態様では、飼料は、魚類、貝類、甲殻類、飼育動物、家畜、およびそれらの組合せを含む動物用に調合される。
【0016】
別の一態様では、A.プルランスはNRRL-Y-2311-1である。
【0017】
一態様では、最終産物に関する生NIRスペクトルの4664cm-1~4836cm-1に、供給原料に比して有意な下方シフトがみられる。関連する一態様では、下方シフトは、少なくとも約10%~約20%である。
【0018】
複数の実施形態では、植物性材料を処理する方法であって、a)植物性材料を第1の混合タンクに移すことであって、植物性材料が、洗浄されたマッシュを生成するために1つまたは複数の第1の溶媒と混合される、移すこと;b)洗浄されたマッシュを、少なくとも1つの遠心分離液および洗浄されたケークに分離すること;c)洗浄されたケークを1つまたは複数の第2の混合タンクに移すことであって、1つまたは複数の第2の溶媒が、洗浄されたケーク懸濁液を生成するために前記洗浄されたケークと混合される、移すこと;d)洗浄されたケーク懸濁液を1つまたは複数の発酵槽に移すことであって、移された洗浄されたケーク懸濁液が、少なくとも1つの微生物を接種され、接種された洗浄されたケーク懸濁液が、発酵した混合物を生成するために十分な時間にわたってインキュベートされる、移すこと;e)発酵した混合物を、その中のタンパク質について約2%~約80%の加水分解度(DH)が達成されるのに十分な時間にわたって加熱すること;f)加熱された発酵した混合物を、発酵した遠心分離液および発酵したケークに分けること;g)発酵した遠心分離液を、
(i)第1の混合タンクおよび/または
(ii)1つもしくは複数の第2の混合タンク
に移すことであって、混合タンクが植物性材料または洗浄されたケークを含み、ステップ(c)~(f)およびh)が、サブステップ(i)または(ii)について少なくとも1回反復される、移すこと;ならびにh)前記発酵したケークを乾燥させることを含み、少なくとも1つの微生物が、乾燥の間に粘性のある発酵したケークを生成するのに十分な菌体外多糖を生じず、得られる乾燥された発酵したケークが、移された植物性材料と比較して、より高いタンパク質含量を有する、および/または実質的に減少した抗栄養因子を有する、方法が開示される。
【0019】
一態様では、少なくとも1つの微生物は、0.35~0.5g/Lの酵母抽出物を含有する培地中で増殖させた場合に約3g/L未満のプルランを産生する。
【0020】
別の一態様では、本方法は、ステップ(b)の少なくとも1つの遠心分離液を、接種の前に、混合タンクのうちの1つまたは複数に移すことをさらに含む。
【0021】
一態様では、遠心分離液の再利用により、a)第1の混合タンクおよび/もしくは1つもしくは複数の第2の混合タンクに添加される新規の溶媒の量が減少する、ならびに/またはb)タンパク質の収量および回収率が増加する。
【0022】
別の一態様では、本方法は、セルロース分解酵素の添加を含まない。
【0023】
一態様では、本方法は、洗浄されたケーク懸濁液を、1つまたは複数の発酵槽に移す前に、加熱することをさらに含む。関連する一態様では、洗浄されたケーク懸濁液を、100℃以上に加熱する。
【0024】
別の一態様では、発酵遠心分離液を第1の混合タンクに移す。
【0025】
関連した一態様では、遠心分離液およびケークは流体力によって生成され、本方法は、4つの混合タンクおよび4つの遠心分離機が連続しているシステムを含み、第2の発酵の前に、混合タンク4の発酵遠心分離液は混合タンク3に移され、混合タンク3の遠心分離液は混合タンク2に移され、混合タンク2の遠心分離液は混合タンク1に移される。
【0026】
一態様では、溶媒は、水、酸、水性酵素混合物、消泡剤またはそれらの組合せを含み、水性酵素混合物はフィターゼを含む。
【0027】
別の一態様では、第1の混合タンク、発酵した遠心分離液、またはその両方からの遠心分離液を、液体タンパク質凝縮物を生成する少なくとも1つの蒸発器に移す。関連した一態様では、遠心分離液を、約60℃~90℃の温度および/または約1psia~6psiaで蒸発させる。
【0028】
一態様では、非動物性タンパク質濃縮物は、大豆、モロコシ、ピーナッツ、豆類、ナタネ、カラス麦、大麦、ライ麦、ルピナス、ソラマメ、キャノーラ、エンドウ、ゴマ、綿実、パーム核、大麦、ブドウ種子、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、コプラ、トウモロコシ、ココナッツ、亜麻仁、ヘーゼルナッツ、小麦、イネ、ジャガイモ、キャッサバ、マメ科植物、カメリナ種子、カラシナ種子、胚芽ミール、トウモロコシグルテンミール、蒸留所/醸造所の副産物、およびそれらの組合せを含む植物材料から単離されている。
【0029】
別の一態様では、乾燥が100℃よりも高温で実施され、乾燥された発酵したケークは、約7%未満の含水量を示す。
【0030】
一態様では、少なくとも1つの微生物はNRRL Y-2311-1である。別の一態様では、PCRを介してテンプレートとして配列番号1からの増幅産物の存在を標的化することによって、微生物を同定することができる。関連する一態様では、増幅産物は、本明細書に開示されるHQPCの源を同定するために使用することができる。
【0031】
一態様では、最終産物に関する生NIRスペクトルの4664cm-1~4836cm-1に、供給原料に比して有意な下方シフトがみられる。関連する一態様では、下方シフトは少なくとも約10%~約20%である。
【0032】
別の一態様では、処理は、1つまたは複数のセルロース分解酵素を添加することを含まない。
【0033】
複数の実施形態では、上記の方法によって生成される固体タンパク質濃縮物を含む組成物が開示される。
【0034】
複数の実施形態では、上記の組成物を含む飼料または食糧が開示される。
【0035】
関連する一態様では、飼料は、魚類、貝類、甲殻類、飼育動物、家畜、およびそれらの組合せを含む動物用に調合される。さらなる関連する一態様では、組成物はヒトの消費用である。
【0036】
複数の実施形態では、稚エビの生存率を改善する方法であって、稚エビに上記の飼料を給餌することであって、エビ酵素による飼料中の前記タンパク質の加水分解度(DH)が少なくとも7%である、給餌すること、を含む方法が開示される。関連する一態様では、飼料の予想される見かけのタンパク質消化率(PPD)は少なくとも90%である。
【0037】
複数の実施形態では、上記の組成物を含む稚エビ用の飼料であって、少なくとも7%の加水分解度(DH)、少なくとも90%の予想される見かけのタンパク質消化率(PPD)、またはそれらの組合せを示す飼料が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】HQSPC変換プロセスの流れ図を示している。
【
図2】水産食餌のHQSPC変換プロセスの流れ図を示している。
【
図3】HQSPCの組成および収量を評価するための、ベンチスケールでの長期インキュベーション試験を示している。
【
図4】水産食餌のHP-DDGS変換プロセスの流れ図を示している。
【
図5】HP-DDGSの100℃での押出し後のグルコース回収に対する含水量および押出し速度の影響を示している。
【
図6】本明細書に開示される別のHQPCプロセスの概要を示している。
【
図9】
図6における概要に関する付加価値産物を示している。
【
図10】種々のSBM供給原料試料の生スペクトルを示している。x軸は波数であり、y軸は吸光度単位(AU)による強度である。
【
図11】
図10におけるSBM試料から作成された種々のHQPC産物の生スペクトルを示している。x軸は波数であり、y軸はAU単位による強度である。
【
図12】HQPC(25%)を含有する飼料を与えたニジマスと、魚粉飼料を与えたニジマスの最終体重(g)の比較である。
【
図13a】HQPCを与えたギンザケの週間成長速度(g)の成績である。
【
図13b】HQPCを与えたギンザケの飼料変換率(FCR)である。
【
図14】HQPCを含有する人工飼料を与えたバナメイエビ(L.vannamei)幼生(Z3~PL13)の初回給餌による生存率である。
【
図15】HQPCを含有する人工飼料を与えたバナメイエビ稚エビの平均体重(g)である。
【
図16】EMSによる負荷刺激後の10日目にHQPCを含有する人工飼料を与えたバナメイエビ稚エビの生存率(%)である。同じ上付き添字を有する平均値には互いに有意差がない(TukeyのHSD、P<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本組成物、方法、および方法論について記載する前に、本発明は、記載される特定の組成物、方法、および実験条件に限定されないことが理解されるべきであり、これはそのような組成物、方法、および条件が多様であり得るためである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみに限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定することを意図してはいないことも理解されるべきである。
【0040】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の参照物を含む。したがって、例えば、「1つの調合物」への言及は、1つもしくは複数の調合物、および/または本開示を読むことによって当業者に明らかになるであろう、本明細書に記載される種類の組成物などを含む。
【0041】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。修正および変形は本開示の趣旨および範囲に含まれることが理解されるため、本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、「実質的に」および「著しく」は、当業者には理解されると考えられ、それらが使用される文脈に応じてある程度異なるであろう。これらの用語が使用される文脈を考慮して、当業者にとって明確でない用語の使用がある場合、「約」および「およそ」は、特定の用語のプラスマイナス10%の範囲内であることを意味すると考えられ、「実質的に」および「著しく」は、特定の用語のプラスマイナス10%を越えることを意味すると考えられる。
【0043】
記載される微生物強化タンパク質を使用するRAS運用のための実用的な食餌を開発する内部研究により、本明細書に開示されるHQPCが、環境に優しい水産養殖飼料の生成のための有望な解決策であることが示された。本明細書に開示されるHQPCは、70%を上回る粗タンパク質含量および利用能の高いリン含量を有することに加えて、非GM大豆から製造することもでき、このことからこれはヨーロッパの水産業に最適である。
多数の内部給餌試験の結果により、本明細書に開示されるHQPCが、飼料中の成分の総量の70%にも達する非常に高い用量レベルで、魚およびエビの健康、高成績の成長および飼料効率を維持し得ることが実証された。ニジマス、バラマンディおよびギンザケを使用する給餌試験により、開示されるHQPCベースの飼料を与えられた魚は、対照飼料を与えられた魚よりも、一貫して効率的に飼料を利用したことが示されている。RASシステムで飼育されたそのような種を使用して実施された試験では、開示されるHQPCを最大で25%までのレベルで含有する飼料を与えた場合に、良好な成長速度が示され、飼料転換率が低下した。
【0044】
持続可能なRASが直面する中心的な問題は、水産養殖事業を成功させるために事業者がバランスをとる必要のある2つの連動する制限にかかわる。第1の制限は、魚またはエビの生産を制限する現在の水再利用システムの理解にかかわる。第2の制限は、持続可能な魚飼料が中心にあり、そのような現在の水再利用システムで大豆ベースの飼料を使用することで経営管理がより困難になる。その結果生じる状況は、現在の水産養殖業者に、顧客の要求を満たしながら収益性を達成するために、それぞれの制限のリスクと利益のバランスをとることを要求する。
【0045】
RASシステム用に魚粉の少ない水産養殖飼料の調合は、いくつかの成分の組合せを使用する必要があるが、これはほとんどの食糧が栄養および機能について大きな制限を有することが示されているためである。植物成分の発酵により、栄養分吸収阻止因子を減らし、消化性を高めることができる。理論に束縛させるつもりはないが、HQPCを与えられた魚およびエビの成長成績について本開示で観察された大きな違いは、おそらくは栄養分吸収阻止因子の除去および成分の消化性の向上に起因する。本明細書に示される結果は、特にエビの幼生ならびにいくつかの稚魚および成魚種の市販飼料について記載されているように、食餌用魚粉の少なくとも80%をHQPCにそのまま置き換えることができることを示している。
【0046】
本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、動物界に属する任意の生物を意味し、これには、ヒト、鳥類(例えば、家禽)、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウスおよびウマ)、ならびに水産養殖生物、例えば、魚類(例えば、マス、サケ、スズキ)、軟体動物(例えば、ハマグリ)および甲殻類(例えば、カニ、ロブスター、プローン、およびエビ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
「魚」という用語の使用は、脊椎のある魚すべてを含み、これは硬骨魚または軟骨魚であってもよい。
【0048】
本明細書で使用される場合、「非動物性タンパク質」は、物質が組成100gあたり少なくとも0.81gの粗繊維を含むこと(乾燥物質ベース)を意味し、この粗繊維は主として植物性物質の化学分析において残留物として得られるセルロースおよびリグニン材料である。
【0049】
本明細書で使用される場合、「インキュベーションプロセス」は、細菌または細胞の成長および発育のための適正な条件の提供を意味し、そのような細菌または細胞は、様々な供給原料を代謝するために生合成経路を使用する。複数の実施形態では、インキュベーションプロセスは、例えば、好気的条件で実施されてもよい。他の実施形態では、インキュベーションプロセスは、発酵を含んでもよい。
【0050】
本明細書で使用される場合、「インキュベーション産物」という用語は、インキュベーションプロセス/反応から直接生じる任意の残留物質を意味する。いくつかの場合には、インキュベーション産物は微生物を含有し、これにより、この産物では、そのような微生物を欠くインキュベーション産物と比較して栄養分含量が強化されている。インキュベーション産物は、インキュベーションブロスからの好適な構成成分を含有してもよい。例えば、インキュベーション産物は、インキュベーションブロスからの溶解および/または懸濁した構成成分を含んでもよい。懸濁した構成成分は、未溶解の可溶性構成成分(例えば、溶液が1つまたは複数の構成要素、例えば、タンパク質によって過飽和になっている)および/またはインキュベーションブロス中に存在する不溶性材料を含んでもよい。インキュベーション産物は、インキュベーションの終了時点で存在する乾燥固体材料の実質的にすべてを含んでもよく(例えば、インキュベーションブロスおよびインキュベーションによって生成されるバイオマスを噴霧乾燥させることによって)、またはその一部分を含んでもよい。インキュベーション産物はインキュベーションからの粗材料を含んでもよく、その材料の栄養分含量を増加させるために、微生物/固体/遠心分離液/ケークを分画すること、および/または部分的に精製することができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「変換培養物」は、微生物の成長のために十分な材料、例えば、水および栄養分を含む培地に含まれる微生物の培養物を意味する。「栄養分」という用語は、栄養価を有する任意の物質を意味する。これは動物飼料、動物への食糧または栄養補助食品の一部分となることもある。例示的な栄養分には、タンパク質、ペプチド、脂肪、脂肪酸、脂質、水溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン、必須アミノ酸、炭水化物、ステロール、酵素ならびに微量ミネラル、例えば、リン、鉄、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、コバルト、ヨウ素、セレン、モリブデン、ニッケル、フッ素、バナジウム、スズ、ケイ素、ならびにそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
