(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】LIDAR システムにおけるサンプリング速度の低減
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4861 20200101AFI20230705BHJP
【FI】
G01S7/4861
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557996
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-09-23
(86)【国際出願番号】 US2021021423
(87)【国際公開番号】W WO2021211224
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437076
【氏名又は名称】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボロリアン、マジッド
(72)【発明者】
【氏名】アスガリ、メヘディ
(72)【発明者】
【氏名】ルフィ、ブラッドレー ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ワーク、ニルマル、チンドゥ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA51
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB21
5J084BB28
5J084CA08
5J084CA49
(57)【要約】
LIDARシステムは、LIDARシステムからのシステム出力信号を出力する送信機を有する。LIDARシステムは、一連のサイクルにわたって前記システム出力信号の周波数を制御する電子機器も含む。前記サイクルは、複数のデータ期間を含む。前記電子機器は、第1データ期間中に前記システム出力信号の周波数を第1速度で変更する。前記電子機器は、第2データ期間中に前記システム出力信号の周波数を第2速度で変更する。前記第2速度は、前記第1速度とは異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LIDARシステムであって、
第2信号に対して第1信号を拍動する拍動信号を受信するアナログ-デジタル変換器(ADC)、
該第1信号が、該LIDARシステムから出射し、該LIDARシステムの外側にある物体によって反射された後に該LIDARシステムに戻った光から産生され、
該第2信号が、該LIDARシステムから出射していない光から産生され、
該拍動信号の周波数が、該LIDARシステムと該物体との間の分離からの周波数寄与を有し、及び
それぞれが周波数寄与値の候補となる複数の第1周波数可能値を産生する電子機器
を含む、LIDARシステム。
【請求項2】
前記電子機器が、前記LIDARシステムと前記物体との間の分離からの周波数寄与値を表す前記第1周波数可能値を識別する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電子機器が、それぞれが前記周波数値の候補となる複数の第2周波数可能値を産生する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1周波数可能値のうちの1つのみが、前記第2周波数可能値のうちの1つと一致する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記電子機器が、前記第2周波数可能値のうちの1つと一致する第1周波数可能値を識別する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記電子機器が、前記識別された周波数値を用いて、前記物体と前記LIDARシステムとの間の距離を測定する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記電子機器が、デジタルデータ信号を産生し、該デジタルデータ信号を用いて前記物体と前記LIDARシステムとの間の距離を測定するために、前記アナログ-デジタル変換器(ADC)をサンプリングする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電子機器が、前記アナログ-デジタル変換器(ADC)をアンダーサンプリングする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記LIDARシステムから出射した光が、システム出力信号に含まれ、前記電子機器が、一連のサイクルにわたって該システム出力信号の周波数を制御し、
該サイクルが、複数のデータ期間を含み、
該電子機器が、第1データ期間中に該システム出力信号の周波数を第1速度で変更し、
該電子機器が、第2データ期間中に該システム出力信号の周波数を第2速度で変更し、
該第2速度が、該第1速度よりも低い、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2速度が、α
2=+/-(p/q)* α
1で表すことができ、ここで、α
2が第2速度を表し、α
1が第1速度を表し、pが整数であり、qが整数であり、p<qであり、また、p/qが既約分数である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
q>2k
1max+2かつp>q/(2k
1max+2)であり、ここで、k
1maxが整数である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
k
1maxが、(k
1max-0.5)f
samp<F
1max≦(k
1max+0.5)f
sampとなるように選択され、ここで、f
sampが前記アナログ-デジタル変換器(ADC)のサンプリング速度を表し、F
1maxが第1期間中の拍動信号の最大可能値を表す、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
LIDARシステムであって、
該LIDARシステムからLIDAR出力信号を出力するように構成された送信機及び一連のサイクルにわたって該システム出力信号の周波数を制御する電子機器を含み、
該サイクルが、複数のデータ期間を含み、
該電子機器が、第1データ期間中に前記システム出力信号の周波数を第1速度で変更し、
該電子機器が、第2データ期間中に前記システム出力信号の周波数を第2速度で変更し、
該第2速度が、該第1速度よりも低い、
LIDARシステム。
【請求項14】
前記第2速度が、α
2=+/-(p/q)* α
1で表すことができ、ここで、α
2が第2速度を表し、α
1が第1速度を表し、pが整数であり、qが整数であり、また、p<qである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
p/qが、既約分数である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
q>2k
1max+2であり、ここで、k
1maxが整数である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
p>q/(2k
1max+2)である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
k
1max>0である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
α
2=B
2/T及びα
1=B
1/Tであり、ここで、Tが第1データ期間の持続時間を表し、B
1が第1データ期間中のシステム出力信号の周波数変化を表し、B
2が第2データ期間中の前記信号システム出力の周波数変化を表す、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
LIDARシステムを操作する方法であって、
アナログ-デジタル変換器(ADC)において拍動信号を受信すること、該拍動信号が、第2信号に対して第1信号を拍動し、
該第1信号が、該LIDARシステムから出射し、該LIDARシステムの外側にある物体によって反射された後に該LIDARシステムに戻った光から産生され、
該第2信号が、該LIDARシステムから出射していない光から産生され、
該拍動信号の周波数が、該LIDARシステムと該物体との間の分離からの周波数寄与を有し、及び
それぞれが周波数寄与値の候補となる複数の第1周波数可能値を産生すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本願は、2020年4月14日に出願された「LIDARシステムにおけるサンプリング速度の低減」と題した米国特許出願第16/848,829号の続きであり、その全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光学装置、具体的にはLIDARシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
多くのLIDARシステムは、それぞれ拍動信号を受信する1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。これらの拍動信号の高い周波数は、アナログ-デジタル変換器(ADC)が高速でサンプリングされることを必要とする。しかし、市販のアナログ-デジタル変換器(ADC)の価格と消費電力は、このサンプリング速度に直接関係している。その結果、LIDARシステムにおける1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)に関連する高いサンプリング速度により、これらのシステムは商用生産には実用的ではなくなる。そのため、実用的な LIDARシステムが必要とされている。
【概要】
【0004】
LIDARシステムは、該LIDARシステムからシステム出力信号を出力する送信機を有する。LIDARシステムは、一連のサイクルにわたって前記システム出力信号の周波数を制御する電子機器も含む。該サイクルは、複数のデータ期間を含む。前記電子機器は、第1データ期間中に前記システム出力信号の周波数を第1速度で変更する。前記電子機器は、第2データ期間中に前記システム出力信号の周波数を第2速度で変更する。前記第2速度は、前記第1速度とは異なる。
【0005】
LIDARシステムは、第2信号に対して第1信号を拍動する拍動信号を受信するアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。前記第1信号は、LIDARシステムから出射し、該LIDARシステムの外側にある物体によって反射された後に該LIDARシステムに戻った光から産生される。前記第2信号は、該LIDARシステムから出射していない光から産生される。拍動信号の周波数は、LIDARシステムと前記物体との間の分離からの周波数寄与を有する。電子機器は、それぞれが周波数寄与値の候補となる複数の第1周波数可能値を産生する。
【0006】
LIDARシステムを操作することは、アナログ-デジタル変換器(ADC)で拍動信号を受信することを含むことができる。該拍動信号は、第2信号に対して第1信号を拍動する。前記第1信号は、LIDARシステムから出射し、該LIDARシステムの外側にある物体によって反射された後に該LIDARシステムに戻った光から産生される。前記第2信号は、該LIDARシステムから出射していない光から産生される。拍動信号の周波数は、LIDARシステムと前記物体との間の分離からの周波数寄与を有する。LIDARシステムを操作することは、それぞれが周波数寄与値の候補となる複数の第1周波数可能値を産生することも含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1Aは、LIDAR出力信号を出力し、共通導波路上でLIDAR入力信号を受信するLIDARチップを含むか、またはそれからなるLIDARシステムの模式の上面図である。
【0008】
図1Bは、LIDAR出力信号を出力し、異なる導波路上でLIDAR入力信号を受信するLIDARチップを含むか、またはそれからなるLIDARシステムの模式の上面図である。
【0009】
図1Cは、LIDAR出力信号を出力し、異なる導波路上で複数のLIDAR入力信号を受信するLIDARチップを含むか、またはそれからなるLIDARシステムの別の実施形態の模式の上面図である。
【0010】
図1Dは、LIDARチップの外に配置された光源から出射LIDAR信号を受信するLIDARチップを含むLIDARシステムの模式の上面図である。
【0011】
図2は、
図1BのLIDARチップとの使用に適したLIDARアダプタの一例の上面図である。
【0012】
図3は、
図1CのLIDARチップとの使用に適したLIDARアダプタの一例の上面図である。
【0013】
図4は、共通支持体上に
図1AのLIDARチップ及び
図2のLIDARアダプタを含むLIDARシステムの一例の上面図である。
【0014】
図5Aは、LIDARシステムとの使用に適した処理要素の一例を示す。
【0015】
図5Bは、
図5Aに従って構築された処理要素との使用に適した電子機器の模式を提供する。
【0016】
図5Cは、LIDARシステムとの使用に適した処理要素の別の一例を示す。
【0017】
図5Dは、
図5Cに従って構築された処理要素との使用に適した電子機器の模式を提供する。
【0018】
図5Eは、LIDAR出力信号に含まれるチャネルの1つに関する周波数対時間のグラフである。
【0019】
図5Fは、LIDARシステムとの使用に関する周波数スペクトルを示す。
【0020】
図6は、シリコン・オン・インシュレータ・プラットフォーム上に導波路を含むLIDARチップの一部の断面図である。
【説明】
【0021】
LIDARシステムは、システム出力信号を送信する。システム出力信号からの光は、LIDARシステムの外側にある物体によって反射され得る。反射光の一部は、LIDARシステムに戻り得る。LIDARシステムは、戻ってきた光を別の光信号と組み合わせて拍動信号を形成することができる。LIDARシステムは、拍動信号を使って、電気信号であり、拍動しているデータ信号を産生する。データ信号は、デジタルデータ信号を出力するアナログ-デジタル変換器(ADC)で受信できる。LIDARシステムは、該デジタルデータ信号を使って、LIDARデータ(LIDARシステムと該LIDARシステムの外部にある物体との間の視線速度及び/または距離)を産生する電子機器を含む。
【0022】
LIDARシステムの操作中、LIDARシステムは一連のサイクルを進める。各サイクル中に、LIDARシステムは、サンプル領域を照射する。照射されたサンプル領域にある物体のLIDARデータは、各サイクルから産生できる。各サイクルは、複数のデータ期間を含み、電子機器は、それぞれの異なるデータ期間においてシステム出力信号の周波数を制御する。例えば、データ期間のうちの少なくとも2つにおいて、電子機器は、データ期間の期間中、システム出力信号の周波数を変更することができる。該2つのデータ期間中における周波数変化の速度は、アナログ-デジタル変換器(ADC)がアンダーサンプリングされている場合でもLIDARデータを測定できるように選択できる。その結果、LIDARシステムは1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)をアンダーサンプリングすることができる。アンダーサンプリングにより、LIDARシステムが必要とするADCサンプリング速度が以前のLIDARシステムに比べて低減するためである。サンプリング速度の低減により、LIDARシステムのコストや消費電力が削減される。
【0023】
図1Aは、LIDARシステムとして機能でき、またはLIDARチップ以外の構成要素を含むLIDARシステムに含めることができるLIDARチップの模式の上面図である。該LIDARチップは、光集積回路(PIC)を含むことができ、光集積回路チップとすることができる。該LIDARチップは、出射LIDAR信号を出力する光源(10)を含む。好適な光源(10)は、外部共振器レーザ(ECL)、分布帰還型レーザ(DFB)、離散モード(DM)レーザ、及び分布ブラッグ反射レーザ(DBR)のような半導体レーザを含むが、これらに限定されない。
【0024】
LIDARチップはまた、光源(10)から出射LIDAR信号を受信するユーティリティ導波路(12)を含む。ユーティリティ導波路(12)は、ファセット(14)で終端し、該出射LIDAR信号をファセット(14)に搬送する。前記ファセット(14)は、ファセット(14)を通って進む出射LIDAR信号がLIDARチップを出射し、LIDAR出力信号として機能するように配置することができる。例えば、ファセット(14)は、ファセット(14)を通って進む出射LIDAR信号がチップを出射し、LIDAR出力信号として機能するように、該チップの縁部に配置することができる。いくつかの例では、LIDARチップから出射したLIDAR出力信号の一部も、システム出力信号と見なすことができる。一例として、LIDARチップからのLIDAR出力信号の出口が、LIDARシステムからのLIDAR出力信号の出口でもある場合、該LIDAR出力信号もシステム出力信号と見なすことができる。LIDAR出力信号の一部がシステム出力信号として機能する場合、ファセット(14)は、LIDARシステムの送信機として機能することができる。
【0025】
LIDAR出力信号は、LIDAR システムが配置されている大気中の空白な空間を通って、LIDARシステムから離れて移動する。LIDAR出力信号は、該LIDAR出力信号の経路内の1つまたは複数の物体によって反射され得る。LIDAR出力信号が反射されると、反射光の少なくとも一部がLIDAR入力信号としてLIDARチップに向かって戻る。いくつかの例では、LIDAR入力信号もシステム復帰信号と見なすことができる。 一例として、LIDARチップからのLIDAR出力信号の出口が、LIDARシステムからのLIDAR出力信号の出口でもある場合、該LIDAR入力信号もシステム復帰信号と見なすことができる。
【0026】
LIDAR入力信号は、ファセット(14)を通ってユーティリティ導波路(12)に入射することができる。ユーティリティ導波路(12)に入射するLIDAR入力信号の部分は、入射LIDAR信号として機能する。ユーティリティ導波路(12)は、該入射LIDAR信号を分割器(16)に搬送し、分割器(16)は、ユーティリティ導波路(12)からの出射LIDAR信号の一部を比較信号として比較導波路(18)上に移動させる。比較導波路(18)は、さらなる処理のために比較信号を処理要素(22)に搬送する。
図1Aは分割器(16)として操作する方向性結合器を示しているが、他の信号傍受の構成要素を分割器(16)として使用することができる。好適な分割器(16)には、方向性結合器、光学結合器、y接合、漸減結合器、及び複合モード干渉計(MMI)が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
ユーティリティ導波路(12)はまた、出射LIDAR信号を分割器(16)に搬送する。分割器(16)は、ユーティリティ導波路(12)からの出射LIDAR信号の一部を参照信号として参照導波路(20)上に移動させる。参照導波路(20)は、さらなる処理のために該参照信号を処理要素(22)に搬送する。
【0028】
分割器(16)によってユーティリティ導波路(12)から転送される光の割合は、固定する、または実質的に固定することができる。例えば、分割器(16)は、参照導波路(20)に伝達される参照信号のパワーが出射LIDAR信号のパワーの出射割合になるように、または比較導波路(18)に伝達される比較信号のパワーが入射LIDAR信号のパワーの入射割合になるように構成することができる。方向性結合器及び複合モード干渉計(MMI)等の多くの分割器(16)では、前記出射割合は前記入射割合に等しいかまたは実質的に等しい。いくつかの例では、前記出射割合が、30%、40%、または49%を超え、かつ/または51%、60%、または70%未満であり、かつ/または前記入射割合が、30%、40%、または 49%を超え、かつ/または 51%、60%、または70%未満である。複合モード干渉計(MMI)等の分割器(16)は、一般に、50%または約50%の出射割合及び入射割合を提供する。しかし、複合モード干渉計(MMI)は、シリコン・オン・インシュレータ・プラットフォーム等のプラットフォームでの製造が、一部の代替品よりも簡単な場合がある。一例では、分割器(16)は複合モード干渉計(MMI)であり、前記出射割合及び前記入射割合は、50%または実質的に50%である。以下により詳細に説明するように、処理要素(22)は、比較信号を参照信号と結合して、視野上におけるサンプル領域のLIDARデータを搬送する複合信号を形成する。従って、複合信号は、サンプル領域のLIDARデータ(LIDARシステムと該LIDARシステムの外部にある物体との間の視線速度及び/または距離)を抽出するように処理することができる。
【0029】
LIDARチップは、光源(10)の操作を制御するための制御分岐を含むことができる。該制御分岐は、出射LIDAR信号の一部をユーティリティ導波路(12)から制御導波路(28)上に移動させる分割器(26)を含む。出射LIDAR信号の結合部分は、タップ信号として機能する。
図1Aは分割器(26)として操作する方向性結合器を示しているが、他の信号傍受の構成要素を分割器(26)として使用することができる。好適な分割器(26)には、方向性結合器、光学結合器、y接合、漸減結合器、及び複合モード干渉計(MMI)が含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