変換は、タンパク質/炭水化物/多糖類の材料、例えば、大豆の構成成分を高品質のタンパク質濃縮物に変換するのに好適な条件下で、微生物を変換培養物中で培養するプロセスである。適切な変換には、微生物細胞集団および/または菌体外多糖、酵素および微生物代謝物を生成するために特定の炭水化物の90%又はそれ以上を利用すること、オリゴ糖濃度の特異的な低下、タンパク質に対する選択された加水分解度の達成、NIRスペクトルの4664cm-1~4836cm-1の特定の%変化、またはそれらの組合せが含まれるが、これには限定されない。複数の実施形態では、変換は好気的もしくは嫌気的であるか、またはそれらの組合せであってよい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「凝集剤」または「清澄剤」とは、コロイドが凝集によって懸濁液から析出することを促進する化学物質であり、多価イオンおよびポリマーが含まれるが、これには限定されない。複数の実施形態では、そのような凝集剤/清澄剤には、生物凝集剤、例えば、菌体外多糖(例えば、プルラン)が含まれ得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「調合物」は、特定の処方に従って調製された材料または混合物を意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「食糧」は、ヒトもしくは動物が飲食するか、または植物が生命および成長を維持するために吸収する栄養組成物としての消費に好適な物質を意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「遠心分離液」は、固体の大部分が除去された後に流体力から隔たれる液体を意味し、得られる乾燥生成物は「ケーク」と称される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「懸濁液」は、沈降に十分な大きさの固体粒子を含有する不均一な混合物を意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「蒸発」は、液体から蒸気に変化するプロセスを意味する。蒸発と蒸留の主な違いは、蒸発は物質の状態の変化を伴うプロセスであるのに対して、蒸留は分離のプロセスであることである。これらのプロセスは両方とも、様々な目的で使用され得る。蒸発における気化は沸点以下で起こるが、蒸留における気化は沸点で起こる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「菌体外多糖」とは、微生物によって生成されて周辺環境に放出される、糖残基を含む高分子量ポリマーを意味し、高分子量ポリマーには同化産物および代謝産物が含まれる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「加水分解度(DH)」は、タンパク質加水分解物における切断されたペプチド結合の割合を意味する。DHを決定するにはいくつかの方法が存在し、最も一般的に使用されるのは、pH-stat、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)、o-フタルジアルデヒド(OPA)、トリクロロ酢酸可溶性窒素(SN-TCA)、および正式な滴定方法である。
【0061】
本明細書で使用される場合、「トリプシンインヒビター単位(TIU)」は、試料中のトリプシンインヒビターの量を意味する。例えば、ある方法では、トリプシンの発色基質としてN-ベンゾイル-DL-アルギニンp-ニトロアニリドを使用することができ、この基質に対するトリプシンの活性を阻害する大豆ミール抽出物のアリコートの能力が、大豆ミール試料中のトリプシンインヒビターの量を推定するのに使用される。10分間のインキュベーション中に形成されるp-ニトロアニリンの量を分光光度法で測定し、大豆抽出物の存在下および非存在下での吸光度の値を、元の大豆試料のグラムあたりのトリプシンインヒビター単位(TIU)の数を与える計算に使用する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「肉代用品」または「肉類似物」は、特定の肉の特定の美的品質(主に質感、風味および外観)または化学的特性に似せた組成物を意味する。複数の実施形態では、そのような代用品または類似物には、乳製品ベースのもの:パニールチーズ、グラモーガンソーセージ、パニール;真菌由来のもの:食用キノコ、マイコプロテイン、カンゾウタケ(fistulina hepatica)、ハタケシメジ(lyophyllum decastes);果実ベースのもの:テンペ、パンノキの実、ココナッツバーガー、グリーンジャックフルーツ果肉、ナス、ジャックフルーツ;豆類:ビルマ豆腐、ファラフェル、がんもどき、高野豆腐、オンチョム(赤オンチョムおよび黒オンチョム)、テンペバーガー、植物性タンパク質人造肉、トーファーキーまたは人造ターキー、ベジタリアン用ベーコン、ベジタリアン用ホットドッグ、ベジタリアン用ソーセージ、およびベジバーガーが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、本明細書に開示されるタンパク質濃縮物は、肉代用品と組み合わされる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「NIR(近赤外分光法)」は、タンパク質含量を測定するための非侵襲的な検出方法である。
【0064】
本明細書で使用される場合、「流体力学的な力」とは、流体中に浸漬され、前記流体に対して運動している固体に作用するエネルギーを意味する。関連する一態様では、そのような力は、遠心処理および濾過を含むが、これらに限定されないプロセスを通して加えられてもよい。
【0065】
本明細書で使用される場合、「セルロース分解酵素」は、特に直鎖状グルコースβ-1,4-結合ポリマーのグリコシド結合を加水分解することによって作用して、グルコースおよびその他の単純または複合糖を生成する酵素を意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「消泡剤」または「脱泡剤」は、その文法的変形物を含め、工業プロセス液体における泡の形成を減少させ、妨げる化学添加剤である。関連する一態様では、そのような化学物質には、石油系脱泡剤;粉末脱泡剤;水性脱泡剤;シリコン系脱泡剤;EO/PO系脱泡剤およびアルキルポリアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。関連する一態様では、そのような脱泡剤には、水性食品缶詰めプロセスにおける泡を制御するために設計された水性食品等級エマルジョン、消泡ポリマーおよび生分解性油を利用する非水性シリコーンフリー脱泡剤、ならびに食品製造、発酵、農業および工業等級プロセスを含む水性環境において泡を破壊するように設計された食品等級100%活性食品等級コーシャー脱泡剤が含まれる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「予想される見かけのタンパク質消化率(PPD)」は、給餌成分の異なる消化酵素によるin vivoの見かけのタンパク質消化率(APD)とin vitroのタンパク質消化(例えば、加水分解度)との間の回帰計算の尺度である。
【0068】
本明細書で使用される場合、「室温」は、標準圧力下で約25℃である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「APD」は、摂取された窒素および糞便中の窒素の摂取された窒素との差異の比の尺度であり、パーセントで表される。
【0070】
本明細書で使用される場合、「HQPC」は、1つまたは複数の発酵した植物材料からの高品質のタンパク質濃縮物を意味する。そのようなHQPCは、飼料、供給原料として、単独でまたは他の飼料もしくは供給原料の構成成分と組み合わせて、プロバイオティクス、またはその構成成分として、動物に栄養補助食品および/または医薬品を送達する手段としてのものを含めて、使用することができる。複数の実施形態では、HQPCのタンパク質含量は、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%以上(乾燥物質ベース(dmb))であってもよい。
【0071】
本明細書で使用される場合、「溶媒」は、他の物質が溶解して溶液となる物質、通常は液体を意味する。極性溶媒(例えば、水、水溶液)はイオンの形成に有利であり、非極性溶媒(例えば、炭化水素)はそうでない。溶媒は、主に酸性、主に塩基性、両性、または非プロトン性であってもよい。溶媒として使用される有機化合物には、芳香族化合物および他の炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミン、ならびにニトロ化およびハロゲン化炭化水素が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
植物タンパク質源
本開示に関連して、多数の植物タンパク質源が、変換のための供給原料として使用され得る。飼料産業で植物タンパク質が使用される主な理由は、動物タンパク質源のような、より高価なタンパク質源を置き換えるためである。別の重要な要因は、動物タンパク質を同じ種の動物に与えることによる疾患の媒介のリスクである。
【0073】
植物タンパク質源の例には、大豆およびピーナッツに代表されるマメ科(Fabaceae)植物、キャノーラに代表されるアブラナ科(Brassiciaceae)植物、綿実、ヒマワリを含むがこれに限定されないキク科(Asteraceae)植物、コプラを含むサトイモ科(Arecaceae)植物が含まれるが、これらに限定されない。これらのタンパク質源は、一般的には油種タンパク質とも定義され、丸ごと与えられることもあるが、より一般的には、油を取り出した後の副産物として与えられる。他の植物タンパク質源には、穀類および穀物、特にトウモロコシ、小麦およびイネのような、イネ科(Gramineae)としても知られるイネ科(Poaceae)の植物タンパク質源、または他の主要農作物、例えば、ジャガイモ、キャッサバ、および豆類(丸い豆および楕円形の豆)、胚芽ミールもしくはトウモロコシグルテンミールを含む製粉副産物、または蒸留所/醸造所の副産物が含まれる。複数の実施形態では、タンパク質の供給原料には、大豆、モロコシ、ピーナッツ、豆類、ナタネ、カラス麦、大麦、ライ麦、キャノーラ、ゴマ、綿実、パーム核、ブドウ種子、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、コプラ、トウモロコシ、ココナッツ、亜麻仁、ヘーゼルナッツ、小麦、イネ、ジャガイモ、キャッサバ、マメ科植物、グンバイナズナ種子、カメリナ種子、カラシナ種子、小麦胚芽ミール、トウモロコシグルテンミール、トウモロコシグルテン飼料、蒸留所/醸造所の副産物、およびそれらの組合せに由来する植物材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
農業において使用が報告されている植物由来の主要なタンパク質には、大豆ミール(SBM)、メイズグルテンミール、ナタネ/キャノーラ(アブラナ属(Brassica sp.))ミール、ルピナス(ルピナス属(Lupinus sp.))、例えば、外皮を剥いた白花ルピナス(シロバナルピナス(Lupinus albus))、スイートルピナス(青花ルピナス(L.angustifolius))および黄花ルピナス(L. luteus)の核ミールにおけるタンパク質、ヒマワリ(Helianthus annuus)種子ミール、結晶性アミノ酸;ならびにエンドウマメ(Pisum sativum)ミール、綿実(ワタ属(Gossypium sp.))ミール、ウキクサ亜科(Lemnoidae)(アオウキクサまたはウキクサ)、ピーナッツ(ナンキンマメ;ラッカセイ(Arachis hypogaea))ミールおよび油粕、大豆タンパク質濃縮物(SPC)、大豆タンパク質分離物(SPI)、トウモロコシ(Zea mays)グルテンミールおよび小麦(Triticum aestivum)グルテン、ジャガイモ(Solanum tuberosum L.)タンパク質濃縮物、ならびにワサビノキ(Moringa oleifera Lam.)葉のような他の植物性供給原料が、様々な濃度および組合せで含まれるが、これらには限定されない。
【0075】
タンパク質源は、未処理の植物材料、ならびに処理および/または抽出された植物タンパク質の形態であってもよい。例えば、加熱処理された大豆産物はタンパク質消化率が高い。
【0076】
タンパク質材料には、あらゆる種類のタンパク質またはペプチドが含まれる。複数の実施形態では、大豆素材など、例えば、全粒大豆を使用してもよい。全粒大豆は、標準的な日用品化された大豆;何らかの様式で遺伝子組換え(GM)された大豆;または非GMの生産流通管理された(IP)大豆であってもよい。例示的なGM大豆には、例えば、スタキオースおよびラフィノース以外の炭水化物を産生するように操作された大豆が含まれる。例示的な非GM大豆には、例えば、低炭水化物用および低トリプシン阻害用に系統育種されたシリンジャー品種が含まれる。高タンパク質品種には、N2358(Benson Hill Inc., St.Louis, MO)が含まれるが、これに限定されない。
【0077】
他の種類の大豆材料には、大豆タンパク質粉、大豆タンパク質濃縮物、大豆ミールおよび大豆タンパク質分離物、またはそれらの混合物が含まれる。全粒大豆を他の形態の大豆タンパク質、例えば、大豆タンパク質粉、大豆タンパク質濃縮物、大豆ミール、大豆タンパク質単離物にする伝統的な加工処理には、清浄にした生の全粒大豆をいくつかの断片、典型的には6個から8個に砕いて大豆チップおよび外皮にして、次いで外皮を除去することが含まれる。次いで大豆チップを約60℃で前処理し、約0.25ミリメートルの厚さのフレーク状にする。次いで、得られたフレークを、いくつかの種類のある対向流抽出システムのうちの1つで、不活性溶媒、例えば、炭化水素溶媒、典型的にはヘキサンで抽出して、大豆油を除去する。大豆タンパク質粉、大豆タンパク質濃縮物、および大豆タンパク質分離物については、水溶性大豆タンパク質の含量を高く保つために、大豆タンパク質の調理またはトーストの量を最小限に抑える様式でフレークを脱溶媒させることが重要である。これは典型的には、蒸気脱溶媒装置またはフラッシュ脱溶媒装置を使用することによって達成される。この工程で得られるフレークは、一般に「食用脱脂フレーク」または「白色大豆(豆)フレーク」と称される。
【0078】
大豆タンパク質粉、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質分離物の出発原料となる白色大豆フレークは、タンパク質含量がおよそ50%である。次いで、白色大豆フレークを、通常は開ループ粉砕システムにおいて、ハンマーミル、分級ミル、ローラーミル、またはインパクトピンミルによってまず粗粒に碾き、さらなる粉砕により、所望の粒子サイズを有する大豆粉にする。スクリーニングが、典型的には、生成物を均一な粒子サイズ範囲にサイズ調整するために使用され、これは振動スクリーンまたは円筒形の遠心式選別機で達成することができる。他の脂肪種子も類似の様式で加工処理することができる。
【0079】
大豆は、グリシニンおよびβ-コングリシニンに加えて、少量であるが非常に重要な2Sアルブミン貯蔵タンパク質を含有する。また、大豆は、生物活性タンパク質または代謝性タンパク質も含有し、これには例えば、酵素、トリプシンインヒビター、ヘマグルチニン、およびパパインによく似たシステインプロテアーゼがある。
【0080】
大豆産物はタンパク質消化率が高いが、例えば、肉食性魚類の食餌に含まれる全脂肪または脱脂大豆ミールの含量の上限は、熱不安定性の栄養分吸収阻止因子を除去したとしても、20~30%の含有レベルである。魚類では、大豆タンパク質は、30%を超えるタンパク質濃度含有レベルで魚に与えると腸損傷を引き起こし、一般に、種々の魚類種で成長成績を低下させることが示されている。実際、ほとんどの養殖業者は、これらの影響により、食餌全体のうち10%を超える植物タンパク質を使用することに消極的である。