制御導波路(28)は、前記タップ信号を制御要素(30)に搬送する。該制御要素は、電子機器(32)と電気的に通信することができる。操作中、電子機器(32)は、該制御要素からの出力に応答して出射LIDAR信号の周波数を調整することができる。制御要素の好適な構築例は、2018年5月11日に出願された「光センサーチップ」と題した米国特許出願第15/977,957号に記載され、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
LIDARシステムは、入射LIDAR信号と出射LIDAR信号を異なる導波路で搬送できるように改変できる。例えば、
図1Bは、入射LIDAR信号及び出射LIDAR信号が異なる導波路で搬送されるように改変された
図1AのLIDARチップの上面図である。出射LIDAR信号は、ファセット(14)を通ってLIDARチップを出射し、LIDAR出力信号として機能する。LIDAR出力信号からの光がLIDARシステムの外部にある物体によって反射されると、反射光の少なくとも一部が第1 LIDAR入力信号としてLIDARチップに戻る。該第1 LIDAR入力信号は、ファセット(34)を通って比較導波路(18)に入射し、比較信号として機能する。比較導波路(18)は、さらなる処理のために比較信号を処理要素(22)に搬送する。
図1Aに関連して説明したように、参照導波路(20)は、さらなる処理のために参照信号を処理要素(22)に搬送する。以下により詳細に説明するように、処理要素(22)は、比較信号を参照信号と結合して、視野上におけるサンプル領域のLIDARデータを搬送する複合信号を形成する。
【0032】
LIDARチップは、複数のLIDAR入力信号を受信するように改変できる。例えば、
図1Cは、2つのLIDAR入力信号を受信するように改変された
図1BのLIDARチップを示している。分割器(40)は、参照導波路(20)上を搬送される参照信号の一部を第1参照導波路(42)上に配置し、該参照信号の別の部分を第2参照導波路(44)上に配置するように構成される。従って、第1参照導波路(42)は、第1参照信号を搬送し、第2参照導波路(44)は、第2参照信号を搬送する。第1参照導波路(42)は、第1参照信号を第1処理要素(46)に搬送し、第2参照導波路(44)は、第2参照信号を第2処理要素(48)に搬送する。好適な分割器(40)の例には、y接合、光学結合器、及び複合モード干渉結合器(MMI)が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
出射LIDAR信号は、ファセット(14)を通ってLIDARチップを出射し、LIDAR出力信号として機能する。該LIDAR出力信号からの光がLIDARシステムの外部にある1つまたは複数の物体によって反射されると、反射光の少なくとも一部が第1 LIDAR入力信号としてLIDARチップに戻る。該第1 LIDAR入力信号は、ファセット(34)を通って比較導波路(18)に入射し、第1比較信号として機能する。比較導波路(18)は、さらなる処理のために前記第1比較信号を第1処理要素(46)に搬送する。
【0034】
さらに、LIDAR出力信号からの光がLIDARシステムの外部にある1つまたは複数の物体によって反射されると、反射信号の少なくとも一部が第2 LIDAR入力信号としてLIDARチップに戻る。該第2 LIDAR入力信号は、ファセット(52)を通って第2比較導波路(50)に入射し、第2比較導波路(50)によって搬送される第2比較信号として機能する。第2比較導波路(50)は、さらなる処理のために前記第2比較信号を第2処理要素(48)に搬送する。
【0035】
光源(10)はLIDARチップ上に配置されているように示されているが、光源(10)の全部または一部をLIDARチップから離して配置することができる。例えば、ユーティリティ導波路(12)は、LIDARチップから離れて配置された光源から出射LIDAR信号がユーティリティ導波路(12)に入射できる第2ファセットで終端することができる。一例として、
図1Dは、LIDARチップから離れて配置された光源(10)を含むように改変された
図1AのLIDARシステムを示している。ユーティリティ導波路(12)は、第2ファセット(53)を含む。1つまたは複数の光ファイバー等の光リンク(54)は、出射LIDAR信号をユーティリティ導波路(12)の第2ファセット(53)に搬送する。光リンク(54)は、ユーティリティ導波路(12)と整列されている。これにより、光源(10)によって産生された出射LIDAR信号が第2ファセット(53)を通ってユーティリティ導波路(12)に入射することができる。ファイバーブロック等の整列機構(55)は、光リンク(54)とユーティリティ導波路(12)との間の整列を提供することができる。光増幅器(57)は、出射LIDAR信号を増幅するように光リンクに沿って任意に配置することができる。光源が LIDAR チップの外部にある場合、好適な光源には、外部共振器レーザ (ECL)、分布帰還型レーザ(DFB)、離散モード(DM)レーザ、分布ブラッグ反射レーザ(DBR)のような半導体レーザが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、LIDARシステムは、出射LIDAR源を増幅器(57)またはユーティリティ導波路(12)に結合する1つまたは複数のレンズ(図示せず)を含む。
【0036】
いくつかの例では、
図1Bまたは
図1Cに従って構築されたLIDARチップは、 LIDARアダプタと組み合わせて使用される。いくつかの例では、該LIDARアダプタは、LIDARチップと1つまたは複数の反射物体かつ/または視野との間に物理的にかつ光学的に配置することができる。それにより、第1 LIDAR入力信号及び/またはLIDAR出力信号がLIDARチップから視野まで移動する光路は、LIDARアダプタを通過する。さらに、LIDARアダプタは、第1 LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号がLIDARアダプタとLIDARチップの間の異なる光路上を移動するが、LIDARアダプタと視野内の反射物体の間の同じ光路上を移動するように、第1 LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号で操作するように構成することができる。
【0037】
図1BのLIDARチップとの使用に適したLIDARアダプタの一例を
図2に示す。該LIDARアダプタは、ベース上に配置された複数の部品を含む。例えば、該LIDARアダプタは、ベース(102)上に配置された循環器(100)を含む。図示の光循環器(100)は、3つのポートを含み、1つのポートに入射する光が次のポートから出射するように構成されている。例えば、図示の光循環器は、第1ポート(104)、第2ポート(106)、及び第3ポート(108)を含む。LIDAR出力信号は、LIDARチップのユーティリティ導波路(12)から第1ポート(104)に入射して、第2ポート(106)から出射する。
【0038】
LIDARアダプタは、第2ポート(106)からのLIDAR出力信号の出力も、LIDARアダプタからの、また、従ってLIDARシステムからのLIDAR出力信号の出力としても機能できるように構成され得る。その結果、LIDAR出力信号は、LIDAR出力信号が視野内のサンプル領域に向かって進行するように、LIDARアダプタから出力され得る。従って、いくつかの例では、LIDARアダプタから出射したLIDAR出力信号の部分も、システム出力信号と見なすことができる。一例として、LIDARアダプタからのLIDAR出力信号の出口がLIDARシステムからのLIDAR出力信号の出口でもある場合、LIDAR出力信号もシステム出力信号と見なすことができる。LIDA出力信号がシステム出力信号として機能する場合、第2ポート(106)は、LIDARシステムの送信機として機能することができる。
【0039】
LIDARアダプタから出力されるLIDAR出力信号は、LIDARチップから受信されたLIDAR出力信号からの光を含むか、それからなるか、または本質的にそれらからなる。従って、LIDARアダプタから出力されるLIDAR出力信号は、LIDARチップから受信されるLIDAR出力信号と同じまたは実質的に同じであり得る。しかし、LIDARアダプタから出力されるLIDAR出力信号とLIDARチップから受信されるLIDAR出力信号との間には差があってもよい。例えば、LIDAR出力信号は、LIDARアダプタを通過するときに光がロスすることがあり、LIDAR アダプタは、LIDARアダプタを通過するときにLIDAR出力信号を増幅するように構成された増幅器を任意に含むことができる。
【0040】
サンプル領域内の1つまたは複数の物体がLIDAR出力信号を反射すると、反射光の少なくとも一部がシステム復帰信号として循環器(100)に戻る。該システム復帰信号は、第2ポート(106)を通って循環器(100)に入射する。
図2は、同じ光路に沿って、LIDARアダプタとサンプル領域との間を移動するLIDAR出力信号及びシステム復帰信号を示す。
【0041】
システム復帰信号は、第3ポート(108)を通って循環器(100)を出射し、LIDARチップ上の比較導波路(18)に誘導される。従って、システム復帰信号の全部または一部は、第1 LIDAR入力信号として機能することができ、該第1 LIDAR入力信号は、システム復帰信号からの光を含むか、またはそれからなる。従って、LIDAR出力信号及び第1 LIDAR入力信号は、異なる光路に沿ってLIDARアダプタとLIDARチップとの間を移動する。
【0042】
図2から明らかなように、LIDARアダプタは、循環器(100)の他に、光学部品を含むことができる。例えば、LIDARアダプタは、LIDAR出力信号及びシステム復帰信号の光路を誘導し、制御するための部品を含むことができる。一例として、
図2のアダプタは、LIDAR出力信号が循環器(100)に入射する前に、該LIDAR出力信号を受信して増幅するように配置された任意の増幅器(110)を含む。LIDAR出力信号のパワーを制御できるようにする電子機器(32)によって増幅器(110)を操作することができる。
【0043】
図2はまた、任意の第1レンズ(112)及び任意の第2レンズ(114)を含むLIDARアダプタを示している。第1レンズ(112)は、LIDAR出力信号を所望の位置に結合するように構成され得る。いくつかの例では、第1レンズ(112)は、LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準するように構成される。一例では、LIDARアダプタが増幅器(110)を含まない場合、第1レンズ(112)は、LIDAR出力信号を第1ポート(104)上に結合するように構成される。別の例として、LIDARアダプタが増幅器(110)を含む場合、第1レンズ(112)は、LIDAR出力信号を増幅器(110)への入射ポート上に結合するように構成され得る。第2レンズ(114)は、LIDAR出力信号を所望の位置に結合するように構成され得る。いくつかの例では、第2レンズ(114)は、LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準するように構成される。例えば、第2レンズ(114)は、LIDAR出力信号を比較導波路(18)のファセット(34)上に結合するように構成することができる。
【0044】
LIDARアダプタは、1つまたは複数の、ミラーのような方向変換部を含むこともできる。
図2は、システム復帰信号を循環器(100)から比較導波路(18)のファセット(20)に再誘導する方向変換部(116)としてミラーを含むLIDARアダプタを示している。
【0045】
LIDARチップは、1つまたは複数の光信号の光路を拘束する1つまたは複数の導波路を含む。LIDARアダプタは、導波路を含むことができるが、システム復帰信号とLIDAR出力信号がLIDARアダプタ上の部品間、及び/またはLIDARチップとLIDARアダプタ上の部品との間を進行する光路が、空白な空間であってもよい。例えば、システム復帰信号及び/またはLIDAR出力信号は、LIDARアダプタ上の異なる部品間、及び/またはLIDARアダプタ上の部品とLIDARチップとの間を進行する際に、LIDARチップ、LIDARアダプタ、及び/またはベース(102)が配置された空間を通って進行することができる。その結果、レンズや方向変換部等の光学部品を用いて、システム復帰信号とLIDAR出力信号がLIDARアダプタの上、LIDARアダプタへ、またはLIDARアダプタから進行する光路の特性を制御することができる。
【0046】
LIDARアダプタに好適なベース(102)には、基板、プラットフォーム、及びプレートが含まれるが、これらに限定されない。好適な基板には、ガラス、シリコン、及びセラミックが含まれるが、これらに限定されない。前記部品は、該基板に取り付けられた個別の部品とすることができる。ベース(102)に個別の部品を取り付けるのに適した技術には、エポキシ、はんだ、及び機械的クランプが含まれるが、これらに限定されない。一例では、1つまたは複数の部品が一体化された部品であり、残りの部品が個別の部品である。別の例では、LIDARアダプタは1つまたは複数の一体化された増幅器を含み、残りの部品は個別の部品である。
【0047】
LIDARシステムは、偏光を補正するように構成され得る。レーザ光源からの光は、典型的には線形的に偏光されるので、LIDAR出力信号も典型的には線形的に偏光される。物体からの反射は、戻ってきた光の偏光角を変更することがある。従って、システム復帰信号は、異なる線形偏光状態の光を含むことができる。例えば、システム復帰信号の第1部分は、第1線形偏光状態の光を含むことができ、システム復帰信号の第2部分は、第2線形偏光状態の光を含むことができる。得られた複合信号の強度は、比較信号偏光場と参照信号偏光場との間の角度の余弦の2乗に比例する。該角度が90°であれば、得られた複合信号にLIDAR データがロスされ得る。しかし、LIDARシステムは、LIDAR出力信号の偏光状態の変化を補正するように改変することができる。
【0048】
図3は、LIDARアダプタが
図1CのLIDARチップとの使用に適するように改変された
図3のLIDARシステムを示している。該LIDARアダプタは、循環器(100)からシステム復帰信号を受信するビーム分割器(120)を含む。該ビーム分割器(120)は、前記システム復帰信号を該システム復帰信号の第1部分及び該システム復帰信号の第2部分に分割する。好適なビーム分割器には、ウォラストンプリズム及びMEMベースのビーム分割器が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
システム復帰信号の第1部分は、LIDARチップ上の比較導波路(18)に誘導され、
図1Cの文脈で説明された第1 LIDAR入力信号として機能する。システム復帰信号の第2部分は、偏光回転器(122)に誘導される。該偏光回転器(122)は、LIDARチップ上の第2入力導波路(76)に誘導された第2 LIDAR入力信号を出力し、第2 LIDAR入力信号として機能する。
【0050】
ビーム分割器(120)は、偏光ビーム分割器とすることができる。偏光ビーム分割器の一例は、システム復帰信号の第1部分が第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有さないまたは実質的に有さず、また、システム復帰信号の第2部分が第2偏光状態を有するが、第1偏光状態を有さないまたは実質的に有さないように構築される。第1偏光状態及び第2偏光状態は、線形偏光状態とすることができ、第2偏光状態は、第1偏光状態とは異なる。例えば、第1偏光状態をTEとすることでき、第2偏光状態をTMとすることができ、あるいは、第1偏光状態をTMとすることができ、第2偏光状態をTEとすることができる。いくつかの例では、レーザ源を、LIDAR出力信号が第1偏光状態を有するように線形的に偏光することができる。好適なビーム分割器には、ウォラストンプリズム及びMEMベースの偏光ビーム分割器が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
偏光回転器を、システム復帰信号の第1部分及び/またはシステム復帰信号の第2部分の偏光状態を変更するように構成することができる。例えば、
図3に示される偏光回転器(122)を、システム復帰信号の第2部分の偏光状態を第2偏光状態から第1偏光状態に変更するように構成することができる。その結果、第2 LIDAR入力信号は、第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有しないまたは実質的に有しない。従って、第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号は、それぞれ同一の偏光状態(この例では、第1偏光状態)を有する。同一の偏光状態の光を搬送しているにもかかわらず、第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号は、偏光ビーム分割器を使用した結果として、異なる偏光状態に関連付けられる。例えば、第1 LIDAR入力信号は、第1偏光状態で反射された光を搬送し、第2 LIDAR入力信号は、第2偏光状態で反射された光を搬送する。その結果、第1 LIDAR入力信号は、第1偏光状態に関連付けられ、第2 LIDAR入力信号は、第2偏光状態に関連付けられる。
【0052】
第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号は、同一の偏光状態の光を搬送するので、第1 LIDAR入力信号から生じる比較信号は、第2 LIDAR入力信号から生じる比較信号と同一の偏光角を有する。
【0053】
好適な偏光回転器には、偏光保持ファイバーの回転器、ファラデー回転器、半波プレート、MEMベースの偏光回転器、及び非対称y分岐、マッハツェンダ干渉計、及び複合モード干渉結合器を用いた一体型光学偏光回転器が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
出射LIDAR信号は線形的に偏光されるため、第1参照信号は、第2参照信号と同一の線形偏光状態を有することができる。また、第1参照信号、第2参照信号、比較信号、及び第2比較信号がそれぞれ同一の偏光状態を有するように、LIDARアダプタ上の部品を選択することができる。
図3の文脈で開示された例では、第1比較信号、第2比較信号、第1参照信号、及び第2参照信号は、それぞれ第1偏光状態の光を有することができる。
【0055】
上記構成の結果として、第1処理要素(46)によって産生された第1複合信号及び第2処理要素(48)によって産生された第2複合信号は、それぞれ同一の偏光状態の参照信号と比較信号との結合に由来し、従って、該参照信号と比較信号との間で所望の拍動を提供するであろう。例えば、複合信号は、第1偏光状態の第1参照信号と第1比較信号との結合に由来し、第2偏光状態の光を排除または実質的に排除する。または、複合信号は、第2偏光状態の第1参照信号と第1比較信号との結合に由来し、第1偏光状態の光を排除または実質的に排除する。同様に、第2複合信号は、同一の偏光状態の第2参照信号及び第2比較信号を含み、従って、該参照信号と比較信号との間で所望の拍動を提供するであろう。例えば、第2複合信号は、第1偏光状態の第2参照信号と第2比較信号との結合に由来し、第2偏光状態の光を排除または実質的に排除する。または、第2複合信号は、第2偏光状態の第2参照信号と第2比較信号との結合に由来し、第1偏光状態の光を排除または実質的に排除する。
【0056】
上記の構成により、複数の異なる複合信号(即ち、第1複合信号及び第2複合信号)から産生される視野内の単一のサンプル領域のためのLIDARデータが得られる。いくつかの例では、サンプル領域のためのLIDARデータを測定することは、異なる複合信号(即ち、複合信号及び第2複合信号)からLIDARデータを組み合わせる電子機器を含む。LIDARデータを組み合わせることは、異なる複合信号から産生されたLIDARデータの平均値、中央値、または最頻値を取ることを含むことができる。例えば、電子機器は、複合信号から測定されたLIDARシステムと反射物体との間の距離を、第2複合信号から測定された距離と平均することができ、かつ/または、電子機器は、複合信号から測定されたLIDARシステムと反射物体との間の視線速度を、第2複合信号から測定された視線速度と平均することができる。
【0057】
いくつかの例では、サンプル領域のLIDARデータを測定することは、1つまたは複数の複合信号(即ち、複合信号及び/または第2複合信号)を、最も現実を表すLIDARデータ(代表的なLIDARデータ)のソースとして識別する電子機器を含む。次に、電子機器は、識別された複合信号からのLIDARデータを、他の処理に用いられる代表的なLIDARデータとして使用することができる。例えば、電子機器は、より大きな振幅を有する信号(複合信号または第2複合信号)を代表的なLIDARデータを有するものとして識別することができ、LIDARシステムによるさらなる処理のために、識別された信号からのLIDARデータを使用することができる。いくつかの例では、電子機器は、代表的なLIDARデータで複合信号を識別することを異なるLIDAR信号からのLIDARデータを結合することと組み合わせる。例えば、電子機器は、振幅閾値以上の振幅を有する複合信号のそれぞれを代表的なLIDARデータを有するものとして識別することができ、3つ以上の複合信号が代表的な LIDARデータを有するものとして識別される場合、電子機器は、識別された各複合信号からのLIDARデータを組み合わせることができる。1つの複合信号が代表的なLIDARデータを有するものとして識別される場合、電子機器は、その複合信号からのLIDARデータを代表的なLIDARデータとして使用することができる。複合信号のいずれも、代表的なLIDARデータを有するものとして識別されない場合、電子機器は、これらの複合信号に関連付けられたサンプル領域のLIDARデータを廃棄することができる。