【0081】
本発明は、この問題を解決し、最大で40%、さらには50%までの植物タンパク質含有レベルを可能にするが、これは他の要因の中でも特に、給餌される動物種、植物タンパク質源の由来、種々の植物タンパク質源の比率、タンパク質濃度、ならびにグルカンおよび/またはマンナンの量、由来、分子構造および濃度に依存する。複数の実施形態では、植物タンパク質含有レベルは最大で40%であり、好ましくは最大で20%または30%である。典型的には、食餌中に存在する植物タンパク質は5~40%であり、好ましくは10~15%または10~30%である。これらのパーセンテージは、動物の飼料または食餌中の総植物タンパク質源のパーセンテージ量を規定し、これには脂肪、灰分などが含まれる。複数の実施形態では、純粋なタンパク質のレベルは最大で50%であり、典型的には最大で45%であり、複数の実施形態では5~95%である。
【0082】
飼料または食餌全体における植物タンパク質の他のタンパク質との割合は、5:95~95:5、15:85~50:50、または25:75~45:55であってもよい。
【0083】
食餌を与えることに加えて、本明細書に開示されるHQPCを、肉代用品とともに使用されるように調合してもよい。複数の実施形態では、HQPCを、発酵大豆ベースの産物と組み合わせてもよい。発酵大豆ベースの産物の例には、解凍されてスライスされた冷凍豆腐;インドネシアの西ジャワ(スンダ)料理の伝統的な主食の1つであり、赤オンチョムおよび黒オンチョムの2種類があるオンチョム(オンチョムはテンペと密接な関係があり、どちらもカビを使用して発酵させた食品である);大豆タンパク質;野菜バーガーおよびコロッケに使用される大豆パルプ);発酵大豆から作られる伝統的なインドネシアの大豆産物であるテンペ;大豆油の抽出の副産物である脱脂大豆粉産物である植物性タンパク質人造肉(肉類似物または肉増量剤としてしばしば使用され、タンパク質含量は特定の肉に匹敵する);豆腐(アジアでは伝統的に肉代用品とはみなされていないが、西半球ではその目的に広く使用されている);および通常は豆腐(大豆タンパク質)または小麦グルテン(小麦タンパク質)から作られ、穀物またはパンから作られた詰め物を伴い、肉汁で味付けされ、ハーブおよびスパイスで調味されたベジタリアン用タンパク質のローフまたはキャセロールの形状にある肉代用品であるトーファーキー、人造ターキー;パニールチーズ;グラモーガンソーセージ;カンゾウタケ、アイカワタケ属(Laetiporus)およびハタケシメジを含むがこれらに限定されないキノコ類;パンノキの実;ココナッツバーガー(伝統的なココナッツミルク抽出のココナッツ果肉副産物であるサパルから作られる);ナス;ジャックフルーツ;ファラフェル;ならびにがんもどきが含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
複数の実施形態では、開示されるHQPC複合発酵大豆産物は、肉代用品として単独で使用してもよく、または他の肉代用品もしくは肉類似物と組み合わせて、上記の例を含む様々な組合せを含む、ヒトの消費用の様々な産物を生成してもよい。一態様では、HQPCの添加を、肉代用品および/または肉類似物の質感、芳香、口当たり、歯ごたえ、カリッとした感じ、風味または外観を改善するために、様々な肉代用品および/または肉類似物と組み合わせる。そのような美的感覚は、例えば、Caswellの食品品質分類(例えば、Caswell、J Agr Res Econ(1998)42:409-474を参照)を使用して決定されてもよい。
【0085】
微生物
開示される微生物は、本明細書に開示されるようなプロセスにおいて炭水化物および他の栄養分を高品質のタンパク質濃縮物に変換することができなければならない。複数の実施形態では、本微生物は、酵母様真菌である。酵母様真菌の一例は、アウレオバシジウム・プルランス(Aurobasidium pullulans)である。他の例示的な微生物には、酵母、例えば、クリベロミセス属(Kluyveromyces)およびピキア属(Pichia spp.)、乳酸菌、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、リゾプス属(Rhizopus spp.)、および多くの種類のリグノセルロース分解微生物が含まれる。一般に、例示的な微生物には、スタキオース、ラフィノース、デンプン、グルコース、フルクトース、ラクトース、ショ糖、キシロース、および他の糖を代謝することができる微生物が含まれる。しかし、開示された方法に基づいて、過度の実験を行わずに他の適切な微生物を選択することは、当業者の能力の範囲内である。
【0086】
複数の実施形態では、微生物は、菌体外多糖(例えば、プルラン)生産の低さを示し、例えば、低いプルラン収量とは、酵母抽出物(YE)(窒素源として)が0.35~0.5g/Lで存在する酵母抽出物(YE)含有培地中で増殖させた場合に、約3.0g/L未満であると考えられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Leathers et al., J Indus Micro (1988) 3:231-239の、232ページ、第2欄の第3段落、および表3を参照されたい)。理論に束縛させるつもりはないが、菌体外多糖の高生産菌は、乾燥が困難になり得る最終産物(例えば、乾燥時間が延長する)を生成する、および/または乾燥後に粘性産物を生成する。プルラン含量を決定する方法を、参照により本明細書に組み込まれる、Leathers et al., J Indus Micro (1988) 3:231-239の、232ページ、第1欄の第3段落から第2欄の第1段落までに開示されているように使用することができるが、当業者は、代替的な方法が利用可能であることを認識しているであろう。
【0087】
複数の実施形態では、A.プルランスは、変換中に遭遇する様々な環境要因/ストレス要因に適応する。一態様では、A.プルランス株は、NRRL受託番号Y-2311-1、Y-6754a、YB-4026、YB-4588、Y-6992、Y-17000、またはY-17001、およびそれらの組合せから選択される。関連する一態様では、NRRL受託番号Y-2311-1によって示されるA.プルランス株を、本明細書に開示されるように使用することができる。
【0088】
関連する一態様では、微生物を、PCRを使用して同定することができる。複数の実施形態では、アルファ-アラビノフラノシダーゼをコードする以下の核酸配列(Genbank受託番号:AY495375)にプライマーを向かわせることにより、生物を標的化することができる。
【0089】
(配列番号1):
1 gatcccgccg gattacggaa aataacagag cgagttcgta tgcgatgatc ttcgctggag 61
atgtgctaca tccacagctc gaacataaat agagaagaca atgccgcctg gctgtccaac 121
atcaactcct ctcatatccg caagcttcct gtcaaccctc ctcacagttc gctcatcact 181
caaacatgcg ttccaggacg aacatcgctc ttggcctagc tgccactggt tccctagtcg 241
ctgccgcgcc ttgcgatatc tatcagaatg gcggtactcc ttgcgtagct gctcacggca 301
caactcgcgc attgtatgat tcctacactg gtcctctcta ccaacttaag agaggctcag 361
atggcactac gaccgatatt tctcctttgt ctgctggtgg tgttgccaat gctgctgctc 421
aggactcttt ctgcaagggt actacctgtc ttatcagtat tatctacgat cagtctgggc 481
gtgcaaacca tctttatcag gcccagaaag gtgctttcag cggaccagat gtcaacggaa 541
acgacaactt ggcaggcgct attggagcac cagtgacttt gaatggcaag aaggcatatg 601
gcgtgttcat ctcgcccggc actgggtaca gaaacgacga agtcagcggc acggccactg 661
gaaacgaacc tgagggcatg tatgctgttc ttgacggcac tcattacaac gatgcttgct 721
gctttgacta cggaaacgcg gaaatcagca acacggatac tggtaacgga catatggagg 781
ccgtctacta tggtaacaac acgatttggg gcagtggctc tggcagcggt ccttggctca 841
tggccgacct tgagaacggt ttgttctctg gccagggtac caagcagaac actgcagacc 901
cttcaatctc caacagattc ttcaccggaa tggtcaaggg agagcctaac cagtgggcgc 961
ttcgcggtag caatgccgcg tccggttcct tgtcgaccta ctacagtggc gctcgtccca 1021
ccgtcggcgg ttacaacccc atgagcctcg agggcgccat cattcttggc atcggtggcg 1081
ataacagcaa tggcgctcag ggcactttct atgagggggt catgacctcg ggctacccgt 1141
ctgatgccac tgaagcctcg gtgcaggcca acattgtggc tgcgaagtac gctaccacat 1201
ctttgaacac agcaccactc actgtcggca acaagatttc gatcaaggtg accacccccg 1261
gctacgacac ccgctatctg gcacacaccg gagccaccgt caacacgcag gttgtctctt 1321
catctagcgc gactagcctc aagcagcagg ccagctggac tgttcgcaca ggcctcggta 1381
acagcggctg ttactctttc gagtcggttg atacacctgg aagcttcatc agacactaca 1441
acttccagct ccagctcaac gcgaatgaca acaccaaggc tttcaaggaa gacgcgactt 1501
tctgctctca gaccggtctt gttaccggca acactttcaa ctcgtggagc taccctgcca 1561
agttcatccg tcactacaac aatgttggat acatcgccag caacggtggt gttcacgact 1621
ttgactctgc tacaggcttc aacaacgatg tcagctttgt ggttggaagc agctttgctt 1681
agatgtaaaa ggtcaggatg aatatgatgg atgtttatga caaaagaagt tatgagtttg 1741
tagttatgga atcttagctg tagcttttga aagcctttgg gatatcagat gtttgtctct 1801
tgttcatgtg ccgttgcaaa gaagaaaaga aggagcagca agcagtgagg ctcttatcgg 1861
gcgatagggc tagatc
【0090】
関連する一態様では、以下のプライマーを使用することができる。
【表1】
【0091】
一態様では、プライマー対を単独で使用してもよく、または互いにもしくは他のプライマー対と組み合わせて使用してもよい。別の一態様では、本明細書に記載される方法によって作成された産物の由来を追跡して同定するために、プライマー対を使用してもよい。PCRは標準的な方法によって実施してもよいが(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,800,159号を参照されたい)、代替的なPCR法は当業者には明らかであろう。
【0092】
理論に束縛させるつもりはないが、最終産物の粘性は、発酵の結果として生じる新規な材料、例えば、植物材料が、プルランではない高粘性を生じる植物性基質、発酵依存性産物(新規な粘性増加性菌体外多糖)を生成する微生物によって代謝される基質を含有する場合にのみ存在すると考えられる菌体外多糖に依存すると思われることが観察されている。そのため、菌体外多糖/プルラン低生産性の生物を、新規な粘性増加性菌体外多糖を生成しない生物を使用することによって代替的に置き換えることができる。
【0093】
生産プロセス
例示的な実施形態では、任意選択的な前処理(例えば、細胞への栄養分の利用可能性を高めるため、糖を除去するためなど)の後に、少なくとも5%の固体負荷率で、pHを4.5~4.9に調整した上で、1つまたは複数の混合タンク内でマッシュを形成させるために、植物性材料を水および/または濃縮液と混合することができる。一態様では、pHは4.8である。マッシュは、懸濁液をケークおよび遠心分離液に分離するために流体力学的力を加える前に、硫酸および/または脱泡剤で処理することができる。ケークを、1つまたは複数の溶媒(例えば、水または遠心分離液)でさらに洗浄して、その後に煮沸チューブ-冷却器タンデム装置に移し、煮沸チューブ内での滞留時間を様々に変化させることができる。煮沸チューブ内の温度は最高で121.1℃まで変化させることができ、滞留時間は0~2分間で変化させることができる。一態様では、滞留時間は約1.5分間である。
【0094】
約30℃に冷却した後、冷却したマッシュを1つまたは複数の発酵槽容器に移して、A.プルランスの接種物をマッシュに加えることができ、得られた接種済みマッシュを、約7時間~約10時間、約10時間~約14時間、約14時間~約20時間、または約7時間~約24時間、またはタンパク質の2%~80%の加水分解度(DH)が達成されるまでインキュベートすることができる。理論に束縛させるつもりはないが、DHは実質的には熱分解ではなく酵素加水分解によるものであり、ブロスタンクからの遠心分離液のさらなる再利用によってDHが大きくなる可能性があることも含まれる。接種容量(例えば、60時間の種培養物から、約1×101~約100×109CFU/ml)は、1つまたは複数の発酵槽容器の稼働容量の約1%であってもよい。関連する一態様では、接種される細胞は実質的に単細胞の形態を有してもよく、理論に束縛させるつもりはないが、実質的に糸状の形態を有する細胞の使用により、酸素および他の栄養分の利用性が低下する可能性がある。インキュベーション中に、無菌空気を0.5~1L/L/hの速度で反応器に導入することができる。複数の実施形態では、変換培養物は、植物性材料と約12時間未満にわたってインキュベートすることによって変換を受ける。複数の実施形態では、変換培養物を、約7時間~約14時間にわたってインキュベートする。変換培養物は、約24~35℃でインキュベートすることができる。
【0095】
複数の実施形態では、発酵を受けている変換培養物のpHは、約4.5~約5.5であってもよい。複数の実施形態では、変換培養物のpHは約4.8であってもよい。複数の実施形態では、変換培養物は積極的に通気される。
【0096】
発酵した植物材料は、1つまたは複数のインキュベーション容器からブロスタンクに移され、そこで約60℃に、約30分間~2時間にわたって加熱される。加熱された発酵した植物材料に流体力学的な力が加えられ、それは発酵したケークおよび発酵した遠心分離液を生じさせる。次いで、発酵したケークを約37.8℃~約149℃の温度で、水分が約7%未満になるまで乾燥させる。発酵した遠心分離液を、以前に使用した混合タンクのうちの1つまたは複数に移され(例えば、水を節約して再利用するため、収量および可溶性タンパク質を含むタンパク質含量を増加させるため)、入ってくる植物性材料と混合してもよく、これには、発酵した遠心分離液を蒸発器に移して、液体タンパク質濃縮物を生成することも含まれる。
【0097】
蒸発器に送られる予定の発酵した遠心分離液を、二段階またはそれ以上の蒸発段階に供することができ、ここで固体率が約10~約60%の液体タンパク質濃縮物を得るために蒸発が十分な時間および温度で行われる。または、液体タンパク質濃縮物を、最終的に1つまたは複数の追加の遠心分離液/ケークを加工処理のために形成させるために、1つまたは複数の混合タンクに戻してもよい。一態様では、ケーク/遠心分離液を、エタノールで洗浄する、および/または沈降させてもよい。
【0098】
複数の実施形態では、最終的なタンパク質濃縮物の固体回収を、植物性供給原料、インキュベーション条件、pH、乾燥時間および温度によって調節することができる。例えば、14時間のインキュベーションで最終的な乾燥ケークについて約70%またはそれ以上のタンパク質を達成することができ、約76.59%~約99.65%の固形含量が得られる。前記ケーク中のタンパク質含量は、約65%~約70%、約70%~約75%、または約75%~約80%(dmb)であってもよい。
【0099】
複数の実施形態では、例えば、望まれない細菌株の混入を避けるために、変換用微生物の接種の前に、供給原料を1つまたは複数の抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ペニシリン、エリスロマイシン、タイロシン、バージニアマイシン、およびこれらの組合せ、ただしこれらに限定されない)で処理してもよい。
【0100】
インキュベーション中に、加工処理の間に試料を一定の間隔で取り出してもよい(例えば、アミノ酸、DH、オリゴ糖濃度、プルラン含量などを決定するため)。例えば、HPLC分析用の試料を沸騰させ、遠心処理して濾過し(例えば、0.22μmフィルターを通して)、オートサンプラー用バイアルに入れて、分析時まで冷凍する。複数の実施形態では、WATERS HPLCシステムを使用して炭水化物および有機溶媒について試料をアッセイすることができるが、他のHPLCシステムを使用してもよい。当業者は、他の方法(例えば、UPLC)を使用してもよいことを認識するであろう。微生物集団を評価するために、試料をプレートまたは血球計数器による計数に供してもよい。当業者は、他の方法を使用してもよいことを認識するであろう(例えば、蛍光顕微鏡検査、フローサイトメトリーなど)。米国再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)の手順を使用して、試料をセルロース、ヘミセルロース、リグニン、デンプン、およびペクチンのレベルに関してアッセイしてもよい。
【0101】
図6~9は、本明細書に開示されるHQPCを生成するために使用され得る生産プロセス100、100(a)、100(b)、100(c)を示している。
図6を参照すると、複数の実施形態について、植物性材料を、ミリング装置101にまず供し、その後に第1の混合タンク102(a)に移し、そこでそれを1つまたは複数の第1の溶媒と混合させるが、ここで第1の溶媒は酸、塩基、酵素、脱泡剤、および/または下流の分離ステップからの遠心分離液(例えば、連続サイクル中の遠心分離液2)を含有してもよい。酵素には、非セルロース分解酵素(例えば、フィターゼ、プロテアーゼなど)が含まれる。得られたマッシュを、流体力学装置(例えば、デカンタ遠心分離機)103(a)によって1つまたは複数の第1の溶媒から分離して、第1の遠心分離液および第1のケークを生成する。第1の遠心分離液を蒸発器107に移して、大豆可溶物108(すなわち、液体タンパク質濃縮物)を生成することができる。第1のケークを第2の混合タンク102(b)に移し、そこで第1のケークを1つまたは複数の第2の溶媒および/または下流の遠心分離液(例えば、連続サイクルの場合の遠心分離液3)で洗浄する。洗浄された第1のケークを、流体力学装置103(b)によって1つまたは複数の第2の溶媒から分離し、第2の遠心分離液および洗浄された第2のケークを生成する。第2の遠心分離液を、連続サイクル中に第1の混合タンク102(a)に移してもよい。洗浄された第2のケークを第3の混合タンク102(c)に移し、そこで洗浄された第2のケークを1つまたは複数の第3の溶媒および/または下流の遠心分離液(例えば、連続サイクルの場合の遠心分離液3)で洗浄する。洗浄された第2のケークを、流体力学装置103(c)によって1つまたは複数の第3の溶媒から分離し、第3の遠心分離液および洗浄された第3のケークを生成する。第3の遠心分離液を、連続サイクル中に第2の混合タンク102(b)に移してもよい。洗浄された第3のケークを4番目の混合タンク102(d)に移し、そこで洗浄された第3のケークを1つまたは複数の第3の溶媒および/または蒸発器107からの凝縮物で洗浄して懸濁液を形成させ、この懸濁液をシードトレイン105による接種のために1つまたは複数の発酵槽容器104に移す。インキュベーションの前に、懸濁液を加熱して冷却する煮沸チューブ/冷却器タンデム装置(図示していない)において、前記煮沸チューブ内の滞留時間および温度を調節して、最終産物の特性を変化させる(例えば、タンパク質含量を増加させる)ことができる。複数の実施形態では、滞留時間は、0秒間~約5秒間、約5秒間~約10秒間、約10秒間~約15秒間、約20秒間~約30秒間、または約30秒間~1分間であってもよい。関連した一態様では、懸濁液を、少なくとも約95℃、約105℃、約110℃、約120℃、約130℃、または約140℃の温度の煮沸チューブ内で加熱し、そこでシードトレイン105によるインキュベーションの前に、懸濁液を約30℃~32℃に冷却する。
【0102】
図6から続けると、インキュベーション後に、得られた発酵した懸濁液を、流体力学装置(例えば、デカンタ遠心分離機/ディスクスタック遠心分離機)103(d)の適用によって、第4の遠心分離液および最終的なケークに分離する。この懸濁液を、流体力学的な力を加える前に、ブロスタンク(図示していない)内で少なくとも約60℃で、約30分間~約2時間加熱してもよい。103(d)および/またはブロスタンク(図示していない)から得られたケークを乾燥機106に移す。乾燥は、乾燥機106を約150℃に加熱し、最終的なケークの含水率が約7%未満になるまで行う。
【0103】
図7を参照すると、図面には、生産プロセス100(a)の第1のステップの詳細が示されている(遠心分離液1)。植物性材料をミリング装置101にまず供し、その後に第1の混合タンク102(a)に移し、そこでそれを1つまたは複数の第1の溶媒と混合する。得られたマッシュを、流体力学装置103(a)によって1つまたは複数の第1の溶媒から分離して、第1の遠心分離液および第1のケークを生成する。第1の遠心分離液を蒸発器107に移して、大豆可溶物108を生成することができる。
【0104】
図8を参照すると、図面には、遠心分離液4 100(b)の生産プロセスの詳細が示されている。洗浄された第3のケークを第4の混合タンク102(d)に移し、そこで洗浄された第3のケークを1つまたは複数の第3の溶媒および/または蒸発器107からの凝縮物で洗浄して懸濁液を形成させ、この懸濁液を接種のために1つまたは複数の発酵槽容器104に移す。インキュベーション後に、得られた発酵した懸濁液を、流体力学装置103(d)の適用によって第4の遠心分離液および最終的なケークに分離し、遠心分離液4を上流の混合タンク(例えば、102(c))に移す。
【0105】
図9を参照すると、生産プロセス100(c)は遠心分離液4および1に関する詳細を示しており、遠心分離液4は混合タンク3 102(c)に移される前に、ディスクスタック遠心分離109および/または限外濾過110に供され、これには遠心分離液1が、脱スラッジおよび脱油、タンパク質分離のための限外濾過110、ならびに/または糖分離のためのナノ濾過111に供されてもよいことも含まれる。複数の実施形態では、そのような分離方法は、発酵に使用される微生物を取り出すために使用されてもよい。
【0106】
複数の実施形態では、
図6~9を参照すると、生産プロセス100、100(a)、100(b)、100(c)はバッチ式でも連続式でもよく、最低1つの洗浄サイクル(ミル101から乾燥機106まで)、および少なくとも2つの遠心分離液を含み、1つの濃縮液を、大豆可溶物108を濃縮するためにさらに加工処理する。
【0107】
複数の実施形態では、ミリング前の供給原料、および最終産物(最終的な乾燥したケーク)を、NIR分光法によって分析する。一態様では、最終産物に関する生スペクトルの4664cm
-1~4836cm
-1(すなわち、「谷」)に、供給原料に比して(すなわち、実質的に「フラット」)有意な下方シフトがみられるはずである(
図10および11を参照)。関連する一態様では、下方シフトは、以下の式を使用して算出して、少なくとも約10%の変化、約10%~約15%の変化、または約15%~約20%の変化、またはそれ以上のはずである。
(V
2-V
1)|V
1|×100=変化率
【0108】
例えば、
図10および11に示されているように、下方シフトの変化率は、SBM試料およびそれから生成された最終的なME-PRO(登録商標)(HSPQ産物)試料について約16.7%であった。理論に束縛させるつもりはないが、そのようなシフトはタンパク質含量の増加を示す(例えば、Fan et al., PLoS ONE (2016) 11(9):e0163145. doi:10.1371/journal. pone.0163145を参照)。NIRスペクトルデータは、Fan et al.((2016);その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示される方法を使用して生成され得るが、当業者は、関連する任意のハードウェアおよびソフトウェアを含む他の好適な方法が利用可能であることを認識するであろう。
【0109】
食餌調合物
例示的な実施形態では、変換を受けた変換培養物から回収したHQPCは、食餌調合物に使用される。複数の実施形態では、回収したHQPCは、食餌調合物中の唯一のタンパク質源であってもよい。食餌調合物中のタンパク質源のパーセンテージは、制限を意図したものではなく、24~80%のタンパク質濃縮物を含み得る。複数の実施形態では、HQPCは食餌調合物のタンパク質源全体のうち約50%を超える、約60%を超える、または約70%を超えてもよい。回収したHQPCは、タンパク質源、例えば、魚粉、大豆ミール、小麦およびトウモロコシの粉、ならびにグルテンおよび濃縮物、ならびに動物性副産物、例えば、血液、家禽、肉代用品、肉類似物、および羽毛ミールを置き換える/補うことができる。また、HQPCを使用する食餌調合物は、適宜、残りの栄養要求量を満たすために、補助栄養食品、例えば、ミネラルおよびビタミンのプレミックスを含んでもよい。
【0110】
ある特定の実施形態では、HQPCの成績は、高品質のタンパク質濃縮物食餌調合物を与えられた動物の成長、飼料変換、タンパク質効率、DH、APD、PPD、および生存率を、ヒトの消費用の供給原料に関する美的感覚を含め、対照食餌調合物を与えられた動物と比較することによって測定することができる。複数の実施形態では、試験調合物は一貫したタンパク質、脂質、およびエネルギー含量を含有する。例えば、動物が魚の場合、内臓(脂肪沈着)および臓器(肝臓および脾臓)特性、下ごしらえ率(dress-out percentage)、ならびに身の近位分析、さらには腸組織構造(腸炎)を測定して、食餌反応を評価することができる。複数の実施形態では、稚エビ用調合物について、in vitroでDH、PPD、およびADPを測定して、食餌反応を評価することができる。複数の実施形態では、子ブタについて、下痢を特徴とする腸感染症は、離乳後の豚の成長成績の低下ならびに罹患率および死亡率の増加の主な原因であるため、下痢の減少を測定して、食餌反応を評価することができる。
【0111】
理解されているように、回収したHQPCを含有する個々の食餌調合物を、異なる種類の動物に最適化することができる。複数の実施形態では、動物には、魚類、甲殻類(例えば、エビ、カニ、プローン、およびロブスター)、飼育動物(例えば、イヌ、ネコ、鳥類)および家畜(例えば、ウシ、ブタ、およびニワトリ)が含まれるが、これらに限定されない。関連する一態様では、動物は、商業的な水産養殖で育てられた魚類および甲殻類である。別の関連する一態様では、甲殻類には稚エビが含まれる。食餌調合物の最適化のための方法はよく知られており、過度の実験なしに当業者によって容易に確認され得る。
【0112】
完全な養殖用飼料を、様々な動物種に関する既知の栄養要求量に従ってHQPCを使用して調合することができる。複数の実施形態では、調合物は、イエローパーチに使用することができる(例えば、タンパク質42%、脂質8%)。複数の実施形態では、この調合物はニジマスに使用することができる(タンパク質35%、脂質16%)。複数の実施形態では、調合物は、前述の動物のうちのいずれか1つに使用することができる。
【0113】
微量栄養要求量を確実に満たすために、植物性食餌の基礎ミネラルおよびビタミンのプレミックスを使用してもよい。(分析によって必要と判断された)あらゆる栄養補助食品を、栄養補助食品を含まない同一の調合物と比較することによって評価することができる;したがって、栄養補助の効果を考慮して、要因デザインで給餌試験を行うことができる。複数の実施形態では、給餌試験には、魚粉ベースの対照食餌ならびにESPCおよびLSPCベースの参照食[伝統的なSPC(TSPC)は、可溶性炭水化物を除去するために大豆フレークを溶媒洗浄して生成される;テクスチャードSPC(ESPC)は、TSPCを高湿高温下で押し出すことによって生成され;低抗原SPC(LSPC)は、加工処理中に溶媒洗浄および温度を変更することによってTSPCから生成される]を含めることができる。給餌試験用のペレットは、一軸スクリュー押出し機(例えば、BRABENDERPLASTI-CORDER EXTRUDER Model PL2000)を使用して生成することができる。
【0114】
給餌試験
複数の実施形態では、処置あたりに4つの実験単位(すなわち、それぞれの実験食餌および対照食餌の混合物)の反復試験を使用することができる(例えば、それぞれ約60日間~120日間)。試験は、遠心ポンプにより駆動され、固体サンプおよびバイオリアクター、フィルター(100μmバッグフィルター、カーボンフィルターおよび紫外線フィルター)からなる閉ループ再循環システムに並列に接続された110Lの円形タンク(魚20匹/タンク)内で実施することができる。種特異的な成長に最適な温度を維持するために、必要に応じてヒートポンプを使用してもよい。すべてのシステムにおいて、水質(例えば、溶存酸素、pH、温度、アンモニア、および亜硝酸塩)をモニターすることができる。
【0115】
複数の実施形態では、実験食餌を魚の大きさに応じて与え、1日2回~5回に分けて給餌する。成長成績を、1週間~4週間(魚の大きさおよび試験期間に応じて)にわたって行う総質量測定によって決定する;飽和給餌を可能にし、廃棄物の流れを減らすために、増分に応じて配給量を調整することができる。消費量は、個々のタンクから回収された食べ残しの飼料から、隔週で評価される。食べ残しの飼料を一定温度まで乾燥させ、冷却し、秤量して、飼料変換効率を推定することができる。タンパク質およびエネルギーの消化率は、各実験の中間時点で手作業で取り出した糞便から、または給餌試験の終了時に剖検を介して下部腸管から取り出した糞便から決定することができる。生存率、体重増加、成長速度、健康指標、飼料変換、タンパク質およびエネルギーの消化率、およびタンパク質効率を、処置群間で比較することができる。解剖した魚の近似分析を、食餌処置の間で身の組成を比較するために実施することもできる。給餌試験の目的に応じて、身の構成成分について必要に応じてアミノ酸および脂肪酸の分析を行うことができる。食餌処置の給餌試験反応を、対照(例えば、魚粉)食餌の反応と比較して、HQPC食餌の成績が対照反応に適合するかまたは上回るかを確認することができる。
【0116】
エビについては、900ガロンのタンク、または190Lのセミスクエアタンクで試験を実施することができ、それぞれには表面下から水を引き出す循環式の排水管、およびタンク中央の底部の最も低い位置に取り付けられた汚泥用の排水管が備えられている。RAS試験システムは、Cornel式のデュアル排水タンク、固体沈降タンク、機械的ドラム濾過、移動床バイオリアクター(MBBR)、UV滅菌、冷却、および酸素注入からなることができる。水質を毎日モニターして、すべてのパラメーターが許容範囲内にあることを確認する(例えば、White et al.、Aqua Mar Bio Eco(2020)JAMBE:105を参照)。