【0058】
図3中の部品は、第1比較信号、第2比較信号、第1参照信号、及び第2参照信号がそれぞれ第1偏光状態を有するように配置されていること説明しているが、
図3中の部品は、他の構成として、複合信号が同一の線形偏光状態の参照信号と比較信号との結合に由来し、第2複合信号が同一の線形偏光状態の参照信号と比較信号との結合に由来するように配置することができる。例えば、システム復帰信号の第2部分が第1偏光状態を有し、システム復帰信号の第1部分が第2偏光状態を有し、偏光回転器がシステム復帰信号の第1部分を受信し、出射LIDAR信号が第2偏光状態を有することができるように、ビーム分割器(120)を構築することができる。この例では、第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号は、それぞれ第2偏光状態を有する。
【0059】
上記のシステム構成により、システム復帰信号の第1部分及びシステム復帰信号の第2部分が異なる複合信号に誘導される。その結果、システム復帰信号の第1部分及びシステム復帰信号の第2部分は、それぞれ異なる偏光状態に関連付けられるが、電子機器は、それぞれの複合信号を処理することができる。LIDARシステムは、LIDAR出力信号の反射に応じてLIDAR出力信号の偏光状態の変化を補正する。
【0060】
図3のLIDARアダプタは、受動光学部品を含む他の光学部品を備えることができる。例えば、LIDARアダプタは、任意の第3レンズ(126)を備えることができる。該第3レンズ(126)は、第2 LIDAR出力信号を所望の位置に結合するように構成され得る。いくつかの例では、第3レンズ(126)は、第2 LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準する。例えば、第3レンズ(126)は、第2比較導波路(50)のファセット(52)上に第2 LIDAR出力信号を集束または視準するように構成することができる。LIDARアダプタは、1つまたは複数のミラーやプリズムのような方向変換部(124)も備える。
図3は、システム復帰信号の第2部分を、循環器(100)から第2比較導波路(50)のファセット(52)に、かつ/または第3レンズ(126)に再誘導する方向変換部(124)としてミラーを備えるLIDARアダプタを示している。
【0061】
LIDARシステムにLIDARチップ及びLIDARアダプタが含まれている場合、該LIDAR チップ、電子機器、及び該LIDARアダプタを共通マウント上に配置することができる。好適な共通マウントには、ガラスプレート、金属プレート、シリコンプレート、及びセラミックプレートが含まれるが、これらに限定されない。一例として、
図4は、
図1AのLIDARチップ及び電子機器(32)と、
図2のLIDARアダプタとを共通支持体(140)上に含むLIDARシステムの上面図である。電子機器(32)は、共通支持体の上に配置されて図示されているが、電子機器の全部または一部は、共通支持体から離れて配置され得る。光源(10)がLIDARチップから離れて配置される場合、該光源は、共通支持体(140)上に、または共通支持体(140)から離れて配置することができる。LIDARチップ、電子機器、及び/またはLIDARアダプタを共通支持体の上に取り付けるための好適な方法には、エポキシ、はんだ、及び機械的クランプが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
LIDARシステムは、他の受動及び/または能動の光学部品を含む部品を備えることができる。例えば、LIDARシステムは、LIDARチップまたはLIDARアダプタからLIDAR出力信号を受信する1つまたは複数の部品を備えることができる。1つまたは複数の部品から出射するLIDAR出力信号の一部は、システム出力信号として機能することができる。一例として、LIDARシステムは、LIDARチップまたはLIDARアダプタからLIDAR出力信号を受信し、システム出力信号として機能するLIDAR出力信号の全部または一部を出力する1つまたは複数のビーム操作要素を備えることができる。好適なビーム操作要素には、可動ミラー、MEMSミラー、及び光フェーズドアレー(OPA)が含まれるが、これらに限定されない。これらの場合、1つまたは複数の部品は、LIDARシステムのシステム出力信号の送信機として機能することができる。
【0063】
図5Aから
図5Dは、処理要素(22)、第1処理要素(46)、及び第2処理要素(48)からなる群から選択される処理要素の全部または一部として使用するのに適した処理要素の例を示す。処理要素は、比較導波路(196)から比較信号を受信し、参照導波路(198)から参照信号を受信する。
図1A及び
図1Bに示される比較導波路(18)及び参照導波路(20)は、比較導波路(196)及び参照導波路(198)として機能することができる。
図1Cに示される比較導波路(18)及び第1参照導波路(42)は、比較導波路(196)及び参照導波路(198)として機能することができ、または
図1Cに示される第2比較導波路(50)及び第2参照導波路(44)は、比較導波路(196)及び参照導波路(198)として機能することができる。
【0064】
前記処理要素は、比較導波路(196)上で搬送される比較信号を第1比較導波路(204)及び第2比較導波路(206)に分割する第2分割器(200)を含む。第1比較導波路(204)は、該比較信号の第1部分を光結合要素(211)に搬送する。第2比較導波路(208)は、該比較信号の第2部分を第2光結合要素(212)に搬送する。
【0065】
前記処理要素は、参照導波路(198)上で搬送される参照信号を第1参照導波路(204)及び第2参照導波路(206)に分割する第1分割器(202)を含む。第1参照導波路(204)は、該参照信号の第1部分を光結合要素(211)に搬送する。第2参照導波路(208)は、該参照信号の第2部分を第2光結合要素(212)に搬送する。
【0066】
第2光結合要素(212)は、前記比較信号の第2部分と前記参照信号の第2部分とを第2複合信号に結合する。前記比較信号の第2部分と前記参照信号の第2部分との間の周波数の差により、該第2複合信号は、該比較信号の第2部分と該参照信号の第2部分との間で拍動している。
【0067】
第2光結合要素(212)はまた、得られた第2複合信号を第1補助検出器導波路(214)及び第2補助検出器導波路(216)の上に分割する。該第1補助検出器導波路(214)は、前記第2複合信号の第1部分を、該第2複合信号の第1部分を第1補助電気信号に変換する第1補助光センサー(218)に搬送する。前記第2補助検出器導波路(216)は、前記第2複合信号の第2部分を、該第2複合信号の第2部分を第2補助電気信号に変換する第2補助光センサー(220)に搬送する。好適な光センサーの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0068】
いくつかの例では、第2光結合要素(212)は、第2複合信号を分割し、これにより、該第2複合信号の第1部分に含まれる比較信号の部分(即ち、該比較信号の第2部分の部分)が該第2複合信号の第2部分における比較信号の部分(即ち、該比較信号の第2部分の部分)に対して180°位相シフトされるが、該第2複合信号の第2部分における参照信号の部分(即ち、該参照信号の第2部分の部分)が該第2複合信号の第1部分における参照信号の部分(即ち、該参照信号の第2部分の部分)に対して位相シフトされない。あるいは、第2光結合要素(212)は、第2複合信号を分割し、これにより、該第2複合信号の第1部分における参照信号の部分(即ち、該参照信号の第2部分の部分)が該第2複合信号の第2部分における参照信号の部分(即ち、該参照信号の第2部分の部分)に対して180°位相シフトされるが、該第2複合信号の第1部分における比較信号の部分(即ち、該比較信号の2部分の部分)が該第2複合信号の第2部分における比較信号の部分(即ち、該比較信号の第2部分の部分)に対して位相シフトされない。好適な光センサーの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0069】
第1光結合要素(211)は、比較信号の第1部分と参照信号の第1部分とを第1複合信号に結合する。該比較信号の第1部分と該参照信号の第1部分との間の周波数の差により、該第1複合信号は、該比較信号の第1部分と該参照信号の第1部分との間で拍動している。
【0070】
第1光結合要素(211)はまた、第1複合信号を第1検出器導波路(221)及び第2検出器導波路(222)の上に分割する。該第1検出器導波路(221)は、該第1複合信号の第1部分を、第2複合信号の第1部分を第1電気信号に変換する第1光センサ(223)に搬送する。該第2検出器導波路(222)は、第2複合信号の第2部分を、第2複合信号の第2部分を第2電気信号に変換する第2光センサー(224)に搬送する。好適な光センサーの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0071】
いくつかの例では、光結合要素(211)は、第1複合信号を分割し、これにより、該複合信号の第1部分に含まれる比較信号の部分(即ち、該比較信号の第1部分の部分)が該複合信号の第2部分における比較信号の部分(即ち、該比較信号の第1部分の部分)に対して180°位相シフトされるが、該複合信号の第1部分における参照信号の部分(即ち、該参照信号の第1部分の部分)が該複合信号の第2部分における参照信号の部分(即ち、該参照信号の第1部分の部分)に対して位相シフトされない。あるいは、光結合要素(211)は、前記複合信号を分割し、これにより、該複合信号の第1部分における参照信号の部分(即ち、該参照信号の第1部分の部分)が該複合信号の第2部分における参照信号の部分(即ち、該参照信号の第1部分の部分)に対して180°位相シフトされるが、該複合信号の第1部分における比較信号の部分(即ち、該比較信号の第1部分の部分)が該複合信号の第2部分における比較信号の部分(即ち、該比較信号の第1部分の部分)に対して位相シフトされない。
【0072】
第2光結合要素(212)は、第2複合信号の第1部分における比較信号の部分が該第2複合信号の第2部分における比較信号の部分に対して180°位相シフトされるように該第2複合信号を分割する場合、光結合要素(211)も該複合信号を分割し、これにより、該複合信号の第1部分における比較信号の部分が、該複合信号の第2部分における比較信号の部分に対して180°位相シフトされる。第2光結合要素(212)は、第2複合信号の第1部分における参照信号の部分が該第2複合信号の第2部分における参照信号の部分に対して180°位相シフトされるように該第2複合信号を分割する場合、光結合要素(211)も該複合信号を分割し、これにより、該複合信号の第1部分における参照信号の部分が、該複合信号の第2部分における参照信号の部分に対して180°位相シフトされる。