【0117】
さらに、例えば、腸内微生物叢を増加させ、腸内炎症を減少させ、動物の健康を改善するための代謝プロセスを促進することができる生物活性因子をかなりの量で提供するというように、HQPCの直接的な効果を決定するためにエビを分析することもでき、これは特に消化性の決定が重要な役割を果たす、飼料の体重への乾燥物質変換に特に依存する可能性がある。関連する一態様では、エビから回収した標準化された消化酵素によるin vitroでのタンパク質消化を、DH、PPDおよびAPD、ならびに全生存率を決定するためのそのような分析からのデータの使用を含めて、使用することができる。
【0118】
食餌反応および給餌試験反応の統計分析は、事前α=0.05で行うことができる。処置間の成績パラメーターの分析は、必要に応じて、分散または共分散の適切な分析(Proc Mixed)および事後の多重比較によって行うことができる。動物の成績および組織反応の分析は、非線形モデルによって評価することができる。
【0119】
複数の実施形態では、本開示は、例えば、GRAS状態の微生物を使用して、植物性材料中の繊維および他の炭水化物を追加のタンパク質に変換することを提案する。微生物の菌体外多糖(例えば、グルカン)を生成させることもでき、これは押出しによる供給ペレット形成を容易にし、結合剤の必要性をなくす可能性がある。この微生物ガムは、ストレス要因から生じる一般的な病原体から動物を保護する先天的防御機構を活性化する免疫刺激活性ももたらし得る。免疫予防物質、例えば、βグルカン、細菌産物、および植物構成成分は、感染症による経済的損失を減らし、抗生物質の使用を最小限に抑えるために、市販の飼料に使用されることが増えている。本開示の微生物はまた、細胞外ペプチダーゼも生成し、これは代謝中にタンパク質の消化性および吸収を高め、より高い飼料効率および収量をもたらすはずである。本明細書に開示されるように、この微生物インキュベーションプロセスは、SBM、SPC、および動物飼料よりもタンパク質単位あたりのコストが低く、価値のある持続可能な植物タンパク質ベースの飼料を提供する。複数の実施形態では、遠心分離液の構成要素は、可溶性副産物、例えば、糖、グリセロール、タンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を、シロップまたは凝縮植物ベース可溶物(PBS)と呼ばれる物質に濃縮することができる蒸発段階に、その後にさらに供することができる。
【0120】
開示されるように、本微生物は、植物性材料における個々の炭水化物を代謝して、細胞集団(例えば、プルラン)、微生物ガム(例えば、プルラン)、酵素産生、微生物代謝産物生成、およびプロバイオティクスをいずれも生産することができる。また、これらの微生物の様々な株は、繊維の分解も強化する。本発明の微生物はまた、植物性物質のタンパク質を、より消化しやすいペプチドおよびアミノ酸に変換することもできる(
図12参照)。複数の実施形態では、以下の行為を行うことができる:1)本開示の選択された微生物を、植物性材料を変換することに使用する効率を決定して、少なくとも約65%~約70%またはそれ以上のタンパク質濃度を有する高品質のタンパク質濃縮物(HQPC)を得ること、および2)動物性タンパク質を置き換えるHQPCの有効性を評価すること。複数の実施形態では、微生物の成績および頑健性を改善し、ある範囲の商業的に重要な動物について養殖用飼料を試験し、商業化のためのプロセスコストおよびエネルギー要件を検証するために、プロセス/変換条件の最適化を実施することができる。複数の実施形態では、本開示のHQPCは、動物性タンパク質の少なくとも50%を置き換えることができ、同時に増加した成長速度および変換効率を提供する。例えば、生産コストは市販の大豆タンパク質濃縮物(SPC)よりも低く、魚粉よりも実質的に低いはずである。
【0121】
図1、2および6~9は、糖を細胞集団(タンパク質)およびガムに変換し、HQPCを回収して水産飼料を生成し、得られた水産飼料を魚の給餌試験で試験するという、植物ベース産物の処理における本開示の様々なアプローチを示している。
【0122】
本明細書に開示されるすべてのプロセスに必要というわけではないが、セルロース分解酵素/プルラナーゼを、本開示の微生物がタンパク質、菌体外多糖およびガムに変換することができる糖の生成に関して評価することができる。複数の実施形態では、これらの酵素の逐次的な除外およびセルロース分解性微生物との共培養の評価を使用することができる。エタノールを、様々なケークを洗浄し、ガムを沈降させ、HQPCを生成するための処理によって様々な遠心分離液中に懸濁している可能性のあるタンパク質可溶物の回収の改善することに関して評価することができる。乾燥後に、HQPCは、実用的な食餌調合物に組み込むことができる。複数の実施形態では、試験用の養殖用飼料を(ミネラルおよびビタミンのプレミックスとともに)調合して、商業的に重要な動物を用いた飼料試験において、動物タンパク質対照および商業的な植物性タンパク質濃縮物/分離物ベースの飼料との比較を行うことができる。成績(例えば、成長、飼料変換、タンパク質効率、生存率)、内臓の特徴、腸への影響、腸の組織構造を調べて、反応を評価することができる。
【0123】
他の実施形態では、プロセスへの投入量を最小限に抑えながら、同時に微生物の成績および頑健性を改善し、得られた養殖用飼料をある範囲の商業的に重要な動物に対して試験し、プロセスコストおよびエネルギー要件の検証/更新を行うことができる最適な変換条件を決定することによって、HQPC生産プロセスの最適化を実施することができる。
【0124】
過去数年において、いくつかの施設では、エタノール生産プロセスの前にトウモロコシの外皮および胚芽を取り除く乾式粉砕機能を実装している。この乾式分画プロセスにより、最大で42%のタンパク質を含むDDGS(以下では乾燥分画DDGSと称する)が得られる。一部の実施形態では、低油分DDGSを変換のための基質として使用することができ、そのような低油分DDGSは従来のDDGSよりもタンパク質レベルが高い。関連する一態様では、低油分DDGSは従来のDDGSと比較してA.プルランスの成長速度を増加させる。
【0125】
いくつかのグループは、動物由来タンパク質を植物由来タンパク質に部分的に置き換えることを評価している。しかし、タンパク質含量の低さ、アミノ酸バランスの不十分さ、および栄養分吸収阻止因子の存在により、置き換えレベルは20~40%に制限されている。例えば、予備的な成長試験により、現行のDDGSおよびSPCベースの飼料では、魚粉対照飼料に類似する成績は得られないことが示されている。商業的に生産されたDDGSおよびSPCの中には、主にタンパク質およびアミノ酸の組成においていくつかの欠陥が確認されており、これは成長成績にばらつきをもたらす。しかし、(すべての要件を満たすか、またはそれを上回るように調合された)栄養補助食品を含有する本明細書に開示される植物性タンパク質を含有する飼料は、動物タンパク質ベースの対照と同程度またはそれを上回る成長結果をもたらした。したがって、本明細書に開示されるプロセスおよびそこから開発される製品は、(栄養所要量に比して)より高品質のHQPCを提供し、様々なSPC/SPIを含有するものを含め、動物性タンパク質を含む飼料と同等またはそれ以上の成長成績を援助する。
【0126】
複数の実施形態では、本開示の魚用飼料組成物を与えることができる魚には、シベリアチョウザメ、コチョウザメ、ホシチョウザメ、シロチョウザメ、アラパイマ、ニホンウナギ、アメリカウナギ、コビレウナギ、ヒレナガウナギ、ヨーロッパウナギ、チャノスチャノス、サバヒー、ブルーギルサンフィッシュ、グリーンサンフィッシュ、ホワイトクラッピー、ブラッククラッピー、アスプ、カトラ、キンギョ、フナ、ケンヒー、シロコイ、ソウギョ、コイ、ハクレン、レンギョ、オレンジフィンラベオ、ロウホウホラベオ、ホーブンズカープ、ダントウボウ、マゴイ、ゴールデンシャイナー、ニレムカープ、ホワイトアムールブリーム、タイシルバーバーバーブ、ジャワ、ローチ、テンチ、ポンドローチ、ボカチコ、ドラダ、コロソマ、カカマブランカ、パコ、ブラックブルヘッド、アメリカナマズ、バグリッドナマズ、ブルーキャットフィッシュ、ヨーロッパオオナマズ、パンガジウス(スワイ、トラ、バサ)キャットフィッシュ、ゴンズイ、アミア、フィリピンナマズ、ホンコンナマズ、北アフリカナマズ、ビッグヘッドナマズ、サンパ、南米ナマズ、アチパ、ノーザンパイク、アユ、ベンダス、ホワイトフィッシュ、カラフトマス、シロザケ、ギンザケ、サクラマス、ニジマス、ベニマス、マスノスケ、タイセイヨウサケ、マス、ホッキョクイワナ、カワマス、レイクトラウト、タイセイヨウダラ、ペヘレイ、レイ、コモンスヌーク、バラマンディ/アジアスズキ、ナイルパーチ、マレーコッド、ゴールデンパーチ、シマスズキ、ホワイトバス、ヨーロッパシーバス、キジハタ、オオモンハタ、ヒトミハタ、スジハタ、シルバーパーチ、ホワイトパーチ、ジェイドパーチ、オオクチバス、コクチバス、ヨーロッパパーチ、ザンダー(パイクパーチ)、イエローパーチ、ザウガー、ウォールアイ、ブルーフィッシュ、カンパチ、ブリ、マルコバン、フロリダポンパノ、パロメタポンパノ、マアジ、スギ、ゴマフエダイ、イエローテイルスナッパー、ダークシーブリーム、ホワイトシーブリーム、チダイ、マダイ、レッドポルジー、ゴールドラインドシーブリーム、ゴウシュウマダイ、レッドドラム、グリーンテラー、ブラックベルトシクリド、ジャガーグアポーチ、メキシカンマヤラ、パールスポット、スリースポッティドティラピア、ブルーティラピア、ロングフィンティラピア、モザンビークティラピア、ナイルティラピア、ティラピア、ワミティラピア、ブラックチンティラピア、レッドブレストティラピア、ジルティラピア、ゴールデングレイマレット、ラージスケールマレット、ゴールドスポットマレット、チンリップグレイマレット、リーピングマレット、テイドマレット、フラットヘッドグレイマレット、ホワイトマレット、ルブランシュマレット、パシフィックファットスリーパー、マーブルゴビー、シモフリアイゴ、ゴマアイゴ、マーブルドスパインフット、ミナミマグロ、タイセイヨウクロマグロ、キノボリウオ、スネークスキングラミー、キッシンググラミー、ジャイアントグラミー、ライギョ、インドネシアンスネークヘッド、スポッティッドスネークヘッド、ストライプドスネークヘッド、イシビラメ、ヒラメ(ニホンヒラメ)、ナツヒラメ、サザンフラウンダー、フユヒラメ、タイセイヨウオヒョウ、グリーンバックフラウンダー、ヨーロッパソール、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
複数の実施形態では、本開示の魚用飼料組成物を与えることができる甲殻類には、カダルエビ、エンデバーエビ、グリースバックエビ、スペックルドシュリンプ、ノーザンブラウンシュリンプ、コウライエビ、オーストラリアタイガー、ショウナンエビ、クルマエビ、カラモテエビ、バナナエビ、ジャイアントタイガーエビ、サザーンピンクシュリンプ、サンパウロエビ、レッドテールシュリンプ、サザーンホワイトシュリンプ、クマエビ、ノーザンホワイトシュリンプ、ブルーシュリンプ、サザーンブラウンシュリンプ、バナメイエビ、アトランティックシーボブ、アキアミ、モンスーンカワエビ、ジャイアントカワエビ、スジエビ、アメリカロブスター、ヨーロッパロブスター、ヨーロッパザリガニ、ドナウザリガニ、タンカイザリガニ、アメリカザリガニ、ヤビー、ミナミザリガニ、マロンザリガニ、カノコイセエビ、ガザミ、アミメノコギリガザミ、チュウゴクモクズガニ、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
複数の実施形態では、本開示の飼料組成物を与えることができる家畜には、ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカ、ウマ、ニワトリ、ブタ、ウサギ、アヒル、アルパカ、エミュー、七面鳥、バイソン、ラクダが含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
複数の実施形態では、本開示の飼料組成物を与えることができる飼育動物には、イヌ、ネコ、オウム、キンギョ、カメ、インコ、ハムスター、実験用ラット、モルモット、および実験用マウスが含まれるが、これらに限定されない。
【0130】
本開示の飼料組成物を、抗生物質、化学療法剤、抗炎症剤、NSAID、抗菌剤、細菌またはウイルス感染に対するワクチンを含む免疫活性物質、およびそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない医薬活性物質の便利な担体として使用し得ることは、当業者には理解されるであろう。
【0131】
本開示による飼料組成物は、液体、注ぎやすいエマルジョンとして、もしくはペーストの形態で、または、例えば、顆粒、粉末、もしくはフレークとしての乾燥形態で提供することができる。飼料組成物がエマルジョン、水中脂質型エマルジョンとして提供される場合、それは比較的濃縮された形態であってもよい。そのような濃縮されたエマルジョン形態は、生物用の最終的な強化媒体を提供するために水性媒体中での1つまたは複数の段階で希釈することができるため、プレエマルジョンと称することもできる。
【0132】
複数の実施形態では、開示される微生物ベースのプロセスのセルロース含有性出発材料は、トウモロコシである。トウモロコシは約2/3がデンプンであり、発酵および蒸留のプロセス中にエタノールおよび二酸化炭素に変換される。残りの栄養分または発酵産物は、凝縮された蒸留所可溶物または蒸留かす、例えば、DDGSをもたらすことがあり、これは飼料製品に使用することができる。一般に、本プロセスは、トウモロコシの乾式ミリングまたは粉砕を行う初期調製段階を含む。次いで、加工処理されたトウモロコシを加水分解に供し、糖化プロセスにおいて酵素を添加してデンプンの主構成要素を分解させる。発酵の次のプロセスは、本開示の実施形態に従って提供される微生物(例えば、酵母)を添加して、二酸化炭素などのガス状生成物を生成させることにより、進めることができる。発酵は、発酵ブロスから蒸留させることができるエタノールの生成のために実施される。続いて、発酵ブロスの残りを乾燥させて、DDGSを含む発酵産物を生成することができる。このプロセスは通常、固相構成要素を収集することができる遠心処理による固体/液体分離プロセスを含む。そのような分離を生じさせるために、濾過法および噴霧乾燥法を含む他の方法を用いることもできる。液相構成要素は、その後でさらに蒸発段階に供することができ、可溶性副産物、例えば、糖、グリセロール、タンパク質、ペプチド、アミノ酸を濃縮して、シロップまたは凝縮トウモロコシ可溶物(CCS)と呼ばれる材料にすることができる。続いて、CCSを固相構成要素と再び組み合わせて、インキュベーション産物(DDGS)として乾燥させることができる。本組成物を、乾式ミリングに基づく新規または既存のエタノールプラントに適用することで、価値の高い発酵産物をも生成する統合エタノール生産プロセスが提供され得ることが理解されるべきである。
【0133】
複数の実施形態では、本開示に従って生成されたインキュベーション産物は、従来の発酵産物よりも高い商品価値を有する。例えば、インキュベーション産物は、アミノ酸および微量栄養分の含量が改善された強化乾燥固形物を含んでもよい。このようにして、「金色の」産物を提供することができ、これは、濃い色のHQSPと比較して、一般にアミノ酸の消化性が高いことを示す。例えば、本明細書における実施形態に従って、栄養価が一般により低い相対的に濃い色のHQSPと比較してリジン濃度の高い、薄い色のHQSPを生成することができる。産物の色は、発酵産物またはHQSPの品質および栄養分消化性を評価する際に重要な因子または指標となり得る。色は、カラメル化ならびに遊離アミノ基および糖のメイラード反応を引き起こし、一部のアミノ酸の品質を低下させる、乾燥中の過度の熱への曝露を示す指標として使用される。
【0134】
本発明の別の一態様は、栄養分の濃度が強化された完成した飼料組成物を対象とし、これは、栄養分、例えば、脂肪、脂肪酸、脂質、例えばリン脂質、ビタミン、必須アミノ酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物、ステロール、酵素、および微量ミネラル、例えば、鉄、銅、亜鉛、マンガン、コバルト、ヨウ素、セレン、モリブデン、ニッケル、フッ素、バナジウム、スズ、シリコン、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されないものの濃度が強化されたことによって特徴付けられる微生物を含む。一態様では、本プロセスは、廃水の実質的な汚染を招かない様式で、動物がより多くの量のリンを利用し得るようにする。
【0135】
インキュベーションプロセスの後に得られるインキュベーション産物は、典型的には、より高い商業的価値を有する。複数の実施形態では、インキュベーション産物は、微生物を欠く産物よりも栄養分含量が強化された微生物を含有する。微生物は、インキュベーションシステム、インキュベーションブロスおよび/またはインキュベーションバイオマスに存在してもよい。栄養分含量が強化されたインキュベーション産物を生成するために、インキュベーションブロスおよび/またはバイオマスを乾燥(例えば、噴霧乾燥)させてもよい。
【0136】
例えば、インキュベーションプロセス後に回収された使用済みの乾燥固形物が、本開示に従って強化される。これらのインキュベーション産物は一般に毒性がなく、生分解性で、容易に入手可能で、安価で、栄養分が豊富である。微生物の選択およびインキュベーション条件は、飼料または栄養補助食品として使用するための低毒性または無毒性のインキュベーション産物を生成するために重要であり、これにはプロセスに悪影響を及ぼす濃度で代謝物を生成しない微生物の選択も含まれる。グルコースは穀物由来のデンプンを加水分解して生成される主要な糖であるが、一般に炭水化物において生成される糖はグルコースが唯一ではない。非デンプン性炭水化物を多量に(例えば、中性デタージェント繊維として測定されるセルロースおよびアラビノキシランを乾燥重量比で35%もの多さで)含有する伝統的な乾式ミルエタノール生産プロセスから生成されるSPCまたはDDGとは異なり、非デンプン性炭水化物の酵素的加水分解(微生物による代謝を介する)によって生成される栄養分が強化された本インキュベーション産物は、非反芻動物にとってより嗜好性および消化性が高い。
【0137】
本開示の栄養分が強化されたインキュベーション産物は、重量比で少なくとも約1%~約95%の栄養分含量を有し得る。栄養分含量は、好ましくは、重量比で少なくとも約10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、および70%~80%の範囲にある。利用可能な栄養分含量は、それが与えられる動物、ならびに食餌の残りの状況、および動物のライフサイクルの段階に依存し得る。例えば、肉牛は乳牛よりもヒスチジンの必要量が少ない。動物に飼料を与えるための好適な栄養分含量の選択は、当業者には周知である。
【0138】
インキュベーション産物は、噴霧乾燥されたバイオマス産物として調製することができる。任意選択で、バイオマスを、公知の方法、例えば、遠心処理、濾過、分離、デカンテーション、分離とデカンテーションの組合せ、限外濾過または精密濾過によって分離することができる。バイオマスインキュベーション産物を、第1胃バイパスを容易にするためにさらに処理してもよい。複数の実施形態では、バイオマス産物をインキュベーション媒体から分離し、噴霧乾燥させ、任意選択で第1胃バイパスを調整するために処理した上で、栄養源として飼料に添加することができる。栄養分が強化されたインキュベーション産物を、微生物を含むインキュベーションプロセスで生成することに加えて、栄養分が強化されたインキュベーション産物を、トランスジェニック植物系において産生させることもできる。トランスジェニック植物系を作製するための方法は当技術分野で公知である。または、微生物宿主が栄養分を排出する場合には、栄養が強化されたブロスを、インキュベーションによって生成されたバイオマスから分離し、浄化したブロスを動物飼料の成分として、例えば、液体形態または噴霧乾燥形態で使用することもできる。
【0139】
微生物を使用するインキュベーションプロセスの後に得られるインキュベーション産物は、動物飼料として、またはヒト用の栄養補助食品として使用され得る。インキュベーション産物は、非動物性源(例えば、細菌、酵母、および/または植物)に由来する、栄養分含量が強化された成分を少なくとも1つ含む。特に、インキュベーション産物は、脂肪、脂肪酸、脂質、例えばリン脂質、ビタミン、必須アミノ酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物、ステロール、酵素、ならびに微量ミネラル、例えば、鉄、銅、亜鉛、マンガン、コバルト、ヨウ素、セレン、モリブデン、ニッケル、フッ素、バナジウム、スズ、およびシリコンのうちの少なくとも1つまたは複数を豊富に含む。複数の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの必須アミノ酸を含む。他の実施形態では、必須アミノ酸は、インキュベーション反応に使用される改変された本微生物内に封入される。複数の実施形態では、必須アミノ酸は、微生物によって発現される異種ポリペプチドに含有される。必要に応じて、異種ポリペプチドを発現させ、好適な微生物(例えば、真菌)の封入体内に貯蔵させる。
【0140】
複数の実施形態では、インキュベーション産物は、高い栄養含量を有する。その結果として、完成した動物飼料に使用されるインキュベーション産物の割合が高くなる可能性がある。複数の実施形態では、飼料組成は、インキュベーション産物を重量比で少なくとも約15%含む。完成した飼料、または食餌において、この材料は他の材料とともに与えられる。他の材料の栄養分含量、および/または飼料が与えられる動物の栄養要求量に応じて、改変されたインキュベーション産物は飼料の15%から飼料の100%までの範囲であってもよい。複数の実施形態では、本インキュベーション産物は、高い栄養分含量のために、より低い配合率をもたらすことがある。他の実施形態では、本インキュベーション産物は、例えば、75%を超えるような非常に高い給餌率をもたらし得る。好適な実施形態では、飼料組成物は、本インキュベーション産物を少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%含む。一般的には、飼料組成物は、インキュベーション産物を重量比で少なくとも約20%含む。より一般的には、飼料組成物は、インキュベーション産物を重量比で少なくとも約15~25%、25~20%、20~25%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、または60%~70%含む。要望に応じて、本インキュベーション産物を飼料の唯一の供給源として使用してもよい。
【0141】
複数の実施形態では、本明細書に開示される食餌調合物は、様々な目的のために、例えば、体重増加および動物の健康状態の全体的な改善のために、1つまたは複数の必須アミノ酸に関してアミノ酸含量が強化されていてもよい。調合物は、インキュベーション産物中の遊離アミノ酸の存在および/または必須アミノ酸を含むタンパク質またはペプチドの存在により、アミノ酸含量が強化されていてもよい。必須アミノ酸には、ヒスチジン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、タウリン、イソロイシン、および/またはトリプトファンを含めることができ、これらは遊離アミノ酸として、または選択されたアミノ酸に富むタンパク質またはペプチドの一部として調合物中に存在してもよい。少なくとも1つの必須アミノ酸が豊富なペプチドまたはタンパク質は、ペプチドまたはタンパク質の総アミノ酸残基あたり少なくとも1%の必須アミノ酸残基、ペプチドまたはタンパク質の総アミノ酸残基あたり少なくとも5%の必須アミノ酸残基、またはタンパク質の総アミノ酸残基あたり少なくとも10%の必須アミノ酸残基を有し得る。栄養分のバランスがとれた食餌を動物に与えることにより、栄養分含量が最大限に利用され、同等の速度での成長、ミルク生産、または排泄物に含まれる栄養分の減少を達成するために必要な飼料が少なくなり、これにより、廃棄物のバイオバーデンが軽減される(例えば、廃棄物処理におけるリンが減る)。
【0142】
本明細書に開示される調合物は、必須アミノ酸の含量が強化されていてもよく、粗タンパク質の重量および総アミノ酸含量に対して少なくとも2.0重量%、より適切には粗タンパク質の重量および総アミノ酸含量に対して少なくとも5.0重量%の必須アミノ酸含量(タンパク質またはペプチドに存在する遊離必須アミノ酸および必須アミノ酸を含む)を有することができる。本明細書に開示される飼料調合物は、脂肪、脂肪酸、脂質、例えばリン脂質、ビタミン、炭水化物、ステロール、酵素、微量ミネラルを含むがこれらに限定されない、微生物由来の他の栄養分を含む。
【0143】
本明細書に開示される飼料調合物は、完成した飼料形態組成物、濃縮形態組成物、ブレンダー形態組成物、およびベース形態組成物を含むことができる。調合物が完成した飼料の形態にある場合、インキュベーション産物中の微生物から栄養分が得られる栄養分レベルの割合は、約10~約25%であってもよく、より好適には約14~約24%であってもよい;一方、調合物が濃縮物の形態にある場合には、栄養分レベルは約30~約50%、より適切には約32~約48%であってもよい。調合物がブレンダーの形態にある場合には、組成物中の栄養分レベルは約20~約30%であってもよく、より好適には約24~約26%であってもよい;調合物がベース混合物の形態にある場合には、調合物中の栄養分レベルは約55~約65%であってもよい。本明細書に別段の記載がない限り、割合は重量パーセント比で記載される。HQPCが、単一の栄養分、例えば、Lysについて豊富である場合には、低い割合で栄養補助食品として使用されると考えられ;アミノ酸およびビタミン、例えば、ビタミンAおよびEのバランスがとられている場合には、それはより完成した飼料となり、より高い割合で与えられ、トウモロコシ茎葉のような低タンパク質で低栄養分の供給原料が補われる。
【0144】
本明細書に開示される飼料調合物は、少なくとも約2%の必須アミノ酸含量を有するインキュベーション産物中に存在する、ペプチドまたは粗タンパク質画分を含むことができる。複数の実施形態では、ペプチドまたは粗タンパク質画分は、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、および複数の実施形態では、少なくとも約50%の必須アミノ酸含量を有することができる。複数の実施形態では、ペプチドは100%必須アミノ酸であってもよい。例えば、魚粉調合物は、最大で約10%の必須アミノ酸含量を有する、インキュベーション産物中に存在するペプチドまたは粗タンパク質画分を含むことができる。より一般的には、魚粉調合物は、約2~10%、3.0~8.0%、または4.0~6.0%の必須アミノ酸含量を有する、インキュベーション産物中に存在するペプチドまたは粗タンパク質画分を含むことができる。
【0145】
本明細書に開示される調合物は、少なくとも約2%のリジン含量を有する、インキュベーション産物中に存在するペプチドまたは粗タンパク質画分を含むことができる。複数の実施形態では、ペプチドまたは粗タンパク質画分は、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、および複数の実施形態では、少なくとも約50%のリジン含量を有することができる。例えば、魚粉調合物は、最大約10%のリジン含量を有するペプチドまたは粗タンパク質画分を含むことができる。要望に応じて、魚粉調合物は、約2~10%、3.0~8.0%、または4.0~6.0%のリジン含量を有するペプチドまたは粗タンパク質画分を含むことができる。
【0146】
本明細書に開示される調合物は、インキュベーション産物中の栄養分を、約1g/乾燥固形物kg~900g/乾燥固形物kgで含むことができる。例えば、魚粉調合物中の栄養分は、少なくとも約2g/乾燥固形物Kg、5g/乾燥固形物Kg、10g/乾燥固形物Kg、50g/乾燥固形物Kg、100g/乾燥固形物Kg、200g/乾燥固形物Kg、および約300g/乾燥固形物Kgで存在することができる。複数の実施形態では、栄養分は、少なくとも約400g/乾燥固形物kg、少なくとも約500g/乾燥固形物kg、少なくとも約600g/乾燥固形物kg、少なくとも約700g/乾燥固形物kg、少なくとも約800g/乾燥固形物kgおよび/または少なくとも約900g/乾燥固形物kgで存在することができる。
【0147】
本明細書に開示される調合物は、約1g/乾燥固形物kg~900g/乾燥固形物kgの含量を有する、インキュベーション産物中に存在する必須アミノ酸または少なくとも1つの必須アミノ酸を含有するペプチドを含むことができる。例えば、魚粉組成物中の必須アミノ酸または少なくとも1つの必須アミノ酸を含有するペプチドは、少なくとも約2g/乾燥固形物Kg、5g/乾燥固形物Kg、10g/乾燥固形物Kg、50g/乾燥固形物Kg、100g/乾燥固形物Kg、200g/乾燥固形物Kg、および約300g/乾燥固形物Kgで存在することができる。複数の実施形態では、必須アミノ酸または少なくとも1つの必須アミノ酸を含有するペプチドは、少なくとも約400g/乾燥固形物Kg、少なくとも約500g/乾燥固形物Kg、少なくとも約600g/乾燥固形物Kg、少なくとも約700g/乾燥固形物Kg、少なくとも約800g/乾燥固形物Kgおよび/または少なくとも約900g/乾燥固形物Kgで存在することができる。
【0148】
本明細書に開示される調合物は、インキュベーション中に形成されるバイオマスの形態にある栄養分が強化されたインキュベーション産物、および少なくとも1つの追加の栄養分構成要素を含有することができる。別の例では、調合物は、インキュベーション中に形成されるインキュベーションブロスから溶解および懸濁された栄養分が強化されたインキュベーション産物、ならびに少なくとも1つの追加の栄養分構成要素を含有する。さらなる一実施形態では、調合物は、少なくとも1つの必須アミノ酸に富むタンパク質を含む粗タンパク質画分を有する。調合物は、バランスが改善された必須アミノ酸が与えられるように調製することができる。
【0149】
他の調合物については、完成した調合物は、HQPC、および1つまたは複数の成分、例えば、発酵に伴ってまたは発酵を伴わずに生成される、フスマ入り小麦粉(「wheat mid」)、トウモロコシ、大豆ミール、トウモロコシグルテンミール、蒸留かすまたは可溶物を伴う蒸留かす、塩、多量ミネラル、微量ミネラル、およびビタミンを含有し得る。他の可能性のある成分には、ヒマワリミール、麦芽スプラウト、および大豆外皮が一般的に含まれ得るが、これらに限定されない。ブレンダー調合物は、フスマ入り小麦粉、トウモロコシグルテンミール、蒸留かすまたは可溶物を伴う蒸留かす、塩、多量ミネラル、微量ミネラル、およびビタミンを含有し得る。代替的な成分には、トウモロコシ、大豆ミール、ヒマワリミール、綿実ミール、麦芽スプラウト、および大豆外皮が一般的に含まれるが、これらに限定されない。ベース形態調合物は、フスマ入り小麦粉、トウモロコシグルテンミール、および蒸留かすまたは可溶物を伴う蒸留かすを含有し得る。代替的な成分には、大豆ミール、ヒマワリミール、麦芽スプラウト、多量ミネラル、微量ミネラル、およびビタミンが一般的に含まれるが、これらに限定されない。
【0150】
微生物中の高度不飽和脂肪酸(HUFA)は、酸化条件に曝露されると、より望ましくない不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸に変換される可能性がある。しかし、合成抗酸化物質または天然に存在する抗酸化物質、例えば、ベータ-カロテン、ビタミンEおよびビタミンCを飼料に導入することによって、オメガ-3 HUFAの飽和を減少させるかまたは防止することができる。合成抗酸化物質、例えば、BHT、BHA、TBHQ、またはエトキシキン、および天然の抗酸化物質、例えば、トコフェロールは、食品もしくは飼料製品にそれらを添加することによってそれらに組み入れることもでき、または適切な生物におけるin situ産生によって組み入れることもできる。この様式で組み入れられる抗酸化物質の量は、その後の使用要件、例えば、生成物の調合、包装方法、所望の貯蔵寿命に依存する。
【0151】