【0073】
第1参照導波路(210)及び第2参照導波路(208)は、参照信号の第1部分と参照信号の第2部分との間に位相シフトを提供するように構築される。例えば、第1参照導波路(210)及び第2参照導波路(208)は、参照信号の第1部分と参照信号の第2部分との間に90°の位相シフトを提供するように構築することができる。一例として、一方の参照信号部分は、同相成分であってもよく、他方は、直交成分であってもよい。従って、参照信号部分の一方は正弦関数とすることができ、他方の参照信号部分は余弦関数とすることができる。一例では、第1参照導波路(210)及び第2参照導波路(208)は、第1参照信号部分が余弦関数であり、第2参照信号部分が正弦関数であるように構築される。従って、第2複合信号における参照信号の部分は、第1複合信号における参照信号の部分に対して位相シフトされるが、該第1複合信号における比較信号の部分は、第2複合信号における比較信号の部分に対して位相シフトされない。
【0074】
第1光センサー(223)及び第2光センサー(224)は、平衡検出器として接続することができ、第1補助光センサー(218)及び第2補助光センサー(220)も、平衡検出器として接続することができる。例えば、
図5Bは、電子機器、第1光センサー(223)、第2光センサー(224)、第1補助光センサー(218)、及び第2補助光センサー(220)間の関係の模式を提供する。フォトダイオードの記号は、第1光センサー(223)、第2光センサー(224)、第1補助光センサー(218)、及び第2補助光センサー(220)を表すために使用されるが、これらのセンサーの1つまたは複数は、他の構造を有することができる。いくつかの例では、
図5Bの模式図に示された全ての要素がLIDARチップ上に含まれる。いくつかの例では、
図5Bの模式図に示された要素は、LIDARチップと、LIDARチップから離れて配置された電子機器との間に分配される。
【0075】
電子機器は、第1光センサー(223)と第2光センサー(224)とを接続し、第1平衡検出器(225)とし、また、第1補助光センサー(218)と第2補助光センサー(220)とを接続し、第2平衡検出器(226)とする。具体的に、第1光センサー(223)と第2光センサー(224)とは直列に接続される。また、第1補助光センサー(218)と第2補助光センサー(220)とは直列に接続される。第1平衡検出器における直列の接続は、第1平衡検出器からの出力を第1データ信号として搬送する第1データ線(228)と通信する。第2平衡検出器における直列の接続は、第2平衡検出器からの出力を第2データ信号として搬送する第2データ線(232)と通信する。第1データ信号は、第1複合信号の電気的表現であり、第2データ信号は、第2複合信号の電気的表現である。従って、第1データ信号は、第1波形及び第2波形からの寄与を含み、第2データ信号は、第1波形及び第2波形との複合体である。第1データ信号における第1波形の部分は、第1データ信号における第1波形の部分に対して位相シフトされるが、該第1データ信号における第2波形の部分は、第1データ信号における第2波形の部分に対して同相である。例えば、第2データ信号は、第1データ信号に含まれる参照信号の異なる部分に対して位相シフトされた参照信号の一部を含む。また、第2データ信号は、第1データ信号に含まれる比較信号の異なる部分と同相である比較信号の一部を含む。該比較信号と参照信号との間の拍動、即ち、第1複合信号及び第2複合信号における拍動の結果として、第1データ信号及び第2データ信号は拍動している。
【0076】
電子機器(32)は、第1データ信号及び第2データ信号について数学的変換するように構成された変換機構(238)を含む。例えば、該数学的変換は、第1データ信号及び第2データ信号をインプットとする複合フーリエ変換であってもよい。第1データ信号は同相成分であり、第2データ信号は直交成分であるため、該第1データ信号及び第2データ信号は共に複合データ信号として機能し、そこで、該第1データ信号がインプットの実数要素であり、該第2データ信号がインプットの虚数要素である。
【0077】
変換機構(238)は、第1データ線(228)から第1データ信号を受信する第1アナログ-デジタル変換器(ADC)(264)を含む。該第1アナログ-デジタル変換器(ADC)(264)は、第1データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換して、第1デジタルデータ信号を出力する。変換機構(238)は、第2データ線(232)から第2データ信号を受信する第2アナログ-デジタル変換器(ADC)(266)を含む。該第2アナログ-デジタル変換器(ADC)(266)は、第2データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換して、第2デジタルデータ信号を出力する。第1デジタルデータ信号は、第1データ信号のデジタル表現であり、第2デジタルデータ信号は、第2データ信号のデジタル表現である。従って、第1デジタルデータ信号及び第2デジタルデータ信号は共に複合信号として機能し、そこで、第1デジタルデータ信号が複合信号の実数成分として機能し、第2デジタルデータ信号が複合データ信号の虚数成分として機能する。
【0078】
変換機構(238)は、前記複合データ信号を受信する変換要素(268)を含む。例えば、該変換要素(268)は、第1アナログ-デジタル変換器(ADC)(264)から第1デジタルデータ信号をインプットとして受信し、また、第1アナログ-デジタル変換器(ADC)(266)から第2デジタルデータ信号もインプットとして受信する。変換要素(268)は、時間領域から周波数領域に変換するように複合信号について数学的に変換するように構成することができる。該数学的変換は、複合高速フーリエ変換(FFT)のような複合変換であってもよい。複合高速フーリエ変換(FFT)のような複合変換は、反射物体とLIDARチップとの間の視線速度によるLIDAR出力信号に対するLIDAR入力信号の周波数シフトに明確な解答を提供する。電子機器は、変換要素(268)から出力された1つまたは複数の周波数ピークを使用して、LIDARデータ(反射物体とLIDARチップまたはLIDARシステムとの間の距離及び/または視線速度)を産生するためのさらなる処理を行う。変換要素(268)は、ファームウェア、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを用いて、帰属される機能を実行することができる。
【0079】
図5Aから
図5Bは、参照信号の一部を比較信号の一部と結合する光結合要素を示しているが、処理要素は、参照信号を比較信号と結合して、複合信号を形成する単一の光結合要素を含むことができる。その結果、参照信号の少なくとも一部と比較信号の少なくとも一部を組み合わせて複合信号を形成することができる。該参照信号の結合部分は、参照信号の全体または参照信号の一部分であってもよく、該比較信号の結合部分は、比較信号の全体または比較信号の一部分であってもよい。
【0080】
複合信号を形成するために参照信号と比較信号を結合する処理要素の例として、
図5Cは、単一の光結合要素を含むように改変された
図5Aの処理要素を示す。比較導波路(196)は、比較信号を第1光結合要素(211)に直接搬送し、参照導波路(198)は、参照信号を第1光結合要素(211)に直接搬送する。
【0081】
第1光結合要素(211)は、比較信号と参照信号を複合信号に結合する。比較信号と参照信号との間の周波数の違いにより、第1複合信号は、比較信号と参照信号との間で拍動している。第1光結合要素(211)はまた、複合信号を第1検出器導波路(221)及び第2検出器導波路(222)に分割する。第1検出器導波路(221)は、第2複合信号の第1部分を第1電気信号に変換する第1光センサ(223)に複合信号の第1部分を搬送する。第2検出器導波路(222)は、第2複合信号の第2部分を第2電気信号に変換する第2光センサー(224)に複合信号の第2部分を搬送する。
【0082】
図5Dは、
図5Cの電子機器、第1光センサー(223)、及び第2光センサー(224)間の関係の模式を提供する。フォトダイオードの記号は、第1光センサー(223)及び第2光センサ(224)を表すために使用されるが、これらのセンサーの1つまたは複数は、他の構造を有することができる。いくつかの例では、
図5Dの模式図に示された全ての要素がLIDARチップ上に含まれる。いくつかの例では、
図5Dの模式に示された要素は、LIDARチップと、LIDARチップから離れて配置された電子機器との間に分配される。
【0083】
電子機器は、第1光センサー(223)と第2光センサー(224)とを第1平衡検出器(225)として接続する。具体的に、第1光センサー(223)と第2光センサー(224)とは直列に接続される。第1平衡検出器における直列の接続は、第1平衡検出器からの出力を第1データ信号として搬送する第1データ線(228)と通信する。該第1データ信号は、複合信号の電気的表現である。
【0084】
電子機器(32)は、第1データ信号について数学的に変換するように構成された変換機構(238)を含む。該数学的変換は、第1データ信号をインプットとして使用する実数フーリエ変換であってもよい。電子機器は、上記の変換からの周波数出力を使用して、LIDARデータを抽出することができる。
【0085】
図5Aから
図5Dの文脈に開示された平衡検出器のそれぞれは、単一の光センサーと置き換えることができる。結果として、処理要素は、複合信号の受信部分が複合信号の全体または複合信号の一部であり得るという点で、複合信号の少なくとも一部をそれぞれ受信する1つまたは複数の光センサーを含み得る。
【0086】
図5Eは、LIDAR出力信号及び/またはシステム出力信号の周波数、時間、サイクル、及びデータ周期の間の関係の一例を示す。
図5Eは、1つのチャネルのみの周波数対時間を示しているが、図示の周波数対時間パターンは、各チャネルの周波数対時間を表すことができる。LIDAR出力信号の基本周波数(f
0)は、サイクルの開始時のLIDAR出力信号の周波数であってもよい。
【0087】
図5Eは、サイクル
j及び サイクル
j+1と表記された一連の2つのサイクルの周波数と時間の関係を示している。いくつかの例では、
図5Eに示すように、周波数対時間パターンは、各サイクルで繰り返される。図示のサイクルは、再配置期間を含まず、かつ/または再配置期間は、サイクル間に位置しない。その結果、
図5Eは、連続スキャンの結果を示している。
【0088】
各サイクルは、それぞれが期間指数kに関連付けられ、DP
kと表記されたK個のデータ期間を含む。
図5Eの例では、各サイクルは、DP
k(ここで、k=1、2、及び3)と表記された3つのデータ期間を含む。いくつかの例では、前記周波数対時間パターンは、
図5Eに示すように、異なるサイクルで互いに対応するデータ期間で同じである。対応するデータ期間は、同じ期間指数を持つデータ期間である。結果として、各データ期間DP
1は、対応するデータ期間と考えることができ、関連の周波数対時間パターンは、
図5Eにおいて同じである。サイクルの終わりに、電子機器は、周波数を前のサイクルを開始したときと同じ周波数レベルに戻す。
【0089】
データ期間DP
1の間、電子機器は、LIDAR出力信号の周波数がB
1(B
1≠0)だけ変化するように光源を操作する。DP
1中の周波数変化の持続時間は、T
1(T
1>0)で表される。データ期間DP
2の間、電子機器は、LIDAR出力信号の周波数がB
2(B
2≠0)だけ変化するように光源を操作する。DP
2中の周波数変化の持続時間は、T
2(T
2>0)で表される。DP
1中の周波数変化の速度は、α
1(α
1≠0)で表すことができる。
図5Eでは、DP
1中の周波数変化の速度(α
1)は、B
1/T
1の値と線形的に相関する。DP
2中の周波数変化の速度は、α
2(α
2≠0)で表すことができる。
図5Eでは、DP
2中の周波数変化の速度(α
2)は、B
2/T
2の値と線形的に相関する。データ期間DP
3の間、電子機器は、LIDAR出力信号の周波数が該データ期間中で一定であるように光源を操作する。DP
3の持続時間は、T
3(T
3>0)で表される。T
1、T
2、及びT
3の値は、同じでも異なっていてもよい。いくつかの例では、T
1=T
2である。一例では、T
1=T
2≠T
3である。別の例では、T
1=T
2=T
3である。いくつかの例では、T
1≠T
2である。
【0090】
データ期間DP
k中の第1複合信号、第1データ信号、第2複合信号、及び第2データ信号から選択された拍動信号の全部または一部の拍動周波数は、F
k (kはデータ期間指数を表す)である。例えば、処理要素が
図5C及び
図5Dに従って構成される場合、第1複合信号及び第1データ信号の拍動周波数は、F
kで表される。処理要素が
図5A及び
図5Bに従って構成される場合、第1複合信号、第1データ信号、第2複合信号、及び第2データ信号の拍動周波数は、F
kで表される。
【0091】
F1は、データ期間DP1中の拍動信号の拍動周波数を表す。F1の値は、LIDARシステムと反射物体との間の距離からの寄与(fr,1)及びLIDARシステムと反射物体との間の視線速度からの寄与(fd,1)を含むことができる。従って、F1は、F1=fr,1+ fd,1と記すことができる。LIDARシステムの通常の操作条件下でF1に発生する可能性のある最大値は、F1maxで表される。
【0092】
データ期間DP2における拍動信号の拍動周波数は、F2で表される。F2の値は、LIDARシステムと反射物体の間の距離からの寄与(fr,2)及びLIDARシステムと反射物体の間の視線速度からの寄与(fd,2)を含むことができる。LIDARシステムの通常の操作条件下でF2に発生する可能性のある最大値は、F2maxで表される。
【0093】
データ期間DP3における拍動信号の拍動周波数は、F3で表される。LIDARシステムの通常の操作条件下でF3に発生する可能性のある最大値は、F3maxで表される。LIDAR出力信号の周波数はデータ期間DP3の間に一定であるため、F3は、LIDARシステムと反射物体との間の視線速度(ドップラー周波数fd,3)からの寄与があるが、LIDARシステムと反射物体との間の距離からの寄与がない。その結果、F3の値は、ドップラー周波数(fd,3)の値に設定することができる。ここで、fd,3=2 v/λであり、vは、正方向である反射物体からLIDARシステムに向かう方向でのLIDARシステムと反射物体の間の視線速度を表し、λは、LIDAR出力信号の波長を表する。その結果、F3=fd,3=2v/λ及びF3max=fdmax=2vmax/λとなり、ここで、fdmaxは、通常の条件下でLIDARシステムを操作する時のドップラー周波数の最大値を表し、vmaxは、通常の条件下で操作する時の視線速度の最大値を表す。
【0094】
上記変数の一部は、通常の操作条件下での文脈で開示されている。通常の操作条件は、LIDARシステムが操作のために設計された条件であり、通常は、LIDARシステムの仕様書で設定されている。従って、仕様書が利用可能な場合、vmaxの値は、仕様書に規定されている最大視線速度を表す。別の例として、F1maxは、仕様書に規定された視線速度及び距離内でLIDARシステムを操作するときに発生し得るF1の最大値を表す。
【0095】
データ期間指数は、時間の順序を表していない。例えば、
図5Eは、DP
1がDP
2及びDP
3の前に発生するサイクルを示しているが、サイクルは、データ期間の他の配置を有し得る。異なるデータ期間の配置を有するサイクルの例には、DP
1がDP
2とDP
3との間で発生するサイクル、またはDP
3がDP
2の前に発生し、DP
2がDP
1の前に発生するサイクルが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
LIDARデータの産生にLIDARシステムを操作する前に、1つまたは複数の操作パラメーターの値を選択かつ/または計算することができる。電子機器は、産生されたLIDARデータ内の1つまたは複数のパラメーターに対して識別された値を使用することができる。これらのパラメーターの一例として、アナログ-デジタル変換器(ADC)サンプリング速度(f
samp)がある。処理要素は、
図5A及び
図5Cの第1アナログ-デジタル変換器(ADC)(264)及び
図5Dの第2アナログ-デジタル変換器(ADC)(266)等の1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器を含む。1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器は、それぞれ拍動信号の1つを受信し、ADCサンプリング速度(f
samp)でサンプリングされる。以前のLIDARシステムの結果で有用なLIDARデータを産生するために必要なADCサンプリング速度(f
samp)を達成するのは実際的ではない場合がある。しかし、LIDARシステムは、電子機器がアナログ-デジタル変換器(ADC)(264)及び/または第2アナログ-デジタル変換器(ADC)(266)をアンダーサンプリングするように操作することができる。アンダーサンプリングを利用することは、実際のサンプリング速度の使用を可能にする。
【0097】
ADCサンプリング速度(fsamp)は、fsamp≧2|F3max|となるように選択できる。F3max=fdmax=2vmax/λであるため、ADCサンプリング速度(fsamp)は、fsamp≧2|F3max|、fsamp≧2|fdmax|、またはfsamp≧4|vmax/λ|となるように選択できる。ナイキストのサンプリング定理によれば、アナログ-デジタル変換器(ADC)のサンプリング速度は、拍動信号の最高周波数の2倍以上でなければならない。従って、ナイキストのサンプリング定理は、fsamp≧2*max|F1max,F2max,F3max|に従ってサンプリング速度(fsamp)を提供する。拍動信号は、サンプリング速度が2*max|F1max,F2max,F3max|より大きい場合にはオーバーサンプリングされていると見なされ、サンプリング速度が2*max|F1max,F2max,F3max|未満の場合にはアンダーサンプリングされていると見なされる。fsampの値は、信号がアンダーサンプリングされるように選択することができる。例えば、fsampは、2|F3max|≦fsamp≦2*max|F1max,F2max,F3max|、または2|fdmax|≦fsamp≦2*max|F1max,F2max,F3max|、または4|vmax/λ|≦fsamp≦2*max|F1max,F2max,F3max|となるように選択することができる。
【0098】
ADCサンプリング速度(f
samp)が選択されると、LIDARデータの産生に使用するために、1つまたは複数の他のパラメーターの値を特定できる。例えば、
図5Fに従って周波数スペクトルを定義することができる。
図5Fに示すように、F
1の値は、0.0からF
1maxの間で変化し得る。-F
1maxからF
1maxまでの周波数範囲は、それぞれがf
sampに等しい長さを有する複数のゾーンに分割することができる。各ゾーンは、ゾーン指数k
kに関連付けられ、ここで、添字のkは、データ期間指数を表し、k
kの各値は、整数である。
図5Fは、データ期間 DP
1のk
k値(k
1)を示している。
図5Fに示すように、k
1の値は、-k
1maxからk
1maxまで変化し、合計2*k
1max+1のk
1値を提供する。
図5Fでは、k
1max値は、2の値を有する。k
1maxの値は、(k
1max-0.5)f
samp≦F
1max<(k
1max+0.5)f
sampとなるように選択することができる。
【0099】
k1maxの選択値を用いて、パラメーターp及びqの値を選択することができ、ここで、pは整数であり、qは整数である。p及びqの値は、p<q、q>2k1max+2、かつp>q/(2k1max+2)となるように選択される。いくつかの例では、p/qは、既約分数である。p及びqの選択値を用いて、B2=+/-(p/q)*B1となるように、または、T1≠T2の場合、α2=+/-(p/q)* α1となるようにB1及びB2を選択することができる。
【0100】
LIDARシステムの操作中、1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)は、それぞれfsampに等しい速度でサンプリングされることができる。データ期間DP1中にLIDARシステムから出力されるシステム出力信号に応答して変換要素(268)から出力される周波数は、F1,DCの値として機能することができ、データ期間DP2中にLIDARシステムから出力されるシステム出力信号に応答して変換要素(268)から出力される周波数は、F2,DCの値として機能することができ、データ期間DP3中にLIDARシステムから出力されるシステム出力信号に応答して変換要素(268)から出力される周波数は、F3,DCの値として機能することができる。
【0101】
電子機器は、F1(fd,1)値に対するLIDARシステムと反射物体との間の視線速度の寄与値を(fd,3)に等しいとして近似することができ、また、F2(fd,2)値に対する LIDARシステムと反射物体との間の視線速度の寄与値を(fd,3)に等しいとして近似することができる。従って、電子機器は、fd,1=fd,2=fd,3を設定することができる。上記のように、fd,3=F3である。さらに、データ期間 DP3中、ナイキストのサンプリング定理を満たすfsamp≧2|F3max|のため、F3DCは、アンダーサンプリングの結果ではない。そのため、電子機器は、F3値をF3,DCに等しいとして近似することができる。その結果、電子機器は、fd,1=fd,2=fd,3=F3=F3,DC=fdを近似することができる。