また、本開示のインキュベーション産物は、プロセスがヒト用等級の投入材料から始まり、プロセス全体を通してヒトの食品品質基準が観察される場合には、ヒトの消費のための栄養補助食品としても利用され得る。本明細書に開示されるインキュベーション産物または調合物は、栄養分含量が高い。タンパク質および繊維などの栄養分は、健康的な食事と関連している。食品、例えば、シリアル、クラッカー、パイ、クッキー、ケーキ、ピザ生地、燻製ソーセージ、ミートボール、シェーキ、およびあらゆる形態の食用食品において、本開示のインキュベーション産物または完成した飼料を利用するためのレシピを開発することができる。また、インキュベーション産物を、手軽に食べられ、流通に便利なグラノーラバーのようなスナックまたはスナックバーとして開発するという別の選択肢もあり得る。スナックバーは、穀物由来のタンパク質、繊維、胚芽、ビタミン、ミネラルのほかに、栄養補助食品、例えば、グルコサミン、HUFA、または補因子、例えば、ビタミンQ-10を含有してもよい。
【0152】
本インキュベーション産物を含む調合物に、さらに風味を補うこともできる。特定の風味の選択は、飼料が与えられる動物に依存する。風味および芳香は、天然のものでも人工のものでも、飼料をより受け入れやすく、味を良くするために使用することができる。これらの栄養補助食品は、すべての成分と十分に配合することができ、液体または乾燥産物の形態で利用することができる。動物の飼料に添加される好適な風味、誘引物質、および芳香には、魚フェロモン、コロハ、バナナ、チェリー、ローズマリー、クミン、ニンジン、ペパーミント、オレガノ、バニラ、アニスに加えて、ラム、メープル、カラメル、柑橘類油、酪酸エチル、メントール、リンゴ、シナモン、およびこれらの任意の天然または人工の組合せが含まれるが、これらに限定されない。異なる動物間で風味および香りは入れ替わることがある。同様に、人工的または天然の種々の果物の風味を、ヒトの消費用の本インキュベーション産物を含む栄養補助食品に添加することもできる。
【0153】
複数の実施形態では、HQPCは、HQPC、ラベル、少なくとも1つの容器、および動物に応じた調合物の生成に関する説明書を含む、様々な調合物を生成するためのキットの一部であってもよい。さらに、そのような説明書が、ウェブリンクを通じて入手可能であってもよい。
【0154】
本開示のインキュベーション産物または完成した飼料の貯蔵寿命は、典型的には、微生物を欠くインキュベーション産物の貯蔵寿命よりも長い可能性がある。貯蔵寿命は、産物の水分含量、飼料のかたまりの中を流れる空気の量、環境条件、および保存料の使用といった要因に依存し得る。貯蔵寿命を数週間~数か月間に延長するために、保存料を完成した飼料に添加することができる。貯蔵寿命を延長するための他の方法には、サイレージ管理と同様の管理、例えば、他の飼料との混合およびパッキング、プラスチックでカバーすること、または袋に入れることが含まれる。冷却条件、保存料、および飼料のかたまりからの空気の排除はすべて、湿潤副産物の貯蔵寿命を延長させる。完成した飼料は貯蔵庫またはサイロバッグに保存することができる。また、湿潤インキュベーション産物または完成した飼料を乾燥させることも、産物の貯蔵寿命を延長させ、一貫性および品質を改善することができる。
【0155】
本開示の完成した飼料は、長期間保存することができる。貯蔵寿命は、サイロに入れること、有機酸などの保存料を添加すること、または大豆外皮などの他の飼料と配合することによって延長することができる。完成した飼料を保存するために、商品容器または大量保管庫を使用することができる。関連する一態様では、本明細書に開示されるHQPCは少なくとも2年の貯蔵寿命を有し得る。
【0156】
以下の実施例は例示的なものであり、開示される主題の範囲を限定することは意図していない。
[実施例]
[実施例1]
高品質タンパク質濃縮物(HQPC)(沈降法)
【0157】
図1は、白色フレークを前処理し、糖を細胞集団(タンパク質性材料)およびガム(例えば、菌体外多糖)に変換し、HQSPCを回収し、水産食餌を生成して(
図2および4)、得られた水産食餌をプロセスに関して魚給餌試験で試験するアプローチを示している。まず、白色フレークを、含水率15%、50℃、75rpmで押出し前処理(BRABENDER PLASTI-CORDER SINGLE SCREW EXTRUDER Model PL2000, Hackensack, NJ)に供して、構造を破壊し、その後の糖化中に加水分解酵素の投入の増加が可能になるようにした。これらの条件により、バレルの両側でリッジチャンネルに対する剪断効果がもたらされ、これは酵素加水分解の後の糖の放出を50~70%増加させることが以前に観察されている。次いで、押し出された白色フレークを3mmのハンマーミルスクリーンを通して粉末にし、固体負荷率が10%となるように水と混合し、pH 5に調整した。マッシュを滅菌または殺菌するために加熱した後に、マッシュを約50℃に冷却し、セルロースおよびオリゴ糖分解酵素(合計15ml/白色フレークkg)を添加して、ポリマーを単糖に加水分解させた(4~24時間の加水分解)。具体的な投与量は、6% CELLIC CTEK(グルカン1gmあたり)、0.3% CELLIC HTEK(総固形物1gmあたり)、0.015% NOVOZYME 960(固形物1gmあたり)であった。次いで、得られたマッシュを30℃に冷却し、pHを3~5に調整して、A.プルランス(1% v/v)を接種し、50~200rpmで混合し、0.5L/L/分の通気速度で4~5日間インキュベートして、糖をタンパク質およびガムに変換させた。インキュベーション中、試料を定期的に取り出して、糖、細胞数およびガムの生成について分析した。インキュベーション後に、pHを6.5に高め、エタノール(0.6L/ブロスL)を添加してガムを沈降させた。タンパク質、プルラン、および微生物塊(HQSPC)を遠心処理によって回収して乾燥させ、上清を蒸留してエタノールを回収して、残りの液体を、今後のプロセス開始時に再利用するために化学的にアッセイした。
図5は、ppt法を使用するグルコース回収を示している。
【0158】
大豆白色フレークおよびA.プルランスによる微生物変換を使用するHQSPC、HQSPC生産のためのパイロット規模システム
本システムには、675Lのバイオリアクター、可変速度プログレッシブキャビティポンプ、連続流遠心分離機、1×4メートルの乾燥テーブルが含まれた。675Lのバイオリアクター内で使用するための接種物を、2つの5L NEW BRUNSWICK BIOFLO 3バイオリアクターで調製した。各試験用に、記載されたA.プルランスを2~3日間増殖させて8~10Lの量の接種物を調製した。この材料を使用して、675Lのバイオリアクター内で調製し、押出しおよび糖化を行った白色フレークをより大量に接種した。インキュベーションの後に、エタノールを添加し、マッシュを遠心処理して湿潤固形物を回収し、続いてそれを乾燥させて魚給餌試験に使用した。変換プロセスの成績、HQSPCの収量および組成物をモニターすることによって、固形物回収に大きな影響を与えるいくつかのパラメーターが観察された。より大規模な試験で、表1に示されるパラメーターを変化させた。
【表2】
【0159】
HQSPCの収量およびタンパク質レベルから、以下が認められた:1)pH 3~3.5、温度30~32℃、および高度の通気を伴うインキュベーションにより、A.プルランスの増殖が最大になり、プルラン生成が最小限に抑えられた、2)4~5日間のインキュベーション時間が、タンパク質含量および固形物回収のために最適であった、3)インキュベーション時間がより長いと、タンパク質含量は増加したが、固形物回収は実質的に減少した、4)インキュベーション時間がより短いと、高い固形物回収は維持されたが、タンパク質含量は制限された、5)最終産物にスタキオースおよびラフィノースが含まれないため、押出しおよび/または酵素糖化の軽減(省略)を行える可能性がある。
【0160】
プロセス条件を最適化するために、5Lバイオリアクターにおける予備的なベンチスケール試験を実施した。押し出された白色フレークについて10%の固体負荷率を使用し、24時間糖化した後に、A.プルランスを接種し、pH 5、0.5L/L/分の通気、200rpmの撹拌の下で、10日間インキュベートした。固形物回収率および固形物中のタンパク質含量の両方を最大化する最適な採取期間を確立するために、インキュベーション時間の延長について試験した。試料(100ml)を毎日取り出し、隔日で以下の処置を行った:
すべての固形物をエタノールで沈降させ、固形物を遠心処理して乾燥させ、得られた上清中の残留固形物を測定する。
最初にブロスを遠心処理して固形物を回収し、固形物を乾燥させ、得られた上清からプルランを沈降させて乾燥させる。
【0161】
エタノール沈降をまず行う方法では、研究室用遠心分離機(10,000g)を使用することにより、固形物の約97%(大豆固形物、細胞およびガム)が回収され、約3%の固形物が液相中に残った。遠心処理をまず行う方法では、固形物(大豆固形物および細胞)の約81.7%が回収され、上清のエタノール沈降では固形物(菌体外多糖)の約14.8%が回収され、流体中に残りの固形物は約3.5%であった。
【0162】
これらのベンチスケール試験を通して、それぞれの日に回収することができたタンパク質、プルラン、総固形物のレベルを測定した。インキュベーションの進行に伴って、タンパク質およびプルランのレベルは高くなるが、一部の栄養分が水およびCO
2に異化されるため、回収される全固形物は減少すると予想された。3回の反復試験による固形物の平均タンパク質レベルが
図3に示されている。タンパク質レベルは3~5日目までに70%に達したが、回収された総固形物は5~6日目までに減少し始めている。したがって、4~5日間のインキュベーション期間が最適であると考えられる。
[実施例2]
沈降(ppt)法、3回洗浄法、および1回洗浄法の産物の比較
【0163】
大豆からのHQPCを、上記に実質的に記載され、
図6~9に示された方法によって、3回洗浄サイクルおよび1回洗浄サイクルの両方について得た。ppt法(HQSPC試験5および試験6)、3回洗浄および1回(HQPC)洗浄について得られた組成物の比較が、表2に示されている。
【表3】
【表4】
[実施例3]
温度別にみた大豆ミールの加水分解
【0164】
ヘキサンで抽出した大豆ミールを水中で使用して、10%(w/v)大豆ミールスラリーを調製した。スラリーのpHを4.5に設定し、混合が得られるようにスラリーを撹拌した。発酵の前に、大豆スラリーを100℃の温度に加熱した。加熱したマッシュを発酵性生物とともにインキュベートした。発酵性生物を含まない加熱したマッシュを、30mg/大豆ミールgの負荷率でFLAVORZYME(登録商標)(Sigma社から購入したクロコウジカビ(Aspergillus niger)由来のプロテアーゼ)により処理して、対照として使用した。試料を30℃で12時間インキュベートした。インキュベーションの後に、プロテアーゼを不活性化するために、試料を80℃で2分間加熱した。
【0165】
マッシュを100℃で1.5分間加熱した。試料を4000rpmで10秒間遠心処理した。N-アセチルシステイン(3.33% w/v)を、ホウ酸緩衝液(0.12M、pH 10.4)中に調製した。試料上清16.67μLを、N-アセチルシステイン1000mLに添加した。吸光度を340nmで測定した。6%(w/v)OPA溶液を、96%(v/v)エタノール溶液中に調製した。OPA溶液10μLを、試料305μLに添加した。OPA溶液を加えた試料を、室温で15分間インキュベートした。吸光度を340nmで測定した。以下の計算を使用して、相対的加水分解度(%)を算出した。
[A340
test(15)-A340
test(0)]×100/[A340
control(15)-A340
control(0)]。表3を参照されたい。
【表5】
[実施例4]
発酵別にみた大豆ミールスラリーの加水分解
【0166】
ヘキサン抽出した大豆ミールを水中で使用して、10%(w/v)大豆ミールスラリーを調製した。スラリーのpHを4.5に設定し、混合が得られるようにスラリーを撹拌した。発酵の前に、大豆スラリーを100℃の温度に加熱した。加熱したマッシュを発酵性生物とともにインキュベートした。発酵性生物を含まない加熱マッシュを、30mg/大豆ミールgの負荷率でFLAVORZYME(登録商標)により処理して、対照として使用した。試料を30℃で12時間インキュベートした。インキュベーションの後に、プロテアーゼを不活性化するために、試料を80℃で2分間加熱した。
【0167】
発酵試料を、0、2、4、6、8、10、12時間の時点で収集した。試料を4000rpmで10秒間遠心処理した。N-アセチルシステイン(3.33% w/v)をホウ酸緩衝液(0.12M、pH 10.4)中に調製した。試料上清16.67μLを、N-アセチルシステイン1000mLに添加した。吸光度を340nmで測定した。6%(w/v)OPA溶液を、96%(v/v)エタノール溶液中に調製した。OPA溶液10μLを、試料305μLに添加した。OPA溶液を加えた試料を室温で15分間インキュベートした。吸光度を340nmで測定した。以下の計算を使用して、相対的加水分解度(%)を算出した。
[A340
test(15)-A340
test(0)]×100/[A340
control(15)-A340
control(0)]。表4を参照されたい。
【表6】
[実施例5]
発酵別にみた遠心分離液中に調製された大豆ミールスラリーの加水分解
【0168】
固液-液体分離による遠心分離液中のヘキサンで抽出した大豆ミールを使用して、10%(w/v)大豆ミールスラリーを調製した。スラリーのpHを4.5に設定し、混合が得られるようにスラリーを撹拌した。発酵の前に、大豆スラリーを100℃の温度に加熱した。加熱したマッシュを発酵性生物とともにインキュベートした。発酵性生物を含まない加熱マッシュを、30mg/g大豆ミールの負荷率でFLAVORZYME(登録商標)により処理して、対照として使用した。試料を30℃で12時間インキュベートした。インキュベーションの後に、プロテアーゼを不活性化するために、試料を80℃で2分間加熱した。
【0169】
発酵試料を、0、2、4、6、8、10、12時間の時点で採取した。試料を4000rpmで10秒間遠心処理した。N-アセチルシステイン(3.34% w/v)をホウ酸緩衝液(0.12 MとpH 10.4)中に調製した。試料上清16.67μLを、N-アセチルシステイン1000mLに添加した。吸光度を340nmで測定した。6%(w/v)OPA溶液を、96%(v/v)エタノール溶液中に調製した。OPA液10μLを、溶液A305μLに添加した。OPA溶液を加えた試料を、室温で15分間インキュベートした。吸光度を340nmで測定した。以下の計算を使用して、相対的加水分解度(%)を算出した。
[A340
test(15)-A340
test(0)]×100/[A340
control(15)-A340
control(0)]。表5を参照されたい。
【表7】
[実施例5]
発酵別にみたフィターゼ添加大豆ミールスラリーの加水分解
【0170】
ヘキサンで抽出した大豆ミールを水中で使用して、10%(w/v)大豆ミールスラリーを調製した。スラリーのpHを4.5に設定し、混合が得られるようにスラリーを撹拌した。発酵の前に、大豆スラリーを100℃の温度に加熱した。加熱したマッシュを発酵性生物とインキュベートした。発酵性生物を含まない加熱マッシュを、30mg/g大豆ミールの負荷率でFLAVORZYME(登録商標)により処理して、対照として使用した。試料を30℃で12時間インキュベートした。インキュベーションの後に、プロテアーゼを不活性化するために、試料を80℃で2分間加熱した。
【0171】
発酵試料を、0、2、4、6、8、10、12時間の時点で収集した。8時間、10時間、12時間の試料にはフィターゼによる処理も行った。試料を4000rpmで10秒間遠心処理した。N-アセチルシステイン(3.34% w/v)を、ホウ酸緩衝液(0.12M、pH 10.4)中に調製した。試料上清16.67μLを、N-アセチルシステイン1000mLに添加した。吸光度を340nmで測定した。6%(w/v)OPA溶液を、96%(v/v)エタノール溶液中に調製した。OPA溶液10μLを、溶液A305μLに添加した。OPA溶液を加えた試料を、室温で15分間インキュベートした。吸光度を340nmで測定した。以下の計算を使用して、相対的加水分解度(%)を算出した。
[A340
test(15)-A340
test(0)]×100/[A340
control(15)-A340
control(0)]。表6を参照されたい。
【表8】
[実施例6]
ニジマス、バラマンディ、ギンザケの給餌試験
【0172】
ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、バラマンディ(Lates calcarifer)、ギンザケ(Oncorhynchus kisutch)の複数のロットを使用する長期および短期の給餌試験を完了した。すべての試験において、魚には、市販の対照飼料、または実施例2(3回洗浄)に記載されているように作成したHQPCを高含有(25~35%)で利用する飼料を与えた。すべての飼料は、市販の飼料調合ソフトウェアを用いて調合し、市販の押出し法を使用して製造した。飼料のすべての化学分析(近似分析およびミネラル組成)は、第三者の研究所(Midwest Laboratories, Omaha, NE)を使用して分析された。
【0173】
3.41m3(900gal)のタンクで構成されるRASを使用して、生育試験(平均個体初期体重約185g~1000gの収穫重量)を実施した。RASは、Cornell式のデュアル排水タンク、固体沈降タンク、機械式ドラム濾過、移動床バイオリアクター(MBBR)、UV殺菌、冷却、および酸素注入からなっていた。水質を毎日モニターして、すべてのパラメーターが許容範囲内にあることを確認した。
【0174】
0日目の出発試料で、すべての魚をタンクごとにグループで秤量してバイオマスを測定し、1つの処理あたりの1つのタンクのすべての魚について1つの試料を80mg/LのMS-222を使用して麻酔し、フォークの長さおよび重量を測定した。グループの体重および同一の個体魚のサンプリングを、27週間の試験期間を通して3週間の間隔で完了した。16週目の時点で、タンクあたり1匹(処置あたり6匹)をサンプリングして、脾臓、肝臓、内臓脂肪、およびヘマトクリットを含む一般的な健康評価を行った。
【0175】
エビの給餌試験
幼生の発育試験
ホンジュラス(Honduras)のチョルテカ(Choluteca)にあるスマクア(Sumacua)孵化場で、バナメイエビ(Litopenaeus vannamei)のノープリウス幼生(ステージ5)を約9000万匹生産させ、20メートルトンの塩水(28ppt)を含有するタンクに移して、すべての実験を行った。ゾエア3期(Zoea 3)からポストラーバ13期(Postlarval 13)(PL 13)までのエビ幼生に、HQPC(含量70%まで)を含有する4種類の飼料のうちの1つを与えた。生存率(%)は、試験終了時に生存しているすべての幼生を計数したアリコートの外挿により決定した。
【0176】
生育試験
タイヘイヨウシロアシエビ(バナメイエビ)(平均1.6g)をランダムに(n=700)、タンクあたり20匹ずつ飼育した。各処置を、5つの反復試験タンクにランダムに割り当てた。実験用食餌を、1日3回、42日間にわたり与えた(0800、1200、および1600時間)。試験開始前に、すべてのエビに対照食餌と同じ割合で飼料を与えた。試験開始時(1日目)から、エビに実験用食餌を与え、満腹したように見えるまで給餌した。総飼料消費量を使用して、飼料変換率を推定した。タンクのバイオマスを、エビの貯えが発生した時点(0日目)、および試験が完了するまで3週間間隔で記録した。タンクの総バイオマス測定値を使用して、試験期間中の相対成長(RG)、比成長速度(SGR)、およびバイオマス増加を計算した。
【0177】
実験は、8,246Lの循環式水産養殖システム(RAS)で実施した。システムには35,190Lのセミスクエアタンクが備えられ、各タンクには表面下から水を引き出す循環式の排水管、およびタンク中央の底部の最も低い位置に取り付けられた汚泥用の排水管が備えられている。各タンクは、送風機で送風される強制送風機、流れの方向を制御する入水口のフローバー、タンクの半分を暗くするカバー、タンクの残り半分に光を透過させるネットを有した。RASには、遠心式ウォーターポンプ、ビーズフィルター、UVフィルター、バイオフィルター、3つの固体沈降サンプ、浄化サンプ、入水口フロートバルブ、ヒーター/冷却器ユニットも備えられた。RASの補充用水は井戸水を源とした。各タンクへの水流は6~7L・分-1に維持し、水温は28~30℃に維持した。溶存酸素は5.0mg・L-1以上に維持し、pHは7~8に維持し、塩分濃度は試験期間を通じて22pptに維持した。温度、溶存酸素およびpHは毎日モニターし(0800時間)、アンモニア(NH3)および亜硝酸塩(NO2)は毎週モニターした。
【0178】
負荷試験
エビにおける早期死亡症候群/急性肝膵臓壊死症(EMS/AHPND)の重症度および影響を軽減するために、HQPCを含有する食餌の有効性を調べる試験を実施した。試験はベトナム(Vietnam)のホーチミン市(Ho Chi Minh City)にあるShrimpVet研究所で実施され、1日間の適応期間、21日間の給餌期間、1日間の負荷、および負荷後追跡期間10日間を含め、33日間にわたって続けられた。
【0179】
試験は120Lのプラスチックタンクで実施した。すべてのタンクに活性化サンゴ生物フィルター、通気を装備し、交差汚染のリスクを減らすためにプラスチックキャップで蓋をした。各試験には、塩分が20千分率(ppt)の汽水を利用した。試験期間中、エビには1日4回飼料を与え、自由に摂取させた。試験中の飼料消費量を記録した。試験食餌には、基礎食餌1種類およびHQPC(含量10~30%)を含有する処置食餌6種が含まれた。給餌量はバイオマスおよび実際の飼料消費量に応じて調整した。水質パラメーター、例えば、溶存酸素(DO)、pH、および温度は毎日測定した。全アンモニア窒素、亜硝酸塩、アルカリ度は週2回測定した。
【0180】
この試験には、エンテロシトゾーン・ヘパトペナイド(Enterocytozoon hepatopenaeid)(EHP)、ホワイトスポット症候群ウイルス(WSSV)、タウラ症候群ウイルス(TSV)、感染性筋壊死症ウイルス(IMNV)、EMS/AHPND症を含む重要な病原体に関してPCR法を使用して検査された、ハワイの種親から得られた元々の遺伝的性質を有する特定病原体除去(SPF)エビ(バナメイエビ)を利用した。ノープリウス幼生を厳格なバイオセキュリティ施設で飼育した。EHP、WSSV、TSV、IMNV、EMS/AHPND症を含む重要な病原体については、PCR法を用いて、ポストラーバの検査も改めて行われた。ポストラーバをバイオセキュリティ条件下で成長させた。試験開始の1日前に、エビの初期体重を測定するためにグループ内で秤量した。当初のエビの平均体重は0.56±0.04グラムであった。
【0181】
この試験では浸漬負荷法も使用した。処置タンクおよび陽性対照の合計28個のタンクを浸漬負荷に供した。トリプシン大豆ブロス+2%塩化ナトリウム(TSB+)に、一貫して病原性の強い腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)を接種して、24時間インキュベートした。この細菌懸濁液をタンクに添加して、10日以内に陽性対照の90%を死滅させることが予想される密度「LD90」である、光学密度吸光度(OD 600nm)で測定される細菌密度を達成した。陰性対照(合計4つのタンク)は、タンクに直接添加する滅菌TSB+による処置を行った。負荷投与量は3.25×105CFU/mLとし、これは90%致死量(LD90)であった。標準的な病理組織学的検査として、エビの組織にH&F染色を行った。
【0182】
魚の給餌試験
複数の試験に関するANCOVAの結果により、対照の魚は有意に小さく、処置(P=0.002)および週数(P<0.001)の両方の影響を受けたことを示している。加えて、処置の間または週数の間で、FCRに有意差は認められなかった(
図12)。共分散分析(処置×週数)では、差の大部分は処置飼料ではなく週数に起因することが明らかになった。しかし、処置(P=0.046)および週数(P<0.001)の両方で、エビ個体あたりの平均体重に有意な差があり、HQPCベースの飼料を与えられたエビ個体は対照飼料を与えられた個体よりも一貫して大きいことが示された。また、処置(P=0.001)および週数(P<0.001)の両方についてFCRに有意差がみられ、HQPCベースの飼料を与えられたエビ個体は、対照飼料を与えられた個体よりも一貫して効率的に飼料を利用したことが示された。この試験の全体的な結果は、ニジマスに発酵した大豆ミールを与えた他の実験と類似している。同様に、これらの試験では腸炎は観察されず、HQPCベースの飼料を与えたニジマスの遠位腸に悪影響は見られなかった。
【0183】
第2の類似の試験では、HQPCベースの飼料を与えられたエビ個体は、対照飼料のもの(約1.25)よりも有意かつ一貫して低いFCR(約1.0)を示した(
図13a、
図13b)。ANCOVAにより、週数(P<0.001)ならびに処置(P<0.001)の有意な影響が明らかになった。エビ個体あたりの平均体重の差は週数によるものであり(P<0.001)、処置による差はなかった(P=0.305)。K値(P=0.758)、脾体指数(P=0.998)、肝体指数(P=0.475)、および内臓体指数(P=0.411)に有意差はなかった。HQPCベースの飼料を与えられたエビ個体は、内臓体指数が有意に大きく(P=0.040)、ヘマトクリットが低かった(P=0.005)。
【0184】
エビの給餌試験
幼生の発育試験
孵化場の食餌に種々の割合でHQPCを含めると、有望な結果が得られ、幼生期の生存率を含むいくつかの生産性パラメーターが改善された(
図14)。
【0185】
生育試験
HQPCで最大50%のレベルまで飼育したエビの週間成長速度は、市販の飼料を与えたエビと有意差はなかった(
図15)。エビの成長は水質条件および遺伝的性質などの多くの他の要因の影響を受ける可能性があるが、試験で観察されたエビの反応に基づくと、HQPC処置の間に違いはなく、市販の飼料調合物にHQPCが使用されていることが確認された。成長試験の結果、HQPCの見かけの消化係数が高いほど、アミノ酸の消化率が高く、動物の成長が良くなることが明らかになった。
【0186】
負荷試験
得られた結果から、種々の含有レベルを適用することには、EMS感染エビの生存率の改善に対して正の効果があることが示された。これらの結果に基づき、HQPCを含有する食餌を与えるすべての処置で生存率の改善が認められた。これらの試験により、30%のHQPCを適用することにより、EMS感染エビの生存率の改善に正の効果があることが示された(
図16)。
【0187】
水質
調合された飼料は、生産の強化を可能にする主要な推進力であるが、RASにおけるNおよびPの主要な供給源でもある。加えて、リンはRASプロジェクトのための水産養殖飼料を調合する際に最も重要なミネラルの1つである。平均すると、HQPCはリンを0.4%含有し(表7)、最終産物のフィチン酸濃度は平均0.12(g/100g)未満である。
【表9】
【0188】
商業的なマス操業で採取されたHQPCデータを含む飼料を18か月間継続して使用した後には、初期のリン排出量0.21mg/リットルから0.065mg/リットルのレベルまで、リン排出量の69%減少が見られた。エビの成長試験および負荷試験の間に、水質パラメーターを毎日記録した。水質パラメーター(温度、DO、pH、TAN、亜硝酸塩、およびアルカリ度)の値を提示している(表8)。
【表10】
【0189】
HQPCについて試験するエビの試験と魚粉の水質測定値を比較したところ、特に違いが見られた。HQPCおよび魚粉処置についてのRAS水中の総溶解固体はそれぞれ774および822ppmであった。システムタンクで測定した濁度(NTU)からは、HQPC(0.4)のほうが魚粉対照(0.6)よりもわずかに優れていることが示された。
【0190】
消化性試験を、サンパウロ大学(USP; Sao Paulo, Brazil)海洋研究所の水産養殖試験所(LAM)で実施した。2種類の大豆産物の試料が、Prairie AquaTech社(South Dakota, USA)から提供された。非GMO大豆ミール、SBM(粗タンパク質46.8%、CP)およびHQPC(74.6%、CP)である大豆産物の試料は、適切な粒子サイズ(150ミクロンを上回る)であり、タンパク質加水分解度を測定するために分析した(DH、%)。
【0191】
これらの試料を、池で養殖したタイヘイヨウシロエビ(平均体重10グラム)の肝膵臓から回収した標準化された消化酵素による、in vitroでのタンパク質消化について試験した。エビ酵素による加水分解は、蒸留水に成分タンパク質80mgを懸濁させ、懸濁液のpHを8.0に設定した後に、加水分解用の肝膵臓酵素抽出物の添加を伴った。
【0192】
pHシフトおよび加水分解のモニタリングは、温度制御されたデバイス(30±0.6℃)における市販のソフトウェア制御による電位差滴定装置によって自動的に行われた。この反応pH(=8.0)では、成分ペプチド結合の酵素的切断によって反応pHがわずかに低下し、それが登録されて、水酸化ナトリウムNaOHを添加する滴定装置によって自動的に中和される。反応終了時に消費される滴定剤(NaOH)の量は、切断されたペプチド結合の数および提供される定量値に比例する。
【0193】
緩衝液および他の化学物質は分析に使用しなかった。有意と判断された場合には、成分タンパク質の正味のDHを計算するためにブランクのDH値を計算した。
【0194】
試験の結果により、エビ消化酵素による試験成分の加水分解度(DH)に有意差が認められ(表9)、HQPCについて得られたDH値から、加水分解性タンパク質が大豆ミールより42%多く、大豆タンパク質濃縮物より33%多いことが示された。
【0195】
SBMの典型的なDH値は、外皮を剥いた試料または外皮を剥いていない試料でそれぞれ4.0%~4.2%の範囲であった。主要生産国(インド、アルゼンチン、米国、およびブラジル)のSBMの40件を上回る試料セットに関する比較pH統計試験の結果からは、DH値が3.74~4.43%であることが示されている。
【0196】
新規な成分について、可能性のある栄養価および変動性を評価するためには、適切なスクリーニングが必要である。様々な試験により、標的となるエビまたは魚の種に由来する酵素によるin vitroでの成分消化は、見かけのタンパク質消化率(APD)と関連することが示されている。ほぼ半世紀にわたり、pH-stat法は、大豆タンパク質のトリプシンタンパク質分解の初期速度に対する熱処理の影響をモニターするために使用されてきた。以前の試験では、バナメイエビ稚エビにおける見かけのタンパク質消化率(APD)とin vitroでのDHの関係も示されている。
【0197】
バナメイエビにおける粗タンパク質に関するin vivoでの見かけの消化係数の平均は85~90%である。実施された試験では、HQPCの加水分解度(DH)は7.18%であり、予想される見かけのタンパク質消化率(PPD)は93.1%であると推定された。他の試験と比較すると、DHおよびPPDに関するHQPC値は、試験した150種を上回る成分について決定された中でも最も高値であり、様々な魚粉、大豆タンパク質濃縮物、および非GM大豆粉よりも高値である(表9)。
【表11】
【0198】
複数の以前の試験に加えて、今回の評価では、市販製品HQPCのin vitro消化性に関して、水産養殖飼料において魚粉に代わる成分としての可能性が示された。これらの結果により、この成分産物は、様々な大豆ミール構成成分よりも加水分解性タンパク質のレベルが有意に高く、予測される見かけのタンパク質消化率も高いことが実証された。
【0199】
本明細書に引用されたすべての参考文献は、その全体が参照によって組み込まれる。
【0200】
上記の考察から、当業者は、本発明の本質的な特性を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な用途および条件に適応するために、諸実施形態に様々な変更および改変を行うことができる。したがって、図示および本明細書中で記載したものに加えて、諸実施形態の様々な修正形態が、上記の説明から当業者には明らかになるであろう。そのような実施形態も、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。
【配列表】
【国際調査報告】