【0102】
ADCのアンダーサンプリングにより、F1(fr,1)値に対するLIDARシステムと反射物体間の距離の寄与には複数の可能値があり、F2(fr,2)値に対するLIDARシステムと反射物体間の距離の寄与には複数の可能値がある。電子機器は、データ期間DP1のfr,1の可能値及びデータ期間DP2のfr,2の可能値を測定することができる。いずれの可能値は、fr,k,n,eで表すことができ、ここで、kはデータ期間指数を表し、nは-k1max≦n≦k1maxの範囲内の可能値の指数であり、ここで、nの各値は整数であり、eは可能値が産生された方程式を識別する方程式指数を表す。電子機器は、次の式1Aからデータ期間DP1の一連の可能値を測定することができる:fr,1,n,A=F1,DC+fd+n*fsamp。ここで、-k1max≦n≦k1max。従って、fr,k,n,eに対して(2*k1max+1)個の値があり得る。電子機器は、DP2中の周波数変化の速度(α2)が正である場合、次の式2A:fr,2,n,A=(F2,DC+fd)*(q/p)+n*fsamp*(q/p)、またはDP2中の周波数変化の速度(α2)は正である場合、次の式2B:fr,2,n,B=(F2,DC+fd)*(q/p)-n*fsamp*(q/p)(ここで、k1max≦n≦k1maxである)からデータ期間DP2の一連の可能値を測定することができる。従って、fr,2,n,eに対して(2*k1max+1)個の値があり得る。
【0103】
データ期間DP1から測定されたfrの可能値(上記fr,1,n,A)の1つは、データ期間DP2から測定されたfrの可能値(fr,2,n,A及びfr,2,n,B)の1つと一致し、または実質的に一致するであろう。電子機器は、一致するペアを識別することができる。pとqを選択するための条件の結果として、-k1max≦n≦k1maxの範囲内のnの値について、サイクルごとに1つの一致するペアのみが存在するであろう。該範囲外のnの値は、他の一致を産生し得る。一致するペアのfr値は、該サイクルのfr値として機能する。
【0104】
電子機器は、fr及び/またはfdに対して測定された値を用いて、サイクルのLIDARデータを測定することができる。例えば、電子機器は、物体とLIDARシステム間の距離をc*fr*T/(2*B1)から、及び/または物体とLIDARシステム間の視線速度をv=λ*fd/2から測定することができる。
【0105】
図5Dは、3つのデータ期間を示しているが、データ期間の数は、異なってもよい。例えば、データ期間DP
3は、反射物体がLIDARシステムに対して静止している場合(即ち、v=0.0)には任意であってもよい。これらの例では、LIDARデータを、上記で開示したようにf
d,1=f
d,2=f
d,3=f
3,DC=f
d=0.0で産生することができる。
【0106】
LIDARチップに適したプラットフォームには、シリカ、リン化インジウム、及びシリコン・オン・インシュレータ・ウェーハが含まれるが、これらに限定されない。
図6は、シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハから構築されたチップの一部の断面図である。シリコン・オン・インシュレータ(SOI)・ウェーハは、基板(312)と光透過媒体(314)との間に埋め込み層(310)を含む。シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハでは、埋め込み層(310)は、シリカであり、一方、基板(312)及び光透過媒体(314)は、シリコンである。SOIウェーハ等の光学プラットフォームの基板(312)は、LIDARチップ全体のベースとして機能することができる。例えば、
図1Aから
図1DまでのLIDARチップ上に示される光学部品は、基板(312)の上面及び/または横面上または上に配置することができる。
【0107】
図6は、シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハから構築されたLIDARチップでの使用に適した導波路の構築物を含むLIDARチップの一部の断面図である。光透過媒体のリッジ(316)は、該光透過媒体のスラブ領域(318)から離れて延びる。光信号は、リッジ(316)の頂部と埋込み酸化物層(310)との間に拘束される。
【0108】
リッジ導波路の寸法は、
図6に示されている。例えば、リッジは、wと表記された幅及びhと表記された高さを有する。スラブ領域の厚さは T と表記されている。LIDARの用途では、他の用途で使用されるよりも高いレベルの光パワーを使用する必要があるため、これらの寸法は他の寸法よりも重要になり得る。リッジ幅(wと表記)は、1 μmより大きく、4 μm未満であり、リッジ高さ(hと表記)は、1 μmより大きく、4 μm未満であり、スラブ領域の厚さは、0.5 μmより大きく、3 μm未満である。これらの寸法は、導波路の直線部分または実質的に直線部分、導波路の湾曲部分、及び導波路のテーパー部分に適用することができる。従って、導波路のこれらの部分は、単一モードになる。しかし、いくつかの例では、これらの寸法は、導波路の直線部分または実質的に直線部分に適用される。他には、または代替的に、導波路の湾曲部分は、該導波路の湾曲部分における光のロスを減少するために、スラブの厚さを薄くすることができる。例えば、導波路の湾曲部分は、厚さが0.0 μm以上かつ0.5 μm未満のスラブ領域から離れて延びるリッジを有することができる。上記の寸法は、一般に導波路の直線部分または実質的に直線部分を単一モード構造で提供するが、複合モードであるテーパー部分及び/または湾曲部分をもたらす可能性がある。複合モードのジオメトリと単一モードのジオメトリ間の結合は、高次モードを実質的に励起しないテーパーを使用して行うことができる。従って、導波路は、導波路で搬送される信号が、複合モード寸法を有する導波路セクションで搬送される場合でも単一モードで搬送されるように構成することができる。
図6の文脈で開示された導波路構築物は、
図1Aから
図1Dに従って構築されたLIDARチップ上の導波路の全部または一部に適している。
【0109】
LIDARチップ上の導波路とインターフェイスされた光センサーは、該チップとは別の部品で、その後に該チップに取り付けられることができる。例えば、光センサーは、フォトダイオードまたはアバランシェフォトダイオードであり得る。好適な光センサー部品の例には、日本の浜松市にある浜松社によって製造されたInGaAs PINフォトダイオード、または日本の浜松市にある浜松社によって製造されたInGaAs APD (アバランシェフォトダイオード)が含まれるが、これらに限定されない。これらの光センサーは、LIDAR チップの中央に配置できる。あるいは、光センサーで終端する導波路の全部または一部を前記チップの縁部に位置するファセットで終端することができ、光センサーを、該光センサーがファセットを通過する光を受け取るように、該ファセット上で該チップの縁部に取り付けることができる。チップとは別の部品である光センサーの使用は、第1補助光センサー(218)、第2補助光センサー(220)、第1光センサー(223)、第2光センサー(224)からなる群から選択される光センサーの全部または一部に適する。
【0110】
別個部品である光センサーの代替として、光センサーの全部または一部をチップに一体化することができる。例えば、シリコン・オン・インシュレーター・ウエハから構築されたチップ上のリッジ導波路とインターフェイスされた光センサーの例は、Optics Express Vol.15,No.21,13965-13971(2007)、米国特許第8,093,080号(2012年1月10日発行)、米国特許第8,242,432号(2012年8月14日発行)、及び米国特許第6,108,8472号(2000年8月22日発行)に見出すことができ、それらのいずれも、その全体が本明細書に組み込まれる。チップと一体化された光センサーの使用は、補助光センサー(218)、第2補助光センサー(220)、第1光センサー(223)、及び第2光センサー(224)からなる群から選択される光センサーの全てまたは一部に適している。
【0111】
ユーティリティ導波路(12)とインターフェイスされる光源(10)は、LIDARチップとは別個であり、その後LIDARチップに取り付けられるレーザチップとすることができる。例えば、光源(10)は、フリップチップ構成を使用するチップに対するレーザチップであり得る。フリップチップ構成の使用は、光源(10)が、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから構築されたチップ上のリッジ導波路とインターフェイスされる場合に適している。あるいは、ユーティリティ導波路(12)は、外部キャビティレーザの反射器として機能するブラッグ格子等の光学格子(図示せず)を含むことができる。これらの例では、光源(10)は、LIDARチップとは別個であり、フリップチップ構成でLIDARチップに取り付けられる利得要素を含むことができる。シリコン・オン・インシュレータ・ウエハから構築されたチップ上のフリップチップ利得要素とリッジ導波路との間の好適なインターフェイスの例は、2017年7月11日に発行された米国特許第9,705,278号及び1999年11月23日に発行された米国特許第5,991,484号に見出すことができ、それらのいずれも、その全体が本明細書に組み込まれる。光源(10)が利得素子またはレーザチップである場合、電子機器(32)は、利得要素またはレーザキャビティを通して印加される電流のレベルを変更することによって、出力LIDAR信号の周波数を変更することができる。
【0112】
好適な電子機器(32)は、アナログ電気回路、デジタル電気回路、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンピュータ、マイクロコンピュータ、 または、上記の操作、監視、及び制御機能を実行するのに適した組み合わせを含むまたはこれらからなるコントローラを含むことができる。いくつかの例では、前記コントローラは、操作、制御、及び監視機能の実行中に該コントローラによって実行される指令を含むメモリにアクセスする。電子機器は、単一の場所にある単一の部品として示されているが、電子機器は、互いに独立して、かつ/または異なる場所に配置された複数の異なる部品を含むことができる。また、上述のように、開示された電子機器の全部または一部は、チップと一体化された電子機器を含むチップ上に含めることができる。
【0113】
本発明の他の実施形態、組み合わせ、及び改変は、これらの教示を考慮して、当業者には容易に想起されるであろう。従って、本発明は、上記の明細書及び添付の図面と併せて見たときに、全てのそのような実施形態及び改変を含む以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】